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政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(55)平成21年11月27日 東京地裁 平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件

政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(55)平成21年11月27日 東京地裁 平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件

裁判年月日  平成21年11月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号
事件名  暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
裁判結果  一部有罪、一部無罪  文献番号  2009WLJPCA11278028

要旨
◆被告人らが共謀の上、国労全国大会の開催を阻止するため、組合員が宿泊していたホテル前において、同大会会場に向かうバスに乗車しようとした組合員に対し、多数の威力を示して暴行を加えたとされる事案について、①実行犯7名との間に共謀が認められないとして、実行を行っていない被告人1名に対して無罪が言い渡された事例、②実行犯7名の行った暴行について、「多数の威力を示して」行われたものと認められないとされた事例

参照条文
刑法208条
暴力行為等処罰ニ関スル法律1条
刑事訴訟法336条

裁判年月日  平成21年11月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号
事件名  暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
裁判結果  一部有罪、一部無罪  文献番号  2009WLJPCA11278028

上記7名に対する各暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官藤本治彦,同小林俊彦,同岡本洋之,主任弁護人鈴木達夫,弁護人葉山岳夫,同西村正治,同藤田正人,同松田生朗,同山本志都各出席の上審理し,次のとおり判決する。

 

 

主文

1  被告人Y1は無罪。
2  被告人Y2を罰金60万円に,被告人Y3,被告人Y4をそれぞれ罰金40万円に,被告人Y5,被告人Y6,被告人Y7をそれぞれ罰金20万円に処する。
3  被告人Y2,被告人Y3,被告人Y4,被告人Y5,被告人Y6,被告人Y7に対し,未決勾留日数のうち,その1日を金5000円に換算してその罰金額に満つるまでの分を,それぞれその刑に算入する。

 

理由

(本件当時における被告人らの身分関係)
1  被告人Y2(以下「被告人Y2」ともいう。)は,本件当時西日本旅客鉄道株式会社(以下「JR西日本」という。)神戸支社神戸土木技術センター施設管理係に勤務し,国鉄労働組合(以下「国労」という。)近畿地方本部に所属する組合員である。また,被告人Y2は,平成2年7月に結成された国労共闘全国協議会(以下「国労共闘」という。)の構成員である。国労共闘は,「三里塚反合闘争を闘う国鉄労働者共闘会議」を名乗って成田空港反対闘争に参加した国労組合員を母体とするものである。
2  被告人Y3(以下「被告人Y3」ともいう。)は,もと日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)職員で分割民営化の際にJR各社(北海道旅客鉄道株式会社,東日本旅客鉄道株式会社,東海旅客鉄道株式会社,JR西日本,四国旅客鉄道株式会社,九州旅客鉄道株式会社,日本貨物鉄道株式会社(以下「JR貨物」という。)を総称する。)に採用されず,日本国有鉄道清算事業団(以下「国鉄清算事業団」という。)からも解雇された1047名のうちの一人であり,本件当時国労九州エリア本部に所属する組合員(小倉地区闘争団所属)であり,また,国労共闘の構成員である。
3  被告人Y4(以下「被告人Y4」ともいう。)は,本件当時JR西日本大阪支社大阪事業所事業管理係に勤務し,国労近畿地方本部に所属する組合員であり,また,国労共闘の構成員である。
4  被告人Y5(以下「被告人Y5」ともいう。)は,本件当時JR西日本福知山支社豊岡鉄道部管理係に勤務し,国労近畿地方本部に所属する組合員であり,また,国労共闘の構成員である。
5  被告人Y6(以下「被告人Y6」ともいう。)は,本件当時JR貨物関西支社吹田機関区車両技術係に勤務し,国労近畿地方本部に所属する組合員であり,また,国労共闘の構成員である。
6  被告人Y7(以下「被告人Y7」ともいう。)は,本件当時JR西日本大阪支社奈良電車区車両管理係に勤務し,国労南近畿地方本部に所属する組合員であり,また,国労共闘の構成員である。
7  被告人Y1(以下「被告人Y1」ともいう。)は,本件当時,国労共闘の闘争を支援していた者である。
8  なお,分離前相被告人A(以下「A」ともいう。)は,もと国鉄職員で分割民営化の際にJR各社に採用されず,国鉄清算事業団からも解雇された1047名のうちの一人であり,本件当時国労九州エリア本部に所属する組合員(小倉地区闘争団所属)であり,また,国労共闘の構成員である。
(本件犯行に至る経緯等)
1  国鉄は,巨額の債務を抱え,その再建が国家的な課題となっていたところ,国鉄再建監理委員会は,昭和60年7月,昭和62年4月1日に国鉄事業の分割民営化を実施するという最終答申を提出し,自由民主党(以下「自民党」という。)の中曽根康弘内閣は,昭和60年10月,最終答申に基づく「国鉄改革のための基本的方針」を閣議決定し,昭和61年11月,国鉄分割民営化法案(国鉄改革8法案)が国会で成立した。
鉄道労働組合(以下「鉄労」という。)と日本動力車労働組合(以下「動労」という。)は,分割民営化問題について国鉄当局との協調路線をとったが,国労は,全国大会で国鉄再建監理委員会の最終答申と対決する方針を決めた。国鉄当局は,同年4月から6月にかけて,過去3年間に受けた処分(なお,動労はその間ストライキ等の闘争をやめており,動労組合員に対する処分は行われていない。)等を記載した職員管理調書を作成して,採用候補者名簿作成の資料として利用し,さらに,同年7月には,分割民営化後の余剰人員対策として人材活用センターを設置したが,同所に配属された者の75%を国労組合員が占めた。国労組合員の雇用不安が高まる中,国労本部(B委員長)は,雇用と組織を守るためとして分割民営化を前提とするいわゆる「大胆な妥協の方針」,すなわち労使共同宣言の締結と雇用安定協約を結ぶ方針を提案した。しかし,同方針は,同年10月の臨時全国大会(修善寺大会)において多数決により否決されるとともに,同大会において新たな本部役員(C委員長)が選出され,分割民営化に反対する方針が維持された。
2  昭和62年4月1日,国鉄は,JR各社に分割民営化された。旧国鉄職員のうち7630人,そのうち国労組合員4290人はJR各社に採用されず,国鉄清算事業団所属となった。JR各社の職員採用に当たっては,分割民営化に賛成していた鉄労と動労等の所属組合員とこれに反対していた国労,全国鉄動力車労働組合(以下「全動労」という。)等の所属組合員との間で採用率に顕著な差が生じていた。国労は,所属組合による採用差別等は不当労働行為であるとして各地の地方労働委員会(以下「地労委」という。)に救済申立てをし,昭和63年から平成2年にかけて各地労委でJR各社に採用を命じる救済命令が出されたが,JR各社は中央労働委員会(以下「中労委」という。)に不服申立てをした。
平成2年4月1日,国鉄清算事業団は,再就職促進実施計画に基づく雇用対策が終了したとして,解雇撤回・地元JR復帰を求めていた国労966名,全動労64名,国鉄千葉動力車労働組合9名の組合員など1047名を解雇した。国労は,解雇された組合員を構成員とする全国で36の闘争団を結成し,JR各社に採用された組合員の支援を受けて,解雇撤回闘争を行うこととした。平成5年以降,中労委による救済命令が続けて出されたが,JR各社は,平成6年以降,救済命令の取消しを求める行政訴訟(以下「救済命令取消請求事件」という。)を東京地方裁判所に提起した。
3  国労本部では,平成6年6月,日本社会党(以下「社会党」という。),自民党,新党さきがけが連立して村山富市内閣が成立したのを機に,JR不採用問題の政治解決を図ろうとする動きが生じ,同年12月,国鉄清算事業団とスト権スト202億円損害賠償請求訴訟の取下げ及び国労会館明渡しに関する合意書に調印した。さらに,国労本部は,平成8年8月30日には,JR各社に対し「紛争の全面解決と労使正常化のための申し入れ」を行い,国労として国鉄分割民営化を正式に承認した。国労本部は,平成10年5月28日,救済命令取消請求事件につき,東京地方裁判所民事第11部及び第19部が中労委の救済命令を取り消す判決を言い渡した後,政治解決を求める姿勢を強めるようになり,平成11年3月の臨時大会において,政治解決の前提として国鉄改革法を承認した。これを受けて,JR不採用問題につき自民党と社会民主党(以下「社民党」という。)間の政党間協議が開始された。その後,同年11月,ILO(国際労働機関)結社の自由委員会は,国労から申立てのあった不採用問題につき,採用差別を前提に当事者に満足のいく解決に早急に到達するよう,JR各社と申立組合間の交渉を積極的に奨励するよう政府に勧告する中間報告を出した。
4  平成12年5月29日,政府与党3党(自民党,公明党及び保守党)と社民党は,「JR不採用問題の打開について」と題する書面(以下「4党合意」という。)を国労本部に提示した。4党合意の要旨は,①国労がJR各社に法的責任がないことを認め,全国大会で決定する,②与党からJR各社に対し人道的観点から国労組合員の雇用の場の確保等を検討してほしい旨の要請を行う,③社民党から国労に対し国鉄改革関連訴訟について速やかに取り下げるよう求める,④与党と社民党の間で和解金の位置づけ,額,支払方法等について検討を行う,というものであった。国労本部は,翌30日,中央執行委員会において,4党合意が14年に及ぶ闘いの積み上げにより政治解決を図るという今日の到達点であることを確認し,厳しい内容ではあるが,国労組織の現状と将来を見据え,不採用問題の一括打開・一挙解決を図るためとして,4党合意の受入れを決定し,4党合意が正式に合意された。国労本部は,同年6月6日,中央執行委員会において,同年7月1日に第66回臨時全国大会を開催し,4党合意の承認を得ることを決めた。国労本部は,4党合意の承認決議をするための説得活動を各地で行ったが,各地の闘争団からは,雇用や和解金につき具体的解決案がないままにJR各社に法的責任がないことを認めて訴訟を取り下げることは,14年間続けてきた解雇撤回闘争の放棄になるとして,本部に対する抗議や反対意見が出された。各地の闘争団は同年6月末上京し,全国大会の中止を求めて行動し,被告人ら国労共闘のメンバーもそのころ4党合意に反対する活動を行った。
5  同年7月1日,第66回臨時全国大会の会場である社会文化会館前には闘争団員やその家族,支援者が多数集まり,国労本部役員に対する抗議や説得のほか座り込みをしたことから,午後1時の大会開始予定が大幅に遅れ,闘争団員らを大会会場に入れるとの条件で,同日午後6時から大会議事が開始された。大会では,4党合意に反対する修正動議が出され,代議員から賛成・反対意見が述べられ,闘争団の家族代表らからの発言もあったところ,会場の使用時間の関係で書記長集約の後に拍手で採決するという議事進行が提案され,書記長集約が始まったが,この議事進行に反対する闘争団員を中心に多数の組合員が演壇に詰めかけ,大混乱となり,大会は同日午後9時6分休会となった。
国労本部は,第66回続開大会を同年8月26日に開催することとしたが,それに先立って,上京した闘争団や支援者から議事進行等についての申入れがあり,大会前日,大会では4党合意に関する採決は行わないことが確認された。翌日の大会では,D委員長が7月1日の大会の混乱をわび,4党合意につき組合員全員による一票投票を行うことが提案され承認された。同年9月下旬に実施された一票投票の結果は賛成が55%であった。国労本部は,同年10月28日,29日に開催された第67回定期全国大会において,4党合意に基づく本部の運動方針案を提案したが,闘争団を中心に強い反対意見があり,経過報告の承認だけにとどまり,議場が紛糾して休会となった。大会会場に入れなかった者は,会場前で抗議集会を行った。
同年11月8日及び同年12月14日,東京高等裁判所は,救済命令取消請求事件につき,救済命令を取り消した東京地裁判決を維持した判決をし,また,ILOは,同年11月,「4党合意を柱とする解決の促進」を政府に最終勧告した。これらの状況を踏まえ,同年12月,第67回続開大会の準備を担当する国労地方本部である東京地方本部は,「続開大会の成功にむけた見解」として,4党合意の大会承認のため「妨害勢力に対して毅然たる態度をとり万全を期す」ことなど6項目見解を作成し,国労本部もこの受入れを表明し,国労本部は,警視庁に対し,第67回続開大会の警備要請をした。
6  平成13年1月27日の第67回続開大会は,機動隊の警備の下で開催され,4党合意が承認される一方で,救済命令取消請求事件の上告審につき「最高裁での判断を公正に行わせる」とする追加方針も承認され,また,執行部が総辞職し,Eを委員長とする執行部となった。同大会では,会場に通じる道路にバリケードが設置されて封鎖され,代議員は宿舎から貸切バスで会場に直行したため,4党合意に反対する組合員や支援者は会場周辺での活動ができず,代議員宿舎である新宿のホテル前で代議員に対するビラ配布をした。大会後,4党合意に反対する20の闘争団は,「解雇撤回・地元JR復帰を闘う闘争団」いわゆる「闘う闘争団」を結成した。
同年3月,4党協議において,国労がJRに法的責任がないことを承認したことと裁判を続ける追加方針とが矛盾するなどの指摘を受け,国労本部は4党合意による解決に努める旨を回答した。一方,闘う闘争団員212名は,同年4月26日,救済命令取消請求事件の上告審に訴訟参加の申立てをした。
4党協議が進展しない中,国労本部は,平成13年10月13日,14日に開催された第68回定期全国大会において,4党合意による政治解決方針を再確認したほか,最高裁での判断を公正に行わせるとの追加方針を改めた。同大会においても,国労本部は警視庁に警備要請をし,闘う闘争団員や国労共闘のメンバーは会場周辺での活動ができず,代議員の宿泊先の池袋や神田のホテル前に赴いて4党合意に反対するビラ配布を行った。
7  国労本部は,政治解決を促進するため,同年11月,訴訟参加した闘争団員に対し,参加を取り下げるよう説得するとともに,闘争団員の新たな訴訟提起の動きには団結を求める指示を発し,さらに,同年12月26日の大阪・岡山中労委命令取消請求事件の控訴棄却判決について,平成14年1月8日,中央執行委員会において,上告しないことを決定した。なお,秋田地方本部等に所属する一部国労組合員は,平成13年12月24日,国労組織が4党合意による政治解決で一致団結するのは困難であるとして集団で国労を脱退し,JR東日本ユニオンを結成した。
他方,平成14年1月28日,闘う闘争団員ら283名は,国鉄清算事業団の債務を承継している鉄道建設公団(以下「鉄建公団」という。現在,独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が債務を承継している。)を被告として国鉄清算事業団による解雇の無効を理由とする雇用契約上の地位の確認等を求めて訴訟を提起した。これに対し,国労本部は,同年2月3日,拡大中央委員会において,一部闘争団の訴訟提起は国労の方針を無視し,国労・闘争団の団結を乱し,組織と運動に大きな損害を与える行為であるとして,鉄建公団訴訟の原告となった闘争団員等に対する統制処分を行うための査問委員会の設置を決定するとともに,原告団に対し取下げの説得活動を行うことになった。なお,査問委員会の対象者には,前年末の集団脱退関係者も挙げられていた。
また,国労本部は,同年4月25日,最高裁に係属中の救済命令取消請求事件に訴訟参加しまたは鉄建公団訴訟の原告となった闘う闘争団員に対し,生活援助金の支給を凍結するとともに物資販売活動の支援対象から除外する措置をとった。
8  与党3党は,同年4月26日,4党協議において,「JR不採用問題に関する声明」と題する見解(以下「3与党声明」という。)を示した。3与党声明の内容は,4党合意の進展の遅れは,国労がJRに法的責任がないことを認めた後も裁判でJRの法的責任を追及していること,及び,国労が組合員の総意としてJRに法的責任がないことを認めることが前提であるのに組織内を統一できていないこと,という2つの矛盾を国労執行部が解消していないことにあるとし,その矛盾を早急に解消する対応を国労執行部が同年5月30日までにとらなければ与党3党は4党合意から離脱する,というものであった。
そこで,国労本部は,3与党声明を4党合意に基づく解決の最後の機会と受け止め,同年5月15日,中央執行委員会で,同月27日に第69回臨時全国大会を開催することを決定した。国労本部は,同月24日,中央執行委員会において,①JRに法的責任がないことを再確認し,最高裁での公正判断を求めるとの追加方針の撤回も確認する,②救済命令取消請求事件につき最高裁に訴訟参加を申し立てた闘争団員及び鉄建公団訴訟の原告となった闘争団員に対して,引き続き取下げの説得活動を強化し,取下げに応じない闘争団員に対しては統制処分案を中央執行委員会が決定して査問委員会に送致し,直近の大会で統制処分を決定する,③臨時大会終了後,社民党の要請に基づき国鉄改革法関連の訴訟を取り下げる,④2月にILOに提出した追加情報を撤回する,などを骨子とする大会方針案を決定し,各エリア本部,地方本部に送付した。
また,国労本部は,同年5月27日開催の第69回臨時全国大会に当たり,平成13年1月27日及び同年10月13日,14日開催の各大会と同様警視庁に警備要請をし,ほとんどの代議員はサンシャインシティプリンスホテルに,大会準備本部の構成メンバーである東京地方本部組合員,大会会場係の構成メンバーである長野地方本部組合員及び国労本部会計監査の組合員は,東京グリーンホテルお茶ノ水に,分散して宿泊し,それぞれ大会会場への移動には貸切バスを使用する,東京地方本部法対部長のFがビデオ撮影の準備をし,何か事件が起こった場合には撮影をして証拠にすることとし,大会開催に反対する勢力に対する対策をとった。
そして,臨時全国大会前日の平成14年5月26日夜,大会準備本部委員長のG(以下「G」ともいう。)東京地方本部委員長や大会準備本部事務局長のH(以下「H」ともいう。)東京地方本部財政部長らは,宿泊先の東京グリーンホテルお茶ノ水内で会議を開き,平成12年7月1日開催の臨時全国大会で生じたような混乱を招いてはならないことのほか,大会会場での会場係の配置や手順,当日はホテルを午前7時に出発し,午前7時30分には会場に到着する予定であることなどの確認をした。
9  被告人Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7及びAの7名(以下この7名を「被告人Y2ら7名」ともいう。)を含む国労共闘構成員は,支援者らと共に,平成14年5月25日及び26日の両日,東京都内の晴海で開催された国労共闘の全国交流会に出席し,同月26日午後には芝公園で開催された反戦共同行動委員会主催の集会に参加し,同日夜は東京都文京区本郷付近の旅館に宿泊した。被告人Y2ら7名ほかは,同旅館において,翌日の国労臨時全国大会をめぐって対応を協議し,それを踏まえて国労共闘代表のI(以下「I」ともいう。)がビラの原稿を作成し,労組交流センターにおいて配布用ビラを印刷した。そのビラには,「与党3党声明粉砕!奴隷の道を拒否せよ」との見出しに続き,「反対派が踏ん張り抜くなら,必ずや強行決定を阻止できる。そうすれば,敵の最後の攻撃にとどめを刺し,闘う国労の旗を守りぬくことができる。そのことに確信をもって,ありとあらゆる闘いを共に全力でやり抜こうではありませんか。」,「どんなことがあっても方針案の採決強行を許してはならない。ここにすべてをかけて,闘争団とJR本体の一体となった渾身の決起で阻止しよう。」などと記載されていた。
(本件犯行当日の状況)
1  被告人Y2ら7名を含む国労共闘構成員は,平成14年5月27日早朝,同日の国労臨時全国大会の開催や同大会での執行部方針案の採択には反対であったことから,その旨記載された前記ビラ(以下「ビラ」ともいう。)を同大会に向かう国労本部派組合員に配布するとともに,反対に向けた説得活動を行うため,ビラを持ち,宿泊した本郷の旅館を出発し,3グループに分かれ,サンシャインシティプリンスホテル前,東京グリーンホテルお茶ノ水前及び旧永田町小学校前に,それぞれ向かった。被告人Y2ら7名は,労組交流センター所属の国労共闘の支援者であるJ(以下「J」ともいう。)の案内で,同日午前6時45分ころ,東京都千代田区神田淡路町所在の○○ホテル前路上に到着した。同所に集まった国労共闘構成員は,被告人Y2ら7名とK(以下「K」ともいう。)の8名であり,その他に被告人Y1ら国労共闘の支援者十数名が集まった。ビラ配布を担当する被告人Y2ら7名を含む国労共闘構成員及び動労西日本所属で当時JR西日本社員であったL(以下「L」ともいう。)は,同ホテル出入口通路前付近の歩道上に前記ビラを持って待機し,その他の支援者らは国労共闘構成員らの後方に位置した。
2  前記大会準備本部事務局長のHは,同日午前6時45分すぎころ,反対派がビラ配布に来ているかどうかを確認するため,ホテル出入口通路前歩道上に出たところ,顔見知りのJからビラ配布をする旨の挨拶をされ,従前よりも多い十五,六人の反対派が集まっていることを確認し,集まっている者の中には,被告人Y2ほかの国労組合員である者が含まれている事実を認識せずに,大会準備本部委員長のGに対し,中核派が十五,六名来ていると報告し,隊列を作って貸切バスに乗り込む旨の相談をした。
3  その後,いずれも長野地方本部に所属し,大会会場係を務めるM(以下「M」ともいう。)及びN(以下「N」ともいう。)がホテルから出てきたので,被告人Y7がMに,AがNに,それぞれビラを差し出すと,MとNはそれを受け取って歩道に出た。同日午前6時54分ころ,貸切バスがホテル前路上に到着したが,被告人Y2ら7名及び支援者らは,ホテルから出てくる客や貸切バス運転手に挨拶するなどし,特に緊迫した様子はなかった。同日午前6時57分ころ,長野地方本部に所属し同地方本部の大会会場係責任者を務めるO(以下「O」ともいう。)がホテルから出てきたが,Oは,出入口通路と歩道の境辺りで,国労共闘構成員から差し出されたビラを受け取らなかったため,Aとの間で争いとなり,ホテルに戻って行った。
4  Hは,同日午前7時前ころ,ホテルロビーに集まった大会参加者約40名に対し,「ホテル前に中核派の連中が大勢来ています。3列縦隊でバスまで行きますので並んでください。」と指示し,隊列を作るにはロビーが狭いのでホテル玄関から出入口通路に出て3列縦隊を作った。同日午前7時00分00秒ころ,Hが先頭になり,東京地方本部調査部長のP(以下「P」ともいう。)がそれに続き,その余の参加者は3列縦隊を作り,駐車中の貸切バスに乗車するため,歩道に向かいホテル出入口通路を前進し始めた。
5  被告人Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7及びAの7名は,ビラを持って同ホテル出入口通路前付近の歩道上で待機していたところ,同日午前7時00分03秒ころ,それぞれ大会参加者がホテルから出てきたことに気付いてビラを手渡す用意をした。
(犯罪事実)
1  被告人Y2は
(1)  平成14年5月27日午前7時ころ,東京都千代田区〈以下省略〉所在の○○ホテル出入口付近において,P(当時50歳)の右肩を手で突く暴行を加えた。
(2)  同日午前7時ころ,同所において,Q(当時52歳)のネクタイをつかんで激しく押したり引いたりしながら同人を引きずり回す暴行を加えた。
(3)  同日午前7時ころ,同所において,M(当時44歳)の右肩付近をつかんで同人を激しく押す暴行を加えた。
2  被告人Y3は
(1)  同日午前7時ころ,同所において,R(当時50歳)の右腕を右手で抱えるようにし,同人の右脇腹に左手を当てて,同ホテル出入口方向に同人の体を押し戻す暴行を加えた。
(2)  同日午前7時過ぎころ,同所において,S(当時42歳)の左胸部を手で突いてその場に転倒させ,次いで,立ち上がった同人の上着の前襟をつかんで強く引く暴行を加えた。
3  被告人Y4は
(1)  同日午前7時ころ,同所において,前記Qの右側から,同人の頸部に右腕を回して右手を同人の左頸部に当てた上,強く引く暴行を加えた。
(2)  同日午前7時過ぎころ,同所において,N(当時40歳)の首に腕を回してその頸部を絞める暴行を加えた。
4  被告人Y5は,同日午前7時過ぎころ,同所において,前記Nの右腕をつかんで貸切バスの中央乗降口ステップから路上に引きずり降ろす暴行を加えた。
5  被告人Y6は,同日午前7時ころ,同所において,前記Pの右腕をつかんで引っ張り上げる暴行を加えた。
6  被告人Y7は,同日午前7時ころ,同所において,前記Pの前に立ちふさがった後,左手で同人の左腕を抱え,右手で同人の後頸部を押さえる暴行を加えた。
(証拠の標目)
判示事実全部について
被告人Y2,同Y7,同Y3,同Y5,同Y4,同Y6,同Y1の各公判供述
第2回,第85回,第86回公判調書中の被告人Y2の供述部分
第2回,第3回,第76回ないし第80回公判調書中の被告人Y7の供述部分
第2回公判調書中の被告人Y3の供述部分
第1回公判調書中の被告人Y5の供述部分
第2回公判調書中の被告人Y4の供述部分
第1回公判調書中の被告人Y6の供述部分
第3回公判調書中の被告人Y1の供述部分
第1回,第81回ないし第84回公判調書中の分離前相被告人Aの供述部分
判示(本件犯行に至る経緯等)の事実について
第66回公判調書中の証人Eの供述部分
第68回公判調書中の証人Dの供述部分
第70回,第71回公判調書中の証人Iの供述部分
国鉄労働組合50年史(弁93)
「JR不採用問題の打開について」と題する書面写し(弁94)
国鉄新聞2623号抜粋写し(弁95),同2626号抜粋写し(弁96),同2633号抜粋写し(弁98),同2634号抜粋写し(弁99),同2635号写し(弁100),同2638号抜粋写し(弁101),同2641号写し(弁102),同2647号抜粋写し(弁104),同2652号抜粋写し(弁105),同2653号写し(弁106),同2682号写し(弁107),同2686号抜粋写し(弁108),同2687号写し(弁109),同2692号抜粋写し(弁110),同2693号抜粋写し(弁111),同2699号抜粋写し(弁112),同2700号写し(弁113),同2701号写し(弁114),同2704号抜粋写し(弁115),同2711号抜粋写し(弁116),同2711号抜粋「重要局面 真意をつかみ判断する」と題するもの写し(弁117),同2711号抜粋「生活援助金を凍結」と題するもの写し(弁118),同2712号抜粋写し(弁119),同2448号1面写し(弁834),同2663号1面写し(弁840),同2710号1面写し(弁842)
第66回臨時全国大会速記録写し(弁97)
「続開大会の成功にむけた見解」と題する書面写し(弁103)
「指示第86号」と題する書面写し(弁120)
第69回臨時全国大会方針(案)写し(弁121)
デジタルビデオテープ1本(「7/1国労臨大①」と記載のもの,平成15年押第2177号符号4,甲14)
VHSビデオテープ1本(「7.1国労臨大ドキュメント」と記載のもの,同号符号3,弁43)
VHSビデオテープ1本(「4党合意撤回を求めて」と記載のもの,同号符号5,弁44)
VHSビデオテープ1本(「国労第67回定期大会ドキュメント」と記載のもの,同号符号6,弁45)
写真撮影報告書(1)写し(弁1001),写真撮影報告書(3)写し(弁1003),写真撮影報告書(4)写し(弁1004)
ビデオテープ1本(「戒厳令下の国労大会 マスコミが伝えなかった真実」と記載のもの,弁1015)
判示(本件犯行に至る経緯等)及び(本件犯行当日の状況)の事実について
第13回ないし第15回公判調書中の証人Fの供述部分
第64回公判調書中の証人Gの供述部分
第65回公判調書中の証人Hの供述部分
第72回,第73回公判調書中の証人Jの供述部分
第72回,第73回公判調書中の証人Lの供述部分
第73回,第74回公判調書中の証人Kの供述部分
第74回公判調書中の証人Tの供述部分
「与党3党声明粉砕!奴隷の道を拒否せよ」と題するビラ写し(弁211)
判示(本件犯行当日の状況)の事実について
第25回ないし第29回公判調書中の証人Oの供述部分
甲142号証の「O事件」の場面の静止画像集写し(弁996)
写真(弁1006)
判示(本件犯行当日の状況)並びに(犯罪事実)1の(1),(2),同2の(1),同5及び同6の事実について
デジタルビデオテープ1本(「5.27国労臨大①」と記載のもの,同号符号2,甲142)
判示(本件犯行当日の状況)並びに(犯罪事実)1の(1),同5及び同6の事実について
第30回ないし第34回公判調書中の証人Pの供述部分
甲142号証の「P事件」の場面の静止画像集写し(弁997)
判示(本件犯行当日の状況)並びに(犯罪事実)1の(2)及び同3の(1)の事実について
第19回,第20回,第22回ないし第24回公判調書中の証人Qの供述部分
判示(本件犯行当日の状況)及び(犯罪事実)1の(3)の事実について
第42回ないし第47回公判調書中の証人Mの供述部分
判示(本件犯行当日の状況)及び(犯罪事実)2の(1)の事実について
第35回ないし第38回,第41回公判調書中の証人Rの供述部分
甲142号証の「R事件」の場面の静止画像集写し(弁998)
甲142号証の「R事件」の場面の静止画像集(追加)写し(弁999)
判示(本件犯行当日の状況)及び(犯罪事実)2の(2)の事実について
第48回ないし第52回公判調書中の証人Sの供述部分
甲145号証の「S事件」の場面の静止画像集写し(弁1000)
判示(本件犯行当日の状況)並びに(犯罪事実)3の(2)及び同4の事実について
第53回ないし第55回,第57回ないし第61回公判調書中の証人Nの供述部分
判示(犯罪事実)1の(1),(2),同2の(1),同5及び同6の事実について
資料入手報告書(甲150,ただし不同意部分を除く。)
判示(犯罪事実)1の(3),同2の(2),同3の(1),(2)及び同4の各事実について
デジタルビデオテープ1本(「No1第69回臨時大会」と記載のもの,同号符号1,甲145)
資料入手報告書(甲151,ただし不同意部分を除く。)
判示(犯罪事実)1の(3)及び同3の(1)の事実について
甲145号証の「Q・Y4事件」の場面の静止画像集写し(弁1032)
(争点についての判断)
第1  本件公訴事実
本件公訴事実は,「被告人Y1,同Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6及び同Y7は,国鉄労働組合第69回臨時全国大会の開催を阻止しようと企て,分離前相被告人Aと共謀の上,平成14年5月27日午前6時30分過ぎころ,ほか十数名とともに,東京都千代田区〈以下省略〉○○ホテル前道路上に集結し,同日午前7時ころから,口々に「大会は止めろ。闘争団を裏切るのか。大会には行かせない。バスには乗せない。」等と怒号しながら,同大会に参加する国鉄労働組合の組合員らを乗せて大会会場に向かうため同所に駐車していたバスの前部及び後部の各乗降口(以下「後部乗降口」を「中央乗降口」ともいう。)前に立ちふさがるとともに,各乗降口に近づく国労組合員P(当時50歳),同Q(当時52歳),同R(当時50歳),同M(当時44歳),同S(当時42歳)及び同N(当時40歳)らを押し返すなどして,多衆の威力を示し,そのころ,同ホテル出入口付近において
1  被告人Y2,同Y7,同Y6が,前記Pに対し,その肩を手で突き,さらに,その前に立ちふさがって胸部を押し,引き続き,同人の左腕を抱えてその後頸部を押さえるとともに右腕をつかんで同人を引きずり回すなどの暴行を加え
2  被告人Y2が,前記Qに対し,そのネクタイをつかんで激しく押したり引いたりしながら引きずり回す暴行を加え
3  被告人Y3,分離前相被告人Aが,前記Rに対し,その胸部を突き飛ばし,引き続き,その身体を押し戻す暴行を加え
4  被告人Y4が,前記Qに対し,その背後から腕をその首に巻き付けて手前に強く引くなどの暴行を加え
5  被告人Y2が,前記Mに対し,その右肩付近をつかんで同人を激しく押し,次いで,その下顎部にひじ打ちをするなどの暴行を加え
6  被告人Y3が,前記Sに対し,その左胸部を手で突いてその場に転倒させ,次いで,立ち上がった同人の上着の前襟をつかんで強く引くなどの暴行を加え
7  被告人Y4,同Y5,分離前相被告人Aが,前記Nに対し,前記バスの後部乗降口から引きずり降ろした上,その頸部を絞めるとともに,所携のチラシの束でその顔面を殴打するなどの暴行を加え
もって,多衆の威力を示して暴行を加えたものである。」というものである。
第2  冒頭陳述における検察官の主張
検察官は,第5回公判期日(以下「5回公判」等という。)の冒頭陳述において,被告人7名及びAとの間における共謀の成立及び犯行状況等について,証拠により証明すべき事実を次のとおり明らかにした。
1  本件被告人7名及びAを含む合計約25名は,前記第69回臨時全国大会の開催を阻止することとし,その手段として,東京都千代田区〈以下省略〉所在の○○ホテルに宿泊していた大会代議員及び大会準備係等三十数名(以下「大会参加者ら」という。)が,大会会場である前記社会文化会館に向かうのを妨害するため,平成14年5月27日午前6時50分前ころには,被告人Y1をリーダーとして同ホテル前道路上に集結した。
同ホテル前道路上に集結した被告人及びAらは,同日午前6時50分ころ,大会参加者らを大会会場に運ぶためチャーターされた貸切バスが同ホテル出入口前車道に駐車すると,大会参加者らが同バスに乗車するのを妨害するため,同ホテル出入口前,同バス乗降口前に立つなどして大会参加者らが同ホテルから出てくるのを待った。
2  大会参加者らが前記貸切バスに乗車しようとする前の同日午前6時50分過ぎころ,大会参加者らの1人であるOが同ホテル出入口付近に出たところ,Aを含む数名がOを取り囲み,Oに対し,「こんな大会,開いてはいけない。」,「闘争団の首を切る気か。」などと怒鳴り,こもごも同人を突き,その両太ももを膝蹴りした上,その場から逃げようとする同人を追いかけるなどし(以下「O事件」という。),大会参加者らに対して暴行に及ぶ意思のあることを示した。
被告人らはその状況を目撃し,Aらの上記意思を了知して大会参加者らが同ホテルから出てくるのを待ち受け,遅くとも,ここにおいて,被告人及びAらの間に,大会参加者らに対して暴力行為に及ぶことについての共謀が成立した。
3  同ホテルに宿泊していた大会参加者らは,被告人及びAらが前記のとおり集結していたことから,分散して同ホテルから出るのではなく,まとまって同ホテルから出て前記貸切バスに乗車することとし,同日午前7時ころ,同ホテル出入口に向かった。
被告人及びAらは,大会参加者らの姿が見え始めると,一斉に「大会は止めろ。闘争団を裏切るのか。大会には行かせない。バスには乗せない。」などと怒号し始め,前記貸切バスの前部及び後部の各乗降口前に立ちふさがるとともに,同(ホテル)出入口に出て来た大会参加者らに対し,両腕で押し返したり突き飛ばしたりするなどの暴行を加え,あるいはその前に立ちふさがるなどして大会参加者らが前記貸切バスに乗車するのを妨害し,一体となって多衆の威力を示したが,このような示威行為は午前7時ころから午前7時25分ころまで続けられた。
4  被告人Y2,同Y7及び同Y6は,前記のような集団の示威行為を行う中で,同日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y2がPの肩を手で突き,被告人Y7がPの前に立ちふさがってその胸部を押し,引き続き,同被告人がその左腕を抱えてその後頸部を押さえるとともに,被告人Y6がPの右腕をつかんで同人を引きずり回すなどの暴行を加えた。
5  被告人Y2は,同様の集団の示威行為を行う中で,同日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,Q(以下「Q」ともいう。)のネクタイをつかんで激しく押したり引いたりしながら同人を引きずり回す暴行を加えた。
6  A及び被告人Y3は,同様の集団の示威行為を行う中で,同日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,AがR(以下「R」ともいう。)の胸部を突き飛ばし,引き続き,被告人Y3がRの右手をつかむなどしてホテル出入口方向に同人の身体を押し戻す暴行を加えた。
7  被告人Y4は,同様の集団の示威行為を行う中で,同日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,前記Qの背後からその前に腕を回してその首に巻き付けた上,手前に強く引くなどの暴行を加えた。
8  被告人Y2は,同様の集団の示威行為を行う中で,同日午前7時過ぎころ,前記ホテル出入口付近において,Mの右肩付近をつかんで同人を激しく押し,次いで,その下顎部にひじ打ちをするなどの暴行を加えた。
9  被告人Y3は,同様の集団の示威行為を行う中で,同日午前7時過ぎころ,前記ホテル出入口付近において,S(以下「S」ともいう。)の左胸部を手で突いてその場に転倒させ,次いで,立ち上がった同人の上着の前襟をつかんで強く引くなどの暴行を加えた。
10  A,被告人Y4及び同Y5は,同様の集団の示威行為を行う中で,同日午前7時過ぎころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y5及びAがNを同乗降口(中央乗降口)ステップから引きずり降ろした上,被告人Y4がNの首に腕を回してその頸部を絞めるとともに,Aが所携のチラシの束でNの顔面を殴打するなどの暴行を加えた。
11  大会参加者らは,大会参加者らに対する暴行あるいは進路妨害行為をしていた被告人及びAらが付近住民の通報を受けて駆けつけた警察官らによって排除されたことから,ようやく前記貸切バスに乗車することができ,同日午前7時30分ころ,大会会場である社会文化会館に向かって出発した。
第3  1回公判から27回公判までの間の検察官の釈明
検察官は,1回公判から27回公判にかけて,公訴事実ないし冒頭陳述等について次のとおり釈明した。
1  1回公判において,本件の罪数について,実体法上の一罪である,と釈明した(1回公判調書5頁)。
2  1回公判において,弁護人から,本件においては,暴力行為等処罰に関する法律1条の「数人共同して行われた暴行」という類型は主張しているものではないと確認してよいか,と問われ,検察官は,公訴事実に記載されているとおりである,と釈明し,裁判長が「裁判所はそのように理解している。」と述べた(1回公判調書5頁ないし6頁)。
3  7回公判において,前記第2の2の「Aを含む数名」には,被告人Y2が含まれる,被告人の中では,被告人Y2のみであり,「被告人らはその状況を目撃し」の被告人らには,被告人Y2以外のその余のすべての被告人が含まれる旨釈明した(7回公判調書4頁)。
4  7回公判において,被告人Y1が具体的に行った「多衆の威力を示す行為」は,「ホテル前道路上に集結し,バスの乗降口前に立ちふさがるとともに国労組合員らを押し返すなどの行為」である,と釈明した(7回公判調書6頁)。
5  7回公判において,本件で「多衆の威力を示す行為」とは,公訴事実中の,「東京都千代田区〈以下省略〉『○○ホテル』前道路上に集結し,同日午前7時ころから,口々に『大会は止めろ。闘争団を裏切るのか。大会には行かせない。バスには乗せない。』等と怒号しながら,同大会に参加する国鉄労働組合の組合員らを乗せて大会会場に向かうため同所に駐車していたバスの前部及び後部の各乗降口前に立ちふさがるとともに,各乗降口に近づく国労組合員P(当時50歳),同Q(当時52歳),同R(当時50歳),同M(当時44歳),同S(当時42歳)及び同N(当時40歳)らを押し返すなどして」である旨釈明した(7回公判調書7頁ないし8頁)。
6  9回公判において,検察官の主張は,多衆の威力を示し暴行を加えるという構成要件該当行為の前に事前共謀が成立している,という主張である旨釈明した(9回公判調書10頁ないし11頁)。
7  9回公判において,多衆の威力を示した時期は,前記第2の3にある「被告人及びAらは,大会参加者らの姿が見え始めると,一斉に『大会は止めろ。闘争団を裏切るのか。大会には行かせない。バスには乗せない。』などと怒号し始め,前記貸切バスの前部及び後部の各乗降口前に立ちふさがるとともに,同出入口に出てきた大会参加者らに対し,両腕で押し返したり突き飛ばしたりするなどの暴行を加え,あるいはその前に立ちふさがるなどして大会参加者らが前記貸切バスに乗車するのを妨害し,一体となって多衆の威力を示したが,このような示威行為は午前7時ころから午前7時25分ころまで続けられた。」という記載のとおりである旨釈明した(9回公判調書11頁)。
8  9回公判において,多衆の威力を示す行為について,集結した状態で,立ちふさがったり,押し返すなどしたことが,多衆の威力を示す行為になる,という趣旨である,と釈明した(9回公判調書12頁)。
9  10回公判において,遅くともO事件において共謀が成立したというのが検察官の主張であり,それ以前における共謀の主張も含まれるが,10回公判の時点においては,O事件以前の具体的時期,具体的日時における共謀が認められるという主張はしない旨釈明した(10回公判調書11頁,13頁)。
10  18回公判において,起訴状及び冒頭陳述記載の暴行とされている行為とビデオの関係について,甲142号証のデジタルビデオテープ(以下「aビデオ」という。)の表示時刻平成14年5月27日午前7時05分28秒(以下「午前」の表記を省略することがある。)ないし7時05分46秒(補正後7時00分11秒ないし7時00分29秒。aビデオは,1秒ないし10秒の誤差で正確な時刻表示をしていた甲145号証のデジタルビデオテープ(以下「bビデオ」という。)の表示時刻に比べ,5分17秒進んでいる。そこで,aビデオの表示時刻から5分17秒遡った時刻を補正後の時刻として示すこととする。)までの間には前記第2の4の事項が,同7時05分41秒ないし7時06分13秒(補正後7時00分24秒ないし7時00分56秒)までの間には前記第2の5の事項が,同7時06分38秒ないし7時06分41秒(補正後7時01分21秒ないし7時01分24秒)までの間には前記第2の6の事項が,bビデオ7時01分55秒ないし7時02分01秒までの間には前記第2の7の事項が,同7時01分53秒ないし7時01分58秒までの間には前記第2の8の事項が,同7時04分27秒ないし7時04分35秒までの間には前記第2の9の事項が,同7時04分27秒ないし7時04分53秒までの間には前記第2の10の事項が,それぞれ録画されている旨釈明した(18回公判調書4頁及び別紙)。
11  27回公判において,被告人Y3のOに対する暴行は,前記第2の2の「追いかけるなどし」の「など」に含まれる,と釈明した(27回公判調書2頁)。
12  27回公判において,A及び被告人Y2らのOに対する暴行は,aビデオの約8秒間(表示時刻7時02分24秒ないし7時02分32秒(補正後6時57分07秒ないし6時57分15秒))のシーン以前の出来事であり,約8秒間のシーンには,A,被告人Y2の暴行は写っていない旨釈明した(27回公判調書5頁ないし7頁)。
第4  論告における検察官の主張
検察官は,106回公判の論告において,大要,次のとおり主張した。
1  本件公訴事実に係る外形的事実については,aビデオ及びbビデオにおおむねそのとおり録画されていることに加え,いずれも証人として証言した各被害者の供述とも何ら矛盾するところはなく,そのとおり認定できることが明らかであり,一部直接は各ビデオに記録されていない暴行についても,各被害者はいずれもそのような被害にあった旨明確に証言しているところ,これらの証言には十分な信用性が認められる(論告要旨3頁ないし5頁)。なお,弁護人は,その冒頭陳述によれば,国労本部派側(約40名)と被告人ら(8名)との人数の多寡のみを根拠に,被告人らは「多衆」に当たらないから,本件において多衆の威力の表示は存在しないなどと主張しているが,検察官は,被告人7名及びAが,現場に蝟集した十数名の支援者と共に一連の威迫及び本件バスの発車妨害等を行う中で本件暴行に及んだことをもって「多衆の威力を示し」たと評価して本件を起訴しており,弁護人の主張は失当である(論告要旨5頁)。
2  本件公訴事実に関する被告人Y1を除く被告人6名及びA,すなわち検察官において実行犯であると主張する者の間の共謀については,
(1) 実行犯7名は本件犯行の2日前から本件犯行当日に至るまで一貫して共同して行動していたこと(論告要旨6頁)
(2) 実行犯7名は本件犯行時「いかなる手段を用いても本件大会において国労執行部が提出する方針案の決定を阻止する」との決意を有していたこと(論告要旨6頁ないし8頁)
(3) 実行犯7名による各暴行はいずれも本件大会の開催阻止に向けられたものであったこと(論告要旨8頁)
(4) 実行犯7名はいずれも各人が働いた公訴事実記載の各暴行を相互に認容していたこと(論告要旨8頁ないし9頁)
(5) 実行犯7名はいずれも本件直前にAらが国労本部派組合員Oに対し働いた暴行を認識し認容していたこと(論告要旨9頁ないし10頁。なお,検察官は,O事件とaビデオの関係について,前記第3の12の釈明と異なり,「aビデオの該当部分には,本件ホテル入口でOと被告人Y7及び共犯者Aが向かい合って立っている場面に続き,被告人Y7と共犯者Aが本件ホテル入口方向に前進するとほぼ同時にOが後ずさりして画面から消えるなどの場面が写っており,その直後に共犯者AらがOに対し何らかの不法な有形力の行使に及んでいることが合理的に推認されるのである。」と主張した。)
の各事情を総合考慮すれば,本件において,実行犯7名が,遅くとも公訴事実記載の各暴行が開始されるまでの間に,大会代議員として本件大会に出席すべく本件大会会場に向かおうとする国労組合員に対する暴行をも含むあらゆる手段を用いて,一致団結して本件大会において国労執行部が提案する方針案の決定を阻止する旨相互に意思を通じていたことは明らかであり,したがって,かかる共同意思の実行として行われた本件各暴行は,これを直接に行った者以外の者との関係でも,「他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行った」ものというほかなく,実行犯7名間に本件の共謀が認められることは毫も疑いを容れない(論告要旨10頁ないし11頁)。
3  実行犯7名と被告人Y1との間の共謀については,
(1) 被告人Y1は本件犯行の間一貫してその場に臨場して犯行の状況を現認しており,本件直前にAらが国労本部派組合員Oに対し働いた暴行も現認していたこと(論告要旨11頁ないし12頁)
(2) 被告人Y1が実行犯7名の関係者として本件現場にいたことは明らかであること(論告要旨12頁ないし14頁)
(3) 以下のとおり,国労共闘,革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)(以下「中核派」という。),被告人Y1の三者の関係を併せ考慮したとき,被告人Y1が本件現場に現在した目的が,実行犯7名に対する単なる支援などではなく,実は実行犯7名らによる本件大会開催阻止工作を指揮・指導するためであったことは明らかであること(論告要旨14頁ないし23頁)
ア いわゆる国鉄闘争の闘争方針についての中核派と国労共闘の主張は酷似しており,また中核派が国労組織内における国労共闘の建設・強化を主張するなど,両者間には密接な関連がうかがわれること(論告要旨14頁ないし16頁)
イ 本件現場に集結した被告人らの支援者らの中には中核派の関係者が多数含まれており,本件は中核派構成員らによる組織的犯行と認められること(論告要旨16頁ないし18頁)
ウ 被告人Y1は国労共闘を指揮・指導する中核派において幹部として指導的立場にあったこと(論告要旨18頁ないし19頁)
エ 被告人Y1は本件現場にあっても実行犯7名らに対する指揮・指導とみられる行動に及んでいること(論告要旨19頁ないし20頁)
オ 国労共闘,被告人Y1及び中核派の三者の一体性は本件公判分離の経緯からも明らかであること(論告要旨20頁ないし23頁)
の各事情を総合考慮すれば,本件において,被告人Y1が,いわゆる国鉄闘争の闘争方針に関し国労共闘を指揮・指導する立場にあった中核派の幹部として,実行犯7名を含む中核派関係者らが組織的に行う本件犯行当日の本件ホテル前における本件大会開催阻止工作を指揮・指導するために,本件犯行ころに本件現場に臨場し,実行犯7名の言動や本件犯行直前のO事件の状況などから,遅くとも実行犯7名が本件暴行の実行に着手するまでの間に,本件ホテルから出てきた国労本部派組合員らを相手に一たび上記工作を開始すればこれらの者に対し実行犯7名らが暴行に及ぶであろうことを確定的に認識しながら,本件大会開催阻止という組織の方針をあくまで貫徹するため,予定どおり実行犯7名らに上記工作を行わせたことが合理的に推認できるのであるから,被告人Y1についても,実行犯7名による暴行の行為を「いわば自己の手段として犯罪を行った」ものとして,本件の共謀共同正犯としての罪責を負うことは疑いを容れない(論告要旨24頁)。
4  労働組合法1条2項及び刑法35条に係る弁護人の主張,可罰的違法性に係る弁護人の主張,暴力行為等処罰に関する法律1条に係る弁護人の違憲の主張,部分社会の法理に係る弁護人の主張は,いずれも理由がない(論告要旨24頁ないし31頁)。
第5  最終弁論における弁護人らの主張
これに対し,弁護人らは,110回及び112回公判における最終弁論において,本件は,国労本部派の約40名が,ビラ配布の組合員が来ていることを事前に確認した上で,幹部の指示で3列縦隊を作って,ホテル出入口付近でビラを渡すために待機していた被告人らを押しのけて強行突破したため生じたもみ合いである,とした上,大要,次のとおり主張した。
1  検察官は,論告において,前記第4の1のとおり,本件公訴事実に係る外形的事実については,aビデオ及びbビデオにおおむねそのとおり録画されていることに加え,いずれも証人として証言した各被害者の供述とも何ら矛盾するところはなく,そのとおり認定できることが明らかであり,一部直接は各ビデオに記録されていない暴行についても,各被害者はいずれもそのような被害にあった旨明確に証言しているところ,これらの証言には十分な信用性が認められる,と主張するが,aビデオ及びbビデオは,詳細に分析すればするほど各公訴事実の具体的立証とは無縁であることが露呈する上,各被害者の証言は,捜査機関との緊密な連携のもとに作成されたストーリーをなぞった虚偽供述にすぎず,その証拠価値は限りなくゼロに近く,本件各公訴事実に含まれる各暴行は,何ら立証されていない。また,本件程度の人数では「多衆」とはいえず,本件では「威力」が存在せず,かつ「表示」されていないから,本件では,多衆の威力の表示は存在せず,暴力行為等処罰に関する法律1条適用の前提が欠ける。
2  検察官が冒頭陳述(前記第2の2)及びその後の釈明(前記第3の3及び第3の11)で主張するような,A及び被告人の中では被告人Y2のみを含む数名の者によるOに対する暴行(以下「O事件第1暴行」または単に「第1暴行」という。)並びに被告人Y3のOに対する暴行(以下「O事件第2暴行」または単に「第2暴行」という。)は存在しない上,検察官は,冒頭陳述においては,O事件を通じての共謀を主張していたのに対し,論告においては,O事件そのものの事実主張を大きく変更した上,前記第4の2のとおり,O事件とその他の間接事実との総合評価による共謀の主張をしているが,検察官の主張は何ら立証されていない。
3  検察官は,被告人Y1について共謀共同正犯の成立を根拠づける間接事実について,論告において,前記第4の3のとおり主張しているが,検察官の主張する間接事実により被告人Y1と実行犯との間の共謀を証明することは不可能である。
4  暴力行為等処罰に関する法律は,憲法28条,21条,31条に違反するとともに,本件に同法1条を適用して起訴することは,憲法28条,21条,31条に違反する。さらに,本件公訴提起は,公訴権を濫用して行われたものであるから,本件各起訴は公訴棄却されるべきである,また,被告人らの行為は,憲法28条,労働組合法1条2項,刑法35条により違法性を欠き,または,可罰的違法性を欠くから,被告人らの行為は違法性を阻却されて無罪である。
第6  本件の争点
本件の争点は,次のとおりである。
1  検察官が主張するとおり,公訴事実記載のとおり,多衆の威力を示して各暴行が加えられたかどうか。
2  検察官が主張するとおり,被告人Y1,同Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7及び分離前相被告人Aとの間で,遅くとも公訴事実記載の各暴行が開始されるまでの間に,大会参加者らに対して多衆の威力を示して暴行を加える旨の共謀(以下「本件共謀」という。)が成立したかどうか。
3  被告人らの行為は違法性を欠くものかどうか。
4  本件起訴は公訴権の濫用に当たり公訴棄却すべきかどうか。
第7  多衆の威力を示してする暴行の存否について
1  まず,検察官が主張している暴行の存否について検討する。
2  被告人Y2,同Y7及び同Y6のPに対する暴行
(1) 検察官は,被告人Y2,同Y7及び同Y6のPに対する暴行につき,平成14年5月27日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y2がPの肩を手で突き,被告人Y7がPの前に立ちふさがってその胸部を押し,引き続き,同被告人がその左腕を抱えてその後頸部を押さえるとともに,被告人Y6がPの右腕をつかんで同人を引きずり回すなどの暴行を加えた,と主張している(前記第2の4)。
(2) このうち,検察官が,被告人Y2がPの肩を手で突く暴行を加えたと主張する点については,右肩を突かれた旨Pが証言するところであり(30回公判調書中の証人Pの供述記載部分7頁。以下「30回P証言7頁」等という。),aビデオ表示時刻7時05分28秒(補正後7時00分11秒)において被告人Y2とPが対面し,Pが下がる場面があることからもうかがうことができ,十分に認定することができる。
(3) このうち,検察官が,被告人Y7がPの前に立ちふさがってその胸部を押し,引き続き,同被告人がその左腕を抱えてその後頸部を押さえる暴行を加えたと主張する点については,Pは,被告人Y7が,Pの右前方に位置し,Pの左肩を右手で押さえ,その後,左手でPの左腕をつかみ,右手でPの首の真後ろ辺りをつかんだと証言しており(30回P証言8頁ないし13頁),一方,aビデオ表示時刻7時05分31秒ないし7時05分36秒(補正後7時00分14秒ないし7時00分19秒)によれば,Pの前に立ちふさがった被告人Y7が,その後,右手でPの後頸部を押さえたこと,Pの左腕が体側から離れて上方に持ち上がっていることは明らかであるから,以上によれば,検察官の主張は,前記(犯罪事実)6の限度で,十分に認定することができる(なお,Pは,左手で左腕をつかまれたと証言するが,被告人Y7は左手にビラを持っており,左手でPの左腕を抱えたと認定するのが相当である。)。
これに対し,被告人Y7は,Pの前に立ちふさがってはおらず,Pが勢いをつけて左手でまわしをとるような形で右腰辺りにぶつかってきたので,ひっくり返りそうになってPの左肩に右手を添えて体勢を立て直した,Pは一切無視して前に行こうとしたので,リュックの取っ手を持って止めようとしたなどと供述し(79回公判調書中被告人Y7の供述記載部分37頁ないし39頁,46頁。以下「79回被告人Y7供述37頁」等という。),それと同旨の証人U(以下「U」ともいう。)の証言(75回U証言23頁)もあるが,aビデオによれば,被告人Y7がPの行く手をふさいだため両者がぶつかったこと,被告人Y7が右手でPの後頸部を押さえたことは明らかであり,これに反する被告人Y7の供述,Uの証言は採用できない。
(4) このうち,検察官が,被告人Y6がPの右腕をつかんで同人を引きずり回す暴行を加えたと主張する点について,Pは,被告人Y6が両手でPの右腕をつかんでひねり上げるような感じで持ち,被告人Y7が左手でPの左腕をつかみ,右手でPの首の真後ろ辺りをつかみ,2,3メートル引っ張られたと証言しており(30回P証言11頁ないし13頁),一方,aビデオ表示時刻7時05分35秒ないし7時05分37秒(補正後7時00分18秒ないし7時00分20秒)によれば,被告人Y6がPの右腕をつかんで引っ張り上げ,その後移動するPに付いていったことを認めることができる。そうすると,関係証拠によれば,被告人Y6がPを引きずり回した暴行を認めるには足りないものの,検察官の主張は,前記(犯罪事実)5の限度で,十分に認定することができる。
3  被告人Y2のQに対する暴行
(1) 検察官は,被告人Y2のQに対する暴行につき,同日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y2がQのネクタイをつかんで激しく押したり引いたりしながら同人を引きずり回す暴行を加えた,と主張している(前記第2の5)。
(2) 前記(1)の暴行は,aビデオ表示時刻7時05分41秒ないし7時06分13秒(補正後7時00分24秒ないし7時00分56秒)により明らかである。
4  A及び被告人Y3のRに対する暴行
(1) 検察官は,A及び被告人Y3のRに対する暴行につき,同日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,AがRの胸部を突き飛ばし,引き続き,被告人Y3がRの右手をつかむなどしてホテル出入口方向に同人の身体を押し戻す暴行を加えた,と主張している(前記第2の6)。
(2) このうち,検察官が,AがRの胸部を突き飛ばす暴行を加えたと主張する点については,Rが証言するところであるが(35回R証言(1)10頁),aビデオ表示時刻7時06分38秒ないし7時06分40秒(補正後7時01分21秒ないし7時01分23秒),弁998の静止画像95ないし115によれば,Aの手がRの胸に当たった瞬間は映っていないものの,Aと対面するRの体が後方に下がるとともに,その後後記(3)のとおり右方からY3に押されてRが左後方に移動する様子や,ビラを持ち手の甲をR側に向けたAの右手がRの胸辺りからAの体の方向に戻ってくる様子を認めることができる。したがって,Aが右手でRの胸部を突き飛ばす暴行を加えた事実は,十分に認定することができる。
これに対し,Aは,Rが押してきたのでガードレールを越えてバス側に落ちそうになり,体を回して振りどけようとして手が上に上がった,Rはバランスを崩して左腕の袖口をつかんできたため,それを振り払おうと思って体を回した,Aの手がRの体に当たったことはなく,突き飛ばした事実はないと供述し(83回A供述46頁ないし53頁),それに沿う証人T(以下「T」ともいう。)の証言(74回T証言28頁)もあるが,aビデオ等によれば,前記のとおり,Aの右手がRの胸部に当たったことを十分にうかがうことができるのであって,手がRの体に当たったことはないというAの供述及びT証言はいずれも採用できない。
(3) このうち,検察官が,被告人Y3がRの右手をつかむなどしてホテル出入口方向に同人の身体を押し戻す暴行を加えたと主張する点については,Rが証言するところであるが(35回R証言(1)7頁ないし13頁),aビデオ表示時刻7時06分37秒ないし7時06分40秒(補正後7時01分20秒ないし7時01分23秒),弁998の静止画像133前後によれば,被告人Y3がRの右手をつかんだとする点はうかがえないものの,ビラ1枚を持つ右手でRの右腕を抱え,ビラ数枚を持つ左手をRの右脇腹に当ててホテル出入口方向に押していったことは明らかであるから,検察官の主張は,前記(犯罪事実)2の(1)の限度で,十分に認定することができる。なお,これに対し,Tは,Rがバランスを崩して後退したのであり,被告人Y3はそれに引きずられたと証言する(74回T証言27頁)が,aビデオの映像に照らして,同証言は採用できない。
5  被告人Y4のQに対する暴行
(1) 検察官は,被告人Y4のQに対する暴行につき,同日午前7時ころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y4がQの背後からその前に腕を回してその首に巻き付けた上,手前に強く引くなどの暴行を加えた,と主張している(前記第2の7)。
(2) 前記(1)の暴行について,Qは,バスに乗り込もうとしたとき,被告人Y4が右腕を伸ばしてきてQの首の前から巻き付け,紙を持った右手で首を後ろの方にぐっと引っ張ったと証言しており(19回Q証言15頁ないし18頁),一方,bビデオ7時01分55秒ないし7時02分01秒によれば,バスに乗ろうとしているQの右側から,被告人Y4が,Qの頸部に右腕を回して,ビラを持った右手をQの左頸部に当てて引き止めている様子を認めることができるから,検察官の主張は,前記(犯罪事実)3の(1)の限度で,十分に認定することができる。
6  被告人Y2のMに対する暴行
(1) 検察官は,被告人Y2のMに対する暴行につき,同日午前7時過ぎころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y2がMの右肩付近をつかんで同人を激しく押し,次いで,その下顎部にひじ打ちをするなどの暴行を加えた,と主張している(前記第2の8)。
(2) 前記(1)の暴行のうち,被告人Y2がMの右肩付近をつかんで激しく押した点は,bビデオ7時01分53秒ないし7時01分58秒により明らかである。
下顎部にひじ打ちをした点について,Mは,公判廷において,大要,被告人Y2の暴力がやんだため,またバスに乗り込もうとして乗降口の取っ手に手を掛けたところ,リュックを後方に引っ張られて歩道に戻され,その後,被告人Y2が,Mの胸ぐらを左手で逆手につかみ,前後に揺すりながら左ひじを立てて前に突き出すような形で,4,5回連続して右下顎から,首,右肩にかけてひじ打ちをしてきた(42回M証言22頁ないし27頁),ひじ打ちは,5秒から10秒の出来事であり,その場所はバスの後部で歩道の壁際辺りだった,bビデオの7時02分06秒の映像はバスに乗ろうとして後ろに引き戻された場面であり,バスの最後尾まで引っ張られる状態で移動した,aビデオの7時07分39秒ないし7時07分45秒(補正後7時02分22秒ないし7時02分28秒)の後にひじ打ちがあったと思うが,引き戻されてからひじ打ちまでの時間がどのくらい離れていたかは特定できない(46回M証言67頁ないし75頁,47回M証言8頁,18頁ないし23頁,60頁ないし65頁),などと証言している。
そこで検討するに,まず第1に,aビデオにもbビデオにも,Mが証言する被告人Y2のひじ打ちの場面は映像として残されていない。第2に,Mは,前記のとおり,被告人Y2が,Mの胸ぐらを左手で逆手につかんで右下顎から,首,右肩にかけてひじ打ちをしたというのであるが,態勢としては相当に不自然である(42回M証人尋問調書添付写真参照)。第3に,Mは,弁護人から,①平成14年6月23日付け警察官調書添付の図面,②同年8月14日付け実況見分調書添付の現場見取図8,③同月21日付け警察官調書添付の見取図,④同年9月18日付け検察官調書添付の見取図を示され,いずれも当時M自身がひじ打ちを受けた場所を説明して作られた図面等であることを認めているところ,これら図面等においては,ひじ打ちを受けた場所は,それぞれ,①バス最後尾付近の歩道の道路側,②バス中央乗降口を出た歩道壁際付近,③バス中央乗降口を出た歩道中央付近,④バス中央乗降口を出た歩道中央付近とされている(47回M証言9頁ないし12頁,同証人尋問調書添付図面)。そして,Mは,公判廷においては,バス最後尾の歩道上の壁際と証言し図面を作成している(46回M証言73頁ないし74頁,同証人尋問調書添付図面)のであるが,捜査段階から公判段階にかけてひじ打ちを受けた場所についての供述内容が変遷している理由や,何故公判段階におけるバス最後尾の歩道上の壁際という記憶が正しいのかについての,説得的な説明はしていない(47回M証言12頁ないし16頁)。第4に,N証言の中には,Mが反対派の人に右顎下辺りをひじ打ちされているのを目撃した旨,M証言に沿う部分がある(53回N証言15頁)が,他方,Nは,Mは,バスに乗車しようとするのを後方から引き戻されてひじ打ちを受けており,引き戻しとひじ打ちは一連の流れの出来事である旨証言し(59回N証言52頁),かつ,ひじ打ちの場所はMが46回公判で作成した図面で示された位置とはかなりずれがあり,もっとバスの中央側という記憶が残っている(60回N証言8頁ないし9頁)旨証言しており,前記M証言とは看過できない食い違い等が存する上,NとMとが近しい関係にあることをも考慮すると,N証言はM証言を的確に裏付けるものとはいい難い。
以上の検討によれば,検察官が被告人Y2がMの下顎部にひじ打ちをする暴行を加えたと主張する点については,本件証拠上合理的な疑いを容れる余地があるというべきである。
したがって,検察官の主張は,前記(犯罪事実)1の(3)の限度で認定できるにとどまる。
7  被告人Y3のSに対する暴行
(1) 検察官は,被告人Y3のSに対する暴行につき,平成14年5月27日午前7時過ぎころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y3がSの左胸部を手で突いてその場に転倒させ,次いで,立ち上がった同人の上着の前襟をつかんで強く引くなどの暴行を加えた,と主張している(前記第2の9)。
(2) 前記(1)の暴行は,Sが証言するところであり(48回S証言11頁ないし14頁),bビデオ7時04分27秒ないし7時04分34秒に鉢植えの木の揺れやSが助け起こされた様子のほか,被告人Y3がSの前襟をつかんでいる様子が映っていることからもうかがうことができ,十分に認定することができる。なお,これに対し,証人Tは,被告人Y3がSの胸を突いた事実はなく,Sは歩道とテラスの段差につまずいて尻餅をついたと証言する(74回T証言38頁ないし39頁)が,転倒した現場の状況(51回S証人尋問調書添付の現場写真参照)からすると,Sが何らかの有形力を加えられずに段差でつまずいて尻餅をつくということは考え難いのであって,この点についてのT証言は採用できない。
8  A,被告人Y4及び被告人Y5のNに対する暴行
(1) 検察官は,A,被告人Y4及び被告人Y5のNに対する暴行につき,同日午前7時過ぎころ,前記ホテル出入口付近において,被告人Y5及びAがNを同乗降口(中央乗降口)ステップから引きずり降ろした上,被告人Y4がNの首に腕を回してその頸部を絞めるとともに,Aが所携のチラシの束でNの顔面を殴打するなどの暴行を加えた,と主張している(前記第2の10)。
(2) このうち,検察官が,被告人Y5がNを同乗降口ステップから引きずり降ろす暴行を加えたと主張する点については,Nは,公判廷において,大要,Nはバスに乗ることができたが,Mが暴力を振るわれているのを見て憤りを感じ,中央乗降口のステップに立ち,反対派に向かい「仲間に手を出すな。」などと怒鳴ったところ,乗降口の近くにいた反対派が「降りてこい。」と怒鳴り,反対派の2人がNの左右の腕をそれぞれつかんでバスから引きずり降ろそうとした,Nは車内の棒につかまるなどして抵抗したが,引きずり降ろされた,右腕を引っ張ったのがY5であると断言できるのは,額が広いという印象とバスから降りたときにすぐ右側にいたのがY5だからである旨証言している(53回N証言15頁ないし17頁,26頁ないし27頁)。
そこで検討するに,第1に,前記暴行の場面そのものはbビデオには映っていないものの,バスの乗降口ステップから路上に降りたNの右側に被告人Y5がいたことはbビデオ7時04分30秒の映像から認めることができ,N証言を客観的に裏付けている。第2に,Nは,同人を引きずり降ろした人物の特定につき,検察官から,平成14年6月18日付け警察官調書には,写真番号23の右下に写っている眼鏡の男がNの腕を引っ張りバスから降ろした男です,という部分があり,その男は被告人Y5であるが,Nは当時そのように供述していたということで間違いないか,と問われ,これを肯定しており,Nは捜査の早期の段階から,被告人Y5により腕を引っ張られてバスから降ろされたと供述していたことが認められる。
以上によれば,前記Nの証言内容は十分に信用することができる。なお,Nは,弁護人から,同警察官調書及び同年8月21日付け警察官調書,同年10月4日付け検察官調書の内容を告げられ,この間分離前相被告人AがNをバスから引きずり降ろした男のうちの一人である旨供述したことがあり,その供述が誤りであった旨供述をしているが,そのような誤った供述をした理由についてAの印象が強すぎたためと説明しており,前記N証言の信用性を減ずるものではない。また,Nが左脇にセカンドバッグを挟んでいたのにそれを落としていない(61回N証言19頁)という点も,特段不自然といえるものではなく,両腕を引っ張られたという前記N証言の信用性を左右するものではない。
これに対し,証人V(以下「V」ともいう。)は,Nは自分から車外に降りてきたのであり,左右の手を引っ張られて引きずり降ろされたのではないと証言し(75回V証言19頁),Aも,Nはとんとんとんと自分でバスから降りてきたと供述している(83回A供述65頁)。しかし,ようやくバスに乗ったNが自分から降りるというのはそもそも不自然であるし,証人Vは被告人らの支援者であることに照らしても,V証言はたやすく信用することはできない。また,Aはバスから降りたNに対し有形力を行使した関係でもN証言を弾劾する動機があり,Aの供述も信用できない。
以上のとおりであるから,被告人Y5の前記(犯罪事実)4の暴行は本件証拠上優に認められるところである。
(3) このうち,検察官が,AがNを同乗降口ステップから引きずり降ろす暴行を加えたと主張する点について,Nは,Aから腕を引っ張られてバスから降ろされたとの捜査段階の供述は誤りである,Aの印象が強すぎたためそのような誤った供述になった旨証言している上(61回N証言28頁),bビデオの映像によれば,Aはガードレールの歩道側(ガードレールを挟んで貸切バスの反対側)に位置していることが認められ,その位置からガードレールよりも車道側に位置していたNの腕を引っ張るというのは,体勢的に無理があることからみても,AがNを引きずり降ろした事実は認められない。
これに対し,検察官が,Aがビラの束でNの顔面を殴打する暴行を加えたと主張する点については,bビデオ7時04分29秒ないし7時04分30秒により明らかである。
なお,Aは,Nはとんとんとんと自分でバスから降りてきて,「そこどけ」などと言って手で突いてきたので,目を覚ませという気持ちから,右手のビラをNの方に振り下ろし,左肩に当たったと供述し(83回A供述65頁ないし70頁),同供述に沿う証人Vの証言(75回V証言19頁ないし24頁)もあるが,前記のとおりNが自分でバスから降りてきたとは考え難く,bビデオにはNがAを手で突いた場面は映っていないことなどからすると,A供述及びV証言はいずれも採用できない。
(4) このうち,検察官が,被告人Y4がNの首に腕を回してその頸部を絞める暴行を加えたと主張する点については,その行為者の特定を除きNが証言するところであり(53回N証言19頁ないし20頁),bビデオ7時04分38秒ないし7時04分41秒によれば,水色ポロシャツを着た被告人Y4がNの首に腕を回している様子を認めることができるから,十分に認定することができる。
9  次いで,前記第7の2ないし第7の8で認定した被告人らの暴行が,「多衆の威力を示して」行われたものであるかどうかを検討する。
(1) 前記第3の7及び第3の8のとおり,9回公判において,検察官は,多衆の威力を示した時期は,前記第2の3にある「被告人及びAらは,大会参加者らの姿が見え始めると,一斉に『大会は止めろ。闘争団を裏切るのか。大会には行かせない。バスには乗せない。』などと怒号し始め,前記貸切バスの前部及び後部の各乗降口前に立ちふさがるとともに,同(ホテル)出入口に出てきた大会参加者らに対し,両腕で押し返したり突き飛ばしたりするなどの暴行を加え,あるいはその前に立ちふさがるなどして大会参加者らが前記貸切バスに乗車するのを妨害し,一体となって多衆の威力を示したが,このような示威行為は午前7時ころから午前7時25分ころまで続けられた。」という記載のとおりである旨釈明し(9回公判調書11頁),さらに,多衆の威力を示す行為について,集結した状態で,立ちふさがったり,押し返すなどしたことが,多衆の威力を示す行為になる,という趣旨である,と釈明した(9回公判調書12頁)。
(2) ところで,本件起訴にかかる暴力行為等処罰に関する法律1条の罪,すなわち,多衆の威力を示して暴行を加える罪が成立するためには,暴行が加えられる前に多衆の威力を示す行為が行われ,人の意思を制圧した状況で暴行が加えられるか,暴行が加えられるのと並行して多衆の威力を示す行為が行われる必要がある。暴行が加えられた後に多衆の威力を示す行為が行われたとしても,本罪が成立しないことはいうまでもないことである。また,多衆の威力を示す行為の存在は,構成要件要素であるから,被告人らが多衆の威力を示す行為を認識していることが必要である。
検察官は,前記(1)のとおり,多衆の威力を示す行為は午前7時ころから7時25分ころまで続けられたと主張するが,検察官が主張するところの被告人らの暴行は,前記第3の10のとおり,7時04分53秒には終了しているのであるから,この主張を前提とすると,その時点以降に多衆の威力を示す行為が行われたとしても,被告人らの暴行が多衆の威力を示して行われたという認定の基礎とすることはできない。検察官が立証しなければならないのは,被告人らが暴行に及ぶ前に多衆の威力を示す行為が行われ,本部派組合員の意思が制圧された状況において被告人らの暴行が加えられた事実,または,被告人らが暴行を加えるのと並行して多衆の威力を示す行為が行われた事実である。
しかしながら,検察官の前記(1)のとおりの主張にかんがみると,検察官は,被告人らから大会参加者らの姿が見え始めた時点から,多衆の威力を示す行為が始まったと主張していることは明らかであるが,大会参加者らがホテル出入口から出てきて以降7時25分ころまでについては,「同(ホテル)出入口に出てきた大会参加者らに対し,両腕で押し返したり突き飛ばしたりするなどの暴行を加え,あるいはその前に立ちふさがるなどして大会参加者らが前記貸切バスに乗車するのを妨害し,一体となって多衆の威力を示した」と主張するのみで,大会参加者らがホテル出入口から出てきて以降検察官の主張によると被告人らの暴行が終了する7時04分53秒にかけて,具体的にどの時点でどのような多衆の威力を示す行為が行われたのかについては,本件公訴事実として主張されている被告人らの暴行を除き,何ら具体的に主張するところがない。
(3) 暴力行為等処罰に関する法律1条の「多衆の威力を示し」とは,多数人の集合の力を背景とし,人の意思を制圧するような勢力を,相手方に認識させることをいうものと解される。そこで,以下,関係証拠により多衆の威力を示す行為が行われたかどうかについて時系列的に検討すると,前記(本件犯行当日の状況)4及び同5認定のとおり,7時00分00秒ころ,Hが先頭になり,Pがそれに続き,その余の大会参加者は3列縦隊を作り,駐車中の貸切バスに乗車するため,歩道に向かいホテル出入口通路を前進し,一方,実行犯7名は,ビラを持って同ホテル出入口通路前付近の歩道上で待機していたところ,同日午前7時00分03秒ころ,それぞれ大会参加者らがホテルから出てきたことに気付いてビラを手渡す用意をしたものであるが,この段階では,実行犯7名は,ビラを手渡す用意をし,その支援者十数名と共にホテル出入口通路前付近の歩道上で大会参加者らが歩道に出てくるのを待ち構えていただけであり,多衆の威力を示す行為は存在しない。検察官は,前記(1)のとおり,「被告人らは,大会参加者らの姿が見え始めると,一斉に『大会は止めろ。闘争団を裏切るのか。大会には行かせない。バスには乗せない。』等と怒号し始めた」と主張するのであるが,aビデオに照らしても,大会参加者らの姿が見え始めてから先頭のHが歩道手前に来るまでの,表示時刻7時05分17秒ないし7時05分23秒(補正後7時00分00秒ないし7時00分06秒)までの間に,被告人らから特段の声は揚がっておらず,他にそのような事実を認めるに足りる証拠もない。
次いで,aビデオによれば,Hに対し被告人Y2がほぼ正対する位置でビラを渡そうとしたが,Hはこれを受け取ろうとせず同人からみていったん左後方に退いた表示時刻7時05分24秒(補正後7時00分07秒)に「闘争団の切り捨てやるつもりか」との声が揚がり,Pに対する暴行が始まった後の表示時刻7時05分40秒(補正後7時00分23秒)に「闘争団,どうするんだよ」,Qに対する暴行が始まった後の表示時刻7時05分45秒(補正後7時00分28秒)ころに「どうするんだよ,首切り大会開くのか」,表示時刻7時05分50秒(補正後7時00分33秒)に「許さないぞ」,表示時刻7時05分51秒(補正後7時00分34秒)に「首切り大会開くのかよ」,表示時刻7時05分57秒(補正後7時00分40秒)ころに「首切り大会開くのか」,表示時刻7時06分01秒(補正後7時00分44秒)に「3党提案粉砕だぞ」,「首切り大会開くのか」,表示時刻7時06分07秒(補正後7時00分50秒)に「自民党に指示されて大会やるのか」,表示時刻7時06分10秒(補正後7時00分53秒)に「お前ら,警察に守られて首切り大会開くのか」,そして大会参加者ら全員が歩道上まで出てきた表示時刻7時06分12秒(補正後7時00分55秒)に「自民党に指示されて大会やるのか,委員長」といった声が断続的に揚がり,その後も同様の発言があったことが認められるが,その中に脅迫的言辞を含むものではなく,これらの発言は反対派による大会参加者に対する意見表明の範囲にとどまっており,この間,被告人Y2,同Y7及び同Y6が前記認定のとおりPに暴行を加え,また,被告人Y2がQに対し前記認定のとおりの暴行を加えているとはいっても,被告人らは大会参加者らが歩道上に進出するのを妨害するためスクラムを組むなどしたわけではなく,大会参加者らは順次歩道上に出てきているのであって,かかる発言や暴行があったからといって,被告人らが暴行を加える前に「多数人の集合の力を背景とし,人の意思を制圧するような勢力」が示されたとも,被告人らが暴行を加えるのと並行してそのような勢力が示されたとも認定することはできない。
さらに,aビデオ等によれば,遅くとも表示時刻7時05分45秒(補正後7時00分28秒)ころ以降,国労共闘の支援者によるバス前方乗降口前での立ちふさがり行為があり,また,bビデオによれば,午前7時01分48秒ころ以降,被告人Y5らにおいてバス中央乗降口前で立ちふさがり行為をしていたことが認められる。しかし,これら立ちふさがり行為に関与した者は,到底多衆と認定できるような人数ではない。また,大会参加者らが歩道上に出てきて以降,被告人Y3がRに対し,同Y4がQに対し,同Y2がMに対し,同Y3がSに対し,同Y4及び同Y5がNに対し前記認定のとおりの暴行を加えているが,これにAを加えた関与した人数や,これらの行為が公道上での本部派組合員との間のもみ合いの中で,一部時期が重なるものがあるとはいってもおおむね散発的に行われたことも踏まえると,これらの暴行についても,被告人らが暴行を加える前に「多数人の集合の力を背景とし,人の意思を制圧するような勢力」が示されたとも,被告人らが暴行を加えるのと並行してそのような勢力が示されたとも認定することはできない。
(4) 以上のとおりであるから,前記第7の2ないし第7の8で認定した被告人らの暴行については,被告人らに「多衆の威力を示して」することの故意があったかどうかを検討するまでもなく,本件証拠上,客観的な事実関係として「多衆の威力を示して」行われたものと認定することはできない。
(5) ところで,前記第3の2のとおり,検察官は,1回公判において,弁護人から,本件においては,暴力行為等処罰に関する法律1条の「数人共同して行われた暴行」という類型は主張しているものではないと確認してよいか,と問われ,公訴事実に記載されているとおりである,と釈明し,裁判長が「裁判所はそのように理解している。」と述べた(1回公判調書5頁ないし6頁)。検察官は,裁判長のこの発言に異議を述べておらず,検察官は本件公訴事実において「数人共同して行われた暴行」の類型は主張していないと解される。そこで,次に,各実行犯について成立する暴行罪が共謀に基づくものであるかどうかを検討することとする。
第8  本件共謀の存否について
1  本件共謀(ただし,前記第7の9で検討したとおり,本件証拠上,被告人らの暴行は「多衆の威力を示して」行われたものと認定することはできないから,検討対象となる共謀も暴行罪の共謀の限度にとどまる。)について,検察官は,前記第5の2において弁護人が指摘するとおり,冒頭陳述及びその後の釈明においてはO事件を通じての共謀を主張していたのに対し,論告においては,前記第4の2の(5)のとおりO事件そのものの事実主張を変更したと解される主張をした上,前記第4の2,第4の3のとおり,O事件とその他の間接事実との総合評価による共謀の主張をしている。ただし,検察官は,106回公判における裁判所の求釈明,すなわち,「論告における共謀の時期に関する主張は,論告要旨10頁下から5行目に『以上の各事情を総合考慮すれば,本件において,実行犯7名が,遅くとも公訴事実記載の各暴行が開始されるまでの間に・・・相互に意思を通じていた』と,24頁上から6行目に『遅くとも実行犯7名が本件暴行の実行に着手するまでの間に』とあるので,『冒頭陳述』で,O事件を主張した後に,『被告人らはその状況を目撃し,被告人Aらの上記意思を了知して大会参加者らがホテルから出てくるのを待ち受け,遅くとも,ここにおいて』と主張していたのと同様の趣旨であると理解してよいか。」という求釈明に対して,これを肯定している。したがって,論告における主張も,O事件よりも前の段階での本件共謀の成立については,時期を特定した主張を含むものではなく,時期を特定した具体的な主張としては,冒頭陳述におけるのと同様,「被告人らはその状況を目撃し,Aらの上記意思を了知して大会参加者らがホテルから出てくるのを待ち受け,遅くとも,ここにおいて」とする主張と同一であると理解される。
2  本件審理は,本件共謀に関する検察官の冒頭陳述における主張及びその後の釈明を受け,検察官において,それを目撃することによって,「被告人ら」が「Aら」が大会参加者らに対して暴行に及ぶ意思のあることを了知することとなったと主張する,O事件をめぐって攻防が尽くされることになった。そこで,当裁判所としても,まず,O事件について検討することとする。
3  まず,O事件第1暴行について検討する。検察官の第1暴行に関する主張に関連する主要な証拠は,25回,27回ないし29回O証言,42回,44回ないし46回M証言,53回,55回,57回ないし59回N証言,72回及び73回J証言,72回L証言,73回K証言,74回T証言,79回及び80回被告人Y7供述,83回及び84回分離前相被告人A供述,aビデオ等である。
4  検察官がO事件の被害者としているOは,第1暴行に関して,25回公判の検察官の主尋問において,大要,次のとおり証言している(25回O証言2頁ないし13頁)。
(1) 6時50分ころ,ホテル1階フロント前のロビーに行き,ホテル内にいないことが分かった長野地本のZを探しにホテルを出ると,歩道の手前で,紺色ジャンパーを着た男(その後,取調べ検事から,Aであると教えられたと証言している(27回O証言49頁)。)がビラを持って,「大会に行くのか。」というふうに言いながら,正対する形でOの前に立った。Oが立った位置は,ホテルの通路から歩道につながる境目付近である。
(2) Oが,「関係ないから,どけ。」と言うと,すぐその周りにいた人たちが少なくとも2人寄ってきて,口々に,「4党合意は闘争団を切り捨てるようなものだ。」あるいは「大会に行かせないぞ。」といったようなことを言っていた。その中には,後で名前を聞いた黄色いシャツを着た被告人Y2がいた。
(3) 紺色ジャンパーの男,被告人Y2を含む3人の男とOとの距離は,腕を伸ばせば届く距離,お互いの息が掛かるぐらいの距離であり,容易にそこを通り抜けることはできないほどぴったりと付いていた。それでも責任者という立場もあり,何とか切り抜けて前へ出ようと,両手を肩のところに入れて,左右にかき分けて何とか前に出ようとしたが,ぴったり体が付いていたので,できなかった。
(4) そうしたところ,3人の男から,交互に,肩や胸を突かれた。さらに,当初正対した真ん中の男から,外側から太ももの外側を回すようにして,膝でOの両太もも,膝上10センチから15センチくらいの間を5,6回蹴られたが,その間も2人の男からは,代わる代わる肩や胸を突かれた。
(5) これ以上暴行を受けると大変なことになるかと思い,いったんホテルの中に逃げようと思い,2,3メートル後ろへ下がって,そのままホテルの方へ向き,小走りでホテルの中へ入った。小走りでいったのは,追い掛けられるのではないかと思ったからである。逃げることに精一杯で男たちが追い掛けてくる場面は見ていない。
(6) 3人の男から暴行を受けたのは,ホテルのフロントの前に行ったのが6時50分だから,6時52,3分かと思う。
(7) 3人の男から暴行を受けたり,ホテルに逃げ帰った場面は,aビデオに,暴行を受けた後,Oが2,3メートル下がる場面が映っていた。今見たaビデオの表示時刻7時02分24秒(補正後6時57分07秒)の画面左から3人目,奥の方に映っている男性がOであり,その男性が後ろに下がったのが,Oが証言した場面である。Oの後を誰かが追い掛けているように見えたが,そのためホテルに戻ったものである。
5  前記4のO証言のうち,OがAから膝蹴りを受けたとする点は,M及びNが検察官の主尋問及び弁護人の反対尋問を通じ,何ら動揺することなく一貫して証言しており,その信用性を十分に肯定することができる(なお,後記6の(11)ないし(13)のとおり,Aは,ビラを差し出した手をOにはたかれており,Oに対し膝蹴りを加える動機を基礎づける事情も認められる。)。これに対し,Oが被告人Y2を含むA以外の者からも暴行を受けたとする点は,M証言,N証言に符合しない。
すなわち,Mは,検察官の主尋問においてA以外の者のOに対する暴行について何ら証言していない(42回M証言)上,弁護人の反対尋問においては,44回公判において,Mが見ていたのはAであるからほかの者については分からないと証言していた(44回M証言69頁)が,46回公判に至り(A以外の者は)Oの体に触って圧力を掛けるということはなかったと思うと証言している(46回M証言14頁)。
また,Nも,検察官の主尋問において,検察官から,A以外の者がOに対して暴力を振るっていたかどうか尋ねられ,Aの膝蹴りが印象的過ぎて周りの人がOに対して暴力を振るったかどうかは覚えていないと証言する(53回N証言11頁)にとどまっている上,仮にA以外の者がO証言のような暴行を加えていたとすれば,記憶から脱落するとは考えにくいのである。
また,Oは,平成14年6月18日付で作成した被害届(弁1034)においては,第1暴行について,膝蹴りの被害を申告するのみで,膝蹴りした者以外の者から受けた暴行については届け出ていない。
そうすると,前記O証言のうち,Oが被告人Y2を含むA以外の者からも暴行を受けたとする点は,M証言及びN証言等に照らし,信用できないというべきである。
6  次に,第1暴行とaビデオに録音・録画された表示時刻7時02分24秒から7時02分32秒(補正後6時57分07秒から6時57分15秒)までの8秒間の場面(以下「8秒間場面」ともいう。)との関係に焦点を当て,関係者の証言ないし供述を対比しながら,第1暴行について検討する。
(1) Oは,25回公判の検察官の主尋問においては,前記4の(7)のとおり,8秒間場面は,「暴行を受けた後,私が2,3メートル下がる場面でした。」と証言しており(25回O証言12頁),暴行の開始時点が8秒間場面に含まれるとも解釈できないわけではない証言をしていたのであるが,その後,27回公判において,第1暴行を受けた時期について,8秒間場面の前に暴行を受けたと証言し(27回O証言59頁),その場所については,8秒間場面の開始場面の位置とほぼ同じか,やや中の方(ホテル玄関寄り)であり,外(歩道寄り)ではない,8秒間場面の開始場面は,第1暴行を受けてなおZのことが心配で,無事を確認しようとしてちょっと前に出たところであり,また追い返された旨,証言している(27回O証言62頁ないし63頁,65頁,70頁ないし71頁)。そして,8秒間場面において被告人Y2とOとの間の距離がかなりあることを指摘されて,被告人Y2は第1暴行が終わった後後方に戻ったのではないかと思う,と証言し(28回O証言93頁),更に被告人Y2を含め第1暴行を加えた者は,第1暴行後後ろに下がった,それでOが前に出ようとしたところ,追い返され2,3メートル下がった,と証言している(29回O証言(1)10頁ないし11頁)。
(2) Mは,42回公判の検察官の主尋問においては,8秒間場面には,Oが膝蹴りを受ける場面そのものは映っていないが,Oが(膝蹴りを受けて)押し戻される場面が映っていたと証言し(42回M証言12頁ないし13頁),その後,44回公判において,Oと小柄な男が押し合い,小柄な男がOに膝蹴りし,Oが退却するという一連の動作を目撃したこと(44回M証言31頁),8秒間場面の直前に膝蹴りの場面があったこと(同32頁),45回公判,46回公判においては,8秒間場面の開始場面は,膝蹴りされたOがやや押し込まれ,やや下がっている場面であること(例えば46回M証言8頁)を証言している。
(3) Nは,53回公判の検察官の主尋問においては,8秒間場面は,AがOに対して膝蹴りをした後の場面だと思うと証言し(53回N証言23頁),その後,55回公判において,Oは,歩道の中央辺りくらいまで出てきた(55回N証言55頁)後,Aから膝蹴りを受けて後退し,その後8秒間場面につながること(55回N証言64頁),Oが反対派の間をかき分けて前に進み,膝蹴りを受けて後退し,ホテル通路に入っていったのは,一連の動作であって中断はないこと(同67頁,68頁)を証言したが,57回公判においては,55回公判でOがAから膝蹴りを受けて後退した場面が8秒間場面につながる旨証言したが,連続してはいないので訂正すると証言している(57回N証言11頁)。
(4) ところで,8秒間場面の開始場面においては,Oに近接して被告人Y7が位置しており,Oに接触してわずかに上体を反らし,その後元に戻す状況が録画されている。一方,Aは,開始場面においては,その姿は被告人Y7及び同Y4の陰に隠れており,その後,両被告人の頭部の間から徐々に上方に現れた後,Oの方に向かって前進し,後退するOと共にホテル通路内に姿が見えなくなる状況が録画されている。8秒間場面の開始場面において,Aのそれを含め,Oの胸や肩に何人かの手が接触している状況はない。
一方,Mは,Oに膝蹴りを加えている際,AはOの胸辺りに手をあてがっているような感じである(42回M証言11頁)と,Nも,Oに膝蹴りを加えている際,Aは,手をOの方に向かってまっすぐ伸ばして,右手はOの肩辺りに置いていた(53回N証言10頁)と証言している。
以上のとおりの8秒間場面の開始場面及びこれに続く場面の映像並びにM証言及びN証言に照らすと,8秒間場面の開始場面においては,Oの胸や肩に何人かの手が接触している状況にはないのであるから,AがOに対し,Aの手をOの胸ないし肩に接触させながら膝蹴りを加えたのは,8秒間場面の以前の出来事か,8秒間場面の途中AがOの方に向かって前進し,ホテル通路内に姿が見えなくなって以降の出来事かのいずれかということになる。
(5) 前記(1)のO証言は,最終的には,Aの膝蹴りは,8秒間場面の以前の出来事とする趣旨の証言であると理解される(27回公判における前記第3の11の検察官の釈明も同じ理解に基づくものであると解される。)。しかしながら,前記4の(5)のとおり,Oは,検察官の主尋問においては,Aらから暴行を受け,いったんホテルの中に逃げようと思い,2,3メートル後ろへ下がって,そのままホテルのほうへ向き,小走りでホテルの中へ入ったと証言していたのである。その後,前記(1)のとおり,弁護人から尋問を受け,第1暴行を加えた者は,第1暴行後後ろに下がった,それでOが前に出ようとしたところ,追い返され2,3メートル下がった,と証言するに至ったのであるが,Oに対して膝蹴りを加えたAがこれをやめいったん後方に下がったというのは,それ自体極めて不自然な証言内容である上,MもNも,第1暴行後Aが後退しその後前に出ようとしたOを追い返したというOの証言に沿う証言はしていない。そして,Oは,膝蹴り後,8秒間場面の開始場面に至るまでのAの動きについて問われ,答に窮している(29回O証言(1)14頁)。
(6) 前記(2)のM証言は,Aの膝蹴りは,8秒間場面の以前から始まったとする趣旨の証言であると理解される。一方,Mは,Oに膝蹴りを加えている際,AはOの胸辺りに手をあてがっているような感じであると証言している。仮にAの膝蹴りが8秒間場面の以前から始まったとすると,そのような証言内容からは,前記(4)のとおりの8秒間場面の開始場面及びこれに続く場面におけるAの動きは,説明が困難である。しかも,Mは,弁護人から,平成14年10月22日の検察官の取調べにおいて,aビデオを見た上「私が説明をしたOさんが膝蹴りを受けた場面というのは,まさに先ほどの画像にあったOさんが一瞬映り,歩道側からオレンジ色の服の人と向こう側に背の低い人がいて,通路のほうへOさんが押すように進んでいくという場面に間違いありません。」と供述していたことを指摘され,これを肯定しているのであって,捜査段階においては,公判廷における証言とは異なり,8秒間場面においてAが膝蹴りに続いていく行動を開始したと解するのが自然な供述をしていたのである(45回M証言55頁)。
(7) 前記(3)のN証言も,Aの膝蹴りは,8秒間場面の以前の出来事とする趣旨の証言であると理解される。57回公判における訂正は,8秒間場面の開始場面において,Oの胸や肩に何人かの手が接触している状況にはないことと,Aの膝蹴りが8秒間場面の以前の出来事とする趣旨の証言との整合性を図ったものかとも思われるが,訂正の理由はあいまいである。そして,Nも,弁護人から,平成14年10月22日の検察官の取調べにおいて,aビデオを見た上「ビデオに録画されているのは,Oさんが歩道からホテル出入口内の通路のほうに押されていく場面から撮影されておりますが,前回の取調べのときに図面に書いて説明したとおり,Aがこの付近からOさんに膝蹴りを入れ始め,Oさんのことを通路奥へと追いやったのです。」と供述していたことを指摘され,これを肯定しているのであって,捜査段階においては,公判廷における証言とは異なり,8秒間場面においてAが膝蹴りに続いていく行動を開始したと解するのが自然な供述をしていたのである(59回N証言37頁)。
(8) さらに,(5)ないし(7)のとおり,O,M,Nは,いずれも,Aの膝蹴りは,8秒間場面の以前の出来事ないし8秒間場面の以前から始まった出来事であるとする証言をしているのであるが,aビデオを撮影したTは,8秒間場面につき,即座に撮影を開始できる状態でホテル通路方向を絶えず注目し,人影が見えたのでとっさに撮影した,と証言しているところ(74回T証言16頁ないし17頁),仮にO,M,Nの証言どおり,8秒間場面に先行してAの膝蹴りが行われたとすれば,その状況が撮影されていないのは不自然である。
(9) aビデオ表示時刻7時02分24秒(補正後6時57分07秒)から始まる8秒間場面の映像によると,Aがホテル通路内に入っていくのは表示時刻7時02分25秒(補正後6時57分08秒)台であり,これまでの検討結果に照らすと,Aは,8秒間場面の開始直後,ホテル通路と歩道の境目付近に立っていたOに向かって前進し,その後,手をOの胸ないし肩辺りに当て,Oの太股付近に数回膝蹴りを加えた,と認定するのが相当である。
(10) ところで,被告人Y7は,8秒間場面のうち,Aが画面から消えるまでの間に関する部分について,大要,被告人Y7がOに気が付いてビラを差し出したが,Oは「関係ないからどけ。」と言うと同時に,右手で被告人Y7の左胸を押したので体を弓なりにしたところ,被告人Y7の右側にしゃがみ込んでいたAが「何や」と言って立ち上がり,ビラを渡す動作をしながらホテル通路内に入っていった,と供述し(79回被告人Y7供述),Aは,同じ部分について,大要,Jとバスの運転手の話が終わるころ歩道上にしゃがんでいると,Oが出てきたことに気付いたが,Oは,右手でビラを差し出した被告人Y7に対し「関係ねえ,どきなよ。」と言ってその胸を押したため,何だと思って立ち上がり,ビラを渡そうとしてOの方に進んだ,と供述している(83回分離前相被告人A供述)のであるが,これらの供述は,8秒間場面の映像と矛盾するところがなく,その信用性を肯定してよい。
(11) 8秒間場面には,表示時刻7時02分29秒(補正後6時57分12秒)台に「何するんだよ。」という音声が録音されている。この音声に関し,Lは,AがOに対してビラを差し出したところ,OがAの手を2,3回はたいたので,思わず発した声であると証言している(73回L証言14頁)。「何するんだよ。」という声を発したのが誰かに関し,Mは,公判廷において,いったん,平成14年10月22日の検察官の取調べにおいて中核派側の人物の声であると供述したことを認め,「何するんだよ。」というのはOの声ではないと思う旨証言した(44回M証言35頁)ものの,後に,Oの声かどうか分からない,と証言している(46回M証言21頁)。Nは,公判廷において,平成14年10月22日の検察官の取調べにおいてOの声ではなく中核派側の誰かの声であると供述したことを認め,その根拠として,普段聞いているOの声ではないと判断したからである旨証言している(57回N証言40頁ないし41頁)。そのほか,J(72回J証言),K(73回K証言),被告人Y7(79回被告人Y7供述)は,「何するんだよ。」という声を発したのがOではなくLであると認定して矛盾のない証言ないし供述をしている。
以上の証拠関係からすると,8秒間場面の表示時刻7時02分29秒(補正後6時57分12秒)台に録音された「何するんだよ。」という声は,Lが発したものと認めてよい。
(12) また,8秒間場面には,表示時刻7時02分30秒(補正後6時57分13秒)台にJがホテル通路内に入っていく状況が録画されているところ,その点について,Jは,大要,Aがホテル通路内に入ってOにビラを差し出したが,Oがビラを受け取らずはたいたので,もう(AがOを)追いかけても仕方がないという意識で,ホテル通路に入り,Aの肩をたたき「Aちゃん,もうやめとけ。」と声を掛けると,Oが体を翻してホテルの方に戻っていった,と証言している(72回J証言29頁ないし32頁)。
(13) AがOに対してビラを差し出したこと自体については,関係者が一致して証言ないし供述している。また,表示時刻7時02分29秒(補正後6時57分12秒)台にLが「何するんだよ。」とOをとがめる発声をしていることからすると,O,M,Nは証言していないものの,Oがビラを差し出したAの手をはたく行為をしたというL及びJの証言,A(83回A供述18頁ないし22頁)及び被告人Y7(79回被告人Y7供述16頁ないし18頁)の供述の信用性を否定することはできないというべきである。そして,前記5のとおり,OがAから膝蹴りを受けた事実は,O,M,Nの証言から明らかであるから,Oがビラを差し出したAの手をはたく行為をした後のいきさつとしては,ビラを差し出した手をはたかれたAがOに対して膝蹴りを始めたため,表示時刻7時02分30秒(補正後6時57分13秒)台にJがホテル通路内に入ってAをなだめてこれをやめさせ,一方Oは体を翻してホテルの方に戻った,と認定するのが相当である。
7  以上の4ないし6の検討結果によれば,第1暴行の状況については,6時57分07秒ころ,ホテル通路と歩道の境目辺りに出てきたOに対し,被告人Y7がビラを差し出したが,Oが,「関係ないからどけ。」と言うと同時に右手で被告人Y7の左胸を押したため,被告人Y7がわずかに上体を反らしたところ,同被告人の右側にしゃがみ込んでいたAが「何や」と言って立ち上がり,ビラを渡す動作をしながら後退するOを追ってホテル通路内に入っていったが,Oからビラを差し出した手をはたかれたため,Oの肩ないし胸に手を掛けて膝蹴りをし,遅れてホテル通路内に入ったJがこれをやめさせ,Oは体を翻してホテルの方に戻った,と認定するのが相当である。
なお,Oは,前記4の(2)のとおり,「『関係ないから,どけ。』と言うと,すぐその周りにいた人たちが少なくとも2人寄ってきて,口々に,『4党合意は闘争団を切り捨てるようなものだ。』あるいは『大会に行かせないぞ。』といったようなことを言っていた。」と証言する(25回O証言7頁)が,以上の検討結果に照らすと,そのうち,「すぐその周りにいた人たちが少なくとも2人寄ってきて,口々に,『4党合意は闘争団を切り捨てるようなものだ。』あるいは『大会に行かせないぞ。』といったようなことを言っていた。」とする点は認定できないというほかない。
8  次に,O事件第2暴行について検討する。検察官の第2暴行に関する主張を裏付ける方向の証拠は,25回,27回ないし29回O証言,65回H証言である。
9  Oは,第2暴行に関して,25回公判の検察官の主尋問において,大要,次のとおり証言している(25回O証言13頁ないし17頁)。
(1) ホテルに戻ってから30秒か40秒たった後,Zのことが心配になり,再びホテルを出たところ,ホテル出入口から2,3メートル離れた場所で,被告人Y3が小走りで寄ってきて,飛び掛かるような感じで,腰から下のどこかを膝蹴りされた。
(2) Y3から2,3回足蹴にされ,またひじで突かれたが,Hに助けてもらって一緒にホテルの中に戻った。現在ではどのような形で助けてもらったのかはっきり覚えていないが,検察庁での取調べで「間に入る形で助けてくれた」と述べているとすれば,そのとおりだと思う。
(3) ホテルに戻った後,出発の時間になったので,3列縦隊で外に出た。
10  Hは,第2暴行に関して,65回公判の弁護人の主尋問において,大要,次のとおり証言している(65回H証言42頁ないし44頁,83頁ないし87頁,95頁)。
(1) ホテルのロビーの中から,ホテル通路の真ん中辺りで,Oが誰かともみ合って足を蹴られているのを見たので,ホテルを飛び出して止めに入り,Oを引っ張ってホテル内に連れ戻した。
(2) 捜査段階の調書にあるとおり,7時出発予定だったので,腕時計で6時58分であることを確認し,ロビーを出た。
(3) Oを蹴った男は,白っぽい服装の,がっちりした人である。その人は,法廷にいるY3被告である。
11  第2暴行に関しては,時間的にその余地があるといえるか,という問題がある。Jがホテル通路に入ったのは,表示時刻7時02分30秒(補正後6時57分13秒)台であり,この直後にOが体を翻して小走りでホテル内に戻ったことになる。前記9の(1)のとおり,Oは,ホテルに戻ってから30秒か40秒たった後,再びホテルを出たところ,被告人Y3から暴行を受けたと証言している。Hが腕時計で確認したロビー出発時刻は,6時58分であり,秒単位でいうと6時58分00秒から6時58分59秒までの可能性があるから,OやHの証言内容に照らすと,時間的にはその余地があったといってよい。
12  ところで,8秒間場面の映像においては,被告人Y3は,終始歩道上,それもホテル通路からは若干距離を置いた位置に立っていることが明らかである。その後,被告人Y3がホテル通路内に入っていき,Oの証言どおりの振る舞いをしたとすれば,Oに対する暴行の場面はM及びNから見て死角に入っていたと思われるが,通路内に入っていく様子やOに対する暴行後再び歩道上に戻ってくる様子(大会参加者らがホテル通路から歩道上に出てくる場面においては,被告人Y3が歩道上に位置していたことはaビデオの映像から明らかである。)については,NやMが気が付いてしかるべきであると思われる。しかしながら,MもNも,Oがホテル方向に小走りに走り去った後,大会参加者らがホテル通路から歩道に向かって歩いてくるまでに,反対派の誰かがホテル通路内に入っていき,再び歩道上に戻ってくる様子は見ていないと明確に証言している(44回M証言35頁ないし37頁,59回N証言29頁ないし30頁)。
また,被告人Y3がOの足を蹴った地点について,Oは,ホテル出入口から2,3メートルの地点と証言する(25回O証言14頁)のに対して,Hは,ホテル通路の真ん中辺りと証言しており(65回H証言44頁),その食い違いには看過できないものがある。
以上のような事情のほか,Oは,第1暴行についても,暴行を加えていないと認められる,(A以外の)被告人Y2ほか1名からも暴行を加えられたなどと証言している点に照らすと,第2暴行に関するO証言は,前記M証言やN証言などからみて,その信用性に合理的な疑いを容れる余地があるというべきであって,第2暴行の事実を認めることはできない。
13  以上の3ないし12の検討結果によれば,O事件に関し,証拠上合理的な疑いを容れる余地なく認定できるのは,前記7のとおり,「6時57分07秒ころ,ホテル通路と歩道の境目辺りに出てきたOに対し,被告人Y7がビラを差し出したが,Oが,『関係ないからどけ。』と言うと同時に右手で被告人Y7の左胸を押したため,被告人Y7がわずかに上体を反らしたところ,同被告人の右側にしゃがみ込んでいたAが『何や』と言って立ち上がり,ビラを渡す動作をしながら後退するOを追ってホテル通路内に入っていったが,Oからビラを差し出した手をはたかれたため,Oの肩ないし胸に手を掛けて膝蹴りをし,遅れてホテル通路内に入ったJがこれをやめさせ,Oは体を翻してホテルの方に戻った。」という事実にとどまる。
14  検察官は,前記第4の2のとおり,106回公判における論告において,被告人Y1を除く被告人6名及び分離前相被告人A,すなわち実行犯の間の本件共謀については,
(1) 実行犯7名は本件犯行の2日前から本件犯行当日に至るまで一貫して共同して行動していたこと(論告要旨6頁)
(2) 実行犯7名は本件犯行時「いかなる手段を用いても本件大会において国労執行部が提出する方針案の決定を阻止する」との決意を有していたこと(論告要旨6頁ないし8頁)
(3) 実行犯7名による各暴行はいずれも本件大会の開催阻止に向けられたものであったこと(論告要旨8頁)
(4) 実行犯7名はいずれも各人が働いた公訴事実記載の各暴行を相互に認容していたこと(論告要旨8頁ないし9頁)
(5) 実行犯7名はいずれも本件直前にAらが国労本部派組合員Oに対し働いた暴行を認識し認容していたこと(論告要旨9頁ないし10頁)
の各事情を総合考慮すれば,実行犯7名が,遅くとも公訴事実記載の各暴行が開始されるまでの間に本件共謀を遂げたことは明らかである,と主張するものである。
15  実行犯7名の間に本件共謀が成立したというためには,O事件後大会参加者らが本件ホテルから出てくるのを待ち受けていたときまでに,各実行犯において大会参加者らに対し共同して暴行を加える意思が存在するとともに,実行犯7名の間に明示または黙示のその旨の意思の連絡が存在することが必要である。
そこで検討するに,aビデオに録音・録画された,Hを先頭とする国労本部派の組合員が本件ホテル玄関を出,歩道に向かって歩を進め,その後被告人らと接触する状況をみると,A,被告人Y2,同Y7が,ホテル壁側から順に,ホテル玄関に向かって最前列に位置し,本部派組合員の先頭を歩いてきたHに対し被告人Y2がほぼ正対する位置でビラを渡そうとしたこと,Hはこれを受け取ろうとせず同人からみていったん左後方に退いたが,被告人Y7とLの間を右半身の姿勢で通過したこと,本部派組合員の2番目に,Pが「そこをどきなよ,お前。」と言いながら前進してきたのに対して,被告人Y2が前記のとおりの暴行を加えたことが明らかであり,そもそも,被告人Y2のPに対する暴行の故意は,本部派組合員によるビラを受け取ろうとしないという予期せぬ対応を受け,Pに対し暴行を加える段階で初めて生じたと見る余地が十分にあるというべきである(なお,被告人Y7は,公判廷において,国労本部派がビラを受け取らないという対応に出ることは全く予想していなかった旨供述している(79回Y7供述33頁)。)。
そして,aビデオの映像によれば,被告人Y7及び同Y6のPに対する暴行,更に被告人Y2のQに対する暴行も,その時々の状況に応じた各実行犯の判断に基づくもの,すなわち,その時々の状況に応じて生じた各実行犯の暴行の故意に基づくもの,と認定する余地が十分にあるというべきである。このことは,aビデオの映像によれば,被告人Y2,同Y7,同Y6がPに対して暴行を加えている時期ないし被告人Y2がQに対して暴行を加えている時期において,実行犯7名の中で最前列に位置していたA及び被告人Y2の後ろに位置していた被告人Y4が,当初の位置からほとんど動かず,通り過ぎていく大会参加者らに対し何ら暴行を加えていないこと,2列目以降に位置していた被告人Y3,同Y5も,その時期においては,ビラを渡そうとして移動していただけで大会参加者らに対し暴行を加えていない(なお,被告人Y3及び同Y5はF東京地方本部法対部長の前に立ちふさがったものの,積極的に暴行を加えたとまでは認められない。)ことからも裏付けられるものである。
一方,検察官が論告において主張する前記14の(1)ないし(5)の事情のうち,(1)ないし(4)の事情については,以下に検討するとおり,O事件後大会参加者らが本件ホテルから出てくるのを待ち受けていたときまでに本件共謀が成立したことを推認させる間接事実としての推認力に問題があるというべきである。
すなわち,(1)の事情は,それだけでは,本件共謀を推認させる間接事実としては,ほとんど意味を持たない事情である。(2)の事情も,本件各証拠によれば,被告人らが本件大会における方針案の採択に反対する強い意思を持っていたことは明らかであるが,本件共謀を推認する間接事実としての推認力は乏しいというほかない。すなわち,被告人らが当日配布しようとしていたビラ(弁211)には,前記のとおり,「反対派が踏ん張り抜くなら,必ずや強行決定を阻止できる。そうすれば,敵の最後の攻撃にとどめを刺し,闘う国労の旗を守りぬくことができる。そのことに確信をもって,ありとあらゆる闘いを共に全力でやり抜こうではありませんか。」,「どんなことがあっても方針案の採決強行を許してはならない。ここにすべてをかけて,闘争団とJR本体の一体となった渾身の決起で阻止しよう。」などの記載があるが,一般に,ビラは,その性質上激しく扇情的な表現がとられるものであって,ビラの表現をもって,大会方針案の採択を阻止するため大会参加者らに対して暴行を加える意思を有していたと推認することはできない。そのことは,本件当日池袋のホテル前において国労共闘が代議員に対して行った活動においては,Iが代議員が乗車している貸切バスの車内に入る場面もあったものの,おおむね平穏なビラ配布にとどまり反対派が有形力を行使するようなことはなかったこと(70回I証言31頁ないし37頁,71回W証言18頁ないし20頁,弁1005)からも明らかである。また,(3)の事情は,現実に行われた暴行が本件大会の阻止に向けられたものであるとの認定のもとに,本件共謀を推認しようとするものであるが,その認定の当否はさておき,前記のとおり,各実行犯の暴行の故意が,本部派組合員のビラを受け取ろうとしない対応を受け,各実行犯において暴行を加える段階で初めて生じたと認定する余地を排斥し得るものではない。(4)の事情も,各実行犯の暴行について,他の実行犯が認識していたかどうかに関しては,検察官自身論告の中で一部の実行犯間のそれのみを言及するにとどまっているように,本件証拠上は,そもそも実行犯7名が相互に各暴行を認識していたと認定するに足りるものはない上に,仮にそうであったとしても,前記のとおり,各実行犯の暴行の故意が,本部派組合員のビラを受け取ろうとしない対応を受け,各実行犯において暴行を加える段階で初めて生じたと認定する余地を排斥し得るものではない。
これに対し,(5)の事情は,各実行犯の暴行の故意が,本部派組合員のビラを受け取ろうとしない対応を受け,各実行犯において暴行を加える段階で初めて生じたと認定する余地を排斥し得る事情である。
検察官が,冒頭陳述においてO事件を通じての本件共謀を主張したのも,本件の証拠構造がこのようなものであるからであると考えられる。そして,O事件に関し,本件証拠上合理的な疑いを容れる余地なく認定できるのは前記13のとおりであって,①Oに対して暴行を加えたのはAのみであり,被告人らが有形力の行使をもって加勢した事実はないこと,②Jが,Oに対して膝蹴りを加えるAを制止していること,③検察官が前記第2の2のとおり主張する「Aを含む数名がOを取り囲み,Oに対し『こんな大会,開いてはいけない。』,『闘争団の首を切る気か。』などと怒鳴った」事実は証拠上認定できないこと,④8秒間場面の表示時刻7時02分30秒台から7時02分31秒台(補正後6時57分13秒台から6時57分14秒台)にかけて録画された被告人Y6の顔の表情は,他の実行犯と共に大会参加者らに対して暴行を加えることを決意した者の表情とはうかがえないこと等の事実に照らすと,O事件に関し,本件証拠上合理的な疑いを容れる余地なく認定できる事実に,検察官主張の(1)ないし(4)の事情を総合しても,前記のとおり,各実行犯の暴行の故意は,O事件後,ホテル玄関を出て歩道に向かって歩いてきた本部派組合員のビラを受け取ろうとしないなどの対応を受け,それぞれが暴行を加える段階で初めて生じたと認定する余地があることを否定することはできないというべきである。したがって,本件証拠によれば,そもそも各実行犯の暴行の故意自体が,検察官が冒頭陳述において本件共謀の成立時期として主張するように,「被告人らはその状況を目撃し,Aらの上記意思を了知して大会参加者らがホテルから出てくるのを待ち受け,遅くとも,ここにおいて」生じたというには合理的な疑いが残るというべきであるから,当然のことながら,検察官主張にかかる実行犯7名の間の共謀の成立にも合理的な疑いが残るというほかない。
16  なお,被告人Y2については,前記第7の3の(1)及び第7の6の(1)の各事実については,平成14年10月28日付け起訴状により起訴されたことにより審判の対象となったものであるが,前記第7の2の(2)の事実については,平成14年11月19日付け訴因変更請求書により,平成14年10月28日付け起訴状記載の公訴事実中の訴因に,前記第7の2の(2)の事実を追加する趣旨の訴因変更が請求され,平成15年2月3日の1回公判において,弁護人からの「平成14年11月19日付け訴因変更請求書について,事実上の確認であるが,本件の罪数関係について明らかにされたい。」との求釈明に対し,検察官が「実体法上の一罪である。」と釈明した後,弁護人から,訴因変更請求には異議がないとの意見が述べられ,裁判所がこれを許可したことにより,審判の対象となったものである(1回公判調書5頁)。
そうすると,本件共謀は認定できず,被告人Y2については,前記(犯罪事実)1の(1)ないし(3)の暴行罪が成立するにとどまるところ,これらの罪は併合罪であることが明らかであり,併合罪の関係にある事実については,審判の対象とするためには訴因変更ではなく追起訴が必要であるから,本件においても,前記第7の2の(2)の事実を審判の対象とするためには追起訴が必要ではなかったのか,という点が問題となり得る。
しかしながら,1回公判においては,実体法上の一罪であるという本件の罪数関係に関する検察官の釈明を受け,弁護人がこれを前提として訴因変更に異議がないとの意見を述べ,裁判所もこれを前提として訴因変更を許可したことが明らかであり,かつ,多衆の威力を示して行う暴行の罪においては,暴行の被害者が複数であったとしても,これを実体法上の一罪とする考え方もあり得るものと考えられる。そして,その後の審理を経て,当裁判所としては,本件共謀は認定できず暴行罪が成立するにとどまるという心証に至り,罪数関係としては,各被害者ごとに暴行罪が成立し併合罪の関係にあると判断するに至ったにすぎない。したがって,当裁判所としては,前記(犯罪事実)1の(2)及び(3)の事実と併合罪関係にある事実として,前記(犯罪事実)1の(1)の事実を認定することが許されると考える。
17  実行犯7名と被告人Y1との間の共謀についての前記第4の3の検察官の主張は,実行犯7名の間に本件共謀が成立したことを前提とするものであるから,検察官が前記第4の3のとおり主張する事情を検討するまでもなく,実行犯7名と被告人Y1との間の本件共謀の成立にも合理的な疑いが残るというほかない。したがって,被告人Y1については,犯罪の証明がないことに帰するから,刑事訴訟法336条により,同被告人に対し,無罪の言渡しをすることとする(訴訟費用については,同被告人に負担させない。)。
第9  違法性阻却事由の存否
1  弁護人らは,本件は,労働組合内部における本部派と反対派との路線対立に起因して発生した事件であり,被告人らの本件各行為は,被告人ら反対派が憲法28条の保障する団結権を行使して本部派を批判・弾劾・説得したものであって,正当な組合活動として労働組合法1条2項の保護の対象となるから,刑罰法規に触れる場合でも刑法35条の適用により違法性が阻却される,また,①被告人らが行った本件各行為は,国労本部がJR不採用問題の政治解決の名の下に4党合意を強行採決し,鉄建公団訴訟の原告となった闘争団員に統制処分を科そうとするのを阻止することを目的としたビラ配布・説得活動であって,正当な組合活動であること,②本件各行為は,国労本部派組合員が3列縦隊で進んできて一切ビラを受け取らないという不誠実かつ強硬な対応をとったことに誘発された偶発的なもので,もみ合いの時間は5分間程度であり,被告人らが大会参加者にビラ配布・説得活動を行うことができるのは宿舎から貸切バスに乗り込むまでのわずかな機会に限られていたことからすると,その有形力行使は本部派への説得活動の限度を超えるものではなく,行為態様も相当であること,③傷害等の被害は何ら発生していないこと,④労働組合の運営をめぐる組合内部の出来事を刑事罰の対象とするのは団結権の侵害に当たることからすると,被告人らの本件各行為には可罰的違法性あるいは実質的違法性がない,などと主張している。
2  そこで検討すると,被告人Y2ら7名は,前記認定のとおりの経緯を経て,平成14年5月27日午前7時ころ,ビラを持ち,東京グリーンホテルお茶ノ水出入口通路前の歩道上で待機していたものであるが,その目的は,同日の国労臨時大会の開催や同大会での執行部方針案の採択には反対であったことから,その旨記載されたビラを同大会に向かう国労本部派組合員に配布するとともに,反対に向けた説得活動を行うことにあったところ,このようなビラ配布や説得活動自体は,組合活動の一環として,憲法28条の保護の下にあると解される。
一方,本部派組合員は,同日午前7時ころ,Hが先頭になり,Pがそれに続き,その余の参加者は3列縦隊を作り,駐車中の貸切バスに乗車するため,歩道に向かいホテル出入口通路を前進したものであるが,その後の状況は,関係各証拠によれば,A,被告人Y2,同Y7が,ホテル壁側から順に,ホテル玄関に向かって最前列に位置していたところ,本部派組合員の先頭を歩いてきたHに対し被告人Y2がほぼ正対する位置でビラを渡そうとしたが,Hはこれを受け取ろうとせず同人からみていったん左後方に退き,前方に立ちふさがる被告人Y7とLの間を右半身の姿勢で通過し,本部派組合員の2番目に,Pが「そこをどきなよ,お前。」と言いながら前進してきたのに対して,最初に被告人Y2が前記認定のとおりの暴行を加えた後,被告人らがそれぞれ前記認定のとおりの暴行を加えた,というものである。
被告人らの本件各暴行は,被告人らが大会参加者に対しビラ配布・説得活動をしようとした際に各実行犯と各被害者との間のその時々の状況に応じて敢行されたものであるが,いずれの暴行も,一般人が通行するホテル出入口付近の公道上において,各被害者に対し,積極的かつ直接的に加えられているのであって,言論によるべき組合活動の一環としてのビラ配布・説得活動とはおよそ性格を異にする行為であり,正しく暴行罪の実質を備えたものといわざるを得ない。
弁護人らは,被告人らの本件各行為は,本部派組合員が3列縦隊で進んできて被告人らのビラ配布・説得活動を拒否する不誠実かつ強硬な対応に誘発されたものであるなどと主張する。確かに,被告人らが暴行を振るうに至ったことについては,Hが被告人Y2のビラを受け取ろうとしなかったことや,Pが「そこをどきなよ,お前。」と言いながら前進するなど,本部派組合員が一致してビラを受け取らない態度をとったことにより,本部派組合員と被告人らとの間のもみ合いに発展したという側面を否定できない。しかしながら,被告人らのビラ配布・説得活動自体は,組合活動の一環として,憲法28条の保護の下にあるとはいっても,本部派組合員に対して,被告人らが配布しようとするビラを受け取り,被告人らの説得活動に応じてその主張に耳を傾けるべき義務を課すものではないのであり,そのことは被告人らのビラ配布・説得活動の機会が本部派組合員が宿舎ホテルから貸切バスに移動する間の公道上に限られていたとしても同じであって,結局のところビラ配布・説得活動にどのように対応するのかは,個人の選択に委ねられた問題というほかない。したがって,被告人らの本件各行為態様が本部派への説得活動の限度を超えない程度のものであるという弁護人らの主張は相当でない。また,傷害の被害が生じていないからといって,被告人らの本件各行為が実質的違法性を具備しないとはいえないことは明らかであり,被告人らの本件各行為は公道上における暴行行為であり,前記のとおり,組合活動としての本部派への説得活動の限度を超えない程度のものであるという弁護人らの主張が相当でないことからすれば,本件をもって単に組合内部の出来事とはいえないこともまた明らかである。
以上要するに,被告人らのビラ配布・説得活動自体は,組合活動の一環として,憲法28条の保護の下にあると解されるものの,その際相手方に暴行を加えることは,本件における各暴行行為の態様やこれに至る経緯等の具体的状況を考慮しても,法秩序全体の見地からして社会的に許容される程度のものではなく,罰金刑に値する実質的違法性を有していることは明らかであって,弁護人らの主張は採用できない。
第10  公訴棄却の主張について
1  弁護人らは,公訴棄却の主張をし,その理由として,①暴力行為等処罰に関する法律はその制定の沿革や運用実態からみて当然に集団性を帯びる労働運動を弾圧する団結破壊法というべきもので,憲法21条,28条,31条に違反する法律であって,本件起訴は法令そのものが違憲である暴力行為等処罰に関する法律を適用したものであり,また,暴力行為等処罰に関する法律そのものが違憲でないとしても,本件起訴は被告人らの正当なビラ配布・説得活動に対して同法を適用するもので,被告人らに同法が適用される限りにおいて憲法21条,28条,31条に違反しており,いずれにしても公訴提起自体が違憲である以上,憲法条項の直接適用により公訴棄却の形式判決がなされるべきである,②本件公訴は,被告人らの労働組合活動を弾圧することを目的として,労働運動において極めて日常的な態様で,法益侵害の結果も発生しておらず,軽微性に疑いのないビラ配布・説得活動について,異例の刑事罰の発動をもって規制したものであって,訴追裁量権を大きく逸脱しており,公訴権濫用に該当する,③本件は国労本部と警察権力が癒着・結託してつくられた犯罪であって,その証拠とされたaビデオ・bビデオは違法捜査によって収集された証拠であり,そのような違法捜査に基づく起訴は公訴権の濫用であって,本件起訴は直ちに公訴棄却すべきである,などと主張する。
2  しかしながら,弁護人らの公訴棄却の主張はいずれも採用できないものである。
①の理由については,まず,憲法21条の表現の自由や憲法28条の労働基本権は無制約に保障されるものではなく,公共の福祉のため一定の制約が存する(憲法13条)ところ,団体又は多衆の威力を示して暴行,脅迫等をした行為に対し刑法の規定よりも重く処罰することは法益保護の観点から合理性が肯認されるから,暴力行為等処罰に関する法律1条自体が憲法21条,28条に反しないのはもちろん,被告人らがビラ配布・説得活動であると主張する本件各行為は,前記のとおり暴行が加えられた限りにおいて正当な組合活動とはいえず,憲法21条,28条により保障されるものではないから,暴力行為等処罰に関する法律1条に該当するとして公訴提起することは何ら憲法21条,28条に反するものではない。また,暴力行為等処罰に関する法律1条の規定について,特に明確性を欠くという点は見当たらないから,憲法31条に反するものということもできない。そうすると,弁護人らの公訴棄却の主張はその前提を欠く。②の理由については,前記のとおり,被告人らの本件各行為は,罰金刑に値する実質的違法性を有していることが明らかであるから,本件公訴提起が訴追裁量権を逸脱するとはいえず,本件起訴をもって公訴権の濫用に当たるということはできない。③の理由については,本件各証拠を検討しても,捜査過程に違法があるとは認められないから,弁護人らの主張は前提を欠き,採用することができない。
(法令の適用)
被告人Y2の判示1の(1)ないし判示1の(3),同Y3の判示2の(1)及び判示2の(2),同Y4の判示3の(1)及び判示3の(2),同Y5の判示4,同Y6の判示5,同Y7の判示6の各所為は,いずれも刑法208条に該当するところ,各所定刑中いずれも罰金刑を選択し,被告人Y2の判示1の(1)ないし判示1の(3)の各罪,同Y3の判示2の(1)及び判示2の(2)の各罪,同Y4の判示3の(1)及び判示3の(2)の各罪は,それぞれ同法45条前段の併合罪であるから,被告人Y2,同Y3,同Y4については,それぞれ同法48条2項により,各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で,被告人Y5,同Y6,同Y7については各所定金額の範囲内で,被告人Y2を罰金60万円に,同Y3及び同Y4をそれぞれ罰金40万円に,同Y5,同Y6,同Y7をそれぞれ罰金20万円に処し,被告人Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7に対し,同法21条を適用して,未決勾留日数のうち,その1日を金5000円に換算してそれぞれその罰金額に満つるまでの分をそれぞれその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1  本件は,国労組合員である被告人らが,平成14年5月27日に開催された国労第69回臨時全国大会当日早朝,大会準備本部の組合員らが宿泊するホテル前において,大会会場に向かう貸切バスに乗車しようとする国労本部派組合員に対し,それぞれ判示のとおりの暴行を加えたという事案である。
被告人らは,同臨時全国大会の開催や同大会において執行部方針案を採択することに強く反対していたところ,その旨記載したビラを同大会に向かう国労本部派組合員に配布するとともに,反対に向けた説得活動を行おうとした際,判示各暴行行為に及んだものである。国労内部に長期にわたる深刻な路線対立があったといっても,公道上において同大会に向かおうとする本部派組合員に暴行を加えたものであり,その短絡的な犯行動機そのものには酌量すべき点は乏しい。また,結果的に大会会場に向かう貸切バスの出発が約30分遅れるという事態をも招いている。
2  他方,被告人らの本件各犯行は,ビラ配布・説得活動という組合活動の際に行われたものであるところ,国労本部は既に被告人Y3や分離前相被告人Aも原告として参加していた鉄建公団訴訟原告に対し,訴訟取下げを求め,同臨時全国大会の方針案には,これに応じない闘争団員に対しては,中央執行委員会が統制処分案を決定し査問委員会に送致すること等も含まれており,本件各犯行は,同方針案の採択に強く反対していた被告人らが,同方針案の採択に賛成する立場の国労本部派組合員に対し,被告人らの主張を記載したビラを配布するとともに説得活動を行おうとしたのに対し,ビラを受け取ろうとしないなどの本部派組合員の態度に立腹した結果の犯行であると認められる。さらに,被告人Y4は病気を理由として平成15年8月1日勾留執行停止により釈放されるまでの9か月余の間,その余の被告人は逮捕以降およそ1年余ないし1年2か月余にわたり,それぞれ身柄を拘束されたこと,被告人らの前科関係をみると,被告人Y3に業務上過失傷害による古い罰金前科が1犯あるのみであり,他の被告人には前科がないことなど,被告人らのために斟酌すべき諸事情も認められるところである。
3  以上の諸情状を総合考慮すると,被告人らに対して懲役刑を科するのは重きに失するというべきであるから,いずれの被告人に対しても罰金刑を選択した上で,各被告人の暴行態様,被害者の数等を考慮し,それぞれ主文の刑に処するのが相当であると判断した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑 被告人Y1につき懲役1年6月,同Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7につきそれぞれ懲役1年)
平成22年1月7日
(裁判長裁判官 植村稔 裁判官 鈴木秀行 裁判官 東尾和幸)

 

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政治と選挙の裁判例「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧
(1)平成22年11月30日 金沢地裁 平21(行ウ)3号 公金支出差止請求事件
(2)平成22年11月19日 盛岡地裁 平18(行ウ)11号 政務調査費返還請求事件
(3)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)16号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(4)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)15号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(5)平成22年11月12日 東京地裁 平21(行ウ)126号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(6)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(7)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)251号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(8)平成22年11月 2日 東京高裁 平22(行ケ)14号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(9)平成22年10月29日 東京地裁 平19(ワ)31252号 損害賠償等請求事件
(10)平成22年10月29日 東京地裁 平19(行ウ)472号・平19(行ウ)493号・平19(行ウ)494号・平19(行ウ)495号・平19(行ウ)496号・平19(行ウ)497号・平19(行ウ)498号・平19(行ウ)715号・平19(行ウ)785号・平20(行ウ)55号・平20(行ウ)132号・平20(行ウ)133号・平20(行ウ)404号・平20(行ウ)405号・平20(行ウ)406号・平20(行ウ)407号・平20(行ウ)408号・平20(行ウ)686号・平20(行ウ)756号・平21(行ウ)367号・平18(行ウ)472号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分取消請求事件
(11)平成22年10月28日 東京地裁 平19(ワ)31393号 損害賠償請求事件
(12)平成22年10月27日 仙台高裁 平21(行コ)28号 違法公金支出による損害賠償履行請求控訴事件
(13)平成22年10月22日 東京高裁 平22(行ス)76号
(14)平成22年10月 1日 東京地裁 平21(行ウ)132号 難民不認定処分取消等請求事件
(15)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(16)平成22年 9月17日 東京地裁 平21(行ウ)226号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(17)平成22年 9月14日 最高裁第三小法廷 平22(ク)760号・平22(許)24号 仮処分命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する抗告事件
(18)平成22年 7月30日 東京地裁 平21(行ウ)281号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(19)平成22年 7月30日 東京地裁 平20(行ウ)605号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(20)平成22年 6月24日 東京地裁 平21(行ウ)15号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(21)平成22年 6月17日 名古屋高裁 平22(ラ)137号 仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件
(22)平成22年 6月16日 東京地裁 平22(ワ)221号 損害賠償請求事件
(23)平成22年 6月 8日 東京地裁 平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(24)平成22年 5月31日 東京地裁 平20(ワ)16947号 損害賠償請求事件
(25)平成22年 5月20日 東京地裁 平21(行ウ)99号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(26)平成22年 5月13日 東京高裁 平20(う)2470号 国家公務員法違反被告事件
(27)平成22年 4月28日 東京地裁 平20(行ウ)642号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(28)平成22年 4月27日 札幌高裁 平21(行ケ)1号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・札幌高裁・第一審〕
(29)平成22年 4月13日 東京地裁 平20(ワ)34451号 貸金等請求事件
(30)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(31)平成22年 3月30日 大阪高裁 平19(ネ)2853号 損害賠償請求控訴事件
(32)平成22年 3月30日 東京地裁 平21(行ウ)256号 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件
(33)平成22年 3月29日 東京高裁 平18(う)2351号 国家公務員法違反被告事件
(34)平成22年 3月29日 金沢地裁 平19(行ウ)5号 公金違法支出損害賠償請求事件
(35)平成22年 3月26日 熊本地裁 平19(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(36)平成22年 3月25日 岐阜地裁大垣支部 平20(ワ)253号 損害賠償請求事件
(37)平成22年 3月12日 福岡高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
(38)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)36号 選挙無効請求事件
(39)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)35号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(40)平成22年 3月 8日 福岡地裁 平19(行ウ)8号 難民不認定処分取消等請求事件
(41)平成22年 3月 3日 東京地裁 平20(行ウ)412号・平20(行ウ)425号・平20(行ウ)426号・平21(行ウ)79号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(42)平成22年 2月26日 東京地裁 平20(行ウ)486号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(43)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)20号・平21(行ケ)21号・平21(行ケ)22号・平21(行ケ)23号・平21(行ケ)24号・平21(行ケ)25号・平21(行ケ)26号・平21(行ケ)27号 各選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(44)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)19号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(45)平成22年 2月 5日 東京地裁 平20(行ウ)713号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(46)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件
(47)平成22年 1月29日 東京地裁 平20(行ウ)261号・平20(行ウ)273号・平20(行ウ)274号 難民の認定をしない処分取消等請求事件(第1事件・第2事件)、退去強制令書発付処分取消等請求事件(第3事件)
(48)平成22年 1月27日 東京地裁 平20(ワ)14157号 損害賠償等請求事件
(49)平成22年 1月25日 広島高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・広島高裁・第一審〕
(50)平成22年 1月22日 東京地裁 平21(行ウ)82号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(51)平成22年 1月15日 東京地裁 平20(行ウ)626号・平21(行ウ)2号 在留特別許可をしない処分無効確認請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成21年12月28日 大阪高裁 平21(行ケ)2号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・大阪高裁・第一審〕
(53)平成21年12月 4日 東京地裁 平20(ワ)7435号・平20(ワ)26797号 建物収去土地明渡請求事件、建物退去土地明渡請求事件
(54)平成21年11月30日 最高裁第二小法廷 平20(あ)13号 住居侵入被告事件 〔葛飾政党ビラ配布事件・上告審〕
(55)平成21年11月27日 東京地裁 平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(56)平成21年11月26日 東京地裁 平21(行ウ)86号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(57)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)629号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(58)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)436号・平20(行ウ)444号・平20(行ウ)445号・平20(行ウ)446号・平20(行ウ)447号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(59)平成21年10月29日 東京地裁 平18(行ウ)529号・平18(行ウ)564号・平20(行ウ)235号・平20(行ウ)237号 在留を特別に許可しない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(60)平成21年10月28日 京都地裁 平19(ワ)3986号・平20(ワ)797号・平20(ワ)2263号・平20(ワ)3884号・平21(ワ)1575号 損害賠償請求事件
(61)平成21年10月21日 東京地裁 平21(行ウ)61号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(62)平成21年10月 9日 東京地裁 平19(ワ)9718号 損害賠償等請求事件
(63)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)209号 選挙無効請求事件
(64)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)196号 選挙無効請求事件
(65)平成21年 9月29日 東京地裁 平19(行ウ)437号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(66)平成21年 8月28日 東京地裁 平19(行ウ)123号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(67)平成21年 8月27日 東京地裁 平20(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(68)平成21年 8月25日 東京地裁 平20(ワ)16289号 書籍出版等差止請求事件 〔扶桑社教科書差し止め訴訟〕
(69)平成21年 7月22日 東京地裁 平21(ワ)7588号 慰謝料等請求事件
(70)平成21年 7月16日 東京地裁 平20(行ウ)525号 難民不認定処分無効確認請求事件
(71)平成21年 6月30日 東京地裁 平20(行ウ)421号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(72)平成21年 6月25日 東京地裁 平18(ワ)17391号 損害賠償等請求事件
(73)平成21年 6月23日 東京地裁 平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(74)平成21年 6月17日 大阪高裁 平20(行コ)159号 政務調査費返還請求行為請求控訴事件
(75)平成21年 6月12日 東京地裁 平20(ワ)27642号 貸金請求事件
(76)平成21年 5月29日 東京地裁 平20(行ウ)150号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(77)平成21年 5月27日 東京高裁 平20(行コ)333号 不当利得返還(住民訴訟)請求控訴事件
(78)平成21年 5月26日 東京地裁 平21(む)1220号 政治資金規正法被告事件
(79)平成21年 5月25日 大阪地裁 平18(行ウ)128号 懲戒処分取消請求事件 〔国・気象衛星センター(懲戒免職)事件〕
(80)平成21年 5月22日 東京地裁 平19(行ウ)309号・平20(行ウ)518号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(81)平成21年 5月11日 京都地裁 平21(む)843号 証拠開示命令請求事件
(82)平成21年 4月23日 仙台地裁 平19(ワ)1560号 不当解雇損害賠償等請求事件 〔京電工論旨解雇事件〕
(83)平成21年 4月21日 東京地裁 平20(行ウ)142号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(84)平成21年 3月31日 大阪地裁 平19(行ウ)34号・平19(行ウ)63号・平19(行ウ)77号・平20(行ウ)82号 国際放送実施命令取消等請求(甲~丙事件)、国際放送実施要請違法無効確認等請求(丁事件)事件
(85)平成21年 3月27日 東京地裁 平19(行ウ)178号・平20(行ウ)21号・平20(行ウ)146号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(86)平成21年 3月27日 東京地裁 平18(行ウ)520号・平18(行ウ)524号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(87)平成21年 3月26日 東京地裁 平20(行ウ)134号・平20(行ウ)177号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、追加的併合事件
(88)平成21年 3月26日 東京地裁 平19(行ウ)580号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(89)平成21年 3月24日 東京地裁 平19(ワ)23257号 損害賠償請求事件
(90)平成21年 3月23日 名古屋地裁 平18(行ウ)64号 政務調査費返還代位請求事件
(91)平成21年 3月18日 東京地裁 平19(行ウ)305号・平20(行ウ)501号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(92)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(行ウ)497号 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件
(93)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(ワ)26458号・平18(ワ)24160号 謝罪広告等請求事件、損害賠償請求事件 〔特高警察関係資料集成事件〕
(94)平成21年 2月25日 東京地裁 平19(行ウ)325号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成21年 2月25日 東京地裁 平18(行ウ)374号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(96)平成21年 2月16日 東京地裁 平20(ワ)16317号 損害賠償請求事件
(97)平成21年 2月13日 東京地裁 平20(行ウ)144号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(98)平成21年 1月29日 東京地裁 平19(行ウ)741号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(99)平成21年 1月27日 横浜地裁川崎支部 平15(ワ)200号 差止等請求事件
(100)平成21年 1月22日 大津地裁 平19(行ウ)10号 公金支出差止め請求事件


政治と選挙の裁判例(裁判例リスト)

■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/

■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/

■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/

■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/

■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/

■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/

■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/

■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/

■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/

■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/

■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/

■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/

■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/

■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/

■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/

■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/

■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/

■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/

■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/

■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/

■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/

■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/

■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/

■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/

■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/

■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


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