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「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例(11)平成18年12月 7日  東京高裁  平17(ネ)4922号 損害賠償等請求控訴事件 〔スズキ事件・控訴審〕

「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例(11)平成18年12月 7日  東京高裁  平17(ネ)4922号 損害賠償等請求控訴事件 〔スズキ事件・控訴審〕

裁判年月日  平成18年12月 7日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ネ)4922号
事件名  損害賠償等請求控訴事件 〔スズキ事件・控訴審〕
裁判結果  原判決一部取消  文献番号  2006WLJPCA12076003

要旨
◆日本共産党に入党した労働者らからの、会社の差別的意思や差別的労務政策により賃金などの差別など不利益な取扱いを受けたことを理由とする損害賠償の請求を一部認容した原判決が、会社の考課査定制度は合理的であり、右労働者らに対する具体的考課にも裁量権を濫用したなどの事情は認められないとして覆された事例。〔*〕

裁判経過
第一審 平成17年 9月 5日 静岡地裁浜松支部 判決 平12(ワ)274号・平13(ワ)384号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件 〔スズキ事件・第一審〕

出典
労判 931号83頁
労経速 1961号3頁

評釈
丸尾拓養・労経速 1961号2頁

裁判年月日  平成18年12月 7日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ネ)4922号
事件名  損害賠償等請求控訴事件 〔スズキ事件・控訴審〕
裁判結果  原判決一部取消  文献番号  2006WLJPCA12076003

控訴人・被控訴人(原審第一事件原告) X1(以下「一審原告X1」という)
控訴人・被控訴人(原審第二事件原告) X2(以下「一審原告X2」という)
控訴人・被控訴人(原審第二事件原告) X3(以下「一審原告X3」という)
控訴人・被控訴人(原審第二事件原告) X4(以下「一審原告X4」という)
控訴人(原審第二事件原告) X5(以下「一審原告X5」という)
控訴人・被控訴人(原審第二事件原告) X6(以下「一審原告X6」という)
控訴人・被控訴人(原審第二事件原告) X7(以下「一審原告X7」という)
上記七名訴訟代理人弁護士 田代博之
同 渡邊昭
同 阿部浩基
同 宮崎孝子
同 塩沢忠和
同 中川真
同 藤澤智実
同 小笠原里夏
被控訴人・控訴人(原審第一事件及び第二事件被告) スズキ株式会社(以下「一審被告」という)
同代表者代表取締役 H
同訴訟代理人弁護士 山西克彦
同 伊藤昌毅
同 峰隆之
同 村松良
同 石塚伸
同 縣郁太郎
同 辻慶典
同 平野剛

 

 

主文

一  原判決中一審被告の敗訴部分を取り消す。
二  上記部分に係る一審原告X1、同X2、同X3、同X4、同X6及び同X7の請求をいずれも棄却する。
三  一審原告らの本件控訴をいずれも棄却する。
四  訴訟費用は、第一、二審とも一審原告らの負担とする。

 

 

事実及び理由

第一  控訴の趣旨
1  一審原告ら
(1)  原判決中一審原告らの敗訴部分(一審原告X5については全部)を取り消す。
(2)  一審被告は、一審原告らそれぞれに対し(一審原告X5を除く一審原告らについては、原審認容額と合わせて)、原判決別紙〈1〉の請求債権目録の各人に対応する「請求額」欄記載の各金員及び同別紙〈2〉ないし〈8〉の各一審原告に対応する「遅延損害金」記載の各金員を支払え。
(3)  一審被告は、一審原告らに対し、原判決別紙〈9〉の一の謝罪文目録記載の謝罪文を交付し、かつ、B0判(縦一〇三センチメートル×横一四五・六センチメートル)の白紙に同謝罪文を紙面いっぱいに墨書の上、これを同別紙〈9〉の二の掲示場所目録記載の各場所及び社内インターネットに判決確定日より三〇日間掲示し、判決確定日の直後に発行される一審被告社報「スズキNEWS」に同謝罪文を掲載せよ。
(4)  訴訟費用は、第一、二審とも一審被告の負担とする。
(5)  仮執行宣言
2  一審被告
主文第一項、第二項及び第四項と同旨。
第二  事案の概要
1  一審被告らは、いずれも一審被告(以下「被告会社」ともいう)の従業員又は元従業員である。
被告会社は、大正九年三月一五日、鈴木式織機株式会社として設立され、昭和二九年六月、鈴木自動車工業株式会社と社名変更して自動車企業へと踏み出した自動車等及びその部分品並びに関連する資材・用具の製造、売買、賃貸借及び修理等を目的とする会社であり、平成二年、社名をスズキ株式会社と変更した。
本件は、被告会社に入社後に日本共産党(以下「共産党」ともいう)に入党したとする一審原告らが、一審被告に対し、被告会社は共産党を嫌い、反共差別意思ないし反共労務政策に基づき、一審原告らに対して賃金等の差別及びその他の不利益な取扱いをしたと主張して、ア 不法行為に基づく損害賠償請求として、(ア) 一審原告X1については提訴時の三年前である平成九年七月から平成一六年八月まで、(イ) 一審原告X3については提訴時の三年前である平成一〇年一〇月から同一審原告の退職時である平成一二年一二月まで、(ウ)一審原告X2、同X4、同X5及び同X6についてはいずれも提訴時の三年前である平成一〇年一〇月から平成一六年八月まで、(エ) 一審原告X7については提訴時の三年前である平成一〇年一〇月から同一審原告の退職時である平成一四年四月までの間、それぞれ上記差別がなかったならば得られたであろう賃金、賞与及び退職金(一審原告X4、同X5及び同X6は、いずれも退職前であるため、中間利息を控除した上での将来請求とする)と実際に支給された賃金、賞与及び退職金との差額(原判決別紙〈1〉の「差別賃金額」欄記載のもの)、長期間にわたって上記差別をされたことに対する精神的損害に対する慰謝料(同別紙の「慰謝料」欄記載のもの)及び弁護士費用(同別紙の「弁護士費用」欄記載のもの)の合計(同別紙の「請求額」欄記載のもの)並びにこのうちの原判決別紙〈2〉ないし〈8〉記載の金額につき、それぞれ同各別紙記載の起算日(いずれも不法行為後の日であり、(ア) 給与及び賞与の差別額相当分については、平成一六年三月までの分は、各年度末の翌日(各四月一日)、平成一六年四月一日以降のものは同年一〇月二日(原審における訴えの変更申立書送達の日の翌日)とし、(イ) 退職金及び慰謝料については、一審原告X3は退職した年度末の翌日である平成一三年四月一日、一審原告X7は同じく平成一五年四月一日とし、その余の一審原告らの分は、原審口頭弁論終結時である平成一七年二月七日とする)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損署金の支払を求めるとともに、イ 原判決別紙〈9〉の一記載のとおり内容の謝罪文の交付、同別紙〈9〉の二記載の場所及び社内インターネットへの掲示並びに社報への掲載を求めた事案である。
一審被告は、上記の反共差別意思ないし反共労務政策の存在及びこれに基づく差別的な取扱いの存在並びに損害額をすべて争うほか、一審被告らの主張する損害のうち提訴日から三年前以前の考課に基づく賃金差別に基づく損害の部分及び提訴日から三年前以前の事実に基づく慰謝料の部分について、消滅時効を援用した。
原審は、一審原告X5を除く一審原告ら(以下「一審原告ら六名」という)については、被告会社が共産党を嫌悪、警戒し、そのことをもって差別したと考えられる低い考課査定がされている部分があり、昇給に必要となる考課点が与えられずに昇給できなかったり、与えられたとしても低い考課点にとどめられて昇給が著しく遅れてしまっていることが認められるが、一審原告X5にはそのような差別があったとは認められないとして、一審原告X5の請求を棄却した上、一審原告ら六名については、上記差別の結果、本来、差別されていなければできたであろう昇給に伴って支給されるべき賃金と現実に受領した賃金との差額について経済的損失が生じているというべきであり、また、本給を算出の基準としている賞与及び退職金についても経済的損失を被っているとして、原判決別紙〈10〉の請求債権目録の「賃金」、「賞与」及び「退職金」欄記載の損害金及び賃金差別に対する精神的損害に対するものとして同別紙「慰謝料」欄記載の慰謝料並びに本件不法行為と相当因果関係のある弁護士費用として同別紙「弁護士費用」欄記載の弁護士費用の各支払を求める限度で一審原告ら六名の請求は理由があるとし(なお、一審被告主張の消滅時効は認められないとした)、また、弁護士費用を除く各損害についての遅延損害金の請求については、いずれも一審原告ら主張の日から起算して原判決別紙〈11〉ないし〈16〉の支払を求める限度で理由があるものとして、一審原告ら六名の各請求を上記の限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却した(なお、謝罪文掲載等の請求については、一審原告ら六名の損害は上記支払を受けることで回復し、それ以上に謝罪文を掲載する必要性は認められないとして棄却した)。
そこで、一審原告ら及び一審被告がそれぞれ敗訴部分を不服として控訴した。
2  当事者の主張は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「事実」の「第二当事者の主張」(原判決二頁下から八行目から一七三頁下から一二行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
(1)  原判決七頁下から一〇行目の「昭和四五年八月から」を「昭和四六年八月から」に、一四頁一二行目の「(以下単に「党支部」という)」を「(当初は「細胞」と称し、後に「日本共産党鈴木自工委員会」となった。以下「党支部」という)」にそれぞれ改める。
(2)  一九頁四行目の「I課長」を「J専務」に、二一頁下から一一行目の「原告らのハンドマイクによる宣伝活動」を「日本共産党の宣伝カーによる宣伝活動」に、二六頁下から八、七行目の「小選挙区制反対のビラを配布した」を「小選挙区制導入反対の署名活動をした」にそれぞれ改める。
(3)  三六頁七行目の「退職時」を「五五歳時」に改め、三七頁二行目の「同X2」を削り、同下から三行目の「移籍になって」から同二行目の「現在は」までを「移籍になり、その後」に、同末行の「従事している」を「従事していたが、平成一七年一月に退職した」にそれぞれ改める。
(4)  三八頁下から九行目の次に改行して、次を加える。
「 それにもかかわらず、被告会社は、新しい機械の導入時の講習、新技術の講習等には参加させなかった。また、必要な知識、技術は共産党員には一番最後に習得させた。早く習得させて職場で影響力を持つことを防ぐためである。さらに、共産党員は、チームヘルパー、提案アドバイザー、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)というような職場リーダーに就けず、各種の職場リクレーションにも参加させず、職場で孤立化させられた」
(5)  四五頁下から一〇行目末尾に「一審原告X2は、積極的に治具の改善提案をし採用された」を、四六頁二行目末尾に「さらに、被告会社の便所にも「共産党出ていけ、X2、K」との名指しの落書きがされ、似顔絵まで描かれた。また、一審原告X2は、昭和四八年に結婚したが、同期入社のL(元班長)は、その出席者に対し、一審原告X2との関係を問いただすなどした」をそれぞれ加える。
(6)  四七頁五行目の「改善の提案」を「フライス盤のカバーの改善の提案」に改め、同六行目の次に改行して、「一審原告X2には、QCリーダー、チームヘルパーのほか親睦会の役員さえ割り当てなかった。このようにして、被告会社は、共産党は働かないというイメージを周囲の労働者に植え付けようとした。また、被告会社は、一審原告X2に対して執拗に営業への出向を勧奨したが、一審原告X2は、これを断った」を加える。
(7)  四九頁下から四行目末尾に「一審原告X3は、昭和四六年から昭和六〇年に及ぶ約一五年間、交替勤務に努めてきた確固たる実績がある(書証略)。なお、一審原告X3は、交替勤務に支障があることがあることから、平常勤務に従事させることを再三求めていたが、被告会社は、これに応じなかった」を、五〇頁一三行目の次に改行して、「一審原告X3の被告会社に対する寄与貢献は、極めて高いにもかかわらず、考課査定は、上記のとおり低査定が固定化した。このことは、低査定の理由が技術能力の未成熟とか交替勤務に応じないなどという次元のものでないことを物語るものである」をそれぞれ加える。
(8)  五二頁下から四行目末尾に「組合の発表する従業員の年齢別最低賃金を下回った年が五回もあった」を、同末行の「その合理性は認められない」の次に「一審原告X4は、平成七年八月に改善班に移ったが、同所においても改善提案の提出により努力賞を受賞している」をそれぞれ加える。
(9)  五四頁一〇行目の「点検室」を「実験室」に改め、同一一行目の次に改行して、次を加える。
「 一審原告X5は、上記業務を長期間一人で担当させられ、異動の希望も認められなかった。そして、平成三年に直属の上司となったM主査は、一審原告X5の席を同主査のすぐ横に移し、常に一審原告X5の行動を監視した。
また、平成四年一月に一審原告X5の実父が死亡した際、職場の上司は誰も香典を出さず、M主査が被告会社の香典を持参したのみであり、葬儀のことは職場内に知らされていなかった。さらに、一審原告X5が職員の自宅に「わっぱ」を配ると、その職員から配布をしないように再三の申入れを受けるなどした(これは、職員が共産党員と交友があることによって、被告会社から不利益な取扱いを受けることを畏怖したためである)」
(10)  五五頁下から一三行目の次に改行して、次を加える。
「 なお、一審原告X5は技術職であるが、技術職の場合の実際の考課の分布状況は正規分布とはなっておらず、「1」の考課を受ける者は一パーセント以下であることからすると、技術職のほぼ一〇パーセントの者が属する「2」の考課は、事実上の最下位の評価であることが明らかである。そして、男性従業員と女性従業員との間には給与の格差があることからすれば、実際には、この「1」及び「2」には女性従業員の多くが個々に位置づけられているものと考えられる」
(11)  六四頁九行目末尾に「また、一審原告X7の実兄も被告会社に勤務していたが、一審原告X7が共産党員であったため、実兄も差別的な取扱いを受けた」を、六五頁五行目の「被告会社提出の給与一覧表」の次に「(平成一四年一二月二六日付け上申書添付のもの)」をそれぞれ加え、同一一行目の「平成一二年四月まで」を「平成九年四月から平成一二年四月まで」に改め、六六頁の表中の「X1」の「退職・在職の別」欄の「在職」の下に「(二〇〇五年一月退職)」を、六七頁の表のうち「除外者の被告上申書における連番」欄の「被告上申書」の次に「(前記平成一四年一二月二六日付けのもの)」をそれぞれ加える。
(12)  七一頁下から九行目の次に改行して、次を加える。
「〈3〉 賞与差別額の試算
そこで、一審原告らは、賞与における損害額の主張をできるだけ単純化し、賞与ごとの減額考課において全員が一〇パーセントまでの減額を受けているものと控えめに推定し、各年度の標準額と各一審原告の月額給与の一〇パーセント削減額との差額に支給率を乗じた金額(ただし、給与差額と同様の理由により、平成一二年以降は同一額)を算出し(これが、各年度の賞与差別額となる)、その上で、各一審原告ごとの全請求期間における賞与差別金額を算出すると、原判決別表三の1ないし7記載のとおりの金額となる」
(13)  七一頁下から八行目の次に改行して、「また、上記の算出方法とは別に、賞与についても、給与と同様、標準額から導き出した賞与標準額から現実に支給を受けた額を差し引いた各一審原告の損害を算出すると、次のとおりである」を加え、七二頁下から二、一行目の「これを先に変更申立書における主張金額と対比させれば次のとおりである」を「この金額(実額計算額)を前記(イ)〈3〉において算出した原判決別表三の1ないし7記載の各金額(推定計算額)と対比させれば、次のとおりである」に改める。
(14)  の七三頁下から九行目冒頭から末行末尾までを「また、その余の一審原告ら六名は、一審原告X1を除き、推定計算額が実額計算額を下回るものとなっている」に、七四頁一〇行目の「本件結審までに」を「既に」に、同一五行目の「平成一五年一月」を「平成一七年一月」に、七五頁下から三行目の「退職時」を「五五歳時」にそれぞれ改め、八一頁五行目末尾に「そして、このような格差は、単なる賃金格差なのではなく、一審原告らが共産党員であることによる差別として、低い考課査定がされたことにより生じたものである」を加え、八三頁五行目の「口頭弁論終結日」を「原審口頭弁論終結日」に改める。
(15)  一〇九頁下から一一行目の次に改行して、「一審原告X1が損害賠償を請求する対象期間(以下「請求期間」という)は、平成九年四月から平成一六年八月までである」を加える。
(16)  一二〇頁下から一二行目末尾に次を加える。
「すなわち、工機課は、ライン作業のように夜勤、交替という勤務形態ではないが、計画納期の注文がこなせないときには残業・休出が生ずる。また、計画納期の作業以外に特急品と呼ばれる予定外の突発的注文が入り、このような緊急注文のための残業・休出の必要性が工機課の作業の特色でもある。したがって、残業・休出に消極的な従業員、これに従事しない従業員では、定時の仕事以外は一人工としての計算ができないのである」
(17)  一二一頁下から六行目の「五五歳」を「五七歳」に、一二六頁一一行目の「落書きや似顔絵についても」を「また、便所に「共産党出て行け、X2、K」と名指しで落書きや似顔絵が描かれたとの主張についても」にそれぞれ改める。
(18)  一三四頁八行目の「原告X3の反論への再反論」を「一審原告X3の主張に対する反論」に、同九行目の「原告X3の反論について」を「一審原告X3の主張について」に、同一三行目の「反論する」を「主張する」に、同下から八行目冒頭から同二行目末尾までを「昭和四七年ころには」に、一三五頁下から九行目の「原告X3の反論」を「一審原告X3の主張」にそれぞれ改める。
(19)  一四四頁下から一〇行目の次に改行して、「一審原告X5が損害賠償を請求する対象期間(以下「請求期間」という)は、平成一〇年一〇月から平成一六年八月までである」を加える。
(20)  一五二頁一一行目の「昭和五八年」を「昭和五九年」に、同一二行目の「昭和五八年度」を「昭和六〇年度」にそれぞれ改め、一五五頁下から一一行目の次に改行して、次を加える。
「 塗装課における作業工程は、塗装工程(塗装を車体に吹き付ける作業)と修正(塗装ミスの検査及びその修正)という工程に大別される。請求期間における一審原告X6の業務は、被告会社湖西工場塗装課における塗装不良箇所(塗装ミス)の修正であるが、主たる業務は、ダブルチェックと呼ばれる作業であった」
(21)  一六七頁下から一三行目の「昭和四五年のa組合役員立候補、同四六年の」を「昭和四六年の」に、一七一頁三、四行目の「被告はここに時効を援用する」を「一審被告は、一審原告らに対し、平成一七年二月七日の原審口頭弁論期日において、上記時効を援用する旨の意思表示をした」にそれぞれ改める。
第三  当裁判所の判断
1  一審原告らの地位
一審原告らは、いずれも被告会社の従業員又は元従業員であった者である(争いがない)。後記4ないし10において認定するとおり、一審原告X1は、昭和三七年一〇月に被告会社に雇用され、昭和四七年四月に共産党に入党し、一審原告X2は、昭和三五年三月に被告会社に雇用され、昭和四〇年に共産党に入党し、一審原告X3は、昭和三六年三月に被告会社に雇用され、昭和四五年一月に共産党に入党し、一審原告X4は、昭和四四年四月に被告会社に雇用され、昭和四六年に共産党に入党し、一審原告X5は、昭和四二年三月に被告会社に雇用され、昭和五一年ころ共産党に入党し、一審原告X6は、昭和四三年三月に被告会社に雇用され、昭和四七年六月に共産党に入党し、一審原告X7は、昭和三三年三月に被告会社に雇用され、昭和四一年一二月に共産党に入党した。
2  被告会社における反共差別意思ないし反共労務政策の存否について
本件は、一審原告らが、被告会社に対し、被告会社が共産党を嫌悪し、反共差別意思ないし反共労務政策に基づき、共産党員である一審原告らに対して賃金等の差別及びその他の不利益な取扱いをしたと主張して、不法行為に基づき、損害賠償金の支払及び謝罪文の交付等を求めたものであり、一審被告は、上記反共差別意思ないし反共労務政策の存在及びこれに基づく差別的取扱いの存在をいずれも争うものである。
そこで、以下においては、まず、一審原告らが主張する被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を、各一審原告の個別の事情を離れても、これを認めることができるか否かについて判断する。
(1)  共産党ないし一審原告らの活動及び被告会社の対応等に関する認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」第二の1(原判決一八〇頁二行目から一八八頁末行まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 一八〇頁八行目の「書証(略)」の次に「書証(略)」を加え、同下から一三行目の「昭和元年には」を「大正一五年一月には」に、同下から八行目の「翌年四月には」を「翌昭和二五年四月には」に、同下から七行目の「昭和二五年六月」を「同年六月」にそれぞれ改める。
イ 一八二頁下から一三行目冒頭から同一〇行目末尾までを次のとおり改める。
「 この問題について、労使間で協議が続けられたが、Oは命令に従わなかったため、被告会社は、山口スズキ株式会社の要求を別の従業員に担当させ、Oには新たな辞令を出し、実質的に駐在命令を取り消すことによって処理した(書証略)」
ウ 一八三頁五行目の「当庁」を「静岡地方裁判所浜松支部」に、同行目の「その申請は認容された」を「同裁判所は、昭和四九年三月一五日、Rに対する出向命令の効力を停止する旨の判決をした(書証略)」にそれぞれ改め、一八四頁一行目冒頭から九行目末尾までを削る。
エ 一八四頁一〇行目の「大企業墨書運動」を「大企業黒書運動」に、同一八行目の「予備要因」を「予備要員」に、一八五頁下から五、四行目の「四輪車設計グループ」を「四輪車体設計グループ」にそれぞれ改める。
オ 一八六頁四行目の「これに対し」を「被告会社の本社正門前は、同正門から国鉄の踏切までの間の一五メートル程度の道路となっており、その周囲には被告会社の従業員用駐車場があるのみで、他に人家等はなく、ビラ配布の対象は主として被告会社の従業員であった」に改め、同七行目の「言辞を述べるなどした」の次に「一審原告らは、録音機を用意し、言い合いの中でPの発言を録音した(書証略)」を加える。
カ 一八六頁下から一〇行目の「管理職研修における反共教育」を「管理職研修」に改め、一八七頁二行目冒頭から九行目末尾までを削り、同一一行目の「同X2らは」の次に「労働組合の役員選挙に関して、同組合の」を加える。
キ 一八七頁下から六行目冒頭から一八八頁二行目末尾までを次のとおり改める。
「 その後も、一審原告らを中心として、昭和五二年七月二九日(書証略)、昭和五三年七月一七日及び同月二七日(書証略)、昭和六三年六月二一日及び同年八月四日(書証略)、平成六年七月一日(書証略)、平成八年七月三日、同月二一日及び同月三〇日(書証略)に、労働組合中央選挙管理委員会に対し、役員選挙の投票方法などについて、同様の申入れをしている」
(2)  上記認定事実によれば、被告会社において、昭和四四年に共産党員の従業員により党支部が結成され、一審原告らを含む共産党員の従業員によって、種々の活動がされてきたことが認められる。
一審原告らは、これらの活動に対して、被告会社は共産党を嫌悪し、反共差別意思ないし反共労務政策に基づいて差別的な取扱いをしてきたものであると主張する。
しかしながら、一審原告らが主張するような被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策について、本件証拠中には、被告会社の指示文書等、その存在を直接証明することのできる証拠は存在しない。そこで、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記認定事実」という)により、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を推認することができるか否かについて、以下、検討することとする。
ア まず、被告会社に党支部が結成されるまでの経緯は、前記認定事実(1)のとおりであるが、この間、従業員が労音その他のサークル活動をし、昭和四四年に被告会社に党支部が結成されるについて、被告会社がそれらの活動を妨害したような事実は認めることができない。なお、一審原告らが被告会社に雇用されるに際して、共産党との関係等を確認されるなどした形跡も、証拠上、うかがわれない。
イ 次に、前記認定事実(2)によれば、昭和四六年一二月の労働組合中央執行委員の補充選挙において共産党員であるOが善戦した後、昭和四七年二月に被告会社からOに対する山口スズキ株式会社への駐在命令が出されていることが認められる。
しかしながら、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、上記の駐在命令の時期に出向が命じられたのはOのみではないこと、Oは、その当時、ユーザー管理電算化業務を担当しており、山口スズキ株式会社にも出張してその導入について指導をしていたこと、被告会社に対して、山口スズキ株式会社からOの駐在による指導の強い要望がされていたこと、駐在は、出向とは異なり、一年以内となる場合が多いことが認められる。そうすると、被告会社は、上記の山口スズキ株式会社の要望に応えるために、上記電算化業務導入までの間、現地に駐在して指導することをOに命じたものであり、これを命ずるについては合理的な理由があったものと認められ、上記の事情に照らせば、Oに対する上記駐在命令は、被告会社がOの活動を嫌悪し、これを排除するためのものとは認めることができない。
なお、「O君を守る会」の活動に関し、一審原告X1と同じ職場の班長代行であったQは、同会の集会に参加したところ、班長からその内容について尋ねられた上、共産党が行っている分派活動に参加しないよう注意され、また、その後、人事課から電話で同様の問合せがあったが班長に話してあると言って対応しなかったなどと述べる(証拠略)。しかしながら、これを裏付ける的確な証拠はないのみならず、仮に、Qが参加した集会について班長に尋ねられたことがあったとしても、上記供述内容からすれば、班長は組合との関係を指摘しているものであり、また、仮に、駐在命令に従わない従業員を応援する集会の様子について人事課が尋ねることがあったとしても、その態様も上記供述の程度のものにすぎないことからすれば、そのことをもって、被告会社が反共差別意思を有していたものと認めることはできない。また、他に、被告会社が一審原告らによる「O君を守る会」その他の集会等の活動に干渉したことを認めるに足りる証拠もない。
ウ また、Rに対する出向命令は、前記認定事実(3)のとおり、Rが職場集会において一時金闘争について発言をした後に出されたものであることが認められる。
しかしながら、上記出向命令は、被告会社が、出向先の日本対向ダイス株式会社から工機設計課の経験者の派遣要請を受け、通勤の便を考慮してRを選んだものであったことも前記認定事実(3)のとおりであるから、Rに対する上記出向命令についても、合理的な理由があったものと認められ、被告会社がRの発言を嫌悪し、これを排除するためのものとは認めることができない。なお、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、Rに対する上記出向命令の効力が裁判所において否定された後、被告会社は、再度、出向協定に基づいてRに出向を命じ、Rは、これに従って出向したことが認められる。
エ 一審原告らは、前記認定事実(4)のとおり、労働基準監督署に対して、労災認定申請をした従業員の支援や被告会社の労働条件等についての調査・指導等を求めるなどの諸活動をしたことが認められる。
しかしながら、被告会社がこれらの一審原告らの活動を妨害するような行為をしたことは、証拠上、認められない。
なお、被告会社における労災事故に関し、被告会社の従業員であったSは、湖西工場において勤務中、従業員のTが右手人差し指を切断する労災事故に遭ったにもかかわらず、被告会社はこれを隠蔽したと述べる(証拠略)。
しかしながら、証拠(略)によれば、Tがけがをした状況やけがの程度はSの上記供述とは異なり、また、Tは、労災認定を受けていることが認められるから、Sの上記供述は採用することができない。
オ 前記認定事実(5)によれば、昭和四七年以降、一審原告X1らが、被告会社本社正門前において、多数回にわたり、ビラを配布し、同所で演説を行うなどしたことが認められ、これに対して、被告会社がこれらを制止しようとして対応をしたことが認められる。
しかしながら、一審原告X1らの被告会社の正門前での上記行動は、被告会社敷地外の公道上におけるものではあるが、前記認定事実(5)の場所的状況及びその宣伝活動の対象が施設内の被告会社及びその従業員であること並びに証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、配布するビラの内容が被告会社を批判し、中傷するような表現を含むものがあったことがうかがわれることなどからすれば、被告会社において、上記行為が実質的に施設内で行うものと同様の効果を及ぼす不適当な行為であるとして、その施設管理権によりこれらを制止しようと考えたことには相当の理由があるものと認められる。そして、被告会社が前記認定事実(5)のような対応をしたことは、一審原告X1らの行動に対して、相当性を逸脱するものということもできない。したがって、被告会社が上記のような対応をしたことをもって、反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものであると認めることはできない。
カ また、前記認定事実(6)のとおり、被告会社は、昭和四六年に静岡県警警備課勤務の経験のある元警察官Pを雇用したこと、Pは、総務部人事第一課に配置され、班長・組長・工長らに対する監督者教育や研修、安全厚生等の仕事に携わり、研修における労働情勢の説明の中で共産党の活動や思想についても触れたことがあることのほか、前記認定事実(5)のとおり、前記の正門前でビラ配布がされた際に、Pは、一審原告X1、同X2及び同X7らと言い合いになり、共産党を批判するような発言が録音されたことが認められる。そして、一審原告らは、被告会社はこのPを中心として反共労務政策を行ったと主張する。
しかしながら、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、Pは、自己都合で民間企業への就職を希望して、被告会社に職を求めたものであること、前職が警察官であることから、人事第一課に配属され、雇用、教育、安全厚生の仕事を担当し、被告会社の車両や従業員により発生した交通事故の事後処理なども担当していたこと、担当する研修等の教育内容について被告会社から特段の指示はなかったこと、七年間人事第一課主任として勤務した後、昭和五三年にスズキ信販株式会社に移り債権回収の仕事に携わったこと、その後、昭和五七年に被告会社に戻り、湖西工場の管理課に所属して守衛の仕事に従事し、さらに、同工場技術課に移り平成二年に定年となり退職したことが認められる。
上記認定の事実によれば、Pは被告会社に求められて就職したものではなく、その地位も人事第一課の主任にすぎず、七年間昇進もなく、同課を離れた後の処遇も特段他の者より優遇されたものとは認められないことからすれば、被告会社が反共労務政策を推進するために迎えた人材とは到底認め難く、Pの行動は自らの経験と判断に基づくものと認めるほかなく、被告会社正門前の一審原告らとの言い合いの中における発言をもって、被告会社が反共労務政策を採っていたものと認めることはできない。
キ Pは、前記認定事実(6)のとおり、研修等の労働情勢の説明において、共産党に触れることがあったことが認められるが、研修等における説明内容については被告会社から特段の指示がなく、自らの判断で触れたものであることは前記のとおりであり、また、説明において共産党に触れることが、直ちに反共労務政策を意味するものではない。
なお、その後の研修について、被告会社の従業員であったUは、同人が参加した平成八年二月の新任工長研修において、日程表にはない講義が突然初日の冒頭に行われ、「残業をしない人」や「活動をしている人」に対する接し方などが話され、これは、共産党員を対象とした反共教育であると述べる(証拠略)。
しかしながら、Uが記録した同研修の内容(書証(略)添付)には、そのような記載は見当たらず、また、被告会社が特定の内容の記載を禁じたことはない(人証略)ことからすれば、直ちに上記供述のような趣旨の説明があったとは認め難い。また、Uの供述によっても、上記の話が共産党員の話としてされたものとは認められないから、仮に、研修の冒頭に「残業をしない職員」等の話があったとしても、これを反共教育ということはできない。なお、Uは、昭和五九年に班長となった際にも、上司から、一審原告X4らと付き合わないほうがよいなどと言われたと述べる(証拠略)が、これを裏付けるに足りる証拠はなく、また、それが被告会社の指示等によるものであると認めるに足りる証拠もない。
そして、本件全証拠によっても、他に、被告会社が、研修等において反共教育を行っていたことを認めるに足りるものはない。
ク ところで、一審原告X1は、被告会社の人事課において、Pが日本共産党員のブラックリストを作成していたと述べる(証拠略)。そして、このことは、一審原告X1が人事課に在籍していたVから聞いた話であるとする。
しかしながら、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、Vは、昭和四五年四月一六日付けで人事課から研究第一課に異動し(書証略)、さらに同年五月一五日付けで開発課に移り(書証略)、昭和四七年七月三一日には退職している(書証略)ことが認められ、昭和四六年一〇月に採用された(書証略)Pとの間に、人事課において接点があったとは認められない。そうすると、一審原告X1の上記供述は、その信用性が乏しいものというほかなく、他に、被告会社に共産党員のブラックリストと称するものが存在したと認めるに足りる証拠はない。一審原告X1の上記供述は到底採用することができない。
一審原告らは、Pの関与について種々主張するものの、結局、被告会社がPを雇用した後、被告会社においていかなる内容の反共労務政策が進められたのかについては全く明らかではなく(なお、一審原告X1は、書証(略)において、被告会社にはPを中心としたインフォーマル組織があったと述べるが、客観的な裏付けを欠き、根拠のあるものとは認められない)、他に、被告会社が、反共労務政策のためにPを雇用し、また、そのような政策を推進したことを認めるに足りる証拠はない。
ケ 次に、前記認定事実(7)によれば、一審原告らは、被告会社の労働組合における役員選挙を不満とし、組合に対してたびたび抗議を申し入れていたことが認められる。
しかしながら、労働組合の役員選挙に関する紛争は、その性質上、組合内部において解決すべきものであり、仮に、班長、組長らが投票に関して干渉することがあるとしても、同人らも組合員であることからすれば、それが、組合内部の問題であることは明らかというべきである。一審原告らの抗議も、労働組合に対してのものと認められ、これが、被告会社との間の問題ということはできないことは、一審原告ら自身認識としているものというべきである。なお、一審原告らは、これらは、末端職制である組合員をして被告会社がさせているものであると主張し、被告会社の労働組合は前記認定事実(1)の経緯により成立したもので、労使協調の立場にあることが認められるが、被告会社が、労働組合やその組合員に対して、共産党員に対する差別を指示し、あるいは反共労務政策の推進又はそれに対する協力を求めるなどしたことを認めるに足りる証拠はない。
コ また、前記認定事実(8)のとおり、一審原告らが党支部において職場新聞と名付けて作成した「わっぱ」の配布活動に対して、被告会社の労働組合は、そのような活動を労働組合の分派活動として排除すべきものとしていることが認められる。そして、共産党の立場によって組合活動をすることを求める一審原告らとその他の組合員との間に対立が生じていることが認められる。
しかしながら、上記の点も、労働組合の問題であり、この点に関して、被告会社が労働組合に対し、共産党に対する差別を指示し、あるいは反共労務政策の推進又はそれに対する協力を求めるなどしたことを認めるに足りる証拠はない。
(3)  以上のとおり、前記認定事実について検討しても、いずれも被告会社が反共差別意思を有し、あるいは反共労務政策を行っていたものと推認することのできる事実とはいえず、また、これらの事実を総合してみても、被告会社が上記のような意思ないし政策を有していたと認めることはできない。
そうすると、前記認定事実によっては、被告会社において反共差別意思ないし反共労務政策が存在したものと認めることはできない。しかしながら、一審原告らの主張に照らすと、その差別は被告会社の各一審原告に対する賃金(考課査定)や個別の行為として具体的に現れているということになるから、以下においては、まず、後記3において、その前提となる被告会社における給与体系及び考課査定の方法について確認した上、後記4ないし10において、各一審原告それぞれについて、賃金その他の個別の差別的取扱いの有無について検討し、そのことを含めて、一審原告らが主張するような被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別行為を推認することができるか否かについて判断することとする。
3  被告会社の給与体系及び考課査定について
(1)  被告会社の給与体系及び考課査定の方法に関する認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第三 給与体系及び考課査定について」1及び2(原判決一九〇頁下から一一行目から二〇二頁一行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決一九〇頁下から一〇行目の「書証(略)」の次に「書証(略)」を加え、一九一頁六行目の「年齢給昇給分」を「年齢給定昇分」に、同九行目の「基本的賃金」を「基本的給与」に、同下から三行目の「号級」を「号給」にそれぞれ改める。
イ 一九四頁九行目の「作成的見地」を「育成的見地」に、一九五頁二行目の「八一点から九〇点」を「八一点から九四点」に、同八、九行目の「意欲の欠如している者」を「意欲の著しく欠如している者」に、同一六行目の「全職務」を「全担当職務」にそれぞれ改め、一九七頁八行目の「昭和三四年当時」の次に「被告会社は」を加える。
(2)  上記認定事実によれば、平成八年までの被告会社の給与体系においては、基本給の中に年齢給定昇分や年齢給改定分が含まれ、基本給の定義自体に業績や勤務態度とは直接関係しない本人の年齢や勤続年数、経験等が含まれており、年功序列的な要素が含まれているものといえる。
また、考課査定については、考課点を得られた場合には、原則として各資格給別にその累積点が原判決別表一〇の基準点以上に達した場合に昇格することとされていることが認められ、このように考課点の累積を認めていることも、年功的な要素を含むものと評価することができる。もっとも、考課査定においては、従業員のうち下位から五パーセント程度までの者に「1」の考課がされ、その場合の考課点が〇とされることからすれば、この場合、前記の年齢給定昇分等の年功序列的要素に基づく部分以外の昇給はないことになる。したがって、同じ従業員が継続して「1」の評価を受けると、当該従業員は昇格することができない。そうすると、平成八年までの被告会社の給与体系は、年功序列的要素を含むものの、考課査定の結果によっては昇格をすることができない場合があることを想定しており、考課に基づく部分の給与は年功により当然に増額していくことを前提とするものではないから、このような点からすれば、能力給的な要素が強いものということができる。
次に、平成八年以降の給与体系は、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記認定事実」という)のとおり、年功序列的要素を更に減少させ、また、考課査定の結果についても、考課が「3」以上の場合には、一号昇号するが、「2」以下の場合には昇号することができないものとされ、昇格の基準も厳しく定められ、能力給の面をより強く打ち出したものと認めることができる。
(3)  ところで、給与の体系の構成については、使用者において定めるものであるが、前記認定事実によれば、被告会社の各給与体系は、それ自体が給与体系として不合理なものということはできず、また、弁論の全趣旨によれば、上記の各給与体系及びその考課方法については、労働組合もこれを了承していることが認められることからすれば、これらに従って従業員の賃金が決定されることについては、特段違法の問題を生じないものというべきである。
また、前記認定事実のとおり、考課査定の結果、考課点が〇となる従業員が一定割合存在することはその給与体系と考課査定とによって予定されているものであるから、その適用において、考課査定の結果により昇給や昇格のない者が生ずること自体にも特段の問題があるということはできない(なお、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社の就業規則においては、年齢が五五歳を超えると、役職手当が付かず、考課「3」の場合の昇給も二分の一となり、さらに、五七歳を超えると昇給もなくなるとされており、このように、給与面の扱いが厳しくされていることに伴い、考課査定の面でも五五歳を超えると厳しい運用がされていることが認められる)。なお、上記各給与体系や考課査定の方法自体が、反共差別意思ないし反共労務政策に基づく評価をするためのものということができないことはいうまでもない。
もとより、人事考課は恣意的にされてはならず、一定の評価基準に基づいて客観的にされるべきものであり、前記認定事実のとおり、被告会社においてもその基準が示されていることが認められるが、性質上、評価をする者において一定の裁量権が認められるものというべきであり、その裁量権が濫用にわたり、あるいは裁量権の範囲を逸脱していると認められるものでない限り、違法の問題が生ずることはないというべきである。
(4)  なお、一審原告らは、被告会社が一審原告らの共産党活動を嫌悪して不当に低い考課査定をしたと主張し、一審原告X2は、昭和五〇年ころ、班長であったWが捨てた手帳(昭和四五年用のもの)をゴミ箱で拾ったところ、その手帳の中に人事考課の基準として「思想」が挙げられているように読める部分があるとする(証拠略)。そして、同手帳(書証略)には、「一・技能」、「二・経験」、「三、性格」等と番号順に記載されて、最後に「一三・思想」との記載があることが認められる。
しかしながら、上記手帳の記載のみによっては、上記部分の記載者やその記載の趣旨が明らかとはいえず、また、一審原告X2は、拾得した上記手帳について、これをW自身に確認することもなく、長期間、個人的に保管していたものであるなどと述べるところ(一審原告X2)、その入手及び保管の経緯が不自然であることは否定することができない。したがって、上記手帳の記載をもって、直ちに、共産党員であることを考課上考慮する趣旨のものとは到底認めることはできず、また、被告会社がそのような考課基準を示したものと認めることもできない。
そして、本件証拠中、考課査定にかかわった者の中に、被告会社から共産党員であることを理由に低く査定するように指示された者は見当たらず、そのように査定したとする者も存在しない(証人Uも、考課上、共産党員に関しての指示があったとは述べていない)。
4  一審原告X1の活動、勤務態度等と被告会社の対応について
(1)  認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第四 原告らの勤務態度等について」1(1)(原判決二〇三頁下から八行目から二一二頁一〇行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決二〇三頁下から七行目の「書証(略)」を「書証(略)」に、同下から六行目の「書証(略)」を「書証(略)」にそれぞれ改める。
イ 二〇四頁一行目の「昭和三七年一〇月」の次に「臨時工として」を加え、同三行目の「翌年一一月には」を「同年一一月には」に、同五行目の「昭和三九年一〇月からは、原告X1は」を「一審原告X1は、昭和三八年一〇月には正社員として採用され」に、同一三行目の「その上」を「さらに、その後」にそれぞれ改める。
ウ 二〇五頁一一行目の「組長から呼び出されて」の次に「、勝手に掲示板にチラシを張り出したことやその要求事項の内容が組長や課長では解決することができないものであることなどの指摘を受け」を加え、同一六行目の「しかしながら」から一九行目末尾までを削る。
エ 二〇六頁二行目の「なお」から九行目末尾までを削り、同一六行目冒頭から一八行目末尾までを「同月二一日、被告会社が指摘するビラ配布の日時が同年四月一四日とされていた(書証略)ことが事実無根のでっち上げであるなどと主張して異議申立てをしたが」(書証略)、苦情処理委員会は、これを認めず(書証(略)。ただし、行為の日を「昭和四七年四月一四日ごろ」と訂正した)、被告会社は、同年八月、一審原告X1を譴責処分とした旨を模造紙に大書して従業員食堂に張り出した。しかし、一審原告X1は、結局、始末書の提出をしなかった。なお、その後、一審原告X1は、被告会社内で「まもる」の配布はしなかった」に改める。
オ 二〇六頁下から三行目の「被告会社において」の次に「憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議)及び安保破棄・諸要求貫徹中央実行委員会(書証略)という団体名による」を、同下から二行目の「被告会社は」の次に「一審原告X1の同行為は社内で許可なく政治活動を行うことなどの服務規律違反に当たる(書証略)として」をそれぞれ加え、同末行の「譴責処分にした」を「始末書の提出を条件として譴責処分とした(書証略)」に改める。
カ 二〇七頁六行目末尾に「一審原告X1は、結局、始末書の提出をしなかった。なお、一審原告X1は、その後、被告会社内で同様の署名活動はしなかった」を加え、二〇八頁二行目の「これらの活動に」から三行目末尾までを「このような一審原告X1の活動は、労働組合からは分派活動と見られていた」に改める。
キ 二〇八頁九行目の「ときおり残業」から一〇行目末尾までを「組長のAに対し、たびたび夜勤を外してほしいとの申出をし、交替から外れることがあった。また、A組長が残業や休日出勤を頼んでも応じてもらえないことがあった(書証略)。なお、一審原告X1は、遅くとも昭和四九年ころまでには、被告会社の昼夜交替制勤務について、反対の立場を明らかにしていた(書証略)」に改める。
ク 二〇八頁一一行目の「昭和五二年六月ころ」から一六行目の「差し引かれるなどした」までを次のとおり改める。
「一審原告X1は、昭和五二年六月ころ、胃の調子が悪いことを訴え、夜勤から外すように口頭で申し出た後、平常勤務(一勤)として出勤した。しかし、一審原告X1の上記申出は承認されておらず、当日、一審原告X1は三勤(夜間)の割当てであったことからトラブルが生じた。一審原告X1は、苦情処理申入れ書(書証略)を組合に提出し、その後、一審原告X1が同年七月一日付けの医師による診断書(病名は、胃下垂症、胃炎。書証(略))を提出することにより、被告会社が一審原告X1を平常勤務とすることを認めることとなった。なお、この間の三日間について、被告会社は、給与の計算上、無断欠勤扱いとしていた(書証略)」
ケ 二〇九頁下から一三行目の「他のラインで」から同一二行目末尾までを「他のラインに一勤の欠勤者が出た際に、その仕事を担当させるなどした(書証略)」に改め、同下から七行目の「この点」から二一〇頁三行目の「認めることはできない」までを削る。
コ 一二〇頁一一行目の「するようになっている」を「するようになり、その後、平成一七年一月に退職した。一審原告X1が交代勤務に復帰したのは、平成一五年四月の原審における証人Bの尋問において、同証人が被告会社としては一審原告X1に交替勤務や残業をやってほしいと述べたことから、一審原告X1が被告会社に申し出たことによるものであった。上記の間の勤務状況は」に改める。
サ 二一〇頁下から一〇行目の「企画」を「規格」に改め、同行目の「もっとも」から二一一頁五行目末尾までを削り、同七行目の「機動スイッチ」を「起動スイッチ」に改め、二一二頁一〇行目末尾に「平成一三年までの考課査定の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X1」の欄記載のとおりである(なお、その余の一審原告らの同年までの考課査定の状況も、後記認定のとおり、同別紙の各一審原告の氏名欄記載のとおりである)」を加える。
(2)  以上の事実が認められ、上記認定に反する証拠ないし証拠部分は採用することができない(その主なものについては、個別に説示する)。
一審原告X1は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別を受けたと主張し、これに沿う供述をする(証拠略)。
ア 一審原告X1は、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記(1)という)イ〈2〉の昭和四五年のシャフト組からケース組への異動について、一審原告X1に労働組合の副支部委員を辞めさせるためにしたものであるとする(書証略)が、上記認定事実によれば、被告会社組織の編成替え上の都合に伴うものと認められ、一審原告X1の上記供述に係る事実を認めるに足りる証拠はない。
また、一審原告X1は、前記(1)イ〈4〉の昭和四七年の労働組合の支部委員の解任についても、被告会社の差別行為であるかのように述べる(書証略)が、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、上記措置は労働組合の討議の結果によるものと認められ、一審原告X1の上記供述に係る事実を認めるに足りる証拠はない。
さらに、一審原告X1は、前記(1)イ〈3〉及び〈5〉の各譴責処分が不当であると述べる(書証略)が、上記認定の経緯に照らせば、被告会社がした前記各譴責処分が不当なものであったと認めることはできない。
イ 一審原告X1は、昭和五二年七月から健康上の理由で交替制勤務からはずれたが、その三、四年後には健康を回復し交替勤務が可能となったのに、被告会社は見せしめのために一審原告X1を交替勤務に就かせなかったなどと述べる(書証略)。
しかしながら、前記(1)ウ〈3〉のとおり、一審原告X1は、被告会社に対して、交替勤務に復帰することができる程度に健康が回復したことを積極的に申し出ていないのであるから、被告会社が交替勤務に就かせなかったものということはできない。なお、一審原告X1は、被告会社が必要であれば当然に交替勤務に組み入れることを要請してくるはずであるから、これをしないのは、一審原告X1が交替制勤務に加わらなくても被告会社は困らなかったからと思うなどと述べる(一審原告X1)が、独断というほかないものであり、職務に対する一審原告X1の姿勢を示すものといわざるを得ない。
ウ また、一審原告X1は、前記(1)ウ〈4〉のマシニングセンター等の機械の操作能力等に関して、新しい機械の導入については一審原告X1は意識的に外され、マシニングセンターの刃物の取替え等についても教えられなかったと述べる(書証略)。
しかしながら、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、被告会社が意識的に一審原告X1にその操作方法等を教えなかったことは認められず、導入時のメーカーの担当者からの説明後は、従業員が、それぞれ仕事をしながら班長ないし責任者に順次教えてもらい、あるいは独学でこれを習得していることが認められる。そして、一審原告X1には、そのような積極的な姿勢がなかったものといわざるを得ない。
なお、C1組長は、C2班長に対して、マシニングセンターの操作方法をていねいに教えたことが認められるが、これは、C2班長がC1組長の不在時の責任者であることから詳しく指導する必要があったからにすぎず(人証略)、そのことをもって一審原告X1に対する差別ということはできない。
エ なお、一審原告X1は、仕事以外においても、職場八分の状態にされ、従業員が一緒に食事をしない、諸行事に参加させないなどの種々の嫌がらせを受けていると述べる(書証略)。しかし、上記の供述を裏付けるに足りる証拠はなく、また、被告会社が一審原告X1を孤立化させるような行為をし、あるいはその指示をしたものと認めるに足りる証拠もない。
その他、一審原告X1が、被告会社により種々差別を受けたと述べる点は、いずれも証拠上、これを認めることができない。
(3)  一審原告X1は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく賃金差別があったと主張し、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X1は、昭和四七年度に初めて考課が「1」とされ、その後、昭和四八年度、昭和五〇年度及び昭和五二年度から平成六年度までの間、それぞれ「1」の考課を受けていることが認められる。また、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X1は、昭和四六年ころから、「O君を当選させる会」、「O君を守る会」等の活動に参加し、昭和四七年に共産党に入り、その後種々の活動を継続してきたことが認められる。
しかしながら、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」記載のとおり、一審原告X1の考課は、昭和四九年度及び昭和五一年度には「2」とされており、一貫して「1」とされたものではないこと、他の一審原告らの考課の状況とも一致していないことからすると、一審原告X1に対する上記の考課が、直ちに被告会社が一審原告X1の活動を嫌悪したことによるものであると認めることは困難であり、上記のような考課を受けることとなった職務に係る事情が存在しなかったものということはできない。そして、被告会社の給与体系及び考課査定の方法においては、一定割合の者が相対的に低い考課を受けるものであること並びに前記2で認定判断したとおり、本件においては、一審原告らに対する考課査定等における個別具体的な差別の有無等の個別事情を離れて、被告会社における反共差別意思ないし反共労務政策の存在を認めることができないことに照らすと、上記の一審原告X1に対する考課が不合理であり、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策に基づき考課査定における裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱してされたものであるというためには、一審原告X1が単に与えられた業務をこなしていたというだけでは足りず、一審原告X1の業績、能力、勤務態度等が他の従業員(考課査定が同等の者)と比較して優越しており、より上位の考課査定を受けるべきことが明らかと認め得るような事情が存在することが必要というべきである(なお、過去の考課査定については、その内容の詳細を明らかにし得る資料が提出されていないが、一審原告らについての考課が問題となる時期が本件訴え提起よりおおむね三〇年前にさかのぼるものであることからすれば、やむを得ないものというべきである)。
しかるところ、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X1は、昭和四六年ころから、交替制勤務を嫌い、これを回避し、また、残業や休日出勤を嫌うなどの勤務態度であったことがうかがわれ(なお、残業や休日出勤は強制されるものではないとしても、これに協力する従業員に対して相対的に高い評価が与えられることを不当ということはできない)、さらに、昭和四七年及び昭和四八年には、いずれも譴責処分を受け、これらの処分に際して始末書を提出するよう命じられたがこれに応じなかったこと、一審原告X1の担当業務は交替制勤務で処理されていたにもかかわらず、昭和五二年七月以降、交替制勤務に従事しなくなったこと、仕事上必要な機械操作能力に劣る面があったこと、仕事内容が雑であったこと、改善提案を提出しなかったことなど、その仕事の内容についても問題があったことが認められる。
一審原告X1の勤務状況、勤務態度等は、上記のようなものであり、他の従業員のそれを上回っていたものと認めることのできる事情が存在するとは、証拠上、認められない。また、一審原告X1の平成一四年度上期の人事考課表の考課査定(前記(1)エ)についてみても、明らかに評価を誤ったものであり、本来、より上位の考課が得られたものであることをうかがわせるような事情は認められない。さらにまた、前記(1)ウ〈3〉のとおり、一審原告X1は、平成一五年七月以降、交替制勤務に就き、残業や休日出勤を行うようになったことが認められるが、それによって、考課が直ちに上位にならなかったとしても、上記のとおりの総合評価の結果であることからすれば、被告会社が考課査定の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めることはできない。
そうすると、請求期間の分を含めて、被告会社が一審原告X1に対してした考課査定が明らかに不合理なものであり、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りるような事情が存在するとは認められず、一審原告X1に対する考課の理由が、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものと推認することもできない。
5  一審原告X2の活動、勤務態度等と被告会社の対応について
(1)  認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第四 原告ら各人の勤務態度等について」2(1)(原判決二一五頁下から一二行目から二二〇頁末行まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決二一五頁下から一一行目の「書証略」の次に「書証略」を加え、同下から五、四行目の「基幹行員」を「基幹工員」に、同下から三行目の「技能を修得」を「技能を習得」にそれぞれ改め、同行目の「ものとして行われた」の次に「もっとも、同年の中卒採用者二二名は全員が上記養成教育に参加した」を加える。
イ 二一六頁下から五行目の「ほかにも」の次に「昭和五〇年から」を、同下から四行目の「昭和五四年には」の次に「、企業ぐるみ選挙に反対し、被告会社正門前において、あるいは下請会社を回ってこれを訴え、更に」をそれぞれ加える。
ウ 二一七頁三行目の「呼びかけられるなどした」の次に「また、被告会社に対する批判であれば、このような形ではなく、労働組合を通して行うように求められた」を加え、同六行目冒頭から一八行目末尾までを削る。
エ 二一八頁一行目の「求めること自体なくなっていった」の次に「工機課においては、計画的な納期の作業に加えて、特急品と呼ばれる緊急の注文が入り、その処理のために残業や休日出勤を求められることがあったが、一審原告X2をそのための戦力として計算することはできなかった」を、同八行目末尾に「工機課は平常勤務であったが、他に応援に出た場合には応援先で交代勤務に加わることがあるため、一審原告X2がこれに応じないことについて、組長に対して苦情を言う若い従業員もいた(書証略)」をそれぞれ加え、同九行目冒頭から一八行目末尾までを削る。
オ 二一八頁下から四行目末尾に「なお、一審原告X2は、職場のQC活動や親睦会には余り参加しなかった(書証略)」を加え、二一九頁三行目の「資格取得をする機会を」から同下から四行目末尾までを「資格を取得することを希望していたが、一審原告X2が担当するフライス盤加工の仕事には、直ちに必要な資格ではないことから、その機会は与えられなかった。また、一審原告X2は、昭和五五年ころ、NCフライス盤が工機課に二台入ることになった際、その使用が認められなかった」に改める。
カ 二二〇頁八行目の「上記のとおり」を「上記アのとおり」に改め、同一〇行目末尾に「平成一三年までの考課査定の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X2」の欄に記載のとおりである」を加え、同一一行目の「平成一四年度」を「平成一四年度上期」に改め、同末行末尾に「なお、上記評価においては、被告会社においては多能工として一人で何台もの機械を使いこなせるようにするため、従業員が互いに有する技術を授受することを推奨していることから、一審原告X2がフライス盤加工の機械の操作方法を他の従業員に指導した点についての積極性が評価されたが、他の機械をマスターするなどその他の業務遂行上の積極性は認められないとされている(書証略)」をそれぞれ加える。
(2)  以上の事実が認められ、上記認定に反する証拠ないし証拠部分は採用することができない(その主なものについては、個別に説示する)。
一審原告X2は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別を受けたと主張し、これに沿う供述をする(証拠略)。
ア 一審原告X2は、残業をしなかったことについて、拒否したのではなく、被告会社の差別によりその機会が与えられなかったと主張する。
しかしながら、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記(1)」という)ウ〈1〉のとおり、残業をしなかった理由である子を保育園へ送り迎えする必要がなくなった後も、一審原告X2は残業をすることについて何らの申し出もしていないことが認められるから、被告会社がその機会を与えなかったものということはできない。
イ 一審原告X2は、希望していた資格を取得する機会が与えられず、他の従業員と差別的に扱われたなどとする(書証略)。
しかしながら、前記(1)ウ〈5〉のとおり、X2が希望した資格は、X2のフライス盤加工の仕事に直ちに必要な資格とは認められないから、その資格取得の機会を与えないことが何らかの差別に当たるということはできない。
また、一審原告X2がした提案が採用されたにもかかわらず、提案者である一審原告X2の機械から改善が始められなかったのは、通例と異なり、差別であるなどとする(書証略)が、そのことをもって、直ちに差別ということはできない。
さらに、一審原告X2は、前記(1)ウ〈5〉のとおり、昭和五五年ころ、NCフライス盤が入ることになった際、フライス盤技能士一級の資格を持っているにもかかわらず、その使用を認められなかったことにより職場の中で見せしめにされたなどと述べる(書証略)。
しかしながら、新機種の割当てを受けられないことが直ちに見せしめに当たるとは認め難く、また、一審原告X2自身、そのことについて抗議したこともない(一審原告X2)のであるから、上記の対応が何らかの差別に当たるということはできない(なお、書証(略)によれば、一審原告X2がフライス盤一級の技能検定に合格したのは昭和五六年であるから、NCフライス盤の導入が昭和五五年であれば、一審原告X2が上記資格を取得する前であったことになる)。
ウ 一審原告X2は、チーム・ヘルパー、QCリーダー、提案アドバイザーなどの役割を入社以来したことがないとして、このことも差別であると述べる(書証略)。
しかしながら、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、一審原告X2は、職場のQC活動や親睦会にはほとんど参加していなかったことが認められ、また、一審原告X2がそれらの役割を受け持たなかったとしても、そのことが、被告会社の差別によるものと認めるに足りる証拠はない。
エ なお、一審原告X2は、仕事以外の点についても、被告会社から共産党員であることを理由とする種々の差別があったとし、昭和四七年ころから、それまで昼食を一緒に食べていた仲間に対し、被告会社が一緒に食事をしたり話をしたりしないように圧力をかけるなどされ、また、昭和五〇年ころには便所にX2を名指しして「共産党出ていけ」との文字と似顔絵の落書きがされていたなどと述べる(書証略)。
しかしながら、上記の供述を裏付けるに足りる証拠はなく、また、被告会社が一審原告X2を孤立させるような行為をし、あるいはその指示をしたものと認めるに足りる証拠もない。
その他、一審原告X2が、被告会社により種々差別を受けたと述べる点は、いずれも証拠上、これを認めることができない。
(3)  一審原告X2は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく賃金差別があったと主張し、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X2は、昭和四八年度に初めて考課が「1」とされ、その後、昭和五〇年度までの三年間、「1」の考課がされていることが認められる。また、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X2は、昭和四〇年に共産党に入り、昭和四七年ころから「O君を守る会」の常任幹事として活動に参加するなどし、その後、継続して活動をしていることが認められる。
しかしながら、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」記載のとおり、一審原告X2の考課は、昭和五一年度以降、継続して「2」とされており、「1」の考課がされていないこと、他の一審原告らの考課の状況とも一致していないことからすると、一審原告X2に対する上記の考課が、直ちに被告会社が一審原告X2の上記活動を嫌悪したことによるものと認めることは困難であり、上記のような考課を受けることになった職務に係る事情が存在しなかったものということはできない。そして、前記説示のとおり、被告会社の給与体系及び考課査定の方法においては、一定割合の者が相対的に低い考課を受けるものであること並びに本件においては一審原告らの個別の事情を離れて、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を認めることができないことに照らすと、上記の一審原告X2に対する考課が不合理であり、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策に基づき考課査定における裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱してされたものであるというためには、一審原告X2が単に与えられた業務をこなしていたというだけでは足りず、一審原告X2の業績、能力、勤務態度等が他の従業員(考課査定が同等の者)と比較して優越しており、より上位の考課査定を受けるべきことが明らかと認め得るような事情が存在することが必要というべきである。
しかるところ、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X2は、残業や休日出勤、他への応援等については協力的でなく、作業中に私語が多いこと、フライス盤の技術はあるものの、他の機械の操作方法を積極的に覚える意欲がないことなど、その勤務態度等に問題があったことが認められる。
一審原告X2の勤務状況、勤務態度等は、上記のようなものであり、他の従業員を上回っていたものと認めることのできる事情が存在するとは、証拠上、認められない(なお、前記(1)アのとおり、一審原告X2は、昭和五六年にフライス盤一級の資格を取得しているが、証拠(略)によれば、フライス盤一級の資格を取得したこと自体で直ちに考課査定の結果に影響するものではないことが認められるから、一審原告X2が上記資格を取得した前後において考課が変わらなかったとしても、そのことをもって、明らかに評価が誤っているということはできない)。また、一審原告X2の平成一四年度上期の人事考課表の考課査定(前記(1)エ)についてみても、明らかに評価を誤ったものであり、本来、より上位の考課が得られたものであることをうかがわせるような事情は認められない。
そうすると、請求期間の分を含めて、被告会社が一審原告X2に対してした考課査定が不合理なものであり、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りるような事情が存在するとは認められず、一審原告X2に対する考課の理由が、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものと推認することもできない。
6  一審原告X3の活動、勤務態度等と被告会社の対応について
(1)  認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第四 原告ら各人の勤務態度等について」3(1)(原判決二二三頁下から六行目から二二九頁一四行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決二二三頁末行の「書証(略)」を「書証(略)」に改め、二二四頁六行目の「組立てを行っていた」の次に「一審原告X3は、同年四月にb工業高等学校定時制に入学したが、一年程度で退学した」を加え、同末行から二二五頁一行目の「残業に協力しないような発言をするなどした」を「ガツガツやっても給料は上がらないなどと述べるなどした(書証略)」に改める。
イ 二二五頁二行目の「発言」を「職場集会での発言」に、同五、六行目の「被告会社の求め」を「上司の求め」に、同下から四行目冒頭から末尾までを「昭和四六年五月から一審原告X3も交替制勤務に就くようになった。なお、同年の時間外労働は二一九時間であったが、昭和四七年には八〇・八時間、昭和四八年は七一・三時間、昭和四九年は九四時間、昭和五〇年には一二時間と減少し、昭和五一年には二七〇時間と増加した(甲一二四)」に改める。
ウ 二二七頁一一行目の「原告X3は」の次に「昭和五五年ころ以降」を加え、同一四行目の「必要が出てきたため」の次に「一審原告X3は、これに」を、同下から八行目の「その結果に基づいて」の次に「コンピュータを」をそれぞれ加え、同下から六行目の「クランクシャフトの組立てライン」を「クランクケース加工」に改める。
エ 二二八頁一二行目の「その結果」を削り、同一六行目の「平成一〇年度以降」を「平成七年度以降」に改め、同行末尾に「なお、平成一三年度までの考課査定の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X3」の欄に記載のとおりである」を加え、同下から四、三行目の「昭和四七、八年から平成五、六年にかけて」を「昭和五六年から平成八年にかけて」に改める。
オ 二二九頁一〇行目、一一行目及び一二行目の各「竜洋工場」をいずれも「竜洋テストコース」にそれぞれ改め、同一四行目の次に改行して、「一審原告X3は、平成一二年一二月に五五歳で退職し、平成一五年四月、共産党の要請を受け、c町議会議員選挙に立候補して当選した(書証略)」を加える。
(2)  以上の事実が認められ、上記認定に反する証拠ないし証拠部分は採用することができない(その主なものについては、個別に説示する)。
一審原告X3は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別を受けたと主張し、これに沿う供述をする(証拠略)。
ア 一審原告X3は、残業や交替勤務にも応じてきたとし、また、空手の指導業務のために勤務をすることができない場合には、その旨告げて班長の了解を得ており、また、周囲に迷惑をかけていることから、平常勤務の職場への異動を申し出ていたものであるから、その勤務態度をもって低い評価を与えることは差別であると述べる(書証略)。
しかしながら、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記(1)」という)ウ〈1〉ないし〈3〉によれば、一審原告X3は、一定の時間外労働にも応じていたものの、職場においてこれに協力的でない言動をし、また、自己の都合を優先させていたものと認められ、他の従業員との比較において相対的に高い評価が得られないとしてもやむを得ないものというべきであり、また、一審原告X3が、上記のような理由により平常勤務の職場に異動することを求めた(なお、前記(1)オのとおり、一審原告X3の竜洋テストコースへの異動希望については、自宅が近いという以外に特段の理由はなかった)としても、被告会社がこれに応じなければならない理由はなく、また、その求めに応じないことをもって差別ということもできない。
イ 一審原告X3は、機械操作ができないことはなく、仕事には特段の問題がなかったなどと述べ(一審原告X3)、C3の陳述書(書証略)にはこれに沿う記載がある。
しかしながら、前記(1)ウ〈4〉及び〈5〉のとおり、一審原告X3は、コンピュータ制御の機械に対応することができなかったものであり、これを自ら学ぼうとする努力もしていないことが認められるから、仕事上、支障がないということはできず、そのことが考課に影響することがあってもやむを得ないものというべきである。
ウ 一審原告X3は、前記(1)ウ〈1〉のとおり、昭和四三年ころに班長代行となり、チームヘルパーもしたが、前記(1)エのとおり、被告会社がその後その地位を失わせたことは、一審原告X3の活動を嫌悪したことによる差別であると述べる(書証略)。
しかしながら、弁論の全趣旨によれば、上記のような地位は、正式な役職ではなく、各班ごとに従業員の中から適任者が指名されるものであることが認められるところ、被告会社が、そのような一審原告X3の地位を失わせるために、何らかの指示等をしたことを認めるに足りる証拠はない。
エ なお、一審原告X3は、平成元年の労働組合支部委員の選挙に関して、立候補した一審原告X3に対して投票したC4が被告会社から追及され、翌年のC4の考課が「C」になったと聞いたとして、被告会社による差別があったと述べる(証拠略)。
しかしながら、上記事実を裏付けるに足りる証拠はなく、一方、証拠(略)によれば、C4は平成二年二月に退職しており、翌年の考課査定は受けていないものと認められること(なお、一審原告X3がC4から聞いたのは平成元年の年末一時金の考課に関する話であったことを認めるに足りる証拠もない)からすると、一審原告X3の上記供述は採用することができない。
その他、一審原告X3が、被告会社により種々差別を受けたと述べる点は、いずれも証拠上、これを認めることができない。
(3)  一審原告X3は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく賃金差別があったと主張し、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X3は、昭和四八年度に初めて考課が「1」とされ、その後、昭和五〇年度、昭和五四年度及び昭和五九年度から平成六年度までの間、「1」の考課がされていることが認められる。また、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X3は、昭和四五年に共産党に入り、昭和四六年ころから、職場集会で被告会社に対し労働条件の改善を求める意見を述べたり、被告会社の門前でビラの配布をしたりし、昭和四八年以降、組合の推薦によらずに役員選挙に立候補するなどして継続して活動をしていることが認められる。
しかしながら、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」記載のとおり、一審原告X3の考課は、昭和四九年度、昭和五一年度から昭和五三年度まで及び昭和五五年度から昭和五八年度までの間の考課は「2」とされており、一貫して「1」とされているものではないこと、他の一審原告らの考課の状況とも一致していないことからすると、一審原告X3に対する上記の考課が、直ちに被告会社が一審原告X3の上記活動を嫌悪したことによるものと認めることは困難であり、上記のような考課を受けることになった職務に係る事情が存在しなかったものということはできない。そして、前記説示のとおり、被告会社の給与体系及び考課査定の方法においては、一定割合の者が相対的に低い考課を受けるものであること並びに本件においては一審原告らの個別の事情を離れて、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を認めることができないことに照らすと、上記の一審原告X3に対する考課が不合理であり、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策に基づき考課査定における裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱してされたものであるというためには、一審原告X3が単に与えられた業務をこなしていたというだけでは足りず、一審原告X3の業績、能力、勤務態度等が他の従業員(考課査定が同等の者)と比較して優越しており、より上位の考課査定を受けるべきことが明らかと認め得るような事情が存在することが必要というべきである。
しかるところ、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X3は、残業や休日出勤に応じてはいた(ただし、交替制勤務が導入された後の昭和四七年から昭和五〇年までの間の時間外労働時間は短時間となっている)ものの、これに批判的であり、昭和五一年ころからは、団地の子供達に空手を教えるため、夕方に掛かる交替勤務を断るようになり、昭和六二年ころからはほとんど夜間の交替勤務には就かないようになったこと(なお、証拠(略)によれば、残業、休日出勤については、少なくとも昭和六〇年ころから継続して職場の平均的な時間を下回っていることが認められる)、また、一審原告X3は、職場において改善提案を提出したことがなかったこと、平成に入るころから、コンピュータ制御された機械には十分な対応をすることができなくなっていたことなどが認められる。
一審原告X3の勤務状況、勤務態度等は、上記のようなものであり、それが他の従業員のそれと比較して上回っていたものと認めることのできる事情が存在するとは、証拠上、認められない。
そうすると、請求期間の分を含めて、被告会社が一審原告X3に対してした考課査定が不合理なものであり、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りるような事情が存在するとは認められず、一審原告X3に対する考課の理由が被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものと推認することもできない。
7  一審原告X4の活動、勤務態度等と被告会社の対応について
(1)  認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第四 原告ら各人の勤務態度等について」4(1)(原判決二三一頁下から一二行目から二三九頁下から四行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決二三一頁末行の「入社一年半後、作業分析の管理体制が作られ」を「一審原告X4は、昭和四五年四月」に改め、二三二頁一行目の「工務課の主な仕事は」の次に「工程の無駄を省き、より効率的な作業を目指すため」を加え、同七行目冒頭から八目の「配布するなどし」までを「一審原告X4は、大企業黒書運動に参加し、被告会社磐田工場前でビラの配布をするなどし」に改める。
イ 二三二頁下から九行目の「昭和四五年一二月」から同六行目末尾までを削り、同下から二行目の「その結果」の次に「昭和四五年八月」を、同末行末尾に「そして、同年一二月に同期入社のC5が湖西工場で労働災害のために死亡したことを聞き、被告会社の対応に疑問を感じるようになった。一審原告X4は、そのころ、友人を通じて日本共産党を知り、前記のとおり昭和四六年に入党した」をそれぞれ加える。
ウ 二三五頁下から四行目の「三/二六来院」を「三/二五来院」に改め、同末行の「C6課長は」の次に「安全委員会と相談するなどと述べて」を加え、二三六頁五行目の「しかし」から一〇、一一行目の「負担がかかるものであった」までを削り、同下から八行目末尾に「ダンプデッキの組立ては、残業や休日出勤の必要はなく、自分のペースでできる仕事であった」を加える。
エ 二三九頁九行目の「規格判断力」を「企画判断力」に改め、同下から四行目末尾に「平成一三年までの考課査定の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X4」の欄に記載のとおりである」を加える。
(2)  以上の事実が認められ、上記認定に反する証拠ないし証拠部分は採用することができない(その主なものについては、個別に説示する)。
一審原告X4は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別を受けたと主張し、これに沿う供述をする(証拠略)。
ア 一審原告X4は、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記(1)」という)ウ〈2〉のとおり、スズキ自販静岡に営業として出向していたが、その際、ブレザーの支給を要求しこれが実現されたため、以後、監視を受けるようになったと述べる(書証略)。
しかしながら、証拠(略)に照らすと、もともと社名入りのブレザーが存在していたことがうかがわれ、また、上記要求に対して、すぐにブレザーが支給された(一審原告X4)のであるから、営業上必要な要望をしたことについて、当該従業員を監視する理由があるとは考え難く、また、これを裏付けるに足りる証拠もない。したがって、一審原告X4の上記供述は採用することができない。
イ また、一審原告X4は、上記出向中、専務のJから監視されていたと述べる(書証略)が、前記(1)ウ〈2〉のとおり、一審原告X4はJから連絡を密にするよう指示されていたにもかかわらず、これに従わなかったことから、Jが、営業活動のため外出している一審原告X4と連絡を取る必要から所在を把握しようとしていたもの(書証略)と認められ、その他の理由によりその行動を監視していたものとは認められない。また、一審原告X4は、I課長が寮内の一審原告X4の室内で所持品検査をしていたとし、Jは一審原告X4に対して民青に入っているだろうと言ったと述べる(書証略)が、その事実を裏付けるに足りる証拠はなく、一審原告X4の上記供述は採用することができない。
ウ 次に、一審原告X4は、前記(1)ウ〈3〉のとおり、昭和五七年二月八日に平常勤務の職場に異動となったことが、被告会社磐田工場の労働基準法違反等について労働基準監督署に対して調査改善の申入れをした結果、被告会社が勧告、指導、助言を受けたことに対する見せしめであると述べる(書証略)。
しかしながら、平常勤務の業務に従事すること自体が何らかの見せしめになるものとは考え難く、また、一審原告X4は土曜日の夜勤の残業や休日出勤に批判的であった(一審原告X4)ことに照らしても、平常勤務への異動をもって、見せしめのためのものと認めることはできない。
なお、証拠(略)によれば、昭和五六年四月から昭和五七年二月までの間、一審原告X4は、多い月(昭和五六年九月)で四五・七六時間、少ない月(昭和五七年一月)で一九・五〇時間の時間外労働をし、また、休日出勤については、多い月(昭和五六年七月)で一五・八四時間、少ない月(昭和五六年一〇月及び昭和五七年一月)は〇時間であることが認められるが、上記認定を左右するものではない。
エ また、一審原告X4は、前記(1)ウ〈4〉のとおり、昭和五七年一〇月から一人作業となったことは、被告会社が一審原告X4を差別し、孤立化させようとしたものであると述べる(書証略)。
しかしながら、上記作業は、一審原告X4がそれに従事する前から一人作業として行われていたものであり、従業員を孤立化させるために当該一人作業の業務が存在したものではなく、また、被告会社が一審原告X4を孤立化させる目的で一人作業に従事させたものと認めるに足りる証拠もないから、一審原告X4の上記供述は採用することができない。
オ さらに、一審原告X4は、前記(1)ウ〈5〉のとおり昭和六〇年に肋骨を骨折した際、C6課長は容易に一審原告X4を元の仕事に復帰させず、清掃作業を命じて他の従業員に対する見せしめにしたと述べる(書証略)。
しかしながら、前記(1)ウ〈5〉のとおり、一審原告X4の骨折は稀な病体であったことから、その復帰について、組長と工長の判断も異なっており、上記作業を指示したC6課長は、一審原告X4の身体の状態に更に配慮して清掃作業の指示をしたものと認められ(書証略)、これを他の従業員に対する見せしめということはできない。一審原告X4は、その作業が通常業務に比べて重労働であったと述べる(一審原告X4)が、上記の経緯からすれば、上記清掃作業が一審原告X4に重労働を課するものであったとは認められない。
また、一審原告X4は、清掃作業中との看板を立てさせたことは明らかな嫌がらせであると述べる(一審原告X4)が、フォークリフトが高速で走行することがある(一審原告X4)ことから、安全確保のために必要な措置と認められ、これを見せしめということはできない。
カ なお、一審原告X4は、仕事以外の点についても、被告会社から共産党員であることを理由とする種々の差別があったとし、営業への出向から戻った後、昼休みに一緒に食事をしていた者が職制の干渉により徐々に離れていったと述べる(証拠略)が、上記の供述を裏付けるに足りる証拠はなく、また、被告会社が一審原告X4を孤立化させるような行為をし、あるいは指示をしたものと認めるに足りる証拠もない。
その他、一審原告X4が被告会社により種々差別を受けたと述べる点は、いずれも証拠上、これを認めることができない。
(3)  一審原告X4は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく賃金差別があったと主張し、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X4は昭和四九年度に初めて考課が「1」とされ、その後、昭和五二、五三年度、及び昭和五五年度から平成六年度までの間「1」の考課がされていることが認められる。また、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X4は、昭和四六年に共産党に入り、昭和四九年ころから磐田工場門前でビラの配布をしたり、昭和五六年ころには磐田労働基準監督署に被告会社の労働基準法違反につき調査及び改善を求める申入れなどをし、昭和五七年以降、組合の推薦によらず役員選挙に立候補するなどして継続して活動をしていることが認められる。
しかしながら、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」記載のとおり、一審原告X4の考課は、昭和五〇年度、昭和五一年度及び昭和五四年度は「2」とされており、一貫して「1」とされたものではないこと、他の一審原告らの考課の状況とも一致していないことからすると、一審原告X4に対する上記の考課が、直ちに被告会社が一審原告X4の上記活動を嫌悪したことによるものと認めることは困難であり、上記のような考課を受けることとなった職務上の事情が存在しなかったものとはいうことができない。そして、前記説示のとおり、被告会社の給与体系及び考課査定の方法においては、一定割合の者が相対的に低い考課を受けるものであること並びに本件においては一審原告らの個別の事情を離れて、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を認めることができないことに照らすと、上記の一審原告X4に対する考課が不合理であり、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策に基づき考課査定における裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱してされたものであるというためには、一審原告X4が単に与えられた業務をこなしていたというだけでは足りず、一審原告X4の業績、能力、勤務態度等が他の従業員(考課査定が同等の者)と比較して優越しており、より上位の考課査定を受けるべきことが明らかと認め得るような事情が存在することが必要というべきである。
しかるところ、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X4は、営業として出向中の昭和四六年ころから昭和四九年ころにかけて、営業活動において、上司の指示に従わず、連絡を取ることなく外出した状態が頻繁にあったこと、磐田工場に戻った後は残業や休日出勤に批判的であったこと、その後、残業も休日出勤も必要としない平常勤務の仕事に従事したこと、平成七年ころから従事した改善班の仕事振りは他の従業員に劣り、単純な仕事しか任せられなかったことなどが認められる。
一審原告X4の勤務状況、勤務態度等は、上記のようなものであり、それが他の従業員のそれと比較して上回っていたものと認めることのできる事情が存在するとは、証拠上、認められない。また、一審原告X4の平成一四年度上期の人事考課表の考課査定(前記(1)エ)についてみても、明らかに評価を誤ったものであり、本来、より上位の考課査定が得られたものであることをうかがわせるような事情は認められない。
そうすると、請求期間の分を含めて、被告会社が一審原告X4に対してした考課査定が不合理なものであり、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りるような事情が存在するとは認められず、一審原告X4に対する考課の理由が被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものと推認することもできない。
8  一審原告X5の活動、勤務態度等と被告会社の対応について
(1)  認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第四 原告ら各人の勤務態度等について」5(1)(原判決二四二頁下から一一行目から二四九頁下から二行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決二四二頁下から一一行目の「書証(略)」を「書証(略)」に、二四三頁八行目の「その後」から一〇行目末尾までを「一審原告X5は、昭和五一年には竜洋テストコースでの勤務となったが、間もなく本社品質保証部に異動し、昭和五二年五月ころ、四輪設計部(本社)乗用車車体設計部車体設計課のエアコン部門に異動となり、その後、昭和六一年からコンプレッサーの性能評価等を担当するようになった」にそれぞれ改める。
イ 二四三頁一六行目の「四輪設計部課長」を「車体設計課長」に改め、同下から六行目の「活動を行わなかった」の次に「もっとも、この間の昭和五七年一二月ころには、共産党からd町議会議員選挙に立候補することを求められ、一審原告X5は、これを承諾した。しかし、党内事情により立候補には至らなかった」を加える。
ウ 二四四頁二行目の「しかし」を「上記のような一審原告X5の活動は、他の職場の従業員にも知られるようになり」に改め、同九行目末尾に「また、一審原告X5は、一審原告X3と共に、当時社長であった一審被告代表者宅を訪れ、赤旗の購読を直接勧めたが、同社長から断られた(一審原告X5)。上司のC7の自宅にも赤旗日曜版を届けたが、返還され、迷惑であるから他の従業員宅にも行かないように言われた(書証略)」を加え、同末行の「車体設計グループ」を「車体設計課」に改める。
エ 二四五頁七行目の冒頭から末尾までを「同部門には昭和五三年ころC8(以下「C8」という)が加わり、その後、昭和五六年及び昭和五八年にも各一名が増員された」に改め、同下から二行目の「そのため」の次に「昭和五九、六〇年ころには」を加え、二四六頁三行目の「昭和五六年に」を「昭和五七年に」に、同行目の「インドなどに主張」を「インドネシアに出張」にそれぞれ改める。
オ 二四七頁末行の「5Sの」を「5Sの背景の」に、二四八頁二行目の「他の目的に利用する」を「他の目的に利用する模様」に、同下から一二行目の「目標カードの記入に当たっては」から同一一、一〇行目の「わけではなかったものの」までを「目標カードに記入する目標の設定に当たっては、上司と面接することとされていたが、一審原告X5の目標設定に当たって、Mが面接したことはなかった。しかし、Mは」にそれぞれ改める。
カ 二四九頁一行目末尾に「なお、平成一三年までの考課査定の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X5」の欄に記載のとおりである」を加え、同下から六行目の「それに対する回答としては」を「平成元年から平成九年まで課長であったC9の回答は」に改める。
(2)  以上の事実が認められ、上記認定に反する証拠ないし証拠部分は採用することができない(その主なものについては、個別に説示する)。
一審原告X5は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別を受けたと主張し、これに沿う供述をする(証拠略)。
ア 一審原告X5は、昭和五一年ころ竜洋テストコースに在勤中、労働組合の支部委員であったことから、支部委員会において被告会社が提案した給与の銀行振込みを反対し、撤回させる活動をしたことを被告会社が嫌い、翌年、初めて「2」の考課査定を受けたものであると述べる(書証略)。
しかしながら、証拠(略)によれば、給与の銀行振込みの実施は、竜洋テストコースの従業員に関して特別に行われたことはなく、全社一斉に実施されたものと認められ、また、仮に、一審原告X5が上記の活動をしたことがあったとしても、一審原告X5は、当時共産党員としての活動はしておらず、また、職場の意見を伝えたものにすぎないのであるから、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別と関係のあるものとは認められない。
イ また、一審原告X5は、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記(1)」という)エのとおり昭和五五年に結婚したが、昭和五五年から昭和五八年までの間の時間外労働時間はMやC8の昭和五九年以降のそれと比べても遜色はないから、結婚によって勤務態度に変化があったものとはいえないと主張する(一審原告X5)。
しかしながら、証拠(略)によれば、昭和五五年から昭和五七年までの一審原告X5の時間外労働時間を他の従業員のそれと直接比較することはできないものの、昭和五八年以降の分については明らかな差があり(昭和五八、五九年には休日出勤に大きな差があることが認められる)、一審原告X5の時間外労働時間は、昭和五五年以降、徐々に減少しているものと認められるから、一審原告X5の上記主張は採用することができない。
ウ 一審原告X5は、前記(1)イのとおり、昭和五六年ころのアメリカ出張に際して、課長のC10が、一審原告X5に対し、共産党の活動を実際にやっているのか尋ねたことが差別であるかのように述べる(一審原告X5)。
しかしながら、上記のC10課長の質問の趣旨(書証略)に照らせば、上記質問は、入国審査の手続でトラブルが生ずるかもしれないとして、出張業務の遂行が円滑に行われるかどうかを心配してのものと認められ、一審原告X5を差別しようとしたものでないことは明らかである。
エ また、一審原告X5は、前記(1)イのとおり、昭和六一年ころ、主任のMが、一審原告X5に対し、品質保証サービスから市場の問題の対応、クレーム等の会議には一審原告X5は出させないでほしいと言われているから主担当はさせられないとか、湖西工場などからも一審原告X5一人で来てもらっては困ると言われているなどと述べたことから、差別があったと述べる(一審原告X5)。
しかしながら、証拠(略)によれば、Mの上記発言は、コンプレッサー試験担当の一審原告X5に空調部門を代表させるのが適当かという問題のほか、当時、一審原告X5が被告会社の方針に反対したり、批判したりしていることが知られるようになっていたことから、Mが、上記のような声に配慮して他部門等との関係を円滑に進めるため、一審原告X5に主担当を任せることができないと判断したことによるものと認められるから、そのような判断に基づく上記発言が一審原告X5に対する差別であるということはできない。
オ 一審原告X5は、前記(1)エの経緯で昭和六一年ころから従事したコンプレッサーの性能評価試験は業務上必要不可欠なものではなく、被告会社は一審原告X5を差別するために上記の仕事を担当させたものであると述べる(書証略)。
しかしながら、前記(1)エによれば、コンプレッサーの性能評価試験が必要のない業務であるということはできない。一審原告X5は、平成一三年一二月二四日から平成一四年一二月六日までの業務日誌(書証略)や平成一三年二月の業務計画表(書証略)に仕事がないなどと記載しているが、その一方、上司から指示された業務については、業務計画表にそのような業務の記載は不要であるなどとしていることがうかがわれ(書証略)、自ら担当業務に積極的に取り組む姿勢があったとは認め難い。
なお、一審原告X5は、コンプレッサーの性能評価試験を行う実験室が窓のない造りで、二〇年近く一人で隔離されていたように述べる(書証略)が、コンプレッサーの性能評価試験を行う実験室の位置構造は前記(1)エのとおりであり、一審原告X5を隔離しているものとは認められないから、この点を一審原告X5に対する差別と認めることもできない。
さらに、一審原告X5は、毎年、他の業務への異動希望を出しているのに実現しなかったのも差別であると述べるが、希望する異動先は特定したものではなく、毎年違う部署であったこと(証拠略)が認められ、前記(1)エの事情の下において、被告会社が一審原告X5をコンプレッサーの性能評価試験の業務に従事させていたことが従業員の配置に関する被告会社の合理的裁量を逸脱したものとは認められず、これを、被告会社による差別と認めることはできない。
カ 一審原告X5は、目標カードにおける同人の目標達成度欄の自己評価に関して、前記(1)オのとおりMは必要とされている一審原告X5との面接指導を行っておらず、これは一審原告X5に対する差別であるとする(一審原告X5)。
そして、証拠(略)によれば、目標カードの記入に当たっては、目標を立てるについて上司と面接するものとされていることが認められるところ、前記(1)オによれば、Mは一審原告X5と上記の面接をしていないが、一審原告X5に対しては日常的に目標に対する指示をしていることが認められ、一審原告X5において上記面接を求めたことも目標カードの作成に困難を来したこともうかがわれないから、これをもって、差別があったということはできない。
キ さらに、一審原告X5は、平成七年からd町議会議員としての活動をするについて、前記(1)ウのとおり被告会社が一審原告X5に対しては特別休暇を認めず、欠勤扱いとしていることが差別であると述べる(書証略)。
しかしながら、一審原告X5は、被告会社の就業規則上の手続に従って公職に就いたものではないから、前記(1)ウの特別休暇の要件を備えていないものであり、また、被告会社がその推薦により当選した者に対して特別休暇を認めているとしても、そのことが、一審原告X5に対する不合理な差別ということはできない。
ク なお、一審原告X5は、仕事以外の点についても、被告会社から共産党員であることを理由とする種々の差別があったとし、平成四年にX5の父が死亡した際、Mが職場の者にその葬儀を知らせなかったなどと述べる(書証略)。
しかしながら、上記葬儀の際に、被告会社の香典をMが届けていること(一審原告X5)が認められ、被告会社が一審原告X5を差別し、孤立化させようとしたものと認めることはできない。また、一審原告X5が「わっぱ」や赤旗を配布したことに対し、被告会社の従業員がこれを断り、苦情を述べたとしても、そのような従業員個人の対応が、被告会社による差別行為であると認めることはできない。
その他、一審原告X5が、被告会社により種々差別を受けたと述べる点は、いずれも証拠上、これを認めることができない。
(3)  一審原告X5は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく賃金差別があったと主張し、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X5の考課には「1」はないが、昭和五一年度に初めて「2」とされ、その後、昭和五二年度及び昭和六一年度以降「2」の考課が継続したことが認められる。
なお、一審原告X5は、「1」の考課を受けたことがないが、証拠(略)によれば、技術職の実際の考課分布は、「1」の評価を受けるのは、年間一パーセント程度で推移していることが認められるから、「2」の評価は、実質的に最下位であると主張する。確かに、上記証拠によれば、技術職については、「2」の考課を受ける者は下位一〇パーセント前後までに位置していることが認められ、予定する正規分布にはなっていない。これについては、弁論の全趣旨によれば、技能職等の工場従業者の場合には、期中において提供した労働の質と量が生産実績に直結することから、個人の評価も期中の貢献が重視されるが、間接部門である設計・開発業務等の技術職の場合には、評価の尺度がより長期のものとならざるを得ず、本人の能力や期中の創意工夫等の情意面に評価のウエイトが高くなり、上記のような結果となっていることが認められる。しかしながら、「1」の評価を受ける者がいないわけではなく、また、「2」の考課査定の結果、それが賃金にも反映されていたのであるから、直ちに「1」と同視することはできない。
ところで、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X5は、昭和五一年ころに共産党に入党したが表に出ての活動をしておらず、昭和五六年ころから職場集会で積極的に発言するようになり、昭和五九年以降、組合の役員選挙に自薦での立候補をし、被告会社門前でのビラの配布や労働基準監督署への申入れなどに積極的に関与して、公然と共産党員としての活動をするようになったことが認められる。
しかしながら、一審原告X5に対する考課の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X5」の欄に記載のとおりであり、仮に、技術職においては「2」の考課を最低の評価であるとみたとしても、一審原告X5が「2」とされた昭和五一年度及び昭和五二年度は共産党員として対外的に活動をしていたものではないから、それが共産党を嫌悪してのものということはできず(なお、一審原告X5は、当時の上司であったC11係長とは仕事の進め方などで考えが合わなかった時が多々あった、有給休暇が多いことを指摘されたなどと述べている(書証略)が、そのことから、被告会社の共産党に対する差別があったことはうかがわれない)、また、昭和五三年度から昭和六〇年度までの間の考課は「3」とされ、その後も、他の一審原告らの考課の状況とも一致していないことからすると、一審原告X5に対する上記の考課が、直ちに被告会社が一審原告X5の上記活動を嫌悪したことによるものと認めることは困難であり、上記のような考課を受けることとなった職務に係る事情が存在しなかったものとはいうことはできない。そして、前記説示のとおり、被告会社の給与体系及び考課査定の方法においては、一定割合の者が相対的に低い考課を受けるものであること並びに本件においては一審原告らの個別の事情を離れて、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を認めることができないことに照らすと、上記の一審原告X5に対する考課が不合理であり、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策に基づき考課査定における裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱してされたものであるというためには、一審原告X5が単に与えられた業務をこなしていたというだけでは足りず、一審原告X5の業績、能力、勤務態度等が他の従業員(考課査定が同等の者)と比較して優越しており、より上位の考課査定を受けるべきことが明らかと認め得るような事情が存在することが必要というべきである。
しかるところ、弁論の全趣旨によれば、一審原告X5は、担当するコンプレッサーの性能評価試験の仕事について、必要不可欠な業務ではなく、一審原告X5をクレームにかかわる仕事に配置させないためのものであると考えて、不満を持っていたことがうかがわれ、前記(1)エによれば、一審原告X5は、指示されたコンプレッサーの性能評価試験を行ってはいたものの、積極的な取組みはなく、仕事中に眠ってしまったり、Mからの指示に従わないこともあったことなどが認められる。
一審原告X5の勤務状況、勤務態度等は、上記のようなものであり、それが他の従業員と比較して明らかに上回っていたものと認めることのできる事情が存在するとは、証拠上、認められない。また、一審原告X5の平成一四年度上期の人事考課表の考課査定(前記(1)カ)についてみても、明らかに評価を誤ったものであり、本来、より上位の考課査定を得られるものであることをうかがわせるような事情は認められない。
そうすると、請求期間の分を含めて、被告会社が一審原告X5に対してした考課査定が不合理なものであり、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りるような事情が存在するとは認められず、一審原告X5に対する考課の理由が被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものと推認することもできない。
9  一審原告X6の活動、勤務態度等と被告会社の対応について
(1)  認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第四 原告ら各人の勤務態度等について」6(1)(原判決二五三頁下から二行目から二六〇頁六行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決二五五頁四行目の「持ちかけられておらず」から六行目末尾までを「持ちかけられることはなかった」に改め、同九行目末尾に「一審原告X6は、同年五月二二日、車で出勤し職場の門前まで来たが、車を駐車場に置きに行く時間がなかったことから、そのまま家に帰り、職場に電話をして出勤せず、その日の午前中は党綱領を読み、午後は部屋の掃除をして過ごした(書証略)。一審原告X6は、そのころ、考課査定が下がった理由を上司に尋ねたところ、具体的な指摘はされなかったが、もっと仕事に熱意を持ってやってほしいとの返事があった(一審原告X6本人)」を加える。
イ 二五五頁一二行目の「昭和六二年以降は」を「昭和六一年以降は」に改め、同下から九行目冒頭から同五行目末尾までを削り、同下から二行目の「昭和五九年ころには」を「昭和五六年ころには」に改める。
ウ 二五六頁下から九、八行目の「平成一三年六月ころから平成一四年五月ころまで」を「平成一二年ころから平成一六年三月ころまで」に、同下から三、二行目の「発見しなければならず、担当作業員は気の抜けない状態にあるはずである」を「発見しなければならない」にそれぞれ改める。
エ 二五七頁一三行目の「磨き作業が行われたのは」の次に「、作業時間一〇分間を残した時点で」を、同一七行目の「原告X6は」の次に「、作業終了後の」を、同一九行目の「磨き作業が行われたのは」の次に「、作業時間三八分間を残した時点で」をそれぞれ加え、同二〇行目の「三〇箇所」を「作業終了後の報告において四四箇所」に改める。
オ 二五八頁下から一三行目の「ここ何年間かは」を「平成九年ころからは」に、二五九頁下から六行目の「「折衝力」が「1」「換算点」が「五」とされており」を「「指導統率力が」が「1」「換算点」が「五」、「折衝力」が「1」「換算点」が「三」とされており」にそれぞれ改め、二六〇頁六行目末尾に「平成一三年までの考課査定の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X6」の欄に記載のとおりである」を加える。
(2)  以上の事実が認められ、上記認定に反する証拠ないし証拠部分は採用することができない(その主なものについては、個別に説示する)。
一審原告X6は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別を受けたと主張し、これに沿う供述をする(証拠略)。
ア 一審原告X6は、前記(1)の引用に係る認定事実(以下、本項において「前記(1)という)イのとおり、被告会社は昭和四六年に従業員に対して営業出向などの勧奨をしたが、それは、当時、積極的に組合活動や職場改善活動をしていた労働者を選んでしたものであり、その多くは民青同盟員であったから、被告会社が民青つぶしを図ったものであると述べる(書証略)。
しかしながら、一審原告X6が職場集会において営業への出向は強制ではないのかと尋ねたところ、C12班長の答えは、本人の意思を尊重するというものであり(書証略)、一審原告X6に対しても出向の勧奨があったが、一度か二度位で余りしつこくなかった(一審原告X6)ことが認められることからすれば、上記勧奨が、被告会社による民青つぶしであるとは認めることができない。
イ 一審原告X6は、被告会社の自己啓発奨励の方針に従い、前記(1)ウ〈1〉のとおり、昭和五六年に金属塗装法の通信教育を修了し(書証略)、また、IE概論も修了する(書証略)などの能力開発に努めたのに考課は「2」のまま変わらなかったとし、さらに、上記のとおり、金属塗装法の講義を修了したにもかかわらず、被告会社が必要な実技指導をしてくれなかったため、金属塗装法二級の資格を取得することができなかったのは、差別であると述べる(書証略)。
しかしながら、金属塗装法二級の資格は、塗装業を開業するためなどには必要であるが、一審原告X6が担当するライン作業とは直接関係のないものであり(一審原告X6)、また、いかなる実技指導を必要としたのかについても明らかではなく、この点に関する一審原告X6の上記供述は採用することができない。
ウ 一審原告X6は、残業や休日出勤も他の従業員と同等には行っており(書証略)、また、かつて改善提案を多数提出して努力賞一万円をもらったこともあるのに、考課は低く給与額は低水準であったのは、明らかに差別であると述べる(証拠略)。
しかしながら、一審原告X6は、残業や休日出勤をしているものの、昭和五九年から平成一五年までの二〇年間において年間の時間外労働時間が所属の平均を上回ったのは六回であり、休日出勤については二〇年間所属の平均を上回ったことはないことが認められ(書証略)、必ずしも一審原告X6が述べるようなものではなく、また、改善提案に対する努力賞は従業員がほぼ万遍なく得ているものであることがうかがわれる(一審原告X6)ことからすれば、これらのことが考課を高めるものとまで認めることはできないから、上記のことをもって差別ということはできない。
エ また、一審原告X6は、昭和四七年度に考課が下げられたことについて上司に理由を尋ねたところ、もっと仕事に熱意を持ってやってほしいと言われたのみで、具体的な指摘はなかったこと、その後、C13課長から、自分の子が外に行って親の悪口を言ってもらっては困ると言われたこと、昭和六三年ころには、C14班長から、共産党のことをしていたら絶対に給料は上がらないと言われたことなどを述べる(一審原告X6)。
しかしながら、上司が上記発言をしたことを裏付けるに足りる証拠はなく、また、仮に、上司がそのような発言をしたとしても、その趣旨は、いずれも一審原告X6が共産党の活動に熱心であるのに対し、仕事には熱意が見られないことなどの問題を指摘したものと認められ、これが差別に当たるものということはできない。
オ なお、一審原告X6は、仕事以外においても差別を受けたとし、前記(1)イのとおり、結婚式には職場の同僚が出席しなかったが、これは、一審原告X6が招待状を渡して出席予定であった三人の同僚に対して上司が出ない方がよいといったためであると述べる(書証略)。しかし、そのような事実を裏付けるに足りる証拠はなく、また、被告会社がそのような行為や指示をしたものと認めるに足りる証拠もない。
その他、一審原告X6が、被告会社により種々差別を受けたと述べる点は、いずれも証拠上、これを認めることができない。
(3)  一審原告X6は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく賃金差別があったと主張し、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X6は、昭和四七年度に初めて考課が「1」とされ、その後、昭和四九年度までの三年間及び昭和五九年度から平成七年度まで並びに平成九年度及び平成一〇年度に「1」の考課がされていることが認められる。また、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X6は、昭和四五年に民青に入り、昭和四七年には共産党に入党し、「O君を守る会」の活動に参加し、昭和六〇年には浜松労働基準監督署に対する申入れをし、昭和六一年以降、支部執行委員選挙に立候補するなどして活動していることが認められる。
しかしながら、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」記載のとおり、一審原告X6の考課は、昭和五〇年度から昭和五八年度までの間及び平成八年度並びに平成一一年度から平成一三年度までの間は「2」とされており、一貫して「1」とされたものではないこと、他の一審原告らの考課の状況とも一致していないことからすると、一審原告X6に対する上記の考課が、直ちに被告会社が一審原告X6の上記活動を嫌悪したことによるものと認めることは困難であり、上記のような考課を受けることとなった職務上の事情が存在しなかったものということはできない。そして、前記説示のとおり、被告会社の給与体系及び考課査定の方法においては、一定割合の者が相対的に低い考課を受けるものであること並びに本件においては、一審原告らの個別の事情を離れて、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を認めることができないことに照らすと、上記の一審原告X6に対する考課が不合理であり、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策に基づき考課査定における裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱してされたものであるというためには、一審原告X6が単に与えられた業務をこなしていたというだけでは足りず、一審原告X6の業績、能力、勤務態度等が他の従業員(考課査定が同等の者)と比較して優越しており、より上位の考課査定を受けるべきことが明らかと認め得るような事情が存在することが必要というべきである。
しかるところ、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X6は、昭和四七年には、遅れて出勤したため家に帰ってしまったことがあったり、また、平成一五年には酒気帯び運転で出勤して勤務に就こうとしたため、譴責処分を受けたことがあるなど、その勤務態度が良好なものであったとは認められず、勤務の内容についてみても、平成一二年ころから担当したWチェックの作業工程においても、他の従業員と同程度の注意深さでチェックをしているとは認められず、「ブツ」を積極的に発見して修正しようとする意欲もうかがわれず、修正箇所を水増しして報告したことなどのほか、多くの問題点が認められ、一審原告X6の勤務態度は昭和四七年当時から問題があったことがうかがわれる。
一審原告X6の勤務状況、勤務態度等は、上記のようなものであり、それが他の従業員のそれと比較して明らかに上回っていたものと認めることのできる事情が存在するとは、証拠上、認められない。また、一審原告X6の平成一四年度上期の人事考課表の考課査定(前記(1)オ)についてみても、明らかに評価を誤ったものであり、本来、より上位の考課査定を得られるものであることをうかがわせるような事情は認められない。
そうすると、請求期間の分を含めて、被告会社が一審原告X6に対してした考課査定が不合理なものであり、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りるような事情が存在するとは認められず、一審原告X6に対する考課の理由が被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものと推認することもできない。
10  一審原告X7の活動、勤務態度等と被告会社の対応について
(1)  認定事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「理由」の「第四 原告ら各人の勤務態度等について」7(1)(原判決二六一頁下から一三行目から二六四頁六行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決二六一頁下から一三行目の「書証(略)」を「書証(略)」に改め、同下から一二、一一行目の「書証(略)」の次に「書証(略)」を加え、同下から四行目の「定年になるまで」を「平成一四年四月に定年退職するまで」に改める。
イ 二六二頁二行目の「連絡係」を「連絡員」に、同九、一〇行目の「民青という共産党系の活動家」を「民青系の活動家」に、同一一行目冒頭から一四行目の「翌年」までを「昭和四七年」にそれぞれ改める。
ウ 二六二頁一六行目末尾に「また、一審原告X7は、同年九月、労働組合高塚支部の支部長選挙に立候補したOの応援活動をした(書証略)」を、同一九行目末尾に「また、一審原告X7は、昭和五五年ころから労働基準監督署に対する申入れに名を連ね、昭和五七年ころには、ビラ配布活動に毎回参加するようになった。このころ、ビラの配布に対して、被告会社から特段の妨害はなかった(一審原告X7)。さらに、昭和五七年以降、一審原告X7は、労働組合の中央執行委員選挙に立候補している(書証略)」をそれぞれ加える。
エ 二六二頁下から五行目の「妻が妊娠中毒症で」を「妻は妊娠中毒症となり、昭和四七年二月ころ」に改め、同下から三行目末尾に「なお、一審原告X7は、一九七〇年代にオートバイ事故を起こし、仕事を休んだこともある。また、同年代後半ころ、腎臓結石の手術を受けたことがある」を加える。
オ 二六三頁六、七行目の「組長や班長はほとんどフライス加工のことを知らなかった」を「組長や班長の多くは、フライス加工の経験を有しなかった」に改め、同七、八行目の「班長であった」を削る。
カ 二六三頁一三行目の「フライス盤には」から一四行目の「できない場合に」までを「フライス盤のバイスを使用して材料を加工することができない場合のために、バイスを取り外して材料を」に、同下から八、七行目の「その操作方法についても」を「その操作方法についてメーカーの担当者から一日の指導を受けた後は独学によりこれを」にそれぞれ改め、二六四頁一行目末尾に「平成一三年までの考課査定の状況は、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」の「X7」の欄に記載のとおりである」を加える。
(2)  以上の事実が認められ、上記認定に反する証拠ないし証拠部分は採用することができない(その主なものについては、個別に説示する)。
一審原告X7は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別を受けたと主張し、これに沿う供述をする(証拠略)。
ア 一審原告X7は、フライス盤による加工の仕事を専ら担当していたが、被告会社の差別により、フォークリフトやクレーン、溶接等の免許取得の機会を与えられなかったとし、その結果、平成二年から平成一二年までの間は、フライス盤で搬送加工パレットを加工するについてクレーンを使用する実際の必要があったことから、そのたびに有資格者にクレーン作業を頼んでいたと述べる(書証略)。
しかしながら、一審原告X7は、フライス盤一級の資格については被告会社の指導により昭和五七年に取得している(書証略)のであるから、被告会社においては、必要と認める資格は取得させているものと認められ、また、一審原告X7がクレーンの資格を取得しなければ仕事に著しい支障が生ずるものとは認められず、同じ職場のC15もクレーンの資格は有していなかったこと、一審原告X7がその取得の必要性について被告会社に特段の申入れをしたこともうかがわれないこと(一審原告X7、弁論の全趣旨)などからすると、上記資格の取得ができなかったことをもって、被告会社が一審原告X7を差別したということはできない。
イ また、一審原告X7は、残業や休日出勤にも応じており、役職者に就けなかったことは被告会社の差別によるものであると述べる(書証略)。
しかしながら、証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、一審原告X7は、被告会社の計画や方針を理解し、その実現に協力し、従業員を引っ張っていくというような班長や組長に必要な要素に欠けるものがあったと認められることからすれば、一審原告X7を役職に就けなかったことが、被告会社による差別ということはできない。
ウ さらに、一審原告X7は、被告会社に勤めていた兄も一審原告X7が公然と共産党員としての活動をしたことから、昇進が遅れたと述べる(書証略)。
しかしながら、弁論の全趣旨によれば、一審原告X7の兄は、平成一三年三月に被告会社を退職後、三年半(四回)にわたって雇用の延長がされたことが認められ、差別を受けていたことを認めるに足りる証拠はない。
その他、一審原告X7が、被告会社により種々差別を受けたと述べる点は、いずれも証拠上、これを認めることができない。
(3)  一審原告X7は、被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく賃金差別があったと主張し、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X7は、昭和四七年度に考課が「1」とされたことが認められる。また、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X7は、昭和四一年に共産党に入党し、昭和四七年ころ、「O君を守る会」の活動に参加し、昭和五五年ころから浜松労働基準監督署に対する申入れに名を連ね、昭和五七年以降、中央執行委員選挙に立候補するなどして活動を続けていることが認められる。
しかしながら、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」記載のとおり、昭和四四年から平成一一年までの間、一審原告X7の考課が「1」であったのは、上記の一回のみであり、それ以外は「3」と「2」の考課が混在しており、「3」が一九回、「2」が一一回となっていること、他の一審原告らの考課とも一致していないことからすると、一審原告X7に対する上記の考課が、直ちに被告会社が一審原告X7の上記活動を嫌悪したことによるものと認めることは困難であり、上記のような考課を受けることとなった職務に係る事情が存在しなかったものということはできない。そして、前記説示のとおり、被告会社の給与体系及び考課査定の方法においては、一定割合の者が相対的に低位の考課を受けるものであること並びに本件においては一審原告らの個別の事情を離れて、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策の存在を認めることができないことに照らすと、上記の一審原告X7に対する考課が、被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策に基づき考課査定における裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱してされたものというためには、一審原告X7が単に与えられた業務をこなしていたというだけでは足りず、一審原告X7の業績、能力、勤務態度等が他の従業員(考課査定が同等の者)と比較して優越しており、より上位の考課査定を受けるべきことが明らかと認め得るような事情が存在することが必要というべきである。
しかるところ、一審原告X7の考課は、昭和四七年度の「1」を除き、「3」と「2」であること(別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」によれば、昭和三八年から昭和四一年の間も「B」と「B下」である)からすると、昭和四七年度の「1」の考課については、その当時の特別な事情が影響しているものと考えるのが合理的である(なお、別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」によれば、昭和四四年以降、一審原告X7は一審原告X2より継続的に高い考課を得ているが、昭和四七年度のみ、考課が逆転している)。これを直接明らかにすることのできる証拠はないが、前記(1)ウのとおり、一審原告X7は、昭和四六年三月に結婚したが、翌四七年二月には妊娠中毒症により妻子共に失うという出来事があった時期であることからすると、これらのことが、勤務状況等にも影響していた可能性を否定することはできず、一審原告X7がこのころ共産党の活動を公然とするようになったことが考課「1」の理由であると推認することはできない。
そして、一審原告X7の考課は「3」と「2」とがおおむね二対一の割合であって、それ自体低位のものということはできず、また、前記(1)の認定事実によれば、一審原告X7は、フライス盤加工の仕事に従事しており、残業や休日出勤についてもおおむね応じてきたことが認められるが、被告会社の計画や方針の実現に協力し、従業員を引っ張っていくというような面に欠けるものがあったことが認められることからすると、上記の考課を前提として、一審原告X7の勤務状況、勤務態度等が、他の従業員のそれと比較して上回っていたと認めることができる事情が存在するとは、証拠上、認められない。
そうすると、請求期間の分を含めて、被告会社が一審原告X7に対してした考課査定が不合理なものであり、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りるような事情が存在するとは認められず、一審原告X7に対する考課の理由が被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づくものと推認することもできない。
11  総括
以上のとおり、いずれの認定判断においても、被告会社が一審原告らに対して反共差別意思ないし反共労務政策に基づく差別的取扱いをしたものと認めることはできない。これを整理すると、次のとおりである。
(1)  まず、被告会社が反共差別意思ないし反共労務政策を有していたことについては、これを直接証明する被告会社の指示文書等は存在せず(なお、一審原告X1が述べる共産党員のブラックリストの存在は認められない)、また、一審原告らの採用時において被告会社が共産党との関係等を確認したり、従業員が労音等のサークル活動や被告会社に党支部を結成することにつき被告会社が妨害等をしたことなどはうかがわれない。そして、一審原告らが主張する点については、〈1〉Oに対する駐在命令及びRに対する出向命令には、いずれも被告会社において業務上の必要があったと認められること、〈2〉労災認定を支援し、大企業黒書運動等に参加するなどして、一審原告らが労働基準監督署に対して働き掛けた諸活動を被告会社が妨害したことは認められないこと、〈3〉被告会社の正門前でのビラ配布等の行動を被告会社が制止しようとしたことには、相当の理由があったものと認められること、〈4〉被告会社が元警察官のPを雇用したことが、被告会社における反共労務政策を推進するためのものとは認められないこと、また、〈5〉被告会社の研修等において、反共差別教育がされていたことも認められないこと、〈6〉労働組合の役員選挙や党支部作成の「わっぱ」の配布活動に対する妨害行為として主張されるものは、労働組合の組合員間ないし従業員個人による対応の問題であって、被告会社が何らかの指示や関与をしているものとは認められないことなどからすれば、これらの事情によって、被告会社が反共差別意思ないし反共労務政策を有しているものと認めることはできない。
(2)  次に、賃金差別に関する主張についてみれば、まず、被告会社の給与体系及び考課査定の方法は不合理なものとは認められず、それによれば、相対的に低い評価を受ける者が一定割合存在することになること、そして、各一審原告については、いずれもその勤務状況、勤務態度等が明らかに他の従業員のそれを上回り、被告会社の考課査定が不合理なものであって、考課査定に関する被告会社の裁量権を濫用し又はその範囲を逸脱したものと認めるに足りる事情が存在するとは認められないことからすれば、一審原告らに対してされた考課を違法不当なものということはできない。
なお、既に触れたとおり、一審原告ら六名は、初めて「1」の考課を受けた当時、共産党員として公然活動をしていたことが認められ(なお、前記8(1)のとおり、一審原告X5のみは、初めて「2」の考課を受けた昭和五一年度当時、共産党員としての公然活動をしておらず、公然活動を開始したのは、昭和五九年以降である)、その後も一審原告らの活動が公然と継続されているにもかかわらず、その後の考課査定は別紙(略)「原告の資格、考課一覧表」のとおりであって、一定ではなく、各人ごと年度ごとに変動があり、一審原告ら相互間に統一的な関係を認めることもできない(例えば昭和四八年ころ被告会社本社門前のビラ配布活動に参加していた一審原告X1、同X2、同X3及び同X7についてみれば、それぞれの昭和四九年度前後の考課査定の結果は一致しておらず、また、一審原告X1及び同X7は、同じ本社工機課に所属して活動しているにもかかわらず、通じて一審原告X7が相対的に高い評価を受けている。なお、証拠(略)によれば、昭和四八年ころ一審原告X2及び同X7の組長をしていたC16は、一審原告X7のほうがよい考課となっているのであれば、一審原告X2より残業に協力的であったからではないかと述べている。また、証拠(略)によれば、同じ工機課で働く共産党員においても、平均以上の残業及び休日出勤をこなし、低い考課を受けていない従業員がいることもうかがわれる)。
さらに、本件証拠上、考課査定にかかわった者の中に、被告会社から共産党員であることを理由に低く査定するように指示された者はおらず、そのように査定したとする者も存在しない(なお、一審原告X2がゴミ箱から拾得したとする班長の手帳の「思想」との記載が、考課上、共産党員であることを考慮する趣旨とは認められず、また、被告会社がそのような考課基準を示したことも認められない)。
このような点を総合してみても、被告会社において、共産党員である従業員に対する考課査定について、統一的な反共差別意思や反共労務政策に基づく方針があるとは認められず、上記考課査定の結果は、各職場の上司によって、各一審原告の業績、能力、勤務態度等について、相応の評価がされたことによるものといわざるを得ない。
なお、一審原告X1は、一審原告らの考課がまちまちとなっているのは、一律に「1」の考課査定をすると差別が鮮明になるため、被告会社自身が、労務管理上、このようなばらつきを作ったことが考えられると述べる(一審原告X1)。
しかしながら、被告会社が、昭和四〇年代当時から、一審原告らの考課査定が将来公開されることを想定して意図的に調整していたとは到底考えられず、そのことをうかがわせるような証拠もないから、一審原告X1による上記のような推測は、根拠のないものというほかない。
(3)  さらに、一審原告らが賃金以外の差別行為として主張する仕事上及び仕事外の個別の出来事についても、既に説示したとおり、いずれも被告会社による反共差別意思ないし反共労務政策に基づく孤立化等の差別行為と認めるに足りる証拠はないものというべきである。
(4)  そして、上記(1)において認められた事実に加え、上記(2)及び(3)において認められた各一審原告に関する事情を総合考慮してみても、結局、一審原告らの主張するような被告会社の反共差別意思ないし反共労務政策は認められず、また、これに基づく差別行為の存在も認めることはできない。
12  結論
以上の次第で、一審被告が一審原告らに対して反共差別意思ないし反共労務政策に基づき賃金等及びその他の差別的取扱いをしたものと認めることはできず、一審原告らの請求はいずれも理由がないから、原判決中、一審原告X5の請求を棄却し、一審原告ら六名の請求を一部棄却した部分は相当であるが、一審原告ら六名の請求を一部認容した部分は不当である。
よって、一審被告の本件控訴は理由があるから、原判決中一審原告ら六名の請求を一部認容した部分を取り消した上、同部分に係る請求をいずれも棄却し、一審原告らの本件控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 横山匡輝 裁判官 石井忠雄 裁判官 相澤眞木)

 

〈別紙略〉


「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧

(1)平成23年 1月18日  東京地裁  平22(行ウ)287号 政務調査費交付額確定処分取消請求事件
(2)平成22年 6月 8日  東京地裁  平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(3)平成21年 2月17日  東京地裁  平20(行ウ)307号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(4)平成21年 1月28日  東京地裁  平17(ワ)9248号 損害賠償等請求事件
(5)平成20年11月28日  東京地裁  平19(行ウ)435号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(6)平成20年 9月19日  東京地裁  平17(特わ)5633号 国家公務員法被告事件
(7)平成20年 7月25日  東京地裁  平19(行ウ)654号 政務調査費返還命令取消請求事件
(8)平成20年 4月11日  最高裁第二小法廷  平17(あ)2652号 住居侵入被告事件 〔立川反戦ビラ事件・上告審〕
(9)平成20年 3月25日  東京地裁  平19(行ウ)14号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(10)平成19年 6月14日  宇都宮地裁  平15(ワ)407号 損害賠償請求事件
(11)平成18年12月 7日  東京高裁  平17(ネ)4922号 損害賠償等請求控訴事件 〔スズキ事件・控訴審〕
(12)平成18年 4月14日  名古屋地裁  平16(ワ)695号・平16(ワ)1458号・平16(ワ)2632号・平16(ワ)4887号・平17(ワ)2956号 自衛隊のイラク派兵差止等請求事件
(13)平成17年 9月 5日  静岡地裁浜松支部  平12(ワ)274号・平13(ワ)384号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件 〔スズキ事件・第一審〕
(14)平成17年 5月19日  東京地裁  平12(行ウ)319号・平12(行ウ)327号・平12(行ウ)315号・平12(行ウ)313号・平12(行ウ)317号・平12(行ウ)323号・平12(行ウ)321号・平12(行ウ)325号・平12(行ウ)329号・平12(行ウ)311号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(15)平成16年11月29日  東京高裁  平15(ネ)1464号 損害賠償等請求控訴事件 〔創価学会写真ビラ事件・控訴審〕
(16)平成16年10月 1日  東京地裁  平14(行ウ)53号・平14(行ウ)218号 退去強制令書発付処分取消等請求、退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(17)平成16年 4月15日  名古屋地裁  平14(行ウ)49号 難民不認定処分取消等請求事件
(18)平成15年 4月24日  神戸地裁  平11(わ)433号 公職選挙法違反被告事件
(19)平成15年 2月26日  さいたま地裁  平12(ワ)2782号 損害賠償請求事件 〔桶川女子大生刺殺事件国賠訴訟・第一審〕
(20)平成14年12月20日  東京地裁  平10(ワ)3147号 損害賠償請求事件
(21)平成14年 1月25日  福岡高裁宮崎支部  平13(行ケ)4号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(22)平成13年12月26日  東京高裁  平13(ネ)1786号 謝罪広告等請求控訴事件
(23)平成12年10月25日  東京高裁  平12(ネ)1759号 損害賠償請求控訴事件
(24)平成12年 8月 7日  名古屋地裁  平10(ワ)2510号 損害賠償請求事件
(25)平成12年 6月26日  東京地裁  平8(ワ)15300号・平9(ワ)16055号 損害賠償等請求事件
(26)平成12年 2月24日  東京地裁八王子支部  平8(ワ)815号・平6(ワ)2029号 損害賠償請求事件
(27)平成11年 4月15日  東京地裁  平6(行ウ)277号 懲戒戒告処分裁決取消請求事件 〔人事院(全日本国立医療労組)事件〕
(28)平成 6年 3月31日  長野地裁  昭51(ワ)216号 損害賠償等請求事件 〔長野東電訴訟〕
(29)平成 5年12月22日  甲府地裁  昭51(ワ)289号 損害賠償請求事件 〔山梨東電訴訟〕
(30)平成 4年 7月16日  東京地裁  昭60(ワ)10866号・昭60(ワ)10864号・昭60(ワ)10867号・昭60(ワ)10865号・平2(ワ)10447号・昭60(ワ)10868号 立替金請求併合事件 〔全逓信労働組合事件〕
(31)平成 2年 6月29日  水戸地裁  昭63(ワ)264号 市立コミュニティセンターの使用許可を取消されたことによる損害賠償請求事件
(32)昭和63年 4月28日  宮崎地裁  昭47(行ウ)3号 行政処分取消請求事件 〔宮崎県立大宮第二高校事件〕
(33)昭和57年 4月30日  東京地裁  昭56(行ク)118号 緊急命令申立事件 〔学習研究社緊急命令事件〕
(34)昭和56年 9月28日  大阪地裁  昭48(ワ)6008号 謝罪文交付等請求事件 〔全電通大阪東支部事件〕
(35)昭和55年 9月26日  長崎地裁  昭50(ワ)412号 未払給与請求事件 〔福江市未払給与請求事件〕
(36)昭和54年 7月30日  大阪高裁  昭53(行コ)24号 助成金交付申請却下処分無効確認等請求控訴事件
(37)昭和53年 5月12日  新潟地裁  昭48(ワ)375号・昭45(ワ)583号 懲戒処分無効確認等、損害賠償金請求事件 〔新潟放送出勤停止事件〕
(38)昭和52年 7月13日  東京地裁  昭49(ワ)6408号 反論文掲載請求訴訟 〔サンケイ新聞意見広告に対する反論文掲載請求事件・第一審〕
(39)昭和50年 4月30日  大阪高裁  昭45(ネ)860号 損害賠償ならびに謝罪文交付請求控訴事件
(40)昭和47年 3月29日  東京地裁  昭47(行ク)8号 緊急命令申立事件 〔五所川原市緊急命令申立事件〕
(41)昭和46年 4月14日  広島高裁  昭46(行ス)2号 行政処分執行停止決定に対する即時抗告申立事件 〔天皇来広糾弾広島県民集会事件〕
(42)昭和46年 4月12日  広島地裁  昭46(行ク)5号 行政処分執行停止申立事件
(43)昭和45年 4月 9日  青森地裁  昭43(ヨ)143号 仮処分申請事件 〔青森銀行懲戒解雇事件〕
(44)昭和37年 4月18日  東京高裁  昭35(ナ)15号 選挙無効確認請求事件
(45)昭和36年 6月 6日  東京高裁  昭35(う)2624号 公職選挙法違反被告事件
(46)昭和35年 6月18日  東京高裁  昭34(ナ)12号 選挙無効請求事件
(47)昭和29年 8月 3日  名古屋高裁  昭29(う)487号 公職選挙法違反事件
(48)昭和27年 3月19日  仙台高裁  昭26(ナ)7号 当選無効請求事件
(49)平成30年 7月20日  福岡地裁久留米支部  平28(ワ)69号 損害賠償請求事件


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【ドブ板実績 No.1】ガンガン飛び込み営業のプロが魅せる政治活動広報支援!
【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


①選挙立候補(予定)者専門のポスター掲示依頼(お願い)は、選挙ドットウィン!
②選挙立候補(予定)者専門のビラ・チラシ設置依頼(お願い)は、選挙ドットウィン!


(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
地獄のポスター貼りやります! ドブ板選挙ポスタリストが貼る! ポスター掲示交渉実績を大公開!
政治ポスター貼りドットウィン!「ドブ板選挙を戦い抜く覚悟のあなたをぜひ応援したい!」事前街頭PRおよび選挙広報支援コンサルティング実績!

(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
ポスター掲示難易度ランク調査 ご希望のエリア/貼付箇所/貼付枚数 ☏03-3981-2990✉info@senkyo.win
「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。

(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
完全無料使い放題でご提供可能! 外壁街頭ポスター掲示貼付ツール 1枚から対応/大至急/一斉貼付け!
「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」というお客様に、選挙ドットウィンの「ウィン!ワッポン」を完全無料使い放題でご提供する、究極の広報支援ポスター新規掲示プランです。

(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝!当選!選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)

(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。

(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。

(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!


政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧
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【政治活動用(事前街頭外壁)ポスター掲示交渉代行】選挙候補(予定)者様専用フォーム
選挙ドットウィン!の政治活動用の事前街頭ポスター新規掲示交渉につきまして概算お見積りをさせていただいております。
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①指定エリアの有権者(民家・飲食店・その他の施設など)に対して、新規ご挨拶回り→→→完全無料
②選挙立候補(予定)者の名刺およびビラの手渡し→→→完全無料
③留守宅への名刺およびビラなどの投函(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率!)→→→完全無料
④政治活動用事前街頭ポスターの新規掲示交渉→→→ポスター掲示(貼付)許可交渉は、完全成果報酬|完全成功報酬
⑤掲示(貼付)交渉後における、掲示許可承諾者に対してのフォローおよびクレーム対応→→→完全無料
選挙候補(予定)者様専用フォーム【政治活動用(事前街頭外壁)ポスター掲示交渉代行】

【政治活動用】事前街頭ポスター新規掲示に関するお問い合わせ
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