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政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例(77)平成25年 1月16日 東京地裁 平23(行ウ)52号 難民不認定処分取消請求事件

政治と選挙Q&A「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例(77)平成25年 1月16日 東京地裁 平23(行ウ)52号 難民不認定処分取消請求事件

裁判年月日  平成25年 1月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(行ウ)52号
事件名  難民不認定処分取消請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2013WLJPCA01168011

事案の概要
◇バングラデシュ人民共和国の国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法(「入管法」)61条の2第1項に基づき難民である旨の認定の申請をしたところ、法務大臣から難民である旨の認定をしない処分(本件不認定処分)を受けたことについて、本件不認定処分には、原告が時の政権と対立する政党の支持者であって、時の政権によってねつ造されたいわゆる無実の罪で刑務所に収容されるなどの迫害を受けるおそれがあることなどを看過した違法があるなどと主張して、本件不認定処分の取消しを求めた事案

裁判年月日  平成25年 1月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(行ウ)52号
事件名  難民不認定処分取消請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2013WLJPCA01168011

神奈川県座間市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 藤井靖志
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者兼処分行政庁 法務大臣 A
被告指定代理人 南部崇徳ほか別紙指定代理人目録記載のとおり

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
法務大臣が原告に対して平成21年6月3日付けでした難民である旨の認定をしない処分(以下「本件不認定処分」という。)を取り消す。
第2  事案の概要
本件は,バングラデシュ人民共和国(以下「バングラデシュ」という。)の国籍を有する外国人男性である原告が,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)61条の2第1項に基づき難民である旨の認定の申請をしたところ,法務大臣から難民である旨の認定をしない処分(本件不認定処分)を受けたことについて,本件不認定処分には,原告が時の政権と対立する政党の支持者であって,時の政権によってねつ造されたいわゆる無実の罪で刑務所に収容されるなどの迫害を受けるおそれがあることなどを看過した違法があるなどと主張して,本件不認定処分の取消しを求める事案である。
1  前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。以下「前提事実」という。)
(1)  原告の身分事項,入国及び在留状況等
ア 原告は,1960年(昭和35年)○月○日にバングラデシュにおいて出生した同国の国籍を有する外国人男性である。
イ 原告は,平成12年7月27日に新東京国際空港(当時)に到着し,本邦に上陸した後,同日から同年9月4日まで,同年12月19日から平成13年3月7日まで,同年8月10日から同年10月30日まで,平成14年3月1日から同年4月6日まで,平成15年5月25日から同月28日まで,同年10月28日から同年11月13日まで,平成17年7月13日から同月28日まで,同年9月18日から同年10月15日まで,平成18年7月18日から同年8月16日まで及び同年12月12日から平成19年3月9日までの10回にわたり,いずれも「短期滞在」の在留資格をもって本邦に在留した(乙1)。
ウ 原告は,平成19年5月29日,関西国際空港(以下「関西空港」という。)に到着し,大阪入国管理局関西空港支局入国審査官から,在留資格を「短期滞在」とし,在留期間を「90日」とする上陸許可を受けて,本邦に上陸した(乙2,乙5)。
(2)  難民の認定の手続に関する経緯等
ア 原告は,平成19年7月31日,東京入国管理局(以下「東京入管」という。)横浜支局(以下「横浜支局」という。)において,1回目の難民である旨の認定の申請(以下「本件難民申請」という。)をした(乙6)。
イ 横浜支局難民調査官は,平成21年1月8日,原告から事情を聴取するなどの事実の調査(以下「本件調査」という。)をした(乙7)。
ウ 法務大臣は,平成21年6月3日,原告に対し,本件難民申請について,同日付け通知書の別紙に記載された理由により難民である旨の認定をしない処分(本件不認定処分)をし,同年7月1日,原告に対し,書面をもってその旨を通知した(乙8)。
エ 原告は,平成21年7月1日,法務大臣に対し,本件不認定処分について異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)をした(乙9)。
オ 平成22年4月15日,原告の意見の陳述及び原告に対する審尋(以下「本件審尋等」という。)がされた(乙12)。
カ 法務大臣は,平成22年8月6日,原告に対し,本件異議申立てについて,同日付け決定書の別紙に記載された理由により異議申立てには理由がないとしてこれを棄却する旨の決定をし,同月16日,原告に決定書の謄本を交付することによって同決定の送達をした(乙13)。
キ 原告は,平成22年9月6日,横浜支局において,2回目の難民である旨の認定の申請(以下「2回目難民認定申請」という。)をした(乙1)。
ク 横浜支局難民調査官は,平成22年10月21日,2回目難民認定申請について,原告から事情を聴取するなどの事実の調査をした(乙1)。
(3)  本件訴えの提起
原告は,平成23年1月27日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。
2  争点(本件不認定処分の違法性)に関する当事者の主張の要点
(原告の主張の要点)
(1) 難民の意義
ア 被告は,難民の定義にいう「迫害」について,「通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧」と解している。
これに対し,難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)及び難民の地位に関する議定書(以下「難民議定書」という。)の各締約国の行政解釈や裁判例等においては,生命又は身体の自由以外の法益の侵害も迫害に含まれるという見解が採用されており,日本の難民認定実務においても,十分参照されるべきである。
イ 被告は,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」について,「ある国の政府によって民族浄化が図られていることが明らかである場合はともかく,そうでなければ,当該政府が特に当該人を迫害の対象としていることが明らかになるような個別的で具体的な事情があることを要する」と解している。
しかし,本国政府から個別に把握されているかどうかという事情を難民申請者が明らかにすることが極めて困難であること及び政府による反体制派に対する迫害は必ずしも規則的にされるものではなく,誰が迫害対象となるかについては恣意と偶然の要素が介在することなどに鑑みれば,被告の解釈は狭きに失する。
(2) 立証責任の所在と程度
ア 被告は,難民認定手続における「立証責任」は,難民申請者が負うと主張する。
しかし,難民条約上の定義を満たすと難民となるところ,難民該当性の判断に当たっては,証拠収集の困難性や難民申請者の心的問題等これを困難とする要因が複数存在する。難民条約上の難民がその立証の負担ゆえに難民と認定されないという事態を避けるため,難民認定に必要な事実の確認や評価を行う義務は,難民申請者と認定機関がともに負うべきであり,入管法61条の2の14の規定の趣旨も同様の理解に立つものと解される。例えば,出身国情報,同様の状況に置かれている者の事情,客観的な事件や出来事の有無,内容等については,難民申請者よりも認定機関側の方が,その立場を利用してよく資料を集めることができる立場にあるから,認定機関側による積極的な証拠の収集・分析がなされるべきである。
イ 被告は,原告が自己が難民であることについて,「合理的な疑いをいれない程度の証明」をしなければならないと主張する。
しかし,民事訴訟において,裁判例は常に「合理的な疑いをいれない程度の証明」を要求しておらず,客観的な証拠が不十分な事件では,「証拠の優越」原則を適用している。難民不認定処分を争う訴訟では,客観的な証拠は不十分であることがほとんどであるから,申請者は,自己が難民であることについて,証拠が優越すれば難民と認められる。
また,難民法独自の考え方として,「疑わしきは難民申請者の利益に」という原則が存在する。認定機関が,「真実ではない」という確信の域に達しない限り,難民申請者には「疑わしきは難民申請者の利益に」との原則が適用されるべきであり,信ぴょう性なし,あるいは難民該当性なしと結論づけられるべきではない。
ウ 難民性の証明対象は,「迫害のおそれ」ないしその「おそれがあるという十分に理由のある恐怖」であり,将来の予測に係るものである。また,難民条約が保護しようとしているのは,難民の生命,身体等極めて重要な法益であり,難民認定手続における誤判によって難民とされるべき者が難民と認定されずに本国に送還された場合,その者が被る損害は著しく重大となる。しかも,一旦送還された後に迫害を受けてしまったら,その法益侵害を回復することは全く不可能となり,誤判は取り返しのつかない重大な結果を招いてしまう。
したがって,難民認定手続においては,認定の厳密性を確保することよりも重大な法益を確実に保護することに重点が置かれるべきであり,立証基準を訴訟手続におけるそれよりも緩和されたものとする必要がある。各国裁判例は,一致して,迫害を受ける可能性がごくわずかでない限り,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」はあるとしている。
(3) 原告の難民該当性
ア バングラデシュでは,時の政権による反対勢力に対する恣意的な法執行が頻繁に行われており,人権団体の報告書でも,原告がバングラデシュを逃れた当時の暫定政権による反政府勢力に対する不当な逮捕,勾留,告訴等が報告されている。
また,バングラデシュでは,2004年(平成16年)以降,警察,軍,緊急行動部隊(RABと呼ばれる。)等の治安部隊により,超法規的殺人が数多く行われており,各国や人権団体の報告書(甲11ほか)にも,治安部隊の超法規的殺人等が報告されている。
イ 原告は,バングラデシュ民族主義者党(以下「BNP」という。)のサポーターであり,同党総裁カレダ・ジアの子であるタリク・ラーマン(タリク・ジアとも呼ばれる。)から依頼され,中古自動車の輸入,販売等の事業を営んでいた。ところが,2007年(平成19年)3月8日,タリク・ラーマンが逮捕され,尋問等により原告がBNPのサポーターであることが明らかとなり,BNPと対立する時の政権より,殺人,爆発物法違反及び違法武器所持等並びに放火の3つの無実の罪(以下,総称して「本件刑事事件」という。)を着せられ,警察や軍に追われる身となった。
原告は,3つの無実の罪の嫌疑をかけられ,そのうちの2つについては,裁判に出席しないまま有罪判決を受けている。このような状況からすれば,バングラデシュに帰国した場合,無実の罪で刑務所に収容され,又は身柄拘束時に,緊急行動部隊,警察又は軍により超法規的に殺害されるおそれ,すなわち迫害を受けるおそれがある。
ウ(ア) 被告は,原告がBNPのサポーターであることを認めるに足りる証拠はないと主張する。
しかし,BNP本部党籍資格受理票(甲1)は,その記載から,原告がBNPのサポーターとなるための登録料を支払ったことを証するために作成された書類であることは明らかであり,原告がBNPのサポーターであったことを裏付ける書類といえる。
(イ)a 被告は,英国国境局作成の「出身国に関する報告書 バングラデシュ」(以下「出身国報告書」という。)の2010年(平成22年)8月10日付けのもの(甲8,乙20)を引用しながら,平成21年(2009年)1月6日に成立したアワミ連盟(以下「AL」という。)総裁のシェイク・ハシナを首班とする政権(以下「AL政権」という。)がBNPに対し特段「迫害」を行ったとの記載は見られないと主張する。しかし,上記の出身国報告書によっても,「(2009年)1月初旬,…ジャハーンギル・ノゴール大学でALとBNPのそれぞれの学生組織が衝突し,…」(乙20)や「ALが主導する…国会のある委員会もまた,…元議長でBNP指導者のジャミルディン・シルカル(Jamirudin Sircar)に対する議員資格の剥奪をはじめとして,彼らに対して処分を行うよう勧告した。」(甲8)といった記載があり,AL政権がBNPに対し迫害を行っていたことは明らかである。
b 被告は,AL政権成立後の2009年(平成21年)7月30日にバングラデシュ最高裁がカレダ・ジアに対し無罪を言い渡していることから,BNPの構成員がAL政権下で迫害を受けていたとはおよそ考え難いと主張する。しかし,バングラデシュにおいても司法の独立性は保たれているのであり,カレダ・ジアに対する無罪判決もAL政権の影響があったとはいえず,このことはAL政権のBNPの構成員に対する迫害を否定する事情にならない。
c 被告は,原告がBNPの正式な構成員ではないことを理由に,AL政権が迫害を加える合理的理由は見当たらないと主張する。しかし,原告については,タリク・ラーマンに対し多額の資金を提供しているとの疑いがかかっていたのであるから,AL政権が原告に対し迫害を加える合理的な理由はあったというべきである。
d 被告は,原告がBNPのサポーターであることやタリク・ラーマンから依頼されて中古自動車の輸入,販売等の事業を営んでいた事実等を全て否定するほか,BNPの正式な構成員ではなく,呼ばれればデモに参加するといった程度の政治活動しか行っていなかったことから,政府が反政府活動家として殊更注視し,迫害を加える合理的理由がない旨主張する。
しかしながら,政治家は経済的基盤がなければ活動ができず,政治家に対する経済的な協力者はその反対勢力にとっては政治家同様に疎ましい存在である。原告は,BNPのサポーターというにとどまらず,タリク・ラーマンとビジネス上の協力者であったため,反対勢力に目を付けられ,緊急行動部隊や警察から命を狙われたのであって,原告が迫害される理由は,原告の信条だけでなく,そのビジネスも原因となっている。これと同旨の原告の供述に何ら不自然な点はない。
したがって,被告の主張は当を得ていない。
(ウ)a 被告は,原告が本件刑事事件に係る記録(以下「本件刑事記録」という。)を入手した経緯が不自然である旨主張してその成立を争っているが,バングラデシュでは汚職が横行しており,賄賂さえ払えば,逮捕状等の公文書の謄本を入手することは可能であり,実際,原告も弁護士が賄賂を渡して本件刑事記録を入手した。本件刑事記録の入手経緯は,バングラデシュのような汚職が横行している国では,何ら不自然な点はない。
b 被告は,本件刑事記録記載の日付に不自然な点があり,逮捕状等の作成日が原告の供述と矛盾するなどとして,本件刑事記録が真正なものではない旨主張する。
確かに,バングラデシュにおいては,被告の主張するように数多くの偽造文書が存在していることは否定できないが,真正に作成された文書であっても,その内容に誤りがあることは日常的である上,バングラデシュにおいては,恣意的な逮捕,勾留,不公正な裁判が横行し,恣意的な逮捕,勾留等を行う場合には,文書に不自然な点や矛盾点が生じるのはむしろ当然であり,こうした矛盾があることは,原告に対する刑事手続が適正に行われていないことの証左である。したがって,被告が主張するように,本件刑事記録の日付に不自然な点や矛盾点があるからといって,直ちにその各文書の成立の真正まで否定されるわけではない。
c 原告は,BNP総裁の息子と商売をするほどに成功したビジネスマンであったが,日本においては,支援によって生活せざるを得ず,今では体調が悪い中,医療費に苦労するほどの厳しい生活をしている。母国の家族に仕送りをするために来日する外国人も多いが,原告にそうした動機はなく,本邦に在留することに何ら経済的メリットはない。あえて刑事記録を偽造して入手しなければならない理由は全くないから,本件刑事記録は真正に成立したものである。
(エ)a 被告は,タリク・ラーマンが汚職の容疑で逮捕されていることからすれば,原告について,汚職以外の容疑をあえてねつ造し,逮捕状を発付する合理的必要性は認められないと主張する。しかし,原告については汚職の容疑で逮捕するに足りる十分な証拠がなかったとも考えられ,そのような場合には,原告に対する強制捜査を進めるために汚職以外の重大犯罪の容疑をねつ造して原告に対する逮捕状を発付する合理的必要性は十分認められる。
b 被告は,本件刑事事件のうち,「Palton警察署」が捜査したとされる事件(以下「ポルトン事件」という。)について,原告が本国にいないことが明らかな日に発生した事件をねつ造したことは不自然であると主張するところ,この主張は,本国政府が原告の出入国記録にアクセスすることができたことを前提とする。
しかし,2010年(平成22年)8月10日付けの出身国報告書(乙20)には,「バングラデシュでは,公的な記録の保管は計画的に行われていない。多くの情報は手書きで記録され,コンピューターを使用した記録はほとんど行われていない。」,「バングラデシュには,英国が保有する警察機関向けコンピュータシステムに相当するシステムが存在しない。こうしたシステムを使用せずに,記録は全国規模でリンクされていないため地域の警察署ごとに保管される。」との記載があることが認められるから,警察は,原告の出入国履歴にアクセスできなかった可能性は高く,被告の主張は成り立ち得ない。
(オ) 被告は,原告に対する逮捕状が発付されていた時期にバングラデシュを出帰国している上,刑事事件で指名手配を受けている者に対し,旅券の更新及び運転免許証の発給がされるとは考え難いとして,原告に対し,本国政府から逮捕状が発付され,有罪判決が宣告されたと認めることはできないというべきであると主張する。
しかし,バングラデシュにおいては,情報は電算化されておらず,各警察署に情報が保管されているだけなのであるから,原告がダッカの入管を何度も問題なく通過できたことや旅券の更新,運転免許証の発給がなされたことについても何ら不自然はない。そもそも,原告が有効な旅券を取得していることをもって,難民の該当性を否定することはできない。また,バングラデシュでは汚職が横行しているのであるから,原告のように賄賂を渡せば,たとえ出国禁止リストに載っていても,出国することは可能である。
(カ)a 被告は,原告が本国で経営していたショールームに捜索を受けた時期に係る原告の供述に変遷が認められるから,原告の供述に信用性がないと主張する。
ショールームに警察が来たとき,原告はチッタゴンにいたのであるから,確かに日本に来ていたという供述は事実と異なるが,ショールームへの捜索を受けた際に,ショールームから離れた場所にいたことが重要なのであり,どこにいたかは重要でない。また,捜索を受けた時期については,被告の主張によってもどこに変遷があるのか明らかでなく,何ら変遷がない。
b 被告は,本件調査時に,原告は,警察官がショールームに来る前(原告が本邦に入国した平成19年(2007年)5月29日より2か月前頃以前)に査証を取得していた旨供述していたが,実際には2007年(平成19年)4月18日に査証が発給されていることとそごしている旨主張する。
本件調査の際に作成された供述調書には,「日本の査証は,買い付けに行こうと思い,取ってありました。」との記載があるが,これは,日本に入国する前に日本国の査証を取得しておいたという趣旨であり,同年3月より前に査証を取得していたという意味で供述したわけではないから,査証の取得に係る供述には何ら変遷はない。
(キ) 被告は,警察が原告を逮捕すると原告が思った理由が合理的でない旨主張するが,警察官がショールームに来た際に,従業員から,警察が逮捕に来ている状況を伝えてくれた上で,帰ってこない方がいいという内容の電話があれば,逮捕されるとの恐怖を抱くのが通常であるから,被告の主張は理由がない。また,原告がかけられていた嫌疑は贈賄ではなく,殺人,爆発物法違反,放火,違法武器所持等であるから,その余の被告の主張は前提からして失当である。
(被告の主張の要点)
(1) 難民の意義等
ア 入管法に定める「難民」とは,難民条約1条又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうところ(入管法2条3号の2),これらの各規定によれば,難民とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及び常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいう。
そして,ここにいう「迫害」とは,「通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧」を意味し,また,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖を有する」というためには,当該人が,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要である。ここで,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由がある恐怖」とは,単に迫害を受けるおそれがあるという抽象的な可能性があるだけでは足りず,迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような個別かつ具体的な事情が存することが必要である。すなわち,上記の客観的事情が存在しているといえるためには,ある国の政府によって民族浄化が図られていることが明らかであるような場合はともかく,そうでなければ,当該政府が特に当該人を迫害の対象としていることが明らかになるような個別的で具体的な事情があることを要するものと解される。
イ いかなる手続を経て難民の認定手続がされるべきかについては,難民条約及び難民議定書に規定がなく,これらを締結した各国の立法政策に委ねられているところ,我が国においては,入管法61条の2第1項は,法務大臣は,本邦にある外国人から法務省令で定める手続により申請があったときは,その提出した資料に基づき,その者が難民である旨の認定を行うことができる旨定め,難民認定申請者に対し申請資料として「難民に該当することを証する資料」の提出を求めている(出入国管理及び難民認定法施行規則55条1項)。また,難民である旨の認定をする処分は,当該申請者が難民条約及び難民議定書所定の「難民」であるか否かを申請者から提出された資料に基づいて確認し,処分時において難民である旨の認定をする行為であり,本質的には事実の確認であるが,法務大臣により難民である旨の認定を受けていることが,他の利益的取扱いを受けるための法律上の要件となっており,難民である旨の認定をする処分自体が申請者に対して直ちに何らかの権利を付与するものではないものの授益処分とみるべきであり,授益処分については一般に申請者側に処分の基礎となる資料の提出義務と立証責任があると解されているので,難民である旨の認定に係る資料の提出及び立証は受益者となる申請者が行うべきものである。さらに,難民該当性を基礎付ける諸事情は,事柄の性質上,外国でしかも秘密裡にされたものであることが多く,そのような事情の有無及びその内容等は,それを直接体験した申請者こそが最もよく知ることができ,これを正確に申告することは容易である。しかも,これらの事実は,難民認定を受けるための積極的な根拠事実であって,申請者に有利な事実である。
これらの事情に鑑みれば,申請者である原告が,自らが難民に該当することについて立証責任を負うことは明らかである。
そして,我が国の入管法には,難民認定手続やその後の訴訟手続について立証責任を緩和する規定が存しない以上,難民である旨の認定を受けるための立証の程度については,難民認定手続においても,その後の訴訟手続においても,通常の民事訴訟における一般原則に従うべきであり,申請者は,自己が難民であることについて,「合理的な疑いをいれない程度の証明」をしなければならない。
ウ 難民の本質は,国籍国による保護を受けられない者に対して,国籍国に代わって難民条約締結国が難民条約及び難民議定書に定められた限度で保護を与えることにあるから,国籍国が現に保護している者は難民となり得ないのは当然である。したがって,難民条約1条A(2)が規定する「迫害を受けるおそれがある(略)ために,国籍国の保護を受けることができないもの又は(略)国籍国の保護を受けることを望まないもの」という要件は,迫害の主体が国籍国の政府自身である場合を想定していることは明らかである。難民認定の申請者が主張する迫害の主体が国籍国の政府でない場合は,政府が当該迫害を知りつつ放置,助長するような特別な事情がある場合は別として,通常,上記のような国籍国の保護を受けることができるものと考えられるから,難民には該当しない。
(2) 原告の難民該当性
ア BNPの党員としての活動を理由に個別具体的な迫害のおそれがあったとはいえないこと
(ア) 原告は,BNPのサポーターであり,タリク・ラーマンから依頼され,中古自動車の輸入,販売等の事業を営んでいたことを自己の難民該当性を基礎付ける事情の一つとして主張するが,これを裏付けるものとされるBNP本部党籍資格受理票(甲1)がどのような目的で作成され,どのような性質の書面であるのかは判然としないというほかない。同文書は,原告の年齢を間違っていたり,どのような目的で作成され,どのような性質の書面であるのかが判然としなかったりするものであるから,同文書の存在をもって,原告がBNPのサポーターであるとも認め難いというべきである。他に原告の主張を裏付けるに足りる的確な客観証拠は存在しない。
(イ) 原告は,BNPが「時の政権」と対立していたために,BNPのサポーターである原告が「迫害」を受けるおそれがあると主張する。
原告が主張する迫害の主体である「時の政権」がいかなる政権かは必ずしも明確ではないところ,原告の主張によれば,ファクルッディン・アハメド(以下「ファクルッディン」という。)を首席顧問とする選挙管理内閣(以下「ファクルッディン選挙管理内閣」という。)を迫害の主体として主張する趣旨と解される。しかし,ファクルッディン選挙管理内閣は,2008年(平成20年)12月29日に実施された総選挙の実施によりその使命を終え,本件不認定処分時には,AL総裁のシェイク・ハシナが政権の座についている(AL政権)から,ファクルッディン選挙管理内閣が「迫害の主体」であるという原告の主張は成り立ち得ない。また,BNPは,上記総選挙において29の議席を獲得しており,合法政党として公認され,同党員も公然と政治活動をしていたことが認められるから,ファクルッディン選挙管理内閣がBNPの党員を迫害していたとはいえない。
(ウ)a また,AL政権が,本件不認定処分時において,BNP党員を迫害していた事実は認められない。
2010年(平成22年)8月10日付けの出身国報告書(乙20)には,ファクルッディン選挙管理内閣の後に成立したAL政権がBNPに対し特段「迫害」を行ったとの記載はみられない。かえって,AL政権成立後の2009年(平成21年)7月30日,バングラデシュの最高裁判所は,ファクルッディン選挙管理内閣期に石油開発に絡む汚職の罪に問われたBNPのカレダ・ジアに対し,無罪を言い渡している。かかる報告に照らせば,BNPの構成員がAL政権下で迫害を受けていたとは考え難い。まして,原告は,BNPの正式な構成員ではなく,呼ばれればデモに参加するといった程度の政治活動しか行っていなかったというのであるから,現時点はもとより,過去においても,その程度の活動を理由に,AL政権に政権交代があった後のバングラデシュ政府が原告を反政府活動家として殊更注視し,迫害を加える合理的理由は見当たらないというべきである。
b 原告は,バングラデシュにおいては司法の独立性が保たれているから,カレダ・ジアに対して無罪を言い渡す判決の宣告についても,AL政権の影響があったとはいえず,AL政権下におけるBNPの構成員の迫害を否定する事情にはならないなどと主張するが,原告は,同時に,裁判所が原告に対し無実の罪による逮捕状を発付したり無実の罪で有罪を言い渡す判決の宣告をしたりしたなどと主張しているのであって,主張自体が相互に矛盾している。
c 原告は,2010年(平成22年)8月10日付けの出身国報告書(甲8,乙20)にAL政権がBNPに対し迫害を行っていたことを示す記載がある旨主張するが,実際には,複数の学生が特定の学生寮の支配権を確保しようとしたことに端を発する衝突やファクルッディン選挙管理内閣政権下の事実に関する記載であるにすぎず,AL政権がBNPを支持していることを理由としてBNPの党員ないしサポーターを迫害していることを示す記載ではないし,他に,AL政権が,BNPを支持していることを理由として,BNPの党員ないしサポーターを迫害していることを示す記載は見られない。
d 原告は,緊急行動部隊が非合法殺人や強制失踪を行っていることを理由に,緊急行動部隊や警察に命を狙われている原告がバングラデシュに帰国できないことは当然であり,これに沿う証拠(甲11)もある旨主張する。
しかしながら,原告の指摘する証拠(甲11)をみても,緊急行動部隊は,犯罪容疑者に加えてイスラム過激派あるいは左翼団体のメンバーとみなされた人物を標的にしてきた旨の記載はあるが,BNPの党員ないしサポーターが標的とされているとの記載は見られない。原告は,BNPの正式な構成員ではなく,呼ばれればデモに参加するといった程度の政治活動しか行っていなかったというのであるから,現時点はもとより,過去においても,その程度の活動を理由に,AL政権に政権交代があった後のバングラデシュ政府が反政府活動家として殊更注視し,迫害を加える合理的理由は見当たらない。原告自身も,原告が本邦に入国した後,BNPのメンバーが帰国した旨供述しているのであって,およそAL政権が緊急行動部隊や警察を使ってBNPの党員ないしサポーターを迫害しているとは認め難い。
イ 原告に対して逮捕状が発付され,有罪判決が宣告されたとは認められないこと
(ア) 本件刑事記録が真正に作成されたとは認め難いこと
次のとおり,原告が本件訴え又はこれに先立つ難民の認定の手続において提出した本件刑事記録(甲2ないし4,乙32ないし34の各1・2)は,その入手経緯が不自然である上,原告の主張を前提としても,その記載等について不自然,不合理な点を多々指摘せざるを得ず,これらの文書が真にバングラデシュの官公署により本件刑事事件に係る文書として作成されたものかははなはだ疑わしい。
a 本件刑事記録の中には,「最初の事情調書」等と題する被害届ないし告発状様の書類及び逮捕状が含まれているところ,逮捕状は,容疑者の身柄を確保,拘束するために裁判所から捜査機関等に宛てて発付される文書であり,本件刑事記録中の逮捕状の体裁もそのようになっているところ,このような性質の公文書の謄本を原告が入手できたこと自体不自然である。2010年(平成22年)8月10日付けの出身国報告書(乙20)も,「オーストラリア移民・多文化省の国別情報サービス」が1998年(平成10年)に発行した「バングラデシュ:亡命申請と国の情勢に関するプロフィール」と題する報告書において,「すべての[バングラデシュの]政党に属する亡命申請者は,バングラデシュに帰国した際の逮捕を遂行するための未処理の令状,および裁判所と警察が発行したその他の文書を含む彼らの主張を裏付ける大量の文書を提出している。通常,逮捕令状は一般の国民が入手することはできないため,そうした文書が提出される場合は慎重に検討しなければならない。未処理の逮捕状であると主張される多くの「文書」は偽造されたものであることが判明している。1997年12月現在,大使館は亡命申請者が提出した数百にも及ぶ文書を検証したが,真正な文書は一つも存在しなかった。」と述べられていると報告している。
b(a) 原告は,本件審尋等の際に,それまでに提出していた本件刑事記録の入手経路について,「横浜の入管から,証明する書類があれば提出してくださいといわれたからです。そのときは二つの事件の判決は言い渡され,もう一つは事件が進行中であるため用意できました」と供述していた。
しかし,原告が本件刑事記録の一部(乙32ないし34の各1・2)を提出したのは,本件調査の際であるところ,原告が提出した全ての本件刑事記録の記載を前提としても,この時点において,本件刑事事件全てについて,いずれも判決は言い渡されていなかった。
(b) 原告は,本件審尋等の際に,刑事記録の入手方法を尋ねられたのに対し,「事件が終わった後,裁判所から出すことが可能です。」と供述していたが,上記のとおり,原告が本件調査の際に本件刑事記録の一部を提出した当時,本件刑事事件の判決は言い渡されておらず(甲2及び4に係る乙21及び23),あるいは事件が終局していなかったのである(甲3に係る乙22)から,事件終局後に弁護士が裁判所から本件刑事記録の謄本を入手したとする原告の説明と整合しない。殊に,「Lalbagh警察署」が捜査したとされる事件(以下「ラルバッグ事件という。」は,その起訴の年月日が2009年(平成21年)10月3日付けとされており(甲3に係る乙22),原告が横浜支局の難民調査官に同事件の記録(乙33の1・2)を提出した段階では,起訴もされていなかったことになるのであって,その時点で,逮捕状や捜査の初期段階で作成された「最初の事情調書」の謄本を取得できたというのは極めて不自然である。
(c) さらに,本件調査の際に提出された本件刑事記録の一部(乙32ないし34の各1・2)は,その一部(乙33及び34の各1・2)の謄本認証の記載や英訳文(乙32ないし34の各2)の作成日時(2008年(平成20年)1月21日)からして,2007年(平成19年)12月頃に入手されたと推認できる。しかし,そうすると,捜査中の事件であるにもかかわらず,刑事記録が作成されるや直ちに原告の代理人弁護士がこれを入手していることになるが,これも極めて不自然である。
すなわち,ポルトン事件については,逮捕状(乙32の1)の作成日は同月29日とされ,「Ramna」警察署が捜査したとされる事件(以下「ロムナ事件」という。)については,逮捕状(乙34の1)の作成日は同月20日とされているが,仮にこれが事実であるとすると,原告の代理人弁護士は,原告に対して逮捕状が発付されるや直ちにそのことを知り,直ちにその謄本を入手していることになるのであって,その経過からして不自然,不合理であることはもとより,事件が終わった後に謄本を入手することは可能であるとの原告の前記(b)の供述とも矛盾することになる。
(d) 原告は,バングラデシュにおいては,汚職が横行している上,真正に作成された文書であってもその内容に誤りがあることは日常的であり,本件刑事記録の日付に不自然な点や矛盾点があるからといって,直ちに当該文書の成立の真正まで否定されるわけではない旨主張する。
しかしながら,バングラデシュにおいて政府の様々な階層で汚職が横行していたとして,公務員に賄賂を渡すのは,贈賄側にとって有利な内容の虚偽文書を入手したいからであって,本件刑事記録は原告にとって不利な内容のものであるから,賄賂によって内容がゆがめられる性質の文書ではない。そのような性質の文書である本件刑事記録に不自然な点や矛盾点が多数認められることは,当該文書が偽造されたものであることを推認させるというべきである。
(イ) 原告に逮捕状が発付されていたとするには不自然な点が認められること
a 原告は,本件刑事事件の罪名は,「殺人,爆発物法違反,放火,違法武器所持等」であると主張する。しかし,原告の供述を前提とすれば,本国の警察は,タリク・ラーマンの汚職の容疑に関連して原告のショールームを捜査したというのであり,現にタリク・ラーマンは汚職の容疑で逮捕されていることからすれば,原告について,汚職以外の容疑をあえてねつ造し,逮捕状を発付する合理的必要性は認められない。
また,ポルトン事件は,2007年(平成19年)9月24日に発生した事件とされているところ(乙32の1),当時,原告は,日本に滞在中であった。また,本国政府も,原告の出入国記録等を通じ,当然に上記の時期に原告がバングラデシュから出国中であることを把握できたはずである。そうすると,本国政府は,原告に係る事件をねつ造するに当たり,原告が本国にいないことが明らかな日に発生した事件をねつ造したことになるが,そのような対応は不自然というべきである。
b ラルバッグ事件の逮捕状(乙33の1)は,2006年(平成18年)12月5日に発付されているが,原告名義の旅券に同月9日付けでダッカ出国証印が,2007年(平成19年)3月12日付けでダッカ帰国証印が,同年5月26日付けでダッカ出国証印がそれぞれ押印されていることからすれば,原告は,当該逮捕状発付日以降,3度にわたり,ダッカの入管において出入国審査を受けていたことになる。しかして,原告は,同年3月8日のタリク・ラーマンの逮捕を端緒に「無実の罪」で「時の政権」から追われることになった旨主張するところ,そうであるならば,かかる状況下で,原告がダッカの入管を3度問題なく通過できたことについて,合理的な説明は困難である。また,上記の2006年(平成18年)12月5日時点は,BNP寄りの選挙管理内閣が政権を担当していたところ,そのような政権下で原告が反政府勢力として注視されるいわれはないから,原告に対し,同政権下で無実の罪による逮捕状などが発付されたというのは,極めて不自然であって,原告の主張とも矛盾する。さらに,もし,本当に原告が反政府勢力として政府から殊更注視されていて,政府が原告を投獄又は殺害するために,無実の罪による逮捕状等が発付されたのであれば,直ちに逮捕状を執行し,原告の身柄を拘束したり,殺害するはずであるところ,原告は,2006年(平成18年)8月20日から同年12月9日までの間及び2007年(平成19年)3月12日から同年5月26日までの間,バングラデシュに滞在していたのであり,容易にその所在を把握できる状況にあった原告が,バングラデシュ国内で普段どおり生活したり,正規に出入国したりできるとは考え難い。
c 原告は,平成21年8月14日,在日バングラデシュ大使館において旅券の更新を受けている(乙48の2)。しかし,この時点において,原告は3件もの刑事事件で容疑者となり,逮捕状が発付され,うちポルトン事件については既に有罪判決が言い渡されていた(甲2に係る乙21)というのに,本国において失踪中の刑事事件の被告人についてバングラデシュ大使館が旅券の更新をするとは考えられない。さらに,原告は,2007年(平成19年)3月18日に,本国において運転免許証の発給(ないし更新)を受けている(乙49)。しかし,当時は,タリク・ラーマンが逮捕された後の時期である上,ラルバッグ事件に関し,逮捕状が発付された後ということになる(甲3に係る乙22)が,逮捕状が発付されている者に対して,本国において,身柄拘束もせずに,安易に運転免許証の発給(更新)を許すとは考え難い。
d 原告の本人尋問における供述によれば,原告は,2007年(平成19年)3月12日にバングラデシュに正規の手続で入国した後,3つの事件で名前が挙がっていることを知った同月20日頃まではバングラデシュで普段どおり生活していたことになるが,もし本当に原告に逮捕状等が発付されていたのであれば,空港は政府の管理下にあると考えられるから,入国後に直ちに身柄を拘束されるなどするはずであって,原告の述べる行動は,逮捕状が発付されていたとするには余りにも不自然である。
ウ 警察や軍に追われることになった旨の原告の供述が信用できないこと
(ア) 原告は,本件難民申請に係る難民認定申請書(乙6)に,迫害を受ける理由,根拠について「現在の暫定政府は,私の車のショールームと車を没収され,さらに私を逮捕する為に警察や連合隊が私を探しいます」と記載し,本件調査の際も,「現在の暫定政府は,私の車のショールームを破壊し,車を没収しました。」,「ちょうど私は,チッタゴンの港に行っていたのですが,従業員が電話で,警察が逮捕に来ている状況を伝えてくれた上で,帰ってこない方がいいと言ってくれました。」と供述していた。
原告は,ショールームに警察が来た日について,本件調査の際,「私が日本に来るだいたい2か月位前のことです。」と供述していたが,本件審尋等においては,タリク・ラーマンの逮捕(2007年(平成19年)年3月8日)後のことであるが,具体的には把握していない旨の供述をしており,不合理な変遷が認められる。さらに,本件審尋等において,難民調査官から,同月頃は日本ではなくバングラデシュにいたのではないかという趣旨の質問をされたのに対しても,「そのとき私がバングラデシュにいたとかではなく,私はそのとき何もなく,誰かに狙われることもありませんでした。裏ではあったかもしれませんが。」と,本件調査の際と矛盾し,かつ,不合理な弁解しかしていない。
(イ) 原告は,今回の来日の際に所持していた日本国査証の取得経緯について,本件調査の際は,「私は,2007年3月頃に,警察に逮捕されないように,国を離れることにしました。日本の査証は,買い付けに行こうと思い,取ってありました。」と供述していたが,本件審尋等のときは,「警察や軍隊が調べに来ていると聞いて怖くなり,逃げなくてはいけないと思いました。その時ちょうど日本の招待状をもっていたので,日本のビザを取得し,そのまま日本に来てしまいました。」と供述し,合理的な理由なく供述を変遷させている。
原告は,本件調査の際に,来日(平成19年(2007年)5月29日)する2か月くらい前にショールームに警察官が来た旨述べているところ,仮に本件調査時の供述どおりであれば,日本国査証が2007年(平成19年)4月18日に発給されていることとそごする。逆に,警察に追われるようになった後に査証を取得したというのであれば,在ダッカの日本国大使館に赴く必要があるが,軍や警察の捜索の中,容易に査証を取得できたとは考え難い。
(ウ) 原告は,本件調査及び本件審尋等の際には,2007年(平成19年)3月20日頃の時点で3つの事件で名前が挙がっているということを聞いた旨の供述を一切しておらず,供述が不合理に変遷している上,ポルトン事件については,事件の発生日が同年9月24日とされているのであって(乙32の1),同年3月20日の時点では事件が発生すらしていないことになるから,原告の供述はおよそ信用できない。
(エ) 原告は,本人尋問において,2007年(平成19年)5月26日にダッカ空港からバングラデシュを出国した際,知り合いの入管関係の人に出国の手配をしてもらった旨を供述するが,もし,原告が政府に無実の罪を着せられ,又は命を狙われていたのであれば,原告を国外へ出国するのを手助けした者の命も危険にさらされることになると考えられるから,原告の出国状況に関する上記供述もたやすく信用することはできない。
エ 原告の供述を前提としても,原告が迫害を受けるおそれがあったとは認められないこと
原告の本件調査の際の供述によっても,警察が原告を逮捕すると思った理由は,警察が原告のショールームに来た際に,「従業員が電話で,警察が逮捕に来ている状況を伝えてくれた上で,帰ってこない方がいいと言ってくれました。」というものにすぎないところ,原告に対して贈賄等の容疑で逮捕状が発付された事実は認められず,その時点で警察が原告を逮捕しに来たのかどうかすら明らかではない。また,原告は,本件審尋等の際,贈賄の事実を自認する趣旨の供述をしているところ,そうであれば,警察が原告のショールームに捜索に来て,原告を捜していたとしても,贈賄の捜査の一貫であったといえるから,そのことをもって迫害に当たるとはいえない。
オ 原告の難民該当性を否定するその他の事情
(ア) 原告は,正規に発給された自己名義の旅券により,何ら問題なく本国を出国し,本邦に入国しているのであって,国籍国による行政措置を享受している。原告は,本件調査及び本件審尋等の際に,知人の入管職員にお金を支払い,出国することができた旨供述しているが,原告が逮捕状発付後にバングラデシュの出帰国を繰り返していることからすれば,上記原告の供述は信用できない。
(イ) 原告は,平成21年8月14日に,在日バングラデシュ大使館において旅券の更新を受けている(乙48の2)。かかる事実は,原告について逮捕状が発付されておらず,また,原告が自身の滞在先を本国政府に把握されることについて特段の憂慮や懸念,恐怖を抱いていないことを証明するものであるとともに,原告が本邦入国後も在日バングラデシュ大使館の保護を受け得る状況にあったことを示すものというべきである。
第3  争点に対する判断
1  難民の意義等
入管法2条3号の2は,入管法における「難民」の意義について,難民条約1条の規定又は難民議定書1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうと規定している。したがって,入管法にいう難民とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及び常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって,当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいうと解するのが相当である。
そして,上記の「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解するのが相当であり(難民条約33条1項参照),また,上記にいう「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情のほかに,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解され,上記の意味で「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」ことは,入管法61条の2第1項等の規定に照らし,原告において立証する必要があると解される。
原告は,上記と異なる主張をするが,原告主張のように解すべき我が国の法令上の根拠等も格別見出し難いから,採用することができない。
2  認定事実
後に掲記する証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実(以下「認定事実」という。)が認められる。
(1)  バングラデシュにおける政治体制等
ア バングラデシュは,1971年(昭和46年)12月16日,パキスタン共和国(当時)から独立した国家である。バングラデシュにおける1991年(平成3年)7月以降の統治体制としては,小選挙区において直接選出された国会議員により構成される一院制の議会が立法機関であり,象徴的な地位にある国家元首としての大統領の指名により,議会の多数を占める会派の指導者が首相に指名されて内閣を組織することとされている。また,国会議員の任期は5年間であり,1996年(平成8年)3月以降は,政権の任期満了後,直近に退職した最高裁判所長官を首席顧問とする諮問委員会が選挙管理内閣として政権を引き継ぎ,同内閣が90日以内に総選挙を実施することとされている(乙14,17,18ないし20)。
イ ALは,バングラデシュにおける2大政党の1つであり,バングラデシュにおいて最も古くから存する政党である。ALの現総裁であり,現在のAL政権の首相でもあるシェイク・ハシナは,1975年(昭和50年)8月15日に暗殺されたムジブル・ラーマン(バングラデシュの初代大統領)の長女である。
BNPは,ムジブル・ラーマンが暗殺された後にクーデターを起こして実権を掌握したジアウル・ラーマン(バングラデシュの第2代大統領)が1978年(昭和53年)4月に結成した政党であり,ALの対抗勢力として結成されたという経緯もあって,ALとの関係は極めて悪いとされている。1981年(昭和56年)5月にジアウル・ラーマンが暗殺された後は,同人の妻であるカレダ・ジアが党総裁に就任している。同人の子であるタリク・ラーマンは,2001年(平成13年)10月に施行された総選挙において,参謀的な役割を果たしたほか,国会議員ではないものの,2007年(平成19年)3月8日に逮捕されるまで,幹事長筆頭代理としてBNPの実権を握っていた(乙14,15,17ないし20)。
ウ 2001年(平成13年)10月に施行された総選挙において,議会の多数を占める議席を獲得したBNPを中心とする連立政権(以下「BNP連立政権」という。)が成立し,BNPの総裁であるカレダ・ジアが首相となった。BNP連立政権は,2006年(平成18年)10月27日,任期満了により終了し,憲法の規定に従って選挙管理内閣に移行することとなった。しかしながら,選挙制度改革等を巡る主要政党間の対立が激化し,選挙管理内閣の首席顧問に就任すべき立場にあった前最高裁判所長官が選挙管理内閣の首席顧問に就任することを辞退し,BNP連立政権によって擁立されたイアジュッディン・アーメド大統領が選挙管理内閣の首席顧問を兼任する事態が生じるなどの混乱状態に陥ったため,2007年(平成19年)1月11日,同大統領が非常事態宣言を発出するとともに,上記首席顧問を辞任し,総選挙を無期限に延期した。
同月12日,ファクルッディンが首席顧問に就任して,ファクルッディン選挙管理内閣が成立した。ファクルッディン選挙管理内閣は,自由公正な選挙の実現に向けた種々の取組みを実施する中で,同年3月8日にタリク・ラーマンを,同年7月16日にAL総裁のシェイク・ハシナを,同年9月3日にBNP総裁のカレダ・ジアを,いずれも汚職の容疑で逮捕したが,2008年(平成20年)6月12日にシェイク・ハシナを,同年9月3日にタリク・ラーマンを,同月11日にカレダ・ジアをそれぞれ釈放した。なお,タリク・ラーマンは,同月11日頃,BNPの役職を辞任してロンドンへ向かうためにバングラデシュを出国するとともに,政治とは距離を置くこととなった。
ファクルッディン選挙管理内閣は,同年12月17日,非常事態宣言を解除し,同月29日,国際選挙監視団が監視する中,総選挙が実施されたところ,同選挙は,国内外の選挙オブザーバーにより,自由公正な信頼できる選挙であったとの評価を得た。同総選挙の結果,ALを中心とする勢力に属する国会議員が議院の多数を占め,2009年(平成21年)1月6日,シェイク・ハシナを首相とするAL政権が成立し,現在に至っている(乙14ないし20)。
(2)  原告とBNPとの関係等
原告は,1992年(平成4年)5月20日,BNPに対し,会費として5タカを支払い,BNPの初等メンバーとなった。原告は,BNPの正式な党員又は構成員ではなく,政治活動をしていたものでもなく,正式な党員又は構成員から声を掛けられたときに会議やデモ活動に参加するなどのBNPの活動を支援する活動をするにとどまっていた。また,原告は,バングラデシュにおいて,「M/S Abedin INTERNATIONAL」という名称の会社を経営しており,タリク・ラーマンやBNPに所属する国会議員から資金を預かって中古自動車等を売買する事業をしていたほか,衣服を制作する機械,携帯電話の部品,布団等を輸入する事業もしていた(甲1,12の1・2,乙6,7,12,55,原告本人)。
(3)  本件刑事記録の記載の内容の概要等
ア ポルトン事件は,2007年(平成19年)9月24日に原告ほか3名が殺人を犯したとされるもので,同年12月20日付けで裁判所に対して提出したとされる起訴状(乙32の1の11枚目)のほか,同月29日付けの逮捕状(同16枚目)がある。なお,逮捕状の発付に係る文書(同15枚目)の事件名には,「ボディウッザマン ホセイン グループ」との記載があるが,上記起訴状には「ボディウッザマン ホセイン」なる人物は被告人として記載されていない。公判の手続に関するものとされる文書には,被告人ら全員欠席のまま手続が進行した旨の記載があり,2009年(平成21年)6月16日付けの原告を懲役10年及び罰金5万タカに処する(支払えないときは更に1年間の懲役に処する)ことを内容とする判決書(乙21の2枚目)がある。なお,同判決書の理由中には,被告人らの一部が出廷し,罪を認めた旨の記載がある(甲2,乙21,25及び26(枝番を含む。),32の1,42ないし45(枝番を含む。))。
イ ラルバッグ事件は,2006年(平成18年)12月3日に原告ほか10名が不法な凶器及び爆弾を所持し集合して暴動を起こそうとしていたところ,これを見つけた緊急行動部隊の者に対して爆弾を投げつけるなどして緊急行動部隊の者に傷害を負わせたとされるもので,同月5日に起訴状が裁判所に提出された旨の記載のある文書(乙33の1の17枚目)及び同日付けの逮捕状(同18枚目。なお,2007年(平成19年)12月28日に複写がされたことを証明する旨の記録管理官のサインがある。)がある。一方,2009年(平成21年)10月3日付けの起訴状(乙22の4枚目)及び同月9日付の逮捕状(同1枚目)がある。公判の手続に関するものとされる文書(同2及び3枚目)には,上記の2通の起訴状について,訴因等に変動があったか否かについては何らの記載もないほか,2008年(平成20年)7月11日に,次回期日が2009年(平成21年)1月10日と指定された旨記載されているにもかかわらず,同日の公判の手続の経過については何らの記載もなく,同年10月9日より後の手続について記載した文書もない(甲3,乙22,27及び28(枝番を含む。),33の1,46及び47(枝番を含む。))。
ウ ロムナ事件は,2006年(平成18年)10月6日に原告ほか3名が違法な集会を行い暫定政府を否定するなどの発言をした上,それを制止しようとした警察官を襲撃したり放火するなどしたりして多数の人的物的被害を生じさせたとされるもので,同月8日までに起訴状が裁判所に提出されたとして逮捕状の発付を求める旨の記載のある同日付けの文書(乙34の1の15枚目)及び2007年(平成19年)12月20日付けの逮捕状(同16枚目。なお,その3日後である同月23日に複写がされたことを証明する旨の記録管理官のサインがある。)がある。一方,同月18日付けの起訴状(チャージシート。同12枚目)があり,同起訴状における事件発生日は,同年10月6日とされている。公判の手続に関するものとされる文書(乙23の3ないし6枚目)には,被告人ら全員が逃亡しているまま手続が進行したと解される記載があり,2009年(平成21年)8月18日付けの原告を懲役7年及び罰金5万タカに処する(支払えないときは更に6か月の懲役に処する)ことを内容とする判決書(同2枚目)がある。なお,同判決書の摘示する罪となるべき事実における事件発生日は,2007年(平成19年)10月6日と記載されている(甲4,乙23,29ないし31(枝番を含む。),34の1,乙35ないし40(枝番を含む。))。
(4)  原告が本件刑事記録を入手した経緯等
ア 原告は,平成21年1月8日の本件調査の際,本件刑事記録のうちの一部(乙32ないし34の各1・2。ベンガル語で記載されたもの(乙32ないし34の各1)とその英訳文(乙32ないし34の各2))を提出しているところ(乙7,50),上記英訳文には,2008年(平成20年)1月21日との英訳文作成者の手書きによる年月日の記入がある(乙32ないし34の各2)。
原告は,本件審尋等の際に,上記の各文書を入手した事情について,原告の命を受けた本国における事業のマネージャーが弁護士から入手したものを同マネージャーにおいて原告に送付したものである旨を供述し,そのようにした理由として,「横浜の入管から,証明する書類があれば提出して下さいと言われたからです。その時は二つの事件の判決は言い渡され,もう一つは事件が進行中であるため用意できました。」と供述し,さらに,「弁護士は,どうやってこれらの書類を集められたのでしょうか。」という難民審査参与員の質問に対しては,「事件が終わった後,裁判所から出すことが可能です。」「裁判所が謄本を出してくれます。」と答えているほか,「実際,その弁護士は裁判所等に行って抗議をしましたか」という質問に対しては,「最初は事件の内容や誰が容疑者かは一切教えてくれません。」とも供述している(乙12)。
イ 2010年(平成22年)8月10日付けの出身国報告書(乙20)においては,ダッカにあるカナダ高等弁務団による情報として,「数多くの偽造文書が存在している。こうした文書を見分けることは比較的に容易であるが,首都郊外で作られた場合は確認するまでに長い時間がかかる…。真正な文書であっても書かれている内容はしばしば疑わしい。政府の様々な階層で汚職が横行することで,公文書の完全性と信頼性が失われつつある…。」(32.01)と記載されている。
また,バングラデシュの刑事記録については,オーストラリア移民・多文化省の国別情報サービスが1998年(平成10年)に発行した「バングラデシュ:亡命申請と国の情勢に関するプロフィール」と題する報告書から,「すべての[バングラデシュの〕政党に所属する亡命申請者は,バングラデシュに帰国した際の逮捕を遂行するための未処理の令状,および裁判所と警察が発行したその他の文書を含む彼らの主張を裏付ける大量の文書を提出している。通常,逮捕令状は一般の国民が入手することはできないため,そうした文書が提出される場合は慎重に検証しなければならない。未処理の逮捕状であると主張される多くの「文書」は偽造されてものであることが判明している。1997年12月現在,大使館は亡命申請者が提出した数百にも及ぶ文書を検証したが,真正な文書は一つも存在しなかった。」との記載が引用されている(32.03)(乙20)。
3  原告の難民該当性
(1)  BNPの活動を支援する活動をしていたこと等を理由とする個別具体的な迫害のおそれの有無について
ア 認定事実(2)に述べたとおり,原告は,BNPの初等メンバーではあるが,BNPの正式な構成員又は党員ではなく,政治活動をしていたものでもなく,正式な党員又は構成員から声を掛けられたときに会議やデモ活動に参加するなどのBNPの活動を支援する活動をするにとどまっていた上,本件不認定処分がされた時点(平成21年6月3日)においては,既にAL政権が成立していたところ,本件全証拠によっても,上記の当時に,AL政権が,BNPそのものやBNPの構成員その他の関係者を前記1に述べたような意味において組織的に迫害していた事実は認め難いことも併せ考慮すれば,原告がBNPの初等メンバーであることをもって,上記の時点において,前記1に述べた意味における迫害を受けるおそれがあるというべき客観的事情が存していたとまでは認め難いというべきである。
イ(ア) 原告は,2010年(平成22年)8月10日付けの出身国報告書(甲8,乙20)には,AL政権がBNPに対する迫害を行っていることを示す記載がある旨主張する。
しかしながら,原告の指摘する出身国報告書の記載のうち,乙20に含まれる記載(3.20)は,ALとBNPの支持者同士の衝突を指摘するもので,上記の記載があることをもって,直ちに,AL政権が国家権力を用いてBNPに対する迫害を行っていること又はALの支持者によるBNPの支持者に対する暴力行為等を放置するなどしていることを意味するものとまでは認め難い。また,原告の指摘する甲8に含まれる記載(18.07)は,アメリカ合衆国国務省の発行した報告書の内容として,ファクルッディン選挙管理内閣の当時の国会で議長等によるとされる汚職等の調査を実施したある委員会において,元議長であるBNPの幹部に対する議員資格剥奪を含む処分が勧告されたことを示すものであるが,原告が指摘する記載に続けて,結局,国会が上記勧告を採用しなかったことも記載されているから,やはり,上記の記載があることをもって,直ちに,上記の内閣の後に成立したAL政権がBNPに対する弾圧を行っていたことを意味するものとまでは認め難い。そして,他に,上記の出身国報告書(甲8,乙20)に,AL政権が上記の当時にBNPに対する前記1に述べた意味における迫害を行っていたことを示す記載があるとは認め難い。
したがって,原告の主張は採用することができない。
(イ) 原告は,①タリク・ラーマンに対し,多額の資金を提供しているとの疑いがかかっていたのであり,AL政権が原告に対して迫害を行う合理的理由がある,②BNPのサポーターというにとどまらず,タリク・ラーマンとビジネス上の協力者であったため,反対勢力に目を付けられ,緊急行動部隊や警察から命を狙われたとして,原告が難民に該当する旨主張する。
しかしながら,上記に述べたように,本件不認定処分のされた当時において,AL政権が,BNPそのものやBNPの構成員その他の関係者を前記1に述べたような意味において組織的に迫害している事実が一般的な状況として存在していたとは認め難いことを前提とすれば,原告がBNPの初等メンバーであったことやタリク・ラーマンと仕事上の関係があったこと等を理由として,原告がAL政権により前記1に述べた意味における迫害を受けるおそれがあるというべき客観的事情が存するとも直ちには認め難く,他に,そのような事情が存したことをうかがわせる的確な証拠ないし事情等も格別見当たらない。
したがって,原告の主張は採用することができない。
ウ 以上によれば,原告がBNPの活動を支援する活動をしていたこと等をもって,本件不認定処分の当時において前記1に述べた意味における難民に該当するとは認め難いというべきである。
(2)  原告が本件刑事事件の被告人として公訴を提起されたとされることをもって,迫害のおそれがあるといえるか否かについて
ア 本件刑事記録の成立の真正について
(ア) 本件刑事記録の記載の内容自体の問題点
認定事実(3)に述べたところからすると,①ポルトン事件の記録とされる文書については,被告人として記載されていない者の氏名が逮捕状の発付に係る文書の事件名に記載されているほか,公判の手続に関するものとされる文書の記載と判決書とされる文書の理由の記載との間に被告人らの出頭等の点に関しそごがあること,②ラルバッグ事件の記録とされる文書については,公判の手続に関するものとされる文書には,起訴状の提出が2006年(平成18年)12月5日と2007年(平成19年)10月3日の2回された旨の記載があるにもかかわらず,後者に係る1通しか起訴状とされる文書が存在しない上,上記2通の起訴状につき訴因等に変動があったか否かについては何らの記載もなく,さらには,2008年(平成20年)7月11日に次回期日が2009年(平成21年)1月10日と指定された旨記載されているにもかかわらず,同日の公判の手続の経過については何らの記載もなく,同事件に係る原告についての2通目の逮捕状とされる文書の日付である同年10月9日よりも後の手続について記載した文書もないこと,③ロムナ事件の記録とされる文書については,関係文書上に罪となるべき事実が発生した日として2006年(平成18年)10月6日と2007年(平成19年)10月6日の2種の記載があり,同一の刑事事件に係る記録を構成するものとされる文書相互間で統一がとれていないことが認められるところ,このような各記載の問題点の内容に照らすと,それらは,単なる誤記の類を超えたものというのが相当であり,本件刑事記録に係る文書は,その対象とする事項に照らして性質上通常有しているはずの記載の正確性を大きく欠くものというべきである。
(イ) 本件刑事記録の内容と原告の供述等とのそご
認定事実(4)に述べたところからすると,①原告は,本件審尋等の際,逮捕状とされる文書を含む本件刑事記録の入手の方法についての難民審査参与員の質問に対し,「事件が終わった後,裁判所から出すことが可能です。」,「裁判所が謄本を出してくれます。」などと供述しているところ,原告又はその命を受けたとされる本国のマネージャ若しくは弁護士は,本件刑事記録の一部(乙32ないし34の各1)を,それらの英訳文(乙32ないし34の各2)につき英訳文作成者が手書きで記入したとされる日付(2008年(平成20年)1月21日)に照らすと,遅くとも同月頃には入手したというべきこととなるものの,同月の時点においては,本件訴えにおいて提出された判決書とされるものを含む本件刑事事件に関する文書(甲2ないし4)に記載された日付を踏まえると本件刑事事件の全てについて判決が宣告されていなかったというべきこととなるのであるから,原告の述べる文書の入手の方法と実際の文書の内容との間にそごが生じていること,②原告が本国における刑事事件の記録に係る謄本の発行に関する事情として供述したところを前提とすると,原告又はその関係者は,ロムナ事件については,逮捕状が発付されたとされる日(2007年(平成19年)12月20日)の3日後にその謄本を入手し,ポルトン事件についても,逮捕状が発付されたとされる日(同月29日)の後まもない時期(遅くとも,既に述べたその英訳文の作成者が手書きで記入したとされる日(2008年(平成20年)1月21日)以前)にその謄本を入手していたというべきこととなるところ,他方で,原告は,本件審尋等の際に,本国において裁判所は最初は事件の内容や容疑者の氏名は一切教えてくれない旨供述しているから,原告の述べる捜査情報に係る謄本の発行に関する事情と実際の文書の内容との間にやはりそごが生じていること,③そもそも,原告は,平成19年7月31日に本件難民申請をした時点で,原告の本国の弁護士は本件刑事事件の記録を入手していないとしていたのであり(乙6),上記①及び②に述べた文書(特に,英訳文又は謄本上の日付)の各記載とは全く整合しないこと,④バングラデシュにおいては,2006年(平成18年)10月27日まではBNP連立政権が存続し,2007年(平成19年)1月12日にファクルッディン選挙管理内閣が成立するまでは,BNP連立政権によって擁立されたイアジュッディン・アーメド大統領が選挙管理内閣の首席顧問を兼任していたところ,本件刑事記録中には,ラルバッグ事件については,2006年(平成18年)12月5日に発付されたとされる逮捕状とされる文書が,ロムナ事件については,同月8日付けで逮捕状の発付を求めるとする文書が存在しているから,本件刑事記録の一部の文書は,BNP連立政権によって擁立された大統領が首席顧問を兼任する選挙管理内閣の当時に作成されたというべきことになるが,原告は,BNPと対立する政権によって刑事事件がねつ造された旨供述するなどしており(甲12の1・2,乙6,7,10,12,原告本人),原告が述べる刑事事件をねつ造したとされる主体と実際の文書の内容との間にそごが生じていることが認められる。
このように,本件刑事記録に含まれる文書が作成されたとされる時期等というその成立の真正に関する核心的な事実と原告の供述等との間に複数のそごがあることになる。
(ウ) まとめ
以上に述べた事情に加え,認定事実(4)イに述べたとおり,2010年(平成22年)8月10日付けの出身国報告書(乙20)において,バングラデシュ国籍の亡命申請者が提出する刑事事件関係の文書の多くが偽造されたものである旨の報告が紹介されていることも併せ考慮すれば,本件刑事記録が真正に成立したものであるとは認め難いというべきである。
なお,原告は,①バングラデシュでは汚職が横行しているから,賄賂さえ払えば,逮捕状等の公文書の謄本を入手することが可能であり,現に原告もそのようにしたから,本件刑事記録を入手することができたとしても何ら不自然ではない,②本件刑事記録の記載内容に不自然な点があるとしても,バングラデシュにおける真正な公文書には,内容に誤りがあることが日常的であるから,文書の記載内容に問題点があることが成立の真正を否定する事情とはならない,③原告があえて刑事記録を偽造して入手しなければならない理由が全くない旨主張するが,原告が主張する前記第2の2(3)ウ(ウ)cのような事情を前提としたとしても,本件刑事記録が真正に成立したことが積極的に裏付けられるとはいい難く,他に,本件刑事記録が真正に成立したことを裏付ける事情を認めるに足りる的確な証拠ないし事情等も見当たらない。
したがって,原告の主張は採用することができない。
イ 原告の供述等について
(ア) 供述の変遷
a 原告は,原告が経営する自動車のショールームに警察が来てショールームを破壊した旨述べるなどするところ,当該破壊の事実は,仮にそれが存在したとすれば,原告がバングラデシュ当局により反政府的な人物として個別に把握されていることを端的に裏付けるものであり,また,その内容に照らしても,原告にとっては迫害を受けることに対する恐怖を抱く原因として重い意味を有し,かつ,鮮烈な印象を残したはずであると考えられるにもかかわらず,当該事実が生じた時期について,本件調査の際は,「私が日本に来るだいたい2ケ月位前のことです。」,「最初にショールームにやってきた日です」と述べていたところ,本件審尋等の際には,「私が日本に来た後です」,「2007年7月頃です。」,「日本に来ていましたので,自分では把握していません。」などと述べている(なお,本件難民申請に係る難民認定申請書には,上記の事実が生じた時期について,本国を出国する前であることをうかがわせる記載があるものの,添付されている本国の弁護士名義の書簡を含めて,それを具体的に特定する記載はない(乙6)。)。
このように,原告の供述等については,原告が経営する自動車のショールームに警察が来てショールームを破壊した事実が発生した時期というその枢要な部分に関し,看過し難い変遷が見られ,そのことについて首肯するに足りる理由も見当たらない。
b 原告は,本件刑事事件という無実の罪に問われている旨述べるなどするところ,当該事実は,仮にそれが存在したとすれば,原告がバングラデシュ当局により反政府的な人物として個別に把握されていることを端的に裏付けるものであり,また,その内容に照らしても,原告にとっては迫害を受けることに対する恐怖を抱く原因として極めて重い意味を有し,かつ,鮮烈な印象を残したはずであると考えられるにもかかわらず,本件刑事事件の存在を認識した時期について,本件難民認定申請の際に横浜支局に対して提出した難民認定申請書(乙6)の「7 上記1の理由によりあなたに対しての逮捕状の交付又は手配がなされていますか」という欄の中の「「はい」と答えた場合には,具体的に書いてください。」欄には,「機関名」として「W/A」,「罪状」として「U/S」とだけ記載し,「上記の事実をどのような方法で知ったのですか」という欄においても,認識時期については,何ら記載していない一方で,同申請書に添付され原告にその主張する刑事事件の存在を知らせる内容の本国の弁護士名義の書簡の日付は2007年(平成19年)7月4日とされていたところ,原告は,本人尋問の際には,3件から成る本件刑事事件の犯人とされている旨を聞いた時期について,日本に来る前の同年3月20日頃というように記憶している旨の供述をしている(もっとも,認定事実(3)アに述べたように,ポルトン事件については,犯罪が発生したとされる日及び逮捕状とされる文書の発付の日付は,いずれも上記の時期よりも後のものである。)。
このように,原告の供述等については,本件刑事事件の存在を認識した時期という枢要な部分に関し,看過し難い変遷が見られ,そのことについて首肯するに足りる理由も見当たらない。
c 原告は,平成19年5月29日,関西空港に到着した際に所持していた旅券に与えられたダッカにおいて同年4月18日の発行に係る我が国の査証(乙5)を受けた経緯について,本件調査の際には,「私は,2007年3月頃に,警察に逮捕されないように,国を離れることにしました。日本の査証は,買い付けに行こうと思い,取ってありました。」と述べていたところ,本件審尋等の際には,「ある日,マネージャーから電話があり,警察や軍隊が調べに来ていると聞いて怖くなり,逃げなくてはいけないと思いました。その時ちょうど日本の招待状を持っていたので,日本のビザを取得し,そのまま日本に来てしまいました。」と述べている。
このように,上記の点に関する原告の供述等には我が国の査証を受けた時期と出国を決意した時期の前後関係という枢要な部分に関し,看過し難い変遷が見られるところ,そのことについて首肯するに足りる理由は見当たらず,しかも,本件調査の際の供述は,査証の発行日という客観的事実と整合しないものであったのである。
(イ) 本邦において旅券の有効期限の更新を受けたことについて
認定事実(1)ウに述べたとおり,バングラデシュにおいては,2009年(平成21年)1月6日以降現在に至るまで,AL政権が継続しているところ,証拠(乙48の2)によれば,原告は,同年8月14日,在日バングラデシュ大使館において,その所持する旅券の有効期限の更新を受けていることが認められる。
一方,原告は,当時は既に本件難民申請をし,同年1月8日には本件調査の際に本件刑事記録の一部を提出していたものであって,上記の旅券の有効期限の更新に係る事実は,本件刑事事件をねつ造されて当局等の追及を受けている旨の本件難民申請当時の原告の主張とは明らかに相反する事情であるが,この点について,原告は何ら合理的な説明をしない(なお,原告は,その所持する旅券の有効期限の更新を受けた後の平成22年4月15日の本件審尋等の際には,「大使館に行ったことはありません。」と供述していたものである(乙12)。)。
(ウ) 以上のとおり,原告は,BNPと対立する政権により本件刑事事件をねつ造され,軍,警察又は緊急行動部隊に追われる身となっている等の旨を主張し,これに沿う証拠(甲12の1・2,乙6,乙7,乙10,乙12,原告本人)もあるものの,これを基礎付ける事実に関する原告の供述等については,その枢要な点について看過し難い変遷が見られ,そのことについて首肯するに足りる理由は見当たらない上,原告が本国政府から迫害を受けるおそれに係る客観的及び主観的事情が存することとは整合しないと評価すべき客観的な事情も存するから,原告の供述等は直ちには採用し難いというほかない。
(3)  小括
以上のほか,本件全証拠によっても,本件不認定処分がされた当時において,原告について,前記1に述べた意味における難民に該当するというべき事情が存在したことを認めるには足りない。
したがって,本件不認定処分は適法である。
第4  結論
よって,原告の請求は,理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 八木一洋 裁判官 石村智 裁判官 福渡裕貴)

 

別紙
指定代理人目録 〈省略〉

 

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政治と選挙の裁判例「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧
(1)平成26年 9月25日 東京地裁 平21(ワ)46404号・平22(ワ)16316号 損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第2事件)、損害賠償(株主代表訴訟)請求事件(第3事件)
(2)平成26年 9月17日 知財高裁 平26(行ケ)10090号 審決取消請求事件
(3)平成26年 9月11日 大阪高裁 平26(行コ)79号・平26(行コ)123号 政務調査費返還請求控訴事件、同附帯控訴事件
(4)平成26年 9月11日 知財高裁 平26(行ケ)10092号 審決取消請求事件
(5)平成26年 9月10日 大阪地裁 平24(行ウ)78号・平25(行ウ)80号・平26(行ウ)65号 行政財産使用不許可処分取消等請求事件・組合事務所使用不許可処分取消等請求事件
(6)平成26年 9月10日 大阪地裁 平24(行ウ)49号・平24(ワ)4909号・平25(行ウ)75号・平26(行ウ)59号 建物使用不許可処分取消等請求事件、建物明渡請求事件、使用不許可処分取消等請求事件 〔大阪市役所組合事務所使用不許可処分取〕
(7)平成26年 9月 3日 東京地裁 平25(行ウ)184号 政務調査費返還請求事件
(8)平成26年 8月 8日 東京地裁 平25(行ウ)590号 難民不認定処分取消請求事件
(9)平成26年 7月25日 東京地裁 平25(行ウ)277号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(10)平成26年 7月16日 東京地裁 平25(行ウ)259号 難民不認定処分取消等請求事件
(11)平成26年 7月11日 札幌地裁 平22(行ウ)42号 政務調査費返還履行請求事件
(12)平成26年 6月12日 東京地裁 平25(ワ)9239号・平25(ワ)21308号・平25(ワ)21318号 損害賠償請求本訴事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(13)平成26年 5月21日 横浜地裁 平19(ワ)4917号・平20(ワ)1532号 損害賠償等請求事件
(14)平成26年 5月14日 名古屋地裁 平22(ワ)5995号 損害賠償請求事件 〔S社(思想信条)事件〕
(15)平成26年 4月 9日 東京地裁 平24(ワ)33978号 損害賠償請求事件
(16)平成26年 3月26日 大阪地裁 平22(行ウ)27号・平23(行ウ)77号 政務調査費返還請求事件(住民訴訟)
(17)平成26年 3月25日 東京地裁 平25(ワ)18483号 損害賠償請求事件
(18)平成26年 3月18日 大阪高裁 平25(行コ)149号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求控訴事件
(19)平成26年 3月11日 東京地裁 平25(ワ)11889号 損害賠償等請求事件
(20)平成26年 2月26日 東京地裁 平24(ワ)10342号 謝罪広告掲載等請求事件
(21)平成26年 2月21日 東京地裁 平25(行ウ)52号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(22)平成26年 2月21日 宮崎地裁 平25(ワ)276号 謝罪放送等請求事件
(23)平成26年 1月31日 東京地裁 平24(行ウ)146号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(24)平成26年 1月30日 大阪高裁 平25(行コ)40号 政務調査費違法支出金返還請求控訴事件
(25)平成26年 1月16日 名古屋地裁 平23(行ウ)68号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟事件
(26)平成25年12月25日 東京高裁 平25(行ケ)83号 選挙無効事件
(27)平成25年12月25日 広島高裁松江支部 平25(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(28)平成25年12月24日 東京地裁 平24(行ウ)747号 難民不認定処分取消請求事件
(29)平成25年12月20日 東京高裁 平25(行ケ)70号・平25(行ケ)71号・平25(行ケ)72号・平25(行ケ)73号・平25(行ケ)74号・平25(行ケ)75号・平25(行ケ)76号・平25(行ケ)77号・平25(行ケ)78号・平25(行ケ)79号・平25(行ケ)80号 各選挙無効請求事件
(30)平成25年12月20日 仙台高裁 平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号・平25(行ケ)4号・平25(行ケ)5号・平25(行ケ)6号
(31)平成25年12月19日 東京地裁 平24(行ウ)59号 懲戒処分取消等請求事件
(32)平成25年12月18日 名古屋高裁 平25(行ケ)1号・平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(33)平成25年12月16日 名古屋高裁金沢支部 平25(行ケ)2号・平25(行ケ)3号・平25(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(34)平成25年12月12日 東京地裁 平24(行ウ)719号 裁決取消等請求事件
(35)平成25年12月 6日 札幌高裁 平25(行ケ)1号 参議院議員選挙無効請求事件
(36)平成25年12月 5日 広島高裁 平25(行ケ)3号 選挙無効請求事件
(37)平成25年12月 3日 東京地裁 平24(行ウ)423号 難民不認定処分取消請求事件
(38)平成25年11月28日 広島高裁岡山支部 平25(行ケ)1号 選挙無効請求事件
(39)平成25年11月20日 最高裁大法廷 平25(行ツ)226号 選挙無効請求事件
(40)平成25年11月20日 最高裁大法廷 平25(行ツ)209号・平25(行ツ)210号・平25(行ツ)211号 選挙無効請求事件 〔平成24年衆議院議員総選挙定数訴訟大法廷判決〕
(41)平成25年11月19日 東京地裁 平24(行ウ)274号 難民の認定をしない処分無効確認等請求事件
(42)平成25年11月18日 福岡地裁 平19(行ウ)70号 政務調査費返還請求事件
(43)平成25年11月15日 東京地裁 平24(行ウ)753号 難民不認定処分無効確認等請求事件
(44)平成25年11月 8日 盛岡地裁 平24(ワ)319号 損害賠償請求事件
(45)平成25年10月21日 東京地裁 平24(ワ)2752号 損害賠償請求事件
(46)平成25年10月16日 東京地裁 平23(行ウ)292号 報酬返還請求事件
(47)平成25年10月 4日 東京地裁 平24(行ウ)76号・平24(行ウ)77号・平24(行ウ)78号・平24(行ウ)79号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(48)平成25年10月 2日 東京地裁 平23(行ウ)657号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(49)平成25年 9月26日 大阪高裁 平25(行コ)82号・平25(行コ)114号 不当利得返還等請求行為請求控訴、同附帯控訴事件
(50)平成25年 8月27日 東京地裁 平24(行ウ)647号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(51)平成25年 8月23日 東京地裁 平24(行ウ)90号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(52)平成25年 8月 5日 東京地裁 平25(ワ)8154号 発信者情報開示請求事件
(53)平成25年 7月30日 東京地裁 平24(行ウ)427号・平25(行ウ)224号 難民不認定処分取消請求事件、追加的併合請求事件
(54)平成25年 7月26日 静岡地裁 平21(行ウ)19号 不当利得返還請求権行使請求事件
(55)平成25年 7月23日 東京地裁 平24(行ウ)393号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(56)平成25年 7月 4日 名古屋高裁 平25(行コ)18号 議員除名処分取消等請求控訴事件
(57)平成25年 7月 3日 名古屋高裁金沢支部 平24(行コ)16号 政務調査費返還請求控訴事件
(58)平成25年 6月19日 横浜地裁 平20(行ウ)19号 政務調査費返還履行等代位請求事件
(59)平成25年 6月 4日 東京高裁 平24(行コ)350号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(60)平成25年 5月29日 広島地裁 平23(ワ)1500号 損害賠償等請求事件
(61)平成25年 5月15日 東京地裁 平23(行ウ)697号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(62)平成25年 4月11日 東京地裁 平24(行ウ)115号・平24(行ウ)127号・平24(行ウ)128号・平24(行ウ)129号・平24(行ウ)130号・平24(行ウ)614号・平24(行ウ)620号・平24(行ウ)621号・平24(行ウ)622号・平24(行ウ)623号 在留特別許可をしない処分取消等請求事件、在留特別許可をしない処分無効確認請求事件
(63)平成25年 4月11日 東京地裁 平23(行ウ)757号・平24(行ウ)1号・平24(行ウ)2号・平24(行ウ)3号・平24(行ウ)4号・平24(行ウ)5号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(64)平成25年 3月28日 京都地裁 平20(行ウ)10号 不当利得返還等請求行為請求事件
(65)平成25年 3月26日 東京高裁 平24(行ケ)26号・平24(行ケ)27号・平24(行ケ)28号・平24(行ケ)29号・平24(行ケ)30号・平24(行ケ)31号・平24(行ケ)32号 各選挙無効請求事件
(66)平成25年 3月25日 広島高裁 平24(行ケ)4号・平24(行ケ)5号 選挙無効請求事件
(67)平成25年 3月19日 東京地裁 平24(ワ)11787号 損害賠償請求事件
(68)平成25年 3月14日 名古屋高裁 平24(行ケ)1号・平24(行ケ)2号・平24(行ケ)3号・平24(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(69)平成25年 3月14日 東京地裁 平23(行ウ)63号 選挙権確認請求事件 〔成年被後見人選挙件確認訴訟・第一審〕
(70)平成25年 3月 6日 東京高裁 平24(行ケ)21号 選挙無効請求事件
(71)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件
(72)平成25年 2月20日 宇都宮地裁 平23(行ウ)13号 政務調査費返還請求事件
(73)平成25年 2月15日 福岡地裁 平23(行ウ)25号 教育振興費補助金支出取消等請求事件
(74)平成25年 1月29日 岡山地裁 平22(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(75)平成25年 1月21日 東京地裁 平24(ワ)2152号 謝罪広告掲載要求等請求事件
(76)平成25年 1月18日 東京地裁 平23(行ウ)442号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(77)平成25年 1月16日 東京地裁 平23(行ウ)52号 難民不認定処分取消請求事件
(78)平成25年 1月16日 大阪地裁 平19(行ウ)135号 不当利得返還等請求事件
(79)平成24年12月 7日 最高裁第二小法廷 平22(あ)957号 国家公務員法違反被告事件
(80)平成24年12月 7日 最高裁第二小法廷 平22(あ)762号 国家公務員法違反被告事件
(81)平成24年11月20日 東京地裁 平22(行ウ)563号 難民不認定処分取消請求事件
(82)平成24年11月 2日 東京地裁 平23(行ウ)492号 難民不認定処分取消等請求事件
(83)平成24年10月18日 大阪地裁 平22(行ウ)160号 政務調査費返還(住民訴訟)請求事件
(84)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)95号 選挙無効請求事件
(85)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)72号 選挙無効請求事件
(86)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)65号 選挙無効請求事件
(87)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)64号 選挙無効請求事件
(88)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)59号 選挙無効請求事件
(89)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)52号 選挙無効請求事件
(90)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)51号 選挙無効請求事件 〔参議院議員定数訴訟・大法廷判決〕
(91)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)179号
(92)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)174号 参議院議員選挙無効請求事件
(93)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)171号 選挙無効請求事件
(94)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)155号 選挙無効請求事件
(95)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)154号 選挙無効請求事件
(96)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)153号 選挙無効請求事件
(97)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)135号 選挙無効請求事件
(98)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)133号 選挙無効請求事件
(99)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)132号 選挙無効請求事件
(100)平成24年10月17日 最高裁大法廷 平23(行ツ)131号 選挙無効請求事件


政治と選挙の裁判例(裁判例リスト)

■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/

■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/

■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/

■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/

■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/

■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/

■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/

■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/

■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/

■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/

■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/

■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/

■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/

■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/

■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/

■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/

■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/

■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/

■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/

■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/

■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/

■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/

■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/

■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/

■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/

■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


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「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

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(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
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(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
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【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。

(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
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