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政治と選挙Q&A「政治資金規正法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(75)平成21年 1月28日 東京地裁 平17(ワ)9248号 損害賠償等請求事件

政治と選挙Q&A「政治資金規正法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例(75)平成21年 1月28日 東京地裁 平17(ワ)9248号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成21年 1月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)9248号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  棄却  上訴等  確定  文献番号  2009WLJPCA01288002

要旨
◆かつて被告宗教法人に入会し役員を勤めたが、その後被告宗教法人を除名されその後被告宗教法人の批判活動をしている原告が被告宗教法人らに対し被告らの出版した書籍などによって名誉を毀損され、プライバシーを侵害されたとして損害賠償及び謝罪文の掲載を求めた事案において、被告の各記載は原告の社会的評価を下落させるものでないものがあり、原告の社会的評価を下落させるものについても、いずれも重要部分が真実であって、プライバシー侵害についても認められないなどとして、原告の請求を棄却した事例

出典
判タ 1303号221頁
判時 2036号48頁

参照条文
民法709条
民法710条
裁判官
髙部眞規子 (タカベマキコ) 第33期 現所属 知的財産高等裁判所(所長)
平成30年5月5日 ~ 知的財産高等裁判所(所長)
平成27年6月21日 ~ 知的財産高等裁判所(部総括)
平成26年5月30日 ~ 福井地方裁判所(所長)、福井家庭裁判所(所長)
平成25年4月10日 ~ 横浜地方裁判所川崎支部(支部長)、横浜家庭裁判所川崎支部(支部長)
平成21年4月1日 ~ 平成25年4月9日 知財高等裁判所
平成15年4月1日 ~ 平成21年3月31日 東京地方裁判所(部総括)
平成10年4月1日 ~ 平成15年3月31日 最高裁判所調査官
平成6年4月1日 ~ 平成10年3月31日 東京地方裁判所
平成2年4月1日 ~ 平成6年3月31日 高松地方裁判所、高松家庭裁判所
~ 平成2年3月31日 千葉地方裁判所松戸支部、千葉家庭裁判所松戸支部

安田大二郎 (ヤスダダイジロウ) 第49期 現所属 大阪高等裁判所
平成29年4月1日 ~ 大阪高等裁判所
平成26年4月1日 ~ 名古屋地方裁判所
平成23年4月1日 ~ 福岡地方裁判所田川支部、福岡家庭裁判所田川支部(支部長)
平成20年4月1日 ~ 平成23年3月31日 東京地方裁判所
平成17年6月24日 ~ 平成20年3月31日 名古屋地方裁判所
平成14年4月1日 ~ 平成17年6月23日 宇都宮地方裁判所足利支部、宇都宮家庭裁判所足利支部
平成11年4月1日 ~ 平成14年3月31日 和歌山地方裁判所、和歌山家庭裁判所
平成9年4月10日 ~ 平成11年3月31日 東京地方裁判所

吉村弘樹 (ヨシムラヒロキ) 第58期 現所属 那覇地方裁判所沖縄支部、那覇家庭裁判所沖縄支部
平成30年4月1日 ~ 那覇地方裁判所沖縄支部、那覇家庭裁判所沖縄支部
平成27年4月1日 ~ 東京地方裁判所
平成24年4月1日 ~ 大阪地方裁判所堺支部、大阪家庭裁判所堺支部
平成21年4月1日 ~ 平成24年3月31日 熊本地方裁判所、熊本家庭裁判所
平成17年10月4日 ~ 平成21年3月31日 東京地方裁判所

訴訟代理人
原告側訴訟代理人
松井繁明

被告側訴訟代理人
宮原守男,倉科直文,福島啓充,八尋頼雄,若旅一夫,桝井眞二,吉田麻臣,成田吉道,岩田幸一

引用判例
平成15年 3月14日 最高裁第二小法廷 判決 平12(受)1335号 損害賠償請求事件 〔長良川リンチ殺人報道訴訟・上告審〕
平成 9年 9月 9日 最高裁第三小法廷 判決 平6(オ)978号 損害賠償請求事件 〔ロス疑惑訴訟夕刊フジ事件・上告審〕
平成元年12月21日 最高裁第一小法廷 判決 昭60(オ)1274号 損害賠償等請求事件 〔長崎教師批判ビラ事件・上告審〕
昭和58年10月20日 最高裁第一小法廷 判決 昭56(オ)25号 損害賠償、慰藉料請求事件 〔医療法人十全会グループ名誉毀損・上告審〕
昭和41年 6月23日 最高裁第一小法廷 判決 昭37(オ)815号 名誉及び信用毀損による損害賠償および慰藉料請求事件 〔「署名狂やら殺人前科」事件・上告審〕
昭和31年 7月20日 最高裁第二小法廷 判決 昭29(オ)634号 慰藉料並びに名誉回復請求事件

関連判例
平成16年 7月15日 最高裁第一小法廷 判決 平15(受)1793号・平15(受)1794号 謝罪広告等請求事件 〔「脱ゴーマニズム宣言」事件・上告審〕
平成15年 3月14日 最高裁第二小法廷 判決 平12(受)1335号 損害賠償請求事件 〔長良川リンチ殺人報道訴訟・上告審〕
平成 9年 9月 9日 最高裁第三小法廷 判決 平6(オ)978号 損害賠償請求事件 〔ロス疑惑訴訟夕刊フジ事件・上告審〕
平成 6年 2月 8日 最高裁第三小法廷 判決 平元(オ)1649号 慰藉料請求事件 〔ノンフィクション『逆転』訴訟・上告審〕
平成元年12月21日 最高裁第一小法廷 判決 昭60(オ)1274号 損害賠償等請求事件 〔長崎教師批判ビラ事件・上告審〕
昭和58年10月20日 最高裁第一小法廷 判決 昭56(オ)25号 損害賠償、慰藉料請求事件 〔医療法人十全会グループ名誉毀損・上告審〕
昭和47年 5月29日 東京地裁 判決 昭43(ワ)12905号 言論の応酬名誉権侵害事件第一審判決
昭和41年 6月23日 最高裁第一小法廷 判決 昭37(オ)815号 名誉及び信用毀損による損害賠償および慰藉料請求事件 〔「署名狂やら殺人前科」事件・上告審〕
昭和31年 7月20日 最高裁第二小法廷 判決 昭29(オ)634号 慰藉料並びに名誉回復請求事件

Westlaw作成目次

主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告創価学会(以下「被告学会…
2 被告Y3は,原告に対し,60…
3 被告Y4は,原告に対し,30…
4 被告Y5は,原告に対し,30…
5 被告学会,被告Y1及び被告Y…
第2 事案の概要
1 争いのない事実
(1) 当事者等
(2) 本件書籍及び本件各記事
(3) 本件書籍には,以下の記載があ…
(4) 本件連載(1),(2)には,…
2 本件事案
(1) 損害賠償及び遅延損害金の支払
(2) 被告学会,被告Y1及び被告Y…
3 争点
(1) 本件各記載が原告の名誉を毀損…
(2) 真実性又は相当性の法理に基づ…
(3) 言論の応酬(対抗言論)の法理…
(4) 本件記載④,⑥が原告のプライ…
(5) 被告らの責任の有無
(6) 原告の損害の有無及び額
(7) 謝罪文掲載の必要性及び相当性
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点(1)(本件各記載が原告…
[原告の主張]
[被告らの主張]
2 争点(2)ア(本件各記載が,…
[被告らの主張]
[原告の主張]
3 争点(2)イ(本件各記載が摘…
[被告らの主張]
[原告の主張]
4 争点(3)(言論の応酬(対抗…
[被告らの主張]
[原告の主張]
5 争点(4)(本件記載④,⑥が…
[原告の主張]
[被告らの主張]
6 争点(5)(被告らの責任)
[原告の主張]
[被告らの主張]
7 争点(6)(原告の損害の有無…
[原告の主張]
[被告らの主張]
8 争点(7)(謝罪文掲載の必要…
[原告の主張]
[被告らの主張]
第4 争点に対する判断
1 証拠及び弁論の全趣旨を総合す…
(1) 原告と被告学会の関係等
(2) A3邸盗聴事件等について
(3) 富士桜墓園事業等について
(4) クルーザー遊覧等について
(5) 原告とA21及びA22との不…
(6) 麻雀賭博等について
(7) 原告と「考える会」の活動等に…
(8) 本件書籍の発行及び本件連載(…
2 争点(1)(本件各記載が原告…
(1) ある表現の意味内容が他人の社…
(2) 本件記載①(A3邸盗聴事件に…
(3) 本件記載②(クルーザー遊覧に…
(4) 本件記載③,④(麻雀賭博に関…
(5) 本件記載⑤ないし⑦(不倫及び…
(6) 本件記載⑧(「考える会」のビ…
(7) 本件記載⑨(墓園事業に絡む裏…
3 争点(2)(真実性又は相当性…
(1) 真実性又は相当性の抗弁の前提…
(2) 本件記載②(クルーザー遊覧に…
(3) 本件記載③,④(麻雀賭博に関…
(4) 本件記載⑤ないし⑦(不倫及び…
(5) 本件記載⑧(「考える会」のビ…
(6) 本件記載⑨(墓園事業に絡む裏…
4 名誉毀損に関する小括
(1) 本件記載①は,原告の名誉を毀…
(2) 本件記載②ないし④,⑧,⑨は…
(3) 本件記載⑤ないし⑦は,原告の…
(4) 以上によれば,その余の点につ…
5 争点(4)(本件記載④,⑥が…
(1) 原告は,原告の15年以上前の…
(2) 本件記載④について
(3) 本件記載⑥(不倫に関する記載…
(4) 小括
第5 結論

裁判年月日  平成21年 1月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)9248号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  棄却  上訴等  確定  文献番号  2009WLJPCA01288002

神奈川県厚木市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 松井繁明
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 創価学会
同代表者代表役員 A1
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Y1
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Y2
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Y3
同所
被告 Y4
同所
被告 Y5
上記6名訴訟代理人弁護士 宮原守男
同 倉科直文
同 福島啓充
同 八尋頼雄
同 若旅一夫
同 桝井眞二
同 吉田麻臣
同 成田吉道
同 岩田幸一

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告創価学会(以下「被告学会」という。),被告Y1(以下「被告Y1」という。)及び被告Y2(以下「被告Y2」という。)は,原告に対し,連帯して,1000万円及びこれに対する被告学会は平成17年7月1日,被告Y1及び被告Y2は同月6日(いずれも訴状送達の日)から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,300万円及びこれに対する被告学会は同月1日から,被告Y1及び被告Y2は同月6日から,各支払済みまで同割合による金員の限度で被告Y3(以下「被告Y3」という。)と連帯して,150万円及びこれに対する被告学会は同月1日から,被告Y1及び被告Y2は同月6日から,各支払済みまで同割合による金員の限度で被告Y4(以下「被告Y4」という。)と連帯して,150万円及びこれに対する被告学会は同月1日から,被告Y1及び被告Y2は同月6日から,各支払済みまで同割合による金員の限度で被告Y5(以下「被告Y5」という。)と連帯して)を支払え。
2  被告Y3は,原告に対し,600万円及びこれに対する平成17年7月1日(訴状送達の日)から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,300万円及びこれに対する被告学会との関係では同日から,被告Y1及び被告Y2との関係では同月6日から,各支払済みまで同割合による金員の限度で被告学会,被告Y1及び被告Y2と連帯して)を支払え。
3  被告Y4は,原告に対し,300万円及びこれに対する平成17年7月1日(訴状送達の日)から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,150万円及びこれに対する被告学会との関係では同日から,被告Y1及び被告Y2との関係では同月6日から,各支払済みまで同割合による金員の限度で被告学会,被告Y1及び被告Y2と連帯して)を支払え。
4  被告Y5は,原告に対し,300万円及びこれに対する平成17年7月1日(訴状送達の日)から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし,150万円及びこれに対する被告学会との関係では同日から,被告Y1及び被告Y2との関係では同月6日から,各支払済みまで同割合による金員の限度で被告学会,被告Y1及び被告Y2と連帯して)を支払え。
5  被告学会,被告Y1及び被告Y2は,本判決確定後1週間以内に,「創価新報」12面紙上に,別紙謝罪文を掲載せよ。
第2  事案の概要
1  争いのない事実
(1)  当事者等
ア 原告
原告は,昭和34年4月に被告学会に入会し,昭和43年から副理事長を,昭和45年から昭和55年3月まで顧問弁護士を務めたが,同年9月に被告学会を除名され,その後,日蓮正宗(以下「宗門」ということがある。)の信徒となり,執筆及び講演等により,被告学会の批判活動を続けてきた者である。
原告は,昭和39年4月に弁護士登録をしたが,被告学会から恐喝罪で告訴され,逮捕されたことを機に,昭和56年4月24日,東京弁護士会を退会した。
イ 被告ら等
(ア) 被告学会は,昭和27年9月8日に設立された宗教法人であり,「聖教新聞」,「創価新報」等の機関紙を発行している。
(イ) 被告Y1は,被告学会において,昭和35年から昭和54年4月までの間,会長(被告学会の会則上,会務を統括する地位にある。)を務め,その後,名誉会長を務めている者である。
(ウ) 被告Y2は,被告学会において,昭和56年7月から平成18年9月までの間,会長を務めていた者である。
(エ) 亡A2(以下「亡A2」という。)は,大学を卒業後,被告学会の本部職員となり,男子部長及び青年部長等の役職を歴任し,副会長及び責任役員を務めていた者である。
亡A2は,平成16年3月14日に死亡した。亡A2の相続人は,妻である被告Y3並びに子である被告Y4及び被告Y5である。
(2)  本件書籍及び本件各記事
ア 亡A2は,「こんな悪い奴はいない!Xの「嘘」と「闇」」と題する連載記事(全16回。以下「本件連載(1)」という。)を執筆し,平成14年1月16日付け以降の,被告学会発行の「創価新報」に掲載された。
イ 亡A2は,本件連載(1)のうち,第1回ないし第8回連載分を抜粋・加筆し,「人間失格 こんな悪い奴はいない 裁かれたXの正体」と題する書籍(甲1。以下「本件書籍」という。)を執筆し,平成14年6月1日,これが発行された(乙123)。
ウ 被告学会の文芸部青年会議は,「これがXのウソだ!断末魔にあえぐペテン師の虚構を暴く」と題する連載記事(全9回。以下「本件連載(2)」という。)を執筆し,平成16年9月15日付け以降の,被告学会発行の「創価新報」に掲載された。
(3)  本件書籍には,以下の記載がある。
ア 13頁13行目ないし14頁1行目(以下「本件記載①」という。)
「これが端的に出たのが,昭和四五年七月に起こしたA3邸盗聴事件である。当時の学会首脳のだれも発想すらしなかった盗聴なる行為を,対共産党の情報収集と称して,後輩の学生を使って独断で実行するにあたり,弁護士としての,自身の特異な能力,才覚を会内に誇示し,存在感を見せつけようと意図した以外の何ものでもなかった。」
イ 64頁10行目ないし65頁6行目(以下「本件記載②」という。)
「A4法主の寿命縮めたクルーザー遊覧」(小見出し)
「そしてこれは重大問題だが,当時体調を著しく悪くしていたA4法主を,何とこの男は無謀にも,自分がチャーターした遊び友達のクルーザーに乗せて,葉山の墓園用地視察を兼ねて案内しているのだ。銀行関係者まで乗船させて―。しかしこのクルーザー遊覧は,強風で揺れ,A4法主は,体調が悪くなり,途中で予定を変更し,急遽,入院という事態になった。A4法主が逝去したのは,このあと一カ月も経たぬうちだった。
Xの後先考えぬ阿漕な「金儲け」が,ついに「時の法主」の寿命さえ縮めたのだ。これは宗門として,極めて一大事であり,Xの,この時の行動は当然,処分されてしかるべき問題であったが,この男にいいようにかき回された宗門では,当時,だれも問題にすらできなかった。」
ウ 18頁3行目ないし4行目(以下「本件記載③」という。)
「そしてこのマージャンで,現実に昭和六一年には,賭けマージャンの現行犯として築地署に逮捕されている」
エ 47頁8行目ないし14行目(以下「本件記載④」という。)
「因みに,a会からの支援金などを湯水の如く費消した賭けマージャンで,現実にXは,昭和六一年三月,賭博容疑者として,警視庁築地署によって逮捕されている。
Xがよく通ったマージャン屋での賭博マージャンがばれたもので,警察の調べでは,一晩で百万単位で動く賭博を,月二十数回やっていたという。最早,プロのバクチ打ちだったというほかない。
結局,Wさんが悩みに悩んだ末,貸した一千万円は,こうしてギャンブル狂の餌食にされただけだったのである。」
(4)  本件連載(1),(2)には,以下の記載がある。
ア 本件連載(1)の平成14年3月6日付け「創価新報」12面(甲4の2)
(ア) 見出し
「こんな悪い奴はいない!Xの「嘘」と「闇」」(連載見出し)
「Xは“女たらし”の卑しいペテン師」(大見出し)
「「不倫裁判」で暴かれた最低の“裏切り人生”」(大見出し)
「マージャンの賭け金欲しさに甘言で口説き2千万円を騙し取る」(大見出し)
「鬼畜の所業!“恩人”のa会僧夫人とも“密通”」(大見出し)
「a会をも欺いたXの獣欲」(小見出し)
「貢がせ,騙し,最後は“ポイ捨て”」(小見出し)
「“Xものは危ない!”とマスコミ」(小見出し)
(イ) 2段12行目ないし20行目(以下a),6段40行目ないし9段17行目(以下b)(以下,併せて「本件記載⑤」という。)
a 「それは,Xと不倫関係にあった当の女性Wさんが,“親しい関係”になった時,Xに言葉巧みに2千万円以上もの大金を騙し取られたことで,その“貸し金”返済を求めて提訴したのである。」
b 「Xは,Wさんと関係を持っていた,ほぼ同時期,Wさんのよく知る女性と密通していた。その女性とは,何と,Wさんが参詣する寺院の住職・A5の妻だった。
A5といえば,Xが宗門僧で最も世話になった人物。特に,Xが恐喝裁判でピンチに陥った時,「偽証」まで依頼し,それを引き受け,現実に法廷で「偽証」してくれた人間である。いわば,Xにとっての命の恩人,同志の中の同志がA5住職であった。その住職の妻と,盟友の目を盗んで,“ダブル不倫”に及んでいたのである。やれ道念だ,やれaだなどと,もっともらしくごたくを並べ,学会を批判していた裏で,こんな鬼畜も同然の所行に及んでいたのが,Xという男の正体であった。
さらにこの男の卑しさは,Xの住職夫人との不倫に,Wさんが感づき,嫉妬していることを十分,計算した上で,1千万円の無心に悪用していることである。
A5夫人との関係を,Wさんから糾された時,Xは「友達の奥さんとできることは,世間でもよくあることだ」と平然と居直り,何らの負い目も感じていなかった。逆に,Wさんに燃え上がる嫉妬の炎を見越して,「1千万円貸さなかったら後釜を探す」と,いつでも“用済み”にできることを,勝ち誇ったように通告しているのである。
何という汚い奴だ。二人の女性を天ビンにかけて,その女心を手玉に取り,金をせしめ取る手口―ここにXという,卑しいペテン師の“真骨頂”があらわれている。」
(ウ) 8段30行目ないし10段71行目(以下「本件記載⑥」という。)
「Wさんの“貸し金”を巡る,Xの仕打ちが,いかに非人間的なものか,呆れるばかりの経過だが,フィナーレは,もっとひどい結末となっていく。
出獄後のXは,再三にわたるWさんの返済要求にも,姿をくらまし,逃げの一手。
その裏でA5住職夫人との不倫は続け,A5夫妻は,ついに離婚。挙げ句,平成8年には,Xと住職夫人が何と再婚。結局,かつてWさんの追及をかわそうと,「俺が友達の女房を寝取るような泥棒猫みたいなことをすると思うか」と怒鳴ったタンカも白々しく,まさに「友達の女房を寝取る」呆れた“泥棒猫”の正体をあらわしたのである。
事ここに至って,Wさんは,完全にXに騙されたことを知り,貸し金返済訴訟となったわけである。
それにしても,Xが,正義づらして学会を相手に戦う格好をしながら,その裏でやってきた,この20年の,何と唾棄すべきことよ。
ただ女性を弄び,騙してせしめた金で,賭けマージャンに明け暮れ,親友の妻を寝取って,a会を食い尽くす寄生虫だったのだ。
その結果,この男は,人生にとって一番大切な友人,同志の信頼を,自ら次々と裏切り,ますます表を歩けない,裏の“どぶネズミ”の闇生活者に堕す事となってしまったのである。」
(エ) 11段5行目ないし44行目(以下a),5段42行目ないし6段44行目(以下b)(以下,併せて「本件記載⑦」という。)
a 「では,Xが,かくまで強引に,せしめ取った1千万円は,何に必要だったのか。また何に使ったのか―それが,Xの“賭けマージャン”の精算代金に消えていたのでは,というのだから,被害者ならずとも,怒り心頭に発してくる。
Xの度はずれた“マージャン漬け人生”を目撃したWさんの上申書は,告発する。
「Xの生活のパターンは,1日の半分はマージャン屋で過ごし,疲れると自宅に帰って眠り,目を醒ますと,コソコソとあちこちへ電話をかけまくり,それが一段落つくとまたマージャン屋に向かうという乱れきったものです」
「なにしろ完全な博打のマージャンなのです。私が必死に工面したXへの貸し金が,私の目の前で無造作に法律違反の賭けマージャンのお金として使われていくのです」
「a会の多くの信者が,Xを,創価学会と戦う英雄と信じてカンパした浄財が,すべてXの博打の賭け金として薄汚い人々の享楽のお金として消えてしまったのです。それを思うと,今さらながらに,私はXを絶対に許せないのです」」
b 「何というひどい話か。学会と戦う“英雄づら”して,それを信じる檀徒から,やれ裁判費用だ,やれ闘争資金だとカンパや個人の支援金をむしり取っておきながら,その金を,自分の遊興,なかんずく,マージャンの賭け金に使っていたとは―こんな悪い奴はいない。
これは,もう学会,反学会などということは関係ない。Xなる人間が,人間失格の最低の卑劣野郎だということである。」
イ 本件連載(1)の平成14年7月3日付け「創価新報」12面(甲7の3)
(ア) 見出し
「こんな悪い奴はいない!Xの「嘘」と「闇」」(連載見出し)
「A6が怒ったXの「闇金」漁り」(大見出し)
「大量のデマビラで巨額の儲けを独り占め?」(大見出し)
「ビラ代金は直接,現金でXに」(大見出し)
「後からカラクリ知った名義だけの代表・A6「Xとは,もうコリゴリ」と決別」(大見出し)
「怪しげな「民主政治を考える会」」(小見出し)
「告発ファクスで悪事が露見」(小見出し)
「政治資金規正法違反の疑い」(小見出し)
「“疫病神”に踊らされた末路」(小見出し)
(イ) 6段10行目ないし11段28行目(以下a),4段47行目ないし55行目(以下b)(以下,併せて「本件記載⑧」という。)
a 「平成8年暮,全国会議員,マスコミ関係者に「民主政治を考える会」有志名で「絶縁宣言」なるファクスが,送付されたのだ。その中に,この「民主政治を考える会」のビラ制作及び同会の運営,会計のからくりが,余すところなく告発されていた。
それによれば,A6が代表世話人を務める「民主政治を考える会」で,約1億枚にものぼるビラを配布してきたが,「どうにも我慢のならないことが持ち上がりました。それは会を支えてきた私どもの純粋な活動が,発足当初から会を実質的に運営してきたXの金もうけに利用されてきたことです。私どもの会が発行してきたビラはXにとっては個人の金もうけのタネにすぎなかったのです」と,「民主政治を考える会」は,発足以来,Xに実質,運営されてきた,発行してきた約1億枚のビラは,そのXの金儲けに利用されてきたと,強い不満を表明しているのだ。
では,具体的に,Xは,このビラ発行で,どういう金儲けをしていたのか。
「疑惑の第一は,ビラの作成代金に関してです。これまでビラは各宗教団体などには基本的に1枚3円で買っていただいてきました。ところが最近,出版・印刷関係に詳しい人間に聞いて分かったことなのですが,この主(ママ)の印刷物の場合,印刷代・紙代・折り代など一切合切を含めても,原価はせいぜい1円50銭なのです。かりに原価を1円50銭としましょう。売価が3円として,1円50銭の差益が生まれます。1枚をとってみれば,たかが1円50銭ですが,ビラの発行部数は,たとえば第5号を例に取れば,1千万部にものぼるのです。その全部が売れたとして,実に1千500万円もの差益が出るわけです。しかしXはこの利益につき私どもに報告していません。この利益は,いったいどこに消えたのでしょうか。私どもは,Xが何らかの細工をほどこしたに違いないと確信しています……ビラは号によって部数に変動がありましたし売れ残った分もありますが,各号とも1千万枚売れたとして,発行したのは,6号ですから,ビラの制作費の差益だけで約1億円もの金をXが懐にしていたことになります」
つまりビラの原価と購入価格の差益が,6回分で総計約1億円にのぼり,それがまずXに直に入ったと告発しているのである。
しかもこの告発は,これだけでは終わらない。「第二の疑惑はもっと深刻」として,驚くべきビラをめぐる金銭授受の流れを明かしている。
「通常,会の口座に振り込まれてくるビラの代金が,こと自民党の場合に限っては,現在自治大臣をされている白川勝彦党総務局長からXが直接,現金でもらってきていたことです。つまりXが白川代議士から受け取った何億円にものぼる金の額が本当はいくらなのか,X以外の誰も知らないし,そこからXがいくら抜こうが,誰にも分からない仕組みになっていたのです……私どもはXが自民党よりビラの制作費のみならず配布代もせしめていたのではと疑っています」
合計6回,約1億枚にものぼるビラの制作費等の会計の流れが,自民党の党本部から,「民主政治を考える会」への口座ではなく,当時自民党で,この学会攻撃ビラの担当窓口だった白川勝彦総務局長から,X個人に現金で支払われていたというのである。
全くXのやりたい放題の,信じられない治外法権の世界が「民主政治を考える会」の実態であったようだ。
誰が見てもおかしな金の支払いの仕組みについて,当のXは,仕事仲間には「自民党がどうしてもそうしてくれというのだから仕方がない。自分が好き好んで現金での支払いを指定しているのではない」と,しゃあしゃあと厚顔にも自民党のせいにしているのである。
振り込みでなく,わざわざ現金授受という形にしたところに,Xの作為があったことは疑う余地がない。もとよりそれは代表世話人に担ぎ上げられたA6など,最初からはずされて,知らない話であった。
A6は,代表世話人の自分も知らないところで,自民党とXの間で,大量の現金の授受が行われたことを後で,知り激怒した。
「白川を一時期は追及したよ。『いくら渡したのか』と」。しかし,そういうことを表にできないのが裏金だからと合点し「『もう勝手にしろ』と,『バカヤロー』と,俺は白川にも大バカ呼ばわりした」と,件のA5との電話で,経過を明らかにしている。」
b 「俺はもう,Xとはもう,コリゴリなんだから。とにかく,そのチラシで何億円かの金を自民党からせしめて,その金を山分け,何人かでして,そいでいま,ケンカしているんだ。その連中が」
ウ 本件連載(2)の平成17年2月2日付け「創価新報」9面(甲15の2)
(ア) 見出し
「1974年~75年 土地転がしで巨額の裏金を懐に」
(イ) 2段3行目ないし3段15行目(以下「本件記載⑨」といい,本件記載①ないし⑨を総称して,「本件各記載」という。)。
「ペテン男の悪事は,静岡県富士宮市での「土地転がし」から始まる。
大石寺に正本堂が完成しつつあった1972年(昭和47年)頃,妙信講(現・顕正会)が国立戒壇を主張して騒いでいた。
当時,学会の顧問弁護士だったXは,この妙信講問題を担当。宗門中枢に近づくなかで,富士宮近郊に大石寺が19万坪の遊休地を所有している情報を得る。
すでにこの時,宗教を金儲けの手段としかとらえていなかったXは,この土地を格安で払い下げさせようと暗躍し,内諾を得た。
そして74年末,地元の有力事業家で市議会議員でもあった人物H氏と組み,ダミー会社を設立した後,まんまと19万坪の土地を買い受けたのだ。
当初,Xはそこにゴルフ場を建設しようと目論んだ。だが開発許可が下りず,頓挫。すると,宙に浮いた土地を,今度は墓園用地にしようと画策。ダミー会社名義で購入した土地を転売して,5千万円ものマージンを手にした。「土地転がし」である。
さらにXは,顧問弁護士という立場を悪用し,墓園の建設事業への参入を取り計らうとH氏に約束して4億円とも5億円ともいわれる巨額の金を手にしたのだ。」
2  本件事案
本件は,原告が,本件書籍及び本件連載(1),(2)により,名誉を毀損され,また,プライバシーを侵害されたと主張して,被告らに対し,不法行為に基づき,以下の損害賠償(一部請求)及び謝罪文の掲載を求める事案である。
(1)  損害賠償及び遅延損害金の支払
ア 本件書籍による名誉毀損及びプライバシー侵害について
被告Y3に対し300万円,被告Y4及び被告Y5に対し各150万円の損害賠償及び遅延損害金の支払
イ 本件連載(1)による名誉毀損及びプライバシー侵害について
(ア) 被告学会,被告Y1及び被告Y2に対し,連帯して600万円の損害賠償及び遅延損害金の支払(ただし,300万円及びこれに対する遅延損害金の支払の限度で被告Y3と連帯して,150万円及びこれに対する遅延損害金の支払の限度で被告Y4と連帯して,150万円及びこれに対する遅延損害金の支払の限度で被告Y5と連帯して)
(イ) 被告Y3に対し300万円,被告Y4及び被告Y5に対し各150万円の損害賠償及び遅延損害金の支払(それぞれ被告学会,被告Y1及び被告Y2と連帯して)
ウ 本件連載(2)による名誉毀損について
被告学会,被告Y1及び被告Y2に対し,連帯して400万円の損害賠償及び遅延損害金の支払
(2)  被告学会,被告Y1及び被告Y2に対し,別紙謝罪文の掲載
3  争点
(1)  本件各記載が原告の名誉を毀損するか
(2)  真実性又は相当性の法理に基づく違法性又は責任阻却の成否
ア 本件各記載が,公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的で掲載されたか
イ 本件各記載が摘示する事実等が真実であり,又は真実と信ずるについて相当の理由があるか等
(3)  言論の応酬(対抗言論)の法理に基づく違法性阻却の成否
(4)  本件記載④,⑥が原告のプライバシーを侵害するか
(5)  被告らの責任の有無
(6)  原告の損害の有無及び額
(7)  謝罪文掲載の必要性及び相当性
第3  争点に関する当事者の主張
1  争点(1)(本件各記載が原告の名誉を毀損するか)
[原告の主張]
(1) 本件記載①(A3邸盗聴事件に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載①は,「昭和45年の被告学会によるA3邸電話盗聴事件を,原告が自己の能力及び才覚を学会内に誇示し,存在感を見せつけるために,独断で行なった。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
原告は,被告学会首脳の指示に基づき,資金を提供されて,被告学会の学生部幹部を使って,組織的に電話盗聴を行ったものであるところ,かかる犯罪行為を,原告が,自己の能力,才覚を会内に誇示し,存在感を見せつける目的で独断で行ったとする前記アの事実は,原告の社会的評価を低下させるものである。
(2) 本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載②は,「原告は,日蓮正宗第66世法主であるA4上人(以下「A4」という。)を体調不良にもかかわらずクルーザーに乗せて,体調を悪化させ,急遽入院という事態を招いた。原告の阿漕な金儲けのために,時の法主の寿命を縮めた。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
前記アの事実は,原告の日蓮正宗における信徒としての評価及び社会的評価を低下させるものである。
(3) 本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載)について
ア 摘示事実
(ア) 本件記載③は,「原告が,昭和61年に,麻雀賭博の現行犯として逮捕された。」との事実を摘示するものである。
(イ) 本件記載④は,「原告が,月20回,一晩100万円単位の賭けマージャンを行い,支持者からの浄財をほとんどつぎ込み,昭和61年3月,麻雀賭博の被疑者として逮捕された。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
前記アの逮捕は誤認逮捕であり,原告は,逮捕から24時間後に,無実として釈放され,何ら処罰を受けていない。にもかかわらず,同逮捕から15年以上経過した後に,前記アの各事実を摘示することは,一般の読者をして,「原告が,麻雀賭博を行い,賭博罪で処罰された。」との印象を抱かせるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(4) 本件記載⑤ないし⑦(不倫及び麻雀賭博に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載⑤ないし⑦は,以下の事実を摘示するものである。
(ア) 本件記載⑤
「原告が,大分県在住の女性Wと関係を結び,大金を騙し取った。同時に,原告は,A5(以下「A5」という。)の妻とも不倫関係にあった。」との事実
(イ) 本件記載⑥
「原告が,出獄後,A5の妻との不倫関係を続けたため,A5夫妻は離婚した。原告は,平成8年,A5と離婚した妻と再婚し,友人の妻を寝取り泥棒猫の本性を現した。原告は,20年間,ただ女性を弄び,騙してせしめた金で賭け麻雀に明け暮れ,親友の妻を寝取り,a会を食い尽くした。原告は,同志や友人を裏切り,裏のドブネズミの闇生活者に堕した。」との事実
(ウ) 本件記載⑦
「原告は,Wからせしめ取った1000万円を,ほとんど麻雀賭博の精算につぎ込んだ。a会の信徒からむしり取ったカンパや支援金を麻雀の賭け金に使い,うす汚い人々の享楽の金として使った。」との事実
イ 名誉毀損性
前記アの各事実は,前記第2の1(4)ア(ア)記載の見出しと相まって,原告の社会的評価を低下させるものである。
(5) 本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載⑧は,「A6(以下「A6」という。)が名前を貸して代表世話人となっている「民主政治を考える会」(以下「考える会」という。)を実質的に運営していた原告が,ビラの発行で,数億円もの「闇金」を手に入れた。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
前記アの事実は,前記第2の1(4)イ(ア)記載の見出しと相まって,原告の社会的評価を低下させるものである。
(6) 本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載⑨は,「原告は,大石寺所有に係る富士宮市所在の遊休地で土地転がしを行い,5000万円ものマージンを取得した。原告は,地元の有力者に墓園工事参入を取り計らうと約束して,4億円とも5億円とも言われる金を手にした。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
前記アの事実は,前記第2の1(4)ウ(ア)記載の見出しと相まって,一般の読者をして,原告が,被告学会の首脳又は顧問弁護士として関与した職務の遂行過程で,不正に私腹を肥やしたとの印象を抱かせるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
[被告らの主張]
(1) 本件記載①(A3邸盗聴事件に関する記載)について
ア 摘示事実について
(ア) 原告の主張のうち,A3邸電話盗聴事件が,「被告学会による」ものであるとの部分は争う。
(イ) 本件記載①の直前には,「功名心それ自体は,皆大なり小なりもっており,非難されるべきことではない。問題はそのあらわし方である。この男は,それを正当の方法ではなく,人の裏をかいて,あっと驚かす奇抜な思いつきや謀略に血道を上げることで示そうとした」(本件書籍13頁7行目ないし9行目)と記述されている。
かかる文脈を踏まえれば,一般の読者は,原告の「功名心」の「あらわし方」が「正当の方法ではなく,人の裏をかいて,あっと驚かす奇抜な思いつきや謀略に血道を上げることで示そうとした」例として,本件記載①において,「当時の学会首脳の誰も発想すらしなかったA3邸電話盗聴を,原告が独自に発案して計画を立て,後輩の学生に指示して実行させた。」との事実を摘示するものと理解するのが通常である。
イ 名誉毀損性について
原告の主張は争う。
(ア) A3邸盗聴事件とは,昭和45年7月,当時共産党中央委員会委員長のA3(以下「A3」という。)の私邸の電話線に盗聴器が仕掛けられていたことが発覚したという事件である。
(イ) 原告は,昭和55年4月28日から同年5月17日にかけて,被告学会に対し,A3邸盗聴事件等に関し虚実を織り交ぜて公表する旨脅迫して3億円を喝取し,また,同月18日から同年6月4日にかけて,原告の要求に応じなければ,今後もマスコミにA3邸盗聴事件等に関し虚実を織り交ぜて公表する旨脅迫し,5億円を喝取しようとした。そこで,被告学会は,同月5日,原告を恐喝罪で警視庁に告訴した。
これを知った原告は,マスコミを利用して被告学会を攻撃することで告訴を取り下げさせ,また,告訴が原告の口封じのための謀略であるかのように世間にアピールし,捜査を牽制して逮捕を免れようと考え,A3邸盗聴事件は,原告が発案計画し,被告学会首脳が了承した上で犯行に至ったものであると,虚実を織り交ぜて,週刊誌や自身の著書等を通じて,自ら世間に公表した。
その後,原告は,昭和56年1月24日,恐喝の被疑事実で逮捕され,平成3年1月,懲役3年の実刑判決が確定し,同年2月に刑務所に収容された。(以上を,以下「恐喝事件」ということがある。)
(ウ) 原告は,平成5年4月に仮釈放された後,恐喝事件は被告学会が仕組んだ冤罪であるとマスコミ等を通じて社会に公言するとともに,A3邸盗聴事件に関し,再び虚実を織り交ぜて,週刊誌や自身の著書等で自ら積極的に取り上げて世間に喧伝し,これを被告学会に対する攻撃材料として,現在まで積極的に利用し続けている。
(エ) 以上のように,A3邸盗聴事件に関する原告の社会的評価は,原告自身の昭和55年から現在までの言動によって低下していたものであり,本件記載①によって,原告の社会的評価が改めて低下することはない。
(2) 本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)について
ア 摘示事実について
(ア) 原告の主張は,本件記載②が,「原告が,体調不良のA4をクルーザーに乗せた結果,A4が体調を悪化させた。」との事実を摘示するものであるとの限りにおいて認める。
(イ) 本件記載②は,株式会社シーホース(以下「シーホース」という。)の経営をめぐる原告の詐欺的商法の紹介に付随して,原告が墓園事業で巨利を得た事実を紹介し,原告が,その後再び,墓園事業による金儲けに執着していた一つのエピソードを紹介したものである。かかる文脈によれば,本件記載②は,以下aないしdの事実を前提とした,「原告がA4をクルーザーに乗せた行為が,自らの金儲けに執着する余りの思慮を欠いた行動であった。」との意見ないし論評を表明するものである。
a 「原告が,昭和50年以降,被告学会の顧問弁護士として,同会の墓園事業に中心的に関わる中で,その地位を悪用し,関係業者と癒着して巨額の私利を計っていた。」との事実
b 「原告が,昭和54年6月,自らの金儲けのために始めたシーホースの資金繰り等のために,日蓮正宗の墓園計画に絡めて,A4を利用しようとしてクルーザー遊覧を計画した。」との事実
c 「高齢で心臓病等を患っていたA4が,実際にクルーザーに乗船して体調を悪化させた。」との事実
d 「A4が,クルーザー遊覧の約1か月後に死去した。」との事実
イ 名誉毀損性について
原告の主張は争う。
(3) 本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載)について
ア 摘示事実について
(ア) 本件記載③は,本件書籍中,原告が人生を狂わせた金儲けに走った理由が,派手な遊び志向にある,との記述に続く部分であって,「原告が,賭け麻雀に耽り,昭和61年に,麻雀賭博の被疑事実で逮捕された。」との事実を摘示するものである。
(イ) 本件記載④は,「原告が,被告学会との闘争資金であるなどとして支援金を募りながら,それらを自らの遊興,なかんずく賭け麻雀に使い,麻雀賭博の被疑事実で逮捕までされた。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性について
原告の主張は争う。
原告は,本件記載③,④が摘示する事実が,一般の読者をして,原告が麻雀賭博を行い,賭博罪で処罰されたとの印象を抱かせる旨主張するが,同記載は,原告が麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたとの事実を指摘したにすぎず,原告が賭博罪で処罰されたとの印象を与えるものではない。
(4) 本件記載⑤ないし⑦(不倫及び麻雀賭博に関する記載)について
ア 摘示事実について
(ア) 本件記載⑤について
a 本件記載⑤が,「原告が,大分県在住の女性Wと関係を結んだ。」との事実,「原告は,Wと不倫関係にあったほぼ同時期に,A5の妻とも不倫関係にあった。」との事実を摘示するものであることは認める。
b 本件記載⑤が,「原告が大金を騙し取った。」との事実を摘示するものであることは争う。
これは,事実を摘示するものではなく,以下(a)ないし(c)の事実を前提とした,意見ないし論評を表明するものである。
(a) 「原告が,Wと男女関係にあった。」との事実
(b) 「原告が,Wと男女関係になってから,その関係を利用して,Wに対し,甘言を弄したり,別れ話を持ち出すなどしながら,大金を引き出した。」との事実
(c) 「原告は,仮釈放後,Wとの交際を絶って,Wからの金員の返還要求にも一切応じようとしなかった。」との事実
(イ) 本件記載⑥について
a 本件記載⑥は,「原告が,A5の妻との不倫関係を続け,A5夫妻は離婚した。原告は,平成8年,A5の別れた妻と再婚した。」との事実を摘示するものである。
b 本件記載⑥が,「友人の妻を寝取り泥棒猫の本性を現した。」との事実を摘示するものであることは争う。
これは,事実を摘示するものではなく,以下(a),(b)の事実を前提とした,意見ないし論評を表明するものである。
(a) 「原告が友人であるA5の妻と不倫関係に及んでいた当時,Wが原告とA5の妻との不倫に感付いて原告を追及した際に,原告が,「俺が友達の女房を寝取るような泥棒猫みたいなことをすると思うか。」と怒鳴った。」との事実
(b) 「その後,A5夫妻は離婚し,原告がA5の妻と再婚した。」との事実
c また,原告が事実の摘示と主張するその他の部分(「原告は,20年間,ただ女性を弄び,騙してせしめた金で賭け麻雀に明け暮れ,親友の妻を寝取り,a会を食い尽くした。原告は,同志や友人を裏切り,裏のドブネズミの闇生活者に堕した。」との部分)は,本件記載⑤,⑥を含む本件連載(1)の平成14年3月6日付け「創価新報」12面の結論の一部であり,「原告がa会寺院の女性信徒Wと不倫関係に及び,その不倫関係を利用してWに大金を出させていたばかりか,ほぼ同時期に,友人であるA5の妻とも不倫関係を結び,さらには,a会やWなどからの支援金等を賭け麻雀に費消していた。」との事実を前提とした,意見ないし論評を表明するものである。
(ウ) 本件記載⑦について
本件記載⑦は,「原告が,不倫関係にあったWやa会の多くの信者から,裁判費用や闘争資金等として受けた支援金等を,自らの賭け麻雀に費やしていた。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性について
原告の主張は争う。
(5) 本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)について
ア 摘示事実について
(ア) 本件記載⑧が,「原告が,A6が名前を貸して代表世話人となっている「考える会」を実質的に運営していた。」との事実を摘示するものであることは認める。
(イ) 本件記載⑧が,「原告が,ビラの発行で数億円もの「闇金」を手に入れた。」との事実を摘示するものであることは争う。
これは,事実を摘示するものではなく,以下a,bの事実を前提とした,「原告が,「考える会」のビラ発行に絡んで,「闇金」を取得した疑惑がある。」との意見ないし論評を表明するものである。
a 「原告が自民党と共闘して作成・大量配布した「考える会」のビラが,自民党の選挙対策として極めて大きな成果を上げた。」との事実
b 「原告が自民党から直接現金で受け取っていたビラ代金等の額が,原告にしか分からないという極めて不明朗な仕組みになっており,また,ビラの原価と売値の間に差益が生じる状況があった。」との事実
イ 名誉毀損性について
原告の主張は争う。
(6) 本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)について
ア 摘示事実について
本件記載⑨は,「原告が,学会の顧問弁護士でありながら,その立場を悪用し,業者と癒着し,同会の墓園建設事業に絡んで,土地転がし等により,多額の裏金を手にするといった,弁護士にあるまじき背信行為を行った。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性について
原告の主張は争う。
2  争点(2)ア(本件各記載が,公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的で掲載されたか)
[被告らの主張]
(1) 本件連載(1)及び本件書籍の執筆の経緯及び目的
ア 原告は,昭和52年ころから表面化した日蓮正宗と被告学会間の軋轢(いわゆる宗門問題)に乗じて,日蓮正宗の宗教的権威を利用して被告学会を支配しようとして,昭和53年春ころには,A4に深く取り入り,A4あての謀略文書を作成して,A4の被告学会に対する猜疑心・不信感を煽り,被告学会攻撃を扇動し,密かに両者の離間工作を画策した。
昭和54年4月,原告の離間工作が奏効し,被告Y1が被告学会の会長職及び日蓮正宗の信徒最高位である法華講総講頭を辞任するに至り,原告は,同年5月,A4から,総講頭に次ぐ法華講大講頭に任命された。
同年7月にA4が死去すると,原告は,A4の後任法主のA8(以下「A8」という。)に被告学会攻撃を進言したが,排斥された。そこで,原告は,当時の宗内最大勢力であったA4の弟子を中心とした活動家僧侶を利用して,宗内行政の実権を握ろうと画策した。
他方,原告が昭和51年ころから経営を始めた冷凍食品会社であるシーホースは,当初から赤字続きで,原告は,シーホースが倒産した場合,活動家僧侶の信頼を失うと考え,シーホースの延命のため,倒産の危機に瀕していた昭和54年後半以降,なりふり構わぬ資金繰りをするようになった。そして,原告は,活動家僧侶やマスコミによる被告学会攻撃を激化させることで,被告学会をして,原告をなだめる必要があると思わせ,シーホースに対する資金援助をさせることが可能となると考え,同年9月下旬以降,原告が被告学会のA10教学部長に指示して持ち出させた被告学会の内部資料を活動家僧侶やマスコミに流し,被告学会の悪宣伝を激化させた。また,原告は,被告学会の脱会者を使って,被告学会に対して供養金返還を求める集団訴訟(特財返還請求訴訟)の訴状原案や記者会見用の声明文を起案するなどして,被告学会を追い詰めていった。
原告は,このような謀略を行いながら,被告学会に対して援助を要求し,被告学会攻撃が激化している中で原告の要求を拒絶することの危険を慮る被告学会をして,昭和54年11月から同55年2月までの間,原告に対し,合計1億7300万円もの金員を支出させた。
原告は,同年3月,被告学会の顧問弁護士を解任された。
原告は,同年4月10日以降も,被告学会に対し,金員を要求したが,結局,シーホースは,同月15日と16日に不渡手形を出して倒産した。
原告は,同年6月に被告学会が原告を恐喝罪で警視庁に告訴したことを知り,逮捕を免れるため,被告学会に陥れられたなどとして頻繁にマスコミに登場し,被告学会を攻撃した。また,原告は,昭和56年1月に恐喝の被疑事実で逮捕され,同年2月に起訴された後も,恐喝事件裁判を牽制するために一段とマスコミを利用し,自ら書籍を発行するなどして,平成3年2月に刑務所に収容されるまで,被告学会攻撃を激しく扇動した。
原告は,平成5年4月に仮釈放された後も,何ら反省することなく,恐喝事件は被告学会の集団偽証による冤罪であると主張し,被告学会の元顧問弁護士・幹部という肩書を売り物にして,「正義の告発者」を装い,マスコミ界,政界及び宗教界等を巻き込みながら,被告学会に対する攻撃を内容とする書籍を多数発行し続けた。
イ 亡A2は,原告の大学の後輩で,原告の本性を最もよく知る人物であり,被告学会の諸活動を通じ,原告と深い関わりがあった。
そこで,亡A2は,原告の被告学会攻撃への対抗言論として,昭和56年1月,「謀略 X弁護士の黒い手口」と題する書籍(甲205)を発行し,サンデー毎日に,昭和57年11月から昭和58年2月まで,「虚構の崩壊」と題する連載記事(全16回)を寄稿し,これに加筆して,同年3月,「創価学会の真実 崩壊したX,A9らの策略」と題する書籍(乙18)を発行してきた。
そして,亡A2は,原告が,平成5年に仮釈放された後も,恐喝事件は冤罪であると主張して,被告学会攻撃を広範かつ執拗に行っていることへの対抗言論として,原告の活動実態を明らかにする総集編として,平成14年に改めて筆を執り,「創価新報」紙上に本件連載(1)を執筆し,これを抜粋・加筆して,本件書籍を発行したものである。
ウ 本件連載(1)及び本件書籍の目的は,マスコミ界,政界及び宗教界等が,これ以上原告の謀略に利用されないようにするために,原告の嘘と欺瞞を指摘し,真実及び正義を明らかにする点にあり,また,社会が再び原告から被害を被らないように警鐘を鳴らす点にある。
(2) 本件連載(2)について
本件連載(2)の主題は,「これがXのウソだ!断末魔にあえぐペテン師の虚構を暴く」とのタイトルから明らかなように,原告の嘘と虚構を指摘して,読者に真実を訴えかけることにある。
また,本件連載(2)の目的は,原告が顧問先に対する恐喝という前代未聞の犯罪を犯しながら,反省せずに逆恨みし,被告学会攻撃に血道を上げていることを指摘し,原告がかかる動機の下に寄せた虚偽のコメントを,一部マスコミが無批判に掲載し,被告学会批判に利用していることへの対抗言論として,一部マスコミの在り方について社会に問題提起をし,報道姿勢を改めるよう訴えるために,原告の犯した悪事の実態を正しく認識させる点にある。
(3) 以上によれば,本件各記載は,公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的で掲載されたものである。
[原告の主張]
(1) 被告学会は,マスコミ等による批判を様々な手段で抑圧する一方,財力に任せた一方的な宣伝をしており,自由と民主主義社会に有害かつ危険な存在であり,その活動は,指導者である被告Y1の指揮等を反映して,時に反社会性を帯び,国家及び社会に弊害を及ぼし,世論の批判を浴びてきた。
原告は,日蓮正宗の信徒団体であった被告学会の中枢幹部として,被告Y1の指示のまま,スキャンダルの隠蔽や,様々な反社会的行為に加担してきたが,被告Y1が,被告学会の私物化を進め,日蓮正宗の教義に違背して反逆する姿勢を示したことに反対し,日蓮正宗を守るために行動したことから,被告Y1から反逆者とみなされて追放され,様々な迫害を受けるに至った。原告は,その後,被告学会に在籍した約10年間に体験見聞した,被告学会の反社会的な体質や矛盾する実態等に関する批判活動を行ってきた。
これに対し,被告学会は,原告の口封じのために,恐喝事件をでっち上げ,原告に対する個人攻撃を繰り返し,原告が仮釈放された後も被告学会批判を続けるのに対し,原告に対する卑劣な個人攻撃を展開した。
(2) 本件書籍及び本件連載(1),(2)は,その一環であり,「こんな悪い奴はいない!Xの「嘘」と「闇」」とのタイトル等から明らかなとおり,原告を貶め,中傷し,社会的に抹殺するためのキャンペーンであることが明らかである。
原告は,日蓮正宗と被告学会との抗争の際,自身の信仰及び「日蓮正宗の信徒団体である」との被告学会の本来の目的に従い,日蓮正宗側に加担し,被告学会の教義の誤りを正す行動に協力したために,被告学会から,「裏切り者」として追われるに至る経緯の中で,被告Y1の人物像を社会に暴露し,これによって,被告Y1の野望(日蓮正宗を乗っ取り,自らを本仏化し,宗教を利用して我が国の最高権力者になろうというもの)を挫折させたものであるが,本件書籍及び本件連載(1),(2)は,原告が被告Y1の野望を挫折させたことに対する被告Y1の憎悪と怨念に基づき,専ら被告学会及び被告Y1による報復及び批判の抑圧という,恣意的で反社会的な目的の下に行われたものである。
(3) 以上によれば,本件各記載は,公共の利害に事実に関する事実に係るものではなく,また,専ら公益を図る目的でされたものでもない。
3  争点(2)イ(本件各記載が摘示する事実等が真実であり,又は真実と信ずるについて相当の理由があるか等)
[被告らの主張]
(1) 本件記載①(A3邸盗聴事件に関する記載)について
ア 前記1[被告らの主張](1)ア記載の,本件記載①が摘示する事実は,以下イのとおり,真実であり,又は,執筆者である亡A2が真実と信ずるについて相当の理由がある。
イ 真実性及び相当性
(ア) A3邸盗聴事件に関し,A3が,原告,事件当時被告学会副会長のA13並びに被告学会学生部幹部のA11,A12及びA14(以下,それぞれ「A13」,「A11」,「A12」,「A14」という。)に対して損害賠償を求めた民事訴訟(以下「盗聴事件訴訟」という。)の第1審判決(甲22)は,(a)原告が電話盗聴を計画し,A11及びA12が準備して盗聴器を設置し盗聴したことにつき,争いがない事実とした上,(b)当時の政治的,社会的情勢からして,被告学会の副会長のA13が,発覚したときは窮地に陥ることが明らかな電話盗聴を積極的に計画し,原告に指示して実行させたものとは考えられない旨認定している。
(イ) また,盗聴事件訴訟の控訴審判決(甲23)は,A13の関与を認定したが,以下の事情からすれば,かかる認定は誤りであるし,亡A2も,A13の関与はないと確信していたものである。
a 昭和43年9月の日中国交正常化提言に象徴される被告学会の方針や,昭和45年5月の共産党に対する基本方針発表という経緯に照らし,これと相反するA3邸盗聴事件に,被告学会の副会長のA13が関与し,容認することはあり得ない。
b 被告学会が原告を恐喝罪で告訴したのは昭和55年6月5日であるところ,原告がA3邸盗聴事件を公表したのも同年6月であり,その動機は,自らの逮捕を免れるため,被告学会首脳の関与をでっちあげることにより,被告学会を牽制しようとしたものと考えられる。
c 原告が,被告学会の組織的関与を示すために当初主張していた盗聴機材及び資金に関する話は,不合理に変遷している。
d 原告は,公表後しばらくしてから,被告Y1の関与を付け加えたが,法廷で弾劾され,作り話であることが明らかになっている。
e 原告は,原告の悪事を暴く言論活動をしていたA14の口封じ目的で,A14をA3邸盗聴事件の実行犯の1人であると公表したが,盗聴事件訴訟の第1審判決は,これを排斥している。
f 「A5回想録」(乙31の2)には,原告が,A5に対し,A13にはA3邸盗聴を事後報告したと語ったこと等が具体的に記載されている。
ウ したがって,本件記載①が摘示する事実は真実であり,又は,亡A2が真実と信ずるについて相当の理由がある。
(2) 本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)について
ア 前記1[被告らの主張](2)ア(イ)aないしd記載の,本件記載②が表明する意見ないし論評の前提となる事実は,以下イ,ウのとおり,真実であり,又は,執筆者である亡A2が真実と信ずるにつき相当の理由がある。
イ 真実性
(ア) 「原告が,昭和50年以降,被告学会の顧問弁護士として,同会の墓園事業に中心的に関わる中で,その地位を悪用し,関係業者と癒着して巨額の私利を計っていた。」との事実について
原告は,昭和50年以降,被告学会の墓園事業(現富士桜自然墓地公園。以下「富士桜墓園」という。)に,顧問弁護士として中心的に関与した際,関係業者のA15(以下「A15」という。)と癒着し,多額のマージンを得るなどした。このことは,恐喝事件裁判の第1審判決(乙1)でも,A15からシーホースに対し,総額12億7300万円もの資金援助がされたことが認定されている。
(イ) 「原告が,昭和54年6月,自らの金儲けのために始めたシーホースの資金繰り等のために,日蓮正宗の墓園計画に絡めて,A4を利用しようとしてクルーザー遊覧を計画した。」との事実について
a 原告が昭和51年11月ころから経営を始めたシーホースは,当初から毎月多額の欠損が生じていた。なお,原告が,自らの金儲けのためにシーホースの経営を始めたことは,恐喝事件裁判の第1審判決でも認定されている。
b 一方,原告は,昭和52年以降に生じた被告学会と日蓮正宗との軋轢に乗じて,両者の離間工作を行い,A4の信任を得ることに成功し,日蓮正宗の宗教的権威を利用して,被告学会の支配を企てた。
また,原告は,富士桜墓園事業に絡み,多額のマージンを得るなどしていたことから,墓園事業は金になると考え,昭和54年6月当時,シーホースが多額の負債を抱えていたことから,再び,墓園事業に絡んで巨利を得ることや,墓園事業を名目に金融機関から更なる融資を得ることを考えていた。
c 原告は,昭和54年6月21日,弘信商事株式会社(富士桜墓園の建設工事資金をA15に融資した金融会社。以下「弘信商事」という。)のA16常務(以下「A16常務」という。)と,A15の関係者であるA17(以下「A17」という。)を連れて,A4を葉山の土地に案内し,同土地が墓園用地に適している旨説明した。原告の狙いは,原告とA4との親密な関係を見せつけ,弘信商事とA15をして,原告が関与する日蓮正宗の墓園建設計画実現の際にも事業に関与させてもらえるよう,原告に便宜を図ることに損はないと思わせ,シーホースに対する資金援助等を引き出すためであったと推測される。
d 実際,A15のシーホースに対する資金援助は昭和55年2月まで続き,その総額は12億7300万円に及んだ。また,株式会社イチビル(弘信商事の関係会社)の,株式会社東海総業(シーホースの金融部門)に対する与信枠は,当初1億3000万円だったのが,クルーザー遊覧直後の昭和54年7月には,4億円に増額されており,このことは,恐喝事件裁判の第1審判決でも認定されている。
さらに,原告は,A4の本葬の際,行列の先頭を,先端に錫の付いた金棒をシャンシャンと鳴らして,額の汗を拭きながら,いかにも辛そうに歩いていたが,その翌日,A5に対し,「なに,大したことじゃないよ。銀行関係者を僕が葬式に呼んでおいたからね。あの連中の前でシャン,シャン,シャン,シャンという行列に僕がY1さんと並んで歩んでいるのを見たら,あいつらはいくらでも金を貸してくれるんだよ。だからあのシャン,シャンという金棒の先から札が降ってくると思えば,どうってことないさ。あれぐらい歩くことなんか。」と述べていたことからも,前記cの原告の狙いが窺われる。
e なお,原告は,A4がクルーザーに乗ってみたいと述べていたから乗船させただけである旨主張するが,当時77歳という高齢で,心臓疾患で治療中のA4が,信徒の原告に対し,クルーザー遊覧を依頼すること自体不自然である。
また,原告は,葉山の墓園用地視察は,A4が日蓮正宗総本山の大石寺の墓園用地を探すように要請したことに端を発するものである旨主張するが,かかる主張は,原告がA18にあてた昭和55年1月31日付け書簡(乙220)において,葉山の墓園用地が被告学会の墓園用地であるとされている点において矛盾している。さらに,A4から墓園用地を探すように要請された旨の主張に係る委任状(乙221)は,委任者欄とそれ以外の部分において,「○」の字の活字及び数字のポイントが異なっているなど,体裁自体不自然である。この点につき,原告は,本人尋問において,委任者である日蓮正宗が白紙委任状を交付したなどと,およそ不合理な弁解をしており,上記委任状が,原告により偽造されたものであることは明らかである。
(ウ) 「高齢で心臓病等を患っていたA4が,実際にクルーザーに乗船して体調を悪化させた。」との事実について
A4は,当時77歳という高齢で,重い心臓病を患っており,また,クルーザー遊覧当日(昭和54年6月21日)は,同月19日に北海道長万部での葬儀等から戻ったばかりで疲労が蓄積しており,大変顔色が悪かった。そして,A4は,葉山マリーナから乗船後間もなく,波風による揺れから体調を悪化させ,熱海行きの予定を急遽変更して,江の島で下船したものである。
(エ) 「A4が,クルーザー遊覧の約1か月後に死去した。」との事実について
その後,A4は,一旦は体調を持ち直し,法主の職務を行ったが,クルーザー遊覧から約1か月後の昭和54年7月22日に死亡した。
A4の死因は,心筋梗塞又は腹部解離性大動脈瘤とされているが,高齢者や持病を抱える者が船酔いにかかった場合,脱水症状をはじめ,大変な病気を引き起こす要因となる可能性が指摘されており,クルーザー遊覧による体調悪化という急激な血圧変動が,高齢で脆くなった血管に悪影響を与えた可能性は否定できない。
(オ) 以上によれば,本件記載②が表明する意見ないし論評の前提となる事実は,真実である。
ウ 相当性
(ア) 被告学会は,昭和54年6月下旬ころ,A4が同月21日のクルーザー遊覧後,体調を悪化させて入院したとの情報を得た。そして,関係者の事情聴取等から,同日に葉山の墓園用地視察が行われ,弘信商事のA16常務と,A15の関係者のA17が同行していたことが明らかになった。
(イ) クルーザー遊覧直後の同年7月15日付けで,イチビルの東海通商に対する与信枠が大幅に拡大していることが,恐喝事件裁判の第1審判決でも認定されていた。
(ウ) A4の死因は,腹部剥離性大動脈瘤による心筋梗塞とされているが,A19(以下「A19」という。)が医師に意見を聞いたところ,クルーザー遊覧による体調悪化という急激な血圧変動が,高齢で脆くなった血管に悪影響を与え,A4の病気の悪化を促進した可能性は否定できないとのことであった。
(エ) 平成12年に公表された「A5回想録」(乙31の3の1・3)には,A4をクルーザー遊覧を口実に連れ出すために,原告がA5とA4の秘書役のA20をクルーザーに招待し,A20に対し,「今度猊下を招待しましょう。」と働き掛けたと思われた旨の記述や,前記イ(イ)dの原告の発言が記述されており,これにより,亡A2は,クルーザー遊覧が原告の金儲けのために利用されたものと確信した。
(オ) 以上によれば,亡A2が,本件記載②が表明する意見ないし論評の前提となる事実が真実であると信ずるについて相当の理由がある。
(3) 本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載),⑤ないし⑦(不倫及び麻雀賭博に関する記載)について
ア 前記1[被告らの主張](3),(4)記載の,本件記載③ないし⑦が摘示する以下の事実等は,以下イ,ウのとおり,真実であり,又は,本件記載③ないし⑦の執筆者である亡A2(なお,本件記載⑤ないし⑦については,聖教新聞社新聞編集局次長として,本件連載(1)に関与し,いわば共同執筆者ともいうべき立場にあるA19(以下,亡A2と併せて「亡A2ら」という。)を含む。)が真実と信ずるについて相当の理由がある。
イ 真実性
(ア) 本件記載③,④,⑦について
a 原告が,被告学会との闘争資金に充てるなどとして募った支援金を,自らの遊興,なかんずく賭け麻雀に使っていたこと
原告は,恐喝事件で逮捕され,昭和56年7月の保釈後,定職に就かず,恐喝事件の裁判費用や生活費まで,a会等からの支援に頼っていたが,その実,麻雀店等に入り浸り,賭け麻雀に興じていた。
原告は,その著書「平成獄中見聞録」(乙210の1・2)において,平成3年に拘置所に収容される以前の生活状況について,「雀ゴロ生活をし,生活費とサウナ代が稼げればよし,負けてスッカラカンになったら,バスの始発時間までコマ劇場前の花壇で寝た」などと記述しており,支援金以外に収入がなかった以上,賭け麻雀の賭け金等が,支援金の中から支出されていたことは明らかである。
b 原告が,麻雀賭博の被疑事実で,昭和61年に逮捕されたこと
原告は,賭け麻雀に明け暮れる生活を続けた結果,昭和61年3月29日,麻雀賭博の被疑事実で逮捕された。
なお,原告は,本訴において,上記逮捕は誤認逮捕で冤罪である旨主張しているが,原告も,逮捕当時,週刊誌(乙91ないし93)において,麻雀賭博の被疑事実を認めていたものである。
(イ) 本件記載⑤のうち,「原告が大金を騙し取った。」との意見ないし論評部分について
a 原告が,W,すなわちA21(以下「A21」という。)と男女関係にあったこと
原告も,昭和58年ころから平成3年初めにかけて,原告がA21と男女関係にあったことを認めている。
b 原告は,A21との男女関係を利用して,言葉巧みにA21に多額の資金を支出させたこと
(a) 原告は,昭和58年夏ころ以降,a会と不仲になったこと等から,原告の生活は,a会の一部の寺院や,親しい人達の個別の支援に頼らざるを得なくなっていた。
(b) こうした中,原告は,昭和58年1月に知り合ったA21と,同年6月に肉体関係を持ち,男女関係を利用して,言葉巧みにA21に多額の資金を支出させた。すなわち,A21は,昭和58年から昭和61年初めころまで,原告に対し,毎月約20万円から70万円を支援したほか,昭和60年3月に原告が恐喝事件裁判の第1審で実刑判決を受けた際,控訴審の保釈保証金に充てるために500万円を用意したり,同年8月には原告のために1000万円を支出するなど,合計約3000万円もの金銭支援をしたものであり,原告自身,A21の夫からA21との不倫を原因とする損害賠償を求められた訴訟(以下「不貞訴訟」という。)の控訴審(福岡高等裁判所平成13年(ネ)第1113号)で提出した陳述書(乙69)において,A21から,少なくとも約2000万円を受け取ったことを認めている。
(c) そして,A21が,そのような大金を自ら渡していたことは考えられず,原告が,A21との男女関係を利用して,言葉巧みに金員を引き出したと考えるのが自然であり,このことは,A21が,平成8年に原告に対して提起した貸金返還請求訴訟(大分地方裁判所平成8年(ワ)第751号等。以下「大分訴訟」という。)において,原告がA21と男女関係を持った後,言葉巧みに金を引き出していく様子を具体的かつ迫真的に記載した上申書(甲35)を提出していることからも明らかである。
c 原告は,仮釈放後,A21との交際を絶って,A21からの金の返還要求にも一切応じようとしなかったこと
上記事実が真実であることは,原告も不貞訴訟における陳述書(乙65)で自認しており,また,A21が,平成8年に大分訴訟を提起した事実からも明らかである。
(ウ) 本件記載⑤,⑥のうち,不倫に関する部分(原告が,A21と不倫関係にあったのとほぼ同時期に,A5の妻とも不倫関係にあった事実)について
a 原告は,A21との不倫関係を継続する一方,昭和52年6月から昭和63年8月までA5の妻であったA22とも,不倫関係にあったことは,以下の事実から明らかである。
(a) 原告の手帳に,昭和58年暮れころに,A22との密会予定を示す「A22・熊本」等の記載があったこと
(b) 昭和59年ころから,A22が不自然な言い訳で伝法寺を留守にすることが多くなったこと
(c) 昭和62年春ころ,A22の免許証入れの中に,原告とA22の部分だけを切り抜いた写真が入っていたこと
(d) A22が,昭和61年1月と昭和62年10月以降,A5に無断で伝法寺の会計から原告に送金していたこと
(e) 原告が,平成5年4月に仮釈放された直後からA22と同棲を始めたこと
b また,原告は,以下のとおり,昭和59年暮れころには,A21に対して,A22と不倫関係にあることを自ら認めていたものである。
(a) すなわち,昭和59年暮れころ,原告が不在であることから熊本でA22と密会していると直感したA21が熊本空港に向かったところ,そこに原告が現れた。A21は,逃げる原告の後を追い,電車で熊本駅から八代駅に行った。A21が,駅前の喫茶店において,原告にA22との関係を追及したところ,原告は,「俺が友達の女房を寝取るような泥棒猫みたいなことをすると思うか。」などと述べた。その後,A21が,球麿川の土手で,原告とA22の関係をA5に話す旨述べると,原告は,「友達の奥さんとできることは,世間でもよくあることだ。」,「僕と君と奥さんの3人でよく話し合おう。住職には絶対言うな。」と述べ,A22と不倫関係にあることを認めた上で,A21の口を封じようとした。A21が原告の頬を平手で叩いたところ,原告は,逆上してA21を平手で叩き返し,「お前みたいな性悪には,借金をまとめて叩き返してやりたい。札束ごとドブに捨ててやる。」と,捨て台詞を吐いた。
(b) この点,原告も,大分訴訟において,熊本空港でA21と出会い,A22との関係を詰め寄られたこと,電車に乗れば諦めるだろうと思い原告が電車に乗るとA21もついて来たこと,2人で八代駅前の喫茶店に入ったこと,その後,川の堤防を歩いているときに,A21が原告に殴りかかり,これを防ごうとした原告がA21を押しのけたところ,A21がその場に倒れたこと等の外形的事実を認めていたところである。
(c) 一方,原告は,本訴において,八代に行った理由について,A21から逃げるためではなく,公明党の鹿児島県議会議員と会う約束があったためであるなどと主張を変遷させたが,かかる議員は,当時そもそも存在せず,原告の主張は言い逃れにすぎない。
(エ) 以上によれば,本件記載③ないし⑦が摘示する事実等は,真実である。
ウ 相当性
(ア) 本件記載③,④,⑦について
a 亡A2らは,原告が大分訴訟及び不貞訴訟で提出した陳述書(乙55,66),原告が「Xを支援する会」の会報(乙52)やa会の機関紙「継命」に寄せた手記(乙88)及び「A5回想録」(乙31の4の2)等の資料から,恐喝事件で保釈中の原告が,a会等から募った支援金を,裁判費用や生活費に充てていたことは真実であると判断した。
b また,亡A2らは,大分訴訟における原告の主張よりも,A21の上申書(甲35)及び「A5回想録」(乙31の4の2)の詳細な記述の方が信用できると判断し,また,原告が,「平成獄中見聞録」(乙210の1・2)において,賭け麻雀で生活していたことを「雀ゴロ生活」と称して得意気に記述していたことから,原告が,a会等からの支援を受けていた時期に,賭け麻雀に興じていたことは真実であると判断した。
c そして,原告が,昭和61年3月29日に麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたことは,当時の新聞(乙89)や週刊誌(乙90,92,93)で報道されていたし,原告自身,逮捕直後に,週刊誌(乙91,92)の中で,被疑事実を認めていたものである。
d 以上によれば,亡A2らが,本件記載③,④,⑦が摘示する事実等が真実であると信ずるについて相当の理由がある。
(イ) 本件記載⑤のうち,「原告が大金を騙し取った。」との意見ないし論評の表明部分について
a 原告がA21と男女関係にあった事実,原告が仮釈放後,A21との交際を絶って,A21からの金員の返還要求にも一切応じようとしなかった事実,原告がA21と男女関係になってから同人より大金を受け取っていた事実は,原告も大分訴訟等で自認するところである。
また,原告がA21と男女関係になってから,その関係を利用してA21に対して甘言を弄したり別れ話を持ち出すなどしながら大金を引き出した事実は,A21が実際に拠出した金額の大きさ等の当事者間に争いのない事実から優に推認できるし,その状況を具体的かつ詳細に述べるA21の上申書(甲35)には十分な信用性がある。
b 以上によれば,本件記載⑤のうち,「原告が大金を騙し取った。」との意見ないし論評の表明の前提となる事実について,亡A2らが真実と信ずるについて相当の理由がある。
(ウ) 本件記載⑤,⑥のうち,不倫に関する部分(原告が,A21と不倫関係にあったのとほぼ同時期に,A5の妻とも不倫関係にあった事実)について
a 亡A2らは,大分訴訟において提出された,原告とA22の不倫関係を示す多数の記載が具体的に述べられたA21の上申書(甲35)や,原告とA22が不倫関係にあったことを示す事実が具体的に述べられたA5の陳述書(甲133,乙57)から,上記事実が真実であると信じたものである。
また,原告が,仮釈放直後の平成5年9月に,A22と一緒に近所のスーパーに買い物に出掛けている写真や,A22宅の表札にA22の当時の名字(A23)と原告の名字が列記されている写真(乙74,75,98)や,「中外日報」(乙97)に掲載された,原告が仮釈放直後からA22宅に出入りしていたとの隣人の証言に照らし,原告が,仮釈放直後から,A22宅に出入りしていたことは確実であった。
b 以上によれば,亡A2らが,本件記載⑤,⑥のうち,不倫に関する部分(原告とA21が不倫関係にあったのとほぼ同時期に,A22とも不倫関係にあった事実)が真実であると信ずるについて相当の理由がある。
(4) 本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)について
ア 前記1[被告らの主張](5)記載の,本件記載⑧が摘示する事実等は,以下イ,ウのとおり,真実であり,又は,亡A2らが真実と信ずるについて相当の理由がある。
イ 真実性
(ア) 「原告が,A6が名前を貸して代表世話人となっている「考える会」を実質的に運営していた。」との事実について
a 原告は,ビラ活動のすべてに深く関与していた。
(a) 原告は,以下の事実を自認している。
① 原告が,A24(以下「A24」という。)に対し,「考える会」の事務方を依頼し,その事務所を「創価学会による被害者の会」(以下「被害者の会」という。)の事務所内に設置するように依頼したこと
② 原告が,ビラの印刷業者をホクシンカンテックに選定したこと
③ 原告が,ビラの最大の購入先である自民党との交渉窓口となり,自ら自民党本部まで出向いて,ビラ代金を現金で受け取っていたこと
④ 原告が,ビラ配布の要となった妙観講や,「被害者の会」に対し,ビラ配布を直接依頼したこと
(b) 第1号ビラ(乙37)と,原告の署名記事(乙225)における「新進党の皮をかぶった創価学会」等の表現の共通性等から,原告がビラを作成したことが窺われるし,ホクシンカンテックのA25社長(以下「A25社長」という。)は,A6はビラの原稿を書いておらず,名前を貸しただけである旨述べている。
b 「考える会」に関与した者は,実質的運営者を原告と見ていた。
(a) 原告は,A6の訴訟代理人であるA26弁護士から,A6名義で作成する準備書面(甲113)の内容の検討を依頼されていた。
(b) 原告は,ビラの印刷業者であるホクシンカンテックから,300万円のリベートを受け取っていた。
c A6は,ビラの経理に関与していなかった。
(a) 原告は,「考える会」の代表世話人であるA6が,ビラの価格設定に関与していなかったことを自認している。
(b) A6は,原告と自民党との間の不透明な現金授受等を知り,自分の名前が利用されたことに憤り,自民党の白川勝彦代議士(以下「白川代議士」という。)に対し,「原告に幾ら渡したのか」と追及している。
d 原告は,A8あて書簡(乙34ないし36)において,自民党等を巻き込んだ全国民的な被告学会攻撃の手法を企画立案したことを誇示しているが,その手法は,「考える会」のビラ活動と一致する。
原告は,本訴において,A8あて書簡を作成したことを否定するが,A8あて書簡の筆跡は,紛れもなく原告のものである。
e 以上によれば,「原告が,A6が名前を貸して代表世話人となっている「考える会」を実質的に運営していた。」との事実は,真実である。
(イ) 「原告が自民党と共闘して作成・大量配布した「考える会」のビラが,自民党の選挙対策として極めて大きな成果を上げた。」との事実について
a 自民党は,平成5年7月の衆議院議員選挙で獲得議席数が過半数を割って野党となり,その後与党に復帰したが,平成7年7月の参議院議員選挙では,比例代表区の得票数が新進党を下回り,野党転落の危機感を強めていた。
原告は,かかる政治状況を背景に自民党に接近し,反被告学会の共闘関係を結んだ。このことは,原告が,同年末に自民党の講演会に4度招かれ,また,A8あて書簡(乙35)の中で,「自民党は,党として,党の会計から費用を出して,我々を支援するといっています。今回は,学会を倒すか武装解除まで,攻撃をゆるめないということで,固い約束をとりつけながら進めています」,「学会攻撃の弾丸は,私達以外に供給できません」と記述していること等から,明らかである。
b 自民党は,新進党政権誕生を阻止するため,平成7年10月から,「新進党は日本を独裁国家にすることを狙った被告学会によって支配されている。」との印象を国民に与える本件ビラ約6000万部を,約1年間にわたり配布し,その結果,平成8年10月の衆議院議員選挙において,新進党の獲得議席数は,大きく減少した。
c 以上によれば,「原告が自民党と共闘して作成・大量配布した「考える会」のビラが,自民党の選挙対策として極めて大きな成果を上げた。」との事実は,真実である。
(ウ) 「原告が自民党から直接現金で受け取っていたビラ代金等の額が,原告にしか分からないという極めて不明朗な仕組みになっており,また,ビラの原価と売値の間に差益が生じる状況があった。」との事実について
a 平成8年暮れから平成9年初めころにかけて,国会議員及びマスコミあてに,「民主政治を考える会有志一同」名で,「絶縁宣言」と題する文書(乙49)が配布された。
「絶縁宣言」には,(a)「考える会」のビラの作成原価は1枚せいぜい1円50銭であり,1枚3円の売値との多額の差額が行方不明であり,原告が懐にしたのではないかという疑惑と,(b)自民党からのビラ代金は,原告が直接現金で受領し,その額を知る者がおらず,原告が幾ら抜こうが誰にも分からない仕組みになっており,かつ,原告が他の者には一切詮索させないという不明朗な金銭授受を行う中で,金儲けをしていたのではないかという疑惑が指摘されていた。
「絶縁宣言」の内容の真実性は,平成11年11月にマスコミ関係者に送付された,A6とA5の平成9年2月22日の電話での会話の録音テープ(乙50の1・2)により裏付けられている。すなわち,A6は,「考える会」に名義を貸しただけであることや,白川代議士に対し原告に幾ら渡したのかを追及したが答えがなかったこと,原告が自民党から受領した現金を何人かで山分けしたこと,などを述べている。
また,「考える会」のビラは,実際に1枚1円50銭程度で作成可能であり,「絶縁宣言」の内容の正確性が裏付けられている。
b 原告は,「考える会」の入出金は銀行口座で記録されていたというにもかかわらず,白川代議士から,ビラ代金を現金で受領していたことを自認しているが,体調不良の原告が,厚木の自宅から自民党本部まで出向いて多額の代金を受領するというのは,支払方法として不合理である一方,その合理的説明はされておらず,また,原告は,自民党に対し,領収証も交付していないのであって,原告が,受領した現金から金を抜いていたことが強く窺われる。
c 原告は,「考える会」の収支は,売上諸経費明細書(甲116)のとおりである旨主張するが,同明細書は,実態を反映していない。
すなわち,原告は,ビラの売値は1枚2円50銭から3円で,自民党には700万部売却した旨主張しながら,本人尋問において,自民党から総額1億円を受領した旨供述した。
しかし,ビラの売値を1枚3円と計算すると,仮に自民党の購入部数が700万部だとしても,又は,6000万部の半分だとしても,その合計は1億円に及ばず,簿外収入が生じることになる。
さらに,自民党のビラの購入希望部数の申込受付担当者であった党本部職員のA27は,ビラの売値は1枚10円で間違いないと供述しており(乙228),仮に自民党の購入部数が6000万部の半分だとしても,上記明細書上の売上約1億5000万円を,大幅に上回る簿外収入が生じることになるのである。
d 原告は,上記簿外収入の発生を本人尋問において追及されると,ビラ1枚の売値は3円50銭であったなどと供述を変遷させており,原告が,自民党から受領した金額の一部を利得したことが強く窺われる。
e 原告は,受領したビラ代金は,必ずA24に渡っていた旨主張する一方,少なくとも2,3回,自民党から受領した現金の中から,ホクシンカンテックのA25社長に支払分を取り分けて渡したことがあった旨主張し,A24に渡っていない現金があることを自認している。
しかし,A25社長は,その受取を拒否したものであり,これを原告が懐に入れたと考えるしかない。
f 原告は,A25社長から300万円を受領したことを自認しているが,これはリベートであり,原告が,本件ビラに絡み,個人的な利益を受け取っていたことを示す事実である。
g 以上によれば,「原告が自民党から直接現金で受け取っていたビラ代金等の額が,原告にしか分からないという極めて不明朗な仕組みになっており,また,ビラの原価と売値の間に差益が生じる状況があった。」との事実は,真実である。
(エ) 以上によれば,本件記載⑧が摘示する事実等は,真実である。
ウ 相当性
(ア) 亡A2らは,「絶縁宣言」(乙49)を平成9年初めころにに入手し,平成11年11月にA5が公開したA6との会話テープ(乙50の1・2)も,そのころ入手した。亡A2は,会話テープの具体的内容から,その信用性が非常に高いと判断し,「絶縁宣言」の内容の真実性を裏付けるものであると考えた。
(イ) 亡A2らの調査の結果,「考える会」の事務所所在地及びファックス番号は,「被害者の会」と同一であった。
「被害者の会」の構成員は,被告学会を敵視する日蓮正宗信徒らである一方,A6は,日蓮正宗と対立するa会を擁護する立場にあった者である。そこで,亡A2らは,「被害者の会」と「考える会」をつなぐパイプ役が不可欠であり,それは原告しかいないと判断した。
(ウ) また,調査の結果,ビラの文体は,毎日新聞の記者を長年務めたA6の文体とおよそ異なっており,原告が過去の国政選挙において,被告学会批判のビラ(乙111)を,自らの名前を隠して作成し配布させた前例があることから,本件ビラも,原告が作成したものと考えた。
(エ) そして,亡A2らは,A8あて書簡(乙35)を平成7年初頭に入手し,その内容が仮釈放後の原告の体験であり,原告作成に係る他の乱雑な文書と比較しても,原告なりに清書した文書であると考えられたことから,A8あて書簡は原告が作成したものと考えた。そして,A8あて書簡の中に誇示されていた,自民党等を巻き込んでの全国民的な学会攻撃の手法が実行に移されたのが本件ビラ活動であり,原告が被告学会攻撃の弾丸として自民党に供給したのが,まさに本件ビラであると考えたものである。
(オ) また,亡A2らは,自民党は全国に各戸配布する組織を有していない一方,原告と深いつながりがある妙観講が400万部ものビラを配布していた事実等から,「絶縁宣言」が指摘するように,原告が自民党から配布代名目で現金を受領し,妙観講には宗教活動としてビラを無償で配布させ,配布代名目の金員を懐に収めたことも十分に考えられると判断した。
(カ) また,「絶縁宣言」に記載された内容は,原告が自民党の白川代議士からビラ代金などを直接現金で受領していた事実など,「考える会」の内情をよく知る者にしか書き得ないものであった。
(キ) さらに,調査の結果,本件ビラは,1枚1円50銭程度の原価で作成することは十分可能であった。
(ク) 以上のような様々な裏付調査を行った結果,亡A2らは,「絶縁宣言」と会話テープの信憑性に一層確信を強め,そこに指摘された原告の「闇金」取得疑惑は極めて濃厚であると判断したものである。
したがって,亡A2らが,本件記載⑧が摘示する事実等が真実であると信ずるについて相当の理由がある。
(5) 本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)について
ア 前記1[被告らの主張](6)記載の,本件記載⑨が摘示する事実は,以下イ,ウのとおり,真実であり,又は「創価新報」担当者のA19が真実と信ずるについて相当の理由がある。
イ 真実性
恐喝事件裁判の第1審判決(乙1)が認定するとおり,本件記載⑨が摘示する事実は,以下のとおり真実である。
(ア) 原告は,昭和49年3月,被告学会の顧問弁護活動を通じて,H氏,すなわち,富士宮市議会議員で地元有力者のA15と知り合い,同人とゴルフ場開発による金儲けを企み,昭和50年3月14日,原告のダミー会社として山下商事株式会社(以下「山下商事」という。)を設立し,同年6月16日,大石寺の所有地であった富士宮市○○字ボサシタ〈以下省略〉所在の土地(以下「ボサシタの土地」という。)を,1億6000万円で購入した。しかし,同年8月,静岡県知事が静岡県東部地域の開発凍結を宣言したことにより,ゴルフ場開発計画は頓挫した。
(イ) そこで,原告は,ボサシタの土地を利用して被告学会に墓園建設事業を行わせ,その建設工事をA15が経営する会社に請け負わせ,A15を通じて多額の裏金を取得することを目論み,原告の目論見を知らない被告学会に墓園建設を強く働きかけ,これを決定させた。
そして,原告は,昭和50年12月12日,ボサシタの土地を,A15が経営する株式会社日原観光開発(以下「日原観光」という。)に2億1000万円で転売し,同土地の取得からわずか半年で,5000万円もの利益を手にした。このことは,マージン一覧(乙23)の記載等からも明らかである。
(ウ) また,原告は,A15が経営する日原造園株式会社(以下「日原造園」という。)が,昭和50年12月に三和銀行から墓園工事準備資金として20億円の融資を受けた際,A15から,融資斡旋手数料名目で,1億円を受領した。さらに,原告は,千代田区永田町のホテルニュージャパン内の原告事務所の内装費等約1000万円をA15に負担させたほか,A15から弁護士報酬名目で数千万円を受領するなど,様々な名目で多額の裏金を受け取った。そのほか,原告は,A15から高級外車や貴金属等を受け取り,原告が個人的に経営するシーホースに対する援助資金名目で,A15に多額の裏金を出させるなどしていた。そして,A15のシーホースに対する資金援助は,昭和52年4月から同55年2月まで続き,その総額は12億7300万円に及んだ。
そして,その中には,原告が,A15から,富士桜墓園建設工事受注のリベートとして受領した4億5000万円が含まれている。このことは,マージン一覧(乙23)及び「X先生に対する手数料明細」と題する書面(乙112の1)の記載等からも明らかである。
(エ) 以上のとおり,原告は,被告学会の顧問弁護士として,被告学会の墓園建設工事等に関し大きな影響力を有することを利用して,建設工事の受注業者であるA15側と癒着し,多額の裏金を出させるなど,およそ弁護士にあるまじき背信行為(弁護士法26条,76条,56条1項参照)を行っていたものである。
したがって,本件記載⑨が摘示する事実は,真実である。
ウ 相当性
(ア) 聖教新聞社の新聞編集局次長であったA19は,被告学会の文芸部青年会議が企画した本件連載(2)に関し,「創価新報」側の担当者として,記事内容の検討や資料収集等に全面的に協力した。
(イ) A19は,亡A2から,「昭和55年当時,A13会長らは,A15が,墓園事業に関連して,原告の請求により,手数料及び謝礼名目で5億円を支払ったことを,A15から聞いていた事実」や,「原告がA15と知り合った後の昭和50年ころから,高級外車を乗り回したり,身なりが派手になっていった事実」等の話を聞いていた。
また,A19は,恐喝事件裁判の第1審判決(乙1),マージン一覧(乙23)及び「X先生に対する手数料明細」と題する書面(乙112の1)及び等の資料を確認していた。
(ウ) したがって,A19が,本件記載⑨が摘示する事実等が真実であると信ずるについて相当の理由がある。
[原告の主張]
(1) 本件記載①(A3邸盗聴事件に関する記載)について
被告らの主張は争う。
盗聴事件訴訟の控訴審判決(甲23)は,A3邸盗聴事件当時,原告は,被告学会内において将来を嘱望される地位にあり,あえて被告学会首脳の了解を得ずに独断で電話盗聴を指示し,実行させる必要性があったとは解し難いこと等から,原告が,独断で電話盗聴を指示した可能性は認められず,原告が,被告学会首脳のいずれかに諮った上で,電話盗聴を実行させたことは明らかである旨判断している。
(2) 本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)について
被告らの主張は争う。
ア 原告が富士桜墓園事業に関与していたことは認めるが,原告がこれによって不当な利益を得たことはない。
イ 原告は,A20から,「A4がクルーザーに乗ってみたいと述べている。」旨の話があったので,A4をクルーザーに乗船させただけである。
また,葉山の墓園用地視察は,昭和54年5月ころに,A4から,大石寺の墓園用地を探すように要請されたことに端を発したものである。
ウ クルーザー遊覧が,A4の寿命を縮めたとは,およそ考えられない。
A4が,乗船後,「初めてなので船酔いしたらしい。気分が悪い。」と述べたので,直ちにクルージングが中止されたところ,A4は,下船後間もなく船酔いから回復し,翌日から,通常どおり法務に従事していたし,昭和54年7月初旬の定期診察においても,何ら異常が認められなかったものである。
(3) 本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載),本件記載⑤ないし⑦(不倫及び麻雀賭博に関する記載)について
被告らの主張は争う。
ア 麻雀賭博に関する記載について
(ア) 原告が,昭和61年3月に麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたことは認める。
しかし,同逮捕は被告学会の差し金とみられる誣告による誤認逮捕であって冤罪であり,原告は,1日で釈放され,処罰もされていないばかりか,警視庁築地署の担当刑事から謝罪を受けたものである。
(イ) 原告が,支援金を賭け麻雀に使ったとの事実は否認する。
原告は,恐喝事件で逮捕された後,定職に就かず,闘争費及び生活費を,専ら他からの支援に頼っていたが,体調が優れず,裁判活動や執筆活動に追われており,昭和56年からは麻雀の誘いを断っていた。原告が麻雀を再開したのは,昭和58年以降である。なお,原告は,麻雀もさることながら,宿泊と食事を目当てに,麻雀店に出入りしていたものである。
(ウ) 原告は,A21から1000万円を借り入れていない。このことは,大分訴訟の控訴審判決(甲42)でも認められている。
イ 不倫に関する記載について
(ア) 原告とA21が,昭和58年ころから平成3年初めにかけて,男女関係にあったことは認める。
しかし,A21は,原告に対し,「夫との関係は既に破綻している。」旨述べて関係を求めたものであり,原告には,不倫との認識はなかった。
(イ) 原告が,昭和58年8月以降,2年8か月にわたり,A21から,合計2000万円の支援を受けたことは認めるが,A21との男女関係を利用して,言葉巧みに多額の資金を支出させたことは否認する。
A21の上申書や陳述は,信用性に欠けるものであり,このことは,大分訴訟の控訴審判決においても指摘されている。
(ウ) 原告が,A22と不倫関係にあったことは否認する。そのような証拠はない。
原告がA22と関係を持ったのは,仮釈放後である。
(4) 本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)について
被告らの主張は争う。
ア 「考える会」は,A6が発案し,A6が名実共に運営者であった。
イ 原告は,自民党と共闘関係にはなかった。また,原告は,A8に対し,被告らが主張する書簡を送っていない。
ウ 原告が「考える会」のビラ作成に関与したことは認めるが,これは,A6が発案したものであった。
「考える会」のビラが,約6000万部(うち,自民党に配布されたビラは,700万部程度)発行され,国政選挙に影響を及ぼしたとみられることは認める。
エ ビラ代金は,購入者の負担を軽くし,なるべくたくさん配布してもらうため,1枚3円以上の価格は設定できなかった。自民党に対する販売価格は,初めの2回が1枚2円50銭で,3回目以降が1枚3円であった。
オ ビラ代金は,納品書及び請求書等の記載に従って支払われていた。すなわち,A24は,業者が作成する具体的数字が記載された納品書等に基づき請求書を発行し,その金額が自民党等から支払われていたもので,ビラの原価と売値の間に差益が生じる状況にはなかったし,A24は,毎月の収支をA6に報告していた。その収支は,売上諸経費明細書(甲116。売上1億4873万4502円,仕入1億3945万8204円等)のとおりであり,1億円もの金員が原告に渡ることはあり得ない。
また,原告は,「考える会」の活動を,ボランティアで手伝ったにすぎず,交通費等の実費以外に,報酬を受け取っていない。
カ 「絶縁宣言」(乙49)及びA6の会話テープ(乙50の1・2)は,原告を中傷する目的で作成されたもので,その内容は虚偽である。
(5) 本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)について
被告らの主張は争う。
ア 山下商事が,ボサシタの土地を,1億6000万円で買い受け,これを日原観光開発に対し,2億1000万円で転売したことは認めるが,原告はその差額を取得したことはない。差額の5000万円については,うち2000万円が大石寺に寄付され,うち2500万円が設計会社に支払われ,うち500万円が平井工業に支払われたものである。
イ 日原造園が,シーホースに対し,12億7300万円の資金援助をしたことは認めるが,それ以外に,原告が,A15から,富士桜墓園建設工事受注のリベートとして,4億5000万円を受領したことはない。
ウ 原告が,A15から,融資斡旋手数料名目の1億円や,高級車等の贈り物や,弁護士報酬名目での数千万円の裏金等を受領したことはない。
4  争点(3)(言論の応酬(対抗言論)の法理に基づく違法性阻却の成否)
[被告らの主張]
(1) 言論の応酬(対抗言論)の法理等
ア 原告と被告学会との間においては,今日まで約30年もの間,幾多のテーマについて激しい言論の応酬がされてきたが,これは,昭和50年代初めに,専ら原告による,マスコミ,A4及び活動家僧侶等を利用した,被告学会に対する先行的かつ一方的な攻撃的言論に端を発するものであり,被告学会が反論の言論を行うようになったのは,昭和55年6月に原告を恐喝罪で告訴した後のことである。
原告は,告訴を知るや,元被告学会顧問弁護士・幹部の立場を売り物にして,恐喝事件が,「正義の内部告発者」である原告を陥れるための被告学会の謀略であるなどと,被害者である被告学会が加害者であるかの悪印象を国民に植え付けるべく,週刊誌や自らの著書等を利用して,被告学会に対する虚偽の誹謗中傷を,世間に吹聴し続けた。
本件書籍及び本件連載(1),(2)は,原告の長期間にわたる被告学会に対する誹謗中傷への対抗言論であるという特殊性を踏まえる必要がある。
イ 言論の自由(憲法21条1項)の中核にある批判は,その性質上,他人の名誉を毀損する傾向を持ち,他人の主張に対する批判の矛先が,当該主張を行う適格性としての人格にまで及ぶことが往々にしてあることから,言論の自由と名誉の保護の調整が必要となる。
一方,言論による侵害には言論で対抗することが言論の自由の基本原則であり,言論の応酬,とりわけ,本件のように,論争の当事者間において,長期間にわたり,様々なテーマについて激烈・熾烈な表現による言論の応酬が繰り広げられている場合には,双方の言論は最大限に保障する必要があるし,批判が予想される場に自ら進み言論を行う者は,自己の言論が相手方からの批判に晒されることを甘受しなければならない。
ウ したがって,相手方による名誉毀損的事実の摘示又は論評に対抗する言論については,表現の自由を一層保障する観点から,憲法21条1項,民法720条1項,刑法230条の2第1項の法意により,当該表現に至った背景や経緯,前後の文脈及び両者の言論の応酬の期間等,言論の応酬の実態に照らして,違法性が阻却される表現の幅が認められるべきである。
すなわち,摘示された事実が真実でなかったとしても,当該事実が真実であると信ずるに足る相当の理由の有無は,緩やかに解すべきである。
また,意見ないし論評の表明についても,互いに「売り言葉に買い言葉」で,激越・辛辣な表現を用いて言論の応酬がされている場合には,「公正な論評」として,免責される領域が拡張されるというべきである。
(2) 本件記載①(A3邸盗聴事件に関する記載)について
ア A3邸盗聴事件に関する原告の言動等
原告は,昭和55年4月に倒産したシーホースの後処理のために,被告学会に対する恐喝に及び,未遂に終わった5億円の恐喝のための材料として,同年5月,当時毎日新聞記者であったA6にA3邸盗聴事件に関する情報を提供し,同年6月,被告学会による刑事告訴を知るや,赤旗の記者に接触して,A3邸盗聴事件に関する虚偽の事実を公表した。原告は,その後も,恐喝事件の捜査牽制のために,「正義の内部告発者」を装って,週刊誌等のマスコミに登場したり,自ら書籍を発行するなどして,虚実を織り交ぜて,被告学会攻撃を激しく繰り返した。
原告は,平成3年2月下旬,恐喝事件で懲役3年の実刑判決が確定して刑務所に収容され,平成5年4月27日の仮釈放後も,恐喝事件は被告学会の集団偽証による冤罪であるとして,被害者である被告学会を加害者呼ばわりし,自民党の下野等の政治状況等を利用して,政界,宗教界及びマスコミ界を巻き込みながら,マスコミへの登場や書籍の発行だけでなく,自民党と連携して,「考える会」名義で被告学会を誹謗中傷するビラを全国に配布するなど,広範かつ大規模な被告学会攻撃を行った。
原告は,その後も,A3邸盗聴事件について,盗聴事件訴訟の判決が認定していない事実や,排斥された事実を付加した話を積極的に喧伝したほか,多種多様な形で,被告学会に対する誹謗中傷の言論を行っている。
イ 以上の原告の攻撃的言論は,確定した判決等を無視した身勝手極まりないものであって,かかるA3邸盗聴事件に関する原告の長年にわたる執拗かつ膨大な攻撃的言論と対比すれば,A3邸盗聴事件の背景事情をよく知る亡A2が,原告と被告学会の言論の応酬の中で,被告学会の立場から,196頁に及ぶ本件書籍の中でわずか4行を用いて,評価的内容にすぎない本件記載①程度の対抗言論を行うことは,何ら違法ではない。
(3) 本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)について
ア クルーザー遊覧に関する原告の言論等
(ア) 原告は,被告学会から恐喝で告訴された後,週刊誌において実名で被告学会に対する激しい誹謗中傷を行い,週刊文春昭和55年10月23日号(乙138)では,A4が,クルーザー遊覧を大いに楽しみ,健康も相当回復していることが証明されたなどと虚偽の記述をし,さらに,あたかも被告Y1ら被告学会首脳が,A4の健康状態を悪化させる画策をしていたかの記述をした。
(イ) また,原告は,恐喝事件裁判において,宗門問題に関して被告学会と日蓮正宗の離間工作をした事実を徹底的に争い,仮釈放後も,金儲け目的で始めたシーホースの倒産処理のために被告学会を恐喝したとの実態をごまかし,恐喝事件は冤罪であるとし,宗門問題に関する反被告学会の行動も,日蓮正宗信徒としての「信仰心,A4に対する忠誠心」からのものであったなどと強弁した。
イ 原告による,恐喝事件は冤罪であるとの主張を前提とする被告学会に対する幾多の誹謗中傷に対抗するためには,その大前提である原告の「信仰心,A4への忠誠心」なるものが,全くのまやかしであることを明らかにすることが,有効かつ適切な反論方法である。
そこで,亡A2は,本件書籍において,恐喝事件裁判により明らかとなった事実に基づき,対抗言論として,原告が,信仰もA4も金儲けの道具とし,高齢で重篤の心臓疾患を抱えていたA4を利用していたことを示す事実として,クルーザー遊覧について記述したのである。
(4) 本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載),⑤ないし⑦(不倫及び麻雀賭博に関する記載)について
ア 麻雀賭博及び不倫に関する原告の言論等
(ア) 原告は,A21が原告に対し大分訴訟を提起したことについて,平成9年7月16日付け「慧妙」(乙179)において,同訴訟は被告学会の謀略であるかの悪宣伝をし,また,同訴訟の控訴審でA21が逆転敗訴した直後の平成11年12月16日付け「慧妙」(乙180)においても,同訴訟が被告学会の謀略であるとして,被告学会を誹謗中傷した。
(イ) また,原告は,麻雀賭博の被疑事実による逮捕についても,逮捕直後に発行された週刊新潮昭和61年4月10日号(乙92)等においては麻雀賭博を自認したが,平成13年4月発行の著書「「月刊ペン」事件埋もれていた真実」(甲105)においては,麻雀賭博による逮捕が,被告学会の謀略による事件であるなどと悪宣伝をした。
イ 亡A2らは,以上の状況を踏まえて,原告が被告学会の謀略であると喧伝する諸事実について真相を糾明することが,原告の喧伝に対抗するために必要であると考え,また,同諸事実に見られる原告の行動特性及び人格特性を明らかにすることが,恐喝事件が冤罪であるとの主張を前提に「正義の内部告発者」を装い,幾多のテーマを広げて被告学会に対する攻撃的言論を繰り返す原告の実態や,内部告発者としての不適格性を明らかにするために有効かつ適切であるとの観点から,対抗言論として,本件記載③ないし⑦を記述したものである。
(5) 本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)について
ア 「考える会」のビラに関する原告の言論等
(ア) 「考える会」のビラは,平成7年10月から平成8年9月にかけて,日本全国で,6種類,合計約6000万部も配布された。
これらは,いずれも自民党と対峙する新進党に対する批判を装いながら,その実は,被告学会に対する悪しきイメージを社会に撒き散らそうとする,事実無根の悪質極まりない中傷ビラであった。
(イ) 「考える会」のビラに関して,平成8年暮れから平成9年初めに,「民主政治を考える会有志一同」名義で,「絶縁宣言」と題する文書(乙49)が,マスコミ等に送付された。同文書には,「考える会」の実質的運営者は原告で,代表世話人のA6は名ばかりであること,原告が,ビラの原価と売値の差額を懐に入れたこと,印刷業者からのバックマージンや,ビラの配布代金名目等で,金儲けをしていたとの疑惑が指摘されていた。
(ウ) 原告は,「絶縁宣言」で暴かれた実態をごまかすため,平成9年7月16日付け「慧妙」(乙179)や,平成10年2月発行の著書「Y1 日本経済乗っ取りの野望(一)」(甲96の1)において,「絶縁宣言」が被告学会による謀略であるなどと書き立てた。
イ 本件記載⑧は,原告による「考える会」のビラによる誹謗中傷及びこれをめぐる原告の言論への対抗言論として,原告が,「考える会」を実質的に運営し,ビラ発行に絡み闇金を取得した疑惑があるとの意見ないし論評を表明したものである。また,「考える会」のビラ活動の実態を明らかにすることが,ビラそのもの及び原告の悪宣伝に対する有効かつ適切な反駁になるとの観点から,「絶縁宣言」の内容を紹介し,これがA6の会話テープ(乙50の1・2)によって裏付けられている事実を明らかにしたものである。
(6) 本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)について
ア 墓園事業に絡む裏金取得に関する原告の言動等
原告は,恐喝事件裁判において,シーホースの実質的経営者は被告学会であり,原告は被告学会から管理を委託されたにすぎない旨主張し,日原造園からのシーホースに対する多額の資金援助についても,「被告学会の要請に基づくもの」と主張して,A15から多額の裏金を得た事実を否認した。
また,原告は,後に被告学会の富士桜墓園の用地となったボサシタの土地を大石寺から山下商事名義で払い下げを受け,これを転売して多額の差益を得た件について,入出獄前後も,自らの著作において,それが被告学会による「デマ宣伝」であるなどと世間に吹聴している。
原告は,現在もなお,A15と癒着して被告学会の墓園事業に絡み巨額の裏金を手にした事実を否定し,原告がボサシタの土地の取得転売に関与したのは,被告学会の日蓮正宗封じ込め作戦のためであるという虚偽の作り話をして,被告学会に対する誹謗中傷の材料としている。
イ 本件記載⑨は,恐喝事件裁判当時から現在もなお続く,原告の被告学会に対する虚偽の誹謗中傷への対抗言論として記述されたものである。
(7) したがって,言論の応酬(対抗言論)の法理により,本件各記載の違法性は阻却される。
[原告の主張]
(1) 原告が,被告学会を批判をするに至った原因は,被告学会と日蓮正宗の対立(宗門問題)に端を発するものであり,原告が,先行的かつ一方的に批判を始めたものではない。
すなわち,被告学会は,昭和47年以降,日蓮正宗の教義から公然と逸脱し,日蓮正宗を支配下に置こうとして,様々な画策をし,昭和52年初頭から,日蓮正宗に対する全面攻撃を展開した。日蓮正宗は,同年7月から反撃に転じ,昭和54年4月,被告Y1が被告学会の会長職及び日蓮正宗の法華講総講頭を辞職することで和解となった。しかし,被告Y1は,A4が同年7月に急逝すると,A8に取り入り,自身と被告学会の復権工作を成功させ,A4に協力した原告を,社会的に抹殺しようとした。そのため,原告は,被告学会に対する内部告発による抵抗を試みるしか生き延びる方法がなくなり,意を決して,内部告発に及んだものである。
なお,原告が,昭和52,3年当時に,週刊誌やマスコミを使って被告学会攻撃をしたことはない。このころ,原告は,被告Y1とA4の双方から依頼され,被告学会と活動家僧侶達の和解を水面下で斡旋していた最中であり,自らこれを妨げる行動に出るはずがない。
(2) 原告の被告学会に対する批判は,「A3邸電話盗聴事件」及び「月刊ペン誌編集長隈辺大蔵氏に対する名誉毀損事件」等,大別して17点に及ぶところ,これらの批判は,被告学会が,宗教団体にあるまじき反社会的行為を繰り返し,その責任のすべてを原告に転嫁したこと等に関するものであって,公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的でされたものである。そして,そのいずれの事実も,裁判により真実と認められ,被告学会の造反者が真実であることを認めていること等から,真実である。
(3) 一方,被告学会の原告に対する攻撃は,専ら卑劣な人身攻撃を中心とするものであり,「言論の応酬」と呼ぶに値しない。
また,被告学会に対する批判のほとんどは,雑誌編集者,ジャーナリスト及び数多くの脱会者によるもので,原告が関与したのは全体の100分の1程度にすぎず,原告と被告学会との間において,今日まで約30年もの間,激しい言論の応酬がされてきたものではない。
さらに,被告学会は,いくら指摘されても,その反社会的体質を改めず,批判者に対する言論抑圧を繰り返しており,そのため,原告は被告学会に対する批判を続けざるを得ないのであって,被告学会に対する批判が続く責任は,原告ではなく,被告学会にある。
(4) したがって,本件各記載の違法性は,対抗言論の法理により阻却されるものではない。
5  争点(4)(本件記載④,⑥が原告のプライバシーを侵害するか)
[原告の主張]
(1) 本件記載④は,原告の15年以上前の逮捕歴を公表するものであり,原告のプライバシーを侵害するものである。
(2) また,本件記載⑥は,原告とA22の婚姻及び婚姻前の関係という原告の私生活を公表し,これに関して,汚らしい表現で虚偽を書き立て,淫らで反道徳的であるかの如き記述をしており,原告のプライバシーを侵害するものである。
[被告らの主張]
(1) プライバシー侵害による不法行為は,その事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し,前者が後者に優越する場合に成立する(最高裁平成元年(オ)第1649号同6年2月8日第三小法廷判決・民集48巻2号149頁)。そして,上記比較衡量に際しては,当該人物の社会的影響力はもとより,当該事実を公表する意義及び必要性(公益性)と,当該事実を公表されない利益(私益性)など,諸般の事情を考慮すべきである。
(2) 本件書籍等で上記各事実を取り上げた意義及び必要性
前記2[被告らの主張]のとおり,亡A2らは,数々の虚偽の謀略によって社会を欺いてきた原告の実態や,その根底にある行動特性を明らかにし,これ以上原告に欺かれないよう社会に警鐘を鳴らすために,本件書籍等を執筆したものである。そして,本件記載④,⑥は,原告の実態及び行動特性を端的に示すものであり,これらの事実を公表する必要性は極めて高い。
(3) 本件記載④,⑥を指摘することで原告に特段不利益が生じないこと
ア 原告は,麻雀賭博の被疑事実で逮捕された昭和61年当時,マスコミに積極的に登場して自ら麻雀賭博の被疑事実を認めるコメントを掲載したほか(乙91ないし93),平成13年4月発行の著書「「月刊ペン」事件埋もれていた真実」(甲105)においても,麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたことを自ら公表していた。
したがって,本件記載④が公表されたからといって,原告が特段不利益を被ることはない。
イ 本件記載⑥についても,原告は,平成11年12月16日付け「慧妙」(乙180)に,自ら「元創価学会顧問弁護士」の肩書を付した署名記事を寄稿し,その中でA21との大分訴訟についても触れ,「A5夫妻が昭和62(ママ)年に離婚した」事実と,「平成8年4(ママ)月,原告がA5住職と別れた妻A22と再婚した」事実を,自ら公表している(ただし,実際のA5夫妻の離婚時期は「昭和63年8月」,原告の再婚時期は「平成8年2月」である。)。さらに,原告は,A21の言い分を紹介する形ではあるが,「原告がA5の妻と不倫を働き,その妻と再婚した。」と指摘されていることも自ら明らかにしている。しかも,原告は,上記「「月刊ペン」事件 埋もれていた真実」において,昭和52,3年ころ(当時,原告には妻がおり,原告と離婚したのは昭和55年である。)の出来事として,当時の自身の女性関係について「遊んでいる間に,何となくひいきの女性もできる。深い仲になった女性も,2人や3人ではない」などと自慢げに記述し,複数の女性と不倫関係にあったことを自ら公表していた。また,原告は,不貞訴訟においても,女性関係に不自由していなかったとして,A21と不倫関係にあった当時に,「20代のモデルの女性」と「短大生」とも男女関係にあった旨供述している(乙67)。
このように,原告は,A22との再婚の経緯や,同時期に複数の女性と不倫を含む関係を有していたことについて積極的に述べており,本件記載⑥が公表されたからといって,原告が特段不利益を被ることはない。
(4) 以上の諸般の事情を考慮し,本件記載④,⑥が摘示する事実を公表する必要性(公益性)と,これを公表されない利益(私益性)とを比較衝量したとき,前者が後者に優越することは明らかである。
したがって,上記各事実を本件書籍等に記述したからといって,原告のプライバシーが侵害されることはない。
6  争点(5)(被告らの責任)
[原告の主張]
(1) 本件書籍について(被告Y3,被告Y4及び被告Y5の責任)
亡A2は,本件書籍の執筆者であり,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負うところ,被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,亡A2の相続人である。
(2) 本件連載(1),(2)について
ア 被告学会について
被告学会は,本件連載(1),(2)の発行者である。
よって,被告学会は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
イ 被告Y1について
被告Y1は,被告学会の名誉会長であり,会則上,被告学会の信仰の中心者,会員の師匠,拠り所であると定められており,会務全般を支配している。また,被告Y1は,特に機関紙の記載内容には強い関心と支配力を持っており,その指示又は承認なくして,本件連載(1),(2)の掲載はあり得ない。
被告Y1は,常々包括的な表現で,批判者に対する中傷攻撃を認め,奨励しており,「創価新報」等による原告に対する誹謗中傷記事は,被告Y1の指示,示唆又は少なくとも許容の下に行われている。
また,被告Y1は,被告学会全体の統率者又は指導者として,名誉毀損等の違法行為を容認及び看過してはならない義務を負う。
よって,被告Y1は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
ウ 被告Y2について
被告Y2は,昭和56年7月から平成18年9月までの間,被告学会の会長職にあり,規則及び会則上,会員を教化育成し,会を総理・運営する最高責任者の地位にあり,「創価新報」の発行及び記事の掲載並びにその内容に関する最高責任者であった。
よって,被告Y2は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
エ 被告Y3,被告Y4及び被告Y5について
亡A2は,本件連載(1)の執筆者であり,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負うところ,被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,亡A2の相続人である。
[被告らの主張]
原告の主張は争う。
7  争点(6)(原告の損害の有無及び額)
[原告の主張]
(1) 本件連載(1),(2)が掲載された「創価新報」は,発行部数が150万部を超え,盲信的な読者に強い影響力を持ち,原告に対する卑劣で悪質な中傷が連日のように繰り返され,さらに本件連載(1)の一部が本件書籍にされ,一般紙等で大々的に広告され,大量に頒布されるという悪質極まりない行為によって,原告は,名誉及びプライバシーを侵害され,親族,友人及び知人との人間関係を破壊され,社会生活及び家庭生活上著しい支障を来たされ,生存そのものすら圧迫されている。
かかる人権蹂躙行為が,多くの特権を認められ,社会的に強大な力を有し,人を救済し道を説くべき宗教団体である被告学会により行なわれているということの異常性及び重大性が社会に及ぼす悪影響は計り知れない。
(2) 諸般の事情からすれば,原告が被告らによる名誉毀損及びプライバシー侵害により被った被害額と精神的苦痛を慰謝するために必要な額は,本件書籍(本件記載①ないし④)については3000万円(うち,プライバシー侵害については450万円),本件連載(1)(本件記載⑤ないし⑧)については3300万円(うち,プライバシー侵害については600万円),本件連載(2)(本件記載⑨)については1700万円を下らない。
(3) 原告は,本訴において,一部請求として,本件書籍について600万円,本件連載(1)について600万円,本件連載(2)について400万円の各損害賠償を求める。
(4) 各被告らに対する請求額
ア 被告学会,被告Y1及び被告Y2は,原告に対し,本件連載(1),(2)について,不法行為に基づき,連帯して,以下の合計1000万円の損害賠償義務を負う。
(ア) 本件連載(1)について,600万円
(イ) 本件連載(2)について,400万円
イ 亡A2関係
被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,原告に対し,本件書籍及び本件連載(1)について,不法行為に基づき,法定相続割合に応じて,以下の合計,被告Y3は600万円,被告Y4及び被告Y5は各300万円の損害賠償義務を負う。
(ア) 本件書籍について,被告Y3は300万円,被告Y4及び被告Y5は各150万円
(イ) 本件連載(1)について,被告Y3は300万円,被告Y4及び被告Y5は各150万円(各自,共同不法行為に基づき,上記限度で,被告学会,被告Y1及び被告Y2と連帯して)
[被告らの主張]
原告の主張は争う。
8  争点(7)(謝罪文掲載の必要性及び相当性)
[原告の主張]
本件書籍及び本件各記事により毀損された原告の名誉を回復するのに適当な処分として,「創価新報」紙上に,別紙謝罪文を掲載することが,必要かつ相当である。
[被告らの主張]
原告の主張は争う。
第4  争点に対する判断
1  証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。
(1)  原告と被告学会の関係等
ア 宗門問題及びこれに関する原告の関与の概略等について
(ア) 被告学会は,昭和5年に創立され,昭和27年9月8日に設立登記がされ,現在多数の信徒を擁する我が国有数の宗教法人であり,当初は,日蓮正宗の信徒団体であった。
原告は,昭和34年に被告学会に入会し,昭和39年4月に弁護士登録をし,昭和43年から被告学会の副理事長を務め,昭和45年,被告学会の顧問弁護士に就任した。(以上,争いがない。)
(イ) 昭和48年ころ,宗門から,被告学会に対する教義をめぐる批判が起き,両者に軋轢が生じ(いわゆる宗門問題),昭和52年1月の「仏教史観を語る」と題する被告Y1の講演(甲65の2)をきっかけに,両者の対立が激化した。両者の対立は,被告Y1が,日蓮正宗の法主であるA4に謝罪するなどしたことで,昭和53年1月には,収束したかに見えた。
しかし,原告が,同月19日,A4に対し,被告学会の謝罪は上辺だけで,宗門に再び報復と弾圧を加えようとしていることや,宗門が被告学会と戦いをする場合の戦略等を記載した,「ある信者からの手紙」と題する書面(乙99)を送り,これが反被告学会の活動家僧侶の面前で朗読されたことにより,宗門内の反被告学会気運が再び高まった。そして,原告は,同年3月下旬ころ,「今後の作戦」と題する書面(乙100)を基に,A4に対し,宗門の戦略として,各寺院で,日蓮正宗信者を被告学会から奪回し,寺院の「檀徒」として組織すること(檀徒作り)等を進言するなど,宗門側に立った活動をするようになった。
その後,宗門の各寺院において,活動家僧侶を中心に,檀徒作りが活発化し,激しい被告学会批判が行われていった。(以上,乙1及び弁論の全趣旨)
(ウ) 被告学会のA13理事長は,宗門との関係修復に焦慮し,原告の申し出に応じ,原告に,被告学会と宗門の調停役を依頼した。
原告は,調停に当たる一方,昭和53年5月ころ,心臓疾患等に悩むA4に,聖路加病院内科部長のA28医師(以下「A28医師」という。)を紹介するなどして接近した。そして,原告は,同年9月末ころ,A4に対し,「現下の情勢について」と題する書面(乙101)を基に,檀徒作りが被告学会に大きな痛手を与えていること等を述べた上,被告学会は同年11月に事態収拾策を決定する方針であるが,宗門の今後の作戦としては,同月中は檀徒作りを徹底的に行い,被告学会が然るべき姿勢を示したときは,一応和平に応じざるを得ないが,その後も檀徒作りは続けること等を進言した。
また,原告は,並行して,マスコミに対して被告学会関連の情報を提供し,これにより,週刊誌等に,被告学会の内部資料や被告Y1を題材とする,被告学会に批判的な記事が掲載された。なお,原告のマスコミに対する被告学会関連の情報提供は,昭和52年7月ころに始まっていた。
その後,被告学会と宗門の折衝が進み,昭和53年11月7日,静岡県富士宮市所在の日蓮正宗総本山大石寺への「お詫び登山」という形で,和解が成立した。(以上,甲70,110,乙1,31の5の1・3,178及び弁論の全趣旨)
(エ) しかし,活動家僧侶は,その後も被告学会批判や檀徒作りを止めず,宗門内の被告学会批判も一層強まり,昭和54年3月31日,日蓮正宗法華講が,被告Y1の講頭辞任勧告を決議するに至った。そして,同年4月22日,被告Y1は,日蓮正宗の信徒最高位である総講頭及び被告学会会長を辞任して名誉会長に就任し,A13が会長に就任した。
その後,A4は,被告学会と話合いをする方針を示したが,活動家僧侶の被告学会批判は収まらず,同年4月28日創刊の檀徒の機関紙「継命」誌上で,被告学会批判が展開されるなどした。
そのような中,原告は,同年5月14日,A13会長らと共に,A4から,総講頭に次ぐ大講頭の辞令を受けた。(以上,甲71の1,乙1及び弁論の全趣旨)
(オ) 昭和54年7月22日,A4が死亡し,A8が後任の法主に就任した。
原告は,その後数回,A8に献言したことがあったが,同年9月25日ころ,A8から,信用できないとして斥けられた。
宗門は,同年10月8日,院達を発し,僧侶に対し,被告学会批判及び檀徒作りの静止を求め,被告学会に対し,お詫び登山の趣旨を同会会員らに周知徹底するように求めた。(以上,甲76,乙1及び弁論の全趣旨)
(カ) 以上の状況の中で,原告は,昭和54年9月ころ,被告学会のA29教学部長から,同人が聖教新聞社内でコピーした,被告学会の大量の機密資料の引渡しを受け,同年10月ころ,その一部の写しを,毎日新聞記者のA6や,活動家僧侶の中心人物らに交付した。また,原告は,同年9月ころ,被告学会に対して供養金返還を求める集団訴訟(特財返還請求訴訟)の訴状原案や記者会見用の声明文等を作成するなどした。
他方,同年12月,被告学会の機密文書が週刊誌に取り上げられたのに続き,昭和55年に入ってからも,被告学会の機密資料を元にした記事が週刊誌等に掲載され,活動家僧侶による檀徒作りや,「継命」等による被告学会批判が,活発に行われた。(以上,甲110,乙1,31の5の6,104ないし108,178及び弁論の全趣旨)
(キ) 原告は,週刊文春昭和55年11月20日号(甲120の1ないし3)に,A8はA4から血脈相承を受けたとは考えられない旨の手記を公表するなどして,宗門とも対立するようになった。そして,血脈相承に疑義を唱え,被告学会批判をしていた宗門内の活動家僧侶らは,同年7月,a会を結成していたが,原告は,a会と,同盟関係にあった(なお,宗門は,昭和57年,同会に属する僧侶の約200名近くを擯斥処分とした。)。(以上,甲146,乙181,証人A5)
(ク) なお,被告学会は,平成3年11月,日蓮正宗から破門されるに至った(甲72)。
イ 原告の被告学会に対する恐喝等について
(ア) 一方,原告は,昭和51年11月から,冷凍食品事業に乗り出し,休眠会社のシーホースを復活させ,自らその経営に当たったが,シーホースグループ(関連会社を含む。)の累積欠損は,昭和53年3月には約10億円に,昭和55年初めには約28億円に及ぶなど,赤字経営に陥った。そこで,原告は,遅くとも昭和53年11月以降,被告学会に対し,シーホースへの資金援助を求めるようになった。
被告学会は,原告が,活動家僧侶やマスコミを利用して被告学会攻撃をしているものと考えたが,原告を処分すれば,原告を一層反被告学会側に追いやり,事態を悪化させると考え,昭和55年1月21日までに,シーホースへの資金援助として,原告及びシーホースグループに対し,合計9300万円を供与した。さらに,原告は,同月24日,被告学会に対し,1億円の資金援助を求めた。被告学会は,上記考えから,富士桜墓園の報酬名目で,同年2月29日までに,原告に対し,合計1億1000万円を供与し,これをもって最後の資金援助とする旨を告げ,同年3月末日限りで,原告を顧問弁護士から解任する決定をした。(以上,乙1及び弁論の全趣旨)
(イ) 昭和55年4月には,シーホースグループの累積欠損は,約43億円に及んでいた。
原告は,同月10日,被告学会のA13会長に電話をし,シーホースの整理に必要な資金援助を求めた。A13は,同月13日,原告に対し,これ以上の資金援助はできないこと,原告を顧問弁護士から解任したことを告げた。これに対し,原告は,シーホースの整理に必要な金員として,3億円の退職金を要求し,A13がこれを断ると,「そうですか。じゃ僕一人で勝手にやれということですか。どうなっても知りませんよ。」などと述べた。また,原告は,同月16日,被告学会のA30副会長に対し,被告学会の対応如何によっては,再び反被告学会勢力と結んで被告学会攻撃をすることをほのめかし,早急な資金援助を求めた。
被告学会は,同月17日午後,原告の暴発を防ぐため,最大1億円程度の支出もやむなしとして,その場合の条件等の検討を行った。
この間,シーホースは,同月15日,16日に不渡手形を出し,事実上倒産した。(以上,乙1及び弁論の全趣旨)
(ウ) 原告は,以上の経緯で,被告学会に対して資金援助を求めたが,これを断られたため,被告学会から金員を喝取しようと企て,昭和55年4月17日,被告学会のA31男子部長に対し,シーホースの倒産整理に要する費用として5億円の支援を要求し,その後も,A31に対し,「報酬が非常に安かった。その不足分をまとめて,報酬請求訴訟を学会に対して起こそうとしている。その訴訟の中で学会の過去の事件を一つ一つ明らかにすれば,学会にとって困った内容がどんどん出てくるぞ。」などと述べて,同旨要求を重ねた。また,原告は,同月21日,被告学会の福島啓充顧問弁護士に対し,「自分は戦いを始めた。ミサイルを2,3発ぶち込む。2,3か月学会と全面戦争する。」,「恐喝だって何だっていいんだ。刑務所に入ったっていい。」などと述べ,さらに,同月22日,A31に対し,金銭支援の決断を強要した。
原告は,以上のように,原告の要求に応じなければ,被告学会に不利益な事実を公表する旨被告学会を脅迫し,同月28日から同年5月17日までに,被告学会をして3億円を交付させ,これを喝取した。(以上,乙1及び弁論の全趣旨)
(エ) 他方,原告は,昭和55年5月18日,A6から,同人が執筆中の月刊現代7月号(同年6月5日発売)掲載予定の記事の第1稿を渡された。その内容は,原告がリークした情報に基づくA3邸盗聴事件や,月刊ペン裁判等の隠された事情等を取り合わせたというものであった。
原告は,A31に対し,同年5月24日,上記A6記事のゲラ刷りを渡し,同月28日には,元聖教新聞社編集局次長のA32に対し,「私も文春で5回書く。」などと述べ,シーホースの整理に必要な金額の一覧メモ(負債合計34億4000万円,3か月以内の要決済金額4億4500万円,2年以内の同金額5億4000万円)を渡し,被告学会に届けるように依頼し,原告のメモと言動が,A13らに伝わった。
一方,そのころ,被告学会に対し,週刊誌の記者が上記A6記事に関するコメントを求めたり,同記事のゲラ刷りが送付されるなどした。(以上,乙1及び弁論の全趣旨)
(オ) 原告は,以上の状況を利用し,被告学会の妨害によりシーホースの整理が順調に進まず,さらに5億円ないし10億円程度の金員が必要になったと主張して,被告学会から金員を喝取しようと企て,昭和55年6月2日から同月4日までの間,被告学会に対し,シーホースの整理に必要な資金名下に5億円程度の交付を要求し,これに応じなければ,今後も,宗門問題及びA3邸盗聴事件等の被告学会に不利益な情報をマスコミに提供し,又は,自らその記事を週刊誌に寄稿し,活動家僧侶や被告学会内の反対勢力と協力して被告学会攻撃をしかねない旨示して脅迫した。
これに対し,被告学会は,同月5日,原告の要求に従わず,原告を恐喝罪で警視庁に告訴し(同年10月25日受理),同年9月6日,原告を除名処分とした。(以上,乙1及び弁論の全趣旨)
(カ) 原告は,昭和56年1月25日,被告学会に対する恐喝の被疑事実で逮捕され,同年2月14日,恐喝及び恐喝未遂で起訴されると,同年4月24日,自ら弁護士登録抹消請求をし,これが受理された(乙123及び弁論の全趣旨)。
(キ) 東京地方裁判所は,昭和60年3月26日,原告を恐喝及び恐喝未遂の罪で,懲役3年に処する旨の判決(乙1)を言い渡した。また,東京高等裁判所は,昭和63年12月20日,原告の控訴を棄却し,最高裁判所は,平成3年1月21日,原告の上告を棄却した。
そして,原告は,同年2月25日,東京拘置所に収容され,平成5年4月27日,仮釈放された。(以上,甲53,乙123)
(2)  A3邸盗聴事件等について
ア 昭和44年11月発行の藤原弘達著「創価学会を切る」等の出版に当たり,被告学会が妨害行為をしたとされる,いわゆる言論出版妨害問題が共産党によって問題提起され,これをめぐり,被告学会において,昭和45年2月,共産党による盗聴がされたとして,その対抗手段が必要であるとの意見が出るようになった。
原告は,当時共産党中央委員会委員長のA3の私邸の電話盗聴を計画し,被告学会学生部幹部のA11及びA12に指示し,同年5月ころから同年7月9日ころまでの間,A3邸の電話線に盗聴器を設置し,電話を盗聴した。(以上,甲22,23及び弁論の全趣旨)
イ 昭和55年6月5日発売の月刊現代同年7月号において,A3邸盗聴事件の犯人が被告学会であったとする,A6の記事が掲載されたが,これは,原告がA6にリークした情報に基づくものであった(乙1及び弁論の全趣旨)。
また,原告は,被告学会が同年6月5日に原告を恐喝罪で告訴したことを知ると,同月12日ころ,共産党の機関紙「赤旗」の記者からの接触を受け,A3邸盗聴事件はA13の指示によるものであった等,A3邸盗聴事件に関する情報をリークし,これを基にした記事が「赤旗」昭和55年6月19日号に掲載された(甲110,乙1ないし3,31の2の2及び弁論の全趣旨)。
そして,原告は,週刊文春同年8月14日号(乙175)に,「創価学会最高幹部7人の内部告発 いまこそ明かすA3邸盗聴事件の真相」と題する匿名記事を寄稿し,A3邸盗聴事件の犯行グループの指揮者が原告であったことを公表し,以後,被告Y1がA3邸盗聴事件に関与していた旨の主張を始め,その後も,本件書籍が発行された平成14年6月1日までの間,以下のとおり,A3邸盗聴事件に関する記事を週刊誌に寄稿したり,書籍を発行するなどした(乙123,178及び弁論の全趣旨)。
(ア) 昭和56年1月24日に恐喝の被疑事実で逮捕されるまで
週刊ポスト昭和55年9月12日号,週刊新潮同年10月2日号,週刊ポスト同月3日号,月刊宝石同年11月号,同年10月5日付け東京スポーツ,同年12月1日発行の著書「盗聴教団―元創価学会顧問弁護士の証言」(甲107の1ないし5)
(イ) 昭和56年2月14日に恐喝及び恐喝未遂で起訴された後
週刊文春昭和56年2月19日号,週刊宝石同年10月17日号,月刊諸君同年12月号・昭和57年2月号,週刊新潮同年4月8日号,週刊文春同年6月3日号・同月10日号・同月17日号・同月24日号,昭和56年12月15日発行の著書「闇の帝王,Y1をあばく」
(ウ) 平成5年4月27日の仮釈放後
週刊新潮平成5年10月21日号,週刊ポスト同月29日号,週刊実話同月28日号,週刊現代同月30日号,文芸春秋平成6年2月号,同年3月15日発行の著書「懺悔の告発」,「被害者の会」の機関紙「自由の砦」に平成12年9月10日から平成14年5月10日までの間に掲載された「今明かす創価学会「A3邸盗聴事件のすべて」」と題する19回の連載記事
原告は,上記記事等の中で,被告Y1がA3邸盗聴事件に関与していたという,証拠(乙10,11,13ないし16,183,184)に照らして容易に真実とは認め難い主張をする一方,上記文芸春秋平成6年2月号では,「私は,学生部幹部をつかって日本共産党A3氏の電話に,盗聴器を仕掛けた。」旨著述し,また,上記著書「懺悔の告発」では,「私が総指揮を執り,実行責任者はA11氏とA12氏だった。」旨著述していた。
ウ 一方,A3は,昭和55年8月26日,A3邸盗聴事件によって通信の秘密等を侵害されたとして,原告,事件当時被告学会副会長のA13並びに被告学会学生部幹部のA11,A12及びA14に対する損害賠償を求める訴え(盗聴事件訴訟)を提起した(当庁昭和55年(ワ)第9051号。なお,A13は,訴訟係属中の昭和56年7月18日に死亡し,4名の相続人が訴訟承継した。)。
東京地方裁判所は,昭和60年4月22日,盗聴事件訴訟について,原告が電話盗聴を計画し,A11及びA12に指示をしてA3邸の電話線に盗聴器を設置し,電話を盗聴したことを争いのない事実とした上,原告が独自に電話盗聴を計画,実行したとするよりは,A13の承認と資金提供の下に実行したと考えるのがより自然であるとして,A13が電話盗聴に関与していたことを認定し,原告,A13,A11及びA12の共同不法行為責任(慰謝料100万円)を認める旨の判決を言い渡した(甲22)。
A13の承継人4名,A11及びA12は,これに控訴したが(東京高等裁判所昭和60年(ネ)第1287号等),東京高等裁判所は,昭和63年4月26日,上記争いのない事実を前提とした上,原告が独断で電話盗聴を指示した可能性は認められず,原告が,A13の了解及び資金提供を受け,電話盗聴を実行したことを認定し,控訴を棄却し,その後,同判決が確定した(甲23及び弁論の全趣旨)。
(3)  富士桜墓園事業等について
ア 原告は,昭和48年ころ,大石寺の正本堂建設等をめぐり,静岡県富士宮市の政治関係者と折衝を重ねるうち,同市議会議員で地元有力者のA15と知り合った。そして,原告は,被告学会の同市関係の政治工作等担当者として,A15と密接な関係を持ち,A15に対し,同人が経営する日原造園に被告学会の造園工事を請け負わせるなど,種々の恩恵を与えた(乙1及び弁論の全趣旨)。
イ 原告は,被告学会の顧問活動を通じ,富士宮市内に,大石寺所有の遊休地であるボサシタの土地を知り,A15と共に,同土地を利用したゴルフ場の経営計画を立て,山下商事を設立し,山下商事が,昭和50年6月16日,大石寺から,ボサシタの土地を,1億6000万円で買い受けた。
ところが,同年8月18日,静岡県知事が,富士宮市を含む県東部地区でのゴルフ場開発に関する審査を数年間行わないことを発表し,これにより,ボサシタの土地のゴルフ場開発は,凍結された。そこで,原告は,ボサシタの土地を利用した墓園事業で利益を上げることを計画し,被告学会に対し,富士桜墓園計画を進言した。(以上,乙1,19,20,22,115,132,133,208及び弁論の全趣旨)
ウ 富士桜墓園計画は,原告を中心として立案推進され,昭和50年11月15日,富士宮市への開発事前協議申請手続が執られた。
原告は,富士桜墓園の建設準備段階で,墓園用地の取得及び地元対策等に関連し,A15と密接な交渉を持ち,全面的な協力を得た。
A15が経営する日原観光は,同年12月12日,山下商事等から,墓園予定地として,ボサシタの土地及びその周辺土地を買い受けた(代金合計7億3000万円,うちボサシタの土地代金は2億1000万円)。(以上,甲85の1・2,86,乙1,19,21,23及び弁論の全趣旨)
エ 一方,原告は,休眠会社であるシーホースを復活させ,同社による冷凍食品事業数社(ユア―ズグループ)の管理を構想し,昭和51年11月上旬ころ,A15に対し,ユア―ズグループへの資金援助を依頼し,日原造園から,同月15日から昭和52年4月2日までの間,13回にわたり,合計1億5450万円の融資を受けた。
また,原告は,同月上旬ころ,A15に対し,シーホースへの資金援助を依頼し,A15から,同月11日から昭和55年2月21日までの間,現金貸付,債務保証及び融通手形振出等の方法により,38回にわたり,合計12億7300万円の資金援助を受けた。
A15が上記資金援助等をした時期は,富士桜墓園計画が着々と進行し,被告学会による用地買収及び工事発注等が問題となる時期であった。そのため,A15は,かねて同計画に関し原告に全面的に協力し,現に墓園予定地を所有しているという経緯もあり,総工費が200億円近くに達すると予想された墓園工事を,日原造園が有利な条件で請け負いたいと考え,同計画の中心的人物であると思われた原告と一層親密な関係を持つことで,原告が好意ある取計いをしてくれることを期待し,上記資金援助等をした。(以上,甲78の1ないし3,乙1,25の1ないし3及び弁論の全趣旨)
オ 被告学会は,昭和52年7月27日,日原観光から,上記墓園予定地を,代金合計13億3900万円で買い受けた。
そして,原告の取計いにより,日原造園が,墓園本体工事の下請(代金約46億8800万円),造園工事(代金約68億円)及び墓所工事(代金約58億7900万円)を請け負うこととなり,また,被告学会とA15の間で,植木売買及び管理契約(代金7億9600万円)も締結された。
その後,上記エのとおり,A15から,シーホースに対する資金援助が続けられたものであるが,上記12億7300万円の資金援助の中には,「X先生に対する手数料」(乙112の1),すなわち,富士桜墓園建設工事受注のリベートである5億4000万円が含まれており,原告は,そのうち4億5000万円を受領した。
上記工事は,昭和55年10月4日に完成した。(以上,甲58の5,78の1ないし3,乙1,19,23,24の1・2,25の1ないし3,112の1,113及び弁論の全趣旨)
(4)  クルーザー遊覧等について
ア 原告は,昭和54年6月当時,シーホースが巨額の負債を抱えていた一方,富士桜墓園に絡むリベート等で利益を得ていたことから,再度,葉山の土地を利用した墓園事業を計画した。
そして,原告は,葉山の墓園事業でも,富士桜墓園の建設工事資金をA15に融資した弘信商事とA15から資金援助を得るべく,原告とA4の親密さを示すため,A4を招いたクルーザー遊覧を計画し,そこに,弘信商事のA16常務と,A15の関係者であるA17を同行させることにした。(以上,甲110,乙31の3の1,135,証人A17,証人A5及び弁論の全趣旨)
イ 原告は,昭和54年6月21日,A4(同月19日に北海道長万部での葬儀等から戻ってきていた。),A16常務及び富士神苑(日蓮正宗の墓地関係会社)のA33社長らを,葉山の墓園用地に案内し,「一基当たり,100万円位の高級な墓園を作る。」などと話していた。その後,原告らは,葉山マリーナに向かい,原告,A4,A33,A17及び数名のクルーが,原告の友人であるA34が所有するクルーザーに乗船し,熱海に向かった。
当日,相模湾は,特に悪天候ではなかったが,外海に近く波が高かったこともあり,出港後しばらくして,A4が,いわゆる船酔いの症状を示した。そこで,A33がA4と相談した結果,熱海行きは中止とし,近くの港につけることとした。出港後1時間弱で,クルーザーが江の島に着くと,A4は下船し,A33が運転する車に乗っていった。
なお,A4は,乗船前,顔色が悪かったが,体調が悪いと述べたわけではなかった。(以上,乙135ないし137,証人A17及び弁論の全趣旨)
ウ 昭和54年7月22日,A4が死亡した(当時77歳)。
その死因は,宗門の公式発表によれば,心筋梗塞とされ,A28医師の診断によれば,腹部解離性大動脈瘤による心不全とされた。(以上,甲98の1,乙28,123,139)
A28医師の診断によりA4の死因とされた腹部解離性大動脈瘤は,急激な血圧の変動等を与えるストレス等が,特に脆くなった血管に悪影響を与え得るものである(証人A19及び弁論の全趣旨)。
エ なお,A4は,昭和53年3月ころから,体調不良を訴え,同年4月後半ころからは,床に伏すようになっていた。そのころ,原告が,A4にA28医師を紹介したところ,往診したA28医師は,「心臓が相当悪くなっています。原因は,動脈硬化で,いつ発作が起きてもおかしくない状態です。また,動脈が破れるおそれもあります。すぐ入院して,徹底的な検査と治療を行う必要があります。心臓病といってもおそれることはない。きちんと治療し,節制すれば,元気で活動しながら長生きでもできます。」と述べ,原告もこれを把握していた。(以上,乙139)
オ 株式会社イチビル(弘信商事の関係会社)の,株式会社東海総業(シーホースの金融部門)に対する与信枠は,当初1億3000万円だったのが,昭和54年7月15日には,4億円に増額された(乙26,27,219)。
カ また,原告は,A4の本葬の際,行列の先頭を,先端に錫の付いた金棒をシャンシャンと鳴らして,額の汗を拭きながら,いかにも辛そうに歩いていたが,その翌日,A5に対し,「なに,大したことじゃないよ。銀行関係者を僕が葬式に呼んでおいたからね。あの連中の前でシャン,シャン,シャン,シャンという行列に僕がY1さんと並んで歩んでいるのを見たら,あいつらはいくらでも金を貸してくれるんだよ。だからあのシャン,シャンという金棒の先から札が降ってくると思えば,どうってことないさ。あれぐらい歩くことなんか。」と述べていた(甲110,乙31の3の3,証人A5)。
(5)  原告とA21及びA22との不倫関係等について
ア 原告は,昭和56年2月14日に恐喝及び恐喝未遂で起訴され,同年7月6日に保釈された後,定職に就かず,執筆活動や講演活動等で収入を得る一方,同年暮れころから,恐喝事件の裁判費用や生活費を,a会からのカンパに頼っていた。原告は,昭和58年5月ころ以降は,a会と断絶し,執筆料や講演料等の収入も途絶えたため,大分県竹田市で伝法寺の住職を務めるA5ら,個人的に親しい僧侶らからのカンパに頼らざるを得なくなっていた。
原告は,昭和49年ころ,宗門内の反宗門・被告学会団体である妙信講への対応の被告学会側担当者として,宗門側担当者のA5と知り合い親しくなり,その後a会に属したA5とは,反宗門・被告学会の同志の関係にあった。(以上,甲34,110,146,乙31の4の2,52,55,69,71,123,181,198,証人A5及び弁論の全趣旨)
イ A21との不倫関係等
A21は,a会の信者で,大分県竹田市内のスナックを経営していたが,原告は,昭和58年1月ころ,A5から,A21を紹介された。
原告は,同年4月ころ,A21が上京した際,A21に夫がいることを知りながら,A21と男女関係に及び,その後,恐喝事件の実刑確定により東京拘置所に収容される平成3年初めころまで,A21との不倫関係を継続した(なお,原告自身は,昭和55年4月に離婚している。)。
そして,原告は,その間,A21に対し,「お金は必ず返すからね。そのぐらいはいずれすぐ作れるよ。」,「老後は2人で楽しく暮らそうね。」,「今度まとまった金が入る。」,「2倍,3倍にして返す。」などと述べながら,A21に金を無心し,A21が原告との関係を絶とうとすると,「これまで2人で丹精こめて育てた木にやっと花が咲こうとしているのに,自分の手で切り倒そうとするのか。」,「僕を信じることだ。「走れメロス」を読め。」などと述べて関係の継続を求め,さらに金を無心するなどした。そして,原告は,A21から,昭和58年後半から昭和61年初めころまで,毎月,20万円から70万円,少なくとも合計2000万円のカンパを受けた。
また,原告は,昭和60年3月26日に,恐喝事件の第1審で懲役3年の実刑判決を受けたが,その保釈保証金の積み増しが必要であるとして,A21から,500万円を借りるなどした。(以上,甲35,42,53,乙1,55,58,68ないし70及び弁論の全趣旨)
ウ A22との不倫関係等
原告の手帳には,昭和58年暮れころから,「A22・熊本」,「Ki 羽田東急ホテル」等の記載があった。
一方,A5の妻のA22は,昭和59年ころから,不自然な言い訳で伝法寺を留守にすることが多くなり,A5との夫婦関係を拒否するようになった。また,A22は,昭和62年春ころ,免許証入れの中に,原告とA22の部分だけを切り抜いた写真を入れていた。さらに,A22は,昭和61年1月10日に12万円,昭和62年10月12日から同年11月17日までの間に合計35万円を,A5に無断で,伝法寺の会計から原告に送金していた。
A5は,昭和63年7月ころ,A22から離婚を求められ,A22と原告との不倫関係を疑い,原告に電話をして問うと,原告は,「A5さん,あんた,そんないい加減なことを言うと,僕は名誉毀損であんたを訴えるからね。」,「同志を疑ったらおしまいですよ。A5さんと僕の仲じゃないですか。僕がそんなことをすると思いますか。」などと述べた。
結局,A5とA22は,同年8月,協議離婚した。(以上,甲35,133,乙53,54,56,57,172,181,証人A5)
エ 昭和59年暮れころ,原告が熊本でA22と密会していると直感したA21が熊本空港に向かうと,そこに原告が現れた。A21は,逃げる原告の後を追い,電車で熊本駅から八代駅に行き,駅前の喫茶店において,原告にA22との関係を追及したところ,原告は,「俺が友達の女房を寝取るような泥棒猫みたいなことをすると思うか。」などと述べた。その後,A21が,球麿川の土手で,原告とA22の関係をA5に話す旨述べると,原告は,「友達の奥さんとできることは,世間でもよくあることだ。」,「僕と君と奥さんの3人でよく話し合おう。住職には絶対言うな。」と述べた。(以上,甲35,乙171)
オ 原告は,平成5年4月27日の仮釈放後,A21との交際を断ち,A21の貸金返還請求に応じず,遅くとも同年9月ころにはA22宅に頻繁に出入りするようになり,平成8年2月,A22と婚姻した(甲35,128,129,乙65,72ないし75,77ないし80,97,98)。
カ その後,A21らと原告の間で,以下の訴訟が係属した。
(ア) A21の原告に対する貸金返還請求訴訟(大分訴訟)
A21が,原告に対し,昭和60年8月に1000万円を貸し付けたなどとして,その貸金残金550万円の返還を求めた事案である。
大分地方裁判所(同庁平成8年(ワ)第751号)においては,A21の上申書(甲35)等を根拠に,平成10年6月3日,A21の請求を認容する旨の判決が言い渡された(甲33)。A21の上申書(甲35)には,原告が昭和58年ころに知り合った麻雀店経営者のA35(以下「A35」という。)は,昭和60年ころ,銀座のクラブ等の女性への金融を計画し,その資金を求めており,また,A36(以下「A36」という。)に対する賭け麻雀の勝ち分を回収する必要があり,他方,A21も,資金を有利に運用したいと考えていたこと,そこで,原告は,A21に対し,1000万円の都合を求め,「1000万円用意できなかったら縁を切る。後釜を探さなくてはならない。」旨述べたこと,A22を恋敵と考えていたA21は,昭和60年8月,最終的に,1000万円を拠出したこと等が記載されていた。
しかし,福岡高等裁判所(同庁平成10年(ネ)第561号)は,A35の証人尋問を行った上,平成11年11月18日,原判決を取り消し,A21の請求を棄却する旨の判決を言い渡した。同裁判所は,1000万円の貸金請求については,A35を借主とし,A36を連帯保証人とする公正証書(甲36の5)があること等から,借主は原告ではなくA35であり(A35は,A21から交付を受けた1000万円のうち,800万円をA36に転貸することとしたが,実際には,麻雀の貸金と相殺するなどして,A36には260万円を交付した。),その余の貸金請求は,A21から原告にカンパとして贈与されたものである旨認定した(甲42)。
最高裁判所(同庁平成12年(オ)第250号等)は,平成12年6月9日,A21の上告棄却・不受理を決定した(甲44)。
(イ) A21の原告及びA35に対する損害賠償請求訴訟
A21が,大分訴訟においてA35が偽証し,原告がこれを指示した旨主張し,原告及びA35に対し,不法行為に基づき,連帯して,590万円の損害賠償を求めた事案である。
宇都宮地方裁判所(同庁平成13年(ワ)第169号)は,平成15年5月29日,A21の請求を棄却し(甲45),東京高等裁判所(同庁平成15年(ネ)第3413号)は,平成16年5月11日,A21の控訴を棄却し(甲51),最高裁判所(同庁平成16年(オ)第1261号等)は,同年11月18日,A21の上告棄却・不受理を決定した(甲52)。
(ウ) A21の原告に対する貸金返還請求訴訟
A21が,原告に対し,昭和60年3月25日に貸し付けた505万円の貸金残金308万円の返還を求めた事案である。
横浜地方裁判所(同庁平成15年(ワ)第3973号)は,平成16年10月27日,上記505万円のうち200万円は原告が弁済し,うち300万円は弁済が免除され,うち5万円は原告に対するカンパの趣旨で交付されたものである旨認定して,A21の請求を棄却し(甲53),東京高等裁判所(同庁平成16年(ネ)第5923号)は,平成17年7月14日,A21の控訴を棄却した(甲54)。
(エ) A21の夫の原告に対する損害賠償請求訴訟(不貞訴訟)
A21の夫が,原告とA21の不倫関係により精神的苦痛を被ったと主張して,原告に対し,500万円の損害賠償を求めた事案である。
大分地方裁判所(同庁平成12年(ワ)第174号)は,平成13年10月26日,原告とA21の不倫関係を認定し,300万円の損害を認めて一部認容し(乙68),福岡高等裁判所(同庁平成13年(ネ)第1113号等)は,平成14年9月19日,原告の控訴及びA21の夫の附帯控訴をいずれも棄却した(乙70)。
原告は,同訴訟の本人尋問において,A21と不倫関係にあった当時,20代のモデルや,短大生と交際していたことを認めていた(乙67)。
(6)  麻雀賭博等について
ア 原告は,昭和56年7月6日に保釈された後,定職に就かず,同年暮れころから,a会やその僧侶及び信者並びにA21らからカンパを受け,生活費や裁判費用を賄っていた。原告は,賭け麻雀に明け暮れていたが,原告が常連客として麻雀をしていた店は,一般の学生や会社員向けの店ではなく,マンションやビルの一室で営業する「秘密麻雀クラブ」といわれる類の店で,そこで行われていた賭け麻雀のレートも,1000点300円から1000円などと高レートで,警察の摘発対象となるものであった。(以上,甲35,110,乙31の4の2,58,64,181,210の1・2,証人A5及び弁論の全趣旨)
イ 原告は,昭和61年3月29日,麻雀賭博の被疑事実で,警視庁に通常逮捕されたが,翌日釈放され,その後,起訴はされなかった。
原告が逮捕されたことは,同日付け朝日新聞夕刊(乙89)や,FOCUS同年4月11日号(甲149,乙90)等で報道された。
また,原告は,同年4月発行の週刊誌(週刊文春同月17日号,週刊新潮同月10日号,週刊朝日同月18日号)において,麻雀賭博をして逮捕されたこと自体は自認していた。(以上,甲29,30,乙91ないし93)
(7)  原告と「考える会」の活動等について
ア 原告とA8及び自民党との連携等
原告は,平成3年2月25日以降,恐喝罪等による懲役刑に服していたが,平成5年4月27日,仮釈放された。
そして,原告は,A8に対し,同年5月ころ,被告学会攻撃を進言する書簡(乙32)を送り,また,同年7月1日ころ,原告が週刊文春昭和55年11月20日号(甲120の1ないし3)において公表した,A8の血脈相承を否定する旨の手記を訂正する用意があるが,そのためには,A8の密接な支援が必要であるなどと記した書簡(乙33)を送った。
一方,自民党は,平成5年7月18日の衆議院議員選挙において,獲得議席数が過半数を割って野党となり,細川連立政権が発足した。原告は,かかる政治状況を利用した被告学会攻撃を計画し,自民党と接触し,被告学会に対する共闘関係を結んだ。
そして,原告は,A8に対し,同年10月11日ころ,原告と自民党が連携しながら被告学会の破壊工作を進めているなどと記した書簡(乙34)を送り,また,同年11月中下旬ころ,「自民党は,党として,党の会計から費用を出して,我々を支援するといっています。今回は,学会を倒すか武装解除まで,攻撃をゆるめないということで,固い約束をとりつけながら進めています。」などと記した書簡(乙35)を送り,さらに,平成6年9月下旬ないし10月上旬ころ,自民党幹部と打ち合わせをした結果,自民党首脳も,被告学会を徹底して叩かない限り,次の選挙での勝利が厳しいとの指摘を素直に受け入れているなどと記した書簡(乙36)を送った。
原告は,同年12月,宗門の信徒に復帰し,平成7年2月16日付け日蓮正宗の機関紙「慧妙」(甲117の3)に,上記血脈相承を否定する旨の手記が大きな誤りであった旨の記事を寄稿した。
この間,自民党は,平成6年6月に与党に復帰したが,平成7年7月23日の参議院議員選挙では,比例代表区の得票数が新進党を下回り,野党転落の危機感を強めていた。(以上,乙30,32ないし36,123,182,198,211,212及び弁論の全趣旨)
イ 平成6年10月15日,「考える会」が発足し,平成7年10月ころから平成8年10月ころまでにかけて,以下の見出しを掲げ,被告学会,被告Y1及び新進党等を誹謗中傷する内容の「考える会」のビラが,日本全国に配布された(乙37ないし42)。
(ア) 第1号ビラ(平成7年10月発行)(乙37)
「オウムより恐ろしい!!新進党の皮をかぶった創価学会」
(イ) 第2号ビラ(平成7年10月発行)(乙38)
「―東村山市―朝木明代市議怪死の経緯と創価学会の関わり!?」
(ウ) 第3号ビラ(平成7年12月発行)(乙39)
「オウムよりこわい!新進党を支配する創価学会の不気味な野望」
(エ) 第4号ビラ(平成8年4月発行)(乙40)
「オウムより恐ろしい!新進党=創価学会による政教一致の独裁政権構想」
(オ) 第5号ビラ(平成8年9月ないし10月発行)(乙41)
「オウム麻原被告も顔負け なんと!!強姦で訴えられた新進党陰の支配者・Y1氏」
(カ) 第6号ビラ(平成8年9月ないし10月発行)(乙42)
「オウムより狡猾 新進党=創価学会の目くらましにだまされるな」
ウ 「考える会」は,対外的にはA6が代表世話人とされていたが,A6は,被告学会批判活動に賛同して代表名義を貸していただけで,「考える会」の実質的な運営者は原告であった。
原告は,A24に対し,「考える会」の事務方を依頼し,その事務所を,「被害者の会」の事務所内に設置するように依頼した。
「被害者の会」は,被告学会の脱会者及び関係者により,平成6年12月に結成された団体であり,A24が,事務局員として,会の運営や,機関紙「自由の砦」の編集及び発行事務等を担当していた。また,同会のメンバー数人が,「考える会」の事務を手伝うこともあった。(以上,甲111,乙50の1・2,223の1・2,証人A24,原告本人及び弁論の全趣旨)
エ 原告は,調査及び資料収集をA24とした上,ビラ原稿を執筆し,印刷業者をホクシンカンテックに選定し,主なビラの売却先である自民党,「被害者の会」及び妙観講(日蓮正宗の信徒団体)に対し,ビラの配布を依頼した(乙50の1・2,123,223の1・2,224,原告本人及び弁論の全趣旨)。
オ 「考える会」のビラは,日本全国に約5500万部ないし6000万部配布され,妙観講は,うち400万部を配布した。また,少なくともビラの半数は自民党が購入し,自民党は,所属の国会議員,都道府県議会議員,政令指定都市議会議員及び友好団体に対してビラの購入を啓蒙し,平成7年内だけで,約1000万部を購入した。
「考える会」のビラは,1枚2円20銭ないし30銭で作成され,一般的に,売値は1枚2円50銭,後に1枚3円とされ,代金は振込送金又は現金支払の方法で支払われ,現金支払の場合,会計担当のA24が金額を記載して作成した領収証を相手方に交付していた。また,ビラの印刷業者であるホクシンカンテックに対する印刷代は,「考える会」名義で振込送金されていた。
一方,自民党との関係では,売値は1枚10円とされ,代金はすべて現金で支払われ,毎回,原告が,1人で又はA24若しくはホクシンカンテックのA25社長と共に,自民党本部において,少なくとも6回以上,自民党総務局長の白川代議士から現金を受領していたが(原告は,1度に3000万円を受領したことがあった。),その際,領収証は作成されなかった。
A24は,「考える会」の経理を担当し,収支に関するメモを控えるのみで,総勘定元帳や現金出納帳は作成していなかった。
なお,原告は,A25社長から,300万円のリベートを受領したこともあった。(以上,甲116,乙43ないし48,150,222,223の1・2,228,証人A24,原告本人及び弁論の全趣旨)
カ 平成8年10月20日の衆議院議員選挙において,新進党が156議席を獲得する一方,自民党は239議席を獲得し,政権与党の座を維持した(公知の事実)。
キ A24は,「考える会」の第6号ビラが発行された後,「考える会」の平成7年10月から平成8年12月までの売上諸経費明細書(甲116)を,一般的な売値を基に作成し,同月30日,これをA6に送付した。
上記明細書によれば,値引前の売上は1億4873万4502円,同仕入は1億3945万8204円,値引後の総収益は963万9067円,経費は960万4468円で,残金は3万4599円とされている。
また,A24は,平成9年1月10日,A6の訴訟代理人であるA26弁護士に,「考える会」の事務処理一切が終了したことを報告した。(以上,甲114ないし116,証人A24)
ク 平成8年暮れから平成9年初めにかけて,国会議員及びマスコミ関係者に対し,「民主政治を考える会有志一同」名義で,「絶縁宣言」と題する書面(乙49)が配布された。
「絶縁宣言」には,「原告が実質的に運営していた「考える会」が,合計6回,約1億枚発行したビラにつき,1枚の原価は1円50銭で,売値は3円であるが,原告は,差益を会に報告しておらず,特に,自民党に売却されたビラについては,自民党総務局長白川勝彦から,販売代金及び配布代金として,数億円を現金で受領していたが,そこから原告がいくら抜こうが,誰も分からない仕組みになっていた。」旨の記載がされていた。
ケ 平成9年2月22日,A5がA6に電話をした際,A6は,(ア)「考える会」には代表名義を貸しただけであること,(イ)A6が,原告に対し,ビラに関して,「俺の名前でこんな文書,俺いつ出していいっちゅった。」と叱りつけたことがあったこと,(ウ)原告が,自民党からのビラ代金から何億円かをせしめて,その分配をめぐり何人かと喧嘩していること,(エ)A6が,白川代議士に対し,原告に渡した金額を追及したところ,「表にできないのが裏金だから。」と言われ,「もう勝手にしろ,バカヤロー。」と述べたこと,等を語っていた(乙50の1・2)。
A5は,平成11年11月13日,上記A6との会話を録音したテープを,マスコミ関係者に送付して,公表した(乙51)。
なお,A6は,同年7月8日に死亡していた(弁論の全趣旨)。
(8)  本件書籍の発行及び本件連載(1),(2)の掲載に至る経緯等
ア 原告による被告学会に対する批判的言論等
(ア) 原告は,宗門問題の渦中,昭和52年7月ころから,マスコミに対し,被告学会関連の情報を提供するようになり,昭和53年1月ころから,活動家僧侶に対し,被告学会の批判活動を扇動するようになった。
また,原告は,昭和54年10月ころ,被告学会の大量の機密資料を,A6や活動家僧侶に交付し,上記機密資料を基にした記事が週刊誌等に掲載されると,今後も被告学会に不利益な情報をマスコミに提供するなどと述べて,被告学会を恐喝するに至った。(以上,前記1(1))
(イ) 原告は,昭和55年6月5日に被告学会から恐喝罪で告訴されてから平成3年2月25日に東京拘置所に収容されるまでの間,週刊誌等に,少なくとも90回,被告学会及び被告Y1等に批判的な手記等を寄稿するなどした(乙123,178及び弁論の全趣旨)。
(ウ) 原告は,平成5年4月27日に仮釈放されると,同年10月以降,被告学会批判を再開し,週刊誌等に少なくとも約60回,日蓮正宗の機関紙「慧妙」に少なくとも約100回,その他「被害者の会」の機関紙「自由の砦」等に,被告学会及び被告Y1らに批判的な手記等を寄稿するなどした。また,原告は,本件連載(1)が開始された平成14年1月16日までに被告学会及び被告Y1らに批判的な書籍を少なくとも10冊発行し,本件連載(2)が開始された平成16年9月15日までに同旨の書籍を3冊発行し,その後も被告学会及び被告Y1らの批判を続けた。その内容は,(a)被告学会が政教分離に違反し,日本の支配を狙っているとするもの,(b)被告学会が日蓮正宗を支配するために画策してきたとするもの,(c)被告学会が組織的に様々な反社会的事件を起こしてきたとするもの,(d)被告学会がオウム真理教と同様の犯罪集団であるかの印象を与えようとするもの,(e)被告Y1がレイプ犯であるとするものなど,極めて多岐にわたっていた。(以上,甲93の1ないし19,96の1ないし4,105,106,212,乙178ないし180,210の1・2及び弁論の全趣旨)
その他,原告は,平成7年10月ころから平成8年10月ころまでにかけて発行された「考える会」のビラ原稿を執筆した(前記(7)エ)。
さらに,原告は,本人尋問においても,今後も被告学会批判を続けていく旨供述した(原告本人)。
(エ) 原告は,上記のとおり被告学会に対する批判的言論を繰り返す中で,以下の著述をしていた。
a 原告は,被告Y1がA3邸盗聴事件に関与していたという,証拠(乙10,11,13ないし16,183,184)に照らして容易に真実とは認め難い主張をしていた(弁論の全趣旨)。
b 原告は,クルーザー遊覧について,週刊文春昭和55年10月23日号(乙138)において,「五十三年春,A4上人は,創価学会とのトラブルによる過労から,持病の心臓病が悪化して苦しんでおられた。Y1氏はそれを承知の上で,A4上人に中国訪問旅行に同行するよう強要し続けた。」,「それ以前から,Y1氏は上人の体力の衰えをよく知っていて,A13氏やA37氏らに対しても,「猊下とどれだけ話した?三十分?だめだ,どれだけ長く食い下るかが勝負だ。オレは少なくとも二時間はやる」と檄を飛ばしていた。そばについていた僧侶によると,A4上人はY1氏と話した後は,疲労のため,いつもグッタリされていたということである。」,「葉山のゴルフ場を見学し(中略),船で江の島にわたり,それから熱海へまわられた。大いに楽しまれたようであり,また,一年間の治療と節制で,健康も相当回復されていることも証明された。」などと著述していた。
c 原告は,A21が大分訴訟を提起した後,平成9年7月16日付け「慧妙」(乙179)において,「昨年の総選挙終了直後から,創価学会の,私に対する個人攻撃がエスカレートしてきました。」,「突然,今回の訴訟(中略)という手段に出られ,創価学会サイドとの連係した動きが始まったのです。」などと著述していた。また,大分訴訟の控訴審でA21の請求が棄却された後,原告は,平成11年12月16日付け「慧妙」(乙180)において,「A5夫妻が昭和62(ママ)年に離婚し」,「平成8年4(ママ)月,原告がA5住職と別れた妻A22と再婚した」という外形的事実を認めつつ,「創価学会の手先となったA5氏は,私を誣告(ぶこく)し,さらに中傷のために信者の女性と共謀して訴訟を起こしたのです。しかし,告訴ならびに訴訟での敗訴で,その企ては失敗し,“邪悪な陰謀”の全貌が明らかになりました。」などと著述していた。
d 原告は,麻雀による賭博の被疑事実で逮捕されたことについて,平成13年4月30日発行の著書「「月刊ペン事件」埋もれていた真実」(甲105)において,「ついに,何でもないマージャン遊びを,公明党議員と会員の作り話で,“賭博罪”にデッチ上げられ,現行犯でもないのに,二カ月近くたって逮捕状が出されて逮捕されてしまった。」などと著述していた。
e 原告は,「絶縁宣言」(乙49)について,平成9年7月16日付け「慧妙」(乙179)において,「昨年の総選挙終了直後から,創価学会の,私に対する個人攻撃がエスカレートしてきました。」,「まず,「民主政治を考える会」のパンフレットに関して,私が自民党から大金をもらったとか,印刷屋からリベートをもらったとか,何の根拠もないデマを書き散らした怪文書が出され,それを「中外日報」が全面引用して報道しました。」,「そもそも,何の根拠もない怪文書を流し,それを取り上げて,あたかも事実であるかのようなデマ宣言をするのは,創価学会お得意の謀略戦術です。」などと著述し,また,平成10年2月発行の著書「Y1 日本経済乗っ取りの野望(一)」(甲96の1)において,「ごていねいに,自作自演の怪文書つきである。」などと著述していた。
f 原告は,ボサシタの土地について,昭和56年12月15日発行の著書「闇の帝王,Y1をあばく」において,「学会側が(中略)「Xが土地ころがしをやって3億円もうけた」などとデマ宣言をやっている」などと著述していた(弁論の全趣旨)。
イ 被告学会側による原告に対する批判的言論等
(ア) 一方,被告学会側は,原告による被告学会批判に対し,亡A2が,昭和56年1月,「謀略 X弁護士の黒い手口」と題する書籍(甲205の1ないし4)を発行し,サンデー毎日に,昭和57年11月から昭和58年2月まで,「虚構の崩壊」と題する連載記事(全16回)を寄稿し,これに加筆して,同年3月,「創価学会の真実 崩壊したX,A9らの策略」と題する書籍(乙18)を発行した。
(イ) 被告学会が発行する平成14年1月16日付け「創価新報」から,亡A2の執筆により,本件連載(1)(全16回)が掲載された。亡A2は,本件連載(1)のうち,第1回から第8回連載分を抜粋・加筆し,本件書籍を執筆し,平成14年6月1日,これが発行された(甲1,2の2,3の2,4の2,5の2,6の2,7の3,乙123)。
本件連載(1)は,亡A2が,A19からの依頼を受け,A19との打ち合わせを基に執筆したものであるが,A19は,下書や加筆をしたこともあった(乙123)。
(ウ) 平成16年9月15日付け「創価新報」から,被告学会の文芸部青年会議の執筆により,本件連載(2)(全9回)が掲載された(甲14の2,15の2,乙123)。
本件連載(2)は,文芸部青年会議が企画して,「創価新報」へ掲載を依頼したものであり,A19が,「創価新報」側の担当者として,記事内容の検討や資料収集等に全面的に協力した(乙123)。
(エ) また,原告と被告学会らとの間に,本訴と同種の訴訟事件が複数係属していることからすると(横浜地方裁判所小田原支部平成14年(ワ)第609号損害賠償等請求事件等),被告学会関係者が,本件書籍の発行及び本件連載(1),(2)の掲載までに,原告を批判する内容の書籍や記事等を複数発行ないし掲載してきたことが推認され,また,原告を批判する内容の「現代宗教研究」(甲204)や,「中外日報」(甲37の1ないし20,38,乙29の1ないし11)についても,被告学会関係者が関与したことが窺われる。このように,原告と被告学会との間においては,長期間にわたり,様々なテーマについて激烈・熾烈な表現による言論の応酬が繰り広げられてきた(弁論の全趣旨)。
(オ) なお,平成15年5月7日付け「創価新報」から,亡A2の執筆により,「断末魔迎えたX 無惨なり! デマとペテンの詐欺人生 」と題する連載記事が,同年9月17日まで,少なくとも10回掲載された(甲8の2,9の2,10の2,11の2,12の2,13の2)。
また,平成14年7月3日付け「創価新報」7面(甲7の2)には,「Xのウソの片棒担いできた 宗門機関紙「慧妙」の責任は重大!」との見出し記事が,平成16年10月6日付け「創価新報」9面(甲14の2)には,「創価学会報道にみる情報操作[2] 第1部 言論の詐欺師・X」との見出し記事等が掲載された。
2  争点(1)(本件各記載が原告の名誉を毀損するか)について
(1)  ある表現の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,一般の読者の普通の注意と読み方を基準に判断すべきである(最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁)。
そして,当該表現が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を明示的又は黙示的に主張するものと理解されるときは,当該表現は,上記特定の事項についての事実を摘示するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第978号同9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁)。また,上記のような証拠等による証明になじまない物事の価値,善悪,優劣についての批評や論議などは,意見ないし論評の表明に属するというべきである(最高裁平成15年(受)第1793号,第1794号同16年7月15日第一小法廷判決・民集58巻5号1615頁)。
以上を本件各記載についてみると,以下のとおりである。
(2)  本件記載①(A3邸盗聴事件に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載①は,「原告は,昭和45年7月,弁護士としての特異な能力及び才能を被告学会内に誇示し,存在感を見せつけるために,当時の被告学会の首脳の誰も発想すらしなかったA3邸の盗聴行為を,対共産党の情報収集と称して,後輩の学生を使って,被告学会に独断で実行した。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
(ア) 上記本件記載①が摘示する事実は,一般の読者をして,原告が,犯罪行為に該当し得る盗聴行為を,独断で実行したとの印象を抱かせるものであり,それ自体は,原告の社会的評価を低下させるものということができる。
(イ) しかしながら,前記1(2)で認定したとおり,原告は,盗聴事件訴訟において,原告が電話盗聴を計画し,A11及びA12に指示してA3邸の電話線に盗聴器を設置させ,盗聴したことを争っておらず,そのことは,同訴訟の第1審判決(甲22)及び控訴審判決(甲23)でも明らかにされている。
また,前記1(2)で認定したとおり,原告は,昭和55年以降,A6や「赤旗」の記者にA3邸盗聴事件に関する情報をリークし,これを基にした記事が週刊誌等に掲載され,さらに,原告自身,証拠上明らかなだけで,本件書籍が発行された平成14年6月1日までに,A3邸盗聴事件に関し,週刊誌等に記事を約20回寄稿し,3冊の書籍を発行し,機関紙に19回の連載記事を寄稿するなどし,その中で,A3邸盗聴事件の総指揮者が,原告であったことを自認していたものである。
そうすると,原告がA3邸盗聴事件を総指揮して実行させた事実は,本件書籍が発行された当時,既に公然化し,上記事実に係る原告の社会的評価は既に低下しており,かつ,原告は,同事実に係る自己の社会的評価に関する法的利益を,自ら放棄していたものというべきである。
他方,本件記載①は,原告が,A3邸盗聴事件について「被告学会に独断で実行した。」などの記述を含むものであるが,A3邸盗聴事件についてA13の関与があったことは,上記盗聴事件訴訟の判決の認定するところであり,上記記述は確定判決の判断に反するものである。しかし,原告がA3邸盗聴事件を総指揮したものである以上,被告学会の幹部が同計画を事前に承認していたか否かによって,A3邸盗聴事件に関する原告の社会的評価が低下する程度に,格別の差があるということはできない。
したがって,本件記載①によって,改めて原告の社会的評価が低下したということはできない。
(ウ) よって,本件記載①は,原告の社会的評価を低下させるものということはできない。
(3)  本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載②は,「墓園事業による金儲けを計画した原告は,葉山の墓園用地視察を兼ねて,遊び友達のクルーザーに,体調を著しく悪くしていたA4を,銀行関係者と乗船させた。A4は,強風でクルーザーが揺れたため,体調を悪くし,急遽入院した。その後1か月も経たないうちに,A4は死亡した。原告の阿漕な金儲けが,A4の寿命を縮めた。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
上記本件記載②が摘示する事実は,一般の読者をして,原告が,金儲けのために,体調を著しく悪くしていたA4をクルーザーに乗船させ,その結果,A4の体調が悪化し,A4の寿命が縮まったとの印象を抱かせるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(4)  本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載③,④は,一体となって,「原告は,一晩で100万円単位が動く麻雀賭博を,月に二十数回行い,a会から得た支援金等を,賭け麻雀の賭け金に費消し,昭和61年3月,警視庁築地署に,麻雀賭博の被疑事実で逮捕された。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
(ア) 上記本件記載③,④が摘示する事実は,一般の読者をして,原告が,高レートの賭け麻雀に明け暮れ,支援金等を賭け麻雀の賭け金に費消し,麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたとの印象を抱かせるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(イ) 原告の主張について
原告は,本件記載③,④が摘示する事実は,一般の読者をして,原告が賭博罪で処罰されたとの印象を抱かせるものである旨主張する。
しかしながら,本件記載③,④は,単に原告が逮捕された事実を摘示するにとどまり,その後原告が賭博罪で起訴された事実や,有罪判決を受けたとの事実を摘示してはいないから,上記本件記載③,④が摘示する事実をもって,一般の読者をして,原告が賭博罪で処罰されたとの印象を抱かせるとまでいうことはできない。
したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
(5)  本件記載⑤ないし⑦(不倫及び麻雀賭博に関する記載)について
ア 摘示事実等
(ア) 本件記載⑤は,以下の事実の摘示等をするものである。
a 「原告は,不倫関係にあったWから,言葉巧みに大金を騙し取った。」との事実を摘示するものである。
b 「原告は,Wと不倫関係にあったと同時期に,同志であるA5の妻とも不倫関係にあった。」との事実を摘示し,これを前提とした,「鬼畜も同然の所業である。」との意見ないし論評を表明するものである。
c 「原告は,Wが,原告とA5の妻との不倫関係に嫉妬していることを利用し,Wに対し,「1000万円を貸さなかったら後釜を探す。」と述べて,金を無心した。」との事実を摘示し,これを前提とした,「原告は,女心を手玉に取り,金をせしめ取る,卑しいペテン師である。」との意見ないし論評を表明するものである。
(イ) 本件記載⑥は,以下の事実の摘示等をするものである。
a 「原告は,A5の妻と不倫関係を続け,その結果,A5夫婦は離婚した。「俺が友人の女房を寝取るような泥棒猫みたいなことをすると思うか。」と述べていた原告は,平成8年,A5の妻と再婚した。」との事実を摘示し,これを前提とした,「原告は,友達の妻を寝取る呆れた泥棒猫である。」との意見ないし論評を表明するものである。
b 「原告は,20年間,被告学会と戦う格好をする裏で,裁判費用及び闘争資金としてa会から得た支援金や女性から騙し取った金で賭け麻雀をし続け,親友の妻を寝取った。」との事実を摘示し,これを前提とした,「原告は,a会を食い尽くす寄生虫で,友人及び同志の信頼を裏切り,ますます表を歩けない裏の「どぶネズミ」の闇生活者に堕した。」との意見ないし論評を表明するものである。
(ウ) 本件記載⑦は,「原告は,Wから強引にせしめ取った1000万円を,賭け麻雀の清算代に費消した。」との事実及び「原告は,被告学会と戦う格好をしながら,裁判費用及び闘争資金としてa会やWから得た支援金を,麻雀の賭け金に使っていた。」との事実を摘示し,これを前提とした,「原告は,人間失格の最低の卑劣野郎である。」との意見ないし論評を表明するものである。
イ 名誉毀損性
(ア) 上記本件記載⑤が摘示する事実は,見出しと相まって,一般の読者をして,原告が女性と不倫をし,不倫相手に,言葉巧みに大金を供与させたとの印象を抱かせ(前記ア(ア)a部分),また,同時に,原告が,同志であるA5の妻とも不倫関係にあったとの印象を抱かせるものである(同b部分)から,原告の社会的評価を低下させるものである。
また,上記本件記載⑤が表明する意見ないし論評は,原告の行為が鬼畜も同然の所業であり(同b部分),原告が,女心を手玉に取り,金をせしめ取る,卑しいペテン師であるとするものである(同c部分)から,原告の社会的評価を低下させるものである。
(イ) 上記本件記載⑥が摘示する事実は,見出しと相まって,一般の読者をして,原告が,A5の妻と不倫関係を続けた結果,A5夫婦は離婚したとの印象を抱かせ(前記ア(イ)a,c部分),また,原告が,被告学会との裁判費用及び闘争資金としてa会から得た支援金や,女性に供与させた金で賭け麻雀をし続け,親友の妻を寝取ったとの印象を抱かせるものである(同b部分)から,原告の社会的評価を低下させるものである。
また,上記本件記載⑥が表明する意見ないし論評は,原告が,友達の妻を寝取る呆れた泥棒猫であるとし(同a部分),また,原告が,a会を食い尽くす寄生虫であり,友人及び同士の信頼を裏切り,ますます表を歩けない裏の「どぶネズミ」の闇生活者に堕したとするものである(同b部分)から,原告の社会的評価を低下させるものである。
(ウ) 上記本件記載⑦が摘示する事実は,見出しと相まって,一般の読者をして,原告が,被告学会との裁判費用及び闘争資金としてa会から得た支援金や,不倫相手の女性に供与させた1000万円を,麻雀の賭け金や清算金に費消したとの印象を抱かせるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
また,上記本件記載⑦が表明する意見ないし論評は,原告が,人間失格の最低の卑劣野郎であるとするものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(6)  本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載⑧は,「原告が実質的に運営していた「考える会」が発行した6000万部ないし1億部のビラにつき,1枚の原価は1円50銭で,売値は3円であるが,原告は,差益を会に報告しておらず,特に,自民党に売却されたビラについては,自民党総務局長の白川代議士から,販売代金及び配布代金として,数億円を現金で受領していたが,そこから原告がいくら抜こうが,誰も分からない仕組みになっており,原告が,ビラ発行で金儲けをしていた。」との事実を摘示するものである。
イ 名誉毀損性
上記本件記載⑧が摘示する事実は,見出しと相まって,一般の読者をして,原告が,「考える会」のビラ発行をめぐり,多額の不正な金員を取得したとの印象を抱かせるものであるから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(7)  本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)について
ア 摘示事実
本件記載⑨は,以下の事実を摘示するものである。
(ア) 「宗教を金儲けの手段としか捉えていなかった原告は,昭和47年ころ,被告学会の顧問活動を通じ,静岡県富士宮市近郊に,大石寺所有に係る19万坪の遊休地があることを知り,同土地上にゴルフ場を建設することを計画し,昭和49年末,同市の有力事業家で市議会議員のH氏と組み,ダミー会社を設立して,同土地を購入した。その後,原告は,ゴルフ場開発許可が下りなかったため,同土地を墓園用地にしようと計画してこれを転売し,5000万円のマージンを取得した。」との事実
(イ) 「原告は,被告学会の顧問弁護士という立場を悪用し,H氏に対し,墓園建設事業への参入を取り計らうと約束して,H氏から,4億円ないし5億円を手にした。」との事実
イ 名誉毀損性
上記本件記載⑨が摘示する事実は,見出しと相まって,一般の読者をして,原告が,顧問弁護士としての活動を通じて知った遊休地を利用した金儲けを計画し,ダミー会社を設立して同土地を購入したが,計画が頓挫したため,最終的に同土地を転売し,5000万円の差益を得たとの印象を抱かせ(前記ア(ア)部分),また,原告が,顧問先である被告学会の墓園事業に関し,業者に便宜を供与し,4億円ないし5億円のリベートを得たとの印象を抱かせるものである(同(イ)部分)から,原告の社会的評価を低下させるものである。
3  争点(2)(真実性又は相当性の法理に基づく違法性又は責任阻却の成否)について
(1)  真実性又は相当性の抗弁の前提となる法理
事実を摘示しての名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁昭和37年(オ)第815号同41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁,最高裁昭和56年(オ)第25号同58年10月20日第一小法廷判決・裁判集民事140号177頁)。
一方,ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁昭和60年(オ)第1274号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁,前掲最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決)。
以上を前提に,以下,名誉毀損性が否定される本件記載①を除く本件記載②ないし⑨について,真実性又は相当性の抗弁を検討する。
(2)  本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)に関する真実性又は相当性について
ア 公共性及び公益目的
前記1(8)で認定した事実によれば,我が国有数の宗教法人である被告学会と,その元顧問弁護士・幹部である原告との間において,長年にわたり,相互に相手方に対する批判的言論の応酬が繰り広げられてきたということができる。
そして,本件記載②(クルーザー遊覧に関する記載)が摘示する事実は,原告と被告学会ないし日蓮正宗との関係という社会的に注目されてきた諸問題に係るもので,また,上記言論の応酬の過程においても取り上げられてきたものといえることからすれば,公共の利害に関する事実に係り,公益を図る目的で掲載されたものということができる。
イ 本件記載②が摘示する事実の重要な部分は,「原告が,金儲けのため,体調を著しく悪くしていたA4をクルーザーに乗船させ,その結果,A4の体調が悪化し,A4の寿命が縮まったこと」ということができる。
ウ 真実性
(ア) 前記1(4)のとおり,(a)原告は,昭和54年6月当時,シーホースが多額の負債を抱えていた一方,富士桜墓園に絡むリベート等で利益を得ていたことから,再度,葉山の土地を利用した墓園事業を計画したこと,(b)原告は,A4を招いたクルーザー遊覧を行い,弘信商事のA16常務と,A15の関係者であるA17を同行させたこと,(c)クルーザー遊覧の直後に,株式会社イチビル(弘信商事の関係会社)の株式会社東海総業(シーホースの金融部門)に対する与信枠が1億3000万円から4億円に増額されたこと,(d)原告は,A5に対し,A4の本葬の際の原告の態度が,金儲けのためであったと述べていたことが認められる。
これらの事実を総合すれば,クルーザー遊覧の目的は,原告の金儲けのためであったことが推認される。
(イ) また,前記1(4)のとおり,(a)A4の死因は,宗門の公式発表によれば,心筋梗塞であるとされ,A28医師の診断によれば,腹部解離性大動脈瘤による心不全であるとされたこと,(b)腹部解離性大動脈瘤は,急激な血圧の変動等を与えるストレス等が,特に脆くなった血管に悪影響を与え得るものであること,(c)A4は,昭和53年3月ころから体調不良を訴え,A28医師の診断によれば,A4の心臓は動脈硬化で相当悪くなっており,いつ発作が起きてもおかしくない状態で,動脈が破れるおそれもあり,原告もこれを把握していたこと,(d)クルーザー遊覧の前に顔色を悪くしていたA4が,クルーザー遊覧により船酔いの症状を示し,その約1か月後に死亡したことが認められる。
これらの事実を総合すれば,クルーザー遊覧が,体調不良であったA4の病気の悪化を促進させ,A4の寿命に悪影響を及ぼしたことが推認できる。
(ウ) 以上によれば,本件記載②が摘示する事実の重要な部分は,真実であると認められる。
(エ) 原告の主張について
原告は,A4がクルーザーから下船後間もなく船酔いから回復し,翌日から,通常どおり法務に従事し,昭和54年7月初旬の定期診察においても,何ら異常が認められなかった旨主張する。
この点,A4が,一旦は体調を持ち直し,法主の職務を行ったことは被告らも争うものではないが,昭和53年にA4が上記(イ)のように診断されていたことからすれば,昭和54年7月当時,A4の体調に何ら異常が認められなかったとは考え難い。そして,クルーザー遊覧がA4の寿命に悪影響を及ぼしたと推認されることは上記(イ)判示のとおりである。
したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
(3)  本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載)に関する真実性又は相当性について
ア 公共性及び公益目的
本件記載③,④(麻雀賭博に関する記載)が摘示する事実は,原告と被告学会,日蓮正宗ないしa会との関係という社会的に注目されてきた諸問題に係るもので,また,前記言論の応酬の過程においても取り上げられてきたものといえることからすれば,本件記載②と同様に,公共の利害に関する事実に係り,公益を図る目的で掲載されたものということができる。
イ 本件記載③,④が摘示する事実の重要な部分は,「原告が,高レートの賭け麻雀に明け暮れ,支援金等を賭け麻雀の賭け金に費消し,麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたこと」ということができる。
ウ 真実性
(ア) 原告が,昭和61年3月29日,麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたことは,当事者間に争いがない。
(イ) また,前記1(6)のとおり,(a)原告は,昭和56年7月6日に保釈された後,定職に就かず,同年暮れころから,a会やA21からカンパを受けて生活費や裁判費用を賄っていたこと,(b)原告は,賭け麻雀に明け暮れていたが,原告が常連客として麻雀をしていた店は,一般の学生や会社員向けの店ではなく,マンションやビルの一室で営業する「秘密麻雀クラブ」といわれる類の店で,そこで行われていた賭け麻雀のレートも,1000点300円から1000円などと高レートで,警察の摘発対象となるものであったことが認められる。
これらの事実によれば,原告が,高レートの賭け麻雀に明け暮れ,支援金等を賭け麻雀の賭け金に費消したものと認められる。
(ウ) 以上によれば,本件記載③,④が摘示する事実の重要な部分は,真実と認められる。
(エ) 原告の主張について
原告は,支援金を麻雀の賭け金に費消したことを否認し,その理由として,原告は昭和56年ころからは麻雀を止め,麻雀を再開したのは,(a会からの支援が途絶えた)昭和58年以降である旨主張する。
しかしながら,原告は,その著書「平成獄中見聞録」(乙210の1・2)において,「雀ゴロ生活をし,生活費とサウナ代が稼げればよし,負けてスッカラカンになったら,バスの始発時間までコマ劇場前の花壇で寝た。」,「心優しい友人達が見るに見かねてカンパをしてくれるようになり」などと著述しており,a会からのカンパが始まった昭和56年暮れころより前から麻雀をしていたことを認めている。
また,A5は,昭和57年春ころに,原告に麻雀店に連れられて行った様子を詳細に供述しており(甲110,乙31の4の2,181,証人A5),その信用性を疑う事情もない。
したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
(4)  本件記載⑤ないし⑦(不倫及び麻雀賭博に関する記載)に関する真実性又は相当性について
ア 公共性及び公益目的
本件記載⑤ないし⑦が摘示する事実及び表明する意見ないし論評は,原告の私生活上の行状に関するものではあるが,我が国有数の宗教法人である被告学会の元顧問弁護士で,被告学会に対し,長年にわたり批判的言論を繰り返してきたという原告の地位及び後記キ(カ)に判示した事情に照らせば,なお,公共の利害に関する事実に係り,公益を図る目的で掲載されたものということができる。
イ 本件記載⑤ないし⑦が摘示する事実及び表明する意見ないし論評が前提としている事実の重要な部分は,以下のとおりということができる。
(ア) 「原告が,A21と不倫をし,A21をして,言葉巧みに大金を供与させたこと」
(イ) 「原告が,A21と不倫関係にあると同時に,同志で親友でもあるA5の妻(A22を指すことに争いはない。)とも不倫関係にあり,原告が,A5の妻と不倫を続けた結果,A5夫婦は離婚し,原告が,平成8年,A5の妻と再婚したこと」
(ウ) 「原告が,被告学会との裁判費用及び闘争資金としてa会から得た支援金や,A21に供与させた金員を,麻雀の賭け金や清算金に費消したこと」
ウ 前記イ(ア)部分の真実性
(ア) 原告が,昭和58年4月ころから平成3年初めころまで,当時夫のいたA21と不倫関係にあったことは,当事者間に争いがない。
(イ) そして,前記1(5)で認定したとおり,原告は,A21に対し,「お金は必ず返すからね。そのぐらいはいずれすぐ作れるよ。」,「老後は2人で楽しく暮らそうね。」,「今度まとまった金が入る。」,「2倍,3倍にして返す。」などと述べながら,A21に金を無心し,A21が原告との関係を絶とうとすると,「これまで2人で丹精こめて育てた木にやっと花が咲こうとしているのに,自分の手で切り倒そうとするのか。」,「僕を信じることだ。「走れメロス」を読め。」などと述べて関係の継続を求め,さらに金を無心するなどして,A21から,昭和58年後半から昭和61年初めころまで,毎月,20万円から70万円,少なくとも合計2000万円のカンパを受けていたほか,昭和60年3月に保釈保証金の積み増しの準備として500万円を借りるなどしたものである。
(ウ) 以上によれば,前記イ(ア)部分は,真実と認められる。
(エ) 原告の主張について
a 原告は,A21が原告に対し,「夫との関係は既に破綻している。」旨述べて関係を求めたものであり,原告に不倫との認識はなかった旨主張する。
しかしながら,原告とA21との関係が始まった当時から,A21と夫との婚姻関係が破綻していたことを認めるに足りる証拠はない。
そして,A21の夫が原告に対してA21との不倫を理由に損害賠償を請求した不貞訴訟の判決においても,原告の不法行為責任が肯定されたことは,前記1(5)で認定したとおりである。
b 原告は,A21をして,言葉巧みに大金を供与させたことを否認し,その理由として,大分訴訟におけるA21の上申書等が信用性に欠け,そのことは大分訴訟の控訴審判決(甲42)においても指摘されている旨主張する。
しかしながら,上記判決は,借主が原告であることに関するA21の陳述には,客観的証拠による裏付がない旨指摘するにとどまり,A21が原告にカンパをした経緯及び状況に係る陳述に関する信用性については言及していない。そして,上記状況に関する陳述は,事実として具体的かつ詳細に述べられており,信用性を疑う事情はない。
c したがって,原告の上記各主張を採用することはできない。
エ 前記イ(イ)部分の真実性
(ア) 前記1(5)のとおり,(a)原告の手帳に,昭和58年暮れころから,「A22・熊本」等の記載があったこと,(b)昭和59年ころから,A22が不自然な言い訳で伝法寺を留守にすることが多くなったこと,(c)昭和59年暮れころ,A21が,原告にA22との関係を追及した後,原告とA22の関係をA5に話す旨述べると,原告は,「友達の奥さんとできることは,世間でもよくあることだ。」などと述べたこと,(d)昭和62年春ころ,A22の免許証入れの中に,原告とA22の部分だけを切り抜いた写真が入っていたこと,(e)A22が,昭和61年1月から昭和62年11月までの間に,A5に無断で,伝法寺の会計から原告に送金していたこと,(f)A5は,昭和63年7月ころ,A22から離婚を求められ,同年8月,協議離婚したこと,(g)原告は,平成5年4月27日の仮釈放後,遅くとも同年9月ころにはA22宅に頻繁に出入りするようになり,平成8年2月,A22と婚姻したことが認められる。
これらの事実を総合すれば,原告は,遅くとも昭和59年暮れころまでには,当時A5の妻であったA22とも不倫関係となり,その後もA22との関係を継続したものと推認することができる。
(イ) そして,前記1(5)認定のとおり,その後,A5は,昭和63年7月ころ,A22から離婚を求められ,同年8月,協議離婚し,原告は,平成8年2月,A22と婚姻したものである。
(ウ) 以上によれば,前記イ(イ)部分は,真実と認められる。
(エ) 原告の主張について
原告は,A22と関係を持ったのは,仮釈放後,すなわちA22がA5と離婚した後である旨主張する。
しかしながら,前記1(5)エで認定したとおり,原告は,昭和59年暮れころ,A21に対して,A22と不倫関係にあることを自ら認めていたものである。原告は,上記事実を否認するが,その否認理由は過去の訴訟を含めて幾重にも変遷し,証拠(乙171,214,215,227)に照らし,到底信用することができない。
したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
オ 前記イ(ウ)部分の真実性
(ア) 前記1(5),(6)のとおり,(a)原告は,昭和56年7月6日に保釈された後,定職に就かず,同年暮れころから,恐喝事件の裁判費用や生活費を,a会からのカンパに頼っていたが,昭和58年5月ころ以降は,a会と断絶し,反宗門・被告学会の同志の関係にあったA5ら,個人的に親しい僧侶らからのカンパに頼らざるを得なくなっていたこと,(b)原告は,不倫相手であるA21から,昭和58年後半から昭和61年初めころまで,毎月,20万円から70万円,少なくとも合計2000万円のカンパを受けていたほか,昭和60年3月に保釈保証金の積み増しの準備として500万円を借りたこと,(c)原告は,そのころ,賭け麻雀を行い,その賭け金に費消していたことが認められる。
これらの事実を総合すれば,前記イ(ウ)部分は真実と認められる。
カ 以上によれば,本件記載⑤ないし⑦が摘示する事実及び表明する意見ないし論評の前提としている事実の重要な部分は,真実と認められる。
キ 本件記載⑤ないし⑦が表明する意見ないし論評が,その域を逸脱するものであるか否か
(ア) 前記のとおり,本件記載⑤ないし⑦が表明する意見ないし論評が前提とする事実の重要な部分は,真実と認められるところ,以下,上記意見ないし論評が,その域を逸脱するものであるか否かについて検討する。
ある意見ないし論評が,その域を逸脱するものであるか否かについては,表現自体の相当性のほか,当該意見ないし論評の必要性の有無を総合して判断すべきである。そして,上記必要性の有無については,相手方による過去の言動等,当該意見ないし論評が表明されるに至った経緯を考慮して判断すべきである。
(イ) 本件記載⑤ないし⑦が表明する意見ないし論評には,原告について,「鬼畜も同然の所行」,「卑しいペテン師」(以上,本件記載⑤),「呆れた“泥棒猫”」,「a会を食い尽くす寄生虫」,「裏の“どぶネズミ”の闇生活者」(以上,本件記載⑥),「人間失格の最低の卑劣野郎」(本件記載⑦)と表するなど,その見出しと相まって,原告に対することさらに下品で侮辱的な言辞によるものを含むものであり,表現自体は相当なものとはいい難い。
(ウ) 他方,前記1(8)で認定した事実によれば,原告と被告学会との間においては,長年にわたり,相互に相手方に対する批判的言論の応酬が繰り広げられてきたものといえるところ,上記言論の応酬は,原告が,昭和52年7月ころから,マスコミに対し,被告学会関連の情報を提供するようになったことに端を発したものということができる。
(エ) また,前記1(8)アで認定したとおり,原告は,(a)被告学会が政教分離に違反し,日本の支配を狙っているとするもの,(b)被告学会が日蓮正宗を支配するために画策してきたとするもの,(c)被告学会が組織的に様々な反社会的事件を起こしてきたとするもの,(d)被告学会がオウム真理教と同様の犯罪集団であるかの印象を与えようとするもの,(e)被告Y1がレイプ犯であるとするものなど,極めて多岐にわたる内容において,被告学会及び被告Y1らに対する批判を繰り返してきた。
そして,前記1(7)エで認定したとおり,原告は,平成7年10月ころから平成8年10月ころまでにかけて日本全国に配布された,被告学会,被告Y1及び新進党等を誹謗中傷する内容の「考える会」のビラ原稿を作成したものであるが,その内容は,各号の見出し(第1号ビラ「オウムより恐ろしい!!新進党の皮をかぶった創価学会」,第2号ビラ「―東村山市― 朝木明代市議怪死の経緯と創価学会の関わり!?」,第3号ビラ「オウムよりこわい!新進党を支配する創価学会の不気味な野望」,第4号ビラ「オウムより恐ろしい!新進党=創価学会による政教一致の独裁政権構想」,第5号ビラ「オウム麻原被告も顔負けなんと!!強姦で訴えられた新進党陰の支配者・Y1氏」,第6号ビラ「オウムより狡猾 新進党=創価学会の目くらましにだまされるな」)にみられるように,前記(イ)の本件記載⑤ないし⑦の表現に勝るとも劣らず,被告学会及び被告Y1らに対することさらに下品で侮辱的な言辞によるものを含むものである。
(オ) さらに,前記1(8)ア(エ)で認定したとおり,原告は,本件記載⑤ないし⑦と関連する事実関係について,次のような著述をしていた。
すなわち,原告は,A21が大分訴訟を提起した後,平成9年7月16日付け「慧妙」(乙179)において,「昨年の総選挙終了直後から,創価学会の,私に対する個人攻撃がエスカレートしてきました。」,「突然,今回の訴訟(中略)という手段に出られ,創価学会サイドとの連携した動きが始まったのです。」などと著述し,また,大分訴訟の控訴審でA21の請求が棄却された後,平成11年12月16日付け「慧妙」(乙180)において,「創価学会の手先となったA5氏は,私を誣告(ぶこく)し,さらに中傷のために信者の女性と共謀して訴訟を起こしたのです。しかし,告訴ならびに訴訟での敗訴で,その企ては失敗し,“邪悪な陰謀”の全貌が明らかになりました。」などと著述していたものである。
しかしながら,その内容は,少なくとも本件の証拠上,真実とは認め難いものがあり,このことは,原告によるその他の著述についてもいえることである。
(カ) かかる原告の被告学会に対する批判的言論の経緯を考慮すれば,被告らが,原告が被告学会の謀略であると喧伝する事実について真相を究明することが,原告の喧伝に対抗するために必要であり,また,原告の行動特性等を明らかにすることが,原告の実態や,内部告発者としての不適格性を明らかにするために有効かつ適切であるとの観点から,本件記載⑤ないし⑦を記述した旨主張することは,首肯し得るものであり,意見ないし論評の必要性を肯定することができる。
(キ) 以上を総合すれば,本件記載⑤ないし⑦が表明する意見ないし論評は,その表現自体に行き過ぎた,穏当を欠くものを含むとの評価を免れないが,その前提とする事実の重要な部分は真実である上,原告による前記のような過去の言動等,本件記載⑤ないし⑦に至った経緯に照らし,意見ないし論評の必要性が肯定されるから,当該意見ないし論評としての域を逸脱するものとはいえない。
(5)  本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)に関する真実性又は相当性について
ア 公共性及び公益目的
本件記載⑧(「考える会」のビラ発行による闇金疑惑に関する記載)が摘示する事実は,原告と被告学会,日蓮正宗ないし自民党との関係という社会的に注目されてきた諸問題に係るもので,また,前記言論の応酬の過程においても取り上げられてきたものといえることからすれば,本件記載②と同様に,公共の利害に関する事実に係り,公益を図る目的で掲載されたものということができる。
イ 本件記載⑧が摘示する事実の重要な部分は,「原告が,「考える会」のビラ発行をめぐり,多額の不正な金員を取得したこと」ということができる。
ウ 真実性
(ア) 前記1(7)のとおり,以下の事実が認められる。
a 「考える会」は,対外的にはA6が代表世話人とされていたが,A6は,被告学会批判活動に賛同して代表名義を貸していただけで,実質的な運営者は原告であった。
b 「考える会」のビラは,日本全国に約5500万部ないし6000万部配布され,妙観講は,うち400万部を配布した。また,少なくともビラの半数は自民党が購入し,自民党は,所属の国会議員,都道府県議会議員,政令指定都市議会議員及び友好団体に対してビラの購入を啓蒙し,平成7年内だけで,約1000万部を購入した。
c 「考える会」のビラは,1枚2円20銭ないし30銭で作成され,一般的に,売値は1枚2円50銭,後に1枚3円とされ,代金は振込送金又は現金支払の方法で支払われ,現金支払の場合,会計担当のA24が金額を記載して作成した領収証を相手方に交付していた。また,ホクシンカンテックに対する印刷代は,「考える会」名義で振込送金されていた。
d 一方,自民党との関係では,売値は1枚10円とされ,代金はすべて現金で支払われ,毎回,原告が,1人で又はA24若しくはA25社長と共に,自民党本部において,少なくとも6回以上,自民党総務局長の白川代議士から現金で受領していたが(原告は,1度に3000万円を受領したことがあった。),その際,領収証は作成されなかった。
e A24が作成した,「考える会」の売上諸経費明細書(甲116)によれば,値引前の売上は1億4873万4502円,同仕入は1億3945万8204円,値引後の総収益は963万9067円,経費は960万4468円で,残金は3万4599円とされている。
f A6は,平成9年2月22日,A5から電話を受けた際,原告が,自民党からのビラ代金から何億円かをせしめて,その分配をめぐり何人かと喧嘩していること,A6が,白川代議士に対し,原告に渡した金額を追及したところ,「表にできないのが裏金だから。」と言われ,「もう勝手にしろ,バカヤロー。」と述べたこと等を語っていた。
(イ) 以上の認定事実を前提に検討する。
a 「考える会」のビラは,約5500万部ないし6000万部配布され,うち,少なくとも半数を自民党が購入し,その売値は1枚10円であったことからすれば,「考える会」は,自民党からだけで,少なくとも2億7500万円(10円×5500万部×1/2)の売上を得ていたことになる。このことは,原告が,自民党から少なくとも6回以上現金を受領し,そのうち,1度に3000万円を受領したことがあったことに照らし,計算上矛盾するものではない。
他方,値引前の売上を1億4873万4502円とする売上諸経費明細書(甲116)は,一般的なビラの売値(1枚2円50銭ないし3円)を基に作成されたものである。
したがって,自民党からの売上につき,少なくとも1億9250万円の簿外売上が生じていることになる(2億7500万円-(3円×2750万部))。
b そして,(a)「考える会」の実質的な運営者は原告であったこと,(b)自民党からのビラ代金は,すべて原告が現金で受領していること,(c)A6によれば,原告が,ビラ代金の分配をめぐり何人かと喧嘩していたことからすれば,原告が,上記簿外売上を利得したと推認することができる。
(ウ) 以上によれば,本件記載⑧が摘示する事実の重要な部分は,真実と認められる。
(エ) 原告の主張について
a 原告は,「考える会」はA6が発案し,A6が名実共に運営者であった旨主張する。
しかしながら,前記1(7)ケで認定したとおり,A6は,(a)「考える会」には代表名義を貸しただけであること,(b)A6が,原告に対し,ビラに関して,「俺の名前でこんな文書,俺いつ出していいっちゅった。」と叱りつけたことがあったことを述べている。また,前記1(7)エ,オで認定したとおり,原告は,調査及び資料収集をA24とした上,ビラ原稿を執筆し,印刷会社をホクシンカンテックに選定し,主なビラの売却先である自民党,「被害者の会」及び妙観講に対してビラの配布を依頼し,自民党にビラ代金を受領しに行っており,「考える会」において主導的な役割を果たしていた。
そうすると,「考える会」の実質的運営者は,原告であったことが認められる。
b 原告は,ビラの売値は,自民党についても1枚2円50銭ないし3円で,「考える会」の収支は売上諸経費明細書(甲116)のとおりであり,原告に金員が渡ることはあり得ない旨主張する。
しかしながら,自民党との関係では,ビラの売値が1枚10円とされていたこと,売上諸経費明細書以外の簿外売上が生じていたことは,前記(イ)aに判示したとおりである。
また,原告は,ビラの売値は1枚2円50銭ないし3円で,自民党には700万部売却した旨主張しながら,本人尋問においては,自民党から総額1億円を受領した旨,自らの主張に係る計算と矛盾する供述をし,売値についても,1枚3円ないし3円50銭であった旨供述して上記主張を変遷させ,実際の販売部数や受領金額といった重要な事実について,具体的数字を明らかにせず,不明瞭な供述に終始した。かかる供述態様は,原告が,「考える会」のビラ発行をめぐり,多額の不正な金員を取得したことを,より強く窺わせる事情に当たるというべきである。
c したがって,原告の上記各主張を採用することはできない。
(6)  本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)について
ア 公共性及び公益目的
本件記載⑨(墓園事業に絡む裏金取得に関する記載)が摘示する事実は,原告と被告学会ないし日蓮正宗との関係という社会的に注目されてきた諸問題に係るもので,また,前記言論の応酬の過程においても取り上げられてきたものといえることからすれば,本件記載②と同様に,公共の利害に関する事実に係り,公益を図る目的で掲載されたものということができる。
イ 本件記載⑨が摘示する事実の重要な部分は,以下のとおりということができる。
(ア) 「原告が,被告学会の顧問活動を通じて知った遊休地(ボサシタの土地を指すことに争いはない。)を利用した金儲けを計画し,ダミー会社(山下商事を指すことに争いはない。)を設立して同土地を購入し,転売により,5000万円の差益を得たこと」
(イ) 「原告が,顧問先である被告学会の墓園事業(富士桜墓園を指すことに争いはない。)に係る業者に便宜を供与し,4億円ないし5億円のリベートを得たこと」
ウ 前記イ(ア)部分の真実性
(ア) 前記1(3)アないしウのとおり,以下の事実が認められる。
a 原告は,被告学会の顧問活動を通じ,遊休地であったボサシタの土地を知り,ゴルフ場の経営計画を立て,原告が実質的経営者を務める山下商事を設立し,同社が,昭和50年6月16日,大石寺から,ボサシタの土地を,1億6000万円で購入した。
b ところが,同年8月18日,静岡県知事が,富士宮市を含む県東部地区でのゴルフ場開発に関する審査を数年間行わないことを発表し,これにより,ボサシタの土地のゴルフ場開発は凍結された。
c そこで,原告は,ボサシタの土地を利用した墓園事業を計画するとともに,山下商事が,同年12月12日,ボサシタの土地を日原観光に2億1000万円で売却した。
(イ) 上記認定事実によれば,原告が実質的経営者を務める山下商事は,ボサシタの土地につき,5000万円の売買差益を取得したことになる。
したがって,前記イ(ア)部分は,真実と認められる。
(ウ) 原告の主張について
原告は,上記売買差益のうち2000万円は大石寺に寄付され,うち2500万円は設計者に,うち500万円は平井工業に支払われた旨主張する。
しかしながら,上記主張を認めるに足る客観的証拠は何ら存在しないばかりか,原告は,恐喝事件裁判当時,上記5000万円の売買差益はA15が山下商事のために立替えていた5000万円と相殺勘定した旨,上記主張と矛盾する主張をしていたものであって(乙119),原告の上記主張は採用するに値しないというべきである。
エ 前記イ(イ)部分の真実性
(ア) 前記1(3)ウないしオのとおり,以下の事実が認められる。
a 富士桜墓園計画は,原告を中心として立案推進され,昭和50年11月15日,富士宮市への開発事前協議申請手続が執られた。
b 一方,原告は,休眠会社であるシーホースを復活させ,同社によるユア―ズグループの管理を構想し,昭和51年11月上旬ころ,A15に対し,ユア―ズグループへの資金援助を依頼し,日原造園から,同月15日から昭和52年4月2日までの間,13回にわたり,合計1億5450万円の融資を受けた。
また,原告は,同月上旬ころ,A15に対し,シーホースへの資金援助を依頼し,A15から,同月11日から昭和55年2月21日までの間,現金貸付,債務保証及び融通手形振出等の方法により,38回にわたり,合計12億7300万円の資金援助を受けた。
A15は,総工費が200億円近くに達すると予想された墓園工事を,日原造園が有利な条件で請け負いたいと考え,同計画の中心的人物であると思われた原告と一層親密な関係を持つことで,原告が好意ある取計いをしてくれることを期待し,上記資金援助等をした。
c 日原造園は,原告の取計いにより,墓園本体工事の下請(代金約46億8800万円),造園工事(代金約68億円)及び墓所工事(代金約58億7900万円)を請け負うこととなり,また,被告学会とA15の間で,植木売買及び管理契約(代金7億9600万円)も締結された。
d その後も,前記bのとおり,A15から,シーホースに対する資金援助が続けられたものであるが,上記12億7300万円の資金援助の中には,富士桜墓園建設工事受注のリベートである5億4000万円が含まれており,原告は,そのうち4億5000万円を受領した。
(イ) 上記認定事実によれば,前記イ(イ)部分は,真実と認められる。
(ウ) 原告の主張について
原告は,A15によるシーホースに対する12億7300万円の資金援助以外に,A15から,富士桜墓園建設工事受注のリベートとして,4億5000万円を受領したことはない旨主張する。
しかしながら,証拠(乙23ないし25,112の1ないし3,113)によれば,「X先生に対する手数料明細」と題する書面(乙112の1)に記載された4億5000万円がリベートであり,これが上記12億7300万円の資金援助の中に含まれていたことは明らかである。
したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
4  名誉毀損に関する小括
(1)  本件記載①は,原告の名誉を毀損するものとはいえない。
(2)  本件記載②ないし④,⑧,⑨は,原告の名誉を毀損するものといえるが,上記各記載が摘示する事実は,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあり,その重要な部分は真実と認められるから,その違法性が阻却される。
(3)  本件記載⑤ないし⑦は,原告の名誉を毀損するものといえるが,上記各記載が摘示する事実及び表明する意見ないし論評は,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあり,その前提としている事実の重要な部分は真実と認められ,また,意見ないし論評部分は,その域を逸脱したものでないから,その違法性が阻却される。
(4)  以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,名誉毀損に関する原告の請求は理由がない。
5  争点(4)(本件記載④,⑥が原告のプライバシーを侵害するか)について
(1)  原告は,原告の15年以上前の逮捕歴を公表する本件記載④と,原告とA22の婚姻及び婚姻前の関係という原告の私生活を公表する本件記載⑥は,原告のプライバシーを侵害する旨主張する。
いわゆるプライバシーの権利は,個人の人格的な利益として権利性が認められるところ,ある事実ないし情報がプライバシーに属する事実ないし情報として保護に値するものであるか否かは,一般人の感受性を基準に判断した場合に,当該私人の立場に立ったならば公開を欲しないであろう事柄であって,一般人に知られていないものが基準となるというべきである。
そして,プライバシーに属する事実ないし情報の内容及び公表の態様を考慮した上,当該事実ないし情報を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し,前者が後者に優越する場合に,プライバシー侵害として,不法行為が成立するというべきである(最高裁平成元年(オ)第1649号同6年2月8日第三小法廷判決・民集48巻2号149頁,最高裁平成12年(受)第1335号同15年3月14日第二小法廷判決・民集57巻3号229頁参照)。
(2)  本件記載④について
ア プライバシー該当性
本件記載④は,原告が,昭和61年3月,警視庁築地署に,麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたとの事実を公表するものである。
一般的には,過去の逮捕歴は,一般人の感受性を基準に判断した場合,公開を欲しない事柄に当たるということができる。しかしながら,前記1(6)イで認定したとおり,原告が麻雀による賭博の被疑事実で逮捕された事実は,当時の新聞や週刊誌で報道されており,原告も,同年4月発行の複数の週刊誌において,麻雀賭博をして逮捕されたこと自体は自認していたものである。また,前記1(8)ア(エ)で認定したとおり,原告は,本件書籍発行の約1年前に,平成13年4月30日発行の著書「「月刊ペン事件」埋もれていた真実」(甲105)において,「ついに,何でもないマージャン遊びを,公明党議員と会員の作り話で,“賭博罪”にデッチ上げられ,現行犯でもないのに,二カ月近くたって逮捕状が出されて逮捕されてしまった。」などと著述し,麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたことを自ら公表したものである。
そうすると,原告が麻雀賭博の被疑事実で逮捕されたとの事実は,原告の立場に立ったならば,公開を欲しないであろう事柄に当たるとはいえないし,本件書籍が発行された平成14年6月1日当時において,一般人に知られていない事実に当たるともいえない。
したがって,上記事実は,原告のプライバシーに属するということはできない。
イ よって,本件記載④において上記事実を公表することは,プライバシー侵害として,不法行為が成立するものではない。
(3)  本件記載⑥(不倫に関する記載)について
ア プライバシー該当性
本件記載⑥は,原告がA5の妻であるA22と不倫関係を続けた結果,A5夫妻が離婚し,その後,原告は,平成8年,A22と再婚したとの事実を公表するものである。
そして,一般人の感受性を基準に判断した場合,婚姻前の妻と不倫関係にあったという事実は,公開を欲しない事柄に当たるということができる。そして,上記事実は,本件記載⑥が掲載された平成14年3月6日当時において,一般人に知られていない事実に当たるということができる。
したがって,上記事実は,原告のプライバシーに属する。
イ 不法行為の成否
(ア) 本件記載⑥は,婚姻前の妻と不倫関係にあったという原告のプライバシーに属する事実を,被告学会が発行する機関紙「創価新報」に公表したものである。
(イ) 前記3(4)キ(ウ)に判示したとおり,原告と被告学会との間において長年にわたり繰り広げられてきた言論の応酬は,その発端が,原告にあるということができる。また,前記3(4)キ(オ)に判示したとおり,原告の被告学会に対する批判的言論の中には,少なくとも本件の証拠上,真実とは認め難いものがある。
ところで,原告がA22と婚姻した平成8年2月以降本件連載(1)が開始される平成14年1月までに,原告を当事者とする大分訴訟(前記1(5)カ(ア)参照)が係属しており,同訴訟資料中には,原告とA22が不倫関係にあったことを内容とする関係者の陳述書(乙56ないし58)が提出されている。これに対し,前記1(8)アで認定したとおり,原告も,平成9年7月16日付け「慧妙」(乙179)に,大分訴訟自体が被告学会と連係した,原告に対する個人攻撃キャンペーンである旨の記事を投稿し,また,平成11年12月16日付け「慧妙」(乙180)には「A5夫妻が昭和62(ママ)年に離婚し」,「平成8年4(ママ)月,原告がA5住職と別れた妻A22と再婚した」という外形的事実を認めつつ,A5の「創価学会の手先となったA5氏は,私を誣告し,さらに中傷のために信者の女性と共謀して訴訟を起こした」などと反論する記事を投稿している。
そうすると,被告学会ないし執筆者である亡A2において,これ以上原告に欺かれないよう社会に警鐘を鳴らすために,新たに入手した資料に基づいて,原告の実態や,その根底にある行動特性を明らかにする必要があるとの被告らの主張にも,相当の理由があるということができる。
(ウ) 一方,前記1(5)で認定したとおり,原告は,不貞訴訟において,A21と不倫関係にあった当時に,「20代のモデルの女性」と「短大生」とも男女関係にあった旨供述するなど(乙67),同時期に複数の女性と関係を有していたことを公表している。
上記事実は,女性に対するモラルという点で本件記載⑥に係る事実と共通している。
(エ) 上記各事情を総合考慮すると,本件記載⑥に係る事実を公表されないことに関する原告の法的利益が,上記事実を公表する理由に優越するということはできない。
よって,本件記載⑥に係る事実を公表することは,プライバシー侵害として,不法行為が成立するものではない。
(4)  小括
以上のとおり,本件記載④,⑥は,原告のプライバシーを侵害するものとはいえない。
第5  結論
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の本訴請求は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 髙部眞規子 裁判官 安田大二郎 裁判官 吉村弘樹)

 

〈以下省略〉

 

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政治と選挙Q&A「政治資金規正法 ポスター貼り(掲示交渉)代行」に関する裁判例一覧
(1)平成30年10月11日 東京高裁 平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件
(2)平成30年 6月27日 東京地裁 平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件
(3)平成30年 4月18日 東京高裁 平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(4)平成30年 3月30日 東京地裁 平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(5)平成30年 3月20日 大阪高裁 平29(行コ)60号 補助金不交付処分取消等請求控訴事件
(6)平成30年 1月22日 東京地裁 平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(7)平成29年12月14日 札幌高裁 平29(ネ)259号 損害賠償等請求控訴事件
(8)平成29年12月 8日 札幌地裁 平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(9)平成29年 7月18日 奈良地裁 平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(10)平成29年 3月28日 東京地裁 平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(11)平成29年 3月28日 仙台地裁 平28(ワ)254号 損害賠償請求事件
(12)平成29年 3月15日 東京地裁 平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(13)平成29年 1月26日 大阪地裁 平24(行ウ)197号・平26(行ウ)163号 補助金不交付処分取消等請求事件
(14)平成28年12月27日 奈良地裁 平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(15)平成28年10月12日 大阪高裁 平28(ネ)1060号 損害賠償等請求控訴事件
(16)平成28年10月12日 東京地裁 平25(刑わ)2945号 業務上横領被告事件
(17)平成28年10月 6日 大阪高裁 平27(行コ)162号 不開示決定処分取消等請求控訴事件
(18)平成28年 9月13日 札幌高裁 平28(う)91号 事前収賄被告事件
(19)平成28年 8月31日 東京地裁 平25(ワ)13065号 損害賠償請求事件
(20)平成28年 7月26日 東京地裁 平27(ワ)22544号 損害賠償請求事件
(21)平成28年 7月19日 東京高裁 平27(ネ)3610号 株主代表訴訟控訴事件
(22)平成28年 7月 4日 東京地裁 平27(レ)413号 損害賠償請求控訴事件
(23)平成28年 4月26日 東京地裁 平27(ワ)11311号 精神的慰謝料及び損害賠償請求事件
(24)平成28年 2月24日 大阪高裁 平25(行コ)2号 行政文書不開示決定処分取消請求控訴事件
(25)平成28年 2月24日 大阪高裁 平24(行コ)77号 不開示決定処分取消請求控訴事件
(26)平成27年10月27日 岡山地裁 平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(27)平成27年10月22日 大阪地裁 平26(行ウ)186号 不開示決定処分取消等請求事件
(28)平成27年10月 9日 東京地裁 平27(特わ)853号 政治資金規正法違反被告事件
(29)平成27年 6月17日 大阪地裁 平26(行ウ)117号 公金支出金返還請求事件
(30)平成27年 5月28日 東京地裁 平23(ワ)21209号 株主代表訴訟事件
(31)平成27年 3月24日 東京地裁 平26(ワ)9407号 損害賠償等請求事件
(32)平成27年 2月26日 東京地裁 平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(33)平成27年 2月 3日 東京地裁 平25(ワ)15071号 損害賠償等請求事件
(34)平成26年12月24日 横浜地裁 平26(行ウ)15号 損害賠償請求事件(住民訴訟)
(35)平成26年 9月25日 東京地裁 平21(ワ)46404号・平22(ワ)16316号 損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第2事件)、損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第3事件)
(36)平成26年 9月17日 知財高裁 平26(行ケ)10090号 審決取消請求事件
(37)平成26年 9月11日 知財高裁 平26(行ケ)10092号 審決取消請求事件
(38)平成26年 9月 3日 東京地裁 平25(行ウ)184号 政務調査費返還請求事件
(39)平成26年 4月 9日 東京地裁 平24(ワ)33978号 損害賠償請求事件
(40)平成26年 2月21日 宮崎地裁 平25(ワ)276号 謝罪放送等請求事件
(41)平成25年 7月19日 東京地裁 平22(ワ)37754号 謝罪広告等請求事件
(42)平成25年 6月19日 横浜地裁 平20(行ウ)19号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(43)平成25年 3月28日 京都地裁 平20(行ウ)10号 不当利得返還等請求行為請求事件
(44)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件
(45)平成25年 1月23日 東京地裁 平23(ワ)39861号 損害賠償請求事件
(46)平成24年12月26日 東京地裁 平23(ワ)24047号 謝罪広告等請求事件
(47)平成24年11月12日 東京高裁 平24(う)988号 政治資金規正法違反被告事件
(48)平成24年 8月29日 東京地裁 平22(ワ)38734号 損害賠償請求事件
(49)平成24年 6月26日 仙台地裁 平21(行ウ)16号 公金支出差止請求事件
(50)平成24年 4月26日 東京地裁 平23(特わ)111号 政治資金規正法違反被告事件 〔陸山会事件・控訴審〕
(51)平成24年 2月29日 東京地裁 平21(行ウ)585号 公金支出差止請求事件
(52)平成24年 2月14日 東京地裁 平22(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(53)平成24年 2月13日 東京地裁 平23(ワ)23522号 街頭宣伝行為等禁止請求事件
(54)平成24年 1月18日 横浜地裁 平19(行ウ)105号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(55)平成23年11月16日 東京地裁 平21(ワ)38850号 損害賠償等請求事件
(56)平成23年 9月29日 東京地裁 平20(行ウ)745号 退会命令無効確認等請求事件
(57)平成23年 7月25日 大阪地裁 平19(ワ)286号・平19(ワ)2853号 損害賠償請求事件
(58)平成23年 4月26日 東京地裁 平22(行ウ)162号・平22(行ウ)448号・平22(行ウ)453号 在外日本人国民審査権確認等請求事件(甲事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(乙事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(丙事件)
(59)平成23年 4月14日 東京地裁 平22(ワ)20007号 損害賠償等請求事件
(60)平成23年 1月31日 東京高裁 平22(行コ)91号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(61)平成23年 1月21日 福岡地裁 平21(行ウ)28号 政務調査費返還請求事件
(62)平成22年11月 9日 東京地裁 平21(行ウ)542号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(63)平成22年10月18日 東京地裁 平22(行ク)276号
(64)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(65)平成22年 9月 7日 最高裁第一小法廷 決定 平20(あ)738号 あっせん収賄、受託収賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反、政治資金規正法違反被告事件 〔鈴木宗男事件・上告審〕
(66)平成22年 4月13日 東京地裁 平20(ワ)34451号 貸金等請求事件
(67)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(68)平成22年 3月15日 東京地裁 平20(ワ)38604号 損害賠償請求事件
(69)平成22年 1月28日 名古屋地裁 平20(ワ)3188号 応援妨害予防等請求事件
(70)平成21年 6月17日 大阪高裁 平20(行コ)159号 政務調査費返還請求行為請求控訴事件
(71)平成21年 5月26日 東京地裁 平21(む)1220号 政治資金規正法被告事件
(72)平成21年 5月13日 東京地裁 平19(ワ)20791号 業務委託料請求事件
(73)平成21年 4月28日 大阪地裁 平19(わ)3456号 談合、収賄被告事件
(74)平成21年 2月25日 東京地裁 平19(行ウ)325号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(75)平成21年 1月28日 東京地裁 平17(ワ)9248号 損害賠償等請求事件
(76)平成20年12月 9日 東京地裁 平19(ワ)24563号 謝罪広告等請求事件
(77)平成20年11月12日 大阪高裁 平20(ネ)1189号・平20(ネ)1764号 債務不存在確認等請求控訴、会費請求反訴事件
(78)平成20年 9月 9日 東京地裁 平18(ワ)18306号 損害賠償等請求事件
(79)平成20年 8月 8日 東京地裁 平18(刑わ)3785号・平18(刑わ)4225号 収賄、競売入札妨害被告事件〔福島県談合汚職事件〕
(80)平成20年 7月14日 最高裁第一小法廷 平19(あ)1112号 政治資金規正法違反被告事件
(81)平成20年 3月27日 最高裁第三小法廷 平18(あ)348号 受託収賄被告事件 〔KSD事件〕
(82)平成20年 3月14日 和歌山地裁田辺支部 平18(ワ)167号 債務不存在確認等請求事件
(83)平成20年 2月26日 東京高裁 平16(う)3226号
(84)平成20年 1月18日 東京地裁 平18(ワ)28649号 損害賠償請求事件
(85)平成19年 8月30日 東京地裁 平17(ワ)21062号 地位確認等請求事件
(86)平成19年 8月30日 大阪地裁 平19(行ウ)83号 行政文書不開示決定処分取消等請求事件
(87)平成19年 8月10日 東京地裁 平18(ワ)19755号 謝罪広告等請求事件
(88)平成19年 8月10日 大阪地裁 平19(行ク)47号 仮の義務付け申立て事件
(89)平成19年 7月17日 神戸地裁尼崎支部 平17(ワ)1227号 総会決議一部無効確認等請求事件
(90)平成19年 5月10日 東京高裁 平18(う)2029号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・控訴審〕
(91)平成19年 4月 3日 大阪地裁 平19(行ク)27号 執行停止申立て事件
(92)平成19年 3月28日 大阪地裁 平19(行ク)24号 仮の差止め申立て事件
(93)平成19年 2月20日 大阪地裁 平19(行ク)7号 執行停止申立て事件
(94)平成19年 2月 7日 新潟地裁長岡支部 平16(ワ)143号・平18(ワ)109号 損害賠償請求事件
(95)平成19年 2月 5日 東京地裁 平16(ワ)26484号 不当利得返還請求事件
(96)平成19年 1月31日 大阪地裁 平15(ワ)12141号・平15(ワ)13033号 権利停止処分等無効確認請求事件、除名処分無効確認請求事件 〔全日本建設運輸連帯労組近畿地本(支部役員統制処分等)事件〕
(97)平成18年11月14日 最高裁第三小法廷 平18(オ)597号・平18(受)726号 〔熊谷組株主代表訴訟事件・上告審〕
(98)平成18年 9月29日 大阪高裁 平18(ネ)1204号 地位不存在確認請求控訴事件
(99)平成18年 9月11日 東京地裁 平15(刑わ)4146号 各詐欺被告事件 〔偽有栖川詐欺事件〕
(100)平成18年 8月10日 大阪地裁 平18(行ウ)75号 行政文書不開示決定処分取消請求事件
(101)平成18年 3月30日 東京地裁 平16(特わ)5359号 政治資金規正法違反被告事件〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・第一審〕
(102)平成18年 3月30日 京都地裁 平17(ワ)1776号・平17(ワ)3127号 地位不存在確認請求事件
(103)平成18年 1月11日 名古屋高裁金沢支部 平15(ネ)63号 熊谷組株主代表訴訟控訴事件 〔熊谷組政治献金事件・控訴審〕
(104)平成17年11月30日 大阪高裁 平17(ネ)1286号 損害賠償請求控訴事件
(105)平成17年 8月25日 大阪地裁 平17(行ウ)91号 行政文書不開示決定処分取消請求事件
(106)平成17年 5月31日 東京地裁 平16(刑わ)1835号・平16(刑わ)2219号・平16(刑わ)3329号・平16(特わ)5239号 贈賄、業務上横領、政治資金規正法違反被告事件 〔日本歯科医師会事件〕
(107)平成17年 4月27日 仙台高裁 平17(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(108)平成16年12月24日 東京地裁 平15(特わ)1313号・平15(刑わ)1202号・平15(特わ)1422号 政治資金規正法違反、詐欺被告事件 〔衆議院議員秘書給与詐取事件〕
(109)平成16年12月22日 東京地裁 平15(ワ)26644号 損害賠償等請求事件
(110)平成16年11月 5日 東京地裁 平14(刑わ)2384号・平14(特わ)4259号・平14(刑わ)2931号 あっせん収賄、受託収賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反、政治資金規正法違反被告事件 〔鈴木宗男事件・第一審〕
(111)平成16年 5月28日 東京地裁 平5(刑わ)2335号・平5(刑わ)2271号 贈賄被告事件 〔ゼネコン汚職事件〕
(112)平成16年 2月27日 東京地裁 平7(合わ)141号・平8(合わ)31号・平7(合わ)282号・平8(合わ)75号・平7(合わ)380号・平7(合わ)187号・平7(合わ)417号・平7(合わ)443号・平7(合わ)329号・平7(合わ)254号 殺人、殺人未遂、死体損壊、逮捕監禁致死、武器等製造法違反、殺人予備被告事件 〔オウム真理教代表者に対する地下鉄サリン事件等判決〕
(113)平成16年 2月26日 津地裁 平11(行ウ)1号 損害賠償請求住民訴訟事件
(114)平成16年 2月25日 東京地裁 平14(ワ)6504号 損害賠償請求事件
(115)平成15年12月 8日 福岡地裁小倉支部 平15(わ)427号・平15(わ)542号・平15(わ)725号 被告人Aに対する政治資金規正法違反、公職選挙法違反被告事件、被告人B及び同Cに対する政治資金規正法違反被告事件
(116)平成15年10月16日 大津地裁 平13(ワ)570号 会員地位不存在確認等請求事件
(117)平成15年10月 1日 さいたま地裁 平14(行ウ)50号 損害賠償代位請求事件
(118)平成15年 5月20日 東京地裁 平13(刑わ)710号 各受託収賄被告事件 〔KSD関連元労働大臣収賄事件判決〕
(119)平成15年 3月19日 横浜地裁 平12(行ウ)16号 損害賠償等請求事件
(120)平成15年 3月 4日 東京地裁 平元(刑わ)1047号・平元(刑わ)632号・平元(刑わ)1048号・平元(特わ)361号・平元(特わ)259号・平元(刑わ)753号 日本電信電話株式会社法違反、贈賄被告事件 〔リクルート事件(政界・労働省ルート)社長室次長関係判決〕
(121)平成15年 2月12日 福井地裁 平13(ワ)144号・平13(ワ)262号 各熊谷組株主代表訴訟事件 〔熊谷組政治献金事件・第一審〕
(122)平成15年 1月20日 釧路地裁帯広支部 平13(わ)15号 収賄被告事件
(123)平成15年 1月16日 東京地裁 平13(行ウ)84号 損害賠償請求事件 〔区長交際費支出損害賠償請求住民訴訟事件〕
(124)平成14年 4月22日 東京地裁 平12(ワ)21560号 損害賠償等請求事件
(125)平成14年 4月11日 大阪高裁 平13(ネ)2757号 社員代表訴訟等控訴事件 〔住友生命政治献金事件・控訴審〕
(126)平成14年 2月25日 東京地裁 平9(刑わ)270号 詐欺被告事件
(127)平成13年12月17日 東京地裁 平13(行ウ)85号 住民票不受理処分取消等請求事件
(128)平成13年10月25日 東京地裁 平12(ワ)448号 損害賠償請求事件
(129)平成13年10月11日 横浜地裁 平12(ワ)2369号 謝罪広告等請求事件 〔鎌倉市長名誉毀損垂れ幕訴訟判決〕
(130)平成13年 9月26日 東京高裁 平13(行コ)90号 公文書非公開処分取消請求控訴事件
(131)平成13年 7月18日 大阪地裁 平12(ワ)4693号 社員代表訴訟等事件 〔住友生命政治献金事件・第一審〕
(132)平成13年 7月18日 大阪地裁 平12(ワ)4692号・平12(ワ)13927号 社員代表訴訟等、共同訴訟参加事件 〔日本生命政治献金社員代表訴訟事件〕
(133)平成13年 5月29日 東京地裁 平9(ワ)7838号・平9(ワ)12555号 損害賠償請求事件
(134)平成13年 4月25日 東京高裁 平10(う)360号 斡旋贈収賄被告事件 〔ゼネコン汚職政界ルート事件・控訴審〕
(135)平成13年 3月28日 東京地裁 平9(ワ)27738号 損害賠償請求事件
(136)平成13年 3月 7日 横浜地裁 平11(行ウ)45号 公文書非公開処分取消請求事件
(137)平成13年 2月28日 東京地裁 平12(刑わ)3020号 詐欺、政治資金規正法違反被告事件
(138)平成13年 2月16日 東京地裁 平12(行ク)112号 住民票消除処分執行停止申立事件
(139)平成12年11月27日 最高裁第三小法廷 平9(あ)821号 政治資金規正法違反被告事件
(140)平成12年 9月28日 東京高裁 平11(う)1703号 公職選挙法違反、政党助成法違反、政治資金規正法違反、受託収賄、詐欺被告事件 〔元代議士受託収賄等・控訴審〕
(141)平成11年 7月14日 東京地裁 平10(特わ)3935号・平10(刑わ)3503号・平10(特わ)4230号 公職選挙法違反、政党助成法違反、政治資金規正法違反、受託収賄、詐欺被告事件 〔元代議士受託収賄等・第一審〕
(142)平成10年 6月26日 東京地裁 平8(行ウ)109号 課税処分取消請求事件 〔野呂栄太郎記念塩沢学習館事件〕
(143)平成10年 5月25日 大阪高裁 平9(行ケ)4号 当選無効及び立候補禁止請求事件 〔衆議院議員選挙候補者連座訴訟・第一審〕
(144)平成10年 4月27日 東京地裁 平10(ワ)1858号 損害賠償請求事件
(145)平成 9年10月 1日 東京地裁 平6(刑わ)571号・平6(刑わ)509号 斡旋贈収賄被告事件 〔ゼネコン汚職政界ルート事件・第一審〕
(146)平成 9年 7月 3日 最高裁第二小法廷 平6(あ)403号 所得税法違反被告事件
(147)平成 9年 5月21日 大阪高裁 平8(う)944号 政治資金規正法違反被告事件
(148)平成 9年 4月28日 東京地裁 平6(ワ)21652号 損害賠償等請求事件
(149)平成 9年 2月20日 大阪地裁 平7(行ウ)60号・平7(行ウ)70号 政党助成法に基づく政党交付金交付差止等請求事件
(150)平成 8年 9月 4日 大阪地裁 平7(わ)534号 政治資金規正法違反被告事件
(151)平成 8年 3月29日 東京地裁 平5(特わ)546号・平5(特わ)682号 所得税法違反被告事件
(152)平成 8年 3月27日 大阪高裁 平6(ネ)3497号 損害賠償請求控訴事件
(153)平成 8年 3月25日 東京高裁 平6(う)1237号 受託収賄被告事件 〔共和汚職事件・控訴審〕
(154)平成 8年 3月19日 最高裁第三小法廷 平4(オ)1796号 選挙権被選挙権停止処分無効確認等請求事件 〔南九州税理士会政治献金徴収拒否訴訟・上告審〕
(155)平成 8年 2月20日 名古屋高裁 平7(う)200号 政治資金規正法違反、所得税違反被告事件
(156)平成 7年11月30日 名古屋高裁 平7(う)111号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(157)平成 7年10月25日 東京地裁 平5(ワ)9489号・平5(ワ)16740号・平6(ワ)565号 債務不存在確認請求(本訴)事件、謝罪広告請求(反訴)事件、不作為命令請求(本訴と併合)事件
(158)平成 7年 8月 8日 名古屋高裁 平7(う)35号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(159)平成 7年 4月26日 名古屋地裁 平6(わ)116号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(160)平成 7年 3月30日 名古屋地裁 平6(わ)1706号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(161)平成 7年 3月20日 宮崎地裁 平6(ワ)169号 損害賠償請求事件
(162)平成 7年 2月24日 最高裁第二小法廷 平5(行ツ)56号 公文書非公開決定処分取消請求事件 〔政治資金収支報告書コピー拒否事件〕
(163)平成 7年 2月13日 大阪地裁 平6(わ)3556号 政治資金規正法違反被告事件 〔大阪府知事後援会ヤミ献金事件〕
(164)平成 7年 2月 1日 名古屋地裁 平6(わ)116号 所得税法違反被告事件
(165)平成 7年 1月26日 東京地裁 平5(行ウ)353号 損害賠償請求事件
(166)平成 6年12月22日 東京地裁 平5(ワ)18447号 損害賠償請求事件 〔ハザマ株主代表訴訟〕
(167)平成 6年12月 9日 大阪地裁 平5(ワ)1384号 損害賠償請求事件
(168)平成 6年11月21日 名古屋地裁 平5(わ)1697号・平6(わ)117号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(169)平成 6年10月25日 新潟地裁 平4(わ)223号 政治資金規正法違反被告事件 〔佐川急便新潟県知事事件〕
(170)平成 6年 7月27日 東京地裁 平5(ワ)398号 謝罪広告等請求事件
(171)平成 6年 4月19日 横浜地裁 平5(わ)1946号 政治資金規正法違反・所得税法違反事件
(172)平成 6年 3月 4日 東京高裁 平4(う)166号 所得税法違反被告事件 〔元環境庁長官脱税事件・控訴審〕
(173)平成 6年 2月 1日 横浜地裁 平2(ワ)775号 損害賠償請求事件
(174)平成 5年12月17日 横浜地裁 平5(わ)1842号 所得税法違反等被告事件
(175)平成 5年11月29日 横浜地裁 平5(わ)1687号 所得税法違反等被告事件
(176)平成 5年 9月21日 横浜地裁 平5(わ)291号・平5(わ)182号・平5(わ)286号 政治資金規正法違反、所得税法違反、有印私文書偽造・同行使、税理士法違反被告事件
(177)平成 5年 7月15日 福岡高裁那覇支部 平4(行ケ)1号 当選無効等請求事件
(178)平成 5年 5月28日 徳島地裁 昭63(行ウ)12号 徳島県議会県政調査研究費交付金返還等請求事件
(179)平成 5年 5月27日 最高裁第一小法廷 平元(オ)1605号 会費一部返還請求事件 〔大阪合同税理士会会費返還請求事件・上告審〕
(180)平成 4年12月18日 大阪高裁 平3(行コ)49号 公文書非公開決定処分取消請求控訴事件 〔大阪府公文書公開等条例事件・控訴審〕
(181)平成 4年10月26日 東京地裁 平4(む)615号 準抗告申立事件 〔自民党前副総裁刑事確定訴訟記録閲覧請求事件〕
(182)平成 4年 4月24日 福岡高裁 昭62(ネ)551号・昭61(ネ)106号 選挙権被選挙権停止処分無効確認等請求控訴、附帯控訴事件 〔南九州税理士会政治献金徴収拒否訴訟・控訴審〕
(183)平成 4年 2月25日 大阪地裁 昭62(わ)4573号・昭62(わ)4183号・昭63(わ)238号 砂利船汚職事件判決
(184)平成 3年12月25日 大阪地裁 平2(行ウ)6号 公文書非公開決定処分取消請求事件 〔府公文書公開条例事件〕
(185)平成 3年11月29日 東京地裁 平2(特わ)2104号 所得税法違反被告事件 〔元環境庁長官脱税事件・第一審〕
(186)平成 2年11月20日 東京高裁 昭63(ネ)665号 損害賠償等請求控訴事件
(187)平成元年 8月30日 大阪高裁 昭61(ネ)1802号 会費一部返還請求控訴事件 〔大阪合同税理士会会費返還請求訴訟・控訴審〕
(188)昭和63年 4月11日 最高裁第三小法廷 昭58(あ)770号 贈賄被告事件 〔大阪タクシー汚職事件・上告審〕
(189)昭和62年 7月29日 東京高裁 昭59(う)263号 受託収賄、外国為替及び外国貿易管理法違反、贈賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被告事件 〔ロッキード事件丸紅ルート・控訴審〕
(190)昭和61年 8月21日 大阪地裁 昭55(ワ)869号 会費一部返還請求事件 〔大阪合同税理士会会費返還請求事件・第一審〕
(191)昭和61年 5月16日 東京高裁 昭57(う)1978号 ロツキード事件・全日空ルート〈橋本関係〉受託収賄被告事件 〔ロッキード事件(全日空ルート)・控訴審〕
(192)昭和61年 5月14日 東京高裁 昭57(う)1978号 受託収賄被告事件 〔ロッキード事件(全日空ルート)・控訴審〕
(193)昭和61年 2月13日 熊本地裁 昭55(ワ)55号 選挙権被選挙権停止処分無効確認等請求事件 〔南九州税理士会政治献金徴収拒否訴訟・第一審〕
(194)昭和59年 7月 3日 神戸地裁 昭59(わ)59号 所得税法違反被告事件
(195)昭和59年 3月 7日 神戸地裁 昭57(行ウ)24号 市議会各会派に対する市会調査研究費等支出差止住民訴訟事件
(196)昭和57年 7月 6日 大阪簡裁 昭56(ハ)5528号 売掛金代金請求事件
(197)昭和57年 6月 8日 東京地裁 昭51(刑わ)4312号・昭51(刑わ)4311号 受託収賄事件 〔ロッキード事件(全日空ルート)(橋本・佐藤関係)〕
(198)昭和57年 5月28日 岡山地裁 昭54(わ)566号 公職選挙法違反被告事件
(199)昭和56年 3月 3日 東京高裁 昭54(う)2209号・昭54(う)2210号 地方自治法違反被告事件
(200)昭和55年 3月10日 東京地裁 昭53(特わ)1013号・昭53(特わ)920号 法人税法違反被告事件
(201)昭和54年 9月20日 大阪地裁 昭43(わ)121号 贈賄、収賄事件 〔大阪タクシー汚職事件・第一審〕
(202)昭和54年 5月29日 水戸地裁 昭46(わ)198号 地方自治法違反被告事件
(203)昭和53年11月20日 名古屋地裁 決定 昭52(ヨ)1908号・昭52(ヨ)1658号・昭52(ヨ)1657号 仮処分申請事件 〔日本共産党員除名処分事件〕
(204)昭和53年 8月29日 最高裁第三小法廷 昭51(行ツ)76号 損害賠償請求事件
(205)昭和51年 4月28日 名古屋高裁 昭45(行コ)14号 損害賠償請求控訴事件
(206)昭和50年10月21日 那覇地裁 昭49(ワ)111号 損害賠償請求事件
(207)昭和48年 2月24日 東京地裁 昭40(ワ)7597号 謝罪広告請求事件
(208)昭和47年 3月 7日 最高裁第三小法廷 昭45(あ)2464号 政治資金規制法違反
(209)昭和46年 9月20日 東京地裁 昭43(刑わ)2238号・昭43(刑わ)3482号・昭43(刑わ)3031号・昭43(刑わ)3027号・昭43(刑わ)2002号・昭43(刑わ)3022号 業務上横領、斡旋贈賄、贈賄、斡旋収賄、受託収賄各被告事件 〔いわゆる日通事件・第一審〕
(210)昭和45年11月14日 札幌地裁 昭38(わ)450号 公職選挙法違反・政治資金規正法違反被告事件
(211)昭和45年11月13日 高松高裁 昭44(う)119号 政治資金規正法違反被告事件
(212)昭和45年 7月11日 名古屋地裁 昭42(行ウ)28号 損害賠償請求事件
(213)昭和45年 3月 2日 長野地裁 昭40(行ウ)14号 入場税等賦課決定取消請求事件
(214)昭和43年11月12日 福井地裁 昭41(わ)291号 収賄・贈賄被告事件
(215)昭和42年 7月11日 東京地裁 昭42(行ク)28号 行政処分執行停止申立事件
(216)昭和42年 7月10日 東京地裁 昭42(行ク)28号 行政処分執行停止申立事件
(217)昭和41年10月24日 東京高裁 昭38(ナ)6号・昭38(ナ)7号・昭38(ナ)5号・昭38(ナ)11号・昭38(ナ)10号 裁決取消、選挙無効確認併合事件 〔東京都知事選ニセ証紙事件・第二審〕
(218)昭和41年 1月31日 東京高裁 昭38(ネ)791号 取締役の責任追及請求事件 〔八幡製鉄政治献金事件・控訴審〕
(219)昭和40年11月26日 東京高裁 昭39(う)642号 公職選挙法違反被告事件
(220)昭和39年12月15日 東京地裁 昭38(刑わ)2385号 公職選挙法違反、公記号偽造、公記号偽造行使等事件
(221)昭和39年 3月11日 東京高裁 昭38(う)2547号 公職選挙法違反被告事件
(222)昭和38年 4月 5日 東京地裁 昭36(ワ)2825号 取締役の責任追求事件 〔八幡製鉄政治献金事件・第一審〕
(223)昭和37年12月25日 東京地裁 昭30(ワ)1306号 損害賠償請求事件
(224)昭和37年 8月22日 東京高裁 昭36(う)1737号
(225)昭和37年 8月16日 名古屋高裁金沢支部 昭36(う)169号 公職選挙法違反事件
(226)昭和37年 4月18日 東京高裁 昭35(ナ)15号 選挙無効確認請求事件
(227)昭和35年 9月19日 東京高裁 昭34(ナ)2号 選挙無効確認請求事件
(228)昭和35年 3月 2日 札幌地裁 昭32(わ)412号 受託収賄事件
(229)昭和34年 8月 5日 東京地裁 昭34(行)27号 政党名削除制限抹消の越権不法指示通牒取消確認請求事件
(230)昭和32年10月 9日 最高裁大法廷 昭29(あ)499号 国家公務員法違反被告事件
(231)昭和29年 5月20日 仙台高裁 昭29(う)2号 公職選挙法違反事件
(232)昭和29年 4月17日 札幌高裁 昭28(う)684号・昭28(う)681号・昭28(う)685号・昭28(う)682号・昭28(う)683号 政治資金規正法違反被告事件
(233)昭和29年 2月 4日 名古屋高裁金沢支部 昭28(う)442号 公職選挙法違反被告事件
(234)昭和27年 8月12日 福島地裁若松支部 事件番号不詳 地方税法違反被告事件
(235)昭和26年10月24日 広島高裁松江支部 昭26(う)54号 収賄被告事件
(236)昭和26年 9月27日 最高裁第一小法廷 昭26(あ)1189号 衆議院議員選挙法違反・政治資金規正法違反
(237)昭和26年 5月31日 最高裁第一小法廷 昭25(あ)1747号 衆議院議員選挙法違反・政治資金規正法違反等
(238)昭和25年 7月12日 札幌高裁 昭25(う)277号・昭25(う)280号
(239)昭和25年 7月10日 札幌高裁 昭25(う)277号・昭25(う)278号・昭25(う)279号・昭25(う)280号 衆議院議員選挙法違反被告事件
(240)昭和25年 7月10日 札幌高裁 昭25(う)275号 衆議院議員選挙法違反被告事件
(241)昭和24年10月13日 名古屋高裁 事件番号不詳
(242)昭和24年 6月13日 最高裁大法廷 昭23(れ)1862号 昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(243)昭和24年 6月 3日 東京高裁 昭24(ナ)9号 衆議院議員選挙無効請求事件

■【政治と選挙の裁判例一覧】「政治資金規正法 選挙ポスター」に関する裁判例カテゴリー
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