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「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件

「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件

裁判年月日  平成31年 1月21日  裁判所名  金沢地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(行ウ)5号
事件名  政務活動費返還請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴  文献番号  2019WLJPCA01216001

出典
判時 2422号6頁

参照条文
地方自治法242条の2第1項4号
地方自治法100条14項
地方自治法100条15項

裁判年月日  平成31年 1月21日  裁判所名  金沢地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(行ウ)5号
事件名  政務活動費返還請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴  文献番号  2019WLJPCA01216001

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

1  被告は,Aに対し,13万6547円を支払うよう請求せよ。
2  被告は,Bに対し,20万5846円を支払うよう請求せよ。
3  被告は,Cに対し,13万3674円を支払うよう請求せよ。
4  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5  訴訟費用は,被告補助参加人らの補助参加によって生じた費用を除き,これを20分し,その1を被告の負担とし,その余は原告の負担とし,被告補助参加人らの補助参加によって生じた費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,別紙違法支出額等一覧表の「議員氏名」欄記載の各金沢市議会議員に対し,各「違法支出額」欄記載の各金員及びこれに対する平成27年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
第2  事案の概要
1  本件は,金沢市の住民である原告が,同市議会の議員らが平成26年度に金沢市から交付を受けた政務活動費の全部又は一部を支出したことについて,このうち,別紙違法支出額等一覧表の「議員氏名」欄記載の各金沢市議会議員に係る「違法支出額」欄記載の支出(以下「本件各支出」という。)は,違法であり,上記議員らは,同市に対し,違法に支出された上記金額に相当する金員を不当利得として返還すべきところ,被告がその返還請求を怠っているとして,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,上記議員らに対して上記不当利得の返還及びこれに対する平成27年5月1日(平成26年度政務活動費収支報告書の提出期限の翌日)から支払済みまで年5分の割合による民法704条本文に基づく利息又は遅延損害金の支払を請求すべきことを求める事案である。
2  法令等の定め
(1)  地方自治法(以下「法」という。)
ア 100条14項
普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務活動費を交付することができる。この場合において,当該政務活動費の交付の対象,額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は,条例で定めなければならない。
イ 同条15項
前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
(2)  金沢市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年金沢市条例第2号,以下「本件条例」という。甲1,乙1)
ア 2条(交付の対象)
政務活動費は,金沢市議会の議員の職にある者(以下「議員」という。)に対して交付する。
イ 3条(交付額及び交付の方法)
1項 政務活動費は,各月の初日(以下「基準日」という。)に在職する議員に対し,月額18万円を四半期ごとに交付する。
(2項ないし4項は省略)
ウ 8条(政務活動費を充てることができる経費の範囲)
1項 政務活動費は,議員が行う調査研究,研修,広報,広聴,住民相談,要請,陳情,各種会議への参加等市政の課題及び市民の意思を把握し,市政に反映させる活動その他住民福祉の増進を図るために必要な活動(以下「政務活動」という。)に要する経費に対して交付する。
2項 政務活動費は,別表に定める政務活動に要する経費に充てることができるものとする。
エ 10条(収支報告書等の提出)
1項 政務活動費の交付を受けた議員は,規則で定める政務活動費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を作成し,政務活動費に係る会計帳簿の写し及び領収書その他の当該支出に係る事実を証する書類の写しを添付して,議長に提出しなければならない。
2項 収支報告書及び前項の添付書類(以下「収支報告書等」という。)は,前年度の交付に係る政務活動費について,毎年4月30日までに提出しなければならない。
(3項は省略)
オ 13条(政務活動費の返還)
市長は,政務活動費の交付を受けた議員が当該年度において交付を受けた政務活動費の総額から,当該議員が当該年度において第8条に定める経費の範囲に基づいて支出した総額を控除して残余がある場合は,当該残余の額に相当する額の政務活動費の返還を命ずることができる。
カ 15条(委任)
この条例に定めるもののほか,政務活動費の交付に関し必要な事項は,市長が別に定める。
キ 別表(第8条関連)
(ア) 広報費
議員が行う活動及び市政について市民に報告するために要する経費
(イ) 人件費
議員が行う活動を補助する職員を雇用する経費
(ウ) 事務所費
議員が行う活動のために必要な事務所の設置及び管理に要する経費
(エ) 共通経費
上記以外の経費で議員が行う活動に共通して必要な経費
(調査研究費等,上記以外の経費については省略)
ク 別表備考2
政務活動費を充てることができない経費は,次のとおりとする。
(1)  政党の活動に係る経費
(3)  選挙活動に係る経費
(4)  後援会活動に係る経費
(9) 使途不明の支出に係る経費
(上記以外の部分は省略)
(3)  金沢市議会政務活動費の交付に関する条例施行規則(平成13年金沢市規則第4号(ただし,平成25年金沢市規則第1号による改正後のもの。),以下「本件規則」という。乙1)
ア 1条(趣旨)
この規則は,本件条例の施行に関し,必要な事項を定めるものとする。
イ 5条(収支報告書の様式)
条例第10条第1項に規定する規則で定める収支報告書は,様式第4号に定めるところによる。
(4)  金沢市議会政務活動費運用の手引き(平成27年4月改訂前のもの,以下「本件手引き」という。乙1)
本件手引きは,金沢市議会が,政務活動費の取扱いの基本指針を示すものとして作成したものであり,以下のような定めがある。
ア 「2 実費弁償の原則」(第2章 政務活動費の基本的な運用指針)
政務活動費は,実費弁償が原則であるが,政務活動費からの支出について,実額の把握が困難である場合に按分による算定方法を用いる場合は,この限りではないとしている。
イ 「第4章 政務活動費を充てることができる経費の範囲」
政務活動費を充てることができる経費の範囲について,本件条例別表には例示がないことから,本件手引きにおいて,何に充当できるかその例を具体的に示し,充てることができる経費の範囲を明確にするとした上,政務活動費を充てることができる経費の具体的な事例を以下のように定めている。
(ア) 広報費
主な例として,広報紙・報告書等印刷費,会場費,茶菓子代等を挙げるほか,その他の例として,広報紙・議会報告・活動報告の編集作成費(印刷費は製本費用も含む。),議会活動,政策等の広報用ポスター作成費,ホームページ作成料・管理費用,広報紙等発送費用(文書通信費を除く)等を挙げている。
(イ) 人件費
主な例として,給料,手当,賃金等を挙げ,その他の例として交通費を挙げるほか,政務活動費出納簿作成に当たっては人件費の充当を認めることとし,政務活動費出納簿及び領収書についても,外部の専門家チェックについて人件費の充当を認めることとしている。
(ウ) 事務所費
主な例として,事務所の賃借料,維持管理費,備品購入費,文書通信費,事務機器の購入,リース代等を挙げ,その他の例として,事務所への来客等のため設置する駐車場賃借料,テレビ受信料,インターネット料金等,事務所内の会合等において提供される茶菓子代,その他の雑費(事務用品,消耗品等)を挙げるほか,政務活動費の充当が認められる事務所を1か所に限ることとしている。
また,購入する備品の例として,パソコン,プリンター,デジタルカメラ,シュレッダー等を挙げるほか,備品の購入については,同種の機器について1任期1回限り,1任期について1機種10万円を上限としている。
さらに,議員活動は政務活動と他の活動が渾然一体となっていることから,事務所経費への政務活動費の充当に当たっては,各活動の実態に応じて按分して充当する必要があるとして,事務所の形態に応じた費目別の政務活動費充当限度額(按分率の上限)を,以下のとおり定めている。
a 「政務活動専用事務所」の場合,光熱費,通信費,上下水道代金,賃借料及び備品の購入費の全額
b 「政務活動事務所+政治団体事務所」の場合,光熱費,通信費,上下水道代金,賃借料及び備品の購入費の各2分の1
c 「政務活動事務所+住居等」の場合,光熱費,通信費及び備品の購入費の各2分の1(上下水道代金及び賃借料は充当不可)
d 「政務活動事務所+政治団体事務所+住居等」の場合,光熱費,通信費及び備品の購入費の各3分の1(上下水道代金及び賃借料は充当不可)
(エ) 共通経費
携帯電話の利用料金については,1台分に限り,充当割合を1/2とし,限度額を月1万5000円としている。
自動車の燃料費については,1台分に限り,充当割合を1/2,限度額を月2万円としている。
自動車のリース料については,1台分に限り,充当割合を1/2,限度額を月3万円としている。
事務所が自宅と兼用になっておらず,自宅の固定電話を利用せざるを得ない場合の自宅の固定電話の利用料金については,1台分に限り,充当割合を1/2,限度額を月1万円としている。
3  前提事実(当事者間に争いがない事実及び後掲証拠(書証番号は,特記なき限り枝番号を含む。以下同じ。)又は弁論の全趣旨等によって容易に認定することができる事実)
(1)  当事者等(弁論の全趣旨)
ア 原告は,金沢市の住民である。
イ 被告は,金沢市の執行機関である。
ウ 別紙違法支出額等一覧表の「議員氏名」欄に記載された者は,いずれも平成26年度中に金沢市議会の議員の職にあった者である(以下併せて「本件各議員」といい,Z1議員及びZ4議員を除いては,名字を表記して各議員を特定することとする。)。
(2)  本件各議員に対する政務活動費の交付及び本件各議員による支出(争いのない事実,甲3ないし19)
ア 金沢市は,平成26年度分の政務活動費として,Z3議員に対しては合計108万円(月額18万円,2四半期分)を,その他の各議員に対しては合計216万円(月額18万円)をそれぞれ交付した。
イ 本件各議員は,平成26年度中に,別表1-1ないし別表18の「使途(活動)内容」欄記載の事項に係る経費として,対応する同各別表の各「支出額」欄記載の金額を支出した。そして,本件各議員は,平成27年4月30日までに,平成26年度政務活動費収支報告書(以下単に「収支報告書」ということがある。)及び平成26年度政務活動費出納簿(以下単に「出納簿」ということがある。また,収支報告書と併せて以下「収支報告書等」という。)を金沢市議会議長に提出したが,上記収支報告書等においては,上記各支出のうち,上記各別表の対応する「充当額」欄記載の各金額については政務活動費を充当することができる経費として計上された上,これらを含む政務活動に係る経費の全部又は一部に交付を受けた政務活動費を充当するとともに,その余の部分については自己資金等でまかなったことなどが記載されている。なお,本件各議員のうち,Z3議員は,金沢市から交付を受けた政務活動費108万円と自己資金1万7696円との合計額から,収支報告書に政務活動費に係る支出として計上された107万1725円を控除した残額2万5971円を,その頃金沢市に返還した(甲12)。
(3)  住民監査請求
原告は,平成28年3月28日,法242条1項に基づき,金沢市監査委員に対し「職員措置請求書」を提出して住民監査請求を行った。原告は,上記住民監査請求において,金沢市監査委員に対し,本件各議員に対する平成26年度中の政務活動費の交付につき,同議員らが上記政務活動費を充当した費用の中には政務活動費の充当が許されない違法支出が含まれているなどとして,上記各議員に交付された政務活動費のうち違法支出に充当された金額及びこれに対する遅延損害金を金沢市に支払わせるように被告に勧告することなどを求めたが,同監査委員は,原告に対し,同年5月26日,同人の請求を棄却する旨の監査結果を通知した(甲73)。
(4)  本件訴えの提起
原告は,平成28年6月24日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著)。
(5)  収支報告書等の訂正及び政務活動費の一部返還等
ア A議員は,平成28年8月17日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲3,20)記載の支出の一部(広報費のうち別表1-2の8,9及び26番の各支出を除いたもの)に誤りがあったとしてこれらの支出を収支報告書等に計上しないこととする旨の訂正報告を行い,同年9月6日,同訂正に伴い,平成26年度政務活動費のうち25万2902円(同議員が金沢市から交付を受けた政務活動費216万円と会派共用費精算払戻金1万3206円との合計額から上記訂正後の支出額合計192万0304円を控除した残額)を金沢市に返還した(乙2,3)。
イ C議員は,平成28年8月24日及び同年11月25日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲5,22)記載の支出の一部(広報費に係る別表3の6番及び7番の支出)に誤りがあったとしてこれらの支出を収支報告書等に計上しないこととする旨の訂正報告を行い,同年8月29日及び同年11月25日,平成26年度政務活動費のうち合計23万1742円(同議員が金沢市から交付を受けた政務活動費216万円と会派共用費精算払戻金等1万3206円の合計額から上記各訂正後の支出額合計194万1464円を控除した残額)を金沢市に返還した(乙4ないし7)。
ウ Z3議員は,平成29年9月11日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲12,29)記載の支出の一部(広報費に係る別表10の9番の支出2万6000円)に誤りがあったとしてこの支出を収支報告書等に計上しないこととする訂正報告を行い,同月13日,平成26年政務活動費のうちこの2万6000円を金沢市に返還した(丙ニ1,2)。
エ Z4議員は,平成28年4月28日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲14,31)記載の支出の一部(事務所費のうちケーブルテレビ利用代金及びNHK年払い受信料合計4万2645円)の計上額に誤りがあったとしてこの支出を収支報告書等に計上しないこととし,併せて,収支報告書記載の政務活動費の収入のうち,上記支出の減少に伴いこれと同額(4万2645円)を「その他(預金利子等)」の項目から控除する旨の訂正報告を行った(丙ロ1)。
オ Z5議員は,平成28年2月10日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲15,32)記載の支出の一部(事務所費のうちインターネット料金及びケーブルテレビ利用代金合計3631円)の計上額に誤りがあったとしてこれらの支出を収支報告書等に計上しないこととし,併せて,収支報告書記載の収入のうち,上記支出の減少に伴いこれと同額(3631円)を「その他(預金利子等)」の項目から控除する旨の訂正報告を行った(丙ハ1)。また,Z5議員は,同年8月31日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲15,32)記載の支出の一部(事務所費のうち事務所用照明器具代及び台所修繕費等合計4万5020円)の計上額に誤りがあったとしてこれらの支出のうち合計2万2610円を収支報告書等に計上しないこととし,併せて,収支報告書記載の収入のうち,上記支出の減少に伴いこれと同額(2万2610円)を「その他(預金利子等)」の項目から控除する旨の訂正報告を行った(丙ハ2)。さらに,Z5議員は,同年10月21日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲15,32)記載の支出の一部(事務所費のうち事務所用お茶菓子代金等合計10万0510円)の計上額に誤りがあったとしてこれらの支出を収支報告書等に計上しないこととし,併せて,収支報告書記載の収入のうち,上記支出の減少に伴い「その他(預金利子等)」の項目から3万7950円を控除して1万3207円とする旨の訂正報告を行い,同日,平成26年政務活動費のうち6万2560円(同議員が金沢市から交付を受けた政務活動費216万円と会派共用費精算金1万3207円の合計額から上記各訂正後の支出額合計211万0647円を控除した残額)を金沢市に返還した(丙ハ3)。
カ Z7議員は,平成28年8月26日付けで,金沢市議会議長に対し,収支報告書等(甲17,34)記載の支出の一部(共通経費のうちリース自動車の部品交換代9170円)の計上額に誤りがあったとしてこの支出のうち6470円を収支報告書等に計上しないこととし,併せて,収支報告書記載の収入のうち,3469円を計上していた「その他(預金利子等)」の項目を0円とする旨の訂正報告を行った(丙イ1,弁論の全趣旨)。
キ 上記アないしカの収支報告書等の訂正により,本件各議員が政務活動費を充当することができる費用として最終的に収支報告書等に計上した支出額は,別紙違法支出額等一覧表の「収支報告書記載の支出額合計額」欄記載の金額(ただし,訂正がある者についてはかっこ内の金額)となった(なお,平成26年度政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日以降の収支報告書の修正が許されるか否かは争いがある。)。
4  争点及び当事者の主張
本件の争点は,①本件各支出が本件条例8条に規定する使途基準(以下「本件使途基準」という。)に合致しないものか,②本件各議員が金沢市に返還すべき不当利得の額及び③議員に不当利得が生じる場合に法定利息又は遅延損害金が発生するかである。
(1)  争点①(本件各支出が本件使途基準に合致しないものか)について
(原告の主張)
被告及び補助参加人らの主張を裏付ける証拠がない上,以下のとおり,本件各支出はいずれも違法な支出である。
ア 広報費について
別表1-1ないし10「原告の主張」欄記載のとおりである。
なお,被告及びZ3議員は,A議員,C議員及びZ3議員の広報費支出について,政務活動費収支報告書の記載を訂正したなどと主張するが,本件条例10条2項は,政務活動費収支報告書の提出期限を翌年度の4月30日と定めており,同日より後に政務活動費収支報告書の記載内容を変更することは許されない。したがって,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日より後の政務活動費収支報告書の記載内容の変更を考慮せず,同日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきである。
イ 人件費について
(ア) 議員の活動は,政務活動と他の活動が渾然一体となっており,議員の事務所は,政務活動以外の活動のためにも使用されている。そうすると,「議員活動は,政務活動と他の活動が渾然一体となっている場合がある」ということを被告自身が否定しなければならなくなるため,本件手引きでいう「政務活動専用事務所」及び「政務活動事務所+住居等」という形態の事務所は,事実上存在できなくなる。また,「政務活動専用事務所」と「政務活動事務所+住居等」の按分率の上限を比較すると,その違いは,上下水道代金及び賃借料の支出の有無にあると考えられる。よって,上下水道代金及び賃借料の支出をする議員の事務所は「政治活動事務所+政治団体事務所」形態の事務所であり,同支出をしていない議員の事務所は「政務活動事務所+政治団体事務所+住居等」形態の事務所であるといえる。
(イ) Z11議員が人件費として支出した金額のうち2分の1のみを政務活動費として充当した部分については,当該充当に係る職員が専任職員ではないことから,人件費として支出することは認められず,全額違法支出である。
また,その余の充当部分については,Z11議員は,上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していることからすれば,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所」であると推認されるところ,このような形態の事務所の人件費の按分率の上限は2分の1であるから,2分の1を超えて政務活動費を充当した部分は,違法支出である。
ウ 事務所費について
(ア) Z11議員の事務所費支出のうち,当該各支出に係る領収証のただし書に記載がなく,支出目的が分からない支出は,全額違法支出である。また,その余の支出については,Z11議員の事務所の形態が,上記のとおり,本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所」であると推認され,このような形態の事務所の事務所費の按分率の上限は2分の1であるから,2分の1を超えて政務活動費を充当した部分は,違法支出である。
(イ) Z4議員の事務所費支出のうち,ケーブルテレビ利用代金については,自宅用のものであるため,全額違法支出である。また,その余の支出については,同議員は,上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していることからすれば,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所」であると推認されるところ,このような形態の事務所の事務所費の按分率の上限は2分の1であるから,2分の1を超えて政務活動費を充当した部分は,違法支出である。
なお,Z4議員は,事務所費支出について,政務活動費収支報告書の記載を訂正したなどと主張するが,本件条例10条2項の定める提出期限後に政務活動費収支報告書の記載内容を変更することは許されず,平成27年4月30日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであることは前記のとおりである。
(ウ) Z5議員の事務所費支出のうち,平成26年4月22日に支出したお菓子代金1万3010円については,同議員の親族が経営する店で購入されたお菓子に係る支出であるから,全額違法支出である。また,その余の支出については,同議員は,上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していないことからすれば,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動費+政治団体事務所+住居等」であると推認されるところ,このような形態の事務所の事務所費の按分率の上限は3分の1であるから,3分の1を超えて政務活動費を充当した部分は,違法支出である。
なお,Z5議員は,事務所費支出について,政務活動費収支報告書の記載を訂正したなどと主張するが,上記のとおり,政務活動費収支報告書の提出期限より後に政務活動費収支報告書の記載内容を変更することは許されないため,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日より後の政務活動費収支報告書の記載内容の変更を考慮せず,同日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきである。
(エ) Z6議員の事務所費支出について,同議員は,上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していないことからすれば,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動費+政治団体事務所+住居等」であると推認されるところ,このような形態の事務所の事務所費の按分率の上限は3分の1であるから,3分の1を超えて政務活動費を充当した部分は,違法支出である。
エ 共通経費について
以下の点からすれば,Z7議員,Z8議員及びZ12議員の共通経費の支出は,全額違法支出である。
(ア) 政務活動費を充当することのできる経費は,条例で定められたものに限られるところ(法100条14項参照),共通経費は,調査研究費,研修費,広報費,広聴費,要請・陳情活動費,会議費,資料作成費,資料購入費,人件費,事務所費及び共用費以外の経費であるとされており,条例で定められたとはいえない規定振りで,法100条14項に抵触すると解されることに加え,その文言からすれば,そもそも不要な項目であると解され,本件条例に定められた経費とはいえないものであるため,共通経費として政務活動費を充当することは違法である。
(イ) 携帯電話の利用料金は,私的利用目的で契約されるものであるので,政務活動のために必要な経費ではなく,政務活動費を充当することは違法である。また,政務活動に使用した使用割合を算定することは困難なので,按分充当することも許されない。
自家用自動車の燃料費は,議員が行う活動に共通して必要な経費ではないため,政務活動費を充当することは違法である。また,政務活動に使用した使用割合を測定することは困難なので,按分充当することも許されない。
本件手引きは,自動車の購入費用につき政務活動費を充当することは許されないと定めているところ,自動車リース料は,リース契約終了時点での車両の残存価値を差し引いた車両価格をベースに決定されるものであり,自動車の購入費用を分割払いするのとほぼ同視することができるため,自動車のリース料に政務活動費を充当することはできない。
自宅電話利用料は,事務所が自宅と兼用となっていない場合には政務活動費とは認められないのであるから,「議員が行う活動に共通して必要な経費」ではなく,政務活動費を充当することは違法である。
なお,Z7議員は,共通経費支出について,政務活動費収支報告書の記載を訂正したなどと主張するが,上記のとおり,政務活動費収支報告書の提出期限より後に政務活動費収支報告書の記載内容を変更することは許されないため,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日より後の政務活動費収支報告書の記載内容の変更を考慮せず,同日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきである。
(被告及び補助参加人らの主張)
以下のとおり,本件各支出はいずれも適法な支出である。
ア 広報費について
別表1-1ないし10「被告の主張」欄記載のとおりである。
イ 人件費について
争う。原告の主張は,いずれもその趣旨が不明である上,独自の見解を述べるにすぎない。
ウ 事務所費について
争う。原告の主張は,いずれもその趣旨が不明である上,独自の見解を述べるにすぎない。
また,Z5議員は,自宅の1階の一室に,後援会活動事務所とは別に,政務活動専用の事務所を設置しており,同事務所内で,金沢市政全般の政務活動,特に,再生可能エネルギー導入のための講演活動・調査・勉強会(自然環境を取り戻すには何をすべきなのか),災害のないまちづくりについての調査・研究,オウム真理教の施設に対しての地域住民活動・国県市への要望と陳情,他のオウム真理教施設に関する情報収集や意見交換,p川豪雨氾濫の原因究明・修復工事・地域住民からの要望聴取などの政務活動に取り組んでいたところ,インターネット代金,電気料金,ガス料金及びテレビ受信料等は,本件手引きの「政務活動事務所+住居等」に従い,2分の1に按分した額を政務活動費として充当し,その他の政務活動専用に利用した支出のうち事務所費に区分される支出は,事務所費に全額計上したのであり,いずれも本件手引きに従って計上したものであるから,適法な支出である。なお,一部の支出については,誤計上があったとして,政務活動費調査報告書の修正をした上,平成26年4月22日に支出したお菓子代金1万3010円については被告に返還している(前記前提事実(5)参照)。
また,Z11議員の事務所費支出のうち,原告が,当該各支出に係る領収証のただし書に記載がなく,支出目的が分からないため全額違法な支出であると主張する部分については,いずれも同議員の政務調査活動事務所で使用していた暖房器具に必要な灯油を購入したものである。
エ 共通経費について
争う。携帯電話の利用料金,自動車の燃料費,自動車のリース料及び事務所が自宅と兼用になっていない場合の自宅電話利用料については,いずれも本件手引きで,共通経費として政務活動費に充てることのできる費用として,共通経費で例示列挙されている費用であり,政務活動と関連性の強い4種類の経費に限り,2分の1の限度で充当が認められているものである。本件原告の主張は,いずれも独自の見解を述べるにすぎない。
(2)  本件各議員が金沢市に返還すべき不当利得の額(争点②)
(原告の主張)
争点①のとおり,本件各議員らによる別表1-1ないし別表10記載の各支出は,少なくとも,このうち同各別表の対応する「違法支出額」欄記載の金額の支出は本件使途基準に合致しないものであり,これらを本件各議員ごとに合計すると,別紙違法支出額等一覧表の「違法支出額」欄記載の金額(本件各支出)となる。そして,これら本件各支出はその全額に政務活動費が充当されているから,本件各議員は,本件各支出に相当する金額,すなわち,別紙違法支出額等一覧表の各議員に対応する「違法支出額」欄記載の金額について,被告に対する不当利得返還債務を負う。
(被告及び補助参加人らの主張)
争う。
(3)  議員に不当利得が生じる場合に法定利息又は遅延損害金が発生するか(争点③)
(原告の主張)
金沢市では,政務活動費は前払いされていること,そして,本件各議員の政務活動費の支出が違法であるということは,法100条の規定に違反する政務活動費の支出であるにもかかわらず,当該議員が適法に充当できると偽っていたに等しいから,各議員が負う不当利得返還債務には,民法704条が適用される。
また,本件条例10条2項の定める収支報告書等の提出期限は,前払いされた政務活動費の精算期限でもあり,前払いされた政務活動費の返還債務は確定期限付き債務であるから,民法412条1項が適用される。したがって,違法支出額がある場合,本件各議員は,本件条例10条2項により定められた精算期日である平成27年4月30日の翌日である同年5月1日から遅延損害金を支払う義務がある。
(被告及び補助参加人らの主張)
争う。政務活動費の返還義務の法的性質は不当利得返還義務であるが,不当利得返還義務は期限の定めのない債務であるから,請求がされない限り履行遅滞は生じない。しかるに,本件各議員はいずれも請求を受けておらず,不当利得返還義務の履行遅滞は生じていないため,本件各議員に平成26年度に交付された政務活動費に関する不当利得の返還義務があるとしても,法定利息及び遅延損害金は発生しない。
第3  当裁判所の判断
1  判断の枠組み
(1)  法は,100条14項前段において政務活動費の制度を設けるとともに,同項後段において政務活動費を充てることができる経費の範囲その他の事項については条例で定めなければならないものとした上,同条15項は政務活動費の交付を受けた議員等の当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書の議長への提出義務を,同条16項は議長が政務活動費についてその使途の透明性確保に努めるべきことをそれぞれ規定しているところ,その趣旨は,地方公共団体の議会の担う役割がますます重要になってきていることに鑑み,議会の審議能力を強化し,調査研究その他の議員としての活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する議員としての諸活動に係る費用等の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保するところにあると解される。このような法の定めを受け,本件条例は,政務活動費は本件使途基準に従って使用しなければならない旨定めるとともに(8条),当該年度において交付された政務活動費から使途基準に合致した支出の総額を控除して残余がある場合には,市長は残余に相当する額の返還を命ずることができるとしているものであり(13条),こうした法及び本件条例の規定内容や,政務活動費が上記のような趣旨目的で使途を限定して議員に交付される公金であることに鑑みると,議員が交付を受けた政務活動費のうち,本件条例によって政務活動費を支出することができるものとされている経費に充てなかった残余がある場合には,当該残額は,これを保持する法律上の原因を欠くこととなり,不当利得として返還されるべきものというべきであって,本件条例13条も,この趣旨をいうものと解される。そうすると,政務活動費の交付を受けた議員が,本件条例において政務活動費を充てることができるとされる経費の範囲に含まれない経費に同政務活動費を支出した場合には,なお前記残余があることとなり,あるいは本来金沢市に返還されるべき当該支出に係る政務活動費の返還を法律上の原因なく免れたこととなるから,当該議員は,金沢市に対し,当該支出に相当する不当利得の返還義務を負うことになると解すべきである。そして,本件において,原告は,金沢市が本件各議員に対して平成26年度の政務活動費について本件各支出に係る不当利得返還請求権を有する旨主張しているところ,本件各支出に係る政務活動費を本件各議員が保持することが法律上の原因を欠くこと,すなわち,本件各支出が本件使途基準に合致しないことについては,不当利得返還請求権の存在を主張する原告において,主張立証すべきものである。
(2)  もっとも,議員が支出した政務活動費の詳細な使途や目的については,これを地方公共団体の住民が把握することは困難である場合も多いと考えられる一方,その交付を受けた議員は,その使途について知悉し,その資料も所持していることが通常である。また,前記のとおり,政務活動費の使途の透明性の確保の観点から,法100条15項は,政務活動費の交付を受けた議員等は条例の定めるところにより収支報告書を提出すべき旨規定し,同条を受けた本件条例においても,政務活動費の交付を受けた議員に,会計帳簿の調製及び領収書その他の関係書類の整理並びにこれら書類の保管(9条)や,収支報告書の作成並びに同報告書及び当該支出に係る事実を証する書類の写しの提出(10条。なお,同収支報告書の写しは被告に送付される(11条)。)を義務付け,議長に対しても,政務活動費の適正な運用を期すため,収支報告書等が提出されたときは,必要に応じ調査を行うなど使途の透明性の確保に努めるものとしている。
上記のような政務活動費に係る資料の偏在状況や,法及び本件条例における政務活動費の使途の透明性確保のための議員及び議長が負う義務や役割を踏まえると,政務活動費の返還請求をする原告において,本件各議員による具体的な政務活動費の支出が違法な支出(本件使途基準に合致しない支出)であることを推認させる一般的・外形的事実を主張立証した場合には,被告又は本件各議員(法242条の2第1項4号の訴訟において,同号に定める「怠る事実に係る相手方」となる場合には,訴訟告知(同条7項)によって訴訟参加の機会を与えられることとなる。)の側において,当該支出が適法な支出であること(本件使途基準に合致すること)について反証を行わない限り,当該支出は,政務活動費の本来の使途及び目的に反する用途への支出であるとの立証があったものと解するのが相当である。
なお,金沢市議会は,政務活動費の取扱いの基本指針を示すものとして本件手引きを作成しているところ,その趣旨は,地方の実情を考慮した上で,政務活動費の使途の透明性をより一層確保する点にあると解される。そして,政務活動費の交付に関する具体的事項は,普通地方公共団体の議会が定める条例によるべきものとされているところ(法100条14項),政務活動費の支出対象となり得る議員としての活動は,広範囲に及び得るものであることにも照らすと,政務活動費の支出が本件条例の定める本件使途基準に合致するものか否かについては,そうした議員により構成される議会自身の自律的判断をも尊重すべきものである。そうすると,前記のような趣旨の下で金沢市議会が定めた本件手引についても,上記の観点から尊重されるべきものであって,本件各議員の政務活動費の支出が本件使途基準に適合するか否かの判断に当たっては,当該支出に係る本件手引きの内容が法及び本件条例に照らして不合理といえない限り,その記載内容を十分参酌すべきである。
2  広報費について
(1)  原告は,議員が発行する広報紙,議員が行う報告会には,議員が行う活動及び市政を市民に報告する側面と議員自身の宣伝という側面があるところ,議員自身の宣伝に対して政務活動費を充当することは許されないため,広報紙を発行するための費用及び報告会を行うための費用について,合理的な按分充当割合である2分の1を超えて政務活動費を充当することは違法であるなどと主張する。
(2)  そこで検討するに,本件条例及び本件手引きは,議員の広報費について,「議員が行う活動及び市政について市民に報告するために要する経費」と定め,本件手引は,その具体例として,広報誌・報告書等印刷費,会場費,茶菓子代,文書通信費,交通費等を掲げているところ,議員が行う市政に関する政策や活動等を市民に知らせることは,市政に対する市民の関心を喚起向上するとともに,市政に関する市民の要望や意見等を的確に収集・把握し,これを議会における審議に反映するための前提としての意義を有するものであって,議会における審議の充実強化に資するものであるということができる。したがって,このような広報のために支出した経費に政務活動費を充てることができるものとすることは,前記政務活動費の趣旨に沿うものというべきであって,本件手引の上記定めは,その具体例も含め,法及び本件条例に照らして不合理とはいえない。また,このような広報活動が,同時に議員自身の宣伝としての効果を有することもあり得るところではあるが,このような効果を有するとしても,それがあくまで広報活動に伴う付随的・副次的なものにとどまる限り,上記のような広報活動の本来的な役割や効果を損なうものではないから,当該広報活動の全部が,議員の議会活動の基礎となる活動との間の合理的関連性を有するものというべきであって,原告の主張するように,広報活動が一般的に議員自身の宣伝の側面があることのみを理由に,広報費の全部又は一部への政務活動費の支出が本件使途基準に合致しないものとなるということはできない。
もっとも,議員が行う活動のうち,政党活動や選挙活動,後援会活動については,議員ないし議員が所属する政党自体の宣伝や発展をその主たる目的とするものであり,それが市政の広報ないし議会の審議に資する面がないではないとしても,それは上記のような目的に事実上付随するものにすぎないのであって,本件条例別表備考2が,これらの活動に係る経費には政務活動費を一切充てることができないものとしているのも,こうした趣旨によるものと解される。そして,本件手引きは,「一つの活動が区分できる場合もあり,また政務活動とこれ以外の議員活動の両面を有する場合,さらには渾然一体となっている場合など,明確に区分できない場合もある」と考えられることから,「当該活動に要した経費の全額に政務活動費を充てることが不適当であることが明らかな場合には,各活動の実態に応じて按分して充当すること」としているところ(乙1・5頁),上記のような本件条例別表備考2の定めの趣旨からすると,議員が行う活動が,全体としては本件条例及び本件手引においての定める広報に関する活動に該当する場合であっても,その広報の具体的な内容や形式において,例えば,議員の政党活動や後援会活動に関する記事,議員のプロフィール,議員自身の拡大写真やその活動状況を写した写真等,議員自身の宣伝を主たる目的とするとみられる部分が含まれている場合については,当該部分については,これが直ちに前示の政務活動費の趣旨に適合するものということはできず,その限りにおいて,議会の議員として行う政務活動との合理的関連性を欠くものというべきである。
そこで,議員が行う広報活動において,議員や政党の宣伝など,議員が行う活動及び市政についての市民への報告という目的以外の事項が報告会の中で相当程度取り上げられていたり,報告書の中で相当程度記載されているなど,同情報を提供することが主たる目的となっていると認められるような場合には,本件手引きにいう「当該活動に要した経費の全額に政務活動費を充てることが不適当であることが明らかな場合」に当たるというべきであり,当該広報活動に係る経費のうち,当該部分に係る割合等に応じて按分した額を控除した範囲に限り,本件使途基準に合致するものというべきであって,当該経費に同範囲を超えて政務活動費が支出されたものと認められる場合には,当該超過部分につき,本件使途基準に合致しない支出であることを推認させる一般的・外形的事実の立証があったものというべきである。
(3)  また,市政報告会等における茶菓子等の飲食物に係る支出については,これが会合の円滑な進行に資する場合があることは否定し難いところであり,当該飲食物の提供が,当該会合の内容に照らし不必要であることが明らかである場合や,その支出額が社会通念上儀礼の範囲を超え不相当に高額であると認められる場合などを除き,政務活動との合理的関連性を有するものというべきであって,これが直ちに本件使途基準に合致しない支出ということはできない。
3  共通経費について
(1)  原告は,共通経費は,本件条例別表の規定振りが,法100条14項に抵触すると解されることに加え,その文言からすれば,そもそも不要な項目であると解されるから,本件条例に定められているということはできず,共通経費として政務活動費を充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,法100条14項及び15項は,政務活動費の具体的な内容及び手続につき,各地方公共団体がその実情に応じて制定する条例の定めに委ねることとしているところ,地方公共団体の議会が極めて広範囲にわたる権限を有していること(法第6章参照)に伴い,本件条例8条が政務活動費を充てることができるものとして定める議員の政務活動も広範囲に及んでおり,その内容に照らすと,こうした政務活動に伴う経費には,個々の政務活動との間の個別的対応関係が明らかなもののほか,個々の政務活動と個別的に対応するものではないが,これら政務活動を通じて共通して必要とされ,こうした政務活動と一般的な関連性を有する経費も含まれるものと解され,そのような観点から,本件条例別表第12欄が,政務活動費を充てることのできる共通経費として,「上記以外の経費で議員が行う活動に共通して必要な経費」を掲げているものと解される。そうすると,本件条例における共通経費に係る規定が当然に不要な項目であるということはできないし,これが法100条14項に抵触するものということもできない。したがって,議員が行う政務活動と合理的関連性を有するものであり,政務活動に共通して必要な経費であれば,政務活動費として充当できると解するのが相当であり,これに反する原告の主張は採用できない。
(2)  また,原告は,本件手引きで例示列挙されている携帯電話の利用料金,自動車の燃料費,自動車のリース料及び事務所が自宅と兼用になっていない場合の自宅電話利用料金のいずれも政務活動費とは認められない性質のものであるため,これらの支出に政務活動費を充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,携帯電話は現代社会における連絡手段として,自動車は金沢市のような地方都市における議員の政務活動のための移動手段として,事務所が自宅と兼用になっていない場合の自宅電話料金は,政務活動のために自宅の固定電話を利用せざるを得ない場合があり得るとして,いずれも議員の政務活動の用に供され得るものであり,政務活動と合理的関連性を有する経費であると認められる。また,自動車リース料について,原告は,自動車リース料は,リース契約終了時点での車両の残存価値を差し引いた車両価格をベースに決定されるものであり,自動車の購入費用を分割払いするのとほぼ同視することができる旨主張するが,本件手引きは,自動車リース料について,政務活動費をその全額に充当することを認めず,その充当割合を2分の1に限り,かつ月額3万円を上限として,政務活動費の充当を認めていることからすれば,自動車リース料への政務活動費の充当が,自動車の購入費用を分割払いするのと同視できるとまではいい難いから,一義的に政務活動費の充当が許されないものであるということはできず,政務活動費の本来の使途及び目的のために使用された割合に応じて按分した額について,政務活動費を充当することも許されるというべきである。以上のような観点からみると,共通経費に係る本件手引の記載内容が,法及び本件条例に照らして不合理であるとはいえないから,個別の経費につき政務活動費を支出できるか否かは,本件手引の記載に従って判断するのが相当である。
4  争点①(本件各支出が本件使途基準に合致しないものか)について
(1)  A議員の広報費支出
ア 証拠(甲3,20,37,乙2,3)によれば,A議員が,平成26年度の広報費として,67万5538円を支出し,按分することなくその全額を,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等(前提事実(5)アの訂正後のもの)に計上したこと,A議員の広報費支出の内訳は,市政報告書2通の作成費用及び発送費用並びに市政報告会参加者へのお礼はがきの発送費用であったことが認められる。
イ 別表1-1の各支出について
(ア) 別表1-1の7ないし12番の各支出
証拠(甲37の67)によれば,A議員の市政報告書である「○○報告・VOL.1」には,平成26年10月の市議会で市長が提案した重点戦略計画に関する説明や補正予算に関する記事,A議員が当該議会の感想を述べた文章等が掲載されているほか,A議員の写真や連絡先が掲載されている部分もあるものの,これらの写真や連絡先が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められる。
以上によれば,当該市政報告書の大部分は,議会活動の状況や,A議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介・報告する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,同議員の政務活動に資するものといえ,当該市政報告書が同議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとも認められないから,これの作成及び発送費用合計36万5632円(別表1-1の7ないし12番の充当額の合計である。甲37の23,24,27ないし30)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(イ) 別表1-1の1ないし6番の各支出
他方,証拠(甲37の69)によれば,A議員が作成した市政報告書である「これまでの活動と今後の注目点」には,市政のうちA議員が主に取り組んできた施策及びその現状について紹介する記事が掲載されているものの,A議員自身の写真や経歴,「私が目指すもの」と題してA議員が市政一般に対する感想を述べた上,支援を呼びかける文章が掲載されている部分もあり,これらの写真や経歴等は紙面全体の約半分を占めていることが認められる。
以上によれば,上記市政報告書の約半分は,A議員が取り組み又は関心を有している施策等を紹介する内容であり,政務活動に資するものといえるものの,その余は,専らA議員の宣伝を主たる目的として作成されたものと認められ,これが上記市政報告書の相当部分(約半分)を占めているから,これの作成及び発送に関する費用合計29万8486円(別表1-1の1ないし6番の充当額の合計である。甲37の8,10ないし14)のうち,上記市政報告書においてA議員自身の宣伝を目的として作成されたものと認められる部分の割合である2分の1に当たる14万9243円は,本件使途基準に合致せず,政務活動費を充てることが許されない支出であると認めるのが相当である。
ウ 別表1-2の各支出について
(ア) 別表1-2の8及び9番の各支出
原告は,別表1-2の各支出のうち8及び9番の支出は,レターパックプラスという送付態様からして,A議員作成に係る市政報告書である「これまでの活動と今後の注目点」の送付のために支出したとは考え難く,目的外支出であると推認され,その余の支出は,いずれもその支出に係る各市政報告会の実施を裏付ける証拠がない上,各市政報告会の内容が広報費支出に該当するものではないから,全額違法支出であるなどと主張する。
そこで検討すると,本件条例及び手引きのいずれにも,市政報告書の送付方法を限定する定めはない上,レターパックプラス(配達員が対面で配達し,受領印を徴求するもの)による方法で市政報告書の送付が行われること自体が不自然不合理であって,あり得ないことであるとまでいうことはできず,他に別表1-2の8及び9番の充当額(合計1020円。甲37の9,18)が目的外支出であることを推認させる事情は何ら認められないから,前記のとおり,これらの支出については,上記市政報告書においてA議員自身の宣伝を目的として作成されたものと認められる部分の割合である2分の1に当たる部分(510円)のみ本件使途基準に合致しない違法な支出であると認めるのが相当である。
(イ) 別表1-2の26番の支出
証拠(甲37の38,乙8,14)によれば,別表1-2の26番の支出は,A議員が平成27年1月25日にアパホテル金沢駅前で開催した新春市政報告会への出席者に対する感謝の意を述べる目的で発送した200枚分のはがき代であること,A議員は,平成26年度当時,主として学校教育等の教育行政,北陸新幹線金沢開業に向けた対応,高齢者・障害者の福祉施策等に関する調査研究に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,北陸新幹線開通に向けた金沢市内の交通整備の状況及び観光施策並びに歴史や道徳教育を始めとする学校教育の改善点等を中心に報告したことが認められる。
以上の事実によれば,当該市政報告会は,A議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策を紹介・報告し,自身の意見を述べる内容となっており,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものといえる。そして,上記のような市政報告会の参加者に対して礼状を送付することも,市民の市政に対する関心を維持継続する効果を有するものであり,議員の行う政務活動としての上記市政報告会の開催と合理的関連性を有するものというべきところ,上記支出に係るはがきの記載内容も,当該市政報告会の出席者に対し儀礼的に出席への謝意を表するものにすぎず,これが上記市政報告会への出席に対する謝礼を超えて,A議員自身の宣伝や同人への支持要請を主たる目的とするものとも認められないから,このようなはがきを送付するための経費も,広報活動に伴う経費というべきであり,これが本件使途基準に反する支出であるとは認められない。
(ウ) そして,別表1-2の8,9及び26番以外の各支出は,前記前提事実のとおり,いずれも計上に誤りがあったとして,A議員は,収支報告書等を修正し,同各支出に係る政務活動費25万2902円(同議員が金沢市から交付を受けた政務活動費216万円と会派共用費精算払戻金1万3206円との合計額から上記訂正後の支出額合計192万0304円を控除した残額)を金沢市に返還している(前提事実(5)参照)。
もっとも,上記訂正に関し,原告は,本件条例10条2項が,政務活動費収支報告書の提出期限を翌年度の4月30日と定めており,同日より後に政務活動費収支報告書の記載内容を変更することは許されないため,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであるなどと主張する。
そこで検討すると,本件条例10条2項が,政務活動費収支報告書の提出期限を定める趣旨は,議員が返還すべき政務活動費の金額は,議員が作成・提出した収支報告書等の内容を踏まえて被告において判断することになるため,被告において議員の政務活動費の充当が本件使途基準に適合するものか否かの判断を可能とし,返還すべき政務活動費がある場合には,被告が速やかにその返還決定をすることができるようにすることにあるものと解され,このような本件条例10条2項の趣旨に照らせば,議員は,同項で定める提出期限までに,正確な内容が記載された収支報告書等を提出すべきものということができる。しかしながら,本件条例及びこれを踏まえた本件手引きのいずれにも,政務活動費収支報告書について,その提出期限後の訂正が許されない旨の定めはないことに加え,議員が提出した収支報告書等に記載された使途が実態と異なるなど,その記載内容に誤りがあることが事後的に判明した場合に,政務活動費収支報告書の提出期限後の訂正が一切許されないとすると,かえって政務活動費の使途の透明性の確保が困難となるおそれがあることに照らせば,政務活動費収支報告書の提出期限後の訂正が一律に禁止されていると解することはできない。また,そもそも,政務活動費に係る不当利得返還請求権は,議員が,本件使途基準に合致しない経費に政務活動費を支出・充当することにより発生するものであるから(前記1(1)),その成否は,当該経費が本件使途基準に合致するか否かによって客観的に判断されるべきものである。
したがって,政務活動費収支報告書の提出期限後にその記載内容の訂正があった場合には,当該訂正内容が客観的に誤りであるような場合を除き,当該訂正後の記載内容をも踏まえて政務活動費の支出が本件使途基準に合致するか否かを客観的に判断すべきものであるところ,前掲訂正内容が客観的に誤りであるとは認められないから,これに反する原告の上記主張は採用できない。
また,前記のとおり,別表1-2記載の支出のうち,8,9及び26番を除くものについては,いずれもこれら支出に政務活動費を充当しないことを前提として算出された政務活動費の残余が既にA議員から金沢市に返還されているところ,仮に,A議員が金沢市に対し上記各支出に係る不当利得返還債務を負ったとしても,後記5において説示するところも踏まえると,当該債務は,上記返還により弁済されたものとして消滅することになるから(この点に関する被告の主張は,この趣旨を含むものと解することができる(他の本件各議員による返還についても同様。)。),収支報告書等の訂正の可否及び不当利得返還請求権の成否がどうであれ,いずれにしても,現時点において,A議員が,上記支出に関して金沢市に対し不当利得返還債務を負うとは認められず,これらの支出に係る原告の請求は理由がない。
エ 以上によれば,A議員が政務活動費を充当できるものとして収支報告書等(前記訂正後のもの)に計上した広報費支出のうち,別表1-1の1ないし6番並びに別表1-2の8及び9番の充当額合計29万9506円の2分の1に当たる14万9753円については本件使途基準に適合しない支出であると認められるが,上記訂正後の収支報告書等に計上されたその余の支出及び同議員に係る本件各支出のうちその余のものについては,A議員が金沢市に対し不当利得返還請債務を負うものとは認められない。
(2)  B議員の広報費支出
ア 証拠(甲4,21,38)によれば,B議員が,平成26年度の広報費として,133万3794円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,B議員の広報費支出の内訳は,市政報告はがき1種類の作成費用,市政報告書1通の作成費用及び発送費用並びにホームページのサーバー更新料及びデザイン料などであったことが認められる。
イ 別表2の各支出について
(ア) 別表2の1ないし4及び6番の各支出について,証拠(甲38の3)によれば,B議員の作成した市政報告はがきである「B通信No.60」には,北陸新幹線金沢開業による影響及び必要な施策に関するB議員の意見や,B議員がこれらを踏まえた議員活動に対する決意を表明した文章等が掲載されているほか,B議員の氏名や連絡先が掲載されている部分もあるものの,これら連絡先等が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められる。
以上によれば,当該市政報告はがきの大部分は,B議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,同議員の政務活動に資するものといえ,当該市政報告はがきが,B議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとも認められないから,この作成費用合計60万3328円(別表2の1ないし4及び6番の充当額の合計である。甲38の1,2,4,5,9)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(イ) 別表2の7ないし9並びに11及び12番の各支出について,証拠(甲38の14)によれば,B議員の作成した市政報告書である「B通信No.61」には,平成26年11月に行われた◇◇校下の防災訓練に関する報告や,北陸新幹線金沢開業による影響及び必要な施策に関するB議員の意見等が記載された文章が掲載されているものの,B議員自身の写真や経歴,B議員の市政への決意を述べた上,支援を呼びかける文章が掲載されている部分もあり,これらの写真や経歴等は紙面全体の約半分を占めていることが認められる。
以上によれば,上記報告書の約半分は,B議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,政務活動に資するものといえるものの,その余は,専らB議員の宣伝を主たる目的として作成されたものと認められ,これが上記報告書の相当部分(約半分)を占めているから,これの作成及び発送に関する費用合計64万5200円(別表2の7ないし9並びに11及び12番の充当額の合計である。甲38の12,15,16,18,19,21)のうち,B議員自身の宣伝を目的として作成されたものと認められる部分の割合である2分の1に当たる32万2600円は,本件使途基準に合致しない支出であると認めるのが相当である。
(ウ) 別表2の5及び10番の各支出について,証拠(乙9)によれば,B議員のホームページには,B議員が取り組み又は関心を有している施策等の紹介や,B議員が作成する市政報告書である「B通信」のバックナンバーを閲覧できる記事が掲載されているほか,B議員の写真や連絡先が掲載されている部分もあるものの,これらの写真や連絡先等がホームページ全体に占める割合は,わずかな程度に留まっていることが認められる。
以上によれば,当該ホームページの大部分は,B議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,政務活動に資するものといえ,当該ホームページは,B議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとも認められないから,当該ホームページに関するサーバー更新料及びデザイン料など合計8万5266円(別表2の5及び10番の充当額の合計である。甲38の8,17)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
ウ 以上によれば,本件各支出のうち,B議員に係るものについては,別表2の7ないし9並びに11及び12番の充当額合計64万5200円の2分の1に当たる32万2600円については本件使途基準に適合しない支出であると認められるが,その余の支出はいずれも本件使途基準に合致しないものとは認められない。
(3)  C議員の広報費支出
ア 証拠(甲5,22,39,乙4ないし7)によれば,C議員は,平成26年度の広報費として,84万2430円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等(前提事実(5)イの訂正後のもの)に計上したこと,C議員の広報費支出の内訳は,市政報告書4通の作成費用及び発送費用,議会傍聴の案内はがき作成費用,市政報告会会場費並びにホームページの管理費であったことが認められる。
イ 別表3の8番の支出について
(ア) 証拠(甲39の8)によれば,当該支出は,C議員の作成した市政報告書の郵送費であることが認められるところ,原告は,当該支出に係る市政報告書の写しが政務活動費出納簿に添付されていないため,当該支出は全額違法支出である旨主張する。
(イ) しかしながら,本件条例及び本件手引きにおいて,政務活動費出納簿に通信物自体を添付して議長に提出することまでは議員に求められていないが,支出に係る領収書の添付をもって政務活動費の支出を証するものとして足りるとする本件手引きの記載が不合理とまではいえない。しかるところ,上記のとおり,C議員は,上記支出を裏付ける領収書を議長に提出しているものと認められる。
(ウ) よって,原告の上記主張は採用できず,支出に係る領収書が提出されている上記支出が,使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
ウ 別表3の2番の支出について
(ア) 証拠(乙10)によれば,C議員のホームページには,C議員の活動報告や,C議員が作成する市政報告書である「C通信」のバックナンバーを閲覧できる記事が掲載されているほか,C議員の写真や経歴が掲載されている部分もあるものの,これらの写真等がホームページ全体に占める割合は,わずかな程度に留まっていることが認められる。
(イ) 以上によれば,当該ホームページの大部分は,C議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,同議員の政務活動に資するものといえ,当該ホームページは,C議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとも認められないから,当該ホームページに関する管理費合計6万4266円(甲39の2)の支出は,本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
エ 別表3の1,3,5ないし7番の支出について
(ア) 別表3の1,3及び5番の各支出について,証拠(甲39の11,12,14)によれば,C議員の作成した市政報告書である「C通信」には,市議会におけるC議員の発言内容や,C議員が取り組んだ政務活動に関する新聞記事の紹介等の記事が掲載されているものの,C議員自身の写真や経歴,連絡先が掲載されている部分もあり,これらの写真や経歴等は紙面全体の約4分の1を占めていることが認められる。
以上によれば,当該報告書の約4分の3は,C議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,政務活動に資するものといえるものの,その余は,専らC議員の宣伝を主たる目的として作成されたものと認められ,これが上記報告書の相当部分(約4分の1)を占めているから,これらの作成及び発送に関する費用合計58万7520円(別表3の1,3及び5番の充当額の合計である。甲39の1,3,5)のうち,C議員自身の宣伝を目的として作成されたものと認められる部分の割合である4分の1に当たる14万6880円の支出は,本件使途基準に合致しないものであると認めるのが相当である。
(イ) 他方,別表3の6及び7番の支出合計28万6096円について,C議員は,計上に誤りがあったとして収支報告書を修正した上,当該支出に係る合計23万1742円(同議員が金沢市から交付を受けた政務活動費216万円と会派共用費精算払戻金等1万3206円の合計額から上記各訂正後の支出額合計194万1464円を除いた残額)を被告に返還したと認められる(前記前提事実(5)参照)。
この点,原告は,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであるなどと主張するが,前記(1)ウ(ウ)のとおり,政務活動費収支報告書の提出期限後にその記載内容の訂正があった場合は,当該訂正後の記載内容も踏まえ,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであり(なお,C議員に係る前示の訂正内容が客観的に誤りであるとは認められない。),また,仮に,上記支出についてC議員が金沢市に不当利得返還債務を負うことがあるとしても,当該債務は上記返還によって弁済されたものとして消滅することになるから,いずれにしても,上記支出についてC議員が不当利得返還債務を負うとする原告の主張は採用できない。
オ 別表3の4番の支出について
(ア) 証拠(甲39の4,乙10,15),によれば,別表3の4番の支出は,C議員が平成26年9月19日にa会館(a1公民館)で開催した「C 市政を語る会」と題する市政報告会の会場費であること,C議員は,平成26年度当時,主として小中学校の統廃合と通学区域といった教育行政,空き家対策と町家の保全,歴史と伝統文化を活かしたまちづくり,金沢市の財政状況等に関する調査研究に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,小学校の跡地利用,小中一貫教育,a1公民館の耐震化等を中心に報告したことが認められる。
(イ) 以上の事実によれば,当該市政報告会は,C議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動を報告する内容であり,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものというべきところ,そのための会場費は,そうした政務活動に直接関連するものといえる。そして,本件手引きも,広報費の主な例として,市政報告のための会場費を掲げているところであり,上記のような当該市政報告会の内容・性質にも照らすと,上記会場費は,まさに本件条例及び本件手引きが広報費として想定する経費にほかならないというべきであって,こうした本件手引の記載内容をも参酌すれば,この会場費の支出が,本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
カ 別表3の9,10番の支出について
(ア) 証拠(甲39の9,10,乙15,18)によれば,当該各支出は,いずれもC議員が一般質問をする議会の傍聴を呼びかけるための案内はがきに関する経費であることが認められる。
そして,当該案内はがきには,C議員の質問日時及び質問内容や,金沢市議会の傍聴を呼びかける定型的な文章のほか,同議員の写真が掲載されている部分もあるものの,当該写真が案内はがき全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められ,その記載内容に照らして,C議員個人の宣伝活動が主たる目的であるとは認められないし,市民に対し議会の傍聴を呼びかけることは,市民の市政や議会活動に対する関心を喚起向上するとともに,市民が直接議員の議会活動や市政について見分する機会となるものであって,こうした市民に対する広報の役割を通じて議会の審議の充実強化に資するものであるから,このような案内はがきを送付することも,政務活動としての合理的関連性を有するものというべきである。
(イ) 以上によれば,上記各支出は,いずれも本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
キ 以上によれば,C議員が政務活動費を充当できるものとして収支報告書等(前記訂正後のもの)に計上した広報費支出のうち,別表3の1,3及び5番の充当額合計58万7520円の4分の1に当たる14万6880円の支出については本件使途基準に適合しない支出であると認められるが,上記訂正後の収支報告書等に計上されたその余の支出及び同議員に係る本件各支出のうちその余のものについては,いずれもC議員が金沢市に対し不当利得返還債務を負うものとは認められない。
(4)  Z9議員の広報費支出
ア 証拠(甲6,23,40)によれば,Z9議員が,平成26年度の広報費として,112万5176円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができるものとして収支報告書等に計上したこと,Z9議員の広報費支出の内訳は,議会傍聴の案内はがき1通の作成費用,市政報告書2通の作成費用及び発送費用,市政報告会の案内状作成費用及び発送費用並びに会場費であったことが認められる。
イ 別表4の1,6及び9番の支出について
(ア) 証拠(甲40の14,18,丁イ1)によれば,当該各支出は,いずれもZ9議員が一般質問をする議会の傍聴を呼びかけるための案内はがきに関する経費であることが認められる。
そして,当該案内はがきには,Z9議員の質問日時及び質問項目や,金沢市議会の傍聴を呼びかける定型的な文章が記載されているにすぎず,その記載内容に照らして,Z9議員個人の宣伝活動が主たる目的であるとは認められないし,市民に対し議会の傍聴を呼びかけることは,市民の市政や議会活動に対する関心を喚起向上するとともに,市民が直接議員の議会活動や市政について見分する機会となるものであり,こうした市民に対する広報の役割を通じて議会の審議の充実強化に資するものであるから,このような案内はがきを送付することも,政務活動としての合理的関連性を有するものというべきである。
(イ) 以上によれば,上記各支出は,いずれも本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
ウ 別表4の2ないし5,7,10及び13番の支出について
(ア) 証拠(甲40の15,16,20,丁イ1)によれば,Z9議員の作成した市政報告書である「△△」には,Z9議員が金沢市議会で行った質疑の紹介や,市政報告会を開催したことの報告,Z9議員の活動報告,Z9議員が金沢のお土産として議会に提案してきた「金沢の水」の紹介記事が掲載されているほか,Z9議員の写真や連絡先が掲載されている部分もあり,当該市政報告書を郵送する際に使用した封筒にもZ9議員の写真や連絡先が印刷されているものの,これら写真や連絡先が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められる。
(イ) 以上によれば,当該市政報告書の大部分は,Z9議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介・報告する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,同議員の政務活動に資するものといえ,封筒に印刷された写真等が,Z9議員の宣伝効果を有するとしても,上記のような市政報告書の内容に鑑みれば,Z9議員の宣伝を主たる目的とするものとは認められないから,当該市政報告書の作成費用及び発送費用合計75万6624円(別表4の2ないし5,7,10及び13番の充当額の合計である。甲40の2ないし5,7,10,13)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しない違法なものであるとは認められない。
(ウ) なお,原告は,Z9議員が,当該各支出に係る同議員作成の市政報告書を金沢市議会議長に提出していないため,別表4の2ないし5及び7番の支出は全額違法である旨主張するが,前記(3)イ(イ)のとおり,本件条例及び本件手引きにおいて,政務活動費出納簿に通信物自体を添付して議長に提出することまでは議員に求められておらず,このような通信物自体の添付を定めていない本件手引きの記載が不合理とまではいえないから,原告の当該主張は採用できない。
エ 別表4の8,11及び12番の支出について
(ア) 証拠(甲40の8,17,丁イ1)によれば,別表4の8番の支出は,Z9議員が平成26年6月27日に金沢都ホテルで開催した市政報告会の会場費であること,Z9議員は,平成26年度当時,主として人材育成,国際交流,子育て支援,教育関連,スポーツ関連等に関する調査研究に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,受動喫煙の防止・対策,放課後児童クラブについての取組みを中心に報告したことが認められる。
また,証拠(甲40の11,12,19,丁イ1ないし3)によれば,別表4の11番の支出は,Z9議員が同年12月23日にb公民館で開催した市政報告会の案内はがき代であること,当該案内はがきには,当該市政報告会の日時や場所のほか,Z9議員の写真や,支援に対する感謝の意を述べた文章等が記載されていること,同別表12番の支出は,当該案内はがきの印刷代であること,Z9議員は,当該市政報告会で,金沢港やその周辺の整備,駅と港を結ぶ二次交通のあり方,図書館の役割と地域への影響,スポーツを通じた教育,国際交流に関する取組みを中心に,コーディネーター役3名が,Z9議員及び対談者であるY金沢市長に質疑をし,同人らが回答するという方式で行われたことが認められる。
(イ) 以上の事実によれば,当該各市政報告会は,いずれもZ9議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動を紹介・報告する内容となっており,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものといえる。また,上記案内はがきの記載内容からすれば,その主たる目的は,上記市政報告会の日時等を周知し,もってその傍聴を呼びかけるものであると認められ,はがきに印刷された写真等が,Z9議員の宣伝効果を有するとしても,これを主たる目的とするものとまでは認められず,上記市政報告会を開催するに当たり,このような案内はがきを市民に送付することも,政務活動としての上記市政報告会の実施と合理的関連性を有するものといえる。そして,本件手引きにおいて,広報費の主な例として,市政報告のための会場費や文書通信費も挙げられていることをも参酌すれば,上記各支出は,いずれも,本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
オ 以上によれば,Z9議員の収支報告書に計上された広報費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(5)  D議員の広報費支出
ア 証拠(甲7,24,41)によれば,D議員が,平成26年度の広報費として,104万9709円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,D議員の広報費支出の内訳は,市政報告会の案内はがき1通の作成費用,市政報告会の会場費及びお茶代,議会傍聴の案内はがき2通の作成費用,市政報告書1通及び封筒の作成費用並びに発送費用であったことが認められる。
イ 別表5の1ないし5番の支出について
(ア) 証拠(甲41の1ないし3,14,乙11,16)によれば,別表5の1番の支出は,D議員が平成26年5月16日にc文化センターで開催した市政報告会の案内はがき代であり,同別表2及び3番の支出は,当該市政報告会のお茶代及び会場費であること,当該案内はがきには,当該市政報告会の日時や場所,当該市政報告会への参加を呼びかける文章が記載されていること,D議員は,平成26年度当時,主として金沢市の農業政策,学校教育等の教育行政,中心市街地における土地利用及び都市交通のあり方に関する調査研究に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,D議員が平成26年定例第1回市議会で,建設企業常任委員会委員長の職責を担うことになったこと,金沢市の同年度当初予算の概要や重点施策等を中心に報告した上,金沢市議会基本条例に基づく取組みが進展していることの説明や,同年度の5回目の意見交換会への積極的な参加の呼びかけを行ったことが認められる。
また,証拠(甲41の4,5,15,乙11,16)によれば,別表5の4及び5番の支出は,D議員が同年6月8日に金沢市d町所在の金沢ものづくり会館で開催した市政報告会のお茶代及び会場費であること,D議員は,当該市政報告会で,金沢市議会の運営に関する説明,定例月議会の予定や内示された議案等の概要等を中心に報告した上,金沢市議会基本条例に基づく取組みの説明や,意見交換会への積極的な参加の呼びかけを行ったことが認められる。
(イ) 以上の事実によれば,当該各市政報告会は,いずれもD議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動を紹介・報告する内容となっており,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものといえる。また,上記案内はがきの記載内容からすれば,その目的は,市政報告会の日時等を周知し,もってその傍聴を呼びかけるものであると認められ,D議員の宣伝を主たる目的とするものとは認められないから,上記市政報告会を開催するに当たり,このような案内はがきを市民に送付することも,政務活動としての上記市政報告会の実施と合理的関連性を有するものといえる。さらに,上記市政報告会を開催するに際し,出席者に飲料を提供することは,当該会合の円滑な進行に資するものというべきところ(前記2(3)),本件において,上記平成26年6月25日開催の市政報告会の内容に照らしてお茶を提供することが明らかに不必要であるとは認められないし,その金額(5929円)も社会通念上儀礼の範囲を超えて不相当に過大であるとは認められないから,上記飲料に係る経費についても,政務活動としての上記市政報告会と合理的関連性を有するものというべきである。以上説示したところに加え,本件手引きにおいて,広報費の主な例として,市政報告のための会場費や文書通信費のほか,茶菓子代も挙げられていることをも参酌すれば,上記(ア)の各支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
ウ 別表5の6ないし8,11及び12番の支出について
(ア) 証拠(甲41の16,17,21,22,乙13)によれば,D議員の作成した市政報告書である「□□」には,D議員が金沢市議会で行った質疑の紹介や,D議員が議会基本条例に関する意見交換会を開催した報告及び今後の予定に関する記事,D議員の活動報告,市政に対するD議員の決意を表明した文章が掲載されているほか,D議員の写真や連絡先が掲載されている部分もあり,当該市政報告書を郵送する際に使用した封筒にもD議員の写真や連絡先が印刷されているものの,これら写真等が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められる。
(イ) 以上によれば,当該市政報告書の大部分は,D議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化に資するものといえ,封筒に印刷された写真等が,D議員の宣伝効果を有するとしても,当該市政報告書の内容に鑑みれば,同市政報告書及び上記封筒がD議員の宣伝を主たる目的とするものとまでは認められないから,当該市政報告書及び封筒の作成費用並びに発送費用等合計86万2881円(別表5の6ないし8,11及び12番の充当額の合計である。甲41の6ないし8,11,12)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
エ 別表5の9,10及び13番の支出について
(ア) 証拠(甲41の18ないし20,23)によれば,当該各支出は,いずれもD議員が一般質問をする金沢市議会定例会の傍聴を呼びかけるための案内はがきに関する経費であることが認められる。
そして,当該案内はがきには,Z9議員の質問日時及び場所の案内や,金沢市議会の傍聴を呼びかける定型的な文章が記載されているほか,はがきの表面にはD議員の写真や連絡先などが印刷されているものの,これら写真等がはがき全体に占める割合はわずかな程度に留まっており,その記載の内容及び形式からして,D議員個人の宣伝活動が主たる目的であるとは認められないし,市民に対し議会の傍聴を呼びかけることは,市民の市政や議会活動に対する関心を喚起向上するとともに,市民が直接議員の議会活動や市政について見分する機会となるものであり,こうした市民に対する広報の役割を通じて議会の審議の充実強化に資するものであるから,このような案内はがきを送付することも,政務活動としての合理的関連性を有するものというべきである。
(イ) よって,上記各支出は,いずれも本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
オ 以上によれば,D議員の収支報告書に計上された広報費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(6)  E議員の広報費支出
ア 証拠(甲8,25,42)によれば,E議員が,平成26年度の広報費として,94万5828円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,E議員の広報費支出の内訳は,市政報告書3通の作成費用及び発送費用,議会傍聴の案内はがき2通の作成費用,E議員のホームページ利用料,平成26年度の活動報告DVD作成費用並びに市政報告会の会場使用料であったことが認められる。
イ 別表6の1ないし3,5ないし7及び10番の支出について
(ア) 証拠(甲42の17,18,24)によれば,E議員が作成した市政報告書である「●●通信・vo1.18」には,E議員が金沢市議会で行った質疑の紹介や,E議員が平成26年4月11日に北陸新幹線「W7系」金沢港入港セレモニーに参加した旨の報告が記載されているほか,E議員の写真が掲載されているものの,当該写真が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていること,「●●通信・vo1.19」には,E議員が金沢市議会で行った質疑の紹介や,E議員の活動報告,E議員が参加したお寺の朝市の紹介及びその感想を述べた記事が掲載されているほか,E議員の写真や連絡先が掲載されているものの,これら写真等(E議員の活動報告の記事に使用されているものも含む)が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていること,「●●通信2015年春号」には,E議員が金沢市議会3月定例会で行った質疑の紹介や,E議員が平成27年2月に行った東京都板橋区の視察の報告及びその感想を述べた記事のほか,E議員の写真が掲載されているものの,当該写真が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められる。
(イ) 以上によれば,当該各市政報告書の大部分は,いずれもE議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介・報告する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,同議員の政務活動に資するものといえ,上記各市政報告書が,E議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとも認められないから,当該各市政報告書の作成費用及び発送費用合計76万8888円(別表6の1ないし3,5ないし7及び10番の充当額の合計である。甲42の1ないし3,5ないし7,10,13ないし16,19ないし21,25)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
ウ 別表6の4及び9番の支出について
(ア) 証拠(甲42の4,9,23)によれば,当該各支出は,いずれもE議員が一般質問をする金沢市議会の傍聴を呼びかけるための案内はがきに関する費用であることが認められる。
そして,当該案内はがきには,E議員の質問日時及び質問事項や,金沢市議会の傍聴を呼びかける定型的な文章が記載されており,その記載内容に照らして,E議員個人の宣伝活動が主たる目的であるとは認められないし,市民に対し議会の傍聴を呼びかけることは,市民の市政や議会活動に対する関心を喚起向上するとともに,市民が直接議員の議会活動や市政について見分する機会となるものであって,こうした市民に対する広報の役割を通じて議会の審議の充実強化に資するものであるから,このような案内はがきを送付することも,政務活動としての合理的関連性を有するものというべきである。
(イ) よって,上記各支出合計2万0800円は,いずれも本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
エ 別表6の8番の支出について
(ア) 証拠(甲42の8,22)によれば,E議員のホームページには,E議員の活動報告や,E議員の所属する石川県看護連盟関係の動画が掲載されているほか,E議員の写真が掲載されている部分もあることが認められる。
(イ) 以上によれば,当該ホームページの大部分は,E議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,政務活動に資するものといえ,上記ホームページ上のE議員の写真についても,活動報告の一環として掲載されているものと解され,具体的な市政報告に資する面もあると認められるから,当該ホームページがE議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとまでは認められず,当該ホームページの1年間分の利用料3万6000円(甲42の8)の支出は,本件使途基準に合致しないものとは認められない。
オ 別表6の11番の支出について
(ア) 証拠(乙12)によれば,E議員が平成26年度中に作成した活動DVDには,E議員が金沢市議会で行った質疑の紹介や,E議員が平成26年度中に参加した議会活動やその他金沢市内の事業に関する活動報告,同DVD視聴者への挨拶等がなされているほか,E議員の経歴や写真等が紹介されている部分もあり,当該写真が同DVDに占める割合も少なくないことが認められ,同DVDの作成目的が,E議員の宣伝等を含むこと自体は否定できない。
もっとも,上記DVDの内容を全体として観察すると,上記写真の部分を含めて,視覚に訴える方法で金沢市議会の様子や市政の紹介を行う効果を有しており,当該DVDの視聴によって,市民の市政や議会活動に対する関心が喚起向上され,ひいては市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであると認めることができるから,E議員の政務活動に資するものといえる。
(イ) 以上によれば,上記DVDが,E議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものであるとまでは認められないから,上記DVDの製作費用11万6640円(甲42の11)の支出は,本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
カ 別表6の12番の支出について
(ア) 証拠(甲42の28,29,乙17)によれば,別表6の12番の支出は,E議員が平成27年2月9日に金沢市e町所在の善隣館3階ホールで開催した「E議会活動報告会」と題する市政報告会の会場費であること,E議員は,平成26年度当時,主として妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援を始めとする母子保健,地域における医療と福祉の充実,傾聴ボランティアの取組み推進等に関する調査研究に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,金沢市長の施政方針についての説明を行ったほか,E議員が関わる「お寺で朝市」や「朝市井戸端会議」等のf地区の地域コミュニティ醸成につながる取組みを中心に報告したことが認められる。
(イ) 以上の事実によれば,当該市政報告会は,E議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動を報告する内容であり,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものといえる。以上に加え,前記(3)オ(イ)で説示した会場費の性質や本件手引きの記載内容を参酌すれば,上記(ア)の支出が,本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
キ 以上によれば,E議員の収支報告書に計上された広報費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(7)  Z1議員の広報費支出
ア 証拠(甲9,26,43)によれば,Z1議員が,平成26年度の広報費として,91万8000円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,Z1議員の広報費支出の内訳は,いずれもZ1議員が2か月に1度発行している市政報告書(議会報告書)の10通の作成費用であったことが認められる。
イ そして,証拠(甲43の12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,丙ホ1)によれば,Z1議員は,平成26年度当時,主に,g地区及び市内全体の整備促進に向けた調査と課題の掘り起こしや,電子自治体構築に向けた情報通信事情の調査と課題の掘り起こしに関する政務活動に取り組んでいたところ,Z1議員が作成した市政報告書である「▲▲」には,金沢市議会や定例会の議事報告や,会期中に行われた常任委員会の主たる課題を紹介する記事が紙面の大部分を占めており,Z1議員の写真や連絡先が掲載されている部分もあるものの,これら写真等が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められる。
ウ 以上によれば,上記市政報告書は,いずれも,その大部分は,市政や議会活動を紹介・報告する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,Z1議員の政務活動に資するものといえ,これが同議員の宣伝を主たる目的とするものとも認められないから,上記各市政報告書の作成費用の支出は,いずれも本件使途基準に合致しない違法なものであるとは認められず,Z1議員に交付された政務活動費に係る原告の請求は理由がない。
(8)  Z2議員の広報費支出
ア 証拠(甲10,27,44,丙へ1ないし3)によれば,Z2議員が,平成26年度の広報費として,89万3678円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,Z2議員の広報費支出の内訳は,市政報告書5通の作成費用及び発送費用並びに市政報告会の案内はがき発送費用であったことが認められる。
イ 別表8-2の各支出について
(ア) 証拠(甲44の33ないし37,丙へ1)によれば,Z2議員が作成した市政報告書である「■■」には,Z2議員が課題であると認識している市政の紹介やそれに対するZ2議員の意気込みを述べた文章,金沢市の公式ホームページを紹介する記事のほか,Z2議員の挨拶文が掲載されているものの,当該挨拶文が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていること,同じくZ2議員が作成した市政報告書である「◎◎」には,Z2議員が金沢市議会で行った質疑及びそれに対する金沢市長の答弁を紹介する記事や,市政に対するZ2議員の考え方を述べた記事のほか,Z2議員の写真や経歴,連絡先が掲載されているものの,これら写真等が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていることが認められる。
(イ) 以上によれば,当該各市政報告書の大部分は,いずれもZ2議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動等を紹介する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,同議員の政務活動に資するものといえ,当該市政報告書が同議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとも認められないから,当該各市政報告書の作成費用及び発送費用(別表8-1記載の切手代を除く。)合計88万4238円(別表8-2の充当額の合計である。甲44の1,2,4ないし7,9ないし12,14ないし19,21ないし23,25ないし27)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
ウ 別表8-1の各支出について
(ア) 別表8-1の1ないし4番の各支出について,証拠(甲44の3,8,13,20,丙へ1,3)によれば,当該各支出は,いずれも上記Z2議員作成の市政報告書発送のための切手代であること,Z2議員は,平成26年度当時,市政報告書を一括して発送していたが,発送漏れなどにより,追加で発送する場合には,購入した切手を封筒に貼付して発送することもあったことが認められる。
そして,上記イのとおり,Z2議員の作成した各市政報告書の作成費用及び発送費用は,いずれも広報費支出であって,本件使途基準に合致しないものではなく,市政報告書の追加発送の際に必要な切手代も,本件手引き(乙1の11頁)に記載のある「広報紙等発送費用」に該当するものとして,本件使途基準に反しないものというべきである。
これに対し,原告は,切手代であることを裏付ける領収証書の他に,当該各支出が本件条例で定める広報費の内容に該当する支出であることの裏付けがないから,当該各支出は全額違法である旨主張する。しかしながら,本件手引きには,支出を証する領収書以外に,支出報告書に添付する書類を特に定めていないから,ある経費への政務活動費の充当が本件使途基準に合致するか否かは,本訴において提出された証拠を含む諸般の事情を総合考慮して判断すべきところ,上記挙示の各証拠(特に,丙へ第3号証については,その内容が詳細かつ具体的で合理的なものであり,対応する甲第44号証の各領収書に付記された内容とも整合している。)に弁論の全趣旨を総合すれば,当該各支出はいずれも市政報告書発送のための切手代であると認めることができ,これを左右するに足りる証拠はないから,原告の上記主張は採用できない。
よって,上記各支出は,いずれも本件使途基準に合致しない支出とはいえない。
(イ) また,別表8-1の5番の支出について,証拠(甲44の24,丙へ1ないし3)によれば,当該支出は,Z2議員が平成27年5月8日に中の湯清水旅館で開催した市政報告会につき,同報告会への参加を呼びかけるための案内をするため,同年3月24日に購入したはがきに関する費用であること,Z2議員は平成26年度当時,主に国から地方自治体への権限委譲や,中山間地域の課題として,農業の担い手育成支援及び耕作放棄地の再生に向けた取組み支援策,中山間地域活性化策に関する政務活動に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,h工業団地の活性化及び交通渋滞対策,金沢の食文化の広報,金沢マラソン2015開催に当たっての課題等について報告したことが認められる。
以上の事実によれば,当該市政報告会は,Z2議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動を報告する内容となっており,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものといえる。そして,当該案内はがきには,当該市政報告会の日時及び場所や,報告内容,当該市政報告会への参加を呼びかける定型的な文章が記載されており,その内容に照らして,Z2議員個人の宣伝活動が主たる目的であるとは認められないから,上記市政報告会を開催するに当たり,このような案内はがきを送付することも,政務活動としての上記市政報告会の開催と合理的関連性を有するものといえる。以上説示したところに加え,本件手引きの記載内容をも参酌すれば,上記支出が,本件使途基準に合致しない違法な支出であるとは認められない。
エ 以上によれば,Z2議員の収支報告書に計上された広報費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(9)  Z10議員の広報費支出
ア 証拠(甲11,28,45,丁ロ1)によれば,Z10議員が,平成26年度の広報費として,90万1136円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,Z10議員の広報費支出の内訳は,市政報告会の案内状及び案内はがきの作成・発送費用並びに市政報告会の会場費及びお茶代であったことが認められる。
イ 別表9の各支出について,証拠(甲45の2,9,丁ロ1)によれば,別表9の2番の支出は,Z10議員が平成26年4月28日に自宅で開催した市政報告会の案内はがきに関する費用であること,当該案内はがきには,当該市政報告会の日時や場所,概要,当該市政報告会への参加を呼びかける文章が記載されていること,Z10議員は,平成26年度当時,主として交通網の新たな構築,道路整備,年金,福祉対策,市民の健康増進政策,防災対策,治水対策,スポーツ指導者の養成・環境整備,運動公園等の整備などに関する調査研究に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,i町の小学校建設,j町の道路整備に関する取組みを中心に報告したことが認められる。
また,証拠(甲45の4,丁ロ1)によれば,別表9の4番の支出は,Z10議員が同年5月7日に自宅で開催した市政報告会の案内はがきに関する費用であること,当該案内はがきには,当該市政報告会の日時や場所,議題,当該市政報告会への参加を呼びかける文章が記載されていること,Z10議員は,当該市政報告会において,i町の橋の架替え,i町からk町への市道整備,l調整池を用いた集会場建設に関する取組みを中心に報告したことが認められる。
さらに,証拠(甲45の1,3,5ないし8,10ないし13,丁ロ1ないし3)によれば,別表9の1,3,7番の支出は,Z10議員が同月31日にANAクラウンプラザホテル金沢で開催した市政報告会の案内状の作成費用及び発送費用であり,別表9の8番の支出は,当該案内状発送のための封筒代であること,当該案内状には,当該市政報告会の日時や場所,概要,当該市政報告会の基調講演者の紹介,当該市政報告会への参加を呼びかける文章のほか,Z10議員の写真や連絡先,Z10議員の世話人による挨拶文が記載されているが,当該写真等が案内状紙面に占める割合はわずかな程度に留まっていること,また,別表9の5,6番の支出は,当該市政報告会の会場費及びお茶代(1人当たり900円,404人分)であること,Z10議員は,当該市政報告会で,30年にわたるZ10議員の活動内容や,公園建設,調整池を利用した集会場建設,防災に関する取組み等を中心に報告したことが認められる。
ウ 以上の事実によれば,上記各市政報告会は,いずれもZ10議員が取り組み又は関心を有している分野についての施策や議員としての活動を報告し,自身の意見を述べる内容のものであり,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものといえる。また,上記各案内はがき及び案内状の記載内容からすれば,その目的は,市政報告会の日時等を周知し,もってその傍聴を呼びかけるものであると認められ,封筒にZ10議員の連絡先や似顔絵が印刷されていること(甲45の12)を考慮しても,いずれもZ10議員の宣伝を主たる目的とするものとは認められないから,上記各市政報告会を開催するに当たり,このような案内はがきを市民に送付することも,政務活動としての上記各市政報告会の開催と合理的関連性を有するものといえる。さらに,市政報告会を開催するに際し,出席者に飲料を提供することは,当該会合の円滑な進行に資するものというべきところ(前記2(3)),本件において,上記平成26年5月31日開催の市政報告会の内容に照らしてお茶を提供することが明らかに不必要であるとは認められないし,その金額(1人当たり900円,404人分)も,上記市政報告会の規模等に照らして,社会通念上儀礼の範囲を超えて不相当に過大であるとは認められないから,上記飲料に係る経費についても,政務活動としての上記市政報告会と合理的関連性を有するものというべきである。以上説示したところに加え,前記(3)オ(イ)で説示した会場費の性質や本件手引きの記載内容をしんしゃくすれば,上記各支出は,いずれも本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
エ 以上によれば,Z10議員の収支報告書に計上された広報費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(10)  Z3議員の広報費支出
ア 証拠(甲12,29,46,丙ニ1ないし3)によれば,Z3議員が,平成26年度の広報費として,65万2802円を支出し,按分することなくその全額につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等(前提事実(5)ウの訂正後のもの)に計上したこと,Z3議員の広報費支出の内訳は,議会傍聴の案内はがき2通の作成費用,市政報告書2通の作成費用及び発送費用,市政報告会の案内はがき1通の作成費用であったことが認められる。
イ 別表10の1及び7番の支出について
(ア) 証拠(甲46の1,7,丙ニ3)によれば,当該各支出は,いずれもZ3議員が一般質問をする金沢市議会の傍聴を呼びかけるための案内はがきに関する費用であることが認められる。
そして,当該案内はがきには,Z3議員の質問日時及び質問事項や,金沢市議会の傍聴を呼びかける定型的な文章が記載されており,その内容からして,Z3議員個人の宣伝活動が主たる目的であるとは認められないし,市民に対し議会の傍聴を呼びかけることは,市民の市政や議会活動に対する関心を喚起向上するとともに,市民が直接議員の議会活動や市政について見分する機会となるものであり,こうした市民に対する広報の役割を通じて議会の審議の充実強化に資するものであるから,このような案内はがきを送付することも,政務活動としての合理的関連性を有するものというべきである。
(イ) よって,上記各支出はいずれも本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
ウ 別表10の2ないし6及び10番の支出について
(ア) 証拠(甲46の2ないし6,10ないし16,丙ニ3)によれば,別表10の2,4及び10番の支出は,Z3議員の作成した市政報告書の作成費用及び発送費用であること,別表10の3,5及び6番の支出は,当該市政報告書を郵送するための封筒の作成費用であることが認められる。
また,証拠(甲46の13,16)によれば,Z3議員の作成した市政報告書である「Z3市政通信」には,市議会におけるZ3議員の質疑内容やその感想,Z3議員の活動報告等の記事が掲載されているほか,Z3議員の写真や連絡先等が掲載されている部分もあるものの,これら写真等が紙面全体に占める割合はわずかな程度に留まっていること,Z3議員は,訴外株式会社宝文堂に対し,平成26年10月7日,Z3議員の発行する政治活動に関する活動報告広報誌の企画,デザイン制作,印刷及び製本を27万円で発注し(甲46の15),訴外株式会社宝文堂は,当該契約に基づき,「Z3市政通信vol.2」(甲46の16)の印刷等を行ったことが認められる。
(イ) 以上によれば,上記各市政報告書の大部分は,いずれもZ3議員が取り組み又は関心を有している分野に関する施策や議員活動等を紹介する内容であり,市民からの要望を受ける契機となり得るなど,議会の審議の充実強化につながるものであって,同議員の政務活動に資するものといえ,上記各市政報告書が同議員自身の宣伝を主たる目的として作成されたものとも認められないから,上記各市政報告書の作成費用及び発送費用並びに発送のための封筒作成費用合計61万2302円(別表10の2ないし6及び10番の充当額の合計である。甲46の2ないし6,10)の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
エ 別表10の8番の支出について
(ア) 証拠(甲46の8,丙ニ3,4)によれば,当該支出は,Z3議員が平成27年3月29日にm公民館で開催した市政報告会の案内はがき代であること,当該案内はがきには,当該市政報告会の日時や場所,ゲスト弁士の氏名及び肩書,当該市政報告会への参加を呼びかける文章が記載されているほか,統一地方選挙に向けたZ3議員の挨拶文も記載されていること,Z3議員は,平成26年度当時,主としてm地区及び市内全体の防災活動・危機管理体制整備に向けた調査と課題の掘り起こしや,スポーツツーリズム・子ども教育の充実に向けた調査と課題の掘り起こしに関する政務調査活動に取り組んでいたところ,当該市政報告会において,増加が予想される外国人世帯に対する今後の対応,スポーツツーリズムの取組みが金沢市に与える影響,青少年による犯罪防止に関する包括的な取組み,地域サロンの現状と今後の支援の在り方などを中心に報告したことが認められる。
(イ) 以上の事実によれば,当該市政報告会は,Z3議員が取り組み又は関心を有している分野に関する施策や議員としての活動を報告する内容となっており,市民の市政に対する関心を喚起向上し,市民からの要望や意見等を直接把握する契機となり得るものであって,議会の審議の充実強化に資するものといえる。また,上記案内はがき記載内容からすれば,その目的は,市政報告会の日時等を周知し,もってその傍聴を呼びかけるものであると認められ,統一地方選挙に向けたZ3議員の挨拶文も,当該市政報告会の参加者となり得るZ3議員の支援者に向けた定型的・儀礼的な挨拶を超えて,Z3議員の宣伝効果を有するものとはいえず,当該案内はがきの送付は,Z3議員の宣伝を主たる目的とするものとまでは認められないから,上記市政報告会を開催するに当たり,このような案内はがきを市民に送付することも,政務活動としての上記市政報告会の開催と合理的関連性を有するものといえる。
(ウ) よって,上記支出が本件使途基準に合致しない支出であるとは認められない。
オ 別表10の9番の支出について,前記のとおり,Z3議員は,計上に誤りがあったとして収支報告書等を修正した上,当該支出に係る政務活動費合計2万6000円を既に被告に返還している(前記前提事実(5)ウ参照)。
この点,原告は,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであるなどと主張するが,前記(1)ウ(ウ)のとおり,政務活動費収支報告書の提出期限後にその記載内容の訂正があった場合は,当該訂正後の記載内容も踏まえ,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであり(なお,Z3議員に係る前示の訂正内容が客観的に誤りであるとは認められない。),また,仮に,上記支出についてZ3議員が金沢市に不当利得返還債務を負うことがあるとしても,当該債務は上記返還によって弁済されたものとして消滅することになるから,いずれにしても,上記支出についてZ3議員が不当利得返還債務を負うとする原告の主張は採用できない。
カ 以上によれば,Z3議員の収支報告書(ただし,前記前提事実(5)ウの訂正後のもの)に計上された広報費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められないし,Z3議員に係る本件各支出のうち,その余の支出についても,Z3議員が不当利得返還債務を負うものとは認められない。
(11)  Z11議員の支出
ア 人件費
(ア) 証拠(甲13,30,47,丁ハ1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,Z11議員は,平成26年度当時,自宅とは別に,金沢市〈以下省略〉所在のアパートの一室(以下「本件Z11事務所」という。)を賃料月額2万8000円で賃借し,政務活動の用に供する事務所として使用し,また,訴外F(以下「F」という。)及びG(以下「G」という。)をアルバイトとして自らの上記政務活動専用事務所で雇用し,Fに対しては,1時間当たり1000円,Gに対しては,1時間当たり900円を給与として支払っていたこと,同年度の人件費として,Fに対し102万4000円,Gに対し48万1500円の合計150万5500円を支出し,このうち,Fに対する支出分を2分の1の割合で按分した金額とGに対する支出分の全額とを合計した,99万3500円につき,政務活動費を充てることができる経費として収支報告書等に計上したこと,Gは,平成26年度当時,Z11議員の本件Z11事務所において,主に現地調査の補助業務,政務活動の資料収集・検討の補助業務等に従事し,同議員の政務活動に関連しない業務には従事していなかったのに対し,Fは,Gが行っていた各業務に加え,政務活動費収支報告書などの作成補助業務に従事していたほか,政務活動とは無関係の業務を行うこともあったことが認められ,これを左右するに足りる証拠はない。
(イ) 原告は,Z11議員のFに対する人件費の支出につき,同人が専任職員ではないことや,甲47の25の「仕事の内容」に人件費の内容に該当する記載がないことを理由に,全額政務活動費を充当することはできない旨主張する。
しかし,本件条例は,別表第9欄において,人件費を,政務活動費を充てることのできる経費として掲げるとともに,その内容について,議員が行う活動を補助する職員を雇用する経費をいうものと定めており,本件条例及び本件手引きのいずれにおいても,議員が雇用する者が専任職員か否かによって政務活動費の充当の可否等が左右されることをうかがわせる規定はなく,これらの本件条例等の関係規定に照らせば,人件費として政務活動費を充当できる経費の範囲は,議員が雇用する者が現に従事する業務の内容に照らして客観的に判断されるべきものであって,当該支出の対象となる職員が専任職員か否かによって左右されるものではないし,その判断の基礎となる資料も,議員が収支報告書等に添付した証拠資料に限られるものではないというべきである。そして,前記(ア)のとおり,本件証拠関係等に照らすと,Fへの給与の支払は,同人がZ11議員との雇用契約に基づく業務に現に従事した時間に応じて支給されていたものであり,また,Fは,上記雇用契約に基づき,Z11議員の行う政務活動の補助業務に従事していたものと認められるのであって,本件全証拠をもってしても,Fがその業務時間の相当部分をZ11議員の政務活動の補助業務以外の業務に従事していたなど,Fに係る人件費への政務活動費の支出が本件使途基準に合致しないことを推認させる一般的・外形的事実が証明されているということはできない。
よって,原告の上記主張は採用できない。
(ウ) 原告は,Z11議員のGに対する人件費の支出につき,本件Z11事務所の態様が本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所」であると推認されるため,Gに対する人件費にその2分の1を超えて政務活動費を充当することは許されない旨主張する。
しかしながら,前示のとおり,人件費として政務活動費を充てることができる経費の範囲は,議員が雇用する者が現に従事する業務の内容に照らして客観的に判断されるべきところ,前記(ア)のとおり,本件証拠関係等に照らし,Gは,平成26年度中,Z11議員との雇用契約に基づき,Z11議員が行う政務活動の補助業務に現に従事していたものと認められるのである。そして,前記(ア)のとおり,Z11議員は,本件Z11事務所を政務活動の用に供していたものと認められるが,このような政務活動の用に供する事務所は政治団体の活動にも利用されることが通常であることを裏付ける証拠はないし,Z11議員の後援会活動は,自宅や,必要に応じてホテルを借りて行っていたとする同議員作成の陳述書(丁ハ1)もあるところ,同陳述記載が不自然・不合理であるとまではいえないから,Z11議員が,政務活動以外の政治活動や後援会活動については,本件Z11事務所以外の場所で行っていた可能性を直ちに否定することもできず,他に本件Z11事務所において政務活動以外の活動が行われていたことをうかがわせる事情も見当たらない。そうすると,Gが,Z11議員との雇用契約に基づき,政務活動の補助業務以外の業務に従事していたとか,あるいは少なくともGが勤務する本件Z11事務所が,政務活動以外の業務に利用されていたなど,Gに係る人件費の全額に政務活動費を支出することが本件使途基準に合致しないことを推認させる一般的・外形的事実が立証されているということはできないから,本件Z11事務所が政治団体事務所を兼ねていることを前提として按分率を定めるべきとする原告の上記主張は採用できない。
(エ) 以上によれば,Z11議員の収支報告書に計上された人件費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
イ 事務所費
(ア) 証拠(甲13,30,48,丁ハ1,2,4)によれば,Z11議員は,平成26年度の事務所費として光熱費,備品等購入費・賃借料,消耗品等購入費の合計59万0213円を支出し,その全額について按分することなく政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,上記備品,消耗品等は,Z11議員が本件Z11事務所において政務活動に使用したことが認められる。
(イ) 上記(ア)のとおり,Z11議員が平成26年度中に購入した備品,消耗品等は,いずれも同議員が政務活動に使用したものと認められる。そして,本件手引きによれば,政務活動費は実費弁償が原則であり,按分による算定方法を用いるのは実額の把握が困難な例外的な場合とされているところ(前示第2の2(4)ア),前記ア(ウ)のとおり,本件Z11事務所において,政務活動以外の活動が行われているものとは認められないことからすると,これらの購入費については,全額につき政務活動費を充てることができるというべきである。また,光熱費及び賃借料についても,前記認定したところによれば,本件Z11事務所の形態は,本件手引きにおける「政務活動専用事務所」に該当すると認められ,本件手引き上,その光熱費等は全額政務活動費を充当できるとされている(なお,原告は,Z11議員が,上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していることにより,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所」であると推認されるなどと主張するが,本件手引きは,事務所の形態の区分を上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上しているか否かによって定めるのではなく,あくまで事務所の客観的な利用態様に応じて定めるべきものとしていると解され(本件手引き第4章2(3)③においては,政務活動専用事務所についても,その上下水道代金及び賃借料(の全額)が政務活動費を充当することができる事務所費に計上される場合があることを前提とする内容となっている。),このような本件手引きの当該記載内容も法及び本件条例に照らして不合理とはいえないから,上下水道代金及び賃借料の事務所費としての計上の有無いかんによって事務所の形態が定まるかのようにいう原告の主張は採用できない。)。
(ウ) また,原告は,Z11議員の各支出に係る領収証のただし書に記載がなく,支出目的が分からない支出(平成26年11月8日の1710円の支出(甲48の44)及び同年12月4日の1710円の支出(甲48の49))は,全額違法支出であると主張する。
この点,本件条例10条1項は,政務活動費支出の透明性確保の見地から,政務活動費の交付を受けた議員に対し,収支報告書の作成及び政務活動費に係る会計帳簿の写し及び領収書その他の当該支出に係る事実を証する書類の写しの添付を義務付けていところ,本件手引きにおいても,収支報告書に添付する領収書のただし書欄に,何の代金か明確かつ具体的に記載するよう求めていることからすれば(乙1),政務活動費の支出について,収支報告書等に添付された当該支出に係る領収書等のただし書に具体的な費目が記載されていないことを原告が立証した場合には,支払の相手方その他の領収書等の記載内容から当該支出の具体的内容を容易に推知できるような場合を除き,当該支出は本件使途基準に合致しないものであることを推認させる一般的・外形的事実が立証されたものというべきである。
そして,証拠(甲48の44,48の49)によれば,原告が全額違法支出であると主張する上記各支出に係る領収書には,品目の記載がなされていないため,当該各支出については,上記一般的・外形的事実が立証されているといえる。
もっとも,本件手引きが,領収書において具体的な費目の記載を求める趣旨は,支出の根拠のほか,政務活動の内容についての透明性を確保することにもあるところ,商慣習上,領収書(ただし書を含む。)の記載のみでは政務活動の内容を説明することが困難な場合があることに鑑み,本件手引きは,領収書等の支出を証する書類に補記や他の書類を添付することにより説明することを認めているものと解される(本件手引き第5章1(1)参照。乙1)。以上に加え,ある経費に政務活動費を充てることができるか否かは,当該経費の内容に照らして客観的に判断されるべきものであり,その判断の基礎となる資料も,議員が収支報告書等に添付した証拠資料に限られるものではないこと(前記ア(イ)参照)からすれば,被告又は本件各議員の反証の成否については,上記領収書の記載のほか,議員が収支報告書に添付した他の資料や,訴訟において新たに提出された証拠その他一切の事情を総合して判断すべきものである。そして,被告補助参加人であるZ11議員は,上記各支出は,いずれも,同議員の政務活動事務所(本件Z11事務所)で使用していた暖房器具に必要な灯油を購入したものであり,事務所費として政務活動費を充てることができる旨主張するところ,Z11議員が作成し,収支報告書とともに議長に提出した平成26年度政務活動費出納簿(甲30。本件手引きの様式第4号の定める様式によるもの。)の「活動(使途)内容」欄には,上記各支出につき,「大智(株)灯油代」との記載があり,その支出年月日及び金額が領収書記載のものと一致していること,証拠(丁ハ4)によれば,訴外大智株式会社は,LPガス・石油製品の販売等を行う会社であり,上記各領収書は,いずれも同社が作成したものであって,同社がZ11議員に対し販売した灯油代金について交付したものであると認められること,その支出時期及び金額に鑑みても,これを本件Z11事務所における暖房の燃料として使用されたものとみて不自然ではないことからすれば,上記各支出については,いずれもZ11議員が主張する使途に支出されたものと合理的に推認することができ,これら支出については,本件使途基準に合致するものであることについての反証がされているものというべきである。
(エ) 以上によれば,Z11議員の収支報告書に計上された事務所費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(12)  Z4議員の事務所費支出
ア 証拠(甲14,31,49,丙ロ1ないし3)によれば,Z4議員は,平成26年度の事務所費として光熱費,備品等購入費,消耗品等購入費及び事務所駐車場代の合計76万9937円を支出し,全額について按分することなく政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等(前提事実(5)エの訂正後のもの)に計上したこと,上記備品,消耗品等は,同議員が政務活動に使用したこと,同議員は,平成26年度当時,金沢市n町内に自ら所有する建物を政務活動専用事務所として使用していたこと,同議員は,当該事務所とは別に,同町内に所在する自宅内に後援会活動に使用する事務所を設置しており,後援会活動は自宅の同事務所で行っていたこと,前記光熱費や事務所駐車場代は,上記政務活動専用事務所に係る費用として支出されたことが認められる。
イ 上記認定事実によれば,上記アの各支出はZ4議員が政務活動のためのみに設置した事務所ないし政務活動に係る費用として支出したものと認められるから,本件手引き記載の基準に照らせば,その全額が政務活動費を充てることができる経費に該当するというべきである。
この点,原告は,Z4議員が上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していることにより,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所」であると推認されるなどと主張するが,前記(11)イ(イ)のとおり,上下水道代金及び賃借料の事務所費としての計上の有無いかんによって事務所の形態が定まるとする原告の上記主張は採用できない。
ウ また,前記のとおり,Z4議員は,平成28年4月28日付けで,収支報告書等の記載につき訂正報告を行っているところ(前記前提事実(5)エ),原告は,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであるなどと主張する。しかし,前記(1)ウ(ウ)のとおり,政務活動費収支報告書の提出期限後にその記載内容の訂正があった場合は,当該訂正後の記載内容も踏まえ,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきものである。そして,Z4議員は,訂正前の平成26年度政務活動費収支報告書には同年度における各ケーブルテレビ利用代金等の計上に誤りがあったとして上記訂正報告を行ったものであるところ,同訂正報告の内容が客観的に誤りであることもうかがわれないし,前記前提事実(5)エ及び甲14,丙ロ1によれば,同議員による収支報告書における支出額の減額修正は,これに対応する政務活動に係る収入のうち政務活動費以外の「その他(預金利子等)」の項目を減額訂正することのみによって,その収支を均衡する(収入額が支出額を超過しない)ことが可能な金額にとどまり,後記5において説示するところを踏まえると,この減額修正の対象とされた支出が本件使途基準に合致するものか否か(政務活動費を充てることができるか否か)は,同議員の金沢市に対する政務活動費の返還義務の有無及び内容を左右しないものというべきであるから,この点に関する原告の主張はその前提を欠き,採用することができない。
エ 以上によれば,Z4議員の収支報告書(ただし,前記前提事実(5)の訂正後のもの)に計上された事務所費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められないし,同議員に係る本件各支出のうち,その余の支出についても,同議員が不当利得返還債務を負うものとは認められない。
(13)  Z5議員の事務所費支出
ア 証拠(甲15,32,50,丙ハ1ないし5)によれば,Z5議員は,平成26年度の事務所費として,光熱費,インターネット代金,テレビ受信料,備品等購入費,消耗品等購入費,事務所の清掃用具費の合計85万0841円を支出し,このうち光熱費,インターネット代金及びテレビ受信料等に係る支出につき2分の1の割合で按分した金額と,その余の支出の全額とを合計した51万0693円につき,政務活動費を充てることができる経費として収支報告書等(前記前提事実(5)オの訂正後のもの)に計上したこと,上記備品,消耗品等は,Z5議員が政務活動に使用し,上記清掃用具は,後記自宅内の一室に設けられた事務所において使用されたこと,Z5議員は,平成26年度当時,金沢市o町に所在する自らが共有持分を有する自宅の1階の一室を政務活動専用の事務所として使用しており,後援会活動は当該自宅内事務所とは別に同町内に設置していた事務所で行っていたことが認められる。そして,本件手引きによれば,上記認定のZ5議員の自宅内事務所は,「政務活動事務所+住居等」に該当すると認められるから,上記事務所費のうち,光熱費及び通信費は支出額の2分の1の限度で,その余の支出についてはその全額が本件使途基準に合致するものとして政務活動費を充当することができるというべきである。
イ これに対し,原告は,Z5議員が上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していないことにより,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所+住居等」であると推認されるなどと主張するが,前記(11)イ(イ)のとおり,上下水道代金及び賃借料の事務所費としての計上の有無いかんによって事務所の形態が定まるとする原告の当該主張は失当である。
ウ また,前記のとおり,Z5議員は,平成28年2月以降,複数回にわたり収支報告書等の記載につき訂正報告を行っているところ(前記前提事実(5)オ),原告は,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであるなどと主張する。しかし,前記(1)ウ(ウ)のとおり,収支報告書等の提出期限後にその記載内容の訂正があった場合は,当該訂正後の記載内容も踏まえ,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきである。そして,Z5議員は,訂正前の収支報告書等において,政務活動費を充てることができる事務所費として計上していた,同年8月分のインターネット料金及びケーブルテレビ料金として支出した合計3631円,事務所用照明器具代として支出した2万3220円,台所修繕費として支出した2万1800円並びにお菓子代金として支出した合計10万0510円(別表14の5番の支出(お菓子代金1万3010円)を含む。)については,計上に誤りがあったとして,これを政務活動費を充てることができる経費として計上しないこととする旨の上記訂正報告を行ったものであるところ,同訂正報告書の内容が客観的に誤りであることもうかがわれない。また,Z5議員は,上記訂正報告に伴い,合計6万2560円(同議員が金沢市から交付を受けた政務活動費216万円と会派共用費精算金1万3207円の合計額から上記各訂正後の支出額合計211万0647円を控除した残額)を金沢市に返還しているから(丙ハ1ないし3,前記前提事実(5)オ参照),仮に,上記お菓子代金に係る支出を含む上記減額訂正の対象とされた支出について,Z3議員が金沢市に不当利得返還債務を負うことあるとしても,後記5において説示するところを踏まえれば,当該債務は上記返還により弁済されたものとして消滅することになるため,いずれにしても,上記支出についてZ3議員が不当利得返還債務を負うとする原告の主張は採用できない。
エ 以上によれば,Z5議員の収支報告書(ただし,前記前提事実(5)オの訂正後のもの)に計上された事務所費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められないし,同議員に係る本件各支出のうち,その余の支出についても,同議員が不当利得返還債務を負うものとは認められない。
(14)  Z6議員の事務所費支出
ア 証拠(甲16,33,51,丙ト1,2)によれば,Z6議員は,平成26年度の事務所費として光熱費,電話代,ケーブルテレビ受信料,備品等購入費,消耗品等購入費の合計94万9037円を支出し,このうち光熱費,電話代及びケーブルテレビ受信料に係る支出につき2分の1の割合で按分した金額と,その余の支出全額とを合計した51万1337円につき,政務活動費を充てることができる経費として収支報告書等に計上したこと,上記備品,消耗品等は,同議員が政務調査活動に使用したこと,同議員は,平成26年度当時,自らが所有する建物(金沢市〈以下省略〉所在)を自宅兼政務活動事務所として使用していたことが認められる。そして,上記認定事実によれば,Z6議員の事務所は,本件手引きにいう「政務活動事務所+住居等」に該当すると認められるから,上記事務所費のうち,光熱費,電話代及びケーブルテレビ受信料は支出額の2分の1の限度で,その余の支出についてはその全額が本件使途基準に合致する(政務活動費を充当することができる)というべきである。
イ 原告は,Z6議員が上下水道代金及び賃借料を政務活動費として事務所費に計上していないことにより,同議員の事務所の形態が,本件手引きにいう「政務活動事務所+政治団体事務所+住居等」であると推認されるなどと主張するが,前記(11)イ(イ)のとおり,上下水道代金及び賃借料の事務所費としての計上の有無いかんによって事務所の形態が定まるとする原告の当該主張は失当である。
ウ 以上によれば,Z6議員の収支報告書に計上された事務所費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(15)  Z7議員の共通経費支出
ア 証拠(甲17,34,52,丙イ1,2)によれば,Z7議員は,平成26年度の共通経費として,携帯電話使用料,自宅電話料,自動車リース代及びガソリン代を支出し,これを2分の1の割合で按分した合計55万7362円につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等(前記前提事実(5)カの訂正後のもの)に計上したこと,Z7議員は,政務活動に関して,自動車を現地視察や要望・陳情に出向く際の移動手段として,携帯電話を連絡手段として,固定電話をFAX送受信による自宅から連絡等の手段として,それぞれ利用しており,これらの政務活動の用に供する目的での使用割合はいずれも2分の1を超えていたことが認められる。そして,共通経費に係る支出が本件使途基準に合致するか否かは,本件手引きの記載に従って判断すべきところ(前記3(2)),上記認定の各経費の内容・性質に照らすと,これらは,本件手引きによればいずれも支出額の2分の1の限度で政務活動費を充当できるものと認められ,その範囲において本件使途基準に合致するものというべきである。
イ なお,前記のとおり,Z7議員は,平成28年8月26日付けで,収支報告書等の記載につき訂正報告を行っているところ(前記前提事実(5)カ),原告は,平成26年度の政務活動費については,同年度の政務活動費収支報告書の提出期限である平成27年4月30日時点の政務活動費収支報告書の記載内容に基づいて,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきであるなどと主張する。しかし,前記(1)ウ(ウ)のとおり,政務活動費収支報告書の提出期限後にその記載内容の訂正があった場合は,当該訂正後の記載内容も踏まえ,政務活動費支出の違法性の有無が判断されるべきである。そして,同議員は,訂正前の平成26年度政務活動費収支報告書には同年度における共通経費支出のうち,平成26年10月30日の1万8340円の支出(自動車リース・部品交換代)について本来2700円として計上すべきところを誤って9170円として計上したとして上記訂正報告を行ったものであり,かつ修正後の当該計上額と1か月分の自動車リース代として収支報告書に計上した額(2万7300円,甲52の83,丙イ1)との合計額は本件手引きが定める上限額の3万円であり,上記訂正報告の内容が客観的に誤りであることもうかがわれない。そうであるところ,上記収支報告書等の訂正の経緯に加え,丙イ1,2及び補助参加人Z7(Z7議員)の主張内容を含む弁論の全趣旨を総合すると,Z7議員は,平成28年8月26日付けで上記収支報告書等の訂正報告を行い,その頃,金沢市に対し,平成26年度政務活動費のうち,3001円(同議員が金沢市から交付を受けた政務活動費216万円から上記訂正後の支出額合計215万6999円を控除した残額)を返還したものと推認することができる。そうすると,仮に,上記減額訂正の対象とされた支出について,Z7議員が金沢市に不当利得返還債務を負うことがあるとしても,後記5において説示するところを踏まえれば,当該債務は上記返還により弁済されたものとして消滅することになるため,いずれにしても,上記支出についてZ7議員が不当利得返還債務を負うとする原告の主張は採用できない。
ウ 以上によれば,Z7議員の収支報告書(ただし,前記前提事実(5)カの訂正後のもの)に計上された共通経費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められないし,同議員に係る本件各支出のうち,その余の支出についても,同議員が不当利得返還債務を負うものとは認められない。
(16)  Z8議員の共通経費支出
ア 証拠(甲18,35,53,丙チ1)によれば,Z8議員は,平成26年度の共通経費として,携帯電話使用料,固定電話使用料,自動車リース代及びガソリン代を支出し,これを2分の1の割合で按分した(ただし,別表17の25番の1万8353円の支出については,支出額のうち4783円)51万2749円につき,政務活動費を充当することができる経費として収支報告書等に計上したこと,Z8議員は,政務活動に関して,自動車を現地視察や要望・陳情に出向く際の移動手段として,携帯電話を連絡手段として,固定電話をFAX送受信による自宅から連絡等の手段として,それぞれ利用しており,政務活動のための使用割合はいずれも2分の1を超えていたことが認められる。そして,共通経費に係る支出が本件使途基準に合致するか否かは,本件手引きの記載に従って判断すべきところ(前記3(2)),上記認定の各経費の内容・性質に照らすと,これらは,本件手引きによれば,いずれも支出額の2分の1の限度で政務活動費を充当できるものと認められ,その範囲において本件使途基準に合致するものというべきである。
イ 以上によれば,Z8議員の収支報告書に計上された共通経費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
(17)  Z12議員の共通経費支出
ア 証拠(甲19,36,54,丁ニ1ないし3)によれば,Z12議員は,平成26年度の共通経費として,携帯電話使用料,固定電話使用料,自動車リース代及びガソリンを支出し,これを2分の1の割合で按分した53万2473円につき,政務活動費を充てることができる経費として収支報告書等に計上したこと,Z12議員は,自宅(金沢市〈以下省略〉)とは別の建物を政務活動のための事務所として利用していたこと,同議員は,政務活動に関して,自動車を現地視察や要望・陳情に出向く際の移動手段として,携帯電話を連絡手段として,自宅の固定電話をZ12議員の政務活動事務所の電話番号を知らない人からの政務活動に関する電話対応の手段として,それぞれ利用しており,これらの政務活動の用に供する目的での使用割合はいずれも2分の1を超えていたことが認められる。そして,共通経費に係る支出が本件使途基準に合致するか否かは,本件手引きの記載に従って判断すべきところ(前記3(2)),上記認定の各経費の内容・性質に照らすと,これらは,本件手引きによればいずれも支出額の2分の1の限度で政務活動費を充当できるものと認められ,その範囲において本件使途基準に合致するものというべきである。
イ 以上によれば,Z12議員の収支報告書に計上された共通経費の支出は,いずれも本件使途基準に合致しないものであるとは認められない。
5  本件各議員が金沢市に返還すべき不当利得の額(争点②)
(1)  上記4において説示したところによれば,本件各議員が政務活動費を充てることができる経費として収支報告書等(訂正報告がされたものについては,訂正後のもの)に計上した経費のうち,A議員については14万9753円,B議員にいては32万2600円,C議員については14万6880円がそれぞれ本件使途基準に合致しないものであると認められ,また,弁論の全趣旨によれば,上記各議員につき,収支報告書等に計上された経費以外に政務活動費を充てることができる経費が存在することもうかがわれない。
もっとも,前記前提事実によると,上記各議員は,収支報告書等に政務活動費を充てることができる経費として計上した経費の全部を政務活動費によりまかなっているわけではなく,一部自己資金等政務活動費以外の資金を充てていることが認められる。そうであるところ,本件条例は,具体的な使途を個別に特定した上で政務活動費を交付すべきものとは定めておらず,事後に収支報告書等を提出させてその使途を明らかにさせ,本件使途基準に合致した支出に充てなかった残額がある場合にこれを返還させることとしているものである。そして,政務活動費の返還義務について定める本件条例13条は,政務活動費は,交付を受けた政務活動費の総額から,当該議員が当該年度において本件使途基準に合致する経費の範囲に基づいて支出した総額を控除して残余がある場合に,当該残余の額に相当する額の政務活動費を返還すべきものとしているところ,同条例上,政務活動に係る経費の支出の総額が交付を受けた政務活動費の金額を上回る場合に,収支報告書等において支出の総額のどの部分について政務活動費を充てるのかを明らかにすることは求められていない。こうした本件条例の規定や前記政務活動費の趣旨に照らせば,議員が政務活動費を充てることができるものとして収支報告書等に計上した経費に,本件使途基準に合致しないと認められるものが含まれる場合であっても,当然に当該経費全額が不当利得として返還対象となるわけではなく,当該議員が,当該経費を含む政務活動に要する経費に自己資金その他の政務活動費以外の資金をも充てている場合には,上記本件使途基準に合致しないと認められる経費から,まずは上記政務活動費以外の資金を控除すべきであり,これによっても控除しきれない部分がある場合にのみ,その範囲に限り,本件使途基準に合致しない経費に政務活動費が充てられたものとして不当利得返還義務を負うことになると解すべきである(最高裁判所平成29年(行ヒ)第404号・同30年11月16日第二小法廷判決・裁判所時報1712号253頁参照)。
(2)  上記の観点から本件についてみると,証拠(甲4,乙2,5)によれば,A議員,B議員及びC議員は,いずれも,平成26年度の政務活動に係る経費に,金沢市から交付を受けた政務活動費のほか,自己資金等をも充てており,その金額は,それぞれ,1万3206円(会派共用費精算払戻金),11万6754円(自己資金)及び1万3206円(会派共用費精算払戻金等)であることが認められる。
よって,①A議員は,本件使途基準に合致しないと認められる広報費への支出額14万9753円から上記会派共用費精算払戻金1万3206円を控除した残額である13万6547円の限度で,②B議員は,本件使途基準に合致しないと認められる広報費への支出額32万2600円から上記自己資金11万6754円を控除した残額である20万5846円の限度で,③C議員は,本件使途基準に合致しないと認められる広報費への支出額14万6880円から上記自己資金1万3206円を控除した残額である13万3674円の限度で,それぞれ金沢市に対する不当利得返還義務を負う。
6  争点③(議員に不当利得が生じる場合に法定利息又は遅延損害金が発生するか)について
(1)  前示1のとおり,政務活動費を本件使途基準に合致しない経費に支出した場合には,当該議員は当該支出について不当利得に基づく返還義務を負うものであるが,民法704条にいう悪意の受益者とは,法律上の原因のないことを知りながら利得した者を意味するところ,本訴に先立つ住民監査請求において,金沢市監査委員により本件各支出について本件各議員が不当利得返還義務を負うものではないと判断されていること(甲73)などを踏まえると,A議員,B議員及びC議員を含む本件各議員が,上記の意味での悪意の受益者であるとはにわかに認め難いし,他にこれを認めるに足りる証拠はない。よって,原告の同条に基づく法定利息の支払を求める請求は理由がない。
(2)  また,議員が負う政務活動費に係る不当利得返還債務は,期限の定めのない債務であり,返還請求権者が請求をしたときに当該債務は履行遅滞となるが(民法412条3項),本件全証拠をもってしても,返還請求権者である金沢市(ないしその執行機関である被告)が,A議員,B議員及びC議員を含む本件各議員に対して,具体的な返還請求をした事実は認められないし,被告が本訴において上記各議員の不当利得返還請求債務の存在を否認している以上,被告が本訴でした上記各議員に対する訴訟告知をもって請求があったものとみることもできない。なお,原告は,上記返還債務の履行期限は本件条例10条2項に定める平成27年4月30日であると主張するが,同項は,あくまで収支報告書等の提出期限を定めるものにすぎず,不当利得返還債務の履行期限までをも定めているものとは解されないし,政務活動費の返還に関して規定する本件条例13条も,政務活動費返還債務の履行期限について定めておらず,本件条例上他にこれを定めているものと解すべき規定も見当たらないから,原告の上記主張は採用できない。よって,原告の遅延損害金に係る請求も理由がない。
7  結論
以上によれば,金沢市は,A議員に対して13万6547円の,B議員に対して20万5846円の,C議員に対して13万3674円の各不当利得返還請求権を有しているが,被告がその行使を怠っていると認められ,当該請求権の不行使を正当化するような事情も認められないから,これら請求権(債権)の不行使は違法である。
よって,原告の本訴請求は,被告に対し,A議員,B議員及びC議員に対し上記各不当利得に係る支払をそれぞれ請求するよう求める限度で理由があるから認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。なお,補助参加によって生じた訴訟費用につき,原告の本訴請求のうち,被告補助参加人らに係る部分は全部理由がないから,原告の負担とする。
金沢地方裁判所民事部
(裁判長裁判官 加島滋人 裁判官 釜村健太 裁判官 浅井彩香)

 

(別紙)
当事者目録
金沢市〈以下省略〉
原告 X
金沢市〈以下省略〉
被告 金沢市長 Y
同訴訟代理人弁護士 向峠仁志
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z1
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z2
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z3
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z4
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z5
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z6
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z7
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z8
上記8名訴訟代理人弁護士 山村三信
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z9
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z10
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z11
金沢市〈以下省略〉
被告補助参加人 Z12
上記4名訴訟代理人弁護士 堀口康純
犬塚雅文
〈以下省略〉


「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 9月20日  和歌山地裁  平28(行ウ)6号・平28(行ウ)7号 公金(政務調査費)違法支出金返還請求事件
(2)令和元年 9月17日  富山地裁  平31(わ)52号 各詐欺被告事件
(3)令和元年 8月21日  東京高裁  平31(行コ)72号 各不当利得返還請求権等行使請求控訴事件
(4)令和元年 7月18日  宇都宮地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件
(6)令和元年 6月19日  大阪地裁  平29(行ウ)43号 大阪市政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(7)令和元年 5月29日  仙台地裁  平29(行ウ)2号 政務活動費返還履行等請求事件
(8)令和元年 5月16日  東京地裁  平28(行ウ)222号 共同訴訟参加申出事件
(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
(10)平成31年 3月22日  東京地裁  平28(行ウ)322号 政務活動費返還請求事件
(11)平成31年 2月28日  名古屋地裁  平27(行ウ)130号 愛知県議会議員政務活動費住民訴訟事件
(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(13)平成31年 2月19日  奈良地裁  平28(行ウ)21号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件
(15)平成31年 2月15日  佐賀地裁  平29(行ウ)2号 損害賠償等請求事件
(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件
(17)平成30年11月30日  東京地裁  平29(行ウ)193号 損害賠償請求(住民訴訟)事件
(18)平成30年11月29日  広島高裁岡山支部  平30(行コ)8号 不当利得返還請求控訴事件
(19)平成30年11月27日  広島高裁松江支部  平30(行コ)1号・平30(行コ)3号ないし8号 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件
(20)平成30年11月16日  最高裁第二小法廷  平29(行ヒ)404号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(21)平成30年11月15日  宇都宮地裁  平24(行ウ)15号 政務調査費返還履行請求事件
(22)平成30年10月29日  神戸地裁  平30(わ)137号 事件名  詐欺被告事件
(23)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(24)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(25)平成30年 8月 9日  札幌高裁  平29(行コ)8号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(26)平成30年 8月 2日  東京高裁  平27(行コ)256号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(27)平成30年 6月28日  東京地裁  平30(行ウ)23号 情報公開請求却下処分取消請求事件
(28)平成30年 6月26日  仙台地裁  平29(行ウ)7号 非開示処分取消請求事件
(29)平成30年 5月24日  東京高裁 平29(行コ)229号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(30)平成30年 5月24日  富山地裁  平30(わ)35号 詐欺被告事件
(31)平成30年 4月27日  大阪地裁  平27(行ウ)229号 政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(32)平成30年 4月24日  岡山地裁  平28(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(33)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(34)平成30年 4月11日  神戸地裁  平29(行ウ)9号 政務調査費返還請求住民訴訟事件
(35)平成30年 3月16日  鳥取地裁  平26(行ウ)7号 不当利得請求事件
(36)平成30年 2月19日  神戸地裁  平29(わ)824号 被告人3名に対する各詐欺被告事件
(37)平成30年 2月 8日  仙台高裁  平29(行コ)5号・平29(行コ)13号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(38)平成30年 1月31日  岡山地裁  平26(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(39)平成29年11月29日  徳島地裁  平26(行ウ)14号 政務調査費返還請求事件
(40)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成29年11月28日  岡山地裁  平27(行ウ)16号 不当利得返還請求事件
(42)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(43)平成29年10月 4日  最高裁第二小法廷  平29(行フ)2号 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
(44)平成29年 8月30日  さいたま地裁  平27(行ウ)12号 埼玉県議会政務調査費返還事件
(45)平成29年 7月18日  奈良地裁   平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(46)平成29年 7月10日  東京高裁  平28(行コ)325号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求控訴事件
(47)平成29年 6月29日  宇都宮地裁  平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(48)平成29年 6月29日  名古屋地裁  平29(ワ)485号 弁護士費用請求事件
(49)平成29年 5月26日  大阪高裁  平28(行コ)199号 不当利得返還等請求行為・同附帯請求控訴事件
(50)平成29年 5月12日  東京地裁  平28(ワ)24577号 損害賠償請求事件
(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件
(52)平成29年 4月25日  神戸地裁  平26(行ウ)57号 政務調査費等返還請求事件
(53)平成29年 4月21日  仙台高裁  平28(行コ)12号・平28(行コ)20号 山形県議会議員政務調査費返還等請求控訴、同附帯控訴事件
(54)平成29年 4月12日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)13号 政務調査費返還請求控訴事件
(55)平成29年 3月30日  広島高裁岡山支部  平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(56)平成29年 3月29日  広島高裁  平28(行コ)22号 不当利得返還請求住民訴訟控訴事件
(57)平成29年 3月24日  高松高裁  平28(行ス)2号
(58)平成29年 3月16日  札幌地裁  平24(行ウ)6号 政務調査費返還履行請求事件
(59)平成29年 3月14日  東京高裁  平28(行コ)413号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(60)平成29年 3月 1日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)11号 政務調査費返還請求控訴事件
(61)平成29年 2月 1日 仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(62)平成29年 1月31日  仙台地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(63)平成28年12月27日  東京地裁  平26(ワ)1916号 損害賠償請求事件
(64)平成28年12月27日  奈良地裁  平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(65)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ヒ)292号 政務調査費返還履行請求事件
(66)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ツ)253号・平28(行ヒ)291号 政務調査費返還履行請求事件
(67)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷 平27(行ヒ)389号
(68)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷  平28(行ツ)164号・平28(行ヒ)173号
(69)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷 平28(行ツ)163号・平28(行ヒ)172号
(70)平成28年11月29日  甲府地裁  平26(行ウ)4号 政務調査費返還請求事件
(71)平成28年11月10日  広島高裁岡山支部  平27(行コ)11号 不当利得返還請求控訴事件
(72)平成28年10月27日  金沢地裁  平27(行ウ)6号 政務調査費返還請求事件
(73)平成28年10月26日  さいたま地裁  平26(行ウ)62号 損害賠償請求住民訴訟事件
(74)平成28年10月12日  徳島地裁  平28(わ)196号 虚偽有印公文書作成・同行使,詐欺被告事件
(75)平成28年 9月29日  大阪地裁  平26(行ウ)81号・平26(行ウ)116号 平成24年度茨木市議会政務調査費返還請求事件、平成24年度(2月~3月分)茨木市議会政務調査費返還請求事件
(76)平成28年 9月29日  金沢地裁  平27(行ウ)2号 政務調査費返還請求事件
(77)平成28年 9月14日  高松地裁  平28(行ク)1号
(78)平成28年 8月 3日  横浜地裁  平27(行ウ)25号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(79)平成28年 7月 6日  神戸地裁  平27(わ)825号 虚偽有印公文書作成、虚偽有印公文書行使、詐欺被告事件
(80)平成28年 6月28日  最高裁第三小法廷  平25(行ヒ)562号 不当利得返還等請求行為請求事件
(81)平成28年 6月22日  仙台高裁  平27(行コ)2号・平27(行コ)9号 政務調査費返還履行等請求控訴、同附帯控訴事件
(82)平成28年 6月22日  山口地裁  平26(行ウ)7号 不当利得返還請求住民訴訟事件
(83)平成28年 5月17日  山形地裁  平23(行ウ)2号 山形県議会議員政務調査費返還等請求事件
(84)平成28年 4月27日  岡山地裁  平25(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(85)平成28年 4月22日  新潟地裁  平25(行ウ)7号 政務調査費返還履行請求事件
(86)平成28年 4月13日  福井地裁  平25(行ウ)2号 2011年度福井県議会政務調査費人件費等返還請求事件
(87)平成28年 3月22日  札幌高裁  平27(行コ)11号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(88)平成28年 3月22日  東京地裁  平26(行ウ)582号 政務活動費返還請求事件
(89)平成28年 3月11日  東京地裁  平25(行ウ)677号 政務調査研究費返還請求事件
(90)平成27年12月24日  名古屋高裁  平26(行コ)11号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟控訴事件
(91)平成27年12月21日  名古屋高裁金沢支部  平27(行ケ)4号 裁決取消、当選取消請求事件
(92)平成27年10月27日  岡山地裁  平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(93)平成27年 9月17日  東京高裁  平27(行コ)110号 政務調査費返還請求控訴事件
(94)平成27年 6月24日  宇都宮地裁  平22(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(95)平成27年 6月12日  札幌高裁  平26(行コ)12号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(96)平成27年 5月26日  札幌地裁  平21(行ウ)36号 政務調査費返還履行請求事件
(97)平成27年 4月 8日  大阪地裁  平24(行ウ)129号 政務調査費返還請求事件
(98)平成27年 2月26日  東京地裁  平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(99)平成27年 1月13日  長崎地裁  平24(ワ)530号 政務調査費返還請求事件
(100)平成26年12月18日  奈良地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件


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⑤掲示(貼付)交渉後における、掲示許可承諾者に対してのフォローおよびクレーム対応→→→完全無料
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