【選挙から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例(16)平成16年10月 1日  東京地裁  平14(行ウ)53号・平14(行ウ)218号 退去強制令書発付処分取消等請求、退去強制令書発付処分無効確認等請求事件

「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例(16)平成16年10月 1日  東京地裁  平14(行ウ)53号・平14(行ウ)218号 退去強制令書発付処分取消等請求、退去強制令書発付処分無効確認等請求事件

裁判年月日  平成16年10月 1日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(行ウ)53号・平14(行ウ)218号
事件名  退去強制令書発付処分取消等請求、退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2004WLJPCA10010010

要旨
◆法務大臣がした出入国管理及び難民認定法四九条一項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決には、裁決書が作成されなかった瑕疵があるが、これをもって裁決の不成立ということはできないし、裁決の無効ないし取消原因となるほどの瑕疵と認めることもできないとした事例
◆原告らに在留を特別に許可すべき事情が認められないとした法務大臣の判断に、裁量権逸脱の違法はないとされた事例
◆入国審査官がした退去強制令書発布処分が適法とされた事例

参照条文
出入国管理規則43条
出入国管理法49条1項(平13法136改正前)
出入国管理法49条3項(平13法136改正前)
出入国管理法49条5項(平13法136改正前)
出入国管理法50条1項3号(平13法136改正前)
出入国管理法51条(平13法136改正前)
出入国管理法69条(平13法136改正前)

裁判年月日  平成16年10月 1日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(行ウ)53号・平14(行ウ)218号
事件名  退去強制令書発付処分取消等請求、退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2004WLJPCA10010010

(原告) X1
(原告) X2
(原告) X3
(被告) 法務大臣 南野知惠子
(被告) 東京入国管理局横浜支局主任審査官 神下昌貞
当事者の訴訟代理人及び指定代理人等は別紙のとおり

主  文

原告らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  原告X1の請求
(1)  (主位的請求)
被告法務大臣が平成13年9月12日付けで上記原告に対してしたと主張する、出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく上記原告の異議の申出は理由がない旨の裁決が存在しないことを確認する。
(予備的請求)
被告法務大臣が平成13年9月12日付けで上記原告に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく上記原告の異議の申出は理由がない旨の裁決を取り消す。
(2)  被告東京入国管理局横浜支局主任審査官が平成13年10月29日付けで上記原告に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。
2  原告X2の請求
(1)  (主位的請求)
被告法務大臣が平成13年9月12日付けで上記原告に対してしたと主張する、出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく上記原告の異議の申出は理由がない旨の裁決が存在しないことを確認する。
(予備的請求)
被告法務大臣が平成13年9月12日付けで上記原告に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく上記原告の異議の申出は理由がない旨の裁決を取り消す。
(2)  被告東京入国管理局横浜支局主任審査官が平成13年10月29日付けで上記原告に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。
3  原告X3の請求
(1)  (主位的請求)
被告法務大臣が平成13年9月12日付けで上記原告に対してしたと主張する、出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく上記原告の異議の申出は理由がない旨の裁決が存在しないことを確認する。
(予備的請求)
被告法務大臣が平成13年9月12日付けで上記原告に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく上記原告の異議の申出は理由がない旨の裁決が無効であることを確認する。
(2)  被告東京入国管理局横浜支局主任審査官が平成13年10月29日付けで上記原告に対してした退去強制令書発付処分が無効であることを確認する。
第2  事案の概要
本件は、被告法務大臣から、出入国管理及び難民認定法(平成13年法律第136号による改正前のもの)49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決を受け、被告東京入国管理局横浜支局主任審査官から、退去強制令書の発付処分を受けた原告らが、上記各裁決について同法施行規則(同年法務省令第76号による改正前のもの)43条に規定する裁決書が作成されておらず、また、原告らに在留特別許可を認めなかった上記各裁決には、被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法があるなどと主張して、被告法務大臣に対し、主位的に上記各裁決の不存在確認を、予備的に上記各裁決の取消し又は無効確認を求めるとともに、被告東京入国管理局横浜支局主任審査官に対し、上記各退去強制令書の発付処分の取消し又は無効確認を求めている事案である。
(以下、平成13年法律第136号による改正前の出入国管理及び難民認定法を単に「出入国管理法」といい、同改正より更に前の改正前の同法を指す場合には、括弧書を付記してその旨を明らかにする。また、平成13年法務省令第76号による改正前の出入国管理及び難民認定法施行規則を「出入国管理法施行規則」という。
さらに、原告X1を「原告X1」、原告X2を「原告X2」、原告X3を「原告X3」といい、被告東京入国管理局横浜支局主任審査官を「被告横浜支局主任審査官」という。)
1  前提となる事実((1)ウe、(2)ウe、(3)ウeの各法務省入国管理局長による通知及び被告横浜支局主任審査官による告知以外の事実は、いずれも当事者間に争いがない。)
(1)  原告X1について
ア 原告X1は、昭和44年(1969年)○月○日、スリランカ民主社会主義共和国(以下「スリ・ランカ」という。)のコロンボにおいて、スリ・ランカ国籍の父A(以下「原告X1の父」という。)と母Bとの間に出生したスリ・ランカ国籍を有する外国人である。
イ 原告X1の入国・在留状況について
a 原告X1は、平成6年9月7日、在スリ・ランカ日本国大使館において、短期滞在査証の発給を受けた。
b 原告X1は、平成6年11月21日、エア・ランカ・スリ・ランカ航空454便で新東京国際空港(以下「成田空港」という。)に到着し、東京入国管理局(以下「東京入管」という。)成田空港支局入国審査官に対し、外国人入国記録の日本滞在予定期間の欄に「3months」(3月)、渡航目的の欄に「medical treatment」(病気治療)と記載して上陸申請を行い、同入国審査官から出入国管理法(平成7年法律第94号による改正前のもの)別表第一に規定する在留資格「短期滞在」及び在留期間「90日」の上陸許可を受け、本邦に上陸した。
なお、原告X1の父は、同原告が本邦へ上陸する以前の同年10月10日、成田空港に到着し、東京入管成田空港支局入国審査官から在留資格「短期滞在」及び在留期間「90日」の上陸許可を受け、在留していた。
c 原告X1及び同人の父は、同年12月9日、東京都中野区長に対し、居住地を同区〈以下省略〉として外国人登録法に基づく、新規登録申請を行った。
d 原告X1は、同年12月22日、東京入管横浜支局(以下「横浜支局」という。)において、病気治療を理由に、北里大学病院形成外科医師C(以下「C医師」という。)作成の同原告の病名が重度熱傷後瘢痕拘縮で、向後治療予定であるため、同原告及び同原告の父の在留延長を要望する旨が記載された文書、同月16日付けの在日本スリ・ランカ大使館作成の同原告及び同原告の父の在留期間更新を要望する旨が記載された文書等を提出し、また、帰国用の航空券を提示して、在留期間更新許可申請を行った。これに対し、被告法務大臣は、平成7年1月4日、在留期間「90日」として更新を許可した。
なお、原告X1の父は、同原告と同じく平成6年12月22日、横浜支局において、在留期間更新許可申請を行い、平成7年1月4日、在留期間を「90日」として更新許可を受けた後、同年3月23日、成田空港から出国した。
e 原告X1は、同年2月22日及び同年3月23日、北里大学病院において、上記dの症状に対する手術を受けた。
f 原告X1は、同年5月19日、横浜支局において、病気治療を理由に、C医師作成の同原告が上記eの手術を受けたことや更に6月の通院加療、経過観察が予定されていること等記載した文書、同日付けの同医師作成の診断書、同月8日付けの在日本スリ・ランカ大使館作成の同原告の在留期間の更新を要望する旨が記載された文書、同月19日付け横浜銀行大口支店発行の残高証明書、同原告が入院中の写真等を提出して、在留期間更新許可申請を行った。これに対し、被告法務大臣は、同年9月6日、在留期間「90日」として更新を許可した。
g 原告X1は、同年9月6日から平成10年10月27日までの間、前後14回にわたり、横浜支局において、在留期間更新許可申請を行い、被告法務大臣は、その都度、在留期間「90日」として更新を許可した。
h 原告X1は、平成9年8月14日、在日本スリ・ランカ大使館において、同国人の原告X2と婚姻し、同大使館に届け出た。
i 上記gの平成10年10月27日付け在留期間更新許可申請に対する被告法務大臣の更新許可により、原告X1の在留期限は、平成11年1月30日となった。
ところが、同原告は、その後、在留資格の変更又は在留期間の更新の許可申請を行うことなく、在留期限である平成11年1月30日を超えて不法残留するに至った。
j 原告X1と原告X2との間に、同年4月5日、長女原告X3が出生し、原告X1は、同年6月8日ころ、在日本スリ・ランカ大使館にその届出を行い、同月10日付けの文書で同大使館から出生証明書を受領した。
ウ 原告X1の退去強制手続について
a 横浜支局入国警備官は、平成11年2月18日、原告X1を出入国管理法(平成10年法律第101号による改正前のもの)24条4号ロ(不法残留)該当容疑で立件した。
b 横浜支局入国警備官は、原告X1について違反調査を実施した結果、同原告が同法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条4号ロ(不法残留)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして、平成11年11月5日に被告横浜支局主任審査官から発付された収容令書に基づき、同月10日、同令書を執行して、同原告を横浜支局収容場に収容し、同日、同法24条4号ロ該当容疑者として横浜支局入国審査官に引き渡した。
また、同原告から、同日、仮放免許可申請がなされ、被告横浜支局主任審査官は、同日、仮放免期間(認定又は判定の確定あるいは大臣裁決結果の告知まで)等の条件を付して、これを許可した。
c 横浜支局入国審査官は、同年11月10日及び平成12年3月6日、原告X1について違反審査を行い、その結果、同日、同原告が出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条4号ロに該当する旨の認定を行い、同原告にこれを通知したところ、同原告は、平成12年3月6日、横浜支局特別審理官による口頭審理を請求した。
d 横浜支局特別審理官は、同年5月8日、原告X1について、口頭審理を行い、その結果、同日、入国審査官の上記cの認定は誤りがない旨判定し、同原告にこれを通知したところ、同原告は、同日、被告法務大臣に対し、異議の申出をした。
e 法務省入国管理局長は、平成13年9月12日、横浜支局長に対し、同日付けで上記dの異議申出は理由がない旨の裁決(以下「原告X1に対する本件裁決」という。)がされた旨通知し、被告横浜支局主任審査官は、同年10月29日、原告X1に対し、上記裁決を告知した。
(乙25、26)
また、被告横浜支局主任審査官は、同日、送還先をスリ・ランカとする退去強制令書を発付し(以下「原告X1に対する本件処分」という。)、同日、同原告を横浜支局収容場に収容した。
f 横浜支局入国警備官は、同年12月21日、原告X1を入国者収容所東日本入国管理センターに移収した。
同原告は、その後仮放免された。
エ 原告X1の難民認定申請手続について
a 原告X1は、平成7年11月13日、難民認定申請を行った(以下「前回難民認定申請」という。)。
b 被告法務大臣は、平成10年11月27日、前回難民認定申請について、不認定とする処分を行い、同年12月21日、原告X1に対して同処分を告知した。
なお、前回不認定処分の理由は、前回難民認定申請が出入国管理法(平成8年法律第28号による改正前のもの)61条の2第2項所定の期間を経過してされたものであり、かつ、申請遅延について、同項ただし書の規定するやむを得ない事情が認められないというものであった。
c 原告X1は、同日、被告法務大臣に対し、前回不認定処分について、異議の申出をした。
d 被告法務大臣は、平成11年11月15日、上記cの異議の申出について理由がない旨の決定を行い、同年12月10日、原告X1に対して上記決定の結果を告知した。
e 原告X1は、平成12年6月5日、再度、難民認定申請を行った(以下「本件難民認定申請」という。)。
f 被告法務大臣は、平成13年8月24日、本件難民認定申請について、不認定とする処分を行い、同年10月29日、原告X1に対して同処分を告知した。
なお、本件不認定処分の理由は、前回不認定処分と同じであった。
g 原告X1は、同月31日、本件不認定処分について、異議の申出をした。
h 被告法務大臣は、平成14年1月7日、上記gの異議の申出について理由がない旨の決定を行い、同月11日、原告X1に対して上記決定の結果を告知した。
i 原告X1は、同年4月11日、3回目の難民申請を行ったが、被告法務大臣は、不認定とする処分を行い、これに対する異議の申出についても理由がない旨の決定をした。
(2)  原告X2について
ア 原告X2は、昭和47年(1972年)○月○日、スリ・ランカ国籍の父Dと母Eとの間に出生したスリ・ランカ国籍を有する外国人である。
イ 原告X2の入国・在留状況について
a 原告X2は、平成9年5月7日、在スリ・ランカ日本国大使館において、短期滞在査証の発給を受けた。
b 原告X2は、同月21日、全日空902便で成田空港に到着し、東京入管成田空港支局入国審査官から出入国管理法(平成10年法律第57号による改正前のもの)別表第一に規定する在留資格「短期滞在」及び在留期間「90日」の上陸許可を受け、本邦に上陸した。
c 原告X2は、同月22日、神奈川県座間市長に対し、居住地を座間市〈以下省略〉として外国人登録法に基づく、新規登録申請を行った。
d 原告X2は、その後、在留資格の変更又は在留期間の更新の許可申請を行うことなく、在留期限である同年8月19日を超えて不法残留するに至った。
e 原告X2は、上記(1)イhのとおり、同月14日、在日本スリ・ランカ大使館において、原告X1と婚姻し、同大使館に届け出た。
ウ 原告X2の退去強制手続について
a 横浜支局入国警備官は、平成11年9月3日、原告X2を出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条4号ロ(不法残留)該当容疑で立件した。
b 横浜支局入国警備官は、原告X2について違反調査を実施した結果、同原告が出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条4号ロ(不法残留)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして、同年11月5日に被告横浜支局主任審査官から発付された収容令書に基づき、同月10日、同令書を執行して、同原告を横浜支局収容場に収容し、同日、同法24条4号ロ該当容疑者として横浜支局入国審査官に引き渡した。
また、同原告から、同日、仮放免許可申請がなされ、被告横浜支局主任審査官は、同日、仮放免期間(認定又は判定の確定あるいは大臣裁決結果の告知まで)等の条件を付して、これを許可した。
c 横浜支局入国審査官は、同日及び平成12年3月13日、原告X2について違反審査を行い、その結果、同日、同原告が出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条4号ロに該当する旨認定し、同原告にこれを通知したところ、同原告は、同日、横浜支局特別審理官による口頭審理を請求した。
d 横浜支局特別審理官は、同年5月8日、原告X2について、口頭審理を行い、その結果、同日、入国審査官の上記cの認定は誤りがない旨判定し、同原告にこれを通知したところ、同原告は、同日、被告法務大臣に対し、異議の申出をした。
e 法務省入国管理局長は、平成13年9月12日、横浜支局長に対し、同日付けで上記dの異議申出は理由がない旨の裁決(以下「原告X2に対する本件裁決」という。)がされた旨通知し、被告横浜支局主任審査官は、同年10月29日、原告X2に対し、上記裁決を告知した。
(乙25、48)
また、被告横浜支局主任審査官は、同日、送還先をスリ・ランカとする退去強制令書を発付し(以下「原告X2に対する本件処分」という。)、同日、同原告を横浜支局収容場に収容した。そして、同原告から、同日、仮放免許可申請がなされたので、被告横浜支局主任審査官は、即日、これを許可した。
エ 原告X2の難民認定申請手続について
原告X2は、平成14年4月12日、子供2名(原告X3及びF)と共に難民認定申請を行ったが、被告法務大臣は、不認定とする処分を行い、これに対する異議の申出についても理由がない旨の決定をした。
(3)  原告X3について
ア 原告X3は、平成11年○月○日、父原告X1と母原告X2との間に、神奈川県座間市内で出生したスリ・ランカ国籍を有する外国人である。
イ 原告X3の在留状況について
a 原告X3は、出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)22条の2第3項又は第4項に基づく在留資格を取得することなく、出生後60日を経過する平成11年6月4日を超えて不法残留することとなった。
b 原告X3の出生届については、上記(1)イjのとおり、父原告X1から平成11年6月8日ころ、在日本スリ・ランカ大使館に届出があった。
ウ 原告X3の退去強制手続について
a 横浜支局入国警備官は、平成11年9月6日、原告X3を出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条7号(不法残留)該当容疑で立件した。
b 横浜支局入国警備官は、原告X3について違反調査を実施した結果、同原告が出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条7号(不法残留)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして、同年11月5日に被告横浜支局主任審査官から発付された収容令書に基づき、同月10日、同令書を執行して、同原告を横浜支局収容場に収容し、同日、出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条7号該当容疑者として横浜支局入国審査官に引き渡した。
また、父原告X1から、同日、原告X3の仮放免許可申請がなされ、被告横浜支局主任審査官は、同日、仮放免期間(認定又は判定の確定あるいは大臣裁決結果の告知まで)等の条件を付して、これを許可した。
c 横浜支局入国審査官は、同日及び平成12年3月13日、原告X3について違反審査を行い、その結果、同日、同原告が出入国管理法(平成11年法律第87号による改正前のもの)24条7号に該当する旨の認定を行い、母原告X2にこれを通知したところ、原告X3は、平成12年3月13日、横浜支局特別審理官による口頭審理を請求した。
d 横浜支局特別審理官は、同年5月8日、原告X3について、口頭審理を行い、その結果、同日、入国審査官の上記cの認定は誤りがない旨判定し、母原告X2にこれを通知したところ、原告X3は、同日、被告法務大臣に対し、異議の申出をした。
e 法務省入国管理局長は、平成13年9月12日、横浜支局長に対し、同日付けで上記dの異議申出は理由がない旨の裁決(以下「原告X3に対する本件裁決」という。)がされた旨通知し、被告横浜支局主任審査官は、同年10月29日、父原告X1に対し、上記裁決を告知した。
(乙25、63)
また、被告横浜支局主任審査官は、同日、送還先をスリ・ランカとする退去強制令書を発付し(以下「原告X3に対する本件処分」という。)、同日、原告X3を横浜支局収容場に収容した。そして、同原告から、同日、仮放免許可申請がなされたので、被告横浜支局主任審査官は、即日、これを許可した。
エ 原告X3の難民認定申請手続について
原告X3は、平成14年4月12日、母原告X2及び弟(F)と共に難民認定申請を行ったが、被告法務大臣は、不認定とする処分を行い、これに対する異議の申出についても理由がない旨の決定をした。
(以下、原告ら3名に対するそれぞれの本件裁決を併せて「本件各裁決」、原告ら3名に対するそれぞれの本件処分を併せて「本件各処分」という。)。
2  当事者双方の主張
(原告らの主張)
(1) 裁決書が作成されていないことによる本件各裁決自体の不存在ないしは手続上の瑕疵の存在
本件各裁決においては、出入国管理法施行規則43条所定の裁決書が作成されていないから、本件各裁決は不存在である。
仮に本件各裁決が存在するとしても、裁決書が作成されていないという手続上の瑕疵があるから、原告X1に対する本件裁決及び原告X2に対する本件裁決はいずれも取消しを免れず、また、上記瑕疵は一見して明白なものであるから、原告X3に対する本件裁決は無効である。
(2) 本件各裁決における被告法務大臣の裁量権の逸脱
ア 原告X1が難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)1条A(2)、難民の地位に関する議定書(以下「難民議定書」という。)1条の規定する難民(以下「条約難民」という。)であることを理由とする裁量権の逸脱
a 在留特別許可に関する被告法務大臣の裁量権
被告らは、在留特別許可を与えるかどうかは、被告法務大臣の広範な裁量にゆだねられている旨主張するが、出入国管理法61条の2の8が、難民の認定を受けた者については、在留を特別に許可することができる旨規定しているように、同法は条約難民に関して、特別な配慮をしている。
特に、不法に滞在する条約難民に関して、同法53条1項及び2項1号ないし5号に列挙された国が、難民条約33条1に規定する領域の属する国に該当し、かつ、当該難民がその他の国に出国することを望まないため、同法53条2項6号に基づく送還先の指定もできない場合には、被告法務大臣は、当該難民に対して在留特別許可を与えなければならないという、難民条約上及び出入国管理法上の義務を負っているものと解すべきである。
しかるに、原告X1は、以下のとおり、条約難民に該当し、しかも、同法53条1項及び2項1号ないし5号の列挙する国が、難民条約33条1に規定する領域の属する国に該当し、かつ、同原告がその他の国に出国することを望まないため、同法53条2項6号に基づく送還先の指定もできない場合に当たるから、被告法務大臣は同原告に対し、在留特別許可を付与する義務を負っていたというべきであって、同原告に対する本件裁決がその裁量権の範囲を逸脱した違法なものであることは明白である。
b 原告X1が条約難民であること
(a) スリ・ランカでは、昭和46年(1971年)、「大衆に平和と和合をもたらすこと」を目的として、人民解放戦線(JVP)による反政府運動が起こった。
これに対し、統一国民党(UNP)政権は、あらゆる手段を講じてJVPを圧迫したが、政府軍の他にブラックキャッツ(Black Cats)と呼ばれる武装集団を編成し、暗殺をも行った。
(b) 原告X1は、昭和44年(1969年)○月○日、スリ・ランカのコロンボで生まれ、昭和63年(1988年)、コロンボにあるホテルに就職し、平成元年(1989年)初めからは保険会社に勤務したが、昭和63年(1988年)にJVPのメンバーとなり、ミーティングに参加するなどした。そして、平成元年(1989年)2月には、当時の地元(コロンボ近郊のワッタラ)のリーダーが殺されたため、同原告がリーダーに選ばれた。
同原告らは、JVPの活動として、政府を批判する内容のポスターを街頭に貼ったり、チラシを配布したりしたほか、週1回のミーティングを行うなどしたが、この間、同原告の記憶だけでも、ワッタラだけで20人くらいのJVPメンバーが、活動中に警察に発見されて殺された。
(c) JVPのメンバーが、平成元年(1989年)、平等の権利、失業中の若者の就職の機会、社会的平等及び人権の保障を求めて市民を扇動すると、政府軍、警察及びブラックキャッツは、JVPメンバーを捜し、テロ等の迫害の対象とした。
この危機から逃れるため、原告X1は、同年5月末ころワッタラの自宅から約120キロメートル離れたキャンディという町にある友人の家に避難し、ワッタラとの間を行き来して、JVPの活動を行っていた。
同原告は、同年8月3日、自宅に残る両親の様子を見に自宅に戻った際、近所の友人の家に行き、午後9時15分ころ自宅に戻ったが、同原告の行動を把握したブラックキャッツに自宅近くで待ち伏せされ、襲撃されて、顔などに酸液をかけられた。同原告は、目をつぶるなどしたため失明を免れ、また、助けを求める同原告の声に応じて近所の人々が出てきたため命は助かった。
同原告は、病院に運ばれたが、スリ・ランカ暴動の最中だったので、地元の医院で応急の手当を受けることしかできず、同原告の父の奔走により、インドのマドラスの病院に送られ、7回の手術を受けた。
(d) 原告X1の父は、同原告が顔に酷い火傷を残していたので、会社勤務は難しいと考え、同原告の将来の生活の手段として、同原告に店を自営させることとし、同原告にその資金を渡した、そして、同原告は、平成4年(1992年)、コロンボで、「ヤッティ商事」という店を開店し、花、花輪、樟脳、線香、食料を売った。
同原告は、平成6年(1994年)1月、タミール人の少年を雇ったが、同少年はタミール・イーラム解放の虎(LTTE。タミール人の独立を目指す武装闘争組織)のメンバーだとの密告があり、同年4月、同少年と共に警察に連行された。そして、同少年は、同原告の目の前で、プラスチックのパイプで殴られるなどの拷問を受けた。同原告は、調書を取られて解放されたが、同少年と面会をしないよう警察から脅迫された。
ところが、同原告は、平成6年(1994年)6月、同原告がLTTEの支援者であるとの密告により、警察に2週間拘禁され、5000ルピーの賄賂を払って解放された。
また、同原告は、同年8月5日、警察に連行され、JVP党員なので、LTTEをも支援しているのではないかと追及され、プラスチックのパイプで殴られたり、蹴られたりしたうえ、「シンハリ人のLTTE」と書いた板を付けて警察署の前に立たせられた。このときは、同原告の父が1週間後に賄賂を払い、同原告は、毎週月曜日に出頭するという条件付きで解放された。
そして、同原告は、次の月曜日に出頭すると、警察官に殴られるなどし、また、同年10月15日には、自宅からワッタラ警察署に連行され、2日間に渡り、JVPの秘密組織について尋問され、拷問を受けた。
(e) 原告X1の父は、同原告に火傷の整形手術を受けさせようと考え、友人のつてで、北里大学病院の教授と手紙のやりとりをした。
そして、同原告は、我が国で治療を受ける目的で、我が国の査証を取得し、新聞紙上に、火傷の原因を明記しないものの、これが迫害によるものであることを暗示して支援を求める記事を掲載してもらい、援助を受けて、平成6年(1994年)11月に来日した。
同原告は、我が国で治療を受けるとともに、我が国においても、JVPの党員として、資金提供などを行い、また、集会に参加するなどの活動をした。
(f) 原告X1は、治療が終われば帰国することを考えていたが、平成7年(1995年)10月20日付けの母や妹からの手紙で、同原告がスリ・ランカに帰れば直ちに殺すとの脅迫を、政府側テロ組織員から受けたことを知り、生命の危険を感じて、同年11月13日、前回難民認定申請をした。
また、差出人をブラックキャッツとする平成8年(1996年)1月2日、2月23日、3月14日、4月19日及び7月26日付けの各脅迫状が両親の元に届き、同原告は、両親から、これらの脅迫状の送付を受けた。
(g) なお、スリ・ランカでは、平成7年(1995年)、UNPに替わり人民連合(PA)が政権を執り、同政権の下では、JVP出身の国会議員が誕生するなどの変化があった。しかし、これは、JVPの活動に対する不当な圧迫がなくなったことまでは意味せず、JVPの党員や支持者への攻撃は存在した。現に、平成12年(2000年)の総選挙の際には、JVPのために選挙活動をしていた者が殺害される事件が相次いだが、このような事件は、治安組織と関係を有する暴力組織によるものと疑われ、国会議員が公然とこれを指摘して、「PAは、民主主義に従おうとしているJVPを攻撃している。」と指摘した。
また、UNP政権下で虐殺に関与したHは、PA政権の多数の政治家とも友人であり、PA政権の大統領側近が親しい友人であると報道されているが、このように、政権と結びついた暴力組織の存在は、UNP政権からPA政権に引き継がれ、明瞭でない形で存続したのである。
さらに、平成7年(1995年)まで政権党としてJVP弾圧を行ったUNPも、政権を下りたとはいえ最大の野党勢力として存在し、その政治的な影響は失っていなかった。そして、JVPから選出された国会議員や今の新しい幹部たちは、かつてのJVPの活動家の安全を十分に保障しない。
そして、UNPは、平成13年(2000年)12月の選挙によって政権に復帰した。
以上のとおり、平成7年(1995年)以降においても、スリ・ランカでは、JVP関係者が安全であるとは到底いえない状況となっている。
(h) 以上の諸事情に照らせば、原告X1は条約難民に該当するものというべきである。
c 原告X2に対する本件裁決及び原告X3に対する本件裁決の裁量権の逸脱
条約難民の家族については、家族統合の原則が認められるべきであるから、上記のとおり原告X1に対して在留特別許可を付与すべきである以上は、原告X2及び原告X3に対してもこれを付与すべきであって、これをしなかった同原告らに対する本件裁決には、被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法がある。
イ 原告X1が条約難民に該当しない場合でも裁量権を逸脱していることについて
仮に原告X1が、来日後同原告に対する本件裁決までのある時点で、本国の情勢の変化によって条約難民に該当しなくなっていたとしても、以下のとおり、原告らに対する本件各裁決は、被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱したものというべきである。
a 原告X1は、平成6年11月の来日以来、平成11年1月30日まで適法な在留資格を有して我が国に在留してきたものであり、その期間は4年2か月を超える。
b 原告X1が適法に在留する間に、婚約者であった原告X2が来日し、同女と我が国で婚姻した。
その後更に我が国に在留を続けた原告X1は、日本語を身につけ、日本文化に慣れ、日本社会に適応してきた。原告X1のみならず、原告X2も日本社会に慣れ、適応している。
また、我が国で生まれた原告X3は、日本語を第一言語としている。
c 原告X1の上陸申請の際に申告した渡航目的である病気治療というのはそのとおりであり、また、同原告のその後の在留が適法であったことは明らかである。
d 仮に、原告X1の来日後、本国情勢の変化によって、同原告が条約難民に該当しなくなったとしても、そのような本国情勢の変化を客観的に把握することは、一個人には困難であり、そうして在留を継続する間に、日本社会に適応し、我が国を生活の本拠とするに至った同原告を強いて送還することは、人道に反する。
e 仮に、原告X1の来日後、本国情勢の変化によって、同原告が条約難民に該当しなくなっていたとしても、そのような本国情勢の変化による危険性の変化だけで、同原告の恐怖が当然に消え去るものではない。すなわち、同原告が本国で受けた苦痛は想像を絶するものであって、精神に癒し難い傷を残している同原告を本国に送還することは、人道上望ましくない。
f 以上の事情に照らすと、原告X1はもとより、原告X2及び原告X3に対しても、在留を許可すべきであったから、原告らに対する本件各裁決には、被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法があるというべきである。
(3) 本件各処分の違法
ア 本件各裁決の違法性の承継
本件各裁決には上記(1)及び(2)のとおりの違法があるが、本件各処分は、本件各裁決の違法性を承継しているから、同じく違法である。
イ 難民条約33条1等の違反
a 原告X1に対する本件処分の違法
(a) 難民条約33条1及び難民議定書1条A(2)は、特定の社会的集団の構成員であるためにその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ難民を送還してはならない旨定めているところ、原告X1は、上記(2)アのとおり、条約難民に該当するから、同原告の送還先をスリ・ランカとする同原告に対する本件処分は、難民条約33条1に違反する。
(b) 拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(以下「拷問等禁止条約」という。)3条1は、いかなる締約国も、ある者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ、その者を追放し、送還又は引き渡してはならない旨定めているところ、原告X1には上記(2)アのとおり、本国に送還されると拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠があるから、同原告の送還先をスリ・ランカとする同原告に対する本件処分は、拷問等禁止条約3条1に違反するものである。
b 原告X2に対する本件処分及び原告X3に対する本件処分の違法
条約難民の家族については、家族統合の原則が認められるべきところ、上記aのとおり、原告X1が退去強制されるべきでない以上、その妻子である原告X2及び原告X3についても、退去強制されるべきでないから、原告X2に対する本件処分及び原告X3に対する本件処分はいずれも違法である。
(被告らの主張)
(1) 裁決書が作成されていないことによる本件各裁決の不存在等の主張について
ア 本件各裁決が有効に成立したこと
本件各裁決に当たり、裁決書は作成されていないが、裁決書の不存在は、退去強制手続における被告法務大臣への異議の申出に対する裁決の効力に影響するものではない。
すなわち、出入国管理法は、上記裁決を行うに当たり、文書によって行うべきことを規定していない。そして、同法が法務省令に委任する場合は、その旨明示されているところ、上記裁決の方式については、同法は法務省令に定めるかどうかを含めて何らの定めも置いていない。
そして、行政処分は、行政庁が意思決定をした後、外部に表示され、対外的に認知される存在になったときに成立し、その効力は、特段の定めがない限り、意思表示の一般原則に従って、行政処分が相手方に到達したとき、すなわち、行政処分の告知時に発生するものとされているところ(最高裁昭和57年7月15日第一小法廷判決・民集36巻6号1146頁参照)、その告知の形態には、口頭によるもののほか、交付送達、郵便による送達等の書面による場合があり、出入国管理法49条3項の裁決については、被告法務大臣が「異議の申出に理由がある」旨の意思決定をした場合には容疑者(被処分者)を放免することによって(同条4項)、また、被告法務大臣が「異議の申出に理由がない」旨の意思決定をした場合には主任審査官が容疑者(被処分者)にその旨を知らせることによって(同条5項)、それぞれ外部への表示及び告知がなされるものとされている。
これを本件各裁決についてみると、被告法務大臣が原告らの各異議の申出に理由がない旨の意思決定を行い、法務省入国管理局長がこれらの結果を横浜支局長あてに通知し(乙25)、原告らは、被告横浜支局主任審査官から、異議の申出に理由がないとの裁決があった旨の告知を受けており、本件各裁決が原告らに到達したことは明らかである(乙26、48、63)。
以上のとおり、本件各裁決が行政処分として有効に成立したことは疑う余地のないものである。
イ 退去強制手続における処分の告知と裁決書の意味
a 退去強制手続において、当該外国人が退去強制事由に該当するか否かを判断する機関としては、入国審査官(出入国管理法45条)、特別審理官(同法48条)及び被告法務大臣(同法49条)が置かれているところ、出入国管理法及び出入国管理法施行規則は、上記各機関の処分及びその告知について、次のとおり定める。
(a) 入国審査官の認定は、「認定書」によって行われるものとされ(出入国管理法施行規則37条1項)、当該容疑者に対しては、退去強制事由のいずれにも該当しないとの認定の場合には直ちに放免することにより(出入国管理法47条1項)、また、該当するとの認定の場合には「認定通知書」により(同法47条2項、出入国管理法施行規則37条2項)、それぞれ告知されることとなる。
(b) 特別審理官の判定は、「判定書」によって行われるものとされ(同規則41条1項)、当該容疑者に対しては、退去強制事由に該当する旨の入国審査官の認定に誤りがあるとの判定の場合には直ちに放免することにより(出入国管理法48条6項)、また、同認定に誤りがないとの判定の場合には「判定通知書」により(同法48条7項、出入国管理法施行規則41条2項)、それぞれ告知されることとなる。
(c) 被告法務大臣の裁決は、「裁決書」によって行われるものとされ(同規則43条)、当該容疑者に対しては、異議の申出に理由があるとの裁決の場合には主任審査官が直ちに放免することにより(出入国管理法49条4項)、また、異議の申出に理由がないとの裁決の場合には主任審査官が速やかにその旨知らせるとともに、退去強制令書を発行することにより(同法49条5項)、それぞれ告知されることになる。
b 以上から明らかなとおり、出入国管理法及び出入国管理法施行規則は、容疑者に対する処分告知については、容疑者の放免あるいは通知書等によることとしており、このことからすれば、「認定書」、「判定書」及び「裁決書」は、容疑者に交付又は提示することを前提としたものではなく、行政庁の意思決定における内部手続を定めたものと解される。
すなわち、「認定書」、「判定書」及び「裁決書」は、退去強制手続における外国人の権利保障の観点から、同手続を担当する各機関に対し、容疑者が退去強制手続に該当するか否かの判断を慎重かつ的確にさせるとともに、後続する機関への事件の引渡しを確実に行わせるために規定されたものということができる。
なお、異議の申出に理由がない旨の被告法務大臣の裁決の告知について、同法施行規則上、「裁決通知書」による告知が規定されていないのは、被告法務大臣に対する異議申出は退去強制手続における最終審であって、その後は速やかに当該外国人に対し退去強制令書が発付されることを考慮したものである。
c したがって、出入国管理法施行規則43条所定の「裁決書」が被告法務大臣の裁決の成立要件又は効力要件であるなどとは到底解されない。
d 出入国管理法施行規則43条所定の「裁決書」は、容疑者が退去強制事由に該当するか否かの判断についての、事実認定、証拠、適用法条を記載するものであって、「在留特別許可の必要なし」との判断に係る前提事実等が記載されるものではない。そこで、容疑者が当初から自らが退去強制事由に該当することを争っていない場合には(本件も、原告らが本邦に不法に残留する者であることについて争いはなく、かかる場合に該当する。)、そもそも同規則43条所定の「裁決書」を作成する必要性は極めて少ないものといわざるを得ない。
被告法務大臣の裁決に係る行政実務が、同規則所定の「裁決書」を作成していないのは、かかる点を考慮したものにほかならない。
ウ 以上のとおり、本件各裁決が存在したことは明らかであり、また、これらに取消事由となるような瑕疵、あるいは重大かつ明白な瑕疵があるとはいえない。
(2) 本件各裁決における被告法務大臣の裁量権の逸脱の主張について
ア 在留特別許可に関する被告法務大臣の裁量権
a 国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、当該国家は、特別の条約ないし取決めがない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを自由に決することができるのであり、我が国の憲法上も、外国人は、我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん、在留の権利ないし引き続き本邦に在留することを要求する権利を保障されているものでもない。
そして、実定法上、上陸に関する国際礼譲が尊重されて、緩やかな要件により上陸が認められているものの、在留期間更新において厳しいチェックを受けることが必要とされている。すなわち、我が国において、外国人の上陸拒否事由に該当しない限り当然に更新の許可が受けられるという建前はとられていないのであり、我が国への入国・在留が憲法上当然に保障されたものではなく、国家の自由な裁量に任されていることに基づくことを前提としたうえで、更新事由の有無の判断は被告法務大臣の裁量に任せられているのである。
しかし、それでも、在留期間更新の許否は、適法に在留している外国人を対象にしているものであって、その申請権も認められているものであるのに対し、在留特別許可は、法律上退去強制事由が認められ退去されるべき外国人に対し恩恵的に与え得るにすぎないもので、申請権も認められておらず、法文上も、在留期間の更新については、出入国管理法21条3項で、「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に許可することができると規定され、「相当性」という要件の問題となるのに対し、在留特別許可については、同法50条1項3号で、「特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」と規定され、その付与すべき要件が何ら具体的に規定されておらず、また、このように要件裁量とされていることに加えて、許可するかしないか(同項本文)という効果裁量の問題であることを勘案すれば、被告法務大臣の在留特別許可の許否に関する裁量の範囲は、在留期間更新の許否に関する裁量の範囲よりも質的に格段に広範なものであることは明らかである。
b したがって、被告法務大臣が、在留特別許可を付与するに当たっては、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制目的である国内の治安と善良な風俗の維持、保健・衛生の確保、労働事情の安定など国益の保持の見地に立って、当該外国人の在留中の一切の行状等の個人的な事情のみならず、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情を総合的に考慮すべきものであり、出入国管理法が在留特別許可の付与を被告法務大臣の裁量にゆだねることとした趣旨が、在留特別許可の許否を的確に判断するについて、多面的専門的知識を要し、かつ、政治的配慮をしなければならないとするところにあることからすると、その判断は、国内及び国外の情勢について通暁し、常に出入国管理の衡に当たる者の裁量に任せるのでなければ到底適切な結果を期待することができないためであるから、同許可に係る裁量の範囲は極めて広範なものというべきである。
c 以上のとおり、在留特別許可は、在留期間更新許可における被告法務大臣の裁量の範囲よりも質的に格段に広範なものであるから、その判断については当不当の問題を生じることがあるとしても、違法となる事態は容易には考え難いのであって、極めて例外的にその判断が違法となり得る場合があるとしても、それは、在留特別許可の制度を設けた出入国管理法の趣旨に明らかに反するなど極めて特別な事情が認められる場合に限られると解される。
そして、上記の特別な事情としては、法律上当然退去強制されるべき外国人であっても、なおかつ本邦に在留することを認めなければならない積極的な理由が必要であり、このような極めて特別な事情が存する場合に、はじめて在留特別許可を与えないことが違法となる余地が生ずるにすぎない。
d なお、原告X1は、条約難民に対して、被告法務大臣は必ず在留特別許可を付与する義務を負う旨主張する。
しかし、難民認定を受けた者は、難民認定を受けたことのみをもって在留特別許可を付与し得る対象となるが(出入国管理法61条の2の8)、難民認定を受けていない難民は、諸般の事情を総合考慮した結果、同法50条1項3号に該当すると判断した場合に、在留特別許可を付与し得る対象となるだけであって、しかも、在留特別許可を付与するか否かの効果裁量も認められているのであるから、条約難民であるからといって、必ず在留特別許可が付与されることになるわけではないから、上記主張は失当である。
イ 本件各裁決に被告法務大臣の裁量権の逸脱がないこと
a 原告X1が条約難民とは認められないこと
(a) JVPメンバーであることをもって迫害を受けるおそれがあるとは認められないこと
原告X1は、自分がJVPに所属し、ワッタラのリーダーとして反政府活動をしていたことから、政府が同原告を迫害の対象としている旨主張する。
しかしながら、原告X1が、本邦に入国した平成6年11月21日から同原告に対する本件裁決までの間に、JVPは、議席を有する政党として合法的に活動し、選挙の度にその議席を増やし、平成13年(2001年)8月31日には、当時政権を握っていたPAとの連合を果たしており、JVPメンバーであることを理由に政治的に追及されることはなく、刑事罰についても、他の一般人と同様にスリ・ランカ刑法に基づき処罰されるのであって、何らJVPであるが故に迫害を受ける状況にはない。
このことは、本邦において、原告X1と同様にJVPに所属することを理由に難民認定申請を行っていた複数の者が、平成6年から平成13年までの間に本国に向け自費出国していることからも明らかである。
なお、スリ・ランカにおいては、平成16年(2004年)1月20日、JVPとPAが統一人民自由連合と呼ばれる政治的連合を結成し、同年4月2日に行われた選挙において勝利して政権与党となり、同月28日には、JVPから閣僚が選ばれている。
(b) 政府が原告X1を迫害の対象としているとは認められないこと
i 原告X1は、自分がJVPに所属していた旨主張するが、同原告が提出した資料は、JVPに所属していたことを立証するものではなく、同原告がJVPメンバーであることを裏付ける客観的証拠はない。
また、仮に、原告X1がJVPのメンバーであったとしても、以下のとおり、同原告は政府当局から自国民として種々の保護を受けているのであって、政府から迫害の対象とされているとはおよそ認め難い。
ii 原告X1は、平成2年1月5日、本国で旅券の発給を受け、同月、インドに治療のため渡航した際、出国を止められることや逮捕されることもなく正規の手続を経て出入国を行い、また、平成6年10月4日、本国において、旅券の有効期間の延長許可を受け、同年11月20日、正規の手続により出国した。
この点、原告X1は、本人尋問において、逮捕されることなく正規の手続で出入国できた理由として、渡航目的が火傷の治療目的であったためである旨供述するが、同原告は、前回難民申請手続においては、火傷を負った当時、政府は病院に対し、JVPに属する者の治療を行わないよう命令し、又は病院を脅迫して閉鎖させたとも供述しているものであり、政府がJVPメンバーの医療機関の受診を妨害する挙に出ていたのであれば、JVPのメンバーであるはずの同原告が、火傷の治療目的で渡航しようとすることを許可することは極めて不自然であり、同原告の上記供述は相矛盾するというほかない。
iii 原告X1は、本邦入国後、在日本スリ・ランカ大使館に自ら赴き、平成9年8月14日に原告X2との婚姻の届出を、平成11年6月8日ころ原告X3の出生届を、何ら問題なく行っている。
iv 在日スリ・ランカ大使館は、平成6年12月16日付け及び平成7年5月8日付けで、横浜支局支局長に宛てて、原告X1の在留期間更新申請を許可するよう求める旨の文書を発行している。
v 以上のとおり、原告X1は、本国政府により、自国民として種々の保護を受けているのであって、本国政府が同原告を迫害の対象としているとは到底認め難い。
(c) 硫酸事件が、政府側のテロ組織であるブラックキャッツによるものであるとする原告X1の供述は虚偽であること
原告X1は、平成元年(1989年)8月3日、友人宅から帰宅中、自宅付近で政府側テロ組織であるブラックキャッツに襲われ、顔などに酸液をかけられた旨主張する。
しかしながら、原告X1に硫酸をかけた犯人がブラックキャッツであることを裏付ける資料は皆無であり、上記主張に沿う同原告の供述は、何らの根拠もない思いこみにすぎない。そればかりか、原告らから提出されたスリ・ランカのワッタラ警察署作成の供述録取書(甲4)によれば、この事件の犯人は、Gという近隣に住む知人であり、この事件の概要は、「汚い言葉で怒鳴っていたGに我慢できなくなり近寄った原告X1の兄に向かって、Gが投げた瓶中の酸性の液体が、近くにいた原告X1にかかった」というものであり、その後、犯人であるGは、この事件で起訴され6年間の重労働刑に処されて服役したというのである。そして、同原告の本人尋問における供述によれば、上記供述録取書は、本邦における在留期間更新手続のために、同原告の両親が警察から入手したというのであって、その信ぴょう性を疑うべき事情は一切見当たらない。
したがって、原告X1が、政府側テロ組織により硫酸をかけられ火傷を負った旨の供述が虚偽であることは、明らかである。
(d) ブラックキャッツからの脅迫状の信ぴょう性には疑問があること
原告X1は、差出人をブラックキャッツとする5通の脅迫状が両親の元に届いた旨主張する。
しかしながら、5通の脅迫状(甲7の1ないし5)にはいずれも署名がなく、その真正を確認することができない。
また、差出人としてBlack Catsの記載があるのは平成8年(1996年)7月26日付けの1通(甲7の1)のみであり、同脅迫状は他の脅迫状(甲7の2ないし5)とは一見して字体や書面構成が異なる。そして、他の脅迫状(甲7の2ないし5)は、すべて同一の字体や書面構成であり、これらの脅迫状の送り主は、Black Tiger(ブラックタイガー)となっているところ、原告X1は、前回難民認定手続において、ブラックキャッツとブラックタイガーは同じような組織であると述べているが、ブラックタイガーと名乗る集団としては、反政府組織LTTEの自爆テロ等を行う戦闘部隊が確認されているのみであり、原告が政府側組織と主張するブラックキャッツとは、対立する組織である。
以上のとおり、上記各脅迫状には不審な点が存し、その信ぴょう性は疑問である。
(e) 以上のとおり、原告X1が本国に帰国した場合に迫害を受けるおそれがあるとは到底認め難いから、同原告は条約難民には当たらない。
したがって、原告X1が条約難民であることを理由に、同原告に対する本件裁決は被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱して行ったものである旨の同原告の主張は理由がない。
また、原告X2及び原告X3は、原告X1が条約難民であり、同原告に在留特別許可を付与すべきである以上は、家族統合の原則により、原告X2及び原告X3についても在留特別許可をすべきであった旨主張するが、原告X1が条約難民に該当すると認められないことは、上記のとおりであるから、その前提において、原告X2及び原告X3の上記主張は失当である。
b 原告X1が条約難民に該当しないことを前提とする裁量権の逸脱の主張について
原告X1及び原告X2は、本国において出生・成育し、親族も本国で平穏に生活していること、原告X1は稼働能力を有する成年男子であって、原告らの本国での生活に特段の支障は見当たらないこと、また、原告X3は、両親の来日後に出生したが、同原告の年齢(同原告に対する本件裁決時2歳)からして、退去強制されるに至ったとしても、可塑性が十分に認められ、国籍国の生活に溶け込むことが可能であると予想されたことなどに照らすと、原告らに在留を認めるべき積極的な理由があるとは到底いえず、被告法務大臣が在留特別許可を付与せずにした本件各裁決に裁量権の範囲を逸脱した違法があるということはできない。いわんや、原告X3は、同原告に対する本件裁決の無効確認を求めているところ、これに重大かつ明白な瑕疵があるといえないことは明らかである。
(3) 本件各処分の違法の主張について
ア 本件各裁決の違法性の承継の主張について
上記(1)及び(2)のとおり、本件各裁決に違法な点はないから、これを前提とする原告らの主張は理由がない。
イ 難民条約33条1等の違反の主張について
a 難民条約33条1違反の主張について
上記(2)イaのとおり、原告X1がスリ・ランカに帰国した場合に迫害といえる程度の取扱いを受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖があるとは認められないのであって、他に同原告が帰国した場合に迫害ないし拷問を受けるおそれがあることをうかがうに足りる事情は認められないから、同原告に対する本件処分は難民条約33条1に違反するものではない。
b 拷問等禁止条約3条1に違反の主張について
原告らが、原告X1が本国に送還されると拷問を受けるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠として主張するところは、同原告の難民該当性に係る主張と同一であるところ、同主張に理由がないことは上記(2)イaのとおりであるから、同原告に対する本件処分は拷問等禁止条約3条1に違反するものではない。
c 原告X2に対する本件処分及び原告X3に対する本件処分の違法の主張について
これらの主張は、原告X1に対する本件処分が難民条約33条1等に違反するものであることを前提とするものであるが、かかる前提が存しないことは、上記a及びbのとおりであるから、原告X2及び原告X3の上記主張は理由がない。
3  争点
以上によれば、本件の争点は、次のとおりである。
(1)  裁決書が作成されていないことをもって、本件各裁決は成立していないものと解すべきか否か。また、裁決書が作成されていないことが、本件各裁決の取消事由あるいは無効事由に当たるか否か。 (争点1)
(2)  本件各裁決に被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法があるか否か。 (争点2)
(3)  原告X1に対する送還先をスリ・ランカとする本件処分は難民条約33条1又は拷問等禁止条約3条1に違反するか否か。 (争点3)
第3  争点に対する判断
1  争点1について
(1)  出入国管理法69条は、同法49条3項に規定する被告法務大臣の裁決を含め、同法第2章から第8章までの規定の実施のための手続その他その執行について必要な事項を、法務省令で定めるとしており、出入国管理法施行規則43条は、同法49条3項に規定する裁決を裁決書によって行うものと定めているところ、上記裁決書の記載事項については、同規則別記第61号様式により、容疑者の氏名、生年月日等の人定事項、裁決主文、事実の認定、証拠、適用法条、被告法務大臣の記名押印欄等が定められている。
ところで、出入国管理法49条3項に規定する裁決は、容疑者から同条1項に基づく異議の申出があった場合に、被告法務大臣がこれに理由があるか否かを判断するものである。そして、被告法務大臣が同法50条1項の規定に基づいて当該容疑者に在留特別許可を付与するときには、この許可が、異議の申出に理由がある旨の裁決とみなされることとされているから(同法50条3項)、同法49条3項に基づき、異議の申出に理由がない旨の裁決が行われたときには、当該容疑者に在留特別許可を付与しないという判断も併せて行われたこととなる。しかし、そもそも、この在留特別許可は、「異議の申出が理由がないと認める場合」に行うことができると規定されている(同法50条1項)ものであって、異議の申出に理由があるか否かの判断の中に、在留特別許可を付与すべきか否かの判断が含まれているものではない。
そして、出入国管理法施行規則別記第61号様式においては、出入国管理法50条1項に規定する在留特別許可に関する事項を記載する欄は設けられていない。
これらのことからすれば、平成13年法務省令第76号による出入国管理法施行規則改正前において、出入国管理法49条3項に規定する裁決の判断内容として裁決書に記載すべき事項は、容疑者からの異議の申出に理由があるか否か、すなわち、退去強制事由が存するか否かに関するものであって、在留特別許可を付与すべきか否かに関する事項を上記裁決書に記載することは予定していないと解すべきである。
(2)  また、出入国管理法は、同法49条3項に規定する被告法務大臣の裁決について、異議の申出に理由がある旨の裁決を行ったときは、主任審査官が容疑者を直ちに放免することにより(同条4項)、また、異議の申出に理由がない旨の裁決を行ったときは、主任審査官が容疑者に対してすみやかにその旨知らせるとともに、退去強制令書を発付することにより(同条5項)、それぞれ、容疑者に対し告知することとしている一方、同法及び出入国管理法施行規則には、同規則43条に規定する裁決書を容疑者に対して交付することを義務付けた規定がないことからすれば、上記裁決書を容疑者に交付することは、法令上、予定されていないものというべきである。
そうすると、出入国管理法施行規則43条が「(出入国管理)法49条3項に規定する法務大臣の裁決は、別記第61号様式による裁決書によって行うものとする」と定められた趣旨は、出入国管理法49条3項に規定する被告法務大臣の裁決を書面で行わなければ有効に成立しない要式行為として定めたものとまでは解されないけれども、退去強制手続における外国人の権利保障の観点から、容疑者が退去強制事由に該当するか否かの判断を慎重かつ的確に行わせるとともに、後続する機関への事件の引渡しを確実に行わせることを目的としたものと考えるのが相当である。
(3)  以上を前提に検討すると、出入国管理法施行規則43条が裁決書の作成を要することとした趣旨が上記(2)のとおりであることにかんがみれば、被告法務大臣が出入国管理法49条3項に規定する裁決を行うに当たり、法令上行うべきものとされた上記裁決書の作成を省略することは、本来許されないというべきであるから、上記裁決書を作成することなく行われた被告法務大臣の裁決には、この点において瑕疵があるというべきである。
しかしながら、前記(1)のとおり、出入国管理法施行規則43条に規定する裁決書に記載される事項が、容疑者による異議の申出に理由があるか否か、すなわち、退去強制事由が存するか否かに関するものであることからすれば、上記裁決書は、あくまでこの点に関する被告法務大臣の判断が適正に行われることを担保するための手段にとどまるものであるから、本件各裁決に当たり、出入国管理法24条4号ロに規定する退去強制事由が存すること自体について原告らが争っていたものとは認められない本件においては、同規則43条に規定する裁決書が作成されていないことによって、本件各裁決における被告法務大臣の判断の適正の確保の点に影響があったものとは認められない。
そうであるとすれば、本件各裁決について上記裁決書が作成されなかったことをもって、本件各裁決が不成立であると認めることはできないし、また、本件各裁決が無効になるほどの重大な瑕疵あるいは本件各裁決を取り消さなければならないほどの瑕疵が存すると認めることもできない。
(4)  よって、裁決書が作成されていないことを理由として、本件各裁決は不存在であるとか、本件各裁決には取消原因又は無効原因となる瑕疵があるとする原告らの主張は、いずれも理由がないというべきである。
2  争点2について
(1)  在留特別許可に関する法務大臣等の裁量権について
国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかは、専ら当該国家の立法政策にゆだねられているところであって、当該国家が自由に決定することができるものとされている。我が国の憲法上も、外国人に対し、我が国に入国する自由又は在留する権利(ないしは引き続き在留することを要求し得る権利)を保障したり、我が国が入国又は在留を許容すべきことを義務付けている規定は存在しない。
ところで、出入国管理法50条1項は、被告法務大臣が、同法49条1項に基づく異議の申出が理由があるかどうかを裁決するに当たって、当該容疑者について同法24条各号に規定する退去強制事由が認められ、異議の申出が理由がないと認める場合においても、当該容疑者が、〈1〉永住許可を受けているとき、〈2〉かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき、〈3〉特別に在留を許可すべき事情があると認めるときには、その者の在留を特別に許可することができるとしており、同法50条3項は、同法49条4項の適用については、上記の許可をもって異議の申出が理由がある旨の裁決とみなすと定めている。
しかし、出入国管理法には、その許否の判断に当たって必ず考慮しなければならない事項など上記の判断を覊束するような定めは何ら規定されておらず、このことと、上記の判断の対象となる容疑者は、既に同法24条各号の規定する退去強制事由に該当し、本来的には本邦から退去を強制されるべき地位にあること、外国人の出入国管理は、国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持を目的として行われるものであって、このような国益の保護の判断については、広く情報を収集し、その分析のうえに立って、時宜に応じた的確な判断を行うことが必要であり、ときに高度な政治的な判断を要求される場合もあり得ることとを併せて勘案すれば、上記在留特別許可をすべきか否かの判断は、被告法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられているものであって、被告法務大臣は、我が国の国益を保持し出入国管理の公正を図る観点から、当該外国人の在留状況、特別に在留を求める理由の当否のみならず、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲などの諸般の事情を総合的に勘案してその許否を判断する裁量権を与えられているというべきである。
したがって、これらの点からすれば、在留特別許可を付与するか否かに係る被告法務大臣の判断が違法となるのは、上記判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど、被告法務大臣に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した場合に限られるというべきである。
そして、前記のとおり、被告法務大臣が上記の判断を行うについて特に何らの規準が設けられていないこと及び上記在留特別許可は出入国管理法24条各号の規定する退去強制事由に該当して本来的には本邦から退去を強制されるべき地位にある者を対象としてされるものであり、当該容疑者に申請権が認められているものでもないことからすれば、上記裁量の範囲は、在留期間更新の場合と比べて、より広範なものであるというべきである。
(2)  そこで、本件において、原告らに在留を特別に許可すべき事情が認められないとした被告法務大臣の判断が、裁量権の範囲を逸脱したものであるか否かについて検討する。
ア 原告X1の難民該当性について
原告らは、原告X1が条約難民であることを理由に、本件各裁決には被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法がある旨主張するので、この点について検討する。
a 難民条約上の難民の意義
難民条約1条A(2)は、「難民」について、「1951年1月1日前に生じた事件の結果として、かつ、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」と規定しており、難民議定書1条も、その適用上、「難民」とは、難民条約1条A(2)の「1951年1月1日前に生じた事件の結果として、かつ、」及び「これらの事件の結果として」という文言が除かれているものとみなした場合に同条の定義に該当するすべての者をいい、これらの者については、難民条約2条ないし34条の規定が適用されると規定している。
そして、上記の「迫害」とは、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解することが相当であり、また、上記にいう「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには、当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに、通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解するのが相当である。
以下、これを踏まえて、原告X1が条約難民に該当するか否かについて検討する。
b 原告X1は、本人尋問のほか、前回難民認定申請手続(乙74ないし77)、本件難民認定申請手続(乙78ないし81)及び同原告に対する退去強制手続(乙1、20、22)において、前記「原告らの主張」(2)アbの主張に沿う供述を行い、原告X1からの陳述録取書等(甲2、10、11)にも同趣旨の記載がある(以下、これらを併せて「原告X1の供述」という。)。
そして、これらの供述等を裏付けるものとして、同原告がテロリストによって酸液をかけられたことを伝える新聞記事(甲3、乙28)、ブラックキャッツから両親の元に送付されたとする脅迫状(甲7の1ないし5)、JVPの宣伝ビラや同原告が我が国でJVPの集会に参加した際のものとされる写真(甲9)等が提出されている。
c しかしながら、他方で、次のような事情が認められる。
(a) スリ・ランカの政治情勢について
i 各項末尾に掲記した証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
〈1〉 JVPは、昭和42年(1967年)、Iにより結成されたシンハラ人武装集団であり、昭和46年(1971年)、シンハラ農民青年を中心とする武装蜂起を企てたが、当時のSLFP政権は、これを外国勢力の助けを借りて弾圧した。
JVPのリーダーであるIは蜂起直前に政府によって逮捕されていたが、昭和52年(1977年)に釈放された。その後JVPは政党として活動を始めたものの、昭和58年(1983年)のタミル人大量虐殺(7月暴動)の責任を問われて活動を禁止された。
昭和62年(1987年)、スリ・ランカ国内にインドの平和維持軍が駐留し、スリ・ランカ北部及び中部を拠点とする武装集団LTTEの武装解除を行うとするインド-スリ・ランカ合意が結ばれると、JVPは、インド軍撤退を要求し、当時のUNP政権の支持者に対して活発なテロ活動を行い、昭和63年(1988年)12月からの1年間、一時は南部を中心に毎日100人以上を殺害し、死者数は合計4万人にのぼった。しかし、平成元年(1989年)、UNP政権によってJVPリーダーであるIが射殺されると、平成2年(1990年)春には、JVPは壊滅状態となった。
ところが、原告X1が我が国に上陸する直前の平成6年(1994年)8月に行われたスリ・ランカ国会議員総選挙において、それまでの与党であるUNPに代わり、野党であったPAが政権を取得した。そして、JVPは、この総選挙において、政党として1議席を獲得し、その後、平成7年(1997年)の各地方議会選挙において合計101議席を、平成11年(1999年)6月の南部地方議会選挙において総議席55議席のうち7議席を獲得した。また、JVPは、平成12年(2000年)10月10日の総選挙において、10議席を獲得して野党第2党に躍進し、さらに、同原告に対する本件裁決直前の平成13年(2001)年8月31日には、PAとの連合を果たし、上記裁決後の同年12月5日に実施された総選挙においては、獲得議席を16議席とした。
以上のとおり、JVPは、平成2年(1990年)までは当時の政府と敵対関係にあったものの、平成6年(1994年)にPA政権に移行した後は、議席を有する合法政党として活動しており、JVPメンバーであることを理由に政治的に追及されることはなく、刑事罰についても、他の一般人と同様に、スリ・ランカ刑法に基づき処罰されるだけの状況となった。
(乙68、69、72、73、88)
〈2〉 そして、本邦において、原告X1と同様にJVPに所属することを理由に難民認定申請を行っていた複数の者が、平成6年から平成13年までの間に、本国に向け、自費出国の許可(出入国管理法52条4項参照)を受けて出国した。
(乙97、原告X1本人)
なお、原告らは、政権と結びついた暴力組織がUNP政権からPA政権に引き継がれ、平成12年(2000年)の総選挙の際には、JVPのために選挙活動をしていた者が殺害される事件が相次いだが、これらの事件は上記暴力組織によるものと疑われることからすると、PA政権下においても、JVPの活動に対する不当な圧迫がなくなっていない旨主張する。
しかし、政権と結びついた暴力組織がUNP政権からPA政権に引き継がれたとの点については、これを認めるに足りる的確な証拠はない。また、平成12年の総選挙の際の上記事件を伝える新聞記事をみても、これらの事件の犯人が具体的に特定されているわけではなく(乙82)、さらに、当時、スリ・ランカにおいては、選挙の際に、JVP支持者に対してのみならず、UNP支持者及びPA支持者に対する殺害事件や自爆テロ事件も起こっていたことに照らすと(乙82、87、93)、これらの事件は、選挙時に、一部の支持者が暴徒化したために起こったものであって、単に治安が保たれていないことの証左と認めるのが相当であり、これをもって、PA政権によるJVPへの不当な圧迫があったとまで認めることはできないというべきであるから、原告らの上記主張は理由がない。そして、上記〈1〉のとおり、JVPは、平成13年(2001)年8月に至り、PAとの連合を果たしている。
〈3〉 一方、1950年後半に、当時のバンダーラナーヤカ政権がシンハラ人優位政策(シンハラ・オンリー)を唱え、公用語をシンハラ語のみに限定し、行政職・警察・軍事からタミル人を排除する等の政策を行ったことから、シンハラ人とタミル人の民族間の対立が深まり、いわゆるタミル問題が発生した。そして、タミル人過激派LTTEによるテロ活動が行われ、平成7年(1995年)12月に政府軍がLTTEの活動拠点であるジャフナを陥落させるまで、政府とLTTE間で激しい戦闘が続いた。
もっとも、政府軍とLTTE間の戦闘はその後も続き、LTTEによる列車爆破テロや船舶爆破テロ等が繰り返され、平成11年(1999年)になると紛争はさらに激化し、同年11月初めにはLTTEの攻撃により政府軍が大きく後退し、政府軍は過去2年間に制圧した領土の大半を失った。
しかしながら、この民族紛争について、ノルウェー政府の介入により和平交渉が進められ、原告X1に対する本件裁決後の平成13年(2001)年12月、政府とLTTE間の戦闘は、期限付きで停戦となり、平成14年(2002年)2月には、両者の間で停戦協定が結ばれた。
(乙83ないし88、91ないし95)
〈4〉 なお、平成13年(2001年)12月の選挙によって、UNPが政権に復帰したが、平成16(2004)年1月20日、JVPとPAが統一人民自由連合(UPFA)と呼ばれる政治的連合を結成し、同年4月2日に行われた選挙において勝利して政権与党となり、同月28日には、JVPから閣僚が選ばれるに至った。
(乙88、98ないし101)
ii 以上のとおり、原告X1が我が国に入国した平成6年以降、スリ・ランカでは、政府とLTTEとの間に紛争は存したものの、政府とJVPとの間では迫害の原因となるような紛争はなく、原告X1に対する本件裁決がされた平成13年9月当時、スリ・ランカにおいて、JVPに属していることによって迫害を受ける状況にあったと認めることはできないから、仮に同原告がJVPメンバーであったとしても、上記裁決当時、同原告がこれを理由に迫害を受けるおそれがあったと認めることはできない。
(b) 原告X1の上記bの供述について
i 原告X1は、平成元年(1989年)8月3日、友人宅から帰宅中にブラックキャッツに襲われ、顔などに酸液をかけられた旨供述する(甲2、10、乙1、20、21、74、原告X1本人)。
しかしながら、同原告の本人尋問における供述によれば、上記事件の犯人がブラックキャッツであるというのは、同原告の単なる推測にすぎないことが明らかである。
また、原告らから提出されたスリ・ランカのワッタラ警察署作成の「犯罪捜査部日誌」と題する書面(甲4)には、原告X1が、事件の翌々日である同月5日、警察官に対し、「同月3日午後9時15分ころ帰宅したが、そのとき、2軒先の家に住むGが汚い言葉で怒鳴っており、「お前ら、刀でも銃でも持ってこい。」と言ったところ、これに我慢できなくなった同原告の兄がGに近寄った。すると、Gは、同原告の兄に向かってジャンプし、「これでも食らえ。」と言いながら、手に持っていた瓶に入った液体を兄のそばにいた同原告の顔に投げかけた。Gが酸液を投げつけた理由は、彼が罵っている時に我々が彼に近づいたからかもしれない。」旨供述したこと、Gは、この事件で起訴され、6年間の重労働刑に処されて服役したことが、それぞれ記載されている。そして、同原告の本人尋問における供述によれば、上記書面は、同原告が本邦において在留期間更新許可を得るための資料として、同原告の両親が警察から入手したものであることが認められるのであって、上記記載内容の信ぴょう性を疑うべき事情は存しない。
さらに、上記事件を報じた平成6年(1994年)8月24日付けの新聞(甲3、乙28)には、火傷を負った原告X1の写真とともに、「私は読者の方々が、1989年のテロリスト時代のことを忘れていないことを望みます。」などと記載したうえ、同原告が整形手術を受けるための費用の援助を求める記事が掲載されている。しかし、同原告の前回難民認定手続における供述によれば、この記事は、同原告の父が同原告の火傷の手術費用の援助を求めるために、友人の編集者に頼んで掲載してもらったものであることが認められるのであって(乙74)、新聞社が取材した事実をもとに掲載されたものとは認められない。
以上のことからすると、ブラックキャッツに酸液をかけられた旨の原告X1の供述は、事実に基づかないものであるといわざるを得ない。
ii 原告X1は、平成8年に差出人をブラックキャッツとする5通の脅迫状(甲7の1ないし5)が両親の元に届いた旨供述する(甲10、乙75、原告X1本人)。
しかしながら、5通の脅迫状にはいずれも署名がないが、この点をおくとしても、差出人としてブラックキャッツ(Black Cats)の記載があるのは平成8年(1996年)7月26日付けの1通(甲7の1)のみであり、同脅迫状は他の脅迫状(甲7の2ないし5)とは一見して字体や書面構成が異なっている。
そして、他の脅迫状(甲7の2ないし5)には、差出人がBlack Tiger(ブラックタイガー)と記載されているところ、これは反政府組織であるLTTEの自爆テロ等を行う戦闘部隊を指すものと認められるから(乙89、90)、原告らが政府側の武装集団であると主張するブラックキャッツとは異なり、むしろこれに対立する組織ということになる(原告X1は、これに反する供述をするが(乙75、原告X1本人)、信用することはできない。)。
しかも、ブラックタイガーを差出人とする平成8年(1996年)3月14日付けの脅迫状(甲7の4)には、「当組織はJVPのような反政府運動を抑圧するために前政権によって設立された政府支持諜報機関」であるとの記載があるが、これは上記事実に反するものである。また、脅迫状の日付によれば、差出人をブラックタイガーとする4通の脅迫状(甲7の2ないし5)の後に、差出人をブラックキャッツとする脅迫状(甲7の1)が作成されたことになるところ、ブラックタイガーとブラックキャッツとは上記のとおり対立する組織であるにもかかわらず、ブラックキャッツを差出人とする脅迫状(甲7の1)には、原告X1に関して「貴方への最終警告を何度か与えてきたが、無駄であったようである。」と、ブラックタイガーを差出人とする4通の脅迫状(甲7の2ないし5)を前提とする記載がされているが、これは極めて不自然なことといわざるを得ない。
以上のことからすると、ブラックタイガーを差出人とする4通の脅迫状(甲7の2ないし5)はもとより、差出人をブラックキャッツとする脅迫状(甲7の1)についても、これらが真にブラックキャッツによって作成されたものと認めることはできないから、ブラックキャッツからの脅迫状が両親の元に届いた旨の原告X1の供述を信用することはできない。
iii〈1〉 原告X1は、酸液をかけられた事件の約5か月後の平成2年1月5日に本国で旅券の発給を受け、同月、火傷の治療のためにインドへ赴いた際も、正規の手続を経て出入国した。
また、同原告は、平成6年(1994年)6月から同年10月15日ころにかけて、数回にわたり警察に連行され、暴行を受けるなどした旨主張しているところ、同月4日には、本国において、旅券の有効期間の延長許可を受け、上記主張にある同年10月15日ころ警察に連行された事件の約1か月後の同年11月20日には、正規の手続により本国を出国した。
(乙1、74ないし76、原告X1本人)
〈2〉 また、原告X1の本邦入国後、在日スリ・ランカ大使館は、平成6年12月16日付け及び平成7年5月8日付けの2度にわたり、代理大使名で、横浜支局支局長に宛てて、原告X1の在留期間更新申請を許可するよう求める旨の文書を発行した。
(乙6、8、原告X1本人)
〈3〉 さらに、原告X1は、在日本スリ・ランカ大使館に自ら赴き、平成9年8月14日に原告X2との婚姻の届出をして、婚姻証明書を取得し、また、平成11年6月8日ころには原告X3の出生の届出をして、出生証明書を取得した。
(乙9、22、36、45、原告X1本人)
〈4〉 以上のとおり、原告X1は、本国においても、また、我が国に入国した後においても、本国政府に種々の保護を求め、これを受けていることが認められるのであって、かかる事実に照らせば、同原告は本国政府からの迫害の危険を感じておらず、また、本国政府も同原告を迫害の対象としていなかったものと認めるのが相当である。
iv 原告X1は、上記iの酸液をかけられた事件や上記iiの脅迫状の件のほかにも、平成6年(1994年)6月から同年10月15日ころにかけて、数回にわたり警察に連行されて暴行を受けたことや、平成7年(1995年)10月20日付けの母や妹からの手紙(甲5、6)で、同原告がスリ・ランカに帰れば直ちに殺すとの脅迫を、政府側テロ組織員から受けたことを知った旨供述している(甲2、10、乙1、20、74、76)。
このうち、平成6年10月15日に警察に連行されて暴行を受けた事件について、原告X1は、前回難民認定手続、本件難民認定手続及び同原告に対する退去強制手続において全く供述しておらず、本件訴状で初めてこれに言及したものである。
また、スリ・ランカで逮捕・勾留された回数について、原告X1は、前回難民認定手続において、3回と述べていたにもかかわらず(乙74)、退去強制手続においては、大きな問題となったものだけでも4回、小さないざこざを含めると10数回あると述べ(乙20)、その回数が異なっているうえ、前回難民認定手続において、酸液をかけられた事件の2週間ほど前の平成元年7月中旬、ブラックキャッツに逮捕され、2週間ほど警察署に留置されて、暴行を受けたので、これを機にキャンディに避難した旨供述していたにもかかわらず(乙74、76)、本訴では、かかる逮捕・暴行の事実を主張しないばかりか、キャンディに避難した時期及び理由についても、上記供述と異なる主張をしている。
これらの事情を、上記i及びiiのとおり、原告X1が条約難民性の根拠として主張する重要な出来事について、これを認めることができず、その供述を信用することができないこととも照らして考えれば、同原告が条約難民性の根拠とする他の事柄に係る供述や、同原告の母や妹からの手紙(甲5、6)の記載内容についても、これを信用することはできないというべきである。
v そのほか、原告らから、原告X1が本国においてJVPメンバーとして活動していたことを示す証拠として、JVPの宣伝ビラが提出されているが(甲9)、このことだけで直ちに上記事実を証することにはならないし、他に上記事実を裏付ける証拠はない。
vi 以上のとおりであるから、上記bの原告X1の供述を信用することはできないというべきであり、仮に同原告が本国においてJVPの活動に関わっていたとしても、それが政府ないしその関係機関からの迫害の対象となるようなものであったと認めることはできない。
そして、他に同原告が条約難民に当たることを認めるに足りる証拠はない。
なお、原告X1は、我が国でJVPの活動に参加した旨供述し(甲10、乙1、20、74、75、原告X1本人)、これを示すものとして、JVPの集会に参加した際の写真(甲9)が存在するが、仮に同原告が我が国でJVPの活動に参加したとしても、上記iないしvの諸事情に照らすと、かかる事実から、同原告が本国においても、JVPメンバーとして、政府ないしその関係機関からの迫害の対象となるような活動をしていたとまで推認することはできないだけでなく、同原告が本邦に入国した後のスリ・ランカの政治情勢(上記(a))に照らせば、同原告が本国に送還された場合、我が国でJVP活動をしたことを理由に迫害を受けるおそれがあると認めることもできない。
(c) 以上のとおり、本国においてJVPメンバーとして活動したために、警察に連行されて暴行を受け、ブラックキャッツから両親の元に脅迫状が届いたなどという原告X1の供述を信用することはできず、また、仮に同原告がJVPメンバーであったとしても、スリ・ランカの政治情勢に照らせば、同原告に対する本件裁決がされた当時、同原告が本国に送還された場合に迫害を受けるおそれがあったと認めることは困難であり、他に同原告が条約難民に当たることを認めるに足りる証拠も存在しない。
d したがって、原告X1が条約難民であることを理由として、本件各裁決に被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法があるとする原告らの主張は、その前提を欠くものといわざるを得ない。
イ 原告X1が条約難民に該当しないことを前提とした場合の被告法務大臣の裁量権の逸脱の有無
原告らは、原告X1が条約難民に該当しないとしても、本件各裁決には被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法がある旨主張するので、この点について検討する。
a 証拠(甲2、10、11、乙20、36、43、74、77、原告X1本人)によれば、〈1〉原告X1及び原告X2は、本国において出生・成育し、親族も本国で平穏に生活していること、〈2〉原告X1は稼働能力を有する成年男子であって、原告らの本国での生活に格別の支障は見当たらないこと、〈3〉原告X3は、両親の来日後に我が国で出生したが、同原告に対する本件裁決当時2歳の幼児であり、退去強制されるに至ったとしても、国籍国の生活に溶け込むことが十分に可能な可塑性に富む年齢であることが、それぞれ認められる。
b 原告らは、原告X1の来日後の本国情勢の変化によって、同原告が条約難民に該当しなくなったとしても、そのような本国情勢の変化を把握することは困難であることや、本国情勢の変化による危険性の変化だけで、同原告の恐怖が当然に消え去るものではないことなどを理由に、同原告を本国に送還することは人道に反する旨主張するが、上記アのとおり、同原告はそもそも条約難民であったとは認められないから、上記主張は前提を欠くものといわざるを得ない。
c 以上の諸事情に照らすと、原告X1は病気治療の目的で適法に我が国に上陸し、4年余にわたって適法に滞在してきたこと、同原告と原告X2はいずれも適法に我が国に滞在中に婚姻したものであり、その後原告X3をもうけ、我が国での生活にも適応してきたことなど、原告らに酌むべき事情を考慮したとしても、原告らに在留特別許可を付与しなかった被告法務大臣の判断が、全く事実の基礎を欠くとか、社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであると認めることはできないから、本件各裁決に被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法があると認められない。
ウ したがって、本件各裁決に被告法務大臣が裁量権の範囲を逸脱した違法がある旨の原告らの主張は、いずれも理由がない。
3  争点3について
上記2(2)アのとおり、原告X1は条約難民であるとは認められないから、送還先をスリ・ランカとする同原告に対する本件処分が難民条約33条1の規定に違反するということはできないし、また、上記2(2)アで検討したところによれば、原告X1が本国に送還された場合に拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠があるとも認められないから、同原告に対する本件処分が拷問等禁止条約3条1に違反するということもできない。
したがって、原告らの主張は、いずれも理由がない。
第4  結論
以上によれば、原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 市村陽典 裁判官 石井浩 裁判官 関口剛弘)


「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧

(1)平成23年 1月18日  東京地裁  平22(行ウ)287号 政務調査費交付額確定処分取消請求事件
(2)平成22年 6月 8日  東京地裁  平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(3)平成21年 2月17日  東京地裁  平20(行ウ)307号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(4)平成21年 1月28日  東京地裁  平17(ワ)9248号 損害賠償等請求事件
(5)平成20年11月28日  東京地裁  平19(行ウ)435号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(6)平成20年 9月19日  東京地裁  平17(特わ)5633号 国家公務員法被告事件
(7)平成20年 7月25日  東京地裁  平19(行ウ)654号 政務調査費返還命令取消請求事件
(8)平成20年 4月11日  最高裁第二小法廷  平17(あ)2652号 住居侵入被告事件 〔立川反戦ビラ事件・上告審〕
(9)平成20年 3月25日  東京地裁  平19(行ウ)14号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(10)平成19年 6月14日  宇都宮地裁  平15(ワ)407号 損害賠償請求事件
(11)平成18年12月 7日  東京高裁  平17(ネ)4922号 損害賠償等請求控訴事件 〔スズキ事件・控訴審〕
(12)平成18年 4月14日  名古屋地裁  平16(ワ)695号・平16(ワ)1458号・平16(ワ)2632号・平16(ワ)4887号・平17(ワ)2956号 自衛隊のイラク派兵差止等請求事件
(13)平成17年 9月 5日  静岡地裁浜松支部  平12(ワ)274号・平13(ワ)384号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件 〔スズキ事件・第一審〕
(14)平成17年 5月19日  東京地裁  平12(行ウ)319号・平12(行ウ)327号・平12(行ウ)315号・平12(行ウ)313号・平12(行ウ)317号・平12(行ウ)323号・平12(行ウ)321号・平12(行ウ)325号・平12(行ウ)329号・平12(行ウ)311号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(15)平成16年11月29日  東京高裁  平15(ネ)1464号 損害賠償等請求控訴事件 〔創価学会写真ビラ事件・控訴審〕
(16)平成16年10月 1日  東京地裁  平14(行ウ)53号・平14(行ウ)218号 退去強制令書発付処分取消等請求、退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(17)平成16年 4月15日  名古屋地裁  平14(行ウ)49号 難民不認定処分取消等請求事件
(18)平成15年 4月24日  神戸地裁  平11(わ)433号 公職選挙法違反被告事件
(19)平成15年 2月26日  さいたま地裁  平12(ワ)2782号 損害賠償請求事件 〔桶川女子大生刺殺事件国賠訴訟・第一審〕
(20)平成14年12月20日  東京地裁  平10(ワ)3147号 損害賠償請求事件
(21)平成14年 1月25日  福岡高裁宮崎支部  平13(行ケ)4号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(22)平成13年12月26日  東京高裁  平13(ネ)1786号 謝罪広告等請求控訴事件
(23)平成12年10月25日  東京高裁  平12(ネ)1759号 損害賠償請求控訴事件
(24)平成12年 8月 7日  名古屋地裁  平10(ワ)2510号 損害賠償請求事件
(25)平成12年 6月26日  東京地裁  平8(ワ)15300号・平9(ワ)16055号 損害賠償等請求事件
(26)平成12年 2月24日  東京地裁八王子支部  平8(ワ)815号・平6(ワ)2029号 損害賠償請求事件
(27)平成11年 4月15日  東京地裁  平6(行ウ)277号 懲戒戒告処分裁決取消請求事件 〔人事院(全日本国立医療労組)事件〕
(28)平成 6年 3月31日  長野地裁  昭51(ワ)216号 損害賠償等請求事件 〔長野東電訴訟〕
(29)平成 5年12月22日  甲府地裁  昭51(ワ)289号 損害賠償請求事件 〔山梨東電訴訟〕
(30)平成 4年 7月16日  東京地裁  昭60(ワ)10866号・昭60(ワ)10864号・昭60(ワ)10867号・昭60(ワ)10865号・平2(ワ)10447号・昭60(ワ)10868号 立替金請求併合事件 〔全逓信労働組合事件〕
(31)平成 2年 6月29日  水戸地裁  昭63(ワ)264号 市立コミュニティセンターの使用許可を取消されたことによる損害賠償請求事件
(32)昭和63年 4月28日  宮崎地裁  昭47(行ウ)3号 行政処分取消請求事件 〔宮崎県立大宮第二高校事件〕
(33)昭和57年 4月30日  東京地裁  昭56(行ク)118号 緊急命令申立事件 〔学習研究社緊急命令事件〕
(34)昭和56年 9月28日  大阪地裁  昭48(ワ)6008号 謝罪文交付等請求事件 〔全電通大阪東支部事件〕
(35)昭和55年 9月26日  長崎地裁  昭50(ワ)412号 未払給与請求事件 〔福江市未払給与請求事件〕
(36)昭和54年 7月30日  大阪高裁  昭53(行コ)24号 助成金交付申請却下処分無効確認等請求控訴事件
(37)昭和53年 5月12日  新潟地裁  昭48(ワ)375号・昭45(ワ)583号 懲戒処分無効確認等、損害賠償金請求事件 〔新潟放送出勤停止事件〕
(38)昭和52年 7月13日  東京地裁  昭49(ワ)6408号 反論文掲載請求訴訟 〔サンケイ新聞意見広告に対する反論文掲載請求事件・第一審〕
(39)昭和50年 4月30日  大阪高裁  昭45(ネ)860号 損害賠償ならびに謝罪文交付請求控訴事件
(40)昭和47年 3月29日  東京地裁  昭47(行ク)8号 緊急命令申立事件 〔五所川原市緊急命令申立事件〕
(41)昭和46年 4月14日  広島高裁  昭46(行ス)2号 行政処分執行停止決定に対する即時抗告申立事件 〔天皇来広糾弾広島県民集会事件〕
(42)昭和46年 4月12日  広島地裁  昭46(行ク)5号 行政処分執行停止申立事件
(43)昭和45年 4月 9日  青森地裁  昭43(ヨ)143号 仮処分申請事件 〔青森銀行懲戒解雇事件〕
(44)昭和37年 4月18日  東京高裁  昭35(ナ)15号 選挙無効確認請求事件
(45)昭和36年 6月 6日  東京高裁  昭35(う)2624号 公職選挙法違反被告事件
(46)昭和35年 6月18日  東京高裁  昭34(ナ)12号 選挙無効請求事件
(47)昭和29年 8月 3日  名古屋高裁  昭29(う)487号 公職選挙法違反事件
(48)昭和27年 3月19日  仙台高裁  昭26(ナ)7号 当選無効請求事件
(49)平成30年 7月20日  福岡地裁久留米支部  平28(ワ)69号 損害賠償請求事件


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