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政治と選挙Q&A「屋外広告物法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(14)平成23年 2月23日 東京高裁 平21(ネ)2508号 損害賠償請求控訴事件

政治と選挙Q&A「屋外広告物法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(14)平成23年 2月23日 東京高裁 平21(ネ)2508号 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日  平成23年 2月23日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ネ)2508号
事件名  損害賠償請求控訴事件
裁判結果  控訴棄却  上訴等  確定  文献番号  2011WLJPCA02237001

要旨
◆いわゆる耐震強度偽装建物の建築確認を行った建築主事に職務上の注意義務違反がないとされた事例

新判例体系
公法編 > 憲法 > 国家賠償法〔昭和二二… > 第一条 > ○公権力の行使に基く… > (四)故意過失 > E その他 > (2)責任を認めない事例
◆建築主事は建築基準関係規定に基づき建築確認申請に添付される図書及び同規定により定められた事項を対象として当該建築計画を同規定に当てはめてその要件充足の有無を審査判断するものであり、その資料として提出される建築士作成の設計図書等については、建築士の技術的能力、職業倫理、責任感に対する信頼を前提として審査すれば足り、それ以上に構造計算書(大臣認定プログラムによる計算書)の秘かな数値の改ざん・偽造を発見し、法令に規定のない事項である耐震壁の構造耐力等を審査しなくとも、建築主事に通常払うべき注意義務違反はない。

 

裁判経過
第一審 平成21年 4月15日 前橋地裁 判決 平19(ワ)490号 損害賠償請求事件

出典
判タ 1356号156頁

参照条文
国家賠償法1条1項
裁判官
下田文男 (シモダフミオ) 第28期 現所属 定年退官
平成26年11月2日 ~ 定年退官
平成22年6月17日 ~ 東京高等裁判所(部総括)
平成20年10月31日 ~ 平成22年6月16日 広島家庭裁判所(所長)
平成19年5月23日 ~ 平成20年10月30日 山口地方裁判所(所長)
平成17年3月31日 ~ 平成19年5月22日 東京地方裁判所、東京簡易裁判所司法行政事務掌理者
平成14年3月25日 ~ 平成17年3月30日 司法研修所(教官)
平成10年1月24日 ~ 平成14年3月24日 東京地方裁判所(部総括)
平成8年7月1日 ~ 平成10年1月23日 東京高等裁判所
平成5年7月2日 ~ 平成8年6月30日 法務省民事局第二課長
平成4年4月1日 ~ 平成5年7月1日 法務省民事局第五課長
平成1年4月1日 ~ 平成4年3月31日 法務省民事局付
昭和62年9月7日 ~ 平成1年3月31日 法務省民事局付、法務総合研究所(教官)
昭和61年11月1日 ~ 昭和62年9月6日 検事、法務省民事局付
昭和60年4月1日 ~ 昭和61年10月31日 東京地方裁判所
昭和57年4月2日 ~ 昭和60年3月31日 札幌地方裁判所、札幌家庭裁判所
昭和54年3月26日 ~ 昭和57年4月1日 裁判所書記官研修所(教官)
昭和51年4月9日 ~ 昭和54年3月25日 東京地方裁判所

宇田川基 (ウダガワモトキ) 第29期 現所属 定年退官
平成28年1月30日 ~ 定年退官
平成27年12月16日 ~ 山口地方裁判所(所長)、山口家庭裁判所(所長)
平成26年2月27日 ~ 山口地方裁判所(所長)
平成23年3月18日 ~ 広島高等裁判所(部総括)
平成18年4月1日 ~ 平成23年3月17日 東京高等裁判所
平成15年4月1日 ~ 平成18年3月31日 東京地方裁判所(部総括)
平成12年4月1日 ~ 平成15年3月31日 東京高等裁判所
平成8年4月1日 ~ 平成12年3月31日 東京地方裁判所八王子支部、東京家庭裁判所八王子支部
平成4年4月1日 ~ 平成8年3月31日 新潟家庭裁判所、新潟地方裁判所
平成1年4月1日 ~ 平成4年3月31日 横浜地方裁判所
~ 昭和61年4月1日 秋田地方裁判所、秋田家庭裁判所
~ 昭和58年4月1日 浦和地方・家庭裁判所熊谷支部、浦和地方・家庭裁判所秩父支部
~ 昭和57年4月1日 福岡地方裁判所、福岡家庭裁判所
~ 昭和55年4月1日 福岡家庭裁判所、福岡地方裁判所
~ 昭和53年4月1日 熊本地方裁判所、熊本家庭裁判所
~ 昭和52年4月1日 熊本地方裁判所

足立

訴訟代理人
原告側訴訟代理人
相川俊明

被告側訴訟代理人
戸所仁治

関連判例
平成22年10月29日 名古屋高裁 判決 平21(ネ)312号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
平成21年 7月31日 東京地裁 判決 平18(ワ)1628号・平18(ワ)10853号・平18(ワ)11007号 損害賠償請求事件
平成21年 4月15日 前橋地裁 判決 平19(ワ)490号 損害賠償請求事件
平成21年 2月24日 名古屋地裁 判決 平18(ワ)503号 損害賠償請求事件 〔耐震偽装ホテル訴訟〕
平成20年10月29日 奈良地裁 判決 平18(ワ)133号 損害賠償等請求事件

Westlaw作成目次

主文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は,控訴人らの負担と…
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人花子に対し…
3 被控訴人は,控訴人会社に対し…
4 訴訟費用は,第1,2審とも被…
5 上記2,3について,仮執行宣言
第2 事案の概要
1 原判決別紙1物件目録記載の建…
2 前提事実,争点及び争点に対す…
3 当事者の当審における主張
(1) 控訴人ら
(2) 被控訴人
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人らの請求は…
2 建築確認において国家賠償法上…
(1) 被控訴人は,建築確認の制度は…
(2) 建築主がどのような建築物を建…
(3) なお,被控訴人は,建築主や建…
3 建築主事の審査について
(1) 本件申請当時,建築主事は,法…
(2) 建築士法は,建築士の職責,免…
(3) 以上によれば,建築主事は,建…
4 D建築士の構造計算書偽装問題…
(1) 本件建物の建築
(2) D建築士の構造計算書偽装問題…
(3) 控訴人らの対応と本訴の提起
5 本件建築主事の大臣認定プログ…
(1) 控訴人らは,本件建築主事には…
(2) 前記前提事実,証拠(乙31)…
(3) 上記3(3)で説示したとおり…
(4) これに対し,控訴人らは,本件…
(5) 以上によれば,控訴人らの上記…
6 本件建築主事の構造図面から判…
(1) 本件建物の耐震壁を1枚と評価…
(2) ピロティ型式の建築物であるこ…
7 結論

裁判年月日  平成23年 2月23日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ネ)2508号
事件名  損害賠償請求控訴事件
裁判結果  控訴棄却  上訴等  確定  文献番号  2011WLJPCA02237001

控訴人(原告) 甲野花子(以下「控訴人花子」という。)
控訴人(原告) 甲野建設株式会社(以下「控訴人会社」という。)
代表者代表取締役 甲野太郎
上記両名訴訟代理人弁護士 相川俊明
被控訴人(被告) 群馬県
代表者知事 大澤正明
訴訟代理人弁護士 戸所仁治
指定代理人 山崎伸一
外3名
 

主文

1  本件控訴をいずれも棄却する。
2  控訴費用は,控訴人らの負担とする。
 

事実及び理由

第1  控訴の趣旨
1  原判決を取り消す。
2  被控訴人は,控訴人花子に対し,9115万円及びこれに対する平成18年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被控訴人は,控訴人会社に対し,1億4154万9041円及びうち1億3754万9041円に対する平成18年7月1日から,うち400万円に対する平成19年9月12日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
5  上記2,3について,仮執行宣言
第2  事案の概要
1  原判決別紙1物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)は,建築確認を受けて(以下,この建築確認を「本件建築確認」という。)建築されたものであるが,その後,本件建築確認申請に添付された構造計算書が改ざん,偽造されたものであって,本件建物の構造耐力が法令の基準値を満たさないものであることが判明した。
本件は,本件建物の建築主である控訴人花子及び建築工事請負人等である控訴人会社が,本件建築確認を行った建築主事が属する被控訴人に対し,建築主事が本件建物の構造計算について適正な審査を怠り違法に建築確認を行ったため,補修工事費用等の損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償を求める事案である。
原判決は,控訴人らの請求をいずれも棄却したので,控訴人らが控訴をした。
2  前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張は,下記3に当事者の当審における主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2項ないし4項(原判決2頁19行目から同27頁7行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
3  当事者の当審における主張
(1)控訴人ら
ア 国家賠償法上保護される利益
建築確認の制度は,国民の生命,健康及び財産の保護を図ることを前提に,建築基準関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的とするものであるから,建築主らの当該建築物に関する財産上の利益も,その保護の対象となる。
そうすると,建築主事の違法な建築確認によって,建築主らの当該建築物に対する財産上の利益が侵害された場合は,建築主事の属する地方公共団体は,建築主らに対し,国家賠償責任を負うべきである。
仮に建築主の建築確認申請に不備があったとしても,それは過失相殺において考慮されることであって,建築主らの国家賠償法上保護されるべき地位が失われるものではない。
イ 建築主事の審査義務
建築主事は,建築確認申請が建築基準関係規定に適合しているか否かを審査・確認するものであるが,審査・確認は判断を伴う行為である上,その結果が国民の利害に直結する重要な公権力の行使であることに照らすと,申請の不実や過誤を発見し得る事情がある場合は,それらを審査すべき注意義務があり,そのためには職権調査の義務も課せられるのであって,決して機械的な処理をすべきでなく,慎重に審査すべき義務を負うものである。
したがって,建築主事は,建築確認申請がされた資料全部について,それらが建築基準関係規定に適合するか否かを客観的,総合的に審査すべき義務を負う。
ウ 大臣認定プログラムに関する審査義務違反
(ア)建物の構造計算について,大臣認定プログラムの使用が許されるのは,大臣認定プログラムによる計算が一貫処理されて正常に終了しているなどの一定の要件を備えている場合に限られるから,建築主事は,上記要件を具備しているか否かを確認すべき義務がある。
また,申請者は,大臣認定プログラムを使用するについて,性能評価書,利用者証明書,認定書の写し等の図書を添付しなければならないから,これらも,大臣認定プログラムと一体をなすものとして,審査の対象となる。
(イ)そうすると,建築主事は,建物の構造計算について大臣認定プログラムが使用されている場合は,①性能評価書により,大臣認定番号と性能評価番号が一致することを確認して,使用されているプログラムが性能評価を保障されたものであることを確認すること,②利用者証明書に記載されたプログラム名と当該大臣認定プログラムが同一であることを確認すること,③大臣認定プログラムのバージョンの一貫性を確認すること,④構造計算書の全ページのヘッダーに大臣認定番号と性能評価番号が一貫して表示されていることを確認すること(それがないと,本件プログラムが適用範囲内で使用されていないこと又は計算処理が正常終了していないことを意味する。)等の確認作業を行わなければならない。
(ウ)ところが,大臣認定プログラムである本件プログラムを使用して作成された本件構造計算書については,性能評価書が添付されていなかった上,綴られた2枚の利用者証明書と本件プログラムの大臣認定番号が一致せず,添付された認定書と指定書には「SuperBuild/SS2─RC」という鉄筋コンクリート構造用のプログラム名が記載されているが,利用者証明書には,別の「SuperBuild/SS2─S」という鉄骨構造用のプログラムの表示がされ,本件プログラムのバージョンはVer1.03と表示されていたが,積雪荷重の部分のみはVer1.05と表示されていた。その上,全ページのヘッダーに大臣認定番号と性能評価番号が一貫して表示されていなかった。
(エ)本件建築主事は,上記(イ)の確認義務を怠り,また,入力データをチェックする義務も怠った。そのため,本件建築主事は,審査義務を尽くせば,本件構造計算書が改ざん,偽造されたものであって使用できないことを発見できたのに,審査義務を怠ったため,本件構造計算書を適正なものと扱う誤りを犯したのである。
エ 構造図面から判断される構造上の問題点に関する審査義務違反
(ア)本件建物の耐震壁を1枚と評価してモデル化したことについて
a 本件建物は,2階から11階までの部分を耐震壁のみで耐力を持たせるという構造を採り,2階から11階までの各階の梁間方向の内壁及び外壁が耐震壁とされていたが,内壁の耐震壁の中央にはそれぞれ幅180㎝の廊下が存し,廊下通りの左右の耐震壁を廊下通りの上部に位置する梁が繋いでおり,北側外壁の耐震壁は,その中央に開口180㎝の非常口が存在し,非常口の左右の耐震壁を非常口の上部に位置する梁が繋ぎ,南側の耐震壁も,中央に間口80㎝の非常口が存し,非常口の左右の耐震壁を非常口の上部に位置する梁が繋いでいる(以下,耐震壁の開口部の上部に位置する梁をすべて「境界梁」という。)。
b 本件構造計算書では,上記耐震壁について,構造計算上,すべて1枚の耐震壁と評価するモデル化がされていた。
しかし,耐震壁を1枚と評価するモデル化は,開口部分の左右の耐震壁が一体として挙動して地震力に抵抗すると把握するものであるところ,上記境界梁は,いずれも,断面が小さく鉄筋も少ない脆弱なものであるため,左右2枚の耐震壁を一体化させると評価することはできないものであった。したがって,本件建物の開口部分の左右の壁を1枚の耐震壁として評価しモデル化することは,建築専門家としての常識的判断に反するものであった。
他方,耐震壁を2枚として耐震強度を評価すれば,構造耐力に関する法令の基準値を下回るものである。
したがって,本件耐震壁を1枚の壁として評価したことは,本件建物の構造計算において,致命的な欠陥をもたらしたのである。
c そうすると,本件建築主事は,本件建物の構造図面により,本件耐震壁が1枚の耐震壁と評価するモデル化がされて構造設計がされていることを容易に把握できたのであるから,構造強度に係わる重要な項目として,梁間方向の耐震壁の評価や境界梁の設計などが法令で要求されている適合性をもつか審査すべきであり,そうすれば,本件建物の構造耐力が法令の基準値を下回るものであることを発見できたはずであったが,上記審査を怠ったのである。
(イ)ピロティ型式の建築物であることについて
a 本件建物はピロティ型式の建物である。すなわち,1階部分に広い空間をとるため,同階をピロティ階(ピロティ階とは,当該階において,耐震壁の量が上階と比較して急激に少なくなっている階をいう。)としている。ピロティ型式の建物は,耐震性に問題があって崩壊のおそれが強いといわれている。
b 本件建築主事は,構造図面などから,本件建物がピロティ型式の建物であることを容易に把握することができたから,本件建物の構造上の安全性に疑問を持ち,本件建物の構造強度に重大かつ直接関わる重要な審査事項として,梁間方向の耐震壁の評価や境界梁の設計などが法令で要求されている適合性をもつか否かを十分審査すべきであり,そうすれば,本件建物の構造耐力が法令の基準値を下回るものであることを発見できたはずであったが,上記審査を怠ったのである。
オ 被控訴人の損害賠償義務
以上のとおり,本件建築主事は,本件申請に対し,審査義務を怠って,構造耐力が法令の基準値を下回る本件建物について,違法にも建築確認を下したのであるから,本件建築主事が属する普通公共団体である被控訴人は,控訴人らに対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償義務を負う。
(2)被控訴人
ア 国家賠償法上保護される利益の不存在
(ア)建築確認の制度は,建築関係法規により建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めた上,このような建築基準関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止し,これにより,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とするものである。そして,建築確認には,それを受けなければ当該建築工事をすることができないという法的効果が付与されているに過ぎないものである。
(イ)ところで,国家賠償法1条1項で規定するところの違法とは,公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することであるところ,建築確認の制度が,上記(ア)のとおり,当該建築物に係る建築主や建築業者の財産的価値を保護するものではないのであるから,下された建築確認に誤りがあったとしても,建築主や建築業者に対しては,国家賠償法上の違法を構成することはないものというべきである。
もとより,建築主や建築業者は,建築基準関係規定に適合する建築物を建築する義務を負うのであるから,建築関係法規に違反する違法な建築物を建築して公共の安全を脅かしたことについては,自ら責任を負うべきであり,誤って建築確認を下した建築主事が属する地方公共団体が建築主や建築業者に対し,損害賠償義務を負うものではないというべきである。
イ 建築主事の審査
(ア)建築主事は,法6条1項の申請書を受理した場合において,同項1号から3号までに係るものにあってはその受理した日から21日以内に,申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し,審査の結果により建築基準関係規定に適合することを確認したときは,当該申請者に確認済証を交付しなければならないものと定められている。上記建築基準関係規定に含まれる建築基準法令は,建築基準法,建築基準法施行令,建築基準法4条1項の人口25万以上の市を指定する政令,建築基準法施行規則,建築基準法に基づく指定資格検定機関等に関する省令,これらの政令・省令の委任を受けた告示,群馬県建築基準法施行条例,群馬県建築基準法施行細則などであり,建築基準法令の規定以外の規定とは,建築基準法施行令9条1号から15号に規定されており,具体的には,消防法,屋外広告物法,港湾法,高圧ガス保安法,ガス事業法,駐車場法,水道法,下水道法,宅地造成等規制法,流通業務市街地の整備に関する法律,液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律,都市計画法,特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法,自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律,浄化槽法などである。また,建築確認申請に添付する図書及び当該図書に明示される事項は,建築基準法施行規則1条の3第1項に定められているほか,群馬県建築基準法施行細則5条によって,群馬県独自に建築確認申請に添付すべき図書を規定している。
(イ)このように建築主事の審査事項は多岐にわたり,かつ時間的な制約が課せられているから,建築基準法は,建築主事がすべての申請図書を逐一審査することまで求めていないのである。建築主事の審査は,建築基準関係規定に基づき建築確認申請に添付される図書及び同規定によって定められた事項が対象となるのであって,審査の対象とならない留意事項等は,設計者の判断に委ねられているのである。
ウ 大臣認定プログラムに関する審査義務違反の主張について
(ア)D建築士は,本件建物の構造が構造耐力に関する法令の基準値を下回る危険なものであるにもかかわらず,大臣認定プログラムの使用上,上記基準値が満たされる旨の改ざん,偽造した本件構造計算書を作成した。
その偽造の手口は次のようなものとうかがわれる。すなわち,本件確認申請に添付された構造図の情報(柱,梁,壁の断面や長さ高さに係る寸法及び鉄筋等)を大臣認定プログラムに入力して計算処理を実行させた上で計算結果を出力する。この場合,計算結果は当然エラーとなる。その後計算結果にエラーが出ないよう,当初入力したデータを修正し,再度計算処理を実行させた上で,前者のエラー表示となっている部分を後者のエラーなし計算結果と差し替える,又は適合表示部分をコンピューターの画面上でエラーなしと書き換えたのである。
(イ)建築確認制度は,建築士の技術的能力,職業倫理,責任感に対する信頼を前提として構築されており,本件建築確認の当時,その建築士が意図的に大臣認定プログラムの使用結果を改ざん,偽造して違法な構造設計書を作成するなどということは,およそ想定されていなかった。また,ヘッダー表示がないものは大臣認定プログラムとして使用できないという一般的な認識も存しなかった。現に,控訴人会社,昭和設計がヘッダー表示に注視した形跡はなく,D建築士自身もヘッダー表示の偽造までは行っていない。そして,D建築士作成のヘッダー表示のない,改ざん,偽造された構造計算書に基づく建築確認申請が,全国の建築主事や指定確認検査機関で確認処分を受けていたのである。
したがって,建築主事は,構造計算書の最終頁の「一連計算処理をすべて正常に終了」,「ERROR数 0」の表示を確認すれば足りたのである。
(ウ)控訴人らは,大臣認定プログラムの使用に関係する図書について,審査義務違反があると主張するが,以下のとおり,いずれも失当である。
a 性能評価書は,各プログラムメーカーが構造計算プログラムについて大臣認定申請をする前に,財団法人日本建築センターなどの指定性能評価機関(建築基準法に基づき大臣が指定する評価機関)に性能評価申請を行い,同機関の審査を受けた後交付されるもので,大臣認定を受けようとするプログラム認定申請の際に必要となるものでしかなく,法令上も建築確認申請に添付する義務はなく,建築主事の審査の対象とはならない。
b 利用者証明書は,大臣認定プログラムの利用者であることを証明するものであるが,プログラムメーカーと年間保守契約を締結することによって,プログラム機能のバージョンアップ,電話相談,利用者証明書の出力などのサービスを受けることができるものに過ぎないから,法令上建築確認申請に添付する義務はなく,建築主事の審査の対象とはならない。
c 本件構造計算書のバージョンに不一致が生じたのは,構造計算書の入力データの一つである積雪荷重の数値が不適切であったため,適切な数値にするよう指示し,積雪荷重の頁のみ再計算の結果と差し替えたが,その間大臣認定プログラムのバージョンアップがされていたため,不一致が生じたにすぎない。
エ 構造図面から判断される構造上の問題点に関する審査義務違反の主張について
(ア)本件建物の耐震壁を1枚と評価してモデル化したことについて
耐震壁の評価及びモデル化は,建築構造設計者の意思と責任において進められる極めて専門性の高い作業の結果であるところ,本件建築確認当時,モデル化の適否にかかる規定は存しないため,設計者の工学的判断に委ねられており,建築主事の審査の対象とはならなかった。しかも,本件構造計算における耐震壁の評価及びモデル化は不適切なものではなかった。すなわち,耐震壁の評価方法については,昭和56年5月1日付け建築省住指発第96号通達(乙35)により,耐震壁とみなすことができる開口周比を定めているが,これによると,本件建物の開口周比は1枚の耐震壁と評価されるものである。
結局,大臣認定プログラムにより構造耐力が法令の基準値を満たすとされたものについて,建築主事が更に異議を述べることはできないものというべきである。
(イ)ピロティ型式の建築物であることについて
法令には,ピロティ型式という事項は定められておらず,ピロティ型式に特化した法令上の規定は存しない。また,技術基準解説書では,ピロティ型式の建築物に対する留意点として,ピロティ階での層崩壊形式を許容しない設計方針を掲げているが,これは推奨項目として掲げられているにすぎず,その運用は設計者の判断に委ねられているのであって,建築主事の審査の対象とはならない。
結局,大臣認定プログラムにより構造耐力が法令の基準値を満たすとされたものについて,建築主事が更に異議を述べることはできないものというべきである。
第3  当裁判所の判断
1  当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,下記2以下のとおりである。
2  建築確認において国家賠償法上保護される利益について
(1)被控訴人は,建築確認の制度は当該建築物に係る建築主や建築業者の財産的価値を保護するものではないから,下された建築確認に誤りがあったとしても,建築主や建築業者に対しては,国家賠償法上の違法を構成することはないと主張する。
(2)建築主がどのような建築物を建築するかは,原則として自由であるが,建築物の構造が脆弱であると,その建築物は,地震等の際に倒壊するなどして,その建築物内にいる者,その近隣に居住する者,通行人などの利益を侵害する危険性を帯びることとなる。そこで,法(建築基準法)は,構造耐力に関する技術基準等を定めた規定に違反する建築物が出現することを未然に防止し,もって,建物利用者等の生命,身体又は財産を危険にさらすことがないよう安全性を確保させる趣旨で,建築物の構造耐力が所定の基準に適合することを求め(法20条),建築主事又は指定確認検査機関(以下,単に「建築主事」という。)が行う確認審査を受け,確認済証の交付を受けなければ,当該建築物の工事に着手することができないものと定めている(法6条,6条の2)。また,法や建築基準関係規定に違反した場合には,建築確認の有無を問わず,その除却等の必要な措置が命ぜられることがあり,これに従わなければ行政代執行をされることもあるのである(法9条)。
上記趣旨に照らせば,建築確認の制度は,建築主や建築業者の建築物に対する所有権の保護を目的として制定されたものではなく,また建築確認が建築主等に対し当該建築物の安全性を保証するものでないことも明らかである。
しかし,法が,脆弱な建築物が建築されて,これが地震等の際に倒壊するなどして,関係者に被害が発生することを防ぐ趣旨で制定され,また,法1条が「この法律は,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と規定していて,保護の対象者を限定する趣旨はうかがわれず,さらに,建築主や建築業者にとっては,確認審査を受け,確認済証の交付を受けなければ,当該建築物の工事に着手することができないという負担を負うことに照らすと,建築主や建築業者の当該建築物に関する財産的利益が保護の対象から全く除外されているものと解することは困難である。
したがって,被控訴人の上記主張は採用することができない。
(3)なお,被控訴人は,建築主や建築業者は,法や建築基準関係規定に適合する建築物を建築する義務を負うのであるから,法や建築基準関係規定に違反する違法な建築物を建築して公共の安全を脅かした場合は,そのことについて自ら責任を負うべきであり,誤って建築確認を下した建築主事が属する地方公共団体が,建築主や建築業者に対し,損害賠償義務を負うものではないと主張するが,建築主や建築業者の過失は,損害額の算定において,斟酌されるべきことであるから,建築主事に過失がある以上,建築主事が属する地方公共団体の責任を否定する理由にはならないというべきである。
3  建築主事の審査について
(1)本件申請当時,建築主事は,法6条1項の申請書を受理した場合において,同項1号から3号までに係るものにあってはその受理した日から21日以内に,申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し,審査の結果,建築基準関係規定に適合することを確認したときは,当該申請者に確認済証を交付しなければならないものと定められていた(法6条4項)。
また,建築主事が審査の基準とする法令は,建築基準法,建築基準法施行令,建築基準法4条1項の人口25万以上の市を指定する政令,建築基準法施行規則,建築基準法に基づく指定資格検定機関等に関する省令,これらの政令・省令の委任を受けた告示,群馬県建築基準法施行条例,群馬県建築基準法施行細則などのほか,建築基準法施行令9条1号から15号までに規定されている消防法,屋外広告物法,港湾法,高圧ガス保安法,ガス事業法,駐車場法,水道法,下水道法,宅地造成等規制法,流通業務市街地の整備に関する法律,液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律,都市計画法,特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法,自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律,浄化槽法などであり,多岐に及んでいた。
さらに,建築確認申請に添付する図書及び当該図書に明示される事項は,建築基準法施行規則1条の3第1項に定められているほか,群馬県建築基準法施行細則5条によって,群馬県独自に建築確認申請に添付すべき図書が規定されていた。
そうすると,建築確認審査は,そもそも,当該建築計画を建築基準関係規定に当てはめて,その要件充足の有無を判断するという裁量性の乏しいものであるところ,審査事項が上記のとおり多岐にわたり,かつ,審査の期間も制約されていることからすると,法は,建築主事に対し,すべての申請書類を工学的知見をもって厳密に逐一審査することまでは求めてはいないものというべきである。建築主事の審査は,建築基準関係規定に基づき建築確認申請に添付された図書及び同規定によって定められた事項が対象となるのであって,審査の対象とならない留意事項や推奨事項等は,設計者の判断に委ねられているものというべきである。
(2)建築士法は,建築士の職責,免許及びその取消し,懲戒,業務等について定める(同法2条の2,4条,9条,10条,18条等)とともに,建築士にしか設計と工事監理が行えない建築物を定めている(同法3条ないし3条の3)。また,法は,建築物のうち構造が複雑であったり,大規模であったりするものについては,建築士の資格を有する者が設計し,工事監理者とならなければならず(法5条の4),建築確認申請に際しても,建築士の作成した設計図書を申請書に添付させるものとし,その要件を欠く建築確認申請は受理することができないものと定めている(法6条3項)。
そうすると,建築確認制度は,建築専門家である建築士の技術的能力,職業倫理,責任感に対する信頼を前提として構築されているものということができる。
(3)以上によれば,建築主事は,建築基準関係規定に基づき建築確認申請に添付される図書及び同規定によって定められた事項を対象として,当該建築計画を建築基準関係規定に当てはめて,その要件充足の有無を審査,判断するものであり,その資料として提出される建築士作成の設計図書等については,建築士の技術的能力,職業倫理,責任感に対する信頼を前提として審査すれば足りるということができる。
4  D建築士の構造計算書偽装問題と本件紛争の発生について
前記前提事実,関係証拠(甲8,9,27の1ないし3,甲37,45,乙1の1,2,乙2の1,2,乙3の1,2,原審控訴人会社代表者),弁論の全趣旨によれば,D建築士の構造計算書偽装問題と本件紛争の発生について,次のとおりの事実が認められる。
(1)本件建物の建築
ア 控訴人らは,控訴人花子が,控訴人会社と建築工事請負契約を締結して本件建物を建築した上,これを控訴人会社に賃貸し,控訴人会社が,本件建物の建築工事を請け負うとともに,完成後の本件建物を賃借し,これにて本件ホテルの営業を行うことを計画した。
イ 控訴人花子は,上記計画に基づき,平成15年1月8日,控訴人会社との間で,本件建物の設計・監理業務,建築工事を控訴人会社に注文する旨の建築工事請負契約を締結した。
ウ 控訴人会社は,平成15年2月25日,昭和設計との間で,本件建物の設計・監理業務を昭和設計に下請けさせる旨の請負契約を締結した。
昭和設計は,本件建物の基本設計等を行ったが,そのうち構造計算の部分はD建築士に下請けさせた。
エ 控訴人花子は,昭和設計のG建築士を代理人として,平成15年3月14日,本件建築主事に対し,本件建物の建築確認申請(本件申請)を行った。本件建築主事は,本件申請について審査を行い,同年4月22日,控訴人花子に対し,確認済証を交付した。
控訴人花子は,上記G建築士を代理人として,平成16年1月13日,本件建築主事に対し,杭種の変更があったとして,計画変更確認申請を行った。本件建築主事は,上記申請についての審査を行い,同月21日,控訴人花子に対し,確認済証を交付した。
オ 控訴人会社は,平成15年5月7日ころ,本件建物の建築工事に着手し,平成16年1月21日ころ,これを完成させ,また,同日,控訴人花子に対し,本件建物の検査済証が交付された。
カ 控訴人花子は,平成16年1月25日,控訴人会社から,本件建物の引渡しを受け,その後,上記計画に基づき,同年3月8日,控訴人会社に対し,本件建物を賃貸した。控訴人会社は,そのころ,本件建物にて,本件ホテルの営業を開始した。
(2)D建築士の構造計算書偽装問題の発覚と本件構造計算書の改ざん,偽造
ア 国土交通省は,平成17年11月17日,建物の建築確認申請において,D建築士が偽造した構造計算書が使用され,これがチェックされないまま確認済証が交付され,既に建築されたホテルやマンションが相当数存し,これらの耐震強度が基準より不足する旨公表した。これは,一級建築士が建築確認申請の資料とする構造計算書を改ざん,偽造するという前例のない事件であり,また,既に使用しているホテルやマンションの耐震強度が不足して安全性に欠けるということで,その対応が迫られることとなり,大きな社会問題となった。
イ 被控訴人は,上記公表を受けて,D建築士作成の構造計算書を資料とした建築確認申請について調査したところ,本件建物がこれに該当することが判明したので,控訴人らに対し,そのことを指摘した。また,控訴人らから本件構造計算書を提出させて,社団法人群馬県建築士事務所協会に再計算を委託し,同協会がD建築士が使用したのと同一の大臣認定プログラムにより再計算をしたところ,計算結果が異なっていて,本件構造計算書が改ざん,偽造されたものであること,また,本件建物の耐震強度が基準より不足することが確認された。
ウ D建築士の具体的な改ざん,偽造の方法は判然としないが,次のようなものであったものと推測される。すなわち,本件申請に添付された構造図の情報(柱,梁,壁の断面や長さ高さに係る寸法及び鉄筋等)をプログラムに入力して計算結果を実行させた上で,一連の計算結果を出力(印刷)する。この計算結果はエラー表示される。その後,計算結果にエラーが出ないように,当初入力したデータを修正し,再度計算処理を実行させた上で,前者のエラー表示となっている部分を後者のエラーなし計算結果と差し替える,又は適合表示部分をコンピューターの画面上でエラーなしと書き換えたのである。
エ なお,D建築士がどのような動機,経緯により,本件構造計算書を改ざん,偽造するに至ったのかは不明である。
(3)控訴人らの対応と本訴の提起
ア 被控訴人は,控訴人らに対し,本件建物におけるホテル営業の休止と耐震補強工事の施工を指示した。
イ 控訴人会社は,控訴人花子の同意の下,社団法人日本建築構造技術者協会に対し,本件建物の耐震性能の評価及び耐震補強設計について検証を依頼したところ,許容応力設計及び保有水平耐力の不足があり,その補強が必要であると指摘された。
そこで,控訴人会社は,平成18年4月1日から同年6月10日までの間,耐震補強工事を行い,同月17日,本件ホテルの営業を再開した。
ウ 控訴人らは,平成19年8月23日,本件建築主事の建築確認の審査に過失があったとして,被控訴人を被告として,損害賠償を求める本訴を提起した。
5  本件建築主事の大臣認定プログラムの審査における過失について
(1)控訴人らは,本件建築主事には,大臣認定プログラムを使用した本件構造計算書が改ざん,偽造されたものであって使用できないものであることを発見できたのに,審査義務を怠ったため,そのことに気づかず,構造耐力が法令の基準値を下回る本件建物について,建築確認を下した過失が存すると主張する。
(2)前記前提事実,証拠(乙31)及び弁論の全趣旨によれば,次のとおりの事実が認められる。
ア 大臣認定プログラムとは,建築物が構造計算規定(施行令3章8節)に適合していることを検定するための構造計算プログラムのうち,準備計算,応力計算,断面計算(あるいは保有水平耐力計算)までを一貫して行うプログラムとしての性能評価を受け,国土交通大臣により認定を受けたものをいい,建築確認申請において,大臣認定プログラムにより構造計算を行うと,同プログラムにより出力される計算過程に係る図書を省略することができるものと定められていた。
イ 本件申請書に添付された本件構造計算書は,大臣認定プログラムである本件プログラムを使用して作成されたものであり,大臣認定書の写しが添付されていた。本件プログラムにより出力される計算過程に係る図書は,省略されていたが,保有水平耐力においてQu÷Qunの値が1.0以上等の計算結果が記載され,最終頁に「一連計算処理をすべて正常に終了」,「ERROR数 0」と表示されていて,同プログラムによる計算の結果,本件建物の構造耐力が法令の基準値を満たしていることが表示されていた。
ウ 本件建築主事は,大臣認定プログラムに入力する構造図の情報(柱,梁,壁の断面や長さ高さに係る寸法及び鉄筋等)が正しく入力されていること,保有水平耐力においてQu÷Qunの値が1.0以上等の計算結果,構造計算書の最終頁の「一連計算処理をすべて正常に終了」,「ERROR数 0」と表示されていることを確認し,これらにより,本件構造計算書の計算過程及びその結果を信頼し,構造計算については,これ以上の調査は行わなかった。
(3)上記3(3)で説示したとおり,建築主事は,建築基準関係規定に基づき建築確認申請に添付される図書及び同規定によって定められた事項を対象として,当該建築計画を建築基準関係規定に当てはめて,その要件充足の有無を審査,判断するものであり,その資料として提出される建築士作成の設計図書等については,建築士の技術的能力,職業倫理,責任感に対する信頼を前提として審査すれば足りるものであるところ,本件構造計算書(大臣認定プログラムによる計算書)に対し,必要とされる確認作業(入力データの適否及び計算結果の適否の確認)を行っているのであり,また,大臣認定プログラムにおいては,同プログラムにより出力される計算過程に係る図書が省略されて,これらの審査をする義務がないのであるから,本件構造計算書の計算過程の数値が秘かに改ざん,偽造されたことまで発見できなかったとしても,これを非難することはできず,結局,建築主事として通常払うべき注意を尽くしたものということができる。
(4)これに対し,控訴人らは,本件建築主事は,構造計算書の改ざん,偽造を発見するため,①性能評価書の添付,②利用者証明書に記載のプログラム名,③本件構造計算書に記載された本件プログラムのバージョンの一貫性,④本件構造計算書のヘッダーの記載を確認すべき義務があったにもかかわらず,これを怠ったと主張するので,検討する。
ア 性能評価書は,各プログラムメーカーが構造計算プログラムについて大臣認定申請をする前に,財団法人日本建築センターなどの指定性能評価機関(建築基準法に基づき大臣が指定する評価機関)に性能評価申請を行い,同機関の審査を受けた後交付されるもので,大臣認定を受けようとするプログラム認定申請の際に必要となるものであり,法令上も建築確認申請に添付する義務は定められていないのである(前記前提事実,弁論の全趣旨)。
したがって,性能評価書は,建築主事の審査の対象とならないのであるから,控訴人らの性能評価書に係る上記主張は採用することができない。
イ 利用者証明書は,構造計算プログラムの利用者が同プログラムの開発者から使用許諾を受けていることを示す資料に過ぎないものであり,法令上も建築確認申請に添付する義務は定められていないのである(前記前提事実)。
したがって,利用者証明書は,建築主事の審査の対象とならないのであるから,控訴人らの利用者証明書に係る上記主張は採用することができない。
ウ 本件構造計算書に記載された本件プログラムのバージョンは一貫したものではなく,一致しない部分が存した(争いがない。)。
しかし,証拠(乙31,弁論の全趣旨)によれば,本件申請の際に本件構造計算書上に表示された本件プログラムのバージョンは一貫していたが,構造計算書の入力データの一つである積雪荷重の数値が不適切であったため,本件建築主事が控訴人花子の代理人であるG建築士に対し,適切な数値にするよう指示し,G建築士が積雪荷重の頁のみ再計算の結果と差し替えたところ,その間に本件プログラムのバージョンアップがされたため,バージョンの不一致が生じたものと認められる。
したがって,本件プログラムのバージョンに一貫性がなかったことは,本件構造計算書の適否や改ざんの有無に関係する事実には当たらないから,控訴人らの本件プログラムのバージョンに係る上記主張は採用することができない。
エ 大臣認定プログラムにおいては,同プログラムが適用範囲内で使用され,かつ,計算処理が正常終了した場合には,大臣認定番号及び性能評価番号が構造計算書の全頁のヘッダーに出力されることとなっていた。したがって,本件構造計算書の全頁のヘッダーに大臣認定番号及び性能評価番号が一貫して表示されていないことは,大臣認定プログラムが適用範囲内で使用されていないこと又は計算処理が正常終了していないことを推認させる事情となる。
しかし,建築確認制度は,建築士に対する一定の技術的能力,職業倫理,責任感に対する信頼を前提として構築されており,その建築士が意図的に大臣認定プログラムによる構造計算の結果を改ざん,偽造するということが想定されていなかった(上記4(2)ア)ため,大臣認定プログラムのヘッダー表示の意味は周知されておらず,また,ヘッダー表示を偽装防止のため利用しようという発想も存しなかったことがうかがわれる。現に,平成11年11月30日発行の「建築構造審査要領」(建設省住宅局建築指導課監修,日本建築主事会議構造研究部会編集)には,構造計算書の審査方法に関連した事項中に,構造計算書のヘッダーについて指摘したものは存しない(乙21)。また,控訴人会社及び昭和設計がヘッダー表示に注視した形跡はなく,D建築士自身もヘッダーの偽装までは行っていない。そして,D建築士作成のヘッダー表示のない偽装構造計算書に基づく建築確認申請が,全国の建築主事や指定確認検査機関において,確認処分を受けていたのである。
そうすると,本件建築主事には,本件申請当時,本件プログラムのヘッダー表示に関する調査義務までは課せられていなかったというべきである。
なお,控訴人らは,本件申請当時,大臣認定プログラムのヘッダー表示の重要性が指摘されていたとして,文献等(甲27の1ないし3,甲34の3,甲35,36)を提出するが,これらは,D建築士の構造計算書偽装問題が発覚した後のもの(甲35を除くその余の甲号証),又はその前のものではあるが,建築事務所のホームページ中の説明の一部であって,一般に知られていたとは認め難いもの(甲35)でしかなく,控訴人らの上記主張を裏付けるものとはいえない。
したがって,控訴人らのヘッダー表示に係る上記主張は採用することができない。
(5)以上によれば,控訴人らの上記(1)の主張は採用することができない。
6  本件建築主事の構造図面から判断される構造上の問題点についての過失について
(1)本件建物の耐震壁を1枚と評価してモデル化したことについて
ア 控訴人らは,本件構造計算書では,本件建物の耐震壁について,すべて1枚の耐震壁と評価するモデル化がされていたが,開口部分の左右の壁を1枚の耐震壁として評価しモデル化することは,建築専門家としての常識的判断に反するものであるから,本件建築主事は,本件建物の構造図面により,本件耐震壁が1枚の耐震壁と評価するモデル化がされて構造設計がされていることを把握し,構造強度に係わる重要な項目として,梁間方向の耐震壁の評価や境界梁の設計などが法令で要求されている適合性を有するか審査すべきであり,そうすれば,本件建物が構造耐力に関する法令の基準値を下回るものであることを発見できたはずであると主張する。
イ 確かに,本件建物は,2階から11階までの部分を耐震壁のみで耐力を持たせるという構造を採り,同各階の梁間方向の内壁及び外壁が耐震壁とされているが,内壁の耐震壁の中央にはそれぞれ幅180㎝の廊下が存し,廊下通りの左右の耐震壁を廊下通りの上部に位置する梁が繋いでおり,北側外壁の耐震壁は,その中央に開口180㎝の非常口が存在し,非常口の左右の耐震壁を非常口の上部に位置する梁が繋ぎ,南側の耐震壁も,中央に間口80㎝の非常口が存し,非常口の左右の耐震壁を非常口の上部に位置する梁(境界梁)が繋いでおり,また,本件構造計算書では,上記耐震壁について,構造計算上,すべて1枚の耐震壁と評価するモデル化がされていた(争いがない。)。
ウ しかし,耐震壁の評価及びモデル化は,建築構造設計者の責任において進められる極めて専門性の高い作業の結果であるところ,本件建築確認当時,開口部のある耐震壁の評価及びモデル化の適否にかかる法令は存しなかったため,設計者の工学的判断に委ねられており,建築主事の審査の対象になっていなかったというべきである。すなわち,D建築士構造計算書偽装問題を契機として,平成19年5月18日に,平成19年国土交通省告示第594号「保有水平耐力計算及び許容応力度等計算の方法を定める件」が告示されて,初めて開口部のある耐震壁の取扱いが法令上明示されたのである(乙49)。
しかも,本件構造計算における耐震壁の評価及びモデル化は,本件申請当時,建築専門家としての常識的判断に沿うものであって,不適切なものではない。すなわち,本件申請当時,耐震壁の評価方法に関係する通達等としては,昭和56年5月1日付け建築省住指発第96号通達(平成7年9月2日改正。乙35)が存するところ,同通達は,耐震壁とみなすことができる開口周比を定めているが,これによると,本件建物の開口周比は1枚の耐震壁と評価することができるものである(乙36,弁論の全趣旨)。また,控訴人らから耐震診断及び耐震補強設計を依頼された金丸幸弘建築士も,当初,本件建物の耐震壁を1枚と評価していたことがうかがわれる(乙39)。
エ そうすると,大臣認定プログラムである本件プログラム(大臣認定プログラムの判定基準に照らせば,大臣認定プログラムは,耐震壁の評価やモデル化も十分考慮の上作成されていることがうかがわれる。)による構造計算の結果,構造上適正と評価された建物について,建築主事が更に耐震壁の評価やモデル化について審査を行うべき義務は存しなかったというべきである。
したがって,控訴人らの上記アの主張は採用することができない。
(2)ピロティ型式の建築物であることについて
ア 控訴人らは,本件建築主事は,構造図面などから,本件建物がピロティ型式の建物であることを容易に把握することができたから,本件建物の構造上の安全性に疑問を持ち,本件建物の構造強度に重大かつ直接関わる重要な審査事項として,梁間方向の耐震壁の評価や境界梁の設計などが法令で要求されている適合性をもつか否かを十分審査すべきであったが,上記審査を怠ったと主張する。
イ 確かに,本件建物はいわゆるピロティ型式の建物である。すなわち,1階部分に広い空間をとるため,同階をピロティ階(ピロティ階とは,当該階において,耐震壁の量が上階と比較して急激に少なくなっている階をいう。)としている(争いがない。)。
ウ しかし,法令は,そもそもピロティ型式という事項を定めておらず(したがって,どのようなものをピロティ型式とするかという定義も定まっていない。),ピロティ型式に特化した法令上の規定は存しない。また,技術基準に関する解説書(甲56,57)では,ピロティ型式の建築物に対する留意点として,ピロティ階での層崩壊形式を許容しない設計方針を掲げているが,これは推奨項目として掲げられているにすぎず,その運用は設計者の判断に委ねられているのであって,建築主事の審査の対象とはなっていなかったのである。
また,ピロティ型式の建物であったとしても,適切な構造計算や十分な剛性率を確保できていれば安全な建物といえるところ,本件建物は,大臣認定プログラムである本件プログラムによる構造計算の結果,構造上適正と評価されていたのである(なお,大臣認定プログラムの判定基準に照らせば,ピロティ型式の建物についても,適切な構造計算がされるようプログラムされていることがうかがわれる。また,本件建物の1階柱の断面積は,2階以上の柱の断面積の3倍以上を有していたのである(甲54の14,19))。
エ そうすると,本件建築主事は,本件建物について,本件プログラムの結果とは別に,更に梁間方向の耐震壁の評価や境界梁の設計などを個別に審査する義務を負うことはなかったというべきである。
したがって,控訴人らの上記アの主張は採用することができない。
7  結論
よって,原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 下田文男 裁判官 宇田川基 裁判官 足立哲は,転補のため署名押印することができない。裁判長裁判官 下田文男)
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政治と選挙Q&A「屋外広告物法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例一覧
(1)平成29年12月20日 東京地裁 平27(ワ)16748号・平28(ワ)32555号・平28(ワ)36394号 建物明渡等請求事件、賃料減額確認請求事件(本訴)、賃料増額確認請求反訴事件(反訴)
(2)平成29年 5月11日 大阪地裁 平28(ワ)5249号 商標権侵害差止請求事件
(3)平成29年 3月16日 東京地裁 平26(特わ)914号・平26(特わ)1029号 薬事法違反被告事件
(4)平成28年11月17日 大阪地裁 平25(わ)3198号 公務執行妨害、傷害被告事件
(5)平成28年10月26日 東京地裁 平24(ワ)16956号 請負代金請求事件
(6)平成28年 3月25日 東京地裁 平25(ワ)32886号 未払賃料請求事件
(7)平成27年 3月31日 東京地裁 平24(ワ)22117号 損害賠償等請求事件
(8)平成26年 2月27日 東京地裁 平24(ワ)9450号 著作物頒布広告掲載契約に基づく著作物頒布広告掲載撤去損害賠償請求事件
(9)平成25年 9月12日 大阪高裁 平25(う)633号 詐欺被告事件
(10)平成25年 1月22日 名古屋地裁 平20(ワ)3887号 損害賠償請求事件
(11)平成24年12月 7日 静岡地裁 平19(ワ)1624号・平20(ワ)691号 損害賠償請求(第一事件)、保険金請求(第二事件)事件
(12)平成23年11月18日 東京地裁 平23(レ)307号・平23(レ)549号 損害賠償等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(13)平成23年 9月30日 東京地裁 平20(ワ)31581号・平21(ワ)36858号 損害賠償請求事件(本訴)、同反訴請求事件(反訴)
(14)平成23年 2月23日 東京高裁 平21(ネ)2508号 損害賠償請求控訴事件
(15)平成23年 1月14日 大阪高裁 平22(う)460号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(16)平成22年10月 5日 京都地裁 平19(ワ)824号 損害賠償請求事件
(17)平成22年 7月27日 東京地裁 平20(ワ)30423号・平21(ワ)3223号 損害賠償請求事件(本訴)、払戻金返還請求事件(反訴)
(18)平成22年 3月29日 東京地裁 平20(ワ)22960号 建物明渡請求事件
(19)平成22年 2月 8日 東京地裁 平21(ワ)8227号・平21(ワ)21846号 損害賠償請求事件
(20)平成22年 1月27日 東京地裁 平21(ワ)9971号・平21(ワ)9621号 土地建物所有権移転登記抹消登記請求事件、鉄塔明渡請求事件
(21)平成22年 1月27日 東京地裁 平21(ワ)13019号 屋外広告塔撤去請求事件
(22)平成21年12月24日 東京地裁 平20(行ウ)494号 計画通知確認処分取消等請求事件
(23)平成21年 7月22日 東京地裁 平19(ワ)24869号 損害賠償請求事件
(24)平成21年 1月20日 那覇地裁 平19(行ウ)16号・平20(行ウ)2号 建築確認処分差止請求事件(甲事件)、建築確認処分差止請求事件(乙事件)
(25)平成20年10月17日 東京地裁 平20(行ク)214号 執行停止申立事件
(26)平成20年 9月19日 東京地裁 平19(行ウ)274号・平19(行ウ)645号 退去強制令書発付処分取消請求事件
(27)平成20年 4月11日 最高裁第二小法廷 平17(あ)2652号 住居侵入被告事件 〔立川反戦ビラ事件・上告審〕
(28)平成19年 2月21日 東京地裁 平18(行ウ)206号 損害賠償請求事件(住民訴訟)
(29)平成17年12月21日 東京地裁 平15(ワ)14821号 看板設置請求事件
(30)平成17年 3月31日 東京地裁 平15(ワ)27464号・平15(ワ)21451号 商標使用差止等請求本訴、損害賠償請求反訴事件 〔tabitama.net事件〕
(31)平成17年 2月22日 岡山地裁 平14(ワ)1299号 損害賠償請求事件
(32)平成13年12月21日 秋田地裁 平10(ワ)324号・平12(ワ)53号・平12(ワ)416号 土地明渡等請求、損害賠償請求事件
(33)平成13年 2月23日 大阪地裁 平10(ワ)13935号 損害賠償請求事件
(34)平成11年 2月15日 仙台地裁 平9(行ウ)6号 法人税更正処分等取消請求事件
(35)平成 9年 7月22日 神戸地裁 平8(ワ)2214号 損害賠償請求事件
(36)平成 8年 6月21日 最高裁第二小法廷 平6(あ)110号 愛媛県屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反
(37)平成 8年 4月12日 最高裁第二小法廷 平4(あ)1224号 京都府屋外広告物条例違反
(38)平成 8年 3月 8日 最高裁第二小法廷 平4(オ)78号 損害賠償請求事件
(39)平成 8年 3月 8日 最高裁第二小法廷 平4(オ)77号 損害賠償請求事件
(40)平成 7年12月11日 最高裁第一小法廷 平4(あ)526号 各滋賀県屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反
(41)平成 7年 6月23日 最高裁第二小法廷 平元(オ)1260号 損害賠償、民訴法一九八条二項による返還及び損害賠償請求事件 〔クロロキン薬害訴訟・上告審〕
(42)平成 6年 2月21日 福岡高裁 平元(ネ)608号 接見交通妨害損害賠償請求事件
(43)平成 4年 6月30日 東京地裁 平3(ワ)17640号・平3(ワ)16526号 損害賠償請求事件
(44)平成 4年 6月15日 最高裁第二小法廷 平元(あ)710号 大阪府屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反被告事件
(45)平成 4年 6月15日 最高裁第二小法廷 平元(あ)511号 大阪市屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反
(46)平成 4年 2月 4日 神戸地裁 昭49(ワ)578号 損害賠償請求事件 〔全税関神戸訴訟・第一審〕
(47)平成 4年 2月 4日 神戸地裁 昭49(ワ)578号 損害賠償請求事件 〔全税関神戸訴訟・第一審〕
(48)昭和60年 7月22日 最高裁第一小法廷 昭59(あ)1498号 所得税法違反被告事件
(49)昭和59年 9月28日 奈良地裁 昭58(行ウ)4号 都市計画変更決定一部取消請求事件
(50)昭和59年 7月17日 福岡高裁 昭58(う)487号 大分県屋外広告物条例違反被告事件
(51)昭和58年10月27日 最高裁第一小法廷 昭57(あ)859号 猥褻図画販売、猥褻図画販売目的所持被告事件
(52)昭和58年 8月24日 福岡高裁 昭57(う)254号 軽犯罪法違反、佐賀県屋外広告物条例違反事件
(53)昭和58年 6月21日 大分簡裁 昭55(ろ)66号 大分県屋外広告物条例違反被告事件
(54)昭和57年 3月 5日 佐賀簡裁 昭55(ろ)24号 軽犯罪法違反、佐賀県屋外広告物条例違反事件
(55)昭和56年 8月 5日 東京高裁 昭55(う)189号 軽犯罪法違反被告事件
(56)昭和56年 7月31日 神戸簡裁 昭56(ろ)167号 軽犯罪法違反、兵庫県屋外広告物条例違反事件
(57)昭和55年 4月28日 広島高裁松江支部 昭54(う)11号 公職選挙法違反被告事件 〔戸別訪問禁止違憲事件・控訴審〕
(58)昭和54年12月25日 大森簡裁 昭48(う)207号・昭48(う)208号 軽犯罪法違反被告事件
(59)昭和53年 7月19日 横浜地裁 昭51(ワ)1147号 損害賠償事件
(60)昭和53年 5月30日 大阪高裁 昭52(ネ)1884号 敷金返還請求事件
(61)昭和51年 3月 9日 東京高裁 昭47(う)3294号 埼玉県屋外広告物条例違反等被告事件
(62)昭和51年 1月29日 大阪高裁 昭50(う)488号
(63)昭和50年 9月10日 最高裁大法廷 昭48(あ)910号 集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反被告事件 〔徳島市公安条例事件・上告審〕
(64)昭和50年 6月30日 東京高裁 昭47(う)3293号 埼玉県屋外広告物条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(65)昭和50年 6月12日 最高裁第一小法廷 昭49(あ)2752号
(66)昭和50年 5月29日 最高裁第一小法廷 昭49(あ)1377号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(67)昭和49年12月16日 大阪高裁 昭49(う)712号 神戸市屋外広告物条例違反等事件
(68)昭和49年 5月17日 大阪高裁 昭45(う)868号
(69)昭和49年 5月17日 大阪高裁 昭45(う)713号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(70)昭和49年 4月30日 東京高裁 昭48(行コ)35号 行政処分取消請求控訴事件 〔国立歩道橋事件〕
(71)昭和48年12月20日 最高裁第一小法廷 昭47(あ)1564号
(72)昭和48年11月27日 大阪高裁 昭48(う)951号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(73)昭和47年 7月11日 大阪高裁 昭43(う)1666号 大阪府屋外広告物法施行条例違反事件 〔いわゆる寝屋川ビラ貼り事件・控訴審〕
(74)昭和46年 9月29日 福岡高裁 昭45(う)600号 福岡県屋外広告物条例違反被告事件
(75)昭和45年11月10日 柳川簡裁 昭40(ろ)61号・昭40(ろ)62号 福岡県屋外広告物条例違反被告事件
(76)昭和45年 4月30日 最高裁第一小法廷 昭44(あ)893号 高知県屋外広告物取締条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(77)昭和45年 4月 8日 東京地裁 昭40(行ウ)105号 法人事業税の更正決定取消請求事件
(78)昭和44年 9月 5日 金沢地裁 昭34(ワ)401号 損害賠償請求事件 〔北陸鉄道労組損害賠償請求事件〕
(79)昭和44年 8月 1日 大阪地裁 昭44(む)205号 裁判官忌避申立却下の裁判に対する準抗告事件
(80)昭和44年 3月28日 高松高裁 昭42(う)372号 外国人登録法違反・高知県屋外広告物取締条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(81)昭和43年12月18日 最高裁大法廷 昭41(あ)536号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(82)昭和43年10月 9日 枚方簡裁 昭41(ろ)42号 大阪府屋外広告物法施行条例違反被告事件
(83)昭和43年 7月23日 松山地裁 昭43(行ク)2号 執行停止申立事件
(84)昭和43年 4月30日 高松高裁 昭41(う)278号 愛媛県屋外広告物条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(85)昭和43年 2月 5日 呉簡裁 昭41(ろ)100号 軽犯罪法違反被告事件
(86)昭和42年 9月29日 高知簡裁 昭41(ろ)66号 外国人登録法違反被告事件
(87)昭和42年 3月 1日 大阪地裁 昭42(む)57号・昭42(む)58号 勾留請求却下の裁判に対する準抗告事件
(88)昭和41年 2月12日 大阪高裁 昭40(う)1276号
(89)昭和41年 2月12日 大阪高裁 事件番号不詳 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(90)昭和40年10月21日 大阪地裁 昭40(む)407号 勾留取消の裁判に対する準抗告事件
(91)昭和40年10月11日 大阪地裁 昭40(む)404号 勾留取消の裁判に対する準抗告申立事件
(92)昭和39年12月28日 名古屋高裁 昭38(う)736号 建造物損壊、建造物侵入等事件 〔東海電通局事件・控訴審〕
(93)昭和39年 8月19日 名古屋高裁 昭39(う)166号 軽犯罪法違反被告事件
(94)昭和39年 6月16日 大阪高裁 昭38(う)1452号
(95)昭和29年 5月 8日 福岡高裁 昭29(う)480号・昭29(う)481号 外国人登録法違反等事件
(96)昭和29年 1月 5日 佐賀地裁 事件番号不詳 外国人登録法違反窃盗被告事件
(97)昭和28年 5月 4日 福岡高裁 昭28(う)503号 熊本県屋外広告物条例違反被告事件

■【政治と選挙の裁判例一覧】「政治資金規正法 選挙ポスター」に関する裁判例カテゴリー
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