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政治と選挙Q&A「屋外広告物法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(31)平成17年 2月22日 岡山地裁 平14(ワ)1299号 損害賠償請求事件

政治と選挙Q&A「屋外広告物法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(31)平成17年 2月22日 岡山地裁 平14(ワ)1299号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成17年 2月22日  裁判所名  岡山地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(ワ)1299号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2005WLJPCA02228001

要旨
◆市の条例により伝統美観を保存等すべきものとされた地区内に商業ビルを建築することを計画して建築確認を申請した原告が、市の建築主事が長期間にわたり確認をしなかったことは違法であると主張して、市に対し、国家賠償法一条一項に基づき、ビルでの営業ができなかったことによる逸失利益等の賠償を請求した事案において、同条例は建築確認の審査において考慮すべき事項に該当せず建築主事が不適合通知をしたことは違法であり、また、同条例に基づく行政指導に従わない意思を表明していた原告に対して行政指導が行われていることを理由に確認を留保したことは違法であるとしたものの、仮に原告が商業ビルで営業をしていたとしても損失が発生していたなどとして、請求が棄却された事例

裁判経過
控訴審 平成18年 7月25日 広島高裁岡山支部 判決 平17(ネ)82号 損害賠償請求控訴事件

参照条文
国家賠償法1条1項
建築基準法6条
裁判官
政岡克俊 (マサオカカツトシ) 第37期 現所属 依願退官
平成29年3月31日 ~ 依願退官
平成26年4月1日 ~ 松山地方・家庭裁判所西條支部(支部長)
平成22年4月1日 ~ 高松高等裁判所
平成19年4月1日 ~ 平成22年3月31日 山口地方・家庭裁判所下関支部(支部長)
平成18年4月1日 ~ 平成19年3月31日 山口地方裁判所下関支部(部総括)、山口家庭裁判所下関支部(部総括)
平成13年4月1日 ~ 平成18年3月31日 岡山地方裁判所、岡山家庭裁判所
平成8年4月1日 ~ 平成13年3月31日 松山家庭裁判所西条支部、松山地方裁判所西条支部
平成5年4月1日 ~ 平成8年3月31日 名古屋地方裁判所
平成2年4月1日 ~ 平成5年3月31日 福岡家庭裁判所久留米支部、福岡地方裁判所久留米支部
~ 平成2年3月31日 高知地方裁判所、高知家庭裁判所

訴訟代理人
原告側訴訟代理人
西田秀史,西田三千代,難波秀明

被告側訴訟代理人
石井辰彦

関連判例
昭和60年 7月16日 最高裁第三小法廷 判決 昭55(オ)309号・昭55(オ)310号 損害賠償請求事件 〔品川区マンション事件〕

Westlaw作成目次

主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 原告の請求
第2 事案の概要
1 前提事実(括弧内に認定根拠を…
(1) 倉敷の町並み保存の沿革等(甲…
(1) 美観地区内における行為の規制…
(2) 美観地区内において,その保存…
(3) 美観地区内において保存家屋の…
(1) 建築物その他の工作物の新築,…
(2) 宅地の造成その他土地の形質の…
(3) 竹木の伐採
(4) 土石類の採取
(5) 建築物その他の工作物の色彩の…
(6) 前各号に掲げるもののほか,美…
2 市長は,前項の届出があった場…
(1) 行為の規制及び協議
(2) 伝統美観の保存整備
(3) 家屋等の改築等における環境保…
(4) 家屋等の保存整備
(5) 建築確認対象法令の基準等通知
2 本件の争点
(1) 被告の建築主事が平成12年4…
(2) 原告の損害の額
第3 当裁判所の判断
1 当事者間に争いのない事実に加…
(1) 案山子屋は,昭和23年に設立…
(2) 株式会社西友のプライベートブ…
(3) 平成8年9月ころ,原告代表者…
(4) 原告は,倉敷駅前に近い本件土…
(5) 原告は,平成10年1月21日…
(6) その間の平成10年2月12日…
(7) 原告は,平成10年6月26日…
2 被告の建築主事が平成12年4…
(1) まず,建築基準法6条所定の建…
(2) 建築基準法が建築主事の行う建…
(3) これを本件についてみるのに,…
(4) したがって,被告の建築主事が…
3 原告の損害の額(争点(2))…
(1) 固定資産税(請求額579万5…
(2) 借入利息(請求額1660万9…
(3) 設計料(請求額756万円)
(4) 逸失利益(請求額2億1986…
(5) 弁護士費用(請求額2500万…
4 以上によれば,原告の請求は,…

裁判年月日  平成17年 2月22日  裁判所名  岡山地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(ワ)1299号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2005WLJPCA02228001

岡山市〈以下省略〉
原告 案山子屋商事株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 西田秀史
同弁護士 西田三千代
同弁護士 難波秀明
岡山県倉敷市〈以下省略〉
被告 倉敷市
同代表者市長 古市健三
同訴訟代理人弁護士 石井辰彦

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  原告の請求
被告は,原告に対し,金2億7483万0834円及びこれに対する平成12年4月20日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,いわゆる「倉敷美観地区」内に「無印良品」ブランドの商品販売用の商業ビルの建築確認が申請されたのに対し,被告の建築主事が,条例に基づくとする市長の承諾書がないことを理由に,申請から2年余りの期間建築確認を違法に怠ったとして,ビルの建築主が,倉敷市に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償を求めた事案である。
1  前提事実(括弧内に認定根拠を掲げた以外の事実は,当事者間に争いがない。)
(1)  倉敷の町並み保存の沿革等(甲37の1ないし7,乙1,37ないし41)
① 倉敷市は,岡山県南西部の瀬戸内海に面した人口約43万人の商工業都市であり,江戸時代は天領となり,周辺の物資の集散地として発展した。明治以降は,倉敷紡績を中心とする工業都市に変貌し,戦後は水島コンビナートに代表される重化学工業都市となるが,一方第2次世界大戦の戦禍を免れた昔ながらの白壁の蔵屋敷が建ち並ぶ美観地区や瀬戸大橋,倉敷チボリ公園などを中心に観光都市としても賑わっている。
② 標高36.8mの鶴形山の南麓に位置する倉敷川畔一帯は,かつて「阿知の潟」と呼ばれる浅海であったが,高梁川の流出土砂による堆積作用と天正12年(1584年)の宇喜多秀家による大規模な潮止め工事(新田開発)によって,次第にその形状が整えられてきた。川畔には,多くの水夫屋敷が並び,豊臣秀吉の時代には水夫役を出していたと伝えられ,そのためこの一帯は免税地になっていたとされる。倉敷川は,高梁川と通じていたため,備中地方の物資を積み出す川港として重要な役割を担っていた。慶長5年(1600年)に備中松山藩領となってからは,同藩の港として,また上方への物資輸送中継基地としての役割を持っていたと考えられている。
その後,慶長19年(1614年)の大阪冬の陣の際には,備中松山藩の代官で倉敷の統治を兼任していた小堀遠州が徳川方に兵糧米を送り,その功績が認められて,1642年(寛永19年),倉敷は,天領として幕府の支配下に置かれ,商人達は税等の面で優遇されるようになった。その結果,これまでの備中松山藩の外港的機能に代わり,天領米の積み出しをはじめ,物資輸送の基地として,また急速に開発が進んだ周辺新田地帯の中心地として繁栄するようになった。この時期には,有力な町人(商業地主)層が現れ,人口も急増し,元禄年間から文政年間の約130年間に人口は2倍に増加し,活況を呈した。こうした背景の中で,本瓦葺塗屋造りの町屋と土蔵造りの蔵などを中心とした倉敷の町並みが形成された。
当時,倉敷の豪商は,徳川初期から村を支配してきた「古禄」と,経済的繁栄の中,次第に富を蓄積してきた「新禄」の2つの勢力に分かれ,激しい勢力争いを繰り広げたと謂われている。現在,倉敷川畔に残っている建造物は,この時代の商家の町屋や蔵を原型とするものが多く,町並みの景観を特徴づけている。建造物の特徴としては,町屋は,ほとんどが塗屋造りで,倉敷窓や倉敷格子(親付き切子格子)といった意匠を備え,蔵は,土蔵造りで,白漆喰塗となまこ壁のコントラストが特徴的である。特に大富豪が集まっていた倉敷川畔とその両側に続く町並みには規模が大きなものが多い。
明治を迎えると,代官所は廃止され,また明治24年(1891年)以降は鉄道も開通し,商業の中心地が駅前へと移り,倉敷川畔一帯は,一時ほどの賑わいはなくなった。明治22年(1889年)には,旧代官所跡地に倉敷紡績所が設立され,初代社長に大原孝四郎が就任したが,その息子の大原孫三郎は,倉敷紡績所を日本有数の企業へと発展させ,紡績事業の傍ら社会福祉事業や文化事業にも多大な功績を残した。我が国発の西洋近代美術館として,昭和5年(1930年)に開館した大原美術館はその代表である。孫三郎の精神を引き継いだ長男の總一郎は,戦災を免れた倉敷の町並みの保存に力を入れ,倉敷民芸館や倉敷考古館などの設立に尽力し,倉敷をドイツの歴史的都市ローテンブルク(約1km四方の町域を壁で囲み,12世紀以来の建造物群を残す。)に見立て,伝統美を残しながら発展させる「ブルグ構想」を抱いたが,戦争のため,実現に移すことはできなかった。しかし,この思想は,後の文化人に多大な影響を与え,戦後の町並み保存活動へと繋がって行った。
③ 昭和20年代後半,地元住民の間から,先人から受け継がれてきた倉敷川畔一帯の町並みを保存していこうとする機運が盛り上がり,そのとき対象地域が美観地区と名付けられ,徐々に町並みの保存整備が図れてきた。
昭和42年に当時の倉敷,児島,玉島の3市が合併し,被告となったが,それに先立つ昭和40年に「倉敷市の将来像に関する懇談会」が結成され,その報告の中でも,先人の努力によって受け継がれてきた倉敷特有の伝統的な様式の町屋や蔵で構成されている倉敷川畔一帯の町並みを保存・継承することの重要性・必要性が唱えられた。
全国に先駆け,独自に条例を制定して本格的に町並み保存に取り組むことにした被告は,昭和43年9月に倉敷市伝統美観保存条例(以下「美観条例」という。)を制定し,翌昭和44年,倉敷川畔20.7haを同条例所定の「美観地区」や「特別美観地区」(美観地区において特に重要と認めた地区)等に指定し,倉敷市伝統美観保存計画(以下「美観計画」という。)を告示し,美観地区での建物の新築等の場合に必要とされる市長との協議の際の修景基準や経費の補助等を盛り込んだ。
昭和50年,文化財保護法が一部改正され,歴史的な町並みを保存していく施策として伝統的建造物群保存地区制度が創設されたため,被告は,昭和53年9月,同法に基づき,被告が都市計画に定める伝統的建造物群保存地区に関し,現状変更の規制その他その保存のため必要な措置を定め,もって被告の文化的向上に資することを目的として,倉敷市伝統的建造物群保存地区保存条例(以下「伝建条例」という。)を制定した上,都市計画法に基づき,美観地区の中心部13.4haの区域(概ね特別美観地区に合致。)を「伝統的建造物群保存地区」である倉敷川畔伝統的建造物群保存地区(以下「伝建地区」という。)として都市計画に定め,昭和54年2月,伝建条例の規定に基づき,倉敷川畔伝統的建造物群保存地区保存計画を定めた。そして,伝建地区は,昭和54年5月,文部大臣から,文化財保護法83条の4第1項に基づく重要伝統的建造物群保存地区に選定された。
さらに,平成2年には,美観地区に隣接する場所に中高層のテナントビルやホテルの建築計画が浮上し,歴史的景観が阻害されるおそれが生じたため,被告は,同年6月,倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区背景保全条例(以下「背景条例」という。)を制定して,同条例所定の「背景地区」を指定し,美観地区を含む倉敷川畔一帯の地区の周囲をも含めた歴史的景観の保全に取り組んでいる。
伝建地区,美観地区,背景地区の範囲は,別紙「美観地区拡大図」記載のとおりである。
④ 美観条例には,次のような規定がある。
第1条 この条例は,本市固有の歴史的な伝統美観を保存し,後世に継承するため,必要な措置を定め,もって郷土愛の高揚を図るとともに,わが国文化の向上発展と観光に寄与することを目的とする。
第3条 美観地区等は,倉敷市伝統美観審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴いて市長が指定する。
第4条 市長は,美観地区等を指定したときは,審議会の意見を聴いて美観計画を定めなければならない。
第5条 美観計画は,次の事項により定め,住民の協力のもとに実施しなければならない。
(1)  美観地区内における行為の規制その他伝統美観の維持保存に関する事項
(2)  美観地区内において,その保存に関連して必要とされる保存施設の整備に関する事項
(3)  美観地区内において保存家屋の保存,改修及び改築等による保存管理に必要な技術的な指導及び経費の補助に関する事項
第6条 美観地区内において,次の各号に掲げる行為をしようとする者は,予め市長にその旨を届け出て協議しなければならない。ただし,通常の管理行為,軽易な行為及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為並びに当該美観地区の指定の際すでに着手している行為については,この限りではない。
(1)  建築物その他の工作物の新築,改築,増築及び撤去
(2)  宅地の造成その他土地の形質の変更
(3)  竹木の伐採
(4)  土石類の採取
(5)  建築物その他の工作物の色彩の変更
(6)  前各号に掲げるもののほか,美観地区保存に反する行為
2  市長は,前項の届出があった場合において,美観地区の保存のため必要があると認めるときは,当該届出をした者に対し,必要な助言,指導又は勧告をすることができる。
⑤ 美観計画には,次の定めがある。
(1)  行為の規制及び協議
美観地区内における行為の規制については,美観条例第6条の規定により,美観地区内において次の各号に掲げる行為をしようとする者は,予め市長にその旨を届け出て,協議しなければならない。
ア 建築物その他の工作物の新築,改築,増築及び撤去
(2)  伝統美観の保存整備
美観地区内における家屋,保存記念物及び公共施設の保存整備については,住民及び関係団体等の協力の下に,次の区分により,その伝統美観の保存整備に努めるとともに,現況保存と併せ,老朽甚だしいもの,周囲の環境に調和しないもの等については,可能な範囲内において,伝統美観を保持できる環境の醸成に努める。
ア 保存家屋の保護保存を図るとともに,その他の家屋の修復
ウ 伝統美観を損なう工作物等の撤去及び改修
コ その他景観保持に必要な修景施設
(3)  家屋等の改築等における環境保存上必要な指導,助言,勧告
保存家屋,その他の家屋及び工作物等の改築等に当たり,次の区分により必要に応じ指導,助言又は勧告を行う。
ア 家屋及び工作物等の新築,改築及び増築等の外観保存に必要な事項
イ 家屋及び工作物等の色彩
ウ 屋外広告物等のデザイン
エ その他必要な指導助言
(4)  家屋等の保存整備
保存家屋及びその他の家屋の新築,増築若しくは改築又は修繕,模様替え若しくは色彩の変更については,地区の歴史的風致と調和するよう,主として通常望見できる外観について,下記の修景基準に従って維持に努める。
屋根 日本瓦
軒 漆喰,化粧野地,垂木
壁 漆喰,なまこ壁,腰板
建具 木製建具又はこれに類する物
塀 日本瓦,外部漆喰,外装木材
工作物 看板又はこれに類する物で,家屋及び周囲に調和したもの
その他 その他の建造物で,家屋の一部又は一体をなしているもので,周囲に調和したもの
(2) 原告と被告の協議状況等
① 原告は,室内装飾品と各種家具販売等を業とする株式会社である。
原告は,美観地区内にあるB所有の倉敷市○○a丁目b番宅地367.47m2(平成9年5月9日に合筆される前は,同所b番,c番,d番e。以下これらを「本件土地」という。)の上に「無印良品」ブランドの雑貨販売店舗(以下「阿知店」という。)用建物を新築する計画を立て,関連会社である株式会社案山子屋(以下「案山子屋」という。)の常務取締役C(以下「C」という。)をして,被告との交渉に当たらせた。なお,本件土地は,別紙「美観地区拡大図」の赤斜線部分に位置し,都市計画上,近隣商業地域内にある(甲2の1,乙15)。
② Cは,平成9年1月27日,被告の教育委員会事務局生涯学習部文化財保護課(以下単に「文化財保護課」という。)を訪れ,美観地区でのビル新築についての規制等を問い合わせ,同年5月2日,同課に建築予定建物の西立面図を持参して,美観地区でのビル新築計画案を提示した。
③ その間の平成9年4月3日,株式会社クラレとイオン興産株式会社は,倉敷市△△の工場跡地にジャスコを核店舗とする大型複合ショッピングセンター「イオン倉敷ショッピングセンター」(以下「イオン倉敷SC」という。)を平成11年4月を開店予定日として建設・出店すること及び「無印良品」ブランドを有する株式会社良品計画(以下「良品計画」という。)も大型小売業者としてイオン倉敷SCに出店すること等の出店計画概要を発表した。
同年4月10日,原告は,良品計画との間で,阿知店での小売販売に関し,商品供給基本契約を締結した。また,原告は,同年4月22日,Bから本件土地を買い受け,同年4月25日,本件土地上にあったD所有の建物も買い受けるとともに,同日,本件土地及び地上建物について原告名義の所有権移転登記手続を了した(甲2の1,2)。
④ 原告は,その後,A案からG案までの設計プランの変更を繰り返し,平成9年8月1日,最終案として地上3階,地下1階,高さ11.5mの鉄骨造4階建のG案を提示し,同年8月25日,倉敷市長に対し,原告の関連会社であるの従業員O名義で,美観条例第6条に基づく「美観地区における行為の協議申請書」を提出した。
市長は,審議会に対し,原告の建築案について美観計画に定められている修景基準に従った美観地区の歴史的風致と調和するものとして建築に同意できるか否かを諮問し,審議会から,高さ,規模,外観等美観地区の町並みに適合した伝統的な様式を備えた建造物とは認められず,同意できない旨の答申を受け,同年9月29日,原告に対し,審議会の答申と同様の理由により同意できない旨を通知した。
⑤ この間の平成9年6月17日,原告は,文化財保護課に対し,新築建物は良品計画が展開する無印良品の店舗として原告がフランチャイズ契約により開店する予定であること等の説明を行い,文化財保護課は,前記の同年4月10日付け商品供給基本契約に特約事項として,新展開店舗として所定の天井高さを各階で確保できない場合は直ちに契約を解除することができる旨等や開店日を同年12月12日とすることが約定されていることを知った。
(3) 建築確認申請とそれに対する対応
① 原告は,被告に対し,阿知店の開店予定日である平成9年12月12日を経過した同年12月22日,「通知書」と題する内容証明郵便を発送して,原告の最終案は美観条例の趣旨に合致する建物と確信しており,被告とは見解の相違である旨,美観条例による協議は十分に尽くしたこと,建築確認申請をするので速やかな審査を求める旨等の通知をし,同郵便は,同月23日に被告に配達された。
② 翌平成10年1月21日,原告は,被告の建設局建築部建築指導課(以下単に「建築指導課」という。)に対し,概略以下の建物の建築確認申請(以下「本件確認申請」という。)をなした。
名称 (仮称)fビル
所在 倉敷市○○a丁目b番地
用途 物品販売店舗
構造 鉄骨造一部鉄筋コンクリート造地下1階地上3階建
最高の高さ 11.5m
建築面積 1088.44m2
床面積 地下1階 270.14m2
1階 292.02m2
2階 285.98m2
3階 240.30m2
これに対し,被告は,同年1月29日,本件確認申請に係る建築案は不同意とした建築案と同様であり,その建築は容認できないこと,美観条例の趣旨を理解し,協議を再開するよう要望することを原告に伝えた。
③ 平成10年2月10日,被告の建築主事E(以下「E」という。)は,原告に対し,美観条例に基づく承認書が添付されていないことやその他の不備36項目を理由に,本件確認申請につき,期限内に確認できない旨の通知をした。
原告は,同年2月13日,同月9日付け「通知書2」と題する内容証明郵便を被告に発送し,これ以上の協議は時間と労力の無駄であり,計画の遅れによって日々莫大な損害を被っているので早急に建築確認を求める旨を伝え,同郵便は,同月14日,被告に配達された。
これに対し,被告は,同年3月23日,原告に対し,改めて協議を再開するよう要望した。
他方,原告は,同年3月27日までに,美観条例に基づく承諾書の添付以外の補正事項の補正を完了した。
④ 平成10年3月31日,Eは,原告に対し,本件条例に基づく承認書の添付がないことを理由として,本件確認申請につき,期限内に確認できない旨の通知をした。
同年5月12日,被告は,原告に対し,建築計画についての協議をなすよう要望した。
原告は,被告に対し,同年6月6日配達の内容証明郵便をもって,当該書面到達後1週間内に建築確認するか否かの処分をするよう催告し,被告は,同年6月12日,本件確認申請には美観条例に基づく承諾書が必要であるとして,引き続き協議をするよう要望する等した。
⑤ 原告は,平成10年6月26日,倉敷市建築審査会(以下「建築審査会」という。)に対し,本件確認申請について,被告の建築主事の不作為を違法とする審査請求をしたところ,建築審査会は,同年9月16日,本件確認申請に対し速やかに確認をし,又は確認しない旨のいずれかの通知をせよとの裁決をした。
これに対し,被告は,同年9月28日付け「美観地区内における建築物の新築にかかる協議について(お願い)」と題する書面をもって,原告に対し,現計画での建築は認めるわけにはいかない旨を通知し,協議の場につくことを要望した。
原告は,平成10年10月22日付け「通知書3」と題する内容証明郵便をもって,市長に対し,建築審査会の裁決に従い,速やかに確認に関する処分をするよう求め,併せて協議を求めるのであれば,建築基準法を前提とした被告としての要望を具体的な数値等によって明らかにするよう求めたところ,被告は,同年11月10日,原告に対し,参考としての立面図をモデルパターンとして示し,協議再開を求めた。
⑥ 原告は,平成11年1月13日,本件確認申請について,Eの後任の建築主事F(以下「F」という。)が違法に許否の処分をしないとして,その不作為の違法確認を求めて行政訴訟(当庁平成11年(行ウ)第1号事件)を提起したところ,同年3月2日の第1回口頭弁論期日において,Fは,次回期日までに処分する旨を答弁し,同年4月8日付け「建築基準法第6条第4項に規定による適合しない旨の通知書」により,建築確認をしないとの処分をした。不適合の理由は,本件条例に基づく承認書が添付されていないことであった。
原告は,同年5月7日,建築審査会に対し,Fの前記処分の取消しを求めて審査請求をしたが,建築審査会は,同年10月25日,審査請求棄却の裁決をした。
原告は,同年10月28日,建設大臣に対し,建築審査会の裁決の取消しを求めて再審査請求をしたところ,建設大臣は,平成12年3月30日,原告の主張を全面的に認めて,上記裁決を取り消した。
⑦ そこで,Fは,平成12年4月19日,本件確認申請につき,建築基準関係法規(「建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定その他建築物の敷地,構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令に定めるもの」をいう。以下同様。)に適合していることを証明する旨の確認済証を原告に交付し,建築確認処分をした。
なお,イオン倉敷SCは,この間の平成11年9月に開店し,そのテナントとして,良品計画が直営する「無印良品イオン倉敷店」(以下「イオン店」という。)も営業を開始した。
(4) 建築確認後の交渉経過
① 被告は,原告が本件確認申請につき建築確認を受けたことから,問題の解決を図るため,原告が所有する建築予定地を被告が買い取ることを基本とする交渉を平成12年6月16日以降行い,被告のG助役らが担当した。
② 平成13年2月7日には,原告は,被告に対し,総額5億7133万円余の和解金額を提示し,交渉の促進と早期の交渉妥結を求める旨の通知をした。その和解金額の計算内訳は次のとおりである。
土地代 3億4000万円余
土地購入に関する諸費用 2327万円余
租税 1093万円余
金利 5431万円余
設計料 763万円余
弁護士費用 333万円余
諸費用 4620万円余
逸失利益 3368万円
(ただし,平成9年11月開店とし,初年度から4年度までの合計)
慰謝料 5193万円余
③ これに対し,被告は,3億9000万円を提示し,平成13年4月5日にその金額を最終的な提示とするので検討してほしい旨を通知したが,原告も同日,固定資産税と銀行借入金利が毎日無意味に流出しているとして,租税,金利を増額した総額5億7414万円余の和解金額を提示し,検討するよう求めてきた。
④ 平成13年4月24日,原告から被告に対し,譲歩して和解金額を5億5000万円とする旨の通知がなされたが,同年5月11日,被告は,原告に対し,前回の提示額が最終案である旨を通知した。
以後,原告から回答,提案はなかったところ,平成14年5月30日に至り,原告は,4億2000万円を提示したが,被告は,最終案の提示から1年を経過し,既に交渉は打ち切られたものと理解しているとして,交渉に応じなかった。
⑤ 原告は,現在に至るも,本件確認申請に係る建物の建築をしていない。
(5)  建築確認対象法令の基準等通知
① 建築基準法(ただし,建築基準法の一部を改正する法律(平成10年法律第100号)による改正前のもの。以下同様。)6条1項は,建築主は,木造以外の建築物で2以上の階数を有する建築物等を建築しようとする場合においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係法規に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならないと定め,同法6条3項は,建築主事は,建築確認の申請書を受理した場合においては,その受理した日から21日(同条1項4号に係るものについては7日)以内に,申請に係る建築物の計画が建築基準関係法規に適合するかどうかを審査し,審査の結果に基づいて建築基準関係法規に適合することを確認したときは,その旨を文書をもって当該申請者に通知しなければならないとし,同条4項は,建築主事は,前項の場合において申請に係る計画が建築基準関係法規に適合しないことを認めたとき,又は申請書の記載によってはこれらの規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは,その理由をつけてその旨を文書をもって前記期限内に当該申請者に通知しなければならないとしている。また,建築主は,前記確認を受けない建築物の工事をすることができない(同条5項)。
② 昭和61年3月28日付け建設省住宅局建築指導課長から特定行政庁建築主務部長宛通知(住指発第80号。以下「建築確認基準通知」という。)は,建築確認対象となる建築基準関係法規の基準として,(1) 制度の趣旨及び目的が建築基準法の趣旨及び目的と異ならないこと,(2) 具体的な技術的基準であること,(3) 裁量性の少ないものであること,(4) 原則として,営業許可,公物管理上の許可等に係るものではないことを挙げている。
2  本件の争点
(1)  被告の建築主事が平成12年4月19日まで建築確認をしなかったことが国家賠償法1条にいう違法行為に該当するか。
当事者の主張は,別紙当事者の主張対比表1記載のとおり。
(2)  原告の損害の額
当事者の主張は,別紙当事者の主張対比表2記載のとおり。
第3  当裁判所の判断
1  当事者間に争いのない事実に加え,証拠(甲1ないし26,32,36ないし47,乙1ないし21,36ないし42(以上につき枝番のあるものは枝番の全て),証人C,証人H,証人F,原告代表者A,原告代表者I。ただし,それらのうち後記認定に反する部分は,他の証拠に照らし,採用しない。)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  案山子屋は,昭和23年に設立され,当初内装業から出発し,その後建設業にも業務を広げた株式会社であり,本店を岡山市に置く。原告は,案山子屋から,昭和44年6月に家具・インテリア用品の小売部門が分社独立して設立された株式会社であり,インテリア家具,雑貨等の小売販売を「グリーンボックス」等の名称で扱い,良品計画の「無印良品」も扱っている。そのほか,家具の製造を行う株式会社案山子屋製作所,グループ各社所有の不動産管理を行う株式会社ビルディング企画の4社で案山子屋グループが形成されており,そのトップであったI(以下「I」という。)は,案山子屋や原告の代表取締役社長を務めていた。なお,現在は,A(以下「A」という。)が原告の代表取締役社長となり,Iは代表取締役会長に退いている。
(2)  株式会社西友のプライベートブランドとして出発した「無印良品」ブランドの商品は,平成元年に株式会社西友から独立した良品計画によって企画開発・製造販売されている。
案山子屋グループは,良品計画が未だ株式会社西友の事業部門であった昭和62年12月ころ,JR岡山駅前近くにある4階建自社ビル1階に無印良品の岡山第1号店として,「無印良品岡山店」を開店した。その後,無印良品ブランドの商品は売上を伸ばし,平成元年には,良品計画が独立し,案山子屋グループも,前記店舗につき自社ビル2階に売場を拡張した。
さらに,原告は,平成2年12月,広島に本店に置き,大型ショッピングセンターや食品スーパーを展開する株式会社イズミ(以下「イズミ」という。)が岡山市〈以下省略〉に有する駐車場ビルの1階約86坪を賃借して,翌平成3年4月,無印良品の岡山第2号店である「無印良品表町店」を開店した。
前記駐車場ビルの道を挟んだ隣にイズミの5階建ファッション専門店ビル「フィッツ」があったが,案山子屋グループは,イズミ側からの申入れにより,盛況を呈していた前記表町店の店舗を同ビル5階約400坪に移転させて,「無印良品岡山フィッツ」店(以下「フィッツ店」という。)を開店することにし,平成8年9月11日,イズミとの間で,貸室契約書の一部変更に関する合意書を作成して,店舗賃貸借契約の内容を変更した。ところで,このころの良品計画は急成長の途上で,全国的に次々に大型店舗を展開していたが,その方式は,いわゆるフランチャイズ(FC)方式ではなく,ライセンスショップ(LS)方式と呼ばれるものであった。その方式では,良品計画が契約相手に対し商品を提供するのみで,マネージメント・フィーは取らないものの,契約相手に一定の商品在庫,展示方法,人事システム等を要求した。また,大型店の新規開店に際しては,当初の1,2年を目途とし,良品計画が契約相手の従業員を出向社員として受け入れるなどして当該店舗を直接経営し,店舗の経営及び運営マニュアルが習熟し,経営が安定した後に,契約者に営業譲渡するようになっていた。前記のとおり売場面積が大幅に拡張するフィッツ店についても,良品計画が直接経営し,開店から1年6か月を経過し,かつ原告の要請があった場合,原告と良品計画が協議の上,経営移管することで合意し,同年10月14日,両者の間で,店舗の貸室契約書(甲41),原告の社員を良品計画に出向させるための出向社員に関する協定書(甲42)及び出店及び運営に関する覚書(甲40)を各作成した。
(3)  平成8年9月ころ,原告代表者のIは,フィッツ店開店に伴う所用で,案山子屋の専務(東京在住)と常務で建設部門の責任者であったCを同道して,良品計画の東京本社を訪ね,社長のJ,常務のKと社長室で面談した。その際,Iは,J社長より,倉敷は全国で最も顧客からの出店希望が多い都市であるから,フィッツ店に続いて案山子屋グループで倉敷に無印良品の店舗を出したらどうかと誘われ,応じることにした。そこで,Cが中心となって倉敷駅前に出店候補地を探し始め,阿知店の出店計画が着手された。
同年10月ころ,Iは,良品計画から呼ばれて,上京したところ,K常務から,大手繊維メーカーである株式会社クラレの倉敷の工場跡地にジャスコを中核とする大型ショッピングセンターの建設計画が極秘に進められていることを教えられ,原告側の倉敷出店としては,原告が出店を考えていた阿知店のほかに,前記ショッピングセンター内にテナントとして出店する方法もあり,その両者を併用する選択肢もある旨伝えられた。Iは,早速,大型ショッピングセンターの計画予定地を下見したり,阿知店と大型ショッピングセンター内の店舗(イオン店)が併存できるのかなどを検討していたところ,Kより,市場調査等の結果,倉敷の商圏は,東西に走るJR山陽本線で南北に分かれており,阿知店は都心型・路面型店舗であり,イオン店は郊外型・インショップ型であるから,2店舗併存が可能であるなどと説明を受け,両店とも出店することにして,その旨良品計画に伝えた。
平成8年12月6日,良品計画の直営により,フィッツ店が開店した。
(4)  原告は,倉敷駅前に近い本件土地に阿知店を出店することを計画し,平成9年1月下旬ころから,Cが被告との交渉に当たり,美観条例に基づく協議については当時原告の営業本部長であったAもCに同行するなどした。その経緯等は,次のとおりである。
① 平成9年1月27日ころ,Cは,被告の文化財保護課を訪れ,美観地区内で建物新築の計画があるとして,規制につき教示を求めた。担当者のH(以下「H」という。)は,美観条例により,美観地区内で建物を新築する場合には市長に届けて協議する必要があること,美観地区を含む倉敷川畔一帯は,倉敷特有の伝統的な様式を持った町屋や蔵で形成されている地区であるから,地区の建物と調和したものにしてもらわねばならず,屋根には日本瓦の切妻屋根,壁は漆喰塗りで,窓には格子が必要であることなどを説明し,冊子「倉敷の町並み」(乙1)と美観条例や美観計画を含む例規集(甲37)を交付した。
② 同年2月4日ころ,Cは,被告の文化財保護課を訪れ,本件土地は都市計画では近隣商業区域であるから,建築物の高さの規制はないはずではないかなどとして,本件土地で許容される建築物の最高高さについて質問をした。Hは,美観条例上,具体的に規制していないが,歴史的な町並みとしての調和が求められる地区であるので,高さは,基本的に2階建で美観地区内の建物と同程度のものにしてほしいと述べた。Cが「それでは採算を考えることができず,計画地を買うべきかどうか判断ができないので,どうにかならないか。」と訪ねたところ,Hは,「美観地区内の建物と同程度以上の高さの高い建物を計画されているのであれば,美観条例に示されていないことであり,保存と活用の接点を示すこととなるので,事務局だけの判断はできず,美観条例に定められた審議会の意見も聴かなければなりません。まだ,購入されていないようなので,所有者の方の同意を得た上で,現在考えられている高さの建物の図面を示していただければ,高さについて審議会の意見を聴くことは可能です。」と答えた。
③ 同年3月18日ころ,Cは本件土地の売買の仲介をした日興不動産のLを訪ね,本件土地の規制につき確認したところ,Lは,その場で被告の文化財保護課に電話をかけ,「法律にも条例にもないことを言うな。」などと抗議した後,Cに対し,本件土地には高さ,容積等の規制はなされていない旨答えた。
④ 同年4月3日,株式会社クラレとイオングループのショッピングセンター開発会社であるイオン興産株式会社は,イオン倉敷SCにつき,中国通産局に建物設置者による届出をし,その旨公表した。イオン倉敷SCの出店予定地は,JR倉敷駅やその北に同年7月オープン予定の倉敷チボリ公園から北西約1.5kmの距離にあり,JR倉敷駅北地区は,百貨店や商店が連なる駅南地区とは対照的に,それまで大型店の空白地帯であった。その出店計画概要書(乙13)によれば,イオン倉敷SCの概要等は以下のとおりであり,同年4月4日の新聞によれば,年間販売目標がジャスコ株式会社が190億円,全体で373億円を見込んでいる旨報道されている。なお,良品計画は,フィッツ店同様,当初は直営店としてイオン倉敷SCに出店するものの,時期を見て,原告に営業を譲渡する予定であった。
建物設置者 株式会社クラレ,イオン興産株式会社
大型小売業者 ジャスコ株式会社,株式会社メガスポーツ,ドラックス株式会社,株式会社ブックバーン,メガピット株式会社,ローラアシュレイジャパン株式会社,株式会社コックス,タルボットジャパン株式会社,株式会社ブルーグラス,株式会社メルス,株式会社錦,株式会社ニコロポーロ,ミニストップ株式会社,クレアーズ日本株式会社,ジャスフォート株式会社,良品計画,株式会社斎藤商店,株式会社ポイント,日本トイザ“ら”ス株式会社,株式会社オフィスマックス・ジャパン
所在地 岡山県倉敷市△△g番地
敷地面積 約12万9326m2(約3万9121坪)
建物の面積 建築面積4万8730m2,延床面積16万6690m2(店舗部分10万9850m2,屋内駐車場部分5万6840m2),店舗面積7万2783m2(大型小売業者5万5827m2,中小小売業者9766m2,共用通路7190m2)
建物の構造 鉄筋コンクリート及び一部鉄筋造4階一部塔屋付き
駐車場台数 4585台(ショッピングセンター平面駐車場2015台,ショッピングセンター屋内駐車場・屋上駐車場2570台)
開店予定日 平成11年4月
閉店時刻 午後10時
休業日数 年間12日
出店者が想定する商圏 車での来店を基本とし,来店所要時間30分を基本とする(1次商圏10分,2次商圏20分,3次商圏30分)。それを買物習慣,競合状況,道路環境等を加味した上で,実際の商圏区分を想定すると,商圏人口及び世帯数等は次のとおりとなる。
人口 世帯数 人口構成比
1次 4万9137人 1万7991 9.6%
2次 14万4852人 4万9485 28.4%
3次 31万6957人 10万4975 62.0%
合計 51万0946人 17万2452 100.0%
⑤ 平成9年4月10日,原告は,阿知店の開店予定日を同年12月12日と設定し,良品計画との間で,本件土地における阿知店での小売販売に関する商品供給基本契約を締結した。また,原告は,同年4月22日,Bから本件土地を買い受け,同年4月25日,本件土地上にあったD所有の建物も買い受けるとともに,同日,株式会社トマト銀行から金3億円の貸付を受け,本件土地及び地上建物についての原告名義の所有権移転登記と同銀行のための根抵当権設定登記手続を行った。株式会社トマト銀行の前記貸付は,年利2.8%で平成10年7月から平成24年4月までの166回毎月末日限り金180万円宛で分割して支払う約定であった。
⑥ 平成9年5月2日,Cは,計画建物の西側(駅前通沿い)イメージ図(乙2)のみを持参して文化財保護課を訪れ,口頭で高さが15,6mである旨説明した。応対した同課のM課長らは,美観地区は新しい街区を創っている所ではなく,倉敷特有の伝統的な様式の町屋や蔵で形成された町並みを保存している地区であるため,高さ・規模・外観については美観地区・伝建地区内にある他の建物の高さ・規模・外観と調和したものにしてもらう必要があると説明した。その際,M課長らは,地上部は2階建が基本であり,伝統的な既存建物で最も高いものでも9.6mであること,通常の蔵の規模であれば,間口2ないし3間,奥行き3ないし5間であること,屋根は切妻の日本瓦葺,壁は漆喰塗りでタイル部分は平瓦の貼瓦にし,窓には格子が必要であること,イメージ図にあるガラス張りの階段室は,伝統的様式に相応しくないこと等を話し,再考を促した。また,今後の協議のためには,このイメージ図だけでは不十分なので,再考後の建物の配置図・各階平面図・各面の立面図の持参も求めた。Cは,施主は当面伏せておいてほしいこと,外向けには案山子屋の設計部門であるボックスプランニングの名前で扱ってほしい旨M課長らに依頼した。
⑦ 同年5月12日,Cは,計画建物の東側立面図(乙3)のみを持参して文化財保護課を訪れ,前回のイメージ図からの変更がない旨伝えた。Hらは,再度美観地区内での建築について説明や被告側の要望を伝え,改めて再考を求めた。Cが建物の高さを最も問題としていたことや,建物活用の視点での配慮が必要な場合もあることから,M課長らは,計画地で最大限容認できる高さを双方が確認するため,現地で1mおきに目印を付けたアドバルーンを揚げることになった。
同年5月27日,Cほかボックスプランニングの職員1名,審議会のN会長ほか委員2名,M課長ら文化財保護課職員5名が立ち会い,午前7時から,計画地でアドバルーンを揚げ,通常望見できる重要ポイント(伝建地区内の今橋から中橋までの道路や橋上)から見分した。M課長らは,重要ポイントからの見え方を確認してもらうため,C側に見分時の写真を渡し,それに計画建物を描き入れてもらうよう依頼した。
同年5月29日,Cは,前記写真に当初計画の建物を描き入れたものや建物完成予想図(乙4。A案)を持参して文化財保護課を訪れた。この図面では建物の高さが16.5m(塔屋を除くと14.5m)あったが,それは,採算のため広い売場面積が必要であり,良品計画との基本契約で新店舗の天井高さ3.8mを各階で確保するよう義務づけられていたこと,計画地の道路を挟んだ北隣(背景地区)にある陶器店のビルの高さが15,6mあること等を勘案して決めたものであった。M課長は,計画建物は美観地区・伝建地区の建物と調和した建物とはいえないとして前回と同様の説明をして再考を求め,Cは,十分に周囲と調和した建物である旨主張した。
⑧ 同年6月4日,Cは,文化財保護課を訪れ,計画建物の高さが13mではどうかと尋ねたところ,M課長らは,建物の活用の視点を考慮しても,市の意見としては10.5mが許容限度である旨伝えた。
同年6月13日,CとAが文化財保護課を訪れ,高さを13.6mに変更した建物完成予想図(乙5。B案)や高さを12.5mに変更した建物完成予想図(乙5。C案)を提示し,「デザインに関しては,できるだけ市の意向に沿うよう努力するが,無印良品の本部が建物の広さや天井高等について基準を持っていて,この基準を満たさなければ開店できないから,高さについては了解してほしい。」旨要望した。M課長らは,活用上の点を考慮しても高さは10.5mが限度であり,1階部分を地下にしてでも,この高さ以内に抑えてほしい,現計画案では審議会にも諮れないなどと述べた。
同年6月17日,CとAは,文化財保護課を訪れ,最終案として,高さを12.3mとし,外観を変更した建物完成予想図(乙6。D案)と原告・良品計画間の平成9年4月10日付け商品供給基本契約書を提示した。Cらは,同契約書の内容を説明し,「これ以上変更はできないので,承認してほしい。」として,これ以上の計画案変更ができない旨伝えた。M課長らは,計画地は,美観地区・伝建地区の入口でもある重要ポイントであるので,高さ・規模・外観が美観地区に適合するような計画案でないと審議会に諮れない旨伝え,再度の設計変更を求めた。
⑨ 同年6月27日,CとAが文化財保護課を訪れ,「倉敷の状況にあった意匠で検討するので,指導を含め,教育委員会とよく協議したい。」との申出をした。M課長らは,前回の最終案では美観条例により承認できないし,審議会に諮問できないこと,美観地区・伝建地区の伝統的な様式には外階段や丸窓,曲線はなく,また石,漆喰,瓦等の本物が使用されている地区であるので,現地の町並みを実際に見学し,設計に反映させるよう要望した上,再度,冊子「倉敷の町並み」を基に蔵の意匠,規模等の説明をした。
同年7月4日,CとAは,前回の協議を踏まえ,冊子「倉敷の町並み」の表紙写真に真似た外観の建物平面図と立面図(乙7。E案)を文化財保護課に持参した。Hらは,これは倉敷の蔵ではないとしてその外観に納得せず,また最高高さが前案の12.3mから13.9mと逆に高くなっていたため,設計変更を求めたが,Cらは,「意匠は協議して変更できる余地はあるが,有効高さ12.3mは譲れない線である。また,倉敷川畔からの外観については,今回の計画案以上に工夫する予定はない。」などと主張した。
同年7月31日,CとAが文化財保護課を訪れ,「会社として出店できるか否か,差し迫った段階に来ている。」と述べて建物の立面図(乙8。F案)を提示し,「半地下式の施工で最高高さは11.5mとする。外観は前回と同様。窓等は要請があれば,付けていく。」,「市側の指導が,最高高さ10.5mであることは承知しているが,この計画案で審議会に諮るように。」などと述べた。この際,Aは,イオン倉敷SCにも無印良品の大規模店の出店計画があるが,当社としては引き続き,本件土地で出店を考えていきたいと述べた。M課長らは,その計画案が審議会で承認されるようなものではないと考えたが,現時点では協議が進展しないため,原告側に最終案の提出を求め,それを審議会に諮問する旨約束した。なお,M課長らは,計画案では排煙窓や非常用進入口など建築基準法に抵触する疑いのある部分が見られたため,その辺りも検討した図面を最終案として提出するよう求めた。
⑩ 同年8月1日,CとAが文化財保護課を訪れ,最終案として,鉄骨造4階建(最高高さ11.5m,地上3階・地下1階)の計画建物の立面図及び断面図(乙9。G案)が持参された。
同年8月25日,CとAが文化財保護課を訪れ,便宜上案山子屋の従業員O名義を申請人に使用した美観地区における行為の協議申請書(乙10)を提出した。
文化財保護課は,同年9月25日,審議会に原告の建築計画案を諮問したところ,審議会は,同日,高さ・規模・外観等,美観地区の町並みに適合した伝統的な様式を備えた建造物とは認められず,同意できない,再度協議してほしい旨市長に答申した。被告は,同年9月29日,前記答申と同じ理由により同意できない旨をO宛書面をもって,原告に通知した。
⑪ 原告は,同年12月23日配達の内容証明郵便をもって,原告としてはG案が美観条例の趣旨に合致すると考えており,美観条例第6条の協議を十分尽くしたので,建築確認の申請をするので,速やかに審査するよう予め申し入れること,原告としては,計画どおり生活雑貨販売店を出店すべくフランチャイズ契約の維持回復に全力を尽くしているが,万一出店期限徒過の理由で出店断念の場合は,被告に対し損害賠償請求訴訟を提起することを被告に通知した。
(5)  原告は,平成10年1月21日,被告の建築指導課に建築確認申請書を提出し,前記G案とほぼ同様の設計内容によって本件確認申請(工期同年3月1日から同年8月1日まで)を行ったところ,被告は,同年1月29日,原告に対し,今回提出の図面は,不同意としたG案と概ね同内容で,容認できないので,速やかに協議の席に着くよう要請した。そして,同年2月10日,建築主事のEは,原告に対し,美観条例に基づく承認書が添付されていないことやその他の不備36項目を理由に,本件確認申請につき,期限内に確認できない旨の通知をした。
同年2月13日,M課長らは,岡山市の原告会社を訪れ,建築計画の協議を要請したが,Cは,協議はもはや必要ないし,今まで以上の譲歩は不可能である旨述べ,Aは,税金,金利,営業利益のこともあり,営業上許される範囲なら協力するが,今まで以上の譲歩は不可能であること,これ以上の譲歩を指示するのであれば,それに対する責任の所在や処理方法を明確にしてほしいことを述べた。原告は,同日,同年2月9日付け「通知書2」と題する内容証明郵便を被告に発送し,これ以上の協議は時間と労力の無駄であり,計画の遅れによって日々莫大な損害を被っているので早急に建築確認を求める旨を伝え,同郵便は,同年2月14日,被告に配達された。これに対し,被告は,同年3月23日,原告に対し,改めて協議を再開するよう要望し,同月25日にも,別件で来庁したCやAらが文化財保護課に立ち寄ったため,同様の要望を繰り返した。
他方,原告は,同年3月27日までに,美観条例に基づく承諾書の添付以外の補正事項の補正を完了した。そこで,Eは,同年3月31日,原告に対し,美観条例に基づく承認書の添付がないことを理由として,本件確認申請につき,期限内に確認できない旨の通知をした。
同年4月27日,CとAが文化財保護課を訪れ,これが最後の話し合いであると明言し,「今のままでは建築を強行する。市側から今までとは別の提案があれば,協議の場につく。提案は,別の解決方法とその条件である。提案がなければ,訴訟も辞さない。」旨の話があった。M課長らは,原告が要求する提案とは,本件土地の買取りか代替地の要求と推測したが,具体的内容が明らかでないため,建築計画以外の協議はできないと回答した。
同年5月12日,被告は,原告に対し,建築計画についての協議をなすよう重ねて要望した。これに対し,原告は,同年6月6日配達の内容証明郵便をもって,被告に対し,当該書面到達後1週間内に建築確認するか否かの処分をするよう催告したが,被告は,同年6月12日,本件確認申請には美観条例に基づく承諾書が必要であるとして,引き続き協議をするよう要望する等した。
(6)  その間の平成10年2月12日,原告の美観地区への出店計画の対応に苦慮していた被告の文化財保護課M課長は,原告の計画建物は無印良品の販売店舗として良品計画からの規模等に関する制約があると聞いており,また原告と良品計画との商品供給基本契約書に定められた開店予定日である平成9年12月12日を経過していたことから,店舗開設に当たっての条件等を良品計画に確認することを考え,良品計画に電話をかけて,同社無印良品事業部のP部長と話をした。その際,M課長は,P部長から,同年1月中旬ころ,原告のI社長とA営業本部長から倉敷市への出店は断念するとの申出があり,その理由は聞いていないとする情報を得た。被告は,同日,市長名義で良品計画に対し,「倉敷市美観地区内での新築計画について(お願い)」と題する書面を送付して,被告の窮状を訴えるとともに,無印良品の販売店舗として開店する場合,規模等に何らかの条件があれば,今後建築主と協議を進める上で参考にしたいので,教示願いたい旨の要請をした。その結果,イオン倉敷SC内に出店を予定していた良品計画としては,地元自治体とのトラブルは避けたいと考え,同年2月24日,良品計画のKから原告に対し,イオン倉敷SCの将来の営業譲渡話を解消する旨申し出,この話は立ち消えとなった。
他方,フィッツ店が開店して約1年半後の同年5月18日,原告と良品計画は,フィッツ店の経営を良品計画から原告に移管することを合意して店舗移管に関する確認書(甲43)を作成し,同年6月1日,良品計画から原告に対し,設備,什器・備品等が代金総額1億2715万円余で売却され,同日から原告がフィッツ店の経営を開始した。なお,フィッツ店の入っているビルは,イズミが平成12年7月に設立した子会社である株式会社ロッツに運営が任され,専門店ビル「ロッツ」となった。
(7)  原告は,平成10年6月26日,建築審査会に対し,本件確認申請について,被告の建築主事の不作為を違法とする審査請求をしたところ,建築審査会は,同年9月16日,本件確認申請に対し速やかに確認をし,又は確認しない旨のいずれかの通知をせよとの裁決をした。
これに対し,被告は,同年9月28日付け「美観地区内における建築物の新築にかかる協議について(お願い)」と題する書面をもって,原告に対し,現計画での建築は認めるわけにはいかない旨を通知し,協議の場につくことを要望した。原告は,同年10月22日付け「通知書3」と題する内容証明郵便をもって,市長に対し,建築審査会の裁決に従い,速やかに確認に関する処分をするよう求め,併せて協議を求めるのであれば,建築基準法を前提とした被告としての要望を具体的に数値等によって明らかにするよう求めたところ,被告は,同年11月10日,原告に対し,参考としての立面図をモデルパターンとして示し,協議再開を求めた。
原告は,平成11年1月13日,本件確認申請について,Eの後任の建築主事Fが違法に許否の処分をしないとして,その不作為の違法確認を求めて行政訴訟を提起したところ,同年3月2日の第1回口頭弁論期日において,Fは,次回期日までに処分する旨を答弁し,同年4月8日付け通知書により,本件条例に基づく承認書が添付されていないことを理由とする不適合の通知をした。原告は,同年5月7日,建築審査会に対し,Fの前記処分の取消しを求めて審査請求をしたところ,建築審査会が同年10月25日審査請求棄却の裁決をしたため,同年10月28日,建設大臣に対し,建築審査会の裁決の取消しを求めて再審査請求をした。建設大臣は,平成12年3月30日,原告の主張を全面的に認めて,上記裁決を取り消した。
そこで,Fは,平成12年4月19日,本件確認申請につき,建築基準関係法規に適合していることを証明する旨の確認済証を原告に交付し,建築確認処分をした。しかし,原告は,同年6月7日,被告の職員が原告に対し,被告の助役と原告の社長との面談申入れの電話をかけ,和解協議の交渉を始めるまで及びその後も,本件土地上の既存建物の撤去にすら着手していない。
なお,イオン倉敷SCは,この間の平成11年9月に開店し,そのテナントとして,良品計画が直営するイオン店も営業を開始した。
2  被告の建築主事が平成12年4月19日まで建築確認をしなかったことが国家賠償法1条にいう違法行為に該当するか(争点(1))について
(1)  まず,建築基準法6条所定の建築確認に係る審査は,申請に係る建築物の計画が建築基準関係法規(建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定その他建築物の敷地,構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令に定めるもの)に適合するか否かを判断するものであるところ,美観条例の規定は,その趣旨目的が建築基準法の趣旨目的と異なるものであるから,前記の「建物の敷地,構造及び建築設備に関する法律に基づき制定された条例の規定で政令で定めるもの」に当たらないことは明らかである。したがって,被告の建築主事において,美観条例に基づく承認書が添付されていないことを理由に,本件確認申請に係る建物の建築計画が建築基準関係法規に適合しないとする不適合通知をすることはできない。この点についての被告の建築主事の処分には,法令の解釈を誤った違法があり,その法令解釈の誤りの明白さに照らせば,被告の建築主事に故意又は過失があったものと認められるから,被告の建築主事が本件確認申請に対してなした不適合通知処分は,国家賠償法1条にいう違法行為に該当する。
(2)  建築基準法が建築主事の行う建築確認処分について応答期限を設けた趣旨は,違法な建築物の出現を防止するために建築確認の制度を設け,その違反に対しては罰則をもって臨むことにしたことの反面として,確認申請に対する応答を迅速にすべきものとし,建築主に資金の調達や工事期間中の代替住居・営業場所の確保等の事前準備などの面で支障を生ぜしめることのないように配慮し,建築の自由との調和を図ろうとしたものであり,建築主事が建築確認申請について行う確認処分自体は基本的に裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであるから,審査の結果,建築基準関係法規の適合又は不適合の確認が得られ,同法93条所定の消防長等の同意も得られるなど処分要件を具備するに至った場合には,建築主事としては速やかに確認処分を行う義務がある。しかしながら,建築主事の前記義務は,いかなる場合にも例外を許さない絶対的な義務であるとまでは解することができず,建築主が確認処分の留保につき任意に同意をしているものと認められる場合のほか,必ずしもその同意があるとはいえない場合であっても,諸般の事情から直ちに確認処分をしないで応答を留保することが建築基準法の趣旨目的に照らし社会通念上合理的と認められるときは,その間確認申請に対する応答を留保することをもって,確認処分を違法に遅滞するものということはできない(以上につき,最高裁昭和60年7月16日判決・民集39巻5号989頁参照。)。
そして,普通地方公共団体が,適切な行政目的の下に,建築主に対し,当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い,建築主が任意にこれに応じているものと認められる場合においては,社会通念上合理的と認められる期間,建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を留保し,行政指導の結果に期待することがあったとしても,これをもって直ちに違法な措置であるとまではいえない。しかし,建築主がこのような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には,当該建築主が受ける不利益と行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して,行政指導に対する不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り,行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは,違法である。
(3)  これを本件についてみるのに,原告は,平成9年5月2日から被告の所管部局との間で,美観条例に基づく協議を行い,設計変更を重ねた上,同年8月25日には,最終の設計案としてG案を提出し,美観条例に基づく行為の協議申請書を提出し,同年9月29日に被告から不同意の通知を受けた後も,同年12月23日配達の内容証明郵便をもって,美観条例所定の協議は十分尽くしたと建築確認の申請を予告するとともに確認処分の遅滞に対する損害賠償請求訴訟の提起も警告していること等に照らせば,本件確認申請を行った時点で,原告においてはすでに被告の美観条例に基づく行政指導に不協力・不服従の意思を表明していたものと認められる。そして,原告が受ける不利益と美観条例による行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して,被告の行政指導に対する原告の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえるような特段の事情が存すると認めるに足りる証拠はないから,本件確認申請について,美観条例に基づく承諾書の添付以外の補正が完了した平成10年3月27日から法定期間の21日経過した同年4月18日から平成12年4月19日までの2年余りの建築主事の確認処分の遅滞は違法である。そして,事柄の性質上,少なくとも被告の建築主事に過失があったものというべきであるから,前記期間の建築主事の不作為は,国家賠償法1条にいう違法行為に該当する。
被告は,原告が受ける不利益は軽微なものであり,これに対して,被告が建築確認処分をなさないことにより保護しようとしている歴史的風致,町並みは,被告や倉敷市民のみならず国民共通の財産というべきものであること,原告は,歴史的風致,町並みの保存についての理解や協力をすることなく,その恩恵を受けるにもかかわらず,自らの商業的利益に固執し,被告の再協議の求めに応じないで美観条例に適合する外観の建物にしようとしないのは著しく社会正義に反する旨主張するが,被告が主張するように原告の受ける不利益が軽微なものとはいえないこと,そもそも,美観条例による行政指導は,国民の権利を制限したり,国民に対し義務を課したりするような法律上の強制力を有するものではなく,あくまでも相手方の任意の協力を得て一定の行政目的を実現する性質のものにすぎないこと,前記1で認定したように,原告は,本件確認申請の前に被告の所轄部局と一定期間美観条例に基づく協議を行い,設計変更を重ねており,美観条例を一応尊重する姿勢を取っているものと認められること等を考えると,原告が美観条例に基づく行政指導に不協力であることが社会通念上正義の観念に反するとまでは未だいえず,この点についての被告の主張は失当である。
(4)  したがって,被告の建築主事が,平成10年4月18日から平成12年4月19日までの2年余りの間,本件確認申請に対し,美観条例に基づく承諾書が添付されていないことのみを理由として期限内に建築確認できない旨の通知をし,建築基準関係法規に適合しない旨の通知をし,建築確認をしなかった不作為は,国家賠償法1条にいう違法行為に該当するから,被告は,それにより原告が被った損害を賠償する義務がある。
3  原告の損害の額(争点(2))について
以下,原告主張の損害額について検討する。
(1)  固定資産税(請求額579万5400円)
原告が請求する本件土地と地上建物の固定資産税は,被告が主張するように,それらの不動産を原告が所有することによって負担させられるものであって,建築確認が遅れたことによって発生したものではない。
原告は,早期の建築確認があれば,阿知店による営業収入から経費として控除できたのにそれができないために生じた損害である旨主張し,その趣旨は,営業収入で賄えたはずの当該固定資産税相当額を得られなかったというものと解されるところ,そうであれば,逸失利益として請求すべきものであって,主張自体失当である。
(2)  借入利息(請求額1660万9434円)
借入利息自体は,建築確認の遅滞の有無にかかわらず発生するものであり,建築主事の不作為と因果関係のある損害とはいえない。原告は,ここでも,早期の建築確認があれば,阿知店による営業収入から経費として控除できたのにそれができないために生じた損害である旨主張し,その趣旨は,営業収入で賄えたはずの借入利息相当額を得られなかったというものと解されるが,そうであれば,前記と同様,逸失利益として請求すべきものであって,主張自体失当である。
(3)  設計料(請求額756万円)
原告がA案からG案まで設計変更を重ねたのは,原告が任意に美観条例に基づく協議に応じた結果であって,被告の建築主事による建築確認の遅滞によって生じたものではないから,その設計料を本件の損害として請求することはできない。
(4)  逸失利益(請求額2億1986万6000円)
① 被告は,原告がイオン店出店のため,遅くとも平成10年2月24日ころ,商圏が競合する阿知店の出店を断念していたものであり,仮に本件確認申請に対する建築確認の遅延がなかったとしても,阿知店出店による営業利益は得られなかった旨主張する。なるほど,イオン倉敷SCの立地条件や大型駐車場を備えた圧倒的な集客力等を考えると,良品計画が直営するイオン店と商圏が競合する阿知店(原告は商圏が異なる旨主張するが,イオン倉敷SCの出店計画概要書(乙13)によれば,商圏が重なっていることが認められる。)を出店して採算が見込めるかは甚だ疑問であり,原告が良品計画からイオン店の将来の営業譲渡を断られた平成10年2月24日の時点で,原告の阿知店出店計画が頓挫した可能性は否めない。M課長が平成10年2月12日に良品計画のP部長より,原告が同年1月中旬ころに阿知店出店を断念する旨良品計画に申し出たことを聞いたというのも,その間の事情を窺わせるものといえる。しかしながら,原告がその後も本件確認申請を維持し,建築主事の不作為に対する審査請求や行政訴訟を提起するなどして建築確認を得るべく行動していたことを考えると,前記平成10年2月24日の時点で原告が阿知店の出店を確定的に断念していたとまでは認められないから,出店の蓋然性はなお存していたものとして,その場合の逸失利益につき検討する。なお,逸失利益の算定期間は,本件確認申請によれば建物建築のための工期が5か月であるから,平成10年9月18日(不作為の違法期間の始期である同年4月18日より5か月後)から平成12年9月19日(現実の建築確認の日である同年4月19日から5か月後)までの期間のうち原告の請求する2年間である。
② 阿知店での売上について
原告は,阿知店での開店初年度及び次年度の各売上額につき,いずれもイオン店の平成12年及び平成13年の数字を計上しており,その理由として,イオン店の売場面積は240坪で阿知店の予定面積264.4坪とほぼ等しいこと,イオン店と阿知店はともに倉敷市内の商業地に立地しており,商圏及び消費者の購買力もほぼ同一規模と推定できることを揚げている(甲34の2)。しかしながら,イオン倉敷SCの立地条件や大型駐車場を備えた圧倒的な集客力等を考えると,イオン店の売上額が阿知店に比べ圧倒的に優位に立つことは明らかであり,むしろ商圏が競合することから,阿知店はかなりの顧客をイオン店に奪われる可能性が大きいものと解される。したがって,イオン店の売上高をもって阿知店の売上高と見ることは相当ではない。この点,原告の主張によれば,フィッツ店は売場面積470坪というのであるから,阿知店の売場面積の倍近くあり,消費者人口の多い岡山市の中心街の大型店舗であるなど,阿知店との相違点もあるものの,売上高の類推においてはイオン店よりも相応しいものといえる。そして,被告が主張するように,阿知店は,フィッツ店の売上の半額を下回るものと解するのが相当であるところ,フィッツ店の売上高は平成10年度が6億7258万9000円,平成11年度が5億6107万円(甲34の3)であるから,阿知店の売上は,初年度が3億3629万4500円以下,次年度が2億8053万5000円以下と認めるのが相当である。
③ 阿知店での経常利益の計算
阿知店の売上高を平成10年度を3億3629万4500円,平成11年度を2億8053万5000円と仮定し,これを原告提出の「無印良品倉敷店 損益明細表」(甲34の1)に当てはめると,次のようになる。
ア 平成10年度
売上高 3億3629万4500円
差益率 32.05%
差益高 1億0778万2387円
販売管理費合計 8405万円
営業利益 2373万2387円
営業外支出 2269万8000円
経常利益 103万4387円
イ 平成11年度
売上高 2億8053万5000円
差益率 31.08%
差益高 8921万0130円
販売管理費合計 7747万8000円
営業利益 1173万2130円
営業外支出 2278万6000円
経常利益 -1105万3870円
上記平成10年度と平成11年度の経常損益の合計は,1001万9483円の損失となるところ,これから更に,原告主張の広告宣伝費201万8800円(税別),新築建物等の固定資産税合計548万6369円,新築建物の建築資金の借入利息2年分997万4478円の合計1747万9647円を控除すると,2749万9130円の損失となる。
③ 以上の計算に加え,イオン店が開店した平成11年9月以降は,イオン店に顧客を奪われて,阿知店の売上高が大幅に減少する蓋然性が高いことも考えると,本件確認申請に対し,遅滞なく建築確認処分が行われ,阿知店が開店していたとしても,その営業から利益は得られず,損失となったものと認められる。したがって,原告主張の逸失利益を本件の損害と認めることはできない。
(5)  弁護士費用(請求額2500万円)
不法行為による損害として訴訟の提起追行による弁護士費用が認められるのは,その余の損害賠償請求が認容される場合であるところ,本件においては,前記のとおり,その余の損害賠償請求が認容できないから,本件訴訟の提起追行による弁護士費用は,不法行為と相当因果関係のある損害とは認められない。
4  以上によれば,原告の請求は,全部理由がないから,棄却する。
(裁判官 政岡克俊)

 

〈以下省略〉

 

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政治と選挙Q&A「屋外広告物法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例一覧
(1)平成29年12月20日 東京地裁 平27(ワ)16748号・平28(ワ)32555号・平28(ワ)36394号 建物明渡等請求事件、賃料減額確認請求事件(本訴)、賃料増額確認請求反訴事件(反訴)
(2)平成29年 5月11日 大阪地裁 平28(ワ)5249号 商標権侵害差止請求事件
(3)平成29年 3月16日 東京地裁 平26(特わ)914号・平26(特わ)1029号 薬事法違反被告事件
(4)平成28年11月17日 大阪地裁 平25(わ)3198号 公務執行妨害、傷害被告事件
(5)平成28年10月26日 東京地裁 平24(ワ)16956号 請負代金請求事件
(6)平成28年 3月25日 東京地裁 平25(ワ)32886号 未払賃料請求事件
(7)平成27年 3月31日 東京地裁 平24(ワ)22117号 損害賠償等請求事件
(8)平成26年 2月27日 東京地裁 平24(ワ)9450号 著作物頒布広告掲載契約に基づく著作物頒布広告掲載撤去損害賠償請求事件
(9)平成25年 9月12日 大阪高裁 平25(う)633号 詐欺被告事件
(10)平成25年 1月22日 名古屋地裁 平20(ワ)3887号 損害賠償請求事件
(11)平成24年12月 7日 静岡地裁 平19(ワ)1624号・平20(ワ)691号 損害賠償請求(第一事件)、保険金請求(第二事件)事件
(12)平成23年11月18日 東京地裁 平23(レ)307号・平23(レ)549号 損害賠償等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(13)平成23年 9月30日 東京地裁 平20(ワ)31581号・平21(ワ)36858号 損害賠償請求事件(本訴)、同反訴請求事件(反訴)
(14)平成23年 2月23日 東京高裁 平21(ネ)2508号 損害賠償請求控訴事件
(15)平成23年 1月14日 大阪高裁 平22(う)460号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(16)平成22年10月 5日 京都地裁 平19(ワ)824号 損害賠償請求事件
(17)平成22年 7月27日 東京地裁 平20(ワ)30423号・平21(ワ)3223号 損害賠償請求事件(本訴)、払戻金返還請求事件(反訴)
(18)平成22年 3月29日 東京地裁 平20(ワ)22960号 建物明渡請求事件
(19)平成22年 2月 8日 東京地裁 平21(ワ)8227号・平21(ワ)21846号 損害賠償請求事件
(20)平成22年 1月27日 東京地裁 平21(ワ)9971号・平21(ワ)9621号 土地建物所有権移転登記抹消登記請求事件、鉄塔明渡請求事件
(21)平成22年 1月27日 東京地裁 平21(ワ)13019号 屋外広告塔撤去請求事件
(22)平成21年12月24日 東京地裁 平20(行ウ)494号 計画通知確認処分取消等請求事件
(23)平成21年 7月22日 東京地裁 平19(ワ)24869号 損害賠償請求事件
(24)平成21年 1月20日 那覇地裁 平19(行ウ)16号・平20(行ウ)2号 建築確認処分差止請求事件(甲事件)、建築確認処分差止請求事件(乙事件)
(25)平成20年10月17日 東京地裁 平20(行ク)214号 執行停止申立事件
(26)平成20年 9月19日 東京地裁 平19(行ウ)274号・平19(行ウ)645号 退去強制令書発付処分取消請求事件
(27)平成20年 4月11日 最高裁第二小法廷 平17(あ)2652号 住居侵入被告事件 〔立川反戦ビラ事件・上告審〕
(28)平成19年 2月21日 東京地裁 平18(行ウ)206号 損害賠償請求事件(住民訴訟)
(29)平成17年12月21日 東京地裁 平15(ワ)14821号 看板設置請求事件
(30)平成17年 3月31日 東京地裁 平15(ワ)27464号・平15(ワ)21451号 商標使用差止等請求本訴、損害賠償請求反訴事件 〔tabitama.net事件〕
(31)平成17年 2月22日 岡山地裁 平14(ワ)1299号 損害賠償請求事件
(32)平成13年12月21日 秋田地裁 平10(ワ)324号・平12(ワ)53号・平12(ワ)416号 土地明渡等請求、損害賠償請求事件
(33)平成13年 2月23日 大阪地裁 平10(ワ)13935号 損害賠償請求事件
(34)平成11年 2月15日 仙台地裁 平9(行ウ)6号 法人税更正処分等取消請求事件
(35)平成 9年 7月22日 神戸地裁 平8(ワ)2214号 損害賠償請求事件
(36)平成 8年 6月21日 最高裁第二小法廷 平6(あ)110号 愛媛県屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反
(37)平成 8年 4月12日 最高裁第二小法廷 平4(あ)1224号 京都府屋外広告物条例違反
(38)平成 8年 3月 8日 最高裁第二小法廷 平4(オ)78号 損害賠償請求事件
(39)平成 8年 3月 8日 最高裁第二小法廷 平4(オ)77号 損害賠償請求事件
(40)平成 7年12月11日 最高裁第一小法廷 平4(あ)526号 各滋賀県屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反
(41)平成 7年 6月23日 最高裁第二小法廷 平元(オ)1260号 損害賠償、民訴法一九八条二項による返還及び損害賠償請求事件 〔クロロキン薬害訴訟・上告審〕
(42)平成 6年 2月21日 福岡高裁 平元(ネ)608号 接見交通妨害損害賠償請求事件
(43)平成 4年 6月30日 東京地裁 平3(ワ)17640号・平3(ワ)16526号 損害賠償請求事件
(44)平成 4年 6月15日 最高裁第二小法廷 平元(あ)710号 大阪府屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反被告事件
(45)平成 4年 6月15日 最高裁第二小法廷 平元(あ)511号 大阪市屋外広告物条例違反、軽犯罪法違反
(46)平成 4年 2月 4日 神戸地裁 昭49(ワ)578号 損害賠償請求事件 〔全税関神戸訴訟・第一審〕
(47)平成 4年 2月 4日 神戸地裁 昭49(ワ)578号 損害賠償請求事件 〔全税関神戸訴訟・第一審〕
(48)昭和60年 7月22日 最高裁第一小法廷 昭59(あ)1498号 所得税法違反被告事件
(49)昭和59年 9月28日 奈良地裁 昭58(行ウ)4号 都市計画変更決定一部取消請求事件
(50)昭和59年 7月17日 福岡高裁 昭58(う)487号 大分県屋外広告物条例違反被告事件
(51)昭和58年10月27日 最高裁第一小法廷 昭57(あ)859号 猥褻図画販売、猥褻図画販売目的所持被告事件
(52)昭和58年 8月24日 福岡高裁 昭57(う)254号 軽犯罪法違反、佐賀県屋外広告物条例違反事件
(53)昭和58年 6月21日 大分簡裁 昭55(ろ)66号 大分県屋外広告物条例違反被告事件
(54)昭和57年 3月 5日 佐賀簡裁 昭55(ろ)24号 軽犯罪法違反、佐賀県屋外広告物条例違反事件
(55)昭和56年 8月 5日 東京高裁 昭55(う)189号 軽犯罪法違反被告事件
(56)昭和56年 7月31日 神戸簡裁 昭56(ろ)167号 軽犯罪法違反、兵庫県屋外広告物条例違反事件
(57)昭和55年 4月28日 広島高裁松江支部 昭54(う)11号 公職選挙法違反被告事件 〔戸別訪問禁止違憲事件・控訴審〕
(58)昭和54年12月25日 大森簡裁 昭48(う)207号・昭48(う)208号 軽犯罪法違反被告事件
(59)昭和53年 7月19日 横浜地裁 昭51(ワ)1147号 損害賠償事件
(60)昭和53年 5月30日 大阪高裁 昭52(ネ)1884号 敷金返還請求事件
(61)昭和51年 3月 9日 東京高裁 昭47(う)3294号 埼玉県屋外広告物条例違反等被告事件
(62)昭和51年 1月29日 大阪高裁 昭50(う)488号
(63)昭和50年 9月10日 最高裁大法廷 昭48(あ)910号 集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反被告事件 〔徳島市公安条例事件・上告審〕
(64)昭和50年 6月30日 東京高裁 昭47(う)3293号 埼玉県屋外広告物条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(65)昭和50年 6月12日 最高裁第一小法廷 昭49(あ)2752号
(66)昭和50年 5月29日 最高裁第一小法廷 昭49(あ)1377号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(67)昭和49年12月16日 大阪高裁 昭49(う)712号 神戸市屋外広告物条例違反等事件
(68)昭和49年 5月17日 大阪高裁 昭45(う)868号
(69)昭和49年 5月17日 大阪高裁 昭45(う)713号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(70)昭和49年 4月30日 東京高裁 昭48(行コ)35号 行政処分取消請求控訴事件 〔国立歩道橋事件〕
(71)昭和48年12月20日 最高裁第一小法廷 昭47(あ)1564号
(72)昭和48年11月27日 大阪高裁 昭48(う)951号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(73)昭和47年 7月11日 大阪高裁 昭43(う)1666号 大阪府屋外広告物法施行条例違反事件 〔いわゆる寝屋川ビラ貼り事件・控訴審〕
(74)昭和46年 9月29日 福岡高裁 昭45(う)600号 福岡県屋外広告物条例違反被告事件
(75)昭和45年11月10日 柳川簡裁 昭40(ろ)61号・昭40(ろ)62号 福岡県屋外広告物条例違反被告事件
(76)昭和45年 4月30日 最高裁第一小法廷 昭44(あ)893号 高知県屋外広告物取締条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(77)昭和45年 4月 8日 東京地裁 昭40(行ウ)105号 法人事業税の更正決定取消請求事件
(78)昭和44年 9月 5日 金沢地裁 昭34(ワ)401号 損害賠償請求事件 〔北陸鉄道労組損害賠償請求事件〕
(79)昭和44年 8月 1日 大阪地裁 昭44(む)205号 裁判官忌避申立却下の裁判に対する準抗告事件
(80)昭和44年 3月28日 高松高裁 昭42(う)372号 外国人登録法違反・高知県屋外広告物取締条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(81)昭和43年12月18日 最高裁大法廷 昭41(あ)536号 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(82)昭和43年10月 9日 枚方簡裁 昭41(ろ)42号 大阪府屋外広告物法施行条例違反被告事件
(83)昭和43年 7月23日 松山地裁 昭43(行ク)2号 執行停止申立事件
(84)昭和43年 4月30日 高松高裁 昭41(う)278号 愛媛県屋外広告物条例違反・軽犯罪法違反被告事件
(85)昭和43年 2月 5日 呉簡裁 昭41(ろ)100号 軽犯罪法違反被告事件
(86)昭和42年 9月29日 高知簡裁 昭41(ろ)66号 外国人登録法違反被告事件
(87)昭和42年 3月 1日 大阪地裁 昭42(む)57号・昭42(む)58号 勾留請求却下の裁判に対する準抗告事件
(88)昭和41年 2月12日 大阪高裁 昭40(う)1276号
(89)昭和41年 2月12日 大阪高裁 事件番号不詳 大阪市屋外広告物条例違反被告事件
(90)昭和40年10月21日 大阪地裁 昭40(む)407号 勾留取消の裁判に対する準抗告事件
(91)昭和40年10月11日 大阪地裁 昭40(む)404号 勾留取消の裁判に対する準抗告申立事件
(92)昭和39年12月28日 名古屋高裁 昭38(う)736号 建造物損壊、建造物侵入等事件 〔東海電通局事件・控訴審〕
(93)昭和39年 8月19日 名古屋高裁 昭39(う)166号 軽犯罪法違反被告事件
(94)昭和39年 6月16日 大阪高裁 昭38(う)1452号
(95)昭和29年 5月 8日 福岡高裁 昭29(う)480号・昭29(う)481号 外国人登録法違反等事件
(96)昭和29年 1月 5日 佐賀地裁 事件番号不詳 外国人登録法違反窃盗被告事件
(97)昭和28年 5月 4日 福岡高裁 昭28(う)503号 熊本県屋外広告物条例違反被告事件

■【政治と選挙の裁判例一覧】「政治資金規正法 選挙ポスター」に関する裁判例カテゴリー
■【政治と選挙の裁判例一覧】「政治資金規正法 政治ポスター」に関する裁判例カテゴリー


(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
地獄のポスター貼りやります! ドブ板選挙ポスタリストが貼る! ポスター掲示交渉実績を大公開!
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「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。

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(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝!当選!選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)

(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。

(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。

(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!


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