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「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(10)平成28年 1月28日 東京高裁 平27(行ケ)49号 裁決取消請求事件

「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(10)平成28年 1月28日 東京高裁 平27(行ケ)49号 裁決取消請求事件

裁判年月日  平成28年 1月28日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(行ケ)49号
事件名  裁決取消請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2016WLJPCA01286006

事案の概要
◇平成27年4月12日執行の市議会議員選挙に当選した原告が、原告の当選の効力に関する選挙人からの異議申出に対して本件市の選挙管理委員会が異議申出を棄却する決定をしたが、その後された審査申立てに対して本件県の選挙管理委員会である被告がこの決定を取り消し、原告の当選を無効とする旨の裁決をしたことから、公職選挙法207条1項に基づき、本件裁決の取消しを求めた事案

裁判経過
上告審 平成28年 7月28日 最高裁第一小法廷 決定 平28(行ヒ)191号

裁判年月日  平成28年 1月28日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(行ケ)49号
事件名  裁決取消請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2016WLJPCA01286006

住所〈省略〉
原告 X
訴訟代理人弁護士 本間豊
同 秦野寛子
住所〈省略〉
被告 Y選挙管理委員会
代表者委員長 A
訴訟代理人弁護士 池田陽子
指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
同 W5
同 W6

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求の趣旨
平成27年4月12日執行のa市議会議員選挙b区選挙区における当選の効力に関する審査の申立てに対し,被告が平成27年9月25日付けでした裁決を取り消す。
第2  事案の概要
本件は,平成27年4月12日執行のa市議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)にb区選挙区から立候補し,当選した原告が,原告の当選の効力に関する選挙人からの異議申出に対してa市選挙管理委員会が異議申出を棄却する決定をしたが,その後された審査申立てに対し,被告がこの決定を取り消し,原告の当選を無効とする旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をしたので,被告に対し,公職選挙法207条1項に基づき,本件裁決の取消しを求めて訴えを提起した事案である。
1  関係法令の定め
公職選挙法10条1項5号は,「市町村の議会の議員についてはその選挙権を有する者で年齢満25年以上のもの」が被選挙権を有すると定め,また,同法9条2項は,「日本国民たる年齢満20年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者は,その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。」と定める(なお,以下において,同法9条2項の「引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する」という要件を「住所要件」という。)。
2  前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)
(1)  本件選挙及び異議申出等
ア 原告は,本件選挙(平成27年4月3日告示,同月12日執行)にb区選挙区(定数7)から立候補し,8930票(得票率9.52%)を獲得し,第7位で当選した(甲4ないし6)。
イ a市選挙管理委員会は,本件選挙の選挙人からされた,原告は本件選挙の投票日である平成27年4月12日の3か月前である同年1月12日から投票日まで(以下この期間を「本件期間」という。)引き続いて住所を有しておらず,本件選挙の時点で住所要件を欠き,被選挙権がなかったとして,原告の当選を無効とする決定を求める旨の異議の申出について,同年7月14日付けで異議の申出を棄却する決定(指令横選管発第1号。甲13。以下「本件異議申出棄却決定」という。)を行った。
ウ 本件異議申出棄却決定に対し,同月30日,別の選挙人から被告に対して審査の申立てがされた(甲14)。被告は,同年9月25日付けで,本件異議申出棄却決定を取り消し,本件選挙における原告の当選を無効とする旨の本件裁決をし(甲25),同月29日,裁決書要旨を告示した。
エ 原告は,同年10月28日,本件訴訟を提起した。
(2)  原告の生活状況等
ア 原告は,4年ほど前から東京都港区〈以下省略〉(以下「旧住所」という。)のマンションにおいて,夫及び子供とともに生活していた。
イ 原告は,平成27年1月15日,a市b区長に対し,同月3日を転入日として,旧住所からa市〈以下省略〉(以下「新住所」という)に転入した旨を届け出た(甲16)。
ウ 新住所とされた建物(以下「本件建物」という。)における平成26年10月請求分から平成27年4月請求分までの電気の使用状況は以下のとおりである。なお,この期間の電気料金の領収書の宛名は,終始「c党○○選挙区支部政党助成金口 支部長B」とされていた。(甲13,甲18の1ないし6,甲25)

請求年月 使用期間 使用量
平成26年10月 平成26年9月10日~同年10月9日 45kWh
平成26年11月 平成26年10月10日~同年11月10日 47kWh
平成26年12月 平成26年11月11日~同年12月10日 43kWh
平成27年1月 平成26年12月11日~平成27年1月12日 67kWh
平成27年2月 平成27年1月13日~同年2月9日 66kWh
平成27年3月 平成27年2月10日~同年3月10日 39kWh
平成27年4月 平成27年3月11日~同年4月12日 67kWh

エ 本件建物における平成26年12月支払分から平成27年6月支払分までの水道の使用状況は以下のとおりである。なお,この期間の水道料金の領収証には,契約者名として「c党○○選挙区支部」との記載がある。(甲13,甲17の2ないし4,甲25)

支払月 使用期間 使用量
平成26年12月 平成26年9月4日~同年11月5日 1m3
平成27年2月 平成26年11月5日~平成27年1月6日 1m3
平成27年4月 平成27年1月6日~同年3月5日 3m3
平成27年6月 平成27年3月5日~同年5月7日 3m3

オ 原告は,平成27年4月4日に本件建物に関するガス供給契約を締結したが,それ以前の平成26年12月30日から上記契約締結までの間は,本件建物に関するガス供給契約は締結されておらず,同建物にガスの供給がない状態であった。
平成27年4月4日から同月23日までのガス使用料は4m3であった。(甲13,甲19,甲25,乙6)
カ 同年5月1日,a市選挙管理委員会による本件建物の検証が行われた。その際,本件建物内には,電化製品として,ファンヒーター(灯油),電子レンジ,空気清浄機,コピー機,電気ポット2台,冷蔵庫,扇風機及びエアコンが存在したが,これらは,原告が新住所への転入を届け出るよりも前から存在していたものであった。
また,審査申立後の同年8月26日,被告による本件建物の検証が行われたが,その際にも上記電化製品の存在が確認された。
(甲13,甲25,乙9)
(3)  賃貸借契約書の存在等
ア 本件建物に関しては,原告の当選の効力に関する異議の申出があった後,作成日付を平成26年12月31日とする賃貸借契約書(以下「本件賃貸借契約書」という。)が作成された。本件賃貸借契約書では,貸主はB(以下「B」という。なお,契約書上は「B事務所」と記載されている。),借主は原告とされ,約定として,期間は平成27年1月3日から同年4月30日までとすること,賃料は1か月8万円(消費税別)とすること,原告は本件建物における電気,ガス,水道などの使用料金をBが指定する方法で支払うこと,原告は,本件建物を居住目的に使用すること等が定められている。
なお,本件建物は,平成23年ころに,c党○○選挙区支部(以下「c党支部」という。支部長はBである。)が支援者からの寄付として提供を受けた物件であり,それ以降,Bの後援会が倉庫代わりに荷物を置いたり,秘書がコピーを取ったり,休憩のために立ち寄ったりする場所として週1回程度の頻度で利用されてきた。
(甲9,甲24,乙3,乙4,乙6,乙11)
イ 平成27年5月11日ころ,Bは,原告に対し,本件建物にかかる賃貸借契約から生じた費用として,賃料,水道代及び電気代等合計36万2639円の精算を求める書面(以下「本件精算書」という。)を原告に交付した(甲10,乙10,乙11)。
3  争点及びこれに対する当事者の主張
本件の争点は,原告が,本件選挙の時点で本件選挙の被選挙権があるために必要な住所要件を備えていたか否かである。争点に関する当事者の主張は以下のとおりである。
(原告の主張)
(1) 原告は,本件選挙の3か月以上前から新住所に住所を有しており,住所要件を備えていた。
確かに,原告は,新住所に転入してきた当初,単身赴任であったために,わずかな生活用品を揃えただけで,夫と中学生である子供の世話や家事のため,週末は旧住所のマンションに戻って寝起きし,本件建物で寝起きした平日にも短時間旧住所のマンションに戻ったことがあった。また,原告は,本件建物では洗濯を行わず,洗濯は旧住所のマンションや元同僚宅で行い,ガスを平成27年4月4日に開栓するまでは,本件建物において入浴しなかったことも事実である。
しかしながら,原告が,急に本件選挙への立候補を決断したという事情からすれば,原告の夫と子供が旧住所のマンションに引き続き居住し,原告だけが単身で新住所に転入することになったことには合理性があり,そのこと自体は原告が新住所に生活の本拠を移したことと矛盾するものではない。しかも,原告が旧住所のマンションに戻っていたのは,週末あるいは平日昼間のごく短い時間にすぎない。原告が,新住所を生活の本拠としていたことは,本件建物における電気や水道の使用料が,原告の入居後に増加したことからも明らかである。
被告は,原告が本件建物で洗濯を行わなかったことや入浴しなかったことを問題としているが,洗濯を行わなかったことは,原告の新住所への転入が単身赴任であり,旧住所のマンションや元同僚宅で洗濯をすることが可能であったことからすれば,新住所が生活の本拠であったことを否定する根拠にはならないし,入浴をしなかったことについても,原告の場合は,旧住所のマンションや新住所近辺の銭湯及び元同僚宅で入浴が可能であったのであり,同様に新住所が生活の本拠であることを否定する根拠にはならないというべきである。
(2) 被告は,本件裁決において,原告がa市への転入届を提出した後に,体調を崩して旧住所のマンションで療養していたことをもって,原告の生活の本拠が旧住所にあったことの補強材料としているが,以下に述べるとおり誤りである。
ア 昭和44年法律第30号による改正前の公職選挙法270条(以下「旧270条」という。)は,その2項において,住所要件の認定に当たり,入院加療中の者については入院加療中の場所にその住所があるものと推定してはならない旨定めていた。この趣旨は,病気療養の必要性から住所地と異なる場所で生活していたとしても,そのことをもって病気療養をしている場所を住所としてはならないという解釈基準を示すことにあったと考えられ,同条は改正されたが,その趣旨は現在においても妥当するというべきである。
イ 原告は,平成24年ころから潰瘍性大腸炎に罹患し,投薬治療を受けていた。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患であり,指定難病として医療費助成の対象となっている。原告は,本件選挙への立候補を決意し,政治活動を始めたが,平成27年2月初めころから病気が再発し,しばしば1日中休むことがあった。その療養の間は,原告は選挙どころではなく,旧住所のマンションにおいて療養に努めなければならなかった。
ウ 本件期間の原告の状況は別紙に記載されているとおりであり,この期間に原告が旧住所のマンションにおいて寝起きした日は60日あるが,そのうち54日は病気療養のためであった。
(ア) 同年1月12日から同年2月1日までは,朝早くから駅頭活動や挨拶回りなどを精力的にこなし,この間15日は新住所に寝起きした。
(イ) その後,同月2日から同年3月24日まで,体調がすぐれず活動休止状態となり,旧住所のマンションにおいて療養生活を送った。
(ウ) 原告は,同月25日から同月28日まで,挨拶回りなどの活動を行ったが,その後,同月29日から同年4月1日までの間,再び療養のため旧住所のマンションで一日中休んでいた。
(エ) 原告は,同月2日から政治活動を再開し,同月11日までの期間,連日,新住所において選挙活動を行った。
エ アに述べた公職選挙法の趣旨からすれば,上記のとおり指定難病である病気の療養のため,旧住所のマンションでの生活を余儀なくされた原告について,旧住所を住所と認定してはならないのであり,被告の本件裁決における認定は誤りである。
(被告の主張)
(1) 原告の主張を争う。原告は,本件期間,a市内に住所を有していたとは認められず,住所要件を欠き,本件選挙の被選挙権がなかったことは明らかである。
ア 住所要件にいう「住所」とは,生活の本拠を指し,生活の本拠とは特別な事情のない限り「現に起臥しているところ」であり,その判断は客観的事情により行うべきである。
原告の主張を前提としても,本件期間において,新住所の本件建物での宿泊が30日,旧住所のマンションでの宿泊が60日である。このことに加え,原告は,本件建物で宿泊した日も,主に夜,政治活動を終えてから旧住所のマンションにたびたび一時帰宅したこと,昼間もPTA活動や介護のために旧住所のマンションに一時帰宅していたこと,旧住所のマンションで子供の世話や家事を行い,自身の洗濯も済ませ,食事も作り,冷凍させて本件建物に持参していたことといった事情を踏まえるならば,原告は,主に旧住所のマンションにおいて起臥していたというべきであり,新住所に生活の本拠があったとみることは困難である。
イ 本件期間における本件建物にかかるライフラインの利用状況は,電気,ガス,水道いずれについても,著しく低調であった。また,本件建物の電気及び水道について,供給契約の当事者はc党支部であって,原告自身が契約の当事者となることはなかった。ガス事業者とは,原告は,選挙告示日翌日の平成27年4月4日になってようやく契約した。
原告は,本件精算書により,Bとの間で電気及び水道料金の精算を行っているが,これは,原告が本件建物から退去した後である。
これらの事実は,原告の生活の本拠が新住所にあったことを積極的に示す根拠にはなっていないといわざるを得ない。
ウ 原告は,体調を崩して政治活動ができず,旧住所のマンションで療養していた期間について,既に廃止された旧270条の規定を根拠に療養期間については住所要件の考慮に加えるべきではなく,この期間の原告の住所は旧住所にはないと主張する。
原告が根拠とする旧270条は,既に削除された条文であるから,そもそも現在において主張の根拠になるとは思われない。その点を措くとしても,旧270条は戦後の混乱期に住所の認定に関してとられた特殊な措置を念頭に,病院等に入院加療中の者についても,住所の認定に関する一般原則に基づいて認定すべき旨を規定していたものであり,終戦から時間が経ち,社会秩序が回復された後においては,あえて明文を設けておく必要性がないと考えられたことから,昭和44年に削除されたものである。住所の認定は,あくまでも個々の人の具体的な生活関係を総合的に判断して,生活の本拠がどこにあるのかにより決定すべきなのであり,公職選挙法が住所について,民法とは別の考え方をとっているということではない。旧270条を根拠として,病気療養のためにふさわしい場所が違うところにあった場合に,その場所を公職選挙法にいう「住所」と認定してはならないという原告の主張は,公職選挙法の本来の趣旨を取り違えたものであり,失当である。
したがって,住所の認定に当たっては,原告が体調を崩して政治活動ができず,旧住所のマンションで療養していた事実も考慮されるべきは当然である。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実(第2の2)に加え,後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。
(1)  原告は,夫及び子供とともに,4年ほど前から旧住所のマンションで生活し,国会議員の秘書として稼働するなどしていたが,炊事など家事の多くは原告が行っていた(甲2,乙4,乙5,乙10)。
(2)  平成27年1月初旬,原告は,Bから本件選挙に出馬することを打診され,b区選挙区から立候補することを決意した。b区選挙区から立候補することとしたのは,地縁というよりも,Bからb区から出ないかという具体的な要請があったためである。
原告は,立候補を決意するに際し,夫に今後の生活をどうするか相談したが,子供が転居をした場合,学校への通学が不便になる等の事情もあったことから,夫と子供は旧住所のマンションに引き続き居住することとなった。原告は,急に本件選挙に出馬することとなり,a市内に借りる場所を探す暇もなかったところ,Bから本件建物を紹介され,これを利用することとした。しかしながら,原告の本件建物の利用開始時に賃貸借契約書が作成されることはなかったし,本件期間中に原告がBに対して賃料の支払をしたこともなかった。
(甲1ないし3,乙3,乙5,乙8)
(3)  原告は,同月7日ころ,着替えや身の回りの物,マットレス等の荷物を,業者に頼むことなく自ら自動車に乗せて本件建物に持ち込んだ。その後においても,同人の衣類や寝具その他の生活用品は旧住所のマンションにあり,原告は,旧住所のマンションで寝起きすることは可能であった。また,原告は,貴重品は旧住所のマンションに引き続き置いていた。
原告は,同月15日,a市b区長に対し,同月3日を転入日として,旧住所から新住所に転入した旨を届け出た。原告が本件建物に荷物を持ち込んだのは,前記のとおり同月7日ころであったが,同月3日を転入日としたのは,同日が大安だったためである。
(甲16,乙4,乙5,乙8,乙10)
(4)  本件建物は,和室2室,洋室1室のほかダイニングキッチン,風呂,洗面所及びトイレがあるマンションの1室である。平成23年ころからBの後援会の関係者が倉庫代わりに利用したり,打ち合わせ場所として利用したり,Bの秘書が地元において活動する際に,コピーを取ったり,休憩する場所として利用したりするようになったが,原告が利用するまでの間,本件建物が住居として利用されたことはなく,原告が利用するまでの間の利用頻度は1週間に1回程度であった。本件建物内部には,原告が利用を開始する前から,電化製品として,ファンヒーター,電子レンジ,コピー機,電気ポット,冷蔵庫,扇風機及びエアコンが備え付けられていたが,洗濯機はなく,本件選挙公示日の後である同年4月4日までガスの利用はできず,ガスコンロも置かれていなかった。また,原告が本件建物を利用するようになった後においても,最初のうちは風呂場にBのポスター等が置かれていて風呂を使用することができず,原告以外のBの事務所関係者が本件建物の合鍵を持っており,荷物を取りに入ることもあった。
本件建物の玄関ドアや郵便受け,さらにはベランダには「B事務所」の表示があり,本件期間においては,郵便受けに原告の名刺が並べて貼られたものの,基本的に上記の状態は変わらなかった。また,原告は郵便局に転居届を出しておらず,旧住所宛の郵便物は旧住所のマンションに届いていた。
(乙4,乙6,乙9,乙10,乙18)
(5)  原告は,平成27年1月12日から同年2月初めまでの間,b区においてあいさつ回りや駅頭活動等の政治活動を行ったが,この間の週末は本件建物ではなく,旧住所のマンションで寝起きした。また,本件建物に寝起きしていた平日にも,夜,政治活動を終えてから自動車を運転して旧住所のマンションに一時的に戻り,3時間程度滞在し,料理の作り置き等の家事や入浴などを済ませ,本件建物に戻ることがたびたびあった。さらに,子供の学校のPTA役員活動等のため,昼間一時的に旧住所のマンションに立ち寄ることもあった。(甲4,乙3)
(6)  原告は,同年2月2日ころから体調を崩し,入院はしなかったものの,投薬による治療を受け,政治活動を十分に行うことができなくなった。そのため,同日から同年3月24日まで,原告は旧住所のマンションにおいて寝起きした。もっとも,この間においても,原告は,a市内で開催されたc党a市連の会合及びB後援会のパーティー等に出席したり,選挙に向けての動画撮影を行ったりするなどの活動は行っていたし,原告の政治活動用に開設されたブログでは,原告名での書き込みが続けられていた。(甲4,甲7,乙7,乙10)
(7)  原告は,同年3月25日から同月28日までの間,連日午後8時ころまで選挙区内のあいさつ回りや電話かけ等の活動を行い,その後本件建物で就寝した。しかし,同月29日から同年4月1日までの間は,再び体調を崩して政治活動を休止し,旧住所のマンションで寝起きした。
原告は,同月2日から同月11日まで,連日遊説やあいさつ回り等の政治活動を行い,本件建物に宿泊した。
同月12日,本件選挙が行われ,原告は当選した。
(甲4ないし6,乙10)
(8)  原告は,同月30日ころ,本件建物にあった原告の荷物を自身で搬出し,旧住所のマンションに運び入れ,しばらく旧住所のマンションにおいて生活した(乙3,乙4,乙5,乙10)。
(9)  原告は,本件建物において料理をすることはなく,食事は,コンビニエンスストアの弁当や外食を利用するか,旧住所のマンションで料理して持参したものを食べていた。また,原告は,同月4日にガスが使えるようになるまでの間,本件建物において入浴することはなく,a市内の銭湯や近所の元同僚宅で入浴したり,旧住所のマンションに戻って入浴していた。さらに,原告は本件建物において洗濯をすることはなく,上記元同僚宅や旧住所のマンションにおいて洗濯を行っていた。
原告は,本件建物で寝泊まりする際には,持参したマットレス及び本件建物にもともと置かれていた掛け布団を利用した。
(乙4,乙7,乙8,乙10)
(10)  本件建物の電気及び水道の契約については,いずれもc党支部が契約者となっており,本件期間中も変更されなかった。一方,ガスについては,本件選挙の公示日の翌日である同年4月4日になって原告を契約者としてガス事業者との間で供給契約が締結された。
原告が,本件建物の利用を開始した後,本件建物における電気及び水道の使用量は概ね増加したが,電気については,1か月45kWh程度であったものが,最も利用量が大きかった平成26年12月11日から平成27年1月12日の期間で67kWhに増加したに過ぎず,水道についても,2か月で1m3であったものが3m3に増加したという程度である。
(甲13,甲17の2ないし4,甲18の1ないし6,甲25)
(11)  本件賃貸借契約書は,同年4月30日に原告の当選の効力に関する異議の申出があった後,日付を平成26年12月31日として作成された。本件賃貸借契約書が作成された当時,原告は,既に本件建物から荷物を搬出しており,本件建物の利用はしていなかった。もっとも,同年5月11日ころ,Bから原告に対し,本件精算書に基づき本件賃貸借契約書の内容に従った本件建物の賃料や水道代,電気代等の請求がされ,原告はこれに基づき精算を行った。(甲9,甲10,乙10,乙11)
2  公職選挙法10条1項5号,9条2項は,被選挙権の要件の一つとして住所要件を定めているところ,ここにいう住所とは,生活の本拠,すなわち,その者の生活に最も関係の深い一般的生活,全生活の中心を指すものであり,一定の場所がある者の住所であるか否かは,客観的に生活の本拠といえる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当である(最高裁昭和29年(オ)第412号同年10月20日大法廷判決・民集8巻10号1907頁,最高裁昭和32年(オ)第552号同年9月13日第二小法廷判決・裁判集民事27号801頁,最高裁昭和35年(オ)第84号同年3月22日第三小法廷判決・民集14巻4号551頁,最高裁平成9年(行ツ)78号同年8月25日第二小法廷判決・裁判集民事184号1頁参照)。
本件についてこれをみるに,前記1に認定した事実関係によれば,本件建物は,平成23年ころからB事務所やBの後援会関係者が,休憩場所や荷物置き場として使っていたマンションの一室であり,住居として利用されていたわけではなかったこと,原告は,平成27年1月15日,同月3日に新住所に転入した旨の転入届を提出したが,その際記載した転入日は本件建物の利用開始時期と関係なく決められたものであったこと,原告は,同月7日ころ本件建物の利用を開始するに当たり,旧住所のマンションにおいても日常生活が営める状態を維持しつつ,着替えや身の回りの物,マットレス等の自ら運べる程度の量の荷物を持ち込んだにすぎないこと,原告は,本件建物の利用を開始してから本件選挙が行われるまでの間,本件建物の賃料や光熱水料を自ら支払うことなく,本件選挙の後,原告の当選の効力に関する異議申出があった後にBとの間で精算したこと,本件期間90日のうち,原告が新住所とした本件建物において寝泊まりしたのは30日にすぎず,残りの60日はすべて旧住所のマンションで寝泊まりをしていたこと,原告は,本件建物に寝泊まりした日であっでも,たびたび短時間旧住所のマンションに戻り,子供のための料理の作り置き等の家事を行ったり,入浴したりしていたこと,本件建物には調理器具といえるものは電気ポット及び電子レンジしかなく,原告は,本件建物に寝泊まりする日の食事は,旧住所のマンションで料理して持参したものを食べるか,コンビニエンスストアの弁当や外食で済ませていたこと,B事務所の関係者は本件建物の合鍵を保有しており,本件期間においても合鍵を使用して本件建物に立ち入ることは可能であったこと,原告は,本件建物においては,洗濯を行わず,同年4月4日にガスが開通するまでの間は入浴もしなかったこと,本件建物における電気及び水道の利用料は,原告が利用を開始する前である週1回程度しか利用されていなかった期間と比較しても,若干の増加があったにすぎないこと,原告は,本件期間中である同年2月2日から同年3月24日までの期間は,体調を崩したことを理由に旧住所のマンションで寝起きをしていたが,その間においても,a市内で開催された複数の会合に出席し,選挙活動用の動画撮影をするなどの政治活動は行っていたこと,原告は,本件選挙の終わった直後である同年4月30日ころ,本件建物にあった原告の荷物を自ら搬出し,その後はしばらく旧住所のマンションにおいて生活したことが認められる。
以上の事実によれば,本件期間を通じて原告は本件建物において30日寝泊まりをしていたものの,その生活実態をみる限り,原告の生活の本拠,すなわち全生活の中心となっていた場所が,同年1月12日以降において,客観的に旧住所から新住所に移転したと認めることは困難であり,新住所に原告の生活の本拠といえる実体があったと認めることはできない。
3  原告は,原告が本件期間中に旧住所のマンションで寝起きした60日のうち,54日は,病気療養のため,旧住所のマンションでの生活を余儀なくされたのであるから,住所要件の認定に当たり,その点を不利に考慮すべきでない旨主張する。
確かに,証拠(甲11,甲12,乙10)によれば,原告は潰瘍性大腸炎に罹患していること,同疾患は腹痛や下痢等の症状を伴うものであり,症状の緩和のために投薬等の治療を要することが認められる。
しかしながら,前記1で認定した事実によれば,原告は入院はせずに投薬による治療を受けていたものであること,原告が病気療養のため旧住所のマンションで寝起きせざるを得なかったと主張する同年2月2日から同年3月24日までの間,原告は,政治関係の複数の会合に出席したり,自身の動画撮影を行ったりしていたほか,上記期間も原告名のブログの書き込みは継続して行われていたことが認められるのであって,これらの事情にかんがみるならば,原告の生活の本拠がどこかを判断するに当たり,原告が潰瘍性大腸炎に罹患し,その療養を行う必要があったことは,客観的な事情として一つの考慮要素にはなるものの,生活の本拠の認定が左右されるような事情ではないというべきである(原告は,旧270条の趣旨からして病気療養の際に寝起きしていた場所を住所と認定してはならない旨を主張するが,旧270条は,入院加療中の者についても住所の認定に関する一般原則に則って取り扱うべき旨を定めていたにすぎず,その趣旨に原告主張のような趣旨が含まれているとは解されないし,そもそも旧270条は現在では廃止されているのであるから,原告の主張は前提において失当である。)。本件においては,前記2で認定したとおり,上記の事情を考慮しても,本件期間中の原告の生活の本拠は旧住所にあったと認めるほかはない。
4  以上のとおり,本件期間中の原告の住所は新住所にはなく,旧住所であったと認められ,原告は本件選挙における被選挙権を有していなかったと認めるのが相当であるところ,これと同旨の判断のもとに,原告の当選を無効とした本件裁決に違法はないというべきである。
よって,原告の請求は理由がないので棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 富田善範 裁判官 武田美和子 裁判官 大須賀寛之)

 

〈以下省略〉

 

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