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「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(46)平成30年 1月22日  東京地裁  平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件

「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(46)平成30年 1月22日  東京地裁  平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件

裁判年月日  平成30年 1月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(特わ)2148号
事件名  政治資金規正法違反被告事件
文献番号  2018WLJPCA01226002

要旨
◆政治団体であるa連盟における副理事長として会計責任者であり,平成22年及び平成25年の各参議院比例代表選挙に際して同団体が支援等する候補者の後援会活動のための政治団体(中央後援会)の会計責任者等でもあった被告人が,a連盟の当時の会長と共謀して,同一の政治団体間の寄附は各年中において5000万円を超えてはならないとの量的規制への抵触を回避して寄附を行うため,一部を他の政治団体を迂回させる形式をとったとして,〈1〉平成22年分のa連盟及び同年の比例代表選挙候補者の中央後援会の各収支報告書に,寄附の実態について記載せず,虚偽記入をし,〈2〉平成25年分については,a連盟と同年の比例代表選挙候補者の中央後援会との間で,量的規制を超える寄附・受寄附を行い,同年分の両団体の各収支報告書に,寄附の実態について記載せず,虚偽記入をしたとされる事案において,〈1〉の平成22年選挙に関しては,迂回先とされる政治団体に活動の実態がなく独自の意思決定もなかったこと,被告人は,各種会議において,資金移動の前後を通じて,a連盟から中央後援会に最終的に1億円の資金を移動させるため,そのうち5000万円については一旦別の政治団体に移動させ,同団体から中央後援会へ移動させるという説明を行っていたこと,a連盟等の会計書類等の記載や関係者の説明に鑑みても上記の説明どおりの資金移動が報告されていたこと,被告人が従来にも同様の資金移動の方法を考案し,実行していたことなどから,本件の別の政治団体を経た資金移動はa連盟から中央後援会に対する寄附であると認められるとして,各収支報告書に記載すべき事項の記載をせず,虚偽の記入がされたものであるとし,〈2〉の平成25年選挙に関しても,被告人は,資金移動の前後を通じて,a連盟から別の政治団体へ寄附した5000万円については,同団体を経由して中央後援会へ寄付するためのものである旨説明を繰り返してきたこと,被告人から5000万円について別の政治団体を迂回させるとの案を聞いていた旨のa連盟の理事長の証言が信用できることなどから,被告人は,1億5000万円をa連盟から拠出して中央後援会に確保するため,2年度に分けることで直接寄附が可能な部分以外の5000万円分は,a連盟から別の政治団体に寄附した上,これをそのまま中央後援会へと寄附することにより賄おうと計画し,各資金移動はこの計画に基づいて行われたものと認められ,本件の別の政治団体を経た資金移動はa連盟から中央後援会に対する寄附であるなどとして,量的規制を超える寄附を行ったものであり,各収支報告書に記載すべき事項の記載をせず,虚偽の記入がされたものであるとした事例
◆(政治資金規正法12条1項,22条1項,22条の2)

裁判経過
控訴審 平成30年10月11日 東京高裁 判決 平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件

裁判年月日  平成30年 1月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(特わ)2148号
事件名  政治資金規正法違反被告事件
文献番号  2018WLJPCA01226002

上記の者に対する政治資金規正法違反被告事件について,当裁判所は,検察官中島行雄,同三谷真貴子及び同桐生到並びに私選弁護人A(主任)及び同B各出席の上審理し,次のとおり判決する。

 

 

主文

被告人を禁錮2年に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。

 

理由

(罪となるべき事実)
分離前相被告人a連盟(以下「a連盟」という。),C中央後援会(以下「C中央」という。)及びD中央後援会(以下「D中央」という。)は,いずれも東京都千代田区〈以下省略〉に所在する政治団体であり,被告人は,a連盟の副理事長及び会計責任者,C中央の会計責任者で,かつ,D中央の会計責任者の職務を補佐していた者であるが,被告人は
第1  平成21年4月から平成23年3月までa連盟の代表者であり,かつ,平成22年3月から平成23年3月までD中央の代表者であった分離前の相被告人E(以下「E」という。)と共謀の上
1  平成23年3月頃,東京都千代田区〈以下省略〉a連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきa連盟の収支報告書につき,真実は,a連盟の支出に関し,平成22年5月13日,D中央に5000万円の政治活動に関する寄附をしたにもかかわらず,a連盟の平成22年分の収支報告書にその旨記載せず,b党参議院比例区c総支部(以下「c総支部」という。)に対して5000万円の政治活動に関する寄附をした旨虚偽の記入をし,これを平成23年3月31日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出し
2  平成23年3月頃,前記a連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきD中央の収支報告書につき,真実は,D中央の収入に関し,平成22年5月13日,a連盟から5000万円の政治活動に関する寄附を受けたにもかかわらず,D中央の平成22年分の収支報告書にその旨記載せず,c総支部から5000万円の政治活動に関する寄附を受けた旨虚偽の記入をし,これを平成23年3月31日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出し
第2  平成23年4月から平成27年6月までa連盟の会長及び代表者であり,かつ,C中央の代表者であった分離前の相被告人F(以下「F」という。)と共謀の上
1  いずれもa連盟の役職員として,a連盟がC中央に対して政治活動に関する寄附をするに当たり,平成25年1月23日,株式会社d銀行e支店に開設されたa連盟名義の普通預金口座から同支店に開設されたD中央名義の普通預金口座を経由して同支店に開設されたC中央名義の普通預金口座に5000万円を入金した上,同年3月15日,上記a連盟名義の普通預金口座から上記C中央名義の普通預金口座に4500万円を入金し,もって政党及び政治資金団体以外の政治団体において平成25年中に政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対して5000万円を超える政治活動に関する寄附をし
2  C中央がa連盟から政治活動に関する寄附を受けるに当たり,平成25年1月23日,上記a連盟名義の銀行口座から上記D中央名義の銀行口座を経由して上記C中央名義の銀行口座に5000万円の入金を受けた上,同年3月15日,上記a連盟名義の銀行口座から上記C中央名義の銀行口座に4500万円の入金を受け,もって政党及び政治資金団体以外の政治団体において平成25年中に政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対して行った5000万円を超える政治活動に関する寄附を受け
3  平成26年3月頃,a連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきa連盟の収支報告書につき,真実は,a連盟の支出に関し,平成25年1月23日,C中央に5000万円の政治活動に関する寄附をしたにもかかわらず,a連盟の平成25年分の収支報告書にその旨記載せず,D中央に対して5000万円の政治活動に関する寄附をした旨虚偽の記入をし,これを平成26年3月28日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出し
4  平成26年3月頃,a連盟事務所において,政治資金規正法12条1項により東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべきC中央の収支報告書につき,真実は,C中央の収入に関し,平成25年1月23日,a連盟から5000万円の政治活動に関する寄附を受けたにもかかわらず,C中央の平成25年分の収支報告書にその旨記載せず,D中央から5000万円の政治活動に関する寄附を受けた旨虚偽の記入をし,これを平成26年3月28日,東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出した
ものである。
(証拠の標目)
※以下,括弧内の甲の番号は,証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。
判示全部の事実について
・ 当公判廷における被告人の供述
・ 第1回公判調書中の被告人の供述部分
・ 当公判廷における証人Gの供述
・ 第3回公判調書中の証人Hの供述部分
・ 第4回公判調書中の証人Iの供述部分
・ 第6回公判調書及び第7回公判調書中の証人Jの各供述部分
・ 捜査報告書(甲1ないし5,134(謄本),135(謄本),137ないし170(いずれも謄本),172ないし180(いずれも謄本))
・ 捜査関係事項照会書(甲6)及び捜査関係事項照会回答書(甲7ないし9)
判示第1の事実について
・ 捜査報告書(甲10ないし12,16)
判示第2の事実について
・ 当公判廷における証人Kの供述
・ 第5回公判調書中の証人Lの供述部分
・ 捜査報告書(甲13ないし15,17,18)
(争点に対する判断)
※以下,証人の証言を引用した説示に係る出典の特定は,証人の姓及びその尋問調書の速記録の丁数を用いて行い,被告人の供述についてもこれに準ずる。
第1  争点
1  前提となる事実関係
次の各事実は,各当事者も前提としており,証拠上も容易に認められる。
(1) a連盟は,歯科医師である会員の診療環境向上を目指し,もって国民医療の発展に寄与することを目的として,昭和29年12月8日に設立された政治団体(設立当時の名称はa1連盟で,平成6年4月1日に現在の名称に変更された。)で,f会の会員をもって組織され(ただし,任意加入),東京都千代田区〈以下省略〉所在のg会館4階に事務所を置き,社団法人であるf会が直接行い難いような政治活動を担ってきた。
a連盟は,その政治活動の一環として,参議院議員通常選挙における比例代表選出議員の選挙(以下,選挙の名称については,「参議院選挙」,「比例代表選挙」等の略称を適宜用いることがある。)に際し,f会及びa連盟を代表する国会議員を送り出し,かつ,その政治的発言力を確保すべく,a連盟が会員から選考した職域代表候補者,又は選考は経ていないが政党の公認を得た会員をa連盟として支援することを決した準職域代表候補者につき,高得票で高位当選させるため,その氏名を冠した中央後援会を設立し,選挙に向けた活動に必要な資金を政治活動に関する寄附(以下,単に「寄附」という。)として注入し,支援活動を行ってきた。
他方,平成18年1月1日以降,同一の政治団体間の寄附は,各年中において5000万円を超えることができなくなった(平成17年法律第104号により改正された政治資金規正法22条1項。以下,同項の規制を「5000万円ルール」又は「量的規制」という。)
(2)ア a連盟は,平成22年の参議院比例代表選挙においては,b党公認を得たa連盟会員のD(以下「D」という。)を準職域代表候補者として支援することとし,同人の名を冠した後援会組織として,政治団体であるD中央を設立し,これを中心に上記選挙の支援活動を行った(以下,a連盟においてDを支援した選挙という文脈で,平成22年の参議院比例代表選挙を「D選挙」ということがある。)。
イ そして,a連盟は,その活動資金について,平成22年3月30日,①D中央の口座に5000万円を寄附として振込送金し(以下「①の資金移動」と表記することがある。),また,②比例代表選挙にb党の公認候補として出馬するDに係る同党の支部組織で,同党からの政党交付金や公認料の受入れなどをするためにa連盟において同党の要請を受けて設立手続や口座開設を行ったc総支部の口座に5000万円を寄附として振込送金し(以下「②の資金移動」と表記することがある。),さらに,③同年5月13日,c総支部の上記口座からD中央の口座に5000万円が寄附として振込送金された(以下「③の資金移動」と表記することがある。)(別紙1参照)。
ウ その上で,a連盟の平成22年分の収支報告書には,支出として①の資金移動に対応するD中央への5000万円の寄附及び②の資金移動に対応するc総支部に対する5000万円の寄附の記載がある。また,D中央の同年分の収支報告書には,収入として,①の資金移動に対応するa連盟からの5000万円の寄附,③の資金移動に対応するc総支部からの5000万円の寄附の記載がある。
(3)ア a連盟は,平成25年の参議院比例代表選挙においては,既に平成19年の同選挙にa連盟の職域代表候補者としてh党公認で立候補し,当選していたC参議院議員(以下「C」という。)を,再度職域代表候補者として擁立し,再選を目指すこととした(以下,a連盟においてCを支援した選挙という文脈で,平成19年及び平成25年の各参議院比例代表選挙を「C選挙」ということがある。)。
イ そして,前回選挙時に設立した後援会組織であるC中央の活動を再開させ,その活動資金について,次のような資金移動が行われた(別紙2参照)。
④ 平成24年11月1日,a連盟からC中央の口座に4500万円を寄附として振込送金(以下「④の資金移動」と表記することがある。)
⑤ 平成25年1月23日,a連盟からC中央の口座に5000万円を寄附として振込送金(以下「⑤の資金移動」と表記することがある。)
⑥ 同日,a連盟の口座からD中央の口座に5000万円を寄附として振込送金(以下「⑥の資金移動」と表記することがある。)
⑦ 同日,D中央の口座からC中央の口座に5000万円を振込送金(以下「⑦の資金移動」と表記することがある。)
⑧ 同年3月15日,⑤を誤振込として,C中央からa連盟に5000万円を戻入(以下「⑧の資金移動」と表記することがある。)
⑨ 同日,a連盟からC中央の口座に4500万円を寄附として振込送金(以下「⑨の資金移動」と表記することがある。)
ウ その上で,a連盟の平成25年分の収支報告書には,支出として⑥の資金移動に対応するD中央への5000万円の寄附及び⑨の資金移動に対応するC中央に対する4500万円の寄附の記載がある。また,C中央の同年分の収支報告書には,収入として,⑦の資金移動に対応するD中央からの5000万円の寄附,⑨の資金移動に対応するa連盟からの4500万円の寄附の記載がある。
2  検察官の主張
検察官は,被告人につき,判示事実と同旨の公訴事実を掲げ,上記各資金移動並びにa連盟,D中央及びC中央の各収支報告書の記載との関係について次のとおり主張する。
(1) 公訴事実第1について
a連盟がDを支援した平成22年参議院比例代表選挙に関して,被告人は,当時の会長であるEと共謀して,5000万円ルールの規制を回避した外形により,同年中である同選挙までにa連盟からD中央へ選挙に向けた活動資金として合計1億円の寄附をする目的で,平成22年3月30日,①②の各5000万円を資金移動をし,その上で同年5月13日,c総支部からD中央へ③の資金移動をした。そして②及び③の資金移動は,a連盟からD中央への寄附に他ならないにもかかわらず,その後,a連盟の会計責任者として平成22年分のa連盟の収支報告書には,上記実態と異なり,平成22年5月13日にD中央に5000万円の寄附をしたのにその記載をせず,平成22年3月30日にc総支部へ同額の寄附した旨の虚偽の記入をして提出し(公訴事実第1の1),また,D中央の「会計責任者の職務を補佐する者」(政治資金規正法12条1項柱書)として平成22年分のD中央の収支報告書に,同年5月13日にa連盟から5000万円の寄附を受けたのにその記載をせず,同日c総支部から同額の寄附を受けた旨の虚偽の記入をして提出した(同2)のであるから,上記各行為は,収支報告書への不記載及び虚偽記入の各罪に当たる。
(2) 公訴事実第2について
a連盟がCを支援した平成25年参議院比例代表選挙に関して,被告人は,当時の会長であるFと共謀して,5000万円ルールの規制を回避した外形により,同年中である同選挙までにa連盟からC中央へ5000万円を超えて寄附をする目的で,平成25年1月23日,⑥⑦のようにa連盟からD中央,D中央からC中央へ寄附金として各5000万円を順次資金移動させ,更に同年3月15日,⑨のとおりa連盟からC中央へ寄附金として4500万円を資金移動させた。そして,⑥⑦の資金移動はa連盟からC中央への寄附に他ならないのであるから,⑨の資金移動に係る寄附ないし受寄附は5000万円ルールに抵触する行為である(公訴事実第2の1,2)。また,その後,a連盟の会計責任者として平成25年分のa連盟の収支報告書に,上記実態と異なり,同年1月23日,C中央に5000万円の寄附をしたのにその記載をせず,同日,D中央へ同額の寄附をした旨の虚偽の記入をして提出し(同3),C中央の会計責任者として平成25年分のC中央の収支報告書に,同日,a連盟から5000万円の寄附を受けたのにその記載をせず,同日,D中央から同額の寄附を受けた旨の虚偽の記入をして提出した(同4)のであるから,上記各行為は,収支報告書への不記載及び虚偽記入の各罪に当たる。
3  弁護人の主張
(1) 公訴事実第1について
ア 平成22年参議院比例代表選挙について,被告人は,平成22年3月30日にa連盟からc総支部へ寄附として②の資金移動をさせたが,当初,c総支部から直接Dの後援会活動費として支出する予定であったところ,b党関係者から,上記支出に関して公職選挙法違反があった場合にDに迷惑がかかるとの忠告を受けたため,その時点でa連盟事務局職員のG(以下「G」という。)に指示して同年5月13日にc総支部からD中央へ寄附として③の資金移動をすることにしたものであって,②③の資金移動は,a連盟からD中央へ年間合計1億円の寄附をするために迂回として行ったものではない。
イ 被告人は,平成22年分のa連盟及びD中央の各収支報告書の記載について,客観的な帳票類に基づいて,各資金移動の経過を忠実に記載しているのであるから,収支報告書への不記載又は虚偽記入には当たらない。
ウ 被告人は,D中央について「会計責任者の職務を補佐する者」(政治資金規正法12条1項柱書)には当たらない。
エ 被告人は,②③の資金移動は5000万円ルールに抵触しないと考え,これをそのまま反映した各収支報告書の記載は適法であると考えていたのであるから,違法性の意識がない。
(2) 公訴事実第2について
ア 平成25年参議院比例代表選挙について,被告人は,D中央からもCの選挙支援に支出をしていくつもりで,平成25年1月23日,a連盟からC中央に寄附として4500万円,a連盟からD中央に寄附として5000万円を振り替えるようGに口頭で指示をした(⑤⑥の各資金移動)ところ,同人の思い込みで,同人が更にD中央からC中央へ5000万円を送金してしまい,⑦の資金移動が生じたもので,被告人は後になってこれに気付いたが,いずれにせよ財源はa連盟であり特段の問題はないと考え,そのままにしたのであって,D中央からC中央への⑦の資金移動は,a連盟からC中央へ5000万円ルールの規制を免れるために迂回として行ったものではない。
イ 被告人は,平成25年分のa連盟及びC中央の各収支報告書の記載についても,客観的な帳票類に基づいて,資金移動の経過を忠実に記載しているのであるから,収支報告書への不記載又は虚偽記入には当たらない。
ウ 被告人は,⑥⑦の各資金移動及び⑤の資金移動を修正した⑨の資金移動が5000万円ルールに抵触することはないと考え,これをそのまま反映した各収支報告書の記載は適法であると考えていたのであるから,各行為についての違法性の意識がない。
4  争点
弁護人の上記3の主張を前提とすれば,公訴事実第1に関しては各収支報告書の不記載及び虚偽記入に係るEとの共謀の成否,また,同第2に関しては5000万円ルールを超える寄附及び受寄附並びに各収支報告書の不記載及び虚偽記入に係るFとの共謀の成否もそれぞれ問題となる。
かくして,本件における争点は,以下のとおりであるが,その核心は,(1)ア,(2)アの点に存し,その認定がその余の帰趨を基本的に決定づけることは明らかである。
(1) 公訴事実第1について
ア 平成22年の参議院比例代表選挙に向けた同年3月30日のa連盟からc総支部への5000万円の資金移動(②の資金移動)及び同年5月13日のc総支部からD中央への5000万円の資金移動(③の資金移動)が,a連盟からD中央に対する寄附であるか
イ 平成22年分のa連盟及びD中央の各収支報告書の内容が,記載すべき事項を記載しなかったものないし虚偽の記入をしたものに当たるか
ウ 被告人がD中央の収支報告書の作成及び提出に関与したか(被告人がD中央の「会計責任者の職務を補佐する者」(政治資金規正法12条1項柱書)に当たるか)
エ 被告人の違法性の意識ないしその可能性の有無
オ 被告人とEとの間におけるイについての共謀の有無
(2) 公訴事実第2について
ア 平成25年の参議院比例代表選挙に向けた同年1月23日のa連盟からD中央への5000万円の資金移動(⑥の資金移動)及び同日のD中央からC中央への5000万円の資金移動(⑦の資金移動)が,a連盟からC中央に対する寄附であるか
イ 平成25年分のa連盟及びC中央の各収支報告書の内容が,記載すべき事項を記載しなかったものないし虚偽の記入をしたものに当たるか
ウ 被告人の違法性の意識ないしその可能性の有無
エ 被告人とFとの間に,ア及びイについての共謀があるか
第2  証拠上容易に認められる事実
前記第1の1に摘示したところに加え,前記争点に関し,以下の事実が証拠上容易に認められる。
1  a連盟の組織と被告人及び関係者の地位
(1) 役員構成
a連盟には,役員として会長,副会長,理事長,副理事長,常任理事,理事,監事(常任監事を含む)が置かれている。会長は,a連盟を代表して会務を統轄し,副会長は,会長を補佐し,会長に事故のあった時にはその職務を代理し,欠けたときはその職務を代行する。理事長は,会長の旨を受けて会務の全般を掌理し,会長及び副会長ともに事故のあった時にはその職務を代理し,欠けたときはその職務を代行する。副理事長は,会長・理事長の旨を受けて,会計を掌理する。常任理事は,理事長の旨を受けて,担当会務を掌理し,理事は,理事長の旨を受けて,会務執行に関する事項を処理する。監事は,a連盟の業務並びに会計及び財務を監査する。各役員の任期は2年である。会長及び監事は,a連盟の議決機関である評議員会において選出される。副会長,理事長,副理事長及び常任理事は,会長が,評議員会の同意を得て指名する。評議員会を構成する評議員は,各都道府県i連盟におけるa連盟会員の人数に応じ,各都道府県i連盟ごとに選出される。
(2) 会議
a連盟には,議決機関である前記評議員会のほか,四役会,常任理事会,理事会,監事会,都道府県連盟会長会議等の会議が存在する。
四役会は,規約上の会議ではないが,主として常任理事会の前に会長,副会長,理事長,副理事長,庶務会計担当の常任理事が集まり,a連盟の大きな方針を決定していた(被告人第11回54丁)。
常任理事会は,会長,副会長,理事長,副理事長及び常任理事をもって組織し,理事会は,会長,副会長,理事長,副理事長,常任理事及び理事をもって組織する。理事会では,評議員会や都道府県連盟会長会議の招集及びこれに付議する事柄,評議員会から委任された事柄等を議決する。
監事会は,会長,理事長,副理事長,会計担当の理事,監事,公認会計士等が出席し,a連盟執行部から会計面の報告を受け,これに対して監事から質問や意見を述べる会であった(L・9丁)。
(3) 被告人らのa連盟における地位
被告人は,昭和54年4月,歯科医師となり,a連盟において,平成3年からは理事,平成6年からは常任理事,平成9年から平成12年までは広報担当の副理事長を務めた。その後,平成16年6月から平成27年7月1日まで,a連盟の副理事長として会計責任者を務めた(甲7,被告人第11回1,2丁)。
Eは,平成21年4月1日から平成23年3月31日までa連盟の会長かつ代表者を務めた。
Fは,平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間,Eの下でa連盟の理事長を務め,同年4月1日から平成27年6月30日までの間,a連盟の会長かつ代表者を務めた(甲1,2,7)。
J(以下「J」という。)は,平成23年4月,a連盟の副会長に就任し,平成24年7月からは,理事長の退職により副会長と理事長を兼任した。平成25年7月から平成27年6月までa連盟の理事長を務めた(J第6回1~5丁)。
2  a連盟における政治活動
a連盟では,国会議員その他議員に対するロビー活動や,衆議院選挙,参議院選挙及び地方選挙の際の候補者に対する支援活動,政治献金やパーティー券の購入等の政治活動を行っていたが,中でも選挙の支援活動としては,参議院比例代表選挙においてa連盟が擁立する職域代表候補者等の支援に最も力を入れていた。
a連盟は,そのような候補者の支援を,候補者の氏名を冠した中央後援会を組織してa連盟から同後援会に寄附をし,同後援会から選挙費用を支出する方法で行っていた。a連盟とは別に中央後援会を組織して支援活動を行う理由は,候補者の氏名を会員に広く知らせることができる点,a連盟の政治活動運営会計とは別の会計になるため,参議院比例代表選挙に係る支出の透明化が一定程度図られる点,中央後援会の役員はa連盟やf会の各役員のほか,関連団体としてj会役員やk会役員,関連業界としてl協会役員等により構成することで,関連団体及び関連業界から職域代表候補者への票を集めることができる点に求められる(H・4丁,I・8~10丁,41,42丁,J第6回8~11丁,被告人第12回2~4丁)。中央後援会を設立すると,選挙の公示前にも後援会活動ができるというメリットもあった(J第7回3丁)。
職域代表候補者に期待される役割は,究極的には歯科医療における診療報酬改定時のプラス改定に向けた国会議員としての政治力の発揮であり,これを実現するためには,政権与党に属し,かつ,高得票による高位当選が必要であると考えられていた(H・19丁,20丁,J第6回8,9丁)。
3  a連盟における予算編成事務
a連盟は,平成17年以降,原則として会員1人当たり1年間に2万3000円を会費として集めており,1年間の予算規模は10億円から11億円の間であった(被告人第11回7,8丁)。
a連盟においては,平成17年度会計以降,一般会計のほかに,後援会活動にかかる資金の動きを透明化するため,特別会計の一つとして政治活動運営会計を設け,選挙の支援活動のための資金を積み立てていた(被告人第11回5,6丁,第12回5,6丁)。
a連盟の予算の編成作業は,以下のとおりである。前年度の12月頃,予算の算出基礎資料を作成して細かい積算を行い,これを基に予算の原案(収支予算案)を作成する。出来上がった収支予算案を1,2月頃の理事会に提出し,その同意を得た後,評議員会に提出し,その承認議決を得て正式決定されるというものであった。
被告人は,会計を掌理する副理事長として,事務局員を使うなどして収支予算案の策定をしたほか,各種会議における役員その他出席者への説明に当たっていた。
4  平成19年参議院比例代表選挙
(1) C中央の設立経緯,平成19年頃の役員構成等
a連盟は,平成19年の参議院比例代表選挙に向けて,h党から立候補するCを支援することを決定し,平成18年4月14日,Cの社会活動及び政治活動を後援すること等を目的として,政治団体であるC中央を設立した。
C中央の事務所の所在地は,設立以降,現在に至るまで,判示のとおりa連盟の事務所所在地と同じである。
C中央の役員は,a連盟の役員がそのまま充てられており,C中央の代表者は,設立時は当時のa連盟会長であったMが就いたが,会長の交代に合わせて平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間はEが,同年4月1日から平成27年6月30日までの間はFがそれぞれ務めた。また,会計責任者は,その設立時から平成27年6月30日までの間,被告人が務めた(H・4丁,甲2,5,7,8)。さらに,歯科界全体で支援するという気運を醸成するため,他にも,f会の役員,m連盟会長,n連盟会長,o連合会会長等が役員に名を連ねていた(甲158資料1(1))。
C中央の銀行口座等の管理は,a連盟において行われていた。
(2) 平成19年の参議院選挙に係る資金移動方針及びその状況
ア a連盟では,平成18年度政治活動運営会計収支予算として,平成19年の参議員選挙に向けた職域代表候補者に係る中央後援会への寄附に充てるため1億5000万円を計上していたところ(甲180資料13),執行部は,5000万円ルールの下で,a連盟からC中央に寄附する方法を思案した末,年をまたいで各5000万円を直接C中央に寄附(合計1億円)することに加え,次のとおり,各都道府県i連盟からC中央に寄附をしてもらい,a連盟から各都道府県i連盟に対して特別助成金を出す方法によりC中央に資金を集めることとした。
すなわち,平成18年7月21日開催の都道府県i連盟代表者・理事長会議において,被告人は,5000万円ルールを受けた措置であるとした上で,同年8月1日から同月31日までの間に,各都道府県i連盟からC中央に対して寄附金名目で各50万円を送金してもらいたいこと,同年9月頃には,a連盟から各都道府県i連盟に対して特別助成金名目で各60万円を送金すること,同じことを平成19年4月及び5月にも行うことを予定していること等を説明した(H・6~13丁,J第6回13~19丁,甲134,甲180資料15のうち平成18年7月24日付け「C中央後援会への寄付のお願い」と題する書面,同年9月6日付け「C後援会活動に対する特別助成について」と題する書面)。
また,平成18年9月5日開催の都道府県i連盟会長会議において,被告人は,上記都道府県i連盟代表者・理事長会議では,上記特別助成金の支給を平成18年と平成19年に分けて行うとしていたが,a連盟執行部で議論した結果,1回にまとめることになり,そのため,平成18年9月中には各都道府県i連盟に対し,特別助成金名目で各120万円を送金すること,各都道府県i連盟において,同年10月中に,C中央に対して寄附金名目で更に各50万円を送金してもらいたいこと等を説明した(H・6~16丁,J第6回13~19丁,甲135)。
イ その後,上記説明どおり,各都道府県i連盟からC中央に対し,合計4700万円の寄附があり,a連盟は各都道府県i連盟に対し,特別助成金として各120万円を送金した。
ウ 平成19年参議院比例代表選挙で,Cは初当選した。
5  平成22年参議院比例代表選挙
(1) 同選挙に向けたa連盟における資金移動状況
a連盟は,平成22年参議院比例代表選挙でa連盟が支援する予定の職域代表候補者の後援会活動に充てるため,平成19年度政治活動運営会計収支予算(平成19年4月1日から平成20年3月31日)及び平成20年度の政治活動運営会計収支予算(平成20年4月1日から平成21年3月31日)において,C中央に対する寄附として各5000万円を計上し,合計1億円の資金移動を実行した。なお,平成20年1月頃,平成19年度の寄附金のうち1000万円はC中央からa連盟に返金処理された(甲180資料19,資料22,被告人第12回14~20丁)。C中央に積み立てられた上記9000万円は,平成22年参議院比例代表選挙に係る職域代表候補者が決まり,同候補者の氏名を冠した中央後援会が設立された後,同中央後援会に対し,C中央から2年間かけて寄附として資金移動させる予定であった(被告人第11回17丁)。
(2) 当初の方針
平成21年8月21日開催の第106回評議員会において,同年7月31日の選考委員会からの答申に基づき,平成22年参議院比例代表選挙について,会員でh党から立候補する予定のN(以下「N」という。)を支援することが決まった。その後,N中央後援会(以下「N中央」という。)が設立された。そこで,a連盟では,前記(1)で予定していたとおりN中央からNの後援会活動に係る費用を支出するため,平成21年中にa連盟から5000万円,C中央から5000万円,平成22年中にa連盟から5000万円,C中央から4000万円をそれぞれN中央に寄附することとした。被告人は,平成21年8月28日開催の第9回理事会(出席者にはE,F及び被告人が含まれる。)において,同年9月1日から平成23年3月31日までの間のN中央会計収支予算(案)の収入の部の第一款第一項寄付の摘要欄の「a連盟より100,000,000円 C中央後援会より90,000,000円」との記載に関する説明の中で,その旨の説明を行った。なお,上記のN中央会計収支予算(案)は,平成19年参議院比例代表選挙の実績に基づいて作成したものであった(甲137)。
(3) Dをa連盟の準職域代表候補者とすることにした経緯
ア しかし,平成21年8月30日施行の衆議院総選挙の結果,政権与党がh党からb党に交代した(H・19丁,I・11丁,J第6回21丁)。そこで,a連盟は,Nを支援することは取り止め,平成22年2月19日開催の第109回臨時評議員会において,b党から公認を受けて出馬する予定のa連盟会員を支援することを決定した(甲138資料1報1,資料3の1丁,甲141資料2の1丁)。
イ なお,前記(1)(2)のようにして移動した資金の事後処理について,被告人は,平成22年2月26日開催の第18回理事会(出席者にはE,F及び被告人が含まれる。)において,平成21年度の会計現況報告として「N先生の中央後援会に対する支出のためのクッションとしてC先生の中央後援会に5000万を私どもから移してございました。これを今回中央後援会の閉鎖に伴いまして私ども一般会計に戻し入れをさせていただきたいと思っております」などと説明(甲138資料3の2丁)してこれを実行した上,平成22年4月23日開催の第1回理事会(出席者にはE,F及び被告人が含まれる。)において,被告人は,平成21年度の決算につき,「寄附金の決算額,大変大きな金額になっておりますが,これは,この3月度に,実は,N先生の中央後援会のために,便宜的に,C先生の中央後援会に,5000万円を政治活動運営会計から入れてありました。これは,そちらに,N後援会の方にまわすための移動だったわけでございますが,中央後援会が解散した関係で,その5000万円を一般会計の方に寄附金として戻し入れたものでございます」などと説明した(甲145資料3)。さらに,平成22年8月6日開催の第1回監事会において,前記(1)(2)のような資金移動の趣旨について,被告人は,N中央に5000万円を移すための「いわゆる迂回のためのお金」をC中央に入れていた旨報告している(甲147資料3の3丁)。
ウ 同年2月26日頃,b党からa連盟に対し,会員であるDを公認することが内定したとの連絡があり,a連盟は,平成22年参議院比例代表選挙については,選考委員会を経ない準職域代表候補者として,Dを支援することに決めた(甲140資料2,H・17~21丁)。
(4) D中央とc総支部の各設立経緯等
ア D中央は,a連盟がDの社会活動及び政治活動を後援すること等を目的として平成22年3月11日に設立した政治団体であり,設立手続はa連盟事務局によって行われた(G第9回16丁)。D中央の事務所の所在地は,設立以降,現在に至るまで,a連盟事務所の所在地と同じである。代表者は,同日から平成23年3月31日までの間はEが,平成23年4月1日から平成27年7月1日までの間はFが務めた。会計責任者は,平成22年3月11日から平成24年1月31日までの間はa連盟の当時の庶務・会計担当の常任理事であったI(以下「I」という。)が,同年2月1日から平成26年7月10日までの間はOが務めた(甲2,3,7,9)。
D中央は,設立後,D選挙終了までの間は,a連盟によるその支援活動の中心として機能したが,その後は休眠状態となった(後記6(4)イ,同(5)ア)。
イ c総支部は,b党の基本理念とそれに基づく基本政策の実現を図ることを目的として平成22年3月15日にb党の支部として設立された政治団体であるが,同党公認の立候補予定者であるDに係る支部であり,設立手続はb党の要請を受けてa連盟事務局によって行われ,設立当時のc総支部の事務所の所在地はa連盟事務所の所在地と同じであった(平成22年9月29日に東京都中野区内へ移転した。)ほか,政党交付金等を受け入れる預金口座の開設とその通帳,届出印等の管理も,選挙終了後Dに引き継がれるまではa連盟事務局が行っていた(G第9回16丁)。代表者はDで,会計責任者は,平成22年3月15日から同年9月28日までの間,Iが務めた(甲2,4,7)。しかし,②③の資金移動のほかは,b党からの政党交付金(合計1000万円)の受け入れや,選挙費用の精算に用いられたことを除くと,選挙支援等の具体的な活動の証跡は認められない。
ウ D中央及びc総支部の会計責任者の人選については,それを決した平成22年3月5日の四役会(出席者にはE,F及び被告人が含まれる。)及びそれに引き続いて行われた第16回常任理事会(出席者にはE,F及び被告人が含まれる。)において,以下に記載するやりとりがあった。すなわち,四役会では,Eから「会計は,これはY先生からの申し出で,Y先生がまだ,今,C後援会の会計でもあるから,ちょっと代わってもらっといたほうがいい。実務的にはY先生がよくご存知だからやりますけど,名称は,ということなんで。ちょっとI先生にということで,一昨日か昨日か話していたんですよ。」との発言があり,また,被告人からも「ちょっとね。外見的にどうなのかなと。」という発言があったのに続けてEが,Iに対し「それでよろしいですか。Y先生をそのままやるとして。」と会計責任者就任を要請し,Iが「喜んで,お縄を頂戴します。」と述べてこれを承諾した(甲139)。また,上記常任理事会では,Dの支援体制に関連し,Fより,出席者らに対し,本来,被告人が会計ではあるが,被告人はC中央の会計担当にもなっているため,今回は,Iに表向き会計担当になってもらうこと,実務的なところはやはり被告人にやってもらわないといけないと思っているが,組織図としてあらわすときはIを会計担当とする形にしていること等の発言があり,この点について,E,被告人,Iが異議を述べる場面はなかった。また,被告人は,同会に挨拶に訪れたDに対し,会計担当としてIと共にD選挙を支える旨の自己紹介をしたり,選挙予算について質問があった際にはその説明に当たり,D選挙に関しては,D中央とb党の比例区支部という2つの政治団体が存在する予定であり,「5000万,5000万でいけば,1億まではリミットでいける」と述べたりした(甲140資料3の24,28丁)。
(5) D選挙に係る資金移動方針及びその状況
ア 資金移動方針に係る被告人らa連盟執行部の説明内容
(ア) 平成22年3月18日第19回理事会
上記2つの政治団体を設立した後である平成22年3月18日開催の第19回理事会(出席者にはE,F及び被告人が含まれる。)で,被告人は,D選挙に関して,D中央とc総支部という2つの政治団体を立ち上げて資金的な受け皿にする等と説明する中で,「法的には一政治団体,5000万までを政治団体間でお金の移動ができるというところを利用する意味で,実は,その総支部の口座とそれから中央後援会の口座と,2つ用意してございます。この2つとも全て,これはa連盟が実質的には管理運営をいたしております。」,「その2つに対して,5000万ずつ,まぁリミットですね,最大限5000万ずつ入れることができます。そして,中央後援会の活動は,通常これまでの予算でいいますと,大体8000万から1億の間で,今回の選挙ができると思います。そうすると,中央後援会だけでは,5000万では足りないわけですので,政党支部に入れたものを中央後援会に動かすと,これも政党間の移動ですので,全く合法的にできるという意味でございますので,これはあの,党にうちのお金がいっちゃうと,そういうことではございませんので,ご理解いただきたいと思います。」と発言した(甲141資料3の9丁)。上記発言中,「政党間の移動」というのは,「政治団体間の移動」の言い違いと解されるが,これに対し,E,F及びIが訂正したり異なる趣旨の発言をしたりする場面はなかった。
また,Eは,同会議において,「受皿として5000万,5000万かな,年間1億円は動かせる。(中略)1億でまあ,いろいろなポスター作ったり,グッズ作ったり,あるいはいろいろ出張旅費やったりとか,そのあたりができるということですので,ご理解いただきたい」(甲141資料3の14丁)と述べるなどした。上記発言に対しても,被告人,F及びIが訂正したり異なる趣旨の発言をしたりする場面はなかった。
(イ) 平成22年4月2日四役会及びD中央役員会
平成22年4月2日には四役会(出席者には,E,F,被告人及びIが含まれる。)やD中央役員会(出席者には,E,F,被告人及びIが含まれる。)などが相次いで開催された。
まず,四役会において,被告人は,平成22年3月1日から平成23年3月31日までの間のD中央会計収支予算案算出基礎資料(甲143資料1(4))について,同資料は被告人が用意したこと,D中央役員会での具体的な説明はIに行ってもらうことを述べたうえで,詳細について説明を行った(甲143資料2)。同資料の「収入の部」,「第一款寄付」,「第一項寄付」には,「(1)政治活動運営会計より寄付」として5000万円,「(2)その他」として5000万円の各記載があった。
次いで,四役会後に開催されたD中央役員会では,平成22年3月1日から平成23年3月31日までの間のD中央会計収支予算(案)が配られた。同予算案には,収入の部の「第一款寄付」,「第一項寄付」の予算案欄に「100,000,000」,摘要欄に「a連盟より50,000,000円 b党参議院比例区c総支部より50,000,000円」との記載があった。この点についての説明はIが行い,「第一項のこの摘要欄を御覧いただきますと分かりますように,1億円のうちの半分の5000万は,a連盟から直接の寄附,それから残りの5000万は,b党参議院比例区c総支部というところからの5000万でございますが,この後段の5000万も本当はa連盟から寄附する5000万でございますので,政治団体,一つの政治団体から一か所に許される年間の限度が5000万だということですので,このような形をとらせていただいております。」と述べた。上記発言について,E,F及び被告人が訂正したり異なる趣旨の発言をしたりする場面はなかった(甲144)。
(ウ) 予算資料の作成手順
上記(イ)のD中央会計収支予算案算出基礎資料(甲143資料1(4))及びD中央会計収支予算(案)(甲144資料1)は,いずれも平成22年3月半ば頃,Gが作成した。その作成方法は,Gが平成19年の選挙の際のC中央の算出基礎資料と収支予算書を印刷して被告人に渡し,赤ペンで修正してもらい,それをGがパソコンに入力するというものであり,収支予算(案)の摘要欄の「a連盟より50,000,000円 b党参議院比例区c総支部より50,000,000円」という記載も,被告人が赤字で修正した原稿を基にGが清書したものであった。D中央の会計責任者であったIが,上記各書類の作成に当たってGに指示をする場面はなかった(G第9回20~24丁)。
イ 資金の動きと被告人の関与
(ア) ①②の各資金移動
Gは,平成22年3月30日の直近の被告人の執務日に,a連盟の事務所において,被告人からの指示を受けて,平成22年3月30日午後2時59分,a連盟政治活動運営会計会長E名義の普通預金口座から1億円を引き出し,同日午後3時,D中央代表E名義の普通預金口座及びb党参議院比例区c総支部交付金受入口総支部長D名義の普通預金口座に,いずれも寄附金として各5000万円を振り込んだ。
Gは,上記各資金移動の指示を受けた際に,被告人から手書きの指示書を受け取り,これに基づいて上記資金移動を行った上で伝票(甲173①②出金伝票①入金伝票)を作成し,上記指示書をパソコンで清書したもの(弁14),上記各伝票及び預金通帳のコピーと併せてバインダーに挟み,上記各資金移動の結果を他の決裁と一緒にしないで被告人の下にじかに持って行き,目の前で決裁を受けた。
(イ) ③の資金移動
また,Gは,平成22年5月13日の直近の被告人の執務日に被告人からの指示を受け,平成22年5月13日午後2時19分,b党参議院比例区c総支部交付金受入口総支部長D名義の普通預金口座から5000万円を引き出し,同日,D中央代表E名義の普通預金口座に,寄附金として5000万円を振り込んだ。
c総支部の預金口座には,同日,上記振込手続の直前にb党から政党交付金として500万円の入金があったが,それ以外には,②の資金移動を受け入れた後③の資金移動をするまでの間に同口座からの入出金はない。
Gは,上記資金移動の後,伝票(甲173③入金伝票)を作成し,預金通帳のコピーとともにバインダーに挟み,他の決裁と一緒にしないで被告人の下にじかに持って行き,目の前で決裁を受けた。
(ウ) 上記各資金移動に係る全ての入出金伝票について,FやIも決裁欄に押印をしているが,Gは,Iに関しては他の業者への支払等に係るものと合わせて数日分をまとめて決裁に上げ,また,理事長であるFに対しては事務局課長のPが決裁に上げていた。
(エ) 以上の(ア)ないし(ウ)の認定は,摘示した帳票類等の客観的資料のほか,G証言(第9回24~34丁)によるところが大きいが,同証言は上述の客観証拠と整合的であるし,被告人からGへの直接の指示であったから間違いがあってはいけないと思い,被告人の記憶のあるうちに決裁をもらおうと思った旨証言するところも,日常的にあるわけではない高額な資金移動を任された事務局職員の行動として自然かつ合理的である。被告人も,各資金移動の指示を自分がしたことは認めており,その限りでは被告人の供述とも合致する。
もっとも,被告人は,(ア)の資金移動の指示について手書きの指示書は渡していないと述べ,その根拠として,後述のCの資金管理団体に対する資金移動の際のもの(甲174資料2)と異なりあくまで内部の資金移動にとどまること,フォームも自己が指示する際のそれと異なることを挙げる(被告人第11回20,38丁)。しかし,そのスタイルが被告人のいう指示書の書式と異なるものかどうかはさておき,清書されたそれには,a連盟の組織としての決定に基づいてどのような趣旨で支出をするのかについての具体的な記載があり,右上部に日付のゴム印及び対応する入出金伝票番号も付記されていること,この種の資料がa連盟や各中央後援会の入出金に際して日常的・一般的に作成されている証跡はなく,事務局サイドの便宜で作成されたとは目し難いことなどに照らすと,被告人の指示により作成した旨のGの証言はなお動かし難いというべきである。また,被告人の供述には,執務日が限られていることからこの種の資金移動に係る伝票の決裁もルーティンワークとして他の多数の伝票類と一緒に処理していたかのように述べる部分がある(被告人第11回42~43丁)。しかし,その部分は,平成25年の参議院比例代表選挙に向けた資金移動に関し,その時期ならではの事情と併せて述べられたもので,上記(ウ)に係るG証言と直ちに相反しないことに加え,だからこそ,事案に鑑みてGにおいて個別に決裁を得ようとしたともいえるのであって,この点に関するG証言の合理性を支えるともいえる。
以上の次第で,上記(ア)ないし(ウ)に係るG証言は,十分信用できる。
(6) D当選後の会議の状況等
平成22年7月の参議院比例代表選挙でDが当選した後,a連盟では,各種会議で同選挙における反省点の確認や会計報告等が行われた(甲146資料1の1丁)。その際に①ないし③の資金移動について被告人がした説明は以下のとおりである。
ア 平成22年7月23日第7回常任理事会
平成22年7月23日開催の第7回常任理事会では,a連盟役員らによる選挙の総括が行われた。その中で,被告人は,会計面からの感想として,「選挙に入る当初,C選挙の期間的には半分だから,予算的にも半分でもいいんじゃないかということの中で,中央後援会会計及び一般会計合わせた形で,約2億というようなことを,理事長からもお話あった。ところが,現実に動かしていったときに,選挙は期間に比例しない,要は短期であっても,ある一定のことに投入するものを投入しないと効果は出てこないということで,これは会長の御英断を頂きまして,急きょ,4月の途中から,ぶち込もうと,お金をぶち込むということで,第二弾をやりました。」とか,D中央に,「a連盟から,直接及び間接を通しまして,合計1億」円を投入し,その結果,最終的には本当にギリギリの状況で予算内でクリアした旨述べた(甲146)。
イ 平成22年8月6日第1回監事会
また,平成22年8月6日の第1回監事会(出席者には,E,F,被告人及びIが含まれる。)において,被告人は,平成21年度のa連盟の決算について,前記(3)イ掲記の説明をしたほか,平成22年度の会計現況として政治活動運営会計の支出に関する説明をする中で,計上された寄附とされる1億1000万円のうち,1000万円はN中央への寄附,5000万円はD中央への寄附,残りの5000万円はc総支部へ入れたなどと述べた上で,「これは前に御説明したかと思いますが,D中央後援会には,1年間に5000万円しか移せないもんですから,b党の支部に5000万円を入れて,その後,b党の支部からD中央後援会に5000万円を入れて,今回の選挙は1億を後援会に入れた」などと説明した(甲147資料3の4丁)。また,被告人は,D中央の会計については,上記説明に対応する形で,a連盟の政治活動運営会計からD中央へ5000万円の寄附があり,c総支部から5000万円の寄附があったとの説明をした(同5丁)。
ウ 平成22年8月27日第5回理事会
平成22年8月27日の第5回理事会(出席者には,E,F,被告人及びIが含まれる。)において,被告人は,C中央の決算報告として,前記(3)イと同旨の説明をしたほか,D中央における平成22年3月1日から同年7月31日までの間の会計の現況報告を行った際,収入の部のうち寄附金収入は1億50万円となっており,うち5000万円はa連盟の政治活動運営会計から,うち5000万円は「a連盟政治活動運営会計から,いったん,b党の政党支部でありますD候補の政党支部でありますc総支部というところに5000万を移しまして,それから,この中央後援会に5000万を移した」ため「その他」として掲げている旨を説明した(甲148資料3の2丁)。
エ 平成22年9月16日四役会
平成22年9月16日開催の四役会(出席者には,E,F,被告人及びIが含まれる。)で出席者に配布された「参議院比例代表選挙(D氏)関係収支」と題する書面は,被告人が作成したものであり,同書面のうちa連盟関係支出明細には,政治活動運営会計からD中央に寄附金として合計1億円を支出したとの記載がある一方,c総支部へ寄附をしたという記載はなかった(甲149資料1(1))。
オ 平成22年9月17日第111回評議員会
平成22年9月17日開催の第111回評議員会で行われた会計報告において,被告人は,前記(3)イと同じく,C中央の決算報告書中,支出の部の政治活動費の寄付・交付金の決算額5000万円とあることにつき,N中央に振り替えるために繰り入れていたものをa連盟の一般会計に寄附金として戻し入れたという説明を行った。また,同年3月1日から同年8月31日までの間のD中央の会計現況報告において,収入の部の寄附欄に記載の1億円について,a連盟からの1億円という説明を行い,さらに,a連盟の平成21年度政治活動運営会計決算の報告においても,支出の部の寄付欄に記載の1億1000万円のうちの1億円についてはD中央への寄附金であるという説明を行った。
さらに,被告人は,評議員からの質問に対し,「政治団体間の資金移動は年間5000万というルールがありまして,N候補の後援会にお金を5000万以上移していく場合に,(a連盟の)別途会計(であるC中央)を経由しなければならないということの中で,こういうことをやらざるをえなかった。そのためにC中央後援会会計を経由してN中央後援会会計に移すためのプロセスだったわけです。」という回答もしていた(甲151資料1の31丁)。
カ 平成23年2月4日第2回監事会
平成23年2月4日開催の第2回監事会(出席者にはE,F,被告人及びIが含まれる。)において,被告人は,D中央における平成22年3月1日から同年12月31日までの会計現況報告として,「まず収入の部,寄附金1億円でございますが,一つ5000万円は,政治活動運営会計,いわゆるa連盟の政治活動運営会計よりの入金である5000万円。その他収入となっております5000万円プラス50万円,5050万ですが,これはa連盟からD先生のb党の支部,いわゆる政党支部ですね,c総支部に5000万円を連盟から入れまして,それをこちらの中央後援会に5000万円移したということで。これは1年間の政治団体間の資金移動は5000万が限度というルールがございます。その関係でこちらに移させていただいております。」という説明を行った(甲152資料3の5丁)。
キ 平成23年8月5日第1回監事会
平成23年8月5日開催の第1回監事会(出席者にはF及び被告人が含まれる。)において,被告人は,D中央の決算会計のうち,収入の部について,「このうち1億円につきましては,私どもの政治活動運営会計から5000万円,同じく政治活動運営会計から5000万円を,Dの政党助成金を受けております会計に一旦入れまして,そこから5000万円をこちらに入れるという,これは迂回の形を取りましたけど,ということの5000万円,合計1億。」という説明を行った(甲153資料2の4丁)。
(7) 平成22年分のa連盟及びD中央の各収支報告書の作成方法及び記載内容
Gは,a連盟及びD中央の会計ソフトのデータを基にして,平成22年分のa連盟及びD中央の収支報告書案を作成し,被告人にコピーを交付して確認を依頼した。一,二週間経った頃,被告人からいずれの収支報告書案についても了解をもらったため,Gは,a連盟については平成23年3月31日付けの被告人名義の宣誓書に被告人の押印を受け,D中央については同月10日付けのI名義の宣誓書に同人の押印をそれぞれ受けた上で,平成23年3月31日,東京都選挙管理委員会事務局へ各収支報告書を提出した(G第9回39~48丁)。
前記第1の1(2)ウのとおり,①及び②の資金移動に対応して,a連盟の収支報告書には,平成22年3月30日にD中央及びc総支部に対し各5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲10)。また,①及び③の資金移動に対応して,D中央の収支報告書には,平成22年3月30日にa連盟から5000万円の寄附を受け,同年5月13日にc総支部から5000万円の寄附を受けた旨の記載がある(甲11)。そして,②及び③の資金移動に対応して,c総支部の平成22年分の収支報告書には,同年3月30日にa連盟から5000万円の寄附を受け,同年5月13日にD中央へ5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲12)。
6  平成25年参議院比例代表選挙
(1) 当初の資金移動方針
ア Cの支援が決まる前の状況
平成23年度末頃,a連盟では,被告人を中心に平成24年度の予算編成作業が行われ,平成25年参議院比例代表選挙においてa連盟が支援する予定の職域代表候補者の後援会活動に充てるため,a連盟の政治活動運営会計から合計1億5000万円の寄附を行うことを盛り込んだ平成24年度政治活動運営会計収支予算が作られた。同収支予算は,平成24年3月16日開催の第115回評議員会において承認された(甲155,J第6回23~25丁)。同収支予算は,Gが,平成22年参議院比例代表選挙の際に用いられたa連盟の政治活動運営会計に係る算出基礎資料と同収支予算を印刷した上で被告人に渡し,被告人が赤ペンで修正し,それをGがパソコンに入力して清書するという方法で作成したものであった(G第9回10~13,73~74丁)。
平成24年10月4日開催の第7回常任理事会(甲156。出席者にはF,J及び被告人が含まれる。)では,次期参議院比例代表選挙の対応が協議され,その中で中央後援会への資金移動が話題となった際,被告人は,平成24年12月までに移せるのが5000万円で,平成25年1月以降に移せるのが5000万円であるところ,1億5000万円を確保するためには,残りの5000万円をどう動かすか,テクニックの問題があるという趣旨を述べた上で,「実は前のときはですね,この5000万ですごい苦労しまして,各都道府県に120万ずつをお渡しして,中央後援会に100万ずつ寄付してもらって,20万だけ手数料として渡したという,そういう複雑なテクニックを使ったんですけど,これも本当は,厳密に言えば,露骨な迂回なんですよね。だから,そういう形をとらないでいきたい」,「表じゃ言えないことなんですけど。」などと発言した(内容に照らして平成19年のC選挙を念頭に置いた発言であることが明らかである。)(甲156資料3の10,11丁,J第6回25,26丁)。
その後,平成24年10月31日開催の第117回臨時評議員会において,次期参議院比例代表選挙の職域代表候補者をCとすること及び後援会組織を中心に選挙活動をすることが正式に決まった(甲157添付の議事録5丁)。
イ Cの支援が決まった後の状況
(ア) 平成24年10月31日開催の第8回臨時理事会
平成24年10月31日,上記臨時評議員会に引き続き開催された第8回臨時理事会(出席者にはF,J,被告人,L(以下「L」という。)が含まれる。)において,被告人は,C中央の予算は1億5000万円を予定していることを説明した(甲158資料3の10丁)上で,出席者らに対し「(C)中央後援会に対しまして,一般会計(a連盟の間違いと思われる)の政治活動運営会計から,1億5000万円を移していくということにつきまして,ここで,この席で,ご了解を頂きたいと思いまして,よろしくお願いいたします。」(甲158資料3の11丁)と述べて,その承認を得た(甲158資料3の18丁)。
(イ) 平成24年10月31日第1回C中央役員会
同日,更に引き続き開催された第1回C中央役員会(甲158。出席者にはF,J,被告人が含まれる。)において,被告人は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの平成24年度C中央会計収支補正予算案(甲158資料1(2))を示し,C中央が6年前の選挙から継続した組織で,選挙対応のため補正予算を組むものであることを述べた上で,その収入の部・第一款寄附・第一項寄附1億5000万円,摘要欄に「平成24年度政治活動運営会計他」と記載されていることについて,「a連盟の政治活動運営会計に積み立てておりましたものを,1億5000万を,この中央後援会に移ささせていただく」と説明した(甲158資料1(2),資料3の17丁,G第9回10~13,76,77丁)。この補正予算案は,Gが過去の予算案を印刷して被告人に渡し,被告人が赤字で修正したものをGがパソコンで清書するというものであった(G第9回75,76丁)。
(2) 上記(1)の方針に基づく資金移動
Gは,平成24年11月1日,被告人の指示により,a連盟の事務局において,a連盟の政治活動運営会計からC中央に対し,寄附として4500万円を振り込んだ(④の資金移動。G第9回77,78丁)。寄附額を4500万円としたのは,C中央がa連盟事務局の一部を無償で間借りしていたことから,5000万円の寄附をしてしまうと,そのような無償提供分も寄附と評価された場合に5000万円ルールに抵触するおそれがあると考えたためであった(K・6~9丁)。
Gが作成したa連盟の政治活動運営会計の出金伝票には,理事長としてJの,会計担当者として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた。同じくGが作成したC中央の入金伝票には,幹事長としてJの,副幹事長として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた(G第9回80丁,甲18①出金伝票,①入金伝票)。
(3) p研究会への資金移動の試み
被告人は,Cに対する支援活動に係る費用に充てるため,a連盟の政治活動運営会計からCの資金管理団体であるp研究会(以下「p研究会」という。)へ寄附として3000万円を支出することにした。
そこで,被告人は,同月21日,Gに対し,手書きの指示書を渡して,a連盟の政治活動運営会計からp研究会への3000万円の資金移動を行うよう指示した。Gは,指示書をパソコンで清書し(甲174資料2),同月22日,ネットバンキングサービスである○○を用い,同月27日を実行日としてp研究会に対し3000万円の振込申請をし,同日,a連盟の政治活動運営会計からp研究会に対し,寄附として3000万円が振り込まれた(G第9回81~85丁,甲174資料3,資料5)。上記振込にかかるa連盟の政治活動運営会計の出金伝票には,理事長としてJの,会計担当者として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた(甲18②出金伝票)。
しかし,同日,Cの秘書から,Gに対し,この金銭は受け取れないという趣旨の電話が来た。Gは,同日,被告人に対し,a連盟の事務所で電話の内容を伝えた。その後,上記3000万円はa連盟に返金されることとなり,Gは,Cの秘書に,返金口座としてa連盟の政治活動運営会計口座を伝え(G第9回86~88丁),同月28日,p研究会からa連盟の政治活動運営会計に対し,寄附金戻入名目で3000万円が振り込まれた。a連盟の政治活動運営会計の出金伝票には,理事長としてJの,会計担当者として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた(甲18③入金伝票)。
(4) D中央への資金移動
ア 被告人は,Cの支援活動に係る費用に充てるため,a連盟の政治活動運営会計からD中央へ寄附として5000万円を支出することにした。
イ 平成22年の参議院比例代表選挙後,D中央は改めて役員が選出されることもなく,休眠状態となっていた。
ウ 被告人は,平成25年1月23日,Gに対し,a連盟の政治活動運営会計からC中央に寄附金として5000万円,同じくD中央に対し寄附金として5000万円の各入金(前者が⑤の資金移動,後者が⑥の資金移動)をするよう指示し,Gはこれを実行した(G第9回88~90丁)。また,Gは,⑥の資金移動と併せてD中央からC中央に対し,寄附金として5000万円を入金した(⑦の資金移動)(G第9回91~94丁)。上記⑤及び⑥の各資金移動に関するa連盟の政治活動運営会計の出金伝票には,理事長としてJの,会計担当者として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた(甲18④出金伝票)。また,D中央の⑥の資金移動に係る入金伝票及び⑦の資金移動に係る出金伝票には,理事長としてJの,会計担当理事として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた(甲18⑤入金伝票,⑤出金伝票)。更にC中央の⑤及び⑦の各資金移動に係る入金伝票(1通に両者の記入がある)には,幹事長としてJの,副幹事長として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた(甲18⑥出金伝票)。
エ 同年3月上旬頃,a連盟の事務局職員として会計の補助業務を行っていたK(以下「K」という。)は,⑤の資金移動を知ったが,④の資金移動の際に寄附金を4500万円としたのは,前記(2)のとおりC中央に対するa連盟の無償提供分を考慮したためであったのだから,⑤の資金移動も同様の考慮が払われるべきであると考え,Q(以下「Q」という。)及びGにその旨相談し,同年3月14日,Qとともに被告人にその旨進言した。被告人,Q及びKが話し合った結果,⑤の資金移動を誤振込として処理し,a連盟の政治活動運営会計からC中央へ改めて寄附金として4500万円を振り込むこととした。そして,この処理についての収支報告書の記載は,⑤の資金移動及びその返金に相当する資金移動(⑧の資金移動)の記載はせず,a連盟の政治活動運営会計からC中央に対して寄附金として4500万円の資金移動(⑨の資金移動)があったことのみを記載することとした。その後,被告人はGに対し,上記打合せのとおりの資金移動を指示した(K・10,13~20丁)。
Gは,同年3月15日,C中央からa連盟の政治活動運営会計に対し,寄附金の返金として5000万円を入金し(⑧の資金移動),同日,a連盟の政治活動運営会計からC中央に対し,寄附金として4500万円を入金した(⑨の資金移動。G第9回94,95丁)。上記資金移動に関し,a連盟の政治活動運営会計の⑨の資金移動に係る出金伝票及び⑧の資金移動に係る入金伝票には,理事長としてJの,会計担当者として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されており,またC中央の⑧の資金移動に係る出金伝票及び⑨の資金移動に係る入金伝票には,幹事長としてJの,副幹事長として被告人の,係印としてGの各印鑑が押捺されていた。
(5) 資金移動に関する会議での説明状況等
平成25年7月の参議院比例代表選挙までの間のa連盟の会議等において,(2)及び(4)に摘示した資金移動について被告人が関与した報告,説明は,次のとおりである。
ア 平成25年2月8日第2回監事会
休眠中のD中央については,予算編成は行われていなかった(G第9回96丁)が,会計報告は行われており,平成25年2月8日開催の第2回監事会では,D中央の予算執行に係る資料として,Gが作成した平成24年4月から同年12月までの間のD中央の収支計算書(甲174資料4)が配布された。同収支計算書には,⑥⑦の資金移動の後であるが,予算としても,a連盟からの寄附もC中央への寄附も記載されていなかった。
イ 平成25年3月22日第118回評議員会
平成25年3月22日開催の第118回評議員会において,④ないし⑦の資金移動の後で,⑧⑨の資金移動が行われる前であるa連盟の平成24年4月1日から平成25年2月28日までの間の政治活動運営会計の現況報告がされた。その中で,被告人は,支出の部の寄附金は決算額として1億4500万円であり,C中央へ支出したこと,予算より500万円減っているのは,中央後援会の事務所家賃等の現物寄附分を考慮したためである,との説明をした(甲161資料1の23丁)。
ウ 平成25年5月15日第1回監事会
(ア) Gは,前記(4)に摘示した⑥⑦の資金移動を踏まえて,平成25年5月15日開催の第1回監事会(甲163,出席者には,F,被告人,Lが含まれる。)で配布するD中央に係る収支計算書(期間は平成24年4月1日から平成25年3月31日)に,執行額に対応する予算としてa連盟からの5000万円の寄附及びC中央に対する5000万円の寄附の記載をすべきであると被告人に進言し,被告人の了承を得て,その旨の記載のある収支計算書を配布した(G第9回97~100丁)。
(イ) 被告人は,同会議において,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のa連盟政治活動運営会計収支計算書の支出の部の寄附金1億4000万円の記載について,a連盟からC中央に対する現物支給分として1年間に500万円の寄附が認定される可能性を想定したため,a連盟の政治活動運営会計からC中央に対し,平成24年,平成25年で各4500万円を直接に入れた旨説明した上で,残りの5000万円は「迂回という形になれば迂回なんですが,直接C中央後援会に入れられないもんですから,D中央後援会に5000万を入れまして,それをC中央後援会に回すという形の処理を致しました。」と述べた(甲163資料2の4丁)。また,被告人は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のC中央収支計算書の収入の部の寄附1億4023万4000円との記載について,うち1億4000万円はa連盟の政治活動運営会計からの寄附である旨説明した(甲163資料2の4,5丁)。
さらに,被告人は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のD中央収支計算書の収入の部の寄附5000万円との記載について,a連盟の政治活動運営会計から入れており,支出の部の第二款政治活動費第五項寄附欄に記載の5000万円はC中央への寄附であることを説明した。この説明を受け,出席者の1人が「こっちへ入れといて,あっちへ。」と発言したことに対応して,被告人は,「はい。迂回さす,迂回したということで,そういうテクニックを使わせていただいておりまして」と述べた(甲163資料2の5,6丁)。
以上の説明の後,質疑応答が行われ,同会議の出席者から,上記資金移動に問題はないのかという趣旨の質問があった。これに対し,被告人は,「え,法的にはですね,特に問題ないんですね。法的には。これはですね,通常,迂回ということが言われてよく問題になりますのは,政党を通して議員に回すという形。結局,h党で言いますと,q協会,あそこに我々が寄附して,それがh党本体じゃなくて,h党の特定の議員に行くという,それが紐付き,これがかつて行われておりまして,これが迂回ということでですね,これが結局なぜ問題視されたかというと,政治資金の透明性を欠くということですね。要するに,ある特定の団体が特定の議員に資金提供しているということを,いわば闇に隠すということで,迂回ということで問題にされたわけですけれども,うちの場合ですと,オープンからオープンですので,全く,実際にワンクッションはしますけども,いわゆる通常迂回献金という,闇の部分が全くないオープンな処理でございますので,基本的には。ただ,あの,まあ,見ようによってはね,C先生の選挙にb党のDさんの口座を通していくということで,ちょっと違和感があるかもしれません。ただ,これ」,「全然表にでない,と言うとおかしいんですけども,例えば,Dさんの資金管理団体,そこに入れて,Cに入れますと,これは実はDさんの資金管理団体,これはb党のお金の動きの中に入っちゃいますので,そうすると,h党のCさんのためにb党のDさんの口座を使ったというのは,これは極めてマスコミから喜ばれちゃうようなネタになりますけども。うちの場合,これ両方とも,うちの中の右から左の会計だけですので,まあ,本当にまたうるさい方がいて,ここのC中央後援会とD中央後援会を追跡とかですね,そういうことすれば別ですけども,それ以外は先生方だけのお話でございますので。」などと説明した。
出席者から,以上の話を踏まえて,「結局額がオーバーしてしまうから。年間の額。」との発言があると,被告人は,これに答えて「そうです。年間5000万円というルールがありますので。そうすると,選挙のためには1億5000万円ね。(中略)そういう額をどうしてもね。これも年数がかけられりゃいいんです。(中略)3年かければ,何の問題もなく,5000,5000,5000で行っちゃうんですけど,今回は24年のしかも後半に決まって,25年というところで。」と説明した。
さらに,出席者から,以前,都道府県i連盟へ金を送って,それを吸い上げるという方法を使ったことの指摘があったのに対し,被告人は,その方法は,都道府県i連盟に迷惑をかけるし,a連盟から各都道府県i連盟に20万円ずつ,合計約1000万円もの金額を手数料として渡すのは不労所得のようで懸念がある旨説明した。
続けて,被告人は,「実はNさんの時に,同じテクニックを,C使ったんですよ。あれはh党,h党なんで。」と,本件資金移動がN選挙のときの資金移動の方法と同様の方法を採ったと理解できる説明も行った(甲163資料2の6,7丁)。
エ 平成25年5月31日第2回理事会
平成25年5月31日開催の第2回理事会(甲164。出席者には,F,J,被告人が含まれる。)において,被告人は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のC中央の決算報告書(甲164資料1)の収入の部第一款第一項寄附に記載の1億4023万4000円について,5000万円ルールがあるため,平成24年と平成25年にa連盟からC中央に対し各4500万円を入れたことを述べ,残りの5000万円については,「あと残り5000万円,これをですね,D中央後援会会計経由で入れております。」と説明した(甲164資料3の3丁)。続けて,被告人は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のD中央の決算報告書(甲164資料1)の収入の部第一款第一項寄附に記載の5000万円について,a連盟の「政治活動運営会計から,先ほど申し上げましたC中央後援会に移すために,一旦ここに寄附として入れさせていただきまして,下の方御覧いただきますと,支出の部の第二款政治活動費の第五項で,寄附ということで5000万円させていただいております。」と説明した(甲164資料3の4丁)。さらに,被告人は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間の平成24年度政治活動運営会計収支決算書(甲164資料1)の支出の部第一款寄附金第一項寄附金に記載の1億4000万円について,「C中央後援会へ直接のものが9000万円,そして,D中央後援会経由のものが5000万円の合計1億4000万円でございます」と説明した(甲164資料3の8~9丁)。同様の説明は,平成25年6月28日開催の第119回評議員会(甲165)でも行われた(甲165資料1議事録16~18丁)。
(6) a連盟及びC中央の各収支報告書の作成方法及び④ないし⑨の資金移動に係る記載内容
平成25年10月以降,a連盟,C中央及びD中央の各収支報告書の作成業務はGからKに引き継がれた(K・1,2,21丁)。Kは,同年3月14日に被告人らとの間で行った打合せに従い各収支報告書を作成した。そして,完成した各収支報告書に会計データ及び基礎資料(甲179資料3~5)を添付して,平成26年3月25日中に事務局での決裁を受けた後,a連盟,C中央及びD中央の各収支報告書のいずれも,まず被告人に確認を依頼することとし,平成26年3月27日,R課長補佐とともにa連盟,C中央及びD中央の各収支報告書を持参し,基礎資料の中の米印記載の部分を重点的に説明した。被告人は,作成基礎資料や収支報告書原本,特に寄附の部分を重点的に実際に目で見て確認した。被告人に上記各収支報告書を渡してから一,二時間程度経った頃,被告人から,上記各基礎資料の決裁印欄のいずれにも被告人の印が押され,かつa連盟とC中央の宣誓書に被告人の署名及び押印のある状態で,資料一式が戻ってきた。Kは,被告人が上記各収支報告書を了承したと理解した(K・21~34丁,甲179資料3~5)。
同日,OもD中央の収支報告書に署名押印をした。その上で,同日,Fが上記各収支報告書の決裁をした(K・33~35丁)。
Kは,同月28日,被告人名義の宣誓書を添付の上,a連盟の収支報告書を東京都選挙管理委員会事務局へ提出した。同報告書には,平成25年1月23日に,D中央へ5000万円,同年3月15日にC中央へ4500万円の寄附をした旨の記載がある(甲13)。また,Kは,平成26年3月28日,被告人名義の宣誓書を添付の上,C中央の収支報告書を東京都選挙管理委員会事務局へ提出した。同報告書には,平成25年1月23日にD中央から5000万円の寄附を受け,同年3月15日にa連盟から4500万円の寄附を受けた旨の記載がある(甲14,K・36丁)。また,D中央の平成25年分の収支報告書には,同年1月23日にa連盟から5000万円の寄附を受け,同日,C中央へ5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲15,K・36丁)。
(7) C当選後の会議の状況等
平成25年7月の参議院比例代表選挙において,Cは再選を果たした。その後しばらくの間のa連盟における諸会議の記録は証拠として提出されていないが,C選挙及びD選挙における各資金移動や本件が疑惑として公にされたことへの対応等に関する被告人らの発言として,次のアないしオがある。
ア 平成27年1月15日四役会
平成27年1月15日開催の四役会(甲172。出席者には,F,J,被告人が含まれる。)において,同月23日開催予定の第123回臨時評議員会でOが平成28年参議院比例代表選挙の職域代表候補者に決まることを前提として,被告人から,O中央後援会に平成27年,平成28年で各5000万円の寄附を行い,5000万円ルールがあるため,「テクニックとして,C中央後援会会計を1回クッションさせ」て,つまりC中央を介してO中央後援会に5000万円の資金移動を行う予定である旨の説明があった(甲172資料2の7,8丁)。
イ 平成27年1月23日第123回臨時評議員会及びその後の対応
(ア) 平成27年1月23日開催の第123回臨時評議員会(甲166)において,平成28年参議院比例代表選挙の職域代表候補者がOに正式決定し(甲166資料1の11丁),選挙対応についての協議が行われた。
(イ) 同会においては,評議員の一部から,平成25年参議院比例代表選挙に係る資金移動に関して,a連盟からD中央を通してC中央に5000万円が入っているのではないか,これは迂回献金なのではないかとの問題意識が示された(甲166資料1の21丁)。被告人は,上記問題意識に対して,中央後援会は政党とはまったく関係がないこと,「同一の団体の中で,こうしたかたちの移動というものは,きわめてテクニカルな要素」であること,平成19年参議院比例代表選挙の際には各都道府県i連盟に協力してもらい対応したが,今回は,a連盟に政治団体が2つあったため,そこに着目して合法的に対応した結果であること,後援会活動の予算が合計1億5000万円であり,これを2年の活動内に移行させなければならなかったが,5000万円ルールがあるためこのような形となったこと等を述べた(甲166資料1の21~24丁)
(ウ) その後,上記被告人の回答では不十分であると考えたa連盟執行部は,各都道府県i連盟会長及び各評議員宛に平成27年1月27日付け「第123回臨時評議員会の質問について」と題する書面(甲167資料1の2丁。右上にa連盟発第192号とあるもの。)を発出した。文面の起案者は被告人であった。その内容は,第123回臨時評議員会における上記質問へ改めて回答するものであり,平成25年参議院比例代表選挙におけるC中央の活動に必要な予算額は9500万円であったが,5000万円ルールがあるため,うち4500万円をa連盟からC中央に寄附し,残りの5000万円をa連盟からD中央に寄附した後に,改めてD中央からC中央に寄附する形での資金移動を行ったこと,これは政治家個人への資金供与ではないので迂回献金には該当しないこと,以上の点については,a連盟の嘱託弁護士からも違法ではないとの回答を得ていること等を内容とするものであった。
(エ) さらに,これに関する新聞報道を受け,a連盟は,各都道府県i連盟会長及び各評議員宛に平成27年2月4日付けで「2月4日付、r新聞記事について」と題する書面(甲167資料1の3丁。右上にa連盟発第199号とあるもの。)も発出した。これも文面の起案者は被告人であった。その内容は,2月4日付けのr新聞に前示の臨時評議員会における質問に端を発する形で平成25年選挙に係る資金移動について「迂回寄付か」と疑問を呈する記事が掲載されたことに対する見解として,a連盟,C中央,D中央は独立した政治団体であり,それぞれの活動目的が異なっていること,寄附行為も別個に行われており,各団体間の寄附行為も独立したもので,監督官庁にも確認し,違法性がないことを確信していること等を内容とするものであった。
ウ 平成27年2月5日第19回f会・a連盟役員連絡協議会
平成27年2月5日開催の第19回f会・a連盟役員連絡協議会(甲167。出席者には,F,J,被告人が含まれる。)において,被告人は,同年1月27日付け「第123回臨時評議員会の質問について」及び同年2月4日付け「2月4日付、r新聞記事について」は,いずれも被告人が用意したものである(甲167資料2の3丁)とした上で,中央後援会会計のこれまでの経緯について,次のような説明をした。すなわち,平成16年のa連事件があった後の改革の一環として,ブラックボックスになるような会計はやめようということを第一に考え,現在の一般会計プラス特別3会計にした。そして,後援会活動についてはそれに特化した会計にするべきであるという考えのもとで後援会会計は候補者の名を冠した各中央後援会でやっていた。a連盟の内部的・便宜的に分離した会計との理解の一方,お金を移すためには中央後援会は独立の政治団体として届け出なければならず,また,中央後援会として活動するのに1億5000万円の予算が必要である一方,5000万円ルールに配慮しなければならなかった。そのため,平成19年参議院比例代表選挙においては,各都道府県i連盟からC中央に各100万円寄附してもらった。また,平成22年参議院比例代表選挙においては,D中央とc総支部にそれぞれ5000万円を入れて,c総支部からD中央に5000万円を入れた。これらは,平成25年参議院比例代表選挙と基本的には構図が一緒であり,平成25年は,a連盟が中央後援会を2つ持っていたために,C中央に4500万円,D中央に5000万円入れるという便宜的な対応を採ったものである,というのである(甲167資料2の5,6丁)。
エ 平成27年2月12日第20回常任理事会
平成27年2月12日開催の第20回常任理事会(甲168。出席者には,F,J,被告人,Lが含まれる。)において,被告人は,平成22年のD選挙に係る資金移動についても,政党支部を経由した迂回寄附ではないかという問題意識でマスコミから取材申入れがあり,対外的な回答を統一する必要があるとして,平成22年参議院比例代表選挙については,c総支部の収支についてa連盟は全く関与していないので迂回寄附に当たるとは考えていないと説明していると述べ,FやJらからも同調する発言があった。また,平成25年参議院比例代表選挙については,被告人は,a連盟からC中央,a連盟からD中央,D中央からC中央への各資金移動はいずれも個別に見れば合法であるが,全体としてみると脱法的な見方もあり得るため,今後そのような誤解を生むようなことのないように取り組んでいくという説明をしていくべきであるとの見解を示した(甲168資料3の22~24丁)。
オ 平成27年3月11日第21回常任理事会
平成27年3月11日開催の第21回常任理事会(甲169。出席者には,F,J,被告人,Lが含まれる。)において,Fは,平成19年,平成22年,平成25年の各参議院比例代表選挙について,同じような考え方で資金移動をしている旨述べたが,これに対し被告人が異議を唱えることはなかった(甲169資料3の7丁)。また,被告人は,上記3回の選挙に係る予算について,どうしても1億5000万円かかってしまうということを前提に考えていた旨述べた(甲169資料3の12,13丁)。
第3  公訴事実第1に係る争点に対する当裁判所の判断
1  ②③の各資金移動の趣旨について
(1) c総支部における意思決定の欠如
前記第1の1及び第2の1ないし5で認定した事実からは,次の事実もまた明らかである。
すなわち,D中央及びc総支部は,いずれも平成22年の参議院比例代表選挙におけるa連盟の準職域代表候補者であるDの選挙活動に関して設立されたもので,少なくとも選挙終了まではc総支部も含めてa連盟と役職員も共通で,事務処理もa連盟において行っていたが,政治団体としては個別に設立が届け出られるなど,それぞれが独立の存在である。しかるに,D中央は,その名の下に選挙に向けたD支援の後援会活動を展開したなど活動の実態が認められるのに対し,c総支部については,そのような実態が認められない(前記第2の5(4)イ)。そして,①ないし③の各資金移動に当たっても,a連盟はもちろん,D中央においても役員会における予算の決定や役員による決裁など,これらに対応する団体としての意思決定が認められるのに対し,c総支部においてはそのような独自の意思決定はなかったことが認められる。
(2) ①ないし③の各資金移動についての被告人の当時の説明
ア 前記第2の5(4)ウのとおり,被告人は,平成22年3月5日の常任理事会において,D選挙について,D中央のほかb党の比例区支部が存在する予定で,5000万円ずつ合計1億円を確保できる見通しを述べた上,同(5)アのとおり,同月18日の理事会においては,政党支部(これがc総支部を指すことは明らかである。)に入れた資金を中央後援会に動かす旨明言している。被告人が,②の資金移動を実行するのに先立つ時点で既に,a連盟の資金を一旦c総支部に移動させた上で,最終的にこれをD中央へと更に移動させる意図であったことが強くうかがわれる。
イ また,被告人は,選挙後の各種会議で,①ないし③の資金移動について,D中央にa連盟から後援会活動の資金として直接又は間接に合計1億円を移動したもので,a連盟からD中央には1年間に5000万円しか動かせないので,c総支部に5000万円を入れて,その後c総支部からD中央に5000万円を入れ,合計で1億円をD中央へ入れた旨,ときには「迂回の形を取った」という表現も交えて,重ねて説明をしていた(前記第2の5(6))。
これらはいずれも,a連盟からc総支部へ5000万円を寄附した趣旨が,最終的にc総支部からD中央へ当該資金を移動させるための中間手段であったという趣旨の発言ないしそれを前提とした説明であり,また,そのような手段を採った理由が5000万円ルールの存在にあることも述べられているものである。
ウ 以上のとおり,被告人は,①ないし③の資金移動の前後を通じ一貫して,5000万円ルールの存在により,a連盟からD中央に直接移動できる資金が5000万円に限られるとの認識の下,最終的にa連盟からD中央に1億円の資金を移動させるため,そのうち5000万円については,一旦c総支部に移動させ,しかる後に,c総支部からD中央へこれを移動させるという説明を行っていたことが明らかである。
(3) ①ないし③の資金移動に関するa連盟及びD中央における会計書類等の記載と関係者の説明内容について
ア 前記第2の5(5)ア(イ)のとおり,平成22年4月2日開催の四役会で示されたD中央会計収支予算案算出基礎資料の収入の部には,政治活動運営会計からの寄附のほかに,(2)その他として各5000万円の記載があり,この時点で,D中央においては,a連盟から受ける5000万円の寄附のほかに,更に5000万円の寄附を受けることを想定していたとみることができる。
イ また,同(ウ)のとおり,当時,D中央の会計担当役員であったIは,上記四役会の後に開催されたD中央の役員会において,D中央の会計収支予算(案)の寄付収入1億円の記載の摘要欄に「a連盟より50,000,000円 b党参議院比例区c総支部より50,000,000円」と書かれた点について,5000万円はa連盟から直接,残り5000万円はc総支部からのものであり,c総支部からの5000万円も本当はa連盟から寄附する趣旨である旨の説明をしており,その説明に対し,出席者であったE,F及び被告人は何ら訂正をしたり異なる趣旨の発言をしたりするところはなかったものである。
ウ さらに,前記第2の5(6)エのとおり,平成22年9月16日に開催された四役会において出席者に配布されたD選挙に関する収支を説明する書面においては,a連盟の支出明細として,政治活動運営会計からD中央に対して寄附金として1億円を支出したとの記載がある。
エ これらの資料の記載及び説明に鑑みれば,a連盟及びD中央においては,当初から,a連盟からD中央へ1億円を寄附するため,うち5000万円についてc総支部を経由させる方法を用いることが予定され,その通りの資金移動が実行され,報告されたものであり,上記各会議の出席者の間では,そのような認識が共有されていたことが推認される。
(4) a連盟における中央後援会への従来の資金移動の手法について
被告人は,前記第2の4において認定したとおり,平成19年参議院比例代表選挙の際,5000万円ルールの下で平成18年中にa連盟からC中央に1億円を寄附するため,a連盟からC中央へ直接5000万円を寄附するほか,a連盟の政治活動運営会計から各都道府県i連盟へ特別助成金として各120万円を支出し,各都道府県i連盟からC中央へ各100万円を寄附させることで,更に合計4700万円の資金を移動させるという方法を考案し,これを実行した。また,被告人は,前記第2の5(2),(3),(6)イ・ウ・オのとおり,平成22年参議院比例代表選挙の当初の職域代表候補者であったNの後援会活動費用をN中央から支出すため,a連盟からN中央に対し5000万円を寄附するとともに,平成19年参院選後休眠状態であったC中央を経由してN中央に5000万円を寄附させることで,a連盟の政治活動運営会計からN中央に1年内に合計1億円の資金移動を行う手法を考案し,四役会や常任理事会,理事会等において上記手法を前提とする説明を行った。
被告人は,上記のように,平成19年参議院比例代表選挙に向けたC中央の予算編成及び平成22年参議院比例代表選挙に向けたN中央の予算編成に際し,いずれも,まずa連盟から各中央後援会に移動させる資金総額を決定し,その総額からa連盟より各中央後援会に直接寄附できる額の上限を差し引いた不足額については,a連盟から一旦別の政治団体に資金移動を行い,その政治団体から更に各中央後援会へと資金を移動させるという手法を考案し,採用していたと認められる。a連盟からの資金を全て中央後援会に移動させた目的は,被告人の述べるところによれば,a連盟が丸抱えで行う職域代表候補者等の選挙に向けた諸活動のうち,後援会活動として行えるものについて中央後援会を立ち上げてその会計で収支を管理することによって,後援会活動に係る収支を明確にする点にあったもののようであり,被告人は,上記目的のもと,平成22年参議院比例代表選挙におけるD中央の予算編成に際しても,従来どおり,a連盟からD中央への寄附につき,直接行うことができる5000万円を超える部分については,a連盟から一旦別の政治団体に資金移動を行い,その政治団体から更に中央後援会へと資金を移動することを考え,実行したとみるのが自然である。
(5) 小括
前記(2)のとおり,被告人は,a連盟の会計担当副理事長として,D選挙について,当初よりa連盟からD中央へ選挙資金として1億円を寄附するという前提の下,a連盟からD中央へ直接5000万円を寄附するほか,a連盟から一旦c総支部に5000万円を寄附し,これをそのままc総支部からD中央へ寄附することで,5000万円ルールを形式上回避することを考案し,その考えに従って様々な場面で説明を行い,その通りの資金移動を実行したと認められる。
この発想の背景には,前記(4)のとおり,やはり会計担当役員として被告人が中心となって考案・実行してきた従来の選挙における資金移動方法がある。また,被告人が考案したこのような資金移動方法については,a連盟やD中央という団体においても,前記(2)のとおり諸会議で説明が重ねられたり,(3)のとおり資料にも記載されるなどして他の幹部,役員や会議出席者にも明らかにされ,団体の決定と認められる了解が形成されていたとみるべきもので,決して被告人の独断専行ではない。
一方,c総支部に団体の意思決定と目すべきものはなく,②の資金移動を受けて③の資金移動でD中央に移すまで約一月半の間があって,この5000万円はc総支部の口座に保持されているが,その間に同口座には政党交付金の入金が1回あったものの,それ以外の入出金は全くなかったのであり,上記5000万円は専ら同口座を管理するa連盟の都合と判断によりそこにとどめてあったものと目して妨げない。
以上によれば,平成22年3月30日のa連盟からc総支部へ5000万円を移した②の資金移動は,その時点で,選挙までの間にD中央に移動されることを予定して行われたもので,同年5月13日のc総支部からD中央へ5000万円を移した③の資金移動は,その実行に他ならないと認められ,目的においても,客観的な側面においても,一連一体のものとしてa連盟からD中央に対する同日付けの寄附と認められるというべきである。
(6) 被告人の供述について
ア 被告人の公判供述の概要
以上に対し,被告人は,②の資金移動でa連盟からc総支部へ入金した5000万円は,c総支部に置いたままDの後援会活動の費用に充てる予定であったが,b党の関係者から,c総支部口座から選挙に係る費用を支出すると,支出に関して公職選挙法違反があった場合にDに責任が及び迷惑がかかるとの忠告を受けたため,c総支部からD中央に資金移動することにし,Gに指示して平成22年5月13日にc総支部からD中央に5000万円を移動させたのであり,③の資金移動は,当初から予定されていたものではなかったと述べ,これが公訴事実第1に関する被告人の供述の核心部分である。
そして,敷衍して,(a)5000万円ルールに抵触しないようにするため,選挙活動の資金を複数の政治団体から支出することは,平成19年のC選挙のときにも検討したことがある,(b)前記(2)アで引用される平成22年3月18日の理事会での説明は,予算案を見た理事の一人が,この記載では資金がb党のものになってしまうのではないかとの趣旨の質問を行ったことに対して,被告人が,政治団体名はc総支部ではあるものの,a連盟の管理の下でD選挙のために使うものであって,b党のものになるのではないということを説明する文脈の中での発言である,(c)前記(3)アのD中央会計収支予算案算出基礎資料における収入の部の寄附欄のうち,その他として5000万円との記載については,他のところで5000万円を費用支出する趣旨であり,前記(3)イのD中央会計収支予算(案)は,a連盟関係者に対して,a連盟が中心になって行うD選挙の後援会活動費用の総枠が1億円であることを示して説明するための資料であり,摘要欄の「c総支部より50,000,000円」との記載は,費用をどこから支出していくかを示しているものである,とも述べ,前記(5)の認定を争う。
イ 上記(a)ないし(c)の検討
しかし,まず上記(a)の点については,被告人が平成19年のC選挙で検討したのは,同一候補者に係る2番目の中央後援会を設立して,特定の費目をそこから支出するというものであり(被告人第11回11丁,別紙3),採用されなかったというものである上,中央後援会の眼目は,その団体の名の下に立候補予定者の後援会活動ができるところにあるところ,a連盟がその活動の全てを取り仕切ることができる中央後援会と,事務はa連盟において管理しているとはいえ政党規約の下にあるc総支部とは大きく性質を異にするのであり,供述内容の合理性に結び付かない。
次に,上記(b)の点については,被告人の説明の前提となった当該理事からの質問は,「党の5000万っていうふうなことをおっしゃいましたが,これはどういうふうな具体的な予算かっていうことを,第一点お聞きしたい」というもので,c総支部に寄附される5000万円の使い道を問う趣旨であることが明らかであり,被告人自身,そのように理解したからこそ,c総支部に動かす5000万円をどのように使うのかについて説明したと考えるのが自然かつ合理的である。そして,その回答の中で,被告人は「政党支部に入れたものを中央後援会に動かす」と明言しているところ,仮に上記5000万円がb党のものになるのではない旨の説明に重点を置いたのだとすれば,被告人の説明を前提とすれば,c総支部からD選挙のために支出すると答えれば済むことであって,わざわざ「中央後援会に動かす」という説明になるのは不自然である。被告人の発言は,c総支部に移動させた資金の使途につき,それは最終的にD中央へと移動させることになるのであり,だからこそb党のものになるわけではないという趣旨の回答であったとみるほかない。
さらに,上記(c)の点について検討すると,そもそも前記(3)アのD中央会計収支予算案算出基礎資料にせよ,前記(3)イのD中央会計収支予算(案)の記載にせよ,いずれにしても,D中央が,a連盟の政治活動運営会計以外から,あるいはc総支部から,5000万円の寄附を受け入れるという趣旨以外に読む余地はないのであって,被告人の弁明はそれ自体が極めて不自然不合理であるというほかない。このことは,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間のN中央会計収支予算(案)(甲137資料1)の収入の部の第一款第一項寄付の摘要欄の「a連盟より100,000,000円 C中央後援会より90,000,000円」という同じ体裁の記載について,被告人が,C中央に平成19年,20年と積み立ててきた9000万円を2年間かけてN中央に寄附する予定であった旨述べていること(被告人第12回20丁)に照らしても明らかである。
ウ 被告人供述の核心部分の検討
以上のように,(a)ないし(c)の点は,被告人の供述の核心部分を合理化したり,前記(5)の認定を揺るがしたりするものではないが,さらに,被告人の供述の核心部分自体についても,次のとおり,被告人の当時の発言,各種会議における配布資料,その他関係者の証言等と明確に矛盾し,客観的事実とも整合的な説明がつかないものといわざるを得ない。
(ア) 既に説示したとおり,当時の被告人の会議等における説明及びその際用いられた資料の記載は,当初より,a連盟からc総支部に移動させる資金は,最終的にそのままD中央へと移動させるつもりであったという趣旨に解するほかないものであり,これと異なり,a連盟からc総支部へ寄附した5000万円を,c総支部に留めたままDの選挙費用として支出するというようなことを窺わせる発言や記録は一切みられない。
この点につき,弁護人は,被告人の様々な発言や各種資料の記載は,結果的に,a連盟からc総支部の口座を経て,平成22年5月13日,D中央に資金移動した事実の説明として述べているにすぎない旨反論する。しかし,既に説示したとおり,被告人の発言等は,そのような事実の説明を超えて,当初からc総支部を経由してD中央へ資金を移動させるという積極的な意図を表明したものと解されるものであるし,仮に被告人が当公判廷で述べるとおりであるならば,いずれかの会議における発言の機会に,当初計画から変更になった旨の前置きがあってしかるべきであるのに,そのような趣旨の発言は一切みられない。弁護人の反論は採用できない。
(イ) また,平成22年当時,a連盟において常任理事を務めていたH(以下「H」という。)やD中央及びc総支部の会計責任者であったI,事務局で会計を担当していたGは,c総支部及びD中央の2つの団体からDの後援会活動に向けた支出をする予定があった旨の説明を聞いたことはない旨揃って証言している(H・26丁,I・33丁,G第9回36丁,第10回12丁)。このことからも,被告人の供述の核心部分が事実に反することが裏付けられる。
(ウ) なお,弁護人は,c総支部の預金通帳の記載のうち,平成22年5月13日にb党から500万円が振り込まれた旨の印字と,③の資金移動に係る同日c総支部から5000万円を出金した旨の印字を比較すると,その体裁や記号・店番号等が異なっていることから,両印字は別の機会にされたものと合理的に推認できるところ,Gがわざわざ別の機会に記帳したのは,被告人から,c総支部に政党交付金が入っているかを確認してから5000万円を出金するよう指示されたからに他ならないことを指摘し,この事実が被告人の供述の核心部分の信用性を支える旨主張する。この点について,Gは,被告人からそのような指示があった可能性を否定しておらず,また,c総支部の預金通帳の記載(甲177)からは,弁護人指摘のとおり別の機会に記帳された可能性が認められる。しかし,仮にGが500万円の入金を確認してから5000万円の出金をしたのだとしても,この事実は,5000万円の資金移動のタイミングを決する事情が何であるかという点を含め,c総支部に被告人が②の資金移動をした目的が迂回目的であったこととも,c総支部から選挙活動の費用を支出する目的であったこととも,いずれとも両立し得る事実で,本件争点に対する判断において有意な事実ではなく,認定を左右しない。
エ 以上のとおり,被告人の公判供述はいずれも信用できず,前記(5)の認定を左右しない。
(7) この項のまとめ
したがって,平成22年3月30日のa連盟からc総支部への5000万円の②の資金移動及び同年5月13日のc総支部からD中央への同額の③の資金移動は,a連盟からD中央に対する寄附であり,①の資金移動と合わせて平成22年中にa連盟からD中央へ合計1億円の寄附がされたものと認められる。
2  収支報告書の記載について
(1) 当裁判所の判断
ア 政治資金規正法は,政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするために,政治資金の収支の公開や政治資金の授受の規正を講ずることにより,政治活動の公明と公正を確保することを目的としており(同法1条),この目的を達成するため,同法は,政治団体の会計責任者に対し,政治資金の収支の公開の基礎となる収支報告書の提出を義務付け(同法12条),同報告書によって政治資金の収支等を国民の前に明らかにすることを最重要視している。この趣旨は,政治団体として届出をする前に寄附又は受寄附をしたり(同法23条),収支報告書等の提出を怠り,又はこれらに一定の記載をせず,若しくは虚偽の記入をしたり(同法25条1項各号)して,政治資金の収支について,国民の不断の監視と批判の下にさらすこと自体を免れる行為について,同法違反の罪のうちで最も重い法定刑を定めていることからも明らかである(同法第6章参照)。また,同法では,本人の名義以外の名義又は匿名で政治資金に関する寄附をしてはならないとして(同法22条の6),寄附主体を偽る行為をも規制しているが,その趣旨も,寄附の量的制限,質的制限の実効性確保のみにとどまらず,国民の前に実態に即した政治資金の収支を公開することによってこそ,政治活動の公明と公正を確保することができるという本法の本来的目的達成にあると考えられる。
以上のとおり,政治資金規正法における収支報告書が,政治資金の収支を公開することにより,これを国民の監視と批判の下に置き,これによって政治活動の公明と公正を確保するという重要な役割を担っていることに鑑みれば,収支報告書に記載すべき事項が客観的資料や帳票類に基づいている必要があることはもちろんのことであるが,そもそもそのような資料が政治資金の収支の実態と一致していることは当然の前提というべきである。換言すれば,政治資金規正法の立法趣旨及び同法における収支報告書の重要性に鑑みれば,同法は,収支報告書に記載すべき政治資金の収支について,形式と実態がかい離するなどということ自体およそ想定も許容もしていないものと解される。なぜならば,仮にそのような事態が生じるとすれば,公開できない何らかの資金の動き(実態)について,公開に差し支えない外形を装うというような場面しか想定できないからである。
イ 本件で,a連盟の収支報告書には,平成22年3月30日にD中央及びc総支部に対し各5000万円の寄附をした旨の記載がある(甲10)。また,D中央の収支報告書には,同日にa連盟から5000万円の寄附を受け,同年5月13日にc総支部から5000万円の寄附を受けた旨の記載がある(甲11)。しかしながら,既に認定説示したとおり,上記記載に対応する①ないし③の各資金移動のうち,②及び③の資金移動については,その実態は,同日にa連盟からD中央に5000万円の寄附が行われ,D中央は同日a連盟から5000万円の寄附を受けたものである。これが②及び③の資金移動の形をとり,上記のように収支報告書に記載されたのは,a連盟・D中央間の平成22年中の寄附・受寄附が①の資金移動と合わせて合計1億円となり,5000万円ルールに抵触するのを外形上回避しようとしたことに尽きる。
これら各収支報告書は,記載すべき事項の記載をせず,また,虚偽の記入がされたものであることは明らかである。
(2) 弁護人の主張
ア 弁護人は,そもそも収支報告書は,主観的事情や外部的事情に頼ることなく,何らの価値評価も加えずに,帳票類に基づいた客観的な報告書の記載のみから資金移動を把握できること自体が法の趣旨にかなう(法12条,国会議員関係政治団体の収支報告の手引(弁1))ところ,本件では,平成22年分のa連盟及びD中央の各収支報告書に記載されており,帳票類も添付されているから,a連盟,c総支部,D中央の各収支報告書を辿れば容易に一連の資金の流れを帳票類と共に正確に把握でき,不記載又は虚偽記入には当たらないと主張する(弁論5~10頁)。
収支報告書は,帳票等の客観的資料に即して記載をすることが求められるが,前記のとおり,それは,客観的な資金の動きが当然実態とも一致しているという前提があるからである。ところが,本件は,法の許容しない資金移動(量的制限を超えた寄附)を行うこととし,その発覚を防ぐため,実態に対応しない資金移動を形式的に行い,外形から見れば適法な資金移動とみえるように帳票類も整え,あえて形式と実態をかい離させたという事案である。このような意図で整えられた帳票類に基づいて収支報告書を作成することは,政治資金の収支の実態を覆い隠す行為であって,法の趣旨を没却するものであるから,弁護人の主張は採用できない。
イ 弁護人は,さらに,②③の各資金移動をa連盟からD中央への寄附と収支報告書の記載をしなければならないとするのであれば,客観的帳票類を無視した記載にならざるを得ないが,これこそ恣意的な記載を要求していると評価できるところ,このような要求をすれば実務は大混乱に陥るのであるから,法がそのような記載を予定していないことは明らかであるとも主張する(弁論11頁)。
しかし,前記のとおり,本件は,a連盟等において,当初から資金移動の実態を隠ぺいすることを企図し,ことさらに実態と異なる送金の外形や帳票類を整えたという事案なのであるから,その帳票類に基づく形式的な記載が虚偽記入等と評価されたからといって,そのような意図や工作のない正常な収支報告書の作成の実務が混乱するなどということはおよそあり得ないから,的を射ない論難である。
(3) この項のまとめ
したがって,平成22年分のa連盟及びD中央の各収支報告書の内容は,記載すべき事項を記載しなかったものないし虚偽の記入をしたものに当たる。
3  被告人のD中央における「会計責任者の職務を補佐する者」の該当性について
弁護人は,D中央の収支報告書への記入やその提出は被告人の権限外の事項であって,被告人は,D中央の「会計責任者の職務を補佐する者」(政治資金規正法12条1項柱書)には当たらないと主張する(弁論13~15頁)。
「会計責任者」とは,当該団体の会計事務を最終責任者として担当する者をいうところ,D中央における会計責任者は,Iである(甲3)。しかし,前記第2の5(4)ウのとおり,平成22年3月5日の四役会において,E,F,被告人,Iらの間では,D中央の会計の実務は被告人が行うが,会計責任者として表に立つのはIとする旨の合意がされ(甲139),引き続く常任理事会でFからその趣旨が表明されている(甲140)。また,Gは,D中央会計収支予算案算出基礎資料(甲143資料1(4))及びD中央会計収支予算(案)(甲144資料1)等の重要な予算資料の作成について,Iではなく,専ら被告人の指示を受けていたほか(G第9回20~24丁),①ないし③の各資金移動について被告人から指示を受け,被告人にだけは個別に伝票決裁を仰いだり(前記第2の5(5)イ,G第9回24~34丁),D中央の収支報告書について,被告人及びIに各1部ずつコピーを渡し,配布して一,二週間後に被告人の了解を得てからIに押印してもらったりしている(前記第2の5(7),G第9回39~48丁)。さらに,D中央の会計についても,種々の会議において基本的に被告人が説明を担当していた(前記第2の5(6)イ)ことなどからすれば,被告人が,D中央の収支報告書の作成及び提出にあたり,会計責任者であるIの職務の大部分を補佐し,又は代わりに行う方法により深く関与していたことは明らかである。
被告人は,D中央の会計責任者はIであり,D中央の予算編成は,I,被告人及びGで相談した,四役会で被告人がD中央の予算案について説明したのは,a連盟のトップ会議であったからである旨述べて,実質的関与を否定する(被告人第12回25~28丁)。しかし,上記信用できるI及びG証言に反するし,四役会における被告人の発言とも明らかに矛盾するのであるから,被告人の弁解は信用できない。
よって,被告人は,D中央の「会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り,会計責任者の職務を補佐する者も含む。)」(政治資金規正法12条1項柱書)に当たると認められる。
4  違法性の意識ないしその可能性について
弁護人は,提出したa連盟及びD中央の収支報告書の記載はいずれも正しいと信じていたのだから,被告人には違法性の意識もその可能性もなく,収支報告書への虚偽記入等の罪は成立しないと主張する(弁論15,16頁)。
しかし,被告人は5000万円ルールの存在を強く意識し,これに抵触しないように見える外形を作出するため,従前から様々な手法を考案してきた中で,平成22年のD選挙においては,c総支部を経由させる方法を用いて1年間でa連盟からD中央へ合計1億円の寄附を行いつつ,収支報告書にはc総支部への寄附又は受寄附という実態の伴わない虚偽の記入等をしたものである。このような経緯に照らせば,被告人には,当然に違法性の意識があったと認められる。
弁護人は,この点に関して平成25年参議院比例代表選挙に係る資金移動と合わせて縷々反論するが,反論が失当であることについては,後述する(第4の3(2)参照)。
5  Eとの共謀について
Eは,当時,a連盟の会長という立場であり,①ないし③の資金移動に係るa連盟及びD中央の機関決定を統括していただけでなく,既に認定説示したような迂回寄附についての被告人の説明を各種の会議で聞き,格別異論を差し挟まず,前記第2の5(5)ア(ア)のとおり,平成22年3月18日第19回理事会(甲141)においては,被告人が,D選挙に際してはD中央とc総支部という2つの政治団体を立ち上げ,c総支部からD中央へ資金移動を行うことで,合計1億円の選挙資金を工面する旨の説明をした際,この説明を訂正することなく,むしろ,「受皿として5000万,5000万かな,年間1億円は動かせる。」,「1億でまあ,いろいろなポスター作ったり,グッズ作ったり,あるいはいろいろ出張旅費やったりとか,そのあたりができるということですので,御理解いただきたい」(甲141資料3の14丁)と述べるなど,c総支部を経由することで5000万円ルールを超えた寄附を実現することの理解を有していることを表す言動もしている。以上のとおりのEの当時の立場や上記発言を含む言動に鑑みれば,Eは,遅くとも同日時点において,このような迂回寄附を行う結果,収支報告書の記載もその外形に即して行われ,実態を反映しないものとなることを了解し,被告人との間でその旨の意思連絡が成立しているというべきであるから,被告人との間で,判示罪となるべき事実第1に係る行為について共謀を遂げていたと認められる。
6  結論
以上より,被告人には,公訴事実第1と同旨の,罪となるべき事実第1記載の各犯罪の成立が認められる。
第4  公訴事実第2に係る争点に対する当裁判所の判断
1  ⑥⑦の各資金移動の趣旨について
(1) 平成25年の資金移動についての被告人の当時の説明等
ア 被告人は,平成25年参議院比例代表選挙でCをa連盟が支援する職域代表候補者とすることが決まるまでには,その後援会活動に合計1億5000万円を確保する必要があり,a連盟の政治活動運営会計からその中央後援会に2年に分けて各5000万円動かせるのに加えて,残りの5000万円をどう動かすべきかについての問題意識を会議でも表明し,また,C中央の予算として1億5000万円を「政治活動運営会計他」からの寄附でまかなう旨のC中央の補正予算案もまとめていたこと(平成24年10月4日の常任理事会,同月31日の臨時理事会及びC中央役員会。前記第2の6(1))からすれば,被告人は,平成24年10月31日の時点では既に,C中央に対して,a連盟から2年間で合計1億5000万円の寄附を行うことを計画していたことが強く窺われる。
この点,弁護人は,平成24年10月31日の臨時理事会における被告人の発言(前記第2の6(1)イ(ア))は,C中央会計収支補正予算案の説明に際しての発言であり,その摘要欄に「政治活動運営会計他」とあえて「他」と記載していることからもわかるように,a連盟がCの後援会活動費用として支出する総額を表すもので,実際にはC中央以外の団体からも支出する考えがあったと主張し(弁論34頁),被告人も同趣旨の供述をする(被告人第11回34,35丁,第12回59丁)。しかし,被告人は,同日の臨時理事会において「中央後援会に対しまして,一般会計の政治活動運営会計から,1億5000万円を移していく」と,また,同日のC中央役員会では,「1億5000万を,この中央後援会に移ささせていただく」と,それぞれ明確に述べている(前記第2の6(1)イ)のであるから,被告人の供述は不合理であり,弁護人の主張は採用できない。
イ 被告人は,平成25年3月22日に開催された第118回評議員会において,④から⑦までの資金移動を前提に,a連盟からC中央へ1億4500万円を支出した旨説明した(前記第2の6(5)イ)。
また,被告人は,平成25年5月15日に開催された第1回監事会において,④から⑨までの資金移動が反映された平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間のa連盟政治活動運営会計収支計算書の支出の部の寄附金1億4000万円につき,C中央に直接寄附した9000万円を除いた5000万円について,迂回といえば迂回であるが,直接C中央に入れられないので,D中央に入れてそれをC中央に回すという形の処理をしたこと,同期間のC中央の収支計算書に記載の寄附のうち1億4000万円はa連盟の政治活動運営会計からの寄附であること,同期間のD中央の収支計算書の収入の部第一款寄附の5000万円との記載はa連盟からの寄附であり,支出の部第二款政治活動費第五項寄附の5000万円との記載はC中央への寄附であることを説明し,出席者の発言に対応して,迂回というテクニックを使った旨(甲163資料2の5~6丁)の応答もした(前記第2の6(5)ウ)。
さらに,被告人は,平成25年5月31日開催の第2回理事会(甲164)においても,⑥⑦の資金移動に関し,5000万円についてはa連盟からD中央を経由してC中央へ入れた,D中央がa連盟から受けた5000万円の寄附はC中央へ移すためのものである,との説明をし,平成25年6月28日開催の第119回評議員会(甲165)においても同様の説明を繰り返した(前記第2の6(5)エ)。
なお,上記いずれの会議においても,被告人が,資金移動の方法に関して計画の変更があったなどと言うことはなかった。
以上のような資金移動後の被告人の説明状況は,被告人が,当初から,D中央を経由してC中央に資金提供する意図を有しており,実際行われた⑥⑦の資金移動も,その意図に基づくものであったことをそのまま表明したものといえる。
これに関し,弁護人は,平成25年5月15日の監事会における被告人の発言は,会議全体の流れをみれば,監事のLから,所属政党が異なるDとCの各中央後援会間の資金移動には違和感があると指摘されたのに対して,この資金移動は,中央後援会の性格に関わりなく,a連盟の内部移動にすぎないとの説明の一環としてなされたものであることは明らかであると主張する(弁論35~36頁)。しかし,被告人の発言にそのような趣旨が含まれていることは否定されないものの,被告人の同会議における発言全体をみれば,その趣旨を超える説明となっていることは明らかであって,弁護人の指摘は当たらない。
ウ 以上のとおりの被告人の説明に鑑みれば,被告人は,平成25年の資金移動の前後を通じ一貫して,a連盟からD中央へ寄附した5000万円については,D中央を経由してC中央へ寄附するためのものである旨説明を繰り返してきたのであり,平成25年1月23日にa連盟からD中央へされた⑥の資金移動及び同日D中央からC中央へされた⑦の資金移動は,このような被告人の計画に基づき実行されたと考えるのが自然である。
(2) Jの証言について
さらに,当時a連盟の理事長であったJは,被告人から,a連盟よりC中央へ資金を移動させるに際し,うち5000万円についてD中央を迂回させるという案を事前に聞いていた旨証言するので,その信用性について検討する。
ア J証言の概要
平成24年10月31日開催のC中央役員会が終了した後,a連盟の役員室で,被告人が,Jに対し,早速C中央へ資金を振り込むが,Cに対しては現物給付もするので,4500万円を振り込み,来年も4500万円を振り込むこと,残りの5000万円の経由団体はおいおい考えること等を伝えてきた。Jが,Fにも話しておくよう言うと,被告人は,Fの机に行き,何かを話した。Fが,じゃあそれでいこうよと言っていたのが聞こえたので,上記方針が了承されたと思った。
平成24年10月か11月の中頃,被告人は,Cの許可を得て,a連盟からCの資金管理団体であるp研究会を経由させてC中央に各3000万円を2回にわたって資金移動させたい,h党の政党支部も考えたが,なかなか当たりがよくない等と言ってきた。Jは,会長の承諾があればよいと言った(J第6回35~40丁,第7回9~15丁)。
平成24年11月27日,a連盟は,政治活動運営会計からp研究会に3000万円を送金したが,当日,C側から反対されてすぐ返金されたことを被告人から聞いた。FがCに電話を掛けて何か話していたが,その後,FはJと被告人に「今回はCの言うことを聞いてやれ」と言い,被告人は,不満も言っていたが,またほかの所を当たると言った(J第6回39~42丁)。
平成25年1月10日の四役会では,出席した役員の間でCに対する不満が話題になり,Jも,上記p研究会への送金が返金されたことについて「回しの問題」という表現で採り上げてCを非難した。被告人は,それから1週間くらいの間のどこかで,5000万円の経由先としてD中央を使いたいと言ってきた。Jは,h党の公認候補で出る予定のCの後援会にb党のDの後援会から寄附をすることに違和感があったので,その旨を被告人に告げたが,被告人は,中央後援会は名前をかぶせてあるだけで候補個人とは関係がないと説明したので,被告人の提案に納得し,Fの承認を得るように言った。後日,Fからは,経由先については大変今回は苦労してきたけれども,被告人から提案があったように,D中央を使おうと言われた。そのため,Jも賛成した。被告人からも,振り込む数日前に,Fから承認を得たのでD中央へ5000万円振り込む旨伝えられた(J第6回43~52丁)。
イ J証言の信用性
(ア) J証言は,④ないし⑦の各資金移動だけでなく,平成24年11月27日にa連盟からp研究会に3000万円が振り込まれたがすぐに返金されてきたという機微にわたること(前記第2の6(3))を含めて,これらに関し理事長という会務の枢要の立場にあり,被告人から相談を受け,自らも関与する中で知り得たことを具体的に叙述するものである。とりわけ,被告人が5000万円の経由団体をおいおい考えなければならないと述べていたというくだりは,被告人が当初から5000万円ルールに抵触するためC中央に直接には寄附できない5000万円についてその経由先が悩ましいと発言していたこと(前記第2の6(1)ア)と時期的に整合しているし,そのような悩みの中で一旦p研究会に3000万円の送金を行ったが,C側が翻意して返金されてきたため,更なる工夫を求められた結果,D中央を経由することにしたという流れは,上記の各資金移動の趣旨,経緯を自然な脈絡の中で説明しており,実際,平成25年1月10日開催の四役会でJがCの言動に対して不満を述べ,それに被告人の立場や苦労を思いやる発言も交えていること(議事の反訳から明らか)の趣旨を解き明かす説明とも相まって,生々しさを伴う真実味の感じられるものである。
(イ) また,Gは,被告人から,平成25年1月23日の数日前の直近の被告人の執務日に,a連盟の政治活動運営会計からD中央へ5000万円,D中央からC中央へ5000万円,a連盟の政治活動運営会計からC中央へ5000万円の各資金移動をするよう一度に指示され,同日これを全部実行したと証言している(G第9回89~91丁)ところ,その信用性の詳細な吟味は後記(4)で行うが,上記各資金移動が被告人の主導であった点や資金移動の方法に関して,上記J証言と内容的に一致しており,相互に信用性を高め合う関係にある。
(ウ) 弁護人の主張について
他方,弁護人は,Jが平成25年の本件資金移動について,F及び被告人とともにa連盟執行部の中枢にいながら訴追されていないことから,その信用性の評価にあたっては,この点を十分に考慮すべきであると指摘する(弁論38~39頁)。しかし,Jは,a連盟が迂回寄附により量的規制違反をしたことを念頭に,自ら決定過程に加わった者であるとして責任を自認しており,本件が発覚して対外的な説明が求められるようになった時期と前後してf会の会長選挙を巡り被告人やFと対立するに至ったことがうかがわれることなども含めて考慮しても,その証言態度に回避的なところも被告人やFに責任を転嫁するそぶりも見られない。前記のとおり,Jの当公判廷における証言は,客観的事実関係やG証言との合致に加え,これらの部分とその前後の脈絡が自然であることなどによりその信用性が裏付けられているものであり,前記アに摘示した事柄に関する限り,その信用性を疑わせる事情は見出せない。
ウ そうすると,上記弁護人の指摘を踏まえても,前記J証言は信用できる。被告人は,Fと相談の上で,a連盟からC中央へ1億5000万円を寄附するため,うち5000万円については,一旦D中央に寄附した上で,これをC中央へ寄附することにしたことが認められる。
(3) 小括
以上(1)及び(2)に検討したところによれば,被告人は,平成25年のC選挙に向けた約1億5000万円の後援会活動資金をa連盟から拠出してC中央に確保するため,5000万円ルールの下,平成24年中及び平成25年中に分けることで直接寄附が可能な部分(現物給付分を含めて合計1億円)のほか,もう5000万円分は,まずa連盟からD中央に寄附した上,これをそのままC中央へと寄附することにより賄おうと計画し,⑤の資金移動と併せて平成25年1月23日に実行されたa連盟からD中央への⑥の資金移動及び同日実行されたD中央からC中央への⑦の資金移動は,被告人の上記計画に基づいて行われたものであったと認められる。
(4) 被告人の公判供述とG証言について
ところが,被告人は,a連盟からD中央へ5000万円を送金し,D中央からC選挙へ支出していくつもりで,平成25年1月23日にa連盟からC中央に5000万円,a連盟からD中央に5000万円を送金するよう口頭で指示をしたが,Gは,同人の思い込みで,更にD中央からC中央へ5000万円の送金も行った,被告人は後になってこれに気付いたが,いずれにせよ財源はa連盟であり,a連盟の管理下で使用するのであるから特段の問題はないと考え,そのままにした旨供述する。これに対し,Gは,D中央からC中央への5000万円の送金もまた被告人の指示に基づくものであると証言する。
したがって,被告人の上記供述を踏まえ,Gの証言の信用性を検討することとする。
ア G証言概要
(ア) 平成25年1月23日の数日前の直近の被告人の執務日に,被告人から,a連盟の政治活動運営会計からD中央へ5000万円,D中央からC中央へ5000万円,a連盟の政治活動運営会計からC中央へ5000万円の,⑤から⑦に当たる各資金移動の指示を受け,平成25年1月23日に実行した。特段,同じ日にやるよう言われることはなかったが,一度に指示されたので,そのまま一度に実行したと思う。被告人から,指示書をつくるよう指示をされることはなかった。同日か翌日頃,上記各資金移動に関するa連盟の出金伝票,C中央の入金伝票,D中央の出金伝票及び入金伝票を作成し,これら4枚の伝票と当該資金移動に係る銀行の通帳等のコピーだけをバインダーに挟んで,同月23日以降の直近の被告人の執務日に被告人の下に持参し,目の前で決裁を受けた。
(イ) 被告人からこれらの資金移動について何らの指摘も受けたことはない。(G第9回88~94丁)。D中央からC中央へ5000万円の振込の指示がされていないのに,間違って振込をしたということはない(G第9回93丁)。D中央へ入金した5000万円について,その後C中央に移動させるのではなく,D中央にとどめたままにしてそこから支出するという話も聞いたことはない(G第9回94丁)。
イ G証言の信用性
上記(ア)について,Gは,平成25年1月当時,a連盟の事務局において会計を担当していた事務員であり,平成17年から長年,副理事長としてa連盟の会計を取り仕切っていた被告人の指示に忠実に従う立場にあった。そのようなGが,被告人からの直接の指示で,合計1億円もの多額の資金移動を行った場合,その事務処理に間違いがなかったことを確認してもらうとともに,自身が間違いなく指示された事務を遂行したことを被告人に確認してもらうため,他の決裁に紛れることのないように速やかに決裁をもらうよう努力することは,前記第2の5(5)イ(エ)にも説示したとおり極めて自然で,年度末などで伝票決裁が輻輳していたかのように被告人がいうところを踏まえても,それだからこそ頻繁にあるわけではない高額な入出金についての決裁を個別に求める合理性があるともいえる。上記資金移動に係る伝票のいずれにも(特にC中央の⑤及び⑦の各資金移動に係る入金伝票)被告人の決裁印があること(前記第2の6(4)ウ)とも整合する。
また,何より,Gが被告人の指示しない5000万円もの大金の送金をそのミスによって実行してしまったというのであれば,そのことについて,被告人から事実確認も注意もなく,善後策を含め関係者間で話題に上ることもないということは常識的にみて考えられないことである。ところが,被告人自身,この送金についてGに事実確認をしたり注意をしたりしたことはなく,そのまま放置していたことを自認しているし,平成25年10月以降Gから業務を引き継いだKにおいても,Gがミスをしたという話を被告人から聞いたことはないというのである。ましてや,特に平成27年以降,平成25年の本件資金移動が強く問題視されるようになってからですら,D中央からC中央への資金移動はGのミスであって被告人の意図したところではないとの説明や弁明が一切なされていないことは,この送金が被告人の指示に基づくものであるとのGの証言を何より裏付けているというべきである。
よって,Gの証言は十分信用することができ,平成25年1月23日にGが行った各資金移動は,⑦の資金移動も含めて被告人の指示によるものであったと認められる。
ウ 被告人の公判供述について
被告人の公判供述については,懸案となっている中央後援会への高額な入出金の伝票を,各団体の会計実務を統括することを主たる任務とする立場で決裁していながら,⑥⑦の資金移動に気付かなかったという,それ自体にわかに真に受けることが困難な内容を含んでいる。それをおくとしても,上記イにおいても説示したとおり,Gのミスにより意図しない5000万円もの送金がされ,後になってそのことを把握したにもかかわらず,何らの行動も取らず放置していたということ自体常識的にみて考えられないことである上,その送金の当否が問題となり,様々な追及を受ける段階になってもなお,元々自己の意図したものではなく事務方の誤送金であるとの弁明が一言たりともされた形跡のないことは不可解極まりない。たとえば,平成27年2月5日開催の第19回f会・a連盟役員連絡協議会においては,f会の会長から「片っぽに入れて同じ日にこう移すってのは,いかにも不自然だっていうのは,感じてしまう。」という発言があったにもかかわらず,その後発言の機会のあった被告人から,上記のような弁解は一切されていないし,また,同月12日開催の第20回理事会においては,Jから「Dの中央後援会に5000万円が入って出ていって,C中央後援会に入るまでが,1日の間に済んでるということです。」との発言があったにもかかわらず,その直後に発言している被告人から,やはり上記のような弁明はされていないのである。このような被告人の言動は,被告人の公判における弁明が真実であるとすると説明がつかないものというほかない。
弁護人は,(ア)被告人が,p研究会への3000万円の資金移動は,支援者名簿のIT化費用や名簿協力へのお礼のはがき等の費用に充てるとともに,Cの事務所で作ったパンフレットの支払や総合戦略室長への特別手当に充てる予定であったと供述したこと(被告人第11回37丁,第12回60丁)からすれば,被告人が当初からC中央の口座へ資金をすべて移動させることを考えていたのではなかったことが認められるし,(イ)平成25年5月15日開催の監事会における被告人の発言を見れば,被告人の当公判廷における弁解が本件裁判になってから考え出されたものではないということが分かるとも主張する。
しかし,上記弁護人の主張(ア)に関しては,被告人の公判供述をもって被告人の公判供述の信用性を裏付けようとしている点をおくとしても,平成24年10月頃,被告人自身が,C中央へ直接に寄附できない5000万円をどのようにC中央へ動かすか,テクニックが悩ましいと述べていたこと(前記第2の6(1)ア)や,信用できる前記J証言と矛盾するものである。
また,弁護人の主張(イ)についてみると,被告人が本件裁判の前から,平成25年の資金移動についてa連盟内部の資金移動にすぎず適法であるとの見解を表明していたことは認められるが,それをもって直ちに被告人の本争点に関する供述が信用できることにはならない。かえって,弁護人が言及する平成25年5月15日開催の第1回監事会において,被告人は,かつて予定されていたNの選挙において,a連盟からC中央にあらかじめ資金を移動させて蓄えておき,C中央からN中央へと資金を移動させようとしていたのと同様の手法を平成25年のCの選挙でも用いたという趣旨の発言をしているのであり,この発言は,被告人の弁解と整合せず,むしろ,被告人がa連盟からD中央を経由してC中央へと資金を移動させる意図を有していたことをうかがわせるものである。
(5) その他の弁護人の主張について
弁護人は,平成25年参議院比例代表選挙におけるa連盟,D中央,C中央の間の各資金移動について,D中央及びC中央がa連盟とは別個独立の政治団体であるとしても,その運営実態や本件資金の性格,a連盟の選挙支援体制や会計システム等を総合して観察すれば,5000万円ルールに抵触するものではないとも主張する(弁論17,18頁)。
しかし,E,F及び被告人をはじめとするa連盟執行部において,政治団体を別にすることによって,それぞれの名の下での政治活動を行いやすくするとともに,会計も透明化するという方法を選択した以上,その法形式に対応した法的規制に従って資金移動を行うべき義務が措定されることは当然である。弁護人の主張は採用できない。
(6) この項のまとめ
以上の次第で,前記(3)に認定したところは揺らがず,平成25年1月23日のa連盟からD中央へ5000万円を振り込んだ⑥の資金移動及び同日のD中央からC中央へ同額を振り込んだ⑦の資金移動は,一体としてa連盟からC中央に対する寄附であると認められる。
そして,a連盟は,上記の寄附に加えて,同日C中央に対し5000万円を寄附(⑤の資金移動)していたところ,これを誤振込として同年3月15日戻入(⑧の資金移動)し,最終的に,改めて同日C中央に対し4500万円を寄附(⑨の資金移動)しており,これにより確定的に1年間の寄附の上限である5000万円を超える寄附を行ったものである。そして,上記3月15日の寄附は,被告人がGに指示して行ったことは証拠上争いなく認められる。
よって,被告人は,a連盟の役職員として政治資金規正法22条1項に反して上記4500万円の寄附を行ったと認められる。
2  収支報告書の記載について
平成25年分のa連盟の収支報告書には,⑥の資金移動に対応するものとして同年1月23日にD中央に対して5000万円の寄附をした旨の記載がある。また,同年分のC中央の収支報告書には,⑦の資金移動に対応するものとして,同年1月23日にD中央から5000万円,⑨の資金移動に対応するものとして,同年3月15日にa連盟から4500万円の寄附を受けた旨の各記載がある。しかしながら⑥及び⑦の資金移動については,その実態は,平成25年1月23日にa連盟からC中央に5000万円の寄附が行われ,C中央は同日a連盟から5000万円の寄附を受けたものである。これが⑥及び⑦の資金移動の形をとり,上記のように収支報告書に記載されたのは,a連盟・C中央間の平成25年中の寄附・受寄附が⑤の資金移動(後に⑧⑨の資金移動で修正)と合わせて5000万円を超え,量的規制に抵触するのを外形上回避しようとしたことに尽きる。したがって,前記第3の2と同様の理由から,各団体の会計責任者である被告人は,不記載又は虚偽記入の責めを免れない。
3  違法性の意識ないしその可能性について
(1) 弁護人は,平成25年参議院比例代表選挙に関しても,平成22年参議院比例代表選挙の際と同様,被告人はa連盟及びC中央の各収支報告書の記載は正しいと信じていたし,5000万円ルールに抵触しない形で資金移動を行っていたと思っていたのだから,被告人には違法性の意識を持つ可能性がなく,いずれの罪についても無罪であると主張する。
しかし,被告人は5000万円ルールの存在を明確に認識し,これを強く意識していたからこそ,これに抵触しないように見える外形を作出するため,様々な手法を試みるなどした結果,最終的に前記説示のとおり,D中央を経由して1年間にa連盟からC中央へ合計9500万円の寄附を行う一方,うち5000万円については,a連盟及びC中央の各収支報告書へは,D中央への寄附又はD中央からの受寄附という虚偽の記入等をしたものである。以上の経緯からすれば,被告人には当然に違法性の意識があったといえる。
(2) 弁護人は,被告人が理事会において平成22年及び平成25年の各資金移動について説明した際,同会には顧問弁護士が同席していたが,同人は何の発言もしなかったのであるから,被告人は,その弁護士の態度をもって法的に問題はないのだろうと理解していた,公認会計士による外部監査を通っていたことからも正当性は担保されていたとも主張する(弁論40,41,43頁)。しかし,そもそも,弁護士や公認会計士から指摘がなかったことをもって違法性の意識の可能性がなくなるというものではなく,主張自体失当である。また,被告人自身,平成27年2月5日開催の第19回f会・a連盟役員連絡協議会において,顧問弁護士の見解は「個々の政治団体間の個別の寄付行為は合法」というものであったことを述べているところ(甲167資料2の2丁),行為後の事情である上,本件においては,個々の政治団体間の個別の寄附行為を個別にみるのではなく,それを総体としてみた場合に違法性を帯びるかどうかが問題であるのだから,このような説明があり得ることによって被告人が違法性の意識を全く欠くに至ることが合理的に説明可能であるということもできない。
そもそも,被告人は,諸会議では,a連盟から他の政治団体を経由させて目的の中央後援会に寄附をすることについて,適法であると説明する一方,被告人又は出席者において,表では言えないとかここだけの話などという留保を付けた会話もしていた(例えば前記第2の6(1)ア参照)のであり,違法性の意識の存在は十分裏付けられている。
これを争う弁護人の主張は理由がない。
4  Fとの共謀について
Fは,平成22年のC選挙の際には理事長として出席した会議等を通じ①ないし③の資金移動に係る事情を知る立場にあったものであるが,平成25年のCの選挙に係る資金移動についても,その当時a連盟の会長という立場にあり,これについての被告人の各種会議等における説明を聞く中で,やはり何ら異論等を差し挟んだことがなかったものである。加えて,前記1(2)において判示したとおり,被告人は,平成25年のCの選挙に関してC中央に立てた1億5000万円の予算をa連盟からC中央に移動させるための方策として,うち5000万円をD中央を介して寄附することについて,Fの了解を得ていたと認められる。したがって,Fは,遅くともその時点において,5000万円ルールへの抵触を外形的に回避するためこのような迂回寄附を行うこと,その結果,収支報告書の記載もその外形に即して行われ,実態を反映しないものとなることを了解し,被告人との間でその旨の意思連絡を成立させたというべきである。
K証言によれば,a連盟及びC中央の各収支報告書について,Fは被告人がチェックしているのであれば自分は直接見なくても構わないとKに伝えており,被告人が収支報告書に上記第2の6(6)のとおりの記載をして提出することについても了承していたと認められることも指摘できる。
したがって,被告人とFとの間には,判示罪となるべき事実第2の各行為についての共謀が認められる。
5  結論
以上より,被告人には,公訴事実第2と同旨の,罪となるべき事実第2記載の各犯罪の成立が認められる。
第5  結語
以上の次第で,前掲各証拠により罪となるべき事実記載の各罪を疑いなく認定できるものと判断した。
(法令の適用)
罰条
判示第1の1及び2並びに第2の3及び4の各所為
不記載の点 政治資金規正法25条1項2号,12条1項,刑法60条
虚偽記入の点 政治資金規正法25条1項3号,12条1項,刑法60条
判示第2の1の所為 政治資金規正法26条1号,22条1項,刑法60条
判示第2の2の所為 政治資金規正法26条3号,22条の2,22条1項,刑法60条
科刑上一罪の処理
判示第1の1及び2並びに判示第2の3及び4について 刑法54条1項前段,10条(それぞれ1個の行為が2個の罪名に触れるため,1罪としていずれも犯情の重い虚偽記入の罪の刑で処断)
刑種の選択 いずれも禁錮刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第2の3の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
本件は,政治団体であるa連盟において副理事長として会計責任者を務めていた被告人が,同団体の最高幹部であるその当時の会長とも意思を通じ,参議院比例代表選挙に際して同団体が支援又は擁立する候補者に係る後援会活動のために設立する政治団体(中央後援会)に対し,政治資金に関する量的規制である5000万円ルールを超えて選挙に向けた活動資金の寄附を行うため,一部を他の政治団体を迂回させる形式をとることにより,a連盟と中央後援会との間で,外形上は上記ルールへの抵触を回避しながら,その実はこれを超えた寄附・受寄附を行い,各団体の収支報告書には上記実態の記載はしないで見せかけの外形に基づく虚偽の記入をした,という事案である。そして,被告人は,a連盟と平成25年の比例代表選挙候補者に係る中央後援会の各会計責任者の立場で,両団体の間の同年中の寄附・受寄附の量的制限違反(判示第2の1,2),同年分の両団体の収支報告書の不記載及び虚偽記入(同3,4)を行ったほか,a連盟の会計責任者かつ平成22年の比例代表選挙候補者の中央後援会の会計責任者補佐として,同年分のa連盟及び同中央後援会の各収支報告書の不記載及び虚偽記入(判示第1)も行った。
5000万円ルールは,まさにa連盟の過去の不祥事に端を発する政治資金規正法の改正により設けられたものである。それにもかかわらず,当のa連盟が,選挙に多額の資金を投入するという従来からの姿勢は改めないまま,そのような選挙活動実現のための巨額の資金移動を優先して,新法施行後ほどない平成19年参議院比例代表選挙に向けた後援会への資金移動を皮切りに,5000万円ルールを潜脱する意図の下に他団体を迂回させるという手口で同種行為を行うようになった。そして,その時々の政治状況に左右されるため選挙に向けた態勢作りの過程は一様ではないが,同様の発想の下に組織的かつ巧妙な手段で迂回寄附を行い,その当然の帰結として本件各犯行が敢行されている。量的規制違反の点は,法改正の趣旨をないがしろにするところが甚だしいし,それをカモフラージュするための迂回寄附に基づき,収支報告書の不記載・虚偽記入を行った点も,政治資金の収支をガラス張りにすることで政治活動の公明と公正を確保しようとする法の趣旨を軽視したものであることが明らかである。他方,本件では,政治団体として会員から集めた会費を団体の目的実現のため支援する候補者の選挙に向けた活動に投じようとした,という資金の性質や使途自体に後ろ暗いところがないことは指摘できる。しかし,その点を踏まえても,上述の各違法は到底看過できるものではなく,なお法的に厳しい非難を免れない。
被告人は,会計を中心としたa連盟の改革の中で,平成16年頃からa連盟の副理事長として同団体の会計業務の一切を任され,より一層の法令遵守に務めるべき立場にあったにもかかわらず,この問題では形式を取り繕うことを法令遵守とはき違え,上記ルール潜脱の方策をあれこれ検討し,その時々の会長らの意向も踏まえつつ具体的な手口の検討や資金移動に奔走し,実務の中心を担ったのであって,本件各犯行につき被告人の果たした役割は非常に大きい。
そうすると,被告人の刑責は重く,本件は禁錮刑を選択すべき事案である。
一方で,本件は被告人個人の利益のために犯されたものではないことや,被告人に前科がなく,歯科医師として長年勤続してきたものであることなどは,被告人のために斟酌すべき事情であるといえる。
以上諸事情を考慮の上,刑期を主文のとおり定めた上で,執行猶予を付すこととした。
(求刑:禁錮2年6月)
平成30年1月30日
東京地方裁判所刑事第8部
(裁判長裁判官 前田巌 裁判官 熊代雅音 裁判官 岸田朋美)

 

〈以下省略〉


「選挙 立候補」に関する裁判例一覧
(1)令和元年10月 8日  神戸地裁  平29(ワ)1051号 損害賠償請求事件
(2)令和元年 9月 6日  大阪地裁  令元(わ)2059号 公職選挙法違反被告事件
(3)令和元年 6月25日  東京地裁  平26(行ウ)615号 損害賠償等請求事件
(4)令和元年 5月24日  東京地裁  平28(ワ)17007号 選挙供託金制度違憲国家賠償請求事件
(5)平成31年 4月26日  大阪高裁  平30(行ケ)1号 裁決取消請求事件
(6)平成31年 4月25日  東京高裁  平30(ネ)4794号 総会決議無効確認等請求控訴事件
(7)平成31年 4月12日  大阪地裁  平29(ワ)7325号 賃金等請求事件
(8)平成31年 4月 9日  甲府地裁  平27(行ウ)6号 違法公金支出金返還等請求事件
(9)平成31年 3月20日  水戸地裁 平29(わ)655号
(10)平成31年 3月 7日  知財高裁  平30(行ケ)10141号 審決取消請求事件
(11)平成31年 3月 5日  東京高裁  平30(う)1422号 政治資金規正法違反被告事件
(12)平成31年 3月 5日  東京地裁  平29(ワ)18277号 謝罪広告等請求事件
(13)平成31年 1月17日  盛岡地裁  平30(行ウ)8号 旧庁舎解体等公金支出等差止請求事件
(14)平成31年 1月15日  名古屋地裁  平28(ワ)3178号・平28(ワ)3179号 損害賠償請求事件
(15)平成30年11月29日  東京地裁  平29(行ウ)149号・平29(行ウ)375号 不当労働行為再審査申立棄却命令取消事件
(16)平成30年11月22日  東京地裁  平30(ワ)16336号 損害賠償等請求事件
(17)平成30年11月22日  東京地裁  平28(ワ)31683号 損害賠償請求事件
(18)平成30年10月31日  東京地裁  平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件
(19)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(20)平成30年10月11日  東京高裁  平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件
(21)平成30年10月 5日  東京地裁  平27(ワ)36817号・平28(ワ)18096号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件
(22)平成30年10月 4日  東京地裁  平27(ワ)2650号 代表権不存在確認等請求事件
(23)平成30年 9月28日  東京地裁  平26(ワ)10773号・平29(ワ)3602号 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(24)平成30年 9月28日  東京地裁  平28(ワ)23496号 損害賠償請求事件
(25)平成30年 9月27日  大阪高裁  平29(行コ)173号 高等学校等就学支援金支給校指定義務付等請求控訴事件
(26)平成30年 9月27日  東京地裁  平28(ワ)36676号 総会決議無効確認等請求事件
(27)平成30年 9月19日  東京高裁  平30(ネ)2451号 社員総会決議不存在確認等,代議員選挙無効確認等請求控訴事件
(28)平成30年 8月30日  東京高裁  平30(行コ)111号 労働委員会救済命令取消請求控訴事件
(29)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(30)平成30年 7月25日  東京高裁  平30(行ケ)8号 裁決取消請求事件
(31)平成30年 7月20日  福岡地裁久留米支部  平28(ワ)69号 損害賠償請求事件
(32)平成30年 6月27日  東京地裁  平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件
(33)平成30年 5月24日  東京高裁  平30(行ケ)4号 選挙無効及び当選無効請求事件
(34)平成30年 4月25日  東京地裁  平28(ワ)31号・平28(ワ)37044号・平28(ワ)37820号 証書真否確認、立替金等返還債務不存在確認等請求事件、立替金返還請求反訴事件、立替金請求反訴事件
(35)平成30年 4月20日  高松高裁  平29(行コ)21号 権利変換計画不認可処分取消等請求控訴事件
(36)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(37)平成30年 3月30日  東京地裁  平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(38)平成30年 3月26日  東京地裁  平28(ワ)31536号・平28(ワ)44146号 社員総会決議不存在確認等請求事件、代議員選挙無効確認等請求事件
(39)平成30年 3月19日  東京地裁  平28(ワ)1085号 損害賠償等請求事件
(40)平成30年 3月13日  東京高裁  平29(う)1154号 公職選挙法違反被告事件
(41)平成30年 3月 8日  東京地裁  平29(ワ)30031号 損害賠償及び慰謝料請求事件
(42)平成30年 2月21日  東京地裁  平28(行ウ)6号 労働委員会救済命令取消請求事件
(43)平成30年 2月13日  東京地裁  平29(行ウ)45号 非常勤職員報酬返還請求事件
(44)平成30年 2月 6日  東京高裁  平29(行ケ)35号
(45)平成30年 2月 6日  東京地裁  平27(ワ)35223号 仮払金精算請求事件
(46)平成30年 1月22日  東京地裁  平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(47)平成30年 1月18日  東京高裁  平29(行ケ)27号・平29(行ケ)28号 裁決取消請求事件
(48)平成29年12月21日  東京地裁  平29(ワ)24097号 損害賠償等請求事件
(49)平成29年12月19日  最高裁第三小法廷  平29(行フ)3号 執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
(50)平成29年12月19日  千葉地裁  平28(行ウ)5号 農業委員会会長解任無効確認請求事件
(51)平成29年12月15日  福岡地裁  平26(わ)1284号・平27(わ)231号・平27(わ)918号 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
(52)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(53)平成29年11月16日  東京地裁  平28(ワ)6761号 懲戒処分無効確認等請求事件
(54)平成29年11月 2日  東京地裁  平28(ワ)32978号 損害賠償請求事件
(55)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(56)平成29年10月11日  東京高裁  平28(ネ)5794号 理事長及び理事の地位確認等請求控訴事件
(57)平成29年10月11日  東京地裁  平28(ワ)38184号 損害賠償請求事件
(58)平成29年10月11日  神戸地裁  平28(行ウ)49号 退職手当金不支給処分取消請求事件
(59)平成29年10月 2日  東京地裁  平29(ワ)21232号 発信者情報開示請求事件
(60)平成29年 9月28日  東京地裁  平26(行ウ)229号 難民不認定処分取消請求事件
(61)平成29年 9月26日  東京地裁  平28(ワ)18742号 損害賠償請求事件
(62)平成29年 9月25日  東京地裁  平27(行ウ)331号・平28(行ウ)526号 観察処分期間更新決定取消請求事件、訴えの追加的変更申立て事件
(63)平成29年 9月25日  東京地裁  平27(行ウ)444号 観察処分期間更新処分取消請求事件
(64)平成29年 9月20日  徳島地裁  平28(行ウ)9号 権利変換計画不認可処分取消等請求事件
(65)平成29年 9月 8日  東京地裁  平28(行ウ)117号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(66)平成29年 9月 1日  青森地裁  平29(わ)55号・平29(わ)67号・平29(わ)71号 公職選挙法違反被告事件
(67)平成29年 8月25日  東京地裁  平27(行ウ)732号 難民不認定処分等取消請求事件
(68)平成29年 8月25日  青森地裁  平28(ワ)143号 損害賠償請求事件
(69)平成29年 7月25日  青森地裁  平29(わ)48号・平29(わ)56号・平29(わ)66号・平29(わ)70号 公職選挙法違反被告事件
(70)平成29年 7月24日  東京地裁  平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(71)平成29年 7月12日  広島高裁松江支部  平28(行コ)4号 市庁舎建築に関する公金支出等差止請求控訴事件
(72)平成29年 6月27日  東京地裁  平28(ワ)26217号 損害賠償請求事件
(73)平成29年 5月22日  東京地裁  平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(74)平成29年 5月18日  東京高裁  平28(う)1194号 公職選挙法違反被告事件
(75)平成29年 5月 9日  東京地裁  平28(ワ)36100号 決議無効確認請求事件
(76)平成29年 4月13日  東京地裁  平27(行ウ)480号 退去強制令書発付処分等取消請求事件
(77)平成29年 4月11日  東京地裁  平26(ワ)10342号 損害賠償請求事件
(78)平成29年 4月 7日  東京地裁  平26(ワ)27864号 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件
(79)平成29年 3月29日  東京地裁  平28(ワ)4513号・平28(ワ)28465号 マンション管理組合法人総会決議無効確認請求事件、反訴請求事件
(80)平成29年 3月28日  東京地裁  平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(81)平成29年 3月28日  仙台地裁  平28(ワ)254号 損害賠償請求事件
(82)平成29年 3月24日  東京地裁  平26(ワ)30381号 損害賠償請求事件
(83)平成29年 3月15日  東京地裁  平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(84)平成29年 3月 8日  東京地裁  平26(行ウ)300号 地位確認等請求事件
(85)平成29年 2月 9日  静岡地裁  平28(ワ)409号 損害賠償請求事件
(86)平成29年 2月 2日  東京地裁  平26(ワ)25493号・平27(ワ)20403号 株式代金等請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(87)平成29年 2月 1日  仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(88)平成29年 1月31日  大阪高裁  平28(ネ)1109号 損害賠償等請求控訴事件
(89)平成29年 1月31日  高松高裁  平28(行コ)23号 資格決定処分取消請求控訴事件
(90)平成29年 1月31日  東京地裁  平27(行ウ)360号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(91)平成29年 1月31日  神戸地裁豊岡支部  平28(わ)63号
(92)平成29年 1月17日  静岡地裁  平28(わ)407号 公職選挙法違反被告事件
(93)平成28年11月28日  名古屋高裁  平27(う)131号 受託収賄、事前収賄、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件
(94)平成28年11月21日  東京地裁立川支部  平27(ワ)2775号 理事長及び理事の地位確認等請求事件
(95)平成28年11月18日  東京地裁  平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件
(96)平成28年11月16日  大阪高裁  平27(ネ)3176号 損害賠償請求控訴事件
(97)平成28年11月15日  東京高裁  平28(行ケ)16号 選挙無効請求事件
(98)平成28年11月10日  東京高裁  平28(行ケ)17号 選挙無効請求事件
(99)平成28年11月 9日  東京地裁  平27(ワ)1724号 損害賠償等請求事件
(100)平成28年10月31日  東京地裁  平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


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