政治と選挙Q&A「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例(70)昭和45年 6月24日 最高裁大法廷 昭41(オ)444号 取締役の責任追及請求上告事件 〔八幡製鉄政治献金事件・上告審〕
裁判年月日 昭和45年 6月24日 裁判所名 最高裁大法廷 裁判区分 判決
事件番号 昭41(オ)444号
事件名 取締役の責任追及請求上告事件 〔八幡製鉄政治献金事件・上告審〕
裁判結果 上告棄却 文献番号 1970WLJPCA06240002
要旨
◆政治資金の寄附と会社の権利能力
◆会社の政党に対する政治資金の寄附の自由と憲法三章
◆商法二五四条ノ二の趣旨
◆取締役が会社を代表して政治資金を寄附する場合と取締役の忠実義務
◆会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎり、会社の権利能力の範囲に属する行為である。(意見がある。)
◆憲法三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものであるから、会社は、公共の福祉に反しないかぎり、政治的行為の自由の一環として、政党に対する政治資金の寄附の自由を有する。
◆商法二五四条ノ二の規定は、同法二五四条三項、民法六四四条に定める善管義務をふえんし、かつ、一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものではない。
◆取締役が会社を代表して政治資金を寄附することは、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位および寄附の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内においてなされるかぎり、取締役の忠実義務に違反するものではない。
新判例体系
民事法編 > 商法 > 商法〔明治三二年法律… > 旧第二編 会社〔平成… > 第一章 総則 > 第五四条 > ○法人性 > 目的上の制限 > 目的の範囲 > 政治献金
◆会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎり、会社の権利能力の範囲に属する行為である。
民事法編 > 商法 > 商法〔明治三二年法律… > 旧第二編 会社〔平成… > 第四章 株式会社 > 第三節 会社ノ機関 > 第二款 取締役及取締… > 第二五四条ノ三 > ○取締役の忠実義務 > (一)本条の趣旨
◆本条の規定は、同商法第二五四条第三項、民法第六四四条に定める善管義務をふえんし、かつ、一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものではない。
民事法編 > 商法 > 商法〔明治三二年法律… > 旧第二編 会社〔平成… > 第四章 株式会社 > 第三節 会社ノ機関 > 第二款 取締役及取締… > 第二五四条ノ三 > ○取締役の忠実義務 > (三)義務違反の有無 > (1)政治献金
◆取締役が会社を代表して政治資金を寄附することは、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄附の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内においてなされるかぎり、取締役の忠実義務に違反するものではない。
裁判経過
控訴審 昭和41年 1月31日 東京高裁 判決 昭38(ネ)791号 取締役の責任追及請求事件 〔八幡製鉄政治献金事件・控訴審〕
第一審 昭和38年 4月 5日 東京地裁 判決 昭36(ワ)2825号 取締役の責任追求事件 〔八幡製鉄政治献金事件・第一審〕
出典
民集 24巻6号625頁
裁判集民 99号431頁
判タ 249号116頁
判時 596号3頁
金法 585号16頁
金商 217号5頁
ジュリ 455号114頁
旬刊商事法務 529号3頁
評釈
柳川俊一・最高裁判所判例解説 民事篇(昭和45年度) 883頁
柳川俊一・判解88事件・曹時 23巻10号237頁
本秀紀・ジュリ 1289号111頁
柳川俊一・ジュリ 459号108頁
河本一郎・ジュリ臨増 482号86頁
岩田合同法律事務所・新商事判例便覧 866号(旬刊商事法務531号)
柳川俊一・金法 589号30頁
千種秀夫・金法 584号13頁
高鳥正夫・金商 239号2頁
毛利透・ジュリ別冊 245号18頁(憲法判例百選Ⅰ 第7版)
川口恭弘・ジュリ別冊 229号8頁(会社法判例百選 第3版)
毛利透・ジュリ別冊 217号20頁(憲法判例百選Ⅰ 第6版)
泉田栄一・ジュリ別冊 205号8頁(会社法判例百選 第2版)
後藤元伸・ジュリ別冊 195号18頁(民法判例百選Ⅰ・総則・物権 第6版)
莵原明・ジュリ別冊 186号24頁(憲法判例百選Ⅰ 第5版)
泉田栄一・ジュリ別冊 180号8頁(会社法判例百選)
前田達明・ジュリ別冊 175号24頁(民法判例百選Ⅰ 総則・物権 第5版新法対応補正版)
前田達明・ジュリ別冊 159号24頁(民法判例百選Ⅰ 総則・物権 第5版)
野中俊彦・ジュリ別冊 155号338頁(憲法判例百選Ⅱ 第4版)
莵原明・ジュリ別冊 154号22頁(憲法判例百選Ⅰ 第4版)
中原俊明・ジュリ別冊 149号8頁(会社判例百選 第6版)
前田達明・ジュリ別冊 136号24頁(民法判例百選Ⅰ 総則・物権 第4版)
野中俊彦・ジュリ別冊 131号330頁(憲法判例百選Ⅱ 第3版)
莵原明・ジュリ別冊 130号20頁(憲法判例百選Ⅰ 第3版)
鈴木竹雄・ジュリ別冊 116号8頁(会社判例百選 第5版)
森泉章・ジュリ別冊 104号24頁(民法判例百選Ⅰ 総則・物権 第3版)
野中俊彦・ジュリ別冊 96号324頁(憲法判例百選Ⅱ 第2版)
寿田竜輔・ジュリ別冊 95号16頁(憲法判例百選Ⅰ 第2版)
鈴木竹雄・ジュリ別冊 80号12頁(会社判例百選 第4版)
森泉章・ジュリ別冊 77号30頁(民法判例百選Ⅰ 総則・物権 第2版)
野中俊彦・ジュリ別冊 69号264頁(憲法判例百選Ⅱ)
寿田竜輔・ジュリ別冊 68号16頁(憲法判例百選Ⅰ)
鈴木竹雄・ジュリ別冊 63号10頁(会社判例百選 第3版)
森泉章・ジュリ別冊 46号30頁(民法判例百選Ⅰ 総則・物権)
鈴木竹雄・ジュリ別冊 29号10頁(会社判例百選新版 新版)
西原寛一・民商 64巻3号508頁
佐々木善三・研修 599号75頁
吉井溥・ひろば 23巻11号37頁
高橋英治・法教 369号140頁
芹沢斉・法教別冊(憲法の基本判例) 10頁
上脇博之・法政論集(名古屋大学) 230号29頁
市川兼三・香川大学経済論叢 44巻4~6号89頁
S.H.E.・時の法令 722号55頁
遠藤浩・民事研修 429号37頁
山田創一・「民法総則・物権法(民法判例30講)」 15頁(成文堂)
芹沢斉・法教増刊(憲法の基本判例:第2版) 10頁
清水暁・法セ 257号89頁
奥島孝康・法セ 241号121頁
マーチン=ケルナー、高橋英治(訳)・法学雑誌(大阪市立大学) 57巻1号73頁
参照条文
商法166条
商法254条
商法254条ノ3
商法52条
日本国憲法11条
日本国憲法15条
日本国憲法21条
民法43条
裁判年月日 昭和45年 6月24日 裁判所名 最高裁大法廷 裁判区分 判決
事件番号 昭41(オ)444号
事件名 取締役の責任追及請求上告事件 〔八幡製鉄政治献金事件・上告審〕
裁判結果 上告棄却 文献番号 1970WLJPCA06240002
上告人 有田勉三郎
代理人 有賀正明
同 吉田元
同 長岡邦
被上告人 小島新一
同 角野尚徳
右両名代理人 新家猛
同 坂野滋
同 長野法夫
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人有賀正明、同吉田元、同長岡邦の上告理由第二点ならびに上告人の上告理由第一および第二について。
原審の確定した事実によれば、訴外八幡製鉄株式会社は、その定款において、「鉄鋼の製造および販売ならびにこれに附帯する事業」を目的として定める会社であるが、同会社の代表取締役であつた被上告人両名は、昭和三五年三月一四日、同会社を代表して、自由民主党に政治資金三五〇万円を寄附したものであるというにあるところ、論旨は、要するに、右寄附が同会社の定款に定められた目的の範囲外の行為であるから、同会社は、右のような寄附をする権利能力を有しない、というのである。
会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するわけであるが、目的の範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限局されるものではなく、その目的を遂行するうえに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含されるものと解するのを相当とする。そして必要なりや否やは、当該行為が目的遂行上現実に必要であつたかどうかをもつてこれを決すべきではなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断されなければならないのである(最高裁昭和二四年(オ)第六四号・同二七年二月一五日第二小法廷判決・民集六巻二号七七頁、同二七年(オ)第一〇七五号・同三〇年一一月二九日第三小法廷判決・民集九巻一二号一八八六頁参照)。
ところで、会社は、一定の営利事業を営むことを本来の目的とするものであるから、会社の活動の重点が、定款所定の目的を遂行するうえに直接必要な行為に存することはいうまでもないところである。しかし、会社は、他面において、自然人とひとしく、国家、地方公共団体、地域社会その他(以下社会等という。)の構成単位たる社会的実在なのであるから、それとしての社会的作用を負担せざるを得ないのであつて、ある行為が一見定款所定の目的とかかわりがないものであるとしても、会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものであるかぎり、その期待ないし要請にこたえることは、会社の当然になしうるところであるといわなければならない。そしてまた、会社にとつても、一般に、かかる社会的作用に属する活動をすることは、無益無用のことではなく、企業体としての円滑な発展を図るうえに相当の価値と効果を認めることもできるのであるから、その意味において、これらの行為もまた、間接ではあつても、目的遂行のうえに必要なものであるとするを妨げない。災害救援資金の寄附、地域社会への財産上の奉仕、各種福祉事業への資金面での協力などはまさにその適例であろう。会社がその社会的役割を果たすために相当な程度のかかる出捐をすることは、社会通念上、会社としてむしろ当然のことに属するわけであるから、毫も、株主その他の会社の構成員の予測に反するものではなく、したがつて、これらの行為が会社の権利能力の範囲内にあると解しても、なんら株主等の利益を害するおそれはないのである。
以上の理は、会社が政党に政治資金を寄附する場合においても同様である。憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。そして同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であるから、政党のあり方いかんは、国民としての重大な関心事でなければならない。したがつて、その健全な発展に協力することは、会社に対しても、社会的実在としての当然の行為として期待されるところであり、協力の一態様としての政治資金の寄附についても例外ではないのである。
論旨のいうごとく、会社の構成員が政治的信条を同じくするものでないとしても、会社による政治資金の寄附が、特定の構成員の利益を図りまたその政治的志向を満足させるためでなく、会社の一構成単位たる立場にある会社に対し期待ないし要請されるかぎりにおいてなされるものである以上、会社にそのような政治資金の寄附をする能力がないとはいえないのである。上告人のその余の論旨は、すべて独自の見解というほかなく、採用することができない。要するに、会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げないのである。
原判決は、右と見解を異にする点もあるが、本件政治資金の寄附が八幡製鉄株式会社の定款の目的の範囲内の行為であるとした判断は、結局、相当であつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は、採用することができない。
上告代理人有賀正明、同吉田元、同長岡邦の上告理由第一点および上告人の上告理由第四について。
論旨は、要するに、株式会社の政治資金の寄附が、自然人である国民にのみ参政権を認めた憲法に反し、したがつて、民法九〇条に反する行為であるという。
憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは、所論のとおりである。しかし、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。のみならず、憲法第三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によつてそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあつたとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。論旨は、会社が政党に寄附をすることは国民の参政権の侵犯であるとするのであるが、政党への寄附は、事の性質上、国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではないばかりでなく、政党の資金の一部が選挙人の買収にあてられることがあるにしても、それはたまたま生ずる病理的現象に過ぎず、しかも、かかる非違行為を抑制するための制度は厳として存在するのであつて、いずれにしても政治資金の寄附が、選挙権の自由なる行使を直接に侵害するものとはなしがたい。会社が政治資金寄附の自由を有することは既に説示したとおりであり、それが国民の政治意思の形成に作用することがあつても、あながち異とするには足りないのである。所論は大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を産むべく、また、もし有力株主が外国人であるときは外国による政治干渉となる危険もあり、さらに豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成するというのであるが、その指摘するような弊害に対処する方途は、さしあたり、立法政策にまつべきことであつて、憲法上は、公共の福祉に反しないかぎり、会社といえども政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ず、これをもつて国民の参政権を侵害するとなす論旨は採用のかぎりでない。
以上説示したとおり、株式会社の政治資金の寄附はわが憲法に反するものではなく、したがつて、そのような寄附が憲法に反することを前提として、民法九〇条に違反するという論旨は、その前提を欠くものといわなければならない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用しがたい。
上告代理人有賀正明、同吉田元、同長岡邦の上告理由第三点および上告人の上告理由第三について。
論旨は、要するに、被上告人らの本件政治資金の寄附は、商法二五四条ノ二に定める取締役の忠実義務に違反するというのである。
商法二五四条ノ二の規定は、同法二五四条三項民法六四四条に定める善管義務を敷衍し、かつ一層明確にしたにとどまるのであつて、所論のように、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものとは解することができない。ところで、もし取締役が、その職務上の地位を利用し、自己または第三者の利益のために、政治資金を寄附した場合には、いうまでもなく忠実義務に反するわけであるが、論旨は、被上告人らに、具体的にそのような利益をはかる意図があつたとするわけではなく、一般に、この種の寄附は、国民個々が各人の政治的信条に基づいてなすべきものであるという前提に立脚し、取締役が個人の立場で自ら出捐するのでなく、会社の機関として会社の資産から支出することは、結果において会社の資産を自己のために費消したのと同断だというのである。会社が政治資金の寄附をなしうることは、さきに説示したとおりであるから、そうである以上、取締役が会社の機関としてその衝にあたることは、特段の事情のないかぎり、これをもつて取締役たる地位を利用した、私益追及の行為だとすることのできないのはもちろんである。論旨はさらに、およそ政党の資金は、その一部が不正不当に、もしくは無益に、乱費されるおそれがあるにかかわらず、本件の寄附に際し、被上告人らはこの事実を知りながら敢て目をおおい使途を限定するなど防圧の対策を講じないまま、漫然寄附をしたのであり、しかも、取締役会の審議すら経ていないのであつて、明らかに忠実義務違反であるというのである。ところで、右のような忠実義務違反を主張する場合にあつても、その挙証責任がその主張者の負担に帰すべきことは、一般の義務違反の場合におけると同様であると解すべきところ、原審における上告人の主張は、一般に、政治資金の寄附は定款に違反しかつ公序を紊すものであるとなし、したがつて、その支出に任じた被上告人らは忠実義務に違反するものであるというにとどまるのであつて、被上告人らの具体的行為を云々するものではない。もとより上告人はその点につき何ら立証するところがないのである。したがつて、論旨指摘の事実は原審の認定しないところであるのみならず、所論のように、これを公知の事実と目すべきものでないことも多言を要しないから、被上告人らの忠実義務違反をいう論旨は前提を欠き、肯認することができない。いうまでもなく取締役が会社を代表して政治資金の寄附をなすにあたつては、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位および寄附の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内において、その金額等を決すべきであり、右の範囲を越え、不相応な寄附をなすがごときは取締役の忠実義務に違反するというべきであるが、原審の確定した事実に即して判断するとき、八幡製鉄株式会社の資本金その他所論の当時における純利益、株主配当金等の額を考慮にいれても、本件寄附が、右の合理的な範囲を越えたものとすることはできないのである。
以上のとおりであるから、被上告人らがした本件寄附が商法二五四条ノ二に定める取締役の忠実義務に違反しないとした原審の判断は、結局相当であつて、原判決に所論の違法はなく、論旨はこの点についても採用することができない。
上告人の上告理由第五について。
所論は、原判決の違法をいうものではないから、論旨は、採用のかぎりでない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官入江俊郎、同長部謹吾、同松田二郎、同岩田誠、同大隅健一郎の意見があるほか、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
裁判官松田二郎の意見は、次のとおりである。
本件は、いわゆる八幡製鉄株式会社の政治献金事件に関し、その株主である上告人の提起した株主の代位訴訟(商法二六七条)に基づく訴であり、原審は、上告人の請求を排斥した。私は、その結果をば正当と考えるものである。しかし、その理由は、必ずしも多数意見と同様ではない。ただ、本件の一審判決以来、これに関する多くの批評、論文が発表されていて、細別するときは、意見はきわめて区々であるといえよう。私の意見は、次のとおりである。
(一) 多数意見は、まず、会社の権利能力について、次のごとくいうのである。曰く「会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するわけであるが、目的の範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限局されるものではなくその目的を遂行するうえに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含されるものと解するを相当とする」と。これは、用語上、多少の差異あるは別として、当裁判所従来の判例のいうところと同趣旨であるといえよう。そして、多数意見は、会社による政治資金の寄附について、曰く「会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果すためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げない」と。これによると、多数意見は、会社による政治献金を無制限に許容するものでなく、「会社の社会的役割を果すためになされたものと認められるかぎり」との制限の下に、これを是認するものと一応解される。
しかし、他面において、多数意見は、会社の行なう政治献金が政党の健全な発展のための協力であることを強調するのである。曰く、「政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。そして同時に、政党は国民の政治意思を形成する最有力な媒体であるから、政党のあり方いかんは、国民としての重大な関心事でなければならない。したがつて、その健全な発展に協力することは、会社に対しても、社会的実在としての当然の行為として期待されるところであり、協力の一態様としての政治資金の寄附についても例外ではないのである」(傍点は、私の附するところである)と。そして、多数意見がこのように、会社による政治資金の寄附の根拠を「会社の社会的実在」ということに置く以上、自然人もまた社会的実在たるからには、両者は、この点において共通の面を有することとなろう。そして、私の見るところでは、多数意見は、この面を強調して会社と自然人とをパラレルに考えるもののごとく思われるのである。多数意見はいう。「会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり……」と。かくて、多数意見は、会社による政治資金の寄附の自由を自然人の政治資金の寄附の自由と同様に解するがごとく思われる。しかして、自然人が政治資金の寄附のためその者の全財産を投入しても法的には何等とがむべきものを見ない以上、多数意見は、会社による政治資金の寄附をきわめて広く承認するもののごとくさえ解されるのである。
この点に関連して注目すべきは、政治献金についての取締役の責任について多数意見のいうところである。多数意見はいう。「取締役が会社を代表して政治資金の寄附をなすにあたつては、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位および寄附の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内においてその金額等を決すべきであり、右の範囲を越え、不相応な寄附をなすがごときは取締役の忠実義務に違反するものというべきである」と。思うに、取締役が会社を代表して政治献金をするについて、多数意見のいう右の諸点を考慮すべきことは当然であろう。しかしながら、多数意見が政治資金の寄附に関し、取締役に対し対会社関係において右のごとき忠実義務に基づく厳格な制約を課するにかかわらず、会社自体のなす政治献金について何等かかる制約の存在に言及しないのは、注目すべきことであろう。そして、多数意見のいうところより判断すれば、あるいは多数意見は、会社自体のなす政治資金の寄附については取締役に課せられた制限とは必ずしも関係なく、ただ、「定款所定の目的の範囲内」なるか否かの基準によつて、その寄附の有効無効を決するとしているものとも思われる。しかし、判例上、会社の行為が定款所定の目的の範囲外として無効とされたものを容易に見出し難い以上、多数意見によるときは、会社による政治資金の寄附は、実際上、きわめて広く肯定され、あるいは、これをほとんど無制限に近いまで肯定するに至る虞なしといえないのである。私としては、このような見解に対して疑を懐かざるを得ないのである。
思うに、会社は定款所定の目的の範囲内において権利能力を有するとの見解は、民法四三条をその基礎とするものであるが、右法条は、わが国の民商法が立法の沿革上、大陸法系に属するうちにあつて、いわば例外的に英米法に従い、そのいわゆる「法人の目的の範囲外の行為」(ultra vires)の法理の流を汲むものとせられている。そして、もし、略言することが許されるならば、この法理は、法人擬制説によるものであつて、法人はその目的として示されているところを越えて行動するとき、それは効力なしとするものといえよう。そこでは、「定款所定の目的」と「権利能力」との間に、深い関連が認められているのである。もつとも、理論的に考察するとき、「定款所定の目的の範囲」と「権利能力の範囲」とは、本来別個の問題であるべきであるが、わが国の判例がかかる理論に泥むことなく、法人は「定款所定の目的の範囲内」において「権利能力」を有するものとし、会社についてはその目的の範囲をきわめて広く解することによつて、会社の権利能力を広範囲に認めて来たことを、私は意味深く感じ、判例のこの態度に賛するものである。判例法とは、かくのごとき形態の下に形成されて行くものであろう。そして、他の法人に比して、会社についてその権利能力の範囲を特に広く認めるに至つたのは、会社の営利性と取引の安全の要請に基づくものと解されるのである。
思うに、法律上、会社は独立の人格を有し、社員の利益とは異るところの会社自体―企業自体―の利益を有するものではあるが、営利法人である以上、会社は単に会社自体の利益を図ることだけでは足りず、その得た利益を社員に分配することを要するのである。株式会社について、株主の利益配当請求権が「固有権」とされているのは、このことを示すのである。ここに、会社の特質が存在するのであつて、いわば、会社は、本来はこのような営利目的遂行のための団体であり、そのため権利能力を付与されたものといえよう。それは本来、政治団体でもなく、慈善団体でもないのである。そして、会社が企業として活動をなすからには、その「面」において権利能力を広範囲に亘つて認めることが当然に要請される。けだし、これによつて、会社は、営利的活動を充分になし得るし、また、取引の安全を確保し得るからである。
そして、近時、英米法上においてultra viresの法理を制限しまたは廃止しようとする傾向を見、わが国において、学説上、会社につき「目的による制限」を認めないものが抬頭しているのは、叙上のことに思を致すときは、容易にこれを理解し得るのである(この点に関し、青木徹二博士が明治の末葉において夙に民法四三条が会社に適用がないと主張されたことに対し、その慧眼を思うものである。もつとも、私が「目的の範囲」による制限を認めることは、既に述べたところである。)
そして、叙上の見地に立つて、わが国の判例を見るとき、近時のもののうちにさえ、会社以外の法人、たとえば農業協同組合につき、金員貸付が「組合の目的の範囲内に属しない」としたもの(最高裁判所昭和四〇年(オ)第三四八号同四一年四月二六日判決、民集二〇巻四号八四九頁)を見るにかかわらず、会社については、たとえば、大審院明治三七年五月一〇日判決が「営業科目ハ……定款ニ定メタルモノニ外ナラサレハ取締役カ定款ニ反シ営業科目ニ属セサル行為ヲ為シタルトキハ会社ハ之ニ関シ責任ヲ有セス」(民録一〇輯六三八頁)という趣旨を判示したなど、きわめて旧時における二、三の判例を除外すれば、会社の行為をもつて定款所定の目的の範囲外としたものを大審院並びに最高裁判所の判例中に見出し難いのである。換言すれば、判例は、表面上、会社につき「定款所定の目的による制限」を掲げながら、実際問題としては、会社の行為につき、この制限を越えたものを認めなかつたことを示すものといえよう。これは、わが国の判例が会社については英米法上のultra viresの制限撤廃に近い作用を夙に行なつていたのである。
しかし、会社に対してこのように広範囲の権利能力の認められるのは、前述のように、会社企業の営利的活動の自由、取引の安全の要請に基づくものである。したがつて、会社といえどもしからざる面―ことに営利性と相容れざるものともいうべき寄附―において、その権利能力の範囲を必ずしも広く認めるべき必要を見ないものといえよう。私は、アメリカ法について知るところが少ないのではあるが、そこでは、会社の寄附に関し、最初は、それが会社の利益のためになされた場合にかぎり、その効力を認め、慈善のための理由だけの寄附は認められなかつたこと、その寄附が会社事業に益し、または、従業員の健康、福祉を増進するためのものであればこれを認めるに至つたこと、そして、次第に慈善事業のための寄附が広く認められるに至つたとされることに興味を覚える。それは会社制度の発展に従い、会社企業の行動が社会の各方面に影響することが大となるに伴つて、会社がある種の寄附をすることが、いわば、その「社会的責任」として認められるに至つたものといい得よう。それは会社として義務を負担し得る範囲の拡大であり、この点で「権利能力」の拡大といい得るにしても、しかし、それは、会社が本来の企業としての性格に基づいて、広範囲に亘つて権利義務の主体たり得ることとは、面を異にし、これとは別個の法理に従うものであり、そこには自ら制約があるものと思うのである。詳言すれば、会社の権利能力は企業としての営利的活動の面においては客観的、抽象的に決せられ、その範囲も広いのに対し、然らざる面、ことに寄附を行なう面においては、会社の権利能力は個別的、具体的に決せられ、その範囲も狭小というべきであろう。そして、この後者について、会社は各個の具体的場合によつて「応分」の寄附が認められるに過ぎないのである。この点に関し、商法を企業法とし、この見地より会社法を考察したウイーラントが公共の目的や政治的プロパガンダなどのために、会社の利得を処分することは、営利会社の目的と合致しないとしてこれを否定しながら、業務上通常の範囲に属すると認められる贈与は許容されるとし、また、道義的、社会的義務の履行―たとえば、従業員や労働者のための年金や保険の基金をつくること―のため会社の利得を用いることは許される旨(Karl Wieland, Handelsrecht, Bb. Ⅱ, S.219)の主張をしているのは、たとえ、彼の所説が既に旧時のものに属するにせよ、会社の営利性と会社による寄附との関係の本質に言及したものとして、意味深く覚えるのである。
私の解するところによれば、会社の行なう寄附は、それが会社従業員のため、会社所在の市町村の祭典のため、社会一般に対する慈善事業のため、あるいは、政党のためなど、その対象を異にするによつて、各別に考察すべきものであり、その間に段階的にニュアンスの差があるものと考える。そして、その寄附の有効無効は、その寄附の相手方と会社との関係、その会社の規模、資産状態等諸般の事情によつて、会社の権利能力の範囲内に属するや否や決せられるものである。私は、この点につき、多数意見―先に引用したところである―が、「会社は自然人たる国民と同様国や政党の特定の政策を支持、推進または反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附も正にその自由の一環である」とし、会社と自然人の行なう政治資金の寄附を同様に解するごとくいうことに対して大なる疑を持つ。けだし、自然人は、自己の有する全財産をある政党に寄附する自由があるにしても、会社についてはこれと同様に論ずべきではないからである。
もつとも、私の叙上の見解に対し、かかる見解を採るときは、会社による寄附が「応分」なるか否かを具体的場合について決すべきこととなり、寄附の効力がきわめて不安定になるとの非難があるであろう。しかし、それは、従来、「正当の事由」ということが、各場合の状況により具体的に判断されるに類するといえよう。そして、会社による寄附の効力は、新しく提起された問題であるが、やがて判例の積み重ねによつてその基準が次第に明らかになつてゆくであろう(会社関係において画一的基準が明らかでないことは、望ましいことではない。しかし、止むを得ない場合には、かかることを生じるのである。たとえば、株式の引受または株金払込の欠陥がある場合、それがいかなる程度のもののとき会社の設立無効を来すかは、具体的に決める外はないのである)。そして、その献金が会社の権利能力の範囲外の行為として無効と認められる場合でも、相手方の保護を全く欠くわけではない。何となれば、これを約した会社の代表取締役は、民法一一七条により相手方に対しその責に任ずべきものだからである。かくて、叙上に照して多数意見を見るならば、それは会社がその企業としての営利的活動の面において認められた広範囲の権利能力をば、不当に会社の行なう政治献金にまで拡大したもののごとく思われる。そして、多数意見によるときは、会社の代表者が恣意的に当該会社としては不相応の巨額の政治献金をしたときでも、それが有効となり、その事により会社の経営が危殆に陥ることすら生じ得るであろう。かかることは、企業の維持の点よりしても、また、社会的観点よりしても、寒心すべきはいうまでもないのである。
(二) 会社による政治資金のための寄附の効力は、叙上のごとくである。しかし、会社の代表者として政治資金のための寄附をした取締役の会社に対する責任は、別個に考察すべき問題である。したがつて、会社の代表者として行なつたかかる寄附が無効であり、会社が既にその出捐を了したときは、その取締役は、これにつき会社に対して当然その責に任ずるが、たとえそのような寄附が会社の行為として対外的に有効のときであつても、その寄附をした取締役の対会社の責任は生じ得るのである。これは、会社の権利能力の問題と取締役の対会社関係における善管義務、忠実義務の問題とは、別個に考察されるべきものであるからである。たとえば、会社の代表取締役が自己の個人的利益のため政治資金を寄附したところ、それが会社の行為として有効と認められた場合において、かくのごときことを生じ得よう。
(三) 今、叙上論じたところに照して本件をみるに、原審認定の事実関係の下では、被上告人らが訴外八幡製鉄株式会社の代表取締役として自由民主党に対してした政治資金三五〇万円の本件寄附は、右会社の目的の範囲内の行為であり、かつ、取締役の会社に対する善管義務、忠実義務の違反ともなり得ないものと解される。したがつて、訴外会社の株主たる上告人が株主の代位訴訟に基づき被上告人らに対して提起した訴につき、上告人の請求を棄却した原審の判断は正当であり、本件上告は理由なきに帰するのである。
裁判官入江俊郎、同長部謹吾、同岩田誠は、裁判官松田二郎の意見に同調する。
裁判官大隅健一郎の意見は、つぎのとおりである。
私は、本判決の結論には異論はないが、多数意見が会社の権利能力について述べるところには、つぎの諸点において賛成することができない。
(一) 多数意見は、会社の権利能力についても民法四三条の規定が類推適用され、会社は定款によつて定まつた目的の範囲内においてのみ権利を有し義務を負う、とする見解をとつている。これは、会社は、自然人と異なり、一定の目的を有する人格者であるから、その目的の範囲内においてのみ権利義務の主体となりうるのが当然であるのみならず、会社の社員は、会社財産が定款所定の目的のために利用されることを期待して出資するのであるから、その社員の利益を保護するためにも、会社の権利能力を定款所定の目的の範囲内に限定する必要がある、という理由に基づくものではないかと推測される。しかしながら、会社の目的と権利能力との関係の問題は、単に会社の法人たる性質から観念的、抽象的にのみ決するのは不適当であつて、会社の活動に関連のある諸利益を比較衡量して、これをいかに調整するのが妥当であるか、の見地において決すべきものと考える。そして、このような見地において主として問題となるのは、会社財産が定款所定の目的のために使用されることを期待する社員の利益と、会社取引関係に立つ第三者の利益である。
おもうに、会社が現代の経済を担う中核的な存在として、その活動範囲はきわめて広汎にわたり、日常頻繁に大量の取引を行なつている実情のもとにおいては、それぞれの会社の定款所定の目的は商業登記簿に登記されているとはいえ、会社と取引する第三者が、その取引に当たり、一々その取引が当該会社の定款所定の目的の範囲内に属するかどうかを確かめることは、いうべくして行ないがたいところであるのみならず、その判断も必ずしも容易ではなく、一般にはそれが会社の定款所定の目的といかなる関係にあるかを顧慮することなく取引するのが通常である。したがつて、いやしくも会社の名をもつてなされる取引行為については、それがその会社の定款所定の目的の範囲内に属すると否とを問わず、会社をして責任を負わせるのでなければ、取引の安全を確保し、経済の円滑な運営を期待することは困難であつて、いたずらに会社に責任免脱の口実を与える結果となるのを免れないであろう。事実審たる下級裁判所の判決をみると、多数意見と同様の見解をとる従来の判例の立場に立ちながらも、実際上会社の権利能力の範囲をできるだけ広く認める傾向にあり、中には判例の立場をふみ越えているものも見られるのは、上述の事情を敏感かつ端的に反映するものというほかないと思う。それゆえ、会社の権利能力は定款所定の目的によつては制限されないものと解するのが、正当であるといわざるをえない。公益法人については、公益保護の必要があり、また、その対外的取引も会社におけるように広汎かつ頻繁ではないから、民法四三条がその権利能力を定款または寄附行為によつて定まつた目的の範囲内に制限していることは、必ずしも理由がないとはいえない。しかし、商法は、公益法人に関する若干の規定を会社に準用しながら(たとえば、商法七八条二項・二六一条三項等)、とくにこの規定は準用していないのであるから、同条は公益法人にのみ関する規定と解すべきであつて、これを会社に類推適用することは、その理由がないばかりでなく、むしろ不当といわなければならない。もちろん、社員は会社財産が定款所定の目的以外に使用されないことにつき重要な利益を有し、その利益を無視することは許されないが、その保護は、株式会社についていえば、株主の有する取締役の違法行為の差止請求権(商法二七二条)・取締役の解任請求権(商法二五七条三項)、取締役の会社に対する損害賠償責任(商法二六六条)などの会社内部の制度にゆだねるべきであり、また、定款所定の目的は会社の代表機関の代表権を制限するものとして(ただし、その制限は善意の第三者には対抗できないが。)意味を有するものと解すべきであると考える。従来、会社の能力の目的による制限を認めていたアメリカにおいても、そのいわゆる能力外の法理(ultra vires doctrine)を否定する学説、立法が漸次有力になりつつあることは、この点において参考とするに足りるであろう。
以上のようにして、会社の権利能力は定款所定の目的によつては制限されないものと解すべきであるが、しかし、すべての会社に共通な営利の目的によつて制限されるものと解するのが正当ではないかと考える。法は、営利法人と公益法人とを区別して、これをそれぞれ別個の規制に服せしめているのであるから、この区別をも無視するような解釈は行きすぎといわざるをえないからである。そして、このように解しても、客観的にみて経済的取引行為と判断される行為は一般に営利の目的の範囲内に属するものと解せられるから、格別取引安全の保護に欠けるところはないであろう。
(二) 多数意見は、会社の権利能力は定款に定められた目的の範囲内に制限されると解しながら、災害救援資金の寄附、地域社会への財産上の奉仕、政治資金の寄附なども、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとすることにより、これを会社の権利能力の範囲内に属するものと解している。それによると、会社は「自然人とひとしく、国家、地方公共団体、地域社会その他(以下社会等という。)の構成単位たる社会的実在なのであるから、それとしての社会的作用を負担せざるを得ないのであつて、ある行為が一見定款所定の目的とかかわりがないものであるとしても、会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものであるかぎり、その期待ないし要請にこたえることは、会社の当然になしうるところであるといわなければならない。そしてまた、会社にとつても、一般に、かかる社会的作用に属する活動をすることは、無益無用のことではなく、企業体としての円滑な発展を図るうえに相当の価値と効果を認めることもできるのであるから、その意味において、これらの行為もまた、間接ではあつても、目的遂行のうえに必要なものであるとするを妨げない。」というのである。私は、この所論の内容にとくに異論を有するものではないが、しかし、このような理論をもつて、右のような行為が会社の定款所定の目的の範囲内の行為であり、したがつて、会社の権利能力の範囲内に属するとする考え方そのものに、疑問を抱かざるをえないのである。
多数意見が類推適用を認める民法四三条にいわゆる定款によつて定まつた目的とは、それぞれの会社の定款の規定によつて個別化された会社の目的たる事業をいうのであつて、これを本件訴外八幡製鉄株式会社についていえば、「鉄鋼の製造および販売ならびにこれに附帯する事業」にほかならない。それは、すべての会社に共通な営利の目的とは異なるのである。しかるに、多数意見によれば、災害救援資金の寄附、地域社会への財産的奉仕、政治資金の寄附などは、会社が自然人とひとしく社会等の構成単位たる社会的実在であり、それとしての社会的作用を負担せざるをえないことから、会社も当然にこれをなしうるものと認められるというのである。したがつて、それが会社の企業体としての円滑な発展をはかるうえに相当の価値と効果を有するにしても、定款により個別化された会社の目的たる事業とは直接なんらのかかわりがなく、その事業が何であるかを問わず、すべての会社についてひとしく認めらるべき事柄にほかならない。しかのみならず、そのような行為が、社会通念上、社会等の構成単位たる社会的実在としての法人に期待または要請される点においては、程度の差はありうるとしても、ひとり会社のみにかぎらず、各種協同組合や相互保険会社などのようないわゆる中間法人、さらには民法上の公益法人についても異なるところがないといわざるをえない。その意味において、多数意見のように、右のような行為についての会社の権利能力の問題を会社の定款所定の目的と関連せしめて論ずることは、意味がないばかりでなく、かえつて牽強附会のそしりを免れないのではないかと思う。
多数意見のように定款所定の目的の範囲内において会社の権利能力を認めるにせよ、私のようにすべての会社に共通な営利の目的の範囲内においてそれを認めるにせよ、なおそれとは別に、法人たる会社の社会的実在たることに基づく権利能力が認めらるべきであり、さきに引用した多数意見の述べるところは、まさにかような意味における会社の権利能力を基礎づけるのに役立つものといえるのである。そして、本件政治資金の寄附が訴外八幡製鉄株式会社の権利能力の範囲内に属するかどうかも、かかる意味における会社の権利能力にかかわる問題として論ぜらるべきものと考えられるのである。
(三) 以上のように、災害救援資金の寄附、地域社会への財産上の奉仕、政治資金の寄附のごとき行為は会社の法人としての社会的実在であることに基づいて認められた、通常の取引行為とは次元を異にする権利能力の問題であると解する私の立場においては、その権利能力も社会通念上相当と認められる範囲内に限らるべきであつて、会社の規模、資産状態、社会的経済的地位、寄附の相手方など諸般の事情を考慮して社会的に相当ないし応分と認められる金額を越える寄附のごときは、会社の権利能力の範囲を逸脱するものと解すべきではないかと考えられる。このような見解に対しては、当然、いわゆる相当(応分)の限度を越えてなされた行為は、相手方の善意悪意を問わず、無効であるにかかわらず、その相当性の限界が不明確であるから、法的安定を妨げる、とする批判が予想される。しかし、上述のごとき行為については、通常の取引行為におけるとは異なり、取引安全の保護を強調する必要はなく、むしろ会社財産が定款所定の目的を逸脱して濫費されないことについて有する社員の利益の保護が重視さるべきものと考える。
叙上の点につき多数意見がどのように考えているかは必ずしも明らかでないが、多数意見が、「会社による政治資金の寄附は、客観的抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎりにおいては、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとするに妨げない。」と述べているところからみると、上述の卑見にちかい見解をとるのではないかとも臆測される。しかし、右引用の判文は、その表現がすこぶる不明確であつて、はたして、会社による政治資金の寄附は、会社の社会的役割を果たすため相当と認められる限度においてなされるかぎり、会社の定款所定の目的の範囲内、したがつて、会社の権利能力の範囲内の行為であるとする趣旨であるかどうか(このように解するには、「客観的、抽象的に観察して、」というのが妨げとなる。むしろ、「諸般の事情を考慮し具体的に観察して、」とあるべきではなかろうか、)、疑問の余地があるのを免れないのみならず、かりにその趣旨であるとしても、政治資金の寄附も、通常の取引行為とひとしく、会社の定款所定の目的の範囲内の行為であるとしながら、前者に関してのみその権利能力につき右のような限定を加えることが理論上妥当であるかどうか、疑問なきをえないと思う。この点においても、政治資金の寄附のごとき行為を会社の定款所定の目的との関連においてとらえようとする多数意見の当否が疑われる。
いずれにせよ、私のような見解に従つても、本件の政治資金の寄附は訴外八幡製鉄株式会社の権利能力の範囲内に属するものと解せられるから、判決の結果には影響がない。
(石田和外 入江俊郎 草鹿浅之介 長部謹吾 城戸芳彦 田中二郎 松田二郎 岩田誠 下村三郎 色川幸太郎 大隅健一郎 松本正雄 飯村義美 村上朝一 関根小郷)
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政治と選挙の裁判例「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧
(1)昭和49年 5月14日 東京地裁 昭49(ヨ)767号 文章の掲載を求める仮処分申請事件 〔サンケイ新聞意見広告に対する反論文掲載請求事件仮処分決定〕
(2)昭和49年 4月26日 東京高裁 昭44(行コ)27号・昭44(行コ)25号 雇用関係存在確認請求控訴事件 〔旧電通省レッドパージ事件〕
(3)昭和49年 4月25日 最高裁第一小法廷 昭48(行ツ)102号 選挙無効請求事件
(4)昭和49年 4月 6日 京都地裁舞鶴支部 昭49(ヨ)6号 ビラ配布禁止仮処分申請事件
(5)昭和49年 3月 6日 東京地裁 昭48(ヨ)2384号 権利停止処分の効力停止等仮処分申請事件 〔東京交通労組自動車部渋谷支部事件〕
(6)昭和49年 2月21日 佐賀地裁武雄支部 昭49(ヨ)3号 仮処分命令申請事件
(7)昭和49年 1月30日 大阪地裁 昭43(ワ)3296号 従業員地位確認等請求事件 〔三菱製紙ショップ制解雇事件〕
(8)昭和49年 1月21日 東京地裁 昭45(ワ)9169号 損害賠償請求事件
(9)昭和49年 1月19日 仙台地裁 昭49(ヨ)19号 雑誌配布禁止等仮処分申請事件
(10)昭和48年12月17日 大阪地裁 昭48(ヨ)3456号 統制処分の効力停止仮処分申請事件 〔動労大阪地本権利停止事件〕
(11)昭和48年12月17日 釧路地裁 昭48(ヨ)47号 統制処分の効力停止仮処分申請事件 〔動労釧路地本権利停止事件〕
(12)昭和48年11月 7日 広島地裁 昭48(ヨ)413号 仮処分申請事件 〔動労広島地本役員執行権停止事件〕
(13)昭和48年 9月27日 東京高裁 昭43(ネ)1813号 地位保全等仮処分申請控訴事件 〔横浜ゴム上尾工場懲戒解雇事件〕
(14)昭和48年 9月27日 福岡高裁 昭48(行ケ)1号 町議会議員補欠選挙無効裁決取消請求事件
(15)昭和48年 9月19日 東京高裁 昭46(行コ)79号 懲戒処分取消請求控訴事件 〔全逓本所支部プラカード事件〕
(16)昭和48年 9月12日 和歌山地裁 昭34(行)1号 和歌山高教組懲戒処分取消事件
(17)昭和48年 9月 7日 札幌地裁 昭44(行ウ)16号・昭44(行ウ)23号・昭44(行ウ)24号 保安林指定の解除処分取消請求事件 〔長沼ナイキ基地訴訟事件〕
(18)昭和48年 9月 4日 佐賀地裁 昭48(ヨ)62号 選挙活動妨害禁止仮処分命令申請事件
(19)昭和48年 5月30日 東京高裁 昭47(ネ)2164号 損害賠償請求控訴事件
(20)昭和48年 5月29日 広島高裁 昭46(行コ)3号 図書閲読冊数制限処分等取消請求控訴事件
(21)昭和48年 4月25日 最高裁大法廷 昭43(あ)2780号 国家公務員法違反被告事件 〔全農林警職法闘争事件・上告審〕
(22)昭和48年 4月19日 名古屋地裁 昭48(ヨ)388号 新聞配布等禁止仮処分申請事件
(23)昭和48年 4月 2日 仙台地裁 昭44(わ)388号・昭44(わ)225号 建造物侵入、傷害事件 〔いわゆる仙台鉄道郵便局事件〕
(24)昭和48年 3月30日 名古屋地裁豊橋支部 昭42(わ)347号 国家公務員法違反被告事件
(25)昭和48年 3月29日 仙台地裁 昭42(わ)120号 公職選挙法違反被告事件
(26)昭和48年 3月29日 松山地裁 昭40(行ウ)9号 免職処分無効確認等請求事件
(27)昭和48年 3月19日 長崎地裁佐世保支部 昭45(ワ)77号 慰藉料請求事件
(28)昭和48年 2月22日 前橋地裁 昭46(わ)280号・昭46(わ)225号・昭46(わ)172号・昭46(わ)247号・昭46(わ)190号 強姦致傷、強姦、殺人、死体遺棄被告事件 〔いわゆる大久保事件〕
(29)昭和48年 1月25日 広島高裁 昭42(ネ)242号・昭42(ネ)53号 国労組合費請求事件
(30)昭和47年12月27日 横浜地裁 昭43(行ウ)3号の1 入場税決定処分取消請求事件
(31)昭和47年12月27日 横浜地裁 事件番号不詳 課税処分取消請求事件
(32)昭和47年12月22日 札幌地裁 昭41(行ウ)1号・昭41(行ウ)4号 課税処分取消請求事件
(33)昭和47年10月13日 東京高裁 昭43(う)1114号 公職選挙法違反被告事件
(34)昭和47年 8月28日 東京地裁 昭45(ワ)12486号 損害賠償請求事件
(35)昭和47年 8月10日 岡山地裁 昭46(わ)507号 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
(36)昭和47年 7月20日 最高裁第一小法廷 昭47(行ツ)24号 市議会議員当選の効力に関する訴願裁決取消請求
(37)昭和47年 5月29日 東京地裁 昭43(ワ)12905号 言論の応酬名誉権侵害事件第一審判決
(38)昭和47年 5月22日 大阪地裁 昭37(わ)1385号 公務執行妨害被告事件
(39)昭和47年 5月10日 東京高裁 昭45(ネ)1072号 懲戒戒告処分無効確認請求控訴事件 〔目黒電報電話局戒告事件〕
(40)昭和47年 4月19日 東京高裁 昭44(行コ)5号 退去強制令書発付処分取消請求控訴事件 〔政治亡命裁判・控訴審〕
(41)昭和47年 4月 7日 仙台高裁 昭45(う)164号 国家公務員法違反被告事件
(42)昭和47年 4月 5日 東京高裁 昭44(う)1895号 公職選挙法違反、国家公務員法違反被告事件 〔総理府統計局事件・控訴審〕
(43)昭和47年 3月31日 東京地裁 昭40(ヨ)2188号 仮処分申請事件 〔目黒高校教諭解雇事件〕
(44)昭和47年 3月 3日 東京地裁 昭45(特わ)135号・昭45(特わ)136号・昭45(特わ)134号・昭45(特わ)137号・昭44(特わ)496号・昭44(特わ)445号・昭45(特わ)133号 公職選挙法違反被告事件
(45)昭和46年11月19日 東京地裁 昭46(行ク)52号 執行停止申立事件
(46)昭和46年11月 1日 東京地裁 昭45(行ウ)45号 懲戒処分取消請求事件 〔全逓本部支部プラカード事件〕
(47)昭和46年10月 4日 東京高裁 昭44(う)32号 公職選挙法違反被告事件
(48)昭和46年 8月27日 大阪高裁 昭46(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(49)昭和46年 8月 4日 千葉地裁 昭43(ワ)569号 損害賠償請求事件
(50)昭和46年 6月29日 福岡地裁 昭43(ワ)1868号 懲戒休職無効確認等請求事件 〔西日本新聞懲戒休職事件〕
(51)昭和46年 5月14日 名古屋高裁 昭42(行コ)8号 行政処分取消等請求控訴事件 〔いわゆる地鎮祭違憲訴訟・控訴審〕
(52)昭和46年 5月10日 高松高裁 昭44(う)178号 国家公務員法違反事件 〔徳島郵便局事件・控訴審〕
(53)昭和46年 4月30日 名古屋地裁 昭43(ワ)442号 株主総会決議無効確認請求訴訟事件 〔トヨタ自工純血訴訟事件・第一審〕
(54)昭和46年 3月29日 東京地裁 昭42(行ウ)141号 行政処分取消請求事件 〔台湾青年独立連盟所属の中国人に対する退去強制事件〕
(55)昭和46年 1月22日 東京高裁 昭44(ネ)2698号 仮処分控訴事件 〔日立製作所懲戒解雇事件〕
(56)昭和46年 1月21日 大阪地裁 昭40(わ)2982号 公職選挙法違反被告事件
(57)昭和45年12月24日 名古屋高裁金沢支部 昭43(う)186号 贈賄・収賄被告事件
(58)昭和45年11月 7日 名古屋地裁 昭43(わ)1271号・昭43(わ)1272号 公職選挙法違反被告事件
(59)昭和45年10月 9日 東京高裁 昭42(ネ)35号 私有建物九段会館返還請求控訴事件
(60)昭和45年 9月29日 横浜地裁 昭41(ワ)577号 雇用関係存続確認等請求事件 〔日本石油精製転籍事件〕
(61)昭和45年 9月25日 大阪高裁 昭43(う)1525号 公職選挙法違反被告事件
(62)昭和45年 9月 8日 東京地裁 昭44(モ)4872号・昭43(ヨ)10468号 占有使用妨害禁止等の仮処分異議および不動産仮処分申請事件
(63)昭和45年 7月17日 東京地裁 昭42(行ウ)85号 検定処分取消訴訟事件 〔第二次家永教科書事件〕
(64)昭和45年 7月16日 最高裁第一小法廷 昭43(あ)1185号 地方公務員法違反被告事件
(65)昭和45年 7月16日 東京高裁 昭43(行ケ)99号 選挙の効力に関する訴訟事件
(66)昭和45年 7月13日 名古屋地裁 昭43(ワ)3191号 権利停止処分無効確認請求事件 〔王子製紙春日井新労組権利停止事件〕
(67)昭和45年 7月11日 名古屋地裁 昭42(行ウ)28号 損害賠償請求事件
(68)昭和45年 6月30日 福岡地裁小倉支部 昭40(ヨ)497号 仮処分申請事件 〔門司信用金庫解雇事件〕
(69)昭和45年 6月27日 福岡地裁 昭35(ヨ)444号 地位保全仮処分申請事件 〔三井三池整理解雇事件〕
(70)昭和45年 6月24日 最高裁大法廷 昭41(オ)444号 取締役の責任追及請求上告事件 〔八幡製鉄政治献金事件・上告審〕
(71)昭和45年 6月23日 東京地裁 昭43(ヨ)2402号 仮処分申請事件 〔日本経済新聞懲戒解雇事件〕
(72)昭和45年 6月23日 東京地裁 昭42(モ)15801号・昭42(モ)15803号・昭42(ヨ)2317号 仮処分申請、仮処分異議事件 〔亜細亜通信社解雇事件〕
(73)昭和45年 6月10日 岡山地裁 昭38(ワ)595号 地位確認等請求事件 〔山陽新聞懲戒解雇事件〕
(74)昭和45年 5月29日 東京地裁 昭43(ワ)9154号 労働契約存在確認等請求事件 〔問谷製作所解雇事件〕
(75)昭和45年 5月29日 大阪地裁 昭39(ワ)5180号 損害賠償ならびに謝罪文交付請求事件
(76)昭和45年 5月21日 東京地裁 昭43(合わ)308号・昭44(刑わ)5308号 爆発物取締罰則違反・火薬類取締法違反・暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(77)昭和45年 5月 4日 大阪地裁 昭35(わ)255号 贈賄・単純収賄・受託収賄被告事件
(78)昭和45年 4月27日 東京高裁 昭43(行コ)44号 判定及び休職処分取消請求控訴事件
(79)昭和45年 4月13日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔目黒電報電話局懲戒戒告事件〕
(80)昭和45年 4月 3日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件
(81)昭和45年 3月30日 青森地裁 昭42(わ)57号 国家公務員法違反事件 〔いわゆる青森営林局員選挙運動事件・第一審〕
(82)昭和45年 3月 2日 長野地裁 昭40(行ウ)14号 入場税等賦課決定取消請求事件
(83)昭和45年 2月27日 福岡地裁 昭43(行ウ)12号 休職処分取消請求事件 〔福岡中央郵便局職員起訴休職事件〕
(84)昭和45年 2月16日 東京地裁 昭41(ヨ)2340号 仮処分申請事件 〔高砂暖房器ショップ制解雇事件〕
(85)昭和45年 1月30日 東京地裁 昭42(ヨ)2373号 仮処分申請事件 〔三元貿易解雇事件〕
(86)昭和45年 1月23日 京都地裁 昭41(ヨ)242号 健康会懲戒解雇事件
(87)昭和45年 1月12日 大阪地裁堺支部 昭43(ヨ)370号 仮処分申請事件 〔セントラル硝子政治活動妨害事件〕
(88)昭和44年12月26日 大阪地裁 昭42(ヨ)1874号 仮処分申請事件 〔日中旅行社解雇事件〕
(89)昭和44年12月17日 東京高裁 昭41(う)598号 公務執行妨害被告事件 〔いわゆる第二次国会乱闘事件・控訴審〕
(90)昭和44年11月15日 東京地裁 昭34(行)108号 免職処分無効確認事件 〔郵政省職員免職事件〕
(91)昭和44年11月11日 名古屋地裁 昭28(わ)2403号 騒擾,放火,同未遂,爆発物取締罰則違反,外国人登録法違反各被告事件 〔大須事件・第一審〕
(92)昭和44年11月11日 名古屋地裁 昭27(わ)1053号 騒擾、暴力行為等処罰に関する法律違反、放火未遂、外国人登録法違反、外国人登録令違反被告事件 〔大須事件・第一審〕
(93)昭和44年11月 8日 東京地裁 昭43(ワ)662号 損害賠償請求訴訟事件 〔台湾青年独立連盟所属中国人退去強制事件損害賠償請求・第一審〕
(94)昭和44年10月17日 福岡高裁 昭44(う)70号 公職選挙法違反被告事件
(95)昭和44年10月 8日 盛岡地裁 昭39(わ)137号 公職選挙法違反被告事件
(96)昭和44年 9月26日 東京地裁 昭42(ワ)7235号 損害賠償請求事件
(97)昭和44年 9月20日 大阪地裁 昭44(行ク)21号 市議会議員除名処分執行停止申立事件
(98)昭和44年 9月 5日 金沢地裁 昭34(ワ)401号 損害賠償請求事件 〔北陸鉄道労組損害賠償請求事件〕
(99)昭和44年 6月16日 東京高裁 昭41(う)984号 軽犯罪法違反被告事件
(100)昭和44年 6月14日 東京地裁 昭40(特わ)555号 国家公務員法違反、公職選挙法違反被告事件 〔総理府統計局事件・第一審〕
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■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
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