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「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(11)平成29年 5月22日 東京地裁 平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(11)平成29年 5月22日 東京地裁 平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件

裁判年月日  平成29年 5月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(特わ)807号
事件名  公職選挙法違反被告事件
文献番号  2017WLJPCA05226006

裁判経過
上告審 平成30年12月18日 最高裁第二小法廷 決定 平30(あ)625号 公職選挙法違反被告事件
控訴審 平成30年 3月13日 東京高裁 判決 平29(う)1154号 公職選挙法違反被告事件

裁判年月日  平成29年 5月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(特わ)807号
事件名  公職選挙法違反被告事件
文献番号  2017WLJPCA05226006

上記の者に対する公職選挙法違反被告事件について,当裁判所は,検察官西田将仁,私選弁護人中村勉(主任),同岡村崇,同岩崎哲也各出席の上審理し,次のとおり判決する。

 

 

主文

被告人を懲役1年10月に処する。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。

 

理由

(罪となるべき事実)
被告人は,平成26年2月9日執行の東京都知事選挙に立候補したものであるが,
第1  同選挙において被告人の出納責任者であったA(以下「A」という。)と共謀の上,同年3月中旬頃,東京都港区〈以下省略〉株式会社a事務所において,前記選挙において被告人の選挙対策本部事務局長であったB(以下「B」という。)に対し,同人が前記選挙に際し被告人の選挙運動に関する事務を統括するなどの選挙運動をしたことの報酬とする目的をもって,現金200万円を供与し,
第2  B及びAと共謀の上,別表記載のとおり,同年3月中旬頃から同年5月8日までの間,前記株式会社a事務所等において,前記選挙において被告人の選挙運動者であったCら5名に対し,同人らが前記選挙に際し選挙区内を被告人と共に歩きながら被告人の氏名等を周知して被告人への投票を呼びかける練り歩きに参加しつつ,被告人らの進路を誘導するなどの選挙運動をしたことの報酬とする目的をもって,現金合計280万円を供与した。
(証拠の標目)
括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示し,括弧内の弁の番号は証拠等関係カードにおける弁護人請求証拠の番号を示す。
判示事実全部について
被告人の当公判廷における供述
証人C,同Aの当公判廷における各供述
D(甲20(不同意部分を除く。),21),E(甲25,26),F(甲27,28),G(甲29),H(甲30),I(甲31),J(甲32),A(乙7,8(不同意部分を除く。),9(不同意部分を除く。),16(不同意部分を除く。),18(不同意部分を除く。)),C(乙102ないし105,106(不同意部分を除く),107,108),K(乙111,112),L(乙115ないし117),M(乙122ないし124),N(乙127ないし129),O(乙132,136)の各検察官調書謄本
捜査関係事項照会回答書(甲1(謄本),5(謄本),6(抄本),7(謄本),12(抄本))
捜査報告書(甲3(謄本),4(謄本),8ないし11(いずれも謄本),13(謄本),15ないし19(いずれも謄本),33(謄本),34ないし38,40,42,弁21(写し))
電話聴取書(甲41)
(事実認定の補足説明)
第1  争点
弁護人は,B又はAが判示のとおり選挙運動員らに対する各現金供与(以下「本件現金供与」という。)をしたことは特に争わないものの,被告人は,事前に本件現金供与について了承したことはないから,B,Aとの共謀は認められず,無罪である旨主張するので,以下,当裁判所が,前記共謀が認められると判断した理由を補足して説明する。
第2  前提事実
関係証拠によれば,本件の事実経過等について,以下の事実が認められる。
1  被告人が本件選挙に立候補した経緯等
被告人は,平成25年12月下旬,自ら会長を務める政治団体「b会」の幹事長であるD(以下「D」という。)に促されて,平成26年2月9日執行の東京都知事選挙(以下「本件選挙」という。)への立候補を決意し,その後,被告人の選挙対策本部が発足した。選挙対策本部長であるDの意向により,本件選挙に要する資金は,被告人を支持する者からの寄付金で賄うことになり,同寄付金は,平成26年1月7日に設立された被告人を代表者とする政治団体「c会」(以下「c会」という。)名義の貯金口座に集められた。選挙対策本部では,5万円までの支出は出納責任者であるAの決裁で支出することになっていたが,5万円を超える支出については選挙対策本部事務局長であるBの決裁,10万円を超える支出はDの決裁を必要とする旨のルールが定められていた。なお,被告人は,元○○であり,AやBらから「Y会長」,「閣下」などと呼ばれていた。
2  B,A及び各受供与者の本件選挙における役割等
Bは,選挙対策本部の事務局長として,選挙対策本部に常駐し,Dらと共に選挙運動方針の策定や被告人らの街頭演説などのスケジュールの調整を行うほか,選挙対策本部のメンバーが集まって行う朝礼・夕礼の司会進行,ボランティアスタッフの取りまとめの担当者に対して指示するなど,選挙運動の計画の立案・調整及び選挙運動員の指揮・監督等を行った。
Aは,被告人の本件選挙における出納責任者及びc会の会計責任者に就任し,被告人の選挙運動期間中,「c会」名義の前記貯金口座の通帳等を管理し,同貯金口座から出金するなどして,本件選挙における選挙運動の経費を支払うなどしたほか,本件選挙後,被告人の選挙運動費用収支報告書を作成し,東京都選挙管理委員会に提出した。
C(以下「C」という。),L(以下「L」という。),M(以下「M」という。)及びN(以下「N」という。)は,選挙期間中,「会長付」として,被告人やその支持者らによる街頭演説及び街頭練り歩きなどに随行し,被告人の進路誘導及び身辺警護等を行いつつ,被告人が本件選挙で当選できるよう,握手を希望する選挙人の存在を被告人に教えたり,記念撮影を希望する選挙人と被告人の写真撮影をするなど,被告人のために選挙運動を行った。K(以下「K」という。)は,街宣活動で必要な資機材を自己の判断も交えて準備し,街頭練り歩きに随行した際には,選挙人に対し,被告人への投票を呼びかけるなどした。
3  C,H,I,Jと被告人との関係及び本件選挙における役割等
Cは,被告人が○○を務めていた当時,被告人の部下である△△課長を務めていたが,被告人の懸賞論文を推奨したことで注意処分を受け,退職時まで□□に昇任できなかった。被告人は,そのことを気にかけており,平成25年の参議院議員選挙の際,同選挙に出馬したCの後援会長として,全国を回って応援演説をした。また,被告人は,同選挙に落選したCに就職先を紹介した。Cは,その恩義から,被告人の選挙運動を全力で手伝いたいと考え,「会長付」として,前記のとおり被告人の身辺警護等を行うほか,街頭演説・練り歩き等のスケジュール調整・時間の管理を行い,選挙期間中は被告人の自宅への送迎も行っていた。Cは,街頭演説の際,隙間時間があるとそれを埋めるために自ら応援演説をしたり,被告人の演説内容に対する聴衆の反応を被告人にフィードバックするなどしていた。なお,Cは,選挙期間中にDと口論になるなど,Dとの関係は良くなかった。
I(以下「I」という。)は,◎◎自衛隊勤務中に被告人と知り合い,以後15年以上被告人と家族ぐるみの付き合いを続けていた。H(以下「H」という。)は,平成22年の参議院議員選挙で被告人に応援演説をしてもらったことがあり,Iから被告人の紹介を受けて以降,被告人と個人的な付き合いをもっていた。H,Iは,被告人の友人として,選挙運動を手伝うこととし,告示日前から応援演説をしたり,練り歩きの際に有権者に呼びかけるなどしていた。H,Iが,選挙事務所に顔を出した際,Bから,ここにいるのは皆選挙のプロだからあなたたちは帰ってほしいなどと言われたのに対し,被告人が,H,Iは俺の親友だから,何を言っているんだと言ってBをいさめるということもあった。また,Hが副会長を務め,Iが理事となっている「d会」は本件選挙で被告人を応援していた。J(以下「J」という。)は,以前から被告人の考えに共感していたところ,報道などにより被告人の本件選挙出馬を知り,また,Jは前記「d会」の会員であったため,被告人の選挙運動を手伝うことになった。Jは,選挙期間中,経営コンサルタントの経験を活かして,票読みの基になるデータの分析を行った。
4  各受供与者に現金が供与された経緯及びその状況等
(1) 平成26年2月9日,本件選挙の投開票が行われ,被告人は,約61万票を獲得したものの落選した。「c会」では,その頃までに全国の支持者から1億円を超える寄付金を集めるなどしており,これを原資として選挙運動の経費等の精算を行っても,なお数千万円の余剰金が出る見込みとなった。
(2) Aは,平成26年2月中に,Bから,総額2000万円の枠で選挙運動に貢献のあった選挙対策本部のメンバーに報酬を配るとして,報酬を払う者の名前と各報酬額が記載されたリストを渡され,パソコンで清書するよう指示されたため,同リストを清書した一覧表(以下「報酬額一覧表①」という。甲8添付書面1枚目から手書き部分を除いたもの。)を作成して,Bに交付した。報酬額一覧表①には,「特殊勤務除く終日勤務を原則」と記載され,「D部長」に400万円,「B事務局長」に200万円,「C会長付」に100万円,「P部長」に50万円,「A」に50万円,「M会長付」に30万円,「Q会長付」に20万円,「N会長付」に20万円,「L会長付」に20万円,「K」に20万円,「R(ウグイス)」に50万円,「S(ウグイス)」に50万円,「T」に30万円,「E」に30万円,「O」に30万円,「F」に20万円,「U」に20万円,「V」に20万円などという内容が記載がされていた。
(3) その後,Aは,Bから,報酬額一覧表①に手書きの記載が入ったもの(甲8添付書面1枚目)を示されながら指示を受け,平成26年3月1日午後1時半頃までに,報酬額一覧表①を修正した一覧表(以下「報酬額一覧表②」という。甲9添付資料2の2枚目)を作成した。具体的な修正箇所としては,報酬額一覧表②は,「c会」「A事務所」「B事務所」という欄を設けたほか,「U」を「U1」と誤字を正し,各人の名前に並列して「会長指示自衛隊関係」という項目を追加し,その金額を308万5000円とするなどの変更を加えたものであった。
(4) Cは,被告人から,「Bさんから100万円という提示を受けたけれども,200万円に上げてやれないのかと提案しておいたよ。」と言われた(なお,被告人がCに対しこのような発言をしたこと自体は争いがないが,その機会については,後記のとおり,争いがある。)。
(5) Aは,平成26年3月11日から同月17日までの間,3回にわたり,いずれもBの指示を受けて,報酬額一覧表②記載のとおり選挙対策本部のメンバーに被告人の選挙運動をしたことの報酬を供与するため,「c会」名義の前記貯金口座から現金を引き出し,Bへの200万円の供与分も含め,合計580万円をBに渡した。Bは,同月中旬頃から同月下旬頃までの間,a社の事務所において,いずれも,本件選挙に際し被告人の選挙運動をしたことの報酬として,C,K及びLに現金をそれぞれ渡して供与したが,Cは,Bに消費税分を差し引くと言われ,報酬額一覧表②記載の200万円ではなく,190万円しかもらえなかった。Cは,その後,被告人と会った際に,「報酬をいただきました。ご配慮いただきありがとうございます。」などとお礼を述べた(この時の被告人の対応については,後記のとおり,争いがある。)。
Bは,同月中旬頃から同月下旬頃,Jに現金30万円を渡し,H,Iにも現金を渡そうとしたが,受領を断られたため,渡さなかった。また,Bは,同年5月上旬頃,CからM及びNの銀行口座番号等を聞き,同月7日,M名義の普通預金口座に現金30万円を,N名義の普通預金口座に現金20万円をそれぞれ振込送金する手続を行い,同月8日,各口座に入金させて供与した。
第3  A,C及び被告人の各公判供述要旨
1  Aの公判供述要旨
Aは,報酬額一覧表の作成経緯等に関し,公判において,証人として次のとおり供述している。
平成26年2月26日又は同月27日午前に,報酬額一覧表①をBに渡し,Bからは,これを持って被告人と打合せをした上でまた指示をする旨聞いていたところ,同月28日,Bから,「c会」などの欄を設ける修正指示を受けるとともに,被告人の意向で,Cの報酬額を100万円から200万円に増額すること,被告人の知人であるH,I及びJにも報酬を支払うことになったことを告げられた。Bは,Cの金額欄の100万円を200万円に増やす形にすると,Dに受け入れてもらいにくくなるし,H,I及びJの分も,もともと日勤の人を対象に報酬を払うということをDに言っていたため,表に出しづらいことから,Hらの名前を出さず,別枠を設けて,「会長指示分」としてまとめて計上すると言っていた。そこで,私は,Bの指示に従って,同年3月1日,報酬額一覧表①のデータについて,自分の報酬の増額分及び自衛隊関係者の交通費も含めた合計308万5000円を「会長指示自衛隊関係」の項目を作って計上するなどの修正をして,報酬額一覧表②を作成した。同月5日には,新橋のレンタルルームにおいて,被告人と面会し,Bと打合せ後の内容を反映したものであると言って報酬額一覧表②を手渡したところ,被告人からは,Bに指示した内容がどこに反映されているのか尋ねられたため,「会長指示自衛隊関係」に含まれている旨説明した。
2  Cの公判供述要旨
Cは,現金供与を受けるに至った経緯等について,公判において,証人として次のとおり供述している。
本件選挙後,Bから,「みんなに報酬を配れるようになった。(Cの報酬額は)多分100万円くらいになるよ。」と言われた。その後,被告人から,「Bさんから100万円という提示を受けたけれども,200万円に上げてやれないのかと提案しておいたよ。」と言われた。その後の3月17日頃,Bから現金を受け取ったが,消費税分を差し引くと言われ,190万円しかもらえなかった。報酬を受け取った後,被告人に対し,「報酬をいただきました。ご配慮いただきありがとうございます。」とお礼を述べたところ,被告人は,そうか,とうなずいた。
3  被告人の公判供述要旨
被告人は,本件現金供与前後の状況等について,公判において,次のような供述をしている。
本件選挙から1か月後くらいに,eホテルにおいて,Bと2人で話した際に,Bが,「選挙が終わってお金がだいぶ残ってるので,一生懸命選挙運動をがんばってくれた人たちに少しずつお金を配りたい。」という話をしてきた。これに対して,「いくら配るんですか。」と聞いたところ,Bから,「2000万円ぐらい配る。」と言われ,その金額の大きさに驚いた。Bは,「Dさんは既に了解している。」と言い,リスト(報酬額一覧表②を指すと思われる。)を示した上で,「Cは100と書いてますけども,実際は200配ります。Cを200と書いておくとDさんの了解が得られないんではないかということで,100と書いてますが,実は200配りたいと思います。」などと言っていたので,私も,「Cさんもがんばってくれたんで,Bさんが200万であればCさんも200万ですかね。200万に上げとってください。」などと答えた。Bは,「IさんとHさんにも配慮をしてます。」とも言っていた。また,私がBに,「こんなにお金配るんですか。」と聞くと,Bは,「まあ,こんなもんですよ。」「金のことは心配しないでください。次の選挙の時はまた私が集めますし,必ず集まりますから心配しなくていいです。」と言っていた。私は,最後に,Bに対して,「やっぱり私はこれには賛同できませんから,もう1回D選挙対策本部長と相談してくれませんか。」と言うと,Bは「こんなもんなんですけどね。」と言って去って行った。
私は,議員秘書の経験を20年以上も持つBが言うことだから,選挙ってこういうことなのかと思ったが,2000万円を配るということ自体に初めから疑問を感じており,何とかその2000万円を配ることをやめさせたいという思いが初めからあった。部分的にはCさんの額を200万円にということは言ったが,全体としては何とかして現金供与は止めたいという思いで,ずっとBと会話していた。一生懸命がんばってくれた人たちに,何かお礼はしたほうがいいのかなという気持ちはあったが,それは商品券だとかビール券で1人2万円程度,総額で100万円ぐらいは仕方がないとしても,次の選挙を考えたら,お金は取っておかなきゃいけないから,何とか止めたいと思っていた。
その後,Cから,「お金ありがとうございました。」とお礼を言われて,Bが報酬を配ったことを知った。その際,Cに恩を着せておきたいという気持ちから,Cに対し,「Bさんが100万って言ってたけど,あなたは前々からお金の支援をしてほしいと言ってたから,200万に上げといたよ。」と言った。Bが報酬を配ったことについては,配ったのであれば仕方ないかという思いだった。その後,Bが配った金額を確認するために,Bに報酬額のリストを再度見せてもらうように頼み,リストを見せてもらった。
第4  共謀の有無について
1  以上を踏まえて,被告人が,B,Aとの間で本件現金供与について共謀したと認められるかについて検討する。
(1) 本件現金供与は,被告人の支持者から被告人が代表者を務める「c会」に寄付された選挙資金の余剰金を原資として,選挙運動員らに多額の現金を供与するというものであり,そのためにAが作成した報酬額一覧表②には,「会長指示自衛隊関係」という項目で308万5000円が追加計上されているのであって,その事実自体から,被告人の指示ないし了承があったことが推認されるというべきである。
(2) のみならず,Aは,前記追加計上分は,Cの報酬の増額分,H,I及びJの各報酬分等を合わせたものである旨供述しているところ,(ア)被告人は,前記第2の3のとおり,本件選挙前から,自衛隊における部下であったCのことを気にかけており,選挙期間中自身の秘書役及び警護役を献身的に務めていた同人の働きぶりも見ていて,Cの報酬を増額するよう指示をする十分な理由があるのに対し,Bは,Cと特に親しい関係にあったり,本件選挙におけるCの貢献度を再評価するなどした様子はなく,Cと良好な関係にはなかったDの承諾が得られない危険を冒してまで,最初に考えたCの報酬額を増額する理由がなく,(イ)H,Iについても,被告人は,本件選挙前から親交を結んでいて,両名の本件選挙における活動内容もよく理解していたはずであり,Jも両名の関係者であって,被告人がH,I及びJにも報酬を供与するよう指示しても何ら不自然ではないのに対し,Bは,Hらと特に深い関係にはなく,むしろ選挙期間中は衝突もあったことがうかがわれ,Bが,被告人の指示や了承もないのに,これがあったかのように偽装し,報酬供与は日勤者を対象とするという原則を曲げてまで,Hらに報酬を供与しようとすることはおよそ考えられない。
そうすると,Bから,報酬額一覧表①について被告人と打合せをした結果,被告人の意向により,Cの報酬の増額分,H,I及びJに対する各報酬分を追加で計上することになった旨告げられ,報酬額一覧表②の「会長指示自衛隊関係」の項目を追加した旨のAの前記供述は,前記第2で認定した事実関係と符合する自然かつ合理的なものといえる(なお,弁護人は,H,I及びJは自衛隊とは何ら関係がなく,被告人が同人らを「自衛隊関係」としてまとめて計上するよう指示するはずがない旨主張するが,Aは,被告人ではなく,Bが,被告人の指示について,Dの了解を得やすくするため,前記のようにまとめて計上することを指示した旨供述しているから,弁護人の指摘は当たらない。)。
(3) また,Cは,Bから,Cの報酬額は100万円くらいになる旨聞いた後,被告人から,「Bから100万円という提示を受けたが,200万円に上げてやれないのかと提案しておいた」旨言われたが,受領したのは190万円であった旨述べているところ,Cは,前記第2の3のように被告人と関係が深く,被告人に対しては大きな恩義を感じていて,被告人に殊更不利な虚偽供述をすることは考えられない上,前記のような出来事の正確な時期はともかく,その順序については,間違いない旨述べており,自身が受け取る報酬額に関係するという事柄の性質上も,記憶違いをしているとは考えにくい。
そして,Cの前記供述は,Cに対する報酬供与の決定過程という重要部分について,Aの前記供述と整合し,互いに信用性を支え合っていると評価できる。
(4) 以上によれば,被告人は,Bから,報酬額一覧表①のとおり報酬を配る旨を説明され,Bに対し,Cの報酬額を増額し,H,I及びJに対しても報酬を配るように修正を指示したことが合理的に推認できる。他方で,被告人は,報酬額一覧表①のその他の記載内容については修正を求めなかったものと考えられるから,報酬額一覧表①に記載された人物には報酬が配られることを了承していたことも推認できるというべきである。
2  弁護人の主張に対する検討
(1) 弁護人は,Aは,初動捜査時においては,検察官に対し,BがDから正式了解を得るために打ち合わせを行ったのは平成26年3月19日であり,被告人への報告も同日の予定であったことなど,一連の出来事が,同年3月中旬頃の出来事である旨を述べていたところ(弁1),同供述は検察官が誘導するための手持ち資料を持ち合わせていない段階での原始供述であるから,その信用性は極めて高く,変遷後のAの公判供述は信用できない旨主張する。しかしながら,この点について,Aは,捜査の初期段階では2年前のことを少しずつ思い出すという作業をしており,前記検察官調書中の供述は日付があやふやで,混同していた部分が反映されたものであり,その後,報酬額一覧表②のデータの保存日時等に基づいて時系列を整理した公判供述の方が正しい旨述べており,供述の変遷について合理的な説明がされているといえるから,弁護人の前記主張は採用できない。
(2) また,弁護人は,本件選挙後,Aが「c会」の後身団体である「c1会」の資金の私的流用を疑われていたことについて,平成27年2月,被告人らがAを詰問した際に,Aは,被告人がBから最初に見せられたのは報酬額一覧表①ではなく,報酬額一覧表②である旨断言しているから,変遷後のAの前記公判供述は信用できない旨主張する。しかしながら,同日におけるAの発言について,弁護人が主張するような趣旨を断言したものとみることには疑問が残る上,その点をおくとしても,前記詰問は,Aの私的資金流用の有無を追及することを目的としたものであり,約1年前の本件現金供与に関しては,客観的な資料等を踏まえることなく,記憶のみに基づいて発言がされているから,その発言を根拠にしてAの前記供述の信用性を争う弁護人の主張は採用できない。
(3) さらに,弁護人は,報酬額一覧表②ではなく,誤字があるなどドラフト段階の未整理な報酬額一覧表①を決裁用説明資料として使用するのは不合理であるから,Aの前記供述は信用できない旨主張するが,まず被告人に報酬額一覧表①を示して意向をうかがった上,その指示等を反映させた報酬額一覧表②を被告人に示すという経過をたどることも十分にあり得るから,弁護人の前記主張は採用できない。
(4) その他,弁護人がるる主張する点も,前記1のA供述の核心部分の信用性を揺るがすものではない。
3  被告人供述の信用性
被告人の前記供述の信用性について検討する。
被告人は,Bから選挙運動をがんばってくれた人に報酬を配りたい旨聞かされた際,Bに対し,賛同できないのでDと相談するように伝えたというものの,他方では,Cの報酬を200万円に上げることに賛同し,これを依頼する趣旨の発言をしたというのであって,首尾一貫した供述をしているとはいい難い。また,被告人は,Bに対し,Dと再度相談するよう伝えたというのに,その後,DやBに再検討の結果を確認しなかったというのも不自然,不合理である。弁護人は,被告人はその当時,事後買収が違法であることを知らず,事の重大性を理解していなかったので,被告人がDらに確認をしなかったことも不自然ではない旨主張するが,被告人は,総額2000万円という金額の大きさを理由に現金供与に反対していたというのであるから,Bらにその後の検討結果を確認しなかったというのはやはり不自然である。さらに,被告人は,Cから報酬を受け取ったことについてお礼を言われ,現金供与がされたことを知った時には,Cに恩を着せておこうと考え,同人の報酬額を増額するようBに指示した旨発言したなどと供述するが,このような行動は,真に現金供与に反対していた者の行動としては極めて不自然であるといわざるを得ないし,被告人がその後Cに事実を確認したり,Bを問いただすなどの行動に出なかったことについても,合理的な説明はされていない。
以上によれば,被告人の前記供述は信用することができない。
なお,弁護人は,被告人の前記供述は,最初に被告人に示されたのが報酬額一覧表②である旨の前記詰問時における被告人及びAの発言と整合しており,信用できる旨主張するが,前記詰問時における発言を根拠に論じることが相当でないのは前記のとおりである(ちなみに,弁護人は,前記詰問時に,被告人が現金供与を了承していたかのような発言をしていたことについては,その当時,被告人には正確に思い出して慎重に発言しようという動機付けは全くなかったので,犯行を自認していたとは評価できないなどと主張しているところである。)。
4  そうすると,前記1の推認に合理的な疑いを差し挟む事情は存しないから,被告人は,Bから報酬額一覧表①を見せられ,そこに記載された現金供与を了承した上,Cの報酬額の増額を指示するなどしたものと認められ,これらの事実によれば,本件現金供与について,被告人とB,Aとの間での共謀が認められる。
第5  結論
以上のとおり,被告人は,B,Aと共謀の上,判示公職選挙法違反の犯行に及んだものと認められるから,前記第1の弁護人の主張は,理由がない。
(法令の適用)
罰条
判示第1及び第2の各所為 いずれも(判示第2については受供与者ごとに)刑法60条,公職選挙法221条3項1号,1項3号,1号
刑種の選択
判示第1及び第2の各罪 いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
本件は,平成26年2月9日執行の東京都知事選挙に立候補した被告人が,選挙対策本部事務局長及び出納責任者と共謀して,同事務局長及び選挙運動者らに対し,選挙運動をしたことの報酬として現金を供与したという事案であるが,受供与者は6名と少なくなく,各供与額は20万円ないし200万円で,その合計は480万円という高額に上っており,民主主義の根幹である選挙の公正さに大きな疑念を抱かせる犯行というべきである。
本件現金供与は,全国の支持者から被告人の選挙資金として寄付された金員の余剰分を原資とするものであり,最終的には被告人の了承が得られなければ行われなかったものと考えられるし,被告人は,本件現金供与を発案したり,主導したりしたわけではないものの,単にBの提案を了承したにとどまらず,一部の供与額の増額を指示するなどしたのであるから,被告人が果たした役割は小さいとはいえず,公職の立候補者としての自覚を欠いたことについては厳しい非難を免れない。
以上に照らすと,被告人の刑事責任を軽く見ることはできない。
その上で,被告人は,共謀を否認するものの,自身が立候補した選挙において公職選挙法違反の問題を引き起こしてしまったことについて反省している旨述べ,政治団体解散届を提出していること,前科がないこと,保釈が許可されるまでの相当期間身柄を拘束されたことなど,被告人のために酌むことのできる事情も考慮すると,被告人を主文の懲役刑に処した上,その刑の執行を猶予するのが相当と判断した。
(検察官の求刑―懲役2年)
平成29年5月30日
東京地方裁判所刑事第13部
(裁判長裁判官 家令和典 裁判官 吉戒純一 裁判官 須藤晴菜)

 

〈以下省略〉

 

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