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政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(73)平成21年 6月23日 東京地裁 平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件

政治と選挙Q&A「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例(73)平成21年 6月23日 東京地裁 平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件

裁判年月日  平成21年 6月23日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号
事件名  難民の認定をしない処分取消等請求事件
裁判結果  一部却下、一部棄却  文献番号  2009WLJPCA06238004

要旨
◆ミャンマー連邦国籍の原告夫妻が、それぞれ難民不認定処分及び在特不許可処分を受け、また、原告夫が不法入国、原告妻が不法残留に該当すると認定され、それらに対する異議に理由がない旨の裁決及び退令処分を受けたため、当該不認定処分、裁決及び退令処分の取消し、並びに在特不許可処分の取消し又は無効確認を求めた事案において、原告夫は積極的な反政府活動家として、母国政府から殊更に関心を寄せられ注視されていたとは認め難く、本邦への入国目的も稼働目的だったと推認され、また、原告妻も、積極的な反政府活動家又はシャン民族出身者として、母国政府から殊更に関心を寄せられ注視されていたとは認め難いこと等から、それぞれ難民には該当しない等とした事例

参照条文
出入国管理及び難民認定法24条1号
出入国管理及び難民認定法24条4号ロ
難民の地位に関する条約1条
難民の地位に関する議定書1条

裁判年月日  平成21年 6月23日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号
事件名  難民の認定をしない処分取消等請求事件
裁判結果  一部却下、一部棄却  文献番号  2009WLJPCA06238004

平成20年(行ウ)第163号 難民の認定をしない処分取消等請求事件(第1事件)
平成20年(行ウ)第167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件(第2事件)

東京都新宿区〈以下省略〉
第1事件原告 X1(以下「原告X1」という。)
同所
第2事件原告 X2(以下「原告X2」という。)
原告ら訴訟代理人弁護士 髙橋太郎
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
代表者兼処分行政庁 法務大臣森英介
処分行政庁 東京入国管理局長二階尚人
処分行政庁 東京入国管理局主任審査官小出賢三
指定代理人 中井公哉
同 山内亮
同 権田佳子

 

 

主文

1  本件訴えのうち,東京入国管理局長が平成18年6月30日付けで原告X1に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分及び平成19年3月5日付けで原告X2に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分の取消しを求める訴えをいずれも却下する。
2  原告らのその余の訴えに係る請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
(1)  法務大臣が平成18年6月29日付けで原告X1に対してした難民の認定をしない処分を取り消す。
(2)  東京入国管理局長が平成19年9月19日付けで原告X1に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を取り消す。
(3)  東京入国管理局主任審査官が平成19年9月25日付けで原告X1に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。
(4)  (主位的請求)
ア 東京入国管理局長が平成18年6月30日付けで原告X1に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分を取り消す。
(予備的請求)
イ 東京入国管理局長が平成18年6月30日付けで原告X1に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分が無効であることを確認する。
2  第2事件
(1)  法務大臣が平成19年3月1日付けで原告X2に対してした難民の認定をしない処分を取り消す。
(2)  東京入国管理局長が平成19年9月13日付けで原告X2に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を取り消す。
(3)  東京入国管理局主任審査官が平成19年9月25日付けで原告X2に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。
(4)  (主位的請求)
ア 東京入国管理局長が平成19年3月5日付けで原告X2に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分を取り消す。
(予備的請求)
イ 東京入国管理局長が平成19年3月5日付けで原告X2に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分が無効であることを確認する。
第2  事案の概要
本件は,ミャンマー連邦(同国は,数次にわたり改称しているが,以下,その改称の前後を区別することなく,「ミャンマー」という。)の国籍を有する外国人である原告X1及びその妻である原告X2が,①出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)の規定に基づく難民認定申請をしたところ,法務大臣から難民の認定をしない処分(以下,原告X1に対するものを「本件不認定処分1」,原告X2に対するものを「本件不認定処分2」といい,併せて「本件各不認定処分」という。)を受け,②東京入国管理局長から入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分(以下,原告X1に対するものを「本件在特不許可処分1」,原告X2に対するものを「本件在特不許可処分2」といい,併せて「本件各在特不許可処分」という。)を受けるとともに,③東京入国管理局(以下「東京入管」という。)入国審査官から原告X1が入管法24条1号(不法入国),原告X2が同条4号ロ(不法残留)に該当すること等を理由として,入管法47条3項及び48条8項に基づく退去強制対象者に該当する旨の認定及びこれらに誤りがない旨の判定,入管法49条1項による異議の申出は理由がない旨の裁決(以下,原告X1に対するものを「本件裁決1」,原告X2に対するものを「本件裁決2」といい,併せて「本件各裁決」という。)をそれぞれ受け,④東京入管主任審査官から退去強制令書(以下,原告X1に対するものを「本件退令書1」,原告X2に対するものを「本件退令書2」といい,併せて「本件各退令書」という。)の発付処分(以下,原告X1に対するものを「本件退令処分1」,原告X2に対するものを「本件退令処分2」といい,併せて「本件各退令処分」という。)を受けたことから,本件各不認定処分,本件各裁決及び本件各退令処分(以下,併せて「本件各処分等」という。)の取消しを求めるとともに,本件各在特不許可処分につき,主位的にその取消しを,予備的にその無効確認を求めている事案である。
1  前提事実(当事者間に争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  原告らの国籍
原告X1は,○○○○年(昭和○年)○月○日,ミャンマーにおいて出生したミャンマー国籍を有する外国人男性であり,原告X2は,○○○○年(昭和○年)○月○日,ミャンマーにおいて出生したミャンマー国籍を有する外国人女性である。(乙1ないし3,28,29,31,32)
(2)  原告らの入国及び在留の状況
ア 原告X1は,平成14年(2002年)2月中旬ころ,有効な旅券又は乗員手帳を所持せず,かつ,法定の除外事由がないにもかかわらず,大韓民国(以下「韓国」という。)で乗船した貨物船で本邦の港に到着し,入管法(ただし,平成16年法律第73号による改正前のもの)3条の規定に違反して本邦に入国した。(乙4,5,7,8)
イ 原告X2は,平成16年(2004年)12月5日,タイ王国(以下「タイ」という。)のバンコクから航空機に搭乗して成田国際空港に到着し,「A」名義のミャンマー旅券を行使して,東京入管成田空港支局入国審査官から,在留資格を「短期滞在」,在留期間を90日とする上陸許可を得て本邦に入国したが,在留期限である平成17年3月5日を超えて,本邦での在留を継続した。(乙28,29,36,38,39)
ウ 原告X1は,平成18年6月5日,東京都新宿区長に対し,同区内を居住地として,外国人登録法3条に基づく外国人登録(新規)を行った。
原告X2は,平成16年12月14日,東京都新宿区長に対し,同区内を居住地として,外国人登録法3条に基づく外国人登録を行った。
(以上につき,乙1,32,33)
(3)  原告らに係る難民認定手続
ア 原告X1は平成18年3月28日に,原告X2は同年4月20日に,法務大臣に対し,難民認定申請(以下「本件各難民認定申請」という。)をした。(乙19,50)
イ 東京入管難民調査官は,平成18年4月12日に原告X1に対する調査をし,同月26日及び同年5月2日,原告X2に対する調査をした。(乙20,51,52)
ウ 法務大臣は,平成18年6月29日,原告X1につき難民の認定をしない処分(本件不認定処分1)をし,同年7月18日に原告X1に対してその旨を通知したところ,原告X1は,同月21日,異議の申立てをした。(乙21,24)
エ 東京入国管理局長は,平成18年6月30日,原告X1について,入管法61条の2の2第2項の規定に基づき,在留を特別に許可しない処分(本件在特不許可処分1)をし,同年7月18日,原告X1にその旨を告知した。(乙22,23)
オ 法務大臣は,平成19年3月1日,原告X2について難民の認定をしない処分(本件不認定処分2)をし,同月9日,原告X2に対してその旨を通知したところ,原告X2は,同日,異議の申立てをした。(乙53,56)
カ 東京入国管理局長は,平成19年3月5日,原告X2について,入管法61条の2の2第2項の規定に基づき,在留特別許可をしない処分(本件在特不許可処分2)をし,同月9日,原告X2にその旨を告知した。(乙54,55)
キ 東京入管難民調査官は,平成19年7月9日,原告らに対する審尋等を実施した。(乙26,58)
ク 法務大臣は,原告らの上記ウ及びオの異議申立てにつき,平成19年9月10日,異議の申立ては理由がない旨の決定をし,同月25日,原告らに対してその旨を通知した。(乙27,59)
(4)  原告らに係る退去強制手続
ア 埼玉県警察本部所沢警察署警察官は,平成17年12月30日,原告X1を入管法違反容疑で逮捕した。(乙1,5,20)
イ 東京入管入国警備官は,原告X1が入管法24条1号(不法入国)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,平成18年3月9日,東京入管主任審査官から収容令書の発付を受けた。(乙4)
ウ 東京入管入国警備官は,平成18年3月10日,原告X1に対し収容令書を執行するとともに違反調査を実施し,原告X1を入管法24条1号該当容疑者として東京入管入国審査官に引き渡した。(乙4ないし6)
エ 東京入管入国審査官は,平成18年3月14日及び同月24日,原告X1について違反審査を行い,その結果,同日,原告X1が入管法24条1号(不法入国)に該当する旨の認定をし,原告X1にこれを通知したところ,原告X1は,同日,東京入管特別審理官による口頭審理を請求した。(乙7ないし9)
オ 東京入管特別審理官は,平成18年3月31日,原告X1について口頭審理を行い,その結果,同日,東京入管入国審査官の認定は誤りがない旨の判定をし,原告X1にこれを通知したところ,原告X1は,同日,法務大臣に対し,異議の申出をした。(乙10ないし12)
カ 東京入管主任審査官は,平成18年4月14日,原告X1の仮放免を許可した。(乙13)
キ 東京入管入国警備官は,平成18年4月17日,原告X2を入管法違反容疑で摘発し,違反調査をした上で,入管法24条4号ロ(不法残留)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,東京入管主任審査官から収容令書の発付を受け,これを執行し,原告X2を東京入管入国審査官に引き渡した。(乙28,34ないし37)
ク 東京入管入国審査官は,平成18年4月18日及び同年5月12日,原告X2について違反審査をし,その結果,原告X2が入管法24条4号ロに該当する旨の認定をし,原告X2に対してその旨を通知したところ,原告X2は,特別審理官による口頭審理を請求した。(乙38ないし40)
ケ 東京入管特別審理官は,平成18年5月23日,原告X2について口頭審理を行い,その結果,上記クの入国審査官の認定は誤りがない旨の判定をし,原告X2に対してその旨を通知したところ,原告X2は,法務大臣に対し異議の申出をした。(乙41ないし43)
コ 東京入国管理局長は,平成18年5月24日,原告X2に係る仮滞在を許可した。(乙44)
サ 法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,平成19年9月13日,原告X2の前記ケの異議の申出は理由がない旨の裁決(本件裁決2)をし,同日,東京入管主任審査官に対してその旨を通知し,同月19日,原告X1の前記オの異議の申出は理由がない旨の裁決(本件裁決1)をし,同日,東京入管主任審査官に対してその旨を通知した。(乙14,15,45,46)
シ 上記サの通知を受けた東京入管主任審査官は,平成19年9月25日,原告らに対して本件各裁決を通知するとともに,退去強制令書(本件各退令書)を発付し(本件各退令発付処分),東京入管入国警備官は,同令書を執行して原告らを東京入管収容場に収容した。(乙16,17,47,48)
ス 東京入管主任審査官は,平成19年11月22日,原告らの仮放免を許可した。(乙18,49)
(5)  本件訴えの提起
原告らは,平成20年3月21日,本件各不認定処分,本件各裁決及び本件各退令発付処分の取消しを求めるとともに,本件各在特不許可処分につきその取消しを主位的請求とし,その無効確認を予備的請求として併せて求める訴えを提起した。(顕著な事実)
2  争点
(1)  本件各在特不許可処分の取消訴訟の適法性
(2)  本件各不認定処分の適法性(原告らの難民該当性の有無)
(3)  本件各在特不許可処分の適法性又は無効原因の有無
(4)  本件各裁決及び本件各退令処分の適法性
3  争点に関する当事者の主張の要旨
(1)  争点(1)(本件各在特不許可処分の取消訴訟の適法性)について
(原告らの主張の要旨)
原告らは,特に主張をしていない。
(被告の主張の要旨)
原告らに対する在留を特別に許可しない旨の決定は,その決定書が,原告X1に対しては平成18年7月18日,原告X2に対しては平成19年3月9日に送達されているところ,原告らの本件各在特不許可処分の取消しを求める訴えは,いずれも,上記各決定書が原告らに送達されてから行政事件訴訟法14条1項所定の6か月の出訴期間を経過した後にされており,不適法である。
(2)  争点(2)(本件各不認定処分の適法性)について
(原告らの主張の要旨)
ア 「難民」に係る解釈について
(ア) 「迫害」の意義
難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)1条及び難民議定書1条並びに入管法2条3号の2に規定する「難民」の意義については,その用語の通常の意味及び難民条約の趣旨・目的に沿って解釈すべきである。「難民」の要件である「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」における「迫害」とは,「国家の保護の欠如を伴う基本的人権に対する持続的もしくは系統的迫害」をいうと解すべきであり,「迫害」の該当性を判断する際には,経済的・社会的自由,精神的自由等の保護法益に対する抑圧や侵害も検討されなければならない。
そして,上記保護法益は,その内容・性質等に従って段階を分けて検討されるべきであるが,比較的法益価値の低い自由の侵害であったり,一定の行為又は禁圧の程度が軽度である場合であっても,危害が集積し,結果的に重大な侵害といえる程度にまで至った場合には,「迫害」に該当すると判断することが難民条約の解釈に沿うものであるといえる。
(イ) 「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」の意義
「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」とされるために,本国政府から過去に侵害を受けた経験があることや,本国政府に迫害対象として個別に選別され,迫害を受ける可能性が卓越していることは必要ではなく,本国に帰国した場合に,難民条約に列挙された事由に基づき,迫害を受ける合理的見込みがあれば足り,ある集団に対する迫害が行われている場合に,その集団に属する者であれば,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」と解することが,難民条約の条文構造や背景事情に沿うものである。
(ウ) 主張立証責任について
難民保護制度は,人道上の観点から申請者を難民として保護することを目的とする制度であり,難民認定処分は,申請者が難民という地位を有することを確認する処分にすぎず,難民という地位にあることに基づく恩恵も,申請者が本国で受けられなかった保護を本国に代わって与えるものにすぎない。そうであれば,難民認定処分は授益処分ということはできない。
また,申請者が難民であることを基礎付ける資料については,申請者しか知り得ないものが少なくないものの,本国において迫害が行われる背景事情やその国の情報等は,むしろ難民認定申請を受けた国において情報を収集・分析し,申請者に対する迫害がされるおそれの有無を立証させることが,より有効かつ的確である。
これらのことからすれば,申請者と国が,協力して難民該当性の証明に努力することが必要であるというべきである。
(エ) 立証の程度について
難民条約が難民保護を目的とし,「迫害のおそれ」の立証の困難性,難民が誤って本国に送還された場合の結果の重大性にかんがみれば,難民であることの立証の程度は,緩やかに解すべきである。
「迫害を受けるおそれ」には,迫害を受ける「危険性」及び迫害を受ける「将来の可能性」があるところ,前者については,抽象的な「危険性」が立証対象となるので厳密な証明を要求するべきではない。また,後者についても,将来の出来事を確実に証明することは不可能であるから,やはり厳密な証明を求めるべきではない。
したがって,「迫害を受けるおそれ」の証明について,厳密な証明を求めることは相当ではなく,証明の程度は軽減されるべきである。
イ ミャンマーの一般情勢
(ア) ミャンマーは1948年(昭和23年)に独立したが,1962年(昭和37年)にネウィンがクーデターにより全権を掌握して軍事政権を樹立した。1988年(昭和63年)3月に始まった抵抗運動が,同年8月後半から9月前半ころにかけて民主化闘争へと発展したが,同年9月18日,国家法秩序回復評議会(SLORC。以下,その後の改組に伴う名称変更の前後を区別することなく,「SLORC」という。)による軍事政権(以下,SLORCによる軍事政権を「ミャンマー政府」という。)の成立が宣言され,国軍が政治権力を把握した。
(イ) 1990年(平成2年)5月27日に行われた総選挙において,国民民主主義連盟(NLD)が8割以上の議席を獲得したが,SLORCは政権委譲せず,NLDに対し,政治活動を阻害し,党事務所の閉鎖,集会を妨害をするほか,党員は,ミャンマー政府から嫌がらせを受け,逮捕された。1998年(平成10年)9月16日,NLDが独自に国会の代行開催に及ぶと,抑圧を強め,NLDの代表者であるアウンサンスーチーを事実上,自宅軟禁措置とし,2002年(平成14年)5月6日まで同措置は継続された。
(ウ) 2003年(平成15年)5月,ミャンマー政府の翼賛団体が,アウンサンスーチーらNLD党員及び支持者を襲撃するという事件がミャンマー北部であり(ディペイン事件),アウンサンスーチーを含むNLD幹部らが拘束されたほか,NLDの本部・支部の閉鎖が命じられた。アウンサンスーチーは,その後に刑務所から釈放されたが,本件口頭弁論終結時まで自宅軟禁状態が続いていた。
(エ) シャン民族について
シャン民族とは,ミャンマーのシャン州を中心に居住する少数民族をいう。ミャンマーにおける少数民族は,ミャンマー政府による強制労働,超法規的処刑や拷問の危険にさらされており,シャン民族は,大規模な強制移住をさせられるなどもした。
シャン民族においては,50年以上にわたって複数の反政府勢力が当時のミャンマー政権と武力闘争を続けてきたが,1996年(平成8年)までには,一応の停戦協定が結ばれるなどした。もっとも,その後もシャン民族に対する迫害が止むことはない。
ウ 原告X1に係る事情
原告X1に係る以下の事情からすれば,原告X1は,その政治的意見又は特定の社会集団の構成員であることを理由に,ミャンマー政府から迫害を受けるという十分に理由のある恐怖を有するといえる。
(ア) 原告X1の祖父について
原告X1の祖父Bは,ネウィンがクーデターを起こした際のミャンマーの首相であったウーヌ首相の支援者であった。しかし,1962年(昭和37年),ネウィンがクーデターを起こし,ウーヌ首相が失脚すると,Bも逮捕・投獄され,2か月後に釈放されたものの,その直後に死亡した。
かかる経緯から,Bの孫である原告X1も,ミャンマー政府から注目を集める対象となった。
(イ) 原告X1の本国における活動について
a 原告X1は,1987年(昭和62年)に発令された廃貨令を契機とする学生運動を初めとして民主化デモに参加するようになり,1988年(昭和63年)4月ころから,全ビルマ学生連盟(バカタ)において,民主化運動の結成の準備をする会議や集会に参加したり,こうした会議や集会の警備を行うなどの活動を始めた。
b 原告X1は,同年8月には,在籍していたチンミナイ第三高校の学生運動組織(アカタ)の責任者としてデモを率いる立場となり,同月8日の最も激しいデモの際には,チンミナイ区の学生を組織してヤンゴン中心部まで行進するという活動をし,同年9月18日,国軍によるデモ隊の鎮圧がされ,デモ隊への発砲がされた際には,その現場に居合わせるなどした。
c 原告X1は,同年後半以降は,ヤンゴン県学生連盟(ヤンゴン学生地域連盟)において3番目の地位(書記長)として,集会を開いたり,組織化を図ったり,学生組織と交流を持ったりビラを配布するなどの活動をした。このような活動の結果,原告X1は,通っていた高等学校を退学させられたが,ヤンゴン大学学生地域連盟に参加して活動するようになった。
d 原告X1は,1989年(平成元年)ころ,学生運動に関係する書籍を貸す,いわゆる貸本屋を経営するという活動を開始し,その場所において反政府活動に用いるビラ等の印刷も行った。
(ウ) 原告X1の本国政府との関係について
a 原告X1は,1988年(昭和63年)9月以降,ミャンマー政府当局者から3度の取調べを受け,その際,組織の概要,上部組織の概要,指示内容といった事項の取調べを受け,うち1回の取調べでは,国軍のウーティンミン少佐から暴行を受けた。
b 1989年(平成元年)ないし1990年(平成2年)ころ,ミャンマー政府当局者が,原告X1に対する逮捕状を持って上記貸本屋に捜索に訪れ,原告X1は偶然不在にしていたことから逮捕を免れたものの,同店舗において一緒に活動していたC等が逮捕され,懲役10年の刑に処せされるなどした。
c 逮捕を免れた原告X1は逃亡し,知人宅に1年ほど滞在した後,観光案内業で生計を立てながら,ビラ配り等の反政府活動を支えるため,学生運動組織との連絡や情報交換を行うなどの政治活動をしつつ逃亡生活を続けていたが,1997年(平成9年)ころより,原告X1の自宅をミャンマー政府当局者がたびたび訪れるようになり,実家に対する捜索がされるなどしたことから,国内を自動車で移動し,自宅に戻らないでいた。
(エ) 原告X1の出国の経緯について
原告X1は,2001年(平成13年),民主化運動を一緒にしていたことのあるDから,同人が2000年(平成12年)ころまで原告X1に関する尋問を受けていたことを聞き,自身が逮捕される危険があると考え,ミャンマーからの出国を決意した。原告X1は,当初は日本へ入国することを予定していたが,韓国への研修生として出国できる方法があることを知り,ブローカーから「E」名の旅券を取得してミャンマーを出国し,韓国に入国した。
(オ) 原告X1の韓国での活動について
原告X1は,韓国において,国民民主連盟・解放区(NLD-LA。以下「NLD-LA」という。)韓国支部の活動に関わり,デモや金銭の寄付等を積極的に行っていたが,ミャンマーを出国する当初から日本への入国を希望していたことや,日本においては政治活動を行う者が多いことから,平成14年(2002年)2月中旬ころ本邦に入国した。
(カ) 原告X1の本邦における活動について
原告X1は,ビルマ民主連盟(DFB)及びNLD-LA日本支部に加入し,運営委員や組織の責任を担う地位に就き,デモ活動に参加したり,集会に参加するなどミャンマーの民主化を求める活動を行っているほか,上記活動の一環として,ビルマナショナルという雑誌に実名で記事を投稿するなどしたことから,ミャンマー政府に原告の動向が知られるところとなった。
エ 原告X2に係る事情
原告X2に係る以下の事情からすれば,原告X2は,その政治的意見若しくは特定の社会集団の構成員であること又は人種を理由に,ミャンマー政府から迫害を受けるという十分に理由のある恐怖を有するといえる。
(ア) 原告X2の本国における活動について
原告X2の叔父であるFは,ミャンマー政府に対してシャン民族の保護及び民主化を求めているシャン民族民主連盟(SNLD。以下「SNLD」という。)の議長を務めたSNLDの最重要人物の一人であった。
原告X2は,Fの家に行き来していたことを理由に高等学校を退学になり,その後,同人の下で秘書のような仕事を始め,SNLDの活動に関連する書類のコピー等の事務のほか,要人との間の手紙の配達,金銭の授受といった活動をしており,アウンサンスーチー宅に書類を届けたこともあった。
原告X2は,2001年(平成13年),Fらとともに地方の有力者との会談に行った際,警察署に連行されて取調べを受け,政治活動に関わらないよう注意された。
Fは,2005年(平成17年)2月に逮捕され,93年(原告第3,第5準備書面。訴状では33年)の懲役刑に処せられ,現在もミャンマーの刑務所に服役させられている。同人の正秘書も逮捕され,殺害されたとの情報もある。Fの息子と娘は,それぞれ難を逃れるためミャンマーから出国し,外国に在留している。
(イ) 原告X2の出国の経緯について
原告X2は,警察から注意を受けた後もFの下で秘書のような仕事を続けていたが,同人からの指示に従い,同人が依頼したブローカーの手配により自己名義の旅券を取得して,平成16年(2004年)12月に本国を出国して本邦に入国した。
同人が逮捕されたのは,その直後の2005年(平成17年)2月である。
(ウ) 原告X2の出国後の本国の状況について
a 原告X2は,本邦に入国後,同原告の母から,ミャンマー政府当局者が原告X2を捜索しているとの連絡を受けた。
b その後,原告X2の母は,同原告と絶縁した旨の広告を本国内の新聞紙上に掲載し,形式上関係を絶つことで,原告X2に関してミャンマー政府からの追及を受けることを免れようとした。
(エ) 原告X2の本邦における活動について
原告X2は,NLD-LA日本支部や本邦のシャン民族民主連盟(SND。以下「SND」という。)といった民主化組織及びシャン民族組織2団体に参加してデモ活動や会議に参加したり,運営委員や会計の副責任者などの職に就いている。
(オ) 原告X2がシャン民族であることについて
原告X2は,シャン民族であること自体からも,人種による迫害のおそれがあるということができる。
(被告の主張の要旨)
ア 「難民」に係る解釈について
(ア) 「迫害」の意義
入管法2条3号の2,難民条約1条及び難民議定書1条の「難民」の定義における「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧をいう。
(イ) 「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」の意義
「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖を有する」とは,申請者が,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該申請者の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解すべきである。また,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖」とは,迫害を受ける抽象的な可能性があるだけでは足りず,迫害を受けるおそれを抱くといえるような個別具体的な事情が存することが必要である。
ミャンマー政府はミャンマー国外で行われている反政府活動を監視しており,反政府活動に関わったミャンマー人がミャンマー政府に身元を知られていることは多いが,ミャンマー政府が実際に関心を抱いているのは反政府勢力の指導者だけであるから,そのような者ではないミャンマー人に迫害を受けるおそれがあるとはいえない。
(ウ) 主張立証責任について
難民認定をいかなる手続で行うかについては,難民条約に規定がなく,各締約国の立法政策に委ねられているところ,入管法の規定の仕方,難民認定は,難民の地位に基づく種々の利益的取扱いを受ける要件であり,難民認定処分は授益処分といえること,申請者が難民であることを基礎付ける資料は,一般的に,申請者がそのほとんどを保有していることからすれば,難民であることの立証責任は難民であると主張する者にあるというべきである。
(エ) 立証の程度について
行政事件訴訟法7条は,同法に定めのない事項は民事訴訟の例によると規定しているところ,民事訴訟において主要事実を立証しようとする者は,合理的な疑いを容れることができないほど高度の蓋然性が認められる程度の証明をしなければならないから,申請者は,自己が難民であることについて,上記の程度の証明をしなければならない。
イ 以下の事情を総合すると,原告X1は,その政治的意見又は特定の社会的集団の構成員であることによって,ミャンマーに帰国した場合に迫害を受けるという十分に理由のある恐怖を有するとはいえない。
(ア) 原告X1の本国における活動について
a 原告X1の,1988年ころの政治活動及びデモにおける活動に係る供述には,看過し難い変遷があって信用することができず,これを裏付ける証拠もない。
b また,原告X1の,1988年ころの政治活動及びデモにおける活動に係る供述を前提としても,原告X1がした活動内容は,反政府活動が高揚していた当時において,反政府活動に参加した多数の者の1人として単発的な政治活動に従事したという程度のものにすぎない。
c 原告X1の供述を前提としても,原告X1が経営していた貸本屋における政治活動の具体的内容は明らかでなく,原告X1らが貸本屋を経営していたころから約20年が経過した現在においても,貸本屋での活動が,ミャンマー政府の原告X1に対する関心を抱かせるような活動とはいえない。
(イ) 原告X1の本国政府との関係について
a 原告X1のミャンマー政府当局者から受けた取調べや暴行に関する供述は,一貫性がなく具体性も欠くものであって信用することができず,これを裏付ける証拠もない。
また,原告X1の供述を前提としても,原告X1が取調べや暴行を受けることとなった理由は不明であり,身柄を拘束されない程度の取調べにとどまるものである。
b 原告X1のミャンマー政府が貸本屋に捜索に訪れたことに関する供述は,その重要な部分において大きく変遷しているから信用することができず,かつ,原告X1に対する逮捕状が発付されていた形跡もない。
c 原告X1の貸本屋における逮捕を免れた後の政治活動に関する供述及び1997年(平成9年)ころから原告X1の自宅をミャンマー政府当局者が訪れるようになったとの供述は,不自然であって信用することができず,これを裏付ける証拠もない。
(ウ) 原告X1の出国の経緯について
ミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあり,逮捕状も発付されているような者が,ブローカーを介した他人名義の旅券の取得のためとはいえ,ミャンマー政府と自ら接触することは不自然かつ不合理であるから,本国を出国する際に原告X1はミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあるとは認識していなかったということができる。
(エ) 原告X1の韓国での活動について
原告X1は,韓国においては,専ら研修生として稼働していたことがうかがわれ,政治活動を活発に行っていたとはいえない。
(オ) 原告X1の本邦における活動について
a NLD-LAは,本国のNLDと直接の関係はなく,連絡を取り合う関係にもなく,NLD-LA日本支部は更にその一支部にすぎず,原告X1のNLD-LA日本支部における活動内容は,レクリエーション費用の集金や入会希望者の面接など組織の内部事務をすることにすぎない。
b 原告X1は,ビルマナショナルという雑誌に記事を投稿していた旨供述するが,同雑誌の内容をミャンマー大使館が把握しているか不明であるし,その投稿内容は,原告X1の供述を前提としても,ミャンマーで生じた出来事をニュースとして投稿していたものにすぎない。
(カ) 原告X1の本邦への入国目的について
原告X1は,本邦に入国した直後から稼働を開始し,その後,平成17年(2005年)9月ころまで,月額16万円ないし19万円の収入を得ており,これまで合計20万円程度を本国の家族に送金した一方,原告X1の供述を前提としても,原告X1がデモに参加するようになったのは同月以降である。原告X1が,入国から約3年半の間,反政府活動を何もせず,稼働していたことからすれば,原告X1の入国の目的は稼働目的であったといえる。
(キ) 原告X1が難民認定申請をしていなかったことについて
原告X1は,難民認定制度の存在を知りながら,本国を出国してから約5年にわたり難民認定申請をせず,不法就労を続け,逮捕された後になってようやく難民認定申請をした。
原告X1が,難民認定申請ができるにもかかわらず,長期間にわたり難民認定申請をしていないことは,原告X1自身が自己を難民と認識していなかったことを示すものといえる。
ウ 以下の事情を総合すると,原告X2は,その政治的意見若しくは特定の社会的集団の構成員であること又はその人種によって,ミャンマーに帰国した場合に迫害を受けるという十分に理由のある恐怖を有するとはいえない。
(ア) 原告X2の民族に係る事情について
原告X2がシャン民族であることから被った不利益は,国民登録証発給について,ビルマ民族が発給を申請した場合よりも時間を要したというもの以外になく,これは迫害といえるものではない。原告X2がヤンゴンで出生し,成育していたことも考慮すれば,シャン州に居住するシャン民族と同様の迫害を受け得る状況にあったとはいえない。
(イ) 原告X2の本国における活動について
原告X2が本国においてしていた活動は,Fの手伝いをしていた程度であり,原告X2自身も,そのような活動をミャンマー政府が把握していたか否かについては分からないと認める程度の活動である。
Fが逮捕された理由は,SNLDのメンバーと憲法について話し合ったことが原因であり,原告X2とは関係がない。F以外の親戚も逮捕されたようであるが,その理由は,外国人と秘密裏に情報交換したことが理由であり,原告X2とは関係がない。
(ウ) 原告X2の出国後の本国の状況について
a 原告X2は,ミャンマー政府当局者が原告X2の捜索をしているとの話を母から聞いたと供述するが,かかる供述は錯綜していて信用することができず,これを裏付ける証拠もない。
b 原告X2の母の同原告と絶縁する旨の新聞広告は,その記載内容からすれば,原告X2が母親の忠告を聞かないで生活していることを理由として絶縁する旨の広告であるとみることができるものであって,原告X2の母が同原告に関してミャンマー政府からの追及を受けることを免れるために掲載した広告であるとはいえない。
(エ) 原告X2の本邦における活動について
原告X2は,NLD-LA日本支部のメンバーであるほか,SNDの会計副責任者であると供述するが,原告X2の供述を前提としても,その活動内容はミャンマー政府が関心を抱くようなものではない。
また,原告X2は,本邦に入国後,精力的に稼働しており,NLD-LA日本支部やSNDのメンバーとなった以後も,稼働先の勤務時間を増やすなど,それ以前にも増して精力的に稼働していたのであって,他方,平成18年5月2日までに原告X2が参加した在日ミャンマー大使館前のデモは1回のみである。
(オ) 原告X2の出国の経緯について
原告X2は,ミャンマー政府から自己名義の旅券を取得した上で,正規の手続で本国を出国しているところ,ミャンマー政府が反政府活動家であると把握している者が,自己名義の旅券を取得し,正規の手続で出国することは困難であるから,原告X2は,当時,ミャンマー政府から,反政府活動家であると把握されていたとはいえない。
原告X2は,旅券に記載された自己の名前の表記が,本来の表記とは異なることから,自己名義の旅券を取得し,正規の手続で出国できたかのような主張をするが,原告X2は,普段から旅券に記載された表記と同じ表記により自己の氏名を記載しているのであるから,旅券に記載された表記が本来の原告X2の表記と異なるとはいえない。
仮に,本来の表記と異なったとしても,その他の旅券に記載された身分事項に誤りはないのであるから,ミャンマー政府が原告X2を特定することに支障はなく,やはりミャンマー政府は原告X2を反政府活動家として認識していなかったといえる。
(カ) 原告X2の本邦への入国目的について
原告X2は,不法就労目的で来日したことを繰り返し供述していること,本国を出国する際に迫害を受けるおそれがあったといえる事情はないこと,現に本邦において不法就労し,在外親族に送金していたというのであるから,稼働目的で本邦へ来日したといえる。
(キ) 原告X2が難民認定申請をしていなかったことについて
原告X2は,平成16年(2004年)12月5日に本邦に入国した後,原告X1が検挙され,自らも検挙された後である平成18年(2006年)4月20日まで,合理的理由もなく難民認定申請をしていない。
(3)  争点(3)(本件各在特不許可処分の適法性又は無効原因の有無)について
(原告らの主張の要旨)
被告は,難民条約の締結国であり,拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(以下「拷問等禁止条約」という。)の締結国でもあるところ,難民条約33条1項,拷問等禁止条約3条1項が定めるノンルフールマン原則を遵守する義務を負っている。原告らは,難民条約上の難民であり,かつ,ミャンマーに帰国すれば拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な理由があるし,他に送還可能な国もないのであるから,東京入国管理局長は,原告らに対し,在留特別許可処分をする義務を負っていた。本件各在特不許可処分は,上記ノンルフールマン原則に反する違法な処分である。
(被告の主張の要旨)
原告らは,難民と認められず,本国へ送還されても原告らの主張に係る危険がないし,他に在留を特別に認めるべき積極的な理由は見当たらないから,本件各在特不許可処分に何ら違法はない。
(4)  争点(4)(本件各裁決及び本件各退令処分の適法性)について
(原告らの主張の要旨)
難民認定申請者については,入管法50条1項の適用がなくなったが,異議の申出に理由がない旨の裁決がされれば,退去強制令書が発付されることになるのであるから(同法49条6項),裁決がかかる結果を招く以上,東京入国管理局長は裁決をしない義務を負っていたのであり,本件裁決は,難民条約33条1項及び拷問等禁止条約3条1項に定めるノンルフールマン原則並びに入管法61条の2の6第1項に違反する違法な処分である。
また,原告らは,難民であったにもかかわらず,ミャンマーを送還先とする退去強制令書の発付処分がされたのであるから,本件各退令処分も,難民条約33条1項,拷問等禁止条約3条1項,難民条約33条1項に規定する領域の属する国へ送還を禁止した入管法53条3項及び入管法61条の2の2第1項又は2項の在留資格の許可を受けた場合に退去強制手続を行わないとした入管法61条の2の6第1項に違反する違法な処分である。
(被告の主張の要旨)
原告X1は,入管法24条1号(不法入国)所定の退去強制事由に該当し,原告X2は,入管法24条4号ロ(不法残留)所定の退去強制事由に該当するから,法律上当然に退去強制されるべき外国人に該当するのであって,本件各裁決には何ら違法はなく,適法である。そして,退去強制手続においては,主任審査官は,速やかに退去強制令書を発付しなければならないのであって(入管法49条6項),裁量の余地はないから,本件各裁決が適法である以上,本件各退令発付処分もまた適法である。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件各在特不許可処分の取消訴訟の適法性)について
(1)  原告X1は,平成18年7月18日,本件在特不許可処分1の通知を受け(前記前提事実(3)エ),原告X2は,平成19年3月9日,本件在特不許可処分2の通知を受けている(同(3)カ)ので,原告らは,上記各日に本件各在特不許可処分があったことを知ったものと認められるところ,原告らが本件各訴えを提起したのは平成20年3月21日である(同(5))から,原告らの本件各在特不許可処分の取消しを求める訴えは,行政事件訴訟法14条1項本文所定の出訴期間である6か月を経過した後に提起されたものであるといえ,出訴期間を経過したことについて同項ただし書にいう「正当な理由」があったと認められない限り,不適法となる。
この点に関し,原告らは,上記「正当な理由」を基礎付ける事情について主張をしていないが,事案の性質上検討するに,原告X1は平成18年4月14日に仮放免が許可されおり(前記前提事実(4)カ),原告X2は同年5月24日に仮滞在が許可されていること(同(4)コ)の各事情に加え,本件全証拠によっても,原告らが本件各在特不許可処分があったことを知ってから6か月以内に各取消しの訴えを提起することの障害となるべき客観的な事情の存在を認めることができない以上,原告らに上記出訴期間を徒過したことについて「正当な理由」があったと認めることはできない。
(2)  したがって,本件訴えのうち,原告らの本件各在特不許可処分の取消しを求める訴えは,いずれも不適法であり,却下を免れない。
2  争点(2)(本件各不認定処分の適法性)について
(1)  難民の意義
ア 入管法2条3号の2は,同法における「難民」の意義について,難民条約1条の規定又は難民の地位に関する議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうと規定している。したがって,同法にいう「難民」とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいう。そして,上記の「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解するのが相当であり,また,上記にいう「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解される。
イ そして,難民の認定における立証責任の帰属については,入管法61条の2第1項の文理のほか,難民認定処分が授益処分であることなどにかんがみれば,その立証責任は原告らにあるものと解すべきである。
ウ(ア) なお,原告らは,申請者と国が協力して難民該当性の証明に努力する必要がある旨主張するが,入管法61条の2第1項は,申請者の提出した資料に基づき難民の認定を行うと規定しているところ,上記アのとおり,「難民」に該当するというためには,当該申請者の主観的事情のほか,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解され,授益処分としての難民認定処分の要件としての難民該当性の判断においては当該申請者の個別事情の認定及び考慮が必要不可欠である以上,入管法の文理,処分の性質及び事柄の性質のいずれの観点からも,申請者の側で難民該当性の立証責任を負うものと解するのが相当であり,上記主張は採用することができない。
(イ) また,原告らは,「迫害を受けるおそれ」とは抽象的な危険性ないし将来の可能性を意味するものであるから,その立証の程度は緩和されるべきであり,厳密な証明を求めるべきではない旨主張するが,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」ことの主たる立証命題は,上記(ア)の客観的事情の存在であって,抽象的な危険性ないし将来の可能性の存否自体を対象とするものではないから,上記主張は採用することができない。
(2)  原告らの難民該当性に関する事情
前記前提事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,ミャンマーの一般情勢及び原告らに係る個別事情等として,次の事実が認められる。
ア ミヤンマーの一般情勢
(ア) ミャンマーにおいては,1962年(昭和37年)までは選挙によって選ばれた文民による政府が存在したが,ネウィンが,同年,クーデターにより政権を掌握し,ビルマ社会主義計画党によってミャンマーを一党支配した。しかし,同党による一党支配は,極端な経済不振を招き,1987年(昭和62年)12月には,ミャンマーは,国際連合によって後発発展途上国の指定を受けるにまで至った。(甲1,弁論の全趣旨)
(イ) 1988年(昭和63年)3月,ヤンゴン工科大学の一部の学生が,ビルマ社会主義計画党が支配する政権に対して抵抗を始め,多数の学生・市民が参加した大規模な民主化運動が全国的に広がり,同年8月後半から同年9月前半にかけて最も高揚した民主化運動は,首都ヤンゴンで連日のように数十万人の人々がデモや集会に参加するにまで至り,かかる運動は,農村部にまで及んだ。そのような運動の中でネウィンは公職を退いた。しかし,同年9月に軍事クーデターが起こり,軍事組織であるSLORCが政権を掌握して軍事政権が成立した。
ミャンマー政府は,1989年(平成元年)7月,民主化運動の指導者的存在となったアウンサンスーチーを自宅軟禁とし,その政治活動を禁止した上で,1990年(平成2年)5月,複数政党参加の総選挙を行ったが,アウンサンスーチーが率いるNLDが議席の約8割を占めて圧勝した。しかし,SLORCは,NLDへの政権委譲を拒否した。
現在,ミャンマー政府においては,SLORCを引き継いだ国家平和開発評議会(SPDC)が政権を担っているが,軍事政権の性格に変化はない。
(以上につき,甲1,2,乙61,弁論の全趣旨)
(ウ) ミャンマー政府は,1990年(平成2年)以降,言論,出版及び集会の自由を厳しく制限し,NLDや他の民主化政党が通常の政治活動を行うことを妨げ,多数の党員にNLDを辞めるように圧力をかけ,全国のNLD事務所を閉鎖し,これに伴い,国の様々な地域において,武力により民主化活動を阻止し,活動参加者を処罰するなどした。このような状況は,2000年(平成12年)ころまで続いた。(甲1ないし7,乙27ないし30)
(エ) ミャンマー政府は,2001年(平成13年),NLDを合法的な存在として認め,その後300名以上の党員及び政治犯を釈放し,NLDとの対話を開始するとともに,NLD党員に対する拘留や脅迫を控え,複数のNLD事務所の再開を許可した。
しかし,上記の対話は,2002年(平成14年)末までには暗礁に乗り上げ,アウンサンスーチーは,2003年(平成15年)5月30日,遊説中に身柄を拘束され(ディペイン事件),再度自宅軟禁された。ミャンマー政府は,ディペイン事件以後,NLD関係者など153名の身柄を拘束したが,その後151名を釈放し,その中にはNLD中央執行委員会のメンバー9名のうち7名が含まれていたが,アウンサンスーチーとNLD副議長のウティンウーは自宅軟禁下に置かれ続け,アウンサンスーチーは,本件口頭弁論終結時まで自宅軟禁の状態が続いていた。ミャンマー政府は,ディペイン事件後も主要なNLD指導者に合法的な政治的地位を認めることを拒んでおり,治安維持上の手法等を通してこれらの者の活動を厳しく制限するなど,政治的自由の制限は引き続き行われており,何百人もの党員を逮捕し,何千人もの党員にNLDを辞めるよう圧力をかけ,NLDの事務所の閉鎖を命じるなどした。
(以上につき,甲1ないし7,24)
(オ)a ミャンマー政府は,以上の政治情勢を背景として,言論,出版,集会の自由を厳しく制限し,1990年(平成2年)以来,NLDや他の民主化政党が通常の政治活動を行うことを妨げてきた。
b ミャンマーにおいては,緊急事態法,非合法団体法,国家保護法,印刷出版登録法及びその改正法,1985年ビデオ法などの法律が存在し,ミャンマー政府はこれらの法律を適用して,NLDの活動を含め,反政府活動家の政治活動を厳しく制限している。
(以上につき,甲1ないし18)
(カ) ミャンマー国外においては,同国外でミャンマーの民主化運動・反政府活動を行っているミャンマー人の活動家によれば,現在,同国外で自分の名前を明らかにしてミャンマーの民主化運動・反政府活動をしているミャンマー人は,タイにおいて少なくとも1万人,ミャンマー及びタイを除く国々で少なくとも1万人の多数にのぼり,その大半は各人の滞在国で仕事をするかたわら空いた時間に政治活動をするというレベルにすぎず,ミャンマーの民主化を目指して活動を行う同国外の団体(民主化団体)も,団体の数が多すぎて運動の統合に支障を生ずるほど,著しく多数にのぼるとされている。(乙61,62)。
なお,NLD-LAは,1991年(平成3年)2月14日に,セイン・ウインを議長として設立され(現在の議長はウイン・ケッである。),タイのミャンマーとの国境付近に本部を置き,タイ等の国外を活動地域とする民主化団体であり,NLDを支持する団体の1つではあるが,アウンサンスーチーを中心とした国内で政党として登録された政治組織であるNLDとは異なる別個の国外の民主化団体であって,名称は類似しているがNLDと組織の関連はなく,国内で政党として登録されたものでもない。NLD-LA日本支部は,かかるNLD-LAの日本における支部として,在日ミャンマー人らによって設立されたものである。(乙61,62,弁論の全趣旨)
(キ) シャン民族は,紀元前650年ころ,現在のミャンマーのシャン州といわれる地域を中心に定住を始めた民族であり,1962年(昭和37年)のクーデター後は,中央政府に対する抵抗運動を開始し,そのような運動はSLORCの政権掌握後も継続され,シャン民族を含む少数民族の強制移住を進めるSLORCとシャン民族の諸団体との間で対立が生じた。
SNLDは,1990年(平成2年)に行われた全国選挙において,シャン州内で最大の票を得て,SLORCにより設置された国民会議にも参加した。
その後,SLORCとシャン民族の諸団体との間で和解の交渉が進められたが,2005年(平成17年)にSNLDの指導者が逮捕された後は,その交渉は頓挫し,シャン州に居住するシャン民族の村落に対するSLORCによる強制移住はなお続いている。
(以上につき,甲69ないし71)
イ 原告X1に係る個別事情
(ア) 原告X1の祖父であるBは,1962年(昭和37年)のネウィンによるクーデター当時のミャンマーの首相であったウーヌの支援者であったが,同年,上記クーデターのためウーヌ首相が逮捕された際,共に逮捕された。Bは逮捕後2か月で釈放され,その直後に死亡した。(甲85,原告X1本人)
(イ) 原告X1は,2001年(平成13年)2月ころ,ミャンマーから出国し,E名義の偽造旅券を用いて韓国に入国した。(乙8,原告X1本人)
原告X1は,韓国へ入国後,8か月ほどグアンジュに居住し,自動車のプレス工場で稼働した後,ソウルに転居して,電話機のプラスチック部品を製作する会社で稼働し,月80万ウォンの収入を得ていた。(乙20)
(ウ) 原告X1は,2002年(平成14年)2月ころ,インドネシア人の船員風の男から日本へ密航することを勧められ,これを受けて密航することを決意し,韓国の釜山港から船名不詳のコンテナ船に乗船し,本邦へ密入国した。(乙8)
(エ) 原告X1は,本邦に入国した後,浅草所在の寿司屋において3か月,両国所在の寿司屋において1か月,市ヶ谷所在の中華料理店において平成17年9月まで稼働し,中華料理店においては,月18万円ほどの収入を得ていた。
原告X1は,年に2,3回,1回約3万円,合計約20万円を本国に送金し,平成18年4月当時,8万円の預金を有していた。
(以上につき,乙8,20)
(オ) 原告X1は,平成17年11月6日にNLD-LA日本支部に加入し,平成19年6月に同支部の約50人の運営委員の1人となり,平成18年4月又は5月にDFBに加入した。また,同年7月には,ビルマナショナルという雑誌の広報及び出版の担当者をしていた。(甲58及び59の各1・2,同60,84,85,乙20,26)
ウ 原告X2に係る個別事情
(ア) 原告X2の母の兄(叔父)であるFは,1990年(平成2年)の全国選挙においてミャンマーのシャン州で過半数の議席を得たSNLDの当時の議長であり,上記選挙の際には,国会議員に選出されたが,2005年(平成17年)2月ころ軍事政権によって逮捕され,その後,93年の禁錮刑の宣告を受け,現在,刑務所に服役中である。(甲64ないし66,79,86,乙34,51)
(イ) 原告X2は,平成16年(2004年)12月5日に本邦に入国した後,10日ほどしてから,友人から紹介を受けた銀座所在の飲食店で調理場の手伝いとして稼働を開始し,月曜日から土曜日まで午前10時から午後10時ころまで稼働して月23万円程度の収入を得,タイに在住する妹へ毎月13万円程度を送金していた。(乙34,52)
(ウ) 原告X2は,本邦に入国後,平成18年(2006年)1月,SNDに加入し,また,同月,原告X1が警察に逮捕されたことを伝えに行ったことを契機として,NLD-LA日本支部に加入した。(甲60ないし63,乙51)
(3)  原告X1の難民該当性の検討
ア 原告X1の祖父について
原告X1は,祖父であるBが,ネウィンによるクーデター当時の首相であったウーヌの支援者であり,ウーヌとともに上記クーデター時に逮捕されたことから,自らもミャンマー政府から注目を集める対象であった旨主張する。
しかし,原告X1が出生したのは1973年(昭和48年)1月1日である(前記前提事実(1))ところ,祖父Bが逮捕された時期は1962年(昭和37年)で,同人が死亡した時期も同年又はその翌年であり(上記(2)イ(ア)),原告X1は祖父Bの死後数年を経て出生したものであることからすれば,原告X1が,単に同人の孫というだけで,その出生前の祖父に係る事情に基づき,ミャンマー政府から反政府活動家として殊更に関心を寄せられ注視されていたとは考え難く,これを理由としてミャンマー政府が原告X1に対する迫害をするおそれがあるということはできない。
イ 原告X1の本国における活動について
原告X1は,(a)1988年4月ころバカタに参加し民主化運動に加わるようになったこと,チンミナイ第三高校のアカタの責任者としてデモを率いる立場となり,ヤンゴン県学生連盟において書記長の職に就くなどして,民主化運動をしたこと,(b)SLORCが政権を掌握した後は,学生運動に関する書籍を貸す貸本屋を経営し,反政府活動に用いるビラを作成するなどしたと主張し,原告X1は同旨の供述(甲85,乙8,20,原告X1本人)をしている。
(ア) 上記(a)に係る活動について
a 原告X1の供述を裏付ける客観的証拠はない上,原告X1は,①平成18年4月12日の東京入管難民調査官に対する供述(乙20)においては,1988年(昭和63年)8月8日にヤンゴン総合病院の前で行われたハンガーストライキに参加した際,軍による銃撃を受けたと供述していたが,②陳述書(甲85)には,同日は,ヤンゴン市庁舎前のデモ隊を率いていたと記載し,軍から銃撃を受けたことに関する記載はなく,③原告X1本人尋問においては,同月のデモはヤンゴンの中心まで行進し,同年9月18日のデモにおいて,軍から発砲されたと供述している。
原告X1の上記①ないし③の各供述は,同年8月8日のデモの場所・内容,原告X1が参加したデモ隊が軍から発砲を受けた日と場所について齟齬・変遷があり,これらの供述は,約20年前の出来事に関するものであるとはいえ,自ら迫害の危険の根拠とするデモの時期・場所及び内容並びに軍からの発砲の有無・時期という重要な事実に関するものである以上,その齟齬・変遷は不自然・不合理といわざるを得ず,デモに参加して軍から発砲を受けた旨の原告X1の供述を採用することはできず,他に上記(a)の主張を裏付ける証拠はない。
b なお,仮に原告X1の上記供述等を前提としたとしても,原告X1がした活動は,①バカタに参加して警備担当となり,デモ行進をした際に,外部から妨害をされないように参加者を守ったこと,②各市区の担当者に印刷したビラを配布したこと,③1988年(昭和63年)8月8日,ヤンゴン総合病院におけるハンガーストライキに参加し,チミンタイン第3高校の組織の責任者になり,チミンタイン区の学生らとともに,ヤンゴンの中心までデモ行進をしたこと,④1989年(平成元年)に,ヤンゴン県学生連盟というメンバーが30人ほどの組織に加入し,6か月間,ナンバー3(なお,平成18年3月24日の東京入管入国審査官に対する供述(乙8)においては,ナンバー2であるとしている。)の地位である書記長に就任したこと,書記長の役割とは,ヤンゴン県学生連盟の活動を更に活発にしていくにはどうしたらいいかを考えて実行し,他の地域の学生組織との交流・意見調整を行うことであったこと,⑤200人が参加した上ビルマと下ビルマの学生連盟の合同会議を実施するために活動したことであるといえる。
しかし,上記①及び②の活動は,当時,ミャンマー国内において全国的・大規模に広がっていた民主化運動(上記(2)ア(イ))の一参加者としての活動を超えるものとはいい難く,また,上記③の活動も,原告X1が単にハンガーストライキに参加したというのであれば,上記①及び②の活動と同様に,民主化運動の一参加者としての活動を超えるものとはいえないし,チミンタイン第3高校の組織の責任者としてデモ行進をしたとしても,当時の全国的・大規模な民主化運動の展開の中で,一つの高校の組織の責任者であったというだけで,ミャンマー政府から殊更に関心を寄せられて注視されるものとは考え難い。そして,上記④の活動については,原告X1は,ヤンゴン県学生連盟という組織のナンバー3の地位である書記長に就任したとするが,そのメンバーは30人ほどにすぎないというのであり,原告X1が書記長として行った活動の具体的な内容は明らかではなく,書記長であった期間も6か月のみであるというのであり,当時の全国的・大規模な民主化運動の展開の中で,6か月間当該規模の学生組織の当該地位にあったというだけで,ミャンマー政府から殊更に関心を寄せられて注視され続けるとは考え難い。さらに,上記⑤の活動については,学生連盟の合同会議が具体的にいかなるものであるのか明らかでない上,原告X1が行ったことは,民主化運動の一参加者として合同会議を実施するための準備に当たったのみであるということができる上,上記①ないし⑤の原告X1の活動はいずれも約20年前の活動であることも併せて考えれば,現在においてもなお,上記①ないし⑤の活動を原因として,原告X1がミャンマー政府から積極的な反政府活動家として殊更に関心を寄せられ注視され続け,迫害を受けるおそれがあるということはできない。
(イ) 上記(b)に係る活動について
原告X1は,学生運動に関係する書籍を貸す貸本屋を経営し,反政府活動に用いるビラを作成していたと供述するが,原告X1の供述を前提としても,現に貸していた書籍の具体的内容,貸本の相手方・量・範囲,作成していたビラの内容,ビラの配布の方法・量・範囲など,原告X1の活動の具体的内容を示す事項は明らかではなく,本件全証拠を検討しても,当該書籍及びビラが反政府活動にどのような影響を及ぼすのかは明らかでなく,その貸本業及びビラ作成をもって,原告X1がミャンマー政府から積極的な反政府活動家として殊更に関心を寄せられ注視され続け,迫害を受けるおそれがあるということはできない。
(ウ) 以上のことからすると,原告X1の本国における活動を理由として,ミャンマー政府が,現在においても,原告X1に対し,積極的な反政府活動家として殊更に関心を寄せて注視し続けており,迫害をするおそれがあると認めることはできない。
ウ 原告X1の本国政府との関係について
原告X1は,(a)ミャンマー政府当局者から,1988年(昭和63年)以降,取調べを受け,今後は政治活動をしない旨の誓約書に署名させられ,暴行を受けたこと,(b)ミャンマー政府当局者が,原告X1に対する逮捕状を持って原告X1が経営していた貸本屋に捜索に訪れ,原告X1の仲間を逮捕したこと,(c)ミャンマー政府当局者が,1997年(平成9年)ころから,原告X1の自宅をたびたび訪れるようになり,実家に対する捜索が行われたと主張し,同旨の供述(甲85,乙20,26,原告X1本人)をしている。
(ア) 上記(a)に係る取調べ等について
a 原告X1は,①平成18年4月12日の東京入管難民調査官に対する供述(乙20)においては,1989年(平成元年)の中ころ,軍関係者から,ビラの配布やデモへの参加について3時間ほどの尋問を受けてその際に暴行を受け,その1か月後にも再度尋問を受けてその際に暴行を受けたこと,取調べの際には誓約書を書かされていないものの,学校に呼び出され,学校が用意した誓約書に署名させられたことを供述したが,②平成19年7月9日の東京入管難民調査官に対する供述(乙26)においては,1988年(昭和63年)9月初めに取調べを受けたと供述し,暴行及び誓約書については言及がなく,③陳述書(甲85)においては,1988年(昭和63年)終わりころから,ミャンマー政府当局者に呼び出されて注意を受け,これに従わなかったところ,3,4回ほど,政治活動をしないとの誓約書に署名させられたこと,1989年(平成元年)6月又は7月ころ,軍関係者から呼び出され尋問を受けた際,暴行を受け,組織の概要,上部組織の概要,上部組織の誰から指示を受けていたのかなどの事項について尋問されたことを記載し,④原告X1本人尋問においては,1988年(昭和63年)ころから軍関係者に呼び出されるようになり,合計3回の取調べを受け,最後の取調べの際に暴行を受けたこと,2回目と3回目の取調べの際には,政治活動をしない旨の誓約書に署名させられたことを供述している。
b しかし,原告X1の上記各供述を裏付ける客観的証拠はない上,原告X1の上記各供述は,取調べを受け始めた時期,取調べの回数,尋問の内容,暴行の有無・時期・回数,誓約書への署名の有無・時期・場所の各点で相互に齟齬・変遷しているところ,これらの事実が約20年前の出来事であるとはいえ。事柄の性質上,原告X1が自らの迫害の危険の根拠とする取調べ,暴行及び誓約書への署名に関する主要な事実について,このように様々の点で相互に齟齬・変遷が生ずるのは不自然・不合理であるといえるから,原告X1の上記各供述を採用することはできず,他に同主張を裏付ける証拠はない。
c なお,仮に原告X1の上記供述に係る尋問及び誓約書への署名の事実があったとしても,その尋問の内容が,ビラの配布やデモへの参加(上記①)又は組織の概要,上部組織の概要,上部組織の指示者等(上記③)の事項であることからすれば,その尋問は,1988年(昭和63年)当時の全国的・大規模な民主化運動の状況及び上部組織の構成等を確認し,下部・末端の組織の多数の参加者らに対しては誓約書に署名させて組織の分断を図るものと推認されるところ,かかる尋問等が実施されてから約20年が経過していることに照らせば,現在もなおミャンマー政府が下部・末端の組織の多数の参加者らの個々人についてまで殊更に関心を寄せて注視し続け,迫害を加えるおそれがあると認めることはできない。
(イ) 上記(b)に係る逮捕を免れた理由と逮捕状の発付の有無について
a 原告X1は,①平成18年4月12日の東京入管難民調査官に対する供述(乙20)においては,ミャンマー政府当局者が1989年(平成元年)に貸本屋に捜索に訪れ,その際に原告X1はトイレにいたため裏口から逃れることができたこと,1988年(昭和63年)ころ逮捕された原告X1の友人が2001年(平成13年)に釈放された際に,原告X1に対する逮捕状が出ているはずであると述べていたことを供述し,②平成19年7月9日の難民調査官に対する供述(乙26)においても,原告X1が逮捕されそうになったのは1989年(平成元年)10月ころであると供述していたが,③陳述書(甲85)においては,1990年(平成2年)ころミャンマー政府当局者が捜索に訪れ,原告X1の友人であるCが逮捕されたが,原告X1はたまたま店にいなかったため逮捕されなかったと記載し,④原告X1本人尋問においては,貸本屋は5時ころから開店させるところ,1990年(平成2年)ころ,原告X1の代わりに友人が店番をすると言ったことから,原告X1は近くの喫茶店で6時まで茶を飲み,戻ったところ,ミャンマー政府当局者が貸本屋に捜索に訪れた後であり,近隣の者からミャンマー政府当局者が原告X1の名前をさかんに呼んでいたこと,原告X1の名前が入った逮捕状があったと述べていたことを供述している。
b 原告X1の上記各供述は,これを裏付ける客観的な証拠はないばかりか,原告X1が逮捕されなかった理由について,上記①においては,トイレにいたため裏口から逃れることができた旨供述し,上記③においては,原告X1はたまたま店にいなかったことから逮捕を免れた旨供述し,上記④においては,友人が店番を代わると申し出たため,原告X1の代わりに友人が店番をし,原告X1は近くの喫茶店にいたことから逮捕を免れた旨供述しており,原告X1が逮捕を免れた理由に関する供述が齟齬・変遷している。貸本屋が捜索された時期についても,上記①及び②においては1989年(平成元年)又は同年10月ころとしているのに対し,上記③及び④においては,1990年(平成2年)ころであると供述し,齟齬・変遷している上,具体的な月日についても特定されていない。これらのことからすれば,原告X1の上記各供述は,直ちに採用することができず,他に原告X1の主張を裏付ける証拠はない。
c なお,仮にミャンマー政府当局者による当該貸本屋への来訪・事情聴取等の事実があったとしても,その貸本屋の件は15年以上も前の学生による民主化運動が全国的・大規模に高揚していた時期及びその直後の出来事であり,現在は原告X1はその貸本屋及び貸本業と何らの関わりもない以上,現在においてもなお,ミャンマー政府が上記貸本屋の件で原告X1に対し殊更に関心を寄せて注視し続け,迫害をするおそれがあるということはできない。
(ウ) 上記(c)に係る実家に対する捜索について
原告X1の供述を裏付ける証拠はなく,1997年(平成9年)ころ以降に実家への捜索が開始される原因となり得る同原告のこれに近接した時期の政治活動の事実を認めるに足りる証拠を欠く上,原告の供述も具体性を欠くものであり,同供述を直ちに採用することはできない。
(エ) 以上のことから,原告X1の上記(a)ないし(c)の主張に係る事情を理由に,現在もなお,ミャンマー政府が,原告X1に対し,殊更に関心を寄せて注視し続けており,迫害をするおそれがあると認めることはできない。
エ 原告X1の韓国での活動について
原告X1は,韓国において,NLD-LA韓国支部の活動に関わり,デモや金銭の寄付等を積極的に行っていた旨主張し,原告X1は同旨の供述(甲85,乙20,原告X1)をし,また,原告X1の韓国における政治活動について記載し庇護を与えることを求める旨のNLD-LA韓国支部書記ネイトゥンナイン名義の文書(甲81)を提出する。
原告X1の供述及び上記文書の記載によれば,原告X1が韓国でした政治活動は,NLD-LA韓国支部には加入せず,同支部が主催した在韓国ミャンマー大使館前でのデモに一般参加者の一人として3回参加し,シュプレヒコールをあげたこと,在韓ミャンマー人が集まって行った新年の祭り,ダディンジュ祭り及び仏塔祭において寄付金を集め,自らも寄付をしたことである。しかし,かかる供述及び記載内容を前提としても,このような活動は,民主化運動の一般参加者がする活動の範囲を超えるものとはいえないから,かかる活動をしたことをもって,原告X1がミャンマー政府から殊更に関心を寄せられ注視され続け,迫害を受けるおそれがあるということはできない。
オ 原告X1の本邦における活動について
(ア) 原告X1は,本邦において政治活動を行い,これがミャンマー政府に知られるところとなったと主張している。
しかし,原告X1がした具体的な政治活動の内容に関する証拠は,主に原告X1の供述(甲85,乙20,26,原告X1本人)に限られているところ,かかる供述を裏付ける客観的な証拠はない。
(イ) また,前記(2)イ(オ)の事実及び原告X1の上記供述を前提としても,原告X1が本邦でした活動の内容は,以下のとおりである。
a 原告X1は,平成14年(2002年)2月,日本に入国し,平成15年ころからデモ活動への参加を始め,平成17年9月ころから同年10月ころまでの間に,いずれも20人ないし30人規模である在日本ミャンマー大使館前で行われたデモに5回,渋谷の国連難民高等弁務官事務所前で行われたデモに2回,一般参加者の一人として参加した。デモ参加者は,アウンサンスーチーの解放,政治活動家の釈放,政権の民主化勢力への委譲,在日本ミャンマー大使館による不当な税金の徴収の中止などを掲げシュプレヒコールを挙げた。
b 原告X1は,平成16年ころ,NLD-LA日本支部に所属する組織が主催した講演会に合計6回ほど参加したが,正式なNLD-LA日本支部のメンバーではなかったことから,発言の機会はなく,聞くのみであった。
c 原告X1は,NLD-LA日本支部が主催した会議,講演会やダディンジュ祭り,新年祭の際などに合計60万円ほど寄付をした。
また,原告X1は,NLD-LA日本支部において,組織部の副責任者(NLD-LA日本支部への入会希望を持つ者に対して面接を実施するなどの役割がある。)に就任すると同時に,組織部より上位の運営委員会のメンバーにも就任した。
d 原告X1は,DFBには加入しているが,DFBの指導者であるモーティーズンに言われてメンバーになっているのみであり,DFBとしての活動は特にしていない。
e ビルマナショナルへは,ミャンマーで起こった事件を,短いニュースとして投稿したものである。そのような情報は,ミャンマー国内の協力者を通じて収集したニュースである。
(ウ)a 上記(イ)aの活動については,原告X1が,本邦における20人ないし30人の小規模のデモに,一般参加者の一人として参加したというものにすぎず,このような活動をもって,ミャンマー政府が原告X1に対して殊更に関心を寄せて注視し続け,迫害をするおそれがあるということはできない。
b 同bの活動については,原告X1は,いまだNLD-LA日本支部のメンバーにすらなっておらず,発言もしていないというのであるから,これをもって,ミャンマー政府が原告X1に対して殊更に関心を寄せて注視し,迫害をするおそれがあるということはできない。
c 同cの活動については,NLD-LA及びその日本支部の概要は前記(2)ア(カ)のとおりであるところ,前記(2)イ(オ)のとおり,原告X1は,平成17年11月にNLD-LA日本支部に加入し,平成19年6月に運営委員に就任したとはいえ,約50人の運営委員の一人にすぎず,その具体的な活動は,一般参加者と同様の同支部の行事への参加以外には,入会希望者に対する面接をしていたことや寄付をしたこと等にとどまり(なお,甲85の陳述書では福利担当の運営委員と記載しているが,本人尋問では,福利というのはよく分からない,メンバーのリクリエーションのためメンバーから金銭を集めて積み立てる仕事もしているので,それが福利という表現になっているのかもしれない旨述べている。),そのような活動について,ミャンマー政府が原告X1に対して積極的な反政府活動家として殊更に関心を寄せて注視し続け,迫害をするおそれがあるということはできない。
d 同dの活動については,原告X1はDFBにおいては具体的な活動をしていないというのであるから,ミャンマー政府が原告X1に対して殊更に関心を寄せて注視し,迫害をするおそれがあるということはできない。
e 同eの活動については,本件全証拠によっても,原告X1が投稿したニュース及び当該記事の内容は明らかではなく,その供述に係るニュースの入手方法に照らしても,当該ニュースの投稿をもって,ミャンマー政府が原告X1に対して殊更に関心を寄せて注視し,迫害をするおそれがあるということはできない。
カ 原告X1の本邦への入国目的について
(ア) 出国の経緯について
a 原告X1は,2000年(平成12年)ころ,ミャンマー政府が原告X1に関する尋問をしていることを聞き,逮捕される危険があると考え,他人名義の旅券を取得した上,韓国への研修生として出国したこと,ミャンマーを出国する当初から日本へ入国することを望んでいたことから,その後日本へ入国したと主張し,同旨の供述(甲85,乙8,20,26,原告X1本人)をしている。
b ミャンマー政府が原告X1に関する尋問をしていることを知った経緯について,原告X1は,①平成18年4月12日及び平成19年7月9日の東京入管難民調査官に対する供述(乙20,26)においては,1988年(昭和63年)ころ逮捕され,2001年(平成13年)になって釈放された友人から,その友人が拘留されている間にミャンマー政府当局者から原告X1に関する尋問を何回も受けたことを聞いたと供述しているが,②陳述書(甲85)及び原告X1本人尋問においては,一緒に政治活動をし,政治活動の先生でもあるDが,1989年(平成元年)から服役していたことから,2001年(平成13年)に面会に行こうと考えていたところ,Dの妻を通じて,2000年(平成12年)ころ,原告X1の活動についてDが尋問を受けたと聞いたと供述している。
上記のとおり,原告X1の供述は,原告X1に関するミャンマー政府による尋問が,誰に対してされ,そのことを誰から聞いたのかの点で齟齬・変遷しているところ,かかる供述部分は,原告X1がミャンマーを出国した動機に係る重要な事実に関する供述であり,かつ,釈放された友人が拘留されていた際に尋問をされたのか,現に拘留されているDが尋問をされたのか,また,釈放された友人から聞いたのか,現に拘留されているDの妻から聞いたのかは,いずれも大きな事実の違いであって,このように不自然かつ不合理に齟齬・変遷している上記原告X1の供述は,原告X1に関する尋問がされていたとする伝聞の供述部分を含めて,にわかに採用することができない。
(イ) 難民認定申請の時期について
a 原告X1は,平成14年(2002年)2月中旬ころ本邦に入国している(前記前提事実(2)ア)ところ,平成17年12月30日に入管法違反容疑で逮捕された後である平成18年3月28日まで難民認定申請をしていない。
原告X1の供述(乙20)によれば,原告X1は,日本において難民認定申請をすることができることは韓国で働いていたときから知っていたというのであるから,かかる供述を前提とすれば,本邦に入国後,約4年の間,難民認定申請をしないで不法就労を続けていたことは,原告X1が,自らを難民であると認識していなかったことを示す一事情であるということができる。
b この点,原告X1は,本邦に入国後直ちに難民認定申請をしなかったことについて,(a)本邦に入国したときは,アウンサンスーチーが自由な立場にいた時期であり,ミャンマーがよい方向に変わる兆しがあり,よい方向に変わればすぐにでも帰国したいという気持ちがあったが,難民として認定された場合には帰国に時間がかかると考えたことから,本邦に入国後,すぐに難民認定申請をすることはしなかった,(b)しかし,2003年(平成15年)5月30日に,遊説中のアウンサンスーチーの一行が襲撃されたいわゆるディペイン事件が発生したことをその直後に知り,ミャンマーがよくなる希望はないと考え,難民認定申請をしようと考えた旨供述している(乙20,原告X1本人)。
しかし,原告X1は,不法に本邦に入国したため,本来であればミャンマーに帰国しなければならないことを認識していたと供述している(乙8)ところ,かかる供述を前提とすれば,適法な在留資格がなく,難民認定申請もしておらず,いつ本国へ退去強制されるかもしれない状況の中で,帰国をしようとする際に帰国に時間がかかるとの重要とはいい難い理由のみで難民認定申請をしないことは,不自然・不合理であるといわざるを得ない。また,原告X1は,2003年(平成15年)5月30日に起こったディペイン事件を契機として難民認定申請をすることを考えたと供述するが,ディペイン事件の発生を知った後,更に約2年半もの間難民認定申請をしていないことも不自然・不合理であるといわざるを得ず,したがって,原告X1の上記供述は採用することができない。
(ウ) 原告X1の稼働状況について
a 原告X1は,上記(2)イ(イ)で認定のとおり,韓国において,一般参加者の一人としてデモ活動などに参加しつつ,自動車のプレス工場等で稼働し,月に80万ウォンほどの収入を得ており,本邦においても,同(エ)で認定のとおり,平成17年11月6日にNLD-LA日本支部に加入するまで特定の政治的組織に参加せず,一般の在日ミャンマー人として約3年半の間に合計7回のデモ活動に参加しつつ,寿司屋,中華料理店等において稼働し,合計約20万円を本国に送金するとともに,約8万円を貯金していた。
b 原告X1のNLD-LA日本支部に加入するまでの本邦における政治活動は,半年に1回程度の割合でデモに参加したことのみであること,その参加の態様も一般参加者の1人としての参加にすぎないことなどからすると,原告X1は,韓国及び本邦においては,政治活動よりも稼働することを優先していたことがうかがえる。
(エ) 以上の事情を総合すると,原告X1が本邦に入国した目的は,主に本邦において稼働する目的であったと推認され,難民として我が国政府の庇護を受ける目的であったとは認め難く,このことは,原告X1が難民であることを否定する方向に作用する事情であるということができる。
キ 小括
以上に検討したところによれば,原告X1が,ミャンマー政府から,積極的な反政府活動家として殊更に関心を寄せられ注視され続けていたとは認め難く,前記(2)アのミャンマーの一般情勢を勘案しても,原告X1が,ミャンマーに帰国した場合に,通常人が同原告の立場に置かれた場合にも,その政治的意見又は特定の社会的集団の構成員であることを理由に,ミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するというべき客観的事情の存在を認めることはできない。したがって,原告X1が「難民」に該当するものと認めることはできない。
(4)  原告X2の難民該当性の検討
ア 原告X2の本国における活動について
原告X2は,叔父であるFの政治活動を秘書的な立場で手伝っていた旨主張し,同旨の供述(甲86,乙34,35,51,原告X2)をしている。
(ア) 原告X2の本国における活動に関する供述等の内容は,以下のとおりである。
a 原告X2は,1995年(平成7年),Fの家に頻繁に出入りをしていたということで,当時通っていた学校を退学させられ,また,父親が既に亡くなっていたことから,Fの世話になるようになり,同人の政治活動を手伝うようになった。
b 原告X2は,Fの手伝いとして,同人の指示に基づき,同人の家で文書,手紙等を届けること,文書の整理をすること,コピーをすること等をし,アウンサンスーチー宅に書類を届けたこともあった。また,Fが会合等のため外出する際には,それに付き添ったりもした。しかし,コピーしたり届けたりした文書の内容は,把握していないし,Fと政治的な話をしたこともない。
c Fが会合のためミャンマー国内のナンムカンに向かった際,原告X2もそれに同行していたが,ナンムカンにおいて警察官から停止を求められ,そのまま一行は取調べを受けた。原告X2も取調べを受け,Fにくっついてうろうろするな,Fの活動を手伝うようなことはするなと言われた後,釈放された。
d Fの家は,その向かいの家からミャンマー政府当局者により監視されていた。したがって,原告X2も監視されていたはずである。
e Fの逮捕の理由は,SNLDメンバーと憲法について話し合ったことが理由である。また,原告X2の親族で,Fの家に出入りし,外国人と秘密情報のやり取りをしているとの虚偽の嫌疑により12年の刑を受けた者がいる。
(イ) しかしながら,上記原告X2の供述を裏付ける客観的な証拠はない上,仮にかかる供述を前提としたとしても,以下のとおり,原告X2がした活動をもって,ミャンマー政府が,同原告自身に対し,その政治的意見を理由に積極的な反政府活動家として殊更に関心を寄せて注視し続け,迫害をするおそれがあるということはできない。
a 原告X2は,Fの政治活動の秘書的な立場での手伝いをしていた旨供述するが(上記(ア)a及びb),その活動の具体的内容は,文書を届けたりコピーをしたりするなど,政治思想とは関係のない活動であって,Fの雑用を姪として補助したといえるにすぎず,かつ,原告X2自身は,Fと政治的な話をしたこともなく,コピーをしたり届けたりした書類の内容も把握していないというのであるから,原告X2の活動は,それ自体としては同原告自身の政治的意見に基づく政治活動といえるものではなかったというべきである(なお,アウンサンスーチー宅に書類を届けた旨の供述については,軍事政権の厳重な監視・自宅軟禁下にあった同女子宅に同原告が書類を届けることが可能であったとは考え難く,その際の状況につき制服を着て子供のような格好で届けに行ったので軍人らにとがめられなかった旨の供述内容(同原告本人)も著しく不自然であって,到底採用し難い。)。
b 原告X2は,ナンムカンにおいて警察から取調べを受けた際にも,Fとともに行動しないようにとの注意を受けたのみである(同c)ことからすると,原告X2の行動は,ミャンマー政府からも,当時,同原告自身の政治活動とは認識されていなかったことがうかがえる。
c 原告X2は,Fの家にいた際,ミャンマー政府から監視されていた(同d),Fの親族が他にも逮捕されていた(同e)と供述するが,ミャンマー政府がFの政治活動を監視していたとしても,そのことをもって直ちに原告X2自身がその活動を監視されていたことにはならないし,原告X2の供述による当該親戚の逮捕理由は原告X2とは全く関係がないのであるから,当該理由により親戚が逮捕されたとしても,そのことをもって直ちに原告X2自身が逮捕されるおそれがあるということもできない。
(ウ) なお,原告X2は,Fが逮捕された際,同人の正秘書も逮捕され,殺害されたとの情報があると主張し,同原告の陳述書(甲86)中には,正秘書が刑務所で死亡したことを聴いた旨の記載がある。
しかし,かかる主張を裏付ける客観的な証拠はない。なお,仮に,Fの政治活動の内容を把握して自らも政治活動を行っていた正秘書が逮捕されたとしても,その後Fに対する捜査・訴追・公判の手続は既に終了し,同人は禁錮刑の宣告を受けて長期収容中であってSNLDの活動に関与し得ない状況にあることにもかんがみれば,同人の活動の内容を把握しないで単に姪として雑用の補助をしていただけの原告X2が,参考人としての任意の事情聴取の範囲を超えて,原告X2自身の政治的意見を理由に逮捕・訴追・処罰まで受ける危険があるとは考え難く,また,仮に正秘書が死亡したとしても,その原因・理由は不明であり,いずれにしても,原告X2自身についてその政治的意見を理由とする迫害を受けるおそれがあるとまでは認め難い。
なお,原告X2は,Fの雑用の補助をしていたものではあるが,その当時から現在に至るまで自らSNLDに加入してその構成員として活動していたことを示す証拠はない上,Fの雑用の補助をしていたのも本件不認定処分の日から2年以上も前のことで,現在はFが既に終了した刑事手続を経て長期収容中であってSNLDの活動に関与し得ない状況にあることにもかんがみれば,原告X2自身が特定の社会的集団(SNLD)の構成員であることを理由として迫害を受けるおそれがあるともいえない。
イ 原告X2の出国の経緯について
原告X2は,Fの指示により出国したことから,Fとともに逮捕されることを免れたかのような主張をし,原告X2は同旨の供述(甲86,乙51,58,原告X2本人)をする。
(ア) しかし,原告X2の供述(乙51,58,原告X2本人)を前提としても,Fの指示は,「まあちょっと遊んできなさいという雰囲気で」(原告X2本人)言われたものにすぎず,かつ,「最初はおじさんから観光に行くように言われました」(乙58),「外国への出国を勧められた時,叔父に逮捕されるからとはいわれませんでした」(乙51)とのことであり,真に原告X2を含めて逮捕の危険が予測されたのであればその旨及び留意事項を告げて外国への出国を促すのが自然であると解されることからすれば,原告X2は,自らの逮捕のおそれを認識して出国したものとはいえず,Fも,その当時,原告X2につき逮捕のおそれまで考えた上で出国を指示したものとは認め難い。したがって,Fの指示を受けて出国したことをもって,原告X2がミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあるということはできない。
(イ) なお,原告X2は,平成19年7月9日の東京入管難民調査官に対する供述(乙58)においては,ミャンマーから出国した直接の理由について,「文書を配布したことについて軍から注意されたり,家に来て家族票を調査されたことから,おじさんが心配して出国の用意をしてくれたためです。」と供述しているが,同旨の問いに対する原告X2の上記(ア)の各供述(乙51,58,原告X2本人)と明らかに矛盾・齟齬するものであり,採用することができない。
(ウ) また,原告X2は,旅券の記載における同原告の名前の表記が「A」となっているが,正しい表記は「X2」であり,旅券の発給及び出国手続の際,ミャンマー政府に原告X2であることが確認されなかったことから,旅券が交付され,正規の手続で出国できたのであり,そうでなければ,原告X2を政治活動を理由として旅券が発給され又は出国することはできなかったかのような供述(乙58)をする。しかし,原告X2は,難民認定申請書(乙50)を初め,原告X2が自ら署名した書類にはいずれも「A」の表記で署名している(甲86,乙34,35,51,52等)上,旅券の記載内容が原告X2の正しい身分事項であると繰り返し供述しており(乙34,39,52),「X2」が正しい表記であると認めることはできない(この点,原告X2は,旅券の表記に合わせて署名をしたことから,本来の表記と異なる署名をした旨述べる(原告X2本人)が,従前の供述内容等にかんがみ,直ちに採用し難い。)。また,原告X2の旅券には,原告X2の顔写真,生年月日など原告X2を特定する事項が真正に記載されている上,旅券の発給申請手続に当たってはミャンマー語が用いられていること(乙64)から,原告X2の氏名もミャンマー語で表記されていたと推認することができ,旅券の発給申請手続において,ミャンマー政府が原告X2を特定することは容易であったといえる。
したがって,いずれにしても,原告X2について,その出国当時,本人の同一性が確認された状態の下での出国が困難な状況にあったとは認め難い。
ウ 原告X2の出国後の本国の状況について
原告X2は,(a)母親から,ミャンマー政府当局者が頻繁に原告X2の実家を訪れて同原告のことを尋ねているとの話を聞いたこと,(b)母親が原告X2と絶縁する旨の新聞広告を掲載したことを主張し,原告X2も同旨の供述(乙34,51,52,原告X2本人)をしている。
(ア) 上記(a)について
a 原告X2は,ミャンマー政府当局者が頻繁に原告X2の実家を訪れて母親に同原告のことを尋ねるようになったのは,平成17年(2005年)3月ころからであると供述している(原告X2)ところ,平成18年4月26日の東京入管難民調査官に対する供述(乙51)においては,同年10月ころに母親からその話を聞いたと供述している。かかる供述を前提とすると,本邦に入国後,月に10回程度も母親と電話をしていた(乙52)にもかかわらず,同月ころに電話をするまで約半年間,母親がその話をしなかったというのは不自然である(なお,原告X2は,本件訴訟において被告からその不自然さを指摘されるや,同原告本人尋問においては,同年3月ころにはその話を母親から聞いたと供述して,母親からその話を聞いた時期に関する供述を変遷させているところ,その変遷について合理的理由の説明はされていない。)。したがって,原告X2の上記(a)の主張に沿う供述を採用することはできない。
b なお,仮に,Fの逮捕後にミャンマー政府当局者が原告X2の実家を訪れて同原告のことを尋ねたことがあったとしても,原告X2自身が,母親から,ミャンマー政府当局者は原告X2からFの話を聞こうとしていると聞いたと供述しているとおり(乙34),ミャンマー政府の関心の対象は,原告X2自身の活動ではなく,専らF本人の政治活動であり,姪としてその内容を把握しないで単に雑用を補助していただけの原告X2に関しては,参考人としてFの活動状況につき事情聴取をする意図にとどまるものであったと推測され,その後Fに対する捜査・訴追・公判の手続は既に終了し,同人は禁錮刑の宣告を受けて長期収容中であってSNLDの活動に関与し得ない状況にあること,上記の雑用の内容等にかんがみれば,現時点において,原告X2について,参考人としての任意の事情聴取の範囲を超えて,原告X2自身の政治的意見を理由に逮捕・訴追・処罰まで受ける危険があるとは考え難く,同原告自身についてその政治的意見を理由とする迫害を受けるおそれがあるとまでは認め難い。
また,原告X2自身が特定の社会的集団(SNLD)の構成員であることを理由として迫害を受けるおそれがあるとはいえないことは,上記ア(ウ)のとおりである。
(イ) 上記(b)について
原告X2は,母親がミャンマー政府からの追及を免れるために原告X2と絶縁する旨の広告を掲載した旨供述する(甲86,乙51)。
しかし,母親が掲載したとされる広告(甲67)には,「私G(括弧内略)と夫Hの娘X2(括弧内略)が人並みに生活できるように,父親の死後母親である私が親としての義務を果たし教育を受けさせたにもかかわらず母親の注意に耳を傾けない様子で暮らしているので,X2を勘当することを多くの人びとにしてもらうために発表いたします。」と記載されているところ,かかる記載内容からすれば,原告X2の母親は,同原告が母親の注意に耳を傾けなかったことから絶縁する旨の広告をしたと読むのが自然であるといえ,上記広告がミャンマー政府からの追及を免れる目的でされたことを裏付ける証拠はない以上,原告X2の上記供述を採用することはできず,上記広告がその文理に反してそのような目的でされたものと認めることはできない。
なお,仮に,その広告が,ミャンマー政府当局者が母親の家を訪ねて原告X2のことを尋ねることを回避する目的でされたものであるとしても,前記ウ(ア)のとおり,その訪問自体が参考人としての事情聴取の意図を超えるものとは考え難い以上,原告X2の難民該当性を基礎付ける事情とはいえないといわざるを得ない。
エ 原告X2の本邦における活動について
原告X2は,SND及びNLD-LA日本支部に加入した事実は認められる(上記(2)ウ(ウ))ものの,NLD-LA及びその日本支部の概要は前記(2)ア(カ)のとおりであるところ,その活動内容は,原告X2の供述を前提としても,①デモ活動や会議に参加した(甲86),②SNDの会計副責任者として,会員から会費を集める,国境へ逃れているシャン民族の人たちに支援カンパを送る,ミャンマー国内のシャン民族の支援をするため送金する(原告X2)というものであり,このような活動は,ミャンマー政府から積極的な反政府活動家として殊更に関心を寄せられて注視されるような活動であるとはいい難く,これらの活動をもって,原告X2に,ミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあるということはできない。
オ 原告X2の本邦への入国目的について
原告X2は,①上記イのとおり,Fの指示を受けて出国したものであるが,出国当時,原告X2がミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあると認識していた形跡はない上,②平成16年(2006年)12月5日に本邦に入国した後,その10日後ころから日本料理店で稼働を始め,週6日,1日約12時間稼働して月24万円程度の収入を得,タイに在住する妹へ毎月13万円程度を送金していたこと(上記(2)ウ(イ)),③SND及びNLD-LA日本支部への加入は平成18年(2006年)1月であること(上記(2)ウ(ウ)),④原告X2は,「日本に来た目的は日本で観光をし日本で少し働きたいと思って来た」(乙34),「入国当時は,しばらく働いて,大使館に税金を払い帰るつもりでした」(乙39),「1,2年働いたら,ミャンマー大使館に税金を納め,旅券の延長を受けて帰国しようと考えていました」(乙51)などと供述していることからすると,原告X2が本邦へ入国した目的は,難民として庇護を受ける目的ではなく,観光及び稼働の目的であったことを推認することができ,更に相応に稼働した後には帰国することをも計画していたことがうかがえる。
したがって,原告X2は,本邦への入国当時,自らを難民であると認識していなかったということができ,このことは,原告X2がミャンマー政府から迫害を受けるおそれを否定する方向に作用する事情であるということができる。
カ 原告X2の民族に係る事情について
原告X2は,シャン民族であるところ,シャン民族であれば,迫害を受けるおそれがあると主張する。
原告X2は,原告X2の父親は中国系ビルマ民族であり,ヤンゴン市で生まれたことから,ビルマ民族として国民登録をしており,シャン民族であると自称している理由は,母親がシャン民族であり,母親の親族の中で育ったことから,シャン民族の意識が強かったからであること,シャン民族であることを理由に差別を受けた例として,国民登録証は,ビルマ民族であれば1週間程度で発給されるにもかかわらず,少数民族であるがため1か月も発給までに時間を要したことを供述している(乙51,58)。
しかし,かかる供述を前提とすれば,原告X2は,ビルマ民族として国民登録しており,現に父親は中国系ビルマ民族であるのだから,仮にミャンマーにおいてシャン民族であることを理由に一定の不利益を受けるおそれがあるとしても,原告X2についても直ちに同様の不利益を受けるおそれがあるとはいえない。
また,原告X2は,少数民族であるがために国民登録証の発給までに1か月の時間を要したと供述するが,原告X2はビルマ民族として国民登録をしているのであるから,仮に発給までに1か月かかったとしても,それは原告X2がシャン民族であることが理由であるとはいえないし,仮に母方がシャン民族であることを理由に国民登録証の発給が遅れたのだとしても,そのような不利益をもって迫害に当たるということはできず,他に原告X2の母方がシャン民族であることのみを理由に原告X2がミャンマー(ヤンゴン市の実家及びその周辺)において迫害を受けたことを認めるに足りる証拠はない以上,前記(2)ア(キ)の一般情勢(シャン州の村落の状況等)を勘案しても,原告X2がミャンマーに帰国した場合に,母方がシャン民族であることのみを理由にミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあると認めることはできない。
キ 小括
以上に検討したところによれば,原告X2が,ミャンマー政府から,積極的な反政府活動家又はシャン民族の出身者として殊更に関心を寄せられ注視され続けていたとは認め難く,前記(2)アのミャンマーの一般情勢を勘案しても,原告X2が,ミャンマーに帰国した場合に,通常人が同原告の立場に置かれた場合にも,その政治的意見若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は人種を理由に,ミャンマー政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するというべき客観的事情の存在を認めることはできない。したがって,原告X2が「難民」に該当するものと認めることはできない。
3  争点(3)(本件各在特不許可処分の適法性又は無効原因の有無)について
(1)  前記1のとおり,本件各在特不許可処分については,主位的請求に係る取消しを求める訴えは不適法であるので,専ら予備的請求に係る無効確認を求める訴えについて無効事由の有無を検討することとする。
そして,行政処分が無効であるというためには,当該処分に重大かつ明白な瑕疵が存在しなければならず,その瑕疵が明白であるか否かは,処分の外形上,客観的に瑕疵が一見して看取し得るか否かにより決せられるべきものであり(最高裁昭和25年(オ)第206号同31年7月18日大法廷判決・民集10巻7号890頁参照),「重大なかつ明白な瑕疵」の存在に係る主張立証責任は原告にある(最高裁昭和40年(行ツ)第45号同42年4月7日第二小法廷判決・民集21巻3号572頁参照)から,本件各在特不許可処分につき,重大かつ明白な違法が存在するか否かを以下において検討する。
(2)  原告らは,原告らが難民条約上の難民に該当し,また,ミャンマーに戻れば拷問を受けるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠があったので,本件各在特不許可処分は,難民条約33条1項及び拷問禁止条約3条1項に定める送還禁止原則に違反する旨主張する。
難民は,その生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある国へ送還してはならず(難民条約33条1項,入管法53条3項),難民と認められない者であっても,その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある国へ送還してはならない(拷問禁止条約3条1項。送還禁止原則)。
法務大臣又はその権限の委任を受けた地方入国管理局長(以下「法務大臣等」という。)は,在留資格なく本邦に在留し,難民の認定の申請をした外国人について,難民の認定をしない処分をするときは,当該外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否かを審査するものとされる(入管法61条の2の2第2項,69条の2)ところ,法務大臣等は,この審査に当たり,当該外国人に退去を強制してその本国へ送還することが送還禁止原則違反となるか否かを考慮すべきであり,同原則違反となる場合には在留特別許可をすべきであるということができる。
入管法61条の2の2第2項の在留特別許可の許否の判断において,法務大臣等は,入管法50条1項の在留特別許可の場合と同様に,広範な裁量権を有するが,他方で,上記の送還禁止原則の意義等に照らすと,仮に送還禁止原則違反となる事情があるにもかかわらず在留特別許可を付与しないならば,当該不許可処分は裁量権を逸脱し又は濫用したものとして違法となるものと解される。
(3)  これを本件について検討するに,前記2において判断したとおり,原告らが難民に該当すると認めることはできず,また,前記2において難民該当性について検討したところを踏まえれば,原告らがミャンマーに帰国した場合に,原告らに対しミャンマー政府による拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠があるとも認められないから,本件において送還禁止原則違反の問題は生じない。
また,原告らは,いずれもミャンマーで出生し,教育を受け,成育した稼働能力を有する成年者であり,本国の言語,文化,生活習慣等に習熟し,本国には親族もいるものと認められ(乙8,19,20,34,35,50),他方,原告らはいずれも二十代後半に本邦に入国するまで我が国とは何らかかわりがなかったのであるから,本件において難民該当性が認められず送還禁止原則違反の問題も生じない以上,原告に在留特別許可を付与しなかったことが裁量権の逸脱又は濫用となるとは認め難い。
そして,他に,原告らに対し入管法61条の2の2第2項の在留特別許可を付与しなかったことについて裁量権の逸脱又は濫用に当たると解すべき事情の存在は認められない。
(4)  以上によれば,本件各在特不許可処分に重大かつ明白な違法があるということはできず,この点に関する原告の主張は理由がない。
4  争点(4)(本件各裁決及び本件各退令処分の適法性)について
(1)  原告らは,原告らが難民条約上の難民に該当し,また,ミャンマーに帰国すれば拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な理由があるし,他にも送還可能な国もないとして,本件各裁決及び本件各退令処分は,難民条約33条1項及び拷問禁止条約3条1項に規定する送還禁止原則に違反する旨主張する。
しかしながら,前記2において判断したとおり,原告らが難民に該当すると認めることはできず,また,前記2において難民該当性について検討したところを踏まえれば,原告らがミャンマーに帰国すれば拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠があるとも認められないから,送還禁止原則違反の問題は生じないし,その他の諸事情について前記3(3)において検討したところも併せ考えると,本件各裁決につき,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長に裁量権の逸脱又は濫用があったとは認め難く,本件各裁決は適法であるというべきである。
(2)  そして,法務大臣等は,入管法49条1項に基づく異議の申出があったときは,異議の申出に理由があるか否かについての裁決をして,その結果を主任審査官に通知しなければならず(同条3項),主任審査官は,法務大臣等から異議の申出は理由がない旨の裁決をした旨の通知を受けたときは,当該容疑者に対し,速やかにその旨を知らせるとともに,入管法51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない(同法49条6項)。
したがって,東京入管主任審査官は,前記前提事実(4)サのとおり,東京入国管理局長から適法な本件各裁決の通知を受けた以上,入管法上,これに従って退去強制令書を発付するほかなく,これを発付するか否かについて裁量を有するものではないから,本件各退令処分もまた適法である。
(3)  以上によれば,本件各裁決及び本件各退令処分に違法があるということはできないから,この点に関する原告の主張は理由がない。
第4  結論
よって,本件訴えのうち,本件各在特不許可処分の取消しを求める訴えはいずれも不適法であるから却下することとし,原告らのその余の訴えに係る請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 岩井伸晃 裁判官 松長一太 裁判官小島清二は,転補につき署名押印することができない。裁判長裁判官 岩井伸晃)

 

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政治と選挙の裁判例「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧
(1)平成22年11月30日 金沢地裁 平21(行ウ)3号 公金支出差止請求事件
(2)平成22年11月19日 盛岡地裁 平18(行ウ)11号 政務調査費返還請求事件
(3)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)16号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(4)平成22年11月17日 東京高裁 平22(行ケ)15号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(5)平成22年11月12日 東京地裁 平21(行ウ)126号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(6)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(7)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)251号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(8)平成22年11月 2日 東京高裁 平22(行ケ)14号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(合憲)・東京高裁〕
(9)平成22年10月29日 東京地裁 平19(ワ)31252号 損害賠償等請求事件
(10)平成22年10月29日 東京地裁 平19(行ウ)472号・平19(行ウ)493号・平19(行ウ)494号・平19(行ウ)495号・平19(行ウ)496号・平19(行ウ)497号・平19(行ウ)498号・平19(行ウ)715号・平19(行ウ)785号・平20(行ウ)55号・平20(行ウ)132号・平20(行ウ)133号・平20(行ウ)404号・平20(行ウ)405号・平20(行ウ)406号・平20(行ウ)407号・平20(行ウ)408号・平20(行ウ)686号・平20(行ウ)756号・平21(行ウ)367号・平18(行ウ)472号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分取消請求事件
(11)平成22年10月28日 東京地裁 平19(ワ)31393号 損害賠償請求事件
(12)平成22年10月27日 仙台高裁 平21(行コ)28号 違法公金支出による損害賠償履行請求控訴事件
(13)平成22年10月22日 東京高裁 平22(行ス)76号
(14)平成22年10月 1日 東京地裁 平21(行ウ)132号 難民不認定処分取消等請求事件
(15)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(16)平成22年 9月17日 東京地裁 平21(行ウ)226号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(17)平成22年 9月14日 最高裁第三小法廷 平22(ク)760号・平22(許)24号 仮処分命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する抗告事件
(18)平成22年 7月30日 東京地裁 平21(行ウ)281号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(19)平成22年 7月30日 東京地裁 平20(行ウ)605号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(20)平成22年 6月24日 東京地裁 平21(行ウ)15号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(21)平成22年 6月17日 名古屋高裁 平22(ラ)137号 仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件
(22)平成22年 6月16日 東京地裁 平22(ワ)221号 損害賠償請求事件
(23)平成22年 6月 8日 東京地裁 平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(24)平成22年 5月31日 東京地裁 平20(ワ)16947号 損害賠償請求事件
(25)平成22年 5月20日 東京地裁 平21(行ウ)99号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(26)平成22年 5月13日 東京高裁 平20(う)2470号 国家公務員法違反被告事件
(27)平成22年 4月28日 東京地裁 平20(行ウ)642号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(28)平成22年 4月27日 札幌高裁 平21(行ケ)1号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・札幌高裁・第一審〕
(29)平成22年 4月13日 東京地裁 平20(ワ)34451号 貸金等請求事件
(30)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(31)平成22年 3月30日 大阪高裁 平19(ネ)2853号 損害賠償請求控訴事件
(32)平成22年 3月30日 東京地裁 平21(行ウ)256号 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件
(33)平成22年 3月29日 東京高裁 平18(う)2351号 国家公務員法違反被告事件
(34)平成22年 3月29日 金沢地裁 平19(行ウ)5号 公金違法支出損害賠償請求事件
(35)平成22年 3月26日 熊本地裁 平19(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(36)平成22年 3月25日 岐阜地裁大垣支部 平20(ワ)253号 損害賠償請求事件
(37)平成22年 3月12日 福岡高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・福岡高裁・第一審〕
(38)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)36号 選挙無効請求事件
(39)平成22年 3月11日 東京高裁 平21(行ケ)35号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(40)平成22年 3月 8日 福岡地裁 平19(行ウ)8号 難民不認定処分取消等請求事件
(41)平成22年 3月 3日 東京地裁 平20(行ウ)412号・平20(行ウ)425号・平20(行ウ)426号・平21(行ウ)79号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(42)平成22年 2月26日 東京地裁 平20(行ウ)486号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(43)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)20号・平21(行ケ)21号・平21(行ケ)22号・平21(行ケ)23号・平21(行ケ)24号・平21(行ケ)25号・平21(行ケ)26号・平21(行ケ)27号 各選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(44)平成22年 2月24日 東京高裁 平21(行ケ)19号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・東京高裁・第一審〕
(45)平成22年 2月 5日 東京地裁 平20(行ウ)713号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(46)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件
(47)平成22年 1月29日 東京地裁 平20(行ウ)261号・平20(行ウ)273号・平20(行ウ)274号 難民の認定をしない処分取消等請求事件(第1事件・第2事件)、退去強制令書発付処分取消等請求事件(第3事件)
(48)平成22年 1月27日 東京地裁 平20(ワ)14157号 損害賠償等請求事件
(49)平成22年 1月25日 広島高裁 平21(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・広島高裁・第一審〕
(50)平成22年 1月22日 東京地裁 平21(行ウ)82号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(51)平成22年 1月15日 東京地裁 平20(行ウ)626号・平21(行ウ)2号 在留特別許可をしない処分無効確認請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成21年12月28日 大阪高裁 平21(行ケ)2号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・大阪高裁・第一審〕
(53)平成21年12月 4日 東京地裁 平20(ワ)7435号・平20(ワ)26797号 建物収去土地明渡請求事件、建物退去土地明渡請求事件
(54)平成21年11月30日 最高裁第二小法廷 平20(あ)13号 住居侵入被告事件 〔葛飾政党ビラ配布事件・上告審〕
(55)平成21年11月27日 東京地裁 平14(刑わ)3696号・平14(刑わ)4021号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(56)平成21年11月26日 東京地裁 平21(行ウ)86号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(57)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)629号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(58)平成21年11月26日 東京地裁 平20(行ウ)436号・平20(行ウ)444号・平20(行ウ)445号・平20(行ウ)446号・平20(行ウ)447号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(59)平成21年10月29日 東京地裁 平18(行ウ)529号・平18(行ウ)564号・平20(行ウ)235号・平20(行ウ)237号 在留を特別に許可しない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(60)平成21年10月28日 京都地裁 平19(ワ)3986号・平20(ワ)797号・平20(ワ)2263号・平20(ワ)3884号・平21(ワ)1575号 損害賠償請求事件
(61)平成21年10月21日 東京地裁 平21(行ウ)61号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(62)平成21年10月 9日 東京地裁 平19(ワ)9718号 損害賠償等請求事件
(63)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)209号 選挙無効請求事件
(64)平成21年 9月30日 最高裁大法廷 平20(行ツ)196号 選挙無効請求事件
(65)平成21年 9月29日 東京地裁 平19(行ウ)437号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(66)平成21年 8月28日 東京地裁 平19(行ウ)123号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(67)平成21年 8月27日 東京地裁 平20(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(68)平成21年 8月25日 東京地裁 平20(ワ)16289号 書籍出版等差止請求事件 〔扶桑社教科書差し止め訴訟〕
(69)平成21年 7月22日 東京地裁 平21(ワ)7588号 慰謝料等請求事件
(70)平成21年 7月16日 東京地裁 平20(行ウ)525号 難民不認定処分無効確認請求事件
(71)平成21年 6月30日 東京地裁 平20(行ウ)421号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(72)平成21年 6月25日 東京地裁 平18(ワ)17391号 損害賠償等請求事件
(73)平成21年 6月23日 東京地裁 平20(行ウ)163号・平20(行ウ)167号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(74)平成21年 6月17日 大阪高裁 平20(行コ)159号 政務調査費返還請求行為請求控訴事件
(75)平成21年 6月12日 東京地裁 平20(ワ)27642号 貸金請求事件
(76)平成21年 5月29日 東京地裁 平20(行ウ)150号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(77)平成21年 5月27日 東京高裁 平20(行コ)333号 不当利得返還(住民訴訟)請求控訴事件
(78)平成21年 5月26日 東京地裁 平21(む)1220号 政治資金規正法被告事件
(79)平成21年 5月25日 大阪地裁 平18(行ウ)128号 懲戒処分取消請求事件 〔国・気象衛星センター(懲戒免職)事件〕
(80)平成21年 5月22日 東京地裁 平19(行ウ)309号・平20(行ウ)518号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(81)平成21年 5月11日 京都地裁 平21(む)843号 証拠開示命令請求事件
(82)平成21年 4月23日 仙台地裁 平19(ワ)1560号 不当解雇損害賠償等請求事件 〔京電工論旨解雇事件〕
(83)平成21年 4月21日 東京地裁 平20(行ウ)142号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(84)平成21年 3月31日 大阪地裁 平19(行ウ)34号・平19(行ウ)63号・平19(行ウ)77号・平20(行ウ)82号 国際放送実施命令取消等請求(甲~丙事件)、国際放送実施要請違法無効確認等請求(丁事件)事件
(85)平成21年 3月27日 東京地裁 平19(行ウ)178号・平20(行ウ)21号・平20(行ウ)146号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(86)平成21年 3月27日 東京地裁 平18(行ウ)520号・平18(行ウ)524号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(87)平成21年 3月26日 東京地裁 平20(行ウ)134号・平20(行ウ)177号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、追加的併合事件
(88)平成21年 3月26日 東京地裁 平19(行ウ)580号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(89)平成21年 3月24日 東京地裁 平19(ワ)23257号 損害賠償請求事件
(90)平成21年 3月23日 名古屋地裁 平18(行ウ)64号 政務調査費返還代位請求事件
(91)平成21年 3月18日 東京地裁 平19(行ウ)305号・平20(行ウ)501号 在留特別許可をしない処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消等請求事件
(92)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(行ウ)497号 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件
(93)平成21年 2月27日 東京地裁 平18(ワ)26458号・平18(ワ)24160号 謝罪広告等請求事件、損害賠償請求事件 〔特高警察関係資料集成事件〕
(94)平成21年 2月25日 東京地裁 平19(行ウ)325号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成21年 2月25日 東京地裁 平18(行ウ)374号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(96)平成21年 2月16日 東京地裁 平20(ワ)16317号 損害賠償請求事件
(97)平成21年 2月13日 東京地裁 平20(行ウ)144号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(98)平成21年 1月29日 東京地裁 平19(行ウ)741号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(99)平成21年 1月27日 横浜地裁川崎支部 平15(ワ)200号 差止等請求事件
(100)平成21年 1月22日 大津地裁 平19(行ウ)10号 公金支出差止め請求事件


政治と選挙の裁判例(裁判例リスト)

■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/

■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/

■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/

■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/

■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/

■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/

■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/

■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/

■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/

■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/

■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/

■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/

■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/

■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/

■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/

■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/

■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/

■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/

■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/

■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/

■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/

■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/

■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/

■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/

■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/

■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


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(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
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(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
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