政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例(29)平成24年 2月23日 大阪地裁 平21(行ウ)154号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例(29)平成24年 2月23日 大阪地裁 平21(行ウ)154号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
裁判年月日 平成24年 2月23日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(行ウ)154号
事件名 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
裁判結果 一部認容 上訴等 控訴 文献番号 2012WLJPCA02236011
事案の概要
◇ウガンダ共和国国籍を有する外国人である原告が、難民の地位に関する条約及び難民の地位に関する議定書に規定する難民であると主張し、原告に対しされた、難民に認定しない処分並びに出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項に基づく在留特別許可をしない旨の処分の各取消しとともに、法49条1項に基づく異議の申出に理由がない旨の裁決及び退去強制令書発付処分がそれぞれ無効であることの確認を求めた事案
裁判経過
控訴審 平成25年 2月27日 大阪高裁 判決 平24(行コ)54号 退去強制令書発付処分無効確認等請求控訴事件
裁判年月日 平成24年 2月23日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(行ウ)154号
事件名 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
裁判結果 一部認容 上訴等 控訴 文献番号 2012WLJPCA02236011
名古屋市〈以下省略〉
原告 John Doe
同訴訟代理人弁護士 定金史朗
同 黒栁武史
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者兼処分行政庁 法務大臣 A
処分行政庁 名古屋入国管理局長 B
処分行政庁 名古屋入国管理局主任審査官 C
被告指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
同 W5
同 W6
同 W7
同 W8
同 W9
同 W10
主文
1 法務大臣が平成21年1月26日付けで原告に対してした難民の認定をしない旨の処分を取り消す。
2 名古屋入国管理局長が平成21年2月3日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分を取り消す。
3 名古屋入国管理局主任審査官が平成21年2月3日付けで原告に対してした退去強制令書発付処分が無効であることを確認する。
4 原告のその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 主文1項ないし3項と同旨
2 名古屋入国管理局長が平成21年1月26日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく原告の異議の申出について理由がない旨の裁決が無効であることを確認する。
第2 事案の概要
本件は,ウガンダ共和国(以下「ウガンダ」という。)国籍を有する外国人である原告が,難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)及び難民の地位に関する議定書(以下「難民議定書」という。)に規定する難民であると主張し,原告に対しされた,難民に認定しない処分(以下「本件不認定処分」という。)並びに出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)61条の2の2第2項に基づく在留特別許可をしない旨の処分(以下「本件在特不許可処分」という。)の各取消しとともに,法49条1項に基づく異議の申出に理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)及び退去強制令書発付処分(以下「本件退令発付処分」という。)がそれぞれ無効であることの確認を求めた事案である。
1 前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠等により認められる事実。なお,証拠番号は特記しない限り枝番を含む。)
(1) 原告の経歴,入国及び在留状況
ア 原告は,1975年(昭和50年)○月○日生まれの,ウガンダ国籍を有する外国人男性である(甲6,乙1。なお,原告の生年の認定根拠については後記第3の2(2)ウのとおり。)。
イ 原告は,平成18年4月9日,成田国際空港に到着し,同日,東京入国管理局成田空港支局入国審査官から,在留資格「短期滞在」,在留期間90日とする上陸許可を受けて本邦に上陸した。その後,原告は,在留期間更新許可又は在留資格変更許可を受けることなく,在留期限である同年7月8日を超えて本邦に不法に残留した。(乙1,3)
(2) 本件裁決及び本件退令発付処分に至る経緯
ア 原告は,平成20年11月29日,愛知県西警察署職員により,法違反(旅券等不携帯)容疑で現行犯逮捕された(乙3,5)。
イ 名古屋入国管理局(以下「名古屋入管」という。)主任審査官は,平成20年12月8日,原告に対し,法24条4号ロに該当すると疑うに足りる理由があるとして,収容令書を発付した(乙3,4)。
ウ 名古屋地方検察庁検察官事務取扱副検事は,平成20年12月9日,上記アの容疑について原告を不起訴処分とし,法64条1項に基づき,原告を名古屋入管入国警備官に引き渡した(乙5)。
エ 名古屋入管入国警備官は,平成20年12月9日,上記イの収容令書を執行して原告を名古屋入管に収容し,原告に係る違反調査を実施した上,原告を名古屋入管入国審査官に引き渡した(乙4ないし6)。
オ 名古屋入管入国審査官は,平成20年12月9日及び同月15日,原告に係る違反審査を実施し,平成21年1月7日,原告が法24条4号ロに該当し,かつ,出国命令対象者に該当しない旨認定したところ,原告は,口頭審理の請求をした(乙7ないし9)。
カ 名古屋入管特別審理官は,平成21年1月21日,原告に係る口頭審理を実施し,名古屋入管入国審査官の上記オの認定には誤りがない旨判定し,原告にこれを通知したところ,原告は,同日,法務大臣に対し,異議の申出をした(乙10ないし12)。
キ 法務大臣から権限の委任を受けた名古屋入国管理局長(以下「名古屋入管局長」という。)は,平成21年1月26日,原告の異議の申出に理由がない旨の裁決(本件裁決)を行い,これを受けて名古屋入管主任審査官は,同年2月3日,原告に本件裁決を通知するとともに,退去強制令書を発付し(本件退令発付処分),名古屋入管入国警備官は,同日,名古屋入管でこれを執行し,原告を名古屋入管に収容した(甲1,乙13,15)。
その後,原告は,同年3月12日,入国者収容所西日本入国管理センター(以下「西日本センター」という。)に移送,収容された(乙15)。
(3) 難民認定申請の経緯等
ア 原告は,平成21年1月6日,名古屋入管において,法務大臣に対し,法61条の2第1項により,難民認定申請(以下「本件難民認定申請」という。)をした(乙16)。
イ 名古屋入管局長は,平成21年1月9日,原告に対し,本件難民認定申請に係る仮滞在について許可しない旨の処分をした(乙17)。
ウ 法務大臣は,平成21年1月26日,原告につき難民の認定をしない処分(本件不認定処分)をし,同年2月3日,原告にこれを通知した(甲2,乙3)。
エ 法務大臣から権限の委任を受けた名古屋入管局長は,平成21年2月3日,原告について法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分(本件在特不許可処分)を行い,同日,原告にこれを通知した(乙19)。
オ 原告は,平成21年2月3日,法務大臣に対し,法61条の2の9第1項により,本件不認定処分について異議を申し立てた(甲3)。
(4) 本件訴えの提起等
ア 原告は,平成21年9月14日,本件不認定処分及び本件在特不許可処分の各取消し並びに本件裁決及び本件退令発付処分の各無効確認を求める本件訴えを提起した(顕著な事実)。
イ 法務大臣は,平成22年7月26日,前記(3)オの原告の異議の申立てに理由がなく,異議申立てを棄却する旨の決定を行い,同年8月9日,原告にこれを通知した(乙25)。
ウ 原告は,平成22年9月29日,仮放免許可を受け,西日本センターを出所した(乙26,27)。
2 争点及びこれに関する当事者の主張
(1) 原告の難民該当性
(原告の主張)
ア ウガンダの一般情勢
ウガンダでは,1986年(昭和61年)にヨウェリ・カグタ・ムセベニ(以下「ムセベニ」という。)が大統領に就任して以降,野党政治組織や反政府武装組織に対して政治的弾圧が行われており,政府関係者,軍の特務機関,治安部隊及び諜報機関等によって,政治的討論番組の監視,放送禁止や放送局への営業停止処分等の干渉が行われるとともに,反政府運動に関わる者に対する拉致,違法かつ恣意的な逮捕及び勾留並びに拷問及び虐待が行われており,殺害にまで至ることもある。とりわけ,主要野党であるForum for Democratic Change(以下「FDC」という。)に対しては,そのリーダーであるキッザ・ベシジェ(以下「ベシジェ」という。)を含む党員に対し,国家反逆罪等の容疑で不当に身体拘束し,殺害するなど,厳しい弾圧が行われている。
このように,ウガンダでは,政府機関によって反政府運動家に対する人権侵害が生じており,野党員,とりわけFDC党員として政治的活動を行うことで政府から迫害を受ける具体的危険性が存在する。
イ 原告の個別事情
(ア) 原告は,1994年(平成6年),学生の政治集会に対する軍隊の警備活動に対して抗議活動を行った際,軍隊から銃で右足首を撃たれて負傷した。
(イ) 原告は,政府の地方組織である地方評議会の青年議長として活動していたが,政府の汚職や野党員に対する弾圧状況に嫌気がさし,1999年(平成11年)に青年議長を辞職した。原告は,2000年(平成12年)からFDCの前身の野党であるReform Agenda(以下「RA」という。)に参加し,RAワンデゲヤ支部の青少年動員担当者(青少年モービライザー)として政治的権利を教えるためのセミナーを組織し,ワークショップを開いてRAへの支持を呼びかけるなどの政治活動を行っていた。また,原告は,同年頃からラジオ局が放送する政府高官と野党の政治家が議論する内容の政治番組(以下「本件番組」という。)に参加し,政府批判及び武力による反政府闘争を扇動する発言を繰り返していた。本件番組は,ウガンダ人口の40パーセントないし45パーセントが聴取しており,ウガンダ国内において大きな影響力を持っていたところ,原告は本件番組に偽名を用いて出演していたが,政府は出演者が原告であることを認識していた。原告と同様に偽名で本件番組に出演していたRA又はFDCの党員は,政府関係者により刑務所に収容され,その後行方不明となっている。
原告は,2002年(平成14年),本件番組において現政権を批判する政治的発言を行ったことを理由に,政府の刑事取調部門に4時間拘束され,苛酷な取調べを受けた上,再度本件番組に出れば重い罰を受けるなどと脅された。
原告は,2003年(平成15年)7月,政府機関によって違法逮捕され,一昼夜食事も水も与えられないなどされて非公開の施設に約1か月間勾留され,取調べの際,銃底のようなもので首筋と後頭部を殴打された。
原告は,2004年(平成16年)2月,政府の刑事取調部門によって,本件番組において暴力を扇動したとの容疑で逮捕され,裁判所から14日間の勾留を命じられたものの,そのまま裁判が行われることなく,病気治療の必要等のため釈放されるまで4か月間勾留された。
(ウ) 原告は,2005年(平成17年)頃,FDCの青少年事務官に選任され,FDC党員の勧誘を行っていた。また,原告は,同年8月3日,2006年(平成18年)の大統領選挙におけるFDCの投票監督者に任命され,同選挙におけるFDCへの投票を呼びかける活動を行っており,その結果,原告の担当地域においてはFDCが政府よりも高い得票率を得た。
原告は,2005年(平成17年)初旬,軍により反政府武装組織である人民救済軍(PRA)の一員であるとして不法に逮捕され,軍の施設において行われた取調べの際,殴る蹴る,右内腿に釘を刺される等の暴行を受け,十分な食事,睡眠等を与えられないという拷問を受けた。原告は,軍の施設に1週間勾留された後,中央警察署に移送され,逮捕から4週間後に国家反逆行為の隠匿罪(最高刑は死刑)で起訴され,6か月近く刑務所に収容された。
原告は,同年8月3日,同日付けの保釈保証書(以下「本件保釈保証書」という。)に署名し保釈されたが,国家反逆行為の隠匿罪に係る審理は現在も継続中である。
原告は,保釈後,2か月に1度程度の間隔で2,3回裁判所に出頭した。
(エ) 原告は,2005年(平成17年)11月15日にベシジェの解放を求めるデモに参加した際,警察から徹底的に棒で殴られる等の暴行を受けて怪我を負ったほか,扇動の罪で逮捕され,3日間拘束された。この際,多数のFDC党員及び支持者が警察から暴行を受け,銃撃される等の弾圧を受けた。
(オ) 2006年(平成18年)2月の大統領選挙でムセベニが再選した後,原告は,同選挙において自身の担当地区でFDCが高い得票率を記録したという成果を上げたことから,政府機関から殺害する,再度国家反逆罪で起訴して刑務所に勾留する等の脅迫を執拗に受け,行動を監視されるなどし,現実に原告の親しいFDC党員が違法に逮捕勾留されるなどしたため,同年4月,ウガンダから日本へ逃亡した。
ウ 難民該当性
上記イのとおり,原告は,FDC党員としての党員勧誘活動や選挙の際の投票監督者としての活動,本件番組での発言を理由に,ウガンダ政府から度重なる拷問や不当な逮捕及び勾留を受けており,また,FDCが議会において議席を獲得した2006年(平成18年)以降もウガンダ政府がFDC党員に対して様々な危害を加えていることからすれば,原告がウガンダに帰国した場合,FDCという社会的集団の構成員であること及び現政権に反対する政治的意見を有していること理由としてウガンダ政府から迫害を受けるおそれがあるものというべきである。また,原告に対する国家反逆行為の隠匿罪の審理は継続中であり,原告が帰国した場合,審理が再開され死刑に処せられる可能性が高いといえることからすれば,原告は,そのようなおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有しており,これを理由として国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないものであることは明らかである。
よって,原告は難民に該当するから,本件不認定処分は違法である。
エ 被告主張に対する反論
(ア) 被告は,2006年(平成18年)の選挙の結果FDCが主要野党になっていることを根拠に,迫害の具体的,客観的危険性があるとは認められないと主張するが,同選挙後においてもFDC党員の失踪事件や他野党の党員の身体拘束等が発生していることからすれば,FDCが議会に議席を有していても,なおFDC党員であることを理由に迫害を受ける具体的な危険性がある。
(イ) 被告は,原告がウガンダ政府から自己名義の旅券の発給を受け,当該旅券を用いて出入国をしていることから国籍国による行政措置を享受していると主張するが,原告の出生証明書等の書類から明らかなとおり原告の実名は「Roe」であり,生年月日は「1974年○月○日」であるところ,原告が出入国の際に用いた旅券は氏名(「Doe」)や生年月日(「1975年○月○日」)等につき事実とは異なる記載がされた偽造旅券であるから,国籍国による適法な行政措置を享受しているものではない。なお,FDCの党員証には「Doe」と記載されているが,これは作成者の誤記であるところ,原告はFDCの党員証は原告の氏名を証明するために用いる書類ではなく,訂正する必要がないと考えたため訂正を求めなかったにすぎない。また,本件保釈保証書には「Doe」と印字されており,原告の署名もこれと同様の綴りとなっているが,原告は保釈の手続が遅れることを懸念して印字の誤記を指摘せず,これに従って署名をしたものにすぎない。
(ウ) 原告は法律的知識を持ち合わせておらず,本邦で平成20年11月に逮捕される直前まで難民制度を知らなかったこと,本邦に入国した時点で迫害問題が解消されたと考えたこと,偽造旅券で入国しており,日本政府に庇護を求めた際にそのことをとがめられる可能性があると考えたことからすれば,入国後に庇護を求める行動を取らなかったことも不合理ではない。
(被告の主張)
ア 難民の意義
法に定める難民とは,難民条約1条又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいい,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの等をいうところ,ここでいう「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味し,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要である。
イ 原告が迫害を受けるおそれがないこと
以下に述べる事情からすれば,原告については,客観的にみて,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような個別,具体的な事情が存するとは認められないから,原告は難民に該当しない。
(ア) ウガンダにおいてFDC党員に対する迫害が認められないこと
ウガンダでは,2006年(平成18年)2月23日には,複数政党制下での大統領選,国会議員選挙が実施されているところ,FDCは同選挙において37議席を獲得している主要政党の一つとして十分な政治活動を行っているのであるから,FDCに所属し,現政権に反対する政治的意見を有することのみをもってウガンダ政府から迫害を受ける具体的,客観的危険性があるとはいえない。
また,刊行物で確認できるウガンダの一般的な政治情勢において,ウガンダ政府がFDC党員を迫害しているという事情はうかがわれない。
(イ) 原告供述の信用性
迫害を受けるおそれを抱く理由となる事実についての原告の供述は,客観的な証拠による裏付けがなく,供述経過に不自然な点もあり,ベシジェの逮捕時期というFDC党員にとっては極めて鮮明に記憶に残ると考えられる重要な事実について客観的事実と齟齬しているなど,信用性が乏しい。
すなわち,原告は,FDC党員としての活動が原因でウガンダ政府から右内腿に釘を刺される暴行を受けたと供述をするが,かかる暴行について退去強制手続及び難民認定手続において全く触れておらず,その他の暴行についても合理的理由なく供述内容を変遷させているから,原告の供述は信用できない。また,原告が国家反逆行為の隠匿罪で訴追されているとの点については,原告自身が訴追の対象となっている事実を把握していないこと,裏付けとされる本件保釈保証書はその体裁からすれば裁判所により発行された書面であるかが疑わしいこと,国家反逆行為の隠匿罪で起訴され保釈中の者が扇動の罪で逮捕されたにもかかわらず3日間で釈放されるとは考え難いことからすれば,この点に関する原告の供述も信用できない。
これらの事情に照らすと,そもそも原告がFDCに所属して反政府運動を行っていたこと自体が疑わしい。
(ウ) 原告の個別事情について
仮に原告がFDCの党員としてその主張するとおりの活動を行っていたとしても,原告がFDCの活動方針や意見形成等に主導的な役割を果たしているとは認められず,党員の一人として従属的に活動していたにすぎない原告がウガンダ政府から個別具体的に危険視され迫害の対象とされるとは考え難い。
また,原告が有していたという「政治的意見」の具体的内容は不明であって,かかる抽象的な意見を根拠に迫害のおそれを認めることはできない。
ウ 国籍国の保護を受けることができる者であること
(ア) 難民の本質は,国籍国の保護を受けられない者に対して,国籍国に代わって締約国が条約に定められた限度で保護を与えることにあるから,国籍国が現に保護している者は難民たり得ない。そして,難民条約1条A(2)にいう「国籍国の保護」とは,旅券の発給や更新等の外交的又は領事的な保護や本国への入国等一般に国籍国が通常自国民に与える保護や援助,各種行政措置を与えることを意味し,難民の要件である「国籍国の保護を受けることができない」場合とは,当事者の意思と関係なく国籍国から上記のような保護を受けられない場合をいう。
原告は,2003年(平成15年)4月30日に自己名義の旅券の発給を受け,同旅券を使用してウガンダを出国し,ケニア共和国(以下「ケニア」という。)及びルワンダ共和国(以下「ルワンダ」という。)へ渡航した後,ウガンダに帰国し,再び同旅券を使用してウガンダを出国し,本邦に入国しているのであるから,ウガンダ政府による行政措置を享受しており,国籍国の保護を受けることができる者に当たる。
(イ) 原告は,原告の実名は「Roe」であることを前提に,偽造旅券を使用して出入国をしたものであると主張するが,実名が「Roe」であるとの主張がされたのは原告が国籍国の保護を受けることができることを理由の一つとする本件不認定処分を受けた後であること,実名が「Roe」であることの裏付け資料として原告が提出する書証はいずれも信憑性に疑義があること,FDC党員証及び本件保釈保証書には「Doe」と記載されていることからすれば,原告の実名が「Roe」であるとは認められず,原告の主張はその前提を欠くものであり失当である。
エ 迫害を受ける恐怖から国籍国の外にいる者ではないこと
原告は,ウガンダを出国して経由した第三国に庇護を求めることなく,本邦入国後も速やかに庇護を求める行動を取らず,逮捕された後の平成21年1月6日に至って初めて難民申請に及んでいるところ,原告が迫害を受ける恐怖を有しており,自ら供述するように本邦に入国する際にウガンダ政府から迫害された資料を持参していたのであれば,早期に難民認定申請の可否を調査するなど庇護を求める行動を取るのが自然であり,90日間の在留期間を認識しながらそのような行動を取ることなく漫然と本邦に不法残留していたこと自体が不合理である。
また,原告の供述を前提としても,原告は本邦入国後に難民認定申請手続について知った後も即座に関係機関に相談するなどの行動を取っていないことになり,この点からも原告が迫害を受ける恐怖から国籍国の外にいる者ではないことは明らかである。
オ 以上のとおり,原告は難民に該当しないから,本件不認定処分は適法である。
(2) 本件在特不許可処分の違法性
(原告の主張)
ア 前記(1)の原告の主張のとおり,原告は難民に該当するから,本件在特不許可処分は違法である。
イ 仮に原告が難民に該当しないとしても,本件在特不許可処分は,原告をウガンダに送還することによって非人道的な扱いを受けるおそれがあることを看過している点,原告が日常会話程度であれば日本語を話せることなどの積極事情が十分に考慮されていない等の点において,裁量権の逸脱又は濫用の違法がある。
(被告の主張)
ア 法61条の2の2第2項に定める在留特別許可は,在留資格未取得外国人が法24条各号の退去強制事由に該当する者であることを前提にした上で,法務大臣が当該在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否かを判断するものであるところ,法61条の2の2第2項における「在留を特別に許可すべき事情」とは,当該在留資格未取得外国人の滞在中の一切の行状等の個別的事情のみならず,難民認定の申請が6か月以内に行われなかった事情等,同条1項各号に定める除外事由に該当した事情,経由した第三国における滞在期間,在留中の生活状況,庇護申請の有無等に加え,国内の治安や善良な風俗の維持等の諸般の事情を総合的に考慮した上で判断されるべきものであること,同条2項は,在留特別許可の要件を何ら具体的に定めていないことからすれば,同項に定める在留特別許可をするか否かについては,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長(以下「法務大臣等」という。)に極めて広範な裁量が認められているものと解され,法務大臣等の上記判断がその裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となり得るのは,かかる在留特別許可の制度を設けた法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られるというべきである。
イ 原告は,在留期限を超えて本邦に不法に残留しており,在留資格未取得外国人に該当するところ,前記(1)についての被告の主張のとおり原告は難民であるとは認められず,今回来日するまでは我が国社会と特段の関係を有しなかった者であり,稼働能力を有する成人であることに鑑みれば,原告に在留を特別に許可すべき積極的な理由は見当たらないから,本件在特不許可処分に裁量権の逸脱又は濫用はなく適法である。
(3) 本件裁決が無効であるか否か
(原告の主張)
法49条1項の異議理由には,退去強制が著しく不当な場合が含まれると解すべきところ,難民に該当する原告をその本国であるウガンダに送還することは難民条約33条1項及び法53条3項に反し,かつ,原告が生命・身体の危険にさらされるという人道上看過できない事態を生じさせるのであるから,原告を本国に退去強制させることは著しく不当である。
よって,原告の法49条1項の異議の申出に理由がないとした本件裁決には重大かつ明白な違法があるというべきであって,本件裁決は無効である。
(被告の主張)
難民認定の申請をした在留資格未取得外国人について,法61条の2の2第2項に基づき,在留を特別に許可すべき事情の存否の審査がされる場合において,法務大臣等が退去強制手続の中で異議申出に対する裁決を行う際には,在留特別許可を付与する権限を定めた法50条1項の適用はなく,法務大臣等は,専ら,当該外国人が退去強制事由に該当するかどうかに係る特別審理官の判定に対する異議申出に理由があるか否かのみを判断することとされている(法61条の2の6第4項)。
そして,原告は難民認定申請を行った在留資格未取得外国人で仮滞在許可を受けていない者に該当するから,本件裁決においては原告が退去強制事由に該当するか否かについてのみが判断の対象となるところ,原告は,在留期限である平成18年7月8日を超えて本邦に不法に残留するものであるから,法24条4号ロ所定の退去強制事由に該当し,法律上,原則として本邦から退去強制されるべき者であることは明らかである。よって,本件裁決は適法である。
(4) 本件退令発付処分が無効であるか否か
(原告の主張)
本件退令発付処分は,原告が難民であるにもかかわらず,送還先を原告の本国であるウガンダと定めることを内容としている点において,難民条約33条1項及び法53条3項に反するものであるから,重大かつ明白な違法性を有し,無効である。
(被告の主張)
原告は難民に該当せず,国籍国の保護を受けることができる者であることは前記(1)についての被告の主張のとおりであるから,原告が難民であることを前提とする原告の主張は失当である。
そして,退去強制手続において法務大臣等から異議の申出は理由がないとの裁決をした旨の通知を受けた主任審査官に退去強制令書の発付につき裁量の余地は全くないから,当該裁決が適法であれば退去強制令書発付処分も当然に適法となるところ,本件裁決が適法であることは前記(3)についての被告の主張のとおりであるから,本件退令発付処分は適法である。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
前記前提事実に加え,証拠(各項掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1) ウガンダの一般情勢等について
ア 独立後の政治情勢の概要
ウガンダは1962年(昭和37年)イギリスから独立し,翌年には共和制に移行したが,1966年(昭和41年)にはオボテ首相によるクーデターが,1971年(昭和46年)にはアミン少将によるクーデターが,1985年(昭和60年)にはオケロ将軍によるクーデターが起きるなど内政,経済は混乱した。ムセベニ中将が1986年(昭和61年)にクーデターを起こし,大統領に就任し,ムセベニ政権がほぼ全土を平定し,1987年(昭和62年)以降,世界銀行やIMFなどの支援の下で経済再建に取り組んでいる。(乙21)
ウガンダは,ムセベニが大統領に就任した1986年(昭和61年)以降,「国民抵抗運動(NRM)」と称する無党制の政治システムを採択し,1995年(平成7年)憲法は選挙の際に政党が候補者を後援することを禁止した。1996年(平成8年)5月及び2001年(平成13年)3月に実施された各大統領選挙でムセベニが当選し,「国民抵抗運動(NRM)」単独による政権が継続した。(乙21,23)
一方,2003年(平成15年)頃より複数政党制導入への気運が高まり,2005年(平成17年)7月に行われた国民投票により複数政党制の復活が決定された。また,同年8月には議会で憲法が修正され,大統領三選禁止規定が撤廃された。これらを受け,2006年(平成18年)2月23日に複数政党制下で大統領・国会議員選挙が実施され,ムセベニ大統領が三選を果たした。(乙21)
イ ベシジェに対する迫害等と大統領選挙期間中の事象
2001年(平成13年)の大統領選挙ではムセベニ大統領が当選したが,対立候補者であったベシジェは,同選挙後にウガンダを去り,南アフリカ共和国で亡命生活を送っていた。なお,英国内務省作成の出身国情報主要文書(2007年発行版)では,2001年(平13年)の選挙では,暴力と脅しによって妨害された場所があった旨が指摘されている。(甲19,乙23)
ベシジェは,2006年(平成18年)の大統領選挙の準備のため,2005年(平成17年)10月にウガンダに帰国したところ,その3週間後に国家反逆罪と強姦罪で逮捕され,このことがきっかけで首都カンパラをはじめ各地で暴力的な抗議活動が発生し,ベシジェは,2006年(平成18年)1月2日に保釈された後,選挙活動を行った(乙23)。なお,ベシジェの強姦罪容疑は晴らされたが,国家反逆罪についてはその後起訴されたものの,現在も未解決である(甲4,19)。ウガンダ人民防衛軍(UPDF)の兵士又は警察官は,2006年(平成18年)の大統領選挙期間中の2月,ベシジェを見ようと集まった群衆に発砲し,2名を殺害した(甲4,19)。米国国務省作成の国別報告書2007年版及び2009年版では,2006年(平成18年)の大統領選挙及び議会選挙は,深刻な不正に見舞われたこと,警察の記録では同選挙期間中には450件の暴力事件が発生したとされていること,同選挙後には,100人以上の候補者が賄賂,脅迫,暴行,複数投票,票の水増し等の容疑で起訴されたことが報告されている(甲4,18)。
ウ ウガンダ政府による迫害等に関する報告
(ア) 米国国務省作成の国別報告書2007年版(2008年(平成20年)3月11日付け)では,2005年(平成17年)にベシジェを含むFDC党員は反逆罪で起訴されたが,同報告書発行時点ではその審理が未了であること,2006年(平成18年)2月にはベシジェの弁護士の一人が扇動罪で短期間身体拘束されたこと,同年3月の抗議運動の際に警察がベシジェとその支援者に対し催涙ガスをかけ,死者が発生したとの報道がされたこと等が報告されている(甲4)。
(イ) イギリスの非政府組織Redress Trustによる「ウガンダの拷問:ウガンダの拷問生存者の状況に関する基礎研究」(2007年(平成19年)4月13日付け)では,野党の党員,運動家,政党の支持者及び政策に批判的な者などの政府や政策に反する政党に所属している者や運動を行っている者に対しここ10年にわたって拷問が行われていること,1998年(平成10年)以来,政府機関が認知している野党員を「隠れ家(safe house)」と呼ばれる政府の施設に勾留し,拷問を加えていたこと,FDC支持者等は2001年(平成13年)の大統領選挙の際に暴力による拷問を受け,2006年(平成18年)の大統領選挙の際にも幾つかの拷問の事例が報告されたこと,FDC構成員が反逆罪や反逆行為の隠匿罪で告発され,裁判が開かれることもなく数か月にわたり勾留されたこと等が記載されている(甲7)。
(ウ) 米国国務省作成の人権状況国別報告書2009年版(2010年(平成22年)3月11日付け)では,ウガンダにおける深刻な人権問題として,政治的動機による殺害及び誘拐,容疑者及び抑留者への拷問及び虐待,政治的動機による逮捕及び抑留,監禁及び長期間の審理前勾留,公正な裁判を受ける権利や言論・報道・集会・結社の自由に関する制限,野党への制限並びに不正選挙等が挙げられており,それぞれの項目につき,以下のような記載がある(甲18)。
a 政治的動機による殺害
2009年(平成21年)1月17日に公安機関がFDC党員に対し,銃を所有していたとして拷問を加え死亡させた。
b 政治的動機による拉致
2006年(平成18年)にFDC党員が失踪したところ,人権団体はこの失踪は政府に責任があると主張した。
2009年(平成21年)8月7日には別のFDC党員が拉致された。
c 拷問及びその他の残虐で非人道的な虐待と刑罰
治安部隊による容疑者への拷問や暴力があり,その結果死亡した者もいるとの信憑性の高い報告があった。政府関係機関による非登録の拘置所での拷問と虐待について多数の報告があり,その中にはCMI(Chieftaincy of Military Intelligence)本部に拘束されていた人々が銃底で何度もたたかれた等の拷問を受けたというものがある。なお,FDCの「貿易工業セクレタリー」も,2009年(平成21年)4月に逮捕された後,CMIの「隠れ家」と呼ばれる施設において不法勾留と拷問を受けていた。
d 不当な逮捕や勾留
ウガンダでは,反逆やテロ活動の容疑をかけられた多数の市民が不法に勾留されており,令状なしの身体拘束がしばしば行われている。対テロ法により逮捕された容疑者は,法律上120日(死刑に当たる罪の場合は360日)以内に裁判となるか保釈されなければならないが,この期間が無効になる前に裁判が開始されると,公判前勾留の期限はない。被勾留者は勾留の理由を知らされなければならないが,当局が被勾留者に勾留の理由を知らせていない場合があった。暴動,反逆,暴動の扇動等の容疑者は罪状なしに勾留され,非登録及び非公式の施設での勾留,拷問を含む虐待などを受けたとされている。
e 公正かつ公開された裁判の不在
下級裁判所は,人員不足であり,ウガンダ司法省によれば,ウガンダの全裁判所で扱う事件のうち76パーセント以上が人員問題により処理されていないと報告がされている。
f 言論及び報道の自由
政府職員は,政府を批判する公式声明を行った政治的指導者を拘束して尋問し,大統領府は政治討論番組での議論を監視し,野党構成員のラジオ番組への参加を阻止しようとしたこともあった。年間を通じて4つのラジオ局が閉鎖若しくは営業停止の処分を受けており,政府を批判する野党の政治家候補を出演させたテレビ局及びラジオ局に対する取締りがされた。
g 選挙及び政治参加
警察は年間を通して野党構成員を不当に逮捕した。FDC党員についても,罪状なしの逮捕,不法集会の開催及び参加の容疑による逮捕並びに保釈後の再逮捕等がされた。
(エ) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のホームページに掲載された報告書(2010年(平成22年)6月2日付け)では,2009年(平成21年)において,FDC党員に対する拷問が行われたことが報告されている。また,デモやラジオ番組においてFDCの推進運動を行っていた活動家が殺害されたこと,FDC党員が勾留され,不法集会の開催及び参加の容疑で逮捕されたこと等の報道があることの報告もされている。(甲19)
(オ) 英国内務省作成の出身国情報主要文書(2007年(平成19年)10月16日付け)では,ウガンダでは不法な拘留,拷問や政治的動機による嫌がらせの申立てなど,警備機関による貧弱な警察活動や疑わしい活動を含めて法治の問題が残っていると指摘されており,アムネスティ・インターナショナルの2007年度年次報告書において司法の独立,表現の自由に対する攻撃,拷問の実行,死刑の実行等の懸念が表明されている旨記載されている(乙23)。
(2) 原告に係る個別事情について(甲5,6,9,10,乙1,5,7,8,10,16,18,原告本人。なお,原告本人の供述の信用性等については,後記2(2)イ以降で説示するとおりである。)
ア 原告は,1975年(昭和50年)○月○日,ウガンダのムラゴ(カンパラ)において出生し,1996年(平成8年)にウガンダ国内の短期大学を卒業したが,就職先が見つからなかったため,当時居住していた村や地域の治安を維持するボランティア活動に従事した。原告は,同年末頃,当時居住していた村において政府の地方組織である地方評議会の青年議長となったが,政府の野党に対する弾圧,政治腐敗等に嫌気がさし,1999年(平成11年)に青年議長の職を辞した。
イ 原告は,2000年(平成12年),ベシジェを党首とする政党であったRA(後に他の政党と合流してFDCとなる。以下,RAとFDCを区別せずにFDCという。)に加入し,それ以降,ウガンダを出国するまでの間,青少年動員担当者として,市民に対して政治的権利を教えるためのセミナーを開催し,FDCへの支持を呼びかけ,FDC党員及び支持者を勧誘するとともに,ラジオの討論番組に出演して政府批判を行い,政府に対し武力による闘争を行うことを呼びかける等の政治活動を行った。
ウ 原告は,2002年(平成14年)頃,ラジオの討論番組での反政府的な発言が暴力を扇動する可能性があるとの容疑で,政府機関から取調べを受けた。
エ 原告は,2003年(平成15年)半ば頃,帰宅途中に政府の非公開施設に連行され,取調べを受けた。この取調べの際,原告は銃底で後頭部を殴打される等の暴行を受け,約1か月間身体を拘束された。政府機関は,原告が拘束されている間,原告宅の捜索を実施し,FDC関係の資料等を押収した。
オ 原告は,2003年(平成15年)12月,政府による迫害から逃れるため,「John Doe」名義の旅券(甲6,乙1)を使用してウガンダを出国し,ケニアに入国した後,タンザニア連合共和国(以下「タンザニア」という。)に入国したが,タンザニアにおいてもウガンダ政府の諜報員と思われる者から脅迫されるなどしたため,同月末頃にウガンダへ帰国した。
カ 原告は,2004年(平成16年)2月,暴力を扇動した容疑で逮捕され,約4か月間刑務所に収容されたが,証拠不十分として釈放された。
キ 原告は,2004年(平成16年)11月頃,「John Doe」名義の旅券(甲6,乙1)を使用してウガンダを出国し,ルワンダへ入国したが,原告の宿泊先に何者かが原告を来訪するなどしたため,身の危険を感じ,すぐにウガンダに帰国した。
ク 原告は,2005年(平成17年)初め頃,自宅において軍関係者から突然捜索を受け,軍の施設に連行され,その後,中央警察に移送されたが,軍の施設及び中央警察での取調べにおいて暴行を受けた。原告は,国家反逆行為の隠匿罪で起訴され,同年8月に保釈されるまで約6か月間身体を拘束された。
原告は,保釈された後,同月17日から2006年(平成18年)2月までの間,約2か月に1度の頻度で裁判所に出頭した。
ケ 原告は,2005年(平成17年)11月15日頃に行われたベシジェ逮捕に対する抗議デモに参加した際,扇動罪の容疑で逮捕され,3日間身体を拘束された。
コ 原告は,2006年(平成18年)4月7日,「John Doe」名義の旅券(甲6,乙1)を使用してウガンダを出国し,ドバイ,バンコク及び香港の各空港を経由して,同月9日に成田国際空港に到着し,本邦に入国した。
サ 原告は,本邦入国後,愛知県に移動し,米国籍のウガンダ人から譲り受けた衣料品を販売する等して生計を維持していた。
原告は,平成20年11月28日,交通事故に遭い,そのことがきっかけとなって,同月29日に法違反(旅券不携帯)の容疑で現行犯逮捕された。
2 争点(1)(原告の難民該当性)について
(1) 難民の意義等について
法61条の2第1項は,法務大臣は,本邦にある外国人から法務省令で定める手続により申請があったときは,その提出した資料に基づき,その者が難民である旨の認定を行うことができる旨定め,法2条3号の2は同法における難民を,難民条約1条の規定又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうものと定義している。そして,難民条約及び難民議定書の上記各規定によれば,難民とは,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの等をいう。
また,ここにいう「迫害」とは通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味し,また,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解される。
(2) 原告の難民該当性について
ア 原告は,FDCという社会的集団の構成員であること及び現政権に反対する政治的意見を有していることを理由としてウガンダ政府から迫害を受けるおそれがある旨主張するから,この点について以下検討する。
前記認定事実によれば,ウガンダではムセベニが政権を掌握して以降2005年(平成17年)に国民投票が行われるまで複数政党制が廃止されており,2001年(平成13年)及び2006年(平成18年)の各大統領選挙の際にもベシジェを始めとするFDC党員及びその支持者に対して政府機関による弾圧が加えられていた上,同年の議会選挙においてFDCが37議席を獲得した後の2009年(平成21年)1月においても同様の弾圧が加えられているとの報道が存在するところ(前記認定事実(1)),原告は2000年(平成12年)以降,2006年(平成18年)4月にウガンダを出国するまでの間,ウガンダにおいて野党であるFDCの党員として市民を対象としたセミナーを開催し,FDCへの支持を募って新たな党員及び支持者を勧誘する等の活動に従事するとともに,ラジオの討論番組に参加し,政府を批判する発言をする等の政治活動を行っており(前記認定事実(2)イ。なお,原告は,2005年(平成17年)にFDCにおいて投票監督者に任命された旨主張するが,その根拠とする投票監督者への任命書(甲8)には原告の氏名は記載されておらず,同書をもって原告が投票監督者に任命されたとの事実を認めることはできない。),原告がFDC党員として行ったこれらの政治活動が原因となって,政府機関から取調べを受けるにとどまらず,4回にわたり身体拘束を受け,その間暴行を受けるなどしており,そのうち2005年(平成17年)の身体拘束は国家反逆行為の隠匿罪で起訴され,保釈されるまで約6か月間身体拘束が続いたことが認められる(前記認定事実(2)ウ,エ,カ,ク,ケ)。これらの事実によれば,原告は,ウガンダにおいて政府から弾圧されているFDCの党員として政府に対する批判的な政治活動を行い,当該政治活動を理由に身体を拘束され,暴行を受けるなどして身体の自由の侵害又は抑圧を受けてきたものと認められるところ,前記認定事実(1)のとおり政府機関によるFDC党員等反政府活動をする者に対する不当な逮捕勾留や拷問,虐待等の弾圧が行われていたとの各種の報告がされていることに加え,原告がウガンダにおいて国家反逆行為の隠匿罪で起訴されており,保釈中ではあるもののその審理が終了したことをうかがわせる事情は存在しない(前記認定事実(1)のとおり,国家反逆罪等の犯罪で起訴され保釈中である多数の者について審理が未了であるとの報告がされていることに照らせば,原告の国家反逆行為の隠匿罪についての審理も依然として継続中である可能性が高いといえる。)ことからすれば,本件不認定処分当時,通常人が原告の立場に置かれた場合にも,FDC党員であること及びその政治的意見を理由に迫害されるとの恐怖を抱くような客観的事情が存在したというべきである。
よって,原告は,本件不認定処分当時,FDC党員であること及びその政治的意見を理由にウガンダ政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないものであったと認めるのが相当であり,原告は難民に該当すると認められる。
イ(ア) 被告は,ウガンダ国内での迫害に関する原告の供述について,FDC党首であるベシジェの帰国,逮捕時期等の重要部分において客観的事実と齟齬していること,政府から受けた暴行についての供述が合理的理由なく変遷していること,ウガンダから出国しながら帰国しているなど迫害を受ける恐怖を有していた者の行動としては不合理な部分が多いこと等を指摘し,信用できない旨主張するとともに,原告のウガンダにおける政治活動についての供述内容は抽象的なものにとどまり,原告の供述を前提としても政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるとはいえない旨主張する。
(イ) そこで検討するに,原告はウガンダにおいてFDC党員として政治活動を行い,そのことが原因で政府から迫害を受けた旨主張し,これに沿う供述をするところ,かかる原告の主張及び供述は,原告名義のFDC党員証(甲5。なお,その発行日は2006年(平成18年)1月18日であるが,原告は,当該党員証は再発行されたものであり,原告はこれ以前からFDC党員であった旨主張するところ,当該主張を否定すべき的確な証拠は見当たらない。)及び原告に対する国家反逆行為の隠匿罪に係る本件保釈保証書(甲9。なお,本件保釈保証書には,裁判官及び保釈保証人が署名をした日として2005年12月3日と印字されているところ,これが原告の出頭予定日(同年8月17日)よりも後の日付となっていることが認められるが,その上段の原告自身及び裁判官の署名部分の日付は同年8月3日となっていることや,本件保釈保証書には裁判所ないし裁判官の捺印や裁判官の署名もされているものと認められ,その体裁自体は特に不自然な点も存しないことに照らせば,2005年12月3日という署名日は単なる誤記と見得るものであって,この点をもって本件保釈保証書が原告,保釈保証人及び裁判官により真正に作成されたことを否定することはできない。)等の客観的な裏付けがあること,FDC党員及び支持者に対して政府による不当逮捕等が行われていたとする点,非公開の政府組織に連行されたとする点やラジオ番組,その放送局及び出演者に対して政府が弾圧を加えていたという点等においてウガンダの一般情勢に関する報告書と一致すること(前記認定事実(1)(2)),セミナーを開催し,ラジオ番組において政府を批判する発言を繰り返すなどの政治活動を行っていたこと,5回にわたり取調べや身体拘束を受け,その際に暴行を受けることもあったこと,2005年(平成17年)に国家反逆行為の隠匿罪で起訴されていること等の枢要部分において一貫した供述をしていること(甲10,乙8,16,18,原告本人),原告が身体拘束等を受けるに至った理由及びその状況に関する供述にことさら不合理な点は認められないことからすれば,これらの点に関する原告の供述は基本的に信用できるものといえる。
(ウ) 確かに,各出来事の時期や受けた暴行の内容等の点については被告指摘のように一部食い違いが見受けられるものの,その程度は決定的なものではないし,原告が本件難民認定申請をした時点において,ウガンダを出国してからすでに3年近く経過していることをも勘案すると,上記被告主張の諸点を過大視すべきではない(もっとも,原告が主張する迫害のうち1994年(平成6年)に学生デモに参加した際に足を銃撃された点,及び2005年(平成17年)初めに身体を拘束されたときに右内腿部に長い釘を刺された点については,原告本人が本件難民認定申請時に作成した詳細な別紙にも記載されておらず(乙16),認定できないことは被告指摘のとおりである。)。
また,原告は,本邦で逮捕されてから本件難民認定申請をし,さらに本件不認定処分を受けるまでの間,自己の姓が「Doe」であり,その生年も1975年であることについて何ら異議を述べず,むしろ,自ら「Doe」と署名し,あるいは生年を1975年と記載していた(乙5,7ないし12,16ないし19)のに対し,本件不認定処分及び本件退令発付処分がされた後,これらの取消等を求める本訴提起の段階になって初めて,自己の真実の姓は「Roe」であり,その生年は1974年である,本邦入国の際に使用した旅券は身分事項について虚偽の内容を申告して取得した偽造旅券であるなどと主張し始めたものであるところ,この点については後記ウのとおり「Roe」が実名である等と認めることはできず,原告の上記主張やこれに沿う供述(甲10,原告本人)は信用できない。そして,かかる原告の態度は問題があるというほかないが,これは,本件難民認定申請に対し,原告を難民とは認めない本件不認定処分がされ,また,本件在特不許可処分や本件裁決,本件退令発付処分がされて,原告が国籍国であるウガンダに送還されそうになったため,これを阻止しようとして行った行動とも推測されるところ,前記(イ)で検討したとおり,原告がウガンダにおいて受けた迫害状況は客観的裏付けも存し,基本的に信用できるものと解される以上,上記のような原告の態度は難民特有の心理状態によるものと理解できなくもなく,この点をもって直ちに原告供述の全体について信用できないと評価するのは相当ではない。
(エ) また,ベシジェの帰国時期及び逮捕の時期については,FDC党員である原告にとっては重要な事実であり,この点において原告が客観的事実と食い違う供述をしていることはその信用性を減殺させる事情ともいい得るが,前述のとおりこれら原告の供述がされたのは原告がウガンダを出国し,本邦に入国した後3年近く経過してからであることに加え,原告が供述する2005年(平成17年)にベシジェが帰国し,その後逮捕されたことや,ベシジェ逮捕に対する抗議活動が起きたという事実経過自体は客観的事実に合致するものであること(前記認定事実(1)(2))からすれば,ベシジェ逮捕の月日及び逮捕の際の状況に関する原告の供述が客観的事実と整合しない点をもってウガンダ政府から迫害を受けたとの原告の供述が信用できないとまではいえない。さらに,原告は,国家反逆行為の隠匿罪について保釈された後にベシジェの逮捕に対する抗議活動に参加し,その際に扇動罪で逮捕されたが3日間で釈放された,本邦への入国前に2度ウガンダから出国したが,危険を感じたため帰国した旨供述するところ,ウガンダにおいては2006年(平成18年)の大統領選挙前に国家反逆罪で起訴されたベシジェを始めとするFDC構成員について保釈がされたとの報告がされていること(前記認定事実(1))からすれば,国家反逆行為の隠匿罪で保釈中の原告が扇動罪で逮捕された場合に数日で釈放されることも考えられなくはなく,また,原告が出国したタンザニア及びルワンダはウガンダの隣国であり,ウガンダ政府の諜報員が反政府的な立場の者を監視していた,あるいは原告が諜報員に監視されていると感じたとしてもそのことがおよそ不自然であるとまでいうことはできない。
(オ) よって,被告の指摘する諸点をもって,原告の供述がすべて信用できないとみるのは相当ではなく,ウガンダにおける政治活動及び迫害に関する原告の供述の核心部分については基本的に信用に値するというべきであり,かかる原告の供述等を踏まえて認定した事実(前記認定事実(2))を前提とすれば,原告がFDC党員であること及びその政治的意見を理由にウガンダ政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有していることは上記アにおいて説示したとおりであるから,この点に関する被告の主張は採用することができない。
ウ また,被告は,原告が自己名義の旅券の発給を受け,2003年(平成15年)以降複数回にわたって正規の出入国手続を受けていることから,原告が国籍国の保護を受けることができる者である旨主張する。
しかしながら,原告は2006年(平成18年)4月にウガンダから出国できた理由として,当時は選挙で与党が勝利した後であり,空港の警戒はそれほど厳しくなかったこと,原告が指名手配されていなかったこと,空港に遅れていって係員に賄賂を渡すことによって旅券に対する注意をそらし,その結果出国することができたことなどを供述している(甲10,乙16,18,原告本人)ところ,これらの供述内容が不合理であるとまではいえず,これを覆すに足りる的確な証拠も見当たらないことからすれば,原告が自己名義の旅券を使用して出入国手続を受けていることから直ちに国籍国からの保護を受けることができる者であるということはできない。また,原告がこれまで数度にわたってウガンダ政府の機関によって身体を拘束され,暴行を受けるなどしたことは前記認定事実(2)のとおりであり,前記認定事実(1)のとおり,原告の出国時から本件不認定処分までの間も,ウガンダ政府によるFDC構成員を含む野党への弾圧が認められることからすれば,原告は国籍国の保護を受けることができないもの又は国籍国の保護を受けることを望まないものに該当するというべきである。
なお,原告は,原告の実名は「Roe」であり,原告が2003年(平成15年)以降の出入国の際に用いた旅券(甲6,乙1)は偽造されたものである旨主張し,これに沿う供述をする(甲10,原告本人)。しかしながら,前記イ(ウ)のとおり,原告は,本邦で逮捕されてから本件難民認定申請をし,さらに本件不認定処分を受けるまでの間,自己の姓が「Doe」であり,その生年も1975年であることについて何ら異議を述べず,むしろ,自ら「Doe」と署名し,あるいは生年を1975年と記載していたことに加え,原告のFDC党員証及び本件保釈保証書にも原告の姓は「Doe」と記載されているのに対し,原告の実名が「Roe」であることの裏付けとして原告が提出する書証(甲11ないし13,17)の作成経緯にはいずれも疑問があり(とりわけ,甲11の出生登録証明書については,その記載によれば,本件不認定処分後の2009年(平成21年)3月17日に出生登録がされたものであって,しかもその当時死亡していた原告の母が出生登録の申告を行ったことになっており,その作成経緯は極めて不自然である。この点,原告は,当初は「申請者」と訳していた(甲11の2)のを,被告から不自然であるとの指摘を受けて,「情報提供者」と訳の訂正をしている(甲11の3)が,出生登録証明書における「Declarant」が,その申請者ではなく,出生情報の取得元を指すものとは解されない。),これらの記載内容を直ちに信用することはできないこと,政府の監視を避けて出国するために旅券を偽造したというのであれば実名とさほど変わらない氏名の旅券とする合理的理由がないことからすれば,実名が「Roe」であり,生年が1974年であるとする原告の供述を信用することはできず,原告の実名が「Roe」であり,生年が1974年であると認めることはできない。もっとも,そうであるとしても,原告が国籍国の保護を受けることができないか又は国籍国による保護を望まないものに該当するとの結論に影響しないことは上記説示のとおりである。
エ 被告は,原告が本邦入国後,直ちに庇護を求める行動を取らず,本邦において稼働しており,退去強制手続開始後である入国後2年8か月以上経過した時点で本件難民認定申請に及んでいることを指摘し,原告が迫害を受ける恐怖から国籍国の外にいる者ではない旨主張する。
しかしながら,原告はウガンダを出国した時点で政府による迫害から逃れることができたと考えた,本邦入国時には難民認定申請手続についての知識がなく,法違反の容疑で逮捕される直前の平成20年11月頃に難民認定申請手続について知ったが,本件難民認定申請を行う前に逮捕されてしまったなどと供述しているところ,前記のとおり原告がウガンダにおいて政府から迫害を受けていたと認められることに加え,原告が退去強制手続の当初から自身が難民であると主張していること(乙5,7),退去強制手続開始から1か月も経たないうちに本件難民認定申請を行っていること(前記前提事実(2)イ,(3)ア)からすれば,これらの原告の供述等があながち不自然であるとまではいうことができず,また,ウガンダ政府からの迫害から逃れるという点以外に原告が本邦に入国する積極的な動機も証拠上特に見当たらないことからすれば,原告が本件難民認定申請を行ったのが本邦に入国してから2年8か月以上が経過した後であり,かつ退去強制手続開始後であることや,その間原告が稼働していたことをもって,原告が迫害を受ける恐怖を有していなかったものということはできない。
オ よって,原告は,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないものであると認めるのが相当であり,原告は難民に該当するから,原告につき難民の認定をしない本件不認定処分は違法であって,取消しを免れない。
3 争点(2)(本件在特不許可処分の違法性)について
原告について法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の本件在特不許可処分が,原告について難民の認定をしない処分(本件不認定処分)を前提としてされたものであることは明らかであるところ,前記2のとおり原告は難民に該当するものであって,本件不認定処分は違法であるから,本件在特不許可処分もその前提を欠く違法な処分であり,取消しを免れない(なお,本件在特不許可処分がされたのは平成21年2月3日であって,同日,原告に通知されている(前記前提事実(3)エ)ところ,本件在特不許可処分の取消しを求める本訴が提起されたのは同年9月14日であるから,本件在特不許可処分の取消しを求める訴えは,出訴期間を経過し(行政事件訴訟法14条1項本文),不適法な訴えとなるのではないかが問題となり得るが,原告は,本件在特不許可処分の通知と同日である同年2月3日に通知された本件不認定処分については,同日異議の申立て(法61条の2の9第1項)を行っているものであり(前記前提事実(3)オ),上記のような本件不認定処分と本件在特不許可処分の関係に照らせば,行政事件訴訟法14条1項ただし書の正当な理由があるものとして,本件在特不許可処分の取消しを求める訴えも適法と解される(被告も,本訴において,本件在特不許可処分の取消しを求める訴えにつき,出訴期間徒過により不適法との主張はしていない。)。)。
4 争点(3)(本件裁決が無効であるか否か)について
法は,法務大臣等が法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決をするに当たって,異議の申出に理由がないと認める場合であっても在留を特別に許可することができるとする(法50条1項)一方で,難民認定申請をした在留資格未取得外国人に係る退去強制手続については,同項を適用しないこととしている(法61条の2の6第4項)。このように,法が難民認定申請をした在留資格未取得外国人に係る退去強制手続について法50条1項の適用を除外したのは,難民認定申請をした在留資格未取得外国人については,法務大臣等は,難民認定申請手続の中で本邦への在留の許否について判断することとし(法61条の2の2),退去強制手続の中で法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決をするに当たっては,異議を申し出た者が退去強制対象者に該当するか否かという点に係る特別審理官の判定に対する異議の申出に理由があるか否かを判断すれば足りることとしたことによるものと解される。
そして,原告は,法61条の2の6第4項に定める難民認定申請をした在留資格未取得外国人であると認められるところ(前記前提事実(1)(3)),原告が難民であることは前記2のとおりであるものの,そのことによって,原告が退去強制対象者に該当するとの入国審査官の認定には誤りがない旨の特別審理官の判定が違法となるものではなく,他に本件裁決に瑕疵があることをうかがわせる証拠もないから,本件裁決は適法にされたものと認められる。
よって,本件裁決に重大かつ明白な違法があるとする原告の主張は理由がない。
5 争点(4)(本件退令発付処分が無効であるか否か)について
(1) 主任審査官は,法務大臣等から異議の申出に理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,速やかに当該外国人に対し,その旨を知らせるとともに,退去強制令書を発付しなければならない(法49条6項)が,難民条約1条の規定又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民については,我が国の利益又は公安を著しく害すると認められる場合を除き,いかなる方法によっても,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見のためにその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放し又は送還してはならない(法53条3項(平成21年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。),難民条約33条1項,拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(以下「拷問等禁止条約」という。)3条1項)。したがって,当該外国人が難民であるにもかかわらず,その者を,これを迫害するおそれのある国に向けて送還することとなる退去強制令書発付処分は違法であるというべきである。
ところで,行政処分の取消しを求める司法上の救済手続においては,法定の出訴期間の遵守が要求され,その所定の期間を経過した後は,原則としてもはや当該処分の瑕疵を理由としてその効力を争うことはできないが,その瑕疵が重大かつ明白で当該処分が無効と評価される場合には,このような出訴期間による制限は課されないものとされている。そして,無効原因として瑕疵の明白性が要求される理由は,重大な瑕疵のある処分によって侵害された国民の権利保護の要請と,これに対するものとしての法的安全及び第三者の信頼保護の要請との調和を図る必要性にあるということができる。そうであるとすると,一般に,退去強制令書発付処分が当該外国人に対してのみ効力を有するもので,当該処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要性に乏しいこと等を考慮すれば,当該処分の瑕疵が法の根幹に係る重大なものであって,出入国管理行政の安定とその円滑な運営の要請を考慮してもなお,出訴期間の経過による不可争的効果の発生を理由として当該外国人に処分による重大な不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には,上記重大な瑕疵が必ずしも明白なものでなくても,当該処分は当然無効と解するのが相当である(最高裁昭和42年(行ツ)第57号同48年4月26日第一小法廷判決・民集27巻3号629頁参照)。
(2) そこで検討するに,本件退令発付処分は,難民である原告についてこれを迫害するおそれがあるウガンダに送還するというものであるところ,我が国が難民条約及び拷問等禁止条約を批准し,難民条約33条1項を前提に法53条3項が規定されていること,法上の難民の意義,性質等に照らせば,難民である外国人を,これを迫害するおそれのある国に向けて送還してはならないことは,法上明らかである。そうすると,本件退令発付処分は,難民である原告を,これを迫害するおそれのある国に向けて送還しようとする点において,法の根幹に係る重大な瑕疵を有する。
よって,本件退令発付処分には,出入国管理行政の安定とその円滑な運営の要請を考慮してもなお,出訴期間の経過による不可争的効果の発生を理由として,難民である原告について迫害を受けるおそれのある国に送還されるという不利益を甘受させることが,著しく不当と認められるような例外的な事情があるというべきである。したがって,前記の重大な瑕疵が明白なものでなくても,本件退令発付処分は当然に無効と解するのが相当である。
6 結論
以上によれば,原告の本訴請求は,本件不認定処分及び本件在特不許可処分の各取消し並びに本件退令発付処分の無効確認を求める限度で理由があるからこれらを認容し,その余は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条ただし書,61条を適用して,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第7民事部
(裁判長裁判官 田中健治 裁判官 尾河吉久 裁判官 長橋正憲)
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政治と選挙の裁判例「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧
(1)昭和26年 3月 7日 大阪高裁 昭25(う)2385号 選挙運動の文書図画等の特例に関する法律違反被告事件
(2)昭和26年 3月 3日 金沢地裁 昭25(行)2号 県議会議長辞職許可決議無効事件
(3)昭和26年 2月26日 仙台高裁 昭25(う)1081号 昭和二二年勅令第一号違反事件
(4)昭和26年 2月19日 新潟地裁 昭25(行)14号 休職処分取消請求事件
(5)昭和26年 2月 2日 最高裁第二小法廷 昭25(れ)1505号 公務執行妨害教唆各被告事件
(6)昭和25年12月28日 岐阜地裁 昭25(モ)12号 仮処分異議申立事件 〔電産特別指令確認事件〕
(7)昭和25年12月20日 最高裁大法廷 昭25(れ)1021号 昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(8)昭和25年12月20日 高松高裁 昭25(う)794号
(9)昭和25年12月19日 東京地裁 昭25(ワ)2251号 解雇無効確認請求事件 〔東京都職員免職事件〕
(10)昭和25年12月16日 東京地裁八王子支部 昭25(モ)165号 仮処分異義申立事件 〔富士工業工場閉鎖事件〕
(11)昭和25年12月14日 大阪地裁 昭25(ヨ)43号 仮処分申請事件 〔新家工業組合除名事件〕
(12)昭和25年12月13日 東京高裁 昭25(行ナ)12号 商標登録願拒絶査定不服抗告審決取消請求事件
(13)昭和25年12月 8日 最高裁第二小法廷 昭25(あ)2863号 公職選挙法違反・昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(14)昭和25年12月 6日 高松高裁 事件番号不詳
(15)昭和25年11月22日 最高裁大法廷 昭25(れ)280号 賭場開張図利被告事件
(16)昭和25年11月10日 岡山地裁 昭24(ワ)107号 組合員除名決議無効確認等請求事件 〔倉敷レーヨン組合除名事件〕
(17)昭和25年10月27日 福岡高裁 事件番号不詳 解職処分無効確認等請求控訴事件 〔熊本電気鉄道事件・控訴審〕
(18)昭和25年10月18日 京都地裁 昭25(行)10号 議会議員除名決議取消請求事件
(19)昭和25年10月 4日 広島高裁 昭25(う)649号 公職選挙法違反・昭和二二年勅令第一号違反被告事件
(20)昭和25年10月 3日 秋田地裁 昭25(行)19号 休職ならびに懲戒免職処分取消請求事件 〔秋田県教員懲戒免職事件〕
(21)平成24年 4月13日 東京地裁 平23(行ウ)73号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(22)平成24年 4月12日 東京地裁 平23(行ウ)48号 難民の認定をしない処分等無効確認請求事件
(23)平成24年 4月10日 東京地裁 平23(行ウ)128号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(24)平成24年 3月27日 和歌山地裁 平19(行ウ)8号 政務調査費返還代位請求事件
(25)平成24年 3月26日 仙台地裁 平19(ワ)1648号・平20(ワ)430号・平20(ワ)1915号・平21(ワ)355号・平21(ワ)896号・平21(ワ)1398号 監視活動停止等請求事件
(26)平成24年 3月23日 東京地裁 平22(行ウ)368号 難民不認定処分取消請求事件
(27)平成24年 3月16日 東京地裁 平21(行ウ)311号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(28)平成24年 2月29日 東京地裁 平21(行ウ)585号 公金支出差止請求事件
(29)平成24年 2月23日 大阪地裁 平21(行ウ)154号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(30)平成24年 2月22日 東京地裁 平22(行ウ)445号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(31)平成24年 2月14日 東京地裁 平22(行ウ)323号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(32)平成24年 2月 3日 青森地裁 平20(行ウ)4号 政務調査費返還代位請求事件
(33)平成24年 1月31日 大阪高裁 平23(行コ)96号 政務調査費違法支出損害賠償命令控訴事件
(34)平成24年 1月31日 福岡高裁 平23(行コ)13号 大分県政務調査費返還等請求事件
(35)平成24年 1月27日 東京地裁 平22(ワ)5552号 地位確認等請求事件 〔学校法人尚美学園事件〕
(36)平成24年 1月18日 横浜地裁 平19(行ウ)105号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(37)平成24年 1月17日 東京地裁 平21(行ウ)600号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(38)平成24年 1月13日 東京地裁 平23(ワ)4292号 損害賠償等請求事件
(39)平成24年 1月12日 東京地裁 平22(行ウ)251号・平22(行ウ)256号・平22(行ウ)257号・平22(行ウ)258号・平22(行ウ)259号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(40)平成23年12月21日 東京地裁 平21(行ウ)636号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(41)平成23年12月 9日 徳島地裁 平19(行ウ)17号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件
(42)平成23年12月 8日 東京地裁 平21(行ウ)341号 観察処分期間更新処分取消請求事件
(43)平成23年12月 6日 東京地裁 平22(行ウ)215号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(44)平成23年11月30日 東京地裁 平22(行ウ)37号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(45)平成23年11月25日 東京地裁 平21(ワ)3923号・平21(ワ)20801号 損害賠償等請求事件、損害賠償請求事件
(46)平成23年10月27日 東京地裁 平20(行ウ)497号・平20(行ウ)530号・平20(行ウ)531号・平20(行ウ)532号・平20(行ウ)533号・平20(行ウ)487号・平20(行ウ)557号・平20(行ウ)690号 難民の認定をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分無効確認請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(47)平成23年10月25日 東京地裁 平21(行ウ)373号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(48)平成23年 9月30日 仙台高裁 平22(行コ)20号 政務調査費返還請求控訴事件
(49)平成23年 9月29日 東京地裁 平22(行ウ)460号 退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(50)平成23年 9月16日 東京高裁 平21(ネ)2622号 各損害賠償請求控訴事件
(51)平成23年 9月 2日 東京地裁 平22(行ウ)36号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成23年 7月25日 東京地裁 平19(行ウ)591号 懲戒処分取消等請求事件
(53)平成23年 7月22日 東京地裁 平22(行ウ)555号・平23(行ウ)61号・平23(行ウ)171号 難民の認定をしない処分取消請求事件、追加的併合申立事件
(54)平成23年 7月19日 東京地裁 平21(行ウ)582号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(55)平成23年 7月12日 東京地裁 平20(行ウ)682号・平21(行ウ)537号・平22(行ウ)48号 退去強制令書発付処分取消等請求事件(第1事件)、在留特別許可をしない処分無効確認請求事件(第2事件)、難民の認定をしない処分取消請求事件(第3事件)
(56)平成23年 7月 8日 東京地裁 平22(行ウ)197号・平22(行ウ)210号・平22(行ウ)211号・平22(行ウ)212号・平22(行ウ)213号 在留特別許可をしない処分取消等請求事件
(57)平成23年 7月 6日 東京地裁 平22(ワ)15626号 除名処分無効確認等請求事件
(58)平成23年 6月29日 東京地裁 平21(ワ)40345号・平22(ワ)36010号 損害賠償等請求事件、不当利得返還請求事件
(59)平成23年 5月26日 神戸地裁 平21(ワ)913号 国家賠償請求事件 〔レッドパージ訴訟〕
(60)平成23年 5月25日 東京地裁 平22(行ウ)156号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(61)平成23年 5月20日 仙台高裁 平22(行コ)8号 政府調査費返還代位請求控訴事件
(62)平成23年 5月18日 東京高裁 平22(行ケ)30号 裁決取消等請求事件
(63)平成23年 5月17日 東京地裁 平21(行ウ)17号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(64)平成23年 5月11日 神戸地裁 平21(行ウ)4号 政務調査費違法支出返還請求事件
(65)平成23年 4月26日 東京地裁 平22(行ウ)162号・平22(行ウ)448号・平22(行ウ)453号 在外日本人国民審査権確認等請求事件(甲事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(乙事件)、在外日本人国民審査権確認等請求事件(丙事件)
(66)平成23年 4月 6日 大阪地裁 平20(ワ)14355号 損害賠償請求事件 〔目的外支出政務調査費損害賠償請求事件〕
(67)平成23年 3月24日 東京地裁 平20(ワ)17676号 損害賠償等請求事件
(68)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)303号 衆議院議員選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(69)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)268号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(70)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)257号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(71)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)256号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(72)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)235号 選挙無効請求事件
(73)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)234号 選挙無効請求事件
(74)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)207号 選挙無効請求事件
(75)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)206号 選挙無効請求事件
(76)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)203号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(77)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)201号 選挙無効請求事件
(78)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)200号 選挙無効請求事件
(79)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)199号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(80)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)189号 選挙無効請求事件
(81)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)188号 選挙無効請求事件
(82)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)130号 選挙無効請求事件
(83)平成23年 3月23日 最高裁大法廷 平22(行ツ)129号 選挙無効請求事件
(84)平成23年 3月17日 名古屋高裁 平22(ネ)496号 損害賠償請求控訴事件
(85)平成23年 3月10日 東京高裁 平21(行コ)181号 懲戒処分取消等請求控訴事件
(86)平成23年 3月 8日 釧路地裁 平20(行ウ)5号 不当利得金返還請求事件
(87)平成23年 3月 8日 釧路地裁 平20(行ウ)1号 損害賠償請求事件
(88)平成23年 3月 4日 東京地裁 平21(行ウ)1号・平21(行ウ)7号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(89)平成23年 2月24日 大分地裁 平19(行ウ)9号 大分県政務調査費返還等請求事件
(90)平成23年 2月18日 東京地裁 平21(行ウ)513号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(91)平成23年 1月31日 東京高裁 平22(行コ)91号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(92)平成23年 1月28日 福岡高裁宮崎支部 平22(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・福岡高裁宮崎支部〕
(93)平成23年 1月26日 広島高裁松江支部 平22(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・広島高裁松江支部〕
(94)平成23年 1月21日 福岡地裁 平21(行ウ)28号 政務調査費返還請求事件
(95)平成23年 1月20日 東京地裁 平20(ワ)13385号 損害賠償等請求事件
(96)平成23年 1月19日 宇都宮地裁 平20(行ウ)13号 政務調査費不当利得返還請求事件
(97)平成23年 1月14日 東京地裁 平21(行ウ)279号 在留特別許可をしない処分取消請求事件
(98)平成22年12月16日 東京高裁 平22(行ケ)24号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・東京高裁〕
(99)平成22年12月16日 広島高裁岡山支部 平22(行ケ)1号 選挙無効請求事件 〔参院選定数訴訟(違憲状態)・広島高裁岡山支部〕
(100)平成22年12月 1日 東京地裁 平21(行ウ)374号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
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■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/
■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/
■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/
■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/
■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/
■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/
■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/
■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/
■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/
■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/
■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/
■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/
■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
地獄のポスター貼りやります! ドブ板選挙ポスタリストが貼る! ポスター掲示交渉実績を大公開!
政治ポスター貼りドットウィン!「ドブ板選挙を戦い抜く覚悟のあなたをぜひ応援したい!」事前街頭PRおよび選挙広報支援コンサルティング実績!
(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
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(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
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(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝!当選!選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)
(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!
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