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「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(97)平成20年10月 8日 東京地裁 平13(ワ)12188号 各損害賠償請求事件

「政治活動 選挙運動」に関する裁判例(97)平成20年10月 8日 東京地裁 平13(ワ)12188号 各損害賠償請求事件

裁判年月日  平成20年10月 8日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平13(ワ)12188号・平14(ワ)21402号
事件名  各損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2008WLJPCA10088009

要旨
◆杉並区議会議員とその所属する政治団体の後援会の会長、事務局長又は会員である原告らが、警視庁の警察官らが原告の選挙活動を妨害する目的で、違法に捜索差し押さえをするなどしたため原告らが精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条に基づき、慰謝料の支払いを求めた事案において、本件差し押さえに至る経緯等からすれば、捜索差し押さえの必要性が認められ、手段も違法なものではないとして原告らの請求を棄却した事例

参照条文
国家賠償法1条

裁判年月日  平成20年10月 8日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平13(ワ)12188号・平14(ワ)21402号
事件名  各損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2008WLJPCA10088009

東京都杉並区〈以下省略〉
原告 結柴誠一
同訴訟代理人弁護士 葉山岳夫
同 有賀信勇
同 一瀬敬一郎
同 大口昭彦
同 鈴木達夫
東京都杉並区〈以下省略〉
原告 X1
東京都杉並区〈以下省略〉
原告 X2
東京都杉並区〈以下省略〉
原告 X3
上記4名訴訟代理人弁護士 西村正治
同 荒木昭彦
同 浅野史生
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 東京都
同代表者知事 石原慎太郎
同指定代理人 小嶋稔
同 鬼倉慎次郎
同 鎌田信一
同 長谷川博省
同 羽谷恵一
同 久保川慎治
同 錦織慶輔

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  当事者の求めた裁判
1  原告ら
(1)  被告は,原告結柴誠一に対し,400万円及び内金300万円に対する平成13年6月22日から,内金100万円に対する平成14年10月22日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)  被告は,原告X1,原告X2及び原告X3に対し,それぞれ100万円及びこれに対する平成14年10月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)  訴訟費用は被告の負担とする。
(4)  仮執行宣言
2  被告
(1)  主文同旨
(2)  仮執行免脱宣言
第2  事案の概要
本件は,杉並区議会議員である原告結柴誠一(以下「原告結柴」という。)とその所属する政治団体「都政を革新する会」(以下「都革新」という。)の後援会の会長,事務局長又は会員であるその余の原告らが,警視庁の警察官らにおいて,東京都議会議員選挙に立候補した原告結柴の選挙活動を妨害する目的で,犯罪の嫌疑,捜索差押えの必要性及び証拠物の存在する蓋然性がないのに,違法に都革新の事務所や原告らの住居に対する捜索差押許可状の発付を受けた上,建物の壁を破壊し,被疑事実と関連性のない証拠物を差し押さえるなどの違法な方法でその執行をし,また,捜査と称して,原告結柴が立候補予定の選挙区内の住民宅を戸別訪問して原告結柴を誹謗中傷したり,原告結柴の街頭宣伝活動を妨害したりしたために,原告らが精神的損害を被ったと主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,原告結柴について400万円,その余の原告らについて各100万円の慰謝料及びこれらに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1  前提となる事実(証拠を掲げたもの以外は,争いがない。)
(1)  当事者
ア 原告結柴は,都革新の元事務局長であり,平成3年から平成13年まで3期杉並区議会議員を務めた後,平成13年の東京都議会議員選挙(同年6月15日告示,同月24日投票)に立候補した者である。
イ 原告X1(以下「原告X1」という。)は,杉並区内でクリーニング店を経営し,都革新後援会の会長を務めている者である。
ウ 原告X2(以下「原告X2」という。)は,杉並区内でワインの輸入業を営み,都革新後援会の事務局長を務めている者である。
エ 原告X3(以下「原告X3」という。)は,都革新後援会の会員である。
オ 被告は,警視庁を設置し,これに所属する地方公務員をして,犯罪の予防・捜査等の警察活動を行わせている。
(2)  本件各被疑事件の発生
ア 第1被疑事件
平成10年7月29日午前3時15分ころ,神奈川県横浜市〈以下省略〉所在の運輸省海上交通局海事産業課長A1方玄関先に,時限発火装置2個を設置し,時限の到来とともに発火炎上させ,同人ら家族が居住する家屋の一部を焼損するとともに,同日午前3時30分ころ,玄関から出て消火活動をしようとしたA1の左足拇指底部に,全治2週間の治療を要する熱傷を負わせたとの現住建造物放火,障害及び火炎瓶の使用等の処罰に関する法律違反被疑事件(以下「第1被疑事件」という。)が発生した(乙26,39)。
イ 第2被疑事件
A2は,平成11年6月29日に府中試験場で運転免許証の更新申請をするに当たり,真実は「東京都杉並区○○1-32-40」が住所でないのに,運転免許証更新・講習受講申請書の住所等の異動届欄を空欄のままにし,異動事項はないとして,東京都公安委員会発行の運転免許証の住所欄に「東京都杉並区○○1-32-40」との記載をさせたとの電磁的公正証書原本不実記録被疑事件(以下「第2被疑事件」という。)により,通常逮捕された(乙38,証人A3)。
ウ 第3被疑事件
A4について,平成11年8月27日に杉並区役所で住所異動の申請をするに当たり,真実は「東京都杉並区○○1-32-40」が住居でないのに,「東京都杉並区○○1-32-40長谷川荘」を新住所とする住所移動の申請手続を行い,その内容を公正証書の原本である電磁的記録の住民票(磁気ディスク)に記録させ,即日同所に備え付けさせ,また,同日,江東試験場で運転免許証の更新申請をするに当たり,真実は「東京都杉並区○○1-32-40長谷川荘」が住所でないのに,運転免許申請書の新住所欄に「東京都杉並区○○1-32-40長谷川荘」と記載し,東京都公安委員会発行の運転免許証の住所欄に「東京都杉並区○○1-32-40長谷川荘」との記載をさせたとの電磁的公正証書原本不実記録被疑事件(以下「第3被疑事件」という。)により,平成12年10月6日に逮捕状が発付された(乙39,証人A5)。
エ 第4被疑事件
平成11年12月13日午前4時5分ころ,千葉県成田市〈以下省略〉所在の千葉県議会議員湯浅信一方住居兼店舗において,時限式発火装置を設置作動させて火を放ち,同住居兼店舗の外壁等を焼損させる現住建造物放火及び火炎瓶の使用等の処罰に関する法律違反被疑事件(以下「第4被疑事件」という。)が発生した(乙6,37)。
オ 第5被疑事件
A6は,平成12年3月27日に杉並区役所で住所移動の申請をするに当たり,真実は「東京都杉並区○○1-32-40」が住居でないのに,異動届出書の新住所欄に「東京都杉並区○○1-32-40長谷川荘」を新住所とする住所移動の申請手続を行い,その内容を公正証書の原本である電磁的記録の住民票(磁気ディスク)に記録させ,即日同所に備え付けさせたとの電磁的公正証書原本不実記録被疑事件(以下「第5被疑事件」という。)により,平成13年5月27日,通常逮捕された(乙38,証人A3)。
カ 第6被疑事件
平成12年8月26日午前2時50分ころ,東京都世田谷区〈以下省略〉所在の運輸省運輸政策局情報管理部情報企画課システム分析室長A7方敷地内に駐車中の同人所有の自家用普通乗用自動車に,時限式爆発物2個を設置し,時限の到来とともに爆発させ,同車両及び同人宅窓ガラス等を破壊する爆発物取締罰則違反被疑事件(以下「第6被疑事件」という。)が発生した(乙29,37,38,40,証人A8,証人A3)。
キ 第7被疑事件
A9は,平成13年4月10日午後3時27分ころ,日本銀行文書局管財課が管理し,関係者以外の立入りを禁止する旨の表示のある東京都杉並区〈以下省略〉所在の「日本銀行善福寺家族寮」に許可なく侵入したとの建造物侵入被疑事件(以下「第7被疑事件」という。)により,現行犯逮捕された(乙37)。
ク 第8被疑事件
A10は,平成13年7月31日に江東試験場で運転免許証の更新申請をするに当たり,真実は「東京都杉並区○○1-32-40」が住所でないのに,運転免許証更新・講習受講申請書の住所等の異動届欄を空欄のままにし,異動事項はないとして,東京都公安委員会発行の運転免許証の住所欄に「東京都杉並区○○1-32-40長谷川荘」との記載をさせたとの電磁的公正証書原本不実記録被疑事件(以下「第8被疑事件」という。)により,平成14年1月6日,通常逮捕された(乙38,証人A3)。
ケ 第9被疑事件
平成13年10月2日午前2時50分ころ,千葉県長生郡〈以下省略〉所在の千葉県企画部交通計画課主幹A11方敷地内に駐車中の自家用普通乗用車に時限式爆発物2個を設置し,時限の到来とともに爆発させ,同車両,車庫,同人宅軒裏,隣家の換気口等を破壊する爆発物取締罰則違反被疑事件(以下「第9被疑事件」という。)が発生した(乙33,38,証人A3)。
(3)  本件各捜索差押許可状の請求と発付
ア 警視庁公安部公安第一課長(以下「公安一課長」という。)は,平成11年6月24日,神奈川県警察本部警備部公安第三課長から,第1被疑事件の証拠物が存在すると認められる場所等に対する捜索を行い,同被疑事件の証拠物を押収してもらいたい旨の捜査嘱託を受けた(乙39,証人A5)。
警視庁公安部公安第一課A5警部(以下「A5警部」という。)は,平成12年6月5日,第1被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物をいずれも別紙(1)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を,それぞれ,① 原告X1の居宅,② 原告X3の居宅とした捜索差押許可状各1通(以下,これらの捜索差押許可状のうち,捜索すべき場所等を①とするもの(乙16)を「原告X1宅捜索差押許可状(第1被疑事件関係)」といい,②とするもの(乙17)を「原告X3宅捜索差押許可状(第1被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙16,17,39,証人A5)。
イ A5警部は,平成12年10月6日,第3被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物をいずれも別紙(3)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を,それぞれ,① 杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品,② 杉並共同購入会館の囲繞地内に駐車する車両並びに同車両に乗車する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状各1通(以下,これらの捜索差押許可状をまとめて「共同購入会館捜索差押許可状(第3被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙39,証人A5)。
ウ(ア) 警視庁公安部公安第一課A12警部(以下「A12警部」という。)は,平成13年3月19日,第6被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物をいずれも別紙(6)①記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を,それぞれ,① 杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品,② 杉並共同購入会館の囲繞地内に駐車する車両並びに同車両に乗車する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状各1通(以下,これらの捜索差押許可状をまとめて「共同購入会館捜索差押許可状(第6被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙18,23,37,証人A12)。
(イ) 警視庁荻窪警察署A8警部(以下「A8警部」という。)は,同日,第6被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(6)①記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を原告X1宅とした捜索差押許可状1通(以下「原告X1宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙19,40,証人A8)。
エ(ア) A12警部は,平成13年4月16日,第7被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物をいずれも別紙(7)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を,それぞれ,① 杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品,② 杉並共同購入会館の囲繞地内に駐車する車両並びに同車両に乗車する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状各1通(以下,これらの捜索差押許可状をまとめて「共同購入会館捜索差押許可状(第7被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙37,証人A12)。
(イ) A12警部は,同日,第7被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(7)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を東京都杉並区高円寺〈以下省略〉豊岡ビル3階所在の都革新事務所(以下「都革新高円寺事務所」という。)とした捜索差押許可状1通(以下「都革新高円寺事務所捜索差押許可状(第7被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙37,証人A12)。
オ 公安一課長は,平成13年5月10日,千葉県警察本部警備部公安第三課長(以下「千葉県警公安三課長」という。)から,第4被疑事件の証拠物が存在すると認められる場所等に対する捜索を行い,同被疑事件の証拠物を押収してもらいたい旨の捜査嘱託を受けた(乙37,証人A12)。
A12警部は,同年6月4日,第4被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(4)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を杉並共同購入会館及び同囲繞地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状1通(以下「共同購入会館捜索差押許可状(第4被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙20,37,証人A12)。
カ 警視庁公安部公安第一課A3警部(以下「A3警部」という。)は,平成13年6月5日,第5被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(5)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状1通(以下「共同購入会館捜索差押許可状(第5被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙38,証人A3)。
キ A3警部は,平成13年9月19日,第2被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(2)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状1通(以下「共同購入会館捜索差押許可状(第2被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙38,証人A3)。
ク A3警部は,平成14年1月7日,第8被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(8)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状1通(以下「共同購入会館捜索差押許可状(第8被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙38,証人A3)。
ケ 公安一課長は,平成14年2月5日,千葉県警公安三課長から,第9被疑事件の証拠物が存在すると認められる場所等に対する捜索を行い,同被疑事件の証拠物を押収してもらいたい旨の捜査嘱託を受けた(乙38,証人A3)。
A3警部は,同月6日,第9被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(9)記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品とした捜索差押許可状1通(以下「共同購入会館捜索差押許可状(第9被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙21,38,証人A3)。
コ A3警部は,平成14年2月13日,第6被疑事件につき,東京簡易裁判所裁判官に対し,差し押さえるべき物を別紙(6)②記載の各物件とし,捜索すべき場所,身体又は物を原告X2宅とした捜索差押許可状1通(以下「原告X2宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)」という。)を請求し,同日,その発付を受けた(乙22,38,証人A3)。
(4)  本件各捜索差押許可状の執行
ア(ア) 警視庁公安部公安第一課A13巡査部長(以下「A13巡査部長」という。)は,平成12年6月7日午前6時55分ころ,原告X1宅前において,原告X1に原告X1宅捜索差押許可状(第1被疑事件関係)を提示し,原告X1を立会人として原告X1宅の捜索を実施し,別紙②記載の各物件を差し押さえ,原告X1に押収品目録交付書を交付し,同日午前8時40分ころ捜索を終了した。
(イ) 警視庁公安部第一課A14巡査部長(以下「A14巡査部長」という。)は,同日午前6時58分ころ,原告X3宅前において,原告X3に原告X3宅捜索差押許可状(第1被疑事件関係)を提示し,原告X3を立会人として原告X3宅の捜索を実施し,別紙⑤記載の各物件を差し押さえ,原告X3に押収品目録交付書を交付し,同日午前8時55分ころ捜索を終了した。
イ A5警部は,平成12年10月10日午前8時12分ころ,杉並共同購入会館出入口扉前において,A15に共同購入会館捜索差押許可状(第3被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施し,別紙⑥記載の各物件を差し押さえ,A16ら立会人に押収品目録交付書を交付し,同日午前11時14分ころ捜索を終了した。
ウ(ア) A12警部は,平成13年3月22日午前8時4分ころ,杉並共同購入会館出入口扉前において,A15に杉並共同購入会館出入口扉前において,A15に上記共同購入会館捜索差押許可状(第6被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施し,別紙⑦記載の各物件を差し押さえ,A17ら立会人に押収品目録交付書を交付し,同日午前11時58分ころ捜索を終了した。
(イ) A8警部は,同日午前7時30分ころ,原告X1宅前において,原告X1宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)を提示し,原告X1を立会人として原告X1宅の捜索を実施し,別紙③記載の各物件を差し押さえ,原告X1に押収品目録交付書を交付し,同日午前8時58分ころ捜索を終了した。
エ(ア) A12警部は,同年4月18日午前7時3分ころ,杉並共同購入会館出入口扉前において,A18に共同購入会館捜索差押許可状(第7被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施し,別紙⑧記載の各物件を差し押さえ,A19ら立会人に押収品目録交付書を交付し,同日午前10時39分ころ捜索を終了した。
(イ) 警視庁公安部公安第一課A20警部補は,平成13年4月18日午後0時55分ころ,都革新高円寺事務所事務室入口において,A21及びA22に都革新高円寺事務所捜索差押許可状(第7被疑事件関係)を提示し,同人らを立会人として都革新高円寺事務所の捜索を実施し,別紙⑫記載の各物件を差し押さえ,A21に押収品目録交付書を交付し,同日午後2時9分ころ,捜索を終了した。
オ A12警部は,平成13年6月6日7時0分ころ,杉並共同購入会館出入口扉前において,A15に共同購入会館捜索差押許可状(第4被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施し,別紙①記載の各物件を差し押さえ,A23ら立会人に押収品目録交付書を交付し,同日午前11時11分ころ,捜索を終了した。その際,上記捜索に当たった警察官らは,エンジンカッター等を使用して同会館の外壁と扉を損壊した。また,同日の朝日新聞の夕刊(甲63)には,同日の捜索差押えに際して,機動隊員がエンジンカッターで杉並共同購入会館の外壁を損壊している状況を撮影した写真が掲載された。
カ A12警部は,上記オの捜索と同時に,A15に共同購入会館捜索差押許可状(第5被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施したが,差し押さえるべき物に該当する物件を発見できなかったため,同日午前11時11分ころ,捜索を終了した。
キ A3警部は,平成13年9月20日午前8時42分ころ,杉並共同購入会館出入口扉前において,A24に共同購入会館捜索差押許可状(第2被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施し,別紙⑨記載の各物件を差し押さえ,A19ら立会人に押収品目録交付書を交付し,同日午前11時26分ころ捜索を終了した。
ク A3警部は,平成14年1月8日午前8時8分ころ,杉並共同購入会館出入口扉前において,A25に共同購入会館捜索差押許可状(第8被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施し,別紙⑩記載の各物件を差し押さえ,A23ら立会人に押収品目録交付書を交付し,同日午前11時37分ころ,捜索を終了した。
ケ A3警部は,平成14年2月9日午前7時50分ころ,杉並共同購入会館出入口扉前において,A25に共同購入会館捜索差押許可状(第9被疑事件関係)を提示し,同人を総括立会人として杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品の捜索を実施し,別紙⑪記載の各物件を差し押さえ,A23ら立会人に押収品目録交付書を交付し,同日午前10時30分ころ,捜索を終了した。
コ 警視庁公安部公安第一課A26警部(以下「A26警部」という。)は,平成14年2月14日午前7時50分ころから,原告X2宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)の執行として,原告X2を立会人として原告X2宅の捜索を実施し,別紙④記載の各物件を差し押さえ,原告X2に押収品目録交付書を交付し,同日午前9時40分ころ,捜索を終了した。
(5)  杉並区内における合同捜査
警視庁公安部公安第一課(以下「公安一課」という。)の警察官らは,平成13年6月ころ,警視庁杉並警察署,荻窪警察署及び高井戸警察署の警察官らと合同で,杉並区内の住宅を個別に訪問し,オウム真理教特別手配被疑者や極左暴力集団の指名手配被疑者の写真を示しながら,情報提供を呼び掛けるなどの捜査活動(以下「本件合同捜査」という。)をした(乙37,証人A12)。
(6)  原告結柴の街宣活動に対する警戒・視察活動
荻窪警察署の警察官らは,平成13年6月8日午後5時55分から同日午後7時ころの間,原告結柴らが街頭宣伝活動をしていたJR西荻窪駅北口前付近の警戒・視察を行い,メモを取るなどした(以下「本件警戒・視察活動」という。乙37,証人A12)。
2  争点
(1)  本件各捜索差押許可状の請求に違法性があるか(争点(1))。
(原告らの主張)
ア 犯罪の嫌疑の存在について
第2,第3,第5及び第8被疑事件に係る捜索差押許可状を請求した警察官らは,被疑者であるA2,A4,A6及びA10が都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)に実際に居住していることを確認しないまま,不当に嫌疑をかけて捜索差押許可状を請求し,これを執行したものである。少なくとも第3被疑事件の被疑者A4及び第5被疑事件の被疑者A6は,いずれも原告結柴から都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)に居住することを許諾されて実際に居住していたものであり,A6は逮捕後不起訴とされ釈放されているのである。以上によれば,上記各被疑事件に係る捜索差押許可状を請求した警察官らは,各被疑者について,捜索差押許可状請求に要する犯罪の嫌疑がないことを知りながら,違法に捜索差押許可状を請求したものである。
イ  本件各捜索差押えの必要性について
(ア)  本件押収品群のうち,政治団体の機関紙(誌)に証拠としての価値,重要性がないことは明らかである。また,各押収品は,選挙活動中,公にされているものであって,誰もが同種のものを入手することが可能であり,原告らが各押収品を廃棄する可能性はほとんどない。以上の点からすれば,本件の捜索差押えには,その必要性が認められず,この点でも違法である。
(イ)  第7被疑事件の被疑事実は,A9による都政革新レポートの配布活動を建造物侵入とみたものであるところ,起訴にも至らない事件であり,実際にA9は起訴されずに釈放されたのであって,平成13年4月16日の捜索差押許可状の請求時において,第三者方である都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)に対して強制捜査である捜索差押えを行う必要性は認められなかったというべきである。
(ウ)  第2,第3,第5及び第8被疑事件の各被疑事実は,いずれも起訴に至らない事件であり,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)及びその敷地等に係る各捜索差押許可状の請求時において,捜索差押えを行う必要性は認められなかったというべきである。
ウ  証拠物の存在する蓋然性について
被疑者以外の者の身体,物,住居その他の場所については,押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り捜索をすることができるとされているところ,被疑者以外の第三者の居宅等を捜索する場合には,特に当該第三者宅等に証拠物の存在する蓋然性が高いことが要件とされており,司法警察員等が捜索差押許可状を請求する場合には,当該第三者宅に証拠物の存在する蓋然性が高いと認めるに足りる資料を提出しなければならないと解すべきである。そして,犯罪の組織性・計画性といった背景的事実や情状に関する証拠については,財産権保障,プライバシー保護及び捜索差押えの濫用防止の見地から,一般に関連性判断に厳格性が要求されるというべきである。これを本件各捜索差押えの場所について個別にみると,以下のとおりである。
(ア)  都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)について
a 共同購入会館捜索差押許可状(第6被疑事件関係)について
A12は,平成13年9月19日の共同購入会館捜索差押許可状(第6被疑事件関係)請求の際の疎明資料に,第6被疑事件が革命的共産主義者同盟全国委員会(以下「中核派」という。)による組織的・計画的犯行であることと,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)が中核派の活動拠点であることから中核派活動家以外の一般人が容易に立ち入れる施設ではないことなどの一般的な中核派との関係のみを記載していたにすぎず,同所に証拠物が存在する具体的な蓋然性は全く記載していなかったばかりか,平成12年8月の事件発生から約7か月後の平成13年3月19日に証拠物が存在する蓋然性があるとする根拠についても何ら記載していなかったのであるから,捜索差押許可状請求当時,差し押さえるべき証拠物が存在する蓋然性があったとはいえないというべきであり,かかる捜索差押許可状の請求は違法である。
b 共同購入会館捜索差押許可状(第4被疑事件関係)について
A12は,平成13年6月4日の共同購入会館捜索差押許可状(第4被疑事件関係)請求の際の疎明資料に,第4被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行であることと,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)が中核派の活動拠点であることから中核派活動家以外の一般人が容易に立ち入れる施設ではないことなどの一般的な中核派との関係のみを記載していたにすぎず,具体的な証拠物が存在する蓋然性は全く記載していなかったばかりか,平成11年12月の同被疑事件発生から約1年6か月後の平成13年6月4日に証拠物が存在する蓋然性があるとする根拠についても何ら記載していなかった上,警視庁公安部は,平成11年12月の同被疑事件発生から平成13年6月4日までの間に,都革新上高井戸事務所に対し,上記aの捜索差押えをはじめ複数回の捜索差押えを実施していたにもかかわらず同被疑事件に関する証拠物は何ら発見されていなかったのであるから,捜索差押許可状請求当時,差し押さえるべき証拠物が存在する蓋然性がなかったものというべきであり,かかる捜索差押許可状の請求は違法である。
c 共同購入会館捜索差押許可状(第9被疑事件関係)について
A3警部は,平成14年2月6日の共同購入会館捜索差押許可状(第9被疑事件関係)請求の際の疎明資料に,第9被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行であることと,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)が中核派の活動拠点であることなどの一般的な中核派との関係のみを記載していたにすぎず,具体的な証拠物が存在する蓋然性は全く記載していなかったばかりか,平成13年10月の同被疑事件発生から約4か月後の平成14年2月6日に何度も捜索の対象とされている都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)に証拠物が存在する蓋然性があるとする根拠についても何ら記載していなかったのであるから,捜索差押許可状請求当時,差し押さえるべき証拠物が存在する蓋然性がなかったものというべきであり,かかる捜索差押許可状の請求は違法である。
(イ)  都革新高円寺事務所について
A12警部は,平成13年4月16日に都革新高円寺事務所捜索差押許可状(第7被疑事件関係)請求の際,同被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行であること,都革新高円寺事務所が中核派の活動拠点であることなどの一般的な中核派との関係のみを記載していたにすぎず,具体的な証拠物が存在する蓋然性は全く記載していなかったのであるから,差し押さえるべき証拠物が存在する蓋然性があったとはいえないというべきである。
(ウ)  原告X1宅について
原告X1は中核派活動家ではないが,仮にこの点をおくとしても,原告X1は警視庁公安部に中核派の公然活動家とみなされていたところ,原告X1は荻窪でクリーニング店を経営しており,過去の捜索において警視庁公安部にその住所を把握されていたのであり,かかる原告X1の自宅に証拠を隠匿していても,捜索によって押収される可能性が高く,そのような場所には証拠物の存在する蓋然性はなかったというべきである。また,過去の原告X1宅の捜索差押えによっても,「前進」等の機関紙,ビラ等が発見されたにすぎず,被疑事件の犯人を特定するとか,犯行に供された物件などが発見されたことはなかったのであるから,少なくとも被疑事件の犯人を特定するとか,犯行に供された物件などが発見される可能性はなかったというべきである。さらに,「前進」等の機関紙類は一般書店でも入手できる公刊物であり,証拠物とはなり得ないものである。
しかも,原告X1に対し第1被疑事件及び第6被疑事件に関して特に動静調査等がされたことはなかったのであるから,警視庁公安部も原告X1が上記各被疑事件と特に関わりを持っているものではないことは把握していたというべきであり,平成10年7月29日に横浜で発生した第1被疑事件から約1年10か月後の平成12年6月5日の原告X1宅捜索差押許可状(第1被疑事件関係)の請求時及び平成12年8月6日に発生した第6被疑事件から約7か月後の平成13年3月19日の原告X1宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)の請求時に特に原告X1宅に証拠物が存在する蓋然性があったとはいえないというべきである。
(エ)  原告X3宅について
原告X3は中核派活動家ではないが,仮にこの点をおくとしても,原告X3は警視庁公安部に中核派の公然活動家とみなされていたところ,原告X3宅は過去の捜索において警視庁公安部にその住所を把握されていたのであり,かかる原告X3の自宅に証拠を隠匿していても,捜索によって押収される可能性が高く,原告X3の自宅には証拠物の存在する蓋然性はなかったというべきである。また,過去の原告X3宅の捜索差押えによっても,「前進」,「武装」等の機関紙,ビラ等が発見されたにすぎず,被疑事件の犯人を特定するとか,犯行に供された物件などが発見されたことはなかったのであるから,少なくとも被疑事件の犯人を特定するとか,犯行に供された物件などが発見される可能性はなかったというべきである。さらに,「前進」等の機関紙類は一般書店でも入手できる公刊物であり,証拠物とはなり得ない。
しかも,原告X3に対し第1被疑事件に関して特に動静調査等がされたことはなかったのであるから,警視庁公安部も原告X3が同被疑事件と特に関わりを持っているものではないことは把握していたというべきであり,平成10年7月29日に横浜で発生した第1被疑事件から約1年10か月後の平成12年6月5日のX3宅捜索差押許可状(第1被疑事件関係)の請求時に特に原告X3宅に証拠物が存在する蓋然性があるとはいえなかったというべきである。
(オ)  原告X2宅について
原告X2は中核派活動家ではないが,仮にこの点をおくとしても,原告X2に対し第6被疑事件に関して特に動静調査等がなされたことはなかったのであるから,警視庁公安部も原告X2が同被疑事件と特に関わりを持っているものではないことは把握していたというべきであり,平成12年8月6日に発生した第6被疑事件から約1年6か月後であり,原告X1宅の捜索から約11か月後の平成14年2月13日の原告X2宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)の請求時に特に原告X2宅に証拠物が存在する蓋然性は認められなかったというべきである。
(被告の主張)
ア  犯罪の嫌疑の存在について
本件各捜索差押えについては,裁判官が警察官から提出された疎明資料等に基づいて本件各捜索差押許可状を発付しており,捜索差押許可状の請求に要する嫌疑の程度は,逮捕状の請求及び発付に必要な相当の嫌疑の程度よりも低いもので足りると解されることからすれば,本件各捜索差押許可状が請求された当時,本件各被疑事件に捜索差押許可状を請求するために必要な犯罪の嫌疑が存在したことは明らかである。また,第7被疑事件は,A9が犯人であることが明白であって,誤認逮捕を生じるおそれがなく,かつ,その処理に急速を要することから,令状主義の例外とされている現行犯逮捕の事案であるし,被疑者不詳のゲリラ事件を除いた第2,第3,第5及び第8被疑事件についても,いずれも逮捕状が発付され,又は被疑者が現行犯逮捕されているのであるから,警視庁の警察官らがこれらの被疑事件について捜索差押許可状を請求した当時,捜索差押許可状を請求するために必要な犯罪の嫌疑があったことは明らかである。
イ  捜索押収の必要性について
本件各被疑事件は,中核派による組織的・計画的犯行であり,かつ,極めて悪質・巧妙な事件なのであるから,警察官が,本件各被疑事件の直接的な証拠ばかりでなく,動機,目的,手段,方法,共犯関係,背後関係等に関するものを収集して,本件各被疑事件の全容を解明する必要性があると認めたのは,事件捜査に従事する者として当然の判断である。また,中核派の特性や,杉並共同購入会館及び都革新高円寺事務所が中核派の活動拠点の一つであると認められること,原告X1,原告X3及び原告X2が中核派活動家であり中核派の活動に深く関わっている人物であると認められることにかんがみると,捜索場所に在所する者が存在する証拠物を任意に提出することは到底期待し得ず,警察官が,強制捜査の必要性を認めて本件各捜索差押許可状を請求したことには,十分合理性がある。
ウ  証拠物の存在する蓋然性について
(ア)  杉並共同購入会館について
A5警部,A12警部及びA3警部は,それぞれ,各被疑事件が中核派の組織的・計画的犯行に係るものであると認められたこと,杉並共同購入会館が中核派の活動拠点であると認められたことなどから,杉並共同購入会館及び同囲繞地,同地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品等には上記各被疑事件の証拠物が存在すると認めるに足りる状況があると判断したものであり,その判断には十分合理性がある。
(イ)  都革新高円寺事務所について
第7被疑事件について都革新高円寺事務所を捜索すべき場所,身体又は物とする捜索差押許可状を請求したA12警部は,同被疑事件が中核派の組織的・計画的犯行に係るものであると認められたこと,都革新高円寺事務所が中核派の活動拠点であると認められたことなどから,都革新高円寺事務所には,同被疑事件の証拠物が存在すると認めるに足りる状況があると判断したものであり,その判断には十分合理性がある。
(ウ)  原告X1宅について
第1被疑事件について原告X1宅を捜索すべき場所,身体又は物とする捜索差押許可状を請求したA5警部と第6被疑事件について原告X1宅を捜索すべき場所,身体又は物とする捜索差押許可状を請求したA8警部は,それぞれ,原告X1が中核派活動家であり,中核派の活動に深く関わっている人物であると認められたこと,上記各被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行と認められたことなどから,原告X1宅には,各被疑事件の証拠物が存在すると認めるに足りる状況があると判断したものであり,その判断には十分合理性がある。
(エ)  原告X3宅について
第1被疑事件について原告X3宅を捜索すべき場所,身体又は物とする捜索差押許可状を請求したA5警部は,それぞれ,原告X3が中核派活動家であり,中核派の活動に深く関わっている人物であると認められたこと,同被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行と認められたことなどから,原告X3宅には,同被疑事件の証拠物が存在すると認めるに足りる状況があると判断したものであり,その判断には十分合理性がある。
(オ)  原告X2宅について
第6被疑事件について原告X2宅を捜索すべき場所,身体又は物とする捜索差押許可状を請求したA3警部は,それぞれ,原告X2が中核派活動家であり,中核派の活動に深く関わっている人物であると認められたこと,同被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行と認められたことなどから,原告X2宅には,同被疑事件の証拠物が存在すると認めるに足りる状況があると判断したものであり,その判断には十分合理性がある。
(2) 本件各捜索差押えの執行に違法性があるか(争点(2))。
(原告らの主張)
ア  実施状況について
(ア)  都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)への違法な捜索差押えの実施について
第4被疑事件及び第5被疑事件に関して平成13年6月6日午前6時過ぎから実施された都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)の捜索差押えに当たり,警視庁の警察官らは,朝日新聞社ら各報道機関に対し,中核派活動拠点への捜索差押えを実施する旨事前に伝えておき,朝日新聞記者ら報道機関関係者を同行させ,同日午前6時過ぎころ,付近住民にも喧伝するかのようにスピーカにより中核派活動拠点への捜索差押えを実施する旨何度も宣言し,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)内の都革新関係者がすぐ出入口を開けるからしばらく待つように述べているにもかかわらず,これを無視していきなり事務所の壁をエンジンカッターで破壊するなどして,目前に迫った原告結柴の都議会議員選挙のための選挙活動を妨害したものである。また,上記搜索に当たり,立会人が捜索の実施状況がよく見えないので見えるようにするよう求めても,これを無視して捜索を続けるなど,違法な捜索を行ったものである。
エンジンカッター等による扉や壁の破壊は,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)に対する捜索において,上記のような態様で常に行われたものであり,いずれも立会人らは任意に出入口を開ける旨告げていたのであるから,かかる破壊が捜索に必要な処分とはいえず,違法なものであったことは明らかである。
(イ)  原告X2宅の捜索差押えの実施について
警視庁の警察官らは,第6被疑事件に関する原告X2宅の捜索差押えの実施に当たり,原告X2の顔写真を無断で撮影し又は撮影しようとするなど,捜索差押許可状によって許可されていない違法な処分を行った。また,A26警部は,上記捜索差押えの実施に当たり,氏名・官職を明らかにせず,捜索差押許可状を原告X2に対してほんの一瞬しか提示せず,これに対して,原告X2が「近くで見たいので,よく見せて欲しい」と要求したところ,「破いたら器物損壊になる」と言い放ち,捜索差押許可状をろくに提示しなかった。
イ  差押えの目的物の関連性について
本件各被疑事件の差押えの目的物は,以下のように分類できる。
A:都革新が発行する文書類及び「介護と福祉を要求する杉並住民の会」,都革新後援会などの杉並区内の住民団体が発行する文書類
B:「革命的共産主義者同盟中核派」が発行する定期刊行物
C:その他の団体(全学連や市民団体等)が発行する文書類
D:その他,住所録,ノート,年賀状,名刺,手帳,パソコン,地図,メモ,レジュメ,資料等
上記A群に属する押収物は,いずれも都革新の政治活動や各住民団体の政治活動等に関する文書類であり,被疑事実に関する記述は全くなく,被疑事実との関連性は皆無であり,被疑事件の犯人を特定するのに資するわけでもなく,犯行に供された物件であるともいえないものであり,何ら犯罪とは関係のないものである。
上記B群に属する押収物は,いずれも都革新の政治活動に関する一般的な資料であり,被疑事実に関する記載は全くなく,被疑事実との関連性はないし,何ら犯罪とは関係のないものである。また,機関紙「前進」,「週刊三里塚」,「コミューン」は一般書店で誰でも購入できるほか,ホームページにも掲載されており,機関誌「共産主義者」も一般書店で誰でも購入できるものである。都革新は政治団体であるので,各種政党の機関紙(誌)類を政治情勢の収集・分析のために利用するのは当然のことである。
上記C群に属する押収物も,いずれも都革新の政治活動に関する一般的な資料であり,被疑事実に関する記載は全くなく,被疑事実との関連性はないし,杉並区民の個人所有物も含まれており,何ら犯罪とは関係のないものである。
上記D群に属する押収物も,都革新の政治活動に関する一般的な資料あるいは杉並区民の個人所有に係る業務上の顧客名簿,業務日誌,私信であり,被疑事実に関する記載は全くなく,被疑事実との関連性はないし,何ら犯罪とは関係のないものである。
以上のとおり,本件各捜索差押えにおいて押収されているのは,政治団体の機関紙(誌),選挙関連のビラ等であり,これらの押収品が本件各被疑事実の犯行道具に使用されることは考えられず,本件各押収品の中に本件各被疑事実に関する記述があるわけでもなく,本件押収品を押収することが本件各被疑事実の被疑者の所在や事案の解明に資するというわけでもない。したがって,本件押収品群が本件各被疑事実について証拠物又は没収すべき物と思料されるほどの関連性があるとはいえない。
(被告の主張)
ア  実施状況について
(ア)  杉並共同購入会館への違法な捜索差押えの実施について
第4及び第5被疑事件に係る平成13年6月6日午前6時28分ころから実施された捜索差押えにおいて,警視庁の警察官らが事前に各報道機関に対し捜索差押えの実施を伝えたことはない。捜索差押えをはじめとする捜査情報をマスコミに提供する行為は,地方公務員法34条1項違反に該当し,当該情報をマスコミに提供した警察官は懲戒処分の対象になる可能性が極めて高い上,そのようなことをすれば,捜索対象者に察知され,捜索差押えの目的を達することができなくなることも予想されるところであり,そのような危険を冒してまで,警察官がマスコミに捜索差押えの情報を提供することは,およそ考えられないことである。
また,被告は杉並共同購入会館及びその敷地等の捜索において,毎回,杉並共同購入会館出入口付近のインターホンを鳴らし,捜索差押えの実施を告げ,居住者等に解錠するよう求めたが,杉並共同購入会館の入口の扉がすぐに開かれたことは一度もなく,平均して30分間から45分間にもわたって扉は開かれず,しかも,その間に,杉並共同購入会館敷地内焼却炉付近から煙が立ち始め,前記のような中核派の特性や,実際に過去の捜索において焼却された証拠物と思料される物の残骸が発見されたり,水溶紙が大量に溶かされていた状況を確認していたこと等にかんがみ,証拠隠滅活動を始めたものと疑うに足りる状況が認められたため,警察官らは,捜索差押えの目的を達成するために必要な処分としてエンジンカッターを使用し扉や壁を損壊したものである。杉並共同購入会館及びその敷地等の捜索において,その他何ら違法な行為はなかった。
(イ)  原告X2宅の捜索について
警視庁の警察官らは,原告X2宅の捜索差押えの実施に当たり,捜索差押許可状の提示を適法に行ったことを担保するため,その提示状況を撮影したものであって,原告X2の顔写真を撮影したものではないから,適法な処分として許されるものである。A26警部は,捜索差押えを受ける原告X2に対し,捜索差押許可状を提示したのであり,何ら違法な処分はしていない。
イ  差押えの目的物の関連性について
本件各押収物は,これを基礎にしてさらに捜査を進展継続し,あるいは他の証拠をも総合することによって,本件各被疑事件の動機,目的,手段,方法,共犯関係,背後関係等を明らかにし,同事件の全容を解明する資料となり得るものであることが明白である上,警察官が,本件各捜索場所において,短時間のうちに本件各被疑事件との関連性を判断しなければならないことをも併せ考えれば,本件各押収物が本件各被疑事件と関連性を有するとした警察官の判断が合理的かつ相当なものであったことは明らかである。
原告らの主張するA群,B群,C群の各機関紙(誌),ビラ等は,いずれも本件各捜索差押許可状の「中核派の機関紙」や「その他本件と中核派との関係を明らかにする文書・物件」等にそれぞれ該当するものであり,本件各被疑事件の動機,目的,手段,方法,共犯関係,背後関係等を明らかにし,同事件の全容を解明する資料となり得るものであるから,本件各捜索差押許可状記載の差し押さえるべき物に該当することが明らかである。
上記各機関紙等は,杉並共同購入会館をはじめとする本件各捜索すべき場所,身体又は物に存在していた機関紙等であるという点で代替性のない価値を有するのであり,同じ内容の機関紙等が書店等で入手可能であるからといって,差押えの必要性が否定されるわけではない。本件各被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行と認められたこと,本件各捜索場所は中核派の活動拠点又は中核派活動家の居宅であること,上記機関紙等が中核派やその傘下団体等によって作成されたものであることに加え,中核派の特性や,過去に実施された中核派関連施設等に対する捜索差押えの実施状況等を併せ考えれば,上記機関紙等には,中核派活動家に対するメッセージ,指令・命令文等が,暗号,隠語,特殊インク等で記載されていたり,本件各被疑事件に関与した中核派非公然活動家の指掌紋が付着している可能性も十分に考えられるところであり,その記載内容等からして本件各捜索差押許可状記載の被疑事実及び背景事実と関連性を有しないことが一見して明らかとはいえず,むしろ,立会人となった中核派活動家の妨害の可能性も考えれば,差押えの現場で長時間を費やして分析した上でその結果必要と認められた範囲だけ差し押さえることは困難であって相当でなく,差し押さえた上で詳細に分析する必要があるとした警察官らの判断には合理性があったというべきである。
なお,D群に属するメモ,住所録,手帳等についても,本件各被疑事件が上記のように中核派による組織的・計画的犯行と認められたこと,原告らが中核派の活動家であり,中核派の活動に深く関わっている人物であると認められたこと及び中核派の特性にかんがみると,相当数の者の氏名,住所,電話番号等が記載されていた原告X1宅の「住所録」,20名前後の者の氏名,住所,電話番号等が記載されていた原告X1宅の「アドレス帳1冊」,表面には都革新代表との肩書きでA19の氏名が,裏面には中核派が支援する「動労千葉」の文字や同派が闘争課題として取り組んでいる三里塚闘争の「三里塚」の文字等がそれぞれ記載された原告X3宅の「名刺1枚」,差出人として中核派活動家の「A27」の氏名や中核派の裁判闘争を担当する「革共同・救対部」の文字が記載された原告X2宅の「年賀状」2枚,中核派の傘下団体である「都革新」の文字があり,都革新の選挙運動等に関する記載があった原告X2宅の「メモ1部」,「8/20(月)西村弁護士(救援連絡C)6/6上高井戸そうさく」等意味不明の文字が羅列されていた原告X2宅の「ノート1冊」には,それぞれ,本件各被疑事件に関与した中核派活動家と関連を有する人物の住所,電話番号等が記載されていたり,各記載が本件各被疑事件に関係のある組織編成,戦術,闘争計画等の記載の一部であったり,指令・命令文等が暗号,隠語,特殊インク等で記載されていたり,本件各被疑事件に関与した中核派の非公然活動家の指掌紋が付着していたりする可能性が十分に考えられるところであるから,それらの記載内容等からして本件各被疑事件と関連性を有しないことが一見して明らかとはいえない。
(3) 本件合同捜査及び本件警戒・視察活動並びに本件各捜索差押えは,原告結柴の選挙活動を妨害する目的でされたものか(争点(3))。
(原告らの主張)
都革新は,その前身団体の時代から,体制の不当な権力行使に対する抗議行動を行い,対決姿勢を明らかにしており,その反面,警視庁等の警察権力から激しい選挙妨害や人権侵害を受けてきた。原告結柴は,平成12年から平成13年6月ころにかけて,都議会議員選挙への立候補を表明し,瀬踏み行為やポスターの掲示,街頭宣伝活動などを行い,区議を3期務めた杉並区を基盤として新人ながら有力候補の一人と目されるに至っていた。このような状況において,警視庁の警察官らは,本件合同捜査,原告結柴の街頭宣伝活動への私服警官の臨場とメモの採取,本件各捜索差押えを行ったものであり,その時期,態様及び回数にかんがみると,それらの警察官らの活動が原告結柴の平成13年都議会議員選挙の選挙活動及びその後の選挙活動への妨害を目的としたものであったことが明らかである。
警視庁の警察官らの合同捜査は,原告結柴の基盤である杉並区住民宅を戸別訪問し,原告結柴の顔写真を見せながら,そのポスターを剥がすよう要求し,実際に剥がしたり,原告結柴は過激派であるから支持しないよう要求したりするなど,明らかに選挙妨害を目的とするものであった。平成13年当時,オウム真理教は杉並区内の住民の反対運動で杉並区から出て行かざるを得ないような状況にあり,警視庁の警察官らが合同捜査に乗り出す必要はなかったものである上,都議選の終了した同年6月に合同捜査が特に成果を得られないまま解散していることにかんがみると,警視庁の警察官らの選挙妨害目的は明らかというべきである。
本件各被疑事件の捜索差押えについても,上記のように,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館),都革新高円寺事務所,原告X1宅,原告X3宅及び原告X2宅に証拠物の存在する蓋然性が認められず,又は捜索の必要性がなかったこと,実施に当たっては,中核派の活動拠点に対する捜索を行うなどと喧伝し,報道機関に対し事前に捜索差押えの実施を伝え,早朝インターホンを押したり用件を伝えたりすることなく,立会人らが止めるのも聞かずにいきなりエンジンカッター等で扉や壁を切り開こうとするなどし,都革新後援会の会長である原告X1,同会の事務局長である原告X2の生業に欠かせない住所録等を差し押さえて嫌がらせをするなどしたこと,都革新上高井戸事務所(杉並共同購入会館)にあった共同購入部門は平成10年10月に他に移転していたのに,捜索場所を「杉並共同購入会館」と称して捜索差押許可状の請求をしていること,この時期に中核派の主要な活動拠点である前進社に対する捜索差押えは行っていないことなどにかんがみれば,警視庁の警察官らの選挙妨害目的は明らかというべきである。
(被告の主張)
公安一課,杉並警察署,荻窪警察署及び高井戸警察署の警察官らは,平成13年1月から同年6月までの間,オウム真理教特別手配被疑者及び極左暴力集団の指名手配被疑者の発見検挙を目的として合同捜査を実施し,杉並区内の住宅を個別に訪問し,オウム真理教特別手配被疑者や極左暴力集団の指名手配被疑者の写真を提示しながら情報提供を呼び掛けるなどしていたにすぎず,訪問先で原告結柴は過激派であるとか,都革新はオウムみたいなものだから近づかない方がよいなどと言ったり,原告結柴のポスターを剥がすように依頼し,実際に剥がしたりした事実はない。
また,街頭宣伝活動への私服警官の臨場及びメモの採取については,原告結柴が過去に革マル派による襲撃を受け,重傷を負ったことがあること,右翼団体の活動家が中核派活動家を襲撃する可能性があること,現場にいる中核派活動家の中には逮捕状が発付されている者がいる可能性があることなどにかんがみて,荻窪警察署員が警戒・視察を行い,それに必要なメモをとったにすぎないのであり,原告ら関係者の権利自由を侵害する方法によってはいないのであるから,何ら違法な行為ではなく,選挙妨害の目的もなかった。
警視庁の警察官らには,本件各被疑事件のいずれの捜索差押えにも選挙妨害の目的はなかった。本件各被疑事件の捜索差押許可状の請求及び捜索差押えの時期は,日々変化する捜査の進展状況から決定されたものであり,証拠物が存在すると認めるに足りる状況や捜索差押えの必要性もあって,実施状況についても,原告らの主張するような違法行為はなかったし,警視庁公安部は,原告X1,原告X2及び原告X3がそれぞれ都革新後援会の会長,事務局長及び会員となっていたことも把握していなかった。
(4) 原告らに生じた損害(争点(4))
(原告らの主張)
不意打ち的にいわれのない搜索差押えを受けて居宅に踏み込まれ,身に覚えのない理由で私物を運び出されたことにより,住居の平穏,プライバシー権,営業権,名誉権を著しく侵害され,選挙活動を妨害された原告らが被った精神的損害は,慰謝料に評価すると,原告結柴について400万円,その余の各原告について各100万円を下らないというべきである。
(被告の主張)
原告らによれば,原告らが差押えを受けた機関紙等は書店等でも容易に入手可能な物である上,原告結柴は公安一課等に対し押収物の返還を求めていないこと,原告X1宅から押収された住所録は,差押えの翌日には還付されていること,原告X2宅から押収されたノート1冊は差押え後2週間以内に還付されていること,その他の押収物については,原告X1,原告X3,原告X2はその記載内容や還付の事実等をほとんど記憶しておらず,還付を受けた後廃棄した物もあることなどを併せ考えれば,原告らには,何ら賠償すべき損害は発生していないというべきである。
第3  争点に対する判断
1  争点(1)(本件各捜索差押許可状の請求に違法性があるか。)について
(1)  憲法35条1項は,基本的人権として,何人も,その住居について,正当な理由に基づいて発付され,捜索する場所及び押収する物を明示した令状によらなければ,捜索及び押収を受けることのない権利を規定している。
刑事訴訟法は,憲法の「正当な理由」の要件について具体的に規定しているところ,特に被疑者以外の第三者宅に対する捜索差押えに関しては,被疑事実を犯したと疑うに足りる相当な嫌疑の存在,捜索差押えの目的物と当該事件との関連性,捜索差押えの必要性のほかに,捜索の対象となる場所に差し押さえるべき物が存在する蓋然性があることが必要である(同法218条1項,222条1項,99条,102条)。
(2)  認定事実
前記前提となる事実,証拠(甲1ないし31,43ないし49,52,55,57,58,63,65,70,76ないし84,88,89,93,95,97,甲押1ないし11,乙1ないし13,15,26ないし41,原告結柴,原告X1,原告X2,原告X3,証人A12,証人A3,証人A8,証人A5)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 本件各被疑事件と中核派との関連性について
(ア) 第1被疑事件について
神奈川県警察本部青葉警察署は,捜査の結果,中核派が,「7・29運輸省幹部に火災戦闘炸裂」,「「共生大綱」爆砕へ向け断固たる第一弾を戦取」などと題する第1被疑事件の犯行声明文を東京都内の報道機関に郵送したり,機関紙「前進」(平成10年8月10日付け第1873号(乙28号証))に「共生大綱爆砕へ第一弾」などと題して第1被疑事件が中核派の犯行であることを自認する記事を掲載したりしたこと,中核派が従前から成田空港平行滑走路の完成を阻止する活動方針を宣言していたこと,第1被疑事件で使用された時限発火装置が過去に中核派が敢行したゲリラ事件で使用されたものと同型,同機能のものであったことなどの事実を把握した。
(イ) 第2被疑事件について
公安一課は,A2が中核派最大の活動拠点である前進社における平成元年5月24日,平成2年3月30日及び平成9年5月28日の過去3回の捜索の立会人となっていたこと,A2が平成7年3月12日中核派主催の「革共同政治集会」に参加したこと等に基づき,A2を中核派活動家であると認めていた。
(ウ) 第3被疑事件について
公安一課は,A4が平成10年8月2日,平成11年3月14日及び平成12年3月12日の3回にわたり中核派主催の革共同政治集会に参加したこと,A4が平成10年4月24日中核派系全学連主催の「4・24全国学生総決起集会」に参加したこと,A4が平成11年9月3日から同月5日まで中核派系全学連主催の「全学連第59回定期全国大会」に参加したこと等に基づき,A4を中核派活動家であると認めていた。
(エ) 第4被疑事件について
千葉県警察本部成田警察署は,捜査の結果,中核派が,第4被疑事件の犯行声明文を東京都内の報道機関に郵送したり,機関紙「前進」(平成12年1月1日付け第1939号)に犯行を自認する記事を掲載したりしたこと,第4被疑事件において使用された時限式発火装置が過去に中核派が敢行したゲリラ事件で使用されたものと同型,同機能のものであったことなどの事実を把握した。
(オ) 第5被疑事件について
公安一課は,平成9年6月2日,A6が中核派の活動拠点である杉並共同購入会館(平成13年3月ころ以降,都革新の上高井戸事務所としても使用されている。以下,単に「杉並共同購入会館」という。)の付属建物である長谷川荘の捜索において立会人となったこと,A6が平成12年9月4日から同月6日までの間中核派系全学連構成員とともに同全学連主催の集会に参加したこと,中核派の機関紙「前進」(1974号)に全学連副委員長としてA6の名前が掲載されていたこと等に基づき,A6を中核派活動家であると認めていた。
(カ) 第6被疑事件について
警視庁玉川警察署及び公安一課は,捜査の結果,中核派が,「運輸省幹部宅に爆破戦闘を決行」などと題する第6被疑事件の犯行声明文を東京都内の報道機関に郵送したり,機関紙「前進」(平成12年9月11日付け第1972号(乙31の1),同年9月18日付け第1973号(乙31の2))に「運輸省幹部宅爆破戦闘8・26世田谷」,「暫定滑走路立案者に鉄槌」などと題して第6被疑事件が中核派の犯行であることを自認する記事を掲載したりしたこと,中核派が成田空港の暫定滑走路建設に反対する活動方針を宣言していたこと,第6被疑事件に使用された時限式爆発物が過去に中核派が敢行したゲリラ事件で使用されたものと同型,同機能のものであったことなどの事実を把握した。
(キ) 第7被疑事件について
荻窪警察署及び公安一課は,捜査の結果,A9が他の中核派と深い関わりを有する人物から「警察の家族住宅に入らないこと,革マル派構成員や警察官らしき者がいないことを確認した後にビラ配布をすること,集合住宅では各戸のドアの郵便受けに確実にビラを差し込むこと」等の指示を受けた上で都革新が発行する「けしば誠一都政革新レポート」と題するビラを所持し,配布していたこと,A9が中核派活動家であることなどの事実を把握した。
(ク) 第8被疑事件について
公安一課は,A10が平成10年8月2日,平成11年3月14日,平成12年7月30日及び平成13年7月29日の4回にわたり中核派主催の革共同政治集会に参加したこと等に基づき,A10を中核派構成員であると認めていた。
(ケ) 第9被疑事件について
千葉県警茂原警察署は,中核派が,「10.2千葉県幹部宅に火炎ゲリラ」などと題する第9被疑事件の犯行声明文を東京都内の報道機関に郵送したり,機関紙「前進」(平成13年10月15日付け第2025号(乙35))に「暫定開港阻止へ火炎ゲリラ」などと題して第9被疑事件が中核派の犯行であることを自認する記事を掲載したりしたこと,中核派が成田空港の暫定滑走路建設に反対していたこと,使用された時限式爆発物が過去に中核派が敢行したゲリラ事件で使用されたものと同型,同機能のものであったことなどの事実を把握した。
イ 中核派の特性と本件各被疑事件の組織性・計画性
(ア) 本件各被疑事件の捜査を担当する警察官らは,各種事件の捜査を通じ,中核派について,先鋭的な暴力革命を志向し,爆発物や飛翔弾等を使ったゲリラ事件や革マル派構成員に対する内ゲバ事件等を反復して敢行している暴力性の強い組織であること,全国大会をピラミッドの頂点とする中央集権性の強い組織であること,非公然部門と公然部門とに分かれ,非公然部門の活動家が「人民革命軍・武装遊撃隊」に所属してゲリラ事件等の遂行に当たり,公然部門の活動家及び支持者が,表面上はデモ,ビラ配布等の公然活動に従事しながら,非公然部門の活動家によるゲリラ事件等の遂行を,武器の製造開発ないし保管,連絡活動,情報提供,事前調査,資金及び物資の調達援助,居住ないし利用拠点の設定,証拠隠滅工作ないし逃走援助を行うなどして支援し,総力を挙げてゲリラ事件や内ゲバ事件を敢行する非公然・非合法を原則とする組織であること,中核派活動家は,サングラス・マスク等で素顔を隠して集会等に参加し,歩行中は尾行の有無等について点検活動を繰り返すほか,組織上の通信文書は暗号化した文字を水溶紙に記載し,これを身体に密着させて所持し,捜索を察知したような場合には素早く嚥下するなどして証拠隠滅を図ることがあるなど,保秘性の高い組織であること,「前進」,「武装」,「週刊三里塚」,「共産主義者」等の機関紙及び機関誌の発行による宣伝・扇動,拠るべき思想の学習,活動方針の伝達及び財政の確立等を重視していることなどの特性を把握してきた。
(イ) 第1,第4,第6及び第9被疑事件の捜査を担当する警察官らは,上記のような中核派の特性に照らすと,時限式発火装置や時限式爆発物を使用したゲリラ事件であるこれらの被疑事件について,中核派の非公然部門の活動家が遂行し,公然部門の活動家及び支持者がその遂行を武器の製造開発ないし保管,連絡活動,情報提供,事前調査,資金及び物資の調達援助,居住ないし利用拠点の設定,証拠隠滅工作ないし逃走援助等を行うなどして組織の総力を挙げて敢行された組織的・計画的な犯行である疑いがあると判断した。
また,第2,第3,第5及び第8被疑事件の捜査を担当する警察官らは,これらの被疑事件について,上記のような中核派の特性に加え,中核派活動家と認められる各被疑者が中核派の活動拠点の一つと認められる杉並共同購入会館又はその敷地内を住所として届け出ることによる犯行であること,過去に中核派が非公然活動家を匿うために文書偽造等の違法行為を行ってきたことが捜査の結果判明したことから,中核派による組織的・計画的な犯行である疑いがあると判断した。
さらに,第7被疑事件の捜査を担当する警察官らは,同被疑事件について,上記のような中核派の特性に加え,被疑者A9が中核派活動家であること,ビラ配布について中核派構成員から指示を受けていたこと,被疑者A9が配布・所持していたビラが,中核派と深い関わりのある団体である都革新ないし原告結柴の活動に関するものであったことなどから,中核派による組織的・計画的な犯行である疑いがあると判断した。
(ウ) 以上のとおり,本件各被疑事件の捜査を担当する警察官らは,本件各被疑事件がいずれも中核派による組織的・計画的な犯行である疑いがあると考えたことから,その動機,目的,手段,方法,共犯関係,背後関係等を明らかにする証拠物を収集して,中核派との関係を明らかにし,本件各被疑事件の全容を解明する必要性があると判断した。
ウ 杉並共同購入会館と中核派との関係
(ア) 杉並共同購入会館は,東京都杉並区〈以下省略〉所在の約130坪の敷地を有し,地下1階,地上2階の鉄筋コンクリート造りで屋上にプレハブ小屋がある建物(本館)であり,敷地内には,付属建物として,2階プレハブ小屋の長谷川荘及び2段重ねの金属製コンテナ並びに駐車場があり,後記認定のとおり中核派と深い関わりがあると認められていた原告結柴がこれらの建物と敷地を所有し,管理している(ただし,敷地のうちの駐車場部分は借地である。)。
(イ) 杉並共同購入会館は,その周囲が鉄製フェンスとブロック塀で囲まれ,唯一の出入口に鉄製の扉が備え付けられているほか,出入口等に監視カメラ,モニターテレビ等が設置されている。
(ウ) 昭和50年2月10日付けの中核派の機関紙「前進」第721号(乙1)及びビラ(乙15)には,杉並共同購入会館の写真のほか,杉並共同購入会館が選挙闘争,大衆闘争等の中核派の活動拠点として活用されている旨の記事が掲載されている。
(エ) 昭和60年11月29日に中核派が敢行した浅草橋駅放火ゲリラ事件(旧国鉄浅草橋駅で発生した放火事件)は,犯行当日,杉並共同購入会館に集合した中核派活動家らが出撃して事件を敢行した。
(オ) 中核派の対立セクトである革マル派の構成員が杉並共同購入会館を襲撃したのに対して中核派活動家が反撃した事件や杉並共同購入会館に出入りする中核派活動家が襲撃される事件が発生している。
(カ) 杉並共同購入会館に常駐している者,付属建物である長谷川荘に住民登録や宿泊している者,杉並共同購入会館に付属する駐車場内の駐車車両の所有者又は使用者として登録されている者の中には,中核派活動家がおり,警視庁の警察官らが過去に杉並共同購入会館を捜索したところ,中核派最大の活動拠点である前進社に常駐していたことのある中核派活動家が捜索に立ち会ったことがある。
(キ) 杉並共同購入会館は,平成13年3月ころ以降は,後記認定のとおり中核派と深い関わりがあると認められていた都革新の事務所としても利用されている。
(ク) 以上のような事実に基づき,本件各被疑事件の捜査を担当した警視庁の警察官らは,杉並共同購入会館を中核派の活動拠点であると認めた。
エ 都革新高円寺事務所と中核派との関係
(ア) 都革新の前身である杉並革新連盟は,昭和43年10月に,「反戦・反安保・侵略阻止」を訴える市民運動の母体として,中核派に属し,又はこれと深い関わりを有するA19らを杉並区議選や都議選で当選させることを目的として,A19,A28,A29らが発起人となって結成された団体であり,A19が代表を,原告結柴が事務局長を務めていた。
(イ) 都革新は,A19が都議選に,原告結柴が杉並区選に出馬した昭和60年に結成され(ただし,昭和62年4月までの名称は,「杉並から都政を革新する会」であった。),その事務所は,杉並革新連盟と同じく,東京都杉並区高円寺〈以下省略〉豊岡ビル3階に置かれた。都革新の代表者は,A19であって,都革新の組織運営にも中核派活動家その他中核派の活動に深く関与している者が携わってきた。都革新は,中核派と深い関わりを有するA19や原告結柴を杉並区議会議員や都議会議員に当選させることを活動目標としてきており,その発行する機関紙に中核派活動家に関わる抗争事件や刑事事件に関する記事を掲載するなど,前記のような政治上の主義,主張及び運動方針に沿って各種闘争等を展開する中核派と組織的,思想的に深い関わりがある。
(ウ) 以上のような事実に基づき,第7被疑事件の捜査を担当した警視庁の警察官らは,都革新を中核派が同派の構成員を区議選や都議選に当選させるための選挙運動の母体として組織結成されたものであり,その組織運営には中核派が深く関わっており,都革新高円寺事務所が中核派の活動拠点であると認めた。
オ 原告らと中核派との関係
(ア) 原告結柴について
a 原告結柴は,学生時代に中核派系の学生運動団体に所属し,委員長代行,情報宣伝部長を務めるなどした。
b 原告結柴は,平成3年4月7日,中核派の対立セクトである革マル派の活動家によって襲撃された。
c 平成3年4月22日付けの中核派の機関紙「前進」第1525号(乙5)には,原告結柴に対する革マル派の襲撃事件について,これを非難し報復を宣言する記事,原告結柴の区議会議員選立候補を支持し,当選させるよう中核派構成員等に呼びかける記事が掲載されている。
d 原告結柴は,平成10年3月8日開催の「3・8労働者総決起集会」,同年6月16日開催の「周辺事態法案国会成立阻止6・16首都圏総決起集会」,同年7月4日開催の「三里塚決戦勝利7・4反基地闘争全国集会」など,中核派又はその支援団体が主催する集会に参加した。
e 以上のような事実に基づき,警視庁の警察官らは,原告結柴を中核派と深い関わりを有する人物であると認めた。なお,平成19年10月1日付けの中核派の機関紙「前進」第2313号(乙41)には,中核派の全国委員会が原告結柴を中核派から除名する旨の決議をしたとの記事が掲載されている。
(イ) 原告X1について
a 原告X1は,平成2年10月27日,A19や原告結柴も参加した都革新主催の「つどい’90」に主催者側の立場で参加し,集会後のデモ行進にも参加した。
b 平成3年10月11日に原告X1の居宅が捜索された際,中核派の機関紙(誌)である「前進」等が押収された。
c 原告X1は,平成10年4月4日,中核派主導の「いまなぜ新ガイドラインか百万人署名運動全国集会」に参加した。
d 原告X1は,平成11年3月14日,同年8月1日及び平成12年3月12日,A19や原告結柴とともに,中核派主催の「革共同政治集会」に参加し,都革新の後援会長として,参加者に選挙での支援を求めた。
e 以上のような事実に基づき,第1被疑事件及び第6被疑事件の捜査を担当した警視庁の警察官らは,原告X1を中核派の構成員ないしはその活動に深く関わっている人物であると認めた。なお,原告X1は,平成元年4月にA19が都議会議員に選挙に立候補したころから都革新の活動に関わり始め,平成11年4月に都革新の後援会が発足した当時からその会長を務めている。
(ウ) 原告X3について
a 平成2年9月13日に原告X3の居宅が捜索された際,中核派の機関紙(誌)である「前進」,「武装」等が押収された。
b 原告X3は,平成3年1月20日,中核派構成員とともに,都革新主催の「新春のつどい」に参加した。
c 平成4年9月15日に原告X3の居宅が捜索された際,中核派の機関紙(誌)である「前進」等が押収された。
d 原告X3は,平成5年11月21日,中核派の傘下団体である「反戦共同行動委員会」主催の「11.21全国総決起集会」に参加した。
e 平成8年3月14日,中核派構成員とともに,中核派主催の「革共同政治集会」に参加した。
f 原告X3は,平成10年2月11日,中核派の傘下団体である「反戦共同行動委員会」主催の「新ガイドライン・有事立法,紀元節を許すな東京集会」に参加し,集会後のデモ行進にも参加した。
g 原告X3は,平成10年3月29日,中核派が支援する「三里塚全国総決起集会」に参加した。
h 原告X3は,平成10年9月23日,中核派の傘下団体である「反戦共同行動委員会」主催の「全国総決起集会」に参加した。
i 原告X3は,平成11年3月14日,中核派主催の「革共同政治集会」に参加した。
j 原告X3は,平成12年3月12日,中核派主催の「革共同政治集会」に参加した。
k 原告X3は,A19が都議に当選した平成元年ころから都革新の活動を支援し,中核派や中核派が支援する団体が主催する集会には,ほぼ欠かすことなく出席してきた。
l 以上のような事実に基づき,第1被疑事件の捜査を担当した警視庁の警察官らは,原告X3を中核派の構成員ないしはその活動に深く関わっている人物であると認めた。なお,原告X3は,平成11年4月に都革新の後援会が発足した当時からその会員となっている。
(エ) 原告X2について
a 原告X2は,平成12年6月の衆議院議員選挙で都革新から立候補したA19の応援弁士として,街頭応援演説を行った。
b 原告X2は,平成12年11月5日,中核派が支援する「全国労働者総決起集会」に参加し,集会後のデモ行進にも参加した。
c 原告X2は,平成12年11月30日,衆議院分館で開催された「衆議院憲法調査会」に反対する中核派の抗議行動に参加した。
d 原告X2は,平成13年1月14日,都革新主催の「新春のつどい」に参加した。
e 原告X2は,平成13年5月27日,中核派の傘下団体である「反戦共同行動委員会」主催の「侵略戦争のため「教育改革」―改憲粉砕!労働者人民の力で小泉政権を打倒しよう!5.27全国総決起闘争」に参加し,集会後のデモ行進にも参加した。
f 原告X2は,平成13年11月11日,中核派が支援する「全国労働者総決起集会」に参加し,集会後のデモ行進にも参加した。
g 以上のような事実に基づき,第6被疑事件の捜査を担当した警視庁の警察官らは,原告X2を中核派の構成員ないしはその活動に深く関わっている人物であると認めた。なお,原告X2は,平成11年4月に都革新の後援会が発足した当時からその事務局長を務めている。
(3)  犯罪の嫌疑の存在について
捜査官は,「犯罪の捜査をするについて必要があるとき」は,裁判官に対して捜索差押許可状を請求することができるが(刑訴法218条1項),ここにいう「犯罪の捜査をするについて必要があるとき」とは,通常逮捕において要求される「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるとき」(刑訴法199条1項)に比して低い程度の嫌疑で足り,客観的に犯罪の嫌疑が一応存在することを根拠づけるものであれば足りるものと解されるから,上記許可状の発付を請求するに際しての捜査官の心証としては,その請求時において,捜査官が現に収集した証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により客観的に犯罪の嫌疑が一応存在すると認められれば足りると解するのが相当である。
前記認定の事実によれば,第1,第4,第6,第7及び第9被疑事件について,捜索差押許可状を請求するのに足りる犯罪の嫌疑があったことが明らかである。
原告らは,第2,第3,第5及び第8被疑事件は,警視庁の警察官らが,被疑者A2,A4,A6及びA10が杉並共同購入会館に実際に居住していることを確認しないまま,不当に嫌疑をかけて捜索差押許可状を請求したと主張する。
しかし,前記前提となる事実,証拠(乙38,39,証人A3,証人A5)及び弁論の全趣旨によれば,公安一課の警察官らは,第2,第3,第5及び第8被疑事件については,杉並共同購入会館における被疑者A2,同A4,同A6及び同A10の出入りの状況を視察し,上記被疑者らが杉並共同購入会館に居住していないものと判断し,それを疎明する資料を添えて,電磁的公正証書原本不実記録の嫌疑で逮捕状を請求し,その発付を受けたことが認められる。
上記事実によれば,第2,第3,第5及び第8被疑事件について,捜索差押許可状を請求するのに足りる犯罪の嫌疑があったものというべきである。
(4)  捜索差押えの必要性について
前記認定の事実によれば,本件各被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行であるとした警察官らの判断に不合理な点があるとはいえず,本件各被疑事件の罪体に直接関わる証拠ばかりでなく,動機,目的,手段,方法,共犯関係,背後関係等に関する証拠を収集して,本件各被疑事件に対する中核派の関与を明らかにし,その全容を解明する必要性があるとした警察官らの判断には合理性があるというべきである。
また,前記認定のような中核派の特性から,中核派又は中核派と組織的,思想的に深く関わっている団体の活動拠点であると認められた杉並共同購入会館及び都革新高円寺事務所に在所する者や中核派の活動に深く関わっていると認められた原告X1,原告X3及び原告X2が,中核派による組織的・計画的犯行である疑いのある本件各被疑事件に関連する証拠物を任意に提出することが期待し得ないとして,強制捜査の必要性を認め,本件各捜索差押許可状を請求した警察官らの判断にも合理性があるというべきである。
(5)  差し押さえるべき物の存在する蓋然性について
ア 捜索の対象が被疑者以外の第三者の住居その他の場所に対するものである場合には,「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある」ことが必要である(刑訴法222条1項,102条2項)ところ,第三者宅に捜索すべき物が存在する蓋然性があるとした司法警察職員の判断が,令状請求時までに通常要求される捜査によって収集した資料に基づき,合理性があるといえる場合には,当該令状請求が違法となることはないというべきである。
原告らは,被疑事実の罪体自体ではなくその背景事情や情状に関わる事項に関する証拠については,関連性について厳格に解釈すべきであると主張するが,犯罪について,起訴・不起訴の決定をし,適切な処遇をするためには,被疑事実の動機,目的,手段,方法のほか,共犯関係又は背後関係等についても捜査を遂げ,罪責の軽重その他量刑の資料となる事実に関する証拠も収集する必要があることは明らかであり,被疑事実と証拠との関連性を原告ら主張のように限定的に解さなければならない理由はないというべきである。
前記認定のとおり,本件各被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行である疑いがあるとした警察官らの判断に不合理な点はないというべきであり,本件各被疑事件に対する中核派の関与等の背景事情を解明するのに必要な証拠物も本件各被疑事実との関連性を有するというべきである。
イ 杉並共同購入会館について
(ア) 前記認定のとおり,杉並共同購入会館自体も対立セクトによる襲撃等に備えた構造,設備を有していること,中核派の機関紙に杉並共同購入会館が中核派の活動拠点として利用されている旨が記載されていること,現に杉並共同購入会館又はその周辺で対立セクトとの抗争事件が発生していること,杉並共同購入会館に住民登録したり出入りしたりしている者や駐車車両の所有者等の中に中核派活動家がいること,杉並共同購入会館の建物,敷地の所有者である原告結柴が中核派と深い関わりを有していたこと,加えて,第2,第3,第5及び第8被疑事件は,被疑者A2,同A4,同A6及び同A10が杉並共同購入会館を住所とする虚偽の住民登録等をしたことを被疑事実とするものであることなどの事実が認められ,これらの事実に照らせば,杉並共同購入会館が中核派の活動拠点であって,杉並共同購入会館の建物及びその敷地,同敷地内の付属建物,駐車車両並びに同所内に在所する者の着衣及び所持品等には,前記のとおり中核派による組織的・計画的犯行であると認められる第2ないし第9被疑事件に関連する証拠物が存在する蓋然性があるとした警視庁の警察官らの判断に不合理な点はないというべきである。
(イ) 原告結柴は,第4,第6及び第9被疑事件の発生からこれらの被疑事件に基づく捜索差押えがされるまでに約4か月ないし約1年6か月の期間が経過しており,その間に行われた他の被疑事件に基づく杉並共同購入会館に対する複数回の捜索差押えの際にも上記各被疑事件と関連する証拠物が発見されていなかったのであるから,上記各被疑事件に基づいて杉並共同購入会館の捜索が行われた当時に上記各被疑事件に関して差し押さえるべき証拠物が存在する蓋然性はなかったと主張する。
しかし,上記各被疑事件は,中核派の活動家によって組織的・計画的に敢行されたものであることが疑われ,被疑者も特定されずに逃亡中であるというのであり(弁論の全趣旨),公然部門の活動家及び支持者が非公然部門の活動家によるゲリラ事件等の遂行を武器の製造開発ないし保管,連絡活動,情報提供,事前調査,資金及び物資の調達援助,居住ないし利用拠点の設定,証拠隠滅工作ないし逃走援助を行うなどして支援するという中核派の活動の特性にも照らせば,犯行直後に限って上記のような証拠物が中核派の活動拠点や支持者の居宅等に存在する蓋然性が高いと考えるべき理由はないから,上記各被疑事件に基づく杉並共同購入会館の捜索がそれらの発生から約4か月ないし約1年6か月が経過した時期に行われたからといって,これらの被疑事実との関連性を有する証拠物が杉並共同購入会館に存在する蓋然性がなかったとはいえないというべきである。
ウ 都革新高円寺事務所について
前記認定のとおり,第7被疑事件は,被疑者A9が都革新が作成した「けしば誠一都政革新レポート」と題するビラを所持し,これを配布するために集合住宅に許可なく侵入したというものであるから,都革新高円寺事務所にそれに関連する証拠物があるとした警視庁の警察官らの判断は合理的なものといえる。
また,前記認定のとおり,第7被疑事件は,中核派による組織的・計画的な犯行である疑いがあると判断されていたところ,都革新とその前身である杉並革新連盟は,中核派と深い関わりを有する者らによって設立された政治団体であり,その政治上の主義・主張,運動方針を中核派と同じくし,中核派と深い関わりを有する者らを区議選や都議選で当選させることを目的とする活動をしており,その組織が中核派活動家や中核派と深い関わりを有する者らによって運営されていることからすると,都革新高円寺事務所に第7被疑事件と中核派との関連を示す証拠物が存在する蓋然性があるとした警視庁の警察官らの判断にも不合理な点はないというべきである。
エ 原告X1宅について
(ア) 前記認定のとおり,原告X1は,中核派又はその支援する団体が主催し,中核派活動家が参加する各種集会やデモ行進に繰り返し参加し,それらの集会において,主催者側の立場で関与したり,参加者に選挙での支援を求めたりしたことがあったこと,過去の原告X1宅の捜索の際に中核派の機関紙(誌)が押収されていたことなどの事実が認められ,このように原告X1が頻繁に中核派が関係する集会等に参加し積極的に活動していたことに照らせば,原告X1が,中核派の活動家や構成員といえるかはともかく,都革新の一支援者であるというにとどまらず,中核派とも深い関わりを持つ人物であると判断した警視庁の警察官らの判断が不合理であったとはいえないというべきである。
そして,前記認定の事実,すなわち,中核派が,非公然部門と公然部門とに分かれ,非公然部門の活動家が「人民革命軍・武装遊撃隊」に所属してゲリラ事件等の遂行に当たり,公然部門の活動家及び支持者が,表面上はデモ,ビラ配布等の公然活動に従事しながら,非公然部門の活動家によるゲリラ事件等の遂行を武器の製造開発ないし保管,連絡活動,情報提供,事前調査,資金及び物資の調達援助,居住ないし利用拠点の設定,証拠隠滅工作ないし逃走援助等を行うなどして支援し,総力を挙げてゲリラ事件や内ゲバ事件を敢行する非公然・非合法を原則とする組織であること,第1及び第6被疑事件は,中核派による組織的・計画的犯行である疑いがあることに加え,これら被疑事件の手段,方法等からすると,多くの非公然部門の活動家の関与が疑われるところ,それらの被疑者が特定されずに逃亡中であったことなども考慮すると,これらの被疑事件に関連する証拠物が原告X1宅に存在する蓋然性があるとした警視庁の警察官らの判断が不合理であったとまではいえないというべきである。
(イ) 原告X1は,過去の原告X1宅における捜索によって犯人の特定に結びつく物件や犯行に供された物件が発見されたことはなく,第1被疑事件及び第6被疑事件に基づく原告X1宅の捜索がこれらの被疑事件が発生してからそれぞれ約1年10か月及び約7か月が経過した時期に行われていることを挙げて,それらの捜索が行われた当時に原告X1宅にこれらの被疑事件の犯人の特定に結びつく物件や犯行に供された物件がある蓋然性はなかったと主張する。
しかし,上記被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行であり,秘密裏に準備,敢行され,犯行後にあっては,犯人や中核派の構成員や支援者による証拠隠滅工作や逃走援助が行われている疑いがあることからすると,このような被疑事件の捜査において,犯人の特定に直接結びつく物件や犯行に供された物件が押収されることは通常期待できないといっても過言ではないのであるから,それ自体で被疑事実の内容を明らかになるような証拠物でなくても,他の証拠と総合して分析,検討することによって犯人や犯行態様といった被疑事実の罪体を明らかにし,あるいは,これに対する中核派の関与等の背景事情を解明することに結びつき得る証拠物であれば,差押えの要件としての被疑事実との関連性を有するというべきである。
また,上記被疑事件も,中核派の活動家によって組織的・計画的に敢行されたものであることが疑われ,被疑者も特定されずに逃亡中であるというのであり(弁論の全趣旨),杉並共同購入会館について説示したのと同様,公然部門の活動家及び支持者が非公然部門の活動家によるゲリラ事件等の遂行を武器の製造開発ないし保管,連絡活動,情報提供,事前調査,資金及び物資の調達援助,居住ないし利用拠点の設定,証拠隠滅工作ないし逃走援助を行うなどして支援するという中核派の活動の特性にも照らせば,犯行直後に限って上記のような証拠物が中核派の活動拠点や支持者の居宅等に存在する蓋然性が高いと考えるべき理由はないから,原告X1宅の捜索が第1被疑事件及び第6被疑事件の発生から約1年10か月及び約7か月が経過した時期に行われたからといって,上記のような意味での被疑事実との関連性を有する証拠物が存在する蓋然性を否定することはできないというべきである。
したがって,原告X1の上記主張は採用することができない。
オ 原告X3宅について
前記認定のとおり,原告X3は,中核派若しくはその支援する団体が主催し又は中核派活動家が参加する各種集会やデモ行進に頻繁に参加していたことが認められることに加え,証拠(原告X3)によれば,原告X3は,平成元年ころから,都革新の構成員が中核派の構成員と共通すると認識しつつ,これら中核派が主催する集会等にほぼ欠かすことなく参加していたというのであり,このように原告X3が中核派が主催などする集会等に頻繁に参加していたことに照らせば,原告X3が,中核派の活動家や構成員といえるかはともかく,都革新の一支援者であるというにとどまらず,中核派とも深い関わりを持つ人物であると判断した警視庁の警察官らの判断が不合理であったとはいえないというべきである。
そして,前記認定のような中核派の活動の特性に照らせば,原告X3宅には,中核派による組織的・計画的犯行であって,その方法,手段から多くの非公然部門の活動家が関与したことが疑われ,それらの被疑者が特定されずに逃亡している第1被疑事件に関連する証拠物が存在する蓋然性があるとした警視庁の警察官らの判断に不合理な点があるとまではいえないというべきである。
原告X3も,過去の原告X3宅における捜索によって犯人の特定に結びつく物件や犯行に供された物件が発見されたことはなかったこと,第1被疑事件を被疑事実とする原告X3宅の捜索が同被疑事件発生から約1年10か月後にされていることを挙げて,その捜索がされた当時に原告X3宅に同被疑事件の犯人の特定に結びつく物件や犯行に供された物件がある蓋然性はなかったと主張するが,その主張は,原告X1の同旨の主張について説示したところと同様に,採用することができない。
カ 原告X2宅について
前記認定のとおり,原告X2は,衆議院議員選挙において中核派と深い関わりを有していたA19の応援弁士として街頭演説を行ったり,中核派又は中核派が支援する団体が主催又は支援する集会やデモ行進に参加したことなどが認められるのであり,このような事実によれば,原告X2が中核派の活動家や構成員といえるかはともかく,原告X2が,都革新の一支援者であるというにとどまらず,中核派とも深い関わりを持つ人物であるとした警視庁の警察官らの判断が不合理であったとはいえないというべきである。
そして,前記認定のような中核派の活動の特性に照らすと,原告X2宅には,中核派による組織的・計画的犯行であって,その方法,手段から多くの非公然部門の活動家が関与したことが疑われ,それらの被疑者が特定されずに逃亡している第6被疑事件に関連する証拠物が存在する蓋然性があるとした警視庁の警察官らの判断に,不合理な点があるとまではいえないというべきである。
原告X2も,第6被疑事件を被疑事実とする原告X2宅の捜索が同被疑事件発生から約11か月後にされていることを挙げて,その捜索がされた当時に原告X2宅に同被疑事件の犯人の特定に結びつく物件や犯行に供された物件が発見される蓋然性はなかったと主張するが,その主張は,原告X1の同旨の主張について説示したところと同様に,採用することができない。
(6)  以上によれば,本件各捜索差押許可状の請求に違法があったということはできず,争点(1)についての原告らの主張には理由がない。
2  争点(2)(本件各捜索差押えの執行に違法性があるか。)について
(1)  実施状況について
ア 杉並共同購入会館への違法な捜索差押えの実施について
証拠(甲38,証人A12,証人A3,証人A5,被告結柴)及び弁論の全趣旨によれば,杉並共同購入会館及びその敷地等を捜索場所として実施された複数回の捜索差押えにおいて,警視庁の警察官らが拡声器を使用するなどの方法で杉並共同会館内部に在所する者に対して捜索差押えの実施を告げるとともに出入口の扉を解錠するよう求めても,同会館の中からは応答がなく,扉が開かれないまま時間が経過し,その後,杉並共同購入会館の建物の壁をエンジンカッター等で損壊してその内部に立ち入って捜索差押えを開始したところ,直前に焼却された証拠物のものと思料される残骸が発見されたり,水溶紙が大量に溶かされていた状況が確認されたりしたことがあったこと,平成13年6月6日の杉並共同購入会館及びその敷地等に対する捜索差押えの際,A12警部ら公安一課員から成る捜査員約80名及び機動隊員約40名は,同日午前6時23分ころ,杉並共同購入会に到着し,拡声器を使用するなどして捜索差押えの実施を告げ,会館建物の唯一の出入口である鉄製扉をたたいたりインターホンを鳴らしたりしながら,鉄製扉を開けるよう求めたが,内部から応答がないまま時間が経過したこと,A12警部は,当日のこのような状況とそれまでの杉並共同購入会館に対する捜索差押えの際の建物内部に在所する者の対応から,今回も,同会館内において証拠隠滅作業が進められているものと疑い,拡声器を使用して,出入口扉を直ちに開けること,出入口扉を開けない場合には出入口扉等を損壊することなどを警告したが,出入口の扉が開かれなかったため,捜査の目的を達するためには直ちに捜索を開始する必要があると判断し,機動隊員に対し,エンジンカッター等を使用して出入口扉を損壊するように指示したこと,機動隊員は,A12警部の指示に基づき,拡声器を使用して,裁判官が発した捜索差押許可状に基づいて杉並共同購入会館等を捜索すること,出入口扉を直ちに開けること,出入口扉を開けない場合は,やむを得ず出入口扉等を損壊することなどを告げるとともに,出入口扉等の損壊に備え,エンジンカッター等を始動したこと,しかし,その後も,出入口扉が開けられなかったため,機動隊員は,同日午前6時31分ころ,エンジンカッター等を使用して,出入口扉の損壊を開始し,同時に,長谷川荘を囲んで張られていた塩化ビニール製波板の一部とその内部の壁の損壊を開始したこと,そうしたところ,同日午前6時58分ころ,建物内部から出入口扉を開ける旨の声が聞こえたため,A12警部は,機動隊員に損壊活動を中止するように指示して同活動を中止させたこと,同日午前7時0分に,出入口扉が開き,本館内から,中核派構成員であるA15が出てきたため,A12警部は,同人に対して,共同購入会館捜索差押許可状(第4被疑事件関係)を提示して捜索差押えに着手したことが認められる。
上記のとおり,A12警部は,平成13年6月6日の杉並共同購入会館及びその敷地等に対する捜索差押えを開始するに当たり,拡声器で警告し説得したにもかかわらず,内部に在所する者がそれに応じて扉を開けなかったこと,A12警部は,それまでの同所に対する捜索差押えがされた際の状況から,内部では証拠隠滅工作が進められている可能性があり,緊急に捜索を開始する必要があると判断したこと,そこで,A12警部は,機動隊員に指示してエンジンカッター等を使用して扉や壁を損壊する活動に着手させたこと,A12警部は,建物内部から出入口を開ける旨の声が聞こえた後は上記活動を中止させたことが認められるのであり,これらの事実によれば,警視庁の警察官らが上記捜索差押えに際してエンジンカッター等を使用して扉や壁を損壊したことが捜索差押えの目的を達するために必要な範囲を逸脱した違法な処分であったとはいえない。
なお,原告結柴は,本人尋問において,上記捜索差押えの際には,会館内部に在所した者がしばらく扉が開くのを待つように求めたのに,警視庁の警察官らは,その制止を無視して扉や壁の損壊を開始した旨供述しているが,そのような事実を認めるに足りる証拠はないし,仮にそのような事実があったとしても,そのような内部在所者の対応がどの程度迅速にされたのか不明であり,それまでの杉並共同購入会館及びその敷地等に対する捜索差押えの際における会館内部に在所した者の対応からすると,そのような対応が証拠隠滅の時間稼ぎのためのものであり,扉が会館内部にいる者によって任意に開かれる前に証拠隠滅作業が進められるのではないかと考えて,壁を損壊に着手したことに違法があったとまではいえない。
なお,証拠(甲63)によれば,平成13年6月6日の朝日新聞の夕刊には,当日の捜索の様子が写真付きで報道されたことが認められるが,上記のとおり,警視庁の警察官らが杉並共同購入会館に到着してからエンジンカッター等による壁の破壊作業に着手し,これを終了するまでの間には,相当の時間を要したことが認められることからすると,その間に,何らかの事情で当日の捜索の事実を探知した朝日新聞社の記者が現場に臨場して上記捜索の様子を取材したものと考えることもできるから,上記のような新聞報道がされたからといって,それだけでは,警視庁の警察官らが上記捜索に関する情報を報道機関に提供したとの事実を認めることはできないし,他にそのような事実を認めるに足りる証拠はない。
イ 原告X2宅の捜索差押えの実施状況について
原告X2は,警視庁の警察官らが,第6被疑事件に関する原告X2宅の捜索差押えの実施に当たり,原告X2の顔写真を無断で撮影し,原告X2に捜索差押許可状を提示しなかったなどと主張する。
この点について,原告X2の陳述書(甲78)及び本人尋問における供述には,原告X2宅の捜索差押えを実施したA26警部は,原告X2に対して原告X2宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)の1頁目しか提示せず,原告X2が「近くで見たいのでよく見せてほしい。」と要求しても,「破いたら器物損壊」になるとして見せず,原告X2がこれをコピーすることも拒絶したとする部分がある。
しかし,上記陳述書には,上記捜索差押えが「運輸省政策局幹部宅車両爆破事件」に基づくものであったとする記載があるところ,証拠(乙22)によれば,そのような被疑事件名は,原告X2宅捜索差押許可状(第6被疑事件関係)の3葉目に記載されていることが認められるから,A26警部が原告X2に対して同許可状の各葉を提示すらしなかったとする原告X2の本人尋問における供述は,直ちに信用することができない。むしろ,上記供述が,A26警部から,上記許可状を「破いたら器物損壊」になると言われたり,それをコピーするのを拒絶されたりしたことを強調する内容となっていることからすると,A26警部は,原告X2から,上記捜索差押許可状を手にとって見たり,コピーしたりしたいと要求されたのに対して,これを拒否したことがうかがわれ,原告X2の上記供述は,このことを不服とする趣旨であると解されるところである。警察官が捜索差押許可状等の令状によって捜索差押えを行う場合には,当該令状を処分を受ける者に示さなければならないところ(刑訴法222条1項,110条),この令状の提示は,処分を受ける者に対して,令状の内容を知る機会を与えることにあると解されるから,A26警部には,原告X2の要求に応じて,捜索差押許可状を手にとって見せたり,そのコピーをさせたりする義務があったということはできず,A26警部がそのような要求を拒絶したからといって,これを違法ということはできない。
また,A26警部と原告X2との間で上記捜索差押許可状の提示をめぐって上記のようなやりとりがあったことからすると,仮に,原告X2宅を捜索した警察官が原告X2の顔写真を撮り,又は撮ろうとしたとしても,その目的は,当該許可状が適法に提示されたことを明らかにするためであったものと推認され,当該警察官がことさらに原告X2の容貌を撮影しようとしたものとは認められないし,原告X2本人尋問の結果によれば,結局,当該警察官は,原告X2から抗議されて,その撮影を中止したことがうかがわれるところである。そうすると,原告X2宅の捜索差押えに際して,警察官が原告X2の意思に反して違法にその顔写真を撮影し,又は撮影しようとしたということはできない。
(2)  差押えの目的物の関連性について
ア 原告らは,本件各捜索差押えにより押収された機関紙等について,本件各被疑事実との関連性がなく,差し押さえられるべき物に当たらないと主張する。
捜索の結果発見された物品について,それが差押えを許可された物といえるかどうかの捜査員の判断は,合理的なものでなければならないというべきである。
しかし,押収された証拠物は,これを基礎にして更に捜査を進展継続し,あるいは他の証拠資料も総合して分析,検討することによって,被疑事件の罪体のほか,その動機,目的,手段,方法,共犯関係,背後関係等を明らかにし,事件の全容を解明する資料となり得るものであるところ,そのような意味での関連性があるかどうかの判断を,捜索差押えの現場において,捜査員が短時間のうちにすることは困難であり,対象物の内容によっては,時間をかけて分析,検討しなければ当該対象物と被疑事実との関連性の有無が判明しない場合もあるというべきである。そして,立会人等による捜索差押えの妨害の可能性もあることからすれば,捜索差押えの現場において,被疑事実の罪体や背景事情との関連性がないことが一見して明らかである場合にはこれを押収することは許されないものの,後日の分析と検討を待たなければ被疑事実との関連性が明らかにならないようなものについては,当該捜索差押現場において一応の関連性を認定して差押えをしたとしても,これをもって違法な差押えと評価することはできないというべきである。
イ 原告らの主張するA群,B群,C群の各機関紙(誌),ビラ,パンフレット,小冊子,議案書,議事録,規約等は,中核派又はそれと深い関わりを有する団体が作成し,それらの団体の主義主張や活動方針を記載したものであることがうかがわれるから,いずれも本件各捜索差押許可状の「中核派及び同派傘下団体等の組織上の主義・主張・方針並びにこれらをあおる機関紙(誌)・ビラ類の文書」や「その他本件と中核派との関係を明らかにする文書・物件」,「中核派構成員との関係を明らかにする機関紙(誌),ビラ,パンフレット等の文書物件」,「中核派の機関紙・誌,指令,通達,連絡等の文書類」に該当するものということができる。
そして,前記認定のとおり,本件各被疑事件が中核派による組織的・計画的犯行である疑いがあったこと,本件各捜索場所は中核派若しくはこれと深い関係がある団体の活動拠点又は中核派と深い関係があると考えられる者の居宅であること,上記機関紙等が中核派やこれと組織的,思想的に深い関係にあると考えられる団体等によって作成されたものであることに加え,前記認定のような中核派の特性等を併せ考えれば,上記機関紙等には,中核派構成員に対するメッセージ,指令・命令等が,暗号,隠語,特殊インク等で記載されていたり,本件各被疑事件に関与した中核派の非公然活動家の指掌紋が付着している可能性も考えられ,その場合,それらの証拠物は,本件各被疑事件の動機,目的,手段,方法,共犯関係,背後関係等を明らかにし,本件各被疑事件の全容を解明する資料となり得るものであるから,本件各捜索差押許可状記載の本件被疑事実の罪体及びその背景事情と関連性を有しないことが一見して明らかとはいえないとした警察官らの判断が不合理であったとはいえないというべきである。
そうすると,立会人等による妨害の可能性等も考えれば,上記警察官らが,本件各捜索差押えに際し,各捜索差押えの場所において時間を費やして上記機関紙等の分析をしその結果必要と認められた証拠物のみを差し押さえることをせず,結果として本件各被疑事件の捜査に役立つとは認められないものも含めて,各被疑事実やその背景事情との関連性を疑い,詳細に分析する必要があるものとして差押えをしたことには,合理性があるというべきであり,これをもって違法な差押えということはできない。
なお,上記各機関紙等は,杉並共同購入会館をはじめとする捜索すべき場所,身体又は物に存在していた機関紙等であるという点で代替性のない価値を有するのであり,同じ内容の機関紙等が書店等で入手可能であるからといって,差押えの必要性が否定されるわけではないというべきである。
ウ D群に属するメモ,住所録,手帳,地図,メモ,レジュメ,資料等は,「葉書,手紙,住所録,電話帳,電話メモ等の文書類」,「住所録,電話帳,日記帳,名刺,メモ」,「名刺,メモ,住所録,その他伝票類及び手紙等の通信文書類」,「連絡メモ,地図,略図」に当たるものというべきである。
そして,これらの文書についても,本件各被疑事件が上記のように中核派による組織的・計画的犯行と認められたこと,原告らが中核派の活動に深く関わっている人物であると認められたこと及び前記認定の中核派の特性にかんがみると,原告X1宅で押収された「住所録」及び「アドレス帳1冊」,原告X3宅で押収された「名刺1枚」(表面には都革新代表との肩書きでA19の氏名が,裏面には中核派が支援する「動労千葉」の文字や同派が闘争課題として取り組んでいる三里塚闘争の「三里塚」の文字等がそれぞれ記載されたもの),原告X2宅で押収された「年賀状」2枚(差出人として中核派構成員の「A27」の氏名や中核派の裁判闘争を担当する「革共同・救対部」の文字が記載されたもの)及び「メモ1部」(「都革新」の文字があり,都革新の選挙運動等に関する記載があるもの),「ノート1冊」(「8/20(月)西村弁護士(救援連絡C)6/6上高井戸そうさく」等の文字が羅列されたもの),杉並共同購入会館や都革新高円寺事務所で押収された手帳,地図(書き込みのあるもの),紙片,封筒,レジュメ,報告書その他の資料,パソコン本体及びその付属機器,携帯電話には,それぞれ,本件各被疑事件に関与した中核派構成員と関連を有する人物の住所,電話番号等が記載されていたり,各記載が本件各被疑事件に関係のある組織編成,戦術,闘争計画,犯人の隠匿場所や逃走経路等の記載の一部であったり,指令・命令文等が暗号,隠語,特殊インク等で記載されていたり,本件各被疑事件に関与した中核派の非公然活動家の指掌紋が付着している可能性も考えられるところであるから,それらの記載内容等からして本件各被疑事件と関連性を有しないことが一見して明らかであったとはいえないというべきである。
そして,立会人等による妨害の可能性等も考えれば,これらの物についても,上記警察官らが,本件各捜索差押えに際し,各捜索差押えの場所において時間を費やして上記メモ,住所録等の分析をしその結果必要と認められた証拠物のみを差し押さえることをせず,結果として本件各被疑事件の捜査に役立つとは認められないものも含めて,各被疑事実やその背景事情との関連性を疑い,詳細に分析する必要があるものとして差押えをしたことには,合理性があるというべきであり,これをもって違法な差押えということはできない。
エ 以上のとおりであるから,本件各捜索差押えにより押収された機関紙等が,本件各被疑事実との関連性がなく,差し押さえられるべき物に当たらないとする原告らの主張は採用することができない。
(3)  以上のとおり,争点(2)についての原告らの主張には理由がない。
3  争点(3)(本件合同捜査及び本件警戒・視察活動並びに本件各捜索差押えは,原告結柴の選挙活動を妨害する目的でされたものか。)について
(1)  原告らは,本件合同捜査及び本件警戒・視察活動が並びに本件各捜索差押えが原告結柴の選挙活動への妨害を目的としたものであったと主張する。
(2)  公安一課及び杉並警察署,荻窪警察署及び高井戸警察署の警察官らが,平成13年1月から同年6月までの間,オウム真理教特別手配被疑者及び極左暴力集団の指名手配被疑者の発見検挙を目的として本件合同捜査を実施し,杉並区内の住宅を個別に訪問し,オウム真理教特別手配被疑者や極左暴力集団の指名手配被疑者の写真を提示しながら情報提供を呼び掛けるなどしていたことは,被告も認めるところである。
しかし,上記警察官らが,本件合同捜査の際に,個別訪問先において原告結柴や都革新を誹謗中傷したり,原告結柴のポスターを剥がすように依頼し,実際にこれを剥がしたりしたことについては,その日時,場所,戸別訪問を受けた住民,そのような行為を行った警察官等が具体的に特定して主張されておらず,そのような事実を認めるに足りる証拠もない。
(3)  証拠(乙37,証人A12)によれば,杉並警察署の警察官らは,平成13年6月8日午後5時45分ころ,原告結柴がJR西荻窪駅北口前道路上において街頭宣伝活動の準備を開始したとの情報を得て,同日午後5時55分ころ,同所に臨場し,同日午後7時ころに原告結柴の街頭宣伝活動が終了して原告結柴らがその場から立ち去るまでの間,その付近において,警戒・視察活動を開始し,メモを取るなどしたこと(本件警戒・視察活動)が認められる。
しかし,証人A12は,本件警戒・視察活動を行った経緯として,原告結柴が過去に革マル派による襲撃を受け,重傷を負ったことがあること,右翼団体の構成員が中核派構成員を襲撃する可能性があること,現場にいる中核派構成員の中には逮捕状が発付されている者がいる可能性があることなどにかんがみて,警戒・視察活動の必要性を認めたものであって,原告結柴の街頭宣伝活動を妨害する目的はなく,荻窪警察署の警察官らは,警戒・視察活動を行う上で必要なメモをとったにすぎないと証言しているところ,前記認定のとおり原告結柴が中核派と深い関わりを有しており,対立セクトに襲撃されて重傷を負った事実が認められることからすると,証人A12の上記証言の信用性を排斥することはできず,また,現に,原告結柴による街頭宣伝活動が上記警察官らの行動によって妨害されたことをうかがわせる証拠もないことからすれば,そのような行動が選挙妨害の目的で行われたとまでは認めがたいというべきである。
(4)  前記認定の事実によれば,確かに,本件各捜索差押えには,平成13年6月の都議会議員選挙の直前の時期にされたものもあるが,その後にされたものもあること,都革新高円寺事務所についてみると,都革新が発行する原告結柴の選挙活動に関するビラの配布のためにA9が集合住宅に侵入したという第7被疑事件に関連して捜索差押えを受けたことはあるものの,原告結柴の選挙活動に直接関係のないその他の被疑事件に関連して捜索差押えがされたことはないことからすると,本件各捜索差押えがことさら上記都議会議員選挙における原告結柴の選挙活動を妨害する目的で行われたとまで認定することはできない。
(5)  他に争点(3)についての原告らの主張を認めるに足りる証拠はなく,争点(3)についての原告らの主張には理由がない。
第4  結論
以上によれば,原告らの請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 矢尾渉 裁判官 澤野芳夫 裁判官 長博文)

 

〈以下省略〉

 

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