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「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件

「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件

裁判年月日  平成31年 4月16日  裁判所名  山形地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(行ウ)3号
事件名  平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
文献番号  2019WLJPCA04166007

裁判年月日  平成31年 4月16日  裁判所名  山形地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(行ウ)3号
事件名  平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
文献番号  2019WLJPCA04166007

山形市〈以下省略〉
原告 X1オンブズマン
同代表者代表 A
X2
山形県米沢市〈以下省略〉
原告 X2
山形市〈以下省略〉
原告 X3
上記3名訴訟代理人弁護士 佐藤欣哉
田中暁
外塚功
原告X2を除く原告ら訴訟代理人弁護士 X2
山形市〈以下省略〉
被告 山形県知事 Y
同訴訟代理人弁護士 伊藤三之

 

 

主文

1  被告が,Bに対し,11万9096円を支払うよう請求することを怠ることが違法であることを確認する。
2  被告は,Bに対し,11万9096円を支払うよう請求せよ。
3  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用は,これを5分し,その1を被告の負担とし,その余を原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求の趣旨
1  被告が,Bに対し,50万8864円を支払うよう請求することを怠ることが違法であることを確認する。
2  被告は,Bに対し,50万8864円を支払うよう請求せよ。
第2  事案の概要
1  本件は,山形県に住所を有する権利能力なき社団である原告X1オンブズマン及び山形県の住民であるその余の原告らが,平成23年度に山形県議会議員(以下「議員」という。)であったB(以下「B議員」という。)が山形県から交付を受けた同年度の政務調査費の一部について,政務調査活動以外の目的に違法に支出されており,これによりB議員が不当な利得を得ているにもかかわらず,山形県知事である被告がその返還請求を違法に怠っていると主張して,被告に対し,地方自治法(平成24年法律第72号による改正前のもの。以下同じ。)242条の2第1項3号に基づき,上記の返還請求を怠ることが違法であることの確認を求めるとともに,同項4号に基づき,B議員に対する返還請求をすることを求める事案である。
2  関連法令等の定め
ア  本件に関係する地方自治法の規定は別紙1の1のとおりである。
イ  地方自治法100条14項及び同条15項の規定に基づき,山形県が定めた山形県政務調査費の交付に関する条例(平成13年3月23日山形県条例第4号。以下「本件条例」という。乙128)の規定は,別紙1の2のとおりである。
ウ  山形県議会議長(以下「議長」という。)は,本件条例の施行に関する必要な事項を定めるため,山形県政務調査費の交付に関する条例施行規程(平成13年3月30日山形県議会告示第2号。以下「本件施行規程」という。乙129)を制定し,政務調査費の使途として本件条例9条2項が規定する各科目に関する基準(以下「本件使途基準」という。)を,別紙1の3「本件使途基準」のとおりに定める(本件施行規程5条,別表)と共に,本件条例10条5項所定の書面(以下「支払証明書」という。)の様式を定めている(本件施行規程6条)。支払証明書の様式は,支出科目ごとに,支出科目,支払年月日,支払額,支払先,使途及び内容並びに備考の各欄に記載を求めるものとなっている。
エ  議長は,本件条例に基づき交付される政務調査費の取扱いについて必要な事項を定めるため,山形県政務調査費の取扱いに関する要領(平成20年3月21日制定のもの。以下「本件取扱要領」という。乙131)において,政務調査費の支出に当たっての基本的事項や,政務調査費の使途として定められている本件条例所定の各科目に係る本件使途基準についての運用の目安,政務調査費を充当するのに適さない経費(以下,これらをまとめて「本件運用目安」という。)を,別紙1の4「本件運用目安」のとおり定めている。
オ  山形県議会は,平成20年3月,本件条例,本件施行規程及び本件取扱要領で定めた事務処理方法,本件使途基準,各種書式を網羅した政務調査費の手引(以下「本件手引」という。乙126)を作成し,これを政務調査費の使途の適否などを具体的に判断する際のよりどころとして利用してきた。本件手引の記載のうち本件訴訟に関係するものは,別紙1の5「本件手引の記載」のとおりである。なお,本件手引は,平成23年10月に改訂されている(乙127)が,別紙1の5に記載の内容については変更されていない。
3  前提事実(当事者間に争いがないか後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  当事者
ア 原告X1オンブズマンは,山形県の財政支出を県民の立場から監視すること等を目的として結成された,山形県に住所を有する権利能力なき社団である。
原告X2及び原告X3は,山形県の住民である。
イ 被告は,山形県の執行機関である。
ウ B議員は,平成23年度に議員を務めた者である。
(2)  政務調査費の支出及びB議員による調査研究費としての利用(弁論の全趣旨)
B議員は,議長に対し,別紙2の「支払年月日」欄記載の各日時に,別紙2の「使途及び内容」欄記載の各事項について政務調査活動をしたとして,山形県から交付を受けた平成23年度の政務調査費から,別紙2の「支出額」欄記載の各交通費相当額を調査研究費として利用し,支出した旨記載した地方自治法100条15項所定の政務調査費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を提出した(以下,上記各支出における個別の支出については,別紙2の「番号」欄記載の番号を用いて「支出番号1」などといい,これらを併せて「本件各支出」という。)。なお,本件各支出はいずれも交通費であり,支出番号28の支出は鉄道料金であるが,これを除くその余の支出は全て自家用車の利用によるものである。
(3)  原告らによる監査請求及び本件訴訟の提起
原告らは,平成25年2月22日,山形県監査委員に対し,B議員に対する平成23年度の政務調査費の一部の返還請求権を行使するよう被告に勧告することを求めて住民監査請求をした。山形県監査委員は,平成25年4月23日付けで,原告ら指摘の上記政務調査費について違法又は不当な支出があったとはいえず,また,被告が財産の管理を怠っている事実も認められないとして,上記監査請求を棄却する旨の決定をし,原告らは,その頃,監査の結果の通知を受けた。(甲1)
原告らは,同年5月17日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実)。
4  争点
B議員の平成23年度の政務調査費の各支出における違法な支出の有無及びその額
5  争点に関する当事者の主張
(原告の主張)
(1) B議員は,別紙2の「支払年月日」,「支出額」及び「使途及び内容」欄記載の各名目で自家用車を利用するなどして出張したとして,その交通費に相当するガソリン代金等に政務調査費を充当している。しかし,別紙2の「支出が違法である事情」欄に「資料なし」などの記載がある各出張については,B議員が作成した支払証明書以外,当該出張に関する資料が収支報告書に添付されておらず,別紙2の「支出が違法である事情」欄に「資料なし」と記載されていない各出張についても,出張したことが事実であると証明し得る資料が添付されていない。したがって,B議員が自家用自動車を使用したとする出張の多くは,その存在自体が疑わしい。
(2) B議員の各出張の事実が認められたとしても,本件各支出は,いずれも議員が議員活動を行うために必要な調査活動である政務調査とは関係のない目的外支出である。なお,本件各支出が違法であることについての具体的な主張は,別紙2の「分類」欄及び「支出が違法である事情」欄に記載のとおりである。
(3) したがって,B議員は,本件各支出に係る金員について,法律上の原因なく利得しているから,被告は,B議員に対し,本件各支出の合計額である50万8864円の支払を請求すべきであるのに,被告は,その返還請求権の行使を違法に怠っている。
(被告の主張)
(1) 本件手引によれば,自家用車の利用による交通費に係る支出については,領収書の取得が困難な場合であって,議員が支払証明書を作成して収支報告書に添付すれば足りる。B議員は,自家用車の利用による交通費について,全て支払証明書を作成し,収支報告書に添付した。したがって,本件各支出について,提出資料が不足していることはない。
なお,B議員の所有する自家用車の走行距離の履歴は,B議員が説明する政務調査活動が実際に行われていなければ,合理的に説明できないものであり,活動自体が疑わしいとする原告らの主張に理由はない。
(2) 本件各支出が適法であることについての具体的な主張は,別紙2の「被告側の反論」欄に記載のとおりである。
第3  当裁判所の判断
1  総論
(1)  政務調査費の趣旨及びその支出についての適否の判断の在り方について
ア 地方自治法100条14項,15項の規定による政務調査費の制度は,地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行により,地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大し,その議会の担う役割がますます重要なものとなってきていることに鑑み,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとしたものである(最高裁平成17年11月10日第一小法廷決定・民集59巻9号2503頁参照)。
そして,地方自治法100条14項は,政務調査費を「議員の調査研究に資するため必要な経費」の一部として交付する旨を規定するにとどまり,政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めることとしているが,これは,各地方公共団体の実情に応じた運用を図るべく,条例等にその具体化を委ねることとしたものと解される。
そうすると,政務調査費の支出の適否は,上記地方自治法の趣旨に反しない限り,各地方公共団体における条例等の定めるところに従うべきであり,条例等における使途に係る定めが上記地方自治法の趣旨に則って定められているときには,それらの定めに基づいて上記適否を判断するのが相当である。
イ 前記関連法令等の定めのとおり,本件条例9条は,政務調査費の使途として許される各科目を定めるとともに,その科目の基準を議長が定めるものとしており,同委任を受けて,議長は,本件施行規程において本件使途基準を定めているところ,その内容は,地方自治法100条14項にいう「議員の調査研究に資するため必要な経費」を具体化したものであって,地方自治法の趣旨に反するものではない。したがって,本件における政務調査費の支出の適否は,各支出が本件使途基準に合致するか否かをもとにして判断するのが相当である。
また,本件取扱要領及び本件手引は,法規範性を有するものではないが,本件取扱要領は,本件施行規程と同様,本件条例の施行に関し必要な事項を定めるものとして制定され,本件運用目安を定めているものであるし,山形県議会の作成した本件手引は,本件条例,本件施行規程及び本件取扱要領をまとめたものであり,政務調査費はこれに従って支出されていたというのであるから,いずれも,本件使途基準の趣旨や具体的内容を推知させるものとして,具体的支出の本件使途基準への適合性判断に当たって参考にされるべきものである。
そうすると,上記アの政務調査費の制度を設けた趣旨に沿わない支出や,本件使途基準に合致しない支出,本件運用目安や本件手引において政務調査費を充当するのに適さない経費として掲げられているものに当たる支出については,本件使途基準に合致しないものとして違法になると解するのが相当である。
ウ 他方,議員の調査研究活動は県政全般に及び,その調査研究の対象,方法も広範かつ多岐にわたるものであり,調査研究活動の手段方法及び内容の選択に当たっては,議員の自主性及び自律性を尊重すべきことが要請されるから,いかなる手段方法によりいかなる調査研究活動を行うかは,議員の広範な裁量的判断に委ねられているということができる。
しかしながら,本件使途基準は,調査研究費につき「県の事務及び地方行財政に関し会派又は議員が行う調査研究並びに調査委託に要する経費」と定めており,調査研究又は調査委託の必要性をその要件としていると解され,また,議員の上記の裁量にはおのずから一定の限界があるというべきであるから,調査研究又は調査委託のための必要性が認められない支出は,本件使途基準に合致しないものとして違法になるというべきである。そして,その政務調査費としての支出に係る個別の事実から当該活動と県政との関連性を検討した結果,同支出に係る議員の判断に合理性があるということができない場合には,同支出につき調査研究のための必要性を認めることができないから,当該支出は本件使途基準に合致しないものとして違法になると解するのが相当である。
そうすると,政務調査活動に当たるか否かについては,尊重されるべき議員の判断に基づいて,当該活動と県政との関連性が一応うかがわれる場合には,議員の当該活動が県政に関する調査と関係のないものであったことや,上記調査等のために必要とされた交通費相当額が調査研究のために用いられる可能性がないことをうかがわせるような不合理な事情があること,すなわち,当該活動が政務調査活動であるとは評価することができず,本件使途基準に合致しないものであるとすべき事情(以下「政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情」という。)があることがうかがわれない限り,本件使途基準に合致しない違法なものということはできないとするのが相当であり,政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情が認められる場合は,被告において,当該事情に対する適切な反証がない限り,当該活動に係る支出は本件使途基準に合致しない違法な支出となるというべきである。
(2)  政務調査費の支出に係る資料について
ア 本件条例10条5項は,収支報告書に政務調査費による支出に係る領収書その他の証拠書類の写しの添付を求めているものの,当該書類の取得が困難な場合などには,議長が定める様式による書面(支払証明書)を添付すれば足りるとしている。そして,本件運用目安及び本件手引においては,自家用車を利用した調査の場合には,領収書に代えて支払証明書を作成して添付することができるとされており,この場合,県職員の旅費に関する条例の規定により県職員に支給される車賃の額(1kmにつき37円)を基準とするとされている。また,自動券売機で購入した切符代等,通常は領収書が発行されない交通費に係る支出についても,支払証明書を作成して収支報告書に添付すれば足りるものとされている。
次に,本件条例13条2項は,会派に係る政務調査費の支出に関しては,会計帳簿を調製した上,証拠書類等を保存すべき旨を定めているが,議員に係る政務調査費の支出については,同様の定めを置いていない。
他方,本件手引においては,調査研究費のうちの調査委託費の支出について,委託契約書と成果物を保存しておくこととされており,また,会派及び議員が保存する書類として,収支報告書,領収書,会計帳簿等の他,支出の根拠となる書類及び活動の実態が判る書類等が示されている。
そうすると,収支報告書に添付することが義務付けられている政務調査費の支出に係る領収書その他の証拠書類のほかにも,政務調査活動によって得られた成果物や資料については,これを保存しておくことが望ましいことはいうまでもないものの,少なくとも議員に対して交付される政務調査費の支出について,本件条例において,その保存が義務付けられているとはいえない。
イ B議員の政務調査費に係る本件各支出は,支出番号28の鉄道料金と自家用車を利用したことに基づく交通費であるから,前記アによれば,その支出に係る支払証明書を収支報告書に添付すれば足りることになる。そして,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,本件各支出の全てについて,収支報告書に支払証明書を添付していたことが認められる。
また,B議員が政務調査活動であると主張する別紙2記載の活動内容に照らすと,調査対象者から説明を受けた際の資料,現地調査の際に撮影した写真,講演会等に参加した際の配布資料等,B議員が当該活動に伴って各種の資料を取得したであろうことが推認され得るところであり,B議員も,本件各支出のうちの一部の支出については,調査相手の名刺や出席した式典の案内状などを収支報告書に添付したりしている(乙65の1,65の2,乙95の1ないし95の4など)が,前記アによれば,資料の保存が義務付けられているとまではいえず,また,当該活動の内容や性質によっては,資料を入手できないことや入手し難いこともあり得るから,資料の添付がない支出についても,そのことだけをもって,B議員が当該活動をしていないということはできない。
さらに,証拠(乙1ないし乙125の3,乙132)によれば,B議員は,本件各支出に係る各活動について,調査の対象者や調査の成果等について,相当に具体的な内容を明らかにしていることが認められ,これについて実際には体験したことのない架空のものとは考え難いほか,証拠(乙133)によれば,平成23年8月に初度登録のされたB議員所有の自家用車の平成28年7月14日までの59.5か月間の走行距離は14万5400kmであることが認められ,この間の1か月の平均走行距離が2443kmとなるところ,B議員が政務調査活動であると主張する別紙2の自家用車の利用による移動距離は,合計1万3559.6kmであって1か月平均1232kmとなっており,B議員所有の自家用車の上記認定の走行距離と別紙2の移動距離について自家用車を利用したとすることとの間に矛盾はないから,これらの事情を考慮すると,資料がないことをもって,B議員が上記各活動を行っていなかったということはできない。
ウ 原告らは,B議員の収支報告書には当該政務調査活動に関する資料がほとんど添付されておらず,何らかの資料が添付されている場合も,当該活動をしたことが事実であると証明し得る資料ではないから,B議員は本件各支出に係る政務調査活動をしていなかったと主張する。確かに政務調査活動に伴う資料があって然るべきであるにもかかわらず,これに関する客観的裏付けが一切ない場合,B議員が当該政務調査活動をしたとはいえないとする原告らの疑念にはもっともなところがあり,また,政務調査活動によって得られた成果物や資料については,これを保存しておくことが望ましいところではあるが,前記ア及びイにおいて説示したところに照らせば,原告らの上記主張は採用することができない。
エ そうすると,本件各支出に係る収支報告書の記載や本件訴訟におけるB議員の説明(乙1ないし乙125の3,乙132)に明らかに不合理であるとすべき事情がある場合や,B議員が本件各支出に係る政務調査活動をしていなかったと推認され得る事情を原告らが立証した場合などを除き,B議員が政務調査活動の経費であると主張する本件各支出について,資料がないことをもってB議員が当該活動をしていなかったということはできない。
そして,本件においては,上記の例外的な場合に当たるとすべき証拠はないから,B議員が政務調査活動であると主張する当該活動が本件使途基準に合致する適正なものであったか否かはともかく,B議員は本件各支出に係る当該活動をしていたものと認めるのが相当である。
(3)  B議員の政務調査費としての本件各支出について
証拠(乙1ないし乙125の3,乙132)及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,支出番号28の支出を除く本件各支出について,別紙2「支払年月日」欄に記載の日時に,同「使途及び内容」欄に記載の調査等をするために自家用車を利用して同「自家用利用37円/km」欄に記載の距離を移動し,本件手引に従って,移動距離1kmにつき37円とする金額を交通費相当額として計算して,同「支出額」欄に記載の金額を政務調査費として支出し,支出番号28の支出について,千葉県神崎町で東日本大震災の際の液状化現象に関する調査をするために利用した鉄道料金(特急料金や指定席料金を含む。)として,7160円を政務調査費として支出したことが認められる。
そこで,本件各支出について,政務調査費に係る本件使途基準に照らして適正な支出であるか否かを検討すべきこととなる。
2  各論
(1)  平成23年5月9日から同月31日までの支出
ア 支出番号1
被告の提出した報告書(乙1),B議員の陳述書(乙132。以下「本件陳述書」という。)及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成23年5月9日,①山形県酒田市〈以下省略〉に所在する自宅から自家用車を利用して後援会事務所に寄った後,②山形県庁に行き,山形県農林水産部の担当者と飛島の防波堤改築工事について意見交換し,③自家用車を利用して後援会事務所に戻った後,帰宅したと認められる。
原告らは,県庁にまで赴く必要はなく,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記②の調査事項は,防災対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,県の担当職員と意見を交換することは,調査事項について理解を深めるのに資する調査方法であるから,その必要性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,山形県議会は,山形県庁に隣接して所在しており,議員が山形県庁に行った場合,併せて山形県議会における執務室にも立ち寄ることが多いものと推認される。そして,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。以上によれば,B議員は,上記②の調査と併せて議員執務室に立ち寄り,調査研究活動以外の活動を行ったと推認されるところ,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費については,合理的な割合で経費を按分すべきことになる(本件運用目安第2(2))が,調査研究活動に使用された割合とそれ以外の活動に使用された割合を明らかにすべき証拠はない。このような場合には,事務所費等について,調査研究活動に係る部分と他の活動に係る部分とが明確に区分し難い場合の按分の上限率が2分の1とされていることに照らし,調査研究活動に使用された部分は上記交通費の2分の1を超えないものと認めるのが相当であるから,上記②のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
次に,上記①及び③については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費及び事務所から自宅までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。被告の提出した上記報告書及び本件陳述書では,上記意見交換の関係資料の準備,整理のために後援会事務所に立ち寄ったとされており,同日に実施した意見交換のために資料を整理することは自然であるといえるものの,上記のとおり,②の交通費についても他の活動に係る部分と按分すべきものと認められる以上,①及び③のための交通費も,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
そうすると,支出番号1の支出のうち,その2分の1である4718円(1円未満四捨五入。以下同じ。)を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
イ 支出番号2
被告の提出した報告書(乙2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月12日,自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行き,山形県庄内総合支庁産業経済部長らに対し,飛島の防波堤工事について聞き取り調査をしたと認められる。
原告らは後援会事務所に出勤したという議員としての当然の活動にすぎないと主張するが,上記調査事項は,防災対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認され,支出番号2に係る後援会事務所までの交通費には,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があると認めるのが相当である。そうすると,調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記調査のための後援会事務所への交通費について,370円(自宅から後援会事務所までの自家用車による移動距離10km×37円)の2分の1である185円を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
ウ 支出番号3
被告の提出した報告書(乙3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月27日,自宅から自家用車を利用して琢成学区コミュニティ防災センターに行き,「山王の緑を育てる会」という名称のボランティア活動を行う団体の総会に出席し,同会の顧問として挨拶をしたと認められる。
原告らは,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」を掲げており,上記支出はこれに当たると主張する。しかしながら,ボランティア団体が開催する総会は,意見交換を直接の目的とするものではないものの,同団体の活動状況等が報告されて,その実情を把握することができるものといえる。そして,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「(略)会員の高齢化が進み,特に夏場の作業が厳しいこと,また,守る会の会員が減少していることがわかった(略)」などの記載があることが認められ,B議員は上記団体の環境美化活動の実情を把握するという目的を達したものといえ,上記認定のとおり,顧問として挨拶をしていることに照らすと,この機会に上記団体の役員らと一定の意見交換をしたとすることも不自然ではない。
また,ボランティア団体の環境美化活動の実情を把握することは,環境の保全に係る施策と関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
以上によれば,支出番号3の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号4
被告の提出した報告書(乙4),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月28日,内水面の漁業協同組合が抱える問題と現状について調査する目的で,自宅から自家用車を利用して一條コミュニティセンターに行き,日向・荒瀬川漁業協同組合の総会に出席し,挨拶をした上,酒田市八幡総合支所長らと面談して調査したことが認められる。
原告らは,上記支出は意見交換を伴わない会合等への参加費であり政務調査費を充当するのに適さない経費であると主張するが,漁業協同組合が開催する総会は,意見交換を直接の目的とするものではないものの,同漁協の活動状況等が報告されて,その実情を把握することができるものといえ,また,被告の提出した上記報告書には,調査の成果として一定の実情を把握したことも記載されていることが認められる。そして,上記調査事項は,漁業の振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号4の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
オ 支出番号5
被告の提出した報告書(乙5),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月30日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に寄った後,②自家用車を利用して山形県議会に行き,山形県議会会議室において,県議会東日本大震災特別委員会小委員会が主催した山形大学教授による放射能の影響に関する講話を聴取し,③自家用車を利用して後援会事務所に戻った後,帰宅したと認められる。
原告らは,県議会の委員会が主催する講演を聴講したにすぎず,調査研究活動であるとはいえないと主張するが,同年3月11日に福島第一原子力発電所の事故(以下「原発事故」という。)が発生してから間もない時期であり,放射能の影響に関する知識を深めることは,県政における施策に資するものであって,県政との関連性がうかがわれないものとはいえない。
次に,上記①及び③については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費及び事務所から自宅までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。しかし,被告の提出した上記報告書及び本件陳述書では,上記講演の関係資料の準備,整理のために後援会事務所に立ち寄ったとされており,同日に開催された講話のために資料を整理することは自然であるといえるから,B議員は,後援会事務所に上記②の講演の関係資料の準備,整理のために立ち寄ったと認められ,上記推認は覆されるというべきである。
そして,B議員の上記活動において,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号5の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
カ 支出番号6
被告の提出した報告書(乙6),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同年5月31日,酒田市シルバー人材センターの実情を調査する目的で,自宅から自家用車を利用して酒田市平田農村環境改善センターに行き,上記シルバー人材センターの総会に出席して,挨拶をしたと認められる。
原告らは,団体が開催する総会に出席したにすぎないものであり,調査研究活動であるとはいえないと主張するが,上記総会は,意見交換を直接の目的とするものではないものの,上記シルバー人材センターの活動状況等が報告されて,その実情を把握することができるものといえ,また,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「酒田市への市町村合併後会員が増加している。会長及び会員と懇談し,交流を深め,会の内情について聴取した」という記載があることが認められ,上記総会の機会に上記シルバー人材センターの役員らと一定の意見交換をしたとすることも不自然ではない。
そして,シルバー人材センターの活動状況や今後の動向について調査することは,高齢者雇用などの施策に反映され得るものであり,県政との関連性が認められないものとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号6の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(2)  平成23年6月1日から同月20日までの支出
ア 支出番号7
被告の提出した報告書(乙7),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成23年6月1日,酒田特別支援学校の状況について調査する目的で,自宅から自家用車を利用して同校に行き,同校後援会総会に出席し,議員として挨拶をした後,同校校長や後援会会員から実情を聴取したと認められる。
原告らは,上記総会に出席したにすぎず,調査研究活動であるとはいえないと主張するが,上記総会は,意見交換を直接の目的とするものではないものの,上記後援会の活動状況等が報告されて,その実情を把握することができるものといえ,また,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として,「(略)まだグラウンドがないため手狭であるが本校も新校も新築していただいたので使い易く校内にも活気がでているとのこと。」などの記載があることが認められ,同校の校長らから同校の状況を聴取したとすることも不自然ではない。
また,上記の調査事項は,教育環境の整備などに係る施策に反映され得るものであり,県政との関連性が認められないものとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号7の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
イ 支出番号8
被告の提出した報告書(乙8),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月2日,庄内橋架替の状況について調査する目的で,自宅から自家用車を利用して酒田市松山農村環境改善センターに行き,庄内橋架替促進期成同盟総会に出席し,議員として挨拶をした上,酒田市松山支所長及び庄内総合支庁建設部道路計画課長と面談したことが認められる。
原告らは,上記総会に出席したにすぎず,調査研究活動であるとはいえないと主張するが,上記総会は,意見交換を直接の目的とするものではないものの,庄内橋架替に関する活動状況等が報告されて,その実情を把握することができるものといえ,また,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として,「(略)早ければ23年度中に基本設計を終了し24年度には実施設計に入りたい旨の話があり(略)」などの記載があることが認められ,総会の機会に行政担当者と面談することも不自然ではない。
そして,上記の調査事項は,道路整備などに係る施策に反映され得るものであり,県政との関連性が認められないものとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号8の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号9
被告の提出した報告書(乙9),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月3日,自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行き,県立酒田工業高等学校山岳部の山岳道路での車両事故に関して,株式会社安田池田組代表取締役他1名(上記事故の当事者の縁者)に対し,上記事故の状況や原因,当事者の取扱い等について調査したと認められる。
原告らは,後援会事務所に出勤したにすぎないと主張するが,上記調査事項は,上記事故に関する県の対応に関わるものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものであって,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかし,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記調査のための後援会事務所への交通費について,370円(自宅から後援会事務所までの自家用車による移動距離10km×37円)の2分の1である185円を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
エ 支出番号10
被告の提出した報告書(乙10の1,10の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月7日,①下記意見交換会の関係資料を取得するために自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行き,②そこから自家用車を利用して東北公益文科大学大学院に行って,「庄内地域行政課題に関する意見交換会」と題する意見交換会に出席し,山形県庄内総合支庁管内の重要事業について意見交換をして,③自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。なお,証拠(乙10の2)によれば,1時間15分の上記意見交換会の後に懇親会が開催されたことが認められ,原告らは自家用車を利用したことには疑問があると主張するものの,懇親会が開催される予定であったからといって自家用車を利用することはないなどとはいえない。
そして,上記②の意見交換会の議題に照らして,これと県政との関連は明らかであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
次に,上記①及び③については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費及び事務所から自宅までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。しかし,被告の提出した上記報告書及び本件陳述書では,上記②の意見交換会の関係資料を取得するために後援会事務所に立ち寄ったとされているから,B議員は,後援会事務所に上記②の関係資料を取得するために立ち寄ったと認められ,上記推認は覆されるというべきである。
したがって,支出番号10の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
オ 支出番号11
被告の提出した報告書(乙11),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月8日,自宅から自家用車を利用して株式会社共同火力を訪問し,同社の管理職員から,酒田共同火力発電所の運営方法や状況について聞き取り調査をし,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,調査の目的が不明であり,現地調査の必要性もないと主張するが,上記の調査事項は,原発事故後のエネルギー政策と関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,また,現地調査を行うことは,調査事項に関する理解を深めるのに資する調査方法であるから,現地調査の必要性がないともいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号11の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
カ 支出番号12
被告の提出した報告書(乙12),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月15日,自宅から自家用車を利用して電機製造企業である株式会社北陽を訪問し,同社代表取締役社長から,同社の業況について聞き取り調査をし,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,民間企業からの陳情の受付にすぎないと主張するが,地元の企業の業況調査は産業の振興に関わり得るものであって,県政との関連性がないものとまでいうことはできない。また,被告が提出した上記報告書及び本件陳述書によれば,B議員は,同社代表取締役社長から,内陸の企業からの同社への発注に関する相談を受けたことが認められ,陳情を受けたという側面があることも否定できないものの,上記のとおり,このような要望を聴取したのみでなく,同社の業況について調査しているから,上記のような相談を受けたことをもって県政との関連性が全て失われるということはできない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号12の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
キ 支出番号13
被告の提出した報告書(乙13),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月20日,自宅から自家用車を利用して酒田市役所に行き,酒田市市政懇談会に出席して酒田市市長らと意見交換し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,資料がないことを指摘するほか,議員としての当然の活動であって調査研究活動であるとはいえないと主張するが,資料がないことについては既に説示したとおりであり,また,市政に関して意見交換することは,市町村行政に係る県の政策と関わるものであって県政との関連性がないものであるとまでいうことはできない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号13の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(3)  平成23年7月9日から同月31日までの支出
ア 支出番号14
被告の提出した報告書(乙14),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,7月9日,自宅から自家用車を利用して鶴岡市の「しおん荘」に行き,同施設の管理人から,節電状況等について聞き取り調査をしたと認められる。
なお,上記報告書によれば,B議員が提出した収支報告書には「ふよう荘」を訪問したと記載されていたが,上記報告書において鶴岡市七窪の思恩荘と訂正したことが認められ,さらに,本件訴訟において,訪問先が「しおん荘」と訂正されており,政務調査のために訪問した施設の名称が二転三転しているものの,B議員は,本件陳述書において,施設の名称を誤ったのは,「しおん荘」を経営する法人が複数の施設を運営しているため,取り違えたものと説明しており,これを明らかに不合理であるとまでいうことは困難であるから,施設名を誤認していたとの一事をもってB議員が上記調査をしていなかったということはできない。
原告らは,調査の必要性がなく,施設にまで赴く必要性もないと主張するが,電力の需給が逼迫している状況における高齢者施設の運営状況を調査することは,福祉政策にかかわるものであって,県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,また,既に説示したとおり,現地調査の必要性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号14の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
イ 支出番号15
被告の提出した報告書(乙15),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月10日,自宅から自家用車を利用して山形市に在る介護付有料老人ホームフォーリーフ嶋に行き,同施設の施設長から,節電状況等について聞き取り調査をしたと認められる。
原告らは調査の必要性がないと主張するが,上記アと同様に,上記調査事項は県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号15の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号16
被告の提出した報告書(乙16),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月11日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行き,地元の建設業者である渡部興業株式会社の職員から,山形県庄内総合支庁におけるとび土工を含む工事の発注数が少ないことに関する資料を受け取った後,自家用車を利用して自宅に戻り,②自宅から自家用車を利用して八幡橋付近に行き,観音寺コミュニティ振興会会長から陳情のあった荒瀬川の両岸舗装について,同所から荒瀬川沿いに現地を確認して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
上記①について,原告らは,陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が山形県庄内総合支庁の発注計画を調査したことをもって政務調査活動に該当すると主張するが,被告の提出した上記報告書,本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,この調査とは,渡部興業株式会社の職員が持参した資料に目を通しただけのものと認められ,B議員が主体的に調査を実施したとはいえず,単に後援会事務所で陳情を受け付けただけであって,県政に関連する調査を実施したとはいえない。したがって,上記①に係る交通費740円(自宅から後援会事務所までの自家用車による往復の移動距離20km×37円)を政務調査費として支出することは許されない。
次に上記②について,原告らは上記①と同様に陳情の受付にすぎないと主張するところ,確かに調査の端緒は陳情であったといえるものの,調査の内容は,B議員に陳情した個人だけに係るものではなく,道路整備に関する施策に結びつくものであって,県政との関連性がうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号16の支出2960円のうち740円は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(2220円)は本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号17
被告の提出した報告書(乙17),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月12日,①自宅から自家用車を利用して山形県庄内総合支庁に行き,ロードクリンボランティアという団体の会長らが同支庁の建設部道路計画課道路管理主幹に対して陳情をするのに立会い,また,同支庁の建設部河川砂防課長から,荒瀬川の堤防道路に関する状況を聞き取って確認し,②山形県庄内総合支庁から自家用車を利用して東北農政局庄内あさひ保全事業所に行き,同事業所長等から七五三地区の土砂崩れについて調査した後,自家用車を利用して上記土砂崩れ現場に行って土砂崩れの状況について調査し,③そこから自家用車を利用して酒田産業会館に行き,自衛隊地方協力本部副本部長から東日本大震災における自衛隊の活動状況について聞き取り調査を行って,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らはいずれも陳情の受付にすぎないと主張するところ,上記①については,ロードクリンボランティアの会長が陳情するのに立ち会ったにすぎないから,道路管理に関することであって県政との関連性がないとはいえないとしても,調査研究活動であったとはいえない。しかし,その後,別の部署において荒瀬川の堤防道路に関する状況を確認したことは,道路整備に関わるものであって県政との関連性がないとはいえない。そうすると,B議員の山形県庄内総合支庁での上記①の活動には調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものといえるから,上記①の活動のための山形県庄内総合支庁への交通費については,370円(自宅から山形県庄内総合支庁までの自家用車による移動距離10km×37円)の2分の1である185円についてのみ政務調査費から支出することが許されるというべきである。
次に上記②及び③の調査事項は,土砂崩れや東日本大震災における対応等の災害対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものである。なお,弁論の全趣旨によれば,B議員は自衛隊のOBであると認められるものの,このことをもって上記③の活動が本件手引において政務調査費を充当するのに適さない経費等として挙げられている「私的活動」に当たるとまでいうことはできない。そして,上記②及び③に係る活動において,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号17の支出3700円のうち,上記①に係る185円は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(3515円)は本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
オ 支出番号18
被告の提出した報告書(乙18),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月13日,①自宅から自家用車を利用して障がい者支援施設和光園に行き,同園の園長から節電状況等について聞き取り調査をし,②同園から自家用車を利用して特別養護老人ホーム寿康園に行き,同園の園長らから節電状況等について聞き取り調査をし,③同園から自家用車を利用して特別養護老人ホーム松濤荘に行き,同施設の事務職員から節電状況等について聞き取り調査をした後,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,電話聴取で足りるものであって施設に赴く必要はないと主張するが,既に説示したとおり,現地調査の必要性がないとはいえない。そして,上記①ないし③の調査事項は,電力の需給が逼迫している状況における障がい者や高齢者の施設の運営状況を調査するものであり,福祉政策と関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号18の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
カ 支出番号19
被告の提出した報告書(乙19),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月14日,自宅から自家用車を利用して後援会事務所に寄った後,自家用車を利用して山形県議会事務局に行き,山形県議会事務局の担当者と,政務調査活動の内容を収支報告書に記載するに当たり,どの程度の内容を記載すべきかについて打合せをし,自家用車を利用して後援会事務所に戻った後,帰宅したと認められる。
原告らは,議員としての当然の活動であると主張し,被告は,B議員が政務調査制度に関する疑義について調査したものであると主張する。
B議員の上記の用務は,政務調査費に係る収支報告書の記載内容を確認するものであるが,政務調査費について報告することは議員として当然に行うべきことであり,また,記載内容の確認にすぎないものであるから,政務調査費制度の在り方に関わるものともいえず,一議員として自らの事務処理の方法を確認したにすぎないというほかないものであって,上記用務が県政に関する調査や政策立案に関連するものとはいえない。そうすると,上記打合せのための交通費相当額は,県政に関する調査研究に必要なものとはいえない。
したがって,支出番号19の支出9435円(自宅から後援会事務所を経由して山形県議会事務局までの自家用車による往復の移動距離255km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
キ 支出番号20
被告の提出した報告書(乙20),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月15日,①自宅から自家用車を利用して山形県立鳥海学園に行き,同学園の園長から,特別支援学校開校後の学園の動向について聞き取り調査をし,②同学園から自家用車を利用して吹浦地区の吹浦小学校付近,三崎公園,琴平神社及び藤崎に行き,C遊佐町議会議員と共に,地域住民から整備を要望されている場所を確認した後,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,上記①は調査目的が不明であり,上記②は陳情の受付にすぎないと主張するが,上記各調査項目は,教育施策や地域の各種設備の整備に係る施策に反映され得るものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号20の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ク 支出番号21
被告の提出した報告書(乙21),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月18日,自宅から自家用車を利用して株式会社ホテルシンフォニーアネックス及びJAさがえアグリランドに行き,上記各施設の支配人に対し,高速道路無料化終了後の状況や震災後の節電状況,集客の動向について聞き取り調査をし,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,調査の目的が不明であって私的な企業訪問にすぎないと主張するが,上記調査事項は,集客施設の動向を把握することで観光関連産業の振興に係る施策に反映され得るものであり,県政との関連性がうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号21の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ケ 支出番号22
被告の提出した報告書(乙22),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月19日,自宅から自家用車を利用して酒田地区広域行政組合に行き,同組合の消防長に対し,東日本大震災における消防職員の対応について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは調査研究活動に値する内容ではないと主張するが,上記調査事項は,災害対応に関わるものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号22の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない
コ 支出番号23
被告の提出した報告書(乙23),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月20日,自宅から自家用車を利用して株式会社酒田港リサイクル産業センターに行き,同センターの酒田港民間経営戦略プラン支援室室長に対し,酒田港が東日本大震災の被災地からのがれき処理に適しているにもかかわらず,様々な要因によって,がれき処理の受入れに進展がないことなどについて聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付か企業訪問にすぎないと主張するが,上記調査事項は,東日本大震災の被災地支援に係る施策に反映され得るものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号23の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない
サ 支出番号24
被告の提出した報告書(乙24),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月21日,自宅から自家用車を利用して株式会社山形チノーに行き,主に温度センサーを製造している同社の副社長らから,同社の現在の状況について聞き取り調査をし,同社が堅調な業況であると考えたことから,庄内地方の企業への発注を依頼することとして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情活動にすぎないと主張し,被告は,B議員が企業の動向を調査したものであると主張する。
上記調査は,上記会社の業績を聞き取ったものであるが,上記のとおり,最終的には庄内地方の企業への発注を同社へ依頼することとしたというものであるから,上記調査は庄内地方の企業の受注を目的として業績を確認したものにすぎず,上記活動を一体のものとしてみれば,庄内地方の企業による個別的な要望を受けて行われた陳情活動であると推認され,県政に関連する調査を実施したものではなかったということができ,他に県政に関する何らかの調査をしたことをうかがわせる事情はない。
したがって,B議員が,同月21日,上記会社で政務調査をしたとはいえず,支出番号24の支出9065円(自宅から同社までの自家用車による往復の移動距離245km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
シ 支出番号25
被告の提出した報告書(乙25),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月22日,自宅から自家用車を利用して竹本産業株式会社に行き,同社の社長らから,家畜の放射能被害について聞き取り調査をし,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付か企業訪問にすぎないと主張するが,上記調査事項は,原発事故による放射能汚染の畜産業等に与える影響に関するものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号25の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ス 支出番号26
被告の提出した報告書(乙26),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,①自宅から自家用車を利用して酒田市地見興屋に行き,酒田市地見興屋自治会長立会いのもと,集中豪雨により土砂崩れが発生していた県道の調査を行い,②同所から自家用車を利用して酒田市松山総合支所及び山形県庄内総合支庁に行き,各庁の担当者に対して上記土砂崩れに関する状況を説明して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,B議員の上記活動についていずれも陳情活動にすぎないと主張し,被告は,B議員が災害の状況や関係機関の調査を行ったと主張する。
上記①の調査事項は,災害復旧に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
他方,上記②については,単に上記①の調査結果を行政の担当者に伝えたにすぎないものであり,調査研究活動であったとはいえない。被告の提出した上記報告書及び本件陳述書にも,山形県庄内総合支庁及び酒田市松山支所において何らかの調査を行った旨の記載はないし,ほかにB議員が上記調査をしたことをうかがわせる事情はない。
したがって,支出番号26の支出2035円のうち1184円(①の調査現場から山形県庄内総合支庁までの自家用車による移動距離9km,山形県庄内総合支庁から酒田市松山支所までの自家用車による移動距離14km及び松山支所から自宅までの自家用車による移動距離9kmの合計32km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余の851円(自宅から①の調査現場までの自家用車による移動距離23km×37円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
セ 支出番号27
被告の提出した報告書(乙27),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月25日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行き,②そこから自家用車を利用して山形県庁に行って,山形県文化環境部循環型社会推進課廃棄物対策主幹に対し,酒田港のがれき処理について聞き取り調査をすると共に,山形県農林水産部畜産課課長補佐に対し,放射能汚染が懸念される飼料や家畜の取扱いなどについて聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは県庁に赴く必要性はないと主張するが,上記②の各調査事項は,東日本大震災の被災地支援や原発事故による放射能汚染に関わるものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものであって,また,既に説示しているとおり,県の職員との意見交換のために県庁に赴く必要性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,山形県議会は,山形県庁に隣接して所在しており,議員が山形県庁に行った場合,併せて山形県議会における執務室にも立ち寄ることが多いものと推認される。そして,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。以上によれば,B議員は,上記②の調査と併せて議員執務室に立ち寄り,調査研究活動以外の活動を行ったと推認されるところ,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,②のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
次に上記①については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認される。そして,支出番号27について,被告から,B議員が上記②の調査活動のための準備等を後援会事務所で行った旨の主張はなく,被告の提出した上記報告書及び本件陳述書にも上記準備等をした旨の記載はないし,ほかにB議員が上記準備等をしたことがうかがわれる事情はない。
したがって,支出番号27の支出9250円のうち2720円(①の自宅から後援会事務所までの自家用車による移動距離10km×37円及び②の後援会事務所から山形県庁までの自家用車による移動距離127km×37円の2分の1の合計)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余の6530円は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ソ 支出番号28
被告の提出した報告書(乙28の1,28の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月27日から28日にかけて,千葉県神崎町において,東日本大震災における液状化現象について調査をし,その際に,東京モノレールやJRなどの鉄道料金(特急料金や指定席代含む)として,合計7160円を政務調査費として支出したと認められる。
原告らは,上記の交通費と旅行会社に支払ったものとして収支報告書に添付されていた領収書の内訳との関連が不明であり,政務調査目的とは評価することができないと主張する。しかし,まず,被告の提出した上記報告書によれば,当該領収書の内訳は航空運賃及び宿泊料であることが示されている。また,上記調査事項は,災害対策に関わるものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号28の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
タ 支出番号29
被告の提出した報告書(乙29),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月29日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行き,②そこから自家用車を利用して山形県議会a党会派会議室に行って,D議員,E議員,F議員及びG議員と,牛肉から放射能が検出されている問題の対応について協議し,農林水産常任委員会,議会運営委員会等において緊急の課題の検討方法を協議することとし,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,議員同士の打合せであり政党活動であると主張し,被告は,B議員が放射能汚染の問題について情報交換及び意見交換をしたものであると主張する。
上記②の協議は,自らの所属する会派の議員と意見交換をしたものであり,議員としての本来の職責である政策検討,立案活動そのものであって,その前提となる調査研究とはいえないから,政務調査活動に該当するとはいえず,上記協議のための交通費を政務調査費として支出することは,政務調査費の趣旨に反するものである。そうすると,上記①の移動に係る経費についても,政務調査費として支出することは認められない。
したがって,支出番号29の支出9435円(自宅から後援会事務所を経由して山形県議会事務局までの自家用車による往復の移動距離255km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
チ 支出番号30
被告の提出した報告書(乙30),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月31日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行って下記②の講座に関する関係資料を取得し,②そこから自家用車を利用して山形国際交流プラザに行き,地域の政策を検討し政策提言を行う参考とするため,H参議院議員が講師を務めた「平成23年度山形県政治塾第2回講座」に出席し,参加者と意見交換したと認められる。
上記②について,原告らは県政に係る政務調査とは関係のない私的な活動であると主張するが,参議院議員が実施する講座の内容は国政に関するものと推認され得るとしても,県政の参考となり得るものを習得し得ないとは断言できないから,地域政策の参考とするというB議員の上記目的に照らし,県政との間に何ら関係がないことをうかがわせるものとまではいえず,また,上記講座に出席する費用は,本件使途基準が定める研修費にも該当し得るものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
これによると,上記①についても上記②の講座に関する資料を取得するための移動であったのであるから,その交通費は政務調査活動の経費といい得る。
そうすると,支出番号30の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(4)  平成23年8月4日から同月28日までの支出
ア 支出番号31
被告の提出した報告書(乙31),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成23年8月4日,①自宅から自家用車を利用して山形県議会執務室に行き,山形県農林水産部生産技術課水産室長らから山形県が発注する水産関係の土木工事の状況等について聞き取り調査をし,②資料の整理のために自家用車を利用して後援会事務所に立ち寄ってから自宅に戻ったと認められる。
原告らは,これについては陳情活動にすぎないし,県庁にまで赴く必要性がないうえ,他の用務で県庁に赴いた際に調査すれば足りるものと主張するが,上記①の調査事項は,県内の建設業の振興についての施策に資するものであり,県政との関連性がうかがわれるものである。また,既に説示したとおり,県の職員との意見交換のために,県議会執務室に赴く必要性がないとはいえない。さらに,面談の相手方の予定によっては,他の調査の機会を利用することができないこともあり得るのであるから,他の政務調査活動のために山形県庁に赴いた際に,上記①に係る調査も実施しなければならなかったということもできない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。そして,B議員の上記活動において,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記①のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
次に上記②については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。そして,被告の提出した上記報告書及び本件陳述書には,上記意見交換での関係資料の整理のために後援会事務所に立ち寄ったと記載されており,同日に実施した意見交換の資料を整理するのは自然なこととはいえるものの,上記①の交通費の全てが調査研究活動に用いられたものとはいえない以上,上記②のための交通費も,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
そうすると,支出番号31の支出のうち,その2分の1である4625円を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
イ 支出番号32
被告の提出した報告書(乙32の1,32の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月5日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行って下記②の関係資料を取得し,②そこから自家用車を利用して村山総合支庁本庁舎会議室に行って「海ゴミ・サイエンスカフェ山形(庄内)」に出席し,挨拶を行ってから,愛媛大学の教授らから海ゴミに関する状況や対策について解説を受け,③自家用車を利用して自宅に戻ったこと,「海ゴミ・サイエンスカフェ山形(庄内)」は,愛媛大学沿岸環境科学研究センター,九州大学大学院工学研究院,一般社団法人JEAN,パートナーシップオフィスなどが協力し,海洋ゴミ問題の最先端の研究内容を広く一般に伝えようと取り組んでいるプロジェクトであることが認められる。
原告らは,資料がないことを指摘するほか,上記②のイベントは意見交換を伴わない会合であると主張するが,資料については既に説示したとおりであり,また,同イベントでB議員が愛媛大学教授らから受けた解説の内容は,海洋の環境に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
次に上記①については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。しかし,被告の提出した上記報告書及び本件陳述書によれば,上記②の関係資料を取得するために後援会事務所に立ち寄ったと認められ,上記推認は覆されるというべきである。
したがって,支出番号32の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号33
被告の提出した報告書(乙33),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月6日,自宅から自家用車を利用して酒田港に行き,酒田港祭りのために入港した海上自衛隊護衛艦「あまぎり」の艦長らと懇談を行い,日本海の防衛や東日本大震災の被災地への支援について調査して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,自衛隊OBとして表敬訪問したという私的活動にすぎないと主張するが,上記調査事項は,災害対策やこれに係る自衛隊の支援等に関わるものであって,県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,また,被告の提出した上記報告書の調査の成果等を記載する欄には,「(略)東日本大震災の災害対応の支援は,震災発生から4か月後の7月10日まで実施されたとのこと。(中略)自衛隊の支援活動で酒田港を利用することはなかったのか尋ねたところ,太平洋側の港湾施設が使えない状況下でも,上陸用船艇等で沖合に停泊している大型船と陸上との行き来が可能であったので,現地で活動していたとのことであった。」との記載があり,調査結果も一定程度具体的であるから,B議員が私的に表敬訪問しただけであったとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号33の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号34
被告の提出した報告書(乙34),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月8日,①自宅から自家用車を利用して山形県議会に行き,支出番号31に係る調査の結果を踏まえて,山形県県土整備部建築企画課長らに対し,県内企業に対して優先的な発注をどのように行っているのか等について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して後援会事務所に行き,山形県庄内総合支庁の元職員から,発注を担当する総合支庁の現場の状況について聞き取り調査をし,③自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情活動にすぎない上,支出番号31に係る調査の機会に実施することができると主張するが,上記①及び②の調査事項は,県内の産業振興に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,県の職員との意見交換のために,県議会に赴く必要性がないとはいえないことは既に説示したとおりである。また,支出番号31に係る調査の結果を踏まえた調査であったから,同調査と同時に行わなければならないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員が山形県議会に行った場合には,併せて執務室にも立ち寄ることが多いと推認され,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。以上によれば,B議員は,上記①の調査と併せて議員執務室に立ち寄り,調査研究活動以外の活動を行ったと推認されるところ,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記①のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
次に上記②及び③については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,政務調査のために立ち寄った場所から後援会事務所まで及び後援会事務所から自宅までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。そして,上記②及び③の移動に関して,上記推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記の政務調査のために立ち寄った場所から後援会事務所まで及び後援会事務所から自宅までの交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
したがって,支出番号34の支出のうち,その2分の1である4625円を超えて政務調査費から支出することは許されない。
オ 支出番号35
被告の提出した報告書(乙35),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月11日,自宅から自家用車を利用して山形県庄内総合支庁に行き,支出番号34の調査を踏まえて,同支庁産業経済部長らから山形県が発注する工事の県内企業への優先発注の現在の状況について聞き取り調査をし,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは陳情活動にすぎないと主張するが,上記調査事項は,県内の産業振興に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号35の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
カ 支出番号36
被告の提出した報告書(乙36),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月12日,①自宅から自家用車を利用して山形市所在の山形県観光物産会館に行き,同会館の職員らから,東日本大震災後に売り上げが落ちたことや,原発事故の影響はさほどないこと及び節電に関する状況について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して山形県村山市所在の道の駅むらやまに行き,同施設の職員らから,お盆休みにおける集客の動向について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,調査の目的が不明であり私的な活動であると主張するが,上記各調査事項は,東日本大震災及び原発事故後の観光関連産業の振興に係る施策に資するものであって,県政との関連性がうかがわれるものであり,上記施策のために山形市や村山市を訪れる必要性が一般的にないとはいえず,上記各施設が私的に利用されることが多い場所であるとしても,B議員の上記活動が県政と関連性のない私的活動であったということはできない。他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号36の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
キ 支出番号37
被告の提出した報告書(乙37),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月14日,自宅から自家用車を利用して鳥海高原家族旅行村・鳥海山荘に行き,同施設の職員らから東日本大震災以降の集客状況や節電状況について調査し,自家用車を利用して八幡を経由して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,私的な活動にすぎないと主張するが,上記各調査事項は,上記カと同様に県政との関連性がうかがわれるものであり,山形県の観光関連の施策のために上記施設を訪れる必要性が一般的にないとはいえず,上記施設が私的に利用されることが多い場所であるとしても,B議員の上記活動が県政と関連性のない私的活動であったということはできない。他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
なお,八幡を経由して自宅に戻る必要性については何ら主張立証がないから,政務調査費から支出することが認められるのは,自宅から鳥海高原家族旅行村・鳥海山荘までの往復の移動距離である84kmに37円を乗じた3108円ということになる。
そうすると,支出番号37に係る2405円の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ク 支出番号38
被告の提出した報告書(乙38),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月16日,①自宅から自家用車を利用して株式会社産直の運営する「あぐり」に行き,同施設の職員から東日本大震災の影響や節電について聞き取り調査を行い,②そこから自家用車を利用して「夕陽のあつみふる里物産館」に行き,同物産館の職員らから東日本大震災後の状況,節電等について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,節電の状況について調査する必要はなく,私的な活動にすぎないと主張するが,上記各調査事項は,上記カと同様に県政との関連性を有するとうかがわれるものであるから,上記各施設が私的に利用されることが多い場所であるとしても,B議員の上記活動が県政と関連性のない私的な活動であったということはできず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号38の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ケ 支出番号39
被告の提出した報告書(乙39),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月17日,自宅から自家用車を利用して酒田建設会館に行き,山形県建設業協会酒田支部長から港湾工事の地元発注状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは陳情の受付にすぎないと主張するが,上記調査事項は,土木建設業の振興に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号39の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
コ 支出番号40
被告の提出した報告書(乙40),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月18日,①自宅から自家用車を利用して大沢製材所に行き,同社社長に対し,豪雨による被害の発生状況について聞き取り調査を行い,同社付近の川が決壊していることなどを確認し,②そこから自家用車を利用して八幡総合支所に行き,担当者に上記①の調査によって把握した状況を報告すると共に,同支所管内の豪雨被害の状況について聞き取り調査をし,③そこから自家用車を利用して松山総合支所に行き,担当者から同支所管内の状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情活動にすぎないと主張し,また,豪雨の最中に野外で調査するのは危険であるとして,上記調査が実施されたことに疑問を示しているが,上記各調査事項は,災害対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,また,豪雨の最中であっても,これによる被害等の状況を調査することは,その実情に対する早急な対策を検討するという点において一定の合理性を有するものであるから,原告らの上記疑問は前記認定を左右しない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号40の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
サ 支出番号41
被告の提出した報告書(乙41),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月19日,①自宅から自家用車を利用して酒田市浜中地区に行き,同地区の自治会長と共に豪雨に伴う住宅地,畑地の被害状況を確認し,②自家用車を利用して後援会事務所に立ち寄ってから,③自家用車を利用して山形県庁に行き,県の担当者に対し,被害状況を報告し,対策について話し合って,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎず,県庁にまで赴く必要もないと主張する。
しかしながら,上記①及び③の調査事項は,災害対策に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
次に上記②については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,政務調査のために訪問した場所から後援会事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。そして,上記②の移動に関して,上記推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記事務所への交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
上記③については,県の職員との意見交換のために,県庁に赴く必要性がないとはいえないことは既に説示したとおりである。しかしながら,山形県議会は,山形県庁に隣接して所在しており,議員が山形県庁に行った場合,併せて山形県議会における執務室にも立ち寄ることが多いと推認される。そして,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。以上によれば,B議員は,上記③の調査と併せて議員執務室に立ち寄り,調査研究活動以外の活動を行ったと推認されるところ,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記③のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
以上によれば,支出番号41の支出1万0360円のうち,4829円(①の調査現場から後援会事務所までの自家用車による移動距離16km×37円の2分の1並びに③の後援会事務所から山形県庁まで及び山形県庁から自宅までの移動距離の合計245km(132km+113km)×37円の2分の1の合計)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(5531円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
シ 支出番号42
被告の提出した報告書(乙42),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月20日,自宅から自家用車を利用して酒田港に行き,復元北前船「みちのく丸」の酒田港入港行事に参加して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,意見交換を伴わない単なるイベントに参加したにすぎないと主張し,被告は,B議員が酒田港の活性化を図るために意見交換をしたと主張する。
この点について,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「1672年河村瑞賢が開いた西回り航路の起点として酒田港は繁栄してきた。(中略)これを機会に,震災によって被害を受けた太平洋側港湾の支援を行いつつ,更には酒田港の活性化を図っていきたい旨参加者と意見交換した。」などの記載があることが認められるが,その意見交換であると主張する内容は,抽象的に酒田港の活性化を図るというものにすぎず,上記入港行事に参加することによって,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したことは全くうかがわれない。そして,上記の入港行事のような式典は,一般的に儀礼的なものであって意見交換を伴わないものであるといえ,B議員が上記行事への出席に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記行事に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
以上によれば,B議員が上記行事に参加した際に政務調査を実施したとはいえず,支出番号42の支出740円(自宅から酒田港までの自家用車による往復の移動距離20km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
ス 支出番号43
被告の提出した報告書(乙43),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月23日,自宅から自家用車を利用して鳥海自然文化館遊楽里及び道の駅ふらっとに行き,同施設の職員らから,観光関連施設における集客状況及び節電の状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,調査の必要性がなく,私的な活動にすぎないと主張するが,上記各調査事項は,東日本大震災及び原発事故後の観光関連産業の振興に係る施策に資するものであって,県政との関連性がうかがわれるものであるから,上記各施設が私的に利用されることが多い場所であるとしても,B議員の上記活動が県政と関連性のない私的な活動であったということはできない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号43の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
セ 支出番号44
被告の提出した報告書(乙44),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月25日,①自宅から自家用車を利用してJAそでうらに行き,同組合の組合長から豪雨による被害に関する説明を受け,②そこから自家用車を利用して豪雨によって冠水した現場に移動して現地を調査し,今後の対策を検討し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは陳情の受付であると主張するが,上記各調査事項は,災害対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号44の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ソ 支出番号45
被告の提出した報告書(乙45),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月27日,①自宅から自家用車を利用して白鷹やな公園道の駅に行き,同施設の職員らから観光関連施設における集客状況に関して,特に東日本大震災後からの動向について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用してJAさがえアグリランドに行き,同施設の職員らから観光関連施設における集客状況に関して,特に震災後からの動向について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,JAさがえアグリランドの調査は2回目であって調査目的が不明であり,私的な活動にすぎないと主張するが,上記各調査事項は,東日本大震災後の観光関連産業の振興に係る施策に資するものであって,県政との関連性がうかがわれるものであり,また,山形県の観光関連の施策のために観光施設の状況を継続的に調査する必要性が一般的にないとはいえないことを踏まえると,上記各施設が私的に利用されることが多い場所であるとしても,B議員の上記活動が県政と関連性のない私的な活動であったということはできない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号45の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
タ 支出番号46
被告の提出した報告書(乙46),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月28日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行って,②そこから自家用車を利用して山形国際交流プラザに行き,県議会活動の参考とする目的で,日本政策研究センターの研究員による日本の国家のあり方や歴史の認識に関連する講演会を聴講し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,県政との関連がない私的な活動であると主張するが,上記②の講演会は国政に関する内容ではあるものの,県政の参考となり得るものを習得し得ないとは断言できないから,県政との間に何ら関係がないことをうかがわせるものとまではいえず,また,これに参加する費用は,本件使途基準が定める研修費に該当し得るものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
次に上記①については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認される。そして,支出番号46について,B議員が上記②の講演会に参加するための準備等を後援会事務所で行った旨の被告の主張はなく,被告の提出した上記報告書及び本件陳述書にも上記準備等をした旨の記載はないし,ほかにB議員が上記準備行為等をしたことを裏付ける証拠もない。
したがって,支出番号46の支出9065円のうち370円(①の自宅から後援会事務所までの自家用車による移動距離10km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余の8695円は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(5)  平成23年9月2日から同月18日までの支出
ア 支出番号47
被告の提出した報告書(乙47),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成23年9月3日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行って下記②の講演会に関する資料を確認し,②そこから自家用車を利用して庄内町響ホールに行き,他の議員が主催する県政報告会で軍事アナリストによる東日本大震災後の危機管理に関する講演を聴講し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,県政との関連がない私的な活動であると主張するが,上記②の講演の内容に照らすと,東日本大震災からの復興の支援や地域の防災対策に資する部分がないとはいえず,県政との関連性がうかがわれないとはいえないものである。
次に上記①については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,自宅から後援会事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。しかし,B議員は,上記のとおり,後援会事務所に上記②の関係資料の確認のために立ち寄ったと認められ,上記推認は覆されるというべきである。
そして,上記①及び②において,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号47の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
イ 支出番号48
被告の提出した報告書(乙48),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月3日,自宅から自家用車を利用して生涯学習施設「里仁館」に行き,同施設の創設10周年記念式典に参加して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,意見交換を伴わない式典に参加したにすぎないと主張し,被告は,B議員が同施設理事長及び酒田市長と面談して,同施設の利活用や経営に関して意見交換をしたと主張する。
この点について,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「山形県立松山里仁館高等学校が閉校し平成14年3月に生涯学習施設「里仁館」として開講。本年までの累積利用者数20万人を突破,幼児から高齢者まで幅広い年代から文化,スポーツ,地域活動に利用されている。」「今後共受講者を増加し,なるべく自立経営できるよう行いたいが,今後共支援を願いする。」との記載があることが認められるが,その意見交換をしたと主張する内容は,上記のとおり,支援の継続を要請されたというにすぎないものであり,B議員が,上記の記念式典に出席することにより,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したとはうかがわれない。そして,上記のような記念式典は,一般的に儀礼的なものであって意見交換を伴わないものであるといえ,B議員が上記式典への出席に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記行事に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
以上によれば,B議員が上記式典に出席した際に政務調査を実施したとはいえず,支出番号48の支出1665円(自宅から生涯学習施設「里仁館」までの自家用車による往復の移動距離45km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
ウ 支出番号49
被告の提出した報告書(乙49),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月4日,自宅から自家用車を利用して鶴岡市小真木原運動公園朝〓武道館に行き,荘内空手道選手権大会を視察して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,スポーツ大会に参加するという私的な活動であり,陳情を受けたにすぎないと主張する。確かに,スポーツ大会の観戦自体は,直ちに県政との関連性があるとはいえないものであるが,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「競技規則が変わり,試合場マットが必要になった。(中略)これから順次整備されるよう支援してほしいとの依頼を受けた。」との記載があり,同報告書で調査の目的として掲げられているスポーツ振興に関する施策検討の参考になる事項についての調査が行われたものとうかがわれ,県政との関連性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号49の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号50
被告の提出した報告書(乙50),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月5日,①自宅から自家用車を利用して山形県庄内総合支庁に行き,同支庁建設部道路計画課長,同支庁産業経済部農村計画課長らに対し,豪雨により発生した砂丘地の農地の冠水及び赤川放水路の冠水に関する被害箇所からの排水対策について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して山形県水産試験場に行き,山形県水産試験場最上丸の乗組員らに対し,調査船最上丸の老朽化の状況や今後の整備のあり方について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情又は陳情の受付にすぎないと主張するが,上記各調査事項は,災害対策や漁業の振興に係る施策に資するものであって,県政との関連性を有するとうかがわれものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号50の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
オ 支出番号51
被告の提出した報告書(乙51),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月6日,①自宅から自家用車を利用して後援会事務所に行き,渡部興業株式会社の社長から,山形県一般競争入札の評価点数において,ボランティアや災害防災協定という市町村との提携を地域貢献点数として評価してもらいたいとの要望を受け,山形県庄内総合支庁建設部建設総務課長に連絡し,②そこから自家用車を利用して上記会社に行き,③さらにそこから自家用車を利用して株式会社北陽に行き,同社代表取締役社長から,東日本大震災以降に受注が減少しているため,発注企業を紹介してもらいたい旨依頼され,内陸の企業で見込みのあるようなところに頼んでみることにして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が地元企業の受注の動向及び受注拡大に関する要望について聞き取り調査をし,要望実現の可能性についても調査したものであると主張する。
上記認定によれば,上記①は,単に後援会事務所で陳情を受け付けたにすぎないものといえ,県政に関連する調査であるとはいえない。また,上記②については,B議員が渡部興業株式会社に行く必要性について何ら主張立証がなく,上記①の陳情の受付に付随するにすぎないものといわざるを得ないから,県政に関連する調査をしたものではないというべきである。そして③についても,単に株式会社北陽において陳情を受け付けたにすぎないものといえ,県政に関連する調査をしたものではないというべきである。
したがって,支出番号51の支出925円(自宅から後援会事務所,渡部興業株式会社及び株式会社北陽までの自家用車による移動距離合計25km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
カ 支出番号52
被告の提出した報告書(乙52),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月7日,①自宅から自家用車を利用して酒田市役所に行き,酒田市議会副議長らから,同年7月の水害に関する山形県に対する要望について,書面による説明を受け,②そこから自家用車を利用して最上総合支庁に行き,同支庁産業経済部森林整備課長からナラ枯れ被害の拡大について説明を受け,③さらに自家用車を利用して国道344号沿いから国道47号沿いまで移動しながら,数か所で車を止めて楢の木を目視で確認し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎず,ナラ枯れについても定量的な調査ではないと主張するが,上記の各調査事項は,災害対策や環境保全対策に資するものであって,県政との関連性がうかがわれるものであり,また,定量的な調査ではなくとも,議員が自ら状況を確認することに意義がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号52の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
キ 支出番号53
被告の提出した報告書(乙53),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同年9月8日,①自宅から自家用車を利用して置賜総合支庁に行き,同支庁の産業経済部森林整備課長らから同地区内の楢の木の状況について説明を受け,②そこから自家用車を利用して米沢市,高畠市及び南陽市に移動し,数か所に車を止めて楢の木を目視で確認して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,定量的な調査ではなく,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記各調査事項は,環境保全対策に資するものであって,県政との関連性がうかがわれるものであり,調査手法についても,上記カで説示したとおり,必ずしも不適切とはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号53の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ク 支出番号54
被告の提出した報告書(乙54),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月9日,自宅から自家用車を利用して浜中・七窪周辺に行き,酒田市川南地域砂丘集中豪雨被害対策協議会が行った現地調査に参加して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは陳情の受付にすぎないと主張するが,上記調査事項は,災害対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号54の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ケ 支出番号55
被告の提出した報告書(乙55),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月10日,①自宅から自家用車を利用して支出番号36に係る調査をした山形県観光物産会館に行き,同施設の職員らに対し,お盆以降の集客状況と秋以降の見通しについて聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して支出番号21において訪問調査をしたホテルシンフォニーアネックスに行き,同施設の職員に対し,お盆以降の集客状況の聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,以前にも赴いた施設であって調査目的が不明であると主張するが,上記各調査事項は,既に説示したとおり,観光関連産業の振興に係る施策に資するものであって,県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,また,一度調査した施設を再度調査することが不合理であるともいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号55の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
コ 支出番号56
被告の提出した報告書(乙56),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月11日,自宅から自家用車を利用して酒田市の旧平田地区に行き,同地区の豪雨による土砂災害について現地調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張するが,上記調査事項は,災害対策に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,その他政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号56の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
サ 支出番号57
被告の提出した報告書(乙57),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月12日,自宅から自家用車を利用して八幡地区に行き,同地区の水害被害について現地調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張するが,上記調査事項は,災害対策に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,その他政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号57の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
シ 支出番号58
被告の提出した報告書(乙58),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月13日,自宅から自家用車を利用して山形県県議会会議室に行き,山形県知事及び山形県総務部長による平成23年度9月補正予算の内示会に出席し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,議員としての当然の活動であり,政務調査目的であるとは評価することができないと主張し,被告は,B議員が補正予算の主な内容について調査したものであると主張する。
山形県の補正予算の内容は,議員が審議すべき対象そのものであり,その内容は県議会において説明されるものであって,その当否を審議するのは議員としての本来の職責である。そして,政務調査費は,その審議能力の強化のために,調査研究活動の基盤の充実を図る趣旨に基づいて制度化されたものであるから,上記補正予算の当否の審議の前提となる事項について調査研究を行う費用を助成するものと解される。そうすると,議員が審議する対象そのものである補正予算の内容を把握することは,審議の前提となる事項についての調査研究とはいえないから,政務調査活動に該当するとはいえず,そのための交通費を政務調査費として支出することは,政務調査費の趣旨に反するものである。
以上によれば,支出番号58の支出9250円(自宅から県議会までの自家用車による移動距離合計250km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
ス 支出番号59
被告の提出した報告書(乙59),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月14日,①自宅から自家用車を利用して遊佐町役場に行き,同町の町長らから県議会への要望等について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して県漁業協同組合に行き,同組合職員らに対し,県議会への要望及び上半期の漁獲量の状況などについて聞き取り調査をして,③そこから自家用車を利用して後援会事務所に寄った後,自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張するが,上記①及び②の各調査事項は,市町村行政に係る県の施策や漁業の振興に資するものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
次に上記③については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認される。そして,上記③について,上記②の調査後に後援会事務所に立ち寄る必要性に関する被告の主張はなく,そのような必要性に関する立証もない。
したがって,支出番号59の支出2405円のうち629円(県漁業協同組合から後援会事務所まで及び後援会事務所から自宅までの自家用車による移動距離17km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余の1776円は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
セ 支出番号60
被告の提出した報告書(乙60),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月15日,自宅から自家用車を利用して秋田県由利地域振興局に行き,同局総務企画部長らに対し,山形県庄内総合支庁,遊佐町,酒田市と連携して行う鳥海山を活用した観光事業やイベント等について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,資料が存在しないことはあり得ないと主張するが,資料については既に説示したとおりであり,この主張を採用することはできない。そして,上記調査事項は,観光関連産業の振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号60の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ソ 支出番号61
被告の提出した報告書(乙61),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月16日,①自宅から自家用車を利用して株式会社フレッシュに行き,同社の代表取締役社長に対し,同社が開発したミネラルウォーターについて聞き取り調査を行い,②そこから自家用車を利用してガーデンパレスみずほに行き,庄内生コンクリート協同組合が開催する第5回地域活性化フォーラム「社会資本整備と生コン産業の役割」に参加し,国土交通省東北地方整備局酒田河川国道事務所長らによる講演を聴取して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付と単なるフォーラムへの参加にすぎないと主張するが,上記の各調査事項は,地元の産業や生コン業界の振興に関わるものであり,県政との関連性を有するとうかがわれるものであって,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号61の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
タ 支出番号62
被告の提出した報告書(乙62),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月18日,自宅から自家用車を利用して酒田市武道館に行き,酒田地区柔道連盟の顧問として第42回飽海地区中学校新人総合体育大会を視察し,同連盟の審判・監督会議に出席し,同連盟会長らに対して聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,上記体育大会に顧問として参加したものであり,議員としての活動ではないと主張するが,上記大会の観戦自体は,直ちに県政との関連性があるとはいえないものであるものの,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「(略)少子化のせいか年々参加選手が減少の方向にあるとのこと。(略)いずれも少子化,選手減少によるレベル低下を述べた。」との記載があり,同報告書で調査の目的として掲げられているスポーツ振興に関する施策検討の参考になる事項についての調査が実施されたものといえ,県政との関連性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号62の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(6)  平成23年10月8日から同月28日までの支出
ア 支出番号63
被告の提出した報告書(乙63),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成23年10月8日,①自宅から自家用車を利用してホテルリッチ&ガーデン酒田に行き,山形県庄内総合支庁建設部庄内空港事務所長主催の庄内空港開港20周年記念式典に出席し,②そこから自家用車を利用して酒田市〈以下省略〉の住民宅に移動し,住民から医療給付など病気療養に関する相談を受けて,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,記念式典への参加や陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が庄内空港の利活用の参考となる事項や豪雨による空港周辺の冠水被害との関連性について調査し,また,地域医療に関する調査をしたと主張する。
上記①の記念式典への参加について,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「空港開港までの経緯と功績のあった方々の紹介があった。(中略)元県議会議員らの努力によるところが大きいと感じられた。また,空港建設には砂丘を10mも掘り下げており,現在の空港周辺の冠水も何らかの関係があるのではないかと思われる。県議会において質問の材料とする。」などの記載があることが認められるが,これは上記式典において披露された情報を記載したにすぎないものであり,B議員が,上記の記念式典に出席することにより,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したとはうかがわれない。そして,上記のような記念式典は,一般的に儀礼的なものであって意見交換を伴わないものであるといえ,B議員が上記式典への出席に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
次に上記②の相談について,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として,「医療機関の窓口できちんと相談に乗れる体制が望ましいと感じた。」とする記載があることが認められ,この事項は,県内の医療提供の体制に係る施策に関わるものであって,県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号63の支出2960円のうち,1517円(自宅からホテルリッチガーデン酒田までの自家用車による移動距離10km及びホテルリッチガーデン酒田から②の現場までの自家用車による移動距離31kmの合計41km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(1443円)は本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
イ 支出番号64
被告の提出した報告書(乙64),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月11日,自宅から自家用車を利用して山形県漁業協同組合吹浦支所に行き,同支所職員に対し,平成23年前半の漁港及び漁業従事者の状況などについて聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,調査の必要性がなく,定量的な調査でもないと主張するが,上記調査事項は,漁業の振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,調査の方法についても,既に説示したとおり,必ずしも不適切であるとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号64の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号65
被告の提出した報告書(乙65の1ないし65の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月12日,自宅から自家用車を利用して新潟県村上地域振興局に行き,同振興局企画振興部長に対し,日本海東北自動車道についての新潟県側の整備の状況及び事業促進の活動について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,敢えて出張して調査する必要性はないと主張するが,上記調査事項は,道路整備に関する施策に資するものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,調査方法についても,既に説示したとおり,必ずしも不適切であるとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号65の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号66
被告の提出した報告書(乙66の1ないし66の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月13日,自宅から自家用車を利用してやまがたグリーンパワー株式会社に行き,同社の業務係職員に対し,木質バイオマス発電について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,面談する必要性がない陳情活動であると主張するが,上記調査事項は,エネルギー政策などに関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号66の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
オ 支出番号67
被告の提出した報告書(乙67の1,67の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月15日,①自宅から自家用車を利用して遊佐町立遊佐中学校に行き,山形県中学校新人総合体育大会第4回柔道競技北ブロック大会に出席し,②そこから自家用車を利用して下日枝神社に行き,大川周明顕彰会に出席して,大川周明がアジアの発展に及ぼした影響等について参加者の意見を聴取し,③そこから自家用車を利用してホテルリッチ&ガーデンに行き,学習障害児の会(スワンの会)研修会に参加し,立正大学教授による学習障害児への接し方,幼児期から青年期にかけての進路指導や就業指導についての講演を聴講して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,体育大会や講演会への参加であり,意見交換を伴わない会合への参加にすぎないと主張する。
しかしながら,上記①については,体育大会の観戦自体は,直ちに県政との関連性を認めることができないものであるが,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「柔道人口が少なくなりつつあるが,レベルは例年より高く,来年度の県大会に向けた予備戦になるもので,極めて充実した士気で試合に臨んでいるとのこと。例年より極めて優秀な選手や,ずばぬけた体格の選手は見当たらなかった。」との記載があり,同報告書で調査の目的として掲げられている体育振興に関する施策検討の参考になる事項についての調査が実施されたといえ,県政との関連性がないとはいえない。
次に上記②の講演については,被告の提出した上記報告書によれば,地元出身の思想家の影響を検証して教育施策に反映する目的で参加者の意見を聴取したものであることが認められ,県政との関連性がないとはいえない。
さらに上記③の研修会における講演の内容は,学習障害児に係る施策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものである。
そして,上記の各活動について,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号67の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
カ 支出番号68
被告の提出した報告書(乙68の1,68の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月19日,自宅から自家用車を利用して有限会社金山最上牧場に行き,同牧場職員から,子豚の生産から出荷までを衛生的に生産するシステムや経営の状況について説明を受け,現地を調査して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,民間会社の要望の聴取であり陳情活動にすぎないと主張するが,上記調査事項は,畜産振興に資するものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号68の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
キ 支出番号69
被告の提出した報告書(乙69の1,69の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月20日,自宅から自家用車を利用して山形県漁業協同組合念珠関支所に行き,同支所職員に対し,平成23年度の上半期の漁獲高等について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,漁業者の要望の聴取であり陳情活動にすぎないと主張するが,被告の提出した上記報告書によれば,B議員は,上記調査において,漁船の燃料費の低減化等についての要望を受けていると認められるものの,上記調査事項は,漁業振興に係る施策に資するものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号69の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ク 支出番号70
被告の提出した報告書(乙69の2,70の1,70の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月21日,自宅から自家用車を利用して山形県栽培漁業センターに行き,財団法人山形県水産振興協会の職員に対し,水産高校卒業生の受入れや緊急雇用対策事業等について聞き取り調査を行うと共に,東日本大震災後の対策として増産されているあゆの卵が入った水槽や,栽培場の見学等をしたりして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記調査事項は,漁業振興や雇用対策事業に関わるものであって県政と関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号70の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ケ 支出番号71
被告の提出した報告書(乙71の1,71の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月26日,自宅から自家用車を利用して下水処理施設向けの機器を製造するセルポール工業株式会社山形事業所に行き,同社取締役らに対し,東日本大震災以降の仕事の受注状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,業者の要望を聴取した陳情活動にすぎないと主張するが,上記調査事項は,地元の経済状況に基づく産業の振興施策に結び付き得るものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号71の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
コ 支出番号72
被告の提出した報告書(乙71の2,72),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月27日,自宅から自家用車を利用して眺海の森さんさんに行き,同施設職員に対し,平成23年度の観光施設の集客状況と今後の見通しについて聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,業者からの要望の聴取であり陳情活動であると主張するが,上記調査事項は,観光関連産業の振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,上記各施設が私的に利用されることが多い場所であるとしても,B議員の上記活動が私的な活動であったとまでいうことはできず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号72の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
サ 支出番号73
被告の提出した報告書(乙73の1,73の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月28日,①自宅から自家用車を利用して遊佐町総合交流促進施設株式会社に行き,同社職員に対し,夏以降の集客状況と今後の見通しについて聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して株式会社エネックス新潟支店庄内営業所に行き,同営業所職員に対し,東日本大震災の際の燃料供給の動向について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記①の調査事項は観光関連産業の振興施策に関わるものであり,また,上記②の調査事項は災害の際の危機管理に関わるものであって,いずれも県政との関連性を有するとうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号73の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(7)  平成23年11月3日から同月30日までの支出
ア 支出番号74
被告の提出した報告書(乙74),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成23年11月3日,自宅から自家用車を利用して遊佐町トレーニングセンターに行き,酒田地区柔道連盟が主催する第30回伊藤徳治杯争奪少年柔道大会に同連盟の顧問として参加して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,体育大会を私的に観戦したにすぎないものであると主張するが,同大会の観戦自体が直ちに県政との関連性があるものとはいえないものの,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「今大会は女子の活躍が大きく,三川チームと立川チームは1チームを女子で編成するほど充実し,試合態度も正々堂々としており,男子チームにも負けない気迫があった。小学校から中学校,そして高校に入っても柔道を続けてもらいたい。将来,山形県の柔道スポーツの振興が期待できる。伊藤徳治氏は遊佐町出身の柔道家で,大正4年生まれ,戦前の京都武徳専門学校出身で京都府警の師範を勤められ,全日本選手権でも優勝したことのある人物であり,戦後遊佐町の柔道振興のために優勝カップを寄贈されたことから伊藤徳治杯の大会が開始された。こうした先人からの伝統を受け継ぎ,女子柔道の普及など競技人口の確保も図り,少年柔道の振興につなげていきたいと考える。」との記載があり,同報告書で調査の目的として掲げられているスポーツ振興に関する施策検討の参考になる事項についての調査が実施されたといえ,県政との関連性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号74の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
イ 支出番号75
被告の提出した報告書(乙75),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月4日,自宅から自家用車を利用して山形県県議会執務室に行き,12月県議会における一般質問に関連する事項である庄内砂丘地の湛水対策,東日本大震災によって山形県に生じた災害対応の問題点,発達障害者の就職支援等について,山形県の担当職員らから課題事項を聴取して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,議員としての当然の活動であって政務調査活動には当たらないと主張するが,上記調査事項が県政と関連するものであることは明らかであり,県の職員との意見交換のために,県議会執務室に赴く必要性がないとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認され,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記調査のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
そうすると,支出番号75の支出のうち,その2分の1である4107円を超えて政務調査費から支出することは許されない
ウ 支出番号76
被告の提出した報告書(乙76の1ないし76の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月15日,①自宅から自家用車を利用して東田川郡庄内たがわ農業協同組合新余目基幹支所に行き,国営最上川下流沿岸農業水利事業完工式に出席し,同完工式において祝辞を述べた上,農林水産省東北農政局長や酒田市長と懇談し,②そこから自家用車を利用して後援会事務所に行き,国道344号線の改修工事について,一般国道344号安田バイパスを実現する会の会長らからの同改修工事に関する要望状況などを聴取して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,式典に参列し,陳情を受け付けたにすぎないものであると主張し,被告は,B議員が農業振興や道路整備に関する政策検討のために水利事業の意義や道路改修工事の実情について調査したものであると主張する。
上記①の完工式への参加について,被告の提出した上記報告書には,水利事業の施工面積や総工費,事業の経緯等が記載されていることが認められるが,これは上記式典において披露された情報を記載したにすぎないものと推認され得るものであり,B議員が,上記式典に出席することにより,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したとはうかがわれない。そして,上記のような記念式典は,一般的に儀礼的なものであって意見交換を伴わないものであり,農林水産省東北農政局長や酒田市長との懇談も儀礼の範囲を超えるものとはいえず,B議員が上記式典への出席に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
以上によれば,B議員が上記完工式に出席した際に政務調査を実施したとはいえず,その移動のための経費として740円(自宅から東田川郡庄内たがわ農業協同組合新余目基幹支所までの自家用車による移動距離20km×37円)を政務調査費から支出することは許されない。
次に上記②の調査事項は,道路整備の在り方に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認され,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記事務所への交通費は,1110円(①の東田川郡庄内たがわ農業協同組合新余目基幹支所から後援会事務所までの自家用車による移動距離20km及び後援会事務所から自宅までの自家用車による10kmの合計30km×37円)の2分の1である555円を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
したがって,支出番号76の支出1850円のうち1295円は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(555円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号77
被告の提出した報告書(乙77),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月17日,自宅から自家用車を利用して後援会事務所に寄った後,県議会執務室に行き,エネルギー対策や危機管理対策について,担当者と意見交換を行い,自家用車を利用して後援会事務所に寄った後,自宅に戻ったと認められる。
原告らは,議員としての当然の活動であり,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記調査事項は,東日本大震災と原発事故に遭遇して判明した課題に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,県の職員との意見交換のために,県議会執務室に赴く必要性がないとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認され,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,後援会事務所から県議会執務室への移動のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
次に自宅と後援会事務所との間の移動については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,自宅と事務所との間の上記交通費については,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認されるところ,被告の提出した上記報告書及び本件陳述書では,県の担当者との上記意見交換に関する資料の準備,整理のために後援会事務所に立ち寄ったとされており,同日に実施した意見交換のための資料を準備し整理することは自然であるといえるものの,上記のとおり県議会議員執務室での活動についても,その全てが調査研究活動であったとはいえない以上,その前後の自宅と後援会事務所との間の移動のための交通費も,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
そうすると,支出番号77の支出のうち,その2分の1である4995円を超えて政務調査費から支出することは許されない
オ 支出番号78
被告の提出した報告書(乙78),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月18日,自宅から自家用車を利用してホテルリッチ&ガーデン酒田に行き,酒田商工会議所の平成23年度「会員のつどい」に出席し,同商工会議所の会頭や酒田市長と懇談し,意見交換して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,意見交換を伴わない会合への私的な参加であると主張するが,被告の提出した上記報告書及び弁論の全趣旨によれば,同商工会議所は,明治30年4月に創設され,地域総合経済団体として社会の生成,発展並びに地域商工業の振興に取り組んでいることが認められ,そのような団体が主催する会合においては,地域経済に関する様々な情報が交換され得るものであり,一般的に意見交換を伴わないとはいえず,その情報は県政との関連性を有するとうかがわれるものである。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号78の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
カ 支出番号79
被告の提出した報告書(乙79),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月20日,自宅から自家用車を利用して遊佐町富岡にある同町の町議会副議長の自宅に行き,国道345号富岡地内の街灯の移設箇所に関する要望を確認し,その後現地を確認して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告は,陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が街灯の移設について現地調査をしたものであると主張する。
被告の提出した上記報告書及び本件陳述書によれば,B議員は,山形県庄内総合支庁道路維持課の担当者に対応を求める前提として上記活動をし,担当者に確認を求めたというのであり,単に陳情を受け付けたにすぎないといえるから,これをもって県政に関する調査をしたとはいえない。
そうすると,支出番号79の支出2590円(自宅から遊佐町富岡にある同町の町議会副議長の自宅までの自家用車による往復の移動距離70km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
キ 支出番号80
被告の提出した報告書(乙80),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月21日,①自宅から自家用車を利用して山形県庄内総合支庁に行き,同支庁道路計画課の担当者から防雪柵の設置工事の状況について説明を受けてから,②自家用車を利用して国道345号,同344号及び同112号の一部について遊佐町吹浦を経由して現地調査を行って,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,現地調査の必要性がないものであり,陳情活動にすぎないと主張するが,上記調査事項は,道路整備に関するものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,既に説示したとおり,現地調査の必要性がないということもできない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号80の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ク 支出番号81
被告の提出した報告書(乙81),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月22日,支出番号80に係る活動と同様に,防雪柵の設置工事の状況について,自宅から自家用車を利用して,国道344号,同112号及び同345号の一部について,鶴岡市朝日及び同市温海を経由して現地調査を行って,自宅に戻ったと認められる。
原告らは,現地調査の必要性がないものであり,陳情活動にすぎないと主張するが,上記キと同様に,上記調査事項は,道路整備に関するものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,現地調査の必要性がないということもできない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号81の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ケ 支出番号82
被告の提出した報告書(乙82),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月23日,自宅から自家用車を利用して最上川河川敷(最上橋下)に行き,酒田市〈以下省略〉の住民が国土交通省から借り受けていた約10haの土地の場所を確認し,同住民から,最近,国土交通省から返却を求められているなどと相談を受け,後日,国土交通省酒田河川国道事務所に要望することとして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が住民の具体的な要望の内容について調査したものであると主張する。
上記認定によれば,B議員は,特定の住民の借地解消問題について国土交通省酒田河川国道事務所に対応を求める前提として上記活動をしたと認められ,これは単なる陳情の受付にすぎないといわざるを得ず,この際に県政に関する調査をしたとはいえない。
そうすると,支出番号82の支出1665円(自宅から最上川河川敷(最上橋下)までの自家用車による往復の移動距離45km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
コ 支出番号83
被告の提出した報告書(乙83),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月25日,自宅から自家用車を利用して酒田市〈以下省略〉の澤照神社に行き,その境内において,地元住民の立会いのもとで土砂崩れの箇所を調査し,山形県庄内総合支庁に対応を求めることとして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が土砂崩れの調査をしたものであると主張する。
上記認定によれば,B議員は,上記神社の近隣住民の要望を受けて,県に対応を求める前提として上記調査を行ったと認められ,これは単なる陳情の受付にすぎないといわざるを得ず,この際に県政に関する調査をしたということはできない。
そうすると,支出番号83の支出1480円(自宅から酒田市〈以下省略〉の澤照神社までの自家用車による往復の移動距離40km×37円)は,本件使途基準に反した違法な支出である。
サ 支出番号84
被告の提出した報告書(乙84),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月26日,①自宅から自家用車を利用して酒田市立酒田中央高等学校に行き,同校の閉校式に出席し,②そこから自家用車を利用して株式会社山長に行き,鳥海山麓の岩石採掘問題について,同社の社長と面談し,景観保全上問題となっている鳥海山麓の岩石採取の状況等について意見交換し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,上記①は閉校式への私的な参加にすぎず,上記②は陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が学校の統合や景観保全について調査したものであると主張する。
上記①の閉校式への参加について,被告の提出した上記報告書には,学校の統合に基づく閉校式において,参加者の思い出を交えた話があり,統合後の校舎の建築工事が進んでいた旨の記載があることが認められるが,この内容に県政に反映されるべき情報があるとはいえず,B議員が,上記式典に出席することにより,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したとはうかがわれない。そして,上記のような式典は,一般的に儀礼的なものであって意見交換を伴わないものであり,B議員が上記式典への出席に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
したがって,その出席のための交通費(出席後の移動分も含む。)として政務調査費を支出することは許されない。
次に上記②の鳥海山麓における岩石採掘問題については,景観保全に係る施策に資するものであって県政との関連性がないとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号84の支出2960円のうち1550円(自宅から酒田市立酒田中央高等学校までの自家用車による移動距離15.2km及び同校から株式会社山長までの自家用車による移動距離26.7kmの合計41.9km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(1410円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
シ 支出番号85
被告の提出した報告書(乙85の1,85の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月27日,①自宅から白家用車を利用して酒田市総合文化センターに行き,酒田市PTA連合会の研修会に出席し,②そこから自家用車を利用して鶴岡市出羽庄内国際ホールに行き,平成23年度鶴岡いきいきまちづくり事業の助成を受けて松ヶ岡地域振興会議が開催した「岬龍一郎講演会」(標題「日本人の品格 新渡戸稲造の『武士道』に学ぶ」)を聴講して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,研修会や講演会に参加したにすぎず,政務調査活動ではないと主張するが,上記の研修会及び講演会は,PTA活動などの教育施策や,地域のまちづくりに係る施策に関わるものといえ,県政との関連性がないとはいえず,また,これらを聴講するための費用は,本件使途基準が定める研修費に該当するともいえる。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号85の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ス 支出番号86
被告の提出した報告書(乙86の1,86の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月28日から同月29日にかけて,①自宅から自家用車を利用して秋田県産業技術センターに行き,同センターの担当者から最近の航空機産業の実情と秋田県における取組みについて説明を受けると共に,実態の調査を実施し,②そこから自家用車を利用して山形県内の航空機関連業者である株式会社三栄機械に行き,③さらに松岡株式会社に行って,上記各社の製造現場を視察し,業況について調査して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,民間企業の要望に基づく陳情活動であると主張するが,上記各調査事項は,産業の振興に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号86の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
セ 支出番号87
被告の提出した報告書(乙87),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月30日,自宅から自家用車を利用して山形県議会執務室に行き,同月8日の一般質問の内容(TPP参加の問題点,豪雨に伴う被害対策及びナラ枯れ対策)について山形県の関係部署の担当者と意見交換して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,議員としての当然の活動であり,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記の意見交換事項は,地域産業の振興や災害対策と関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,県の職員との意見交換のために,県議会執務室に赴く必要性がないとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認され,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記意見交換のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
したがって,支出番号87の支出のうち,その2分の1である4440円を超えて政務調査費から支出することは許されない。
(8)  平成23年12月10日から同月24日までの支出
ア 支出番号88
被告の提出した報告書(乙88),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成23年12月10日,自宅から自家用車を利用して酒田産業会館に行き,I後援会総会「合同懇談会」に出席して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政党活動であると主張し,被告は,B議員が政策検討の参考とするために参加したものであると主張する。
上記後援会総会に参加する交通費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「他の議員の後援会や祝賀会に出席する経費」に当たるといえる。
そうすると,支出番号88の支出740円(自宅から酒田産業会館まで自家用車による往復の移動距離20km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
イ 支出番号89
被告の提出した報告書(乙89の1,89の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月22日,自宅から自家用車を利用して宮城県仙台市都市整備局に行き,同整備局都市開発部都市開発課の担当者に面会し,仙台市の都市再開発の状況,東日本大震災の影響及び海岸部における津波被害対策について調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,資料がないことを理由としてB議員が上記調査をしたとはいえないと主張するが,資料の有無については既に説示したとおりであり,また,上記調査事項は,都市開発や防災対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号89の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号90
被告の提出した報告書(乙90の1,90の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月24日,①自宅から自家用車を利用して菊勇株式会社に行き,同社代表取締役社長に対し,酒造業を営む同社の東日本大震災後の動向と今後の事業計画について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して庄司建設工業株式会社に行き,同社社長に対し,建設業を営む同社の平成23年度の動向等について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張するが,上記各調査事項は,地元産業の振興に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号90の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(9)  平成24年1月4日から同月31日までの支出
ア 支出番号91
被告の提出した報告書(乙91の1,91の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成24年1月4日,自宅から自家用車を利用して山容病院に行き,同病院理事長らから,新しく建設する計画の病院に関する相談を受けて,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張し,被告は,B議員が病院の建設計画について調査したと主張する。
被告の提出した報告書(乙91の1)及び本件陳述書には,入院者の増加傾向に基づき病床数について県の関係部局との調整を要するとの記載があることが認められるが,これは山容病院の病床数に関する調整にすぎず,同病院の経営に関わる陳情を受け付けたものといわざるを得ない。そして,上記報告書には,これ以外に県政に関する調査を実施した旨の記載はなく,B議員が県政に関連する調査を実施したとはいえない。
したがって,支出番号91の支出925円(自宅から山容病院までの自家用車による往復の移動距離25km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
イ 支出番号92
被告の提出した報告書(乙91の2,92),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月5日,①自宅から自家用車を利用してD県議会議員の事務所に行き,同議員から,冠水被害への対策の検討状況について聴取し,②そこから自家用車を利用して山形県庄内総合支庁に行き,同支庁建設部の担当者に対し,現在の砂丘地の排水方法について聞き取り調査をし,③そこから自家用車を利用して社会福祉法人月光園に行き,同施設職員に対し,吹浦小学校の跡地への老人ホームの建設予定について聞き取り調査をし,④そこから自家用車を利用して特別養護老人ホーム芙蓉荘に行き,同施設職員に対し,建設中の新施設について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,上記①は議員としての当然の活動であり,上記②は調査の内容が不明であり,上記③及び④については陳情に係る調査にすぎないと主張し,被告は,B議員が冠水被害対策や高齢者施策について調査したものであると主張する。
上記①の意見交換は,議員の本来の職責である政策の立案や検討そのものであり,その前提となる事項について何らかの調査をしたものとは評価することができないから,これに要した経費に政務調査費を支出することは許されない。そうすると,①に係る交通費について政務調査費を支出することは認められない。
上記②の調査事項は,災害対策と関わるものであり,また,上記③及び④の調査事項は,高齢者に対する施策に関わるものであって,いずれも県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号92の支出3885円のうち733円(自宅からD議員の事務所までの自家用車による移動距離19.8km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(3152円)は本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号93
被告の提出した報告書(乙93),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月6日,①自宅から自家用車を利用してB議員と同じ庄内地域から選出されていた山形県議会議員であるJの自宅に行き,同議員と東北公益文化大学の現状と運営について意見交換をし,②そこから自家用車を利用して酒田共同火力発電株式会社に行き,同社管理部長らに対し,発電所の現状,今後のエネルギー政策,PCBの処理等について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,上記①は議員としての当然の活動であり,上記②は調査の内容が不明であると主張し,被告は,B議員が地域の高等教育に係る施策やエネルギー政策について調査したものであると主張する。
上記①の意見交換は,議員の本来の職責である政策の立案や検討そのものであり,その前提となる事項について何らかの調査をしたものとは評価することができないから,これに要した経費に政務調査費を支出することは許されない。そうすると,①に係る交通費について政務調査費を支出することは認められない。
上記②の調査事項は,東日本大震災や原発事故後の地域のエネルギー供給に関わるものであって県政との関連性がうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号93の支出2812円のうち2220円(自宅からJ議員の自宅までの自家用車による移動距離及び同所から酒田共同火力発電株式会社までの自家用車による移動距離計60km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(592円)は本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号94
被告の提出した報告書(乙94),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月7日,自宅から自家用車を利用して株式会社みなとに行き,同社の代表取締役社長らに対し,東日本大震災後の土木建設業の事業の動向や津波に対する庄内海岸の漁港,港湾の状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,具体的な調査内容や現地調査の必要性が不明であると主張するが,上記調査事項は,産業の振興や災害対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,現地に赴く必要性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号94の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
オ 支出番号95
被告の提出した報告書(乙95の1ないし95の4),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月8日,自宅から自家用車を利用して酒田市民会館に行き,酒田市が主催する平成24年酒田市成人式に出席して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,成人式に参加したにすぎないと主張し,被告は,B議員が若者の定住対策や少子化対策の参考とするために新成人の考え方などを調査したものであると主張する。
被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「実行委員の新成人は『私たち若い力で古里酒田から東北,日本を盛り上げていく』と決意を語った。酒田市の新成人の人数は1257人でうち971人が出席。少子化の中で新成人も年々少なくなっている。地域の活力は若者からであり早期に少子化にブレーキをかけるべきと感じた。」との記載があることが認められるが,成人式に出席した感想を述べるにすぎないものといえ,B議員が,上記成人式に出席することにより,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したとはうかがわれない。そして,上記のような式典は,一般的に儀礼的なものであって意見交換を伴わないものであり,B議員が上記式典への出席に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
したがって,支出番号95の支出740円(自宅から酒田市民会館までの自家用車による往復の移動距離20km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出である。
カ 支出番号96
被告の提出した報告書(乙96の1,96の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月9日,①自宅から自家用車を利用して道の駅あつみ「しゃりん」に行き,同施設職員に対し,東日本大震災以後の動向や年末年始の状況について聞き取り調査をすると共に,同施設内を視察し,②そこから自家用車を利用して道の駅鳥海ふらっとに行き,同施設の職員から,東日本大震災以後の動向や集客状況などについて聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,私的に道の駅に立ち寄ったものであると主張するが,上記各調査事項は,いずれも観光関連産業の振興に関わるものであって,県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号96の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
キ 支出番号97
被告の提出した報告書(乙96の2,97),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月10日,自宅から自家用車を利用して鶴岡市役所に行き,同市役所建設部都市計画課の担当者に対し,鶴岡市の合併後の都市計画について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査に値しないものであると主張するが,上記調査事項は,都市計画に基づく施策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号97の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ク 支出番号98
被告の提出した報告書(乙98),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月11日,自宅から自家用車を利用して山形県港湾事務所に行き,同事務所所長に対し,新年度に計画される港湾関係の事業について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,具体的な調査内容や現地調査の必要性が不明であると主張するが,上記調査事項は,港湾の整備や物流に関する施策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,現地に赴く必要性がないともいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号98の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ケ 支出番号99
被告の提出した報告書(乙99の1ないし99の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月12日,①自宅から自家用車を利用して山形県漁業協同組合念珠関支所に行き,同支所職員に対し,寒だら漁の業況について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して社会福祉法人あつみ福祉会特別養護老人ホーム温寿荘に行き,同施設職員に対し,最近の入居状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査に値しないものであると主張するが,上記各調査事項は,漁業の振興や高齢者対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号99の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
コ 支出番号100
被告の提出した報告書(乙100),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月13日,①自宅から自家用車を利用して山形県庄内総合支庁に行き,同支庁建設部河川砂防課の担当者に対し,山形県が伐採した河川支障木の放射能汚染を理由とする払下げ停止について聞き取り調査をすると共に,同支庁産業経済部農村計画課の担当者に対し,大雨に伴う冠水被害の対策について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して後援会事務所に行き,電子関連企業である八幡電子工業株式会社の社長に対し,現在の取引状況等について聞き取り調査をしたと認められる。
原告らは,具体的な調査内容が不明であり,陳情活動にすぎないものであると主張するが,上記①の調査事項は,原発事故による放射能汚染や災害に対する施策に関わるものであり,また,上記②の調査事項は,産業の振興に関わるものであって,いずれも県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,上記②については,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる後援会事務所においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,山形県庄内総合支庁から後援会事務所までの交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記事務所への交通費は,278円(②の山形県庄内総合支庁から後援会事務所までの自家用車による移動距離15km×37円の2分の1)を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
以上によれば,支出番号100の支出925円のうち,277円(555円-278円)は,本件使途基準に反した違法な支出であり,その余(648円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
サ 支出番号101
被告の提出した報告書(乙101の1,101の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月16日,自宅から自家用車を利用して山形県議会に行き,①商工観光部産業政策課の担当者に対し,平成23年末から平成24年初めの山形県経済の動向について聞き取り調査をし,②隣接する社団法人全日本不動産協会山形県本部において,同本部事務局の担当者に対し,最近の不動産業の動向について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記の各調査事項は,産業の振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員が山形県議会に行った場合,併せて執務室にも立ち寄ることが多いと推認され,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。そうすると,B議員は,上記①及び②の調査と併せて議員執務室に立ち寄り,調査研究活動以外の活動を行ったと推認されるところ,この推認を覆すに足りる立証はない。したがって,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記交通費については,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
そうすると,支出番号101の支出のうち,その2分の1である4255円を超えて政務調査費から支出することは許されないが,その余は本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
シ 支出番号102
被告の提出した報告書(乙102),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月17日,自宅から自家用車を利用して出羽測量設計株式会社に行き,日本海沿岸東北自動車道ミッシングリンクの計画区間への格上げ,酒田駅西口東口地下道整備計画,国道344号及び国道112号のバイパス整備の可能性,酒田市相生町道路拡幅等について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張するが,上記調査事項は,建設業の業況に関わるもので産業の振興に結び付くものであって,県政との関連性があるとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号102の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ス 支出番号103
被告の提出した報告書(乙103),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月21日,自宅から自家用車を利用して四ツ興野自治会館に行き,酒田市四ツ興野老人クラブの懇談会に出席し,最近の県政と酒田の状況について,1時間程度の講話を行い,出席者30名と意見交換を行って,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,講話を行ったにすぎず,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,高齢者との意見交換は,高齢者に係る施策に資するものであって県政との関連性があるものであり,また,上記懇談会に出席するための経費は,議員が地域住民の県政に関する要望,意見等を吸収するために行う各種会議に要する経費として,本件使途基準が定める会議費に該当するともいえる。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号103の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
セ 支出番号104
被告の提出した報告書(乙104の1ないし104の5),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月22日,①自宅から自家用車を利用して中合清水屋店前に行き,総勢660名が参加した平成24年酒田市消防出初式に出席し,観閲行進,はしご乗りなどのアトラクション,分列行進等を視察し,②そこから自家用車を利用してパレス舞鶴に行き,遊佐町に所在する個人経営の建築工務店により構成される組合である酒田飽海建設総合組合遊佐連合支部が開催した第57回酒田飽海建設総合組合遊佐連合支部通常総会に出席し,総会後に開催された懇親会において,組合員と景気,課題,今後の動向等について意見交換をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,意見交換を伴わない会合等への参加にすぎず,懇親会の参加に自家用車を利用するのは疑わしいと主張し,被告は,B議員が消防組織の状況を確認し建設業の業況を調査したものであると主張する。
上記①の出初式への参加について,被告の提出した上記報告書には,上記のとおりの行事を参観して消防組織の士気の高さを確認した旨の記載があることが認められるが,出初式の感想を述べるものにすぎない上,この内容に県政に反映されるべき情報があるとはいえず,B議員が,上記出初式に出席することにより,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したとはうかがわれない。そして,出初式は,一般的に意見交換を伴わないものであり,B議員が参観に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
したがって,その出席のための交通費として政務調査費を支出することは許されない。
次に上記②の懇親会での意見交換事項は,産業の振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。なお,懇親会に出席したからといって自家用車を利用することがないとはいえない。
以上によると,支出番号104の支出2627円のうち1406円(自宅から上記出初式会場までの自家用車による移動距離12km及び同会場からパレス舞鶴までの自家用車による移動距離26kmの合計38km×37円)の支出は,本件使途基準に反した違法な支出であり,その余(1221円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ソ 支出番号105
被告の提出した報告書(乙105),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月23日,自宅から自家用車を利用して山形県置賜総合支庁に行き,同支庁河川砂防課の担当者に対し,河川支障木の無償払下げの状況及び対策並びに集中豪雨における対策について聞き取り調査をし,資料を収集して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,置賜総合支庁まで赴く必要はないと主張するが,上記調査事項は,災害対策等に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,同支庁の担当者と面談して意見交換する必要がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号105の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
タ 支出番号106
被告の提出した報告書(乙106),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月24日,自宅から自家用車を利用して鶴岡市〈以下省略〉にある「愉快亭みやじま」に行き,第17回庄果同好会新春研修懇話会に出席して青果市場の景況,課題,今後の動向等について意見交換し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記の意見交換は,農業の振興等に関わるものであって県政との間に関連性がないとはいえないものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号106の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
チ 支出番号107
被告の提出した報告書(乙107),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月26日,①自宅から自家用車を利用して村山総合支庁西庁舎,②同北庁舎及び③最上総合支庁に行き,各建設部の各担当者に対し,放射能汚染が判明した支障木の無償払下げについて聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,村山総合支庁や最上総合支庁まで赴く必要はないと主張するが,上記各調査事項は,原発事故による放射能汚染への対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,上記各支庁の担当者と面談して事情を聴取する必要がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号107の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ツ 支出番号108
被告の提出した報告書(乙108の1ないし108の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月28日,自宅から自家用車を利用して酒田市八幡タウンセンター交流ホールに行き,建設業を営む業者で構成される酒田飽海建設総合組合八幡支部によって開催された第57回総会に出席し,同総会後に開催された懇親会に参加して,同組合員と景況,課題,今後の動向等について意見交換をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,意見交換を伴わない会合への参加であり,懇親会への参加に自家用車を利用するのは疑わしいと主張するが,上記懇親会での意見交換事項は,建設業などの産業振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。なお,懇親会に出席したからといって自家用車を利用することがないとはいえない。
そうすると,支出番号108の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ツ 支出番号109
被告の提出した報告書(乙109),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月30日,①自宅から自家用車を利用して山形県庄内総合支庁に行き,同支庁建設部道路計画課の担当者に対し,消雪や融雪の設備対策について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して株式会社三洋に行き,積雪時の農業用ハウスの現状の聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査目的であるとは評価することができないものか,陳情活動であると主張するが,上記の各調査事項は,積雪による支障への対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,同支庁の担当者と面談して意見交換する必要がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号109の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
テ 支出番号110
被告の提出した報告書(乙110の1ないし110の6),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月31日,自宅から自家用車を利用して山形県庁に行き,山形県県土整備部道路課保全整備室の担当者に対し,山形県道路雪害対策本部の設置状況,融雪道路の状況及び消雪対策について聞き取り調査をし,これらに関する資料を受け取って,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,県庁にまで赴く必要はないと主張するが,上記調査事項は,道路交通に係る雪害対策に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,県庁の担当者と面談して意見交換する必要がないともいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,山形県議会は,山形県庁に隣接して所在しており,議員が山形県庁に行った場合,併せて山形県議会における執務室にも立ち寄ることが多いと推認され,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認される。以上によれば,B議員は,上記調査と併せて議員執務室に立ち寄り,調査研究活動以外の活動を行ったと推認されるところ,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記調査のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
そうすると,支出番号110の支出のうち,その2分の1である4107円を超えて政務調査費から支出することは許されない。
(10)  平成24年2月1日から同月11日までの支出
ア 支出番号111
被告の提出した報告書(乙111),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成24年2月1日,自宅から自家用車を利用してベルナール酒田に行き,建築業を営む大工が構成する組合である酒田飽海建設総合組合酒田大工支部連合会が主催した総会及び懇親会に参加し,景況,課題,今後の動向等について意見交換して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,意見交換を伴わない会合への参加にすぎないと主張するが,上記の意見交換の内容は,建設業などの産業の振興に関わるものであって県政との関連性を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号111の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
イ 支出番号112
被告の提出した報告書(乙112),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月2日,自宅から自家用車を利用して山形県総合運動公園に行き,陸上自衛隊第6師団が主催する剣道大会を視察し,銃剣道の普及状況について調査すると共に,同第6師団の団長らから,東日本大震災における自衛隊の活動について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,銃剣道大会に私的に参加したものにすぎないと主張するが,上記大会の観戦自体は直ちに県政との関連性を認めることができるものではないものの,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「(略)銃剣道の最近の普及状況について意見交換を行ったところ,自衛隊OBが銃剣道の指導者となっているところが多く,中学校でも活動を行っているところがあるようであった。」などの記載があることが認められ,同報告書で調査の目的として掲げられている学校教育の体育科目(武道の必修化)に関する施策検討に参考となる事項についての調査が実施されたといえるほか,東日本大震災における自衛隊の活動についての調査も実施されているから,県政との関連性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号112の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号113
被告の提出した報告書(乙113),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月3日,自宅から自家用車を利用して三川町,酒田市内及び八幡地区に行き,袖浦農業協同組合の理事らと共に農業用育苗ハウス等の豪雪による倒壊状況について現地調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情活動であると主張するが,上記調査事項は,積雪時の農業設備の状況を確認して農業政策に反映され得るものであって,県政との関連を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号113の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号114
被告の提出した報告書(乙114の1ないし114の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月4日,自宅から自家用車を利用して酒田市武道館に行き,酒田地区柔道連盟会長杯柔道大会を視察して柔道指導者らと意見交換をし,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,柔道大会への私的な参加にすぎないと主張するが,上記大会の観戦自体は直ちに県政との関連性を認めることができるものではないものの,被告の提出した上記報告書には,調査の成果等として「酒田地区柔道連盟は酒田市,及び遊佐町の柔道連盟である。会長杯柔道大会は,近隣の市町村はもちろんのこと,隣県(新潟県,秋田県)の中学校からの参加者も多い大会である。この時期の大会としては,中学校の大会はOFFシーズンでもあり,昨年の秋の新人戦以来となる大会でもある。また,春の県大会予選大会の前の大会でもあり,大変興味のある大会である。(中略)庄内は内陸に比べて競技力のレベルが低く,柔道部がある学校や部員の数も減少傾向にあるので,普及活動に力を入れて管内の中学校全部に柔道部ができるようにしたい等の意見があった。」などの記載があり,同報告書で調査の目的として掲げられている学校教育の体育科目(武道の必修化)に関する施策検討の参考になる事項についての調査が実施されたといえ,県政との関連性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号114の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
オ 支出番号115
被告の提出した報告書(乙115),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月6日,自宅から自家用車を利用して山形県議会執務室に行き,山形県農林水産部の担当者らに対し,風力発電に対する支援方法について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記調査事項は,原発事故後の再生エネルギー活用政策に関わるものであって県政との関連を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認され,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記調査のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
したがって,支出番号115の支出のうち,その2分の1である4107円を超えて政務調査費から支出することは許されない。
カ 支出番号116
被告の提出した報告書(乙116の1ないし116の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月7日,自宅から自家用車を利用して新庄もがみ農業協同組合東部営農センターに行き,たらの芽栽培者を紹介してもらい,そこから自家用車を利用して同栽培者に会いに行き,ハウス農家が行っている積雪対策等について聞き取り調査をするとともに,実際のハウスの状況を調査して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情活動であると主張するが,上記調査事項は,農業における積雪対策に関わるものであって県政との関連を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号116の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
キ 支出番号117
被告の提出した報告書(乙117),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月9日,自宅から自家用車を利用して山形県議会執務室に行き,山形県商工観光部産業政策課の担当者に対し,2月定例県議会の準備のために,最近の県内の状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,議員としての当然の活動であり,政務調査とは評価することができないと主張するが,上記調査事項は,産業政策に関わるものであって県政との関連を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
しかしながら,議員の活動が極めて広範かつ多岐にわたることに照らすと,その活動の拠点となる議員執務室においては,一般的,外形的には,調査研究活動以外の活動も行われることが推認されるというべきであり,議員執務室への移動のための交通費についても,調査研究活動に係る部分とそれ以外の活動に係る部分があるものと推認され,この推認を覆すに足りる立証はない。そうすると,上記交通費が調査研究活動に使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分を明確に区分し難い場合として,上記調査のための交通費は,その2分の1を超えて政務調査費から支出することは許されないというべきである。
したがって,支出番号117の支出のうち,その2分の1である4107円を超えて政務調査費から支出することは許されない。
ク 支出番号118
被告の提出した報告書(乙118),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月10日,自宅から自家用車を利用して酒田市商工観光部商工港湾課に行き,同課の担当者に対し,2月定例県議会の準備のために,最近の酒田市の経済状況について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,面談のために赴く必要がなく,政務調査目的であるとは評価することができないと主張するが,上記調査事項は,地域産業の経済状況に関わるものであって県政との関連を有するとうかがわれるものであり,酒田市の職員との意見交換のために,同職員の元に赴く必要性がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号118の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ケ 支出番号119
被告の提出した報告書(乙119),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月11日,①自宅から自家用車を利用して酒田市平田町旧阿部家に行き,「小正月」行事(幼稚園児や小学生などの12名の子供達が中心となり,地域に伝わる伝統行事を行い,大人が指導者としてこれに付添うというもの)及び「わら祭り」(年配の人からわら細工を教わったり,完成品の展示や製作実演を見たりするもの)に参加し,②そこから自家用車を利用して下日枝神社齋館に行き,酒田市建国記念の日奉賛会に出席し,国家の在り方について検討する参考とするため,「日本の国が世界の人々と語り合い,大きな幸せと繁栄を築いていくことが出来るよう努力をしていかなければならない。」などという趣旨の講演を聴講して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,伝統行事や同好の士の集会に参加したにすぎないと主張するが,上記①の各行事に参加して実情を調査することは,その内容が伝統行事の体験や伝統工芸品の作成等であることも踏まえると,地域振興に関する施策検討の参考になるものであって県政と関連がないとはいえず,上記②の集会については,国家の在り方が地方公共団体の政策に影響しないとはいえないから,これを検討することは県政と関連がないとはいえない。そして,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号119の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
(11)  平成24年3月19日から同月26日までの支出
ア 支出番号120
被告の提出した報告書(乙120),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,平成24年3月19日,自宅から自家用車を利用して遊佐町役場に行き,同町の町長らに対し,同月22日に同町が開催する「山形県議会議員と語る会」での意見交換の参考にするために,遊佐町の要望事項について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,陳情の受付にすぎないと主張するが,上記調査事項は,市町村行政に関する県の政策と関わるものであって県政との関連がないものとはいえず,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号120の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
イ 支出番号121
被告の提出した報告書(乙121の1ないし121の8),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月22日,①自宅から自家用車を利用して酒田市飯森山新自治会館に行き,同自治会館のお披露目会に参加し,②かんぽの郷酒田において同自治会館の竣工祝賀会に参加して祝辞を述べ,③そこから自家用車を利用してパレス舞鶴に行き,遊佐町が主催する「県議会議員と語る会」に出席して,遊佐町及び各種団体が置かれている状況,課題や今後の動向について意見交換し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,上記①及び②は祝賀会に参加したにすぎず,上記③は議員としての当然の活動にすぎないと主張し,被告は,B議員が自治会運営の状況や遊佐町における地域の課題を調査したものであると主張する。
上記①及び②の自治会館のお披露目会や竣工祝賀会への参加について,被告の提出した上記報告書には,自治会運営の状況を把握するため,自治会長や市議会議員などと新自治会館建設に至る苦労話や経費等について意見交換をした旨の記載があることが認められるが,これによれば,B議員が,祝賀会での儀礼的な応接を超えて,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したことをうかがうことはできないといわざるを得ない。そして,上記のような祝賀会は,一般的に意見交換を伴わないものであり,B議員が参加の機会に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
したがって,その出席のための交通費として政務調査費を支出することは許されない。
上記③の「県議会議員と語る会」での意見交換については,地域の様々な課題に係る施策の検討に資するものであって県政と関連を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
したがって,支出番号121の支出2627円のうち,1332円(自宅から上記①の酒田市飯森山新自治会館までの自家用車による移動距離3km,同所から上記②のかんぽの郷酒田までの自家用車による移動距離3km及び同所から上記③のパレス舞鶴までの自家用車による移動距離30kmの合計36km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(1295円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
ウ 支出番号122
被告の提出した報告書(乙122の1ないし122の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月23日,①自宅から自家用車を利用して株式会社上林鉄工所に行き,前日に開催された「国際資源循環シンポジウム」に出席した同社の代表取締役に対し,同シンポジウムの内容について聞き取り調査をし,②そこから自家用車を利用して株式会社ムラヤマに行き,同社の工場長に対し,東日本大震災から1年が経過した時点における同社の事業への影響について聞き取り調査をし,③そこから自家用車を利用して障害者支援施設である山形県立吹浦荘に行き,同施設の施設長らに対し,同施設の状況等について聞き取り調査をして,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,上記①及び②について陳情活動にすぎず,上記③については政務調査に値しないものであると主張し,被告は,B議員が地元企業の振興や福祉施設の運営についての施策を検討するために調査したものであると主張する。
上記①の調査事項は,前日に開催された「国際資源循環シンポジウム」の内容の聞き取り調査であるとされているが,同シンポジウムの内容を上記鉄工所の代表取締役から聴取するというのはいささか不自然であり,わざわざ上記鉄工所に行かなければ確認できない内容ではないといえ,また,B議員が同社への訪問に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。そうすると,これについて政務調査であったと認めることはできず,その訪問のための交通費として政務調査費を支出することは許されない。
上記②の調査事項は,地元産業の振興に関わるものであり,上記③の調査事項は,障害者に対する福祉政策に関わるものであって,いずれも県政との関連を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号122の支出2072円のうち,707円(自宅から①の株式会社上林鉄鋼所までの自家用車による移動距離15.9km及び同所から株式会社ムラヤマまでの自家用車による移動距離3.2kmの合計19.1km×37円)は,本件使途基準に合致しない違法な支出であり,その余(1395円)は,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
エ 支出番号123
被告の提出した報告書(乙123の1,123の2),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月24日,自宅から自家用車を利用して鶴岡市温海ふれあいセンター及び日本海沿岸東北自動車道あつみ温泉インターチェンジ付近に行き,日本海沿岸東北自動車道(温海~鶴岡)の開通式に参加し,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,単に道路開通式に出席したにすぎないと主張し,被告は,B議員が道路整備に係る施策の参考とするために現地調査及び関係者との意見交換を行ったものであると主張する。
上記の道路開通式への参加について,被告の提出した上記報告書には,県知事や議長その他の多数の出席者らから,高速道路建設の重要性,完成に至るまでの苦労,完成後の経済,医療,行政,災害対策の重要性について聞き取り調査をした旨の記載があることが認められるが,その内容は抽象的で苦労話を聞き取ったなどというものにすぎず,B議員が,開通式での儀礼的な応接を超えて,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したことをうかがうことはできないといわざるを得ない。そして,上記のような式典は,一般的に意見交換を伴わないものであり,B議員が参加の機会に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
したがって,その出席のための交通費として政務調査費を支出することは許されない。
したがって,支出番号123の支出3515円(自宅から鶴岡市温海ふれあいセンターまでの自家用車による移動距離49km,同所から日本海沿岸東北自動車道あつみ温泉ICまでの自家用車による移動距離3km及び同所から自宅までの43kmの合計95km×37円)は,本件使途基準に反した違法な支出である。
オ 支出番号124
被告の提出した報告書(乙124の1ないし124の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月25日,自宅から自家用車を利用して酒田市立第二中学校に行き,同中学校閉校式に参加して,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,単に閉校式に出席したにすぎないと主張し,被告は,B議員が閉校に至る経過と原因等について調査したものであると主張する。
上記の閉校式への参加について,被告の提出した上記報告書には,同校の歴史のほか,少子化による生徒数の減少が顕著であり,中学校の統合に至ったとする記載があることが認められるが,その内容は上記の閉校式で披露されたものと推認され,B議員が,具体的に県政に反映され得る資料や情報を収集したことをうかがうことはできないといわざるを得ない。そして,上記のような式典は,一般的に儀礼的なものであって意見交換を伴わないものであり,その他,B議員が参加の機会に併せて県政に関連する調査を実施したことをうかがわせる客観的な証拠はない。
そうすると,上記式典に参加した経費は,本件手引が「政務調査費を充当するのに適さない経費等」として示すもののうち「政務調査費を充当するのに適さない会費等」として掲げる「意見交換を伴わない会合等の参加費(交通費を含む)」に当たるというべきである。
したがって,その出席のための交通費として政務調査費を支出することは許されない。
以上によれば,支出番号124の支出777円(自宅から酒田市立第二中学校までの自家用車による往復の移動距離21km×37円)は,本件使途基準に反した違法な支出である。
カ 支出番号125
被告の提出した報告書(乙125の1ないし125の3),本件陳述書及び弁論の全趣旨によれば,B議員は,同月26日,自宅から自家用車を利用して山形県高度技術研究開発センターに行き,「TPP協定に関する説明会」に参加し,内閣官房内閣総務官室の担当者からTPP協定の内容などについて説明を受け,自家用車を利用して自宅に戻ったと認められる。
原告らは,一般向けの説明会に参加したにすぎないと主張するが,上記説明会の内容は,TPP協定が県内の農業その他の産業に与える影響に関わるものであって県政との関連を有するとうかがわれるものであり,他に政務調査活動であるとの評価を阻害すべき事情があることはうかがわれない。
そうすると,支出番号125の支出が,本件使途基準に反した違法な支出であるとはいえない。
4  以上によれば,B議員は,合計11万9096円について,山形県に対して不当利得返還義務を負っているものといえる。
5  地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法240条,同法施行令171条から同条の7までの規定によれば,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり,免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はないと解すべきである(最高裁平成16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁)。
被告は,上記4のとおり,B議員に対する不当利得返還請求権を有しており,これを被告が認識できないような事情など,その権限不行使を正当化し得る事情があるとは認められない。
よって,被告は,上記各不当利得返還請求権の行使を違法に怠っているものというべきであり,B議員に対して,11万9096円の金員の支払を請求する義務があるというべきである。
第4  結論
以上によれば,原告らの請求は,B議員に対する11万9096円の返還請求を被告が怠ることの違法の確認を求めるとともに,同部分の返還を請求するよう被告に求める限度で理由があるから,これらを認容することとし,その余はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
山形地方裁判所民事部
(裁判長裁判官 貝原信之 裁判官 日髙真悟 裁判官 菅原光祥)

 

〈以下省略〉


「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 9月20日  和歌山地裁  平28(行ウ)6号・平28(行ウ)7号 公金(政務調査費)違法支出金返還請求事件
(2)令和元年 9月17日  富山地裁  平31(わ)52号 各詐欺被告事件
(3)令和元年 8月21日  東京高裁  平31(行コ)72号 各不当利得返還請求権等行使請求控訴事件
(4)令和元年 7月18日  宇都宮地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件
(6)令和元年 6月19日  大阪地裁  平29(行ウ)43号 大阪市政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(7)令和元年 5月29日  仙台地裁  平29(行ウ)2号 政務活動費返還履行等請求事件
(8)令和元年 5月16日  東京地裁  平28(行ウ)222号 共同訴訟参加申出事件
(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
(10)平成31年 3月22日  東京地裁  平28(行ウ)322号 政務活動費返還請求事件
(11)平成31年 2月28日  名古屋地裁  平27(行ウ)130号 愛知県議会議員政務活動費住民訴訟事件
(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(13)平成31年 2月19日  奈良地裁  平28(行ウ)21号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件
(15)平成31年 2月15日  佐賀地裁  平29(行ウ)2号 損害賠償等請求事件
(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件
(17)平成30年11月30日  東京地裁  平29(行ウ)193号 損害賠償請求(住民訴訟)事件
(18)平成30年11月29日  広島高裁岡山支部  平30(行コ)8号 不当利得返還請求控訴事件
(19)平成30年11月27日  広島高裁松江支部  平30(行コ)1号・平30(行コ)3号ないし8号 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件
(20)平成30年11月16日  最高裁第二小法廷  平29(行ヒ)404号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(21)平成30年11月15日  宇都宮地裁  平24(行ウ)15号 政務調査費返還履行請求事件
(22)平成30年10月29日  神戸地裁  平30(わ)137号 事件名  詐欺被告事件
(23)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(24)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(25)平成30年 8月 9日  札幌高裁  平29(行コ)8号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(26)平成30年 8月 2日  東京高裁  平27(行コ)256号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(27)平成30年 6月28日  東京地裁  平30(行ウ)23号 情報公開請求却下処分取消請求事件
(28)平成30年 6月26日  仙台地裁  平29(行ウ)7号 非開示処分取消請求事件
(29)平成30年 5月24日  東京高裁 平29(行コ)229号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(30)平成30年 5月24日  富山地裁  平30(わ)35号 詐欺被告事件
(31)平成30年 4月27日  大阪地裁  平27(行ウ)229号 政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(32)平成30年 4月24日  岡山地裁  平28(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(33)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(34)平成30年 4月11日  神戸地裁  平29(行ウ)9号 政務調査費返還請求住民訴訟事件
(35)平成30年 3月16日  鳥取地裁  平26(行ウ)7号 不当利得請求事件
(36)平成30年 2月19日  神戸地裁  平29(わ)824号 被告人3名に対する各詐欺被告事件
(37)平成30年 2月 8日  仙台高裁  平29(行コ)5号・平29(行コ)13号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(38)平成30年 1月31日  岡山地裁  平26(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(39)平成29年11月29日  徳島地裁  平26(行ウ)14号 政務調査費返還請求事件
(40)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成29年11月28日  岡山地裁  平27(行ウ)16号 不当利得返還請求事件
(42)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(43)平成29年10月 4日  最高裁第二小法廷  平29(行フ)2号 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
(44)平成29年 8月30日  さいたま地裁  平27(行ウ)12号 埼玉県議会政務調査費返還事件
(45)平成29年 7月18日  奈良地裁   平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(46)平成29年 7月10日  東京高裁  平28(行コ)325号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求控訴事件
(47)平成29年 6月29日  宇都宮地裁  平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(48)平成29年 6月29日  名古屋地裁  平29(ワ)485号 弁護士費用請求事件
(49)平成29年 5月26日  大阪高裁  平28(行コ)199号 不当利得返還等請求行為・同附帯請求控訴事件
(50)平成29年 5月12日  東京地裁  平28(ワ)24577号 損害賠償請求事件
(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件
(52)平成29年 4月25日  神戸地裁  平26(行ウ)57号 政務調査費等返還請求事件
(53)平成29年 4月21日  仙台高裁  平28(行コ)12号・平28(行コ)20号 山形県議会議員政務調査費返還等請求控訴、同附帯控訴事件
(54)平成29年 4月12日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)13号 政務調査費返還請求控訴事件
(55)平成29年 3月30日  広島高裁岡山支部  平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(56)平成29年 3月29日  広島高裁  平28(行コ)22号 不当利得返還請求住民訴訟控訴事件
(57)平成29年 3月24日  高松高裁  平28(行ス)2号
(58)平成29年 3月16日  札幌地裁  平24(行ウ)6号 政務調査費返還履行請求事件
(59)平成29年 3月14日  東京高裁  平28(行コ)413号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(60)平成29年 3月 1日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)11号 政務調査費返還請求控訴事件
(61)平成29年 2月 1日 仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(62)平成29年 1月31日  仙台地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(63)平成28年12月27日  東京地裁  平26(ワ)1916号 損害賠償請求事件
(64)平成28年12月27日  奈良地裁  平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(65)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ヒ)292号 政務調査費返還履行請求事件
(66)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ツ)253号・平28(行ヒ)291号 政務調査費返還履行請求事件
(67)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷 平27(行ヒ)389号
(68)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷  平28(行ツ)164号・平28(行ヒ)173号
(69)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷 平28(行ツ)163号・平28(行ヒ)172号
(70)平成28年11月29日  甲府地裁  平26(行ウ)4号 政務調査費返還請求事件
(71)平成28年11月10日  広島高裁岡山支部  平27(行コ)11号 不当利得返還請求控訴事件
(72)平成28年10月27日  金沢地裁  平27(行ウ)6号 政務調査費返還請求事件
(73)平成28年10月26日  さいたま地裁  平26(行ウ)62号 損害賠償請求住民訴訟事件
(74)平成28年10月12日  徳島地裁  平28(わ)196号 虚偽有印公文書作成・同行使,詐欺被告事件
(75)平成28年 9月29日  大阪地裁  平26(行ウ)81号・平26(行ウ)116号 平成24年度茨木市議会政務調査費返還請求事件、平成24年度(2月~3月分)茨木市議会政務調査費返還請求事件
(76)平成28年 9月29日  金沢地裁  平27(行ウ)2号 政務調査費返還請求事件
(77)平成28年 9月14日  高松地裁  平28(行ク)1号
(78)平成28年 8月 3日  横浜地裁  平27(行ウ)25号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(79)平成28年 7月 6日  神戸地裁  平27(わ)825号 虚偽有印公文書作成、虚偽有印公文書行使、詐欺被告事件
(80)平成28年 6月28日  最高裁第三小法廷  平25(行ヒ)562号 不当利得返還等請求行為請求事件
(81)平成28年 6月22日  仙台高裁  平27(行コ)2号・平27(行コ)9号 政務調査費返還履行等請求控訴、同附帯控訴事件
(82)平成28年 6月22日  山口地裁  平26(行ウ)7号 不当利得返還請求住民訴訟事件
(83)平成28年 5月17日  山形地裁  平23(行ウ)2号 山形県議会議員政務調査費返還等請求事件
(84)平成28年 4月27日  岡山地裁  平25(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(85)平成28年 4月22日  新潟地裁  平25(行ウ)7号 政務調査費返還履行請求事件
(86)平成28年 4月13日  福井地裁  平25(行ウ)2号 2011年度福井県議会政務調査費人件費等返還請求事件
(87)平成28年 3月22日  札幌高裁  平27(行コ)11号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(88)平成28年 3月22日  東京地裁  平26(行ウ)582号 政務活動費返還請求事件
(89)平成28年 3月11日  東京地裁  平25(行ウ)677号 政務調査研究費返還請求事件
(90)平成27年12月24日  名古屋高裁  平26(行コ)11号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟控訴事件
(91)平成27年12月21日  名古屋高裁金沢支部  平27(行ケ)4号 裁決取消、当選取消請求事件
(92)平成27年10月27日  岡山地裁  平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(93)平成27年 9月17日  東京高裁  平27(行コ)110号 政務調査費返還請求控訴事件
(94)平成27年 6月24日  宇都宮地裁  平22(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(95)平成27年 6月12日  札幌高裁  平26(行コ)12号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(96)平成27年 5月26日  札幌地裁  平21(行ウ)36号 政務調査費返還履行請求事件
(97)平成27年 4月 8日  大阪地裁  平24(行ウ)129号 政務調査費返還請求事件
(98)平成27年 2月26日  東京地裁  平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(99)平成27年 1月13日  長崎地裁  平24(ワ)530号 政務調査費返還請求事件
(100)平成26年12月18日  奈良地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件


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