政治と選挙Q&A「公認 候補者 公募 ポスター 新人 戸別訪問 国政政党 地域政党」に関する裁判例(3)平成19年 6月21日 東京地裁 平16(ワ)10840号 損害賠償等請求事件
政治と選挙Q&A「公認 候補者 公募 ポスター 新人 戸別訪問 国政政党 地域政党」に関する裁判例(3)平成19年 6月21日 東京地裁 平16(ワ)10840号 損害賠償等請求事件
裁判年月日 平成19年 6月21日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平16(ワ)10840号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2007WLJPCA06218011
要旨
◆国鉄労働組合(国労)等が、ILOの下部組織である結社の自由委員会に対し、国鉄分割民営化に際して組合員に対する採用差別があったとして提訴した件に関し、同委員会からの求めにより被告(国)が提供した情報に虚偽の内容が含まれていたこと等により、原告らの団結権、公正な情報提供による救済への期待権及び名誉が侵害、毀損されたとして、国労組合員である原告らが被告に対し国家賠償を求めた事案において、団結権及び期待権侵害に関しては当該情報提供と原告ら主張の損害との相当因果関係が認められないこと、名誉毀損に関しては当該情報に原告ら個人を特定する内容が含まれていないことから、原告の請求を棄却した事例
裁判経過
控訴審 平成20年 4月23日 東京高裁 判決 平19(ネ)3636号
参照条文
国家賠償法1条1項
民法710条
民法723条
裁判年月日 平成19年 6月21日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平16(ワ)10840号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2007WLJPCA06218011
北海道上川郡〈以下省略〉
原告 X1
北海道北見市〈以下省略〉
同 X2
北海道名寄市〈以下省略〉
同 X3
福岡市〈以下省略〉
同 X4
福岡県みやま市〈以下省略〉
同 X5
鹿児島市〈以下省略〉
同 X6
上記原告ら訴訟代理人弁護士 佐藤昭夫
同 浅野史生
同 大口昭彦
同 加藤晋介
同 萱野一樹
同 河村健夫
同 斉藤一好
同 清水建夫
同 榮枝明典
同 萩尾健太
同 長谷川直彦
同 藤田充宏
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者法務大臣 長勢甚遠
同指定代理人 中島千絵美
同 篠部武嗣
同 奈良和美
同 石野文敏
同 菊池雅彦
同 六本佳代
同 藤原裕子
同 横田和也
主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は、別紙の謝罪広告を官報に掲載せよ。
2 被告は、原告ら各自に対し、500万円及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、被告が平成12年2月に国際労働機関(略称「ILO」)の下部組織である「結社の自由委員会」に対して、日本国有鉄道(略称「国鉄」)の分割民営化に際しJR各社(北海道旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の総称。以下同じ。なお、「承継法人」ということもある。)が国鉄労働組合(略称「国労」)等の組合員に対する採用差別を行ったか否かをめぐる紛争(以下「JR不採用問題」という。)に関する情報を提供した行為によって、国労組合員である原告らの団結権が侵害され、名誉が毀損された等と主張して、被告に対し、謝罪広告の掲載と、国家賠償法1条1項に基づき、精神的損害に対する慰謝料の支払を請求した事案である。
1 前提事実(争いのない事実には証拠等を掲記しない。)
(1) 原告ら
原告らは、いずれも元国鉄職員で、住所及び勤務地が北海道又は九州であった者であり、かつ国労の組合員である。
(2) 国鉄の民営化に伴う国鉄職員のJR各社への採用
被告は、日本国有鉄道改革法(以下「改革法」という。)に基づき、昭和62年4月1日、国鉄の旅客鉄道事業又は貨物鉄道事業を承継法人に引き継がせるとともに、国鉄を日本国有鉄道清算事業団(以下「清算事業団」という。)に移行させ、承継法人に承継されない資産、債務等の処理業務等を行わせることとした(改革法6条、8条、15条)。
国鉄職員の承継法人への採用については、①承継法人の設立委員等が、国鉄を通じて、その職員に対し、それぞれの承継法人の職員の労働条件及び職員の採用基準を提示して職員を募集すること、②国鉄は、①によりその職員に対し労働条件及び採用基準が提示されたときは、承継法人の職員となることに関する国鉄職員の意思を確認し、承継法人別に、その職員となる意思を表示した者の中から当該承継法人に係る採用基準に従い、その職員となるべき者を選定し、その名簿を作成して設立委員等に提出すること、③国鉄が作成した②の名簿に記載された国鉄職員のうち、設立委員等から採用通知を受けた者であって昭和62年3月31日現在国鉄職員である者は、承継法人の職員として採用されることとされた(改革法23条1項ないし3項、附則1項、2項)。
なお、国鉄の分割民営化に当たって、北海道及び九州で余剰人員が大量に発生することが予想されたことから、国鉄は、昭和61年から広域異動を実施し、北海道及び九州から東京、大阪等への異動を募集し実施した。
(3) JR各社に採用されなかった国鉄職員の動向
承継法人に採用されず、昭和62年4月1日時点で再就職先が未定であった7628名の国鉄職員は、清算事業団の職員となり、同日から3年間にわたり、再就職対策の措置を受け、あるいは北海道旅客鉄道株式会社(略称「JR北海道」)及び九州旅客鉄道株式会社(略称「JR九州」)を除くJR各社が実施した広域追加採用に応じるなどした結果、6581名が再就職先を決定するなどして清算事業団を退職したが、原告らを含む1047名は、平成2年4月1日をもって清算事業団を解雇された。
(4) 労働委員会に対する不当労働行為救済申立て
国鉄の職員らによって結成された労働組合である国労及び全国鉄動力車労働組合(現・全日本建設交運一般労働組合、以下「全動労」という。)は、国鉄の分割民営化に対して、一貫して反対する立場をとってきた。
国労及び全動労(以下あわせて「国労等」という。)は、昭和62年3月から、18の各地方労働委員会に対し、JR各社を被申立人として、国鉄の分割民営化に際してJR各社が国労等の組合員を従業員として採用しなかったことは所属組合による差別であるなどと主張して、不当労働行為救済命令の申立てを行ったところ、各地方労働委員会は、いずれもJR各社の不当労働行為を認め、救済命令を発した。
これを不服としたJR各社は、中央労働委員会(略称「中労委」)に対し再審査の申立てをしたが、中労委は、平成5年12月以降、一部を除く各事件につき、概ね「平成2年4月2日に清算事業団から離職を余儀なくされた者のうち、採用を希望する者の中からJR各社が改めて公正に選考した結果、採用すべきものと判定した者を、昭和62年4月1日をもって採用したものとして取扱い、救済命令交付日から3年以内に就労させなければならない」との内容の救済命令を発した。
(5) 救済命令取消訴訟
JR各社は、上記(4)の各救済命令を不服として、東京地裁にそれらの取消しを求める行政訴訟を提起した。
そのうち、原告らを含む北海道及び九州における国労組合員の不採用に関する事件(以下「北海道・九州訴訟」という。)並びに本州における国労組合員の不採用に関する事件(以下「本州訴訟」という。)につき、東京地裁は、平成10年5月28日、いずれも中労委の救済命令を取り消す判決をし、中労委はこれを不服として控訴した。
(6) 結社の自由委員会に対する提訴と中間報告
国労は、北海道・九州訴訟の控訴審係属中の平成10年10月12日、ILOの結社の自由委員会に対し、日本政府が団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約(以下「98号条約」という。)及び結社の自由及び団結権の保護に関する条約(以下「87号条約」という。)を批准しているにもかかわらず、JR不採用問題等に関して、受諾した義務を果たさず、上記各条約に違反している旨提訴した(以下「本件訴え」という。)。また、全動労も、同年12月8日、結社の自由委員会に対し同様の提訴をした。これに対し、被告は、平成11年4月及び同年9月、結社の自由委員会に対し、政府見解を提出した。
結社の自由委員会は、同年11月18日付けで中間報告を行い、その中で、日本政府に対し、JR各社が国労等の組合員の採用を拒否した理由に関して十分な認識に基づいた結論が出せるよう、この点について追加情報を提供すること等を要請する内容の勧告をした。
(7) 結社の自由委員会に対する追加情報の提供
上記(6)の中間報告を受けて、被告は、平成12年2月、結社の自由委員会に対し、以下のような内容を含む追加情報(以下「本件追加情報」という。)を提供した。
ア 広域異動の実施に関して
国鉄の分割民営化にあたって、北海道及び九州で余剰人員の発生が予想されたことから、国鉄が昭和61年から「広域異動」を実施し、北海道及び九州から東京、大阪等の地域への異動を募集したことに関して、以下のように記載している。
「国鉄改革に反対する国労及び全動労の組合員は、非協力的であった。」
イ 国労等組合員の勤務状況及び採用率に関して
国労等が、JR各社により所属組合による採用差別が行われた結果、一部の地域において、これらの組合員の採用率が他の組合に比べ低くなっていると申し立てたことに関して、以下のように記載している。
「これは、これらの組合員の中に、無断欠勤等勤務状況に問題があるとされた者が多数いたためと思われる。即ち、このような勤務状況を踏まえて客観的かつ公正に選抜を行うと、これらの組合員が採用される割合は、どうしてもある程度低くならざるを得なかったのであり、国鉄が意図的に国労及び全動労組合員を差別したことはないと思われる。」
「全国ベースでJRへの組合別採用率を見た場合、国労組合員の採用率は、他の組合員のそれに比較すれば低いものの、数値的には80%を超えており、この数値は、同組合員の中には、特定の地域(北海道、九州)におけるJRへの就職に固執した者が多かったことにかんがみれば、さほど低い値ではないとの評価もある」
ウ 清算事業団における雇用対策に関して
(ア) JR発足時に再就職先が未定であった7628名の職員に対し、国鉄清算事業団が3年間にわたり雇用対策を実施したものの、結果的に、1047名が再就職先未定のまま解雇されたとし、これに関して、次のように記載している。
「彼等とその家族が今日に至るまで苦しい生活を余儀なくされているのは、JRへの追加採用や国鉄清算事業団の手厚い再就職対策に一切応じず、彼等自身があえて選択した道であるという見方もある。」
(イ) JR各社の発足時、JR北海道及びJR九州を除くJR各社においては、採用者数が当初計画を下回る結果となったため、当該各社による追加採用が行われたとし、これに関して、次のように記載している。
「実際に就職を希望した者については、国労・全動労を含めて全員が採用された。」
「しかしながら、国労及び全動労は、(中略)あくまでも地元JRへの採用にこだわり続けた」
(ウ) 清算事業団が、JR発足時点において再就職先が未定であった職員に対し、就職相談、就職斡旋等、手厚い再就職対策を行ったとして、次のように記載している。
「1人当たりの平均就職相談回数は延べ74回、就職斡旋は延べ34回にも上った。」
「ありとあらゆる手厚い措置が講じられ(中略)た。」
(エ) 清算事業団の雇用対策業務には困難が伴ったとして、次のように記載している。
「再就職先未定者として国鉄清算事業団に移行した7,628人の職員は、(中略)こういった再就職対策を一切無視し(中略)た者が多かった」
「しかしながら、雇用対策本部職員は粘り強く業務を推進し、その結果、いわゆる1,047人を除いた6,581人が再就職先を決定する等により、円満に国鉄清算事業団を退職した。」
(オ) 平成2年4月に清算事業団を解雇された1047名の再就職先未定者に関し、次のように記載している。
「1,047人の組合員が現在のような状況に至ってしまったのは、国労及び全動労の執行部が、「国鉄改革反対」「原地原職復帰」という組合方針を何よりも優先させてきた結果でもあることに留意する必要がある。」
(8) 政治解決の試み
北海道・九州訴訟の控訴審係属中の平成12年5月30日、当時の与党であった自由民主党、公明党及び保守党の3党と、社会民主党との間で、国労が全国大会においてJR各社に法的責任がないことを認めた上で、与党からJR各社に対し、人道的観点から、国労組合員の雇用の場の確保等を検討するよう要請すること、社会民主党から国労に対し、少なくともJR各社の発足時における国鉄改革関連の訴訟を取り下げるよう求めること、与党と社会民主党の間で和解金についての検討を行うこと等を内容とする合意(以下「四党合意」という。)が成立した(甲63)。
(9) 結社の自由委員会の勧告
本件訴え以降、被告は、本件追加情報を含め、全部で14回にわたり、結社の自由委員会に情報を提供し、これに対し国労は6回、全動労は9回の追加情報を同委員会に提供した。結社の自由委員会は、6回に及ぶ勧告及び報告を行い、平成12年11月、「国労及び全動労の組合員の多くは、他地域への広域異動を拒否したために、JR各社(特に北海道会社と九州会社)に採用されなかったと考えられるので、反組合的な差別行為の問題が生じていると言うことはできない。(中略)JRが発足したときに再雇用されなかった7,628人の労働者(このうち6,600人が国労及び全動労の組合員)のうち6,581人は、結果として、JRによる追加的な広域採用の機会を活用することにより、(中略)又は国鉄清算事業団によって講じられた他の再就職手段により、仕事を見つけたという事実から、委員会は上記の考え方を強くする。」などとしながらも、当事者全員が満足し、当該労働者の公正な補償が確保される解決策をすみやかに実現する観点から、四党合意の受入れを促し、この点に関し見られた一切の進展につき日本政府に対し情報提供の継続を要請すること、国労組合員の不採用問題については、いまだ東京高裁に係属中であることから、日本政府に対し、東京高裁の判決の結果を引き続き情報提供することを要請すること等を内容とする勧告を行った(以下「本件勧告」という。)。(甲2の1・2、弁論の全趣旨)
(10) 北海道・九州訴訟及び本州訴訟の東京高裁判決と被告による情報提供
東京高裁は、平成12年11月8日に本州訴訟について、同年12月14日に北海道・九州訴訟について、それぞれ中労委の控訴を棄却する判決をした(甲142、乙5、13。以下「東京高裁平成12年判決」という。)。
これについて、被告は、結社の自由委員会に対して、平成13年1月、JR各社は当該労働組合員との関係において使用者に該当するとはいえず不当労働行為責任を負わない旨の判決がされたと情報提供した(乙33)。
(11) その後の経過
ア 北海道・九州訴訟の最高裁判決
中労委は東京高裁平成12年判決を不服として上告したが、最高裁判所は、平成15年12月22日、設立委員ひいては承継法人は労働組合法7条にいう「使用者」として不当労働行為の責任を負わないとして、各事件について上告を棄却した(乙6の1・3)。
イ 四党合意について
国労においては、四党合意を受け入れるか否かについて意見が対立したが、平成13年1月27日の第67回定期全国大会(続開)において、四党合意の受入れの方針を含む「2000年度運動方針」案が、代議員の賛成多数により可決された(甲123)。
しかし、原告らを含む四党合意受入れ反対派の国労組合員らは、平成14年1月以降、清算事業団を承継した日本鉄道建設公団(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)を被告とする新たな訴訟を提起するとともに、同年4月には「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」を立ち上げ、JR各社への復帰と未払い賃金の全額支給及び慰謝料等の支払を求めることとした(甲121)。このように、国労内部において意思統一がされない状況を踏まえ、平成14年12月、自由民主党、公明党及び保守党の離脱により、四党合意は解消された(弁論の全趣旨)。
2 争点及び当事者の主張
(1) 被告の結社の自由委員会に対する情報提供行為についての国家賠償法1条1項に基づく賠償責任の有無(提供された情報に虚偽の内容が含まれ、また重要な情報が欠落しているか。この情報提供により原告らは団結権、期待権を侵害され、また名誉を毀損されたか等)
【原告ら】
ア 被告の結社の自由委員会に対する情報提供行為
被告は、結社の自由委員会の中間報告を受けて、同委員会に対し、①下記(ア)のとおり、本件追加情報の提供において、虚偽の内容を含ませ、②下記(イ)のとおり、東京高裁平成12年判決に関する情報提供において、重要な情報を欠落させた(以下、これら①及び②の行為をあわせて「本件情報提供行為」という。)。
(ア) 本件追加情報提供における虚偽の情報の提供
本件追加情報のうち、前記1(7)で引用された部分は、いずれも虚偽の内容である。
すなわち、中労委は、少なくとも一部の国労組合員については労働組合法7条1号及び3号の不当労働行為の成立を認め、「国鉄が意図的に国労組合員を差別した」ことを認定している。その判断は裁判でも覆っていないのであるから、「国鉄が意図的に国労及び全動労組合員を差別したことはないと思われる」との本件追加情報中の記載は、明らかに虚偽の事実である。この点について、被告は「政府の推論的見解を述べたにとどまる」と主張するが、推論であっても根拠のないものであることに変わりはない。勤務状況については、国鉄職員の職場規律是正が叫ばれた当時も、無断欠勤が問題とされたことはなく(問題とされたのは、当日に休みを申し込む突発休であり、これも事業の正常な運営を妨げたわけではなかった。)、そのうえ昭和60年までに職場規律は是正され、国労組合員の勤務状況に特段の問題はなかった(「ヤミ」手当、「ヤミ」協定や「悪慣行」などと批判されたものも、現場段階の協議に基づくものであり、それぞれその内容には必要性、合理性があった。)。広域異動についても、地元JRへの就職に固執した組合員が多数存在する労働組合は国労以外の労働組合であり、その組合員の地元JRへの採用率は国労組合員の採用率より高かった。広域異動に応じた者の数を地元JRへの採用希望者数に算入して計算しても、なお国労等の組合員の地元JRへの採用率は他の労働組合に比べて低い。JR各社の追加採用に関しても、国労等組合員に対する差別は行われた。国労は清算事業団移行後の広域異動には可能な者は応じる方針だったのであり、非協力的ではなかった。広域異動に応じなかった国労等組合員は、各自に事情があったのであり、労働組合の方針を優先したのではない。さらに、清算事業団の再就職対策は、管理者が就職斡旋の努力を放棄するなど、その実態はおよそ手厚いものではなく、就職相談及び就職斡旋の回数についても、データの水増しやねつ造が横行していた。
(イ) 東京高裁平成12年判決に関する重要な情報の欠落
国労組合員に対する不当労働行為を認めた中労委の救済命令に対する取消訴訟につき、東京高裁第9民事部は、平成12年11月8日に、同高裁第7民事部は、同年12月14日に、それぞれ、JR各社には使用者としての責任がないとして救済命令を否定する判決をした(東京高裁平成12年判決)。これらの判決は、使用者としての責任がJRにないとすれば、不採用となった労働者の鉄道職場への復帰は不可能になることを認めている。そのような結果は、ILOの諸条約が保障する団結権保護の原則を否定する事態となる。また、上記各判決は、新規採用に関しては労働組合法7条1号本文前段が適用されないという見解を示し、採用時を含め雇用の全期間において反組合的な差別行為に対する保護を保障する原則を定めた87号条約及び98号条約を明示的に否定した。
にもかかわらず、被告は、結社の自由委員会に対し、平成13年1月17日付けで、上記各判決につき情報を提供した際に、上記各判決が団結権保護の原則を否定するものであり、明白に87号条約及び98号条約に違反しているという事実を報告しなかった。
イ 本件情報提供行為による原告らの権利侵害
原告らは、本件情報提供行為により、以下のような権利侵害を受けた。
(ア) 団結権侵害
被告は、結社の自由委員会に対して、労働委員会の認定・判断に反し、JR各社の不当労働行為を否定する一方的・不正確な情報提供をしたことによって、結社の自由委員会の判断を誤らせ、不当労働行為是正を妨げ、労働委員会制度は実質的に否定された。しかも、国労等は、労働委員会の救済命令の実現が長引くことが条約上の義務違反であるとして結社の自由委員会に申立てをしているにもかかわらず、被告が労働委員会の認定・判断に反する情報を提供することは、労働委員会の救済命令の実現をさらに遅らせるものであるから、労働委員会の不当労働行為救済機能を妨害し、団結権を侵害するものである。さらに、被告は、四党合意の押し付けとあいまって、虚偽情報に基づく誤った勧告による救済放棄に等しい政治解決を押し付けようとしたのであり、このような行為は、国労の団結自治への介入、団結権破壊行為である。
(イ) 期待権侵害
原告らは、被告から結社の自由委員会に対して公正な情報提供がされることによって、ILOから事実を正確に理解した救済勧告が出され、これにより国労に対する団結権侵害をめぐる紛争が早期に解決することに対する期待権を有していた。
ところが、被告は、事実に反する本件追加情報を提供したため、結社の自由委員会は誤った勧告をすることになり、原告らの上記期待権を侵害する結果を招いた。
(ウ) 名誉毀損
本件追加情報が含む以下の各記載によって、国労組合員である原告らの社会的評価が低下し、その名誉が毀損された。
すなわち、「これらの組合員の中に、無断欠勤等勤務状況に問題があるとされた者が多数いた」との記載(以下「本件記載①」という。)は、原告らが無断欠勤等勤務状況に問題があるとされたかのような誤解を招き、社会的評価を低下させる。
また、「特定の地域(北海道、九州)におけるJRへの就職に固執した者が多かった」(以下「本件記載②」という。)、「あくまでも地元JRへの採用にこだわり続けた」(以下「本件記載③」という。)、「彼等とその家族が今日に至るまで苦しい生活を余儀なくされているのは、JRへの追加採用や国鉄清算事業団の手厚い再就職対策に一切応じず、彼等自身があえて選択した道であるという見方もある。」との記載(以下「本件記載④」という。)は、いずれも、「分からず屋」「わがまま」との意味合いのある侮蔑的表現であり、正当性がないのに地元JRへの就職を頑迷に主張したとの意味に取ることができ、原告らの社会的評価を低下させる。
本件記載①ないし④は、原告ら個人を特定して言及していないが、一般の読者の普通の注意と読み方によれば、原告ら個人を特に除外しない限り、北海道・九州で不採用とされた原告らについて無断欠勤等勤務状況に問題があるとされた者多数に含まれ不採用になった、少なくともその組合に所属しながらそのような状況を是正せず、それに甘んじていたものと受け止められるのは自然であり、原告らの社会的評価は低下させられる。
ウ 本件情報提供行為についての職務上の法的義務違反
そもそも、本件情報提供行為は、行為の結果として直接国民の権利を侵害することが予定されている国家作用ではないから、国家賠償法上の違法性が認められる範囲を職務上の法的義務違反が認められる場合に限定すべき理由はない。しかし、仮に当該考え方に立つとしても、以下のとおり、被告には職務上の法的義務違反が認められ、違法性が肯定されるというべきである。
被告は、憲法28条及び87号条約11条に基づき、団結権を保障する義務を負っている。そして、労働委員会の救済命令制度が、労働者の労働基本権保障の実効性を担保するためのものである以上、被告は労働委員会の認定・判断を尊重すべき義務を、個別の国民に対して負担する職務上の法的義務として負っている。また、行政一体の原則からしても、被告は、独立性、専門性を有する行政機関である労働委員会が準司法的手続を経て行った事実認定及び判断を尊重すべき法的義務を負っており、これと齟齬する判断をする権限は有していない。さらに、結社の自由委員会においては、政府は労使いずれにも偏しない公正な立場に立つことが要請されているから、被告が一方に偏った情報を提供することは許されない。
しかし、前記ア(ア)及び(イ)のとおり、被告はこれらの職務上の法的義務に反し、本件情報提供行為を行った。
【被告】
ア 本件情報提供行為に職務上の法的義務違反がないこと
(ア) 国家賠償法上の違法の意味
国家賠償法1条1項の違法とは、公務員が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背することをいう。
本件についてみると、被告担当者には、職務上収集することができる適切な資料に基づき、相手方あるいは第三者の権利・利益の侵害にならないよう配慮しつつ、当該資料を分析した上で合理的判断をし、結社の自由委員会からの勧告に応じた情報を提供する職務上の義務があったということができる。
(イ) 本件情報提供行為について
被告は、使用者側の主張のみに依拠することなく、中労委又は裁判所に提出された各種証拠及び国鉄の国会における説明等の相当な資料に基づき、本件追加情報を提供した。また、本件訴えは、全国規模で不当労働行為が行われた旨の申立てであったから、被告は、全国規模で見た場合を前提に、上記相当な資料を分析した上での合理的判断の結果を本件追加情報で述べたものである。
また、本件追加情報は、国労等の組合員に無断欠勤等勤務状況に問題があるとされた者が多数いたことが、一部の地域でこれらの組合員の採用率が他の組合に比べて低くなった原因と考えられるとの内容を含むが、これは、一般人の普通の注意と読み方を基準とする限り、組合員全般の勤務状況に問題があるとされたとの趣旨ではなく、原告ら個人を特定して言及するものでもない。そもそも、本件追加情報は、政府が社会一般に対して積極的に公表することを予定したものでもない。このように、本件追加情報の提供にあたっては、むやみに他人の名誉等の権利・利益を侵害しないよう配慮がされていた。
なお、原告らは、東京高裁平成12年判決が団結権保護の原則を否定しており、87号条約及び98号条約に違反しているという事実を、被告が結社の自由委員会に対し報告しなかったことが違法であると主張するが、同委員会が被告に要請したのは、裁判の結果を引き続き情報提供することであって、被告は上記各判決の結論と主な理由について追加情報として提供しているから、原告らが主張するような違法を認める余地はない。
したがって、本件情報提供行為には違法がない。
(ウ) 本件追加情報の内容に関する原告らの主張について
本件追加情報は、国労等の組合員が広域異動に非協力的であった旨の内容を含むが、これは、国労等の組合員の採用率が他の組合員のそれより低い理由の分析結果として言及したものに過ぎず、そのことが採用されなかった理由であるとするものではないし、当該分析の過程に不合理な点はなく、分析結果も何ら事実に反しない。
国労等の職員の勤務状況に関する記載についても、被告が相当な資料に基づき勤務状況に問題があった者が多数いたと思われるとの合理的判断に基づく意見を述べたものに過ぎず、無断欠勤は勤務状況に関する一例に過ぎない。
また、「国鉄が意図的に国労及び全動労組合員を差別したことはないと思われる」との記載も、本件追加情報の提供時点では、既に中労委の救済命令を取り消す旨の第一審判決がされ、これらの控訴審が係属中であり、中労委の認定判断を含む客観的状況を踏まえた上で推論的見解を述べたに過ぎない。そして、本件追加情報の提供前後に出された裁判例には、当該見解に沿うものがあることからしても、これを虚偽の情報とか根拠のない推論ということはできない。
イ 本件情報提供行為によって原告らの権利又は利益は侵害されていないこと
(ア) 団結権侵害の主張について
労働委員会は、所轄ないし設置機関である厚生労働大臣や都道府県知事の指揮命令を受けずに独立に権限を行使する行政機関であるから、本件情報提供行為が労働委員会による不当労働行為の救済手続に影響を及ぼしたり、その独立を侵害することはなく、何ら労働委員会制度を否定するものではないし、労働委員会の救済命令と異なる見解を述べたからといって、労働者の団結権等の尊重の理念に反しない。
(イ) 期待権侵害の主張について
ILOの勧告に法的拘束力はなく、我が国の裁判所もこれに拘束されないし、JR各社には採用の自由があるから、仮にILOから救済勧告が出されたとしても、我が国の裁判所が相当程度の可能性をもって中労委の救済命令を取り消さなかったはずであるということはできないし、原告らが直ちに「採用選考のやり直し」によりJR北海道やJR九州に採用されたと認めるに足りる相当程度の可能性も存在しない。
また、ILOは、被告から提供された情報のみならず、国労等が提出した資料や、労働委員会の救済命令をも含め一切の証拠資料を斟酌した上で本件勧告をしたのであり、しかも、国労は平成12年4月か5月ころに本件追加情報が提出されたことを知りながら、これに反論する追加情報を提供しなかったのであるから、ILOが原告らの意に沿う勧告をしなかったからといって、本件情報提供行為によって原告らの権利を侵害したことにはならない。
(ウ) 名誉毀損の主張について
被告は、関係資料を分析検討した上で、全国規模で見た場合には、国労等の組合員の中に、無断欠勤等勤務状況に問題があるとされた者が多数存したことが、一部の地域において、これらの組合員の採用率が他の組合に比べて低くなった原因と思われる旨の意見を述べたにとどまり、被告として断定したものではなく、国労等の組合員全般に無断欠勤等勤務状況に問題があるとしたものではないし、原告ら個人を特定して言及したものでもない。しかも、本件追加情報は、結社の自由委員会に対して提供するのみであり、被告が社会一般に対し公表することを予定したものではない。
したがって、被告が本件追加情報を提供したことにより、原告らの名誉が毀損されたとは認めることができないというべきである。
(2) 原告らの損害の有無及び数額並びにその回復方法
【原告ら】
本件情報提供行為によって、原告らは上記(1)【原告ら】イのとおり権利を侵害された。これによって原告らに生じた精神的苦痛は甚大であり、その損害額は、少なくとも原告1名あたり500万円を下らない。
そして、原告らの受けた名誉毀損の回復のためには、被告が別紙のとおり謝罪広告を掲載する措置が必要である。
【被告】
争う。
第3 当裁判所の判断
1 はじめに
原告らは、被告が行った本件情報提供行為によって団結権及び期待権を侵害され、また名誉を毀損され、精神的損害を受けたとして、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めている。国家賠償法1条1項が定める「違法」の要件については、前記第2の2(1)のとおり、職務上の法的義務違反が認められる場合に限られるか否かで争いがあるけれども、同項に基づく損害賠償請求権が認められるには、それ以前に、公権力の行使に当たる公務員の行為によって、他人の権利又は法律上保護される利益が侵害されていることが前提となる。本件についてみれば、本件情報提供行為によって、原告らの権利又は法律上保護される利益が侵害されたことが認められない限りは、原告らが求めている国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権は認められない。
そこで、以下においては、まず第一に、原告らが主張する団結権侵害、期待権侵害及び名誉毀損という権利侵害が認められるのか、これらの権利侵害があるとすれば、これは本件情報提供行為によるものであるかについて、順次検討することにする。
2 団結権侵害の主張について
(1) 結社の自由委員会の判断を誤らせ、労働委員会の救済命令の実現を遅らせた旨の主張について
ア 原告らは、団結権侵害の具体的内容として、「労働委員会の認定・判断に反する情報を提供し」、「結社の自由委員会の判断を誤らせ」、「労働委員会制度を実質的に否定され」、「労働委員会の救済命令の実現をさらに遅らせた」などと主張する。この主張は、以下のとおり理解することができる。
国労組合員はJR各社の採用に際して国労に所属していることのゆえに差別を受け(これは中労委が認定していたとおりである。)、98号条約、87号条約違反の事態が起きていた。ところが、被告は、結社の自由委員会に対する本件追加情報において虚偽の情報を提供し、これによって、結社の自由委員会は、国労組合員が広域異動を拒否したためにJR各社に採用されなかったなどという誤った認定をし、差別是正の措置をとるべきことを勧告せず、かえって四党合意の受入れを促すことを内容とする誤った勧告をした。また、被告は、東京高裁平成12年判決が出された後、同判決が団結権保護の原則を否定し87号条約及び98号条約に違反するという重要な情報を提供しなかった。これによって、結社の自由委員会は、改めて差別是正の措置をとるべきことを勧告しなかった。このように結社の自由委員会が誤った勧告をした結果、東京高裁及び最高裁判所は、北海道・九州訴訟について、中労委命令を取り消した第一審の東京地裁判決を覆さず、また、東京高裁平成12年判決の後に、結社の自由委員会が改めて適正な勧告をしなかった結果、最高裁判所は、東京地裁判決及び東京高裁判決を覆さず、中労委が発した救済命令(JR各社に改めて採用の選考をすることを命じるもの)の取消しが確定して、この救済命令が履行されないことになり、国労組合員であるがゆえのJR各社不採用は見直されなかった。あるいは、結社の自由委員会が差別是正の措置をとるべきことを勧告していれば、被告が勧告に従って差別是正のために何らかの措置をとることにより、又はJR各社が結社の自由委員会の勧告を尊重することにより、差別是正がされたはずであるのに、誤った勧告がされ、また、改めて適正な勧告がされなかったため、差別是正は実行されなかった。
原告らの主張は、以上のような趣旨と解されるところ、確かに、原告らはJR不採用問題に関し不当労働行為救済の申立てをし、救済命令を得ていたのであるから、原告らの主張のとおり「被告は、本件追加情報において虚偽の情報を提供し、東京高裁平成12年判決に関して重要な情報を提供しなかったことにより、結社の自由委員会に誤った勧告をさせ、また適正な勧告をさせず、そのため救済命令が履行されず、差別是正が実行されない結果になった」と認められるのであれば、それを団結権侵害というかどうかはともかく、原告ら個人の法律上保護される利益が侵害されたと認める余地はある。
原告らの上記のような主張が認められるためには、被告が結社の自由委員会に対し、本件追加情報をすることによって誤った勧告をさせ、また、重要な情報を提供しなかったことによって適正な勧告をさせなかったということが認められなければならない。そこで、以下において、この点を検討する。
イ 証拠(甲130、145、乙16、証人A)によれば、結社の自由委員会について、以下の事実を認めることができる。
(ア) 結社の自由委員会は、ILOの業務執行を指揮する最高執行機関である理事会の下部組織として、結社の自由に係る提訴について、十分な根拠があるか否かの審査を行っている組織である。同委員会は、議長及び9名の委員(政府側委員、使用者側委員及び労働者側委員各3名)によって構成される。
(イ) 結社の自由委員会に対する訴えは書面によってしなければならない。提訴団体は、提訴にあたって結社の自由侵害の具体的主張を書面で提出するほか、提訴後1か月以内に追加情報を提出することができる。
(ウ) 結社の自由侵害の提訴がされると、結社の自由委員会の事務局は、当該政府に対して訴えの内容を送付する。政府はこれに対し回答することができるほか、同委員会の求めにより又は自主的に追加情報を提出することができる。
(エ) 結社の自由委員会の事務局は、当該訴えに対する政府からの回答の概要を提訴団体に送付する。提訴団体はそれに対する回答の機会を与えられる。
(オ) 訴えの当事者は、提訴団体と政府であり、使用者は当事者とはならないが、使用者側の情報は、政府を通じて結社の自由委員会に提出されることが原則である。政府がILOに何らかの報告をする場合には、代表的な労使団体(日本の場合は連合と日本経団連)と協議することが義務付けられている。
(カ) 訴えに対する審査は、いずれも書面をもって行われ、提出されたすべての書面に基づき行われる。ただし、実際には、同委員会の委員や事務局への直接の働きかけ、要請(ロビー活動)も結論に影響を及ぼす。
ウ 次に、前提事実に証拠(甲128、152、証人B)及び弁論の全趣旨を総合すると、結社の自由委員会が本件勧告をした経緯について、以下の事実が認められる。
(ア) 国労は、結社の自由委員会に対して、平成10年10月12日、JR不採用問題について、組合員であることを理由とした差別が行われているとし、これは98号条約及び87号条約に反するとして、提訴した(本件訴え)。全動労も、同年12月8日、同様の提訴をした。
(イ) 被告は、この提訴について、平成11年4月以降、情報を提供し、その回数は、本件勧告がされるまで(平成12年11月以前)、平成12年2月の本件追加情報を含めて14回に及んだ。他方で、国労は6回、全動労は9回の追加情報を提供した。
(ウ) 本件訴えの提起後、国労本部からジュネーブにあるILO結社の自由委員会に派遣されている者が、同委員会の労働者側事務局長に面会し、労働委員会において不当労働行為が認められたことに関する情報を直接伝えるなど、直接の働きかけ、要請活動を行った。当時の運輸省も、本件訴えに関して、幹部を結社の自由委員会事務局に派遣し、情報を直接伝えるなどした。
(エ) 本件追加情報の提供が行われた平成12年2月ころ、JR不採用問題について、政治的に解決を図る動きが進んでいた。国労本部は、社会民主党を通じて、解決を探っていた。同年5月30日、この問題の解決のため、自由民主党、公明党、保守党と社会民主党との間で、四党合意が成立した。
(オ) 国労本部は、同年4月ころ、被告が行った本件追加情報の内容を入手し、そこには、JR各社に不採用になったのは国労が国鉄改革反対、原地原職復帰という組合方針を優先させた結果であるなどの記載がされていることを知った。しかし、国労本部は、政治的解決を図る動きが進み、四党合意成立後は、これを受け入れて解決を図ろうという方針であったため、結社の自由委員会に対して、本件追加情報の記載が虚偽であるなどとする情報を提供することはしなかった。
(カ) 政党間に四党合意が成立し、国労も含めて、四党合意を前提として解決を図ろうとする動きがあることは、結社の自由委員会に伝えられた。
(キ) 以上のような状況において、同年11月、結社の自由委員会は、四党合意の受入れを促す内容の本件勧告をした。
エ 上記イからすると、結社の自由委員会は、提訴団体及び政府を通じて、書面により各方面からの様々な情報(この中には提訴団体を通じて受ける労働者側の見解、政府側を通じて受ける使用者の見解のほか、客観的かつ広範囲の各種情報が含まれる。)の提供を受け、さらに書面以外にもロビー活動など直接の働きかけの内容をも含め、提訴以来得られた一切の情報をもとに総合判断して、訴えに対する審査を行っていると認めることができる。
本件に関してみても、上記ウのとおり、提訴団体である国労等から多数の情報提供を受け、また、国労及び被告から直接の働きかけによる情報提供を受けていたことが認められる。また、本件追加情報に対しては、国労はその内容を認識していたが、これに反論する内容の情報提供をせず、四党合意を前提とする解決への動きに対しても国労がこれを批判するような情報提供をしなかったことが認められる。
つまり、本件訴えについて、結社の自由委員会は、被告が提供した本件追加情報のみならず、書面又は直接の要請等により、国労等及び被告の双方が提供した一切の情報に基づいて審査を行い(審査の中で国労が本件追加情報に反論しなかったことや、四党合意を前提として解決の動きが進んでいることも考慮されたと推認される。)、その結果として、反組合的な差別行為の問題が生じていると言うことはできないなどと判断した上、四党合意の受入れを促すことを内容とする本件勧告をするに至ったものと認めることができる。
そうだとすると、仮に、提供されていた全情報のうちの一つにすぎない本件追加情報において、原告らが虚偽であると主張する情報が提出されていなかったとしても、そのことによって、結社の自由委員会が、JR不採用問題に関してJR各社の不当労働行為責任を認め、日本政府に対しその是正をするよう勧告した蓋然性が高いとは認めることができず、被告が本件追加情報を提供したことによって、結社の自由委員会に本件勧告をさせたということはできない。
また、結社の自由委員会は提供された一切の情報に基づき勧告をするものであり、かつ、本件勧告は上記のとおり提供された一切の情報に基づいて発せられたものであるから、東京高裁平成12年判決に関して原告らが提供すべきであったと主張する内容の情報を提供していたとしても、結社の自由委員会が、改めて差別是正を求める勧告をした蓋然性が高いと認めることはできず、被告が重要な情報の提供をしなかったことによって、結社の自由委員会が改めて適正な勧告をすることを妨げたということもできない。
オ なお、我が国が98号条約及び87号条約を批准しているからといって、我が国の司法機関である東京高裁及び最高裁判所が、ILOないし結社の自由委員会が独自に示した判断に拘束されるわけではないことからすれば、結社の自由委員会が、JR不採用問題に関してJR各社の不当労働行為責任を認める内容の勧告をすることにより、東京高裁及び最高裁判所の判断が異なるものとなっていたと認めることはできない。また、裁判所の判断が異なるものとならないのであれば、結社の自由委員会が差別是正の勧告をすることにより、JR各社がこれを受けて対応をしたはずであるとも認められない。
カ 以上からすると、結局のところ、原告らに係る救済命令が履行されないことを原告らの法律上保護される利益に対する侵害とみた場合においても、当該利益侵害が本件情報提供行為によってもたらされたと認めることはできないというべきである。
(2) 国労の団結権を破壊した旨の主張について
原告らは、被告は四党合意の押し付けとあいまって、虚偽情報に基づく誤った勧告による救済放棄に等しい政治解決を押し付けようとしたのであり、国労の団結自治への介入、団結権破壊行為であるとの主張もする。しかし、原告らの主張によっても、被告の行為によって国労の団結権が侵害されたというに過ぎず、原告ら個人の権利ないし利益が侵害されたことを主張するものとはいえない。
また、原告らの上記主張は、被告が結社の自由委員会に情報を提供したこと自体で団結権の侵害であると主張するもののようであるが、結社の自由委員会に対する情報の提供だけでは、そのことから直ちに原告らあるいは国労の団結権に何らかの具体的、現実的な不利益が生じるとは考えられず、この点でも原告らの主張は失当である。
(3) まとめ
以上のとおり、原告らが「団結権侵害」として主張する点は、本件情報提供行為によって生じた侵害とは認め難いものか、国労の権利を原告ら個人の権利又は利益と混同するものというほかなく、いずれにせよ、理由がないというべきである。
3 期待権侵害の主張について
原告らは、被告から結社の自由委員会に対して公正な情報提供がされることによって、ILOから事実を正確に理解した救済勧告が出され、これにより国労に対する団結権侵害をめぐる紛争が早期に解決することへの期待権を侵害された旨主張する。そして、本件において被告が公正な情報提供をしなかった以上、公正な情報提供をしていればILOが救済勧告をした可能性さえあれば期待権侵害が認められ、紛争早期解決の相当程度の可能性の有無を問わず期待権侵害は認められるとも主張する。
しかし、そもそも、前記2(1)イ(オ)によれば、本件訴えを提起したのは原告らではなく、国労等であって、原告らはいわば勧告による反射的利益を期待していた立場にあるに過ぎないのであるから、原告らが、結社の自由委員会によって国労等の申立てが認められ差別是正の勧告がされ、これによって紛争が早期に解決するとの期待を有していたとしても、それに対して法的保護が与えられるかは疑問である。
そして、前記2(1)ウにおいて述べたとおり、結社の自由委員会は、本件勧告を出すに当たって、提出された一切の資料を参考としたのであって、本件追加情報はそのうちの一つに過ぎないのであるから、仮に、本件追加情報において原告が虚偽であると主張する情報が提出されておらず、又は、東京高裁平成12年判決に関し原告らが提供すべきであったと主張する内容の情報を提供していたとしても、そのことによって、結社の自由委員会が国労等の組合員に対する不当労働行為を認め、日本政府に対しその是正をするよう勧告したと認めることはできない。また、仮にそのような勧告がされていれば、中労委の救済命令が維持される判決が出されたとも認められないこと、あるいはJR各社が勧告に対応したはずであるとも認められないことは、既に説示のとおりである。
したがって、「期待権侵害」に関する原告らの主張は理由がない。
4 名誉毀損の主張について
原告らは、本件追加情報に含まれる本件記載①ないし④によって、原告ら個人の名誉が毀損された旨主張する。
しかし、一般に、表現活動によって個人の社会的評価を低下させることは、当該表現の中で、あるいは他の情報とあいまって、当該個人を特定し得る状況にあって可能なことである。これに対し、ある個人が属する集団に向けて社会的評価を低下させるような表現が行われたとしても、当該集団を特定することが直ちに当該個人を特定させると認められるような特段の事情が認められない限り、直ちに当該個人の社会的評価を低下させることにはならないから、原則として、当該個人に対する名誉毀損は成立しないというべきである。
本件記載①ないし④についてみると、証拠(甲4)によれば、各記載が対象としているのは、国鉄の分割民営化に際してJR各社に採用されなかった北海道等一部の地域における国労等の組合員のうちの多くの者(本件記載①)、北海道及び九州地域における国労組合員(本件記載②)、国鉄の分割民営化に際して清算事業団の職員となった国労等の組合員のうち広域追加採用に応募しなかった者(本件記載③)及び平成2年4月に清算事業団を解雇された1047名の職員(本件記載④)であることが認められる。このうち、本件記載①については、当該記載の対象である集団の中に原告らが含まれているか否かすら判然としない。そして、本件記載①ないし④は、いずれもその対象が、構成員を個別に特定することが困難な程度に大規模な集団であるというほかなく、それ以上に、原告ら個人を特定し得るような情報が本件追加情報に含まれていたとは認められない。以上からすると、本件記載①ないし④によって、原告ら個人の社会的評価が低下したとは考え難いというべきである。
これに対して、原告らは、本件記載①ないし④について、一般の読者の普通の注意と読み方によれば、原告ら個人を除外しない限り、原告らが無断欠勤等勤務状況に問題があるとされた者多数に含まれ不採用になったとの評価を受ける旨主張する。しかし、本件記載①については当該記載の対象に原告らが含まれているかどうか判然としないし、本件記載②ないし④については、その記載の対象者が含まれる大規模な集団に原告らが属していることを読みとれるものの、原告ら個人を特定し得るような情報はなく、原告ら個人の社会的評価が低下したと認めることはできない。
原告らは、本件記載①ないし④によって、原告らはこれらに指摘されているような者がいる組合に所属しながらそのような状況を是正せずそれに甘んじたと評価されるとも主張する。しかし、本件記載①ないし④を読んだ者が、上記のような評価をするかどうかは疑問である上、仮に原告らが主張するようなことを考える読者がいたとしても、原告ら個人が特定されていないのであるから、原告ら個人の社会的評価が低下したと認めることはできない。
したがって、原告らの名誉毀損に関する主張は、その余の点につき判断するまでもなく理由がない。
5 結論
以上によれば、原告らが、本件情報提供行為によって権利侵害を受けたと主張する点は、いずれも理由がないから、その余の点につき判断するまでもなく、被告の本件情報提供行為について、国家賠償法上の違法性を認めることはできない。
したがって、争点(2)につき判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がない。
(裁判長裁判官 中西茂 裁判官 本多幸嗣 裁判官 別所卓郎)
〈以下省略〉
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政治と選挙の裁判例「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧
(1)平成19年 7月12日 東京地裁 平17(行ウ)63号・平17(行ウ)295号・平17(行ウ)296号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(2)平成19年 7月 3日 東京地裁 平17(行ウ)530号・平17(行ウ)531号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(3)平成19年 6月21日 東京地裁 平16(ワ)10840号 損害賠償等請求事件
(4)平成19年 6月14日 宇都宮地裁 平15(ワ)407号 損害賠償請求事件
(5)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)176号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(6)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)175号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟〕
(7)平成19年 6月 8日 東京地裁 平18(行ウ)14号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(8)平成19年 5月30日 東京地裁 平19(ワ)4768号 損害賠償請求事件
(9)平成19年 5月30日 東京地裁 平17(行ウ)55号・平17(行ウ)132号・平17(行ウ)133号・平17(行ウ)134号 各難民の認定をしない処分取消請求事件
(10)平成19年 5月25日 東京地裁 平17(行ウ)337号・平17(行ウ)338号・平17(行ウ)339号・平17(行ウ)340号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(11)平成19年 5月25日 青森地裁 平17(行ウ)7号 政務調査費返還代位請求事件
(12)平成19年 5月10日 東京高裁 平18(う)2029号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・控訴審〕
(13)平成19年 5月 9日 東京地裁 平18(行ウ)290号 損害賠償等(住民訴訟)請求事件
(14)平成19年 4月27日 東京地裁 平17(行ウ)439号・平18(行ウ)495号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(15)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(行ウ)390号・平17(行ウ)328号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件
(16)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(ワ)28215号 損害賠償請求事件
(17)平成19年 4月27日 仙台地裁 平15(行ウ)8号 政務調査費返還代位請求事件
(18)平成19年 4月26日 東京地裁 平17(行ウ)60号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(19)平成19年 4月20日 東京地裁 平15(ワ)29718号・平16(ワ)13573号 損害賠償等請求事件
(20)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)223号・平18(行ウ)40号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(21)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)329号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(22)平成19年 4月12日 東京地裁 平17(行ウ)166号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(23)平成19年 4月11日 東京地裁 平17(ワ)11486号 地位確認等請求事件
(24)平成19年 3月29日 仙台高裁 平18(行コ)25号 違法公金支出による損害賠償請求履行請求住民訴訟控訴事件
(25)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)523号・平17(行ウ)534号・平17(行ウ)535号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(26)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)424号・平17(行ウ)425号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(27)平成19年 3月27日 岡山地裁 平11(ワ)101号・平13(ワ)257号・平13(ワ)1119号・平13(ワ)1439号・平14(ワ)1177号・平14(ワ)1178号 退職慰労金請求事件、貸金請求事件、損害賠償請求事件、所有権移転登記抹消登記手続等請求事件 〔岡山市民信金訴訟・第一審〕
(28)平成19年 3月23日 東京地裁 平17(行ウ)474号・平17(行ウ)525号・平18(行ウ)118号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件、訴えの追加的併合申立事件
(29)平成19年 3月23日 東京地裁 平16(行ウ)462号・平17(行ウ)344号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(30)平成19年 3月16日 東京地裁 平17(行ウ)380号・平17(行ウ)381号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(31)平成19年 3月 6日 東京地裁 平17(行ウ)111号・平17(行ウ)113号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(32)平成19年 2月28日 東京地裁 平16(行ウ)174号・平17(行ウ)162号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(33)平成19年 2月26日 熊本地裁 平17(わ)55号・平17(わ)113号 贈賄被告事件
(34)平成19年 2月22日 東京地裁 平16(行ウ)479号・平16(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(35)平成19年 2月21日 東京地裁 平17(行ウ)375号・平17(行ウ)376号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(36)平成19年 2月 9日 東京地裁 平17(行ウ)154号・平17(行ウ)155号・平17(行ウ)479号・平17(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(37)平成19年 2月 8日 東京地裁 平17(行ウ)22号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(38)平成19年 2月 7日 大阪地裁 平17(わ)7238号・平17(わ)7539号 弁護士法違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
(39)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)323号・平17(行ウ)469号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(40)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)396号・平16(行ウ)399号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(41)昭和27年 4月 4日 佐賀地裁 昭25(行)1号 休職退職取消並びに損害賠償請求事件
(42)昭和27年 1月14日 福岡高裁 昭26(ナ)9号 裁決取消ならびに当選有効確認事件
(43)昭和26年12月25日 福岡高裁 昭26(う)2846号 団体等規正令違反事件
(44)昭和26年12月 3日 大阪高裁 昭26(う)1094号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(45)昭和26年11月30日 福岡高裁 昭26(ナ)4号 当選の無効に関する異議申立に対する決定取消請求事件
(46)昭和26年11月20日 名古屋高裁 昭26(ナ)12号 町長選挙に関する選挙無効事件
(47)昭和26年11月 1日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 解雇無効確認請求事件 〔名古屋市職員免職事件〕
(48)昭和26年10月24日 広島高裁松江支部 昭26(う)54号 収賄被告事件
(49)昭和26年10月19日 福岡高裁 昭26(う)2437号 公職選挙法違反被告事件
(50)昭和26年 9月29日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 組合員除名無効確認請求事件 〔名古屋交通組合除名事件〕
(51)昭和26年 9月26日 札幌高裁 昭26(う)365号・昭26(う)366号・昭26(う)367号 国家公務員法違反被告事件
(52)昭和26年 9月 3日 札幌高裁 昭26(う)507号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(53)昭和26年 8月24日 高松高裁 昭24(控)1374号・昭24(控)1375号・昭24(控)1376号・昭24(控)1377号・昭24(控)1378号 衆議院議員選挙法違反・虚偽有印公文書作成・同行使等被告事件
(54)昭和26年 8月 7日 札幌高裁 昭26(う)475号 昭和二一年勅令第三一一号違反被告事件
(55)昭和26年 7月 7日 東京地裁 昭25(モ)2716号 仮処分異議申立事件 〔池貝鉄工整理解雇事件〕
(56)昭和26年 6月15日 名古屋高裁 昭26(う)529号 公職選挙法違反事件
(57)昭和26年 5月26日 大阪地裁 昭25(ワ)1824号 解雇無効確認請求事件 〔大阪陶業不当解雇事件〕
(58)昭和26年 5月 9日 広島高裁 昭25(ナ)2号 当選の効力に関する訴訟事件
(59)昭和26年 3月30日 東京高裁 昭25(う)4120号 電車顛覆致死偽証各被告事件 〔三鷹事件・控訴審〕
(60)昭和26年 3月28日 札幌高裁 昭25(う)692号 地方税法違反被告事件
(61)平成18年 6月29日 東京地裁 平16(特わ)973号 国家公務員法違反事件 〔国家公務員赤旗配付事件〕
(62)平成18年 6月20日 京都地裁 平16(行ウ)40号 地労委任命処分取消等請求事件
(63)平成18年 6月13日 東京地裁 平15(行ウ)416号・平16(行ウ)289号 難民の認定をしない処分取消等請求、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(64)平成18年 5月15日 東京地裁 平17(ワ)1922号 慰謝料等請求事件
(65)平成18年 4月21日 東京地裁 平16(ワ)7187号 謝罪広告等請求事件
(66)平成18年 3月31日 大阪高裁 平17(行コ)22号・平17(行コ)23号 同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件
(67)平成18年 3月30日 東京地裁 平16(特わ)5359号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・第一審〕
(68)平成18年 3月30日 京都地裁 平17(ワ)1776号・平17(ワ)3127号 地位不存在確認請求事件
(69)平成18年 3月29日 東京地裁 平17(行ウ)157号・平17(行ウ)184号・平17(行ウ)185号・平17(行ウ)186号・平17(行ウ)187号・平17(行ウ)188号・平17(行ウ)189号・平17(行ウ)190号・平17(行ウ)191号 国籍確認請求事件 〔国籍法三条一項違憲訴訟・第一審〕
(70)平成18年 3月28日 東京高裁 平17(行ケ)157号・平17(行ケ)158号・平17(行ケ)159号・平17(行ケ)160号・平17(行ケ)161号・平17(行ケ)162号・平17(行ケ)163号 選挙無効請求事件
(71)平成18年 3月23日 名古屋地裁 平16(行ウ)73号・平16(行ウ)76号 退去強制令書発付処分取消請求、難民不認定処分等無効確認請求事件
(72)平成18年 2月28日 東京地裁 平13(行ウ)150号 行政文書不開示処分取消請求事件 〔外務省機密費訴訟〕
(73)平成18年 2月28日 横浜地裁 平16(行ウ)1号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔神奈川県労委(東芝・配転)事件・第一審〕
(74)平成18年 2月 2日 福岡高裁 平17(行コ)12号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求控訴事件
(75)平成18年 1月19日 最高裁第一小法廷 平15(行ヒ)299号 違法公金支出返還請求事件
(76)平成18年 1月12日 大分地裁 平15(わ)188号 公職選挙法違反被告事件
(77)平成18年 1月11日 名古屋高裁金沢支部 平15(ネ)63号 熊谷組株主代表訴訟控訴事件 〔熊谷組政治献金事件・控訴審〕
(78)平成17年12月26日 東京地裁 平17(行ウ)11号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔JR西(岡山)組合脱退慫慂事件〕
(79)平成17年12月 1日 東京高裁 平16(行コ)347号 難民の認定をしない処分取消請求控訴事件
(80)平成17年11月15日 東京地裁 平16(ワ)23544号 損害賠償請求事件
(81)平成17年11月10日 最高裁第一小法廷 平17(行フ)2号 文書提出命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 〔政務調査費調査研究報告書文書提出命令事件〕
(82)平成17年10月25日 東京地裁 平16(ワ)14421号 損害賠償請求事件
(83)平成17年 9月15日 東京高裁 平17(ネ)707号 謝罪放送等請求事件
(84)平成17年 9月14日 大阪地裁 平15(行ウ)55号・平15(行ウ)56号・平15(行ウ)57号 所得税賦課決定処分取消請求事件
(85)平成17年 9月 8日 名古屋地裁 平16(行ウ)46号 難民不認定処分取消請求事件
(86)平成17年 8月31日 名古屋地裁 平16(行ウ)48号・平16(行ウ)49号・平16(行ウ)50号 裁決取消等請求各事件
(87)平成17年 8月25日 京都地裁 平16(行ウ)12号 損害賠償請求事件
(88)平成17年 7月 6日 大阪地裁 平15(ワ)13831号 損害賠償請求事件 〔中国残留孤児国賠訴訟〕
(89)平成17年 6月15日 大阪高裁 平16(行コ)89号 難民不認定処分取消、退去強制命令書発付取消等各請求控訴事件
(90)平成17年 5月31日 東京地裁 平16(刑わ)1835号・平16(刑わ)2219号・平16(刑わ)3329号・平16(特わ)5239号 贈賄、業務上横領、政治資金規正法違反被告事件 〔日本歯科医師会事件〕
(91)平成17年 5月30日 名古屋地裁 平15(行ウ)63号 政務調査費返還請求事件
(92)平成17年 5月26日 名古屋地裁 平16(行ウ)40号 岡崎市議会政務調査費返還請求事件
(93)平成17年 5月24日 岡山地裁 平8(行ウ)23号 損害賠償等請求事件
(94)平成17年 5月19日 東京地裁 平12(行ウ)319号・平12(行ウ)327号・平12(行ウ)315号・平12(行ウ)313号・平12(行ウ)317号・平12(行ウ)323号・平12(行ウ)321号・平12(行ウ)325号・平12(行ウ)329号・平12(行ウ)311号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成17年 5月18日 東京高裁 平16(行ケ)356号 選挙無効請求事件
(96)平成17年 4月27日 仙台高裁 平17(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(97)平成17年 4月21日 熊本地裁 平16(行ウ)1号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求事件
(98)平成17年 4月13日 東京地裁 平15(行ウ)110号 退去強制令書発付処分取消等請求事件 〔国籍法違憲訴訟・第一審〕
(99)平成17年 3月25日 東京地裁 平15(行ウ)360号・平16(行ウ)197号 難民の認定をしない処分取消請求、退去強制令書発付処分等取消請求事件
(100)平成17年 3月23日 東京地裁 平14(行ウ)44号・平13(行ウ)401号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
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■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
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■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
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(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
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(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
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(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
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(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
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(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
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