政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(7)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)251号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(7)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)251号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
裁判年月日 平成22年11月 9日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(行ウ)251号
事件名 難民の認定をしない処分取消等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2010WLJPCA11098005
要旨
◆ミャンマー連邦国籍の原告が、難民不認定処分を受け、また、退令事由に該当すると認定され、それに対する異議に理由がない旨の裁決を受けたため、当該不認定処分、裁決及び退令処分の取消し並びに在特許可の義務付けを求めた事案において、原告が関与した雑誌は一般的な社会の風刺や平和への希望の表明等の範囲を超えて、特定の政治的意見を直接に表明するものではなく、講演会開催の実行委員としての活動も指導的な役割を果たしたとはいえず、原告自身の立場においても特定の政治的意見の表明等に及んだとは認定できず、また、本件認定申請に至るまでに何らかの庇護を求める手続等をとった形跡もないこと等から、難民に該当しない等として、請求を棄却した事例
参照条文
難民の地位に関する条約1条
難民の地位に関する議定書1条
裁判年月日 平成22年11月 9日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(行ウ)251号
事件名 難民の認定をしない処分取消等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2010WLJPCA11098005
埼玉県川口市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 別紙代理人目録の1記載のとおり
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者兼処分行政庁 法務大臣 A
処分行政庁兼裁決行政庁 東京入国管理局長 B
処分行政庁 東京入国管理局主任審査官 C
被告指定代理人 別紙代理人目録の2記載のとおり
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 法務大臣が平成19年5月7日付けで原告に対してした難民の認定をしない処分を取り消す。
2 東京入国管理局長が平成19年5月9日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留を特別に許可しない処分が無効であることを確認する。
3 東京入国管理局長が平成20年10月30日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく原告の異議の申出は理由がない旨の裁決を取り消す。
4 東京入国管理局主任審査官が平成20年11月20日付けで原告に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。
第2 事案の概要
本件は,ミャンマー連邦(以下「ミャンマー」という。)の国籍を有する外国人である原告が,本邦においてミャンマーに対する反政府的な執筆・編集活動等に従事していたこと等により帰国すれば迫害を受けるおそれがあることから出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)2条3号の2並びに難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)1条及び難民の地位に関する議定書(以下「難民議定書」という。)1条にいう「難民」に該当すると主張して,原告に対してされた難民の認定をしない処分(以下「本件不認定処分」という。),入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)及び退去強制令書発付処分(以下「本件退令発付処分」という。)の各取消し並びに入管法61条の2の2第2項による在留の特別の許可をしない処分(以下「本件不許可処分」といい,本件不認定処分,本件裁決及び本件退令発付処分と併せて「本件各処分」という。)が無効であることの確認を求める事案である。
1 前提となる事実(当事者間に争いがない事実,括弧内掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認定できる事実及び当裁判所に顕著な事実)
(1) 原告について
原告は,昭和34年(1959年)○月○日,ミャンマーにおいて出生したミャンマー国籍を有する外国人の男性である(乙A1,乙A3)。
(2) 原告の入国及び在留状況
ア 原告は,平成3年(1991年)10月16日,ミャンマーのヤンゴンにおいて,有効期間の末日を平成6年10月15日とする旅券の発給を受けた(乙A3)。
イ 原告は,平成3年12月9日,ミャンマーのヤンゴンから,ミャンマー国際航空221便で出国し,タイのバンコクを経由して,タイ国際航空640便により,同月12日,新東京国際空港(現在の成田国際空港)に到着し,東京入国管理局(以下「東京入管」という。)成田空港支局入国審査官から在留資格を「短期滞在」とし在留期間を「90日」とする上陸許可を受けて,本邦に上陸したが,前記上陸許可に係る在留期間が満了する日である平成4年3月11日を超えて本邦に残留した(乙A1ないし乙A3,乙A18,乙A19)。
ウ 原告は,本邦に上陸した後の平成6年9月12日,平成7年9月29日及び平成8年7月31日,在日ミャンマー大使館において,上記アの旅券について,それぞれ有効期間を1年間延長する更新を受けた(乙A3,乙A18)。
エ 原告は,平成16年8月26日,埼玉県さいたま市南区長に対し,居住地を同区〈以下省略〉として,外国人登録法(以下「外登法」という。)3条1項に基づく新規登録申請をし,外国人登録証明書の交付を受けた(乙A1,乙A3)。
オ 原告は,平成16年9月14日,埼玉県川口市長に対し,新居住地を同市〈以下省略〉とする外登法8条1項に基づく居住地変更の登録を申請し,同市長はその旨の登録をした(乙A1,乙A3)。
カ 原告は,平成16年12月20日,埼玉県川口市長に対し,新居住地を同市〈以下省略〉とする外登法8条2項に基づく居住地変更の登録を申請し,同市長はその旨の登録をした(乙A1)。
(3) 原告に対する退去強制手続
ア 東京入管入国警備官は,原告が後記(4)ア記載のように難民認定申請をした後の平成16年8月11日,原告が入管法24条4号ロに該当するとの容疑につき立件した(乙A1)。
イ 東京入管入国警備官は,平成17年1月18日に原告について違反調査に係る取調べをした結果,原告が入管法24条4号ロに該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,同年2月9日,東京入管主任審査官から収容令書の発付を受け,同月16日,同令書を執行し,原告を,東京入管収容場に収容するとともに,入管法24条4号ロ該当容疑者として東京入管入国審査官に引き渡した(乙A1,乙A3ないし乙A5,乙A7)。
東京入管主任審査官は,同日,原告を仮放免した(乙A1,乙A6)。
ウ 東京入管入国審査官は,平成17年2月16日,原告について違反審査をし,その結果,原告が入管法24条4号ロに該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨の認定をし,原告にその旨を通知したところ,原告は,同日,口頭審理を請求した(乙A1,乙A8,乙A9)。
エ 東京入管特別審理官は,平成18年10月16日,原告について口頭審理を行った結果,同日,東京入管入国審査官がした上記ウの認定に誤りがない旨の判定をし,原告にその旨を通知したところ,原告は,同日,法務大臣に対し,異議の申出をした(乙A1,乙A10ないし乙A12)。
オ 入管法69条の2に基づき法務大臣から権限の委任を受けた東京入管長は,平成20年10月30日,上記エの異議の申出には理由がない旨の本件裁決をした(乙A1,乙A13)。
カ 本件裁決をした旨の通知を受けた東京入管主任審査官は,平成20年11月20日,原告に本件裁決の通知を受けた旨を通知するとともに,退去強制令書(以下「本件退令」という。)を発付する旨の本件退令発付処分をし,東京入管入国警備官は,同日,本件退令を執行し,原告を東京入管収容場に収容した(乙A1,乙A14,乙A15,乙A16の1)。
キ 東京入管主任審査官は,平成20年12月17日,原告を仮放免した(乙A1,乙A16の1・2)
(4) 原告の難民認定手続
ア 原告は,平成16年8月3日,法務大臣に対し,難民認定申請(以下「本件難民認定申請」という。)をした(乙A3,乙A8,乙A17,乙A19)。
イ 東京入管難民調査官は,平成17年7月15日及び同月22日,原告から事情を聴取するなどの調査を行った(乙A19,乙A20)。
ウ 法務大臣は,平成19年5月7日,本件難民認定申請について,難民の認定をしない旨の本件不認定処分をし,同月18日,原告にその旨を通知した(乙A21)。
エ 入管法69条の2に基づき法務大臣から権限の委任を受けた東京入管長は,平成19年5月9日,原告について,入管法61条の2の2第2項による在留の特別の許可をしない旨の本件不許可処分をし,同月18日,原告にその旨を通知した(乙A22)。
オ 原告は,平成19年5月23日,法務大臣に対し,本件不認定処分に対する異議申立て(以下「本件難民異議申立て」という。)をした(乙A23)。
カ 平成20年7月8日,原告に係る口頭での意見の陳述及び審尋がされた(乙A27)。
キ 法務大臣は,平成20年10月24日,本件難民異議申立てには理由がないので棄却する旨の決定をし,同年11月20日,原告にその旨を通知した(乙A28)。
(5) 訴えの提起
原告は,平成21年5月20日,本件各処分の取消し等を求めて,本件の訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。
2 争点
(1) 原告の難民該当性
(2) 本件在特不許可処分の効力
(3) 本件裁決の適法性
(4) 本件退令発付処分の適法性
3 当事者の主張の要旨
(1) 争点(1)(原告の難民該当性)について
(原告の主張の要旨)
ア 「難民」の定義
(ア) 難民とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」をいい(難民条約1条A及び難民議定書1条2),その認定は裁量行為ではなく,事実のあてはめあるいは確認行為である。
(イ) 上記にいう「十分に理由のある恐怖」とは,「恐怖」という主観的要素と,「十分に理由のある」という客観的要素を併せ含むものであり,当事者の内心及びこれを合理的に裏付ける客観的事情が考慮されなければならない。そして,難民の認定がき束的な行為であることからすれば,客観的要素を確定するための指標として,①申請者の個別的状況,②出身国の人権状況,③過去の迫害,④同様の状況に置かれている者の事情,⑤一般的抑圧状況及び個別的迫害が有用である。そのうち,「一般的抑圧状況及び個別的迫害」について,迫害は,ある個人に対してのみ発現するとは限らず,一般的な抑圧状況の下で,一般的に行われる可能性を有している。そして,申請者の属する集団が一般的に迫害に相当するような処遇を受けているという一般的な抑圧状況があれば,申請者が運や偶然によって迫害の対象となる見込みは十分にあるのであって,申請者が個別に迫害対象として選別される見込みがあることを根拠をもって説明する必要はないというべきである。また,一般的な抑圧状況が,迫害に相当するような処遇とまでは一概にいえない場合でも,申請者の個別状況と相まって「十分に理由のある恐怖」を肯定する材料となることは十分に考えられるのであり,申請者の属する集団が一般的に迫害に相当するような処遇を受けているとまではいえない場合に,そのことをもって申請者に対する迫害のおそれがないと判断することは大いなる誤りである。
(ウ) 難民条約にいう「迫害」とは,「国家の保護の欠如を伴う基本的人権に対する持続的又は系統的危害」であるから,生命又は身体の自由に対するものに限られず,広く,経済的・社会的自由,精神的自由に対する抑圧や侵害も検討されなければならない。難民条約の一定の締約諸国の慣行によれば,雇用機会の差別,解雇,職業資格のはく奪,略奪,搾取,私有財産の没収ないし国有化,経済行為に係る制限若しくは差別的処遇は,迫害に該当するか,迫害措置の一端であるか又は迫害の認定において考慮されなければならない事柄であると解されている。このうち,生存の否定につながる系統的な圧迫,最低限の生活維持を困難ならしめる措置が積極的に迫害に認定され得ることは明らかである。
イ ミャンマーの一般情勢
(ア) ミャンマーでは,昭和37年にネウィンが軍事クーデターにより全権を掌握したが,極端な経済不振に陥った。その後,昭和63年3月ころ始まった学生等による抵抗運動が同年8月後半から9月前半ころにかけて民主化闘争へと発展したが,同月18日,国家法秩序回復評議会(SLORC。SLORCは,平成9年11月15日に国家平和開発評議会(SPDC)へとその名称を変更したが,以下,名称変更の前後を区別することなく,「SLORC」という。)による軍事政権(以下,SLORCによる軍事政権を「ミャンマー政府」という。)の成立が宣言された。
(イ) 平成2年に行われた総選挙において,国民民主連盟(以下「NLD」という。)が8割以上の議席を獲得したが,SLORCは政権を委譲しなかった。ミャンマー政府は,NLDを合法的な政党と認めながら,国内各所の多数の党事務所を閉鎖し,NLDの党員も逮捕するなどし,平成10年9月16日にNLDが独自に国会の「代行開催」をするに及ぶと,NLDの代表者であるアウンサンスーチーに対し事実上の自宅軟禁の措置をとり,平成14年5月6日まで同措置を継続するなど,NLDに対する抑圧を強めた。
(ウ) 平成15年5月30日,ミャンマー北部のディペインで,ミャンマー政府の翼賛団体が,アウンサンスーチーらNLD党員及びその支持者を襲撃するという事件(以下「ディペイン事件」という。)が発生し,アウンサンスーチーを含むNLD幹部らが拘束されたほか,NLDの本部及び支部の閉鎖が命じられた。アウンサンスーチーは,その後に釈放されたが,現在に至るまで自宅軟禁の状態が続いている。
(エ) その後も,ミャンマー政府は,抗議活動を行った学生,NLDないしNLD党員,僧りょ及び一般市民に対して厳しい弾圧を行った。
ウ ミャンマーにおける基本的人権の抑圧の状況
ミャンマーにおいては,一般国民及び政治活動家が数時間から数週間にわたって行方不明になるという事態が続発しているほか,身柄拘束された者に対して,睡眠及び食事の禁止,24時間無休の尋問等の非人道的な取り扱いがなされていること,司法機関が行政機関から独立しておらず,政治的な裁判の場合,審理は刑務所の敷地内にある裁判室で行われるので公開されないこと,多くの国民,とりわけ政治的に活動的な人物のプライバシー,家族,住居又は通信へのし意的な干渉が行われていること,緊急事態法,非合法組織法,印刷出版登録法及びその改正法,1985年ビデオ法など反政府活動家に対する迫害を可能とする法令が存在し,実際に運用されていることなど,基本的人権の抑圧がされている状況にある。
エ 原告の難民該当性
(ア) 原告の活動等
原告は,本邦において,平成9年以降,シュエモーゴン,シュエヂョーヂャー及びネートゥーレインという雑誌の編集・発行等に関与し,反政府的な記事を執筆したり,反政府活動家等から寄せられた記事や作品,広告等を掲載したりして,本邦内の25か所程度のミャンマー関係の店舗で販売するほか,本邦外の反政府組織に送付するなどした。
また,原告は,現在もミャンマー国境付近で積極的に活動を継続しており,難民認定を受けているLや,昭和63年当時日本で在日ビルマ人協会(BAIJ)を立ち上げた1人であり,早くから難民認定を受けていたMらとともに上記の雑誌の編集・発行活動を行ってきたのであり,Lらと異なって安全であるとは到底考えられない。そして,原告は,Lとともに,アウンサンスーチーの写真が掲載されたカレンダーを印刷し,原告が印刷したことをカレンダーに記載している。
さらに,原告は,在日ミャンマー人が海外で庇護を受けている著名なミャンマー人活動家を招いて講演会をするなどの活動にも従事しており,かかる活動家が来日した際には,国会議員のところや外務省など様々なところに出かけていってロビー活動をする等の行動にも参加している。
(イ) 評価
原告の主要な活動は,本邦で行われた雑誌を中心とした執筆及び編集活動並びに講演会活動であって,これまで難民申請がされてきた多くのタイプのように組織に属した活動家であったり,ミャンマー国内で活動をしたりしたものではない。
しかしながら,難民該当性の判断に当たっては,言論の持つ重み,言論の持つ力に留意すべきである。
すなわち,ミャンマーで,愛の詩にかこつけて,現在の国家元首というべきタンシュエを愚ろうして「権力亡者のタンシュエ」と示しただけで,詩人ソーウェイは2年の禁固刑に処せられたところ,原告は,かかる言論の質以上の反政府的な言論を様々な機会において編集・発行してきたのである。
原告のこれらの活動は,ミャンマーにおいて国家に対する反逆とみなされることは明白であり,このことは,原告の弟であるD(以下「原告弟」という。)が,自ら反政府活動をしたことはないにもかかわらず,平成17年8月に在日ミャンマー大使館で申請した旅券の更新に対して,理由は示されないままいまだにその発給が認められない状態になっていることからもうかがわれる。
以上によれば,原告が抱えている迫害を受けるおそれは客観的にみて十分に合理的なものであり,原告は難民に当たるというべきであるから,本件不認定処分は違法である。
オ ミャンマーにおける旅券発給等の事務について
上記については,確かに,文献等では,厳格に行われているとされているが,実際には,ルーズに行われているものである。すなわち,ミャンマー人が来日するために旅券の発給を申請する際には,招へい状及び日本側に招へい者が存在することを証明する書類等の提出が必要であるところ,実際には,来日に際し,日本に招へい者がおり,招へい状を入手して提出した者はほとんどおらず,また,一切申請を受け付けないとされているブローカーを通じた旅券取得が行われている事実も認められる。
そして,現在の国際難民法では,正規の旅券の発給又はその有効期間の延長の申請が直ちに国籍国の保護を求めるものであるという考え方は非現実的であると批判されている。旅券は,現代社会においては,国籍国を出国し,あるいは庇護を求めた国で生活を送るために必要な手段にすぎない。すなわち,有効な旅券があれば外国で本国政府の保護を受ける際のよりどころとなるが,逆に,有効な旅券を持っている,あるいは更新するからといって,本国の保護を求める意思の表れであるとは必ずしもいえない。
そうすると,正規の旅券発給を受け,正規の出国をしたことが難民性を否定するかのような被告の主張は,日本の実務でも,国際的な難民法実務でも,明確に否定されているのであり,被告の主張は誤りである。
(被告の主張の要旨)
ア 「難民」の定義
(ア) 入管法2条3号の2は,難民の定義として,難民条約1条又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいう旨定めるところ,これらの各規定によれば,入管法に定める難民とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及び常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいう。そして,ここにいう「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧をいい,また,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖を有する」というためには,申請者が,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解するべきである。
ここで,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖」とは,単に迫害を受けるおそれがあるという抽象的な可能性があるだけでは足りず,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような個別,具体的な事情が存することが必要である。
原告は,政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがある旨を主張するところ,現在のミャンマーにおいて,政治的意見を理由に迫害を受けるという個別,具体的な事情が認められるためには,単にその者が何らかの反政府活動を行っているというのみでは足らず,その者の反政府活動の内容やそれを行った人物の経歴等からして,当該者がミャンマー政府をして迫害を企図させるほどの政治的意見を有する者であることが必要である。そして,その者の有する政治的意見がミャンマー政府をして迫害を企図させるであろうと考えられる程度に達しているかの判断に当たっては,現に行われた反政府活動の内容に加え,当該活動を行った者の反政府活動家としての知名度や他の反政府活動家への影響力等を総合して評価すべきものである。また,迫害のおそれの有無を判断するに当たっては,ミャンマー政府が反政府活動家としての当該者に対してどの程度の関心を抱いているかが重要な指標となり,その関心の度合いは,逮捕状発付の有無,自己名義旅券の発給や更新の有無,当該旅券を用いての出国許可の有無,出国後の本国家族に対する対応等,ミャンマー政府の行う様々な措置から間接的に推認されるというべきである。
(イ) 原告の活動について
原告は,自らの難民該当性を基礎付ける事情として,①平成3年に来日後,平成9年からシュエモーゴン等の雑誌数誌の編集に関与したほか,原告自身ペンネームを用いて執筆することもあったことや,②在日ミャンマー人が著名なミャンマー人活動家を海外から招いて講演会をするなどの活動にも従事しており,かかる活動家が来日した際にはロビー活動等の行動にも一緒に参加していること等を挙げる。
しかしながら,原告が関係したとするシュエモーゴン,シュエヂョーヂャー及びネートゥーレインに掲載された記事の内容は,ミャンマー政府を批判したものはほとんどない上,出版部数も少なく,支援団体の者からも反政府活動とは認められない旨評価されているのであるから,原告がペンネームを用いて執筆していたことも考慮すると,これを理由にミャンマー政府が原告を危険視し,迫害するおそれがあるとはいえない。
また,原告が従事したとする講演会活動についても,当該講演会には代表者もおらず,明確な組織としての実体がないこと,原告は常時設置されているわけではない実行委員の1人に過ぎず,主導的な役割を果たしていたわけではないこと,原告の関与は,現金の管理や観光地への同行など,政治的思想や傾向が表出されるものではないこと,講演会の回数も多くないことからすると,ミャンマー政府が,講演会活動への参加を理由に原告を反政府活動家であると殊更に危険視し,迫害の対象にするとは解されない。
原告は,ミャンマーにおいて政治活動を行ったことは全くなく,著名な反政府団体の指導者という立場にもない上,原告が主張する本邦での活動を考慮しても,主として出版活動にとどまり,その出版された雑誌等の記事の内容も客観的にミャンマー政府を批判する内容のものはほとんど存在しないこと等からすると,このような活動を理由にミャンマー政府が原告を迫害するおそれがあると認めることはできない。
(ウ) 原告の難民該当性を否定すべき事情について
a そもそもミャンマーにおいては,反政府活動家に対する旅券発給審査は相当厳格に行われており,ミャンマー政府が積極的な反政府活動家あるいは民主化運動家として把握している人物に対して旅券が発給されるとは考え難いところ,原告は,本人名義旅券を用いて正規の手続で本国を出国し,本邦入国後も,在日ミャンマー大使館において,旅券の更新手続をしているのであるから,反政府活動に深く関与している者ではないとミャンマー政府が考えていたと強く推認できる。
本件では,原告が,ミャンマー政府から旅券の発給を受け,正規の手続で出国し,旅券の有効期間を更新できたことからすると,元々ミャンマー政府は,原告を積極的な反政府活動家や民主化運動家として把握したり,関心を抱いたりしていなかったことは明らかである。
b また,ミャンマー政府による迫害のおそれを感じている者であれば,出国先において速やかに難民としての庇護を求めるか,あるいは難民として保護を求めるための手段を尽くすのが通常である。
しかるに,原告は,来日から約12年2か月が経過し,ミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあることを基礎づける具体的事実であると主張するシュエモーゴン発刊から7年が経過した平成16年まで,難民認定申請をしていない。この点,原告は,難民認定申請手続について知ったのが平成16年であると供述するが,平成12年2月に原告が執筆したとされる記事には,法令改正のために多くの外国人が帰国準備をしている旨の記載があること等からすると,平成16年以前から本邦の入国管理制度に対する関心を持ち本邦において難民認定申請をすることが可能なことを承知していたこと等がうかがわれるから,上記の供述は信用することができない。
c さらに,原告は,本邦に入国して約1か月後の平成4年1月14日から,東京都内所在の日建産業株式会社で稼働し,22万円から23万円程の月収を得て,月5万円から6万円をミャンマーに住む家族に送金しており,その総額は少なくとも700万円から800万円というミャンマーでは200年分以上の年収に相当する額にも及び,原告の妻(以下「原告妻」という。)は,前記送金により,ミャンマーにおいてマンションを購入するなどしているのであって,原告の入国目的が不法就労により多額の金員を稼ぐものであったことは明らかである。
(2) 争点(2)(本件在特不許可処分の効力)について
(原告の主張の要旨)
争点(1)で述べたとおり,原告には難民該当性が認められるから,原告が難民でないことを前提とした本件不許可処分は,無効である。
(被告の主張の要旨)
ア 平成16年法律第73号附則6条の規定により本件難民認定申請につき適用される入管法61条の2の2第2項は,入管法50条1項の場合と同様の在留特別許可の要件につき,「在留を特別に許可すべき事情がある(中略)と認めるとき」と規定するのみで,何ら具体的に規定しておらず,在留期間の更新に関する入管法21条3項が「相当性」の要件を定めていることと比較しても,極めて広範な裁量を認めたものというべきである。
また,入管法61条の2の2第2項は,「在留を特別に許可することができる」と規定しており,同条に基づく在留特別許可については,法務大臣又は入管法69条の2により法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長(以下,法務大臣と入国管理局長を併せて「法務大臣等」という。)に,許可するか否かという効果についても裁量を認めている。
これらの事情に照らせば,法務大臣等の入管法61条の2の2第2項に基づく在留特別許可の許否に関する裁量の範囲は,入管法50条1項の在留特別許可の場合と同様に,在留期間更新の許否に関する裁量の範囲よりも質的に格段に広範なものであることは明らかであり,在留特別許可を付与しないという法務大臣等の判断が裁量権の逸脱濫用に当たるとして違法とされるのは極めて例外的な場合に限られるのであって,法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど,在留特別許可の制度を設けた法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情がある場合に限られるというべきである。
イ そして,行政処分が無効であるというためには,当該処分に重大かつ明白な瑕疵が存在しなければならず,その瑕疵が明白であるか否かは,処分の外形上,客観的に瑕疵が一見して看取し得るか否かにより決せられるべきものである(最高裁判所昭和31年7月18日大法廷判決等参照)。
ウ 本件不許可処分については,原告が難民とは認められず,本国へ送還されてもその主張に係る危険がないことは争点(1)で述べたとおりであり,本件全証拠を検討しても他に原告に在留を特別に認めるべき積極的な理由は見当たらないから,処分の外形上,客観的に瑕疵が一見して看取し得る場合に該当するとはいえないことは明らかである。
(3) 争点(3)(本件裁決の適法性)について
(被告の主張の要旨)
ア 原告は,本邦に不法に残留する者であり,入管法24条4号ロ所定の退去強制事由に該当するのであって,原告が法律上当然に退去強制されるべき外国人に該当することは明らかであるから,本件裁決は適法である。
イ これに対して,原告は,自己が難民に該当することを前提として,本件裁決が違法である旨主張する。
しかしながら,平成16年法律第73号による難民認定手続についての改正部分は平成17年5月16日から施行されているところ,この施行後に難民認定申請を行った在留資格未取得外国人については,入管法61条の2の2により,難民認定手続の中でその在留の許否の判断も行うとされたことから(なお,上記法律附則6条の規定により,本件難民認定申請及び本件在特不許可処分は,上記の改正後の手続におけるものに当たるとされる。),かかる場合に,法務大臣等が退去強制手続の中で入管法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決を行う際には,入管法50条1項の適用はなく,法務大臣等は,専ら申立人が退去強制対象者に該当するかどうかに係る特別審理官の判定に対する異議の申出に理由があるか否かのみを判断するものであるから,難民認定申請者が難民であると認められたとしても,このことは,上記異議の申出に対する裁決の違法事由とはならない。
(原告の主張の要旨)
争点(1)で述べたとおり,原告には難民該当性が認められるから,本件裁決は違法であり,取消しを免れない。
(4) 争点(4)(本件退令発付処分の適法性)について
(被告の主張の要旨)
退去強制手続において,法務大臣等から「異議の申出は理由がない」との裁決をした旨の通知を受けた場合,主任審査官は,速やかに退去強制令書を発付しなければならないのであって(入管法49条6項),退去強制令書を発付するについて裁量の余地は全くない。
したがって,争点(3)記載のとおり,本件裁決が適法である以上,本件退令発付処分も当然に適法である。
(原告の主張の要旨)
争点(1)に述べたとおり,原告が難民でないことを前提とした本件裁決は違法であり,本件退令を発付すべきではなかったにもかかわらずになされた本件退令発付処分は違法であって,取り消されるべきである。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
前記第2・1記載の前提となる事実に加え,括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認定することができる。
(1) ミャンマー国内の情勢について
ア ミャンマーは,昭和23年に独立したところ,昭和37年にネウィンがクーデターにより全権を掌握し,独自の社会主義思想に基づいて国軍の指導の下にビルマ社会主義計画党により一党支配したが,極端な経済不振に陥った。
その後,昭和63年3月ころから学生等による抵抗運動が開始され,同年8月後半から9月前半ころにかけて民主化闘争へと発展したが,同月18日,SLORCによる軍事政権の成立が宣言された。
SLORCは,平成元年7月20日,民主化運動において指導的立場にあったアウンサンスーチーを国家破壊分子法違反で自宅軟禁とし,政治活動を禁止した。
イ 平成2年5月27日に施行されたミャンマーの総選挙において,NLDが485議席中392議席を獲得して勝利したが,SLORCは,民政移管のためには堅固な憲法が必要であるとして,NLDへの政権委譲を拒否した。
ウ 平成15年5月30日,ミャンマー北部を遊説中であったアウンサンスーチー及びその支持者が襲撃されるという事件(ディペイン事件)が発生し,アウンサンスーチーやNLDの幹部が身柄を拘束された。
エ アメリカなど,軍事政権による人権制限に抗議し,厳しい経済制裁を続けている国があるほか,国際連合においても,平成15年12月1日,総会でディペイン事件とその後も継続する人権侵害に強い懸念が示された。
オ 詩人であるソー・ウェイは,平成20年1月に週刊誌「愛」に掲載された詩の一節について,その8行それぞれの冒頭を順に読むと,「権力亡者のタンシュエ」となるため,犯罪行為であるとして禁錮2年の刑の宣告を受けた旨報道された(甲74)。
(2) 原告及び原告の家族に関する状況
ア 原告は,昭和34年○月○日にヤンゴン市で出生したミャンマー国籍を有する男性である。
原告は,昭和54年から,大学に進学する傍ら,ボータタウン地区評議会で公務員として働き始め,事務の仕事をしていたが,昭和59年に,公務員を辞めて,父の経営の下にタクシー運転手になった(甲25,乙A3,乙A18,乙A19,乙A27)。
イ 原告は,昭和57年に原告妻と婚姻した。現在,本邦に原告弟及び原告の長男(以下「原告長男」という。)が在留するほか,ミャンマーに原告の母(以下「原告母」という。),原告妻及び原告の次男(以下「原告次男」という。)が暮らしている。なお,原告の父は既に死亡している(乙A3,乙A17ないし乙A19,乙A27,乙A31ないし乙A35,原告本人)。
ウ 原告は,ミャンマーにいる間は特に政治に深くかかわることはなかった。平成2年に施行された総選挙では,NLDの候補者であるマウンマウンチョーを応援し,同人は当選したが,後に逮捕され,経済も停滞していた。マウンマウンチョーの逮捕の理由は不明であり,原告は,総選挙後も政権に居座るミャンマー政府の姿を見て,今後も変わることはないと考え,ミャンマーの政治と生活に嫌気がさしたことから,出国の決意をした(甲25,乙A3,乙A18,乙A19,乙A24,乙A27,原告本人)。
原告は,原告弟が本邦に在留していたことに加え,原告の父の弟が遺骨収集をしている日本人元兵士の遺族の通訳をしていたことから,そのつながりで,日本人から観光目的での招へい状を入手し,平成3年10月に正規の旅券を取得して,同年12月12日,短期滞在の在留資格で本邦に入国した(甲25,乙A3,乙A18,乙A19,乙A24,乙A27,原告本人)。
そして,原告は,平成4年1月14日から東京都内にある日建産業株式会社で就労を始め,22万円から23万円の月収を得て,平成17年7月までの間に,ミャンマーの家族に少なくとも700万円から800万円の送金をした(乙A3,乙A8,乙A18,乙A19,乙A24,乙A29)。
その後,原告妻も平成5年に本邦に入国したところ,原告妻の旅券の有効期間が3年だったことや,仮に自らにつき不法残留により退去強制手続がとられたような場合にはスムーズに帰国できるようにと考えたことから,原告は,平成8年までは在日ミャンマー大使館で正規に旅券の更新手続をとっていた(甲A25,乙A3,乙A18,乙A19,乙A27,原告本人)。
原告妻は,その後不法残留の状態になったが,ミャンマーに残してきた子どもの面倒を見るため,平成14年に入国管理局に出頭して不法残留につき申告し,退去強制手続においていわゆる自費出国をして帰国した(乙A3,乙A27,原告本人)。
その後,原告妻は,原告からの送金でヤンゴン市内にマンションを購入するなどした(乙A19)。
(3) 原告の活動について
ア シュエモーゴンに関して(甲25ないし甲31,甲70,乙A3,乙A8,乙A10,乙A18,乙A20,乙A24ないし乙A27,原告本人)
(ア) シュエモーゴンは,Lが資金面での負担をして,平成9年3月に創刊されたものであり,平成12年に一時休刊されることとなったものの,平成14年に復刊されて3号が発行され,40号近くまで発行された後に廃刊となった。発行部数は500部ないし1000部程度であり,本邦内の25か所程度のミャンマー関係の雑貨店で販売された。原告は,LやMとともにその編集等に関与した。
この雑誌は,政治的な雑誌ではなかったが,一部ミャンマー政府を批判する記事を掲載した。
(イ) 原告は,EやE1といったペンネームで,シュエモーゴンに記事を執筆した。以下は,原告が執筆した記事である。
a 平成11年1月号には,都会で夜警をしていたFが,村長であった伯父の力で村の学校の先生になり,愛国心を高めるためとして自分の知っているミャンマーの歴史を教えたが,学校はしばしば休みになり,村の長老等を学校に招いた機会に生徒に「チャンのつく英雄」の名前を尋ねたところ,生徒は,ミャンマーの英雄ではなく,中国のビデオドラマのヒーローの名前を答えたという同月付けの記事が掲載されている(甲26)。
b 平成11年6月号には,北海道で使われていた蒸気機関車が,昭和16年10月以降マレー半島で軍事利用され,昭和20年以降30年間はタイ国内で使われていたが,本邦の民営鉄道で利用するために昭和54年に本邦に戻され,その後平成11年まで20年近く走り続け,同年1月及び2月に記念乗車が行われるという同年1月付けの記事(甲27)や,日本国内のニュースを紹介する記事(甲28)が掲載されている。
なお,上記の蒸気機関車に関する記事の末尾近くに,蒸気機関車を擬人化した上でその感慨として,「ビルマが不当な軍,不当な制度と無縁になり,多くの国民からの貢献によって,平和な新しい社会を築き上げられますように」との記載がある。
c その他にも,シュエモーゴンには,昭和55年ころからある監督が率いるミャンマー球技チームの一つが来日して日本のチームに負け,その後2025年5月に,前記監督の息子が率いたチームも日本のチームに負けたが,父親である前記監督が事実をきちんと伝えず,失敗の原因を探ろうとしなかったため,息子も同じ失敗をしたとする平成11年8月号の記事(甲29。なお,同号には,日本国内のニュースを紹介する記事も掲載されている。(甲70))や,帰国予定のミャンマー人が家賃や電話代の清算をしないままにする例があることを批判する平成12年2月号の記事(甲30),ミャンマー人一家に在留特別許可が出されなかった点につき,日本が第二次世界大戦中にミャンマーで行ったことを考えれば過去の借金の一部を返すだけと考えて在留特別許可を与えるべきとする平成12年4月号の記事(甲31)などが掲載されている。
(ウ) なお,原告は,本人尋問中で,シュエモーゴンには著名な者から寄稿された記事を記載していた旨の供述をするが,原告が本人尋問中で述べるG,Hなどから寄せられた記事については,それらが掲載されたことを客観的に裏付ける証拠は提出されていない。
イ シュエヂョーヂャーに関して(甲25,甲32ないし甲64,甲71ないし甲76,乙A8,乙A10,乙A17,乙A18,乙A20,乙A24,乙A25,乙A27,原告本人)
(ア) シュエヂョーヂャーは,原告が資金面での負担をして,平成13年4月に創刊されたものであり,7号まで発行されたが,平成14年1月か2月ころに廃刊となった。発行部数は,第1号が1000部,他の号は500部であり,本邦内のミャンマー関係の雑貨店等で販売されたほか,本邦外のミャンマー関係者に送付されるなどした。
原告は,シュエヂョーヂャーに,発行者あるいは編集グループの1人として実名やペンネームを掲載したり,連絡先としての自分の職場の所在地,自分の携帯電話の番号又は口座番号等を掲載したりした(甲34ないし甲36,甲39,甲44,甲53,甲58,甲63)。
この雑誌も,シュエモーゴンと同様に政治的な雑誌ではなかったが,一部ミャンマー政府を批判する記事を掲載した。
(イ) 原告自身がペンネーム又は匿名でシュエヂョーヂャーに執筆したものとしては,ミャンマーから来日した仏教僧の活動について述べた平成13年7月号の記事(甲41)のほか,自問自答と題する記事欄や本邦に在留するミャンマー人に関係のある本邦内のニュースがある(甲50,甲54,甲55,甲60,甲61,乙A20)。
(ウ) また,シュエヂョーヂャーには,L,N,O,Pなどから寄せられた詩,漫画,芝居の台本等が掲載されていた(甲32,甲37,甲40,甲42,甲45ないし甲48,甲59,甲72,甲75,甲76,乙A20,乙A24,原告本人)。
このうち,Oの詩の中には,自由を勝ち取る戦いの終わりと平和を希求する内容と解釈することができるような詩もある。
また,Pの漫画は,家に自動車の鍵を忘れた人が,家の中にいる家族に向かって自動車の鍵がありそうな場所を教えるが,停電しているために見つけられないというものである。
(エ) さらに,シュエヂョーヂャーには,ミャンマー政府が発禁処分にした図書も集めているアハラ図書館や,反政府活動家を支援していたQを連絡先とする翻訳,旅行等についての業務の広告も掲載されていた(甲38,甲43,甲51,甲52,甲56,甲57,甲64,甲71,乙A27,原告本人,弁論の全趣旨)。
ウ ネートゥーレインに関して(甲25,甲65ないし甲67,乙A8,乙A18,乙A20,乙A24,原告本人)
ネートゥーレインは,Lが資金面での負担をして,平成15年7月ころに創刊されたもので,Lが編集及び発行等を行い,原告も編集等に関与した。4号ないし5号程度が発行されたが,同年中に廃刊となった。各号の発行部数は300部ないし500部程度であり,本邦内のミャンマー関係の雑貨店で販売された。
このうち,平成15年7月ないし8月ころ発行されたものには,原告がペンネームで東京都知事の外国人に関する発言を紹介した記事(甲66)や,ディペイン事件に関するシンポジウムの様子についての記事(甲67)が掲載されており,この記事中の写真には原告も写っている。
エ 講演会活動に関して(甲25,乙A3,乙A10,乙A18,乙A20,乙A24,乙A27,原告本人)
原告は,平成13年以降,複数の在日ミャンマー人が協力して企画し実行した,海外で作家活動や反政府活動を行うミャンマー人を招いて講演会を行う活動に従事し,その実行委員の1人となった。原告は,平成16年8月に本件難民認定申請をするまでの間に上記のような講演会の開催に3回関与し,その後,平成19年5月に本件不認定処分がされるまでの間に4回関与している。平成13年には10人ほどであった上記の活動の実行委員は,平成15年以降は70人くらいまで増えている。各講演会の出席者は,200人ないし300人程度であった。
原告が,上記の活動に従事するようになってから,N,R,Sなどが招かれた。
このうち,平成17年11月27日に開催されたN等を招いての講演会の際には,その広告に他の者とともに原告の実名と携帯電話の番号が記載され,原告が国内で招待者を案内し,平成18年7月30日に開催されたSを招いての講演会の際には,原告は,招待者の世話役として自宅を宿所として提供する等の役割を果たし,同年12月17日に開催されたTを招いての講演会の際の広告にも原告の実名と携帯電話の番号が記載された。招待者が後に公表した記事において,原告が実名で触れられることもあった。
オ その他の活動に関して
原告は,難民認定手続において,在日ビルマ少数民族協議会(AUN)の発行した雑誌に政治関係のエッセイを一編執筆した旨述べており,パンロンという雑誌には,原告のペンネームであるE2により書かれた記事が掲載されている。この記事は,一方でミャンマー政府が政権委譲を拒否し,アウンサンスーチーを軟禁しているといった政治の問題のほか,経済,教育及び医療の分野でも問題があることを指摘しながら,一方ではミャンマー内外の民主化活動を行う者が,軍事政権が敵であることを知りながら,自分たちの権利ばかりを要求し,ミャンマーの民主化ができないという失敗をしないように団結しようという戒めを,歴史上の話に絡めたものである(甲68,乙A20,乙A24,乙A27)。
また,原告は,本件難民認定申請をした後の年である平成17年につきNLD関係の本邦内の組織によるものとして,アウンサンスーチーの写真等を掲載したカレンダーの発行等に関与して,他の者とともにその実名が掲載され,平成18年以降についても,Lとともに同様の写真等を掲載したカレンダーの発行等に関与している(甲77,乙24,原告本人)。
(4) 原告の家族の本邦への出入国及び在留状況
ア 原告弟の状況
(ア) 原告弟は,平成2年5月11日,タイのバンコクからタイ国際航空640便により新東京国際空港(現在の成田国際空港)に到着し,入管法(平成元年法律第79号による改正前のもの)4条1項4号に規定する在留資格で在留期間を15日とする上陸許可を受けて上陸したが,その在留期間の末日である同年5月26日を超えて本邦に在留した(乙A31ないし乙A34)。
(イ) 原告弟は,平成16年11月22日,日本人の実子でありいわゆる日系2世ブラジル人のIと結婚宣誓書を作成し,同日,原告は,前記結婚宣誓書の証人欄に実名で署名をした(乙A34,乙A35)。
(ウ) 原告弟は,平成16年12月24日,東京入管に出頭して不法残留につき申告し,違反調査が開始された。その後,原告弟については在留資格を「定住者」とし,在留期間を「1年」とする在留特別許可がなされた。
その後,原告弟の妻が永住許可を受けたことから,平成19年3月5日,原告弟も,その在留資格につき「定住者」から「永住者の配偶者」への変更を受け,在留期間は「3年」とされた。
(以上,(ウ)につき乙A31,乙A32)。
(エ) 原告弟は,平成17年8月11日,旅券の有効期間が満了するため,在日ミャンマー大使館に旅券の更新の申請に行ったところ,同大使館の職員は旅券を受け取ったものの,現在に至るまで新しい旅券の交付はなされていない(甲78,原告本人)。
イ 原告妻の状況
既に述べたように,原告妻は,平成5年に本邦に入国し,平成14年に帰国した。
ウ 原告母及び原告長男について(乙A27,原告本人)
(ア) 原告母及び原告長男は,平成20年5月,原告弟の呼寄せに応じて,いずれも正規の旅券を取得して,在留資格を「短期滞在」とし,在留期間を「90日」とする上陸許可を受けて本邦に上陸した。
(イ) 原告母は,在留期間内である平成20年7月ころに帰国した。
(ウ) 原告長男は,現在,原告とともに生活している。
(5) 原告の家族のミャンマーにおける生活
現在,ミャンマーには,原告母,原告妻及び原告次男が生活しているが,他の人とは違った特別に不利益な取扱いをされているといった事実はない(原告本人)。
2 争点(1)について
(1) 難民の意義
入管法2条3号の2は,同法における「難民」の意義について,難民条約1条の規定又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうと規定している。したがって,入管法にいう難民とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及び常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいうと解するのが相当である。
そして,上記の「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解するのが相当であり,また,上記にいう「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解される。
本件では,原告は,本邦入国後の事情から,政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあると主張しているため,原告が上記の意義における難民に該当するか否かを検討する。
(2)ア 原告は,軍政を批判する内容の記事や軍政を批判する活動家が寄せる詩などを掲載している雑誌の編集や発行に関与し,自ら記事を執筆すること等もあったから,もし原告が帰国すれば,ミャンマーの権力者であるタンシュエを批判して投獄された詩人ソーウェイと同様に,投獄されるなどの迫害を受けるおそれがある旨主張する。
まず,原告が関与した雑誌のうちシュエモーゴンについては,原告及びその代理人が難民認定手続で内容的に政治的な性格に乏しい旨を認めていたものであり(乙A20,乙A27),原告が重視すべきものとする平成11年1月号及び同年6月号に掲載された記事等も,子どもが自分の国の古い英雄を知らなかったことや蒸気機関車の来歴などが主題とされており,その内容は,ミャンマー政府につき一般的に批判や風刺をする範囲を超えて,特定の政治的意見を直接に表明するものであるとまではいえず,また,原告はペンネームを用いてこれらを執筆したものであって,本件で提出された証拠によっても,それらの執筆者が原告であるとミャンマー政府において直ちに特定することが可能であったとは認め難い。そして,同誌の発行部数は500部ないし1000部程度と必ずしも多くなく,配布先も本邦内のミャンマー関係の雑貨店等に限られていたものである。なお,原告は,本人尋問中で,自分がミャンマー政府との関係で危険な状態にあると思い始めたのはシュエヂョーヂャーをその発行者として発行し始めた平成13年4月からである旨述べている。
次に,シュエヂョーヂャーについては,原告が資金面での負担をして発行されたもので,発行者としての原告の実名等が掲載されており,原告が編集グループの1人として掲載された上でペンネーム又は匿名により執筆した記事が掲載されているが,原告及びその代理人は難民認定手続でやはり内容的に政治的な性格に乏しい旨を認めていたものであり(乙A20,乙A27),原告が執筆した記事は特定の政治的意見等を扱ったものとは認め難い。もっとも,寄稿者の中には,反政府的な意見を表明していた者や,反政府的な活動にいわゆる指導的な立場で関与していた者も含まれていたことがうかがわれるが(乙A20,乙A24,原告本人),この雑誌に掲載されているのは,詩,漫画,芝居の台本などであって,その内容は,一般的な社会の風刺や平和への希望の表明等の範囲を超えて,特定の政治的意見を直接に表明するものとまで評価することはできない。
また,同誌には,ミャンマー政府が規制している図書も含めて扱っている図書館に係るものや反政府活動家の支援者を連絡先とする広告も掲載されているが,それらの内容自体は格別政治的な性格のものではない。そして,同誌の発行部数は,最初の号を除いて500部であり,1年に満たない間に7号を発行して廃刊され,配布先は,一部に本邦外のミャンマー関係者が含まれるものの,基本的に本邦内のミャンマー関係の雑貨店等に限られていたものである。
さらに,ネートゥーレインについては,原告は編集等に関与したにとどまり,ペンネームで執筆した記事は,外国人に関係のある本邦内の出来事についてのニュース報道を超えるものではない。他方,ディペイン事件に関するシンポジウムの様子についての報道記事(甲67)については,議題とされた事件の性質上政治的な事項に触れるものとなっており,原告が被写体となっている写真も掲載されているものの,原告は多数の参加者の1人として写っているにすぎず,記事の内容においても,シンポジウムの経過等を客観的に述べるもので,原告が何らかの中心的役割を果たしている旨伝えるものとは認め難く,原告も,難民認定手続で,同誌について,特に反政府的な記事は載っていない旨述べていたものである(乙A20)。そして,同誌の発行部数は,前記の2つの雑誌よりも更に少ない300部ないし500部程度で,4号ないし5号程度を発行して半年前後で廃刊され,配布先は,本邦内のミャンマー関係の雑貨店等に限られていたものである。
これらに加えて,パンロンについては,その記事の内容はミャンマー政府に対する批判を含むものであるが,そればかりではなく民主化活動家の抱える問題も指摘する記事であり,特定の政治的意見を直接に表明するものとまで評価することはできない上,この記事はペンネームで書かれたものであり,本件で提出された証拠によっても,それらの執筆者が原告であるとミャンマー政府において直ちに特定することが可能であったとは認め難い。その上,この雑誌の発行期間,発行部数,配布先は必ずしも明らかではなく,これらの雑誌が政治的に大きな影響を与えるようなものであるとの事情をうかがわせる証拠は見当たらない。
そうすると,原告が前記のとおり雑誌の編集,発行,執筆等の活動をしたことについては,これらの雑誌に係る活動に他に難民として認定された者等が関与していたとしても(甲79,乙A24,原告本人),原告はミャンマーでは政治的活動を行っていなかったことを自認していることも考慮すると,前記のような活動をもって,ミャンマー政府において原告につき反政府的な活動を行っており取締り等をすべき者として関心を寄せるであろうとまでは直ちには認め難く,ミャンマー政府から迫害されるおそれがあるとみるに足りる客観的事情があるとまではいえない。
イ また,原告は,海外のミャンマー人反政府活動家を招いて行う講演会活動に従事し,かかる活動家のロビー活動にも同行したことなどから,迫害を受けるおそれがある旨主張する。
確かに,原告は,平成13年以降,海外で作家活動や反政府活動を行うミャンマー人を招いての講演会の開催に実行委員の1人として関与し,その広告に原告の実名が掲載されたり,招待者が後に公表した記事において原告につき実名で触れられたりすることもあったこと等から,ミャンマー政府側も原告の活動を一定の程度で認識している可能性があることは否定することができない。
しかしながら,実行委員として講演会活動に従事している者は相当数おり,それらの者が協議し適宜役割分担をして手続等を進め,格別代表というべき立場の者は存在しなかったというのである(原告本人)。原告は,こうした実行委員のうちの1人であって,その者らの中で指導的な役割を果たしていたことをうかがわせる証拠は見当たらない。
また,原告が,講演会において担当する役割によっては,来日した招待者に同行していわゆるロビー活動に関与することもあったものと認められるが(甲25,原告本人),原告のこうした活動に関し,相当数の者の共同での運営に係る限定された時期における講演会及びそれに付随する活動等の一環の域を超えて,原告自身の立場においても特定の政治的意見の表明等に及んでいるような事実までを認定するに足りる証拠はない。
ウ さらに,原告は,本件難民認定申請後の年である平成17年以降について,アウンサンスーチーの写真等を掲載したカレンダーの発行等にも関与しているが,原告の実名については,印刷又は資金提供に当たった者として細文字で記載があるにとどまり(甲77,乙A24,原告本人),また,その発行部数や配布先も必ずしも明らかではなく,この点をもって,ミャンマー政府において原告につき反政府的な活動を行っており取締り等をすべき者として関心を寄せるであろうとまでは直ちには認め難い。
そして,他に,原告が行っているとする本邦外の団体等との情報交換や本邦でのデモへの参加等に係る証拠(乙A3,乙A17,乙A18,乙A20,乙A27)を考慮しても,原告について,政治的意見を理由にミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあると認めるに足りる客観的な事情の存在を肯認することはできない。
エ これに対して,原告は,原告弟が平成17年に更新の申請をした新たな旅券の発給を受けられないことについて原告の反政府活動以外に理由が考えられない旨の主張をする。
しかしながら,原告弟の招きによって平成20年に来日した原告母及び原告長男については,ミャンマー政府によって正規の旅券の発給や出国等の手続が何ら支障なく行われていること,原告母,原告妻及び原告次男は,現在もミャンマーで生活しているところ,これらの者はミャンマー国内において特段不利益に扱われていないこと等に照らすと,原告の上記の主張はにわかには採用し難いというべきである。
(3) これらに加えて,原告は,本件難民認定申請に至るまで,何らかの庇護を求める手続をとったり,自らの身の安全を図るような手段を講じた形跡がない。
この点,原告は,平成16年6月に同居していたJが不法残留の容疑で検挙されたのに伴いその机を整理しているときにミャンマー語で記載された難民認定申請に係る資料を発見するまで,難民認定申請のことをよく知らなかった旨の供述等をする(乙A3,乙A18,乙A27,原告本人)。
しかしながら,証拠(乙A19,乙A27,原告本人)によれば,原告は,平成14年ころには,外国人の支援団体に属するKという人物に相談に行き,出版活動くらいでは難民として認められない旨言われたので難民認定申請を行わなかったと認められ,難民認定申請手続についてある程度の知識はあったことが推認され,原告の上記の供述等の信用性については,十分慎重に吟味する必要があると考えられる。また,このような事情のほか,原告が平成9年3月にシュエモーゴンの発行等への関与を開始し,自ら発行に当たり実名も記載したシュエヂョーヂャーを創刊した平成13年9月以降であり平成16年8月に本件難民認定申請をした後の同年11月22日に,ミャンマーの国内法において公的な書面として扱われると推認される原告弟の結婚証明書に実名でサインしていることに照らすと,原告が主観的に迫害のおそれを感じていたのかについても,疑問を差し挟む余地が残るというべきである。
(4) 以上によれば,原告については,政治的意見を理由にミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあるとまで認めるに足りる客観的な事情を直ちに認めることができず,主観的に迫害を受けるおそれを感じているかどうかについても疑問が残るから,原告が,「政治的な意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」と認めることはできず,「難民」に該当するということはできない。
よって,本件不認定処分が違法であるとはいえない。
3 争点(2)(本件在特不許可処分の効力)について
(1) 前記第3・2において説示したとおり,原告は難民には該当せず,本件不認定処分は違法であるとはいえないところ,難民の認定をしない処分をするときに検討される法61条の2の2第2項の在留特別許可については,在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否かを審査し,当該事情があると認めるときに在留特別許可をすることができることとされているほかは,その許否の判断の要件ないし基準とすべき事項は定められていないことに加えて,在留資格未取得外国人は,入管法24条各号の退去強制事由に該当する者であること,一般に,外国人の出入国の管理及び在留の規制は,国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持を目的として行われるものであって,このような国益の保持の判断については,広く情報を収集し,その分析の上に立って時宜に応じた的確な判断を行うことが必要であり,高度な政治的判断を要求される場合もあり得ることなどを勘案すれば,入管法61条の2の2第2項に基づく在留特別許可をすべきか否かの判断は,法務大臣等の広範な裁量にゆだねられていると解すべきである。
もっとも,その裁量権の内容は全く無制約のものではなく,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により判断が全く事実の基礎を欠く場合や,事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には,法務大臣等の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法になることがあるものと解される。
(2) 本件では,原告は,「政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」旨主張するが,原告がかかる場合に該当しないことは前記説示のとおりであり,他に,本件不認定処分について,その基礎とされた重要な事実に誤認があることにより判断が全く事実の基礎を欠くとか,事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるといった事情があることを認めるに足りる証拠はない。
よって,本件不認定処分は,そもそも違法であるとはいえないから,これが無効であるともいえない。
4 争点(3)(本件裁決の適法性)について
(1) 前記第3・1において認定した事実によれば,原告は,在留期間を経過して本邦に残留する者であって,入管法24条4号ロ所定の退去強制事由に該当することは明らかであるし,入管法24条の3の各号の定めに該当すると認めるに足りる証拠ないし事情はなく,同条の出国命令対象者に該当しないと認めるのが相当である。そして,本件裁決については,入管法50条1項の適用はないから(入管法61条の2の6第4項,平成16年法律第73号附則6条),本件裁決が違法であるとはいえない。
(2) なお,原告は,自らが難民に該当することを前提に本件裁決が違法である旨主張するが,その前提を採り得ないことは前記第3・2において説示したとおりである。
(3) よって,本件裁決が違法であるとはいえない。
5 争点(4)(本件退令発付処分の適法性)について
退去強制手続において,法務大臣等から異議の申出に理由がない旨の裁決をした旨の通知を受けた主任審査官は,速やかに退去強制令書を発付しなければならないのであって(法49条6項参照),このことについて全く裁量の余地はないから,前記説示のとおり,本件裁決等が違法であるとはいえない本件においては,本件処分もまた違法であるとはいえない。
第4 以上によれば,原告の請求にはいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 八木一洋 裁判官 中島朋宏 裁判官 藤井秀樹)
別紙
代理人目録
1 原告訴訟代理人弁護士 渡邉彰悟 高橋融 梓澤和幸 板倉由実 伊藤敬史 井村華子 岩重佳治 打越さく良 大川秀史 近藤博徳 笹川麻利恵 猿田佐世 島薗佐紀 白鳥玲子 鈴木眞 鈴木雅子 曽我裕介 高橋太郎 高橋ひろみ 田島浩 濱野泰嘉 原啓一郎 樋渡俊一 福地直樹 本田麻奈弥 水内麻起子 村上一也 毛受久 山﨑健 山口元一
2 被告指定代理人 折原崇文 吉川信幸 壽茂 小田切弘明 権田佳子 幸英男 髙﨑純 髙橋一弘 鈴木功祐
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政治と選挙の裁判例「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧
(1)平成22年11月30日 金沢地裁 平21(行ウ)3号 公金支出差止請求事件
(2)平成22年11月19日 盛岡地裁 平18(行ウ)11号 政務調査費返還請求事件
(3)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)16号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(4)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)15号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(5)平成22年11月12日 東京地裁 平21(行ウ)126号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(6)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(7)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)251号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(8)平成22年11月 2日 東京高裁 平22(行ケ)14号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(9)平成22年10月29日 東京地裁 平19(ワ)31252号 損害賠償等請求事件
(10)平成22年10月29日 東京地裁 平19(行ウ)472号・平19(行ウ)493号・平19(行ウ)494号・平19(行ウ)495号・平19(行ウ)496号・平19(行ウ)497号・平19(行ウ)498号・平19(行ウ)715号・平19(行ウ)785号・平20(行ウ)55号・平20(行ウ)132号・平20(行ウ)133号・平20(行ウ)404号・平20(行ウ)405号・平20(行ウ)406号・平20(行ウ)407号・平20(行ウ)408号・平20(行ウ)686号・平20(行ウ)756号・平21(行ウ)367号・平18(行ウ)472号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分取消請求事件
(11)平成22年10月28日 東京地裁 平19(ワ)31393号 損害賠償請求事件
(12)平成22年10月27日 仙台高裁 平21(行コ)28号 違法公金支出による損害賠償履行請求控訴事件
(13)平成22年10月22日 東京高裁 平22(行ス)76号
(14)平成22年10月 1日 東京地裁 平21(行ウ)132号 難民不認定処分取消等請求事件
(15)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(16)平成22年 9月17日 東京地裁 平21(行ウ)226号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(17)平成22年 9月14日 最高裁第三小法廷 平22(ク)760号・平22(許)24号 仮処分命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する抗告事件
(18)平成22年 7月30日 東京地裁 平21(行ウ)281号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(19)平成22年 7月30日 東京地裁 平20(行ウ)605号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(20)平成22年 6月24日 東京地裁 平21(行ウ)15号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(21)平成22年 6月17日 名古屋高裁 平22(ラ)137号 仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件
(22)平成22年 6月16日 東京地裁 平22(ワ)221号 損害賠償請求事件
(23)平成22年 6月 8日 東京地裁 平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(24)平成22年 5月31日 東京地裁 平20(ワ)16947号 損害賠償請求事件
(25)平成22年 5月20日 東京地裁 平21(行ウ)99号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(26)平成22年 5月13日 東京高裁 平20(う)2470号 国家公務員法違反被告事件
(27)平成22年 4月28日 東京地裁 平20(行ウ)642号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(28)平成22年 4月27日 札幌高裁 平21(行ケ)1号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・札幌高裁・第一審〕
(29)平成22年 4月13日 東京地裁 平20(ワ)34451号 貸金等請求事件
(30)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(31)平成22年 3月30日 大阪高裁 平19(ネ)2853号 損害賠償請求控訴事件
(32)平成22年 3月30日 東京地裁 平21(行ウ)256号 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件
(33)平成22年 3月29日 東京高裁 平18(う)2351号 国家公務員法違反被告事件
(34)平成22年 3月29日 金沢地裁 平19(行ウ)5号 公金違法支出損害賠償請求事件
(35)平成22年 3月26日 熊本地裁 平19(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(36)平成22年 3月25日 岐阜地裁大垣支部 平20(ワ)253号 損害賠償請求事件
(37)平成22年 3月12日 福岡高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
(38)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)36号 選挙無効請求事件
(39)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)35号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(40)平成22年 3月 8日 福岡地裁 平19(行ウ)8号 難民不認定処分取消等請求事件
(41)平成22年 3月 3日 東京地裁 平20(行ウ)412号・平20(行ウ)425号・平20(行ウ)426号・平21(行ウ)79号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(42)平成22年 2月26日 東京地裁 平20(行ウ)486号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(43)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)20号・平21(行ケ)21号・平21(行ケ)22号・平21(行ケ)23号・平21(行ケ)24号・平21(行ケ)25号・平21(行ケ)26号・平21(行ケ)27号 各選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(44)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)19号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(45)平成22年 2月 5日 東京地裁 平20(行ウ)713号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(46)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件
(47)平成22年 1月29日 東京地裁 平20(行ウ)261号・平20(行ウ)273号・平20(行ウ)274号 難民の認定をしない処分取消等請求事件(第1事件・第2事件)、退去強制令書発付処分取消等請求事件(第3事件)
(48)平成22年 1月27日 東京地裁 平20(ワ)14157号 損害賠償等請求事件
(49)平成22年 1月25日 広島高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・広島高裁・第一審〕
(50)平成22年 1月22日 東京地裁 平21(行ウ)82号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(51)平成22年 1月15日 東京地裁 平20(行ウ)626号・平21(行ウ)2号 在留特別許可をしない処分無効確認請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成21年12月28日 大阪高裁 平21(行ケ)2号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・大阪高裁・第一審〕
(53)平成21年12月 4日 東京地裁 平20(ワ)7435号・平20(ワ)26797号 建物収去土地明渡請求事件、建物退去土地明渡請求事件
(54)平成21年11月30日 最高裁第二小法廷 平20(あ)13号 住居侵入被告事件 〔葛飾政党ビラ配布事件・上告審〕
(55)平成21年11月27日 東京地裁 平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(56)平成21年11月26日 東京地裁 平21(行ウ)86号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(57)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)629号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(58)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)436号・平20(行ウ)444号・平20(行ウ)445号・平20(行ウ)446号・平20(行ウ)447号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(59)平成21年10月29日 東京地裁 平18(行ウ)529号・平18(行ウ)564号・平20(行ウ)235号・平20(行ウ)237号 在留を特別に許可しない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(60)平成21年10月28日 京都地裁 平19(ワ)3986号・平20(ワ)797号・平20(ワ)2263号・平20(ワ)3884号・平21(ワ)1575号 損害賠償請求事件
(61)平成21年10月21日 東京地裁 平21(行ウ)61号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(62)平成21年10月 9日 東京地裁 平19(ワ)9718号 損害賠償等請求事件
(63)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)209号 選挙無効請求事件
(64)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)196号 選挙無効請求事件
(65)平成21年 9月29日 東京地裁 平19(行ウ)437号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(66)平成21年 8月28日 東京地裁 平19(行ウ)123号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(67)平成21年 8月27日 東京地裁 平20(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(68)平成21年 8月25日 東京地裁 平20(ワ)16289号 書籍出版等差止請求事件 〔扶桑社教科書差し止め訴訟〕
(69)平成21年 7月22日 東京地裁 平21(ワ)7588号 慰謝料等請求事件
(70)平成21年 7月16日 東京地裁 平20(行ウ)525号 難民不認定処分無効確認請求事件
(71)平成21年 6月30日 東京地裁 平20(行ウ)421号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(72)平成21年 6月25日 東京地裁 平18(ワ)17391号 損害賠償等請求事件
(73)平成21年 6月23日 東京地裁 平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(74)平成21年 6月17日 大阪高裁 平20(行コ)159号 政務調査費返還請求行為請求控訴事件
(75)平成21年 6月12日 東京地裁 平20(ワ)27642号 貸金請求事件
(76)平成21年 5月29日 東京地裁 平20(行ウ)150号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(77)平成21年 5月27日 東京高裁 平20(行コ)333号 不当利得返還(住民訴訟)請求控訴事件
(78)平成21年 5月26日 東京地裁 平21(む)1220号 政治資金規正法被告事件
(79)平成21年 5月25日 大阪地裁 平18(行ウ)128号 懲戒処分取消請求事件 〔国・気象衛星センター(懲戒免職)事件〕
(80)平成21年 5月22日 東京地裁 平19(行ウ)309号・平20(行ウ)518号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(81)平成21年 5月11日 京都地裁 平21(む)843号 証拠開示命令請求事件
(82)平成21年 4月23日 仙台地裁 平19(ワ)1560号 不当解雇損害賠償等請求事件 〔京電工論旨解雇事件〕
(83)平成21年 4月21日 東京地裁 平20(行ウ)142号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(84)平成21年 3月31日 大阪地裁 平19(行ウ)34号・平19(行ウ)63号・平19(行ウ)77号・平20(行ウ)82号 国際放送実施命令取消等請求(甲~丙事件)、国際放送実施要請違法無効確認等請求(丁事件)事件
(85)平成21年 3月27日 東京地裁 平19(行ウ)178号・平20(行ウ)21号・平20(行ウ)146号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(86)平成21年 3月27日 東京地裁 平18(行ウ)520号・平18(行ウ)524号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(87)平成21年 3月26日 東京地裁 平20(行ウ)134号・平20(行ウ)177号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、追加的併合事件
(88)平成21年 3月26日 東京地裁 平19(行ウ)580号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(89)平成21年 3月24日 東京地裁 平19(ワ)23257号 損害賠償請求事件
(90)平成21年 3月23日 名古屋地裁 平18(行ウ)64号 政務調査費返還代位請求事件
(91)平成21年 3月18日 東京地裁 平19(行ウ)305号・平20(行ウ)501号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(92)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(行ウ)497号 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件
(93)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(ワ)26458号・平18(ワ)24160号 謝罪広告等請求事件、損害賠償請求事件 〔特高警察関係資料集成事件〕
(94)平成21年 2月25日 東京地裁 平19(行ウ)325号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成21年 2月25日 東京地裁 平18(行ウ)374号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(96)平成21年 2月16日 東京地裁 平20(ワ)16317号 損害賠償請求事件
(97)平成21年 2月13日 東京地裁 平20(行ウ)144号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(98)平成21年 1月29日 東京地裁 平19(行ウ)741号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(99)平成21年 1月27日 横浜地裁川崎支部 平15(ワ)200号 差止等請求事件
(100)平成21年 1月22日 大津地裁 平19(行ウ)10号 公金支出差止め請求事件
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■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
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■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
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■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
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(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
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