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政治と選挙Q&A「公認 候補者 公募 ポスター 新人 戸別訪問 国政政党 地域政党」に関する裁判例(16)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(ワ)28215号 損害賠償請求事件

政治と選挙Q&A「公認 候補者 公募 ポスター 新人 戸別訪問 国政政党 地域政党」に関する裁判例(16)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(ワ)28215号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成19年 4月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(ワ)28215号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2007WLJPCA04278001

要旨
◆公立の中学校教諭である原告が、政治的問題である日米安保、米軍基地問題、天皇の戦争責任、自衛隊の存在等を授業で題材として取り上げ、自らの特定の政治的立場に立った考えを教師としての考えとして生徒の指導をしていたところ、被告らが著し出版した書籍中に原告の名誉を毀損する記述があるとして、原告が被告らに損害賠償の支払を求めた事案において、「洗脳」、「マインドコントロール」などの記述のほか、原告の教師としての資質に欠けることを指摘する文章に原告の名誉を毀損するものがあり、その一部論評は論評の範囲を逸脱しており、一部事実に関する記述は真実と信じるに足りる相当な理由がないなどとして、違法性阻却事由の存在を否定し、原告の請求を一部認容した事例

参照条文
民法709条
民法719条

裁判年月日  平成19年 4月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(ワ)28215号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2007WLJPCA04278001

千葉県我孫子市〈以下省略〉
原告 X
訴訟代理人弁護士 和久田修
東京都板橋区〈以下省略〉
被告 土屋敬之
東京都日野市〈以下省略〉
被告 古賀俊昭
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 田代博嗣
東京都文京区〈以下省略〉
被告 展転社ことY1
上記4名訴訟代理人弁護士 德永信一
同 勝俣幸洋

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,連帯して76万円及びうち66万円に対する平成12年11月10日から,うち10万円に対する被告土屋敬之及び被告古賀俊昭については平成15年1月12日から,被告田代博嗣及び被告Y1については同月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は,これを10分し,その9を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。
4  この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

 

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して820万円及びうち700万円に対する平成12年11月10日から,うち120万円に対する被告土屋敬之及び被告古賀俊昭については平成15年1月12日から,被告田代博嗣及び被告Y1については同月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,被告土屋敬之(土屋),被告古賀俊昭(古賀)及び被告田代博嗣(田代)らが共著し,被告展転社ことY1が発行した書籍に記載された記述により名誉を毀損され,プライバシーを侵害されたとして,その慰謝料等の支払いを求めた事案である。
1  争いのない事実等(証拠により容易に認定できる事実は,末尾に証拠を示す。)
(1)  当事者
原告は,東京都に採用されていた公立中学校の社会科教員であり,東京都足立区立a中学校での勤務を経た後,平成9年4月から平成11年8月31日まで東京都足立区立b中学校に勤務していたが,同年9月1日から平成14年3月31日まで東京都立教育研究所(教育研究所)に配属され,同年4月1日からは東京都千代田区立c中学校に勤務していた。
被告土屋,被告古賀,被告田代は,「こんな偏向教師を許せるか!(戦慄の現場報告・自殺まで考えた女子中学生)」(本件書籍)の共著者であり,また,いずれも東京都議会議員である(甲1)。
被告Y1は,書籍の出版を業とする者であり,本件書籍の発行人である。
(2)  紙上討論授業
原告は,b中学校に勤務していた平成9年6月24日,2年生の社会科の授業において,授業中に視聴した「沖縄の米軍基地-普天間第二小の場合」と題するビデオ教材について生徒が書いた感想文をプリントにして配布し,さらにその感想文に対する生徒の意見を交換し合うという授業(紙上討論授業)を行った。原告は,紙上討論授業においては,議論のある政治的争点をテーマとして取り上げ,これについて特定の政治的に立場に立った原告の考えを教師としての考えとして,生徒を指導していた。
原告は,週4時間ほどある通常の授業においては,教科書を使用して授業を行っており,紙上討論授業は,1,2か月に一度の割合で年間8,9回実施していた。
(3)  紙上討論授業の内容
ア 原告は,他にも紙上討論授業のテーマとして,「東京の米軍基地(横田)」(横田基地騒音公害訴訟団作成),米軍基地の実弾演習移転地となった北海道根釧台地の様子を描いた「国益と大地」(日本テレビ作成),米軍による原爆実写フィルムを編集した「予言」,山本宣治の生涯を追った「武器なき戦い」(東映映画作成),「ガンジー」(ハリウッド作成),「我が闘争」(ハリウッド作成),「侵略」(侵略上映実行委員会作成)等のビデオ教材を使用した。
イ また,原告は,紙上討論授業における参考資料として以下の資料を用いた。
(ア) 「今こそ読もう日本国憲法 21世紀へのおくりもの」(三省堂)
同資料には,日本の国土の0.6パーセントにしかすぎない沖縄県に米軍専用施設の75パーセントが集中していること,在日米軍の大半を占めるのは先制(侵略)攻撃のための海兵隊であること等の事実が記載されている。
(イ) 「総理府広報 1996年8月5日付け」
同資料には,日米安全保障条約の目的は,日本の安全を守るためであり,そのために米軍基地が必要であること,極東の平和を守ることは日本の平和のためでもあるという政府見解が記載されている。
(ウ) 「沖縄県民総決起集会での高校生代表Bさんの訴え(要旨)」
同資料には,1995年の,沖縄における米軍兵士による少女暴行事件を契機として催された沖縄県民集会には,8万5000人が参加し,日米地位協定の見直しを求めたことや,同集会に参加した,当時普通の高校生であったB氏が,基地がある故の苦しみと平和を訴えたことが記載されている。
(エ) 「軍事費の各国間における比較(「軍縮問題資料10月号」)」
(オ) 「武器輸入国の1位,2位(「憲法の歴史」)」(岩波セミナーブックス)
日本の防衛費が中国,韓国と比較しても突出している事実,日本が世界第2位の武器輸入国である事実が記載されている。
(カ) 「基地労働者(朝日新聞『窓』1997年9月9日夕刊)」
沖縄県の失業率が全国一である一方,基地労働者は準公務員並みの待遇を受けている事実及び基地返還後の雇用不安という重い課題があることが記載されている。
(4)  アメリカ人の父親を持つ生徒(本件生徒)の母親(本件保護者)が,紙上討論授業の際に配布されたプリントの内容が極めて反米的であり,あまりに一方的な捉え方であるとして,足立区教育委員会(区教委)に対し抗議を行った。
これを察知した原告は,平成9年7月16日に再度紙上討論授業を行った際,実名は伏せた上で,「あなた達の親の一人が『先生はけしからん教育をしている』というような内容の電話を教育委員会にしたそうです」,「教育委員会に密告(若者スラングで言う『チクリ』)電話や密告ファックスを送るというクラーイ情熱やエネルギーには敬意を覚えますが,私はこの親の要望に添うわけにはいきません。」,「教師の教育内容に介入しようなど『アサハカな思い上がり』」などと記載された本件保護者の対応を批判する内容のプリント(本件プリント)を教材として生徒に配布した。これに対し,b中学校校長は,本件プリントの配布が不適切であるとして配布しないよう指導したが,原告はこれに従わず,翌17日の社会科の授業においても本件プリントを配布した。(乙6,7)
(5)  同年9月,本件保護者は,原告に対し,本件プリントの配布が名誉毀損にあたるとして損害賠償請求訴訟を提起した。
本件生徒は,平成9年9月から12月の間は原告の授業を休むようになった。そして,同年12月頃には不登校となり精神科のクリニックへの通院を開始した。平成10年4月にはb中学校から草加市立d中学校に転校したが,その後もスクールカウンセラーからカウンセリングを受けたり,精神科のクリニックへ通うなどを続け,平成12年5月から6月にかけて入院をしている(乙13)。
東京都教育委員会(都教委)は,原告に対し,平成10年11月17日,本件プリントを配布したことが公務員の信用失墜行為にあたるとして,減給10分の1,1か月の懲戒処分をした(乙3,本件第1処分)。
(6)  原告は,平成11年,同校教員及びPTA役員のみ入手可能なPTA会員名簿を利用して,同校保護者全員に宛てて,係争中の本件保護者との訴訟について自己の主張を記載した3通の文書を,学校の所在地・学校名が記載された封筒を用い,うち1回は学校の印刷機を無断で使用して作成し,これを郵送した。
都教委は,原告に対し,平成11年7月28日,上記文書の郵送行為が公務員の信用失墜行為にあたるとして,減給10分の1,1か月の懲戒処分をした(乙4,本件第2処分)。
(7)  都教委は,平成11年8月,原告に対し,都立教育研究所で同年9月1日から平成12年3月31日まで研修を命じ,さらに同年3月,引き続き同所において同年4月1日から平成13年3月31日まで研修を命じた(乙5)。
(8)  原告はa中学校教諭として在職中にも,生徒の保護者から天皇の戦争責任を授業で取り扱ったことについて抗議を受けている。原告は,その際にも生徒に対し当該保護者を批判するプリントを配布し,その感想文を書かせていた(甲38)。
(9)  被告土屋,被告古賀及び被告田代は,平成12年11月10日,本件書籍を執筆し,被告Y1がこれを発行した。本件書籍には,以下のような記載がある(甲1)。
ア 「平成九年十一月二十二日,朝日新聞朝刊では,今回の人権侵害事件を起こしたX教諭の「紙上討論」と言う生徒を一定の方向に誘導する,ことばを変えて言えば,マインドコントロールに近い授業を激賞しています。」(第1記述)
イ 「完璧な洗脳教育」(第2記述)
ウ 「X教諭の授業は,あらかじめテーマを決め,その感想を書かせ,「討論形式」で進めることは前述したとおりですが,その手順を踏んでいけば,最初に提供される資料も似たり寄ったり,学問的というより,政治的に偏ったものであり,現実との矛盾に気が付いた生徒からの質問には,さらに偏った資料を提供し,巧みに自らの政治的意図に近づけようとするこの手法は,教育者というよりアジテーターといった方が適切でしょう。こうしたマインドコントロールによって,最後には,昔の鬼畜米英と同じで「米軍全滅作戦」を主張する生徒さえ出てくるありさまです。」(第3記述)
エ 「こんな状態ですから,クラスの一〇〇パーセント近くが,安保反対になることは必然です。何しろ,相手は中学生ですから,国際政治も,政治力学も,経済も分かっていません。あるのは中学生らしい正義感です。X教諭のテクニックは,この中学生の正義感を巧みに利用していることです。朝日新聞絶賛の『中学生マジに近現代史』(X編著・ふきのとう書房・平成九年刊)も「まえがき」と「あとがき」,あとは途中に挿入されている「先生から」と称するコメントだけが,X教諭の文章です。それ以外は中学生が,「自分で考え,討論した」ことになっています。しかし,現実はまったく違います。ある意味,白紙状態の中学生に一方的な情報を注入し,一部にある,「米軍はあったほうがいいな」という意見は無視。こうした手法で授業を展開すれば,少数意見を持つ者が「他人と違う」ことに臆病になり,意見を言わなくなってしまいます。今の中学生は他人との違いに極めて敏感であることを十分意識した上で計画されたこの手法は,本来,教育に携わる者がしてはいけないことであり,それを公然とやってのけるX教諭は,教師不適格者と呼ばれても仕方ないでしょう。」(第4記述)
オ 「X教諭にしてみれば,私は「知識(事実)の伝達」だけで,あとは生徒が,「その知識を使って生徒一人ひとりに主体的に考えさせ,(中略)自分自身の意見を作り上げるための援助」(『中学生マジに近現代史』「まえがき」より)をしただけと,責任を巧みに回避しようとするのでしょうが,これは明らかに「はじめに答えありき」式の巧妙な「洗脳」テクニックです。」(第5記述)
カ 「その根底には,天皇制の打倒があるのでしょうが,連国軍最高司令官マッカーサーをして「最高の紳士」と言わしめた昭和天皇を偏向した資料に基づいて一方的に攻撃し,生徒に反皇室思想を植え付ける行為は,憲法,教育基本法,学習指導要領をも無視する行為であると糾弾しなければなりません。」(第6記述)
キ 「実際,このプリントの中でも次のようなことを言っています。・地震は天災ですが米軍基地は人災です。・沖縄の人達は,もちろん抵抗できる限り抵抗しましたが,米軍は暴力(銃剣とブルドーザー)でむりやり土地を取り上げて基地を作ったというのが歴史的事実です。・アメリカの戦争のお手伝いに自衛隊を協力させるという約束をしています。こうした,コメントを教師が付けていれば,前述の感想文を担当しているクラスの大多数が書くようになるのも不思議ではありません。また,ここまで,はっきり自己の政治的立場,思想を教育に持ち込む教師もかつての日教組にはかなりいましたが,平成十二年の今日,めずらしいとしか言いようがありません。この教師の指導をご覧になって,大方の市民の皆さんは「やり過ぎだ」と思うのは当然です。」(第7記述)
ク 「反戦地主,C氏は,同じ文章の中で,教師に次のような檄を飛ばしています。「しっかりしろ!最近だらしがないよ。教師は,この国がどうあって欲しいのか,国の進むべき方向をしっかり描き,いうべきことはいい,勇断をもって首をおそれず正しいことは正しいと教えて欲しい」X教諭,C氏は,どうも教師の使命を勘違いしているとしか思えません。教師は,革命家でもアジテーターでも政治家でもないことに,このふたりは気付いていないのです。このふたりの目指す教師像は,唯我独尊。教師としての資質に一番欠ける人物だと言えます。」(第8記述)
ケ 「「内容があまりにも一方的だ」と母親から疑問点を伝えられた学校長,教頭は当然,X教諭に「米国籍の子供もいるので……」と配慮を求めました。そもそも,これだけの偏向授業をしている確信犯とも言える教師に対して,「米国籍の子供もいるので配慮を求める」などという消極的手法を使うこと自体,管理職としての資質を疑われますが,この配慮を求めるお願いに対してさえ,X教諭は「事実を教えているだけ」と反発しています。その上で,今度は,「あなた達の親の一人が『先生はけしからん教育をしている』という内容の電話を教育委員会にしたそうです」「『事実』をきちんと教えている私を『偏っている』と言うのはこの親が『偏っている』証拠」「自分の『思想』が教師の『憲法に忠実な思想』に合わないからと,教師の教育内容に介入しようなど笑止千万なあまりにも『アサハカな思い上がり』」と,母親を「アサハカ」とする文章をプリント教材として配布しました。」(第9記述)
コ 「何かあれば「減点」という「脅し」をかけられながらも,勇気と良心のある生徒はいます。最初に母親を攻撃したプリントが配布された七月十六日には,早速,担任の先生のもとに「こんなプリントが配られた」と持ってくる生徒もいたそうです。また,別のクラスの友人も同じようにK子さんのことを心配して,コンビニでコピーをしてK子さんに「こんなにひどいプリントが配られた」と渡してくれました。いくら恐怖政治をひいたところで,生徒の良心までも封殺は出来ないのです。落ち込んでいたある日,K子さんは同級生のA子さんから「頑張って」と励ましの手紙をもらいました。」(第10記述)
サ 「思春期の生徒のこころは一度傷付くと,ケアが大変であること,回復に相当な時間がかかることは,教師なら知っていて当たり前です。しかし,b中の場合は,校長,教頭などの管理職は謝罪はするものの,当該教員であるX教諭からは一切の謝罪はありません。校長が,「このたびは大変なご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした」とK子さんの自宅を訪ね,保護者に謝罪したところで,加害者であるX教諭が「自分には非がない」と言っている以上,この問題の解決はないのです。そうこうしているうちに,平成九年十二月,K子さんは,とうとう登校拒否に陥ってしまいました。」「結局,年が明けて,平成十年三月末にK子さんは転校を決意しました。X教諭が転任して来るまで,学校に行くのが楽しみであった生徒が学校を追われ,加害者である教師が相も変わらず教壇に立っている,これ以上の矛盾はありません。」(第11記述)
シ 「事件が起きたのが,平成九年六月,K子さんが登校拒否になったのは十二月,転校を決意したのが翌,平成十年三月。この間九ヶ月もの間,この教師は「心が痛む」問題を「機会がなかった」との理由で放置していました。」「少なくとも,K子さんは,平成九年十二月までは学校に行っていたのです。自分が起こした人権侵害事件で,ひとりの生徒が授業に出席出来なくなっていたことは知っていたはずですから,声をかける機会はいくらでもあったはずです。」(第12記述)
ス 「X教諭は,昭和六十二年四月から足立a中に勤務をしています。民主党(当時さきがけ)の鈴木あきら議員が,卒業式での国歌斉唱の際に起立しない生徒が相当数いた。不自然ではないかと調べた結果が,社会の授業が原因ではないかという質問となっています。このことは,X教諭の『中学生マジに近現代史』の一五六ページにも書かれています。ここで,「歴史の授業で『君が代』が明治憲法下,『天皇の世よ永遠に』と文部省が歌わせた事実を教えた。憲法の授業では,現代の文部省が『斉唱するように指導するものとする』と強圧していることを『日本ペン声明』とともに教えた」と自分が扇動したことを告白,というより誇らしく書いています。この論で行くと,文部行政を司る文部省や学習指導要領より,X教諭の歴史観が優先することになり,日本ペン声明なる,何の根拠もない団体が出した声明が優先するという,法治国家にあるまじきことをこの教師は言っていることになります。」(第13記述)
セ 「自分に都合の良い部分は憲法を利用する,憲法を守るとは言いながら天皇制には反対,憲法を機軸に制定されている諸法規も,都合の良いものは利用するが,自分の信条に反するものは,その存在も認めない。これは左翼の古い手法ですが,X教諭はいまだにこの使い古された陳腐な手法を使っていると言えます。」(第14記述)
ソ 「この経過を「密告者の贈り物」-教育現場からと題してX教諭は「文学時報第一〇二号」に投稿していますが,この常識はずれの発言に対する生徒の感想は何と,次の通りです。「親の電話のとおりに校長先生に言った教育委員会の人はおかしい。もっとひどいのはその親。ろくに知識もないのに,先生が良く調べて真実をわたしたちに教えるのを止めさせようとするなんて」「先生はすごい!何がすごいって,根性がすごい。何か尊敬しますよ,何回密告されてもくじけず頑張っていくなんて」X教諭の作戦は大成功です。文化大革命時の紅衛兵が教師を糾弾した集会での発言そのまま。見事なマインドコントロール,偏向教育の見本とも言えます。教育委員会に苦情を持ち込んだ保護者を「密告者」と断定,校長の指導にも,そんな苦情は「政治的意図があるか,全くの無知かのどちらかですから心配なさることありません」「前任者の校長の時もありましたから,この地域の特徴かしら」とはぐらかし,生徒を扇動して感想文を書かせるなど,足立b中でX教諭が行ったことと同じことをa中でもしていたのです。」(第15記述)
タ 「本来,行政は住民の利益を守る役割を担っています。その行政が,憲法,教育基本法を無視し,学習指導要領を否定し,人権侵害事件を起こした教諭の犯罪を十分な調査もしない,対応もしないでは「行政も加害者」と言われても仕方ありません。」(第16記述)
チ 「間違った国民に奉仕する必要などない」と言い切る教諭を,何故,足立区教育委員会は放置しているのか。また,この校長・教頭は,指導の中で,今までX教諭が教材として使用してきた「偏向したプリント」の内容をどうして問題にしないのか理解出来ません。今回の人権侵害事件は,ある日突然,保護者を誹謗,中傷するプリントが配布されたのではありません。X教諭が,確信犯として,教育秩序を破壊し,日本国憲法を擁護すると称して特定の政治教育を実践して来て,前任校の足立a中でも問題になり,被害生徒の母親が,足立区教育委員会に匿名で電話をかけた段階でも「足立b中のことですね」と担当者が気付くほどに,この人権侵害教師の行いは知れ渡っていたのです。それを,足立区教育委員会が「放任」して来たこと,都教委にも報告すら上げていない無責任体制であったことに原因があるわけです。従って,今回の人権侵害事件解決にあたっては,X教諭の紙上討論と称する,偏向教育自体を本来問題にすべきなのです。」(第17記述)
ツ 「「足教組b中分会通信 NO1 分会長 X 九八・一〇・二七」に次のような文章があります。まず,X分会長が,「足立b中,D校長に『良心の存在証明』をする機会を与えたのですが,皆様 (注・教職員組合員)ご存じの通り,先日の校内研修会の席上で,その機会を利用するつもりは『ありません』と明言されたので」とX教諭の人権侵害事件に関わる指導をした,学校管理者である校長に,今度は『良心の存在証明をする機会』を与えたと言っています。良心の存在証明をするとは具体的に何をすべきなのかは書かれていませんが,要は校長の自己批判を求めるものであったことは言うまでもありません。そうした,終戦直後左翼系の支配する労働組合や旧国鉄の国労,動労等一部組合が行って来たいわゆる「つるしあげ」を,このX教諭は実施しようとしていたのでしょう。」(第18記述)
テ 「このように,法律でも校長は学校管理者として職員を監督する権限が付与されているのですが,X教諭は七月から始まった,校長による指導にも従っていません。そればかりか,今度は,職責に基づいてX教諭を指導している校長に対して『良心の存在証明』の機会を「与えた」と学校秩序を根底から覆す行為をしているのです。そもそも,こうした発言を組合の分会通信に公然と載せる足教組の体質もX教諭と大同小異であると疑われても仕方ありません。X教諭は,校長が拒否をしたので「遺憾ながら,東京都人事委員会に,以下の措置要求書を提出することになりました」と校長の解職,更迭を要求しています。続けて「未来の校長先生方は,この愚を繰り返されませぬよう,心からお願い申し上げます」と結んでいます。つまり,私に逆らったら,こういうことになるのよ,というX教諭一流の恫喝もきちんと付しています。今までこの手法で,自らの「間違った者に奉仕する必要などないのだ」といった誤った公務員感覚と憲法のひとりよがりの解釈でアジテーターとして過ごしてきたことがはっきり分かります。」(第19記述)
ト 「また,「産経新聞の虚偽報道」とこの事件を報道したマスコミに矛先を向けていますが,八月十九日付産経新聞は,X教諭が配布したプリントの抜粋も掲載,このプリント配布によってこころを傷付けられた女生徒が転校を余儀なくされたこと,保護者が名誉毀損でX教諭を提訴している「事実」を述べているに過ぎません。この記事には,X教諭のコメントも掲載されており,これが虚偽の報道になるとは到底思えません。ただ,この報道を契機に,八月十九日(夕刊)「前任校でも親から批判」と,前任校のa中でも,今回と同じように,親から授業内容を批判されたことが記事となりました。その過程で,偏向授業を批判した保護者のことを「密告者の贈り物 教育の現場から」と題して足立区の教職員組合に寄稿,保護者を「密告者」として非難していることが明らかにされ,八月二十三日,二十六日に掲載された記事の中でも,X教諭が今まで教室という密室の中で独善的に行ってきた授業の全貌が広く明らかにされたことに焦りを感じて,今度は「虚偽報道」とマスコミ攻撃を始めたのです。」(第20記述)
ナ 「この人権侵害事件は一部保護者の教育内容に関する不当な干渉から始まったものではありません。共産党機関紙「赤旗」の記事を引用し,執拗な反米政治教育を行い,それに「疑問」を持った米国籍を持つ女生徒の母親に対して,区議会でも都議会でも不適当とされた個人攻撃の「アジビラ」を教材と称して全クラスに配布,著しく生徒,保護者の名誉を傷付けたことから始まった事件です。」(第21記述)
ニ 「足立区立第b中学校に勤務するX教諭は,自ら担当する社会科の授業の中で,沖縄の米軍基地をことさらに批判すると生徒の親が学校や教育委員会に訴えたところ,同教諭は「あなた達の親の一人が『先生はけしからん教育をしている』というような内容の電話を教育委員会にしていたそうです」「教師の教育内容に介入するなど『アサハカな思い上がり』」といった内容のプリントを生徒に配布した。対象となった生徒は登校拒否に陥り,最終的には転校を余儀なくされている。同教諭は前任校の足立区立a中学校においても,保護者から生徒指導に偏りがあるとの訴えを受けているが,私が収集した資料によれば,こうした事態に同教諭は反省をしないばかりか,謝罪は絶対しないと表明している。同教諭の授業内容は,米軍基地を必要以上に取り上げ,天皇の戦争責任を追及するなど,明らかに特定の政治的立場を生徒に強要するものであり,それを批判する保護者を攻撃するといった行為は,公教育に携わる者として法規に反し,教員としての資質に欠けることは明らかであり,看過することは出来ない。(中略)こうした,明確な犯罪事実があるにもかかわらず,都教育庁はなぜか積極的な対応をすすめていませんでした。前述したように,都教育庁は,事実に反して改善に向かってすすんでいるかのような答弁をしていましたし,足立区教育委員会からは事後の経過報告も受けていませんでした。」(第22記述)
ヌ 「平成十年十一月十七日,東京都教育委員会は,人権侵害事件で,足立b中X教諭を「減俸十分の一 一箇月」の懲戒処分とすることを決定しました。偏狭な思想を持った教師によって,ひとりの少女がこころを傷付けられ,登校拒否から転校まで追い込まれたこの事件も一年三ヶ月を要して,やっと処分が決定しました。」(第23記述)
ネ 「これからは,先生も選別する時代です。教員といえど聖域ではありません。X教諭はことあるたびに,ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告 六七項」「教員は本質的に教員の職務上の責任である問題について父母から不当な干渉から守られる」と主張しています。しかし,これはX教諭が日本国憲法を都合の良いように利用しているのと同じで,実はこの引用部分は六七項の「後半」に過ぎず,前段の「児童・生徒の利益のために,教員と父母の緊密な協力を促進するあらゆる可能な努力」をすることは,意図的に削除してあります。第一,人権侵害事件を起こしておいて,それに異議を申し立てる保護者の行動が「不当な教育への干渉」であるなどと言い張る,X教諭の「教師としての資質」に疑問を持たない人はいないでしょうし,実際,教諭を支持しているのは後述する通り一握りの政治的意図を持った者に限られています。」(第24記述)
ノ 「今回の判決は,賠償対象者が国や自治体だと言っているに過ぎず,X教諭の行った人権侵害事件が正当であるなどとは,ひとことも言っていません。そして五月二十二日,新宿区役所六階会議室で開かれた「平和教育を守る足立の会総会」パンフレットには,「振り返れば二年十ヶ月になります。あの日を境にX先生の人生は急変しました。言い知れぬ人権侵害攻撃が休む間もなく襲いかかり,非難と侮辱の風評が真実を装い煽り立てられました」と,いかにも冤罪事件の被害者気取りの文章が踊っています。「あの日を境に人生が急変」したのは,この確信犯ともいうべきX教諭ではなく,登校拒否になり,自殺を考えるまで精神的に追い込まれ,多数の友人と別れて転校せざるを得なくなった少女K子さんのことです。」(第25記述)
ハ 「ここで言う平和や民主教育とは賢明な読者ならもうお分かりだと思いますが,X教諭の主張する「平和」であり,X教諭の行って来た,マインドコントロール授業です。そして,これに反対する保護者はもとより,議会でこうした問題を追求してきた良識派議員の発言を,一部マスコミが煽り立てる「落選運動」に名を借りて,封じ込めようとする作戦です。」(第26記述)
ヒ 「古賀委員「これは大変大きな問題があると思います。つまり,この文書は,PTAの住所録を使って,しかも学校の印刷機で印刷をされている。それから,足立b中学校の教員として出しているわけですね。先ほど封筒の差出人の答弁がありましたけれど,確かに足立b中の住所が書かれています。つまり,公職の立場である人から出された文書だということになるわけです。しかもその中身は,今,私から触れましたように,被害者の母親をまず攻撃しています。また,東京都教育委員会の処分は不当であるということも書かれている内容になっています。違法を重ねて,こういう累犯的な事犯を重ねる典型的な確信犯ということがいえるのじゃないかと,私思うんですけれども,教育長はどう思いますか」」,「中島教育長「公立学校の教員が,当該校の教員として知り得た情報によって,保護者にみずからの私的な裁判について記載した文書を送付するということは,教育公務員として自覚に欠ける遺憾な行為であると考えます。また,前回,職務命令違反及び信用失墜行為によって処分を受けたことを真摯に受けとめ,その行為を反省すべきである,このように考えております」」
(10)  公共の利害に関する事実
本件書籍は,全体として原告の教育・指導の方法をテーマとしており,教育という公共の利害に関する事実について記述されている。
(11)  学習指導要領の記載
学習指導要領小学校6年社会の部分には,「天皇の国事に関する行為など児童に理解しやすい具体的な事項を取り上げ,歴史に関する学習との関連も図りながら,天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること」,と記載されており,また,同中学校社会公民的分野の部分には,「日本国及び日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について理解させる」との記載がある。さらに,学習指導要領における国旗,国歌の取扱いの部分においては,「『国家間の相互の主権尊重と協力』との関連で,国旗及び国歌の意義並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ,それらを尊重する態度を育てるよう配慮する」との記載がある。(乙28,29)
(12)  教育基本法
教育基本法8条は,次のように定めている。
ア 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
イ 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
(13)  また,本件書籍には,以下のような情報の記載がある(甲1)。
ア 区教委の見解として,以下の記載がされている。
「足立区第b中学校X教諭は,校長から,度重なる指導を受けていたにもかかわらず,また,前回,都教育委員会から服務規程違反で処分を受けた身でありながら,本来,保護者と教職員とが協力して生徒の教育効果を高めることを目的として作成されたPTA名簿を使用し,教員という立場を利用して,「信書」という形式で,係争中の事柄についてまったく関わりのない保護者宅へb中の名前を用いて送付した。また,その手紙の中には,教育公務員として極めて不適切な表現が多く使用されていた。係争中の内容について,個人の情報である名簿を目的外に使用し,保護者宅に自らの主張を送ったことは,教員としての信用を失墜する行為であると考えられる。東京都教育委員会におかれては,違法な行為を繰り返すX教諭に対して,厳正な措置をお願いしたい。」(本件第1情報)。
イ 都教委の,原告に対する,本件第2処分の処分説明書(本件第2情報)。同説明書には,交付年月日,原告の所属,氏名,職名,生年月日,処分の種類及び程度,処分年月日,刑事裁判との関係,処分の理由の記載がある。
ウ 原告に,教育研究所での研修を命ずる旨の発令通知書(本件第3情報)。同発令通知書には,原告の氏名,所属,発令内容の記載がある。
エ 原告の,教育研究所での研修状況(本件第4情報)。その内容として,原告の教育研究所での態度,研究所による指導の内容,指導の月日が記載されている。
(14)  被告古賀は,平成11年7月9日に行われた,傍聴人が傍聴可能な東京都議会文教委員会会議(文教委員会)において,原告の氏名,所属,職分を明らかにした上で,本件第2処分の理由となった事実を示して質問した(乙37)。また,同年7月29日,本件第2処分が原告に対してされたこと,その理由及び処分の年月日が新聞報道された(乙39の3)。
(15)  被告田代は,平成12年11月21日の文教委員会において,原告の氏名,所属,職分を明らかにした上で,原告が教育研究所において研修を受けていることについての質問をし,教育庁の斎藤尚也指導部長が,研修期間について答弁をした(乙38)。また,平成11年9月2日,原告が教育研究所における研修命令を発令されたこと,研修期間,発令内容について新聞報道がされた(乙39の4)。
(16)  原告を支持する団体である平和教育を守る足立の会は,原告の承諾の下,「東京都足立区第b中の社会科教諭,X先生が去年六月,二年の社会科授業でNHK福岡放映の『普天間基地』のビデオを教材に紙上討論を行ったことが発端となり女生徒の母親AさんがX先生を名誉毀損で告訴,さらに都教育委員会が追い討ちをかけるように処分を発令する」,「足立区立第b中学校社会科教諭のX先生が新学期が始まる九月一日から七ヵ月間,目黒区にある都教育研究所での長期研修を命じられました。」,「X先生は一昨年一一月に続き,今年七月にも都教委から二度目の不当処分(減給十分の一,一ヵ月)を受けました。X先生が被告の裁判に影響を与えかねない不当処分」との記載のあるビラを作成した(乙40)。
2  争点
(1)ア  名誉毀損事実の有無
イ  名誉毀損における違法性阻却事由の有無
ウ  名誉毀損による損害額
(2)ア  プライバシー該当性
イ  プライバシー侵害における違法性阻却事由の有無
ウ  プライバシー侵害による損害額
第3  当事者の主張
1  争点(1)ア(名誉毀損事実の有無)について
(原告の主張)
(1) 被告土屋,被告古賀及び被告田代が共同して執筆し,被告Y1が発行した本件書籍に含まれる以下に述べる各表現は,いずれも原告の社会的評価を低下させるに足りる事実であり,本件書籍が出版されたことにより,原告の名誉は毀損された。
ア 第1記述中の「X教諭の「紙上討論」と言う生徒を一定の方向に誘導する,ことばを変えて言えば,マインドコントロールに近い授業」との表現(第1表現)。
イ 第2記述中の「完璧な洗脳教育」との表現(第2表現)。
ウ 第3記述中の「政治的に偏ったものであり」,「巧みに自らの政治的意図に近づけようとするこの手法は,教育者というよりアジテーター」,「こうしたマインドコントロールによって」との表現(第3表現)。
エ 第4記述中の「ある意味,白紙状態の中学生に一方的な情報を注入し,一部にある,「米軍はあったほうがいいな」という意見は無視。こうした手法で授業を展開すれば,少数意見を持つ者が「他人と違う」ことに臆病になり,意見を言わなくなってしまいます。今の中学生は他人との違いに極めて敏感であることを十分意識した上で計画されたこの手法は,本来,教育に携わる者がしてはいけないことであり,それを公然とやってのけるX教諭は,教師不適格者と呼ばれても仕方ないでしょう。」との表現(第4表現)。
オ 第5記述中の「X教諭にしてみれば」「責任を巧みに回避しようとするのでしょうが,これは明らかに「はじめに答えありき」式の巧妙な「洗脳」テクニックです。」との表現(第5表現)。
カ 第6記述中の「昭和天皇を偏向した資料に基づいて一方的に攻撃し,生徒に反皇室思想を植え付ける行為は,憲法,教育基本法,学習指導要領をも無視する行為である」との表現(第6表現)。
キ 第7記述中の「はっきり自己の政治的立場,思想を教育に持ち込む教師」との表現(第7表現)。
ク 第8記述中の「このふたりの目指す教師像は,唯我独尊。教師としての資質に一番欠ける人物だと言えます。」との表現(第8表現)。
ケ 第9記述中の「これだけの偏向授業をしている確信犯とも言える教師」との表現(第9表現)。
コ 第10記述中の「何かあれば「減点」という「脅し」をかけられながらも」,「いくら恐怖政治をひいたところで」との表現(第10表現)。
サ 第11記述中の「加害者であるX教諭」「加害者である教師」との表現(第11表現)。
シ 第12記述中の「自分が起こした人権侵害事件」との表現(第12表現)。
ス 第13記述中の「ここで,「歴史の授業で『君が代』が明治憲法下,『天皇の世よ永遠に』と文部省が歌わせた事実を教えた」,「と自分が扇動したこと」との表現(第13表現)。
セ 第14記述中の「自分の信条に反するものは,その存在も認めない」との表現(第14表現)。
ソ 第15記述中の「見事なマインドコントロール,偏向教育の見本とも言えます。」「生徒を扇動して感想文を書かせるなど」との表現(第15表現)。
タ 第16記述中の「憲法,教育基本法を無視し,学習指導要領を否定し,人権侵害事件を起こした教諭の犯罪」との表現(第16表現)。
チ 第17記述中の「X教諭が,確信犯として,教育秩序を破壊し,日本国憲法を擁護すると称して特定の政治教育を実践して来て」「この人権侵害教師の行いは」との表現(第17表現)。
ツ 第17記述中の「X教諭の紙上討論と称する,偏向教育自体を」との表現(第18表現)。
テ 第18記述中の「左翼系の支配する労働組合や旧国鉄の国労,動労等一部組合が行って来たいわゆる「つるしあげ」を,このX教諭は実施しようとしていた」との表現(第19表現)。
ト 第19記述中の「学校秩序を根底から覆す行為をしている」,「X教諭一流の恫喝」との表現(第20表現)。
ナ 第20記述中の「偏向授業」「教室という密室の中で独善的に行って来た授業」との表現(第21表現)。
ニ 第21記述中の「執拗な反米政治教育を行い」との表現(第22表現)。
ヌ 第22記述中の「明確な犯罪事実」との表現(第23表現)。
ネ 第23記述中の「偏狭な思想を持った教師によって」との表現(第24表現)。
ノ 第24記述中の「人権侵害事件を起こしておいて」との表現(第25表現)。
ハ 第25記述中の「確信犯ともいうべきX教諭」との表現(第26表現)。
ヒ 第26記述中の「X教諭の行って来た,マインドコントロール授業」との表現(第27表現)。
(被告らの主張)
本件各表現は,いずれも原告の社会的評価を低下させるものではない。
2  争点(1)イ(名誉毀損における違法性阻却事由の有無)について
(被告らの主張)
(1) 公益目的の存在
被告らによる本件書籍での意見表明は,原告の行ってきた教育・指導内容,原告のとった行動等に対して一貫した批判をすることで,教育公務員である原告の教師としての適格性を問題とし,原告の懲戒免職を要求することを目的としたものであり,公益を図る目的があった。
(2) 摘示事実ないし基礎事実の真実性
以下のように,各表現において摘示した事実ないし論評の基礎となった事実はその主要部分において真実である。また,仮に以下の事実が真実でないとしても,それを真実と誤信するについて相当な理由がある。
ア 原告の紙上討論授業が,生徒を洗脳ないしマインドコントロールするものであったこと
公立中学校の教師は政治的見解の対立のあるテーマを授業で扱う際には,政治的中立性が保たれるように配慮する必要があるにもかかわらず,原告は,日の丸掲揚・君が代斉唱の是非,日米安全保障条約(日米安保),沖縄米軍基地問題等政治的見解の対立のあるテーマについて,これに反対する立場で紙上討論授業を行っていた。また,原告が,紙上討論で沖縄米軍基地問題を扱った際には,日米安保,米軍基地反対の方向に議論を導くため,教師として真実を伝える旨強調した上で,自己の立場に沿う意見をプリントに掲載し,また,原告の私見を事実であるとして生徒達に教えていた。特に,原告が参考資料として挙げた複数の資料は,賛否のバランス,掲載した賛否の意見の量,引用の方法においてバランスを欠いており,批判能力の未発達な生徒が読めば原告の意見に沿う方向に意見を形成せざるを得なくなる。そして,原告は,その意に添う生徒の感想文にはアンダーラインを引かせる一方で,原告の指導に疑問を呈する生徒には,教師とは思えない辛辣かつ感情的なコメントを付してこれを封じ込めるなどの指導をしてきた。その結果として,原告のコメントを鵜呑みにした生徒達が多数現れ,多くの生徒が実際に原告に共鳴する内容の感想文を書いた。
イ 原告の紙上討論授業は偏向授業であり,憲法,教育基本法,学習指導要領に反するものであること
原告は,紙上討論授業で扱った題材のうち,日米安保,沖縄米軍基地問題については反米の立場に,天皇の戦争責任については肯定する立場に,いわゆる日の丸君が代問題についてはこれに反対する立場に立って授業を行った。原告は,自己の意見をプリントに付し,生徒から出された自己の意見に沿う感想にはアンダーラインを引かせ,また自己の意見に沿う参考資料を,反対する参考資料よりもバランスを欠くほど多く生徒に配布した。原告は,紙上討論授業において,政治的教育,政治的活動をしたものである。
また,当時においても学習指導要領等において「君が代」を尊重することとされていたにもかかわらず,原告は,「君が代」が国歌であることを否定ないし軽視する「私は,君が代は国歌ではないと思っているが,文部省は国歌として歌えといっている。」との発言もしている。
さらに,原告は,b中学校校長が,本件プリントを配布してはならない旨の職務命令を発したにもかかわらずこれを無視し,本件プリントを配布した。
ウ 原告が,本件保護者及び本件生徒に精神的損害を負わせたこと
原告は,原告の紙上討論授業に対する抗議を行った本件保護者を,不穏当な表現を用いて誹謗中傷する本件プリントを生徒に配布し,b中学校校長の指導にもかかわらず本件プリントを配布することを止めず,本件保護者の名誉を毀損し,本件生徒を精神障害を起こすような窮地に追いやった。そして,校長及び教頭から本件保護者及び本件生徒に対して謝罪するように指導されたにもかかわらず謝罪せず,本件生徒は原告の授業の拒否,不登校に至り,最終的には転校を余儀なくされた。
エ 原告が授業において成績査定権を濫用していたこと
原告は,紙上討論授業においては,原告に成績査定権があることを暗示した上で感想文を書かせ,原告の意見に反対する意見や原告への批判的意見に対しては辛辣なコメントを長文で付した上,生徒の点を減点することをほのめかすような指導をしていた。
オ 原告がb中学校校長の更迭,解職を迫ったこと
原告は,b中学校校長に対して,「良心の存在証明」という自己批判をすることを求めたにもかかわらず,同校長がこれに応じなかったことから,東京都人事委員会に対して謝罪,解職,更迭等の措置要求書を提出した。
(原告の主張)
(1) 公益を図る目的がないこと
本件書籍の内容を全体として見ると,被告らの政治的立場から生ずる教育観を読者に植え付けるために原告の授業方法及びその内容を誹謗中傷しているにすぎず,原告に対する人心攻撃をその目的としている。
(2) 本件各表現の摘示事実ないし論評の基礎事実は,以下に述べるようにいずれも真実ではない。また,仮に真実であるとしても,論評の範囲を逸脱した表現である。
ア 洗脳,マインドコントロールにはあたらないこと
紙上討論授業の目的は,一つのテーマについて,生徒達が主体的に思考し,自分の意見としてそれを文章にして発表し,相互批判をすることで自らの考えを深めていくことにあり,原告の思想を生徒に押しつけるためのものではない。原告は,生徒達に自己の意見表明の機会を十分に与えていたのであり,紙上討論授業においても,原告は,原告に批判的な意見は全て取り上げている。紙上討論授業で使用されたプリントには,原告の考えに批判的な意見も記載されている。原告が生徒達の意見に介入するのは,生徒の客観的な事実に対する認識が誤っている場合である。
イ 偏向授業にはあたらないこと
原告の行っていた平和教育は,日本国憲法及び教育基本法の精神に沿ったものであり,戦争に反対する立場からの教育は偏向教育にはあたらない。また,原告は,大日本帝国憲法下の日本においては主権は天皇にあり,軍事に関する統帥権も天皇にあったこと,日本が侵略戦争に突き進んで行くためには天皇の裁可が不可欠であったという歴史的事実を教えたにすぎず,これをもって反皇室思想を植え付ける行為をしたということはできない。
そもそも,相互の意見交流の中で生徒が自らの意見を確立するため,教師が一定の立場に立って議論を活性化することが,有用な教育方法として認められている。また,原告が用いた資料は,全て客観的事実を述べているか,その事実を基礎とした意見・論評が述べられているものであり,かつ,その出典も社会的にその見識が認められているところばかりであって,これらの資料を用いた教育を偏向教育であるということはできない。
ウ 憲法,教育基本法,学習指導要領を無視していないこと
原告は,「私は,君が代は国歌ではないと思っているが,文部省は国歌として歌えと言っている。」との発言はしたが,その当時国旗国歌法案は成立していない上,学習指導要領では君が代を国歌として学校行事で斉唱させるよう指導していたのだから,原告はそれらの事実を生徒に教えたにすぎず,これをもって原告が学習指導要領を否定したということはできない。
また,平成9年7月17日午前8時45分の校長による指導においては,校長は職務命令という言葉を用いておらず,ただ「今後は授業その他に使う印刷物は管理職に見せること」と言っているにすぎない。そもそも,校長の指導があった時には,既に原告は本件プリントを配布しており,管理職である校長も本件プリントを見ていた。そこで,原告は,校長の命令を職務命令として認識せず,かつ本件プリントを既に管理職に見せたものと考えていたのである。したがって,原告が教育秩序を破壊したということはない。
エ 原告の紙上討論授業は肯定的評価がされていたこと
原告は,a中学校の平成8年度の卒業式において,卒業生の答辞の中で紙上討論授業に対する感謝の言葉を述べられている。また,平成10年度にはb中学校において,原告の紙上討論授業が人権尊重教育推進校の実践例として都教委にも報告されている。
オ 本件生徒は精神的損害を負っていないこと,仮に負っていたとしてもそれは原告の責任ではないこと
原告が,紙上討論授業で用いたビデオ教材である「沖縄の米軍基地-普天間第二小の場合」の内容は,そのほとんどが事実であり,その評価においても社会科の教師にとっては常識の範囲を出ていない。すなわち,原告がかかる教材を用い紙上討論授業を行ったことは,本件保護者から非難されるべきことではなかった。したがって,原告と本件保護者との間には話し合いの機会が与えられるべきであった。しかし,b中学校校長や区教委はその機会を与えないばかりか,原告には何の連絡もないまま原告の授業の件でPTA集会を行うなどし,原告と本件保護者が信頼回復を図る機会を与えなかった。もし,本件保護者が校長らと共に原告に対する抗議行動を行っていることを原告が知っていれば,原告は,本件保護者が特定される事態をさけるため,本件プリントを配布しなかったのであり,本件保護者及び本件生徒が精神的損害を受けることはなかった。したがって,本件生徒が不登校,転校に至った理由は,校長らが原告と本件保護者が話し合う機会を設けなかったことにあり,原告が本件プリントを配布したことにあるのではない。
また,本件プリントの趣旨は,原告に反対し非難する親の存在を一つの教材として,なぜそのような意見が存在するのかを生徒に考えさせ,民主主義社会における率直な議論と相互批判の重要性を教えることにあり,本件保護者を誹謗中傷することにはない。また,本件プリントが配布された授業において,本件生徒も,「E君の米軍全滅作戦に。最初に戦争を仕掛けたのは日本だ。アメリカと日本はお互い様のような気がする。だから,これからは,一人一人が米軍基地をどうするか,真剣に考え(特に,日本政府は),どうしたら,お互いに平和になるかを考えていくべきだ」との冷静かつ公平な意見を書いており,本件生徒が本件プリントにより精神的損害を受けていたのなら,到底書くことができるものではない。被告らは,原告の教育方法を攻撃するために本件生徒の問題を取り上げているにすぎず,むしろそのような被告らの行動が本件生徒を苦しめたのである。
カ 原告が校長に対して要求した「良心の存在証明」とは,本件保護者及び本件生徒をめぐって校長がとった対応について,その真意及び理由を問うためのものであり,校長から誠意ある回答を得られなかったことから,都教委に対して校長に関する要望書を提出したにすぎない。
(3) 誤信相当性について
被告らは,紙上討論授業において使用された断片的な資料のみを根拠とし,ほとんど紙上討論授業に関する調査を行わないまま原告の名誉を毀損する虚偽の事実を摘示し,または虚偽の事実に基づく論評をしたものであるから,事実を真実と誤信するについて相当な理由があるとはいえない。
3  争点(1)ウ(名誉毀損による損害額)
(原告の主張)
被告らによる,原告の名誉の毀損により,原告が被った損害を慰謝するには,600万円をもってするのが相当である。
また,被告らによる原告の名誉の毀損により,原告は不必要な訴訟を提起せざるを得ず,そのために弁護士に依頼せざるを得なくなった。そのため弁護士費用相当額120万円の損害を被った。
(被告らの主張)
原告の名誉は毀損されていないので,損害も発生していない。
4  争点(2)ア(プライバシー該当性)
(原告の主張)
本件各情報はいずれも原告の私的事項に属する事柄であり,原告のプライバシーを構成する。
(被告らの主張)
(1) 本件第1情報について
その内容は,区教委が都教委に対し,原告が本件保護者との訴訟に関し,教員の立場を利用してその経緯を記した書面を保護者宅に送りつけたことから,かかる原告の行為が信用失墜行為にあたるとして,厳正な処分を願うとの要望であり,これは公務員の法規違反の処分に関わる公的なものである。したがって,原告のプライバシーを構成するものではない。
(2) 本件第2情報について
本件第2情報は,地方公務員法違反に基づき,原告に対する懲戒処分がなされた事実及び当該処分理由であり,これらはいずれも公的な情報であるから,原告のプライバシーを構成するものではない。
(3) 本件第3情報について
本件第3情報に記載されている研修命令は,法に基づき都教委が原告に対して行ったものであり,都教委が原告を指導力不足教員であると認定し,原告による学習指導法の改善に関する研修を課したという情報は,教育公務員の適性に関する重要な公的情報である。したがって,原告のプライバシーには該当しない。
(4) 本件第4情報について
本件第4情報は,研修期間中の原告の研修状況が記載されたものであり,原告の公的な行動に関わるものである。したがって,原告のプライバシーを構成しない。
5  争点(2)イ(プライバシー侵害における違法性阻却事由の有無)
(被告らの主張)
(1) 本件各情報は公共の利害に関する公的な情報である。被告らは,原告による紙上討論授業に著しい政治的偏向性があると考え,特に本件保護者を誹謗中傷する本件プリントを作成して配布したという事実を問題視し,原告の教師としての適格性について問題を提起する一環として本件各情報を公開したのであり,本件各情報の公開には公益を図る正当な目的があるといえる。
(2) また,本件各情報はいずれも公教育の現場における教師の公務遂行方法の適正ないしは不祥事に関する問題についての情報であるといえるところ,そのような事柄は公的領域に属する問題であって広く議論,批判の対象とされるべき事柄であり,他者の介在を排除することによって平穏が保たれるべき私的領域に属する事柄ということはできない。
(3) さらに,本件各情報は,原告らによる文教委員会での質疑,新聞報道,原告の支援者ら作成によるチラシにより広く一般に知られるところとなっており,その保護の必要性はなくなっていた。
(原告の主張)
本件書籍の記述内容は,原告に対する個人攻撃が中心となっており,公益を図る目的に出ているということはできない。
また,原告のプライバシーを守る利益に優越する,公開によって得られる利益は存在しない。
6  争点(2)ウ(プライバシー侵害による損害額)
(原告の主張)
被告らが,原告のプライバシー情報を本件書籍に記述して出版し公開したことにより原告が被った精神的損害を慰謝するには,100万円をもってするのが相当である。
(被告の主張)
原告に,プライバシー侵害による損害は発生していない。
第4  争点に対する判断
1  争点(1)ア(名誉毀損事実の有無)について
本件においては,被告らは,本件書籍の出版という方法により,本件各表現を不特定又は多数人に対して表現していると認められる。
法的保護に値する社会的評価の低下の有無については,当該表現についての,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従って判断するべきであり,その際には,表現行為の対象とされた人の品位,身分,職業等その人の社会における位置,状況等を考慮して判断するべきである。
(1)  第1表現について
第1記述は,「生徒を一定の方向に誘導する」との第1表現を含むところ,その記述からすると,第1表現は,原告が生徒を原告の政治的思想に沿う方向に誘導することの意味を有すること,「マインドコントロール」との語は「生徒を一定の方向に誘導する」との語の言い換えとして用いられていること,第1表現は直接には原告の授業を激賞する朝日新聞を批判する文脈で用いられていることが認められる。
たしかに,「生徒を一定の方向に誘導する」,「マインドコントロール」との語は原告に対する消極的評価を含むといえるが,上記認定のように第1表現は朝日新聞を批判する文脈で用いられていることに鑑みると,原告の社会的評価を低下させるものということはできない。
したがって,第1表現によって,原告の名誉が毀損されたと認めることはできない。
(2)  第2表現について
第2記述には,「洗脳」という語が使用されているところ,同表現は生徒に原告の政治的思想に沿う思想を持つよう誘導しているとの意味で用いていると認められる。また,原告は,公立中学校における社会科教諭であり,教育現場においては政治的中立性が求められる社会的地位にあったというべきである。
そうすると,上記表現を含む第2表現は,教師である原告に対し,原告が生徒に特定の政治的思想を持つよう誘導していると評価するものであるから,原告の社会的評価を低下させるものといえる。
したがって,第2表現によって,原告の名誉は毀損されたと認めることができる。
(3)  第3表現について
第3記述は,原告が紙上討論授業において,政治的立場に偏りのある参考資料を提供し,原告の政治的思想に反対する意見を持つ生徒にはさらに偏った参考資料を提供し,生徒に自己の政治的思想に近い意見を形成するよう誘導していたことから,原告は教師ではなくアジテーターすなわち扇動者であるとの意味で第3表現を記述したこと,また第3表現における「マインドコントロール」との語は,上記原告の指導方法を指す意味で用いているものといえる。
そして,原告は公立中学校の教師であり,その原告をして教師ではなくアジテーターであると表現することは,原告の社会的評価を低下させることが明らかである。また,教師が政治的に偏った参考資料しか提供しない方法によって指導をしたとの事実は,教師の不適格性を示す事実であるから,原告がそのような指導をしたとの記述は,原告の社会的評価を低下させると認められる。
したがって,第3表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(4)  第4表現について
第4記述は,原告が,原告の意見に反対する一部の生徒の意見を無視していたこと,そのような指導をすることは生徒が少数意見を持つことを萎縮させ適当でないことの趣旨が記述されており,第4表現は,したがって,原告が教育者として不適格であるとの趣旨で表現したものといえる。
そして,教師が生徒の意見を無視したとの表現は教師の不適格性を具体的に指摘しているのであるから,原告が公立中学校教諭であり政治的中立性が求められる地位にあることに照らせば,第4表現は原告の社会的評価を低下させるものといえる。
したがって,第4表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(5)  第5表現について
第5記述は,被告らは,原告が生徒に対して特定の政治的思想を押し付けたことの責任を免れるため,生徒に自発的に考えさせる体裁を整えた上で原告の望む特定の政治的思想に沿うように生徒に意思形成するよう誘導したとの趣旨の記述であり,第5表現は教師である原告が,生徒に特定の政治的思想に沿うように意思形成をすることを誘導したとの表現を含むものであって,原告の教師としての不適格性を具体的に指摘しているものだから,原告の社会的評価を低下させると認められる。
したがって,第5表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(6)  第6表現について
第6記述は,原告が紙上討論授業において昭和天皇の戦争責任を肯定する資料を参考資料として生徒に提供し,これにより反皇室思想を生徒に植え付けており,これが憲法,教育基本法,学習指導要領に反するとの趣旨の記述であり,第6表現は原告が学習指導要領に反する授業をした教師との表現を含むものであって,原告の教師としての不適格性を具体的に指摘しているものである。そうであれば,原告の社会的評価は,第6表現により,低下したと認められる。
したがって,第6表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(7)  第7表現について
第7記述からすると,被告らは,第7表現を,原告が沖縄米軍基地に反対であるとの自己の思想を明確にして授業を主導していたとの事実の説明として記述したと認められる。
しかし,教師は自己の意見を授業において表明したりそれを叩き台として授業をすることもあるのであり,原告が,政治的中立であるべき公立中学校教師であるとしても,このことから直ちに原告の不適格性を具体的に表現するものとはいえず,第7表現により原告の社会的評価は低下するとは認められない。
(8)  第8表現について
第8記述からすると,被告らは,原告の目指す教師像を唯我独尊と断定し,そのために原告が教師としての資質に欠けているとの趣旨で第8表現を記述していると認められる。
そして,第8表現中の「唯我独尊」,「教師としての資質に一番欠ける」との表現が公立中学校の教師である原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
したがって,第8表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(9)  第9表現について
第9記述からすると,被告らは,「偏向授業をしている確信犯」との表現を原告を修飾する語として用いたこと,そしてここに「偏向授業」とは,原告が政治的に偏った反米思想を基に授業を主導しているという趣旨で用いたこと,また,「確信犯」とは原告の授業が政治的に偏った反米思想を基にしていることについて,原告自身に認識があるという趣旨で用いたことが認められる。
教師が反米思想に偏向した授業をしているとの表現は,政治的中立性が求められる公立中学校の教師の不適格性を具体的に指摘するものであるから,原告の社会的評価を低下させると認められる。
したがって,第9表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(10)  第10表現について
第10記述は,原告が教師という立場を利用し,生徒に対し,原告の意に反することがあれば減点を課すという脅しをかけながら授業に臨んだという事実を記述し,その記述中に第10表現を記述したものであって,原告の授業の不当性を具体的に指摘しているものと認められる。
このことから,原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
したがって,第10表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(11)  第11表現について
第11記述に照らすと,被告らは,原告が,本件保護者ないし本件生徒を加害したとの趣旨で,第11表現を記述したと認められる。
教師が保護者ないし生徒を加害したというのであるから,原告の社会的評価が低下することは明らかである。
したがって,第11表現によって,原告は名誉を毀損されたと認められる。
(12)  第12表現について
第12記述は,第12表現によって,原告が人権侵害事件を起こしたと記載していることが明らかである。
このことから,原告の社会的評価が低下することも明らかである。
したがって,第12表現によって,原告は名誉を毀損されたと認められる。
(13)  第13表現について
第13記述は,原告が,明治憲法下の文部省が「天皇の世よ永遠に」との趣旨で「君が代」を歌わせていたとの歴史的事実を教えていたとの記述中において,第13表現をしていると認めることができる。
これは,原告が歴史的事実を教えていたことを摘示しているにすぎず,それ以上に原告の教師としての不適格性について具体的に主張しているものではないから,原告の社会的評価を低下させるものということはできない。また,そのような歴史的事実を教授した事実をもって「扇動した」と評したとしても,そもそも歴史的事実の一つを教授すること自体が何ら原告の社会的評価を低下させるものでない以上,同様に原告の社会的評価を低下させるものではない。
したがって,第13表現によって,原告の名誉が毀損されたと認めることはできない。
(14)  第14表現について
第14記述において,被告らは,原告が,自己の政治的思想に反するものは,その存在さえ認めない性格であるとして,第14表現をしたものと認められる。
教師である原告が自己の政治的思想に反する意見はその存在も認めていなかったとの事実の主張が,原告の社会的評価を低下させることは明らかであり,したがって第14表現によって原告の名誉は毀損されたと認められる。
(15)  第15表現について
第15記述において,被告らは,原告が常識はずれの発言をした上,その原告の思想に沿う感想文をマインドコントロールにより生徒達に書かせたとの記述を行い,その趣旨で第15表現を記述したと認めることができる。
そうだとすれば,第15表現が原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
したがって,原告は,第15表現によって,名誉を毀損されたと認めることができる。
(16)  第16表現について
第16記述は,区教委ないし都教委を非難するものであるが,その過程において原告の指導方法,態度を第16表現のとおり記述したものと評価することができる。
こうした第16表現は,一般の読み手に不適当な教師が存在した場合何らの対応もとらない行政の態度を批判しているものと理解されるものであることが明らかであって,その文脈から「教諭」とは原告を指すことが明らかであったとしても,原告の社会的評価に影響を与えるものということはできない。
したがって,第16表現によって,原告の名誉が毀損されたとは認められない。
(17)  第17表現について
第17記述において,被告らは第17表現において,原告が,教育秩序を破壊するような教育を故意に行っているとの表現を行い,そのような原告を特定する方法として「人権侵害教師」との表現をしていることが認められる。
これらのことから,当該表現部分によって原告の社会的評価が低下したことは明らかである。
したがって,第17表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
(18)  第18表現について
第17記述における第18表現にかかる記述は紙上討論授業における原告の指導方法が,原告の政治的思想に偏ったものであったとの趣旨で「偏向教育」という語を用いていること,原告による人権侵害はそのような紙上討論授業が発端であったとの趣旨であることが認められる。
教師の政治的思想に偏った指導がされている事実は,教師の不適格性を具体的に指摘する事実であるといえ,第18表現により原告の社会的評価が低下したと認められる。
したがって,第18表現によって,原告の名誉が毀損されたと認められる。
(19)  第19表現について
第18供述において,被告らは,原告が校長に対し「いわゆる『つるしあげ』」をしようとしていたと表現(第19表現)している。
しかし,原告が行おうとしていたという「つるしあげ」の具体的内容はその文面上明らかでなく,また「つるしあげ」がひとりの人を大勢で責めなじる意味であることに照らすと,「終戦直後左翼系の支配する労働組合や旧国鉄の国労,動労等一部組合が行って来た」との説明を基にしても,原告がどうような大勢の人と共にどのように責めなじったとの趣旨なのか不明であり,記述からその内容は明らかにならない。
したがって,第19表現により原告の社会的評価が低下したと認めることはできず,第19表現によって,原告の名誉が毀損されたと認めることはできない。
(20)  第20表現について
第19記述は,公立中学校教諭である原告が,原告を指導した校長に対し良心の存在証明の機会を与え,これに従わなかった校長について解職,更迭を求めた行為が教育秩序を根底から覆し,恫喝にあたるとの趣旨の記述中において,被告らは第20表現を記述したと認められる。
教師である原告の校長に対する行為が,教育秩序を覆し,恫喝にあたるとされたことから,原告の社会的評価が低下したことは明らかである。
したがって,第20表現によって,原告の名誉が毀損されたと認められる。
(21)  第21表現について
第20記述は,原告が,a中学校でも政治的対立のあるテーマを紙上討論授業の題材として選び,原告が特定の政治的立場に立って授業を進めていたことに関し,第21表現において,原告が,生徒に対し,原告の思想に沿う意見を持つよう誘導ないし強要していた事実があったとの趣旨で,第21表現を記述したと認められる。
教師が,授業の中で,生徒に対し特定の政治的思想を持つことを誘導ないし強要していたとの記述は,公立中学校教諭としての不適格性を示す事実といえるから,これによって原告の社会的評価が低下したと認められる。
したがって,第21表現によって,原告の名誉が毀損されたと認められる。
(22)  第22表現について
第21記述は,人権侵害事件における原告の対応について記述したものであって,第22表現では,原告が,授業において,繰り返し反米の立場で授業を主導していたと表現したものであると認められる。
しかし,授業において教師が常に一定の政治的立場に立って授業することが必ずしも公立中学校の教師としての評価に影響するものということはできず,第22表現によって,原告の社会的評価が低下したと認めることはできない。
したがって,第22表現により,原告の名誉が毀損されたと認めることはできない。
(23)  第23表現について
第22記述は,原告が特定の政治的思想を生徒に強要する教育をしていたことに対して抗議をした本件保護者を本件プリントの配布により批判した事実があったことをもって「明確な犯罪事実」との表現(第23表現)をしたと認められる。
原告の行為が犯罪事実であると記述されていることから,原告の社会的評価が低下することは明らかである。
したがって,第23表現によって,原告の名誉が毀損されたと認められる。
(24)  第24表現について
第23記述は,原告の持つ米国に対する考え方が偏狭な思想であるとの意味で第24表現を記述したと認めることができる。
原告の教師としての事物の考え方が偏狭な考え方であると否定的に表現されたことから,この表現が原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
したがって,第24表現によって,原告の名誉が毀損されたと認めることができる。
(25)  第25表現について
第24記述中の原告が人権侵害事件を起こしたとの趣旨で記述された第25表現は,その表現からして,原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
したがって,第25表現によって,原告の名誉が毀損されたと認められる。
(26)  第26表現について
第25記述において,被告らは,原告が本件プリントを故意に配布し,本件保護者の名誉を毀損し,本件生徒を精神障害に追いやったことについて,原告が正当な行為であると確信しているとして第26表現を記述したと認められる。
しかし,その趣旨は,原告が正当な行為であると信じていることを評価するところにあり,そのことが原告の社会的評価を低下させるものとはいえない。
したがって,第26表現によって,原告の名誉は毀損されたとは認められない。
(27)  第27表現について
第26記述は,原告が特定の政治的思想をもって紙上討論授業を主導し,生徒が原告と同じ思想を持つように誘導した事実をもって,第27表現と表現したと認められる。
教師が,生徒に特定の政治的思想を持つことを誘導したという事実は,教師の不適格性を示す事実といえるから,これにより原告の社会的評価は低下したと認めることができる。
したがって,第27表現によって,原告の名誉は毀損されたと認められる。
2  争点(1)イ(名誉毀損における違法性阻却事由の有無)について
(1)  公益目的の存在
公益目的があるとは,主たる動機において公益を図る目的があることをいうと解される。
争いのない事実等及び証拠(甲1,被告土屋,被告古賀,被告田代)によると,被告らは,本件書籍において,公立中学校の教師である原告の授業内容や保護者,校長等関係者に対する態度を基に原告の教育の在り方に対する批判をし,原告の教師としての不適格性を問題として取り上げる意図があった事実が認められる。公務員たる教師の,公務の執行としての教育については,広く国民の批判・検討の対象とされるべき事柄であると解され,特に,公立中学校における教育については,子の福祉に関わる重大な事柄であるということができる。そうであるとすれば,公務員たる教師である原告の不適格性を指摘する本件書籍を発行した被告らには,公益を図る目的があったと認めることができる。
(2)  前提事実
争いのない事実等及び証拠(甲1,38,乙1,3,14,21,30の1ないし4,31の1ないし3,32)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 原告は政治的見解の対立のある日米安保,米軍基地問題,天皇の戦争責任,自衛隊の存在等を紙上討論授業の題材として取り上げ,これについて原告が反米,天皇の戦争責任を肯定する立場,自衛隊の存在等に反対の立場で授業を進行し,原告の立場に反する生徒の感想文に対しては再考を促すコメントないしは生徒の意見に反対する旨のコメントを付し又は原告の立場に沿う参考資料を多く示していた。
イ 原告は,生徒に対して減点という措置をとっており,「もちろん点数は,いいほうがいいけれどネ」と記載したプリントを生徒に配布していた。
ウ 本件生徒は,原告が本件プリントを配布したことを契機として,学校への通学を嫌悪する,もしくは女性教師を嫌悪する精神的状況に陥り,本件プリントの配布により思うように学校へ通えない精神的苦痛を受けた。
(3)  各表現について
ア 第2表現について
第2表現の意味内容から,被告らは,第2表現を,原告が現実に生徒らを洗脳しようとしていたとの趣旨で記述したものではなく,原告の授業方法が生徒に原告の政治的思想に沿う意見を持つよう誘導するものであるとの趣旨で第2表現を用いていると認めることができる。そうだとすると,被告らは,原告が紙上討論授業において政治的対立のあるテーマを題材として選び,これについて特定の政治的立場に立って授業を主導していた事実を基礎事実として「洗脳教育」との語を用いたと認められる。したがって,第2表現は論評であると認められる。
そして,争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から同基礎事実はその主要部分において真実であると認められる。
しかし,原告が,政治的対立のあるテーマにおいて特定の政治的立場からのみ授業をしたとしても,それが直ちに洗脳になるということはできず,また,「洗脳」という語には人の思想改造を図るとの意味があることからすると(乙15),上記基礎事実をもって「洗脳」と評することは論評の範囲を逸脱したといわざるを得ない。
したがって,第2表現の違法性は阻却されない。
イ 第3表現について
第3表現の意味内容に照らすと,第3表現は,原告が紙上討論授業において,原告の政治的立場に沿った参考資料を多く提供し,原告の政治的思想に反対する意見を持つ生徒に対してはさらに原告の立場に沿った参考資料を提供し,生徒に自己の政治的思想に近い意見を形成するよう誘導していた事実を基礎事実として,原告の紙上討論授業が原告の政治的思想に偏った授業であり,かつ原告の政治的思想に沿う意見を生徒が持つよう誘導するものであったと評価し,そのような授業を主導する原告をして「アジテーター」と表現したと認められ,もって教師としての適格性を論評したものと認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実と認められる。
しかし,他方,教師とアジテーターとは全く異質の表現であり,「政治的に偏った」,「マインドコントロール」との表現とも相俟って,第3表現は,教師としての原告の適格性とは異質の問題が原告にはあるとの印象を読者に印象づける内容となっている。そうであるとすれば,原告の教師としての適格性を論評するという趣旨を逸脱しているといわざるを得ず,第3表現は論評の範囲を逸脱したと認めるべきである。
したがって,第3表現の違法性は阻却されない。
ウ 第4表現について
第4表現の意味内容から,「ある意味,白紙状態の中学生に一方的な情報を注入し,一部にある,「米軍はあったほうがいいな」という意見は無視。」との表現は,原告が米軍を肯定する生徒の意見を無視したか否かという事柄を取り上げたものであり,これは証拠による事実の認定が可能であるから,事実の摘示であると認められる。他方,「こうした手法で授業を展開すれば,少数意見を持つ者が「他人と違う」ことに臆病になり,意見を言わなくなってしまいます。今の中学生は他人との違いに極めて敏感であることを十分意識した上で計画されたこの手法は,本来,教育に携わる者がしてはいけないことであり,それを公然とやってのけるX教諭は,教師不適格者と呼ばれても仕方ないでしょう。」との表現部分は,上記事実摘示部分で示した原告の態度を基礎事実として原告のことを教師不適格者と評しているのであり,論評であると認めることができる。
上記(2)で認定したように,原告は,自己の立場に沿わない意見を持つ生徒に対しては,再考を促し又は自己の立場に沿う資料を提示していた事実があるのであり,原告が米軍を肯定する意見を無視していたとの事実を真実と認めることはできない。また,被告らが同事実を真実と誤信するについて相当な理由があったことを認めるに足りる事情もない。
次に,論評部分について検討すると,同論評部分の基礎事実は,上記事実摘示部分で被告らが示した事実であると認めることができる。しかし,上述のように,基礎事実の真実性及び真実と誤信するについて相当な理由は認めることができないから,同論評部分の違法性は阻却されない。
エ 第5表現について
第5表現の趣旨にかんがみれば,政治的見解の対立のある問題をテーマとして取り上げ,これについて原告が特定の政治的思想に基づく立場から,真実であるとして原告の政治的思想に基づくコメントをプリントに付し,もしくは原告の政治的思想に沿う参考資料を多く添付するなどして行った紙上討論授業を基礎事実としてこれを洗脳テクニックであると評していると認められ,その評価は証拠により事実を認定できないから論評であると認められる。
そして,争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実であると認められる。
しかし,同基礎事実から,原告が責任回避を意図していたとの評価は直ちに導かれず,被告らの憶測が多分に含まれているといわざるを得ない。そして,そのような憶測の下に原告の授業を「洗脳」であると評することは,過度に蔑視的であり表現の相当性を欠くといわざるを得ない。
したがって,第5表現の違法性は阻却されない。
オ 第6表現について
第6表現の趣旨から,第6表現は,原告が,紙上討論授業において,天皇の戦争責任について触れた資料を用い,天皇の戦争責任を肯定する立場から紙上討論授業を主導したことを基礎事実として,これを第6表現記載のとおりに評価したものと認められ,論評であると認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実の主要部分は真実であると認めることができる。
しかし,これをもって原告が生徒達に反皇室思想を植え付けたと直ちに評することはできず,また天皇の戦争責任を肯定する見解を授業において表明したからといって,憲法,教育基本法,学習指導要領を無視する行為をしたと評することもできない。そうだとすると,第6表現の違法性は阻却されない。
カ 第8表現について
第8表現の趣旨から,第8表現は,原告が紙上討論授業において政治的見解の対立のある問題をテーマとして取り上げ,これについて原告が特定の政治的思想に基づく立場から,原告の政治的思想に基づくコメントをプリントに付し,もしくは原告の政治的思想に沿う参考資料を多く添付するなどして行っていた事実,校長の指導にもかかわらず本件プリントを配布した事実,及びCの言葉の存在を基礎事実として,原告の目指す教師像に対する評価,原告の適格性に対する意見を述べたものと認められ,論評であると認められる。
そして,上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実であると認めることができる。
しかし,上記基礎事実を前提にしても,原告の目指す教師像が何であるかを推測することは困難であり,これを「唯我独尊」であると断定した被告らの表現は原告を愚弄する表現であったといわざるを得ない。また,原告の目指す教師像が唯我独尊であるとの被告らの意見を前提にしている「教師としての資質に一番欠ける」との表現も結局根拠のない被告らの憶測の域を出ず,慎重さを欠いた表現であるといわざるを得ない。以上のことから,第8表現の違法性は阻却されない。
キ 第9表現について
第9表現の意味内容に照らせば,原告が紙上討論授業において政治的見解の対立のある問題をテーマとして取り上げ,これについて原告が特定の政治的思想に基づく立場から,真実であるとして原告の政治的思想に基づくコメントをプリントに付し,もしくは原告の政治的思想に沿う参考資料を多く添付するなど行っていた事実を基礎事実として原告を評価したものといえ,論評にあたると認められる。
そして,争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実と認められる。
特定の政治的立場に立って政治的問題について授業することを,偏向授業と評すること自体は論評の範囲内の表現であると認めうる。しかし,確信犯とは通常犯罪者に対して用いられる語である上,一般人の理解からすれば道徳的・宗教的若しくは政治的な確信を決定的な動機としてなされた犯罪に対して用いられる語であると認められるから,偏向授業であるとの評価からさらに進んで「確信犯」と表現することは,過度に原告を中傷する表現であるといわざるを得ない。したがって,第9表現の違法性は阻却されない。
ク 第10表現について
第10表現の意味内容から,「何かあれば「減点」という「脅し」をかけられながらも」との部分は,原告が,教師という立場を利用し,生徒に対し,減点という制裁を課す脅しをかけながら授業を進めたという事実を摘示したものと認めることができ,「いくら恐怖政治をひいたところで」との部分は,上記事実を基礎事実としてこれを被告らが評価したものと認められる。
上記(2)で認定した事実によれば,原告が生徒の点を減点していた事実は認められるものの,その減点がどのような基準の下にどのような意見を述べた生徒に対してされていたかは不明であり,原告の意見と合わない意見の生徒になされたと認めるに足りる証拠はない。教育上,生徒に対して減点せざるを得ない場面も多々あり得ることからすると,当該減点が制裁的になされたのか,正当な理由の下になされたのか判然としない以上は,原告が何かあれば減点という脅しをかけたとの事実の主要部分について真実であると認めることはできない。また,原告が制裁的に減点していたとの事実を認めるに足りる証拠はなく,被告らが事実を真実と誤信するについて相当な理由も存在しない。
また,第10表現の論評部分は,上記事実摘示部分の事実を基礎事実としているから,同様に基礎事実の真実性及び同事実を真実と誤信するについて相当な理由は認められない。
したがって,第10表現の違法性は阻却されない。
ケ 第11表現について
第11表現の趣旨から,第11表現は原告が本件プリントを生徒に配布し,本件保護者の名誉を毀損し,本件生徒を精神障害に追いやった事実を言い換えて「加害者である」と表現したものと認められ,上記事実は証拠により事実認定ができるから,事実の摘示であると認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,第11表現はその主要部分において真実であると認められる。
したがって,第11表現の違法性は阻却される。
コ 第12表現について
第12表現の趣旨から,第12表現は原告が本件プリントを生徒に配布し,本件保護者の名誉を毀損し,本件生徒を精神障害に追いやった事実を基礎事実として,これを本件保護者ないし本件生徒の人権を侵害するものであるとの被告らの意見を表明したものであると認めることができる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実であると認めることができる。
そして,第12表現は,原告がした,容易に本件保護者が批判の対象になっていると理解できる本件プリントを配布した行為が,教師として相当な行為であったとは到底認められないことに鑑みれば,論評としてバランスを失しているとは言い難く論評の範囲を逸脱していないと認めることができる。
したがって,第12表現の違法性は阻却される。
サ 第14表現について
第14表現の意味内容から,第14表現は原告が自己の政治的思想に沿わない意見の存在さえも否定していたとの事実を摘示していると認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実によれば,原告は,紙上討論授業において,日米安保ないし沖縄米軍基地に反対し天皇の戦争責任を肯定する立場で授業を進行していたこと,及び紙上討論授業において,原告の立場と異なる立場の意見を表明した生徒に対しては,再考を促し又はこれを批判するコメントを付し,原告の立場に沿う内容の参考資料を多く生徒に対して提示していた事実が認められる。このことから,原告は,自己の立場に沿う意見を持つことを生徒達に求めていたと推認できるのであり,少なくとも紙上討論授業においては,自己の政治的思想に相容れない意見の生徒に対しては再考を促す方針で授業をしていたと認めることができる。そうだとすると,第14表現はその主要部分において真実であると認められる。
したがって,第14表現の違法性は阻却される。
シ 第15表現について
第15表現の趣旨からすると,第15表現は原告がa中学校教諭として在職中に,原告の授業に対する抗議を区教委に伝えた保護者を批判する本件プリントを生徒に配布し,かつ生徒をして原告の意見に共鳴する感想文を書くよう強要ないしは誘導した事実を基礎事実とした,これら事実に対する被告らの論評であると認めることができる。
しかし,本件全証拠によっても原告が生徒に対し原告の意見に共鳴する感想文を書くように強要し若しくは誘導した事実を認めるに足りる証拠はなく,基礎事実の主要部分において真実であることの証明があったということはできない。そして,同基礎事実を真実と認めるに足りる証拠がない以上被告らが同事実を真実と誤信するについて相当な理由があったということもできない。
したがって,第15表現の違法性は阻却されない。
ス 第17表現について
第17表現の意味内容から,第17表現は,原告が紙上討論授業において政治的見解の対立のあるテーマを扱い,これに対して原告が特定の政治的立場からコメントを付し,また自己の立場に沿う資料を添付して配布していた事実,及び原告が本件プリントを生徒に対して配布し,校長の指導にもかかわらず配布を続け,結果本件保護者の名誉を毀損し本件生徒を精神障害に追いやったことを基礎事実として,これを論評したものと認めることができる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実と認めることができる。
また,第17表現においては「教育秩序を破壊し」,「人権侵害教師」との表現が用いられており,いずれもいささか行き過ぎともいえる表現方法ではあるが,当該部分はいずれも校長の指導にもかかわらず原告が本件プリントを生徒に配布し,結果として本件生徒が不登校,転校に至った事実経過を主な基礎事実として表現されていると認められ,かかる原告の行為も教師として相当とはいい難いものであることにかんがみれば,基礎事実に対して表現方法がバランスを失しているとまではいえず,第17表現が論評の範囲を逸脱したとまでは認めることはできない。
したがって,第17表現の違法性は阻却される。
セ 第18表現について
第18表現の意味内容から,第18表現は,原告が紙上討論授業において特定の政治的思想に偏った教育をしていたことを基礎事実として,これを論評したものと認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実は主要部分において真実であると認めることができる。
そして,上記認定した原告の紙上討論授業を「偏向教育」と表現することはやや慎重さに欠ける表現ではあるが,事実と表現方法のバランスを失しているとまではいえず,論評の範囲を逸脱したと認めることはできない。
したがって,第18表現の違法性は阻却される。
ソ 第20表現について
第20表現の趣旨から,第20表現は原告が校長に対し「良心の存在表明」と言われる自己批判を求め,これに従わなかった校長について解職,更迭を求めた事実を基礎事実として,被告らが論評したものと認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実と認められる。
また,「学校秩序を根底から覆す」,「恫喝」との表現はいささか行き過ぎともいえる表現ではあるが,原告の要求に応じない校長の解職,更迭を求める原告の行為もまた教師として行き過ぎのある行為と評価しうることから,論評の範囲を逸脱したものとまでは認めることができない。
したがって,第20表現の違法性は阻却される。
タ 第21表現について
第21表現の趣旨から,第21表現は,原告が政治的に対立のあるテーマを紙上討論授業の題材として選び,原告が特定の政治的立場に立った上で授業を進行したこと及び原告が本件プリントを校長の指導にもかかわらず配布した行為を基礎事実として,被告らがこれを論評したものであると認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実であると認められる。
また,上記認定事実に照らせば,原告の紙上討論授業を「偏向授業」と評したとしても,論評の域を逸脱したとまで認めることはできない。また,原告は,校長の指導にもかかわらず本件プリントを配布し続けたことからすれば,これを「独善的」と表現することも,論評の範囲を逸脱したものとまではいえない。
したがって,第21表現の違法性は阻却される。
チ 第23表現について
第23表現の意味内容から,第23表現は,原告が,原告の授業が特定の政治的立場を生徒に強要するものであるとの抗議をした本件保護者に対し,原告が本件プリントを配布して本件保護者を批判した行為を基礎事実として,被告らがこれを論評したものであると認めることができる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実は主要部分において真実であると認められる。
しかし,上記原告の行為は直ちに犯罪事実にあたるものではなく,第23表現は同基礎事実から通常人が理解する以上の悪印象を与える行き過ぎた表現であると認められ,論評の範囲を超えたものというべきである。
したがって,第23表現の違法性は阻却されない。
ツ 第24表現について
第24表現の意味内容から,第24表現は,原告が年に8,9回は行われる紙上討論授業において反米の立場に立って授業を主導したことを基礎事実として,被告らが論評したものであると認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実であると認められる。
このことからすると,原告をして「偏狭な思想を持った教師」と論評することも,いささか行き過ぎとの印象はあるものの,原告も特定の立場にこだわって授業を主導していたといえるのであり,論評の域を逸脱したとまでは認めることはできない。
したがって,第24表現の違法性は阻却される。
テ 第25表現について
第25表現の趣旨から,第25表現は原告の授業が特定の政治的立場を生徒に強要するものであるとの抗議をした本件保護者に対し,原告が本件プリントを配布して本件保護者を批判し,本件保護者及び本件生徒に対して精神的苦痛を与えた事実を言い換えて表現したものと認められ,これは証拠により事実を認定できるから,事実の摘示であると認められる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実によれば,原告が本件プリントを配布したことが原因となって本件生徒が精神的苦痛を受けた事実が認められる。このことから,少なくとも本件生徒の人格権を侵害したと評価できる。したがって,上記摘示事実はその主要部分について真実であると認めることができる。
したがって,第25表現の違法性は阻却される。
ト 第27表現について
第27表現の意味内容から,第27表現は,原告が紙上討論授業において,特定の政治的立場に立って授業を進行したこと,原告が紙上討論授業で用いたプリントに付したコメントは原告の立つ立場からの視点のものが大半を占めること,配布した資料の多くが原告の意見に沿うものであることを基礎事実として,これを論評したものであると認めることができる。
争いのない事実等及び上記(2)で認定した事実から,同基礎事実はその主要部分において真実であると認めることができる。
しかし,上記基礎事実からさらに進んで,原告が生徒に対し,積極的にマインドコントロールをもしていたと評価することは,特定の政治的立場からの資料を提供することとマインドコントロールとは異質な行為であること,マインドコントロールという語が一般人に与える消極的否定的意味にかんがみ,慎重さを欠いた表現であるといわざるを得ず,論評の範囲を逸脱したと認められる。
したがって,第27表現の違法性は阻却されない。
3  争点(1)ウ(名誉毀損による損害額)
以上より,原告の名誉は第2,3,4,5,6,8,9,10,15,23,27表現によって毀損されたといえ,その損害を慰謝するには60万円をもってするのが相当であり,さらに弁護士費用として損害額の1割である6万円の損害が生じたと認められる。
4  争点(2)ア(プライバシー該当性)について
個人のプライバシーに関わる情報とは,個人の私的事柄であって,通常人が,自己が欲しない他者にはこれをみだりに開示されたくないと考える情報であると解され,このような情報が第三者によりみだりに開示されない利益は法的保護に値すると解される。
(1)  本件第1情報について
争いのない事実等及び証拠(甲1)によれば,本件第1情報は,区教委が都教委に対し,原告が自己の係争中の事件について記載した手紙を,b中学校の名前の入った封筒で,本来私的に使用してはならないb中学校のPTA名簿を用いて郵送したことについて,原告に対して厳正な処分を求める旨の情報であると認めることができる。
本件第1情報は,原告の個人的行動に関わる情報ではあるが,他方,原告がb中学校で行った授業やその対応に関連する情報であり公務にかかる情報であることにかんがみると,本件第1情報は公的事項に属する事柄であると認めることができる。したがって,本件第1情報をもって原告のプライバシーに属する情報であるということはできない。
(2)  本件第2情報について
争いのない事実等及び証拠(甲1)によれば,本件第2情報のうち,原告の所属,氏名,職名,生年月日,処分の種類及び程度,処分年月日,処分の理由はいずれも原告個人を特定し,あるいは原告がいかなる処分を受けたかを明らかにする情報であって,これは原告の私的事柄に属し,みだりに開示されることを欲しない情報であるといえる。したがって,原告のプライバシーに属する情報であると認められる。
他方,交付年月日は,処分説明書が交付された日を特定するものにすぎず,原告の私的事柄に属する情報であるということはできない。また,刑事裁判との関係も,その内容は原告の処分に関わる事件が裁判所には係属していないというものであり,事件が刑事裁判として審理されているか否かは公の事項に属する事柄といえる上,刑事裁判の審理は公開もされることからすると,原告のプライバシーに属する情報であるということはできない。
(3)  本件第3情報について
本件第3情報のうち,原告の氏名及び所属がプライバシーに属する情報であることは上記(2)で述べたとおりである。
また,争いのない事実等及び証拠(甲1)によれば,発令内容には,原告が受けた研修を命ずる旨の発令の具体的内容が記載されていることが認められる。これは公務員たる原告に対する人事発令としての公的側面を有する一方で,原告の所属,身分に関わる私的事柄としての側面を有しており,みだりに開示されることを欲しない情報であるといえるから,原告のプライバシーに属する情報であると認めることができる。
(4)  本件第4情報について
争いのない事実等及び証拠(甲1)によれば,本件第4情報には教育研究所における原告の研修態度が記載されており,同情報は研究所による指導の内容,指導の月日の記載とあいまって原告の研究所における行動等を具体的に明らかにする情報と認められる。研究所での研修は公務にあたる一方,研修外での原告の態度,行動は原告の私的事柄に属する情報であるといえ,みだりに開示されることを欲しない情報であるといえるから,本件第4情報は原告のプライバシーに属する情報であるということができる。
5  争点(2)イ(プライバシー侵害における違法性阻却事由の有無)
個人のプライバシーに属する情報であっても,その公開により直ちに違法性が認められると解することは妥当ではなく,表現の自由との間での調整が図られなければならない。その調整の際には,当該情報の属する個人の地位・身分,当該情報が公共の関心事であるか,当該情報がプライバシーとして保護される程度と侵害の程度,当該情報を公表する意義・目的,当該情報の開示の必要性,開示にあたっての表現の方法等諸般の事情を考慮の上,当該情報の公開によって得られる利益とプライバシーが守られることにより個人の得られる利益のいずれが上回るかを,比較考量により決するべきと解する。
(1)  本件第2情報について
ア 争いのない事実等及び証拠(乙35,37,39の1ないし3)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
本件第2情報の公開当時,本件第2情報は,委員会における被告らの質疑,新聞報道及び原告を支持する団体が原告の承諾の下に作成したビラ(本件ビラ)において既に公開されていた。本件第2情報は,原告の授業内容,行動等を問題視し,原告の教育公務員としての適格性を批判するための資料として,東京都議会議員であった被告らが公開した。本件第2情報は,被懲戒者が懲戒者から交付される処分説明書を全面的に写す形で公開されている。
イ 本件第2情報は,原告の行為を対象とした,原告の懲戒処分に関する処分説明書であり,本件第2情報のうち原告の生年月日以外の情報は公の批判・検討の対象とされるべき事柄であると認められる。また,本件第2情報のうち生年月日以外の情報については,これを公開することが,被告らの原告の教育公務員としての適格性を批判する目的を達するため必要であったと認めることができる。さらに,本件第2情報は,委員会及び新聞報道により既に公開されており,本件第2情報が原告の懲戒処分にかかる事実であり,これが原告の社会的評価に深く関わる事柄であることから,理由のない公開からはなお保護に値する利益を有していたとしても,その保護の必要性は低下していたといえる。以上のことから,処分説明書を原文のまま公開するという方法が妥当であったかについては疑問を持たざるを得ないが,本件第2情報のうち原告の生年月日以外の情報は公開によって得られる利益が,原告のプライバシーとして保護される利益を上回っていたといえ,第2情報の公開による違法性は阻却される。他方,原告の生年月日を公開した点は,公開によってもたらされる利益が認められず違法であることを免れない。
(2)  本件第3情報について
ア 争いのない事実等及び証拠(乙24,38,39の4及び5,40)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
教育研究所における研修は,都教委から指導力不足等と評価された教員に対してされるものである。本件第3情報の公開当時,原告が教育研究所における研修命令を発令されていたこと及びその内容は,委員会における被告らの質疑,新聞報道及び原告を支持する団体が原告の承諾の下に作成したビラにより既に公開されていた。本件第3情報は,原告の授業内容,行動等を問題視し,原告の教育公務員としての適格性を批判するための資料として,東京都議会議員であった被告らが公開した。本件第3情報は,発令権者が被発令者に対して交付する発令通知書を全面的に写す形で公開している。
イ 本件第3情報は,原告が,教育研究所での研修を命ぜられた旨の発令通知書であり,教育研究所での研修を命ぜられる者は教師としての指導力が不足していると都教委から評価された者であることからすれば,本件第3情報は,教育公務員である原告の適格性に関わる事柄であって,公の批判・検討の対象になるべき事柄であるということができる。しかし,原告の教育公務員としての適格性を批判するという被告らの目的を達成するためには,原告の学校における授業方法等公になっている事実を取り上げてこれを批判することで足りるといえ,発令通知書の全文を引用することにより原告が教育研究所での研修命令を発令されたとの事実を公にする必要性までをも認めることはできない。さらに,本件第3情報は,委員会及び新聞報道により既に公開されておりその保護の必要性は低下していたとはいえ,本件第3情報が原告を指導力不足教員であるとする情報であってこれが原告の社会的評価に深く関わる事柄であり,理由のない公開からはなお保護に値する利益を有していたといえるのであって,なお,原告のプライバシーとして守られるべきものというべきである。したがって,その公開の違法性は阻却されない。
(3)  本件第4情報について
本件第4情報は,原告の具体的研修態度に触れた情報であるところ,原告が指導力不足教員であると評価され,研修を受けた事実が公の批判・検討の対象となるべき事柄であるとしても,その具体的研修態度までが公の批判・検討の対象になるということはできない。むしろ,これが公表されることを前提とするときは,被研修者としても研修に専念することができなくなる場合も容易に想定できるのである。また,被告らの原告の教育公務員としての適格性を批判する目的は,原告が研修命令を発令されたことやその理由等,被告らが本件書籍の他の部分で触れている事柄を公表することでも十分達せられるのであり,さらに原告のプライバシーに属する研修における具体的態度まで公開する必要があったと認めることはできない。さらに,本件第4情報は,本件書籍の発行当時未だ公開されていなかった情報であり,秘諾性の高い情報であったということができる。以上のことから,本件第4情報の公開によって得られる利益は,同情報が原告のプライバシーとして保護されるべき利益を上回るとはいえず,その公開の違法性を阻却しない。
6  争点(2)ウ(プライバシー侵害による損害額)
以上のように,原告のプライバシーは,被告らが,本件各情報のうち本件第2情報の一部及び第3,4情報を公開したことによって侵害されたといえ,その損害を慰謝するには10万円をもってするのが相当である。
第5  結論
以上によれば,原告の請求のうち,名誉毀損の不法行為に基づく損害賠償を請求する部分は,66万円及び不法行為が行われた平成12年11月10日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員の支払いを求める限度で,プライバシー侵害の不法行為に基づく損害賠償を求める部分は,10万円及び被告土屋及び被告古賀については平成15年1月12日から,被告田代及び被告Y1については同月15日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員の支払いを求める限度で,それぞれ理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないのでこれを棄却することとする。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 松長一太 裁判長裁判官遠山廣直,裁判官中久保朱美は,転補のため署名押印できない。裁判官 松長一太)

 

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政治と選挙の裁判例「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧
(1)平成19年 7月12日 東京地裁 平17(行ウ)63号・平17(行ウ)295号・平17(行ウ)296号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(2)平成19年 7月 3日 東京地裁 平17(行ウ)530号・平17(行ウ)531号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(3)平成19年 6月21日 東京地裁 平16(ワ)10840号 損害賠償等請求事件
(4)平成19年 6月14日 宇都宮地裁 平15(ワ)407号 損害賠償請求事件
(5)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)176号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(6)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)175号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟〕
(7)平成19年 6月 8日 東京地裁 平18(行ウ)14号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(8)平成19年 5月30日 東京地裁 平19(ワ)4768号 損害賠償請求事件
(9)平成19年 5月30日 東京地裁 平17(行ウ)55号・平17(行ウ)132号・平17(行ウ)133号・平17(行ウ)134号 各難民の認定をしない処分取消請求事件
(10)平成19年 5月25日 東京地裁 平17(行ウ)337号・平17(行ウ)338号・平17(行ウ)339号・平17(行ウ)340号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(11)平成19年 5月25日 青森地裁 平17(行ウ)7号 政務調査費返還代位請求事件
(12)平成19年 5月10日 東京高裁 平18(う)2029号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・控訴審〕
(13)平成19年 5月 9日 東京地裁 平18(行ウ)290号 損害賠償等(住民訴訟)請求事件
(14)平成19年 4月27日 東京地裁 平17(行ウ)439号・平18(行ウ)495号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(15)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(行ウ)390号・平17(行ウ)328号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件
(16)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(ワ)28215号 損害賠償請求事件
(17)平成19年 4月27日 仙台地裁 平15(行ウ)8号 政務調査費返還代位請求事件
(18)平成19年 4月26日 東京地裁 平17(行ウ)60号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(19)平成19年 4月20日 東京地裁 平15(ワ)29718号・平16(ワ)13573号 損害賠償等請求事件
(20)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)223号・平18(行ウ)40号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(21)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)329号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(22)平成19年 4月12日 東京地裁 平17(行ウ)166号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(23)平成19年 4月11日 東京地裁 平17(ワ)11486号 地位確認等請求事件
(24)平成19年 3月29日 仙台高裁 平18(行コ)25号 違法公金支出による損害賠償請求履行請求住民訴訟控訴事件
(25)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)523号・平17(行ウ)534号・平17(行ウ)535号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(26)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)424号・平17(行ウ)425号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(27)平成19年 3月27日 岡山地裁 平11(ワ)101号・平13(ワ)257号・平13(ワ)1119号・平13(ワ)1439号・平14(ワ)1177号・平14(ワ)1178号 退職慰労金請求事件、貸金請求事件、損害賠償請求事件、所有権移転登記抹消登記手続等請求事件 〔岡山市民信金訴訟・第一審〕
(28)平成19年 3月23日 東京地裁 平17(行ウ)474号・平17(行ウ)525号・平18(行ウ)118号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件、訴えの追加的併合申立事件
(29)平成19年 3月23日 東京地裁 平16(行ウ)462号・平17(行ウ)344号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(30)平成19年 3月16日 東京地裁 平17(行ウ)380号・平17(行ウ)381号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(31)平成19年 3月 6日 東京地裁 平17(行ウ)111号・平17(行ウ)113号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(32)平成19年 2月28日 東京地裁 平16(行ウ)174号・平17(行ウ)162号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(33)平成19年 2月26日 熊本地裁 平17(わ)55号・平17(わ)113号 贈賄被告事件
(34)平成19年 2月22日 東京地裁 平16(行ウ)479号・平16(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(35)平成19年 2月21日 東京地裁 平17(行ウ)375号・平17(行ウ)376号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(36)平成19年 2月 9日 東京地裁 平17(行ウ)154号・平17(行ウ)155号・平17(行ウ)479号・平17(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(37)平成19年 2月 8日 東京地裁 平17(行ウ)22号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(38)平成19年 2月 7日 大阪地裁 平17(わ)7238号・平17(わ)7539号 弁護士法違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
(39)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)323号・平17(行ウ)469号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(40)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)396号・平16(行ウ)399号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(41)昭和27年 4月 4日 佐賀地裁 昭25(行)1号 休職退職取消並びに損害賠償請求事件
(42)昭和27年 1月14日 福岡高裁 昭26(ナ)9号 裁決取消ならびに当選有効確認事件
(43)昭和26年12月25日 福岡高裁 昭26(う)2846号 団体等規正令違反事件
(44)昭和26年12月 3日 大阪高裁 昭26(う)1094号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(45)昭和26年11月30日 福岡高裁 昭26(ナ)4号 当選の無効に関する異議申立に対する決定取消請求事件
(46)昭和26年11月20日 名古屋高裁 昭26(ナ)12号 町長選挙に関する選挙無効事件
(47)昭和26年11月 1日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 解雇無効確認請求事件 〔名古屋市職員免職事件〕
(48)昭和26年10月24日 広島高裁松江支部 昭26(う)54号 収賄被告事件
(49)昭和26年10月19日 福岡高裁 昭26(う)2437号 公職選挙法違反被告事件
(50)昭和26年 9月29日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 組合員除名無効確認請求事件 〔名古屋交通組合除名事件〕
(51)昭和26年 9月26日 札幌高裁 昭26(う)365号・昭26(う)366号・昭26(う)367号 国家公務員法違反被告事件
(52)昭和26年 9月 3日 札幌高裁 昭26(う)507号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(53)昭和26年 8月24日 高松高裁 昭24(控)1374号・昭24(控)1375号・昭24(控)1376号・昭24(控)1377号・昭24(控)1378号 衆議院議員選挙法違反・虚偽有印公文書作成・同行使等被告事件
(54)昭和26年 8月 7日 札幌高裁 昭26(う)475号 昭和二一年勅令第三一一号違反被告事件
(55)昭和26年 7月 7日 東京地裁 昭25(モ)2716号 仮処分異議申立事件 〔池貝鉄工整理解雇事件〕
(56)昭和26年 6月15日 名古屋高裁 昭26(う)529号 公職選挙法違反事件
(57)昭和26年 5月26日 大阪地裁 昭25(ワ)1824号 解雇無効確認請求事件 〔大阪陶業不当解雇事件〕
(58)昭和26年 5月 9日 広島高裁 昭25(ナ)2号 当選の効力に関する訴訟事件
(59)昭和26年 3月30日 東京高裁 昭25(う)4120号 電車顛覆致死偽証各被告事件 〔三鷹事件・控訴審〕
(60)昭和26年 3月28日 札幌高裁 昭25(う)692号 地方税法違反被告事件
(61)平成18年 6月29日 東京地裁 平16(特わ)973号 国家公務員法違反事件 〔国家公務員赤旗配付事件〕
(62)平成18年 6月20日 京都地裁 平16(行ウ)40号 地労委任命処分取消等請求事件
(63)平成18年 6月13日 東京地裁 平15(行ウ)416号・平16(行ウ)289号 難民の認定をしない処分取消等請求、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(64)平成18年 5月15日 東京地裁 平17(ワ)1922号 慰謝料等請求事件
(65)平成18年 4月21日 東京地裁 平16(ワ)7187号 謝罪広告等請求事件
(66)平成18年 3月31日 大阪高裁 平17(行コ)22号・平17(行コ)23号 同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件
(67)平成18年 3月30日 東京地裁 平16(特わ)5359号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・第一審〕
(68)平成18年 3月30日 京都地裁 平17(ワ)1776号・平17(ワ)3127号 地位不存在確認請求事件
(69)平成18年 3月29日 東京地裁 平17(行ウ)157号・平17(行ウ)184号・平17(行ウ)185号・平17(行ウ)186号・平17(行ウ)187号・平17(行ウ)188号・平17(行ウ)189号・平17(行ウ)190号・平17(行ウ)191号 国籍確認請求事件 〔国籍法三条一項違憲訴訟・第一審〕
(70)平成18年 3月28日 東京高裁 平17(行ケ)157号・平17(行ケ)158号・平17(行ケ)159号・平17(行ケ)160号・平17(行ケ)161号・平17(行ケ)162号・平17(行ケ)163号 選挙無効請求事件
(71)平成18年 3月23日 名古屋地裁 平16(行ウ)73号・平16(行ウ)76号 退去強制令書発付処分取消請求、難民不認定処分等無効確認請求事件
(72)平成18年 2月28日 東京地裁 平13(行ウ)150号 行政文書不開示処分取消請求事件 〔外務省機密費訴訟〕
(73)平成18年 2月28日 横浜地裁 平16(行ウ)1号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔神奈川県労委(東芝・配転)事件・第一審〕
(74)平成18年 2月 2日 福岡高裁 平17(行コ)12号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求控訴事件
(75)平成18年 1月19日 最高裁第一小法廷 平15(行ヒ)299号 違法公金支出返還請求事件
(76)平成18年 1月12日 大分地裁 平15(わ)188号 公職選挙法違反被告事件
(77)平成18年 1月11日 名古屋高裁金沢支部 平15(ネ)63号 熊谷組株主代表訴訟控訴事件 〔熊谷組政治献金事件・控訴審〕
(78)平成17年12月26日 東京地裁 平17(行ウ)11号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔JR西(岡山)組合脱退慫慂事件〕
(79)平成17年12月 1日 東京高裁 平16(行コ)347号 難民の認定をしない処分取消請求控訴事件
(80)平成17年11月15日 東京地裁 平16(ワ)23544号 損害賠償請求事件
(81)平成17年11月10日 最高裁第一小法廷 平17(行フ)2号 文書提出命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 〔政務調査費調査研究報告書文書提出命令事件〕
(82)平成17年10月25日 東京地裁 平16(ワ)14421号 損害賠償請求事件
(83)平成17年 9月15日 東京高裁 平17(ネ)707号 謝罪放送等請求事件
(84)平成17年 9月14日 大阪地裁 平15(行ウ)55号・平15(行ウ)56号・平15(行ウ)57号 所得税賦課決定処分取消請求事件
(85)平成17年 9月 8日 名古屋地裁 平16(行ウ)46号 難民不認定処分取消請求事件
(86)平成17年 8月31日 名古屋地裁 平16(行ウ)48号・平16(行ウ)49号・平16(行ウ)50号 裁決取消等請求各事件
(87)平成17年 8月25日 京都地裁 平16(行ウ)12号 損害賠償請求事件
(88)平成17年 7月 6日 大阪地裁 平15(ワ)13831号 損害賠償請求事件 〔中国残留孤児国賠訴訟〕
(89)平成17年 6月15日 大阪高裁 平16(行コ)89号 難民不認定処分取消、退去強制命令書発付取消等各請求控訴事件
(90)平成17年 5月31日 東京地裁 平16(刑わ)1835号・平16(刑わ)2219号・平16(刑わ)3329号・平16(特わ)5239号 贈賄、業務上横領、政治資金規正法違反被告事件 〔日本歯科医師会事件〕
(91)平成17年 5月30日 名古屋地裁 平15(行ウ)63号 政務調査費返還請求事件
(92)平成17年 5月26日 名古屋地裁 平16(行ウ)40号 岡崎市議会政務調査費返還請求事件
(93)平成17年 5月24日 岡山地裁 平8(行ウ)23号 損害賠償等請求事件
(94)平成17年 5月19日 東京地裁 平12(行ウ)319号・平12(行ウ)327号・平12(行ウ)315号・平12(行ウ)313号・平12(行ウ)317号・平12(行ウ)323号・平12(行ウ)321号・平12(行ウ)325号・平12(行ウ)329号・平12(行ウ)311号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成17年 5月18日 東京高裁 平16(行ケ)356号 選挙無効請求事件
(96)平成17年 4月27日 仙台高裁 平17(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(97)平成17年 4月21日 熊本地裁 平16(行ウ)1号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求事件
(98)平成17年 4月13日 東京地裁 平15(行ウ)110号 退去強制令書発付処分取消等請求事件 〔国籍法違憲訴訟・第一審〕
(99)平成17年 3月25日 東京地裁 平15(行ウ)360号・平16(行ウ)197号 難民の認定をしない処分取消請求、退去強制令書発付処分等取消請求事件
(100)平成17年 3月23日 東京地裁 平14(行ウ)44号・平13(行ウ)401号 退去強制令書発付処分取消等請求事件


政治と選挙の裁判例(裁判例リスト)

■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/

■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/

■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/

■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/

■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/

■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/

■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/

■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/

■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/

■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/

■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/

■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/

■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/

■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/

■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/

■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/

■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/

■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/

■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/

■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/

■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/

■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/

■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/

■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/

■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/

■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

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(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
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「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」というお客様に、選挙ドットウィンの「ウィン!ワッポン」を完全無料使い放題でご提供する、究極の広報支援ポスター新規掲示プランです。

(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
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アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)

(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。

(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。

(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!


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お問い合わせ 個人情報保護 お問い合わせ 個人情報保護方針 お問い合わせ 項目 お問い合わせ 佐川 お問い合わせ 最初 お問い合わせ 採用 お問い合わせ 在庫 お問い合わせ 在宅 お問い合わせ 作り方 お問い合わせ 三井住友銀行 お問い合わせ 参考 お問い合わせ 仕方 お問い合わせ 使い方 お問い合わせ 支払い照合番号 お問い合わせ 資料請求 お問い合わせ 歯医者 お問い合わせ 時間 お問い合わせ 自動返信メール お問い合わせ 自分 お問い合わせ 質問 お問い合わせ 写真 お問い合わせ 謝罪 お問い合わせ 種類 お問い合わせ 受付 メール お問い合わせ 受付時間 お問い合わせ 書き始め お問い合わせ 書き方 お問い合わせ 書き方 ゲーム お問い合わせ 承りました お問い合わせ 照会番号 迷惑メール お問い合わせ 森永 お問い合わせ 人 英語 お問い合わせ 正しい お問い合わせ 正式 お問い合わせ 西濃 お問い合わせ 設置 お問い合わせ 専修大学 お問い合わせ 選考 お問い合わせ 選考辞退 お問い合わせ 選択 お問い合わせ 素材 お問い合わせ 相談窓口 お問い合わせ 相談窓口 メール お問い合わせ 窓口 お問い合わせ 送り状番号 お問い合わせ 送信完了 お問い合わせ 送信完了画面 お問い合わせ 尊敬語 お問い合わせ 他の言い方 お問い合わせ 対応 お問い合わせ 対応 メール お問い合わせ 対応時間 お問い合わせ 代行 お問い合わせ 代理店 お問い合わせ 台湾語 お問い合わせ 大学 お問い合わせ 宅急便 お問い合わせ 担当者様 お問い合わせ 断り方 お問い合わせ 中国語 お問い合わせ 中文 お問い合わせ 注意事項 お問い合わせ 丁寧 お問い合わせ 丁寧語 お問い合わせ 追従 お問い合わせ 締めの言葉 お問い合わせ 店 お問い合わせ 添付 お問い合わせ 電話 お問い合わせ 電話 マナー お問い合わせ 電話 メール お問い合わせ 電話 話し方 お問い合わせ 電話対応 お問い合わせ 電話番号 お問い合わせ 土日 お問い合わせ 動詞 お問い合わせ 同意 お問い合わせ 同意する お問い合わせ 同義語 お問い合わせ 導入 お問い合わせ 匿名 お問い合わせ 特別体験終了 お問い合わせ 読み方 お問い合わせ 内容 お問い合わせ 日経 お問い合わせ 日本語 正しい お問い合わせ 日本郵便 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申し込み お問合せ 日本語 お問合せ 問い合わせ お問合せ 問合せ ギャラクシー お問い合わせ グラクロ お問い合わせ グラブル お問い合わせ ゲームアイテム名 グラブル お問い合わせ どこ グラブル お問い合わせ モバゲー グラブル お問い合わせ 巻き戻し ゲーム お問い合わせ 書き方 ゲームトレード お問い合わせ ゲオ お問い合わせ ザトール お問い合わせ ザレイズ お問い合わせ シャープ お問い合わせ 050 シャープ お問い合わせ 冷蔵庫 シャドバ お問い合わせ ネタ ズーキーパー お問い合わせ ズーム お問い合わせ ずんどう屋 お問い合わせ ゼクシィ お問い合わせ セディナ お問い合わせ ローン ゼノンザード お問い合わせ ゼロファクター お問い合わせ ゼンハイザー お問い合わせ ゼンリー お問い合わせ ゼンリン お問い合わせ ゾゾタウン お問い合わせ 電話番号 ソフトバンク お問い合わせ 157 ソフトバンク お問い合わせ 24時間 ソフトバンク お問い合わせ 無料 ダイソー お問い合わせ ダイソン お問い合わせ ドコモ お問い合わせ 151 ドコモ お問い合わせ 24時間 ドラクエウォーク お問い合わせ 2-7-4 トレクル お問い合わせ 400 トレクル お問い合わせ 502 ニトリ お問い合わせ 0570 ヌビアン お問い合わせ ネスレ お問い合わせ ノエル銀座クリニック お問い合わせ ノートン お問い合わせ ノーリツ お問い合わせ ノジマ お問い合わせ パスワード お問い合わせ バッファロー ルーター お問い合わせ ぴあ お問い合わせ ピカラ お問い合わせ ピクトリンク お問い合わせ ピグパ お問い合わせ ピザハット お問い合わせ ビセラ お問い合わせ ビックカメラ お問い合わせ ビューカード お問い合わせ ペアーズ お問い合わせ ペイペイ お問い合わせ 電話 ポケコロ お問い合わせ ポケットカード お問い合わせ ポケ森 お問い合わせ ポンタカード お問い合わせ マイナビ お問い合わせ 2021 ムーモ お問い合わせ メルカリ お問い合わせ ページ メルカリ お問い合わせ ログインできない モバイルsuica お問い合わせ ヤマト運輸 お問い合わせ 0570 ゆうパック お問い合わせ 見つからない りそな銀行 お問い合わせ 24時間 ルイヴィトン 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