【選挙から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(9)平成28年 4月28日 青森地裁八戸支部 平28(わ)12号 各公職選挙法違反被告事件

「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例(9)平成28年 4月28日 青森地裁八戸支部 平28(わ)12号 各公職選挙法違反被告事件

裁判年月日  平成28年 4月28日  裁判所名  青森地裁八戸支部  裁判区分  判決
事件番号  平28(わ)12号
事件名  各公職選挙法違反被告事件
裁判結果  有罪  文献番号  2016WLJPCA04286003

要旨
◆被告人Y1による法定外選挙運動文書頒布と、被告人Y1が被告人Y2に選挙運動報酬を交付し、また、被告人Y2がこれを受領したという選挙運動報酬の供与及びその受供与、さらに、被告人両名の共謀による選挙運動者5名に対する選挙運動報酬供与の事案において、被告人Y1による本件投函者らに対するポスティングの報酬の交付は、いずれも選挙運動者に対する選挙運動報酬の供与に該当するものと解されるとした上で、被告人両名の行為は、いずれも公職選挙法に定められた規定を軽視して、選挙の公正を害するものであり、その刑事責任は決して軽くないとして、被告人Y1に懲役6月、執行猶予4年、被告人Y2に罰金30万円、追徴3万円を言い渡した事例

参照条文
刑法60条
刑法65条2項
公職選挙法142条1項6号
公職選挙法221条1項1号
公職選挙法221条1項3号
公職選挙法221条1項4号
公職選挙法221条3項1号
公職選挙法243条1項3号

裁判年月日  平成28年 4月28日  裁判所名  青森地裁八戸支部  裁判区分  判決
事件番号  平28(わ)12号
事件名  各公職選挙法違反被告事件
裁判結果  有罪  文献番号  2016WLJPCA04286003

 

主文

被告人Y1を懲役6月に,被告人Y2を罰金30万円に処する。
被告人Y2においてその罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,同被告人を労役場に留置する。
被告人Y1に対し,この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
被告人Y2から金3万円を追徴する。
訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。
被告人Y2に対し,公職選挙法252条1項の選挙権及び被選挙権を有しない期間を4年に短縮する。

 

理由

(犯罪事実)
被告人Y1は,平成27年4月26日施行の八戸市議会議員一般選挙に立候補した者であり,被告人Y2は被告人Y1の選挙運動者であるが,以下の行為をした。
第1  被告人Y1は,自己の当選を得る目的をもって,上記選挙の選挙期間中である平成27年4月24日,別紙一覧表記載のとおり,青森県八戸市〈以下省略〉A1方ほか43か所において,上記A1ほか43名に対し,「八戸市議会議員 Y1」「この度の4期目,地域の代表としてご支持ご推薦の程よろしくお願い申し上げます。」などと記載し,被告人Y1の顔写真,街頭演説の日時,場所等を掲載したビラ2枚と名刺1枚を,被告人Y2,A2又はA3に郵便受けに投函させるなどして配布して,法定外選挙運動用の文書を頒布した。
第2  被告人Y1は,平成27年4月27日頃,青森県八戸市〈以下省略〉Y1選挙事務所において,被告人Y2に対し,被告人Y2が被告人Y1のための投票を得させる目的をもって上記第1記載の文書を含む選挙運動のために使用する文書を頒布する選挙運動をしたことの報酬として,現金3万円を供与した。
第3  被告人Y2は,平成27年4月27日頃,上記Y1選挙事務所において,被告人Y1から,上記第2記載の趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら,現金3万円の供与を受けた。
第4  被告人両名は,共謀の上,平成27年4月27日頃,青森県八戸市〈以下省略〉○○ドーナツa店において,被告人Y1の選挙運動者であるA2に対し,上記A2が被告人Y1のための投票を得させる目的をもって上記第1記載の文書を含む選挙運動のために使用する文書を頒布する選挙運動をしたことの報酬として,現金2万円を供与した。
第5  被告人両名は,共謀の上,平成27年4月28日頃,上記第4記載の○○ドーナツa店において,被告人Y1の選挙運動者であるA4に対し,上記A4が被告人Y1のための投票を得させる目的をもって上記第1記載の文書を含む選挙運動のために使用する文書を頒布する選挙運動をしたことの報酬として,現金2万円を供与した。
第6  被告人両名は,共謀の上,平成27年4月28日頃,青森県八戸市〈以下省略〉○○ドーナツb店において,被告人Y1の選挙運動者であるA5に対し,上記A5が被告人Y1のための投票を得させる目的をもって選挙運動のために使用する文書を頒布する選挙運動をしたことの報酬として,現金1万円を供与した。
第7  被告人両名は,共謀の上,平成27年4月30日頃,上記第6記載の○○ドーナツb店において,被告人Y1の選挙運動者であるA3に対し,上記A3が被告人Y1のための投票を得させる目的をもって上記第1記載の文書を含む選挙運動のために使用する文書を頒布する選挙運動をしたことの報酬として,現金1万5000円を供与した。
第8  被告人両名は,共謀の上,平成27年4月30日頃,上記第6記載の○○ドーナツb店において,被告人Y1の選挙運動者であるA6に対し,上記A6が被告人Y1のための投票を得させる目的をもって選挙運動のために使用する文書を頒布する選挙運動をしたことの報酬として,現金5000円を供与した。
(証拠)
括弧内の甲乙の番号は,証拠等関係カードにおける検察官請求証拠番号を示す。冒頭の事実を含む全部の事実について
・ 被告人Y1の公判供述
・ 被告人Y1の検察官調書(乙3,5,6)
・ 被告人Y2の公判供述
・ 被告人Y2の検察官調書(乙10,11[各不同意部分を除く])
・ 証人A2及び証人A3の各公判供述
・ A2(甲61,62)及びA3(甲69,71)の各検察官調書(各調書の不同意部分を除く)
・ 捜査報告書(甲1,2,5,6,7)
第1,第4,第5及び第7の各事実について
・ A1(甲9),A7(甲11),A8(甲12),A9(甲13),A10(甲14),A11(甲15),A12(甲16),A13(甲17),A14(甲18),A15(甲19),A16(甲20),A17(甲21),A18(甲22),A19(甲23),A20(甲24),A21(甲25),A22(甲26),A23(甲27),A24(甲28),A25(甲29),A26(甲30),A27(甲31),A28(甲32),A29(甲33),A30(甲34),A31(甲35),A32(甲36),A33(甲37),A34(甲38),A35(甲39),A36(甲40),A37(甲41),A38(甲42),A39(甲43),A40(甲44),A41(甲45),A42(甲46),A43(甲47),A44(甲48),A45(甲49),A46(甲50),A47(甲51),A48(甲52)及びA49(甲53)の各警察官調書(各調書の不同意部分を除く)
・ 捜査報告書(甲10)
冒頭の事実のうち被告人Y2に係る部分及び第2ないし第8の各事実について
・ 被告人Y1の検察官調書(乙2)
・ 証人A4,証人A5及び証人A6の各公判供述
・ A4(甲64,65),A5(甲66,67)及びA6(甲72,73)の各検察官調書(各調書の不同意部分を除く)
・ A50の検察官調書(甲77,78)
・ 捜査報告書(甲4,63[不同意部分を除く],79)
第2及び第3の各事実について
・ 捜査報告書(甲54)
第4及び第5の各事実について
・ 捜査報告書(甲56)
第6ないし第8の各事実について
・ 捜査報告書(甲57)
第6の事実について
・ 捜査報告書(甲68)
第7及び第8の各事実について
・ A3の検察官調書(甲70)
第8の事実について
・ 捜査報告書(甲74)
(補足説明)
被告人両名の弁護人は,判示各事実のうち,被告人Y2,A2(以下「A2」という。),A4(以下「A4」という。),A5(以下「A5」という。),A3(以下「A3」という。)及びA6(以下「A6」といい,上記6名を「本件投函者ら」という。)によって文書が投函された事実と,本件投函者らへの金銭授与事実を認める一方,法定外選挙運動文書頒布(判示第1)の点について,被告人Y1の弁護人は,上記投函された文書が「選挙運動のために使用する文書」(公職選挙法142条1項)に該当しない,選挙運動報酬の供与及び受供与(判示第2ないし第8)について,被告人両名は,本件投函者らは「労務者」(同法197条の2参照)であって「選挙運動者」(同法221条1項)には該当しない(その前提として,投函文書の趣旨性質等についても争われている。)などとしていずれも無罪であると主張するので,各罪の成否について検討する。
以下,月日のみの記載は,平成27年のものを示す。
第1  平成27年4月26日施行の八戸市議会議員一般選挙の概要等
関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。
1  5月1日の任期満了に伴う八戸市議会議員選挙は,告示日を4月19日,選挙期日(投票日)を同月26日として,実施された(以下「本件選挙」という。)。
2  被告人Y1は,同月19日に本件選挙の候補者として届出をし,これに当選した者である。
被告人Y1は,上記届出の際,八戸市選挙管理委員会に対し,所在地を八戸市〈以下省略〉として,選挙事務所設置届出書を提出した(以下,上記所在地に設置された選挙事務所を「本件事務所」という。)。
また,上記届出にあたり,被告人Y2,A2,A4,A5及びA6ほか3名が4月19日から同月25日までの選挙運動のために使用する事務員として,さらに別の3名が同期間の選挙運動のために使用される自動車等における選挙運動のために使用する者として届けられた。
第2  法定外選挙運動文書頒布(判示第1)の点について
1  関係各証拠によれば,被告人Y1の依頼を受けた被告人Y2,A2及びA3が,4月25日,別紙一覧表記載の44か所の住宅等に,それぞれ下記①の文書を三つ折りにしたものと下記③の名刺を下記②の文書に綴じたもの(以下「本件期間中文書」という。)を郵便受け等に投函したことが認められる。
① A4判の両面青色単色刷りのもの(以下「青色チラシ」という。)
この上部に「Y1」と大きな文字で書かれた面には,被告人Y1の顔写真が掲載され,「八戸市議会議員 Y1」との記載や,被告人Y1のプロフィール等が記載され,その裏面には,「市政推進への思い」とのタイトルの下,まちづくりをテーマとして5つの市政に対する政策課題が掲載され,またその下部には「Y1後援会」「後援会討議資料」などと記載されている。上記プロフィールとして「八戸市議会議員(3期目)」との記載がある。
② B6判の片面黒色単色刷りのもの(以下「打ち上げ式案内書面」という。)
これには,「投票率向上へ!」との記載の下,期日前投票の実施日時場所の記載があり,その下に被告人Y1の遊説打ち上げ式の実施日時(「4月25日(土)市議選最終日 午後6時00分~」と記載されている。)と場所の案内があり,「この度の4期目、地域の代表としてご支持ご推薦の程よろしくお願い申し上げます。」,「Y1」との文字を長方形で囲んだもの,上記長方形の左側の欄外に「「Y1」でも大丈夫。」との記載などがある。
③ いわゆる名刺大サイズの片面カラー,片面黒色単色の両面刷りのもの(以下「本件名刺」という。)
カラー面には「夢つながる八戸」「Y1」「Y1」などの文言と,被告人Y1の顔写真が記載され,単色面には被告人Y1のプロフィールとして経歴や役職が記載されているほか,その下部に「Y1後援会事務所」「討議資料」などとの記載がある。また,上記経歴として,「平成15年八戸市議会議員初当選~3期連続当選」などと記載されている。
2  まず,法定外選挙運動文書頒布罪が成立するためには,その頒布に係る文書が「選挙運動のために使用する文書」でなければならない。
本件期間中文書は,これらが一体のものとして配布されたものであるところ,これらの文書には被告人Y1への投票を直接求める記載はないが,これらの文書の読み方として,被告人Y1が八戸市議会議員に3回当選した者であり,また4期目の当選を目指して本件選挙に立候補している者であることが容易に読み取ることができるのであるから,このことだけからも被告人Y1による本件選挙への立候補事実を知らしめているものと評価することができ,さらに被告人Y1の経歴や政策等を知らしめているものということができるから,本件期間中文書の外形内容自体から見て選挙運動のために使用すると推知されうる文書に該当することは明白であり,これが「選挙運動のために使用する文書」であるものと優に認められる。
そして,本件期間中文書が投票日の前々日に44か所に配布された事実のみからでも不特定多数の者に対して頒布したものと認めることができ,さらに,本件期間中文書の内容,配布時期及び場所並びに被頒布者が一般有権者であること及びその数に照らせば,その頒布は,およそ選挙運動の準備行為ということができないなど,被告人Y1に自己の当選を得る目的があることをも含め被告人Y1の選挙運動として行われたものと優に認められる。
被告人Y1の弁護人は,本件期間中文書には選挙を意識した記述がないとか,直ちに自己への投票依頼をしたものとは読めないなどとして,法定外選挙運動文書にはあたらない旨主張するが,少なくとも一体のものとして配布された本件期間中文書の外形内容によれば上記主張は採用できないことは先に述べたとおりであって,青色チラシ及び本件名刺の「後援会討議資料」などの記載,さらに言えばその作成名義の如何あるいは後援会会員拡大意図等の併存の有無は上記評価を左右するものではない。
また,同弁護人は,①被告人Y2,A2及びA3によるポスティングが選挙運動ではないから,文書頒布が選挙運動として行われたものではない,②文書頒布は後援会活動の一環である,あるいは,③仮に投函者である被告人Y2,A2及びA3が選挙運動者に該当する場合には,上記投函者に各事後報酬受供与罪(公職選挙法221条1項4号,1号)が成立し,上記投函者らを利用した被告人Y1には,事後報酬受供与罪より軽い法定外選挙運動文書頒布罪が成立することはないなどとも主張する。しかし,被告人Y1の依頼に基づいて行われた文書の頒布が被告人Y1の選挙運動と認定できる以上,上記投函者らが公職選挙法221条にいう「選挙運動者」に該当するかとか頒布行為が後援会活動の一環であるかという点が被告人Y1の法定外選挙運動文書頒布罪の成否に影響を及ぼすものではないし(しかも下記第3の3(5)イのとおり,これが後援会活動の一環と解することもできない。),また,上記投函者らに選挙運動報酬の受供与罪が成立すれば被告人Y1の法定外選挙運動文書頒布罪の成立が否定されるという関係にはない(単に別個に犯罪が成立しうるに過ぎない。)から,いずれも主張自体失当である。
以上によれば,判示のとおり,法定外選挙運動文書頒布罪が成立する。
第3  選挙運動報酬の供与及び受供与(判示第2ないし第8)の点について
1  関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1) 被告人Y1は,本件期間中文書と下記3文書の原稿を作成した。印刷会社は,被告人Y1からの発注により,青色チラシ(7000枚),本件名刺(1万枚)及び下記①の文書(5000枚)をそれぞれ被告人Y1に納品した。被告人Y1は,打ち上げ式案内書面及び下記②の文書をその事務所で印刷した。
① A4判の両面カラー刷りのもの(以下「カラーチラシ」という。)
この上部に「八戸市議会議員 Y1」,「後援会討議資料」との記載がある面には,上記記載の下に赤地に白抜きで「Y1」と大きく書かれ,被告人Y1の顔写真が掲載されるとともに,「地域の魅力が輝く八戸」や「私の思い」との記載がされている。同面の下部には「平成23年八戸市議会議員3期目当選」などといった被告人Y1のプロフィールが記載されている。その裏面には,「5つの挑戦」のタイトルの下,青色チラシの「市政推進への思い」に記載されている政策テーマと同じ項目が記載され,さらに,その下部には「Y1後援会入会のご案内」「Y1後援会会則(要旨)」「Y1後援会事務所」「後援会討議資料」などと記載されている。
② B6判の片面黒色単色刷りのもの(以下「出陣式等案内書面」という。)
これには,打ち上げ式案内書面と同様の期日前投票の実施日時場所の記載があり,その下に第一声(選挙出陣式)から街頭挨拶の実施日時(「4月19日(日)第一声~街頭挨拶」などと記載されている。)と場所の案内,3回の個人演説会の日時場所等の記載がされている。また,第一声の案内部分に「何卒,激励の程よろしくお願い致します。」と,個人演説会の案内部分に「※是非、4期目の市政に対する思いをお聞きください。」とそれぞれ記載されている。
③ 法定内葉書
宛名を記載する面には,「Y1選挙事務所」と記載され,プロフィールとして「八戸市議会議員(3期目)」などの記載,元衆議院議員等が被告人Y1を推薦する旨の記載と,「Y1」との文字を長方形で囲んだもの,上記長方形の右側の欄外に「投票用紙には」,同左側の欄外に「「Y1」でも大丈夫。」との記載,被告人Y1の顔写真が掲載されており,その裏面には「4期目必勝へ何卒ご支援の程お願い申し上げます―Y1」などと記載されている。
(2) 被告人Y1は,八戸市議会議員としての地盤地域である八戸市根城地区,売市地区及び田面木地区において,4月15日から同月17日までの間にカラーチラシ,出陣式等案内書面及び本件名刺が1組になったもの(以下「本件事前文書」という。)を,同月22日から同月24日までの間に本件期間中文書を,それぞれ住宅の郵便ポスト等に投函する方法(以下「ポスティング」という。)により,それぞれ配布しようと考えた(これらのポスティングされた本件事前文書及び本件期間中文書を併せて「本件投函文書」という。)。
予定配布枚数は,根城地区は約2000枚(ただし,被告人Y1は検察官に対して4000枚と供述している。),売市地区は約1000枚,田面木地区は約1000枚であり,被告人Y1は,このうち根城地区の大部分と売市地区へのポスティングを「横町建材」等企業4社に依頼した。被告人Y1は,上記企業に依頼するにあたり,本件事前文書及び本件期間中文書の配布期間と各企業の配布地域を指定したが,配布方法についての具体的指示はしていない。
一方,田面木地区については,平成23年実施の八戸市議会議員選挙時に同地区のポスティングを行った被告人Y1の後援会長のA51らの都合がつかなかったことから,被告人Y1は,他の者にポスティングを依頼しようと考えた。
(3) 被告人Y1は,○○ドーナツa店(以下「a店」という。)や同b店(以下「b店」という。)を運営している会社の役員で,中学校での同級生であるA50に対し,3月15日,上記会社が運営する○○ドーナツの従業員を本件選挙の手伝いに従事させてほしいなどと要請した。その依頼内容は,4月15日から同月17日までと同月22日から同月24日までのそれぞれ午前の3時間,午後の3時間の作業時間にチラシのポスティングと状況によってはチラシの折り込み等の作業を行うというものであった。
上記会社の従業員であり,主にa店に勤務していた被告人Y2は,平成23年の八戸市議会議員選挙において被告人Y1の選挙の手伝いをしたことがあった。被告人Y2は,少なくとも上記A50の指示により,被告人Y1の選挙の手伝いに行く人員に含まれた。
a店及びb店の店主は,それぞれ,上記A50及びその部下であったA52の指示等に基づき,その従業員である被告人Y2,A2,A4(a店),A5,A3,A6(b店)を,各従事日の午前9時から正午まで及び午後1時から午後4時まで被告人Y1の選挙の手伝いに従事させる旨の勤務シフトを組んだ。
本件投函者らは,このようにして選挙の手伝いに行く旨のシフトを組まれた時間帯について,○○ドーナツでの勤務の時給に加え,被告人Y1の選挙の手伝いによる報酬も受領できるものと説明されていたが,結局前者の時給は支給されなかった。
(4) 被告人Y1は,4月5日,本件事務所の事務所開きを行った。
被告人Y2は,4月14日,本件事務所に赴き,被告人Y1とポスティングについて打ち合わせを行った。被告人Y1は,被告人Y2に,被告人Y2が居住する田面木地区のポスティングを○○ドーナツの従業員(本件投函者ら)に行ってほしいことや,ポスティングの日当を5000円とすることなどを伝えた。この際,被告人Y1は,被告人Y2に対し,4月15日から同月17日まで及び同月22日から同月24日の各日にポスティングを実施する地域を指示した。被告人Y2は,4月14日から同月16日まで,翌日に配布する地域の地図を住宅地図のコピーを用いるなどして作成し,これは配布当日に従事する者にそれぞれ交付された。
被告人Y1は,自身のフェイスブック上に,4月18日,翌日が本件選挙の告示日であることを告知する記事を,大きさや配色が異なるが出陣式等案内書面と同様の記載がある紙片を被告人Y1が手に持っている写真とともに投稿した。
(5) 本件事前文書が4月15日から同月17日に,本件期間中文書が同月22日から同月24日に,それぞれ,下記アないしカ記載の者によって,田面木地区及び根城地区の一部(これは企業4社に依頼した地域とは重ならない。)に投函された。ただし,4月17日に用意されていた本件事前文書のうちカラーチラシがなくなったことから,同日午後には本件事前文書のカラーチラシが青色チラシに代えられたものが配布された。同月15日と同月22日,同月16日と同月23日,同月17日午前と同月24日午前は,それぞれ概ね同じ地域でポスティングが行われた。
本件投函者らは,従事する日の午前9時から正午までと午後1時から午後4時までの合計6時間の範囲でポスティングを行い,被告人Y2を除く5名はいずれもポスティング以外の作業には従事しなかった。
ア 4月15日 被告人Y2,A2,A4及びA5
イ 4月16日 被告人Y2,A2,A4及びA6
ウ 4月17日 被告人Y2,A4及びA5
エ 4月22日 被告人Y2,A2及びA3
オ 4月23日 被告人Y2,A4及びA3
カ 4月24日 被告人Y2,A2及びA3
(6) 被告人Y2は,4月15日,集合場所に来たA2,A4及びA5を本件事務所まで誘導した。
被告人Y1,その妻及び被告人Y2は,4月15日,本件事務所において,A2,A4及びA5と挨拶するなどした上,被告人Y1,その妻及び被告人Y2のいずれかが,ポスティングの実施前に以下のような注意事項を伝えた。
すなわち,ポスティングの対象として,集合住宅,店舗,空き家,他の候補者のポスターが貼付されてあるような住宅には投函する必要はないこと,犬がいるような住宅には無理して投函しなくてよいこと,また,既に他の候補者のチラシが投函されている場合には,これを抜き取った上で,本件投函文書を投函してもよいこと,投函時にその住人と会った場合にはY1事務所の者であることを明らかにして挨拶をすることなどが伝えられた。
その後,本件事務所において,折り込まれている本件事前文書が束になっている紙袋,雨合羽,ボールペン及び住宅地図のコピーである地図が,A2,A4及びA5に渡され,上記3名は被告人Y2が運転する同人所有車両に同乗して,ポスティングに赴いた。
(7) A5は4月15日に折り込まれている本件事前文書を開いて,その内容を確認したことがある一方,A2,A4,A3及びA6は,本件投函文書を開いてその内容を読んでいないが,少なくとも本件投函文書に記載されている被告人Y1の氏名や顔写真等が記載されている書面であることは認識している。このため,本件投函者らは,いずれも本件投函文書が本件選挙の候補者である被告人Y1の知名度を上げるためなどの書面である本件投函文書を各投函先に投函するものであることを認識していた。
(8)ア ポスティングが行われた6日間においては,概ね,各日のポスティングを行う前に本件事務所に貼られるなどしていた地図(住宅地図を貼り合わせてコピーされたもの)を用いて,被告人Y1又は被告人Y2がおおよその配布予定場所を説明してから本件事務所を出発して,被告人Y2運転車両1台で移動し,配布者が4名のときは2名ずつの組になり,これが3名のときは2名の組と1名とに分かれて,ポスティングを行うことになった。この組み分けは被告人Y2の判断で決められた。各日のポスティングは,多くの日程において,被告人Y2が,上記車両を駐車させた場所で,本件投函者らに対し,地図を示しながら,それぞれの配布区域と集合場所を指示し,当該区域における配布が終われば,また別の場所に移動して,同様に配布を行うことを繰り返す形で行われた。本件投函者らは,それぞれ,住宅地図をコピーした地図を持たされた。
本件投函者らは,各日の正午頃までには本件事務所内に戻って昼食をとり,被告人Y2を除く本件投函者らは,各日の午後4時頃に本件事務所で解散した。
イ A2は,ポスティングを行う際,投函先の女性と会ったことから,「こんにちは。Y1事務所の者です。よろしくお願いします。」と挨拶をして,上記女性に本件期間中文書を手渡そうとしたことがあり,本件選挙の他の候補者のポスターが貼っていた住宅に本件期間中文書を投函するのを被告人Y2に止められたことがある。また,A2は,被告人Y1から,投函先等で会った者に挨拶をする際に,相手から被告人Y1の素性等を聞かれた場合には,被告人Y1がPTA会長をやっている者である旨答えればわかるなどと説明されたことがあるが,A2が実際にそのように回答したことはない。
A2とA4は,両名が組になったときは,被告人Y2から指定を受けた区域の道路の左右に分かれて,それぞれポスティングをすることにし,その後,A2及びA4以外の者の間でもこの方法でポスティングが行われるなどしていた。
A4は,ポスティングをする際,ポストに入っていた他の候補者のチラシを引き抜いて本件事前文書を投函したことが1回あるが,その後は,罪悪感もあり,他の候補者のチラシを抜き取ることはしなかった。また,A4は,ポスティングをしようとしたときに,投函先の男性がその住宅の庭にいたことから,「Y1事務所の者です。」と言って本件事前文書を手渡し,「応援しています。」などと言われたのに対し,「ありがとうございます。」などと返答したほか,投函先の住人等に「Y1事務所の者です。」などと言って本件投函文書を交付したことが1回ある。A4は,A3から,移動中の車内で,防犯カメラがある家にはポスティングをしなくてよいと聞いてからは,防犯カメラが設置されている住宅には本件期間中文書を投函しなかった。
A5は,ポスティングをしようとしたときに,その住人と思われる人がいたことから,「Y1選挙事務所から来ました。よろしくお願いします。」などと述べて,本件事前文書を交付したことが1回ある。
4月16日にポスティングを行ったA6は,同日,本件事務所で,被告人Y1から,人と会ったときは挨拶くらいしてください,また相手がいぶかしがるようなときは,被告人Y1がc中学校のPTA会長をしている人である旨を言えば怪しまれないだろうなどと言われた。A6は,アパートでポスティングを行おうとしたときに,組となっていた被告人Y2から,アパートは配らなくてよいことと,加えて空き家や店舗には配らなくてよいことを伝えられた。A6は,ポスティングしようとした住宅でその住人と思われる女性のそばを通る際には,自身の判断で「おはようございます。Y1事務所の者です。」などと挨拶し,上記女性から被告人Y1に投票する旨を言われて「ありがとうございます。」と返答したことがある。また,A6は,「Y1事務所の者です」などといってポスティングをしようとした家の者に本件事前文書を交付したことがあるが,被告人Y1がc中学校のPTA会長である旨をポスティング中に話すことはなかった。
4月21日に同月22日から同日24日までの3日間に選挙の手伝いに行ってほしい旨をb店の店主から伝えられたA3は,同月22日に本件事務所ではポスティングの方法について説明を受けたことはなく,車両で移動しポスティングを開始する直前に,被告人Y2から,配布区域を示され,また,人と会ったときには挨拶をし,聞かれることがあれば「Y1の事務所から来ました。」と言うよう指示された。A3は,配布の要否がわからないときは,被告人Y2や組になっていたA2に相談しながら,ポスティングを行った。ポスティング中に男性から声を掛けられたA3が,「こんにちは。Y1の事務所から来ました。」と答えた際,上記男性から被告人Y1に対する不満を言われたことがあった。A3は,4月23日午前,本件事務所において,被告人Y1の妻が被告人Y2に対し,防犯カメラがついている家や他の候補のチラシが入っているところにはポスティングをしないでほしいことや,他の候補者のチラシを抜くことをしないよう伝えているところを聞いていた。
本件投函者らは,ポスティング中に自ら通行人に話しかけたことはない。A4を除く本件投函者らは,本件投函文書の投函時に実際に他の候補者のチラシを取り出したことがなく,A6とA3はこのような指示を受けたことはない。
(9) 本件投函者らが予定されていた地域での本件期間中文書のポスティングが4月22日午前に終了した。本件事務所にいた事務員であるA53が,同日昼の昼食休憩時に,まだ配布していない地域があるなどと言ったことから,同日午後は,A53が指示した地域に本件期間中文書を配布することになった。
(10) 被告人Y2は,ポスティングに従事した6日間に,ポスティングのほかに,本件事務所内で食事を作ったり,被告人Y1の個人演説会の会場設営を手伝うなどした。
(11) 本件選挙の開票状況から被告人Y1の当選が確実な情勢になった後,被告人Y1は,被告人Y2に対し,4月27日午前,被告人Y2の報酬として4万円入りの封筒を渡すとともに,A2,A4,A5,A3及びA6のポスティングの報酬として5000円に従事日数を乗じた金額の現金を入れた上記各人宛の封筒を手渡し,上記5名にそれぞれこれを交付するよう依頼した。被告人Y1は,被告人Y2がポスティング以外の作業も行っていたことから,ポスティングとしての報酬に1万円を付加した額を交付した。
被告人Y2は,A2,A4及びA5に各勤務先のa店又はb店で報酬入りの封筒をそれぞれ交付し,A3には,b店で,A3への報酬入りの封筒を交付するとともに,A6にその報酬入りの封筒を渡すよう依頼した。A6はA3からさらに頼まれたb店の従業員からこれを受け取った。
(12) 被告人Y1が八戸市選挙管理委員会に最初に提出した本件選挙に係る選挙運動費用収支報告書には,本件投函者らに支払った金員が,区分及び支出の目的を「立候補準備」及び「事務員報酬」として,あるいは「選挙運動」及び「事務員報酬」として記載されている。
2  事実認定についての補足
被告人両名は,4月15日午前に本件事務所において,A2,A4及びA5に対し,本件投函文書を投函しようとしたときに会った人に挨拶をするよう指示したことは認めるものの,挨拶時に被告人Y1の事務所の者であることを名乗ることや,本件選挙の他の候補者のチラシを抜き取って本件投函文書を投函することを指示したことはない(被告人Y1),あるいは他の候補者のチラシを抜き取るという話は出たが,その直後の会話でこれを撤回した(被告人Y2)などと供述するなど,被告人Y1,その妻又は被告人Y2によるA2,A4,A5及びA6に対する説明内容等について,上記認定に反する供述をする。
しかし,A2,A3及びA6は早くとも勤務先から被告人Y1の選挙の手伝いに行くよう依頼されるまで被告人Y1を全く知らず,A4及びA5も被告人Y1とは利害関係がなく,しかもA2,A4,A5,A3及びA6は,被告人Y1が本件で争点になっている公職選挙法上の「選挙運動者」該当性について知識を有しない者である上,本件選挙に関与するという各供述者にとって特殊な体験というべき事柄についての供述であることから,各供述者がことさら虚偽を供述する動機に欠け,記憶の混同の可能性も低い。また,その各公判供述内容は,ポスティング時における上記供述者5名らの行動や各供述者の供述内容とも補強補完し合い,十分に信用することができる。上記認定に反する上記A2ら5名に対する説明内容を中心とする被告人両名の供述は信用することはできない。
また,被告人両名は,4月14日の打ち合わせで,被告人Y1が被告人Y2に対し,配布予定地域を30余りの区域に分け,上記区域を書き込んだ地図を本件事務所に掲示し,さらに,被告人Y2が手元に持つために上記地図と同様に上記区域を書き込んだ地図を作成したこと,その上記区域ごとの配布順序や自動車を停車させる場所,さらには各配布時の集合場所を指示した旨などと供述するが,例えば,A2は本件事務所に掲示されていた地図には地域分けがされていたが,これは広い地域のものであった旨の供述を公判廷でしており,少なくとも,配布予定地域を30余りに区分けしたものであったという趣旨のものではないというべきであるなど,A2,A4,A5,A3及びA6の各公判供述と整合するものではなく,被告人両名の公判供述を信用することはできない。
3  以上の事実を前提に検討する。
(1) 選挙運動の概念について
公職選挙法221条にいう選挙運動とは,特定の公職の選挙につき,特定の立候補者又は立候補予定者のための投票を得又は得させる目的をもって,直接又は間接に必要かつ有利な周旋,勧誘その他諸般の行為をすることをいう。そして,その行為が,選挙民に対し直接に投票を勧誘する行為又は自らの判断に基づいて積極的に直接,間接に必要,有利なことをするような行為である場合には,上記目的があると認定できるものと解される。
一方,選挙運動のために使用する労務者として,公職選挙法の要件下で報酬の支給を受けうるには,この者が,上記選挙運動を行うことなく専らそれ以外の労務に従事する者であることを要する。(最高裁判所昭和53年1月26日第一小法廷判決・刑集第32巻1号1頁参照)
(2) 本件投函文書の性質等
本件期間中文書が選挙運動のために使用する文書(公職選挙法142条1項)に該当することは,上記第2の2のとおりである。
そして,本件事前文書(4月17日午後に配布された本件事前文書のカラーチラシに代えて青色チラシが1組にされたものも含む。)も,これらが一体のものとして配布されたものであるところ,八戸市議会議員に3回当選している被告人Y1が4期目の当選を目指して本件選挙に立候補することが予定されていることや被告人Y1の経歴や政策を知らしめるものであるといえ,その外形内容自体から選挙運動のために使用する文書としての性質を有することが認められる(ただし,選挙運動者該当性の判断において,頒布される文書が公職選挙法142条1項の文書に該当するものであることを必ずしも要するものではない。)。
そして,A5を除く本件投函者らにおいて,それぞれの配布に係る本件投函文書の内容を詳細に読んだとの事実を認めることはできないが,本件投函文書にはいずれも被告人Y1の氏名及び顔写真が掲載されていること及び本件選挙の期間中あるいは直前であることを認識していたことは明らかであるから,いずれにしても,客観的に,本件投函者らによるポスティングは,被告人Y1に投票を得させるために直接,間接に必要,有利な行為に該当し,さらに本件投函者らにおいてその認識があったことが優に認められる。
(3) 本件投函者らのポスティングの選挙運動該当性
本件投函者らによる本件投函文書の投函行為自体は,選挙民に対する投票の直接の勧誘を内容とする行為であるとは言えない。
しかし,被告人Y1から本件投函者らに依頼されたポスティングは,本件事前文書及び本件期間中文書(合計各4000枚)をそれぞれ八戸市根城地区,売市地区及び田面木地区のポスティングを広範囲に行うものの一環として行われ,本件投函者らによるポスティングだけで見ても,終始,被告人Y2運転車両で移動し,被告人Y2による具体的な配布区域の指定を受けて,少なくとも田面木地区において1000枚を概ね2回,すなわち延べ2000枚の本件投函文書を投函するなど,被告人Y2が中心となって組織的にポスティング活動が行われている。
また,本件投函者らは,被告人Y1から各日の午前又は午後における投函地域の指定を受け,さらに,移動するたびに被告人Y2により配布区域を指定され(なお,この指定においては,少なくとも被告人Y1による拘束的な指示は受けていない。),空き家,アパート及び店舗等には投函を行わないとの条件を付けられたり,被告人Y2に判断を仰いだりしたことがあるものの,なおも不特定の住宅等に向けられた投函行為について個別具体的な投函場所や方法の指示を受けていたとまではいえないのであって,本件投函者らには投函をするか否かの裁量の余地があったものと認められる。
さらに,A2,A4及びA5は,ポスティングを行う初日である4月15日に,本件事務所において,はじめに,ポスティングを行うときに声を掛けられた場合には,挨拶をして被告人Y1の事務所の者である旨述べることや,他の候補者の文書がある場合にはこれを抜き取ってよい旨説明され,被告人Y2自身は否定するものの,その余の本件投函者らは,被告人Y1,その妻又は被告人Y2から説明を受けていたとはいえ,ポスティングを行っているときに声を掛けられた際にその相手方に被告人Y1の事務所の者であることを名乗るなどし(A6は自身の判断でこのように挨拶をしていることが認められる。),A4は他の候補者のチラシを抜き取って投函するなどしており,本件投函文書の投函に伴うこれらの行為は,被告人Y1の当選を目的とする行為を主体的に行っているものと評価できるのであって,もはや単なる機械的な労務ということはできないものというべきである。
そうすると,被告人Y2は,組織的に役割分担がされた本件投函者らの間で被告人Y1の意向を伝えるなどの中心的役割を担っており,被告人Y2を除く本件投函者らについても,被告人Y1や被告人Y2らの指示を受けながらも,投函行為自体はなお裁量の余地があったというべきである上,本件投函者らのポスティング行為を全体としてみると,被告人Y1の当選を目的とする行為を主体的に行っているものとして,結局,本件投函者らは,いずれも単に投票を得させるために有利な行為をするという認識を有するのみならず「自らの判断に基づいて積極的に投票を得又は得させるために直接,間接に必要,有利な行為」を行う者として,被告人Y1に投票を得させる目的があるものと認められ,その結果,選挙運動者に該当するものと認められる。これに反する被告人両名の弁護人の主張は採用することはできない。
したがって,被告人Y1による本件投函者らに対するポスティングの報酬の交付は,いずれも選挙運動者に対する選挙運動報酬の供与に該当するものと解される。
なお,ポスティングの報酬は1日当たり5000円であることが認められるから,被告人Y2が受領した4万円のうち3万円が選挙運動報酬に該当するものと認める。
(4) A2,A4,A5,A3及びA6に対する選挙運動報酬供与の共犯性
被告人Y2は,被告人Y1からの依頼を受けて,A2,A4,A5,A3及びA6に対するポスティングの報酬であることを知りながら,これを受領し,A2,A4,A5及びA3には直接,A6にはさらにA3に依頼して,それぞれ上記報酬を交付しているのであるから,上記5名に対する選挙運動報酬供与について,被告人Y2と被告人Y1の共同正犯と評価することができる。
(5) 被告人両名の弁護人らの主張等について
ア 本件投函者らが被告人Y1の当選を意欲していたとまでは言えないことは,少なくとも被告人Y2を除く5名の本件投函者らの各公判供述によっても明らかであり,少なくとも上記5名は,勤務先での勤務の一環として本件事務所に赴き一連のポスティングを行っていたと評価することも可能ではある。しかし,選挙運動であるか否かを判断するに当たり,投票を得させる目的の存在と日当や報酬を得る目的とは併存しうる上,投票を得させる目的が認められれば,当選を意欲していることまでは必要がないものというべきであるから,かような上記5名の意識等によって選挙運動該当性が否定されるものではない。
イ また,被告人両名の弁護人は,本件投函者らによるポスティングは,被告人Y1の後援会活動の一環であると主張し,被告人Y1もこれに沿う供述をする。まずもって,本件投函文書には,それぞれ被告人Y1の後援会との記載があるものの,これらの投函時期及びその対象等に照らせば,本件投函者らによるポスティングは,その性質上被告人Y1の当選を直接の目的としているというほかない。そして,本件投函者ら(少なくとも被告人Y2を除く5名は,被告人Y1の後援会とは何らかかわりのない者である。)にポスティングが後援会の活動であると説明されたことは一切なく,ポスティング時に声を掛けられたときには被告人Y1の事務所の者であると名乗るなどしていたこと,当初提出された選挙運動費用収支報告書に本件投函者らへの報酬が計上されていることなどからすれば,これを後援会活動の一環であるということもできない。
ウ なお,判示第1の法定外選挙運動文書頒布罪において被告人Y2,A2及びA3が正犯とされていない(そもそも本件ではそのような起訴がされていない。)ことにより,これらの者の選挙運動者該当性が否定されるものではない。
エ 被告人両名の弁護人のその他の主張も選挙運動者該当性について疑いを差し挟むものではない。
(6) まとめ
以上によれば,本件投函者らは「選挙運動者」に該当し,判示のとおり,選挙運動報酬の供与及び受供与の各罪が成立する。
(法令の適用)
1  被告人Y1
罰条
第1の行為 包括して公職選挙法243条1項3号,142条1項6号
第2の行為 公職選挙法221条1項3号,1号,3項1号
第4ないし第8の各行為 それぞれ刑法60条,公職選挙法221条1項3号,1号,3項1号
刑種の選択
第1の罪 禁錮刑
第2,第4ないし第8の各罪 いずれも懲役刑
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い第2の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文,182条(連帯負担)
2  被告人Y2
罰条
第3の行為 公職選挙法221条1項4号,3号,1号
第4ないし第8の各行為 それぞれ刑法60条,公職選挙法221条1項3号,1号,3項1号(刑法65条2項により,公職選挙法221条1項の刑を科する)
刑種の選択 いずれも罰金刑
併合罪の処理 刑法45条前段,48条2項(多額を合計)
追徴 公職選挙法224条後段(第3の罪に係る収受利益である現金3万円は,既に混同して没収することができない)
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文,182条(連帯負担)
公民権の停止期間の短縮 公職選挙法252条4項
(量刑の理由)
本件は,被告人Y1による法定外選挙運動文書頒布と,被告人Y1が被告人Y2に選挙運動報酬を交付し,また,被告人Y2がこれを受領したという選挙運動報酬の供与及びその受供与,さらに,被告人両名の共謀による選挙運動者5名に対する選挙運動報酬供与の事案である。
被告人両名の各罪に至る経緯や動機は,上記補足説明において述べたとおりであるが,立候補者である被告人Y1に酌量すべき点はなく,被告人両名の行為は,いずれも公職選挙法に定められた規定を軽視して,選挙の公正を害するものである。また,被告人Y2を除く本件投函者ら5名による各公判廷供述を目の当たりにするなどしながら,なお本件投函者らへの説明内容等について弁解に終始する被告人両名の態度も芳しくない。その刑事責任は決して軽くない。
しかしながら,被告人両名には前科前歴が見当たらないこと,報酬の供与は,投票買収ではなく選挙運動に係るものであること,勤務先の意向もあって選挙運動を行うに至った被告人Y2は,他の投函者らに対する選挙運動報酬供与においては従属的であるといえること,その他被告人Y1の八戸市議会議員等としての稼働歴,被告人両名の家族関係等の事情をも考慮すれば,被告人両名に対し,主文掲記の刑を科した上,被告人Y1の刑の執行を猶予し,これにあわせて被告人Y2の公民権停止の期間を短縮するのが相当である。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑 被告人Y1につき懲役6月,被告人Y2につき罰金30万円及び主文同旨の追徴)
(裁判官 遠田真嗣)

 

〈以下省略〉

 

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