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「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(42)平成20年 9月29日 東京地裁 平18(ワ)7294号 損害賠償請求事件 〔つくば市 対 早稲田大学 風力発電機事件・第一審〕

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(42)平成20年 9月29日 東京地裁 平18(ワ)7294号 損害賠償請求事件 〔つくば市 対 早稲田大学 風力発電機事件・第一審〕

裁判年月日  平成20年 9月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)7294号
事件名  損害賠償請求事件 〔つくば市 対 早稲田大学 風力発電機事件・第一審〕
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴(第一審変更)  文献番号  2008WLJPCA09296001

要旨
◆市と風力発電機導入に関する業務委託契約を締結した大学に、発電機の性能を評価し、事業に影響を与える事情を考慮してエネルギー取得量や経済性の検討を行う等の契約上の義務の不履行があったとして、市の大学に対する損害賠償請求が認められた事例
◆つくば市が、環境省の推進事業の一環として風力発電機を大規模に導入する交付金事業を行うこととし、被告早稲田大学と同被告から技術移転及び支援を得て設立された被告会社に委託して同市内の小中学校に合計23基の風力発電機を設置したところ、予定された発電量に遠く及ばない不具合があるとして、基本契約・保証契約の債務不履行ないし不法行為に基づいて損害賠償を請求した事案において、被告会社に対する請求を棄却する一方で、被告早稲田大学には設置した機種によっては計算書で報告した発電量が到底得られないことを認識し得たのに故意・過失によりこれを提出するなどした基本契約における債務不履行があるとし、原告にも実際の風況調査を怠った過失があるとして3割の過失相殺を施して、請求を一部認容した事例

裁判経過
上告審 平成23年 6月 9日 最高裁第一小法廷 決定 平22(行ツ)183号・平22(行ヒ)192号
控訴審 平成22年 1月20日 東京高裁 判決 平20(ネ)5104号 損害賠償請求控訴事件 〔つくば市 対 早稲田大学 風力発電機事件・控訴審〕

評釈
星野豊・法時 83巻9・10号114頁

参照条文
民法94条1項
民法415条
民法418条
民法709条
民法722条2項

裁判年月日  平成20年 9月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)7294号
事件名  損害賠償請求事件 〔つくば市 対 早稲田大学 風力発電機事件・第一審〕
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴(第一審変更)  文献番号  2008WLJPCA09296001

茨城県つくば市〈以下省略〉
原告 つくば市
代表者市長 市原健一
訴訟代理人弁護士 河合弘之
同 町田弘香
同 武藤司郎
同 泊昌之
同 松尾慎祐
同 髙野裕之
同 赤司修一
同 白日光
同 洞敬
同 渡辺和也
同 昼間由真
同 大山政之
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 学校法人早稲田大学
代表者理事長 A
大阪市〈以下省略〉
被告 株式会社Y2
代表者代表取締役 B
被告ら訴訟代理人弁護士 渡部喬一
同 小林好則
同 守田大地
同 仲村晋一
同 松井章義
同 近藤勝彦
同 松田一彦
同 赤羽健一
同 田中修司
同 岸巌

 

 

主文

1  被告学校法人早稲田大学は,原告に対し,金2億0902万6650円及びこれに対する平成18年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は,原告と被告学校法人早稲田大学との間に生じたものは,これを10分し,その3を原告の,その余を同被告の負担とし,原告と被告株式会社Y2との間に生じたものは原告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して,金2億9860万9500円及びこれに対する被告学校法人早稲田大学については平成18年4月11日から,被告株式会社Y2については同月20日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
原告は,環境省が推進する「環境と経済の好循環のまちモデル事業」として,小型風力発電機を市内の各小中学校に設置することを含む「つくば市草のNeco2(ネコ)ちっぷ事業」(以下「本件事業」という。)を企画して応募し,採用された。
本件は,平成16年度の本件事業に関して,被告学校法人早稲田大学(以下「被告大学」という。)との間で,風力発電機の導入に関する業務委託契約を締結したと主張する原告が,①被告大学が,同契約上の義務を怠ったことが債務不履行に当たる,②被告大学が,同契約の締結準備段階において,原告に正確な情報を提供すべき信義則上の注意義務に違反したことが不法行為に当たる,③被告らは,原告に対し,設置された風力発電機について,被告大学が作成した報告書記載の年間発電量の発電を達成するための改善策を提案し,これを実現することを保証したにもかかわらず,これを怠ったことが債務不履行に当たるとして,被告大学に対して,上記①ないし③に基づく損害賠償請求として,原告が被った損害2億9860万9500円及びこれに対する平成18年4月11日(被告大学に対する訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,被告株式会社Y2(以下「被告会社」という。)に対して,上記③に基づく損害賠償請求として,被告大学と連帯して,上記損害額及びこれに対する同月20日(被告会社に対する訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である(以下,原告の上記①ないし③の請求を「本件請求原因1」などという。)。
1  争いのない事実等(証拠によって認定した事実は末尾に証拠を掲記する。)
(1)  当事者等
ア 原告は,茨城県の地方公共団体である。
C,D及びEは,平成16年当時,原告の市民環境部環境課新エネルギー推進室(当時)に所属し,本件事業に関する事務等を担当していた者であり,Cは同室室長,Dは同室主任主査を務めていた(甲3,78,79,乙1の4)。
Fは,平成15年から平成18年4月まで,原告の助役を務めていた者である(甲77)。
イ 被告大学は,早稲田大学のほか4校の学校を設置する学校法人である。
被告大学のG教授(以下「G」という。)は,風力発電等を専門に研究しており,本件事業で導入されたダリウス・サボニウス併結型風力発電機の共同開発者である。
ウ 被告会社は,被告大学から技術移転及び支援を得て設立された,風力発電設備に関する基本計画の立案,設計,製造,販売及び工事監理等を業とする株式会社である。
株式会社協和エクシオ(以下「協和エクシオ」という。)は,被告会社製のダリウス・サボニウス併結型風力発電機の販売代理店である(乙105)。
(2)  原告の従前の環境保全に向けた取組
ア つくば市では,平成11年4月,公募により,市民と学識経験者等から構成される「つくば市民環境会議」が発足した。同会議は,環境保全に関する事業を推進することを目的とし,平成12年3月に策定されたつくば市環境基本計画の事業の推進等を行っていた(甲3,乙1の4,84)。
イ 原告は,新エネルギー・産業技術開発機構(以下「NEDO」という。)が実施する「風力発電フィールドテスト事業」(風況等が異なる国内各地に,地域特性に応じた風力発電設備を導入して実際の負荷条件下で運転データを取得し,風力発電の普及に有用な資料を取りまとめることを目的とした事業であり,風況調査,システム設計及び風力発電機設置の各段階ごとに共同研究事業者を公募して実施していた。)に応募し,平成12年度の当該事業の風況調査に関する共同研究事業者となった(乙2)。
そして,原告は,つくば市大字神郡字入山地区(筑波山風返峠)への風力発電機導入計画に関連して,平成12年11月1日から1年間,同地域で風況調査を実施し,平成13年12月,その結果を「つくば市における風力発電フィールドテスト事業(風況精査)報告書」に取りまとめた(乙4,以下「乙4の報告書」という。)。また,原告は,その後も,新エネルギー導入プロジェクトの一環として,NEDOや地元の大学等と連携して,平成15年12月まで同地区で風況調査を実施した(乙3)。
ウ 原告は,二酸化炭素(以下「CO2」という。)の排出削減に向けて自然エネルギー等の導入を促進するため,平成14年2月,「つくば市地域新エネルギービジョン」を取りまとめた(乙1の13,甲50)。
エ 原告は,平成15年2月,「つくば市風力発電施設事業化基礎調査報告書」を取りまとめた(乙5,以下「乙5の報告書」という。)。同報告書は,つくば市地域新エネルギービジョンや従前の風況調査に関する報告書を踏まえ,風力発電事業の具体的な事業化を検討したものである。
(3)  環境省の「環境と経済の好循環のまちモデル事業」への応募等
ア 環境省は,平成16年度の重点施策として,「地球温暖化を防ぐまちづくり事業」及び「環境と経済の好循環のまちモデル事業」(以下,これらの事業を併せて「まちモデル事業」という。)を実施することとし,石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油特別会計)から12億円を,一般会計から約1億円を,同年度のまちモデル事業の予算に充てることとした。同事業は,市町村からアイデアを募集した上で,10か所のモデル地域(大規模地域及び小規模地域をそれぞれ5か所ずつ)を選定し,①モデル地域に対し,環境と経済の好循環のまちづくりのための事業計画の策定及び地域における各主体で運営する協議体の活動等を委託し,これに必要な経費を交付する事業(同年度は,一般会計から1億円が充てられた。以下「委託事業」という。)及び②モデル地域がCO2の排出削減を目的として風力発電機等を設置するための費用として,交付金を交付する事業(同年度は,石油特別会計から12億円が充てられた。ただし,交付金を充てることができるのは事業費の3分の2が限度であり,事業者は最低でも事業費の3分の1を負担しなければならないとされた。以下「交付金事業」という。)を実施するというものである。
なお,市町村が提案すべき事業は,平成16年から平成18年の3年間を事業期間とし,事業の実施による環境保全効果及び経済活性効果について,事業計画の中で具体的な目標を明示し(例として,事業により設置する小型風力発電設備の発電見込み等が挙げられている。),当該目標の客観的な根拠を示すことが求められていた。また,モデル地域に選定された市町村は,各年度の事業の終了時に,事業の効果を測定して報告することが求められていた(甲1ないし2の5,乙10)。
イ 原告は,平成16年4月12日,本件事業の実施計画書の決裁手続を行い,同日ころ,まちモデル事業として本件事業を応募申請した。原告は,同年5月,同省に実施計画書の修正版を提出したが,当該修正版には,本件事業の概要として以下の趣旨の記載がある(甲3,53,乙1の4,1の18,弁論の全趣旨)。
(ア) 本件事業は,風力発電機を設置し,これを運用することで得られる売電金等を財源として経済的価値を有するちっぷを発行し,CO2の排出削減行動を実施する市民及び事業者等に交付するとともに,ちっぷを市内の商店等での商品等の購入に補助的に用いることができるようにすることで,CO2の排出削減行動の促進と地域経済の活性化を図ることを目的とする。また,小中学校に設置される風力発電機は,自然エネルギーの身近なシンボルになるとともに,環境教育にも活用される。
具体的には,原告は,交付金事業として,3か年で総出力900kW相当(単年度の総出力は300kW相当)の風力発電機を市内の53の小中学校に設置し,これによる発電電力の売電収入(平成19年度の目標は1800万円)を,ちっぷの財源として活用する。また,本件事業の推進主体として,つくば市民環境会議を中心に「まほろばつくば協議会(仮称)」を発足させ,原告の委託に基づき,風力発電機の運用及び市民等のCO2の排出削減行動に対するちっぷの発行等を行わせる。
(イ) 各年度の事業計画は概ね以下のとおりである。
平成16年度は,まほろばつくば協議会の体制整備等を行う委託事業及び10kWないし20kW級の小型風力発電機(300kW相当分)を市内の約20か所の小中学校に設置する交付金事業等を実施する。
平成17年度は,ちっぷの具体的なシステムの確立等を行う委託事業及び前年度に引き続き,小型風力発電機(300kW相当分)を約20か所に設置する交付金事業等を実施する。
平成18年度は,ちっぷの製作及び平成19年度以降の自立的事業化計画の策定等を行う委託事業並びに前年度に引き続き,小型風力発電機(300kW相当分)を約20か所に設置する交付金事業等を実施する。
(ウ) 本件事業の環境保全効果の目標及びその根拠は以下のとおりである。
① 単年度で300kW相当分の小型風力発電機を設置することで得られる年間発電量
300kW×20%(設備利用率)×24時間×365日=52万5600kWh(3か年で900kW相当分の風力発電機を設置すれば157万6800kWhとなる。)
② CO2の排出削減量の目標値
52万5600kWh×0.378kgCO2/kWh(電気事業者の電力利用による排出原単位)≒198.7トン(3か年の事業終了後の平成19年以降の年間CO2の排出削減量の目標は,198.7トン×3≒600トンとなる。)
(エ) 本件事業の実施による,平成19年度以降の経済活性化効果の目標を年5億円とする(対平成15年度比)。
ウ 前記イの申請時における予算計画の概要は以下のとおりであった(甲3,乙1の4,弁論の全趣旨)。
(ア) 平成16年度及び平成17年度
委託事業(国の予算措置1200万円),交付金事業(国の予算措置2億円,原告負担1億円)
(イ) 平成18年度
委託事業(国の予算措置600万円),交付金事業(国の予算措置1億円,原告負担2億円)
エ 本件事業は,平成16年4月28日に環境省による一次審査を通過し,その後,同省によって,事業概要,事業の実現可能性及びCO2の排出削減効果等に関するヒアリングが行われた(甲4)。
オ 同省の担当者は,原告に対する平成16年6月9日付けのEメールで,本件事業の実施計画書中,風力発電機の設備利用率が20%とされていることの根拠が不十分であるとして,翌10日午前10時を目処に根拠を示すよう指示した(甲5)。なお,設備利用率とは,風力発電機の定格出力(風力発電機の設計上の最大連続出力をいう。また,定格出力が得られるときの風速を定格風速という。)を1年間発生させ続けた場合の発電量に対する,実際にその風力発電機から得られる発電量の割合をいう(算式=年間発電量(kWh)÷定格出力(kW)÷365日÷24時間,乙8,G証人,弁論の全趣旨)。
原告のDは,同月10日,同省の担当者に対し,つくば市内の小中学校において風況調査を実施していないため,実施計画書記載の20%の設備利用率は目標値にすぎず,根拠となる明確な資料は存在しない旨を記載した書面(以下「甲6の文書」という。)をファックス送信した。Dは,根拠資料に代わるものとして,①平成2年から平成12年のつくば市の年間平均風速が2.4m/sである旨の気象庁のデータ,②平成15年中の特定の日(合計7日間)のつくば市の平均風速が2.4m/sである旨の気象庁のデータ及び③風速2m/sから始動する最新の風力発電機の例として,被告会社製の商品名「HybridWings」を紹介した被告会社のホームページをプリントアウトした書面等を甲6の文書に添付した。そして,上記③には,定格出力1kWのHybridWingsが,風速2m/s時に発電している状況を示す写真が掲載されているほか,以下の趣旨の記載がある。
(ア) HybridWingsは,高い発電効率を誇るダリウスローターと,風速2m/sから始動するサボニウスローターを併結させることで,両者の利点を併せ持つ垂直軸タイプ(基本軸が垂直に対し回転するもの)の風力発電機であり,従来の風力発電機にみられた騒音,振動及び破損事故等の問題点をすべてクリアしている。
(イ) HybridWingsの導入により,電力需要が高い時期の節電,災害時の電源及びCO2の排出削減による環境保全といった効果が得られるほか,HybridWingsは環境教育の素材や環境保全のシンボルにもなる。
(ウ) 平均風速3.5m/sの地点に定格出力10kWのHybridWingsを設置した場合の年間発電量は,1万1013kWh(シミュレーション値)であり,年間約3965kgのCO2の排出を削減できる(CO2の排出係数を0.3kgCO2/kWhとする。)。
カ さらに,原告のD及びFは,平成16年6月10日,同省の担当者に対し,HybridWingsのパンフレットをファックス送信した(乙9,以下「乙9のパンフレット」という。)。同パンフレットには,HybridWingsが被告大学とa大学の共同開発であることのほか,前記オ(ア)と同様の記載がある。また,同パンフレットの寸法・仕様一覧によれば,HybridWingsには定格出力が0.75kWから20kWの機種があるところ,定格出力が10kWの機種はHW-10Bという機種のみであり,HW-10Bのカットイン風速は2m/s,ダリウスローターの直径は5300mmとされている。
キ 同省は,平成16年6月15日,同年度のまちモデル事業について,原告を含む6つの市を大規模事業の対象地域に決定した(甲8)。
(4) 東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)への協力依頼
原告は,まちモデル事業の対象地域に選ばれたことを踏まえ,平成16年6月15日ころ,東京電力に対し,風況調査,風力発電機の設置計画の策定及び設備設計について協力を要請し,了承を得た。その後,東京電力は,原告に対し,「つくば市における小型風力発電の導入に向けた予備検討結果について」と題する報告書(同年8月17日付け)及び「つくば市における小型風力発電の導入可能性調査報告書」(同月付け)を提出した(甲9,68,77,C証人,弁論の全趣旨)(以下,前者を「甲9の報告書」,後者を「甲68の報告書」という。)。
しかしながら,原告と東京電力は,最終的に本件事業に関する委託契約を締結するには至らなかった(弁論の全趣旨)。
(5)  原告の担当者と被告大学のGらとの協議等
ア 原告のC及びEら並びに被告大学のGは,平成16年8月6日,被告大学において,本件事業に関する協議を行った(以下「平成16年8月6日の協議」という。)。
C及びE,G並びに協和エクシオの従業員であるHらは,同月24日,被告大学において協議を行った(弁論の全趣旨,以下「平成16年8月24日の協議」という。)。
イ 被告大学のGは,平成16年8月ないし同年9月ころ,定格出力10kWの風力発電機を,つくば市内の53の小中学校の路上ないし屋上に設置した場合の予測発電量を計算した,別紙1の「つくば市教育施設現地及び風況調査結果表」(甲10,以下「甲10の結果表」という。これは協和エクシオがGの助言を得て,乙11の計算書を基に作成したものである。)を原告に提出した(弁論の全趣旨,ただし,同表の提出時期及び同表と一緒に提出された資料の内容については争いがある。)。同表記載の風速は,後記のNEDOの全国風況マップに基づきシミュレーションされたものであり,また,同表記載の予測発電量を基に算出される風力発電機の設備利用率は,約10.7%(=84万5261kWh÷90基÷10kW÷365日÷24時間)である(ただし,同表がどのような風力発電機を前提としているかについては争いがある。)。
なお,NEDOの全国風況マップは,地ヒ高30mに高度補正された全国964地点の風況データ等を基に約1kmメッシュごとの風速予測式を作成するなどして,全国の年間平均風速値を地図上に図示したものである。同マップは,平成5年に作成され,風力開発の有望地域の選定に用いられている(乙8)。
ウ 原告のC及びE,協和エクシオのH並びに被告会社の従業員であるIは,平成16年9月3日,京都府内に設置された被告会社製の10kWのHybridWingsを視察した(甲78,乙105,106)。
エ 原告のC,被告大学のG及び協和エクシオのHらは,平成16年9月16日,被告大学において協議を行った(弁論の全趣旨,以下「平成16年9月16日の協議」という。)。
オ 原告のC及びEらは,平成16年9月24日から同年10月1日にかけて,つくば市内の53の小中学校の校長等から,風力発電機の設置について意見を聴取し,設置場所の候補地を調査した。そして,原告は,同月22日,各小中学校の設置候補地をまとめた資料を協和エクシオの下請業者に交付した(甲13,乙17の1,2,弁論の全趣旨)。
カ 原告のC及びE,被告大学のG並びに協和エクシオのHらは,平成16年10月19日,被告大学において協議を行った(以下「平成16年10月19日の協議」という。)。
キ 協和エクシオ及びその下請業者の担当者は,平成16年10月25日から同月28日にかけて,同年度の本件事業で設置する予定である23基の風力発電機の設置候補地である小中学校を対象に,現地調査を実施した(甲25の1,2)。
そして,原告のC及びE,協和エクシオのH並びに上記下請業者の担当者は,同月29日,当該調査の結果について協議した。最終的には,従前設置候補地とされていた20校のうち,4校については設置が見送られ,後に3校が設置場所に追加された(当該3校については,上記下請業者の担当者が,同年11月4日に現地調査を実施した。)。
ク 原告と被告大学のGとの間では,平成16年10月初旬ころから同年11月にかけて,研究・調査依頼書の案,見積書案,業務委託契約書案及び本件事業の基本計画策定調査業務委託に関する発注仕様書案(これは後に後記本件契約書に添付され,一体のものとなるものである。)がやりとりされていた(乙15,18ないし21)。
被告大学は,同年11月19日,理事会において,別紙2の「つくば市小中学校風力発電導入基本計画策定調査業務に関する委託契約書」(甲17,以下「本件契約書」という。)を承認し,被告大学理事長が本件契約書に押印した(証人G,弁論の全趣旨)(以下,本件契約書に基づく原告と被告大学間の業務委託契約を「本件契約」という。ただし,被告らは本件契約の成立を争っている。)。なお,本件契約書上は,契約締結日が同年10月1日にバックデートされた(甲59,乙18,弁論の全趣旨)。
ケ 原告は,平成17年5月9日,被告大学に対し,本件契約書記載の業務委託料1750万円を支払った(甲18の3)。
(6)  本件事業に関する各種手続等
ア 原告は,平成16年10月4日,環境省に対し,委託事業に関する委託業務実施計画書を提出した。その後,国と原告との間で,同月6日付けで委託契約を締結し,国から原告に委託費1110万円(消費税及び地方消費税相当分を含む。)が交付されることとなった(甲20,21)。
イ 原告は,平成16年10月28日付けで,環境省に対し,同年度の本件事業に関する交付金(1億8500万円)の交付を申請し,同省は,同年11月11日付けで,交付金事業として,原告に同額を交付する旨決定した。原告が,当該申請の際に提出した事業計画書には,事業の概要として前記(3)イ(ア)とほぼ同様の内容が記載されているほか(ただし,原告が3年間で設置する小型風力発電機による総出力は合計750kWとされ,同年4月ないし5月に提出された当初の実施計画書における合計900kWから減少している。),以下の趣旨の記載がある(甲22,23)。
(ア) 同年度の交付金事業では,市の予算で市内の53の小中学校の風況を調査するほか,20数校に対し,1校当たり10kWないし20kW規模の小型風力発電機(合計で300kW相当分)を設置し,これによるCO2の排出削減効果を合計約90トンと見込むものとする(当該目標値は,上記の当初の実施計画書における単年度のCO2の排出削減量の目標値である約198.7トンから減少している。)。また,同年度の委託事業では,推進協議会体制を整備し,平成17年2月から稼働予定の風力発電機の管理運営等に着手する。
(イ) 平成19年度以降のCO2の排出削減効果の目標は,年間225トンと見込むものとする(当該目標値は,上記の当初の実施計画書における同様の目標値である約600トンから減少している。)。
(7)  設計図書の納入及び風力発電機の機種選定等
ア 協和エクシオは,平成16年11月20日,原告に対し,被告会社製のダリウス・サボニウス併結型風力発電機(HybridWings)のHW-10Bの設計図書を納入したが,その後,原告の要望により,設置工事を5つに分けることを前提とした分割発注用の設計図書を作成し,同年12月28日以降に再度納入した(以下,「本件設計図書」という。)。本件設計図書中の「風力発電設備 単線結線図」では,ダリウスローターの直径は5500mmとされており,「仕様一覧」では,カットイン風速が3m/sとされている一方,「機器リスト」の風力発電装置欄ではカットイン風速が2m/sとされていた(甲26の1ないし12)。
イ 原告は,平成16年11月24日施行されたつくば市小型風力発電機設置検討委員会設置要綱に基づき,「つくば市小型風力発電機設置検討委員会」(以下「本件委員会」という。)を設置した。同要綱では,本件委員会は,市内の全小中学校に小型風力発電機を効率的かつ効果的に設置することを目的として設置され,原告市長が,学校長会,担当教諭,教育委員会担当課及び学識経験者の中から,委員を任命することとされていた(甲27の1)。
ウ 本件委員会は,平成16年12月15日付けで,本件事業における導入機種としてダリウス・サボニウス併結型風力発電機を選定した。原告市長は,同月20日,同機を導入機種とすることを決裁した(甲29の1,2)。
(8)  風力発電機の設置及び被告大学による報告書の提出
ア 風力発電機の設置工事に関する契約は,入札を経て,5つに分けて平成17年1月31日以降順次締結され,原告は,工事代金として合計2億9860万9500円を設置業者に支払った。なお,同額のうち交付金事業による交付金1億8500万円を除く1億1360万9500円は,原告の一般財源から支出された(甲30の2,5,31の1の1ないし5の4)。
イ 設置業者は,被告会社からHybridWings(HW-10B)を購入して設置することとされ,平成17年2月1日ころから同年6月30日にかけて,つくば市内の19の小中学校に23基の風力発電機を設置する工事が行われ,すべて路上に設置された(以下,設置された当該風力発電機を「本件風力発電機」という。)。その後,同年7月13日から同月15日にかけて,竣工検査が行われた(甲30の7の1ないし7の5,78)。
ウ 被告大学は,平成17年3月ないし4月初めころ,原告に対し,「小中学校風力発電導入基本計画策定調査業務委託」と題する報告書を提出した。なお,同報告書は,同年11月に一部が差し替えられた(甲32の1ないし21,弁論の全趣旨)(以下,差替え前後の同報告書をともに「本件報告書」という。)。
差替え後の本件報告書中の発電量計算書によれば,本件風力発電機23基の年間予測総発電量は別紙3のとおり18万1881kWhであり,甲10の結果表(別紙1)記載の予測発電量を若干上回るものの,ほぼ同様の値であった。また,同報告書中の設計図(甲32の21)では,ダリウスローターの直径は5500mmとされていた。
エ 原告は,設置工事の完了を踏まえ,平成17年7月27日付けで,環境省に対し,交付金事業に関する実績報告書を提出した(甲30の1)。
(9)  本件風力発電機の異常と原被告らの対応等
ア 本件風力発電機は,設置後引渡しがなされる前の平成17年7月中旬ころから,騒音を発したり異常停止するなどしたため,原告は,被告会社に調査を依頼した。被告会社は,同年8月ころ,騒音の原因は発電機による共振であったとして,防振ゴムを設置する等の措置を施したが,同年9月に再度騒音が生じたため,同年10月下旬から平成18年2月ころにかけて,発電機とブレーキディスクの隙間を調整するなどの一定の措置が施された(甲33の1,2,乙27,30,31,55)。
また,本件風力発電機の多くは,設置工事完了後も発電量が伸びず,平成17年11月中旬までには,ほとんど発電しない状態か,発電しても消費電力が発電量を上回る状況となっていた(甲34,弁論の全趣旨)。
イ 原告のCは,被告大学のGにあてた平成17年8月8日付けのEメールで,本件風力発電機のカットイン風速は2m/sと理解しており,周囲にも風速2m/sから発電すると周知していたが,竣工図等の資料にはカットイン風速が3m/sと記載されており困惑しているとして,実際のカットイン風速は何m/sなのか尋ねるとともに,本件風力発電機の性能試験データ及び出力曲線の資料が提出されていないことについてクレームを述べた(甲35,以下「甲35のメール」という。)。なお,出力曲線とは,風力発電システムの風速に対する出力特性を指し,風力発電システムの性能を表すものである(乙8)。
これに対し,Gは,被告会社の代表者であるBにあてた同日付けのEメールで,甲35のメールのうち上記の部分をそのまま転載するとともに,「つくば市殿にはどのようにお詫びをしても償いきれるものではありませんが,とにかく,ご指摘のあったことについては,万難を排して迅速なる対応をお願いいたします。」(かっこ内は原文のままである。以下同様)と依頼した(甲36,以下「甲36のメール」という。なお,同メールは,Cにもカーボンコピー(cc)として送信された。)。
ウ 原告のCは,平成17年10月13日,被告大学のGに対し,Eメールによって,本件風力発電機の騒音について各学校から苦情が寄せられていること,制御盤内の消費電力が多いこと及び待機状態になることが多く,発電状態にならないこと等についてクレームを述べた。これに対し,Gは,Cにあてた同日付けのEメールで,Cに謝罪するとともに,本年度以降は,他社製の風力発電機を設置することを薦めること,自身も本年度以降はアドバイザーの役割を辞退すること及び設置済みの23基の本件風力発電機については責任をもって対応することを返答した(甲41,以下「甲41のメール」という。)。
エ つくば市の市民団体であるb倶楽部は,平成17年10月19日,原告に対し,本件事業に関する資料を対象とする情報公開請求を行った。原告は,同年11月4日,交付金事業の申請書及び本件契約書等の資料を開示した(乙49)。
同月10日,本件風力発電機23基が,設置から4か月経過してもほとんど稼働していない旨の新聞報道がなされた(甲39)。
オ 被告会社は,平成17年11月20日ころ,原告に対し,別紙4の本件風力発電機の出力曲線を提出し,さらに同月22日,発電性能に関するデータを提出した(甲38の1ないし3)(以下,当該出力曲線及び当該データを「甲38の出力曲線等」という。)。甲38の出力曲線等を基に算出した本件風力発電機の理論上の年間発電量は,本件報告書中の発電量計算書による年間予測発電量の約4分の1程度にしかならないものであった。
b倶楽部は,同月17日に,原告に対して本件風力発電機の詳細な出力曲線等を対象とする情報公開請求を行っていたところ,原告は,同月22日,甲38の出力曲線等を開示した(甲54,乙38)。
カ 原告のCは,平成17年12月13日,被告大学のG及び被告会社のBに対し,①本件風力発電機の制御盤の発電開始設定がどのようになっているのか報告すること,②市民団体から,被告会社から受領した出力曲線等から算出される発電量が,被告大学が発電量の算出に用いた風速のデータ及び出力曲線から算出される発電量の4分の1に過ぎないことについて指摘を受けたので,両出力曲線の差異に関する説明文を提出すること及び③本件風力発電機の中には風が吹いていても停止しているものがあるが,その原因について報告することを求めた。
これに対し,Gは,同日,Cに対し,以下の趣旨が記載されたEメールを送信した(甲37,以下「甲37のメール」という。)。
(ア) メーカーによれば,本件風力発電機の制御盤は,停止状態から始動する場合,無負荷時の周波数が20Hz(約60rpm)になったときに負荷がかかり,発電を開始するよう設定されているが,このときの風速は約4m/sとのことである。
(イ) メーカーによれば,カットイン風速とは,風力発電機が利用可能な動力を生むハブ高さ(風力発電機のローターの中心の地上高であり,本件風力発電機の場合は赤道面の高さをいう。)における最小の風速を指すところ,発電状態にある本件風力発電機は,風が弱まり回転数が低下しても,風速約2m/sに相当する10Hz(約30rpm)までは発電状態にあることから,カットイン風速を2m/sとしているとのことである。
(ウ) 基本計画の段階では,できるだけ多くの出力を得たいという原告の要望と,一基当たり10kWとするとの前提があったので,風速約10m/sのときに10kWの出力が得られるような受風面積の風力発電機を想定して発電量を見積もった。これに対し,実施段階では,風速15m/sのときに10kWの出力が得られる風力発電機に変更されており,その差が出力曲線に表れている。これは受風面積の差異によるもので,風力発電機の形態に違いはない。G自身は実施段階に関与していないため,当該変更の経緯は知らないが,コストが主たる要因であったものと推測する。
キ 平成17年12月27日,本件風力発電機の性能から算出される年間発電量は,被告大学が平成16年10月に試算した際の4分の1程度にとどまる見込みである旨の新聞報道がなされた(乙50)。
(10)  被告らによる保証書の作成等
ア 原告のCは,被告大学のGにあてた平成17年12月19日付けのEメールで,本件風力発電機の多くが停止状態にあり,この問題への対応に追われているとした上で,どのように対処すれば発電するようになるのか教えてほしいと伝えた。Gは,同日,Cに対し,「理論と現実との差をつくづく実感しました。当方には重すぎた役回りと実感しています。」と記載したEメールを返信した(甲42,以下「甲42のメール」という。)。
イ F,C及びEら原告の担当者5名,被告大学のG,被告会社のB並びに協和エクシオのHらは,平成17年12月27日,つくば市庁舎において,本件風力発電機の異常停止問題,騒音問題及び待機電力の削減等について協議を行った(甲43,以下「平成17年12月27日の協議」という。)。
G及びBは,同日,「つくば市の小型風力発電機設置事業について,基本計画を大学で作成するとともに採択された機種の開発責任者として,現状の課題に対し,技術移転先メーカーと一体となって,信義に従い,誠実に対処し,責任をもって平成16年度事業の保証をいたします」と記載された原告市長あての書面に署名した(甲40,以下「本件保証」といい,当該書面を「本件保証書」という。)。
(11)  平成18年以後の原被告らの協議等
ア 原告のC及びE並びに協和エクシオのHらは,平成18年1月5日,つくば市役所において協議を行った(以下「平成18年1月5日の協議」という。)。Hは,同協議で,本件風力発電機の性能を説明したが,その際,本件報告書で前提とされた風力発電機と実際に設置された本件風力発電機が異なること,本件報告書で前提とされた風力発電機のダリウスローターの直径は約12mないし13mであり,そのような風力発電機を製作した実績はないこと及び本件風力発電機では,本件報告書記載の発電量を実現することは不可能であることを述べた(甲44)。
イ 原告のCら及び被告大学のGは,平成18年1月6日,被告大学において協議を行い,同月12日にも関係者による協議が行われた。Gは,同日の協議の際,本件報告書で前提とされた風力発電機に関して,機種は被告会社製のHW-10Bであること,定格出力は10kWであること及びダリウスローターの直径が15mであること等を伝えた。
ウ b倶楽部は,平成18年1月6日,原告及び被告大学のGに対する公開質問状をもって,被告大学が作成した報告書で使用された出力曲線が,実際には存在しない風力発電機のものであると考えられるとして,事実関係を明らかにするよう求めた(乙51,52)。
原告及びGは,同月16日及び翌17日,b倶楽部に対し,被告大学が作成した報告書で前提とされた風力発電機について,機種はHW-10Bであり,定格出力は10kWであるが,ダリウスローターの直径は15mであること等を回答した(乙53,54)。
Cら及びGは,同月17日,環境省において,同省の担当者に対し,原告の上記回答に関する事情説明を行った。そして,交付金申請の際に前提としていた風力発電機と本件風力発電機は性能が異なり,本件風力発電機の不具合が解消されても,当初見込んでいた発電量は得られないとの結論に達した。同省の担当者は,Cに対し,早急に改善策を検討するよう指示した(乙63)。
エ 平成18年1月16日ころ,回らない風車と題して,本件風力発電機の発電量が低いことについてテレビ報道がなされた(乙57の1ないし4)。
オ 原告市長は,平成18年1月20日付けの書面をもって,被告大学に対し,本件風力発電機による発電量が,当初の予想を大きく下回っていることについて責任ある対応を求めるとともに,被告大学による年間発電量の計算に使用された出力曲線が,本件風力発電機の出力曲線と異なっていることの理由を明らかにすることなどを求めた。
これに対し,被告大学は,同年2月7日付けの書面で,①被告大学は風力発電機の機種選定に関与できなかった,②原告の担当者が,当初前提としていた風力発電機は予算や納期の関係から導入が困難であると判断し,その結果本件風力発電機が導入されたため,出力曲線に差異が生じたなどと回答した(甲45,46)。
その後も,原告と被告大学との間では,被告大学の責任の明確化等について書面でやりとりがなされたが,被告大学は自己の責任を否定したため,原告は,同年4月7日に本件訴訟を提起した(甲47ないし49,弁論の全趣旨)。
カ 環境省の担当者は,平成18年2月28日,原告に対し,早急に改善策を示すことなどを要求したところ,原告は,同年4月28日,被告大学から具体的な改善方策が提示されないため,抜本的かつ現実的な改善策を作成することは不可能であると報告した(乙63,64)。
同省は,同年7月10日,原告に対し,同省が実施した本件事業の検証結果(以下「環境省による検証結果」という。)を告知し,本件事業の具体的な改善策等を示すよう要求したものの,原告は,同年8月10日,改めて,本件事業の抜本的な改善策は採り得ないと報告した(乙65,66)。
同省は,原告の上記報告を受け,同年9月25日,平成16年度の本件事業に関する交付金1億8500万円の交付決定を取り消し,原告に対して同額の返還を命じた。これを受けて,原告は,同年10月13日,交付金全額を同省に返還した(甲66,弁論の全趣旨)。
キ 設置された23基の本件風力発電機の設置時から平成18年10月までの累積発電量と,当該期間の消費電力量を比較した場合,消費電力量が発電量を大幅に上回る結果となっている(甲67,弁論の全趣旨)。
2  当事者の主張の概要
(原告の主張の概要)
(1) 本件請求原因1―被告大学の債務不履行責任
ア 本件契約の成立
被告大学は,本件契約の締結過程において,契約締結に必要な内部手続を履践し,締結権限を有する代表者が本件契約書に記名押印したこと,被告大学には,原告に対し,不当と考える条項の修正を求める余裕が十分にあったこと,被告大学は,契約締結日をバックデートすることを事前に承諾していたこと及び後記4ないし8における(原告の主張)の経緯等からすれば,本件契約は,本件契約書の内容のとおり有効に成立した(具体的な委託業務の内容は,本件契約書添付の発注仕様書記載のとおりである。)。
本件契約が虚偽表示により無効であるとの被告らの主張は争う。
イ 被告大学の基本的な債務不履行
被告大学は,本件契約に基づき,平成16年度の本件事業に関し,①現地調査を踏まえて,風力発電機を設置した場合の発電量を予測及び評価する義務,②つくば市の風況を踏まえ効率的な発電を実現するため,設置場所を決定し又は決定に向けて適切な検討及び助言を行う義務,③実施計画書記載の目標発電量又は被告大学が算定した予測発電量を得るため,風力発電機の適切な仕様等を決定する義務,④本件委員会の評価に基づき,実際の導入機種の具体的な仕様等を検討する義務並びに⑤同年度に設置する20数基分の風力発電機の具体的な設計を行い,設計図書を提出する義務を負う。
しかしながら,被告大学及びその履行補助者である協和エクシオ等は,上記の各義務に違反し,本件風力発電機では本件報告書記載の発電量を得られないことを知り又は重大な過失により知らずに,本件風力発電機を対象とする本件設計図書を原告に提出し,年間18万1881kWhの発電量が得られる旨の本件報告書を原告に提出した。また,つくば市の風況等からすれば,風速2m/sから発電を開始する(即ちカットイン風速2m/sの性能を有する)風力発電機を設計すべき義務を負っていたにもかかわらず,これに反して風速4m/sから発電を開始する本件風力発電機の設計図書を原告に提出した。その結果,本件報告書記載の発電量の4分の1以下の発電量しか得られず,同年度の本件事業は社会通念上実現不能な状況に陥った。
原告は,被告大学の当該各行為によって,本件風力発電機によって本件報告書記載の予測発電量が得られると誤信し,同年度の本件事業に関する工事代金を支出したものであり,当該各行為は本件契約上の債務不履行を構成する。
ウ 消費電力の説明義務違反
被告大学は,本件契約に基づく委託業務であるエネルギー取得量の評価ないし経済性の検討において,原告に対して,消費電力(待機電力)の存在を説明すべき義務があったというべきである。しかるに,被告大学は,本件風力発電機の発電量が消費電力を大幅に下回っているにもかかわらず,原告に対し,本件風力発電機の消費電力について設置工事が完了するまで説明せず,また,被告大学が提出した甲10の結果表及び本件報告書等においても消費電力の存在を考慮しなかった。
被告大学の重大な過失に基づく当該説明義務違反により,原告は,同表及び本件報告書等記載の予測発電量を得られると誤信したものであり,当該行為は,前記の説明義務違反として,本件契約上の債務不履行を構成する。
エ NEDOの全国風況マップに基づくシミュレーションと,実際の風況に差異があることに関する説明義務違反
被告大学が提出した甲10の結果表記載の同マップに基づくシミュレーション値は,実際の風況と大きく異なっていたところ,風力発電の専門家であり,当該シミュレーションを行うことを提案した被告大学のGは,このような大きな相違があり得るとの専門的な経験則についての調査義務及び説明義務を負っていた。しかしながら,Gは,そのような調査を怠り,また,原告に当該相違があり得ることについての説明を怠った。
当該行為は,委託業務であるエネルギー取得量の評価に関する調査及び説明義務違反として,本件契約上の債務不履行を構成する。
(2) 本件請求原因2―被告大学の契約締結上の過失に基づく不法行為責任
ア 原告と被告大学は,平成16年度の本件事業の実現に向け協議を行い,その過程で被告大学が甲10の結果表等を提出するなど,遅くとも平成16年8月24日までには本件契約の締結に向けて信義則の支配する契約締結準備段階にあった。
被告大学は,契約締結準備段階にある一方当事者及び風力発電機に関する専門的知見を有する者として,特定の風況の下での特定の仕様の風力発電機による発電量に関し,正確な情報を提供すべき信義則上の注意義務を負っていた。しかしながら,被告大学は,当該義務に反して,原告に対し,別紙3のとおり年間18万0111kWhもの発電量が得られる旨の甲10の結果表を提出した。このため,原告は,本件風力発電機で同表記載の発電量が得られるものと誤信し,同年度の本件事業に関し工事代金相当額を支出したものであり,被告大学の当該行為は不法行為を構成する。
イ 前記(1)ウの被告大学が消費電力に関する情報提供を怠った行為は,発電量に関する情報提供義務違反として,不法行為を構成する。
ウ 前記(1)エの被告大学がNEDOの全国風況マップに基づくシミュレーション値と実際の風況が大きく異なり得ることに関する情報提供を怠った行為は,風況の予測に関する情報提供義務違反として,不法行為を構成する。
(3) 本件請求原因3―被告らの本件保証に基づく責任
ア 被告大学及び被告会社は,平成17年12月27日,原告に対し,本件報告書(甲32)で明記した年間予測発電量を達成し,平成16年度事業の実現を保証するとの本件保証をした。
イ しかるに,被告らは本件保証義務に反し,原告からの度重なる改善策の提示及びその実行の要請に対して,何ら具体的な提案及び対応をしないので,被告らは本件保証義務の履行を放棄したものであるから,被告らには本件保証義務の不履行により,原告に生じた損害を賠償する義務がある。
(被告らの主張の概要)
(1) 原告が,被告大学に対して本件事業についての全面的協力を求めたことを前提として,上記主張をするのに対し,被告らは,大要,次のように主張して,原告主張の前提及び各請求原因を争っている。
ア 原告は,従前実施された風況調査において否定的な結論が出されるなどしたことから,本件事業の実現が不可能であることを認識していたにもかからわず,環境省に対して本件事業を申請した。
イ 被告大学のGは,原告から,環境省に申請中の本件事業が採用された際の環境教育への協力を依頼されたため,この申出について応諾したにすぎず,原告から本件事業の具体的内容を聞かされてもいないし,本件事業への全面的協力を求められたわけでもない。
ウ 被告大学のGは,原告から,環境省から本件事業に関して設備利用率20%の根拠を求められて困っていると相談があったので,原告に対して,その設備利用率の実現は不可能である旨説明した上で,原告の指定する定格出力10kWhの風力発電機という条件の下で最大限の設備利用率(発電量)を試算することにした。その際,原告からは本件事業の具体的な実施計画を知らされていなかったし,風力発電機についてのカットイン風速や受風面積の前提条件などについての説明はなかった。被告大学はその試算の結果として甲10の結果表を提出した。一方で,原告は,Gが行ったその試算と無関係に本件事業における風力発電機の機種を決定済みであったから,原告は実際に設計,設置された本件風力発電機によっては,甲10の結果表記載の発電量を実現できないことを当然に承知していた。
エ 本件契約は,後記(2)及び(3)のとおり,契約書記載のような内容で成立していない。仮に成立したとしても,虚偽表示として無効である。
オ 本件保証の趣旨は,本件風力発電機の不具合に対して,被告らが誠実に対処することを保証したものにすぎず,予測発電量や本件事業の実現を保証したものではない。
(2) 本件契約書の記載内容は認めるが,本件契約が有効に成立したことは否認し,被告大学の債務不履行ないし契約締結上の過失に関する原告の主張はいずれも争う。
ア 本件契約の不成立
本件契約書は,本来,協和エクシオと原告との間で締結されるべきものであるが,競争入札を避けて随意契約で業務を委託し,契約が成立したことを外形上整える必要があるとの原告の要請に応じ,被告大学との間で形式的に作成されたものにすぎない。
このことは,①被告大学のGは,本件契約書の条項について,原告から説明を受けておらず,了承したこともないこと,②原告のCは,平成16年9月16日の協議で,設計業務を民間会社に委託すると競争入札が必要となり,同年度の本件事業に間に合わなくなるため,形だけでも被告大学が受託してほしいと懇請し,同年10月19日の協議で,Gとの間で,実際の設計業務は協和エクシオが行うことで合意したこと,③本件契約書添付の発注仕様書記載の委託内容には,実際には行なうことが合意されてない項目が含まれていること,④本件契約書がバックデート処理されていること及び⑤原告は,Gらに対し,本件事業の実施計画書を開示したことも,具体的な目標発電量を告げたこともないこと等から明らかである。
イ 原告と被告大学間の合意内容及びその履行
原告と被告大学のG及び協和エクシオが合意した内容は,①Gが,小中学校への風力発電機の設置に伴い,環境教育に協力すること(平成16年8月6日の協議),②Gが,協和エクシオに対し,NEDOの全国風況マップを基に,発電量を可能な限り多く得るため受風面積の大きな風力発電機を想定して,つくば市内の全小中学校に定格出力10kWの風力発電機を90基設置した場合の発電量を試算させること(同年8月24日の協議)及び③協和エクシオが,原告が指定した本件風力発電機に関し,同年度の本件事業に必要な数の設計図書を作成すること(同年10月19日の協議)のみである。そして,被告大学は,上記の各事項をいずれも瑕疵なく履行した。
ウ 消費電力に関する説明義務ないし情報提供義務について
被告大学のGは,本件事業の目的は環境教育であると説明されていたこと,環境教育目的の事業では通常消費電力は考慮しないこと及びGと原告の担当者との間では,本件事業の経済性等は検討対象とされていなかったことからすれば,Gらは,消費電力に関する説明義務ないし情報提供義務を負わない。
エ NEDOの全国風況マップに基づくシミュレーションと,実際の風況に差異があることに関する説明義務ないし情報提供義務について
仮に,発電やCO2の排出削減が本件事業の重要な目的であるならば,事業主体である原告が,実測値とシミュレーション値との乖離を検討すべきであること,実測値とシミュレーション値が異なり得ることは当然であって専門的な経験則ではないこと及び原告は,被告大学のGに対し,つくば市の平野部の平均風速を知らせなかったこと等からすれば,Gらは,原告が主張するような説明義務ないし情報提供義務を負わない。
(3) 本件契約の無効
仮に,本件契約の成立が認められたとしても,前記(2)アの事情に加え,原告の担当者は,平成16年10月15日,協和エクシオのHに対し,委託業務に関して,設計を前面に出すと色々と不都合なことが生じると伝えたこと及び原告のEは,同年11月5日,被告大学のGに対し,事務手続上提出が必要な書類は原告側で作成するので,押印して返送してほしいと伝えたこと等からすれば,本件契約書の記載内容は原告及び被告大学の真意に反し,本件契約は虚偽表示により全部無効である。
3  争点
前記2の当事者の主張の概要からすれば,本件の基本的な争点は,(1)本件契約の成否及びその有効性並びに被告大学の契約締結上の過失の有無(本件請求原因1及び2),(2)被告らの本件保証における保証の対象(本件請求原因3),及び(3)原告の損害額及び原告の過失相殺の3点にあるといえる。そして,本件訴訟における争点整理の結果を踏まえると,争点(1)を推認させる事実に関する具体的争点として,次のアないしオに集約することができる。
なお,平成20年4月1日,本件風力発電機のうちの1基が破損する事故が発生したが,原告は,本件訴訟においては,同事故を契機とする本件風力発電機の安全性に関する被告らの債務不履行責任ないし不法行為責任は主張しない旨を明らかにした。
(1)  本件契約の成否及びその有効性並びに被告大学の契約締結上の過失の有無(本件請求原因1及び2)
ア 原告の担当者は,本件事業以前に原告が関与した風況調査,東京電力による調査及びNPO法人の指摘等によって,つくば市内の風況が悪いことから,本件事業の実現が不可能であることを知っていたか。
イ 原告は,本件事業で導入する風力発電機について,風速約2m/sから発電する性能を有することを前提条件としていたか。また,被告大学のGは,原告の当該認識を知り又は知り得たか。
ウ 平成16年8月6日及び同月24日の協議内容において,原告の担当者は,被告大学のGらに対し,本件事業の具体的な内容を伝えたか。また,協議の際,原告が被告大学に対してした依頼内容は,本件事業に対する協力のうち,定格出力10kWの風力発電機で可能な限り大きな設備利用率(発電量)を試算すること及び環境教育に協力することに限られていたか。
エ 原告の担当者は,被告らに対し,甲10の結果表と無関係に,原告が既に導入を決定していた本件風力発電機を設計するよう指示したか。原告の担当者は,同表で前提とされた風力発電機と本件発電機が異なること,NEDOの全国風況マップに基づくシミュレーション値と実際の風況が異なること及び本件風力発電機を同表記載の小中学校に設置しても,同表記載の発電量は実現できないことを認識していたか。
オ 原告は,本件委員会の委員に対し,本件事業の内容を説明したか。説明されなかったとした場合,それによって,被告大学の債務不履行ないし不法行為と,原告の損害との間の因果関係に影響があるか。
(2)  被告らの本件保証における保証の対象(本件請求原因3)
(3)  原告の損害額及び原告の過失相殺
4  争点(1)ア(原告が,事前調査等により,本件事業が実現不可能であることを認識していたか)についての当事者の主張
(被告らの主張)
原告が従前実施したつくば市内や筑波山山麓での風況調査や,東京電力による風況及び本件事業の経済性の調査において,市内平野部の風況や風力発電事業の経済性に関して否定的な指摘がなされていたこと及びつくば市のNPO法人が,市内の風況が風力発電に適さないとして,本件事業の再検討を要望していたこと等からすれば,原告の担当者は,市内平野部の風況が風力発電事業に適していないため,本件事業が実現不可能であることを認識していた。
しかしながら,原告のFは,平成16年11月14日の市長選挙に備え,本件事業を推進し,交付金事業で創出される公共事業を地元の建設業者に割り当てることを意図していた。原告の担当者は,上記のとおり本件事業が実現不可能であると認識していたものの,Fの指示により無理を承知で本件事業を実施しなければならず,そのために本件事業の詳細やつくば市の風況等を知らない被告大学のGらが作成した資料を利用した。以上の事実は,原告の担当者がGに本件事業の具体的内容を説明せず,つくば市の平均風速や,乙4及び5の報告書並びに東京電力作成の甲9及び68の報告書を開示しなかったこと等から明らかである。
(原告の主張)
被告らの主張を否認する。原告は,被告大学が行った風況シミュレーションを含む専門的助言を踏まえ,当初の事業計画を,被告大学が想定した風力発電機及び発電量を前提とする計画に修正した。したがって,従前の原告による調査等は,被告大学の責任を否定する理由とはならない。
5  争点(1)イ(原告は,本件事業において風速2m/sから発電することを前提としていたか)についての当事者の主張
(原告の主張)
原告は,つくば市の年間平均風速が2.4m/sであることから,平成16年8月以前から,本件事業で導入する風力発電機については風速約2m/sから発電する性能を有することを前提条件としていたところ,乙9のパンフレットや被告会社のホームページの内容,GのHybridWingsに関する説明及び本件報告書の記載等から,本件風力発電機は風速2m/sから発電する性能を有する(すなわちカットイン風速2m/sである)と信じていた。そして,原告の担当者は,当該認識を被告大学に伝えたにもかかわらず,被告らは,本件風力発電機のカットイン風速について,何ら説明を行わないまま本件風力発電機を設計した。
仮に,カットイン風速の正確な意味が原告の認識(発電開始風速)と異なるとしても,被告らは,カットイン風速の正確な意味及び発電開始風速の設定が変更可能であること等について事前に説明をしなかった。
(被告らの主張)
(1) 協和エクシオが平成16年9月16日から同年10月19日までに原告に提出した各小中学校における発電量計算書(乙11,以下「乙11の計算書」という。)では,カットイン風速が3m/sとされていること及び本件設計図書の仕様一覧には,カットイン風速3m/sとの記載があること等からすれば,原告と被告大学との間で,導入する風力発電機についてカットイン風速2m/sの性能を有することが前提条件とされたことはない。
(2) カットイン風速とは,発電開始風速を意味するものではなく,風力発電機が生む利用可能な動力が得られるハブ高さ(ダリウスローターの直径の最も大きい箇所)における最小の風速を意味する。原告は,導入機種はカットイン風速2m/sの性能を有することを条件とする旨を被告大学のGないし協和エクシオに伝えなかった以上,被告らは,カットイン風速の正確な意味等を説明する義務を負わない(なお,本件風力発電機は,実際に風速2m/sから発電する性能を有している。)。また,原告が主張する発電開始風速は,設置場所の風況に応じて設定するものであって,風況観測をしていない段階で指摘することは困難である。
6  争点(1)ウ(原告と被告大学との間の平成16年8月の協議内容)についての当事者の主張
(原告の主張)
(1) 平成16年8月6日の協議内容
原告の担当者は,同年6月,被告大学のGに対し,本件事業の内容及びつくば市の平均風速(2.4m/s)を伝えていた。原告のCは,同年8月6日の協議の際,まちモデル事業及び本件事業を概説した資料(甲56)をGに交付し,本件事業の採択に至る経緯や具体的な事業計画を説明して本件事業への協力を打診した。また,Cは,つくば市の平均風速を伝えた上で,風速2m/sから始動するという乙9のパンフレット記載のHybridWingsの性能をGに確認した。Gは,NEDOの全国風況マップを用いて,市内の各小中学校の風況及び発電量を調査し,設置基数及び設置場所等の提案を同月23日を目処に行うことを申し出た。
(2) 平成16年8月24日の協議内容
被告大学側は,同協議の際,甲10の結果表のほか,設置場所や設置基数等を併記した市内53の小中学校の写真,屋上設置例及び地上設置例と題するHybridWingsの図面並びに地上30mのつくば市の風況を示したメッシュ図等の資料一式を原告に提出した(以下,甲10の結果表を含むこれらの資料一式を「甲10の資料」という。)。そして,被告大学側は,市内53の小中学校に定格出力10kWの風力発電機を90基設置すれば,同表記載の発電量が得られると述べ,設置費用及び工事期間等の具体的な提案を行った。そこで,原告は,カットイン風速が2m/sとの前提条件を満たす定格出力10kWのHybridWingsを有力候補と位置付け,被告大学と業務委託契約を締結すべく検討を開始した。
(3) 被告らの主張について
平成16年8月6日及び同月24日の協議内容に関する被告らの主張を否認する。なお,被告らは,甲10の結果表等は受風面積の大きな風力発電機を前提としたものであると主張するが,同表は本件風力発電機を前提としたものである。
(被告らの主張)
(1) 平成16年8月6日の協議内容
被告大学のGは,同協議では,原告の担当者から,定格出力10kWの風力発電機を市内の小中学校に設置する計画に関連して,環境教育への協力を要請されただけである。Gは,余剰電力が生じた場合に地域通貨を発行することは聞いたが,地域経済の活性化が本件事業の目的であることや,発電量ないしCO2の排出削減量の位置付けは聞かされていないし,つくば市の年間平均風速も聞かされていない。
(2) 平成16年8月24日の協議内容
ア 原告のCは,実施計画書で設備利用率を20%としたことの根拠を説明するよう環境省から求められて困っており,同協議で,被告大学のGに対し根拠資料の作成を依頼した。Gは,発電量の予測には最低1年間の風況調査が必要であり,市内の学校に風力発電機を設置しても20%の設備利用率の達成は無理であると説明したが,原告の担当者らが懇請したため,①NEDOの全国風況マップを用いて風況をシミュレーションすること,②受風面積の大きな風力発電機で試算すること,③風力発電機の定格出力は10kWとすること及び④市内の全小中学校に風力発電機を90基設置する等の条件で,可能な限り大きな発電量(設備利用率)の試算を協和エクシオに行わせることを合意した。
イ 被告大学が,同協議で,原告の担当者に甲10の資料を交付したとの原告の主張を否認する。同協議では,協和エクシオのHが,同資料のうち屋上設置例及び地上設置例と題する図面のみを交付した。
(3) 甲10の資料等の作成時期について
協和エクシオは,前記(2)アの合意に基づいて乙11の計算書を作成し,これを基に甲10の結果表を作成した。したがって,同表及び同計算書は,受風面積の大きな風力発電機を前提としており,本件風力発電機を前提としたものではない。なお,協和エクシオは,平成16年9月16日の協議までに同表を,同年9月16日から同年10月19日までの間に同計算書を,原告に提出した。
7  争点(1)エ(甲10で想定された風力発電機と本件風力発電機との相違についての原告の認識)についての当事者の主張
(被告らの主張)
(1) 原告の風力発電機に関する認識及び設計指示
原告のCらは,平成16年10月19日の協議で,協和エクシオに本件風力発電機の設計業務を依頼した。協和エクシオのHは,甲10の結果表が前提とする風力発電機は特殊仕様であり,本件風力発電機では同表記載の発電量は実現できないと説明したが,Cらは,予算や工事期間の制限から,本件風力発電機を導入機種とすることは既に決定済みであるとして,本件風力発電機の設計を指示した。
以上のとおり,原告の担当者は,同表が前提とする風力発電機は本件風力発電機ではなく,本件風力発電機では同表記載の発電量を実現できないことを認識していたにもかかわらず,同表記載の発電量が実現可能であるかのように装って環境省に本件事業を申請し,本件事業を強行した。なお,風力発電機の設置場所も,原告が自ら決定したものであり,原告は,Hによる風力発電機を屋上に設置すべきであるとの助言や,設置場所の変更の申出を無視した。
(2) 原告の風況に関する認識等
原告は,従前の調査結果や東京電力作成の甲9及び68の報告書等から,甲10の結果表のシミュレーション結果が,実際の風況よりも格段に良いことを知っていたが,同表が自己に都合の良い結果であったことを奇貨とし,平成16年8月31日に同表を利用して環境省の担当者から事業計画を下方修正することの了承を得た。一方,被告大学のGは,上記の調査結果等を開示されなかったため,実際の風況が当該シミュレーションを大幅に下回るとは予測し得ず,また,原告が同表をどのように用いるのかも知り得なかった。
(3) 本件報告書及び甲38の出力曲線等の提出経緯
ア 原告のCは,平成16年10月19日の協議で,委託業務に関する報告書は,既に提出済みの乙11の計算書や甲10の資料をそのまま綴じて提出すればよいので,実際に設置する本件風力発電機の発電量の計算はしなくてよいと指示した。そのため,被告大学が平成17年3月ないし4月ころ提出した差替え前の本件報告書には,受風面積の大きな風力発電機を前提とした乙11の計算書と同様の計算書(カットイン風速は3m/sで計算されている。)が含まれていた。また,被告会社のBは,同年9月13日,Cらに対し,本件風力発電機の出力曲線(カットイン風速3m/sのもの)を提出していた。
イ その後,原告のCは,同年11月17日,市民団体による情報公開請求に対応するため,被告大学のGに対し,カットイン風速を2m/sとした計算書及び出力曲線を出し直してほしいと要請した。これを受けて,協和エクシオは,カットイン風速を2m/sで計算した各小中学校の発電量計算書(乙12,以下「乙12の計算書」という。)を提出した。原告は,同計算書から,本作風力発電機が設置された学校(ただし,一部を除く。)の路上に関する計算書のみを抜き出し,従前の本件報告書の当該部分と差し替えた。したがって,本件報告書中の発電量計算書も,受風面積の大きな風力発電機を前提としたものである。また,被告会社も,同月22日までに甲38の出力曲線等を提出した。
乙11及び12の計算書記載の出力曲線と,同年9月に提出された出力曲線や甲38の出力曲線等が,定格風速や発電量において異なっているにもかかわらず原告がその旨を指摘しなかったのは,原告の担当者が,発電量の試算時に前提とされた風力発電機と実際に設置された本件風力発電機が異なることを承知していたからである。
(原告の主張)
(1) 原告の風力発電機に関する認識等
ア 原告は,乙9のパンフレット等に記載されたHybridWingsの機種の他に,受風面積の大きな風力発電機が存在するなどとは知らなかったため,甲10の結果表は同パンフレット記載のHW-10B(本件風力発電機)を前提としており,本件風力発電機で同表記載の発電量を得られるものと認識した。その後,被告大学は,本件報告書を提出することで,ダリウスローターの直径が5500mmのHW-10B(本件風力発電機)が,カットイン風速2m/sの性能を有しており,同表記載の発電量とほぼ同様の発電量を生むことを改めて明示した。
原告は,平成18年1月まで,同表や本件報告書中の発電量計算書が,本件風力発電機とは異なる受風面積の大きな風力発電機を前提としていること,定格出力10kWのHybridWingsにダリウスローターの直径が15mの機種が存在すること及び本件風力発電機では当該発電量を得ることができないことを知らなかった。
イ 原告の担当者が,既に導入機種は決まっているとして強引に本件風力発電機の設計を指示したとする被告らの主張及び原告が被告らの助言を無視して風力発電機の設置場所を独断で決定したとする被告らの主張をいずれも否認する。
(2) 原告の風況に関する認識
原告は,専門家である被告大学のGが,NEDOの全国風況マップによるシミュレーションに基づき本件事業を進めても問題がないと明言したために,風況調査を行わなかったのであって,原告は,甲10の結果表記載のシミュレーション値とほぼ同様の風況が実際に得られるものと認識していた。
(3) 本件報告書の差替えの経緯
原告のCが,平成17年11月中旬,被告大学のGに対し,本件報告書中の発電量計算書でカットイン風速が3m/sとされていることについて確認したところ,Gは,同月25日,当該記載は間違いであったとして,カットイン風速を2m/sとした発電量計算書を原告のEに交付した。
8  争点(1)オ(本件委員会における原告の説明内容とその本件事業への影響)についての当事者の主張
(被告らの主張)
本件委員会の役割(本件事業に導入する風力発電機の機種選定)に照らせば,原告の担当者は,委員に対し,年間発電量や設備利用率を含む本件事業の具体的内容を説明すべきであり,当該説明がなされていれば,風力発電の専門家の委員によって,発電量等の目標の達成が不可能であること及び発電量の試算で前提とされていた風力発電機と選定した本件発電機が異なることが判明し,本件風力発電機が選定されることはなかった。
しかしながら,原告の担当者は,従前から導入機種を本件風力発電機と決定済みであり,本件委員会を形骸化させて上記の各事実を隠蔽するため,委員に対し,本件事業の目的は環境教育であるとの虚偽の事実を述べる一方,発電量やCO2の排出削減量等の具体的な目標値を伝えず,本件風力発電機による当該目標値の達成可能性を検討し得る資料を開示しなかった。本件委員会は,原告の担当者のこのような異常な行為のため,必要な検討を行わないまま本件風力発電機を選定したものであるから,仮に被告大学に債務不履行ないし不法行為があったとしても,これと原告の損害との間には因果関係が認められない。
(原告の主張)
本件委員会は市長の私的な諮問機関であり,本件委員会の決定は法的拘束力を有するものではないこと及び本件委員会は教育関係者を中心に構成され,専ら小中学校に風力発電機を設置した場合の安全性の検討を目的としていたことからすれば,原告は,本件委員会において,被告大学の本件契約の履行結果に関して専門的な検討を行う義務を負わず,本件委員会がそのような専門的な検討を行っていなかったとしても,そのことで被告大学の債務不履行ないし不法行為と損害との相当因果関係が切断されることにはならない。
なお,原告の担当者は,委員に対し,本件事業における予測発電量やCO2の排出削減量の目標値及び本件事業は実績報告が必要であり,安定した発電量の確保が必要不可欠であること等を説明していた。
9  争点(2)(被告らの本件保証における保証の対象)についての当事者の主張
(原告の主張)
平成17年12月27日の協議では,最初に異常停止,異音及び消費電力の問題が検討され,その後,原告のFら,被告大学のG及び被告会社のBが,別室で,本件事業の基本計画全体に関する問題を協議し,G及びBは,自らの意思に基づき本件保証書を作成した。被告らは,本件保証に基づき,原告に対し,本件風力発電機の不具合を改善したり改良するなどして,本件報告書等記載の予測発電量を達成し,平成16年度の本件度事業を実現する義務を負った。
しかしながら,被告らは,何ら具体的な提案等を行わずに当該義務の履行を放棄し,その結果,同年度の本件事業は社会通念上履行不能となった。したがって,被告らは,当該義務の不履行により,原告の被った損害(平成16年度の本件事業の実施のため支出した工事代金相当額)を賠償する義務を負う。
なお,甲41のメールは,予測発電量の試算とこれを達成するための風力発電機の設計を行った被告大学が,予測発電量を実現する責任を認めたものであり,甲42のメールは,Gが,本件風力発電機の実際の発電性能では予測発電量の実現が困難であることを自認し,原告に謝罪したものである。
(被告らの主張)
原告の主張を否認ないし争う。平成17年12月27日の協議は,本件風力発電機の不具合の対応策に関する協議であり,原告の担当者が,予測発電量や本件事業の実現の保証を求めたことはない。本件保証は,被告大学のG及び被告会社が,本件風力発電機の不具合に対し誠実に対処することを保証をしたものにすぎず,その後,被告会社が,騒音対策及び制御盤の設定変更の措置等を採ったことで,本件風力発電機の不具合の問題は解消された。
なお,甲41のメールは,Gが本件事業全体について責任を負うとの趣旨ではなく,甲42のメールも,Gが,被告会社が短期間で23基もの風力発電機の製造を余儀なくされ,理論上予想できなかった不具合が生じたこと及び原告の注文があまりに多く,自分にはこれ以上被告会社と原告との調整役を務めるのは荷が重いと感じたことを表現したものにすぎない。
10  争点(3)(原告の損害額及び原告の過失相殺)についての当事者の主張
(原告の主張)
(1) 被告大学は,本件契約の債務不履行及び契約締結上の過失に基づく不法行為に基づき,原告が平成16年度の交付金事業に関して支出した工事代金2億9860万9500円を賠償すべき義務を負う。
また,被告らは,本件保証による義務の不履行に基づき,連帯して,同額を賠償すべき義務を負う(本件保証による義務は,被告らが全部給付義務を負い,かつ,当該義務は性質上不可分ではないので,連帯債務関係にある。)。
(2) 原告の担当者らは,一般論として風力発電事業では風況が問題となることを認識していたものの,風力発電の専門家である被告大学のGらの説明や,甲10の結果表等の資料を信じ,風況の問題は解決したものと理解して本件事業を遂行したものであるから,原告が風況調査を行わなかったことは過失相殺の評価根拠事実とならない。また,乙4及び5の報告書における調査は,本件事業とは異なり,大型風力発電機で採算性の高い事業を行うことを念頭に行われたものであること,風況調査を行った場所も本件事業の風力発電機の設置場所とは重複しないこと並びに甲9及び甲68の報告書は,3地点の風況をシミュレーションしたものにすぎないことからすれば,当該各資料等の存在は過失相殺の評価根拠事実とならない。
(被告らの主張)
原告の主張を争う。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
証拠(甲3,4,6,7,9ないし12,14の1ないし17,22,24,25の1,2,26の3,4,27の1ないし29の4,30の4,37,50,56ないし63,69,71,77ないし85,89,90,乙1の1,1の4,1の7,1の11,1の13,3ないし5,8,11ないし13,15ないし22,35,36,41の1,2,42ないし48,56,58の1,2,60ないし62,65,66,68,78,79,83ないし88,90ないし92,94,96,97の3,98の3,103ないし106,114,117,証人F,同C,同G,同J)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,以下の記述には,前記争点(1)イないしエについての判断も含まれている。)。
(1)  風力発電に関する従前の原告の認識等
ア 原告は,前記争いのない事実等(2)イのとおり,平成13年12月に乙4の報告書を作成したが,その要旨は以下のとおりである。
(ア) 同報告書は,原告が,筑波山での風力発電の可能性を評価したものであり,原告のEは共同研究に関する担当者であったが,実際の調査は民間の会社に委託された。平成12年から1年間の風況調査が行われた筑波山六所平駐車場の標高は357m,観測高は地上30mと20mであり,調査期間中の年間平均風速は,地上高30mで5.3m/s,地上高20mで4.5m/sであった。
(イ) 仕様が異なる3つの風力発電機(定格出力はそれぞれ150kW,350kW及び750kW)の年間発電量を算出したところ,それぞれ約194万kWh,約483万kWh及び約1186万kWhであり,設備利用率はそれぞれ14.7%,18.4%及び18.0%であった。
イ 原告は,その後も地元の大学等と連携して平成15年12月まで筑波山六所平で風況調査を実施したが,当該調査に関与した研究者らは,平成16年12月,調査結果をまとめて発表した(以下「乙3の調査」という。)。同調査結果には,以下の趣旨の記載がある。また,原告のCは,同調査に協力した。
(ア) 調査方法は,基本的に乙4の報告書の調査と同様であるところ,観測期間中の地上高30mでの平均風速は5.31m/sであり,NEDO等の基準を満たすもので風力発電に適しているといえる。
(イ) 筑波山六所平で定格出力750kWの風力発電機を設置した場合,年間1742万kWhの発電が期待でき,筑波山での風力発電は可能といえる。
ウ 原告が,平成14年2月に作成した「つくば市地域新エネルギービジョン―概要版―」(乙1の13)には,今後の風力発電の実施可能性に関し,以下の趣旨の記載がある。なお,原告のEは,同ビジョンの策定業務に関与した。
(ア) 市内の風力エネルギー自体は大きく,十分な風力が得られる地点も存するが,分散化しているため風力発電が可能な地点は絞り込まれる。実施した風況調査を踏まえ,活用可能な風が吹く筑波山周辺部で,風力発電機の設置及び売電を基本方針とする事業を検討し,平成17年度ないし平成22年度に建設を開始する計画とする。また,平成15年度以降,小型風力発電機を教育用に小中学校に設置する計画とするが,発電量は非常に小さいため導入目標量には算入しない。
(イ) 750kW級の風力発電機を3基導入することで,既に導入済みのものと併せて年間発電量360万kWh,年間のCO2の排出削減量370トンを目標とする。
エ 原告が平成15年2月に作成した乙5の報告書には,以下の趣旨の記載がある。
(ア) 従前の風況調査等によれば,実用的な発電が可能な地域は,つくば市北東部の筑波山周辺から宝鏡山にかけての山間地域と考えられる。当該地域では,定格出力300kW以上の風力発電機の設置が望ましく,候補地である宝鏡山付近では600kW程度の風力発電機の設置が望ましい。その他の地域では,小型風力発電機による発電を検討することが適切であり,小中学校等の公共性の高い地域で,自然エネルギーのPR効果が高い地点,又は,環境教育に活用できる地点などが有力である。
(イ) 風力発電は,発電量が立地の風況に大きく左右されるため,建設地点の選定が重要である。平成12年の時点で導入されている風力発電機は,400kWないし1000kW程度の出力を有するものが多い。一方,小型風力発電機は,一般家庭用,街頭照明及び啓発施設として活用されており,発電による経済効果及び地域のシンボルとしての地域振興への貢献等が期待できる。
(ウ) 宝鏡山山頂付近,筑波総合体育館及び北条地域で,26日間ないし52日間の補足調査を実施したところ,当該各地点の調査期間中の平均風速(地上高20m)は,それぞれ4.3m/s,1.9m/s及び2.2m/sであった。また,仕様が異なる3つの風力発電機(定格出力はそれぞれ150kW,350kW及び750kW)の1か月当たりの発電量は,宝鏡山山頂付近ではそれぞれ1万2950kWh,3万2635kWh及び7万9181kWh,筑波総合体育館ではそれぞれ1368kWh,4075kWh及び1万0823kWh,北条地域ではそれぞれ3107kWh,7492kWh及び1万9091kWhと算出された。当該各機種の設備利用率は,宝鏡山山頂付近ではそれぞれ12.0%,15.1%及び14.7%,筑波総合体育館ではそれぞれ1.3%,1.9%及び2.0%,北条地域については2.9%,3.5%及び3.5%であった。
筑波総合体育館及び北条地域の平均風速は2m/s程度であったが,小型風力発電機のカットイン風速が2m/s程度であること等からすれば,小型風力発電機を導入すれば稼働率は30%程度は得られると考えられ,太陽光発電を併せて導入することにより,安定的なエネルギーが得られる。
オ NEDOは,「風力発電導入ガイドブック」(以下「NEDOのガイドブック」という。乙8)を作成しており,同ガイドブックにおいて,風力発電事業者等が風力発電の導入を検討する際に必要な事項を取りまとめている(ただし,同ガイドブックは,比較的大型の風力発電機による系統連携システムを扱ったものである。)。同ガイドブック(第4版(平成12年3月))には,以下の趣旨の記載がある。
(ア) 風力エネルギーは,受風面積に比例し,風速の3乗に比例するので,その活用には少しでも風の強い場所を選ぶ必要がある。NEDOの全国風況マップを用いることで,風力発電の有望地域の選定が可能であるが,同マップは一つの目安として活用すべきであり,風力発電機の建設地点の決定に際しては,地理的条件等を検討し,抽出した地域で詳細な風況調査を実施する必要がある。
(イ) 風力発電システムは,一定風速以上になると発電を開始し,出力が発電機の定格出力に達する風速以上では出力制御を行い,さらに風速が大きくなると危険防止のためローターの回転を止めて発電を停止する。これらの各風速をカットイン風速,定格風速,カットアウト風速と呼ぶ。
風力発電システムの設置の態様には,単体設置と集合設置があり,前者は既存の電力と併用して自家消費用として利用され,地域におけるクリーンエネルギーのシンボルとして活用されている。後者は,安定した発電量を得るための設置形式であり,国内では,230kWないし1000kWの大規模風力発電機が設置された事例がある。
(ウ) 風力発電の導入に際しては,①立地調査,②風況精査,③基本設計,④実施設計,⑤関係機関等手続,⑥建設工事及び⑦運転・保守の流れで検討を進める。
①では,NEDOの全国風況マップで年間平均風速5m/s以上,気象庁のデータでは4m/s以上の地域を有望地域として抽出し,近傍の風況データを収集する。目安としては,月間平均風速が5m/s以上の月が4か月ないし5か月以上あり,風力発電機の設備利用率が20%前後を上回ってれば,ほぼ良好といえる。
②では,設置候補地点の実際の風況観測を最低1年間実施する(近傍に信頼できる観測データがあるときは3か月程度でもよい。)。観測データに基づいて導入の可能性を評価するが,その際の目安としては,地上高30mでの平均風速が6m/s以上,年間設備利用率が17%以上であることが望ましい。
③では,風力発電機の設置地点の決定,規模の設定,機種の選定及び経済性の検討等を,④では,設置予定地の測量,風力発電機の設計及び工事計画の策定等を,⑤では,関係各法律に関する法的手続の履践及び電力会社との契約締結等を,⑥では,各種工事,試運転及び検査等を,⑦では,運転開始及び電気設備や風力発電機本体の点検等をそれぞれ行う。
カ つくば市民環境会議に設置された「グリーンファンド検討ワーキンググループ」が,平成16年4月にまとめた報告書(以下「乙1の11の報告書」という。)には,①地域の自然環境の特性等を考慮すれば,つくば市では,グリーンファンド(自然エネルギーを利用した発電所を市民が共同して作る取組)として太陽光発電と小型風力発電機を組み合わせて展開すべきであるが,事業全体の目的としては,収益性は期待せず啓発目的と割り切ることが必要である,②新エネルギー電源による売電事業の見込みは厳しく,コストの点で唯一可能性のある大型風力発電機についても,設置場所の調査等が必要であるとの趣旨の記載がある。なお,同報告書は,本件事業の実施計画書の参考資料として環境省に提出された。
(2)  原告がまちモデル事業のモデル地域に選定されるまでの経緯等
ア 原告のFは,平成10年ころから被告大学のGと面識を有していたところ,平成15年12月18日ころ,風力発電とは別の用務でGを訪問し,Gからその用務の関係で被告会社のBを紹介された。その際,Gが開発し,被告会社が取り扱っている小型風力発電機の話題となり,Fは,GないしBからその風力発電機に関する乙9のパンフレット(甲11と同一のもの)を受け取った。
イ 原告のFは,平成16年2月24日,CとDに対し,環境省のまちモデル事業の資料を示し,原告の新エネルギー施策として検討するよう指示した。その後,F,C及びDは,環境省を訪問して同事業の概要等の説明を受け,同事業への応募に取り組むこととした。Fは,Cに対し,従前から原告の新エネルギー施策に関与していたコンサルタント会社のKに,企画及び立案を依頼するよう指示した。
ウ 原告のCは,平成16年3月2日,Kに本件事業の内容を伝え,原案の作成を依頼した。
F,C,D及びKは,同月17日,Kが作成した本件事業の原案について協議した。同原案では,風力発電と太陽光発電を併用することも選択肢として含まれていた。また,Kとの協議の際,風力発電を実施するには,実際に風況を調査する必要があるとの話が出たことがあった。
エ 原告のC,D及びKは,本件事業の概要が固まったため,平成16年4月1日,環境省を訪問し,本件事業の概要等を伝えた。そして,Kは,同月9日,Cに対し,本件事業の実施計画書の案等をEメールで送信した。
原告が同月12日ころに同省に提出した実施計画書(同年5月に提出した修正版の前のもの)は,Kの上記の案を基に作成されたものであり,当該実施計画書に記載された風力発電機の設備利用率(20%)や売電収入(1800万円)も,Kの上記の案の数値をそのまま使用したものであった。
オ 原告のFは,平成16年4月14日に被告大学のGと会った際,Gから,被告会社製のHybridWingsはそよ風くらいからでも回るとの説明を受けた。
カ 本件事業は,平成16年4月28日にまちモデル事業の一次審査を通過したが,環境省は,原告に対し,CO2の排出削減目標の計算根拠を示すよう指示した。原告のF,C及びDは,同年5月17日に同省のヒアリングを受けたが,その際に原告が作成した資料には,本件事業の概要のほか,目標年間発電量(157万6800kWh)や目標年間売電収入(1813万円)の計算式が記載されていたが,これは,Kが従前原告に提出した資料を使用したものであった。また,同資料には,1000kW級以上の大型風力発電は立地上の制約があり,市民の日常生活との距離感が生ずるため,10kWないし20kW級の小型風力発電機を市内の小中学校に設置してこれを環境学習資源とするとともに,CO2の削減行動等の促進を計画している旨の記載がある。
原告は,ヒアリングで同省から指摘を受けた点を修正し,同月21日,改めて実施計画書を提出した。Cは,本件事業の計画作成に当たり,乙4及び5の報告書の存在を認識していたものの,調査期間が短期間であったこともあり,当該各報告書を検討しなかった。
キ 原告のCは,平成16年6月,本件事業の運営主体の中心として想定していたつくば市民環境会議の関係者に対し,本件事業の基本計画を示して協力を要請したが,同会議の関係者は,つくば市内の風況は風力発電に適さないこと等を指摘して再検討を要望した。
ク 前記争いのない事実等(3)オのとおり,環境省の担当者は,平成16年6月9日,原告に設備利用率20%の根拠を示すよう求めた。そこで,Dら原告の担当者は,Kと相談しつつ,根拠資料作成のため調査を行った。Dらは,気象庁のデータによれば,つくば市の平均風速が2.4m/sであったことから(なお,気象庁がつくば市に設置している風速計の高さは20.4mである。),当該風速でも運転可能な風力発電機を探したところ,インターネット上で被告会社製のHybridWingsを発見し,翌10日,甲6の文書を同省の担当者にファックス送信した。
Dらは,Fに上記の経緯を報告したところ,Dらが収集したHybridWingsの資料が,Fが以前被告大学のGを訪問した際に受領した乙9のパンフレットと同様のものであることが判明した。そこで,Fが,HybridWingsの性能を確認するため,Gに電話したところ,Gは,Fに対し,HybridWingsは風速2m/sから始動すること及び京都府に設置された定格出力10kWのHybridWingsは,風速1.7m/sでも始動し回転していること等を説明し,Fは,当該説明を同省に報告することについてGの了解を得た。
ケ 上記クの経緯を経て,原告のD及びFは,前記争いのない事実等(3)カのとおり,平成16年6月10日,乙9のパンフレットを環境省の担当者にファックス送信したが,Fらは,その際,Fが所持していた被告大学のGの名刺を同パンフレットに添付するとともに,送り状(甲7,以下「甲7の送り状」という。)も併せて送信した(なお,同省に対する情報開示請求において,同送り状は不存在とされたが,同送り状には,宛先として同省の担当者の氏名,ファックス番号,「至急扱いでお願い申し上げます」及び「先程お送りいたしました資料を補足するための資料をお送りいたします。」との記載があること並びにF及びCが甲7の送り状を送信した旨を証言していること等からすれば,上記のとおり同省に送信されたものと認めるのが相当である。)。
同送り状には,①Gらが開発したHybridWingsは,風速2m/sから始動する性能を有していること,②本日,Gから,京都に設置した10kW級のHybridWingsは,風速1.7m/sから始動している旨の確認を得たこと及び③筑波山中腹で1年間行った風況調査によれば,平均風速は5.3m/sであること等の記載がある。
これに対し,同省の担当者が,上記の③の根拠資料の提出を求めたため,Dは,同日ころ,同省の担当者に対し,乙4の報告書の相当部分(筑波山六所平駐車場の地上高30mの年間平均風速が5.3m/sである旨の記載部分)をファックス送信した(なお,当該行為をもって,原告の担当者が,本件事業とは関係のない好風況地点の風速を知らせることで,同省の担当者を欺こうとしたとは認めることはできない。)。
コ 環境省は,平成16年6月15日に原告をまちモデル事業の対象地域に決定したが,これ以後,原告に対し,設備利用率について問合せなどをしたことを認めるに足りる証拠はない。。
サ 原告のFは,平成16年6月23日に開催された会議の後,同席していた被告大学のGに対し,原告が,まちモデル事業の対象地域に決定したこと及び本件事業にHybridWingsの導入を予定していることを述べた。
(3)  東京電力に対する本件事業への協力依頼等
ア 原告の担当者は,平成16年6月15日,東京電力に本件事業への協力を要請した。東京電力の担当者は,当該要請を受諾し,同年7月,原告のF,C及びDらと打合せを行った。その後,原告は,同年8月2日,東京電力に対し,同社の関連会社に後記イの調査をさせることを依頼した。また,原告の担当者は,調査依頼に際し,東京電力にまちモデル事業及び本件事業の概要を記載した資料を交付していた。
イ 実施された調査は,①風速がそれぞれ4m/s強,4m/s弱及び2m/s程度と想定されていた,市内の3つの小学校における風況シミュレーション及び立地条件等の調査並びに②当該シミュレーション結果を基にした小型風力発電機の発電量の試算等及び本件事業の経済性の概略的な検討である。甲68の報告書及びその要約版である甲9の報告書には,以下の趣旨の記載がある)。
(ア) 上記①の調査について
各小学校における評価高を20mとして実施したシミュレーション結果は,それぞれ風速2.63m/s,2.74m/s及び2.40m/sであった(なお,評価高を10mとした場合,それぞれ2.15m/s,2.26m/s及び1.97m/sとなる。)。
(イ) 上記②の調査のうち発電量の試算等について
被告会社製のダリウス・サボニウス併結型と他社製の3枚翼プロペラ型(出力はそれぞれ10kW及び5kW)を各小学校に設置するものとして実施した(評価高は20m)結果,10kWの被告会社製のダリウス・サボニウス併結型の風力発電機の年間発電量は,それぞれ4982kWh,5660kWh及び4180kWhであり,年間売電収入(11.2円/kWhとする。)は,それぞれ5万5796円,6万3393円及び4万6819円であった。
(ウ) 上記②の調査のうち経済性の概略的検討について
風速シミュレーションを行った小学校のうち,2校についてはシミュレーション結果が予想を大きく下回ったことからすれば,評価高を20m以下とした場合,乙5の報告書中の地区別風況概要図において,風況が良好ないし中間的とされた地点の年間平均風速は約3m/s弱,風況が悪いとされた地点の年間平均風速は約2m/sと予想される。つくば市内の53の小中学校に被告会社の10kWのダリウス・サボニウス併結型風力発電機を設置した場合の年間発電量は24万8006kWh,年間売電収入は278万円である。結論及び今後の課題としては,①風力発電機は被告会社のダリウス・サボニウス併結型を導入すべきであるが,年間平均風速が1m/s台の低風速地帯では,太陽光発電設備も併設することが発電量及び売電収入を増加させるために効果的である,②小型風力発電機を設置する場合,ピンポイントで風況シミュレーションを実施し,詳細な風況を把握することが必要である,③出力が10kW程度の風力発電機の場合,発電量が学校の消費電力を上回る可能性は低く,学校内の電力系統に接続すれば全量が自家消費される可能性が高い。
(4)  平成16年8月6日及び同月24日の協議
ア 原告のFは,東京電力から同社が委託契約の主体になることができないとの説明を受けたこと及び補正予算を審議する市議会が平成16年9月に行われ,同年8月中には本件事業の準備を開始する必要があることから,同月4日ころ,原告のCに対し,被告大学のGに本件事業への協力を打診するよう指示した。そして,Cらは,同月6日にGと面会することとなった。
イ 原告のCらは,平成16年8月6日の協議において,被告大学のGに対し,市内の小中学校に出力10kWの風力発電機を設置して一定の発電量を発電し,それを原資として地域通貨を発行するといった本件事業の概要,原告がまちモデル事業のモデル地域に選定されたこと及びHybridWingsが導入機種の候補となっていることを説明し,本件事業への協力を依頼したところ,Gはこれを承諾し,HybridWingsの特徴を説明した。Cは,乙9のパンフレットやHybridWingsを紹介した被告会社のホームページの記載(サボニウスローターは風速2m/sから始動すること及びHW-10Bのカットイン風速は2m/sであること等)を踏まえ,つくば市の年間平均風速は2.4m/sであるが,市内でもHybridWingsは回るか否か尋ねたところ,Gは,風速2m/s程度から回ると答えた。原告の担当者は,当時,カットイン風速は風力発電機が発電を開始する風速を意味すると理解しており,カットイン風速が2m/sの風力発電機ならば,年間平均風速が2.4m/sとされるつくば市内でも発電が可能であると考えていた。また,同パンフレットに記載されたもの以外の規格のHybridWingsが存在するとの認識はなかった。Gは,同日の協議で,Cの上記認識に基づく言動に対してこれを正すことをせず,また,HybridWingsの消費電力についても説明しなかった。
そして,Cが,環境省から,交付金の申請は,できれば同年8月末を目処に行うよう要請されており,同年9月の市議会で関係する補正予算の審議をする必要があると述べると,Gは,風力発電機を導入する場合,一般的には最低1年間風況調査を実施する必要があるが,同月23日までに,NEDOの全国風況マップを用いてシミュレーションを行い,各学校の風況及び発電量等を調査すると申し出た。Cも,一般論として風況調査を行うべきことは認識していたが,Gの申し出を受けることとした。
ウ 原告のCらは,平成16年8月24日の協議で,被告大学のG及び協和エクシオのHから,甲10の結果表と「HybridWingsの屋上設置例及び地上設置例」と題する図面等の資料を受領し,これらについて説明を受けた。また,上記地上設置例と題する図面には,定格出力10kWのHybridWingsのおおよその寸法が記載されており,ダリウスローターとその基盤を併せた長さが5.005mとされていだが,これは乙9のパンフレットにおけるHW-10Bの当該部分の長さ(C寸法+D寸法)である5.500mに近似していた(なお,同パンフレットの他の規格のHybridWingsの当該部分の長さとは相当に異なる。)。また,当該図面では,基礎部分の地上に露出している部分の長さが0.500m,延長軸の長さが6.000mとされており,これらは甲10の結果表における地上設置の場合の設置条件と一致していた。なお,甲10の結果表及び添付の図面等の資料には,そこで前提とされたHybridWingsが,乙9のパンフレットに記載されたものとは異なり,受風面積が大きなものであることをうかがわせる記載はない。
また,同日の協議において,Hらは,原告の担当者に対し,本件事業で太陽光発電を併設した場合,費用対効果が悪くなる可能性があると指摘したものの,Gらが,HybridWingsについて消費電力が生じることを説明することはなかった。
エ 原告のC及びEらは,平成16年8月24日の協議の結果,甲10の結果表が前提とする風力発電機は,乙9のパンフレット等に記載された定格出力10kWのHW-10Bであると認識し,同表記載の条件下では,同表記載の予測発電量が得られる可能性が高いと認識した。一方で,Cは,被告大学のGらの言葉を信用し,同表と甲9及び68の報告書を比較検討をすることをせず,Gらに対し,甲9及び68の報告書を示して検討させることもしなかった。
オ 以上の認定に関する被告らの主張(争点(1)ウの被告らの主張)について
(ア) 被告らは,被告大学のGは,平成16年8月6日の協議では,環境教育への協力を要請されただけであって,原告主張のような本件事業の目的や発電量等の位置付け及びつくば市の年間平均風速は聞かされていないと主張する。
しかしながら,争いのない事実等(3)のとおり,本件事業は一定の発電及びCO2の排出量削減を主たる目的として環境省に申請していることが明らかであるところ,前記認定のとおり,Gは,平成16年6月10日,原告のFに対し,HybridWingsは風速2m/sから始動する,京都府に設置された定格出力10kWの機種は風速1.7m/sでも始動し回転しているなどと説明し,当該説明を環境省に報告することを了解したこと,Fは,同月23日,Gに対し,原告がまちモデル事業の対象地域となり,導入機種としてHybridWingsを予定していると述べたこと及び同年8月6日の協議は,東京電力が委託契約の主体にはなれないことが判明し,同月中に本件事業の準備をする必要があることから設けられたことからすれば,同協議では,原告の担当者は,Gに本件事業の内容について一定程度の説明を行った上,具体的に協力を要請したものというべきであり,環境教育への協力を要請されただけであるとの被告らの主張は採用することができない。
加えて,Gは,証人尋問において,同年8月,原告のCから,つくば市内でもHybridWingsは回るかと聞かれ,風速2m/s程度から回ると説明した旨証言していること及びCは,証人尋問において,同月6日の協議でGにつくば市の平均風速を説明した旨明確に証言していること等からすれば,Gはつくば市の平均風速を聞かされていなかったとの被告らの主張は採用することができない。
(イ) 被告らは,Gらが,平成16年8月24日の協議で,同省から設備利用率20%の根拠について説明を求められて困惑していた原告のCらから,根拠資料の作成を依頼され,受風面積の大きな風力発電機で発電量を試算すること等を合意したと主張し,Gも証人尋問においてこれに沿う証言をする。
しかしながら,被告らの主張のとおり,原告から本件事業の設備利用率20%の根拠資料の作成を求められたとすれば,Gは,本件事業が単なる環境教育を目的とするものではなく,一定の発電量を必要とする発電事業であることを容易に認識し得たはずであるから,この点の主張自体,環境教育への協力を求められただけで,本件事業の具体的内容を聞かされていないとする被告らの主張と整合しないというべきである。そして,Gは,自ら証言するように,通常の発電事業では定格出力1000kWないし2000kWの大型風力発電機を導入し,定格出力10kWの風力発電機を導入するのは適切でないこと及び発電事業では設置地点毎に最低1年間の風況調査をする必要があることを認識していたのであるから,仮に上記のような設備利用率の根拠の説明依頼があったとすれば,これに難色を示すのが当然であるにもかかわらず,その依頼に応じていることも,風力発電の専門家としては通常考えがたい行動であるといわざるを得ない。また,Gは,証人尋問において,上記の内容の合意をしたにもかかわらず,原告の担当者に本件事業の詳細を知らせるよう求めたことはないこと,試算に用いる風力発電機が,ダリウスローターの直径が15mにもなる大きなものであり,そのような風力発電機は現在世界に存在しないものであること,そうであるにもかかわらず,原告の担当者に対して,試算に用いた風力発電機の具体的大きさや当該風力発電機を導入した場合の工期や費用の説明はしていないことを証言するが,Gのこれらの証言は,全体としておよそ不自然,不合理であって採用することができない。
さらに,当時は校舎の屋上への設置も検討されていたところ,証拠(甲74,75)によれば,設置対象の学校の中には校舎の幅が15mに満たない学校も存在することが認められ,原告の担当者が,上記のような大きな風力発電機を前提として発電量の試算を依頼する合理的な根拠は見い出しがたい。また,原告の担当者は,同年6月10日,環境省の担当者に対し,甲6の文書で,20%の設備利用率は目標値にすぎず,根拠となる明確な資料は存在しないと明確に伝えた上で,同月15日には原告がまちモデル事業の対象地域に選定されたことに照らすと,同省と原告との間では,同年8月24日の協議当時,設備利用率を20%にすることが問題にされていたとは考えがたい。
以上の諸点からすれば,Cらが,設備利用率20%の根拠資料の作成をGに依頼し,受風面積の大きな風力発電機で発電量を試算することに合意したとする被告らの主張は採用することができない。なお,原告の担当者が,後記(11)の甲57のメモ及び争いのない事実等(9)カの甲37のメールを受領した直後に,これらに対し異議を述べなかったことは,上記判断を左右するものではない。
(ウ) 被告らは,Gらが,平成16年8月24日の協議では甲10の結果表を交付しておらず,それ以後に,協和エクシオが受風面積の大きな風力発電機を前提とした同表及び乙11の計算書を作成し,原告に提出したと主張する。
しかしながら,後記(5)のとおり,同表を基に原告が作成した資料が,同月31日のCらと環境省の担当者の協議に用いられたこと(この点は,被告らが乙60の証拠説明において自ら認めるところでもある。)からすれば,同表の作成経緯に関する被告らの主張(同月24日の協議の後に協和エクシオが作成に取りかかり,同年9月16日までに提出したというもの)は,同表及び同表の基となったと認められる乙11の計算書の作成に要する期間を考慮すれば,無理があるものといわざるを得ない。また,Gが,証人尋問において,同表の提出時期を同年8月24日から10月中旬までの間であるなどと曖昧でかつ原告の主張と必ずしも矛盾しない証言をしているのに対し,Cは,その証人尋問において,同年8月24日の協議で同表を受領した旨明確に証言していること等を併せ考慮すれば,この点に関する被告らの主張は採用することができない。
(5)  平成16年8月31日の原告と環境省の協議等
ア 原告のC及びDは,平成16年8月31日,環境省の担当者と協議を行った(以下「平成16年8月31日の協議」という。)。同協議では,Cらが,甲10の結果表を基に作成した,53の小中学校の路上の風速値の表を示して,シミュレーションによれば風力発電機の設置候補地の風況が良いので,全小中学校に風力発電機を設置する予定であること及び太陽光発電はコスト高になるため実施しないことを説明した。また,Cらは,予算の関係上,同年4月ないし5月に提出した実施計画書記載の目標値等を,実情に即した数値に減少させること(具体的には,3年で合計900kW相当の風力発電機を設置するとしていたものを合計750kW相当とし,年間発電量及びCO2の排出削減量も減少させる。なお,原告は,この時点では,設備利用率を13%,CO2の排出削減量を約325トンと見込んでいた。)について,同省の担当者の了解を得た。
イ 原告は,同協議の後,甲10の結果表を基に,各小中学校の路上に90基の風力発電機を設置した場合の年間発電量,設備利用率及びCO2の排出削減量(それぞれ71万3488kWh,約9.05%及び270トン)を計算した表(甲24,乙61)を環境省に提出した。その後,原告は,風力発電機の設置数が75基に変更されたことを受け,当該変更を踏まえた表(年間発電量,設備利用率及びCO2の排出削減量は,それぞれ59万4765kWh,9.053%及び225トンとされたもの,乙62)をさらに追加して提出した。
ウ 原告は,上記の経緯を踏まえ,前記争いのない事実等(6)のとおり,平成16年10月28日,従前の実施計画書よりもCO2の排出削減量等を下方修正した事業計画書を添付して交付金を申請し,同年11月11日付けで交付金の交付決定を受けた。このような修正がなされたのは,①原告が,風力発電機の設置数を当初の合計90基(路上36基,屋上54基,合計900kW相当)から,予算と安全性を考慮して合計75基(すべて路上設置,合計750kW相当)とし,②当該変更を踏まえ,甲10の結果表を基に年間予測発電量を59万4699kWh,平成19年以降のCO2の年間排出削減量を225トン(=59万4699kWh×電気事業者の電力利用による排出原単位0.378kgCO2/kWh)と算出したことによる(なお,この場合の設備利用率は約9.05%(=59万4699kWh÷750kWh÷24時間÷365日)となる。)。
(6)  平成16年9月から同年10月半ばまでの経緯
ア 前記争いのない事実等(5)ウのとおり,原告のC及びEらは,平成16年9月3日,京都府内の定格出力10kWのHybridWingsを見学した。その際,当該風力発電機が風速約1.2m/sでも回転していたことから,C及びEは,被告大学のGが風速2m/s程度から回ると述べた説明を信用し,同機種を導入機種の有力候補として位置付けることとした。
イ そして,平成16年9月16日の協議は,原告が同機種を有力候補と位置付けた上で,被告大学との業務委託を進めるため行われた。原告のCは,同協議で,被告大学のGらに対し,3か年で合計750kW相当の風力発電機を設置すること及び補正予算案で委託費2250万円を計上したことを伝え,NEDOのガイドブックを参考に作成した本件契約書の原案を基に,委託業務の内容を打ち合わせた。
なお,Gは,証人尋問において,同協議で,①Cから,競争入札を避けるため,形だけでも被告大学で設計図書の作成を受託してほしいと依頼され,設計業務は被告大学では行えないが前向きに検討すると返答した,②原告の担当者から,設計図書作成の委託料として2200万円を予定しているとの話があったなどと被告らの主張(被告らの主張の概要(2))に沿う証言をする。
しかしながら,当該証言は,原告の担当者が,設計業務ができないとされた被告大学に高額の委託料を支払う旨提案している点や,Gがこのような異常な申出を断らず,むしろ前向きな回答をしている点において不自然かつ不合理であり,採用することができない。
ウ 原告の担当者は,平成16年10月6日,協和エクシオのHに対し,設計委託の仕様書の案として,「平成16年度「環境と経済の好循環のまちモデル事業」関係事業名:小中学校風力発電等導入計画策定及び実施設計業務委託【発注仕様書】」と題する文書をEメールで送信するとともに,訂正などがあればよろしく頼むと伝えた(同仕様書案は,一部訂正を経た後に本件契約書に添付された。)。また,原告のEは,同じころ,同仕様書案を被告大学のGにも送信した(なお,同仕様書案では,風力発電機の機種選定について「担当課案を元に詳細な検討・整理」と記載されているが,原告は,前記のとおり,Gの説明等から,定格出力10kWのHybridWingsを有力候補と位置付けるようになったところ,当該記載は原告のこのような認識を表したものにすぎないというべきである。したがって,当該記載をもって,原告が,甲10の結果表等で前提とされた風力発電機と異なる機種を予め選定することに決めていたと解することはできない。)。
エ 原告は,平成16年10月13日から同月15日にかけて北海道稚内で開催された全国風サミットに参加し,担当者が本件事業の説明を行った。同サミットに参加していた被告大学のGは,同月14日夜,後に本件委員会の委員となるJを原告のCらに紹介したが,その際,小中学校に風力発電機を設置して環境教育に役立てるとともに,発電量を財源に地域通貨を発行するなどといった,本件事業に関する話がなされた。
(7)  平成16年10月19日の協議及び協和エクシオらによる現地調査等
ア 平成16年10月19日の協議では,被告大学に依頼する設計図書作成業務の詳細及び委託料等について話し合われた。原告の担当者は,同協議において,実際に設計図書の作成作業を担当するのは被告大学ではなく別の業者(c設計)であることを告げられ,これを了解した。なお,被告大学のGは,少なくとも同協議の時点で,本件事業が環境省に採択され,事業費の一部に環境省からの補助金が充てられていることを承知していた。
イ 上記設計図書の作成に関して,被告大学のGは,証人尋問又は陳述書(乙104)において,①上記協議で,原告の担当者から定格出力10kWのHybridWings(本件風力発電機)の設計を依頼されたが,これは甲10の結果表で前提とした風力発電機とは異なる機種であったため,協和エクシオのHが,本件風力発電機では同表で記載した発電量は出ない旨述べたこと,②原告のCは,導入機種は原告で既に決定済みであり,本件風力発電機での予測発電量の計算は必要ないと述べたなど,被告らの主張(争点(1)エの被告らの主張)に沿う証言ないし陳述をする。
しかしながら,Cらが,甲10の結果表が前提とした風力発電機は乙9のパンフレット等に記載された定格出力10kWのHW-10Bであると認識していたことは既に認定したとおりである。また,前記認定のとおり,Gは本件事業の概要(小型風力発電機から得られる一定の発電量を財源に地域通貨を発行すること等)を認識していたこと及びGは,前記(4)の同表の作成経緯から,同表が目標発電量の基準として用いられることを当然に予想し得たこと(Gは,証人尋問において,原告から同表をどのように使用したか聞いていないので,その位置付けは分からない旨証言するが,同表が本件事業における目標発電量の基準とされていることは当然認識し得たものというべきである。)を前提とすれば,上記G証言及び陳述は,Gが,本件風力発電機では同表記載の発電量が得られず,したがって本件風力発電機を導入すれば本件事業は破綻する可能性が高いことを認識していながら,原告の担当者の異常な申出を最終的に受諾したことを意味するが,原告の担当者やGが,このような軽率かつ無謀な行為を行うとは経験則上およそ考えがたいといわざるを得ない。また,原告のCとGとの間で平成17年12月19日に交わされたメール(甲42)の内容をみれば,Cは本件風力発電機の発電性能についてGの責任を問うているのであるから,仮に両者の間で事前に上記①,②のようなやりとりがあったのであれば,Gとしては,Cに対し,本件風力発電機が発電しないのはCらが本件風力発電機の導入を強行したことが原因であって,自分には責任はないと強く反論すべきであるにもかかわらず,甲42のメールではかえって自らの責任を認める趣旨の返信をしているのであって,この点からみても,上記証言ないし陳述は採用しがたいというべきである。
以上の点に加え,Cが,証人尋問において,同協議では,Gらから,本件風力発電機では同表記載の発電量を達成できないとの指摘を受けたことはないと証言していることをも併せ考慮すれば,Gの上記証言等及び被告らの上記主張は採用することができない。
ウ また,同協議では,協和エクシオらによる風力発電機の設置候補地の現地調査の予定についても話し合われ,原告が,協和エクシオの担当者らに対し,調査対象となる20校の配置図及び単線結線図等を貸与することとされた。その後,協和エクシオ及びその下請業者の担当者は,原告から当該各図面の貸与を受け,前記争いのない事実等(5)キのとおり,平成16年10月25日から同月28日にかけて現地調査を実施した。
エ 協和エクシオらによる当該現地調査を踏まえ,前記争いのない事実等(5)キのとおり,平成16年10月29日に原告のCらと協和エクシオのHらが協議し,従前設置候補地とされていた4校について設置が見送られた。
なお,被告らは,Hが,同日,風力発電機を屋上に設置すべきであるなどと助言したにもかかわらず,原告はこれを無視したと主張する(争点(1)エの被告らの主張)が,そのような事実を認めるに足りる証拠はない。また,被告らは,風力発電機の設置場所は原告が自ら決定したとも主張する(同上)が,上記で認定した経緯からすれば,設置場所の決定は,協和エクシオらによる現地調査を踏まえてなされたものというべきであり,この点に関する被告らの主張は採用することができない。
(8)  契約締結へ向けた原告の内部手続及び本件契約書の作成等
ア 前記争いのない事実等(5)ク及び前記(7)のとおり,原告と被告大学のG及び協和エクシオの担当者は,平成16年10月初旬ころから同年11月にかけて,本件事業の委託業務に関する発注仕様書案及び本件契約書案等をやりとりしていたが,その際,当該仕様書案の確定に際しては,NEDOのガイドブックが参考にされた。
イ 原告のEは,平成16年10月15日,被告大学のGに対し,設置工事を平成17年3月末までに完了させる必要があること及び原告及び被告大学の内部手続のため契約締結手続が平成16年11月に完了することが判明したことから,実際の委託業務は進めつつも,本件契約書及び被告大学に対する研究・調査依頼書等の日付を同年10月1日に遡らせることを提案したところ,Gもこれを了承したため,これらの書面についてバックデート処理がなされた。また,原告内部では,被告大学に業務委託するため必要とされる随意契約調書及び発注仕様書の決裁についても,書面上は同日以前になされたものとして処理された。
ウ 原告のEは,平成16年11月5日,被告大学のGに対し,委託料を当初より減額した1750万円とし,その内訳を記載した文書をEメールで送信するとともに,業務委託契約の契約書を作成次第送付するので,押印して返送してほしいと伝えたところ,Gは,同月9日,Eに対し,上記の点について了解した旨返答した。Eは,翌10日,被告大学のLから被告大学の見積書を受領し,翌11日,Lに本件契約書を送付した。そして,前記争いのない事実等(5)クのとおり,被告大学の理事会は,同月19日に本件契約書を承認したが,Gは,同理事会に出席せず,本件契約書の内容や従前の経緯について理事会には説明がなされなかった。
なお,Gは,証人尋問において,①Lに対し,被告大学が受託したのは設計図書の作成のみであり,本件契約書に記載されたそれ以外の項目は実際には受託していないことを伝えた,②Lは被告大学の理事会にその旨を説明し,理事会はそれを承知の上で本件契約書を承認したと証言する。しかしながら,Lが理事会で上記の点を説明した事実を認めるに足りる証拠はない上,学識経験者等で構成される被告大学の理事会が,実際には合意されていない事項が多数記載された契約書を形だけ承認するなどといった異常な行為をすることは経験則上およそ考えがたいというべきであるから,Gの当該証言は採用することができない。
エ 原告の被告大学に対する研究・調査依頼書(甲15)には,①依頼する業務の目的は,平成16年度の本件事業の実施に際し,市内の各小中学校への小型風力発電の導入における必要な基本的事項及び施設設置に関連する詳細な調査及び実施設計等を行い,環境・エネルギー問題に対する意識の高揚と教育的効果を図ることである旨並びに②依頼する業務の内容は,現地調査,風況精査,基本計画,システム設計,関係機関等の手続,発電量遠隔監視システムの構築及び風力発電による環境教育プログラムの策定及び実施である旨の記載がある。そして,被告大学は,平成16年11月19日付けの書面(甲16)で,当該研究・調査依頼を引き受ける旨回答した。
(9)  本件設計図書の内容及び本件委員会による導入機種の選定等
ア 前記争いのない事実等(7)アのとおり,HW-10Bを設計対象とする本件設計図書では,ダリウスローターの直径は5500mmとされ,また,ダリウスローターとその基盤を併せた長さは約5283mmとされているが,これは乙9のパンフレット記載のHW-10Bの当該各部分の長さ(それぞれ5300mm及び5500mm)に近似する。また,本件設計図書には,本件風力発電機内部に冷却ファン及び制御盤内の発電機用インバータ等の機器が収納されていることが記載されている。
イ つくば市小型風力発電機設置検討委員会設置要綱によれば,本件委員会の主たる検討事項は,導入機種の発電効率,安全性及び静粛性とされている。また,本件委員会は,つくば市内の小学校長1名,小中学校の教諭2名,教育委員会の施設管理課所属の者1名及びa大学機械工学科の准教授であるJを含む学識経験者3名の合計7名で構成され,委員は無報酬とされていた。
本件委員会の委員には,検討資料として,従前協和エクシオが原告に提出した小型風力発電装置特徴比較表と題する表(垂直軸型風力発電機と基本軸が水平に対し回転するプロペラタイプの水平軸型風力発電機を比較し,設置性,振動騒音,発電効率及び維持補修の観点から,前者を高く評価しているもの)及び風車の性能比較と題する表(HybridWingsを含む3種の垂直軸型風力発電機と1種の水平軸型風力発電機を比較した表)が配布されたが,原告が環境省に提出していた実施計画書や,甲10の結果表及び原告が過去に実施した風況調査の結果等は配布されなかった。
ウ 原告の担当者は,各委員に対し,以下のとおり,本件事業の概要等を説明した。
(ア) 小学校長を務める委員は,平成16年7月の臨時学校長会で,まちモデル事業及び本件事業の概要を記載した資料を受領し,原告のFから本件事業の概要を説明されていた。また,同委員は,同年11月に委員への就任を依頼された際も,原告のCから,本件事業の概要,被告大学に基本計画等を委託していること及び環境省には年間発電量とCO2の排出削減量の目標を定めた計画を申請していること等を説明された。また,d中学校で教諭を務めていた委員は,同月11日,Cらから本件事業の概要の説明を受け,同月下旬に委員への就任を依頼された際も,学校に風力発電機を設置するとの観点から機種を検討してほしいと要請された。
(イ) 風力発電の専門家であるJも,平成16年11月,Cから委員への就任を依頼された際,本件事業に関し,小中学校に設置する風力発電機から得られた発電量を原資として地域通貨を発行し,風力発電機を環境教育にも役立てるとの説明を受けた(なお,前記(6)エのとおり,Jは,同年10月14日にも同様の説明を受けていた。)。
エ 原告のCら及びJを含む委員3名は,平成16年11月30日,千葉県鴨川市の被告大学鴨川キャンパスに設置された定格出力5kWのHybridWings等を視察した。
Cらは,同年12月15日,a大学でJと面談した。Jは,学校に設置するという観点から,安全性や騒音の面でダリウス・サボニウス併結型風力発電機は問題がないとし,同機種を選定することに同意した。また,Jは,Cらに対し,同機種の性能について,風速2m/s程度になると回転し始め,一定の回転数に達したところで発電を開始し,風が弱くなったときには風速2m/s程度まで発電を続けること等を説明した(なお,Jの上記説明は,カットイン風速の意義について説明するものではないから,この説明を受けたことにより,Cらがカットイン風速は発電開始風速を意味するものではないと認識したとまでは認めることはできないというべきである。)。また,Cも,Jに対し,本件事業の目的がCO2の排出削減にあり,発電した電力を売電して地域通貨を発行する事業であることを再度説明した。
オ 本件委員会による導入機種の選考基準は,低騒音及び低振動であること,安全性が確保されること,発電効率が高いこと(低風速から発電を開始し,風向変動に左右されないこと)並びに低コストであることであったところ,本件委員会は,前記争いのない事実等(7)ウのとおり,ダリウス・サボニウス併結型風力発電機を選定した。
カ 前記争いのない事実等(7)ウのとおり,原告は,平成16年12月20日同機種を導入機種と決定したが,その理由の一つとして,導入機種は,つくば地域の平均風速(2.7m/sないし3.2m/s)を考慮し,微風でも回転し安定した出力を担保するための効率性を有していることが挙げられていた。
(10)  本件報告書の提出経緯及び内容等
ア 原告のCは,平成17年3月30日,被告大学のGに対し,平成16年度の風力発電導入計画策定調査業務の履行期間が過ぎたとして,「改めまして,『業務完了届,請求書等の書類』とともに,『調査完了報告書』の提出をお願いしなければなりません」とのEメールを送信した。これを受け,被告大学は,平成17年3月末ないし同年4月始めころ,本件報告書を原告に提出した。
イ なお,被告大学のGは,証人尋問において,原告のCは,導入を決定した本件風力発電機とは異なる風力発電機の発電量計算書であることを知った上で,甲10の結果表及び乙11の計算書等を含め,従前提出した資料を形式的にまとめて報告書として提出すればよいと言ったため,協和エクシオのHに対し,それらの資料をまとめて提出するよう指示したなど,被告らの主張(争点(1)エの被告らの主張)に沿う証言をする。
しかしながら,原告の担当者は,同表等が前提とする風力発電機が,乙9のパンフレット記載のHW-10Bと異なるものであるとは認識していなかったことは前記認定のとおりである。また,原告の担当者が,本件事業に関する委託業務の報告書として,実際の導入機種とは異なる風力発電機を前提とした資料の提出を求め,Gもそのような異常な指示に従ったなどということは,そのようなことをすれば,原告と被告大学にとって後日大きな問題となることが明らかであることから考えて,あまりに不合理であるといわざるを得ない。
したがって,Gの上記証言及びこの点に関する被告らの主張は採用することができない。
ウ 本件報告書には,本件契約書に添付された発注仕様書の「委託業務の内容」の各項目に沿った形で,以下の各資料がとじられていた。(差替前=甲82,差替後=甲32)
(ア) 立地調査に相当する部分には,市内の53の各小中学校の風力発電機の設置台数及び設置場所(屋上も含む。)を記載した書面,「小中学校風車設置における立入調査報告書」と題する,原告のCらが平成16年9月24日から同年10月1日に実施した各小中学校の校長等の意見聴取結果をまとめた書面がとじられていた。
(イ) 風況精査に相当する部分では,NEDOの全国風況マップと53の各小中学校の年間平均風速の一覧表を内容とする,「つくば市局所風況データ」と題する書面(平成17年3月付け),各小中学校の風況を詳細に分析した「つくば市風配データ資料編」と題する書面(同月付け)及び各小中学校における定格出力10kWの風力発電機の発電量計算書がとじられていた。当該各発電量計算書には,当初は,風速3m/sから発電する旨の出力曲線及び風速3m/sから発電することを前提とした年間発電量が記載されていたが(乙11の計算書と同じ内容のもの),後記エのとおり,同年11月,風速2m/sから発電する旨の出力曲線及び風速2m/sから発電することを前提とした年間発電量を記載したものに差し替えられた(乙12の計算書と同じ内容のもの)。ただし,これらの出力曲線において,風速10m/s時の出力が8.5kWであり,風速18m/s時に最大出力である23.3kWとなることは差替えの前後で変更はない。
(ウ) 基本計画に相当する部分では,「小中学校風車設置年次別計画(案)」と題する表,各小中学校の校舎の構造等を踏まえ風力発電機の設置箇所を検討した表,「風車の性能比較と題する表」等がとじられていた。
(エ) システム設計に相当する部分では,本件設計図書中にも含まれている定格出力10kWのHW-10Bの設計図及び同機種の構造計算書が綴じられていた。
(オ) 環境教育的配慮に相当する部分では,被告大学が作成した,風力発電の説明文書(平成17年3月付け)等が綴じられていた。
エ 原告のEは,本件報告書を受領した当時は内容を精査していなかったが,本件風力発電機の問題が新聞報道され,市民団体から情報公開請求を受けたことから,改めてその内容を確認した。そして,上記ウ(イ)の本件報告書中の発電量計算書の記載が,風速2m/sから始動する性能を有するとの従前のGの説明や原告の理解と異なるのではないかと考えた。そこで,原告のCらは,平成17年11月17日,被告大学のGと協議し,同計算書をカットイン風速を2m/sで計算したものと差し替えることとした。その結果,協和エクシオのHが,カットイン風速を2m/sで再計算した発電量計算書を提出し,従前の発電量計算書と差し替えられた。
なお,被告らは,乙11の計算書を,本件報告書とは別に,平成16年9月16日から同年10月19日までの間に提出したと主張し(争点(1)イ及びウの被告らの主張),協和エクシオのHの陳述書(乙105)にはこれに沿う陳述部分がある。
しかしながら,前記(10)イ認定のとおり,原告の担当者が,Gに対し,甲10の結果表や乙11の計算書等の従前提出していた資料を形式的にまとめて報告書として提出すればよいと指示した事実は認められない上,Cはその証人尋問において,被告らの上記主張を否定し,乙11の計算書は平成17年3月にはじめて本件報告書として受領したと明確に証言していることからすると,Hの上記陳述部分及び被告らの上記主張は採用することができない(なお,仮に乙11の計算書が被告ら主張のような時期に原告に提出されたとしても,風力発電の専門家ではなく,GやHを信用していた原告の担当者が,同計算書の記載内容を検討して,直ちに,同計算書で想定されている風力発電機のカットイン風速が3m/sであって,原告が前提としている内容と異なることまで認識できたといえるかは必ずしも明らかではないことからすると,乙11の計算書の提出時期自体に被告らが主張するほどの重要な意義があるとはいえないというべきである。)。
(11)  本件風力発電機の設置後の経緯
ア 原告が環境省に提出した平成17年7月27日付けの交付金事業に関する実績報告書には,本件事業の内容として,原告が平成16年10月28日に提出した事業計画書とほぼ同様の記載があるほか,①安全性,静粛性,低風速でのカットイン及び安定出力等を検討して導入機種を選定したこと,②19校に発電出力10kWの風力発電機23基を設置したこと並びに③同年度の直接的なCO2削減効果は年間69トンであること(なお,上記事業計画書では,同年度のCO2の排出削減の見込みは約90トンとされていた。)の記載がある。
イ 原告のEは,本件設計図書を受領した当時,「機器リスト」の風力発電装置欄にカットイン風速が2m/sと記載されていることは確認していたものの,「仕様一覧」にカットイン風速が3m/sと記載されていることには気づかなかった。その後,Eは,平成17年7月下旬ころ,設置工事の請負業者から,本件風力発電機の竣工図面にカットイン風速が3m/sと記載されているとの指摘を受けたことから,初めて本件設計図書でも同様の記載があることを知り,原告のCに報告した。Cら原告の担当者は,カットイン風速を発電開始風速であると理解していたため,被告大学のGに対し,同年8月8日付けの甲35のメールを送信し,Gはこれに対し甲36のメールを返信した。
なお,Gは,証人尋問において,甲36のメールについて,原告とトラブルを起こした被告会社のBに対し厳しく指示したものに過ぎず,原告に謝罪したものではない旨証言する。しかしながら,従前のGのHybridWingsの性能に関する説明及び甲35のメールの文面からすれば,Gは,原告が,導入機種については風速約2m/sから発電する性能を有することを条件としていたことを認識していたものというべきである。そして,甲36のメールの文面を合理的に解釈すれば,Gは,同メールにおいて,原告の上記の認識と異なる記載が竣工図等になされていたことに対する謝罪の念を表したものというべきであって,当該Gの証言は採用することができない(付言すれば,被告らが争点(1)エにおいて主張するように,原告の担当者が,甲10の結果表や本件報告書中の発電量計算書で前提とされた風力発電機が,本件風力発電機(乙9のパンフレット等で,カットイン風速が2m/sと記載されたHW-10B)とは異なる受風面積の大きなものであることを知っていたとすれば,Cが甲35のメールにあるようなクレームを述べるはずはなく,Gも甲36のメールにあるような反応を示すはずはないというべきである。)。
ウ 原告のCは,平成17年7月ころ,被告大学のGから,初めて本件風力発電機について消費電力が生じるとの説明を受けた。
エ 被告会社は,甲35及び36のメールに応え,平成17年9月12日ころ,本件風力発電機の出力曲線(風速約15m/s時に定格出力約10kWに達するもの)を原告に提出した。同出力曲線は,カットイン風速が3m/sであることを前提として作成されたものであったが,原告の担当者は,同出力曲線の記載からは,本件風力発電機が風速何m/sから発電を開始するものかは分からなかった。
オ 原告のCらは,風力発電機に関する新聞報道やb倶楽部の情報公開請求に対応するため,平成17年11月17日に被告大学のGと協議し,前記(10)エのとおり,本件報告書中の発電量計算書を差し替えるとともに,カットイン風速(原告の認識では発電開始風速)が2m/sの出力曲線を再度提出することとされた。そこで,被告会社は,前記争いのない事実等(9)オのとおり,同月20日及び同月22日,カットイン風速が2m/sの甲38の出力曲線等(風速約15m/s時に定格出力約10kWに達するもの)を提出した。
カ 原告は,平成17年11月22日又は同月25日ころ,被告大学のGから,①設計段階では,より多くの出力を得たいとの原告の要望に応じて,風速約10m/sで10kWの出力が得られるように定格設定がなされた,②最終的な機種選定に際し,コスト等の問題から風速15m/sで10kWの出力が得られるように定格設定が変更されたが,当該変更は原告と事業者との間で行われ,設計担当者は関与していない,③当該変更は機種の形式に関する根本的な変更ではなく,ローターの直径を相似的に縮小するものであると記載されたメモを受領した(以下「甲57のメモ」という。)。
(12)  本件保証の経緯等
ア 平成17年12月当時,本件風力発電機が発電しないことが,市議会やメディア等で取り上げられ,社会問題化していた。
イ 被告らは,被告大学のGの甲42のメールは,被告会社が23基もの風力発電機を短期間で製造することを余儀なくされ,理論上予想できない不具合等が生じたこと及び原告の注文が余りに多いことから,Gが,これ以上被告会社と原告との調整役を務めるのは荷が重いと感じたことを表現したものにすぎないと主張(争点(2)における被告らの主張)し,Gもこれに沿う証言をする。
しかしながら,同メールの直前に原告のCがGに対して送信した平成17年12月19日付けのEメールは,Gに対し,発電しない本件風力発電機について,その開発者として責任をもって対処するよう求める趣旨であることは明らかであり,Gも,甲42のメールで自らの役割を調整役に過ぎないとは言及していないことなどからすれば,同メールは本件風力発電機の発電性能に関して述べられたものと解される。そして,同メールを素直に読む限り,同メールは,本件風力発電機の多くが発電していないことないし発電量が非常に低いという「現実」と,開発責任者であるGらの「理論」とのギャップに対するGの反省と謝罪の思いを率直に表したものと解することが可能であって,いずれにしてもこの点に関する被告らの上記主張及び証言は採用することができない。
ウ 本件保証書は,被告大学のGの意向により,保証の対象を平成16年度の本件事業に限定するよう文言の修正がなされた上で,G及び被告会社のBが署名押印して作成された。なお,GやBが,本件保証書の作成に際し,甲10の結果表や本件報告書記載の発電量を保証する旨述べたことを認めるに足りる証拠はない。
エ 原告の担当者は,平成18年1月6日付けの書面(乙42)をもって,被告大学のGに対し,平成17年12月27日の協議の結果,①本件風力発電機の異常停止の原因解明と予防措置を講じること,②現在設置している風速計について1か月ごとにデータを報告し,さらに3か所に測定器を追加すること,③異音対策としてロープの張力を高める措置を採ること及び④待機電力の削減対策を図ることの4点について合意したことを確認するよう求めるとともに,⑤被告大学において,協和エクシオのHが平成18年1月5日の協議で予測発電量の試算の際に想定した風力発電機は製品化されていないと発言したことについて,事実関係を明らかにするよう申し入れた。また,原告は,同年1月ころ,別の書面(乙44)をもって,再度,同協議の結果,上記①ないし④を合意したことについての確認を求めた(なお,原告は,上記の各書面において,被告らが,同協議で平成16年度の本件事業の達成を保証したことの確認を求めてはいない。)。
オ b倶楽部は,平成18年1月24日,発電量の試算で前提とされた出力曲線は本件風力発電機のものではなく,実在しない巨大な風力発電機のものであることが明らかになったとして,原告に対し,さらなる事実関係の解明を求める旨の公開質問状(乙45)を提出した。原告は,同年2月7日付けの書面(乙46)で同質問状に回答したが,本件保証書の趣旨については「不具合の解決が3ケ月近くも解決されていないため,責任ある対応をしていただくため,提出いただきました。」と回答しており,平成16年度の本件事業の達成を保証させたものであるとはしていない。
カ 被告会社は,平成18年3月8日には原告市長に対し,同月30日には原告市議会議長に対し,本件保証書は,本件事業の達成を保証したものではなく,本件風力発電機の異音等の不具合を調整ないし改善する趣旨で作成したものである旨書面(乙47,48)をもって通告した。
(13)  平成18年以降の経緯及び環境省による検証結果の内容等
ア 原告のCは,平成18年1月5日の協議での協和エクシオのHの説明によって初めて,甲10の結果表が受風面積の大きな風力発電機を前提としていたとの被告らの主張を知った。そこで,Cは,被告らに対し,実際に導入した本件風力発電機の予測発電量を明らかにするよう要求した。
イ 被告大学は,平成18年3月8日,環境省に対し,本件事業の実施計画書等を開示するよう請求した(以下「被告大学による情報開示請求」という。)。被告大学の開示請求書に添付された文書には,被告大学が,原告と委託業務契約を締結して本件事業の調査業務を実施してきた事実に基づき,事態の改善に向けて誠意ある対応をすることを原告に約している旨が記載されている。
ウ 原告と東京電力は,平成18年3月24日,本件風力発電機の発電量に余剰がある場合,原告が余剰電力を東京電力に供給し,東京電力が一定の料金を支払う旨の電力受給契約を締結した。
エ 平成18年7月10日付けの環境省による検証結果(乙65)には,以下の趣旨を含む記載がある。
(ア) 調査期間(平成17年11月28日から平成18年2月19日)の風況は,過去のつくば市の風況と同程度であったにもかかわらず,23基の本件風力発電機の正味発電量(発電量から制御盤等の消費電力を控除したもの)は,年間マイナス5万kWhとなるものと推定され,これをCO2に換算すると,本件事業によって少なくとも年間18.9トン以上のCO2が発生することとなる。
(イ) 上記(ア)の事態が生じた原因としては,①本件風力発電機の性能(出力曲線)が,本件事業の基本計画で想定されていた風力発電機の性能を大幅に下回ること(本件風力発電機の理論上の発電能力は,基本計画で想定された風力発電機の20%に過ぎない。),②設置地点の実際の風況が,基本計画で示された風況を大幅に下回っていること(NEDOの全国風況マップに基づきシミュレーションするという風況推計手法は,つくば市においては,実際よりも風況が高めに出る傾向がある。また,調査期間における風況が偶然悪かったとは認められない。),③本件事業では,消費電力(本件風力発電機1基当たりの消費電力量は,少なくとも年間約2900kWhと推定される。)が考慮されていないこと及び④本件風力発電機のうち1基(e小に設置された3号機)は公称値どおりの性能を有しており,少なくともこれについては機器の不具合が原因ではないことが挙げられる。
オ 原告は,環境省による上記検証結果について,上記エ(イ)④に関し,設置したすべての本件風力発電機が公称値どおりの性能を有しておらず,不具合がある可能性が大きいと主張した以外は異存はなく,前記争いのない事実等(11)カのとおり,本件事業の抜本的な改善策はないと回答した。
(14)  本件風力発電機が設置された小中学校の平均風速等
ア 被告会社がf中学校に設置した風速計によれば,平成18年1月から同年5月にかけての同中学校の各月の平均風速は,順に1.11m/s,1.58m/s,1.67m/s,1.84m/s及び1.82m/sであり,甲10の結果表記載の同中学校の路上の平均風速を大きく下回った。また,同中学校に設置された本件風力発電機は,上記の期間中,風速が2m/s未満のときでも,微量ではあるが発電していた。
イ 被告会社がe小学校,d小学校,g中学校及びh小学校に設置した風速計によれば,各学校の平成18年3月の平均風速は,順に1.48m/s,1.51m/s,1.85m/s及び2.51m/sであり,甲10の結果表記載の各学校の路上の平均風速を大きく下回った。
(15)  本件風力発電機の出力曲線等並びに甲10の結果表及び本件報告書の各学校の発電量計算書において前提とされた風力発電機について
ア 被告会社は,平成14年11月から平成19年1月までの間に,本件風力発電機23基を含む52基のHybridWings(定格出力は1kW,5kW及び10kW)を納入したが,通常1000kWないし2000kwの大型風力発電機が用いられるような発電事業に,HybridWingsが導入されたことはない。
イ 本件風力発電機(定格出力10kWのHybridWings)は,被告会社による風洞実験(風洞に設置された風力発電機に対し,一定の方向から一定の風速の風を送り続け,回転数と出力の関係を調査する実験)の結果によれば,理論上は,風速2m/sから回転を開始することが実証されている(ただし,自然の風況では,風の強さや風向が一定でないため,風洞実験と同様の結果とならない場合がある。)。
HybridWingsは,風を受けると回転を開始し,一定の回転数(rpm)ないし周波数(Hz)に達すると,制御盤で負荷をかけて発電を開始するよう設定されている(このときの回転数は,風況にあわせ任意に設定することができる。)。本件事業で設置された23基の本件風力発電機は,実際の風況調査が行われなかったこと及び低風速地域では,一定程度の回転数に達するまでは負荷をかけない方が効率的であることから,発電を開始させるため負荷がかかり始める回転数(ないし周波数)は約60rpm(20Hz)に設定されていた(なお,このときの風速は約4m/sに相当する。)。
ウ 被告会社は,平成15年ころから,本件風力発電機(すなわち乙9のパンフレット等に記載されたHW-10B)の出力曲線として,別紙4の出力曲線(以下「本件風力発電機の出力曲線」という。乙97の3)を保有しているが,これは甲38の出力曲線等と基本的に同内容である。一方,被告会社は,同年ころから,定格出力10kWのダリウス・サボニウス併結型風力発電機の出力曲線として,別紙5の出力曲線(乙98の3)も保有していた(以下「別紙5の出力曲線」という。)。同出力曲線は,被告会社が,同年ころ,翼の径を大きくしたり,厚さを工夫するなどして最大の性能を発揮する場合を想定した出力曲線である。同出力曲線は,本件報告書中の各小中学校の発電量計算書(乙11及び12の計算書)の出力曲線と内容が酷似している。
したがって,別紙5の出力曲線が,本件報告書中の発電量計算書や,乙11の計算書を基に作成された甲10の結果表において前提とされたものと推認される。本件全証拠によっても,同出力曲線が同表等で用いられた経緯は明らかではないが(原告の担当者と被告大学のGが,受風面積の大きな風力発電機で発電量を試算することを合意したとの被告らの主張は,前記のとおり採用することができない。),いずれにせよ,同出力曲線は,本件風力発電機とは仕様等を異にする風力発電機の出力曲線であると認められる。
なお,同出力曲線が前提とする風力発電機が,実際に製品化されたことはない。
エ また,東京電力の関連会社が作成した甲68の報告書では,被告会社製の10kWのダリウス・サボニウス併結型風力発電機の仕様について,乙9のパンフレット記載のHW-10Bの仕様と同様の記載がなされている一方,被告会社製の10kWのダリウス・サボニウス併結型風力発電機の出力曲線としては,本件風力発電機の出力曲線ではなく,別紙5の出力曲線が掲載されている(これは,協和エクシオの担当者が,従前,同報告書を作成した東京電力の関連会社の担当者に,同出力曲線を交付したことがあり,何らかの事情により,同出力曲線がHW-10Bの出力曲線として誤って掲載されたものと推認される。)。
なお,原告は,甲10の結果表等で前提とされた風力発電機と本件風力発電機は同一のものであると主張するが,上記ウのとおり,両風力発電機の出力曲線は異なるものであることからすれば,この点に関する原告の主張は採用することができない。
オ また,他方において,被告らは,本件報告書中の発電量計算書や,乙11の計算書を基に作成された甲10の結果表で前提とされた風力発電機は,本件風力発電機とは異なり,ダリウスローターの直径が15mの受風面積の大きなものであると主張するが,これが事実であるとすれば,以下のとおり不自然な点が認められる(これらの諸点については,Gも,証人尋問において,十分な説明ができていない。)。
(ア) 甲6の文書に添付された,被告会社のホームページをプリントアウトした書面では,平均風速3.5m/s地点に10kWのHybridWings(すなわち本件風力発電機であるHW-10B)を設置した場合の年間発電量を1万1013kWhとされている一方,甲10の結果表では,路上の平均風速が3.5m/sの学校の年間発電量が9629kWhとされており,同表は受風面積の大きな風力発電機によるシミュレーション結果であるにもかかわらず,発電量が小さい結果となっている。
(イ) 同表には,地上に設置する場合の条件として「基礎0.5m+延長軸6.0m」,屋上に設置する場合の条件として「基礎11.0m+延長軸3.0m」と記載されており,本件報告書中の各小中学校の発電量計算書(並びに乙11及び12の計算書)にも,基礎高さと延長軸について同様の記載がある。加えて,当該各発電量計算書では,設置高さが9.85m(地上に設置する場合)又は17.35m(屋上に設置する場合)と記載されているところ,設置高さとは,Gも証人尋問で証言するとおり,ダリウスローターの赤道面の高さを指すことからすれば,上記の設置高さは,基礎高さと延長軸と風力発電機本体のダリウスローターの赤道面までの長さを合計したものを意味することとなる。したがって,当該各発電量計算書が前提とする風力発電機本体のダリウスローターの赤道面までの高さは,3.35m(=9.85m-0.5m-6.0m,又は,=17.35m-11m-3m)と算出される。一方で,乙9のパンフレットでは,HW-10B(本件風力発電機)の風力発電機本体のダリウスローターの赤道面までの高さも3.35m(=D寸法1200mm+C寸法4300mm÷2)と算出される。
以上のとおり,被告らが主張するダリウスローターの直径が15mの受風面積の大きな風力発電機と,ダリウスローターの直径が5.5mの本件風力発電機(ただし,同パンフレットでは,直径が5.3mとされている。)は,ダリウスローターの直径が大きく異なるにもかかわらず,風力発電機本体のダリウスローターの赤道面までの高さが一致することが認められ,これは風力発電機の構造からすれば不自然というほかない。
カ 上記ウないしオを踏まえれば,被告大学のGらは,甲10の結果表や本件報告書記載の各学校の発電量計算書を作成するに当たり,原告の担当者が有力候補としていた乙9のパンフレット等に記載されたHW-10Bとは別の,実際に製品化されたことがない風力発電機の出力曲線である別紙5の出力曲線を用いる一方で,設置条件(基礎高さ,延長軸及び設置高さ)は同パンフレット等記載のHW-10Bと同様の設置条件を前提としたことが強く推認される。以上の点に加え,HybridWingsの性能に関するGの説明内容及び同表や当該各発電量計算書には,ダリウスローターの直径を15mとする風力発電機の出力曲線を用いたことを示す記載が何ら存在しないこと等も併せ考慮すれば,Gらが作成した同表や当該各発電量計算書は,風力発電機の専門家でない者にとっては非常に誤解を招き易いものであり,原告の担当者が,これらの資料が本件風力発電機を前提としたものであると認識したことは,やむを得ないものであったというべきである(Gらは,これらの資料の作成者及び風力発電の専門家として,原告の担当者の認識が誤っている旨を指摘し,これらの資料が誤って用いられることを防ぐべきであったにもかかわらず,何らの措置も講じなかったというべきである。)。
2  争点(1)(本件契約の成否及びその有効性並びに被告大学の契約締結上の過失の有無)について
(1)  本件契約の成否及び有効性
ア 争点(1)アないしエについての判断
以上の認定及び判断のとおりであるから,争点(1)イないしエに関しては,基本的に原告の主張事実が認められ,これらについての被告らの主張は採用することができない。
イ(ア) 被告らは,争点(1)ア(原告が,事前調査等により,本件事業が実現不可能であることを認識していたか)において,①原告の担当者は,従前の調査結果並びに甲9及び68の報告書等から,つくば市の平野部の風況が悪いため本件事業が実現不可能であることを認識していた,②にもかかわらず,原告のFは,市長選挙に備えて,交付金によって創出される公共事業を地元の建設業者に割り当てるため,本件事業を強引に推進させたと主張する。
しかしながら,本件全証拠によっても,被告らが主張する上記②の事実を認めることはできない。
また,上記①の事実についても,①乙4の報告書における調査及び乙3の調査は,筑波山六所平における定格出力150kWないし750kWの大型風力発電機による発電事業を検討したものであること,②つくば市地域新エネルギービジョンには,教育用に小型風力発電機を小中学校に設置する計画について,発電量は非常に小さいとの記載があるものの,同ビジョンは主として筑波山周辺での大型風力発電機による発電事業を計画したものであり,小型風力発電機による具体的な発電事業を想定して,専門的な検討を踏まえたものではないこと,③乙5の報告書の調査も,基本的に定格出力300kW以上の大型風力発電機を,つくば市北東部の山間地域に導入する計画を検討したものであり,補足的に筑波総合体育館や北条地域で短期間風況調査を行っているものの,発電量や設備利用率等の計算は定格出力150kW以上の風力発電機についてなされたものであって,小型風力発電機の導入を具体的に検討したものではないこと,④NEDOのガイドブックには,風力発電機の設置候補地点では最低1年間風況観測を実施し,地上高30mでの平均風速が6m/s以上,年間設備利用率が17%以上であることが望ましいとの記載があるものの(ただし,同ガイドブックの第8版では,風況シミュレーションによる風況予測を行う場合は,観測データを他のデータ等で補うことができるとされている。),同ガイドブックは比較的大型の風力発電機による系統連携システムを扱ったものであること並びに⑤甲9及び68の報告書には,3つの小学校での風況シミュレーションの結果や年間発電量の試算結果が,被告大学のGらによる同様の調査結果より悪いなどの点はあるものの,結論として本件事業を実現不可能とはしていないことが認められる。
以上の点に加え,本件事業は,専門家である被告大学のGや被告会社による具体的な検討を経て実施に至ったこと及び本件事業は,最終的な設備利用率の目標値が9.05%とされ,売電金等を財源に地域通貨を発行するなど,NEDOのガイドブック等で想定されている通常の収益色の強い発電事業とは異なる側面を有していることをも併せ考慮すれば,上記の各調査結果等の存在をもって,原告の担当者が,本件事業が実現不可能であると当初から知っていたと認めることはできない(ただし,後記のとおり,これらの資料等の記載内容を認識していたことが,原告の過失相殺事由となり得ることを否定するものではない。)。なお,乙1の11の報告書の記載内容や,原告のCが,つくば市民環境会議の関係者から,本件事業の再検討を要望された事実は,上記判断を左右するものではない。
(イ) また,被告らは,カットイン風速は発電開始風速を意味するものではないと主張(争点(1)イの被告らの主張)し,これに沿う証拠もあるが(甲38の1,乙94,証人G),一方で,証拠(甲73の1,2,乙8)によれば,NEDOのガイドブックを含め,カットイン風速を発電開始風速を意味するものとして用いる例も見られるところであり,乙9のパンフレットの記載やGがHybridWingsは風速2m/s程度から回る旨の説明をしていたこと等も併せ考慮すれば,カットイン風速の正確な定義がいずれであるにせよ,専門家ではない原告の担当者が,カットイン風速を発電開始風速の意味と理解していたことには,合理的な理由があったというべきである(そして,前記認定のとおりの平成16年8月6日の協議に至る経緯及び同協議の協議内容からすれば,原告が,導入機種について風速2m/s程度から発電する性能を有することを条件としていたことは,Gも認識していたというべきである。)。
(ウ) また,被告らの主張(争点(1)エ)によれば,原告の担当者は,計画段階とは異なる本件風力発電機では,目標とした発電量及びCO2の排出削減量が到底実現し得ず,従って多額の税金が投入された本件事業が破綻して社会問題化するであろうことを認識しながら,あえて本件風力発電機を導入し,本件事業を強行したことになるが,本件全証拠によっても,地方公共団体である原告及びその担当者が,そのような不合理な行動をあえて行う合理的な理由ないし動機を認めることはできない。
加えて,被告らの主張(被告らの主張の概要(2))によれば,被告大学の理事会は,本件契約書が形だけのもので,原告との間では本件契約書の文言と異なる合意がなされていることを承知の上で,何らの留保も付さずに本件契約書を承認したこととなるが,著名な学校法人である被告大学が,地方自治体である原告との契約についてこのような不公正な処理を行ったとすれば,後日重大な問題に発展するおそれがあることは明らかであり,学識経験者等で構成員される被告大学の理事会が,そのような行為を了承したとは考えにくい。
(エ) なお,被告大学のGは,甲57のメモや甲37のメールにおいて,発電量の試算の際に前提とされた風力発電機と,導入機種である本件風力発電機が異なることについて,主として原告側のコストの問題であるとし,G自身はこれに関与していない旨説明している。
しかしながら,上記の相違が,予算等の原告側の事情が原因となって生じたことを認めるに足りる証拠はない。むしろ,原告の担当者は,甲10の結果表等で前提とされた風力発電機は,乙9のパンフレット記載のHW-10B(本件風力発電機)であると認識していたこと並びにGらが,同表等の作成者及び風力発電の専門家として,当該認識が事実と異なるのであればその旨を指摘し,同表等が誤って用いられることを防ぐための措置を採るべきであったにもかかわらず,これを怠ったことは前記認定のとおりである。したがって,甲57のメモや甲37のメールにおけるGの上記説明は,採用することはできない。
ウ 以上の認定及び判断に加え,本件契約書が真正に成立したものであることを考慮すれば,本件契約は,本件契約書の記載内容に従って成立しており,また,虚偽表示であるとも認められないから,被告大学は,本件契約書記載の義務を負うと解するのが相当である。
なお,本件契約書等がバックデート処理されていること,本件契約書に実際には実施されなかった事項が委託内容として記載さていること及び設計図書を実際に作成したのは被告大学ではなく別の業者であることは,いずれも上記判断を左右するものではない。また,証拠(乙16)によれば,原告のEは,協和エクシオのHに宛てた平成16年10月15日付けのEメールに,本件契約書に添付される仕様書案に関し「設計を前面に出すと内部的に検査等々,いろいろ不都合な事が発生する」ため,委託内容を調査業務に訂正した旨記載しているが,当該記載をもって,本件契約を虚偽表示と評価することはできないというべきである。
(2)  被告大学の債務不履行責任
ア 前記認定のとおり,被告大学のGらは,別紙5の出力曲線を用いて甲10の結果表や本件報告書記載の発電量を算出したものと認められるが,Gらは本件事業が一定の発電量が求められる事業であることを認識していたのであるから,本件風力発電機(乙9のパンフレット等記載のHW-10B)を有力な候補機種として本件契約を締結した以上(その後,本件風力発電機は正式に導入機種に選定された。),本件風力発電機を前提として,エネルギー取得量を評価するなどの本件契約上の委託業務を履行すべき義務を負っていたものと解するのが相当である。
しかしながら,被告大学及びその履行補助者としての協和エクシオは,本件風力発電機では本件報告書中の発電量計算書記載の発電量が到底得られないことを認識し得たにもかかわらず,故意又は過失によって,本件報告書を原告に提出したものであり,当該行為は,本件契約上の債務不履行を構成するというべきである。
イ また,被告大学は,本件契約上,本件事業に影響に与え得るような事情を考慮に入れた上で,委託業務であるエネルギー取得量の評価ないし経済性の検討をすべき義務を負っていたものと解するのが相当である。
そして,前記争いのない事実等(9)ア及び前記認定のとおり,本件風力発電機の発電量は,消費電力を大幅に下回っているところ,被告大学及びその履行補助者としての協和エクシオは,本件風力発電機の消費電力(環境省の検証結果によれば,1基当たりの消費電力量は少なくとも年間約2900kWhと推定される。)について,開発者として当然認識し得たにもかかわらず,故意又は過失によって,原告に対し,設置工事が完了するまで,具体的な消費電力量及びこれが本件事業に与える影響等を明確に説明せず,本件報告書等においても,これらを考慮しなかった。当該行為は,本件契約上の債務不履行を構成するというべきである(なお,前記認定のとおり,本件設計図書には,本件風力発電機の内部に,冷却ファン及び制御盤内の発電機用インバータ等の必要機器が収納されていることが記載されているところ,当該記載によって,本件風力発電機の稼働に際して消費電力が生じ得ることを認識し得たといえるか疑問があるが,仮にそのようにいえたとしても,風力発電の専門家とはいえない原告の担当者が,消費電力量が本件事業に及ぼす影響についてまで認識することは困難であったというべきである。)。
ウ 以上のとおり,被告大学は,原告に対し,前記ア,イの債務不履行に基づき,原告に生じた損害の賠償義務を負う。なお,原告が主張するその余の被告大学の債務不履行及び不法行為が認められたとしても,原告の損害額及び過失相殺割合に影響を及ぼすものとは認められないから,これらについて判断する必要はない。
(3)  争点(1)オ(本件委員会における原告の説明内容とその本件事業への影響)について
ア 被告らは,原告の担当者の異常な行為(本件委員会の委員に対し,本件事業における具体的な目標値を説明せず,本件風力発電機による目標値の達成可能性を検討し得る資料を開示しなかったこと)が介在したために,被告大学の債務不履行と原告の損害との間には相当因果関係が認められないと主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,原告の担当者は,本件委員会の委員らに対し,本件事業の概要を一定程度説明していたことが認められる。また,本件委員会は,風力発電機を小中学校に設置する点に着目して設置されたものであること,委員は学校長会,担当教諭,教育委員会担当課及び学識経験者から選定し,無報酬とされていること,本件委員会の委員に配布された風力発電機の性能比較表等も,本件事業の具体的目標値の達成可能性を検討することを前提としたものではないこと及び本件委員会の検討事項の一つである発電効率も,低風速から発電を開始し,風向変動に左右されない点において最も優れたものを選定するという趣旨であることからすれば,本件委員会は,本件事業における発電量やCO2の排出削減量の目標値等の達成可能性を検討するものではなく,主として候補機種の安全性や騒音等を検討するとともに,上記の意味での発電効率を比較検討するものとして位置付けられていたというべきである。
したがって,原告の担当者が,委員に対して,発電量やCO2の排出削減量の目標値等の説明を行わなかったことは,別段問題のある行為とまではいえない。また,候補機種のうちHybridWingsの発電量のみを記載した甲10の結果表を開示する意味は乏しく,原告の担当者は,本件委員会に同表を開示する義務を負うものではないというべきである。
以上のとおり,上記の各行為がなされなかったからといって,被告大学の債務不履行と原告の損害との相当因果関係が認められなくなるものではなく,この点に関する被告らの上記主張は採用することができない。
イ また,被告らは,原告が,本件事業が達成不可能であること及び選定機種と予測発電量に用いた機種が異なることが露呈しないようにするため,本件委員会をあえて形骸化させたとも主張するが,前記認定のとおり,原告の担当者は,予測発電量に用いた風力発電機が本件風力発電機と異なること及び本件事業が当初から達成不可能であるとは認識していなかったことからすれば,被告らの上記主張は前提を欠くというべきであり,失当というほかはない。
3  争点(2)(本件保証における被告らの保証の対象)について
原告は,被告らが,本件保証書に基づき,本件報告書等記載の予測発電量を達成し,平成16年度の本件事業を実現することを保証する旨の義務を負ったと主張する。
しかしながら,本件保証書には本件報告書記載の予測発電量の達成を保証する旨の記載がないことに加え,前記認定のとおり,被告大学のGや被告会社のBが,本件保証書の作成に際し,甲10の結果表や本件報告書記載の発電量を保証する旨を述べたことを認めるに足りる証拠はないこと,原告が,平成17年12月27日の協議の内容を確認するために作成した平成18年1月6日付けの書面(乙42)等にも同様の記載はないこと,原告は,同年2月7日付けのb倶楽部に対する回答書(乙46)で,本件保証書の趣旨について,平成16年度の本件事業の達成を保証させたものとはしていないこと及び被告会社も,平成18年3月,原告市長や原告市議会に対し,本件保証書は本件事業の達成を保証した趣旨ではないと通告していること等からすれば,本件保証が,本件報告書記載の予測発電量の達成等を対象とするとは認めることができない。
なお,Gの甲41及び42のメールも,前記認定のとおり,本件風力発電機の諸問題(騒音,消費電力が多いこと及び発電しないこと等)に対するGの謝罪の気持ちや遺憾の念を表したものにすぎなず,上記判断を左右するものではない。
以上のとおり,被告らは,原告が主張するような保証義務を負わず,当該義務違反を前提とする債務不履行責任を負わない。したがって,被告らに対する,本件保証に基づく本件請求原因3は,その余の点について判断するまでもなく理由がないというべきである。
4  争点(3)(原告の損害額及び原告の過失相殺)について
(1)  原告は,被告大学の前記2(2)の被告大学の債務不履行によって,平成16年度の本件事業において,本件報告書記載の予測発電量が得られるものと誤信し,同年度の本件事業に関する工事代金相当額として2億9860万9500円を支出したものというべきである(原告は当初工事代金として支出した同額のうち,1億8500万円は交付金事業による交付金であったが,原告は,平成18年10月13日に環境省に当該交付金全額を返還した。)。
そして,前記争いのない事実等及び前記認定のとおり,現状では,本件報告書記載の予測発電量の4分の1以下の発電量しか得られず,消費電力を考慮すれば,本件風力発電機の正味発電量は年間マイナス5万kWhとなるものであり,弁論の全趣旨によれば,このような現状を改善する見込みはないものといわざるを得ない。したがって,平成16年度の本件事業は,社会通念上実現不能となったものというべきであり,被告大学は,原告が支出した上記工事代金相当額である2億9860万9500円を賠償すべき義務を負う。
(2)  過失相殺について
以上の認定及び判断を総合すれば,被告大学の上記債務不履行に基づく原告の損害に関し,原告側に次のような過失相殺すべき事情が認められる。
ア 原告は,乙3の調査及び乙4の報告書の調査で,筑波山六所平への風力発電機導入計画に関連して,当該地域で実際に風況調査を実施していること,NEDOのガイドブックにおいても,風力発電を導入するためには,設置候補地点の実際の風況精査を最低1年間実施することが必要である旨指摘されていること,原告から本件事業の企画,立案を依頼されていたコンサルタント会社のKと原告との協議において,風力発電の実施には実際に風況調査を行う必要があるとの話が出ていたこと並びに乙5の報告書ないし東京電力作成の甲9及び68の報告書から,つくば市内の実際の風況が悪い可能性があることを認識していたこと等からすれば,原告は,本件事業においても実際の風況調査が重要であると認識し得たものというべきである。それにもかかわらず,原告は,被告大学のGからの提案に従ってNEDOの全国風況マップによるシミュレーションで足りるものとし,実際の風況調査を行わなかった。
イ また,その結果として被告大学のGから提出された甲10の結果表を検討すれば,気象庁のつくば市に関するデータは,風速計の高さが20.4mで年間平均風速が2.4m/sとされているのに対し,甲10の結果表における路上の平均風速は,一様に2.4m/sより高い数値となっている上,東京電力の調査結果である甲9及び68の報告書に示された,つくば市内の3つの小学校の風速と比較しても,甲10の結果表における平均風速の数値はかなり高いのであるから,同表のシミュレーション結果が実際の風況より高く示されており,つくば市の実際の風況は同表のシミュレーション結果より相当程度悪いことを認識し得たはずであるのに,原告の担当者はこれらの比較検討をせずに同表の結果のみに依拠して本件事業を推進した。
ウ これらの点に関して,原告の担当者であるCは,その証人尋問において,被告大学のGが風力発電の専門家であることから,その見解をひたすら信頼してこれに依拠した旨証言するが,以上のとおり,原告の下には,本件事業の推進に対して慎重な検討を迫る材料が揃っていたのであるから,すべて税金によって賄われる地方公共団体の在り方としては,甲10の結果表や本件報告書等の被告らの調査結果を鵜呑みにせず,それらの信頼性を裏付ける調査をするなどの慎重な対応が求められたというべきである(少なくとも,これらの資料をGら被告大学側に提供して,疑問点を解消する努力をすれば,本件のような事態は回避できた可能性が高いというべきである。)。
エ 以上の事実に加え,本件における一切の事情を考慮すれば,原告の過失割合を3割と評価するのが相当である。
(3)  そうすると,被告大学は,原告に対し,前記債務不履行に基づく損害賠償として,2億0902万6650円(=2億9860万9500円×0.7)を賠償する義務を負うものというべきである。
第4  結論
以上によれば,本件請求は,主文第1項の限度で理由があるからその限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 荒井勉 裁判官 梅本圭一郎 裁判官吉田豊は,差し支えのため署名押印することができない。裁判長裁判官 荒井勉)

 

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