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「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(78)平成29年 4月 7日  東京地裁  平26(ワ)27864号 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件

「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(78)平成29年 4月 7日  東京地裁  平26(ワ)27864号 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件

裁判年月日  平成29年 4月 7日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)27864号
事件名  土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA04078003

要旨
◆亡Fの遺言により本件土地1ないし本件土地4に係る亡Fの各持分及び本件建物の遺贈を受けたとする原告X1及び原告X2が、本件売買契約により亡Fから同各持分全部移転登記及び本件建物所有権移転登記を受けた被告FL社に対し、同各登記及びこれらに係る仮登記の抹消登記手続を求めるとともに、本件建物のうち賃貸に供されている部分に係る賃料につき、一部請求として不当利得の返還を求め、また、被告FL社の同各持分及び所有権に根抵当権設定仮登記を有する被告BA社に対し、同各抹消登記手続に係る承諾を求め、また、本件土地4につき被告FL社からの所有権移転登記を有する被告都に対し、更正登記手続を求めた事案において、亡Fはその子に本件売買契約書の署名押印を代行させたものと認められるから、同契約書は真正に成立したとして、本件売買契約の成立を認める一方、同売買契約の締結時に亡Fが意思無能力であり、また、同売買契約が暴利行為に当たり公序良俗に反するとの原告らの各主張を排斥して、請求を棄却した事例

参照条文
民法1条3項
民法90条
民法94条2項
民法555条
民法703条
民法1023条2項
民事訴訟法228条

裁判年月日  平成29年 4月 7日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)27864号
事件名  土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA04078003

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

1  原告らの各請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求の趣旨
1  被告株式会社FLEXは,原告らに対し,別紙物件目録記載1(1)から(4)までの各土地につき,別紙登記目録記載1の条件付F持分全部移転仮登記及び東京法務局港出張所平成23年11月28日受付第28627号のF持分全部移転登記の,別紙物件目録記載3の建物につき,別紙登記目録記載2の条件付所有権移転仮登記及び東京法務局港出張所平成23年11月28日受付第28629号の所有権移転登記の各抹消登記手続をせよ。
2  被告株式会社BANKSは,原告らに対し,被告株式会社FLEXがする第1項記載の各抹消登記手続を承諾せよ。
3  被告株式会社FLEXは,原告らに対し,それぞれ,1000万円及びこれに対する平成26年11月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告東京都は,原告らに対し,別紙物件目録記載1(4)の土地につき,東京法務局港出張所平成26年8月11日受付第25067号の共有者全員持分移転登記を,被告東京都の持分1万分の7913とする,株式会社FLEX持分一部(順位5位で登記した持分),G,H,I,J,K持分全部移転登記に更正登記手続をせよ。
第2  事案の概要
別紙物件目録記載1(1)ないし(4)の各土地(以下,別紙物件目録記載1(1)の土地を「本件土地(1)」,同記載1(2)の土地を「本件土地(2)」,同記載1(3)の土地を「本件土地(3)」,同記載1(4)の土地を「本件土地(4)」といい,これらを併せて「本件土地」という。)については,別紙物件目録記載2(1)ないし(4)のとおり亡F(以下「亡F」という。)が持分を有していた(以下,同目録記載2(1)ないし(4)の亡Fの持分を「本件土地F持分」という。)。L(以下「L」という。)は,本件土地につき,1万分の267の持分を有していた(以下,このLの持分を「本件土地L持分」という。)。別紙物件目録記載3の建物(以下「本件建物」といい,本件土地F持分と併せて「本件不動産」という。また,本件不動産と本件土地L持分とを併せて「本件不動産等」という。)は,亡Fの所有であった。
本件は,亡Fの遺言により本件不動産につき遺贈を受けたとする原告らが,亡Fから本件土地F持分全部移転登記及び本件建物所有権移転登記を受けた被告株式会社FLEX(以下「被告FLEX」という。)に対し,共有持分権及び所有権に基づく妨害排除請求権により上記各登記及びこれらに係る仮登記の抹消登記手続を求めるとともに,本件建物のうち賃貸に供されている部分に係る賃料につき,不当利得返還請求権に基づきその一部として各1000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成26年11月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,被告FLEXの上記持分及び所有権に根抵当権設定仮登記を有する被告株式会社BANKS(平成27年7月27日の商号変更前の商号は全日綜合企画株式会社。以下,商号変更の前後を通じて「被告BANKS」という。)に対し,共有持分権及び所有権に基づく妨害排除請求権により被告FLEXに係る上記各抹消登記手続に対する承諾を求め,被告FLEXから本件土地(4)の土地につき所有権移転登記を有する被告東京都に対し,共有持分権に基づく妨害排除請求権により更正登記手続を,それぞれ求める事案である。
1  前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)
(1)  当事者等
ア 亡Fは,大正13年○月○日生まれで,平成23年5月当時,訴外c株式会社(以下「c社」という。)の代表取締役であったが,平成26年1月17日に死亡した(死亡時89歳)。Lは,亡FとM(平成16年6月22日死亡。以下「亡M」という。)との間の子であり,A(以下「A」という。)と婚姻し,原告らをもうけた。LとAは,平成25年7月13日,裁判離婚し,同日,原告らの親権者はAと定められた。
亡Fの第1順位の法定相続人はLのみであったが,Lは,平成28年11月2日,相続放棄をした。
亡Fは,亡Mの後妻であり,亡Mの子は,Lのほか,I,N,G及びHの4名であった。
(甲41の25,41の52の1,乙35)
イ c社は,本件建物(aビル)の賃貸管理を行うことを目的とする会社であり,亡Fは,平成20年11月に脳梗塞を患うまでは本件建物のテナントの募集・管理業務を行っていた。亡Fは,少なくとも平成23年5月当時,c社の代表取締役であった。
ウ 被告FLEXは,賃貸ビルの保有・運営,不動産の売買等を目的とする株式会社である。
被告BANKSは,不動産の売買等を目的とする株式会社である。
(2)  事実経過等
ア 亡Fは,平成22年9月24日当時,本件土地につき持分1万分の2087を有する共有持分権者であり,本件建物の所有者であった。
Lは,同日当時,本件土地につき持分1万分の267を有する共有持分権者であった。
本件土地(4)は,平成26年8月7日に,分筆前の港区○○b丁目173番7(70.24平方メートル)の土地(以下「分筆前173番7の土地」という。)から分筆された。
(甲1の1~5)
イ 亡Fは,平成22年9月24日,原告らに対し,本件不動産,本件建物に係る賃貸人たる地位並びに亡Fが代表取締役を務めていたc社の株式5700株をそれぞれ2分の1ずつ遺贈することなどを秘密証書によって遺言(以下「本件遺言」といい,原告らに対する遺贈部分を「本件遺贈」という。)した。
(甲35)
ウ 本件不動産については,平成23年4月28日付けで,亡F及びLが,被告FLEXに対して,本件不動産等(本件建物に係る亡Fの所有権並びに本件土地F持分(1万分の2087)及び本件土地L持分(1万分の267))を代金合計2億円で売却する旨の売買契約書(乙1。以下,「本件売買契約書」といい,亡Fに係る売買契約部分を「本件F売買契約」,Lに係る売買契約部分を「本件L売買契約」,両者を併せて「本件売買契約」という。)がある。本件売買契約書には,Lの署名及び押印並びに「F」との署名及び「F」との印影がある(ただし,上記「F」が亡Fの自署によるものか,「F」名下の印影が亡Fの印章によって顕出されたといえるかについては争いがある。)。
(乙1)
エ 本件土地F持分及び本件土地L持分につき,平成23年5月26日売買を原因とし,同日,別紙登記目録記載1のとおり,被告FLEXへの条件付亡F持分全部移転仮登記及び条件付L持分全部移転仮登記がされ,同年11月28日,被告FLEXへの亡F持分全部移転登記及びL持分全部移転登記がされている。本件建物については,同年5月26日,別紙登記目録記載2のとおり,被告FLEXを権利者とする条件付所有権移転仮登記がされ,同年11月28日,被告FLEXへの所有権移転登記がされている(以下,本件土地及び本件建物に係る上記各仮登記を併せて「本件仮登記」といい,上記各移転登記を併せて「本件本登記」という。)。
(甲1の1~5)
オ 被告FLEXは,平成24年7月19日,被告BANKSとの間で,本件建物並びに本件土地(1),本件土地(2)及び分筆前173番7の土地の各持分権につき,極度額を5億円,債権の範囲を金銭消費貸借取引,手形債権及び小切手債権,債務者を被告FLEX,権利者を被告BANKSとする根抵当権設定契約を締結し,本件建物につき上記の内容の根抵当権設定仮登記が,本件土地(1),(2)及び分筆前173番7の土地に上記内容の被告FLEX持分根抵当権設定仮登記がされた。
(甲1の1~4)
カ 亡Fについては,平成25年6月19日,後見開始の審判が確定し,Aが成年後見人に選任された。
(甲36)
キ 被告FLEX及び分筆前173番7の土地の共有持分権者らは,被告東京都に対し,平成26年7月22日,分筆前173番7の土地から本件土地(4)に相当する部分の土地を売却した。被告東京都は,本件土地(4)に相当する部分の土地を,東京都市計画道路事業補助線街路第4号(道路拡幅事業)の事業用地として取得した。
被告東京都は,分筆前173番7の土地から本件土地(4)を分筆し,平成26年8月11日,本件土地(4)につき共有者全員持分全部移転登記を経由した。
本件土地(4)に係る上記オの被告FLEX持分根抵当権設定仮登記は,同年8月7日,抹消された。
(甲1の4)
2  争点
(1)  本件F売買契約の成否(抗弁1)
(2)  本件F売買契約締結時における亡Fの意思能力の有無(抗弁1に対する再抗弁1)
(3)  本件売買契約は公序良俗に反するか(抗弁1に対する再抗弁2)
(4)  本件遺言時における亡Fの意思能力の有無(抗弁2)
(5)  被告東京都との関係で民法94条2項類推適用の可否(再抗弁1を前提とする予備的抗弁)
(6)  被告東京都に対する請求は権利濫用か(再抗弁1に対する再々抗弁)
(7)  被告FLEXの不当利得の有無
3  争点に対する当事者の主張
(1)  本件F売買契約の成否(抗弁1)
【被告らの主張】
ア 亡Fは,平成23年5月26日,被告FLEXに対し,本件不動産を売った(本件F売買契約。ただし,代金額は,本件土地L持分と合わせて2億円とされた。)。
本件F売買契約は,本件遺贈の目的物とされた本件不動産を亡Fが被告FLEXに売却するというもので,本件遺贈と矛盾する法律行為であるから,本件F売買契約により,本件遺贈の撤回が擬制され(民法1023条2項),原告らが本件不動産を本件遺贈によって取得することはできないものである。
本件売買契約書(乙1)は平成23年4月28日付けとされているが,これは,Lと中部環境開発株式会社(以下「中部環境開発」という。)が同日付けで本件不動産等に係る売買契約を締結していたところ,被告FLEXは中部環境開発から売主としての権利を買い取ったとの認識であったため,本件売買契約書の作成日付を中部環境開発との間の売買契約書の日付に合わせたことによるものである。
イ 原告らは,本件F売買契約の成立を争っているが,本件売買契約書の亡F作成名義に係る部分は亡Fの意思に基づいて作成されたものであるから,本件F売買契約は真正に成立している。
(ア) 本件売買契約書は処分証書であるところ,本件売買契約書には亡Fの署名があり,本件売買契約書の亡F名下の印影は亡Fの実印によって顕出されている。そして,本件売買契約書の真正な成立の推定を覆すべき特段の事情は存在しない以上,本件売買契約書の亡F作成名義に係る部分は亡Fの意思に基づいて作成されたものと解さざるを得ない。
本件売買契約書中の亡Fの署名押印部分は,亡F自身が行ったものであるが,仮に原告らの主張のように,Lが行ったものであったとしても,その場に同席していた亡Fの承諾に基づく署名及び押印の代行と評価でき,亡Fの意思に基づく署名押印であることに変わりはない。
(イ) 亡F及びLは,亡F宅において,本件売買契約の成立を前提として,平成23年5月26日に手付金1000万円を受領してその領収証(乙2)に署名押印し,その後も多数の領収書,清算合意書,確認書等の書面に署名押印しているものであり,亡Fは契約締結後約1年6ヶ月以上の間,本件F売買契約の成立を前提として,その売買代金の中間金,清算金等の名下で多額の金員を受領し続けていた。
(ウ) 以上によれば,亡Fと被告FLEXとの間において本件F売買契約が真正に成立したものである。
【原告らの主張】
ア 亡Fは,本件売買契約書に署名,押印をしておらず,本件売買契約は不成立である。
イ 中部環境開発の担当者であるO(以下「O」という。)及びP(以下「P」という。)は,平成23年3月31日,Lに対し,返済期日を同年4月4日として150万円を貸付け(その資金は被告FLEXが出しているものである。),Lが上記150万円の返済ができなかったことから,同年4月28日,その返済を執拗に迫って長時間多数人で囲み,Lをして,その意に反して10億円前後の価値がある本件不動産等を2億円で売却する旨の売買契約書(甲18)に署名押印をさせた。
そして,中部環境開発は,Lのみならず亡Fの署名をした売買契約書の作成を企て,同年5月26日,判断能力のない亡Fを同席させ,Lを脅しながら,上記売買契約書と同じ書式の本件売買契約書(乙1)を上記売買契約書の作成日付で作成させようとした。この時,本件売買契約書の買主欄及び媒介業者欄は空欄であり,被告FLEXの担当者及び司法書士は同席していなかった。亡Fは,本件売買契約書の住所欄を記入したが署名はしなかったところ,O及びPは,Lをして何回も亡Fの署名の練習をさせた上で亡F名義の署名をさせたものである。その後,被告FLEXは,買主欄に被告FLEXの記名押印をし,媒介業者の記名押印をしたものである。
被告らは,Lが亡Fから授与された権限に基づいて上記署名及び押印を代行したものとの主張もするが,亡Fはそのような権限を付与していないし,付与できる意思能力もなかったものである。亡FがLに正当な権限を与えていたのであれば,亡Fに秘して実印を偽造する必要はなく,Lに亡Fの署名を何度も練習させる必要はない。
ウ 本件売買契約書に押印された亡Fの印章は,平成23年5月18日にLが改印手続をした印章であるところ,同改印手続はO及びPに脅されたLが同人らの指示を受けて亡Fの委任状を偽造して行われたものであって,上記印章が亡Fの固有の印章であるとはいえず,本件売買契約書の亡F作成名義に係る部分の成立の真正は推定されない。
そして,同月26日の登記申請時には,印鑑登録証明書は添付されず,後日追完されており,同日時点において本人確認及び意思確認の重要な要素である印鑑登録証明書がなかったにもかかわらず,本件F売買契約及び登記手続が行われているものである。
エ 以上によれば,本件F売買契約について,亡Fに本件不動産を売却する旨の意思表示はなく,本件F売買契約は不成立である。
(2)  本件F売買契約締結時における亡Fの意思能力の有無(抗弁1に対する再抗弁1)
【原告らの主張】
ア 亡Fは,本件F売買契約締結当時,認知症を患っており,財産の管理処分能力を喪失していた意思無能力の状態にあったことから,本件F売買契約は無効である。
イ 本件の法律行為の内容,それに要求される能力の程度
本件F売買契約は,億単位の高額の不動産売買であり,日常の金銭管理などとは異なり,売却するか否か,売却のタイミング,売却価格,売却の際の条件,事後の生活等々,長期的視野に立った高度な判断能力が要求されるものである。
ウ 精神科専門医が診断した亡Fの症状
本件F売買契約直前の平成23年4月,東京都済生会中央病院(以下「済生会病院」という。)の精神科専門医であるQ医師(以下「Q医師」という。)は,亡Fについて,問診,改訂長谷川式知能評価スケール検査,MRI検査などを総合的に判断して,「自己の財産を管理・処分することができない(後見相当)」との診断をした(甲3,26・12頁)。
Q医師は,平成23年4月の初診後,2年以上にわたり亡Fの治療に当たっており,亡Fに対し,当初より,中等度・高度の認知症に対してその進行抑制のための薬であるメマリーを処方していた。
また,亡Fは,平成23年7月に神経心理学的検査を受けている。同検査は,認知症などの重症度の的確な把握などを目的として,知能機能や記憶機能などについていくつかの検査を組み合わせて行う検査であり,改訂長谷川式知能評価スケール検査に加え,認知症の検査に世界的に広く用いられているミニメンタルステート検査(MMSE),レーブン色彩マトリックス(非言語性知的機能検査),構成能力検査なども用いて行うものである。同検査によれば,改訂長谷川式知能評価スケール検査は11点,MMSEは11点であり,亡Fについて,「記憶力の低下,注意機能の低下は重篤で,構成能力の低下,語想起流暢性の低下,非言語性知能機能低下もうかがわれ,重要な事柄の判断には支障がある。」とされた(甲26・19頁)。
エ 介護記録等について
亡Fは平成22年の暮れから平成23年の初め頃にかけて認知症の症状が悪化し,日常生活に支障を来すようになった。
平成22年4月から12月頃,亡Fは,日常的な買い物については,自分で何とか行なっていたものの(甲63の10・9頁),平成23年2月頃には,Aが亡F宅を訪問して買い物を行わなければならない状態となり,同月16日以降はヘルパーに買い物の同行を依頼することとなった(甲63の6・16頁)。
また,亡Fの介護保険診断医である中村クリニックの医師は,平成23年5月13日,診察の結果として,「脳梗塞後遺症にて記銘力低下,認知などあり」「短期記憶:問題あり」「日常の意思決定を行うための認知能力:いくらか困難」「自分の意思の伝達能力:いくらか困難」との意見であった(甲14の1)。
さらに,亡Fの担当ケアマネージャーは,平成23年6月22日,認定調査票に,当時の亡Fの様子として,直前のことや季節を答えられない,金銭の管理について「全介助」,日常の意思決定について特別な場合を除いてできる旨記載するなど(甲14の2),亡Fの認知症の症状は,日常的な金銭管理なども難しいほどであった。
加えて,ヘルパーのメモには,平成23年6月及び7月頃,ヘルパーが部屋の片づけをしている際に亡Fが物を引っ張りだした旨,使用済みの紙パンツを箪笥の中にしまっていた旨の記載があり(甲64の3・2頁),亡Fは,日常生活における判断能力を喪失していたものである。
オ 亡Fは本件建物を守ろうとしており,売却する動機がなかったこと
亡Fは,亡Mから本件建物を守るように言われ,本件建物を守ることを常々口にしており,認知症になった後も同様であった。
亡Fは,平成22年9月24日,Lの遊興,浪費を心配し,亡Mの残した財産を守るため,孫である原告らに本件遺贈をする内容の本件遺言をしており,Lのために本件不動産を売却する動機はない。
カ 本件売買契約の異常性・不合理性
(ア) 本件売買契約書作成前の経緯の異常性
被告FLEXは,中部環境開発から買主の地位を承継した旨主張するが,不動産業者でない個人との間の不動産取引において1000万円での地位の承継というのは異例である。
中部環境開発は,Lとの間で,平成23年4月28日付で,本件不動産等に係る売買契約書(甲18)を作成しているが,これは,中部環境開発が,同年3月31日,平成21年頃からうつ病の治療を受けており,通常の精神状態ではなかったLに対し,返済日を同年4月4日として150万円を貸し付け(実質は被告FLEXが出捐している。),弁済期経過後に多数の人間でLを長時間取り囲んで執拗に返済を迫り,Lの意に反して作成させたものである。これらは,被告FLEXによって仕組まれたものである。そして,被告FLEXは,中部環境開発に対して1000万円を支払ったとするが,売却価格2億円に対する仲介手数料は3%(プラス6万円)の600万円であって,紹介料として1000万円を支払う理由はない。
さらに,上記争点(1)において主張したとおり,本件売買契約書に押印された亡Fの実印は,直前に改印手続を経て偽造されたものであった。
(イ) 不動産仲介業者への依頼,不動産価格査定がないこと
仮に亡FがLの生活資金等を捻出するために本件不動産を売却しようとしたのであれば,少しでも高額で売却するために不動産業者に仲介を依頼する又は本件不動産の適正な時価を調査した上で売買代金の交渉に当たるはずであるが,そのような事実はない。
(ウ) 媒介業者の不在,仲介料の二重払
本件売買契約書(乙1)は,媒介業者である有限会社ヨシキコーポレーションが関与せずに作成され(甲9最終頁),後に媒介業者の記載が付け加えられたものである。媒介業者として,売買契約締結という最も大事な場面に立ち会わず,重要事項説明を行なうこともなく,しかも,後日,売買契約書に記入・押印するということは,正当な媒介であれば考えられない。
また,被告FLEXは,中部環境開発に対して,本件の紹介料として1000万円を支払うとともに有限会社ヨシキコーポレーションに仲介料を支払っている。被告FLEXが仲介料を二重に支払ってでも本件売買契約を実現したかった理由は,これが正当な仲介の対価ではなく,判断能力の欠如した亡Fを騙して本件建物(aビル)を乗っ取るための手数料という不当な対価だったからである。
(エ) 売買価格が著しく低額であること
被告FLEXは,株式会社豊多(以下「豊多」という。)に対して,平成27年2月27日,本件不動産等を11億5000万円で売却している(甲70)。本件建物の価格は,利回りから物件価格を簡易に計算すると,月額賃料600万円・年間賃料収入7200万円,利回り5%とすると,14億4000万円となる。本件売買契約における売買価格2億円は,著しく低額である。このように著しく低額で売却することは不合理であり,この事実は,亡Fが意思無能力であったことを端的に示すものといえる。
(オ) 売買契約書の不合理性
本件売買契約書は,争点(1)において主張したとおり,亡Fが署名をしておらず,押印された実印も偽造されたものである。さらに,本件売買契約書作成後,売主の移転登記・引渡義務と買主の代金支払義務の同時履行が,売主の上記義務が先履行とされるという,売主に不利益な契約内容の変更が行われている。
(カ) 売買契約内容の異常性・不合理性
本件売買契約においては,上記(イ)から(エ)に記載の事実のほか①売買代金が多数に分割され,振込ではなく現金手渡しで多数回行われることは通常ありえないこと,②契約から決済までの期間は通常1ヶ月程度であるが,本件では半年以上もの長期間であること,③代金決済と登記移転は同時履行で行うことが通常であるが,本件では登記移転・引渡が先履行になっており売主側に一方的に不利となっていること,④担保付不動産売買の場合,決済の際に売主は売買代金を受領して,同受領代金をもって金融機関に対する債務の返済に当てるところ,本件では,被告FLEXは登記書類受領の際に売買代金を準備できていなかったこと等,通常の不動産取引では考えられないほど,売主に不利益で不合理な取引となっている。
さらに,テナントビルの売買契約の際には,買主は,契約前に,オーナーと各テナントとの間の賃貸借契約書等の提出を受け,賃料・保証金等を確認した上で,購入の判断をすることが通常である。しかしながら,被告FLEXは,各テナントの保証金の金額を確認することなく本件売買契約を締結している。
亡Fが意思能力を有していたのであれば,これらの不合理な事情に対する何らかの異議・対処をしていたはずであるが,亡Fが全く対処等をしていないことからしても,本件F売買契約につき,亡Fの意思能力がなかったことは明らかである。
キ 登記手続の異常性
本件F売買契約に基づく本件仮登記及び本件本登記は,R司法書士(以下「R司法書士」という。)が受任して手続を行ったところ,同人は,本人確認,登記申請意思確認,実体的権利関係確認等を行わずに偽造事件やなりすまし事件を多数惹起し,平成25年5月31日には業務禁止処分を受けた司法書士であった(甲58)。
平成23年5月26日にされた本件仮登記に係る手続においては,①本件不動産の固定資産評価証明書は本件F売買契約の締結前である同年4月4日に取得されており,同日は,中部環境開発のLに対する150万円の貸金の返済日であったこと,②亡FのR司法書士に対する委任状は本件F売買契約の締結前である同年5月11日に作成され,その際,上記委任状の司法書士名は空欄であったこと,③本人確認,意思確認のための重要な書類である印鑑登録証明書が上記登記申請後の同月27日に取得されていること,④R司法書士は,亡Fについて最初に面識が生じた時期を同年11月6日としており(甲52・6枚目),本件仮登記時に亡Fと面識がなく,直接の本人の意思確認を行っていないこと,⑤登記原因証明情報(甲49・3,4頁,甲51・2,3頁)は,本件売買契約書が作成される前に作成されており,そこに記載された亡Fの署名はLがしたもので,亡Fの印影も偽造した実印によるものであって,亡Fは登記手続に関与していないものである。
また,同年11月28日の本登記においては,売買代金が完済されていなかったにもかかわらず,同日売買代金が支払われたものとして登記手続がされている(甲52・4枚目,甲54・4枚目)。
以上のように,本件の登記手続は,通常の登記実務とはかけ離れた事実経過であり,これは亡Fの関与なしに登記手続が行われたこと,さらには亡Fの判断能力の欠如を示すものである。
ク 平成23年5月30日の450万円支払の事実の不存在
被告FLEXは,亡F及びLに対して,平成23年5月30日に本件売買契約の代金の一部として450万円を支払った旨主張しているが,支払を示す証拠はない。亡Fは,被告FLEXから,支払がないにもかかわらず450万円を売買代金の一部として支払ったとされ,何も理解もできずに清算合意書(乙11)を作成させられたものである。
ケ 売主,金融機関の非協力
売主に不動産売却の意思及びその意思能力があったのであれば,売買の履行に必要な事項に協力するはずである。しかしながら,亡Fは,被告FLEXに対して本件建物のテナントとの賃貸借契約の内容を明確にすることができず,また,亡Fがc社の事業資金を借り入れていたさわやか信用金庫との間の根抵当権の解除についても被告FLEXに協力することができておらず,このことは,亡Fの本件F売買契約における意思能力がなかったことを示す事実といえる。
また,通常の不動産売買であれば,当該不動産の抵当権者である金融機関は残債務の返済を受ければよく,担保解除にも応ずるはずであるが,さわやか信用金庫は,平成24年時点では,本件売買契約に疑問を持ち,被告FLEX代理人からの説明があっても,その弁済を受けず,担保解除にも応じなかった(甲8,9)。そして,さわやか信用金庫が残債務の代位弁済を受け,担保解除に応じたのは,被告FLEXをして,将来本件建物及び南麻布物件の所有権が否認され,代位弁済が第三者弁済としての効力を否定された場合でも,被告FLEXはさわやか信用金庫に対し代位弁済金の返還を求めることができない旨の約定をさせ,訴訟上の和解(乙15)をした平成26年10月以降のことである。
この事実経過は,さわやか信用金庫が本件売買契約の有効性に疑問を持っていたからに他ならない。
コ 正常な判断能力があれば作成されるはずのない経験則に反する契約書及び領収書が作成されていること
被告FLEXが亡Fに3900万円の貸付けをした事実がないにもかかわらず,被告FLEXは,亡Fをして,3900万円の金銭消費貸借契約書(甲24)を作成させ,その担保として,極度額6000万円の根抵当権を設定させた(甲4)。
また,平成25年2月6日付で500万円を受領した領収書(乙13)が作成されているが,実際に振込があったのは同月7日であり,金額は400万円である。
このように,亡Fが内容を理解しない書面が次々と作成されており,これらの事実は,亡Fに法律行為を行う意思能力がなかったことを示すものである。
サ まとめ
本件F売買契約は,日常の意思伝達や,買物といった軽易・低額の法律行為ではなく,億単位の不動産売買であり,高度の判断能力が要求されるところ,以上の点を総合すれば,亡Fが本件F売買契約締結時において意思無能力であったことは明らかである。
【被告らの主張】
ア 無効の主張の可否について
原告らは,亡Fの意思無能力を理由として,本件F売買契約の無効を主張している。
しかしながら,契約の当事者あるいはその相続人が,表意者の意思無能力を理由に契約の無効を主張していないのに,第三者が契約の無効を主張することはできないというのが,わが民法の一般的解釈である(相対的無効)。したがって,亡Fの相続人でもない原告らによる本件F売買契約の無効主張は認められない。
イ 亡Fの意思能力について
仮に原告らが亡Fの意思無能力を理由として本件F売買契約の無効を主張できるとしても,本件F売買契約締結当時,亡Fの意思能力は,本件F売買契約の内容及び効果を認識できないほどのものではなかった。
原告らは,改訂長谷川式知能評価スケール検査の結果を意思無能力の根拠としている。しかしながら,同検査は,認知症患者をスクリーニングするための,時間にして10~20分程度の簡易検査に過ぎないし,改訂長谷川式知能評価スケール検査だけで,行為当時の具体的状況を問うことなく,常に意思能力を欠いていたものと認定することはできない。
要介護認定申請に係る資料については,主治医の意見書及び認定調査票においても,平成22年2月から平成25年3月までの亡Fについて,記銘力の低下はあったものの,それ以外の認知機能や意思伝達機能には格別問題はなかったものである。
さらに,亡Fが代表取締役を務めていたc社は,本件売買契約締結当時,既に経営破綻に瀕していたところ,Lは,平成23年4月24日に港区議会議員選挙に落選した後も,再当選を目指して政治活動費や生活費あるいは遊興費の支払を亡Fに求めており,亡Fは一人息子であるLから説得されて被告FLEXに本件不動産を売り渡すというLの決断に従い,本件F売買契約を締結しただけでなく,その後もLと共に本件売買契約の手付金,中間金及び清算金を受領し続けてきたものである。
ウ 売買価格について
原告らは,本件不動産等の転売価格は11億5000万円である旨主張するが,被告FLEXが受領した金額は6億円である。11億5000万円との記載のある売買契約書は,クラケンコーポレーション株式会社(以下「クラケン」という。)による融資の便宜のために作成されたものにすぎない。
また,平成23年5月の時点で,本件土地(1),本件土地(2)及び分筆前173番7の土地の固定資産税評価額の合計は約6億9680万円であり(甲49・11~19頁),そのうち本件土地F持分及び本件土地L持分の合計である1万分の2354の評価額は約1億6400万円にすぎず,本件建物の固定資産税評価額である約8600万円(甲51・7頁)を加えても約2億5000万円にすぎなかった。築30年を経過して老朽化した本件建物に資産価値はなく,同建物の土地利用権は使用借権にすぎなかったから(甲41の41・第9項で亡Fが他の持分権者らに支払う金員について「使用相当損害金」と記載されている。),本件不動産等のうち資産価値のある財産は本件土地の各共有持分権のみであったといえる。
(3)  本件売買契約は公序良俗に反するか(抗弁1に対する再抗弁2)
【原告らの主張】
ア 価格の著しい不均衡等
本件売買契約における被告FLEXの給付は,2億円の売買代金の支払である。しかしながら,本件不動産等は,実売価格で11億5000万円という経済的価値があったものであり(甲70),9億5000万円の暴利,実に5.75倍もの不均衡が双方の給付の間に生じていた。
本件F売買契約締結当時,亡Fは86歳で無職であったところ,被告FLEXは不動産業者であり,両者の不動産売買に関する知識・能力の差は著しいこと,前記争点(2)において主張した本件売買契約の異常性・不合理さ,登記手続の異常性等からすると,本件売買契約は客観的に公序良俗に違反する行為であるといえる。
イ そして,前記争点(2)において主張したとおり,亡Fは,本件F売買契約締結当時,精神科医から,自己の財産を管理・処分することができない(後見相当)との診断等を受けていたこと等の事情からすると,意思無能力か否かはともかく,少なくとも判断能力を著しく欠如していたことは明らかである。また,亡Fは,不動産仲介業者への依頼すらなく,軽率・無経験という状況にあったものである。
被告FLEXは,このような亡Fの軽率・無経験及び精神薄弱を認識した上で,これに乗じて本件F売買契約を締結させたものであり,本件F売買契約は暴利行為として公序良俗に反するもので無効である。
【被告らの主張】
ア 無効主張の可否について
暴利行為・公序良俗違反の主張についても,意思無能力に関する主張と同様,亡Fの相続人でない原告らがかかる主張を行うことは,表意者を保護するという暴利行為論の趣旨に抵触し許されないというべきである。
イ 原告らは,本件不動産等は,実売価格で11億5000万円という経済的価値があったものである旨主張するが,前記争点(2)において主張したとおり,転売価格は6億円であり,本件F売買契約締結当時,本件不動産に原告ら主張の経済的価値はなかった。
また,c社は,本件F売買契約締結当時,既に経営破綻に瀕しており,Lは港区議会議員選挙に落選した後も再当選を目指して政治活動費や生活費,あるいは遊興費の支払を亡Fに求めていたところ,亡Fは一人息子であるLの判断に従い,同人と共に本件不動産を売却することを決意したものであって,本件F売買契約締結後も,亡FはLと共に被告FLEXを自宅に招き入れ本件売買契約の中間金や清算金の弁済を受け続けていたのであるから,本件F売買契約は亡Fの窮迫・無思慮に乗じたものではなく,暴利行為及び公序良俗違反により本件F売買契約を無効であると解することはできない。
(4)  本件遺言時における亡Fの意思能力の有無(抗弁2)
【被告らの主張】
仮に,本件F売買契約当時,亡Fが意思無能力であり,原告らがそのことを主張し得ると解された場合には,本件遺贈も亡Fの意思無能力により無効である。
本件遺言に係る証書提出の日付(平成22年9月24日)と本件F売買契約の締結日(平成23年5月26日)との間には8か月間しかなく,その間,亡Fの認知能力には何らの変化も認められない。介護サービスに係る主治医意見書及び認定調査票上も上記期間において差異はなく,本件遺贈時と本件F売買契約時とで,亡Fの意思能力の有無に差異があることを裏付ける医学的根拠は何ら存在しない。
Aは,平成22年夏頃,Lとの夫婦関係の件でS弁護士(以下「S弁護士」という。)に相談をし,同年9月か10月頃,調停申立てをS弁護士に依頼していたところ,本件遺言をすることを主導したのは専らAであり,本件遺贈の対象とされた亡Fの財産は,いずれもAがLとの離婚により取得することができない財産であった。本件遺贈は,原告らだけに有利な内容であり,一人息子のLのことを案じている亡Fが自ら判断して作成したものとは到底考えられない。
本件遺言に係る秘密証書は,AあるいはS弁護士が保管し続けており,亡Fには本件遺言の存在を再認識する機会が全く与えられていなかった。済生会病院の診療録には,亡Fが本件F売買契約のことをQ医師に説明していた旨の記載はあるが,本件遺言をしたことをQ医師に打ち明けた旨の記載はない。すなわち,亡Fは,本件遺言のことを全く記憶していなかったものである。
以上によれば,本件遺贈は亡Fの意思無能力により無効である。
【原告らの主張】
被告らは亡Fが本件F売買契約締結当時意思無能力であったとした場合には,本件F売買契約より前にされた本件遺贈も無効である旨主張する。
しかしながら,亡Fは本件遺言をした当時,意思能力を有していたというべきである。
本件遺言をした当時,亡Fについて,多少の物忘れがあったが,遺言ができないほど判断能力が衰えている言動はなく,買物も一人で行っていた。ところが,亡Fは,平成22年の暮れから平成23年初め頃,認知症の症状が悪化し,日常の買物も困難となり,物忘れがひどくなった。同年2月,ケアマネージャーから,済生会病院に物忘れ外来があるのでそこを受診するよう勧められ,亡Fは,同年4月,済生会病院においてQ医師の診察を受けたものである。さらに,介護保険の内科医の意見書は要介護認定のためのものであり,精神科専門医の診断ではない。T医師も介護保険認定の同年6月20日付主治医意見書において,「ここ1年でADLの低下あり,生活全体に介護が必要となっている。」との記載をしている。このように,同年初め頃から,亡Fの判断能力の明らかな低下を示す言動・様子があったものである。
また,本件遺言をした時点(平成22年9月24日)では,精神科専門医などによる認知症の診断はなく,主治医意見書では,短期記憶は問題あり,日常の意思決定を行うための認知能力はいくらか困難,自分の意思の伝達能力はいくらか困難とされていた(甲13の1)。これに対して,本件F売買契約締結当時,「自己の財産を管理・処分することができない(後見相当)」との診断等がされていたことは,前記争点(2)において主張したとおりである。
さらに,本件遺言の内容は,精神疾患を抱えるLの浪費により本件不動産が散逸することをおそれ,子であるLではなく孫である原告らに全ての財産を遺贈するものであり,その内容も動機も,極めて合理的である。
(5)  被告東京都との関係で94条2項類推適用の可否(再抗弁1を前提とする予備的抗弁)
【被告東京都の主張】
被告東京都は,平成26年7月22日,東京都市計画道路事業補助線街路第4号(道路拡幅事業)の事業用地として取得するため分筆前173番7の土地のうち本件土地(4)部分の土地について,被告FLEXを含めた共有登記名義人全員との間で売買契約を締結してこれを買い受け,その後,本件土地(4)部分の土地につき分筆登記を経て,同年8月11日,本件土地(4)につき共有者全員持分全部移転登記を経由した。
分筆前173番7の土地については,上記売買契約より3年以上前である平成23年5月26日売買を原因として被告FLEXへの条件付亡F持分全部移転仮登記がされており,同年11月28日には,被告FLEXへの亡F持分全部移転登記がされているところ,本件F売買契約が無効であるとの原告らの主張を前提とすると,原告らの法定代理人で,平成25年6月19日に亡Fの成年後見人に就任したAは,遅くとも同年3月頃には被告FLEX名義の持分全部移転登記が不実のものであることを認識し,Lと連絡を取り,弁護士の選任を行っていたものである。被告東京都は平成18年7月に上記道路拡幅工事の事業説明会を実施しており,L及び亡Fは,道路区域に編入される本件土地(4)の部分の境界を確認するための現地立会いを行っており,本件土地(4)の部分が近いうちに被告東京都に売却されることを認識していたものであり,この事情はAも十分に認識していたはずである。そうすると,Aとしては,被告FLEXを真の所有者であると信頼して道路用地の取得を行う被告東京都の存在を当然に認識して被告東京都への所有権登記を阻止し,又は,少なくとも被告東京都への連絡を行うべきであったといえる。それもにもかかわらず,Aは,平成26年7月22日に被告東京都が被告FLEXと上記売買契約を締結するまで1年以上の長きにわたり何らの手立てをとらなかったのであるから,虚偽の外観作出につき権利者側の帰責性が認められるというべきである。
被告東京都は,分筆前173番7の土地の登記名義人の記載を信頼して上記売買契約を締結したものであるから,被告FLEXの上記土地にかかる共有持分のうち亡Fから移転登記がされている部分(持分1万分の2087)に関し,被告FLEXが無権利であることについて善意かつ無過失である。
したがって,原告らは,被告東京都に対し,民法94条2項の類推適用により,本件土地(4)の共有持分権を主張することができないというべきである。
【原告らの主張】
被告東京都の主張は争う。
仮に民法94条2項の類推適用があり得るとしても,亡Fから本件遺贈を受けた原告らには,不実の登記を作出したことについて何らの帰責性はない。さらに,Aにおいても被告FLEX名義の登記について,これが不実のものであると考えていたものの,それを裏付ける証拠が当初からそろっていたわけでない上,分筆前173番7の土地のうち本件土地(4)部分が近いうちに被告東京都に売却されることを十分に認識していたことはない。
(6)  被告東京都に対する請求は権利濫用か(再抗弁1に対する再々抗弁)
【被告東京都の主張】
被告東京都が上記(5)で述べた事実に加え,原告らが本件の更正登記で被告東京都に実質的に抹消登記を求める部分は本件土地(4)(1.81平方メートル)のうちの持分1万分の2087にすぎず,今後原告らにおいて事実上利用することができるような土地では全く無いこと,本件土地(4)は,道路区域内の土地であり,私権の制限を受け(道路法4条),原告らにおいて法律上も使用可能な土地ではないこと,本件の更正登記が認められると円滑な道路事業の遂行が阻害され公益を害する事態となること等からすれば,原告らの被告東京都に対する請求は権利の濫用として認められないものというべきである。
【原告らの主張】
被告東京都の主張は争う。
原告らは被告東京都に本件土地(4)の持分権を売却する意思を有しており,被告東京都が原告らから本件土地(4)の持分権を買い取れば何ら道路事業の遂行が阻害されることはない。また,正当な権利者である原告らではなく,無権利者から本件土地(4)の持分権の譲渡を受けたのは被告東京都であり,無権利者である被告FLEXに対し不当利得返還請求をすれば足りるものである。
(7)  被告FLEXの不当利得の有無
【原告らの主張】
本件建物は,上記のとおり原告らの所有物であるところ,被告FLEXは,本件建物の賃料について,法律上の原因なく不当に利得している。
本件建物の賃料収入は平成23年12月当時,月額628万円であったが,その後空室にテナントが入り,それ以上の収入がある。亡Fが死亡した後である平成26年2月から6月までの5か月間に限っても少なくとも3140万円以上の利得があったものである。
【被告らの主張】
否認ないし争う。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記前提となる事実,証拠(甲1~82,乙1~36,丙1,尋問当時原告ら法定代理人A(以下「法定代理人A」という。),証人L,被告FLEX代表者C。ただし,後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  本件売買契約締結に至る経緯等
ア 亡Fは,平成20年8月21日,さわやか信用金庫に対し,亡Mのさわやか信用金庫に対する2口の借入金債務(昭和63年8月31日貸付けに係る9100万円及び平成元年10月12日貸付けに係る6000万円)について,重畳的に債務引受けをした。亡Fは,平成20年10月31日,さわやか信用金庫から,Lを連帯保証人とし,c社の運転資金として4544万2428円を借り入れた。
亡Fは,平成22年7月16日,平成23年2月4日,同年7月29日,さわやか信用金庫との間で,上記3口の借入金債務に係る弁済方法について,それぞれ変更契約を締結し,各変更契約証書に署名押印した。平成23年7月29日付変更契約証書の亡F名下の印影は,本件売買契約書の売主欄の亡F名下の印影と同一で,後述の改印手続後の印章によって顕出されている。
(甲41の34の1,2,41の36,41の37の1~3,41の38の1~3,41の39の1~3)
イ 亡Fは,平成23年5月28日,c社の代表取締役として,c社の第28期(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)の決算報告書(甲41の40)を作成した。上記期間における役員報酬は,代表取締役亡Fが1400万円,取締役Lが480万円,取締役Aが800万円であった。
(甲41の40)
ウ Lは,平成15年5月頃から東京都港区の区議会議員を務めていた。
Lは,平成26年8月21日,日本赤十字医療センターにおいて,健忘症(精査中),双極性障害との病名で,平成21年11月からうつ病相のため治療を行っているが,現在も気分の変動が続いている,ここ3年ほどで健忘が目立ち,精査中であるが,検査所見上明らかな記憶障害の所見があり,日常生活上の判断・行動に重大な影響をもたらしていると考えられる旨の診断を受けた。Lは,平成26年12月8日,東京武蔵野病院精神神経科において,抑うつ状態により入院し,約3ヶ月程度の入院加療を要する旨の診断を受けた。
Lは,区議会議員報酬約1000万円及びc社からの役員報酬約480万円の年収を得ていたほか,亡F及びAに対して小遣いの無心をしていたが,平成22年頃から銀座のクラブに出入りし,その遊興費等で金銭を浪費するようになった。亡F及びAは,Lには役員報酬以外には渡さないこととしたところ,Lは,平成21年12月頃から,遊興費等に使用する目的で知人から借金をするようになった。Lは,平成23年4月時点において,後述の中部環境開発に対する150万円の借入金のほか,知人等に対して合計1000万円近くの借入金債務を負っていた。
Aは,平成22年夏頃,Lの女性関係についてS弁護士に相談し,同年9月又は10月頃,S弁護士に,夫婦関係調整(円満)の調停申立てを依頼した。上記調停は,その後,離婚の方向で調整が進められた。
(甲30,42の1,42の3,42の4,69,77の1~4,法定代理人A,証人L)
エ 亡Fは,平成22年9月24日,A,亡Fの妹のU,S弁護士及びV弁護士とともに公証役場に行き,秘密証書による遺言(本件遺言)をした。亡Fは,公証人に対し,封書を提出し,自己の遺言書であり,亡FがS弁護士に筆記させたものである旨申述した。その際,S弁護士及びV弁護士から,亡Fの遺言能力について問題視するような発言はなかった。
本件遺言の概要は,
(ア) 本件不動産,当時原告らの自宅であった南麻布所在の土地及び建物(以下「南麻布物件」という。)の所有権及び共有持分権,c社の株式並びに本件建物の賃貸人たる地位について,それぞれ2分の1ずつ,原告らに遺贈する。
(イ) 本件遺言作成後,亡Fと原告らが養子縁組した場合には,上記財産を原告らにそれぞれ2分の1ずつ相続させる。
(ウ) 本件遺言の遺言執行者をAとする。
というものであり,続いて,本件遺言の理由として,一人息子であるLの浪費や遊興が激しい上に,支援者等多数人からの借金もあるとのことで,Lが亡Fの財産を相続した場合には,亡Mが残してくれた財産もすぐになくなってしまい,また,Lの生活が立ちゆかなくなることが予想されるためである旨記載されている。
(甲35,69,法定代理人A)
オ Lは,平成23年3月31日,中部環境開発から返済日を同年4月4日として,150万円を借り入れた。上記金銭消費貸借契約においては,亡Fが連帯保証人となった。Lは,同月当時,中部環境開発からの上記借入れのほか,後援会,知人等に対して総額1000万円近くの借金があった。
Lは,同年の港区区議会議員選挙に立候補していたが,同年4月24日に落選したため,Lの収入は,c社からの役員報酬のみとなった。
Lは,次回の区議会議員選挙に立候補するつもりであったことから,そのための政治活動費を必要としていた。
(甲27,30,33,67,証人L)
カ Lは,平成23年4月28日,中部環境開発の事務所において,中部環境開発に対して本件不動産等を2億円で売る旨の売買契約書(甲18)に署名押印した。
(甲18,証人L)
キ Aは,平成23年5月,原告らとともに自宅を出て横浜にあるAの実家に転居し,その際,亡Fの実印を持ち出した。同月頃,Aが申し立てた夫婦関係調整の調停が不成立となり,同年6月頃,離婚の裁判手続が始まった。
(甲69,法定代理人A)
(2)  本件売買契約締結前後の事実経過
ア 被告FLEXは,上記(1)カの中部環境開発とLとの間の売買契約について,中部環境開発から紹介を受け,上記売買契約を引き継ぐこととし,その対価として,中部環境開発に1000万円を支払った。
亡F及びLが,被告FLEXに対し,本件不動産等を代金2億円で移転する旨の本件売買契約書の売主欄には,L及び「F」との署名が各住所とともに手書きで記載されている。Lは,平成23年5月26日,上記売主欄のL名義部分に署名し,名下に押印した。亡Fは,本件売買契約書の売主欄のFの住所部分を自書したところで気分が悪くなり,署名部分及びF名下の押印はLが行った。本件売買契約書に押印された亡Fの印章は,同月18日にLが亡Fの代理人として印鑑登録亡失届を提出した上で改印手続を行い,本件売買契約と同日に印鑑登録をした印章である。被告FLEXは,本件売買契約書の日付を中部環境開発とLの間の売買契約書の作成日付と同日である同年4月28日付けとした。
本件売買契約書においては,①契約時の手付金として1000万円を支払うこと,②同年7月21日までの中間金として300万円を支払うこと,③同年11月30日までに残代金の1億8700万円を支払うこと,④同日までの引渡し,所有権移転登記を行うこと,⑤亡F及びLは所有権移転登記手続までに本件不動産等に係る抵当権等の負担を消除すること(第10条,特約条項2),⑥本件不動産等に賦課される公租公課は,引渡日の前日までは亡F及びLが,引渡日以降は,被告FLEXがそれぞれ負担すること(第12条1項),⑦本件建物の賃料収入は,引渡日の前日までは,亡F及びLに,引渡日以降は,被告FLEXにそれぞれ帰属すること(第13条)等が約定された。
亡F及びLは,同年5月26日,被告FLEXから1000万円を受領した旨の領収書(乙2)に署名押印した。
(甲19~21,34,乙1,2,被告FLEX代表者C,証人L)
イ 本件土地(1),本件土地(2)及び分筆前173番7の土地の固定資産税評価額の合計は,本件売買契約締結当時,約6億9680万円であり,そのうち,本件土地F持分及び本件土地L持分の合計である1万分の2354に相当する評価額は,約1億6400万円であった。また,本件建物の固定資産税評価額は,約8600万円であった。
平成20年7月25日に成立した亡Mの遺産に係る遺産分割調停において,本件建物は亡Fが単独相続し,本件土地に係る亡Mの持分は亡Mの相続人6名(亡F,L,I,N,G及びH)の共有とし,亡Fは,本件建物所有により本件土地を使用することにつき,本件土地の他の共有者であるI,N,G及びHに対し,使用相当損害金(月額合計151万6800円)を支払うこととされたが,借地権等の利用権を確認することも,新たに利用権が設定されることもなかった。
(甲41の41,49,51)
ウ 亡F及びLは,本件売買契約に基づく売買代金の一部として,平成23年5月30日頃,450万円の支払を受けたほか,同年7月21日付けの額面300万円,同年8月12日付けの額面150万円,同月18日付けの額面200万円,同年11月13日付けの額面400万円,同年12月16日付けの額面400万円の,各領収書に署名押印した。
(乙3~7,11,被告FLEX代表者C)
エ 亡F及びLは,被告FLEXとの間で,南麻布物件を代金4500万円で売る旨の売買契約を締結した。
(甲41の9)
オ 亡F及びLは,平成25年1月26日,被告FLEXとの間で,清算合意書(乙11)を取り交わし,同書面に署名押印をした(以下「本件清算合意」という。)。
上記清算合意書においては,本件売買契約について,①売買代金2億円のうち,2900万円が支払済みであること,②被告FLEXが,c社が本件建物の賃借人ら(テナント)に対して負担する7081万0875円の保証金返還債務の履行を引き受け,本件売買契約書の特約条項5に基づき,同額を売買代金から控除したこと,③被告FLEXが,c社及び亡Fのさわやか信用金庫に対する借入金返還債務1億2055万4355円(平成23年11月28日時点)の履行を引き受け,本件売買契約書の特約条項5に基づき,同額を売買代金から控除したこと,④亡F及びLが,被告FLEXが支払った平成23年度第3,4期の固定資産税及び都市計画税合計257万7450円のうち209万7267円及び亡F及びLが受領した同年12月分の賃料合計628万円の返還義務を負うこと,⑤亡F及びLは,被告FLEXに対し,本件売買契約の代金2億円と上記①から④までの合計金額の差額である2874万2497円の返還債務を有することが確認された。そして,⑥被告FLEXは,亡F及びLに対し,南麻布物件に係る売買契約の残代金である4060万円から上記⑤の2874万2497円を控除した残額である1187万7503円の支払義務を負い,同額を平成25年3月31日限り支払うこと等が確認された。
(乙11)
カ 被告FLEXは,平成25年2月6日頃,亡F及びLに対し,本件清算合意に基づく清算金1187万7503円のうち合計500万円を支払った。被告FLEXは,同年3月29日,亡F及びLに対し,本件清算合意に基づく清算金の残額687万7503円について弁済の提供をしたが,同人らに受領を拒絶されたとして,同年4月4日,同額を東京法務局に供託した。
さわやか信用金庫は,平成24年7月27日,亡Mの承継人ら(亡F,L,I,G,H,W及びJ,K)に対し,貸金合計1億0311万5131円及び利息等の支払を求める訴えを提起した(東京地方裁判所平成24年(ワ)21564号貸金等請求事件)。被告FLEXが上記訴訟に補助参加し,平成26年10月21日,さわやか信用金庫,被告FLEX,亡F及びLを除く亡Mの承継人らとの間で,被告FLEXが,さわやか信用金庫に対し,亡Fの借入金債務の弁済として合計3323万5276円支払ったほか,和解期日において合計1億0605万2701円を代位弁済として提供し,さわやか信用金庫がこれを受領して上記貸金の弁済に充当することなどを内容とする裁判上の和解が成立した。
(甲33・17頁,41の4~8,41の18,41の19,乙13,15,被告FLEX代表者C)
キ 被告FLEXは,南麻布物件につき,亡F及びLに対して,売買契約の残代金である4060万円の支払を受けるのと引換えに同物件の所有権移転仮登記の本登記手続をすること等を命じる確定判決(東京地方裁判所平成24年(ワ)24886号所有権移転仮登記本登記手続等請求事件)を有していたところ,上記金員の支払が本件清算合意及び供託等によって消滅した旨主張して,亡F及びLに対し,上記本登記手続を求める部分について執行文を付与することを求める訴えを提起した(東京地方裁判所平成25年(ワ)9330号執行文付与請求事件)。
亡F及びLは,本件清算合意時に,亡Fが意思能力を欠いていたことなどを主張してこれを争ったが,東京地方裁判所は,平成26年11月12日,亡Fが本件清算合意時に意思の伝達及び日常の意思決定を行うことができたものと認めるなどして,被告FLEXの請求を全部認容した。Lは,上記判決に対し,亡F訴訟承継人兼被告として,控訴を提起した。
(甲79,乙14,21)
ク 本件土地(1),本件土地(2)及び本件土地(3)の共有持分権者であるI,G,H,J,K(JとKは,Nの相続人である。)は,平成26年11月29日,豊多との間で,共有持分合計である1万分の7646について,代金13億円で売却する旨の売買契約を締結し,クラケンから上記代金の支払を受けた。
(甲1の2~5,乙24,25の1~5)
ケ 被告FLEXは,豊多に対し,平成27年2月27日,本件不動産等を売却した。同売買契約の売買契約書(甲70)には,売却代金は11億5000万円と記載されている(被告FLEXは,売却代金は6億円である旨主張している。)。上記売買契約の際,被告FLEX,豊多及びクラケンとの間においては,豊多がクラケンに買主の地位を一部又は全部を譲渡することを被告FLEXが同意することが約定された。
(甲70,78)
コ 被告FLEXは,平成28年9月7日,東京法務局において,Lを被供託者として,南麻布物件に係る売買契約の残代金として,2872万2497円を供託した。
(甲80)
(3)  亡Fの状況
ア 亡Fの日常生活等
(ア) 亡Fは,平成20年11月に脳梗塞を発症し,同月23日から同年12月4日まで入院をした。脳梗塞の後遺症として,左上肢及び左下肢に軽度の麻痺があり,亡Fは杖をついて歩行していたものの,介助があれば屋外歩行が可能であった。
(甲10の1,26,29)
(イ) 亡Fは,平成22年4月から12月頃まで,天気が良く,体調が良いときには,一人で自宅の近所への買い物に出かけていた。
Aは,平成23年2月頃まで,亡F宅を度々訪問して買い物を行っていた。しかし,Aの負担が大きいため,訪問ヘルパーが週1回追加され,亡Fの運動も兼ねてヘルパーが亡Fの買い物に同行し,外出を促すこととされた。同年7月頃には,福島から亡Fの妹が手伝いに来ていたが,高齢でもあり,週3回の訪問ヘルパー等のサービスは継続することとされた。同年12月になると,亡Fはリハビリパンツに排尿することが多くなったほか,福島から亡Fの妹が長期滞在していたが,今後は困難となり,毎日夕方にヘルパーが訪問することとされた。
(甲63の6・15~17頁,63の10・9頁)
(ウ) 亡Fは,平成23年6月頃,ヘルパーが寝室を片づけているそばから物を引っ張り出したことがあったほか,同年7月頃には,使用済みの紙パンツを箪笥の中にしまってしまうことがあった。
(甲64の3・1,2頁)
イ 介護保険に関する主治医意見書
亡Fの主治医であった中村クリニックの医師が記載した平成20年12月19日付け,平成21年7月4日付け,平成22年2月5日付け,同年6月14日付け,平成23年6月20日付け及び平成24年6月15日付け各主治医意見書においては,いずれも,認知症の中核症状として,短期記憶について「問題あり」,日常の意思決定を行うための認知能力について「いくらか困難」,自分の意思の伝達能力について「いくらか困難」,認知症の周辺症状(妄想,徘徊,不潔行為,暴言等)は「無」,その他の精神・神経症状は「無」との意見であった。
また,平成20年12月19日付け,平成21年7月4日付け,平成22年2月5日付け及び同年6月14日付け各主治医意見書においては,障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は,A1(介助により外出し,日中はほとんどベッドから離れて生活する。),認知症高齢者の日常生活自立度は,Ⅱb(日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが家庭内で見られるようになるが,誰かが注意していれば自立できる状態。)とされていたが,平成23年6月20日付け及び平成24年6月15日付け主治医意見書においては,障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)は,A2(外出の頻度が少なく,日中も寝たり起きたりの生活をしている。)とされたが,認知症高齢者の日常生活自立度は,Ⅱbであった。
平成21年7月4日付け,平成22年2月5日付け及び同年6月14日付け各主治医意見書には,脳梗塞後遺症にて記銘力低下,認知などあり,外出はできているが付き添いが必要,生活全体に介護が必要であると記載されている。平成23年6月20日付主治医意見書においては,特記すべき事項として,ここ1年でADLの低下あり,生活全体に介護が必要となっているとの記載がある。平成24年6月15日付け主治医意見書においては,生活全体に介護が必要となっているとの記載がある。
(甲10の1,11の1,12の1,13の1,14の1,15の1)
ウ 介護保険に係る認定調査の結果
亡Fは,本件売買契約締結当時,要介護1の認定を受けていた。
東京都港区の職員による介護保険に係る認定調査票において,日常の意思決定とは,毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定できる能力をいい,常時あらゆる場面で意思決定ができる場合は,「できる」に当たり,慣れ親しんだ日常生活状況のもとでは,見たいテレビ番組やその日の献立,着る服の選択等に関する意思決定はできるが,ケアプランの作成への参加,ケアの方法・治療方針への合意等には指示や支援を必要とする場合には,「特別な場合を除いてできる」に当たるとされ,短期記憶とは「面接調査の直前に何をしていたか思い出すこと」とされている。
平成20年12月25日実施の認定調査票(甲10の2)及び平成21年7月6日実施の認定調査票(甲11の2)においては,意思の伝達,日課の理解,短期記憶及び日常の意思決定は,いずれも「できる」とされ,金銭の管理は「一部介助」とされていた。
平成22年2月12日実施の認定調査票(甲12の2)においては,意思の伝達,日課の理解,短期記憶及び買い物はいずれも「できる」,金銭の管理は「一部介助」,日常の意思決定は「特別な場合を除いてできる」とされ,特記事項として,時折物忘れが急に出現すること及び介護量が増加した旨が記載されている。
同年6月25日の認定調査票(甲13の2)においては,意思の伝達は「ときどきできる」,日課の理解は「できる」,短期記憶は「できない」,日常の意思決定は「特別な場合を除いてできる」,金銭の管理及び買い物は「全介助」とされ,特記事項として,思い立ったことは多少表出するが,忘れて止まり,意思が分からないこともある,直前のことも忘れることが多くなっている等の記載がある。
平成23年6月22日実施の認定調査票(甲14の2)においては,意思の伝達及び日課の理解は「できる」,短期記憶は「できない」,日常の意思決定は「特別な場合を除いてできる」,金銭の管理及び買い物は「全介助」とされ,特記事項として,最近物忘れが多くなり,病院で認知症の検査を受けた等の記載がある。
平成24年6月29日実施の認定調査票(甲15の2)においては,意思の伝達は「できる」,日課の理解及び短期記憶は「できない」,日常の意思決定は「特別な場合を除いてできる」,金銭の管理及び買い物は「全介助」とされていた。
平成25年3月25日実施の認定調査票(甲16)においては,意思の伝達及び日課の理解は「できる」,短期記憶は「できない」,日常の意思決定は「できる」,金銭の管理及び買い物は「全介助」とされていた。
(甲10の2,11の2,12の2,13の2,14の2,15の2,16,43,65の1)
エ 精神科医師の診断等
Aは,平成23年4月15日,ケアマネージャーの勧めを受け,亡Fに済生会病院の物忘れ外来を受診させた。同病院のQ医師は,同日,亡Fに対し,改訂長谷川式知能評価スケール検査を行ったところ,その結果は10点であった。改訂長谷川式知能評価スケール検査は,30点満点で,20点以下は認知症の可能性が高いとされている。
Q医師は,同月19日,亡Fに対し,MRI検査を行ったところ,陳旧性の脳出血及び脳梗塞脳の萎縮等が認められた。
Q医師は,同月21日,亡Fを脳血管性とアルツハイマー型の混合性認知症と診断し,亡Fについて自己の財産を管理・処分することができない(後見相当)との診断をした。
亡Fは,同年6月10日にQ医師の診察を受け,Q医師に対し,息子夫婦のことで悩みがありますと述べていた。Q医師は,同日以降,亡Fに対し,中等度以上のアルツハイマー型認知症の進行を抑制する薬剤であるメマリーを処方した。
亡Fは,同年7月4日,Q医師の診察を受け,Q医師に対し,お嫁さんが家を出てしまった,嫁さんからは何の返事もない旨述べたほか,ビルの売却問題について触れ,そんなに不安とは思っていないとも述べた。
Q医師は,同年7月22日,亡Fに対し,神経心理学的検査として,改訂長谷川式知能評価スケール検査(11点),MMSE検査(ミニメンタルステート検査・11点),その他非言語性知的機能検査等を行った。MMSE検査は,30点満点で20点以下は認知症の可能性が高いとされている。神経心理学的検査の結果,亡Fについては,記憶力の低下,注意機能の低下は重篤な状態と思われ,構成能力の低下,誤想起流暢性の低下及び非言語性知的機能低下の可能性もあり,重要な事柄の判断には支障がある状態と推測されるとされた。
Q医師は,平成25年2月6日,亡Fについて後見相当とする診断書(甲6)を作成した。
(甲2,3,6,26,31,44)
2  争点(1)(本件売買契約の成否(抗弁1))について
(1)  本件売買契約書の売主欄にはFの署名押印があるが,前記認定事実によれば,本件売買契約書の売主の住所欄は亡Fが自書し,その後,気分が悪くなった亡Fに代わってLが亡Fの氏名を記載し,押印したものであることが認められる。なお,被告FLEX代表者C(以下「C」という。)は,その代表者本人尋問において,亡Fが目の前で署名押印した旨の供述をし,同旨の陳述記載(乙21・5頁)があるほか,被告FLEX代表者Bも同旨の供述等をしている(甲34,41の46)。一方で,被告FLEX及び被告BANKSは,本件訴訟における答弁書ではLが亡Fの署名を代筆したことを認めており,Cも,上記尋問において,亡Fが自署したとの記憶が間違っていたのかもしれないとも述べていること(被告FLEX代表者C・23,24頁)からすると,C及びBの上記供述等はいずれも採用することができない。
上記認定事実によれば,亡Fは,気分が悪くならなければ本件売買契約書に住所に続いて自ら署名押印していたものと考えるのが自然である。そして,本件売買契約書は,「不動産売買契約書」との表題のもと,本件不動産を本件土地L持分とともに,代金2億円で被告FLEXに売却することを内容とするものであることは明らかであること,共同売主であるLと同席していたものであり,本件売買契約書の亡F名下の印影は,印鑑登録された亡Fの印章(乙10の1)によるものであること,亡Fは,本件売買契約に基づく代金の一部を受領した旨の多数の領収書にもLと共に署名押印していることを併せ考慮すると,亡FにおいてLに本件売買契約書の売主欄への署名押印を代行させたものと認めるのが相当である。したがって,本件売買契約書は真正に成立したものと認められる。
(2)  これに対し,亡Fの上記印章について,原告らは,Lが中部環境開発のO及びPに脅され,亡Fの委任状を偽造して印鑑登録したものである旨主張し,これと同旨のLの証言(証人L・12~14頁)及び陳述記載等(甲30,33,67)がある。
しかしながら,亡Fが再度印鑑登録申請を行った点については,Aが原告らを連れてLと別居した際,亡Fの実印を持ち出していたため,本件F売買契約締結当時,亡Fの手元に亡Fの実印が存在しなかったという事情の下では不自然であるとはいえない。また,上記印章は,平成23年4月28日付けの領収証(乙2),平成23年7月21日付けの領収証(乙3),平成23年8月12日付けの領収書(乙4),平成23年8月18日付けの領収証(乙5),平成23年11月13日付けの領収証(乙6),平成23年12月16日付けの領収証(乙7),平成24年3月26日付けの領収証(乙8)のほか,さわやか信用金庫との間の平成23年7月29日付変更契約証書(甲41の39の1・2・3)に係る証書にも用いられているものであることからすると,亡F自身が自己の印章であると認識していたものと考えるのが合理的である。その上,Lが中部環境開発のO及びPから脅された経緯に関する証言及び陳述記載(甲67)は,従前はLにおいて自認していた(甲30,33)中部環境開発からの150万円の借入れの事実を否認した上で,見ず知らずの他人から街頭で話しかけられ,お礼と称して現金を受け取ったなどとする不自然かつ不合理な内容である。以上の点に照らせば,Lの上記証言等は採用することはできない。
なお,Lは,その証人尋問において,本件売買契約書に署名したのは,一枚紙であって本文の部分はなかった,領収書(乙2~9,13)の金額欄及び但し書欄は白地だった旨述べるが(証人L・27~33頁),その供述内容自体が不可解である上,これまでそのような事実を述べたことはなく(甲30,33,67),供述内容の変遷について合理的な説明もないことに照らし,Lの上記証言部分は採用することができない。
(3)  以上によれば,本件F売買契約は成立したものと認められる。
3  争点(2)(本件F売買契約締結時における亡Fの意思能力の有無(抗弁1に対する再抗弁1))について
(1)  原告らは,本件F売買契約時点で,亡Fが認知症により本件F売買契約の法的な効果を認識・判断することができない状態であり,意思無能力を理由に本件F売買契約は無効である旨主張するので,前記認定事実及び前提となる事実を踏まえて検討する。
亡Fの主治医であった中村クリニックの医師作成に係る平成20年12月19日付け,平成21年7月4日付け,平成22年2月5日付け,同年6月14日付け,平成23年6月20日付け及び平成24年6月15日付け各主治医意見書においては,亡Fに係る認知症の中核症状として,短期記憶について問題があり,日常の意思決定を行うための認知能力及び意思の伝達能力についていくらか困難であるとされていた。平成21年7月4日付け,平成22年2月5日付け,同年6月14日付け,平成23年6月20日付け及び平成24年6月15日付け各主治医意見書においては,脳梗塞による後遺症により,記銘力低下,認知症があり,外出はできているが付き添いが必要で,生活全体に介護が必要な状態であるとされ,平成23年6月20日付主治医意見書においては,特記事項として,ここ1年でADLの低下あり,生活全体に介護が必要となっているとの意見が付されていた。
平成20年12月25日実施及び平成21年7月6日実施の認定調査票によれば,意思の伝達,日課の理解,短期記憶及び日常の意思決定はいずれもできるが,金銭の管理は一部介助とされていたところ,平成22年2月12日実施の認定調査票によれば,日常の意思決定は特別な場合を除いてできるとされ,特記事項として,時折物忘れが急に出現すること及び介護量が増加したとされている。同年6月25日の認定調査票には,意思の伝達はときどきできる,短期記憶はできない,金銭の管理及び買い物は全介助と記載され,平成23年6月22日実施の認定調査票には,最近物忘れが多くなり,病院で認知症の検査を受けたとの記載がある。
そして,精神科医師であるQ医師は,平成23年4月15日に亡Fを診察し,同日実施した改訂長谷川式知能評価スケール検査の結果が10点であり,同月19日に実施したMRI検査の結果,陳旧性の脳出血及び脳梗塞,脳の萎縮等が認められることなどを総合し,同月21日,亡Fを脳血管性とアルツハイマー型の混合性認知症と診断し,亡Fについて自己の財産を管理・処分することができない(後見相当)との診断をしていたものである。
このような経過をみると,亡Fは,平成20年11月に脳梗塞を患ってから徐々に認知症の症状が現れ,平成21年7月頃から生活全体に介護が必要となり,平成22年6月頃には金銭の管理及び買い物は全介助となり,平成23年4月には後見相当との診断がされるなど,認知症の症状は徐々に進行していたことが認められる。
しかしながら,亡Fの主治医意見書によれば,平成20年以降平成24年まで,亡Fについては認知症の中核症状として短期記憶に問題があるが,日常の意思決定を行うための認知能力,自分の意思の伝達能力についていくらか困難であるという程度の所見が続き,認知症の周辺症状も存しない状態であったこと,その原因は脳梗塞の後遺症によるものとされていること,認定調査票の記載内容からすると認知症の症状が常態化していたとまではいえないこと,ADLの低下は直ちに判断能力の低下と等しいものではないことからすると,平成23年4月15日実施の改訂長谷川式知能評価スケール検査の結果が10点であることを踏まえても,同年5月26日の本件F売買契約締結の時点において,当然に亡Fが意思能力を欠いていたとはいい難い。
ところで,亡Fは,Lの行状に鑑み,本件不動産を一人息子であるLではなく原告らに遺贈する旨の本件遺言をするため,平成22年9月24日,公証役場に赴き,公証人に対し,封書を提出し,これは自己の遺言書でS弁護士に筆記させたものである旨申述し,S弁護士らが証人となって秘密証書による本件遺言をしたものであるところ,本件遺言の際,公証人やS弁護士らが亡Fの意思能力について疑念を抱いたことをうかがわせる事情は証拠上見当たらない。そうすると,亡Fは,本件遺言当時,上記のような遺言をする意思能力を有していたものと認めるのが相当である。そして,前記認定事実(3)イ及びウによれば,本件遺言をしてから本件F売買契約を締結するまでの間,主治医意見書ないし認定調査票からうかがわれる亡Fの認知症の程度や精神状態にはほとんど変化を認めることはできない(これに対し,Aは,その法定代理人本人尋問において,本件遺言の後,平成22年暮れ頃から急激に認知症が悪化したもので,本件F売買契約締結時には判断能力はなかった旨の供述をし(法定代理人A・7~9頁),同旨の陳述記載(甲29,32,69)があるが,平成22年暮れ頃から急激に認知症が悪化したことを裏付ける客観的な証拠はない上,この間に,亡Fの認知症が急激に悪化するような環境の変化等の出来事があったことをうかがわせる証拠もなく,Aの上記供述等は採用することができない。)。そうすると,本件遺言時から約8か月後の本件F売買契約締結時までの間に亡Fの認知症が急激に重症化するような出来事がなく,亡Fの症状に変化がないことからすると,亡Fが本件F売買契約締結時において,意思能力を欠く状態にあったものとは考え難い。
その上,前記認定事実のとおり,亡Fが,本件F売買契約の後である平成23年6月10日のQ医師の診察の際は,息子夫婦のことで悩みがありますと述べ,同年7月4日の診察の際には,お嫁さんが家を出てしまった,嫁さんからは何の返事もない旨述べたほか,ビルの売却問題についても触れていることからすると,亡Fは,上記時点において,同年5月にAが原告らを連れて実家に帰ったこと,その後,Lと別居状態にあること,別居後Aから何の連絡もないこと,本件建物を売却したことを理解していたものと認められる。さらに,亡Fは,同年7月29日,前記認定事実(1)アのとおり,さわやか信用金庫との間で借入債務に係る弁済方法について,変更契約を締結し,変更契約証書に署名押印しており,上記変更契約の効力について問題視された形跡はない。また,本件売買契約締結の場にはLが亡Fと同席していたものであるところ,その際,LがCらに対し,亡Fの体調が悪い旨述べた以外に,亡Fの意思能力に問題があるなどの指摘をしたことをうかがわせる事情は証拠上見当たらない。
以上によれば,Q医師が,亡Fについて,平成23年4月21日に後見相当との診断をし,平成27年2月28日付け陳述書(甲44)においても,上記診断当時,長期的な視点からの判断が必要な重要な事項の決断ができたとはいえない旨述べていることを考慮しても,本件F売買契約締結の際,亡Fが意思能力を欠いていたと認めることはできない。
(2)  原告らは,亡Fは亡Mから相続した本件不動産をLの浪費から守るために本件不動産を孫である原告らに遺贈する旨の本件遺言をしたのであるから,本件F売買契約を締結する動機がない旨主張する。
しかしながら,前記認定事実(1)のとおり,Lは,平成22年頃からの銀座のクラブでの遊興費,生活費に加えて,政治活動費を必要としていたが,小遣いを止められ,平成23年4月の区議会議員選挙に落選してからは議員報酬を失い,収入はc社からの役員報酬のみとなったことから,後援会や知人等からの借金が1000万円近くある状態であったこと,亡Mの後妻である亡FにとってLは一人息子であり,本件遺言においても,Lの生活が成り立つことについて懸念する様子もうかがわれることからすると,亡Fが,Lの窮状を無視してもなお本件不動産を原告らに取得させる意思であったとまでは考えにくいところである。そして,本件遺言をした後,Aが原告らを連れて実家に帰り,Lと別居状態になったことを併せ考慮すると,Lから借金の返済や政治活動等のために本件不動産を売却したい旨の相談があれば亡Fがこれを承諾していたとしても不合理とはいえず,亡Fにおいて本件不動産を売却する動機がなかったとはいえない。
原告らは,本件売買契約の異常性・不合理性,本件売買契約書作成前の経緯の異常性,売買契約内容の不合理性,登記手続の異常性等を指摘し,亡Fの意思能力の欠如を示すものである旨主張する。しかしながら,450万円の支払の事実は前記認定のとおりであり,また,Lはうつ病相による通院歴があるものの本件売買契約締結の直前まで港区の区議会議員を務めていたものであり,平成23年5月当時,正常な判断が困難な精神状態であったことを認めるに足りる証拠はない。Lの証言中には,本件L売買契約は意に反するものであったかのような証言部分もあるが,Lの収入等生活状況(前記認定事実(1)ウ,オ),本件売買契約締結後の事実経過(前記認定事実(2)ウ,オ,カ)に照らし,にわかに採用することができない。そして,本件売買契約における契約内容等(前記認定事実(2)ア)は,社会通念上著しく不合理なものであるとはいえないことを併せ考慮すると,原告らが指摘するその余の事情を勘案しても,亡Fが本件不動産を売却することが不合理であるとはいえず,原告らの上記主張は採用することができない。
(3)  以上の説示に加えて,本件売買契約は不動産の単純な売買であり,その契約内容は前記認定事実(2)アのとおり,さほど複雑なものとはいえない上,Lと共に契約に臨んでいることを踏まえると,Q医師による前記診断等及び本件売買契約に係る代金額が2億円であることを考慮しても,亡Fが本件F売買契約締結当時,認知症によりその法的な効果を理解し判断することができない状態,すなわち意思無能力であったとはいえず,他に,亡Fが本件F売買契約締結当時,意思能力を欠いていたことを認めるに足りる的確な証拠はない。
したがって,本件F売買契約締結時,亡Fが意思無能力であった旨の原告らの主張は採用することができず,本件F売買契約は有効に成立したものといわなければならない。
4  争点(3)(本件売買契約は公序良俗に反するか(抗弁1に対する再抗弁2))について
原告らは,被告FLEXから豊多への本件不動産等に係る転売額が11億5000万円(甲70)であるのに対し,本件売買契約における売買代金額が2億円であることは著しく不均衡であり,被告FLEXは亡Fの精神薄弱に乗じて,本件不動産を不当に低額で買い取ったことは暴利行為に当たる旨主張する。
一方,Cは,その代表者本人尋問において,転売代金は6億円であり,上記売買契約書はクラケンの融資の便宜のために作成されたとし,差額5億5000万円については本件不動産の周辺土地に係る再開発事業について,将来クラケンが利益を得た場合に被告FLEXが利益を取得することになっている旨供述する(被告FLEX代表者C・19頁)。
そこで検討するに,前記認定事実のとおり,本件土地(1),本件土地(2)及び本件土地(3)の共有持分権者であるI,G,H,J及びKは,平成26年11月29日,豊多との間で,共有持分合計1万分の7646を代金13億円で売却する旨の売買契約を締結しており,上記価格を基に本件土地F持分及び本件土地L持分(合計1万分の2354)相当額を計算すると約4億円となるものである(上記共有持分権者らが豊多に売却することによって,共有関係が解消して豊多の単独所有となる点は,本件売買契約より売買代金の基準が高額となり得る要素であると考えられる。)。また,本件売買契約締結当時の本件不動産等の固定資産評価額は合計2億5000万円程度である。
さらに,前記認定事実のとおり,亡Mの相続人らは,本件建物の敷地利用権について定めることなく,本件建物の所有者であった亡Fが,亡Mの先妻の子であるGら本件土地の共有持分権者に対し,使用相当損害金を支払う旨の遺産分割調停を成立させているが,本件建物の利用につき借地権等の権利が設定されていたと認めるには十分でなく,他にこれを認めるに足りる証拠はないことからすると,本件建物の本件土地についての敷地利用に係る権利関係は安定したものであったとはいえない。原告らは,本件建物につき査定額を約6億6709万円とする査定書(甲46)を提出するが,上記査定額は,本件建物が借地権付きの建物であることを前提としているところ(甲46),本件建物につき借地権が設定されていたと認めるに足りる証拠がないことは上記のとおりであるから,上記査定額を基準とすることはできない。
以上の点を総合すると,被告FLEXから豊多に対し転売された上記事実をもって,直ちに本件売買契約当時,本件不動産等が11億5000万円ないし6億円の価値を有するものであったと認めることはできず,本件売買契約における売買代金額が2億円であることが不当に低額であり,暴利行為に当たるとまではいえない。
そして,本件F売買契約締結の当時,亡Fにおいて意思無能力の状態であったといえないことは上記3で説示したとおりである上,前記認定事実のとおり,Lも亡Fと共に本件L売買契約を締結しており,本件売買契約締結の際,亡FとLとが同席していることを併せ考慮すると,被告FLEXが高齢で認知症の亡Fの精神薄弱に乗じて本件F売買契約を締結させたものとはいえない。
その他原告らが指摘する諸事情を考慮しても,本件売買契約が公序良俗に反するものとは認められず,他に本件売買契約が公序良俗に反すると評価すべき事情は証拠上見当たらない。したがって,原告らの前記主張は採用することができない。
5  以上の次第で,本件F売買契約は有効に成立しているものと認められるから,原告らが本件遺贈により本件不動産を取得したものとはいえず,請求原因事実を認めることはできない。
よって,原告らの各請求は,その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないから,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第34部
(裁判官 松本高明 裁判長裁判官相澤眞木は差し支えのため,裁判官上村考由は転補のため,いずれも署名押印することができない。裁判官 松本高明)

 

別紙
当事者目録
横浜市〈以下省略〉
原告 X1
同所
原告 X2
原告X2法定代理人親権者 A
原告両名訴訟代理人弁護士 工藤英知
同 佐藤正章
同 山下哲郎
同訴訟復代理人弁護士 太田垣佳樹
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社FLEX
同代表者代表取締役 B
同 C
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 (旧商号 全日綜合企画株式会社)株式会社BANKS
同代表者代表取締役 D
上記両名訴訟代理人弁護士 西田勇人
同 鈴木寛康
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 東京都
同代表者知事 E1
同指定代理人 E2
同 E3
以上

〈以下省略〉


「選挙 立候補」に関する裁判例一覧
(1)令和元年10月 8日  神戸地裁  平29(ワ)1051号 損害賠償請求事件
(2)令和元年 9月 6日  大阪地裁  令元(わ)2059号 公職選挙法違反被告事件
(3)令和元年 6月25日  東京地裁  平26(行ウ)615号 損害賠償等請求事件
(4)令和元年 5月24日  東京地裁  平28(ワ)17007号 選挙供託金制度違憲国家賠償請求事件
(5)平成31年 4月26日  大阪高裁  平30(行ケ)1号 裁決取消請求事件
(6)平成31年 4月25日  東京高裁  平30(ネ)4794号 総会決議無効確認等請求控訴事件
(7)平成31年 4月12日  大阪地裁  平29(ワ)7325号 賃金等請求事件
(8)平成31年 4月 9日  甲府地裁  平27(行ウ)6号 違法公金支出金返還等請求事件
(9)平成31年 3月20日  水戸地裁 平29(わ)655号
(10)平成31年 3月 7日  知財高裁  平30(行ケ)10141号 審決取消請求事件
(11)平成31年 3月 5日  東京高裁  平30(う)1422号 政治資金規正法違反被告事件
(12)平成31年 3月 5日  東京地裁  平29(ワ)18277号 謝罪広告等請求事件
(13)平成31年 1月17日  盛岡地裁  平30(行ウ)8号 旧庁舎解体等公金支出等差止請求事件
(14)平成31年 1月15日  名古屋地裁  平28(ワ)3178号・平28(ワ)3179号 損害賠償請求事件
(15)平成30年11月29日  東京地裁  平29(行ウ)149号・平29(行ウ)375号 不当労働行為再審査申立棄却命令取消事件
(16)平成30年11月22日  東京地裁  平30(ワ)16336号 損害賠償等請求事件
(17)平成30年11月22日  東京地裁  平28(ワ)31683号 損害賠償請求事件
(18)平成30年10月31日  東京地裁  平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件
(19)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(20)平成30年10月11日  東京高裁  平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件
(21)平成30年10月 5日  東京地裁  平27(ワ)36817号・平28(ワ)18096号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件
(22)平成30年10月 4日  東京地裁  平27(ワ)2650号 代表権不存在確認等請求事件
(23)平成30年 9月28日  東京地裁  平26(ワ)10773号・平29(ワ)3602号 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(24)平成30年 9月28日  東京地裁  平28(ワ)23496号 損害賠償請求事件
(25)平成30年 9月27日  大阪高裁  平29(行コ)173号 高等学校等就学支援金支給校指定義務付等請求控訴事件
(26)平成30年 9月27日  東京地裁  平28(ワ)36676号 総会決議無効確認等請求事件
(27)平成30年 9月19日  東京高裁  平30(ネ)2451号 社員総会決議不存在確認等,代議員選挙無効確認等請求控訴事件
(28)平成30年 8月30日  東京高裁  平30(行コ)111号 労働委員会救済命令取消請求控訴事件
(29)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(30)平成30年 7月25日  東京高裁  平30(行ケ)8号 裁決取消請求事件
(31)平成30年 7月20日  福岡地裁久留米支部  平28(ワ)69号 損害賠償請求事件
(32)平成30年 6月27日  東京地裁  平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件
(33)平成30年 5月24日  東京高裁  平30(行ケ)4号 選挙無効及び当選無効請求事件
(34)平成30年 4月25日  東京地裁  平28(ワ)31号・平28(ワ)37044号・平28(ワ)37820号 証書真否確認、立替金等返還債務不存在確認等請求事件、立替金返還請求反訴事件、立替金請求反訴事件
(35)平成30年 4月20日  高松高裁  平29(行コ)21号 権利変換計画不認可処分取消等請求控訴事件
(36)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(37)平成30年 3月30日  東京地裁  平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(38)平成30年 3月26日  東京地裁  平28(ワ)31536号・平28(ワ)44146号 社員総会決議不存在確認等請求事件、代議員選挙無効確認等請求事件
(39)平成30年 3月19日  東京地裁  平28(ワ)1085号 損害賠償等請求事件
(40)平成30年 3月13日  東京高裁  平29(う)1154号 公職選挙法違反被告事件
(41)平成30年 3月 8日  東京地裁  平29(ワ)30031号 損害賠償及び慰謝料請求事件
(42)平成30年 2月21日  東京地裁  平28(行ウ)6号 労働委員会救済命令取消請求事件
(43)平成30年 2月13日  東京地裁  平29(行ウ)45号 非常勤職員報酬返還請求事件
(44)平成30年 2月 6日  東京高裁  平29(行ケ)35号
(45)平成30年 2月 6日  東京地裁  平27(ワ)35223号 仮払金精算請求事件
(46)平成30年 1月22日  東京地裁  平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(47)平成30年 1月18日  東京高裁  平29(行ケ)27号・平29(行ケ)28号 裁決取消請求事件
(48)平成29年12月21日  東京地裁  平29(ワ)24097号 損害賠償等請求事件
(49)平成29年12月19日  最高裁第三小法廷  平29(行フ)3号 執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
(50)平成29年12月19日  千葉地裁  平28(行ウ)5号 農業委員会会長解任無効確認請求事件
(51)平成29年12月15日  福岡地裁  平26(わ)1284号・平27(わ)231号・平27(わ)918号 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
(52)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(53)平成29年11月16日  東京地裁  平28(ワ)6761号 懲戒処分無効確認等請求事件
(54)平成29年11月 2日  東京地裁  平28(ワ)32978号 損害賠償請求事件
(55)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(56)平成29年10月11日  東京高裁  平28(ネ)5794号 理事長及び理事の地位確認等請求控訴事件
(57)平成29年10月11日  東京地裁  平28(ワ)38184号 損害賠償請求事件
(58)平成29年10月11日  神戸地裁  平28(行ウ)49号 退職手当金不支給処分取消請求事件
(59)平成29年10月 2日  東京地裁  平29(ワ)21232号 発信者情報開示請求事件
(60)平成29年 9月28日  東京地裁  平26(行ウ)229号 難民不認定処分取消請求事件
(61)平成29年 9月26日  東京地裁  平28(ワ)18742号 損害賠償請求事件
(62)平成29年 9月25日  東京地裁  平27(行ウ)331号・平28(行ウ)526号 観察処分期間更新決定取消請求事件、訴えの追加的変更申立て事件
(63)平成29年 9月25日  東京地裁  平27(行ウ)444号 観察処分期間更新処分取消請求事件
(64)平成29年 9月20日  徳島地裁  平28(行ウ)9号 権利変換計画不認可処分取消等請求事件
(65)平成29年 9月 8日  東京地裁  平28(行ウ)117号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(66)平成29年 9月 1日  青森地裁  平29(わ)55号・平29(わ)67号・平29(わ)71号 公職選挙法違反被告事件
(67)平成29年 8月25日  東京地裁  平27(行ウ)732号 難民不認定処分等取消請求事件
(68)平成29年 8月25日  青森地裁  平28(ワ)143号 損害賠償請求事件
(69)平成29年 7月25日  青森地裁  平29(わ)48号・平29(わ)56号・平29(わ)66号・平29(わ)70号 公職選挙法違反被告事件
(70)平成29年 7月24日  東京地裁  平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(71)平成29年 7月12日  広島高裁松江支部  平28(行コ)4号 市庁舎建築に関する公金支出等差止請求控訴事件
(72)平成29年 6月27日  東京地裁  平28(ワ)26217号 損害賠償請求事件
(73)平成29年 5月22日  東京地裁  平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(74)平成29年 5月18日  東京高裁  平28(う)1194号 公職選挙法違反被告事件
(75)平成29年 5月 9日  東京地裁  平28(ワ)36100号 決議無効確認請求事件
(76)平成29年 4月13日  東京地裁  平27(行ウ)480号 退去強制令書発付処分等取消請求事件
(77)平成29年 4月11日  東京地裁  平26(ワ)10342号 損害賠償請求事件
(78)平成29年 4月 7日  東京地裁  平26(ワ)27864号 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件
(79)平成29年 3月29日  東京地裁  平28(ワ)4513号・平28(ワ)28465号 マンション管理組合法人総会決議無効確認請求事件、反訴請求事件
(80)平成29年 3月28日  東京地裁  平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(81)平成29年 3月28日  仙台地裁  平28(ワ)254号 損害賠償請求事件
(82)平成29年 3月24日  東京地裁  平26(ワ)30381号 損害賠償請求事件
(83)平成29年 3月15日  東京地裁  平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(84)平成29年 3月 8日  東京地裁  平26(行ウ)300号 地位確認等請求事件
(85)平成29年 2月 9日  静岡地裁  平28(ワ)409号 損害賠償請求事件
(86)平成29年 2月 2日  東京地裁  平26(ワ)25493号・平27(ワ)20403号 株式代金等請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(87)平成29年 2月 1日  仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(88)平成29年 1月31日  大阪高裁  平28(ネ)1109号 損害賠償等請求控訴事件
(89)平成29年 1月31日  高松高裁  平28(行コ)23号 資格決定処分取消請求控訴事件
(90)平成29年 1月31日  東京地裁  平27(行ウ)360号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(91)平成29年 1月31日  神戸地裁豊岡支部  平28(わ)63号
(92)平成29年 1月17日  静岡地裁  平28(わ)407号 公職選挙法違反被告事件
(93)平成28年11月28日  名古屋高裁  平27(う)131号 受託収賄、事前収賄、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件
(94)平成28年11月21日  東京地裁立川支部  平27(ワ)2775号 理事長及び理事の地位確認等請求事件
(95)平成28年11月18日  東京地裁  平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件
(96)平成28年11月16日  大阪高裁  平27(ネ)3176号 損害賠償請求控訴事件
(97)平成28年11月15日  東京高裁  平28(行ケ)16号 選挙無効請求事件
(98)平成28年11月10日  東京高裁  平28(行ケ)17号 選挙無効請求事件
(99)平成28年11月 9日  東京地裁  平27(ワ)1724号 損害賠償等請求事件
(100)平成28年10月31日  東京地裁  平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件


■選挙の種類一覧
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選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


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