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「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(94)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件

「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(94)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件

裁判年月日  平成22年 2月 3日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(行ケ)30号
事件名  選挙無効請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  上告  文献番号  2010WLJPCA02036001

要旨
◆平成21年8月30日に行われた衆議院議員総選挙の比例代表選挙の東京都選挙区の選挙人である原告らが、同選挙区の選挙無効を請求した事案において、本件比例代表選挙では、各選挙区及び議員定数の議員1人当たりの人口数を比較すると、最少である四国選挙区と最多である東京都選挙区との較差は1.086であって、投票価値の平等を損なうものではないから、公選法所定の選挙区及び議員定数の配分の定めが憲法の保障する投票価値の平等に反するとはいえず、また、公選法の改正で比例代表選出議員のみを減じたことをもって国会の裁量権を逸脱したともいえず、さらに、重複立候補制が憲法に反するかについても、重複立候補を認めるか否か、重複立候補制度の下で当選人をどのように定めるか否かは国会の裁量により決定できる事項であるところ、公選法上で規定している方式は合理性のある方式といえるから、憲法に反しないなどとして、請求を棄却した事例

新判例体系
公法編 > 憲法 > 憲法〔昭和二一年一一… > 第三章 国民の権利及… > 第一四条 > ○法の下の平等 > (二)法令の合憲性 > A 組織法関係 > (2)公職選挙法 > (ヘ)衆議院関係別表 > (ⅰ)合憲とした例
◆平成二一年八月三〇日施行の衆議院議員総選挙のうち比例代表選出議員選挙(東京都選挙区)は、公職選挙法第一三条第二項及び別表第二が定める選挙区及び議員定数が人口に比較して投票価値の平等を損ねるところはないから、憲法第一四条第一項、第一五条第一項、第三項、第四四条ただし書きに違反しない。

公法編 > 憲法 > 憲法〔昭和二一年一一… > 第三章 国民の権利及… > 第一五条 > ○参政権 > (二)法令の合憲性 > A 公職選挙法
◆平成二一年八月三〇日施行の衆議院議員総選挙のうち比例代表選出議員選挙(東京都選挙区)は、公職選挙法第一三条第二項及び別表第二が定める選挙区及び識員定数には人口に比較して投票価値の平等を損ねるところはないから、憲法第一四条第一項、第一五条第一項、第三項、第四四条ただし書きに違反しない。

公法編 > 憲法 > 憲法〔昭和二一年一一… > 第四章 国会 > 第四三条 > ○両議院の構成 > (二)選挙制度 > C 比例代表制
◆平成二一年八月三〇日施行の衆議院議員総選挙のうち比例代表選出議員選挙(東京都選挙区)は、公職選挙法第一三条第二項及び別表第二が定める選挙区及び議員定数が人口に比較して投票価値の平等を損ねるところはないから、憲法第一四条第一項、第一五条第一項、第三項、第四四条ただし書きに反しない。

公法編 > 憲法 > 憲法〔昭和二一年一一… > 第四章 国会 > 第四四条 > ○議員及び選挙人の資… > (一)合憲とした例
◆平成二一年八月三〇日施行の衆議院議員総選挙のうち比例代表選出議員選挙(東京都選挙区)は、公職選挙法第一三条第二項及び別表第二が定める選挙区及び議員定数が人口に比較して投票価値の平等を損ねるところはないから、憲法第一四条第一項、第一五条第一項、第三項、第四四条ただし書きに反しない。

公法編 > 組織法 > 公職選挙法〔昭和二五… > 第三章 選挙に関する… > 第一三条 > ○衆議院議員の定数配… > (三)定数配分の合憲… > K 平成21・8・3… > (1)合憲とした例
◆平成二一年八月三〇日施行の衆議院比例代表選出議員選挙の東京都選挙区における選挙は、無効とはいえない。

 

出典
判時 2086号17頁

参照条文
日本国憲法前文
日本国憲法14条1項
日本国憲法15条1項
日本国憲法15条3項
日本国憲法43条
日本国憲法44条
日本国憲法47条
公職選挙法4条1項
公職選挙法13条2項
公職選挙法86条の2第4項
公職選挙法別表第2

裁判年月日  平成22年 2月 3日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(行ケ)30号
事件名  選挙無効請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  上告  文献番号  2010WLJPCA02036001

別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。
二  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第一  請求
平成二一年八月三〇日に行われた衆議院(比例代表選出)議員選挙の東京都選挙区における選挙を無効とする。
第二  事案の概要
一  本件は、平成二一年八月三〇日に行われた衆議院議員総選挙(以下「本件総選挙」という。)のうち衆議院(比例代表選出)議員の選挙(以下「本件比例代表選挙」という。)の東京都選挙区の選挙人である原告らが、本件比例代表選挙は、憲法前文、一四条一項、一五条一項、三項、四三条一項、四四条に違反すると主張して、本件比例代表選挙の東京都選挙区における選挙を無効とすることを求めた訴訟である。
二  前提となる事実及び選挙制度の概要
(1)  原告らは、本件比例代表選挙の東京都選挙区の選挙人である(争いがない。)。
(2)  本件比例代表選挙は、平成二一年八月三〇日、公職選挙法(以下「公選法」という。)一三条二項及び別表第二(以下「本件別表第二」という。)に定める選挙区及び議員数に従って行われた(争いがない。)。
(3)  衆議院議員の選挙制度は、政策本位、政党本位の選挙制度を採用すべく、平成六年法律第二号(同第一〇号及び同第一〇四号による改正後のもの。以下「平成六年改正法」という。)により、中選挙区単記投票制から小選挙区比例代表並立制に改められた。
上記改正後の公選法は、衆議院議員の定数を五〇〇人とし、そのうち三〇〇人を小選挙区選出議員、二〇〇人を比例代表選出議員とした(四条一項)上、各別にその選挙制度の仕組みを定め、総選挙については、投票は小選挙区選出議員及び比例代表選出議員ごとに一人一票とし、同時に選挙を行うものとした(三一条、三六条)。小選挙区選出議員の選挙(以下「小選挙区選挙」という。)については、同法別表第一(以下「本件別表第一」という。)のとおり全国に三〇〇の選挙区を設け、各選挙区において一人の議員を選出し(一三条一項)、投票用紙には候補者一人の氏名を記載させ(四六条一項)、有効投票の最多数を得た者をもって当選人とするものとした(九五条一項)。比例代表選出議員の選挙(以下「比例代表選挙」という。)については、全国に一一の選挙区を設け、各選挙区において所定数の議員を選出し(一三条二項、本件別表第二)、投票用紙には一の衆議院名簿届出政党等の名称又は略称を記載させ(四六条二項、八六条の二第一項)、得票数に応じて各政党等の当選人の数を算出し、あらかじめ届け出た順位に従って当選人の数に相当する当該政党等の名簿登載者(小選挙区選挙において当選人となった者を除く。)を当選人とするものとした(九五条の二第一項ないし第五項)。これに伴い、各選挙への立候補の要件、手続、選挙運動の主体、手段等についても、改定が行われた。
その後、衆議院議員の定数は、平成一二年法律第一号による改正(以下「平成一二年改正」という。)により二〇人削減されて四八〇名(小選挙区選出議員三〇〇人、比例代表選出議員(一八〇人)となった。
(4)  公選法八六条の二は、比例代表選挙における立候補につき、同条一項各号のいずれかに該当する政党その他の政治団体のみが順位を付した候補者の名簿(衆議院名簿)を届け出ることができ、届出をした政党その他の政治団体(衆議院名簿届出政党等)のうち小選挙区選挙において候補者の届出をした政党その他の政治団体(候補者届出政党)は、同時に行われる小選挙区選挙の届出に係る候補者を比例代表選挙の衆議院名簿登載者とすることができるものとし、両選挙に重複して立候補する者については上記名簿における当選人となるべき順位を同一のものとすることができるという重複立候補制を採用している。重複立候補者は、小選挙区選挙において当選人とされた場合には、比例代表選挙における当選人となることはできないが、小選挙区選挙において当選人とされなかった場合には、名簿の順位に従って比例代表選挙の当選人となることができ、後者の場合に、名簿において同一の順位とされた者の間における当選人となるべき順位は、小選挙区選挙における得票数の当該選挙区における有効投票の最多数を得た者に係る得票数に対する割合の最も大きい者から順次に定めるものとされている(九五条の二第三ないし第五項)。
公選法八六条の二第一項各号所定の要件のうち一号、二号の要件は、同法八六条一項一号、二号の要件と同一であるから、この要件を充足する政党等に所属する者は、小選挙区選挙及び比例代表選挙に重複して立候補することができるが、上記政党等に所属しない者は、同法八六条の二第一項三号所定の要件を充足する政党その他の政治団体に所属するものにあっては比例代表選挙又は小選挙区選挙のいずれかに、その他のものにあっては小選挙区選挙に立候補することができるにとどまり、両方に重複して立候補することはできない。また、上記の名簿に登載することができる候補者の数は、各選挙区の定数を超えることができないが、重複立候補者はこの計算上除外されるので、候補者届出政党の要件を充足した政党等は、上記定数を超える数の候補者を名簿に登載することができることとなる(同条五項)。
また、衆議院名簿届出政党等のすることができる自動車、拡声機、ポスターを用いた選挙運動や新聞広告、政見放送等の規模は、名簿登載者の数に応じて定められている(一四一条三項、一四四条一項二号、一四九条二項、一五〇条五項等)。そして、候補者届出政党は、小選挙区選挙の選挙運動をすることができるほか、衆議院名簿届出政党等でもある場合には、その小選挙区選挙に係る選挙運動が同法の許す態様において比例代表選挙に係る選挙運動にわたることを妨げないものとされている(一七八条の三第一項、なお、同条二項の規定を併せて「わたる規定」という。)。
三  原告らの主張
本件比例代表選挙の無効事由は次のとおりである。
(1)  ブロック単位の配分議員数が人口に比例していないこと(無効事由の一)
ア 議会制民主主義を採る日本国憲法の下においては、国権の最高機関である国会を構成する衆議院及び参議院の各議員を選挙する権利は、国民の国政への参加の機会を保障する基本的権利であって、憲法は、その重要性にかんがみ、これを国民固有の権利であると規定した(一五条一項)上、一四条一項が定める法の下の平等の原則の政治の領域における適用として、成年者による普通選挙を保障するとともに、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって選挙人の資格を差別してはならないと定めている(一五条三項、四四条ただし書)。この選挙権の平等の原則は、単に選挙人の資格における上記のような差別を禁止するにとどまらず、選挙権の内容の平等すなわち投票価値の平等をも要求するものである。この投票価値の平等の要請は、選挙区の違いにかかわらず、選挙人の投票の有する影響力は可及的に均一であることを要求し、そのためには、各選挙区の人口に比例して議員数を配分することを要請する。
イ しかるに、本件別表第二の選挙区に相当する区域(ブロック)において、本件別表第一により当該ブロック内の小選挙区に配分された議員総数と本件別表第二により当該ブロックに配分された比例代表の議員数の和(ブロック法定配分)は、人口に比例して配分されていない。
選挙区に配分する議員数は、全国人口を議員総数で除した基準人数に一議員を配分する方法によるべきであり、大正一四年及び昭和二二年の衆議院議員の再配分、昭和二二年の参議院議員の配分、平成六年の衆議院比例代表選出議員の配分、平成一二年の衆議院比例代表選出議員の再配分及び平成一四年の衆議院比例代表選出議員の配分是正は、いずれもこの方法によっている。
別紙一覧表は、平成一七年国勢調査人口を基に、ブロックを単位とし、人口の多い順に全国一一ブロックを並べ換え、全国人口一億二七七六万七九九四人を議員総数四八〇人で除した数値二六万六一八三(小数点以下四捨五人)を「基準人数」とし、この「基準人数」で各ブロックの人口を除して、各ブロックに本来配分されるべき適正な議員数を「最大剰余法による再配分」欄の「再配分議員数」という概念で表し、現実の「ブロック法定配分」とあるべきブロック別の議員数(再配分議員数)との乖離の程度を「再配分議員数との差」欄に表したものである。
これにより、「再配分議員数」と「ブロック法定配分」を対比すると、近畿ブロックでは二人、南関東ブロックでは三人、東海ブロックでは三人、北関東ブロックでは一人、東京都ブロックでは五人、北海道ブロックでは一人の議員数がそれぞれ不足し、九州ブロックでは四人、東北ブロックでは三人、北陸信越ブロックでは二人、中国ブロックでは二人、四国ブロックでは四人の議員数がそれぞれ過剰となっている。
さらに、別紙一覧表の「ブロック法定配分」を見ると、九州ブロックより人口数(平成一七年国勢調査人口)が多い南関東ブロックや東海ブロックにはそれぞれ五六人、五四人の議員数しか配分されていないのに対し、九州ブロックでは五九人の議員数が配分されるという逆転現象も生じている。この逆転現象は、人口分布に比例させずに議員定数を配分するものであり、明らかに人口比例の原則に反し、前記投票価値の平等の要請を侵害するものである。
ウ 被告は、小選挙区選挙と比例代表選挙は別個独立のものであるとして、当該ブロック内の小選挙区選出の議員数と比例代表選出の議員数を併せたブロック数を比較することは無意味である旨主張する。
しかし、憲法自体、衆議院議員につき小選挙区選出議員と比例代表選出議員の地位、任期、権能につき差異を設けておらず、小選挙区選挙と比例代表選挙が相まって衆議院議員総選挙を構成する。衆議院議員選挙は、衆議院議員全員を一つの組織、機関と考えており、その組織、機関を公正かつ効果的な代表者で構成させるための制度であるから、議員定数の配分については、小選挙区選挙と比例代表選挙とは一つの衆議院選挙と考えるべきである。また、小選挙区制と比例代表制の並行制は、一方で民意の集約を図り、他方で民意の忠実な反映を図って、両者相まって公正かつ効果的な代表を創出しようとするものであるから、機能的にみても両者は不可分一体である。公選法の重複立候補制において小選挙区の当選人の更正決定や小選挙区の当選人の繰上補充の規定は、一方の当選の効力が他方の当選に消長を来す制度となっており、公選法二〇八条一項ただし書、九八条一項後段の規定からも、両者が一体であることは明らかである。したがって、議員定数の配分については、各ブロック間の法定配分議員数を比較すべきであり、被告の主張は失当である。
以上のとおり、本件別表第一と本件別表第二による選挙区及び議員定数の配分の定めは、憲法の保障する投票価値の平等に反するもので、違憲無効な立法であり、これに基づき施行された本件比例代表選挙もまた、違憲無効な選挙である。
(2)  比例代表と小選挙区との配分が恣意的であること(無効事由の二)
平成六年改正法では、議員定数五〇〇人を小選挙区選出議員三〇〇人、比例代表選出議員二〇〇人と定めたが、平成一二年改正では、比例代表選出議員のみが二〇〇人から一八〇人に削減された。そもそも、平成六年改正法が、旧来の中選挙区単記記名式投票制の選挙制度を小選挙区制と比例代表制の並立制としたのは、前者で民意の集約を図り、後者で民意の忠実な反映を図り、両者相まって同改正法が目的とする公正かつ効果的な代表を創出せんとするものである。そうであるならば、小選挙区と比例代表の議員数の配分比率は、本来、同比率であるべきであり、少なくとも平成六年改正法の三対二の比率の均衡を崩すべきではなく、議員定数(総数)の削減をするならば、上記の割合に従い、小選挙区、比例代表それぞれから削減するのが最も合理的である。
平成一二年改正法は、議員定数(総数)の削減にあたり、小選挙区選出議員からの反発、議員数削減に伴う選挙区割りの変更を避けるべく、安易に比例代表選出議員の議員数のみを削減したものであり、しかも、その審議経過からすると、およそ国会が正当に考慮しうる事項を考慮して、公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するために適切な選挙制度の仕組みを決定(後記最高裁判所平成一一年一一月一〇日大法廷判決)したものとはいえない。
したがって、平成一二年改正法におけるこのような恣意的な小選挙区と比例代表の議員数の配分は、国会の裁量権を逸脱し違憲である。
(3)  重複立候補制の違憲無効(無効事由の三)
ア 重複立候補制は、選挙人の投票意思を歪めるものであり、以下のとおり、憲法前文、四三条一項、一四条一項、一五条三項及び四四条に違反する。
(ア) 憲法前文は、国民民主主義を掲げ、その普遍的原理の具体化として、憲法四三条一項で「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と規定する。しかるに、重複立候補制においては、小選挙区における落選者が、各政党の名簿の順位如何によって、あるいは同順位の場合には「惜敗率」などという計数的偶然性によって復活当選するという制度的な可能性を是認するものであり、極めて不合理かつ不可思議な制度であり、憲法前文にいう「正当に選挙された」というには程遠いものである。
(イ) 重複立候補制を利用する重複立候補者は、そうでない立候補者と比べると、一回の選挙において二回の立候補を認められるに等しいものであり、被選挙権が、重複立候補をしない者に比し、その二倍を与えられたのと同じ効果を持つことになる。
選挙人から重複立候補制を見た場合、小選挙区で落選した重複立候補者に投じた一票が、結果的には比例代表選挙についても一票を投票したのと同じ効果を生じるのに対し、小選挙区選挙にのみ立候補した者に投票した選挙人は、比例代表選挙について何の影響力も行使できないのであり、両者を差別的に取り扱い、小選挙区選挙に落選した重複立候補者に投票した選挙人に、投票権を複数与えたのと同一の効果を認めることとなる。
このように投票の効果が異なる投票制度を認めることは、憲法一四条の法の下の平等の原則及びこれを政治の領域において具現化した憲法一五条三項、四四条ただし書に反する。
(ウ) そもそも「選挙」ないし「投票」は、立候補者が代表者として適任であるかどうかを選挙人に判断させ、適任者を当選させることのみならず、不適格者を落選させることをもその目的とするものであるが、重複立候補制は、小選挙区選挙で特定候補者を落選させたにもかかわらず、その落選候補者が比例代表選出議員として当選する可能性を残す制度であり、これは国民の意思表示を適正に評価せず、その意思に反する評価を行うものであって、到底、正当な選挙制度とはいえない。
(エ) 小選挙区で落選した候補者が比例代表選挙で復活当選した場合、復活当選が生じた選挙区は、複数の議員を選出したことにより、人口比例配分原則を侵害する。本件総選挙では、復活当選により、小選挙区三〇〇のうち九五の選挙区において複数の議員が選出されている。
重複立候補により復活当選した議員は、比例代表選挙で選出されたにもかかわらず、小選挙区選出議員と同じ地域代表的性格を有しており、広い範囲の国民の意思を反映する機能を果たしておらず、重複立候補者に小選挙区の選挙運動、政治活動を重視させることになるから、比例代表選挙の趣旨に反し、民主主義に反する。本件総選挙では、復活当選議員が比例代表選挙選出議員一八〇人のうち二分の一以上の九七人を占めている。
イ 直接選挙制の侵害
公選法の重複立候補制においては、選挙の時点では名簿の順位が確定しておらず、その順位は、小選挙区選挙の結果に左右されるという不確定的又は条件付きのものであり、およそ国民が順位の確定した名簿を見た上で投票する制度であるとはいえない。このように有権者の候補者特定に関する投票意思をないがしろにする重複立候補制を採用したのは、政党にとって必要な候補者を確保できるようにしようとする趣旨ではあるが、いかに「政党本位」といえども憲法が国民に保障する基本権に優越するものではなく、国民の投票意思を曲げ、いわば候補者選択につき白紙委任を取り付けるような制度は、政党が当選者を選ぶのに等しく、まさしく実質的な間接選挙であり、重複立候補制は、明らかに憲法四三条一項、一五条一項、三項により保障された国民の衆議院議員を直接選挙する権利を侵害するものである。
ウ 立候補、選挙運動における差別的取扱い
(ア) 候補者届出政党に属する候補者は重複立候補をすることが認められるのに対し、それ以外の候補者は重複立候補の機会がない。
(イ) 選挙運動における差別的取扱いは次のとおりである。
小選挙区選挙においては、候補者届出政党は、①選挙事務所を設置することができ、②政党演説会、街頭演説会を行うことができ、③原則として、候補者を届け出た都道府県ごとに当該都道府県における候補者の数に応じて自動車等の使用、文書図画の頒布及び掲示、新聞広告、政見放送をすることができる。特に政見放送は候補者届出政党のみに認められ、候補者個人には認められていない。
比例代表選挙においては、衆議院名簿届出政党等のうち候補者届出政党でないもの(三号団体)は、重複立候補者を立てることができないため、候補者届出政党より名簿登載者の数が少なくなり、その結果、①自動車、船舶及び拡声機の使用、②選挙運動用のポスターの枚数、③新聞広告、④政見放送、⑤選挙公報の発行において量的に不利益な取扱いがされている。
重複立候補者は、公選法一七八条の三第一項の「わたる規定」により、比例代表選挙の選挙運動においても小選挙区選挙の選挙運動を行うことができるが、そうでない候補者はかかる選挙運動が禁止されている。
(ウ) 上記の差別的取扱いは、既成政党に極めて有利であり、政党本位の選挙という立法目的に藉口し、新たな政治団体の衆議院議員選挙への参入を妨げるものであり、立法目的と手段との合理的関連性を見いだせない。また、上記差別的取扱いは、選挙人が候補者に関する判断材料を適正かつ公平に受領する機会を妨げ、選挙人による選挙権の十全な行使を侵害するものであって、憲法一五条一項、三項、四四条、一四条一項、四七条、四三条一項に違反する。
エ 以上のとおり、重複立候補制を採用した公選法八六条の二第四項は、前記憲法前文、四三条、一四条その他の条項に違反する違憲無効な立法であり、上記公選法の規定に基づき行われた本件比例代表選挙もまた、違憲無効な選挙である。
(4)  その他の無効事由
ア 南関東選挙区は、千葉県、神奈川県及び山梨県の三県で構成されるが、互いに飛び地の関係にあり、山梨県と千葉県、神奈川県との関連性がどこにあるのか不明であって、政党の利害関係によるものと考えられ、立法裁量権を逸脱している。
イ 原告X3(以下「原告X3」という。)の主張
本件比例代表選挙では、本来は比例代表で議席を得るはずの政党が、候補者不足などが原因でその議席を他党に明け渡すといういわゆる「棚ぼた当選」が、近畿選挙区で三議席、東海選挙区で一議席あった。このような結果を許す現行の比例代表制は、民意を正確に反映せず、選挙権の行使を無意味とするもので、憲法一五条、四三条一項に違反する。
四  被告の主張
(1)  選挙制度に関する国会の裁量権
代表民主制の下における選挙制度は、選挙された代表者を通じて国民の利害や意見が公正かつ効果的に国政の運営に反映されることを目標とし、他方、政治における安定の要請をも考慮しながら、それぞれの国において、その国の実情に即して具体的に決定されるべきものであり、そこに論理的に要請される一定不変の形態が存在するわけではない。
このような理由から、日本国憲法もまた、国会の両議院の議員の選挙について、およそ議員は全国民を代表するものでなければならないという制約の下で、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(四三条、四七条)、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を原則として国会の広い裁量にゆだねられている。
このように、国会は、その裁量により、衆議院議員及び参議院議員それぞれについて公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するために適切な選挙制度の仕組みを決定することができるのであるから、国会が新たな選挙制度の仕組みを採用した場合には、その具体的に定めたところが、上記の制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反するため、上記のような国会の広い裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるものと解すべきである。
(2)  無効事由一(ブロック単位の配分議員数が人口に比例していないこと)に対する反論
公選法の採用する小選挙区比例代表並立制においては、小選挙区選挙と比例代表選挙とは、選挙運動期間は同一であるものの、それぞれの選挙ごとに選挙区、立候補手続等が定められ、選挙人もそれぞれの選挙ごとに投票するものとされているのであり、両選挙は、別個独立の選挙であって、選挙人は、それぞれの選挙において別個の選挙権を行使するのであるから、選挙が憲法の要求する投票価値の平等に反しているか否かを評価するに際しても、それぞれの選挙ごとに別個独立に評価すべきである。
そして、本件選挙における比例代表選挙の選挙区間の較差についてみると、本件総選挙の直近の旧統計法四条一項、二項に基づく国政調査(平成一七年実施)の結果を基準とした本件別表第二による選挙区割における議員一人当たりの人口については、同人口が最多の東京都選挙区と最少の四国選挙区との間の較差は一・〇八六倍にすぎず、この較差が投票価値の平等を損なうことはない。
したがって、本件別表第二の定めは、国会の立法裁量の範囲を逸脱するものではなく、憲法の各規定に反するものではない。
(3)  無効事由二(議員定数についての平成一二年改正法に関する国会の裁量権の逸脱)について
平成一二年改正は、我が国の経済的社会的諸条件すなわち中央省庁の改革、国家公務員の定数削減等や地方議会議員等の削減など、また、民間における経営の合理化や組織全体の改革が進められる中、まず国会議員自らが改革の先頭に立って範を示し、各般の改革を求めるべきとの見地、さらには国民世論の七割近くが定数を削減すべきであるとするなどの声があることや現実の政治状況に照らし、衆議院比例代表定数の一割である二〇人を削減することが喫緊の課題であることを考慮して、比例代表選出議員の人数を二〇〇人から一八〇人に減じたものであり、立法目的において合理性を有することは多言を要せず、平成一二年改正が国会の合理的裁量を逸脱したものとは到底認められない。
(4)  無効事由三(重複立候補制の違憲無効)に対する反論
ア 公選法八六条の二第四項は重複立候補制を採用したが、これは小選挙区選挙において候補者届出を行うことができる政党が小選挙区の候補者として届け出た者のうち「当選させたい者」を同時に比例代表選挙における名簿登載者とすることにより、その者が小選挙区選挙において落選しても比例代表選挙において当選人となる可能性を与えることができることとし、政党に対して、政党がその裁量によって衆議院議員としてその活動が必要と考える者の当選の可能性を高めることを認める趣旨の制度であって、平成六年改正法が実現を目指した政策本位、政党本位の選挙制度の一環をなすものである。
イ ところで、選挙制度の仕組みを具体的に決定することは国会の広い裁量にゆだねられているのであり、同時に行われる二つの選挙に同一の候補者が重複して立候補することを認めるか否かは、選挙制度の仕組みの一つとして、国会が裁量により決定することができる事項である。憲法は、政党について規定するところはないが、政党の存在を当然に予定しているものであり、政党は、議会制民主主義を支える不可欠の要素であって、国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である。憲法は、その二一条からも明らかなように、個人が政党を結成し、政党を通じて選挙運動を行うことを認めているのであり、政党に対し、議会制民主主義を支える担い手として、積極的かつ健全な活動を期待していると解される。このような議会制民主主義における政党の重要性に照らすと、公選法が重複立候補制を採用したことは、それ自体、何ら選挙制度に関する国会の立法裁量権の範囲を逸脱するものではない。
また、前記のとおり、公選法が採用する小選挙区比例代表並立制においては、小選挙区選挙と比例代表選挙とは、選挙運動期間は同一であるものの、それぞれの選挙ごとに選挙区、立候補手続等が定められ、選挙人もそれぞれの選挙ごとに投票するものとされているのであり、両選挙は別個独立の選挙であるから、小選挙区選挙で落選した者が比例代表選挙で当選したとしても何ら不合理ではないし、すべての選挙人がそれぞれの選挙において、別個の選挙権を行使するのであるから、一部の選挙人に複数の選挙権を与えたものでもないことも明らかである。
ウ 直接選挙とは、選挙人が議員その他の公務員を直接選挙する制度であり、これに対して間接選挙とは、選挙人が議員その他の公務員を選挙するに際し、中間選挙人を選挙し、中間選挙人がその意思に基づいて当選者を選挙する制度をいうのであって、両者は、選挙人の投票意思と投票結果との間に何らかの中間意思が介在するか否かで区分されるものであるから、選挙人の投票意思と投票結果との間に中間意思の介在しない重複立候補制が直接選挙であることは明らかである。
また、比例代表選挙においては、名簿届出政党等は、当該選挙の期日の公示又は告示があった日に、当該選挙長に対して、当該政党その他の政治団体の名称並びにその所属する者の氏名及びそれらの者の間における当選人となるべき順位を記載した衆議院名簿を届け出なければならず(公選法八六条の二第一項、二項)、都道府県の選挙管理委員会は、衆議院名簿届出政党等の名称及び略称、政見、衆議院名簿登載者の氏名、経歴及び当選人となるべき順位等を掲載した選挙公報を、選挙ごとに、一回発行しなければならないこととされている(同法一六七条二項)のであるから、選挙の時点で名簿の順位が確定しないとの原告の主張は失当である。
なお、公選法八六条の二第六項は、同条一項一号又は二号に該当する政党その他の政治団体は重複立候補者について当選人となるべき順位を同一のものとすることを認めており、この規定により二人以上の衆議院名簿登載者について当選人となるべき順位が同一のものとされているときは、それらの者の間における当選人となるべき順位は、いわゆる惜敗率の最も大きい者から順次に定めるとされている。この限りにおいては、当選人となる者は小選挙区選挙の結果に左右されるということになるが、政党が衆議院議員としてその活動が必要であり、当選させたい者として衆議院名簿登載者とした重複立候補者について、政党があえて順位を定めることなく同一順位とし、小選挙区における有権者の支持の度合いが反映される惜敗率によって当選人となるべき順位を決定する方式には何ら不合理な点はない。そして、上記のとおり、衆議院名簿はあらかじめ公開されており、選挙人は、衆議院名簿登載者の順位及び同一順位について惜敗率による当選の決定があることを知り得ることにかんがみれば、公選法の採用する重複立候補制は、憲法四三条一項の定める直接選挙の要請に反するものではない。
エ 公選法八六条の二第四項は、同条一項一号又は二号に該当する政党その他の政治団体に所属する候補者に対して小選挙区選挙と比例代表選挙の双方の候補者となることを認めているのに、これらの要件を充足する政党等に所属しない者に対してはこのような例外を認めていない。しかし、このような候補者届出政党の要件は、国民の政治的意思を集約するための組織を有し、継続的に相当な活動を行い、国民の支持を受けていると認められる政党等が、小選挙区選挙において政策を掲げて争うにふさわしいものであるとの認識の下に、選挙制度を政策本位、政党本位のものとするために設けられたものと解されるのであり、政党の果たしている国政上の重要な役割にかんがみれば、選挙制度を政策本位、政党本位のものとすることは、国会の裁量の範囲に属する。したがって、同じく政策本位、政党本位の選挙制度というべき小選挙区選挙と比例代表選挙とに重複して立候補することができる者が候補者届出政党の要件と衆議院名簿届出政党等の要件の両方を充足する政党等に所属する者に限定されていることには、相応の合理性が認められるのであって、不当に立候補の自由や選挙権の行使を制限するとはいえず、これが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえない。
また、行うことができる選挙運動の規模が候補者の数に応じて拡大されるという制度は、衆議院名簿届出政党等の間に取扱い上の差異を設けるものではあるが、選挙運動をいかなる者にいかなる態様で認めるかは、選挙制度の仕組みの一部を成すものとして、国会がその裁量により決定することができるものというべきである。一般に名簿登載者の数が多くなるほど選挙運動の必要性が増大する面があることは否定することができないところであり、重複立候補者の数を名簿登載者の数の制限の計算上除外することにも合理性が認められるから、前記のような選挙運動上の差異を生ずることは、合理的理由に基づくものであって、これをもって国会の裁量の範囲を超えるとはいえず、これが選挙権の十全な行使を侵害するものでないことも、また明らかである。
なお、原告らは小選挙区選挙における差別的取扱いについて主張するが、比例代表選挙の無効を求める訴訟において、小選挙区選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることはできないなら、同主張は失当である。
(5)  その他の無効事由について
ア 東京都選挙区の比例代表選挙の無効を求める訴訟において、南関東選挙区の比例代表選挙の無効事由を理由とすることはできないから、原告らの主張は失当である。
南関東選挙区を構成する千葉県と神奈川県及び山梨県とは、地続きとなっていないが、経済関係や交通機関の状況などからも東京都を中心とする一団の地域であること、東京都への通勤圏内であること、おおむね各省庁の地方出先機関の同一管轄区域内にあること、東京都は全国人口のほぼ一〇分の一を占めているために一一ブロック制の中で他県と組み合わせるのが適当でないことから、独立した一ブロックとし、関東エリアを東京都選挙区、北関東選挙区、南関東選挙区に分け、南関東選挙区を千葉県、神奈川県及び山梨県の三県としたものである。
イ 原告X3の主張について
原告X3のいう「棚ぼた当選」は、公選法九五条の二第五項、第六項の規定による結果をいうものと解されるところ、本件比例代表選挙において東京都選挙区では「棚ぼた当選」の現象は生じておらず、東京都選挙区の選挙の結果に異動を及ぼすものではなく、同原告の主張は失当である。
なお、各政党等の当選人の数は名簿登載者以上の数とはならないことから、ある政党等に配分することが可能であった当選人の数が他の政党等に配分される現象は、重複立候補を認めるか否かにかかわらず生ずることであり、同原告の主張は政党に投票する比例代表選挙自体が違憲であるということになるが、公選法の採用する比例代表制が憲法に違反しないことは、最高裁判所平成一一年一一月一〇日大法廷判決が判示するところである。また、選挙人は、衆議院名簿を前提に投票しており、原告X3のいう「棚ぼた当選」も政党等の得票数を前提に生ずるものであり、公選法九五条の二第五項は民意をゆがめるものではなく、同条六項は、より的確な民意の反映の方法の一つとして規定されたものであり、憲法一五条、四三条一項に反するものではない。
第三  当裁判所の判断
一  代表民主制の下における選挙制度は、選挙された代表者を通じて、国民の利害や意見が公正かつ効果的に国政の運営に反映されることを目標とし、他方、政治における安定の要請をも考慮しながら、それぞれの国において、その国の実情に即して具体的に決定されるべきものであり、そこに論理的に要請される一定不変の形態が存在するわけではない。憲法もまた、上記の理由から、国会の両議院の議員の選挙について、およそ議員は全国民を代表するものでなければならないという制約の下で、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(四三条、四七条)、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を原則として国会の広い裁量にゆだねている。このように、国会は、その裁量により、衆議院議員及び参議院議員それぞれについて公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するために適切な選挙制度の仕組みを決定することができるのであるから、その具体的に定めたところが、上記の制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反するため国会の上記のような広い裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるものと解される(最高裁判所平成一一年一一月一〇日大法廷判決・民集五三巻八号一五七七頁)。
上記の見地に立って、原告らの主張について検討する。
二  ブロック単位の配分議員数が人口に比例した配分がされていないこと(無効事由の一)について
原告らは、全国一一のブロック単位で見たとき、各ブロックの議員数が人口に比例して配分されておらず、また、それぞれのブロックの人口と議員定数を比較すると、人口の多いブロックの議員定数が人口の少ないブロックの議員定数よりも少ないという逆転現象が生じているから、本件別表第二の選挙区及び議員数の定めは、投票価値の平等の要請を侵害する旨主張する。
しかし、公選法は、衆議院議員の定数を四八〇人とし、そのうち、三〇〇人を小選挙区選出議員、一八〇人を比例代表選出議員とした(四条一項)上、前者の選挙区割りを本件別表第一で定め(一三条一項)、後者の選挙区割り及び議員数を本件別表第二で定めて(一三条二項)、選挙区割りを異にする二つの選挙としたものであるから、二つの選挙の議員定数を一方の選挙の選挙区ごとに合計して当該選挙区の人口と議員定数との比率の平等を問題とすることには合理性がないし、比例代表選挙の無効を求める訴訟においては、小選挙区選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることはできない。原告らは、小選挙区選挙と比例代表選挙とが不可分一体であるとして上記のとおり主張するけれども、公選法の定める衆議院議員選挙の仕組みは上記のとおりであるから、採用することができない。
そして、本件比例代表選挙についてみれば、直近の平成一七年度国勢調査人口(確定値)によると、本件別表第二に定める各選挙区及び議員定数において、議員一人当たりの人口数を比較すると、最少である四国選挙区と最多である東京都選挙区との間の較差(最大較差)は一・〇八六であり(争いがない。)、投票価値の平等を損なうところがあるとは認められない。
したがって、本件別表第二による選挙区及び議員定数の配分の定めが憲法の保障する投票価値の平等に違反するとの原告の主張は、採用できない。
三  平成一二年改正に関する国会の裁量権の逸脱(無効事由の二)について
原告らは、小選挙区と比例代表の議員数の配分比率は、本来、同じであるべきであり、少なくとも平成六年改正法の三対二の比率を崩すべきではなく、議員定数(総数)の削減をするならば、上記の割合に従い、小選挙区、比例代表それぞれから削減するのが最も合理的であるのに、平成一二年改正で比例代表選出議員のみを二〇〇人から一八〇人に減じたことは、国会の裁量権を逸脱すると主張する。
しかし、小選挙区比例代表並立制の下で、小選挙区選出議員の定数と比例代表選出議員の定数の比率をどのように定めるかについては、憲法上の定めはなく、小選挙区比例代表並立制の制度の理念から必然的に定まるものでもないし、制度創設時の上記比率を変更することが許されないとする理由もないのであって、これを具体的にどのように決めるかは、国会の裁量にゆだねられているものと解される。
平成一二年改正により、比例代表選出議員の定数を二〇人減じ、小選挙区選出議員三〇〇人、比例代表選出議員一八〇人としたことは前記第二の二(3)のとおりであるが、その結果、小選挙区比例代表並立制を採る意義が失われたといえないことも明らかであり、同改正が比例代表選出議員の定数のみを減ずるものであったからといって、国会の裁量権を逸脱するということはできない。
四  重複立候補制の違憲無効(無効事由の三)について
(1)  原告らは、重複立候補制は、①小選挙区における落選者が、各政党の名簿の順位如何によって、あるいは同順位の場合には「惜敗率」などという計数的偶然性によって、復活当選するという制度的な可能性を是認するものであるから、憲法前文にいう「正当に選挙された」というには程遠い選挙制度である、②重複立候補者がそうでない立候補者に比べ、一回の選挙において二回の立候補を認められるに等しく、また、小選挙区で落選した重複立候補者に投票した選挙人に、投票権を複数与えたのと同一の効果を認めるものである、③小選挙区選挙で特定候補者を落選させたにもかかわらず、その落選候補者が比例代表選挙選出議員として当選することができ、国民の意思表示を適正に評価せず、かえって、その意思に反する評価を行うものであり、選挙人の投票意思を歪めるものであるなどと主張し、憲法前文、四三条一項、一四条一項、一五条三項、四四条に違反する旨主張する。
しかし、小選挙区選挙において落選した者であっても比例代表選挙の名簿順位によっては同選挙において当選人となることができるものとしたことについては、小選挙区選挙において示された民意に照らせば、議論があり得るところであるが、同時に行われる二つの選挙に同一の候補者が重複して立候補することを認めるか否かは、国会が裁量により決定することができる事項である。公選法八七条は重複立候補を原則として禁止しているが、これは憲法から必然的に導き出される原理とはいえず、立法政策としてそのような選択がされているものであり、同法八六条の二第四項がこれに例外を設けたことが憲法に反するとはいえない。そして、重複して立候補することを認める制度においては、一つの選挙において当選人とされなかった者が他の選挙において当選人とされることがあることは、当然の帰結である。また、重複して立候補することを認める制度の下で、当選人をどのように定めるかの方法の選択は、国会が裁量により決定することができる事項であり、公選法九五条の二第三項に規定する当選人を定める方式は、得票数を基礎とした客観的基準による合理性のある方式といえるから、憲法前文、四三条、一四条一項、一五条三項、四三条に違反するとはいえない。
(2)  原告らは、公選法の定める重複立候補制度においては、選挙の時点で候補者名簿の順位が確定しておらず、その順位は、小選挙区選挙の結果に左右されるという不確定な又は条件付きのものであり、選挙人が、特定の候補者の選択を政党に一任するに等しいものであって、直接選挙とはいえないから、憲法四三条一項、一五条一項、三項に違反する旨主張する。
しかし、政党等にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない。複数の重複立候補者の比例代表選挙における当選人となるべき順位が名簿において同一のものとされた場合には、その者の間では当選人となるべき順位が小選挙区選挙の結果を待たないと確定しないことになるが、結局のところ当選人となるべき順位も投票の結果によって決定されるから、比例代表選挙が直接選挙に当たらないということはできない。
したがって、公選法の定める重複立候補制、比例代表制が上記の点で憲法四三条一項、一五条一項、三項に違反する旨の原告の主張は採用できない。
(3)  原告らは、重複立候補制度が、候補者届出政党及び重複立候補者とそれ以外の団体等又はその候補者とを差別的に取り扱い、ひいては選挙人の選挙権の十全な行使を侵害するものであるから、憲法一五条一項、三項、四四条、一四条一項、四七条、四三条一項に違反する旨主張する。
衆議院議員選挙において重複立候補をすることができる者は、公選法八六条一項一号、二号所定の要件を充足する政党その他の政治団体に所属する者に限られており、これに所属しない者は重複立候補をすることができないものとされているところ、被選挙権又は立候補の自由が選挙権の自由な行使と表裏の関係にある重要な基本的人権であることにかんがみれば、合理的な理由なく立候補の自由を制限することは、憲法の要請に反するといわなければならない。しかしながら、上記要件は、国民の政治的意思を集約するための組織を有し、継続的に相当な活動を行い、国民の支持を受けていると認められる政党等が、小選挙区選挙において政策を掲げて争うにふさわしいものであるとの認識の下に、選挙制度を政策本位、政党本位のものとするために設けられたものと解されるのであり、選挙制度を政策本位、政党本位のものとすることは、国会の裁量の範囲に属することが明らかである。したがって、同じく政策本位、政党本位の選挙制度というべき比例代表選挙と小選挙区選挙とに重複して立候補することがきる者が、上記候補者届出政党の要件と衆議院名簿届出政党等の要件の両方を充足する政党等に所属する者に限定されていることには、相応の合理性が認められるのであって、不当に立候補の自由や選挙権の行使を制限するとはいえず、これが国会の裁量権の限界を超えるものとは解されない。
また、重複立候補者の数が名簿登載者の数の制限の計算上除外される結果、衆議院名簿届出政党等のうち候補者届出政党の要件を備えたものは、これを備えないものより規模の大きな選挙運動を行うことができることとなるが、名簿登載者の数が多くなるほど選挙運動の必要性が増大するという面があり、上記の除外にも合理性が認められるから、上記のような差異を設けたことが憲法一五条一項等に違反するとはいえないし、選挙人の選挙権の十全な行使を侵害するものでもない。
なお、原告らの選挙運動における差別的取扱いの主張のうち小選挙区における選挙運動に係るものは、比例代表選挙の無効を求める訴訟においては、失当な主張である。
五  その他の無効事由の主張について
(1)  原告らは、南関東選挙区は、千葉県、神奈川県及び山梨県の三県で構成されるが、互いに飛び地の関係にあり、山梨県と千葉県、神奈川県との関連性がどこにあるのか不明であって、政党の利害関係によるものと考えられ、立法裁量権を逸脱していると主張する。
なるほど南関東選挙区を構成する三県のうち、千葉県は神奈川県及び山梨県と接していないが、いずれも、その人口等から独立の選挙区とすることが適当と考えられる東京都とともに経済的、社会的に密接な関係を持つ地域を構成しており、本件別表第二の一一の各選挙区の人口規模の均衡や地理的近接等を考えると(なお、この選挙区割りは、第八次選挙制度審議会の平成二年四月二六日付け答申(乙三)におけるものと同じである。)、南関東選挙区を千葉県、神奈川県及び山梨県と定めたことが国会の裁量権を逸脱濫用したものということはできない。
(2)  原告X3は、衆議院名簿届出政党等の当選人の数が名簿登載者以上の数とはならないことから、公選法九五条の二第五項、第六項の規定により、ある政党等に配分することが可能であった当選人の数が他の政党等に配分されること(同原告のいう「棚ぼた当選」)の問題を主張する。
しかし、本件比例代表選挙において東京都選挙区に同主張の事態は生じていない上、そうした事態は、衆議院名簿届出政党等の名簿登載者が結果として過少であったことにより生ずるのであり、公選法の規定ないし制度の仕組みが憲法に違反するということはできないから、同主張は失当というべきである。
六  以上のとおり、本件比例代表選挙の東京都選挙区における選挙が無効であると認めることはできないから、原告らの請求は理由がない。
よって、原告らの請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 鈴木健太 裁判官 髙野伸 後藤健)

 

別紙 当事者目録
原告 X1〈他8名〉
原告ら(原告X1を除く。)訴訟代理人弁護士 X1
原告ら(原告X2を除く。)訴訟代理人弁護士 X2
被告 中央選挙管理会
同代表者委員長 A
同指定代理人 吉田俊介〈他5名〉
別紙 一覧表《省略》

 

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