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政治と選挙Q&A「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例(81)平成30年 3月20日 東京地裁 平27(行ウ)727号 難民不認定処分等取消請求事件

「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例(81)平成30年 3月20日 東京地裁 平27(行ウ)727号 難民不認定処分等取消請求事件

裁判年月日  平成30年 3月20日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(行ウ)727号
事件名  難民不認定処分等取消請求事件
文献番号  2018WLJPCA03208023

裁判年月日  平成30年 3月20日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(行ウ)727号
事件名  難民不認定処分等取消請求事件
文献番号  2018WLJPCA03208023

さいたま市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 難波満ほか別紙代理人目録記載1のとおり
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者兼処分行政庁 法務大臣 A
裁決行政庁 東京入国管理局長 B
処分行政庁 東京入国管理局主任審査官 C
被告指定代理人 W1ほか別紙代理人目録記載2のとおり

 

 

主文

1  本件各訴えのうち,法務大臣が原告を難民と認定すべきこと及び東京入国管理局長が原告の在留を特別に許可すべきことの各義務付けを求める部分をいずれも却下する。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  法務大臣が平成22年10月29日付けで原告に対してした難民と認定しない処分を取り消す。(以下「本件不認定処分取消しの訴え」という。)
2  法務大臣は,原告に対し出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)61条の2第1項の規定による難民と認定せよ。(以下「本件難民義務付けの訴え」という。)
3  東京入国管理局長(以下「東京入管局長」といい,入国管理局を「入管」という。)が平成27年7月29日付けで原告に対してした入管法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決は無効であることを確認する。(以下「本件裁決無効確認の訴え」という。)
4  東京入管主任審査官が平成27年9月1日付けで原告に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。(以下「本件退令取消しの訴え」という。)
5  東京入管局長は,原告に対し在留資格を定住者,在留期間を5年として原告の在留を特別に許可せよ。(以下「本件在特義務付けの訴え」という。)
第2  事案の概要
1  本件は,中華人民共和国(以下「中国」という。)国籍を有する外国人(以下「中国人」という。)男性である原告が,法務大臣に対し,入管法61条の2第1項に基づく難民認定申請をしたが,平成22年10月29日付けで法務大臣から難民の認定をしない処分(以下「本件不認定処分」という。)を受け,その後,不法残留となって在留資格を失い,東京入管局長から入管法所定の退去強制対象者に該当する(退去強制事由は入管法24条4号ロの不法残留)との認定に係る異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受け,東京入管主任審査官から送還先を中国とする退去強制令書(以下「本件退令」という。)の発付処分(以下「本件退令発付処分」という。)を受けたことから,これらの各処分及び裁決には原告が入管法所定の「難民」であることを看過するなどの違法又は無効事由がある旨主張して,被告に対し,①本件不認定処分の取消し(本件不認定処分取消しの訴え),②原告を難民と認定する処分の義務付け(本件難民義務付けの訴え),③本件裁決の無効確認(本件裁決無効確認の訴え),④本件退令発付処分の取消し(本件退令取消しの訴え),⑤原告に対する入管法50条1項に基づく在留特別許可の義務付け(本件在特義務付けの訴え)をそれぞれ求める事案である。
2  前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)
(1)  原告の身分事項等
ア 原告について
(ア) 原告は,1991年(平成3年)○月○日,中国(安徽省)において出生した中国人男性である。
(イ) 原告は,中国において小・中学校を卒業し,2007年(平成19年)9月に中等専門学校(工学校)に入学し,2009年(平成21年)6月に同校を卒業した。(甲96,乙1,4,11,原告本人)
イ D(以下「D」という。)について(甲83,85,乙46)
(ア) Dは,1963年(昭和38年)○月○日,中国(安徽省)で生まれた中国人であったが,1997年(平成9年)11月に来日して以降,数次にわたり在留資格の変更及び在留期間の更新の許可を得て,この間,退去強制手続が開始されたが,平成15年7月に在留特別許可(在留資格「日本人の配偶者等」,在留期間「1年」)を得,その在留期間の更新を経て,平成18年11月20日,永住を許可され,平成28年12月16日,帰化を許可され,D1という名になった。
(イ) Dは,もとは中国人である夫(以下「元夫」という。)がいたが,2000年(平成12年)に同人と離婚しており(乙47),元夫との間に息子と娘がいる。また,Dは,2002年(平成14年)5月,日本人であるE(以下「E」という。)と婚姻した。
(ウ) Dは,原告の伯母(原告の父の姉)に当たる。
(2)  原告の入国及び在留の状況
ア 原告は,2008年(平成20年)12月10日,中国政府から正規旅券の発給を受けた。(乙4)
イ 原告は,平成21年2月7日,成田国際空港(以下「成田空港」という。)に到着し,上記アの旅券を行使して,東京入管成田空港支局入国審査官から,在留資格「短期滞在」,在留期間を「90日」とする上陸許可の証印を受け,本邦に上陸した。
ウ 原告は,さいたま市長に対し,居住地を「さいたま市〈以下省略〉」,世帯主を「E」,続柄を「妻のその他」とする外国人登録法(以下「外登法」という。外登法は,平成21年法律第79号が平成24年7月9日に施行されたことに伴い廃止された。)3条1項に基づく新規登録の申請をし,平成21年3月18日,その旨の登録を受けた。
エ 原告は,次のとおり,東京入管局長から在留資格変更又は在留期間更新の許可をそれぞれ受けた。
(ア) 平成21年4月28日 在留資格「特定活動」,指定活動「本邦に在留し難民認定申請を行っている者が行う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」,在留期間「3月」とする在留資格変更許可
(イ) 平成21年7月27日 在留期間「3月」とする在留期間更新許可
(ウ) 平成21年10月5日 在留期間「3月」とする在留期間更新許可
(エ) 平成21年11月9日 在留資格「特定活動」,指定活動「本邦に在留し難民認定申請を行っている者が行う,本邦の公私の機関に雇用されて行う報酬を受ける活動(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)2条1項に規定する風俗営業若しくは同条6項に規定する店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う報酬を受ける活動又は同条7項に規定する無店舗型性風俗特殊営業,同条8項に規定する映像送信型性風俗特殊営業,同条9項に規定する店舗型電話異性紹介営業若しくは同条10項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事して行う報酬を受ける活動を除く。)」,在留期間「3月」とする在留資格変更許可
(オ) 平成22年2月1日 在留期間「3月」とする在留期間更新許可
(カ) 平成22年5月6日 在留期間「6月」とする在留期間更新許可
(キ) 平成22年10月29日 在留期間「6月」とする在留期間更新許可
オ 原告は,最終の在留期限である平成23年5月9日を超えて本邦にとどまり,もって不法残留し,在留資格未取得外国人(入管法別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもって本邦に在留する者,一時庇護のための上陸の許可を受けた者で当該許可書に記載された期間を経過していないもの及び特別永住者以外の者をいう。入管法61条の2の2)となった。
(3)  原告の難民認定手続について
ア 原告は,平成21年4月13日,法務大臣に対し,難民認定申請(以下「本件難民認定申請」という。)をした。
イ 法務大臣は,平成22年10月29日,本件難民認定申請について,難民の認定をしない旨の処分(本件不認定処分)をし,同年11月18日,原告にその旨通知した。(なお,本件不認定処分当時,原告は在留資格未取得外国人ではなかったことから,入管法61条2の2第2項に基づく審査判断はされなかった。)
ウ 原告は,平成22年11月24日,本件不認定処分を不服として,法務大臣に対して異議の申立て(以下「本件異議申立て」という。)をした。
エ 法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長は,平成23年7月26日,原告について仮滞在を許可した。
オ 法務大臣は,平成27年4月24日,原告からの本件異議申立てには理由がない旨の決定をし,同年6月18日,その旨原告に通知した。
カ 上記オの決定があったことから,平成27年6月18日,原告に対する仮滞在許可の終期が到来した(入管法61条の2の4第5項2号)。
(4)  本件裁決,本件退令発付処分に至る経緯等について
ア 東京入管入国警備官は,平成23年7月13日,原告に係る違反調査を実施し,同月21日,原告が入管法24条4号ロ(不法残留)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,東京入管主任審査官から収容令書の発付を受け,同月26日,同令書を執行し,原告を東京入管収容場に収容した上で,入管法24条4号ロ(不法残留)該当容疑者として,東京入管入国審査官に引き渡した。
イ 東京入管入国審査官は,平成23年7月26日,原告に係る違反審査を行い,その結果,同日,原告が入管法24条4号ロ(不法残留)に該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨を認定し,原告にその旨通知したところ,原告は,同日,同認定に異議があるとして特別審理官に対し口頭審理を請求した。
ウ 原告は,平成23年7月26日,仮放免許可を受けた。
エ 上記(3)カのとおり,平成27年6月18日,原告に対する仮滞在許可の終期が到来したことから,原告に対する退去強制手続が再開された。
オ 東京入管特別審理官は,平成27年7月15日,原告に係る口頭審理を実施し,上記イの認定には誤りがない旨判定して,原告にその旨通知したところ,原告は,同日,法務大臣に対し,異議の申出をした。
カ 法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長は,平成27年7月29日,原告の上記オの異議の申出に対し,異議の申出には理由がない旨の裁決(本件裁決)をし,同日,東京入管主任審査官に本件裁決を通知した。
キ 上記カの通知を受けた東京入管主任審査官は,平成27年9月1日,原告に本件裁決を通知するとともに,本件退令発付処分をし,東京入管入国警備官は,同日,本件退令を執行して原告を東京入管収容場に収容した。
ク 東京入管入国警備官は,平成27年11月12日,原告の身柄を東京入管収容場から入国者収容所東日本管理センターに移収した。その後,原告は,平成28年6月7日,仮放免を許可されて同センターを出所した。
(5)  本訴の提起
原告は,平成27年12月18日,本訴を提起した。(顕著な事実)
3  争点
本件の争点は,本件不認定処分の適法性(争点1),本件裁決の無効事由の有無(争点2),本件退令発付処分の適法性(争点3),本件難民義務付けの訴えの適法性及び当否(争点4)並びに本件在特義務付けの訴えの適法性及び当否(争点5)であり,具体的には,これらの各争点に共通するものとしては,上記の各処分又は裁決の当時,原告が入管法所定の「難民」であったか否かが争われており,また,争点2及び5については,仮に原告が「難民」でなかったとしても,原告に在留特別許可が付与されるべき事由があり,これが看過されたことが本件裁決の無効事由となるか否かが争われている。
第3  争点に対する当事者の主張
1  本件不認定処分の適法性(争点1)
(原告の主張)
(1) 「難民」の意義
入管法における「難民」とは,難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)1条の規定又は難民の地位に関する議定書(以下「難民議定書」という。)1条の規定により難民条約の適用を受ける難民,すなわち,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」をいい,その解釈は,全面的に難民条約及び難民議定書の解釈に依拠するものである。そして,難民条約及び難民議定書の解釈によれば,「十分に理由のある恐怖」とは,恐怖が主観的であるのみならず,客観的でもある場合,すなわち,「恐怖が証拠に基づく合理的ないし現実的なものである場合」と解すべきことになる。また,「政治的意見」とは,申請者が難民として逃れたいと思っている国を統治している政府によって,申請者の行為が政治的活動にあたったとみなされるか否かという基準で判断されなければならず,入管当局の難民認定事務取扱要領においても,「申請者が本国政府に敵対する意図がなくても,その行動が本国政府から敵対しているとみなされる場合も含む。」とされているところである。
(2) 難民認定手続における立証責任等
難民条約上の難民たる要件を満たす場合,必ず難民として保護されるべきであるところ,難民該当性の判断に当たっては,証拠収集の困難性や申請者の心的問題等の複数の要因が存在するから,立証責任の所在について通常の民事訴訟におけるそれと同様に解するとすれば,難民条約上の難民がその立証の負担ゆえに難民と認定されない場合が多数生じることになる。このような事態を避けるためには,法務大臣に難民調査官に事実の調査をさせる旨を定めた入管法61条の2の14第1項や,法務大臣及び難民調査官に公務所及び公私の団体に対する照会権限を付与した同条3項の趣旨に鑑み,難民認定に必要な事実の確認や評価を行う義務は,申請者と認定機関がともに負うものと解すべきである。この点,難民条約の解釈の補足的手段(ウィーン条約法条約32条)として参照されるべき国際連合難民高等弁務官事務所(以下「UNHCR」という。)が作成している「難民認定基準ハンドブック」においても,難民認定申請をする者に原則として立証責任があるとしても,関連する全ての事実を確認し評価する義務は申請者と審査官との間で分かち合う旨記載されている。そして,申請者の陳述の全てが立証できないとしても,申請者の説明が信憑性を有すると思われるときは,反対の十分な理由がない限り,申請者は灰色の利益が与えられるべきである。
(3) 法輪功に関わる一般情勢について
ア 法輪功とは
法輪功は,Fが創設した気功法であり,真・善・忍という基本理念に基づく心身の修練体系である。この体系は,基本的に5つの動作からなっており,心身に健康をもたらすことができるとされている。法輪功の修練形態は,法を学ぶこと(Fの著作「転法輪」を読むこと)と集団煉功をすることであり,学習者(修練者)は,修練の感想と体験を交流し合い,ともに向上することを図る。法輪功には,管理機構がなく,事務所も専任担当者もなく,規則や参加者名簿もない。創始者であるFを除けば,全ての法輪功修練者が平等の地位にある。
イ 法輪功修練者に対する迫害状況
(ア) 法輪功の誕生と締め付けの強化
Fは,1992年(平成4年)5月,出身地である長春で法輪功を説き始め,1993年(平成5年)8月,中国気功科学研究協会に加盟した。1995年(平成7年),杭州省で法輪功を教えることが禁止され,同年12月,法輪功は,中国気功科学研究協会から脱退し(事実上の追放),1996年(平成8年)12月,中国政府が「転法輪」等の文書を発禁処分にし,1997年(平成9年)2月,中国気功科学研究協会から公式に追放された。公安当局も,同年,法輪功への監視を強める内部通達を出し,法輪功に対する締め付けが次第に厳しくなった。
(イ) 「中南海事件」
中国政府が法輪功を非合法化する引き金になったのが,1999年(平成11年)4月に起きた「中南海事件」であった。これは,師範学校の雑誌に法輪功を公然と批判する記事が出たことに抗議するため,法輪功の1万人を超える修練者が,政府や軍,党の要人の居住地である中南海地域を占拠して座り込み,非暴力をもって抗議した事件である。
G国家主席が事件直後と1999年(平成11年)6月に中国共産党(以下単に「共産党」ともいう。)幹部に送ったとされる内部文書によれば,G主席は,中南海事件の兆候を見逃した治安当局を批判したほか,社会変化のために政治・思想面での党活動が弱体化したことが法輪功活発化の背景にあるなどと分析し,中国指導部の強い危機感を浮き彫りにしている。特に,事件直後の同年4月27日付け文書で,G主席は,中南海事件を「89年の騒動以来,北京で発生した大衆行動で最も人数の多い事件」と指摘している。
また,1999年(平成11年)6月7日付け文書では,事件の背景について,社会の変化に伴い,党の目が届かない大衆団体や民間企業などが急速に増え,党の政治思想工作や宣伝工作の弱体化があるなどと分析し,思想教育や社会管理の強化の重要性を強調し,「(法輪功の)問題を適切に解決できなければ,歴史的な過ちを犯す」と警告している。
これらの文書から見ても,中国政府首脳が,支持者が拡大する法輪功に対し,中南海事件後,危機感を急速に増大させたことが分かり,その後の猛烈な迫害の発端となっている。
(ウ) 中国政府による非合法化宣言
中南海事件等の事態を受けて,1999年(平成11年)7月19日,中国政府は,中国全土で法輪功の熱心な修練者を逮捕し始め,同月19日夜から翌20日未明にかけて,法輪功の中国各地の主要修練者70人が一斉に逮捕された。同月22日には,中国政府公安部が法輪功を「非合法」組織として取り締まることを決定し,中国中央テレビが法輪功を禁じる報道と創始者を誹謗する文章を繰り返し放送して,正式に弾圧を開始した。同月29日には,広東省,山東省,河北省,上海市などで,押収した法輪功関連の出版物を一斉に処分するセレモニーもあった。
(エ) 法輪功創始者の指名手配
中国政府は,1999年(平成11年)7月29日,法輪功創始者のFを指名手配し,国際刑事警察機構(ICPO)に協力を依頼した。しかし,ICPOは,ICPO憲章の下では,中国政府主張の被疑事実は犯罪として認定されるものではなく,同政府の要請は政治的性質を帯びているとして,中国政府の要請に対して協力しなかった。
(オ) G国家主席による「邪教」宣言
中国政府の法輪功に対する迫害は,以上のような消極的な「非合法化」にとどまらず,その後,積極的に「邪教」と認定し,取締対象としたことで,次の段階を迎えた。すなわち,G主席は,1999年(平成11年)10月26日,全国人民代表大会(以下「全人代」という。)において邪教宣言声明を発表し,その中で法輪功を「邪教」であると決め付けた。法輪功の「邪教」指定は,2014年(平成26年)6月,共産党弁公庁及び公安省によってされており,法輪功を「邪教」として取締の対象とする姿勢は,現在まで全く変更されていない。
(カ) 法輪功弾圧のための新法
邪教宣言を受けて,1999年(平成11年)10月30日,全人代が,法輪功取締強化のために,「邪教組織の取締,邪教活動の防止・処罰に関する決定」を採択した。同日,最高人民法院及び最高人民検察院も「邪教」取締のための刑法新解釈を決定し,法輪功弾圧のための法的整備を行い,中国政府の法輪功に対する政策は次の段階に入った。
(キ) 「焼身自殺事件」
一方で,中国政府は,反法輪功キャンペーンを展開して,民心が離れるようにした。2001年(平成13年)1月23日付け共同通信配信記事によれば,中国の新華社通信は,5人の法輪功修練者が,旧暦除夜の午後,北京天安門広場で「焼身自殺」をし,うち1人が死亡,4人が受傷したと報じ,これは全世界でも報道された。1週間後には7人と発表された。しかし,法輪功側は,法輪功の教えは,自殺を含む殺生を固く禁じているとしてこれを強く否定し,上記「事件」は,法輪功修練者に対する迫害の口実として作られたものであると指摘した。法輪功の著作「転法輪」は,自殺を含む殺生は,悟りを開く「圓満成就」とは正反対の行為であるとしている。その後も中国政府当局による「自殺事件」の「報道」が続き,中国駐日本国大使館(以下「駐日中国大使館」という。)のホームページでも同様である。
(ク) 弾圧のさらなる継続化
法輪功修練者は,インターネットを通じ,積極的に迫害状況を世界に発信しており,多くの国際機関,各国政府,人権団体等が中国政府の法輪功修練者に対する人権侵害に対して抗議の意思を表明している。
H首相は,2001年(平成13年)3月5日,全人代において,再び法輪功を名指しで批判し,法輪功を「邪教として本質を持つだけでなく,中国に反対する国内外の敵対勢力の道具に成り下がった反動分子だ」と決め付け,「たたきのめす」と語気を強め,「法輪功との闘争を続ける」と宣言した。
(ケ) 駐日中国大使館の法輪功批判声明
駐日中国大使館は,2001年(平成13年)2月27日,法輪功が邪教であること,西側の反中国勢力の回し者であることを声明で発表し,華人週報などの日本で発行されている中国語新聞に掲載させるなど,中国本土政府と呼応して積極的に反法輪功キャンペーンを展開している。
(コ) 弾圧の法制度的強化
2001年(平成13年)6月11日,最高人民法院と最高人民検察院でそれぞれ可決されていた「最高人民法院,最高人民検察院による,邪教組織を組織利用する犯罪事件について実際に法律を適用した場合における若干の問題についての解釈」と題する刑法適用基準を示した条例が実施に移され,法輪功に対する迫害が,法制度的にも強化された。中国の裁判所と検察が法輪功弾圧に向け司法解釈を示すのは,1999年(平成11年)10月に続き2度目である。
これは,天安門広場での「焼身自殺事件」の経験を踏まえ,メンバーに「自殺」を唆かせば殺人罪の適用を認めるなど,死刑の適用を含め弾圧の法的な間口を大きく広げた内容となっている。量刑でも,「邪教」組織や迷信を利用して人を死に追いやった場合は,これまで最高で7年以上の有期懲役だったが,今回の条例により「自殺」の教唆,幇助に殺人罪が適用され,最高刑は死刑となった。また,インターネットを通じたFの説法など,法輪功の宣伝活動が一律に邪教組織犯罪と規定された。宣伝内容が政権の転覆を呼びかけたと判断された場合には,やはり死刑を含む国家政権転覆罪など量刑の重い罪名が適用される。
(サ) 現在に至る法輪功=邪教反対キャンペーン
中国政府は,法輪功に対する邪教反対キャンペーンを展開して現在に至っている。本来であれば,国際社会の厳しい目が中国政府当局に対する一定の歯止めになっていたところであるが,飛躍的な経済発展を遂げた中国は,国際社会における発言力が増しており,国際社会の監視が緩やかになりつつある中で,中国当局が国内の人権侵害について暴走する危険は,一層増している。実際,2014年(平成26年)3月20日,不法に拘留された法輪功学習者の釈放を求めていた4人の弁護士らが当局に拘留され,拷問により重傷を負う事件が起きている。中国当局も,法輪功組織を支援したとして,4人を処罰した事実までは公に認めている。同年6月,共産党は,改めて法輪功を邪教であると公表して市民に対し注意を呼びかけている。このように,中国政府は,法輪功に対し,制度的,組織的,継続的に弾圧する「法的根拠」を整備し,法輪功に対する迫害を維持強化しており,中国政府のあらゆる法輪功修練者に対する迫害意思は明らかであるどころか,年々強化されている。
ウ 法輪功弾圧に向けた法的根拠
(ア) 「党規国法」の体系
中国の法体制の最大の特徴は,国家機関によって制定された法律の上位に,党機関によって決定されたさまざまな決議,命令,通知,規則などが存在し,法律の執行に影響力を行使していることであり,近代的法治国家において,たとえ支配政党のものであるにせよ,政党の決定が法律として扱われることはないが,社会主義の国家では党の決定は法律に優先する存在であり,中国の法律は社会主義国として現在もこの法体系を維持していることにある。党の規則(党規)が国法に優先している中国において,党主導部が現在最も畏れている存在こそ法輪功である。
共産党は,1999年(平成11年)6月10日,同年7月の法輪功修練者に対する大弾圧に先立ち,「法輪功問題に対処する中国共産党中央指導者チーム事務室」として,通称「610事務所」(610弁公室)を設立している。610事務所は,共産党中央政治司法委員会に属しており,各省・市・自治区にも地方組織を有しており,法輪功に対する様々な弾圧政策を統括し実行に移している。
法輪功が党の権威性を揺るがす存在であるからこそ,共産党は,特別に弾圧組織を全国各地に設立しているのである。
(イ) 法輪功修練者に適用が予想される「刑事処罰」
a 中国刑法300条
法輪功修練者へは,主に中国刑法300条が適用されているところ,同条は,「似非宗教団体若しくは邪教組織を組織し,若しくは利用し,又は迷信を利用して国の法律又は行政法規の実施を破壊した者は,3年以上7年以下の有期懲役に処する。情状が特別に重大である場合には,7年以上の有期懲役に処する。」などと規定している。
もっとも,同法の適用に当たっては,同法が抽象的であることから,具体的には,「司法解釈文書」によって解釈・適用されている。
b 司法解釈文書
中国法では,全人代や同常務委員会あるいは国務院などの立法機関が制定する法規類とは別に,「司法解釈文書」と呼ばれるものがある。これは,最高人民法院又は最高人民検察院によって,あるいは両機関の連名で,下級機関(高級人民法院・同検察院)からの法律問題の問い合わせに対し,また,そうした問い合わせがなくても一方的に,口頭又は文書の形で示される指示のたぐいである。現実と法との間のギャップを埋める役割を果たしているといわれている。
法輪功弾圧に関しても中国刑法300条を司法解釈する必要があり,司法解釈文書が出されている。すなわち,全人代は,1999年(平成11年)10月30日,法輪功の取締強化のために「邪教組織の取締及び邪教活動の防犯並びに処罰に関する決定」を採択し,さらに同日,既に最高人民法院及び最高人民検察院が同月9日に採択していた「邪教」取締のための司法解釈文書を公布した。これらによって,法輪功に対する弾圧の法的基盤が整備された。また,2001年(平成13年)6月11日,法輪功に対する取締強化のために,最高人民法院と最高人民検察院は,邪教組織関連犯罪に関する司法解釈文書の第二弾を発布,施行した。中国刑法,司法解釈文書,刑事手続法に基づく強制措置は,条文によって威嚇するだけでなく,現実に適用することで,法輪功修練者に対し,現実的,具体的恐怖を与えてきている。
(ウ) 法輪功修練者に適用が予想される「裁判によらない処罰」等
a 治安管理処罰条例による処罰
治安管理処罰条例は,最高15日までの拘留を限度とするものであるが,同条例2条によれば,治安管理違反行為とは,「社会の秩序を乱し,公共の安全を妨げ,市民の人身の権利を侵し,公申立人の財産を侵し,刑法の規定により犯罪を構成する場合は,法に従って刑事責任を追及する。刑事処罰には及ばず,治安管理処罰とする場合は,本条例に従って処罰する。」とあるとおり,恣意的に運用され得る。
b 「労働教養」制度
労働教養制度とは,行政的制裁の名の下で,1年から3年までの間,労働矯正の期間に服させることができ,さらに,1年の延長が可能とされている。厳密な意味での制定法はなく,1957年(昭和32年)8月3日に公布された「労働教養問題に関する国務院の決定」が根拠となっており,1980年(昭和55年)2月に再公布された。
労働教養の適用対象は,社会情勢の変化に伴い変化しており,罪が軽微で刑事処分に処すのに足りない反革命分子,共産党及び社会主義に反対する者なども適用対象とされており,当然に法輪功も包含されており,法輪功修練者の具体的実例も多数報告されている。
労働教養の適用手続は,提起,審査許可,再議,執行に分けられる。執行を除き,他の段階は,全て警察が決定権を独占しており,内部の監督や外部からの監査の制約を受けないので,労働教養の適用決定に主観的恣意及び職権の濫用等のおそれは避けられない。
現実にも,労働教養事件は,最初から労働教養事件として提起され捜査されるものは少なく,刑事事件,治安事件から切り替えられてくるものがほとんどであり,政治的に利用されやすい制度である。
労働教養執行機関は,ほとんど農場,工場又は鉱山であるが,そこに移送された労働教養者は,身体拘束を受けながら,事件の性質,年齢,身体状況に応じて,特定のチームに編入させられ,政治教育,知識教育,技能教育を受ける。もっとも,労働教養者に対しては,刑事犯と全く同じ処遇をしていることが少なくないとされ,労働教養所内も非人道的な管理手法で運営されているといわれている。
したがって,中国においては,刑事処罰を受けることがなくても,公安機関の裁量による行政処罰の可能性が残っており,その適用対象はあらゆる法輪功修練者に及び得るものとされている。
エ 中国政府があらゆる法輪功修練者を政治的に迫害していること
(ア) 法輪功に対して政治的迫害が行われていること
法輪功問題は,共産党の一党独裁体制の存亡に関わるすぐれて政治性を帯びた問題として捉えられており,そのために単なる法律による法的処罰を超えた迫害が行われている。この共産党及び中国政府の法輪功に対する強烈な迫害意思は,駐日中国大使館のホームページ(上記イ(ケ))からも読み取ることができる。また,中国では,児童や生徒に対し,学校教育の場面において,法輪功は「邪教」であると教えており,法輪功の教え及び法輪功組織の存在を否定することによって,法輪功修練者を心理的に抑圧する一方で,一般市民が法輪功の修練を行わないようにするばかりでなく,中国社会において法輪功の存在する余地を完全に奪おうとしており,ここでも徹底的な迫害意思をみてとれる。そして,2017年(平成29年)1月13日に中国で開催された全国政法工作会議において「反邪教闘争を深く展開し,全社会の邪を認識し,邪を防ぎ,邪を拒否する能力の向上につとめなければならない。」と演説されたことからしても,共産党及び中国政府の法輪功に対する弾圧は,今後も強まりこそすれ,弱まることはないものと考えられる。
したがって,法輪功に対する迫害は,単なる法律に基づく処罰が淡々とされているわけではなく,あらゆる手段をもって果たすべき極めて重要な政治的課題とされていることを前提に理解されなければならない。
(イ) 共産党及び中国政府は上記(ア)の政治的目的を果たすため切れ目のない徹底した取締法規を整備していること
中国では,共産党は,法の形成(政策立案,立法計画,起案起草,審議・採択),法の実現過程(行政や司法),法の研究・教育・せん断,法律家の養成・統制など,あらゆる法現象を共産党が実質的に差配し,コントロールしており,共産党によって法の形成及び実現が可能であるため,徹底した迫害の対象とされた法輪功に対しては,切れ目のない徹底した取締法規が用意されている。この点,中国憲法上,「国は正常な宗教活動を保護する」とされており,そもそも法輪功に対しては,宗教の自由は保障されていない上に,上記ウのとおり,法輪功に関するあらゆる活動が広範に刑事罰の対象とされ,さらに刑事罰の対象とならない場合でも行政処罰の対象とされているなど,法輪功に対する取締法規は極めて広範でかつ切れ目のない徹底したものとなっている。
このため,海外で活動するあらゆる法輪功修練者が中国に帰国した場合には,これらの取締法規によって処罰されてしまうことになる。
(ウ) 法輪功の修練をすること自体を取り締まる法律がないことは,法輪功の修練をするだけでは迫害の対象とならないことを意味しないこと
中国において共産党は超法規的存在であり,法には,実質的に共産党の活動に枠をはめる力はないと評されている上,共産党の指導は,中国国内のあらゆる組織に及んでいる。このような体制下において,共産党が法輪功に対する徹底的な弾圧を極めて重要な政治的課題と位置付けているのであるから,法規によらず,恣意的な方法による共産党からの迫害がされていることは明らかであるといえる。そして,中国においては,司法の独立はなく,裁判に対して共産党による介入がされる上,弁護士による刑事弁護は無力化されており,マスメディアによる権力監視も不可能であり,学術界も権力によって統制されているのであって,共産党及び中国政府の恣意的行動を抑制する機関が存在していない。
したがって,共産党及び中国政府による法輪功に対する迫害は,これに対する抑止や事後的救済が全く機能しない状態となっているといえ,この意味でも,あらゆる法輪功修練者が迫害を受けるおそれがある。
(エ) 法輪功に対する弾圧の実態
共産党は,中国社会のあらゆる組織に入り込んでこれを監視し,指導する体制を構築しているところ,このような共産党組織のうちの法輪功の取締を専門に担当する部門が610事務所であり,これは,中央から末端にまで組織され,日常的に法輪功修練者に対する監視,警戒態勢を敷いている。しかも中国では,全ての国民がICチップ付きの身分証明証の携帯を義務付けられ,携帯電話やインターネット契約,クレジットカードやデビットカード,携帯電話による電子決済システムも,すべて身分証明証番号と紐付けされており,610事務所は,これらの情報から法輪功修練者の行動の一切を把握することが可能とされている。このため,法輪功修練者が隠れて修練を行う余地は中国国内にはない。
実際に,近時でも,法輪功修練者に対する電話盗聴,尾行,監視,家宅捜索,連行,拉致,拘束が頻発していることなどについて,中立的なメディアでも報道されており,しかも,徹底した監視及び弾圧の結果,多くの法輪功修練者が自宅での修練を余儀なくされているにもかかわらず,修練者の逮捕,収容等,家宅捜索により法輪功関係の資料を発見されて身柄拘束された者に対しては,信仰の放棄を強制するための過酷な拷問が行われていることなどが報告されている。さらに,共産党は,法輪功と「境外勢力」との連携にはとりわけ警戒感を高めており,日本で活動していた法輪功修練者が中国に帰国すれば,国内に潜伏する修練者にも増して厳しい弾圧,取調べ,科刑が行われる可能性が高いとされている。以上のような法輪功修練者に対する監視及び弾圧の実態からすれば,日本に在住し,日本で活動している法輪功修練者が中国に帰国した場合には,迫害を受けるおそれが極めて高いことは明らかである。
(4) 原告自身の個別事情について
ア 原告の中国における法輪功の修練等
原告は,1991年(平成3年)○月○日,中国の安徽省において生まれ,2006年(平成18年)7月頃,伯母であるDの勧めで法輪功を知り,以来,法輪功に深く傾倒し,今日まで継続的に法輪功の修練を行っている。原告は,来日前,中国において,平日は約1時間,修練者の間で「学法」と呼ばれる「転法輪」など法輪功の創始者であるFの著作を読むことを行い,休日は約2時間,修練者の間で「煉功」と呼ばれる体を動かす動作(気功)を行っていた。原告が法輪功の修練を始めた当時,既に中国では,政府による法輪功に対する烈しい弾圧が行われており,原告は専ら自宅の中で隠れて修練を行っていた。原告は,煉功を行うことで,慢性的な強い鼻炎や消化器の不調,具体的には食事をするとすぐに便意を催す症状を持っていたのも治った。
イ 来日の目的
原告は,2009年(平成21年)2月,法輪功修練者であるDを頼って来日した。来日目的は,Dが中国で法輪功修練者であるために強制的に連行され,原告も中国で法輪功の修練を続けるのに恐怖を募らせていたところ,Dが日本では迫害の危険が無く堂々と法輪功の修練を行っているのを知り,自らも迫害の危険のない環境下で堂々と法輪功の修練を行いたいと考えた点にある。中国政府が法輪功をオウム真理教と同じ邪教とみなして弾圧しているため,人目をはばかって自宅の中だけで法輪功の修練を行っていた原告が,身内への迫害を受け,自らも迫害の危険のない環境下で堂々と法輪功の修練を行いたいと考えるのは自然な心情である。原告は,来日時点では,弱冠17歳であり,中等専門学校の学業のプログラムは終了していたが,卒業を迎えてはいなかった(実際に卒業するのは同年6月)。当時20歳に満たない原告が,法輪功修練者であることが中国政府に発覚したら二度と中国に戻れないリスクを背負い,中国で大学に進学するという選択肢を捨て,親元,故郷を離れて来日したのは,原告が信仰を第一に考える真摯な法輪功修練者であるからに他ならない。
ウ 原告の日本における法輪功の修練等
(ア) 来日当初,原告は,平日は学法(法輪功の創始者であるFの著作である「転法輪」を読むこと)と煉功を各1時間ずつ行い,休日は1時間の学法のほか,貸会議室において十数人の法輪功修練者とともに3時間程度の煉功を行い,これに参加できなかった場合でも,自宅において1人で煉功を行っていた。その後,平成22年4月頃から平成24年7月頃まで,原告は,Dが経営するコンビニエンスストアで,平日の深夜12時から朝9時まで働いていたが,この時期も,正午を挟んで前後1時間ずつ,学法と煉功を行っており,土日には,中国政府や共産党による法輪功に対する迫害を糾弾するパレード等のイベントに参加し,対外的にも自らが法輪功修練者であることを明らかにしていた。
原告は,在留期間更新許可申請を失念して在留資格を失った後,仮滞在になって就労ができなくなったため,平成24年7月に上記のコンビニエンスストアの仕事を辞め,Dの家庭で炊事や洗濯を行う代わりに生活の面倒を見てもらうようになり,そのまま現在に至っている。この間も,毎日欠かさず,学法と煉功を各1時間ずつ行っている。
(イ) 原告は,平成27年9月1日から平成28年6月7日までの約9か月間,入管の収容施設における生活を余儀なくされ,この間,毎日欠かさず,朝8時から9時まで煉功(佛掌千手法,法輪磚法,貫通二極法,法輪周天法)を行い,夜8時から10時まで学法を行い,夜10時から11時まで,神通加持法の動作を行った。原告が収容されていた当時,法輪功修練者は1人もおらず,原告は1人でこれらを日課としていたところ,他に仲間がいないにもかかわらず,毎日欠かさず,一日のうち5時間を9か月という長期間をこれらの修練等に当てていたことは,原告が真摯な法輪功修練者であることを示す何よりの証拠といえる。
なお,被収容中,多くの被収容者が体の不調を訴えるところ,原告も,一度上半身に湿疹ができ,病院の検査を受けたことがあるが,検査の結果としては特に異常はなく,病気ではなくストレスではないかと医師から言われたにとどまり,いつ出られるのか先が見えず,かつ,9か月という長期間に及ぶ収容であったにもかかわらず,この程度の症状で済んだという事実もまた,原告が日々において規則正しく学法・煉功を行って心身の鍛錬に努めたことの証拠といえ,原告が真摯な法輪功修練者であることを示すものであることは明らかである。
エ 原告の日本における法輪功の対外的活動
(ア) 原告は,来日当初こそ法輪功の対外的活動をしていなかったが,その後,以下のとおり,Dとともに,対外的活動(中国政府による法輪功修練者に対する迫害を訴えるチラシを配ったり,その旨の横断幕を持ってデモに参加したり,天国楽団に参加するなど)を行っている。また,法輪功の基本理念は,真・善・忍で表されるが,法輪功の対外的活動は,「本当のことを言って,本当のことをやって,本当の人間でいようということ」(原告本人)という‘真’に密接に関わるものである。
①平成21年7月20日 東京
②同年7月26日 埼玉県川口駅周辺
③同年9月11日 埼玉県内で開催された真善忍美術展
④同年9月12日 同上
⑤同年9月20日 東京
⑥同年9月27日 横浜
⑦同年12月14日 国会議事堂前
⑧平成22年1月2日 埼玉県越谷市のイオンレイクタウン
⑨同年1月9日 さいたま市のステラタウン
⑩同年1月10日 同上
⑪同年1月15日 埼玉県の北与野入国管理局前
⑫同年3月14日 博多駅前
⑬同年4月4日 東京の代々木公園,秋葉原
⑭同年4月9日 国会議事堂前
⑮同年4月10日 埼玉県大宮の鐘塚公園
(イ) 仮放免(平成28年6月7日)後の活動
原告は,仮放免後も積極的に法輪功の対外的活動に参加しており,例えば,平成28年8月に渋谷で法輪功のパレードに参加し,同年10月に浅草でパレードに参加してトランペットを演奏しており,原告がパレードに参加している模様が,法輪功が発行する新聞である大紀元新聞作成の法輪功のホームページに掲載されている。他に,原告は,毎週土日に池袋で,大紀元新聞やその他中国政府の法輪功に対する迫害を伝えるチラシを配布している。入管が,原告に対し,週3回まで参加を許可しているため,その3回を水曜,土曜及び日曜の活動に充てている。
(ウ) 原告が駐日中国大使館員によって写真を撮られていること
上記(ア)について,他にも,原告は,来日後,入管に収容されるまでの間,数え切れないほどの多数回,駐日中国大使館の前へ行って法輪功への迫害を止めることを呼びかける抗議デモに参加し,その際,原告の供述によれば,同大使館の中から人が出てきて,全体の写真と1人ずつの写真を撮ったとのことである。また,上記(イ)について,原告によれば,パレードや池袋での大紀元新聞,ビラ配りの際,見知らぬ人が写真撮影しているそうである。この点,法輪功のパレード活動を撮影している者が同大使館員であることを示す直接的な証拠はないが,諸外国においても法輪功のパレードは写真撮影されていること(ニュージーランド移民保護行政審判所AJ事件2012年(平成24年)1月26日決定,甲69),多くの修練者が見知らぬ人から写真撮影された経験を話していることから,同大使館員が写真撮影している可能性が高い。
オ 原告の日本における生活状況等
原告は,日本においては,D及びEと同居しており,在留資格を失って就労ができなくなってからは,Dから生活上の面倒もみてもらっている。Eは,原告とは血のつながりがないにもかかわらず,原告が中国に帰国すれば迫害されてしまうのではないかと心配しており,原告が在留資格を得られるのであれば養子縁組をしてもよいとまで考えている。このように原告とDは,生活関係上も身分関係上も親子同然といえる。
(5) Dが中国において法輪功修練者であることを理由に受けた迫害等
ア Dの経歴等
Dは,1963年(昭和38年)○月○日,中国の安徽省で生まれ,1999年(平成11年)11月1日に来日以降,日本を中心に生活している。Dは,中国人の元夫がいたが,2000年(平成12年)に同人と離婚し,元夫との間に息子と娘がいる。Dは,2004年(平成16年)5月,日本人のEと婚姻し,2016年(平成28年)12月16日,日本人に帰化してD1という名になっている。Dは,2005年(平成17年)頃,中国において法輪功修練者となり,現在も毎日欠かさず学法,煉功と呼ばれる法輪功の修練を行い,1週間に2回程度,法輪功の迫害の真相を伝えるために浅草,銀座,秋葉原へ行って中国人観光客に法輪功の迫害に関するチラシを配っている。かかる行為は,中国国内であれば,中国政府公安部が発表した1999年(平成11年)7月22日に法輪功を非合法組織として取り締まる旨の通告(以下「本件公安部通告」という。)の禁止事項の「いかなる場所においても法輪大法(法輪功)を宣伝する書籍,AV製品その他の宣伝物を配布することを禁止すること」又は「座り込み,陳情などの方式を用いての法輪大法(法輪功)の擁護,宣伝を目的とした集会,デモ,示威運動を禁止すること」に該当し,治安管理処罰(警察による行政処罰)によって処罰されるものである。
イ Dが中国で迫害されたこと
Dは,2006年(平成18年)7月23日,中国に一時帰国し,Dの弟で原告の父であるIの家に泊まった。当時この家には,DとIの両親(原告の祖父母)も同居していた。この帰国の際,Dは,法輪功に関連する書物10冊とDVDを密かに日本から中国に持ち込んだ。その理由は,自身の近親者や親しい友人に対し,法輪功の素晴らしさを伝える気持ちからであった。Dは,人目を避けるため深夜の時間帯を選び,書物やDVDを家々のポストに密かに配ったり,近親者や親しい友人に対しては直接渡したりしたところ,このような活動が中国当局に露見したために身柄拘束されたのである(以下「本件拘束事件」という。)。Dには,どのような行為が原因となって中国当局に発覚したのかは分からないが,法輪功に関連する書物やDVDの配布の活動を誰かによって密告されたと考えるのが自然である。
Dは,2006年(平成18年)8月14日,Iの家から事実上強制的に連れ出され,朝10時から午後4時までと午後5時から翌日の午後3時までという非常に長時間の尋問を受けた。尋問は5人1チームで行われ,交代の時は5人全員が総入れ替えになり,全部で4チーム20人が尋問に携わった。5人のうち尋問係ともいうべき3人がいて,そのうちの誰かが,絶えず「法輪功と関わるな。日本に行ってチラシを配ったりするな。」と要求し,Dが要求を拒否しても繰り返し「チラシを配るのをやめろ。」と言い続け,その口調は,常に怒鳴り続けるような口調であり,時々立ち上がるなど,取調べを受けている者からすれば,一瞬殴られるのではないかと恐怖を覚えるそぶりも見せた。尋問場所には出入り口が一つしかなく窓もなかった。このように,密室同然の場所,周囲に5人も囲まれての環境で,長時間いつ終わるともしれない状況で取調べを受けることは,精神的には耐え難い苦痛であり,もはや迫害と呼べる状況といえる。
また,Dは,身柄拘束された際,繰り返し「法輪功を止めろ。チラシを配るのを止めろ。」と言われ,その度ごとに「嫌です。チラシを配ります。」と答えると,「そのような答えしか言わないのだったら,お前を刑務所に入れるぞ。」と脅され,これに対し,「私を刑務所に入れるか,あなたが決められないでしょ。」と答えると,「もう日本には行けないぞ。」と脅された旨供述するところ(甲83),Dが中国で身柄拘束されたのは今から10年前であるにもかかわらず,取調べの状況についての供述は具体的,迫真性に富むものであり,その供述には信用性が認められる。
さらに,Dは,中国の国家安全局(以下単に「国家安全局」という。)が作成したと思われる日本在住の法輪功修練者の名簿を示され,知り合いの名前を密告するよう繰り返し要求された上,法輪功を止めるという誓約書にサインしろとも迫られた。国家安全局のこれらの態度は,法輪功が共産党の一党独裁体制の存亡に関わる脅威であり,法輪功の問題が政治問題であることを如実に示すものである。
Dは,全部で約29時間拘束された後に釈放された。「法輪功を止める。」という書類にサインをしたわけでもないのになぜ釈放されたのかは不明である。しかし,Dが推測するところでは,この時点で離婚していた中国人の元夫が同じ時期に中国に帰国しており,Dとの間の娘からDが中国当局に捕まったとの連絡を受け,身柄解放に向けて働きかけてくれたのではないかとのことである。かかる推測は,Dが,取調べの際,国家安全局の役人から,「あなたの旦那さんが上海総領事にあなたの身柄を解放しろと抗議の電話をしている。しかし,私達は決してあなた方を拘束しているわけではない。」と聞かされた点を根拠とする。Dが身柄拘束されたときに日本国内にいたEは,どこに抗議していいか分からないため,抗議の電話をかけていないし,中国で抗議するほど中国語に堪能なわけでもなかった。このことからすれば,国家安全局の役人が言った「あなたの旦那さん」とは,偶然同じ時期に帰国していた元夫と推測することは極めて自然である。しかも,元夫は,中国にいた1988年(昭和63年)から1992年(平成4年)頃,外事で仕事をしており,外事と国家安全局は役所の建物内で隣り同士であったため,元夫ならば,働きかけるべき国家安全局の知人がいても不思議ではない。つまり,中国人である元夫ならば,Dの身柄解放に向けた抗議活動をすることができるため,国家安全局の役人がDに話した上記の内容に説明が付くことになる。
さらには,そもそも,どのような容疑で身柄拘束されたのか,どのような根拠で身柄を解放されたのか分からないこと自体が,法輪功に対しては行政機関による恣意的な運用が可能であることと合致しているといえる。
ウ Dが身柄解放後も中国当局から尾行されたこと
Dは,2006年(平成18年)8月15日に釈放された後も,自宅から上海に向かう間と上海にいる間尾行されていた。ここで尾行というのは,日本語のニュアンスでいう気付かれないように隠れて追跡するということではなく,意図的に追跡していることを気付かせた上で,「いつでもお前たちを見張っているぞ。」と牽制ないし威嚇する目的で,つかず離れずの距離を保ちつつ追跡する態様である。甲83の写真1ないし10ではまさにそのような距離感が映し出されている。甲83の写真の8ないし10に映っている人は,体型,服装,髪型などから同一人とみられるところ,写真8と9では日付が違うこと,上海という国際的な大都市において偶然同じホテルに宿泊したとは考え難いことから,写真に映っている人は国家安全局の職員である可能性が非常に高い。さらに,Eは,尾行に気付いて怖くなり,2006年(平成18年)8月18日,写真を証拠として上海の日本領事館に直接出向き,保護を求めたところ,2日間にわたり偶然同じ人間が傍らにいたというだけではない,ただならぬ雰囲気を感じ取ったからこそ,そのような行動をしたと考えるのが自然である。
(6) 中国本土にいる家族の状況等
原告は,来日後,週に1回程度,中国にいる両親ら家族と電話やウィチャートという中国版LINEのようなもので連絡を取り合っている。電話の場合には,1回当たり約1時間話しているが,中国政府に盗聴されることを恐れて,会話の内容は最近の生活状況といった当たり障りのない近況報告にとどめ,法輪功に関しては一切口にしていない。ところが,原告は,中国にいる祖母が外事弁公室に行って来日の手続をする際,「あなたの孫(原告)は随分帰ってきてないですね。日本で難民でも申請したんですか。」と外事弁公室の役人から尋ねられたことを,祖母から聞かされた。このことは,共産党ないし中国政府が,原告を個別にマークし,中国在住の原告の家族に対し牽制を行ったものといえる。そうでなければ,長期間帰国していないことから直ちに難民申請をしているとは結び付けないはずだからである。
(7) 原告の難民該当性について
ア 原告が真摯な法輪功修練者であること
(ア) 上記(4)によれば,原告は,2006年(平成18年)にDの勧めをきっかけに中国において法輪功修練者となって以来,来日してから現在に至るまで,一貫して真摯な法輪功修練者といえる。
(イ) 原告は,平成22年7月9日の難民調査官のインタビュー(乙4)において,「中南海とはどこの場所を指すのですか。」との質問に対し,「場所がどこか分かりません。」と答えているところ,被告は,これをもって,原告が真摯な法輪功修練者であるとはいえない旨主張する。
しかし,原告は,上記のインタビューにおいて,難民調査官の質問に対し,自ら「中国の中南海に行って法輪功に迫害をしないようお願いに行った日です。」とも述べている。つまり,原告は,中南海とは場所を指すものであり,その場所で抗議がされたという本質的な部分は認識していた。この点,本邦に在住し,真摯な法輪功修練者であるJは,陳述書(甲95)において,「法輪功修練者の中で,法輪功が中国政府によって弾圧される以前から修練者となった人であれば,中南海は北京にある国家権力の中枢部というように認識している人が多いと思います。ただし,原告は,中国政府による迫害が始まったときは8歳であり,しかも法輪功の迫害が中国全土に広まった後で修練者となっています。中国国内においては,法輪功のことを話題にすること自体がタブーになって以降に法輪功の修練を始めているわけですから,迫害の事実を十分認識していなかったとしてもやむを得ないと思います。」と述べている。
以上によれば,原告が中南海の場所がどこか分からなかったことをもって,原告が真摯な法輪功修練者でないと決め付けることはできない。
(ウ) 原告は,平成22年7月9日の難民調査官のインタビュー(乙4)において,「(法輪功の)5つの基本動作は分からないのですか。」との質問に対し,「分かりません。」と答えているところ,被告は,これをもって,原告が真摯な法輪功修練者であるとはいえない旨主張する。
しかし,原告は,上記の問答の直前,「貴方は,法輪功の5つの基本動作を言えますか。」との質問に対し,「基本動作は『動功』と『静功』の2つがあります。」と答えているところ,この問答の際,Jによれば,原告が法輪功の5つの基本動作について動功と静功の2種類に分類できると説明しようとしたら途中で説明を遮られたとのことである(甲95)。確かに,「5つの基本動作」と問われて「動功と静功の2つがある」と答えるのは,かみ合っていない部分はあるが,5つの基本動作を動功と静功の2つに分類できることは間違いないから,原告にはより丁寧に説明しようとする意思があったことがうかがわれる。
また,「5つの基本動作は分からないのですか。」との2つ目の質問は,Jによれば,正確には5つの基本動作の「訣」(日本語でいう奥義に近いもの)についての質問であったとのことであり,弁護団会議において原告が語ったところによると,5つの基本動作の『訣』については覚えていなかったため,正直に分かりませんと答えたとのことである。Jによれば,インタビュー当時に19歳であった原告が「訣」について答えられなかったとしても,そのことだけで直ちに法輪功修練者ではないと判断することはできないと述べている(甲95)。
以上によれば,原告が,「5つの基本動作は分からないのですか。」との質問に対し,「分かりません。」と答えたことをもって,原告が真摯な法輪功修練者でないと決め付けることはできない。
イ 中国政府は原告が法輪功修練者であることを把握していること
Dは,上記(5)のとおり,中国において中国当局に連行された経験を有しており,中国当局から法輪功修練者として個別的に把握されている。
原告は,Dが連行された際,学校に通っていたため,自らは取調べを免れたものの,中国当局に法輪功修練者として個別的に把握されているDの甥に当たるだけでなく,親元を離れて来日した後は,Dを実質的な母親としてDと同居し,また,Dとともに,法輪功のパレードに参加し,大紀元新聞を配布するなどの対外的活動にも参加しているほか,原告がパレードに参加する様子を撮影した写真が,大紀元新聞が作成した法輪功のホームページに掲載されたり,原告が駐日中国大使館前で抗議デモに参加する様子が,同大使館員によって撮影されたりしている(上記(4))。
以上のことからすれば,原告は,中国政府によって,法輪功修練者として個別的に把握されていることは明らかというべきである。
(8) 争点1に関する原告の主張のまとめ
以上によれば,日本に在住し,日本で活動している法輪功修練者が中国に帰国した場合には,その者が法輪功において指導的役割を果たしているか否かにかかわらず,中国政府から迫害を受けるおそれが極めて高いといえるところ(上記(3)),原告は,真摯な法輪功修練者であって,中国政府に法輪功修練者として個別的に把握されており(上記(4)~(7)),中国に帰国すれば,法輪功という「宗教」ないし「特定の社会的集団の構成員であること」を理由に中国政府から「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というべきであるから,原告は「難民」に当たる。
(被告の主張)
(1) 難民の意義
ア 入管法に定める「難民」とは,難民条約1条又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうところ,これらの各規定によれば,難民とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの(以下略)」をいう。
イ ここにいう「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味し,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることを要し,その際,単に迫害を受けるおそれがあるという抽象的な可能性が存するにすぎないといった事情では足りず,当該申請者について迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような個別かつ具体的な事情が存することを要する。
ウ 立証責任及び立証の程度
入管法61条の2第1項の文理,難民認定処分の性質(授益処分),難民認定のための資料との距離等に鑑みると,原告(申請者)が難民に当たることは,原告が立証する責任を負うというべきである。また,入管法に難民認定に関する立証責任を緩和する規定がないことに照らすと,民事訴訟法の一般原則に従い,原告(申請者)は,自らが難民であることについて合理的な疑いを容れない程度の証明をしなければならない。
(2) 法輪功修練者であるとの一事をもって「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」があるとはいえないこと
ア 中国における法令及びその解釈に照らし法輪功修練者であるという一事をもって中国政府から迫害を受けるおそれがあるとはいえないこと
(ア) 中国政府公安部は,1999年(平成11年)7月22日に法輪功を非合法組織として取り締まる旨の通告(本件公安部通告)を発表した。中国政府は,本件公安部通告の後に,邪教組織の取締に係る法の適用に係る指針として,同年10月30日施行の「邪教組織を結成しそれを利用した事件に関する具体的な法律適用における若干の問題についての解釈」(以下「邪教組織に係る法律適用の解釈1」という。)及び2001年(平成13年)6月11日施行の「邪教組織を結成しそれを利用した事件に関する具体的な法律適用における若干の問題についての解釈(二)」(以下「邪教組織に係る法律適用の解釈2」という。)を公表しているところ,最高人民法院及び最高人民検察院の責任者は,邪教組織に係る法律適用の解釈2の遂行について,「具体的な処理過程においては法律の境界線を把握し,取り扱いを区別する政策を体現する。重要な点は邪教組織を結成しそれを利用して実行した犯罪行動の組織リーダー,画策者,指揮者および度重なる注意にも更生が見られない積極的な参加者に打撃を与えることである。」としており,中国政府が,法輪功関係者に対する取締について,法輪功における中心的人物又は組織において顕著な役割を担った者等とその他一般の修練者等を明らかに区別していることが認められる。
(イ) この点,本件公安部通告においても,取締の対象とされたのは,法輪功の宣伝活動やデモなどを行うことであり,さらに,「上述の規定に違反して,犯罪を犯した場合には刑事責任を追及する;犯罪とならない場合においても法律に基づいて治安管理処罰を行う。」と記載されているとおり,本件公安部通告は,同通告で禁止された活動を行った上で,犯罪,すなわち刑罰法規に触れる行為を行った者については刑事責任の,治安管理法令に違反する行為を行った者については治安管理処罰の,それぞれ対象となるとしているにとどまり,同通告で禁止するとされた法輪功の宣伝活動やデモなどの行為についてさえも,その全てについて刑事責任の対象とはしておらず,そのような行為に至らない個人として気功の修練をすること等については,何ら取締の対象とはしていない。実際,中国刑法には,邪教を取り締まる規定として,「似非宗教団体若しくは邪教組織を組織し,若しくは利用し,又は迷信を利用して国の法律又は行政法規の実施を破壊した者は,3年以上7年以下の有期懲役に処する。情状が特別に重大である場合には,7年以上の有期懲役に処する。」との規定がある(中国刑法300条1項)が,その文理からも明らかなように,同条項は「似非宗教団体」又は「邪教組織」の構成員であることだけをもって処罰の対象とするものではない。さらに,同条項の解釈に係る邪教組織に係る法律適用の解釈1及び邪教組織に係る法律適用の解釈2を仔細に見ても,中国政府は,邪教組織を結成し利用した上,宣伝活動やデモ等の対外的活動を行った場合等は,中国刑法300条各項に該当するとしつつも,「似非宗教団体」又は「邪教組織」の構成員として,当該教義を信仰して個人的に気功活動を行っていることのみをもって,中国刑法300条各項に該当するものとはしていない。加えて,治安管理処罰の根拠となる治安管理処罰法をみても,個人として気功の修練をすることに対し適用されるとみられる条項は見当たらない。
以上のとおり,中国政府は,そもそも,単に法輪功の修練を行っていることのみをもって,刑罰又は治安管理処罰の対象としていない。
(ウ) 他方,邪教組織に係る法律適用の解釈1の第9条は,「邪教組織を結成しそれを利用し犯罪活動を行った集団,画策者,指揮者および度重なる注意にも更生が見られない積極的な参加者は,刑法と本解釈の規定により刑事責任を追及する。」としつつも,「自首した者,罪を償うため手柄をたてた者には,法により罪をできるだけ軽くすること,軽減すること,免除することができる。」とするなど,刑罰の対象となる者についても,法輪功における中心的人物等には厳格に法の適用を図る一方で,その他の者には,罪の軽減,免除の方針を示している。この方針は,邪教組織に係る法律適用の解釈2においても引き継がれており,「人民検察院が審査起訴した邪教事件においては,犯罪内容が軽微であり,罪を反省する態度がみられ,再犯の恐れがないことが確実な容疑者に対し,刑事訴訟法第百四十二条第二項の規定に基づき不起訴決定をすることができる。人民法院が審理した邪教事件においては,罪を反省する態度がみられ,再犯の恐れがない被告人に対し,法により罪を軽くすることができる。法による監視,拘留処分の判決を言い渡すことができる場合,あるいは刑の執行を延期する条件に一致する場合は,監視,拘留処分あるいは刑の執行延期を言い渡すことができる。犯罪の内容が軽微で刑事処罰の判決の必要がないものについては刑事処罰を免除できる。」とされている。以上のとおり,中国政府は,宣伝活動やデモ等の対外的活動を行ったことにより刑罰の対象となる者についてさえ,法輪功における中心的人物又は組織において顕著な役割を担った者等とその他の者で明らかに対応を別にしている状況がうかがわれる。
イ 法輪功の活動や実態に照らしても,法輪功修練者であるという一事をもって中国政府から迫害を受けるおそれがあるとはいえないこと
法輪功は,1992年(平成4年)にFが始めた気功運動であり,1999年(平成11年)に中国政府の厳しい取締が開始される以前は中国国内に210万人の信奉者がいたと推測され,現在でも中国国内に数万人の修練者がいるとみられている。法輪功組織やその創始者は,法輪功を宗教とはみなしておらず,僧侶や礼拝所は存在しない。さらに,法輪功は,「古来の高度な形式の気功である。法輪功は瞑想の要素を取り入れた軽度の運動で構成される。(中略)法輪功を他と区別する上でよく言われるのは,3つの原理,真,善,忍に従った徳性の鍛錬という修練の強調である。この3原理はその分野の修錬者が時間をかけて優しさと内なる均衡の状態を達成する努力を行いながら,日常生活の中でその原理のそばで生きたいと希求する法輪功の理念の土台を形成する。」,「容易に学習できる一連の修練,瞑想を通じて心身の健康を向上させ,個人の『心性』を発達させる中国の伝統的な自己形成修錬である。」とされているとおり,飽くまでも,個人が日常生活において自らの心身の状態を良好に保つことを目的として行う自己鍛錬活動であると解される。したがって,その一般的な活動において,上記アのような中国政府の対応に照らし,中国政府が問題視し得る布教等を含む対外的な活動が課されているといった事情も認められない。加えて,中国政府による厳しい取締が開始された後も,中国国内には,法輪功修練者が数万人いるとされている上,新たに法輪功に加わった者も多数いるとされていることからすれば,中国政府が,一般的な法輪功の活動として修練を行っているにすぎない者も含め,全ての法輪功修練者について,法輪功修練者であるという一事をもって迫害の対象としているとは考え難い。
ウ 法輪功修練者の難民認定申請に関する諸外国,国際機関の対応等
(ア) UNHCRは,法輪功会員が全て中国当局の標的であることを示唆する証拠はなく,法輪功会員であるということだけで難民の地位を導くものではないとする一方,政府当局の注意を会員に向ける特定の表立った活動において顕著な役割を担った者は難民に該当する可能性があるとの方針を示している(ただし,上記の「難民」は,いわゆる「マンデート難民」を含む可能性があり,必ずしも難民条約上の「難民」を意味するとは限らない。)。
(イ) 諸外国の裁判例(オーストラリア,英国)をみても,法輪功を修練していることのみをもって難民条約上の難民に該当するとの判断はされておらず,むしろ,一般の修練者と中心的人物とを区別し,前者に該当するのみでは「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」があるとはしていない。
(3) 原告が中国で法輪功の修練をしていたとは認められないこと
ア 原告は,平成18年(2006年)7月頃,中国においてDの勧めで法輪功を知り,以来今日まで継続的に法輪功の修練を行っている旨主張するが,原告の上記主張を裏付ける客観的証拠は提出されていない。しかも,原告は,難民認定手続において,難民調査官から「中南海事件」の現場となった「中南海」とはどこの場所を指すのか問われると,「場所がどこかわかりません。」と述べ,また,法輪功において基本とされている5つの動作についてを問われると,「基本動作は『動功』と『静功』の二つがあります。」と供述するだけで,5つの基本動作については「分かりません。」と述べており(乙4),いずれも真摯な法輪功修練者であれば,熟知しているであろう基本的な知識すら有しているとは認められない。
そうすると,原告が中国において真摯に法輪功の修練を行っていた旨の原告の供述は信用できないというべきであって,原告が中国において真摯に法輪功の修練を行っていたとは認められないというべきである。
イ この点,原告は,真摯な法輪功修練者であるとするJなる人物の供述を根拠として,原告が真摯な法輪功の修練者である旨主張するが,Jなる人物について,真摯な法輪功修練者であると認めるに足りる客観的証拠はない上,同人は,「難民申請している修練者の支援」(甲95)をしているというのであるから,その供述内容は,現に難民の認定を求めている原告の主張の根拠として客観性を有するとはいえないものである。
ウ 原告は,難民調査官から5つの基本動作について問われ,「分かりません。」と述べたことについて,その質問は,5つの基本動作の「訣」に関するものであったとした上で,「訣」については覚えていなかったため,「分かりません。」と述べた旨供述し(本人尋問),同旨の主張をする。
しかし,難民調査官としては,仮に5つの基本動作のうち特に「訣」について質問したのであれば,そのように供述調書に記載すれば足りるのであって,あえて実際と異なる質問を供述調書に記載する理由はない。そして,原告は上記供述に係る供述調書(乙4)において,通訳人が話す北京語はよく理解できるとした上で,個別に訂正の申立てをし,難民調査官がこれを受けて調書の内容を訂正しているにもかかわらず,法輪功の5つの基本動作について「分かりません。」と述べた部分については何ら訂正の申立て等をせず,調書の内容に誤りがない旨述べて署名している。しかも,原告は,本件異議申立ての手続において提出した陳述書(乙11)や審尋(乙13)においては,法輪功を実践していない者に対して説明が難しいとの趣旨で「分かりません。」と答えたものである旨供述し,本件訴訟においても,当初,同旨の主張をしていた(原告準備書面(2))。このような原告の供述経過からすれば,原告は,場当たり的に,自己に有利な方向にその供述内容を変遷させていることがうかがえる。
したがって,この点に関する原告の上記主張は理由がなく,これに沿う原告の供述は信用できないというべきである。
(4) Dが中国に一時帰国した際,国家安全局から身柄を長時間拘束されて取調べを受けたとは認められないこと
ア 原告は,Dが中国へ一時帰国した際,国家安全局から長時間にわたり身柄を拘束されて取調べを受けた(本件拘束事件)旨主張するとともに,これを裏付ける証拠として,Dが国家安全局の職員から尾行されていることを示すものとされる写真(甲39,83に各添付)を提出するが,その写真に映った人が国家安全局の職員であるとの証拠もなく,他に原告の上記主張を裏付ける客観的証拠はないことからすると,本件拘束事件があったこと自体疑わしいというべきである。
イ この点を措き,Dの供述(甲39,83,証人D)を前提としても,Dは,国家安全局によるとされる取調べにおいて,「法輪功と関わるな。日本に行ってチラシを配ったりするな。」と繰り返し要求されたが,「嫌です。本当のことを伝えたいので,チラシを配り続けます。」と答えるなど,飽くまでも拒否する姿勢を取り続けた上,「『法輪功をやめる』という書類にサインしろ」との要求に対しても,これを拒否したというのであり,その間,暴行等を受けることもなく,取調べが開始された翌日には解放されたというのである。以上のことからすれば,本件拘束事件において,中国政府が,D個人に対して特別の関心を寄せつつ,殊更迫害を加えるべき意図をもって取調べを行ったものとは直ちに認められない。
ウ Dは,取調べから解放されるに際し,第三者による働きかけがあった旨供述するが,飽くまでもDの憶測にすぎない上,国家安全局に働きかけを行ったとする人について,当初Eとしていたものを,その後,中国人の元夫とするなど,不自然に供述を変遷させている。さらに,Dは,証人尋問において,被告指定代理人からの解放された理由を質問されたのに対し,中国人の元夫からの働きかけについては言及せず,再度供述を翻し,Eからの働きかけについて述べており,このような不合理な供述経過に照らせば,第三者による働きかけにより取調べからの解放に至った旨のDの供述は,信用することはできない。
(5) 中国政府がDとの関係を理由に原告を迫害の対象として個別に関心を寄せているとは認められないこと
ア 上記(4)のとおり,中国政府が,Dに対して特別の関心を寄せつつ,殊更迫害を加えるべき意図をもっていたとまでの事情は認められないところ,原告は,飽くまでも身柄拘束を経験したとするDの甥にすぎない。原告は,本件拘束事件が起きたとする平成18年8月以降も含め,中国において法輪功の修練をしていたとするが,自らは逮捕,身柄拘束,暴行等を受けたことはなく,問題が生じたこともないというのである(乙4)。
イ Dは,証人尋問において,中国国内の親族に法輪功の修練者がいるとし,中国政府による法輪功の修練者に対する弾圧に言及する一方,法輪功の修練者である自らの親族について,中国政府から,逮捕,身柄拘束,暴行等を受けたなどとは一切述べておらず,また,原告も,親族で身柄を拘束されたのはDだけであるとしていることからすれば(乙4),法輪功の修練者であるDの親族が,中国において,中国政府から,Dとの関係を理由に,迫害の対象として特に注視されているといった事情もない。
ウ なお,原告及びDは,原告の祖父母は法輪功の修練者ではない旨供述するが(原告本人,証人D),これに対し,原告は,難民認定手続において,原告は法輪功の修練者である祖父母とともに来日し,祖父母は本邦に3か月ほど滞在した後,無事に本国へ帰国しており,現在でも自宅で法輪功の修練を続けており,中国帰国後も中国政府から事情聴取を受けたり問題になったことは一切ない旨供述していたものである(乙4)。
エ 以上からすれば,本件拘束事件に係るDの供述を前提としても,Dの甥にすぎない原告について,中国政府が,Dとの関係を理由に,迫害の対象として個別に関心を寄せているとは到底認められない。
(6) 中国政府が原告が本邦で煉功をしたりデモ等に参加したことを理由に原告を迫害の対象として個別に関心を寄せているとは認められないこと
ア 原告は,本邦において参加したとする法輪功のパレード等において,旗を持ったり,チラシを配ったりする程度の役割を担っていたにとどまり,これらの活動を企画・立案したり,主導的に関与したりしていたものではないから,原告が他の修練者に影響を与えるほどの活動家とは認められず,原告は,一般の修練者という立場で活動に参加しているにすぎない。
しかも,原告が本邦において行ったとする法輪功の対外的活動は,その大部分が本件難民認定申請後にされたものであることに鑑みれば,原告は,難民認定手続において,自らが難民であるとの心証を形成させるために,あえてそのような活動を行っていたこともうかがわれるところである。
イ 原告は,時期ははっきりしないが,駐日中国大使館前で横断幕を掲げていたとき,同大使館から出てきた人により写真を撮影されたため,原告は中国政府に個別的に把握されている旨供述する。
しかし,原告は,難民調査官による事情聴取においては,平成21年12月31日に,一度だけ駐日中国大使館に出向いて横断幕を掲げたことがあると供述するが,その際は,通行人を見かけただけで大使館員はいなかったと供述しており(乙4),本件異議申立て後に原告が提出した異議申立てに係る申述書(乙9),陳述書(乙11)及び意見書(乙12)においても,駐日中国大使館員に写真撮影されたとの言及は一切ない。
しかるに,原告は,本件異議申立て後の審尋の際に初めて,駐日中国大使館前で同大使館から出てきた人により写真を撮影された旨供述したものであるが,その供述経過に鑑み,信用することはできない。また,中国政府に個別的に把握されているとするとの点は,原告の憶測を述べるものにすぎないことからすれば,原告が駐日中国大使館前において同大使館から出てきた人により写真を撮影されたとしても,そのことが原告が中国政府に個別的に把握されていることの根拠となるものではない。
ウ 原告は,平成27年(2015年)11月頃,原告の祖父母が,中国の外事弁公室において,「原告はなぜいつまでも日本にいて中国に帰国しないのか。もしかしたら日本で難民申請しているのではないか。」との取調べを受けた旨主張し,これに沿う供述をする。
しかし,原告の祖父母が取調べを受けたとする平成27年11月頃は,本件不認定処分から5年以上が経過した後であり,仮に事実であったとしても,本件不認定処分後に生じた事情であることは明らかである。
仮に原告の供述を前提としても,原告の祖父母は,「原告はなぜいつまでも日本にいて中国に帰国しないのか。もしかしたら日本で難民申請しているのではないか。」と問われたにとどまり,中国政府において,本邦における原告の活動を具体的に把握しているといった事情はうかがえない上,祖父母においてそれ以上の追及を受けたといった事情も認められないことからすれば,このことをもって,中国政府が,原告に対して特別の関心を寄せつつ,殊更迫害を加えるべき意図を有しているとは認められない。
(7) 原告の難民該当性を否定する方向に働く事情が認められること
ア 原告の来日目的及び難民認定申請理由からすれば,原告は中国政府からの迫害を免れるために来日したものとは認められないこと
原告は,難民審査参与員から難民認定申請した理由をきかれると,「日本に来て,法輪功を煉功する環境が違っていること,自由に煉功できることを知って,申請しようと思いました。」と述べ(乙13),「自分が難民であり,迫害を受けるおそれがあると考える理由は,中国政府が自分のことを知っているからだということでいいですか。」と問われると,「そうではなく,難民申請した理由は,日本では自由に法輪功を修練でき,自由に信仰できるからです。」と述べており(乙13),本件の難民認定手続等を含む原告の全供述に照らしても,中国政府からの迫害を免れるために真に差し迫った恐怖を有して出国したことをうかがわせる供述は一切見い出せない。仮に出国時にかかる恐怖を原告が有していたというのであれば,その旨供述することが自然であるし,原告が中国において,公的機関により逮捕,身柄拘束,暴行など受けたこともないと述べている(乙4)ことを併せ考慮すれば,原告が,出国時において中国政府から迫害を受けるおそれのある主観的恐怖を有していなかったものと推認される。
イ 原告が正規旅券を取得し,何ら問題なく中国を出国していること
原告は,旅券の取得について,父方の祖母と一緒に安徽省出入境管理局に出向いて申請し,平成20年(2008年)12月10日,中国政府から正規旅券の発給を受けて問題なく出国した(乙4)。しかして,旅券は,外国への渡航を希望する自国民に対して当該国政府が発給する文書であり,その所持人の国籍及び身分を公証するとともに,渡航先の外国官憲にその所持人に対する保護と旅行の便宜供与を依頼し,その者の引取りを保証する文書であるから,原告が正規旅券の発給を受けたということは,旅券の発給を求めることによって中国政府に自発的に保護を求め,かつこれを享受したことを意味する。よって,原告が上記のとおり正規旅券の発給を受けたことは,当時,原告が法輪功学習者という理由で中国政府から関心を寄せられていなかったことを示す重要な事情というべきである。
ウ 中国の家族が平穏に生活していること
原告は,法輪功の修練者である祖父母とともに来日したが,祖父母は本邦に3か月ほど滞在した後,無事に本国へ帰国し,現在でも自宅で法輪功の修練を続けており,中国に帰国した後も中国政府から事情聴取を受けたり問題になったことは一切ない旨述べている(乙4)。仮に,原告が法輪功の積極的な活動家として中国政府に個別的に把握され,帰国すれば直ちに迫害を受けるような状況にあるとすれば,中国政府から原告の家族に対して何らかの不利益な対応がされたり,原告の本邦での所在を追及されたりすることも十分想定できるところであるから,上記のように,原告の家族が中国で支障なく生活しているということは,原告が中国政府から迫害の対象として関心を寄せられていないことを推認させるものである。
エ 原告は,平成18年8月に本件拘束事件が起き,その後,中国を出国するまでの間,恐怖を感じていたとするにもかかわらず,飽くまでも通学していた中等専門学校の卒業のめどが立つことを待ってから来日したというのであり,このような原告の行動自体,真に中国政府からの迫害を受けるおそれがあるという恐怖を感じている者の行動とはいい難い。
(8) 争点1に関する被告の主張のまとめ
以上のとおり,原告について,中国及び本邦での法輪功に係る活動により個別具体的な迫害を受けるおそれがある恐怖を抱くような客観的事情が存在するとは認められず,むしろ,その難民該当性を否定する事情が存在する。
原告が難民であるとは認められないから,本件不認定処分は適法である。
2  本件裁決の無効事由の有無(争点2)
(原告の主張)
(1) 法務省入国管理局の「在留特別許可に係るガイドライン」(以下「ガイドライン」という。甲94)は,「第1 在留特別許可に係る基本的な考え方及び許否判断に係る考慮事項」で「在留特別許可の許否の判断に当たっては,個々の事案ごとに,在留を希望する理由,家族状況,素行,内外の諸情勢,人道的な配慮の必要性,更には我が国における不法滞在者に与える影響等,諸般の事情を総合的に勘案して行うこととしており,その際,考慮する事項は次のとおりである。」として,積極要素と消極要素を示しており,「第2 在留特別許可の許否判断」において,「在留特別許可の許否判断は,上記の積極要素及び消極要素として掲げている各事項について,それぞれ個別に評価し,考慮すべき程度を勘案した上,積極要素として考慮すべき事情が明らかに消極要素として考慮すべき事情を上回る場合には,在留特別許可の方向で検討することとなる。」としている。ガイドラインは,法務省が自ら策定したものであり,単に考慮要素を挙げたものではなく,積極要素・消極要素の比較衡量という具体的な審査基準と解すべきであって,平等原則,比例原則,禁反言の原則という法の一般原則を介して自己拘束性が認められ,処分行政庁がこれに反する行為をすることは許されないのは当然である。
(2) 原告にはガイドラインの積極要素があること
ア 原告は人道的配慮の必要があること
ガイドラインは,「その他の積極要素」の一つとして,「その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること」を挙げている。
この点,原告は,法輪功という「宗教」ないし「特定の社会的集団の構成員であること」を理由に中国政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する「難民」に当たるから,人道的配慮を必要とするなど特別な事情があることは明らかである。
仮に原告が「難民」に該当しないとしても,上記1(原告の主張)(4)ないし(6)の事情からすれば,法輪功修練者である原告が中国に帰国すれば中国政府から迫害されるおそれが極めて高いから,人道的配慮を必要とするなど特別な事情がある。
イ 原告は日本人の子に準じる地位にあること
ガイドラインは,「特に考慮する積極要素」の一つとして,「当該外国人が,日本人の子又は特別永住者の子であること」を挙げている。
この点,上記1(原告の主張)(4)オのとおり,原告は,平成21年2月に来日して以来,入管での収容期間を除き,D(平成18年11月に「永住者」の在留資格を取得し,平成28年12月に帰化した。)及びその夫であるEと同居し,Dから生活上の面倒もみてもらっている上,Eは,原告が在留資格を得られるのであれば養子縁組をしてもよいとまで考えている。
このように原告は,D及びEと生活関係上,身分関係上も親子同然であり,原告は,日本人の子の準じる地位にあるというべきである。
ウ 原告は日本に定着していること
ガイドラインは,「その他の積極要素」の一つとして,「当該外国人が,本邦での滞在期間が長期間に及び,本邦への定着性が認められること」を挙げている。
この点,原告は,平成21年2月に来日し(当時17歳),以後,9年間在留しており,この間一度も出国しておらず,上記イのとおり,日本人であるD及びEら家族とともに生活しているから,本邦での滞在期間が長期間に及んでおり,本邦への定着性が認められるというべきである。
(3) 原告にはガイドラインの消極要素がないこと
ガイドラインでは,重大な犯罪を犯したことや出入国管理行政の根幹に関わる違反を犯したことなどを挙げているが,原告は犯罪を犯したことはなく,在留資格の更新手続を失念して超過滞在になってしまったことはあるが,これは軽微なミスにすぎず,消極要素として考慮すべき事情ではない。また,原告は,本邦に就労目的で入国したものでもなく,D及びEら家族の扶養の下で安定して生活しており,経済的にも問題はない。したがって,原告には在留特別許可の許否の判断に際して消極的に考慮すべき要素はない。
(4) 争点2に関する原告の主張のまとめ
以上のとおり,原告には各積極要素があり,特に人道的配慮の必要性が高いところ,これに比して原告の消極要素は大きくなく,原告に在留特別許可を与えることで本邦に不利益が生じるおそれもないから,原告に対しては在留特別許可を与えなければならず,本件裁決は違法である。
(被告の主張)
(1) 原告は,本件不認定処分を受けた平成22年10月29日当時,入管法所定の在留資格「特定活動」(在留期間「6月」)をもって本邦に在留する者であったため,在留資格未取得外国人(入管法61条の2の2第1項柱書き)に該当せず,同条2項の適用はないところ,その後,原告は,不法残留となり,原告に係る退去強制手続が開始された。この場合,法務大臣は,入管法49条1項の異議の申出に対する裁決に当たって,異議の申出に理由がないと認める場合,すなわち容疑者である外国人に退去強制事由が認められる場合でも,法務大臣等が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときには,その者の在留を特別に許可することができるとされている。
(2) 国家は,外国人を受け入れる義務を国際慣習法上負うものではなく,特別の条約ないし取決めがない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを自由に決することができるのであり,憲法上も,外国人は,我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん,在留の権利ないし引き続き本邦に在留することを要求する権利を保障されているものでもない。我が国に適法に在留している外国人を対象とし,期間更新について申請権が付与されている在留期間更新の許否についてさえ,更新事由の有無の判断は法務大臣の裁量に任せられ,その裁量の幅は極めて広いとされているところ,在留特別許可は,入管法上,退去強制事由が認められ退去させられるべき外国人に恩恵的に与え得るものにすぎず,当該外国人には申請権も認められていない。
(3) 入管法50条1項の在留特別許可の許否の判断には,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長(以下「法務大臣等」という。)に極めて広範な裁量が認められていることから,在留特別許可を付与しないという法務大臣等の判断が裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法とされるような事態は容易には想定し難く,例外的に違法となり得る場合があるとしても,それは,法律上当然に退去強制されるべき外国人について,なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど,在留特別許可の制度を設けた入管法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られる。そして,このような法務大臣等の在留特別許可の許否の判断に対する司法審査の在り方については,法務大臣等と同一の立場に立って在留特別許可をすべきであったか否かを判断するのではなく,法務大臣等の第一次的な裁量判断が既に存在することを前提として,同判断が,裁量権を付与した目的を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるかどうかという観点から判断すべきである。
この点,原告は,法務大臣等は,在留特別許可の許否の判断をするに当たって,ガイドラインに記載された積極要素及び消極要素への該当性を十分に考慮しなければならない旨主張するが,そもそもガイドラインは,在留特別許可の許否の判断を拘束する基準ではなく,在留特別許可に係る基本的な考え方を示し,在留特別許可の許否に関して参考となる積極要素又は消極要素を例示して公表したものにすぎないから,原告の上記主張は,ガイドラインの理解を誤るものであり,その前提において理由がない。
(4) 原告は法律上当然に退去強制されるべき外国人であること
原告は,在留期限である平成23年5月9日を超えて本邦に不法残留したから,入管法24条4号ロの所定の退去強制事由(不法残留)に該当し,かつ,入管法24条の3各号所定の出国命令対象者の要件を満たさない。
原告は,法律上当然に本邦から退去されるべき外国人に当たる。
(5) 本邦への定着性に係る原告の主張に理由がないこと
原告は,17歳で来日して以来,本件裁決までに本邦での滞在期間が6年半と長期間に及んでおり,本邦への定着性が認められるとし,原告に対して在留特別許可が付与されるべきである旨主張する。
しかし,原告の本件裁決までの在留期間は約6年5か月であるが,そのほとんどは原告が本件難民認定申請又は本件異議申立てを行ったことにより「特定活動」の在留資格又は仮滞在の許可が認められていたにすぎず,本件難民認定申請は不認定となり,本件異議申立ても棄却された。そうすると,原告が本件裁決を受けるまでの間,我が国の社会に十分に適合し,市民の一人として本邦に定着して安定した生活を営んでいたとは到底認められない。
したがって,原告の主張する上記事情は,原告に対する在留特別許可の許否判断において,格別積極的に斟酌すべき事情とはいえない。
(6) Dの扶養を受けていることに係る原告の主張に理由がないこと
原告は,本件裁決時において「永住者」の在留資格をもって本邦に在留していた伯母の扶養を受けていることなどをもって,原告に対して在留特別許可が付与されるべきである旨主張する。
しかし,原告は,中国に実父母がおり,その扶養を受けることができないとの事情も特段認められない上,原告は,本件裁決の時点において24歳の成人であり,健康状態に問題はなく,稼働能力も有していると認められるから,そもそも原告がDの扶養を受ける必要があるとは認められない。
したがって,原告の主張する上記事情は,原告に対する在留特別許可の許否判断において,格別積極的に斟酌すべき事情とは認められない。
(7) 原告が中国に帰国することに特段の支障があるとはいえないこと
原告は,自らが法輪功修練者であり,難民であることを前提とし,原告には人道的配慮を必要とする特別な事情がある旨主張するが,原告が法輪功修練者であることを理由に中国で迫害を受けるおそれは認められず,原告が主張する上記事情は,原告に対する在留特別許可の許否の判断において格別積極的に斟酌すべき事情とはいえない。また,原告は,平成21年に本邦へ上陸するまで我が国とは何ら関わりがなかった者である上,稼働能力を有する成人であり,中国へ帰国するについて特段の支障があるとは認められない。
(8) 争点2に関する被告の主張のまとめ
以上を総合すると,法務大臣等の極めて広範な裁量権を前提として,法律上当然に退去強制されるべき外国人である原告に在留を特別に許可しなければ入管法の趣旨に反するような特別の事情があるとは認められないから,原告に対し在留特別許可を付与しない旨の東京入管局長の判断に裁量権の逸脱,濫用はない。よって,本件裁決は適法であり,無効ではない。
3  本件退令発付処分の適法性(争点3)
(原告の主張)
原告は,本件裁決時において難民に該当するから,原告の送還先を中国とする本件退令発付処分は,難民条約33条1項に定めるノン・ルフールマン原則及び拷問等禁止条約3条1項に反するものであって,違法である。
また,本件裁決は無効であるから,本件退令発付処分は当然に違法である。
(被告の主張)
原告は,本件裁決時において難民に該当しないから,原告の送還先を中国とする本件退令発付処分は,難民条約33条1項に定めるノン・ルフールマン原則又は拷問等禁止条約3条1項のいずれにも反するものではない。
退去強制手続において,法務大臣等から異議の申出は理由がないとの裁決をした旨の通知を受けた主任審査官は,速やかに退去強制令書を発付しなければならず(入管法49条6項),退去強制令書の発付につき裁量の余地は全くないから,本件裁決が適法である以上,本件退令発付処分も当然適法である。
したがって,本件退令発付処分は適法である。
4  本件難民義務付けの訴えの適法性及び当否(争点4)
(原告の主張)
原告は,法輪功という「宗教」ないし「特定の社会的集団の構成員であること」を理由に中国政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するから,「難民」に当たるところ,本件不認定処分は違法であって取り消されるべきであるから,申請型の義務付けの訴えである本件難民義務付けの訴えは適法である。そして,原告は,現在においても「難民」であることに変わりはないから,本件難民義務付けの訴えは認められるべきである。
(被告の主張)
入管法61条の2第1項は,外国人に難民の認定に係る申請権を認めているから,本件難民義務付けの訴えは,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項2号所定のいわゆる申請型の義務付けの訴えである。このような訴えが適法となるためには,行訴法37条の3第1項2号所定の「当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において,当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在であること。」との訴訟要件を満たす必要がある。本件について原告は,請求の趣旨1項において本件不認定処分の取消しを求めているが,上記1のとおり,本件不認定処分は適法であり,取り消されるべきものでもなければ,無効でも不存在でもない。
したがって,本件難民義務付けの訴えは,不適法である。
5  本件在特義務付けの訴えの適法性及び当否(争点5)
(原告の主張)
(1) 入管法49条1項の「判定に異議があるとき」との文言は,入管法49条1項の異議の申出権を入管法50条1項の在留特別許可を求める申請権としての性質を併せ持つものとして規定したと解することが可能である。
したがって,本件在特義務付けの訴えは,行訴法3条6項2号にいういわゆる申請型の義務付けの訴えであると解するのが相当である。
(2) 上記2によれば,原告の在留を特別に許可しない本件裁決は無効であるから,本件裁決無効確認の訴えは理由があり,原告の在留を特別に許可しない東京入管局長の判断は,その裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるから,本件在特義務付けの訴えは認められるべきである。
(被告の主張)
(1) 上記2(被告の主張)(2)の在留特別許可の性質に照らすと,入管法が外国人に在留特別許可を受けて本邦に在留することができる実体上の権利を保障しているとは考えられないから,在留特別許可の許否の判断を求める手続上の権利を退去強制事由が認められる外国人に付与する必要性もない。それにもかかわらず,入管法が特に異議の申出をした容疑者に在留特別許可の許否の判断を求めるについて,申請権等の手続上の権利を付与する立法政策を採用しているというためには,明確な明文上の根拠が必要というべきである。この点,入管法は,容疑者に在留特別許可の付与を求める申請権があることを明文で認めておらず,他方,在留資格の変更や在留期間の更新については,明文で申請権を認めていることに照らしても,退去強制事由に係る特別審理官の判定に対する異議の申出権を認めた入管法49条1項が在留特別許可の付与を求める申請権をも併せて認めていると解することはできない。
したがって,本件在特義務付けの訴えは,行訴法3条6項1号の非申請型の義務付けの訴えに当たるというべきである。
(2) 非申請型の義務付けの訴えは,行政庁が一定の処分をすべきであるにもかかわらずこれがされないときに,一定の処分を求める訴訟であるから(行訴法3条6項1号),原告が求める一定の処分を行う権限が行政庁にあることが当然の前提であり,行政庁に権限がない場合には不適法な訴えとなる。
この点,本件在特義務付けの訴えは,入管法50条1項に基づく在留特別許可の義務付けを求めるものと解されるところ,同規定は,法務大臣等が,入管法49条1項に基づく異議の申出に対して同条3項の裁決をするに当たって在留を特別に許可することができることを定めたものであり,入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受けた者に対し,その裁決の効力が存続したままで在留特別許可を付与する根拠とはなり得ない。
したがって,本件裁決(原告がした入管法49条1項に基づく異議の申出に理由がない旨の裁決)の効力が失われない限り,法務大臣等は,原告に対し在留特別許可を付与する権限を有しないところ,本件裁決は,上記2のとおり適法であり,その効力は存続しているから,本件在特義務付けの訴えは,行政庁に法的に権限のない処分を求めるものであって不適法である。
(3) また,行訴法37条の2第1項は,非申請型の義務付けの訴えについて,「義務付けの訴えは,一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り,提起することができる。」と定めているところ,本件裁決の効力を失わせるためには,本件裁決の取消訴訟を提起することが最も直接的な方法であり,これに勝訴することによって,その目的を十分に達することができる。そうすると,仮に,在留特別許可が付与されないことにより,原告に重大な損害が生ずるおそれがあるとしても,その損害を避けるためには,入管法49条1項の異議の申出に理由がない旨の裁決の取消訴訟を提起するという方法が存在するから,本件在特義務付けの訴えは,行訴法37条の2第1項の「その損害を避けるため他に適当な方法がない」との要件を満たさない。
第4  当裁判所の判断
1  入管法所定の「難民」の意義等
(1)  「難民」の意義
入管法2条3号の2,難民条約1条A(2)及び難民議定書1条2によれば,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないものは,「難民」に当たることになる。
そして,上記「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃又は圧迫,すなわち,生命若しくは身体の自由又はこれに匹敵する重大な自由の侵害又は抑圧をいうと解するのが相当であるところ,上記の「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」場合とは,その者が主観的に「迫害」を受けるおそれがあるとの恐怖を有しているだけでは足りず,その者と同一の立場に置かれた通常人をして「迫害」を受けるおそれがあるとの恐怖を抱かせるに足りる事情がある場合をいうと解される。
(2)  「難民」該当性の立証責任
我が国における難民の認定に関する手続は,入管法61条の2以下が定めているところ,入管法61条の2第1項を受けて,出入国管理及び難民認定法施行規則55条1項は,難民の認定を申請した外国人が自ら難民に該当することを証する資料を提出しなければならないと定めている。
加えて,難民の認定は,当該外国人が一定の法的利益を付与されるべき地位にあることを確認(公証)する性質を有する処分(入管法61条の2の2,61条の2の3,61条の2の11,61条の2の12参照)であるから,授益処分としての性質を有するものと解される。
以上に照らすと,難民を認定しない処分の取消しの訴えにおいては,当該処分の名宛人(すなわち難民の認定を申請した外国人)である原告が,自ら「難民」に当たることを立証しなければならないと解される。
2  法輪功に関する一般的事情
各項に掲記した証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  法輪功について
ア 法輪功(法輪大法ともいう。)は,1992年(平成4年)に吉林省出身のFによって創設された気功運動ないし気功集団である。法輪功は,真・善・忍という三つの原理に基づく心身の修練体系であって,基本的に5大修練(仏展千手法,法輪椿法,貫通両極法,法輪周天法及び神通加持法)からなり,心身に健康をもたらすことができ,「一連の修練,瞑想を通じて心身の健康を向上させ,個人の『心性』を発達させる中国の伝統的な自己形成修練」であるとされている。法輪功組織やその創始者は,法輪功を宗教とはみなしておらず,僧侶や礼拝所は存在しない。Fが著した「転法輪」は,法輪功の信奉者にとって必携の書とされている。(甲22,40,乙15,16,41~43,弁論の全趣旨)
イ 法輪功修練者の人数は,最盛期には,中国政府によれば210万人,法輪功によれば1億人以上,米国政府や英国政府の報告書によれば7000万人いたとされ,現在も中国国内に数万人いるとされている。(甲22,40,乙15,弁論の全趣旨)
(2)  法輪功に対する中国政府の対応
ア 師範学校の雑誌に法輪功を批判する記事が掲載されたことをきっかけとして,極めて多数(1万人以上とも報道されている。)の法輪功修練者が,1999年(平成11年)4月25日,北京市中心部の「中南海」といわれる地区(中国共産党本部や国務院が所在する。)を取り囲んで座り込むなどし,法輪功への批判等に対する抗議を行った(いわゆる「中南海事件」である。甲21,24,25,79,弁論の全趣旨)。
イ 中国共産党は,1999年(平成11年)6月10日,法輪功を取り締まるために,「610弁公室」を設置した。(甲8,30,40,79,乙15)
ウ 中国政府は,1999年(平成11年)7月20日,中国各地において,法輪功の活動の中心人物約70人を逮捕したほか,法輪功の出版物(書籍,ビデオテープ等)を没収するなどした。(甲18~20)
エ 中国政府公安部は,1999年(平成11年)7月22日,本件公安部通告を発表し,①いかなる場所においても法輪大法(法輪功)を宣伝する横断幕その他の標識を掲げること,貼り出すことを禁止する,②いかなる場所においても法輪大法(法輪功)を宣伝する書籍,AV製品その他の宣伝物を配布することを禁止する,③いかなる場所においても集合して法輪大法(法輪功)の宣伝活動を行うことを禁止する,④座り込み,陳情などの方式を用いての法輪大法(法輪功)の擁護,宣伝を目的とした集会,デモ,示威運動を禁止する,⑤事実を捏造又は歪曲すること,意図的にデマをとばすこと又はその他の方式で社会秩序を扇動し,妨害することを禁止する,⑥政府の関連決定に対抗するため活動を組織し,連結させ,指揮することを禁止する,上記①ないし⑥の規定に違反した場合には,刑事責任を追及し,又は犯罪とならない場合においても法律に基づいて治安管理処罰を行うことを通告した。(甲5,79,乙37)
オ 中国政府は,1999年(平成11年)7月29日,米国に滞在中のFに対し,逮捕状を発付し,同人を公共秩序かく乱容疑で指名手配するとともに,国際刑事警察機構(ICPO)を通じ,捜査協力及び同人の身柄拘束を各国に要請した。(甲19,25,弁論の全趣旨)
カ 中国指導部は,1999年(平成11年)7月に非合法化した法輪功を「邪教」と断定するなどし,同年10月28日付けの共産党機関誌人民日報の一面に掲載された特約評論員論文は,「法輪功は邪教だ」と題して,①指導者Fへの個人崇拝,②メンバーへのマインドコントロール,③世界終末論や医療無用論などの邪説による1400人の死亡,④政権奪取の野心などを列挙して,法輪功をオウム真理教などと同じ「邪教」と結論付けた。(甲20,30,57,59,弁論の全趣旨)
キ 2001年(平成13年),天安門広場で,法輪功のメンバーが集団自殺事件を図ったとされる事件が発生した。また,2002年(平成14年)2月,海外からの多数の法輪功メンバーが天安門広場に集まり,40人以上が拘束された旨の新聞報道がされた。当該新聞記事では,法輪功についての中国当局の態度は,「家の中で静かに気功をしているなら構わないが,国外の反中組織が法輪功を利用して中国を揺さぶろうとするのは許せない」というものであるとされた。(甲22,24)
ク 駐日中国大使館のホームページには,「『法輪功』とは何か」と題して,「『法輪功』とは,いったい何か。一口で言えば,中国の『オウム真理教』です。その教祖は現在アメリカにいるFという人物です。『法輪功』も『オウム真理教』も他のカルト集団と同様ですが,教義や教祖への絶対服従と絶対崇拝を要求し,信者にマインドコントロールを施すのです。『法輪功』の教祖であるFはまず『善良』を看板にして,『心を修練し,体を鍛える』,長期にわたって『法輪功』を修練すれば,『薬なしで病気を癒し,健康になる』などと口説いて入門させます。続いて彼の書いた『経書』を読ませ,さらに,『地球は爆発する』など『世界の終末説』をばら撒き,教祖のみが世界を救い,『人を済度して天国に行かせる』と唱え,信者たちを恐怖のどん底に陥れて狂乱させます。その結果,信者は教祖に絶対服従するようになり,善悪の判断能力を失い,己を害し,他人を害するなど,極端な行動に走ってしまいます。中国政府のこれまでの統計によりますと,『法輪功』の狂信者の中に,自殺或いは投薬や治療を拒否して死亡した者はすでに1600人を超え,精神に障害をきたした者は650余人に達したのです。また,殺人を犯した者は11人で,障害者となった者は144人にのぼります。」,「『法輪功』は日本国民に嫌われる『オウム真理教』と同様に,人権を踏みにじり,社会に危害を与える紛れもないカルト教団そのものです。中国政府は信教の自由を尊重します。しかし,他の国と同様に,カルト教団に対しては決して座視することは出来ません。国民の強い要望に答え,法に基づいてカルト教団である『法輪功』を取り締まり,厳しく打撃を与えることは,国民の生活と生命安全を守り,正常な社会秩序を維持するためなのです。」という内容の記事が掲載されている。(甲5)
(3)  各国政府の報告書等の記載
英国国境局の「出身国に関する報告書」(甲40,乙15)には,以下のような記載がある。
ア 米国国務省の「2006年の世界における信教の自由に関する報告書」には,法輪功修練者は,逮捕や拘留等に直面し続けていること,信仰を断念した者が拘留から釈放されたのに対し,信仰の断念を拒否する者は刑務所や,労働矯正収容所,超司法的「法律教育」センター,精神病院において拷問や虐待の高い危険性にさらされ続け,拷問や虐待により死亡することがあること,国内でほとんど大衆活動に従事しない集団において虐待の報告を確認するのは困難であったことなどの記載がある。
イ 国際的な信教の自由に関する米国委員会の報告書(「2007年度年次報告書」)には,これまでに数万人に上る法輪功修練者が「邪悪なカルト」への加盟を理由に,強制労働収容所に収容され,又は精神病院に収容されたこと,法輪功修練者の主張するところによれば,これまでにおよそ6000人の修練者が刑務所に収容され,3000人以上が警察の留置場で死亡したこと,一部の人権研究者の推定によれば,正式に記録された労働矯正収容所の受刑者25万人のうち,少なくとも半数は法輪功修練者であること,拷問に関する国連特別報告者が報告したところによれば,申し立てられた拷問犠牲者の3分の2を法輪功修練者が占めたとされること,司法の透明性の欠如を考慮すれば,拘留中の法輪功修練者の数及び扱いは確認することが難しいことなどの記載がある。
ウ UNHCRの2005年(平成17年)1月1日付け法輪功に関する方針説明書には,特に多数が関与することを考えると,法輪功修練者が全て中国当局の標的であることを示唆する証拠でUNHCRに知らされたものはないこと,法輪功修練者であることのみで難民の地位は生じず,政府当局の注意を引くような布教活動又はデモ運動の組織などにおける顕著な役割により,難民の地位が生じる可能性があることなどの記載がある。
エ 米国国務省の「2006年の世界における信教の自由に関する報告書」には,法輪功修練者は,地方の治安職員の厳重な監視下に置かれ,政府が大衆抗議運動の発生可能性を確信する時期は,その個人的動向が厳しく規制されたことなどの記載がある。
オ UNHCRの2005年(平成17年)1月1日付け法輪功に関する方針説明書には,2001年(平成13年)の天安門広場における法輪功会員の自己犠牲に続いてその弾圧は強化され,運動は多くの信奉者を失ったこと,それ以来,中国では法輪功修練者の周知の大衆デモがなくなったこと,会員は自宅では捜査されないものの,外において公然と修練をする場合には,低層の修練者であっても長期間の拘留を受ける危険を冒すことになり得ること,考えられる処罰は,4年以内のいわゆる労働矯正収容所での裁判なしの拘留と,かかる拘留を伴う警察の超司法的殴打であり,このため,会員修練者が中国に帰国して公共活動に従事する可能性は低くなっていることなどの記載がある。
カ 米国市民・移民局の2004年(平成16年)2月25日の報告書には,国外のオブザーバーによると,中国当局は,法輪功修練者の家族及び血縁者に圧力を掛けたり,家族に嫌がらせをしたりすることがあること,法輪功のウェブサイトは,政府当局が修練者に圧力を掛ける目的で,家族を逮捕し,又は処罰した旨を報告しているが,これらの報告の正確性については明らかではないこと,血縁者への嫌がらせは拷問性や身体的脅威が低く,どちらかといえば差別や生活手段への脅威の色合いが強いとの見解を有する研究者がいることなどの記載がある。
キ カナダの元閣僚Kの共著による2006年(平成18年)7月7日付けの報告書(2007年(平成19年)1月31日付けで新しい情報に更新)によれば,法輪功修錬者は,その臓器を移植用に獲得する意図で組織的に殺害されていると指摘しているが,有力な人権活動家Lは,上記報告書の中でインタビューを受けた一部の証人の信頼性について疑問を投じ,これらの申立ての確実性に疑問を投げかけた旨の記載がある。
(4)  中国における法輪功取締の法的根拠等
ア 中国刑法には,邪教を取り締まる規定として,「似非宗教団体若しくは邪教組織を組織し,若しくは利用し,又は迷信を利用して国の法律又は行政法規の実施を破壊した者は,3年以上7年以下の有期懲役に処する。情状が特別に重大である場合には,7年以上の有期懲役に処する。」との規定がある(中国刑法300条1項)。(甲14,79,乙39)
イ 中国治安管理処罰法27条は,①組織,教唆,脅迫,欺瞞,他人を扇動し邪教,民間信仰組織の活動に従事する,若しくは邪教,民間信仰組織,迷信による活動を利用し,社会の秩序を乱し,他人の身体の健康を損ねた場合,②宗教,気功の名目を利用し,社会の秩序を乱し,他人の身体の健康活動に損害を与えた場合の一に該当する場合,10日以上15日以下の拘留に処し,1000元以下の罰金を併科することができ,また,情状が比較的軽い場合は,5日以上10日以下の拘留に処し,500元以下の罰金を併科することができると定めている。(甲79,乙40)
ウ 中国政府(最高人民法院及び最高人民検察院)は,上記(2)エの本件公安部通告(甲5,乙37)が出された後に,邪教組織の取締に係る法の適用に係る指針として,1999年(平成11年)10月30日施行の「邪教組織を結成しそれを利用した事件に関する具体的な法律適用における若干の問題についての解釈」(邪教組織に係る法律適用の解釈1,乙38の1)及び2001年(平成13年)6月11日施行の「邪教組織を結成しそれを利用した事件に関する具体的な法律適用における若干の問題についての解釈(二)」(邪教組織に係る法律適用の解釈2,乙38の2)を公表したところ,その概要等は次のとおりである。(甲79)
(ア) 本件公安部通告(乙37)は,法輪功の宣伝活動やデモなどの外部的活動を行うことを取締の対象とし,本件公安部通告で禁止された上記の活動を行った上で,犯罪を犯した場合には刑事責任を追及し,犯罪とならない場合には治安管理法令に基づいて治安管理処罰を行うとしており,個人として気功の修練をすること自体は取締の対象とはしていない。
(イ) 邪教組織に係る法律適用の解釈1の9条は,「邪教組織を結成しそれを利用し犯罪活動を行った集団,画策者,指揮者および度重なる注意にも更生が見られない積極的な参加者は,刑法と本解釈の規定により刑事責任を追及する。」とする一方で,「自首した者,罪を償うため手柄をたてた者には,法により罪をできるだけ軽くすること,減刑すること,免除することができる。」とも規定している。(乙38の1)
(ウ) 邪教組織に係る法律適用の解釈2は,「人民検察院が審査起訴した邪教事件においては,犯罪内容が軽微であり,罪を反省する態度がみられ,再犯の恐れがないことが確実な容疑者に対し,刑事訴訟法(中略)の規定に基づき不起訴決定をすることができる。人民法院が審理した邪教事件においては,罪を反省する態度がみられ,再犯の恐れがない被告人に対し,法により罪を軽くすることができる。法による監視,拘留処分の判決を言い渡すことができる場合,あるいは刑の執行を延期する条件に一致する場合は,監視,拘留処分あるいは刑の執行延期を言い渡すことができる。犯罪の内容が軽微で刑事処罰の判決の必要がないものについては刑事処罰を免除できる。」とされている。(乙38の2)
(エ) 最高人民法院及び最高人民検察院の責任者は,人民日報において,邪教組織に係る法律適用の解釈2の遂行について,法のもとに邪教組織の犯罪行動に厳しい打撃を与えるとし,「具体的な処理過程においては法律の境界線を把握し,取り扱いを区別する政策を体現する。重要な点は邪教組織を結成しそれを利用して実行した犯罪行動の組織リーダー,画策者,指揮者および度重なる注意にも更生が見られない積極的な参加者に打撃を与えることである。」とも述べている。(乙38の2)
(5)  小括
以上で認定したところを総合勘案すると,中国政府は,1999年(平成11年)7月,法輪功の組織を不法組織と認定し,取り締まることを決定した後,法輪功を邪教と断定し,法輪功ないし法輪功修練者の監視や取締を時期によって強化し,あるいは維持していることが認められ(上記(2)~(4)),また,取締に際し,信仰の断念を拒否する多数の法輪功修練者に対して,法輪功修練者であることを理由として,施設への収容による身体の拘束や虐待といった,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を行い,迫害と評価できる行為が行われてきたことがうかがわれる(上記(2),(3))。
他方,法輪功修練者の人数は,最盛期には,中国政府によれば210万人いたとされ,現在も,中国国内に数万人いるとされているところ(上記(1)イ),上記のような迫害が全ての法輪功修練者を対象として行われるおそれがあるとまではいえず,中国国内において中国政府の注意を引くような活動を公に行った者については,迫害を受けるおそれがあるということができるが,それに至らず,自宅で法輪功の動作を行う程度であれば,迫害を受ける可能性は必ずしも高くないことが認められる(上記(2)キ,(3)ウ)。また,中国政府は,外国においても,在外公館等の職員により,法輪功の活動家に対する監視を行っていることがうかがわれ,主要な活動家とされれば,出入国管理上厳しく取り扱われ,中国に帰国した場合に直ちに迫害を受けるおそれがあるといい得るものの,そうでない者が中国に帰国した場合に直ちに迫害を受ける可能性があるか否かは必ずしも明らかではない。
そうすると,中国からいったん出国した者が,帰国した場合において,直ちに中国政府から法輪功修練者として迫害を受けるおそれがあるといえるかどうかの判断に当たっては,その者やその近親者が,中国国内における法輪功修練者としての活動を理由として迫害を受けたなどの経験を有し,帰国後もそれが継続する可能性が高いといえるか,また,その者が,外国に滞在中において運動組織上の顕著な役割を有するなど,中国に帰国後も法輪功に関する活動をすることが見込まれる主要な活動家として中国政府の関心を引くような立場にあると認められるかどうかといった点から検討すべきである。以下,このような観点から,原告の難民該当性について検討する。
3  原告の難民該当性(各争点に共通する争点)について
(1)  原告が中国において真摯な法輪功修練者であったとの主張について
ア 原告は,2006年(平成18年)7月頃,Dの勧めで法輪功を知り,以来,法輪功に深く傾倒し,継続的に法輪功の修練を行っており,来日前,専ら中国の自宅において,平日は約1時間,学法を行い,休日は約2時間,煉功を行っていた旨主張する(上記第3の1(原告の主張)(4)ア)。
イ この点,原告は,1991年(平成3年)○月生まれで,平成21年2月に本邦に上陸した当時17歳の少年であり,平成22年7月9日の難民調査官の事情聴取(乙4)において,①「中南海とはどこの場所を指すのですか。」との難民調査官の質問に対し,「場所がどこか分かりません。」と答え,②「(法輪功の)5つの基本動作は分からないのですか。」との難民調査官の質問に対しては,「分かりません。」と答えていることからすると,原告は,本邦に上陸した当時,法輪功について必ずしも十分な経験及び知識を有しているわけではなかったことが認められる。
これに対し,原告は,上記①に関し,原告は,上記の事情聴取において,少なくとも中南海が法輪功による抗議がされた場所であることは知っていた旨,また,上記②に関し,正確には5つの基本動作の「訣」についての質問であったところ,「訣」については覚えていなかったため,正直に分かりませんと答えたが,5つの基本動作自体は知っていた旨主張し,原告本人尋問でも同旨の供述をする(甲96,原告本人)。
しかし,原告は,上記②の点に関して,本件異議申立ての手続では,入管の職員に対し通訳を通じて説明することが難しくその方法が分からないとの意味で「分かりません。」と答えたと説明しており,原告本人尋問とも異なる説明をしていた(乙11~13)ことからすると,この点に関する原告の弁解は場当たり的なものであるといわざるを得ない。
また,原告の上記の主張を踏まえたとしても,原告が,法輪功に関する難民調査官の質問(上記①及び②)に対し,十分な的確さをもって答えることができなかったことに変わりはなく,また,日本において難民申請している法輪功修練者の支援をしているとされるJの陳述書(甲95)によっても,原告が,中南海の場所や5つの基本動作の「訣」について答えられなかったことは原告が当時未成年であったことに鑑みればやむを得ない面があるというのであるから,結局,原告は,上記の事情聴取の当時,法輪功について必ずしも十分な経験及び知識を有するに至っていなかったと評せざるを得ない。
ウ これらの事情に加え,原告が,本件異議申立て後の審尋において,難民審査参与員から,「自分が難民であり,迫害を受けるおそれがあると考える理由は,中国政府が自分のことを知っているからだということでいいですか。」と問われ,「そうではなく,難民申請した理由は,日本では自由に法輪功を修練でき,自由に信仰できるからです。」と供述していたこと(乙13)や,本件難民認定申請の際に提出した陳述書(乙3)においては,来日の目的について「『神韻』芸術団」(法輪功の関係団体)の演出を見るためともしていたことをも勘案すれば,原告は,本邦に上陸した当時,法輪功に一定の関心を有し,何らかの個人的な修練はしていたとしても,それは,中国における法輪功の修練を理由として,中国政府に個別的に把握され,迫害の対象とされる程度に至っていたものと認めることは困難である。
(2)  Dが中国に一時帰国した際,国家安全局に身柄を長時間拘束されて取調べを受けたことにより,Dの甥である原告が中国政府により個別的に把握されているとの主張について
ア 原告は,Dが中国へ一時帰国した際,国家安全局により身柄を拘束されて取調べを受けた(本件拘束事件)旨主張し,Dにおいて同旨の供述(甲39,83,証人D)をする。
イ Dの供述(甲39,83,証人D)によれば,Dは,国家安全局による取調べにおいて,「法輪功と関わるな。日本に行ってチラシを配ったりするな。」と要求されたが,「嫌です。本当のことを伝えたいので,チラシを配り続けます。」と拒絶し,「そのような答えしか言わないのだったら,お前を刑務所に入れるぞ。」と脅されたが,「私を刑務所に入れるか,あなたが決められないでしょ。」と批判的に応じ,「法輪功をやめる」という書類にサインをしろと要求されても応じないなど,要求を拒否する姿勢を取り続け,その間,暴行等を受けることもなく,取調べが開始された翌日に解放されたというのであるが,身柄を解放された経緯について,①原告は,「伯母のだんなさんは日本から電話をかけてきて妻の釈放を求めました」と記載した陳述書(乙3)を提出しており,また,Dにおいては,Eの働きかけである旨の陳述又は供述をする一方で(甲39,証人D),②Dは,Dの娘からの連絡を受けた中国人の元夫による働きかけであるとの陳述書(甲83)も提出していて,原告側の供述等の内容が一定せず,③Eにおいては,自らが働きかけをしたことを否定している(甲84,証人E)。
この点,Dが本件拘束事件において上記のような敵対的な態度を取っていたのであるとすれば,それにもかかわらず身柄を解放された経緯については相応の理由が必要であると考えられるところ,その経緯について関係者の陳述等が一致しないことに照らすと,そもそも,Dが中国へ一時帰国した際に国家安全局により長時間身柄を拘束されて取調べを受けた(本件拘束事件)という事実があったのかどうかについて,疑問が生じるといわざるを得ない。
ウ また,原告は,Dは解放後に上海にてEと合流したが,国家安全局と思われる関係者から追跡又は尾行(意図的に,牽制ないし威嚇する目的で,つかず離れずの距離を保ちつつ追跡する態様)されていた旨主張し,その様子を撮影したとする写真(甲39,83に各添付)を提出する。
しかしながら,上記の写真は,上海のいわゆる観光スポットで撮影された記念写真と目されるものを多く含んでおり,写真に映った人物の風体からすると,単なる通行人等であると考えてもさほど不自然ではなく,Dら一行を原告の主張するような態様で尾行している者であるかどうか直ちに明らかではない。また,原告が,本件拘束事件の後に,国家安全局の関係者に現に追跡されて身の危険を感じていたのであったとすれば,当該関係者を至近距離から写真に撮影するという,再度の身柄拘束などの不測の事態を招きかねない行動に出た上で,さらに上海観光を継続するというのはいささか不自然な印象を免れない。以上からすれば,Dが国家安全局の関係者に尾行されていたかどうかは疑わしく,仮に尾行の事実があったのであるとしても,上記の写真によって,原告が主張するような態様において本件拘束事件が存在したことが裏付けられると断ずることはできないといわざるを得ない。
エ D及びEの供述(甲39,83,84,証人D,証人E)によれば,Eは,2006年(平成18年)8月18日(上記ウの写真を撮影した日の翌日),上海にある日本領事館に出向き,自身及びDの保護を求めるとともに(結果的には保護を受けられなかった。),Dが取調べを受けた際に取り上げられたとされるDのパスポート(当時,Dは中国の国籍を有していた。)に細工がされていないかを確認してもらったとされる。しかし,この点に関するD及びEの供述を前提としても,上記イ及びウの認定及び判断は直ちに左右されるものではない。
オ 以上に加え,原告が主張するDの本件拘束事件の後も,原告は,家庭内で法輪功の修練を従来と同じように続け,父母もそれに反対しなかったというのであり(原告本人),そのことで中国政府から何らかの迫害を受けたことがあることがうかがわれないことも勘案すると,本邦に上陸した当時において,Dが中国で本件拘束事件などの迫害を受けたことを理由として,その甥である原告が中国政府から個別的に把握され,帰国すれば迫害の対象とされる客観的なおそれがあったと認めることは,困難であるというべきである。
(3)  原告が本邦において法輪功の対外的活動をしたことにより,中国政府により個別的に把握されているとの主張について
ア 原告は,本邦において,中国政府による法輪功修練者に対する迫害を訴えるチラシを配ったり,その旨の横断幕を持ってデモに参加したり,天国楽団に参加するなどの対外的活動を行ったと主張し(上記第3の1(原告の主張)(4)エ),これに沿う供述等がある(甲96,乙2,4,11~13,原告本人)。
しかし,原告の上記供述を前提としても,原告は,これらの活動において,旗を持ったりチラシを配ったりする程度の役割を担ったにとどまり,活動を企画・立案するなどして主導的に関与したことはなく,一般の修練者の立場で参加したにすぎない。そうすると,これらの活動をもって,直ちに中国政府から個別的に把握され迫害の対象とされる客観的なおそれがあると認めることはできない。
イ 原告は,原告がパレード等に参加した際に見知らぬ人から写真撮影されたことがあるが,その人は駐日中国大使館員である可能性があり,また,原告が駐日中国大使館前で横断幕を掲げていた際,同大使館から出てきた人に写真撮影されたことがあるとして,原告は中国政府に個別に把握されている旨主張し,これに沿う供述する(甲96,乙13,原告本人)。
しかしながら,原告は,難民調査官による事情聴取や,本件異議申立ての際に提出した申述書,陳述書及び意見書において,駐日中国大使館の前で同大使館員から写真撮影された旨の供述をしたことはなく(乙2,4,9,11,12),本件異議申立ての審尋の際に初めて供述したものであることからすると,果たしてそのような事実があったのか定かではなく,仮にその事実が認められるのであるとしても,その後,中国政府が原告の活動を個別に把握すべく注視しているような形跡もうかがわれないことからすると,その事実をもって,直ちに中国政府から迫害の対象とされる客観的なおそれがあると認めることはできない。
(4)  原告の中国における親族の状況について
ア 原告は,難民調査官による事情聴取において,祖父母が本件拘束事件の際に事情聴取を受けていること,原告は祖父母とともに来日し,祖父母は本邦に3か月ほど滞在した後,中国へ帰国し,自宅で法輪功の修練を続けているが,中国に帰国した後も中国政府から事情聴取を受けたり問題になったことはない旨供述し(乙4),本件異議申立ての際に提出した意見書において,祖父母が法輪功の修練を行っていることを前提とする記載をし,本件異議申立てに係る審尋において,祖母と一緒に法輪功についての書籍を読んでいた旨供述している(なお,原告本人尋問には,祖父母が法輪功を修練していたことを否定する供述部分があるが,上記の各供述等に照らし,信用することができない。)。
以上のような原告の供述によれば,原告の祖父母は,法輪功の修練者であり,そのことが中国政府に知れている可能性があるが,そうであったとしても,原告が本邦に上陸した当時においては,それが故に中国政府から顕著に不利益な取扱いを受けたことはないことがうかがわれる。
イ 原告は,2015年(平成27年)11月頃,原告の祖母が,中国の外事弁公室において日本に行くための手続をした際,「あなたの孫は随分帰ってきていないですね。日本で難民の申請でもしたんですか。」と質問された旨主張し,これに沿う供述がある(原告本人,Dのものとして,甲83,証人D)。
しかし,原告は,陳述書(甲96)において,上記の質問は国家安全局で質問を受けたとしており,供述が一貫しない。また,原告本人尋問における供述を前提とするとしても,原告の祖母は,「あなたの孫は随分帰ってきていないですね。日本で難民の申請でもしたんですか。」と問われたというにとどまり,それ以上の追及や調査を受けたことも認められない上に,その前後の文脈や応答の際の状況も不明であることからすれば,このことのみをもって,中国政府が,原告を個別的に把握し,迫害の対象としているとは認められない。
(5)  争点1のまとめ
以上によれば,原告は,本件不認定処分当時,法輪功という「宗教」ないし「特定の社会的集団の構成員であること」を理由に中国政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するものということはできず,入管法所定の「難民」とは認められないから,本件不認定処分は適法であり,本件不認定処分取消しの訴えに係る原告の請求は理由がない。
4  争点2(本件裁決の無効事由の有無)について
(1)  在留特別許可に関する法務大臣等の裁量について
国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,また,これを受け入れる場合にいかなる条件を付すかを自由に決定することができるものとされており,憲法上,外国人は我が国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん,在留の権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものでもない(最高裁昭和32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁,最高裁昭和53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁参照)。
そして,入管法50条1項の在留特別許可については,入管法24条各号が定める退去強制事由に該当する外国人が入管法50条1項各号のいずれかに該当するときにすることができると定められているほかは,その許否判断の要件ないし基準とすべき事項は定められていない上,外国人の出入国管理は,国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持を目的として行われるものであって,このような国益の保持については,広く情報を収集しその分析の上に立って時宜に応じた的確な判断を行うことが必要であり,高度な政治的判断を要求される場合もあり得ることを勘案すれば,在留特別許可をすべきか否かの判断は,法務大臣の広範な裁量に委ねられていると解すべきである。
もっとも,その裁量権の内容は全く無制約のものではなく,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により判断が全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には,法務大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして,違法になるものと解される。そして,このことは,法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長についても別異に解する理由はない。
また,ガイドラインにおいては,在留特別許可の許否の判断に当たっては,個々の事案ごとに,在留を希望する理由,家族状況,素行,内外の諸情勢,人道的な配慮の必要性,さらには我が国における不法滞在者に与える影響等,諸般の事情を総合的に勘案して行うこととされていることに照らすと,ガイドラインは,そこに挙げられた積極要素がありさえすれば在留特別許可を付与すべきことを定めたものではなく,ガイドラインの内容が法務大臣等の上記裁量を法的に制約するものということはできない。
そこで,上記の見地から,本件裁決が上記の裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められるか否か,また,そのことが処分の無効事由といえるか否かについて検討する。
(2)  退去強制事由該当性
原告は,前提事実(2)オのとおり,最終の在留期限である平成23年5月9日を超えて本邦に残留しており,入管法24条4号ロの退去強制事由(不法残留)に該当し,かつ,入管法24条の3各号所定の出国命令対象者の要件を満たさない。そうすると,原告は,この退去強制事由により,原則として本邦から当然に退去させられるべき法的地位にあると認められる。
(3)  原告の在留状況について
原告は,自身の在留状況について,在留期間の更新手続を失念して超過滞在になったことはあるが,軽微なミスにすぎず,原告に対する在留特別許可の許否の判断に当たり消極要素として考慮すべき事情ではない旨主張する。
しかしながら,前提事実によれば,原告は,平成21年2月7日,在留資格「短期滞在」,在留期間「90日」とする上陸許可を受けて本邦に上陸し,その後,数次の在留資格の変更及び在留期間の更新を経て,最終の在留期限である平成23年5月9日を超えて本邦にとどまり,もって不法残留となったところ,外国人である原告が適法に滞在するために必要となる上記の更新の手続を失念して不法残留となったことについては,これを正当化する事情はうかがわれないから,このことが一定の消極要素として評価されたとしても不合理とはいえない。
(4)  人道的配慮の必要性がある旨の原告の主張について
原告は,原告が法輪功を理由に中国政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する「難民」に当たるから,人道的配慮がされるべきである旨主張する。
しかしながら,上記3のとおり,原告が法輪功学習者であることを理由として入管法所定の「難民」に該当するとは認められないから,人道的配慮の必要性をいう原告の主張は採用することができず,他に,人道上,原告が中国に帰国することに特段の支障があると認めるに足りる証拠はない。
(5)  原告が日本人の子に準じる地位にある旨の原告の主張について
原告は,本件裁決時に「永住者」の在留資格で本邦に在留し,後に日本国籍を取得したD及びその夫であるEと家族同然の関係にあり扶養を受けていることから,日本人の子に準じる地位にあり,このことを原告に対する在留特別許可の許否の判断において積極的に考慮すべきである旨主張し,同旨の供述をする(乙28,原告本人)。
しかし,原告は,そもそも「日本人の子」ではなく,中国に居住する実父母の扶養を受けることができないとの事情も特段認められない上(現に,原告は,中国の実父母から送金を受けている(原告本人)。),本件裁決当時に24歳であり,稼働能力を有する成人であることからすれば,「日本人の子」に準じる地位にあるとして,本邦でDらの扶養を受けなければならないとはいえないと判断されたとしても,不合理とはいえない。
(6)  原告が本邦に定着している旨の原告の主張について
原告は,平成21年2月に来日し,本件裁決までに本邦での滞在期間が6年半の長期間に及んでいるところ,このことを原告に対する在留特別許可の許否の判断において積極的に考慮すべきである旨主張する。
しかしながら,上記の在留期間のほとんどは,本件難民認定申請又は本件異議申立てにより「特定活動」の在留資格又は仮滞在の許可が認められたものにすぎず,本件難民認定申請及び本件異議申立てはいずれも認められなかったことからすると,原告が本邦に十分に定着して安定した生活を営んでいたとはいえないと判断されても,不合理とはいえない。
(7)  争点2のまとめ
以上によれば,本件裁決は,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があり,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くなど,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くとはいえず,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないから,適法であり,もとより無効であるとはいえず,本件裁決無効確認の訴えに係る請求は理由がない。
5  争点3(本件退令発付処分の適法性)について
入管法49条6項によれば,主任審査官は,法務大臣等から同条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の通知を受けたときは,速やかに退去強制令書を発付しなければならず,この点に裁量の余地はない。そうすると,上記4のとおり本件裁決が適法である以上,本件退令発付処分もまた適法である。
6  争点4(本件難民義務付けの訴えの適法性及び当否)について
本件難民義務付けの訴えは,行訴法3条6項2号に規定するいわゆる申請型の義務付けの訴えと解されるところ,申請型の義務付けの訴えは,処分又は裁決がされた場合においては,「当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在であること」に該当するときに限り,提起することができるとされている(行訴法37条の3第1項2号)。
しかるに,上記3のとおり,本件不認定処分は適法であり,「当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在であること」には該当しないから,本件難民義務付けの訴えは不適法である。
7  争点5(本件在特義務付けの訴えの適法性及び当否)について
(1)  上記4(1)で説示したとおり,憲法上,外国人は,我が国に在留ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく,入管法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ我が国に在留し得る地位及びその在留に伴う利益を享受する権利を認められているにすぎないと解される。また,入管法においては,在留資格の変更に係る入管法20条2項や在留期間更新に係る入管法21条2項が,明文で申請権があることを規定しているのに対し,入管法49条1項は,そのような規定とはなっておらず,入管法の規定を通覧しても,外国人に対し,在留特別許可の付与を求める申請権があることを前提として定められた規定は見当たらない。さらに,在留特別許可が,退去強制事由に該当するために本来的には退去強制の対象となるべき外国人について,法務大臣等がその広範な裁量に基づいて個々の外国人ごとに諸般の事情を総合的に勘案してその許否を判断するものであることに照らせば,在留特別許可は,退去強制事由に該当し本来的には退去強制の対象となるべき外国人について,特別に在留を許可すべき事情があると認めるときに,法務大臣等が恩恵的措置として本邦に在留することを特別に許可するという性質のものであるということができる。これらを勘案すると,入管法が,退去強制事由に該当し本来的には退去強制の対象となるべき外国人に対し,本邦に在留することができる実体法上の権利を付与しているとは認め難く,当該外国人に対し,法務大臣等に対して在留特別許可の付与を求める権利を付与しているとは認められない。
したがって,入管法49条1項の異議の申出は,在留特別許可との関係では,行訴法3条6項2号の規定する「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求」には該当せず,本件在特義務付けの訴えは,同項1号の規定する非申請型の義務付けの訴えに当たる。
(2)  非申請型の義務付けの訴えは,行政庁が当該一定の処分をする権限を有していることを当然の適法要件としており(行訴法37条の2第3項),行政庁に権限がない場合には不適法な訴えとなると解される。
本件在特義務付けの訴えは,入管法50条1項に基づく在留特別許可の義務付けを求めるものであるところ,法務大臣等が,入管法49条1項の規定に基づく異議の申出に対して裁決をするに当たり,異議の申出に理由がないものと認める場合には,原則として,その旨の裁決をし(入管法49条3項),異議の申出には理由がないと認める場合でも,入管法50条1項各号のいずれかに該当する場合には在留特別許可を付与することができ,この許可は異議の申出が理由がある旨の裁決とみなすものとされていることからすると(入管法50条4項),法務大臣等は,入管法49条1項の規定に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決がされ,その効力が存続する場合には,当該裁決を受けた外国人に対し,これと矛盾することとなる入管法50条1項の規定に基づく在留特別許可を付与することはできないと解される。
しかるに,上記4のとおり,本件裁決は適法であり,本件裁決の効力が存続しているから,本件在特義務付けの訴えは,処分行政庁とされる東京入管局長に対し法的に権限のない処分を求めるものであって不適法である。
8  結論
よって,本件の各訴えのうち,本件難民義務付けの訴え及び本件在特義務付けの訴えはいずれも不適法であるから却下し,その余の原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第38部
(裁判長裁判官 谷口豊 裁判官 工藤哲郎 裁判官 細井直彰)

 

別紙
代理人目録〈省略〉

 

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政治と選挙の裁判例「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧
(1)令和元年12月12日 高松高裁 平30(ネ)242号 損害賠償請求控訴事件
(2)令和元年12月 4日 東京高裁 令元(行ケ)31号
(3)令和元年12月 4日 東京高裁 令元(行ケ)30号
(4)令和元年11月29日 東京地裁 平31(ワ)5549号 損害賠償請求事件
(5)令和元年11月13日 福岡高裁那覇支部 令元(行ケ)3号
(6)令和元年11月 8日 福岡高裁 令元(行ケ)2号
(7)令和元年11月 7日 名古屋高裁 令元(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(8)令和元年11月 7日 東京地裁 平28(ワ)13525号・平28(ワ)39438号・平29(ワ)27132号 安保法制違憲・国家賠償請求事件
(9)令和元年11月 6日 広島高裁松江支部 令元(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(10)令和元年10月31日 広島高裁岡山支部 令元(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(11)令和元年10月30日 東京高裁 令元(行ケ)27号
(12)令和元年10月30日 福岡高裁宮崎支部 令元(行ケ)1号
(13)令和元年10月29日 大阪高裁 令元(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(14)令和元年10月29日 名古屋高裁金沢支部 令元(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(15)令和元年10月24日 札幌高裁 令元(行ケ)2号 選挙無効請求事件
(16)令和元年10月24日 東京地裁 平31(行ウ)118号 特許出願公開及び審査請求義務付け等請求事件
(17)令和元年10月16日 高松高裁 令元(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(18)令和元年 7月18日 宇都宮地裁 平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(19)令和元年 7月17日 東京高裁 平30(ネ)5150号・平31(ネ)356号 開示禁止処分等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(20)令和元年 6月27日 青森地裁 平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件
(21)昭和24年10月30日 岡山地裁 昭23(ワ)142号 組合員除名無効確認請求事件 〔鐘紡西大寺工場労働組合事件〕
(22)昭和24年10月13日 名古屋高裁 事件番号不詳
(23)昭和24年 9月19日 青森地裁 昭23(行)37号 青森市選挙管理委員会及び補充員指名推薦に関する決議取消請求事件
(24)昭和24年 9月 2日 東京高裁 昭24(新を)1282号
(25)昭和24年 8月17日 東京高裁 事件番号不詳 昭和22年勅令第1号違反被告事件
(26)昭和24年 7月29日 東京高裁 昭24(上)146号 軽犯罪法違反被告事件
(27)昭和24年 7月20日 宮崎地裁延岡支部 昭23(り)67号・昭23(り)74号・昭23(り)62号・昭23(ぬ)15号 業務妨害被告事件・名誉毀損被告事件 〔旭化成工業事件・第一審〕
(28)昭和24年 7月17日 山形地裁 昭24(ヨ)21号 仮処分申請事件 〔山形新聞社事件〕
(29)昭和24年 7月13日 最高裁大法廷 昭23(オ)131号 県会議員選挙無効事件
(30)昭和24年 7月 4日 東京高裁 事件番号不詳 詐欺等被告事件
(31)昭和24年 6月13日 最高裁大法廷 昭23(れ)2118号 昭和二二年勅令第一号違反・議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反各被告事件
(32)昭和24年 6月13日 最高裁大法廷 昭23(れ)1862号 昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(33)昭和24年 6月 1日 最高裁大法廷 昭23(れ)1951号 昭和二二年政令第三二八号違反・議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被告事件
(34)昭和24年 3月23日 広島地裁 事件番号不詳 業務妨害被告事件 〔宇品における国鉄助勤者乗船阻害事件・第一審〕
(35)昭和24年 3月15日 静岡地裁沼津支部 事件番号不詳 公務執行妨害被告事件 〔三島製紙事件・第一審〕
(36)昭和24年 2月26日 名古屋地裁 昭23(ヨ)246号 仮処分申請事件
(37)昭和23年12月28日 静岡地裁 事件番号不詳 強要被告事件 〔全逓清水支部事件〕
(38)昭和23年11月30日 大阪高裁 昭22(ナ)4号 地方自治法第六十六条第四項による請求事件
(39)昭和23年11月20日 東京高裁 昭23(ナ)5号 東京都教育委員選挙無効確認事件
(40)昭和23年11月15日 京都地裁 昭23(行)4号・昭23(行)8号 併合除名処分無効確認並びに取消請求事件
(41)平成30年11月30日 東京地裁 平29(行ウ)193号 損害賠償請求(住民訴訟)事件
(42)平成30年11月27日 広島高裁松江支部 平30(行コ)1号・平30(行コ)3号ないし8号 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件
(43)平成30年11月15日 宇都宮地裁 平24(行ウ)15号 政務調査費返還履行請求事件
(44)平成30年11月 1日 東京高裁 平30(ネ)2841号 損害賠償等請求控訴事件
(45)平成30年10月31日 東京地裁 平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件
(46)平成30年10月30日 東京高裁 平29(ネ)4477号 国家賠償請求控訴事件
(47)平成30年10月25日 東京高裁 平30(行コ)121号 各シリア難民不認定処分無効確認等、訴えの追加的併合請求控訴事件
(48)平成30年10月25日 東京地裁 平29(行ウ)60号・平29(行ウ)93号 行政文書不開示処分取消請求事件
(49)平成30年10月24日 仙台高裁 平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(50)平成30年10月11日 東京高裁 平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件
(51)平成30年10月 5日 東京地裁 平27(ワ)36817号・平28(ワ)18096号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件
(52)平成30年 9月21日 東京地裁 平30(行ウ)21号 難民不認定処分等取消請求事件
(53)平成30年 9月20日 大阪地裁 平29(ワ)11605号 損害賠償請求事件
(54)平成30年 8月29日 東京地裁 平29(ワ)11971号・平30(ワ)11941号 損害賠償請求事件、独立当事者参加事件
(55)平成30年 8月28日 東京地裁 平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(56)平成30年 8月 9日 札幌高裁 平29(行コ)8号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(57)平成30年 8月 8日 東京高裁 平30(ネ)1995号 国家賠償請求控訴事件
(58)平成30年 8月 8日 東京地裁 平28(行ウ)137号 難民不認定処分取消請求事件
(59)平成30年 7月31日 東京地裁 平29(行ウ)239号 仮滞在許可申請不許可処分取消等請求事件
(60)平成30年 7月20日 東京地裁 平27(行ウ)302号 難民不認定処分取消等請求事件
(61)平成30年 7月20日 高知地裁 平28(ワ)129号 損害賠償請求事件
(62)平成30年 7月17日 東京地裁 平29(ワ)17380号 損害賠償等請求事件
(63)平成30年 7月 5日 東京地裁 平27(行ウ)524号 難民不認定処分取消等請求事件
(64)平成30年 7月 2日 大阪高裁 平29(ネ)1453号 懲戒処分無効確認等請求控訴事件
(65)平成30年 6月27日 東京地裁 平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件
(66)平成30年 5月31日 東京地裁 平28(行ウ)299号 難民不認定処分無効確認等請求事件
(67)平成30年 5月15日 東京地裁 平28(行ウ)332号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(68)平成30年 5月11日 東京地裁 平28(行ウ)249号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(69)平成30年 4月27日 大阪地裁 平27(行ウ)229号 政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(70)平成30年 4月24日 東京地裁 平29(行ウ)44号 難民不認定処分等取消請求事件
(71)平成30年 4月23日 東京地裁 平29(ワ)16467号 損害賠償等請求事件
(72)平成30年 4月19日 東京地裁 平28(行ウ)144号・平28(行ウ)154号 難民不認定処分取消請求事件
(73)平成30年 4月18日 東京高裁 平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(74)平成30年 4月12日 東京地裁 平29(行ウ)65号 難民不認定処分取消等請求事件
(75)平成30年 4月11日 知財高裁 平29(行ケ)10161号 審決取消請求事件
(76)平成30年 4月11日 神戸地裁 平29(行ウ)9号 政務調査費返還請求住民訴訟事件
(77)平成30年 3月30日 広島高裁 平29(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(78)平成30年 3月29日 東京地裁 平26(ワ)29256号・平27(ワ)25495号 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償反訴請求事件(反訴)
(79)平成30年 3月26日 大阪地裁 平28(行ウ)158号 戒告処分取消等請求事件
(80)平成30年 3月20日 大阪高裁 平29(行コ)60号 補助金不交付処分取消等請求控訴事件
(81)平成30年 3月20日 東京地裁 平27(行ウ)727号 難民不認定処分等取消請求事件
(82)平成30年 3月20日 東京地裁 平27(行ウ)158号・平27(行ウ)163号・平27(行ウ)164号・平27(行ウ)165号・平27(行ウ)595号 シリア難民不認定処分無効確認等請求事件、訴えの追加的併合請求事件
(83)平成30年 3月16日 鳥取地裁 平26(行ウ)7号 不当利得請求事件
(84)平成30年 3月 6日 東京地裁 平29(行ウ)20号 難民不認定処分無効確認等請求事件
(85)平成30年 3月 5日 東京地裁 平29(ワ)33216号 国家賠償請求事件、損害賠償請求事件
(86)平成30年 2月23日 東京地裁 平27(行ウ)73号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(87)平成30年 2月21日 広島高裁松江支部 平29(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(88)平成30年 2月21日 東京地裁 平28(行ウ)6号 労働委員会救済命令取消請求事件
(89)平成30年 2月20日 東京地裁 平27(行ウ)711号 難民不認定処分取消等請求事件
(90)平成30年 2月19日 福岡高裁宮崎支部 平29(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(91)平成30年 2月15日 東京地裁 平28(行ウ)265号・平28(行ウ)291号・平28(行ウ)292号・平28(行ウ)371号・平28(行ウ)373号 難民不認定処分取消等請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件
(92)平成30年 2月14日 前橋地裁 平26(行ウ)16号 群馬の森追悼碑設置期間更新不許可処分取消等請求事件
(93)平成30年 2月 8日 仙台高裁 平29(行コ)5号・平29(行コ)13号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(94)平成30年 2月 6日 東京高裁 平29(行ケ)35号
(95)平成30年 2月 6日 東京高裁 平29(行ケ)31号
(96)平成30年 2月 6日 東京地裁 平27(ワ)35223号 仮払金精算請求事件
(97)平成30年 2月 5日 福岡高裁 平29(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(98)平成30年 1月31日 名古屋高裁金沢支部 平29(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(99)平成30年 1月31日 高松高裁 平29(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(100)平成30年 1月31日 岡山地裁 平26(行ウ)15号 不当利得返還請求事件


政治と選挙の裁判例(裁判例リスト)

■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/

■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/

■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/

■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/

■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/

■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/

■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/

■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/

■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/

■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/

■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/

■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/

■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/

■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/

■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/

■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/

■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/

■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/

■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/

■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/

■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/

■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/

■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/

■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/

■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/

■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


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