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「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(18)平成24年 2月29日 東京地裁 平21(行ウ)585号 公金支出差止請求事件

「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(18)平成24年 2月29日 東京地裁 平21(行ウ)585号 公金支出差止請求事件

裁判年月日  平成24年 2月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(行ウ)585号
事件名  公金支出差止請求事件
裁判結果  一部却下、一部棄却  上訴等  確定  文献番号  2012WLJPCA02298002

要旨
◆都の住民である原告らが、都の選挙管理委員会や同労働委員会の各委員等に対する報酬を定める条例の規定は、非常勤の職員に対し原則として勤務日数に応じて報酬を支給する旨を定めた地方自治法203条の2第2項に違反する違法・無効なものであると主張し、都知事、選挙管理委員会事務局総務課長及び同労働委員会事務局総務課長を被告として、上記報酬の支給に係る支出負担行為及び支出命令の差止めを求めた事案において、各総務課長を被告とする各訴えについては、被告適格のない者を被告とする不適法な訴えであるとしていずれも却下し、都知事に対する請求については、月額報酬制を採る本件各報酬規定は、その内容が地方自治法203条の2第2項の趣旨に照らして特に不合理であるとは認められず、議会の裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとはいえないから、同項に違反し違法、無効であるということはできないとして、棄却した事例

参照条文
地方自治法203条の2第2項
地方自治法242条の2第1項1号
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例2条(昭22東京都条例53。平23東京都条例20改正前)
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例別表(昭22東京都条例53。平23東京都条例20改正前)
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例2条(昭24東京都条例101。平23東京都条例50改正前)
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例別表(昭24東京都条例101。平23東京都条例50改正前)

裁判年月日  平成24年 2月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(行ウ)585号
事件名  公金支出差止請求事件
裁判結果  一部却下、一部棄却  上訴等  確定  文献番号  2012WLJPCA02298002

当事者の表示 別紙1当事者目録記載のとおり

 

 

主文

1  本件訴えのうち別紙2主文関係目録記載1ないし3の各請求に係る部分を却下する。
2  本件訴えのその余の部分に係る原告らの請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求(以下,次に掲げる各請求を,その項の番号に応じて「請求1項」のようにいう。)
1  被告東京都選挙管理委員会事務局総務課長は,東京都選挙管理委員会の委員長に対し53万2000円,同委員会の各委員(補充員を除く。)に対しそれぞれ43万5000円の月額報酬を支払う支出負担行為及び支出命令を行ってはならない。
2  被告東京都知事及び被告東京都労働委員会事務局総務課長は,東京都労働委員会の会長に対し53万2000円,会長代理及び公益委員に対しそれぞれ47万4000円の月額報酬を支払う支出負担行為及び支出命令を行ってはならない。
(なお,上記の各金額は,平成22年3月31日まで施行されていた定めによるものであり,別紙3「関係法令の定め」のとおり,後に改定されている。)。
第2  事案の概要等
本件は,東京都の住民である原告らが,①東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例(昭和22年東京都条例第53号。以下「本件都選管報酬条例」という。)の東京都選挙管理委員会(以下「都選管」という。)の委員長(以下「都選管委員長」という。)及び都選管の各委員(補充員を除く。以下「都選管委員」といい,都選管委員長と併せて「都選管委員等」という。)に月額をもって定められた報酬を支給することを定める規定(以下「本件都選管報酬規定」という。),②東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和24年東京都条例第101号。以下「本件都労委報酬条例」といい,本件都選管報酬条例と併せて「本件各報酬条例」という。)の東京都労働委員会(以下「都労委」という。)の会長(以下「都労委会長」という。),会長代理及び公益委員(以下,特に断らない限り,会長代理と公益委員を併せて「都労委公益委員」といい,これらと都労委会長を併せて「都労委委員」という。また,都労委委員と都選管委員等を併せて「本件各委員」という。)に月額をもって定められた報酬を支給することを定める規定(以下「本件都労委報酬規定」といい,本件都選管報酬規定と併せて「本件各報酬規定」という。)が,委員会の委員を含む非常勤の職員に対して原則として勤務日数に応じて報酬を支給する旨を定めた地方自治法(以下「法」という。)203条の2第2項に違反する違法・無効なものであるなどと主張し,被告らが上記の報酬の支給に係る支出負担行為及び支出命令についての権限を有するとして,法242条の2第1項1号に基づき,上記の支出負担行為及び支出命令の差止めを求めている事案である。
1  関係法令の定め
別紙3「関係法令の定め」に記載したとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。
2  前提となる事実(争いのない事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実並びに当裁判所に顕著な事実)
(1)  当事者等
ア 原告らは,東京都の住民である。
イ 被告東京都知事(以下「被告知事」という。)は,東京都の執行機関である。
ウ 被告東京都選挙管理委員会事務局総務課長(以下「被告都選管総務課長」という。)及び被告東京都労働委員会事務局総務課長(以下「被告都労委総務課長」という。)は,東京都の執行機関である都選管及び都労委の各事務局の総務課長である(乙14,21,弁論の全趣旨)。
(2)  報酬の支給等
東京都の特別職の非常勤の職員である都選管委員等は本件都選管報酬条例に基づき,同じく都労委委員は本件都労委報酬条例に基づき,それぞれ月額をもって定められた報酬の支給を受けている(以下,本件各報酬規定に基づき本件各委員が支給を受ける報酬を「本件報酬」という。なお,会長以外の都労委委員においては,上記の月額をもって定められた報酬のほかに,従事日数による額の支給も受けているところ,これも含めて「本件報酬」ということとする。)。
(3)  住民監査請求及び本件訴えの提起
ア 原告らは,平成21年10月16日,東京都監査委員に対し,法242条1項に基づき,被告らが本件各委員に対して本件報酬を支給しているのは違法であるなどとして住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。
イ 東京都監査委員は,平成21年11月11日付けで,本件各報酬条例で都選管委員等及び都労委委員の報酬の額を月額での一定金額に定めること等は法242条1項に定める財務会計上の行為のいずれにも該当しないので,本件監査請求は不適法であるとして,法242条4項に定める監査を行わない旨の通知をし(甲1),そのころ,原告らは同通知を受領した。
ウ 原告らは,前記イの監査の結果を不服として,平成21年11月27日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。
3  争点及びこれに対する当事者の主張
(1)  本件訴えの適法性
(原告らの主張の要旨)
本件訴えは適法である。
(被告らの主張の要旨)
ア 本件訴えのうち請求1項に係る部分について
(ア) 本件訴えのうち請求1項に係る部分に関しては,東京都の他の住民が,本件訴えの提起に先立ち,都選管委員等に対する月額報酬の支給の差止めを求める訴え(以下「別訴」という。)を提起していたものであり,当初から法242条の2第4項所定の別訴禁止に違反し,不適法であったものであるが,別訴について平成22年9月30日に東京地方裁判所が請求を棄却する判決をし,これが確定した結果生じた既判力により,本件訴えのうち請求1項に係る部分は不適法となる(最高裁平成4年(行ツ)第156号同9年4月2日大法廷判決・民集51巻4号1673頁)。
(イ) 本件訴えのうち請求1項に係る部分は,被告都選管総務課長を被告とするものであるが,東京都においては,都選管委員等の報酬に係る支出負担行為については,被告知事の補助執行事務として被告都選管総務課長の決定により行われているのであり,被告都選管総務課長は支出負担行為については専決権者にすぎないから,少なくとも被告都選管総務課長による支出負担行為についての差止めを求める部分は,被告適格のない者を被告とするものであって不適法である。
イ 本件訴えのうち請求2項に係る部分について
東京都においては,都労委委員の報酬に係る支出負担行為については,被告知事の補助執行事務として被告都労委総務課長の決定により行われているのであり,被告都労委総務課長は支出負担行為については専決権者にすぎず,また,その支出命令については,被告知事の委任を受けた被告都労委総務課長の委任事務として支出命令が行われている。
そうすると,本件訴えのうち請求2項に係る部分に関しては,被告知事による支出命令についての差止めを求める部分は,被告適格のない者を被告とするものであって不適法であるし,被告都労委総務課長による支出負担行為についての差止めを求める部分は,同じく,被告適格のない者を被告とするものであって不適法である。
(2)  本件各報酬規定が法203条の2第2項の規定に違反し違法・無効であるか(なお,本件において,原告らは,被告らが本件各委員に対して本件報酬を支給することに関係する権限を有するものとして,法242条1項にいう「公金の支出」に当たる上記の支給に係る被告らの行為を対象として本件監査請求をしたところ,東京都監査委員は,本件監査請求が東京都議会による本件各報酬条例の制定を対象とするものと解した上で,これを不適法として却下したものであって,その判断には前提において誤りがあり,本件においては適法に住民監査請求がされているというべきである。)
(原告らの主張の要旨)
ア 法203条の2第2項ただし書の趣旨等について
法203条の2第2項本文は,委員会の委員に対し,勤務日数に応じ報酬を支給すると定めている。これは,非常勤の職員は,常勤の職員とは異なり,その職務に対する対価は生活給としての意味を有していないので,勤務実績に応じた反対給付を支払うのが相当としたからである。一方,同項ただし書は,条例で特別の定めをした場合はこの限りではないとしているが,これは,非常勤の職員とはいっても,地方公共団体によっては,勤務実態が常勤の職員と異ならず月額で支払うのが相当とされる職員がいる場合も想定されるので,このような場合には条例で例外的に勤務日数によらないで報酬を支給することを可能にしたものである。したがって,法は,勤務実態が常勤の職員と異ならない場合以外は,日額報酬として支給することを定めているのである。
イ 報酬の意義
(ア) 法204条が常勤職員に対しては「給料」を支給する旨を定めつつ,法203条の2が非常勤職員に対しては「報酬」を支給する旨定めていることからすれば,「報酬」とは,生活給としての意味を有するものではなく,勤務に対する反対給付としての性格を有するものと解される。
(イ) 特別の定めが許される場合について
a 「報酬」の性格による制限
条文解釈上,「報酬」は,生活給である「給料」とは異なり,勤務に対する反対給付としての性格を有するものであることからすれば,「報酬」の支給方法を日額報酬制以外の方法によることにした場合においても,当該報酬は勤務に対する反対給付としての性格を有するものでなければならず,生活給である「給料」と同等のものとすることまでは,法203条の2第2項の趣旨から認められないと解すべきである。
b 立法事実を踏まえた解釈
法203条の2第2項所定の日額報酬制の例外を上記のように解すべきであることは,当該条項の立法事実を踏まえた解釈からも妥当する。地方公共団体の非常勤職員に対する報酬については,国家公務員の給料・報酬を基準として統一性を持たせ,全て法律又はこれに基づく条例にその根拠を置くことを目的として,昭和31年3月ころから法改正の審議が開始された。その改正の審議の過程で,法203条の2第2項にただし書を追加する修正がされたものであるが,これは,当時の選挙管理委員会や人事委員会等では,非常勤であるとはいえ,出勤日数が比較的多かった上に,先例が確立していない新たな様々な問題にことごとく対処しなければならない職務の困難さという職務の質の高さなどがあったことから,このような地方公共団体ごとの勤務の実態等特別な事情を「報酬」の支給方法に反映することができるようにすべきという実際的な考慮によるものであるが,他方で,本来日額によるべきもの(例えば,常勤とほぼ同等の勤務の実態がないような場合)まで月額にすることは地方公共団体で十分に自粛すべきものとされていた。このような立法事実を踏まえるならば,法203条の2第2項ただし書の例外的な定めが認められるのは,非常勤委員の勤務の実態が日数及び質の高さなどにおいて常勤職員とほぼ同等であるというような特別な事情がある場合に限られることは明らかである。しかも,専門知識を有する者はその知識によって社会貢献すべきである一方,同様の委員を他の自治体で兼ねることも法的に禁止されていないことからすれば,出勤日数が比較的少なければ,月額報酬とする必要はない。その意味で,1か月の拘束日数の多寡は,月額報酬か日額報酬かを決める上で重要である。
c 以上のような法203条の2第2項の文言及び趣旨からするならば,同項ただし書による特別の定めが許容されるのは,非常勤の委員の勤務の実態が常勤職員とほぼ同等であるような特別な事情がある場合に限るべきである。
ウ 都選管委員等について
(ア) 都選管委員等の執務実態
a 都選管委員等の活動状況は,別紙4-1・2記載のとおりである。都選管委員等は,平成19年4月から平成21年3月までの間に職務を行った日数は1か月に1日から7日で,平成19年度でみると,1か月当たり2日から3.92日,平成20年度でみると,1か月当たり2.42日から2.75日となる。活動状況をみても,委員会,視察等で,執務日の実際の稼働時間はせいぜい数時間である(ちなみに,常勤の職員の1日当たりの労働時間は8時間である。)。
b 選挙管理委員の職務
選挙管理委員会の職務内容は,当該地方自治体が処理する選挙に関する事務及び関連事務を管理することである。公職選挙は,その性質上,厳格な手続によって実施されなければならないものであるから,その通常の運用に関しては,選挙管理委員会の事務局職員だけで対応できるものであり,選挙管理委員に選任された特別の者でないと判断できない事務内容は一つもない。委員の存在はほぼ儀式化している。
c 都選管委員等の1分間当たりの報酬額
(a) 委員会の開催実績
被告ら提出の別紙6-1・2によれば,定例会の開催日数は月2回がほぼ定例化しており,開催時間は多くが30分で,10分,20分もある。これからうかがわれるのは,定例会は儀式化しており,専門的な議論が伯仲するような場面は全くないことである。定例会の開催時間は2回で合計60分間が平均的である。この時間を都選管委員長(月額53万2000円)及び都選管委員(月額43万5000円)の月額報酬に対比させると,都選管委員長は1分間当たり8866円,都選管委員は1分間当たり7250円である。
(b) 委員会以外の活動実績
被告ら提出の別紙7-1・2をみると,活動内容に高い専門性は認められず,儀式化したものばかりである。平成19年4月の都選管委員長の活動実績をみると,所要時間は270分である。同時期の委員会の開催時間80分と合わせると350分である。都選管委員長の報酬は1分間当たり1520円である。同時期の都選管委員のうち,別紙7-1中の番号2,3及び5の活動に参加していた都選管委員の所要時間は委員会を含めて230分であるから,その報酬は1分間当たり1891円である。
d 非専門性
昭和31年当時はともかく,今日においては,選挙管理委員会の業務は事務局職員だけで内部的には全て処理ができるようになっている。実務運用上新たに発生した問題については,自治体相互間で質問し合ったり,総務省に問い合わせたり,専門学者や弁護士等に問い合わせたりすることで対処できる。訴訟になった場合についても,選挙訴訟は事件内容が類型化しているから,事務局職員が委員に意見をきかなければ何が問題かわからないなどという事態はあり得ない。実際の訴訟対策は,法務部や顧問弁護士などに相談することになる。委員は,説明報告対象でしかない。
e 非専門性を裏付ける人選
仮に,選挙管理委員会の委員に公職選挙法を始めとする行政法令等に関して高い専門性が求められるのだとすれば,委員には行政法学者や行政問題を日常的に扱っている弁護士などが選ばれているはずであるが,東京都ではそのような形跡は見当たらない。これは,都選管委員等に高い専門性が求められていないということである。都選管委員等4人は,元議員が3人,元警視庁警察官(元警視監)1人で構成されている。法182条1項及び行政実例昭和26年12月22日によれば,多数派会派に所属していた元議員が必ず都選管委員等になれる仕組みになっている。報酬が多額であるがゆえに,都議会ではこのような選び方が慣例化している。元警視監については,このような者が,公職選挙法を始めとする行政法令等に関して高い専門性を有しているとは考えられず,警視庁の元警視監のために東京都が用意している天下りのポストということしか理解のしようがない。
そして,元議員や元警視監が都選管委員等になっているのは,月額報酬が高いからである。月額報酬にすると,出席ゼロでも,満額支払をしなければならない。病欠が続くようであれば,補充員と交替すればよいのだが,そのためには病欠している委員が交代に応じる必要があるが,何もしないで高額報酬を得られることに執着している委員はそれに応じないかもしれない。そのときには,議会が罷免することもできるが,実際には,元議員を選んだ後輩議員が罷免決議をすることはかなり難しい。実際にも,選挙管理委員が病欠で一回も出席しないで,全額報酬を受けていたという状況はある。このような不正常な事態を誘発する制度(月額報酬)は異常である。
f 以上のとおり,開催回数が少なく,開催時間が短く,委員に専門性も求められていない都選管委員等については,委員の報酬を月額とすることは明らかに裁量権を逸脱しており,本件都選管報酬規定は違法・無効である。
(イ) 都選管委員等の勤務の実情と1日当たり報酬額
都選管委員等の勤務の実情は以下のとおりである。
a 全国レベル又は地域レベルの会議への参加について
これらへの参加日数は,別紙4-1・2の「合計日数」に含まれている。したがって,同日数以上の活動はない。
そして,都選管委員等の勤務日における勤務時間は,おおむね1時間から2時間程度であるから,仮に都選管委員等の活動の全てについて定量的に把握できない活動があるとしても,当該活動に対する対価は,後記のとおりの1日当たりの報酬額で十分に賄われており,高額に過ぎることはあっても,不足があるとは到底評価できない。
b 選挙管理事務・選挙公営制度の運営について
平成19年度及び平成20年度における具体的な活動は,2年間で,平成19年度の3件(①同年4月10日の当選証書付与(別紙7-1の番号3),②同年7月12日の立候補届出受付視察(同番号12),③同年8月1日の当選証書付与(同番号15))のみであり,これらへの参加日数は,別紙4-1・2の「合計日数」に含まれている。したがって,同日数以上の活動はない(なお,上記②については,全委員が,全時間,視察をする必要性があるとは考えられない活動である。)。
平成21年8月の衆議院議員選挙において,ラジオの政見放送で無音となる事故が起きた際の対応については,その対応を行ったのは,都選管委員長であり,全員ではない。また,上記のような事故について,都選管委員長がいかなる重大な責務を担っているのか全く不明である。
被告らの主張によれば,結局,選挙が行われる際に,都選管委員等の勤務量が増えるということとなるのであるから,選挙が行われる際の業務量に合わせて,日当制で支給をする方が合理的なのであって,選挙の有無にかかわらず,毎月同額の月額報酬を支給することは,法203条の2の趣旨に反するものである。
c 選挙管理委員会への出席について
被告ら提出の別紙6-1・2によれば,平成19年度及び平成20年度とも,その開催時間は,最大でも70分であって,過半以上のものが30分程度しか時間を要していない。
被告らは,委員会の前後に合計30分ないし60分程度の打合せが必要であるなどと主張するが,委員会の開催時間と同程度ないし倍の打合せが必要であるなどとは,到底信用できない。また,委員会に関連して,必要に応じて随時の対応をしているとしても,高額な報酬の中に吸収されているものと評価されるべきである。
d 選挙の執行について
(a) 不測の事態への対応
各委員の具体的な拘束時間は被告らの主張によっても不明である。選挙時には,都選管委員等には,一定の対応が必要となることがあり得るということであるから,それであれば,選挙が行われる際に,その執務日数に応じた日当を支給すればよいのであって,選挙の有無にかかわらず,毎月一定額の月額報酬を支給することが必要となる特別な事情はない。
(b) 都内区市町村との連携,都内区市町村執行選挙の支援等
都選管委員等の活動は,被告ら提出の別紙7-1・2に含まれているというのであるから,都内区市町村との連携,都内区市町村執行選挙の支援等の参加日数は,別紙4-1・2の「合計日数」に含まれている。したがって,同日数以上の活動はない。
e 啓発活動等について
都選管委員等の活動は,被告ら提出の別紙7-1・2に含まれているというのであるから,啓発活動の参加日数は,別紙4-1・2の「合計日数」に含まれている。したがって,同日数以上の活動はない。
なお,書籍,専門誌の各委員への配付等については,都選管委員等が政治及び選挙に関する識見を更に高めることに資するものであるが,それであれば,都選管委員等は,東京都から無料で書籍等の提供を受けて,自らの識見を高めることができるという特権を享受していることとはなっても,かかる事情は,東京都が税金の中から月額報酬を支払わなければならない特別の事情とはなり得ない。
f 政治資金規正法に基づく事務について
都選管委員等は,直接的に政治資金規正法に基づく事務に従事することはない。同事務は,単に,委員会の審議事項とされているにすぎず,そうであれば,委員会における職務日数により評価し尽くされている事務であり,別紙4-1・2の「合計日数」以上の活動はないといわざるを得ない。なお,被告らは,都選管委員等は最終的な責任を負っていると主張しているが,責任の重大性のみでは,月額報酬とできる特別の事情とはなり得ない。
g 選挙争訟事務について
被告らは,選挙争訟事務の内容を説明するのみで,各委員による具体的な職務遂行については,一切説明していない。したがって,都選管委員等は,別紙4-1・2の「合計日数」以外に,選挙争訟事務関係の事務は行っていないと考えられる。このような事務があり得ることを前提とする被告らの主張は,月額報酬とできる特別の事情を根拠付けるものではあり得ない。
(ウ) 都選管委員等の1日当たり報酬額について
以上のとおり,被告らの主張によっても,別紙4-1・2の「合計日数」に記載された以上の具体的な都選管委員等の活動は認め難い。それを踏まえて,平成19年度及び平成20年度の,都選管委員等の活動日数及び1日当たりの報酬額を算定すると,以下のとおりとなる。
a 平成19年度について
(a) 別紙4-1記載のとおり,都選管委員等の毎月の平均稼働日数は,2日から3.92日にすぎない。
(b) 1日当たりの報酬額について
別紙4-1記載のとおり,都選管委員等の1日当たり報酬額は,最低額が12万7317円,最高額が21万7500円である。
ちなみに,国の場合,一般職の職員の給与に関する法律(平成21年法律第86号による改正前のもの)22条に基づき,委員,顧問,参与等の常勤を要しない職員については,勤務1日につき,3万5300円を超えない範囲内で,手当を支給できるものとされている(なお,その額により難い特別の事情があるものとして人事院規則で定める場合にあっては,10万円とされている。)。
都選管委員等の上記1日当たりの報酬額は,国の基準(1日当たり3万5300円)の3.61倍から6.16倍にも相当する高額なものとなる。また,いずれの委員も,国の最高限度額10万円を超えて支給を受けている。
b 平成20年度について
(a) 別紙4-2記載のとおり,都選管委員等の毎月の平均稼働日数は,2.42日から2.75日にすぎない。
(b) 1日当たりの報酬額について
別紙4-2記載のとおり,都選管委員等の1日当たり報酬額は,最低額が17万4000円,最高額が19万3454円である。
ちなみに,国の場合と比較すると,都選管委員等の上記1日当たりの報酬額は,国の基準(1日当たり3万5300円)の4.93倍から5.48倍にも相当する高額なものとなる。また,いずれの委員も,国の最高限度額10万円を超えて支給を受けている。
(エ) 以上のとおり,都選管委員等の勤務の実情は,毎月の平均稼働日数からしても,また,1日当たりの報酬額からしても,法203条の2第2項本文の日額報酬制の原則に矛盾抵触して著しく妥当性を欠くものであって,かかる原則の例外として,非常勤職員であっても,月額報酬とすべき合理性の認められる「特別の事情」は存しない。
エ 都労委委員について
(ア)a 都労委委員の活動状況は,別紙5-1・2記載のとおりである。都労委委員のうち,第37期委員が平成19年4月から同年11月までの8か月間に職務を行った日数は,1か月当たり3.25日から7.13日,第38期委員が平成19年12月から平成21年3月までの16か月間に職務を行った日数は,1か月当たり3.88日から6.44日となる。活動状況は,会議のほか調査・審問等の出席であるが,執務日の実際の稼働時間は常勤の職員の勤務時間よりも短時間である。現に,委員会名簿によれば各委員は別に職業を有しており,常勤の職員と同様な執務状況にはない。
b(a) 都労委委員の主な職務としては,①不当労働行為の救済申立事件の審査,②労働組合の資格審査,③総会・公益委員会への出席,④全国レベル・関東エリアの連絡協議会などの会議への出席である。
(b) ①について
都労委委員は,都労委会長を除いて,1人で約15件担当している。不当労働行為の救済申立事件の審査に従事した日数は,証人A(以下「証人A」という。)の証言によっても,1人につき1か月当たり5,6日程度であったことは明らかである。
(c) ②について
都労委公益委員1名当たり30件程度を担当している。しかし,労働組合の規約調査,申請者への指導等の具体的な業務や,公益委員会での説明なども,事務局職員が行っており,都労委公益委員の業務内容としては,判断業務程度のものである。資格審査に関する業務のためだけに都労委公益委員が登庁することはない。
(d) ③について
月2回行われ,総会は20分ないし30分程度,公益委員会議は1時間程度行われる。
もっとも,総会及び公益委員会議への出席は強制というわけではなく,都労委委員の中には,総会及び公益委員会議への出席が半数程度であった者もいたが,そのことが会議で問題にされることはなく,報酬額が減額されるとか,出席勧告がされる等のペナルティはない。
(e) ④について
都労委委員の全員が全国レベル・関東エリアの連絡協議会などの全ての会議等に出席するわけではないから,月何回という単位で計上できるものではない。
c 以上を前提にすると,都労委委員の勤務日数は,1か月当たり7日から8日前後ということになるが,そうであれば,都労委委員の報酬額の平均日額は,国の基準(1日当たり3万5300円)の2.25倍から4.65倍(平成19年度),2.08倍から3.66倍(平成20年度)にも相当する高額なものとなっている。
都労委委員は常勤ではなく,非常勤の職員である。また,いずれも弁護士,大学教授,NHK解説委員や労働評論家など,本業の職業を有している。つまり,都労委委員には本業による収入があるから,生活給的な配慮は不要である。しかも,専門知識によって社会的に貢献すべき者である。その専門知識ゆえに都労委委員を委嘱された者であり,専門知識を身につけることを業務命令として求められているわけでもない。本来的には,日額報酬こそがふさわしいというべきである。
(イ) 都労委委員の勤務の実情と1日当たり報酬額
a 都労委委員の勤務の実情は以下のとおりである。
(a) 全国レベル又は地域レベルの会議への参加について
被告らの主張によれば,平成19年4月から平成21年3月までの2年間に行われた会議は,全部で22件であり,日数にして26日間にすぎない(別紙9。なお,上記日数は,異なる会議であっても,同一日に開催されたものは1日としてカウントしている。)。
上記会議の都労委委員別の参加日数は,別紙5-1・2中の各「会議」欄記載のとおりである。
(b) 総会及び公益委員会議への出席について
被告ら提出の別紙8-1・2によれば,公益委員会議の開催時間は,平均70分弱であり,総会の開催時間は,平均約20分である。
(c) 不当労働行為審査事件及び労働争議の調整事件処理の実態について
各期日の開催時間は,通常は,おおむね1時間から2時間程度とのことである。
被告らは,期日開催時間は,長い場合には3時間を超えることもあるし,期日前後の打合せ等もあるなどと主張しているが,その実態は不明である。また,後記のとおり,都労委委員の1日当たりの報酬額は,平成19年度で最低額が約7万9432円,最高額が約16万3984円,平成20年度で最低額が7万3570円,最高額が12万9048円である。そして,委員の勤務日における勤務時間は,上記のとおり,各期日の開催時間がおおむね1時間から2時間程度であり,また,総会及び公益委員会議については,おおむね20分から70分程度であるから(別紙8-1・2),仮に,例外的に期日が3時間を超えたり,期日前後の打合せ等があったりしたとしても,当該活動等に対する対価は,上記の1日当たり報酬額で十分に賄われており,高額にすぎることはあっても,不足があるとは到底評価できない。
被告らは,都労委委員は,期日外にも活動を行っていると主張しているが,その実態は不明であり,仮に活動実態があるとしても,上記のとおり,都労委委員の1日当たりの報酬額が高額なのであるから,かかる報酬により賄われているものと評価できる。なお,被告らは,救済命令等の状況を説明しているが(乙18),これらのための勤務日数は,別紙5-1・2中の各「調査等」欄記載の日数に含まれる。
(d) 各種会議の出席等について
被告らの主張によれば,「各種会議」というのは,別紙9記載の会議のことであるというのであるから,前記(a)の「全国レベル又は地域レベルの会議」のことにすぎない。したがって,別途,都労委委員の活動として評価する必要はない。なお,被告らは,上記会議の運営委員となった都労委委員は,事務局との各種調整等を行っていると主張しているが,これらの活動は,都労委委員の1日当たりの報酬額が高額なのであるから,かかる報酬により賄われているものと評価できる。
(e) 研修の実施について
被告らの主張によれば,研修担当となった都労委委員がテーマを設定し実施しているとのことであるが,担当委員は不明であり,また,平成19年4月から平成21年3月までの2年間に実施された研修は,計5回,所要時間は各1時間合計5時間にすぎない(別紙10)。したがって,これらの活動についても,仮に都労委委員が担当等をしていたとしても,前記のとおり,都労委委員の1日当たりの報酬額が高額なのであるから,かかる報酬により賄われているものと評価できる。
(f) 命令取消訴訟について
被告らの主張によれば,命令取消訴訟における答弁書,準備書面の作成等の訴訟行為は,都労委公益委員の中から選任された弁護士が訴訟代理人として,指定代理人と共同して行うものというのであるから,訴訟代理人としての職務にすぎず,「公益委員」としての勤務として評価されるべきものではない(被告らも,「公益委員の立場で直接に,答弁書,準備書面の作成や出廷などの訴訟活動を行うものではない」ことを認めている。)。
なお,被告らは,不当労働行為事件を担当した都労委公益委員は,必要に応じて,意見を述べたり,打合せをしたりすると主張しているが,仮に真実,このような活動がなされていたとしても,これらの活動は,前記のとおり,1日当たりの報酬額が高額なのであるから,かかる報酬により賄われているものと評価できる。
b 都労委委員の1日当たり報酬額について
以上のとおり,別紙9記載の会議を加味した,都労委委員の稼働日数は,別紙5-1・2記載のとおりであり,同表記載以外の都労委委員の具体的な活動は認め難い。それを踏まえて,平成19年度及び平成20年度の各委員の活動日数及び1日当たりの報酬額を算定すると,以下のとおりとなる。
(a) 平成19年度について
① 別紙5-1記載のとおり,都労委委員の毎月の平均稼働日数は,3日から6.92日にすぎない。
② 1日当たりの報酬額について
別紙5-3記載のとおり,都労委委員の1日当たり報酬額は,最低額が7万9432円,最高額が16万3984円である。
国の場合と比較すると,都労委公益委員の上記1日当たりの報酬額は,国の基準(1日当たり3万5300円)の2.25倍から4.65倍にも相当する高額なものとなる。また,ほとんどの都労委委員が,国の最高限度額10万円を超えて支給を受けている。
(b) 平成20年度について
① 別紙5-2記載のとおり,都労委委員の毎月の平均稼働日数は,4.17日から6.67日にすぎない。
② 1日当たりの報酬額について
別紙5-4記載のとおり,都労委委員の1日当たり報酬額は,最低額が7万3570円,最高額が12万9048円である。
ちなみに,国の場合と比較すると,都労委委員の上記1日当たりの報酬額は,国の基準(1日当たり3万5300円)の2.08倍から3.66倍にも相当する高額なものとなる。また,ほとんどの都労委委員が,国の最高限度額10万円を超えて支給を受けている。
c 以上のとおり,都労委委員の勤務の実情は,毎月の平均稼働日数からしても,また,1日当たりの報酬額からしても,法203条の2第2項本文の日額報酬制の原則に矛盾抵触して著しく妥当性を欠くものであって,かかる原則の例外として,非常勤職員であっても,月額報酬とすべき合理性の認められる「特別の事情」は存しない。
(ウ) 都労委公益委員への報酬の違法性
都労委公益委員には,月額報酬とは別に,労働争議のあっせん等の職務を行う際には,1回につき3800円の支給を受けている。このことからしても,都労委公益委員の月額報酬が,勤務に対する反対給付としての性格を有するものではなく,常勤職員に支給されるべき給与(生活給)としての性格を有するものであることは明らかである。本件都労委報酬規定は,非常勤職員に対する報酬は,生活給ではなく,勤務に対する反対給付とすべきという法203条の2第2項の趣旨を逸脱し,違法・無効というべきである。
また,都労委公益委員の場合,月額報酬を支給していながら,月額報酬のほか,①労働争議のあっせん,調停又は仲裁,②不当労働行為についての調査,審問,和解その他これらに類する職務に従事した日について,日額報酬を加算するとされており,この規定は同一日の執務に関し日額報酬のほか月額報酬を二重に支払っているから,この点からも違法・無効である。
被告らは,日額3800円を低額であるとするが,その根拠は不明であるし,月額報酬47万4000円に加えて日額が支給されるのであるから,合計すれば高額といわざるを得ない。日額3800円が支給される職務について,被告らは,特に負担が重い,あるいは,担当案件によって委員の負担に差が生じる可能性があると主張するが,そのような主張も,月額報酬に加えて,日額報酬の支給が許容される根拠とはなり得ない。都労委公益委員の職務の中に,特に負担が重い職務があり,担当案件によって,委員の負担に差異が生じるのであれば,まさに,当該担当職務に従事した日数に応じて,日額報酬とすることが最も合理的であり,法203条の2第2項の趣旨に合致するはずである。にもかかわらず,都労委委員の担当する職務の負担の軽重にかかわらず,一律同額の月額報酬としていることには何らの合理性もなく,裁量の逸脱又は濫用が認められることは明らかである。
オ 以上のとおり,都選管委員等及び都労委委員の執務実態は,常勤の職員と同じとは到底いえないから,本件各報酬規定は,法203条の2第2項本文に違反し無効である。
カ 被告らの主張に対する反論等
(ア) 被告らは,職務内容の専門性や責任の重大性を理由に,月額報酬とすることになお合理性がある旨主張しているが,そもそも専門性を有することから,社会的貢献をすべきだといえるとしても,金銭的に高い評価をすべきということにはならない。専門性が高いことを第一に金銭の多寡に結びつけるとなると,高額報酬を払える自治体には専門性の高い委員が来て,低額報酬しか払えない自治体には専門性の低い委員しか来ないという関係が確立してよいということになってしまう。日額報酬か月額報酬かの分かれ目は,委員の実際の作業負担の重さであり,それを出勤日数や仕事の内容の困難さ及び煩雑さなどによって判断することになる。責任の重大性についても,本件各委員の業務遂行はあくまでも執行機関としての行為であるから,そのような枠組みを超えて,本件各委員個人が個別に多額の損害賠償責任を追及されることもあり得ず,したがって,上記の責任の重大性というのは,あくまでも本件各委員の職務についての一般的・抽象的なものにすぎず,それを直ちに本件各委員の報酬に具体的に反映させる必要があるものではない。その意味からも,責任の重大性をもって,日額報酬を月額報酬とするほどの特別の事情には当たらない。
(イ) 行政委員会の委員の報酬について,全国の地方公共団体で月額制から日額性へ見直す動きが進んでいる。神奈川県では,条例を改正し,平成22年4月1日から行政委員会の報酬を原則日額制に変更しているし,このほか,都道府県では青森県でも平成22年度から一部日額制に改めることに変更されており,他の道府県,政令市,中核市などでも同様の動きが広がっており,東京都においても,こうした地方公共団体の取り組みにならい,行政委員会委員の月額報酬制度を自主的に見直すべきである。
(ウ) 被告らは,東京都においては,東京都特別職報酬等審議会の答申を受けて決定された特別職の報酬額の改定率を参考にして,各行政委員の報酬額を決定しており,都議会に裁量権の逸脱又は濫用はないと主張している。
しかし,そもそも,東京都特別職報酬等審議会による答申(乙35の1ないし3)は,議長,議員,知事等に関する報酬額を答申したものにすぎず,行政委員の報酬について直接答申したものではない。
そして,被告らの主張によれば,東京都議会は,かかる「答申に基づく特別職の報酬額を参考として」,各行政委員の報酬額を決定しているとのことだが,その決定方法は,議員の報酬額の一定割合の額とするというにすぎず,結局,東京都の特別職報酬等審査会では,行政委員の報酬についての適切な審議はされておらず,また,都議会でも,各行政委員会の活動実態等を真しに議論して報酬を決定した形跡はない。上記の割合に,法203条の2第2項に適合するようないかなる根拠があるかも不明である。
(エ) 法203条の2第2項について
被告らは,何ら具体的な根拠を示すことなく,東京都議会の裁量の逸脱又は濫用はないと主張している。しかし,裁量に関する適法違法の司法審査に当たっては,まず,裁量判断を行った側から,その裁量判断が合理的であることの主張立証がされることが大前提であり,かかる一応の主張立証がされた裁量判断の過程と内容に対して,裁判所が,その判断過程の合理性・適切性の有無を審査することとなる。しかしながら,被告らからは,月額報酬とする「特別な事情」があると判断した過程や根拠についての具体的説明はない。
そして,行政委員の報酬がどのような金額であってもよいわけではない。問題は,行政委員の報酬が実働に比べて著しく高額であるという点にこそあり,原告らが本件で問題にしていることも,1か月間の勤務日数が数日にとどまる行政委員の報酬は平均的な日額報酬を目安として日割りないし日割り相当額で支払うことを基本とすべきであって,勤務内容の難しさ(専門性など),勤務の過密さ,委員会の準備に膨大な時間を要することなど特別な事情がない限り,月額で高額な報酬を支出すべきではないというものであり,被告らが主張しているように,単純・広範な裁量が認められるものではない。
(オ) 法203条の2第2項ただし書が設けられた昭和31年当時は,戦後の民主政治がまだ定着しておらず,人事委員会と選挙管理委員会において,様々な問題が山積し,あるいは,頻繁に委員会に出席しなければならない状況があり,月額報酬とすることに相当の合理性があったものと思われる。しかし,それから,50年余が経過し,この間に,人事上の問題にしろ,選挙管理上の問題にしろ,無数の実務経験の蓄積により,様々な問題について対処法が確立し,事務局職員において多くの事項について対処できるようになった。とくに,選挙管理委員会については,公職選挙制度の運用が法律に基づく選挙の実行であるため,マニュアル化を進めることが容易であり,ほとんど類型化しており,事務局だけで運用できるに至っている。そのため,委員は事務局の作業内容の説明を受け,確認するだけでよい勤務実態になっている。
行政委員会の委員の人選や報酬額に住民の注目が集まらないことをよいことに,執行部と議会のなれ合いで,議員OBや職員OBを委員に選び,彼らのために(現職議員,現職員にとっては,将来の自分たちのために),無批判的にお手盛りすることが可能であり,比較的に財源が豊かな自治体では当然のこととしてお手盛りが横行してきた。特に,報酬が高く,仕事が楽な行政委員に議員OBや職員OBが天下りするという構造ができ上がり,行政委員の人選についても報酬額についても議会はチェック機関として機能しなくなった。
都選管委員等については,月額報酬が高額で,選挙時期以外は月数回の短時間の会議等に出席するだけでよく,しかも,事務局がほとんどお膳立てをしているので,都選管委員等が選挙関連法令等に関する専門的な特別の能力をフルに発揮して取り組まなければならないようなことは何もない。つまり,都選管委員等は苦労せずして,高額の月額報酬をもらえる。そのような恵まれた勤務条件のため,都選管委員等の人選には際立った特徴が現れ,都選管委員等は,警視庁OB(元警視監)及び議員OBの天下りのポストとなるに至っている。月額報酬が数万円程度にとどまるのであればともかく,10万円を超える高額になってくると,特に議員OBや職員OBである場合には,委員らは,だれも任期途中でポストを自ら放棄する気にはならないし,現職の議員や職員らがOBに対して辞職を勧めることもあり得ないから,その弊害はより深刻である。現に,長きにわたり病欠していた選挙管理委員が高額の月額報酬を得ていた事例もあった。月額報酬制には,議員OBや職員OBが行政委員に就任できる仕組みになっている限り,上記事例と同じ事態を生じさせる危険が組み込まれているのであり,だからこそ,日額報酬制を原則とすることに合理性があるのであって,月額報酬制にすることについては極めて慎重であるべきである。
(被告らの主張の要旨)
ア 法203条の2第2項ただし書の趣旨等について
法203条の2第2項のただし書が追加されるに至った昭和31年の法の一部改正の経緯,その改正に伴い発出された昭和31年の自治庁次長通知(昭和31年8月18日付け自乙行発第24号)における説明及び昭和31年の行政実例(昭和31年7月31日付け自丁公発109号)によれば,法203条の2第2項ただし書は,主に執行機関の委員を念頭に,単に勤務実態だけではなく,その職務の性質,内容及び責任の度合いに基づき,地方公共団体の議会が自主的判断により,非常勤の委員,職員等について,月額等,日額によらない報酬支給をすることができるようにするため設けられたものであるといえる。
そして,以上のことは,法の構造や条文の文言からしても明らかである。法は,職員,委員の勤務実態が常勤の職員と同じ場合であれば,常勤職員に給料及び諸手当を支給するとする法204条の規定とは別に,法203条の2第2項本文が非常勤職員に勤務日数に応じて報酬を支給することを定め,その例外として,ただし書において,特別な定めをした場合については,月額等により報酬を支給できる旨を定めている。仮に,同項ただし書が適用される場合が,原告主張のように勤務実態が常勤の職員とほとんど同様である場合のみに限られるとするならば,法204条とは別に法203条の2第2項を置く必要はない。にもかかわらず,立法において,あえて法204条とは別に,法203条の2第2項本文の例外として,「ただし,条例で特別の定めをした場合は,この限りではない。」との規定を設け,しかも,条例で特別の定めをなし得る場合について特に限定していないことからすれば,同項ただし書が適用される場合については,法204条が適用される常勤の職員,委員と勤務実態がほとんど同様なものである場合だけに限定される趣旨ではなく,より広い例外を認めているものと考えられる。
イ 原告らは,昭和31年当時は選挙管理委員会等に様々な問題が山積する等していて月額報酬とすることに相当の合理性があったかもしれないが,それから50年余りが経過して現在はその合理性がないと主張する。しかしながら,地方分権が進展し,地方自治の一層の重要性が認められる現在,地方自治を尊重する観点から,執行機関である行政委員会の委員等については,勤務日数で評価することが相当でない場合に,普通地方公共団体の自主性を尊重して,普通地方公共団体の議会に日額報酬の例外を条例で定め得る裁量権を与えたという法203条の2第2項の立法趣旨が,合理性を欠くようになったということはできない。
また,原告らは,法203条の2第2項ただし書に基づく条例の制定には,議会の単純・広範な裁量が認められるわけではないと主張する。しかしながら,条例制定は議会の広範な裁量事項であり,法の解釈においても普通地方公共団体の自主立法権を尊重すべきであるから,議会の判断は原則として尊重されるべきであり,法203条の2第2項ただし書に基づく条例が当該ただし書によって議会に与えられた裁量権を逸脱・濫用したというには,当該非常勤職員の職務の性質等に照らし,明らかに日額制以外の方法による報酬支給が不相当であると認められる場合に限られるというべきである。本件各委員は,いずれも立法者が日額制の例外を認める必要があるとして念頭に置いていた執行機関に属する行政委員会の委員であり,その職務内容,法律上の地位は,既に主張したとおり,専門的識見を有する者から選ばれ,法令上広範かつ重要な職務権限を行使することが予定され,公平性や中立性確保のため,任期中を通じて,一定の活動の制限や服務上の義務も課されているものであって,勤務日数で評価することが相当でないことは明らかであり,その報酬を月額をもって支給するものとすることは不合理ではない。また,後述するとおり,本件各委員の職務は,委員会の出席のみが勤務量の全てではなく,そもそも委員会における討議ないし意見交換,決議等のためには相応の準備が必要であることは被告において具体的に立証するまでもなく,容易に推認できるところであり,この点からしても勤務日数で評価することが相当でないことは明らかであって,その報酬を月額をもって支給するものとすることは不合理ではない。
さらに,非常勤職員の報酬を具体的にいくらとするかは議会の広範な裁量に任されていることであり,それは報酬を月額で支給する場合も同様であり,その額が明らかに不合理といえるほど高額な場合に限って,裁量権の逸脱,濫用となるものである。本件各委員の報酬額は,東京都特別職報酬等審議会の答申に基づき決定されている議員の報酬額の改定率を参考に決定してきているのであり,議会に裁量権の逸脱・濫用があるということはできない。これに対し,原告らは,東京都特別職報酬等審議会は,行政委員会の報酬について直接答申しているわけではなく,結局,議会は,議員の報酬額に対する割合で,各行政委員会の委員の報酬月額を決めているだけであって,上記割合に,法203条の2第2項に適合するような,いかなる根拠があるのかも全く不明であると主張している。しかしながら,非常勤の特別職たる行政委員会の委員の具体的な報酬額の定めは議会の広範な裁量に任されているのであって,その適否は,前述のとおり,あくまで明らかに不合理といえるほど高額なものとなっているか否かの観点から審査されるべきものである。そして,議員の月額報酬については,後述するとおり,特別職報酬等審議会が都の実情も勘案した検討をして答申しており,一方,議員は都選管委員等及び都労委委員と同様に非常勤特別職なのであり,その月額報酬との対比からすれば,本件各委員の月額報酬が明らかに不合理と言えるほど,高額なものとはいえないのである。
ウ 都選管委員等について
(ア)a 選挙管理委員会は,民主主義の基盤を成し,国民・住民の最も重要な政治参加の場となる選挙の管理執行を公平・公正かつ不偏不党の立場で行うために,法180条の5第1項及び181条1項の規定により,長から独立した行政委員たる合議制の執行機関として普通地方公共団体に設置されている。
都選管委員等は,選挙権を有する者で,人格が高潔で,政治及び選挙に関し公正な識見を有するもののうちから,東京都議会において選挙により選出される(法182条)。こうした選出方法をとる委員は他に例がない。そして,特に,都選管委員等のうち都選管委員長は,委員会における選挙により選任され,都選管に関する事務を処理し,委員会を代表する役割を担っている(法187条)。
選挙管理委員は,就任について議会の選挙によることとされている職であるので,特別職の地方公務員に属し,原則として地方公務員法(以下「地公法」という。)の適用はなく,非常勤とされている(法180条の5第5項,地公法3条3項1号)。選挙管理委員は,在職中,公職の選挙における候補者となることができない(公職選挙法。以下「公選法」という。)89条1項,公職選挙法施行令90条2項及び別表第2)などといった立候補制限があるし,その他にも,選挙運動の禁止(公選法136条,241条),兼職禁止,兼業禁止及び守秘義務といった身分上の制限が課されている。
b 所管事務
選挙管理委員会は,法律又はこれに基づく政令の定めるところにより,当該普通地方公共団体が処理する選挙に関する事務及びこれに関係のある事務を管理することとされていて(法186条),都選管は,具体的には,①選挙管理事務(公選法関係及び法関係等),②選挙公営制度の運営,③政治資金規正法に基づく事務,④選挙啓発事務,⑤選挙争訟事務,⑥区市町村選挙管理委員会に対する助言・支援といった事務について,管理運営を行っている。
選挙管理委員は,法180条の5に規定する,都道府県に置かなければならない執行機関である委員会の委員であり,選挙管理委員会は,当該普通地方公共団体の条例,予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令,規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を,長から独立した行政委員会たる執行機関として,自らの判断と責任において,誠実に管理し及び執行する義務を負うこととされ(法138条の2),また,法律の定めるところにより,法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて,その権限に属する事務に関し,規則その他の規程を定めることができる(法138条の4第2項)とされるなど,法令の範囲内で一定の責任と裁量を有している。
また,選挙管理委員は,地公法3条3項により,「特別職」と位置付けられるとともに,心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき,委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるとき以外はその意に反して罷免されることがない(法184条の2)など,職務の独立性が保障されている。
(イ) 都選管委員等の勤務の実態
都選管委員等の勤務は,①選挙管理委員会への出席,②選挙の執行,③啓発活動,④道府県選挙管理委員会との連携を図るための都道府県選挙管理委員会連合会及び同関東甲信越静支会への出席,⑤日常的な情報収集活動であるが,事務によっては,不測の事態への対応のため,自宅又は委員会室での待機を求められたり(②),重要な案件がある場合には,正式な会議に先立ち,事務局からの電話やファックスなどでの問合せに対応することを求められたりすることもあり(①),単に会議等への出席日数をもって定量的にとらえられるものではない。
(ウ) 都選管委員等の責任の重さ
都選管は,①所管事務の責任者であること,②選挙執行等の所管する事務の決定権者であること,③審査庁としての準司法的機能を担うこと,④選挙に関する訴訟の被告となることもあって,その責任も極めて重く,審査会や審議会等の委員やその他の非常勤職員とは明らかに異なる職務内容,責任等を有している。
(エ) 本件都選管報酬規定の適法性について
以上に述べたとおり,都選管委員等は,行政の一部を担う執行機関の委員として多様な権限を有し,その責任は,被告知事と異ならないほど極めて重大で,委員の身分的制約とともに任期中不断に負っているものであり,その職務は単に定例会等の勤務日に労働力を提供すれば足りるという性質のものではないのである。
よって,単に会議等への出席のみを考慮する勤務日数による報酬とする妥当性はなく,都選管委員等の職務の重要性,義務や責任の重さ,身分上の法的制限等に鑑みると,その職責に対する考慮が必要であり,このことは法203条の2第2項ただし書の規定の趣旨に反するものではなく,本件都選管報酬規定に不合理はなく,違法・無効とはいえない。
(オ) 原告らの主張について
a 原告らは,都選管委員等の報酬が都内23区の選挙管理委員の報酬額と比較して高額であり,県レベルでも青森,秋田,神奈川など8県が日額になっていると主張している。
しかしながら,都選管委員等は都内区市町村の選挙管理委員等に対して指導・助言する立場にあり,都内区市町村の選挙管理委員等にはない職責を有し,その負担する責任も重いのであり,また,東京都と他の道府県とは,その規模(人口,財政等の規模)自体が異なるのであるから,都と区市町村あるいは他の道府県と比較することはできないものである。
そもそも,選挙管理委員の報酬を日額とするか,月額とするか,月額とした場合いくらとするかは,それぞれの議会の裁量に任されていることであって,他の自治体の状況によって本件条例の定めが違法となるものではない。
b また,原告らは,都選管委員等のポストは都議会議員OBの指定席となっていると主張しているが,都選管委員等は,法所定の手続にのっとって,その人格並びに政治及び選挙に関する識見に着目して任命されており,その選任に不当な点はないし,そもそも本件は都選管委員等に対する月額報酬についての条例の適否であって,原告らの上記主張はこれとは何ら関係しないものである。
エ 都労委委員について
(ア)a 都道府県労働委員会は,労働組合法(以下「労組法」という。)19条の12及び法180条の5第2項2号に基づき,各都道府県に必ず置かれる執行機関である。
労働委員会は,公益を代表する者(公益委員),労働者を代表する者(労働者委員)及び使用者を代表する者(使用者委員)で組織されている。会長及び会長代理は,公益委員の中から委員の選挙によって選ばれる。会長は,委員会の会務を総理し委員会を代表し,会長代理は,会長に故障がある場合において会長を代理する(労組法19条の9,19条の12第6項)。
労働委員会の委員は特別職の地方公務員に属しており(地公法3条3項2号),非常勤とされている。労働委員会の委員については,兼職禁止,兼業禁止及び守秘義務といった身分上の制限が課せられている。
b 所管事務
都道府県労働委員会は,労働組合の資格の立証を受け及び証明を行い,並びに不当労働行為に関し調査し,審問し,命令を発し及び和解を勧め,労働争議のあっせん,調停及び仲裁を行い,その他労働関係に関する事務を執行することとされている(法202条の2第3項)。
労組法19条の12及び法180条の5第2項に規定する,都道府県に置かなければならない執行機関である労働委員会は,当該普通地方公共団体の条例,予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令,規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を,自らの判断と責任において,誠実に管理し及び執行する義務を負うこととされ(法138条の2),また,法律の定めるところにより,法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて,その権限に属する事務に関し,規則その他の規程を定めることができる(法138条の4第2項)とされるなど,法令の範囲内で一定の責任と裁量を有している。
また,労働委員会の委員は,地公法3条3項により,「特別職」と位置付けられるとともに,心身の故障のために職務の執行ができないと認めたとき,又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められ,かつ,労働委員会の同意があるとき以外は,その意に反して罷免されることがない(労組法19条の12第6項及び19条の7第2項)など,職務の独立性が保障されている。
労働委員会の権限及び事務は労組法20条及び法202条の2等に規定されており,労組法,労働関係調整法(以下「労調法」という。)及び地方公営企業等の労働関係に関する法律(以下「地公労法」という。)等に基づき,労使間の紛争の処理に当たっている。
(イ) 都労委の事務について
a 労組法に基づく事務
(a) 都労委公益委員の事務
労働者委員及び使用者委員とともに,労組法及び労調法等の規定に基づく各種事項,都道府県労働委員会規則の制定及び改廃に関する事項並びにその他会長が必要と認める事項について,総会で審議を行っている。
また,公益委員会議において,主に,労組法及び労働委員会規則(以下「労委規則」という。)等の規定に基づく各種事項並びにその他会長が必要と認める事項について審議決定している。
(b) 都労委会長の事務
不当労働行為の審査に関して全般的に指揮するほか,労組法及び労委規則の各規定に基づく各種事項の事務を行っている。
b 労調法等に基づく事務
(a) 都労委会長の事務
労調法の各規定に基づく各種事項の事務を行っている。
(b) 都労委公益委員の事務
労働争議のあっせん,調停,仲裁及び実情調査等を行っている。
(ウ) 都労委公益委員の勤務の実態
都労委公益委員の勤務は,総会及び公益委員会議への出席や法令上に明記された業務にとどまらず,①不当労働行為審査事件及び労働争議の調整事件の処理,②労働組合の資格審査,③各種会議への出席,④研修の実施等,極めて広範かつ多岐にわたっており,事務(①など)によっては,相当数の件数を担当し,その処理ないしは準備のために,勤務が夜間及び期日(手続)外に及ぶこともあり,その勤務を日数や時間数で定量的に把握することが困難である。
(エ) 都労委公益委員の責任の重さ等
都労委は,①所管事務の責任者であること,②不当労働行為審査等の所管する事務の決定権者であること,③不当労働行為審査事件等について準司法的機能を担うこと,④命令取消訴訟の被告となることなどの点において,その責任も極めて重く,審査会や審議会等の委員やその他の非常勤職員とは明らかに異なる職務内容,責任等を有している。
(オ) 本件都労委報酬規定の適法性について
a 以上に述べたとおり,都労委公益委員を含む都労委委員の職務は,単に定例的な会議等や不当労働行為審査事件等の期日に登庁して労働力を提供すれば足りるという性質のものではないし,その職責は重大である。
そして,都労委公益委員は,その職責の重大性から,在任中,兼業・兼職の禁止等の身分的制約を受けているものである。
また,都労委の行う事務は,いうまでもなく専門性が高いものである上,相当程度に広範なものであり,その事務に対応して都労委を組織する都労委公益委員の職務内容も広範にわたり,日常的にも,随時,事務局と連絡,協議する必要が生ずる等,不断にその職責を担っているものである。
よって,単に会議等への出席のみを考慮する勤務日数による報酬とする妥当性はなく,都労委委員の職務の重要性,義務や責任の重さ等に鑑みると,その職責に対する考慮が必要であり,その報酬を月額とすることは法203条の2第2項ただし書の規定の趣旨に反するものではなく,そして,都労委委員の報酬月額は東京都特別職報酬等審議会で決定されているものであって,その額も不相当に高額といえるものではなく,本件都労委報酬規定に不合理はなく,違法・無効とはいえない。
b なお,本件都労委報酬規定では,都労委公益委員に対しては,①労働争議のあっせん,調停,②仲裁及び不当労働行為についての調査,審問,和解その他これらに類する職務の従事日数による額(3800円)の支給も別途されるところ,これは,上記①及び②の職務は,委員の職務の中でも特に負担が重いものであり,また,それぞれの委員が担当する案件によって委員の職務に係る負担に差が生じる可能性も考慮されたものであり,議会が有する条例制定権の裁量の範囲を超えるものではない。
この点,原告らは,同一の執務に対し,月額報酬と日額報酬を二重に支払うものであって,法203条の2第2項に違反すると主張している。しかしながら,法203条の2第2項ただし書は,勤務日数に応じてのみ報酬を支給することとする報酬支給形態以外の報酬支給形態を議会の裁量によって採用することを可能としているものであって,月額報酬を基本としつつ,日額報酬の要素を加味した支給形態を採用することも許されるものであり,かかる報酬支給形態が明らかに不相当と言えるものではなく,議会の裁量の範囲内であって違法ではない。
そして,「従事日数による額」として支給されている額は月1万7000円程度であり(証人A),月額報酬の額と合わせても不相当に高額となるものではなく,本件都労委報酬規定が議会の裁量の範囲内であることは明らかである。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件訴えの適法性)について
(1)  本件訴えのうち請求1項に係る部分について
ア 法149条は,普通地方公共団体の長は,おおむね同条1号ないし9号に掲げる事務を担任する旨を定め,同条2号は,その事務として,予算を調整し,及びこれを執行することを掲げているところ,法180条の6第1号は,普通地方公共団体の委員会又は委員は,予算を調整し,及びこれを執行する権限を有しないものとしている。他方,法180条の2は,普通地方公共団体の長は,その権限に属する事務の一部を当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して,委員会,委員会の委員長,委員又はこれらの執行機関のいわゆる補助職員等に委任することができる旨を定めており,このような事務については,委員会及び委員に係る予算の執行に係るものも含まれるものと解される。
その上で,「知事の権限に属する事務の委任及び補助執行について」(昭和51年9月11日五一総総組第76号通達。乙22)は,被告知事は,都選管と協議の上,①収支命令権は東京都会計事務規則により委任する,②東京都会計事務規則に規定する局長等の処理すべき事務を補助執行させる,③補助執行事務に係る事案の専決は,東京都事案決定規程その他通達によるものとし,選挙管理委員会事務局長にあっては知事部局の局長,選挙管理委員会事務局次長にあっては知事部局の部長,選挙管理委員会事務局の課長にあっては知事部局の課長の区分によるものとする旨を定めている。
そして,東京都会計事務規則(昭和39年東京都規則第88号。乙24)6条は,局(選挙管理委員会事務局を含む。同規則2条1号)に属する収入及び支出の命令に関する事務は,局の予算事務を主管する課長に委任する旨を定めている。
また,東京都選挙管理委員会事務局処務規程(昭和44年東京都選挙管理委員会訓令甲第1号。乙25)6条は,総務課の事務分掌として,予算,決算及び会計に関することを定め,同規程7条本文は,事案の決定は,当該決定の結果の重大性に応じ,委員会,事務局長又は課長が行う旨を定め,同規程9条は,事務局長は,委員会,事務局長又は課長の決定の対象とされる事案の実施細目を定めなければならない旨を定め,さらには,「東京都文書管理規則の解釈及び運用について」(平成11年12月21日11総総文第447号通達。乙27)第4は,主務課長は事案の細項目ごとに事案決定区分等を記載した文書管理基準表を作成する旨を定め,選挙管理委員会事務局総務課平成22年度文書管理基準表(乙28)は,都選管委員等の報酬の支出の決定は,被告都選管総務課長が行うこととしている。
以上を前提にすると,都選管委員等の報酬の支給に係る支出負担行為は,被告知事の権限に属する事務の補助執行として被告都選管総務課長の専決に係るものとされているのであり,同総務課長は,当該支出負担行為については専決権者にすぎないから,本件訴えのうち同総務課長を被告として当該支出負担行為の差止めを求める部分は,被告適格のない者を被告とするものであって,不適法である。
イ なお,被告らは,本件訴えのうち請求1項に係る部分につき,これに先行して他の住民が提起した別訴において言い渡された請求を棄却する旨の第1審判決が確定し,当該判決の既判力が同部分にも及んでいるとして,本件訴えのうち同部分は不適法である旨を主張するが,一般に,前訴の確定判決の既判力が後訴に及ぶ場合に,それにより,後訴が直ちに不適法となるものではなく,また,証拠(乙40ないし42)によれば,別訴は,上記の報酬の支給について,被告知事を被告として,その権限に属する支出負担行為の差止めを求めたものと認めるのが相当であり,本件訴えのうち上記の報酬の支給に係る支出命令につきそれに係る権限の委任を受けた被告都選管総務課長を被告として差止めを求める部分は,これとは訴訟物を異にするものというべきである。
(2)  本件訴えのうち請求2項に係る部分について
「知事の権限に属する事務の委任及び補助執行について」(平成17年7月16日一七総行革組第44号通達。乙23)は,被告知事は,都労委と協議の上,①収支命令権は東京都会計事務規則により委任する,②東京都会計事務規則に規定する局長等の処理すべき会計事務に関することを補助執行させる,③補助執行事務に係る事案の決定は,東京都事案決定規程その他通達によるものとし,都労委事務局長にあっては知事部局の局長及び部長,都労委事務局の課長にあっては知事部局の課長の区分によるものとする旨を定めている。
そして,東京都会計事務規則6条は,局(労働委員会事務局を含む。同規則2条1号)に属する収入及び支出の命令に関する事務は,局の予算事務を主管する課長に委任する旨を定めている。
また,東京都労働委員会事務局処務規程(昭和42年東京都労働委員会訓令甲第72号。乙26)3条は,総務課の分掌事務として,事務局の予算,決算及び会計に関することを定め,同規程7条は,事案の決定は,当該決定の結果の重大性に応じ,事務局長又は課長が行うものとし,同規程10条は,事務局長は,あらかじめ総務局長と協議し,同規程7条から9条までの規定により事務局長又は課長の決定の対象とされる事案の実施細目を定めなければならない旨を定め,さらには,「東京都文書管理規則の解釈及び運用について」第4は,主務課長は事案の細項目ごとに事案決定区分等を記載した文書管理基準表を作成する旨を定め,平成22年度労働委員会事務局文書管理基準表(乙30)によれば,都労委委員の報酬の支出の決定は,被告都労委総務課長が行うこととされている。
以上を前提にすると,都労委委員の報酬の支給に係る支出命令をする被告知事の権限は,予算事務を主管する課長である被告都労委総務課長に委任されているものと認められる。他方,当該支給に係る支出負担行為は,被告知事の権限に属する事務の補助執行として同総務課長の専決に係るものとされているのであり,同総務課長は,当該支出負担行為については専決権者にすぎない。そうすると,本件訴えのうち被告知事を被告とする当該支出命令の差止めを求める部分及び被告都労委総務課長を被告とする当該支出負担行為の差止めを求める部分は,いずれも被告適格のない者を被告とするものであって,不適法である。
2  争点(2)(本件各報酬規定が法203条の2第2項の規定に違反し違法・無効であるか)について
(1)  法203条の2第2項ただし書は,普通地方公共団体が条例でいわゆる日額報酬制以外の報酬制度を定めることができる場合の実体的な要件について何ら規定していない。また,委員会の委員を含め,職務の性質,内容や勤務態様が多種多様である普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。以下「非常勤職員」という。)に関し,どのような報酬制度が当該非常勤職員に係る人材確保の必要性等を含む当該普通地方公共団体の実情等に適合するかについては,各普通地方公共団体ごとに,その財政の規模,状況等との権衡の観点を踏まえ,当該非常勤職員の職務の性質,内容,職責や勤務の態様,負担等の諸般の事情の総合考慮による政策的,技術的な見地からの判断を要するものということができる。このことに加え,証拠(乙1ないし6)により認められる昭和31年の法の改正の経緯も併せ考慮すれば,法203条の2第2項は,普通地方公共団体の委員会の委員等の非常勤職員について,その報酬を原則として勤務日数に応じて日額で支給するとする一方で,条例で定めることによりそれ以外の方法も採り得ることとし,その方法及び金額を含む内容に関しては,上記のような事柄について最もよく知り得る立場にある当該普通地方公共団体の議決機関である議会において決定することとして,その決定をこのような議会による上記の諸般の事情を踏まえた政策的,技術的な見地からの裁量権に基づく判断に委ねたものと解される。したがって,普通地方公共団体の委員会の委員を含む非常勤職員についていわゆる月額報酬制その他の日額報酬制以外の報酬制度を採る条例の規定が法203条の2第2項に違反し違法,無効となるか否かについては,上記のような議会の裁量権の性質に鑑みると,当該非常勤職員の職務の性質,内容,職責や勤務の態様,負担等の諸般の事情を総合考慮して,当該規定の内容が同項の趣旨に照らした合理性の観点から上記裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものであるか否かによって判断すべきものと解するのが相当である(最高裁平成22年(行ツ)第300号ほか同23年12月15日第一小法廷判決・裁判所時報第1546号13頁参照)。
(2)  都選管委員等について
ア 都選管の構成
選挙管理委員会は,4名の委員をもって組織され(法181条2項),委員の中から1名が委員長に選挙される(法187条1項)。
イ 職務の性質,職責等
普通地方公共団体に置かれる委員会としての選挙管理委員会は,独自の執行権限を持ち,その担任する事務の管理及び執行に当たって自ら決定を行いこれを表示し得る執行機関であり(法138条の3,138条の4,180条の5第1項2号),その業務に即した公正中立性,専門性等の要請から,普通地方公共団体の長から独立してその事務を自らの判断と責任において誠実に管理し執行する立場にあり(法138条の2),その担任する事務について訴えが提起された場合には,その長に代わって普通地方公共団体を代表して訴訟追行をする権限も有する(法192条)など,その事務について最終的な責任を負う立場にある。
その委員の資格についても,一定の水準の知識経験や資質等を確保するための法定の基準又は手続が定められている(法182条1項)。
ウ 職務の内容
選挙管理委員会は,法律又はこれに基づく政令の定めるところにより,当該普通地方公共団体が処理する選挙に関する事務及びこれに関係のある事務を管理するものとされ(法186条),都選管は,具体的には,以下のとおり,広範で多岐にわたる事務について管理運営を行っている。
(ア) 選挙管理事務
以下の選挙等の執行管理に係る事務を行っている。
a 公選法関係
(a) 東京都議会議員選挙及び東京都知事選挙の管理(公選法5条)
(b) 衆議院(小選挙区選出)議員選挙及び参議院(東京都選挙区選出)議員選挙の管理(公選法5条)
(c) 衆議院(比例代表選出)議員選挙及び参議院(比例代表選出)議員選挙における東京都選挙区分に関する事務の執行(公選法75条等)
b 法関係ほか
(a) 直接請求に必要な署名数の告示(法74条5項,75条5項,80条4項,81条2項,86条4項,81条及び86条並びに地方教育行政の組織及び運営に関する法律8条2項)
(b) 都議会の解散の請求,都議会議員及び都知事の解職の請求に関する事務並びにそれらの投票の実施(法76条,77条及び80条ないし82条)
(c) 都知事の被選挙権の有無及び長の兼業禁止規定抵触の有無の決定(法143条1項)
(d) 東京都のみに適用される特別法の制定の賛否の投票の実施(法261条3項)
(e) 海区漁業調整委員会委員選挙の管理並びに同委員の解職の請求に関する事務及びその投票の実施(漁業法88条及び99条)
(f) 土地改良区総代会の総代選挙で2つ以上の区市町村の区域にわたるもの等の管理並びに同総代の解職請求に関する事務及びその投票の実施(土地改良法23条及び24条,土地改良法施行令5条及び42条)
(g) 最高裁判所裁判官国民審査に関する事務の執行(最高裁判所裁判官国民審査法10条,14条3項,27条,28条及び53条)
(h) 政党助成法に関する事務の執行(政党助成法18条,32条及び37条)
(i) 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律に関する事務の執行
(イ) 選挙公営制度の運営,選挙管理事務(乙11ないし14,38,証人B(以下「証人B」という。),弁論の全趣旨)
a 都選管は,公選法又は条例に基づき,候補者間の選挙運動の機会均等を保障することを目的として,ポスター掲示場の設置,政見放送及び選挙公報の発行などといった選挙公営制度の実施運営に当たっている。
b 都選管は,①選挙の執行計画の策定,②区市町村の選挙管理委員会への説明及び協力依頼,③立候補届出の受付及び告示,④不在者投票所の視察,⑤当選者の決定等の投開票日の対応,⑥当選証書付与などの事務について,管理運営を行っている。
(ウ) 選挙啓発事務(乙11,12,14,38,証人B)
都選管は,公選法6条1項の規定に基づき,選挙が公明かつ適正に行われるように,常にあらゆる機会を通じて選挙人の政治常識の向上に努めるとともに,特に選挙に際しては投票の方法,選挙違反その他選挙に関し必要と認める事項を選挙人に周知させなければならないとされ,具体的には,明るい選挙の推進運動活動等,啓発グッズの配布等の街頭巡回啓発活動及び選挙ポスターのコンクール等の各種啓発事業を行っている。
(エ) 選挙争訟事務(乙11,14,38,証人B)
以下のとおり,選挙の効力及び当選の効力に関する異議の申出又は審査の申立てに対し,決定又は裁決をするという準司法的機能を担うとともに,訴訟事件の被告としての対応もしている。
a 都議会議員選挙及び都知事選挙における選挙の効力及び当選の効力に関する異議の申出に対する決定(公選法202条1項及び206条1項)
b 区市町村の選挙に係る異議の申出に対して区市町村選挙管理委員会がした決定を不服としてされる審査の申立てに対する裁決(公選法202条2項,206条2項及び266条)
c 都選管による上記aの決定又はbの裁決を不服として訴訟の提起があった場合における被告としての対応(公選法203条,207条及び266条)
d 衆議院議員又は参議院議員(いずれも比例代表選出を除く。)の選挙の効力及び当選の効力に関する訴訟の提起があった場合における被告としての対応(公選法204条及び208条)
(オ) 区市町村選挙管理委員会との連携とこれらの委員会に対する助言・支援(乙11,12,14,38,証人B)
都内の区市町村選挙管理委員会と緊密な連携を取り,必要な助言・支援の業務を行っている。
(カ) 政治資金規正法に基づく事務(乙14)
a 政治団体の届出等に関する事務(政治資金規正法6条,6条の3,7条,7条の2,7条の3及び17条)
b 政治団体の収支報告書の受付,要旨の公表及び保存・閲覧に関する事務(政治資金規正法12条,20条及び20条の2)
c 資金管理団体等に関する事務(政治資金規正法18条の2,19条,及び19条の2)
d 監督上の措置(政治資金規正法31条)
エ 勤務の態様,負担等
(ア) 選挙管理委員会への出席(甲7の1・2,乙11,13,38,証人B)
都選管委員等は,原則として毎月2回開催される定例会や選挙(東京都議会議員選挙,東京都知事選挙,衆議院議員選挙及び参議院議員選挙)時等に開催される臨時会に出席し,選挙に関連する事項について議決,協議等を行っている。
平成19年度及び平成20年度における定例会及び臨時会の開催状況は,別紙6-1・2のとおりである。
各定例会及び臨時会では,選挙の執行計画,訴訟への対応方針,条例の制定依頼,事務局の年間執行計画,予算案の策定など極めて多岐にわたる事案の決定を行うとともに,随時,事務局から報告を受けてその内容を検討するなどしている。
そして,議案によっては,委員会での正式審議の前後に打合せを行うほか,会議以外でも,電話やファックスによる事務局からの随時の問合せにも対応することがある。
(イ) 選挙管理事務,選挙公営制度の運営(甲7の1・2,乙11,13,38,証人B)
a 各選挙時の告示日又は公示日にあっては,都選管委員等は,都庁に登庁して立候補届出受理のために会場において待機し,委員会終了後も委員室又は自宅において待機している。
告示日又は公示日から投開票日の間に不測の事態が発生した場合に備えて,都選管委員等は自宅又は都庁で待機して,外出の際にも事前連絡により居所及び連絡方法を明らかにするなどし,事務局からの問合せに対応している。
投開票当日には,都選管委員等は自宅で待機し,委員会が開催される夕方には都庁に登庁し,数回の委員会に出席するとともに,その間の休憩時間中も都庁で待機している。
b 当選証書の付与については委員自身が直接行っている。
c この他,選挙期間中,都選管委員等は,警視庁に対する警備要請や不在者投票施設の視察等も行っている。
(ウ) 選挙争訟(乙11,38,証人B)
都選管委員等は,選挙争訟の審理に当たって,事務局と連携しながら審理の方向性の検討を行うとともに,事務局に対して,必要に応じて申立人からの聴取を行う等の指示を行う。また,事案に応じて,委員会前後の時間を利用した意見交換を行い,委員会としての意見書を作成することもある。
審議の準備のために,資料を自宅に持ち帰って検討もしている。
(エ) 平成19年度及び平成20年度における都内区市町村選挙管理委員会との連携のための会議等への参加,都内区市町村執行選挙の支援,啓発活動等の実績については,別紙7-1・2のとおりである(甲7の1・2,乙11,12,38)。
(オ) その他,都選管委員等は,日常的に書籍等を購読するなど,情報収集に努めている(乙11,38)。
オ 前記アないしエに認定したような都選管委員等の職務の性質及び職責の重要性に照らせば,都選管委員等については,その業務に堪え得る一定の水準の適性を備えた人材の一定数の確保が必要となるし,その業務内容が,選挙の管理という重要な事項に関わるものを中心とする広範で多岐にわたるものであることからすると,公正中立性に加えて,一定の専門性が求められるものであるというべきである。また,都選管委員等が,前記ウのように広範で多岐にわたる一連の業務について執行権者として決定をするには,各般の決裁文書や資料の検討等のため登庁日以外にも相応の実質的な勤務をすることが必要となる上,選挙期間中における緊急事態への対応に加えて衆議院や都議会の解散等による不定期な選挙への対応も随時必要となる。さらには,事件の審理や判断及びこれらの準備,検討等に相当の負担を伴う選挙争訟については争訟を裁定する権能を有しており,これらの争訟に係る案件についても,登庁日以外にも書類や資料の検討,準備,事務局等との打合せ等のために相応の実質的な勤務が必要となるものといえる。加えて,上記のような業務の専門性に鑑み,その業務に必要な専門知識の習得,情報収集等に努めることも必要となる。
そうすると,都選管委員等の業務については,形式的な登庁日数のみをもって,その勤務の実質が評価し尽くされるものとはいえず,国における非常勤の職員の報酬との実質的な権衡の評価が可能となるものともいえないというべきである。
そして,以上の諸般の事情のほか,東京都においては,東京都特別職報酬等審議会条例(昭和39年東京都条例第129号。乙34)に基づき,東京都議会議員の議員報酬の額並びに被告知事及び副知事の給料の額(以下「報酬等の額」という。)について被告知事からの意見の求めに応じ審議するため,被告知事の附属機関として,東京都特別職報酬等審議会が設置され(同条例1条),被告知事は,報酬等の額に関する条例を東京都議会に提出しようとするときは,あらかじめ当該報酬等の額について審議会の意見をきくものとされており(同条例2条),東京都特別職報酬等審議会は,報酬等の額を検討するに当たって,主要な指標として消費者物価(東京都区部),一般職の俸給(給料)月額(国及び都),指定職の俸給(給料)月額(国及び都)等を考慮しているところ(乙35の1ないし3),東京都は,昭和22年7月1日,東京都選挙管理委員の報酬等について,本件都選管報酬条例を制定し,報酬の額として,委員長につき月額3000円,その他の委員につき月額2000円と定め(乙32),それ以降,東京都は,経済情勢等に鑑みて報酬の額の改定をし,近年においては,東京都の特別職の報酬の額の改定率を参考にしながら,翌年度の報酬の額が定められていること(弁論の全趣旨),平成23年東京都条例第20号による改正前の都選管委員等の報酬の額が,委員長につき53万円,その他の委員につき43万3000円であり,上記の審議会の答申における平成21年度の東京都議会議員の報酬の額である1か月当たり103万3000円(乙35の3)と比較して,委員長がその約2分の1,その他の委員が更にその約5分の4であること,東京都にあっては,都の実情として,管轄すべき地区が多く,人口も極めて多く,選挙人及び被選挙人数が多数に上り,選挙の実施に際しては,投票箇所や集計箇所が多数生じ,統括すべき事務の内容や,指揮すべき補助職員数も多数に上って,全体としての運営が複雑化,多忙化する中で,これを迅速,適正に実施する職責は極めて大きなものであることに加え,日常的な啓蒙活動についても同様であること(弁論の全趣旨),原告らが指摘する国家公務員における非常勤の委員等に支給される手当の限度額との対比は,都選管委員等の報酬の額の相当性を判断する上で,1つの目安となり得ないではないものの,これが絶対的な判断基準としての意味を有するとか,これとの差のいかほどまでが法により許容される範囲であるとは断じ難いというべきこと等を総合考慮すれば,都選管委員等について月額報酬制を採る本件都選管報酬規定は,その内容が法203条の2第2項の趣旨に照らして特に不合理であるとは認められず,議会の裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとはいえないから,同項に違反し違法,無効であるということはできない。
以上と異なる原告らの主張は,いずれも採用し難いものといわざるを得ない。
(3)  都労委委員について
ア 都労委の構成
都労委は,公益を代表する公益委員,労働者を代表する労働者委員及び使用者を代表する使用者委員各13名,合計39名の委員をもって組織される(労組法19条及び19条の12第2項,労働組合法施行令25条の2及び別表第3)。
会長は,公益委員のうちから選挙される(労組法19条の12第6項,19条の9第2項)。会長代理は,あらかじめ公益委員のうちから委員の選挙により,会長に故障がある場合において会長を代理する委員として定めておかれる(労組法19条の12第6項,19条の9第4項)。
イ 職務の性質,職責等
普通地方公共団体に置かれる委員会としての労働委員会は,独自の執行権限を持ち,その担任する事務の管理及び執行に当たって自ら決定を行いこれを表示し得る執行機関であり(法138条の3,138条の4,180条の5第2項2号),その業務に即した公正中立性,専門性等の要請から,普通地方公共団体の長から独立してその事務を自らの判断と責任において,誠実に管理し執行する立場にあり(法138条の2),その担任する事務について訴えが提起された場合には,その長に代わって普通地方公共団体を代表して訴訟追行をする権限も有する(労組法27条の23)など,その事務について最終的な責任を負う立場にある。
その委員の資格についても,一定の水準の知識経験や資質等を確保するための法定の手続等が定められている(労組法19条の12,19条の4,19条の9)が定められている。
ウ 職務の内容(乙17,21,39,証人A,弁論の全趣旨)
都道府県労働委員会は,労働組合の資格の立証を受け及び証明を行い,並びに不当労働行為に関し調査し,審問し,命令を発し及び和解を勧め,労働争議のあっせん,調停及び仲裁を行い,その他労働関係に関する事務を執行することとされ(法202条の2第3項),都労委は,具体的には,以下のとおり,広範で多岐にわたる事務について管理運営を行っている。
(ア) 労組法に基づく事務
a 都労委公益委員の事務
都労委公益委員は,都労委の労働者委員及び使用者委員と,以下の事項について,総会で審議を行っている(労委規則3条1項1号,5条)。
(a) 労組法18条の規定による労働協約の拡張適用の決議に関する事項(労委規則5条1号)
(b) 労調法10条等の規定によるあっせん員候補者の委嘱及び解任,臨時のあっせん員の委嘱に関する事項(同条2号,3号)
(c) 労調法18条及び地公労法14条並びに労調法30条及び地公労法15条の規定による調停又は仲裁の開始に関する事項(同条4号,5号)
(d) 労組法19条の12第6項において準用する同法19条の7第2項及び19条の9の規定に基づく委員の罷免並びに会長及び会長代理の選挙に関する事項(同条6号)
(e) 労組法22条1項に定める要求,臨検又は検査に関する事項(同条7号)
(f) 都労働委員会規則の制定及び改廃に関する事項(同条8号)
(g) 都労委に置かれる特別調整委員の設置,定数及び任期又は罷免に関する事項(同条9号)
(h) その他都労委会長が必要と認める事項(同条10号)
b 都労委会長の事務
都労委会長は,不当労働行為の審査を全般的に指揮する(労委規則35条2項)ほか,次の事項の事務を行っている。
(a) 総会及び公益委員会議の招集及び議事の進行(労組法21条2項,労委規則4条1項及び2項,7条1項,8条1項並びに10条2項)
(b) 和解調書における債務名義についての執行文の付与等(労組法27条の14第6項)
(c) 労委規則32条に定める申立てに係る事務の処理を担当する事務局職員の指名(労委規則35条3項)
(d) 労委規則32条に定める申立てに係る事件についての審査を担当する公益委員の指名(労委規則37条1項)
(e) 労委規則32条に定める申立てに係る事件についての審査の併合又は分離の決定(労委規則41条1項)
(f) 労組法27条の6第1項等の規定に基づく審査の計画の策定又は変更(労委規則41条の5)
(g) 審問廷の秩序維持に必要な措置の発令(労委規則41条の7第7項)
c 公益委員会議における審議決定
公益委員会議において主に次の事項の審議及び決定をしている(労委規則3条1項2号,9条)。
(a) 労働組合の資格の審査に関する事項(労委規則9条1号)
(b) 不当労働行為に関する事項(同条2号)
(c) 労調法42条の規定による請求に関する事項(同条3号)
(d) 地公労法5条2項の規定による認定及び告示に関する事項(同条4号)
(e) その他都労委会長が必要と認める事項(同条5号)
(イ) 労調法等に基づく事務
a 都労委公益委員の事務
①労働争議のあっせん(労調法12条ないし14条),②調停委員会の調停委員としての労働争議の調停(労調法18条ないし27条),③仲裁委員会の仲裁委員としての労働争議の仲裁(労調法30条ないし34条),④公益事業に関する事件につき争議行為の予告がされた場合の実情調査及び予告がされない場合の当事者等からの通報に基づく実情調査(労調法37条,労委規則62条の2)並びに⑤職業安定法20条2項,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律24条に基づく通報を行う。
b 都労委会長の事務
①労働争議が発生した場合のあっせん員の指名(労調法12条),②労働争議の調停を行う場合の調停委員会の調停委員の指名(労調法21条)及び③労働争議の仲裁を行う場合の仲裁委員会の仲裁委員3名の指名(労調法31条の2)を行う。
エ 勤務の態様,負担等
(ア) 総会及び公益委員会議への出席(甲9の1・2,乙16,17,39,証人A)
都労委委員は,原則としてそれぞれ毎月2回開催される定例総会及び公益委員会議に出席し審議している。臨時総会が開催されることもある。
平成19年度及び平成20年度における総会及び公益委員会議の開催状況は,別紙8-1・2のとおりである。
公益委員会議では,主に,不当労働行為審査事件に係る命令案の合議及び労働組合の資格審査に係る決定を行う。
審議対象となる議題についてはあらかじめ資料等が送付され,都労委公益委員はあらかじめ検討した上で総会及び公益委員会議に臨んでいる。また,会長は,総会及び公益委員会議の際には30分前に登庁することが例となっている。
(イ) 不当労働行為審査事件及び労働争議の調整事件処理(甲9の1・2,10の1ないし24,乙17,39,証人A)
不当労働行為審査事件につき,都労委には,年間100件前後新規の申立てがなされ,前年から係属する事件を含めて400件近い事件を取り扱っている(平成21年度では,120件(全国の合計件数の約3割)の申立てがあり,同年度に取り扱った件数は393件(全国の合計件数の約4割)であった。)。平成22年度5月末現在では,都労委会長が141件,その余の委員が1人約15件の事件を担当していた。それぞれの事件について都労委公益委員,労働者委員,使用者委員から1名ずつ,計3名の委員が担当となり,調査,審問,和解等の審査手続に当たることになる。都労委委員は自らの担当事件の期日ごとに登庁し,業務を行っている。
都労委委員が担当する不当労働行為についての調査,審問,和解,労働争議のあっせん等に係る業務は,通常はおおむね1時間ないし2時間程度,長い場合は3時間を超えることもある。1日に2件以上の事件を処理する場合や夜間に至ることもある。都労委委員は,開催時間の15分ないし30分程度前には登庁し,関係書類の確認,閲読,事務局職員との打合せ等を行うことがある。また,期日(手続)の終了後も,都労委委員は,事務局職員との打合せ,別の期日(手続)の担当事件の関係書類の確認,閲読,打合せ等を行っている。
(ウ) 期日外の活動について(乙17,39,証人A)
不当労働行為審査事件又は労働争議の調整事件を担当する都労委委員は,期日外や自宅等においても資料の検討を行い,随時事務局職員に対する指示等を行っている。不当労働行為審査事件について救済命令等を発することとなった場合は,審査委員においては救済命令等の原案を作成する。また,審査委員以外の公益委員も,公益委員会議に先立ち送付を受けた救済命令等の案を検討して臨んでいる。
(エ) 労働組合の資格審査について(乙17,39,証人A)
都労委における労働組合の資格審査の取扱事件数は,平成21年度では354件(全国の合計件数の約4割)であり,同年度の申立ては181件(全国の合計件数の約3割)であった。平成22年度は,1人で平均30件程度を担当していた。
(オ) 各種会議への出席等(乙15,17,39,証人A)
都労委委員は,労働委員会の各種連絡会議に出席し,業務に関する諸課題について中央労働委員会や他道府県労働委員会の委員と意見交換を行っている。また,それらの会議の運営委員となった場合は,会議開催の1年ないし数か月前から事務局との各種調整等に当たる。
平成19年度及び平成20年度における都労委公益委員が出席した各種連絡会議の参加の実績については,別紙9のとおりである。
オ 研修の実施(乙19,39)
委員は,労働問題に係る重要判例や命令例等を素材にした研修を企画・開催している。平成19年度及び平成20年度におけるその開催実績は別紙10のとおりである。
カ 前記アないしオに認定したような都労委委員の職務の性質及び職責の重要性に照らせば,都労委委員については,その業務に堪え得る一定の水準の適性を備えた人材の一定数の確保が必要となるし,その業務内容が,労働紛争の処理等といった重要な事項に関わるものを中心とする広範で多岐にわたるものであって,公正中立性に加えて,一定の専門性が求められるものであるというべきである。また,都労委委員が,前記ウのように広範で多岐にわたる一連の業務について執行権者として決定をするには各般の決裁文書や資料の検討等のため登庁日以外にも相応の実質的な勤務が必要となる。さらには,事件の審理や判断及びこれらの準備,検討等に相当の負担を伴う不当労働行為救済命令の申立て等の処理については争訟を裁定する権能を有しており,これらの争訟に係る案件についても,登庁日以外にも書類や資料の検討,準備,事務局等との打合せ等のために相応の実質的な勤務が必要となるものといえる。加えて,上記のような業務の専門性に鑑み,その業務に必要な専門知識の習得,情報収集等に努めることも必要となる。
そうすると,都労委委員の業務については,形式的な登庁日数のみをもって,その勤務の実質が評価し尽くされるものとはいえず,国における非常勤の職員の報酬との実質的な権衡の評価が可能となるものともいえないというべきである。
そして,以上の諸般の事情のほか,その月額をもって定められた報酬の額の定め方に関する都選管委員等におけると同様の事情(乙33,34,35の1ないし3,弁論の全趣旨により認める。なお,その額は,東京都議会議員の同時期の報酬の額と比較して,会長がその約2分の1,その他の公益委員が更にその約10分の9であった。)や,東京都の規模等に応じての処理に当たるべき案件の多さ等を総合考慮すれば,都労委委員について月額報酬制を採る本件都労委報酬規定は,その内容が法203条の2第2項の趣旨に照らして特に不合理であるとは認められず,議会の裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとはいえないから,同項に違反し違法,無効であるということはできない。
原告らは,都労委公益委員については,月額をもって定められた報酬に加えて,労働争議のあっせん等の職務に従事した日数について1日当たり3800円の従事日数による額を支給することとされていることにつき,同一の執務に対し,月額報酬と日額報酬を二重に支払うものであって,法203条の2第2項に違反するものである旨等主張するが,前記ウに認定した労働争議のあっせん等の職務の内容,その勤務の態様及び負担等を考慮すると,そのような定めにつき,議会の裁量権の範囲を超え又はこれを濫用するものとまではいえない。
以上と異なる原告らの主張は,いずれも採用し難いものといわざるを得ない。
第3  結論
以上のとおり,本件訴えのうち別紙2主文関係目録記載1ないし3の各請求に係る部分はいずれも不適法であるから却下し,本件訴えのその余の部分に係る原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担については,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 八木一洋 裁判官 石村智 裁判官 藤井秀樹)

 

別紙1
当事者目録
東京都稲城市〈以下省略〉
原告 X1(以下「原告X1」という。)
東京都町田市〈以下省略〉
原告 X2(以下「原告X2」という。)
東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X3(以下「原告X3」という。)
東京都練馬区〈以下省略〉
原告 X4(以下「原告X4」という。)
原告4名訴訟代理人弁護士 高橋利明
羽倉佐知子
清水勉
佃克彦
関口正人
原告X1,原告X2及び原告X3訴訟代理人弁護士 谷合周三
原告X2,原告X3及び原告X4訴訟代理人弁護士 土橋実
原告X1,原告X2及び原告X4訴訟代理人弁護士 増田利昭
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 東京都知事 Y1
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 東京都選挙管理委員会事務局総務課長 Y2
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 東京都労働委員会事務局総務課長 Y3
被告3名訴訟代理人弁護士 石津廣司
被告東京都知事指定代理人 山口聡
同 古賀誠
被告東京都労働委員会事務局総務課長指定代理人 荒瀬尊宏
別紙2
主文関係目録
1 被告東京都選挙管理委員会事務局総務課長を被告とする東京都選挙管理委員会の委員長及び同委員会の各委員(補充員を除く。)に対して支給される月額報酬に係る支出負担行為の差止請求に係る部分
2 被告東京都知事を被告とする東京都労働委員会の会長,会長代理及び公益委員に対して支給される月額報酬に係る支出命令の差止請求に係る部分
3 被告東京都労働委員会事務局総務課長を被告とする東京都労働委員会の会長,会長代理及び公益委員に対して支給される月額報酬に係る支出負担行為の差止請求に係る部分
別紙3
関係法令の定め
第1 法について
1 法203条の2第1項は,普通地方公共団体は,その委員会の委員,非常勤の監査委員その他の委員,自治紛争処理委員,審査会,審議会及び調査会等の委員その他の構成員,専門委員,投票管理者,開票管理者,選挙長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員を除く。)に対し,報酬を支給しなければならない旨を定めている。
2 法203条の2第2項は,同条1項の職員に対する報酬は,その勤務日数に応じてこれを支給するが(同条2項本文),条例で特別の定めをした場合は,この限りでない(同項ただし書)旨を定めている。
3 法203条の2第4項は,報酬等の額及びその支給方法は,条例でこれを定めなければならない旨を定めている。
第2 本件各報酬条例について
1 本件都選管報酬条例(甲4,乙40,公知の事実)
平成23年東京都条例第20号(同年4月1日施行)による改正前の本件都選管報酬条例2条本文及び別表は,都選管委員等の報酬の額を,次のとおり定めている。
委員長 53万円(月額)
委員 43万3000円(月額)
なお,平成23年東京都条例第20号による改正後は,委員長につき52万8000円(月額),その他の委員につき43万2000円(月額)とされた。
2 本件都労委報酬条例(甲5,公知の事実)
平成23年東京都条例第50号(同年4月1日施行)による改正前の本件都労委報酬条例2条本文及び別表は,都労委委員の報酬の額を,次のとおりとし,会長以外の委員については別表に定める額と3800円に①労働争議のあっせん,調停又は仲裁(同条1号),②不当労働行為についての調査,審問,和解その他これらに類する職務(同条2号)に従事した日数を乗じて得た額(以下「従事日数による額」という。)との合計額とする旨を定めている。
会長 53万円(月額)
会長代理 47万2000円(月額)
公益委員 47万2000円(月額)
なお,平成23年東京都条例第50号による改正後は,従事日数による額以外の報酬の額について,会長につき52万8000円(月額),会長代理につき47万1000円(月額),公益委員につき47万1000円(月額)とされた。
以上

〈以下省略〉


「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)平成31年 4月26日 大阪高裁 平30(行ケ)1号 裁決取消請求事件
(2)平成30年 7月25日 東京高裁 平30(行ケ)8号 裁決取消請求事件
(3)平成30年 4月11日 知財高裁 平29(行ケ)10161号 審決取消請求事件
(4)平成30年 1月22日 東京地裁 平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(5)平成29年 8月29日 知財高裁 平28(行ケ)10271号 審決取消請求事件
(6)平成28年11月28日 名古屋高裁 平27(う)131号 受託収賄、事前収賄、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件
(7)平成28年 8月23日 東京地裁 平27(行ウ)384号 難民不認定処分取消等請求事件
(8)平成28年 5月17日 広島高裁 平28(行ケ)1号 裁決取消請求事件
(9)平成28年 4月28日 青森地裁八戸支部 平28(わ)12号 各公職選挙法違反被告事件
(10)平成28年 1月28日 東京高裁 平27(行ケ)49号 裁決取消請求事件
(11)平成27年10月27日 岡山地裁 平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(12)平成26年10月28日 東京地裁 平24(行ウ)496号 三鷹市議会議員および市長選挙公営費返還請求事件
(13)平成26年10月24日 和歌山地裁 平23(行ウ)7号 政務調査費違法支出金返還請求事件
(14)平成26年 1月16日 名古屋地裁 平23(行ウ)68号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟事件
(15)平成25年10月16日 東京地裁 平23(行ウ)292号 報酬返還請求事件
(16)平成25年 2月28日 東京地裁 平22(ワ)47235号 業務委託料請求事件
(17)平成24年 4月13日 仙台高裁 平23(行コ)24号 仙台市行政委員報酬支出差止請求控訴事件
(18)平成24年 2月29日 東京地裁 平21(行ウ)585号 公金支出差止請求事件
(19)平成23年 5月18日 東京高裁 平22(行ケ)30号 裁決取消等請求事件
(20)平成23年 2月24日 京都地裁 平20(行ウ)49号 不当利得部分返還請求行為請求事件
(21)平成22年 9月30日 東京地裁 平21(行ウ)231号 報酬支出差止請求事件
(22)平成22年 3月31日 東京地裁 平21(行ウ)259号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(23)平成22年 2月 3日 東京高裁 平21(行ケ)30号 選挙無効請求事件
(24)平成21年 9月18日 東京地裁 平20(行ウ)149号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(25)平成21年 1月30日 東京地裁 平20(行ウ)393号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(26)平成21年 1月30日 東京地裁 平20(行ウ)360号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(27)平成21年 1月30日 東京地裁 平20(行ウ)357号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(28)平成21年 1月30日 東京地裁 平20(行ウ)354号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(29)平成21年 1月30日 東京地裁 平20(行ウ)352号 損害賠償(住民訴訟)請求事件
(30)平成20年11月11日 仙台高裁 平20(行コ)13号 政務調査費返還代位請求控訴事件
(31)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)176号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(32)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)175号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟〕
(33)平成19年 4月 3日 大阪地裁 平19(行ク)27号 執行停止申立て事件
(34)平成19年 3月28日 大阪地裁 平19(行ク)24号 仮の差止め申立て事件
(35)平成19年 2月23日 鹿児島地裁 平15(わ)217号 公職選挙法違反被告事件 〔鹿児島選挙違反事件〕
(36)平成19年 2月20日 大阪地裁 平19(行ク)7号 執行停止申立て事件
(37)平成18年11月 6日 高松高裁 平18(行ケ)2号 裁決取消請求事件
(38)平成17年 5月19日 東京地裁 平12(行ウ)319号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(39)平成17年 4月27日 仙台高裁 平17(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(40)平成15年12月 4日 福岡高裁 平15(行ケ)6号 佐賀市議会議員選挙無効裁決取消請求事件 〔党派名誤記市議会議員選挙無効裁決取消請求事件〕
(41)平成15年10月23日 大阪地裁 平14(行ウ)13号 損害賠償請求事件
(42)平成15年 9月11日 函館地裁 平15(わ)157号 公職選挙法違反被告事件
(43)平成15年 9月 5日 東京地裁 平15(特わ)3328号 各公職選挙法違反被告事件
(44)平成15年 8月28日 東京地裁 平15(特わ)3079号 公職選挙法違反被告事件
(45)平成15年 4月24日 神戸地裁 平11(わ)433号 公職選挙法違反被告事件
(46)平成15年 2月26日 さいたま地裁 平12(ワ)2782号 損害賠償請求事件 〔桶川女子大生刺殺事件国賠訴訟・第一審〕
(47)平成14年 9月30日 広島高裁松江支部 平14(う)24号 公職選挙法違反、詐欺被告事件
(48)平成13年11月30日 京都地裁 平11(行ウ)25号 公金支出違法確認請求事件
(49)平成13年 4月25日 東京高裁 平12(行ケ)272号 選挙無効請求事件
(50)平成12年 7月19日 福岡高裁 平11(行ケ)11号 裁決取消請求事件
(51)平成12年 2月17日 最高裁第二小法廷 平9(あ)324号 業務妨害被告事件
(52)平成11年11月10日 最高裁大法廷 平11(行ツ)8号 選挙無効請求事件 〔衆議院小選挙区比例代表並立制選挙制度違憲訴訟・上告審〕
(53)平成11年11月10日 最高裁大法廷 平11(行ツ)35号 選挙無効請求事件 〔衆議院小選挙区比例代表並立制選挙制度違憲訴訟・上告審〕
(54)平成11年 4月21日 名古屋高裁金沢支部 平11(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(55)平成10年10月 9日 東京高裁 平8(行ケ)281号 選挙無効請求事件 〔衆議院小選挙区比例代表並立制選挙制度違憲訴訟・第一審〕
(56)平成10年10月 9日 東京高裁 平8(行ケ)278号 選挙無効請求事件 〔衆議院小選挙区比例代表並立制選挙制度違憲訴訟・第一審〕
(57)平成10年 9月21日 東京高裁 平10(行ケ)121号 選挙無効請求事件
(58)平成 9年12月15日 東京高裁 平8(行ケ)274号 選挙無効請求事件
(59)平成 9年 8月26日 高松高裁 平9(行ケ)2号 立候補禁止請求事件
(60)平成 9年 3月28日 最高裁第二小法廷 平4(行ツ)128号 国税犯則取締法第二条に基づく差押許可状の取消請求等、損害賠償請求、行政事件訴訟法第一九条による請求の追加的併合事件
(61)平成 9年 3月18日 大阪高裁 平8(行コ)35号 供託金返還請求控訴事件
(62)平成 9年 3月13日 最高裁第一小法廷 平8(行ツ)193号 当選無効及び立候補禁止請求事件 〔青森県議会議員選挙候補者連座訴訟・上告審〕
(63)平成 8年 9月27日 大阪高裁 平8(行ケ)1号 立候補禁止請求事件
(64)平成 8年 8月 7日 神戸地裁 平7(行ウ)41号 選挙供託による供託金返還請求事件
(65)平成 8年 7月 8日 仙台高裁 平7(行ケ)3号 当選無効及び立候補禁止請求事件 〔青森県議会議員選挙候補者連座訴訟・第一審〕
(66)平成 7年12月11日 名古屋高裁金沢支部 平5(行ケ)1号 珠洲市長選無効訴訟判決
(67)平成 7年11月30日 名古屋高裁 平7(う)111号 政治資金規正法違反、所得税法違反被告事件
(68)平成 7年10月 9日 仙台高裁 平7(行ケ)2号 当選無効及び立候補禁止請求事件 〔山形県議会議員選挙候補者連座訴訟〕
(69)平成 5年10月12日 松山地裁 平2(わ)207号 公職選挙法違反被告事件
(70)平成 5年 5月13日 大阪地裁 平4(ワ)619号 損害賠償請求事件
(71)平成 5年 2月18日 最高裁第一小法廷 平4(行ツ)175号 市議会議員の当選の効力に関する裁決取消請求事件
(72)平成 4年 7月30日 名古屋高裁 平3(行ケ)6号 市議会議員の当選の効力に関する裁決取消請求事件
(73)平成 4年 6月26日 大阪高裁 平2(う)966号 公職選挙法違反被告事件
(74)平成 3年 9月25日 東京地裁 昭61(ワ)7031号 警察官違法同行損害賠償請求事件
(75)平成 3年 9月10日 福岡高裁那覇支部 平3(行ケ)1号 町議会議員の当選の効力に関する裁決取消請求事件
(76)平成 3年 4月24日 大阪地裁 昭61(わ)5546号 公職選挙法違反被告事件 〔大阪高槻選挙違反事件〕
(77)平成 3年 4月11日 大阪高裁 平2(行ケ)8号 選挙無効請求事件
(78)平成 3年 3月18日 大阪地裁 昭61(わ)5533号 公職選挙法違反被告事件 〔大阪高槻選挙違反事件〕
(79)平成 3年 3月 4日 大阪地裁 昭61(わ)3072号 公職選挙法違反被告事件 〔大阪高槻選挙違反事件〕
(80)平成 2年 5月30日 名古屋高裁金沢支部 平元(行ケ)1号 参議院石川県選挙区選出議員選挙当選無効請求事件判決
(81)平成元年 9月27日 福岡高裁宮崎支部 昭63(行ケ)1号 選挙の効力に関する審査申立に対する裁決取消請求事件
(82)昭和63年11月17日 大阪高裁 昭63(う)499号 公選法違反被告事件
(83)昭和63年11月 9日 東京高裁 昭62(行ケ)172号 裁決取消請求事件
(84)昭和62年11月26日 名古屋高裁 昭62(う)294号 公選法違反被告事件
(85)昭和60年12月25日 福岡高裁 昭58(う)793号 公職選挙法違反被告事件
(86)昭和60年 8月 7日 福岡高裁 昭59(行ケ)1号 裁決取消請求事件
(87)昭和60年 5月28日 仙台高裁 昭59(う)125号 公職選挙法違反被告事件
(88)昭和59年 9月17日 東京高裁 昭58(う)726号 公職選挙法違反被告事件
(89)昭和59年 7月17日 福岡高裁 昭58(う)487号 大分県屋外広告物条例違反被告事件
(90)昭和59年 7月12日 東京高裁 昭59(う)768号 公職選挙法違反被告事件
(91)昭和59年 5月28日 高松高裁 昭58(行ケ)4号 裁決取消請求事件
(92)昭和59年 3月28日 広島地裁 昭57(ワ)1588号 参議院全国区制改革による損害賠償請求事件
(93)昭和59年 1月20日 最高裁第二小法廷 昭57(あ)1400号 公職選挙法違反被告事件
(94)昭和59年 1月20日 大阪高裁 昭57(う)1010号 公職選挙法違反被告事件
(95)昭和57年10月 8日 最高裁第二小法廷 昭57(行ツ)43号 三重県久居市の長の選挙の効力に関する裁決取消等請求事件
(96)昭和57年 4月15日 東京高裁 昭54(行コ)104号 供託申請却下決定取消請求事件
(97)昭和57年 2月22日 松山地裁宇和島支部 昭55(わ)81号 公職選挙法違反被告事件
(98)昭和57年 2月18日 大阪高裁 昭55(う)332号 公職選挙法違反事件 〔糸山派選挙違反事件・控訴審〕
(99)昭和57年 2月16日 名古屋高裁 昭56(行ケ)1号 当選が無効とならないことの確認請求事件
(100)昭和57年 1月19日 最高裁第三小法廷 昭55(行ツ)162号 町議会議員一般選挙の当選の効力に関する裁決取消、当選決定処分有効確認請求事件


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