政治と選挙Q&A「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例(79)平成28年10月19日 仙台高裁秋田支部 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例(79)平成28年10月19日 仙台高裁秋田支部 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
裁判年月日 平成28年10月19日 裁判所名 仙台高裁秋田支部 裁判区分 判決
事件番号 平28(行ケ)1号
事件名 選挙無効請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2016WLJPCA10196010
事案の概要
◇平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙(本件選挙)について、秋田県選挙区の選挙人である原告が、公職選挙法14条、別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の当該選挙区における選挙も無効であると主張して、選挙無効訴訟を提起した事案
裁判経過
上告審 平成29年 9月27日 最高裁大法廷 判決 平29(行ツ)9号・平29(行ツ)19号・平29(行ツ)21号・平29(行ツ)22号・平29(行ツ)33号・平29(行ツ)34号・平29(行ツ)41号・平29(行ツ)55号 選挙無効請求事件
出典
一人一票実現国民会議 提供
裁判年月日 平成28年10月19日 裁判所名 仙台高裁秋田支部 裁判区分 判決
事件番号 平28(行ケ)1号
事件名 選挙無効請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2016WLJPCA10196010
秋田市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 升永英俊
同 久保利英明
同 伊藤真
同 長尾浩行
同 小川尚史
秋田市〈以下省略〉
被告 秋田県選挙管理委員会
同代表者委員長 A
同指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
同 W5
同 W6
同 W7
同 W8
同 W9
同 W10
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
平成28年7月10日に行われた参議院(選挙区選出)議員選挙の秋田県選挙区における選挙を無効とする。
第2 事案の概要
1 本件は,平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)について,秋田県選挙区の選挙人である原告が,公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定(以下,数次の改正の前後を通じ,平成6年法律第2号による改正前の別表第2を含め,「定数配分規定」といい,平成27年法律第60号による改正後の定数配分規定を「本件定数配分規定」という。)は憲法に違反し無効であるから,これに基づき施行された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟である。
2 前提事実等(括弧内に証拠を記載した以外の事実は,当裁判所に顕著であるか,弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1) 本件選挙
ア 原告は,本件選挙において,秋田県選挙区の選挙人であった。
イ 平成28年7月10日,本件定数配分規定の下で,本件選挙が施行された。本件選挙施行日において,参議院議員の定数は242人であり,そのうち,146人が選挙区選出議員,96人が比例代表選出議員とされている(公職選挙法4条2項)。
ウ 本件選挙当時,選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差(以下,各選挙当時の「選挙区間の最大較差」というときは,この選挙人数の最大較差をいう。)は,3.08倍(以下,較差に関する数値は,全て概数である。)であった。なお,議員1人当たりの選挙人数が最も少ない福井県選挙区と秋田県選挙区との間の較差は,1.37倍であった。(乙1)
(2) 本件選挙に至るまでの参議院議員の選挙制度の仕組みの変遷(乙3)
ア 参議院議員選挙法(昭和22年法律第11号)は,参議院議員の選挙について,参議院議員250人を全国選出議員100人と地方選出議員150人とに区分し,全国選出議員については,全都道府県の区域を通じて選出されるものとする一方,地方選出議員については,その選挙区及び各選挙区における議員定数を別表で定め,都道府県を単位とする選挙区において選出されるものとした。各選挙区の議員定数については,定数を偶数としてその最小限を2人とする方針の下に,各選挙区の人口に比例する形で,2人ないし8人の偶数の議員定数を配分した。
昭和25年に参議院議員選挙法は廃止され,公職選挙法が制定されたが,同法の定数配分規定は,上記の参議院議員選挙法の議員定数配分規定をそのまま引き継いだものであった。その後,沖縄県選挙区の議員定数2人が付加されたほかは,平成6年法律第47号による公職選挙法の改正(以下「平成6年改正」という。)まで,上記定数配分規定に変更はなかった。
イ 昭和57年法律第81号による公職選挙法の改正(以下「昭和57年改正」という。)により,参議院議員の選挙についていわゆる拘束名簿式比例代表制が導入され,参議院議員252人は各政党等の得票に比例して選出される比例代表選出議員100人と都道府県を単位とする選挙区ごとに選出される選挙区選出議員152人とに区分されることになった。この選挙区選出議員は,従来の地方選出議員の名称が変更されたものにすぎない。
ウ 平成12年法律第118号による公職選挙法の改正(以下「平成12年改正」という。)により,比例代表選出議員の選挙制度がいわゆる非拘束名簿式比例代表制に改められるとともに,参議院議員の総定数が10人削減されて242人とされ,96人が比例代表選出議員,146人が選挙区選出議員とされた。
エ 平成27年法律第60号(以下「平成27年改正法」という。)による公職選挙法の改正(以下「平成27年改正」という。)により,選挙区選出議員の選挙区及び定数について,鳥取県及び島根県,徳島県及び高知県をそれぞれ合区し,定数2人の「鳥取県及び島根県選挙区」と「徳島県及び高知県選挙区」とし,北海道,東京都,愛知県,兵庫県及び福岡県の各定数を2人ずつ増員し,宮城県,新潟県及び長野県の各定数を2人ずつ削減した。
平成27年改正法は,平成27年11月5日,施行された。
(3) 選挙区間の最大較差の推移及び定数配分規定の変更の経緯(乙4)
ア 参議院議員選挙法制定当時,選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差(昭和21年実施の臨時統計調査結果。以下,各立法当時の「選挙区間の最大較差」というときは,この人口の最大較差をいい,人口の基とされた国勢調査結果等を括弧内に記載する。)は2.62倍であったが,人口変動により,平成4年に施行された参議院議員通常選挙(以下,単に「通常選挙」といい,この通常選挙を「平成4年選挙」という。)当時,選挙区間の最大較差が6.59倍に達した。
イ 平成6年改正における7選挙区の定数を8増8減する措置により,選挙区間の最大較差(平成2年10月実施の国勢調査結果)は4.81倍に縮小し,人口又は選挙人数において少ない選挙区が多い選挙区よりも多くの議員定数を配分されているといういわゆる逆転現象は消滅した。
ウ その後,平成12年改正における3選挙区の定数を6減する措置により,平成6年改正後に再び生じたいわゆる逆転現象は消滅したが,上記平成12年改正における措置,平成18年法律第52号による公職選挙法の改正(以下「平成18年改正」という。)における4選挙区の定数を4増4減する措置及び平成24年法律第94号(以下「平成24年改正法」という。)による公職選挙法の改正(以下「平成24年改正」という。)における4選挙区の定数を4増4減する措置の前後を通じて,平成13年から平成25年までに施行された各通常選挙当時の選挙区間の最大較差は5倍前後で推移した。
平成24年改正法の附則には,平成28年に行われる通常選挙に向けて,参議院の在り方,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとする旨の規定が置かれた。
エ 平成27年改正における12選挙区の定数につき4県2合区を含めて10増10減する措置により,平成22年10月実施の国勢調査結果による人口に基づく平成27年改正当時の選挙区間の最大較差は2.97倍に縮小した。
平成27年改正法の附則には,平成31年に行われる通常選挙に向けて,参議院の在り方を踏まえて,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,必ず結論を得るものとする旨の規定が置かれた。
オ 平成28年7月10日施行の本件選挙は,平成27年改正後の本件定数配分規定の下で施行された初めての通常選挙である。
(4) 定数配分規定の合憲性に関する主要な最高裁大法廷判決
ア 選挙区間の最大較差が5.26倍に達した昭和52年に施行された通常選挙(以下「昭和52年選挙」という。)について,最高裁昭和54年(行ツ)第65号同58年4月27日大法廷判決・民集37巻3号345頁(以下「昭和58年大法廷判決」という。)は,いまだ違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたとするには足りない旨判示した。
選挙区間の最大較差が6.59倍に達した平成4年に施行された通常選挙(以下「平成4年選挙」という。)について,最高裁平成6年(行ツ)第59号同8年9月11日大法廷判決・民集50巻8号2283頁(以下「平成8年大法廷判決」という。)は,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていた旨判示した。
イ 平成6年改正により選挙区間の最大較差が4.97倍に縮小した平成7年に施行された通常選挙について,最高裁平成9年(行ツ)第104号同10年9月2日大法廷判決・民集52巻6号1373頁(以下「平成10年大法廷判決」という。)は,参議院議員の選挙制度の仕組みの下において投票価値の平等の有すべき重要性に照らして到底看過することができないと認められる程度に達しているとはいえない旨判示し,4.98倍に達した平成10年に施行された通常選挙について,最高裁平成11年(行ツ)第241号同12年9月6日大法廷判決・民集54巻7号1997頁(以下「平成12年大法廷判決」という。)も同旨の判断を示した。
ウ 平成12年改正後の定数配分規定の下で選挙区間の最大較差が5.06倍に達した平成13年に施行された通常選挙についての最高裁平成15年(行ツ)第24号同16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号56頁(以下「平成16年大法廷判決」という。)及び5.13倍に達した平成16年に施行された通常選挙についての最高裁平成17年(行ツ)第247号同18年10月4日大法廷判決・民集60巻8号2696頁(以下「平成18年大法廷判決」という。)は,いずれも違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたか否かにつき明示的に判示することなく,結論において当該各定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない旨の判断を示した。ただし,平成16年大法廷判決の多数意見は,補足意見1と補足意見2の2種類に分かれ,補足意見2はこれまでの最高裁大法廷判決の立法裁量の憲法適合性判断についての具体的手法を見直した上で,漫然と同様の状況が維持されるならば違憲判断がされる余地がある旨を指摘するものであり,平成18年大法廷判決は,投票価値の平等の重要性を考慮すると投票価値の不平等の是正について国会における不断の努力が望まれる旨を指摘するものであった。
平成18年改正後の定数配分規定の下で選挙区間の最大較差が4.86倍に達した平成19年に施行された通常選挙(以下「平成19年選挙」という。)について,最高裁平成20年(行ツ)第209号同21年9月30日大法廷判決・民集63巻7号1520頁(以下「平成21年大法廷判決」という。)は,平成16年大法廷判決及び平成18年大法廷判決と同様に,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたか否かにつき明示的に判示することなく,結論において当該各定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない旨の判断を示したが,当時の較差が投票価値の平等という観点からはなお大きな不平等が存する状態であって,選挙区間における投票価値の較差の縮小を図ることが求められる状況にあり,最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる旨を指摘した。
エ その後再び選挙区間の最大較差が5.00倍に達した平成22年に施行された通常選挙(以下「平成22年選挙」という。)について,最高裁平成23年(行ツ)第51号同24年10月17日大法廷判決・民集66巻10号3357頁(以下「平成24年大法廷判決」という。)は,結論において平成22年選挙当時における定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとしたものの,長年にわたる制度及び社会状況の変化を踏まえ,都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持しながら投票価値の平等の要求に応えていくことはもはや著しく困難な状況に至っていることなどに照らし,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていた旨判示するとともに,より適切な民意の反映が可能となるよう,単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ,できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる上記の不平等状態を解消する必要がある旨を指摘した。
平成24年改正後の定数配分規定の下で選挙区間の最大較差が4.77倍となった平成25年に施行された通常選挙(以下「平成25年選挙」という。)について,最高裁平成26年(行ツ)第155号・第156号同26年11月26日大法廷判決・民集68巻9号1363頁(以下「平成26年大法廷判決」という。)は,結論において平成25年選挙当時における定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとしたものの,平成24年改正後も平成22年選挙当時と同様に違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態にあった旨判示するとともに,平成24年大法廷判決と同様,より適切な民意の反映が可能となるよう,単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなどの具体的な改正案の検討と集約を着実に進め,できるだけ速やかに,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置によって違憲の問題が生ずる上記の不平等状態を解消する必要がある旨を重ねて指摘した。
3 争点及びこれについての当事者の主張
(1) 本件選挙当時の本件定数配分規定の合憲性
(原告の主張)
ア 人口比例選挙の保障違反
憲法56条2項,1条,前文第1段は,文理上,両議院の議事を決する出席議員の過半数が必ず国民の過半数から選出されるようにすること,すなわち,国民の多数が国会議員の多数を選ぶ選挙制度を要求しているから,国民に対して人口比例選挙を保障しているものと解される。
本件定数配分規定は,2つの合区を除き,都道府県を選挙区の単位として行われ,本件選挙当時,選挙区間の最大較差は3.08倍であり,人口比例選挙の保障に反しているが,これを正当化し得る合理性の立証もされていない。
したがって,本件選挙当時の本件定数配分規定は,憲法56条2項,1条,前文第1段による人口比例選挙の保障に違反する。
イ 投票価値の平等の要求違反
本件定数配分規定は,憲法の投票価値の平等の要請に反しているところ,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態の選挙でこれまで選出された議員には国会の活動を行う正統性がないから,国会に立法裁量権はない。また,最高裁大法廷判決の合理的期間に関する部分(以下「合理的期間の法理」という。)は,憲法98条1項により無効である。
仮に最高裁大法廷判決の基本的な判断枠組みを前提としても,本件選挙当時の選挙区間の最大較差が,平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙当時の選挙区間の最大較差(2.129倍)より後退してよい理由はない。また,実務上の技術的側面に限っていえば,衆議院と参議院で是正措置に本質的な差異はないから,衆議院議員選挙区画定審議会設置法(以下「区画審設置法」という。)4条1項及び衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律(平成24年法律第95号。以下「緊急是正法」という。)附則4条3項(平成25年法律第68号による改正前は3条3項)の定めをも考慮すべきである。そうすると,合理的期間は,少なくとも,平成24年大法廷判決の言渡しがされた平成24年10月17日から起算して約3年9か月が経過した本件選挙当日の時点で既に徒過している。
したがって,本件選挙当時の本件定数配分規定は,憲法の投票価値の平等の要求に違反し,違憲である。
(被告の主張)
ア 原告の主張ア(人口比例選挙の保障違反)について
原告の上記主張は争う。
イ 原告の主張イ(投票価値の平等の要求違反)について
(ア) 本件選挙当時,本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡が,投票価値の平等の重要性に照らして看過し得ない程度に達しているとはいえず,仮に達しているとしても,これを正当化すべき理由がある。その理由は,次のとおりである。
a 憲法が二院制を採用した趣旨や半数改選制(46条)から定数の偶数配分が求められることなどの技術的制約等に照らせば,参議院議員の選挙制度の仕組みについての立法裁量は,衆議院議員の選挙制度と比較して,より広範な幅があり,投票価値の平等の要請は,衆議院議員の選挙制度以上の譲歩を求められる。平成27年改正により選挙区間の最大較差は大幅に縮小され,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態は解消された。
b 平成27年改正法は,一部の選挙区を合区する一方で,参議院の選挙区選出議員の地域代表的性格を原則として維持するものである。これは,参議院の選挙区選出議員の選出基盤について衆議院議員とは異なる要素を付加し,都道府県を構成する住民の意思を集約的に反映させようとするものであり,憲法が二院制を採用した趣旨に沿うものである。
c いわゆる過疎地域に住む少数者の意見を含む多角的な民意を国政に反映させるため,過疎化等が進む地方の実情と課題に通暁する者を国政に参加させようとすることは,国会において正当に考慮することができる政策的目的ないし理由となる。
d 合区の対象となった鳥取県及び島根県並びに徳島県及び高知県は,互いに隣接する人口の少ない県同士であり,合区の組合せが可能であったが,これ以上に合区すれば,合区の対象県とそれ以外の県との間で不公平さを生じさせることとなるから,平成27年改正法における合区の方法は合理的なものである。
(イ) 仮に本件定数配分規定に基づく選挙区間における投票価値の不均衡について違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたとしても,平成27年改正後,本件選挙までの間に,その旨の裁判所の判断は示されておらず,平成27年改正当時及び本件選挙当時の選挙区間の最大較差は,累次の最高裁判所大法廷判決において合憲とされた最大較差を大幅に下回るものであったから,国会が,本件選挙までの間に,上記の状態に至っていたことを認識し得たということはできない。
したがって,本件選挙までの期間内にその是正がされなかったことが国会の立法裁量権の限界を超えるものとはいえない。
(2) 本件選挙の秋田県選挙区における選挙の効力
(原告の主張)
ア 本件選挙当時の本件定数配分規定は,憲法56条2項,1条,前文第1段による人口比例選挙の保障に違反し,仮にそうでないとしても,投票価値の平等の要求に違反するから,憲法98条1項により無効であり,本件定数配分規定の下で施行された本件選挙の秋田県選挙区における選挙も無効である。
イ 最高裁大法廷判決の事情判決の法理に関する部分は,憲法98条1項により無効であるから,事情判決の法理を適用することはできない。
仮にそうでないとしても,本件選挙で当選した参議院議員が全員失格となっても,その余の参議院議員により参議院の憲法上の機能を果たすことができるから,事情判決の法理を適用すべきではない。
(被告の主張)
原告の主張は争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(本件選挙当時の本件定数配分規定の合憲性)について
(1) 基本的な考え方
憲法は,選挙権の内容の平等,換言すれば,議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等,すなわち投票価値の平等を要求していると解される(14条1項)。しかしながら,憲法は,国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させるために,選挙制度の仕組み,すなわち,議員の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項をどのようなものにするか決定することを国会の裁量に委ねているのであるから(43条2項,47条),投票価値の平等は,選挙制度の仕組みを決定する唯一,絶対の基準となるものではなく,国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものである。それゆえ,国会が具体的に定めたところがその裁量権の行使として合理性を有するものである限り,それによって投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められることになっても,憲法に違反するとはいえない。
そして,憲法が二院制を採用し(42条),衆議院と参議院の権限及び議員の任期等に差異を設けている(45条,46条,54条,59条ないし61条,67条,69条等)趣旨は,それぞれの議院に特色のある機能を発揮させることによって,国会を公正かつ効果的に国民を代表する機関たらしめようとするところにある。その中にあって,民選議会型の議院である参議院の存在意義は,衆議院の行動を点検・検討してその誤りや行き過ぎの修正を促し,衆議院の審議に十分に反映されていない国民の多様な利害や意見等をくみ取り,国会の審議や立法権限の行使を慎重かつ公平なものにするとともに,衆議院が解散等によって機能を失ったときには,国民を代表する機関となるなど,参議院に衆議院を抑制し補充する役割を果たさせることにあると解される。参議院の選挙制度の仕組みは,このような観点から,参議院議員について,全国選出議員(昭和57年改正後は比例代表選出議員)と地方選出議員(同改正後は選挙区選出議員)に分け,前者については全国(全都道府県)の区域を通じて選挙するものとし,後者については都道府県を各選挙区の単位としたものである。昭和22年の参議院議員選挙法及び昭和25年の公職選挙法の制定当時において,このような選挙制度の仕組みを定めたことが,国会の有する立法裁量権の合理的な行使の範囲を超えるものであったということはできない。しかしながら,社会的,経済的変化の激しい時代にあって不断に生ずる人口変動の結果,上記の仕組みの下で投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが,国会の立法裁量権の限界を超えると判断される場合には,当該定数配分規定が憲法に違反するに至るものと解するのが相当である(昭和58年大法廷判決以降の参議院議員(地方選出議員ないし選挙区選出議員)選挙に関する累次の大法廷判決参照)。
(2) 原告の主張(人口比例選挙の保障違反)について
原告は,憲法56条2項,1条,前文第1段は,文理上,両議院の議事を決する出席議員の過半数が必ず国民の過半数から選出されるようにすること,すなわち,国民の多数が国会議員の多数を選ぶ選挙制度を要求しているから,人口比例選挙を保障しているものと解されるところ,本件定数配分規定は,本件選挙当時,選挙区間の最大較差は3.08倍であり,人口比例選挙の保障に反しているから,本件選挙当時の本件定数配分規定は,憲法56条2項,1条,前文第1段に違反するなどと主張する。
そこで検討すると,憲法56条2項は,両議院の議事についての表決方法を定めた規定であり,憲法1条,前文第1段は,国民主権原理の下,代表民主制を採用することを宣言するものであって,これらの規定等は,両議院の議員の選出方法について定めるものではない。そうすると,これらの規定等が,文理上,人口比例選挙を保障しているものと解することはできないから,原告の主張は前提を欠いており,採用できない。
もっとも,憲法が要請する投票価値の平等は,国民主権原理の下で民意の国政への正確な反映という側面からも基礎付けられるものと解される。しかし,これは前記の国会の立法裁量権に関する上記基本的な考え方と抵触するものではない。前記のとおり,憲法は,両議院の議員の選出方法などの選挙制度の仕組みの決定について,国会に立法裁量権を認めているところ,原告の主張が,厳格な人口比例に基づくべきであるとして国会の立法裁量権を否定する趣旨のものであれば,その点からも採用できない。
(3) 本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡が,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態(以下,このような状態を「違憲状態」という。)に至っているか否か
ア 国会の立法裁量の憲法適合性に関する具体的な判断手法について
前記前提事実のとおり,本件定数配分規定の下で施行された本件選挙当時の選挙区間の最大較差は,3.08倍であり,選挙区間において投票価値の不均衡があったことが認められる。この状態が違憲状態に至っているか否かについて,以下,上記(1)の基本的な考え方を前提として検討する。
憲法は,投票価値の平等を要求している。これは平等選挙の内容である1人1票の原則を投票価値という実質的側面から国民に保障するものであり,選挙制度の仕組みにおいて,人口比例を十分考慮すべきであるとの要請であって,議会制民主主義の根幹に関わり,国会の活動の正統性を支えるものである。したがって,その重要性に鑑みると,国会が選挙制度の仕組みを決定するに当たっては,憲法上,これを最も重要な基準とすることが要求されていると解される。
他方,両議院の議員の選挙については,憲法上,議員は全国民を代表するものでなければならないという基本的な要請(43条1項)の下で,選挙に関する事項は法律で定めるべきものとされており(同条2項,47条),参議院議員の選挙制度における定数配分規定の決定についても,国会に立法裁量権が認められる。そして,国会が,その立法裁量権を行使するに当たっては,憲法が直接要請する投票価値の平等の要求と並んで,憲法の採用する二院制(具体的には二院制の下における参議院の性格や機能及び衆議院との異同をどのように位置付け,これを参議院議員の選挙制度にいかに反映させていくかなどの参議院の在り方),半数改選制,地方自治制度等の諸制度及びこれらを支える憲法上の原理(代表民主制の原理等)を考慮することが許されるべきであり,これら憲法上の権利,諸制度及び原理が直接要請するところではない政策的観点(地域代表,職能代表等)からの諸事情についても,これらを考慮することが憲法上禁止されているとは解されない。
もっとも,憲法が要請する投票価値の平等の重要性に鑑みると,それ以外の考慮要素を衡量するに当たっては,事柄の性質上,それらと投票価値の平等の要求との憲法上の位置付けの相違や,昭和22年に参議院議員の選挙制度が設けられてから70年近くにわたる選挙制度や社会状況の変化等を踏まえて,慎重に検討することが必要となる。とりわけ,投票価値の平等に関する最高裁大法廷判決の判断内容の変化には留意すべきである。すなわち,選挙区間の最大較差が5倍前後で常態化していた中で,平成16年大法廷判決,平成18年大法廷判決及び平成21年大法廷判決においては,昭和58年大法廷判決以降の最高裁大法廷判決の判断枠組みは基本的に維持しつつも,投票価値の平等の観点から国会の立法裁量について実質的にはより厳格な評価がされるようになっていた(この中で平成21年大法廷判決は,選挙制度の仕組み自体の見直しが必要である旨の指摘までしている。)。また,昭和58年大法廷判決は,長期にわたる投票価値の大きな較差の継続を許容し得る根拠として,参議院についての憲法の定めや参議院議員の選挙制度の仕組み等を挙げ,また,都道府県が歴史的にも政治的,経済的,社会的にも独自の意義と実体を有し,政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ることに照らし,都道府県を各選挙区の単位とすることによりこれを構成する住民の意思を集約的に反映させ得る旨の指摘をしていたが,平成24年大法廷判決においては,これらの諸点につき,両議院の選挙制度の同質化へ向けての変遷や長年にわたる社会状況の変化を踏まえ,数十年間にもわたり5倍前後の大きな較差が継続することを正当化する理由としては十分なものとはいえなくなっている旨の指摘がされており,平成26年大法廷判決も同様の指摘をしている。
イ そこで,本件選挙当時,本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡が違憲状態にあったか否かについて,上記の見地に立って検討する。
(ア) 憲法は,二院制の下で,一定の事項について衆議院の優越を認める反面,参議院議員につき任期を6年の長期とし,解散もなく,選挙は3年ごとにその半数について行うことを定めている(46条等)。その趣旨は,立法を始めとする多くの事柄について参議院にも衆議院とほぼ等しい権限を与えつつ,参議院議員の任期をより長期とすること等によって,参議院が,優越的な地位にある衆議院の行動を点検・検討し,その誤りや行き過ぎの修正を促すなどして抑制し,衆議院の審議に十分に反映されていない国民の多様な利害や意見等をくみ取り,国会の審議や立法権限の行使を慎重かつ公平なものにするとともに,衆議院が機能を失ったときに,国民を代表する機関として補充的な役割を果たすなど,多角的かつ長期的な視点からの民意を国会に反映させ,衆議院と参議院との権限の抑制,均衡を図り,国政の運営の安定性,継続性を確保しようとしたものと解される。
(イ) 参議院議員と衆議院議員の各選挙制度の変遷を対比してみると,両議院とも,政党に重きを置いた選挙制度を旨とする改正が行われている上,都道府県又はそれを細分化した地域を選挙区とする選挙と,より広範な地域を選挙の単位とする比例代表選挙との組合せという類似した議員の選出方法が採られ,その結果として同質的な選挙制度となっている。また,急速に変化する社会の情勢の下で,各議院における与野党の多数派が異なるいわゆる「ねじれ国会」が出現したことや,「ねじれ国会」が解消した後の本件選挙当時までの国会の在り方をみても,議員の長い任期を背景に,国政の運営における参議院の役割がこれまでにも増して大きくなってきている。加えて,衆議院については,この間の選挙制度の改正を通じて,憲法上の投票価値の平等の要請に対する制度的な配慮として,選挙区間の人口較差が2倍未満となることを基本とする旨の区割りの基準が定められていることにも照らすと,国民代表としての地位は憲法上衆議院と同質である参議院についても,二院制に係る上記の憲法の趣旨との調和の下に,更に適切に民意が反映されるよう投票価値の平等の要請について十分に配慮することが求められる。
(ウ) 参議院においては,これまでの人口変動により,都道府県間の人口較差が著しく拡大したため,昭和22年の制度発足時には選挙区間の最大較差(昭和21年実施の臨時統計調査結果)は2.62倍であったものが,昭和52年選挙の時点では選挙区間の最大較差が5.26倍に拡大し,平成4年選挙の時点では6.59倍にまで達する状況となった。半数改選という憲法上の要請を踏まえた偶数配分を前提に,都道府県を単位として各選挙区の定数を定める選挙制度の仕組みの下で,平成6年以降の数次の改正による定数の調整によって若干の較差の縮小が図られたものの,平成27年改正に至るまで,5倍前後の較差が維持されたまま推移していた。
ウ このような憲法の趣旨,参議院の役割等に照らすと,参議院は衆議院とともに国民を代表する機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っていることは明らかであり,参議院議員の選挙であること自体から,直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い。
昭和58年大法廷判決が長期にわたる投票価値の大きな較差の継続を許容し得る根拠として挙げていた参議院の選挙制度の仕組みや参議院に関する憲法の定め等も,平成24年大法廷判決及び平成26年大法廷判決が指摘するとおり,選挙制度の変遷や長年にわたる社会状況の変化,とりわけ,比例代表選挙導入後の両議院の選挙制度の同質化,参議院の役割の増大及び人口分布の変化を踏まえると,数十年間にもわたり5倍前後の大きな較差が継続してきたことを正当化する理由としては十分なものとはいえない。殊に,昭和58年大法廷判決は,上記の選挙制度の仕組みに関して,都道府県が歴史的にも政治的,経済的,社会的にも独自の意義と実体を有し,政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ることから,都道府県を各選挙区の単位とすることによりこれを構成する住民の意思を集約的に反映させ得る旨を指摘していたが,この指摘は政策的観点からは相応の合理性を有しているものの,これを参議院議員の各選挙区の単位としなければならない憲法上の要請はない。むしろ,都道府県を各選挙区の単位として固定する結果,その間の人口較差に起因して上記のように投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続している状況の下では,上記の都道府県の意義や実体等をもって上記の選挙制度の仕組みの合理性を基礎付けるには足りなくなっている。人口の都市部への集中による都道府県間の人口較差の拡大が続き,議員の総定数を増やす方法を採ることにも制約がある中で,半数改選という憲法上の要請を踏まえて定められた偶数配分を前提に,都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持しながら投票価値の平等の実現を図るという要求に応えていくことは,もはや著しく困難な状況に至っているものというべきである。
このようにみると,平成24年大法廷判決が判示するとおり,平成22年選挙当時,平成24年改正前の定数配分規定の下での前記の較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は,憲法が要請する投票価値の平等の重要性に照らして看過し得ない程度に達しており,違憲状態に至っていたというほかはない。
エ そして,平成26年大法廷判決が判示するとおり,平成24年改正前の定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡が違憲状態にあると評価されるに至ったのは,長期にわたり投票価値の大きな較差を生じさせる要因となってきた都道府県を各選挙区の単位とする選挙制度の仕組みが,もはやそのような較差の継続を正当化する十分な根拠を維持し得なくなっていることによるものであるから,違憲状態を解消するためには,一部の選挙区の定数の増減にとどまらず,上記制度の仕組み自体の見直しが必要であるといわなければならない。しかるに,平成24年改正法による前記4増4減の措置は,上記選挙制度の仕組みを維持して一部の選挙区の定数を増減するにとどまり,選挙区間の最大較差については上記改正の前後を通じてなお5倍前後の水準が続いていたのであるから,違憲状態を解消するには足りないものであったといわざるを得ない。したがって,平成24年改正法による上記の措置を経た後も,平成24年改正後の定数配分規定の下で施行された平成25年選挙当時も,平成22年選挙当時と同様に,違憲状態にあったものというべきである。
オ 本件選挙は,平成26年大法廷判決の言渡し後に成立した平成27年改正法の定数配分規定の下で施行されたものであるが,平成27年改正法が定める改正内容,すなわち,12選挙区の定数について4県2合区を含めて10増10減する措置は,上記のような都道府県を各選挙区の単位として各選挙区の定数を設定する仕組みを基本的に維持した上で,一部の選挙区についてこれを改めた上で定数を増減するにとどまるものである。そして,選挙区間の最大較差は5倍前後の水準からは縮小したものの,平成27年改正当時の選挙区間の最大較差(平成22年実施の国勢調査結果)は2.97倍,本件選挙当時の選挙区間の最大較差は3.08倍である。前記の憲法が要請する投票価値の平等の重要性,人口変動を始めとする長年にわたる社会状況の変化,衆議院と参議院の各選挙制度の同質化や参議院の役割の増大,衆議院の選挙制度の改正状況,都道府県を各選挙区の単位として各選挙区の定数を設定する選挙制度の仕組み自体の見直しの必要性等に照らすと,このような2倍台後半ないし3倍程度の較差が残存することを正当化する理由は見いだし難い。したがって,平成27年改正法による措置によっても,これまでの違憲状態は解消していないといわざるを得ない。
カ 被告の主張についての検討
(ア) 被告は,憲法が二院制を採用した趣旨及び半数改選制から定数の偶数配分が求められるなどの技術的制約等に照らせば,参議院議員の選挙制度の仕組みについての立法裁量は,衆議院議員の選挙制度と比較して,より広範な幅があり,投票価値の平等の要請は,衆議院議員の選挙制度以上の譲歩を求められると主張する。
そこで検討すると,憲法は,二院制を採用した上で,参議院の選挙制度については半数改選制を定めているところ,二院制の在り方は多様であり,諸外国の制度をみると,国民の多数意思を反映する第一院(下院)とは異なる原理により第二院(上院)が組織される例もみられることなどに鑑みると,憲法が,国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させるために選挙制度をどのような制度にするかの決定を国会の裁量に委ねるに当たり,二院制の趣旨を全うすべく,参議院に衆議院と異なる存在意義を持たせ,これを参議院議員の選挙制度に反映させるために,参議院の選挙制度における投票価値の平等を衆議院の選挙制度よりも譲歩させることを禁止しているものとは解されない。しかしながら,前記のとおり,現在のような政党に重きを置いた参議院と衆議院の各選挙制度の同質化や参議院の役割の増大を前提とすると,憲法が二院制を採用していること自体から直ちに2倍台後半ないし3倍程度の選挙区間の較差を正当化する理由があるということはできず,より具体的な理由が必要となるというべきである。
この点について,被告は,平成27年改正法は,一部の選挙区を合区する一方で,参議院の選挙区選出議員の地域代表的性格を原則として維持するものであり,これは,参議院の選挙区選出議員の選出基盤について衆議院議員とは異なる要素を付加し,その代表の実質的内容ないし機能に独特の要素を持たせ,都道府県を構成する住民の意思を集約的に反映させようとするものであり,憲法が二院制を採用した趣旨に沿うものであると主張する。
しかしながら,参議院の選挙区選出議員の地域代表的性格の維持は,憲法上の権利ないし制度から要請されるものではなく,両議院の議員の全国民の代表(43条1項)という性質に反しない限りにおいて許容される政策に属する事柄である。したがって,それは,政策的観点からは相応の合理性を有するとしても,憲法上の投票価値の平等の要求を衆議院と異なり2倍台後半ないし3倍程度まで後退させる合理的理由にはならない。
なお,地域代表的性格の意義について,憲法制定直後に制定された参議院議員選挙法について,当時のB内務大臣は,同法案の提案理由説明において,参議院の性格の中に府県代表という意味を加味できないか,との意見に対し,「我が国の参議院においては,地域代表という思想は採ることができない。地域代表的性質ということを申し上げているが,これは地方の事情に詳しい人に出てもらうという趣旨で申し上げている」旨の答弁をしている(乙2)。これをみると,参議院議員選挙法の立法当時,参議院に,地方の事情に詳しい人物を国政に参加させるという趣旨を超えて,都道府県代表という意味を加味した地域代表的性格を持たせるような選挙制度を考えていたことはうかがえない。
(イ) また,被告は,いわゆる過疎地域を含む県に居住する少数者の意見を含む多角的な民意を国政に反映させるため,過疎化等が進む地方の実情と課題に通暁する者を国政に参加させようとすることは,国会において正当に考慮することができる政策的目的ないし理由となると主張する。
しかしながら,憲法上,両議院の議員は,いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず,全国民を代表して国政に関与することが要請されているのであり,相対的に人口の少ない地域に対する配慮はそのような活動の中で全国的な視野から法律の制定等に当たって考慮されるべき事柄であって,地域性に係る問題のために,殊更にある地域(都道府県)の選挙人と他の地域(都道府県)の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い(最高裁平成22年(行ツ)第207号同23年3月23日大法廷判決・民集65巻2号755頁参照)。地域性に係る問題を解決するために,各地域(都道府県)からその地域の実情や課題に通暁している議員を選出することが望ましいという地方の意見に配慮することが,政策的観点からみると相応の合理性を有するとしても,それが憲法上の投票価値の平等の要求を2倍台後半ないし3倍程度まで後退させる合理的理由にはならない。
(ウ) 被告は,合区の対象となった鳥取県及び島根県並びに徳島県及び高知県は,互いに隣接する人口の少ない県同士での組合せが可能であったが,これ以上に合区すれば,合区の対象県とそれ以外の県との間で不公平さを生じさせることとなるから,平成27年改正法における合区の方法は合理的なものであると主張するほか,参議院の選挙制度が半数改選制とされ,定数の偶数配分が求められるなどの技術的制約があることなどを主張する。
しかしながら,前記のとおり,憲法が要請する投票価値の平等の重要性等に照らすと,憲法が定める半数改選制及びこれに由来する定数の偶数配分が,衆議院と異なり2倍台後半ないし3倍程度の較差を正当化する理由とはならない。また,合区の対象県とそれ以外の県との間の公平の問題は,参議院議員の選挙制度において都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する方式を基本的に維持することから生じる問題である。このような点を立法裁量に当たり考慮するとしても,それが憲法上の投票価値の平等の要求を,衆議院と異なり2倍台後半ないし3倍程度まで後退させる理由とはならない。
(エ) なお,平成27年改正法についての国会における審議状況をみると,憲法制定直後に制定された参議院議員選挙法制定当時,選挙区間の最大較差(昭和21年実施の臨時統計調査結果)が2.62倍であったことから,選挙区間の最大較差が2倍台であることを憲法が許容していたと考えられるとの議論がされている。しかしながら,参議院議員選挙法制定当時と本件選挙当時とは,そもそも交通事情,通信手段等のほか,人口分布等の社会事情が大きく異なる上,政治過程における参議院と衆議院の関係が変わり,それぞれの選挙制度も同質化しており,その間,国民の権利意識が向上し,投票による政治参加等を通じて投票価値の平等の憲法上の重要性の認識が広まり,法理学的な観点から統治機構の正統性の検討も深められてきていることなどに鑑みると,参議院議員選挙法制定当時,選挙区間の最大較差(昭和21年実施の臨時統計調査結果)が2.62倍であったことが,国会の立法裁量権の合理的な行使の範囲を超えるものであったということはできないとしても,上記のとおり立法事実が変化した本件選挙当時においては,選挙区間の最大較差が2倍台後半ないし3倍程度であることを許容する理由となるものではない。
(オ) 以上の検討結果に加え,被告が種々主張する諸事情を総合して検討しても,参議院の選挙制度における投票価値の平等の要求を衆議院と異なり2倍台後半ないし3倍程度まで後退させることを立法裁量権の行使の範囲内として許容する理由は見いだし難い。
したがって,被告の主張は採用できない。
キ まとめ
以上のとおり,憲法の要請する投票価値の平等の重要性とともに,長年にわたる社会状況の変化,衆議院と参議院の各選挙制度の同質化や参議院の役割の増大,衆議院の選挙制度の改正状況,都道府県を各選挙区の単位とする選挙制度の仕組み自体の見直しの必要性等に鑑みると,被告が主張する諸事情は,平成27年改正前の数十年間にもわたる選挙区間の5倍前後の大きな較差の継続を正当化する理由として十分なものとはいえないだけではなく,本件選挙当時においても,選挙区間の2倍台後半ないし3倍程度の較差が残存することを正当化する理由としても十分なものとはいえない。
平成27年改正法自体も,その附則において,平成31年に行われる通常選挙に向けて,参議院の在り方を踏まえて,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,必ず結論を得るものとする旨を定めており,上記4県2合区を含めて10増10減する措置を執った後も,引き続き現行制度の見直しの検討が必要となることを前提としていたものと解される。
したがって,平成27年改正法による上記の措置を経た後も,本件選挙当時に至るまで,本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は,依然として違憲状態にあったものというべきである。
(4) 合理的期間の法理について
ア 判断枠組み
憲法秩序の下における司法権と立法権との関係に照らすと,参議院議員の選挙における投票価値の較差の問題については,①当該定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡が,違憲状態に至っているか否か,②違憲状態に至っている場合に,当該選挙までの期間内にその是正がされなかったことが国会の立法裁量権の限界を超えるとして当該定数配分規定が憲法に違反するに至っているか否かといった判断の枠組みを前提として審査を行うべきである。そして,上記①において違憲状態に至っている旨の司法の判断がされれば,国会はこれを受けて是正を行う責務を負うものであるところ,上記②において当該選挙までの期間内にその是正がされなかったことが国会の立法裁量権の限界を超えるといえるか否かを判断するに当たっては,単に期間の長短のみならず,是正のために採るべき措置の内容,そのために検討を要する事項,実際に必要となる手続や作業等の諸般の事情を総合考慮して,国会における是正の実現に向けた取組が司法の判断の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使の在り方として相当なものであったといえるか否かという観点に立って評価すべきものと解される(平成26年大法廷判決参照)。
イ 原告の合理的期間の法理に関する主張について
原告は,違憲状態の選挙で選出された議員には国会の活動を行う正統性がないから,そのような議員で構成される国会に立法裁量権はなく,また,合理的期間の法理は,違憲状態の選挙を有効として憲法の最高法規性を否定するものであるから,憲法98条1項により無効であると主張する。
しかしながら,投票価値の不均衡が違憲状態に至っている場合に選挙で選出された議員が国会活動の正統性を失うかどうかは,当該選挙が無効となるかどうかによって決するべきであり,当該選挙が有効であるとされた場合には,選出された議員で構成される国会に立法裁量権があることはいうまでもない。また,両議院の議員の選挙制度について国会に立法裁量権があるところ,上記アのとおり,憲法秩序の下における司法権と立法権の関係に照らすと,国会の立法裁量権の行使について合理的期間を考慮すべきであるから,合理的期間の法理が憲法98条1項により無効となるとの原告の主張は採用できない。
(5) 本件選挙までに投票価値の不均衡についての違憲状態が是正されなかったことが,国会の立法裁量権の限界を超えるといえるか否か
ア 参議院議員の選挙における投票価値の不均衡については,平成10年大法廷判決及び平成12年大法廷判決は違憲状態に至っていないとする判断を示し,その後も平成21年大法廷判決に至るまで違憲状態に至っていたものとする判断が示されたことはなかったところ,違憲状態に至っているとし,その解消のために選挙制度の仕組み自体の見直しが必要であるとする最高裁大法廷の判断が示されたのは,平成24年大法廷判決の言渡しがされた平成24年10月17日であり,国会において違憲状態に至っていると認識し得たのはこの時点からであったというべきである。そうすると,平成24年大法廷判決により違憲状態に至っている旨の判断がされたことにより,国会はこれを受けて違憲状態の是正を行う責務を負うに至ったというべきであり,本件選挙までの国会における是正の実現に向けた取組が司法の判断の趣旨を踏まえた立法裁量権の在り方として相当なものであったといえるか否かを判断するに当たっては,平成24年大法廷判決の言渡しがあった日までの国会における選挙区間の最大較差の是正の実現に向けた取組の状況をも踏まえて,是正のために採るべき措置の内容,そのために検討を要する事項,実際に必要となる手続や作業等の諸般の事情を総合考慮して判断するのが相当である。
イ 前記前提事実,証拠(各項末尾に掲記のもの)及び弁論の全趣旨により認められる平成24年大法廷判決の言渡しがあった日の前後を通じて行われた国会における選挙区間の較差の是正の実現に向けた主要な取組は,次のとおりである。
(ア) 平成16年大法廷判決を受けて平成16年12月1日に参議院議長の諮問機関である参議院改革協議会の下に設けられた選挙制度に係る専門委員会が平成17年10月に同協議会に提出した報告書では,その当時の選挙制度の仕組みを維持する限り,各選挙区の定数を振り替える措置により較差の是正を図ったとしても,較差を4倍以内に抑えることは相当の困難がある旨の意見が示された。平成18年改正により同報告書の提案に係る4選挙区の定数を4増4減する措置が採られ,平成18年大法廷判決の言渡し後,平成18年改正後の定数配分規定の下で施行された平成19年選挙後の平成20年6月に改めて参議院改革協議会の下に設けられた専門委員会において,平成21年大法廷判決の指摘を踏まえて協議がされたが,具体的な選挙区間の較差の是正は見送られた。(乙2)
(イ) 平成18年改正後の定数配分規定の下で2回目に施行された平成22年選挙後,平成21年大法廷判決の指摘を踏まえた選挙制度の仕組みの見直しを含む制度改革に向けた検討のため,参議院に選挙制度の改革に関する検討会(以下「選挙制度改革検討会」という。)及び同検討会の下に選挙制度協議会が設けられ,協議が重ねられた。
ところが,各会派の意見の対立が大きく,全会派の合意に基づく成案は得られず,平成24年8月,公職選挙法の一部を改正する法律案が国会に提出された。その内容は,平成25年7月に施行される通常選挙に向けた改正として選挙区選出議員について4選挙区で定数を4増4減するものであり,その附則には,平成28年に行われる通常選挙に向けて,選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとする旨の規定が置かれていた。なお,平成24年7月30日の選挙制度改革検討会において,同検討会及び選挙制度協議会を存続し,引き続き協議を行うこととされた。(乙2,5,6)
(ウ) 平成22年選挙について違憲状態の判断がされた平成24年大法廷判決の言渡し後,平成24年11月16日に上記の公職選挙法の一部を改正する法律案が平成24年改正法として成立した。同月以降,選挙制度協議会において平成24年大法廷判決を受けて選挙制度の改革に関する検討が行われ,平成25年6月,選挙制度改革検討会において,選挙制度協議会の当時の座長から参議院議長及び参議院の各会派に対し,平成24年改正法の上記附則の定めに従い,平成28年7月に施行される通常選挙から新選挙制度を適用すべく,平成26年度中に選挙制度の仕組みの見直しを内容とする改革の成案を得た上で,平成27年中の公職選挙法改正の成立を目指して検討を進める旨の工程表が示された。(乙5,7)
(エ) 平成24年改正後の定数配分規定の下で平成25年選挙が施行された後の平成25年9月,参議院において改めて選挙制度改革検討会が開かれてその下に選挙制度協議会が設置され,同検討会において,平成27年中の公職選挙法改正の成立を目指すことが確認されるとともに,同協議会において,同月以降おおむね月数回ずつ有識者等からの意見や説明の聴取をした上で協議が行われ,平成26年4月には選挙制度の仕組みの見直しを内容とする座長案が示され,その後に同案の見直し案も示された。これらの案は,基本的には,人口の少ない一定数の選挙区を隣接区と合区してその定数を削減し,人口の多い一定数の選挙区の定数を増やして選挙区間の最大較差を大幅に縮小するというものであった。
選挙制度協議会において,同年5月以降,参議院の各会派から上記の案に対する検討結果を聴取し,選挙制度の枠組み,平成24年大法廷判決を踏まえた選挙区間の較差の許容範囲の解釈,選挙区設定方法(ブロック選挙区制,2県合区制,選挙区域調整案(人口少数県に隣接県の一部を編入する新たな選挙区制),奇数配当区を含む都道府県選挙区案)等について議論されたが,合区の検討対象とされた地方公共団体からは合区に反対する意見が出され,各会派の意見も一致しないまま,選挙制度検討会に提出する報告書の取りまとめに入ることとなった。(乙7ないし9,乙13の1及び2,乙13の3の1及び2,乙13の4及び5)
(オ) 選挙制度協議会は,平成25年選挙について違憲状態の判断がされた平成26年大法廷判決の言渡し後,平成26年12月26日,各会派から示された改革案の概要を併記する形で作成した報告書を参議院議長に提出した。参議院議長は,これを受けて,平成27年2月25日,選挙制度改革検討会を開き,それ以降協議が重ねられたが,成案が得られず,各会派内及び各会派間において検討が進められた結果,4県2合区を含む10増10減の改正案(これによると,平成22年実施の国勢調査結果による人口に基づく選挙区間の最大較差は2.97倍となる。)と20県10合区による12増12減の改正案(これによると,上記の選挙区間の最大較差は1.95倍となる。)が提出された。全国町村会からは合区案への慎重な検討・審議を求める意見が,全国知事会からは合区案への懸念が表明されたが,同年7月28日,前者の法律案が平成27年改正法として成立した。
平成27年改正法の附則には,平成31年に行われる通常選挙に向けて,参議院の在り方を踏まえて,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,必ず結論を得るものとする旨の規定が置かれた。そして,発議者から,同附則中,「参議院の在り方を踏まえて」の箇所について,最高裁判決においては,選挙区の定数是正もさることながら,その根本にある参議院の在り方に重きが置かれているとして,全会派を交えて,参議院の在り方についての検討を行うことが第一義であり,そのことが抜本的な見直しになるという理解をして欲しい旨の答弁があり,また,「必ず結論を得るものとする」の箇所について,平成31年に行われる通常選挙に向けて,選挙制度の抜本的な見直しについて何らかの結論を得るとの思いを込めて,「必ず」という文言を付したものであり,参議院として,課題を先送りせず,最低限,自分たちのことは自分たちで決めるという決意を示す,それを約束したものである旨の説明がされた。(乙7,8,10,乙11の1ないし3,乙13の6ないし11)
ウ 上記ア,イの認定事実によれば,国会が平成24年大法廷判決を受けて違憲状態の是正を行う責務を負うに至ったのは平成24年10月17日の時点であり,それから本件選挙が施行された平成28年7月10日まで約3年9か月が経過したことが認められる。そして,その間,国会は,平成24年改正法を成立させ,その附則において,平成28年に施行される通常選挙(本件選挙)に向けて選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとする旨を定め,期限を切って国会の責務として是正措置を執ることを自ら宣明した。その結果,国会は都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置によって,できるだけ速やかに違憲状態を解消する是正措置を執ることが法的に義務付けられたということができる。その後,平成26年大法廷判決が,前回の平成25年選挙について,再度違憲状態の判断をした上で,平成24年大法廷判決と同様に,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じる必要があることを重ねて指摘し,さらに,上記見直しを内容とする具体的な改正案の検討と集約を着実に進めて,できるだけ速やかに立法的措置によって違憲状態を解消する必要がある旨を要請したことから,国会が負う責務の内容はより具体的に明らかになったものというべきである。
ところが,その後本件選挙が施行されるまでに国会の執った措置の内容は,平成27年改正により,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する方式を基本的に維持した上で,12選挙区の定数について4県2合区を含めて10増10減する措置を講じ,立法当時の選挙区間の最大較差を2.97倍に,本件選挙当時の選挙区間の最大較差を3.08倍に縮小させたにとどまる。これは,前記のとおり憲法の要請する投票価値の平等の重要性等に照らすと,違憲状態を解消する措置としては不十分なものであったというほかなく,平成24年大法廷判決及び平成26年大法廷判決を受けて国会が負った責務を果たしたということはできない。
しかし,他方,本件選挙が施行されるまでに平成27年改正法が成立し,合区の仕組みが導入されたことは,平成24年大法廷判決及び平成26年大法廷判決における選挙制度の仕組み自体の見直しの要請を踏まえて,参議院議員選挙法制定当時から約70年間続いてきた都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する仕組みを初めて改正し,一部ではあれ合区の仕組みを新たに導入することにより,選挙制度の仕組み自体の抜本的な見直しに着手し,一歩前進させたものということができる。加えて,平成27年改正法により,平成24年大法廷判決が違憲状態と判断した平成22年選挙当時の選挙区間の最大較差5.00倍と比較すると,本件選挙当時の選挙区間の最大較差は3.08倍にまで縮小されたことについても,これまで選挙区間の最大較差が5倍前後で常態化していたことからすると,国会の取組として一定の評価をすることができる。
また,平成24年大法廷判決及び平成26年大法廷判決は,本件選挙が施行されるまでの間に,選挙区間の最大較差をどの程度にまで縮小させる措置を執れば国会が責務を果たしたといえるか否かについて解釈の余地を残しており,それが,国会における違憲状態の是正の実現に向けた上記の取組においても,平成24年大法廷判決を踏まえた較差の許容範囲の解釈について議論されるなど,違憲状態を解消するために検討を要する事項の整理や,実際に必要となる手続や作業等に影響を及ぼしたことがうかがわれ,司法権と立法権との関係を踏まえると,このような国会における取組の状況をも考慮する必要がある。
さらに,国会は,平成27年改正法の附則において,平成31年に行われる通常選挙に向けて,参議院の在り方を踏まえて,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,必ず結論を得るものとする旨を定め,再度期限を切って国会の責務の履行として是正措置を執ることを自ら宣明している。同附則は,平成24年改正法の附則と比較すると,本質的な課題である「参議院の在り方」を踏まえて選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い,「必ず」結論を得ると定めていることからすると,これまでより重い責務を自らに課したものと解される。すなわち,「参議院の在り方」を踏まえた選挙制度の抜本的な見直しには,事柄の性質上,相応の時間を要し,各会派による協議を経て改正の方向性や制度設計の方針を策定し,具体的な改正案を立案して法改正を実現していく各過程における諸々の手続や作業が必要となるが,このような点は平成24年大法廷判決や平成26年大法廷判決において既に言及されており,平成27年改正法の附則は,上記各大法廷判決を踏まえて見直しを検討したが,平成27年改正によっては結論を得ることができなかったことを重くみて,平成31年に行われる通常選挙までに,国会の責務の履行として必ず選挙区間の較差を是正して違憲状態を解消する措置を執ることを自らに法的に義務付けたものと解される。
これらの諸事情を総合考慮すれば,本件選挙までの国会における是正の実現に向けた取組が平成24年大法廷判決や平成26年大法廷判決の趣旨を踏まえた国会の立法裁量権の行使の在り方として相当なものでなかったということはできず,本件選挙までの間に違憲状態の是正がされなかったことをもって国会の立法裁量権の限界を超えるものということはできない。
エ この点について,原告は,本件選挙当時の選挙区間の最大較差が,平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙当時の選挙区間の最大較差(2.129倍)より後退してよい理由はなく,また,実務上の技術的側面に限っていえば,衆議院と参議院で是正措置に本質的な差異はないから,区画審設置法4条1項及び緊急是正法附則4条3項の定めをも考慮すべきであるとして,本件選挙当日の時点で合理的期間は既に徒過していると主張する。
しかしながら,憲法が二院制を採用した上で,参議院の選挙制度については半数改選制を定めていることなどの憲法上の制約があるほか,前記1(1)のとおり,二院制の下における参議院の存在意義などに鑑みると,憲法が要請する投票価値の平等は最も尊重されるべきであるとしても,衆議院と同様の選挙制度にすることまで憲法が要求しているとは解されない。したがって,参議院の在り方を踏まえた参議院の選挙制度の見直しについて,国会に衆議院の選挙制度と同様の是正義務を負わせることはできないから,原告の主張は前提を欠いており,採用できない。
一方,被告は,平成27年改正後,本件選挙までの間に,違憲状態に至っていた旨の裁判所の判断は示されておらず,平成27年改正当時及び本件選挙当時の選挙区間の最大較差は,累次の最高裁判所大法廷判決において合憲とされた最大較差を大幅に下回るものであったから,国会が,本件選挙までの間に違憲状態を認識し得たということはできない,と主張する。
しかしながら,平成24年大法廷判決及び平成26年大法廷判決により2回にわたり違憲状態の判断が示されており,平成27年改正法の立法経緯や立法内容に照らすと,国会は,平成27年改正法の制定によっては違憲状態が解消されないことを容易に認識し得たというべきであるから,被告の主張は採用できない。
2 結論
以上のとおり,本件選挙当時,本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は違憲状態にあったが,本件選挙までの間にその違憲状態の是正がされなかったことをもって国会の立法裁量権の限界を超えるものということはできないから,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。
よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山田和則 裁判官 有冨正剛 裁判官 谷口吉伸)
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政治と選挙の裁判例「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧
(1)平成30年 1月30日 東京高裁 平29(行ケ)30号
(2)平成30年 1月30日 仙台高裁秋田支部 平29(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(3)平成30年 1月22日 東京地裁 平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(4)平成29年12月20日 名古屋地裁 平25(行ウ)78号 司法修習生の給費制廃止違憲国家賠償等請求事件
(5)平成29年12月 8日 札幌地裁 平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(6)平成29年12月 7日 大阪地裁 平24(行ウ)5号・平24(行ウ)10号 違法支出金返還請求事件、共同訴訟参加事件
(7)平成29年11月29日 東京地裁 平27(ワ)29705号 著作権侵害差止等請求事件
(8)平成29年11月29日 徳島地裁 平26(行ウ)14号 政務調査費返還請求事件
(9)平成29年11月 2日 仙台地裁 平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(10)平成29年10月19日 東京地裁 平28(行ウ)218号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(11)平成29年10月13日 さいたま地裁 平27(ワ)1378号 九条俳句不掲載損害賠償等請求事件
(12)平成29年10月10日 東京地裁 平29(行ウ)76号 帰化許可申請不許可処分取り消し請求事件
(13)平成29年10月 3日 東京地裁 平27(行ウ)582号・平28(行ウ)490号 難民不認定処分取消請求事件、処分撤回義務付け等請求事件
(14)平成29年 9月28日 東京高裁 平28(う)2243号 業務上横領被告事件
(15)平成29年 9月27日 最高裁大法廷 平29(行ツ)9号・平29(行ツ)19号・平29(行ツ)21号・平29(行ツ)22号・平29(行ツ)33号・平29(行ツ)34号・平29(行ツ)41号・平29(行ツ)55号 選挙無効請求事件
(16)平成29年 9月27日 最高裁大法廷 平29(行ツ)4号・平29(行ツ)10号・平29(行ツ)11号・平29(行ツ)32号・平29(行ツ)45号・平29(行ツ)54号 選挙無効請求事件
(17)平成29年 9月27日 最高裁大法廷 平29(行ツ)47号 選挙無効請求事件
(18)平成29年 9月27日 最高裁大法廷 平29(行ツ)46号 選挙無効請求事件
(19)平成29年 9月27日 東京地裁 平25(ワ)20444号 司法修習生の給費制廃止違憲国家賠償等請求事件
(20)平成29年 9月26日 東京地裁 平28(ワ)18742号 損害賠償請求事件
(21)平成29年 9月15日 東京地裁 平26(行ウ)119号 懲戒処分取消等請求事件
(22)平成29年 9月 8日 東京地裁 平28(行ウ)117号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(23)平成29年 8月30日 さいたま地裁 平27(行ウ)12号 埼玉県議会政務調査費返還事件
(24)平成29年 8月29日 知財高裁 平28(行ケ)10271号 審決取消請求事件
(25)平成29年 8月25日 東京地裁 平27(行ウ)732号 難民不認定処分等取消請求事件
(26)平成29年 7月27日 東京地裁 平27(行ウ)734号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(27)平成29年 7月20日 東京地裁 平28(ワ)24569号 慰謝料請求事件
(28)平成29年 7月 6日 東京地裁 平28(行ウ)136号 難民不認定処分取消請求事件
(29)平成29年 6月29日 宇都宮地裁 平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(30)平成29年 5月18日 東京高裁 平28(う)1194号 公職選挙法違反被告事件
(31)平成29年 4月27日 東京地裁 平25(行ウ)811号 住民訴訟事件
(32)平成29年 4月13日 東京地裁 平27(行ウ)480号 退去強制令書発付処分等取消請求事件
(33)平成29年 4月12日 名古屋高裁金沢支部 平28(行コ)13号 政務調査費返還請求控訴事件
(34)平成29年 4月11日 東京地裁 平27(行ウ)576号 難民不認定処分取消請求事件
(35)平成29年 4月11日 東京地裁 平26(ワ)10342号 損害賠償請求事件
(36)平成29年 3月30日 広島高裁岡山支部 平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(37)平成29年 3月29日 広島高裁 平28(行コ)22号 不当利得返還請求住民訴訟控訴事件
(38)平成29年 3月28日 東京地裁 平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(39)平成29年 3月28日 仙台地裁 平28(ワ)254号 損害賠償請求事件
(40)平成29年 3月16日 札幌地裁 平24(行ウ)6号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成29年 3月15日 東京地裁 平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(42)平成29年 3月 8日 東京地裁 平26(行ウ)300号 地位確認等請求事件
(43)平成29年 3月 1日 名古屋高裁金沢支部 平28(行コ)11号 政務調査費返還請求控訴事件
(44)平成29年 2月27日 東京地裁 平27(ワ)18254号・平28(ワ)12921号 安保法案反対等の政治的意見表明の撤回削除等請求事件、閣議決定の撤回を求める会長声明等の削除等請求事件
(45)平成29年 2月21日 東京地裁 平27(行ウ)130号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(46)平成29年 2月17日 大阪高裁 平28(行コ)230号 損害賠償請求控訴事件
(47)平成29年 1月31日 大阪高裁 平28(ネ)1109号 損害賠償等請求控訴事件
(48)平成29年 1月31日 東京地裁 平27(行ウ)657号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(49)平成29年 1月31日 東京地裁 平27(行ウ)360号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(50)平成29年 1月31日 仙台地裁 平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(51)平成29年 1月26日 大阪地裁 平24(行ウ)197号・平26(行ウ)163号 補助金不交付処分取消等請求事件
(52)平成29年 1月18日 東京地裁 平28(ワ)6026号 貸金返還等請求事件
(53)平成29年 1月13日 大阪高裁 平28(ネ)1589号 損害賠償等請求控訴事件
(54)平成28年12月27日 奈良地裁 平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(55)平成28年12月15日 東京高裁 平28(ネ)1068号 損害賠償等請求控訴事件
(56)平成28年12月12日 大阪地裁 平26(ワ)8127号 損害賠償請求事件
(57)平成28年11月29日 甲府地裁 平26(行ウ)4号 政務調査費返還請求事件
(58)平成28年11月18日 東京地裁 平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件
(59)平成28年11月16日 大阪高裁 平27(ネ)3176号 損害賠償請求控訴事件
(60)平成28年11月15日 東京高裁 平28(行ケ)16号 選挙無効請求事件
(61)平成28年11月15日 東京地裁 平27(行ウ)518号 難民不認定処分取消請求事件
(62)平成28年11月10日 東京高裁 平28(行ケ)17号 選挙無効請求事件
(63)平成28年11月 8日 名古屋高裁 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(64)平成28年11月 7日 仙台高裁 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(65)平成28年11月 2日 東京高裁 平28(行ケ)11号 選挙無効請求事件
(66)平成28年11月 2日 東京高裁 平28(行ケ)10号 選挙無効請求事件
(67)平成28年11月 2日 札幌高裁 平28(行ケ)2号 選挙無効請求事件
(68)平成28年10月31日 福岡高裁 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(69)平成28年10月31日 東京地裁 平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件
(70)平成28年10月31日 東京地裁 平26(ワ)17116号 損害賠償等請求事件
(71)平成28年10月28日 広島高裁 平28(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(72)平成28年10月27日 大阪高裁 平28(ネ)1494号 損害賠償請求控訴事件
(73)平成28年10月27日 金沢地裁 平27(行ウ)6号 政務調査費返還請求事件
(74)平成28年10月26日 広島高裁松江支部 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(75)平成28年10月20日 大阪高裁 平28(行ケ)5号 選挙無効請求事件
(76)平成28年10月20日 福岡高裁那覇支部 平28(行ケ)2号 選挙無効請求事件
(77)平成28年10月19日 広島高裁 平28(行ケ)2号 選挙無効請求事件
(78)平成28年10月19日 福岡高裁宮崎支部 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(79)平成28年10月19日 仙台高裁秋田支部 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(80)平成28年10月18日 東京高裁 平28(行ケ)7号 選挙無効請求事件
(81)平成28年10月18日 高松高裁 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(82)平成28年10月14日 広島高裁岡山支部 平28(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(83)平成28年10月13日 東京地裁 平27(行ウ)55号 難民不認定処分取消請求事件
(84)平成28年10月12日 大阪高裁 平28(ネ)1060号 損害賠償等請求控訴事件
(85)平成28年10月12日 東京地裁 平25(刑わ)2945号 業務上横領被告事件
(86)平成28年 9月29日 東京高裁 平28(ネ)25号 メールマガジン記事削除等請求控訴事件
(87)平成28年 9月29日 大阪地裁 平26(行ウ)81号・平26(行ウ)116号 平成24年度茨木市議会政務調査費返還請求事件、平成24年度(2月~3月分)茨木市議会政務調査費返還請求事件
(88)平成28年 9月29日 金沢地裁 平27(行ウ)2号 政務調査費返還請求事件
(89)平成28年 9月23日 奈良地裁 平28(ワ)3号 放送受信料請求事件
(90)平成28年 9月 7日 名古屋高裁 平28(行コ)2号 難民不認定処分取消請求控訴事件
(91)平成28年 8月23日 東京地裁 平27(行ウ)384号 難民不認定処分取消等請求事件
(92)平成28年 8月12日 大阪地裁 平21(ワ)16484号・平21(ワ)17256号 地位確認等請求事件、損害賠償請求事件
(93)平成28年 8月 9日 東京地裁 平27(ワ)648号・平27(ワ)6184号 地位確認等請求事件
(94)平成28年 7月28日 名古屋高裁 平28(行コ)19号 難民不認定処分等取消請求控訴事件
(95)平成28年 7月26日 東京地裁 平27(ワ)22544号 損害賠償請求事件
(96)平成28年 7月19日 東京高裁 平27(ネ)3610号 株主代表訴訟控訴事件
(97)平成28年 7月13日 名古屋高裁 平27(行コ)71号 難民不認定処分取消等請求控訴事件
(98)平成28年 7月 8日 大阪地裁 平26(行ウ)3号 損害賠償請求事件(住民訴訟)
(99)平成28年 7月 4日 東京地裁 平27(レ)413号 損害賠償請求控訴事件
(100)平成28年 6月30日 東京地裁 平27(行ウ)542号 渋谷区議会本会議質問制限差止等請求事件
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■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
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ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
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政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
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(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
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