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「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(71)平成23年 7月22日 東京地裁 平22(行ウ)555号 難民の認定をしない処分取消請求事件、追加的併合申立事件

「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(71)平成23年 7月22日 東京地裁 平22(行ウ)555号 難民の認定をしない処分取消請求事件、追加的併合申立事件

裁判年月日  平成23年 7月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(行ウ)555号・平23(行ウ)61号・平23(行ウ)171号
事件名  難民の認定をしない処分取消請求事件、追加的併合申立事件
裁判結果  一部却下、一部棄却  文献番号  2011WLJPCA07228007

要旨
◆スリランカ民主社会主義共和国の国籍を有する原告が、難民不認定処分の取消しを求めるとともに、在留特別許可をしない処分の無効確認及び原告に対する在特許可をするよう義務付けを求めた事案において、原告が本国で最大野党の主要党員として精力的な政治活動をしていたなどとは認められず、政治活動を理由に本国政府から迫害を受けるおそれがあるとは認められないから、本件難民不認定処分は適法であり、また、不法残留し、婚姻偽装までして在留資格を得ようとしていた原告に対する本件在特不許可処分もまた適法であるとして、取消請求及び無効確認請求を棄却した上、入管法61条の2の2第2項の規定によれば、既に同条項に基づく在特不許可処分が有効になされている場合に、法務大臣等がその処分とは別に在特許可をすることを法は予定しておらず、法務大臣等にその権限はないから、本件義務付けを求める訴えは不適法であるとして、これを却下した事例

参照条文
行政事件訴訟法3条2項
行政事件訴訟法3条4項
行政事件訴訟法3条6項1号
行政事件訴訟法37条の2第1項
出入国管理及び難民認定法2条3号の2
出入国管理及び難民認定法24条4号ロ
出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項
難民の地位に関する条約1条
難民の地位に関する条約33条1項
難民の地位に関する議定書1条

裁判年月日  平成23年 7月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(行ウ)555号・平23(行ウ)61号・平23(行ウ)171号
事件名  難民の認定をしない処分取消請求事件、追加的併合申立事件
裁判結果  一部却下、一部棄却  文献番号  2011WLJPCA07228007

平成22年(行ウ)第555号 難民の認定をしない処分取消請求事件
平成23年(行ウ)第61号 追加的併合申立事件
平成23年(行ウ)第171号 追加的併合申立事件

千葉県松戸市〈以下省略〉
原告 X
原告訴訟代理人弁護士 戸嶋洋一
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者兼処分行政庁 法務大臣 A
処分行政庁 東京入国管理局長 B
被告指定代理人 秦智子ほか別紙代理人目録記載のとおり

 

主文

1  本件訴えのうち,東京入国管理局長に対し,原告の在留を特別に許可することの義務付けを求める部分を却下する。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  法務大臣が平成20年5月30日に原告に対してした,難民の認定をしない処分を取り消す。
2  東京入国管理局長が平成20年7月4日に原告に対してした,出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分が無効であることを確認する。
3  東京入国管理局長は,原告に対し,原告の在留を特別に許可せよ。
第2  事案の概要
本件は,スリランカ民主社会主義共和国(以下「スリランカ」という。)の国籍を有する原告が,スリランカにおいて,現在野党となっている政党に所属して活動していたこと,反政府武装勢力に協力したとして軍に拘束され暴行を受けたこと,本邦に入国した後も政治活動をしていること等により,帰国すれば迫害を受けるおそれがあって,出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)2条3号の2,難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)1条,難民の地位に関する議定書1条にいう「難民」に該当すると主張して,原告に対してされた難民の認定をしない処分の取消しを求めるとともに,法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない処分が無効であることの確認及び原告に対し在留を特別に許可することの義務付けを求めた事案である。
1  争いのない事実等
(1)原告の身分事項,入国・在留状況
ア 原告は1975(昭和50)年○月○日に,スリランカにおいて出生したスリランカ国籍を有する外国人男性である。
イ 原告は,平成15年10月6日,東京入国管理局成田支局入国審査官から,在留資格「短期滞在」,在留期間「90日」の上陸許可を受け,本邦に上陸したが,在留期限である平成16年1月4日を超えて本邦に不法に残留した。
ウ 原告は,平成18年10月30日,日本人女性であるC(以下「C」という。)と婚姻の届出をしたが,平成22年7月5日,同年6月23日にCとの離婚調停が成立した旨の届出をした。
(2)原告の退去強制手続及び難民認定手続
ア 原告は,平成19年6月5日,東京入国管理局に出頭し,法違反(不法残留)の事実等を申告した。
イ 東京入国管理局入国審査官は,平成19年12月27日,原告が法24条4号ロに該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨の認定をし,同局特別審理官は,平成20年1月28日,上記認定に誤りがない旨を判定したところ,原告は,同日,法務大臣に対し異議の申出をした。法69条の2に基づき権限の委任を受けた東京入国管理局長は,同年2月1日,上記異議の申出には理由がない旨の裁決をし,東京入国管理局主任審査官は,同日,原告に退去強制令書を発付した。
ウ 原告は,平成20年3月11日,法務大臣に対し,難民認定申請をしたが,同年5月30日,難民の認定をしない処分を受け(以下「本件不認定処分」という。),原告は異議の申立てをしたが,平成22年8月31日(同年9月13日通知)で,異議の申立てに理由がない旨の決定を受けた。
エ 法69条の2に基づき権限の委任を受けた東京入国管理局長は,平成20年7月4日,原告について,法61条の2の2第2項の規定による在留特別許可をしない処分をし(以下「本件在特不許可処分」という。),同月18日,原告にその旨通知した。
(3)本件各訴えの提起
原告は,平成22年9月27日,本件不認定処分の取消しを求める訴えを提起し,これに追加して,平成23年1月28日に本件在特不許可処分の無効確認の訴えを,同年3月11日に在留特別許可の義務付けの訴えを,それぞれ併合して提起した。(当裁判所に顕著な事実)
2  争点
本件の争点は,①本件不認定処分が,原告が「難民」に該当することを看過してされたものであって違法であるか否か,②本件在特不許可処分に重大かつ明白な違法があり無効であるか否か,③在留特別許可の義務付けの訴えは適法な訴えであるか否かである。
(1)原告の難民該当性
(原告の主張)
ア スリランカでは,統一国民党(UNP)とスリランカ自由党(SLFP)が交互に政権を担当しており,両党間では激しい選挙活動等が行われてきた。原告は,18歳になった1993(平成5)年から,UNPの主要党員として極めて精力的な政治活動を行い,対立政党から脅迫されるなどしながらも政治活動を継続した。そして,2001(平成13)年10月からの選挙運動に絡む暴動事件で,原告に対し逮捕状が発付された。UNPは,2004(平成16)年の選挙戦でSLFPを中心に結成された統一人民自由連合(UPFA)に敗れて下野しており,2005(平成17)年から2006(平成18)年頃にかけて,警察が原告の自宅を訪れて,原告の所在を調査していったとの情報もある。また,原告が来日後,スリランカの家族に送金した約100万円の一部が,家族を通して,UNPの選挙資金として支出されている。さらに,原告は,2010(平成22)年8月1日,UNP日本支部の総会に出席し,今後,日本から本国のUNPの活動を後方支援することを企図しているが,原告の父が不審者から,原告がUNP日本支部での活動を止めなければ殺害すると脅迫を受けている。
イ スリランカでは,反政府武装勢力であるタミル・イーラム解放の虎(LTTE)と,政府軍との武力紛争が相当長期間にわたって継続していた歴史があり,2009(平成21)年5月,政府軍による内戦勝利宣言後も,治安の安定には至っていない状況にある。原告は,1999(平成11)年から2001(平成13)年ころまで,モナラーガラという所で,伯父と共に自動車修理のガレージを経営していた際に,LTTEの車の修理をしたため,LTTEに協力している等として,軍によって1週間ほど収容所に拘束され,銃で殴る等の激しい拷問を受け,その後も原告の自宅等が軍による監視下に置かれ続けている。そして,軍の指示に従い,ガレージを閉鎖したこと等から,今度はLTTEから同組織に協力しないこと等を理由として迫害を受けるおそれが生じている。
ウ 原告は,2003(平成15)年頃,スリランカで婚約したスリランカ国籍の女性から,婚約不履行で提訴され,2007(平成19)年3月7日,裁判所から召喚状が本国の自宅に送達されただけでなく,2008(平成20)年1月8日には,警察署長の請求により,逮捕状が発付されている。スリランカでは,婚約不履行は刑事事件の対象ともなり得るところ,婚約者の兄が警察署に勤務していることもあり,スリランカ政府が迫害の口実として,この罪名を利用するおそれも多分に存する。
エ 以上の事情からすれば,原告は難民に該当する。
(被告の主張)
ア UNPは,2004(平成16)年の総選挙でUPFAに敗れたものの,現在でも60議席を有する最大野党であり,UNPの党員であることを理由として直ちに迫害を受けるおそれがあるとはいえない。また,原告は,難民認定申請書において,本国政府に敵対する組織に所属してたことや本国政府に敵対する政治的意見を表明したり,敵対する行動をとったことを,いずれも否定し,迫害の理由についても「政治的意見」は記載せずに「国内がテロ戦争状況にあるため」とだけ記載していたが,その後の難民調査で突如としてUNPの党員として政治的活動をしていたなどと供述しており,極めて不自然であるから,原告がUNPの主要党員として精力的な政治活動を行っていたとは認め難く,また,UNPの党員であったことやその政治的意見を理由に迫害を受けるとの危惧感を抱いていたものでないことは明らかである。
イ 上記の(原告の主張)イの事実については,これらを裏付ける客観的証拠はない上,原告は,軍から拷問を受けたことや自宅等が監視下に置かれていることを難民認定申請書に記載しておらず,それらの事情に関する原告の供述は,その供述経過に照らせば,到底信用することができない。また,原告は,LTTEから迫害を受けるおそれがあると主張するが,その根拠は,村の人からそう言われたという程度のもので,およそ現実的な危険が生じているとはいえない。そして,スリランカ政府がLTTEの活動を容認している事実はなく,スリランカ政府がLTTEの原告に対する迫害を知りつつ,それを放置又は助長しているというような特別な事情の主張もないから,LTTEによる迫害は,そもそも原告の難民性を基礎付ける事情とはなり得ない。
ウ 上記の(原告の主張)ウの事実については,原告に発付されたとする逮捕状の具体的入手経緯は不明であり,当該逮捕状の成立の真正が立証されたとはいえず,これを証拠として採用することはできないというべきである。仮に原告の主張を前提としても,婚約不履行という私人間の紛争にすぎず,仮にスリランカにおいて,そのような行為が何らかの処罰を受けることがあり得るとしても,それは,難民条約上の迫害に該当しない。
エ そして,原告は,自己名義の旅券発給を受け,正規の手続で本国を出国している。また,原告は,本邦に入国した後,約4年半もの長期間,難民認定をしなかったにもかかわらず,退去強制令書発付処分を受けた後,突如として難民認定申請をしている。さらに,原告の父親及び2人の弟は,原告の出国前から現在に至るまで,スリランカの同じ場所に居住を続けて平穏に生活している。以上の事情からすれば,原告に個別具体的な迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような客観的な事情があるとは認められないから,原告は難民に該当しない。
(2)本件在特不許可処分に重大かつ明白な違法があり無効か否か
(原告の主張)
ア 原告は,平成18年4月ころ,Cと出会い,同年10月30日に婚姻し,平成19年4月から同居をして,Cに月額10万円ほどの婚姻費用を渡していた。Cは,収容中の原告との面会にしばしば来訪し,原告と一緒に暮らしていけるのであればそうしたいし,在留特別許可が認められなかったら一緒にスリランカに行こうと思っているなどの供述していることからすれば,原告とCが,真の婚姻の意思,すなわち「両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思を持って共同生活を営む意思」を有していたことは明らかである。
イ 原告は,本件在特不許可処分後の平成21年8月頃,日本人のD(以下「D」という。)と知り合い,同年11月25日頃から,Dと同棲していた。Dは,平成22年○月○日,原告との間の子であるEを出産した。原告は,同年9月13日に東京入管に収容されたが,平成23年1月25日,仮放免となり,以後,D及びEと同居している。原告は,いずれDの待婚期間経過後にDとの婚姻届を提出する予定であり,将来的には,在留特別許可のガイドラインにいう積極要素の要件を満たす状況が到来することが明らかである。
ウ 原告は,不法残留をしていたが,入国管理局に自主的に出頭している。原告の不法残留期間は3年5か月間と決して長くない一方,原告の本邦滞在期間は,既に7年3か月を数えている。以上の事情を考慮すれば,本件在特不許可処分には重大かつ明白な違法があり,無効というべきである。
(被告の主張)
ア 上記の(原告の主張)アについては,Cが偽装結婚であったことを自認している。仮に,原告とCが同居開始後には真摯な婚姻関係にあったという原告の主張を前提としても,原告が,平成20年5月16日に,原告が入国者収容所東日本入国管理センター(以下「東日本センター」という。)に移収されると,原告とCは縁遠くなり,平成21年8月ころには,原告とCは音信不通になり,これとほぼ同時期に,原告はDとの交際を開始し始めたというのであるから,原告とCが真摯な婚姻関係にあったとする原告の主張は甚だ疑わしい。原告は,Cが述べるとおり,不正な手段で本邦における在留資格を得るために,Cとの婚姻を偽装したというべきであり,原告の行状は悪質であって,在留特別許可の許否の判断に当たっても消極的事情として評価されるべきである。
イ 上記の(原告の主張)イについて,仮に,原告がDと内縁関係にあり,原告とDとの間にEが出生したことが事実であるとしても,これらの事情は,いずれも本件在特不許可処分の後に生じた事情であるから,およそ同処分の違法性を基礎付ける事情とはなり得ない。
ウ 原告については,在留特別許可を設けた法61条の2の2第2項の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情は認められず,本件在特不許可処分に裁量権の逸脱又は濫用はない。また,処分の外形上,客観的に瑕疵が一見して看取し得るような事情は認められない。よって,本件在特不許可処分に無効事由はなく,適法である。
(3)在留特別許可の義務付けの訴えは適法な訴えであるか否か
(原告の主張)
上記(2)の(原告の主張)のとおり,本件在特不許可処分は無効であり,原告に対し在留特別許可をすべき事情があるから,在留特別許可の義務付けを求める訴えは適法である。
(被告の主張)
ア 原告に法61条の2の2第2項に基づく在留特別許可を付与することの義務付けを求める訴え(以下「本件義務付けの訴え」という。)は,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項1号のいわゆる非申請型義務付けの訴えに当たるところ,本件在特不許可処分が適法であり,その効力が存続している以上,法61条の2の2第2項に基づく在留特別許可の義務付けの訴えは,行政庁に法的に権限のない処分を求めることになるものであって,不適法である。
イ また,原告は,本件在特不許可処分の無効確認請求を提起して,これに勝訴すれば,行訴法33条により,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長(以下「法務大臣等」という。)は,無効確認判決の主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断に拘束されることになるから,当該判決後にされる法務大臣等の処分により,その目的を達することができる。そうすると,本件義務付けの訴えは,行訴法37条の2第1項所定の「その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」との要件を満たさないから不適法である。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(原告の難民該当性)について
(1)法2条3号の2は,同法における「難民」とは,難民条約1条の規定又は難民の地位に関する議定書1条により難民条約の適用を受ける難民をいうとしているところ,難民条約1条A(2)及び難民の地位に関する議定書1条2項は,「難民」とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及び……常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいうとしている。
そして,ここにいう「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味し(難民条約33条1項参照),「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的な事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解される。
(2)そこで,まず,スリランカの一般情勢について検討すると,証拠(乙37,38)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア スリランカは大統領制を採用する民主主義国であり,1948年の独立後,一貫して選挙による政権交代が行われ,UNPとSLFPの2大政党が交互に政権を担ってきた。UNPは,2004(平成16)年の選挙でSLFPを中心に結成されたUPFAに敗れて,野党となったが,UNPは現在も国会に60議席を有する最大野党である。
イ また,スリランカでは,独立後,多数派であるシンハラ人と少数派タミル人の民族問題が顕在化し,1983(昭和58)年以降,タミル人青年を中心として結成されたLTTEとスリランカ政府軍との戦闘が激化して本格的な内戦に発展したが,2009(平成21)年5月,政府軍はLTTEを壊滅させ,スリランカ政府のラージャパクサ大統領は戦闘終結を宣言した。
(3)これらを前提として,原告の難民該当性について検討する。
ア まず,原告の政治活動等について検討する。
(ア)原告は,本国において,18歳になった1993(平成5)年から,UNPの主要党員として極めて精力的な政治活動を行い,対立政党から脅迫されるなどしながらも政治活動を継続し,2001(平成13)年10月からの選挙運動に絡む暴動事件で,原告に対し逮捕状が発付された旨主張し,原告の陳述書(甲14)には同旨の記載があり,原告本人尋問においてこれに沿う供述をしている部分がある。
しかしながら,原告が18歳からUNPの党員であったこと,原告が対立政党に脅迫されていたこと,原告に政治活動を理由として逮捕状が発付されたこと及び警察が原告の自宅を訪れてその所在を調査したことを裏付ける客観的証拠はない。その上,原告は,退去強制手続の際,本国において政治活動を行っていた旨の供述は一切しておらず,難民認定申請書(乙26)にも,政治活動に関する記載は一切していなかった。しかるに,平成20年5月の難民調査の際に,初めて,20歳のときにUNPのメンバーになった旨述べ(乙27),平成22年1月の異議申立てに係る口頭意見陳述・審尋の際は,18歳から党員であった旨述べ(乙35),原告本人尋問においては,原告が20歳のときから党員として活動したと再び供述を変遷させている。このように原告の供述経過は不自然であって,原告が18歳のときからUNPの主要党員として精力的に政治活動を行っていた旨の供述は信用することができない。
そして,原告が主要党員であった証拠として提出した文書(甲5)は,2002(平成14)年7月1日当時,原告がアヴィッサーウェーラ市のヤングコミュニティーのリーダーというポストにありUNPが選挙に勝てるように頑張る責任があるという内容であるが,この文書の作成目的や作成経緯は明らかでなく,この文書が,原告がUNPの主要党員であることを意味しているのかどうかさえ定かでない。また,UNPの議員が作成者となっている甲6や甲7の文書についても,原告や原告の家族がUNPの支持者であることが述べられているにすぎず,原告が党員であるとは記載されていない。したがって,原告が証拠として提出した文書はいずれも原告がUNPの主要な党員として精力的な政治活動をしていたことを認めるに足りる証拠とは言い難い。
また,選挙運動に絡む逮捕状の発付についても,原告は,難民認定申請書には記載しておらず,難民調査の段階でも述べていなかったのに,異議申立て段階の口頭意見陳述や審尋になって初めて言及したものであって極めて不自然である上,原告本人尋問においても,逮捕状が出されているのは,当時,知り合いや地方の議員から逮捕状が出ていると聞いて知ったもので,逮捕状が今出ているかどうかわからないなどという曖昧な供述をしており,この点に関する原告の供述は信用することができない。
そもそも,上記(2)のとおり,UNPは,かつては政権を担い,現在でも野党とはいえ,国会の60議席を有する合法な政党であることからすれば,UNPの支持者であることや,UNPのために選挙運動をしたということだけで,スリランカ政府が迫害の対象とするとは考え難く,仮に,原告の供述のとおり,原告がUNPの党員として政治活動をしていたとしても,その供述する活動内容は,戸別にポスターを配ったり,UNPを支持する票を集めたというものにすぎず,その程度の活動を理由にスリランカ政府が迫害の対象として原告に関心を寄せるとは到底考えられない。
以上のことからすれば,原告の本国における政治活動を理由として,原告がスリランカ政府から迫害を受けるおそれは認められない。
(イ)原告は,来日後,スリランカの家族に送金した約100万円の一部が,家族を通して,UNPの選挙資金として支出されていること,原告が平成22年8月にUNP日本支部の総会に出席し,今後,日本から本国のUNPの活動を後方支援することを企図していること,原告の父が不審者から,原告がUNP日本支部での活動を止めなければ殺害すると脅迫を受けていることを事情として主張し,原告の陳述書(甲14)にはこれと同旨の記載があり,原告本人尋問において一部これに沿う供述をしている。
しかしながら,原告の送金の一部がUNPの選挙資金として支出されたことをスリランカ政府が把握していることを認めるに足りる証拠はなく,また,原告がUNP日本支部の総会に参加したのは本件不認定処分後であり,原告が今後日本からUNPを後方支援しようと企図しているとしても,これらの事情は,およそ本件不認定処分の適法性に影響を与えるものではない。そして,そもそも上記(ア)記載のとおりスリランカにおいて合法に活動している政党であるUNPに対し,原告がその選挙資金を送金するなど,UNPを支援する活動をしたからといって,そのことだけでスリランカ政府が原告を迫害の対象とするとは考えられない。また,原告の父が脅迫を受けている証拠として原告が提出した甲11は,作成者もその作成経緯もその内容も判然としない上,原告の主張によっても,不審者が原告の父を脅迫しているというにすぎないのであって,スリランカ政府当局が脅迫に関与していることをうかがわせる事情は何ら認められない。
したがって,原告の来日後の政治活動を理由として,原告がスリランカ政府から迫害を受けるおそれは認められない。
イ また,原告は,モナラーガラで,伯父とともに自動車修理のガレージを経営していた際に,LTTEの車の修理をしたため,LTTEに協力している等として,軍によって1週間ほど収容所に拘束され,銃で殴る等の激しい拷問を受け,その後も原告の自宅等が軍による監視下に置かれており,他方,軍の指示に従い,ガレージを閉鎖したこと等から,今度はLTTEから迫害を受けるおそれが生じているなどと主張し,原告の陳述書(甲14)には同旨の記載があり,原告本人尋問においてこれに沿う供述をしている部分がある。
しかしながら,原告のこれらの主張を裏付ける客観的証拠は何ら存在しない。また,原告は,難民認定申請書にはこれらの事情を記載しておらず,難民調査においても,軍人にガレージを壊され,手で殴られたと述べていたにすぎないのであり,異議申立て段階の口頭意見陳述・審尋になって初めて,原告代理人がこれらの事情に言及したものであって,その供述経過は不自然といわざるを得ず,軍に1週間身柄拘束されて銃で殴る等の拷問をされ,その後も自宅等を監視されていたという原告の供述は信用できない。そして,仮に,モナラーガラでLTTEの車の修理をしたことから,軍人にガレージを壊され,暴行を受けたことがあったとしても,原告の主張によれば,原告は,軍の指示に従ってガレージを閉鎖し,コロンボに移ったというのであり,さらにその後もスリランカ政府や政府軍が監視を続けていたことを認めるに足りる証拠はない。
かえって,証拠(甲14,乙2,14,26,27)によれば,原告は,2001(平成13)年から2003年(平成15)年10月に来日するまで,コロンボにあるオートバイ部品等の販売会社で稼働し,本国で婚約して平穏に暮らしており,会社の業務命令で自己名義の正規旅券を用いて出国したことが認められる。
したがって,原告がスリランカ政府からLTTEの協力者として迫害を受けるおそれがあるとは認められない。
なお,原告は,LTTEからも迫害を受けるおそれがあると主張しているが,そもそもLTTEという一組織から迫害のおそれがあるからといって,国籍国からの保護を受けられないなどの難民条約上の難民の要件を充足することにならないことはもとより,LTTEは,本件不認定処分当時,スリランカ政府と内戦状態にあった反政府武装組織であって,スリランカ政府がLTTEによる原告に対する迫害を知りつつ,それを放置又は助長するというような特別な事情の主張も証拠もないから,LTTEによる迫害は,そもそも原告の難民性を基礎付ける事情とはなり得ない。
ウ さらに,原告は,本国で婚約した女性から,婚約不履行で提訴されており,裁判所から召喚状が本国の自宅に送達され,逮捕状も発付されており,スリランカでは,婚約不履行は刑事事件の対象ともなり得るところ,婚約者の兄が警察署に勤務していることもあり,スリランカ政府が迫害の口実として,この罪名を利用するおそれも多分に存するなどと主張しており,原告の陳述書(甲14)には同旨の記載がある。
しかしながら,原告の婚約不履行を理由とする逮捕や訴追は,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見」のいずれにも当たらないから,仮に,原告が婚約不履行を理由として,スリランカの法律に基づいて逮捕され,裁判を受けて処罰されたとしても,そのことが難民条約上の迫害には当たらないことは明らかであって,この点の原告の主張は失当である。また,前記のとおり,そもそもスリランカ政府が原告を迫害するおそれ自体が認められないから,迫害の口実として婚約不履行の罪名を利用するおそれがあるなどという原告の主張も失当である。
エ 以上のことからすれば,原告がその政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を抱くような客観的な事情が存するとは認められない。
したがって,原告は,法2条3号の2,難民条約1条及び難民の地位に関する議定書1条にいう「難民」に該当するとは認められず,他に本件不認定処分が違法であることを窺わせる事実は存在しないから,本件不認定処分は適法である。
2  争点(2)(本件在特不許可処分に重大かつ明白な違法があり無効か否か)について
(1)そもそも,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかは専ら当該国家の立法政策に委ねられており,憲法上,外国人は,本邦に入国する自由が保障されていないことはもとより,在留する権利又は引き続き在留することを要求する権利を保障されているということもできない。(最高裁判所昭和32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁,最高裁判所昭和53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照。)
そして,入管法61条の2の2第2項の在留特別許可は,「在留を特別に許可すべき事情」があると認めるときに許可することができるとされているほかに,その許否の判断の要件ないし基準とすべき事項は定められていない以上,外国人の出入国管理は国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持を目的として行われるものであって,このような国益の保護の判断については,広く情報を収集しその分析の上に立って時宜に応じた的確な判断を行うことが必要であり,高度な政治的判断を要求される場合もあり得ることを勘案すれば,在留特別許可をすべきか否かの判断は,法務大臣の広範な裁量に委ねられているというべきである。
そうすると,在留特別許可をするか否かについて法務大臣の判断が違法とされるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した場合に限られるというべきであって,このことは,法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長についても同様というべきである。
そこで,上記の判断枠組みに基づき,本件各在特不許可処分が,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものであるか否かについて検討する。
(2)証拠(乙13)によれば,Cは,入国管理局の調査担当官に対し,原告とCの婚姻は,原告は在留資格を得ることが目的,Cはお金を得ることが目的とするいわゆる偽装結婚であって,原告が在留資格をもらえたら100万円もらえるという話だったことなど偽装結婚の経緯などを詳細に供述していることが認められ,Cが,原告との間で真に婚姻をしたにもかかわらずあえて偽装結婚である旨の虚偽の供述をする理由はおよそ見出し難いから,原告とCの婚姻届は,双方の真意に基づかないいわゆる偽装結婚であったと認められる。この点につき,原告は,Cとは真摯な婚姻関係であった旨主張して,これに沿う供述をし,Cも,平成20年1月の口頭審理の際には,嘘の結婚だったが一緒に住み始めてから事情が変わったなどと供述しているが,証拠(甲14,乙4)によれば,平成20年5月に原告が東日本センターに移収されるや,両者は疎遠になり,平成21年8月以降は音信不通となり,平成22年7月5日にはCとの離婚の届出がされたことが認められ,このような事実からすれば,原告とCが「両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思を持って共同生活を営む意思」を有していなかったことは明らかというべきであって,原告とCとの婚姻関係は,在留特別許可をするか否かの判断に当たって,積極要素として考慮すべき事情とはいえない。
(3)原告は,日本人のDと同棲し,Dが原告との間の子であるEを出産したことなど,居所との関係を在留特別許可においてしんしゃくすべきである旨主張するが,証拠(甲14)によれば,原告がDと知り合ったのは,本件在特不許可処分後の平成21年8月頃であることが認められる。そうすると,原告が主張するDとの関係に係る事情は,いずれも本件在特不許可処分後に発生した事情であって,同処分の時点では全く存在せず,処分時に考慮することはおよそ不可能な事情である。
この点,原告は,本件在特不許可処分後の事情であっても,本件口頭弁論終結までの事情を加味して,その適法性や効力について判断すべきであると主張しているが,法61条の2の2第2項の在留特別許可処分に関して,処分後の事情が当該処分の適法性や効力の判断に影響を与えることを認めるべき規定は法上何ら存在しない。したがって,原告とDとの関係に係る事情は,本件在特不許可処分の適法性や効力に影響を与えるものではないから,この点の原告の主張は採用することができない。
(4)そして,原告の在留状況を見ると,3年以上にわたって不法残留をしていた上,Cとの婚姻を偽装して在留資格を得ようとしているのであって,およそ我が国の法律を軽視し遵法精神に欠けることは明らかであり,原告の在留状況は悪質である。他方で,原告の在留を特別に認めるべき積極事情は認められないのであるから,東京入管局長が行った本件在特不許可処分について裁量権の逸脱又は濫用は認められず,本件在特不許可処分は適法であって,これを無効とすべき重大かつ明白な違法は何ら認められない。
3  争点(3)(在留特別許可の義務付けの訴えの適法性)について
原告は,法61条の2の2第2項に基づく在留特別許可の義務付けを求めているものと解されるところ,同条項は,法務大臣等は,法61条の2第1項の難民認定の申請をした外国人について,難民の認定をしない処分をするとき,又は難民の認定をする場合であって法61条の2の2第1項による定住者の在留資格の取得を許可をしないとき,その者の在留特別許可をすることができる旨規定している。この規定によれば,既に同条項に基づく在留特別許可をしない処分が有効にされている場合に,法務大臣等がその処分とは別に在留特別許可をすることを法は予定しておらず,法務大臣等にはそのような権限はないといわざるを得ない。
そうすると,本件においては,原告に対して既に法61条の2の2第2項に基づく本件在特不許可処分が有効にされているのであって,法務大臣等は,本件在特不許可処分とは別に在留特別許可をする権限を有していないのであるから,本件の在留特別許可の義務付けを求める訴えは,権限のない行為の義務付けを求めるものであって不適法である。
第4  結論
以上によれば,本件各訴えのうち,在留特別許可の義務付けを求める部分は不適法であるから却下し,原告のその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 定塚誠 裁判官 波多江真史 裁判官 渡邉哲)

 

別紙
代理人目録 〈省略〉

 

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