政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(37)平成22年 3月12日 福岡高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(37)平成22年 3月12日 福岡高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
裁判年月日 平成22年 3月12日 裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(行ケ)1号
事件名 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
裁判結果 請求棄却、選挙違法宣言 上訴等 上告 文献番号 2010WLJPCA03126001
要旨
◆平成21年8月30日に行われた衆議院議員選挙の小選挙区福岡県第2区の選挙人である原告が、同選挙区の選挙無効を請求した事案において、本件選挙の区割規定で採用された1人別枠方式は、その制定当時において既に違憲、違法であり、また、本件選挙当時、福岡県第2区と人口数最小の高知県第3区との較差は2倍以上であって、較差が2倍を超える選挙区も48あったなど、憲法が要求する投票価値の平等理念を大きく逸脱する結果が生じているから、本件選挙は違憲、違法であることが明白であり、さらに、合理的期間論を採用したとしても、本件選挙は違憲であるとしたものの、これを無効とした場合の公の著しい障害等を考慮して、事情判決の趣旨に準じて請求を棄却し、主文で選挙の違法を宣言した事例
裁判経過
上告審 平成23年 3月23日 最高裁大法廷 判決 平22(行ツ)234号 選挙無効請求事件
上告審 平成23年 3月23日 最高裁大法廷 判決 平22(行ツ)235号 選挙無効請求事件
参照条文
日本国憲法14条1項
日本国憲法15条1項
日本国憲法15条3項
日本国憲法43条
日本国憲法44条
日本国憲法47条
行政事件訴訟法31条1項
公職選挙法4条1項
公職選挙法13条1項
公職選挙法別表第1別表第1
衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条
裁判年月日 平成22年 3月12日 裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(行ケ)1号
事件名 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
裁判結果 請求棄却、選挙違法宣言 上訴等 上告 文献番号 2010WLJPCA03126001
福岡市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 伊藤巧示
同 安東哲
同 升永英俊
福岡市〈以下省略〉
被告 福岡県選挙管理委員会
同代表者委員長 藤井克已
同指定代理人 早﨑裕子
同 山神暁恵
同 高田則好
同 小林功
同 成松宏
同 大山博史
主文
1 原告の請求を棄却する。ただし,平成21年8月30日に行われた衆議院議員選挙の小選挙区福岡県第2区における選挙は違法である。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
平成21年8月30日に行われた衆議院(小選挙区選出)議員選挙の福岡県第2区における選挙を無効とする。
第2 事案の概要
本件は,平成21年8月30日に施行された衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)について,福岡県第2区の選挙人である原告が被告に対し,公職選挙法(平成14年法律第95号〈いわゆる区割改定法〉による改正後のもの。)13条1項,別表第一の衆議院小選挙区選出議員選挙の選挙区及び議員定数の定め(以下「本件区割規定」という。)が,人口分布に比例した定数配分をしておらず,憲法が規定する代議制民主制,選挙権の平等の保障に反する配分となっていて,憲法14条1項,44条に違反し無効であるとして,当該選挙区の選挙無効を求める事案である。ちなみに,本件区割規定による選挙区間の人口較差は,本件選挙当日時点での選挙人数を基準とすると,福岡県第2区は,最少の高知県第3区の2.048倍であり,最大較差(千葉県第4区が最多)は,2.304倍であった。
1 前提となる事実(後記括弧内に証拠を掲記していない事実は,当事者間に争いがないか,公知の事実ないし裁判所に顕著な事実である。)
(1) 原告は,本件選挙の福岡県第2区の選挙人である。
(2) 我が国の衆議院議員選挙の選挙制度は,長い間,いわゆる中選挙区単記投票制が採用されて実施されてきたが,同選挙区制にはかねて諸々の問題点があると指摘されていたところ,第8次選挙制度審議会での検討・答申(平成2年),内閣による改正案の作成,国会での審議等を経て,平成6年1月公職選挙法が改正され,小選挙区比例代表並立制が導入された。
(3) 衆議院議員の定数は,平成12年に改正される以前の公職選挙法では,総定数は500名,うち300名は小選挙区選出議員とし,残りの180名が比例代表選出議員とされていたが,同年改正後の公職選挙法では,定数が480名と20名減員され,そのうち300人が小選挙区選出議員,180人が比例代表選出議員とされるに至った(4条1項)。本件選挙施行日(平成21年8月30日)当時も,これと同様であり,投票は,小選挙区選出議員及び比例代表選出議員ごとに「一人一票」とされている(同法36条)。また,小選挙区選出議員の選挙については,全国に300の選挙区を設け,各選挙区において一人の議員を選挙(同法13条1項,別表第一)するものとされている。
(4) 小選挙区比例代表制を導入した平成6年における公職選挙法の改正にあわせて,衆議院議員選挙区画定審議会設置法(以下「区画審設置法」という。)が制定,施行された。区画審設置法によれば,衆議院議員選挙区画定審議会(以下「区画審」という。)は,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し,調査審議し,必要があると認めるときは,統計法(平成19年法律第53号による改正前の統計法〈以下「旧統計法」という。〉)4条2項本文の規定に基づく国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に,その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告するものとされており(区画審設置法2条,4条1項),改定案を作成するに当たっては,各選挙区の人口の均衡を図り,各選挙区の人口のうち,その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにすることを基本とし,行政区画,地勢,交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないものとされた(同法3条1項)。
なお,上記の勧告は,各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときにも,行うことができるものとされた(同法4条2項)。
(5) 公職選挙法の上記改正の起動力となったのは,前記(2)のとおり,第8次選挙制度審議会の平成2年4月26日付け答申であるが,同答申では,定数を人口比例により都道府県に割り振るものとし,ただ割り振られた定数が1である都道府県については,その定数を2とすることにより最大較差が縮小することとなるときはその都道府県に割り振る数を2とすることとして,人口比例原則が採用されていた。しかるところ,その後の追加答申を踏まえて,平成6年1月公職選挙法が改正されるとともに,区画審設置法が制定されたのであるが,その際,上記の厳格な人口比例原則が修正され,各都道府県の区域内の選挙区の数は,各都道府県にあらかじめ1を配当したうえで,これに,公職選挙法4条1項に規定する衆議院小選挙区選出議員300の定数に相当する数から都道府県47の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とするとされる(区画審設置法3条2項)に至った(以下,このような各都道府県にまず1の定数を割り当てる方法を「一人別枠方式」という。)。
(6) 旧統計法4条1項,2項に基づく国勢調査は,平成12年10月に実施されており(以下,このときの国勢調査を「平成12年国勢調査」という。),区画審は,この結果に基づき衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案(勧告案)を内閣総理大臣に提出し,これを受けて平成14年法律第95号によって公職選挙法が改正された。そして,平成12年国勢調査による人口を基に,改正後の同法13条1項,別表第一の選挙区及び議員定数の定め(本件区割規定)による選挙区間の人口較差を見ると,最大較差は,人口が最も少ない高知県第1区と人口が最も多い兵庫県第6区との間で1対2.064となり,最も人口の少ない上記高知県第1区と比較して人口較差が2倍以上となった選挙区は9選挙区であった。
(7) 現行衆議院選挙制度の下において,今回の選挙は別として過去4回にわたり衆議院議員選挙が行われているが,これらの選挙において,いずれも小選挙区における投票価値の不平等を理由として選挙の無効を求める訴訟が提起されている。このうち,審理中に衆議院が解散されたため訴えの利益がないとして上告審で訴えが却下された事件を除く3件に関する最高裁判所の判決の,本件に関係する部分の骨子ないし要旨は,以下のとおりである。
ア 平成8年10月20日施行の選挙(最高裁平成11年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁の骨子)
小選挙区における投票価値の不平等に関する判決の要旨は,当時の公職選挙法の規定は憲法14条1項,43条1項に違反しないというものである。
ただし,一人別枠方式は,憲法に違反するとの5裁判官の反対意見がある。
イ 平成12年6月25日施行の選挙(最高裁平成13年12月18日第三小法廷判決・民集55巻7号1647頁の骨子)
小選挙区における投票価値の不平等に関する判決の要旨は,当時の公職選挙法の規定は憲法14条1項,43条1項に違反しないというものである(全員一致)。
ウ 平成17年9月11日施行の選挙(最高裁平成19年6月13日大法廷判決・民集61巻4号1617頁の要旨)
上記選挙は,本件区割規定に従って実施された選挙であるが,上記判決(以下「平成19年最高裁判決」という。)は,区画審設置法に規定される基準は憲法14条1項等の憲法の規定に反するものではないとしたうえ,同基準に基づいて行われた選挙区の改定の結果,平成12年国勢調査による人口を基にした本件区割規定の下での選挙区間の人口の最大較差は1対2.064と1対2を極めてわずかに超えるものにすぎず,最も人口の少ない選挙区と比較した人口較差が2倍以上となった選挙区は9選挙区にとどまるものであったことからすれば,区画審が作成した改定案が区画審設置法が規定する基準に違反するものということはできないし,国会が上記改定案のとおり選挙区割りを改定したことが投票価値の平等との関係において国会の裁量の範囲を逸脱するものであるということはできない,選挙当日における選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.171であったというのであるから,選挙施行時における選挙区間の投票価値の不平等が,一般に合理性を有するものとは考えられない程度に達し,憲法の投票価値の平等の要求に反する程度に至っていたということもできない旨判示した。
ただし,一人別枠方式は合理性が乏しく,投票価値の平等を損なうが,従前の最高裁判所の判決が同方式を合憲としたこと等を踏まえ,本件区割規定を違憲とし当該選挙を違憲選挙と断定するには躊躇を覚えるとして,是正を要することを求めることを内容とする4裁判官の見解,本件区割規定は憲法に違反するとする2裁判官の反対意見がある。
エ なお,上記アないしウの各最高裁判所判決に現れた衆議院議員選挙における,議員一人当たりの選挙人数の最大の較差(概数)は,平成8年10月20日施行の選挙では2.309倍,平成12年6月25日施行の選挙では2.471倍,平成17年9月11日施行の選挙では2.171倍であった(また,最高裁判所の判断が示されていない平成15年11月9日施行の選挙におけるそれは,2.06倍であった。)。
(8) 本件選挙の直近の国勢調査は,平成17年10月に実施されており(以下,このときの国勢調査を「平成17年国勢調査」という。),区画審は,この結果に基づき検討を行ったが,選挙区間における最大較差は1対2.203であり,較差が2倍を超える選挙区が48認められたものの,都道府県や市町村という行政区画を前提に区割りを行う以上,上記最大較差はこれまでの最高裁判所判決に照らしても一般に合理性を有するとは考えられない程度に達しているということはできず,また,較差が2倍を超える選挙区が48あることも,過去の状況に照らし必ずしも異常とはいえないこと,市区町村において多くの合併が行われ,今後も行われることが予定されて,現在新たな基礎自治体として地域の一体化が進められている途上であるというべき状況などを斟酌し,各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があるとは認められないと判断して,勧告は行わなかった(乙1,3)。
その結果,本件選挙は,本件区割規定に従って施行された。
(9) 本件区割規定による選挙区間の人口較差は,平成17年10月に実施された国勢調査の結果を基にすると,議員一人当たりの人口数が最少の高知県第3区と最多の千葉県第4区との間では2.203であり,高知県第3区と原告が選挙人となっている福岡県第2区との間では2.096であり,較差が2倍を超える選挙区は48である(乙1)。同様に,衆議院議員選挙区別選挙当日の選挙人数を基にすると,その較差は,議員一人当たりの選挙人数が最少の高知県第3区と最多の千葉県第4区との間では2.304であり,高知県第3区と福岡県第2区との間では2.048であり,較差が2倍を超える選挙区は45である(乙2)。
2 争点及び争点に関する当事者の主張
本件における争点は,本件区割規定に基づく議員の配分が憲法に違反するか否かである。
〔原告の主張〕
(1) 本件区割規定に基づく議員の配分は憲法に違反する。
憲法は,代表民主制を採用し(前文1段,43条1項),公務員の選定罷免権を国民固有の権利とし(15条1項),普通選挙(同条3項),平等選挙(14条1項,44条)を保障している。
憲法14条1項,同法44条は,国民の人種,信条,性別,社会的身分,門地,教育,財産,収入,住所等によって差別することなく,一人に一票を保障し,かつ,その選挙権の等価性の保障をしている。このような一人一票の選挙権の憲法上の保障は,国会が選挙区制に基づく選挙制度を採用する場合には,各選挙区から選出される代表者(議員)数の配分を人口分布に比例して配分するべく,国会の立法権限を覊束している。
しかるに,本件区割規定は,人口分布に基づいて配分しておらず,憲法が規定する代議制民主制(前文1段,43条1項,44条),その基礎となる公正な代表を選出するために必須の選挙権の平等の保障(14条1項,44条,15条1項)に反するから,憲法98条に基づき無効である。
よって,本件区割規定に基づき施行された本件選挙のうち小選挙区福岡県第2区における選挙を無効とすることを求める。
(2) 被告の主張に対する反論
ア 被告は,本件区割規定は国会の裁量権の範囲内に属すると主張する。しかし,「一票の不平等」を定めた公職選挙法が有効か無効かの問題について,「一票の不平等」を定めた公職選挙法の下で当選した「当事者」であり,「直接の利害関係者」たる国会議員から成る国会に裁量権を認めることはできない。国会に裁量権を認めることは,民事訴訟法が定める除斥及び忌避の法理や会社法及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律が定める利害関係者による議決権行使禁止の法理とも矛盾する。
イ 選挙権の価値は,平等であり,住所によって差別されないという憲法上の保障は,憲法14条1項,44条,前文1段,43条1項,15条1項に基づく一人一票の保障に優越する憲法上の他の条文又は他の条文に根拠をもつ憲法の趣旨によってのみ,修正,変更され得る。けだし,憲法によって保障された権利は,憲法に根拠付けられていない他の利益によって減殺されることはないからである。
被告は,後記のとおり,各選挙人の投票価値の平等は唯一,絶対の基準となるものではなく,都道府県,市町村その他の行政区画,従来の選挙の実績,選挙区としてのまとまり具合,面積の大小,人口密度,住民構成,交通事情,地理的状況等,国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由において調和的に実現されるべきものであり,こうした要素を考慮して定められた本件区割規定は合憲であると主張するが,このような要素ないし事情は,憲法のいずれの条文によっても根拠付けることができず,憲法に保障された選挙の価値の平等に優越することはない。
ウ 1983年の米国連邦最高裁判決は,米国下院議員選挙に関し,1票対0.9930票の選挙権の価値の不平等でも違憲と判断した。日本でも,都道府県にとらわれずに機械的に人口に基づいて選挙区割りを定めれば,選挙権の価値の平等を実現できる。日本の都道府県は,アメリカと異なり単なる行政区画でしかないから,都道府県の各境界を越えてでも,人口に基づいた選挙区割りを実行するべきであるし,憲法もこれを要求している。
エ 日本では,投票価値の不平等のため,全小選挙区選出議員300人の過半数151人は,全選挙人の42%から選出されることになり,国会議員の多数決の正当性の根拠である正当な選挙がなされていない。
衆議院議員選挙において,投票価値の最大較差が1対2倍未満であれば合憲であるとする主張には,何ら説得力のある憲法上の根拠及び説明がない。逆に,投票価値の較差がたとえ1対1.01倍程度の僅差であっても,投票価値の較差が存在すれば,少数の人口から構成される「小選挙区の合計」から選出される衆議院議員の数が多数を占めてしまうが,このような事態は,多数決ルールが支配する憲法56条の下ではあってはならないことである。
オ 憲法は,国民主権の法理を憲法改正手続(96条1項),最高裁判所裁判官の国民審査手続(79条3項),普通選挙手続(43条1項)の3つの条項を設けて,具体的に定めている。このうち,憲法改正手続における国民投票と最高裁判所裁判官の国民審査手続においては,国民一人一人が有する当該一票の国政に対する影響力は,全員平等であるのに対し,多数決ルールの基礎となる正当な選挙によって国会における代表者を選ぶという普通選挙手続において,一票の較差が生じていることは,たとえその較差が僅かであっても,憲法前文第1段第1文の国民主権の法理に違反するものである。
カ 憲法前文第1段第2文は,国政が国民の厳粛な信託によるものであることを定めている。主権者たる国民は「信託」における寄託者であり,国会議員は受託者でしかないにもかかわらず,国会議員が寄託者である国民の国政に対する影響力(一票の価値)を裁量によって増減させることは,憲法前文の定める「信託」の法理から逸脱する。
〔被告の主張〕
(1) 選挙制度に関する国会の裁量権について
憲法は,代表民主制を採用するとともに(前文1段,43条1項),両議院の議員の定数,選挙区,投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は法律で定めるべきものと規定し(43条2項,47条),両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を国会の裁量にゆだねている。
また,憲法は,各選挙人の投票の価値の平等(議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等)を要求していると解される。しかしながら,各選挙人の投票価値の平等は,国会が両議院の議員の選挙制度を決定する際の唯一,絶対の基準となるものではなく,投票価値の平等は,都道府県,市町村その他の行政区画,従来の選挙の実績,選挙区としてのまとまり具合,面積の大小,人口密度,住民構成,交通事情,地理的状況等,国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものである。
したがって,選挙制度に関する問題は,代表民主制下における選挙制度の在り方を前提とした国会の裁量権の範囲の問題としてとらえられるべきものであり,国会の定めた選挙に関する制度が,国会において正当に考慮し得る諸般の要素を斟酌してもなお,一般的に合理性を有するものとは到底考えられない程度に達しているときに,初めて,国会の裁量権の合理性の限界を超えていると推定され,これを正当化すべき特段の理由が示されない限り,憲法違反と判断されることになるというべきである。
(2) 本件区割規定の合憲性
本件区割規定の成立過程及び平成19年最高裁判決を含む投票価値の平等に関する過去の最高裁判例等を総合すれば,本件区割規定に基づいて実施された本件選挙における人口較差の結果が,国会において正当に考慮し得る諸般の要素を考慮してもなお,一般に合理性を有するものとは認められない程度に達し,憲法の投票価値の平等の要求に反する程度に至っていたということはできないから,憲法の各規定に反するものでないことは明らかである。
第3 当裁判所の判断
1(1) 憲法が,国会議員選挙制度について具体的な定めをおくことなく,議員の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項を法律事項としている(43条,47条)うえ,我が国では国会が唯一の立法機関とされたので,その法律を制定するのは国会しかない(41条)こと,憲法が,上記のとおり「選挙区」を条文中で掲記していることから,当然に複数の選挙区が定められることを前提としているところ,そうだとすれば,選挙区ごとにある程度の較差が生じることは不可避的現象といえること,国会議員には衆議院議員のみならず参議院議員も存在することから,両議院の議員の各選挙制度の具体的仕組みや選挙区の決め方についても様々な形式が想定されるので,これについて国会が裁量権を有することは是認せざるを得ないし,問題の議員の選挙区の決め方に限っても,長年,これが都道府県,市町村その他の行政区画と不即不離に結びつき,多くの国民においてこれを基本的に承認してきたとみられること等の理由から,国会が,議員の選挙区の決め方について,上記行政区画を考慮することは当然にその裁量権の範囲内に含まれるとされてきたことは,ほぼ自明の事実といわざるを得ないであろう。最高裁判所もこれまで累次の判決でその旨を宣言し,平成19年最高裁判決でもこの趣旨が確認されたことは,当裁判所に顕著な事実である。すなわち,同判決は,この点に関して,当該事件の上告理由についての判断に先立ち,次のとおり判示する。
「代表民主制の下における選挙制度は,選挙された代表者を通じて,国民の利害や意見が公正かつ効果的に国政の運営に反映されることを目標とし,他方,政治における安定の要請をも考慮しながら,それぞれの国において,その国の実情に即して具体的に決定されるべきものであり,そこに論理的に要請される一定不変の形態が存在するわけではない。我が憲法もまた,上記の理由から,国会の両議院の議員の選挙について,およそ議員は全国民を代表するものでなければならないという制約の下で,議員の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(43条,47条),両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を原則として国会の裁量にゆだねているのである。このように,国会は,その裁量により,衆議院議員及び参議院議員それぞれについて公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するために適切な選挙制度の仕組みを決定することができるのであるから,国会が新たな選挙制度の仕組みを採用した場合には,その具体的に定めたところが,上記の制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反するため国会の上記のような裁量権を考慮してもなおその限界を超えており,これを是認することができない場合に,初めてこれが憲法に違反することになるものと解すべきである。」
(2) 平成19年最高裁判決は,「議員は全国民を代表するものでなければならない」という制約原理を掲げてはいるものの,結局のところ,国会が選挙制度について具体的に定めたところが,法の下の平等などの憲法上の要請に反するため国会の裁量権の限界を超え,これを是認することができない場合に,初めてこれが憲法に違反することになるとしているので,国会に対し,かなり広範囲な裁量権を与えていることが,その判文上明らかである。
そして,同判決は,本件の争点である一人別枠方式の合憲性を認めた文脈の中で,「選挙区割りを決定するに当たっては,議員一人当たりの選挙人数又は人口ができる限り平等に保たれることが,最も重要かつ基本的な基準であるが,国会はそれ以外の諸般の要素をも考慮することができるのであって,都道府県は選挙区割りをするに際して無視することができない基礎的な要素の一つであり,人口密度や地理的状況等のほか,人口の都市集中化及びこれに伴う人口流出地域の過疎化の現象等にどのような配慮をし,選挙区割りや議員定数の配分にこれらをどのように反映させるかという点も,国会において考慮することができる要素というべきである。」と判示しているので,その判文をすなおに読む限り,国会の裁量権の限界を判断するについて,投票価値の平等だけを唯一絶対の基準とし他の要素は捨象すべきであるとの考えを採用していないことが明らかであって,一般的にいえば,この点の判断について下級裁判所が,特段の理由もないのに無視ないし軽視することは許されないといわなければならないであろう。
しかしながら,同最高裁判決については,前記前提事実のとおり,2名の裁判官による本件区割規定は憲法に違反するとの反対意見があるほか,一人別枠方式について合理性が乏しく投票価値の平等を損なうと断じながらも,従前の最高裁判所の判決が同方式を合憲としたこと等を踏まえて,本件区割規定を違憲として当該選挙を違憲選挙と断定するには躊躇を覚えるとした4裁判官の意見があったこと,平成19年最高裁判決が言い渡された同年6月から本件口頭弁論終結時である平成21年12月まで約2年半の年月が経過したが,その間に最高裁判事の構成に変更が生じたばかりか,最高裁大法廷は,同年9月30日(民集63巻7号1520頁)には,参議院議員選挙についての判決ではあるが,「現行の選挙制度の仕組みを維持する限り,各選挙区の定数を振り替える措置によるだけでは,最大較差の大幅な縮小を図ることは困難であり,これを行おうとすれば,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となることは否定できない。」として,制度の仕組みを見直すことの必要性にまで言及し,従来の選挙訴訟において定数問題に踏み込んだものの,ともすればその介入自体については消極的ないし慎重であったと評価された最高裁がその姿勢を改めたともみえる一面を示したこと,さらに同判決は,上述のとおり参議院議員選挙に関するものであるにせよ,その掉尾において,「国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり,投票価値の平等が憲法上の要請であることにかんがみると,国会において,速やかに,投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて,適切な検討が行われることが望まれる。」と判示して,国会に対する勧告的意見を発したこと,以上の事情に加えて,同最高裁判決が明言するように,投票価値の平等が憲法上の要請であり,ひいて民主政治の基盤であり,その理念は不変であって,これが現実の世界において実現しているかどうか日々検証することこそ,最重要課題であることからすれば,こうした議員定数の問題が司法の俎上に載せられた場合においては,裁判所としてはその都度,最高裁判決の存在及びその内容を十分に念頭におきつつも,定数配分のあり方について原点に立ち戻ったうえで熟慮,検討するのが相当であり,国会の裁量権の有無及び範囲についても,その判断の枠組みも含めて,新しい観点から比較的柔軟に検討を加えることが許されるものと考える。
2(1) 当裁判所は,定数配分のあり方について,原点に立ち戻って検討すれば,国会が選挙制度の仕組みを決定するについてどの程度の裁量権を有するかについては,次のように考えるものである。
ア 国会が,選挙制度の骨格ないし大枠,すなわち,中選挙区制によるか小選挙区制を採用するか,比例代表制を並立させるか,数ある比例代表制のなかでどの制度を選択するか,小選挙区と比例代表制の重複立候補を許容するかどうかなどの,投票した選挙民の意思を直接かつ効果的に選挙結果に反映させるか,等を決定するに当たっては,ことの性質上,国会に相当広範囲な裁量権を認めて差し支えないし,憲法も許容するものとみてよいけれども,ある選挙民の投じた一票が他の選挙区の選挙民が行使した一票と遜色のないものであること,すなわち,ある選挙民が投票に託したその意思が他の選挙民と同等の価値をもって(つまりは公正に)選挙結果に反映するかという点については,基本的には「誰もが過不足なく一票を有する」ことを理念として出発すべく,実際上投票価値の平等を完全完璧な形で実現することは不可能であるとしても,全力をあげてその実現に向け努力すべきであって,これに背を向けて反対方向に後退することは許されず,ましてや,その理念を没却するようなことは到底許されないと考える。したがって,国会といえども,この点についての裁量の範囲は自ずから限定されるというべきである。
憲法が,「誰もが過不足なく一票を有する」との理念を目指していることは,次のことからも裏付けられよう。
(ア) 憲法は,その前文で,「日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」するべきものとし,「国政は,国民の厳粛な信託によるものである」ことを宣言しているところ,その憲法自ら,衆議院に国政上の重要な事項について参議院に優越する議決権を付与し,また,政治的ないし国民生活上の課題が折々生起するなかで,特に国民生活に重要な影響を与える問題について国論が二分したような場合に,その民意を問うべき手段としての解散の制度を衆議院に設けていること,小選挙区制の弊害といわれる死票の増加を防止するとともに多様な民意を反映させる少数代表制としての比例代表選挙を用意しているとはいえ,本件で問題とされている小選挙区制にあっては,個々の選挙区において相対的多数を得た一人の当選者のみが議席を確保し,その集積をもって議会が構成されたうえ,その多数決によって議会の意思が決定され,最終的にはこれにより我が国の政治,外交,その他国民生活等に影響を及ぼす全ての分野における枢要政策が決まってしまうこと,価値観が多様化し,国民各層にわたってさまざまな意見をもつ人々が政治に参画する機会を有するに至ったものの,ほとんどの市民においてはその声を現実の政治に反映させる機会としては投票こそが唯一最大のものであること等をあわせ考えると,本件選挙における小選挙区の区割りに当たっては,基本的に「誰もが過不足なく一票を有する」との理念を確保する以外に,民意を正確に国政に反映させる方法はないというべく,それゆえ,憲法は,可能な限り投票価値の較差を小さくすることはもちろん,不断に「誰もが過不足なく一票を有する」との理念に近づける努力をすることを要請しているとみるのが相当である。
(イ) また,憲法は,選挙権の行使とは別の場面において,国民の国政に関する権限行使について個々人が有する一票の価値を全員平等とする規定をおいている。原告が指摘する,①憲法改正手続(96条1項),②最高裁判所裁判官の国民審査手続(79条3項)が,それである。①は,憲法改正の国会提案に対する国民の承認・不承認の手続であり,②は,最高裁判所裁判官を国民が審査し,投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは,その裁判官を罷免させるという制度で,いずれも与えられた項目について,全国民が二者択一の選択をするものとされており(なお,①は,代表民主制を原則とした憲法が国民に対して例外的に認めた直接的政治参加権とされている。),その投票の趣旨,目的から,価値の平等があることが当然に要請されている。これらは,国民の多様な意見をくみ上げるために各意見の支持母体からこれを代表する者をできる限り万遍なく選ぶことを目的とした普通選挙手続とは,目的自体が異なるので同列には論じ難いけれども,そもそも小選挙区制が,政策本位,政党本位を主眼として導入されたものであるうえ,解散後に行われる衆議院議員選挙などにあってはその際の政治情勢等により争点が収斂,単純化され,国民に対し二者択一を迫る場合もあり得るのであって,そうとすれば,上記各規定の存在は,憲法が,選挙権の価値についても,できる限り「誰もが過不足なく一票を有する」ことを要求しているとみてよい一つの補強事情といえよう。
(ウ) さらに,我が国では,内閣総理大臣の指名に関する議事のほか,国会におけるほとんどすべての議事がいわゆる多数決原理で決することとされているところ,原告の今回の選挙結果に基づく試算(甲9)ではあるが,それによれば,小選挙区選出議員選挙において全登録選挙人の42%すなわち少数の国民から構成される「各選挙区の合計」から選出される,小選挙区選出衆議院議員が,全小選挙区選出衆議院議員(300人)のなかで,過半数の151人を占めることになることが認められるところ,こうした結果は,多数決ルールが本来有している意義を減退ないし摩耗させていることにほかならないのであって,憲法が所期しているところとはいささか背理し,少なくとも望ましい事態でないことは明らかといえる。
イ 翻って考えるに,この問題に関して留意しなければならないのは,衆議院議員の定数問題は,衆議院議員個々人の存立基盤ないし存在根拠に関わることを忘れてはならないことである。すなわち,議員は,「正当に選挙されて」はじめて「議員」になるのであるから,本来的に正当かどうかのキャスティングボートを握ることは自家撞着であり,また,仮に「誰もが過不足なく一票を有する」との原則を大きく逸脱した形で選挙がなされた場合,代表に選ばれた衆議院議員のうちで何人かは国民から正当に選ばれた代表者でないのではないかとの疑念が生じるばかりか,当該議員が国政に関与することの正当性も問題になってくるのであり,ひいては,その疑念を投げかけられた議員としてはその出自を真剣に自問せざるを得なくなり,さらには,安んじて議員としての活動に従事し得ないということにもなりかねないのである。そうとすれば,国会は,こうした正当性に疑問が生じないように,常に,来るべき選挙にそなえ,出来る限り自らの裁量の余地を働かせることなく議員の定数及び選挙区の確定を図るべきなのである(原告は,「判断事項に利害関係を持つ者」は,当該判断事項につき,判断者になれないことを根拠に,国会議員はすべて現行の議員定数配分を変更するについて利害関係を有しているから,国会議員は,「投票価値の平等」という基本的価値を減殺することを必然とする「政策目的ないし理由」が何であり,どの程度の重みを持つかにつき,判断・決定する資格がないと主張するところ,当裁判所はそれを「存立基盤」ないし「存在根拠」からアプローチしたものであって,基本的に裁量の余地を認め難いとする点では同じ地平に立つものであろう。)。その意味でも,国会の裁量権は,この問題に対しては,本来,限定的であってしかるべきなのである。
ウ 以上のとおり,憲法は,「誰もが過不足なく一票を有する」ことを要請しているものとみるのが相当であるが,そうだとして,国会が他の要素ないし利益を考慮する(必然的に投票価値に差が生ずる)ことは全く許されないのかが問題となる。原告は,選挙区選挙制度のもとでは各選挙区から選出される議員数の配分を人口分布に比例させるべきであり,都道府県の各境界を越えてでも,人口に基づいた選挙区割りを実行すべきであるし,憲法もこれを要求している,と主張するので,この点について検討する。
結論的にいえば,原告の見解は採用できず,区分選挙区制を採用する以上,具体的な選挙区割りを行うには線引きが必要不可欠な作業となるところ,その線引きにあたっては,行政区画のうち都道府県という要因を考慮することが,すなわち国会がその限度で裁量権を持つことが,憲法上許されないとまではいえないし,憲法はむしろこれを容認しているとみるのが相当であると考える。なるほど,日本の都道府県は,アメリカと異なり単なる行政区画にすぎないことは,原告の主張するとおりである。しかしながら,当裁判所の判断の冒頭(1(1))で触れたとおり,我が国の選挙区の決め方については長年,都道府県,市町村その他の行政区画と不即不離に結びつき,多くの国民においてこれを基本的に承認してきたとみられること,上記の各行政区画のうち,沿革的には市町村が地方の政治制度の基礎単位とされ,これが伝統的な共同体を築くなかで郷土愛を育み,豊かな地方文化の創出,継承に寄与してきた役割は決して小さくないけれども,その後の交通手段の発達,広域行政の重要性の増加,情報化社会の到来等によって市町村の果たしてきた役割は相対的に低下し,今日,都道府県こそ地方自治の実質的部分を占めているとみてよい(現に,政府主導ではあるにせよ,市町村合併という大きな流れも現出している。)ことを考慮すると,地方公共団体の中核としての都道府県に即して選挙区画を画定することが憲法上許されないとまではいうことができない。ただし,その結果が,さきに述べた「誰もが過不足なく一票を有する」との理念を没却するものとなるのであれば,その段階で見直すべきは当然であるが,そのような事態の発生の有無如何にかかわらず,都道府県を区画画定の考慮要素とすることを不当視することはできないと考える。
原告は,厳格な投票価値の平等が実現可能であるとして,人口のみに基づく選挙区割りのモデルを提示する(甲6)。その意欲と努力は買うにしても,同モデルをみると,選挙ごとに選挙区割りが変わることを容認し,一つの選挙区の選挙人数の変動が,隣接区にとどまらず全体に波及するものになっていて,それ自体問題があるばかりか,こうした機械的かつ無機質な線引き(もっとも,原告のモデル案も,その枠組みの骨格は都道府県や市町村を前提としており,行政区画を全く無視するものではない。)が,一つの都道府県の住民である選挙民の投票行動に少なからず影響を与えることが当然に予想され(投票場に足を運ばない事態を招いては元も子もなくなる。),予測可能な安定した選挙環境を整えることも選挙制度の構築にとって看過できない要素であることに鑑みると,原告の人口のみに基づく選挙区割りの主張は採用することができない。
(2) 以上要するに,投票価値の不平等,すなわち,各選挙区による選挙人の数が異なる結果,各選挙人が自己の選ぶ候補者に投じた一票がその者を議員として当選させるために寄与する効果に大小が生じることを憲法は基本的に容認していないとみるのが相当であるが,一方で,選挙区画の画定にあたっては,少なくとも都道府県という行政区画を考慮要素とすることを,憲法は,その旨の明文がないけれども,許容しているものと認めるのが相当である。もっとも,これまで述べてきたとおり,憲法は,国会が衆議院議員の選挙につき全国を多数の選挙区に分けて実施する制度を採用する場合には,選挙制度の仕組みのうち選挙区割りや議員定数の配分を決定するについて,議員一人当たりの選挙人数又は人口ができる限り平等に保たれることを最重要視していることが明らかであるから,都道府県という行政区画の枠を前提にして選挙区画を定めた結果が,投票価値の平等を損ない,これを没却するような事態に至る場合には,都道府県という枠を取り払ってでも,平等価値の実現という理念に沿う選挙区画を定めるべきことはいうまでもない。
3 そこで,区画審設置法に基づく本件区割規定及び本件選挙について,検討する。
(1) 前記前提となる事実に記載したとおり,第8次選挙制度審議会の当初の答申においては,定数を人口比例により都道府県に割り振るものとし,ただ割り振られた定数が1である都道府県については,その定数を2とすることにより最大較差が縮小することとなるときはその都道府県に割り振る定数を2とすることとして,人口比例原則を採用し,その例外は極めて限られていたのに,その後の政府の諮問により,一人別枠方式が答申され,これに基づいて平成6年改正が行われるに至ったことが認められるところ,これは要するに,答申では最大較差を縮小する方向でのみ「1→2」の修正が企図されたのに,こうした較差の縮小という正しい目標を放擲し,とにもかくにもまず一つの都道府県に一票を割り当てたものであって,これが,人口比例原則からは理念において逸脱するばかりか,当然ながら,当初の人口比例原則によった場合と比較しても較差が拡大することになったのである。
(2)ア 上記の一人別枠方式を検討するに先立ち,その前提となる,選挙区を定める区画規定の骨格である,各都道府県ごとに選挙区の数を定めること(都道府県別定数配分制)について検討する。都道府県が選挙区の大枠を決めるものとなっていること自体は,前述したことからすると,問題とすることはできない。そして,各都道府県によって人口数ないし選挙人数に較差がある以上,人口の多い都道府県に複数の選挙区を割り当てることも,投票の平等価値の実現をするためにむしろ必要なことである。問題はその割当ての結果である。
イ その結果を検証するため,本件選挙が実施される約1年前である平成20年9月2日現在の選挙人数(=選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数,甲2)を基にして,議員の総定数300を各都道府県別の選挙人数(区画審設置法では「人口」を基準としているが,厳密を期せば「選挙人数」となろう。ただし,ここでは特にその趣旨を含ませてはいない。)に応じて(選挙人比例方式)割り当ててみることにする。上記の時点における総選挙人数は1億0409万2583人であるから,これを300で除して求められる34万6975人が,定数を配分するについての基準人員となる。最も選挙人数の少ない鳥取県でも,その数は48万9817人であるから,少なくとも1人は割当てが受けられる(基準数を大きく下回る都道府県が出てくれば問題となるが,上記の各数字を対比すると,近い将来にそうした事態が起こるとは容易に想定し難い。)。そして,この基準人員数をもって各都道府県の選挙人数を除して得られた商の整数値の議員数を配分し,次いで残りの議員数を,各都道府県の選挙人数から基準人員数の整数倍を控除した数(以下「剰余数」という。)の多い順で各都道府県に1議席ずつ割り当てていけば(最大剰余方式),各都道府県に配分される議員定数(選挙区の数)が求められるところ,その算出結果は,別紙1~3のとおりである。
なお,上記方式により生ずる都道府県を単位とした投票価値の較差は,ともに上記整数値が少なく,剰余数の差が相対的に多くないにもかかわらず,一方の都道府県は剰余数につき1議席の割当てを受け,他方の県はその割当てを受けなかった場合に大きくなるが,その場合でも,剰余数がより多いところが割当てを受ける以上,較差が2倍に達することは理論上あり得ない。
ウ 別紙試算表の算出結果によると,最大較差は,島根県と鳥取県との間に生じ,その較差は1対1.636となる(上記整数値が1の6県のうち,選挙人数が最少の鳥取県の剰余数は14万2842人〈剰余数の順位33番目〉で割当定数は1となり,島根県の剰余数は25万1882人〈同14番目〉で割当定数は2となる(定数1当たりの選挙人数29万9429人)となる。他の整数値1の4県(佐賀,徳島,福井,高知)は,島根県を上回る剰余数であるので当然割当てを受け,島根県より少ない剰余数で剰余数による割当てを受ける県は,いずれも,もともと総選挙人数及び上記整数値が多いため,剰余数による割当てを受けることによる議員一人当たりの選挙人数に及ぼす影響は少ない。
以上によると,本件選挙における都道府県別定数配分制による都道府県別の較差は,鳥取県だけが1.6以上で,1.4台が1県(和歌山),1.3台が4県(香川,愛媛,長崎,青森),1.2台が5県(奈良,三重,熊本,岩手,滋賀)で,あとはすべて1.2未満である。
エ 以上の結果からみると,最大較差1.6というのが1例みられることはやや問題ではある(2人の選挙人が3人分以上となる。なお,このような結果が生じたのは,鳥取県と島根県は,ともに上記整数値が1のうえ,剰余数の差もそれほど多くないにもかかわらず,島根県は剰余数につき1議席の割当てを受け,鳥取県はその割当てを受けなかったことによる。)が,それでも上記の程度にとどまっており,その余はすべて1.5未満にすぎないことからすると,前記に述べた「誰もが過不足なく一票を有する」との理念を没却するまでには至らないので,仮にも,以下に述べる一人別枠方式を採用せず,人口比例だけに基づく都道府県別定数配分制であれば,国会の裁量権の範囲を越えるとまではいい得なかったものと考える。
なお,せっかく,都道府県別では最大較差が「誰もが過不足なく一票を有する」との理念を没却しない範囲内に収まったとしても,複数の議員定数を割り当てられた都道府県における選挙区割りの線引き次第では,全国の選挙区間における投票価値の較差がさらに拡大することが考えられるけれども,そもそも,同じ都道府県において大きな較差が生ずるような選挙区割りを必要とする事情は見出し難いうえ,前述したとおり,選挙区割りにおいて重視すべきは都道府県という行政区画であって,市町村等の行政単位は,それに比べ,選挙価値の平等という価値の実現,貫徹の観点からすると譲歩してしかるべきであるので,ときにその枠をはずすことも許されるものと考える(現に,現行の衆議院小選挙区の区割りにおいても,一部地域ではそのような分割が実施されている。)。
(3) 次に,問題の一人別枠方式について検討する。
一人別枠方式が導入されるに至ったのは,①過疎地域を含め各都道府県に居住する国民の意見や利害をできるだけ均等に反映させる趣旨であることが最大の理由であるが,その他に,②新選挙制度のもとでは,人口の少ない県において選出される議員が従来の中選挙区に比べ相当少なくなる現象を生ずることから,そうした県に居住する者の懸念や不安に鑑み,新制度への移行を円滑にするため,いわば激変を緩和するためであったと説明されている(平成19年最高裁判決における少数意見参照)。
しかしながら,投票価値の平等は憲法が要求する最も重要な理念であり,かつ,これが民主主義の要諦であることからすれば,本来の人口比例原則から逸脱させる方式を採用することは,その導入の必要性も合理性もないのであって(われわれは,前述したとおり,都道府県という行政区画だけは尊重すべきものと考えるが,ある特別の都道府県を優遇することは許されないものと考えるし,国会に対してわれわれより広く裁量の余地を認める立場にたっても,①の事由は,国会議員は全国民を代表するという憲法の立場に真っ向から衝突し,②の事由は,むしろ選出議員の減少に伴って死活問題に直面した議員〈ないし立候補予定者〉に対する延命策にすぎないといってよいであろう。),そうとすれば,一人別枠方式は,その制定当時において,既に,違憲,違法だったと断ずるほかない。区画審設置法3条1項は,各選挙区の人口のうち,その最も多い者を最も少ない者で除して得た数が2以上にならないようにする旨規定していて,較差が2以上にならないようにとの配慮をしているが,法文の規定の趣旨ないし書きぶりからみて,出来る限り1対1に近づけることを目標としておらず,「誰もが過不足なく一票を有する」ことを指向していない点で,これを合憲的に解釈することは困難である。
(4) 本件選挙における議員一人当たりの人口数の最大較差は,さきに見たとおり(前提となる事実(9)),平成17年10月実施の国勢調査結果で,1(高知県第3区)対2.203であり,高知県第3区と原告が所属する福岡県第2区との間でも2.096であり,また,較差が2倍を超える選挙区は48あったというのであるから,この結果は,憲法が要求する投票価値の平等理念を大きく逸脱するものであり,前記した都道府県別による人口比例原則による配分結果(試算)の最大較差である1.636とも大きな開きがあるのであって,その結果をみても,容認できないことは明らかである。
(5) 以上のとおり,本件選挙(小選挙区)は違憲,違法であることは明らかであるが,この点に関して,結論的に違憲判断をなすに当たっては,なお,国会による現実的かつ合理的な是正期間があったか否かを踏まえる必要があるとの立場がある。これは,仮にある時点で憲法に反する事態が生じていたにせよ,これを認識して,すぐに違法状態を合憲状態に改める作業に着手したとしても,相応の準備作業が必要であるうえ,現実の改定作業も短時日には不可能であるから,一定の合理的な猶予期間を想定し,その期間を越えてなお放置していた場合に,初めて違憲であると判断すべきだというものである。
当裁判所も,上記のようないわゆる「合理的期間論」があることは承知しているし,最高裁判決が一人別枠方式について合憲の評価を下していることを視野に入れれば,本件でもその面での検討が必要となるといわなければならないであろう。しかしながら,当裁判所は,本件の一人別枠方式はその制定当初から,憲法が要求した投票価値の平等には明らかに反するものであると判断するうえ,前述したように,衆議院の選挙区割りの問題は,なによりも衆議院議員の存立基盤であることからすれば,他からの問題提起を待つまでもなく,さらには司法による救済的判断に安住することなく,自ら率先してその見直しを図るべきなのに,その努力をしないまま座視していた点が問題なのであって,選挙区割りに関して,合理的期間論を採用すること自体疑問なしとしない。
その点はさておいても(また,仮に制定当時の本件区割規定を合憲的に解釈するにしても),前記前提となる事実のとおり,本件区割規定は,区画審が平成12年国勢調査の結果に基づき作成した改定案のとおり小選挙区選挙の選挙区割りが改定されたものであるところ,平成12年国勢調査による人口をもとにすると,本件区割規定のもとにおける選挙区間の人口の最大格差は1対2.064であり,9選挙区において人口が最も少ない選挙区と比較して人口較差が2倍以上となっていたものであるうえ,平成17年9月11日,本件区割規定に従って施行された衆議院議員総選挙当日における選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.171に拡大するに至ったこと,そして,その後,平成17年10月に国勢調査が実施され,区画審は,その結果を検討した結果,選挙区間における最大較差が1対2.203と更に拡大し,較差が2倍を超える選挙区は48と増加していて,選挙区間における最大較差が拡大しつつある状況を認識したにもかかわらず,過去の状況に照らし必ずしも異常とはいえないなどと安易に判断して,区画審設置法3条の規定や同法の趣旨に反して,選挙区間の人口の最大較差が2倍以上とならないようにする努力すら怠り,選挙区間の人口の最大較差が2倍以上である状態を,前回の選挙からみても本件選挙まで4年近く放置し,その結果,平成21年8月30日に行われた本件選挙当日における選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2.304まで拡大し,較差が2倍を超える選挙区は45に上ったものであり,原告が選挙人の福岡県第2区の較差も2.048となお2倍を超える状態にあったことからすると,仮に,本件区割規定が制定当時合憲であったとする立場をとったとしても,その後の人口の変動等により,違法性を帯びるに至ったというべきであり,このような状態を是正する姿勢も全く見せないまま放置した国会の不作為は,われわれのように国会の裁量の範囲を限定的にみる立場からすればもちろんのこと,相当程度認める立場をとったとしても,その範囲を逸脱するものであるといわざるを得ない。
以上要するに,合理的期間論を採用したとしても,本件選挙は違憲というべきものである。
4 よって,原告の請求は,本件選挙(小選挙区)における福岡県第2区の選挙の違法をいう点においては理由があるが,これを無効とした場合の公の利益の著しい障害等を考慮すれば,行政事件訴訟法31条1項前段の趣旨に準じて原告の請求を棄却するのが相当であるから,主文でその旨を宣言し,訴訟費用を被告の負担とする(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条ただし書)こととして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 森野俊彦 裁判官 小野寺優子 裁判官 瀬戸さやか)
別紙
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政治と選挙の裁判例「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧
(1)平成22年11月30日 金沢地裁 平21(行ウ)3号 公金支出差止請求事件
(2)平成22年11月19日 盛岡地裁 平18(行ウ)11号 政務調査費返還請求事件
(3)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)16号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(4)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)15号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(5)平成22年11月12日 東京地裁 平21(行ウ)126号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(6)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(7)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)251号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(8)平成22年11月 2日 東京高裁 平22(行ケ)14号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(9)平成22年10月29日 東京地裁 平19(ワ)31252号 損害賠償等請求事件
(10)平成22年10月29日 東京地裁 平19(行ウ)472号・平19(行ウ)493号・平19(行ウ)494号・平19(行ウ)495号・平19(行ウ)496号・平19(行ウ)497号・平19(行ウ)498号・平19(行ウ)715号・平19(行ウ)785号・平20(行ウ)55号・平20(行ウ)132号・平20(行ウ)133号・平20(行ウ)404号・平20(行ウ)405号・平20(行ウ)406号・平20(行ウ)407号・平20(行ウ)408号・平20(行ウ)686号・平20(行ウ)756号・平21(行ウ)367号・平18(行ウ)472号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分取消請求事件
(11)平成22年10月28日 東京地裁 平19(ワ)31393号 損害賠償請求事件
(12)平成22年10月27日 仙台高裁 平21(行コ)28号 違法公金支出による損害賠償履行請求控訴事件
(13)平成22年10月22日 東京高裁 平22(行ス)76号
(14)平成22年10月 1日 東京地裁 平21(行ウ)132号 難民不認定処分取消等請求事件
(15)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(16)平成22年 9月17日 東京地裁 平21(行ウ)226号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(17)平成22年 9月14日 最高裁第三小法廷 平22(ク)760号・平22(許)24号 仮処分命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する抗告事件
(18)平成22年 7月30日 東京地裁 平21(行ウ)281号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(19)平成22年 7月30日 東京地裁 平20(行ウ)605号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(20)平成22年 6月24日 東京地裁 平21(行ウ)15号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(21)平成22年 6月17日 名古屋高裁 平22(ラ)137号 仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件
(22)平成22年 6月16日 東京地裁 平22(ワ)221号 損害賠償請求事件
(23)平成22年 6月 8日 東京地裁 平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(24)平成22年 5月31日 東京地裁 平20(ワ)16947号 損害賠償請求事件
(25)平成22年 5月20日 東京地裁 平21(行ウ)99号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(26)平成22年 5月13日 東京高裁 平20(う)2470号 国家公務員法違反被告事件
(27)平成22年 4月28日 東京地裁 平20(行ウ)642号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(28)平成22年 4月27日 札幌高裁 平21(行ケ)1号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・札幌高裁・第一審〕
(29)平成22年 4月13日 東京地裁 平20(ワ)34451号 貸金等請求事件
(30)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(31)平成22年 3月30日 大阪高裁 平19(ネ)2853号 損害賠償請求控訴事件
(32)平成22年 3月30日 東京地裁 平21(行ウ)256号 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件
(33)平成22年 3月29日 東京高裁 平18(う)2351号 国家公務員法違反被告事件
(34)平成22年 3月29日 金沢地裁 平19(行ウ)5号 公金違法支出損害賠償請求事件
(35)平成22年 3月26日 熊本地裁 平19(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(36)平成22年 3月25日 岐阜地裁大垣支部 平20(ワ)253号 損害賠償請求事件
(37)平成22年 3月12日 福岡高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
(38)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)36号 選挙無効請求事件
(39)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)35号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(40)平成22年 3月 8日 福岡地裁 平19(行ウ)8号 難民不認定処分取消等請求事件
(41)平成22年 3月 3日 東京地裁 平20(行ウ)412号・平20(行ウ)425号・平20(行ウ)426号・平21(行ウ)79号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(42)平成22年 2月26日 東京地裁 平20(行ウ)486号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(43)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)20号・平21(行ケ)21号・平21(行ケ)22号・平21(行ケ)23号・平21(行ケ)24号・平21(行ケ)25号・平21(行ケ)26号・平21(行ケ)27号 各選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(44)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)19号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(45)平成22年 2月 5日 東京地裁 平20(行ウ)713号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(46)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件
(47)平成22年 1月29日 東京地裁 平20(行ウ)261号・平20(行ウ)273号・平20(行ウ)274号 難民の認定をしない処分取消等請求事件(第1事件・第2事件)、退去強制令書発付処分取消等請求事件(第3事件)
(48)平成22年 1月27日 東京地裁 平20(ワ)14157号 損害賠償等請求事件
(49)平成22年 1月25日 広島高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・広島高裁・第一審〕
(50)平成22年 1月22日 東京地裁 平21(行ウ)82号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(51)平成22年 1月15日 東京地裁 平20(行ウ)626号・平21(行ウ)2号 在留特別許可をしない処分無効確認請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成21年12月28日 大阪高裁 平21(行ケ)2号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・大阪高裁・第一審〕
(53)平成21年12月 4日 東京地裁 平20(ワ)7435号・平20(ワ)26797号 建物収去土地明渡請求事件、建物退去土地明渡請求事件
(54)平成21年11月30日 最高裁第二小法廷 平20(あ)13号 住居侵入被告事件 〔葛飾政党ビラ配布事件・上告審〕
(55)平成21年11月27日 東京地裁 平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(56)平成21年11月26日 東京地裁 平21(行ウ)86号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(57)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)629号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(58)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)436号・平20(行ウ)444号・平20(行ウ)445号・平20(行ウ)446号・平20(行ウ)447号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(59)平成21年10月29日 東京地裁 平18(行ウ)529号・平18(行ウ)564号・平20(行ウ)235号・平20(行ウ)237号 在留を特別に許可しない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(60)平成21年10月28日 京都地裁 平19(ワ)3986号・平20(ワ)797号・平20(ワ)2263号・平20(ワ)3884号・平21(ワ)1575号 損害賠償請求事件
(61)平成21年10月21日 東京地裁 平21(行ウ)61号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(62)平成21年10月 9日 東京地裁 平19(ワ)9718号 損害賠償等請求事件
(63)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)209号 選挙無効請求事件
(64)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)196号 選挙無効請求事件
(65)平成21年 9月29日 東京地裁 平19(行ウ)437号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(66)平成21年 8月28日 東京地裁 平19(行ウ)123号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(67)平成21年 8月27日 東京地裁 平20(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(68)平成21年 8月25日 東京地裁 平20(ワ)16289号 書籍出版等差止請求事件 〔扶桑社教科書差し止め訴訟〕
(69)平成21年 7月22日 東京地裁 平21(ワ)7588号 慰謝料等請求事件
(70)平成21年 7月16日 東京地裁 平20(行ウ)525号 難民不認定処分無効確認請求事件
(71)平成21年 6月30日 東京地裁 平20(行ウ)421号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(72)平成21年 6月25日 東京地裁 平18(ワ)17391号 損害賠償等請求事件
(73)平成21年 6月23日 東京地裁 平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(74)平成21年 6月17日 大阪高裁 平20(行コ)159号 政務調査費返還請求行為請求控訴事件
(75)平成21年 6月12日 東京地裁 平20(ワ)27642号 貸金請求事件
(76)平成21年 5月29日 東京地裁 平20(行ウ)150号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(77)平成21年 5月27日 東京高裁 平20(行コ)333号 不当利得返還(住民訴訟)請求控訴事件
(78)平成21年 5月26日 東京地裁 平21(む)1220号 政治資金規正法被告事件
(79)平成21年 5月25日 大阪地裁 平18(行ウ)128号 懲戒処分取消請求事件 〔国・気象衛星センター(懲戒免職)事件〕
(80)平成21年 5月22日 東京地裁 平19(行ウ)309号・平20(行ウ)518号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(81)平成21年 5月11日 京都地裁 平21(む)843号 証拠開示命令請求事件
(82)平成21年 4月23日 仙台地裁 平19(ワ)1560号 不当解雇損害賠償等請求事件 〔京電工論旨解雇事件〕
(83)平成21年 4月21日 東京地裁 平20(行ウ)142号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(84)平成21年 3月31日 大阪地裁 平19(行ウ)34号・平19(行ウ)63号・平19(行ウ)77号・平20(行ウ)82号 国際放送実施命令取消等請求(甲~丙事件)、国際放送実施要請違法無効確認等請求(丁事件)事件
(85)平成21年 3月27日 東京地裁 平19(行ウ)178号・平20(行ウ)21号・平20(行ウ)146号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(86)平成21年 3月27日 東京地裁 平18(行ウ)520号・平18(行ウ)524号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(87)平成21年 3月26日 東京地裁 平20(行ウ)134号・平20(行ウ)177号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、追加的併合事件
(88)平成21年 3月26日 東京地裁 平19(行ウ)580号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(89)平成21年 3月24日 東京地裁 平19(ワ)23257号 損害賠償請求事件
(90)平成21年 3月23日 名古屋地裁 平18(行ウ)64号 政務調査費返還代位請求事件
(91)平成21年 3月18日 東京地裁 平19(行ウ)305号・平20(行ウ)501号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(92)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(行ウ)497号 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件
(93)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(ワ)26458号・平18(ワ)24160号 謝罪広告等請求事件、損害賠償請求事件 〔特高警察関係資料集成事件〕
(94)平成21年 2月25日 東京地裁 平19(行ウ)325号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成21年 2月25日 東京地裁 平18(行ウ)374号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(96)平成21年 2月16日 東京地裁 平20(ワ)16317号 損害賠償請求事件
(97)平成21年 2月13日 東京地裁 平20(行ウ)144号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(98)平成21年 1月29日 東京地裁 平19(行ウ)741号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(99)平成21年 1月27日 横浜地裁川崎支部 平15(ワ)200号 差止等請求事件
(100)平成21年 1月22日 大津地裁 平19(行ウ)10号 公金支出差止め請求事件
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■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
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(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
ポスター掲示難易度ランク調査 ご希望のエリア/貼付箇所/貼付枚数 ☏03-3981-2990✉info@senkyo.win
「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。
(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
完全無料使い放題でご提供可能! 外壁街頭ポスター掲示貼付ツール 1枚から対応/大至急/一斉貼付け!
「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」というお客様に、選挙ドットウィンの「ウィン!ワッポン」を完全無料使い放題でご提供する、究極の広報支援ポスター新規掲示プランです。
(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝!当選!選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)
(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!
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