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「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(1)平成30年10月31日 東京地裁 平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件

「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(1)平成30年10月31日 東京地裁 平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成30年10月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)18282号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA10318009

裁判年月日  平成30年10月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)18282号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA10318009

東京都渋谷区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 大石忠生
齋藤晴太郎
郷原信郎
加藤君人
田島正広
森炎
小松正和
五島幸雄
茨城県取手市〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 仁平勝之
富永豊子
平英毅
中村涼

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は,原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する平成27年7月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,①原告は,第22回参議院議員比例区選挙(以下「本件選挙」という。)に立候補するに当たり,被告との間で,平成22年5月22日,原告が被告に対し選挙本部を統括する事務方の最高責任者である事務局長の任務として,〈ア〉選挙運動及び事前の政治活動全般における効果的な選挙運動,政治活動の計画,実施,指導及び監督,〈イ〉選挙運動及び事前の政治活動全般における選挙違反(公職選挙法違反等)防止のための指導及び監督,〈ウ〉選挙運動及び事前の政治活動に対する人件費,広報費等の選挙運動,政治活動経費の適切な出金と管理(以下,〈ア〉ないし〈ウ〉を併せて「本件委任事務」という。)を有償で委任する旨の契約(以下「本件委任契約」という。)を締結した,②原告は,自らが代表取締役を務めていた株式会社a(以下「a社」という。)の従業員にボランティアとして本件選挙における原告の選挙運動(以下「本件選挙運動」という。)を手伝わせた,③被告は,上記②に際し,a社の従業員に休職届を提出させた上で本件選挙運動をさせるべきであると助言したが,上記①〈ア〉及び〈イ〉に反して,休職期間中は給与が支払われないことを明確に伝えず,休職届の記載の仕方や提出方法等について一切指導や助言をしないまま,本件選挙運動を効果的に行うためにコールセンターの活用を指示し,a社の女性従業員をして自らの指導,監督の下に電話を架けさせた,④そのため,a社の従業員の中には,休職理由の記載が不十分な休職届を提出する者があり,休職届を提出しても結果的に給与の支払が受けられるという誤解が生じた,⑤その結果,警察に休職届の提出は報酬を支払う約束の偽装であったとの誤解が生じ,原告は,警察から選挙運動の報酬の支払の約束があったとの嫌疑を掛けられ,公職選挙法違反で逮捕,勾留,起訴され,有罪判決を受けた,⑥被告は,上記①〈ア〉及び〈ウ〉に基づき,当選という目的のために最大限効果を発揮すべく,適切な時期に,適切な内容,適切な数量の選挙関連印刷物を企画,制作,印刷の上,それを適切な方法で頒布,利用するよう指導,監督すべき義務を負っていた,⑦ところが,被告は,上記⑥の義務を怠り,株式会社b(以下「b社」という。),株式会社c(以下「c社」という。)及びその他の印刷業者に対し,納品自体存否不明で架空発注の可能性すらある選挙関連印刷物を過剰に発注し,また,不適切な時期に過大な量の選挙関連印刷物を発注した,⑧そのため,大量の選挙関連印刷物の大部分は,使用されないまま廃棄された上,原告は,b社及びc社から,選挙関連印刷物に係る業務委託料や印刷代金の支払を求める訴訟を提起され,b社に対して350万円,c社に対して500万円もの和解金の支払を余儀なくされた,⑨原告は,被告に対し,本件選挙終了後,再三にわたり,本件委任事務の処理の状況について報告を求めたにもかかわらず,これに応じず,被告が同年9月29日に提出した報告書も,極めて不十分かつ抽象的な内容にすぎなかった,⑩被告は,原告から,上記①〈ウ〉の一内容として,選挙事務所費用300万円及び選挙活動費用1000万円の合計1300万円を預かっていたところ,これを無断で領得した,⑪上記③,⑦,⑨及び⑩は,債務不履行又は不法行為を構成する,⑫〈ア〉上記⑤の逮捕,勾留による精神的苦痛,〈イ〉上記⑤の身柄拘束中の会社経営上の重大な支障,〈ウ〉上記⑤の刑事裁判手続が約3年にも及んだことに伴う弁護士費用その他の支出,〈エ〉上記⑤の逮捕報道による原告の名誉,信用の毀損に対して原告の名誉,信用の回復に要した費用,〈オ〉上記⑧の和解により余儀なくされたb社及びc社に対する和解金の支払,〈カ〉原告による上記⑩の現金管理委託契約違反等による財産的損害を踏まえると,原告の精神的苦痛を慰謝するには1億円を下らないと主張して,被告に対し,債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権に基づき,慰謝料として1億円及びこれに対する平成27年7月24日(請求の日の翌日で不法行為の後の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2  前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,証拠(認定事実の末尾に付記する。)及び弁論の全趣旨によって容易に認定することができる事実)
(1)  原告は,本件選挙に立候補し,平成22年7月11日,投票が行われたが,落選した。(甲13の2,弁論の全趣旨)
(2)  原告は,平成22年7月28日,運動員買収という公職選挙法違反の被疑事実により通常逮捕され,同年8月18日,起訴された。東京地方裁判所は,原告に対し,平成23年1月7日,懲役2年,執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。原告は,これを不服として控訴したが,東京高等裁判所は,同年6月24日,これを棄却した。(甲57,乙6,7,22,原告)
3  争点
(1)  原告と被告との間で成立した委任契約の内容
(2)  被告の債務不履行及び不法行為の有無及び内容
(3)  原告の損害
4  争点に関する当事者の主張
(1)  原告と被告との間で成立した委任契約の内容
ア 原告の主張
別紙「原告及び被告の主要な主張一覧表」(以下「別紙一覧表」という。)の「第1 委任契約の成立」のうち「原告の主な主張」欄及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載のとおりである。
イ 被告の主張
別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」のうち「被告の認否及び反論」欄及びこれに対応する「被告の再々反論」欄各記載のとおりである。
(2)  被告の債務不履行及び不法行為の有無及び内容
ア 原告の主張
別紙一覧表の「第2 被告の委任事務遂行の実態」のうち「原告の主な主張」欄及びこれに対応する「原告の再反論」欄並びに同「第3 債務不履行及び不法行為」のうち「原告の主な主張」欄及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載のとおりである。
イ 被告の主張
別紙一覧表の「第2 被告の委任事務遂行の実態」のうち「被告の認否及び反論」欄及びこれに対応する「被告の再々反論」欄並びに同「第3 債務不履行及び不法行為」のうち「被告の認否及び反論」欄及びこれに対応する「被告の再々反論」欄各記載のとおりである。
(3)  原告の損害
ア 原告の主張
別紙一覧表の「第4 損害」のうち「原告の主な主張」欄及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載のとおりである。
イ 被告の主張
別紙一覧表の「第4 損害」のうち「被告の認否及び反論」欄及びこれに対応する「被告の再々反論」欄各記載のとおりである。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実のほか,証拠(認定事実の末尾に付記する。ただし,次の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(1)  a社は,不動産の売買等を業として昭和50年10月4日に設立された株式会社である。原告は,同社の設立以来同社の代表取締役である。(甲57,乙1)
(2)  社団法人f連合会(以下「f連」という。)は,長年にわたり参議院議員選挙において国土交通省出身のd党候補を支援してきたが,平成22年7月に予定されていた本件選挙ではe党を支援することを決めた。原告は,同年1月中旬,f連の会長らから本件選挙において比例区からの立候補を打診された。その後,原告は,知り合いのB元総理大臣(以下「B元総理」という。),C参議院議員(以下「C議員」という。),D参議院議員(以下「D議員」という。),同議員から紹介されたE衆議院議員等から,本件選挙への出馬を強く勧められ,本件選挙への出馬を決めた。原告は,同年2月10日頃,a社本社にD議員及び同人から紹介されたA1(以下「A1」という。)を招き,具体的な選挙運動について説明を受けた上,組織体制や役割分担等について相談した。原告は,同人らの話やその他の議員らの話を踏まえて,①原告の出身母体であるg協会(以下「g協会」という。)会員が約10万6000社,h協会会員が約2万5000社であるから,当選に必要な15万票を獲得するには,宅建業界や不動産業界を中心に票を確保しつつ,その他の団体にも支援を求めて票を増やす必要がある,②具体的には,〈ア〉g協会会員及びh協会会員の票固めを本件選挙運動の中心とし,組織票が見込みやすい学校法人や宗教団体のほか,a社の協力業者,取引業者,顧客等にも支援を求める,〈イ〉上記〈ア〉の支援要請のためにコールセンターを設置する,〈ウ〉原告の後援会を,f連の本部のある東京神田に近い東京八重洲,原告への支援を約束していた兵庫県g協会会長の地元である神戸及び大阪,F衆議院議員の地元である札幌及びB元総理の地元である長野に設置するという選挙方針(以下「本件選挙方針」という。)を決定した。原告は,原告の長男でa社の取締役であったG(以下「G」という。)に対し,同月,コールセンターの設置を指示した。Gは,a社の社員に対し,同年3月,ダイレクトメールを送付するための名簿の作成を指示した。(甲57,乙8,9,13,原告)
(3)  原告は,平成22年3月3日,e党の公認を受けた。本件選挙運動は,e党参議院比例区第○総支部として行うことから,同月15日,同支部規約が制定され,総支部長に原告,幹事長にa社の常務取締役H(以下「H」という。)が就任した。f連は,同月31日,原告を支持する旨の機関決定をした。原告の後援会会長にB元総理,本部長にC議員が就任した。後援会事務所の設営の準備は,同月下旬から同年4月上旬にかけて開始された。原告は,a社の社員に対し,同月1日,本件選挙への立候補を正式に表明した。(甲14,22,57,59,乙8,19)
(4)  原告は,A1との間で,選挙コンサルト契約を締結して,本件選挙運動について相談していたが,A1が本件選挙運動のための準備に携わっていたa社の幹部社員との折り合いが悪かったことなどから,平成22年3月上旬,同契約を解除した。東京八重洲の後援会事務所は,同年4月末から同年5月上旬にかけてオープンした。原告は,a社の社員I(以下「I」という。)に対し,同月上旬,ダイレクトメールを送付するための名簿の作成作業,ダイレクトメールの発送作業及びコールセンターで支援を求める電話を架ける作業に従事するa社の社員の配置案の作成を指示した。原告は,原告の知人で本件選挙運動を手伝うことになったA2(以下「A2」という。)に対し,同月中旬から下旬にかけて,コールセンターで使用する電話マニュアルの作成を指示した。(甲22,乙9,13)
(5)  原告は,平成22年4月27日,C議員らとの会食の際に初めて会ったJ衆議院議員(以下「J議員」という。)から,責任を持って本件選挙運動を支える,自分の秘書2名を原告の選挙対策本部に入れて張り付ける,全てを自分に任せて良いなどと言われた。本件選挙運動及びその準備に携わっている者が選挙の素人ばかりであることに不安を覚えていた原告は,J議員の申出を受けることにした。ところが,原告は,同年5月18日,J議員から,自分の秘書を原告の選挙対策本部に張り付けることができなくなったが,それに代わる人物として選挙のプロを紹介すると言われ,同月20日,J議員と共に,同人が紹介するA3(以下「A3」という。)と面談した。A3は,本件選挙運動を応援することは承諾したが,事務局長への就任は固辞し,代わりに被告を推薦した。原告は,同月22日,J議員及びA3と共に,被告と面談した。被告は,原告の事務局長に就任することを承諾した。(甲13の2,22,23,25,57,乙8,22,原告)
(6)ア  被告は,平成22年5月23日,原告の後援会事務局長の肩書きで,東京八重洲の後援会事務所の中2階で執務を開始した。
イ  被告は,平成22年5月23日,ミーティングにおいて選挙運動員との間で本件選挙運動に関する質疑応答を行い,電話を架けることの重要性を強調した。
ウ  被告は,平成22年5月25日,国会内において行われた原告を応援するための話合いに参加した。
エ  被告は,平成22年5月26日,京王プラザホテルで行われた東京都のg協会の政治部門で組織されるi連盟の懇親会に参加した。
オ  被告は,平成22年5月28日,i連盟の事務局長代行と面談した。
カ  被告は,東京八重洲の後援会事務所5階で本件選挙運動及びその準備に携わっている幹部だけのミーティングを開催する手配をし,平成22年5月29日夜,J議員及びA3と共に5階に赴いたところ,選挙運動員全員を集めて原告が出席する集会が行われていたため,ミーティングの開催を断念した。
キ  被告は,平成22年5月31日,東京八重洲の後援会事務所において,都議団会議及び国会秘書団会議を開催し,J議員がこれらの会議を仕切った。
ク  被告は,平成22年6月1日,約100名(代理出席を含む。)が参加して議員会館で行われたj連盟による原告を励ます会に参加し,同会において,①原告の選挙対策本部からg協会に加盟する不動産業者が記載された名簿を各議員が受け取り,個別訪問をするとともに原告を本件選挙の候補者として推薦する旨の書面と原告のリーフレットを各議員の支持者宛てに発送すること,②都議も同様に行うことが決まった。被告は,同月2日及び3日,C議員の秘書であるA4(以下「A4秘書」という。)と共に,同会に参加した各議員の議員会館内の事務所に謝礼に訪れた。
ケ  平成22年5月下旬の時点において,後援会事務所の責任者は,東京八重洲がa社の取締役であったK,大阪及び神戸がH,札幌がa社の取締役であったL,長野が原告の弟でa社の取締役であったMであった。東京八重洲の後援会事務所の5階に配置された選挙運動員は,封書の発送や個別訪問等の選挙運動を行っていたが,その責任者は,Gであり,Gは,原告に指示を仰いでいた。
コ  被告は,東京八重洲の後援会事務所の選挙運動員に対し,上記クの①及び②の発送のために各議員に名簿を渡すよう指示したが,選挙運動員は,Gの指示であることが確認できないと,各議員に名簿を渡すことはできないという態度を取った。
サ  原告は,被告を事務局長に迎えても,本件選挙運動を本件選挙方針に基づいて行うことを基本的には変更するつもりはなかった。
シ  そのため,被告は,主として,①本件選挙運動に必要な物の手配等に関する指示及び指導,②大阪,神戸,札幌及び長野の後援会事務所からの問合せに対する回答,③東京八重洲の後援会事務所を訪ねてくる政財界の要人その他の来客に対する応接を行っていた。
ス  原告は,平成22年6月1日,コールセンターでの電話架けの練習に立ち会い,同月2日から電話によるコールセンターからの支援要請が始まった。
セ  各議員からの上記クの①の書面の発送は,平成22年6月中旬から開始された。
ソ  被告は,選挙ハガキと返信用封筒の印刷,のぼり,たすきの製作を発注したことがあった。
タ  原告の選挙用のビラには,頒布責任者として被告の氏名が記載されていた。
チ  被告は,時折,夜遅くまで上記ケの選挙運動に従事していた選挙運動員を誘って,午後6時又は午後7時頃から飲食を行うことがあった。
ツ  被告は,事務局長としての執務を開始した直後に,東京八重洲の後援会事務所の5階で上記ケの選挙運動に従事する選挙運動員のほとんどがa社の社員であることを知った。
(甲1,9,10の3及び4,13の2,14,17ないし19の各1及び2,20の1ないし3,21,22,23,24,25,57,60,62,67,乙1,9,10,13,22,原告,被告,弁論の全趣旨)
(7)ア  警視庁神田警察署組織犯罪対策課のA5課長(以下「A5課長」という。)は,平成22年6月9日,東京八重洲の後援会事務所を訪ね,原告の母校である日本大学のOB及びGの母校である慶應義塾大学のOBに送付した文書が公職選挙法に違反する旨を警告した。この文書は,a社の広報課長N(以下「N」という。)が同年3,4月に作成して発送したものであった。原告,被告,A3,A4秘書及びA6弁護士(以下「A6弁護士」という。)らは,同月11日,今後の対応を協議し,被告及びA6弁護士は,同月14日,神田署を訪ね,A5課長に対し,今後は同様の行為を行わない旨を誓約し,A5課長は,上記違反の件を不問にした。
イ  A3は,平成22年6月17日付けの建白書を作成し,同月19日,これをNに提出した。建白書には,「一般的合法的活動であっても 1.その配布が大量にわたり 2.他の配布物と共に配布され 3.あるいは配布先如何 4.配布の方法等状況如何 で質的変化を期しているとみられる場合には一般的政治活動の枠を超えて投票依頼行為と認定されるおそれがあります。」と記載されていた。
ウ  O都議名義の封書1万通が,平成22年6月22日,別納郵便により発送された。
(甲13の2,14,21,23,25,47,57,乙22)
(8)ア  原告と被告は,被告が事務局長に就任する際に,原告が被告に対し事務局長としての報酬を支払うことを合意した。被告は,平成22年6月3日,選挙費用として預かっていた金員の中から事務局長の報酬前期分として50万円の支払を受けた。
イ  被告は,東京八重洲の後援会事務所で会計を担当していたA7(以下「A7」という。)から,平成22年6月18日,事務所経費として300万円,元衆議院議員P(以下「P」という。)の事務所の郵送料として207万円を受け取り,同月23日,e党の政党交付金1000万円を受け取った。被告は,受け取った300万円を事務局長報酬後期分50万円,J議員の「パーティー券」名目60万円(1枚当たり2万円×30枚分。なお,実際には1~2枚しか受領していない。),J議員の「クルーズ券」名目8万4000円,C議員の事務所費不足分58万円の支払に充て,1000万円を選挙運動員の食事代,会議費及び交通費等のほか,後記(9)の選挙カーの代金及びウグイス嬢の人件費の支払に充てた。
(甲11,12,21,24,25,29,32,57,64,乙22,原告,被告,弁論の全趣旨)
(9)  平成22年6月24日,本件選挙が公示され,原告は,同日,立候補し,出陣式を行い,その後,全国各地を遊説した。原告は,被告に対し,同月30日,出す予定のなかった選挙カーの手配を指示し,被告は,同年7月1日及び同月2日,選挙カー及びウグイス嬢を手配した。A3は,同月10日,警察がa社の本社を張り込んでいるのに気付き,これを被告に伝え,被告は,これをGに伝え,Gは,これを原告に伝えた。同月11日,本件選挙の投票が行われ,原告は,落選した。(前提事実(1),甲8,13の2,21,24,25,39,57,64,乙22)
(10)  被告は,選挙運動費用収支報告書2通を作成し,1通を平成22年7月26日に,1通を同月29日に総務省に提出した。(甲7の1及び2,乙22,原告)
(11)  被告は,平成22年参議院選挙X選対(八重洲事務所)報告書要旨と題する書面(以下「本件報告書」という。)を同年9月28日付けで作成し,これをA7に提出した。(甲13の1及び2,乙22)
(12)  原告は,平成22年7月28日,運動員買収という公職選挙法違反の被疑事実により通常逮捕,勾留され,同年8月18日,起訴された。東京地方裁判所は,平成23年1月7日,原告がA8(以下「A8」という。)と共謀の上,平成22年6月24日午後1時頃,株式会社k事務所において,a社の従業員に対し,同日から同年7月10日までの間,本件選挙の選挙人に対し電話を架けて原告への投票を依頼する選挙運動の報酬として,同期間に対応する給与相当額の金員の供与を約束したとの事実を認定した上で,原告を懲役2年,執行猶予4年に処する旨の有罪判決を言い渡した。原告は,控訴したが,東京高等裁判所は,平成23年6月24日,これを棄却した。(前提事実(2),乙6)
(13)  原告は,平成22年2月,A1から,a社の社員が給料の支払を受けながら選挙運動に携わることは公職選挙法に違反するから,必ず休職届を提出させてボランティアとして選挙運動に携わっているという形を整える必要がある旨を言われ,D議員やE議員からも同様のことを言われた。原告は,同年6月23日頃,本件選挙運動に従事しているa社の社員から休職届を提出させるよう指示していなかったことに気付き,Iに対し,休職届を提出させるよう指示した。しかし,原告が同月末頃にIに休職届の提出が完了したかを確認すると,いまだ休職届を提出させていないことが判明したため,原告は,再び休職届を提出させるよう指示した。しかし,原告がIに休職届の提出が完了したかを確認した同年7月上旬頃においても,いまだ休職届を提出させていないことが判明したため,原告は,三度休職届を提出させるよう指示した。(甲57,62,乙8,9,10)
(14)  b社は,原告を被告として,本件選挙における原告の政治活動ないし選挙運動用の広報に係る業務委託契約に基づく業務報酬の支払を求める訴訟を東京地方裁判所に提起し(同裁判所平成22年(ワ)第47235号),同裁判所は,平成25年2月28日,435万8550円及び遅延損害金の支払を命じる判決を言い渡した。原告は,これを不服として控訴したが,同年9月18日,東京高等裁判所において,原告とb社との間で裁判上の和解が成立した。同和解に係る和解調書には,第1項として「被控訴人は,本件広告物につき過剰な量の発注があったとの控訴人の主張に鑑み,控訴人に対し,和解の趣旨に照らし,本件業務委託料残金を350万円に減額することを了承する。」という条項がある。(甲2,26,乙5)
(15)  c社は,原告を被告として,原告から発注された印刷物の未払代金の支払を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した(同裁判所平成23年(ワ)第37645号)が,平成27年4月10日,同裁判所において,原告とc社との間で裁判上の和解が成立した。同和解に係る和解調書には,第1項として「原告は,被告に対し,本件印刷が不当かつ過剰であったことを認め,本件和解金を500万円とすることを了承した。」という条項がある。(甲3,弁論の全趣旨)
2  争点(1)(原告と被告との間で成立した委任契約の内容)
(1)  原告は,別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」のうち「原告の主な主張」欄1及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載の経緯により,原告と被告との間において同「原告の主な主張」欄2及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載の内容の本件委任契約が成立し,本件委任契約成立後の事情として同「原告の主な主張」欄3及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載の諸事実があったと主張する。
(2)  まず,原告と被告との間で本件委任契約が成立した後の事情として,別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」のうち「原告の主な主張」欄3及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載の諸事実が認められるか否かについては,次の限度においてこれを認めることができる。これに対し,A2の確認書(甲27)における供述,Gの陳述書(甲41)における供述,A9の陳述書(甲44)における供述並びに原告の陳述書(甲57)及び本人尋問における供述中にはその余の事実に部分について言及する部分があるが,認定事実及びその認定の根拠とされた証拠に鑑みると,的確な裏付けを伴わない限り,上記各供述だけではその余の事実を認めることはできないところ,的確な裏付けが見当たらないから,上記各供述だけではその余の事実を認めることはできない。そして,他にその余の事実を認めるに足りる的確な証拠はないから,その余の事実を認めることはできない。
ア 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(1)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(6)ア,カ,シの②及び③並びに(9)のとおりである。
イ 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(2)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(7)のとおりである。
ウ 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(3)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(6)イのとおりである。
エ 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(4)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(6)シの①,ソ及びタのとおりである。
オ 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(5)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(8)ア及びイのとおりである。
カ 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(6)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(8)イ及び(10)のとおりである。
キ 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(7)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(11)のとおりであり,本件報告書の内容から,被告が原告の選挙対策本部を統括していたと認めるに足りない。
ク 別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」欄の「原告の主な主張」欄3(8)及びこれに対応する「原告の再反論」欄
認定事実(8)イ及び(9)のとおりである。
(3)  また,認定事実(2),(5)及び(6)によると,①原告は,平成22年4月27日に初めて会ったJ議員から,自分の秘書2名を原告の選挙対策本部に入れて張り付けると言われて,本件選挙運動及びその準備に携わっている者が選挙の素人ばかりであることに不安を覚えていたことから,J議員の申出を受けることにした,②ところが,原告は,同年5月18日,J議員から,自分の秘書を原告の選挙対策本部に張り付けることができなくなったとして,その代わりに選挙のプロとしてA3を紹介されたが,同人が事務局長への就任を固辞したため,同月22日,A3から推薦された被告と面談し,被告との間で,被告を原告の事務局長に就任させる旨の合意が成立した,③しかし,原告は,被告を事務局長に迎えても,本件選挙運動を同年2月に決定した本件選挙方針に基づいて行うことを基本的には変更するつもりはなかったことが認められる。
そうすると,原告と被告との間で本件委任契約が成立した後の事情(前記(2))を勘案しても,原告が被告を採用したのは,本件選挙方針に基づく本件選挙活動について,選挙のプロの目から見て,誤りがあればそれを是正し,足りない点があればそれを正しく補正することを期待してのことであり,本件委任契約の内容に関する被告の陳述書(乙22)及び本人尋問における供述も勘案すると,原告と被告との間で成立した本件委任契約の内容は,〈ア〉別紙一覧表の「第1 委任契約の成立」のうち「原告の主な主張」欄2記載の上から1つ目の「・」の①ないし③が含まれるものではなく,〈イ〉同欄2の上から3つ目の「・」記載のとおり統括されることになったわけでもなく,〈ウ〉被告が上記の意味での是正や補正を行うことであったと認めるのが相当である。この認定に反するA2の確認書(甲27)における供述,Gの陳述書(甲41)における供述,A9の陳述書(甲44)における供述並びに原告の陳述書(甲57)及び本人尋問における供述は,いずれも採用することはできず,被告の本件報告書(甲13の2)における供述は,この認定を左右するに足りず,他にこれを左右するに足りる証拠はない。
3  争点(2)(被告の債務不履行及び不法行為の有無及び内容)
(1)  原告は,被告の本件委任事務の遂行の状況は,別紙一覧表の「第2 被告の委任事務遂行の実態」のうち「原告の主な主張」欄及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載のとおりであり,被告には,別紙一覧表の「第3 債務不履行及び不法行為」のうち「原告の主な主張」欄及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載のとおり,債務不履行及び不法行為が成立すると主張する。
(2)  まず,被告の本件委任事務の遂行の状況,すなわち,別紙一覧表の「第2 被告の委任事務遂行の実態」のうち「原告の主な主張」欄及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載の事実は,認定事実(6)ソ及びチの限度においてこれを認めることができる。これに対し,A9の陳述書(甲44)における供述並びに原告の陳述書(甲57)及び本人尋問における供述中にはその余の事実について言及する部分があるが,認定事実及びその認定の根拠とされた証拠に鑑みると,的確な裏付けを伴わない限り,上記各供述だけではその余の事実を認めることはできないところ,的確な裏付けが見当たらないから,上記各供述だけではその余の事実を認めることはできない。そして,他にその余の事実を認めるに足りる的確な証拠はないから,その余の事実を認めることはできない。
(3)  次に,別紙一覧表の「第3 債務不履行及び不法行為」のうち「原告の主な主張」欄(1)及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載に係る事実について判断する。
ア 原告は,その供述調書(乙9,10)及び陳述書(甲57)において,本件選挙運動に従事するa社の社員についていつから休職扱いにしたらよいかを被告に尋ねたところ,被告は,本件選挙期間直前で大丈夫だと思う旨を回答したと供述している。
これに対し,被告は,本件報告書(甲13の2),被告の証人等調書(甲21)及び陳述書(甲25,乙22)において,①平成22年8月12日に行われた警察の取調べにおいて,同年5月24日に原告からa社の社員をボランティアにした方が良いかと尋ねられて,被告がまだ必要がないと答えたという事実の有無を聞かれた,②被告は,一旦は聞かれていないと答えたが,警察が執ように食い下がるので,記憶がないと答えて,取調べが終了した旨を供述する。
イ 上記アのとおり,被告がa社の社員から休職届を提出させる時期を原告から尋ねられたか否かについての原告の供述と被告の供述は,真っ向から対立するが,被告の陳述書(乙22)及び本人尋問における供述を子細に検討すると,いずれであるにせよ,被告は,原告に対し,本件選挙の公示直前頃の時点において,原告が本件選挙運動に従事させているa社の社員から休職届を提出させたか否かを確認していないことが認められる。この認定を左右するに足りる証拠はない。
ウ 原告と被告との間で成立した本件委任契約の内容は,被告が,本件選挙方針に基づく本件選挙活動について,選挙のプロの目から見て,誤りがあればそれを是正し,足りない点があればそれを正しく補正することである(前記2(3))。
そうすると,被告が上記イのとおり確認しなかったことは,被告が本件委任契約に基づいて負っている被告の債務に違反するものというべきである(なお,Pは,その陳述書(甲60)において,原告に対する文書違反警告(認定事実(7)ア)及び運動員買収による原告の逮捕(認定事実(12))は,いずれも被告が警察に内通していた結果であると供述し,A10は,その陳述書(甲61)において,これに沿う供述をする。これが事実であるとすれば,被告は,故意に上記イのとおり確認しなかったものということができる。しかし,的確な裏付けを伴わない上記各供述だけでは,これを認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はないから,これを認めることはできない。)。
しかし,原告は,本件選挙の公示前までに本件選挙運動に従事させているa社の社員から休職届を提出させないと,公職選挙法違反となることを知っており,本件選挙の公示直前において本件選挙運動に従事させているa社の社員から休職届を提出させるよう指示していた(認定事実(13))から,被告が上記イのとおり確認しなかったことと,原告が公職選挙法違反で逮捕勾留起訴されて有罪判決を受けたこととの間には,相当因果関係があるとは認められない。
(4)  次に,別紙一覧表の「第3 債務不履行及び不法行為」のうち「原告の主な主張」欄(2)及びこれに対応する「原告の再反論」欄各記載に係る事実について判断する。
Gの陳述書(甲41)における供述,A11の陳述書(甲42,43)における供述並びに原告の証人等調書(甲22),陳述書(甲57)及び本人尋問における供述中には上記各記載に係る事実について言及する部分があるが,認定事実及びその認定の根拠とされた証拠に鑑みると,的確な裏付けを伴わない限り,上記各供述だけでは上記各記載に係る事実を認めることはできない。しかし,b社及びc社が裁判所の和解の際に過剰発注との原告の主張を勘案して請求額を減額していること(認定事実(14)の及び(15))は,的確な裏付けに当たると認めることはできない。また,Pは,その陳述書(甲60)において,P事務所の郵送料207万円(認定事実(8)イ)を被告から受け取ったことはなく,被告が着服したものであると供述するが,的確な裏付けを伴わないPの供述だけでは,これを認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はなく,これを認めることはできないから,Pの供述は,的確な裏付けに当たると認めることはできない。そして,他に的確な裏付けは見当たらないから,上記各供述だけでは上記各記載に係る事実を認めることはできない。
(5)  また,別紙一覧表の「第3 債務不履行及び不法行為」のうち「原告の主な主張」欄(3)記載に係る事実について判断する。
原告の陳述書(甲57)及び本人尋問における供述中には上記記載に係る事実について言及する部分があるが,認定事実及びその認定の根拠とされた証拠に鑑みると,的確な裏付けを伴わない限り,上記各供述だけでは上記記載に係る事実を認めることはできないところ,的確な裏付けが見当たらないから,上記各供述だけでは上記記載に係る事実を認めることはできない。そして,他に上記記載に係る事実を認めるに足りる的確な証拠はないから,上記記載に係る事実を認めることはできない。
(6)  さらに,別紙一覧表の「第3 債務不履行及び不法行為」のうち「原告の主な主張」欄(4)記載に係る事実について判断する。
認定事実(8)イのほか,被告本人尋問における供述及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,A7から,平成22年6月18日,事務所経費として300万円を受け取り,同月23日,e党の政党交付金1000万円を受け取った,②被告は,受け取った300万円を,〈ア〉事務局長報酬後期分50万円,〈イ〉J議員の「パーティー券」名目60万円,〈ウ〉J議員の「クルーズ券」名目8万4000円,〈エ〉C議員の事務所不足分58万円の支払に充て,受け取った1000万円を,〈オ〉選挙運動員の食事代,会議費及び交通費等,〈カ〉認定事実(9)の選挙カーの代金及びウグイス嬢の人件費の支払に充て,残額100万円を原告に返還した事実が認められる。
原告は,上記②〈ア〉の50万円は,被告が無断で領得したものであると主張する。しかし,認定事実(8)アによれば,原告と被告は,事務局長に就任する際に,原告が被告に対し事務局長としての報酬を支払うことを合意したことが認められるのであり,被告が事務局長報酬後期分の50万円を受領することは,原告の委託の趣旨に反するものと認めることができない。
原告は,上記②〈イ〉及び〈ウ〉の合計68万4000円は,被告が横領したものであると主張する。しかし,認定事実(5)及び(6)キのほか,証拠(甲21)によれば,J議員は,原告に対し,本件選挙への出馬に向けて,A3や被告を紹介し,平成22年5月31日に開催された都議団会議及び国会秘書団会議の際にはこれらの会議を仕切り,同年6月1日に開催されたj連盟による原告を励ます会の際にはこれ参加した議員の大半を集めるなど,原告の本件選挙活動に対し大きく貢献したことが認められる。そうすると,事務局長として事務所経費やe党の政党交付金を受け取っていた被告が,そのような貢献をしたJ議員に対し,上記②〈イ〉及び〈ウ〉の合計68万4000円を支払ったとしても,原告の委託の趣旨に反するとまでは認められない。
上記②〈エ〉について,原告は,C議員の事務所費不足分58万円は,被告が着服したものであると主張し,C議員は,その陳述書(甲59)において,C議員が被告から58万円の支払を受けたことがなく,58万円は被告が着服したものであると思われると供述する。しかし,被告は,その陳述書(乙22)において,上記58万円は,C後援会が中心となって長野の事務所で行った電話掛けの人件費であると供述しており,これが事実であるとすると,C後援会は,公職選挙法に違反する活動に協力していたことになり,C議員としては上記支払の事実を容易に認めることができないということができるから,C議員の上記供述は,上記②〈エ〉の事実に係る認定を左右するに足りないというべきである。そうすると,上記支出は,原告の委託の趣旨に反するものとは認められない。
上記②〈カ〉について,認定事実(8)イによれば,いずれも,原告の本件選挙運動のために費消されたことが認められるから,当該支出が,原告の委託の趣旨に反するものとは認められない。
(7)  以上によると,原告の主張は,いずれも採用することができない。
4  結論
以上によると,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は,理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第10部
(裁判長裁判官 鈴木正紀 裁判官 中西正治 裁判官 安陪遵哉)

 

〈以下省略〉

 

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