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「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(12)平成26年10月28日 東京地裁 平24(行ウ)496号 三鷹市議会議員および市長選挙公営費返還請求事件

「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(12)平成26年10月28日 東京地裁 平24(行ウ)496号 三鷹市議会議員および市長選挙公営費返還請求事件

裁判年月日  平成26年10月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(行ウ)496号
事件名  三鷹市議会議員および市長選挙公営費返還請求事件
裁判結果  棄却  上訴等  確定  文献番号  2014WLJPCA10288014

参照条文
地方自治法242条の2第1項3号
地方自治法242条の2第1項4号
公職選挙法141条
公職選挙法143条

裁判年月日  平成26年10月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(行ウ)496号
事件名  三鷹市議会議員および市長選挙公営費返還請求事件
裁判結果  棄却  上訴等  確定  文献番号  2014WLJPCA10288014

東京都三鷹市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 山本志都
東京都三鷹市〈以下省略〉
被告 三鷹市長 A
同訴訟代理人弁護士 松崎勝
同訴訟復代理人弁護士 海野仁志
同 桜井淳雄
同 村山圭一郎
同 松崎徹
同指定代理人 別紙1指定代理人目録のとおり

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,別紙2及び別紙3の各表中,各「候補者名」欄に記載の者及び同「候補者名」欄に該当する「利用業者名」欄に記載の者に対し,各「返還請求額」欄記載の各金額及びこれに対する平成24年10月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。
2  被告が,別紙2及び別紙3の各表中,各「返還請求額」欄に係る選挙公営費に関して,各「候補者名」欄に記載の者及び同「候補者名」欄に該当する「利用業者名」欄に記載の者に対し,各「返還請求額」欄記載の各金額及びこれに対する平成24年10月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求することを怠ることは,違法であることを確認する。
第2  事案の概要等
本件は,平成23年4月24日に行われた三鷹市議会議員選挙及び三鷹市長選挙(以下合わせて「本件選挙」という。)における候補者が,公職選挙法(以下「公選法」という。)及び同市の条例に基づき同市から選挙運動用ポスターの作成及び選挙運動用自動車の使用につき公費負担を受けたことについて,同市の住民である原告が,上記の各候補者及びポスター作成や自動車貸出しをした各業者が共謀していわゆる水増し請求をするなどして,適正な上限額を超えて公費を請求したことから,同市に上限額を超えた部分に相当する損害を与え又は不当利得を得たものであるとして,同市は上記の各候補者及び各業者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有しているにもかかわらず,同市の長である被告はその行使を怠っているとして,被告に対して,上記の各候補者及び各業者に各自別紙2及び別紙3の各表中,各「返還請求額」欄記載の額及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年10月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するよう求めるとともに,被告が上記請求権の行使を怠ることの違法確認を求める事案である。
1  法令の定めの概要
本件に関する法令の定めの概要は,次のとおりである。
(1)  公選法
ア 地方公共団体の議会の議員及び長等の選挙においては,候補者1人について,主として選挙運動のために使用される自動車1台,拡声機1そろい等のほかは,使用することができず(141条1項),市の議会の議員又は長の選挙については,市は,衆議院(小選挙区選出)議員等の選挙における取扱いに係る同条7項の規定に準じて,条例で定めるところにより,候補者の同条1項の自動車の使用について,無料とすることができる(同条8項)。
イ 選挙運動のために使用する文書図画は,選挙運動のために使用するポスター(143条1項5号)等所定のもののほかは,掲示することができず(同項),市の議会の議員又は長の選挙については,市は,衆議院(小選挙区選出)議員等の選挙における取扱いに係る143条14項の規定に準じて,条例で定めるところにより,候補者の同条1項5号のポスターの作成について,無料とすることができる(同条15項)。
(2)  三鷹市議会議員及び三鷹市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例(平成6年条例第31号。以下「本件条例」という。乙1)
ア 本件条例は,三鷹市が,公選法141条8項等の規定に基づき,三鷹市議会議員及び三鷹市長の選挙における同条1項の自動車(以下「選挙運動用自動車」という。)の使用及び同法143条1項5号のポスター(以下「選挙運動用ポスター」という。)の作成等の公費負担に関して必要な事項を定める趣旨のものである(1条)。
イ 三鷹市議会議員及び三鷹市長の選挙における候補者(以下「候補者」という。)は,6万4500円に,その者につき公選法86条の4第1項等の候補者の届出があった日から当該選挙の期日の前日までの日数を乗じて得た金額の範囲内で,選挙運動用自動車を無料で使用することができる(2条)。上記公費負担の適用を受けようとする者は,道路運送法3条1号ハに規定する一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗用旅客自動車運送事業者」という。)その他の者(次条第2号に掲げる契約を締結する場合には,当該適用を受けようとする者と生計を一にする親族のうち,当該契約に係る業務を業として行う者以外の者を除く。)との間において選挙運動用自動車の使用に関し有償契約を締結し,三鷹市選挙管理委員会(以下「委員会」という。)が定めるところにより,その旨を委員会に届け出なければならない(3条)。三鷹市は,上記の契約が一般乗用旅客自動車運送事業者との運送契約である場合には,当該選挙運動用自動車のそれぞれにつき,自動車として使用された各日についてその使用に対し支払うべき金額(当該金額が6万4500円を超える場合には,6万4500円)の合計金額を,上記の契約が一般乗用旅客自動車運送事業者との運送契約以外の選挙運動用自動車の借入契約である場合には,候補者が当該契約に基づき当該契約の相手方に支払うべき金額のうち,当該選挙運動用自動車のそれぞれにつき,選挙運動用自動車として使用された各日についてその使用に対し支払うべき金額(当該金額が1万5300円を超える場合には,1万5300円)の合計金額を,当該相手方からの請求に基づき,当該相手方に対して支払う(4条柱書き,同条(1),(2)ア)。
ウ 候補者は,本件条例8条に定めるところにより算出した1枚当たりの作成単価の限度額に選挙運動用ポスターの作成枚数を乗じて得た金額の範囲内で,選挙運動用ポスターを無料で作成することができる(6条)。上記公費負担の適用を受けようとする者は,選挙運動用ポスターの作成を業とする者との間において選挙運動用ポスターの作成に関し有償契約を締結し,委員会が定めるところにより,その旨を委員会に届け出なければならない(7条)。三鷹市は,上記の届出をした候補者が上記の契約に基づき当該契約の相手方である選挙運動用ポスターの作成を業とする者に支払うべき金額のうち,当該契約に基づき作成された選挙運動用ポスターの1枚当たりの作成単価(当該作成単価が,510円48銭に当該選挙が行われる区域におけるポスター掲示場の数を乗じて得た金額に30万1875円を加えた金額を当該選挙が行われる区域におけるポスター掲示場の数で除して得た金額(1円未満の端数がある場合には,その端数は1円とする。)を超える場合には,当該除して得た金額)に当該ポスターの作成枚数(当該候補者を通じて当該選挙が行われる区域におけるポスター掲示場の数の範囲内のものであることにつき,委員会が定めるところにより,当該候補者からの申請に基づき,委員会が確認したものに限る。)を乗じて得た金額を当該相手方からの請求に基づき,当該相手方に対して支払う(8条)。
2  前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  当事者等
ア 原告は,三鷹市の住民であり,元三鷹市議会議員である(顕著な事実)。
イ 被告は,三鷹市の執行機関である。
ウ(ア) 別紙2「候補者名」欄に記載されている候補者(以下「ポスター発注候補者」という。)は,いずれも,本件選挙の候補者であり,選挙運動用ポスターの作成に係る費用(以下「ポスター代」という。)について,公費負担制度の適用を受けた者らであり,同紙「利用業者名」欄に記載されている業者等(以下「ポスター受注業者」という。)は,ポスター発注候補者の選挙運動用ポスターの作成者として,三鷹市の公費負担制度に基づき,ポスター代の支払を同市から受けた者らである。
(イ) 別紙3「候補者名」欄に記載されている候補者(以下「自動車借入候補者」という。)は,いずれも,本件選挙の候補者であり,選挙運動用自動車の借入れに係る費用(以下「賃借料」という。)について,公費負担制度の適用を受けた者らであり,同紙「利用業者名」欄に記載されている業者等(以下「自動車貸出業者」という。)は,自動車借入候補者に選挙運動用自動車を賃貸した者として,三鷹市の公費負担制度に基づき,賃借料の支払を同市から受けた者らである。
(2)  本件選挙の実施
本件選挙は,平成23年4月24日に行われた。
(3)  本件選挙におけるポスター代及び賃借料の支払
三鷹市は,本件条例の定めに従った届出等がされたことから,本件条例に従い,平成23年6月8日,ポスター受注業者に対しポスター代を(各業者ごとの具体的な金額は,別紙2の「公費負担額」欄記載のとおり。),自動車貸出業者に対し賃借料を(各業者ごとの具体的な金額は,別紙3の「公費負担額」欄記載のとおり。),それぞれ支払った(甲2,4の1~5,4の7,4の9,4の11~13,4の15,4の17~20,5の1,5の5~11,5の13~16,5の18,5の19)。
(4)  住民監査請求
ア 原告は,平成24年4月27日,三鷹市監査委員(以下「監査委員」という。)に対し,「三鷹市職員措置請求書」と題する書面(以下「本件監査請求書」という。)を提出し,同請求書は5月21日に受理された。原告は,上記(3)のポスター代及び賃借料について,公費負担の請求手続で請求できない金員を含めて請求している可能性があることなどから,上記公費負担は,本件条例,地方自治法2条14項等に反するとして,ポスター代については30万円以上の請求を行ったポスター発注候補者及びポスター受注業者に対して,賃借料については8万円以上の請求を行った自動車借入候補者及び自動車貸出業者に対して,限度額を超える額の返還を求めて住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行った。(甲2,24,25の1ないし3)
イ 監査委員は,平成24年6月25日,監査委員による調査の結果,ポスター発注候補者及び自動車借入候補者に係る支出について,原告の主張には根拠がなく認められないなどとして,本件監査請求を棄却するなどの監査結果の報告をし,その監査結果報告書は同月27日,原告に到達した(甲1)。
(5)  本件訴えの提起
原告は,平成24年7月23日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。
3  争点
(1)  第1の2項の請求(以下「第2の請求」という。)に係る訴えの適法性
(2)  第1の1項の請求(以下「第1の請求」という。)のうち,ポスター代(別紙2)に係る水増し請求の有無
(3)  第1の請求のうち,賃借料(別紙3)に係る水増し請求の有無
(4)  第2の請求の理由の存否
4  争点に関する当事者の主張の要旨
(1)  争点(1)(第2の請求に係る訴えの適法性)について
(被告の主張)
原告は,請求の趣旨1項において,被告に対し,ポスター発注候補者,ポスター受注業者,自動車借入候補者及び自動車貸出業者に対し,「返還請求額」欄記載の各金額等を支払うよう請求することを求め,請求の趣旨2項において,被告が上記の請求権の行使を怠っていることの違法確認を求めている。しかしながら,被告は,請求の趣旨1項が認容された場合には,地方自治法242条の3に基づき,訴訟提起が義務付けられているから,同請求に係る訴訟は訴えの利益がなく不適法である。
(原告の主張)
被告が請求を行って地方自治体に生じた損害を回復することと,行為が違法であることを確認することは,住民にとって全く別の利益であるから,被告の主張には理由がない。
(2)  争点(2)(第1の請求のうち,ポスター代に係る水増し請求の有無)について
(原告の主張)
ア(ア) 公費負担は,本件条例に基づき行われているところ,この仕組みは不必要な支出を許さず,適正な金額による支払を要求するものであるから,当然に定められた負担限度額上限までの請求を認めるものではない。原告が,三鷹市及びその周辺の業者に対して行った選挙運動用ポスターの見積り,ウェブサイトで行った試算,平成19年に原告が三鷹市議会議員選挙に立候補した時の見積りなどからすると,相当な範囲の特殊加工を行ったとしても,その費用は20万円台で納まるから,ポスター代の公費負担の合理的な上限額は30万円である。そうすると,ポスター発注候補者がポスター受注業者との間で締結した契約の代金は,いずれも,実勢価格や民間における相場を超えた高額なものであり,より少ない金額で目的を達成することが明らかであるのにあえてそれを大きく超えた条件で契約を行ったものであるから,これを無効としなければ,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に定める最小費用最大効果の原則の趣旨を没却する結果となる。
(イ) 選挙運動用ポスターの作成費については,通常の印刷費用より高額で,候補者によっても開きがあることから,①リーフレットやはがきの印刷代も含んでいる可能性がある,②候補者にキックバックしている可能性がある,③公費負担が認められるポスター掲示場の数(226)を超えた予備の分のポスターまで公費で請求している可能性があるなどの問題点が指摘されているところ,岐阜県山県市では,議員等が選挙ポスター制作費を水増しして公費負担を受けたとして摘発されている。
本件において,ポスター発注候補者及びポスター受注業者は,監査委員による調査に対して,請求金額に選挙運動用ポスター以外の費用は含まれないと回答するが,その回答には裏付けがない。また,ポスターを226枚より多く納入したポスター受注業者は,226枚を超える枚数の処理の仕方によっては,単価が下がるから,公費請求できる金額と実際に請求した額との間に違いが生じることになる。さらに,作成単価に関しては,通常の価格より高額であることを自認した業者が半数近くいた。加えて,ポスター受注業者のうち,候補者と特殊な関係がある場合には,候補者に対するキックバックや不合理な料金設定の可能性が高くなる。このような事情に照らすと,価格が適正であることには疑問を抱かざるを得ない。
(ウ) ポスター発注候補者ごとにみても,上記の観点から見て問題点があるところ,その問題点は別紙4中の「原告の主張」のとおりであるから,それぞれの支出は違法である。
(エ) したがって,上記各契約は無効となるから,三鷹市は,ポスター発注候補者に対して,支払金額相当額の不当利得返還請求権を有している(なお,本訴で請求対象としているのは,その一部である。)。また,ポスター発注候補者がポスター受注業者との間で高額な契約をすることは,三鷹市との関係では,背任行為に当たり,ポスター発注候補者とポスター受注業者の共謀による同市に対する請求は,共同不法行為に当たるから,同市は,支払金額相当額の共同不法行為に基づく損害賠償請求権を有している(なお,本訴で請求対象としているのは,その一部である。)。
イ 被告は,不当利得ないし不法行為の立証責任のみを根拠にして,原告の主張は法的主張として不適切であると主張する。しかしながら,本件は,原告が公益の代表者として地方財務行政の適正化を主張している客観訴訟であり,私人間の私権に係る訴訟とは性格を異にするから,被告の主張は失当である。
(被告の主張)
ア 原告は,ポスター代に関して,公費負担の適正な限度額は30万円であると主張するが,本件条例8条によれば,ポスター代の公費負担の上限は,41万7422円であるところ,この限度額は,東京都及び都内の他のほぼ全ての区市の公費負担制度における限度額と同一であり,決して不当,不適正な金額ではないし,本件選挙に関し支出された金員はいずれも本件条例に基づき支出されているから,損害を観念し得るものではない。また,ポスター発注候補者からは,本件条例7条に基づいて,契約締結の届出に際して,委員会に当該契約に係る契約書等が提出されているし,監査委員による調査でも,その回答等について,納品枚数や契約金額等についてはこれを確認しているから,監査委員としてしかるべき調査をしている。なお,本件条例上,ポスターの作成に係る契約の相手方については,「ポスターの作成を業とする者」と規定するのみであって,その他の契約の相手方を制限する規定はない。
ポスター発注候補者ごとの問題点についての反論は別紙4中の「被告の主張」のとおりである。
イ 原告は,水増し請求を基礎付ける具体的事実について,単にキックバックや不合理な料金設定の可能性があることを指摘するのみであって,故意,過失その他の不法行為の成立を根拠付ける具体的事実や不当利得の成立を根拠付ける具体的事実を何ら主張していないから,原告の主張は法的主張として不適切である。なお,被告において,本件条例で規定されている手続を超えて,契約内容等を詳細に調査し,確認することは,民主制の基盤たる選挙活動の自由を侵害する危険性がある。また,原告は,特定の候補者に限って公費負担を問題としているが,特定の候補者ないし業者に限って契約内容等について詳細に調査し確認することは選挙活動の自由との関係から問題である。
(3)  争点(3)(第1の請求のうち,賃借料に係る水増し請求の有無)について
(原告の主張)
ア(ア) 原告が,選挙に用いることを明示して,複数の業者から取得した見積りや本件選挙において道路運送法80条1項の許可を受けた大手業者を利用した候補者の賃借料に,車種が同じであればその賃借料が同等であるのが通常であることを合わせ考えると,賃料の適正費用は,高く見積もっても日額1万1000円となるから,選挙運動用自動車の賃借料の公費負担の合理的な上限額は7日間で7万7000円となる。そうすると,自動車借入候補者が自動車貸出業者との間で締結した契約の代金は,いずれも,実勢価格や民間における相場を超えた高額なものであり,より少ない金額で目的を達成することが明らかであるのにあえてそれを大きく超えた条件で契約を行ったものであるから,これを無効としなければ,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に定める最小費用最大効果の原則の趣旨を没却する結果となる。
(イ) 選挙運動用自動車に車上看板や音響設備などを設置する場合には,選挙運動期間前に,自動車の設備外積載許可申請の事前審査を受ける必要があるし,そのような設置をした場合には,選挙運動期間終了後に看板等を外す作業も必要である。そこで,選挙運動用自動車は,選挙運動期間を超えた期間にわたって貸借するのが一般的であるところ,選挙運動期間しか貸借していないという自動車借入候補者については,選挙運動期間を超えた賃借料を公費負担請求している可能性がある。また,選挙運動期間を超えて貸借した自動車借入候補者については,超過期間の借入分を各候補者が自己負担していることを裏付ける資料がないから,かかる費用も公費負担請求を行っている可能性がある。
さらに,公費負担の対象は,車体本体と保険保障の金額であるところ,設備設置費を含めて公費負担請求を行う事例が他の自治体で報告されているから,設備設置費等が公費負担請求に含まれている可能性があるし,軽自動車を利用した自動車借入候補者が,普通乗用自動車と変わらない水準の賃借料を請求しているところ,通常のレンタカーの利用では車種によって賃借料が異なるから,賃借料が不合理に設定されている可能性もある。
(ウ) 無登録業者による有償での自家用自動車の貸渡しは道路運送法80条1項に抵触するところ,これらの業者は,実費や謝礼しか負担してはいけないという信義則上の義務を負担しているから,その範囲を超える賃借料の支払を受けることは,違法であるし,親族,関連企業,所属政治団体の関係者などの所有する車を借り入れた場合,その賃借料には明確な根拠はない。
(エ) 自動車借入候補者ごとにみても,上記の観点から見て問題点があるところ,その問題点は別紙5中の「原告の主張」のとおりであるから,それぞれの支出は違法である。
(オ) したがって,三鷹市は,各自動車貸出業者に対して,支払金額相当額の不当利得返還請求権を有している(なお,本訴で請求対象としているのは,その一部である。)。また,自動車借入候補者が自動車貸出業者との間で高額な契約をすることは,三鷹市との関係では,背任行為に当たり,自動車借入候補者と自動車貸出業者の共謀による同市に対する請求は,共同不法行為に当たるから,同市は,支払金額相当額の共同不法行為に基づく損害賠償請求権を有している(なお,本訴で請求対象としているのは,その一部である。)。
イ 被告は,不当利得ないし不法行為の立証責任のみを根拠にして,原告の主張は法的主張として不適切であると主張する。しかしながら,本件は,原告が公益の代表者として地方財務行政の適正化を主張している客観訴訟であり,私人間の私権に係る訴訟とは性格を異にするから,被告の主張は失当である。
(被告の主張)
ア(ア) 原告は,賃借料に関して,公費負担の適正な限度額は1日1万1000円,7日間で7万7000円と主張するが,本件条例4条(2)アによれば,賃借料の公費負担の上限は,10万7100円であるところ,この限度額は,東京都及び都内の他のほぼ全ての区市の公費負担制度における限度額と同一であり,決して不当,不適正な金額ではないし,本件選挙に関し支出された金員はいずれも本件条例に基づき支出されているから,損害を観念し得るものではない。なお,自動車借入候補者からは,本件条例7条に基づいて,契約締結の届出に際して,委員会に当該契約に係る契約書等が提出されているし,監査委員による調査でも,その回答等について,納品枚数や契約金額等についてはこれを確認しているから,監査委員としてしかるべき調査をしている。
(イ) 選挙運動用自動車の設備外積載許可申請は,あくまで車両に選挙運動用の設備を付ける場合に行われるものであるから,全候補者が上記事前審査を行わなければならないという関係にあるわけではない。また,監査委員による調査の結果,選挙運動用自動車の賃貸期間を超えた賃借料の請求を行っている事実は見当たらなかったし,公費負担の請求金額の中に選挙運動用自動車に改造を加えた部分の貸出・取付費用を含んでいる事実は見当たらなかった。さらに,自動車をいくらで借りるかは契約当事者間で決めるものであるし,賃借料が不合理に設定されているとの主張も単に可能性が高いと指摘するものである。加えて,道路運送法80条1項に違反して締結された契約であっても,直ちに違法となり,本件条例の適用対象とならないものではないし,本件条例上,自動車の使用に係る契約の相手方については一定の親族を除くほか特段規定がされていない。よって,原告の主張は失当である。
(ウ) 自動車借入候補者ごとの問題点についての反論は別紙5中の「被告の主張」のとおりである。
イ 原告は,自動車借入候補者及び自動車貸出業者による三鷹市に対する不法行為あるいは不当利得の成立を主張するが,原告は,故意,過失その他の不法行為の成立を根拠付ける具体的事実や不当利得の成立を根拠付ける具体的事実を何ら主張していないから,原告の主張は法的主張として不適切である。なお,被告において,本件条例で規定されている手続を超えて,契約内容等を詳細に調査し,確認することは,民主制の基盤たる選挙活動の自由を侵害する危険性がある。また,原告は,特定の候補者に限って公費負担を問題としているが,特定の候補者ないし業者に限って契約内容等について詳細に調査し確認することは選挙活動の自由との関係から問題である。
(4)  争点(4)(第2の請求の理由の存否)について
(原告の主張)
上記のとおり,第1の請求には理由があるから,第2の請求にも理由がある。
(被告の主張)
上記のとおり,第1の請求には理由がないから,第2の請求にも理由がない。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(第2の請求に係る訴えの適法性)について
第1の請求に係る訴えは地方自治法242条の2第1項4号に基づくもの(以下「4号訴訟」という。)であり,第2の請求に係る訴えは同項3号に基づくもの(以下「3号訴訟」という。)であり,本訴ではこれらが併合提起されているものであるところ,3号訴訟と4号訴訟は,それぞれ独立の訴訟形態として定められており,3号訴訟の補充性を認める規定はないし,両訴訟の効果の相違等に鑑みると,4号訴訟が提起されている場合でも,3号訴訟を併合提起することができると解される。よって,第2の請求に係る訴えが不適法であるとはいえない。
2  争点(2)(第1の請求のうち,ポスター代に係る水増し請求の有無)について
(1)  原告は,選挙費用の公費負担に当たっては,適正な金額による支払が要求されるものであるところ,原告が行った見積りの結果等によれば,本件選挙に各候補者が要するポスター代の上限額は30万円であるから,それを超えた条件での契約は,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の定める最小費用最大効果の原則の趣旨に照らして,無効であると主張する。
この点,本件条例の定めに基づく公費負担額の上限は41万7422円であるが(なお,本件選挙におけるポスター掲示場数は226か所である(甲1)。本件条例8条,乙1。),原告が提出する見積依頼結果一覧表(甲9)には,5業者の見積りの平均としてポスター代が21万5080円,6業者の見積りの平均として選挙はがきやたすき等の選挙及び政治活動用作成物が39万5753円との記載があるところである(このほか1業者が,ポスター代が公費負担の上限額と見積もっている。)。しかし,選挙運動に用いるポスターは,候補者が有権者に対して単に自己の氏名や顔写真を表示することのみならず,人柄や政策,信条等をも表現し,支持を訴えかけるための極めて重大な媒体であるから,ポスターの作成に際しては,各候補者が様々な要素を考慮して,写真撮影,デザイン,用紙,印刷等に工夫を凝らすことが想定され,これらに応じてポスター作成費も大きく変わり得ると考えられる。そうすると,原告が提出する見積価格等の費用(甲9~11,25の8)と比較して,ポスター作成業者の請求額が高額であるからといって,直ちにポスター受注業者がポスター発注候補者と共謀して,ポスター代について過大な請求をしたものとまで評価し得るものではない。本件条例で定めている公費負担額が,他の地方自治体におけるものと比べて特に高いと認めるだけの事情はない。
地方自治法2条14項,地方財政法4条1項は,地方自治体が経費の支出をするに当たっての一般的原則を定めたものであるが,それは基本的には本件条例において公費負担額の上限を定めるに当たり考慮されるべきものであり,ポスター発注候補者がポスター受注業者との間でポスター作成に係る請負契約を締結するに当たっての私法上の規範になるものとはいえない。仮に上記条項の趣旨をポスター作成契約の有効性判断に際して参酌する余地があったとしても,公費負担の対象となる選挙運動用ポスターの既に述べた性格に照らすと,作成代金が特定の金額を超えれば一義的に作成契約が無効となるともいえない。
(2)ア  原告は,選挙運動用ポスターのポスター代が通常の印刷費用より高額であることなどから,リーフレットやはがきの印刷代も含んでいたり,候補者にキックバックされていたりする可能性があるとし,岐阜県内で選挙ポスター制作費を水増しして公費負担を受けたとして摘発された事例を挙げる。
そこで検討すると,監査委員による調査(甲7,8)では,ポスター発注候補者とポスター受注業者それぞれに対して,選挙運動用ポスター作成請負契約の内容や金額等について確認しており,同調査のうち,公費負担として支出したポスター代の金額に選挙運動用ポスター以外のものが含まれているかどうかとの質問に対しては,ポスター発注候補者及びポスター受注業者の全てが,含まれていない旨の回答をしているところである(なお,同調査では,原告が本訴における請求の対象外としている候補者ら及びそのポスター作成を受注した業者らに対しても調査がされているが,いずれも上記と同様の回答がされている。)。また,ポスターの単価決定に係る事情に関するポスター受注業者への質問に対しては,外部デザイナーによるデザインである,掲示板ポスターなのでクオリティーの高い製品とするための作業を要した,震災による製紙工場不稼働により用紙が割高になった等の回答がされている。
原告は,上記の回答について信用性が疑わしい旨主張するが,公費負担額に相当する程度の額でポスター代を合意したからといって,それが不相当に高額であると評価できないのは前記(1)でも見たとおりであり,このことはポスターの単価決定に係る事情についてのポスター受注業者からの回答結果からも相応に裏付けられるところである。原告の挙げる岐阜県内の地方公共団体と三鷹市とでは,人口規模ひいては選挙活動の規模等も相違するものと考えられるから,両者において通常必要とされる選挙運動用ポスターの作成代金が同じ程度のものと直ちにいえるものでもない。他に本件におけるポスター代が通常の印刷費用よりも不自然に高額であると認めるだけの事情はないし,本件において,リーフレットやはがきの印刷代がポスター代に含まれていたり,ポスター受注業者からポスター発注候補者にいわゆるキックバックがされたりしたと認めるだけの具体的証拠も見当たらない。この点,原告は,収支報告書に事務所看板,たすき及びのぼり等の費用計上がされていない候補者については(B候補,C候補,D候補,E候補,F候補,G候補,H候補,I候補,J候補,K候補,L候補),これらの費用がポスターに係る公費負担から賄われた可能性があり,ポスター発注候補者の一部とポスター受注業者の一部は特殊な関係にある場合には(B候補,F候補,M候補,I候補),候補者に対するキックバックや不合理な料金設定の可能性が高くなるとも主張するが,いずれも推測の域を出るものではない。
以上のとおりであって,上記回答の信用性がないと評価するだけの事情はないものというべきである。
イ  また,原告は,公費負担が認められるポスター掲示場の数(226)を超えた予備の分のポスターまで公費で請求されている可能性があるとし,個別のポスター注文候補者についてもその疑いを主張している(B候補,C候補,E候補,N候補,I候補,J候補,K候補)。
そこで検討すると,監査委員による調査(甲7,8)では,選挙運動用ポスターの発注枚数とその費用負担についての質問に対し,226枚以内の印刷しか発注していないと回答した者がポスター発注候補者15名のうち9名おり,226枚を超えて発注したが超過分は選挙運動費用で負担した旨回答した者が6名いる(なお,原告が本訴における請求の対象外としている候補者3名にも調査がされているが,うち2名は226枚を超えて発注したが超過分は選挙運動費用で負担した旨回答し,1名は260枚発注したが超過分は無償提供を受けた旨回答している。)。また,ポスター受注業者も,上記と同様の回答をしている(なお,O候補は226枚で発注したとしているが,そのポスター受注業者は不良品の混入に備えて226枚よりも10数枚多く納品した旨回答している。)。この回答結果は,ポスター発注候補者とポスター受注業者との間の契約書(甲18の1~5,18の7,18の9,18の11~13,18の15,18の17~20)と符合するものである(なお,O候補とそのポスター受注業者との間の契約書(甲18の17)では数量は226枚とされている。)。
この点,原告は,選挙運動用ポスターの掲示場は226か所であるが,多少の予備がなければならないところ,監査委員による調査に対する回答で予備枚数についての記載がないものは事実と異なる回答をしている旨主張する。しかし,226枚を超える枚数を注文したような場合は別として,合意した発注枚数が226枚であった場合に仮にポスター受注業者が不良品等に備えて若干の余部を納品することがあったとしても,上記調査に対して発注枚数を226枚と回答したことが直ちに虚偽のものと評価することはできない。
なお,原告の主張の趣旨は,公費負担額算定の基礎となるポスター1枚当たりの単価を算定するに当たり,226枚を基礎とする場合と226枚に予備枚数を加えた数を基礎とする場合とでは,前者の方が単価が高くなるから,予備枚数があったにもかかわらずこれを加味せずに226枚だけを基礎に単価を算定したとすれば,単価を不当に高くして本来得られるよりも多額の公費負担を得る結果となるというものとも解される。しかし,226枚以外に若干の予備枚数があったとしても,それは226枚の中に不良品が混入していた場合にその代替となる予備物としての性格をまさに有するものと解されるから,これを単価計算に当たって加味しなければ本件条例に反するとまでは解されない。
以上のとおりであって,226枚以内の印刷しか発注していないと回答したポスター発注候補者の回答が虚偽であるというだけの事情はないし,仮に当該候補者がポスター受注業者から予備枚数の納付を受けていたとしても,これをも加味してポスターの単価計算をしなかったことが直ちに違法になるともいえない。また,226枚を超えて発注したが超過分は選挙運動費用で負担した旨回答したポスター発注候補者について(原告が個別に挙げるところではG候補),当該回答が虚偽であることを具体的に裏付ける証拠はない。
(3)  以上検討したところによれば,ポスター発注候補者とポスター受注業者との間で締結されたポスター作成に係る請負契約が虚偽のものであり,水増し請求がされたと認めるだけの証拠はないというべきである。
3  争点(3)(第1の請求のうち,賃借料に係る水増し請求の有無)について
(1)  原告は,選挙費用の公費負担に当たっては,適正な金額による支払が要求されるものであるところ,原告が選挙に用いることを明示して行った見積りの結果によれば,選挙運動に用いる自動車の適正賃料は高く見積もっても日額1万1000円であり,公費負担の合理的な上限額はその7日間分の7万7000円であるのに,自動車借入候補者と自動車貸出業者間ではそれを大きく超えた条件で契約を行ったものであるから,地方自治法2条14項,地方財政法4条1項に定める最小費用最大効果の原則の趣旨に照らして,当該契約は無効であると主張する。
この点,本件条例の定めに基づく公費負担の上限は1日当たり1万5300円,7日間分で10万7100円であるが(なお,本件選挙における選挙運動期間は7日間である(甲1)。本件条例4条(2)ア,乙1),原告が提出する見積依頼結果一覧表(甲9)には,3業者の見積りの平均として「軽バン」が7日分で5万0379円,「バン大」が8万0056円との記載があるところである(このほかに備品代として1業者が26万3300円,1業者が54万5000円と見積もっている。)。
そこで検討すると,上記一覧表によっても,その内訳や見積りの前提となる具体的使用条件を業者がどのように評価したのか等は必ずしも明らかでないし(例えば看板等の備品設置により生じ得る傷等に備えるための諸費用を自動車使用料の中で見積もっているのか,備品の費用で見積もっているのか等は明らかでない。),また同じ型種であっても相当幅があり,原告のいう合理的上限額よりも高い見積りを出している業者も存在している。そして,選挙運動用自動車は,連続した長時間,しかも連日使用されるだけでなく,看板や拡声機等を積載・設置して使用されることがあるなど,その使用形態が通常と異なる特殊なものであり,かかる特殊な使用形態に伴って車体に傷が生じたりすることなども予想されるのであるから,その賃借料が自動車の通常の貸借に係るものと同程度に止まるのが当然ということにもならない。そうすると,原告が調査した見積りの結果で高額なものから更に3割ほど高い額の10万7100円程度で7日間分の賃料を合意したからといって,それが直ちに不相当に高額であるということはできない。原告は,軽自動車を利用した候補者が,普通乗用自動車と変わらない水準の賃借料を請求していることにつき,賃借料が不合理に設定されている可能性があるとも主張するが,既に述べたところに照らして,この主張は採用できない。
なお,原告は,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項を主張の根拠として挙げるが,この点については前記2(1)で述べたとおりである。
(2)ア  原告は,看板等の積載許可申請の事前審査を受けたり,選挙後に看板等を外したりするために,選挙運動用自動車は選挙運動期間を超えた期間にわたって貸借するのが一般的であり,選挙運動期間しか貸借していないという候補者は選挙運動期間を超えた部分の賃借料につき公費負担請求を行っている可能性がある(B候補,P候補,G候補,Q候補,M候補,H候補,R候補,S候補,T候補,J候補,K候補),また,選挙運動期間を超えて貸借した候補者は,かかる費用も賃借料に含めて公費負担請求を行っている可能性があると主張する(U候補,I候補)。
そこで検討すると,監査委員による調査(甲7,8)では,自動車借入候補者と自動車貸出業者それぞれに対して,選挙運動用自動車の賃貸期間や賃料等について確認しており,同調査のうち,選挙運動用自動車の借用期間を尋ねる質問に対しては,自動車借入候補者14名のうち10名が7日間のみと答えており,その余の4名のうち1名は5日間,他の3名は8日間~12日間と答えている(なお,同調査では,原告が本訴における請求の対象外としている候補者ら5名に対しても調査がされているが,うち2名が7日間のみ,3名が10日間~12日間としている。)。また,自動車貸出業者も,上記と同様の回答をしている(なお,P候補は7日間借用した旨回答しているが,その自動車貸出業者は同調査に対して回答しておらず,U候補は8日間借用した旨回答しているが,その自動車貸出業者は16日間貸し出した旨回答している。)。この回答結果は,自動車借入候補者と自動車貸出業者との間の契約書(甲5の1,5の5~9,5の11,5の13,5の14,5の16,5の18,5の19)と符合するものである(なお,U候補とその自動車貸出業者との間の契約書(甲5の10)及びI候補とその自動車貸出業者との間の契約書(甲5の15)ではいずれも使用期間が7日間とされている。)。
このような回答結果に対して,原告は,選挙運動期間しか貸借していないという候補者は選挙運動期間を超えた部分の賃借料につき公費負担請求を行っている可能性があるとし,本件選挙につき,選挙運動用自動車設備外積載許可の申請に係る事前審査が平成23年4月13日と同月14日の両日にわたり三鷹警察署において行われている(甲22の1)から,自動車借入候補者は同審査時点から選挙運動用自動車を借り入れていたはずであると指摘する。
この点,自動車借入候補者が借り入れた選挙運動用自動車が設備外積載を要する形で使用されていたかどうかは必ずしも証拠上明らかでないが,仮にかかる形で使用されていたものがあったとしても,上記積載をするために要する期間が当然に選挙運動用自動車の賃貸借契約の対象となるかどうかについては更に検討を要するというべきである。すなわち,選挙運動用自動車を選挙運動目的のために使用できるのは,選挙運動期間中の7日間だけであり,選挙運動前後の期間は,特段の事情がない限り,自動車としての使用期間ではなく看板等の設置や取外しをするための作業期間としての性格を有するものと解される。そして,このように選挙運動という特殊な用途のために自動車を使用する際の契約としては,自動車自体の使用のための契約とは別に看板等の備品の設置契約が締結されることも考えられるところ(甲9参照),上記の作業期間において当該自動車が専ら備品の設置・取外しの対象として用いられるものであることを踏まえ,かかる作業の対象として当該自動車が用いられる対価を備品の設置契約の内容にするなどしたからといって,これを不自然,不合理な契約ということはできず,また,本件条例の解釈上,かかる契約内容とすることが許されないと解するだけの事情があるともうかがわれない。そうであるとすれば,当該作業期間を選挙運動用自動車の賃貸借契約に係る借用期間に含めなかったからといって,これが本件条例に反するものということはできないというべきである。
そうすると,選挙運動用自動車の使用期間を7日間とする契約を締結し,監査委員の調査に対しても同趣旨の回答をした自動車借入候補者が,選挙運動期間前に看板等設置の作業のために当該自動車を用いていたとしても,当該回答が当該自動車の賃貸借契約に係る回答として直ちに虚偽のものとはいえず,また,上記作業のための期間を公費負担計算の基礎としなかったとしても,直ちにこれをもって本件条例上許されないものとまではいえず,これと異なる認定判断をすべき事情の存在はうかがわれない(なお,U候補とその自動車貸出業者及びI候補とその自動車貸出業者との間の契約内容及び監査委員の調査に対する回答には,いずれも上記のとおり,そごが存在するが,これは事実として選挙運動用自動車の借用ないし供用を受けた期間とこれに対する契約上の取扱いが整理されていないことが背景にあると解する余地があり,少なくとも上記そごの存在だけから,同候補の選挙運動用自動車に係る公費負担につき違法事由があるということはできない。)。
原告は,選挙運動期間を超えて貸借した旨回答した候補者が,かかる費用も賃借料に含めて公費負担請求を行っている可能性があるとも主張するが,推測の域を出るものではなく,この主張は採用できない。
イ  また,原告は,賃借料については,設備設置費を含めて自動車の使用料として公費負担請求を行う事例が他の自治体で報告されており,本件においても同様の形で請求がされている可能性がある(B候補,P候補,G候補,H候補,R候補,S候補,T候補,J候補,K候補)とか,親族,関連企業,所属政治団体の関係者などの所有する車を借り入れた場合,その賃借料には明確な根拠はなく,実態のない賃借料の請求がされている可能性があるなどと主張する(B候補,P候補,Q候補,T候補,J候補,K候補)が,いずれも推測の域を出るものではなく,これらの主張は採用できない。なお,原告は,自動車貸出業者が「生計を一にする親族」(本件条例3条)に該当し,又はその趣旨に反するとも主張する(B候補,T候補)が,本件における事実関係に照らして同条項所定の要件に該当するとはいえないし,かかる要件に該当しない場合に同条の趣旨に反するとしてこれを違法とすることは法律関係の明確性を損なうものであるから,原告の主張は採用できない。
ウ  さらに,原告は,無登録業者による有償による車の賃貸借は道路運送法80条1項に抵触するところ,これらの業者は,実費や謝礼しか負担してはいけないという信義則上の義務を負担しているから,その範囲を超える賃借料の支払を受けることは,違法であると主張する(B候補,F候補,P候補,G候補,Q候補,M候補,H候補,R候補,S候補,I候補,T候補,J候補,K候補)。
そこで検討すると,本件条例は,選挙運動用自動車の借入先について一定の親族を除くほか特段限定をしておらず(3条参照),借入先が道路運送法80条所定の許可を受けていることを公費負担の要件として定めてもいない。また,道路運送法は,輸送の安全を確保し,道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに,道路運送の総合的発達を図ることなどを目的とするものであるところ(1条参照),同法80条1項は,自家用自動車は,国土交通大臣の許可を受けなければ業として有償で貸し渡してはならないとするが,同条2項において,国土交通大臣は,自家用自動車の貸渡しの態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除くほか,同条1項の許可をしなければならないと定めており,同項違反の場合に100万円以下の罰金に処するとの定めはあるものの(98条17号),同項違反の契約の効力を否定する旨の規定は存在しない。
上記定めから明らかなように,道路運送法80条1項の許可は,同法の上記目的を達成するために,業としてされる自家用自動車の有償での貸渡しが自動車運送事業(2条)に対する同法の規制を潜脱するものとなることを防止する趣旨で定められたものと解されるところ,本件において,自動車貸出業者が自動車借入候補者に対して行った車両の貸渡しは,運送行為を伴うものではなく,その態様が自動車運送事業の経営に類似していると認めるだけの事情はない。また,本件において,自動車貸出業者が上記許可を得ていなかったとしても,自動車借入候補者がこれを認識して契約を締結したと認めるに足りる証拠はないし,自動車借入候補者が上記許可の存否を確認すべき義務を負っていたともいえない。このような事情に加えて,上記許可を得ずに有償での貸渡しをした場合の制裁が上記の程度であることをも考慮すると,仮に自動車借入候補者と自動車貸出業者との間の契約に道路運送法80条1項に違反する事情があったからといって,同契約が無効であるとはいえず,信義則上その効力を主張できる範囲が限定されるということもできない。
(3)  以上検討したところによれば,自動車借入候補者と自動車貸出業者との間で締結された選挙運動用自動車の賃貸借契約が虚偽のものであり,水増し請求がされたと認めるだけの証拠はないというべきである。
4  争点(4)(第2の請求の理由の存否)について
上記2,3のとおり,被告には,ポスター発注候補者,ポスター受注業者,自動車借入候補者及び自動車貸出業者に対する不当利得返還請求権及び不当利得返還請求権が認められないから,当該請求権の行使を怠ることの違法確認を求める請求も認められない。
第4  結論
よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小林宏司 裁判官 桃崎剛 裁判官 中村仁子)

 

別紙1
指定代理人目録 省略

〈以下省略〉

 

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