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政治と選挙Q&A「政治資金規正法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(13)平成29年 1月26日 大阪地裁 平24(行ウ)197号・平26(行ウ)163号 補助金不交付処分取消等請求事件

政治と選挙Q&A「政治資金規正法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(13)平成29年 1月26日 大阪地裁 平24(行ウ)197号・平26(行ウ)163号 補助金不交付処分取消等請求事件

裁判年月日  平成29年 1月26日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(行ウ)197号・平26(行ウ)163号
事件名  補助金不交付処分取消等請求事件
文献番号  2017WLJPCA01266001

要旨
◆地方公共団体が定めた要綱に基づいて交付される補助金の不交付決定の処分性を否定した例
◆地方公共団体が定めた要綱に基づいて交付される補助金について、学校法人である原告が、当該補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求める訴えの利益を肯定した例
◆地方公共団体が定めた要綱に基づいて交付される補助金について、学校法人である原告が当該補助金の交付対象要件を充たさないことを理由に補助金を不交付としたことが違法とはいえないとされた例

裁判経過
控訴審 平成30年 3月20日 大阪高裁 判決 平29(行コ)60号 補助金不交付処分取消等請求控訴事件

出典
裁判所ウェブサイト

評釈
戸部真澄・法セ増(新判例解説Watch) 21号71頁

裁判官
山田明 (ヤマダアキラ) 第41期 現所属 大阪高等裁判所
平成30年4月1日 ~ 大阪高等裁判所
平成27年9月12日 ~ 大阪地方裁判所(部総括)
平成25年4月1日 ~ 東京地方裁判所(部総括)
平成24年4月1日 ~ 平成25年3月31日 大阪地方裁判所(部総括)
平成21年4月1日 ~ 平成24年3月31日 大阪地方裁判所
平成18年4月1日 ~ 平成21年3月31日 司法研修所(教官)
平成14年4月1日 ~ 平成18年3月31日 大阪地方裁判所
~ 平成14年3月31日 広島地方裁判所
平成11年4月1日 ~ 広島地方裁判所、広島家庭裁判所
平成8年3月25日 ~ 平成11年3月31日 奈良地方裁判所、奈良家庭裁判所
平成6年5月1日 ~ 平成8年3月24日 司法研修所付
平成5年3月31日 ~ 平成6年4月30日 東京地方裁判所
平成3年4月1日 ~ 平成5年3月30日 那覇地方裁判所、那覇家庭裁判所
平成1年4月11日 ~ 平成3年3月31日 東京地方裁判所

新宮智之 (シングウトモユキ) 第54期 現所属 宮崎家庭裁判所、宮崎地方裁判所
平成29年4月1日 ~ 宮崎家庭裁判所、宮崎地方裁判所
平成26年4月1日 ~ 大阪地方裁判所
平成24年4月1日 ~ 神戸地方裁判所社支部、神戸家庭裁判所社支部
平成23年4月1日 ~ 平成24年3月31日 神戸地方裁判所姫路支部、神戸家庭裁判所姫路支部兼神戸地方裁判所社支部、神戸家庭裁判所社支部
平成21年4月1日 ~ 平成23年3月31日 東京地方裁判所
平成19年4月1日 ~ 平成21年3月31日 検事、厚生労働事務官
平成19年4月1日 ~ 免事務総局家庭局付
平成19年2月15日 ~ 平成19年3月31日 事務総局家庭局付
平成16年4月1日 ~ 平成19年2月14日 和歌山地方裁判所、和歌山家庭裁判所
平成13年10月17日 ~ 平成16年3月31日 京都地方裁判所

坂本達也 (サカモトタツヤ) 第67期 現所属 大阪地方裁判所
平成27年1月16日 ~ 大阪地方裁判所

Westlaw作成目次

主文
1 本件訴えのうち,被告大阪府に…
2 原告のその余の請求をいずれも…
3 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告大阪府に対する請求
(1) 補助金に関する請求
(2) 上記(1)エを除く国家賠償請求
2 被告大阪市に対する請求
(1) 補助金に関する請求
(2) 上記(1)エを除く国家賠償請求
第2 事案の概要(以下,別紙2「略…
1 関係法令等の定め
2 前提事実(当事者間に争いのな…
(1) 原告
(2) 本件大阪府不交付に至るまでの…
(3) 本件大阪市不交付に至るまでの…
(4) 本件訴えの提起
(5) 本件訴え提起後の事情
3 争点
(1) 本案前の争点
(2) 本案の争点
4 当事者の主張
(1) 争点1(本件大阪府不交付の処…
(2) 争点2(本件大阪市不交付の処…
(3) 争点3(本件大阪市確認請求に…
(4) 争点4(大阪府要綱交付対象要…
(5) 争点5(本件大阪府不交付にお…
(6) 争点6(被告大阪府の承諾義務…
(7) 争点7(国家賠償法上の違法及…
(8) 争点8(損害額)について
(9) 争点9(大阪市要綱交付対象要…
(10) 争点10(本件大阪市不交付に…
(11) 争点11(被告大阪市の承諾義…
(12) 争点12(国家賠償法上の違法…
(13) 争点13(損害額)について
第3 当裁判所の判断
1 原告による追加的併合について
2 争点1(本件大阪府不交付の処…
(1) 抗告訴訟の対象となる処分につ…
(2) 本件大阪府不交付について
(3) 小括
3 争点2(本件大阪市不交付の処…
(1) 本件大阪市不交付について
(2) 小括
4 争点3(本件大阪市確認請求に…
(1) 確認の利益について
(2) 被告大阪市の主張について
(3) 小括
(4) 本件大阪府確認請求に係る確認…
5 認定事実
(1) 本件大阪府補助金及び本件大阪…
(2) 平成22年度の補助金の交付状…
(3) 本件大阪府申請及び本件大阪市…
(4) 本件新聞報道と本件各不交付等
6 争点4(大阪府要綱交付対象要…
(1) 原告の大阪府要綱2条該当性に…
(2) 4要件が違法・無効である旨の…
(3) 小括
7 争点7(国家賠償法上の違法及…
(1) はじめに
(2) 検討
(3) 小括
8 争点9(大阪市要綱交付対象要…
(1) 大阪市要綱2項該当性について
(2) 原告の主張について
(3) 小括
9 争点12(国家賠償法上の違法…
(1) 検討
(2) 小括
第4 結論

裁判年月日  平成29年 1月26日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(行ウ)197号・平26(行ウ)163号
事件名  補助金不交付処分取消等請求事件
文献番号  2017WLJPCA01266001

当事者の表示 別紙1(当事者目録)記載のとおり

 

 

主文

1  本件訴えのうち,被告大阪府に対し,大阪府私立外国人学校振興補助金を交付しない旨の処分の取消しを求める部分及び同補助金の交付の義務付けを求める部分,並びに,被告大阪市に対し,大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金を交付しない旨の処分の取消しを求める部分及び同補助金の交付の義務付けを求める部分を却下する。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告大阪府に対する請求
(1)  補助金に関する請求
ア 1次的請求(主位的請求)
(ア) 大阪府知事が原告に対して平成24年3月29日付けでした原告の平成23年度大阪府私立外国人学校振興補助金の交付申請を不交付とする旨の決定を取り消す。
(イ) 大阪府知事は,原告に対し,上記交付申請に係る平成23年度大阪府私立外国人学校振興補助金を交付する旨の決定をせよ。
イ 2次的請求(上記アが認容されない場合の予備的請求)
被告大阪府は,原告が平成24年3月9日付けでした平成23年度大阪府私立外国人学校振興補助金の交付の申込みを承諾せよ。
ウ 3次的請求(上記ア及びイが認容されない場合の予備的請求)
原告が,大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱に基づき平成23年度私立外国人学校振興補助金の交付を受けられる地位にあることを確認する。
エ 4次的請求(上記アからウまでが認容されない場合の予備的請求)
被告大阪府は,原告に対し,8080万円を支払え。
(2)  上記(1)エを除く国家賠償請求
ア 被告大阪府は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成24年3月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
イ 被告大阪府は,原告に対し,8080万円に対する平成24年3月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告大阪市に対する請求
(1)  補助金に関する請求
ア 1次的請求(主位的請求)
(ア) 大阪市長が原告に対して平成24年3月30日付けでした原告の平成23年度大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金の交付申請を不交付とする決定を取り消す。
(イ) 大阪市長は,原告に対し,上記交付申請に係る平成23年度大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金を交付する旨の決定をせよ。
イ 2次的請求(上記アが認容されない場合の予備的請求)
被告大阪市は,原告が平成23年9月9日付けでした平成23年度大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金の交付の申込みを承諾せよ。
ウ 3次的請求(上記ア及びイが認容されない場合の予備的請求)
原告が,大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金交付要綱に基づき平成23年度大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金の交付を受けられる地位にあることを確認する。
エ 4次的請求(上記アからウまでが認容されない場合の予備的請求)
被告大阪市は,原告に対し,2650万円を支払え。
(2)  上記(1)エを除く国家賠償請求
ア 被告大阪市は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成24年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
イ 被告大阪市は,原告に対し,2650万円に対する平成24年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要(以下,別紙2「略語一覧」記載のとおり略語を用いる。)
学校教育法134条1項に定める外国人を対象とした各種学校を設置運営する学校法人である原告は,被告大阪府に対して,大阪府要綱に基づく本件23年度大阪府補助金8080万円の交付申請(本件大阪府交付申請)をし,また,被告大阪市に対して,大阪市要綱に基づく本件23年度大阪市補助金2650万円の交付申請(本件大阪市交付申請)をしたが,大阪府知事及び大阪市長によりいずれも不交付とする旨の決定(本件各不交付)を受けた。
本件は,原告が,本件各不交付がいずれも違法であるなどとして,被告大阪府に対し,1次的に本件大阪府不交付の取消し(請求1(1)ア(ア))及び本件23年度大阪府補助金の交付決定の義務付け(同(イ))を求め(本件大阪府取消等請求),2次的に原告の本件大阪府申請に対する被告大阪府による承諾の意思表示を求め(請求1(1)イ。本件大阪府承諾請求),3次的に大阪府要綱に基づき原告が本件23年度大阪府補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求め(同ウ。本件大阪府確認請求),4次的に本件大阪府不交付により原告に本件23年度大阪府補助金相当額8080万円の損害が生じたとして国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として同額の支払を求める(同エ。本件大阪府補助金国賠請求)とともに,その余の国家賠償請求として,風評被害等の損害330万円(弁護士費用30万円を含む。)及びこれに対する遅延損害金(請求1(2)ア)並びに本件23年度大阪府補助金又は同相当額8080万円の支払の遅延により生じた損害金(同イ)の支払を求め(本件大阪府風評等国賠請求),また,被告大阪市に対し,1次的に本件大阪市不交付の取消し(請求2(1)ア(ア))及び本件23年度大阪市補助金の交付決定の義務付け(同(イ))を求め(本件大阪市取消等請求),2次的に原告の本件大阪市申請に対する被告大阪市による承諾の意思表示を求め(請求2(1)イ。本件大阪市承諾請求),3次的に大阪市要綱に基づき原告が本件23年度大阪市補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求め(同ウ。本件大阪市確認請求),4次的に本件大阪市不交付により原告に本件23年度大阪市補助金相当額2650万円の損害が生じたとして国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として同額の支払を求める(同エ。本件大阪市補助金国賠請求)とともに,その余の国家賠償請求として,風評被害等の損害330万円(弁護士費用30万円を含む。)及びこれに対する遅延損害金(請求2(2)ア)並びに本件23年度大阪市補助金又は同相当額8080万円の支払の遅延により生じた損害金(同イ)の支払を求める(本件大阪市風評等国賠請求)事案である。
なお,原告は,本件各風評等国賠請求について,主位的請求であるとともに予備的請求である旨記載するが(平成26年1月17日付け訴えの変更(追加)申立書),同各請求は,本件各承諾請求や本件各確認請求等の補助金に関する請求と条件付ける趣旨は示されておらず,本件各風評等国賠請求は,上記補助金に関する各請求と単純併合のものを誤記したものと認める。
また,原告は,本件各承諾請求と本件各確認請求を,いずれも選択的請求と記載するが(平成26年2月18日付け訴えの変更申立書の補充書),本件各確認請求は,給付請求である本件各承諾請求が認容される場合には確認の利益がなく不適法となることを前提に,被告らの承諾義務が認められず本件各承諾請求が認容されない場合でも,大阪府要綱及び大阪市要綱の各交付対象要件該当性の確認を求める趣旨のものと解され,いずれも本件各承諾請求が認容されない場合の予備的請求(3次的請求)と善解することができる。
1  関係法令等の定め
関係法令等の定めは,別紙3「関係法令等の定め」のとおりである。
2  前提事実(当事者間に争いのない事実のほか各項掲記の証拠(以下,証拠番号に枝番のあるものは特記しない限り枝番を全て含む。)等により認定することのできる事実等)
(1)  原告
原告は,全国に27ある朝鮮学園の1つであり,a高級学校のほか初級学校6校,初・中級学校2校,中級学校1校を大阪府内に設置する準学校法人である(甲71)。
(2)  本件大阪府不交付に至るまでの経緯
ア 被告大阪府は,昭和47年,「私立各種学校設備費補助金」に係る制度を創設し,原告に対しては,昭和49年度から同補助金を交付した。
被告大阪府は,平成3年度から,大阪府私立専修学校専門課程等振興補助金交付要綱に基づいて私立各種学校として認可している外国人学校について助成を行っており,原告に対してもこれに基づいて補助金の交付をしていたが,平成5年3月19日,大阪府要綱を制定し,以後,これに基づいて,平成22年度まで,毎年,原告に本件大阪府補助金を交付してきた。なお,同年度の原告に対する本件大阪府補助金の額は8724万5000円であった。(以上につき甲122,乙31,32,弁論の全趣旨)
イ 被告大阪府は,大阪府要綱を数回にわたって改正しているところ,平成24年3月7日付け改正前の大阪府要綱は,別紙3「関係法令等の定め」3(3)のとおりであった(甲9,11)。
ウ 原告は,平成24年3月9日,被告大阪府に対し,平成23年度分に係る小中級学校8校分の平成23年度大阪府補助金8080万円の交付申請(本件大阪府申請)をした(甲12,乙27)。
エ 平成24年3月16日,一部日刊紙の朝刊に,「朝鮮学校生 E氏に忠誠」と題し,「全国の朝鮮学校から選抜された児童・生徒約100人が1~2月に北朝鮮を訪れた際,故F総書記と新指導者,E氏に忠誠を誓う歌劇を披露していた」とする本件新聞報道が掲載された(乙3)。
オ 被告大阪府は,平成24年3月29日,原告に対し,本件23年度大阪府補助金を交付しない旨の決定(本件大阪府不交付)をし,その旨原告に通知した。なお,本件大阪府不交付を通知する書面には,不交付の理由として,大阪府要綱2条8号に「該当しているとの確証が得られず」,大阪府要綱「2条に該当するものと確認できない」旨の記載がある。(以上につき甲13)
(3)  本件大阪市不交付に至るまでの経緯
ア 被告大阪市は,昭和62年度から,各種学校における学校教育の目的を達成するために必要な教具・施設の整備及び学校の維持運営に対する補助金として,原告に対する補助金の交付を行っており,平成3年には大阪市要綱を制定し,以後,これに基づいて,平成22年度まで,毎年,原告に本件大阪市補助金を交付してきた。なお,同年度の本件大阪市補助金の額は2650万円であった。(以上につき甲123,弁論の全趣旨)。
イ 原告は,平成23年9月9日(同月12日消印),被告大阪市に対し,平成23年度分に係る小中級学校8校分の平成23年度大阪市補助金2650万円の交付申請(本件大阪市申請)をした(甲16,丙8,弁論の全趣旨)。
ウ 被告大阪市の担当者は,平成24年3月8日,大阪市役所総務局内において,原告に対して,「朝鮮学校に対する補助金支給にかかる要件」と題する本件メモを交付した。なお,本件メモには,次の(ア)から(オ)までの記載がある。(以上につき甲17,丙8)
(ア) 「日本の学習指導要領に準じた教育をする」
(イ) 「学校の財務内容の公開」
(ウ) 「朝鮮総連との関係を清算する」
(エ) 「肖像画を教室から撤去する」
(オ) 「肖像画を職員室から撤去する」
エ 被告大阪市は,大阪市要綱を数回にわたって改正しているところ,平成24年3月27日付け改正前の大阪市要綱は,別紙3「関係法令等の定め」4(3)のとおりであった(甲15,18)。
オ 被告大阪市は,平成24年3月頃,原告に対し,本件23年度大阪市補助金を交付しない旨の決定(本件大阪市不交付)をし,同月30日,原告に通知した。なお,本件大阪市不交付を通知する書面には,本件大阪市不交付の理由として,大阪市要綱2項の本件大阪市補助金の交付対象法人ではない旨の記載がある。(以上につき甲19)
(4)  本件訴えの提起
原告は,平成24年9月20日,本件訴えを提起した。なお,原告は,当初,本件各取消等請求を掲げていたが,平成26年1月17日,行政事件訴訟法19条の追加的併合により,各被告に対するその余の請求を追加した。
(以上につき顕著な事実)
(5)  本件訴え提起後の事情
被告大阪市は,平成24年7月30日,大阪市要綱を廃止した。
大阪府知事は,平成28年4月1日付けで「私立学校に関する事務」を大阪府教育長に委任した。
3  争点
本件における主要な争点は,以下のとおりである。なお,被告大阪市は,この他,原告が,被告大阪市に対する当初の本件大阪市取消等請求に,各予備的請求を追加的に併合することが法律の要件を欠き許されないと主張する。
(1)  本案前の争点
ア 被告大阪府関係
本件大阪府不交付の処分性―本件大阪府取消等請求(争点1)
イ 被告大阪市関係
(ア) 本件大阪市不交付の処分性―本件大阪市取消等請求(争点2)
(イ) 本件大阪市確認請求に係る確認の利益の有無―本件大阪市確認請求(争点3)
(2)  本案の争点
ア 被告大阪府関係
(ア) 本件大阪府取消等請求
a 大阪府要綱交付対象要件充足の有無(争点4)
b 本件大阪府不交付における手続的違法の有無(争点5)
(イ) 本件大阪府承諾請求
a 大阪府要綱交付対象要件充足の有無(争点4)
b 被告大阪府の承諾義務の有無(争点6)
(ウ) 本件大阪府確認請求
大阪府要綱交付対象要件充足の有無(争点4)
(エ) 本件大阪府国賠請求
a 大阪府要綱交付対象要件充足の有無(争点4)
b 国家賠償法上の違法及び故意過失の有無(争点7)
c 損害額(争点8)
イ 被告大阪市関係
(ア) 本件大阪市取消等請求
a 大阪市要綱交付対象要件充足の有無(争点9)
b 本件大阪市不交付における手続的違法の有無(争点10)
(イ) 本件大阪市承諾請求
a 大阪市要綱交付対象要件充足の有無(争点9)
b 被告大阪市の承諾義務の有無(争点11)
(ウ) 本件大阪市確認請求
大阪市要綱交付対象要件充足の有無(争点9)
(エ) 本件大阪市国賠請求
a 大阪市要綱交付対象要件充足の有無(争点9)
b 国家賠償法上の違法及び故意過失の有無(争点12)
c 損害額(争点13)
4  当事者の主張
(1)  争点1(本件大阪府不交付の処分性)について
(原告の主張)
本件大阪府補助金は,地方自治法232条の2,教育基本法8条,私立学校法59条,私立学校振興助成法1条,10条,16条等の法令上の根拠を有しており,その上で,被告大阪府は,実践的な要件や手続を大阪府要綱として作成し,これに基づいて行政実践を積み重ねてきたものであるから,行政としては,申請に対する応答義務を負う制度として存在していたと評価することができる。このような理解は,被告大阪府の指針や,国においても承認されている。また,原告に対する被告大阪府の助成は昭和49年以降途切れることなく続けられてきたから,大阪府による助成である本件大阪府補助金が長年にわたり原告の存立を左右する重要な財政基礎になっており,これに対する補助金受領者の信頼は法的保護に値するものといえる以上,原告が被告大阪府から申請に基づいて本件大阪府補助金の交付を受けることに権利性が認められることは明らかである。
したがって,被告大阪府による本件大阪府補助金を不交付とする旨の決定は,直接国民の権利義務を制限し又はその範囲を確定する行為であって,行政処分に当たる。
(被告大阪府の主張)
地方公共団体が行う補助金の交付は,一定の要件を充たした申請者に対し,補助金交付の対象となる事業を遂行することを条件として行うものであるが,その本質は,金銭の給付という受益的行為にすぎず,行政庁が優越的地位に基づいて権力的な規制を行うものではないから,法律あるいは条例によって法的規制が加えられ,行政争訟的な手続が保障されているなどの特段の事情のない限り,「行政庁の処分」には当たらず,負担付贈与契約と解すべきものである。
本件大阪府補助金についても,各年度の予算の範囲内で,大阪府交付規則及び大阪府要綱に基づいて交付されるものであるところ,本件大阪府補助金の交付には,法律あるいは条例による法的規制もなく,補助金の交付に関する行政争訟的な手続も定められていない。そして,補助金が継続して交付されることは補助金受領者の単なる期待にすぎず,補助金交付の継続に対する信頼なるものが,法律上保護された利益として評価される余地は全くない。
したがって,大阪府要綱に定める本件大阪府補助金の交付決定は,「行政庁の処分」ではなく,一定の補助事業を行うことを条件に補助金の交付を受けたいとの原告の申込みに対する被告大阪府の承諾として行われるものであって,その法的性質は私法上の負担付贈与契約にすぎない。
(2)  争点2(本件大阪市不交付の処分性)について
(原告の主張)
本件大阪市補助金は,地方自治法232条の2,教育基本法8条,私立学校法59条,私立学校振興助成法1条,10条,16条,学校法人援助の手続に関する条例(甲50)等の法令上の根拠を有している。このことは,被告大阪市においても,自ら大阪市補助金等チェックシート(甲48)において,本件大阪市補助金が「私立学校法,私学振興助成法」に根拠を有している旨を明らかにしているところである。
被告大阪市は,本件大阪市補助金について,上記の法令を根拠とした上で,実践的な要件や手続を大阪市要綱として作成し,これに基づいて行政実践が積み重ねられていたのであるから,行政としては,申請に対する応答義務を負う制度として存在していたと評価することができ,これは,被告大阪市の指針や,国においても承認されている。
また,原告に対する被告大阪市による助成は昭和62年から途切れることなくされ続けてきたのであって,これが長年にわたり原告の存立を左右する重要な財政基礎になっており,これに対する補助金受領者の信頼は法的保護に値するものである以上,原告が被告大阪市から申請に基づいて本件大阪市補助金の交付を受けることに権利性が認められることは明らかである。
したがって,被告大阪市による本件23年度大阪市補助金を不交付とする旨の決定(本件大阪市不交付)は,直接国民の権利義務を制限し又はその範囲を確定する行為であって,行政処分に当たる。
(被告大阪市の主張)
本件大阪市補助金は,地方自治法232条の2の「寄附又は補助」としてされたものである。本件大阪市不交付は,大阪市要綱に基づいてされたものであるが,大阪市要綱は,いかなる場合に補助金を交付するかを定めるとともに,大阪市交付規則を受けて補助金交付の内部手続の細則を定めたにすぎないものというべきであるから,これをもって本件大阪市補助金の交付・不交付に処分性があるものと解することはできない。本件大阪市不交付は,実質的には贈与契約の申込みに対する応答の性質を有するものであり,行政処分には当たらない。
原告は,学校法人援助の手続に関する条例が本件大阪府補助金の根拠の一つであり,被告大阪市において用いている大阪市補助金等チェックシートに本件大阪市補助金の根拠として「私立学校法,私学振興助成法」との記載があることから,本件大阪市補助金の交付又は不交付に法令上の根拠があると主張する。しかし,同条例は,昭和50年の私立学校振興助成法の制定とともに私立学校法59条が改正された際,廃止されるべきものであって,大阪市要綱との関連はない。大阪市補助金等チェックシートは,被告大阪市における全ての補助金等を対象として3~4年ごとに重点的な見直し作業を行う際に当該補助金等の必要性や効果を検証するための評価ツールとして用いられるもので,同シートをホームページ上で公開し,市民が個別補助金等の見直し状況を把握できるようにすることを目的として作成されるものであるから,これにより本件大阪市補助金の交付の法的性質が決められる関係にない。したがって,本件大阪市補助金の交付の法的性質が地方自治法232条の2に基づく「寄附又は補助」であることに変わりはない。
(3)  争点3(本件大阪市確認請求に係る確認の利益の有無)について
(原告の主張)
確認訴訟について,一般には給付訴訟が可能であれば確認の利益がないとされるが,紛争の直接的かつ抜本的な解決のために確認訴訟の形態を採ることが有効かつ適切であれば確認の利益が認められる。本件大阪市確認請求においても,紛争の直接的かつ抜本的な解決に資するため,確認の利益が肯定される。
(被告大阪市の主張)
原告が大阪市長に対して本件大阪市補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求める訴えについては,原告は,このような地位にあることを前提として,端的に,被告大阪市に対し,本件大阪市補助金の交付を求める給付訴訟を提起すべきであるから,確認の訴えを選択することが適切とはいえず,確認の利益がない。
(4)  争点4(大阪府要綱交付対象要件の充足の有無)について
(原告の主張)
ア(ア) 原告が運営する外国人学校のうち,初中級学校については,教室及び職員室からも肖像画を撤去するなどしていた上,迎春公演は,原告の生徒らの祖国が主催する行事であって「特定の政治団体」が主催するものではなく,学校行事でもないから,被告大阪府がなし崩し的に設けた4要件についても充足していたことが明らかである。
したがって,本件大阪府不交付は違法であるし,原告に対しては,本件23年度大阪府補助金が交付されなければならない。
(イ) 被告大阪府は,本件新聞報道をきっかけとする資料の追加提出要請に原告が応じなかったなどとして本件大阪府不交付を正当化しようとするが,原告が被告大阪府の担当者から電話を受けた際にも,「資料提供がない場合には不交付となる可能性がある」などといった注意喚起はなかったし,そもそも迎春公演は,祖国が主催する行事であって,「特定の政治団体」によるものでもなく,学校行事でもないから,その資料の提出の必要性は認め難いものであった。そうすると,本件大阪府不交付は,不当な政治的介入としか考えられず,到底許されるものではない。
仮に被告大阪府による本件大阪府補助金を交付するか否かについて,被告大阪府(大阪府知事)にある程度の裁量を認めるとしても,本件大阪府不交付に当たり,子どもの学習権という本来最も重視すべき要素,価値を不当に軽視し,本来考慮に入れるべきでない政治理由を極めて過大に評価し,このことにより判断が左右されたことは明らかであるから,被告大阪府(大阪府知事)による本件大阪府不交付は裁量判断の方法ないしその過程に誤りがあるものとして違法である。
イ 仮に大阪府要綱2条8号の要件を充たすことが確認できない状況にあったとしても,次のとおり,原告が本件大阪府補助金の交付を受けることについて権利・利益を有していることに照らせば,平成24年3月7日付け改正により大阪府要綱2条に付加された4要件は違法(違憲)・無効であり,原告がその余の大阪府要綱2条交付対象要件を充たしていることは明らかである。したがって,原告は大阪府要綱2条交付対象要件を充たしている。
(ア) 原告の被告大阪府に対する本件23年度大阪府補助金に係る権利性等
以下の事情に照らせば,原告が,被告大阪府に対し,本件大阪府補助金の交付を求める権利・利益を有していることは明らかであって,これらの点は平成23年度大阪府補助金についても同様に妥当する。
a 憲法26条及び13条について
子どもの学習権,教育を受ける権利を支え,実質的に保障するためには普通教育を行う学校が不可欠である。そして,学校を運営するために資金が必要であることは論を待たず,これを児童生徒から徴収する授業料だけで賄うことは,現代社会においてはおよそ不可能である。本件大阪府補助金も子どもの学習権,教育を受ける権利を支え,実質的に保障するものであり,憲法26条,13条に根拠があるというべきである。
そうであるからこそ,本件大阪府不交付により被る原告の学校運営に対する打撃は顕著である。これにより原告は,十分な人員,教材,施設を確保できない反面,生徒の保護者には授業料の増額の要請をせざるを得ず,その結果,子どもたちの学習環境を維持することができなくなる。これは,憲法26条の教育を受ける権利(子どもの学習権),及び13条(幸福追求権)を抑圧,侵害していると評価される。
b 国際人権基準及び民族教育への権利について
国際人権法(世界人権宣言26条,社会権規約2条,13条,14条,自由権規約26条,子どもの権利条約2条,28条,人種差別撤廃条約5条等)においては,朝鮮学校を含む外国人学校,民族学校が実施する母国語・継承語教育や出身国・地域の歴史を学ぶ民族教育は,無差別・平等に保障されるべき普遍的人権として子どもたちの享受する教育への権利を実現するための不可欠の構成要素である。そして,自己の民族や言語への教育の権利が全ての子どもに実質的に保障されなければならず,殊に,マイノリティに属する子どもの学習権の実質的保障のためには,公権力がより意識的な強い保護を与えなければならない。
かかる国際人権法に照らしても,子どもたちの教育への権利を実現するために長年にわたり交付されてきた本件大阪府補助金について,原告は交付を受ける権利性を有してると解すべきであって,他方において,政治的理由により原告のみを対象として,かつ,それを減額するどころか皆無とするような被告大阪府による本件大阪府不交付は違法である。
c 私立学校の自由について
私立各種学校を含む私立学校は,私人ないし私的団体により設置・経営され,当該私的団体等により独自の教育が行われる教育機関であるから,私立学校に対し,子どもたちに提供する教育の内容を自由に決めることが保障されているという自主性が極めて重要である。しかしながら,被告大阪府は,私立学校として尊重されるべき原告の自主性を一顧だにせず,原告に対し,本件大阪府補助金の交付対象要件を設け,その要件充足を求めた上,原告がその要件を充たしていることを確認することができないとして本件大阪府不交付をしているのであるから,被告大阪府の行為は,本件大阪府補助金の交付に殊更要件を追加して原告の建学の精神や理念に強制的に介入するものである。そうすると,このような被告大阪府の手法は,私立学校としての原告の存在意義を失わせるものである。
私立の1条校にあまねく助成がされ,公立の普通教育には多額の税金が投入されていることに加え,高校無償化制度などの私立学校と公立学校の格差を是正する動きがあることに照らせば,日本の施策の方向性として子どもの教育につき家庭の経済環境によらない機会均等を目指していることは明らかである。そうすると,助成を「補完的なもの」と位置付ける被告大阪府の主張は誤りというべきである。
d 平等原則及び差別禁止について
被告大阪府による本件大阪府不交付は,私立学校一般と原告との間の,また同じ各種学校である他の外国人学校と原告との間の不平等を来している。
被告大阪府がした本件大阪府不交付により,被告大阪市による本件大阪市不交付と相まって,原告への助成金は0円となったのに対し,大阪府内の私立高等学校については,高等学校等就学支援金,若しくは私立高校生等授業料支援補助金制度によって,国及び被告大阪府から生徒1人当たり55万円若しくは58万円以内の授業料が保護者の年収を考慮した上でほぼ全額支給されている。また,被告大阪府は,原告と同じ各種学校である学校法人bが設置するc学校等に対して,平成23年度の本件大阪府補助金を交付している。このように,被告大阪府による本件大阪府不交付は,原告と他の私立学校,原告と他の各種学校との間に合理的理由のない不平等を生じさせている。
外国人学校の歴史的沿革をみると,外国人学校は,単に生徒の国籍国あるいは出身国に応じて普通教育を行う学校であるから,その意味では本来的には各種学校として分類されるべきものではなかったはずであるが,国の法制が遅れたため,都道府県がこれを認可して各種学校としているにすぎない。そうであるとすると,外国人学校については,一般の各種学校とは異なる手厚い措置が採られることこそが当然というべきであり,1条校や専修学校に助成がされるのであれば,外国人学校に対しても当然に助成がされるべきである。
e 後退的措置の禁止について
公費助成の後退的措置が許容されるのは,利用可能な資源を最大限用いても権利状況の悪化が避けられないような経済的危機に直面している場合や,諸権利全体の状況改善を目的とした措置である場合等に限定されるのであり,かつ公的機関はその客観的かつ合理的理由を立証しなければならない。しかるところ,公費助成が停止されると子どもたちの学習権が侵害される上,平成3年以降,これまで長年にわたって本件大阪府補助金を含む公費助成が続けられ,これが原告にとって必要不可欠な資金として位置付けられていることに照らせば,被告大阪府による本件大阪府不交付は,著しい後退的措置として許されない。
また,本件大阪府補助金は,マイノリティ教育への権利の実質的保障としても位置付けられるべきであり,本件大阪府不交付のような後退的措置は,権力による差別の助長として,また,社会の差別意識や差別の風潮を助長させるものとして許されない。
(イ) 平成24年3月7日付け改正により大阪府要綱2条に付加された4要件が違法・無効であること
被告大阪府は,本件大阪府補助金の交付を受けるための交付対象要件として4要件(①「日本の学習指導要領に準じた教育活動を行うこと」,②「財務情報を一般公開すること」,③「特定の政治団体と一線を画すこと」,④「特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと」の各要件)を付加したが,被告大阪府による4要件の設定はおよそ理由のないものであり,原告を狙い撃ちにするために設定されたものとして違法・無効である。
a 1条校においては,その教育課程が文部科学省公示の学習指導要領に基づく必要があるところ,外国人学校として民族教育や母国語教育の必要性を存在基盤とする原告にとっては,必要時間数の関係から,その存在基盤を維持しつつ学習指導要領に準拠して両者を両立させることは実際上不可能である。本件大阪府補助金の交付対象要件として,「学習指導要領に準じた教育を行っているという実態」が存在することを要求することは,原告ら外国人学校に学習指導要領への追従を求めるものであり,外国人学校の教育の自主性への不当な介入として許されない。
b 被告大阪府は「財務情報を一般公開すること」を本件大阪府補助金の交付対象要件とする。しかし,私立学校法47条は財務資料等の公開について言及していない。そして,文部科学省も従前から「私学の自主性」の観点から,財務情報の公開については「指導」の範囲にとどめている。現在,学校法人の財務情報の公開を求める議論はあるものの,プライバシー保護等の観点から公開の範囲や方法について検討がされている段階である。もとより,各種学校について同法134条において準用する同法43条にこのような情報の公開の根拠があるはずもない。そうであるにもかかわらず,被告大阪府は,このような議論を全て捨象し,外国人学校に対して財務情報の一般公開を課したのであって,これは原告を狙い撃ちにしたものである。
c 被告大阪府は,「特定の政治団体と一線を画すこと」を本件大阪府補助金の交付対象要件とし,同要件について,私立学校法36条2項に根拠があるとする。しかし,同項は,理事会が,学校法人の業務を決し,理事の職務の執行を監督するという当然のことを規定しただけであって,そこから「特定の政治団体と一線を画すこと」という要件が論理的に導かれるものではない。また,原告が運営する各種学校には教育基本法14条2項は適用されないから,これに政治的中立性を求める根拠もない。加えて,「特定の政治団体」が何を指すか不明確で一般には理解できないものであるし,被告大阪府は「特定の政治団体」を「公安調査庁が公表する直近の「内外情勢の回顧と展望」において調査等の対象となっている団体」などと定義するが,治安維持の観点から調査あるいは記述の対象を恣意的に選択している「内外情勢の回顧と展望」の記述には客観性が乏しく,教育の問題を判断するための指標としての適格性がないというべきであるし,理事会機能の自主性の確保を図ることとは無関係といわざるを得ない。
さらに,私立学校法1条の「公共性」からは,「政治的中立性」(多数の者に対して強い影響力を持ち得る教育に,一党一派に偏した政治的主義・主張が持ち込まれてはならないことを意味するものというのが政府答弁である。)という概念が導き出せるものでもない。
d 被告大阪府は,「特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと」を本件大阪府補助金の交付対象要件とする。しかし,原告を含む各種学校には,教育基本法14条2項は適用されないから政治的中立性を求める根拠はないはずである。また,原告に対する助成は,教育基本法8条,私立学校法59条及び私立学校振興助成法10条に基づくものであるが,これらの助成を政治教育を行わない各種学校に限定する規定は見いだせない。さらに,創始者の肖像画や銅像が掲示されていることは他の学校においても確認されるところであり,これらの人物が政治指導者といえる場合もあり得るところであるが,これの掲示があったからといって直ちに政治的中立性が損なわれるともいえない。
(被告大阪府の主張)
ア 本件大阪府不交付について
地方公共団体が,本件大阪府補助金を交付するかどうかを決定するに当たっては,合理的な裁量の範囲が認められるべきであるところ,被告大阪府が大阪府交付規則及び大阪府要綱を定め,これらに従って本件大阪府補助金の交付の可否を判断し,交付対象要件を充たさなかったことから本件大阪府不交付をしているのであって,本件大阪府不交付の判断をしたことが,裁量権の逸脱ないし濫用と評価される余地はない。
しかるところ,原告は,被告大阪府から,本件新聞報道をきっかけとして本件新聞報道に記載された行事への参加に関する関係書類を提出するよう求められたにもかかわらず,平成24年3月18日,口頭で本件新聞報道に係る行事への参加は補助金の交付対象要件に反するものとは認識していないが,上記行事への参加に関する関係書類を提出することはできない旨の回答をしたにとどまり,これを明確にする資料の提出をしなかった。そのため,被告大阪府においては,原告が大阪府要綱2条8号の「特定の政治団体が主催する行事に,学校の教育活動として参加していないこと」という要件を充たすことにつき確証を得ることができず,原告が大阪府要綱2条所定の交付対象要件を充たしているとの判断ができなかったため,本件大阪府不交付をしたにすぎない。
したがって,本件大阪府不交付は,原告がした本件大阪府申請が大阪府要綱2条交付対象要件を充たさなかったことによるものである。もとより政治的介入等として批判されるものでもない。
イ 大阪府要綱2条交付対象要件充足の必要性について
大阪府においては,学校法人が設置する外国人学校では,1条校に準じた教育活動が行われており,1条校に準じて助成の措置を行うべき必要があるとの考えから,大阪府要綱を定めて外国人学校を設置する学校法人に対する助成の措置(本件大阪府補助金)を行うこととしている。そして,本件大阪府補助金の交付は,大阪府交付規則及び大阪府要綱に基づいて行われるところ,補助金の交付対象となる学校法人又はその設置する外国人学校は,大阪府要綱2条所定の交付対象要件の全てを充たすものでなければならない。
大阪府要綱2条所定の交付対象要件は平成24年3月7日付けで改正されているところ,同改正において付加された4要件の基本的な考え方は,次のとおりであって,いずれも合理的なものであり,大阪府要綱に4要件を内容とする改正をすることに何ら違法性はない。
(ア) 「日本の学習指導要領に準じた教育活動を行うこと」(大阪府要綱2条5号関係)
各種学校については,全国的には,私学助成がほとんど行われていないが,被告大阪府における本件大阪府補助金は,上記のとおり,外国人学校は,学校の設置主体が学校法人であって,私立学校法の適用の下に公共性が一定程度担保されるとともに,1条校に準じた教育が行われている点において,他の各種学校とは教育の実態が異なることに着目し,1条校と同様に助成の措置を行うこととしてされたものである。
このように,本件大阪府補助金は,私立外国人学校が,学習指導要領に沿った1条校に準じた教育を行っているという実態に鑑みて助成の措置を行うのであるから,この点を交付対象要件として明確にするため,これを4要件として追加することとしたものである。
(イ) 「財務情報を一般公開すること」(大阪府要綱2条1号関係)
学校教育法134条に定める各種学校においても,「保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに,これらの者との連携及び協力の推進に資するため,教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供する」とされ(同法43条等),また,学校法人は,財産目録,貸借対象表,収支計算書及び事業報告書並びに監査報告書の備置き等を求められており(私立学校法47条1項,2項),文部科学省通知(乙10)が発出され,「学校法人が公共性の高い法人として説明責任を果たす」必要があり,「法律によりすべての学校法人に共通に義務付けるべき最低限の内容」として積極的な財務情報の公開を促している。そこで,被告大阪府においても,公益性の求められる補助金の交付を受ける学校法人に対して,財務情報の積極的な公開を求めることとして大阪府要綱2条1号を追加したのであって,決して原告を狙い撃ちしたものではない。
(ウ) 「特定の政治団体と一線を画すこと」(大阪府要綱2条6号から8号まで関係)
私立学校法36条2項において「理事会は,学校法人の業務を決し,理事の職務の執行を監督する」とされていることから,当該学校の業務に関して理事会において意思決定がされていることを明確にするため,本件大阪府補助金の交付対象要件に追加したものである。また,各種学校も私立学校法の目的としての「私立学校の健全な発達」を図ることを目的としているから,各種学校である原告についても「公共性」は求められているのであって,この「公共性」には,私立学校の政治的中立性も当然に含まれる。
これに対し,原告は,原告のような1条校に当たらない各種学校には教育基本法14条2項が適用されないから,「政治的中立性」を要件とすることはできないと主張するが,各種学校においても政治的中立性が求められることは上記のとおりであるし,本件大阪府補助金は,学校法人が設置する外国人学校のうち1条校に準じた教育活動が行われ,1条校に準じて助成の措置を行うべき必要があるものについて助成を行う制度であって,1条校に準じた教育活動が行われているといえるためには,教育の政治的中立性が確保されていることが必要である。なお,被告大阪府は,本件大阪府補助金の交付を受けない外国人学校に対してまで,1条校に求められるような政治的中立性を求めるものではない。
(エ) 「特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと」(大阪府要綱2条9号関係)
教育基本法14条2項で求められる政治的中立性を確保するという観点から,交付対象要件に追加することとしたものである。
私立学校においては,その自主性から創始者の肖像画や銅像が掲示されている例もあり,教育目的で設置されているものと解される。しかし,公共性と政治的中立性が求められる学校法人においては,思想教育を行うなど政治的利用をすることは問題であり,とりわけ本件大阪府補助金を受ける学校法人としては一層の公益性が求められているというべきであるからふさわしいものではない。このような見地から,本件大阪府補助金の交付を受ける各種学校の政治的中立性の確保を求めるものである。
ウ 原告の主張について
(ア) 原告は,憲法26条,13条,国際人権法(世界人権宣言26条,社会権規約2条,13条,14条,自由権規約26条,子どもの権利条約2条,28条,人種差別撤廃条約5条等)を挙げて,原告が本件大阪府補助金の交付を受ける権利を有していると主張する。しかし,これらの規定によっても,原告の被告大阪府に対する本件大阪府補助金の交付請求権を具体的に生じさせるものではない。むしろ,本件大阪府補助金を始めとする補助金について,その交付を具体的に義務付ける規定はない以上,地方公共団体が,私立学校や各種学校に対して補助金を交付するかどうかは,当該地方公共団体の合理的裁量に委ねられていると解すべきである。したがって,原告に本件大阪府不交付をしたことが,直ちに原告の法律上の権利や利益を侵害することにはならない。
4要件は政治的理由に基づいて付加されたものではないから,政治的理由によって原告のみを念頭に置いて4要件を付加して本件大阪府不交付をしたものでもなく,原告の権利を違法,不当に侵害するものでもない。
(イ) 原告は,民族教育や私立学校の自由を根拠として,補助金の交付請求権があると主張する。しかし,これらによっても原告の被告大阪府に対する本件大阪府補助金の交付請求権を具体的に生じさせるものではない。
原告の学校は,1条校ではなく各種学校であるところ,一般に,各種学校は,学校法人でなくとも設立することができ(学校教育法134条),修業期間や授業時間,教員の資格等において,1条校と比べて緩やかな規制となっていることから,1条校と比較すると各種学校に対して助成する必要は低い。もっとも,被告大阪府においては,各種学校の中にあって,学校法人が設置する外国人学校については1条校に準じた教育活動が行われてきたことから,一定の要件の下に助成を行ってきたし,外国人学校の中には,1条校の要件を充たし,1条校として認可されているものもある。そうすると,外国人に対する普通教育を行う学校であるからといって,当該外国人学校に対して必然的に1条校と同様に助成がされるべきことにはならないし,このような学校に助成をしなかったとしても,私立学校の自由を侵害したことにはならない。
(ウ) 原告は,本件大阪府不交付が,大阪府内の私立学校と原告との間で,また,大阪府内の各種学校と原告との間で不平等を発生させているとして,平等原則に反すると主張する。しかし,私立学校に対する経常費補助金と原告に対する本件大阪府補助金の交付額の内容や額に差があるとしても,このことは,本件大阪府不交付に関わるものとはいえないから,本件大阪府不交付の違法事由足り得ない。また,4要件は,本件大阪府補助金の交付対象となる外国人学校に共通する要件として設けたものであり,原告のみを対象として設けたものではない。被告大阪府が原告に本件大阪府不交付を行ったのは,原告が4要件のうち1要件(大阪府要綱2条8号)を充足しなかったことによるものである。
(エ) 原告は,後退的措置の禁止を理由に本件23年度大阪府補助金の交付請求権があると主張する。しかし,後退的措置の禁止をいうとされる社会権規約13条1項は,締約国において,全ての者に教育に関する権利が,国の社会政策により保護されるに値するものであることを確認し,締約国がこの権利の実現に向けて積極的に政策を推進すべき政治的責任を負うことを宣明したものであって,個人に対し即時に具体的権利を付与すべきことを定めたものではない。このことは,同規約2条1項が,締約国において「立法措置その他の全ての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成する」ことを求めていることからも明らかである。
加えて,法令上,地方公共団体が私立学校や各種学校に対して補助金を交付することが義務付けられていないことは上記(ア)のとおりであり,被告大阪府が本件23年度大阪府補助金の交付に当たって4要件を設けたことが,目的及び手段において正当であることは上記イのとおりである。
したがって,本件大阪府不交付が後退的措置の禁止原則に反する旨をいう原告の主張は失当である。
(オ) 原告は,本件大阪府不交付は,子どもの学習権を不当に軽視し,本来考慮に入れるべきではない政治的理由を極めて過大に評価した結果によるものであるから,裁量判断の方法ないしその過程に誤りがあると主張する。しかし,本件大阪府不交付は大阪府要綱に従ってされたものであり,上記イのとおり,4要件は,法令の趣旨を踏まえ,これに適合することを目的として設けられたものであり,政治的理由に基づいて設けられたものではない。
(カ) 上記(ア)から(オ)までのとおり,原告の本件23年度大阪府補助金の交付を受ける権利が保障されるものでもないし,4要件が違法,無効とされるものでもない。
(5)  争点5(本件大阪府不交付における手続的違法の有無)について
(原告の主張)
被告大阪府は,大阪府行政手続条例において,申請に対する処分をするに当たり,審査基準を具体的に定め,予め公にしておくことが求められている(5条)。しかし,被告大阪府は,原告が申請を行う直前に大阪府要綱を改正して4要件を付加し,交付対象の要件として新しく付加された部分について確証が持てないことを理由として本件大阪府不交付をしたのであって,審査基準が予め公になっていたとはいえない以上,このようなやり方は,大阪府行政手続条例5条に違反しているというべきである。その意味においても,本件大阪府不交付は取り消されなければならない。
(被告大阪府の主張)
本件大阪府不交付は,大阪府要綱に定める交付対象要件を充たさなかったことによるものにすぎず,行政処分でもないから,大阪府行政手続条例に違反するものでもない。
(6)  争点6(被告大阪府の承諾義務の有無)について
(原告の主張)
上記(4)(原告の主張)のとおり,原告は,大阪府要綱2条の交付対象要件を充たしていた。
本件大阪府補助金の交付が契約によるものであるとしても,その公益的性格から純然たる私法上の契約とは異なり,行政処分に準じた公平さや上位規範に沿った扱いが要求され,契約自由の原則が制限される。そして,上記(4)(原告の主張)イ(ア)のとおり,原告には本件大阪府補助金の交付を受ける権利・利益があることなどの事情に照らせば,大阪府要綱2条の交付対象要件を充たしていながら被告大阪府が本件大阪府補助金の交付を拒否することは許されないというべきである。
したがって,被告大阪府は,原告に対し,本件大阪府申請を承諾する旨の意思表示をしなければならない。
(被告大阪府の主張)
争う。
なお,上記(4)(被告大阪府の主張)のとおり,原告は,大阪府要綱2条に定める交付対象要件を充たしていたとは認められないから,被告大阪府に承諾義務はない。
(7)  争点7(国家賠償法上の違法及び故意過失の有無)について
(原告の主張)
上記(4)(原告の主張)のとおり,大阪府要綱2条の交付対象要件を充たしているにもかかわらずされた本件大阪府不交付は違法であるし,上記(5)(原告の主張)のとおり,本件大阪府不交付をするに当たり手続的な違法がある。そうすると,大阪府知事がした本件大阪府不交付には国家賠償法上の違法があり,故意又は過失も認められる。
(被告大阪府の主張)
上記(4)及び(5)の各(被告大阪府の主張)のとおり,本件大阪府不交付に違法はない。本件大阪府不交付をした大阪府知事に国家賠償法上の違法や故意・過失があるとする原告の主張は,否認ないし争う。
(8)  争点8(損害額)について
(原告の主張)
ア 本件大阪府補助金国賠請求に係る損害
本件大阪府不交付により,原告には,本件23年度大阪府補助金相当額8080万円の財産的損害が生じた。
したがって,原告は,被告大阪府に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として8080万円の支払を求める。
イ 本件大阪府風評等国賠請求に係る損害
本件大阪府不交付が取り消されるなどして本件23年度大阪府補助金が交付され,又は本件23年度大阪府補助金相当額の損害賠償金が交付されることにより,本件大阪府不交付により原告に生じた当該補助金の元金部分に係る損害(8080万円)は填補されるとしても,同元金部分が填補されるまでの遅延損害金に相当する額は填補されるものではない。そうすると,この遅延損害金に相当する額は別途損害として填補されなければならない。
また,本件大阪府不交付により原告に生じた風評被害等の無形の損害は300万円を下ることはない。そして,訴訟提起のために弁護士費用を要しているところ,その費用は30万円を下らない。
したがって,原告は,被告大阪府に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,330万円及び8410万円(交付されるべきであった本件23年度補助金相当額8080万円に上記330万円を加算した額)に対する平成24年3月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告大阪府の主張)
否認ないし争う。
(9)  争点9(大阪市要綱交付対象要件充足の有無)について
(原告の主張)
後記アのとおり,原告は本件大阪市補助金を受けることについて権利・利益を有しており,また,後記イのとおり,平成24年3月27日付け改正により大阪市要綱2項に付加された新要件は違法(違憲)・無効であって,原告にその余の交付対象要件充足に欠けるところはないから,原告が大阪市要綱2項交付対象要件を充たしていることは明らかである。仮に新要件が違法・無効とはいえないとしても,後記ウのとおり,信義則に照らし,原告は大阪市要綱2項交付対象要件を充たしていると評価されるべきである。
ア 原告の被告大阪市に対する本件大阪市補助金に係る権利性等
上記(4)(原告の主張)イ(ア)において主張したところと同様に,憲法26条及び13条,国際人権基準及び民族教育への権利,私立学校の自由,平等原則及び差別禁止,後退的措置の禁止により,昭和62年度から本件大阪市補助金の交付を受けている原告が,被告大阪市に対し,本件大阪市補助金の交付を求める権利・利益を有していることは明らかである。そして,これらの点は,本件23年度大阪市補助金についても同様である。
なお,原告は,本件大阪市不交付以降,本件大阪市補助金の交付を受けることができない状態が続いている。
イ 平成24年3月27日付け改正により大阪市要綱2項に付加された新要件が違法・無効であること
大阪市要綱2項は,平成24年3月27日付け改正により本件大阪市補助金の交付対象要件として,「当該年度に大阪府私立外国人学校振興補助金の交付を受けることが見込まれる」こと(新要件)が付加された。以下の事情に照らせば,新要件は,違法・無効である。
(ア) 新要件は本件大阪市補助金の制度の趣旨に反するものであること
本件大阪市補助金は,国や被告大阪府とは無関係に,被告大阪市が,学校教育法に規定する小・中学校に準ずる教育をしている学校法人に対し,その実態を考慮して独自に補助金の交付を行ってきたものである。そして,被告大阪市は,原告がそのような学校法人に当たるとして,これまで本件大阪市補助金を交付してきた。しかし,今般,被告大阪市は,本件大阪市補助金が本件大阪府補助金を補完するものであるなどと従前の経緯を無視した説明をするに至り,従前の経緯とは齟齬する新要件を突如として付加したものである。このような新要件は,本件大阪市補助金の交付対象の要件として許されるものではない。
(イ) 新要件は原告を狙い撃ちにする不法な動機によるものであること
被告大阪市は,被告大阪府が政治的理由により原告のみを狙い撃ちにして本件大阪府不交付を行うことを把握するや,被告大阪府と同様に,政治的理由により原告のみを狙い撃ちにするために大阪市要綱の改正を行って大阪市要綱2項に「当該年度に大阪府私立外国人学校振興補助金の交付を受けることが見込まれる私立学校法に定める学校法人」という要件(新要件)を追加した。このように,政治的理由により原告のみを狙い撃ちにして本件大阪市不交付をするために設けられた新要件は,違法・無効である。
また,被告大阪市は,被告大阪府が新たに設定した違法な4要件及び本件大阪府不交付を踏まえて新要件を付加したのであるから,被告大阪市は新要件を設けて,被告大阪府が掲げた4要件を本件大阪市補助金に係る交付対象の必須要件として追認したものと評価できる。したがって,被告大阪市の新要件の付加も,被告大阪府による4要件の付加と同様に,違法・無効である。
ウ 原告が信義則上大阪市要綱2項交付対象要件を充たすものとされるべきであること
本件大阪市申請の後に設けられた新要件を充たしていないことを理由に本件大阪市不交付をすることは信義則に違反し許されない。
したがって,原告は,大阪市要綱2項交付対象要件を充たしているというべきである。
(被告大阪市の主張)
ア 本件大阪市不交付は,大阪市要綱に基づいて行われているものであるが,大阪市要綱は,法令等には当たらず,本件大阪市交付規則を受けて補助金交付の内部的手続の細則を定めたものにすぎない。したがって,本件大阪市補助金の受給権は交付決定により発生するものであり,交付決定がない段階ではその受給権が保障されているものではない。そして,私立学校法59条及び私立学校振興助成法10条にも,本件大阪市補助金を受ける権利を保障する内容の規定はないから,これらの規定が本件大阪市補助金の受給に権利性を付与するものではない。
被告大阪市は,大阪市要綱2項を改正しているが,この改正は,原告を始めとする各種学校の監督官庁が都道府県(被告大阪府を含む。)であるから,本件大阪市補助金の交付が本件大阪府補助金の交付を前提とし,これを補完するものであることを大阪市要綱上に明記したものにすぎず,これに政治的理由はない。そして,本件大阪市補助金は,被告大阪市が大阪市要綱を定め,これに従って交付するか否かについて決定を行うものであり,平成24年3月27日付けの大阪市要綱の改正も単に本件大阪市補助金の交付対象要件として新要件を明記したにすぎないものであるから,新要件が大阪府補助金の交付要件の適法性やその要件充足性について斟酌するものではないし,当然ながら大阪府要綱に付加された4要件を追認するものでもない。
そして,被告大阪市は,原告による本件大阪市申請を受けた後,本件大阪市補助金が交付されるか否かが実質的には大阪府補助金の交付対象要件を充たすか否かと同様になるものと見込まれたことから,原告に対し,本件大阪府補助金の交付対象要件として把握していた内容を記した本件メモを示すなどしてこれらの説明をした上で本件大阪市申請が新要件を含む本件大阪府補助金の交付対象要件に該当するか否かを検討し,実際に被告大阪府が本件大阪府補助金を交付することが見込まれないことが判明したことから,本件大阪市不交付をしたのであって,この点に違法はないし,原告が本件大阪市補助金の交付対象要件を充たしていたとはいえない。
なお,被告大阪市が原告に示した本件メモは,大阪市補助金の要件を示したものではなく,上記のとおり,被告大阪市の担当者が原告に対して本件大阪市補助金の交付を受けることができるか否かの見通しを説明するに当たり,本件大阪市補助金の交付を受けるためには,結果として被告大阪府による大阪府補助金の交付対象要件を充たすことが必要となる旨の説明を行う際に,当時被告大阪市において把握していた被告大阪府による本件大阪府補助金の交付対象要件を示したものにすぎないから,本件メモに記載された5つの項目は大阪市補助金の交付対象要件ではない。
イ 原告の主張について
原告は,本件23年度大阪市補助金の交付を受ける権利を有しており,被告大阪市による本件大阪市不交付によってこれが侵害されたと主張するが,以下の事情から,いずれも理由がない。
(ア) 原告は,憲法13条,26条,国際人権法(世界人権宣言26条,社会権規約2条,13条,14条,自由権規約26条,子どもの権利条約2条,28条,人種差別撤廃条約5条等)により,本件大阪市補助金の交付請求権を有していると主張するが,具体的な制度構築に当たっては様々な考慮要素を立法裁量に委ねていると解され,憲法13条,26条から具体的な権利が導き出されるものではないし,原告が主張する上記条約等がいかなる構成により国内法と同じ法規範性を有するか不明である。これら社会権の具体化は,立法等による具体化を経て,漸進的に達成されるべきものといわざるを得ない。
(イ) 原告は,民族教育や私立学校の自由を理由に本件大阪市補助金の交付請求権があると主張する。しかし,本件大阪市補助金を受給する権利は,被告大阪市の裁量により交付決定がされた上で成立するものであり,それ以前には法的に保障されたものではない。また,原告のいう私立学校の自由は教育内容の決定権の所在に関するものであると思料されるところ,被告大阪市は,何ら原告の教育内容の決定権を侵害していない。被告大阪市が大阪市要綱に新要件を付加したことは,合理的な裁量の範囲内のことであるし,もとより,原告の本件大阪市補助金の交付対象要件や本件大阪府補助金の交付対象要件に従わない自由を制限するものではない。
原告は,本件大阪市補助金が学校の運営に必要不可欠な状況であるなどとその窮状を訴えるが,単なる事実状態であって,それが本件大阪市補助金の交付を受けることについての法的根拠となるものではない。
(ウ) 原告は,本件大阪市不交付が後退的措置の禁止原則に反すると主張する。しかし,本件大阪市補助金の受給権は法的に保障されたものではないのであるから,無条件に継続的に交付されることが権利として保障されたものではない。これまでの交付も,毎年度の申請と審査を経て結果的に毎年度交付されていたにすぎない。そして,大阪市要綱は補助金交付の内部的手続の細則を定めたものにすぎず,これを理由として受給権が保障されるものでもないし,この点をおいたとしても,大阪市要綱に不交付や返還に関する規定があることに照らせば,毎年度の受給権が保障される内容にもなっていないことは明らかである。そもそも,本件大阪市補助金の交付は,実質的にみると,私法上の贈与契約における申込みに対する応答の性質を持つものにすぎず,何ら法的に保障された権利に基づくものではないため,交付決定がない以上,被告大阪市がこれを交付すべき義務を負うものではなく,交付しないことが違法となるものではない。
また,原告は後退的措置の禁止の根拠として,社会権規約を挙げるが,社会権規約の規定により直接的に具体的権利が保障されるものではない。
なお,原告は,本件大阪市補助金が本件大阪市不交付により停止されたと主張するが,本件大阪市補助金は,原告に対する本件大阪市不交付の後に,平成23年度末をもって制度を廃止したものであって,停止しているものではない。
(エ) 原告は,本件大阪市不交付には,政治的動機に基づく他事考慮がある一方,他方で考慮すべき事項を考慮していないと主張する。しかし,本件大阪市不交付は行政処分ではないから,行政処分を行うに当たっての裁量といった問題は生じないし,また,大阪市要綱に付加された新要件は,被告大阪府が本件大阪府補助金を交付することが見込まれることであるから,この要件自体は政治とは無関係である。仮に被告大阪府における大阪府要綱に付加された4要件に政治的問題があるとしても,これは被告大阪府との間での問題であって,本件大阪市補助金の要件の問題ではない以上,被告大阪市との関係で主張されるべきものではない。
(オ) 原告は,本件大阪市不交付が,原告と他の私立学校及び他の外国人学校との平等原則に違反すると主張する。しかし,憲法14条は,合理的な区別までも禁じているものではない。大阪市要綱は,「義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人」に対する補助金について定めるものであって,1条校とはそもそも性質の異なる各種学校を対象としたものであるから,1条校と補助等を同じくしなければならないものではない。
また,被告大阪市が大阪市要綱に基づいて本件大阪市補助金を交付していた学校として,原告の他にc学校があるものの,c学校は,平成23年度の本件大阪市補助金の交付対象となる学校法人として,大阪市要綱の要件を充たしていたことから,本件大阪市補助金の交付を受けているにすぎない。
(10)  争点10(本件大阪市不交付における手続的違法の有無)について
(原告の主張)
以下の事情に照らせば,本件大阪市不交付は,その手続経過にも違法があるから,違法なものとして取り消されるべきものである。
ア 被告大阪市は,申請から60日以内に結論を出す旨を大阪市要綱8項に定めていながら,平成23年9月9日付け(12日受付)でされた本件大阪市申請を放置しただけでなく,結論を出す直前に大阪市要綱を平成24年3月27日付けで改正し,遡及適用を行って本件大阪市不交付をした。同改正前の大阪市要綱によれば,原告には本件23年度大阪市補助金が交付されていたはずである。そして,同改正の内容も,前年度までは,長年,被告大阪市が独自に判断を行っていたものを,突然,大阪府に倣う旨の要件を付加したものであって,同改正の狙いは,政治的な理由であり,かつ,原告がした本件大阪市申請を却下することにあったことは明らかであるから,原告を狙い撃ちにしたものであることも明らかである。
このような経緯は,被告大阪市の行政手続条例にも違反している。
イ また,被告大阪市は,平成24年3月27日に大阪市要綱を改正し新要件を付加するなどしているが,これに先立つ同月21日,被告大阪市の担当者は原告に対して,本件大阪市申請が不交付となる見込みであることを伝えている。これは,被告大阪市が,大阪市要綱の改正に先立ち,当時は存在しなかった新要件を適用して本件大阪市不交付をしたものと評価できるから,本件大阪市不交付は,大阪市要綱に基づいてされたものとはいえない。
(被告大阪市の主張)
原告は,本件大阪市不交付が,本件大阪市申請に対し大阪市要綱8項に定める「申請を受理してから60日以内」に行われなかったとして,また,平成27年3月27日付け改正前に,同改正に基づいて付加された要件に基づいてされているとして,大阪市要綱に基づかないでされたものであって,手続違反があると主張する。
しかし,大阪市要綱は,本件大阪市補助金の交付についての内部的な細則を定めたものにすぎず,法的効果を有するものではない。本件大阪市補助金の交付決定の通知を「申請を受理してから60日以内」としているのは,あくまで標準的な処理の期間を内部的に定めたものにすぎず,これに反したとしても違法の問題は生じない(行政処分を前提とする申請ではないから,行政手続条例上の「申請」には当たらない。)。
また,被告大阪市は,本件大阪市申請があった後,被告大阪府の動向を注視する必要があったことから60日を経過したものであって,いたずらに60日を経過したものではない。被告大阪市においては,原告の監督官庁が都道府県(被告大阪府)であり,本件大阪市補助金が本件大阪府補助金を補完する位置付けであり,本件大阪府補助金の交付を当然の前提としたものであったことから,被告大阪府の動向を踏まえた判断を行ってきたものであって,原告に対しても,被告大阪市の担当者からその旨の説明を度々行っている。そして,本件大阪市不交付までの期間についても,本件大阪府不交付が平成24年3月29日であり,それまで,本件大阪市補助金の交付の可否についてやむなく判断できなかったにすぎず合理的な期限の範囲内のものと評価することができる。また,そもそも原告が大阪市要綱に定める申請期限である5月末日を経過した後に本件大阪市申請をしているのであって,上記期間を遵守する前提を欠いている。
大阪市要綱は,原告・被告大阪市間の贈与契約の契約条件を明文化したもの,つまり贈与契約の申込みの誘因であると評価されるべきものである。被告大阪市が原告からの本件大阪市申請(契約の申込み)に対し,本件大阪市不交付つまりは「承諾の拒否」をしたことにより,原告と被告大阪市との間に贈与契約が成立しなかったものであって,契約成立後に契約条件(交付条件)を変更したものではない。
(11)  争点11(被告大阪市の承諾義務の有無)について
(原告の主張)
上記(9)(原告の主張)のとおり,原告は,平成24年3月27日改正前の大阪市要綱2項の交付対象要件を充たしていたし,同改正により付加された新要件は違法・無効であるか,信義則によりこれを適用することができないから,原告は,大阪市要綱2項の交付対象要件を充たしていた。
本件大阪市補助金の交付が契約によるものであるとしても,その公益的性格から純然たる私法上の契約とは異なり,行政処分に準じた公平さや上位規範に沿った扱いが要求され,契約自由の原則が制限される。そして,上記(9)(原告の主張)アのとおり,原告には本件大阪市補助金の交付を受ける権利・利益があることなどの事情に照らせば,大阪市要綱2項の交付対象要件を充たしていながら被告大阪市が本件大阪市補助金の交付を拒否することは許されないというべきである。
したがって,被告大阪市は,原告に対し,本件大阪市申請を承諾する旨の意思表示をしなければならない。
(被告大阪市の主張)
争う。
上記(9)(被告大阪市の主張)のとおり,原告は,大阪市要綱2項に定める交付対象要件を充たしていたとは認められないから,被告大阪市には,本件大阪市申請を承諾する義務はない。
(12)  争点12(国家賠償法上の違法及び故意過失の有無)について
(原告の主張)
上記(9)(原告の主張)のとおり,大阪市要綱2項の交付対象要件を充たしているか,信義則上これと同視されるにもかかわらずされた本件大阪市不交付は違法であるし,上記(10)(原告の主張)のとおり,平成24年3月27日の大阪市要綱の改正等や本件大阪市不交付に至るまでには被告大阪市の手続違反がある。そうすると,大阪市長がした本件大阪市不交付には国家賠償法上の違法があり,故意又は過失も認められる。
(被告大阪市の主張)
上記(9)及び(10)の各(被告大阪市の主張)のとおり,本件大阪市不交付に違法はない。本件大阪市不交付をした大阪市長に国家賠償法上の違法や故意・過失があるとする原告の主張は,否認ないし争う。
(13)  争点13(損害額)について
(原告の主張)
ア 本件大阪市補助金国賠請求に係る損害
本件大阪市不交付により,原告には,本件23年度大阪府補助金相当額2650万円の財産的損害が生じた。
したがって,原告は,被告大阪府に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,本件23年度大阪市補助金相当額2650万円の支払を求める。
イ 本件大阪市風評等国賠請求に係る損害
本件大阪市不交付が取り消されるなどして本件23年度大阪市補助金が交付され,又は本件23年度大阪市補助金相当額の損害賠償金が交付されることにより,本件大阪市不交付により原告に生じた当該補助金の元金部分に係る損害(2650万円)は填補されるとしても,同元金部分の損害が填補されるまでの遅延損害金に相当する額は填補されるものではない。そうすると,この遅延損害金に相当する額は別途損害として填補されなければならない。
また,本件大阪市不交付により原告に生じた風評被害等の無形の損害は300万円を下ることはない。そして,訴訟提起のために弁護士費用を要しているところ,その費用は30万円を下らない。
したがって,原告は,被告大阪市に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,330万円及び2980万円(交付されるべきであった本件23年度大阪市補助金相当額2650万円に上記330万円を加算した額)に対する平成24年3月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告大阪市の主張)
否認ないし争う。
第3  当裁判所の判断
1  原告による追加的併合について
原告は,本件各取消等請求に係る訴訟に行政事件訴訟法19条の追加的併合によりその余の請求に係る訴えを提起しているところ,追加的併合が認められるためには,基本となる取消訴訟が適法であることが必要である。しかしながら,基本となる取消訴訟の適法性の有無が争点として終局判決で判断されるような場合には,併合審理した上,仮に基本となる取消訴訟を不適法却下する際は,併合事件について弁論の併合がされたものとして,実体判断することができると解すべきで,これを不適法却下するのは相当ではない。これに反する被告大阪市の主張は,採用することができない。
2  争点1(本件大阪府不交付の処分性)について
(1)  抗告訴訟の対象となる処分について
抗告訴訟の対象となる処分とは,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」であり(行政事件訴訟法3条1項,2項,6項),これは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁判所昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。
(2)  本件大阪府不交付について
ア 地方公共団体が私人に対して補助金を交付する関係は,地方公共団体が,その優越的地位に基づき公権力を発動して私人の権利自由を制限し又はこれに義務を課するものではなく,本来,資金の給付を求める私人の申込みに対する承諾という性質を有する非権力的な給付行政に属するものであるから,その関係においては,原則として,行政処分は存在しないものというべきである。もっとも,法令等が,一定の政策目的のために,特に一定の者に補助金の交付を受ける権利を与えるとともに,補助金の交付手続により行政庁に当該者の権利の存否を判断させることとした場合や,法令等が補助金の交付手続を定める中で行政庁による不交付決定に対して不服申立手続を設けているような場合などには,例外的に補助金の交付決定に処分性が認められるものと解される。
イ 弁論の全趣旨によれば,本件大阪府不交付は,私立学校法64条5項により準用される同法59条,私立学校振興助成法16条により準用される同法10条及び地方自治法232条の2に加え,大阪府交付規則,大阪府要綱に基づいて行われたと認められる。このうち,地方自治法232条の2には,公益上の必要がある場合という要件のほか要件・効果の定めがない。その趣旨は,どのような者にどのような補助を行うかの判断を,地方公共団体の執行機関等が社会的・地域的事情を総合的に考慮して行う公益上の必要に関する政策的な裁量に委ねたものと解するのが相当であり,一定の者に補助金の交付を受けられる地位を与える趣旨を含むものとは解されない。
また,私立学校法の上記各規定は,地方公共団体が教育の振興上必要があると認める場合に,別に法律で定めるところにより,準学校法人に対して必要な助成をすることができる旨を定め,これを受けた私立学校振興助成法の上記各規定が,地方公共団体が準学校法人に対して補助金の支出等を行い得る旨を定めているが,これらの法令にも,どのような準学校法人がどのような事業を行う場合にどの程度の補助金を支出するのか,具体的な要件・効果に関する規定は見当たらない。さらに,上記各法令には,準学校法人に対する補助金の支出等の具体的な手続を定める規定や,これに補助金の交付等の請求権・申請権を認める規定,不交付決定に対して不服申立手続を設ける規定等もなく,そのような規定の制定等を地方公共団体に委任する規定も見当たらない。これらのことを総合すると,私立学校法及び私立学校振興助成法の上記各規定は,地方公共団体が準学校法人に対して補助金の支出等ができることを規定したにとどまるものと解するのが相当であって,上記各法令の規定が,準学校法人に対し,補助金の交付を受ける権利や補助金の交付申請権を与える趣旨を含むものと解することはできない。
そして,大阪府交付規則は,私立学校法,私立学校振興助成法及び地方自治法等の委任によらず,また,条例(地方自治法14条)の形式によることなく,補助金の交付の申請,決定等に関する基本的事項を一般的に規定するもので,不交付となった場合の不服申立てについても規定がない。これらの事情に照らせば,大阪府交付規則及び大阪府要綱は,大阪府内部の事務手続を定める趣旨を超えて,対象者に当該補助金の交付を受けることのできる法的権利を認める趣旨を含むものとは解されない。
さらに,他に本件大阪府不交付に法令等が行政処分としての性質を与えたと解する根拠は見当たらない。
ウ したがって,本件大阪府不交付は,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえないから,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条1項,2項,6項)に当たるとは認められず,抗告訴訟の対象となる処分に該当しない。
上記に反する原告の主張(前記第2の4(1)(原告の主張))は,採用することができない。
(3)  小括
そして,原告は,行政事件訴訟法3条6項2号及び37条の3所定のいわゆる申請型の義務付けの訴えとして,本件23年度大阪府補助金の交付の義務付けを求めるところ(請求1(1)ア(イ)),上記のとおり,本件大阪府不交付は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条1項,2項,6項)に当たるとは認められないから,本件大阪府不交付と表裏ともいうべき関係にある本件23年度大阪府補助金を交付する旨の決定についても同様に解されるのであって,抗告訴訟の対象となる処分に該当しない。そうすると,その余の点について判断するまでもなく,本件訴えのうち本件大阪府取消等請求に係る部分は不適法といわざるを得ない。
3  争点2(本件大阪市不交付の処分性)について
(1)  本件大阪市不交付について
ア 上記2(2)アのとおり,地方公共団体が私人に対して補助金を交付する関係においては,原則として行政処分は存在しないというべきであり,法令等が,一定の政策目的のために,特に一定の者に補助金の交付を受ける権利を与えるとともに,補助金の交付手続により行政庁に当該者の権利の存否を判断させることとした場合や,法令等が補助金の交付手続を定める中で行政庁による不交付決定に対して不服申立手続を設けているような場合など例外的に,補助金の交付決定に処分性が認められるものと解される。
イ(ア) 弁論の全趣旨によれば,本件大阪市不交付は,私立学校法64条5項により準用される同法59条,私立学校振興助成法16条により準用される同法10条及び地方自治法232条の2に加え,大阪市交付規則,大阪市要綱に基づいて行われたと認められる。このうち,上記2(2)イのとおり,地方自治法232条の2,私立学校法及び私立学校振興助成法の上記各規定は,地方公共団体が準学校法人に対して補助金の支出等ができることを規定したにとどまるものと解するのが相当であって,上記各法令の規定が,準学校法人に対し,補助金の交付を受ける権利や補助金の交付申請権を与える趣旨を含むものと解することはできない。
そして,大阪市交付規則は,私立学校法,私立学校振興助成法及び地方自治法等の委任によらず,また,条例(地方自治法14条)の形式によることなく,被告大阪市における補助金の交付の申請,決定等に関する基本的事項を一般的に規定するもので,不交付となった場合の不服申立てについても規定がない。これらの事情に照らせば,大阪市交付規則及び大阪市要綱は,大阪市内部の事務手続を定める趣旨を超えて,対象者に当該補助金の交付を受けることのできる法的権利を認める趣旨を含むものとは解されない。
さらに,他に本件大阪市不交付に法令等が行政処分としての性質を与えたと解する根拠は見当たらない。
(イ) 以上に対し,原告は,本件大阪市補助金が学校法人援助の手続に関する条例に基づいている,あるいは,被告大阪市において用いている大阪市補助金等チェックシートに本件大阪市補助金の根拠として「私立学校法,私学振興助成法」が明記されているなどと主張する。しかし,同条例は昭和27年4月1日から施行されたもので,その1条において「私立学校法…59条第1項の規定」という現行の私立学校法59条の条項とは整合しない表記が用いられ,申請書に添付する書類も同条例において「予算書(前年度及び当該年度のもの)」が求められるのに対し,大阪市要綱5項では「予算書(当該年度のもの)」などとされ(甲15,18,50,丙6),大阪市要綱にも同条例との関係に言及した記載がないことに照らせば,大阪市要綱が同条例を根拠とするものでないことは明らかというべきである。また,大阪市補助金等チェックシートは,その記載欄に照らせば,補助金等の必要性や効果について,被告大阪市及び大阪市民らが検証,確認等をするために作成されたものにすぎず(甲48,弁論の全趣旨),その記載をもって当該補助金等の法令上の根拠を裏付けることはできないというべきである。
ウ したがって,本件大阪市不交付は,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえないから,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条1項,2項,6項)に当たるとは認められず,抗告訴訟の対象となる処分に該当しない。
上記に反する原告の主張(前記第2の4(2)(原告の主張))は,採用することができない。
(2)  小括
そして,原告は,行政事件訴訟法3条6項2号及び37条の3所定のいわゆる申請型の義務付けの訴えとして,本件23年度大阪市補助金の交付の義務付けを求めるところ(請求2(1)ア(イ)),上記のとおり,本件大阪市不交付は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条1項,2項,6項)に当たるとは認められないから,本件大阪市不交付と表裏の関係ともいうべき本件23年度大阪市補助金を交付する旨の決定についても同様に解されるのであって,抗告訴訟の対象となる処分に該当しない。そうすると,その余の点について判断するまでもなく,本件訴えのうち本件大阪市取消等請求に係る部分は不適法といわざるを得ない。
4  争点3(本件大阪市確認請求に係る確認の利益の有無)について
(1)  確認の利益について
上記3のとおり,本件大阪市補助金は大阪市要綱に基づいて交付されるものであり,法令等を直接の根拠とするものとは解されないところ,大阪市要綱は,被告大阪市の内部における事務手続を定める趣旨であるから,大阪市要綱に定める所定の交付対象要件が備われば当然に給付請求権が発生すると解することはできない。他方,大阪市長が行う本件大阪市補助金の交付・不交付の決定が,抗告訴訟の対象となる「処分」に当たらないことは,上記3で説示したとおりであるから,本件大阪市補助金に係る具体的な給付請求権は,申込み(申請)と承諾(交付決定)により成立する贈与契約を原因として発生するものと解さざるを得ない。そうすると,承諾(交付決定)のない本件においては,贈与契約が未だ成立しておらず,具体的な給付請求権も発生していないことになる。そして,本件大阪市承諾請求についても,大阪市要綱が被告大阪市における内部手続を定めたものであることに照らせば,所定の交付対象要件に該当するとしても実体上直ちに被告大阪市に承諾義務が発生するものとは解されない。
上記を踏まえ,原告は,本件大阪市確認請求をしているところ,本件大阪市補助金の交付のような行為は,契約(贈与契約)という形式で行われるものであるとしても,教育の振興という行政目的を実現するために行われるものであって公益的性格を有していることは明らかであるし,被告大阪市は,本件大阪市補助金の交付事業を行うに当たっての基準として大阪市要綱を定めている以上,内部の事務手続としてはこれに従って進めなければならず,これに反する事務運営は許されない。そうであるとすると,被告大阪市による本件大阪市補助金の交付は,契約として契約自由の原則に服するものの,純然たる私法上の契約とは異なり,被告大阪市は,被告大阪市の内部における事務運営が上記の行政目的及び大阪市要綱の定めに沿ったものとされる点において制限を受けるということができ,これを申請者である原告の側からみると,被告大阪市において,本件大阪市補助金の交付対象として大阪市要綱に沿った事務運営の対象とされることについて,一定の利益を有しているものと解することができる。
そして,申請者においては,上記利益を有することを背景に,本件大阪市補助金の交付を受けられる地位にあること,すなわち本件大阪市補助金の交付対象要件を充足することの確認訴訟を提起し,本件大阪市補助金の交付の可否について裁判所の公権的判断を求めることは,補助金交付の要否をめぐる問題を解決するための適切な手段であるということができる一方で,他に必ずしも適切な解決手段があるといい難いことに照らせば,本件大阪市確認請求について確認の利益を肯定することができる。
(2)  被告大阪市の主張について
これに対し,被告大阪市は,被告大阪市に対する本件大阪市補助金の交付を求める給付訴訟を提起すべきであり,本件大阪市確認請求は不適法であると主張する。しかし,上記のとおり,本件大阪市補助金は,大阪市要綱に基づいて交付されるところ,大阪市要綱は被告大阪市における内部の事務手続を定めたものにすぎず,申請者と被告大阪市との間での権利義務を規律するものとはいえない以上,被告大阪市による交付決定(申請という申込みに対してされる承諾)がされていない段階において,原告が上記給付訴訟を提起したとしても,これにより紛争の実効的解決を期待することはおよそできないというべきであるから,被告大阪市の主張を採用することはできない。
(3)  小括
したがって,原告の本件大阪市確認請求には,確認の利益があると認められる。
(4)  本件大阪府確認請求に係る確認の利益について
被告大阪府は,本件大阪府確認請求に係る確認の利益について何ら主張していないものの,上記と同様に,原告の本件大阪府確認請求についても,確認の利益を肯定することができる。
5  認定事実
本案の争点を判断するに当たり,前記前提事実のほか各項掲記の証拠等によれば,以下の事実が認められる。
(1)  本件大阪府補助金及び本件大阪市補助金
ア 被告大阪府においては,平成3年度から「大阪府私立専修学校専門課程等振興補助金交付要綱」に基づいて私立各種学校として認可している外国人学校に助成をしてきており,平成4年5月には大阪府国際化推進基本方針において「内外の人々に対して差別のない開かれた豊かなこころの人々に支えられた社会の実現を図る」という方向性が示されたことを踏まえ,平成5年3月19日,外国人学校は,設置者が学校法人であり,またその教育活動が我が国社会における社会構成員としての教育をも実施しているという事実に着目し,大阪府内に所在する私立各種学校で,専ら我が国に居住する外国人を対象とする学校のうち,修学者の年齢層が概ね幼稚園,小学校,中学校及び高等学校の修学年齢に相当する学校であって,知事が特に必要と認める学校(外国人学校)について,これを他の各種学校とは区別し,現行の私学助成体系の中に外国人学校助成を新たに位置付けるために大阪府要綱を制定し,平成4年度から本件大阪府補助金を外国人学校に交付してきた。そして,被告大阪府は,同年度から原告に対しても本件大阪府補助金を交付してきた。(以上につき前提事実(2)ア,甲6,9,11,乙31,32)
イ 被告大阪市は,昭和62年度から,各種学校における学校教育の目的を達成するために必要な教具・施設の整備,並びに学校の維持運営に対する補助金を交付してきており,平成3年には「外国人を専ら対象とし,義務教育に準ずる教育を実施する各種学校の果たす役割に鑑み,その健全な発達に資する」ことを目的として本件大阪市補助金を交付することを主な内容とする大阪市要綱を制定し,これに基づいて平成3年度から本件大阪市補助金を交付してきた。そして,被告大阪市による原告に対する助成(補助金の交付)は従前からされていたが,同年度からは大阪市要綱に基づいて原告に対する本件大阪市補助金の交付がされるようになった。(以上につき前提事実(3)ア,甲15,16,丙8)
(2)  平成22年度の補助金の交付状況等
ア(ア) 平成22年2月頃,私立高校授業料無償化の施策の一環とされた国就学支援金の交付対象として,a高級学校を対象とするか否か議論がされていたところ,a高級学校が国就学支援金の交付対象予定とされていることを疑問視する論調の新聞報道(「北朝鮮が朝鮮学園に資金提供」(同月23日付け),「教室に北朝鮮指導者の肖像画」(同年3月4日付け),「朝鮮学校の統廃合の停止を北朝鮮指導者が朝鮮総連に指示」(同日付け),「北朝鮮指導者への個人崇拝教育」(同月5日付け),a高級学校で使用する「現代朝鮮史」の教科書は朝鮮総連が編纂し歴史を改変」(同月11日付け)等。)がされた(乙26)。
(イ) 昭和30年に結成された朝鮮総聯の活動は多方面に及ぶところであるが,その結成当初は,朝鮮学校の建設,学校認可手続等を進めるなどしていた。なお,その指導思想は,昭和42年頃,従前の「社会主義的愛国思想」から主体思想・G主義に移行したとも評されている。(以上につき甲54,71)。
そして,朝鮮総聯は,公安調査庁が取りまとめた「内外情勢の回顧と展望 平成22年(2010年)1月」と題する冊子中において,「北朝鮮・朝鮮総聯」とする項目の下に取り上げられている。同項目中には,「朝鮮総聯は,朝鮮人学校での民族教育を「愛族愛国運動」の生命線と位置付けており,学年に応じた授業や課外活動を通して,北朝鮮・朝鮮総聯に貢献し得る人材の育成に取り組んでいる。」,「朝鮮人学校では,一律に朝鮮総聯傘下事業体「d書房」が作成した教科書を用いた朝鮮語での授業を行っている。」,「朝鮮総聯は,…教職員や初級部4年生以上の生徒をそれぞれ朝鮮総聯の傘下団体である在日本朝鮮人教職員同盟(教職同)や在日本朝鮮青年同盟(朝青)に所属させ,折に触れF総書記の「偉大性」を紹介する課外活動を行うなどの思想教育を行っている。」などの記載がある。そして,平成24年1月に取りまとめられた「内外情勢の回顧と展望」においても,朝鮮総聯についての記述がある。(以上につき乙4,証人H)
イ 大阪府知事(当時の府知事はI)は,平成22年3月,朝鮮学校への補助の是非をめぐって自ら朝鮮学校を訪問する意思があることを表明し,同月12日,朝鮮学校を視察し,原告関係者と意見交換を行った。その際,大阪府知事は,a高級学校において教室正面の黒板の上部に北朝鮮指導者の肖像画が掲示されていることを確認した上,原告関係者から,スポーツ大会などで朝鮮総聯から支援を受けていることや財務諸表の公開はこれから検討を進める状況であるといった説明を受けた。大阪府知事は,その席で,本件大阪府補助金や大阪府授業料支援補助金(国による就学支援と併せて授業料を無償としようとするもの)は被告大阪府独自の制度であること,貴重な府民の税金を投入する以上,補助対象となる学校については教育活動や学校運営が適切に行われていることが必要であり,この点についての府民の理解が公金投入の前提であるし,これは私立高校や高等専修学校でも同様であることを伝えた上で,本件大阪府補助金の交付のために,原告関係者に対して,以下の①から④までの事項を要請した。(以上につき甲121,128,乙26,33,34,証人J)
① 朝鮮総聯と一線を画すこと。
・朝鮮総聯との人的・金銭的な関係を絶つ。
・朝鮮総聯主催の行事に参加しない。
・生徒が参加するコンクール等は,朝鮮総聯主催から保護者等の主催に切り替えること。
② 北朝鮮指導者の肖像画を教室から外すこと。
③ 日本の学習指導要領に準じた教育活動を行うこと。
・特に,北朝鮮指導者の個人崇拝につながる教科書記述は見直すべき。
④ 学校の財務状況を一般公開する。
ウ 被告大阪府においては,平成22年,教育学の有識者,日本の私立高等学校校長及び朝鮮語の専門家などの4名の委員により構成されるWGを設置し,「大阪府授業料支援補助金等の検討を行うに当たり,a高級学校の教育活動や教科書が日本の学習指導要領等に準じているかについての確認を行うとともに,必要な助言や提言を行う」ことを目的とし,同年5月20日から同年9月22日まで,6回にわたるワーキングを実施し,原告が運営する学校の教育活動を調査した。WGは,同日,調査結果として提言を取りまとめた。(以上につき甲20)
提言には,確認結果として,a高級学校は各種学校(学校教育法134条)であるから,学習指導要領の適用は受けないものの,「学習指導要領に示された教科,特別活動を概ね実施。」,「必履修教科である家庭科が開設されていない。」,「総合的な学習の時間が開設されていない。」,「ホームルーム活動が実施されていない。」,「学習指導要領上の最低必要要件である「74単位」を上回る「90単位」を設定。」,「日本語版の年間授業計画(シラバス)が作成されていない。」が示された(甲20)。
エ 被告大阪府(私学課)は,平成22年8月,朝鮮学校の教育活動や学校運営の問題点を指摘する新聞報道(「政府見解(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」)とも矛盾」(同月5日付け),「朝鮮総連幹部が校長兼任」(同月7日付け),「北朝鮮の政治的指導者への忠誠度で教員認定」(同月13日付け),「朝鮮総連の政治組織に生徒を強制加入」(同月15日付け),「学費納入時に活動費を徴収して朝鮮総連に上納」(同月21日付け))がされたことを受けて,原告に対し,これらについての事実関係や上記イ①から④までの各項目との関係を明らかにするよう求めた(乙26,証人J)。
オ 大阪府下には,朝鮮学校と同様に各種学校に区分され,本件大阪府補助金の交付対象となっている外国人学校が朝鮮学校のほかに2校あるところ,被告大阪府は,そのうちの1校であるc学校に対し,平成22年9月30日に学校の教育活動を視察するとともに,同年11月2日に学校運営に関するヒアリングを行い,また,他の1校であるeインターナショナルスクールに対し,同年9月28日に学校の教育活動を視察し,同年11月5日に学校運営に関するヒアリングを行い,いずれも上記イ①から④までの各項目を充たしていることを確認した(乙26)。
カ 国は,平成22年11月,同年4月に多くの外国人学校を国就学支援金の交付対象とする一方でa高級学校をその交付対象から除外していたことから,a高級学校をその交付対象とするか否かの検討のため,専門家会議(高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議)をしてその教育内容の調査を実施させ,同年8月30日付けで同専門家会議により取りまとめられた報告書(高等学校の課程を置く外国人学校の指定に関する基準等について)等を受けて,a高級学校に対して国就学支援金を交付するための手続を進めていたが,同年11月23日に発生した延坪島砲撃事件等を受けて,同手続を停止した(甲129,乙26,証人J)。
大阪府は,平成22年12月に朝鮮学校の保護者会との間での意見交換等を行ったが,原告から,理事会での調整や保護者会の説明に時間を要したとして,当初,同年秋頃に予定していた上記イ①から④までの各項目について回答を延期したいとの申入れを受けた(乙26)。
キ 東京都は,それまで東京都内に所在する朝鮮学校に対して独自に教育運営費補助金を交付していたが,朝鮮学校10校に対してその交付を当面中止することとし,平成22年12月24日,その旨が新聞により報じられた。なお,東京都は,平成22年度以降,教育運営費補助金の交付対象から10校の朝鮮学校を除外したままである。(以上につき乙26,弁論の全趣旨)
ク 原告は,平成23年3月8日,大阪府知事に対し,上記イ①から④までの各項目について検討した結果として,概要,以下の内容を伝えた(甲21の1,証人J,原告代表者本人)。
「今後,」「提言において指摘された点に留意し自主的に教育活動を強化改善してまいります。」,「学校の財務情報については,2010年度内に,学園のホームページを通じて公開してまいります。」,「本学園は,…特定の政治団体の下部組織ではありません。本学園は学校法人の寄付行為にのっとり,理事会の決定により誠実に教育活動・学校運営を行っているところです。」,「本学園は準学校法人ではありますが,基本方針において,特定の政党や政治団体の干渉を受けることなく学園の自主性を堅持することなどを明示いたします。」,「現在,初級学校や中級学校には肖像画を掲げておりません。他方,同胞一世から受け継いだ想いや,民族教育を支えてくれたことに対する感謝の情などを理解できるであろう高級学校においては掲げております。祖国への想いはアイデンテイテイの確立において重要なものであり,また,個々人の想いに係るデリケートな事柄であるため,肖像画については,私たち自らが考え,方向性を出すべきであると考えております。以上のようなことを踏まえ,高級学校の肖像画についての要件提示に対し,この間,議論を重ねてまいりました。」
ケ 原告は,平成23年3月22日,理事会において責任ある学校運営を行うこと,開かれた学校運営を進めるために取組みを行うこと,適正な学校運営を進めるための取組みを行うことを内容とした「基本方針」(ガバナンス向上に向けた基本方針)を発表し,原告学園のホームページにおいて,財務情報(財産目録,貸借対照表,資金収支計算書・消費収支決算書)を掲示公開した。そして,原告は,同月23日,その内容を被告大阪府に報告した。(以上につき甲21の2,乙26,証人J,原告代表者本人)
コ 被告大阪府は,平成23年3月25日,高級学校を除く初中級学校合計9校については,上記イ①から④までの各項目を充たしているとして,同初中級学校合計9校について補助金(合計8724万5000円)を交付することとした。なお,原告は,同補助金の交付申請に当たり,高級学校分の補助金については申請をしていなかった。(以上につき甲8,122,乙26)
サ なお,被告大阪市は,平成23年1月27日,原告の申請に基づき,例年と同様に,平成22年度分の本件大阪市補助金を原告に交付した(甲123,証人K)。
(3)  本件大阪府申請及び本件大阪市申請等
ア 被告大阪市は,原告に対する本件23年度大阪市補助金の交付に備え,平成23年6月,市議会においてその予算案を通過させていたところ,同年9月12日,原告から,本件23年度大阪市補助金(朝鮮初級学校,朝鮮初中級学校,朝鮮中級学校の合計9校)に係る同月9日付けの交付申請書及び添付書類を受理した。なお,同申請は,当初,添付書類に不備があったが,同年10月12日にその不備が是正された。(以上につき甲16,丙8,弁論の全趣旨)
イ 大阪府議会においては,平成23年9月から大阪府議会及びその準備のための諸調整(上記アの9校に係る大阪府補助金の補正予算案の提出を含む。)が行われていたところ,一部議員から,「職員室に肖像画を掲示することは,実質的に教室に肖像画を掲示することと同等の意味を持つため,「教室だけでなく職員室からも肖像画を外すこと」を要件とすべき」などといった主張が出された(乙27,原告代表者本人)。
ウ 被告大阪府(私学課)は,平成23年10月19日,原告に対し,「X学園への申入れ内容」と題する書面を交付した。同書面には,「大阪府としては,補助金の交付要件である4要件に基づき,補助金の交付手続きを進め,今議会で必要な予算を提案した」,「先日の教育常任委員会において,議会から議論があり,補助金の交付要件としては,肖像画について,教室だけではなく,生徒が出入りする職員室からも外すべきとの意見があったので,是非,ご検討をお願いしたい」,「10月21日が,今会議の採決日となっているため,それまでに,ご回答をいただきたいが,期日が迫っているため,学校から回答が得られない場合には,今会議の会期末日まで継続審議ということになる可能性が高い。」,「その場合には,今会議の会期末日の採決日が12月中旬に予定されていることを踏まえ,11月末までにご回答をいただきたい。」と記載されていた。(以上につき甲23の1,乙27)
エ 原告は,平成23年10月19日,被告大阪府に対し,「大阪府からの申入れに対するX学園の回答(10/19)」と題する書面を交付した。同書面には,「X学園としては,知事の視察の際に示された補助金の交付要件について,この間,学園として議論を重ね,その結果について昨年度末に回答を行った」,「また,この交付要件に基づき,引き続き,適切に学校運営を行うこととしておりましたが,今回,新たに,府議会から補助金の交付要件について意見をいただいた。」,「学園としては,直ちに,方向性を示すことは困難であるが,府民の代表である府議会からの意見を真摯に受け止め,検討を進めてまいりたい。」と記載されていた。(以上につき甲23の2,乙27)
オ 平成23年10月21日,大阪府議会の本会議において原告からの上記回答内容が報告されたところ,教育常任委員会において,原告が設置する9校に係る本件大阪府補助金の補正予算案は,採決されることなく,同委員会で継続審査されることとなった(乙27)。
被告大阪市においても,これらの動向を注視した上で,本件大阪市補助金の交付要件を見直す必要があると判断し,本件大阪市補助金の交付手続を保留することとなった(丙8)。
カ 平成23年11月27日,大阪府知事選挙及び大阪市長選挙が実施され,それまで大阪府知事を務めていたIが大阪市長に就任した(弁論の全趣旨)。
キ 被告大阪府は,平成23年12月,大阪府知事の判断に基づいて「北朝鮮指導者の肖像画を教室から外すこと」の要件にいう「教室」には職員室も含まれるものとし,同月12日,上記オの9校分の本件大阪府補助金に係る補正予算案について,教室に加えて職員室にも肖像画の掲示がされていないことの確認ができていた大阪朝鮮第四初級学校1校分に減額する旨の議案訂正を行い,同月21日,府議会において附帯決議付きで当該学校1校分に係る補正予算案を可決した。なお,同附帯決議は,概ね上記(2)イ①から④までの各項目の厳正な対応を求めるとし,同各項目の更なる厳格な実態調査を継続して実施することや,同各項目を充たさないことが判明した場合は,補助金の返還を求めることなどを内容とするものであった。(以上につき甲25,乙27,証人H)
ク 原告は,平成23年12月22日,被告大阪府の対応を非難するとともに,上記(2)イ①から④までの各項目に従い従前どおりの交付を求めるなどの談話を発表した(甲26)。
ケ 被告大阪府は,平成23年12月30日,新聞紙面において,「12月29日にa高級学校で,朝鮮総連大阪本部が主催するF氏の追悼式が開催された」との報道がされたことから,原告に対して同追悼式の会場となった同体育館の使用申請書の提出を求め,当該追悼式の主催者が朝鮮総聯大阪本部ではないことを確認した(乙27)。
コ 被告大阪府は,平成24年2月20日,私立外国人学校設置者に宛てて,「「大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱」の改正について」と題する書面を送付し,大阪府要綱を改正する旨の通知をした。同書面には,改正概要として,「平成22年度の補助金交付から,新たに交付要件を設定しているところですが,今年度分の補助金交付にあたり,次の交付要件を交付要綱に明文化します。」,「①日本の学習指導要領に準じた教育活動を行うこと」,「②学校の財務情報を一般公開すること」,「③特定の政治団体と一線を画すこと」,「④特定の政治指導者の肖像画を職員室を含む教室から外すこと」などと記載されていた。(以上につき甲10,証人H)
サ 被告大阪府(私学課)は,平成24年2月29日,原告に対し,本件大阪府補助金の申請をするか否かについての方向性等を確認するとともに,申請の事前対応のための場を持ちたいとする連絡をしたところ,原告は,肖像画を外す場所として,教室に加えて職員室が加えられたことから,原告内部の対応等に時間を要しているとして,申請するともしないとも返答することができない状況にあると伝えた(弁論の全趣旨)。
シ 原告は,平成24年3月5日,学園理事会を開催し,大阪府要綱や上記コの4つの要件等に対する対応を協議し,①早期に議論の経過と結論を学父母会議で報告すること,②原告学園のうち初中級学校については肖像画は職員室から撤去する,③高級学校については即座に撤去することはしない,④高級学校を除く初中級学校について本件大阪府補助金交付の申請を行うことを決定した(弁論の全趣旨)。
ス 被告大阪府(私学課)は,平成24年3月6日,原告に対し,朝鮮学校と朝鮮総聯の関係について朝鮮総聯のホームページに,「朝鮮総連の指導のもとで運営」との記載があることを指摘した。これを受けて,原告は,朝鮮総聯に対し,上記ホームページの記載が誤解を招くものであるとして,その修正を申し入れた。(以上につき甲28,弁論の全趣旨)
セ 被告大阪府は,平成24年3月6日,原告から初中級学校について大阪府補助金の交付申請をする旨の連絡を受けたことから,同月7日,原告に対し,申請書提出期限を同月9日とする「平成23年度大阪府私立外国人学校振興補助金に係る交付申請書の提出について(通知)」と題する申請資料群及び同月7日付けで改正された大阪府要綱を送付した(弁論の全趣旨)。
ソ 被告大阪市は,平成24年1月又は2月頃から,大阪市要綱の改正について検討を始めていたところ,同月23日頃の時点で,本件大阪市補助金の取扱いについて,平成23年度以降は被告大阪府と同様の扱いとする方針を決め,同年3月6日には本件大阪市補助金の交付要件を本件大阪府補助金の交付要件に合わせることとし,同月8日,大阪市役所総務局内において原告担当者らにその旨の説明を行った。その際,被告大阪市は,原告に対して,被告大阪市において当時把握していた被告大阪府の本件大阪府補助金の交付対象要件を記載した本件メモを渡した。(以上につき甲17,丙8,証人K,原告代表者本人,弁論の全趣旨)
タ 原告は,平成24年3月9日,被告大阪府に対し,平成23年分に係る初中級学校8校分の本件23年度大阪府補助金8080万円の交付申請(本件大阪府申請)をした。被告大阪府は,これを受けて大阪府要綱に基づき,本件大阪府申請の内容について審査を開始するとともに,予算が計上されていなかった7校分の補正予算案の提出の準備を始めた。(以上につき甲12,乙27,原告代表者本人,弁論の全趣旨)
なお,同月10日,一部新聞において,本件大阪府申請を受けて,被告大阪府が今後申請に係る各学校を調査し,肖像画を外した対応が確認できれば,大阪府要綱の充足を確認できたものとして補正予算を計上する方針を示したとする新聞報道がされた(甲27)。
チ 被告大阪府は,平成24年3月10日から,肖像画の撤去確認を目的とした初中級学校8校に対する学校訪問を開始し,被告大阪市もこれに同行した。被告大阪府及び被告大阪市の各担当者は,同月12日から同月14日までの間,申請に係る学校の授業視察を行い(ただし,福島朝鮮初級学校には被告大阪市の担当者は同行していない。),被告大阪府の担当者は,同月15日から同月17日までの間,帳簿書類の検査の他,各学校年間行事スケジュールの調査などをした。これらの調査等において,調査対象とされた学校の教室や職員室等において肖像画の掲示は確認されなかった。(以上につき乙27,丙8,証人H,証人K,弁論の全趣旨)
ツ なお,平成23年度当時,原告が設置する朝鮮学校と共に本件大阪府補助金の対象となり得る外国人学校としてc学校とインターナショナルスクールが存在したが,これら2校はいずれも大阪府要綱に定める4要件を含む本件大阪府補助金の交付対象要件を充たしていたとして同年度に係る同補助金の交付をそれぞれ受け,また,同年度当時,原告が設置する朝鮮学校とともに本件大阪市補助金の対象となり得る学校法人であったc学校は,大阪市要綱に定める交付対象要件を充たしていたとして被告大阪市による同年度の本件大阪市補助金の交付を受けた(乙27,証人K,弁論の全趣旨)。
(4)  本件新聞報道と本件各不交付等
ア 平成24年3月16日,朝鮮学校の生徒が北朝鮮を訪問し,歌劇に参加したとの本件新聞報道がされた。本件新聞報道には,迎春公演について,「日本では,在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部ら一部にだけ録画映像の視聴が許された。…朝鮮総連の幹部会議では昨年,朝鮮学校校長が先頭に立ってE氏への忠誠と愛国教育推進を宣誓したしたことも判明している。」などの記事内容も含まれていた。これを受けて,被告大阪府は,原告に対し,本件新聞報道に係る行事への参加に関する関係書類を提出することを求めた。(以上につき前記前提事実(2)エ,乙3,27,原告代表者本人)
原告が運営するa高級学校長のO校長は,同日午後6時頃,大阪府庁を訪れ,本件新聞報道に関し,① X学園(初級・中級学校)からも生徒十数名が参加,② X学園から付添教員が参加しているかは不明,③ 生徒は3週間程度の休暇を取り,北朝鮮を訪問し,現地で他府県の生徒と合同練習,④ 舞踊等を担当している朝鮮大学校の教員や学校関係者で構成される委員会からの依頼により,各初級・中級学校において周知を図り,参加者数等を取りまとめ,⑤ 生徒や保護者が任意に参加するものであり,学校行事として参加するものではない,⑥ 北朝鮮への訪問に係る費用は,学校ではなく,保護者が負担,⑦ 新年を祝う行事として,数十年前から毎年実施されているもの,⑧ 朝鮮学校の生徒は,行事全体の10分程度の出演であり,行事の構成について学校は承知していないなどと説明をした。被告大阪府(私学課)は,上記説明を受け,O校長に対し,行事の主催者を確認することができる参加者募集のチラシ等の生徒に対する案内文書等の提出を求めたところ,O校長は,翌17日に改めて説明するなどと述べた。(以上につき乙27,証人H,原告代表者本人)
イ 被告大阪府(私学課)は,平成24年3月17日,大阪府庁に来庁したO校長から,大阪府要綱に定める交付対象要件に反する事実はないから口頭での説明のみで足り,書面等を提出する必要はないという原告の考え方について説明を受けたが,O校長に対し,改めて生徒に対する案内文書等の提出を求めるとともに,その提出がなければ本件23年度大阪府補助金が交付されない可能性がある旨を伝えたものの,O校長の協力は得られなかった(乙27,証人H,原告代表者本人)。
被告大阪府(私学課)は,同月18日,O校長に電話を掛けて,改めて本件新聞報道を踏まえた事実確認を求めるとともに,生徒に対する案内文書等の提出を求め,その提出がない場合には本件23年度大阪府補助金が交付されない可能性がある旨を伝えたが,O校長は,従前と同様に,本件新聞報道に係る迎春公演への参加は本件大阪府補助金の交付対象要件に反するものとは認識していないとしつつも,迎春公演の参加に関する生徒に対する案内文書等を提出することはできない旨の回答を繰り返した(乙27,証人H,原告代表者本人。なお,原告は本件23年度大阪府補助金が交付されない可能性を伝える注意喚起がなかった旨主張するが,上記各証拠に照らして採用できない。)。
ウ 被告大阪府(私学課)は,平成24年3月19日,大阪府庁内において,O校長に対し,本件23年度大阪府補助金は不交付とし,補正予算案も提出しないこととなった旨を伝えた。なお,同日,被告大阪府が原告に対する本件23年度大阪府補助金を交付しないことを決めた旨の報道がされた。(以上につき甲30,乙27,弁論の全趣旨)
原告は,同日,被告大阪府が本件23年度大阪府補助金を交付しないことに決めた旨報じられたことを受けて,被告大阪府の対応が朝鮮学校・民族教育に対する不当な干渉であって,公明正大かつ公平な態度で交渉に取り組むことを切に望む旨のコメントを発表した(甲30)。
エ 被告大阪市は,平成24年3月21日頃,上記ウを受けて,原告の理事に電話をかけて,本件23年度大阪市補助金を交付しない見込みである旨を伝えた(丙8)。
オ 被告大阪府は,平成24年3月29日,原告に対し,本件23年度大阪府補助金を不交付とする旨の決定(本件大阪府不交付)をし,原告にその旨を通知した(甲13)。
カ 被告大阪市は,平成24年3月27日,大阪市要綱を改正し,同月28日頃に,原告に対し,本件23年度大阪市補助金を不交付とする旨の決定(本件大阪市不交付)をし,同月30日,原告に本件大阪市不交付を通知するとともに大阪市要綱を交付した(甲19,丙8)。
キ 被告大阪市は,平成23年度の本件大阪市補助金について交付申請をしていたc学校について,被告大阪府から大阪府補助金の交付対象とされる見込みである旨を確認し,同学校が大阪市要綱に定める交付対象要件を充たしているものとして,同年度の本件大阪市補助金を交付する旨の決定をした(丙8)。
6  争点4(大阪府要綱交付対象要件充足の有無)について
(1)  原告の大阪府要綱2条該当性について
ア(ア) 原告が本件大阪府申請をした平成24年3月9日時点において,既に大阪府要綱は同月7日付け改正により4要件が付加されていた(前記前提事実(2)イ,ウ)のであるから,本件大阪府申請は同改正後の大阪府要綱を前提としてされたものということができる。
(イ) 被告大阪府においては,原告による本件大阪府申請を受けて大阪府要綱2条に定める交付要件に該当するか審査していたところ,公安調査庁が平成24年1月において取りまとめた「内外情勢の回顧と展望」には朝鮮総聯に関する記述がある上,平成22年1月に取りまとめた「内外情勢の回顧と展望」には朝鮮総聯が朝鮮学園において思想教育を行っている旨の記述があり(上記認定事実(2)ア(イ)),従前から,朝鮮総聯が原告を含む朝鮮学園に対して指示等をする関係にあるなどと報道されていた(上記認定事実(2)ア(ア),エ,(3)ケ,ス)。そして,平成24年3月16日には本件新聞報道がされ,「朝鮮総連の幹部会議では…朝鮮学校校長が先頭に立って…宣誓した」など,朝鮮総聯と朝鮮学校とのつながりをうかがわせる記述もみられたことからすると(上記認定事実(4)ア),被告大阪府において,原告が運営する初・中級学校の生徒らが学校の教育活動として,朝鮮総聯の主催の下に迎春公演に参加したのではないかと疑うに足りる状況が生じていたことは否定できないといえる。
他方,被告大阪府においては,本件新聞報道の内容の真偽等を確認するために原告側のO校長に説明を求め,O校長から口頭による説明(その内容は,上記認定事実(4)ア①から⑧までのとおりであって,朝鮮大学校の教員らで構成される委員会からの依頼により参加者を取りまとめるが,学校行事ではなく,生徒らが任意に参加するものであることなど。)を受けているものの,行事の主催者が確認できる参加者募集のチラシなど生徒に対する案内文書等の提出を求めた際にはO校長によりその提出を拒絶された上,さらに,同書面等の提出がない場合には本件23年度大阪府補助金が交付されない可能性がある旨を伝えるなどしたにもかかわらず,O校長からは本件大阪府補助金の交付要件に反する事情はない旨の説明を受けるのみで同案内文書等の提出を受けることができなかった(上記認定事実(4)ア,イ)というのであるから,原告が運営する初・中級学校の生徒らが学校の教育活動として,朝鮮総聯の主催の下に迎春公演に参加したことが疑われる状況の中,大阪府要綱2条の交付対象要件該当性についての検討をしなければならない被告大阪府の担当者において,その疑われるべき状況を解消することができたとは到底いえない(むしろO校長の上記対応に照らせば,その疑われる状況が固定化したということができる。)。加えて,O校長は,同案内文書等を提出する必要はないと説明はするものの,同案内文書等が存在しないという趣旨の説明はしていないし(上記認定事実(4)ア,イ),原告が運営する学校からも生徒十数名が迎春公演に参加し,生徒らはこれに参加することを憧れの舞台への参加として受け止めていたこと(証人L)に加え,迎春公演からわずか2か月程度しか経過していなかったことからすると,同案内文書等が全て散逸,滅失したとも考え難いところであって,O校長が同案内文書等を被告大阪府に提出することができない合理的理由があったとは認められない。
上記案内文書等は本訴においても書証として提出されておらず,被告大阪府職員による繰り返しの案内文書等の提出要請にもかかわらず,提出を求められていた資料(案内文書等)を提出しないことに合理的理由があったとは解されないから,原告が運営する初・中級学校の生徒らが学校の教育活動として,朝鮮総聯の主催の下に迎春公演に参加したものと疑われ,少なくとも「直近の「内外情勢の回顧と展望」において調査等の対象となっている団体」が「主催する行事に,学校の教育活動として参加していないこと」(大阪府要綱2条6号,8号)の要件を充たしているものと認めることができる状況になかったというべきである。
(ウ) したがって,原告は,大阪府要綱に基づいて本件大阪府申請をしたにもかかわらず,大阪府要綱2条に定める交付対象要件を充たしていたと認めることはできない。
イ 以上に対し,原告は,前記第2の4(4)(原告の主張)アのとおり,原告がした本件大阪府申請が大阪府要綱2条に定める交付対象要件を充たすと主張するが,上記アに説示したとおり,当該主張を採用することはできない。
なお,原告は,被告大阪府の担当者から,迎春公演に関する生徒に対する案内文書等の提出がない場合に本件23年度大阪府補助金の交付が受けられない旨の注意喚起はなかったと主張するが,このような注意喚起が存在したことは上記認定事実(4)イのとおりであって,これに反する当該主張を採用することはできない。
(2)  4要件が違法・無効である旨の主張等について
ア 原告は,前記第2の4(4)(原告の主張)イ(ア)のとおり,憲法26条,13条,社会権規約19条等の国際人権法,平等原則及び後退的措置の禁止等を挙げて,本件大阪府補助金の交付を受ける権利,利益を有している旨を主張する。しかし,憲法26条,13条,社会権規約19条等の国際人権基準は具体的な権利を基礎付けるものとはいえず,他の私立学校や各種学校との間に補助金の交付の有無等に差異が生じたとしても,直ちに平等原則に反するものとはいえないというべきであるし,後退的措置の禁止が政治的義務として指摘される点はともかくとしてこれが法的義務となるとは解されない以上,これらにより原告が上記の法的権利を有していると認めることはできない。
もっとも,本件大阪府不交付により原告が平成23年度大阪府補助金の交付を受けられないことにより,結果として,原告が運営する各種学校の通学する児童,生徒及びその保護者の学習環境の悪化や経済的負担の増大等の影響が生ずることが懸念されるところではある(証人M,証人N)。しかしながら,大阪府要綱による本件大阪府補助金に係る交付事業は,学校法人への助成という枠組みを前提としている以上,当該学校法人又はこれが運営する学校が大阪府要綱に定める交付対象要件を充たしていない場合に当該学校法人が本件大阪府補助金の交付を受けることができなくなることは大阪府要綱の内容から自明のことというべきであるし,税金等の公金を原資とする本件大阪府補助金は1条校に準じた教育活動が行われている学校法人に対して交付されるものであることに照らせば,1条校に準じた教育活動を行っている学校あるいは同学校を運営している学校法人であるといえない場合に,本件大阪府補助金の交付が受けられないとしてもやむを得ないといわざるを得ない。
イ また,原告は,前記第2の4(4)(原告の主張)イ(イ)のとおり,平成24年3月7日付け改正により大阪府要綱に付加された4要件が違法・無効であるとして,大阪府要綱に定めるその余の要件を充たす以上,原告は大阪府要綱の交付対象要件を充たすと主張する。
しかし,上記(1)のとおり,大阪府要綱に定める本件大阪府補助金の交付の法的性質は贈与であって,被告大阪府は,贈与を受けることができる資格をいかに定めるかについて,教育の振興という行政目的の実現のため一定の裁量を有しているというべきである。そして,被告大阪府が交付する本件大阪府補助金は,学校法人が設置する外国人学校においては,1条校に準じた教育活動が行われているから,1条校に準じて助成の措置を行うべき必要があるとの考えから大阪府要綱を定め,これに基づいて本件大阪府補助金の交付を行っているのであるのから(上記認定事実(1)ア),平成24年3月7日付け改正により,このような経緯を明確にするため,概要,①「日本の学習指導要領に準じた教育活動を行うこと」(大阪府要綱2条5号関係),②「財務情報を一般公開すること」(大阪府要綱2条1号関係),③「特定の政治団体と一線を画すこと」(大阪府要綱2条6号から8号まで関係),④「特定の政治指導者の肖像画を教室から外すこと」(大阪府要綱2条9号関係)を交付対象要件として追加して明記したことも,私立学校としての公共性や本件大阪府補助金の経緯や考え方に沿うものとして,上記裁量の範囲内というべきである。
そして,本件大阪府不交付は大阪府要綱2条8号該当性を認めないものであるところ,同号は,上記③の要件(「特定の政治団体と一線を画すこと」)を具体化したものである。これは,〈ア〉 私立学校法36条2項において「理事会は,学校法人の業務を決し,理事の職務の執行を監督する」とされていることから,当該学校の業務に関して理事会において意思決定されていること及び他の団体等による不当な介入がないことを明確にするとともに,各種学校においても,私立学校として「私立学校の健全な発達」を図ることを目的とし,「公共性」が求められていることは否定できないところであって,そこには私立学校にも一定程度の政治的中立性が要求されていると解されるから,この点をも明確化し,加えて,〈イ〉 本件大阪府補助金は,学校法人が設置する外国人学校のうち1条校に準じた教育活動が行われ,1条校に準じて助成の措置を行うべき必要があるものについて助成をするものとして発足し,活用されてきたものである以上(上記認定事実(1)ア),1条校に準じた教育活動が行われていることが助成の実質的な要件ともいうべきところ,そのような要件を充たすというためには,教育の一定程度の政治的中立性が確保されていることが必要であると解されるから,この点をも明確化するものということができる。そして,大阪府要綱にこのような要件,条項を付加することは,本件大阪府補助金の経緯や考え方を要件として明確化し,もって本件大阪府補助金に係る制度・運用を規律しようとするものといえ(乙26,27,34,証人J,証人H),私立学校法の上記定めや大阪府要綱及び本件大阪府補助金の経緯等に照らし相応の合理性があるということができる。
そして,上記③の要件(「特定の政治団体と一線を画すこと」)の現実の運用として,大阪府要綱2条6号は,同条8号にいう「特定の政治団体」について「公安調査庁が公表する直近の「内外情勢の回顧と展望」において調査等の対象となっている団体」(ただし,政治資金規正法3条2項に規定する政党を除く。)と定義している。公安調査庁は,破壊活動防止法(昭和27年法律第240号)の規定による破壊的団体の規制に関する調査及び処分の請求並びに無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成11年法律第147号)の規定による無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する調査,処分の請求及び規制措置を行い,公共の安全の確保を図ることを任務とし,国内諸集団等に対する情報の収集・分析等を行う国家機関であって(公安調査庁設置法3条,公安調査庁組織規則参照),これが調査等の対象として公表している団体が主催する行事に,学校の教育活動として参加している学校法人(大阪府要綱2条8号参照)に対し,税金等の公金を原資とする本件大阪府補助金を交付することを許容するか否かは,正に当該補助金制度を設計・運用する被告大阪府の裁量に属する事柄というべきであるから,このような要件を設けることにその裁量の範囲に逸脱又は濫用があるとはいえない。
ウ さらに,原告は,大阪府知事が4要件の前身ともいうべき「朝鮮総聯と一線を画すこと」などを内容とする4つの項目を平成22年3月に示していることを挙げ,大阪府要綱に付加された4要件は原告を狙い撃ちにしたものであって,教育への不当な政治的介入であり,突然された大阪府要綱の改正はその内容が公にされたとはいえず行政手続法5条,大阪府行政手続条例に違反すると主張する。
しかし,大阪府知事が平成22年3月に「朝鮮総聯と一線を画すこと」など4つの項目を原告に告げたのは,大阪府知事が正に原告の運営に係る学校を訪問して原告関係者と意見交換をしている場においてであって(上記認定事実(2)イ),本件大阪府補助金に係る交付対象要件の一般論を原告の場合に置き換えて説明したものにすぎないということができる。そして,上記イのとおり,4要件を設けたことには相応の理由があり,裁量の範囲内ということができるし,4要件を具体化した大阪府要綱の内容も一般性を具備した体裁をとっているのであって,殊更に原告に対する本件大阪府補助金の交付を阻止するため,原告を狙い撃ちにしたものとまではいえない。また,4要件は本件大阪府補助金の交付対象要件であって,原告における教育内容を直接規律するものではなく,教育に不当に介入するものともいえない。もとより,本件大阪府補助金の交付を受けない外国人学校に対して,1条校に求められるような政治的中立性を求めるものではない。
さらに,本件大阪府補助金の交付関係は行政処分ではなく,大阪府要綱は被告大阪府内部の事務手続を定めるものであるから,行政手続法及び大阪府行政手続条例の適用の前提を欠いている上,被告大阪府は,上記認定事実(3)コ,サのとおり,平成24年3月7日付け大阪府要綱の改正に先立ち,原告に改正内容を伝えるなどしていたことに照らせば,原告との関係において大阪府要綱を公にしていなかったともいえない。
(3)  小括
以上によれば,原告が大阪府要綱2条に当たるとは認められず,もとより平成24年3月7日付け改正により大阪府要綱に付加された4要件も違法,無効とはいえないから,原告が大阪府要綱交付対象要件を充たすと認めることはできない。
したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件大阪府承諾請求及び本件大阪府確認請求は,いずれも理由がない。
7  争点7(国家賠償法上の違法及び故意過失の有無)について
(1)  はじめに
国家賠償法1条1項にいう違法とは,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することであり,当該公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認められる事情がある場合には上記法的義務の違背があるものというべきである(最高裁判所平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁等)。
(2)  検討
ア 上記6のとおり,原告がした本件大阪府申請は大阪府要綱に定める大阪府補助金の交付要件を充たしていない以上,本件大阪府不交付が違法であると認めることはできない。
イ 原告は,前記第2の4(7)(原告の主張)のとおり,本件大阪府不交付が違法であると主張するが,上記6のとおり,原告は大阪府要綱に定める本件大阪府補助金の交付要件を充たしておらず,憲法26条,13条,社会権規約19条等の国際人権基準,平等原則及び後退的措置の禁止等によっても本件大阪府補助金の交付を受ける権利を認めることはできない以上,原告に本件23年度大阪府補助金の交付を受ける権利や利益を認めることはできないから,本件大阪府不交付によりこれらの権利や利益が侵害されたと認めることはできない。また,上記6(2)アのとおり,平成24年3月7日付け改正により大阪府要綱に付加された4要件もこれが違法,無効であると認めるに足りる事情はない。
そして,原告は,本件大阪府不交付が原告を狙い撃ちにしたものであると主張するが,上記6(2)ウのとおり,そのような事実を認めることはできないし,本件大阪府不交付は,原告が被告大阪府職員から提出を求められた迎春公演の生徒に対する案内文書等の提出等をしなかったことなどの事情から,大阪府要綱2条8号に定める交付対象要件を充たしていると認めることができず,原告が大阪府要綱2条に定める交付対象要件を充たすものと認められなかったことによるものであって,相応の合理的理由がある。また,原告は,被告大阪府による大阪府要綱の改正等が,行政手続法,大阪府行政手続条例に違反すると主張するが,本件大阪府補助金の交付関係は行政処分ではなく,大阪府要綱は被告大阪府の内部の事務手続を定めるものであるから,その前提を欠いているというべきであるし,上記認定事実(3)コ,サのとおり,平成24年3月7日付け大阪府要綱の改正に先立ち,原告に改正内容を伝えるなどしているから,被告大阪府の対応の経緯に注意義務に違反したといえる事情はない。
(3)  小括
以上のとおり,本件大阪府不交付に,国家賠償法1条1項の違法があるとは認められない。したがって,本件大阪府国賠請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
8  争点9(大阪市要綱交付対象要件充足の有無)について
(1)  大阪市要綱2項該当性について
ア 本件大阪市申請(平成23年9月12日)及び追完(同年10月12日)の当時,大阪市要綱における本件大阪市補助金の交付対象が「本市内において各種学校を設置する私立学校法に定める学校法人」とされていた点が,平成24年3月27日付けで改正され,「本市内において各種学校を設置し,当該年度に大阪府私立外国人学校振興補助金の交付を受けることが見込まれる私立学校法に定める学校法人」とされている。
本件大阪市補助金の交付が贈与契約という形式でされていることからすると,契約の成否及び内容は,申込み(申請)と承諾(交付決定)により決まるというべきであり,被告大阪市の内部の事務手続を定める大阪市要綱は,申込み(補助金申請)の誘因として位置付けられるものであり,それを超えて契約の成否及び内容を直接確定するものとは解されない。そして,大阪市要綱は,平成24年3月27日付け改正の際にも経過規定が設けられておらず,交付決定がされた後においても事情変更による交付決定の取消し等があり得るものとされ(12項),申請に対してそのまま承諾(交付決定)がされたとしても確定的に申請内容に従った交付が得られることを保証するものではない。これらの点に照らせば,本件大阪市補助金の交付決定に当たっては,その時点での大阪市要綱が適用され,交付申請をした後にこれに対する交付・不交付の判断がされないうちに大阪市要綱が改正された場合には,改正後の要綱に基づいてその交付・不交付の判断をする趣旨のものということができる。補助金の交付申請の際に前提とされた大阪市要綱と異なる内容の要綱によって補助金の交付・不交付(契約の成否・内容)が決められる場合には,申請者の期待を損なう状況も生じ得るが,大阪市要綱は,本件大阪市補助金の申請期限と交付・不交付の判断の期限を設け(5項,8項),交付・不交付の決定後次の年度の申請までの間に改正作業を行うことで,上記のような場合を限定しているものと解される。そうすると,大阪市要綱に定められた提出期限である5月末日を3か月以上経過してされた本件大阪市申請については,申請者である原告において申請後に大阪市要綱が改正されることにより不利益が生ずるとしてもやむを得ないものといわざるを得ない。
イ そして,被告大阪市において,大阪市要綱の内容をいかに定めるかについては,上記のとおり裁量を有しているものと解され,そうすると,被告大阪市において,各種学校の監督権限が被告大阪府にあり,本件大阪市補助金は本件大阪府補助金を補完する性格のもので,本件大阪府補助金を前提としているとし,これを明記すべく大阪市要綱2項を改正すること(丙8,証人K)は,相応の根拠があるというべきである。
ウ したがって,大阪市要綱に設けられた新要件が違法,無効ということはできず,上記認定事実(4)オのとおり,被告大阪府が本件大阪府不交付をしたのであるから,原告が「本市内において各種学校を設置し,当該年度に大阪府私立外国人学校振興補助金の交付を受けることが見込まれる私立学校法に定める学校法人」に当たるということはできず,大阪市要綱2項に定める本件大阪市補助金の交付対象要件を充たさないことは明らかである。
(2)  原告の主張について
ア 原告は,前記第2の4(9)(原告の主張)アのとおり,憲法26条,13条,社会権規約19条等の国際人権基準,平等原則及び後退的措置の禁止を根拠に本件大阪市補助金の交付を受ける権利,利益を有しており,平成24年3月27日付け大阪市要綱の改正は同権利等を侵害するものであると主張する。しかし,憲法26条,13条,社会権規約19条等の国際人権基準は具体的な権利を基礎付けるものとはいえず,他の私立学校や各種学校との間に補助金の交付の有無等に差異が生じたとしても,直ちに平等原則に反するものとはいえないというべきであるし,また,後退的措置の禁止も政治的義務はともかくとして,法的義務とは解されないから,これらにより原告が上記権利等を有していると認めることはできない。
なお,上記6(2)アと同様に,本件大阪市不交付により原告が平成23年度大阪市補助金の交付を受けられないことにより,結果として,原告が運営する各種学校に通学する児童,生徒及びその保護者の学習環境の悪化や経済的負担の増大等の影響が生ずることが懸念されるところであるが,大阪市要綱による本件大阪市補助金に係る交付事業が学校法人への助成という枠組みを前提としている点も同様であるから,既に説示したところと同様に,当該学校法人又はこれが運営する学校が大阪市要綱に定める交付要件を充たしていない以上,本件大阪市補助金の交付が受けられないとしてもやむを得ないといわざるを得ない。
イ(ア) また,原告は,前記第2の4(9)(原告の主張)イのとおり,本件大阪市補助金は,国や大阪府とは無関係に,被告大阪市が学校教育法の規定する小・中学校に準ずる教育をしている学校法人があるという実態を考慮して交付を始めた制度であって,被告大阪市が原告にもそのような実態があることを認めていたからこそ長年にわたって本件大阪市補助金を交付してきたはずであり,本件大阪市補助金を被告大阪府が行っている大阪府補助金を補完するものと位置付けること自体,本件大阪市補助金の趣旨及びその経緯に反し,政治的理由による狙い撃ちであるから,新要件を付加することは許されないと主張する。確かに,平成3年度分から原告に交付されてきた本件大阪市補助金は平成4年度分から原告に交付されてきた本件大阪府補助金に先立って交付され始めたものであり(上記認定事実(1)ア,イ),原告に対する平成22年度分の本件大阪市補助金の交付決定は,本件大阪府補助金の交付決定(平成23年3月25日)に先立つ同年1月27日にされている点で,本件大阪市補助金の交付が本件大阪府補助金の現実の交付を前提としてされていたとは解し難いところである。
(イ)a しかし,被告大阪府においては,昭和49年度から原告に対する助成(私立各種学校設備費補助金)をしており,その後,本件大阪府補助金の交付が始まってからというもの,本件大阪府補助金の交付がされなかったのは平成23年度が初めてであるし(前記前提事実(2)ア,上記認定事実(4)オ),平成22年度分の本件大阪府補助金については被告大阪府の担当者と原告との間で,被告大阪府が求めた4項目を充たすか否かについて種々のやりとりをした上で,これを充たすとしてその交付がされている上(上記認定事実(2)イからカまで,同クからコまで),平成23年度分の大阪府補助金についても,被告大阪府職員は,原告に対して,その交付を受けるために必要となる文書等を指示し,原告の対応によって大阪府要綱2条に定める交付対象要件を充たせばその交付がされるという趣旨の説明をしていた(上記認定事実(4)ア,イ)。このように本件23年度大阪市補助金までは,本件大阪府補助金の交付がなく本件大阪市補助金が本件大阪府補助金を補完するものであるという性格が問われるような状況が現実化することがなかったにすぎない。そして,各種学校については被告大阪府が監督官庁を務めていること(学校教育法134条2項,4条,13条等。丙8,証人K)に照らせば,これに対する助成等についても第一次的には被告大阪府が役割を担うべきとの立場で,大阪市内にある各種学校のうち義務教育に準ずる教育を実施する学校法人である外国人学校について,その役割に鑑み,被告大阪市において被告大阪府による助成を補完する形で助成することとし,大阪市要綱を定めて本件大阪市補助金の交付をしてきたものと認められる(丙8,証人K)。
そうすると,被告大阪市においては,本件大阪府補助金を補完するものとして本件大阪市補助金の交付をしてきたものであるが,平成23年度において,本件大阪府補助金が交付されず,本件大阪市補助金の本件大阪府補助金を補完する性格が問われる状況が生じたことから,その性格を大阪市要綱上においても明確にするために平成24年3月27日付け大阪市要綱の改正が行われたものと解されるところであって,当該改正によっても,大阪市要綱に実質的な改正はないということができる。
b また,仮に平成24年3月27日付け大阪市要綱の改正により,その実質的な内容に変更があったと解したとしても,大阪市要綱は,大阪市交付規則を受けて補助金交付の内部手続を定めた細則であるから,被告大阪市が大阪市要綱をいかに定めるかについて裁量を有しており,この点は,贈与契約の性質を有する本件大阪市補助金の交付対象としての要件(交付対象要件)についても異なるものとは解されない。そして,上記のとおり,大阪市内に所在する外国人学校を含む各種学校の監督官庁が被告大阪府であることから,このような各種学校に対する助成等についても被告大阪府が第一次的に行うべきものとし,本件大阪市補助金はこれを補完するものとして補助制度の枠組みを規律し,このような位置付けをその交付対象要件として明記することも合理性を有するもので,その裁量の範囲内ということができる。そして,大阪市要綱の改正内容も,各種学校の個々の特性や教育内容に関わらない補助制度の枠組みに関する事項であることに照らせば,同改正が原告を殊更狙い撃ちにしたものということはできず,また,被告大阪府による4要件が違法・無効でないことは前述したとおりである。
ウ さらに,原告は,前記第2の4(9)(原告の主張)ウのとおり,本件大阪市申請後に改正された大阪市要綱によることが信義則に反する旨主張する。しかし,本件大阪市補助金の交付の法的性質は贈与契約であり,大阪市要綱は被告大阪市の内部手続を定めた細則にすぎない以上,大阪市要綱が原告と被告大阪市との法律関係を直接規律するものではないし,大阪市要綱の定めも,申請内容に比して減額して交付される場合や,交付決定がされた後における事情の変更による決定の取消し等についての定めを設けているのであって(10項,12項),申請者がした申請内容を保証し,その内容に従った本件大阪市補助金の交付が確定的にされることを前提とはしていない。そして,原告が本件大阪市申請をしたのは大阪市要綱5項に定める申請期限を経過した後であり,上記(1)アのとおり,大阪市要綱もこのような申請を本来的に予定しているとは解されないところである。そうすると,被告大阪市が大阪市要綱を上記のとおり改正したとしても,原告との関係においてこれが許されないとまではいえず,大阪市要綱を改正して本件大阪市不交付としたことが,信義則に反しているとはいえない。
(3)  小括
以上によれば,平成24年3月27日付けで大阪市要綱に付加された新要件が違法,無効とはいえず,原告が大阪市要綱2項に当たるとは認められず,また,同項を適用することが信義則に反するともいえないから,原告が大阪市要綱交付対象要件を充たすと認めることはできない。
したがって,本件大阪市承諾請求及び本件大阪市確認請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がない。
9  争点12(国家賠償法上の違法及び故意過失の有無)について
(1)  検討
ア 上記8のとおり,原告は大阪市要綱に定める本件大阪市補助金の交付対象要件を充たしていない以上,本件大阪市不交付が違法であると認めることはできない。
イ 原告は,前記第2の4(12)(原告の主張)のとおり,本件大阪市不交付が違法であると主張するが,上記8のとおり,原告は大阪市要綱に定める本件大阪市補助金の交付対象要件を充たしておらず,憲法26条,13条,社会権規約19条等の国際人権基準,平等原則及び後退的措置の禁止等によっても本件大阪市補助金の交付を受ける権利を認めることはできない以上,原告に本件大阪市補助金の交付を受ける権利や利益を認めることはできないというべきであるから,本件大阪市不交付によってこれらが侵害されたとはいえない。
また,上記8(2)イのとおり,平成24年3月27日付け改正により大阪市要綱に盛り込まれた新要件もこれが違法であると認めるに足りる事情はないし,本件大阪市不交付においては,本件大阪市不交付をするに先立ち,被告大阪市においては被告大阪府の判断に従う旨を原告担当者に告げていることからすると,原告においても本件大阪市申請が申請内容どおり許可されるか否かについて楽観視できない状況が早くから生じていたということができ,本件大阪市不交付も予想し得ないものではなかったというべきである。そして,原告は,本件大阪市不交付が原告を狙い撃ちにしたものであると主張するが,本件大阪市申請が交付要件を充たさないとされた新要件そのものが違法なものとは解されない上に,殊更に原告を狙い撃ちして本件大阪府不交付をしたとまで認めるに足りないというべきである。
加えて,原告は,本件大阪市不交付が大阪市要綱8項に定める期間内にされていない,本件大阪市不交付は大阪市要綱の改正前に事実上されていたと主張する。しかし,大阪市要綱は,申請期限を毎年5月末日としているのに対し,本件大阪市申請はこれに3か月以上遅れてされているのであるから,申請期限に大きく遅れた申請について,大阪市要綱8項に定める期限内に交付・不交付の決定がされていないことを不当ということはできない。また,被告大阪市担当者は,大阪市要綱の改正前に原告に対して本件大阪市申請が不交付となる見込みであると告げているものの,その時点で既に被告大阪市による交付は被告大阪府が交付するか否かに沿ったものとする旨の方針が決められていたのであって,これに従ったものということができるし,実際にこれに従って大阪市要綱が改正され,本件大阪市不交付がされていることに照らせば,これを殊更注意義務に違反したということはできない。
なお,本件大阪市不交付は行政処分ではなく,大阪市要綱は被告大阪市の内部の事務手続を定めるものにすぎない以上,被告大阪市における行政手続条例に違反する旨の原告の主張は前提を欠いている。
(2)  小括
以上によれば,本件大阪市不交付に,国家賠償法1条1項の違法があるとは認められない。したがって,本件大阪市国賠請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
第4  結論
よって,本件訴えのうち,本件各取消等請求に係る部分は,不適法であるから却下することとし,原告のその余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山田明 裁判官 新宮智之 裁判官 坂本達也)

 

別紙1
当事者目録
大阪市〈以下省略〉
原告 学校法人X学園
同代表者理事長 A
原告訴訟代理人弁護士 丹羽雅雄
同 大橋さゆり
同 岡﨑真由子
同 木下裕一
同 金英哲
同 金星姫
同 具良鈺
同 鈴木健介
同 田中俊
同 鄭文哲
同 中峯将文
同 中森俊久
同 仲尾育哉
同 原啓一郎
同 朴日豪
同 普門大輔
同 南和行
同 三好吉安
大阪市〈以下省略〉
被告 大阪府
同代表者知事 B
処分行政庁 大阪府教育長 C
被告大阪府訴訟代理人弁護士 比嘉廉丈
被告大阪府訴訟復代理人弁護士 橋本匡弘
同 比嘉邦子
同 川上確
同 酒井美奈
被告大阪府指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
大阪市〈以下省略〉
被告 大阪市
同代表者市長 D
被告大阪市訴訟代理人弁護士 岩本安昭
同 森末尚孝
同 竹村真紀子
被告大阪市指定代理人 W5
同 W6
同 W7
同 W8
同 W9

〈以下省略〉

 

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政治と選挙Q&A「政治資金規正法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例一覧
(1)平成30年10月11日 東京高裁 平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件
(2)平成30年 6月27日 東京地裁 平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件
(3)平成30年 4月18日 東京高裁 平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(4)平成30年 3月30日 東京地裁 平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(5)平成30年 3月20日 大阪高裁 平29(行コ)60号 補助金不交付処分取消等請求控訴事件
(6)平成30年 1月22日 東京地裁 平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(7)平成29年12月14日 札幌高裁 平29(ネ)259号 損害賠償等請求控訴事件
(8)平成29年12月 8日 札幌地裁 平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(9)平成29年 7月18日 奈良地裁 平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(10)平成29年 3月28日 東京地裁 平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(11)平成29年 3月28日 仙台地裁 平28(ワ)254号 損害賠償請求事件
(12)平成29年 3月15日 東京地裁 平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(13)平成29年 1月26日 大阪地裁 平24(行ウ)197号・平26(行ウ)163号 補助金不交付処分取消等請求事件
(14)平成28年12月27日 奈良地裁 平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(15)平成28年10月12日 大阪高裁 平28(ネ)1060号 損害賠償等請求控訴事件
(16)平成28年10月12日 東京地裁 平25(刑わ)2945号 業務上横領被告事件
(17)平成28年10月 6日 大阪高裁 平27(行コ)162号 不開示決定処分取消等請求控訴事件
(18)平成28年 9月13日 札幌高裁 平28(う)91号 事前収賄被告事件
(19)平成28年 8月31日 東京地裁 平25(ワ)13065号 損害賠償請求事件
(20)平成28年 7月26日 東京地裁 平27(ワ)22544号 損害賠償請求事件
(21)平成28年 7月19日 東京高裁 平27(ネ)3610号 株主代表訴訟控訴事件
(22)平成28年 7月 4日 東京地裁 平27(レ)413号 損害賠償請求控訴事件
(23)平成28年 4月26日 東京地裁 平27(ワ)11311号 精神的慰謝料及び損害賠償請求事件
(24)平成28年 2月24日 大阪高裁 平25(行コ)2号 行政文書不開示決定処分取消請求控訴事件
(25)平成28年 2月24日 大阪高裁 平24(行コ)77号 不開示決定処分取消請求控訴事件
(26)平成27年10月27日 岡山地裁 平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(27)平成27年10月22日 大阪地裁 平26(行ウ)186号 不開示決定処分取消等請求事件
(28)平成27年10月 9日 東京地裁 平27(特わ)853号 政治資金規正法違反被告事件
(29)平成27年 6月17日 大阪地裁 平26(行ウ)117号 公金支出金返還請求事件
(30)平成27年 5月28日 東京地裁 平23(ワ)21209号 株主代表訴訟事件
(31)平成27年 3月24日 東京地裁 平26(ワ)9407号 損害賠償等請求事件
(32)平成27年 2月26日 東京地裁 平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(33)平成27年 2月 3日 東京地裁 平25(ワ)15071号 損害賠償等請求事件
(34)平成26年12月24日 横浜地裁 平26(行ウ)15号 損害賠償請求事件(住民訴訟)
(35)平成26年 9月25日 東京地裁 平21(ワ)46404号・平22(ワ)16316号 損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第2事件)、損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第3事件)
(36)平成26年 9月17日 知財高裁 平26(行ケ)10090号 審決取消請求事件
(37)平成26年 9月11日 知財高裁 平26(行ケ)10092号 審決取消請求事件
(38)平成26年 9月 3日 東京地裁 平25(行ウ)184号 政務調査費返還請求事件
(39)平成26年 4月 9日 東京地裁 平24(ワ)33978号 損害賠償請求事件
(40)平成26年 2月21日 宮崎地裁 平25(ワ)276号 謝罪放送等請求事件
(41)平成25年 7月19日 東京地裁 平22(ワ)37754号 謝罪広告等請求事件
(42)平成25年 6月19日 横浜地裁 平20(行ウ)19号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(43)平成25年 3月28日 京都地裁 平20(行ウ)10号 不当利得返還等請求行為請求事件
(44)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件
(45)平成25年 1月23日 東京地裁 平23(ワ)39861号 損害賠償請求事件
(46)平成24年12月26日 東京地裁 平23(ワ)24047号 謝罪広告等請求事件
(47)平成24年11月12日 東京高裁 平24(う)988号 政治資金規正法違反被告事件
(48)平成24年 8月29日 東京地裁 平22(ワ)38734号 損害賠償請求事件
(49)平成24年 6月26日 仙台地裁 平21(行ウ)16号 公金支出差止請求事件
(50)平成24年 4月26日 東京地裁 平23(特わ)111号 政治資金規正法違反被告事件 〔陸山会事件・控訴審〕
(51)平成24年 2月29日 東京地裁 平21(行ウ)585号 公金支出差止請求事件
(52)平成24年 2月14日 東京地裁 平22(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(53)平成24年 2月13日 東京地裁 平23(ワ)23522号 街頭宣伝行為等禁止請求事件
(54)平成24年 1月18日 横浜地裁 平19(行ウ)105号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(55)平成23年11月16日 東京地裁 平21(ワ)38850号 損害賠償等請求事件
(56)平成23年 9月29日 東京地裁 平20(行ウ)745号 退会命令無効確認等請求事件
(57)平成23年 7月25日 大阪地裁 平19(ワ)286号・平19(ワ)2853号 損害賠償請求事件
(58)平成23年 4月26日 東京地裁 平22(行ウ)162号・平22(行ウ)448号・平22(行ウ)453号 在外日本人国民審査権確認等請求事件(甲事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(乙事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(丙事件)
(59)平成23年 4月14日 東京地裁 平22(ワ)20007号 損害賠償等請求事件
(60)平成23年 1月31日 東京高裁 平22(行コ)91号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(61)平成23年 1月21日 福岡地裁 平21(行ウ)28号 政務調査費返還請求事件
(62)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(63)平成22年10月18日 東京地裁 平22(行ク)276号
(64)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(65)平成22年 9月 7日 最高裁第一小法廷 決定 平20(あ)738号 あっせん収賄、受託収賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反、政治資金規正法違反被告事件 〔鈴木宗男事件・上告審〕
(66)平成22年 4月13日 東京地裁 平20(ワ)34451号 貸金等請求事件
(67)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(68)平成22年 3月15日 東京地裁 平20(ワ)38604号 損害賠償請求事件
(69)平成22年 1月28日 名古屋地裁 平20(ワ)3188号 応援妨害予防等請求事件
(70)平成21年 6月17日 大阪高裁 平20(行コ)159号 政務調査費返還請求行為請求控訴事件
(71)平成21年 5月26日 東京地裁 平21(む)1220号 政治資金規正法被告事件
(72)平成21年 5月13日 東京地裁 平19(ワ)20791号 業務委託料請求事件
(73)平成21年 4月28日 大阪地裁 平19(わ)3456号 談合、収賄被告事件
(74)平成21年 2月25日 東京地裁 平19(行ウ)325号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(75)平成21年 1月28日 東京地裁 平17(ワ)9248号 損害賠償等請求事件
(76)平成20年12月 9日 東京地裁 平19(ワ)24563号 謝罪広告等請求事件
(77)平成20年11月12日 大阪高裁 平20(ネ)1189号・平20(ネ)1764号 債務不存在確認等請求控訴、会費請求反訴事件
(78)平成20年 9月 9日 東京地裁 平18(ワ)18306号 損害賠償等請求事件
(79)平成20年 8月 8日 東京地裁 平18(刑わ)3785号・平18(刑わ)4225号 収賄、競売入札妨害被告事件〔福島県談合汚職事件〕
(80)平成20年 7月14日 最高裁第一小法廷 平19(あ)1112号 政治資金規正法違反被告事件
(81)平成20年 3月27日 最高裁第三小法廷 平18(あ)348号 受託収賄被告事件 〔KSD事件〕
(82)平成20年 3月14日 和歌山地裁田辺支部 平18(ワ)167号 債務不存在確認等請求事件
(83)平成20年 2月26日 東京高裁 平16(う)3226号
(84)平成20年 1月18日 東京地裁 平18(ワ)28649号 損害賠償請求事件
(85)平成19年 8月30日 東京地裁 平17(ワ)21062号 地位確認等請求事件
(86)平成19年 8月30日 大阪地裁 平19(行ウ)83号 行政文書不開示決定処分取消等請求事件
(87)平成19年 8月10日 東京地裁 平18(ワ)19755号 謝罪広告等請求事件
(88)平成19年 8月10日 大阪地裁 平19(行ク)47号 仮の義務付け申立て事件
(89)平成19年 7月17日 神戸地裁尼崎支部 平17(ワ)1227号 総会決議一部無効確認等請求事件
(90)平成19年 5月10日 東京高裁 平18(う)2029号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・控訴審〕
(91)平成19年 4月 3日 大阪地裁 平19(行ク)27号 執行停止申立て事件
(92)平成19年 3月28日 大阪地裁 平19(行ク)24号 仮の差止め申立て事件
(93)平成19年 2月20日 大阪地裁 平19(行ク)7号 執行停止申立て事件
(94)平成19年 2月 7日 新潟地裁長岡支部 平16(ワ)143号・平18(ワ)109号 損害賠償請求事件
(95)平成19年 2月 5日 東京地裁 平16(ワ)26484号 不当利得返還請求事件
(96)平成19年 1月31日 大阪地裁 平15(ワ)12141号・平15(ワ)13033号 権利停止処分等無効確認請求事件、除名処分無効確認請求事件 〔全日本建設運輸連帯労組近畿地本(支部役員統制処分等)事件〕
(97)平成18年11月14日 最高裁第三小法廷 平18(オ)597号・平18(受)726号 〔熊谷組株主代表訴訟事件・上告審〕
(98)平成18年 9月29日 大阪高裁 平18(ネ)1204号 地位不存在確認請求控訴事件
(99)平成18年 9月11日 東京地裁 平15(刑わ)4146号 各詐欺被告事件 〔偽有栖川詐欺事件〕
(100)平成18年 8月10日 大阪地裁 平18(行ウ)75号 行政文書不開示決定処分取消請求事件
(101)平成18年 3月30日 東京地裁 平16(特わ)5359号 政治資金規正法違反被告事件〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・第一審〕
(102)平成18年 3月30日 京都地裁 平17(ワ)1776号・平17(ワ)3127号 地位不存在確認請求事件
(103)平成18年 1月11日 名古屋高裁金沢支部 平15(ネ)63号 熊谷組株主代表訴訟控訴事件 〔熊谷組政治献金事件・控訴審〕
(104)平成17年11月30日 大阪高裁 平17(ネ)1286号 損害賠償請求控訴事件
(105)平成17年 8月25日 大阪地裁 平17(行ウ)91号 行政文書不開示決定処分取消請求事件
(106)平成17年 5月31日 東京地裁 平16(刑わ)1835号・平16(刑わ)2219号・平16(刑わ)3329号・平16(特わ)5239号 贈賄、業務上横領、政治資金規正法違反被告事件 〔日本歯科医師会事件〕
(107)平成17年 4月27日 仙台高裁 平17(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(108)平成16年12月24日 東京地裁 平15(特わ)1313号・平15(刑わ)1202号・平15(特わ)1422号 政治資金規正法違反、詐欺被告事件 〔衆議院議員秘書給与詐取事件〕
(109)平成16年12月22日 東京地裁 平15(ワ)26644号 損害賠償等請求事件
(110)平成16年11月 5日 東京地裁 平14(刑わ)2384号・平14(特わ)4259号・平14(刑わ)2931号 あっせん収賄、受託収賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反、政治資金規正法違反被告事件 〔鈴木宗男事件・第一審〕
(111)平成16年 5月28日 東京地裁 平5(刑わ)2335号・平5(刑わ)2271号 贈賄被告事件 〔ゼネコン汚職事件〕
(112)平成16年 2月27日 東京地裁 平7(合わ)141号・平8(合わ)31号・平7(合わ)282号・平8(合わ)75号・平7(合わ)380号・平7(合わ)187号・平7(合わ)417号・平7(合わ)443号・平7(合わ)329号・平7(合わ)254号 殺人、殺人未遂、死体損壊、逮捕監禁致死、武器等製造法違反、殺人予備被告事件 〔オウム真理教代表者に対する地下鉄サリン事件等判決〕
(113)平成16年 2月26日 津地裁 平11(行ウ)1号 損害賠償請求住民訴訟事件
(114)平成16年 2月25日 東京地裁 平14(ワ)6504号 損害賠償請求事件
(115)平成15年12月 8日 福岡地裁小倉支部 平15(わ)427号・平15(わ)542号・平15(わ)725号 被告人Aに対する政治資金規正法違反、公職選挙法違反被告事件、被告人B及び同Cに対する政治資金規正法違反被告事件
(116)平成15年10月16日 大津地裁 平13(ワ)570号 会員地位不存在確認等請求事件
(117)平成15年10月 1日 さいたま地裁 平14(行ウ)50号 損害賠償代位請求事件
(118)平成15年 5月20日 東京地裁 平13(刑わ)710号 各受託収賄被告事件 〔KSD関連元労働大臣収賄事件判決〕
(119)平成15年 3月19日 横浜地裁 平12(行ウ)16号 損害賠償等請求事件
(120)平成15年 3月 4日 東京地裁 平元(刑わ)1047号・平元(刑わ)632号・平元(刑わ)1048号・平元(特わ)361号・平元(特わ)259号・平元(刑わ)753号 日本電信電話株式会社法違反、贈賄被告事件 〔リクルート事件(政界・労働省ルート)社長室次長関係判決〕
(121)平成15年 2月12日 福井地裁 平13(ワ)144号・平13(ワ)262号 各熊谷組株主代表訴訟事件 〔熊谷組政治献金事件・第一審〕
(122)平成15年 1月20日 釧路地裁帯広支部 平13(わ)15号 収賄被告事件
(123)平成15年 1月16日 東京地裁 平13(行ウ)84号 損害賠償請求事件 〔区長交際費支出損害賠償請求住民訴訟事件〕
(124)平成14年 4月22日 東京地裁 平12(ワ)21560号 損害賠償等請求事件
(125)平成14年 4月11日 大阪高裁 平13(ネ)2757号 社員代表訴訟等控訴事件 〔住友生命政治献金事件・控訴審〕
(126)平成14年 2月25日 東京地裁 平9(刑わ)270号 詐欺被告事件
(127)平成13年12月17日 東京地裁 平13(行ウ)85号 住民票不受理処分取消等請求事件
(128)平成13年10月25日 東京地裁 平12(ワ)448号 損害賠償請求事件
(129)平成13年10月11日 横浜地裁 平12(ワ)2369号 謝罪広告等請求事件 〔鎌倉市長名誉毀損垂れ幕訴訟判決〕
(130)平成13年 9月26日 東京高裁 平13(行コ)90号 公文書非公開処分取消請求控訴事件
(131)平成13年 7月18日 大阪地裁 平12(ワ)4693号 社員代表訴訟等事件 〔住友生命政治献金事件・第一審〕
(132)平成13年 7月18日 大阪地裁 平12(ワ)4692号・平12(ワ)13927号 社員代表訴訟等、共同訴訟参加事件 〔日本生命政治献金社員代表訴訟事件〕
(133)平成13年 5月29日 東京地裁 平9(ワ)7838号・平9(ワ)12555号 損害賠償請求事件
(134)平成13年 4月25日 東京高裁 平10(う)360号 斡旋贈収賄被告事件 〔ゼネコン汚職政界ルート事件・控訴審〕
(135)平成13年 3月28日 東京地裁 平9(ワ)27738号 損害賠償請求事件
(136)平成13年 3月 7日 横浜地裁 平11(行ウ)45号 公文書非公開処分取消請求事件
(137)平成13年 2月28日 東京地裁 平12(刑わ)3020号 詐欺、政治資金規正法違反被告事件
(138)平成13年 2月16日 東京地裁 平12(行ク)112号 住民票消除処分執行停止申立事件
(139)平成12年11月27日 最高裁第三小法廷 平9(あ)821号 政治資金規正法違反被告事件
(140)平成12年 9月28日 東京高裁 平11(う)1703号 公職選挙法違反、政党助成法違反、政治資金規正法違反、受託収賄、詐欺被告事件 〔元代議士受託収賄等・控訴審〕
(141)平成11年 7月14日 東京地裁 平10(特わ)3935号・平10(刑わ)3503号・平10(特わ)4230号 公職選挙法違反、政党助成法違反、政治資金規正法違反、受託収賄、詐欺被告事件 〔元代議士受託収賄等・第一審〕
(142)平成10年 6月26日 東京地裁 平8(行ウ)109号 課税処分取消請求事件 〔野呂栄太郎記念塩沢学習館事件〕
(143)平成10年 5月25日 大阪高裁 平9(行ケ)4号 当選無効及び立候補禁止請求事件 〔衆議院議員選挙候補者連座訴訟・第一審〕
(144)平成10年 4月27日 東京地裁 平10(ワ)1858号 損害賠償請求事件
(145)平成 9年10月 1日 東京地裁 平6(刑わ)571号・平6(刑わ)509号 斡旋贈収賄被告事件 〔ゼネコン汚職政界ルート事件・第一審〕
(146)平成 9年 7月 3日 最高裁第二小法廷 平6(あ)403号 所得税法違反被告事件
(147)平成 9年 5月21日 大阪高裁 平8(う)944号 政治資金規正法違反被告事件
(148)平成 9年 4月28日 東京地裁 平6(ワ)21652号 損害賠償等請求事件
(149)平成 9年 2月20日 大阪地裁 平7(行ウ)60号・平7(行ウ)70号 政党助成法に基づく政党交付金交付差止等請求事件
(150)平成 8年 9月 4日 大阪地裁 平7(わ)534号 政治資金規正法違反被告事件
(151)平成 8年 3月29日 東京地裁 平5(特わ)546号・平5(特わ)682号 所得税法違反被告事件
(152)平成 8年 3月27日 大阪高裁 平6(ネ)3497号 損害賠償請求控訴事件
(153)平成 8年 3月25日 東京高裁 平6(う)1237号 受託収賄被告事件 〔共和汚職事件・控訴審〕
(154)平成 8年 3月19日 最高裁第三小法廷 平4(オ)1796号 選挙権被選挙権停止処分無効確認等請求事件 〔南九州税理士会政治献金徴収拒否訴訟・上告審〕
(155)平成 8年 2月20日 名古屋高裁 平7(う)200号 政治資金規正法違反、所得税違反被告事件
(156)平成 7年11月30日 名古屋高裁 平7(う)111号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(157)平成 7年10月25日 東京地裁 平5(ワ)9489号・平5(ワ)16740号・平6(ワ)565号 債務不存在確認請求(本訴)事件、謝罪広告請求(反訴)事件、不作為命令請求(本訴と併合)事件
(158)平成 7年 8月 8日 名古屋高裁 平7(う)35号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(159)平成 7年 4月26日 名古屋地裁 平6(わ)116号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(160)平成 7年 3月30日 名古屋地裁 平6(わ)1706号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(161)平成 7年 3月20日 宮崎地裁 平6(ワ)169号 損害賠償請求事件
(162)平成 7年 2月24日 最高裁第二小法廷 平5(行ツ)56号 公文書非公開決定処分取消請求事件 〔政治資金収支報告書コピー拒否事件〕
(163)平成 7年 2月13日 大阪地裁 平6(わ)3556号 政治資金規正法違反被告事件 〔大阪府知事後援会ヤミ献金事件〕
(164)平成 7年 2月 1日 名古屋地裁 平6(わ)116号 所得税法違反被告事件
(165)平成 7年 1月26日 東京地裁 平5(行ウ)353号 損害賠償請求事件
(166)平成 6年12月22日 東京地裁 平5(ワ)18447号 損害賠償請求事件 〔ハザマ株主代表訴訟〕
(167)平成 6年12月 9日 大阪地裁 平5(ワ)1384号 損害賠償請求事件
(168)平成 6年11月21日 名古屋地裁 平5(わ)1697号・平6(わ)117号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(169)平成 6年10月25日 新潟地裁 平4(わ)223号 政治資金規正法違反被告事件 〔佐川急便新潟県知事事件〕
(170)平成 6年 7月27日 東京地裁 平5(ワ)398号 謝罪広告等請求事件
(171)平成 6年 4月19日 横浜地裁 平5(わ)1946号 政治資金規正法違反・所得税法違反事件
(172)平成 6年 3月 4日 東京高裁 平4(う)166号 所得税法違反被告事件 〔元環境庁長官脱税事件・控訴審〕
(173)平成 6年 2月 1日 横浜地裁 平2(ワ)775号 損害賠償請求事件
(174)平成 5年12月17日 横浜地裁 平5(わ)1842号 所得税法違反等被告事件
(175)平成 5年11月29日 横浜地裁 平5(わ)1687号 所得税法違反等被告事件
(176)平成 5年 9月21日 横浜地裁 平5(わ)291号・平5(わ)182号・平5(わ)286号 政治資金規正法違反、所得税法違反、有印私文書偽造・同行使、税理士法違反被告事件
(177)平成 5年 7月15日 福岡高裁那覇支部 平4(行ケ)1号 当選無効等請求事件
(178)平成 5年 5月28日 徳島地裁 昭63(行ウ)12号 徳島県議会県政調査研究費交付金返還等請求事件
(179)平成 5年 5月27日 最高裁第一小法廷 平元(オ)1605号 会費一部返還請求事件 〔大阪合同税理士会会費返還請求事件・上告審〕
(180)平成 4年12月18日 大阪高裁 平3(行コ)49号 公文書非公開決定処分取消請求控訴事件 〔大阪府公文書公開等条例事件・控訴審〕
(181)平成 4年10月26日 東京地裁 平4(む)615号 準抗告申立事件 〔自民党前副総裁刑事確定訴訟記録閲覧請求事件〕
(182)平成 4年 4月24日 福岡高裁 昭62(ネ)551号・昭61(ネ)106号 選挙権被選挙権停止処分無効確認等請求控訴、附帯控訴事件 〔南九州税理士会政治献金徴収拒否訴訟・控訴審〕
(183)平成 4年 2月25日 大阪地裁 昭62(わ)4573号・昭62(わ)4183号・昭63(わ)238号 砂利船汚職事件判決
(184)平成 3年12月25日 大阪地裁 平2(行ウ)6号 公文書非公開決定処分取消請求事件 〔府公文書公開条例事件〕
(185)平成 3年11月29日 東京地裁 平2(特わ)2104号 所得税法違反被告事件 〔元環境庁長官脱税事件・第一審〕
(186)平成 2年11月20日 東京高裁 昭63(ネ)665号 損害賠償等請求控訴事件
(187)平成元年 8月30日 大阪高裁 昭61(ネ)1802号 会費一部返還請求控訴事件 〔大阪合同税理士会会費返還請求訴訟・控訴審〕
(188)昭和63年 4月11日 最高裁第三小法廷 昭58(あ)770号 贈賄被告事件 〔大阪タクシー汚職事件・上告審〕
(189)昭和62年 7月29日 東京高裁 昭59(う)263号 受託収賄、外国為替及び外国貿易管理法違反、贈賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被告事件 〔ロッキード事件丸紅ルート・控訴審〕
(190)昭和61年 8月21日 大阪地裁 昭55(ワ)869号 会費一部返還請求事件 〔大阪合同税理士会会費返還請求事件・第一審〕
(191)昭和61年 5月16日 東京高裁 昭57(う)1978号 ロツキード事件・全日空ルート〈橋本関係〉受託収賄被告事件 〔ロッキード事件(全日空ルート)・控訴審〕
(192)昭和61年 5月14日 東京高裁 昭57(う)1978号 受託収賄被告事件 〔ロッキード事件(全日空ルート)・控訴審〕
(193)昭和61年 2月13日 熊本地裁 昭55(ワ)55号 選挙権被選挙権停止処分無効確認等請求事件 〔南九州税理士会政治献金徴収拒否訴訟・第一審〕
(194)昭和59年 7月 3日 神戸地裁 昭59(わ)59号 所得税法違反被告事件
(195)昭和59年 3月 7日 神戸地裁 昭57(行ウ)24号 市議会各会派に対する市会調査研究費等支出差止住民訴訟事件
(196)昭和57年 7月 6日 大阪簡裁 昭56(ハ)5528号 売掛金代金請求事件
(197)昭和57年 6月 8日 東京地裁 昭51(刑わ)4312号・昭51(刑わ)4311号 受託収賄事件 〔ロッキード事件(全日空ルート)(橋本・佐藤関係)〕
(198)昭和57年 5月28日 岡山地裁 昭54(わ)566号 公職選挙法違反被告事件
(199)昭和56年 3月 3日 東京高裁 昭54(う)2209号・昭54(う)2210号 地方自治法違反被告事件
(200)昭和55年 3月10日 東京地裁 昭53(特わ)1013号・昭53(特わ)920号 法人税法違反被告事件
(201)昭和54年 9月20日 大阪地裁 昭43(わ)121号 贈賄、収賄事件 〔大阪タクシー汚職事件・第一審〕
(202)昭和54年 5月29日 水戸地裁 昭46(わ)198号 地方自治法違反被告事件
(203)昭和53年11月20日 名古屋地裁 決定 昭52(ヨ)1908号・昭52(ヨ)1658号・昭52(ヨ)1657号 仮処分申請事件 〔日本共産党員除名処分事件〕
(204)昭和53年 8月29日 最高裁第三小法廷 昭51(行ツ)76号 損害賠償請求事件
(205)昭和51年 4月28日 名古屋高裁 昭45(行コ)14号 損害賠償請求控訴事件
(206)昭和50年10月21日 那覇地裁 昭49(ワ)111号 損害賠償請求事件
(207)昭和48年 2月24日 東京地裁 昭40(ワ)7597号 謝罪広告請求事件
(208)昭和47年 3月 7日 最高裁第三小法廷 昭45(あ)2464号 政治資金規制法違反
(209)昭和46年 9月20日 東京地裁 昭43(刑わ)2238号・昭43(刑わ)3482号・昭43(刑わ)3031号・昭43(刑わ)3027号・昭43(刑わ)2002号・昭43(刑わ)3022号 業務上横領、斡旋贈賄、贈賄、斡旋収賄、受託収賄各被告事件 〔いわゆる日通事件・第一審〕
(210)昭和45年11月14日 札幌地裁 昭38(わ)450号 公職選挙法違反・政治資金規正法違反被告事件
(211)昭和45年11月13日 高松高裁 昭44(う)119号 政治資金規正法違反被告事件
(212)昭和45年 7月11日 名古屋地裁 昭42(行ウ)28号 損害賠償請求事件
(213)昭和45年 3月 2日 長野地裁 昭40(行ウ)14号 入場税等賦課決定取消請求事件
(214)昭和43年11月12日 福井地裁 昭41(わ)291号 収賄・贈賄被告事件
(215)昭和42年 7月11日 東京地裁 昭42(行ク)28号 行政処分執行停止申立事件
(216)昭和42年 7月10日 東京地裁 昭42(行ク)28号 行政処分執行停止申立事件
(217)昭和41年10月24日 東京高裁 昭38(ナ)6号・昭38(ナ)7号・昭38(ナ)5号・昭38(ナ)11号・昭38(ナ)10号 裁決取消、選挙無効確認併合事件 〔東京都知事選ニセ証紙事件・第二審〕
(218)昭和41年 1月31日 東京高裁 昭38(ネ)791号 取締役の責任追及請求事件 〔八幡製鉄政治献金事件・控訴審〕
(219)昭和40年11月26日 東京高裁 昭39(う)642号 公職選挙法違反被告事件
(220)昭和39年12月15日 東京地裁 昭38(刑わ)2385号 公職選挙法違反、公記号偽造、公記号偽造行使等事件
(221)昭和39年 3月11日 東京高裁 昭38(う)2547号 公職選挙法違反被告事件
(222)昭和38年 4月 5日 東京地裁 昭36(ワ)2825号 取締役の責任追求事件 〔八幡製鉄政治献金事件・第一審〕
(223)昭和37年12月25日 東京地裁 昭30(ワ)1306号 損害賠償請求事件
(224)昭和37年 8月22日 東京高裁 昭36(う)1737号
(225)昭和37年 8月16日 名古屋高裁金沢支部 昭36(う)169号 公職選挙法違反事件
(226)昭和37年 4月18日 東京高裁 昭35(ナ)15号 選挙無効確認請求事件
(227)昭和35年 9月19日 東京高裁 昭34(ナ)2号 選挙無効確認請求事件
(228)昭和35年 3月 2日 札幌地裁 昭32(わ)412号 受託収賄事件
(229)昭和34年 8月 5日 東京地裁 昭34(行)27号 政党名削除制限抹消の越権不法指示通牒取消確認請求事件
(230)昭和32年10月 9日 最高裁大法廷 昭29(あ)499号 国家公務員法違反被告事件
(231)昭和29年 5月20日 仙台高裁 昭29(う)2号 公職選挙法違反事件
(232)昭和29年 4月17日 札幌高裁 昭28(う)684号・昭28(う)681号・昭28(う)685号・昭28(う)682号・昭28(う)683号 政治資金規正法違反被告事件
(233)昭和29年 2月 4日 名古屋高裁金沢支部 昭28(う)442号 公職選挙法違反被告事件
(234)昭和27年 8月12日 福島地裁若松支部 事件番号不詳 地方税法違反被告事件
(235)昭和26年10月24日 広島高裁松江支部 昭26(う)54号 収賄被告事件
(236)昭和26年 9月27日 最高裁第一小法廷 昭26(あ)1189号 衆議院議員選挙法違反・政治資金規正法違反
(237)昭和26年 5月31日 最高裁第一小法廷 昭25(あ)1747号 衆議院議員選挙法違反・政治資金規正法違反等
(238)昭和25年 7月12日 札幌高裁 昭25(う)277号・昭25(う)280号
(239)昭和25年 7月10日 札幌高裁 昭25(う)277号・昭25(う)278号・昭25(う)279号・昭25(う)280号 衆議院議員選挙法違反被告事件
(240)昭和25年 7月10日 札幌高裁 昭25(う)275号 衆議院議員選挙法違反被告事件
(241)昭和24年10月13日 名古屋高裁 事件番号不詳
(242)昭和24年 6月13日 最高裁大法廷 昭23(れ)1862号 昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(243)昭和24年 6月 3日 東京高裁 昭24(ナ)9号 衆議院議員選挙無効請求事件

■【政治と選挙の裁判例一覧】「政治資金規正法 選挙ポスター」に関する裁判例カテゴリー
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