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「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(26)平成28年 2月17日 東京地裁 平26(行ウ)219号 難民の認定をしない処分取消等請求事件

「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(26)平成28年 2月17日 東京地裁 平26(行ウ)219号 難民の認定をしない処分取消等請求事件

裁判年月日  平成28年 2月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(行ウ)219号
事件名  難民の認定をしない処分取消等請求事件
文献番号  2016WLJPCA02178009

評釈
中坂恵美子・ジュリ臨増 1505号298頁(平28重判解)

裁判年月日  平成28年 2月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(行ウ)219号
事件名  難民の認定をしない処分取消等請求事件
文献番号  2016WLJPCA02178009

東京都港区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 田島浩
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者兼処分行政庁 法務大臣 A
処分及び裁決行政庁 東京入国管理局長 B
処分行政庁 東京入国管理局主任審査官 C
被告指定代理人 Dほか別紙指定代理人目録記載のとおり

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  法務大臣が平成23年11月2日付けで原告に対してした難民の認定をしない処分(以下「本件難民不認定処分」という。)を取り消す。
2  東京入国管理局長が平成23年11月4日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)61条の2の2第2項の規定による在留を特別に許可しない旨の処分(以下「本件在特不許可処分」という。)が無効であることを確認する。
3  東京入国管理局長が平成23年11月4日付けで原告に対してした入管法49条1項の規定に基づく異議の申出が理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)が無効であることを確認する。
4  東京入国管理局(以下「東京入管」という。)主任審査官が平成23年11月4日付けで原告に対してした退去強制令書の発付の処分(以下「本件退令発付処分」という。)が無効であることを確認する。
第2  事案の概要
本件は,スリランカ民主社会主義共和国(以下「スリランカ」という。)の国籍を有する外国人の男性である原告が,①入管法61条の2第1項の規定に基づき難民である旨の認定の申請をしたところ,法務大臣から本件難民不認定処分を受け,引き続き,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長(以下,法務大臣及び法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長を総称して,「法務大臣等」という。)から本件在特不許可処分を受けたことについて,本件難民不認定処分には原告が難民であることを看過した違法があるとして本件難民不認定処分の取消しを求め,また,原告が難民であることのほか,原告に特定活動の在留資格を有する配偶者及び子がいること等からすれば,本件在特不許可処分には裁量権の範囲から逸脱し又はこれを濫用した違法があり,その違法の程度は重大であると主張して,本件在特不許可処分が無効であることの確認を求めるとともに,②東京入国管理局長から本件裁決を受け,東京入管主任審査官から本件退令発付処分を受けたことにつき,上記の本件難民不認定処分及び本件在特不許可処分の違法性を前提とすれば,本件裁決及び本件退令発付処分にも違法があり,それらの違法の程度も重大であると主張して,本件裁決及び本件退令発付処分がそれぞれ無効であることの確認を求める事案である。
1  前提事実(争いのない事実,顕著な事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  原告の身分事項等
ア 原告は,1978年(昭和53年)○月○日,スリランカにおいて出生した同国の国籍を有する外国人の男性である。
イ E(以下「E」という。)は,1966年(昭和41年)○月○日にスリランカにおいて出生した同国の国籍を有する外国人の女性であり,在留資格を「特定活動(家事使用人:投資,経営等)」として,本邦に在留している(甲19,乙26)。
ウ F(以下「F」という。)は,平成17年○月○日,本邦において,原告を父,Eを母として出生したスリランカの国籍を有する外国人の女性であり,在留資格を「特定活動」として,本邦に在留している(甲19,20,乙27)。
(2)  原告の入国及び在留の状況
ア 原告は,平成14年10月17日,新東京国際空港(現在の成田国際空港)に到着し,東京入管成田空港支局入国審査官から,入管法所定の在留資格を就学,在留期間を1年とする上陸許可の証印を受けて,本邦に上陸した。
イ 原告は,在留期間の更新又は在留資格の変更を受けないで,在留期間の末日である平成15年10月17日を超えて,本邦に残留した。
ウ 原告は,平成23年8月30日,警視庁代々木警察署警察官により,入管法違反(不法残留)の被疑事実につき現行犯人として逮捕された(乙2)。
エ 原告は,平成23年9月9日,前記ウの被疑事実につき東京地方検察庁検察官から公訴を提起しない処分(いわゆる起訴猶予)を受けた(乙3)。
(3)  本件裁決及び本件退令発付処分に至る経緯
ア 東京入管入国警備官は,平成23年9月8日,原告が入管法24条4号ロ(平成21年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,東京入管主任審査官から収容令書の発付を受け,同月9日,収容令書を執行し,原告を東京入管収容場に収容し,同日,原告を同号ロに該当する容疑者として,東京入管入国審査官に引き渡した。
イ 東京入管入国審査官は,平成23年9月13日及び同年10月5日,原告に係る違反審査をし,その結果,同日,原告が入管法24条4号ロに該当し,かつ,出向命令対象者に該当しないと認定し,原告にその旨を通知したところ,原告は,同日,東京入管特別審理官に対し口頭審理を請求した。
ウ 東京入管主任審査官は,平成23年10月6日,原告に係る収容期間を30日間延長した。
エ 東京入管特別審理官は,平成23年10月24日,原告に係る口頭審理を行い,その結果,前記イの認定が誤りがないと判定し,原告にその旨を通知したところ,原告は,同日,法務大臣に対し異議の申出をした。
オ 法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,平成23年11月4日,前記エの異議の申出に対し,本件裁決をするとともに,東京入管主任審査官にその旨を通知した。
カ 前記オの通知を受けた東京入管主任審査官は,平成23年11月4日,原告にその旨を通知するとともに,本件退令発付処分をし,東京入管入国警備官は,同日,本件退令発付処分に係る退去強制令書を執行して,原告を東京入管収容場に引き続き収容した。
キ 東京入管入国警備官は,平成23年12月9日,原告を入国者収容所東日本入国管理センターへ移収した。
ク 入国者収容所東日本入国管理センター所長は,平成24年5月16日,原告を仮放免した。
(4)  難民である旨の認定の手続(以下「難民認定手続」という。)に関する経緯
ア 原告は,平成23年9月27日,法務大臣に対し,難民である旨の認定の申請(以下「本件難民申請」という。)をした。
イ 法務大臣は,平成23年10月20日に原告に対する事実の調査(以下「本件事実調査」といい,本件事実調査の際に作成された供述調書(乙18)を「本件供述調書」という。)をさせた上で,同年11月2日,本件難民申請について本件難民不認定処分をし,同月4日,原告にその旨を通知した。
ウ 法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,平成23年11月4日,原告に対し,本件在特不許可処分をし,同日,原告にこれを通知した。
エ 原告は,平成23年11月8日,法務大臣に対し,本件難民不認定処分について異議申立てをした。
オ 法務大臣は,平成25年9月9日,前記エの異議申立てについて,原告に対し口頭で意見を述べる機会を与えた。
カ 法務大臣は,平成26年1月24日,難民審査参与員の意見を聞いた上で,前記エの異議申立てを棄却する旨の決定をし,同年2月28日,原告にその旨を通知した。
(5)  原告は,平成26年5月14日,本件訴えを提起した(裁判所に顕著な事実)。
2  争点
(1)  本件難民不認定処分の適法性(争点1)
(2)  本件在特不許可処分の効力(争点2)
(3)  本件裁決の効力(争点3)
(4)  本件退令発付処分の効力(争点4)
3  争点に関する当事者の主張
(1)  争点1(本件難民不認定処分の適法性)について
(原告の主張の要点)
ア 難民の意義等
(ア) 難民,迫害の意義
難民の定義における迫害とは,次のとおり,難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)上の用語の通常の意味,同条約の趣旨や起草者の意思,諸外国の法解釈,当該条約の批准時における外務省や法務省の解釈によれば,「生命,身体又は身体の自由の侵害又は抑圧及びその他の人権の重大な侵害」であり,迫害を認定するに当たっては,生命や身体的自由のみならず,広く経済的・社会的自由,精神的自由に対する抑圧や侵害も検討されなければならない。
a 迫害と評価される侵害又は抑圧の対象は,「生命又は自由」(難民条約31条1項,33条1項)であるが,同条約の正文である英語においては,この「自由」を「liberty」ではなく「freedom」と規定している。この点,「liberty」は,拘束・束縛からの自由という趣旨が強く,対する「freedom」は,より広範な意義を有しているとされており,両者は,条約上の概念としても区別して用いられている(世界人権宣言3条参照)。そうすると,難民条約は,「liberty」よりも広範な自由の概念を採用すべく,一定の意図を持って「freedom」の文言を採用したと解することが合理的である。
b 難民条約の起草者は,迫害の概念を一義的に定義づけないことによって,将来的に,起草時の想定を超えた態様の人権侵害が行われた場合にも,これを迫害に取り込むことができるようにしたものと解される。このことを前提とするならば,「自由」という文言を狭く解することは,起草者の意思に反することとなる。
c 条約の解釈の原則では,「文脈」とともに当事者国間によって確立された国家慣行を考慮するよう定めているが,締約国が迫害を狭義に解しているという確立された国家慣行を徴する資料は存在しない。それどころか,北米及びオセアニア諸国の判例及び権威的解釈は,狭義の解釈を明示的に否定している。
d 日本国内においても,外務省や法務省は,迫害の概念を生命又は身体に限定しない見解に立っていた。
(イ) 難民認定手続における立証責任等
a 難民認定手続における立証責任
難民認定手続における立証責任は,原則として申請者の側にあるものの,関連する全ての事実を確認し評価する義務を申請者と審査官の間で分かち合うという性格は,難民認定処分という行政処分の適法性が争われる訴訟の立証責任にも反映されるというべきである。そして,申請者(原告)は,本国における自身の社会的地位その他の身分関係や,迫害を受けるおそれの根拠となる活動についての説明が求められるけれども,その説明が一応の合理性を有していれば,被告は,申請者(原告)の説明にもかかわらず,その出身国(ないし迫害を受けるおそれのある領域)において,迫害を受けるおそれに十分な理由がないことの立証責任を負うというべきである。
また,問題となる事項が両当事者のいずれの支配領域内のものであるか,両当事者のいずれが証拠に近いかというような観点から個別具体的に公平な立証責任の分配を考えるという立証責任分配についての有力説に立脚しても,申請者(原告)個人に関する事情の立証責任は申請者(原告)にあるけれども,出身国(ないし迫害を受けるおそれのある領域)の一般情勢に関する事情の立証責任は,被告が負うとするのが公平の見地から妥当であるといえる。
b 立証の程度
「十分に理由のある恐怖」とは,客観的な迫害の可能性ではなく,主観的な「恐怖」に十分な理由があることであり,その「十分な理由」とは,仮に提出された証拠によっては客観的な迫害の可能性が50%以下であると推測される場合であっても,合理的な勇気を有する者が申請者のおかれた状況に立ったときに,「帰国したら迫害を受けるかもしれない」と感じ,出身国(ないし迫害を受けるおそれのある領域)への帰国をためらうであろうと評価し得るのであれば,その恐怖に「十分な理由」があるということができる。これは将来の予測であるから,「合理的な疑いを容れない程度の証明」という過去の事実の存否についての立証基準がそのまま当てはまるわけではない。
また,前述のように,申請者(原告)の説明が一応の合理性を有していれば,被告の側が原告の出身国(ないし迫害を受けるおそれのある領域)において迫害を受けるおそれに十分な理由がないことの立証責任を負うことになるというべきであるから,少なくとも,申請者(原告)の側のみが難民の該当性を基礎付ける事実について「合理的な疑いを容れない程度の証明」を求められるというわけではない。
さらに,迫害を受けるおそれは,客観的に科学的な可能性を判定することは不可能であるから,その意味でも,「合理的な疑いを容れない程度の証明」という概念を持ち込むのは適切ではない。
c 私人によって行われる中核的人権の侵害を政府が支持し,又は容認している場合,意味のある保護は存在しない。このように考えなければ,悪意のある国家は,危害の計画を公的機関以外の手先に委ねるだけで,難民保護に訴えるという手段を被害者から剥奪することが可能になる。したがって,政府ないし権力者に協力して行動する政府関係者と結びついている凶徒の行為は迫害として認定すべきである。
政府が自国の市民の基本的人権を実効的に保護しない場合又は保護できない場合にも,迫害が成立する可能性があり,具体的には,政府に,私人による危害から市民を保護しようとする積極的意思がない場合,さらには客観的にみて意味のある保護を提供する能力がない状況において,保護の懈怠が成立する可能性がある。
イ スリランカの状況等
(ア) スリランカの状況
a スリランカは,グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(以下「英国」という。)からの独立以降,統一国民党(United National Party。以下「UNP」という。)とスリランカ自由党(Sri Lanka Freedom Party。以下「SLFP」という。)の二大政党に支配されてきた。近年では,2001年(平成13年)から2004年(平成16年)までUNPが与党であり,その後は現在に至るまでSLFPを中核とする統一人民自由連合(United People’s Freedom Alliance。以下「UPFA」という。)が与党である。
b スリランカの一般的な人権状況は,相当に劣悪であるといわざるを得ず,内戦の終結によっても,人権状況は大きく変わっていない。
また,スリランカにおいては,強制失踪や拉致が頻発しており,その被害者は,タミル人が多いものの,必ずしもタミル人に限られない。そして,治安当局が,政治的な動機で自ら強制失踪や拉致に関与するだけでなく,腐敗した治安当局が経済的な理由で強制失踪や拉致に関与ないし黙認しているというのがスリランカの状況である。内戦の終結によっても,強制失踪や拉致の横行という状況に本質的な変化はない。米国国務省2010レポートは,「失踪は依然として問題であるが,内戦中に比べると件数は減ってきている。前年までに起こった失踪事件は内戦に係るものであったが,今年中に起こったものは,恐喝や刑事犯罪(時には政府が関与しているものもある)に関係するものも多かった。」と述べている。
c スリランカの政党政治の顕著な特徴として,選挙における暴力行為が頻発しているということが挙げられる。スリランカでは,現在も,合法政党であっても,野党政治家や党員,支持者が平和的な政治活動を理由に迫害を受けることがしばしば発生する。
(イ) マーヴィン・シルバ(以下「シルバ」という。)について
a シルバは,もともとはUNPに属する政治家であるが,2000年(平成12年)当時は既にSLFPに転向して,首都コロンボやこれに隣接し,原告の地元の町であるキリバッゴダが属するガンパハ地区に地盤を移して政治活動をしていた。
シルバは,2004年(平成16年)にコロンボから立候補して国会議員に当選し,2010年(平成22年)にガンパハ地区から立候補して国会議員に当選しているが,2000年(平成12年)当時,既にガンパハ地区で政治活動をしていた。
b スリランカの有力政治家であるシルバは,自己に対立する者やその家族に対しては,残酷な暴行を加えたり,刺したり,散髪用ナイフで口を切り裂いたりするなどの暴虐の限りを尽くしても,何ら刑罰を受けることなく,大臣を歴任する有力政治家の座にとどまりながら,無法の限りを尽くしている。
シルバは,その秘書らがシルバと対立関係にあったケラニヤの地区評議会のメンバーを殺害したなどの重大犯罪に関与しながらも,その地位を失わず,その秘書らですら異常に早期に保釈されたというのである。
シルバの違法行為がスリランカ政府の官憲によって黙認・放置されているのは,マヒンダ・ラージャパクサ大統領の兄弟である政府の実力者ゴタブヘヤ・ラージャパクサの庇護があるからと言われている。
ウ 原告が置かれている状況
(ア) 原告の家は,祖父母も両親も皆,UNPの支持者であった。原告自身は,学生時代からクリケットをしていたところ,カレッジに在学していた際,カレッジに対してクリケットの球場の設置や用具の購入を求める運動をしたことがあり,そのとき,UNPの党員が手伝ってくれたことから,UNPの政治活動を手伝うようになった。それに加えて,原告は,スリランカはUNPの政権の時期の方が経済的に成功したと考えているため,UNPを支持している。
(イ) 原告,その祖父及びその父は,単なるUNPの支持者ではなく,UNPの選挙運動の手伝い等の政治活動を積極的にやっていた。そして,原告も,まだ学生時代の1996年(平成8年)頃からUNPの政治活動を始めた。そして,カレッジを卒業した1997年(平成9年)からは,より活発にUNPの政治活動を手伝うようになった。
(ウ) UNPは,党員が党を支える組織政党ではなく,積極的な支持者が,日頃の政治活動を支えている。原告は,選挙の有無にかかわらず,政治集会の設営をしたり,政治集会が開かれることを告知するポスターを町の中に貼ったり,又は,スリランカでは政治家が対立政党の支持者に襲われたりすることがしばしばあることから,UNPの議員が原告の地元に来た際にその警護をしたりしていた。
(エ) 原告は,2000年(平成12年)の総選挙における選挙運動中のある日,仲間たち15人ほど(以下,原告と併せて「原告ら」という。)と一緒にキリバッゴダの近くのケラニアという町まで車8台ほどに分譲して行って,そこでポスター貼りをしていた。その際,SLFPのポスターがUNPのポスターの真上に被せるように貼ってあったことから,原告らは,SLFPのポスターの真上に被せるようにしてUNPのポスターを貼っているところに,SLFPの支持者が20人くらいやってきて,原告らと口論になった。その後,口論が激化し,SLFPの支持者が原告らに殴りかかってきて,殴り合いのけんかになった。そして,けんかが更に激化し,二手に分かれて拳銃の撃ち合いになった。原告は銃を持たなかったが,原告の仲間は拳銃を持っており,その銃の撃ち合いの中で,SLFPの支持者の一人が死に,一人が足を撃たれた(以下,この事件を「本件第1事件」という。)。
本件第1事件は,夜中に行われたものであり,しかも混乱していたので,SLFPの支持者は,原告が撃ち合いに参加していないということには気が付いていないと考えられ,また,誰が撃ったために仲間が死んだのかを特定できなかったものと考えられる。そのため,そのときのSLFPの支持者は,そのときにいたUNPの支持者全員を犯人として,復讐の対象とするようになった。
上記のSLFPの支持者は,地元の実力者であるシルバに対し,前記のけんかの際にその場にいた原告らに対する報復を頼んだ。原告は,以後,シルバの配下の者たちに命を狙われることとなった。
原告は,殺されるおそれがあることから,外国に逃げることを考えたものの,SLFPの支持者を銃で撃って死なせた男がすぐに外国に逃げたため,その後は空港でのチェックが厳しくなっているという噂もあったこと,また,行き先のビザがなければ外国に行くための飛行機に乗ることもできないことから,容易に外国に逃げることができなかった。そこで,原告は,その場にいたUNP側の者として報復を受けるおそれがあることから,以後は実家にはほとんど帰らず,UNPの政治家の家や知り合いの家,コロンボにいる原告の叔父の家,スリランカ南部にある原告の祖母の家などを転々としていた。
(オ) スリランカでは,2000年(平成12年)の選挙ではSLFPが勝ったものの,その後,2001年(平成13年)の選挙ではUNPが勝った。原告は,実家にほとんど帰らなかったが,UNPの選挙の手伝いはずっと続けていた。しかし,UNPが与党になっても,シルバが地元の実力者であることに代わりはなく,原告が報復を受ける危険性は全く変わりがなかった。
(カ) 原告は,実家の近くには立ち寄らないようにしていたが,2001年(平成13年)頃,友人のパーティがあるということで,たまたま実家の近くに行ったことがあった。パーティの後,原告が夜道を歩いているときに,白いバンに乗ったSLFPの支持者がやってきて,そのバンから降りてきた10人くらいの男たちに襲われて,殴り付けられた。そのとき,前歯3本が後方にずれて,1本は折れてしまった。この男たちは「どこかに連れて行こう。」などと話していたが,原告が「助けて。」と叫ぶと,レストランの客が気が付いて,暴行現場の近くにやってきて「何をやっているんだ。」と言った。そこで,SLFPの支持者は,原告に対し,「警察に言ったら,家族を皆殺しにする。」と言って立ち去った(以下,この事件を「本件第2事件」という。)。
原告は,彼らが,原告も顔をよく知っている地元キリバッゴダのSLFPの支持者であり,本件第1事件の際のSLFPの支持者とは異なるものの,原告がまだUNPの活動を続けていたことから,それをやめさせるために襲ったのではないかと考えた。原告は,より一層外国に逃げようという気持ちが強くなった。
(キ) そこで,原告は,2001年(平成13年)11月23日,旅券を発行してもらい,2002年(平成14年)10月11日,日本のビザの発給を受け,同月16日にコロンボ空港から飛行機に乗り,同月17日に新東京国際空港に到着し,本邦に上陸した。
(ク)a 原告は,スリランカを出国した後の2005年(平成17年),原告の母から電話を受け,シルバ自身が配下を連れて実家に来て,拳銃を原告の母や弟に突き付けて,原告がどこにいるのかと尋ねた旨を聞いた。そのとき,原告の弟が「(原告は)スリランカにいない。日本にいる。」と答えたところ,シルバは「スリランカに戻ったら絶対に殺す。」といい,シルバの部下が原告の弟を殴り付けた(以下,この事件を「本件第3事件」という。)。シルバは大物政治家であることから,警護の警察官がいるものの,当該警察官は外にいて,シルバがやっていることは見ないふりをしていた。
b その1,2年後に,原告の弟が夜にバイクに乗っていたとき,すぐ後ろにやってきた車に乗った男が止まれと怒鳴ったことから,顔を見たところ,シルバの配下の男であったことから,そのままバイクの速度を上げて逃げた。
c シルバは,2000年(平成12年)当時,既にガンパハ県でも政治活動をしていたが,選挙区の変更を考えて,2005年(平成17年)頃からガンパハ県で積極的に支持者獲得の活動を始めており,地元の支持者から何か陳情されると積極的に動いていた。原告に対する報復を執拗に狙い続けている本件第1事件の際のSLFPの支持者に頼まれて,又は,それ以前から報復を頼んでいた彼らの自分の活動をアピールするために,原告の実家にやってきて脅迫をしたのである。
エ キリスト教徒に対する迫害
(ア) 原告は,もともと仏教徒であったが,2012年(平成24年)にキリスト教に改宗した。
(イ) スリランカにおいては,2003年(平成15年)以降,仏教過激派から,キリスト教会,牧師,信徒への攻撃が多数発生している。新教の自由に関する2007年国際報告書(甲5)の事例をみても,「仏教徒の村にキリスト教会は必要ない,と牧師に言い(中略),教会を永久に閉鎖するよう要求し(中略)反キリスト教徒のポスターが貼られ,100人以上の仏教徒が,そのうちの何人かは棍棒を手にし,キリスト教徒が礼拝に参加するのを妨害し,抗議をした。」という記載から,キリスト教徒であることを理由として攻撃していることは明白である。
上記報告書には,「いくつかのキリスト教徒の集団は,時として,キリスト教徒に向けた嫌がらせや暴力を政府が暗黙のうちに見逃している,という苦情を訴えた。いくつかの場合では,警察の対応が不適切で,地元警察当局者は,伝えられるところによれば,攻撃に関与した個人を告訴するのを好まなかった。」という記載があり,スリランカ政府が仏教過激派等によるキリスト教徒に対する迫害を放置し,又は容認しているとみることもできるし,少なくとも,当局が効果的な保護を与えることができない状態にあることは明らかである。
オ 以上の事情から,原告には,その政治的意見によって,迫害を受ける十分に理由のあるおそれがあるというべきであって,原告は,難民条約1条A(2)に規定する難民に該当する。
(被告の主張の要点)
ア 難民の意義等
入管法に定める「難民」とは,難民条約1条又は難民の地位に関する議定書(以下「難民議定書」という。)1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうところ(入管法2条3号の2),これらの各規定によれば,難民とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及び常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいうと解される。そして,ここにいう「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧をいい,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖を有する」というためには,申請者が,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解するべきである。さらに,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖」とは,単に迫害を受けるおそれがあるという抽象的な可能性があるだけでは足りず,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような個別,具体的な事情が存することが必要である。
また,難民の本質は,国籍国による保護を受けられない者に対して,国籍国に代わって条約締結国が条約に定められた限度で保護を与えることにあるから,国籍国が現に保護している者は難民となり得ない。難民条約1条A(2)が規定する「国籍国の保護を受けることができないもの」という要件は,迫害の主体が国籍国の政府自身である場合を想定しているのであり,難民の認定の申請者が主張する迫害の主体が国籍国の政府でない場合は,政府が当該迫害を知りつつ放置,助長するような特別な事情がある場合は別として,通常,上記のような国籍国の保護を受けることができるものと考えられるから,難民には該当しない。
そして,難民であることを主張する原告は,自らが難民に該当することの立証責任を負い,「合理的な疑いをいれない程度の証明」をしなければならない。
イ 原告の難民の該当性
(ア) 原告の主張等について
以下のとおり,原告の主張は,いずれも原告の難民の該当性を基礎付ける事情とはならないというべきであり,原告を難民と認めることはできない。
a 原告の主張は,要するに,自己が支持する政党であるUNPと対立する政党であるSLFPの支持者との間に選挙運動を巡る私的なトラブルがあり,シルバやその配下の者から迫害を受けるおそれがあるというものにすぎないのであって,国籍国政府による迫害のおそれを主張するものではない。仮に,原告がシルバやその配下の者から,何らかの報復を受ける可能性があるとしても,それはUNPの支持者がSLFPの支持者を死傷させたことに由来するのであって,かかる私人間の報復を難民条約1条の「迫害」ということはできない。
また,スリランカ政府が,こうした政党間の争いや一般犯罪を放置,容認しているといった事実を認めるに足りる的確な証拠も見当たらず,国籍国政府が原告の主張する迫害を知りつつ,放置・助長するといった特別な事情は見当たらない。
したがって,原告がシルバやその配下の者から報復を受ける可能性があるとの原告の主張は,難民の該当性を根拠付けるものとしては失当である。
b 原告の主張によれば,原告は,2000年(平成12年)に本国で行われた総選挙の選挙運動中に,本件第1事件に遭い,2001年(平成13年)頃には,本件第2事件に遭ったとのことである。
しかしながら,原告は,多数いたUNPの支持者のうちの一人であり,しかも,拳銃によりSLFPの支持者を死傷させたものではなく,あくまでトラブルの現場に居合わせただけであることからすれば,約1年もの間,SLFPの支持者が報復のため,原告の所在を追跡し続けていたとは考え難い。
しかも,原告の主張によれば,2005年(平成17年)に本件第3事件が起きたというのであるが,2000年(平成12年)の総選挙の選挙運動中のトラブルから約5年も経過した後になって唐突に,SLFP所属の議員であるというシルバが登場し,原告の実家を訪れ,原告を殺害する旨家族に告げるという経緯自体,不可解といわざるを得ない。
したがって,難民の該当性を基礎付けるものとして原告が主張する事情は,それ自体不合理で認め難いものである。
c 原告は,自身の難民の該当性を証明する資料として,東京入管に対し,UNPのチーフオーガナイザーである「G」が2011年(平成23年)10月5日付けで作成した書簡(乙30。以下「G書簡」という。)を提出している。
しかしながら,G書簡には,原告がUNPの支持者として熱心に活動をしていたことに言及されているにもかかわらず,本件第1事件や本件第2事件には全く言及されていない。
そればかりか,原告の主張によれば,原告は,本件第1事件が原因で外国に逃げることを考え,本件第2事件によってより一層外国に逃げようという気持ちが強くなり,本国を出国したというのに,G書簡では,その経緯につき,原告は,向学のため,スリランカを出国したと記載されるのみであるなど,原告の主張内容と著しく異なっている。
したがって,G書簡の内容と整合していないことからしても,原告が主張する事情は認め難いというべきである。
d 原告は,キリスト教へ改宗したことにより,仏教過激派から迫害を受けるおそれもないとはいえないと主張する。
しかしながら,上記のおそれについて,原告は,これまで自己の難民の該当性を基礎付ける事情として主張したことはなく,本件訴訟で初めて主張したものであり,原告のキリスト教への改宗の事実は,仮にそれが存在するとしても,本件難民不認定処分後の事情であると認められ,処分の違法性を基礎付ける事情とはいえない。
また,本国政府が,キリスト教徒に対する暴力等の犯罪を放置し,又は容認しているといった事実を認めるに足りる的確な証拠も見当たらず,キリスト教へと改宗したことが原告の難民の該当性を基礎付けるものではないというべきである。
(イ) 原告の難民の該当性を否定する事情について
a 原告は,2001年(平成13年)11月23日にスリランカ政府から正規旅券を発給され,特に問題なく出国し,平成14年10月17日に本邦に上陸した。そして,原告が上記の旅券の発給を受けた時には,未だSLFPが結成した政党連合の人民連合(People’s Alliance。以下「PA」という。)が政権を有していた。
このことは,原告がUNPの支持者という理由でSLFP政権から関心を寄せられていなかったことを示す重要な事情というべきである。
b 原告の主張を前提とすれば,原告には来日前から難民の該当性を基礎付ける事情があったにもかかわらず,原告は,在留資格「就学」を取得して来日し,難民認定の申請をするまで約9年もの間,難民認定の申請をしていない。このことは,原告が積極的に難民としての保護を求めていなかったということを強く推認させるものであり,原告の難民の該当性を否定する事情である。
c 仮に,原告が主張するような事情を理由にSLFPが原告を敵視しているのであれば,その家族にも相当の抑圧がされる可能性は高いが,原告は,本国の母親に毎日電話し,兄にも電話で連絡を取っている旨供述しており,本国に住む原告の母及び弟は,コロンボのキリバッゴダで,兄は,ガンパハ県カダワダで生活を営み,家族は平穏無事に生活していることがうかがえる。
このように,本国の家族が平穏かつ安全に生活している事実は,原告が本国政府から敵視されていないことを推認させる事情の一つとみるべきである。
(ウ) 以上のとおり,原告の主張は,いずれも原告の難民の該当性を基礎付ける事情とはならないというべきであり,原告を難民と認めることはできないから,本件難民不認定処分は適法である。
(2)  争点2(本件在特不許可処分の効力)について
(原告の主張の要点)
ア(ア) 法務大臣の裁量権には,次のとおり国際法上の制約があり,この制約に反する場合には,法務大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したことになるのであって,裁量権の範囲の逸脱・濫用が認められる場合が,在留特別許可の制度を設けた入管法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限定されるものではない。
難民条約は,32条,33条に規定する追放・送還の禁止の結果として,本邦への在留の継続を許すか否かについての国家の裁量を制約していることは明らかである。また,拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約3条1項に規定する追放・送還の禁止,強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約16条1項に規定する追放・送還の禁止も同様である。これらの規定により追放・送還が禁止されている場合には,第三国が受入れを表明している場合を除き,在留を認めるほかないから,法務大臣等の在留特別許可を付与するか否かに係る法務大臣等の権限は,実質的にはき束行為であるといえる。
さらに,在留資格未取得外国人が難民の該当性を有しない場合についてみても,退去強制令書の発付の処分に基づく本国ないし第三国への送還というのは,我が国の出入国管理秩序,その他公共の安全・秩序の保持等という目的を達成するための手段であるとみることができるが,そのために,国際人権法によって保護された権利・法益を不当に侵害することは許されず,適合性,必要性,狭義の比例制の観点からその適法性が判断される必要があるというべきである。形式的には入管法24条各号に定める退去強制事由のいずれかに該当する外国人であっても,当該外国人の追放によって侵害される他の法益との関係で比例性を欠いている場合があることを想定して,在留特別許可の制度が存在しているというべきなのである。
(イ) 法務大臣等は,難民の認定をした場合で,かつ,入管法が定める一定の例外に該当しないときには,必ず在留資格の取得を許可しなければならないのであるから,難民に該当する者について,難民に該当しないという誤った判断をした上で,上記の例外に該当しないにもかかわらず,同法61条の2の2第1項に基づく在留資格の取得を許可する処分をせずに,同条2項に基づく在留特別許可をしない処分をしたことは,同法の重要な規定に違反し,行政処分に甚だしい違法性がある重大な瑕疵であるというべきである。
また,難民に該当する者であって上記の例外に該当する場合であっても,難民条約33条1項により,迫害を受けるおそれのある領域への追放又は送還は禁じられているのであるから,法務大臣等が入管法61条の2の2第1項に基づく在留特別許可の判断をするに当たっても,その者の難民の該当性は極めて大きな意味を有し,難民に該当する者について,難民に該当しないという誤った判断をした上で,同項に基づく在留特別許可をしない処分をすることは,行政処分に甚だしい違法性がある重大な瑕疵であるというべきである。
(ウ)a 退去強制が家族の分離につながる場合には,家族の保護若しくは子供の保護という利益又は子供の最善の利益を超えて当該退去強制を執行することを正当化するに足りる根拠が締約国によって示されなければ,市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)17条,23条1項,24条1項違反,又は児童の権利に関する条約3項1項違反を構成する。
また,上記の場合には,家族の統合に対する児童の権利を保障する利益よりも政策目的を追求する利益の方が上回ることを締約国が立証しない限り,同条約9条違反を構成し,また,子供に家族の統合の維持を保障することの利益と,申請を却下することの利益を比較考量し,後者の利益の方が前者を上回ることを締約国が立証しない限り,同条約10条違反を構成する。
さらに,前記の自由権規約17条,23条,24条,児童の権利に関する条約3条,9条,10条によって規定されている事項は,その一部は憲法24条によって規定されているが,家族の一体性に対する恣意的な干渉の禁止,子供の保護という部分については,憲法13条によって保護されているとみるべきである。
b 比例原則は,行政裁量を限界づける一般的法原則又は法理念であり,憲法13条の要請でもあって,これによれば,目的を達成するための手段が,意図した目的達成の効果を持ち得ること(適合性),当事者にとって最も負担の少ないものであること(必要性),手段と目的との均衡が取れていること(狭義の比例性)が必要である。
したがって,入管法61条の2の2第2項の「当該在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情がある」と認めるときという要件は,我が国の出入国管理秩序,その他公共の安全・秩序の保持等という退去強制によって実現される法益と,当該外国人の日本への定着性,日本社会との結び付きの強さ,又は当該外国人を特に我が国において保護する必要性等,当該外国人の追放によって侵害される他の法益とを比較衡量し,比例性を欠いているとみられるときに,「特別に在留を許可すべき事情がある」ということになる。
(エ) 入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分は,法務大臣等と在留資格未取得外国人との間にのみ存するもので,処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要はないから,瑕疵の明白性の要件は不要である。仮に瑕疵の明白性の要件が必要であるとしても,本件においては,原告が難民に該当しないという判断は明らかに誤認と認められるので,当該要件も満たしているものというべきである。
イ 原告を本国に送還することについての特段の支障
(ア) 原告は,平成16年9月18日にEとキリスト教会で結婚式を挙げ,平成17年○月○日にFが生まれた。Eは家事使用人としての仕事があることから,原告がFの育児や家事をしていた。
(イ) Eは,平成15年4月以降,既に10年以上にわたって,特定活動の在留資格を有する者として適法に本邦に在留し,本邦に生活の基盤がある。Eは,この10年間,ずっと本邦で生活を続けてきたので,今更スリランカに戻ったところで,仕事を見つけることすら難しい。したがって,Eが自らの生活を維持していくためには,このまま日本での生活を続けるよりほかないのである。
しかし,原告とEとの間には,平成17年○月に出生したFがいるところ,家事使用人をしているEが一人でFを育てていくのは困難であり,他方,原告がFを抱えながらスリランカで生活していくのもまた困難である。結局のところ,原告に対する退去強制は,原告,E及びFの間の家族関係を完全に破壊するものであるといわざるを得ない。
また,原告だけが,又はEだけがFを養育することは,Fの健全な成長という観点から妥当ではなく,児童の権利に関する条約における子どもの最善の利益の原則に真っ向から反している。
(ウ) 在留資格を有する配偶者がいることは,在留特別許可の拒否に当たり積極的にしんしゃくすべき重要な要素である。なぜなら,在留資格を有する配偶者は,生活上の必要があって本邦に在留しているのであるから,その者が本邦にとどまって家族関係を維持する利益は十分に尊重されるべきものだからである。
原告とEは,婚姻届を提出していないところ,これは,原告が,Eに対し,原告がスリランカに帰国できない事情について話してあり,婚姻届を提出したら危険であると言っていたからであり,また,いずれもスリランカ国籍である原告とEが,日本の区役所に婚姻届を提出することができるという知識がなかったからである。
(エ) 原告に在留資格の取得を許可しないことにより原告が失う利益は,原告,E及びFの家族関係の破壊という甚大なものであるのに対して,原告の在留資格の取得を許可することによって具体的に出入国管理秩序が侵害されるというものではなく,本件裁決は,比例原則に反するというべきである。
(被告の主張の要点)
ア 入管法61条の2の2第2項に基づく在留資格未取得外国人を対象とする在留特別許可の許否の判断に係る法務大臣等の裁量の範囲は極めて広範であり,その判断が裁量権の逸脱又は濫用として違法となり得る場合があるとしても,それは法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど,在留特別許可の制度を設けた同法の趣旨に明らかに反するなど極めて特別な事情が認められる場合に限られる。そして,そのような事情が存在することの主張立証責任は原告にある。
イ 原告は,①原告が難民であること,②Eと夫婦関係を有していること,③Eとの間に生まれた未成年の子(F)を有していることを理由に,原告に対し在留特別許可を付与すべきであったとして,本件在特不許可処分には重大な違法があり無効である旨を主張する。
(ア) 前記①の主張について
前記(1)(被告の主張の要点)で述べたとおり,原告が難民であるとは認められないのであるから,前記①の事由により,本件在特不許可処分が違法とされる余地はない。
(イ) 前記②の主張について
a 在留資格未取得外国人が,在留特別許可の判断の際に,在留資格を有する外国人と婚姻届を提出しておらず,かつ,結婚式のみを挙げた関係にあったとしても,入管法上,そのことに関する固有の在留資格は存しない。
そして,在留特別許可が,在留資格制度を前提とし,容疑者たる外国人に何らかの在留資格が認められることを前提とするものである以上,原告が主張する原告とEとの関係は,考慮すべき事情には該当しないというべきである。
b 入管法は,在留特別許可をすべきか否かの判断に関して,在留資格を有する配偶者がいる外国人を特別に扱うべきことを定めた規定又は当該配偶者に対して何らかの手続上の権利を付与したような規定等を設けておらず,同法のその他の規定を検討しても,在留資格を有する配偶者がいる外国人について,そうでない外国人と区別して,一律に特別の取扱いをすべき法的地位を付与しているものとは解されない。したがって,退去強制事由のある外国人に在留資格を有する配偶者がいることを法務大臣等が当該外国人に対して特別に在留を許可すべきか否かの判断をする際にしんしゃくする事情の一つとすることはできるとしても,当該配偶者との婚姻関係の存在が,法務大臣等の在留特別許可をすべきか否かの判断に関する裁量権の行使に対する制約になると解することはできない。
しかも,Eの在留資格は家事使用人としての「特定活動」であるから,Eが本邦において行うことができる活動には制約があり(同法2条の2第2項,別表第一),また,在留期間も5年を超えることはできないとされているのであるから(同条3項),Eは,在留期間の更新を受ければ引き続き本邦に在留することが可能であるとはいえ,当然に在留期間の更新を受けて在留を継続する法的権利を有するものでもない。
c したがって,原告とEとの関係は,在留特別許可の判断に際し,格別にしんしゃくしなければならない事情であるということはできない。
(ウ) 原告とFとの関係
退去強制事由に該当する外国人が,「特定活動」の在留資格を有して在留する児童の親として,当該児童を監護・養育する事実が認められたとしても,入管法上,そのことに関する固有の在留資格は存在しない。
また,たとえ当該児童が我が国の国籍を有していたとしても,そのことのみを理由に当該児童を扶養する外国人親が我が国に引き続き在留することを保障されるものではなく,我が国における監護・養育の権利の行使又はその義務の履行は,その外国人が本邦に在留することができるという枠内においてのみ可能となるというべきである。そして,本件のように「特定活動」の在留資格を有する外国人と親子関係にある事案では,より一層保護の必要性が低いというべきである。
ウ 行政処分が無効であるというためには,当該処分に重大かつ明白な瑕疵が存在しなければならず,その瑕疵が明白であるか否かは,処分の外形上,客観的に瑕疵が一見して看取し得るか否かによって決せられるべきものであり,また,無効確認訴訟における「重大かつ明白な瑕疵」の存在に係る主張立証責任は,原告にあると解すべきである。
しかるに,本件在特不許可処分は,その瑕疵が外形上,客観的に一見して看取し得るものとはいえないから,原告の主張には理由がない。
エ 原告のその余の主張について
(ア) 原告は,本件在特不許可処分が,憲法13条,自由権規約17条,23条及び24条に反する旨を主張する。
しかしながら,本邦に在留する外国人については,入管法に基づく外国人在留制度の枠内でのみ基本的人権が保障されているにすぎず,在留の許否を決定する国家の裁量を拘束するまでの保障が与えられていると解することはできない。したがって,原告が主張する憲法上の権利も,飽くまで,在留制度の枠内でのみ保障されているにすぎないのである。
また,自由権規約についてみても,外国人を自国内に受け入れるか否か及びこれを受け入れる場合にいかなる条件を付すかは,国際慣習法上,当該国家が自由にこれを決することができるというのが原則であるところ,自由権規約13条が,外国人について,法律に基づく退去強制の手続を執ることを容認していることに照らすと,自由権規約は,上記の国際慣習法上の原則を当然の前提としていると解するべきであり,その原則を基本的に変更するものとは解されない。その上,同規約17条,23条及び24条の文理をみても,外国人の在留の権利については何ら触れるところはない。これらのことからすれば,外国人に同規約上の権利が保障されているとしても,それは,当該外国人が本邦に在留する限りにおいて保障されているにすぎないというべきである。
(イ) 原告は,児童の権利に関する条約3条,9条及び10条を根拠に,本件在特不許可処分が違法である旨を主張する。
しかしながら,同条約9条4項が,父母の一方若しくは双方又は児童の退去強制の措置に基づき,父母と児童が分離されることのあることを予定していることに照らすと,同条約が,外国人が本邦で在留する権利までも保障したものでないことは明らかである。同条約は,外国人の自国への上陸,在留を認めるか否かについての主権国家の広範な裁量を認めた国際慣習法上の原則を前提としているのであって,その原則を基本的に変更するものとは解されない。
(ウ) 在留特別許可は,退去強制事由のある外国人に対して法務大臣が恩恵的に付与するものであり,比例原則にのっとって判断するものではない。そして,法務大臣が在留特別許可を付与しなかったことに関する司法審査の在り方としては,法務大臣等の第一次的な裁量判断が既に存在することを前提として,在留特別許可の制度を設けた入管法の趣旨に明らかに反するような特別な事情が認められるか否かが判断されるべきである。
したがって,比例原則に拘束されることを前提とする原告の主張は,在留特別許可の法的性格を正解しないものであり,失当である。
(3)  争点3(本件裁決)について
(原告の主張の要点)
取消訴訟によって難民の認定をしない処分が取り消され,難民と認定すべきであり,入管法61条の2の2第1項の在留資格の取得の許可,同条第2項による在留特別許可の判断がされるべきであったと判断される場合,又は難民の認定をしない処分が適法であったけれども,同項による在留特別許可がされるべきであったと判断される場合には,同法61条の2の6第1項の規定により,退去強制手続を進めて同法49条1項に基づく異議の申出が理由がない旨の裁決をしてはならないのに,これをしたということになるから,上記の場合には,同項に基づく異議の申出が理由がない旨の裁決もまた違法となるというべきである。
(被告の主張の要点)
ア 本件裁決は,その瑕疵が外形上,客観的に一見して看取し得るものとはいえないから,本件裁決が無効である旨の原告の主張には理由がない。
イ 難民認定申請を行った在留資格未取得外国人については,入管法61条の2の2により,難民認定手続の中でその在留の判断も行われるものであり,かかる場合に,法務大臣等が退去強制手続の中で異議の申出に対する裁決を行う際には,同法50条1項の適用はなく(同法61条の2の6第4項),法務大臣等は,専ら,申立人が退去強制対象者に該当するかどうかに係る特別審理官の判定に対する申立人の異議の申出に理由があるか否かのみを判断するものである。
そして,原告は,同法24条4号ロ所定の退去強制事由に該当し,かつ,同法24条の3各号所定の出国命令対象者の要件を満たさないから,原告が法律上当然に退去強制されるべき外国人に当たることは明らかである。
したがって,本件裁決には何らの違法も認められず,適法である。
(4)  争点4(本件退令発付処分の効力)について
(原告の主張の要点)
前記(3)(原告の主張の要点)の場合には,入管法49条に基づく異議の申出が理由がない旨の裁決は違法となり,当然,退去強制令書発付処分もその違法性を承継して違法となる。
また,難民条約33条1項は,難民について,迫害を受けるおそれのある領域に送還することを禁じており,また,拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約3条1項により,拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国への送還は禁じられている。
したがって,主任審査官は,たとえ法務大臣等から異議の申出が理由がないとの裁決をした旨の通知を受けた場合であっても,上記の実質的な根拠がある他の国を送還先として指定した退去強制令書を発付することはできない。当該令書は,入管法53条3項に違反し,それ自体違法である。
(被告の主張の要点)
ア 本件退令発付処分は,その瑕疵が外形上,客観的に一見して看取し得るものとはいえないから,本件退令発付処分が無効である旨の原告の主張には理由がない。
イ 退去強制手続において,法務大臣等から異議の申出が理由がないとの裁決をした旨の通知を受けた場合,主任審査官は,速やかに退去強制令書を発付しなければならないのであって(入管法49条6項),退去強制令書を発付するにつき裁量の余地は全くないのであるから,前記(3)(被告の主張の要点)のとおり,本件裁決が適法なものである以上,本件退令発付処分もまた適法なものである。
原告は,自己が難民に該当することを理由に本件退令発付処分が違法である旨を主張するが,原告が難民に該当しないことは既に述べたとおりであるから,原告をスリランカに送還したとしても,難民条約33条1項に定めるノンルフールマン原則に反する余地はない。したがって,本件退令発付処分に係る退去強制令書において原告の送還先がスリランカと指定されている点についても,何ら瑕疵はない。
第3  当裁判所の判断
1  争点1(本件難民不認定処分の適法性)について
(1)  難民の意義等
入管法2条3号の2は,同法における「難民」の意義について,難民条約1条の規定又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうと規定している。このような入管法の規定に照らせば,同法にいう難民とは,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及び常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないものをいうと解するのが相当である。
そして,上記の「迫害」の意義については,難民条約31条1項が,「締結国は,その生命又は自由が第1条の意味において脅威にさらされていた領域から直接来た難民」について「不法に入国し又は不法にいることを理由として刑罰を科してはならない。」とし,同条約33条1項が,「締結国は,難民を,いかなる方法によっても,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見のためにその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放し又は送還してはならない。」としていることに照らすと,「生命又は自由」の侵害又は抑圧をいうと解するのが相当であり,ここにおいて「自由」が「生命」と並置されており,「難民」となり得るのは,迫害を受けるおそれがあるという状況に直面したときに「恐怖を有する」ような場合であると考えられること(同条約1条A(2)参照)からすれば,この「自由」は,生命活動に関する自由,すなわち肉体活動の自由を意味するものと解するのが合理的である。そして,同条約は,農業,工業,手工業,商業などの自営業に関して(18条),自由業に関して(19条),また,初等教育以外の教育に関して(22条2項),いずれも,締約国は,「できる限り有利な待遇」を与え,かつ,「いかなる場合にも,同一の事情の下で一般に外国人に対して与える待遇よりも不利でない待遇を与える」ものとしており,動産及び不動産に関する権利に関して(13条),賃金が支払われる職業に関して(17条),公的扶助に関して(23条),また,労働法制及び社会保障に関して(24条)も,類似の定めがあるが,上記のような待遇が外国人に付与されるか否かは,同条約の締約国の国内法制によるものと考えられることに照らすと,上記の「自由」に経済的自由等が含まれるとは解し難い。そうすると,上記の「迫害」の意義については,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解するのが相当である。また,上記にいう「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解される。
また,上記の難民の該当性に係る各要件については,難民である旨の認定の申請をしようとする外国人に対して難民に該当することを証する資料の提出を求めている入管法61条の2第1項及び入管法施行規則55条1項の趣旨に照らし,申請者たる原告が立証すべきものと解するのが相当である。そして,難民の該当性を基礎付ける事実の立証の程度については,当該事実の認定が自由心証主義(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法247条)によるべきことは通常の場合と同様であり,その立証の程度を一律に緩和すべき理由はない。
原告は,上記と異なる主張をするが,原告の主張するように解すべき我が国の法令上の根拠等も格別見出し難いから,採用することができない。
そこで,以下,このような観点から,原告が難民に該当すると認められるか否かについて検討する。
(2)  認定事実
前提事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア スリランカの一般情勢
(ア) スリランカは,全島が英国の植民地とされていたが,1948年(昭和23年)に自治領として独立し,1972年(昭和47年)には国名をスリランカ共和国と改称して完全に独立し,1978年(昭和53年)9月には国名をスリランカ民主社会主義共和国と改称した(乙28)。
(イ) スリランカの民族構成は,シンハラ人が約72.9パーセント,タミル人が約18.0パーセント,スリランカ・ムーア人が約8.0パーセントを占めている。また,言語については,1987年(昭和62年)11月の憲法改正により,シンハラ語及びタミル語が公用語とされ,シンハラ人及びタミル人の両民族をつなぐ連結語として英語が使用されている。(乙28)
(ウ) スリランカでは,1983年(昭和58年)以降25年以上にわたり,スリランカ北・東部を中心に居住する少数派タミル陣の反政府武装勢力であるタミル・イラーム解放のトラ(Liberation Tiger of Tamil Eelam。以下「LTTE」という。)が北・東部の分離独立を目指して活動し,政府側との間で内戦状態になったが,2009年(平成21年)5月に政府軍がLTTEを制圧し,内戦が終結した。この内戦で7万人以上が命を失ったと推定されている。(乙28,29)
(エ) スリランカの政治は,独立後,長らく,スリランカ自由党(SLFP)及び統一国民党(UNP)という2大政党が交互に政権を担う形をとってきた(乙28)。
(オ) 1994年(平成6年)の第10回総選挙において,SLFPは,他の野党と結成したPAと呼ばれる政党連合を結成して選挙戦に臨み,UNPから政権を奪回した。そして,SLFPのC・B・クマーラトゥンガが首相に就任した。その後,C・B・クマーラトゥンガ首相は,同年11月の第3回大統領選挙においても勝利して新大統領に就任し,また,1999年(平成11年)に行われた第4回大統領選挙でも再選された。(乙29)
(カ) PAは,2000年(平成12年)の第11回総選挙においても勝利を収めたが,2001年(平成13年),PAから離脱する政党が現れ,同年12月に行われた第12回総選挙において,UNPは,他の政党と共に統一国民戦線(United National Front。以下「UNF」という。)という政党連合を結成し,109議席を獲得して政権を奪取した。そして,UNPのR・ウィクラマシンハが首相に就任した。(乙29)
(キ) 2004年(平成16年)4月の第13回総選挙において,PAは,他の政党と連合してUPFAを結成し,勝利を収め,SLFPのラージャパクサが首相に就任し,UNFは野党となった。そして,2005年(平成17年)11月,ラージャパクサが大統領に就任した。(乙29)
(ク) 2010年(平成22年)1月の大統領選挙において,ラージャパクサ大統領は,対立候補に大差をつけて再選され,同年4月の総選挙では,与党UPFAが255議席中144議席を獲得して大勝した(乙28)。
(ケ) 2015年(平成27年)1月8日の大統領選挙において,もともとSLFPに所属し,後にUNP等の支持を受けて出馬したマイスリーパラ・セシリーナが,ラージャパクサを破って当選した(甲6,7)。
イ 原告の個別事情(原告及びその家族に関する状況)
(ア) 原告は,1978年(昭和53年)○月○日,スリランカで出生し,平成14年に同国を出国するまで同国で成育し,教育を受けてきた者である(前提事実1(1),乙7,17)。
(イ) 原告は,スリランカにおいて,軍や警察によって身柄を拘束されたり,暴行を受けたりしたことはない(乙18,原告本人(本人調書・14頁))。
(ウ) 原告は,2001年(平成13年)11月23日付けで,特に問題なく,スリランカの政府から自己名義の旅券の発給を受けた(乙5,18)。
(エ) 原告は,平成14年10月17日,入管法所定の在留資格を就学,在留期間を1年とする上陸許可の証印を受けて,本邦に上陸した(前提事実(2)ア)。
原告は,その後,a学院日本語センターに入学し,その3か月後,アルバイトを始めたところ,生活費の支出や母への仕送りのためにアルバイトの時間を長くした結果,出席日数が足りなくなったことから,当該センターの職員から在留資格の更新が受けられないと伝えられ,その後当該センターに通わなくなった(乙18)。
(オ) 原告は,少なくとも2003年(平成15年)から2008年(平成20年)までの間,レストラン,ネジの会社などで就労し,給与を得た(乙9,17)。
(カ) 原告は,本件事実調査において,本邦に上陸した目的について,「働くため」であることに間違いないこと,日本の会社に就職したいと考えたことなどを述べた(乙18)。
(キ)a Eは,平成15年4月9日,特定活動(家事使用人)の在留資格で本邦に上陸し,家事使用人等として勤務しており,本件難民不認定処分時において,「特定活動」の資格で在留している(甲19,乙26,原告本人(本人調書・9頁))。
b 原告は,平成16年9月18日,Eとキリスト教会で結婚式を挙げた(甲19,20)。
(ク)a Fは,平成17年○月○日,原告とEとの間の長女として,本邦で出生した(前提事実(1)ウ)。
b Fは,入管法22条の2第3項,同第4項の規定に基づく在留資格の取得を受けることなく,出生後60日を経過する平成17年12月9日を超えて不法残留となった。
c Eは,東日本大震災の後,Fを東京入管に出頭させた。Fは,平成23年4月7日,出国命令を受けて,Eと共に本邦から出国し,平成24年12月20日に本邦に上陸するまで,スリランカに滞在していた(甲19,20)。
なお,Eは,平成23年5月16日,再度本邦に上陸しており,Fは,同日以降本邦に上陸するまでの間,Eの妹に養育された(甲19)。
(ケ) 原告の母,兄及び弟は,スリランカに居住している(乙9)。
(3)  原告の難民の該当性について
ア 原告の主張及び供述について
(ア) 原告は,自己の難民の該当性を基礎付ける事情として,①2000年(平成12年)に本国で行われた総選挙において,SLFPの支持者との口論が激化して銃撃戦となり,UNPの支持者がSLFPの支持者を死傷させたこと(本件第1事件)を発端として,SLFPの支持者から依頼を受けたシルバ又はその配下の者(以下「シルバら」という。)から命を狙われるようになったこと,②2001年(平成13年)頃,SLFPの支持者たちから襲撃されたこと(本件第2事件),③原告が本邦に上陸した後も,シルバらが,原告の実家に来て,原告の母親と弟に対し,原告が帰国したら原告を殺害するなどと脅迫したこと(本件第3事件)などから,原告がスリランカへ帰国した場合,政治的意見を理由にシルバらから迫害を受けるおそれがある旨を主張し,本人尋問,原告の陳述書(甲20)及び供述調書において概ねこれに沿う記載ないし供述(以下「供述等」という。)があるので,以下検討する。
(イ) 「迫害」の主体について
原告は,迫害の主体は地元の有力者であり国会議員であるシルバであると主張し,国籍国政府による迫害のおそれを主張するものではないところ,前記(1)に述べたところに照らせば,難民の該当性の要件となる「迫害」の主体は,難民の認定の申請者の国籍国の政府が想定されているものと解される。もっとも,当該申請者が直接的には第三者からの暴力行為等を受けるおそれがある場合においても,当該政府においてそのような事情があることを知りながらその放置,助長等をしているといった事情があるときには,国籍国の政府による迫害のおそれがあるものと同視し得る余地があるものと解される。
これを本件についてみるに,証拠(甲9,11)によれば,シルバの粗暴な行為について記載があるものの,他方,原告が引用するインターネットの記事には,シルバが,政府の公務員に屈辱的行為をしたことで閣僚ポストから解任され,SLFPの党員資格を停止された旨,及びスリランカ警察が,違法行為をしたシルバの関係者や息子を逮捕している旨の記載があることが認められる。これらからすれば,スリランカ政府がシルバらによるUNPの支持者に対する襲撃の放置,助長等をしているといった特別な事情があることが直ちに認められるものではない。
(ウ) 原告の供述等の信用性について
a 供述等の裏付けについて
原告は,難民の該当性を証明する資料として,Hによる書簡(甲18の1,2)を提出する。
しかしながら,その記載内容は,「弾圧の犠牲となり,生命の危険を含む様々な問題に直面し,その結果隠遁生活を強いられました。」というものにすぎず,迫害の主体や具体的な内容に係る説明がなく,具体性に乏しいものといわざるを得ない。したがって,これをもって原告がシルバらから命を狙われているおそれがあるということはできない。
そして,他に原告の供述等の内容を裏付ける客観的な証拠はない。
b 供述等の内容の合理性について
原告は,2000年(平成12年)に本国で行われた総選挙の選挙運動中に,仲間たち15人ほどと一緒にポスター貼りをしていた際,SLFPの支持者20人ほどとの口論が激化し,拳銃の撃ち合いとなり,原告自身は拳銃を撃つことはなかったものの,原告の仲間が拳銃を撃ったことにより,SLFPの支持者の一人が死亡,一人が足を負傷した(本件第1事件),2001年(平成13年)頃には,原告が一人で夜道を歩いている際,SLFPの支持者10人くらいに襲われて歯を折った(本件第2事件)旨の供述等をする。
しかしながら,原告自身のUNP党員としての活動は,選挙活動の際にポスターを貼ったり,UNPの幹部と一緒に行動して身の回りの世話をしたり,ボディガードのようなことをしたりするものにすぎず,それ自体UNPと対立する組織から格別の関心を寄せられるようなものであったとは認め難い。その上,本件第1事件についての原告の主張ないし供述等によっても,原告は,多数いたUNP支持者のうちの一人であり,しかも,拳銃によりSLFPの支持者を死傷させたものではなく,あくまで口論及び撃ち合いの現場に居合わせたにすぎないのであるから,SLFPの支持者が,本件第2事件までの約1年間,原告の所在を追跡し続けたとは考えにくい。また,本件第3事件についても,原告がシルバと直接会って話したとうかがわれる事情がないにもかかわらず,本件第1事件から約5年経過した後になって唐突に,国会議員であり地元の有力者とされるシルバが原告の実家を訪れ,原告を殺害する旨家族に告げるという内容自体,不自然であるといわざるを得ない。
c 供述等の経過について
本件第2事件について,原告は,本人尋問において,本件第2事件が来日のきっかけの一つである旨を供述しているところ(原告本人(本人調書・12,13頁)),本件第2事件があった時期について,平成23年9月9日の違反調査において,「日本に来る半年くらい前」(平成14年4月頃)と供述し(乙5・5頁),平成23年10月20日の本件事実調査において,「来日する数ヶ月前」と供述していたにもかかわらず(乙18・12頁),本件訴訟では,原告の陳述書において,(来日の)「1年以上前のように思います。」との記載があること(甲20・8頁)が認められる。
以上によれば,本件第2事件は,原告にとって,本邦に上陸する契機となった重要な事件であるにもかかわらず,その発生時期についての供述等は,曖昧であって,しかも変遷がみられるから,その信用性についても疑問があることを指摘せざるを得ない。
d なお,原告は,キリスト教へ改宗したことにより,仏教過激派から迫害を受けるおそれがある旨主張し,信仰の自由に関する2007年国際報告書(甲5)等を引用するものの,原告の陳述書によれば,原告は平成24年5月16日の仮放免の後に改宗したというのであって(甲20・1頁),本件難民不認定処分後の事情にすぎない上,上記報告書には,「政府による信仰の自由の尊重という状態には変化はな」く,「憲法では,仏教に『第一の地位』が与えられているが,その他の宗教の信徒が信仰を自由に実践する権利も与えられている」と記載されていることからしても,それ自体において,本件難民不認定処分の違法性を基礎付けるものということはできない。そして,他に,スリランカ政府が,仏教過激派によるキリスト教徒への迫害を放置,助長等をしているといった特別な事情があると認めるに足りる的確な証拠は見当たらない。
e 以上のとおり,迫害の事実に関する原告の供述等は,客観的な裏付け証拠がない上,その内容や供述経過にも不自然,不合理な点が多いものといわざるをえないから,信用することはできないというべきである。
イ 他方において,前記(2)の事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,①原告は,2001年(平成13年)11月23日付けで,特に問題なくスリランカの政府から自己名義の旅券の発給を受けていること(乙5),②その際の政権は,SLFPが担当していたこと(前記(2)ア),③原告は,上記の旅券を用いて,出国の手続によりスリランカを出国して本邦に入国したこと(前記(2)イ)が認められる。
このように,原告が,SLFPの政権下であるにもかかわらず,自己名義の旅券を取得して出国することができたことからすれば,スリランカの政府が,原告に対し,迫害の対象として特に関心を寄せていたとはいい難いものというほかなく,また,原告は,本邦に入国する前にも庇護を求める機会があったにもかかわらず,そうしなかったことからすれば,原告が,スリランカの政府から迫害を受けるという恐怖心を抱いていたということにも疑問が生じるといわざるを得ない。
ウ 以上のほか,前提事実及び前記(2)の事実によれば,①原告は,本邦で働く目的を有しながら,就学の在留資格をもって本邦に入国し,入国後間もなく就労を開始していること,②原告が本件難民申請をしたのは,摘発を受け収容された後のことであり,本邦に上陸した時から9年近く経過していたことが認められることなどにも照らすと,原告について,本件全証拠をもってしても,本件難民不認定処分がされた当時において,原告について難民に当たるとされる要件として前記(1)に述べたところを満たす事情が存したと認めるには足りないというべきである。
したがって,本件難民不認定処分は適法である。
2  争点2(本件在特不許可処分の効力)について
(1)ア  難民の認定をしない処分をするときにされる入管法61条の2の2第2項の在留特別許可については,難民の認定の申請をした在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否かを審査し,当該事情があると認めるときにすることができることとされているほかは,その許否の判断の要件ないし基準とすべき事項は定められていないことに加え,一般に,外国人の出入国の管理及び在留の規制は,国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持を目的として行われるものであって,このような国益の保持の判断については,広く情報を収集し,その分析の上に立って時宜に応じた的確な判断を行うことが必要であり,高度な政治的判断を要求される場合もあり得ることなどを勘案すれば,同法61条の2の2第2項の規定に基づく在留特別許可をすべきか否かの判断は,法務大臣の広範な裁量に委ねられていると解すべきである。
もっとも,その裁量権の内容は全く無制約のものではなく,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により判断が全く事実の基礎を欠く場合や,事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には,法務大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法になることがあるものと解される。以上に述べたことは,法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長が在留特別許可に係る判断をする場合についても,異なるところはないと解される。
イ(ア)  自由権規約に関する主張について
原告は,本件裁決が自由権規約17条,23条及び24条の規定を考慮せずにしたもので違法である旨の主張をする。
しかしながら,前記アのとおり,外国人を自国内に受け入れるか否か及びこれを受け入れる場合にいかなる条件を付すかは,国際慣習法上,当該国家が自由にこれを決することができるというのが原則であるところ,同規約中には上記国際慣習法上の原則を排斥する規定が存在しない上,同規約13条が,外国人について,法律に基づく退去強制の手続を執ることを容認していることに照らすと,同規約は,上記の国際慣習法上の原則を当然の前提としていると解するべきであり,憲法の諸規定による人権保障を超えた利益を保護するものではない。また,同規約17条,23条及び24条は,その文言からして,外国人の在留の権利を特に定めたものとは認められないから,同規約13条の例外として,法律に基づいた決定によっても締約国内に存する外国人を退去強制することができない旨を定めたものと解することはできない。
(イ) 児童の権利に関する条約に係る主張について
児童の権利に関する条約には,前記(ア)の国際慣習法上の原則を制限する旨の規定は存在しないばかりか,同条約9条4項は,国家が父母の一方若しくは双方又は児童に対し退去強制をとった結果として児童が父母の一方又は双方から分離される場合があり得ることを認めている。
そうすると,同条約は,前記(ア)で述べた国際慣習法上の原則を当然の前提とするものと解されるのであって,我が国に在留する外国人については,入管法に基づく外国人在留制度の枠内において,同条約の趣旨が考慮されるにすぎないというべきである。
(ウ) 比例原則に関する主張について
原告は,行政裁量を実体的に統制する原理として比例原則を挙げ,要するに,本件裁決が比例原則に違反する旨の主張をする。
しかしながら,入管法61条の2の2第2項の規定の下における在留特別許可に係る法務大臣等の裁量については,前記アに述べたとおりであることに加え,その判断は個々の事案における諸般の事情を総合的に考慮した上で個別的に決定されるものであること,本件においては,後記(2)で述べるように,同項の規定の趣旨に沿って,退去強制により原告に生ずべき不利益を含め,諸般の事情を総合的に考慮して本件在特不許可処分がされたものであって,その判断の内容の合理性についても,これを否定すべきものとは認め難いことからすると,原告の比例原則に係る主張は,採用し難いというべきである。
(2)  前提事実及び弁論の全趣旨によれば,原告については,在留期間の末日である平成15年10月17日を超えて本邦に不法に残留するに至ったものである。そして,本件で,原告は,原告が難民に該当することを前提として本件在特不許可処分が違法である旨を主張するが,原告が難民であると認められないことは,前記で述べたとおりであり,その主張は前提を欠くものであって,上記のような原告の在留の状況は,我が国の出入国管理秩序と相いれないものと評価されてもやむを得ない。そして,前記1(2)によれば,本件難民不認定処分の当時,Eは「特定活動」の在留資格を有するにすぎず,当然に在留期間の更新を受けて在留を継続するものではなかった上,Fはスリランカに帰国していたこと,他に原告に有利に解すべき特段の事情も見当たらないことからすると,本件在特不許可処分について,その基礎とされた重要な事実に誤認があることにより判断が全く事実の基礎を欠くとか,事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるということはできない。
そうすると,本件在特不許可処分は適法であって,無効であるということはできないというべきである。
3  争点3(本件裁決の効力)について
(1)  原告に対する退去強制の手続については,入管法50条1項の適用はなく(同法61条の2の6第4項),同手続においては,東京入国管理局特別審理官がした判定についての異議の申出が理由があるかに関してのみ判断される(本件において,原告は,自己が難民に該当することを前提として,本件裁決が難民条約32条,33条に反し,違法である旨主張するが,主張自体失当であることが明らかである。)。
(2)  そして,前提事実(2)イのとおり,原告は,在留期間の更新又は在留資格の変更を受けないで在留期間の末日を超えて本邦に残留した者であるから,入管法24条4号ロが定める退去強制事由に該当する者であって,出国命令対象者に該当しないことは明らかであり,これと同様の東京入管入国審査官の認定に誤りがないとする東京入管特別審理官の判定に誤りはない。したがって,上記の判定に係る異議の申出が理由がないから,本件裁決は適法であって,無効であるということはできないというべきである。
4  争点4(本件退令発付処分の効力)について
法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,入管法49条1項による異議の申出を受理したときには,異議の申出が理由があるかどうかを裁決して,その結果を東京入管主任審査官に通知しなければならず(同条3項),東京入管主任審査官は,東京入国管理局長から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときには,速やかに当該容疑者に対してその旨を知らせるとともに,同法51条に規定する退去強制令書を発付しなければならない(同法49条6項)。
この点,原告は,本件退令発付処分については,原告が難民であるのに出身国であるスリランカに送還することは,難民条約33条1項等に違反し,違法である旨の主張をする。
しかしながら,原告が難民であると認められないことは前記で述べたとおりであり,その他これまでに述べた諸事情に照らすと,本件各退令発付処分の前提となる本件裁決は適法であり,本件退令発付処分に原告の指摘する各規定との関係で問題があるものとも認め難いから,本件退令発付処分は適法であって,無効であるということはできないというべきである。
5  よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 舘内比佐志 裁判官 大畠崇史 裁判官 國原徳太郎)

 

別紙
指定代理人目録〈省略〉


「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧
(1)平成30年10月31日 東京地裁 平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件
(2)平成30年 5月15日 東京地裁 平28(行ウ)332号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(3)平成30年 4月18日 東京高裁 平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(4)平成30年 3月30日 東京地裁 平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(5)平成30年 2月21日 東京地裁 平28(行ウ)6号 労働委員会救済命令取消請求事件
(6)平成29年12月20日 大阪地裁 平27(ワ)9169号 損害賠償請求事件
(7)平成29年11月 2日 仙台地裁 平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(8)平成29年10月11日 東京地裁 平28(ワ)38184号 損害賠償請求事件
(9)平成29年 9月28日 東京高裁 平28(う)2243号 業務上横領被告事件
(10)平成29年 9月28日 東京地裁 平26(行ウ)229号 難民不認定処分取消請求事件
(11)平成29年 9月 8日 東京地裁 平28(行ウ)117号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(12)平成29年 7月24日 東京地裁 平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(13)平成29年 6月29日 宇都宮地裁 平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(14)平成29年 5月18日 東京高裁 平28(う)1194号 公職選挙法違反被告事件
(15)平成29年 3月30日 広島高裁岡山支部 平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(16)平成29年 3月15日 東京地裁 平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(17)平成29年 1月31日 大阪高裁 平28(ネ)1109号 損害賠償等請求控訴事件
(18)平成29年 1月31日 仙台地裁 平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(19)平成28年10月12日 東京地裁 平25(刑わ)2945号 業務上横領被告事件
(20)平成28年 8月23日 東京地裁 平27(行ウ)384号 難民不認定処分取消等請求事件
(21)平成28年 7月28日 名古屋高裁 平28(行コ)19号 難民不認定処分等取消請求控訴事件
(22)平成28年 7月19日 東京高裁 平27(ネ)3610号 株主代表訴訟控訴事件
(23)平成28年 6月 3日 静岡地裁 平27(わ)241号 公職選挙法違反被告事件
(24)平成28年 3月25日 大阪高裁 平27(ネ)1608号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
(25)平成28年 3月15日 大阪地裁 平27(ワ)3109号 損害賠償等請求事件
(26)平成28年 2月17日 東京地裁 平26(行ウ)219号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(27)平成28年 1月28日 名古屋地裁 平23(行ウ)109号 難民不認定処分等取消請求事件
(28)平成27年12月16日 大阪高裁 平27(ネ)697号 損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件
(29)平成27年12月11日 東京地裁 平26(行ウ)245号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(30)平成27年 7月 3日 東京地裁 平26(行ウ)13号 難民不認定処分取消請求事件
(31)平成27年 6月26日 大阪高裁 平26(行コ)163号 建物使用不許可処分取消等・建物明渡・使用不許可処分取消等請求控訴事件
(32)平成27年 6月24日 宇都宮地裁 平22(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(33)平成27年 6月 1日 大阪地裁 平27(ヨ)290号 投稿動画削除等仮処分命令申立事件
(34)平成27年 3月30日 大阪地裁 平24(ワ)8227号 損害賠償請求事件(第一事件)、損害賠償請求事件(第二事件)
(35)平成27年 1月21日 大阪地裁 平24(ワ)4348号 損害賠償請求事件
(36)平成26年10月28日 東京地裁 平24(行ウ)496号 三鷹市議会議員および市長選挙公営費返還請求事件
(37)平成26年10月24日 和歌山地裁 平23(行ウ)7号 政務調査費違法支出金返還請求事件
(38)平成26年10月20日 東京地裁 平25(ワ)8482号 損害賠償請求事件
(39)平成26年 8月25日 東京地裁 平24(行ウ)405号 不当労働行為救済命令一部取消請求事件(第1事件)、不当労働行為救済命令一部取消請求事件(第2事件)
(40)平成26年 7月11日 札幌地裁 平22(行ウ)42号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成25年10月16日 東京地裁 平23(行ウ)292号 報酬返還請求事件
(42)平成25年 6月19日 横浜地裁 平20(行ウ)19号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(43)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件
(44)平成25年 1月18日 東京地裁 平23(行ウ)442号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(45)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)95号 選挙無効請求事件
(46)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)72号 選挙無効請求事件
(47)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)65号 選挙無効請求事件
(48)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)64号 選挙無効請求事件
(49)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)59号 選挙無効請求事件
(50)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)52号 選挙無効請求事件
(51)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)51号 選挙無効請求事件 〔参議院議員定数訴訟・大法廷判決〕
(52)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)179号 
(53)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)174号 参議院議員選挙無効請求事件
(54)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)171号 選挙無効請求事件
(55)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)155号 選挙無効請求事件
(56)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)154号 選挙無効請求事件
(57)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)153号 選挙無効請求事件
(58)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)135号 選挙無効請求事件
(59)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)133号 選挙無効請求事件
(60)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)132号 選挙無効請求事件
(61)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)131号 選挙無効請求事件
(62)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)130号 選挙無効請求事件
(63)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)113号 選挙無効請求事件
(64)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)112号 選挙無効請求事件
(65)平成24年 9月 6日 東京地裁 平24(ワ)2339号 損害賠償等請求事件、販売差止請求権不存在確認等請求事件
(66)平成24年 5月17日 東京地裁 平22(行ウ)456号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(67)平成24年 5月11日 名古屋高裁 平22(ネ)1281号 損害賠償請求控訴事件 〔議会代読拒否訴訟・控訴審〕
(68)平成24年 1月24日 東京地裁 平23(ワ)1471号 組合長選挙無効確認等請求事件 〔全日本海員組合事件〕
(69)平成23年12月21日 横浜地裁 平22(ワ)6435号 交通事故による損害賠償請求事件
(70)平成23年 9月 2日 東京地裁 平22(行ウ)36号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(71)平成23年 7月22日 東京地裁 平22(行ウ)555号 難民の認定をしない処分取消請求事件、追加的併合申立事件
(72)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)303号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(73)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)268号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(74)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)257号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(75)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)256号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(76)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)235号 選挙無効請求事件
(77)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)234号 選挙無効請求事件
(78)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)207号 選挙無効請求事件
(79)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)206号 選挙無効請求事件
(80)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)203号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(81)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)201号 選挙無効請求事件
(82)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)200号 選挙無効請求事件
(83)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)199号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(84)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)189号 選挙無効請求事件
(85)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)188号 選挙無効請求事件
(86)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)130号 選挙無効請求事件
(87)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)129号 選挙無効請求事件
(88)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(89)平成22年10月29日 東京地裁 平19(行ウ)472号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分取消請求事件
(90)平成22年 7月30日 東京地裁 平21(行ウ)281号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(91)平成22年 6月 1日 札幌高裁 平22(う)62号 公職選挙法違反被告事件
(92)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(93)平成22年 2月12日 札幌地裁 平21(わ)1258号 公職選挙法違反被告事件
(94)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件
(95)平成21年 3月27日 宮崎地裁 平18(わ)526号 競売入札妨害、事前収賄、第三者供賄被告事件
(96)平成21年 2月26日 名古屋高裁 平20(行コ)32号 損害賠償(住民訴訟)請求等控訴事件
(97)平成20年10月 8日 東京地裁 平13(ワ)12188号 各損害賠償請求事件
(98)平成20年 8月 8日 東京地裁 平18(刑わ)3785号 収賄、競売入札妨害被告事件〔福島県談合汚職事件〕
(99)平成20年 5月26日 長崎地裁 平19(わ)131号 殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、公職選挙法違反等被告事件
(100)平成20年 4月22日 東京地裁 平18(ワ)21980号 地位確認等請求事件 〔財団法人市川房江記念会事件〕


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選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


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