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政治と選挙Q&A「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例(69)昭和45年 6月27日 福岡地裁 昭35(ヨ)444号 地位保全仮処分申請事件 〔三井三池整理解雇事件〕

政治と選挙Q&A「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例(69)昭和45年 6月27日 福岡地裁 昭35(ヨ)444号 地位保全仮処分申請事件 〔三井三池整理解雇事件〕

裁判年月日  昭和45年 6月27日  裁判所名  福岡地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭35(ヨ)444号
事件名  地位保全仮処分申請事件 〔三井三池整理解雇事件〕
文献番号  1970WLJPCA06270005

要旨
◆企業整備に伴つてされた人員整理と整理基準に反する解雇の効力につき判断した事例
◆いわゆる職場闘争の適法性につき判断した事例
◆組合の独立性のない下部組織に対する団体交渉権委譲の効力につき判断した事例
◆整理解雇と不当労働行為につき判断した事例
◆勤務状態不良の整理基準に該当するとして整理解雇が有効であると認めた事例
◆整理解雇が不当労働行為として無効であると判断した事例

裁判経過
控訴審 昭和48年12月 7日 福岡高裁 判決 昭45(ネ)509号・昭45(ネ)513号 地位保全仮処分控訴事件 〔三井鉱山三池鉱業所整理解雇事件〕

出典
判タ 253号75頁
判時 608号3頁

参照条文
労働基準法2章
労働組合法1条
労働組合法5条
労働組合法6条
労働組合法7条

裁判年月日  昭和45年 6月27日  裁判所名  福岡地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭35(ヨ)444号
事件名  地位保全仮処分申請事件 〔三井三池整理解雇事件〕
文献番号  1970WLJPCA06270005

目次
主文
事実
当事者双方の求める裁判
当事者双方の主張
申請の原因
総説
不当労働行為についての総論
第一 三池労組とその組織および同労組の上部団体等について
第二 三池労組の沿革の概要
第三 職場闘為の意義と目的
第四 炭鉱労働の特殊性と職場闘争
第五 炭労および三池労組の職場闘争の発展
申請の原因に対する会社の認否
会社の主張
総論
第一 人員整理の必要性
第二 第一次企業再建案の提示とその後の経過
第三 第二次企業再建案とその後の経過
第四 人員整理の基準について
各論
本所関係
一〇一 申請人相浦和弘について
一〇二 申請人今村輝男について
一〇三 申請人石橋信利について
一〇四 申請人上田茂取について
一〇五 申請人木下広について
一〇六 申請人国徳光輝について
一〇八 申請人境義光について
一〇九 申請人杉本武末について
一一一 申請人添島実について
一一二 申請人田中保光について
一一三 申請人田中邦彦について
一一五 申請人永田謙治について
一一六 申請人永嶋隆雄について
一一七 申請人中川末義について
一一八 申請人中山昌広について
一二〇 申請人野口正喜について
一二一 申請人原田芳信について
一二三 申請人淵上恒雄について
一二四 申請人前田基久について
一二五 申請人前畑昇について
一二六 申請人前原正則について
一二七 申請人山田純について
一二八 申請人吉田義勝について
一二九 申請人吉富正信について
一三〇 申請人村上春美について
一三一 申請人渡辺福男について
三川関係
二〇一 申請人池内長吉について
二〇二 申請人池田昭二について
二〇三 申請人石山三四郎について
二〇四 申請人今田光儀について
二〇八 申請人江川憲徳について
二〇九 申請人小山晃について
二一〇 申請人川崎学について
二一一 申請人神保芳秋について
二一二 申請人川野利丸について
二一三 申請人北村瞳について
二一四 申請人北村耕助について
二一六 申請人久後勇二について
二一九 申請人小森隆一について
二二〇 申請人小西武一について
二二一 申請人佐田利秋について
二二二 申請人阪口次男について
二二三 申請人坂本敏雄について
二二五 申請人坂口孝一について
二二六 申請人城徳恵について
二二七 申請人柴原啓至について
二三〇 申請人高橋弘について
二三一 申請人谷端一信について
二三二 申請人田代貢について
二三三 申請人田島修三について
二三五 申請人武松孝章について
二三六 申請人立石武博について
二三七 申請人竹脇忠雄について
二四一 申請人月足康則について
二四三 申請人津留崎政年について
二四四 申請人寺尾剛について
二四五 申請人西尾一雪について
二四六 申請人西川米生にいつて
二四九 申請人野田春次について
二五〇 申請人稗島広について
二五二 申請人福島進について
二五三 申請人益田秋吉について
二五四 申請人町秀雄について
二五六 申請人松下鶴男について
二五七 申請人前田喜伝について
二六一 申請人山田拳二について
二六三 申請人山北宗助について
宮浦関係
三〇二 申請人伊牟田春雄について
三〇三 申請人上田義光について
三〇五 申請人鹿野久馬について
三〇六 申請人古賀進について
三〇七 申請人古賀健二について
三〇八 申請人笠原忠雄について
三〇九 申請人下田康孝について
三一一 申請人谷口又男について
三一二 申請人田島宏康について
三一五 申請人中垣栄について
三一七 申請人早川曻について
三一八 申請人蓮尾信治郎について
三一九 申請人蓮尾善五郎について
三二二 申請人平畑金一について
三二三 申請人藤原登について
三二四 申請人藤木恵裕について
三二六 申請人那須俊春について
三二七 申請人前田剣について
三二八 申請人前田義則について
三二九 申請人宮崎数美について
三三〇 申請人宗邦洋について
三三一 申請人矢田正剛について
三三二 申請人山川一義について
四山関係
四〇一 申請人亀崎茂について
四〇三 申請人瀬口康博について
四〇四 申請人田中貞夫について
四〇六 申請人寺中義雄について
四〇七 申請人中島知博について
四〇八 申請人西田博について
四〇九 申請人藤木正友について
四一〇 申請人松尾三喜について
四一一 申請人松井二について
四一二 申請人松尾鉄也について
四一三 申請人宮崎良勝について
四一四 申請人岩崎義則について
四一五 申請人若松三代次について
港務所関係
五〇一 申請人浦本明について
五〇二 申請人大城義雄について
五〇三 申請人兼屋重夫について
五〇四 申請人川畑昭二路について
五〇五 申請人黒田久夫について
五〇六 申請人古賀正澄について
五〇七 申請人古賀清について
五〇八 申請人古賀義澄について
五一一 申請人角経弘について
五一二 申請人関良平について
五一五 申請人西原彦次について
五一六 申請人林田常利について
五一八 申請人平田勝について
五二〇 申請人吸田一喜について
五二一 申請人堀栄吉について
五二三 申請人道山房人について
五二五 申請人宮崎明年について
五二六 申請人森和敏について
五二七 申請人若松伸保について
会社の主張に対する申請人らの認否
総論
第一 「人員整理の必要性」について
第二 「第一次企業再建案の提示とその後の経過」について
第三 「第二次企業再建案とその後の経過」について
第四 「人員整理の基準」について
各論
本所関係
各申請人らに共通して
一〇一 申請人相浦和弘について
一〇二 申請人今村輝男について
一〇三 申請人石橋信利について
一〇四 申請人上田茂取について
一〇五 申請人木下広について
一〇六 申請人国徳光輝について
一〇八 申請人境義光について
一〇九 申請人杉本武末について
一一一 申請人添島実について
一一二 申請人田中保光について
一一三 申請人田中邦彦について
一一五 申請人永田謙治について
一一六 申請人永嶋隆雄について
一一七 申請人中川末義について
一一八 申請人中山昌広について
一二〇 申請人野口正喜について
一二一 申請人原田芳信について
一二三 申請人淵上恒雄について
一二四 申請人前田基久について
一二五 申請人前畑昇について
一二五 申請人前原正則について
一二七 申請人山田純について
一二八 申請人吉田義勝について
一二九 申請人吉富正信について
一三〇 申請人村上春美について
一三一 申請人渡辺福男について
三川関係
各申請人らに共通して
二〇一 申請人池内長吉について
二〇二 申請人池田昭二について
二〇三 申請人石山三四郎について
二〇四 申請人今田光儀について
二〇八 申請人江川憲徳について
二〇九 申請人小山晃について
二一〇 申請人川崎学について
二一一 申請人神保芳秋について
二一二 申請人川野利丸について
二一三 申請人北村瞳について
二一四 申請人北村耕助について
二一六 申請人久後勇二について
二一九 申請人小森隆一について
二二〇 申請人小西武一について
二二一 申請人佐田利秋について
二二二 申請人阪口次男について
二二三 申請人坂本敏雄について
二二五 申請人坂口孝一について
二二六 申請人城徳恵について
二二七 申請人柴原啓至について
二三〇 申請人高橋弘について
二三一 申請人谷端一信について
二三二 申請人田代貢について
二三三 申請人田島修三について
二三五 申請人武松孝章について
二三六 申請人立石武博について
二三七 申請人竹脇忠雄について
二四一 申請人月足康則について
二四三 申請人津留崎政年について
二四四 申請人寺尾剛について
二四五 申請人西尾一雪について
二四六 申請人西川米生について
二四九 申請人野田春次について
二五〇 申請人稗島広について
二五二 申請人福島進について
二五三 申請人益田秋吉について
二五四 申請人町秀雄について
二五六 申請人松下鶴男について
二五七 申請人前田喜伝について
二六一 申請人山田拳二について
二六三 申請人山北宗助について
宮浦関係
申請人らに共通する認否主張
三〇二 申請人伊牟田春雄について
三〇三 申請人上田義光について
三〇五 申請人鹿野久馬について
三〇六 申請人古賀進について
三〇七 申請人古賀健二について
三〇八 申請人笠原忠雄について
三〇九 申請人下田康孝について
三一一 申請人谷口又男について
三一二 申請人田島宏康について
三一五 申請人中垣栄について
三一七 申請人早川曻について
三一八 申請人蓮尾信治郎について
三一九 申請人蓮尾善五郎について
三二二 申請人平畑金一について
三二三 申請人藤原登について
三二四 申請人藤木恵裕について
三二六 申請人那須俊春について
三二七 申請人前田剣について
三二八 申請人前田義則について
三二九 申請人宮崎数美について
三三〇 申請人宗邦洋について
三三一 申請人矢田正剛について
三三二 申請人山川一義について
四山関係
全申請人共通
四〇一 申請人亀崎茂について
四〇三 申請人瀬口康博について
四〇四 申請人田中貞夫について
四〇六 申請人寺中義雄について
四〇七 申請人中島知博について
四〇八 申請人西田博について
四〇九 申請人藤本正友について
四一〇 申請人松尾三喜について
四一一 申請人松井二について
四一二 申請人松尾鉄也について
四一三 申請人宮崎良勝について
四一四 申請人岩崎義則について
四一五 申請人若松三代次について
港務所関係
申請人らに共通して
五〇一 申請人浦本明について
五〇二 申請人大城義雄について
五〇三 申請人兼屋重夫について
五〇四 申請人川畑昭二路について
五〇五 申請人黒田久夫について
五〇六 申請人古賀正澄について
五〇七 申請人古賀清について
五〇八 申請人古賀義澄について
五一一 申請人角経弘について
五一二 申請人関良平について
五一五 申請人西原彦次について
五一六 申請人林田常利について
五一八 申請人平田勝について
五二〇 申請人堀田一喜について
五二一 申請人堀栄吉について
五二三 申請人道山房人について
五二五 申請人宮崎明年について
五二六 申請人森和敏について
五二七 申請人若松伸保について
本件申請人のうち既に停年に達した者に対する会社の主張およびこれに対する関係申請人らの認否
疎明関係
理由(以下掲載部分)
総論
一、
二、会社の経営成績と財政状態
三、会社の経理担当者によつてなされた経理悪化の原因分析
四、石炭協会の指定統計、石炭連盟発表の資料による三池炭鉱に稼働する鉱員の能率比較
五、前項二ないし四で認定した経営成績、財政状態、経営比較の結果の評価
六、第一次および第二次企業再建案の提示に至るまでの経緯とこれをめぐる労使の交渉
七、指名解雇
八、人員整理基準
九、三池労組の全面争議行為への突入と争議の終結ならびに争議後の状況
一〇、三池労組の沿革と組織等
一一、職場闘争、職場交渉と炭労及び三池労組の態度
一二、三池労組員らによつて実行された職場闘争行為に対する職組の態度
一三、企業整備に伴う人員整理に関する当裁判所の一般的判断
一四、職場闘争行為およびこれを理由とする整理解雇の適否についての当裁判所の一般的判断(以上掲載部分)
本所関係
一〇一 申請人相浦和弘
一〇二 申請人今村輝男
一〇三 申請人石橋信利
一〇四 申請人上田茂取
一〇五 申請人木下広
一〇六 申請人国徳光輝
一〇八 申請人境義光
一〇九 申請人杉本武末
一一一 申請人添島実
一一二 申請人田中保光
一一三 申請人田中邦彦
一一五 申請人永田謙治
一一六 申請人永嶋隆雄
一一七 申請人中川末義
一一八 申請人中山昌広
一二〇 申請人野口正喜
一二一 申請人原田芳信
一二三 申請人淵上恒雄
一二四 申請人前田基久
一二五 申請人前畑昇
一二六 申請人前原正利
一二七 申請人山田純
一二八 申請人吉田義勝
一二九 申請人吉富正信
一三〇 申請人村上春美
一三一 申請人渡辺福男
三川関係
二〇一 申請人池内長吉
二〇二 申請人池田昭二
二〇三 申請人石山三四郎
二〇四 申請人今田光儀
二〇八 申請人江川憲徳
二〇九 申請人小山晃
二一〇 申請人川崎学
二一一 申請人神保芳秋
二一二 申請人川野利丸
二一三 申請人北村瞳
二一四 申請人北村耕助
二一六 申請人久後勇二
二一九 申請人小森隆一
二二〇 申請人小西武一
二二一 申請人佐田利秋
二二二 申請人阪口次男
二二三 申請人坂本敏雄
二二五 申請人坂口孝一
二二六 申請人城徳恵
二二七 申請人柴原啓至
二三〇 申請人高橋弘
二三一 申請人谷端一信
二三二 申請人田代貢
二三三 申請人田島修三
二三五 申請人武松孝章
二三六 申請人立石武博
二三七 申請人竹脇忠雄
二四一 申請人月足康則
二四三 申請人津留崎政年
二四四 申請人寺尾剛
二四五 申請人西尾一雪
二四六 申請人西川米生
二四九 申請人野田春次
二五〇 申請人稗島広
二五二 申請人福島進
二五三 申請人益田秋吉
二五四 申請人町秀雄
二五六 申請人松下鶴男
二五七 申請人前田喜伝
二六一 申請人山田拳二
二六三 申請人山北宗助
宮浦関係
三〇二 申請人伊牟田春雄
三〇三 申請人上田義光
三〇五 申請人鹿野久馬
三〇六 申請人古賀進
三〇七 申請人古賀健二
三〇八 申請人笠源忠雄
三〇九 申請人下田康孝
三一一 申請人谷口又男
三一二 申請人田島宏康
三一五 申請人中垣栄
三一七 申請人早川曻
三一八 申請人蓮尾信治郎
三一九 申請人蓮尾善五郎
三二二 申請人平畑金一
三二三 申請人藤原登
三二四 申請人藤木恵裕
三二六 申請人那須俊春
三二七 申請人前田剣
三二八 申請人前田義則
三二九 申請人宮崎数美
三三〇 申請人宗邦洋
三三一 申請人矢田正剛
三三二 申請人山川一義
四山関係
四〇一 申請人亀崎茂
四〇三 申請人瀬口康博
四〇四 申請人田貞夫
四〇六 申請人寺中義雄
四〇七 申請人中島知博
四〇八 申請人西田博
四〇九 申請人藤本正友
四一〇 申請人松尾三喜
四一一 申請人松井二
四一二 申請人松尾鉄也
四一三 申請人宮崎良勝
四一四 申請人岩崎義則
四一五 申請人若松三代次
港務所関係
港務所の概況
五〇一 申請人浦本明
五〇二 申請人大城義雄
五〇三 申請人兼屋重夫
五〇四 申請人川畑昭二路
五〇五 申請人黒田久夫
五〇六 申請人古賀正澄
五〇七 申請人古賀清
五〇八 申請人古賀義澄
五一一 申請人角経弘
五一二 申請人関良平
五一五 申請人西原彦次
五一六 申請人林田常利
五一八 申請人平田勝
五二〇 申請人堀田一喜
五二一 申請人堀栄吉
五二三 申請人道山房人
五二五 申請人宮崎明年
五二六 申請人森和敏
五二七 申請人若松伸保
仮処分の必要性
結論
申請人当事者目録
書証等目録
疎甲号証関係
申請人ら援用証人等関係
疎乙号証関係
被申請人援用証人関係
 

申請人 相浦和弘
(外一六七名)
右訴訟代理人弁護士 佐伯静治
同 諌山博
同 彦坂敏尚
同 鍛治利秀
同 宮原守男
同 藤本正
同 谷川宮太郎
同 横山茂樹
同 吉田孝美
右佐伯静治訴訟復代理人弁護士 松本洋一
同 木梨芳繁
被申請人 三井鉱山株式会社
右代表者代表取締役 倉田興人
右訴訟代理人弁護士 鎌田英次
同 松崎正躬
同 村田利雄
同 古川公威
同 橋本武人
同 青山義武
同 高島良一
同 渡辺修
同 竹内桃太郎
同 浅岡省吾
右橋本武人訴訟復代理人弁護士 吉沢貞男
同 小倉隆志

 

主文
一、申請人境義光、同中川末義、同池内長吉、同柴原啓至、同武松孝章、同早川曻、同蓮尾信治郎、同前田義則、同松井二、同堀栄吉がいずれも被申請人に対し雇用契約上の権利を有する地位に定める。
二、その余の各申請人の申請を却下する。
三、申請費用のうち申請人境義光、同中川末義、同池内長吉、同柴原啓至、同武松孝章、同早川曻、同蓮尾信治郎、同前田義則、同松井二、同堀栄吉と被申請人との間に生じた分は被申請人の、その余の各申請人と被申請人との間に生じた分はその余の各申請人の負担とする。

事実〈省略〉

理由
一、会社が石炭の採掘、販売を業とする株式会社であつて、東京都中央区日本橋室町二丁目一番地に本店を、福岡県大牟田市に三池鉱業所、三池港務所を、その他の各地に五鉱業所を置いてそれぞれ営業していること、三池労組は、三池鉱業所、三池港務所および株式会社三井三池製作所の従業員らで組織する労働組合であつて、炭労の支部であることおよび申請人らが会社に雇用された従業員であつたが、会社は昭和三四年一二月一五日限り申請人らを解雇する旨の意思表示を申請人らに対してなし、右意思表示が同日までに申請人ら各自に対しそれぞれ到達したことは当事者間に争いがない。
二、ところで申請人らは、同人らに対する前示解雇の意思表示が不当労働行為であつていずれも無効であり、会社に対し依然として雇用契約上の権利を有する旨主張し、会社はこれを争うので、以下おおむね当事者の主張に即し、総論、本所関係、三川関係、宮浦関係、四山関係および港務所関係の六部に分割して右解雇の効力につき判断する。
総論
一、会社がかつては企業の規模、内容ともにわが国屈指の大鉱業会社として石炭業界に君臨してきたことは当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によれば次のとおりの事実が認められ、右認定に反するような疎明はない。
すなわち会社三池鉱業所(以下単に鉱業所と略記する。)は三川鉱、宮浦鉱、四山鉱の三鉱と本所とからなり、三川、宮浦および四山の三鉱はそれぞれ石炭の採掘をしており(各鉱内部の管理及び補助部門は勿論ある。)、本所は鉱業所全体に対する管理部門ならびに水道、資材、電気、電力、建設、輸送、整備、測量等の補助部門および(病院)売店等の福利厚生施設からなつている。
また三池港務所(後記三池大争議後である昭和三九年一一月七日会社から分離、独立して株式会社三井三池港務所となつた。)は三池港と相当規模の専用鉄道とを擁して前示三鉱から採掘される石炭を運送、搬出して、、通勤従業員を居住地域から各勤務地まで運送する部門で、これとあわせて大牟田地区の第三者の所有物件の陸上運送と海上荷役の役務の提供をもその経営の一内容としている。
二、会社の経営成績と財政状態
〈証拠〉によると次のとおりの事実を認めることができる。すなわち
(一)  第二次世界大戦終戦直後石炭は荒廃したわが国産業復興の基礎資源と考えられ、石炭産業に対しては国家的統制のもとに特別な資金的、物資的援助が与えられ、出炭の増大を他に優先させる努力が払われた(いわゆる傾斜生産)が、当時の荒廃した経済情勢下では、採炭のための機械設備の合理化等を行なう余裕に乏しく、出炭は、主として、人力に頼り、従つて、炭鉱労務者が不足し勝ちで、石炭産業各企業は、十分な人選をする余裕もなく多数労務者を雇用した。
その後昭和二四年ごろに至つて、終戦直後当時年間二、〇〇〇万トン前後にすぎなかつた出炭量も、年間四、〇〇〇万トン程度に増加し、ほぼ需要に見合うだけの生産をあげるようになり、昭和二四年には、石炭に対する統制も撤廃され、昭和二五年には、いわゆるドッヂラインと称せられるわが国戦後のインフレーション収束政策の影響により、石炭産業も一時相当な不況期をむかえた。
しかしながら、その後突如勃発した朝鮮動乱による石炭需要の急増のため、石炭業界は著しい好況を呈し、右好況は、昭和二七年九月ごろまで継続した。
ところが、その間第二次世界大戦後、石油、天然ガス等の流体エネルギー資源が急速に開発され、その輸送手段が合理化されて、一般的に広く利用される傾向が世界的に生じ、その供給もほぼ安定し、価格も低落の傾向を示すようになるや、固体燃料である石炭は、その運搬、利用方法、燃滓の処理の不便、頻発するストライキによる供給の不安定等のため逐次全消費燃料中に占める割合が低下すると云う現象を生じ(いわゆるエネルギ―革命)、わが国でも昭和二七年重油取引に対する国家統制が撤廃されるや、石炭は、鉄鋼、コークスの製造に不可欠な原料炭(原料炭は灰分が少なく、高カロリーで粘結性とある程度の潰裂強度を具有することが要求され、わが国の産出炭のみでは需要を満たし得ず、これを外国から輸入している。)を除き、前示利用上の不便のほかに、価格的経済的見地からも、重油にとつて代わられる傾向となり、ことに昭和三二、三年ごろ以降右傾向はいよいよ顕著となつた。
三池炭鉱は、わが国で他に類を見ない最大の出炭量を誇り、最良の採掘条件を具備しているうえ、その産出炭中のボタ(採掘された原炭中に含まれる不燃性の岩石等不純物)含有率が五ないし七パーセントと云う有利な自然条件(会社の他鉱業所の産出炭のボタ含有率はおおむね五〇パーセント程度)に恵まれている反面、原料炭の占める割合は比較的低率で、二四ないし二五パーセント程度にとどまつているので、流体燃料と価格的に対抗するためにも、会社は、他鉱業所の採掘をも含め、販売原価(コスト)を引き下げ、よつて販売価格(プライス)の低落に備えねばならない必要に迫まられ、ここに経営上の一大転機に直面するに至つた。
会社をも含む石炭業全体としても、右の事態に直面して、石炭産業の国家的立法的保護を求めて努力し、昭和三〇年七月三〇日には石炭鉱業合理化臨時措置法が成立したが、同法は、石炭産業の経済産業の経済的合理化を骨子とするもので(いわゆるスクラップ・アンド・ビルド)、石炭産業を、重油、天然ガス等流体燃料産業の進出による影響から全面的に保護するものでないことは勿論、前示会社の直面した経営上の一大転機を大幅に回避することを得せしめるような底のものではなかつた。
(二)  会社発表の財務諸表による昭和二八年以降の経営成績、財政状態の概要
会社は、昭和三二年七月まで資本金一二億円で、昭和三二年八月一日再評価積立金の一部七億二、〇〇〇万円を資本金に組み入れ、これに伴い三、六〇〇万株を発行し、同日からその資本金は三〇億円となつたが、一会計年度(各年の四月一日から翌年の三月三一日まで)をさらに二決算期間に分割し、各年度の四月一日から、同年九月三〇日までをその上期、一〇月一日から翌年三月三一日までをその下期としている。昭和二八年上期から同三三年上期までの会社の経営成績の推移を株主総会で公表された損益計算書の示すところに従つて表示すれば次のとおりである(単位は一万円で△印は損失を意味する。また一万円未満の計算関係をすべて省略した関係上表示された営業損益と営業外損益の数値とその合計数である期間純損益との間に僅少な相異がある。)。

会計期間 営業損益 営業外損益 期間純損益 繰越損益
二八年 上期 △   二八、〇三八 二一、七八一 △    六、二五七 △    一、五九二
下期 △   八八、七八五 △ 三四四、三一一 △ 四三三、〇九七 〇
二九年 上期 二一九 二、二二七 二、四四七 二、二四七
下期 △ 一一六、七八六 一一九、四三五 二、六四九 四、六九七
三〇年 上期 △   五四、六一二 一七、四三六 △   三七、一七六 △   三二、四七八
下期 △   二四、一二二 △   四三、三八二 △   六七、五〇五 △   九九、九八四
三一年 上期 二四、四二〇 二六、六三四 五一、〇五四 〇
下期 四五、七〇三 △   二四、七三一 二〇、九七二 五、三二二
三二年 上期 三八、二九四 △    一、〇一一 三七、二八三 六、一三一
下期 一三、四三二 四、八七二 一八、三〇五 六、一三六
三三年 上期 △ 二〇七、九一〇 一〇、八一三 △ 一九七、〇九七 △ 一九〇、九六一
右の合計 △ 三九七、一八五 △ 二一〇、二三七 △ 五九五、九〇八 ――
三三年 下期 △ 一〇八、七八四 △    五、五一〇 △ 一一四、二九四 △ 三〇五、二五五
三四年 上期 △ 一四一、八七九 三五、四六八 △ 一〇六、四一〇 △ 四一一、六六六
総合計 △ 六四八、八四八 △ 一八〇、二七九 △ 八一六、六一二 ――

(三)  右に表示した経営成績中には、当時まだ会社から分離独立していなかつた三池製作所における機械の製作販売の損益、三池港務所における荷役役務提供の損益、他社および外国からの買付炭の販売損益等も含まれているが、大部分が会社の各鉱業所の石炭の採掘販売およびこれに関連する営業外損益からなり、昭和二八年上期の営業損失は、重油の進出の影響および一般経済界の景気の下降により炭価(販売価格から販売諸掛を控除した額で比較する。以下同じ。)が一トン当たり六五〇円値下がりしたことが大きな原因となつたもので、当期の欠損金六、二五七万円余の一部は、前期繰越利益金四、六六五万余円で填補し、残余の欠損金は未処理のまま次期に繰り越した(なお当期末現在における会社の自己資本は、資本金一二億円その他資業剰余金、利益剰余金三一億五、〇〇〇万円余、会計四三億五、〇〇〇万円余)。
同年下期には、会社提案の人員整理案に反対するため、三池労組が一一三日の長期におよぶストライキを行なつたこと(ストは、同年上期の末ごろから実行されており、会社は、約二一億円の損失を蒙つたが、これを同年下期に一時に営業外損失として計上した。)、会社の勧奨に応じて退職した者に対する退職金の支給等臨時巨額の営業外支出を強いられこと等のため、三四億円余の営業外損失を計上し、前期繰越欠損金とあわせて四三億円余の欠損金を生じ、会社は右欠損金の処理に将来の利益金を充てるときは、その処理に極わめて長期間を要し、その結果会社の社会的信用を害するに至ることをおそれて、昭和二九年三月三一日現在の利益準備金、設備維持更生基金、注意準備金の各全額ならびに再評価積立金(会社は、当期中に新に再評価積立金を計上し、その結果当期末の再評価積立金は七二億円余となつていた。)の一部をもつて全額填補し、その結果、会社の自己資本としては、資本金一二億円のほかは再評価積立金四二億円余のみとなり、経営活動の成果の蓄積である利益剰余金は皆無となつた。
昭和二九年上期(同期の炭価は、さらにトン当たり約六〇〇円下落)の当期利益はうち二〇〇万円を利益準備金として積み立て、残余の二、二四七万余円を繰越利益剰余金として次期に繰り越した。
同年下期(同期の炭価はトン当たりさらに三三〇円下落した)の利益はうち、二〇〇万円を利益準備金として積み立て、残余を前期繰越金と合して次期に繰越した。
なお当期の営業外収入中には、一一億円余の還付された法人税が算入されている。
昭和三〇年上期の欠損金は、その一部を前期繰越利益金の全部をもつて填補し残余は、未処理のまま次期以後に繰越した。この結果、会社の自己資本は、資本金一二億円、再評価積立金四二億円余および利益準備金四〇〇万円のみとなつた。
昭和三〇年下期には、炭価は約一〇〇円上昇したが、会社は依然として欠損金の計上を続け、同期に生じた欠損金は、前期繰越欠損金と合して未処理のまま次期に繰越した。同期はストライキによる損失が約六億円に達し、営業外損失計上の一因となつた。
昭和三一年上期(同期に炭価はトン当たり約三三〇円騰貴、利益計上の大きな原因となつた。)の利益は、全額前期繰越欠損金の填補に充て、不足分は利益準備金の全額と再評価積立金の一部で填補した。この結果、利益剰余金は再び皆無となり、再評価積立金も五億円弱取り崩された。昭和三一年下期(同期には炭価はさらにトン当たり約四五〇円騰貴して利益計上の要因となつた。)の利益は、株主に対する年一割の配当金六、〇〇〇万円、会社役員に対する賞与金四五〇万円に充て、利益準備金一、二〇〇万円、任意準備金八、〇〇〇万円を積み立て、残余の五、三〇〇万円余を次期に繰越した。
同三二年上期(同期には一般経済界の好況の影響を受け、炭価はさらにトン当たり四七〇円騰貴し、出炭量、売上量ともに増大して利益計上の大きな原因となつた。)の利益は、前期繰越利益金と合し、これを株主に対する年一割の配当、役員賞与金四五〇万円に充て、利益準備金二、〇〇〇万円、任意準備金二億五、〇〇〇万円を積み立て、残余の六、〇〇〇万円余の利益金を次期に繰越した。
この期に、会社は、再評価積立金の一部七億円余を資本金に組み入れ、いわゆる一部無償増資の形式で新株を発行し、その結果、会社の資本金は三〇億円となつた。なお、その際現実に会社が取得した払込金は、増資額と前認定の再評価積立金の組入関係からすれば一一億円弱から株式発行費用を控除した額と推認されるけれども、会社は右払込金の殆んど全額である約一〇億円を借入金の返済に充てた。
同年下期の利益は、前期繰越利益金と金と合し、株主に対する年一割の割合の配当金および役員賞与三〇〇万円に充て、利益準備金一、〇〇〇万円、任意準備金二、〇〇〇万円を積み立て、残余の六、一〇〇万円余を次期に繰越した。
なお、当期には、一般景況はやや下降状態となり、炭価も多少下落する気味を呈し、炭労が実施した原料炭ストと称せられたストライキが会社においても実施され、会社は、右ストにより約五億円の損害を蒙り、決算期に利益を計上することは難しい状態となつたが、前期に増資を行なつた直後の決算のことで、直ちに損失を計上して無配とすることは、株主らから強く批難されるおそれがあつたため、経費の削減、繰延等の会計上の操作を行ない、相当の利益を計上して、前期同様年一割の配当を実施した。なお、当期においては、原料炭スト等により約五億円の損失を蒙つたが、会社は当決算期には右ストがなお継続中であることを理由に、これを当期損益中に計上せず、これを次期に入つて引き続き行なわれたストによる損害金とあわせて次期の売上原価中に算入した。ところが、昭和三三年上期に至つて、炭価は景気の下降等により、トン当たり約三五〇円下落し、販売量も減少したうえ、ストライキにより約一〇億円の損害(前期における五億円のストによる損害と別に)を蒙り、会社は一九億円余の欠損金を計上し、その一部を繰越利益剰余金六、〇〇〇万円余で補填し、その余を未処理のまま次期に繰越した。
当期にストにより蒙つた損害約一〇億円は、前期に蒙つた前示未計上の損害約五億円と合して、売上原価中に算入し、売上損失は、損益計算書の上で二〇億円余とした。
なお、当期末の会社の自己資本は、資本金三〇億円、再評価積立金二九億円余、利益準備金四、二〇〇万円、任意準備金三億五、〇〇〇万円、前期繰越利益金六、〇〇〇万円余の合計から当期の欠損金を控除した四四億円余である。
昭和三三年下期には、一般用炭価、国鉄用炭価および電力用炭価が、トン当たり十数円ないし五〇円下落し、欠損金一一億円余は、前期繰越欠損金と合して次期に繰越した。なお、当期には、前期から繰延べてきたストライキによる損害三億円を営業外費用として処理した。
昭和三四年上期の欠損金一〇億円余は、前期繰越損失金と合して次期に繰越した。その結果、当期末における欠損金は、合計四一億円余となり、これに対し、期末の資本金は、資本金三〇億円、再評価積立金二九億円、利益準備金四、二〇〇万円、任意準備金三億五、〇〇〇万円合計約六三億円(正味自己資本二二億円余)であるから、当期末の欠損金全額を填補しようとすれば、約八億円の減資を実行せざるを得ない関係となる。
また、当期は、後記四・六協定の締結、第二次合理化案の提案と云う特殊事情があつたほか、石炭業界の先行きの見通しは、全体としていよいよ暗くなることが予想され、昭和三四年九月ごろには、石炭協会は昭和三八年までには炭価をトン当たり八〇〇円値下げするようとの案を提出、その後同年一二月石炭合理化審議会では、中間報告として、炭価をトン当たり一、二〇〇円引き上げる必要を説き、会社をも含め石炭業界全体が極わめて重大な局面を迎かえ、なんらかの打開策を講ずる必要に直面するに至つた。
(四)  減価償却は、時の経過、営業上の利用等により価値を減少してゆく固定資産の取得原価を、これを利用する年度に費用として配分する会計手続であると観念され、一般的、経常的に行なわれるものと、天災等偶発的危険を考慮した特別償却(税法上も各種の加速的償却が認められている。)とに分かれるが、経常的減価償却について云うかぎり、一定の償却方法により、耐用年数の全期間にわたつて行なわれ、償却額は、減価償却費として営業費用中に計上され、同時に製造原価中に包含されることとなり、(いわゆる目的費用、基礎原価)他方、これと同額を貸借対照表上減価償却引当金として掲げ、その累計額を固定資産の取得原価から控除する形式で示す(但し無形固定資産は直接法により未償却額を貸借対照表に示す。)こととされており(企業会計原則貸借対照表原則四、(一)B)、従つて、償却の不足は、当期費用の過小表示、当期利益の過大表示または当期損失の過小表示(製造原価についてはその過小な表示となる。)を意味するところ(右の減価償却の性質は経験則上認められる。)、会社は、昭和二八年度以降税法上認められる特別減価償却を全く行なつていないのみならず、経常的減価償却費も昭和二九年上期末に一億四、〇〇〇万余円、同二九年下期末七、〇〇〇万円余、同三〇年上期末一億九、〇〇〇万円弱、同年下期末五億八、〇〇〇万円余、同三一年上期末二、七〇〇万円余、同三二年上期末八、〇〇〇万円余、同年下期末九、〇〇〇万円余、同三三年上期末二億八、〇〇〇万円弱、同年下期末五億九、〇〇〇万円弱それぞれ過小に計上されており、従つて、右各期末の経営成績、財政状態は少なくとも一般減価償却の償却不足額と同額だけはさらに不良であつたとも評価しうる。)
(五)  退職給与引当金は、固定負債の性質をもつ引当金であつて(企業会計原則第三、貸借対照表原則四(二)B、同注解一六、財務諸表準則第三章貸借対照表準則第五六、)退職給与金支払額の各営業期の負担の公平を期するため、決算期における勘定整理の際に設定され、その計算は、当期末に全従業員が退職すると仮定した場合の総退職金額を計算し、これを前期末における同様仮定した総退職金額と比較し、前者が後者を越えるとき、その超過額分だけ設定することが望ましく、従つて、また、決算整理にあたり設定すべき同引当金を全くまたは一部設定しなかつた場合は、これを完全に設定した場合に比し、貸借対照表貸方に表示される固定負債がそれだけ過小表示され、当期の利益は、その分だけ過大に表示され、または損失がそれだけ過少に表示されたものとも評価しうるところ(右退職給与引当金の性質は経験則上認められる。)会社の積み立てた退職給与引当金は、正規の額よりも総体的にかなり過少で、法人税法によつて損金として積立てが認められる金額と比較しても、昭和二九年上期末において一五億円余、同年下期一九億円余、同三〇年上期末八億余円、同年下期末一二億余円、同三一年上期末一一億円余、同年下期末二二億円余、同三二年上期末六億円余、同年下期末二七億円余、同三三年上期末七億円弱それぞれ過少であり、右引当金設定額過少の点からも、右各期末の会社の経営成積、財政状態の実際は、公表せられた財務諸表に表示せられた数字よりも相当に不良であつたと評価しうるのである(なお昭和二八年下期末に会社に雇用された全従業員が一時に自己都合退職したと仮定した場合の見積り総退職金額は九〇億円弱であるのに対し、同三三年上期末の右同様の方法で計算した総退職金額は、二一九億円余と見積ることができ、その間約一三〇億円の増加があるのに、退職給与引当金額は昭和二八年下期末に四七億円余、昭和三三年上期末には四三億円余で、その間にむしろ減少している。)
(六)  会社の借入金は、次に表示(但し表上では一〇〇万円未満の金額を切り捨て表示してあるため、同表に表示された各種借入金額の和と同表上の合計額とが若干相違している。)するとおり、昭和二八年下期、同三〇年下期、同三一年下期に若干の減少を見たほかは逐年増加の一途を辿り、従つて、各期の支払利子額も同表に示すとおり、右借入金額の増大とほぼ対応して増加し、昭和三三年下期の支払利子額は一二億円弱にも達するに至つた。
右認定の借入金額および支払利子額を会社の公表した財務諸表に示される経営成績、財務状態(なお後記七に示す流初負債の対応表をも参照)と比照してみると、借入金額が相当過大で、それに対する支払利子額が会社にとり次第に負担となつてきたことが容易に認められる。
昭和三三年上期に借入金が遽に五三億円余増加したのは、この時期には会社が使用しうる運営自己資金の操作が困難となり、大巾に他人資本の利用に頼らざるを得なかつたためである。

会計期間 短期負債 長期負債 社債 計 前期との比較
△は減少
支払利子
二八年下 二、六九五 八、五四八 九四六 一二、一八九 △     九五 六二三
二九年上 三、〇二〇 八、六〇二 九二〇 一二、五四三 三五三 七四一
二九年下 三、一五五 九、〇〇三 八九八 一三、〇五六 五一四 七八三
三〇年上 三、四九五 九、三〇五 八五五 一三、六五五 五九九 八三八
三〇年下 三、三〇〇 九、四四五 八六五 一三、六一〇 △     四五 八七六
三一年上 三、二九〇 九、四五八 八六二 一三、六一〇 ―― 八三九
三一年下 二、四一五 九、〇四四 一、〇六六 一二、五二五 △ 一、〇八五 七一八
三二年上 二、八八八 八、八五〇 一、〇六二 一二、八〇〇 二七五 八六一
三二年下 三、二九三 九、三九四 一、〇五三 一三、七四〇 九四〇 九一九
三三年上 七、一四三 一〇、七九三 一、一二三 一九、〇五九 五、三一九 一、〇七四
三三年下 七、三八〇 一一、一九一 一、一一六 一九、六八七 六二八 一、一九二

(七)  会社の公表した貸借対照表により昭和二八年上期から同三四年上期までの各営業期末現在の流動資産の合計額と流動負債の合計額とを比較し、前者を後者で除した商に一〇〇を乗じてその割合を示してみると次表のとおりで(なお単位は一〇〇万円で一〇〇万円未満の額は計算に当たつてすべて無視してある。)、これによれば、酸性検査比率等より一層適切に企業の短期負債支払力を示す数値を算出検討してみるまでもなく、会社の財政状態は年を追うに従つて流動性比率が低下し、企業の短期負債弁済力が弱まつて行く趨勢を看取しうるとともに、右流動性比率は与信者の立場にある者が、財務諸表の分析に際し、企業の支払能力を判断する資料として、特に重視するものであるから、右比率の低下は、他に特段の事情の認められない本件では、会社が、資金ことに短期貸付金の借入を受けることが、特に昭和三二年ごろからは相当困難となつてきたことを意味すると考えられる。

営業期 流動資産 流動負債 流動性比率
昭和二八年上 一三、六五一 七、三五二 一八六
同年下 一一、八〇四 八、四三四 一四〇
昭和二九年上 一一、八六七 八、三八七 一四一
同年下 一二、六四〇 八、五二八 一四八
昭和三〇年上 一二、七三〇 八、九五六 一四二
同年下 一二、一九二 八、八一八 一三八
昭和三一年上 一三、一六九 九、八五七 一三四
同年下 一三、二九〇 一〇、三〇九 一二九
昭和三二年上 一三、一九九 一三、六六六 九七
同年下 一三、〇一三 一四、一一九 九二
昭和三三年上 一五、五〇六 一九、〇四一 八一
同年下 一二、八九三 一九、三〇四 六七
昭和三四年上 一二、六二一 二〇、九三〇 六〇

(八)  会社は、三井銀行、日本勧業銀行、北海道拓殖銀行、三井信託銀行、協和銀行、福岡銀行等から短期の融資を(但し三井信託銀行からは一部長期の融資をも)、日本開発銀行、日本興業銀行、日本長期信用銀行から長期融資を、それぞれ受けていたが、昭和三三年上期に運転資金として借り入れた約四〇億円の短期負債の返済が困難となり、これを長期借入金として借り換え(右負債の弁済は昭和三七年に至つてもなおされていない)、同年下期には、主要な長期資金の貸付先である日本開発銀行からの融資は停止され、短期運転資金の貸付も拒否され、同三四年上期には、設備資金の貸付をも停止され、金融の方途は殆んど全面的に閉ざされて、著しい苦境に立つに至り、昭和三三年下期の欠損による必要資金約一一億円、退職金約八億円、設備資金一一億円その他合計約三三億円は、資材代金支払の延期、売掛金回収の強化、手持資材、貯蔵品の圧縮、手持現金・予金の利用、受取手形の換金等、経営内部の操作により辛じて賄い、同三四年上期は、各種経費の節減、固定資産税等租税の二ないし三ケ月程度の延納、買入資材代金、受入役務の対価、買付炭代金、労災保険料の各支払を延期し、またすでに昭和三三年九月から、社長以下課長代理以上の幹部職員の給料の一〇ないし一七パーセントの減給の措置をとつていたが、さらに、昭和三四年七月鉱員に対する賃金の分割払、同年九月その遅払をし、期末手当の支給も、一切しない方策をとつた。右認定に反する疎明はない。
三、会社の経理担当者によつてなされた経理悪化の原因分析
有吉(第二回)証言により真正に成立したことの認められる乙二〇号証に有吉(第二回)証言をあわせると、次のとおりの事実を認めることができる。すなわち
会社本店経理部長有吉新吾らは、昭和三三年上期に至つてもなお決算期に若干の利益を計上していた三菱、北炭、明治、住友の大手石炭会社の経営成績と会社のそれとを比較検討し、会社経理悪化の原因を分析し、よつて会社再建策の資料とするため、石炭協会の指定統計、石炭経営者協議会等から発表された各種統計資料を使用して経営比較を行ない、左のとおりの結果を得た(右各統計資料は、石炭業界で一般に最も信を措くに足りるものと思料されているものである。)
なお、右経営比較の資料として、右有吉は、昭和三二年度上期の統計の結果を使用したが、それは、同期には、右各社とも、ストライキによる影響が比較的少なく、比較に適すると判断したことによるものである。
一、会社の製品炭は熱量が低く(四社平均、六、七七九カロリー、会社六、五二三カロリー)、市価もトン当たり二〇〇円ないし五〇〇円安い。
二、石炭採掘のための物品費(主として坑木、火薬、事務用消耗品、油等。)は、会社の各鉱業所の坑道条件が他社に比しややすぐれ、会社の経費節減方針の成果もあつて他社より低い(四社平均石炭一トン当たり物品費九四〇円、会社は八一三円)。
三、労務費はかなり高い(四社は石炭一トン当たり平均二、一四三円、会社二、六三八円。)
前記有吉らは、労務費の比較に当たり、原価計算の理論において一般に労務費中に算入すべきものとされている退職手当引当金繰入額を無視したが、これは同引当金は、各社で積立ての基礎が異なり、比較が困難であることを考慮したものである。
四、減価償却費を除くその余の経費は、同業他社と比較し相当高額(四社平均石炭一トン当たり八一四円、会社九二〇円)である。
減価償却費は、原価計算上経費中に算入されるべきものであるが、右有吉らは、償却の基礎が各社によつて異つており、比較が困難であるとして別途計算した。
五、原価からの控除額(会社の設置する病院の診療収入、関係会社に対する給水料等原価を低減せしめる諸収入の合計額)は、石炭一トン当たり四社平均二〇二円、会社は二八〇円である。
六、石炭採掘のため自家消費した石炭の原価(右自家消費炭の原価は製品炭の製造原価をそれだけ高めることとなる。)は会社がやや高い(四社平均石炭一トン当たり五三円、会社七六円)。
七、退職手当引当金の石炭一トン当たり割掛額は、ほぼ同額である(四社平均二二二円、会社二二三円)。
八、減価償却費は、会社の方が低い(四社平均石炭一トン当たり三三九円、会社二四五円)。
九、以上二ないし八を綜合すると、石炭一トン当たり山元原価は、四社平均四、三一三円、会社四、六三五円であり、会社の製品炭はトン当たり三二二円高い。
一〇、各鉱業所の負担すべき本社費の製炭一トンに対する割掛額は、四社平均二四四円、会社二〇四円である。
一一、支払利子額の製炭一トン当たり割掛額は、四社平均七八円、会社は一五一円である。
一二、選炭原価(選炭原価の語義は必らずしも明らかでないが有吉(第二回)証言によれば、当期の期間総製造原価を商品として他に発送した製炭総トン数――従つて山元で消費された炭量が除かれる――で除した価額を意味するのではないかと思われる。)は、石炭トン当たり三〇三円高い(四社平均一トン四、七六三円、会社五、〇六六円)。
一三、会社の産出炭量は、四社合計の約二分の一(四社合計六四八万六、〇〇〇トン、会社三二二万七、二〇〇トン)であるのに、稼働工員数(臨時夫を含め長期欠勤者は員数外とし、石炭採掘と関係のない三池鉱業所および三池製作所の鉱員数は除外)は二分の一を越え(四社合計六四、三八八名、会社三七、九四一名)、鉱員一人平均の産出炭量は、四社平均一日一六、八トンであるのに、会社は一四、二トンでその間に一人平均二、六トンの差がある。
一四、鉱員の出役率は、四社平均に比し、約四パーセント低く(四社平均八五、六パーセント、会社八一、四パーセント)、鉱員一人平均産出炭量の低いことの一因となつていると考えられる。
一五、鉱員の賃金は、他社に比し高い(坑内夫基準賃金は、四社平均八一八円、会社九〇八円、同基準外賃金は、四社平均二五八円、会社三五三円で結局坑内夫の賃金は、一人平均一八五円高く、その結果坑内夫の平均月収は四社平均二四、三四九円であるのに会社は二七、六二五円で、三、二七六円高い。また坑外夫基準賃金は、四社平均四六二円、会社四九五円、同基準外賃金は、四社一九八円、会社二九五円で、坑外夫の賃金は、一三〇円高く、その結果、坑外夫の平均月収は、四社平均一五、九二五円に対し会社では一八、八八〇円と二、九五五円高い)。
以上の比較、分祈の結果を綜合し、昭和三二年以後の会社の生産能率がさらに低下したことをも勘案し、右有吉らは、会社の雇用する鉱員は、高賃金の割に低能率であつて労働意欲が低く、会社は、相当数の余剰鉱員を抱えており、しかも、坑内の合理化、鉱員の合理的配置転換につき労働組合の協力が容易に得られない点に、他社に比し、経営成績が一層不良であることの原因があると断定し、会社再建のためには、これら原因を除去し、労働能率を高めて、鉱員一人当たり出炭量を増大し、石炭製造原価中に占める労務費の割合を低めることが必要であり、特に自然条件に恵まれている三池鉱業所では、そのための施策を強く進める必要があるものと判断した。
右認定に反する疎明はない。
四、石炭協会の指定統計、石炭連盟発表の資料による三池炭鉱に稼働する鉱員の能率比較
〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
会社本店労働課々長代理西山信太郎、本店経理部員小松原俊一は、石炭協会指定統計、連盟乙一表の統計資料を使用し、三池炭鉱に稼働する鉱員の能率につき、左記のとおりの比較結果を得た。
なお、指定統計は、予め指定された形式に従い、各単位事業所が石炭生産に関する資料を地方通産局を経て通産省に提出し、これを綜合したもので、石炭生産に関する統計資料としては、最も信頼性があると考えられており、連盟乙一表も、石炭業界大手一八会社、全稼働労働者の約八〇パーセントを対象に調査したもので、指定統計に次ぐ信用性があると考えられている統計資料である。
(一)  会社各鉱業所での在籍鉱員(組夫と臨時夫を含まない直接会社に雇用された正規の鉱員)一人一月当り平均出炭量を表示すれば左のとおりである。

鉱業所名 三池 田川 山野 砂川 奈井江 芦別 美唄 会社全体
平均

営業期
昭和
二八年下
七、九 九、三 一〇、五 九、九 二一、〇 一六、一 一〇、九 一〇、〇
二九年上 一二、七 一〇、七 一二、四 一二、七 二四、一 一六、五 一四、一 一三、〇
二九年下 一二、五 一一、二 一三、六 一三、〇 二三、八 一五、三 一四、七 一三、〇
三〇年上 一二、一 一一、〇 一三、六 一三、二   一三、八 一二、八 一二、四
三〇年下 一一、三 一一、一 一三、〇 一四、〇   一三、七 一三、六 一二、三
三一年上 一一、七 一三、〇 一四、二 一四、七   一五、二 一四、八 一三、三
三一年下 一三、九 一三、三 一〇、二 一四、八   一五、六 一四、六 一三、七
三二年上 一三、三 一三、七 一一、六 一五、四   一六、一 一三、六 一三、八
三二年下 一三、五 一三、三 一〇、六 一六、四   一四、九 一四、四 一三、七
三三年上 一三、二 一二、七 六、二 一七、七   九、二 一四、七 一二、五
三三年下 一二、七 一一、六 一〇、五 一三、一   一四、八 一二、〇 一二、五

もつとも、右表は、会社の内部的資料によるもので、長欠者、組合専従者をも在籍鉱員数中に算入し、組夫および臨時夫は員数外とされているが、当時三池炭鉱では、組夫、臨時夫を殆んど使用していなかつたのに反し、右表中の数値によれば、比較的高能率であると考えられる砂川、芦別には相当数の組夫、臨時夫が稼働(その数は必らずしも明らかではないが、後記臨時請負夫の稼働から考えて全労働者の一〇パーセント前後程度ではないかと推測される。)、していたこと、三池鉱業所では、会社の他の鉱業所に比し採炭夫の占める比率が低かつたこと、病院看護婦(看護婦は鉱員の身分を有する。)、本所鉱員等直接採炭と関係のない鉱員の割合がやや高いことを能率の検討に当たつて勘案する必要がある。
(二)  指定統計資料により会社の在籍鉱員(常用臨時夫を含み、長欠者、組合専従者および組夫は員数外とする、他社も同じ。また会社に関する分は港務所、三池製作所の鉱員数は算入されていない。)一人一ケ月の出炭量(実働在籍出炭能率)を三池炭鉱に関する分と、会社全体の平均に関する分とにわけわが国の大手生産者である三菱鉱業と住友鉱業、明治鉱業、北海道炭鉱汽船各社のそれと対比して表示すると左のとおりである、(単位トン)

会社名 三池 会社 三菱 北炭 住友 明治 他四社
平均

営業期
昭和二四年度上 八、四 八、二 六、七 八、一 八、一 六、九 七、三
下 八、七 八、九 七、六 八、四 九、五 七、四 八、一
昭和二五年度上 九、三 九、七 八、七 九、六 九、五 八、五 九、一
下 九、一 一〇、二 九、四 九、六 一〇、六 八、七 九、五
昭和二六年度上 一一、九 一二、二 一〇、七 一一、二 一二、五 九、九 一一、〇
下 一三、六 一四、〇 一二、二 一二、六 一三、五 一〇、九 一二、三
昭和二七年度上 一三、四 一三、〇 一一、八 一二、七 一三、一 一〇、二 一二、〇
下 九、九 九、五 九、一 九、七 九、八 八、四 九、三
昭和二八年度上 一二、四 一一、七 一二、三 一二、七 一三、三 一二、一 一二、五
下 八、四 一〇、三 一二、〇 一二、〇 一二、七 一二、九 一二、二
昭和二九年度上 一三、四 一三、四 一三、二 一四、七 一四、五 一三、一 一三、八
下 一三、二 一三、六 一二、二 一三、九 一四、二 一五、一 一三、三
昭和三〇年度上 一二、六 一二、八 一二、五 一三、三 一四、八 一四、七 一三、四
下 一一、九 一二、七 一三、六 一三、〇 一五、三 一五、三 一三、九
昭和三一年度上 一二、二 一三、七 一四、六 一五、二 一七、七 一六、三 一五、五
下 一四、五 一四、二 一四、七 一五、五 一八、七 一七、八 一五、九
昭和三二年度上 一三、八 一四、二 一五、九 一六、五 一九、六 一七、四 一六、八
下 一四、二 一四、二 一六、二 一四、九 一八、六 一七、八 一六、〇
昭和三三年度上 一三、八 一三、〇 一三、〇 一〇、七 一四、〇 一七、五 一三、一
下 一三、二 一二、九 一四、三 一四、四 一七、七 一六、九 一五、二
昭和三四年度上 一三、一 一三、〇 一四、〇 一六、五 一七、四 一六、三 一五、六
下 五、八 一一、五 一六、八 一六、〇 一九、六 一八、一 一七、一
昭和三五年度上   一 一一、〇 一七、六 一八、四 二二、七 一九、三 一八、九
下 一八、五 一八、八 二〇、七 二〇、二 二七、八 二三、二 二二、〇
昭和三六年度上 二七、五 二一、九 二〇、一 二二、〇 二七、六 二二、二 二二、二
下 三四、四 二七、一 二四、四 二四、一 三三、九 二四、四 二五、九

もつとも、炭鉱では、組夫と称する下請人夫若干を使用して坑道掘進その他の作業をなさしめるのが常であつて、鉱員一人当たり出炭量の比較についても、正確を期するためには、これら組夫数を算入する必要があり、指定統計資料により各社で使用していた組夫数の実働労働者数中に占める比率を示せば次のとおりとなる(なお三池炭鉱で使用していた組夫数は、当時極めて僅小。また乙一六号証中臨時夫、請負夫とあるのは西山証言から組夫のことであると認められる。)。

社名 会社 三菱 北炭 住友 明治
年月
昭和二八年六月 七、八 一七、九 一八、一 九、九 一一、七
同二九年六月 六、〇 一三、〇 一五、一 八、〇 一一、五
同三〇年六月 三、七 一三、二 七、九 六、〇 七、〇
同三一年六月 四、八 一五、三 八、九 六、四 八、一
同三二年六月 六、八 二一、九 一〇、九 八、八 一〇、二
同三三年六月 六、七 二六、一 一〇、九 一三、二 八、八
同三四年六月 六、一 二一、三 一二、〇 一四、四 八、一
同三五年六月 八、七 二〇、九 一四、四 一五、一 八、九

(三)  鉱員の稼働した総労働時間数(連盟乙一表による。但し組夫の稼働時間数は算入されていない。)を総出炭量(指定統計による。)で除して、石炭一トンを生産するのに要した鉱員の稼働時間数を表示すれば左表のとおりである。
同表の括弧内の数値は、昭和二七年六月の各社の石炭一月一トンを生産したのに要した鉱員の稼働時間を一〇〇とした場合の一〇〇分率である。

社名 三池 会社 三菱 北炭 住友 明治 四社平均
年月
昭和二七年
六月
一四、三六
(一〇〇)
一四、八三
(一〇〇)
一六、五〇
(一〇〇)
一五、〇三
(一〇〇)
一三、四〇
(一〇〇)
一九、三一
(一〇〇)
一五、八八
(一〇〇)

同二八年
六月
一四、五八
(一〇一、五)
一四、九〇
(一〇〇、四)
一五、七七
(九五、六)
一三、五五
(九〇、二)
一三、六五
(一〇一、四)
一六、三一
(八四、五)
一四、八一
(九三、三)

同二九年
六月
一三、六七
(九五、二)
一四、〇九
(九四、九)
一四、一九
(八六、〇)
一三、三二
(八八、六)
一二、五七
(九三、四)
四、二四
(七三、七)
一三、六七
(八六、一)

同三〇年
六月
一五、六七
(一〇九、一)
一五、一二
(一〇一、九)
一五、六五
(九四、八)
一四、三三
(九五、三)
一二、五四
(九三、二)
一三、〇〇
(六七、三)
一四、三六
(九〇、四)

同三一年
六月
一五、二九
(一〇六、六)
一四、二一
(九五、八)
一三、一〇
(七九、四)
一二、七一
(八四、六)
一〇、五一
(七八、一)
一二、一〇
(六二、七)
一二、四一
(七八、二)

同三二年
六月
一四、〇六
(九七、九)
一四、二七
(九六、二)
一二、七一
(七七、〇)
一一、六五
(七七、五)
九、六六
(七一、八)
一〇、六〇
(五五、二)
一一、五六
(七二、八)

同三三年
六月
一四、四九
(一〇〇、九)
一五、一四
(一〇二、〇)
一二、三六
(七四、九)
一二、三二
(八二、〇)
一一、六四
(八六、五)
一三、三七
(六九、二)
一二、三九
(七八、〇)

同三四年
六月
一三、八五
(九六、四)
一四、三四
(九六、六)
一三、八八
(八四、一)
一一、六一
(七七、二)
九、九一
(七三、六)
一一、四〇
(五九、〇)
一二、三〇
(七七、五)

同三五年
六月
一 一四、六七
(九八、九)
一二、〇二
(七二、八)
一〇、七一
(七一、三)
八、三二
(六一、八)
九、四〇
(四八、二)
一〇、五五
(六六、四)

同三六年
六月
七、三八
(五一、四)
八、五八
(五七、九)
一〇、四九
(六三、六)
八、五〇
(五六、六)
六、六〇
(四九、〇)
八、五四
(四四、二)
八、七八
(五五、三)

右表によれば、他各社の昭和二七年ごろ以降石炭一トンの生産に要した鉱員の稼働時間数は、年により若干の変動は認められるが、次第に減少する傾向を示し、従つて、労働の生産性が次第に向上していると考えられるのに、会社においては、後認定のとおりの機械化にも拘わらずおおむね横這いの様相を呈し、後記三池争議を経て生産が再開された後の昭和三六年に至つて急激に減少し、労働生産性が遽に増大したことが認められる(なお右表においては港務所および三池製作所に稼働する鉱員の稼働時間数は除外されている。)
(四)  会社の雇用する鉱員らの賃金は、前記三菱、北炭、明治、住友各社の鉱員の賃金と比較すると、昭和二九、三〇年ごろからやや高額となり、その格差は次第に開いて、昭和三三年ごろ最高となつた。
特に、採炭夫について、会社は全面的な請負給制をとつていたが、採炭方法が次第に合理化されるにつれ、単位時間当たり出炭量が増大しても、労働組合の反対により、賃率算定の基礎となる標準作業量の改定は容易に行なわれなかつたため、右較差は顕著であつて、連盟乙一表によれば、昭和三二年一一月において、一人一方(労働時間八時間)平均右四社の鉱員の平均賃金が一、二四四円であるのに対し、三池炭鉱採炭夫の賃金は一、九三八円で、会社全体の採炭夫の賃金は平均一、七四四円であり、また坑外夫については、会社の場合、時間外労働に対する賃金の占める割合が他社に比し高いことが目立ち、三池炭鉱坑外夫平均二三〇円、会社全体の坑外夫は、いずれも一方当たり平均二四一円であるのに対し、他四社鉱員の平均は一六一円である。
この結果、鉱員の同月(昭和三二年二月)の一ケ月平均賃金は、三池採炭夫三九、〇五七円、会社採炭夫平均三五、〇四七円、四社の採炭夫平均二七、五三三円、採炭夫以外の坑内夫、三池炭鉱二七、七一三円、会社平均二七、六二五円、四社平均二四、三四九円、坑外夫、三池一八、〇一八円、三池以外の会社一八、五三五円、四社平均一五、九二五円であり、全鉱員平均一ケ月賃金は、三池二四、七七一円、会社二四、六四五円、四社平均二一、六六二円である。
(五)  石炭一トンを生産するのに要した鉱員に対する支払賃金を連盟乙一表の資料によつて示せば、左のとおりである(同表には港務所および三池製作所鉱員に対する支払賃金は算入されておらず、また括弧内の数値は、昭和二七年六月を一〇〇とした場合の一〇〇分率を示す。)。
(六)  精炭および原炭一〇〇トン当たり使用工数(くすう。一人一方八時間働いたものを一工数と称している。)を指定統計によつて比較すれば、次のとおりである。右比較の基礎工数中に、港務所等の付帯事業の労働者の稼働時間は算入されておらず、臨時夫請負夫(組夫)の労働時間は計算の基礎に算入されている。

社名 三池 会社 四社平均 三菱 北炭 住友 明治
年月
昭和二七年
六月
一、〇九一
(一〇〇)
一、一七四
(一〇〇)
一、二〇六
(一〇〇)
一、二四四
(一〇〇)
一、一八六
(一〇〇)
一、〇五二
(一〇〇)
一、三五三
(一〇〇)

同二八年
六月
一、二二六
(一一二、四)
一三、三一
(一一三、四)
一、二三七
(一〇二、五)
一、三〇二
(一〇四、七)
一、一七七
(九九、二)
一、一五九
(一一〇、二)
一、二七九
(九四、五)

同二九年
六月
一、二〇六
(一一〇、五)
一、二九六
(一一〇、三)
一、二一四
(一〇〇、六)
一、二二〇
(九八、一)
一、二五五
(一〇五、八)
一、一二六
(一〇七、〇)
一、二一五
(八九、八)

同三〇年
六月
一、四五二
(一三三、一)
一、四四八
(一二三、三)
一三、〇一
(一〇七、八)
一、三八五
(一一一、三)
一、三五三
(一一四、一)
一、一六六
(一一〇、八)
一、一二二
(八二、九)

同三一年
六月
一、五三九
(一四一、六)
一、四六五
(一二四、八)
一、二〇六
(一〇〇)
一、二五六
(一〇一、〇)
一、二六六
(一〇六、七)
一、〇四八
(九九、六)
一、一二三
(八三、〇)

同三二年
六月
一、五〇二
(一三七、七)
一、六八四
(一四三、六)
一、二七四
(一〇五、六)
一、三六一
(一〇九、四)
一、三〇六
(一一〇、一)
一、一一〇
(一〇五、五)
一、一七七
(八六、九)

同三三年
六月
一、七三〇
(一五八、六)
一、八一一
(一五四、三)
一、四一九
(一一七、七)
一、四八七
(一一九、五)
一、四二八
(一二〇、四)
一、三〇〇
(一二三、六)
一、三一六
(九七、三)

同三四年
六月
一、七六六
(一六一、九)
一、八六六
(一五八、九)
一、四三九
(一一九、三)
一、五九三
(一二八、〇)
一、四一七
(一一九、五)
一、二四五
(一一八、三)
一、三五六
(一〇〇、二)

同三五年
六月
一 一、五六九
(一三三、六)
一、三二四
(一〇九、八)
一、四七五
(一一八、六)
一、三四二
(一一三、二)
一、一一五
(一〇六、〇)
一、一七〇
(八六、五)

〇、九八八
(九〇、六)
一、二一五
(一〇三、五)
一、二〇七
(一〇〇)
一、四〇九
(二三、三)
一、一七五
(九九、一)
〇、九六〇
(九一、三)
一、一六〇
(八五、七)

昭和三三年六月精炭一〇〇トン当たり使用総工数は、三池一九三、三、会社平均一九三、三に対し、三菱二〇〇、五、北炭一九四、二、住友一七〇、八、明治一八六、三であり、同月の原炭一〇〇トン当たり使用総工数は、三池一八二、七、会社平均一三八、〇、三菱一一九、五、北炭一四六、四、住友一〇〇、一、明治九六、五であり、同月の精炭歩留り(採掘原炭一〇〇に対するボタ(硬)を除去した精炭の比率)は、三池九四、五、会社平均七一、四、三菱五九、六、北炭七五、四、住友五八、六、明治五一、八である。また三池争議を経て生産が再開された昭和三六年六月には、精炭一〇〇トンについての総使用工数は三池九〇、九、会社平均一〇九、七、三菱一三三、六、北炭一一三、五、住友一〇二、五、明治一二〇、五であり、同月の原炭一〇〇トン当たり使用総工数は、三池八四、四、会社平均七六、六、三菱八二、八、北炭八三、五、住友六四、二、明治六三、七で、同月の精炭歩留りは、三池九二、九、会社平均六九、六、三菱六二、〇、北炭七三、六、住友六二、六、明治五二、九である。
右比較によれば、昭和三三年六月期には、精炭一〇〇トン当たり総工数においては、三池炭鉱は、他社とほぼ匹敵する成績をあげているが、それは三池炭鉱の石炭のボタ含有率が他に比して著しく低いと云う自然条件のためで、ボタをも含めた原炭の採掘能力は、相当劣つているものと云うことができる。
右のような各分析の結果を綜合した結果、会社経営者および幹部職制らは、前項三に認定した有吉新吾の判断と同様、会社経営成績不振の原因は、雇用する労働者の高賃金、低能率にあり、これを除去することが再建のため不可欠の条件であると判断し、また別の資料(申請人側資料で、どのようなものか詳細は不明)に採炭夫一人当たりの出炭トン数が、三池五、六一トン、崎戸五、〇二トン、高島三、一〇トン、古賀山五、四七トン、佐賀五、一六トン、高松二、一六トンとあるのに対しては(右は製炭量の比較)、ボタ含有率の極めて少ないことを勘案すれば、三池の右の数値はなんら採炭夫の高能率を示すものとは云えないとの態度をとり、後記三池争議の終結生産再開後は、会社は、採炭技術の改良により出炭量が増大するにつれて、採炭夫の賃率計算が従前と同様の標準作業量を基礎として計算され、従つて、採炭夫の賃金が出炭量の増大に正比例して増大することを防ぐため、採炭夫賃金の四〇パーセントを固定給とし、生産上の意味が少ないと考えられる残業を制限する労働協約を締結(その結果、会社の残業時間は、前記四社と比しても、最短となつた。)して残業賃金を節し、従来特殊労働手当の種類が約二〇〇あつたのを、五種類に整理統合し、間接部門から直接への人員配置転換を行ない、採炭方法の機械化を一層推進して、能率向上のための努力をした。
なお昭和二六年以降の一〇年間の設備投資額は、会社約二五〇億円、前記四社合計約二〇〇億円である。
右認定に反する疎明はない。
五  前項二ないし四で認定した経営成績、財政状態、経営比較の結果の評価
会社の経営成績、財政状態の分析、評価(より詳細な財務比較、原価比較、その他比率比較等の方法による比較分析とその評価)は、元来より詳細な資料を得たうえで、会計、経営のそれぞれ専門的立場からなされるべきものであるが、右認定の事実のみを前提としても、会社が株主総会で公表した財務諸表の適性度等については、なお左記のとおりの疑問点がある。すなわち、
1、会社は還付された法人税一一億円を昭和二九年下期の営業外収益中に計上する等講学上包括主義と称せられる原理による会計処理をしているものと考えられ、わが国企業会計原則のとる当期業績主義によつていない。
もつとも、株式会社の営業成績表示のため当期業績主義と包括主義のいずれが適切であるかは、会計学説の分かれるところであるうえ、(右会計学説等の存在は経験則により認められる。)わが国法制上は包括主義によることはなんら違法とされていないのであるから、この点は別としても、
2、会社は、従来ストライキによる臨時の相当額の損失を営業外費用中に計上して、当期純損益を算出してきたのであるが、昭和三三年上期に至るや一五億円(しかもそのうち五億円は前期に蒙つた損失)のストライキによる損害を、突然売上原価中に算入し、その結果同営業期間中に二〇億円の売上損失を計上し、しかも、右のような会計処理をした事実につき損益計算書になんらの付記、説明もしてない。
ところで、ストライキのような異常な事態を原因とする価値損失は、経験則上原価計算における正常性の原則により、原価能力を否認され非原価項目として(企業会計審議会原価計算基準第一章、五、(二)、2)会計処理をすべきものであるから、会社の右のような会計処理は、売上原価を不当に高からしめ、売上損失を過大に表示し、ひいてコスト配分の結果当該期末の棚卸資産の価値をも不当に高からしめて、その結果資産の評価を不当なものとする危険もあり、会計における継続性の原則(企業会計原則第一、一般原則五)に反し、経営の比較の基礎をみだし、よつて作成せられた財務諸表に対する信頼度を低からしめるものではないかとの疑がある。
3、昭和三二年上期において、会社は、若干の利益を計上して、年一割の配当を実施し、増資を行ない、その払込金の大部分を債務の弁済に充てたが、当時はすでに炭況の見通しの暗いことは判然としており、しかもそれ以前の昭和三〇年下期までに相当多額の欠損金を生じ、会社の自己資本は減少し、内部留保は極めて薄くなつていた時期であるから、利益を配当して資金を社外に流出せしめることをなるべく避け、自己資本の増大に努力すべきであつたとも考えられ、右の配当は、株価を釣り上げ、増資を可能にするための操作であつたのではないかとの疑を生ずる嫌があり、右のような増資態度の当否にも相当な疑問がある(現実にも同年下期には後記4に説示するとおり強い疑問を抱かせる配当を行なつたうえ、翌営業年度の昭和三三年上期には多額の欠損金を計上して無配に転落し、以後無配を続けている。)。
4、昭和三二年下期には、財務諸表上一億八、〇〇〇万円余の利益を計上したが、当期においては、前項二で認定したとおりストライキにより約五億円の損失を蒙り、右の損失は、当期の損益計算書、期末貸借対照表の作成に当たつて全く計上されていないのであるから、当期は、実質的には約三億二、〇〇〇万円の欠損金を計上したものとも云うべきである。それにも拘らず、財務諸表上計上した一億八、〇〇〇万円余の利益を、株主に対する年一割と云う比較的高率の配当金に充当し、さらに役員に対しても三〇〇万円にのぼる賞与金を支給すると云うようなことは、増資直後の決算期であると云う会社の配当政策上の必要を考慮に入れてもなお著しく不当ではないかとの疑問が残る。
5、独立の競争企業間での原価その他の経営比較は、資料の獲得、分類、整理等につき、各種の障害が存在し(たとえば原価要素を材料費、労務費、経費に分割することは、多数の企業で共通して行なわれても、具体的にいかなるコストを労務費または経費中に算入するかが各企業体により異なれば、比較の基礎の共通性が失なわれる。)、その適確な実施には著しく困難があるところ(右経営比較の困難性は経験則上認められる。)、前項三、四に認定した各種比較についても、特に三池炭鉱においては、前認定のとおり、ボタ含有率が低く、一般的には採掘自然条件に恵まれているが、使用している組夫の数がきわめて僅少であり、また看護婦数、水道課(三池鉱業所では大牟田市に対する給水も行なつていた。)、建設課に勤務する鉱員の比率がやや高く(高い程度は具体的には不明)、坑内水の湧出が多量であるため、排水ポンプ運転のための労働者も他鉱山に比し若干多く(田川および山野鉱で石炭一トンの採掘に要する排水量が三ないし四トンであるのに対し、三池炭鉱では約一〇トンの排水を必要とし、約二〇〇台の排水ポンプを備え鉱員約二〇〇名を配置していた。もつとも、ポンプは自動式のものも約一〇〇台あり、また山野鉱では約六〇台のポンプに対し、鉱員は二十数名で、会社は三池ではポンプ当番数は一〇〇名程度で十分である旨組合に説明していた。)、炭鉱の規模が大であるため、坑口から切羽まで至る距離(坑内で道中と称し所要時間を道中時間と呼んでいる。)が、他鉱山に比し長く、従つて、道中時間も他鉱山に比しやや長く、採炭夫の作業内容範囲が他鉱山に比し多少狭く(たとえば、採掘された石炭を運搬するためのコンベヤの運転作業、コンベヤで運転し難い大きさの炭塊を運搬に適する大きさに破砕しこれをコンベヤに乗せる作業、ポケットと称する坑内貯炭箇所から石炭を積込む作業が、他鉱山ではおおむね採炭夫の作業とされているが、三池炭鉱では機械夫、積口夫等を配役しこれになさしめている。)機械化の程度も各鉱山で異なり、また三池炭鉱では、他炭鉱に比し坑内温度がかなり高い作業個所が多い等各種条件を異にしているため、前認定の各比較のうち特に他社との比較数値が直ちに各社の実態の忠実な比較とし称し得ないこと(右三池炭鉱の特殊性に関する事実は、成立について争いがない乙四七〇号証の一と二西山、小松原各証言によつて認められ、右認定に反する疎明はない。)。
6、会社の各鉱山中最もすぐれた自然条件を備える三池炭鉱は、昭和三〇年ごろの二、三の営業期に、ストライキ等の影響等により欠損金を計上したことがあるのみで、他の営業期には、芦別炭鉱とともにおおむね多少の利益を計上しており、会社全体としての欠損金は、その他の鉱山の経営によつて生じていること(右事実は藤井、有吉(第一回)各証言によつて認められ、右認定に反する疎明はない。)
7、企業経営の結果に対する責任、一般的には経営者が負担すべきもので、会社についても、経営不振に陥つたことにつき、経営者の経営方針の過誤がなかつたとも断じ得ないのに、この点に関する検討、分析は乏しく、経理悪化の原因を、主として労働者の事情に帰せしめようとの姿勢が過度に強いのではないかとの疑。
8、管理部門の組織、能率面に関する批判に乏しく、鉱員らに、企業再建は現場労働者にのみしわよせすることにより達成されようとしているとの不公平感を抱かしめる嫌いがあるのではないかとの疑。
しかしながら、以上のような疑点にも拘らず、燃料産業界における重油の顕著な進出により、会社をも含め石炭企業全体が著しい苦境に陥つたことは否定し難く、会社が株主総会で公表した財務諸表も、増資を実施した三二年上期およびその直後の同年下期に会社の経営成積を不当に良好に表示したのではないかとの疑がある(もつとも、同年下期に発生したストによる損害は、昭和三三年上期の売上原価中に計上されたから、同期以後の会社の全体としての欠損金額には大きな影響を与えていないことになる。)のを別としても、おおむね欠損金の計上をやや控え目にしているものといいうるのであり(前認定の原価償却引当金等の設定関係参照)、人員整理を実施するため、経営成績、財政状態を実際より著しく不良に表示したような徴表的事実は認められず(後記宮浦関係三二八、申請人前田義則(二)、解雇理由(イ)2で認定したとおり、若林三池鉱業所長は、三池労組中央委員らに昭和三三年上期末の欠損は、合計約三〇億円に達する旨説明したが、右額は、前認定の減価償却引当金等の設定関係に徴すれば一応肯認できる。)、昭和三四年度以降も経営危機打開のための手段をあえてはとらず、拱手を続けるならば、会社の正味自己資本は遠からず零以下となる蓋然性も相当高かつたことは十分推認でき、さらに、三池大争議を経て生産再開がされた後前項四、2、3および、46に認定した事実から明らかなように、会社が生産能率を従前に比し飛躍的に向上させて経営状態改善に努力し、若干の営業利益をあげたにも拘らず、財務費用の過大のためなお全体としては利益金を株主に配当し得る状態には達し得ないでいること(右無配を継続している事実は弁論の全趣旨によつて認められ、右認定に反する疎明はない。)を考慮すれば、会社の財務諸表に表示された会計事実は、各個別の営業期については、会社の経営政策的配慮のための誇張、歪曲がなされたのではないかとの疑を容れる余地はあるけれども、人員整理の企図との関係で、会社の経営成績、財政状態を実質以上に不良に表示する不当な粉飾がなされたものとは認められず、これによれば、会社は昭和二八年上期から同三四年上期までの間に六四億円余の売上損失、一八億円余の営業外損失を計上し、結局総計八二億円余の欠損金を計上し、会社の自己費本は逐年減少し、流動比率も悪化して、支払能力が乏しくなり、近い将来炭界の景況が好転して経営の危機状態が自然に解消するような楽観的見通しも全く立て得ない状況であつたのであるから、会社経営者が、右危機を打開するため、その原因を慎重に分析、検討して、これを除去するためには、相当大規模な各種諸施策を断行し、よつて費用を節し、収益を増大し、会社の経営を健全な状態に立ち戻すべき切迫した必要に直面していた事実は、優にこれを推認することができる。
また、異企業間の経営比較が必らずしも容易にできないことは前説示のとおりであるが、同一企業内部の比較は概して信用度が高いと考えられるところ、前項四、2、3、5の各事実によれば、同業他社の鉱員の生産比率が逐次向上しているのに、会社の場合は横這いないし悪化している事実が推認され、同6の事実によれば、前示異企業間の経営比較の困難性を考慮にいれても、昭和三三年ごろ会社ことに三油鉱業所鉱員の生産能率が他社の鉱員と比し、必らずしも高くなく、三池炭鉱が各経営期におおむね利益を計上できたのは、むしろその大規模な炭層ときわめて低いボタ含有率と云う自然条件に負うところが多かつた事実をも推認することができる。
右認定、推認、説示に反するかのような正田証言は、石炭産業の国有化その他これに準ずるような高度の国家的保護政策を前提とするもので、特に右認定、説示を左右するようなものではなく、他にも右認定、説示を左右するような疎明はない。
六、第一次および第二次企業再建案の提示に至るまでの経緯とこれをめぐる労使の交渉(その間の炭労、三鉱連、三池労組の職場闘争に関連する事実の相当部分は、後に別途認定する。)
1  第二次世界大戦後の会社の数次にわたる人員整理とこれに対する炭労、三鉱連、三池労組の態度
〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
会社の石炭採掘方法は、終戦直後の機械設備の荒廃、機械技術の未発達、労働賃金の低廉等の理由により、最近時に至るまで、機械力によることが比較的少なく、人間の肉体労働に頼る部分が比較的多かつたため、会社は終戦後の激動、変転する経済事情下にあつて、石炭に対する需要の増大する時期には、大量の労働者を雇い入れて出炭を増強し、その逆に需要が減少し雇い入れた労働者数が過剰となつた時期には、費用を節するため、相当の員数の労働者を希望退職させ、または解雇すると云う手段をとり、昭和二四年六月ごろから同年八月ごろにかけ三池鉱業所労働者九五四名(うち希望退職者六一八名、なお会社全体での整理員数は不明)を解雇し、または希望退職させ、昭和二五年一一月には、会社経営不振による人員整理の必要を理由として、会社全体で約一万一、〇〇〇名(うち三池鉱業所に稼働していた労働者は四、六四七名、なおこのときの整理予定数は八、〇〇〇名であつたが予定をはるかに上まわる退職希望者が出た。)を希望退職せしめ、昭和二八年八月から一一月にかけて朝鮮動乱終結後の不況による欠損の解消のため、会社全体で五、七三八名の労働者の指名解雇を計画し、三鉱連との交渉の後、四、五六三名を指名解雇(もつとも後に認定するとおり会社は三鉱連のストライキ等の争議行為による反対行動に屈し、同年一一月二七日一、八四一名(うち三池鉱業所三一一名)の労働者の指名解雇を撤回した。)し、
右各人員整理と別に、昭和二五年一月いわゆるレットパージとして四五五名(うち三池関係一九七名)を解雇した。
一方炭労およびその傘下の三鉱連、三池労組(その組織および右各労組の関係等については後に認定するとおり。)等は、会社の経営政策、人員整理につき、会社は石炭の採掘、販売により、第二次世界大戦前から引き続き莫大な利益をあげながら、右利益を石炭産業自体の合理化、機械化に使用せず、今次世界大戦中は、低賃金労働者を大量に使用して利潤をあげ、経営者は才覚に欠けて経営上の失敗が多く、右経営の失敗に由来するコスト高を補うため、賃金を低く押さえ、そのため、職制を中心とする厳しい労務管理を実施することに努力し、不況時には経営の多角化等の努力はせず大量の労働者を解雇し、残存鉱員の労働を強化し、労務費を節することにより、経営の危機を打開しようとし、結局、その経営は、労働者の人間性の抑圧と犠牲の上に立つて行なわれて来たとの批判的態度をとり、従つて、会社の計画する企業合理化、人員整理は、結局において労働を一方的に強化し低賃金を押しつけるもので、根本的企業再建に資するところなく合理性を欠き、真の石炭産業合理化は、右炭労、三鉱連、三池労組等の労働組合の抵抗により始めて達成されるとの立場を持し、特に会社の強行する指名解雇は、会社の経営者が労働者の思想の自由、組合活動の自由を否定する態度の発露で、組合の指令を忠実に実行する活動家を企業外に放逐し、組合の運営に支配介入し、これを分裂せしめようとする他企業に類を見ないものであるとして強く反対してきたが、昭和二五年の人員整理(前示レットパージを含む)までは、その時の労使の力関係、会社の置かれた客観状勢等から、やむを得ないものとしてこれを一度は承認し、右各人員整理に対し、ストライキ等の争議的行為を実行してまで反対すると云う強硬な態度は示さず、昭和二八年の人員整理に際し、はじめて一一三日におよぶストライキを行なつてこれに反対した。
また、右各労組は、いわゆるエネルギー革命による石炭産業の斜陽化現象は、わが国政府および経営者らが米国の帝国主義的石油資本に従属する政策をとり、民族熱資源である石炭産業を保護しようとする態度を全く欠き、かつ石炭資本が費用を投じて炭鉱を真に合理化、機械化することを怠つた結果によるもので、これにつき炭鉱労働者および炭労等の労働組合はなんの責任をも負う理由はないとの見解をとつた。右認定に反するような疎明はない。
2  長計協定と機械化協定
前1の事実認定の用に供した各疎明をあわせると、さらに次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
昭和二八年の人員整理に反対して実行された一一三日におよぶストライキの結果、右指名解雇の相当部分を撤回せしめたことを契機として、三鉱連ことにその傘下の三池労組の勢力は急激に強大となり、後記各論で認定するような鉱員らの各種闘争行為に直面した係長、係員ら現場末端職制は、鉱員らに対し適切な業務指示を徹底させることができず、経営者以下会社の幹部職員らも、組合の勢力と直接対抗し、これと対立する方針を避け、むしろ次第に勢力を増大してゆく三池労組に対し融和的態度に出て、鉱員らの多少不当な行為もこれを厳しく咎めず、その歓心を得て、これを生産に協力させようとする方針をとつたため、三池労組は、作業現場で事実上強い勢力となつたのみでなく、正規の労働協約上も漸次有利な条件を獲得するに至つた。長計協定、機械化協定は右のような一般的状況の中で締結されたもので、その内容から、いずれも三池労組が大量の人員整理および労働条件に対し強い警戒的態度をとつていたことが認識できる。
(1) 長計協定
長計協定とは、昭和三〇年、前認定のとおり経営不振に苦しんでいた会社が、向後一〇年間の長期的経営方針を組合に示し、退職者の補充をせず、これにより長期的に人員を削減し、職場の紛争を少なくし、経営に協力することを三鉱連に求めた「長期計画」の実施に関し(もつとも、右長期計画に示された会社の経営計画は、経済情勢の変動により殆んど実行されない結果となつた。)会社と三鉱連間に取り交わされた長期計画協定書のことであつて、右長期計画の実施に当たつては、「会社は組合が主張した『組合員の完全雇傭』を今後の経営方針の第一義的基本として之を確認し、都度組合と協議してその大綱を決定する」むね、および「長期計画に伴う各山の配置転換等については、労働条件の向上を期し、低下せぬことを前提として、各山元で協議決定する。」むね協定せられた。
なお同協定書には、特に期間は定められていない。
(2) 機械化協定
昭和三二、三年ごろから、会社は、三池炭鉱の採炭方法を合理化、機械化して、出炭能率を上げることを計画しホーベル(鉄爪を取り付けたチエンを動力を使用して、炭壁面を往復させて、石炭をかき剥がし、かき剥がされた石炭の大部分を自動的にパンツァーコンベヤーと称する運搬機により運搬して採炭する機械)、スライシング払(炭層の厚さ――炭鉱で炭丈(すみたけ)と呼称している――が数メートルにもおよぶ場合、従来は、採掘跡の天盤を支えることが困難であつたため、上層の部分のみを採掘し、下層にある石炭はそのまま放置していたが、中間に人工天井を設けて、炭層を上段と下段に分け、その全部を採掘する技術、二段分層払)、シールド(採炭の進行に伴つて炭壁面が移動すれば、そこに生じた空間の天井を支えるため鉄柱を立て、カッペと称する鉄製の梁で支える必要を生ずるが、油圧を利用し、炭壁の移動に合わせ、天井の支柱を機械的に移動するようにした枠のこと、自走枠、移動枠、動枠などとも云う。)の新技術を採用したが、炭労、三鉱連、三池労組は、右機械化により余剰労働力が生じ、これが解雇につながることをおそれ、機械化による出炭増大に伴なう利益がすべて会社によつて取得され、労働者には還元されないのではないかと疑い、また保安問題、賃金問題についても懸念を抱いて、警戒的態度をとり、約半年の間会社と交渉を続けた結果、昭和三三年七月九日会社、三鉱連間に機械化協定と呼ばれる協定書が成立し、これに付随して、三池炭鉱と三池労組の協定書、三池鉱業所所属各鉱とこれに対応する組合支部間の覚等が成立するに至つたが、右機械化協定は、第一項に「機械化、合理化に伴う将来的保障については、完全雇傭を守り、保安優先についての実効を挙げ、労働諸条件については、全般的向上を期することとする。」旨の規定を掲げ、次いで第二項以下に、新機械導入その他の合理化を実施しようとする場合には、会社は組合(三鉱連)と事前協議する旨等を規定している。
右第一項の文言は、当初の会社の案中にはなかつたが、前示のとおり機械化が大量解雇につながるのではないかとの懸念を抱いた組合側の強い要望により、調印の前に加えられたもので、後認定のとおり、第一次、第二次企業再建案をめぐる労使の交渉経緯中で鋭い解釈上の対立を生むこととなつた。
右三池炭鉱の機械化は、会社が同炭鉱の優秀な採掘条件を勘案し、設備投資の成果を最も確実におさめ得ると判断して実行したもので、会社としては、機械化協定およびこれに伴う諸協定、覚書により組合の協力を得て、生産能率をあげることを期待していたが、現実には、これを各山元で実施する際、三池労組の予想外の抵抗により(たとえば、会社・炭労間には採炭技術、方式の変更、重要設備投資が行なわれた場合、選炭歩留率が変つた場合、起業工事が完了した場合は、賃率計算の基礎となる標準作業量を修正しても可である旨の取決めがなされていたが、各山元の抵抗により、機械化に伴う標準作業量の修正はできず、三川鉱スライシング払では、採炭工らが一日分のカッチング量を自から決めてそれを達成すればそれ以上の作業はしないと云う行動をとる等)、所期の成果をあげ得ず、会社としても三池労組に対し次第に強い不信の念を抱くに至つた。
なお機械化協定にも期間の定はない。
右認定に反する疎明はない。
3  第一次企業再建案とこれをめぐる労使交渉の経緯ならびに四六協定
(1) 会社主張のとおりの項目、内容を包含する第一次企業再建案がその主張のころ三鉱連に提示されたこと、会社主張の日時に第一次企業再建案に関し、その主張のとおり前後約二〇回に及ぶ団体交渉がもたれたこと、三鉱連が第五回団体交渉で第一次企業再建案に反対する旨の態度を表明し、同第一一回団体交渉で同案の白紙撤回を会社に要求し、昭和三四年二月二五日団体交渉は決裂したこと、同年三月一〇日会社、三鉱連間の団体交渉が再開されたこと、同月一二日以降同再建案に反対し、三鉱連が会社主張のとおりストライキを実行したこと、同年三月二三日中央労働委員会が賃金闘争に関し、職権あつせんを行なつたこと、同年四月六日いわゆる四六協定が調印され、右協定の主要な内容が会社主張のとおりであることについては、いずれも当事者間に争いがない。
(2) 〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
会社は、前示機械化のほか、昭和三二年ごろから経営合理化のため竪坑の掘さく、新坑の開発、販売面の選炭方法の改良による炭質の向上、経費の節減、不要資産の売却等の各種施策をとつたが、当時の炭況、経営成績の動向から、これら諸施策をもつてしては、会社の再建は不能であると判断し、遂に人員整理をも含めた合理化の徹底により、会社経営の建直しを企図し、昭和三三年一〇月二八日、二九日ごろ三鉱連、三社連に対し、会社の立場からする会社経理事情、石炭業界の一般的事情、会社の石炭販売事情、能率、賃金、人員関係等の諸事情を説明し、会社再建に対し協力を求め、さらに一般的炭況の変化がなければ、相当根本的な会社再建策を立案、実施せざるを得ない旨をほのめかしたが、右説明会の直後、当時の会社社長栗木幹は、本店労務部長満田武らに対し、特に賃金面、能率面、人員面から第一次企業再建案の立案をするよう命じ、満田らは、社長、常務取締役等会社代表の指示を受け、これとの連絡の下に、人員整理案を含む第一次企業再建案を立案し、同年一二月末ごろ成案を得て、昭和三四年一月一二日右案を常務会に提案し、同月一三日取締役会の承認を得、同月一六日同案を説明資料を付して、、三鉱連執行委員長畠山義之助に提示し、同月一九日会社、三鉱連間の第一回団体交渉がもたれた。
右案の項目的内容が会社主張のとおりであることは、前示のとおり当事者間に争いがなく、会社は、第一次企業再建案の実施により、(イ)後認定の職場闘争によつて職場規律が乱れ作業指示が徹底しなくなつていた点を是正し、作業管理を質的、時間的に厳にし、職名を整備(たとえば、高賃金職種名労働者が、実際は低賃金職種の作業に従事し、賃金は高賃金職種に相応する給付を受けていたような実態を職名を整備することにより是正する。)し、出勤率を向上させて、作業能率を高め、(ロ)社宅建築、営繕、文化関係その他の福利関係費用を節減し、(ハ)看護婦、船長等の特殊技能者の採用、殉職者、珪肺退職者の子弟家族等の公死傷者の関係家族等を除くその他の人員補充の将来における中止(なお三井鉱山にあつては、入替採用制度と称せられる従業員が任意退職をする際には、当該退職従業員の申出にかかる子弟を採用すると云う制度があつたが、右入替採用も減少する、)による人員削減、(ニ)従来賃金稼得のために鉱員ら自身が希望して比較的長時間なされていた残業および公休出勤(日曜祭日その他の公休日に鉱員が出勤すると当日に課せられる労務は、平日に比して概して軽易であるのに、これに対して割増賃金が支払われるため、鉱員らは公休出勤を希望しこれが増加する傾向にあつた、)の制限による賃金(なお会社の一ケ月の総支払賃金中これら超過労働による賃金部分は約一億五、〇〇〇万円)の節減(早出、残業は三〇分のみ認める、但し、三池のみは、坑道が長く人車繰込みの関係があるので、五二分とする。公休出勤は従前の実績の半分とする、)、(ホ)社内預金の金利の月一厘の引下げ(八厘から七厘へ引下げ、当時の会社の社内預金は約三六億円で、その支払利子は一年間に約三億円)、同預金の限度額(三〇万円)の設定による財務費用の節減、その他水道、電気代の経費の節減、(ヘ)人員整理による賃金その他労務費の節減を骨子とするものである。
(3) 会社は、昭和三四年一月一九日から同年二月二五日までの間に三鉱連と一二回に及ぶ団体交渉をもつたが、前示第一次企業再建案中の人員整理に関する部分は最も論議の中心となり、三鉱連では、前示機械化協定の完全雇傭条項は、会社が将来にわたり整理解雇を含め、相当数の鉱員を一時に解雇する如き挙に出ない趣旨であると主張し、会社は、右条項は、機械化に伴う鉱員の解雇はしないことを約したもので、経営不振に基づくやむを得ない人員整理については、同条項はなんらの規定もしていないと主張して鋭く対立し、三鉱連は、機械化協定に関する右の解釈的立場から、会社に対し強い不信の態度を示し、かつ第一次企業再建案中人員整理に関する部分は、結局指名解雇と異ならないとして、炭労の指令下に反対行動を開始し、同年二月二五日団体交渉は遂に決裂した。
(4) 第一次企業再建案をめぐる会社、三鉱連間の団体交渉は、会社の申入れにより、同年三月一〇日再開され、会社はその後炭価がさらに下落して出炭制限が強化され、経営状況の見通しがいよいよ暗くなつてきたことその他の事情を説明し、会社が退職を希望する従業員数は会社全体で六、〇〇〇名であることを発表した。
会社は当初前記、(2)、(イ)ないし(ホ)の諸施策により約八億円の費用を節し、それでもなお八億円余の欠損を計上せざるを得ないと推計し、右と同額の費用節減のため四、〇〇〇ないし五、〇〇〇名の鉱員一人の六ケ月分の賃金を平均約二一万円とみての希望退職を企図し、昭和二五年ごろの人員整理の経験から、その程度の希望退職は当然あるものと考えて、希望員数を発表し、あるいはさらにこれを各山に割り当てたりすることは敢てはしなかつたが、その後炭況がさらに悪化し、炭価がトン当り約二〇〇円値下がりしたことを考慮すれば、その他の諸施策によつても処理し得ない欠損金はさらに一二ないし一三億円増加するものと判断し、その経費節減には約八、〇〇〇名の人員整理が必要との修正判断に達したが、員数の過大になることを戒め、うち五億円は退職手当積立金を取り崩して処理しようと考え、終局整理員数を六、〇〇〇名と決定、発表したものである。
右発表の時期は、炭労の指導下に傘下各組合の行なう春季賃上要求時期と一致していたので、三鉱連は、第一次企業再建案白紙撤回の要求を賃金値上要求にあわせ、これを貫徹するため、時限ストライキを実施し、三月二三日からは無期限ストライキに突入するに至つたが、同日賃上要求に関する中央労働委員会の職権あつせんが開始されたことを契機として、会社、三鉱連間に歩み寄りが見られ、数次にわたる団体交渉を重ねた結果、四月四日人員整理は、純然たる希望退職(会社職制が鉱員に対し個別に退職を勧奨し圧力をかけるいわゆる肩叩きを行なわず、組合側も退職申出の妨害をしない。)に限り認めるとの了解点に達し、四月六日第一次企業再建案に関し労使間の合意を記載した協定に調印がされた(通称四六協定)。
なお、会社、三社連間でも、ほぼ同旨の協定が締結された。
四六協定では、会社が当初から相当重視した残業規制の問題その他若干の重要問題が、各鉱山の実情が異なるため、統一協定中で規定することが困難であるとして、山元に移し、作業の実態に合うよう各鉱業所ごとの協議交渉に委ねることが取り決められた(ただし協議を成立させるための期限は定められていない。)が、会社側は、団交の雰囲気から、三鉱連が第一次企業合理化に関する会社の提案を基本的には全面的に受け容れたものと理解し、各山元交渉も日ならずして会社の意向に沿う線で容易にまとまるものと楽観し、整理員数も、過去の人員整理の経験から六、〇〇〇名程度の退職者は当然でるものと考え、(三池炭鉱では二、四〇〇ないし二、五〇〇名の希望退職者がでるものと考えていた。)協定後は採炭方法の機械化とも相いまつて出炭は半期三四〇万トンを維持できるものと予期し、また団交中に会社倉田副社長は、人員整理は会社にとり極めて重要な問題であるが、六、〇〇〇名に達しなかつたからとて、追いかけて指名解雇または肩叩きはせず、会社の責任で経営して行きたいと思う、しかし極めて険しい道を歩かねばならないから、山元協議事項その他につき特段の配慮をしてほしい旨の発言をした(有吉(第二回)証言中には右の発言をしたのは栗木社長であるかのような証言があるが満田証言と比照してみると信用できない。)
(5) 四六協定の実施状況
第一次企業再建案に関する三社連、会社間の協定には会社職員五六〇名の希望退職が協定され、現実には五八六名が退職した。(なお、第一次第二次の企業再建案に対する三社連、三池職組の態度については後にさらに認定する。)三鉱連との関係については、前認定のとおり、整理予定員数は六、〇〇〇名で、会社が退職希望者を募集し、これに応じた者の退職申込みを受け付けたのは勿論であつたが、三池炭鉱にあつては、三池労組は、会社に希望退職の申出は組合が受け付け、これを一括して会社に提出したいと申入れ、会社側は、右受付事務は当然会社のなすべき事務であると主張して対立し、結局は会社、三池労組のそれぞれが希望退職の申出を受け付け、会社の受け付けた分は組合に、組合の受け付けた分は会社にそれぞれ連絡するとの諒解に達し、右形式による退職受け付けが行なわれ、三池労組は、退職応募者は会社に申し出る前に組合執行部に届け出るよう奨励した。
会社は、当初の退職申出期限の昭和三四年六月末日を一ケ月延長し、同年七月末日までとしたが、期限までに退職を申出た者の総数は合計一、三二四名(内訳は、三池鉱業所一五二名、港務所一〇名、田川三四〇名、山野四七五名、砂川一一九名、芦別一七一名、美唄五七名(当時の全鉱員は約四万名で、三池鉱業所の鉱員数は約一万三、〇〇〇名、港務所鉱員数約一、一〇〇名)、なお右以外に三池製作所の従業員のうち七名の退職申出があつた。原口(第一回)証言中三池の退職者は二六九名であつた旨の証人調書部分は発声または調書の記載のいずれかの誤りと認める、満田証言中三池の従業員数は約一万九、〇〇〇名であつた旨述べる部分は職員をも含めた人員数と認められる。)で当初の整理予定員数を大巾に下まわり、ことに三池鉱業所、港務所からの退職希望者が極めて少なく、また一旦会社に退職を申出た者が三池労組からやめるなと云われたからとの理由で、退職申出撤回の意思表示をしたり、本所に勤務する鉱員が退職の意思をもらしたところ職場委員(職場委員については後記事実参照)が引きとめたと云う事実が伝えられたり、また他への負債を退職加給金によつて弁済しようとして退職を申出た者が、組合から貸付を行なうから退職しないよう云われたとの理由で、退職申出を撤回する等の事実があつたため、会社は退職希望者が右のような小人数にとどまつた原因は、肩叩きを行なわなかつたことと、特に三池鉱業所では、三池労組が退職申出を組合にしても差支えないとの諒解を悪用して、退職申出の妨害をしたことにあると判断し、他方三池労組は、右妨害の事実を強く否定した。
一方、前認定の残業規整等の山元協議事項は、五月六日と七月一八日に会社側から若干の説明がなされたのみで、三池労組の委員会の開催、内部的相談、打合せの必要等の理由で、協議が遷延するうち、同年八月四日炭労が山元協議ストップ指令を発し、これにより山元協議は一切打ち切られ(他鉱業所でも協議は妥結に至らないまま右ストップ指令により打ち切られたが、協議は三池鉱業所に比し相当程度進渉し、実質的内容に立ち入つていた)その結果、会社が四六協定により所期した人件費の削減、残業規整による賃金の節減、人員配転による能率の向上その他の諸施策は殆んど全面的に失敗に帰し、出炭も二九〇万トンにとどまつたため、第一次企業再建は全く挫折した。
会社は、右の失敗は、組合ことに三池労組の著しく不誠実な態度にその原因があり、これにより、前示の経営努力による経営危機克服の方針も実現不能になつたとし、三池労組に対し強い不信感を抱くに至り、労使双方の相互的不信感は次第に根強いものとなつていた。
右認定に反する疎明は前示の信用しない証言以外にない。
4  第二次企業再建案とこれをめぐる労使の交渉
(1) 第二次企業再建案の項目内容が会社主張のとおりであること、会社が昭和三四年八月二六日三鉱連に対し、同月二八日三社連に対し、それぞれ第二次企業再建案につき団体交渉方を申入れたこと、同月二八日から同年九月一〇日までの間会社と三鉱連間に七回におよぶ団体交渉がもたれ、九月一〇日右団交が決裂したこと、炭労が第二次企業再建案に反対して、同年七月二〇日、会社主張のとおり、指令八五号を、同年九月三日指令一〇二号を発したこと、会社と三鉱連が同年一〇月二日から同月七日までに五回(第八回ないし第一二回)におよぶ第二次団体交渉をもつたが、同月七日交渉は再度決裂したこと、同年一〇月九日三鉱連が会社主張のとおりの非常事態宣言を発し、統制権発動の態度をとつたこと、炭労が同年一〇月五日から同月七日までの間臨時大会を開き、会社主張のとおりの決議をし、同年一〇月指令一一五号により主張のとおりのスト指令をしたこと、総評が第二次企業再建案に対し、会社主張のとおりの態度をとつたこと、会社が同年一〇月一二日から第二次企業再建案に基づく希望退職者募集を開始し、三池労組がこれに反対したこと、同月二六日会社が三鉱連に対し第三次団体交渉を申入れ、同日から同年一一月一二日までの間主張のとおりの団体交渉がもたれ、その間三鉱連が一一月八日会社主張のとおりの妥協案を提案したが、会社はこれを拒否し、第三次団体交渉も一一月一二日遂に決裂するに至つたこと、中労委の職権あつせん案を拒否し不調に終つたことはいずれも当事者間に争いがない。
〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
(2) 四六協定締結直後の昭和三四年四月二〇日通産大臣臨時代理佐藤栄作は、通産省告示第一六一号により、石炭生産事業に対し、同年五月一日から同年一〇月三一日までの間の生産数量を昭和三二年四月一日から同三三年三月三一日までの一〇〇分の四〇に制限すべき旨その他の措置を指示し、会社の経営状況の見通しはいよいよ楽観を許さないものとなつてきたうえ、四六協定によつて所期した経費節減等の計画は全く挫折し、昭和三四年八月初旬ごろには、同年上期の決算で約二〇億円の欠損金を計上する見込みが強くなつたため、社長栗木幹は、労務部長満田武に対し、六、〇〇〇名の鉱員を確実に退職させ、第一次企業再建案の完全達成を骨子とし、さらに賃金面その他の赤字対策を含んだ第二次企業再建案の立案を命じ、同人は他の会社幹部らと謀つて、第一次企業再建案で予定された整理員数六、〇〇〇名と、それまでに現実に退職をした鉱員数との差の四、五八〇名の鉱員の整理をその内容の一部とする第二次企業再建案を立案し、同年八月二五日役員会の承認を得、翌二六日右案に関する団体交渉を三鉱連に申入れ、第一回団交(同月二八日)において提案事項の項目を示し、第二回団交で(同月二九日)その内容につきやや詳細な説明をした。
(3) 人員整理等に関連する第一次企業再建案と第二次企業再建案の相異
第二次企業再建案が第一次再建案によつて達成しようとした計画をさらに徹底的に遂行しようとしたものであることは、前認定のとおりであるが、右両案の人員整理計画およびその方法については、重大な差異があり、第一次再建案では、純然たる希望退職の方法のみを認め、肩叩きはしない旨が諒解されていたのに対し、第二次再建案では整理基準を設定し、これにより、従業員の成績を評定した上、各鉱業所ごとに生産条件、将来の出炭見込等をも考慮して、整理員数を割り当て(各鉱業所等に対する割当ての具体的員数は、三池二、〇二〇名、田川七三〇名、山野九〇名、砂川五六〇名、芦別四五〇名、美唄五四〇名、港務所一九〇名で、右割当は、整理予定員数を各山の在籍鉱員数に按分して一応算出し、これを各山の自然条件等を勘定し、それぞれの生産計画を達成できるよう修正して決定した。)、各鉱業所に対し、右整備基準該当者を調査判定させて、これを本店に報告させ、整理の方法としては、一応第一次企業合理化の際と同様、希望退職者募集の方法により、応募者が予定数に達したときは、指名解雇は避けるけれども、会社職制による整理基準該当者に対する退職勧告は、当然のこととして前提され、しかも、もし右の方法によつても予定された員数の退職希望者が出ないときは、右整理基準該当者を個別的に指名解雇することとされ、さらに、三池鉱業所および港務所々属の鉱員中、会社が著しい生産阻害行為を実行したと認定した者を、勤務成績不良者として、整理基準にあてはめ、これらの者は、退職希望者が予定員数に達した場合でも(これら生産阻害者と判定された者が自ずから退職を希望しないかぎり)例外なく断乎指名解雇するとの方針をとり、昭和三四年一一月九日団交の席上で、社長栗木幹は、炭労三鉱連側に右方針を明らかにした。
その他の第二次再建案の内容は、多少の相違はあるが、おおむね第一次再建案の趣旨を徹底し、退職規律を確立し、賃金体系等を整理し、各種費用を節し企業の生産性と収益性を増大して、経営の危機を打開しようとの方針に従つたものであり、なお三池製作所および本所に所属する売店を分割独立して別会社としようとした。
(4) 三池炭鉱に対する整理員数の割当て
三池鉱業所および港務所に対する整理員数の割当は、前認定のとおりで、三池炭鉱では、本店の指示により、第二次企業再建案中の人員整理基準に該当する者を選別(なお右整理基準は、第二次企業合理化案の成案の決定を見る前に昭和三四年八月八日ごろ本店から電話により三池炭鉱に連絡され、三池炭鉱では、各鉱副長、人事係長らが協議――通称副人会議――し、同月一九日ごろまでに概略の選定を終えた。)した結果、約四、八五〇名の鉱員を基準該当者と判定、本店に報告したが、その後若干の調整を行ない、昭和三四年一〇月二日ごろまでには、右基準該当者を四千数十名とし、その氏名をも特定した。
会社経営者らは、三池炭鉱に稼働する鉱員らの生産能率は極めて低く、同炭鉱は各営業期におおむね利益を計上はしていたものの、その利益は、自然的採炭条件の秀れている割合には僅少にすぎ、会社の再建のためには、同炭鉱の鉱員数を相当整理し、その後の職場規律を確立することにより、残存鉱員により、従前に比し遙に多量の出炭をなし、相当多額の利益を計上して、これにより累積した会社の欠損金を逐次処理する以外企業再建の良策はないと判断して、右整理員数の割当てにおよんだものである。
(5) 第一次団体交渉と組合側の態度
炭労、三鉱連および三池労組は四六協定締結後間もない昭和三四年六月二五日会社から賃金分割払いの申入れがあり、同年七月には、夏季手当ゼロ回答のあつたことに対し強い不満を抱いていたところ、同年八月二八日第二次再建案が提案されたため、右提案は、前示機械化協定締結のための団交に際しての前認定の会社経営者の発言の趣旨に反するものとして、会社に対し強い不信の念を抱き当初から、右案ことに人員整理案に絶対反対の態度をとつた。
(6) 会社、三鉱連間の第二次団体交渉と炭労、総評の態度
第二次団体交渉は、昭和三四年九月会社側が事態の悪化は第二次再建案実施の遷延を許さず、一〇月一日から提案事項を逐次実施するとの強い態度を示しつつなした再開申入れにより行なわれたものであるが、会社の第二次企業再建案は、必ずや指名解雇と云う事態に至ることを認識していた三鉱連は、指名解雇に対する前認定のような基本的観念に立ち、一〇月七日会社側が提案内容を変えない以上交渉を続行しても意味はなく、従つて実力によつて解決する以外の方法はないとの意見を表明し、これに対し、会社側も、第二次企業再建案事項は逐次実施する、最悪の場合は指名解雇もやむを得ない旨の態度を表明し、ここに第二次団体交渉は決裂し、会社は同月八日社長栗木幹名義の告示を発し、企業再建の抜本策が講じられぬかぎり会社の崩壊は必至で、会社、三鉱連間の団体交渉の決裂した現在、会社としては、坐して企業崩壊をまつか、再建のため断乎第二次企業再建案を実行するかの二者択一の立場にある旨を説き、従業員、家族らの協力を求め、右告示を周知徹底させる努力をした。
他方、三鉱連は、同年一〇月九日企反中斗指示第一〇号を発し、傘下各支部組合に対し、第二次団交決裂により、指名解雇を含む第二次再建案の一方的実施も時間の問題であると判断され、その強行に対しては、会社側の態度に即応する闘争を押し進める必要がある旨を説き、会社の一方的強行後は、自己都合をも含め、一切の退職は認めないこと、退職しようとする者に対して統制権を発動すること、会社の勧告、指名解雇を拒否して闘う者の生活に対しては、全面スト突入の際の生活対策に準じて中央で融資の措置をとる、作業指示、賃金に関する事項では、職組と対立することを避けて闘争すること等を指令し、また炭労でも同月一〇日中斗発第一一五号指令により、三井の第二次合理化案をめぐる団体交渉は会社の一方的態度により平和交渉の限界に達し打ち切らざるを得なかつた旨を述べ、企業整備の完全撤回、不当解雇反対を要求して三池製作所を除く三鉱連傘下各支部組合は、一〇月一三日以降別途指示のあるまで、毎週火曜、金曜の両日一番方(各職場で多少異なるがだいたい午前六時から午後二時までの勤務時間)から二四時間のストライキを行なうこと、三社連および三池製作所支部は、右各ストライキ実施日に時間外勤務拒否闘争を行なうとともに大衆動員決起大会等を行ない統一行動に参加すること等を指示した。
なお、当時三社連では、会社の経営危機がきわめて深刻であることを認め、右危機を打開するためには相当の施策もやむを得ないと考える向きが強く(三社連の態度については後記総論一二の事実参照)、また、三井三池製作所は、当時既に会社から分離独立して別会社となつており、同製作所支部に属していた労働者の多数も、三池労組から脱退して独立労組を結成することを希望しており(現実には同年一〇月二四日脱退)、会社の人員整理に対する関心度が低かつたため、炭労としても、これらに対し強いストライキ指令を発することを差し控えたものと推認される。
(7) 希望退職者の募集と三池労組の反対態度
会社は、昭和三四年一〇月一二日全山につき、第二次企業再建案に基づく希望退職者の募集を開始し、同日から同月二六日までの募集期間内の退職申出者に対しては、特別加給金を加算した退職金を支給するほか再就職のあつせんをする旨を記載した希望退職者募集ビラを会社施設に貼付し、担当職制らは、整理基準該当者と判定された者に対し肩叩きを行ない、退職した元職制にまで依頼して退職勧告を行なつた。
一方、第二次企業再建案に対しつとに最も強硬な態度で反対していた三池労組は、同年九月一〇日の第一次団体交渉打切のころから、人員整理による退職手続に関する業務、並びに業務命令その他解雇に関する業務、並びに業務命令の一切拒否、その組合に対する連絡、業務命令者の氏名、業務内容の三池労組への報告、退職勧告を受けた者はこれを拒否し、右事実を可及的速やかに組合に届け出るべきこと、第三者による退職勧告を受けたときも、同様拒否し、右第三者が誰に依頼されたかを確認すること、指名解雇の通知を受けた者は、これを受領し、開封することなく組合に届け出て、大衆行動により一括返上すること、炭労闘争支援のため、会社に対し預金を有する者は、先ずうち三、〇〇〇円を労働金庫に預け換えることを指示(三鉱労組指令第一二号)し、同年九月一〇日、組合の団結を維持するため、組合員の反組合的言動の態様に応じて除名、処遇停止等の統制権発動を宣言し(三鉱労組書発第一四五号)、同年九月一九日各地域分会は、肩叩き阻止のため警戒班を組織すべきこと、各支部単位に人事係事務所あるいは鉱事務所付近に警戒体制をしき、会社職制の動向を監視すべきこと(この警戒体制により退職応募行為も監視された。)職場あるいは地域において肩叩きの事実が判明次第、直ちに追及行動を行なうべきことを指示(三鉱労組指示第四号)していたが、同年一〇月に入るや、さらに右趣旨を徹底するため、組合員の守るべき事項を平明に記載したビラを各組合員に配付し、そのころからは、前示会社係員により貼付される退職希望者募集のビラは、発見次第直ちにこれを剥離する手段に出で、ビラ貼付の業務に従事する者を多数組合員らが鋭く追及し(いわゆる吊し上げ)、会社臨時事務所付近に監視員を配し退職者募集事務に従事する職員は、鉱員社宅地区内には立入り不能の状態となつたのみならず、鉱員社宅内にも監視員を配し、組合員中に退職希望を会社に申出る者が現れないよう監視し、退職応募者は、多数組合員がこれを激しく追及して吊し上げ、退職応募者中には、三池労組に極秘でその申出をする者もあつたので、希望退職しても退職金は受領できない等の情宣を行ない、組合に債務を負担している退職希望者に対しては警告し、一〇万円以上の債務を負担している者に対しては、退職金の仮差押を行なう等激しく抵抗し、一方、会社も組合の情宣は精神的オドカシに過ぎず、退職金は確実に入手でき、会社の組織する対策委員会が就職をあつせんする旨その他退職を勧奨する趣旨のビラを飛行機から撒布(社宅内に立入ることができないため。なお組合側ではこれを拾い集め焼却して対坑。)する等の措置をとつた結果、結局右希望退職期間内に三一三名の退職希望申出があつた。
なお、その間一〇月二四日従来三池労組に所属していた三池製作所所属の従業員らは、うち二二名を除き同労組を脱退し新に三井三池製作所労働組合を結成した。
会社側は、後認定のとおり、中労委あつせんのあつたこと、第三次団体交渉のもたれたこと等をも考慮し、昭和三四年一〇月二七日から当分の間希望退職申出期間を延長することを決定、さらに一一月二六日から一一月三〇日までの間希望退職者を再募集し、前同様三池労組の激烈な抵抗の行なわれる中で退職を勧誘するビラを各所に貼付し、また空中から撤布し、遂に一一月三〇日、整理基準に該当すると判定した鉱員らに対し一二月七日までに退職の申出をなすべき旨の勧告状を発送した(右勧告状を受けた者の中には、相当多数の分会長、副分会長、中央委員、代議員、またはこれらの経歴を有する、下部組織の中心となる者が含まれていた。)。右勧告状には、勧告に応じ期限までに退職願を提出した者に対しては、希望退職者と同様な優遇措置をとる旨、右円満退職者に対しては、会社としても、できる限りの世話をする旨の記載があり、会社は、右勧告状と別に、退職勧告を受けない従業員であつても、自由に退職の申出ができる旨のビラ、および第二次再建案を達成しなければ、会社は倒壊するため、同案は万障を排しても必らず実施する旨のビラを各所に貼布した。
右勧告退職の申出期限は、後に一二月一五日まで延長され(後認定の解雇の実施の事実参照)、希望退職の申出をした者は、前認定の三一三名をも含め、合計九百数十名(港務所の希望退職者および普通退職者を含む。)に達した。三池労組は、昭和三四年一二月九日の臨時総会で、会社の希望退職募集に応じた帳佐義雄ほか一〇三名(もつとも組合員中には三池労組の前示統制を恐れて極秘裏に退職申出をする者が多く申出者の全部が三池労組によつて知られていたわけではなかつた。)、三池製作所労働者の脱退、新組合の結成に指導的役割を果たしたと判断した竹原達也ほか七名、およびその後三池労組を脱退して三池製作所労組に加入した平島敏治ほか三名をいずれも除名した。
なお、その間、三池以外の他鉱業所については、指名解雇の手段まで講じなくとも予定された員数の人員整理は優に完遂できる情勢になつていた。
(8) 第三次団体交渉と中央労働委員会の職権あつせんおよびこれに関する事情
三鉱連は、第三次団体交渉に入つた後も、人員整理、団体交渉に関する前示見解を固持し、第二次企業再建案は、機械化協定、四六協定を踏みにじり労使間の信頼関係を破壊するものとして、反対し続けてきたが、昭和三四年一一月五日の縮小団交の席上で、会社側委員が、三池(港務所を含む趣旨)の場合は、割当員数の二、二一〇名の整理退職が会社再建の不可欠の前提であることは勿論であるが、その質も問題である旨の発言をし、組合側の質問に対し、質とは会社職制の業務上の指示に従わない鉱員のことであると若干の事例をも挙示して説明をしたため、組合側としては、会社は、三池労組の職場活動家を企業外に放逐しようと企図しているものと判断した。
しかも会社は、従前組合に対する融和的政策の見地から、三池労組員らに職制の作業指示拒否その他の違法不当な職場規律違反行為があつた場合でも、高々不就労時間に対する賃金カットをなすにとどめていた(それすらしないこともあつた。)程度で、企業秩序維持のため懲戒等の手段はとらなかつたのに、四六協定は、職場規律の確立のため、かなり強い態度を示すようになり、昭和三四年四月一六日から同年一一月六日までに遠藤長市ほか九名を職制の指示に不当に従わなかつた等の理由で懲戒解雇する挙に出て(四月一六日遠藤、九月一七日下田ほか二名、一一月六日他六名をそれぞれ解雇)、職場規律違反、職制の作業指示拒否行為に対し、強硬な態度で臨む方針を示したので、三鉱連は、右会社の職場活動家(会社の立場からは生産阻害者)解雇の態度は予想外に強硬であると判断して事態の重大さに驚き、三池労組組合長宮川睦男も急遽上京し、炭労執行委員長原茂、三鉱連執行委員長畠山義之助他若干名と一一月七日午後対策を協議したがそれまでに、会社側からは、右質の問題として取りあげる員数は、約三〇〇名であることが明らかにされ、しかも、そのころには、他の五鉱業所では人員整理に反対はしつつも、これをやむを得ないものとし、会社の希望する員数の鉱員の退職を認める態度に傾いていたため、三池労組と三鉱連傘下の他労組の態度に若干の齟齬を生じていたこともあつて、三池労組としても、やや妥協的態度をとることはやむを得ないとし、その生産に協力する態度を打ち出せば、会社も態度を軟化させるのではないないかとの考えから、生産不能率が経営危機の原因である旨主張している会社に対しては、原茂の発案により、三鉱連としては、会社の計画した生産体制に協力し、一万二、〇〇〇トン出炭ペース(一日)に努力し、第二次企業再建案については、指名解雇を除き、その大綱はすべて認める、希望退職は、純然たる本人の自由意思によるものは認めるとの提案を会社にすることを決定した。右決定は、希望退職は、本人の自由意思による場合も一切認めないとした炭労および三鉱連の指令と相反するが、それもやむを得ないとして、右妥協案を前記遠藤長市らの懲戒解雇の撤回要求案とあわせて、一一月八日(宮川証言では一一月九日とされるが同月八日であることが前示のとおり当事者間に争いない。)会社に提案、右原は、会社が三池に割り当てた整理予定員数は責任をもつて出す旨説明したが、三池労組に対する従前の融和的政策がすべて失敗に帰し、職場闘争行為に関しても、宮川睦男がこれをある程度統制し、過度な行動に出ないよう指導するかのような口約をしても実効がなく、四六協定で所期した効果も得られず、組合幹部の言動を全く信用しなくなつていた会社は、重大な違法行為を実行したものと固く確信していた遠藤ら計一〇名の解雇の撤回を組合側が炭労の指令に基づく行為であることを理由として求めたことから、いよいよその態度を硬化し、その主要な実行者を断然解雇することにより、違法な職場活動行為を根絶して、一挙に厳正な職場規律を確立し、他の諸施策と相いまつて、生産を増強し企業再建を達成するほか会社再建の方策はないとの方針を確定し、炭労、三鉱連の提案に対して一顧も与えず、一一月一二日第三次団体交渉(会社、三鉱連トップ交渉)も決裂し、三池の山元でも割り当てられた整理予定員数の氏名特定の作業が開始され、炭労は組織をあげて闘うことを声明した。他方、事態の重大性を認識した中央労働委員会では、同月一三日職権によりあつせんを開始し、あつせん員会長中山伊知郎は、現下のわが国石炭事情下においては、企業再建のため人員整理はやむを得ないことで、その員数はほぼ会社の主張を認める必要があるとし、いわゆる質の問題について、会社側の譲歩を求めて、同月二〇日まであつせんしたが、労使双方共従前の主張を繰り返えすのみであつたので、同月二一日中山あつせん員は中労委としてのあつせん案を労使双方に示した。
その骨子は、人員整理は企業再建のためやむを得ず、その員数も会社の案を認め、また職場闘争には行過ぎが多く、生産阻害者の排除、企業秩序の確立が再建の不可欠の前提であることをも認めたが、不当な職場活動の実行者の解雇は、向後の分のみを行なつて、過去の責任は、今次合理化に際しては取り上げないこととする。遠藤らの懲戒問題は、別途協議する。希望退職者が予定員数に満たなかつたときは、中山伊知郎のあつせんによる、と云うのである。なお、予定数が退職しなかつた際の退職者選定については、中山あつせん員は、労働者の年令、勤続年数を主として考慮することとした。
会社側は、中山あつせん案では誠実な鉱員のみに退職を強いる結果となるから、企業再建の見地から受け容れる余地のないものとして、同月二五日これを拒否し、組合側も、同様拒否して中労委の職権あつせんも不成功に終つた。
第二次企業再建案に基づく指名解雇および遠藤長市らの懲戒は、すべて三池労組の正当な組合活動を弾圧し、その組織を切り崩すことを真の意図とする不当労働行為であるかに述べる原、宮川、灰原、河野各証言は、いずれも独自の立場からの意見の域を出でるものではないので、直ちに右各証言に沿う事実を認めることもできず、中労委の職権あつせんに際し、中山あつせん員が、組合活動家の解雇は不当労働行為であるとしてこれを認めないとの態度をとつたかのように述べる原証言は、前認定の中労委あつせんの経緯に徴すると直ちには信用し難く、その他には右認定を覆えすに足りるような疎明はない。
七、指名解雇
会社が、その主張の日時に退職勧告に応じなかつた三池鉱業所関係一、一六三名、三池港務所関係一一五名計一、二七八名に対し、昭和三四年一二月一五日までに退職の申出をなすべきこと、右期日までに退職申出のあつた場合は、希望退職の取扱いをするが、申出のないときは、一二月一五日付をもつて解雇する旨の通告書を発し、右通告書はいずれもそのころ各名宛人に到達しその結果一二月一五日までに三池鉱業所関係六八名三池港務所関係八名の退職申出者があり、その他の一、二〇二名は退職の申出をしなかつたため、結局同日付をもつて整理解雇の意思表示を受けた結果となつたことは当事者間に争いがなく〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。
すなわち、三池炭鉱では、第三次団交が決裂後直ちに三池炭鉱に割り当てられた整理者数二、二一〇名の氏名特定の準備をし、整理基準該当事実の有無の判定については、当初は昭和三二年ごろから昭和三四年六月までの期間内の事実を判定資料としたが(それ以前の事実は確認が困難であつたため、会社は、原則として、これを考慮にいれないこととした)同年七月以降も会社の立場から甚だしく不当な行動におよんだと思料される者が出てきたときは、これをも優先的に解雇することとして、それまでに一応定めた順位を差し換え、また、整理基準非該当者中から退職希望者が出たときは、該当者と判定された者から同人数だけを控除して差し換え(右差し換作業については本店は三池炭鉱に一任した。)、結局一、二七八名の鉱員に対し、前認定のとおり昭和三四年一二月一五日までに退職申出をしないことを条件とする整理解雇通告を発し、最後まで退職申出をしなかつた一、二〇二名の鉱員は、右通告により一二月一五日をもつて解雇される結果となつた。
右認定に反する疎明はない。
八、人員整理基準
〈証拠によれば〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
会社は、その主張のとおりの人員整理基準を設定し、これに基づき、第二次企業再建案中の人員整理を実行したが、右整理基準およびその実際の適用に関する会社の方針中には、本人または同居家族が農業または商業を営んでいて、本人が退職することにより直ちに生計の途が全く途絶えるおそれのない者(整理基準(一)の(イ))、同一世帯内に稼働者があり、本人が退職することにより生計の途が全く途絶えるおそれの少ない者(同(一)の(ロ))等、本人の解雇後の生活に対する配慮をした条項や、昭和三四年六月末日現在満五二歳以上の者(同(五)の(イ))、同日現在満二五歳未満の者(同(五)の(ロ))、同日現在勤続年数五年未満の者(同(六))等の年令または勤続年数基準等、基準該当性につき判定者の恣意を容れる余地の殆んどない条項もあるが、力点が置かれたのは、勤労状態不良の者(同(二)(イ)ないし(ハ))、集団生活に不適格な者(同(三)(イ)ないし(ニ))および身体条件の悪い者(同(四)(イ)・(ロ)等の直接、または間接に労働の生産性を低めるような者を解雇しようとする特質を有する基準であり、整理基準(一)の(イ)につき、特に農業に従事している者については、同基準のみに該当し、他の基準に該当してない者は、農業の規模等経営状況の判定困難を理由に、整理解雇予定者中に加えず、商業についても、かなり大幅に同予定者中から除き、同(一)の(ロ)の該当者についても、たとえば、兄と姉がともに会社に雇用され、兄が基準(五)の(ロ)、同(六)に該当していても、女子である妹を整理予定者とし、また、夫婦共に稼働しているときは、妻を整理予定者とすることを原則としつつ、夫が比較的高齢でかつ病弱の場合は、夫を整理予定者とする等かなりの調整・修正をし、同(五)、(イ)については、当初本店では、満五二歳以上の者を整理解雇者として予定していたのに、右年齢層の鉱員中には、真面目で技術も優秀な者が多いとして、満五三歳以上の者を整理予定者とし、満五二歳の者については、同時に他の整理基準に該当するときはじめて整理予定者中に加えることとし(もつとも五三歳以上の者は殆んど例外なく整理予定者とした。)、整理基準(五)の(ロ)、および(六)についても、該当者が若年で体力、健康に恵まれ、賃金も比較的低く、能率的労働の提供者が多く含まれると考えられるところから、右基準のみに該当するだけでは整理予定者とすることなく、さらに、基準(一)の(ロ)、等にも重ねて該当していても、それも考慮に加えず、基準(二)ないし(四)の各項に該当するものと判定されたものにつき、はじめて右(五)の(ロ)、(六)の該当事由を補充的に考慮したにすぎず、従つて、基準中(五)(ロ)(六)は、解雇基準としての実質的意味は殆んどないと云つてもよい程のものであつた。
整理基準(二)(イ)については、昭和三三営業年度中に一ケ月間の出勤方数(一方は八時間労働)が坑内夫一七方、坑外夫二〇方未満(医師の証明のある休業日数、労働協約所定の休暇、スト日数、正規の組合用務のための欠勤日は出勤として取り扱う。)の月が三回以上あつた者とし(会社三鉱連問の労働協約中には、三池においては、前三ケ月を通じ正当な理由なしに坑内直接夫一三方坑内間接夫一五方坑外夫一八方以下の者を不都合解雇する旨規定されている。)、同二(ロ)については、同年度中に無断欠勤二〇日以上におよんだ者および引き続き一〇日以上無断欠勤をした者、および同年度中の出勤方数が坑内直接夫二一〇方同間接夫二二五方坑外夫二六〇方未満の者(公傷による休業日スト日正規の組合用務による欠勤日等は出勤とみなされる。)の者を該当者とした(同労働協約によれば、無断欠勤が引き続き二〇日以上におよんだ者は不都合解雇する旨協定されており、また、三池炭鉱の就業規則中には、引き続き五日以上無断欠勤をした者を謹慎に処する旨の規定があり、整理基準は、その中間を採用したものである。なお、昭和三三営業年度の満勤者の稼働方数は二八六方で、これと別にストライキが二一方あり合計は三〇七方である。)。
なお、右整理基準(二)の(ロ)に関しては、仕繰夫は、坑内間接夫として取り扱われ、また同一の傷病による長期療養のため、同項に該当する者については、これを基準該当者としない方針をとつた。右は、昭和二八年の人員整理に際し、会社が結核療養者を解雇し、これが三池労組は勿論、一般世論から強い非難を受けたため、第二次再建案に基づく人員整理に際しては、同様の非難を免れるためにとつたもので、同一の傷病と云うのは、結核のことを意味する。(二)(ハ)の勤務状態不良の者の中には、(a)遅刻、早退が著しく目立つ者、作業能力は平均以上あるのに作業意欲に乏しく、勤務時間中職場を離脱し、注意力が散慢となるため作業脱率の低い者、(b)職制の業務上の指示に従わずあるいは故意に作業秩序を乱した者(吊し上げ、入坑遅延現象の惹起に主導的役割を果たす等)、(c)昭和二九年以降譴責、減給、出勤停止等の処罰を受けた者(改悛の情の顕著な者を除く。)がそれぞれ該当者とされ(ただし右(c)については、被懲戒者と云うだけでは、基準該当者としない方針をとつた。)、基準(三)の(ハ)中には主として酒乱者を、(三)の(ニ)中には盗癖のある者等が含まれるものとし、これらを綜合して整理予定者が決定された。
会社の立場からする生産阻害者(組合の立場からの職場活動家)は、基準(二)(ハ)のうち特に(b)に当たるものとされ、同基準(二)の(ハ)の該当者(右生産阻害者をも含む)と判断された者は、五三歳以上の者との年齢基準とともに最も重視され、殆んどなんの勘酌もされずに、整理予定者とされた。
会社は、人員整理に際し、前示整理基準該当事実の存否について本人に弁疎の機会を与えるような手続はとらなかつた。
右認定に反するような疎明はない。
九、三池労組の全面争議行為への突入の終結ならびに争議後の状況
〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち
三池労組は、前記第二次再建案人員整理の指名解雇の撤回を求め、炭労及び総評の支持の下に、昭和三五年一月二五日全面ストライキに突入し、わが国労働運動史上空前の規模と云われた争議行為を展開するに至つたが、三鉱連傘下の各支部組合の足並みは揃わず、昭和三五年三月中旬ごろ、三社連は炭労に三池の長期ストライキの中止方を要請し、右要請が容れられなかつたことを理由に三月一八日に炭労を脱退し、同年四月ごろ、炭労が会社に対し痛打を与えるべく発した先ず三鉱連傘下各支部組合が、次いで炭労傘下の各支部組合が一斉にストライキに突入する旨の指令(炭労指令二〇三号)は、三鉱連自身(三鉱連傘下各支部労組のうち田川・山野・砂川・芦別支部がこれに反対する態度をとつたため)がその修正を要求し、炭労もこれを放棄するのやむなきに至り、さらに、同年三月一七日には、菊川武光の指導下に三池労組の指導方針に批判的意見をもつ多数の同労組員が脱退して、三池新労働組合(以下新労と略記)を結成し、同月二八日以降は、三池労組の激しい抵抗を排して、逐次就労する態勢を整え、同年三月二三日遂に三鉱連は会社提案を受け容れ、同年五月三一日までにその予定した員数の整理退職者を出す旨を諒解する趣旨の協定を結んだ(もつとも、右協定書は、組合側の意向により極秘とされ、本件第二二回口頭弁論期日に当裁判所法廷ではじめて公表された。)。三池労組は、右秘密協定が締結される以前の同月一八日、三鉱連中央闘争委員長から会社再建案を諒解したい旨の発案がなされ、これに同調する意見が多数を占めたため、同日三鉱連から脱退した。
右のような経緯中にあつて、炭労は、同年三月二七日中央労働委員会にあつせんを申請、会長藤林敬三をあつせん員として、右争議に関するあつせんが行なわれ、若干の曲折を経た結果、指名解雇に反対する実力行使は中止し、争うべきは法廷で争う、指名解雇者に対しても、若干の金員を支給することを骨子とする第三次あつせん案を受諾することを同年九月六日決定、三池労組としては、全組織をあげて指名解雇に反対していた立場上、炭労の態度に必らずしも満足はしなかつたが、ここに全面的争議に対する上部団体の支援をも欠くことになつたため、やむを得ず炭労の決定を承認し、同年一〇月二九日、会社と炭労、会社三池労組間でそれぞれあつせん案の趣旨に沿う協定書に調印がされ、大争議は終結した。
争議後は、三池鉱業所および港務所では後記各論において認定する事実の示すような大衆的な行動、職制の作業指示の無視、または拒否行為は漸次影をひそめ、会社が指名解雇により所期した目的の一である職場秩序の確立はほぼその目的を達し、石炭の生産は、採掘技術の発達および鉱員らの導入された新機械に対する習得等と相いまつて、急激に向上し、三池大争議行為以前の出炭が日産七、〇〇〇トン前後であつたものが、日産二万トンを越すに至り、会社は各営業期(半営業年度)に数億円の営業利益を計上するに至つた(もつとも、支払利息等財務費用を主体とする営業外費用が莫大で、純損益計算としては、依然欠損金を計上し続けている。)が、他面組合の分裂により、三池労組員と新労組員との間の対立感情が高まつて、労務管理上の困難な問題を抱え、また生産の増強に伴い、公知の事実である昭和三八年の三川鉱大爆発事故を別にしても、なお労働災害の絶対数は、争議前に比し相当増加する傾向を示しており、右災害増加の原因は、職制らが会社の生産増強の方針に沿おうとする余り、保安に対する十分な配慮を欠いた点にもあるのではないかとの疑も多分にあり、労使双方がそれぞれの観念的立場を離れ、謙虚に事実を直視して災害の真因を探究し、これを除去することが強く望まれる実状にある。
また、三池労組の調査によれば、三池炭鉱では、昭和三七年五月末日現在合計一、〇〇六六名の組夫が導入されて稼働している。
三池労組では、災害の増加は、利潤の追及の前には保安のための費用を惜んでこれを極度に節し、人命をも無視する経営態度と、職場闘争が圧殺され、労組員ら各自が保安上危険な係員の指示に抵抗し得なくなつたことの結果であり、出炭の増強は、採炭の機械化、合理化によるものではなく、前近代的非人間的労務管理が強化され、労務者に不当に過重な労働が強いられていることの結果であると分析し、かつまた前示争議終結協定の際、藤林第三次あつせん案の趣旨に沿い、会社は、炭労との間および三池労組との間に就労について三池労組員と新労組員とを差別しない旨協定したにも拘らず、事実上は三池労組員を著しく不利益に差別待遇し、三池労組の組織を切り崩そうとして支配介入し、また同労組内の批判分子を積極的に支援していると判断し、整理解雇者中には昭和三七年三月に至るもなお相当数の未就職者(組合調査によれば四六七名)があることも不満として、強い不信感を会社に抱き、右差別的取扱い及び批判分子の支援については、不当労働行為であるとし、その救済を求めて福岡地方労働委員会に対し、救済の申立をし、右申立のうち組織切り崩しの性質を有する支配介入行為のあつた一部の事実(但し、いずれも昭和三五年以後の行為事実)は同地方労働委員会で認定され、これに対する救済を命ずる命令書(第一及び第二、いずれも昭和三九年八月三一日付)が同委員会から発せられたが、会社も右各救済命令に対し中央労働委員会に対し、再審査の申立をし、なんら不当労働行為事実の存在はなかつたことの立証に努め、会社と三池労組とは全体的になお鋭く争いあつている状況にある。
右認定に反する疎明はない。
一〇、三池労組の沿革と組織等
〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
1、組織関係
(1) 炭労
炭労は、炭鉱労働者の労働条件および社会的、経済的地位の向上を図ることを目的として、昭和二四年三月結成せられた労働組合であつて、その組織として、中央本部、地方本部、支部があり(日本炭鉱労働組合規約第六条)、中央本部は、中央執行委員会で構成され(同規約第七条)、地方本部は、北海道地方、常盤地方、山口地方、九州地方にそれぞれ設置され、中央本部の指示命令に従い、その所在支部の統轄を行ない、その地方限りの事項については、独自の決定をなす権限を有し(同規約第八条)、支部は、各事業所毎の組合員で組織された単位組合とされており、北海道、常盤、山口、九州各地方に存在する炭労支部組合は、それぞれの地方本部に所属するものとされている(同規約第九、第一〇条)。炭労の機関としては、一、全国大会二、中央委員会三、中央執行委員会四、中央闘争委員会五、補助機関がある(同規約第一一条、なお闘争委員会を「闘争」と記載したのは同規約中の用字例に従つたもの。)。
三池労組は、後認定のとおり、会社に雇傭され三池鉱業所および三池港務所に稼働する労働者を中心に組織される労働組合で、炭労の三池支部として、九州地方本部に所属している。
なお労は日本労働組合総評議会(総評)に加盟している。
(2) 三鉱連
三鉱連は、全国三井炭鉱労働組合連合会の略称(全国三井炭鉱労働組合連合会規約第一条)であつて、労働条件の維持改善並びに組合員の地位の向上を図ることを目的とし(同規約第二条)、会社に雇用される労働者によつて組織される単位組合により組織され(同規約第五条)地方組織として、西日本三井炭鉱労働組合連合会(西鉱連)並びに北海道三井炭鉱労働組合連合会(北三連)が設置され(同規約第六条)、三鉱連の規約および正規機関の決議は、地方連合会および加盟組合の規約並びにその機関の決議に優先すると共に之を拘束するものとされ(同規約第七条)、その機関としては、一、大会二、中央委員会三、執行委員会四、中央闘争委員会が設置されている(同規約第一二条なお「闘」の字は規約中の用字例に従つた。)
炭労と三鉱連との間には、特別な組織上の関連はない。
また三鉱連傘下の単位組合を組織している労働者は、鉱員であつて、会社に雇用される職員らの大部分は、これと別に各事業所毎の労働組合である職員組合を組織しており、その企業連合体は、三井鉱山社員労働組合連合会(三社連)と称している。
なお、三池炭鉱での職員によつて組織される労働組合は、三池炭鉱職員労働組合と称している(以下には単に職組と略記する。)
三池労組は、炭労の支部としてこれに加盟しているほか、併わせて三鉱連にも加盟したが、前認定のとおり、本件第二次企業再建案人員整理に対する反対闘争中三鉱連の方針に反対し、これから脱退した。
(3) 三池労組
三池炭鉱労働組合は、労働条件の維持改善並びに人格技能の錬磨を図り、組合員の経済的社会的地位の向上を期することを目的として(三池炭鉱労働組合規約第二条)、昭和二一年二月結成され(宮川証言中結成が同年一二月と述べる部分は甲八号証の記載に徴すると思われる。)、三池炭鉱従業員であつて、労働組合法に抵触しない者および組合運動に基因し従業員でなくなつた者で中央委員会の承認を得た者を組合員として組織され(同規約第五条)、昭和三四年ごろの従業員数は約一万六、〇〇〇名を数えたが、前示のとおり三井三池製作所が会社から分離独立し、同製作所に稼働していた従業員の大部分が三池労組から脱退したため、三池労組員数は約一万四、〇〇〇名余に減少し、その後第二次企業再建案人員整理に反対するための全面ストライキ実行中多数の組合員が脱退して新労を結成したため組合員数は急激に減少し、昭和三七年一一月ごろには約五、〇〇〇名となり、その後も組合員数は若干減少している。
三池労組の機関は、決議機関、執行機関、監査機関にわかれ、決議機関として、一、中央および支部総会、二、中央および支部委員会、三、職場会議が、執行機関として、一、中央執行委員会、二、本部および支部執行委員会、三、分科委員会が、監査機関としては、監事会が、それぞれ置かれている(同規約第一二条)。
中央総会は、組合の最高決議機関であり、三〇名に一名の割合で選出された代議員によつて構成され、中央委員会は、総会に次ぐ決議機関で、六〇名に一名の割合で選出される中央委員により構成される(もつとも、代議員、中央委員の選出の員数割合は、時期によつて多少の差がある。また作業現場で単に委員と云うときは中央委員の意味であることが多いが、厳密にそれに限定されるわけでもない。以下では中央委員のことを単に委員とも記載する。)また、職場会議は、後記職場分会の決議機関で、分会員全員によつて構成され、その付議事項は支部総会および支部委員会に付議する事項の予備審議とその職場限りに関する事項である(同規約第二八条)。
三池労組は、個々の労働者が個人加入をするいわゆる単一組合であるが、その機構上本部、支部分会の上下組織にわかれ支部は、各鉱に対応して、本所、宮浦、三川、四山、港務所の五支部となつており(三池製作所は本部直轄)、分会には、さらに、職場分会と地域分会の二種類があり、うち職場分会の区分は、各支部委員会で決定されることとなつており、その区分は、職場における同一職種(たとえば電気工によつて構成される電気分会、機械工によつて構成される機械分会等)、方(かた)と称せられる同一作業集団(三池炭鉱の勤務制度は、常一番制と三交代制の二種類があり、常一番は、毎日だいたい午前八時から午後四時までの勤務であり、三交代は、一日を三分し、だいたい午前六時から午後二時までの勤務を一番方、午後二時から午後一〇時までの勤務を二番方、午後一〇時から翌日午前六時までの勤務を三番方とし、所定の八時間の勤務時間のことを一方と称する。常一番勤務者は常に原則として午前八時から午後四時まで勤務するが、三交代に所属する者の勤務時間は、一週間ごとに変わるようになつており、その順序は三番方、二番方、一番方の順である。他方、これと別に、鉱員を常一番方、甲方、乙方、丙方に区分――但し四山鉱においては甲、乙、丙の代りにい方、ろ方、は方に分ける――し、鉱員をそのいずれかに属せしめる。従つて、例えば、甲方に所属する鉱員が一番方、乙方の鉱員が二番方、丙方の鉱員が三番方として勤務しているとすれば、その翌週は乙方が一番方、丙方が二番方、甲方が三番方に勤務することとなり、常一番方の勤務時間は常に変らないこととなる。また、鉱員の異動等の事由により方相互間の員数の均衡を失するような状態が生じた場合は、これを是正するため鉱員の所属方を変更することがあり――たとえば常一番の者を三交代に、甲方の者を乙方になど――ことを方変更と称する。以下方の用語を使用する際逐一の説明は省略するが、すべて同一の意味である。)、または各作業場所等を基準として便宜決定されている。
地域分会(同規約第六〇条)は、中央委員会の決定により定められた地域分会規定によつて設定され、規律されるもので、居住社宅の各ブロック、小学校々区または利用する通勤列車等を単位として組織され、分会員の団結を図り、執行部の業務執行に協力すると共に、分会員ならびに家族の社会的地位の向上と文化、福利厚生の増進を期することを目的とし(地域分会規定第二条)、一分会の編成は、さらに若干数の班をもつて構成されることになつており(同規定第四条)、分会長一名副分会長その他の役員各若干名が置かれ、右分会長等の役員は、分会員中から選出され(同規定第五条)、各班長会議を構成し(同規定第七条、第九条)、総会、班会議、班長会議、役員会議等の各種会議が認められており(同規定第九条)、またその運営の細則は各分会自身で定めることが認められている(同規定第一〇条)。
右の支部、分会と別に三池労組には、中央委員会所定の行動隊規定により、行動隊と称する下部組織が設けられており、団結により隊員自らの研磨に励み、階級意識の培養を図り、大衆闘争の中核体となり、常に組合活動の前衛として行動することを旨とし(行動隊規定第一条、第二条)、組合員中の希望者により各支部ごとに編成され(同規定第四条、第五条)、行動隊長、副隊長各一名、支部行動隊長一名、支部副隊長二名が置かれ、隊長には本部教宣部長が、支部隊長には支部教宣部長がそれぞれ当たり、副隊長は本部教宣部員から、支部副隊長は支部隊員および支部教宣部員から各一名選出されることとなつている(同規定第六条)。
右の下部組織のうち、支部と職場分会が組合の正規の下部組織であり、地域分会と行動隊は、補助組織的なものと観念されているが、支部、職場分会には、独自の規約も財政的基礎もなく(その理由は三池労組が単一組合である建前をとることによる。)、組合費は本部が一括徴集し、支部、職場分会の運営費は本部から支給されることになつており、右のように一定の組織規範を備えないのは、情勢に応じ規定等にとらわれず都度便宜な行動をとり得るためとされている。
また、各職場には一〇名に一名の割合で選出される職場委員によつて構成される職場委員会があり、職場委員会は分会長の補佐、協力機関で意思決定機関でも独立の執行機関でもなく、三池大争議後は廃止され、代つて五人組と称されるものが置かれるようになつた。
三池労組に対する補助協力団体としては、三池炭鉱主婦協議会(略称三池炭婦協、以下には主婦会と云う)がある。主婦会は全国組織である日本炭鉱主婦協議会の下部組織で、三池労組員の家庭の主婦を会員とし昭和二八年七月会社側の強い妨害行動を排して結成されたものである。
なお三池労組は三池大争議前は自ずから三鉱労組と略称していたが、大争議後略称を三池労組とすることに改めた。
2  沿革 (職場闘争に関する事実については別に認定する。)
三池労組は、結成以来戦前の苛酷な労務管理の残滓の払拭、鉱員の労働条件の向上のため努力し、昭和二一年三月ごろ、職場手当の大幅増額等を要求して第一回のストライキを行なつて以来昭和二七年までに相当回数のストライキを行なつたが、いずれも三鉱連、炭労等上部団体の指示、指令に基づくもので、独自の立場から行なつたことはなく、前認定の(昭和二七年までの)人員整理およびレッドパージ解雇に対しては、不満の意は表明したものの、三鉱連の方針に従い、特に争議行為等に訴える等の強い反対行動は起こさなかつたが、昭和二六年ごろに至つて、炭労、三鉱連等上部団体幹部の指導方針が軟弱に過ぎるとして、これに不満を抱く三池労組員が次第に数を増し、昭和二七年一〇月朝鮮動乱終結後の炭界の不況下で、炭労が賃上げを要求して六三日間におよぶ全面ストライキ(通称六三スト)を実施した後、後記職場闘争を行動方針として打ち出すや、三池炭鉱では、他の炭鉱では見られないような尖鋭な闘争行為が行なわれるに至つた。
会社は、昭和二八年八月七日全山で五、七三八名(指名解雇された者は四、五六三名)におよぶ人員整理案を発表し、三鉱連はこれに絶対反対との態度をとり、同年一一月二七日会社三鉱連間に企業整備仮調印がなされるまでの間に一一三日におよぶ争議行動(通称英雄なき一一三日の闘い)が実行されたが、その際、三鉱連では六三ストのような全面、無期限ストの戦術によつたのでは、その間の賃金喪失による組合員の損害が著大で、しかも人員整理反対闘争の場合は、賃金値上闘争等の場合と異り、組合の要求が全面的に貫徹された場合であつても、一般組合員個々人の経済的利益に直接に資するところがないため、組合側の受ける損失は最小で、会社側には最大の損害を与える戦術を案出する必要があると判断し、三池労組では、さらに組合員一人一人が行動的に闘争に参加する必要があるとの立場をとり、会社の不当性を大衆的に抗議し、大牟田駅前等に坐り込んで社会一般に組合の立場を訴え、部分ストライキを行ない、さらに特定重要作業箇所の指名スト(たとえば石炭搬出用主要ベルト当番鉱員をストライキに組み入れ、特に四山鉱においては坑底の石炭搬出当番に配役された者をストに組み入れ、石炭搬出を不能ならしめ、少数組合員のストにより採炭を全面的に不能にさせる等)を行ない、その他の鉱員には、代替作業の要求(右のとおり石炭搬出作業当番のストライキ組入れにより採炭が不能となるや、坑内採炭夫が仕繰作業等本来の作業以外の作業に就かせるよう要求すること。)をさせ、整理解雇に関する事務処理をするよう指示された者を指名ストライキに組み、組合員が各居住地域に帰つた後直ちに解雇反対運動を起こし、職制に対し、解雇理由を質して問い詰める行動をするよう指導し、整理解雇に関する事情を大牟田市、荒尾市等の関係議会、市長に陳情し、坑内作業に配役された鉱員が作業の段取り、進行度等に関係なく一斉に一時間の休暇をとる等の遵法闘争を実行し、また保安問題についても、保安法規の研究会を各職場に設置し、法規の認織の上に立ち、これを厳密に遵守する運動を起こす等、極めて多様な戦術に訴えて人員整理に反対した。会社は右のような戦術に対処する良策を発見できず、困窮した結果、最後まで指名解雇の効力を争つた一、八四一名(うち三池炭鉱は三一一名)の鉱員の指名解雇を撤回するに至つた。
右一一三日闘争を転機として三池労組の勢力は急激に増大し、これに対し、会社係員らは後認定の職場闘争行為に対する有効な対抗手段を発見し得ぬままに、三池労組員らと対立してまで職場秩序維持の努力をすることを避けて、融和的態度に出で、三池労組員らの歓心を買い、これによつて生産に協力させようとする態度をとると云う傾向を生ずるに至つた。
三鉱連では、右一一三日の闘争は、特定の顕著な指導者の指導によるのでなく、組合員一人一人の自覚に基づいた闘争行為によつて画期的成果を収めたとし、これを「英雄なき一一三日の戦い」と名づけ、特定の組合幹部の指導を中心とする闘争(組合側ではかかる闘争を「幹部請負闘争」として類型づけた。)によつては十分な成果を期待することは困難で、個々の組合員が行動的に闘争に参加する大衆闘争によつてはじめて所期の成果が達成され、また主張、要求貫徹の前提たる組合員の団結も大衆闘争の中から生まれるとの見解を固めるに至つた。
右認定に反する疎明はない。
一一、職場闘争、職場交渉と炭労及び三池労組の態度
〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち、
1(1)  炭鉱、ことに坑内労働にあつては、一般に温度、湿度、岩盤、炭層その他の自然的条件が稼働場所を異にするに従つて異なり、また同一場所付近の自然的条件も日時を異にするに従つて大きく変化すると云う特徴を有し、稼働場所の自然的条件の変化は、そこが地下であると云う事実と相いまつて、常に生命、身体に対する特有な危険(落盤、ガスの突出、爆発、自然発火による火災等)を内包しており、従つて、労働者の生命、身体に対する安全の確保のためには、万全の対策と配慮を必要とする。三池炭鉱でも、本所および港務所の作業がごく一部の例外をのぞき、地上で行なわれ、他産業における労働に伴う生命、身体に対する危険と比し、顕著な相異が認められないのに対し、石炭生産部門である三川、宮浦、四山各鉱における坑内作業は前示炭鉱に特有な危険を含んでいる。
(2)  右のように、坑内稼働条件の変化が複雑、多様であるため、三池でも特に三川、宮浦、四山各鉱の坑内作業の場合にあつては、個々の労働者に対し具体的配役(係員が鉱員に対しその日の作業箇所、作業内容、仕事のやり方、作業量等を説明、指示して、各鉱員をそれぞれの作業箇所へ配置すること)を決定指示する現場職制(係長または係員)の恣意により、差別的に有利な条件で稼働できる者と不利な条件を強いられるとに分かれるおそれがあり(たとえば、石炭採掘量一トン当り何円と云うような請負給で採掘作業に従事する採炭工の場合、切羽条件――坑内において石炭や岩石を採掘している作業箇所のこれを切羽と云い、切羽の天井や床の自然的条件の好し悪し、天井や床からの降湧水の有無、切羽の温度や湿度の高低、山丈と称される採掘している部分の高さ、炭丈と称される採掘している石炭部分の厚さ、切羽の長さの長短、傾斜の度合、切羽に使用する機械類の有無、種類、性能の良否、採掘様式、採炭方法等の諸条件を綜合して作業がし易く、能率を上げやすい状態のときは切羽条件が良いと云い、そうでない場合を切羽条件が悪いと云う――の良否によりその賃金額に相当な差を生ずることになり、如何なる条件の切羽に配役されるかは、係長、係員の決定、指示するところによるので、その態度により、鉱員の取得する賃金に相当な差を生ずることとなる)、また三池炭鉱では、本所、港務所の勤務者をも含め、多数の鉱員が会社々宅に居住しており、会社は、第二次世界大戦前から世話方と称する制度を設け、これに社宅の営繕関係、出勤管理、冠婚葬祭の世話その他社宅を中心とする労務管理をなさしめ、世話方は社宅の営繕その他の生活面にまで相当の影響力を有し(たとえば出勤率の悪い鉱員は畳の表替等社宅の営繕作業を見送られたり、さらに会社の設置する売店から物品を掛買する際にも相当の支障を生じたりすることがあつた。)。右のような理由から、三池炭鉱の労務管理については、現場の職制や世話方が相当重大な役割を果たしてきており、労働者の中にはこれらの者の歓心を買うため、阿ユ・追従的態度をとる者も少なくなかつた。
(3)  鉱員の労働条件を律する労働協約は、会社の場合は、三鉱連との間に締結されてきたが、炭鉱の作業条件は、前認定のとおり著しく多様、複雑であるため、統一労働協約中に現場の個々の労働条件につき、画一的規定を設けておくことは困難で、個々の現場の個別労働条件や賃金額はその問題の性質により、三池労組と三池炭鉱間の協定、各鉱とこれに対応する三池労組各支部との間の取決めや、さらには、右の協約、取決めの内容に基づき、一定の限定された枠内で係員の合理的裁量判断により割増賃金が支払われる場合も多かつた。
2  職場闘争の発端
六三ストによる賃上要求は、全面的には貫徹されず(要求額の七五パーセントと一時金五、〇〇〇円の支給にとどまつた。)、その間の賃金を失い、生活上困窮したスト参加者中には、ストの結果に対し、かなりの不満をもつた者も多く、炭労は、昭和二八年二月二七日から開催された第七回全国大会で六三ストを自己批判し、上層部からの指示による長期の一斉、全面ストライキによつては、炭鉱労働者の生活向上を期待することはできず、個々の組合員が行動的に闘争に参加する必要があり、戦術的にも、各職場で個々の労働者の話合いを基礎とし、全国炭婦協等の協力をも得て、大衆闘争方式とも云うべき手段による必要があるとの意見を表明した(自己批判書の起草者は当時三池労組本所支部長灰原茂雄)。
昭和二八年六月一九日三鉱連中闘委員会は、近い将来の企業整備人員整理を予想して、炭鉱の賃金体系中重要部分を占める請負給制は、労働を量、質ともに強化し資本家の利潤を安泰ならしめる資本家にとつて最も有利で労働者にとつて最も不利な賃金制度であり、請負給制度を基礎として、炭鉱経営者は収奪体制を強化するため、労働者の一方的犠牲において企業整備、合理化を強行しつつあるものと判断し、右判断に基づき、人員整理に反対すると共に、請負給制度の撤廃を要求する方針を決定し、さらに、あわせて、労働強化の排除、保安法規の完全実施を闘争の指標とすることとし、さらに、同年七月七日その戦術、戦術、戦略の中心点として職場、地域の闘争に重点を置き、各山における「福利厚生闘争」「職場の圧迫排除」「差別待遇の排除」「坑外の時間外労働賃金の制限反対」等身近な問題を取りあげて、下部から突きあげる闘争を組織、局部スト、無警告時限スト、座込み等あらゆる戦術を併用し、会社の妨害行為に対しては、「大衆動員」による直接行動で対処し、各山元では、他産業労組はもとより、階級政党、文化団体等にも働きかけて地域共闘体制を確立すること等の方針を決定した。
三池労組では、三鉱連の右決定に基づき、「職場闘争並びに大衆闘争の具体的指示」を発して職場闘争の指導をし、一一三日の闘争に際して、前認定のとおりの多様な方法を利用した。
三池労組は、一一三日の闘争の成果から、最小の犠牲で勝利をおさめるためには、職場闘争、大衆闘争が必要で、同闘争は、労働者の権利を守り、末端職制の恣意を排斥して職場民主主義を確立、保安の実をあげ、坑内稼働条件の多様性から生ずる労働条件の実質的不均衡を是正し、労働条件を向上させるためにも不可欠であるとの認識に達し、炭労でも、昭和二九年四月一五日からの第一〇回定期大会で一一三日の闘争の成果を高く評価し、右成果の上に立つて、大衆闘争を組織せねばならぬとの方針を決定し、さらに、同年九月二日から札幌で開催された第一回臨時大会では、職場闘争の重要性を確認し、その議案書中にも職場闘争の組織、方法を詳細に規定し、戦術として、部分ストライキを採用し、特に同年度の炭労の闘争方針として、職場闘争を賃金闘争の前段闘争とする方針をまとめた。
前段闘争とは、炭労の要求する全国的統一名目賃金要求貫徹のための交渉の前に、賃金増額要求が単に幹部が慣例的に提出する、下部労働者の真意とはかけ離れた要求では決してなく、職場に働く個々の労働者の一人一人がどの程度の賃金を要求しているかを経営者に理解せしめるために、正規の交渉以前に、昭和二九年末まで職場闘争をして、これにより、個々の労働者の意思を経営者に対し明らかにするとともに、統一的名目賃金の引上げによつては賄い得ない、個々の職場の稼働条件の特異性およびこれから生ずる保安面、住宅、環境衛生面等の諸要求を満足させる実質賃金要求を貫徹させようとの趣旨のものである。
職場闘争は、企業整備計画が問題となつた時期に特に強調されたが、これは、企業整備は、労働者に強い、人員整理、極度の労働強化、保安の無視が行なわれ、既得権が剥奪されるので、これに対抗して労働者の利益を守り、その要求を主張するため特に必要であるとの見解によるものである。
このようにして、大衆闘争、職場闘争は、昭和二九年以降炭労の統一的指導方針に基づいて傘下支部組合内で次第に一般的に実行されるようになつたが、このような大衆行動的職場要求、職場闘争行為に対し、使用者も次第に対策を講ずる姿勢を示し、このような形式でなされた要求は拒否すると云う態度が見られるに至り、炭労側では、かかる経営者の態度に対しては、より激しい職場闘争行為で立ち向うと云う態度をとり、その要求も、前段闘争の際の経済的要求を主とするものから保安の要求、職制の圧力の排除、職場の民主化等に拡大され、このようにして炭労の職場闘争観が昭和三二年ごろまでの間に闘争の現実の中から漸次形成されていつた。
3  杵島闘争
昭和三二年杵島炭鉱株式会社が企業再建計画を炭労の支部組合である杵島炭鉱労働組合に提示するや、炭労は、右再建計画が標準作業量を引き上げ、賃金の絶対額を引き下げようとする内容を含むものとし、また再建計画中に含まれる「職場秩序の確立」は、結局は、職場要求、職場の活動を拒否し、大衆闘争職場闘争を全く否定しようとするものに外ならず、再建計画が成功するならば、他の石炭企業経営者も一斉にこれにならい、かくては炭労が統一的ストライキと相い並んで重要な闘争方針としている職場闘争が全面的に圧殺され、労働者の権利は資本の攻撃により著しく侵害されるとし、従つて、右杵島再建計画は単に炭労杵島支部の問題ではなく、炭労全体の問題として取りあげる必要があるものと決定、同年八月二日から右再建計画に反対し無期限ストライキに突入した杵島炭鉱労働組合を全面的に支援し、同月七日企業整備反対中央闘争委員会を設置し、全面的闘争指揮に乗り出し、同月一九日中央委員会で、杵島統一ストと名して、九月三〇日、一〇月三日の両日各二四時間ストライキを傘下各支部に実行させた(杵島鉱労組のストは九六日におよんだ後中労委あつせんにより終結した。)。
4、炭労の一九五八・一九五九年度行動方針中に規定された職場闘争の本質、方法の総括
かようにして、炭労は、一九五八年、五九年度(昭和三三年、三四年度)行動方針中に、(三)闘いの基本的方針として、職場闘争を大要左のとおり総括、規定するに至つた。すなわち
統一闘争は「配給スト」、職場闘争は「大衆闘争」と云うような統一闘争と職場闘争とを関連のない別個の闘争方式として把握することは誤である。統一闘争も大衆の力に支えられねば中味を失うのであるから、統一闘争を大衆的基盤の上に組織せねばならぬ。職場闘争は、また全面的な統一闘争を支部山元の段階に機械的に移しただけと云う幹部請負的様相を有する面があり、職場闘争を手段視する思想がある。しかしながら、職場闘争は、組合員大衆の組合への関心を高め、組合がこれによつて、はじめて大衆の中に根をもちうる統一と団結を促進するもので、職場で賃金、労働条件を維持し、これを引き上げ、生命の安全を闘いとる闘争であり、職場の民主化を目的とし、同時に組合の官僚化を排し、組合民主主義を確立するものである。
職場要求の内容は多岐にわたるが、それが生産点で資本の側の搾取や合理化といかにかみ合つているか、組合員の生活と安全を守るうえで、階級的にどんな役割を果しているかを明らかにする必要がある。その内容として、合理化の手段としての配置転換に対する闘争、残業よこせ(労働者がより多額の賃金を稼得するため使用者に対し残業をなさしめるよう要求すること)の闘い、標作(標準作業量のこと、請負給制の場合単価決定の基準となる作業量)、標能(標準能率)の設定、労務管理面における職制民主化、番割(鉱員に対する作業割当)、歩立(ぶだて)(三池炭鉱では合建(ごうだて)とも称され、鉱員賃金配分の技能、成績序列を云う。例えば払採炭の先山10.5、後山一〇、助先9.5、の比率で賃金が配分される。)の公平化、責任者の公選制、労務、世話役の改廃、保安面について職場の施設、資材の完備、保安規則の完全実施等がある。
職場闘争の単位となるべき職場組織を基礎とし、職場活動家の養成に努力し、闘争を大衆的に発展せしめねばならないが、その際一部に見受けられる紛争が発生した際、いつもそれを引き受けて職制との交渉に当る弁の立つ者がいつの間にか闘争を請け負う結果になつていると云う現象は十分に反省し、その危険を克服する必要がある。職場闘争の際の三権(交渉権・妥結権・争議権)は職場労働者の一人一人にあると云えるが、これを機械的に律することは好ましくなく、組合は資本の側からの攻撃に対しつねに職場闘争と職場労働者を守る態度を貫くべきである。
現在(一九五八年ごろ)職場環境改善の闘争は、本部集約、交渉、スト、妥結と云う形をとつているところが多く、職場分会単位で交渉している支部は少ないが、職場分会単位の交渉ができる体制を確立する方針をとる。職場交渉でとりあげる問題は、現行の労働協約、諸協定についての疑義、未協定事項、自然条件によつて新に発生した問題に関するもので現行協的、諸協定を否定するものではない。交渉によつて得た成果はこれをできるだけ文書化し、この内容を横にひろげ、さらには組合対会社間の協定として固めるメモ化闘争を行なうべきである。
職制の排除とは、生産過程において保安上、作業上の実態を無視して無理な作業遂行を強制する管理行為を排除することで、正当かつ適切(正当かつ適切とは職場で労職が妥当と認めたもののこと)な作業指示まで排除するものではない。一時期職場闘争を現場職制の吊し上げと理解した時代があるが、職制の不当な作業指示を拒否することは当然としても、中堅層以下の職制との対立問題は、労働者内部の問題として、具体的事例に応じ妥当な解決を図るべきで、職員も中立的立場にあるような思考を捨て、常に労働者としての自覚をもち、統一行動の重要性を認識すべきである。
また五八、五九年度は保安徹底の闘争を推進する。
以上が炭労一九五八、五九年度行動方針中に規定された職場闘争思想の大要である。
5  三池労組の職場闘争
三池労組では、一一三日の闘争の終了後、炭労の職場闘争に関する基本方針が打ち出される以前から、すでに各職場に発生する具体的問題を大衆的に討議して解決すると云う風潮が生じてきたが、炭労の職場闘争の方針の確認により右風潮は次第に普遍的となり、世話方制度は組合側の要求により昭和二九年六月廃止されるに至つたが、炭労の方針に基づく前段闘争の遂行の後、炭労昭和二九年行動方針中の福利厚生についての要求をすべき旨の方針に沿い、昭和三〇年社宅の各戸ごとにそれぞれ水道・便所を設置すること、通勤手当の増額を要求し、その他社宅の個別的修繕営繕関係に関する約三〇項目の要求を提出し、同年七月二〇日会社・三池労組間にこれらに関する協定書が作成された。もつとも、右要求は居住地域で大衆的に討議し、これを整理集約して、支部の段階で解決すべきものは解決し、全般にわたるものについては、三池労組の統一要求として、会社と交渉の結果協定に達したもので、分会等の段階では具体的交渉はされなかつた。
その後、昭和二九年の三鉱連の指導による経営方針変革闘争、長計闘争等の後、昭和三一年二月四日には、中央闘争委員会で職場到達闘争の方針が確認され、同月二五日職場要求が提出され、三月五日には三池労組支部は部分ストライキに突入した。
右到達闘争は、約言すれば、低い労働条件のところが、高い労働条件のところと同一の労働条件にまで到達するための闘争の意であり、沿革的には、三鉱連が昭和三〇年労働問題委員会を設置し、研究の結果三鉱連傘下の各支部組合の労働条件、福利条件が相当異つていることを発見し、これらを最高条件の線で平均化することを企図して計画、実行したもので、三鉱連は、昭和三一年二月二一日職場到達闘争に関する指令を発したが、三鉱連にあつては、右労働条件の不均衡とは、会社の各事業所(三池・田川・砂川・美唄等の)の労働条件の較差として理解されているのに対し、三池労組は、三鉱連の指導を具体化するに際し、炭労の前段闘争の指令にもあわせ、三鉱連の企図した各事業所ごと(従つて、これに対応する三鉱連傘下の各支部組合ごと)の労働条件較差の是正のみにとどまらず、三池労組内各支部間の労働条件の較差、同一支部内における各職場ごとの労働条件の較差をも、最高条件の支部、職場にあわせて是正、均衡せしめる方針を決定し、しかも、到達要求は、三池労組全般にわたるものは殆んどないとして(たとえば、四山鉱で掘進工に対し手袋が支給され、三川鉱掘進工には支給されていなかつたと仮定した場合、手袋支給要求を三川鉱掘進工のみの特有の問題として観念する。なお坑道を掘り進む作業のことを掘進と云い、岩石のみの掘進のことを岩盤掘進、岩石と石炭の掘進のことを半岩盤掘進、石炭のみの掘進のことを沿層掘進と称する。)職場分会長を集合せしめて、各支部で職場の実態を討議させて、職場要求を集約し、その要求提出の形式は、他鉱との較差是正は、組合長名義で鉱業所長へ、他支部との較差の是正は、支部長名で各鉱の課長へ、他職場との較差是正は、職場分会長名で係長に、それぞれ要求し、職場分会長の要求で係長の権限内で解決できない問題は、労職共闘として各鉱の課長に要求すると云う形式をとり(労職共闘指令二号、なお到達闘争には、職組も全面的に参加して共同闘争委員会を設置して共闘態勢をとつた。)、これら職場要求は、これを提出した支部または職場かぎりで解決することを本旨とし、要求貫徹のための手段として全面ストは実行しないこととし、要求を支部、職場で解決するため、同年二月二五日労職共闘指令(鉱組三権に関する指令と称された。)を発し、戦術委員会の保有している三権(交渉権、妥結権、ストライキ権)を闘争推進のため、支部闘争事項に関しては支部闘争委員長に、職場闘争事項に関しては職場闘争委員長に委譲し(もつとも闘争委員長の指令は、支部闘争委員長の指令に優先し、それを拘束するとともに、支部闘争委員長の指令は、職場闘争委員長の指令に優先しそれを拘束する、また、支部闘争委員長が戦術を指令するに当つては、戦術委員会の決定を得なければならない。職場闘争委員長が戦術を指令するに当つては、支部闘争委員会の決定を必要とし、支部闘争委員長は、支部共闘委員会の確認を得るものとするとし、これにより、ストライキ権については直接・間接に本部の統制の下に置くこととした。なお三池労組本部が、支部または分会の独自の問題でストライキを指令したことはない。)当該支部または職場の闘争戦術によつて受ける各人の負担は、支部または職場自体の責任において処理することとし、但し、この支部または職場戦術による影響が他におよぶ場合は、全体的責任において統一闘争により解決するとの方針をとり、ここに到達闘争は最高潮期に達した。
到達要求は、同年四月三日、四日ごろまでには相当部分の解決をみ、それ以外の部分については、行き詰りを生じ、各職場の実力行使、部分ストライキが実行されるに至り、会社側では、三権委譲に対し、三鉱連、会社間の協約中に、団体交渉は山元では単組の組合長と鉱業所長とがすることと規定されていることを根拠として、右以外には交渉権なく、交渉権のないところに争議権もなく、職場で実行される実力行使は、山猫ストであつて違法である旨を強調し、これに対し、三池労組は、右協約の規定は、単に原則的な規定で必らずしも交渉権を山元組合長と鉱業所長とに限定するものではなく上部団体への三権委譲と同様、単一労組内部での三権委譲も自由で、鉱組三権に関する指令以前にも、支部または職場で交渉を行ない、取決めがなされてきた事実もあると反論し、労使の主張は完全に対立したまま、三月一六日会社は、三池の一部のロックアウトを、同一九日には全面ロックアウトを実行し、三池労組でも全面ストライキに突入することとなつたが、同年四月一六日三鉱連会社間の団体交渉の結果、三池の職場要求の未解決事項は、平和裡に解決するものとし、細部については、山元で会社三池労組間で話し合うものとする、三月五日から同月一五日までの部分ストに対する賃金の支払いは、減産に応じカットする旨の協約が成立し、三権委譲問題に関しては、右協定の諒解事項として主張の対立を相互に確認する旨の記載がなされたのみで、その正当性については、労使の主張の一致を見ないまま、到達闘争は終了した。なお、当時は、右の闘争終了により三池労組では三権は旧に復したと観念した。
また、到達闘争は職員組合との共闘闘制をとり、三池労組では、係長、係員ら職員が自らの権限の範囲内で鉱員の要求に応じうるときはこれに応じ、その権限を越える要求については、鉱員らと対立する態度をとることなく、職員組合の立場に立つて、課長・鉱長以上の本来の使用者側の立場に立つ者に対し職場代表者と共に交渉する等、同一の方向に向つて闘争を行なうべきだと主張し、これにより到達闘争のことを「あつち向け闘争」とも、またストライキが前後四三日におよんだところから四三日闘争(または四三スト)とも呼称された。
三池労組は、昭和三二年度も職場闘争を基本的闘争方針として推進することとしたが、到達闘争の際、会社側が職場の実力行使に対し、従来に比しやや態度を硬化し、前認定のとおりロックアウトまで実行して対抗し、また職場の坐込み等の大衆的実力行使に対しては、就業規則による懲戒をほのめかす等し、到達要求も全面的には容れられぬまま妥結する結果となり、一般組合員にも到達闘争を敗北と感じ、あるいは到達要求中には不当過大な要求が相当含まれていたと感ずる者も少なくなかつたため、職場闘争のあり方についてやや慎重な態度をとり、「物とり主義」が極端に流れることを戒め、組合官僚主義を排するため職場討議を活発にし、十分な意思の合致を見た上で行動をおこすこと、労使関係の情勢も必らずしもしかく安易なものではなく、十分慎重な行動をとり、組織を強化してゆく必要があるとの方針を決定、職場要求として、賃金歩増(特殊な困難や危険、身体の水濡れ等が伴なう作業等に対し支払われる割増賃金)の増額、手袋交付要求等の物質的要求とならんで、労働基準法三四条二項の規定を根拠に、坑外・坑内を問わず職場で一斉一時間休息をとること、職制が鉱員の氏名を呼ぶ際に呼び捨にしたり、「おいこら」などと云うのをやめさせ「さん」付けで呼ばせると云うような要求をする方針を決定、組合の組織面では職場委員会の設置、行動隊教育、地域分会の強化、階級意識を育てるための文化サークルの育成等学習活動を推進する方針をもあわせて決定し、労働条件の向上、福利厚生の増進と相い並んで、生産の主導権を確立することにより、生活をし守る闘いを推し進め、その闘争の基礎は、職制に対決し、生産の実権を手中に収めることにありとし、闘争の絶頂期にストライキを実行することは勿論であるが、平時でも自由に、生産を左右しうる実力を備えるときにはじめて経営者に対し最大の発言力を保有し得るのであるとの立場をとつた。
このようにして、職場単位で実行される職場闘争を全面的ストライキと相い並ぶ重要な闘争手段とする方針をとりつつ、三池労組は、前示杵島闘争の支援、機械化協定、昭和三四年第一次、第二次企業再建案との対決等各種問題に直面したが、その間、職場の各種要求を係長・係員ら現場職制に対し提出し、その要求の当否を問わず、その場で直ちに満足のゆく返答を得られないときは、多数鉱員らがその場に坐り込み、作業を拒否すると云う種類の行動が漸次多発するに至つた。右のような作業拒否による入坑遅延は、昭和二九年にはじめて発生し(同年度中に一、二度発生。もつとも昭和二四年ごろ共産党員の指導による入坑遅延と思想的基礎・態様を異にする。)争議等の特定の顕著な闘争期間にかぎらず、次第に日常的に発生するようになり、昭和三三年には約一一〇件、同三四年一月から一〇月までの間に三四〇件の入坑遅延事件の発生を見るに至り、会社側から三池労組本部または支部に遅延が組合の指示によるものかどうか確かめても、組合指令である旨の回答を得たこともなく、その他にも、職制の指示に対し、完全繰込みなどと称して、常識では考えられない無意味に詳細な説明指示を求めたり(たとえば、特段の事情もないのに、図面作成のため使用する鉛筆の削り方を指示せよなどと要求)、多数者によるいわゆる吊し上げをしたり、各種の嫌がらせをし、故意に著しく作業を怠り、労働能率を時間的にも質的にも低下せしめる行為を実行する者も次第にふえ、三池労組が企業再建案と対決している時期には、この種行動におよぶ者は特に多くなり、職場の末端で作業拒否等の行動をとる鉱員の中には、三池労組本部または支部執行部の指示、指導にも従わない者さえ現れ、三権委譲に関し労使の主張が鋭く対立した際、到達闘争の終りごろ、会社側からの申入れに対し、三池労組組合長宮川睦男が職場での坐込みはさせないかのような口約をしても、その趣旨は、下部組織に徹底せず暫時の後には再発し、宮川組合長としても、制止は不能につき支部長以上の者と協議されたい旨を会社側に伝えると云うこともあり、会社としても、昭和三二年ごろには末端職場で不当な行動をする者を断然排除する以外に職場秩序確立の方途はないと考えるに至り、その後なされた前認定の遠藤長市らの解雇は右のような判断に立つてなされたものである。
末端職場での大衆行動の一部に行き過ぎのあつたことは三池労組自身も認め、その発行にかかる三池労組の運動史「みいけ十年」中に大衆行動につき、「大衆動員の初期においては大衆行動のみをもつて総てが具体的に解決するものとの錯覚を起こさせ、進退の時期の限度を認識せず、執行部が解散を要請すれば逆に執行部を吊し上げるような態度さえ見られたことは、それだけの怒りと妥協を許さない強硬さは失うべきでないとしても、硬軟自在の進退を誤り、第三者の介入を招く惧なしとしない。」と記載した「みいけ十年四六七頁・四六八頁)。
右認定を覆えすに足りる証拠はない。
一二、三池労組員らによつて実行された職場闘争行為に対する職組の態度
〈証拠によると〉次のとおりの事実を認めることができる。すなわち
1  三池職組は、元来中道的労働運動を目指しており、昭和二八年以前には、むしろ三池労組を指導するに近かつたが、昭和二八年会社が経営不振を理由として人員整理を実行した際、会社の主張する整理の必要性を肯認せず、炭界の実情は右のような人員整理を必要とする程に至つていないとして、強くそれに反対し、三池労組と共闘して、一一三日闘争を実行し、右の人員整理、指名解雇の撤回に貢献したが、同闘争後、三池労組の勢力が急増し、職場闘争行為として、現場係員らに対するいわゆる吊し上げ行為、入坑遅延等の行為が漸次多発しはじめ、三池労組員のうちには、昭和二八年の指名解雇は、職組所属の係長・係員らによつて作成または右係員らの報告資料を基礎として作成された指名解雇者リストによつてなされたとして、現場職制に対し反感をもち、これを批判・攻撃する者もあり、現場職制として、鉱員らに対し、作業指示権を有すると同時に、三池職組の一員でもある係長・係員らが、これに対する措置・対策に苦慮し、ひいては、鉱員らが、この種行為に及ぶことに対する反感すら抱くようになるや(当時会社に出勤する係員ら職組員の心情を、昭和二九年から同三〇年三月まで職組三川支部の生産部長、同月以後は同支部支部長の地位にあつた坂田始末は、中央労働委員会での昭和三九年九月一八日審問期日に次のとおり表現している。すなわち、「私たちは会社から給料をもらつておりますから全員がやはり会社に出勤してます。だれも口にしておつたことでございますが、門をくぐると同時に耳の奥がびーんとなるような気持ちになつております。すなわち、門を入つてから先はもう薄氷を踏む思いなんです。いつ何のことでだれかもの云いがつくか、あるいはどう云うことをされるかわからないわけです。したがつて、門を入れば直ちに緊張の連続であります。そう云うことで入つてまいりますと、もう必らずと云つていいくらいにくりこみ場で吊し上げをやつている。そいつを横で眺めながら、われわれは脱衣をして着物をかえていくわけです。そうして自分の番になる。何と云うことだろう……ということでくりこみ台に立つて仕事の指示をし、坑内に入るわけですが、また何もなければさいわいほんとうに立て坑を下がる人車の中でほつとすると云うのが実態であります。そういうことで、今度また職場で一緒になるわけですが、まず言葉づかい、態度、作業量、作業指示、修理すべての問題で、もうハリネズミのようなかつこうで、係員としてはどつからも隙がないようなかつこうでやらなければなりません。そういうかつこうで上がつてくるわけです。そうして風呂へ入つて帰るわけですが、ほんとうに弁当をもつて門を出るときは、門を走り出したい気持であるということを常に係員は私に訴えております。そのような実態でわれわれは過ごしておつたということであります。」)、職組としては、職場闘争と称して、多衆が現場で職制を攻撃する三池労組員の行動に批判的態度をとりはじめ、所属組合員をこれら三池労組員による職場での大衆的攻撃行動から保護する必要があると判断し、ここに三池労組と三池職組との間の連帯意識は次第に薄れ、これに代わつて対立的感情が生ずるに至つた。
2  かくして、職員組合は、職場苦情、職場要求を直接の担当職制に提出し、これが直ちに容れられない場合に右苦情・要求を上部組織に吸い上げて正規の団体交渉または苦情処理機関等で解決を図る努力をせず、その場で作業員らが坐込み、作業拒否等の実力的行動に出て現場職制に強力な圧力をかけ、これにより下部職場の段階でその要求を貫徹し、苦情を有利に解決しようとした点に、三池の職場闘争の他と異る特質があり(後記各論で認定する事実を考えれば、三池炭鉱の職場闘争に職組の観察したような特徴のあつたことは否定できない。もつとも、三池と他山または他会社の事業所との比較については十分な疎明がない)、右のような作業現場の直接的実力行使は、現場職制の利益を不当に侵害する許すべからざるものとし、昭和三〇年七月三池職組組合長岡田茂生は、経営協議会の席上で会社に対し職場規律の確立方を文書で申入れ、その後も、会社に対し、労使の正常化、職場規律の確立、職務権限の明確化、職員の安定職場の確立、生産性の向上の五点を要求し、三池労組に対しても職員の労働者としての人権の尊重、権限外の要求をしないこと、権限内の要求であつても、その貫徹のため直ちにその場で実力行使をしないこと、紛争が発生した場合は、執行部で吸いあげて解決することを要求し、三池職組内部でも、職場闘争に対処するための組織強化を図り(職場分会、地域分会等を設置)、職員自体に石炭産業職場闘争に対する教育・研究を奨励し、さらに攻撃を受けた職員がある場合は、これを知つた者は、直ちに職組執行部または他の職員に連絡し、その救済に全力をあげるとの方針を定め(三川支部では吊し上げに対処するための模擬訓練まで行なつた。)、昭和三二年炭労の第一八回大会においては、その行動方針に対する修正案を提案した際、職員が不当な攻撃を受けている事実の報告をし(現実は、小委員会内での討議中でなされた。)、昭和三三年九月ごろ、三社連に対して、職場闘争の行き過ぎを訴え、また同年一一月五日付で、三社連を通じ「職場闘争の中で起きている問題」と題する書面を炭労組織部長宛てに提出し、同書面中で七件の職場紛争事例を挙示して、現三池炭鉱の現場では、三池労組と三池職組との間に過度な職場闘争を原因として、困難な問題が生じている旨を報告し、炭労に対し、その指導と現場の実態との間に距離があるので、現場の実態を直接把握して、具体的指導をしてほしい旨、及び問題のないとき誠実に働くことは歴史、社会に対する義務であることを理解してほしい旨要望し、さらに賃金のバランスを口実にした機械的輪番制は、保安上問題があるので、検討を要する旨を指摘して、上部団体を通じて三池炭鉱での職場闘争の規整方を働きかけ、正規の組織外でも、三池労組出身の参議院議員阿具根登にも同旨の働きかけをし、さらには三池労組の行動を理論的立場から指導していると考えられていた経済学者向坂逸郎に対しても、独占資本を弱め、社会主義を実現するためには働かないのが一番だと考えている者現場におり、職場での坐込みや吊し上げが英雄視されて対立感情が煽られている旨述べて、指導方を依頼し、第一次企業合理化案に対し、職鉱が共闘すべく昭和三四年二月にもたれた三鉱連と三社連の準備会では、三池労組宮川組合長は、山野・芦別・田川各鉱業所の鉱組組合長らから組合員を現場で争わせるのは執行部の怠慢であるとしてかなり強い批判を受け、三鉱連内部でも、三池の職場闘争に対する批判的意見が生ずるに至つた。
3  かようにして、すでに到達闘争の際三池職組は、いずれも炭鉱に所属する労働組合として、三池労組と共闘はしたものの、職場闘争に関する見解を根本的に異にしていたため、賃金問題に関する交渉が妥結した後昭和三一年四月二日には、鉱組との共闘を解き、職場交渉問題につき、三池労組とは異なる態度を示すことを明確にし、三池労組らは、右共闘中止の職組の態度を強く批判し、また第一次企業合理化に対しても炭労の闘争方針に従い職鉱共闘の態勢をもつたものの、柔軟な態度をとり、そのころいよいよ激化した職場闘争に対しては、前示のとおり、三池労組とは全く対立する見解をとり、石炭産業は流体燃料の進出により長期的危機状態にあり、また独自の立場からの経営分析(その資料や、分析結果等は必らずしも明らかではない。)の結果から、会社の経営は現実に破綻に直面しており、従業員の労働条件の向上は、各従業員が誠実に稼働して生産性をあげ、賃金の源資となる会社の収益を高め、その分配に関して、会社に相当な要求をし闘争すべきはするとの態度をとり、石炭産業の斜陽性を否定し会社と妥協の余地がないとする三池労組を、石炭産業の現状認識を欠き政治的急進主義をとり、自己の実力を過信し、労働者の社会的責任に対する義務感を欠くと批判(右見解は昭和三五年三月三社連から発表された「三池企反闘争批判書」で明確に表明されるに至つたが、第一次企業合理化案提案ごろにはすでに三社連、三池職組はそのような立場をとつていた)し、ここに、三池労組と三池職組の運動方針は相反するものとなり、前記三池大争議中の三池労組からの多数組合員の脱落、新労の結成及びその後の新労の活動に関しては、三池職組は、新労が職組と同じ運動方針に基づき、職場闘争行為に対しては、全く批判的態度をとるものとし組織をあげてこれを支援している。
右認定に反する疎明はない。
後記各論で認定する申請人らの各行動、勤務態度等はいずれも前項一ないし一一および本項一二に認定したような事情を背景に有しているものである。
もつとも、職場闘争の語義は、前認定の事実からもなお画然としないものがあつて、後記認定の事実等も作業懈怠行為等については、職場闘争行為であるのかどうか不明なものも多い。
一三、企業整備に伴う人員整理に関する当裁判所の一般的判断
企業に雇用されて稼働する労働者の大部分は、その稼得する賃金を生活の資としており、かつ労働者が一旦解雇せられると、従前以上の労働条件による再雇用が必らずしも容易とは云えないわが国の現状下にあつては、たとえ、企業経営が多少困難となり、各会計期間の収支決算の結果欠損金を計上するような事態に陥つたとしても、費用を節減するため、直ちに労働者を解雇することは、それ自体好ましくなく、解雇を免れた労働者にも、雇用関係の安定性に対する信頼感を喪失させ、積極、自発的労働意欲を減殺するおそれもあり、その反面、ことに指名解雇は残存労働者の一部に次回に実施されるかも知れない人員整理による解雇を免れようとして、必要以上に職制の意に迎合して、卑屈な態度さえ取り、その歓心を買つて、自己に対する勤務評価をよくしてもらおうとする者が出ることも考えられるので、充分な再就職の保障等、特段の用意なく、これを行なうことは、労働組合の立場からも忍び難いことで、従つて、企業経営者としては、相当永続的な経営不振状況に当面した場合でも、できるだけ人員整理の手段に訴えることをさけ、それ以外の方法で、費用を節し、経営能率を向上させて、収益の増大を図り、よつて、経営不振を打開することが望ましいけれども、企業がそれぞれ独立し、少なくとも、収支相い償つて存続してゆくことを前提とする現行社会体制下では、右人員整理の制約は、企業に対し要請される社会倫理的次元の責任であつて、永続的経営危機を打開し、企業の再建、存続を図るため、費用節減の手段として、相当多数の労働者を経営者の責任において整理解雇することを違法と云うことはできず、その際、整理員数の決定解雇の方法(希望退職者を募集するか労働者を各個別に解雇するか等)、被解雇者の人選等も、強行法規、労働契約、労働協約中の特段の定等に抵触せず、また永続的経営危機の打開と云う本来の目的に背馳する不合理なものでないかぎり、経営者が独自の見地から、その責任において、判断、決定すべきもので(その判断、決定に誤があれば、経営成績の一層の悪化を招来することになり、また労働組合としては、整理解雇に反対するためには、団体交渉を通してその撤回を求め、さらには、ストライキ等正当な争議行為によつて対抗することとなる。なお、右整理解雇につき労働組合の諒解を得ることが最も望ましいことは勿論である。)、その際多くの場合設定される整理基準も、普通は、被解雇者の人選の内部的目安とする意味を有するにすぎないと解せられるので(なお相当規模以上の企業の人員整理についてはなんらかの整理基準を設定するのでなければ被解雇者の人選が不能または著しく困難となる場合が多いであろう)、使用者が、整理基準に該当しないと客観的に判断される者は一切解雇しないことを特に約したと解される等特段の事情のないかぎり、裁量判断の余地のある整理基準該当性の判断を単純に誤つたと云う一事だけ(たとえば、勤務態度不良と云う人選基準を設け、劣位者から解雇することとしたところ、某労働者は、客観的に見れば極めて劣位にあるのに、職制の監視する際には、極めて誠実らしく立ち回つたため、本来はそれより優位にあるべき労働者がより劣位にあるべき労働者がより劣位にあると誤認されて解雇されたような場合)によつては、整理解雇が無効になるものではない(右判断を誤つた結果、解雇が強行法規、労働契約、協約等に違反し、または整理解雇の目的に背馳する著しく不合理なものとなるときは、無効とされることは勿論である。)。
しかしながら、多数の労働者を一時に解雇する際には、正当な労働組合を実行するまでも嫌忌し、または、特定労働者に対し、単なる恣意から、不快感を抱く使用者が、これらを整理解雇に藉口して、企業から排除しようとする傾きのあることもまたみやすいところであるから、整理基準該当事実の不存在はその事実自体および、労働者の過去の行為、使用者の当該労働者に対する差別的態度その他諸般の事情と相いまつて、不当労働行為意思の存在または解雇権が濫用されたことを推認する極めて有力な資料となるものと解すべきである(なお、整理基準が一般的には、被整理者人選の内部的目安にすぎないことからすれば、整理基準に該当する一事から、解雇が論議の余地なく有効なものになるとも云えない)。
前項一ないし一二の認定事実、これに基づく判断と、右に説示した整理解雇の法理に徴すれば、第二次企業再建案に基づく人員整理自体、およびそのうち三池鉱業所、港務所での指名解雇が、すべて不当労働行為であつて、一般的に無効であるとは断ぜられず、結局、後記一四以下に説示するところに従つて、各申請人につき、その効力を個別に判定するほかはない。
一四、職場闘争行為およびこれを理由とする整理解雇の適否についての裁判所の一般的判断
(一) 前項一〇および一一で認定した事実によれば、炭労および三池労組の職場闘争とは、労働組合の使用者に対する対立、抗争手段として、統一的団体交渉、正規のストライキ等と相い並んで、賃金の喪失等労働者側の損失を可及的僅少にとどめつつ、使用者に大きな損害を与え、職場の労働者を大衆的に動員して、主体的に闘争に参加せしめることにより、組合の団結、組織を強化せしめつつ、労働者の日常的具体的職場要求あるいは苦情に満足を与え、現場職制の圧力、管理と対決するため、現場労働者を多数の小グループに便宜組織して、労働組合の下部組織たらしめ(これら小グループを独立の団体にまで組織するわけではない)、これら職場組織を中心として、それぞれの職場での要求、苦情をこれに対応する現場の職制に提出し、現実のまたは観念的大衆行動を背景に、その実現、解決を図り、これら職場の大衆行動の積み重ねにより、全体としての労働条件の向上、保安の確保の実現を図ろうとするものであると要約できるであろう。右職場闘争の基礎となつていると考えられる個々の組合員の一人一人が、組合幹部の指導、指示に消極的に服従するにとどまらず、各自が組合の存在と団結の必要性とを強く自覚し、各個の職場でまたは私生活上も、職制らに対し徒らに阿諛、盲従して、その歓心を買うのに汲々とすることなく、自己の正当な権益は、団結力で守ろうとする態度をとり、職制の違法な作業指示に対しては(特に労働者の通常の注意で回避することができ、労働契約、労働協約上受忍すべき限度を越える生命身体に対する危険の蓋然性のあるとき)、これを拒否すべきであるとの労働組合の一般的活動方針はもとより違法視できない。
(二)  しかしながら、労働者は、その所属する労働組合の統制に服する反面、平常時には、また争議中でも、保安要員等として協約等により労務の提供義務を負つている場合には、労働契約、労働協約、各職場の慣行の律するところにより、使用者および使用者から作業指示権を与えられた職制の指示、命令するところに従い正常な労務を提供する義務を負つていることも勿論であるから(前記職場闘争行為としてなされるかどうかを問わず)、正規の争議行為によらないで、右義務を怠り、職制の作業指示に正当な理由もなく従わず、いたずらに反抗し、量的、質的に労務の提供を怠り、または他人をして怠らしめ、職場規律を紊す行為が正当な組合活動の枠を逸脱し(組合活動としてされた場合)、業務阻害行為と評価されることは当然である。従つて(なお以下の説示は、職場闘争等に関する法理を一般的に論ずるものではなく、不当行為の類型も、各論の事実に即して分類したもので、本質的には、重複すると思料される行為類型が数個の類型に分割されているものもある。)、
1、ことさらに、繰込場(係員等職制が作業員の配役、その日の作業内容、作業場所および保安上の注意等を作業開始に先立つてなすことを繰込みと称し、鉱員らを集合せしめて繰込みをなす特定の場所を繰込場と称する。以下各論においても同じ。)または作業現場等で、労働協約または組合下部組織と職制(たとえば組合支部と各鉱長等)間の適法な職場取決めまたは労使関係の通念上当然と考えられる慣行、条理に違反し、または従前これらによつて律せられていない労働条件等に関する新要求その他諸苦情の解決方を個々の職場組織の代表者的地位にある者(たとえば職場分会長)または労働者個人が、その職場の職制(主として係員、場合により係長以上の職制)に申出て、右申出が拒否せられ、又は要求を容れる趣旨の即答が得られない場合、右要求、申出を貫徹するため、多数の鉱員らと共に、または単独でも、直ちに繰込場等に坐り込む等実力行動の挙に出て、就労を拒み、入坑を遅延させる等して、作業上の支障を生ぜしめ、自ずから作業を怠り、またはその間相手方である職制の正常な職務執行を妨げる行為(なお、右職場取決め、職場慣行の性質、効力等については後記において説示する。)。
2、作業現場で、多数鉱員らと共に、または単独で、担当係員等作業指示権を有する者の作業指示を正当な理由もなく拒否し、または単なる職制に対するいやがらせのため実力行動にでる場合。
3、繰込場等多数労働者の集合する場所で、係員ら現場職制の片言隻句をとりあげ、またはなんら根拠のない事実を十分な調査もしないであるかのように主張し、右言動または事実追及の手段としては著しく相当性を欠く過激な態様(たとえば、多数者によるいわゆる吊し上げの方法により、大声を発して威嚇し非難攻撃する等)で、詰問、非難して、大衆の面前で謝罪を要求する等し、さらには、その間前記1同様勤務時間中の多数鉱員に就労を拒否せしめ、または自ずから拒否し、あるいは担当職制の業務を妨害する行為(非難追及の対象は、当該職制は勿論、その上司をも含む。)。
4、繰込みにおける配役の割振りを、職場分会等の職場組織で機械的に平等、平均になるように一方的に決定し(いわゆる輪番制)、作業上の必要に基づきなされる、右決定にかかる割振りと異る係員の配役、繰込みの指示に従わず、右指示による作業を拒否するような鉱員による一方的な業務管理行為。
5、個々の鉱員(主として、固定給制または固定給に準ずる賃金の支給を受ける者)が、職場組織内の話合いの結果または独自に正常な労務の提供を怠り、自ずから一方的に能率を制限し、量的または質的作業能率を低下させ、または他鉱員らに能率を低下せしめるよう積極的に働きかけ、さらには、他の鉱員が正常普通の労務の提供をし、またはしようとするのを阻害し、あるいはそれを非難追及する行為(なお、請負給者の場合の能率制限は、標準作業量の基準となる実績を下げるために行なわれることが多い。)。
6、作業量、作業内容、保安事項等に関する労働協約、職場取決の意味内容を牽強付会し、取決められた条件を濫用して、右取決め等の本来の趣旨からは当然なすべきである作業を怠り、または係員の正当な作業指示に従わず、これを拒否する行為。
7、繰込時等の作業指示に際し、完全繰込み等と称して、常軌を逸するような詳細な作業内容の指示説明を求め(たとえば、特段の事情もないのに、製図工の鉛筆の削り方、直線の引き方等についてまで逐一詳細な説明、指示を求める等)、または毎日の作業手続、内容がほぼ同一で、特に作業指示をしなくとも、慣行上当然なすべき作業内容が明らかであるのに、鉱員らが各日ごとに詳細な作業内容の指示説明を求め、右説明がなされるまで作業指示がないと主張して、就労せず、職制を当惑せしめる行為。
8、繰込時間前に、組合情宣の許可を求めた上、または、無許可で、繰込みを受けるため集合している鉱員らに対し、情宣を開始し、所定の繰込時間後勤務時間に入つた後もこれを継続して、情宣を続け、繰込みを事実上不能ならしめて、作業開始を遅延せしめる等の勤務時間内情宣行為。
9、職制が全く指示していない作業を鉱員らが勝手にする行為。
10、職制が業務上鉱員らに対して当然なすべき行為を、不当な手段、方法で阻止し、または不当な方法で、職制の行為の実効性を失なわしめる行為。
11、その他右各行為に準ずる行為(なお、各論において、不当行為の類型を説示するに際し、11の類型については逐一挙示せず、単に1ないし10の類型のみを挙示する。)。
右のような行為は、いずれも、全面的または部分ストライキ等、労働組合の正規の争議行為として実行された等特段の事情のないかぎり、(前認定のとおり、三池労組では職場の固有の問題に関し、スト指令を発したことはない。)、正当性の範囲を逸脱しているものと評すべきである(なお、前説示および後記(三)、(四)の説示は、職場闘争行為等に関する法理を、一般的抽象的に論述するものでは勿論なく、後記各論の具体事実に関する判断に必要なものに限る。また、右各いずれの類型にも属さない行動で正当性の範囲を逸脱するものについては、必要に応じ各論で個別的に説示する。)。
(三)  職場交渉権および三権委譲問題に関する当裁判所の一般的判断
1、日本国憲法は、、生存権的基本権の一として、勤労者に団結権、団体交渉権、団体行動権を認め、右憲法上の権利を具体化するため、労働組合法は、労働者の団結体中最も重要なものとして労働組合の組織を定め(同法第二条、第二章)、使用者との間の労働協約の締結能力を認め(同法第一四条)、さらに、その争議行為等正当な団体行動に対し刑事上、民事上の免責を規定し(同法第一条第二項、第八条)、使用者が労働組合に対し、不当な行動に出ることを禁止している(同法第七条)。
ところで、同法の精神は、憲法および他の労働関係諸立法をもあわせ考えると労働者の団結権を認め、右団結の力により、労働者が使用者と平等な立場で労働条件等に関する交渉をし、その地位を向上することを得しめるとともに、右の団結体を一定の経済的基礎と恒久的、自主的規約とを有する組織的団体たらしめることにより、その統制力を通じ、労使関係を秩序あるものたらしめようとしたものと解されるから、労働者が一旦労働組合を結成、組織し、これに所属した以上は、使用者との間の団体交渉権、労働協約の締結権能、争議行為を実行する権利は、労働組合にのみ専属し、一定の経済基礎をも、なんらの独立の組織規約をも有しない(従つて、独立の団体たる性質の認められない)その下部組織たる支部、分会等は、右に関し独自の権限を有せず、労働組合が右各権能を、これら独立性のない下部組織に委譲する(尤も、委譲の語義は必らずしも明確とは云えないが、これにより、各下部組織がその組織限りに関するとは云え、労組の有する前記固有の三権を独自に分有する効果を生ずると云う意味とすれば)ことは、右に説示した労働組合の本質と相い容れないもので、右委譲により、労働組合が委譲した権限を喪失し、独立団体たる性質を認められない多数下部組織が、委譲の限度で、同時にそれぞれの権限を分有するに至ると云うような効果を生ずることは認めるに由なく、委譲を受けた下部組織の構成員らが、三権の分有が有効になされたとの見解をとつたからと云つて、これにより前説示の各類型的行為が正当化されるものとは考えられない(交渉権限を第三者に委任することは右のごとき委譲とは性質を異にし適法であることは勿論である。)。
三池労組各支部は、単一組合である三池労組規約中にその存在の根拠を有するもので、なんら独立の組織規約も、財産的基礎をも有せず、また職場分会、地域分会、行動隊も独立の労働団体としての性質を認めることができないから、これらに対する三権委譲は特別の法的効力を有するものとは認められない(もつとも、支部、分会等の集団的労務提供拒否行為が、三池労組の指令に基づくいわゆる部分ストの要件を充足している場合は、三池労組自体による正当な争議行為と評価されるが、支部、職場組織の固有の問題につきスト指令の発せられたことのないことは、前認定のとおりである)。。
2  もつとも、三池炭鉱をはじめ、その他会社他山の坑内労働環境は、前認定のとおり複雑、多様で、このすべてを労働組合、会社間の労働協約により画一、一義的に律することは殆んど不可能であるため、作業の困難度等に応じて支払われる割増賃金等については、その上限と下限とを定め、具体的賃金額は、係員ら末端職制の判断に任されるようになつており、各個の職場、職場で、それぞれの環境に応じた労働慣行が自然的に形成されているほか、すくなくとも三池大争議以前にあつては、三池労組の各支部と鉱間の取決めだけでなく、分会と係長等の下級職制に、それぞれの職場事情に応じた話合い、諒解がなされ、各個職場の具体的労働条件、職場苦情の解決は、これら職場取決めおよび話合いの結果によつても律せられる部分もかなりあつたが、これら職場取決めまたは話合いの結果による労働関係の規律は、それ自体が一種の慣行となつていたものと解せられ、右のような慣行の行なわれていた当時の事情下では、下部組織の代表者らが、これに対応する職制に対し、必要に応じ、各種取決め、または具体的作業条件を定めるための相当な限度内での話合いを要求することも当然許されているものと云うべきであるが(これを職場交渉権と云うかどうかは論者の自由で、また、右要求についての話合いを一切拒否する行為が、場合により不当労働行為にあたることはある。)、各種要求を貫徹するため、前二に記載したような行動に訴えることは、労働契約、労働協約の趣旨、性質に徴し許されず、たとえ、その種行動が職制の意思を無視して日常的に実行されていた事実があるとしても、これに労使関係を規律する慣行としての法的効力を認めることはできない。
なお、適法な職場慣行は(自然的に形式されたものおよび話合い等によるものを含め)、これに従つて行動し、労務の提供をした労働者を債務不履行その他の責任から免れしめる効果を有することは勿論であるが、企業内の諸条件の流動的性格に鑑みれば、それが労働契約の確定的内容または既得の権利となつて固定したと評価される特別の場合をのぞき、いかなる事情の変更にも拘らず、双方の合意による変更のないかぎり、すべて絶対的既得権として将来にわたり相手方に対しその存在を主張し得るものではない。
(四)  以上の次第で前記に記載したような各種の類型的行動が組合の職場闘争の指導方針に従つて実行されたかどうかを問わず、その実行者が各具体的行動に相応する不利益を受けることはやむを得ないところであり、企業整備に基づく人員整理にあたり、将来の職場規律を確立し、生産能率の向上を図る意図でなされたこれら行為者の解雇を違法視することはできない。
もつとも、憲法第二八条によつて保障された勤労者権を侵害する使用者の行為(具体的には、主として、労働組合法第七条の禁止する各種不当労働行為)に対しては、労働者側には、侵害行為の性質により労働委員会に対する救済申立、裁判所に対する仮処分申請、または本案訴訟等の公的救済手段が認められてはいるが、一般の私法上の権利に比し、労働者の有する諸権利は、右の公的手続による救済のみに依存するときは、個々の具体的侵害に対し終局的救済が与えられた場合でも、その背後にある一般的組織が脆弱化され、団結力、組織力に対し回復困難な重大な損害を生ずる場合が多く、従つて、一般私法上の権利に比し、ある程度広範に侵害行為の実行されたその現場での自救的行動を認める必要があり、これに前認定の炭鉱における特殊労働事情をも考慮すれば、前(二)に記載したような類型的行動であつても、
1、具体的勤労者権を不当に侵害する使用者側の職場における具体的行為に相応し、公平の見地からやむを得ないものとして容認される防禦的、抗議的行動の範囲にとどまると認められる場合、
2、行為の違法性の程度が軽微で、それが組合の方針に従つたものであり、かつ当該労働者の日常の正当な組合活動行為、使用者の差別取扱を綜合し、右行動を解雇理由とすることの根拠が薄弱で、解雇の真意が尖鋭な組合活動家を企業外に放逐しようとするにあるものと認められる場合、
3、係員らの不当な作業指示、ことに生命・身体に対し労使関係の通念上やむを得ないものと認められる程度を越える不当に高度の危険の蓋然性を伴う作業指示を拒否し、または右のような作業指示に抗議するため、公平の見地から具体的場合に応じ、相当と認められる限度内で前(二)に記載した種類の行動におよんだ場合、
4、その他、右に準ずるような場合、
には、いずれも右行動を労働者に帰せしめることはできず、これら行動を、人員整理に際し、解雇理由とすることは、前認定の三池労組の職場闘争の方針に徴し、労働組合法第七条第一号、第三号の禁ずる不利益取扱い、または支配・介入と評価されることとなり、右解雇は、効力を生ずるに由ないものとなる。
なお、現代社会では、企業は、単に自らの利益のみを追及すれば足るのではなく、株主、債権者、企業に雇用され稼働する従業員、国家および公共団体等、広く社会一般との強い利害関係を有し、経営活動を通じ、その社会的責任を遂行する道義的義務を有するのであり、企業内の秩序を維持することも、右社会的責任の一端とも解し得るところ、会社の労務政策は、特に一一三日闘争以後、三池労組の強い圧力があつたためとは云え、一部組合員の行きすぎを相当な方法で制限することを怠り、職場闘争の名の下に行なわれる正当性の限界を逸脱するまでを、ある程度放任した嫌があり、また違法な行為は、一般にその実行の日以後の日時の経過により、次第にその違法の度を弱めるものと云うべきであるから、違法行為の実行時が、解雇よりかなり以前であり、その後は、不当な行動もなく、不当な行為実行後、労使間に当該問題解決について合意があり、爾後責任は不問にするかのような態度が示され、または、実行者本人も、その行為の詳細な記憶を失つたころになつて、突然これを解雇理由として取りあげることは、いささか酷に失すると云うべきで、従つて、会社主張の解雇理由が、主として、相当の日時を経過した行為にかかわるものであるときは、違法および不当労働行為性の評価に際し、右の理を十分斟酌するのが相当である。
以上に説示した職場闘争行為の不当性、解雇の不当労働行為性に関する一般的判断に従い、以下各申請人のそれぞれにつき、解雇の効力の有無を判断する。
本件関係〈以下省略〉
(松村利智 石川哲男 安井正弘)
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政治と選挙の裁判例「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧
(1)昭和49年 5月14日 東京地裁 昭49(ヨ)767号 文章の掲載を求める仮処分申請事件 〔サンケイ新聞意見広告に対する反論文掲載請求事件仮処分決定〕
(2)昭和49年 4月26日 東京高裁 昭44(行コ)27号・昭44(行コ)25号 雇用関係存在確認請求控訴事件 〔旧電通省レッドパージ事件〕
(3)昭和49年 4月25日 最高裁第一小法廷 昭48(行ツ)102号 選挙無効請求事件
(4)昭和49年 4月 6日 京都地裁舞鶴支部 昭49(ヨ)6号 ビラ配布禁止仮処分申請事件
(5)昭和49年 3月 6日 東京地裁 昭48(ヨ)2384号 権利停止処分の効力停止等仮処分申請事件 〔東京交通労組自動車部渋谷支部事件〕
(6)昭和49年 2月21日 佐賀地裁武雄支部 昭49(ヨ)3号 仮処分命令申請事件
(7)昭和49年 1月30日 大阪地裁 昭43(ワ)3296号 従業員地位確認等請求事件 〔三菱製紙ショップ制解雇事件〕
(8)昭和49年 1月21日 東京地裁 昭45(ワ)9169号 損害賠償請求事件
(9)昭和49年 1月19日 仙台地裁 昭49(ヨ)19号 雑誌配布禁止等仮処分申請事件
(10)昭和48年12月17日 大阪地裁 昭48(ヨ)3456号 統制処分の効力停止仮処分申請事件 〔動労大阪地本権利停止事件〕
(11)昭和48年12月17日 釧路地裁 昭48(ヨ)47号 統制処分の効力停止仮処分申請事件 〔動労釧路地本権利停止事件〕
(12)昭和48年11月 7日 広島地裁 昭48(ヨ)413号 仮処分申請事件 〔動労広島地本役員執行権停止事件〕
(13)昭和48年 9月27日 東京高裁 昭43(ネ)1813号 地位保全等仮処分申請控訴事件 〔横浜ゴム上尾工場懲戒解雇事件〕
(14)昭和48年 9月27日 福岡高裁 昭48(行ケ)1号 町議会議員補欠選挙無効裁決取消請求事件
(15)昭和48年 9月19日 東京高裁 昭46(行コ)79号 懲戒処分取消請求控訴事件 〔全逓本所支部プラカード事件〕
(16)昭和48年 9月12日 和歌山地裁 昭34(行)1号 和歌山高教組懲戒処分取消事件
(17)昭和48年 9月 7日 札幌地裁 昭44(行ウ)16号・昭44(行ウ)23号・昭44(行ウ)24号 保安林指定の解除処分取消請求事件 〔長沼ナイキ基地訴訟事件〕
(18)昭和48年 9月 4日 佐賀地裁 昭48(ヨ)62号 選挙活動妨害禁止仮処分命令申請事件
(19)昭和48年 5月30日 東京高裁 昭47(ネ)2164号 損害賠償請求控訴事件
(20)昭和48年 5月29日 広島高裁 昭46(行コ)3号 図書閲読冊数制限処分等取消請求控訴事件
(21)昭和48年 4月25日 最高裁大法廷 昭43(あ)2780号 国家公務員法違反被告事件 〔全農林警職法闘争事件・上告審〕
(22)昭和48年 4月19日 名古屋地裁 昭48(ヨ)388号 新聞配布等禁止仮処分申請事件
(23)昭和48年 4月 2日 仙台地裁 昭44(わ)388号・昭44(わ)225号 建造物侵入、傷害事件 〔いわゆる仙台鉄道郵便局事件〕
(24)昭和48年 3月30日 名古屋地裁豊橋支部 昭42(わ)347号 国家公務員法違反被告事件
(25)昭和48年 3月29日 仙台地裁 昭42(わ)120号 公職選挙法違反被告事件
(26)昭和48年 3月29日 松山地裁 昭40(行ウ)9号 免職処分無効確認等請求事件
(27)昭和48年 3月19日 長崎地裁佐世保支部 昭45(ワ)77号 慰藉料請求事件
(28)昭和48年 2月22日 前橋地裁 昭46(わ)280号・昭46(わ)225号・昭46(わ)172号・昭46(わ)247号・昭46(わ)190号 強姦致傷、強姦、殺人、死体遺棄被告事件 〔いわゆる大久保事件〕
(29)昭和48年 1月25日 広島高裁 昭42(ネ)242号・昭42(ネ)53号 国労組合費請求事件
(30)昭和47年12月27日 横浜地裁 昭43(行ウ)3号の1 入場税決定処分取消請求事件
(31)昭和47年12月27日 横浜地裁 事件番号不詳 課税処分取消請求事件
(32)昭和47年12月22日 札幌地裁 昭41(行ウ)1号・昭41(行ウ)4号 課税処分取消請求事件
(33)昭和47年10月13日 東京高裁 昭43(う)1114号 公職選挙法違反被告事件
(34)昭和47年 8月28日 東京地裁 昭45(ワ)12486号 損害賠償請求事件
(35)昭和47年 8月10日 岡山地裁 昭46(わ)507号 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
(36)昭和47年 7月20日 最高裁第一小法廷 昭47(行ツ)24号 市議会議員当選の効力に関する訴願裁決取消請求
(37)昭和47年 5月29日 東京地裁 昭43(ワ)12905号 言論の応酬名誉権侵害事件第一審判決
(38)昭和47年 5月22日 大阪地裁 昭37(わ)1385号 公務執行妨害被告事件
(39)昭和47年 5月10日 東京高裁 昭45(ネ)1072号 懲戒戒告処分無効確認請求控訴事件 〔目黒電報電話局戒告事件〕
(40)昭和47年 4月19日 東京高裁 昭44(行コ)5号 退去強制令書発付処分取消請求控訴事件 〔政治亡命裁判・控訴審〕
(41)昭和47年 4月 7日 仙台高裁 昭45(う)164号 国家公務員法違反被告事件
(42)昭和47年 4月 5日 東京高裁 昭44(う)1895号 公職選挙法違反、国家公務員法違反被告事件 〔総理府統計局事件・控訴審〕
(43)昭和47年 3月31日 東京地裁 昭40(ヨ)2188号 仮処分申請事件 〔目黒高校教諭解雇事件〕
(44)昭和47年 3月 3日 東京地裁 昭45(特わ)135号・昭45(特わ)136号・昭45(特わ)134号・昭45(特わ)137号・昭44(特わ)496号・昭44(特わ)445号・昭45(特わ)133号 公職選挙法違反被告事件
(45)昭和46年11月19日 東京地裁 昭46(行ク)52号 執行停止申立事件
(46)昭和46年11月 1日 東京地裁 昭45(行ウ)45号 懲戒処分取消請求事件 〔全逓本部支部プラカード事件〕
(47)昭和46年10月 4日 東京高裁 昭44(う)32号 公職選挙法違反被告事件
(48)昭和46年 8月27日 大阪高裁 昭46(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(49)昭和46年 8月 4日 千葉地裁 昭43(ワ)569号 損害賠償請求事件
(50)昭和46年 6月29日 福岡地裁 昭43(ワ)1868号 懲戒休職無効確認等請求事件 〔西日本新聞懲戒休職事件〕
(51)昭和46年 5月14日 名古屋高裁 昭42(行コ)8号 行政処分取消等請求控訴事件 〔いわゆる地鎮祭違憲訴訟・控訴審〕
(52)昭和46年 5月10日 高松高裁 昭44(う)178号 国家公務員法違反事件 〔徳島郵便局事件・控訴審〕
(53)昭和46年 4月30日 名古屋地裁 昭43(ワ)442号 株主総会決議無効確認請求訴訟事件 〔トヨタ自工純血訴訟事件・第一審〕
(54)昭和46年 3月29日 東京地裁 昭42(行ウ)141号 行政処分取消請求事件 〔台湾青年独立連盟所属の中国人に対する退去強制事件〕
(55)昭和46年 1月22日 東京高裁 昭44(ネ)2698号 仮処分控訴事件 〔日立製作所懲戒解雇事件〕
(56)昭和46年 1月21日 大阪地裁 昭40(わ)2982号 公職選挙法違反被告事件
(57)昭和45年12月24日 名古屋高裁金沢支部 昭43(う)186号 贈賄・収賄被告事件
(58)昭和45年11月 7日 名古屋地裁 昭43(わ)1271号・昭43(わ)1272号 公職選挙法違反被告事件
(59)昭和45年10月 9日 東京高裁 昭42(ネ)35号 私有建物九段会館返還請求控訴事件
(60)昭和45年 9月29日 横浜地裁 昭41(ワ)577号 雇用関係存続確認等請求事件 〔日本石油精製転籍事件〕
(61)昭和45年 9月25日 大阪高裁 昭43(う)1525号 公職選挙法違反被告事件
(62)昭和45年 9月 8日 東京地裁 昭44(モ)4872号・昭43(ヨ)10468号 占有使用妨害禁止等の仮処分異議および不動産仮処分申請事件
(63)昭和45年 7月17日 東京地裁 昭42(行ウ)85号 検定処分取消訴訟事件 〔第二次家永教科書事件〕
(64)昭和45年 7月16日 最高裁第一小法廷 昭43(あ)1185号 地方公務員法違反被告事件
(65)昭和45年 7月16日 東京高裁 昭43(行ケ)99号 選挙の効力に関する訴訟事件
(66)昭和45年 7月13日 名古屋地裁 昭43(ワ)3191号 権利停止処分無効確認請求事件 〔王子製紙春日井新労組権利停止事件〕
(67)昭和45年 7月11日 名古屋地裁 昭42(行ウ)28号 損害賠償請求事件
(68)昭和45年 6月30日 福岡地裁小倉支部 昭40(ヨ)497号 仮処分申請事件 〔門司信用金庫解雇事件〕
(69)昭和45年 6月27日 福岡地裁 昭35(ヨ)444号 地位保全仮処分申請事件 〔三井三池整理解雇事件〕
(70)昭和45年 6月24日 最高裁大法廷 昭41(オ)444号 取締役の責任追及請求上告事件 〔八幡製鉄政治献金事件・上告審〕
(71)昭和45年 6月23日 東京地裁 昭43(ヨ)2402号 仮処分申請事件 〔日本経済新聞懲戒解雇事件〕
(72)昭和45年 6月23日 東京地裁 昭42(モ)15801号・昭42(モ)15803号・昭42(ヨ)2317号 仮処分申請、仮処分異議事件 〔亜細亜通信社解雇事件〕
(73)昭和45年 6月10日 岡山地裁 昭38(ワ)595号 地位確認等請求事件 〔山陽新聞懲戒解雇事件〕
(74)昭和45年 5月29日 東京地裁 昭43(ワ)9154号 労働契約存在確認等請求事件 〔問谷製作所解雇事件〕
(75)昭和45年 5月29日 大阪地裁 昭39(ワ)5180号 損害賠償ならびに謝罪文交付請求事件
(76)昭和45年 5月21日 東京地裁 昭43(合わ)308号・昭44(刑わ)5308号 爆発物取締罰則違反・火薬類取締法違反・暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(77)昭和45年 5月 4日 大阪地裁 昭35(わ)255号 贈賄・単純収賄・受託収賄被告事件
(78)昭和45年 4月27日 東京高裁 昭43(行コ)44号 判定及び休職処分取消請求控訴事件
(79)昭和45年 4月13日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔目黒電報電話局懲戒戒告事件〕
(80)昭和45年 4月 3日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件
(81)昭和45年 3月30日 青森地裁 昭42(わ)57号 国家公務員法違反事件 〔いわゆる青森営林局員選挙運動事件・第一審〕
(82)昭和45年 3月 2日 長野地裁 昭40(行ウ)14号 入場税等賦課決定取消請求事件
(83)昭和45年 2月27日 福岡地裁 昭43(行ウ)12号 休職処分取消請求事件 〔福岡中央郵便局職員起訴休職事件〕
(84)昭和45年 2月16日 東京地裁 昭41(ヨ)2340号 仮処分申請事件 〔高砂暖房器ショップ制解雇事件〕
(85)昭和45年 1月30日 東京地裁 昭42(ヨ)2373号 仮処分申請事件 〔三元貿易解雇事件〕
(86)昭和45年 1月23日 京都地裁 昭41(ヨ)242号 健康会懲戒解雇事件
(87)昭和45年 1月12日 大阪地裁堺支部 昭43(ヨ)370号 仮処分申請事件 〔セントラル硝子政治活動妨害事件〕
(88)昭和44年12月26日 大阪地裁 昭42(ヨ)1874号 仮処分申請事件 〔日中旅行社解雇事件〕
(89)昭和44年12月17日 東京高裁 昭41(う)598号 公務執行妨害被告事件 〔いわゆる第二次国会乱闘事件・控訴審〕
(90)昭和44年11月15日 東京地裁 昭34(行)108号 免職処分無効確認事件 〔郵政省職員免職事件〕
(91)昭和44年11月11日 名古屋地裁 昭28(わ)2403号 騒擾,放火,同未遂,爆発物取締罰則違反,外国人登録法違反各被告事件 〔大須事件・第一審〕
(92)昭和44年11月11日 名古屋地裁 昭27(わ)1053号 騒擾、暴力行為等処罰に関する法律違反、放火未遂、外国人登録法違反、外国人登録令違反被告事件 〔大須事件・第一審〕
(93)昭和44年11月 8日 東京地裁 昭43(ワ)662号 損害賠償請求訴訟事件 〔台湾青年独立連盟所属中国人退去強制事件損害賠償請求・第一審〕
(94)昭和44年10月17日 福岡高裁 昭44(う)70号 公職選挙法違反被告事件
(95)昭和44年10月 8日 盛岡地裁 昭39(わ)137号 公職選挙法違反被告事件
(96)昭和44年 9月26日 東京地裁 昭42(ワ)7235号 損害賠償請求事件
(97)昭和44年 9月20日 大阪地裁 昭44(行ク)21号 市議会議員除名処分執行停止申立事件
(98)昭和44年 9月 5日 金沢地裁 昭34(ワ)401号 損害賠償請求事件 〔北陸鉄道労組損害賠償請求事件〕
(99)昭和44年 6月16日 東京高裁 昭41(う)984号 軽犯罪法違反被告事件
(100)昭和44年 6月14日 東京地裁 昭40(特わ)555号 国家公務員法違反、公職選挙法違反被告事件 〔総理府統計局事件・第一審〕


政治と選挙の裁判例(裁判例リスト)

■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/

■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/

■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/

■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/

■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/

■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/

■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/

■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/

■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/

■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/

■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/

■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/

■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/

■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/

■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/

■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/

■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/

■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/

■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/

■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/

■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/

■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/

■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/

■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/

■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/

■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


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