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「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(43)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件

「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(43)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件

裁判年月日  平成25年 2月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(ワ)47235号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  上訴等  控訴  文献番号  2013WLJPCA02288005

要旨
◆原告が、参議院議員通常選挙で党の比例代表選出議員候補者として立候補した被告に対し、業務委託契約(請負契約)に基づく業務委託料(報酬)の支払を求めたところ、被告が、同契約は被告個人でなく党の参議院比例区総支部又は党との間で締結されたなどとして争った事案において、原被告間では、広報物等の制作につき基本合意及び一部の個別合意が成立していたと認めた上で、本件総支部の総支部長である被告は、党務の執行に関し対外的に党に効力が及ぶような法律行為をする権限は有さず、また、本件総支部は権利能力なき社団には該当しないから、本件各合意の当事者となるのは被告であるとして請求を一部認容した事例
◆政党の支部が法人格なき社団の要件を満たすか否かは、各政党の組織規定、当該支部の運営規則、運営の実態に照らし個別的に判断すべきものであり、一般的に解釈問題として決定することは相当でないとされた事例

新判例体系
公法編 > 組織法 > 政治資金規正法〔昭和… > 第二章 政治団体の届… > 第一八条 > ○支部への準用 > (二)政党参議院比例区総支部の社団性
◆平成二二年七月施行の参議院議員選挙の民主党選出の比例区代表候補者であり、同党参議院比例区某総支部の代表者の政治活動ないし選挙広報物の企画制作に係る業務委託契約の一方当事者は、権利能力なき社団としての要件に欠ける同総支部ではなく、同代表者個人と認められる。

 

参照条文
政治資金規正法18条1項
民法632条

裁判年月日  平成25年 2月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(ワ)47235号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  上訴等  控訴  文献番号  2013WLJPCA02288005

東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 株式会社イーシンコミュニケーションズ
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 内野経一郎
同 内野令四郎
同 奧冨昌吾
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 大石忠生
同 齋藤晴太郎
同 田島正広
同 加藤君人
同 山根祥利

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,435万8550円及びうち24万6750円に対する平成22年7月1日から,うち411万1800円に対する同年8月1日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告に対し,486万2550円及びうち24万6750円に対する平成22年7月1日から,うち461万5800円に対する同年8月1日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は,被告の負担とする。
3  仮執行宣言
第2  事案の概要
本件は,広告宣伝の企画等を目的とする株式会社である原告が,平成22年7月11日執行の第22回参議院議員通常選挙に○○党の比例代表選出議員候補者として立候補した被告に対し,政治活動ないし選挙運動用の広報に係る業務委託契約(請負契約)に基づく業務委託料(報酬)及び商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
これに対し,被告は,上記業務委託契約は,被告個人ではなく,○○党の支部又は○○党との間で締結されたものであるなどと主張して,上記業務委託料の支払義務を争っている。
1  前提事実
(1)  当事者等
ア 原告は,広告宣伝の企画,制作,あっせん及び代理業務等を目的とする株式会社である。
イ 被告は,不動産の売買等を目的とする株式会社a(以下「a社」という。)を設立し,同社の代表取締役を務める者である。
被告は,平成22年3月15日(以下,平成22年については省略する。)に設立された○○党参議院比例区第b総支部(以下「第b総支部」という。)の代表者であったところ(甲49),6月24日公示,7月11日執行(投開票)の第22回参議院議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)において,○○党の比例代表選出議員候補者として立候補した。
ウ ○○党は,政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律4条1項に基づき法人格を有する政党である。
(2)  ○○党規約においては,要旨以下のとおり定められている(甲4)。
ア 第3条(党員)
1項―本党の党員は,本党の基本理念及び政策に賛同する18歳以上の個人(在外邦人及び在日の外国人を含む。)で,入党手続を経た者とする。
4項―党員は,いずれかの総支部に所属し,所定の党費(本部登録料を含む。)を納めなければならない。
イ 第5条(サポーター)
地域において,○○党あるいは○○党候補者を支援する18歳以上の個人(在外邦人及び在日外国人を含む。)で,定められた会費を拠出し,総支部に登録した者(党員を除く。)をサポーターとする。
ウ 第28条(総支部)
1項―党員の基本組織として,衆議院議員選挙の小選挙区を単位とする総支部を置く。
2項―衆議院の比例代表選出議員及び公認候補者,参議院の選挙区選出議員及び公認候補者,参議院の比例代表選出議員及び公認候補者の活動を支える党員組織として,総支部を設けることができる。
3項―総支部長は,原則として党所属国会議員又は国政選挙の公認内定候補者が務めることとし,その任期は当該国政選挙期日までとする。
4項―総支部長の任期及び交代に関する必要な事項は,組織規則の定めによるものとする。
5項―総支部は,本規約に準じて規約等を定め,適正な組織運営に努めなければならない。
エ 第29条(都道府県連)
1項―各都道府県に,県連(都道府県総支部連合会)を置く。
2項―県連は,当該都道府県下の総支部等で構成する。
オ 第31条(県連及び総支部等の設置及び廃止)
1項―県連及び総支部等の設置及び廃止並びに総支部長等の選任には,幹事長が認め,役員会の議を経て常任幹事会が承認することを要する。
2項―幹事長は,特に必要と判断する場合は,役員会の議を経て常任幹事会の承認に基づき,県連及び総支部等の支部廃止に必要な措置を講ずることができる。
3項―各級支部の設立,異動,解散に関する党内手続については,組織規則の定めによるものとする。
(3)  ○○党の組織規則においては,要旨以下のとおり定められている(甲10。ただし,本件選挙当時のものである。)。
ア 第4条(党費の納入)
党員は,総支部又は県連が定めた党費を納入する。党費は,機関紙の購読料を含めて年額6,000円を原則とし,当分の間県連等の決定により増額することができる。なお,党費のうち最低1,000円は,総支部の収入として計上しなければならない。
イ 第7条(登録)
1項―サポーターになろうとする者は,所定の申込書に必要事項を記入し,定められた会費を添えて,いずれかの総支部に登録の申込みをする。会費は,年額2,000円とする。なお,会費のうち1,000円は,総支部の収入として計上しなければならない。
2項―前項の場合において,所属すべき総支部がない場合には,県連に登録の申込みをするものとする。この場合,本規則の適用について,当該県連は一の総支部とみなす。
ウ 第10条(地域組織の設立等)
1項―○○党の地域組織として,県連,総支部,行政区支部を設立又は解散する場合には,事前に本部に通知し,党規約及び組織規則に定める手続を経なければならない。
2項―総支部,行政区支部の代表者を選任及び異動する場合,事前に本部に通知し,党規約及び組織規則に定める手続を経なければならない。
3項―常任幹事会が○○党規約第31条第2項に該当すると判断した場合には,その決定に基づいて,本部は当該支部等の解散の勧告,解散の決定,解散手続の代行等を行うことができる。
エ 第12条(総支部長)
1項―総支部の代表者(以下「総支部長」という。)は,原則として当該総支部を基盤として国政選挙に臨む党所属国会議員又は同公認候補予定者が務めることとし,その任期は当該国政選挙期日又は当該総支部長の国会議員としての任期満了日のうち後にくる日までとする。
2項―総支部長がその任期満了にあたる当該国政選挙において議席を得た場合には,その任期は次期国政選挙期日まで延長される。
3項―国政選挙の結果,議席を得ることができなかった衆議院小選挙区総支部長は,速やかに別に定める暫定総支部長への異動,又は総支部の解散を行わなければならない。
4項―国政選挙の結果,議席を得ることができなかった衆議院比例代表総支部長,参議院選挙区総支部長及び参議院比例区総支部長は,速やかに総支部を解散しなければならない。
5項―総支部長は,総支部長の異動又は総支部の解散を行う場合,当該総支部所属の党員・サポーターの帰属,総支部会計及び届出等について,必要な措置を講じなければならない。
(4)  第b総支部規約においては,要旨以下のとおり定められている(甲6)。
ア 第3条(目的)
第b総支部は,○○党の基本理念とそれに基づく基本政策の実現を図ることを目的とする。
イ 第4条(事業活動)
第b総支部は,第3条の目的を達成するため,講演会・座談会等の開催,機関誌等の発刊及び配布,その他必要な事業を行う。
ウ 第6条(大会)
1項―第b総支部の最高議決機関を大会とする。
2項―大会は,第b総支部に所属する党員等をもって構成する。
3項―大会は,年間の活動計画・活動報告及び予算・決算の承認,規約の制定・改廃,役員の選出,その他重要事項を審議・決定する。
4項―大会は年1回,幹事会の議を経て総支部長が招集する。また,必要に応じて臨時大会を招集することができる。
5項―大会は,構成員の2分の1以上の出席(委任状)により成立し,その議事は行使された議決権の過半数をもって決定する。
6項―大会の議案及び運営等に関し必要な事項は,幹事会において決定する。
エ 第7条(総支部長)
1項―第b総支部に,総支部長を置く。
2項―総支部長は,第b総支部を代表する最高責任者とする。
3項―総支部長の選任その他については,○○党規約及び○○党組織規則の定めるところによる。
オ 第9条(幹事長及び幹事)
1項―総支部に,幹事長1名及び幹事若干名を置く。
2項―幹事長は総支部長を補佐するとともに,幹事会を主宰し,総支部の運営及び活動を統括する。
3項―幹事長及び幹事は大会で選出し,任期は1年とする。ただし,再任は妨げない。
カ 第10条(幹事会)
1項―第b総支部の執行機関として,幹事会を置く。
2項―幹事会は,総支部長,副総支部長(注記,副総支部長を置くか否かは任意である。),幹事会,幹事をもって構成する。
3項―幹事会は大会の議決に基づき,第b総支部の運営及び活動に当たるとともに,党務の執行に関する事項を決定する。
キ 第11条(経費)
第b総支部の経費は,党費,サポーター会費,党本部交付金及び寄付金等をもって充てる。
ク 第12条(予算)
第b総支部の会計年度は毎年1月1日から12月31日までとし,予算は会計年度ごとに幹事会の議を経て大会の承認を得なければならない。
ケ 第13条(決算)
第b総支部の決算は,会計年度ごとに会計監査の監査を受けた上で幹事会に提出し,その議を経て大会の承認を得なければならない。
コ 第14条(会計監査)
1項―第b総支部に会計監査若干名を置く。
2項―会計監査は,第b総支部の経理を監査する。
サ 役員一覧
総支部長 被告
幹事長 B(以下「B」という。)
幹事 C(以下「C」という。),D
会計監査 E
2  争点及びこれに関する当事者双方の主張
(1)  争点
被告が業務委託料の支払義務を負うか否か
(2)  当事者の主張
(原告の主張)
ア 基本合意の成立
原告の担当者であるF(以下「F」という。)は,4月17日,原告代表者と共に被告の選挙事務所を訪問し,被告と面談し,政治活動ないし選挙運動用の広報物(選挙等広報物)のプレゼンテーション用の資料を提示して,本件選挙に係る被告の広報戦略を説明したところ,その頃,原告と被告との間で,下記の要素を内容とする基本合意(以下「本件基本合意」という。)が成立した。なお,この際,原告と被告の間では,選挙等広報物の具体的内容,納期,納品方法及び代金支払時期等の取引条件は,選挙等広報物の受注及び制作を進めていく中で,個別的又は包括的に取り決めることが黙示的に了解された。

(ア) 原告提案のコンセプトに従い,原告が,被告の選挙等広報物の企画及び制作を行い,それを通して,被告の政治信条ないし政策を有効にアピールし,もって被告の後援者ないし支持者を募ること
(イ) 原告による個別の選挙等広報物の企画及び制作に対し,被告が相当額の報酬を支払うこと
イ 個別合意の成立及び履行
原告は,別紙2記載のとおり,本件基本合意に基づき,発注担当者(被告又は被告から発注権限を授与されたC,G(以下「G」という。),H(以下「H」という。),I(以下「I」という。)若しくはBを指す。以下同じ。)との間で,選挙等広報物の制作等に係る個別合意(以下「本件個別合意」という。)を締結し,これに基づき選挙等広報物を納品した(以下,本件個別合意に係る目的物を「本件広報物」といい,本件個別合意に係る報酬を「本件業務委託料」という。)。
本件のような選挙等広報物の継続的な制作依頼については,選挙という限られた時間内で一人でも多くの後援会員や有権者に広報物を配布するため,印刷業者との緊密な信頼関係を有する広告会社を確保することが重要となる。そのため,依頼者と広告会社の間では明示的には代金額の合意が行われないことが多く,初回の納品後の広告会社からの概算額の請求に対して依頼者の支払が行われた場合,相互の信頼関係に基づき,その後の取引においてもその概算額を報酬基準として個別の契約が成立する。本件においても,原告が本件広報物よりも前に納品した広報物に係る請求について,被告は異議を述べずに支払い,その後本件業務委託料の請求についても異議を述べずに支払を承諾していたことから,上記の報酬基準に基づく相当額をもって本件業務委託料の金額が決定されたといえる。
そして,原告と被告の間では,本件業務委託料について,月末締め・翌月払とする旨合意しており,これに基づき,原告は,別紙2記載番号1及び4については5月中に納品したために同月31日締めで,同記載2,3,5ないし19については6月中に納品したために同月30日締めで,被告に対して請求書を送付している。
この点,被告は,選挙参謀であるF及びIが利益相反的に適切な内容・数量をはるかに超えた発注をした旨主張するが,F及びIは被告の選挙参謀ではなく,選挙等広報物の発注等については被告自らが決定するか,a社の社員に委ねていた。
ウ 本件の契約当事者及び発注権限
本件広報物は,被告個人の名刺,たすき及びのぼり,被告への投票を呼びかけるポスター,通常葉書(返信用の封筒を含む。)及びビラ,被告個人を推薦する内容の推薦状並びに被告の選挙事務所の看板であり,被告個人の政治活動・選挙運動のために発注及び使用されたものである。このように被告は本件広報物を使用して経済的・政治的利益を享受していること,政治・選挙実務においても,候補者個人が選挙等広報物の費用を負担していること,原告は被告個人が契約当事者であると認識していたこと,第b総支部に属しないH及びGが本件広報物を発注していることから,被告個人が本件個別合意の締結主体というべきである。
そして,被告は,被告以外の発注担当者に代理権を授与していた。
なお,本件個別合意については,契約の当事者ではない第b総支部幹事会の承認は不要であり,また,出納責任者の承認(公職選挙法187条)についても,別紙2記載番号1ないし18については「立候補準備のために要する支出」(同条本文)に該当するため承認が不要であり,同19については「出納責任者の文書による承諾」(同条ただし書)が得られていた。
エ 第b総支部及び○○党との関係
被告は,被告個人の立場とは別に,第b総支部の代表者としての地位を併有して本件基本合意及び本件個別合意を締結しているが,以下のとおり,上記各合意に基づく本件業務委託料についても被告は支払義務を免れることができない。
すなわち,第b総支部は,○○党という法人格を有する政党の一分枝(単位組織)であり,○○党とは別個に権利能力を有しない。そして,権利能力のない社団といい得るためには,団体としての組織を備え,多数決の原則が行なわれ,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならないところ(最高裁昭和39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁),第b総支部は被告が支配しており,団体としての組織を備えておらず,多数決の原則も行われていないこと,代表者(総支部長)である被告が本件選挙において議席を得ることができなかった場合には速やかに解散するものと定められており,構成員の変更にもかかわらず団体が存続するとはいえないことから,権利能力なき社団には該当しないため,第b総支部ないしその構成員には本件業務委託料支払債務は帰属しない。
○○党は,政党の支部として第b総支部を設立し,その代表者として被告を就任させた以上,第b総支部の政治活動の範囲内で,当該政治活動に伴う財産上の取引について,○○党に代理して取引行為を行う権限を包括的に付与していたといえるから,被告が第b総支部の代表者としての地位に基づき締結した本件個別合意に基づく本件業務委託料支払債務は,本来的には○○党に帰属するというべきである。
しかし,第b総支部は上記のとおり被告が支配しており,その存在は形骸化していて実質は被告個人であることから,信義則上,第b総支部の組織性は否認されるべきであって,原告は,○○党及び被告個人のいずれに対しても業務委託料の支払を求めることができる(最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号511頁,最高裁昭和48年10月26日第二小法廷判決・民集27巻9号1240頁参照)。
なお,原告は○○党との間で,別紙1記載の△△誌(○○党の機関誌であり,請求減縮後の別紙2には含まれていない。)の支払に関して和解契約を締結したが,同和解契約においては,○○党による上記支払を除いては,原告の被告に対する本件業務委託料支払請求権には何ら影響を及ぼさないことが確認されており,被告には同和解契約の効力は及ばない。
(被告の主張)
否認ないし争う。
ア 基本合意の成立
原告(F及び原告代表者)と被告が最初に面談した4月17日には,具体的な契約条件に関する取り決めは何もされておらず,契約書も作成されていないのであって,本件基本合意は締結されていない。
イ 個別合意の成立及び履行
本件個別合意を裏付ける,原告と被告の間又は原告と第b総支部の間で交わされた見積書,発注書又は納品当時に作成された納品書は存在しない(受注表は原告の受注担当者とされるFが作成したものにすぎず,納品書も納品から半年後に作成されたものであり,被告側の受領印等もない。)。また,本件広報物についても,発注から納品までに約2か月も経過しているものや,選挙運動が可能となる公示日より前に納品されている必要があるにもかかわらず公示日後に納品されている通常葉書及び返信用封筒があるなど,およそ不合理な内容の発注が行われたことになっており,これらは本件個別合意が締結されていないことを示すものである。
ウ 本件の契約当事者及び発注権限
本件広報物に関しては,第b総支部が発注及び支払を行っていること,原告作成の請求書の宛先が第b総支部であること,被告の選挙運動費用収支報告書(公職選挙法189条)に記載がなく,公営負担の届出書(同法142条10項,同法施行令109条の7等)も提出されていないこと,政党公認の候補者が政党の支部長を兼ねる際,選挙を意識した政治活動及び選挙運動に係る支出については支部の支出とするのが通常であることからして,第b総支部が契約の当事者であり,被告個人は契約の当事者ではない。
本件広報物は,本件選挙における被告の選挙参謀として関与したF及びIが,選挙に不慣れな被告を含む第b総支部関係者の信頼を利用し,巨額の利益を得ようとしたことで,第b総支部による発注として,利益相反的に適切な内容・数量をはるかに超えた発注がされたのである。
また,被告又は第b総支部の幹事長であるBが,C,H及びGに対し,本件個別合意に係る発注の代理ないし代行権限を授与したことはない。Iに対しても,第b総支部の関係としてはともかく,被告個人の取引について代理権を授与したことはない。
さらに,本件広報物の発注については,第b総支部の幹事会及び被告の出納責任者であるJの承認がされていないから,本件個別合意は無効である。
エ 第b総支部及び○○党との関係
政党の支部は,政党とは別個に法人格を有することはなく,特別の規定(政治資金規正法18条1項)がある場合を除き,政党の一部として扱われる。そのため,会社の支店に係る法律行為が会社に帰属するのと同様に,第b総支部を契約主体として締結された本件基本合意及び本件個別合意の効果は○○党に帰属することになり,被告個人には帰属しない。
また,第b総支部の締結した契約の効果が当然に○○党には及ばないとしても,第b総支部は,団体としての組織を備え,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず存続し,その組織において代表の方法,総会の運営,財産の管理等団体としての主要な点が確立している権利能力なき社団であり,その債務は構成員全員に総有的に帰属し,構成員各自は直接的には個人的債務ないし責任を負わない(前掲最高裁昭和39年10月15日第一小法廷判決,最高裁昭和48年10月9日第三小法廷判決・民集27巻9号1129頁)。そして,政党の支部が解散した場合にはその債権債務は全て政党に帰属すべきであるところ,第b総支部は既に解散しており,その債権債務は○○党に帰属していることになるから,この点からも本件業務委託料支払債務は○○党に帰属しているといえる。
そして,原告は○○党との間で和解契約を締結しているから,もはや本件業務委託料に関しては何らの債権債務も存在しない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
後掲の書証(争いがある書証の成立については,後で述べる。),人証(ただし,以下の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  被告の政治活動及び本件選挙における選挙運動の態勢
ア 被告が本件選挙に○○党の比例代表選出議員候補者として立候補するため,2月25日,被告の政治活動を後援することを目的とする政治団体「Y後援会」が設立され,同会は被告の資金管理団体に指定され,被告が代表者に選任された。同会の主たる事務所はa社の本店所在地(東京都港区北青山)と同一のビル(以下「a社本社」という。)と定められた。同会の設立から12月31日までの収支報告書には,支出においては,3月30日にポスター・パンフレットの作成費(219万1350円),4月9日に名刺作成費(59万1360円)等の政治活動に係る経費計606万2178円が計上され,収入においては,被告からの借入金1500万円のみが計上されている。
Y後援会の事務所は,東京事務所(東京都中央区八重洲。以下「八重洲事務所」という。),大阪事務所(大阪市北区),神戸事務所(神戸市中央区),札幌事務所(札幌市中央区)及び長野事務所(長野県上田市)の5か所が設けられ,いずれも本件選挙において被告の選挙運動の拠点として用いられ,上記各事務所のうち八重洲事務所が選挙事務所と定められた。
また,3月15日に設立された第b総支部の主たる事務所の所在地もa社本社と定められ,被告自身は,a社本社を活動拠点としており,全国に遊説をすることもあったため,八重洲事務所に来ることは稀であった。
イ 本件の関係者(肩書きはいずれも本件選挙当時のもの)
Fは,衆議院議員の秘書を務めたことがあり,現在は原告において政治・選挙関係のプロデューサー及び営業職を務めている。
Iは,現在は会社を経営しているが,過去に衆議院議員の秘書を務めた経験を活かして選挙の支援活動を行うことがある。
Cは,被告の長男であり,a社の取締役(課長),第b総支部の幹事及び会計責任者の職務代行者であるとともに,選挙対策本部である八重洲事務所の本部長代理として,同事務所の事務を統括していた。
Hは,被告の長女であり,a社の秘書室に所属していた。
Gは,a社の従業員(広報課長)であった。
Bは,a社の取締役であり,第b総支部の幹事長,Y後援会及び第b総支部の収支報告書に係る事務担当者,大阪事務所の責任者を務めていた。
J(以下「J」という。)は,a社の取締役(秘書)であり,Y後援会及び第b総支部の会計責任者,被告個人の選挙運動費用の出納責任者であった。
その他にも,a社の取締役であるKが札幌事務所の責任者に,被告の弟で同じくa社の取締役であるLが第b総支部の会計監査(第b総支部の収支報告書提出時)及び上田事務所の責任者に,a社の営業担当次長であるDが第b総支部幹事に選任され,a社の複数の従業員が被告への支援ないし投票を求める電話をかける活動を行うなど,a社の関係者及び被告の親族が被告の政治活動及び本件選挙における選挙運動に深く関与していた。
(甲20の2,甲49,55,56の1・2,甲57,60,61,乙1,3,9の1,被告本人)
(2)  Fとの初面談及び名刺の発注(4月17日)
被告には本件選挙以前に選挙の経験がなく,同じく選挙の経験のないa社の従業員及び被告の親族が中心となって被告の政治活動及び選挙運動を行うこととなったため,選挙の広報に詳しい業者を選定することとなった。そこで原告がその業者の候補として選ばれたため,Fは,4月17日午後3時頃,原告代表者と共に八重洲事務所を訪問し,B,G等との間で広報物に関する話をした後,同日午後7時頃に八重洲事務所に到着した被告に対し,プレゼンテーション用の資料を提示し,原告の考える広報戦略を説明した。
被告は,上記説明を了承し,その頃,F及び原告代表者に対し,別紙2記載番号1の名刺(上記(1)アの被告が以前に作成した政治活動用の名刺とは異なるもの)のデザイン作成を発注した。
これを受け,Fは,被告との間で名刺の文面等を協議した上でこれを完成させ,5月20日頃,印刷会社にその電子データを送信する方法で,被告に納品した。
(甲14の1ないし3,甲55,証人F)
(3)  選挙用ポスター及び選挙用ビラのデザインの発注(5月1日頃)
被告は,5月1日頃,Fに対し,別紙2記載番号2,3の選挙用ポスター及び選挙用ビラのデザインの製作を依頼した。そこで,Fは,選挙用ポスター及び選挙用ビラのデザイン案を複数作成し,被告による校正を経た上で,完成した選挙用ポスター及び選挙用ビラのデザインを6月18日までにアイ・コーポレーション株式会社のファイルサーバーにアップロードして納品した。
その後,同社が選挙用ポスター7万枚及び選挙用ビラ25万枚(公職選挙法142条1項1号の2所定の頒布限度の数量)を印刷し,これらの選挙用ポスター及び選挙用ビラは本件選挙における被告の選挙運動に用いられた。
(甲31の1ないし4,甲32の1ないし5,甲58,62の1・2,証人F)
(4)  通常葉書及び返信用封筒の発注及び支払(5月初旬頃)
本件選挙において被告への投票を求める通常葉書を送付するため,○○党所属の国会議員の事務所等に通常葉書及び返信用封筒を送付し,通常葉書の宛名欄に支援者の氏名等を記載したものを返信させ,それを被告側で頒布することとなった(公職選挙法142条5項参照)。そこで,被告は,5月初旬頃,原告に対し,通常葉書の企画制作(18万円)並びに通常葉書3万枚(29万4000円)及び返信用封筒5000通(7万5000円)の印刷を発注した。原告は,これを作成した上で納品し,同月27日に請求書(税込み計57万6450円)をa社本社に送付した。この請求書の宛名欄には,当初はワープロで「Y事務所」様と記載されていたが,宛名を第b総支部とすることを求めるGの指示に従い,原告は余白に手書きで「(株)a気付 ○○党参議院比例区第b総支部 Y様」と記載した。
そこで,原告は,その後に被告から別の商品(被告を支援する○○党のM衆議院議員(以下「M議員」という。)のレポート等)の発注を受けて納品した際には,請求書の宛名欄に「○○党参議院比例区第b総支部」様と記載した。
原告とGは,原告の作成及び納品した広報物の代金については,毎月末日締め・翌月末日払と合意していたため,原告の預金口座には,6月30日,第b総支部名義の口座から,上記各請求書に係る業務委託料計91万2450円が振り込まれた。
(甲9の1ないし3,甲21の2,甲23の2,甲28の3,甲33の2,甲39の3,甲41の2,甲55,証人F)
(5)  推薦状の発注及び納品(5月20日頃)
Cは,5月20日頃,Fに対し,別紙2記載番号4の推薦状について,C自ら記載内容を指示するなどして作成を依頼した。
そこで,Fは,これを作成し,同月31日頃,Cに手渡して納品した。
(甲19の1・2,証人F)
(6)  Iの八重洲事務所の事務局長への就任(5月23日)
八重洲事務所の事務局長であった者が辞任したことなどから,M議員は,5月中旬頃,Fに対し,被告の選挙運動を支援してほしいと依頼した。Fは,一旦その依頼を断ったが,M議員及び被告から再度依頼を受けたため,被告にIを紹介した。Iは,被告と面談した上で,同月23日,八重洲事務所の事務局長に就任した。
被告は,Iに対し,事務局長の報酬として6月3日に50万円を交付し,被告の政治活動ないし選挙運動の費用として同18日に300万円,同月24日に1000万円を交付した。
なお,八重洲事務所は,1階に受付が設けられ,中2階にIが事務局長として常駐し,5階でCの指示のもとに30人ほどのスタッフが働いており,Iが上記スタッフに指示する際にはCの承認を得ていた。
(甲55,57,乙1,証人F,証人I)
(7)  八重洲事務所でのやり取り(5月29日)
M議員,F及びIが,5月29日に八重洲事務所において全国のY後援会事務所の責任者との会合を予定していたが,被告が同日,同所において被告の親族及びa社の従業員との会合を予定していたため,被告がそのことについて不満を述べたところ,F及びIは,被告の態度に反感を覚え,その後は,被告の選挙活動に必要以上に深く関与しないようにしようと話し合った。
(甲55,57,乙1,証人F,証人I)
(8)  返信用封筒の発注及び納品(5月31日頃)
Gは,5月31日頃,Fに対し,別紙2記載番号5の返信用封筒を1万1000部印刷することを依頼した。
Fは,この印刷を工場に発注し,6月4日,同工場からY後援会の事務所にこの封筒を送付して納品した(大阪事務所に3000部送付し,その他の各事務所に2000部ずつ送付した。)。
(甲21の1・2,証人F)
(9)  警察からの警告(6月9日)
警視庁神田警察署の警察官は,6月9日,八重洲事務所を訪問し,被告の政治活動に関する広報物(本件広報物とは別のもの)が大量に発送されていることから,事前運動の禁止(公職選挙法239条1項1号,129条)に違反するおそれがあると警告した。これを受け,Iは,被告と協議の上で,N弁護士と共に神田警察署を訪問し,再発防止を誓った。
しかし,その後も八重洲事務所のスタッフ等によって複数の文書が大量に頒布されたことから,原告は,自らが事前運動の禁止に係る責任を問われることを避けるため,同月17日,H及びGに対し,本件広報物の配布が大量になされた場合等は政治活動の枠を超えた投票依頼行為と認定されるおそれがあるので慎重に活動をすることを求める建白書及び従前制作した本件広報物のデータを交付した。
(甲53,55,57,証人F,証人I)
(10)  その他の本件広報物の発注及び請求(6月10日以降)
Hは,6月10日,Fに対し,別紙2記載番号7,8の通常葉書及び返信用封筒の増刷を発注した。原告は,同月13日及び14日,これをHの指定する全国の後援会事務所に送付して納品した。
Gは,6月16日,Fに対し,別紙2記載番号9の選挙事務所看板デザインの作成を発注した。原告は,同月23日頃,これをGの指定する有限会社豊島工芸に電子データで送信して納品し,同社は,このデータを利用して被告の選挙事務所用の看板を作成して納品した。
Iは,6月16日,Fに対し,G等の了解を得た上で,別紙2記載番号10のたすきの製作を発注した。Fは,同月23日,Iに対し,手渡しでたすきを納品した。被告は,決起大会や街頭演説などにおいて,このたすきを使用した。
Cは,6月18日,Fに対し,別紙2記載番号11の通常葉書を発注した。原告は,同月22日,これをY後援会の指定する○○党所属議員の事務所に送付して納品した。
Hは,同月19日,Fに対し,別紙2記載番号12,13の通常葉書を発注した。原告は,同月22日及び同月23日,これをHの指定するa社本社及び大阪事務所に送付して納品した。
Iは,同月19日頃,Fに対し,別紙2記載番号14の個人演説会ののぼりを発注した。原告は,同月23日頃,これを八重洲事務所に送付して納品した。
Bは,同月21日,Fに対し,別紙2記載番号15の返信用封筒を発注した。原告は,同月24日頃,これを大阪事務所に送付して納品した。
Iは,同月23日頃,Fに対し,Cの了承を得た上で別紙2記載番号16,17の通常葉書及び返信用封筒の増刷を発注した。原告は,これを○○党所属議員の事務所や八重洲事務所等に送付して納品した。
Gは,Fに対し,同月23日に別紙2記載番号18の返信用封筒を,同月24日に別紙2記載番号19の通常葉書を発注した。原告は,同月27日に同返信用封筒を,同月28日に同通常葉書を,a社本社及び大阪事務所に送付して納品した。
そして,原告は,前記(4)のGの指示に従い,本件広報物のうち別紙2記載番号1及び4については5月31日締めで,同記載2,3,5ないし19については6月30日締めで,「(株)a気付 ○○党参議院比例区第b総支部 Y様」と宛名欄に印字した請求書をa社本社に送付した。
(甲1,2,28の1ないし3,甲33の1ないし3,甲34の1ないし4,甲35の1ないし3,甲36の1・2,甲37の1ないし4,甲38の1ないし3,甲39の1ないし3,甲40の1・2,甲41の1・2,甲42の1・2,甲43の1・2,甲55,57,乙8の2,証人F,証人I)
(11)  選挙後の経緯
ア 本件選挙の投開票は7月11日に行われたが,被告は落選した。
そして,被告は,a社の従業員と共謀の上で,東京都港区南青山のa社関連会社の事務所において,a社の従業員に対し,本件選挙の選挙運動期間(6月24日から7月10日まで)中の選挙運動の報酬として給与相当額の金銭の供与を約束したという被疑事件(公職選挙法221条3項1号,1項1号違反)に関し,同月28日に逮捕され,8月18日に起訴されるとともに保釈された(上記事件については,現在も審理が継続している。)。
原告は,この前後にわたり,J等に対して本件業務委託料の支払を求めていたところ,被告は,9月頃,原告に対し,被告が上記のとおり本件選挙で落選し,逮捕及び起訴された理由について報告書を提出することを求めた。そこで,原告及びIは報告書を作成して被告に交付したが,被告にはその内容が満足行くものではなかったため,原告に本件業務委託料は支払われなかった。
イ 第b総支部は,被告の落選により12月31日に解散した。第b総支部の平成22年中の収支報告書には,前記アの公職選挙法違反事件に関係して書類が押収されているため,○○党本部からの政党交付金1000万円を除いて収入及び支出の総額は不明であると記載されており,会計帳簿,領収書等は添付されていない。
ウ Iは,被告から,事務局長の報酬として計100万円の支払が約束されていたが,前記(6)のとおり50万円しか報酬を受領していなかったため,被告から選挙運動費用として交付されていた1300万円のうち約1150万円を選挙運動費用の支払に充て,うち50万円を自らの報酬に充て,残り約100万円をJに返還した。
(甲51,54,甲56の1・2,甲57,乙3,証人I,被告本人)
(補足説明)
原告は,9月頃(上記ア),J,B及び被告が,本件業務委託料を支払うことを約束したと主張する。しかし,被告においては,M議員からFを紹介され,Fから紹介されたIに八重洲事務所の事務局長に就任してもらったにもかかわらず,上記のとおり自らが本件選挙で落選してその後に逮捕及び起訴されたことから,Fに対してその原因を明らかにするよう求めていたのであり(被告本人),そのような状況において被告及びa社の従業員であるJ,Bが本件業務委託料を支払うことを約束したものとは認められない。
(12)  ○○党との和解
原告は,本件訴訟において,被告及び○○党に対し,連帯して別紙1記載の業務委託費用計1100万9250円を支払うよう求めていた。
原告は,○○党との間で,本件訴訟手続外で要旨以下の内容での和解契約を締結したため,平成23年8月31日付けで○○党に対する訴えを取り下げるとともに,同年9月5日付けで被告に対する請求を別紙2記載のとおりに減縮した。
ア ○○党は,原告に対し,本件訴訟に係る業務委託料として,別紙1記載の△△誌(○○党の機関誌)に係る個別合意につき,614万0400円の支払義務があることを認める。
イ 原告と○○党は,この和解は,上記614万0400円の支払を除き,本件訴訟に係る原告の被告に対する業務委託料支払請求権には何らの影響を及ぼさないことを確認する。
ウ 原告と○○党は,原告及び○○党間には,本条項に定めるほか,本件訴訟について何らの債権債務がないことを確認する。
2  基本合意について
前記認定事実のとおり,原告(F及び原告代表者)は,4月17日に被告と面談した際に名刺のデザイン作成を依頼され,これに基づき名刺のデザインを制作して被告と協議を重ねてこれを完成させて,その後も被告等の依頼を受けて多数の広報物等を制作しているところ,原告が納品した通常葉書等については原告作成の請求書に従って代金が支払われているのであるから,原告と被告の間では,遅くとも本件広報物の制作が本格的に始まった5月1日までには,原告が被告から注文を受けた広報物を制作し,被告がこれに対する相当な報酬を支払う旨の黙示の合意が成立していたものと認められる(なお,仮に上記合意の成立が認められないとしても,広告宣伝の企画,制作等を目的とする株式会社である原告は,被告に対し,本件広報物の制作等について相当な報酬を請求することができるのであり(商法512条),本件基本合意の有無が結論を左右するものではないと解される。)。
3  個別合意について
(1)  前記認定事実のとおり,原告は,発注担当者から発注を受け,本件広報物を制作するなどした上で,発注担当者の指定する方法で納品している。
そして,本件業務委託料の金額についてみると,別紙2記載番号1,2の名刺及びポスターについては,Y後援会名義で原告とは異なる業者に依頼した名刺作成費(59万1360円)やポスター・パンフレットの作成費(219万1350円)と比較して高額ではなく,通常葉書及び返信用封筒については,被告側から異議なく支払われた金額の単価(通常葉書は1枚当たり9.8円,返信用封筒は1通当たり15円である。前記1の(4))や,公営負担の対象となる金額(公職選挙法142条1項1号の2,同法施行令109条の7第2項によると,通常葉書の単価は最大で6.718円である。)と比較しても高額ではなく,その他のものについても被告側から価格に関して特段異議は述べられていないことから,相当な金額であると認められる。
以上からすると,別紙2記載の発注担当者及び受注担当者の間で,同記載の内容での本件個別合意が行われたものと認められる。
ただし,別紙2記載番号6の通常葉書については,原告側の受注担当者及び被告側の発注担当者のいずれも明らかでなく,納品書も証拠として提出されていないために実際に納品されたか否かも明らかでないことから,個別合意が行われたものとは認められない。
(2)  この点,以下の事情からすれば,成立に争いがあるH又はGを作成者とするメールの写し(甲15の3・4,甲20の2,甲23の2,甲29の3・4,甲37の4,甲59の1ないし6)については,成立の真正が認められるというべきである。
まず,上記各メールの写しは,その表示内容からして,Fから原告代表者等に転送されたものとうかがわれるところ,上記各メールの内容を見ると,Hを作成者とするメールにおいて発注された看板は,原告とは別の業者(有限会社豊島工芸)により実際に納入されていること(甲37の4,乙8の2),Gを作成者とするメールに添付されている写真には,被告が国会議員の不動産議員連盟に参加した際の写真が添付されていること(甲29の2・3),被告自身,上記各メールの一部についてHが送信した事実を認めていること(被告本人14頁)からして,上記各メールの作成にHやGが関与したことが認められる(なお,Hが本件広報物とは別の商品(△△誌)を発注した際にも,a社の社長秘書室が使用する書式のファクシミリの送信書が使用されている(甲30の2)。)。
また,被告は,上記各メールの写しの一部には不可解な編集の跡があると指摘するが,これは,上記各メールの一部の各行に「0001」,「0002」などと行数が記載されているだけであり(甲20の2,甲37の4),これはメールを転送する過程で付されたものとも考えられるため,上記各メールが偽造されたことを直ちに疑わせる事実とまではいえない。
さらに,H及びGの陳述書等は提出されておらず(Hは被告の長女であり,Gはa社の広報課長であるから,被告から協力を求めることは容易である。),その他に上記各メールが偽造されたことをうかがわせる証拠はない。
(3)  これに対し,被告は,発注担当者は本件個別合意を締結していない旨主張し,これに沿う供述をするが,以下の事情からすると,被告の供述は採用できず,その他に上記認定を覆すに足りる証拠はない。
ア 別紙2記載番号1の名刺については,被告が受注日とされる4月17日にF及び原告代表者と面談したことは当事者間に争いがないところ,被告は実際にこの名刺を使用し(被告本人22頁),Hがこの名刺を5月31日に2000枚,6月3日に10万枚,同月8日に4万枚,同月10日に7万枚も追加発注して(甲23の2,甲59の2ないし4),この名刺を印刷した会社に対して被告の指示に基づき印刷代金が支払われている(被告本人27頁)。
イ 別紙2記載番号2のポスター,同3のビラ,同9の選挙事務所看板,同10のたすき及び同14の個人演説会用のぼりについては,上記認定事実のとおり,本件選挙において実際に用いられている。
ウ 別紙2記載番号4の推薦状については,全日本不動産政治連盟が作成した被告の推薦状を基にして作成されているところ(甲19の2,甲25の2),この基になった推薦状を入手するためには被告側の協力が必要である。
エ 別紙2記載番号5,7,8,11ないし13,15ないし19の通常葉書及び返信用封筒については,発注担当者から全国のY後援会の事務所や○○党所属議員の事務所が納品先として指示されている(甲23の2,甲28の3,甲33の2,甲41の2,証人F)。
オ 本件では,契約書,見積書及び発注書が作成されていないが,前記認定事実(1(4))のとおり,原告が本件広報物の前に納品した商品に関する請求書記載の金額について,特段の異議が述べられることもなく第b総支部名義での支払が行われ,その後も被告側から多くの発注がされていることからすると,被告等の発注担当者においても上記契約書等の作成が必要な取引ではないと認識していたものと認められる。
カ 本件広報物の発注時期及び納品時期についてみると,別紙2記載番号1ないし3の名刺,選挙用ポスター及び選挙用ビラについては,発注から納品までに1か月間も要していることになるが,これは被告とデザインを協議するために必要な期間であったと考えられる。また,同16ないし19の通常葉書等は本件選挙の公示後に納品されており,本件選挙の投票を依頼するという趣旨からして納品時期が遅いようにも思われるが,これは発注担当者による発注が公示の直前に行われたことによるものである。そのため,これらの事情は,被告が主張するように不合理なものとはいえない。
キ 被告の選挙運動費用収支報告書には本件業務委託料について記載されていないが(乙8の1・2),上記報告書については,Iが作成したものであるところ(証人I),Iは本件広報物の発注にほとんど関与していないこと,Iの勤務していた八重洲事務所に納品された本件広報物の数は多くないこと,本件広報物については契約書等も存しないことから,上記報告書に本件業務委託料が記載されていないとしても不自然とはいえない。
また,本件広報物のうち通常葉書等について公営負担の届出がされていないが(乙7),公職選挙法においては,本件広報物のうち通常葉書,ビラ,ポスター並びに演説会の立札及び看板などを一定の範囲内の金額については公営負担としているところ,公営負担を受けるためには,参議院比例代表選出議員の選挙にあっては当該公職の候補者たる参議院名簿登載者の当選人となるべき順位が,その者に係る参議院名簿届出政党等の当選人の数に2を乗じて得た数までにあることが必要である(同法142条10項後段,143条14項後段,164条の2第6項後段,141条7項ただし書,94条3項1号)。しかし,被告はこの要件を満たさないのであり(本件選挙において,○○党の比例代表選出議員の当選者は16名であり,被告の得票数は○○党の比例代表選出議員候補者45名中42番目である(公知の事実)。),現に公営負担の対象となるポスター及びビラを作成した株式会社アイ・コーポレーションも公営負担の届出をしていないのであって(甲62の1・2(同社の作成部分に限る。),乙7),本件において公営負担の届出がされていないとしても不自然とまではいえない。
(4)  なお,本件選挙における被告の選挙運動においては,通常葉書は15万枚しか頒布することができないところ(公職選挙法142条1項1号の2),本件広報物及び代金支払済みの通常葉書は計67万枚(上記のとおり個別合意の成立が認められない別紙2記載番号6を除く。)に上るためにその多くは発送できないから,過剰な量の発注が行われたものと見る余地がある。しかし,通常葉書については,上記認定事実のとおり5月初旬頃から断続的に発注がされているところ,結果として67万枚もの発注に至った原因は不明であり,これがFないしIの責任によるものとは認められない(原因としては,Y後援会事務所において国会議員の事務所等に支援者の氏名等の通常葉書への記載を依頼していたが,その相手方からの返信状況が芳しくなかったことによることなども考えられる。)。
この点について,被告は,F及びIが本件選挙において被告の選挙参謀としての地位を利用して,巨額の利益を得ようとして大量の発注を行ったと主張するが,本件全証拠によっても,F及びIが被告の選挙参謀として被告の政治活動ないし選挙運動に深く関与したものとは認められず,被告の上記主張は前提を欠くために採用できない。
そうすると,かかる大量の発注が行われたことを理由として,上記認定が左右されるものではない。
4  本件の契約当事者及び代理権,第b総支部及び○○党との関係について
(1)  第b総支部ないし総支部長の○○党に関する権限について
○○党は,党務の執行に関する事項等を承認決定する機関として常任幹事会を,党務の執行に関する方針を定め,常任幹事会の承認,決定を求める機関として役員会を,○○党を代表する機関として代表を,代表を補佐し,党の運営を統轄する機関として幹事長を,その他の党務を執行する機関として,選挙対策委員長,総務委員長,財務委員長,組織委員長,広報委員長,企業団体対策委員長及び国民運動委員長をそれぞれ置いているが(○○党規約第8条,第9条,第11条,第13条,第17条。甲4),参議院の比例代表選出議員及び公認候補者である総支部長について,党務執行に係る権限を認めた規定はない。したがって,参議院比例代表選出議員の公認候補者である総支部長は,上記の党務執行に係る権限を有する機関の個別的な委任を受けない限り,党務の執行に関し,対外的に○○党に効力が及ぶような法律行為をする権限を有しないと解されるところ,○○党が被告に対してそのような委任をしたと認めるに足りる証拠はない。○○党は,第b総支部に政党交付金1000万円を交付しているが,被告の本件選挙に係る活動のためにそれ以上の金銭的負担を予定していたとは認め難い。
(2)  第b総支部の権利能力なき社団該当性
ア 権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は,その社団の構成員全員に,一個の義務として総有的に帰属するとともに,社団の総有財産だけがその責任財産となり,構成員各自は,取引の相手方に対し,直接には個人的債務ないし責任を負わないと解するのが相当である(前掲最高裁昭和48年10月9日第三小法廷判決)。そのため,第b総支部が権利能力なき社団であり,本件基本合意及び本件個別合意の当事者である場合には,原則として被告個人は債務ないし責任を負わないことになるから,第b総支部が権利能力なき社団に該当するかを検討する。
ここで,権利能力なき社団といえるためには,①団体としての組織を備え,②多数決の原則が行われ,③構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,④その組織において代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定していなければならない(前掲最高裁昭和39年10月15日第一小法廷判決)。これらのうち,財産的側面についていえば,必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではなく,そのような資産を有していなくても,団体として,内部的に運営され,対外的に活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され,かつ,その収支を管理する体制が備わっているなど,他の諸事情と併せ,総合的に観察して,権利能力なき社団と認められる場合があるというべきである(最高裁平成14年6月7日第二小法廷判決・民集56巻5号899頁参照)。そして,政党の支部が法人格なき社団の要件を充たすか否かは,各政党の組織規定,当該支部の運営規則,運営の実態に照らし,個別的に判断すべきものであって,一般的に解釈問題として決定することは相当でない。
イ これを本件についてみると,前記前提事実によれば,第b総支部は,外形上,①団体としての組織を備え,④代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているということができる(○○党規約第3条,第5条,組織規則第4条,第5条,第7条,第b総支部規約第6条,第7条,第9ないし第14条)。
しかし,第b総支部においては,本件全証拠によっても,構成員である党員及びサポーターが実際に存在していたか否かは明らかでなく,②多数決の原則に従った意思決定が現実に行われていたとも認められない。
また,③構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続するといえるかについても問題がある。すなわち,○○党規約第28条1項と同条2項を対比すると,同じく○○党の「支部」であっても,衆議院議員選挙の小選挙区を単位とする総支部が「党員の基本組織」とされるのに対し,○○党の参議院比例区総支部は,「参議院の比例代表選出議員および公認候補者の活動を支える党員組織」であり,各議員及び公認候補者のための組織という色彩が強く,常設の支部ではない。このような組織の性質上の差異を受け,総支部の代表者が落選した場合の扱いも異なっている。すなわち,参議院比例区総支部の代表者が落選した場合には総支部は解散することとされており,仮に代表者が当選したとしても,その任期が次期国政選挙期日まで延長されるにすぎない(○○党規約第28条3項,組織規則第12条2項,4項)のに対し,○○党の衆議院小選挙区総支部の総支部長が落選した場合には,総支部が解散されることもあるが,暫定総支部長への異動を行うことによって総支部を存続させることが可能である(○○党規約第28条1項,組織規則第12条3項)。このように,参議院比例区総支部の場合には,代表者である議員あるいは公認候補者の活動のための組織であって,その代表者が落選した場合には当該総支部を解散するほかないのであって,総支部の活動目的が代表者のためである上,その存続が代表者一人(本件では被告)の存在によって当然に左右されることは,団体としての構成員からの独立性を有しないものといわざるを得ず,③構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続するとの要件を充たすものとはいえない。
さらに,実質的にも,第b総支部は,被告が本件選挙に落選したことによって設立から1年を経ずして解散していること,「講演会・座談会等の開催,機関誌等の発刊および配布,その他必要な事業」を事業活動として予定しており(第b総支部規約第4条),実際に○○党の許諾を得て△△誌の号外(別紙1記載のもの)を発刊しているものの,上記△△誌は被告が第b総支部の支部長に選任された事実や被告の政治活動を報じるものにすぎず(甲15の2,甲25の2,甲26の2,甲29の2),実質的には被告個人の政治活動というべきであり,その他に第b総支部として被告個人の政治活動に該当しない独自の活動が行われていたとは認められないこと,第b総支部の運営及び活動に当たる幹事会も開催されていたか疑わしいこと(被告本人17頁)からして,第b総支部が被告個人とは別個の独立した存在としての活動を行ったという社会的実体も認められない。
ウ 以上からすると,第b総支部は,権利能力なき社団には該当しないものというべきであり,本件基本合意及び本件個別合意の当事者とは認められない。
(3)  契約当事者について
ア 以上で説示したところによれば,本件基本合意及び本件個別合意の当事者となり得るのは,被告個人しか考えられないというべきである。
イ 本件広報物が被告個人の政治活動ないし選挙運動のために用いられるものであったことに照らすと,実質的にみてもそれが妥当である。すなわち,名刺は公認候補者である被告個人の経験・実績あるいは個人的人脈をアピールするものであり(甲14の2),推薦状は,日住協政策研究会が被告を推薦する旨が記載されたものであり(甲19の2),返信用封筒は,宛先が「Y事務所」であり,裏面には「Yを全国へ紹介してください」との記載がされたものであり(甲28の2),選挙用の通常葉書には,「参議院比例代表の投票用紙にはY」「○○党と書いても「Y」のへの投票にはなりません」と記載されており(甲34の2・3),選挙用ポスターは,参議院比例代表の投票用紙に「Yと個人名」を書くように求めるものであったり(甲31の2),「不動産業界統一候補」,「Y」と記載されており(甲31の3),選挙用ビラは,「やっぱり,Y」,「投票用紙にはYと個人名をお書きください」,「Yを国政に」などと被告個人への投票を呼びかけるものであり(甲32の2ないし5),演説会のぼりには被告の氏名のみが強調されて記載されており(甲35の2),選挙看板デザインにも,「投票用紙にはYと個人名をお書きください」と被告個人への投票を呼びかけるものであり(甲37の2,3),たすきは被告個人の氏名を記載したものであり(甲38の2),いずれも公認候補者としての被告個人への支援ないし投票を呼びかけるものであるから,本件広報物に係る契約当事者はその受益者である被告個人とみるのが自然である。
ウ また,選挙に係る法令との整合性から考えても,候補者個人が契約当事者となるとみるのが相当である。すなわち,公職選挙法上,通常葉書等について公営負担の適用を受けるためには候補者自身が作成業者等と契約を締結することが必要とされており(同法142条10項,143条14項,164条の2第6項,同法施行令109条の7,109条の8,110条の2,110条の4,125条の3),これは,本件広報物のような物については候補者個人が契約当事者となることが一般的であるという慣行を前提とする定めと解される。
エ なお,原告作成の本件業務委託料の請求書の宛名欄には「○○党参議院比例区第b総支部 Y様」と記載されているが,前記認定事実のとおり,これはそれ以前に請求書を受領した際のGの指示に従って修正したものであり,原告はそれ以前の請求書の宛名欄には「Y事務所」と記載していたのであるから,かかる宛名の記載が本件基本合意及び本件個別合意の当事者の確定に影響するものとはいえない。
オ 以上の事実からすると,本件広報物は,いずれも被告個人ないしその代理人が発注したものというべきであるから,本件個別合意の当事者は被告個人になる。
(4)  発注担当者の代理権について
ア 前記認定事実のとおり,本件広報物はいずれも被告の親族(H,C),a社の関係者(G,B)及び八重洲事務所の事務局長であるIが発注したものであり(Iによる発注についてCが承認を与えていたものも含む。),被告が本件選挙において被告の政治活動ないし選挙運動を直接担当していた発注担当者に対して本件広報物の発注に係る代理権を少なくとも黙示的に授与していたと優に推認できる。
これに対し,被告は,Iに交付した1300万円の限度でしか政治活動ないし選挙運動費用の支出を認めていないかのように供述するが(乙1の5頁),Iと被告等の間でそのような会話が明示的に行われていたとは認められないから,被告の上記供述は採用できない。
以上からすると,本件においては,原告と被告の間において,本件基本合意及び本件個別合意が有効に成立していたというべきである。
イ なお,上記のとおり本件基本合意及び本件個別合意は原告と被告の間で締結されている以上,第b総支部の幹事会による承認は不要と解される。また,出納責任者であるJの承諾については,本件選挙が公示される前に個別合意が締結された別紙2記載番号1ないし18については不要であり(公職選挙法187条1項),同19については仮に上記承諾がなされていないとしても,選挙運動の取締等を目的とする同条の趣旨からして,本件個別合意の効力には影響を及ぼさないというべきである。
ウ そして,○○党に本件業務委託料支払債務が帰属しない以上,原告が○○党との間で和解契約を締結したことが,原告の被告に対する本件業務委託料支払請求権に影響を与えることはない。
5  以上からすると,原告の請求は,本件広報物のうち,別紙2記載番号6を除く計435万8550円の業務委託料及びうち24万6750円に対する弁済期の翌日である7月1日から,うち411万1800円に対する弁済期の翌日である8月1日から各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるというべきである。
第4  結論
よって,原告の請求は上記の限度で理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。
(裁判官 日景聡 裁判官 百瀨玲 裁判長裁判官齊木敏文は,転補のため署名押印することができない。裁判官 日景聡)

 

〈以下省略〉

 

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