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「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(60)平成15年11月26日 大阪地裁 平14(行ウ)186号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔大阪地労委(大阪ローリー運輸労組・双辰商会)事件・第一審〕

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(60)平成15年11月26日 大阪地裁 平14(行ウ)186号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔大阪地労委(大阪ローリー運輸労組・双辰商会)事件・第一審〕

裁判年月日  平成15年11月26日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(行ウ)186号・平15(行ウ)4号
事件名  不当労働行為救済命令取消請求事件 〔大阪地労委(大阪ローリー運輸労組・双辰商会)事件・第一審〕
裁判結果  認容  上訴等  控訴  文献番号  2003WLJPCA11266005

要旨
◆タンクローリー車による石油製品の輸送を業とする会社が自己破産し従業員全員を解雇した場合につき、同社から車両を買い取り運送業を営む会社には同社の取締役・従業員等がまったく引き継がれておらず、両社間に同一性はないことから、前者の会社の従業員解雇等の行為は、組合の影響力の及ばない後者の会社において会社再建を図ろうとしたものと認めることはできず、不当労働行為に当たらないとされた事例。
◆破産会社の破産申立てが破産会社の組合を消滅させ組合員を解雇し組合の影響力が及ばない別会社で実質的な会社再建・継続を図ったものとは認められないとして、破産申立て及び破産管財人の解雇等が不当労働行為に当たらないとした事例。(旧破産法関係)〔*〕

出典
労判 868号49頁
労経速 1867号3頁

評釈
牛場国雄・労経速 1867号2頁

裁判年月日  平成15年11月26日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(行ウ)186号・平15(行ウ)4号
事件名  不当労働行為救済命令取消請求事件 〔大阪地労委(大阪ローリー運輸労組・双辰商会)事件・第一審〕
裁判結果  認容  上訴等  控訴  文献番号  2003WLJPCA11266005

第1事件原告 有限会社双辰商会(以下,単に「原告会社」という。)
上記代表者代表取締役 A1
上記訴訟代理人弁護士 清水伸郎
第2事件原告・第1事件被告補助参加人 大阪ローリー運輸労働組合(以下,単に「原告組合」という。)
上記代表者執行委員長 A2
上記訴訟代理人弁護士 中北龍太郎
同 村本純子
第1事件・第2事件被告 大阪府地方労働委員会(以下,単に「被告」という。)
上記代表者会長 田中治
上記訴訟代理人弁護士 若林正伸

 

 

主文

1  被告が,平成13年(不)第48号事件について,平成14年12月9日付けでした不当労働行為救済命令を取り消す。
2  訴訟費用のうち,参加によって生じた部分は原告組合の負担とし,その余は第1事件及び第2事件を通じて被告の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
主文第1項と同旨
2  第2事件
被告が,平成13年(不)第48号事件について,平成14年12月9日付けでした不当労働行為救済命令のうち,主文第1項につき,これを取り消す。
第2  事案の概要
本件は,原告会社が,被告が平成13年(不)第48号不当労働行為救済命令申立事件(以下「本件初審手続」という。)について平成14年12月9日付けでした命令(以下「本件命令」という。)は,事実誤認がある上,判断を,誤った点において違法であると主張して,第1の1記載のとおり,本件命令の取消しを求め(第1事件),原告組合が,本件命令が不当労働行為の救済方法として原告組合との協議を命じるにとどまったことは,被告の裁量の範囲を超えるものであって違法であるとして,第1の2記載のとおり,本件命令の一部取消しを求めた(第2事件)事案である。
1  争いのない事実等
(1)  大阪ローリー運輸株式会社(以下「破産会社」という。)は,大阪府高石市〈以下省略〉に本社を置き,主としてタンクローリー車による石油製品の輸送を業とする株式会社である。
破産会社の主な運送業務は,荷主であるa石油有限会社(以下「a石油」という。)との継続的な運送契約に基づき,破産会社の運転手がタンクローリー車を運転して製油所で石油類を積み込み,ガソリンスタンド等に配送するものであった。
(2)  原告会社は,平成6年4月25日に破産会社と同一住所に本社を置き,資本金300万円で設立された有限会社であり,平成10年12月2日,堺市〈以下省略〉に本社を移転し,平成12年7月25日には,資本金を1200万円に増資し,平成13年10月20日,肩書地に本社を移転した。
本件初審手続の審問終結時における原告会社の従業員数は,24名であった。
原告会社の設立当時の営業種目は,損害保険代理業,労務コンサルタント,石油製品の販売等であったが,平成12年9月1日,一般貨物自動車運送事業及び貨物運送取扱事業が追加された。
原告会社の代表取締役であるA1(以下「原告会社代表者」という。)は,破産会社の元代表取締役会長であるA3(以下「A3会長」という。)の長男であり,原告会社の設立当初の取締役であったA4は,A3会長の内縁の妻である。
なお,原告会社に労働組合は存在しない。
(3)  原告組合は,昭和60年3月に結成され,破産会社の労働者によって組織する労働組合であり,破産会社と同一住所に事務所を置いていたが,平成14年2月15日,肩書地に事務所を移転した。原告組合の組合員数は,破産会社の破産申立て時で21名,本件初審手続の審問終結時で4名であった。
(4)  破産会社には,原告組合のほかに,昭和59年9月に結成され,翌60年2月に結成通告がされた大阪ローリー運輸分会(以下「建交労分会」という。)があった。建交労分会は全日本建設交運一般労働組合(昭和61年10月24日から平成11年12月までは全日本運輸一般労働組合南大阪支部との名称であった。以下「建交労」という。)の下部組織であり,その組合員数は破産会社の破産申立て時には8名であったが,平成13年10月31日に建交労分会は解散した。
(5)  建交労分会は,その結成通告後,団体交渉における破産会社の態度等に抗議して,腕章を着用して就労しようとしたが(以下「腕章着用就労」という。),破産会社は,腕章着用就労は認めないとして,建交労分会員を就労させず,当該未就労期間については,建交労分会と協定していた最低保障賃金からその4割相当額を減額した残額を支給した。
これに対し,建交労は,昭和61年から翌62年にかけて,これらのことが不当労働行為であるとして,破産会社を被申立人として,被告に不当労働行為救済申立て(昭和61年(不)第17号,第46号,第51号及び昭和62年(不)第44号併合事件)を行い,また,建交労分会員11名は,差額賃金の支払を求めて,大阪地方裁判所堺支部(以下「大阪地裁堺支部」という。)に提訴した(昭和61年(ワ)第1143号事件)。
(6)  被告は,昭和63年11月21日,前記(5)の不当労働行為救済申立事件について,破産会社に対し,配車差別の禁止,出勤停止処分の撤回及び差額賃金の支払等を内容とする救済命令を発したところ,破産会社は,中央労働委員会(以下「中労委」という。)に再審査の申立てを行ったが,平成2年10月26日,中労委の関与の下に和解が成立し,同事件は終了した。なお,当該和解協定書には,腕章着用就労に関する条項は含まれなかった。
(7)  大阪地裁堺支部は,平成2年7月25日,前記(5)の差額賃金請求事件について,建交労分会員らの腕章着用就労の申入れは,正当な組合活動の範囲を逸脱しているものとはいい難く,腕章着用就労を拒否し賃金を減額した破産会社の行為は,建交労分会員の組合活動を理由とする不利益取扱いであるとして,差額賃金の支払を命じる判決を言い渡した。
(8)  破産会社は,平成3年9月の決算において,5200万円の経常損失を計上し,以後,4期連続して経常損失を計上した。この結果,平成6年9月の決算では,累積損失は約2億2000万円に上り,債務超過の状態に陥った。
その後,破産会社は,従業員の賃金抑制を図るなどリストラに取り組むとともに,平成7年には7500万円の増資を図り,その資本金は1億円となった。その後も,破産会社は,平成9年にA3会長を引受人として増資を図り,その資本金は1億5800万円となった。
なお,破産会社の平成7年10月1日から平成13年3月31日までの売上高,経常損失(経常利益),当期未処理損失(累積損失)は,以下のとおりであり,破産会社は,第27期及び第30期を除き,経常利益を上げることができなかった。
ア 第26期(平成7年10月1日から翌8年9月30日まで)
売上高 約11億7670万円
経常損失 約2250万円
当期未処理損失 約9560万円
イ 第27期(平成8年10月1日から翌9年9月30日まで)
売上高 約12億8860万円
経常利益 約6080万円
当期未処理損失 約4980万円
ウ 第28期(平成9年10月1日から翌10年9月30日まで)
売上高 約12億3400万円
経常損失 約6860万円
当期未処理損失 約1億0960万円
エ 第29期(平成10年10月1日から翌11年9月30日まで)
売上高 約8億8700万円
経常損失 約7800万円
当期未処理損失 約1億9130万円
オ 第30期(平成11年10月1日から翌12年9月30日まで)
売上高 約8億6600万円
経常利益 約1600万円
当期未処理損失 約1億7500万円
カ 第31期中(平成12年10月1日から翌13年3月31日まで)
売上高 約6億5340万円
経常損失 約5500万円
累積損失 約2億3000万円
(9)  破産会社は,平成8年5月17日,破産会社の経営危機を訴える文書を全従業員の自宅あてに送付した。
同文書の内容は,同業他社の倒産時のお詫び文章を引用して,破産会社の経営悪化のおそれを指摘するとともに,破産会社の総収入の中で総人件費の占める割合が健全経営といわれる48パーセントを上回り54パーセントを超える水準となったこと,売上げが前年より落ちているのに人件費が増えていることなどを指摘して,破産会社の経営を立て直す必要があるとするとともに,徹底したコスト削減,労使一体の協力,車両の自主管理,無事故達成,新規顧客開拓等による稼働率向上,賃金体系の見直しなどの破産会社再建のための方策が記載されていた。
(10)  破産会社は,平成8年7月19日,「わが社の近況報告」と題する文書を全従業員の自宅あてに送付した。
同文書の内容は,前記(9)の文書の送付により従業員に「今,会社は厳しい経営環境の中に置かれている」ことを真摯に理解していただいたとし,破産会社には良い変化が見られ,着実に変わりつつあるとするとともに,「来年4月1日から週40時間制移行に先立ち,1年単位の変形労働時間制を採用する。5月~10月の閑散期の間の給与については,満勤の場合,時間外を含んで220時間の計算で仮払いする。これにより夏場仕事が落ち込んで生活が苦しくなることが緩和され,年間(ママ)通じて生活の安定が計れる。また,一時金については,本年度(4月~翌3月)の期中の営業成績に応じて,来年4月にボーナス以外に決算賞与を支給する」ことが記載されていた。
(11)  破産会社は,平成10年8月9日,全従業員を集めて会社現況説明会を開催し,受注量の減少を理由に希望退職者を募集するとともに,基準内賃金の10パーセントカット等の合理化を実施することを口頭で発表した。
(12)  破産会社は,平成10年9月7日,前記(11)の説明会で発表したリストラ及び賃下げを実施するに当たり,細部についての条件提示として,「リストラ及び賃下げ条件提示」と題する文書を原告組合及び建交労分会に示した。
その主な内容は,〈1〉希望退職募集に関し,募集人員未達成の場合には,過去3年間に重大事故や再三事故を起こしている者であることを条件として精査し,指名解雇を実行すること,〈2〉全従業員に対して,同年10月分給与から,基準内賃金及び家族手当について,役員25パーセント,部長・課長20パーセント,係長・主任15パーセント,乗務員10パーセント,一般及び配車事務5パーセントの賃下げを行うこと,〈3〉全従業員を対象に,同年10月1日から管理及び事務員・乗務員の配置換えを実施すること,〈4〉希望退職者の募集人数を23名とすることなどであった。
希望退職者の募集には,同年10月にかけて16名が応じた。また,破産会社は,原告組合とは合意しているとして,同月支給分の給与から,前記条件提示に記載された乗務員に対する10パーセント賃下げ等の合理化を実施した。
(13)  平成10年12月1日,破産会社の総務係長であったA5と総務部員であったA6及びA7が原告会社に転籍し,破産会社の取締役であったA8が原告会社に入社した。また,同月2日,原告会社の取締役であったA4が辞任し,同日,A5が原告会社の取締役に就任した。
このころから,原告会社は,破産会社の総務部門及び経理部門の業務を受託するようになった。原告会社が破産会社に請求した総務部門及び経理部門の業務受託に係る手数料は,別表1〈省略〉のとおりであった。
(14)  破産会社は,平成11年5月10日,原告組合の代表者と労使経営協議会を発足させ,翌6月18日には,原告組合及び建交労分会に対し,破産会社の業績は,二十数パーセントに至る運賃ダウンが波及して大幅赤字が累積していく状況であるとして,同年7月21日から運転手に対する一律2万円の賃金カット,満55歳以上早期退職勧奨及びその他の労働条件の切下げを実施する旨を通知した。
建交労は,同年5月以降3回にわたって破産会社と春闘要求等を議題とする団体交渉をしたが,破産会社はスライドを使った一方的な説明のみを行い原告組合からの質問にも答えないなど不誠実な対応に終始しているとして,同年6月18日,破産会社を被申立人として,被告に対し,不当労働行為救済申立て(平成11年(不)第56号事件)を行った。
なお,被告は,平成12年7月13日,前記事件につき,破産会社に対し,誠実な団体交渉の応諾と誓約文の手交を命じる救済命令を発し,破産会社は,中労委に再審査の申立てを行ったが,平成13年5月23日,同申立てを取り下げた。
(15)  原告組合の組合員であるA9は,平成11年7月,「大阪ローリーの賃下げに反対する会(仮称)」(以下「反対する会」という。)結成の呼び掛け人代表として,反対する会への案内状などを破産会社の従業員に配布した。
その案内状には,破産会社は平成10年10月に賃下げを実施して1年も経たないうちに再度の賃下げを通知しているが,破産会社は労働者の生活を守る義務を放棄せず,賃金の引下げだけに頼らず,もっと企業努力をすべきであり,原告会社を独立させたり,原告会社から労働者を派遣させたりする場合ではないなどと記載されていた。
(16)  原告組合は,平成11年7月11日及び同月18日,組合大会を開催し,破産会社の前記(14)の通知による賃下げを認めた。破産会社は,これを受けて,建交労分会との合意のないまま,翌月支給分給与から,前記通知による賃下げを実施した。
(17)  破産会社は,平成11年7月20日,従業員に対して,破産会社の現状の厳しさの認識を深めるとともに,再建事業計画の周知徹底を図るためとして,全社大会を同月25日に開催する旨記載した「御礼とお願い」と題する文書を出したが,同大会は,出席者が少数のため,開始直前に中止となった。
(18)  平成11年7月21日,破産会社の55歳以上の乗務員で,原告組合の組合員であるA10,A11,A12,A13,A14及びA15の6名は,早期退職転籍勧告に応じて,原告会社に転籍し,原告会社から破産会社に乗務員として派遣された。また,破産会社の乗務員で,原告組合の組合員であったA16も,同年3月に原告会社に転籍し,破産会社に乗務員として派遣されていた。なお,これらの7名は,転籍に際して原告組合を脱退した。
(19)  反対する会は,平成11年8月22日,第1回結成総会を開催し,会長にA9を選出した。なお,反対する会には,建交労分会から8名,原告組合及び非組合員から28名,合わせて36名が入会した。
(20)  平成11年9月ころ,原告会社に入社したA17及びA18は,入社直後から破産会社に出向となった。
破産会社は,同月から平成12年12月にかけて,原告会社から破産会社に出向した従業員の半数に対し,随時一人当たり半月ないし1か月間,無償で個別研修・教育・講習を行った。
(21)  原告組合は,平成12年7月30日,組合大会を開催し,組合執行部全員が辞任した。
(22)  破産会社は,平成12年8月9日,原告組合選挙管理委員のA19,A9,A20及びA2の4名に対して,会社の許可手続を踏まず無断で破産会社の駐車場内で選挙大会を開こうとしているとして,破産会社所定の手続に従い,違法無断使用をしないよう警告する文書通知を行った。
(23)  原告組合は,平成12年8月10日,臨時大会を開催して,新執行部として,執行委員長にA9,副執行委員長にA2,書記長にA20を選出するとともに,平成10年8月以降の破産会社による相次ぐ合理化の実施に対して,組合員の利益を守るため,厳しく対峙していくとの方針を決定した。
(24)  原告会社は,平成12年9月1日,従前破産会社が車庫として使用していた北加賀屋車庫の賃借権を破産会社から譲り受け,同日,同車庫を車庫として,貨物運送事業免許を取得し,営業種目に一般貨物自動車運送事業及び貨物運送取扱事業を追加した。
さらに,原告会社は,同月7日,商業登記の変更登記を行い,同月1日から事業目的に一般貨物自動車運送事業及び貨物運送取扱事業を追加した。
(25)  破産会社は,平成12年9月20日,原告組合に労働基準法36条の定める協定(以下「三六協定」という。)の締結を求めた。これに対し,原告組合は,その内容について団体交渉の中で十分な説明をするよう求めたが,話合いは行われず,三六協定は締結されなかった。
破産会社は,三六協定が締結されていないにもかかわらず,原告組合の組合員に対して残業・休日出勤を命じたので,原告組合は,同年12月8日,労働基準監督署に対して労働基準法違反の指導を求めた。
(26)  破産会社は,平成12年10月1日,夜間勤務のアルバイト従業員であるA21,A22及びA23を原告会社に転籍させた。
(27)  破産会社と原告組合は,平成12年10月21日,夏季一時金に係る団体交渉を行った。破産会社と原告組合の前執行部との間には,前年の年末一時金の交渉の際に,平成12年夏季一時金については有額回答を行うとの約束がされていたにもかかわらず,破産会社はゼロ回答を行った。
原告組合は,同年11月10日,破産会社に対し,夏季一時金要求について,再度団体交渉を行った上で,同月16日に年末一時金の要求書を提出した。
(28)  破産会社は,平成12年10月25日,平成4年式ないし平成6年式の,14キロリットル又は16キロリットル積みタンクローリー車合計7台を419万1400円で原告会社に売却し,原告会社は,平成12年11月22日付けでその名義変更を行った。
(29)  破産会社と原告組合は,平成12年11月21日,同年12月2日,同月9日及び同月11日,年末一時金に係る団体交渉を開催したが,破産会社は一貫してゼロ回答を行った。
原告組合は,同月9日の団体交渉において,破産会社の従業員を原告会社に転籍させないこと及び事前協議同意約款の締結を求めたが,破産会社はこれも拒否した。原告組合は,同日,年末一時金について団体交渉を重ねてきたが,誠意ある回答が得られないとして,同月11日から組合旗の掲揚を行う旨の通告書を破産会社に提出し,当日の同月11日,年末一時金の支給を要求して,破産会社の福田営業所及び北加賀屋車庫の門前に組合旗を掲揚した。
なお,原告組合の組合旗は,新執行部選出後,原告組合として初めて作られたものであった。一方,建交労分会は,建交労分会員が賃金差別を受けているとして,従前から組合旗を掲揚していた。
(30)  原告組合は,平成12年12月16日,建交労分会と共闘して,年末一時金に係る破産会社との団体交渉(以下,原告組合が建交労分会と共闘して行った団体交渉を「共同団体交渉」という。)を行ったが,破産会社はゼロ回答を行った。また,原告組合及び建交労分会は,共同団体交渉において,破産会社の従業員を原告会社に転籍させない旨の協定締結を求めたが,破産会社はこれも拒否した。なお,原告組合と建交労分会との共同団体交渉は,翌年1月11日まで行われた。
原告組合は,平成12年12月18日,破産会社に対し,年末一時金等の要求及び質疑において,誠意ある姿勢が見られないとして,同日から要求貫徹まで,抗議の意味で全組合員が腕章を着用して就労する旨文書で通告した。
(31)  破産会社は,平成12年12月19日,原告組合及び建交労分会に対し,それぞれ2名ずつが参加して,これからの破産会社の運営全般にわたり協議することを提案したところ,原告組合及び建交労分会は,事前協議同意約款及び原告会社への転籍について破産会社が協定すれば参画してもよいと考えている旨回答した。
(32)  破産会社は,平成12年12月20日,労働基準監督署より,三六協定に関して文書による指導を受けた。
(33)  原告組合,建交労分会及び破産会社は,平成12年12月24日,共同団体交渉を開催したが,破産会社は,事前協議同意約款及び原告会社への転籍については,回答する意思がないとし,年末一時金については,餅代として一律3万円を支給する旨回答した。
(34)  原告組合は,平成12年12月25日及び同月26日,組合集会を開催し,年末一時金に関して全権を執行部に一任することとした。
(35)  原告組合は,平成12年12月28日,原告組合の統一行動として,組合員に対し,腕章着用就労を行うとともに,残業拒否及び休日出勤拒否を行うよう指令した。
また,原告組合,建交労分会及び破産会社は,同日,共同団体交渉を開催したが,破産会社は,原告会社への転籍について,「会社の社員は,定年60歳を迎えるまでは原告会社に転籍しない」と回答した。
なお,建交労分会の組合員も,同時期,腕章着用就労,残業拒否及び休日出勤拒否を行った。
(36)  原告組合,建交労分会及び破産会社は,平成12年12月29日,共同団体交渉を開催し,破産会社は,年末一時金を1万円上乗せして4万円とすると回答した。これに対し,原告組合及び建交労分会は,事前協議同意約款の締結とセットであれば妥結する旨回答したが,破産会社は,事前協議同意約款の締結を拒否し,交渉が越年するようであれば,1万円の上乗せはしない旨回答した。原告組合及び建交労分会は,これを拒否した。
(37)  原告組合は,平成13年1月9日,破産会社との交渉経過を組合員に報告するため,組合集会を開催した。
(38)  破産会社は,平成13年1月11日,原告組合及び建交労分会との間で共同団体交渉を開催し,年末一時金3万円の提示を白紙撤回するとともに,賃金の10パーセント減額を提案した。原告組合は,破産会社のこのような回答を受けて,同月13日,組合集会を開催し,同月16日付けで残業拒否及び休日出勤拒否を一部解除するとともに建交労分会との共闘を解いて単独で闘争を続行することとし,組合旗の掲揚と腕章着用就労は継続し,年末一時金については引き続き交渉していくこととした。
(39)  破産会社は,平成13年1月,原告組合が北加賀屋車庫の門前に掲揚していた組合旗を,原告組合に事前に通告することなく撤去した。同組合旗は,同年2月ころ,北加賀屋車庫の構内で発見され,原告組合は再び同車庫に掲揚したが,同年4月4日,再び何者かによって降ろされ持ち去られた。
(40)  破産会社は,原告組合の組合員であるA24に対しては平成13年1月初旬から同月中旬の間,また,原告組合のA20書記長に対しては同年2月から同年4月にかけての2か月間,下車勤務命令を出した。
(41)  破産会社は,平成13年4月1日,平成7年式又は平成8年式の14キロリットル又は16キロリットル積みタンクローリー車合計3台(いずれもbオートリース株式会社からリース中の物件)をリース残金額と同額の890万9048円で,また,平成6年式又は平成9年式の14キロリットル又は20キロリットル積みタンクローリー車及びトレーラー車合計3台(いずれもcリース株式会社からリース中の物件)を,リース残金額と同額の892万3500円で,それぞれ原告会社に売却し,原告会社は,前者については平成13年4月から同年6月にかけて,後者については平成13年5月1日に,それぞれ名義変更を行った。
(42)  破産会社は,平成13年5月1日,破産会社振出の約束手形について,二度の不渡処分を受けたことにより,銀行取引停止処分を受けたため,同日,取締役会を開催し,取締役全員一致で自己破産申立てを行うことを決議して,営業を停止した。
同日,破産会社の営業課長待遇であったA25が原告会社に転籍した。
(43)  原告会社は,平成13年5月2日,自社の社名入りのタンクローリー車の運行を始めたが,a石油において,破産会社名義の入門証を使用して,石油製品の積込みを行った。
同日,原告組合のA9委員長が議長となり,大阪ローリー運輸企業再建共闘会議(以下「会社再建共闘会議」という。)が33名で結成された。
(44)  破産会社は,平成13年5月11日,大阪地裁堺支部に対し,自己破産の申立て(以下「本件破産申立て」という。)を行った。その時の破産会社の従業員数は58名であった。これに対し,会社再建共闘会議は,大阪地裁堺支部に対し,本件破産申立てが偽装倒産であるとして,自己破産の決定を出さないよう求める申入書を数度にわたり提出した。
(45)  原告会社設立時点及び本件破産申立て時点における破産会社株式の保有状況並びに破産会社所有の不動産及び賃借不動産は,別表2及び別表3〈省略〉のとおりである。
(46)  大阪地裁堺支部は,平成13年6月26日,破産会社が債権者131名に対し,合計約7億2100万円の債務を負担して支払不能の財産状態にあるとして,同社に対して破産宣告をし,弁護士A26を破産管財人(以下「管財人」という。)と定め,同年10月10日に第1回債権者集会が開催されることとなった(〈証拠省略〉)。
なお,管財人は,同年6月26日付けで破産管財業務の一環として,破産会社の従業員全員を解雇(以下「本件解雇」という。)した。
(47)  原告組合は,平成13年7月6日,被告に対し,管財人,原告会社及び破産会社を被申立人として,本件破産申立て及び本件解雇が不当労働行為にあたるとして,不当労働行為救済の申立て(以下「本件申立て」という。)を行った(本件初審手続。〈証拠省略〉)。
原告組合が本件初審手続において請求する救済の内容の要旨は,以下のとおりである。
ア 管財人と原告会社に対し,本件解雇がなかったものとしての取扱い及び本件解雇日の翌日から原職に復帰するまでの間の賃金相当額及びこれに対する年5分の割合による金員の支払
イ 管財人に対し,本件解雇に係る謝罪文の掲示
(48)  管財人は,破産会社の管財業務について,平成13年10月9日付けで第1回報告書を作成し,同報告書は翌10日,大阪地裁堺支部に提出された。同報告書には,管財人が管財業務の一環として破産会社所有又はリース中のタンクローリー車を売却した価格が記載されていた。
なお,破産会社と原告会社との間で売買されたタンクローリー車の価格と,管財人が管財業務の一環として売却した同年同型車のタンクローリー車の価格の比較は,別表4〈省略〉のとおりである。
(49)  被告は,本件初審手続の審問の終結に先立ち,原告会社に対し,設立時点から審問終結時までの,〈1〉原告会社の従業員数,〈2〉原告会社の出資者一覧,〈3〉原告会社の役員一覧,〈4〉原告会社の財産(土地,建物)の所有・権原(賃貸借等)及び当該不動産の機能(本社事務所,倉庫等)について,釈明するよう求めたが,原告会社は,これに応じなかった。
(50)  原告組合及び管財人は,平成14年1月16日,〈1〉原告組合は同月21日までに破産会社所有の不動産を明け渡し,他方,管財人は当該不動産の売却に係る決済に原告組合が立ち会うことを認める,〈2〉管財人は原告組合に対し,2割程度の優先債権(労働債権)の確保に向けて最大限努力することを約束する,〈3〉管財人は原告組合に対し,予定配当金を担保とする貸付制度を実施するよう努めるなどの合意をした。
このことにより,原告組合は,同月30日付けで,本件申立てのうち,管財人に対する部分を取り下げた。
(51)  被告は,本件命令において,本件破産申立てやそれに伴う本件解雇が直ちに原告組合の消滅を企図したものであるとまでいうことはできない,しかし,他方で,破産会社は,平成10年12月ころから,原告会社に業務移管等を行うようになり,平成11年ないし平成13年には,破産会社の乗務員,タンクローリー車,車庫などを次々と原告会社へ移管した上,破産会社の業務停止後,原告会社は,直ちにタンクローリー車を用いた従前と同様の運送業務を開始しており,こうした業務移管等は,破産会社の業務を原告会社において肩代わりし,継続する準備であったといわざるを得ない,以上のことに,〈1〉破産会社と新執行部体制下の原告組合は基本的に厳しい対立状況にあったこと,〈2〉新執行部体制下の原告組合は,労働基準監督署に労働基準法違反の指導を求めたり,建交労分会と共闘して団交を開催したり,組合旗掲揚や腕章着用闘争などの活発な組合活動を展開したこと,〈3〉それを機に原告会社への資産,従業員,業務等に係る移管の動きも顕著になったこと,〈4〉業務等を移管した原告会社には労働組合は存在しなかったことなどの事実を加えて総合的に判断すると,破産会社は,経営不振が続き本件破産申立てに至った状況に乗じて,対立関係にあった原告組合を一挙に消滅させ,組合の影響力の及ばない原告会社において実質的な会社再建・継続を図ろうとしたとみることが相当である,こうした破産会社の一連の行為は,原告組合及びその組合員を嫌悪して,同組合員を不利益に取り扱うとともに,原告組合を消滅させることを企図した労働組合法(以下「労組法」という。)7条1号及び3号に該当する不当労働行為である,原告会社は,破産会社と法人格は異なるものの,実質的に一体の企業とみるのが相当であり,使用者性は明らかであり,前記判断の不当労働行為責任については,原告会社は破産会社とともに責任を負うべきであるとした。
そして,その救済方法として,被告は,原告組合と管財人との間で労働債権に関する一定の合意がなされていること及び原告会社は破産会社よりも従業員規模が小さいこと等にかんがみ,前記(47)アについては後記ア(本件命令主文第1項)をもって相当と考え,前記(47)イについては後記イ(本件命令主文第2項)をもって足りると考えるとして,以下の内容の主文を記載した本件命令を発し,平成14年12月12日,原告会社に送達した。
ア 原告会社は,破産会社の自己破産等に伴う原告組合に所属する組合員の雇用問題に関し,新たな労働条件を提示し雇用する案又は一定の金銭的解決方法等を提示するなどして,原告組合との間で誠実に協議しなければならない。
イ 破産会社及び原告会社は,原告組合に対し,下記の文書を速やかに手交しなければならない。

年 月 日
大阪ローリー運輸労働組合
代表者執行委員長A2様
大阪ローリー運輸株式会社
代表取締役 A27
代表取締役 A3
有限会社双辰商会
代表取締役 A1
大阪ローリー運輸株式会社及び有限会社双辰商会が行った下記の行為は,大阪府地方労働委員会において,労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。

大阪ローリー運輸株式会社の経営不振に乗じ,同社から有限会社双辰商会への業務及び財産等を事前に移管するなどした上で,大阪ローリー運輸株式会社の自己破産,大阪ローリー運輸労働組合の組合員の解雇に至り,組合の消滅を図ったこと。
(52)  原告会社は,管財人から平成13年4月に原告会社に対して譲渡した車両について否認権行使の訴え(大阪地方裁判所平成14年(ワ)第2027号事件)を提起され,その結果,平成14年6月10日,原告会社が管財人から車両3台の所有権移転登録手続に必要な書類の交付を受けるのと引換えに管財人に対し解決金1435万2500円を支払う内容の訴訟上の和解が成立した(〈証拠省略〉)。
2  争点(本件命令の違法性の有無)
(原告会社の主張)
以下のとおり,本件命令は事実を誤認し,かつ,誤った判断をしているから違法であり,取消しを免れない。
(1) 本件破産申立ての不当労働行為該当性について
破産会社が経営不振の継続により倒産状態に陥った主要因は,破産会社の放漫経営等の経営責任ではなく,荷主である石油業界,破産会社ら石油輸送部門を担う運送業界の構造的不況である。そのため,極めて厳しい経営状況に陥っていた破産会社は,本件破産申立てに至るまで,倒産回避,会社再建を図るため,一方において平成7年と平成9年に増資を行い,他方において希望退職の募集や二度にわたる賃金カットなど,ありとあらゆるリストラを実施してきたが,本件破産申立て時には単に支払不能の倒産状態にとどまらず,毎期(1年間)の平均運送収入が約9億円であるのに対し,実に2億3062万6186円の巨額の累積赤字を抱え,6887万6186円もの債務超過に陥っており,もはや会社再建を図ることは不可能な倒産状態にあり,しかも,二度の不渡処分を出し,銀行取引停止処分を受けたことにより事業継続が不能な状況となった。法的には会社更生法や民事再生法などによる再生の選択肢もあり,破産会社はこのような再生型の法的手続も検討したが,金融機関や取引先等の債権者の協力が得られず,本件破産申立てをとらざるを得なかったのである。
したがって,本件破産申立てが支払不能を理由とする正当なものであることは,疑いの余地がない。
(2) 本件破産申立てを含む一連の行為の不当労働行為該当性について
破産会社が,本件破産申立てを含め「本件一連の行為」において,原告組合及びその組合員を嫌悪したり,不利益に取り扱ったりしていないことは,以下のことからも明らかであって,これを不当労働行為と評価する余地はない。
ア 破産会社,管財人,原告会社は,本件破産申立て以降,本件解雇及び雇用(採用)について,建交労分会か原告組合か,また,組合員か非組合員かで差別することは一切していない。
しかも,原告会社は,原告組合の組合員を本件破産申立て前に雇用(採用)しており,建交労分会に比較して原告組合を優遇していると評価されることがあっても,原告組合を不当に差別していると評価される余地はない。
イ 破産会社は,平成10年12月の時点において既に倒産状態に陥っており,本件破産申立てに至るまで,会社再建のため各種リストラを実施し,その一環として,総務,経理部門を原告会社に委託したり,従業員を退職させ原告会社に雇用させたり,原告会社の従業員を破産会社に出向させており,このような一連の措置が人件費削減となることは,破産会社の賃金より原告会社の賃金の方がより低いこと(在籍期間の長い破産会社の基本給は原告会社のそれと比較してより高額であり,破産会社に存在する安全運行作業手当5万円は原告会社には存在しない等)からも容易に推察できる。
ちなみに,本件破産申立て前に破産会社から原告会社へ転籍した約10名の従業員は,原告組合の組合員及び非組合員であったものであり,建交労分会の組合員は1名もおらず,この点からも原告組合破壊を意図する不当労働行為と無関係であることは明らかである。
このように,懸命に経営努力をしたにもかかわらず倒産不回避の状況になった破産会社は,運送業務停止を危惧した取引先(荷主)の強い要望もあり,運送業務の一部を原告会社に引き継いでもらうことにし,これに同意した原告会社と数台のタンクローリー車の売却,車庫借地権の譲渡等を取り決め,原告会社は取引先(荷主)と独自に新たな運送契約を締結し,運送業務を開始したのである。
なお,本件命令は,破産会社から原告会社への何台かのタンクローリー車の売却が時価の3分の1にすぎないとして,これを破産会社に不当労働行為意思があると認定する資料に挙げているが,タンクローリー車の代金を幾らにするかは需給の関係,タンクローリー車の年式等で決せられ,仮に代金が時価より低額であるとしても,これは破産管財人の否認権の対象となるにすぎないし,原告会社は,前記タンクローリー車の売却に関し,管財人が原告会社を相手取り大阪地方裁判所に提起した否認権行使請求事件(平成14年(ワ)第2027号事件)で,管財人と和解している。
このように,倒産必至の破産会社が,前記のような経緯で,運送業務の一部を原告会社に肩代わりさせ,結果として原告会社において会社の再建と継続を図ろうとしたとしても,営業の自由の範疇の問題であり,これを不当労働行為とするのは,極めて深刻な経済環境下,企業の存亡を賭け経営の効率化,合理化,リストラ等を実施せざるを得ない今日において,企業の競争力等,営業の自由を不当に奪うもので断じて容認できない。
ウ 本件において不当労働行為の成否が問われているのは,破産会社と原告組合との関係であるが,過去の建交労分会と破産会社との対立抗争は,それと無関係である。
なお,本件破産申立てを偽装倒産の不当労働行為であると主張していた建交労分会は,破産会社が再建不能な倒産状態に陥っていることを理解したため,破産宣告後,不当労働行為救済申立ての手続をとることなく解散した。
しかも,破産会社と対立抗争していたA9執行委員長を中核とする新執行部役員は,A2副執行委員長(当時)を除き,破産宣告がされると,原告組合を退会してしまい(これに伴い3名の平組合員を除き全組合員は退会し,組合員数は本件破産申立て時の21名から本件救済申立て時の4名になっている。),不当労働行為救済申立ての手続をとらなかったのである。これは,建交労分会同様,破産会社が再建不能な倒産状態に陥っていることを理解していたからにほかならない。
その後,原告組合に残ったのは,さほど組合活動に積極的でなかったA2副執行委員長と,およそ組合活動と無縁の3名の組合員の4名であり,A9執行委員長を中核とする新執行部体制下の原告組合と,A2が執行委員長を名乗る原告組合とは,その実態が全く違う。破産会社は,A9執行委員長を中核とする新執行部体制下の原告組合と対立抗争したことはあるが,不当労働行為救済申立手続においてA2が執行委員長と名乗る原告組合とは本件破産申立て時点に至るまで対立抗争をしたことはなく,破産会社が,A2が執行委員長と名乗る原告組合とA2ほか3名の組合員に対し,本件破産申立てに至るまで不当労働行為意思を抱く余地は皆無である。
エ 原告会社には労働組合が存在していないが,それは労働者の意思にかかわるもので,原告会社の関与するところではないし,原告会社は不当労働行為意思を抱いていない。
(3) 原告会社の使用者性について
ア 実質的同一性の法理の適用対象について
これを容認する立場に立っても実質的同一性の法理を適用するのは,旧会社時代に労働組合との紛争があり,会社の経営が思わしくないことを理由として,旧会社を解散し,新会社を設立したが,新会社は人的・物的両面において旧会社のものを承継しながら,旧会社時代の組合員(又は組合員中の活動分子)だけは引き継がない(採用を拒否する)という場合である。
ところが,本件は,そのような場合ではなく,管財人は,従業員全員を解雇し,原告会社は前記従業員を誰一人雇用(採用)していないのであるから,破産会社と原告会社が実質的に同一であるかどうかを吟味するまでもなく,前記法理による原告会社の使用者性を肯定することは不当である。
イ 破産会社と原告会社の実質的同一性について
(ア) 原告会社は,平成6年4月25日に原告会社代表者が資本金300万円を出資して設立し,平成12年7月25日に原告会社代表者が更に出資して資本金を1200万円に増額している有限会社であり,原告会社の資本には,破産会社や前代表取締役であったA3会長,A27の出資は一切ないし,同人らは,原告会社の代表取締役ではなく,取締役ですらない。したがって,原告会社の経営の実権は,原告会社設立以降,今日まで引き続き原告会社代表者が持ち,破産会社やA3会長やA27の支配は全く及んでいない。
(イ) 原告会社の主たる業務は破産会社同様運送業務であるが,原告会社は破産会社から運送業務を承継したのではなく,原告会社が荷主と独自に新たな運送契約を締結し,その上で運送業務を開始したもので,破産会社と荷主との運送契約は終了している。
ちなみに,原告会社の運送業務の規模(資本金,運送収入,車両台数,従業員数等)は,破産会社のそれと比較してより小規模である。
a 原告会社の所有する車両は現在19台であり,これは破産会社との,正規の売買契約に基づき取得したものである。なお,原告会社と破産会社との車両に係る売買契約は,3台につき否認権の対象となったが,原告会社は管財人との裁判上の和解により和解金を支払い,正当に取得している。
b 原告会社の従業員数は現在24名であるが,原告会社は,本件破産申立て後,原告組合の組合員,建交労分会の組合員,非組合員にかかわらず,破産会社の従業員を1名たりとも採用していない。
本件破産申立て前に破産会社から原告会社へ転籍した従業員は約10名であるが,これらの者は原告組合の組合員及び非組合員であったのであり,原告会社が原告組合及びその組合員を優遇していると評価されることはあっても,少なくとも不利益に扱っていないことは確かである。
(ウ) 原告会社が車庫として使用している土地及び事業所として使用している建物は,いずれも原告会社が地主,家主と新たに締結した各賃貸借契約に基づくものである。
(エ) 原告会社の第9期決算(平成14年1月1日から同年12月31日)における運送収入は2億2507万3551円であり,これは,破産会社の倒産時の運送収入6億5346万4348円と比較してもその約3分の1にすぎない。
(原告組合の主張)
(1) 本件破産申立ての不当労働行為該当性について
本件破産申立てが原告会社の主張のとおりであるとしても,本件解雇が不当労働行為でないとはいえない。
(2) 本件破産申立てを含む一連の行為の不当労働行為該当性について
ア 本件のような破産に伴う全員解雇の場合,組合所属の有無や所属組合の違いにより解雇について差別していないからといって,不当労働行為性を否定できるものではない。同様に,本件破産申立て後従業員の中から誰一人として原告会社に雇用しておらず,その意味で雇用差別をしていないからといって,不当労働行為性を否定できるものではない。
ちなみに,平成11年7月21日に原告組合員6名,同年3月に同組合員1名が原告会社に転籍しているが,当時,原告組合は労使協調の立場をとっており,前記転籍をもって,平成12年8月10日に新執行部が選出され原告組合が破産会社に厳しく対峙するようになって以降も,破産会社に組合嫌悪の意思がなかったということはできない。
イ 被告が原告会社の行為を禁止したとか違法視したというわけではないのであるから,被告の判断が営業の自由を侵害するという原告会社の主張は,明らかに失当である。
なお,原告会社は,本件命令が破産会社から原告会社へのタンクローリー車の廉価販売を不当労働行為意思があるとする一資料に挙げていると論難しているが,明らかに誤解である。本件命令は,両会社の一体性に関する判断の中で前記事実を取り上げているのである。
ウ 破産会社と建交労分会との一連の対立の中で破産会社の組合嫌悪の意思・体質が明らかになっており,原告組合が破産会社と厳しく対峙するようになってからは,破産会社の組合嫌悪は原告組合にも向けられるようになった。すなわち,破産会社が建交労分会に対し不当労働行為意思を有していた事実は,破産会社の組合や組合活動に対する基本的ないし一般的な嫌悪の姿勢を証明しており,それは,破産会社の原告組合に対する不当労働行為意思の傍証となるものである。
新執行部体制下の原告組合の中にあって,A2は副執行委員長の要職にあり,また中心的活動家でもあった。破産会社の破産後,職場・賃金を失った結果,組合員は減少し,A9執行委員長も原告組合を去ったためA2が委員長に就任したが,それにもかかわらず組合の同一性は一貫している。
エ 破産会社には労働組合がある一方,原告会社には労働組合がなかったのであるから,原告組合の組合員を破産会社から原告会社に転籍させることは,破産会社の労働組合員を減少させるとともに労働組合のない原告会社に業務を移管できるということになり,それは,労働組合を嫌悪していた両会社には大きな利益となるものであり,その利益のために転籍させたといえる。したがって,本件命令の判断には合理性がある。
(3) 原告会社の使用者性について
ア 実質的同一性の法理の適用対象について
そもそも原告会社が破産会社の従業員を引き継いでいないから責任を負わないということはできない。なお,原告会社が多数の破産会社従業員を引き継いだことは明らかであるから,原告会社の主張からしても原告会社が責任を逃れることはできない。
イ 破産会社と原告会社の実質的同一性について
原告会社代表者はA3会長の長男であり,様々な業務移管のための協力に見られるように,両会社は緊密な関係にあった。
運送契約は形式上は新規契約になっているが,実質的には破産会社から原告会社に移管されたことは争う余地がない。
企業規模の縮小は,両会社の実質的同一性を否定する理由とはならない。
破産会社は原告会社に多数の車両を廉価に売却しており,両会社は,破産会社の損失において原告会社に不当な利益を得させる方法で,破産会社の業務を原告会社に移管した。
(4) 被告の裁量権の逸脱について
被告の前記(1)ないし(3)に関する認定・判断からすれば,使用者性を有している原告会社は,本件解雇について責任を負わなければならず,また,本件不当労働行為から原告組合の組合員を救済するには,原告会社に団体交渉を命じるだけでは足りず,雇用責任ないしバックペイの支払責任を負わせなければならない。
これまでの原告会社の組合嫌悪の姿勢からして,その救済には致命的な限界があるというべきである。
労組法7条1号又は3号の不当労働行為についての救済申立ては,主として当該不当労働行為の結果の除去を求めるものであり,そのような命令を発することが救済方法としても最も妥当であって,結果の除去を命じる代わりに,その全部又は一部の事項について労使の協議を命じることには重大な問題があるといわなければならない。
なぜならば,この種の不当労働行為の成立が認められる事案では,大なり小なり円滑な関係が破壊されており,団体交渉や協議では解決し得ないからこそ救済申立てがされているのであるから(この点が団体交渉すら行われていない労組法7条2号の不当労働行為とは異なる。),その救済方法として協議命令を発するのは適切とはいえないからである。
このような理由から,労組法7条1号又は3号所定の不当労働行為についての救済申立てについては,原則として当該行為の除去を命じることができるのであって,この場合にこれに代えて協議命令を発することは,労働委員会の裁量権の範囲を超えるものである。
(被告の主張)
本件救済命令には,原告らの主張するような事実誤認や判断の誤り等はなく,本件命令は正当である。
(1) 本件破産申立ての不当労働行為該当性について
被告も,本件命令において,本件破産申立て及び本件解雇が直ちに組合消滅を企図したものということはできない旨判示している。
(2) 本件破産申立てを含む一連の行為の不当労働行為該当性について
被告も,原告会社の営業の自由を否定するものではないが,営業の自由があるから何をしてもよいというのでないこともまた当然であり,本件命令において判断した事情の下で,原告会社の行為が不当労働行為に該当すると認めることは何ら矛盾するものではない。
また,破産会社が建交労分会と厳しい対立関係にあって,再三にわたる不当労働行為を行ったということは,破産会社が建交労分会に対し嫌悪感を持っていたことを示すものであるが,原告組合が建交労分会と共同歩調をとるようになったことから建交労分会に対する嫌悪感が原告組合に転嫁していったことの根拠となる事実である。
なお,組合員が減少したことをもって,A2執行委員長の原告組合が従前との一体性,継続性に欠けるとは到底認められない。
(3) 原告会社の使用者性について
被告は,本件命令において,破産会社は破産宣告がされたとはいえ,破産会社の貨物運送事業は原告会社を受け皿として継続されていると判断することができ,破産会社と原告会社は法人格は異なるものの,実質的に一体の企業とみるのが相当であると判示したものであり,原告会社の主張は失当である。
(4) 被告の裁量権の逸脱について
不当労働行為の救済命令については,労働委員会の広い裁量が認められ,必ずしも原告組合の求めた救済内容を命じる必要はなく,事案に適した救済命令で足りるというべきである。
本件命令についても原告組合と被申立人であった管財人との間で労働債権に関する一定の合意がされていること及び原告会社が破産会社よりも従業員規模が小さいこと等にかんがみ,主文のとおりとしたところであり,被告の認定した事実及び判断からして,その裁量の範囲内にあり,原告組合の主張する違法はない。
第3  当裁判所の判断
1  本件命令の違法性の有無について
(1)  本件命令は,前記第2の1(51)のとおり,本件破産申立てや本件解雇が直ちに原告組合の消滅を企図したものであるとまでいうことはできないが,破産会社から原告会社への業務移管等は,原告会社が破産会社の業務を肩代わりし継続する準備であって,このことに,〈1〉破産会社と新執行部体制下の原告組合の厳しい対立関係,〈2〉原告組合の活発な組合活動,〈3〉それを契機とする,破産会社から原告会社への業務移管等の動きの顕著化,〈4〉原告会社における労働組合の不存在などの事実を加えて総合的に判断すると,破産会社は,経営不振が続き自己破産申立てに至った状況に乗じて,対立関係にあった原告組合を一挙に消滅させ,組合の影響力の及ばない原告会社において実質的な会社再建・継続を図ろうとしたとみるのが相当であり,こうした破産会社の一連の行為が,労組法7条1号の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に該当するとしている。
(2)  そこで,この点について検討するに,前記〈4〉のとおり,原告会社に労働組合が存在しないことは当事者間に争いがない。しかも,それにとどまらず,前記争いのない事実等及び証拠(〈証拠省略〉)によると,破産会社は,平成10年9月,従業員に対し,希望退職を募り,募集人員に達しない時には指名解雇を行う旨通告するとともに,乗務員に対する10パーセントの賃金カットを,平成11年8月から運転手に対する2万円の賃金カットをそれぞれ行う一方で,平成10年12月ころから従業員等を関連会社である原告会社に転籍・入社させた上,平成11年9月までの間に原告会社に対して破産会社の業務を1時間当たり3300円という高額の報酬で委託するようになり,平成12年9月には原告会社に対して北加賀屋車庫の賃借権を譲渡し,原告会社が貨物運送事業の免許を取得した上,破産会社から廉価でタンクローリー車やトレーラー車を譲り受け,本件破産申立ての日の翌日から破産会社名義の入門証を使用してタンクローリー車の運行を開始するなどしていることが認められる。このような事情からすると,破産会社は,経営状態が悪化したため,利益の一部につき原告会社への移転を図るとともに,自社の業務を,関連会社である原告会社に移管して,事業の継続を図ったものと推認される。
しかし,破綻に瀕した企業がそのような方法で利益や業務を関連会社に移転して,事業の継続を図ることはしばしば見られ,そのために破産法においても否認権制度を設け,債権者保護を図っていることを考慮すると,前記のような事情から直ちに,業務移転等の目的が主として破産会社を清算することによって原告組合を消滅させ,原告組合員らを解雇するためであったと推認することはできない。
また,前記争いのない事実等によると,原告組合は,平成11年5月に破産会社と労使経営協議会を発足させ,同年7月には,運転手に対する一律2万円の賃下げを認めるなど,従前破産会社との協調路線をとっていたが,平成12年8月10日の臨時大会で選出された新執行部が破産会社と厳しく対峙するとの方針を決定した後は,同年9月に破産会社の三六協定締結の要請に応じず,同年12月には三六協定に基づかない残業命令等につき労働基準監督署に労働基準法違反の指導を求め,同年度の年末一時金のゼロ回答に対抗して破産会社の営業所等に組合旗を掲揚した上,建交労分会とと(ママ)ともに団体交渉を行い,腕章着用就労や残業拒否及び休日出勤拒否の運動を行うなど,破産会社と対立し,組合活動を積極的に展開するようになったことが認められるが,他方,平成13年に入ってからは,残業拒否及び休日出勤拒否を一部解除するとともに,建交労分会との共闘を解くなどしたことが認められるのであるから,新執行部体制下の原告組合が本件破産申立てに至るまで破産会社との対立関係を厳しく貫いたというわけでもない。
さらに,前記争いのない事実等によると,平成10年12月に破産会社の総務係長ほか2名が原告会社に転籍し,このころから原告会社は破産会社の総務部門及び経理部門の業務を受託するようになり,平成11年3月及び同年7月には合計7名の乗務員(原告組合の組合員)が破産会社から原告会社に転籍した上,破産会社に乗務員として派遣され,同年9月ころ原告会社に入社した2名が入社直後から破産会社に出向となり,また,同月以降は原告会社から破産会社に出向した従業員の半数に対して無償で個別研修・教育・講習が行われていたのであって,このような事実に照らすと,原告組合が新執行部体制に移行した平成12年8月以降に業務移管等が行われているからといって,その体制移行後,破産会社に原告組合を消滅させる意図が生じたと認めることは困難である。
しかも,前記争いのない事実等によると,破産会社は,平成3年9月の決算期から4年連続で経常損失を計上して債務超過状態に陥ったため,賃下げ等により従業員の賃金抑制を図るとともに,希望退職を募り,原告組合及び建交労分会にも経営状況について理解を得るため,破産会社の運営全般にわたり協議することを申し入れるなどしていた。また,破産会社は,前年の年末一時金交渉の際にした,平成12年度夏季一時金については有額回答を行う旨の回答に反してゼロ回答を行ったのであるが,証拠上,原告組合が再度団体交渉を行った後に前記夏季一時金の要求を継続したと認めるに足りないことからすると,破産会社の経営状況は相当悪化していたといわざるを得ない。それにもかかわらず,破産会社は,平成12年度年末一時金交渉において,原告組合等との交渉妥結に向けて,最終的には年末一時金を4万円とする旨の回答を行うなど一定の譲歩を示し,これに対しては,原告組合等も,事前協議同意約款の締結を行うのであれば妥結する旨の回答を行ったのである。これらの点からみても,破産会社に原告組合を消滅させる意図があったと推認することはできない。
そして,前記争いのない事実等によると,破産会社が本件破産申立てを行った直接のきっかけは,銀行取引停止処分を受けたためであるし,証拠(〈証拠省略〉)によると,本件破産申立ての時点で,破産会社の代表取締役であり,株式の3分の1以上を保有していたA3会長や同じく代表取締役であったA27も,破産会社の債務を連帯保証し,支払不能の状態にあるとして,自己破産の申立てを行い,A3会長は破産会社と同時に大阪地裁堺支部において,A27は平成13年9月11日に名古屋地方裁判所において,それぞれ破産宣告を受けたことが認められるのであって,この点からすると,本件命令も指摘するように,本件破産申立て及びそれに伴う本件解雇自体が原告組合の消滅を企図したものであるということはできない。
さらに,証拠(〈証拠省略〉)及び弁論の全趣旨によると,管財人によって解雇された破産会社の従業員は,原告組合の組合員であるか否かを問わず,その後原告会社に雇用されていないし,原告会社の全株式は原告会社代表者が所有しており,破産会社の元代表者は原告会社の取締役等には就任していないことが認められ,これらの点に照らすと,破産会社と原告会社が実質的に同一であるとは断定し難い。そして,このことや前記のとおり破産会社の経営者がいずれも破産宣告を受けていることを含め,先に判示した点を総合考慮すると,破産会社が,本件破産申立てに至った状況に乗じて,原告組合を一挙に消滅させ,組合の影響力の及ばない原告会社において実質的な会社再建・継続を図ろうとしたと認めることはできない。
そうすると,破産会社の本件破産申立て,破産宣告に伴い管財人がその業務の一環として行った本件解雇やそれに至る破産会社の一連の行為が不当労働行為に該当するとはいえないから,本件命令には不当労働行為の成否についての判断を誤った違法があるといわなければならない。
2  結論
よって,本件命令は違法であり,その全部又は一部の取消しを求める原告らの本件請求は,結局のところ,いずれも理由があることに帰着するから,これを認容することとする。
(裁判長裁判官 小佐田潔 裁判官 中垣内健治 裁判官 下田敦史)

 

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