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「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(32)平成30年 6月27日  東京地裁  平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件

「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(32)平成30年 6月27日  東京地裁  平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件

裁判年月日  平成30年 6月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(特わ)2148号
事件名  各政治資金規正法違反被告事件
文献番号  2018WLJPCA06276005

裁判経過
控訴審 平成31年 3月 5日 東京高裁 判決 平30(う)1422号 政治資金規正法違反被告事件

裁判年月日  平成30年 6月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(特わ)2148号
事件名  各政治資金規正法違反被告事件
文献番号  2018WLJPCA06276005

上記3名に対する各政治資金規正法違反被告事件について,当裁判所は,検察官中島行雄,同三谷真貴子及び同桐生到のほか,被告人Y1連盟の弁護人A1(副主任),被告人Y2の弁護人A2並びに被告人Y3の弁護人A3(主任)及び同A4各出席の上審理し,次のとおり判決する。

 

 

主文

被告人Y1連盟を罰金50万円に,被告人Y2及び同Y3をそれぞれ禁錮1年6月に処する。
被告人Y2及び同Y3に対し,この裁判が確定した日から3年間それぞれその刑の執行を猶予する。
訴訟費用のうち,証人Bに支給した分は被告人Y1連盟及び被告人Y3の連帯負担とし,その余は被告人3名の連帯負担とする。

 

理由

(罪となるべき事実)
被告人Y1連盟(以下「Y1連盟」という。),C中央後援会(以下「C中央」という。)及びD中央後援会(以下「D中央」という。)は,いずれも東京都千代田区〈以下省略〉に所在する政治団体であり,被告人Y2(以下「被告人Y2」という。)は,平成21年4月から平成23年3月までY1連盟の代表者であり,かつ平成22年3月から平成23年3月までD中央の代表者であった者,被告人Y3(以下「被告人Y3」という。)は,平成23年4月から平成27年6月までY1連盟の会長及び代表者であり,かつC中央の代表者であった者,E(以下「E」という。)は,Y1連盟の副理事長及び会計責任者,C中央の会計責任者で,かつ,D中央の会計責任者の職務を補佐していた者であるが,
第1  被告人Y2は,Eと共謀の上
1  平成23年3月頃,東京都千代田区〈以下省略〉Y1連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきY1連盟の収支報告書につき,真実は,Y1連盟の支出に関し,平成22年5月13日,D中央に5000万円の政治活動に関する寄附をしたにもかかわらず,Y1連盟の平成22年分の収支報告書にその旨記載せず,a党参議院比例区b総支部(以下「b総支部」という。)に対して5000万円の政治活動に関する寄附をした旨虚偽の記入をし,これを平成23年3月31日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出し
2  平成23年3月頃,前記Y1連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきD中央の収支報告書につき,真実は,D中央の収入に関し,平成22年5月13日,Y1連盟から5000万円の政治活動に関する寄附を受けたにもかかわらず,D中央の平成22年分の収支報告書にその旨記載せず,b総支部から5000万円の政治活動に関する寄附を受けた旨虚偽の記入をし,これを平成23年3月31日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出し
第2  被告人Y3は,Eと共謀の上
1  いずれもY1連盟の役職員として,Y1連盟がC中央に対して政治活動に関する寄附をするに当たり,平成25年1月23日,株式会社c銀行d支店に開設されたY1連盟名義の普通預金口座から同支店に開設されたD中央名義の普通預金口座を経由して同支店に開設されたC中央名義の普通預金口座に5000万円を入金した上,同年3月15日,前記Y1連盟名義の普通預金口座から前記C中央名義の普通預金口座に4500万円を入金し,もって政党及び政治資金団体以外の政治団体において平成25年中に政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対して5000万円を超える政治活動に関する寄附をし
2  C中央がY1連盟から政治活動に関する寄附を受けるに当たり,平成25年1月23日,前記Y1連盟名義の銀行口座から前記D中央名義の銀行口座を経由して前記C中央名義の銀行口座に5000万円の入金を受けた上,同年3月15日,前記Y1連盟名義の銀行口座から前記C中央名義の銀行口座に4500万円の入金を受け,もって政党及び政治資金団体以外の政治団体において平成25年中に政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対して行った5000万円を超える政治活動に関する寄附を受け
3  平成26年3月頃,前記Y1連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきY1連盟の収支報告書につき,真実は,Y1連盟の支出に関し,平成25年1月23日,C中央に5000万円の政治活動に関する寄附をしたにもかかわらず,Y1連盟の平成25年分の収支報告書にその旨記載せず,D中央に対して5000万円の政治活動に関する寄附をした旨虚偽の記入をし,これを平成26年3月28日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出し
4  平成26年3月頃,前記Y1連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきC中央の収支報告書につき,真実は,C中央の収入に関し,平成25年1月23日,Y1連盟から5000万円の政治活動に関する寄附を受けたにもかかわらず,C中央の平成25年分の収支報告書にその旨記載せず,D中央から5000万円の政治活動に関する寄附を受けた旨虚偽の記入をし,これを平成26年3月28日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出した
ものである。
(証拠の標目)
※以下,括弧内の甲の番号は,証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。
1  判示冒頭の事実(全被告人共通)及び第1の全事実(被告人Y2関係)について
・ 被告人Y2及び同Y3の当公判廷における各供述
・ 第1回公判調書中の被告人Y2及び同Y3の供述部分
・ 証人F,同G,同H及び同Eの当公判廷における各供述
・ 第2回公判調書中の証人Iの供述部分
・ 第3回公判調書中の証人Jの供述部分
・ 第4回公判調書中の証人Kの供述部分
・ 第5回及び第6回公判調書中の証人Lの各供述部分
・ M1(甲44),M2(甲45)及びN(甲71)の各検察官調書
・ 捜査報告書(甲1ないし5,10ないし12,16,134ないし138,139(不同意部分を除く),140ないし142,143(不同意部分を除く),144ないし152,153(ただし証拠物として),156(ただし証拠物として),166ないし169(ただしいずれも証拠物として),173ないし178,180,182ないし185)
・ 捜査関係事項照会書(甲6・写し)及び捜査関係事項照会回答書(甲7ないし9)
2  判示第2の全事実について(Y1連盟(第2の1の事実に限る。)及び被告人Y3関係)
前記1に掲げたもの(ただし,甲182の不同意部分を除く。)に加え
・ 証人Bの当公判廷における供述
・ C(甲47,48),O(甲50,51)及びM3(甲114,不同意部分を除く)の各検察官調書
・ 捜査報告書(甲13ないし15,17,18,153ないし156,157(不同意部分を除く),158ないし169,172,179,182(不同意部分を証拠物として))
(争点に対する判断)
※以下,証人の証言を引用した説示に係る出典の特定は,証人の姓及びその尋問調書の速記録の丁数を用いて行い,被告人らの供述についてもこれに準ずる。
第1  争点
1  前提となる事実関係
次の各事実は,各当事者も前提としており,証拠上も容易に認められる。
(1) Y1連盟は,歯科医師である会員の診療環境向上を目指し,もって国民歯科医療の発展に寄与することを目的として,昭和29年12月8日に設立された政治団体(設立当時の名称はe連盟で,平成6年4月1日に現在の名称に変更された。)で,f会の会員をもって組織され(ただし,任意加入),東京都千代田区〈以下省略〉所在のg会館4階に事務所を置き,社団法人であるf会が直接行い難いような政治活動を担ってきた。
Y1連盟は,その政治活動の一環として,参議院議員通常選挙における比例代表選出議員の選挙(以下,選挙の名称については,「参議院選挙」,「比例代表選挙」等の略称を適宜用いることがある。)に際し,f会及びY1連盟を代表する国会議員を送り出し,かつ,その政治的発言力を確保すべく,Y1連盟が会員から選考した職域代表候補者,又は選考は経ていないが政党の公認を得た会員をY1連盟として支援することを決した準職域代表候補者につき,高得票で高位当選させるため,その氏名を冠した中央後援会を設立し,選挙に向けた活動に必要な資金を政治活動に関する寄附(以下,単に「寄附」という。)として注入し,支援活動を行ってきた。
他方,平成18年1月1日以降,同一の政治団体間の寄附は,各年中において5000万円を超えることができなくなった(平成17年法律第104号により改正された政治資金規正法22条1項。以下,同項の規制を「5000万円ルール」又は「量的規制」という。)
(2)ア Y1連盟は,平成22年の参議院比例代表選挙においては,a党公認を得たY1連盟会員のD(以下「D」という。)を準職域代表候補者として支援することとし,同人の名を冠した後援会組織として,政治団体であるD中央を設立し,これを中心に上記選挙の支援活動を行った(以下,Y1連盟においてDを支援した選挙という文脈で,平成22年の参議院比例代表選挙を「D選挙」ということがある。)。
イ そして,Y1連盟は,その活動資金について,平成22年3月30日,①D中央の口座に5000万円を寄附として振込送金し(以下「①の資金移動」と表記することがある。),また,②比例代表選挙にa党の公認候補として出馬するDに係る同党の支部組織で,同党からの政党交付金や公認料の受入れなどをするためにY1連盟において同党の要請を受けて設立手続や口座開設を行ったb総支部の口座に5000万円を寄附として振込送金した(以下「②の資金移動」と表記することがある。)。さらに,③同年5月13日,b総支部の上記口座からD中央の口座に5000万円が寄附として振込送金された(以下「③の資金移動」と表記することがある。)(別紙1参照)。
ウ その上で,Y1連盟の平成22年分の収支報告書には,支出として①の資金移動に対応するD中央への5000万円の寄附及び②の資金移動に対応するb総支部に対する5000万円の寄附の記載がある。また,D中央の同年分の収支報告書には,収入として,①の資金移動に対応するY1連盟からの5000万円の寄附,③の資金移動に対応するb総支部からの5000万円の寄附の記載がある。
(3)ア Y1連盟は,平成25年の参議院比例代表選挙においては,既に平成19年の同選挙にY1連盟の職域代表候補者としてh党公認で立候補し,当選していたC参議院議員(以下「C」という。)を,再度職域代表候補者として擁立し,再選を目指すこととした(以下,Y1連盟においてCを支援した選挙という文脈で,平成19年及び平成25年の各参議院比例代表選挙を「C選挙」ということがある。)。
イ そして,前回選挙時に設立した後援会組織であるC中央の活動を再開させ,その活動資金について,次のような資金移動が行われた(別紙2参照)。
④ 平成24年11月1日,Y1連盟からC中央の口座に4500万円を寄附として振込送金(以下「④の資金移動」と表記することがある。)
⑤ 平成25年1月23日,Y1連盟からC中央の口座に5000万円を寄附として振込送金(以下「⑤の資金移動」と表記することがある。)
⑥ 同日,Y1連盟の口座からD中央の口座に5000万円を寄附として振込送金(以下「⑥の資金移動」と表記することがある。)
⑦ 同日,D中央の口座からC中央の口座に5000万円を振込送金(以下「⑦の資金移動」と表記することがある。)
⑧ 同年3月15日,⑤を誤振込として,C中央からY1連盟に5000万円を戻入(以下「⑧の資金移動」と表記することがある。)
⑨ 同日,Y1連盟からC中央の口座に4500万円を寄附として振込送金(以下「⑨の資金移動」と表記することがある。)
ウ その上で,Y1連盟の平成25年分の収支報告書には,支出として⑥の資金移動に対応するD中央への5000万円の寄附及び⑨の資金移動に対応するC中央に対する4500万円の寄附の記載がある。また,C中央の同年分の収支報告書には,収入として,⑦の資金移動に対応するD中央からの5000万円の寄附,⑨の資金移動に対応するY1連盟からの4500万円の寄附の記載がある。
2  検察官の主張
検察官は,判示事実と同旨の公訴事実を掲げ,上記各資金移動並びにY1連盟,D中央及びC中央の各収支報告書の記載との関係について次のとおり主張する。
(1) 被告人Y2関係
Y1連盟がDを支援した平成22年参議院比例代表選挙に関して,当時の会長であった被告人Y2は,当時の副理事長であったEと共謀の上,5000万円ルールの規制を回避した外形により,同年中である同選挙までにY1連盟からD中央へ選挙に向けた活動資金として合計1億円の寄附をする目的で,平成22年3月30日,①②の各5000万円の資金移動をし,その上で同年5月13日,b総支部からD中央へ③の資金移動をした。そして②及び③の各資金移動は,Y1連盟からD中央への寄附に他ならないにもかかわらず,被告人Y2は,当時,Y1連盟の会計責任者であったEと共謀の上,平成22年分のY1連盟の収支報告書に,上記実態と異なり,平成22年5月13日にD中央に5000万円の寄附をしたのにその記載をせず,平成22年3月30日にb総支部へ同額の寄附した旨の虚偽の記入をして提出し(公訴事実第1の1),また,被告人Y2は,当時,D中央の「会計責任者の職務を補佐する者」(政治資金規正法12条1項柱書)であったEと共謀の上,平成22年分のD中央の収支報告書に,同年5月13日にY1連盟から5000万円の寄附を受けたのにその記載をせず,同日b総支部から同額の寄附を受けた旨の虚偽の記入をして提出した(同2)のであるから,上記各行為は,各収支報告書への不記載及び虚偽記入の各罪に当たる。
(2) 被告人Y3関係
Y1連盟がCを支援した平成25年参議院比例代表選挙に関して,当時の会長であった被告人Y3は,当時の副理事長であったEと共謀の上,5000万円ルールの規制を回避した外形により,同年中である同選挙までにY1連盟からC中央へ5000万円を超えて寄附をする目的で,平成25年1月23日,⑥⑦のようにY1連盟からD中央,D中央からC中央へ寄附金として各5000万円を順次資金移動させ,更に同年3月15日,⑨のとおりY1連盟からC中央へ寄附金として4500万円を資金移動させた。そして,⑥⑦の各資金移動はY1連盟からC中央への寄附に他ならないのであるから,⑨の資金移動に係る寄附ないし受寄附は5000万円ルールに抵触する行為である(公訴事実第2の1,2)。また,その後,被告人Y3は,当時,Y1連盟の会計責任者であったEと共謀の上,平成25年分のY1連盟の収支報告書に,上記実態と異なり,同年1月23日,C中央に5000万円の寄附をしたのにその記載をせず,同日,D中央へ同額の寄附をした旨の虚偽の記入をして提出し(同3),また,被告人Y3は,当時,C中央の会計責任者であったEと共謀の上,平成25年分のC中央の収支報告書に,同日,Y1連盟から5000万円の寄附を受けたのにその記載をせず,同日,D中央から同額の寄附を受けた旨の虚偽の記入をして提出した(同4)のであるから,上記各行為は,各収支報告書への不記載及び虚偽記入の各罪に当たる。
(3) Y1連盟関係
Y1連盟は,その役職員である被告人Y3及びEが上記(2)のとおりC中央に5000万円ルールを超えた寄附をしたことにつき,団体として責任を負う(公訴事実第2の1)。
3  各弁護人の主張
(1) 被告人Y2の弁護人の主張
ア 当初,D選挙ではa党からの資金も用いることが予定されていたが,最終的にa党からいくらの入金があるか不明であったため,法の上限まで送金することとして,②の資金移動を行った。そうしたところ,5月13日になって,a党からb総支部口座に支部交付金として500万円が入金されたため,③の資金移動を行った。また,そもそも,b総支部は,上記口座から家賃や印刷代金などの経費を支出しており,預金債権の所有者としての実体もあるのであるから,②と③の各資金移動ではその資金の性質も異なる。このように②③の各資金移動は,Y1連盟からD中央へ年間合計1億円の寄附をするために迂回として行ったものではない。
イ Eは,平成22年分のY1連盟及びD中央の各収支報告書の記載について,客観的な帳票類に基づいて,各資金移動の経過を忠実に記載しているのであるから,収支報告書への不記載又は虚偽記入には当たらない。検察官の上記主張は誤った法解釈に基づいている。
ウ 被告人Y2は,②③の各資金移動は5000万円ルールに抵触しないと考え,これをそのまま反映した各収支報告書の記載は適法であると考えていたのであるから,違法性の意識がない。
エ 虚偽記入又は不記載の罪について代表者が虚偽記入の責任を負うのは,代表者自身が会計責任者に虚偽記入を指示するなどの積極的な関与がある場合に限られるのであって,代表者が報告書の内容について報告を受けて了承したという程度では共謀は認められない。
(2) 被告人Y3の弁護人の主張
ア 平成25年参議院比例代表選挙について,Eは,D中央からもCの選挙支援に支出をしていくつもりで,⑤⑥の各資金移動をY1連盟事務局職員のH(以下「H」という。)に指示したが,同人の思い込みで,同人が更にD中央からC中央へ5000万円を送金してしまい,⑦の資金移動が生じてしまった。D中央からC中央への⑦の資金移動は,Y1連盟からC中央へ5000万円ルールの規制を免れるために迂回として行ったものではない。
イ Eは,平成25年分のY1連盟及びC中央の各収支報告書の記載についても,客観的な帳票類に基づいて,資金移動の経過を忠実に記載しているのであるから,収支報告書への不記載又は虚偽記入には当たらない。
ウ 被告人Y3は,Eに全幅の信頼を置いて会計業務を任せており,④ないし⑨の各資金移動について認識しておらず,上記イの各収支報告書も見ていないのであるから,公訴事実第2記載の各罪の故意及びEとの間での共謀はいずれも認められない。
(3) 被告人Y1連盟の弁護人の主張
上記(2)を援用する。
4  争点
かくして,本件の争点は,以下のとおりとなる。
(1) 被告人Y2関係
ア 平成22年の参議院比例代表選挙に向けた同年3月30日のY1連盟からb総支部への5000万円の資金移動(②の資金移動)及び同年5月13日のb総支部からD中央への5000万円の資金移動(③の資金移動)が,Y1連盟からD中央に対する寄附であるか
イ 平成22年分のY1連盟及びD中央の各収支報告書の内容が,記載すべき事項を記載しなかったものないし虚偽の記入をしたものに当たるか
ウ 被告人Y2の違法性の意識ないしその可能性の有無
エ 被告人Y2とEの間における上記イについての共謀の有無
(2) 被告人Y3関係
ア 平成25年の参議院比例代表選挙に向けた同年1月23日のY1連盟からD中央への5000万円の資金移動(⑥の資金移動)及び同日のD中央からC中央への5000万円の資金移動(⑦の資金移動)が,Y1連盟からC中央に対する寄附であるか
イ 平成25年分のY1連盟及びC中央の各収支報告書の内容が,記載すべき事項を記載しなかったものないし虚偽の記入をしたものに当たるか
ウ 被告人Y3の上記ア及びイについての故意の有無
エ 被告人Y3とEの間における上記ア及びイについて共謀の有無
(3) 被告人Y1連盟関係
上記(2)アと同じ
第2  証拠上容易に認められる事実
前記第1の1に摘示したところに加え,前記争点に関し,以下の事実が証拠上容易に認められる。
1  Y1連盟の組織と被告人Y2,同Y3,E及び関係者の地位
(1) 役員構成
Y1連盟には,役員として会長,副会長,理事長,副理事長,常任理事,理事,監事(常任監事を含む)が置かれている。会長は,Y1連盟を代表して会務を統轄するY1連盟の最高責任者であった。副会長は,会長を補佐し,会長に事故のあった時にはその職務を代理し,欠けたときはその職務を代行する。理事長は,会長の旨を受けて会務の全般を掌理し,会長及び副会長ともに事故のあった時にはその職務を代理し,欠けたときはその職務を代行する。副理事長は,会長・理事長の旨を受けて,会計を掌理する。常任理事は,理事長の旨を受けて,担当会務を掌理し,理事は,理事長の旨を受けて,会務執行に関する事項を処理する。監事は,Y1連盟の業務並びに会計及び財務を監査する。各役員の任期は2年である。会長及び監事は,Y1連盟の議決機関である評議員会において選出される。副会長,理事長,副理事長及び常任理事は,会長が,評議員会の同意を得て指名する。評議員会を構成する評議員は,各都道府県i連盟におけるY1連盟会員の人数に応じ,各都道府県i連盟ごとに選出される。
(2) 会議
Y1連盟には,議決機関である前記評議員会のほか,四役会,常任理事会,理事会,監事会,都道府県連盟会長会議等の会議が存在する。
四役会は,規約上の会議ではないが,主として理事会や常任理事会の前に会長,副会長,理事長,副理事長,庶務会計担当の常任理事が集まり,Y1連盟の活動についての方針を決定したり,理事会や常任理事会にかける事柄以外の重要課題について相談する性質を有していた。四役会で決まったことはその後ほとんど覆ることがなかった(E第13回7~8丁)。
常任理事会は,会長,副会長,理事長,副理事長及び常任理事をもって組織し,理事会は,会長,副会長,理事長,副理事長,常任理事及び理事をもって組織する。理事会では,評議員会や都道府県連盟会長会議の招集及びこれに付議する事柄,評議員会から委任された事柄等を議決する。
監事会は,監査を行い,監事のほか,会長,理事長,副理事長,会計担当の理事,公認会計士等が出席し,Y1連盟執行部から会計の運営の仕方について説明を受け,これに対して監事が問題点の指摘や意見を述べる会であった(F・10丁)。
(3) 被告人Y2及び同Y3らの経歴及びY1連盟における地位
ア 被告人Y2は,昭和41年8月,歯科医師となり,昭和50年から熊本市j会の理事,昭和54年から熊本県j会の理事に就任し,その後,同会の常務理事や専務を歴任し,平成12年から平成21年までは,熊本県j会の会長及び熊本県i連盟の連盟長(会長のこと)を務めた。また,被告人Y2は,平成9年から平成16年の8月頃までY1連盟の評議員,平成18年から平成21年までf会の副会長,平成21年4月1日から平成23年3月31日までY1連盟の会長かつ代表者を務めた(甲7,被告人Y2第17回1~2丁)。
イ 被告人Y3は,昭和44年5月,歯科医師となり,平成18年4月から平成25年6月まで,岐阜県j会の会長と岐阜県i連盟の会長を務めた。また,被告人Y3は,平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間,被告人Y2の下でY1連盟の理事長を務め,同年4月1日から平成27年6月30日までの間,Y1連盟の会長かつ代表者を務めた。その後,平成27年6月にはf会の会長に就任したが,本件で逮捕されたことを受けて,同年10月にその職を辞任した(被告人Y3第19回1~2丁,甲1,2,7)。
ウ Eは,Y1連盟において,平成3年からは理事,平成6年からは常任理事,平成9年から平成12年までは広報担当の副理事長を務めた。その後,平成16年6月から平成27年7月1日まで,Y1連盟の副理事長として会計責任者を務めた(E第13回1~2丁,甲7)。
エ G(以下「G」という。)は,平成23年4月,Y1連盟の副会長に就任し,平成24年8月からは,理事長の辞職により副会長と理事長を兼任した。平成25年7月から平成27年6月までY1連盟の理事長を務めた(G第8回4~7丁)。
2  Y1連盟における政治活動
Y1連盟では,国会議員その他議員に対するロビー活動や,衆議院選挙,参議院選挙及び地方選挙の際の候補者に対する支援活動,政治献金やパーティー券の購入等の政治活動を行っていたが,中でも選挙の支援活動としては,参議院比例代表選挙においてY1連盟が擁立する職域代表候補者等の支援に最も力を入れていた。
Y1連盟は,そのような候補者の支援を,候補者の氏名を冠した中央後援会を組織してその活動資金をY1連盟から同後援会に寄附をし,同後援会から選挙費用を支出するという方法で行っていた。Y1連盟とは別に中央後援会を組織して支援活動を行う理由は,候補者の氏名を会員に広く知らせることができる点,Y1連盟の政治活動運営会計とは別の会計になるため,参議院比例代表選挙に係る支出の透明化が一定程度図られる点,中央後援会の役員はY1連盟やf会の各役員のほか,関連団体としてk会役員やl会役員,関連業界としてm協会役員等により構成することで,関連団体及び関連業界から職域代表候補者への票を集めることができる点に求められる(I・4~5,17~18丁,J・6~7,47丁,K・10~11丁,G第8回15~16丁,E第13回10~11丁)。
職域代表候補者に期待される役割は,究極的には歯科医療における診療報酬改定時のプラス改定に向けた国会議員としての政治力の発揮であり,これを実現するためには,政権与党に属し,かつ,高得票による高位当選が必要であると考えられていた(I・15~16丁,K・9~10丁,L第5回36丁,G第8回13~14丁,被告人Y2第17回26丁)。
3  Y1連盟における会計事務
(1) Y1連盟における予算編成事務
Y1連盟では,一般会計のほかに,後援会活動にかかる資金の動きを透明化するため,特別会計の一つとして政治活動運営会計を設け,選挙の支援活動のための資金を積み立てていた(E第13回14~15丁)。
Y1連盟の予算の編成作業は,以下のとおりである。前年度の12月頃,予算の算出基礎資料を作成し,これを基に予算の原案(収支予算案)を作成する。出来上がった収支予算案を一,二月頃の理事会に提出し,承認を得た後,評議員会に提出し,その承認議決を得て正式決定されるというものであった(E第13回15~16丁)。
(2) Eの所管事項に関する会長や理事長への説明方法
Eは,Y1連盟の副理事長を務めていた際,f会4階のY1連盟の役員室で,会長,副会長,理事長,庶務会計担当の常任理事,常任監事と共に執務をしていた(E第13回12丁)。そして,Eは,パーティー券の購入や,Y1連盟が支援している各議員への各献金額等の事項に関しては,必ず会長に相談することとしており,理事長もこれに同席した。このような会長や理事長との相談は,役員室の会議テーブルで一緒に説明するのが基本であった(E第13回12~13丁,Y2第17回73~75丁,Y3第19回3~4丁)。
4  平成19年参議院比例代表選挙
(1) C中央の設立経緯,平成19年頃の役員構成等
Y1連盟は,平成19年の参議院比例代表選挙に向けて,h党から立候補するCを支援することを決定し,平成18年4月14日,Cの社会活動及び政治活動を後援すること等を目的として,政治団体であるC中央を設立した。
C中央の事務所の所在地は,設立以降,現在に至るまで,判示のとおりY1連盟の事務所所在地と同じである。
C中央の役員は,Y1連盟の役員がそのまま充てられており,C中央の代表者は,設立時は当時のY1連盟会長であったPが就いたが,会長の交代に合わせて平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間は被告人Y2が,同年4月1日から平成27年6月30日までの間は被告人Y3がそれぞれ務めた。また,会計責任者は,その設立時から平成27年6月30日までの間,Eが務めた(甲2,5,7,8)。
C中央の銀行口座等の管理は,Y1連盟において行われていた(H第10回15丁)。
(2) 平成19年の参議院選挙に係る資金移動方針及びその状況
ア Y1連盟では,平成18年度政治活動運営会計収支予算として,平成19年の参議員選挙に向けた職域代表候補者に係る中央後援会への寄附に充てるため1億5000万円を計上していたところ(甲180資料13),執行部は,5000万円ルールの下で,Y1連盟からC中央に寄附する方法を思案した末,年をまたいで各5000万円を直接C中央に寄附(合計1億円)することに加え,次のとおり,各都道府県i連盟からC中央に寄附をしてもらい,Y1連盟から各都道府県i連盟に対して特別助成金を出す方法によりC中央に資金を集めることとした。
すなわち,平成18年7月21日開催の都道府県i連盟代表者・理事長会議において,Eは,5000万円ルールを受けた措置であるとした上で,同年8月1日から同月31日までの間に,各都道府県i連盟からC中央に対して寄附金名目で各50万円を送金してもらいたいこと,同年9月頃には,Y1連盟から各都道府県i連盟に対して特別助成金名目で各60万円を送金すること,同じことを平成19年4月及び5月にも行うことを予定していること等を説明した。また,平成18年9月5日開催の都道府県i連盟会長会議において,Eは,上記都道府県i連盟代表者・理事長会議では,上記特別助成金の支給を平成18年と平成19年に分けて行うとしていたが,Y1連盟執行部で議論した結果,1回にまとめることになり,そのため,平成18年9月中には各都道府県i連盟に対し,特別助成金名目で各120万円を送金すること,各都道府県i連盟において,同年10月中に,C中央に対して寄附金名目で更に各50万円を送金してもらいたいこと,さらに,5000万円ルールによりC中央には年間5000万円しか資金移動できなくなったため,各都道府県i連盟に迷惑をかけることになったが,それにしてもC中央の活動予算は1億4700万円であること等を説明した(I・7~13,46~48丁,G第8回20~29丁,E第14回24~32丁,甲134,甲135,甲180資料15のうち平成18年7月24日付け「C中央後援会への寄付のお願い」と題する書面,同年9月6日付け「C後援会活動に対する特別助成について」と題する書面)。
イ その後,上記説明どおり,各都道府県i連盟からC中央に対し,合計4700万円の寄附があり,Y1連盟は各都道府県i連盟に対し,特別助成金として各120万円を送金した。
ウ 平成19年参議院比例代表選挙で,Cは初当選した(甲136)。
5  平成22年参議院比例代表選挙
(1) 同選挙に向けたY1連盟における資金移動状況
Y1連盟は,平成22年参議院比例代表選挙でY1連盟が支援する予定の職域代表候補者の後援会活動に充てるため,平成19年度政治活動運営会計収支予算(平成19年4月1日から平成20年3月31日)及び平成20年度の政治活動運営会計収支予算(平成20年4月1日から平成21年3月31日)において,C中央に対する寄附として各5000万円を計上し,合計1億円の資金移動を実行した。なお,平成20年1月頃,平成19年度の寄附金のうち1000万円はC中央からY1連盟に返金処理された(甲180資料19,資料22,E第13回32~35丁)。C中央に積み立てられた上記9000万円は,平成22年参議院比例代表選挙に係る職域代表候補者が決まり,同候補者の氏名を冠した中央後援会が設立された後,同中央後援会に対し,C中央から2年間かけて寄附として資金移動させる予定であった(E第13回37丁)。
(2) 当初の方針
平成21年8月21日開催の第106回評議員会において,同年7月31日の選考委員会からの答申に基づき,平成22年参議院比例代表選挙について,会員でh党から立候補する予定のQ(以下「Q」という。)を支援することが決まった。その後,Q中央後援会(以下「Q中央」という。)が設立された。そこで,Y1連盟では,前記(1)で予定していたとおりQ中央においてQの後援会活動に係る費用を支出するため,平成21年中にY1連盟から5000万円,C中央から5000万円,平成22年中にY1連盟から5000万円,C中央から4000万円をそれぞれQ中央に寄附することとした。Eは,平成21年8月28日開催の第9回理事会(出席者には被告人Y2,被告人Y3及びEが含まれる。)において,同年9月1日から平成23年3月31日までの間のQ中央会計収支予算(案)の収入の部の第一款第一項寄付の摘要欄の「Y1連盟より100,000,000円 C中央後援会より90,000,000円」との記載に関する説明の中で,その旨の説明を行った。なお,上記のQ中央会計収支予算(案)は,平成19年参議院比例代表選挙の実績に基づいて作成したものであった(甲137)。
(3) DをY1連盟の準職域代表候補者とすることにした経緯
ア しかし,平成21年8月30日施行の衆議院総選挙の結果,政権与党がh党からa党に交代した(公知)。そこで,Y1連盟は,Qを支援することは取り止め(I・15丁,K・12丁,G第8回30丁),平成22年2月19日開催の第109回臨時評議員会において,a党から公認を受けて出馬する予定のY1連盟会員を支援することを決定した(甲138資料1報1,資料3の1丁,甲141資料2の1丁)。
イ なお,前記(1)(2)のようにして移動した資金の事後処理について,Eは,平成22年2月26日開催の第18回理事会(出席者には被告人Y2,被告人Y3及びEが含まれる。)において,平成21年度の会計現況報告として「Q先生の中央後援会に対する支出のためのクッションとしてC先生の中央後援会に5000万を私どもから移してございました。これを今回中央後援会の閉鎖に伴いまして私ども一般会計に戻し入れをさせていただきたいと思っております」などと説明(甲138資料3の2丁)してこれを実行した上,平成22年4月23日開催の第1回理事会(出席者には被告人Y2,被告人Y3及びEが含まれる。)において,Eは,平成21年度の決算につき,「寄附金の決算額,大変大きな金額になっておりますが,これは,この3月度に,実は,Q先生の中央後援会のために,便宜的に,C先生の中央後援会に,5000万円を政治活動運営会計から入れてありました。これは,そちらに,Q後援会の方にまわすための移動だったわけでございますが,中央後援会が解散した関係で,その5000万円を一般会計の方に寄附金として戻し入れたものでございます」などと説明した(甲145資料3)。さらに,平成22年8月6日開催の第1回監事会において,前記(1)(2)のような資金移動の趣旨について,Eは,Q中央に5000万円を移すための「いわゆる迂回のためのお金」をC中央に入れていた旨報告している(甲147資料3の3丁)。
ウ 同年2月26日頃,a党からY1連盟に対し,会員であるDを公認することが内定したとの連絡があり,Y1連盟は,平成22年参議院比例代表選挙については,選考委員会を経ない準職域代表候補者として,Dを支援することに決めた(甲140資料2)。
(4) D中央とb総支部の各設立経緯等
ア D中央は,Y1連盟がDの社会活動及び政治活動を後援すること等を目的として平成22年3月11日に設立した政治団体であり,設立手続はY1連盟事務局によって行われた。D中央の事務所の所在地は,設立以降,現在に至るまで,Y1連盟事務所の所在地と同じである。代表者は,同日から平成23年3月31日までの間は被告人Y2が,平成23年4月1日から平成27年6月30日までの間はY3が務めた。会計責任者は,平成22年3月11日から平成24年1月31日までの間はY1連盟の当時の庶務・会計担当の常任理事であったK(以下「K」という。)が,同年2月1日から平成26年7月10日までの間はRが務めた。D中央は,設立後,D選挙終了までの間は,Y1連盟によるその支援活動の中心として機能したが,その後は休眠状態となった(後記6(4)イ,同(5)ア)(甲2,3,7,9,44,45,H第10回12~13丁)。
イ b総支部は,a党の基本理念とそれに基づく基本政策の実現を図ることを目的として平成22年3月15日にa党の支部として設立された政治団体であるが,同党公認の立候補予定者であるDに係る支部であり,設立手続はa党の要請を受けてY1連盟事務局によって行われ,設立当時のb総支部の事務所の所在地はY1連盟事務所の所在地と同じであった(平成22年9月29日に東京都中野区内へ移転した。)ほか,政党交付金等を受け入れる預金口座の開設とその通帳,届出印等の管理も,選挙終了後Dに引き継がれるまではY1連盟事務局が行っていた。代表者はDで,会計責任者は,平成22年3月15日から同年9月28日までの間,Kが務めた。しかし,②③の各資金移動のほかは,a党からの政党交付金(合計1000万円)の受け入れや,選挙後に費用の精算に用いられたことを除くと,選挙支援等の具体的な活動の証跡は認められない(甲2,4,7,44,45,H第10回20,30,45~46丁)。
ウ D中央及びb総支部の会計責任者の人選については,それを決した平成22年3月5日の四役会(出席者には被告人Y2,被告人Y3及びEが含まれる。)及びそれに引き続いて行われた第16回常任理事会(出席者には被告人Y2,被告人Y3及びEが含まれる。)において,以下に記載するやりとりがあった。
すなわち,四役会では,被告人Y2から「会計は,これはE先生からの申し出で,E先生がまだ,今,C後援会の会計でもあるから,ちょっと代わってもらっといたほうがいい。実務的にはE先生がよくご存知だからやりますけど,名称は,ということなんで。ちょっとK先生にということで,一昨日か昨日か話していたんですよ。」との発言があり,また,Eからも「ちょっとね。外見的にどうなのかなと。」という発言があったのに続けて被告人Y2が,Kに対し「それでよろしいですか。E先生をそのままやるとして。」と会計責任者就任を要請し,Kが「喜んで,お縄を頂戴します。」と述べてこれを承諾した(甲139,182)。
また,上記常任理事会では,Dの支援体制に関連し,被告人Y3より,出席者らに対し,本来,Eが会計ではあるが,EはC中央の会計担当にもなっているため,今回は,Kに表向き会計担当になってもらうこと,実務的なところはやはりEにやってもらわないといけないと思っているが,組織図としてあらわすときはKを会計担当とする形にしていること等の発言があり,この点について,被告人Y2,E,Kが異議を述べる場面はなかった。また,Eは,同会に挨拶に訪れたDに対し,会計担当としてKと共にD選挙を支える旨の自己紹介をしたり,選挙予算について質問があった際にはその説明に当たった。さらに,EがD選挙に関しては,D中央とa党の比例区支部という2つの政治団体が存在する予定であると説明すると,被告人Y3が,これに呼応する形で,「5000万,5000万」と発言し,その後すぐにEが「5000万,5000万でいけば,1億まではリミットでいける」と述べたりした(甲140資料3の24,28丁)。
(5) D選挙に係る資金移動方針及びその状況
ア 資金移動方針に係るEらY1連盟執行部の説明内容
(ア) 平成22年3月18日第19回理事会
D中央及びb総支部を設立した後である平成22年3月18日開催の第19回理事会(出席者には被告人Y2,被告人Y3及びEが含まれる。)で,Eは,D選挙に関して,D中央とb総支部という2つの政治団体を立ち上げて資金的な受け皿にする等と説明する中で,「法的には一政治団体,5000万までを政治団体間でお金の移動ができるというところを利用する意味で,実は,その総支部の口座とそれから中央後援会の口座と,2つ用意してございます。この2つとも全て,これはY1連盟が実質的には管理運営をいたしております。」,「その2つに対して,5000万ずつ,まぁリミットですね,最大限5000万ずつ入れることができます。そして,中央後援会の活動は,通常これまでの予算でいいますと,大体8000万から1億の間で,今回の選挙ができると思います。そうすると,中央後援会だけでは,5000万では足りないわけですので,政党支部に入れたものを中央後援会に動かすと,これも政党間の移動ですので,全く合法的にできるという意味でございますので,これはあの,党にうちのお金がいっちゃうと,そういうことではございませんので,御理解いただきたいと思います。」と発言した(甲141資料3の9丁。上記発言中,「政党間の移動」というのは,「政治団体間の移動」の言い違いと解される。)。これに対し,被告人Y2,被告人Y3及びKが訂正したり異なる趣旨の発言をしたりする場面はなかった。
また,被告人Y2は,同会議において,「受皿として5000万,5000万かな,年間1億円は動かせる。(中略)1億でまあ,いろいろなポスター作ったり,グッズ作ったり,あるいはいろいろ出張旅費やったりとか,そのあたりができるということですので,御理解いただきたい」(甲141資料3の14丁)と述べるなどした。上記発言に対しても,被告人Y3,E及びKが訂正したり異なる趣旨の発言をしたりする場面はなかった。
(イ) 平成22年4月2日四役会及びD中央役員会
平成22年4月2日には四役会(出席者には,被告人Y2,被告人Y3,E及びKが含まれる。)やD中央役員会(出席者には,被告人Y2,被告人Y3,E及びKが含まれる。)等が相次いで開催された。
まず,四役会において,Eは,平成22年3月1日から平成23年3月31日までの間のD中央会計収支予算案算出基礎資料(甲143資料1(4))について,同資料はEが用意したこと,D中央役員会での具体的な説明はKに行ってもらうことを述べた上で,詳細について説明を行った(甲143資料2)。同資料の「収入の部」,「第一款寄付」,「第一項寄付」には,「(1)政治活動運営会計より寄付」として5000万円,「(2)その他」として5000万円の各記載があった。
次いで,四役会後に開催されたD中央役員会では,平成22年3月1日から平成23年3月31日までの間のD中央会計収支予算(案)が配られた。同予算案には,収入の部の「第一款寄付」,「第一項寄付」の予算案欄に「100,000,000」,摘要欄に「Y1連盟より50,000,000円 a党参議院比例区b総支部より50,000,000円」との記載があった。この点についての説明はKが行い,「第一項のこの摘要欄を御覧いただきますと分かりますように,1億円のうちの半分の5000万は,Y1連盟から直接の寄附,それから残りの5000万は,a党参議院比例区b総支部というところからの5000万でございますが,この後段の5000万も本当はY1連盟から寄附する5000万でございますので,政治団体,一つの政治団体から一か所に許される年間の限度が5000万だということですので,このような形をとらせていただいております。」と述べた。上記発言について,被告人Y2,被告人Y3及びEが訂正したり異なる趣旨の発言をしたりする場面はなかった(甲144)。
(ウ) 予算資料の作成手順
上記(イ)のD中央会計収支予算案算出基礎資料(甲143資料1(4))及びD中央会計収支予算(案)(甲144資料1)は,いずれも平成22年3月頃,Hが作成した。その作成方法は,Hが平成19年の選挙の際のC中央の算出基礎資料と収支予算書を印刷してEに渡し,赤ペンで修正してもらい,それをHがパソコンに入力するというものであり,収支予算(案)の摘要欄の「Y1連盟より50,000,000円 a党参議院比例区b総支部より50,000,000円」という記載も,Eが赤字で修正した原稿を基にHが清書したものであった。なお,Hは,D中央の予算立案業務に関し,D中央の会計責任者であったKから指示を受けることはなかった(H第10回9~10,13,18~20丁)。
イ 資金の動きとEの関与
(ア) ①②の各資金移動
Hは,平成22年3月30日を含む直近のEの執務日に,Y1連盟の事務所において,Eからの指示を受けて,平成22年3月30日午後2時59分,Y1連盟政治活動運営会計会長Y2名義の普通預金口座から1億円を引き出し,同日午後3時,D中央代表Y2名義の普通預金口座及びa党参議院比例区b総支部交付金受入口総支部長D名義の普通預金口座に,いずれも寄附金として各5000万円を振り込んだ。Hは,上記各資金移動の指示が書かれた手書きのメモを受け取り,これに基づいて伝票(甲173①②出金伝票①入金伝票)を作成し,上記各資金移動の結果を他の決裁と一緒にしないでEの下にじかに持って行き,目の前で決裁を受けた(甲16,H第10回20~27丁)。
(イ) ③の資金移動
また,Hは,平成22年5月13日の直近のEの執務日にEからの指示を受け,平成22年5月13日午後2時19分,a党参議院比例区b総支部交付金受入口総支部長D名義の普通預金口座から5000万円を引き出し,同日,D中央代表Y2名義の普通預金口座に,寄附金として5000万円を振り込んだ(甲16,H第10回28~29丁)。
b総支部の預金口座には,同日,上記振込手続の直前にa党から政党交付金として500万円の入金があったが,それ以外には,②の資金移動を受け入れた後③の資金移動をするまでの間に同口座からの入出金はない。(甲177)
Hは,上記資金移動の後,伝票(甲173③入金伝票)を作成し,預金通帳のコピーとともにバインダーに挟み,他の決裁と一緒にしないでEの下にじかに持って行き,目の前で決裁を受けた(H第10回28~30丁)。
(ウ) 上記各資金移動に係る全ての入出金伝票について,被告人Y3やKも決裁欄に押印をしているが,Hは,Kに関しては他の業者への支払等に係るものと合わせて数日分をまとめて決裁に上げ,また,理事長である被告人Y3に対しては事務局課長のSが決裁に上げていた。
(エ) 以上の(ア)ないし(ウ)の認定は,摘示した帳票類等の客観的資料のほか,H証言によるところが大きいが,同証言は上述の客観証拠と整合的であるし,HがEからの直接の指示であったから間違いがあってはいけないと思って個別に決裁をもらおうと思った旨証言するところも,日常的にあるわけではない高額な資金移動を任された事務局職員の行動として自然かつ合理的である。Eも,各資金移動の指示を自分がしたことや,HがEの下へ個別に決裁に来たことがあったかもしれないことは認めており,その限りではEの供述とも合致する(E第13回20,72,75丁)。
以上の次第で,上記(ア)ないし(ウ)に係るH証言は,十分信用できる。
(6) D当選後の会議の状況等
平成22年7月の参議院比例代表選挙でDが当選した後,Y1連盟では,各種会議で同選挙における反省点の確認や会計報告等が行われた。その際に,Eが行った説明は以下のとおりである。
ア 平成22年7月23日第7回常任理事会
平成22年7月23日開催の第7回常任理事会(出席者には,被告人Y2,被告人Y3,E及びKが含まれる。)では,Y1連盟役員らによる選挙の総括が行われた。その中で,Eは,会計面からの感想として,「選挙に入る当初,C選挙の期間的には半分だから,予算的にも半分でもいいんじゃないかということの中で,中央後援会会計及び一般会計合わせた形で,約2億というようなことを,理事長からもお話あった。ところが,現実に動かしていったときに,選挙は期間に比例しない,要は短期であっても,ある一定のことに投入するものを投入しないと効果は出てこないということで,これは会長の御英断を頂きまして,急きょ,4月の途中から,ぶち込もうと,お金をぶち込むということで,第二弾をやりました。」とか,D中央に,「Y1連盟から,直接及び間接を通しまして,合計1億」円を投入し,その結果,最終的には本当にギリギリの状況で予算内でクリアした旨述べた(甲146)。
イ 平成22年8月6日第1回監事会
また,平成22年8月6日の第1回監事会(出席者には,被告人Y2,被告人Y3,E及びKが含まれる。)において,Eは,平成21年度のY1連盟の決算について,前記(3)イ掲記の説明をしたほか,平成22年度の会計現況として政治活動運営会計の支出に関する説明をする中で,計上された寄附とされる1億1000万円のうち,1000万円はQ中央への寄附,5000万円はD中央への寄附,残りの5000万円はb総支部へ入れたなどと述べた上で,「これは前に御説明したかと思いますが,D中央後援会には,1年間に5000万円しか移せないもんですから,a党の支部に5000万円を入れて,その後,a党の支部からD中央後援会に5000万円を入れて,今回の選挙は1億を後援会に入れた」などと説明した(甲147資料3の4丁)。また,Eは,D中央の会計については,上記説明に対応する形で,Y1連盟の政治活動運営会計からD中央へ5000万円の寄附があり,b総支部から5000万円の寄附があったとの説明をした(同5丁)。
ウ 平成22年8月27日第5回理事会
平成22年8月27日の第5回理事会(出席者には,被告人Y2,被告人Y3,E及びKが含まれる。)において,Eは,C中央の決算報告として,前記(3)イと同旨の説明をしたほか,D中央における平成22年3月1日から同年7月31日までの間の会計の現況報告を行った際,収入の部のうち寄附金収入は1億50万円となっており,うち5000万円はY1連盟の政治活動運営会計から,うち5000万円は「Y1連盟政治活動運営会計から,いったん,a党の政党支部でありますD候補の政党支部でありますb総支部というところに5000万を移しまして,それから,この中央後援会に5000万を移した」ため「その他」として掲げている旨を説明した(甲148資料3の2丁)。
エ 平成22年9月16日四役会
平成22年9月16日開催の四役会(出席者には,被告人Y2,被告人Y3,E及びKが含まれる。)では,出席者にD選挙に向けて被告人Y1連盟が支出した費用の総額をまとめた資料である「参議院比例代表選挙(D氏)関係収支」と題する書面が配布された。同書面は被告人Y2の指示を受けてEが作成したものであり,同書面のうちY1連盟関係支出明細には,政治活動運営会計からD中央に寄附金として合計1億円を支出したとの記載がある(甲149資料1(1))。また,同会で,Eが「中央後援会に関しては1億出して,(中略)1億支出という形でなっております。」と説明すると,被告人Y2は,「中央後援会の明細も実は作ってあるんですが,(中略)それがちょうど1億なんだよな。」と述べ,D中央に関する明細も出席者に見せるようEに提案する場面もあった(甲149資料2)。
オ 平成22年9月17日第111回評議員会
平成22年9月17日開催の第111回評議員会で行われた会計報告において,Eは,前記(3)イと同じく,C中央の決算報告書中,支出の部の政治活動費の寄付・交付金の決算額5000万円とあることにつき,Q中央に振り替えるために繰り入れていたものをY1連盟の一般会計に寄附金として戻し入れたという説明を行った。また,同年3月1日から同年8月31日までの間のD中央の会計現況報告において,収入の部の寄附欄に記載の1億円について,Y1連盟からの1億円という説明を行い,さらに,Y1連盟の平成21年度政治活動運営会計決算の報告においても,支出の部の寄付欄に記載の1億1000万円のうちの1億円についてはD中央への寄附金であるという説明を行った。
さらに,Eは,評議員からの質問に対し,「政治団体間の資金移動は年間5000万というルールがありまして,Q候補の後援会にお金を5000万以上移していく場合に,(Y1連盟の)別途会計(であるC中央)を経由しなければならないということの中で,こういうことをやらざるをえなかった。そのためにC中央後援会会計を経由してQ中央後援会会計に移すためのプロセスだったわけです。」という回答もしていた(甲151資料1の31丁)。
カ 平成23年2月4日第2回監事会
平成23年2月4日開催の第2回監事会(出席者には被告人Y2,被告人Y3,E及びKが含まれる。)において,Eは,D中央における平成22年3月1日から同年12月31日までの会計現況報告として,「まず収入の部,寄附金1億円でございますが,一つ5000万円は,政治活動運営会計,いわゆるY1連盟の政治活動運営会計よりの入金である5000万円。その他収入となっております5000万円プラス50万円,5050万ですが,これはY1連盟からD先生のa党の支部,いわゆる政党支部ですね,b総支部に5000万円を連盟から入れまして,それをこちらの中央後援会に5000万円移したということで。これは1年間の政治団体間の資金移動は5000万が限度というルールがございます。その関係でこちらに移させていただいております。」という説明を行った(甲152資料3の5丁)。
キ 平成23年8月5日第1回監事会
平成23年8月5日開催の第1回監事会(出席者には被告人Y3及びEが含まれる。)において,Eは,D中央の決算会計のうち,収入の部について,「このうち1億円につきましては,私どもの政治活動運営会計から5000万円,同じく政治活動運営会計から5000万円を,Dの政党助成金を受けております会計に一旦入れまして,そこから5000万円をこちらに入れるという,これは迂回の形を取りましたけど,ということの5000万円,合計1億。」という説明を行った(甲153資料2の4丁)。
(7) 平成22年分のY1連盟及びD中央の各収支報告書の作成方法及び記載内容
Hは,Y1連盟及びD中央の会計ソフトのデータを基にして,Y1連盟については平成22年10月頃から,D中央については平成23年1月頃からそれぞれの平成22年分の収支報告書案を作成し,平成23年2月末頃から同年3月初め頃,Eに出来上がった案のコピーを交付して確認を依頼した。一,二週間経った頃,Eからいずれの収支報告書案についても了解をもらったため,Hは,Y1連盟については平成23年3月31日付けのE名義の宣誓書にEの押印を受け,D中央については同月10日付けのK名義の宣誓書に同人の押印をそれぞれ受けた上で,平成23年3月31日,東京都選挙管理委員会事務局へ各収支報告書を提出した(H第10回36~43丁)。
前記第1の1(2)のとおり,①及び②の資金移動に対応して,Y1連盟の収支報告書には,平成22年3月30日にD中央及びb総支部に対し各5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲10)。また,①及び③の資金移動に対応して,D中央の収支報告書には,平成22年3月30日にY1連盟から5000万円の寄附を受け,同年5月13日にb総支部から5000万円の寄附を受けた旨の記載がある(甲11)。そして,②及び③の各資金移動に対応して,b総支部の平成22年分の収支報告書には,同年3月30日にY1連盟から5000万円の寄附を受け,同年5月13日にD中央へ5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲12)。
6  平成25年参議院比例代表選挙
(1) 当初の資金移動方針
ア Cの支援が決まる前の状況
平成23年度末頃,Y1連盟では,Eを中心に平成24年度の予算編成作業が行われ,平成25年参議院比例代表選挙においてY1連盟が支援する予定の職域代表候補者の後援会活動に充てるため,Y1連盟の政治活動運営会計から合計1億5000万円の寄附を行うことを盛り込んだ平成24年度政治活動運営会計収支予算が作られた。同収支予算は,平成24年3月16日開催の第115回評議員会において承認された(甲155,G第8回32~35丁)。同収支予算は,Hが,過去の参議院比例代表選挙の際に用いられたY1連盟の政治活動運営会計に係る算出基礎資料と同収支予算を印刷した上でEに渡し,Eが赤ペンで修正し,それをHがパソコンに入力して清書するという方法で作成したものであった(H第10回3~11,71~72丁)。
平成24年10月4日開催の第7回常任理事会(甲156。出席者には被告人Y3,G及びEが含まれる。)では,次期参議院比例代表選挙の対応が協議され,その中で中央後援会への資金移動が話題となった際,Eは,平成24年12月までに移せるのが5000万円で,平成25年1月以降に移せるのが5000万円であるところ,1億5000万円を確保するためには,残りの5000万円をどう動かすか,テクニックの問題があるという趣旨を述べた上で,「実は前のときはですね,この5000万ですごい苦労しまして,各都道府県に120万ずつをお渡しして,中央後援会に100万ずつ寄付してもらって,20万だけ手数料として渡したという,そういう複雑なテクニックを使ったんですけど,これも本当は,厳密に言えば,露骨な迂回なんですよね。だから,そういう形をとらないでいきたい」,「表じゃ言えないことなんですけど。」などと発言した(内容に照らして平成19年のC選挙を念頭に置いた発言であることが明らかである。)(甲156資料3の10,11丁,G第8回36~38丁)。
その後,平成24年10月31日開催の第117回臨時評議員会において,次期参議院比例代表選挙の職域代表候補者をCとすること及び後援会組織を中心に選挙活動をすることが正式に決まった(甲157添付の議事録5丁)。
イ Cの支援が決まった後の状況
(ア) 平成24年10月31日開催の第8回臨時理事会
平成24年10月31日,上記臨時評議員会に引き続き開催された第8回臨時理事会(出席者には被告人Y3,G,Eが含まれる。)において,Eは,C中央の予算は1億5000万円を予定していることを説明した(甲158資料3の10丁)上で,出席者らに対し「(C)中央後援会に対しまして,一般会計(Y1連盟の間違いと解される)の政治活動運営会計から,1億5000万円を移していくということにつきまして,ここで,この席で,ご了解を頂きたいと思いまして,よろしくお願いいたします。」(甲158資料3の11丁)と述べて,その承認を得た(甲158資料3の18丁)。
(イ) 平成24年10月31日第1回C中央役員会
同日,更に引き続き開催された第1回C中央役員会(甲158。出席者には被告人Y3,G,Eが含まれる。)において,Eは,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの平成24年度C中央会計収支補正予算案(甲158資料1(2))を示し,C中央が6年前の選挙から継続した組織で,選挙対応のため補正予算を組むものであることを述べた上で,その収入の部・第一款寄附・第一項寄附1億5000万円,摘要欄に「平成24年度政治活動運営会計他」と記載されていることについて,「Y1連盟の政治活動運営会計に積み立てておりましたものを,1億5000万を,この中央後援会に移ささせていただく」と説明した(甲158資料1(2),資料3の17丁)。この補正予算案は,Hが過去の予算案を印刷してEに渡し,Eが赤字で修正したものをHがパソコンで清書するというものであった(H第10回73~74丁)。
(2) 上記(1)の方針に基づく資金移動
Hは,平成24年11月1日,Eの指示により,Y1連盟の事務局において,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央に対し,寄附として4500万円を振り込んだ(④の資金移動)。寄附額を4500万円としたのは,C中央がY1連盟事務局の一部を無償で間借りしていたことから,5000万円の寄附をしてしまうと,そのような無償提供分も寄附と評価された場合に5000万円ルールに抵触するおそれがあると考えたためであった(H第10回74~76丁,B・5丁,E第13回100~101丁)。
Hが作成した上記資金移動に関するY1連盟の政治活動運営会計の出金伝票には,理事長としてGの,会計担当者としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた。同じくHが作成したC中央の入金伝票には,幹事長としてGの,副幹事長としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた(甲18①出金伝票,①入金伝票,H第10回76~77丁)。
(3) n研究会への資金移動の試み
Eは,Cに対する支援活動に係る費用に充てるため,Y1連盟の政治活動運営会計からCの資金管理団体であるn研究会(以下「n研究会」という。)へ寄附として3000万円を支出することにした(E第13回104~105丁)。
そこで,Eは,同月21日,Hに対し,手書きの指示書を渡して,Y1連盟の政治活動運営会計からn研究会への3000万円の資金移動を行うよう指示した。Hは,指示書をパソコンで清書し(甲174資料2),同月22日,ネットバンキングサービスである○○を用い,同月27日を実行日としてn研究会に対し3000万円の振込申請をし,同日,Y1連盟の政治活動運営会計からn研究会に対し,寄附として3000万円が振り込まれた(H第10回78~81丁,E第13回103~104丁,甲174資料3,資料5)。上記振込にかかるY1連盟の政治活動運営会計の出金伝票には,理事長としてGの,会計担当者としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた(甲18②出金伝票)。
しかし,同日,Cの秘書から,Hに対し,この金銭は受け取れないという趣旨の電話が来た。Hは,同日,Eに対し,Y1連盟の事務所で電話の内容を伝えた。Eは驚いた様子であったが,その後,上記3000万円はn研究会からY1連盟に返金されることとなり,Hは,Cの秘書に,返金口座としてY1連盟の政治活動運営会計口座を伝え,同月28日,n研究会からY1連盟の政治活動運営会計に対し,寄附金戻入名目で3000万円が振り込まれた(甲48,甲51,G第8回56~58丁,H第10回82~84丁,E第13回105丁)。Y1連盟の政治活動運営会計の入金伝票には,理事長としてGの,会計担当者としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた(甲18③入金伝票)。
(4) D中央への資金移動
ア Eは,Cの支援活動に係る費用に充てるため,Y1連盟の政治活動運営会計からD中央へ寄附として5000万円を支出することにした。
イ 平成22年の参議院比例代表選挙後,D中央は改めて役員が選出されることもなく,休眠状態となっていた。
ウ Eは,平成25年1月23日,Hに対し,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央に寄附金として5000万円,同じくD中央に対し寄附金として5000万円の各入金(前者が⑤の資金移動,後者が⑥の資金移動)をするよう指示し,Hはこれを実行した(H第10回88~90丁)。また,Hは,⑥の資金移動と併せてD中央からC中央に対し,寄附金として5000万円を入金した(⑦の資金移動)(H第10回85~86丁,E第13回119~120丁)。上記⑤及び⑥の各資金移動に関するY1連盟の政治活動運営会計の出金伝票には,理事長としてGの,会計担当者としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた(甲18④出金伝票)。また,D中央の⑥の資金移動に係る入金伝票及び⑦の資金移動に係る出金伝票には,理事長としてGの,会計担当理事としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた(甲18⑤入金伝票,⑤出金伝票)。更にC中央の⑤及び⑦の各資金移動に係る入金伝票(1通に両者の記入がある)には,幹事長としてGの,副幹事長としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた(甲18⑥入金伝票)。
エ 同年3月上旬頃,Y1連盟の事務局職員として会計の補助業務を行っていたB(以下「B」という。)は,⑤の資金移動を知ったが,④の資金移動の際に寄附金を4500万円としたのは,前記(2)のとおりC中央に対するY1連盟の無償提供分を考慮したためであったのだから,⑤の資金移動も同様の考慮が払われるべきであると考え,N(以下「N」という。)及びHにその旨相談し,同年3月14日,NとともにEにその旨進言した。E,N及びBが話し合った結果,⑤の資金移動を誤振込として処理し,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央へ改めて寄附金として4500万円を振り込むこととした。そして,この処理に係る収支報告書の記載は,⑤の資金移動及びその返金に相当する資金移動(⑧の資金移動)の記載はせず,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央に対して寄附金として4500万円の資金移動(⑨の資金移動)があったことのみを記載することについても打ち合わせた。その後,EはHに対し,上記打合せのとおりの資金移動を指示した(B・12~17丁)。Hは,同年3月15日,C中央からY1連盟の政治活動運営会計に対し,寄附金の返金として5000万円を入金し(⑧の資金移動),同日,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央に対し,寄附金として4500万円を入金した(⑨の資金移動。H第10回90~92丁)。上記資金移動に関し,Y1連盟の政治活動運営会計の⑨の資金移動に係る出金伝票及び⑧の資金移動に係る入金伝票には,理事長としてGの,会計担当者としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されており(甲18⑧出金伝票,⑦入金伝票),またC中央の⑧の資金移動に係る出金伝票及び⑨の資金移動に係る入金伝票には,幹事長としてGの,副幹事長としてEの,係印としてHの各印鑑が押捺されていた(甲18⑦出金伝票,⑧入金伝票)。
(5) 資金移動に関する会議での説明状況等
平成25年7月の参議院比例代表選挙までの間のY1連盟の会議等において,(2)及び(4)に摘示した資金移動についてEが関与した報告,説明は,次のとおりである。
ア 平成25年2月8日第2回監事会
休眠中のD中央については,予算編成は行われていなかった(H第10回87丁)が,会計報告は行われており,平成25年2月8日開催の第2回監事会では,D中央の予算執行に係る資料として,Hが作成した平成24年4月から同年12月までの間のD中央の収支計算書(甲174資料4)が配布された。同収支計算書には,⑥⑦の各資金移動の後であるが,予算としても,Y1連盟からの寄附もC中央への寄附も記載されていなかった。
イ 平成25年3月22日第118回評議員会
平成25年3月22日開催の第118回評議員会において,④ないし⑦の各資金移動の後で,⑧⑨の各資金移動が行われる前であるY1連盟の平成24年4月1日から平成25年2月28日までの間の政治活動運営会計の現況報告がされた。その中で,Eは,支出の部の寄附金は決算額として1億4500万円であり,C中央へ支出したこと,予算より500万円減っているのは,中央後援会の事務所家賃等の現物寄附分を考慮したためである,との説明をした(甲161資料1の23丁)。
ウ 平成25年5月15日第1回監事会
(ア) Hは,前記(4)に摘示した⑥⑦の各資金移動を踏まえて,平成25年5月15日開催の第1回監事会(甲163。出席者には,被告人Y3,E,Fが含まれる。)で配布するD中央に係る収支計算書(期間は平成24年4月1日から平成25年3月31日)に,執行額に対応する予算としてY1連盟からの5000万円の寄附及びC中央に対する5000万円の寄附の記載をすべきであるとEに進言し,Eの了承を得て,その旨の記載のある収支計算書を配布した(H第10回92~96丁)。
(イ) Eは,同会議において,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のY1連盟政治活動運営会計収支計算書の支出の部の寄附金1億4000万円の記載について,Y1連盟からC中央に対する現物支給分として1年間に500万円の寄附が認定される可能性を想定したため,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央に対し,平成24年,平成25年で各4500万円を直接に入れた旨説明した上で,残りの5000万円は「迂回という形になれば迂回なんですが,直接C中央後援会に入れられないもんですから,D中央後援会に5000万を入れまして,それをC中央後援会に回すという形の処理を致しました。」と述べた(甲163資料2の4丁)。また,Eは,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のC中央収支計算書の収入の部の寄附1億4023万4000円との記載について,うち1億4000万円はY1連盟の政治活動運営会計からの寄附である旨説明した(甲163資料2の4,5丁)。
さらに,Eは,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のD中央収支計算書の収入の部の寄附5000万円との記載について,Y1連盟の政治活動運営会計から入れており,支出の部の第二款政治活動費第五項寄附欄に記載の5000万円はC中央への寄附であることを説明した。この説明を受け,出席者の1人が「こっちへ入れといて,あっちへ。」と発言したことに対応して,Eは,「はい。迂回さす,迂回したということで,そういうテクニックを使わせていただいておりまして」と述べた(甲163資料2の5,6丁)。
以上の説明の後,質疑応答が行われ,同会議の出席者から,上記資金移動に問題はないのかという趣旨の質問があった。これに対し,Eは,「え,法的にはですね,特に問題ないんですね。法的には。これはですね,通常,迂回ということが言われてよく問題になりますのは,政党を通して議員に回すという形。結局,h党で言いますと,o協会,あそこに我々が寄附して,それがh党本体じゃなくて,h党の特定の議員に行くという,それが紐付き,これがかつて行われておりまして,これが迂回ということでですね,これが結局なぜ問題視されたかというと,政治資金の透明性を欠くということですね。要するに,ある特定の団体が特定の議員に資金提供しているということを,いわば闇に隠すということで,迂回ということで問題にされたわけですけれども,うちの場合ですと,オープンからオープンですので,全く,実際にワンクッションはしますけども,いわゆる通常迂回献金という,闇の部分が全くないオープンな処理でございますので,基本的には。ただ,あの,まあ,見ようによってはね,C先生の選挙にa党のDさんの口座を通していくということで,ちょっと違和感があるかもしれません。ただ,これ」,「全然表にでない,と言うとおかしいんですけども,例えば,Dさんの資金管理団体,そこに入れて,Cに入れますと,これは実はDさんの資金管理団体,これはa党のお金の動きの中に入っちゃいますので,そうすると,h党のCさんのためにa党のDさんの口座を使ったというのは,これは極めてマスコミから喜ばれちゃうようなネタになりますけども。うちの場合,これ両方とも,うちの中の右から左の会計だけですので,まあ,本当にまたうるさい方がいて,ここのC中央後援会とD中央後援会を追跡とかですね,そういうことすれば別ですけども,それ以外は先生方だけのお話でございますので。」などと説明した。
出席者から,以上の話を踏まえて,「結局額がオーバーしてしまうから。年間の額。」との発言があると,Eは,これに答えて「そうです。年間5000万円というルールがありますので。そうすると,選挙のためには1億5000万円ね。(中略)そういう額をどうしてもね。これも年数がかけられりゃいいんです。(中略)3年かければ,何の問題もなく,5000,5000,5000で行っちゃうんですけども,今回は24年のしかも後半に決まって,25年というところで。」と説明した。
さらに,出席者から,以前,都道府県i連盟へ金を送って,それを吸い上げるという方法を使ったことの指摘があったのに対し,Eは,その方法は,都道府県i連盟に迷惑をかけるし,Y1連盟から各都道府県i連盟に20万円ずつ,合計約1000万円もの金額を手数料として渡すのは不労所得のようで懸念がある旨説明した。
続けて,Eは,「実はQさんの時に,同じテクニックを,C使ったんですよ。あれはh党,h党なんで。」と,本件資金移動がQ選挙のときの資金移動の方法と同様の方法を採ったと理解できる説明も行った(甲163資料2の6,7丁)。以上の諸説明に対し,被告人Y3が異議を唱えたりすることはなかった。
エ 平成25年5月31日第2回理事会
平成25年5月31日開催の第2回理事会(甲164。出席者には,被告人Y3,G,Eが含まれる。)において,Eは,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のC中央の決算報告書(甲164資料1)の収入の部第一款第一項寄附に記載の1億4023万4000円について,5000万円ルールがあるため,平成24年と平成25年にY1連盟からC中央に対し各4500万円を入れたことを述べ,残りの5000万円については,「あと残り5000万円,これをですね,D中央後援会会計経由で入れております。」と説明した(甲164資料3の3丁)。続けて,Eは,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のD中央の決算報告書(甲164資料1)の収入の部第一款第一項寄附に記載の5000万円について,Y1連盟の「政治活動運営会計から,先ほど申し上げましたC中央後援会に移すために,一旦ここに寄附として入れさせていただきまして,下の方御覧いただきますと,支出の部の第二款政治活動費の第五項で,寄附ということで5000万円させていただいております。」と説明した(甲164資料3の4丁)。さらに,Eは,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間の平成24年度政治活動運営会計収支決算書(甲164資料1)の支出の部第一款寄附金第一項寄附金に記載の1億4000万円について,「C中央後援会へ直接のものが9000万円,そして,D中央後援会経由のものが5000万円の合計1億4000万円でございます」と説明した(甲164資料3の8~9丁)。同様の説明は,平成25年6月28日開催の第119回評議員会(甲165)でも行われた(甲165資料1議事録16~18丁)。
(6) Y1連盟及びC中央の各収支報告書の作成方法及び④ないし⑨の各資金移動に係る記載内容
平成25年10月以降,Y1連盟,C中央及びD中央の各収支報告書の作成業務はHからBに引き継がれた(B・17,18丁)。Bは,同年3月14日にEらとの間で行った打合せに従い各収支報告書を作成した。そして,完成したY1連盟,C中央及びD中央の各収支報告書に会計データ及び基礎資料(甲179資料3~5)を添付して,平成26年3月25日中に事務局での決裁を受けた後,Y1連盟,C中央及びD中央の各収支報告書のいずれも,まずEに確認を依頼することとし,平成26年3月27日,T課長補佐とともにY1連盟,C中央及びD中央の各収支報告書を持参し,基礎資料の中の米印記載の部分を重点的に説明した。Eは,作成基礎資料や収支報告書原本,特に寄附の部分を重点的に実際に目で見て確認した。Eに上記各収支報告書を渡してから一,二時間程度経った頃,Eから,上記基礎資料のうちY1連盟のものとC中央のものの決裁印欄にEの印が押され,かつY1連盟とC中央の各収支報告書の宣誓書にEの署名及び押印のある状態で,上記各収支報告書及び資料一式が戻ってきた。Bは,Eが上記各収支報告書を了承したと理解した(B・14~30丁,甲179資料3~5)。
同日,R(以下「R」という。)もD中央の収支報告書に署名押印をした。その際,RはEから何かしらの説明を受けていた(B・30丁)。
同日,EとBは,役員室にいた被告人Y3のもとへ,Y1連盟,C中央及びD中央の各政治資金収支報告書に記載すべき基礎事項を載せたファイル,各基礎資料及び各収支報告書原本を持参した。被告人Y3は,「E君が見ているのであれば,私はいい」,「判こと決裁欄の日付をBのほうで記載して,押印しておいてくれ」などと言ってBに印鑑を預けたため,Bが代わりに上記各収支報告書の決裁印欄に印を押した(B・30~32丁)。
Bは,同月28日,E名義の宣誓書を添付の上,Y1連盟の収支報告書を東京都選挙管理委員会事務局へ提出した(B・32丁)。同報告書には,平成25年1月23日に,D中央へ5000万円,同年3月15日にC中央へ4500万円の寄附をした旨の記載がある(甲13)。また,Bは,平成26年3月28日,E名義の宣誓書を添付の上,C中央の収支報告書を東京都選挙管理委員会事務局へ提出した(B・32丁)。同報告書には,平成25年1月23日にD中央から5000万円の寄附を受け,同年3月15日にY1連盟から4500万円の寄附を受けた旨の記載がある(甲14)。また,D中央の平成25年分の収支報告書には,同年1月23日にY1連盟から5000万円の寄附を受け,同日,C中央へ5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲15)。
(7) C当選後の会議の状況等
平成25年7月の参議院比例代表選挙において,Cは再選を果たした。その後しばらくの間のY1連盟における諸会議の記録は証拠として提出されていないが,C選挙及びD選挙における各資金移動や本件が疑惑として公にされたことへの対応等に関するEらの発言として,次のアないしオがある。
ア 平成27年1月15日四役会
平成27年1月15日開催の四役会(甲172。出席者には,被告人Y3,G,Eが含まれる。)において,同月23日開催予定の第123回臨時評議員会でRが平成28年参議院比例代表選挙の職域代表候補者に決まることを前提として,Eから,R中央後援会に平成27年,平成28年で各5000万円の寄附を行い,5000万円ルールがあるため,「テクニックとして,C中央後援会会計を1回クッションさせ」て,つまりC中央を介してR中央後援会に5000万円の資金移動を行う予定である旨の説明があった(甲172資料2の7,8丁)。
イ 平成27年1月23日第123回臨時評議員会及びその後の対応
(ア) 平成27年1月23日開催の第123回臨時評議員会(甲166)において,平成28年参議院比例代表選挙の職域代表候補者がRに正式決定し(甲166資料1の11丁),選挙対応についての協議が行われた。
(イ) 同会においては,評議員の一部から,平成25年参議院比例代表選挙に係る資金移動に関して,Y1連盟からD中央を通してC中央に5000万円が入っているのではないか,これは迂回献金なのではないかとの問題意識が示された(甲166資料1の21丁)。Eは,上記問題意識に対して,中央後援会は政党とはまったく関係がないこと,「同一の団体の中で,こうしたかたちの移動というものは,きわめてテクニカルな要素」であること,平成19年参議院比例代表選挙の際には各都道府県i連盟に協力してもらい対応したが,今回は,Y1連盟に政治団体が2つあったため,そこに着目して合法的に対応した結果であること,後援会活動の予算が合計1億5000万円であり,これを2年の活動内に移行させなければならなかったが,5000万円ルールがあるためこのような形となったこと等を述べた(甲166資料1の21~24丁)
(ウ) その後,上記Eの回答では不十分であると考えたY1連盟執行部は,各都道府県i連盟会長及び各評議員宛に平成27年1月27日付け「第123回臨時評議員会の質問について」と題する書面(甲167資料1の2丁。右上にY1連盟発第192号とあるもの。)を発出した。文面の起案者はEであった。その内容は,第123回臨時評議員会における上記質問へ改めて回答するものであり,平成25年参議院比例代表選挙におけるC中央の活動に必要な予算額は9500万円であったが,5000万円ルールがあるため,うち4500万円をY1連盟からC中央に寄附し,残りの5000万円をY1連盟からD中央に寄附した後に,改めてD中央からC中央に寄附する形での資金移動を行ったこと,これは政治家個人への資金供与ではないので迂回献金には該当しないこと,以上の点については,Y1連盟の嘱託弁護士からも違法ではないとの回答を得ていること等を内容とするものであった。
(エ) さらに,これに関する新聞報道を受け,Y1連盟は,各都道府県i連盟会長及び各評議員宛に平成27年2月4日付けで「2月4日付、p新聞記事について」と題する書面(甲167資料1の3丁。右上にY1連盟発第199号とあるもの。)も発出した。これも文面の起案者はEであった。その内容は,2月4日付けのp新聞に前示の臨時評議員会における質問に端を発する形で平成25年選挙に係る資金移動について「迂回寄付か」と疑問を呈する記事が掲載されたことに対する見解として,Y1連盟,C中央,D中央は独立した政治団体であり,それぞれの活動目的が異なっていること,寄附行為も別個に行われており,各団体間の寄附行為も独立したもので,監督官庁にも確認し,違法性がないことを確信していること等を内容とするものであった。
ウ 平成27年2月5日第19回f会・Y1連盟役員連絡協議会
平成27年2月5日開催の第19回f会・Y1連盟役員連絡協議会(甲167。出席者には,被告人Y3,G,Eが含まれる。)において,Eは,同年1月27日付け「第123回臨時評議員会の質問について」及び同年2月4日付け「2月4日付、p新聞記事について」は,いずれもEが用意したものである(甲167資料2の3丁)とした上で,中央後援会会計のこれまでの経緯について,次のような説明をした。すなわち,平成16年のY1連盟事件があった後の改革の一環として,ブラックボックスになるような会計はやめようということを第一に考え,現在の一般会計プラス特別3会計にした。そして,後援会活動についてはそれに特化した会計にするべきであるという考えのもとで後援会会計は候補者の名を冠した各中央後援会でやっていた。Y1連盟の内部的・便宜的に分離した会計との理解の一方,お金を移すためには中央後援会は独立の政治団体として届け出なければならず,また,中央後援会として活動するのに1億5000万円の予算が必要である一方,5000万円ルールに配慮しなければならなかった。そのため,平成19年参議院比例代表選挙においては,各都道府県i連盟からC中央に各100万円寄附してもらった。また,平成22年参議院比例代表選挙においては,D中央とb総支部にそれぞれ5000万円を入れて,b総支部からD中央に5000万円を入れた。これらは,平成25年参議院比例代表選挙と基本的には構図が一緒であり,平成25年は,Y1連盟が中央後援会を2つ持っていたために,C中央に4500万円,D中央に5000万円入れるという便宜的な対応を採ったものである,というのである(甲167資料2の5,6丁)。
エ 平成27年2月12日第20回常任理事会
平成27年2月12日開催の第20回常任理事会(甲168。出席者には,被告人Y3,G,E,Fが含まれる。)において,Eは,平成22年のD選挙に係る資金移動についても,政党支部を経由した迂回寄附ではないかという問題意識でマスコミから取材申入れがあり,対外的な回答を統一する必要があるとして,平成22年参議院比例代表選挙については,b総支部の収支についてY1連盟は全く関与していないので迂回寄附に当たるとは考えていないと説明していると述べ,被告人Y3やGらからも同調する発言があった。また,平成25年参議院比例代表選挙については,Eは,Y1連盟からC中央,Y1連盟からD中央,D中央からC中央への各資金移動はいずれも個別に見れば合法であるが,全体としてみると脱法的な見方もあり得るため,今後そのような誤解を生むようなことのないように取り組んでいくという説明をしていくべきであるとの見解を示した(甲168資料3の22~24丁)。
オ 平成27年3月11日第21回常任理事会
平成27年3月11日開催の第21回常任理事会(甲169。出席者には,被告人Y3,G,E,Fが含まれる。)において,被告人Y3は,平成19年,平成22年,平成25年の各参議院比例代表選挙について,同じような考え方で資金移動をしている旨述べたが,これに対しEが異議を唱えることはなかった(甲169資料3の7丁)。また,Eは,上記3回の選挙に係る予算について,どうしても1億5000万円かかってしまうということを前提に考えていた旨述べた(甲169資料3の12,13丁)。
第3  公訴事実第1に係る争点に対する当裁判所の判断
(ただし,検察官は,被告人Y3についても,当時Y1連盟の理事長として各資金移動の規模や方式について承知していたとして,それが公訴事実第2に係る同被告人の関与の間接事実になると主張し,これに対し,同被告人の弁護人は,事実ないしその意味合いを争っている。そのため,本項の検討には,後記第4との関係でもその前提となるものが含まれ,その限りで,同被告人の弁護人の主張に対する評価,判断も適宜行うこととする。)
1  ②③の各資金移動の趣旨について(第1の4(1)ア)
(1) b総支部における意思決定の欠如
前記第1の1及び第2の1ないし5で認定した事実からは,次の事実もまた明らかである。
すなわち,D中央及びb総支部は,いずれも平成22年の参議院比例代表選挙におけるY1連盟の準職域代表候補者であるDの選挙活動に関して設立されたもので,少なくとも選挙終了まではb総支部も含めてY1連盟と役職員も多くを共通にし,事務処理もY1連盟において行っていたが,政治団体としては個別に設立が届け出られるなど,それぞれが独立の存在である。しかるに,D中央については,その名の下に選挙に向けたD支援の後援会活動を展開したなど活動の実態が認められるのに対し,b総支部については,そのような実態が認められない(前記第2の5(4)イ)。そして,①ないし③の各資金移動に当たっても,Y1連盟はもちろんD中央においても,役員会における予算の決定や役員による決裁などこれらに対応する団体としての意思決定が認められるのに対し,b総支部においては,そのような独自の意思決定はなかったことが認められる。
(2) ①ないし③の各資金移動についてのEの当時の説明
ア 前記第2の5(4)ウのとおり,Eは,平成22年3月5日の常任理事会において,D選挙について,D中央のほかa党の比例区支部が存在する予定で,5000万円ずつ合計1億円を確保できる見通しを述べた上,同(5)アのとおり,同月18日の理事会においては,政党支部(これがb総支部を指すことは明らかである。)に入れた資金を中央後援会に動かす旨明言している。Eが,②の資金移動を実行するのに先立つ時点で既に,Y1連盟の資金を一旦b総支部に移動させた上で,最終的にこれをD中央へと更に移動させる意図であったことが強くうかがわれる。
イ また,Eは,選挙後の各種会議で,①ないし③の各資金移動について,D中央にY1連盟から後援会活動の資金として直接又は間接に合計1億円を移動したもので,Y1連盟からD中央には1年間に5000万円しか動かせないので,b総支部に5000万円を入れて,その後b総支部からD中央に5000万円を入れ,合計で1億円をD中央へ入れた旨,ときには「迂回の形を取った」という表現も交えて,重ねて説明をしていた(前記第2の5(6))。
これらはいずれも,Y1連盟からb総支部へ5000万円を寄附した趣旨が,最終的にb総支部からD中央へ当該資金を移動させるための中間手段であったという趣旨の発言ないしそれを前提とした説明であり,また,そのような手段を採った理由が5000万円ルールの存在にあることも述べられているものである。
ウ 以上のとおり,Eは,①ないし③の各資金移動の前後を通じ一貫して,5000万円ルールの存在により,Y1連盟からD中央に直接移動できる資金が5000万円に限られるとの認識の下,最終的にY1連盟からD中央に1億円の資金を移動させるため,そのうち5000万円については,一旦b総支部に移動させ,しかる後に,b総支部からD中央へこれを移動させるという説明を行っていたことが明らかである。
エ なお,被告人Y3の弁護人は,平成22年D選挙にかかる資金移動に関するEの説明のうち平成22年3月18日開催の理事会(甲141)で行われたものについて,被告人Y2及びその他の出席者は,D中央とb総支部という2つの受け皿に5000万円ずつの資金移動ができることを述べているものにすぎないと理解していた可能性が高い(弁論16丁),平成22年7月23日開催の常任理事会(甲146)や平成22年8月6日開催の監事会(甲147)におけるEの説明も,資金移動の客観的結果を説明しているものにすぎないと理解することも可能である(弁論19丁)などと主張する。しかし,各種会議におけるEの発言全体をごく自然に受け取れば,そのような理解に至る余地はないと考えられるから,採用できない。
(3) ①ないし③の各資金移動に関するY1連盟及びD中央における会計書類等の記載と関係者の説明内容について
ア 前記第2の5(5)ア(イ)のとおり,平成22年4月2日開催の四役会で示されたD中央会計収支予算案算出基礎資料の収入の部には,Y1連盟の政治活動運営会計からの寄附のほかに,(2)その他として各5000万円の記載があり,この時点で,D中央においては,Y1連盟から受ける5000万円の寄附のほかに,更に5000万円の寄附を受けることを想定していたとみることができる。
イ また,同(ウ)のとおり,当時,D中央の会計担当役員であったKは,上記四役会の後に開催されたD中央の役員会において,D中央の会計収支予算(案)の寄付収入1億円の記載の摘要欄に「Y1連盟より50,000,000円 a党参議院比例区b総支部より50,000,000円」と書かれた点について,5000万円はY1連盟から直接,残り5000万円はb総支部からのものであり,b総支部からの5000万円も本当はY1連盟から寄附する趣旨である旨の説明をしており,その説明に対し,出席者であった被告人Y2,被告人Y3及びEは何ら訂正をしたり異なる趣旨の発言をしたりするところはなかったものである。
ウ さらに,前記第2の5(6)エのとおり,平成22年9月16日に開催された四役会において出席者に配布されたD選挙に関する収支を説明する書面においては,Y1連盟の支出明細として,政治活動運営会計からD中央に対して寄附金として1億円を支出したとの記載がある。
エ これらの資料の記載及び説明に鑑みれば,Y1連盟及びD中央においては,当初から,Y1連盟からD中央へ1億円を寄附するため,うち5000万円についてb総支部を経由させる方法を用いることが予定され,その通りの資金移動が実行され,報告されたものであり,上記各会議の出席者の間では,そのような認識が共有されていたことが推認される。
(4) Y1連盟における中央後援会への従来の資金移動の手法について
Eは,前記第2の4において認定したとおり,平成19年参議院比例代表選挙の際,5000万円ルールの下で平成18年中にY1連盟からC中央に1億円を寄附するため,Y1連盟からC中央へ直接5000万円を寄附するほか,Y1連盟の政治活動運営会計から各都道府県i連盟へ特別助成金として各120万円を支出し,各都道府県i連盟からC中央へ各100万円を寄附させることで,更に合計4700万円の資金を移動させるという方法を考案し,これを実行した。また,Eは,前記第2の5(2),(3),(6)イ・ウ・オのとおり,平成22年参議院比例代表選挙の当初の職域代表候補者であったQの後援会活動費用をQ中央から支出するため,Y1連盟からQ中央に対し5000万円を寄附するとともに,平成19年参院選後休眠状態であったC中央を経由してQ中央に5000万円を寄附させることで,Y1連盟の政治活動運営会計からQ中央に1年内に合計1億円の資金移動を行う手法を考案し,四役会や常任理事会,理事会等において上記手法を前提とする説明を行った。
Eは,上記のように,平成19年参議院比例代表選挙に向けたC中央の予算編成及び平成22年参議院比例代表選挙に向けたQ中央の予算編成に際し,いずれも,まずY1連盟から各中央後援会に移動させる資金総額を決定し,その総額からY1連盟より各中央後援会に直接寄附できる額の上限を差し引いた不足額については,Y1連盟から一旦別の政治団体に資金移動を行い,その政治団体から更に各中央後援会へと資金を移動させるという手法を考案し,採用していたと認められる。中央後援会が必要とする資金の全てをY1連盟から寄附として移動させてきた目的は,関係者の述べるところによれば,Y1連盟が丸抱えで行う職域代表候補者等の選挙に向けた諸活動のうち,後援会活動として行えるものについて中央後援会を立ち上げてその会計で収支を管理することによって,後援会活動に係る収支を明確にする点にあったもののようであり(例えばK・11丁,G第8回16丁,E第13回21丁,甲167資料2の5,6丁など),Eは,上記目的のもと,平成22年参議院比例代表選挙におけるD中央の予算編成に際しても,従来どおり,Y1連盟からD中央への寄附につき,直接行うことができる5000万円を超える部分については,Y1連盟から一旦別の政治団体に資金移動を行い,その政治団体から更に中央後援会へと資金を移動することを考え,実行したとみるのが自然である。
(5) 小括
前記(2)のとおり,Eは,Y1連盟の会計担当副理事長として,D選挙について,当初よりY1連盟からD中央へ選挙に向けた後援会活動資金として1億円を寄附するという前提の下,Y1連盟からD中央へ直接5000万円を寄附するほか,Y1連盟から一旦b総支部に5000万円を寄附し,これをそのままb総支部からD中央へ寄附することで,5000万円ルールに抵触することを形式上回避することを考案し,その考えに従って様々な場面で説明を行い,その通りの資金移動を実行したと認められる。
一方,b総支部に団体の意思決定と目すべきものはなく,②の資金移動を受けて③の資金移動でD中央に移すまで約一月半の間があって,この5000万円はb総支部の口座に保持されているが,その間に同口座には政党交付金の入金が1回あったものの,それ以外の入出金は全くなかったのであり,上記5000万円は専ら同口座を管理するY1連盟の都合と判断によりそこにとどめてあったものと目して妨げない。
以上によれば,平成22年3月30日のY1連盟からb総支部へ5000万円を移した②の資金移動は,その時点で,選挙までの間にD中央に移動されることを予定して行われたもので,同年5月13日のb総支部からD中央へ5000万円を移した③の資金移動は,その実行に他ならないと認められ,目的においても,客観的な側面においても,一連一体のものとしてY1連盟からD中央に対する同日付けの寄附と認められるというべきである。
(6) 反対証拠としてのEの証言について
ア E証言の概要
Eは,②の資金移動でY1連盟からb総支部へ入金した5000万円は,b総支部に置いたままDの後援会活動の費用に充てる予定であったが,a党の関係者から,b総支部口座から選挙に係る費用を支出し,これに関して問題が起こるとDに直接責任が及びかねないとの忠告を受けたため,b総支部からD中央に資金移動することにし,Hに指示して平成22年5月13日にb総支部からD中央に5000万円を移動させたのであり,③の資金移動は,当初から予定されていたものではなかったと述べる(E第13回75~77丁)。
そして,敷衍して,(a)5000万円ルールに抵触しないようにするため,選挙活動の資金を複数の政治団体から支出することは,平成19年のC選挙のときにも検討したことがある(E第13回31丁),(b)前記(2)アで引用される平成22年3月18日の理事会での説明は,政治団体名はb総支部ではあるものの,Y1連盟の管理の下でD選挙のために使うものであるという趣旨の発言である(E第13回66丁,第14回37~39丁),(c)前記(3)イのD中央会計収支予算(案)は,Y1連盟関係者に対して,Y1連盟が中心になって行うD選挙の後援会活動費用の総枠が1億円であることを示して説明するための資料であり,摘要欄の「b総支部より50,000,000円」との記載は,費用をどこから支出していくかを示しているものである(E第13回70丁)などと証言する。
さらに,被告人Y3の弁護人は,上記(b)について,前記(2)アで引用される平成22年3月18日の理事会での説明は,予算案を見た理事の一人が,この記載では資金がa党のものになってしまうのではないかとの趣旨の質問を行ったことに対して,Eが,政治団体名はb総支部ではあるものの,Y1連盟の管理の下でD選挙のために使うものであって,a党のものになるのではないということを説明する文脈の中での発言であるとも理解できると主張する(弁論16丁)。
イ 上記(a)ないし(c)の検討
しかし,まず上記(a)の点については,Eが平成19年のC選挙で検討したのは,同一候補者に係る2番目の中央後援会を設立して,特定の費目をそこから支出するというものであるが,結局採用されなかったというものである上,中央後援会の眼目は,その団体の名の下に立候補予定者の後援会活動ができるところにあるところ,Y1連盟がその活動の全てを取り仕切ることができる中央後援会と,選挙までの間の事務はY1連盟において管理していたとはいえ政党規約の下にあるb総支部とは大きく性質を異にするのであり,供述内容の合理性に結び付かない。
次に,上記(b)の点については,Eの説明の前提となった当該理事からの質問は,「党の5000万っていうふうなことをおっしゃいましたが,これはどういうふうな具体的な予算かっていうことを,第一点お聞きしたい」というもので,b総支部に寄附される5000万円の使い道を問う趣旨であることが明らかであり,E自身,そのように理解したからこそ,b総支部に動かす5000万円をどのように使うのかについて説明したと考えるのが自然かつ合理的である。そして,その回答の中で,Eは「政党支部に入れたものを中央後援会に動かす」とも明言しているところ,仮に上記5000万円がa党のものになるのではない旨の説明に重点を置いたのだとすれば,Eの説明を前提とすれば,b総支部からD選挙のために支出すると答えれば済むことであって,わざわざ「中央後援会に動かす」という説明になるのは不自然である(被告人Y3の弁護人は,上記説明は政党支部に移動した5000万円も中央後援会の活動のために使うということを比喩的に述べているとみることも可能であると主張する(弁論16丁)が,その解釈が不自然であることは,前記(2)エに指摘したとおりである。)。Eの発言は,b総支部に移動させた資金の使途につき,それは最終的にD中央へと移動させることになるのであり,だからこそa党のものになるわけではないという趣旨の回答であったとみるほかない。
さらに,上記(c)の点について検討すると,前記(3)イのD中央会計収支予算(案)の記載は,D中央がb総支部から,5000万円の寄附を受け入れるという趣旨以外に読む余地はないのであって,上記E証言はそれ自体が極めて不自然不合理であるというほかない。このことは,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間のQ中央会計収支予算(案)(甲137資料1)の収入の部の第一款第一項寄付の摘要欄の「Y1連盟より100,000,000円 C中央後援会より90,000,000円」という同じ体裁の記載について,Eが,C中央に平成19年,20年と積み立ててきた9000万円を2年間かけてQ中央に寄附する予定であった旨述べていること(E第13回42丁)に照らしても明らかである。
ウ E証言の核心部分の検討
以上のように,(a)ないし(c)の点は,Eの証言の核心部分を合理化したり,前記(5)の認定を揺るがしたりするものではないが,さらに,Eの証言の核心部分自体についても,次のとおり,Eの当時の発言,各種会議における配布資料,その他関係者の証言等と明確に矛盾し,客観的事実とも整合的な説明がつかないものといわざるを得ない。
(ア) 既に説示したとおり,当時のEの会議等における説明及びその際用いられた資料の記載は,当初より,Y1連盟からb総支部に移動させる資金は,最終的にそのままD中央へと移動させるつもりであったという趣旨に解するほかないものであり,これと異なり,Y1連盟からb総支部へ寄附した5000万円を,b総支部に留めたままDの選挙費用として支出するというようなことを窺わせる発言や記録は一切みられない。
(イ) また,平成22年当時,Y1連盟において常任理事を務めていたI(以下「I」という。)やD中央及びb総支部の会計責任者であったK,事務局で会計を担当していたHは,b総支部及びD中央の2つの団体からDの後援会活動に向けた支出をする予定があった旨の説明を聞いたことはない旨揃って証言している(I・22丁,K・34丁,H第10回32,33丁)。このことからも,Eの証言の核心部分が事実に反することが裏付けられる。
(ウ) 被告人Y3の弁護人は,b総支部の預金通帳の記載のうち,平成22年5月13日にa党から500万円が振り込まれた旨の印字と,③の資金移動に係る同日b総支部から5000万円を出金した旨の印字を比較すると,両印字は異なる機械によって行われたことは客観的に明らかであり,このことは,EがHに対してb総支部に政党交付金が入っているかを確認してから5000万円を出金するよう指示したとの証言に整合し,Eの証言の核心部分の信用性を支える旨主張する(弁論8丁)。この点について,Hは,Eからそのような指示があった可能性を否定しておらず,また,b総支部の預金通帳の記載(甲177)からは,被告人Y3の弁護人指摘のとおり別の機会に記帳された可能性が認められる。しかし,仮にHが500万円の入金を確認してから5000万円の出金をしたのだとしても,この事実は,5000万円の資金移動のタイミングを決する事情が何であるかという点を含め,b総支部にEが②の資金移動をした目的が迂回目的であったこととも,b総支部から選挙活動の費用を支出する目的であったこととも,いずれとも両立し得る事実で,本件争点に対する判断において有意な事実ではなく,認定を左右しない。
エ 信用性判断
以上のとおり,上記アのE証言は信用できず,前記(5)の認定を左右しない。
(7) 被告人Y2の弁護人の主張
被告人Y2の弁護人は,Y1連盟においては,D選挙のために合計1億円の負担を覚悟したが,その提供方法として独立して存在するD中央及びb総支部にそれぞれ5000万円を寄附したのであるから5000万円ルールに抵触しない,検察官の主張と同様にb総支部をトンネル団体であるかのように捉えて,②③の各資金移動をD中央に対する5000万円の寄附とみることは,a党からの要請で設立された独立の政治団体としてのb総支部の存在を否定するものに他ならず,明らかな事実に反する旨主張する(弁論6~8丁)。しかし,前記(1)ないし(5)までの認定・評価は,b総支部の独立性・実在性を否定するものではなく,あくまでEの実行した資金移動が専らY1連盟からD中央に合計1億円を寄附することを目的として,5000万円ルールを超える分につきY1連盟からb総支部へ5000万円の寄附,b総支部からD中央への同額の寄附という外形をとることにしたものと認められること,その一方で,b総支部において,Y1連盟からの寄附の受入れについてもD中央に対する寄附についても組織としての意思決定がなく,そのような認定・評価を妨げる事情もないことをいうにとどまる。弁護人の論難は前提を欠いている。
また,被告人Y2の弁護人は,1億円を負担する意思があることのみをもって迂回寄附と評価することはできないとも主張する(弁論6丁)が,既に説示したとおり,本件における寄附が迂回と評価されるのは,そのようなY1連盟において負担する1億円を,5000万円ルールに抵触しない外形を装うためのみにb総支部を経由させて資金移動したためであるのだから,その主張も失当である。
(8) この項のまとめ
したがって,平成22年3月30日のY1連盟からb総支部への5000万円の②の資金移動及び同年5月13日のb総支部からD中央への同額の③の資金移動は,Y1連盟からD中央に対する寄附であり,①の資金移動と合わせて平成22年中にY1連盟からD中央へ合計1億円の寄附がされたものと認められる。
2  収支報告書の記載について
(1) 当裁判所の判断
ア 政治資金規正法は,政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするために,政治資金の収支の公開や政治資金の授受の規正を講ずることにより,政治活動の公明と公正を確保することを目的としており(同法1条),この目的を達成するため,同法は,政治団体の会計責任者に対し,政治資金の収支の公開の基礎となる収支報告書の提出を義務付け(同法12条),同報告書によって政治資金の収支等を国民の前に明らかにすることを最重要視している。この趣旨は,政治団体として届出をする前に寄附又は受寄附をしたり(同法23条),収支報告書等の提出を怠り,又はこれらに一定の記載をせず,若しくは虚偽の記入をしたり(同法25条1項各号)して,政治資金の収支について,国民の不断の監視と批判の下にさらすこと自体を免れる行為について,同法違反の罪のうちで最も重い法定刑を定めていることからも明らかである(同法第6章参照)。また,同法では,本人の名義以外の名義又は匿名で政治資金に関する寄附をしてはならないとして(同法22条の6),寄附主体を偽る行為をも規制しているが,その趣旨も,寄附の量的制限,質的制限の実効性確保のみにとどまらず,国民の前に実態に即した政治資金の収支を公開することによってこそ,政治活動の公明と公正を確保することができるという本法の本来的目的達成にあると考えられる。
以上のとおり,政治資金規正法における収支報告書が,政治資金の収支を公開することにより,これを国民の監視と批判の下に置き,これによって政治活動の公明と公正を確保するという重要な役割を担っていることに鑑みれば,収支報告書に記載すべき事項が客観的資料や帳票類に基づいている必要があることはもちろんのことであるが,そもそもそのような資料が政治資金の収支の実態と一致していることは当然の前提というべきである。換言すれば,政治資金規正法の立法趣旨及び同法における収支報告書の重要性に鑑みれば,同法は,収支報告書に記載すべき政治資金の収支について,形式と実態がかい離するなどということ自体およそ想定も許容もしていないものと解される。なぜならば,仮にそのような事態が生じるとすれば,公開できない何らかの資金の動き(実態)について,公開に差し支えない外形を装うというような場面しか想定できないからである。
イ 本件で,会計責任者としてEが提出したY1連盟の収支報告書には,平成22年3月30日にD中央及びb総支部に対し各5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲10)。また,Eが会計責任者の職務を補佐する者として関与したD中央の収支報告書には,同日にY1連盟から5000万円の寄附を受け,同年5月13日にb総支部から5000万円の寄附を受けた旨の記載がある(甲11)。しかしながら,既に認定説示したとおり,上記記載に対応する①ないし③の各資金移動のうち,②及び③の各資金移動については,その実態は,同日にY1連盟からD中央に5000万円の寄附が行われ,D中央は同日Y1連盟から5000万円の寄附を受けたものである。これが②及び③の各資金移動の形をとり,上記のように収支報告書に記載されたのは,Y1連盟・D中央間の平成22年中の寄附・受寄附が①の資金移動と合わせて合計1億円となり,5000万円ルールに抵触するのを外形上回避しようとしたことに尽きる。
これら各収支報告書は,記載すべき事項の記載をせず,また,虚偽の記入がされたものであることは明らかである。
(2) 被告人Y2の弁護人の主張
ア 同弁護人は,そもそも収支報告書は,実際にあった資金移動状況をそのまま正確に記載しなければならないところ,本件では,平成22年分のY1連盟及びD中央の各収支報告書について,帳票類に基づいて正確に記載されているのであるから,不記載又は虚偽記入には当たらない,検察官の主張を前提とすると,Y1連盟及びD中央の各収支報告書に裏付けとなる帳票類の添付ができなくなる,などと主張する(弁論3~5丁)。
収支報告書は,帳票等の客観的資料に即して記載をすることが求められるが,前記のとおり,それは,客観的な資金の動きが当然実態とも一致しているという前提があるからである。ところが,本件は,法の許容しない資金移動(量的制限を超えた寄附)を行うこととし,その発覚を防ぐため,実態に対応しない資金移動を形式的に行い,外形から見れば適法な資金移動とみえるように帳票類も整え,あえて形式と実態をかい離させたという事案である。このような意図で整えられた帳票類に基づいて収支報告書を作成することは,政治資金の収支の実態を覆い隠す行為であって,法の趣旨を没却するものであるから,同弁護人の主張するような解釈は採用できない。
イ 同弁護人は,収支報告書の記載につき,帳票等の客観的資料に即して記載するだけでは足りず,実態に即した記載が求められるのだと解すると,仮に収支報告書の作成者が資金移動の違法性を認識していた場合にもそのような資金移動の経過を記載しなければならなくなり,虚偽記入の制裁の下で自白の強要が行われていることになるから,前記の解釈は不当であるとも主張する(弁論3丁)。
しかし,政治資金規正法が,同法12条で政治団体等に収支報告書の公開を義務付け,同法25条1項2号及び3号で収支報告書への虚偽記入ないし不記載について罰則を設けることによって収支報告書への正確な記載を求めたのは,前記のとおり,政治団体等の収支の状況を国民の不断の監視にさらすことで,政治活動の公明と公正を確保するためである。そして,議会制民主政治の下では政党その他の政治団体の機能が重要であり,収支報告書の公開等は民主政治の健全な発達に寄与するものであるから,収支報告書は,同法12条の要請するところに従い,同法25条1項2号に触れることなく全ての収支が漏れのないように,かつ,同項3号に触れることなく実態に即して正確に記載されて公開される公益上の必要性は高い。
一方で,同法12条は,政治団体等の収支という客観的事実の報告を求めているのみであり,それ以上に犯罪行為の有無についての報告まで強制されるものではない。また,収支報告書は,選挙管理委員会又は総務大臣に提出されるものであり(同条1項柱書き,同法6条1項),そもそも刑事手続に必然的につながるものではない。
そうすると,同法12条並びに25条1項2号及び3号の解釈につき,収支報告書の記載は,帳票等の客観的資料に即して記載するだけでは足りず,実態に即した記載が求められるのだと解したとしても,そのことは,政治団体を設立して政治活動等を行うにあたっての合理的な根拠のある負担として許容されるものであり,自白や不利益な供述を強要していることにはならないというべきである(最高裁判所平成15年(あ)第1560号同16年4月13日第三小法廷判決・刑集58巻4号247頁参照)。
よって,弁護人の主張は理由がない。
ウ その他,同弁護人は,本件における収支報告書の虚偽記入及び不記載の擬律ないしこれによる被告人Y2の訴追について,検察官は,平成22年の資金移動が量的制限違反になると考えたものの,公訴時効が完成していたため,敢えて法解釈を曲げて政治資金規正法25条違反で起訴したものであり,公訴提起自体が不当であるとも主張する。しかし,擬律を論難する点は,弁護人の依拠する解釈が採用できないことは既に説示したとおりである。また,被告人Y2について,量的制限違反を訴追できるか否かにかかわらず,これよりも法定刑が重く,より公訴時効期間の長い同法25条違反が成立するとして訴追することにつき,上記の点をいう以外に格別検察官の訴追裁量を逸脱するものと目すべき事情もうかがわれない以上,公訴提起が不当であるとの主張も失当である。
(3) この項のまとめ
したがって,平成22年分のY1連盟及びD中央の各収支報告書の内容は,記載すべき事項を記載しなかったものないし虚偽の記入をしたものに当たる。
3  被告人Y2とEとの間の共謀について(第1の4(1)エ)
(1) 5000万円ルールに反する寄附に関する意思の連絡について
ア 認定した事実
前記第1の1,第2の1ないし5及び第3の1で認定した各事実に加えて,以下の各事実が認められる。
(ア) 被告人Y2は,平成19年C選挙のとき,熊本県j会会長,熊本県i連盟連盟長及びC熊本県後援会会長を務めていた。そして,被告人Y2は,平成18年9月5日開催の都道府県i連盟会長会議に出席した(甲184)ほか,前記第2の4(2)アの趣旨を周知する平成18年7月24日付け「C中央後援会への寄付のお願い」と題する書面(甲180資料2の1丁)や同年10月2日付け「C中央後援会への寄付のお願い」と題する書面(甲180資料2の2丁)に連盟長として決裁印を押した(被告人Y2第17回18~20,63丁,第18回13~23丁)。
(イ) Eは,自身の所掌事項であるとしつつ,政治的配慮の求められるパーティー券の購入や政治献金,衆院選・参院選の際の陣中見舞いを送る候補者及びその金額については,欠かさず当時会長であった被告人Y2に相談しており,これに理事長であった被告人Y3は同席したが,その他の役員が同席したり関与したりすることはうかがわれない(前記第2の3(2),E第13回12,13丁,第14回69,83,84丁,被告人Y2第17回13,73~75丁)。
(ウ) D選挙に際しb総支部の口座にa党から入金された政党交付金及び公認料で,選挙後にまだ残っているものについては,被告人Y2は,Dの選挙活動を丸抱えで行ったY1連盟で受け取るべき性質のものであると考え,Eに指示をして,D選挙にいくらかかったか,最終的にb総支部にいくら残っているかを明らかにする「参議院比例代表選挙(D氏)関係収支」と題する書類(甲149資料1(1))を作成させ,四役会で報告させた(前記第2の5(6)エ)。被告人Y2は,その席で,自己の指示に基づくものであることなど,その内容を知悉していることをうかがわせる発言をした上で,Dの選挙のためにY1連盟から総額2億円余りを使ったということを同人に分かってもらう必要があるという趣旨を述べるなどした。そして,これを受けて,b総支部の預金口座残高約965万円は,平成22年9月30日付けでY1連盟の政治活動運営会計に寄附として入金されたが(甲177号証資料5),その後,b総支部の収支報告書を整理する平成23年2月になってD側から政党交付金等を他団体に寄附することはできない旨の指摘を受けたため,同月21日付で仮受金と改めるなどの処理をすることとし,これらの入金伝票については,特別に会長である被告人Y2の決裁を受けた(甲178資料4,5,8,E第13回83~91丁,被告人Y2第17回36,37丁。)。
イ 上記アを含む各事実からの推認
(ア) 上記ア(ア)の事実からは,被告人Y2が,熊本県i連盟連盟長として,平成18年8月中にC中央に50万円を寄附金名目で送金すること,同年9月中にY1連盟が各都道府県i連盟に対して特別助成金名目で各120万円を送金すること,各都道府県i連盟において,同年10月中に,C中央に対して寄附金名目で更に各50万円を送金するべきこと,これらは5000万円ルールに対応するために行われるものであることをいずれも認識していたと認められる。被告人Y2はこれら事実の認識自体を否定する。しかし,前記第2の4(2)アのとおり,被告人Y2は,このような各送金の趣旨についてEが説明をした会議(平成18年9月5日都道府県i連盟会長会議)に出席していたものであり,なおかつ,そこでの説明内容は,5000万円ルールによりY1連盟から直接C中央へと資金移動できない分を補填するため,Y1連盟から各都道府県i連盟への特別助成金の交付と,各都道府県i連盟からC中央への寄附を組み合わせて,最終的に合計4700万円の資金移動を実現するという趣旨にしか理解し得ないものであった。その上,その趣旨を周知する各書面にいずれも被告人Y2の決裁印が押印されていることから,これらの書面に目を通していないとは考えられず,かつ,これらの書面はいずれも一枚物の内容も平易なものであるのだから,一読すればその趣旨は容易に理解できたはずである。したがって,以上の事実を被告人Y2が認識していなかったとは到底考えられない。そして,これらの事実を全て認識すれば,これは要するに,Y1連盟が各都道府県i連盟に対してC中央へ各100万円の支出を寄附として求める一方で,その支出の埋め合わせとしてY1連盟から各都道府県i連盟に対して特別助成金名目で金120万円を送金するのであって,実質的にはY1連盟からC中央への資金移動であること,各都道府県i連盟は,時期を前後してその中間に介在することによりY1連盟からC中央への資金移動の直接性を希釈しつつ,特別助成金と寄附金との差額を一種の手数料として取得するという仕組みであることを容易に察するはずである。他県のi連盟の役員らにおいて,当然のこととしてそのような仕組みとして理解されていたこと(I・6丁,J・10丁)も,そのような推認を裏付ける。したがって,被告人Y2は,上記資金移動は,Y1連盟からC中央へと直接資金移動をすると5000万円ルールに明確に抵触してしまうことから,それを避けるためにY1連盟として考え出した仕組みであるという認識を持ったと認められ,また,Y1連盟の会長に就任した際にも,Y1連盟において5000万円ルールに明確に抵触しないような資金移動方法の案出が必要であるという意識を有していたと推認できる。
(イ) また,前記第2の1のとおり,D選挙当時も,Y1連盟では参院選で職域代表候補者ないし準職域代表候補者を高順位で当選させることが非常に重要な任務であると理解されており,そのために,Y1連盟では,Y1連盟会員から少なくない会費を徴収し,参院選におけるそれら候補者支援のために多額の予算を計上していた。一方で,平成16年に発覚したY1連盟が絡んだ不正献金事件(いわゆる△△事件)を受けて,Y1連盟は,政治資金に関してコンプライアンスを最重要視しなければならない立場にもあった。そうすると,当時Y1連盟の会長であった被告人Y2にとって,D選挙に総額いくらの資金を投入できるのか,そのためD中央にどのように資金を投入していくかということは,強い関心事であったと考えるのが自然である。被告人Y2は,自らの主導で上記ア(ウ)のとおりD選挙の資金の事後処理についてEに指示を出すなどしており,これは被告人Y2がD選挙に係る資金について関心と相当詳細な認識を持っていたことの証左である。
(ウ) これらに加えて,被告人Y2は,Y1連盟会長ないしD中央会長として前記第2の5(2),(3),(5)及び(6)記載の各会議のうち監事会を除くすべての会議に出席して,迂回寄附についてのEが出席者らに対してする説明を聞いていた。Eの説明は,既に認定説示したとおり,5000万円をY1連盟からD中央に直接寄附するとともに,別途5000万円をY1連盟からb総支部を介してD中央に迂回して寄附するという趣旨にしか理解できないものであり,前記(ア)及び(イ)のとおりの認識及び関心を有していた被告人Y2にとっては,これが5000万円ルールを意識した上でY1連盟からD中央へ合計1億円を移動させるためにEが考案した仕組みであることは容易に理解できたはずである。それにもかかわらず,被告人Y2は,Eの説明に異議を唱えたり疑問を呈したりすることはなく,むしろ,前記第2の5(5)ア(ア)のとおり,平成22年3月18日第19回理事会(甲141)においては,Eが,D選挙に際してはD中央とb総支部という2つの政治団体を立ち上げ,b総支部からD中央へ資金移動を行うことで,合計1億円の選挙資金を工面する旨の説明をした際,この説明を訂正することなく,むしろ,「受皿として5000万,5000万かな,年間1億円は動かせる。」,「1億でまあ,いろいろなポスター作ったり,グッズ作ったり,あるいはいろいろ出張旅費やったりとか,そのあたりができるということですので,御理解いただきたい」(甲141資料3の14丁)と述べるなど,b総支部を経由することで5000万円ルールを超えた寄附を実現することの理解を有していることを表す言動もしている。
(エ) 以上のとおりの被告人Y2の当時の立場や上記発言を含む言動に鑑みれば,被告人Y2は,遅くとも同理事会までには,前記のとおりの迂回寄附を行うことを十分に認識し,かつ,Y1連盟としてそれを実行することにつき会長として了解を与えていたと認められる。
ウ 被告人Y2の弁解及び同人の弁護人の主張
(ア) 被告人Y2は,予算・会計に関する事務はEを信頼して全面的に任せており,①ないし③の各資金移動について事前にも事後にも相談を受けることはなかったと弁解し,被告人Y2の弁護人も同趣旨の主張をする。そして,Eも,被告人Y2に対して①ないし③の各資金移動について事前に説明することはなく,予算については四役会で初めて伝えていた旨証言する(E第13回13丁,41丁)。
しかし,当時,被告人Y2はY1連盟の会長であり,Eは同連盟の副理事長であるという関係であったことに加え,Eは,上記ア(イ)のような政治的配慮の求められる事項は被告人Y2及び被告人Y3に逐一相談していたとも証言しているのであり,政治的にも金額的にもそれらよりもはるかに重大事と目されるD選挙の予算関係の相談を事前に全くしていなかったとは考えづらい。この点,Eは,政治献金等の外部との関係は修正がきかないから事前に会長等に相談して了解を得るが,中央後援会への選挙支援の寄附等の資金移動はあくまでY1連盟内部の問題で,修正がきくので自分の裁量内で処理していたと述べる(E第14回92丁)。しかし,中央後援会の予算をはじめとする選挙資金の手当は,諸会議でEが詳細な説明を尽くしているだけでなく,多くの出席者が関心を寄せて質疑の対象ともなっていることは,既にした説示に現れているとおりである。原案の策定にせよ会長や理事長等の最高幹部の事前の了解なしにいきなり公式の会議に上程できたり,成立した予算内とはいえ数千万円単位の資金移動の具体的な実行を専断できるという性質のものとは考えられず,合理的な説明とはいい難い。
また,前記のとおり,被告人Y2はY1連盟の政治活動に係る資金について強い関心を持っていたのであるし,何より①ないし③の各資金移動についてのEの説明に一切異を唱えず,これを敷衍するような発言もしているのであるから,①ないし③の各資金移動について具体的認識を欠いていた旨の被告人Y2の弁解は不合理であって信用できない。
(イ) 被告人Y2は,b総支部に送金された5000万円はa党ないしDの主導の下でb総支部としてDの後援活動に用いるもので,b総支部に帰属するものと認識していたとも弁解する(被告人Y2第17回36,37丁)。しかし,前記イ(ウ)に摘示した平成22年3月18日開催の理事会におけるE及び被告人Y2の発言からして,被告人Y2がそのような誤解をするはずはなく,結局,上記供述も不自然不合理であって信用できない。
エ 小括
よって,被告人Y2は,Y1連盟からD中央に合計1億円の寄附を行うに当たり,5000万円ルールに抵触しない外形とするため①ないし③の各資金移動としてこれを行うことについて,遅くとも平成22年3月18日までには,認識してその実行を担当するEに了解を与え,Eもこのような被告人Y2の了解を受けて各資金移動の実行を決定していたものと認められるから,両者の間で,上記内容の事前の意思連絡が成立していたと認められる。
(2) 収支報告書の虚偽記入,不記載に関する共謀について
上記(1)のようなY1連盟を取り巻く状況や共謀の時期及び内容に加え,被告人Y2が当時から政治団体においては毎年収支報告書を作成し提出すべきこと自体は認識していたこと(被告人Y2第18回63丁)からすれば,Eが提案する5000万円ルールを潜脱する①ないし③の各資金移動につき,被告人Y2が了承したということは,後に公表すべきことが義務付けられている収支報告書についても,資金移動の実態ではなく外形上の資金移動を記載する旨の暗黙の了解があったことに帰着する。被告人Y2において,既に説示したように迂回寄附の実態を了解していた一方で,現在に至るまで一切収支報告書の記載が誤りであるとか修正を要するといった供述や発言がないことも,当時なされた収支報告書の記載が,被告人Y2の意図していたところに合致していたことを裏付けるといえる。
よって,被告人Y2は,収支報告書の記載もその外形のみに即して行われ,実態を反映しないものとなることを了解し,Eとの間でその旨の意思連絡も成立させ,かつ,これを変えることのないまま,各収支報告書の提出をEらに任せていたと認められる(なお,会長の立場での意思連絡であるから,正犯意思を備えていることは自明である。)。よって,この点についても優に共謀が成立していたというべきである。
(3) 被告人Y2の弁護人の主張
ア 被告人Y2の弁護人は,政治資金規正法25条2項の趣旨に照らせば,会計責任者であるEにおいて虚偽記入等の罪が成立するとしても,これと併せて団体の代表者が虚偽記入等の共同正犯の責任を負うのは,代表者自身が会計責任者に虚偽記入を指示するなどの積極的な関与がある場合に限られるのであって,代表者が収支報告書の内容について報告を受けて了承したという程度では共謀は認められるべきではないと主張する(弁論20,21丁)。しかし,本件において被告人Y2に共謀の内実があることは上記認定のとおりであり,特別に政治団体の代表者による虚偽記入に限ってそのような限定的な解釈を採用すべき理由はなく,弁護人の主張は失当である。
イ また,同弁護人は,検察官の主張によると,政治団体の代表者が政治資金規正法22条違反の罪を犯した場合,会計責任者が犯す同法25条1項2号ないし3号違反の罪の共同正犯にも必ずなることになり,その結果,同法25条2項は量的制限違反はなかったが虚偽記入はあったという限定的な場合にのみ適用されることとなるが,かかる解釈は,刑罰法規の適用範囲を不当に拡大するものである(弁論20,21丁)とも主張する。しかし,同法22条違反の罪の構成要件と同法25条1項2号ないし3号違反の罪の構成要件が異なることは明らかであり,弁護人の主張は前提において既に失当である。
(4) この項のまとめ
よって,被告人Y2とEとの間で,判示罪となるべき事実第1に係る各行為について共謀を遂げていたと認められる。
4  違法性の意識ないしその可能性について(第1の4(1)ウ)
被告人Y2の弁護人は,被告人Y2は平成22年の資金移動が適法であると認識しており,かつそのように認識することもやむを得なかった(弁論13丁)と主張する。しかし,被告人Y2は5000万円ルールの存在を認識しつつ,これに抵触しないように見える外形を作出するため,平成22年のD選挙においては,b総支部を経由させる方法を用いて1年間でY1連盟からD中央へ合計1億円の寄附を行いつつ,うち5000万円につき,各収支報告書にはb総支部への寄附又はこれからの受寄附という実態の伴わない虚偽の記入等をしたものである。このような経緯に照らせば,被告人Y2には,当然に違法性の意識があったと認められる。
5  結論
以上より,被告人Y2には,公訴事実第1と同旨の,罪となるべき事実第1記載の各犯罪の成立が認められる。
第4  公訴事実第2に係る争点に対する当裁判所の判断
1  ⑥⑦の各資金移動の趣旨について(第1の4(2)ア,ウ及びエ)
(1) ⑥⑦の各資金移動の趣旨
ア Eは,平成25年参議院比例代表選挙でCをY1連盟が支援する職域代表候補者とすることが決まるまでには,その後援会活動に合計1億5000万円を確保する必要があること,Y1連盟の政治活動運営会計からその中央後援会に2年に分けて各5000万円動かせるのに加えて,残りの5000万円をどう動かすべきかが問題であることを会議でも表明し,また,C中央の予算として1億5000万円を「政治活動運営会計他」からの寄附でまかなう旨のC中央の補正予算案もまとめていた(平成24年10月4日の常任理事会,同月31日の臨時理事会及びC中央役員会。前記第2の6(1))。これらからすれば,Eは,平成24年10月31日の時点では既に,C中央に対して,Y1連盟から2年間で合計1億5000万円の寄附を行うことを計画していたことが強く窺われる。
この点,Eは,平成24年10月31日の臨時理事会における自身の発言(前記第2の6(1)イ(ア))は,1億5000万円を全てC中央の口座に移動させるという意味で発言したものではなく,C中央に限らずC選挙に関わる後援会活動の費用の総額を説明したものであり(E第13回99丁),同会議の資料として配布された平成24年度C中央後援会会計収支補正予算案の収入の部,寄附の摘要欄に「政治活動運営会計他」とあえて「他」と記載したのは,5000万円ルールの関係でC中央へ動かすことのできない5000万円については政治活動運営会計から他の政治団体に資金を入れて,そこから費用支出しないといけないという趣旨で記載したものである(E第14回49丁)などと述べる。しかし,Eは,当該臨時理事会において「中央後援会に対しまして,一般会計の政治活動運営会計から,1億5000万円を移していく」と,また,同日のC中央役員会では,「1億5000万を,この中央後援会に移ささせていただく」と,それぞれ明確に述べている(前記第2の6(1)イ)のであるから,上記E証言は不合理であり,弁護人の主張は採用できない。
イ Eは,平成25年3月22日に開催された第118回評議員会において,④から⑦までの各資金移動を前提に,Y1連盟からC中央へ1億4500万円を支出した旨説明した(前記第2の6(5)イ)。
また,Eは,平成25年5月15日に開催された第1回監事会において,④から⑨までの各資金移動が反映された平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のY1連盟政治活動運営会計収支計算書の支出の部の寄附金1億4000万円につき,C中央に直接寄附した9000万円を除いた5000万円について,迂回といえば迂回であるが,直接C中央に入れられないので,D中央に入れてそれをC中央に回すという形の処理をしたこと,同期間のC中央の収支計算書に記載の寄附のうち1億4000万円はY1連盟の政治活動運営会計からの寄附であること,同期間のD中央の収支計算書の収入の部第一款寄附の5000万円との記載はY1連盟からの寄附であり,支出の部第二款政治活動費第五項寄附の5000万円との記載はC中央への寄附であることを説明し,出席者の発言に対応して,迂回というテクニックを使った旨(甲163資料2の5~6丁)の応答もした(前記第2の6(5)ウ)。
さらに,Eは,平成25年5月31日開催の第2回理事会(甲164)においても,⑥⑦の各資金移動に関し,5000万円についてはY1連盟からD中央を経由してC中央へ入れた,D中央がY1連盟から受けた5000万円の寄附はC中央へ移すためのものである,との説明をし,平成25年6月28日開催の第119回評議員会(甲165)においても同様の説明を繰り返した(前記第2の6(5)エ)。
なお,上記いずれの会議においても,Eが,資金移動の方法に関して計画の変更があったなどと言うことはなかった。
以上のような資金移動後のEの各説明状況は,Eが,当初から,D中央を経由してC中央に資金提供する意図を有しており,実際行われた⑥⑦の各資金移動も,その意図に基づくものであったことをそのまま表明したものといえる。
ウ 以上のとおりのEの説明に鑑みれば,Eは,平成25年の資金移動の前後を通じ一貫して,Y1連盟からD中央へ寄附した5000万円については,D中央を経由してC中央へ寄附するためのものである旨説明を繰り返してきたのであり,平成25年1月23日にY1連盟からD中央へされた⑥の資金移動及び同日D中央からC中央へされた⑦の資金移動は,このようなEの計画に基づき,一連一体の迂回寄附として実行されたものと考えるのが自然である。
(2) E及びHの各証言について
上記(1)で推認できるところにつき,E及びHは,それぞれ次のような証言をしている。
ア E証言の概要
Y1連盟からD中央へ5000万円を送金し,D中央からC選挙へ支出していくつもりで,平成25年1月23日にY1連盟からC中央に5000万円,Y1連盟からD中央に5000万円を送金するよう口頭で指示をしたが,Hは,同人の思い込みで,更にD中央からC中央へ5000万円の送金も行った,Eは後になってこれに気付いたが,いずれにせよ財源はY1連盟であり,Y1連盟の管理下で使用するのであるから特段の問題はないと考え,そのままにした旨証言する。
イ H証言の概要
これに対し,Hは,D中央からC中央への5000万円の送金もまたEの指示に基づくものであると証言する。すなわち,
(ア) 平成25年1月23日以前の執務日に,Eから,口頭で,Y1連盟の政治活動運営会計からD中央へ5000万円,D中央からC中央へ5000万円,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央へ5000万円の,⑤から⑦に当たる各資金移動の指示を受けた。指示はメモに書き取るとともに復唱して確認した上で,平成25年1月23日に実行した。特段,同じ日にやるよう言われることはなかったが,一度に指示されたので,そのまま一度に実行した。同日か翌日頃,上記各資金移動に関するY1連盟の出金伝票,C中央の入金伝票,D中央の出金伝票及び入金伝票を作成し,これら4枚の伝票だけをバインダーに挟んで,同月23日以降の執務日にEの下に持参し,面前で決裁を受けた(H第10回85~88丁)。
(イ) Eからこれらの資金移動について何らの指摘も受けたことはない。D中央からC中央へ5000万円の振込の指示がされていないのに,間違って振込をしたということはない。D中央へ入金した5000万円について,その後C中央に移動させるのではなく,D中央にとどめたままにしてそこから支出するという話も聞いたことはない(H第10回89,90丁)。
ウ H証言の信用性
H証言は,前記(1)で摘示した諸会議におけるEの説明やこれから推認されるところと整合的である。加えて,上記イ(ア)については,Hは,平成25年1月当時,Y1連盟の事務局において会計を担当していた事務員であり,平成17年から長年,副理事長としてY1連盟の会計を取り仕切っていたEの指示に忠実に従う立場にあった。そのようなHが,Eからの直接の指示で,合計1億円もの多額の資金移動を行った場合,その事務処理に間違いがなかったことを確認してもらうとともに,自身が間違いなく指示された事務を遂行したことをEに確認してもらうため,他の決裁に紛れることのないように速やかに決裁をもらうよう努力することは,前記第2の5(5)イ(エ)にも説示したとおり極めて自然で,年度末などで伝票決裁が輻輳していたかのようにEがいうところ(E第13回126丁)を踏まえても,それだからこそ頻繁にあるわけではない高額な入出金についての決裁を個別に求める合理性があるともいえる。上記資金移動に係る伝票のいずれにも(特にC中央の⑤及び⑦の各資金移動を1通に記載した入金伝票)Eの決裁印があること(前記第2の6(4)ウ)とも整合する。
また,(イ)の点についても,Eが述べるように,HがEの指示しない5000万円もの大金の送金をそのミスによって実行してしまったというのであれば,そのことについて,Eから事実確認も注意もなく,善後策を含め関係者間で話題に上ることもないということは常識的にみて考えられないことである。ところが,E自身,この送金についてHに事実確認をしたり注意をしたりしたことはなく,そのまま放置していたと述べている(E第14回103丁)し,平成25年10月以降Hから業務を引き継いだBにおいても,Hがミスをしたという話をEから聞いた記憶はないという(B・13丁)。ましてや,特に平成27年以降,平成25年の本件資金移動が強く問題視されるようになってからですら,D中央からC中央への資金移動はHのミスであってEの意図したところではないとの説明や弁明が一切なされていないことは,この送金がEの指示に基づくものであるとのHの証言を何より裏付けているというべきである。
よって,Hの証言は十分信用することができる。
エ E証言の信用性
これに対し,E証言は,懸案となっている中央後援会への高額な入出金の伝票を,各団体の会計実務を統括することを主たる任務とする立場で決裁していながら,⑥⑦の各資金移動に気付かなかったという,それ自体にわかに真に受けることが困難な内容を含んでいる。それをおくとしても,上記ウにおいても説示したとおり,Hのミスにより意図しない5000万円もの送金がされ,後になってそのことを把握したにもかかわらず,何らの行動も取らず放置していたということ自体常識的にみて考えられないことである上,その送金の当否が問題となり,様々な追及を受ける段階になってもなお,元々自己の意図したものではなく事務方の誤送金であるとの弁明が一言たりともされた形跡のないことは不可解極まりない。たとえば,平成27年2月5日開催の第19回f会・Y1連盟役員連絡協議会においては,f会の会長から「片っぽに入れて同じ日にこう移すってのは,いかにも不自然だっていうのは,感じてしまう。」という発言があったにもかかわらず,その後発言の機会のあったEから,上記のような弁解は一切されていないし,また,同月12日開催の第20回理事会においては,Gから「Dの中央後援会に5000万円が入って出ていって,C中央後援会に入るまでが,1日の間に済んでるということです。」との発言があったにもかかわらず,その直後に発言しているEから,やはり上記のような弁明はされていないのである。このようなEの言動は,Eの公判における証言が真実であるとすると説明がつかないものというほかない。
E証言は破綻しており,到底信用できない。
オ 以上のとおり,前記(1)によって推認でき,また,信用できるH証言にも表れているとおり,⑥⑦の各資金移動は,一連一体のものとしていずれもEの指示により行われたものであると優に認定できる。
2  ⑥⑦の各資金移動に関する被告人Y3の認識
(1) 平成19年C選挙及び平成22年D選挙に係る費用に関する被告人Y3の認識
ア 岐阜県i連盟会長を務めていた被告人Y3も,前記第3の3(1)における被告人Y2と同様,平成18年7月21日開催の都道府県i連盟代表者理事長会議に出席(甲183)して,P会長及びE副理事長から5000万円ルールの説明を受け,同ルールを意識をするようになった(被告人Y3第19回4,59丁,第20回7丁)。被告人Y3ないし岐阜県i連盟の当時のU副会長は,Y1連盟から,前記第2の4(2)記載のとおりC中央に対する寄附の依頼を受け,これを岐阜県i連盟に持ち帰って実行した。なお,被告人Y3は,いずれもC中央から岐阜県i連盟に送付されてきた平成18年7月24日付け「C中央後援会への寄付のお願い」と題する書面(甲185資料①)や同年10月2日付け「C中央後援会への寄付のお願い」と題する書面(甲185資料②)にそれぞれ会長として閲覧したことを表す決裁印を押している(被告人Y3第20回12~15丁)。以上の事実からは,被告人Y3も被告人Y2と同様,平成19年C選挙について,5000万円ルールに抵触することを回避するため,実質的にはY1連盟からC中央へ4700万円を資金移動するという狙いで,Y1連盟から各都道府県i連盟に助成金名目で合計120万円を送金し,各都道府県i連盟はC中央に寄附金名目で合計100万円を送金するという資金移動の仕組みについて,その趣旨を理解していたと認められる。
イ また,被告人Y3は,平成22年D選挙のとき,Y1連盟の理事長及びD中央の幹事長として,前記第2の5(4)ないし(6)に記載の会議のほとんどに出席し,②③の各資金移動の趣旨がY1連盟からb総支部を介したD中央に対する寄附である旨のEやKの説明を直接耳にする機会があった。また,被告人Y3は,平成22年3月5日開催の常任理事会において,前記第2の5(4)ウのとおり,D中央とa党の比例区支部という2つの政治団体が存在する予定であるとのEの説明に続けて「5000万,5000万」と発言するなど,当該資金移動に関する具体的な理解をしていたとみて自然な事実もある。
さらに,Eは,重要事項について会長である被告人Y2には欠かさず相談しており,その席に理事長である被告人Y3も基本的に同席していたこと(前記第3の3(1)ア(イ))に照らし,Y1連盟の理事長かつD中央の幹事長で,D選挙に向けた後援会活動を前面に立って取り仕切る立場にある被告人Y3が,その選挙の資金の手当という極めて重要な事項について,Eから知らされていないということは考えにくい。
以上は,被告人Y3が平成22年の②③の各資金移動が迂回寄附であることを認識していたとするのに整合的な事実である。
(2) 外形的事実から推認される平成25年C選挙に向けた各資金移動に関する被告人Y3の認識
ア 被告人Y3には,上記(1)のような事前の認識があることに加え,Y1連盟の会長として,前記第2の6(1)イ記載の各会議に出席し,Eが,平成25年C選挙のために1億5000万円必要であるが,5000万円ルールが存在するため全額を確保するためにはテクニックの問題がある(甲156),Y1連盟の政治活動運営会計からC中央に選挙対応のために1億5000万円動かす予定である(甲158)との説明をするのを聞いており,これに異論等を差し挟まなかった。このことから,被告人Y3は,平成24年10月頃までには,Y1連盟の政治活動運営会計からC中央に翌年の選挙までに5000万円ルールの下で説明の可能な方法を考えて合計1億5000万円の資金移動を行う方針であることを認識していたことが認められる。
イ そして,被告人Y3は,前記第2の6(5)記載の各会議に出席し,Eが,Y1連盟の政治活動運営会計からいったんD中央に5000万円を入れてC中央に送金するという処理をした旨の説明を何度も聞いており,これにも異論等を差し挟まなかったものであるから,被告人Y3は,Y1連盟からC中央に送金する予定であった1億5000万円のうち5000万円はいったんD中央に送金し,D中央からC中央に送金したことを理解していたと推認される。
(3) 被告人Y3及び同人の弁護人の主張
ア 被告人Y3の弁護人は,上記(1)に関し,平成22年D選挙に関して各種会議で配布された予算書及び決算書の内容として,b総支部の5000万円をD中央に移動するとの記述がないものも複数存在すると主張する。また,甲149号証に添付された「参議院比例代表選挙(D氏)関係収支」と題する書面は,平成22年9月16日開催の四役会で配布されたもので,かつ,被告人Y3が手書きした記載があるものである(Y3第20回32丁)であるところ,Y1連盟の政治活動運営会計からD中央に1億円を寄附した旨の記述の冒頭番号にはチェックがなされていないことから,被告人Y3はこの点に気を留めていなかったとも主張する。上記主張は,各種会議で配布された予算書や決算書の記載から被告人Y3が②③の各資金移動が迂回寄附であることを認識していたと認定するには合理的な疑問が残るとの主張であると解される(弁論20,21丁)。しかし,前記第3の1(3)記載のとおり,b総支部の5000万円をD中央に移動させる旨の記述と理解できる書類も複数存在すること,被告人Y3は当時Y1連盟の理事長及びD中央の幹事長を務め,それぞれの実務を取り仕切る立場にあったこと,各種会議では書類の配布に加えて前記第3の1(2)記載のとおりEの口頭ので説明も行われていたことからすれば,被告人Y3が②③の各資金移動が迂回寄附であると認識していたということは十分に推認できるのであって,被告人Y3の弁護人の指摘するところにより合理的な疑いが生ずるものとはいえない。
イ また,同弁護人は,上記(2)に関し,平成25年の資金移動に関する各会議におけるEの発言を聞いても,被告人Y3がその趣旨を完全に理解できたわけではなかった旨主張する(弁論26丁)が,前記第2の6(1)の各会議の状況及び後記3の信用できるG証言によれば,被告人Y3は,Eの発言等を聞いて⑥⑦の各資金移動の趣旨について十分に理解していたと認められるのであるから,弁護人の主張は当たらない。
3  Gの証言について
さらに,当時Y1連盟の理事長であったGは,Eから,Y1連盟からC中央へ資金を移動させるに際し,うち5000万円についてD中央を迂回させるという案を事前に聞いていた,それが実行された平成25年1月23日よりも前に,被告人Y3からも,上記案についてEから説明を受け,実行することに決めた旨の発言を聞いたと証言するので,その信用性について検討する。
(1) G証言の概要
ア 平成24年10月31日開催のC中央役員会が終了した後,Y1連盟の役員室で,Eから,Gに対し,早速C中央へ資金を振り込むが,C中央に対しては現物給付もするので,4500万円を振り込み,来年も4500万円を振り込むこと,残りの5000万円の経由先はおいおい考える旨を伝えてきた。Gが,被告人Y3にも話しておくよう言うと,Eは,被告人Y3の机に行き,何かを話した。すると,被告人Y3は,よし分かった,じゃあそれで行こうと言ったのが聞こえたので,上記方針が了承されたと思った(G第8回42~45丁,第9回8~13丁)。
イ 平成24年11月27日の数日前,Eは,Y1連盟からCの資金管理団体であるn研究会を経由させてC中央に各3000万円を2回にわたって資金移動させたいと言ってきた。n研究会には職域代表であるCの報酬の意味合いで1000万円を1年度に4回に分けて寄附していたので,1回3000万円を資金移動させるということだった。Gは,被告人Y3の承諾があればよいと言った(G第8回48~50丁,第9回14~17丁)。
ウ 平成24年11月27日,Y1連盟は,政治活動運営会計からn研究会に3000万円を送金したが,当日,C側から反対されてすぐ返金されたことをEから聞いた。Eは,Cの承認を得て送ったんだけど,向こうから戻ってくるんだ,本当にわがままで困るという話をしていた。その後,被告人Y3がY1連盟役員室に現れ,このことをEとGとで報告すると,被告人Y3はCに電話を掛けて何か話していたが,その後,被告人Y3はGとEに「国会議員になると,おまえたちに分からんいろんな問題点があるんだ」「今回のことはCの言うことを聞いてやれ」と言った。Eは,不満も言っていたが,またほかの所を当たると言った(G第8回51~55丁,第9回18~25丁)。
エ 平成25年1月10日の四役会では,出席した役員の間でCに対する不満が話題になり,Gも,被告人Y3に向けて,その場にいた者の中では,被告人Y3とEだけが知っている上記n研究会への送金が返金されたことについて「回しの問題」という表現で採り上げてCを非難したことがあった(甲159資料2の19丁)。
オ Eは,この四役会から数日後,Gに対して,5000万円の経由先としてD中央を使いたいと言ってきた。Gは,h党の公認候補で出る予定のCの後援会にa党のDの後援会から寄附をすることに違和感があったので,その旨をEに告げたが,Eは,後援会そのものはY1連盟が持っているもので,本人たちには関係がないと説明したので,Eの提案に納得し,被告人Y3の承認を得るように言った。Eから上記話がきてから数日後,被告人Y3から,「Eから聞いたけれども,あの件はDでいこうよ」と言われた。そのため,Gも賛成した。それからまた数日後で,1月23日の数日前に,Eからも,被告人Y3から承認を得たのでD中央へ5000万円振り込む旨伝えられた(G第8回56~70丁,第9回26~28丁)。
(2) G証言の信用性
ア G証言は,④ないし⑦の各資金移動だけでなく,平成24年11月27日にY1連盟からn研究会に3000万円が振り込まれたがすぐに返金されてきたという機微にわたること(前記第2の6(3))を含めて,これらに関し理事長という会務の枢要の立場にあり,Eから相談を受け,自らも関与する中で知り得たことを具体的に叙述するものである。とりわけ,Eが5000万円の経由団体をおいおい考えなければならないと述べていたというくだりは,Eが当初から5000万円ルールに抵触するためC中央に直接には寄附できない5000万円についてその経由先が悩ましいと発言していたこと(前記第2の6(1)ア)と時期的に整合しているし,そのような悩みの中で一旦n研究会に3000万円の送金を行ったが,C側が翻意して返金されてきたため,更なる工夫を求められた結果,D中央を経由することにしたという流れは,上記の各資金移動の趣旨,経緯を自然な脈絡の中で説明しており,実際,平成25年1月10日開催の四役会でGがCの言動に対して不満を述べ,それにEの立場や苦労を思いやる発言も交えていること(議事の反訳から明らか)の趣旨を解き明かす説明とも相まって,生々しさを伴う真実味の感じられるものである。
イ また,平成24年11月27日にY1連盟からn研究会に3000万円が振り込まれたがすぐに返金されてきた経緯に係る前記アの証言部分については,当時,Cの秘書をしていたO(以下「O」という。)は,同日午前中にHから電話があり,「Y1連盟からn研究会に一度振り込むので,返してください。C先生にはE先生からお話します。」と言われてn研究会の記帳をするとY1連盟から3000万円が入金されていたこと,このことをCに報告すると,Cは怒って「すぐに返しなさい。」と言われたこと,そのためHに連絡して3000万円を返金すると伝えたこと,Cはその後怒ってEと電話をしていたこと等を述べ(甲51),Cも,Oと同旨の供述をするほか,Eとの電話では,3000万円の趣旨について同人が全く説明しようとせず,ごまかすような感じで,3000万円を何日かして全額戻していただければいいんですとしつこく言ってきた旨述べる(甲48)。以上の各供述は,Y1連盟からn研究会に送金する3000万円について,後でY1連盟側に戻すものとして行われた旨の説明があったこと,Cが結局はこれを拒んで入金直後に返金したことにおいて,上記イ,ウのG証言と整合しており,その証言の信用性を高める。
さらに,前記1(2)のとおり信用できるH証言は,そこで述べられているY1連盟からn研究会に3000万円の送金をしたことを含む各資金移動がEの主導であった点や資金移動の方法に関して,上記G証言と内容的に一致しており,ここでも相互に信用性を高め合う関係にある。
(3) G証言の信用性を争う被告人Y3の弁護人の主張について
ア まず,被告人Y3の弁護人は,そもそもGはEの共犯者であり,引き込みの危険性が顕著であると主張する(弁論31丁~)。しかし,当公判廷におけるGの証言その他当公判廷で取調済みの各証拠によっても,Gが虚偽を述べて敢えて被告人Y3を陥れる可能性は抽象的なものにとどまる。Gは,Y1連盟が迂回寄附により量的規制違反をしたことを念頭に,自ら決定過程に加わった者であるとして責任を自認しており,本件が発覚して対外的な説明が求められるようになった時期と前後してf会の会長選挙を巡り被告人Y3やEと対立するに至ったことがうかがわれることなども含めて考慮しても,その証言態度に回避的なところも被告人Y3やEに責任を転嫁するそぶりも見られないから,Gが虚偽を述べて被告人Y3にGの責任を擦り付けるという可能性もまた,抽象的なものにとどまる。
イ 同弁護人は,検察官のGを逮捕するか否かの判断が被疑者として取調べを受けていたGの心理に重大な影響を与えており,そのためにGはあえて検察官に迎合的な供述をした可能性がある,その証左に,Gは,同人だけが逮捕を免れたことが明らかになった後で被告人Y3,G及びE間の共謀に関する供述を始めた,との主張もする。
しかし,当時,Gの取調べを担当していたV検事(以下「V検事」という。)は,証人として,関係者の逮捕等の状況は供述の任意性や信用性に悪影響が生じるとの認識のもと,Gの取調べ中に被告人Y3らの逮捕を話題に出すことはなかったと述べているほか,Gは,被告人Y3らの逮捕を当時から知っており,その頃から,V検事に対して,当公判廷における証言と趣旨において大きな違いのない,平成25年の資金移動に関して被告人Y3やEに次ぐ責任を自認する供述を始めたと認められるところ,被告人Y3らと時期を違えたとしてもなお自らが逮捕される可能性もあると考えていた者として,嘘を付いてまで選択するメリットのある供述内容ではない。弁護人の指摘は当たらない。
同弁護人はさらに,被告人Y3が共謀に加わっていないとなると自身が本件資金移動に関する最上位者として起訴される可能性が高くなるが,被告人Y3が共謀に加わったことになれば,自身はより上位者である被告人Y3と会計担当のEとの間を仲介したにすぎないという構図を作出でき,起訴を免れることができるかもしれないと判断して虚偽供述に及んだと考えられるとも主張する(弁論36丁)。しかし,被告人Y3に次ぐ立場で本件資金移動の決定過程にそれなりに深く関与していたGが,検察官の起訴の対象者を的確に分析して,自らは起訴を免れるという策を練ることができた可能性は非常に低い。そもそも前記2のとおり,被告人Y3が本件資金移動を認識し,Y1連盟の最高幹部として了承していたことは,外形的事実からも十分うかがわれるところなのであって,弁護人の指摘は当たらない。
ウ また,同弁護人は,Gは,捜査段階において公判証言と異なる共謀状況を述べており,その供述経過には重大な変遷があるのであるから,当公判廷におけるG証言は信用できないとも主張する。たしかに,G証言及びV検事の証言によれば,Gは,V検事による多数回の取調べの中で,本件共謀状況について,当初は2人ずつの順次共謀であったと供述していたが,その後3人の同時共謀であった可能性があるとの供述をし,しかし,最終的には2人ずつの順次共謀であったとの供述に固まったという経過をたどったことが認められる。そして,弁護人は,3人の同時共謀の可能性を供述している際のGの供述が具体的であること等から,Gは,被告人Y3と共謀した場面の記憶などないにもかかわらず,自己保身の思いから検察官に迎合し,虚偽の共謀場面を作り上げたため,とりあえず2人ずつの順次共謀を供述したものの,2人ずつだと共謀が成り立つ機会がなくなる可能性があると考え,3人による同時共謀に供述を変えたが,結局その供述も成り立ち得ないことが分かり,2人ずつの順次共謀に戻したと考えるのが合理的であると主張している。
この点につき,V検事は,当公判廷において,要旨次のとおり証言した。すなわち,取調べ当初,Gは,いずれもY1連盟の役員室で,Y1連盟からC中央への資金移動に際してD中央を使いたい旨EからGに話があり,それとは別の機会に被告人Y3からGに同旨の話があった旨供述していたが,その後,関係者の行動が分かる客観証拠やGの手帳等と照らし合わせながら日付を確認していく中で,被告人Y3がY1連盟の役員室に来る機会が少ないことが分かってきたこともあり,もしかすると平成25年1月11日のW議員のY1連盟への訪問日に3人一緒に顔をそろえて話したという可能性もあるのではないかと述べるようになった。しかし,そうだとすれば,実際の資金移動まで12日も間が空いているとの指摘をすると,Gは,最終的に当初の供述どおり,被告人Y3とG,GとEがそれぞれ別の機会にD中央への迂回寄附について話したことに間違いがないという供述をするに至った(V検事8~20,25~33丁。以上の証言はV検事作成の取調べメモの記載と整合しており,供述内容も自然かつ合理的であるから信用できる。)。
また,Gも,上記のように供述過程をたどった理由として,検察官による取調べ当初は,記憶が整理できていない段階での回答となっていたが,取調べが進むにつれて,検察官から様々な資料を見せてもらい,時系列を整理する中で,だんだんに整理されていった(G第9回33丁)とV検事の証言と整合する証言をしている。なお,Gのこの点に関する証言は,Eや被告人Y3とのやりとりにつき,それ自体があったことは覚えているとしながら,具体的な日時や機会の詳細の記憶は明確ではないとするものであるが,そうである理由として,事柄自体についてはEが一番悩んでおり,かつ,n研究会を経由させることが頓挫したなどの経緯もあって,重要な問題で関心も寄せていたことから記憶が他と紛れるということはないが,Eや被告人Y3と話した時期や機会については,二,三分で済む話で,同じような事柄が他にも多数押し寄せている中で,特徴的な出来事とはいえないことを挙げており(G第9回29丁,90丁),合理的な説明といえる。。
そうすると,弁護人の指摘する供述の変遷の内実は,取調べの過程でGの記憶が確かであるかを確認する作業の中で,可能性のひとつとして検討された仮説にすぎないというべきであって,そもそも重大な変遷と評価することはできない。むしろ,被告人Y3,E及びGの間で本件資金移動に関して相談・了解が行われたという限りでは一貫しており,変遷がないとも評価できるのであって,弁護人の指摘は当たらない。
エ さらに,同弁護人は,Gの証言内容は客観的証拠その他の証拠に符合せず信用できないと主張し,(ア)n研究会から3000万円が返金された際,被告人Y3はCに電話をかけていないこと,(イ)Gが証言した共謀状況が客観的に成立し得ないこと,(ウ)Eが被告人Y3及びGとの共謀を否定していることを指摘する(弁論42丁~)。
まず(ア)の点について検討する。同弁護人は,n研究会から3000万円が返金された際,Cが被告人Y3と会話したなどと供述していない(甲48)というが,供述調書に記載がないことと会話の存在を否定していることは違うのであって,弁護人の主張は的を射ていない。また,同弁護人は,当日の被告人Y3及びCのスケジュールを踏まえると,Gの証言するような内容の電話を両名の間ですることは困難であったと主張するが,この点も不可能とまではいえず,Gの証言が客観証拠に反しているということはできない。むしろ,Eは,記憶が定かではないとしつつ,この折りに被告人Y3が携帯電話でCと話をし,その通話の後,Cが金を戻してきたことについてしょうがないというような話をしていた旨,G証言と符合する証言をしている(E第13回11丁~112丁)。
さらに,同弁護人は,Cが供述(前記甲48)しているEとの間の電話をGが見ていないこと等も不整合と指摘するが,この点も弁護人の指摘以外の見方がないというものではなく,結局,Gの証言が信用できる証拠に反するものとはいえない。
次に,(イ)の点について検討すると,同弁護人の立論の前提は,⑤ないし⑦の各資金移動が行われた1月23日の「数日前」には「1日前」は入らない,各役員に予定がある日はY1連盟役員室に寄ることはない,Y1連盟に出勤の記録が残っていない場合には出勤していない,そうすると前記四役会のあった1月10日の「数日後」といえる同月12日頃から同月21日までの間にGが述べるようなGとE,Gと被告人Y3とが同役員室で顔を合わせるような機会は存在しないというものである。しかし,E及びGは当時東京在住であり,Y1連盟役員室に行こうと思えばいつでも行ける状況にあったのであるし,上記各資金移動の「数日前」という趣旨は要するに事前にということであるから,Gの証言が客観証拠に反するとの主張は認められない。
(ウ)の点についても,共謀を否定するE証言は,前記1(2)ア及び同エで検討したように,上記⑦の資金移動はHの勘違いによるものであったという,証拠上受け入れ難い内容を含む上,⑤⑥の各資金移動についても,自己の権限内の事柄として,会長の被告人Y3にも理事長のGにも事前に相談することなく実行したという,前記第3の3(1)ウ(ア)で説示したのと同様のこれまた不自然極まりないものであって,この点に関するE証言は信用できないから,前提を欠いた指摘である。
オ 以上のとおり,被告人Y3の弁護人の指摘にはいずれも理由がなく,G証言の信用性は揺らがない。
(4) 小括
信用できるG証言によれば,Gは,Eから,平成25年1月23日よりも前に,Y1連盟からC中央へ資金を移動させるに際し,うち5000万円についてD中央を迂回させるという案を聞き,また被告人Y3から,同日よりも前に,上記案についてEから説明を受けて実行することに決めた旨の発言を聞いたことが認められ,この三者の間でD中央を経由して資金移動を行うことについての相互の了解が形成されたことが明らかである。
4  1ないし3から認定できる事実
(1) 平成25年1月23日のY1連盟からD中央へ5000万円を振り込んだ⑥の資金移動及び同日のD中央からC中央へ同額を振り込んだ⑦の資金移動は,一体としてY1連盟からC中央に対する寄附であると認められる。
そして,Y1連盟は,上記の寄附に加えて,同日,C中央に対し5000万円を寄附(⑤の資金移動)していたところ,これを誤振込として同年3月15日戻入(⑧の資金移動)し,最終的に,改めて同日C中央に対し4500万円を寄附(⑨の資金移動)しており,これにより確定的に1年間の寄附の上限である5000万円を超える寄附を行ったものであると認められる。
(2) そして,被告人Y3は,平成19年C選挙の頃からY1連盟が中央後援会に選挙に向けた資金を移動する上で5000万円ルールの存在に苦慮していることを理解しており,平成22年D選挙の際には理事長として出席した会議等を通じ,①ないし③の各資金移動に係る事情を知る立場にあり,これに格別異論を唱えなかったものである。その上で,平成25年C選挙に係るC中央への資金移動についても,その当時Y1連盟の会長という立場にあり,その面前で行われた各種会議等におけるEの説明に対しても,やはり何ら異論等を差し挟んだことがなかった。加えて,前記3において説示したとおり,被告人Y3は,Eが平成25年C選挙に関して資金移動の方策に苦心を重ねている状況を目の当たりにしていた中で,Eから,平成25年C選挙に関してC中央に立てた1億5000万円の予算をY1連盟からC中央に移動させるための方策として,うち5000万円をD中央を介して寄附することについて相談を受け,これを採用するとの判断を下し,それを伝えていたと認められる。したがって,被告人Y3は,遅くともその時点において,5000万円ルールへの抵触を外形的に回避するためこのような迂回寄附を行うことに関し,Eとの間で意思連絡を成立させ,会長として了解を与えたと認められる。
(3) そして,被告人Y3も,当時から政治団体においては毎年収支報告書を作成し提出すべきことを理解していたはずであることからすれば,Eの提案に係る⑥及び⑦の各資金移動方法を被告人Y3が採用したということは,後に公表すべきことが義務付けられている収支報告書についても,資金移動の実態ではなく外形上の資金移動を記載する旨の指示を含意していたとみるべきである。
よって,被告人Y3は,収支報告書の記載もその外形に即して行われ,実態を反映しないものとなることを了解し,Eとの間でその旨の意思連絡を成立させていたと認められる(もとより会長としての立場での意思連絡であるから,正犯意思を備えていることは自明である。)。ところで,B証言によれば,Y1連盟及びC中央の各収支報告書について,被告人Y3はEがチェックしているのであれば自分は直接見なくても構わないとBに伝えており,Eが収支報告書に前記第2の6(6)のとおりの記載をして提出することについても了承していたと認められる。この事実も,被告人Y3において,Eが提案する資金移動方法につきその区切りとしての収支報告書の記載に至るまでを含めて理解し,了承していたことを裏書きするものということができる。
(4) したがって,Eと被告人Y3との間には,判示罪となるべき事実第2の各行為についての共謀がいずれも認められる。
5  収支報告書の記載について(第1の4(2)イ)
(1) Eが会計責任者として提出した平成25年分のY1連盟の収支報告書には,⑥の資金移動に対応するものとして同年1月23日にD中央に対して5000万円の寄附をした旨の記載がある。また,やはりEが会計責任者として提出した同年分のC中央の収支報告書には,⑦の資金移動に対応するものとして,同年1月23日にD中央から5000万円,⑨の資金移動に対応するものとして,同年3月15日にY1連盟から4500万円の寄附を受けた旨の各記載がある。しかしながら⑥及び⑦の各資金移動については,その実態は,平成25年1月23日にY1連盟からC中央に5000万円の寄附が行われ,C中央は同日Y1連盟から5000万円の寄附を受けたものである。これが⑥及び⑦の各資金移動の形をとり,上記のように収支報告書に記載されたのは,Y1連盟・C中央間の平成25年中の寄附・受寄附が⑤の資金移動(後に⑧⑨の各資金移動で修正)と合わせて5000万円を超え,量的規制に抵触するのを外形上回避しようとしたことに尽きる。したがって,前記第3の2と同様の理由から,各団体の会計責任者であるE及び同人と共謀していた被告人Y3は,不記載又は虚偽記入の責めを免れない。
(2) 被告人Y3の弁護人の主張
ア 被告人Y3の弁護人は,被告人Y2の弁護人と同様,収支報告書は,実際にあった資金移動状況をそのまま正確に記載しなければならないところ,本件では,平成25年分のY1連盟,C中央及びD中央の各収支報告書に,資金移動の状況がそのまま記載されているのであるから,不記載又は虚偽記入には当たらないと主張する(弁論54丁)が,この主張が採用できないことは,第3の2(2)アで述べたとおりである。
イ また,同弁護人は,収支報告書の記載が帳票類とは無関係の主観的要素によって虚偽か否かが判断されるということになれば,会計責任者やその補助者は帳票類のとおりに収支報告書を作成しても刑事訴追をされるのではないかとの不安に常にさらされることとなり罪刑法定主義の明確性の理論に反するのみならず,収支報告書の作成・提出の現場の混乱を招くとも主張する(弁論55丁)。
しかし,既に認定したとおり,本件は,Y1連盟等において,当初から資金移動の実態を隠ぺいすることを企図し,ことさらに実態と異なる送金の外形や帳票類を整えたという事案なのであるから,そのような企図及び工作の存在を前提として,帳票類に基づく形式的な記載を虚偽記入等と評価したからといって,そのような企図や工作のない正常な収支報告書を作成する会計責任者やその補助者において刑事訴追をおそれるいわれは全くなく,収支報告書の作成・提出の実務が混乱するなどということもおよそあり得ないから,的を射ない論難である。
(3) この項のまとめ
したがって,平成25年分のY1連盟及びC中央の各収支報告書の内容は,記載すべき事項を記載しなかったものないし虚偽の記入をしたものに当たる。
6  結論
以上より,被告人には,公訴事実第2と同旨の,罪となるべき事実第2記載の各犯罪の成立が認められる。
第5  結語
以上の次第で,前掲各証拠により罪となるべき事実記載の各罪を疑いなく認定できるものと判断した。
(法令の適用)
被告人Y1連盟について
罰条
判示第2の1の所為 政治資金規正法28条の3第1項,26条1号,22条1項,更に刑法60条
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文,182条
被告人Y2について
罰条
判示第1の1及び2の各所為
不記載の点 刑法65条1項,60条,政治資金規正法25条1項2号,12条1項
虚偽記入の点 刑法60条,政治資金規正法25条1項3号,12条1項
科刑上一罪の処理 いずれも刑法54条1項前段,10条(1個の行為が2個の罪名に触れるため,1罪として犯情の重い虚偽記入の罪の刑で処断)
刑種の選択 いずれも禁錮刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い判示第1の1の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文,182条
被告人Y3について
罰条
判示第2の1の所為 刑法60条,政治資金規正法26条1号,22条1項
判示第2の2の所為 刑法60条,政治資金規正法26条3号,22条の2,22条1項
判示第2の3及び4の各所為
不記載の点 刑法65条1項,60条,政治資金規正法25条1項2号,12条1項
虚偽記入の点 刑法60条,政治資金規正法25条1項3号,12条1項
科刑上一罪の処理
判示第2の3及び4について
いずれも刑法54条1項前段,10条(1個の行為が2個の罪名に触れるため,1罪として犯情の重い虚偽記入の罪の刑で処断)
刑種の選択 いずれも禁錮刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第2の3の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文,182条
(量刑の理由)
1  本件は,政治団体であるY1連盟の平成22年当時の会長及び平成25年当時の会長が,これらの時期を通じて同団体の会計責任者であった副理事長と共謀の上,参議院比例代表選挙に際して同団体が支援又は擁立する候補者に係る後援会活動のために設立する政治団体(中央後援会)に対し,政治資金に関する量的規制である5000万円ルールを超えて選挙に向けた活動資金の寄附を行うため,一部を他の政治団体を迂回させる形式をとることにより,Y1連盟と中央後援会との間で,外形上は上記ルールへの抵触を回避しながら,その実はこれを超えた寄附・受寄附を行い,各団体の収支報告書には上記実態の記載はしないで見せかけの外形に基づく虚偽の記入をした,という事案である。このうち,被告人Y2は,平成22年当時のY1連盟の会長かつ同年の比例代表選挙候補者の中央後援会の会長として,同年分のY1連盟及び同中央後援会の各収支報告書の不記載及び虚偽記入(判示第1)に関与し,被告人Y3は,平成25年当時のY1連盟の会長かつ同年の比例代表選挙候補者に係る中央後援会の会長として,両団体の間の同年中の寄附・受寄附の量的制限違反(判示第2の1,2)並びに同年分の両団体の収支報告書の不記載及び虚偽記入(同3,4)に関与した。
2  5000万円ルールは,まさにY1連盟の過去の不祥事に端を発する政治資金規正法の改正により設けられたものである。それにもかかわらず,当のY1連盟が,選挙に多額の資金を投入するという従来からの姿勢は改めないまま,そのような選挙活動実現のための巨額の資金移動を優先して,新法施行後ほどない平成19年参議院比例代表選挙に向けた後援会への資金移動を皮切りに,5000万円ルールを潜脱する意図の下に他団体を迂回させるという手口で同種行為を行うようになった。そして,その時々の政治状況に左右されるため選挙に向けた態勢作りの過程は一様ではないが,同様の発想の下に組織的かつ巧妙な手段で迂回寄附を行い,その当然の帰結として本件各犯行が敢行されている。量的規制違反の点は,上限の倍ないしそれに近い額に及び,法改正の趣旨をないがしろにするところが甚だしいし,それをカモフラージュするための迂回寄附に基づき,収支報告書の不記載・虚偽記入を行った点も,政治資金の収支をガラス張りにすることで政治活動の公明と公正を確保しようとする法の趣旨を軽視したものであることが明らかである。他方,本件では,政治団体として会員から集めた会費を団体の目的実現のため支援する候補者の選挙に向けた活動に投じようとした,という資金の性質や使途自体に後ろ暗いところがないことは指摘できる。しかし,その点を踏まえても,上述の各違法は到底看過できるものではなく,なお法的に厳しい非難を免れない。
3  被告人Y2及び同Y3は,Y1連盟の不祥事の再発防止について先頭に立って取り組むべき会長という立場にありながら,法令遵守をなおざりにし,あるいはこれを履き違えて,同団体の副理事長であり会計責任者である共犯者の違法な提案を了承して実行に移させたものであり,その責任は重く,いずれも禁錮刑の選択を免れない。
なお,寄附・受寄附の量的制限違反の点につき,被告人Y2は訴追を免れ,被告人Y3については判示第2の1及び2のとおりこの点も有罪と認定されている。しかし,両被告人とも,前示のとおり,同様の目的でほぼ同規模の迂回寄附を行い,これを糊塗する各収支報告書の虚偽記入及び不記載に及ぶことに団体の長の立場で関与した点で径庭はない。そして,法定刑に照らし,被告人Y3においても刑事責任の主たる部分は収支報告書の虚偽記入及び不記載の点で評価すべきものといえる。なお,被告人Y3は,判示第1の当時,Y1連盟の理事長として迂回寄附のスキーム決定に関わっていたことはうかがわれるが,その事情が,団体の長としての立場での関与に係る判示第2の刑責の程度を大きく左右するものとも評し難い。してみると,同じ立場で同様の違反行為に関与をした被告人Y2と被告人Y3との間に量刑上有意な刑事責任の差までは見出せない。
そこで,以上の事情を考慮し,また被告人両名に前科がなく,歯科医師として長年勤続してきたものであることなど,被告人両名のために斟酌すべき事情も十分に考慮した上で,被告人両名については,刑期を主文のとおり定めた上で,執行猶予を付すこととした。
4  Y1連盟は,平成16年以降の組織改革にもかかわらず,さほどの期間も経たないうちに,一層の法令遵守が要請される役職員が組織ぐるみで判示第2の1の量的制限に反する寄附に及んだのであり,組織としての反省及び法令遵守のための取組みが不十分であった結果といわざるを得ない。Y1連盟も相応の処罰を免れないのであり,主文掲記の罰金を相当と認めた。
(求刑:Y1連盟につき罰金50万円,被告人Y2につき禁錮1年6月,被告人Y3につき禁錮2年)
平成30年7月4日
東京地方裁判所刑事第8部
(裁判長裁判官 前田巌 裁判官 熊代雅音 裁判官 岸田朋美)

 

〈以下省略〉

「選挙 立候補」に関する裁判例一覧
(1)令和元年10月 8日  神戸地裁  平29(ワ)1051号 損害賠償請求事件
(2)令和元年 9月 6日  大阪地裁  令元(わ)2059号 公職選挙法違反被告事件
(3)令和元年 6月25日  東京地裁  平26(行ウ)615号 損害賠償等請求事件
(4)令和元年 5月24日  東京地裁  平28(ワ)17007号 選挙供託金制度違憲国家賠償請求事件
(5)平成31年 4月26日  大阪高裁  平30(行ケ)1号 裁決取消請求事件
(6)平成31年 4月25日  東京高裁  平30(ネ)4794号 総会決議無効確認等請求控訴事件
(7)平成31年 4月12日  大阪地裁  平29(ワ)7325号 賃金等請求事件
(8)平成31年 4月 9日  甲府地裁  平27(行ウ)6号 違法公金支出金返還等請求事件
(9)平成31年 3月20日  水戸地裁 平29(わ)655号
(10)平成31年 3月 7日  知財高裁  平30(行ケ)10141号 審決取消請求事件
(11)平成31年 3月 5日  東京高裁  平30(う)1422号 政治資金規正法違反被告事件
(12)平成31年 3月 5日  東京地裁  平29(ワ)18277号 謝罪広告等請求事件
(13)平成31年 1月17日  盛岡地裁  平30(行ウ)8号 旧庁舎解体等公金支出等差止請求事件
(14)平成31年 1月15日  名古屋地裁  平28(ワ)3178号・平28(ワ)3179号 損害賠償請求事件
(15)平成30年11月29日  東京地裁  平29(行ウ)149号・平29(行ウ)375号 不当労働行為再審査申立棄却命令取消事件
(16)平成30年11月22日  東京地裁  平30(ワ)16336号 損害賠償等請求事件
(17)平成30年11月22日  東京地裁  平28(ワ)31683号 損害賠償請求事件
(18)平成30年10月31日  東京地裁  平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件
(19)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(20)平成30年10月11日  東京高裁  平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件
(21)平成30年10月 5日  東京地裁  平27(ワ)36817号・平28(ワ)18096号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件
(22)平成30年10月 4日  東京地裁  平27(ワ)2650号 代表権不存在確認等請求事件
(23)平成30年 9月28日  東京地裁  平26(ワ)10773号・平29(ワ)3602号 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(24)平成30年 9月28日  東京地裁  平28(ワ)23496号 損害賠償請求事件
(25)平成30年 9月27日  大阪高裁  平29(行コ)173号 高等学校等就学支援金支給校指定義務付等請求控訴事件
(26)平成30年 9月27日  東京地裁  平28(ワ)36676号 総会決議無効確認等請求事件
(27)平成30年 9月19日  東京高裁  平30(ネ)2451号 社員総会決議不存在確認等,代議員選挙無効確認等請求控訴事件
(28)平成30年 8月30日  東京高裁  平30(行コ)111号 労働委員会救済命令取消請求控訴事件
(29)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(30)平成30年 7月25日  東京高裁  平30(行ケ)8号 裁決取消請求事件
(31)平成30年 7月20日  福岡地裁久留米支部  平28(ワ)69号 損害賠償請求事件
(32)平成30年 6月27日  東京地裁  平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件
(33)平成30年 5月24日  東京高裁  平30(行ケ)4号 選挙無効及び当選無効請求事件
(34)平成30年 4月25日  東京地裁  平28(ワ)31号・平28(ワ)37044号・平28(ワ)37820号 証書真否確認、立替金等返還債務不存在確認等請求事件、立替金返還請求反訴事件、立替金請求反訴事件
(35)平成30年 4月20日  高松高裁  平29(行コ)21号 権利変換計画不認可処分取消等請求控訴事件
(36)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(37)平成30年 3月30日  東京地裁  平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(38)平成30年 3月26日  東京地裁  平28(ワ)31536号・平28(ワ)44146号 社員総会決議不存在確認等請求事件、代議員選挙無効確認等請求事件
(39)平成30年 3月19日  東京地裁  平28(ワ)1085号 損害賠償等請求事件
(40)平成30年 3月13日  東京高裁  平29(う)1154号 公職選挙法違反被告事件
(41)平成30年 3月 8日  東京地裁  平29(ワ)30031号 損害賠償及び慰謝料請求事件
(42)平成30年 2月21日  東京地裁  平28(行ウ)6号 労働委員会救済命令取消請求事件
(43)平成30年 2月13日  東京地裁  平29(行ウ)45号 非常勤職員報酬返還請求事件
(44)平成30年 2月 6日  東京高裁  平29(行ケ)35号
(45)平成30年 2月 6日  東京地裁  平27(ワ)35223号 仮払金精算請求事件
(46)平成30年 1月22日  東京地裁  平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(47)平成30年 1月18日  東京高裁  平29(行ケ)27号・平29(行ケ)28号 裁決取消請求事件
(48)平成29年12月21日  東京地裁  平29(ワ)24097号 損害賠償等請求事件
(49)平成29年12月19日  最高裁第三小法廷  平29(行フ)3号 執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
(50)平成29年12月19日  千葉地裁  平28(行ウ)5号 農業委員会会長解任無効確認請求事件
(51)平成29年12月15日  福岡地裁  平26(わ)1284号・平27(わ)231号・平27(わ)918号 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
(52)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(53)平成29年11月16日  東京地裁  平28(ワ)6761号 懲戒処分無効確認等請求事件
(54)平成29年11月 2日  東京地裁  平28(ワ)32978号 損害賠償請求事件
(55)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(56)平成29年10月11日  東京高裁  平28(ネ)5794号 理事長及び理事の地位確認等請求控訴事件
(57)平成29年10月11日  東京地裁  平28(ワ)38184号 損害賠償請求事件
(58)平成29年10月11日  神戸地裁  平28(行ウ)49号 退職手当金不支給処分取消請求事件
(59)平成29年10月 2日  東京地裁  平29(ワ)21232号 発信者情報開示請求事件
(60)平成29年 9月28日  東京地裁  平26(行ウ)229号 難民不認定処分取消請求事件
(61)平成29年 9月26日  東京地裁  平28(ワ)18742号 損害賠償請求事件
(62)平成29年 9月25日  東京地裁  平27(行ウ)331号・平28(行ウ)526号 観察処分期間更新決定取消請求事件、訴えの追加的変更申立て事件
(63)平成29年 9月25日  東京地裁  平27(行ウ)444号 観察処分期間更新処分取消請求事件
(64)平成29年 9月20日  徳島地裁  平28(行ウ)9号 権利変換計画不認可処分取消等請求事件
(65)平成29年 9月 8日  東京地裁  平28(行ウ)117号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(66)平成29年 9月 1日  青森地裁  平29(わ)55号・平29(わ)67号・平29(わ)71号 公職選挙法違反被告事件
(67)平成29年 8月25日  東京地裁  平27(行ウ)732号 難民不認定処分等取消請求事件
(68)平成29年 8月25日  青森地裁  平28(ワ)143号 損害賠償請求事件
(69)平成29年 7月25日  青森地裁  平29(わ)48号・平29(わ)56号・平29(わ)66号・平29(わ)70号 公職選挙法違反被告事件
(70)平成29年 7月24日  東京地裁  平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(71)平成29年 7月12日  広島高裁松江支部  平28(行コ)4号 市庁舎建築に関する公金支出等差止請求控訴事件
(72)平成29年 6月27日  東京地裁  平28(ワ)26217号 損害賠償請求事件
(73)平成29年 5月22日  東京地裁  平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(74)平成29年 5月18日  東京高裁  平28(う)1194号 公職選挙法違反被告事件
(75)平成29年 5月 9日  東京地裁  平28(ワ)36100号 決議無効確認請求事件
(76)平成29年 4月13日  東京地裁  平27(行ウ)480号 退去強制令書発付処分等取消請求事件
(77)平成29年 4月11日  東京地裁  平26(ワ)10342号 損害賠償請求事件
(78)平成29年 4月 7日  東京地裁  平26(ワ)27864号 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件
(79)平成29年 3月29日  東京地裁  平28(ワ)4513号・平28(ワ)28465号 マンション管理組合法人総会決議無効確認請求事件、反訴請求事件
(80)平成29年 3月28日  東京地裁  平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(81)平成29年 3月28日  仙台地裁  平28(ワ)254号 損害賠償請求事件
(82)平成29年 3月24日  東京地裁  平26(ワ)30381号 損害賠償請求事件
(83)平成29年 3月15日  東京地裁  平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(84)平成29年 3月 8日  東京地裁  平26(行ウ)300号 地位確認等請求事件
(85)平成29年 2月 9日  静岡地裁  平28(ワ)409号 損害賠償請求事件
(86)平成29年 2月 2日  東京地裁  平26(ワ)25493号・平27(ワ)20403号 株式代金等請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(87)平成29年 2月 1日  仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(88)平成29年 1月31日  大阪高裁  平28(ネ)1109号 損害賠償等請求控訴事件
(89)平成29年 1月31日  高松高裁  平28(行コ)23号 資格決定処分取消請求控訴事件
(90)平成29年 1月31日  東京地裁  平27(行ウ)360号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(91)平成29年 1月31日  神戸地裁豊岡支部  平28(わ)63号
(92)平成29年 1月17日  静岡地裁  平28(わ)407号 公職選挙法違反被告事件
(93)平成28年11月28日  名古屋高裁  平27(う)131号 受託収賄、事前収賄、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件
(94)平成28年11月21日  東京地裁立川支部  平27(ワ)2775号 理事長及び理事の地位確認等請求事件
(95)平成28年11月18日  東京地裁  平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件
(96)平成28年11月16日  大阪高裁  平27(ネ)3176号 損害賠償請求控訴事件
(97)平成28年11月15日  東京高裁  平28(行ケ)16号 選挙無効請求事件
(98)平成28年11月10日  東京高裁  平28(行ケ)17号 選挙無効請求事件
(99)平成28年11月 9日  東京地裁  平27(ワ)1724号 損害賠償等請求事件
(100)平成28年10月31日  東京地裁  平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


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(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
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(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
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選挙ドットウィン!の政治活動用の事前街頭ポスター新規掲示交渉につきまして概算お見積りをさせていただいております。
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②選挙立候補(予定)者の名刺およびビラの手渡し→→→完全無料
③留守宅への名刺およびビラなどの投函(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率!)→→→完全無料
④政治活動用事前街頭ポスターの新規掲示交渉→→→ポスター掲示(貼付)許可交渉は、完全成果報酬|完全成功報酬
⑤掲示(貼付)交渉後における、掲示許可承諾者に対してのフォローおよびクレーム対応→→→完全無料
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