政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例(56)平成25年 7月 4日 名古屋高裁 平25(行コ)18号 議員除名処分取消等請求控訴事件
政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例(56)平成25年 7月 4日 名古屋高裁 平25(行コ)18号 議員除名処分取消等請求控訴事件
裁判年月日 平成25年 7月 4日 裁判所名 名古屋高裁 裁判区分 判決
事件番号 平25(行コ)18号
事件名 議員除名処分取消等請求控訴事件
裁判結果 原判決変更 上訴等 上告、上告受理申立て 文献番号 2013WLJPCA07046004
要旨
◆議会で侮辱的発言をしたとして陳謝処分を受けたものの、これに従わなかったとして除名処分を受けた町議会議員であった控訴人が、同除名処分は違法であるとしてその取消しを求めるとともに、同除名処分により名誉を毀損されたとして慰謝料の支払を、また、未払議員報酬の支払及び受領済み議員報酬の返還債務の不存在確認を求めたところ、原審で請求を棄却されたため、控訴した事案において、本件陳謝処分は適法であり、また、控訴人には、同陳謝処分に従わず、議長に命じられた謝罪文の朗読を行わなかったという懲罰事由が存在するものの、本件除名処分当時、本件発言が明らかな虚偽発言であると断じきれない状況であったことなどからすれば、本件懲罰事由を理由にされた本件除名処分は、社会観念上著しく妥当性を欠き、議会の自律権に基づく裁量権を逸脱、濫用したもので違法であるなどとして、原判決を変更し、慰謝料請求以外の請求を認容した事例
新判例体系
公法編 > 組織法 > 地方自治法〔昭和二二… > 第二編 普通地方公共… > 第六章 議会 > 第九節 紀律 > 第一三二条 > ○不当な言辞の禁止 > (二)無礼な言葉 > A 該当事例
◆愛知県美浜町議会の一般質問で農地転用に関する町長等に係る事実でない農業委員に対する贈賄行為に触れる無礼な言葉を使用する発言をして議会から懲罰として陳謝処分を受けた町会議員がこれに従わず、議会議長から命じられた陳謝文の朗読をしなかったことなどを理由にされた除名処分は、社会観念上著しく妥当性を欠き、議会の自律権に基づく裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとして違法であり取消しを免れない。
公法編 > 組織法 > 地方自治法〔昭和二二… > 第二編 普通地方公共… > 第六章 議会 > 第一〇節 懲罰 > 第一三五条 > ○懲罰の種類・除名手… > (三)除名
◆愛知県美浜町議会の一般質問で農地転用に関する町長等に係る事実でない農業委員に対する贈賄行為に触れる無礼な言葉を使用する発言をして議会から懲罰として陳謝処分を受けた町会議員がこれに従わず、議会議長から命じられた陳謝文の朗読をしなかったことなどを理由にされた除名処分は、社会観念上著しく妥当性を欠き、議会の自律権に基づく裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとして違法であり取消しを免れない。
裁判経過
第一審 平成25年 1月24日 名古屋地裁 判決 平23(行ウ)38号 議員除名処分取消等請求事件
出典
判時 2210号36頁
評釈
板垣勝彦・自治研究 93巻8号118頁
参照条文
行政事件訴訟法3条2項
国家賠償法1条1項
地方自治法132条
地方自治法133条
地方自治法134条
地方自治法135条
地方自治法203条
裁判年月日 平成25年 7月 4日 裁判所名 名古屋高裁 裁判区分 判決
事件番号 平25(行コ)18号
事件名 議員除名処分取消等請求控訴事件
裁判結果 原判決変更 上訴等 上告、上告受理申立て 文献番号 2013WLJPCA07046004
愛知県知多郡〈以下省略〉
控訴人 X
同訴訟代理人弁護士 稲垣篤史
同 秋元隆弘
愛知県知多郡〈以下省略〉
被控訴人 美浜町
(除名処分取消しの訴えにつき)
被控訴人代表者美浜町議会議長 G
処分行政庁 美浜町議会
(その余の訴えにつき)
被控訴人代表者町長 B
同訴訟代理人弁護士 中山信義
同 辻佳世子
同 加藤雄一
同 杉坂華
同 岩本康秀
主文
1 原判決を次のとおり変更する。
2 美浜町議会が控訴人に対し平成23年3月17日付けでした,控訴人を美浜町議会議員から除名する処分を取り消す。
3 被控訴人は,控訴人に対し,23万6833円及びこれに対する平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 控訴人の被控訴人に対する平成23年3月18日から同月31日までの議員報酬8万7367円の返還債務が存在しないことを確認する。
5 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,第1審,第2審を通じてこれを5分し,その3を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。
7 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 主文第1項ないし第4項同旨
2 被控訴人は,控訴人に対し,500万円及びこれに対する平成23年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人は,被控訴人の費用をもって,控訴人のために中日新聞知多版,朝日新聞知多版及び毎日新聞愛知版に原判決別紙1記載の謝罪広告を同別紙記載の条件で各1回掲載せよ。
第2 事案の概要
1 本件は,美浜町議会議員であった控訴人が,同町議会から平成23年3月17日付けで除名処分を受けたところ,同処分は違法であるとしてその取消しを求めるとともに,同処分により控訴人の名誉を毀損されたとして,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料500万円とこれに対する不法行為の日(同処分の日)である平成23年3月17日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払並びに謝罪広告の掲載を求め,さらに,地方自治法203条に基づく平成23年4月分の未払議員報酬として23万6833円とこれに対する支給日の翌日である平成23年4月22日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払並びに同年3月分(同月18日から同月31日までの日割分)の受領済み議員報酬8万7367円の返還債務の不存在確認を求める事案である。
2 関係法令等の定め,前提事実,主要な争点及び当事者の主張
以下のとおり,付加補正し,次項で,当審で当事者が補充又は敷衍した主張を加えるほかは,原判決「第2 事案の概要」の「2」ないし「5」に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決2頁22行目の「別紙2」を「原判決別紙2」と改める。
(2) 原判決3頁19行目の「議長」の後に,「(以下「C議長」ともいう。)」を加える。
(3) 原判決3頁20行目の「乙21」を「乙15,21」と改める。
(4) 原判決4頁5行目の「再度懲罰特別委員会で審査を続行する」を「閉会した懲罰特別委員会を再開し,控訴人に対する懲罰について,再度審査する」と改める。
(5) 原判決4頁12行目の「乙15」を「乙15,21」と改める。
(6) 原判決4頁18行目の「平成23年4月分の」を「平成23年4月21日に,同月分の」と改める。
3 当審で当事者が補充又は敷衍した主張
(控訴人の主張)
(1) 本件陳謝処分には,懲罰事由はなく,また,陳謝処分という懲罰を科すべき事情も存在しない。
ア 控訴人は,町の農業政策について,問題とする土地上に建築されるレストランの件も含めた一般質問を行っており,町長の発言を受け,再質問として,さらに,不自然な農業振興地域からの除外決議も含めて一体どうなっているのかを明らかにするよう質問する中で,本件発言をしたものである。こうした本件発言に至る流れからすれば,本件発言だけを取り出して,「議会の品位」を傷つけ,「無礼の言葉を使用し」た場合に当たると判断するのは相当ではない。むしろ,多少軽率な表現はあるかもしれないが,全体としてみれば,農業政策に関する有意義な一連の質問をなしているのであって,「議会の品位」を傷つけ,「無礼の言葉を使用し」た場合には当たらない。
イ また,控訴人は,農業委員らに直接確認した上で,本件発言に至っているのであり,「事実関係の調査,確認を全く行わず,確たる根拠もないまま」,本件発言に至ったわけではなく,議長と議会運営委員会のF委員長による関係者への不十分な事情聴取の結果,本件発言が根拠のないものとされてしまったため,やむなく真意でないにもかかわらず,謝罪をすると言わざるを得ない状況に追い込まれてしまったものである。さらに,実際にせんべいが配られたことは事実であり,もともと,本件で問題となる土地にまつわる疑惑は,地元では少なからず話題となっており,住民が強い関心をもっていたものであって,同土地に関する事情は,極めて公共性の高い情報であることを踏まえると,本件発言に対し,懲罰という言論抑止効のある重い処分を下すだけの理由はなかったものである。
(2) 仮に,本件陳謝処分自体に正当性が認められたとしても,地方公共団体の議会がその議員に対する懲罰として,除名処分に付しうるのは,その議員が議場若しくは議会において議会の品位を汚し,その権威を失墜する言動または議場若しくは議会の秩序を乱し,議事の円滑な運営を阻害する言動に出た場合で,しかもその非行の情状が特に重い場合に限られるものと解すべきところ,本件発言及びその後の控訴人の行動(陳謝拒否)が適切さを欠いたものであったとしても,これに対して除名の懲罰をもって臨むことは著しく重きに失し,その原因となった事実に対し,社会通念上著しく均衡を欠くというべきである。
また,本件では,懲罰のプロセスに本来関与すべきではない町長が,議会運営委員会に対して申入れを行い,議会運営委員会の場で懲罰特別委員会の決定(10日間の出席停止処分)に文句を言い,「除名」へと格上げされるという異常なプロセスを経て除名処分が下されている。本件除名処分は,町長による実質的な懲罰特別委員会への働きかけの結果であり,こうした町長の働きかけは,議会の自立性を損なうものであるから,懲罰特別委員会における控訴人に対する処分の変更には,手続上の違法がある。
そして,懲罰特別委員会は,本件発言のみに着目し,本件発言と一体として検討すべき事項に関する控訴人の弁明を聞き入れようとはせず,控訴人は,本会議において,全議員の前で弁明をする機会を与えられていないのであるから,十分な弁明の機会が与えられたとは到底いえない。
さらに,議会運営委員会による「本会議での謝罪や町長に対する謝罪文の提出を内容とする決定」は,本件陳謝処分よりも前に下されたものであり,当然,当初の懲罰特別委員会等において議論され,本件陳謝処分において考慮されているべき事情であるし,実際上,考慮されていることは明らかであるから,本件除名処分において,控訴人による上記決定の拒否を考慮事情としたことは,一事不再理に反する。
(被控訴人の主張)
争う。
本件発言は,a会の議員や町長が贈賄行為に関与していることを示すという著しく他人の名誉を害する発言であるにもかかわらず,その根拠は全くなく,控訴人の勘違いによりなされたものであったため,本件陳謝処分を科するに至ったのである。しかしながら,控訴人は,本件陳謝処分に従わなかったばかりか,これとは別途,議会の慣例上,議会運営委員会により決定された町長への謝罪及び謝罪文の提出,発言撤回を行うことについて同意するも,それを直前で拒否するという態度を繰り返したものである。このような事情のもと,最終的に本件除名処分が科されることとなったものである。
したがって,本件では,懲罰事由があり,処分として相当であり,手続的にも適正な手続に則って処分が行われているものである。
第3 当裁判所の判断
1 本件除名処分に至る事実経過
以下のとおり,付加補正するほかは,原判決「第3 当裁判所の判断」の「1」に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決10頁2行目の「C議長」を「議長」と改める。
(2) 原判決10頁10行目から11行目にかけての「D委員及びE委員」を「D委員及びE委員」と改める。
(3) 原判決10頁21行目の「F委員長」を「F委員長」と改める。
(4) 原判決10頁23行目の「G議員」の後に,「(以下「G議員」という。)」を加える。
(5) 原判決10頁24行目の「H議員」の後に,「(以下「H議員」という。)」を加える。
(6) 原判決11頁9行目の「委員長」を「F委員長」と改める。
(7) 原判決12頁4行目の「話」を「噂話」と改める。
(8) 原判決12頁19行目の「議会事務局」を「議会事務局長」と改める。
(9) 原判決12頁20行目の「拒否する」を「しない」と改める。
(10) 原判決12頁24行目の「B町長」を「町長」と改める。
(11) 原判決16頁1行目の「懲罰特別委員会のやり直し」を「懲罰特別委員会での審査のやり直し」と改める。
(12) 原判決16頁18行目末尾に,改行の上,以下のとおり加える。
「カ その後,議長は,本件発言が不穏当な発言であるか否かについて,後刻自ら調査をした上,措置する旨を報告し,閉会宣言をした。(乙21)」
2 本件除名処分の適法性について
(1) 本件陳謝処分について
以下のとおり,付加補正するほかは,原判決「第3 当裁判所の判断」の2(1)に記載のとおりであるから,これを引用する。
ア 原判決16頁26行目の「事実関係の調査,確認を全く行わず」を「事前に,十分な事実関係の調査や確認を行わずに」と改める。
イ 原判決17頁20行目の「「作り話」であったこと」を「「作り話」のようなものになったこと」と改める。
ウ 原判決18頁2行目の「作り話」を「作り話のようなものになった」と改める。
エ 原判決18頁11行目末尾に,改行の上,以下のとおり加える。
「その他,控訴人は,本件陳謝処分には懲罰事由はなく,陳謝処分という懲罰を科すべき事情も存在しないなどと,るる主張し,本件陳謝処分は違法であると主張するが,上記説示したところによれば,いずれも理由がない。」
(2) 本件除名処分について
ア 懲罰事由の有無及び処分の相当性について
(ア) 地方議会の議員に懲罰事由がある場合に当該議員に対して懲罰処分を行うか否か,地方自治法135条1項が定める懲罰の種類のうちいずれを選択するかについての判断は,自律的判断権を有する地方議会の合理的な裁量に委ねられるべきものであるというべきであるから,当該懲罰処分が,社会観念上著しく妥当性を欠き,裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものと認められる場合に限り,違法となるものと解するのが相当である。
(イ) 懲罰事由の有無について
前記1で認定した事実(原判決引用(付加補正後のもの))によると,本件除名処分においては,「本会議で議決された陳謝の懲罰で,議長に陳謝文の朗読を命令されたにもかかわらず,朗読を拒否したこと」のほか,「本会議において,議会運営委員会の決定に背いて,謝罪文を提出しなかったばかりか発言を約束していた謝罪の言葉を拒否したこと」をも懲罰事由とするものであるところ,控訴人は,前記(1)(原判決引用(付加補正後のもの))のとおり適法にされたと認められる本件陳謝処分に従わず,議長に命じられた陳謝文の朗読を行わなかったものであり,これは,地方自治法134条1項,135条1項2号に違反したものというべきであるから,控訴人には同法違反の懲罰事由が存在する。
しかしながら,議会運営委員会は,政党や会派間の調整が議会運営上大きな役割を果たしていることに鑑みて設けられた制度であり,その審議事項は,平成24年法律第72号による改正前の地方自治法109条の2第4項に法定されており,この事項以外の審議事項はないものと解され,議員に対して本会議での謝罪や町長宛ての謝罪文の提出を要求する等のことを決定することはできないというべきである上,本件においては,本会議において,控訴人の本件発言につき懲罰特別委員会を設置し,これに付託して審査することが決定され,その委員7人が指名され,町議会としての懲罰処分の手続が開始された直後に,これとは別に,議会運営委員会が独自に,かつ,控訴人の弁明等を聴取することもなく,地方自治法135条1項2号の定める懲罰(公開の議場における陳謝)と実質同等のことを決定したものであり,違法,不当な決定というべきであるから,控訴人が同決定に従わなかったことは,懲罰事由となるものではない。
(ウ) 処分の相当性について
上記(イ)のとおり,本件においては,本件陳謝処分に従わず,議長に命じられた陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由がある。
しかしながら,本件発言が,地方自治法132条の「無礼の言葉」に該当するものであることは前記説示(原判決引用(付加補正後のもの))のとおりであるが,控訴人が,本件発言の内容が全く根も葉もない虚偽の話であると認識し,あるいは容易に認識し得たにもかかわらず,本件発言に至ったものとは認められない。そして,本件発言の内容も,a会の議員や町長が特別職の地方公務員である農業委員に対する贈賄行為をしたという噂話を聞いたというものであって,ことさらに事実をねじ曲げて脚色するなどして,a会の議員や町長をおとしめようと意図していたことはうかがわれない。そして,「本件発言が不穏当な発言であるか否かについて,後刻調査をした上,措置する」旨の,本会議閉会前の議長の発言からすると,関係者の聞き取り調査に当たった議長においても,本件除名処分がなされた時点で,本件発言が明らかな虚偽発言であると断じきることができる状況になかったものと認められる。
また,本件陳謝処分が科された後の,同処分自体についての控訴人の対応は,議長の命じた陳謝文の朗読を拒否し,その後開かれた懲罰特別委員会で,拒否の理由を弁明し,「懲罰を受けるような問題ではないと思った。」等と発言したにとどまり,新たに無礼の言葉や侮辱等として問題にすべき発言に及んだり,議会の運営を妨げ,あるいは,その混乱を招くような不適切な行動に出た形跡は何ら見当たらない。
加えて,懲罰特別委員会において,本件陳謝処分に応じなかったことに対しては,一度は出席停止処分が相当との決定がされており,その後,この決定を聞いた控訴人がことさら議会を軽視した反抗的・挑発的な態度に出て,その言動が議員としての信頼を著しく損なうと評価されてもやむを得ない程度・態様に至ったというような事情,すなわち,懲罰を除名処分に変更しなければならないような言動が控訴人にあったとも認められない。
こうした事情に加えて,本件除名処分においては,前記のとおり,懲罰事由とはならない事情が考慮されていることや,懲罰特別委員会が懲罰の種類を選択する際に同日が本会議最終日であったことも少なからず影響していたことがうかがわれることをも考慮すると,本件陳謝処分に従わず,議長に命じられた陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由に対して選択された本件除名処分は,社会観念上著しく妥当性を欠くものといわざるをえず,議会の自律権に基づく裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものというべきである。
(エ) これに対し,被控訴人は,控訴人が本件陳謝処分に従わなかった上,議会運営委員会により決定された町長への謝罪及び謝罪文の提出や発言撤回を行うことに同意しながら直前で拒否するという態度を繰り返したという事情をもって,本件除名処分が相当な処分である旨主張するが,既に説示したとおり,議会運営委員会による,町長への謝罪及び謝罪文の提出を要求する決定は違法,不当というべきであり,控訴人がこれらにいったん同意しながら直前で拒否するという態度を繰り返したという事情は,懲罰事由にも,控訴人の悪質性を示す情状にもなるものではなく,かえって,本件除名処分が議会の自律権に基づく裁量の範囲を超えたものであることを基礎付ける事情であるというべきであるから,主張自体失当であるというべきであるし,控訴人が本件陳謝処分に従わなかったことは,前記説示のとおり本件除名処分を相当とするには至らないというべきである。
その他,被控訴人において,るる主張するところを加えて検討しても,前記判断を覆すには至らない。
(3) 以上によれば,本件除名処分は,違法であり,取り消されるべきである。
3 国家賠償法1条1項に基づく請求について
(1) 前記2で説示したとおり,本件除名処分は違法なものであるところ,美浜町議会議員らがこのような違法な本件除名処分をするに当たり,故意(本件除名処分が違法であることを知りながら同処分をした。)又は過失があった(本件除名処分が違法であることを知らないで同処分をしたことに過失がある。)か否かについて検討する。
(2) この点,確かに,本件除名処分は違法な処分であったと判断されるものの,控訴人には本件陳謝処分に従わなかったという懲罰理由が存在していたことは前記説示(原判決引用(付加補正後のもの))のとおりであり,本件懲罰動議2に対する当初の懲罰特別委員会の審議においても,除名にすべきとする者と出席停止にすべきとする者とが同数であり,最終的にはF委員長の決により出席停止と決定されたものであったことをも斟酌すると,本件除名処分に賛成した美浜町議会議員らにおいて,本件除名処分が違法であることを知りながら,同処分に賛成の決議をしたことや(故意),同処分が違法であることを知らないで賛成の決議をしたことに過失があった(過失)とは認めることはできない。
(3) したがって,その余の点について判断するまでもなく,控訴人の国家賠償法1条1項に基づく請求はいずれも理由がない。
4 議員報酬請求等について
(1) 前記2で説示したところによれば,本件除名処分は違法であり,取消しを免れないから,控訴人は,平成23年3月17日に議員としての資格を喪失しておらず,依然として議員たる資格をその任期の満了するまで保有していたものというべきであり,同地位に伴う議員報酬請求権をも喪失していないというべきである。
(2) そうすると,前提事実(原判決引用(付加補正後のもの))記載のとおり,本件除名処分がなければ,控訴人が被控訴人から支給を受けることができた平成23年4月分の議員報酬は23万6833円であるから,被控訴人は,控訴人に対し,同議員報酬23万6833円及びこれに対する支給日の翌日である平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。
(3) 他方で,控訴人は,被控訴人に対し,平成23年3月分の受領済み議員報酬のうち本件除名処分後である同月18日から同月31日までの間の日割報酬分である8万7367円を返還すべき債務を負うものではない。
5 結論
以上によれば,控訴人の請求のうち,本件除名処分の取消し,議員報酬23万6833円及び遅延損害金の支払並びに受領済みの議員報酬8万7367円の返還債務の不存在確認を求める各請求については理由があるから認容し,国家賠償法に基づく請求については理由がないから棄却すべきところ,これと異なり,控訴人の請求を全部棄却した原判決は不当であって,本件控訴は一部理由があるから,原判決を上記のとおり変更することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 渡辺修明 裁判官 坪井宣幸 裁判官 金谷和彦)
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政治と選挙の裁判例「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧
(1)平成26年 9月25日 東京地裁 平21(ワ)46404号・平22(ワ)16316号 損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第2事件)、損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第3事件)
(2)平成26年 9月17日 知財高裁 平26(行ケ)10090号 審決取消請求事件
(3)平成26年 9月11日 大阪高裁 平26(行コ)79号・平26(行コ)123号 政務調査費返還請求控訴事件、同附帯控訴事件
(4)平成26年 9月11日 知財高裁 平26(行ケ)10092号 審決取消請求事件
(5)平成26年 9月10日 大阪地裁 平24(行ウ)78号・平25(行ウ)80号・平26(行ウ)65号 行政財産使用不許可処分取消等請求事件・組合事務所使用不許可処分取消等請求事件
(6)平成26年 9月10日 大阪地裁 平24(行ウ)49号・平24(ワ)4909号・平25(行ウ)75号・平26(行ウ)59号 建物使用不許可処分取消等請求事件、建物明渡請求事件、使用不許可処分取消等請求事件 〔大阪市役所組合事務所使用不許可処分取〕
(7)平成26年 9月 3日 東京地裁 平25(行ウ)184号 政務調査費返還請求事件
(8)平成26年 8月 8日 東京地裁 平25(行ウ)590号 難民不認定処分取消請求事件
(9)平成26年 7月25日 東京地裁 平25(行ウ)277号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(10)平成26年 7月16日 東京地裁 平25(行ウ)259号 難民不認定処分取消等請求事件
(11)平成26年 7月11日 札幌地裁 平22(行ウ)42号 政務調査費返還履行請求事件
(12)平成26年 6月12日 東京地裁 平25(ワ)9239号・平25(ワ)21308号・平25(ワ)21318号 損害賠償請求本訴事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(13)平成26年 5月21日 横浜地裁 平19(ワ)4917号・平20(ワ)1532号 損害賠償等請求事件
(14)平成26年 5月14日 名古屋地裁 平22(ワ)5995号 損害賠償請求事件 〔S社(思想信条)事件〕
(15)平成26年 4月 9日 東京地裁 平24(ワ)33978号 損害賠償請求事件
(16)平成26年 3月26日 大阪地裁 平22(行ウ)27号・平23(行ウ)77号 政務調査費返還請求事件(住民訴訟)
(17)平成26年 3月25日 東京地裁 平25(ワ)18483号 損害賠償請求事件
(18)平成26年 3月18日 大阪高裁 平25(行コ)149号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求控訴事件
(19)平成26年 3月11日 東京地裁 平25(ワ)11889号 損害賠償等請求事件
(20)平成26年 2月26日 東京地裁 平24(ワ)10342号 謝罪広告掲載等請求事件
(21)平成26年 2月21日 東京地裁 平25(行ウ)52号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(22)平成26年 2月21日 宮崎地裁 平25(ワ)276号 謝罪放送等請求事件
(23)平成26年 1月31日 東京地裁 平24(行ウ)146号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(24)平成26年 1月30日 大阪高裁 平25(行コ)40号 政務調査費違法支出金返還請求控訴事件
(25)平成26年 1月16日 名古屋地裁 平23(行ウ)68号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟事件
(26)平成25年12月25日 東京高裁 平25(行ケ)83号 選挙無効事件
(27)平成25年12月25日 広島高裁松江支部 平25(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(28)平成25年12月24日 東京地裁 平24(行ウ)747号 難民不認定処分取消請求事件
(29)平成25年12月20日 東京高裁 平25(行ケ)70号・平25(行ケ)71号・平25(行ケ)72号・平25(行ケ)73号・平25(行ケ)74号・平25(行ケ)75号・平25(行ケ)76号・平25(行ケ)77号・平25(行ケ)78号・平25(行ケ)79号・平25(行ケ)80号 各選挙無効請求事件
(30)平成25年12月20日 仙台高裁 平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号・平25(行ケ)4号・平25(行ケ)5号・平25(行ケ)6号
(31)平成25年12月19日 東京地裁 平24(行ウ)59号 懲戒処分取消等請求事件
(32)平成25年12月18日 名古屋高裁 平25(行ケ)1号・平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(33)平成25年12月16日 名古屋高裁金沢支部 平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号・平25(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(34)平成25年12月12日 東京地裁 平24(行ウ)719号 裁決取消等請求事件
(35)平成25年12月 6日 札幌高裁 平25(行ケ)1号 参議院議員選挙無効請求事件
(36)平成25年12月 5日 広島高裁 平25(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(37)平成25年12月 3日 東京地裁 平24(行ウ)423号 難民不認定処分取消請求事件
(38)平成25年11月28日 広島高裁岡山支部 平25(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(39)平成25年11月20日 最高裁大法廷 平25(行ツ)226号 選挙無効請求事件
(40)平成25年11月20日 最高裁大法廷 平25(行ツ)209号・平25(行ツ)210号・平25(行ツ)211号 選挙無効請求事件 〔平成24年衆議院議員総選挙定数訴訟大法廷判決〕
(41)平成25年11月19日 東京地裁 平24(行ウ)274号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(42)平成25年11月18日 福岡地裁 平19(行ウ)70号 政務調査費返還請求事件
(43)平成25年11月15日 東京地裁 平24(行ウ)753号 難民不認定処分無効確認等請求事件
(44)平成25年11月 8日 盛岡地裁 平24(ワ)319号 損害賠償請求事件
(45)平成25年10月21日 東京地裁 平24(ワ)2752号 損害賠償請求事件
(46)平成25年10月16日 東京地裁 平23(行ウ)292号 報酬返還請求事件
(47)平成25年10月 4日 東京地裁 平24(行ウ)76号・平24(行ウ)77号・平24(行ウ)78号・平24(行ウ)79号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(48)平成25年10月 2日 東京地裁 平23(行ウ)657号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(49)平成25年 9月26日 大阪高裁 平25(行コ)82号・平25(行コ)114号 不当利得返還等請求行為請求控訴、同附帯控訴事件
(50)平成25年 8月27日 東京地裁 平24(行ウ)647号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(51)平成25年 8月23日 東京地裁 平24(行ウ)90号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成25年 8月 5日 東京地裁 平25(ワ)8154号 発信者情報開示請求事件
(53)平成25年 7月30日 東京地裁 平24(行ウ)427号・平25(行ウ)224号 難民不認定処分取消請求事件、追加的併合請求事件
(54)平成25年 7月26日 静岡地裁 平21(行ウ)19号 不当利得返還請求権行使請求事件
(55)平成25年 7月23日 東京地裁 平24(行ウ)393号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(56)平成25年 7月 4日 名古屋高裁 平25(行コ)18号 議員除名処分取消等請求控訴事件
(57)平成25年 7月 3日 名古屋高裁金沢支部 平24(行コ)16号 政務調査費返還請求控訴事件
(58)平成25年 6月19日 横浜地裁 平20(行ウ)19号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(59)平成25年 6月 4日 東京高裁 平24(行コ)350号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(60)平成25年 5月29日 広島地裁 平23(ワ)1500号 損害賠償等請求事件
(61)平成25年 5月15日 東京地裁 平23(行ウ)697号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(62)平成25年 4月11日 東京地裁 平24(行ウ)115号・平24(行ウ)127号・平24(行ウ)128号・平24(行ウ)129号・平24(行ウ)130号・平24(行ウ)614号・平24(行ウ)620号・平24(行ウ)621号・平24(行ウ)622号・平24(行ウ)623号 在留特別許可をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分無効確認請求事件
(63)平成25年 4月11日 東京地裁 平23(行ウ)757号・平24(行ウ)1号・平24(行ウ)2号・平24(行ウ)3号・平24(行ウ)4号・平24(行ウ)5号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(64)平成25年 3月28日 京都地裁 平20(行ウ)10号 不当利得返還等請求行為請求事件
(65)平成25年 3月26日 東京高裁 平24(行ケ)26号・平24(行ケ)27号・平24(行ケ)28号・平24(行ケ)29号・平24(行ケ)30号・平24(行ケ)31号・平24(行ケ)32号 各選挙無効請求事件
(66)平成25年 3月25日 広島高裁 平24(行ケ)4号・平24(行ケ)5号 選挙無効請求事件
(67)平成25年 3月19日 東京地裁 平24(ワ)11787号 損害賠償請求事件
(68)平成25年 3月14日 名古屋高裁 平24(行ケ)1号・平24(行ケ)2号・平24(行ケ)3号・平24(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(69)平成25年 3月14日 東京地裁 平23(行ウ)63号 選挙権確認請求事件 〔成年被後見人選挙件確認訴訟・第一審〕
(70)平成25年 3月 6日 東京高裁 平24(行ケ)21号 選挙無効請求事件
(71)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件
(72)平成25年 2月20日 宇都宮地裁 平23(行ウ)13号 政務調査費返還請求事件
(73)平成25年 2月15日 福岡地裁 平23(行ウ)25号 教育振興費補助金支出取消等請求事件
(74)平成25年 1月29日 岡山地裁 平22(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(75)平成25年 1月21日 東京地裁 平24(ワ)2152号 謝罪広告掲載要求等請求事件
(76)平成25年 1月18日 東京地裁 平23(行ウ)442号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(77)平成25年 1月16日 東京地裁 平23(行ウ)52号 難民不認定処分取消請求事件
(78)平成25年 1月16日 大阪地裁 平19(行ウ)135号 不当利得返還等請求事件
(79)平成24年12月 7日 最高裁第二小法廷 平22(あ)957号 国家公務員法違反被告事件
(80)平成24年12月 7日 最高裁第二小法廷 平22(あ)762号 国家公務員法違反被告事件
(81)平成24年11月20日 東京地裁 平22(行ウ)563号 難民不認定処分取消請求事件
(82)平成24年11月 2日 東京地裁 平23(行ウ)492号 難民不認定処分取消等請求事件
(83)平成24年10月18日 大阪地裁 平22(行ウ)160号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(84)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)95号 選挙無効請求事件
(85)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)72号 選挙無効請求事件
(86)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)65号 選挙無効請求事件
(87)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)64号 選挙無効請求事件
(88)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)59号 選挙無効請求事件
(89)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)52号 選挙無効請求事件
(90)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)51号 選挙無効請求事件 〔参議院議員定数訴訟・大法廷判決〕
(91)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)179号
(92)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)174号 参議院議員選挙無効請求事件
(93)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)171号 選挙無効請求事件
(94)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)155号 選挙無効請求事件
(95)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)154号 選挙無効請求事件
(96)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)153号 選挙無効請求事件
(97)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)135号 選挙無効請求事件
(98)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)133号 選挙無効請求事件
(99)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)132号 選挙無効請求事件
(100)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)131号 選挙無効請求事件
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■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
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■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
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(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
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(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!
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