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政治と選挙Q&A「公認 候補者 公募 ポスター 新人 戸別訪問 国政政党 地域政党」に関する裁判例(66)平成18年 3月31日 大阪高裁 平17(行コ)22号・平17(行コ)23号 同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件

政治と選挙Q&A「公認 候補者 公募 ポスター 新人 戸別訪問 国政政党 地域政党」に関する裁判例(66)平成18年 3月31日 大阪高裁 平17(行コ)22号・平17(行コ)23号 同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件

裁判年月日  平成18年 3月31日  裁判所名  大阪高裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(行コ)22号・平17(行コ)23号
事件名  同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件
裁判結果  原判決変更  文献番号  2006WLJPCA03319004

要旨
◆市が、自立促進援助金支給要綱に基づき、地域改善対策就学金貸与規則等の規定による奨学金等(同和奨学金等)の貸与を受けた者に対し、貸与終了後、その返還のために自立促進援助金を支出したことが違法であるとして、その当時の市長の職にあった者に対しては地方自治法242条の2第1項4号に基づき損害賠償を請求することを、市の副市長の職にあった者に対しては同号ただし書に基づき賠償命令をすることを、それぞれ求める請求につき、民事訴訟法248条の趣旨に則って損害額が認定され、いずれも一部について認容された事例
◆市が、自立促進援助金支給要綱に基づき、地域改善対策就学金貸与規則等の規定による奨学金等(同和奨学金等)の貸与を受けた者に対し、貸与終了後、その返還のために自立促進援助金を支出したことが違法であるとして、その当時の市長の職にあった者に対しては地方自治法242条の2第1項4号に基づき損害賠償を請求することを、市の副市長の職にあった者に対しては同号ただし書に基づき賠償命令をすることを、それぞれ求める請求について、前記要綱には、同和奨学金等の貸与を受けた者のうち、その属する世帯の所得、就労等の生活実態から貸与を受けた同和奨学金等を返還することが困難であると市長が認めた者に対し前記援助金を支給すると規定されているところ、同和地区における生活実態が全体としては改善され、同和奨学金等の返還が必ずしも困難ではなくなった者も一定割合で生じてきていることも推認されること等から、遅くとも平成13年度の前記援助金については、前記要綱の支給基準、認定方法等について具体的な基準を定めず、各申請者から収入、家族状況等に関する客観的資料の提出も求めないまま、申請者を一律に同和奨学金等を返還することが困難であるものと認め、何ら審査をせずに援助金の支給を継続していることは、内容的にも手続的にも不適切であり、裁量権の行使としての合理性を認めることができず、少なくとも、同年度及び平成14年度の各前記援助金のうち新規に前記援助金を支給することとした借受者に係る同援助金については、裁量権の逸脱があったものと解するのが相当とした上、同援助金のうち、本来は前記援助金の支給対象外とすべき借受者に対して支給された前記援助金をもって、市の損害と判断するのが相当であるが、そもそも前記援助金の支給基準が明らかでないため、平成16年に改正された前記要綱及び別に定められた自立促進援助金支給基準に基づき、前記支給対象外とすべき借受者に対して支給された前記援助金の額を推計し、特にその一部については個別情報がないまま推計したため、厳密な立証がされたものとは言い難いものの、なにがしかの損害が生じていることは明白であるなどとして、民事訴訟法248条の趣旨に則って、前記推計額を損害額と認定して、前記請求を一部認容した事例

裁判経過
第一審(第1事件) 平成17年 2月24日 京都地裁 判決 平14(行ウ)44号 同和奨学金賠償命令履行請求事件
第一審(第2事件) 平成17年 2月24日 京都地裁 判決 平15(行ウ)21号 同和奨学金賠償命令履行請求事件

出典
裁判所ウェブサイト

評釈
星野豊・月刊高校教育 43巻15号72頁

参照条文
地方自治法2条14項
地方自治法232条の2
地方自治法242条の2
民事訴訟法248条
地方財政法4条1項

裁判年月日  平成18年 3月31日  裁判所名  大阪高裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(行コ)22号・平17(行コ)23号
事件名  同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件
裁判結果  原判決変更  文献番号  2006WLJPCA03319004

主文
1  第1事件及び第2事件に係る各原判決を次のとおり変更する。
(1)  第1事件の訴えのうち,平成9年度分から平成12年度分までの自立促進援助金の支出に関する部分を却下する。
(2)  被控訴人は,P1(住所 京都市α×番地の×)に対し,2044万1759円及び内金714万0044円に対する平成14年4月1日から,内金1330万1715円に対する平成15年4月1日から各支払済みまでいずれも年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
(3)  被控訴人は,P2(住所 京都市β×××番地の×)に対し,上記(2)と同額の金員の賠償を命令せよ。
(4)  控訴人のその余の請求を棄却する。
2  訴訟費用は,第1・2審を通じ,これを10分し,その1を被控訴人の,その余を控訴人の各負担とする。

事実及び理由
以下,右欄の事項について,左欄の略称をもって示す(なお,原審において両事件で提出された同一の書証については,第1事件の書証番号をもって示す。)。

P1 P1(住所 京都市α×番地の×)
P3 P3(住所 京都府宇治市γ××番地の××)
P2 P2(住所 京都市β×××番地の×)
市 京都市
市長 京都市長
副市長 京都市副市長
法 地方自治法
地対財特法 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律
奨学資金給付制度 京都市同和奨学資金給付制度(昭和38年4月)
同和奨学金 京都市地域改善対策奨学金等貸与規則及び京都市地域改善対策奨学金貸与規則の規定による奨学金
就学奨励金 京都市地域改善対策就学奨励金等貸与要綱及び京都市地域改善対策就学奨励金貸与要綱の規定による就学奨励金
同和奨学金等 同和奨学金と就学奨励金
借受者 同和奨学金等の貸与を受けた者
高校生 高等学校又は高等専門学校に在学する者
大学生 大学又は短期大学に在学する者
債務免除条例 京都市地域改善対策大学奨学金等の返還の債務の免除に関する条例
本件要綱 自立促進援助金支給要綱(昭和59年3月)
援助金 本件要綱に基づく自立促進援助金
本件制度 同和奨学金等の貸与終了後,借受者に本件要綱に基づき援助金を支給する制度
本件援助金① 平成9年度から平成13年度までの援助金合計7億2796万5395円
本件援助金② 平成14年度の援助金2億0286万3585円
本件監査結果① 平成14年11月18日付,市監査委員の本件援助金①に関する監査結果
本件監査結果② 平成15年5月16日付,市監査委員の本件援助金②に関する監査結果
実態把握事業 京都市同和地区住民生活実態把握事業
平成8年意見具申 京都市同和問題懇談会の意見具申「今後における京都市同和行政の在り方について」(平成8年11月)
平成14年報告 「特別施策としての同和対策事業の終結とその後の取組」(平成14年1月)

第1  控訴の趣旨
1  第1事件及び第2事件に係る各原判決を取り消す。
2  原審第1事件について
(1)  被控訴人は,P1に対し,7億2796万5395円及びうち1億0945万1900円に対する平成10年4月1日から,うち1億2678万1005円に対する平成11年4月1日から,うち1億4399万8690円に対する平成12年4月1日から,うち1億6463万0105円に対する平成13年4月1日から,うち1億8310万3695円に対する平成14年4月1日から,各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
(2)  被控訴人は,P3に対し,1億4399万8690円及びこれに対する平成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償を命令せよ。
(3)  被控訴人は,P2に対し,3億4773万3800円及びうち1億6463万0105円に対する平成13年4月1日から,うち1億8310万3695円に対する平成14年4月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員の賠償を命令せよ。
3  原審第2事件について
(1)  被控訴人は,P1に対し,2億0286万3585円及びこれに対する平成15年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
(2)  被控訴人は,P2に対し,2億0286万3585円及びこれに対する平成15年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償を命令せよ。
第2  事案の概要
1  事案の要旨
本件(原審第1事件及び同第2事件)は,京都市の住民である控訴人が,京都市長である被控訴人に対し,市が行った平成9年度から平成14年度までの,本件要綱に基づく援助金の支出が違法であり,これにより市が損害を被ったとして,平成9年度から平成14年度当時,市長の職にあったP1に対しては法242条の2第1項4号に基づき損害賠償を請求することを,平成9年度から平成11年度まで副市長の職にあったP3及び平成12年度から平成14年度まで副市長の職にあったP2に対してはいずれも同号ただし書に基づき賠償命令をすることを,それぞれ求める事件である。
2  原審は,原審第1事件(平成9年度分から平成13年度分の援助金が対象)につき,平成9年度分から平成12年度分までの援助金の支出に関する監査請求は不適法であるから,これらに関する訴えは,適法な監査請求を経たものではなく,不適法であるとしてこれを却下し,平成13年度分の援助金及び原審第2事件の対象である平成14年度分の援助金の各支出決定(支出負担行為)は違法であるが,損害額の立証が尽くされていないとして,これらの請求をいずれも棄却した。
控訴人は,上記各判断を不服として,本件請求の認容を求めて,それぞれにつき控訴した。
原審第2事件に係る控訴事件である平成17年(行コ)第23号事件は,当審において,原審第1事件に係る控訴事件である平成17年(行コ)第22号事件に併合された。
3  当裁判所は,平成9年度分から平成12年度分までの援助金の支出に関する本件訴えは,原審と同様の理由により,不適法であると判断するものであり,また,平成13年度分及び平成14年度分の援助金の各支出決定は平成13,14年度に新規に援助金の支給を受けることとなった者に係る部分につき裁量権の逸脱があり,違法であると判断するとともに,損害については当審における当事者双方の主張,立証を基礎とするならばその額を算定することができ,その額は主文のとおりであると判断する。
4  前提事実
(1)  控訴人は,市の住民である。
(2)ア  P1は,平成9年度から平成14年度の援助金の支出当時,市長の職にあった。
イ  P3は,平成9年度から平成11年度までの援助金の支出当時,副市長の職にあった。
ウ  P2は,平成12年度から平成14年度の援助金の支出当時,副市長の職にあった。
(3)  市は,昭和59年3月27日,自立促進援助金支給要綱(本件要綱)を制定し,これに基づき,同年4月1日以降,同和奨学金等の借受者に対し,貸与終了後,援助金を支給している(本件制度は,現実に借受者に援助金を交付するのではなく,借受者が返還しなければならない同和奨学金等を市が毎年度借受者に代わって返還するものである。)。
(4)  本件要綱には,次の趣旨の規定がある(甲1)。
ア 援助金は,同和奨学金等の借受者のうち,その属する世帯の所得,就労等の生活実態から貸与を受けた同和奨学金等を返還することが困難であると市長が認めた者に対し支給される(2条1項)。
イ 援助金の支給を受けようとする者は,援助金支給申請書を,市長が必要と認める書類を添えて,市長に提出しなければならない(3条)。
ウ 援助金は,援助金の支給を受ける者がその年度に返還すべき同和奨学金等の額の範囲内において市長が定める(5条)。
エ 援助金は年1回に限り支給する(6条)。
オ 市長は,借受者が援助金の支給を辞退したとき又は同和奨学金等の返還の債務を免除されたときは,援助金の支給を廃止する(6条の2)。
(5)  本件援助金①(平成9年度~平成13年度分,合計7億2796万5395円)及び本件援助金②(平成14年度分,2億0286万3585円)については,下表のとおり,支出決定(債務負担行為)及び支出命令が発せられ,これに基づく支出がされた(乙1ないし5,原審第2事件甲8)。
なお,援助金の支出決定については,市長が法令上本来的な権限を有するが,平成11年度分についてはP3が,平成12年度ないし平成14年度分についてはP2が,それぞれ代決処理をした。

年度 支出命令日 支出日 金額
平成9年度分 平成10年3月27日 同月31日 1億0945万1900円
平成10年度分 平成11年3月26日 同月31日 1億2678万1005円
平成11年度分 平成12年3月24日 同月31日 1億4399万8690円
平成12年度分 平成13年3月22日 同月31日 1億6463万0105円
平成13年度分 平成14年3月18日 同月31日 1億8310万3695円
平成14年度分 平成15年3月7日 同月31日 2億0286万3585円

(6)  昭和62年に施行された地対財特法及び同法施行令は,平成14年3月31日をもって失効し,同日,京都市地域改善対策奨学金貸与規則も廃止された(乙27)。
(7)ア  控訴人は,市監査委員に対し,平成14年9月20日,本件援助金①の支出が違法であると主張して,関係職員にその支給総額を市に返還させるよう必要な措置を執ることを求める趣旨の監査請求をした。
市監査委員は,控訴人に対し,同年11月20日,平成9年度分から平成12年度分の援助金を対象とする部分は却下し,平成13年度分の援助金を対象とする部分は棄却する旨の同月18日付け監査結果(本件監査結果①)を通知した(甲4)。
なお,その際,市監査委員は,本件制度のより一層の公平性,平等性の確保の観点から,客観的な証明に基づき,申請者一人一人について,適時に支給要件を満たすか否かを判断していくことが望ましく,それが本件要綱の規定の趣旨にもより合致すると考えるので,事務の改善について検討されたいとの意見を付記した。
イ  控訴人は,市監査委員に対し,平成15年4月16日,本件援助金②の支出が違法であると主張して,関係職員にその支給総額を市に返還させるよう必要な措置を執ることを求める趣旨の監査請求をした。
市監査委員は,控訴人に対し,同年5月17日,上記監査請求を棄却する旨の同月16日付け監査結果(本件監査結果②)を通知した(原審第2事件甲7)。
なお,その際,市監査委員は,同和奨学金等の借受者の現状を把握した上で,すべての借受者を対象に,支給に係る基準を定めること,客観的な証明に基づいて所得判定を行うことについて,早急に対応するよう要望する旨の意見を付記した。
(8)  市は,平成16年3月,本件要綱を改正し,同和奨学金等の返還に係る援助金の支給については,毎年度,申請者から所得証明書等の資料を提出させ,これに基づき支給判定を行い,市長が別に定める基準により算定した所得が本件要綱2条1項別表に定める世帯員数の区分に応じた基準額以下である場合に,援助金を支給することとした。なお,改正後の本件要綱は,平成16年4月1日以後に貸与された同和奨学金等の返還に係る援助金について適用することとされた(乙45)。
5  争点(争点(1)は原審第1事件に係るものであり,その余の争点は原審両事件に係るものである。)
(1)  控訴人が平成9年度分から平成12年度分までの援助金の支出に関して監査請求期間を徒過したことにつき正当な理由があるか否か(本案前の争点)
(2)  本件援助金①,②の支出は違法であるか否か
(3)  市長及び副市長の責任
(4)  市の損害及びその額
6  争点に関する当事者の主張
(1)  争点(1)(控訴人が平成9年度分から平成12年度分までの援助金の支出に関して監査請求期間を徒過したことにつき正当な理由があるか否か〈本案前の争点〉)について
〔被控訴人〕
控訴人が本件援助金①の支出に関して監査請求を行ったのは,平成14年9月20日であるから,平成12年度分までの援助金に関しては法242条2項所定の監査請求期間(当該行為のあった日又は終わった日から1年)を徒過している。
控訴人は,期間徒過につき正当な理由があると主張するが,本件制度の運用状況については,過去に市議会本会議で質疑が行われており,同和奨学金等の借受者全員に対し,その返還額に相当する額の援助金を支給している事実は,市会会議録並びに雑誌及び新聞の記事からも明らかである。
したがって,控訴人は,相当の注意力をもって調査すれば,上記事実を容易に知ることができたものであり,これを知れば,客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在及び内容を知ることができたものといえるから,その主張には理由がない。
〔控訴人〕
控訴人は,援助金が同和奨学金等の借受者全員に支給されていることは認識していたが,借受者の所得について,何ら審査をせずに援助金の支給が決定され,以後,20年間にわたり審査をしないまま支給を継続するものとされているという事実は認識していなかった。このような支給実態は,控訴人の知人が平成14年9月13日に市人権文化推進課職員から聞いて初めて知ったものである。
したがって,控訴人は,同日以前には,相当の注意力をもって調査しても違法な財務会計上の行為の存在及び内容を知ることができなかったところ,同日から相当期間内の同月20日に監査請求をしたのであるから,平成9年度分から平成12年度分までの援助金の支出に関して監査請求期間を徒過したことには,正当な理由があるというべきである。
(2)  争点(2)(本件援助金①,②の支出は違法であるか否か)について
〔控訴人〕
ア 本件援助金①,②は,本件要綱2条1項所定の支給要件について何ら審査をせずに支出されており,これは,以下の理由から,違法というべきである。
(ア) 同和奨学金等は,国庫補助の対象を「貸与制度」の奨学金とした法令を受けて,関係規則において,貸与制度であることが明確に規定されているものであり,本件要綱も,これを前提としている。
しかるに,市は,同和奨学金等の借受者から援助金の支給申請を受ける際,所得,健康状態等に関する書類の提出を求めず,本件要綱2条1項所定の支給要件について具体的審査を一切しないまま,申請者全員について,その属する世帯の所得や家庭状況にかかわりなく一律に,同和奨学金等を返還することが困難であると認め,援助金の支給を決定している。
(イ) 同和奨学金等の返還は,最長20年の分割払で行われるが,市は,借受者に対し,返還初年度に援助金の支給を決定すると,以後20年間にわたり,何ら追加審査をすることなく支給を継続している。
(ウ) 市内の同和地区における生活実態は大きく変化しており,平成3年時点では,年収500万円以上を得ている世帯が40.4%に上り,有業者の36.2%が市職員であるなど,同和地区の生活基盤が一様に脆弱であるとはいえなくなっている。
(エ) 市は,同和奨学金等の貸与希望者を募集する文書に,同和奨学金等が貸与制度であることを記載しないばかりか,本件制度により,借受者に負担がかからないようにしている旨記載した案内文まで配布している。
このような運用は,返還能力のある者についてまで,行政が返還を肩代わりするものであるから,行政に対する依存心を増長させ,同和関係者の子弟の自立を阻害しかねない。
イ 本件制度の運用は,本件要綱が定める支給申請,決定,通知等の手続に違反しているものであり,違法というべきである。
(ア) 援助金は,年度ごとに支給申請をしなければならない(本件要綱6条)のに,返還2年目以降については,援助金の支給を受ける者からの申請がされていない。
(イ) 本件援助金①②については,客観的資料に基づかずに,一括審査により,申請者に対し一括して支給決定がされており,各申請者に対する支給決定の通知もされていない。
(ウ) 申請者は,援助金に係る請書を提出することにより,援助金の受領,同和奨学金等の返還等に関する手続を行う権限を20年分一括して市文化市民局同和対策室長に委任しているが,この委任は,有効な意思表示とはいえない。
〔被控訴人〕
ア 以下の諸事情を考慮すると,本件制度は,公益上必要があるものであり,本件援助金①,②の支出は,違法とはいえない。
(ア) 市は,同和問題の解決を,市政における最重要課題の一つとして位置付け,特に,就職の機会均等及びその前提である教育の機会均等を保障するための諸施策に取り組んできた。
その一環として,市は,全国に先駆けて,高校生については昭和36年度から,大学生については昭和38年度から,同和関係者の子弟を対象とした奨学金の給付制度を創設した。そして,国も,地域改善対策高等学校等進学奨励費補助金交付要綱を制定し,昭和41年度から高校生について,昭和49年度から大学生について,地方公共団体が実施する奨学金の給付制度を対象とする国庫補助の制度を創設した。
ところが,昭和58年度以降,国庫補助の対象となる奨学金が,順次給付制度から貸与制度へと変更されたため,市は,国庫補助を継続して受けるべく,給付制度の奨学金を貸与制度の同和奨学金に変更せざるを得なくなった。その一方,市は,実質的には従前の給付制度を維持するため,同和奨学金等の借受者全員を対象として,独自の援護措置として,本件制度を創設し,その後,その対象が就学奨励金にも拡大されたものである。
(イ) 同和奨学金等の貸与対象者は,低所得世帯に属し,不安定な就労等の生活実態から就学が困難であると認められる者であるところ,援助金の支給により,同和奨学金等の返還に対する不安が解消されることとなった。その結果,進学を希望する者が増え,高校進学率は全市(市全体。以下同じ。)とほぼ格差のない状況となり,大学進学率も大きく向上した。
また,職業分類別有業者数の若年層の分布をみると,かつては労務作業者が中心であったのに対し,多様な進路選択が可能となり,事務従業者や専門的・技術的職業従事者が増加しはじめた。
このように,本件制度は,同和問題を解決するために効果があったものである。
イ 市は,本件要綱の決定当時から,本件要綱2条1項について,具体的な基準を設けず,原則として,同和奨学金等の借受者全員を,その返還が困難であると認められる者と解釈し,返還初年度に援助金の支給申請をすれば,その後,返還が終了するまで無審査で援助金の支給を継続するという運用をしてきた。
このような解釈運用は,以下の事情に照らせば,市長の裁量権の行使として合理的な範囲内にあるものというべきである。
(ア) 援助金の対象者は,低所得世帯に属し,不安定な就労等の生活実態から就学が困難であると認められた奨学生である。
(イ) 本件要綱の制定当時,家計収入別での生活保護受給率は,全市1.4%に対し,同和地区17.1%となっているなど,同和地区における生活基盤は脆弱であった。
(ウ) 国は,昭和57年4月21日文部省大学局長通知により,地域改善対策高等学校等進学奨励費補助金(大学)交付要綱9条に定める返還免除の規定に関する留意事項を提示したが,昭和58年度に大学に在学していた同和奨学金等の借受者のほとんどが,国が示す「返還が著しく困難であると認められる」者に該当していた。
(エ) 奨学金に対する国庫補助は,3分の2という大きな割合を占めており,国庫補助が打ち切られることとなれば,それに伴う歳出の増加により市の財政に与える影響は少なくなかった。
一方,引き続き国庫補助を受けることにより,市は,当該年度の歳出を削減し,奨学金の返還が20年間の分割償還になるという経済的利益を享受することができた。
(オ) 市が,援助金の支給決定後,20年間,何ら審査をしていないのは,
① 本件要綱に支給対象者の状況を追跡調査する旨の規定がないこと,
② 支給対象者の同和地区外への転出が増え,同和地区内外の婚姻も進む中で,同和奨学金等の借受者に定期的な所得申告を義務付け,20年間にわたり追跡調査をするとすれば,その社会的立場等に悪影響を与えかねないことによるものである。
(カ) 市は,援助金の支給申請時に,奨学金制度及び本件制度の趣旨を十分に説明するなど,同和関係者の子弟の自立意識の阻害にならないように対応している。
ウ 市は,社会情勢の変化等の事情にかんがみ,平成7年度以降,同和奨学金等の貸与基準の見直しに着手し,段階的に所得基準を引き下げ,平成10年度以降は日本育英会の基準とほぼ同様の基準で運用しており,同和奨学金等を支給するか否かという入口の部分で対象を絞り込むことにより,できる限り適正に運用するよう努めてきた。
また,京都市同和問題懇談会の平成8年意見具申においては,「高校,大学の奨学金に関しては,大学進学率の格差などに見られるように,同和地区の子供たちの進路実態になお課題がある。」として,直ちに一般施策へ移行することは難しいと指摘されており,平成8年当時においても,なお,同和関係者の子弟に対する奨学金として,特別な施策を行う必要性が存在していた。
さらに,平成12年度の実態把握事業においても,家計収入別での生活保護受給率は,全市3.1%に対し,同和地区17.9%となっているなど,同和地区における生活基盤の脆弱な状況は,解消されていない。
以上のような諸事情にかんがみれば,同和奨学金等の借受者全員が,同和奨学金等を返還することが困難であると認められるものとして解釈運用することについて,合理性が失われたとはいえない。
エ 本件制度の運用に,控訴人の主張するような手続違反はない。
(ア) 本件要綱には,援助金の支給申請は年度ごとにしなければならない旨定めた規定はない。
(イ) 申請者の市文化市民局同和対策室長に対する委任の意思表示を,無効と解する理由はない。
オ 市監査委員が平成14年11月に本件援助金①の支出に関して意見を述べた後,平成16年3月に本件要綱が改正されるまで,約1年4か月を要しているが,その間,市は,対象者の追跡調査等の事実調査を実施し,その内容等も踏まえ,現時点での諸事情を考慮した合理的内容となるよう慎重に制度設計を考える必要があったこと,議会の賛同等を得る手続を要したこと,制度の性格上,制度の適用を年度途中とするのは困難であること等の事情を考慮すると,上記期間は,本件要綱の改正のために必要かつ合理的であったものである。
カ 当審における補充主張
(ア) 当初発足した奨学金制度は,同和地区の特殊性にかんがみ,全額給付制を前提とし,返還を予定していなかったが,その後,国の財政状況等により,昭和58年から国庫補助の対象となる奨学金が順次貸与制度へ移行した。しかし,昭和58年当時の同和地区の住民の生活実態は,奨学資金給付制度が発足した昭和38年当時と基本的状況に変わりはなく,なお教育の機会均等を保障するための施策が必要であると認識されており,実質給付制の奨学金制度を維持運営していくことの必要性を基礎付けるに足りる立法事実は依然として存在していた。
給付制を維持・運営するということは,奨学金の受給者に対して,将来に亘って一切奨学金の返還を求めないことを意味するのであり,本件制度は,完全実質給付制を維持・継続させるものとして創設され,受給者からの返還という概念がそもそも予定されていないものとして運用されてきたのである。
地方公共団体における行政施策は,個々の地方公共団体における具体的状況と財政状態などを勘案して決定されるべきものであるから,国が日本国全体の平均的状況や国家としての財政状態等を前提に,奨学金制度を貸与制へと移行させたとしても,地方公共団体たる市が,市内の実情にかんがみて,なお給付制を実質的に維持するという政策判断を行うことが禁止される理由はなく,地方公共団体が独自の財源措置を講じて,上乗せ給付や横出し給付を実施することはよくあることであり,当該施策実施の必要性や施策目的達成のための手段としての相当性が認められる限り,当該制度には何ら違法の問題は生じない。
(イ) ところで,実質給付制を実現する手段としては,当初の奨学金制度と同様に償還義務自体を負わせないとする方法のほか,貸与制として将来の償還義務を負わせるが,償還時に返済資金を給付することでその義務の履行を求めない方法もあり,市が創設した本件制度は,従前市が実施していた完全給付制の奨学金制度と実質的に同一の制度を維持するための手段としての合理性が認められるというべきであって,そのような手法が法令上禁止されているということはない。
また,本件要綱上,援助金の支給手続が各年度ごとに行われることとなっているのは,国庫補助が各年度を単位として交付されていることに起因するものにすぎず,全額給付の従前の奨学金制度を維持・継続する本件制度の制度趣旨や創設経過からして,援助金の支給を各年度ごとに審査する必要性はない。
このような経緯で制定された本件制度を,市の政策的判断で上記のように運用してきたことは,明らかに裁量権の逸脱と認められるような状況がない限り,違法の問題が生じる余地はないというべきである。
(ウ) 市は,借受者に対し,卒業の時点での国の制度による返還免除と市独自の援護給付を併用して,今までの奨学金給付制度から後退させないようにしたことを明確に説明し,奨学金を実質給付するものであることを表明している。
そのため借受者は,奨学金は援助金を併用した実質給付であると理解しており,援助金の支給に必要な手続は,形式的な事務手続にすぎないと理解しているのであって,市と借受者との間には返還金をめぐっての債権,債務関係は存在しないのである。
したがって,借受者にとっては,奨学金の支給が終了した以後のいずれかの時点から,所得等の判定が実施され,基準を満たさないとして奨学金の返還を求められることは,自らが関知しない事情による,突然の制度の不利益変更となり,これまでの行政と借受者との間の合意内容を踏まえれば,このような取扱は,禁反言の法理に抵触し,権利を濫用するものとなるので,行政として到底できるものではない。
(エ) 本件制度の見直し
a 市は,奨学金制度自体について,これを漫然と放置してきたわけではない。
同和地区の生活実態に照らし,行政施策としての奨学金そのものの制度の在り方について,所得基準の設定など,奨学金の適用対象者を世帯所得によって判定し,その所得基準を段階的に引き下げていくなどして,平成7年度から順次,見直しに取り組んでいる。
地対財特法が失効した平成14年3月31日以降は,所得基準や貸与金額を見直した上,経過措置として,平成14年度から5年間継続することとし,現在に至っている。
b 平成16年3月には本件要綱を改正し,平成16年度以降に貸与した奨学金の返還に係る援助金には所得基準を設けて支給判定を行い,基準以下の者に対し援助金を支給し,基準を上回る者からは返還を受けることとした。また,奨学金の貸与に当たっては,住民に,あらかじめ返還が必要な制度であることを明確に周知した。なお,平成15年度以前に貸与した奨学金の返還に係る援助金については一律に支給することとした。
これは,本件監査結果①を受けて同和奨学金等の対象者のいる世帯の所得状況等を調査した結果判明した生活実態の改善状況を踏まえ,奨学金を実質給付制としておくことの適否,また,既に奨学金を給付した者に返還を求めることの施策,制度としての不合理性などを,行政として総合的に考慮した結果である。
平成16年3月の本件要綱改正に当たっては,予算,決算の審議を通じて,政党間の政治的意見の違いによる反対意見などはあったものの,これを踏まえて市議会で議論がされ,議会の了解も得ているところである。
c 本件要綱の改正は平成16年3月となったが,行政施策には,継続性や安定性を一定,尊重する必要があることや,対象者の理解を得る努力が必要であることなどを踏まえれば,仮に奨学金を実質給付制度として維持する必要性が地域の生活実態に照らせば薄れてきていたとしても,違法性を帯びるほど見直しが遅きに失したとはいえない。
d また,この制度見直しにより,本件要綱上も,平成15年度以前に貸与した奨学金の返還金に係る援助金については,一律に支給する取扱いが明記されるに至っている。このように,同和地区の生活実態に改善の兆しが現れてきたことを受け,結果的に本件要綱2条1項の規定が,当該規定が当初目的としていた実質給付を維持するための規定としては適切でなくなってきていたという瑕疵についても,事後的に議会の承認も得て治癒されている。
これらのことから,平成13,14年度における援助金の支給に違法の問題が生じる余地はないというべきである。
(3)  争点(3)(市長及び副市長の責任)
〔控訴人〕
ア 副市長の職にあったP3及びP2は,いずれも,同和奨学金等の借受者全員に対し,無審査で援助金を支出していることを認識しており,市議会本会議において,このような運用の見直しを繰り返し求められていたにもかかわらず,これを是正することなく違法な援助金の支出を継続した。
しかも,市監査委員は,平成14年11月20日,本件監査結果①において,前提事実(7)アのとおり,客観的な証明に基づき支給要件を満たすか否かを判断していくことが望ましいとの意見を付記した。
したがって,P3及びP2が援助金の支出決定の代決処理をしたことには,故意又は重過失が認められる。
イ P1は,市長として,上記アと同様の状況において,その運用を是正しなかったものであるから,補助職員である副市長に対する指揮監督上の義務を懈怠したものというべきである。
〔被控訴人〕
ア P3及びP2は,本件要綱の制定当時からの解釈運用を踏襲し,合理的な裁量の範囲内の適法な援助金の支出であるとの認識の下に,援助金の支出決定の代決処理をしたものであるから,故意又は重過失は認められない。
イ 上記アのとおり,副市長に故意又は重過失が認められない以上,P1には,両者に対する指揮監督上の義務違反は認められない。
(4)  争点(4)(市の損害及びその額)について
〔控訴人〕
ア (主位的主張)
本件援助金①(7億2796万5395円),②(2億0286万3585円)の違法な支出により,市には,支出された公金に相当する損害が生じた。
イ (予備的主張)
仮に,上記アの主張が認められないとしても,以下の(ア)若しくは(イ)によって,市の損害額が算定されるべきである。
(ア) 返還が困難であるとはいえない者に対する支出相当分(平成13年度は5108万5931円,平成14年度は5659万8940円)が損害となる。その上,市は,国の同和奨学金については,生活保護世帯の1.5倍以内の者(平成13,14年度は約半数)の返還は免除されているのに,これらの者に対しても援助金を支給しており,これも損害と評価すべきである。
(イ) 平成13,14年度において,本来支給対象外とすべきであった額(D)は,
援助金支給額を(A),
国の奨学金制度の対象者で返還初年度に当たっていた件数を(B),
(B)のうち,本来支給対象外とすべき件数を(C)とした場合,
(D)=(A)×(C)÷(B)
の式で求めることができる。

(A):円 (B):件 (C):件 (D):円
ア イ ウ ア イ ウ
13 185,000,000 84 37 31 29 81,488,095 68,273,810 63,869,048
14 204,000,000 56 23 19 17 83,785,714 69,214,286 61,928,571

(説明)上記表中の(c)欄のアないしウの件数は,いずれも乙51(援助金の平成13,14年度の支出のうち国の奨学金制度の対象者で各返還初年度に係る者の所得等の状況を,奨学金等の平成16年度以降貸与者分の返還に係る援助金の支給判定基準に仮に当てはめた場合に,援助金の支給対象外となるものの件数及び支給対象外となる金額を集計したもの)に記載されている数字を援用したものであって,アは,特別控除要件に該当することが明らかに判明するもののみを考慮し判定した場合に対象外となるものの件数,イは,特別控除要件に該当する可能性があることが推測できるものを考慮し判定した場合に対象外となるもの(公立で想定)の件数,ウは,特別控除要件に該当する可能性があることが推測できるものを考慮し判定した場合に対象外となるもの(私立で想定)の件数をそれぞれ示している。
ところで,上記試算は,以下の点で控え目な数値となっている。
すなわち,
① 被控訴人からは,国の奨学金の対象者に係るデータしか明らかにされていないところ,国の奨学金の制度では所得要件を上回って奨学金の貸与ができないケースを市の奨学金の制度でカバーしているとされており,市の奨学金の対象者は,援助金を支給できない割合が国の奨学金の対象者よりも格段に多くなるものと推定されること,
② さらに,国の免除制度については,初年度の後も5年ごとに申請の機会が与えられていたところ,市においては,所得調査をして申請するのは初年度だけとされ,それ以降は免除申請自体が懈怠されてきた。しかし,制度の通常の扱いどおり5年ごとに免除制度を利用していれば,初年度における割合と同じ割合で,返還の免除を受けることができたものと考えられ,上記で算定した損害額には,この免除懈怠分が入っていないこと,
以上のとおりであるから,各年度の損害額は,少なく見積もっても,上記表中の(D)欄記載の金額を下回ることはない。
なお,返還初年度は所得のピークではない。
ウ 民訴法248条の適用
本件援助金①,②の支出によって,市に莫大な損害が発生していることは明らかであるところ,市が本来行うべき調査を怠ってきたため,損害額を確定させるために必要なデータが揃っていないのであるから,本件は「損害の性質上その額を立証することが極めて困難」な案件であって,同条が適用されるべきである。
〔被控訴人〕
ア 特定の年度の援助金の支給決定には,本件制度が創設された昭和59年度以降当該年度までの各年度に援助金の支給決定を受けた借受者の分が含まれているのであり,仮に平成13年度ころには本件制度につき地方公共団体独自の行政施策としての必要性及び合理性を基礎付ける立法事実が失われつつあったと認められるとしても,本件制度発足時にはかかる制度を行政施策として創設・運用していくことの必要性及び合理性が存在していたのであるから,これら過去のすべての年度の借受者の分も含め全体が損害となるというのは誤りである。
したがって,平成13,14年度に新規に援助金の受給決定を受けた者に対する関係で違法の問題が生じる余地はあり得るとしても,それ以前の平成12年度までに既に援助金の受給決定を受けていた借受者に対して援助金を支給することが違法となる余地はなく,当該部分が損害となることもないというべきである。
イ 裁判所が損害を認定する場合,審理の対象とすべきは,援助金の支給基準として何が合理的な基準かという問題ではなく,施策実施の必要性や施策目的達成のための手段としての合理性が「明らかに」欠如しており裁量権の逸脱と評価できるラインはどこかということである。
ウ 仮に本件援助金①,②の支出が違法であるとしても,同和地区の高校進学希望者の世帯で,年収100万円以下の低所得世帯が約4分の1程度に達しており,このような世帯に対して援助金を支給することは相当であることを考慮すると,支出された援助金全額に相当する額が市の損害となるとはいえない。
エ 控訴人の損害額計算方法(控訴人の主張イ(イ))の不合理性
(ア) 親の所得で判定される返還初年度は,以後20年間続く奨学金の返還期間の中でも,最も援助金の支給対象外という判定になりやすい時期である。言い換えれば,返還2年度目以降の借受者に関しては,いつまでもこのような前提条件が維持されているわけではない。
したがって,親の所得を基準として援助金の支給判定を行っている返還初年度のデータを,その後の20年の返還サイクルのすべての期間において固定化して用いるという控訴人の推計手法は,実際に生じた損害以上に過大な金額を算定していることとなることは明らかである。
(イ) 援助金の支給額は対象者ごとに異なっているから,件数ベースで返還対象外率を計算してそれを全体に乗じるという控訴人の推計手法は適切とは言えない。損害額を算出するために用いる率であるならば,少なくとも金額ベースの率とする必要がある。
(ウ) 国返還初年度者というカテゴリーには,非免除者以外に免除者が存在するのであるから,件数ベースで率を推計する場合であっても,免除者の件数を加算する必要がある。
オ 損害額の試算
(ア) 市が試算(乙51)したとおり,支給対象外となる額は,平成13年度は284万5490円,平成14年度は185万8855円である。上記金額にそれぞれ住所確認率(100%)及び日本学生支援機構の奨学金返還金の回収率(77.9%)を乗じた金額が,実際に回収可能な金額である。上記計算結果は,平成13年度の場合221万6636円,平成14年度の場合144万8048円である。
(イ) 市返還初年度者の範囲も加味するならば,損害額は,上記(ア)の国返還初年度者の範囲における損害額に,市返還初年度者の範囲における損害額(平成13年度74万9690円,平成14年度86万2164円)を加えた以下の金額となる。
平成13年度 296万6326円
平成14年度 231万0212円
カ 民訴法248条を適用すべきでないことについて
援助金の支給判定は,世帯の独立・世帯構成の変化・所得の変動といった,相互に相関関係がなく,しかも年々変動する多数の不確定要素を基礎としてされるものである。また,援助金の支給は,過去の十数年にわたる各年度の返還対象者ごとにそれぞれ卒業後経過した期間が異なっているという要素も考慮しなければならないのである。
判定の結果,支給対象外となる金額も当然ながらこれら多数の不確定要素によって左右されるのであるから,損害額を確定しようとすればこれら多数の変動する不確定要素を数学的(ないしは統計学的)な何らかの方法により解析し,変数(あるいは係数)を算定する必要がある。
さらに,借受者の中には,その所在等を把握することができず,審査ができない者が相当数いることも予想される。そして,これらの者について,援助金の支給をしなければ,その分の支出額は減少するものの,一方では同和奨学金等の返還を事実上受けられないこともあり得るのであって,援助金を支給しないことによって,直ちに市がその分の損失を免れるということもできない。
結局,本件において損害の発生及びその額を算定するためには,以上のような理論的及び現実的な多数の,かつ,変動する不確定要素をできる限り正確に分析しなければならないが,それは現実問題として不可能である。
本件において,控訴人が主張する損害は,援助金の支出のうち改正後の本件要綱によれば支給対象外であった部分を損害とするものであり,損害の発生と損害額の算定は不可分一体の関係にあるというべきであり,損害額を算定できないということは,損害が発生したという点の証明がされていないことを意味するというべきである。
以上のとおり,損害の発生が証明されていない以上,それを前提にする民訴法248条を本件に適用することは許されない。
第3  当裁判所の判断
1  本案前の争点(1)(控訴人が平成9年度分から平成12年度分までの援助金の支出に関して監査請求期間を徒過したことにつき正当な理由があるか否か)について
(1)  普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,法242条2項ただし書にいう正当な理由があるものと解すべきであり,そのような場合には,正当な理由の有無は,特段の事情のない限り,当該住民が相当の注意力を持って調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきである(最高裁平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁)。
(2)  これを本件についてみるに,証拠(乙6ないし11)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 各年度の援助金の支給額は,市の一般会計予算に計上され,当該予算から執行されている。
イ 援助金の支給状況については,少なくとも,平成9年5月23日,平成10年5月13日,平成11年2月25日及び平成13年5月18日の各市議会定例会において質疑が行われ,質問者から貸付制度である同和奨学金等が実質給付になっており,市に勤務している者などに対しても返還を求めていないなど無条件で全員に支給している事実が示され,その改善を求められたが,答弁に立った副市長は,質問者の指摘事実を否定することなく,平成13年度末の廃止に向けて検討している等と答弁していた。
これらの議事内容は,いずれも市会会議録に記録され,同会議録は,各会議終了後3か月後ころには,京都市会図書室等で閲覧に供されたほか,平成13年4月2日からは,市議会のインターネット・ホームページによっても閲覧に供された。
ウ 京都市内の書店を中心に販売されている月刊誌「ねっとわーく京都」平成11年5月号は,「その後の『同和中毒都市』」と題して,前記イの副市長の答弁を引用するなどして,市の奨学金制度の運用の実態を詳細に記載し,同和奨学金等の返還について,「学生の経済状態に関係なく,実際は全部市が立て替えている」等と批判する記事を掲載した。
エ P4は,平成13年11月18日,援助金の支給金額及び支給人数の推移を示し,P5との密室協議で援助金の支給を5年間延長することが決定されたという趣旨の批判をし,同和奨学金等の返還について,「(自分で返済している人は)いないと思う」という,平成7年11月の定例会市長総括質疑で行われたP6助役(当時)の答弁を引用した記事を報道した。
(3)  以上の事実によれば,市の一般住民が相当の注意力をもって調査した場合には,遅くとも平成13年11月18日ころには,客観的にみて監査請求をするに足りる程度に平成8年度分から平成12年度分までの援助金の支出の存在及び内容を知ることができたものと解するのが相当である。しかるに,控訴人が,当該支出に関する監査請求をしたのは,同日から10か月以上も経過した後であるから,相当な期間内に監査請求をしたものとは認められず,法242条2項ただし書にいう正当な理由があるものとはいえない。
(4)  これに対し,控訴人は,援助金が同和奨学金等の借受者全員に支給されていることを認識していたことは自認しつつ,借受者の所得について,何ら審査をせずに支給が決定され,その後20年間にわたって審査がされないまま支給が継続されるという事実を認識していなかったと主張するところ,市会議事録等にもそのような運用の詳細までは議論がされた形跡はないものの,所得の有無にかかわらず,無条件に全員に支給していることが明らかである以上,市が実質的な審査をしていないことは容易に推認できるところであって,上記の程度の情報があれば,監査請求をするに足りる程度には財務会計上の行為を特定することはできたものというべきであり,控訴人の上記主張は採用することはできない。
(5)  以上によれば,平成9年度分から平成12年度分までの援助金の支出に関する監査請求は,監査請求期間を経過してされ,不適法であるから,これらに関する訴えは,適法な監査請求を経たものではなく,不適法というべきである。
2  争点(2)(本件援助金①〈平成9年度分から平成12年度分までの援助金を除く。〉,本件援助金②の支出は違法であるか否か)について
(1)  認定事実
ア 同和地区の生活実態
証拠(乙37,42,原審証人P7)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 昭和25・26年京都市同和地区実態調査によれば,16歳以上の人口の学歴分布は下表のとおりであり,同和関係者の子弟の学歴は,全般的に低いものであった。また,同調査によれば,不就学の理由は,「貧困」によるものが35ないし38%と最も多く,これに「働かせるため」,「家事手伝い」という理由を含めると,6割から7割に達していた。

不就学 23.9%
小学校卒 53.1%
中学校卒 15.1%
高校卒 6.1%
大学卒 1.1%

(イ) 昭和45年京都市同和地区住民生活実態調査によれば,不就学者数は,男子4.73%,女子8.11%と,上記アの調査結果に比べて大幅に減少した。
一方,学歴については,下表のとおりであり,教育の機会均等に係る実態的差別が存在していた。

男子 女子
高校卒 全市 45.99% 45.98%
同和 20.8%   14.94%
大学卒 全市 11.35% 1.92%
同和 2.3% 0.24%

注)大学卒については,短期大学卒を除く。

(ウ) 昭和45年から昭和57年までの高校進学率の推移は,以下のとおりであり,同和地区では,昭和48年を除き,全市の平均と比較して数%以上低い割合であった。

高校進学率
昭和45年3月 全市 89.7%
同和 74.6%
昭和48年3月 全市 93.9%
同和 92.8%
昭和51年3月 全市 93.6%
同和 85.7%
昭和54年3月 全市 93.0%
同和 86.7%
昭和57年3月 全市 92.0%
同和 85.0%

(エ) 家計収入別の生活保護受給率を見ると,昭和55年国勢調査によれば,全市では1.4%であったのに対し,昭和59年度実態把握事業の調査によれば,同和地区では17.1%であり,同和地区における生活基盤は,なお脆弱であった。
また,昭和58年ころ,地域改善対策大学奨学金の借受者の属する世帯について調査したところ,所得が国の奨学金の返還免除の基準以下であった世帯は,全体の87%に達していた。
イ 本件要綱制定の経緯及びその運用状況
証拠(甲1,4,乙16,18,20,37,38,48,原審証人P7)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 市は,昭和27年に「今後における同和施策運営要綱」を策定し,これにより同和問題の解決を市政の最重点課題の一つとして位置付け,同和地区の住環境と同和地区住民の生活実態の改善に取り組むようになった。
そして,そのための教育対策として,昭和27年度には,特別就学奨励費を計上し,長期欠席,不就学対策を制度化し,昭和29年度には,同和地区において補習教育を実施することとした。
(イ) 市は,同和関係者の子弟が経済的な理由により高校等への進学が困難である実情を踏まえ,教育の機会均等に向けて経済的に支援するための施策として,昭和36年4月,全国に先駆けて,京都市同和就学奨励資金給付制度を設けた。
この制度は,当初,対象が高校生に限られていたが,昭和38年4月,京都市同和奨学資金給付制度(奨学資金給付制度)に名称変更し,その対象も高校生・大学生を一本化し,高校生以上を対象とする制度に改められた。
(ウ) 市は,昭和38年度,同和教育方針を策定し,同和地区の児童の学力向上対策,進路保障対策及び保健管理対策の3分野から総合的に取組を開始し,進路保障対策として,各種支度金も支給するようになった。
(エ) 同和対策審議会は,昭和40年,同和問題においては,市民的権利・自由のうち,職業選択の自由,すなわち就職の機会均等が完全に保障されていないことが特に重大である旨の答申をした。
(オ) 国は,昭和41年から高校生について,昭和49年から大学生について,給付制度の奨学金に係る国庫補助を開始し,地方公共団体が行う奨学資金給付に対し国庫補助(補助率3分の2)が行われるようになった。
(カ) 国は,昭和57年10月,地域改善対策高等学校等進学奨励費補助金(大学)交付要綱において,同年4月1日以降に入学した大学生を対象とする奨学金に係る国庫補助について,その対象を給付制度の奨学金から貸与制度の奨学金に変更した。
このような状況にあって,市は,同年,従前の奨学資金給付制度を,高校生に対する京都市地域改善対策奨学資金制度と,大学生に対する京都市地域改善対策大学奨学金制度に,それぞれ改めた。そして,市は,大学生に対する奨学金につき,国庫補助の打切りという事態に至るのを回避するため,昭和58年3月31日,京都市地域改善対策大学奨学金の貸与等に関する規則(乙16)を公布し,これに基づく奨学金を,返還期間を20年以内とする貸与制度とし,同年4月1日現在,大学1,2年生として在学している者から適用することとした(大学3,4年生は給付とした。)。しかしながら,市は,貸与制度への変更は,市が国に先進して実施してきた奨学資金給付制度の明らかな後退であり,同和問題の解決にとっての重要な課題である教育や就職の機会均等の阻害に直結する危険性を有するものと判断し,国に対して上記政策変更の見直しを働き掛けるとともに,国の制度による返還免除と市独自の援護措置(援助金)を併用することによって,従来の給付制度を実質的に維持することを企図した。
(キ) 市議会は,京都市地域改善対策大学奨学金等の返還の債務の免除に関する条例(債務免除条例,乙17)を制定し,同条例は昭和58年10月6日に公布され,同日から施行されたが,同条例には,債務免除に関し,以下の条項があり,同条例の施行に関し必要な事項は,市長が定める(3条)ものとされている。
「2条 市長は,奨学金等の貸与を受けた者が次の各号の一に該当するに至ったときは,当該奨学金等の返還の債務の全部又は一部を免除することができる。
(1) 死亡したとき。
(2)  心身の著しい障害その他やむを得ない理由により奨学金等を返還することができなくなったと認められるとき。
(3)  その者の属する世帯が生活困難であるため,奨学金等を返還することが著しく困難であると認められるとき。」
そして,上記条例の制定の際,市議会において,全会一致で,「京都市地域改善対策大学奨学金の貸与制度については,対象地区住民の修学奨励と自立促進に役立つよう活用するとともに,本条例の債務免除に関する規定の運用については,厳正にすべきである。」との附帯決議がされた(甲8)。
市は,これを受けて,同日,京都市地域改善対策大学奨学金の貸与等に関する規則の一部を改正し,同条例2条の規定による債務の免除を受けようとするときは,申請書に債務の免除を受けようとする理由を証する書類を添えて,市長に提出しなければならないものと定めた(乙17)。
(ク)a 市は,昭和59年3月27日,本件要綱(甲1)を制定し,同年4月1日から,本件制度の運用を開始した。
本件制度は,京都市地域改善対策大学奨学金の貸与を受けた者のうち,その属する世帯の所得,就労等の生活実態から貸与を受けた奨学金を返還することが困難であると市長が認めた者に対し,本件要綱に基づき援助金を支給するというものであったが,実際には,本件要綱2条1項については,支給基準,認定方法等の具体的な基準は定められず,また,支給決定に際し,援助金の支給の申請をした者の属する世帯の所得状況や就労の状況を証する書類は徴されず,申請者全員を奨学金の返還が困難であるものと認め,一律に援助金を支給することとされた。すなわち,本件制度は,国庫補助を受けるために,貸与制度の形態を採りながら,実質的には,従前,市が独自の制度として実施していた完全給付制の奨学金制度を維持するための手段として,運用が開始されたものである。
b 本件制度においては,援助金の金額は,援助金の支給を受ける者がその年度に返還すべき同和奨学金等の範囲内で定められており(本件要綱5条),援助金の支給手続は,形式的には各年度ごとに行われることとなっているが,これは国庫補助が各年度を単位としてされていることに対応させたものである。そして,申請者が初年度に援助金の支給申請をしたときは,収入等の審査をせずに支給を決定し,その後も,奨学金の返還が終了する年度(20年以内)まで,申請者から支給の辞退の申出がされるなどの事情がない限り,特段の申請行為を経ることなくいわば自動的に,毎年度援助金を支給するという運用がされた。
c このように,援助金については,従前の奨学金と同様,借受者からの返還という事態がそもそも予定されておらず,本件制度もこのことを前提として創設され,その後運用されてきた。
(ケ) ところで,昭和62年,地対財特法及び同施行令が施行され,同年10月から,同年4月1日以降に入学した高校生に対する奨学金に係る国庫補助の対象についても,給付制度の奨学金から貸与制度の奨学金に変更された。
このような法令を受けて,市は,同年12月26日,奨学資金給付制度の基礎となった京都市地域改善対策奨学資金給付規則を廃止し,京都市地域改善対策大学奨学金の貸与等に関する規則を京都市地域改善対策奨学金等貸与規則(乙18)に改め,高校生の奨学金についても貸与制度に変更した。
また,市は,昭和63年3月31日,京都市地域改善対策奨学金等貸与規則の一部を改正する規則を公布し,貸与基準を設定した。
(コ) 市は,昭和62年12月,京都市地域改善対策就学奨励金等貸与要綱を定め,上記貸与基準を超える者についても就学奨励金を貸与することとした。そして,市は,昭和63年3月31日,本件要綱を改正し,就学奨励金の借受者についても援助金の支給の対象とすることができるものとした。
ウ 本件要綱制定後の事情
証拠(乙48,49,原審証人P7のほか,文中記載の書証)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 市文化市民局人権文化推進部(旧同和対策室)は,数年に1度,同和地区の生活実態調査を実施しているところ,この調査結果によれば,同和地区における世帯ないし有業者の年収等は,以下のとおりである。
a 平成3年度京都市同和地区生活実態調査の結果(甲5)

世帯年収 同和
500~699万円 16.7%
700~999万円 13.5%
1000万円以上 10.2%

なお,同和地区における有業者の年収は,500万円から699万円の者が26.8%,700万円から999万円までの者が5.5%,1000万円以上の者が1.0%であり,総有業者の36.2%が市関係職員であった。
b 平成5年度京都市同和地区生活実態調査の結果
有業者の年収は,下表のとおりであり,総有業者の41.9%が官公庁に勤務していた(甲12)。

区分 同和
500~699万円 16.2%
700~999万円 6.1%
1000万円以上 1.0%

c 平成12年度同和地区住民生活実態把握事業・中間集計の結果(甲5)。

世帯年収
500~699万円 7.9%
700~999万円 9.1%
1000万円以上 6.2%

有業者年収
500~699万円 11.4%
700~999万円 12.4%
1000万円以上 1.5%

有業者(ただし,家族従業者を除く。)の年収は,上記右表のとおりであり,総有業者の34.5%が市関係職員であった。
他方,生活保護受給率は,17.9%であった。
なお,平成4年以降,結婚,住宅取得等を理由として,241人が同和地区外に転出していた(ただし,同期間に267人が転入している。)。
(イ) 同和地区における教育状況
a 高校・大学進学率(乙37)

大学進学率 高校進学率
昭和57年3月 全市 40.7% 92.0%
同和 23.4% 85.0%
昭和61年3月 全市 41.0% 93.5%
同和 23.1% 90.4%
平成 3年3月 全市 41.2% 95.7%
同和 13.2% 94.8%
平成 8年3月 全市 52.6% 96.8%
同和 34.2% 92.7%
平成13年3月 全市 60.3% 96.7%
同和 46.2% 91.8%

b 高校中退率は,以下のとおり推移している(乙49)。

高校中退率
昭和56年3月 全市 8.2%
同和地区 18.2%
昭和61年3月 全市 5.7%
同和地区 13.5%
平成 3年3月 全市 6.0%
同和地区 19.7%
平成 6年3月 全市 6.1%
同和地区 17.7%

c 大学進学率は,以下のとおり推移している(乙49)。

大学進学率
昭和56年3月 全市 41.3%
同和地区 25.8%
昭和61年3月 全市 41.0%
同和地区 22.8%
平成 3年3月 全市 41.2%
同和地区 14.8%
平成 7年3月 全市 49.2%
同和地区 30.6%

d 以上のような状況を踏まえ,京都市同和問題懇談会は,平成8年11月付意見具申をもって,教育の課題について,「学年が進むに連れて学力分布が低学力層に偏る傾向にある。こうした学力の問題から,公私比率に特に顕著に表れている志望校以外への高校進学の実態や,これに起因する高校中退率の高さ,更に,大学進学率の低さなどに課題が見られる。」,「所得の状況は,全体として大きく向上しているが,高齢者世帯を中心とした低所得世帯の比率の高さが依然として目立っており,所得の2極化傾向が生じている。また,生活保護率の高さも顕著である。このことからも,住民の生活基盤に,なおぜい弱な部分があることがうかがえる。」との指摘をした。他方,同和地区住民の生活実態が大きく改善され,格差の是正が進んできた状況を踏まえると,特別措置としての同和対策事業は,終息を視野に入れるべき時期にあるとしつつ,「高校,大学の奨学金については,受皿となる日本育英会奨学金制度などとのかい離が大きいことや,大学進学率の格差などにみられるように,同和地区の子供たちの進路実態になお課題があることを踏まえると,直ちに一般施策に移行することは難しいと考える。この場合にあっても,国の動向なども踏まえ,一般施策への移行に向けて,具体的な考え方を示す必要がある。」とした。
(ウ) このような同和地区の住民の生活実態の改善等を踏まえ,市は,同和関係者の子弟に対する各種進路支援事業について,所得基準の設定を検討し,平成7年3月1日から,その適用対象者を世帯所得によって判定することとし,所得基準を段階的に引き下げていき,平成10年度以降,日本育英会の奨学金の基準とほぼ同様の基準により判定されるようになった(甲6)。
また,市は,平成10年12月,京都市地域改善対策就学奨励金等貸与要綱を京都市地域改善対策就学奨励金貸与要綱に改め,就学奨励支度金の貸与を廃止し,平成11年2月4日,京都市地域改善対策奨学金等貸与規則を京都市地域改善対策奨学金貸与規則に改め,通学用品等助成金の貸与を廃止した(乙25,28)。
さらに,市は,同年11月,中学校卒業進学・就職支度金,高校卒業生進学支度金,高校卒業生・大学卒業生就職支度金等を廃止した。
(エ)a 市議会は,平成12年12月,全会派一致で,同和対策事業を平成14年以降継続しないことを求める趣旨の,同和問題に関する決議を採択した(乙9)。
b 本件制度の運用状況については,市議会本会議の一般質問でしばしば取り上げられ,一律返済免除の妥当性に疑問が投げ掛けられ,収入に応じた厳格な対応や本件制度の見直しが必要ではないかとの指摘がされ,副市長P3は,平成10年5月13日及び平成11年2月25日の市議会定例会において,本件制度については平成13年度末の廃止に向けて検討を行っている旨の答弁をした(乙6ないし9)。
c また,援助金の支給状況について,少なくとも,平成9年5月23日,平成10年5月13日,平成11年2月25日及び平成13年5月18日の各市議会定例会において質疑が行われた際,副市長は,同和奨学金等を自らの負担で返還している者はいないことを前提とする答弁をした(乙6ないし9,弁論の全趣旨)。
(オ) 平成14年1月,市が同和行政の成果と残された課題の早期解決に向けて平成14年度以降の取組の在り方をまとめた「特別施策としての同和対策事業の終結とその後の取組」(乙50,平成14年報告)は,同和行政の成果として,教育及び就労に関し,高校進学率は全市とほぼ格差のない状況となり,大学進学率についても大きく向上したこと,こうした教育保障施策の成果等により,住民の就労状況は若年層を中心に幅広い分野への進出が見られるようになってきており,教育に関しては,過去のおしなべて低位な実態が大きく改善されてきたとしながら,他方で高校進学の内容,高校中退率及び大学進学率の格差等の課題が残されている旨の指摘をしている。
平成14年報告においては,上記のほか,下記の指摘もされている。
① 生活水準について
同和地区の住環境や住民の生活実態は大きく改善され,様々な面で存在していた全市水準との格差も,一部を除いて,ほぼ是正され,おしなべて低位な実態は解消されている。
② 収入について
年収500万円以上の世帯の割合は,平成3年時で約45%であり全市の約46%と比肩するような状況となったが,平成13年時においては約27%(全市約42%)と大幅な減少傾向にある。
その要因としては,市関係職員(平成3年1252人,平成13年661人)など所得の安定した層が地区外へ転出したことや高齢化に伴って年金生活者が増加(平成3年約13%,平成13年約33%)したことにある。
③ 教育について
教育保障は格段に進み,かつての同和地区の教育実態を象徴していた「不就学」は姿を消し,乳幼児を取り巻く保育環境の改善によって,発達段階に応じた基礎的な能力の発達向上が図られ,児童,生徒の学力及び進路の実態は大きく改善され,高校進学率は全市とほぼ格差のない状況となり,大学進学率についても大きく向上している。
④ 特別施策の廃止について
平成9年度から,平成14年度当初を目標に,廃止,一般施策への移行など特別施策の見直しを進めてきており,地対財特法が失効し,財政的な面においても特別施策を継続する根拠のなくなる平成13年度末をもって特別施策としての同和対策事業,すなわち,同和行政を終結する。
⑤ 進路支援事業に関する移行措置について
経済的側面からの支援策である進路支援事業については,現行制度の抜本的な見直しを行ったうえで,5年間に限っての一般施策への移行措置を設ける。
⑥ 生活実態について
同和地区住民の自立意識の面では,特別施策を長年にわたり実施してきた過程で,見直しを十分に行わずに一律的,画一的に実施してきた側面もあり,結果的には,行政依存の傾向を生み出してきたことは否めない。また,最近の傾向として,全体的に低所得化が進み,所得の低い層では,生活保護によって生計を維待しているというのが現状である。
(カ) 市は,平成13年10月,財政非常事態宣言を出した(乙37)。
(キ) 地対財特法は,平成14年3月31日をもって失効し,同日,京都市地域改善対策奨学金貸与規則が廃止された(乙27)。
他方,教育に関しては高校中退率や大学進学率に課題が残っているとの認識に基づき,京都市地域改善対策就学奨励金貸与要綱に基づく就学奨励金については,所得基準や貸与金額を見直した上,経過措置として,平成14年度から5年間継続されることとなった。
これに伴い,就学奨励金と一体となって運用されてきた本件制度についても,将来の返還についての不安を取り除くため,平成13年以降も存続されることとなった。
エ 援助金の支給
前提事実(5)及び証拠(甲4,乙5,原審第2事件甲7)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 平成13年度に支出された援助金
平成13年度に支出された援助金は2469人分1億8310万3695円で,平成14年3月18日に支出決定が行われ,同月29日に,一般会計予算の予算科目である(款)03文化市民費,(項)04人権文化費,(目)03同和対策費,(節)19負担金補助及び交付金から支出された。
なお,上記1億8310万3695円の内訳は,高校生等を対象とする同和奨学金等の貸与を受けた者に対するもの1761人分9591万6700円,大学生を対象とする同和奨学金等の貸与を受けた者に対するもの708人分8718万6995円であった。
上記金額は当該年度に返還すべき奨学金等の額と同額であった。
平成13年度の支給対象者は,昭和63年3月から平成13年3月までの間に奨学金等の支給の対象となる学校を卒業又は退学した者である。
(イ) 平成14年度に支出された援助金
平成14年度に支出された援助金は2700人分2億0286万3585円で,平成15年3月7日に支出決定が行われ,同月31日に,一般会計予算の予算科目である(款)03文化市民費,(項)04人権文化費,(目)O1人権文化推進費,(節)19負担金補助及び交付金から支出された。
上記2億0286万3585円の内訳は,高校等に在学する者を対象とする同和奨学金等の貸与を受けた者に対するもの1917人分1億0532万5250円,大学に在学する者を対象とする同和奨学金等の貸与を受けた者に対するもの783人分9753万8335円であった。
上記金額は当該年度に返還すべき奨学金等の額と同額であった。
なお,平成14年度の支給対象者は,昭和63年3月から平成14年3月までの間に奨学金等の支給の対象となる学校を卒業又は退学した者である。
オ 奨学金に関する,国及び市の各支出
奨学金の財源は,国の奨学金については,国の補助金3分の2,市の独自財源3分の1によって,市の奨学金については,100%市の独自財源によってそれぞれまかなわれている。そして,いずれの奨学金も,実施主体は市である。
市は,奨学金の貸与を受けた者から返済金を受領した場合,国の奨学金については,補助金分(3分の2)を国に返さなければならないが,返還免除が認められた場合には,国への返済を免れる。市は,国の奨学金を受給し非免除となった者及び市の奨学金の貸与を受けた者全員に対して,援助金を支給していた。
カ 控訴人の監査請求
(ア) 控訴人は,本件援助金①の支出に関する監査請求をしたところ,市 監査委員は,平成14年11月18日付け監査結果(本件監査結果①)において,本件制度のより一層の公平性,平等性の確保の観点から,客観的な証明に基づき,申請者一人一人について,適時に支給要件を満たすか否かを判断して行くことが望ましく,それが本件要綱の規定の趣旨にもより合致すると考えるので,事務の改善について検討を行われたいとの意見を付記した(甲4)。
(イ) さらに,市監査委員は,本件援助金②の支出に関する監査請求に対する平成15年5月16日付け監査結果(本件監査結果②)において,同和奨学金等の借受者の現状を把握した上で,すべての借受者を対象に,支給に係る基準を定めること,客観的な証明に基づいて所得判定を行うことについて,早急に対応するよう要望する旨の意見を付記した(原審第2事件甲7)。
(ウ) 市は,本件援助金①の支出に関する監査請求において,本件制度の見直しについて,次のとおり回答した(乙37)。
「今後は,一般施策の中で同和問題の解決に向けて取組んでまいりますが,奨学金制度については,平成14年度から5年間の経過措置を設け,段階的に一般施策である日本育英会に移行してまいります。
14年度におきましては,…同和問題を解決する視点で奨学金制度の見直しがされました。具体的には,次のとおりです。
① 貸与金額を日本育英会基準の90%に設定し,来年度以降,入学年度ごとに段階的に引き下げる。
② 医科系大学等の貸与額の変更
③ 支給方法の銀行口座振込への変更
④ 所得判定方法を日本育英会基準と同一とした。
上記の見直しの結果,地域改善対策奨学金等貸付金は,予算上,13年度当初予算と14年度当初予算を比較すると約88,000千円の予算削減となっております。これは,平成14年度入学者の貸与額の見直しなどによるもので,今後とも,経過措置期問中は,段階的に貸与額を引き下げるため,自立促進援助金についても同様に一定の予算削減が見込まれます。」
(エ) 市は,本件監査結果①を受けて,同和奨学金等の対象者のいる世帯の所得状況等を調査した結果,世帯収入が700万円以上の世帯の割合は,平成13年度が48.8%,平成14年度が51%であるのに対し,世帯収入が100万円以下の世帯の割合は,平成13年度が22%,平成14年度が20%であった。
さらに,市は,本件制度を見直すこととしたが,その具体的内容は,①新たに支給判定基準を設ける,②毎年,所得証明書の提出を受け,客観的な証明に基づく所得の判定を行う,③基準を上回る者については支給しないというものであった。また,市は,本件要綱を改正したが,その内容は,次のようなものであった。すなわち,上記①,③について,本件要綱2条(受給資格)を改正し,具体的に支給判定基準を設けた(支給判定基準は,日本育英会の奨学生認定に係る所得基準と同じ基準とされた。また,支給判定基準を上回る者には支給しないこととされた。)。上記②については,本件要綱3条(支給申請)を改正し,自立促進援助金支給申請書に添付する書類(援助金申請者の世帯全員の住民票,援助金申請者及び援助金申請者と同一の世帯に属する者の所得を証する書類)を具体的に定めた。
なお,本件要綱の改正附則2項の適用区分で,改正後の本件要綱は平成16年4月1日以後に貸与された奨学金等の返還に係る援助金について適用することとした(つまり,見直し後の制度の対象となるのは,平成16年度以降の奨学金等の借受者〈新規対象者及び在校生〉からである。)(甲16,乙45)。
(2)  判断
ア 援助金の性質及び公益性の判断
(ア) まず援助金の法的性質について考えてみるに,援助金の支給は,法232条の2(「普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合においては,寄附又は補助をすることができる。」)に規定する「補助」に該当するものと解される。
(イ) 一般に,地方公共団体は,その事務を処理するに当たっては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最小の経費で最大の効果を挙げるようにすべき責務を負っているのであり(法2条14項),地方財政の健全な育成を確保するためには,単に収支の形式的な均衡を保持することだけではなく,経費の支出に当たっては,その目的を達成するための必要かつ最小の限度を超えてはならないものとされている(地方財政法4条1項)。
したがって,市は,上記の法及び地方財政法の関係規定の趣旨に沿って,適正な経費の支出に努めるべきである。
(ウ) ところで,法232条の2にいう「公益上の必要性」の存否は,地方公共団体の議会あるいは執行機関において時代的,社会的,地域的諸事情を総合的かつ合理的に勘案して判断すべきことがらであって,その裁量の範囲は相当広範なものというべきである。すなわち,上記「公益上の必要性」は不確定概念である上,補助金の支給は住民に対する権利侵害的性質を帯びた行政行為ではなく,給付行政として行われる授益的性質を持つ行政行為であることから,その解釈・適用については,本来首長を含む行政機関の専門技術的判断を基礎とする行政裁量に委ねるべきであるから,仮に行政機関がその解釈・適用を誤っても,原則として当・不当の問題が生じるにすぎず,ただ,当該裁量権の行使が恣意的であってその逸脱の程度がもはや法の内在的目的に適合しない程の域に達したという場合に,違法の問題が生じるに至るものと解すべきである。
イ 本件要綱の性質及び支給基準の欠如
(ア) 前提事実(3),(4)によれば,本件要綱は,いわゆる「要綱」と呼ばれるものの一種であり,行政当局が行政の指針として制定する内部規範(訓令)の性質を有するものと解される。
市は,本件要綱を制定することによって,地方公共団体としての一定の施策を実施することを企図したものであって,本件要綱に基づいて行われる行政活動は要綱行政と呼ばれる範疇に属するものと解すべきである。
(イ) しかし,前記認定((1)イ(キ))のとおり,本件要綱制定前の昭和58年10月6日に債務免除条例が施行され,同条例において,同和奨学金等の借受者について,その者の属する世帯が生活困難であるため,奨学金等を返還することが困難であると認められたとき等の場合には,市長は,その返還債務の全部又は一部を免除できるものとし,市も同日京都市地域改善対策大学奨学金の貸与等に関する規則を改正して,債務の免除を受けようとする者に上記のような理由を証する書類の提出を命じるものとしているのであるから,本件要綱は,上記条例及び規則を施行する上での行政内部の規範にすぎないものとはいえ,少なくとも上記条例の趣旨に反するものであることは許されないものというべきである。
(ウ) そして,本件要綱2条1項には,同和奨学金等の貸与を受けた者のうち,その属する世帯の所得,就労等の生活実態から貸与を受けた同和奨学金等を返還することが困難であると市長が認めた者に対し援助金を支給すると定めているのであって,債務免除条例と軌を一にするものである。
(エ) 上記(イ),(ウ)のとおりであるにもかかわらず,市は,本件制度発足当初から平成16年3月に本件要綱を改正するまでの間(前提事実(8))支給基準,認定方法等の具体的な基準を全く定めていなかった(前提事実(4)ア,前記(1)イ(ク)a)。
市は,この点につき,本件援助金①の支出に関する監査請求において,次のような説明をしている(乙37)。
「(1)① 自立促進援助金の対象者は,低所得世帯に属し,不安定な就労等の生活実態から修学が困難であると認められた奨学生である。
② この当時の家計収入別での生活保護受給率は,京都市が1.4%(昭和55年国勢調査)であるのに対し,同和地区は17.1%(昭和59年度実態把握事業)である。
③ 国において,給付制度から貸与制度に変更になった際,文部省大学局長通知により返還免除の規定に関する留意事項(返還が著しく困難であると認められる者)が提示されたが,本市における昭和58年度の大学,短大の受給者のほとんどが,同基準に該当していた。
④ 平成12年度の実態把握事業においても,家計収入別での生活保護受給率は,京都市3.1%に対し,同和地区17.9%であり,生活基盤の脆弱さは解消されていない。
(2)  本市の同和地区の生活実態は,統計資料や進学率では表せない生活基盤の脆弱が認められ,その属する世帯の所得,就労等の生活実態から修学が困難であると認められた奨学生については,本件要綱2条1項の『その属する世帯の所得,就労等の生活実態から貸与を受けた奨学金等を返還することが困難である』者と読み替えてきたことから,援助金の申請の際に,客観的な証明を求めず,特に基準についても定めていない。
(3)  借受者については,申請時に世帯全員の所得証明を提出させ,日本育英会の基準をもとに算定した市独自の所得基準を用いて,厳正に制度の適用判定をし,平成14年度からは,日本育英会基準と同一基準としている。
(4)  卒業後については,本件要綱において,返済期間中の該当者の状況を確認することは規定されておらず,原則として,当初の申請に基づき,支給している。」
(オ) しかし,債務免除条例は,抽象的ではあるが,同和奨学金等を返還することが著しく困難であることを免除の理由とし,上記のような附帯決議もされ,上記規則においては,それを証する書類の提出を求めており,しかも本件要綱も無審査で全面的な免除を容認しているわけではなく,かつ,同和奨学金等の支給時と大学等を卒業して,その返還を開始する時期とは,借受者自身はもとより,その世帯の経済状況も変化していることが十分に考えられるのであるから,市としては,内部的なものであるにせよ,本件要綱を公正かつ合理的に適用するため,その趣旨を具体化した審査基準を設定し,厳密かつ高度の認定を要するような事項を含めて,上記基準を適用する上で必要とされる事項について,公益増進の見地から細目を定めるべきであったというべきである。しかるに,何らの基準も設けていないということは,返還することに格別困難でない者についても援助金を支給するという事態を生じさせることになることが明らかであり,また,その他の手続面においても恣意的な運用の余地を残すものであり,「法律による行政」の基本原理に照らしても,さらに,行政運営における公正の確保と透明性という面からみても,極めて問題のあるところであり,上記(エ)の説明をもってしても,このような問題点に対する十分な理由となるものとは言い難い。
ウ 本件制度の運用・解釈に関する行政判断の合理性を基礎付ける事実の変遷
(ア) 市の同和対策事業は,同和問題の解決の重要性にかんがみ,一般施策を補完する特別施策として実施されてきたものである。そして,本件要綱は,同和問題の解決を図ることを目的として,市内の同和地区に居住する同和関係者の子弟の自立を促進するため,当該子弟に対する援助金の支給に関し必要な事項を定めるものであり(1条),援助金を必要とする借受者に対する支給により,当該子弟が高校,大学等に進学しようとする際の学資面における不安を取り除き,進学率を向上させ,将来の就職機会をも拡大し多様な進路の選択を可能にするなど,一定の成果を挙げてきたものと認められる。
すなわち,前記(1)アで認定したとおり,昭和58年当時の同和地区の住民の生活実態は,奨学資金給付制度が発足した昭和38年当時と基本的状況に大きな変化はなかったものであり,なお教育の機会均等を保障するための施策が必要であると認識されていたこと,実際上,同和奨学金等の借受者の属する世帯の大部分が,国の奨学金の返還免除のための基準に該当していたこと,その一方,市の財政事情を考慮すると,同和奨学金等に対する国庫補助(3分の2)が打ち切られるとすれば,その影響は少なくなかったこと等の事実関係の下では,少なくとも,本件要綱が決定された昭和59年当時においては,従前の奨学資金給付制度を後退させないため,具体的な支給基準,認定方法等を定めずに,援助金の申請者全員を同和奨学金の返還が困難であると認め,一律に援助金を支給する解釈運用をすることも,行政の迅速性及び効率性を考慮すると,裁量の範囲内のことであり,全く合理的根拠を欠くとまではいえない(そのような場合でも,基準を設け,全員に認定資料を提出させ,毎年審査をすれば,少数ではあっても,非免除者を抽出することは可能であるが,非免除者が極めて少数と想定される場合には,かえって,行政上の負担の方が過剰となることもあり得ないではなく,そのような蓋然性が高い場合には,その施策の選択は,行政の裁量の範囲に属するというべきである。)。
(イ) さらに,歴史的経過からみても,市が同和問題への取組を重点施策とし,その中でも最重要課題に教育の機会均等を位置付けたのは十分に理解し得るところであり,それを保障するための奨学金制度に関しては,国が制度変更を行った時点(前記(1)イ(カ))においても,市独自の制度を維持することには相応の合理性があり,上記(ア)のとおり,当初の給付制の奨学金制度を導入した際と比較してなお対象地区の生活実態が基本的に変化していなかったことからすれば,本件要綱を制定して全体として実質給付の奨学金制度を維持しようとしたことは,地方財政運営の自主性という観点からみても,なお裁量の範囲内であるということができる。
(ウ) しかしながら,法令の規定により,国庫補助の対象となる奨学金が給付制度から貸与制度に変更されたのを受けて,同和奨学金等は,関係規則において,無利子で貸与すること,借受者又は保証人は貸与を受けた同和奨学金等を返還しなければならないことが定められ,貸与制度が原則であることが明確にされ,債務免除条例や本件要綱も,同和奨学金等が貸与制度であることを前提とした上で,返還の困難性を債務免除の要件として定めており,それらの規定の趣旨からして,少なくとも将来社会情勢ないし経済情勢が変化し,同和奨学金等の返還が可能な状況となった場合に,援助金の支給を適切に制限する等の措置を講じる方策を実施することを求めていることは明らかであるというべきである。
このように,本件制度の仕組み,本件要綱の規定の趣旨に,同和奨学金等の借受者ないしその属する世帯の所得,就労等の生活実態は年々変動するものであって,ある年度において同和奨学金等の返還が困難であったとしても,別の年度においては,返還が困難ではなくなったり,あるいは,その逆の事態が生じることも通常あり得ることであることを考慮すると,遅くとも,非免除者が極めて少数に過ぎないと想定される状況から脱した場合には,前記のような同和奨学金等の目的や役割を勘案しても,援助金の支給に当たっては,本来,支給する年ごとに(少なくとも,援助金の支給を受ける者に事情の変更の有無を報告させ,その報告の都度),各申請者ごとに,収入,家族状況等に関する客観的資料に基づき,同和奨学金等の返還が困難であるかどうかを審査することが求められているものと解するのが相当である。
そして,前記認定((1)カ(エ))のとおり,同和奨学金等の対象者の世帯で所得が700万円以上の世帯が,平成13年度で48.8%,平成14年度で51%となっているのであり,このような状況においては,もはや適正に審査しても,非免除者が極めて少数にとどまるというような状況にないことが明らかであり,平成8年意見具申,市議会定例会(平成11年2月)における,本件制度を平成13年度末に廃止することを検討している旨の,副市長P3の答弁内容(前記(1)ウ(エ))及び平成14年報告(同報告は,「同和地区の住環境や住民の生活実態が改善されているにもかかわらず,その諸実態の変化に即した適切な対応がされないまま事業が継続されることは,住民の自立意識の高揚を妨げ,行政依存の傾向を生み出すことにもつながりかねません。」とも指摘している。)を総合すると,本件要綱の決定後,同和地区における生活実態は次第に改善され,生活基盤の安定した世帯も一定割合存在するようになり,同和地区内外の格差の是正が進み,平成14年報告当時においては,社会情勢の変化等により本件要綱に関する当初の解釈・運用の合理性を基礎付ける状況はもはや薄れ,画一的かつ一律の全面的な実質給付制度を維持すべき社会的,経済的基盤が失われていたものと認めるのが相当である。
このように,社会・経済情勢,同和地区における生活実態等,諸般の状況等が変化しているにもかかわらず,これに即した具体的な支給要件を定めず,何ら審査をしないという従前の解釈運用を継続するという取扱は公益に反するものであり,法232条の2の趣旨を没却し,地方財政の基盤をも危うくするものといわなければならない。
確かに,平成14年報告も指摘しているように,同報告時において,世帯収入の減少傾向という事情も認められるが,これは所得の安定した市職員等の地区外への転出や高齢化の進行(年金生活者の増加)が主たる理由であり,学齢期の子女が構成員となっている世帯に妥当するとは必ずしもいえない。
エ 違法性の判断
(ア) 以上のとおり,同和地区における生活実態が全体としては改善されていることからすると,同和奨学金等の借受者であって,過去にはその返還が困難であったが,高校あるいは大学卒業後相当の年数が経過することによって,その返還が必ずしも困難ではなくなった者も一定割合で生じてきていることも推認することができる(なお,上記認定のとおり,同和地区外に転出した者も少なくない。)。そうすると,同和奨学金等の借受者であることをもって一律にその返還が困難であるものと認めることの合理性を基礎付けるに足りる事実は失われてきたものといわざるを得ない。
そして,市は,平成7年ころから,同和関係者の子弟に対する各種進路支援事業について,適用対象者を世帯所得によって判定することとし,平成11年ころからは,本件制度の見直しをも視野に入れた検討を進めていたものであるから,遅くとも平成13年度の援助金については,本件要綱の本来の規定の趣旨に沿って,各申請者ごとに厳正な審査をした上で支給を決定する必要があったものと認めるのが相当である。
しかるに,市は,依然として,本件要綱2条1項の支給基準,認定方法等について具体的な基準を定めず,各申請者から収入,家族状況等に関する客観的資料の提出も求めないまま,申請者を一律に同和奨学金等を返還することが困難であるものと認め,何ら審査をせずに援助金の支給を継続しているものであり,このような解釈運用は,内容的にも手続的にも不適切であり,法令上許容される裁量権の行使としての合理性を認めることができないものといわざるを得ず,少なくとも,平成14年3月18日及び平成15年3月7日に支給決定された平成13年度及び平成14年度の各援助金のうち新規に援助金を支給することとした借受者に係る援助金については,裁量権の逸脱があったものと解するのが相当である。しかしながら,これを超えて,過去の貸与時点で実質給付制の奨学金として貸付を受け,既に援助金の支給を受けていた借受者に対する関係では上記各年度の援助金の支給が明らかに合理性を欠き違法であるとまでは言い難いと解すべきである(この点については,市が借受者に対し,従来の奨学金給付制度から後退させないとの説明をしてきていたこと,行政機関の裁量による行政運営が長期間にわたり積み重ねられてきた場合に,行政がその行政実務から著しく乖離した施策を実施するときは,受益者に予測外の不利益を与えるおそれがあることから,行政は自ら設定した裁量基準を尊重すべきであり,これに自ら拘束され,裁量の幅が収縮すると解すべき場合もあるというべきことも考慮されるべきである。)。
(イ) 被控訴人は,平成16年に本件要綱を改正した際に市議会でも討議され,平成15年度までに返還初年度を迎えた借受者については,所得要件等を審査することなく,全員に援助金を支給することが承認されたから,債務免除条例等との関係で問題があったとしても,事後的に承認を受けたと主張する。確かに,証拠(乙59ないし61)によれば,平成15年度決算,平成16年度予算,平成17年度予算の各審議の過程で本件要綱とその実施状況を巡って論議がされた上で,全員に援助金を支給することを前提とする決算や予算案等が承認されたことは認められるが,債務免除条例が撤回されたわけでもなく,決算や予算の承認は種々の政治的判断によってされるものであり,これまでに判断してきたような違法状態がそれによって完全に治癒されるものとは言い難いのであって,被控訴人の上記主張は採用できない。
(ウ) なお,被控訴人は,同和奨学金等の貸与審査において所得基準を設けることにより,対象者を限定している旨主張する。
しかし,同和奨学金等と援助金とは,あくまで別個の制度であり,同和奨学金等を貸与するかどうかの審査と,借受者に対して援助金を支給するかどうかの審査とは,これを実施する時期や対象が異なるものであるから,同和奨学金等に所得基準を設けたことをもって,援助金については一切審査をしないという運用が許容されることにはならない。
したがって,被控訴人の上記主張は,採用することはできない。
4  争点(3)(市長及び副市長の責任)について
(1)  前記認定のとおり,市は,本件要綱制定後,一貫して,同和奨学金等の借受者の全員を返還初年度に本件要綱2条1項にいう返還困難な者と認定し,その後は,機械的に返還金相当額の援助金を支給しており,平成13年度及び平成14年度においても同様であった。
(2)  ところで,P1は,普通地方公共団体である市の長として,その事務の全般について統轄する責任と権限を有する者であって(法147条),援助金についても,本来,支出決定及び支出命令を行う権限を有しているし(法149条2号「予算を調製し,及びこれを執行すること」),また,市長の補助機関とみるべき副市長の地位にあるP2を指揮監督する権限を有し,義務を負っている(法154条)。
本件において,P1は,本件要綱を従前どおり運用することを是認するに足りる事実が失われていることを認識し得たにもかかわらず,また,仮に借受者から所得証明書等を提出させたならば,相当数の者につき援助金を支給する必要性のないことを容易に知り得たにもかかわらず,一方,公益上の必要の見地から新たな事実関係に即応して行政手続の不断の点検,見直し及び行政需要を的確に把握すべき義務(個々の住民のニーズを的確に把握し,限られた財源の最大有効活用を図ることにより,必要かつ的確な施策を実施していくべき義務)を負っているにもかかわらず,これらの認識ないし義務を怠り,漫然と,平成14年3月18日及び平成15年3月7日に支給決定された平成13年度及び平成14年度の各援助金のうち新規に援助金を支給することとした借受者に係る援助金について,副市長であるP2が支出決定及び支出命令をすることを阻止することなく,これに代決させたのであるから,市との内部関係においては,民法上の不法行為責任を負うものと解すべきである。
(3)  また,P2は,市長の補助機関にすぎないとはいえ,本件要綱を従前どおり運用することを是認するに足りる事実が失われていることを容易に認識し得る立場にあったにもかかわらず,また,仮に借受者から所得証明書等を提出させたならば,相当数の者につき援助金を支給する必要性のないことを容易に知り得る立場にあったにもかかわらず,漫然と従前の取扱を踏襲するにとどめ,法232条の2の規定に違反して,上記各援助金の支出決定を代決(これらの財務会計上の行為をする権限は市長が本来的に有している。)し,予算執行行為を行ったと言わざるを得ない。したがって,P2は,副市長として,援助金支出に当たっての公益性の要件の存否について理解可能な立場にあった者であり,この点につき重大な過失があったといえるので,市に対する法243条の2所定の賠償責任を負うといわざるを得ず,賠償命令の相手方たる地位に置かれることを免れ得ない。
4  争点(4)(市の損害及びその額)について
(1)  以上に判断してきたところから,①平成13年度に同和奨学金等の返還の初年度を迎えた借受者に交付された援助金(165件1583万6940円〈甲9〉),②同借受者の平成14年度分の援助金(1583万6940円〈貸与総額の20分の1を毎年支給するものとされているから,①と同額と判断する。〉),③平成14年度に同和奨学金等の返還の初年度を迎えた借受者に交付された援助金(151件分1433万8540円〈原審第2事件甲8〉)の合計額(4601万2420円)のうち,本来は援助金の支給対象外とすべき借受者に対して支給された援助金(以下「本件支給対象外額」という。)をもって,市の損害と判断するのが相当である(特定の年度の援助金の支給決定には,制度が創設された昭和59年度以降当該年度までの各年度に援助金の支給決定を受けた借受者の分が含まれているところ,前記2(2)エ(ア)に説示したところによれば,平成13年度より前に返還初年度を迎えた借受者の分は市の被った損害ということはできない。)。
(2)  そして,本件支給対象外額を求めるためには,本来定められるべきであった本件要綱2条1項に基づく基準から,借受者毎の個別の判定を行い,支給対象外となるべきであった者に対して支給した援助金の額を合計すべきである。
しかしながら,市は,支給基準,認定方法等について具体的な基準を定めず,各申請者から収入,家族状況等に関する客観的資料の提出も求めないまま,申請者を一律に同和奨学金等を返還することが困難であるものと認め,何ら審査をせずに援助金の支給を継続してきたため,そもそも援助金の支給基準が明らかではない。
(3)  そこで,まず,上記基準について検討しなければならないが,債務免除条例や本件要綱の定める返還困難者については,明確な判断基準は示されておらず,その判断基準の設定は,市長の裁量に委ねられているものと見るべきであり,その設定が明らかに制度の趣旨を逸脱するものでない限り,違法との評価はし難いところである。
しかるところ,前提事実(8)のとおり,平成16年に本件要綱が改正され,同和奨学金等の返還に係る援助金の支給については,毎年度,申請者から所得証明書等の資料を提出させ,これに基づき支給判定を行い,市長が別に定める基準により算定した所得が改正後の本件要綱2条1項別表に定める世帯員数の区分に応じた基準額以下である場合に,援助金を支給することとされている。上記別表は以下のとおりである(別表第1は高校生,同第2は大学生が対象)(乙45)。

別表第1 別表第2
世帯員数 基準額 基準額
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人
143万円
229万円
264万円
286万円
307万円
325万円
341万円
178万円
282万円
328万円
355万円
382万円
402万円
422万円

8人以上(1人増すごとに) 16万円加算 20万円加算

そして,市長は,別に定める基準として,以下の「自立促進援助金支給基準」(乙58)を定め(平成16年4月1日施行),1年毎に支給する金額の範囲を,貸与を受けた額の20分の1以内とし(3条),給与所得については,年間収入から一定額を控除した額を「認定所得金額」とし(4条2項),援助金の支給判定は,援助金申請者の属する世帯の中で最も認定所得金額の多い者の認定所得金額により判定し(4条4項),母子・父子世帯,就学者のいる世帯,障害者のいる世帯等については,一定額の特別控除をする(5条)こと等が定められた。
しかるところ,改正された本件要綱及び上記支給基準(以下「本件支給基準」という。)は,日本学生支援機構(旧日本育英会)の免除基準と比較して相当緩やかな基準であるが,市長がその裁量権に基づいて決定したものであり,上記認定の諸事情に照らし,明らかに不合理であるとまでは言い難いところであるから,平成13・14年度に基準が定められていたとしても同様の基準であったと推定するのが相当である。
(4)  したがって,上記の基準を平成13・14年度の援助金支給者に当てはめて,本件支給対象外額を推計することには一応の合理性があるものというべきであるから,以下,その方法によって推計を試みるものとする。
ア 援助金の支給額
証拠(甲9,乙52,53,55,56,原審第2事件甲8)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

① 平成13年度同和奨学金返還初年度者に支給された援助金の額
822万5675円
② 上記の者に平成14年度に支給された援助金の額(推計)
822万5675円
③ 平成14年度同和奨学金返還初年度者に支給された援助金の額
544万4200円
④ 平成13年度就学奨励金返還初年度者に支給された援助金の額
761万1265円
⑤ 上記の者に平成14年度に支給された援助金の額(推計)
761万1265円
⑥ 平成14年度就学奨励金返還初年度者に支給された援助金の額
889万4340円

イ 上記①ないし③については,国の基準によって,非免除者とされた者に対して,本件制度による援助金を支給したものであるから,全額を支給対象外額と考える余地もあるが,市は,国の基準より緩やかな基準を設けることによって,市の歴史も踏まえた同和政策を行ってきているのであるから,これらの支給分についても,本件基準を適用して判定するのが相当である。
そして,上記非免除者については,証拠(乙54の1ないし84)によって,ある程度の個別情報(高校卒・大学卒の別,世帯人員,収入等と母子・父子家庭,障害者の有無,就学者の有無等の特別控除要件)が判明しているから,本件支給基準に基づいて,認定所得金額を算定し,判明している特別要件に基づく控除を行うと,支給対象外額は次のとおりとなる。
上記①のうち371万4975円(援助金支給額の約45%)
上記②のうち371万4975円(同)
上記③のうち233万7105円(援助金支給額の約43%)
被控訴人は,上記で考慮した以外にも特別控除要件に該当する可能性のある者もいると主張するが,推定の域を出ないものであって採用しない。
ウ 次に,上記④ないし⑥について検討するに,就学奨励金の借受者に関しては,上記イのような個別情報が全く把握されていないため,本件支給基準の適用をする方法がない。しかし,これらの者についても,認定所得金額を算定する上で一定の控除をすべきであるし,特別控除要件に該当する者もいることは容易に想定できるところであるから,上記①ないし③の場合の,援助金支給額に対する支給対象外率を④ないし⑥の支給額に乗じて,これをもって支給対象外額とするのが相当である。そうするとその額は次のとおりとなる。
上記④のうち342万5069円
上記⑤のうち342万5069円
上記⑥のうち382万4566円
被控訴人は,上記金額に住所確認率(市の調査で住民票で所在が確認できた率:66.9%)や日本学生支援機構の奨学金返還金の回収率(77.9%)も乗じるべきであると主張するが,就学奨励金は,国の奨学金の支給基準より所得基準が高いし,援助金の支給対象外となる者も,より高額の所得者であるから,住所確認率や回収率が同レベルとなるかは相当疑問であり,これらの個別情報が把握されていない原因が専ら市の対応にあったことをも考慮すると,被控訴人の上記主張を採用するのは公平の観点からみても相当ではないというべきである。
(5)  以上によれば,本件支給対象外額の合計は2044万1759円となる。
ところで,このような算定(特に就学奨励金)に関して,個別情報がないために同和奨励金と同列とみて推計を行ったものであって,厳密な立証がされたものとは言い難い。しかしながら,同和奨励金について,明らかに援助金支給対象外の借受者に対して援助金を支給してきたことが認められ,それが市の損害となることは明らかであるから,就学奨励金についても,なにがしかの損害が生じていることは明白である。そうであるとすれば,民訴法248条の趣旨に則って,上記の額をもって損害と認定することが相当である。
5  結論
以上によれば,控訴人の請求は,被控訴人が,P1に対し損害賠償金2044万1759円及び内金714万0044円に対する平成14年4月1日から,内金1330万1715円に対する平成15年4月1日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することを求め,また,P2に対し上記と同額の賠償を命令することを求める限度で理由がある。
よって,控訴人の請求は上記の限度で理由があり,その余の請求は不適法(平成9年度分から平成12年度分までの自立促進援助金の支出に関する部分)ないし理由がないから,原審両事件に係る原判決をその趣旨に変更することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 井垣敏生 裁判官 高山浩平 裁判官 神山隆一)
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政治と選挙の裁判例「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧
(1)平成19年 7月12日 東京地裁 平17(行ウ)63号・平17(行ウ)295号・平17(行ウ)296号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(2)平成19年 7月 3日 東京地裁 平17(行ウ)530号・平17(行ウ)531号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(3)平成19年 6月21日 東京地裁 平16(ワ)10840号 損害賠償等請求事件
(4)平成19年 6月14日 宇都宮地裁 平15(ワ)407号 損害賠償請求事件
(5)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)176号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟・上告審〕
(6)平成19年 6月13日 最高裁大法廷 平18(行ツ)175号 選挙無効請求事件 〔衆院選定数訴訟〕
(7)平成19年 6月 8日 東京地裁 平18(行ウ)14号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(8)平成19年 5月30日 東京地裁 平19(ワ)4768号 損害賠償請求事件
(9)平成19年 5月30日 東京地裁 平17(行ウ)55号・平17(行ウ)132号・平17(行ウ)133号・平17(行ウ)134号 各難民の認定をしない処分取消請求事件
(10)平成19年 5月25日 東京地裁 平17(行ウ)337号・平17(行ウ)338号・平17(行ウ)339号・平17(行ウ)340号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(11)平成19年 5月25日 青森地裁 平17(行ウ)7号 政務調査費返還代位請求事件
(12)平成19年 5月10日 東京高裁 平18(う)2029号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・控訴審〕
(13)平成19年 5月 9日 東京地裁 平18(行ウ)290号 損害賠償等(住民訴訟)請求事件
(14)平成19年 4月27日 東京地裁 平17(行ウ)439号・平18(行ウ)495号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(15)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(行ウ)390号・平17(行ウ)328号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件
(16)平成19年 4月27日 東京地裁 平14(ワ)28215号 損害賠償請求事件
(17)平成19年 4月27日 仙台地裁 平15(行ウ)8号 政務調査費返還代位請求事件
(18)平成19年 4月26日 東京地裁 平17(行ウ)60号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(19)平成19年 4月20日 東京地裁 平15(ワ)29718号・平16(ワ)13573号 損害賠償等請求事件
(20)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)223号・平18(行ウ)40号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(21)平成19年 4月13日 東京地裁 平17(行ウ)329号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(22)平成19年 4月12日 東京地裁 平17(行ウ)166号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(23)平成19年 4月11日 東京地裁 平17(ワ)11486号 地位確認等請求事件
(24)平成19年 3月29日 仙台高裁 平18(行コ)25号 違法公金支出による損害賠償請求履行請求住民訴訟控訴事件
(25)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)523号・平17(行ウ)534号・平17(行ウ)535号 難民の認定をしない処分取消請求事件
(26)平成19年 3月28日 東京地裁 平17(行ウ)424号・平17(行ウ)425号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(27)平成19年 3月27日 岡山地裁 平11(ワ)101号・平13(ワ)257号・平13(ワ)1119号・平13(ワ)1439号・平14(ワ)1177号・平14(ワ)1178号 退職慰労金請求事件、貸金請求事件、損害賠償請求事件、所有権移転登記抹消登記手続等請求事件 〔岡山市民信金訴訟・第一審〕
(28)平成19年 3月23日 東京地裁 平17(行ウ)474号・平17(行ウ)525号・平18(行ウ)118号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件、訴えの追加的併合申立事件
(29)平成19年 3月23日 東京地裁 平16(行ウ)462号・平17(行ウ)344号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(30)平成19年 3月16日 東京地裁 平17(行ウ)380号・平17(行ウ)381号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(31)平成19年 3月 6日 東京地裁 平17(行ウ)111号・平17(行ウ)113号 難民の認定をしない処分取消請求事件、退去強制令書発付処分無効確認請求事件
(32)平成19年 2月28日 東京地裁 平16(行ウ)174号・平17(行ウ)162号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(33)平成19年 2月26日 熊本地裁 平17(わ)55号・平17(わ)113号 贈賄被告事件
(34)平成19年 2月22日 東京地裁 平16(行ウ)479号・平16(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(35)平成19年 2月21日 東京地裁 平17(行ウ)375号・平17(行ウ)376号 退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(36)平成19年 2月 9日 東京地裁 平17(行ウ)154号・平17(行ウ)155号・平17(行ウ)479号・平17(行ウ)480号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、退去強制令書発付処分取消請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(37)平成19年 2月 8日 東京地裁 平17(行ウ)22号 退去強制令書発付処分取消等請求事件
(38)平成19年 2月 7日 大阪地裁 平17(わ)7238号・平17(わ)7539号 弁護士法違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
(39)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)323号・平17(行ウ)469号 退去強制令書発付処分取消等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(40)平成19年 1月31日 東京地裁 平16(行ウ)396号・平16(行ウ)399号 退去強制令書発付処分無効確認等請求事件、難民の認定をしない処分取消請求事件
(41)昭和27年 4月 4日 佐賀地裁 昭25(行)1号 休職退職取消並びに損害賠償請求事件
(42)昭和27年 1月14日 福岡高裁 昭26(ナ)9号 裁決取消ならびに当選有効確認事件
(43)昭和26年12月25日 福岡高裁 昭26(う)2846号 団体等規正令違反事件
(44)昭和26年12月 3日 大阪高裁 昭26(う)1094号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(45)昭和26年11月30日 福岡高裁 昭26(ナ)4号 当選の無効に関する異議申立に対する決定取消請求事件
(46)昭和26年11月20日 名古屋高裁 昭26(ナ)12号 町長選挙に関する選挙無効事件
(47)昭和26年11月 1日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 解雇無効確認請求事件 〔名古屋市職員免職事件〕
(48)昭和26年10月24日 広島高裁松江支部 昭26(う)54号 収賄被告事件
(49)昭和26年10月19日 福岡高裁 昭26(う)2437号 公職選挙法違反被告事件
(50)昭和26年 9月29日 名古屋地裁 昭24(ワ)561号 組合員除名無効確認請求事件 〔名古屋交通組合除名事件〕
(51)昭和26年 9月26日 札幌高裁 昭26(う)365号・昭26(う)366号・昭26(う)367号 国家公務員法違反被告事件
(52)昭和26年 9月 3日 札幌高裁 昭26(う)507号 昭和二五年政令第三二五号違反被告事件
(53)昭和26年 8月24日 高松高裁 昭24(控)1374号・昭24(控)1375号・昭24(控)1376号・昭24(控)1377号・昭24(控)1378号 衆議院議員選挙法違反・虚偽有印公文書作成・同行使等被告事件
(54)昭和26年 8月 7日 札幌高裁 昭26(う)475号 昭和二一年勅令第三一一号違反被告事件
(55)昭和26年 7月 7日 東京地裁 昭25(モ)2716号 仮処分異議申立事件 〔池貝鉄工整理解雇事件〕
(56)昭和26年 6月15日 名古屋高裁 昭26(う)529号 公職選挙法違反事件
(57)昭和26年 5月26日 大阪地裁 昭25(ワ)1824号 解雇無効確認請求事件 〔大阪陶業不当解雇事件〕
(58)昭和26年 5月 9日 広島高裁 昭25(ナ)2号 当選の効力に関する訴訟事件
(59)昭和26年 3月30日 東京高裁 昭25(う)4120号 電車顛覆致死偽証各被告事件 〔三鷹事件・控訴審〕
(60)昭和26年 3月28日 札幌高裁 昭25(う)692号 地方税法違反被告事件
(61)平成18年 6月29日 東京地裁 平16(特わ)973号 国家公務員法違反事件 〔国家公務員赤旗配付事件〕
(62)平成18年 6月20日 京都地裁 平16(行ウ)40号 地労委任命処分取消等請求事件
(63)平成18年 6月13日 東京地裁 平15(行ウ)416号・平16(行ウ)289号 難民の認定をしない処分取消等請求、退去強制令書発付処分取消等請求事件
(64)平成18年 5月15日 東京地裁 平17(ワ)1922号 慰謝料等請求事件
(65)平成18年 4月21日 東京地裁 平16(ワ)7187号 謝罪広告等請求事件
(66)平成18年 3月31日 大阪高裁 平17(行コ)22号・平17(行コ)23号 同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件
(67)平成18年 3月30日 東京地裁 平16(特わ)5359号 政治資金規正法違反被告事件 〔いわゆる1億円ヤミ献金事件・第一審〕
(68)平成18年 3月30日 京都地裁 平17(ワ)1776号・平17(ワ)3127号 地位不存在確認請求事件
(69)平成18年 3月29日 東京地裁 平17(行ウ)157号・平17(行ウ)184号・平17(行ウ)185号・平17(行ウ)186号・平17(行ウ)187号・平17(行ウ)188号・平17(行ウ)189号・平17(行ウ)190号・平17(行ウ)191号 国籍確認請求事件 〔国籍法三条一項違憲訴訟・第一審〕
(70)平成18年 3月28日 東京高裁 平17(行ケ)157号・平17(行ケ)158号・平17(行ケ)159号・平17(行ケ)160号・平17(行ケ)161号・平17(行ケ)162号・平17(行ケ)163号 選挙無効請求事件
(71)平成18年 3月23日 名古屋地裁 平16(行ウ)73号・平16(行ウ)76号 退去強制令書発付処分取消請求、難民不認定処分等無効確認請求事件
(72)平成18年 2月28日 東京地裁 平13(行ウ)150号 行政文書不開示処分取消請求事件 〔外務省機密費訴訟〕
(73)平成18年 2月28日 横浜地裁 平16(行ウ)1号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔神奈川県労委(東芝・配転)事件・第一審〕
(74)平成18年 2月 2日 福岡高裁 平17(行コ)12号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求控訴事件
(75)平成18年 1月19日 最高裁第一小法廷 平15(行ヒ)299号 違法公金支出返還請求事件
(76)平成18年 1月12日 大分地裁 平15(わ)188号 公職選挙法違反被告事件
(77)平成18年 1月11日 名古屋高裁金沢支部 平15(ネ)63号 熊谷組株主代表訴訟控訴事件 〔熊谷組政治献金事件・控訴審〕
(78)平成17年12月26日 東京地裁 平17(行ウ)11号 不当労働行為救済命令取消請求事件 〔JR西(岡山)組合脱退慫慂事件〕
(79)平成17年12月 1日 東京高裁 平16(行コ)347号 難民の認定をしない処分取消請求控訴事件
(80)平成17年11月15日 東京地裁 平16(ワ)23544号 損害賠償請求事件
(81)平成17年11月10日 最高裁第一小法廷 平17(行フ)2号 文書提出命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 〔政務調査費調査研究報告書文書提出命令事件〕
(82)平成17年10月25日 東京地裁 平16(ワ)14421号 損害賠償請求事件
(83)平成17年 9月15日 東京高裁 平17(ネ)707号 謝罪放送等請求事件
(84)平成17年 9月14日 大阪地裁 平15(行ウ)55号・平15(行ウ)56号・平15(行ウ)57号 所得税賦課決定処分取消請求事件
(85)平成17年 9月 8日 名古屋地裁 平16(行ウ)46号 難民不認定処分取消請求事件
(86)平成17年 8月31日 名古屋地裁 平16(行ウ)48号・平16(行ウ)49号・平16(行ウ)50号 裁決取消等請求各事件
(87)平成17年 8月25日 京都地裁 平16(行ウ)12号 損害賠償請求事件
(88)平成17年 7月 6日 大阪地裁 平15(ワ)13831号 損害賠償請求事件 〔中国残留孤児国賠訴訟〕
(89)平成17年 6月15日 大阪高裁 平16(行コ)89号 難民不認定処分取消、退去強制命令書発付取消等各請求控訴事件
(90)平成17年 5月31日 東京地裁 平16(刑わ)1835号・平16(刑わ)2219号・平16(刑わ)3329号・平16(特わ)5239号 贈賄、業務上横領、政治資金規正法違反被告事件 〔日本歯科医師会事件〕
(91)平成17年 5月30日 名古屋地裁 平15(行ウ)63号 政務調査費返還請求事件
(92)平成17年 5月26日 名古屋地裁 平16(行ウ)40号 岡崎市議会政務調査費返還請求事件
(93)平成17年 5月24日 岡山地裁 平8(行ウ)23号 損害賠償等請求事件
(94)平成17年 5月19日 東京地裁 平12(行ウ)319号・平12(行ウ)327号・平12(行ウ)315号・平12(行ウ)313号・平12(行ウ)317号・平12(行ウ)323号・平12(行ウ)321号・平12(行ウ)325号・平12(行ウ)329号・平12(行ウ)311号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(95)平成17年 5月18日 東京高裁 平16(行ケ)356号 選挙無効請求事件
(96)平成17年 4月27日 仙台高裁 平17(行ケ)1号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(97)平成17年 4月21日 熊本地裁 平16(行ウ)1号 固定資産税等の免除措置無効確認等請求事件
(98)平成17年 4月13日 東京地裁 平15(行ウ)110号 退去強制令書発付処分取消等請求事件 〔国籍法違憲訴訟・第一審〕
(99)平成17年 3月25日 東京地裁 平15(行ウ)360号・平16(行ウ)197号 難民の認定をしない処分取消請求、退去強制令書発付処分等取消請求事件
(100)平成17年 3月23日 東京地裁 平14(行ウ)44号・平13(行ウ)401号 退去強制令書発付処分取消等請求事件


政治と選挙の裁判例(裁判例リスト)

■「選挙 コンサルタント」に関する裁判例一覧【1-101】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-consultant/

■「選挙 立候補」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-rikkouho/

■「政治活動 選挙運動」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seijikatsudou-senkyoundou/

■「公職選挙法 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou-poster/

■「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例一覧【1~49】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bira-chirashi/

■「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seimu-katsudouhi-poster/

■「演説会 告知 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-seiji-enzetsukai-kokuchi-poster/

■「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧【101~210】
https://www.senkyo.win/kousyokusenkyohou-negotiate-put-up-poster/

■「政治ポスター貼り 公職選挙法 解釈」に関する裁判例一覧【211~327】
https://www.senkyo.win/political-poster-kousyokusenkyohou-explanation/

■「公職選挙法」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kousyokusenkyohou/

■「選挙 公報 広報 ポスター ビラ」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/senkyo-kouhou-poster-bira/

■「選挙妨害」に関する裁判例一覧【1~90】
https://www.senkyo.win/hanrei-senkyo-bougai-poster/

■「二連(三連)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-2ren-3ren-poster-political-party-official-candidate/

■「個人(単独)ポスター 政党 公認 候補者」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kojin-tandoku-poster-political-party-official-candidate/

■「政党 公認 候補者 公募 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-party-official-candidate-koubo-poster/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 議員 政治家」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-politician/

■「告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター 政党 公報 広報」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster-political-party-campaign-bulletin-gazette-public-relations/

■「国政政党 地域政党 二連(三連)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-2ren-3ren-poster/

■「国政政党 地域政党 個人(単独)ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kokusei-seitou-chiiki-seitou-kojin-tandoku-poster/

■「公認 候補者 公募 ポスター 国政政党 地域政党」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-official-candidate-koubo-poster-kokusei-seitou-chiiki-seitou/

■「政治団体 公認 候補者 告示(公示)日 公営(公設)掲示板ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-official-candidate-kokuji-kouji-kouei-kousetsu-keijiban-poster/

■「政治団体 後援会 選挙事務所 候補者 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-political-organization-kouenkai-senkyo-jimusho-official-candidate-poster/

■「政党 衆議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-shuugiin-giin-poster/

■「政党 参議院議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-sangiin-giin-poster/

■「政党 地方議員 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-chihou-giin-poster/

■「政党 代議士 ポスター」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-daigishi-giin-poster/

■「政党 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-poster-hari-volunteer/

■「政党 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seitou-touin-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「政治団体 党員 入党 入会 獲得 募集 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-seiji-dantai-nyuutou-nyuukai-kakutoku-boshuu-daikou/

■「後援会 入会 募集 獲得 代行」に関する裁判例一覧【1~100】
https://www.senkyo.win/hanrei-kouenkai-nyuukai-boshuu-kakutoku-daikou/


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


【資料】政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧【PRドットウィン!】選挙,ポスター,貼り,代行,ポスター貼り,業者,選挙,ポスター,貼り,業者,ポスター,貼り,依頼,タウン,ポスター,ポスター,貼る,許可,ポスター,貼ってもらう,頼み方,ポスター,貼れる場所,ポスター,貼付,街,貼り,ポスター,政治活動ポスター,演説会,告知,選挙ポスター,イラスト,選挙ポスター,画像,明るい選挙ポスター,書き方,明るい選挙ポスター,東京,中学生,選挙ポスター,デザイン


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