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「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(57)平成16年 9月 9日 名古屋地裁 平15(行ウ)34号 損害賠償請求事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(57)平成16年 9月 9日 名古屋地裁 平15(行ウ)34号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成16年 9月 9日  裁判所名  名古屋地裁  裁判区分  判決
事件番号  平15(行ウ)34号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2004WLJPCA09090001

要旨
◆名鉄西尾駅地区市街地再開発組合に対する西尾市の補助金の支出について、市長が裁量権を逸脱又は濫用したと認めることができないとして、住民が市長個人に対して損害賠償を求める住民訴訟が棄却された事例

出典
裁判所ウェブサイト
新日本法規提供

参照条文
地方自治法232条
地方自治法232条の2
地方自治法242条の2第1項4号

裁判年月日  平成16年 9月 9日  裁判所名  名古屋地裁  裁判区分  判決
事件番号  平15(行ウ)34号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2004WLJPCA09090001

原告 X1
原告 X2
原告 X3
原告 X4
原告 X5
原告 X6
原告 X7
原告 X8
原告 X9
原告ら訴訟代理人弁護士 阪本貞一
同 湯原裕子
同 稲垣高志
同 加藤美代
同 海道宏実
同 兼松洋子
同 樽井直樹
同 松本篤周
同 村上満宏
被告 西尾市長
本田忠彦
同訴訟代理人弁護士 山本健司

主  文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は、本田忠彦に対し、5460万円を請求せよ。
第2  事案の概要
本件は、西尾市の住民である原告らが、同市が西尾駅西A地区市街地再開発組合(以下「本件組合」という。)と株式会社東畑建築設計(以下「東畑建築設計」という。)との間で締結された業務委託契約に関して同組合に補助金を支出した行為が、地方自治法(以下「地自法」ともいう。)232条ないし232条の2に反した違法なものであるなどと主張して、同法242条の2第1項4号に基づき、同市の執行機関である被告に対し、上記支出に関与した市長たる個人に支出額相当の損害賠償を請求することを求めた住民訴訟である。
1  前提事実(争いのない事実及び証拠により明らかに認められる事実等)
(1)  当事者等
原告らは、いずれも西尾市の住民である。
被告は、西尾市の執行機関であり、損害賠償の請求先とされた本田忠彦は、同市の市長(以下「本田市長」という。)である。
(2)  西尾市と西尾駅西A地区の状況
西尾市は、愛知県西三河地方の南部に位置し、北側を安城市や岡崎市に、西側を碧南市に、東側を額田郡幸田町に、南側を幡豆郡一色町や吉良町にそれぞれ接している。同市の公共交通機関としては、市中心部を南北に走る名鉄西尾線があり、北は新安城駅で名鉄本線に、南は吉良吉田駅で名鉄蒲郡線にそれぞれ接続している。西尾市の中心街は、名鉄西尾線西尾駅周辺に展開しており、西尾駅の東側1キロメートル前後には、市役所、警察署、郵便局、保健所等の官公署が集中している。
西尾駅西A地区(西尾駅の西側に位置し、西側を都市計画道路3・4・24号西尾安城線、南側を都市計画道路3・5・7号中畑本町線、東側を名鉄西尾駅、北側を区画街路1号線に囲まれた面積約1.6ヘクタールの地域。以下「西A地区」という。)は、西尾市の玄関口及び交通の中心地に当たり、「第5次西尾市総合計画」において、「玄関口にふさわしい人・街・自然・文化がきらめく快適交流都市をめざす整備地域」として位置づけられているが、反面、低層の木造老朽建物と駐車場、空き地等が混在し、生活環境の悪化及び商店街の空洞化が認められ、商業活動の低迷及び防災上の課題が指摘されている地域である(甲1)。
(3)  本件事業計画の策定
西尾市は、平成11年4月20日、西A地区に関し、商業等の駅前サービス施設の立地、交通環境の整備及び都市防災機能の向上を図ることなどを目的として、「西尾幡豆都市計画事業 西尾駅西A地区第一種市街地再開発事業」の計画(以下「本件事業計画」といい、同計画に基づく事業を「本件事業」という。)を決定した。
本件事業は、商業、業務、宿泊及び公益施設などを計画的に配置した複合施設(以下「本件再開発ビル」という。)の建設のほか、都市計画道路西尾安城線の直線化、駅西駅前広場の整備等を内容とするものである。このうち、本件再開発ビルは、南側に高層のホテル棟(以下「ホテル棟」という)、北側に商業、業務及び公益施設などから成る中層の複合施設棟(以下「公益棟」という。)を配置する計画であった(甲1)。
(4)  本件組合の設立
本件組合は、平成13年10月23日、愛知県知事に対し、設立認可を申請し、同年12月14日、都市再開発法11条1項、17条に基づき、その認可を受け、同日、同法19条に基づきその旨の公告がされた。
(5)  本件再開発ビルの施設建築設計業務の委託
本件組合は、平成14年1月24日、本件事業に伴う施設建築設計(以下「本件実施設計」という。)業務の発注に関し、指名業者3社による入札を実施し(以下「本件入札」ともいう。)、翌25日、落札した東畑建築設計との間で、上記業務を委託内容とし、委託期間を同日から同年3月26日まで、委託業務の報酬を8190万円(業務費用7800万円、消費税390万円)とする業務委託契約(以下「本件契約」という。)を締結し(乙4)、東畑建築設計は、同年3月28日までに、本件契約に基づき、本件実施設計を作成し、同日、完了の検査を受けた(甲6)。
(6)  本件支出
本件組合は、平成14年4月8日、本田市長に対し、本件契約について補助金の支出を申請し、本田市長は、同月30日、本件組合に対し、本件契約に係る補助金(以下「本件補助金」という。)として本件契約代金の3分の2に相当する5460万円を支出した(以下「本件支出」という。)。
なお、本件補助金のうち、2730万円については、市街地再開発事業費補助(一般会計)交付要綱に基づく国からの補助金が、1365万円については、愛知県市街地再開発事業等(建設省都市局(当時)所管)補助金交付要綱に基づく愛知県からの補助金がそれぞれ充てられている(甲6、乙3、5)。
(7)  監査請求及び本訴の提訴
原告らは、平成15年4月24日、西尾市監査委員に対し、地自法242条1項に基づき、本件支出が違法であることを理由として、本田市長が西尾市に対して上記補助金相当額を返還するように措置をすることを求める旨の監査請求を行ったが、西尾市監査委員は、同年6月18日付けで、上記監査請求を棄却し、そのころ、原告らに通知した。
原告らは、同年7月18日、本訴を提起した。
2  本件の主たる争点
本件支出の違法性(公益性の欠如)の有無
(1)  本件事業計画を推進するための本件支出は、同計画が実現可能性がなかったことにより、地自法232条の2所定の公益上の必要を欠くものとして違法か。
(2)  本件契約の報酬金に対する補助としてなされた本件支出は、本件契約が談合により無効であることにより、地自法232条の2所定の公益上の必要を欠くものとして違法か。
3  主たる争点についての当事者の主張
(1)  争点(1)(本件事業計画の実現可能性)
(原告らの主張)
ア 「公益上必要のある場合」の判断基準
(ア) 地方公共団体は、憲法上広範な自治権が与えられており、本来的に寄附又は補助を行うことができるものと解されている。しかし、無限定あるいは恣意的な補助金行政が認められないことはいうまでもなく、また、地方自治は、地方自治の本旨、すなわち、民主主義、基本的人権、住民福祉の増進を基本として運用されるべきであることが憲法上要請されるから、補助金の支出について「公益上必要」があるか否かの判断は、自由裁量に委ねられるものではなく、客観的に判断されることが要請される羈束裁量というべきである。
したがって、「公益上必要のある場合」とは、〈1〉補助金支出の目的及び趣旨、〈2〉当該補助金の目的の重要性及び緊急性、〈3〉当該補助金が公益目的に適切かつ有効な効果を期待できるかなどの観点から判断すべきである。
(イ) 被告は、本件支出が違法であるか否かの判断は、当該支出の時点を基準としてなされるべきである旨主張するところ、原告らも、同主張に対して異論を挟むものではない。組合設立認可の後であっても、実施設計業務委託契約をどの時点で締結するかは別の問題であり、法的な拘束を受けているわけではないので、事業計画の不確実性要因等によって、その締結が組合設立認可から大きくずれ込み、場合によっては取り止めに至ることが十分にあり得るのである。
問題は、上記基準時において、本件実施設計が「有意義であった」あるいは「無意味になることはない」という事実の主張立証責任であるが、これが被告に負わされていることはいうまでもない。
イ 本件実施設計が無駄なものになる蓋然性
そもそも、駅前に建てられるような再開発ビル(都市再開発法上の施設建築物)は、専ら保留床(都市再開発法77条4項により権利変換計画により施行者に帰属するように定められる施設建築物の部分をいう。)を処分することにより再開発事業の事業費を賄うことが予定されており、事業の終盤になってから公募するのでは、その安定性の観点から大きなリスクを負担することになるから、本件組合が設立される前の準備組合の段階からその処分先を概定しておくことが当然の要請である。
しかるところ、本件事業計画では、全収入(約64億7200万円)の約66パーセントに当たる約42億9100万円が保留床の処分金で賄われる予定になっていたにもかかわらず、以下の(ア)ないし(ウ)のとおり、保留床であるホテル棟と公益棟3階の処分先が本件組合の設立認可申請の時点で定まっていなかったことからすれば、本件契約は、都市再開発法12条、7条の11に規定される事業計画の不存在、又は不確定なまま締結されたものといわざるを得ない。
すなわち、本件支出は、実施設計のやり直しにより無駄になることが明らかであった上(本田市長とA建設部長(以下「A建設部長」という。)は、平成13年の6月議会において、既に公益棟3階の保留床の売却が困難であることを予測して、公益棟を4階建てから3階建てに変更し、本件実施設計を変更することを示唆する答弁をしている。)、本田市長が慎重な対応をしていたならば、無駄になることを避け得たといわざるを得ないから、本件支出は、上記〈2〉及び〈3〉を満たすものではないことが明白であり、「公益上必要のある場合」に当たらない違法な支出というべきである。
(ア) 公益棟3階部分について
a 西尾商工会議所(以下「商工会議所」という。)は、本件組合の準備組合が設立された平成6年9月より2年前である平成4年ころ、所内に西尾駅前再開発特別委員会を設置するとともに、平成13年12月に引き上げるまで、その職員を準備組合に派遣するなど、本件事業の計画当初から参画し、推進してきた。そして、西尾市の当初の事業計画では、公益棟3階の保留床(床面積1671平方メートル)については、商工会議所が取得して入居する予定であり、かつ、これを前提として本件事業が進められてきたところ、同床の処分予定価格は、保留床全体のそれの約14パーセントである5億7157万7000円にも達し、その処分の成否が本件事業の成否を左右することは明らかであったから、本件事業の実現のためには、商工会議所が、公益棟3階の保留床を取得する意向と資金を有していることが必要であった。
しかるに、商工会議所は、平成12年7月ないし8月、西尾市に対し、保留床の取得費用について補助金の交付を秘密裏に申請したものの、市民の知るところとなり、西尾市議会でも取り上げられて大問題となったことから、本田市長は、同年9月、同市議会において、補助金を支出しないと明言せざるを得ない事態に追い込まれたのであるから、そもそも公益棟3階の保留床を取得できる資金を有していない商工会議所に対する補助金支出の予定がないことが明言された段階で、商工会議所による同床の取得が困難であることが明らかであったというべきである。
b この点につき、被告は、公益棟3階の保留床に関しては、本件支出の時点では、商工会議所内で取得の可否について検討が続けられており、商工会議所が取得を断念する可能性があったことは否定できないものの、取得しないことも明白に決まっていたわけではない旨主張する。
しかし、西尾市の平成13年6月議会において、本田市長が商工会議所は保留床を取得しないことを前提とした答弁をしていること、商工会議所が、同年11月10日、本件事業への進出を白紙撤回する旨を公表し、準備組合に出向させていた職員をも引き上げたことなどに照らせば、本件契約締結時には、商工会議所は保留床の取得を断念しており、そのことを本田市長も認識していたことが明らかである。
また、被告は、商工会議所は売却先候補の一つに過ぎず、仮に商工会議所が取得を取りやめたとしても、他に売却する可能性があった旨主張するが、商工会議所は、平成元年7月ころから本件事業に深く関与し、その構想、立案、及び計画に携わってきたのであるから、被告の上記主張は虚言というほかない。また、公益棟3階の用途について、その後マンションや市役所新庁舎にする案も出されたが、本件実施設計から1年を経過した現在ですら、取得者を概定できないことに照らすと、商工会議所に代わる取得者が現れることが期待できなかったといわざるを得ない。
なお、被告は、施行地域外へ転出する権利者に対する補償を行うためには、権利変換の前提となる実施設計を行う必要性があった旨主張するが、これを行わなくとも、転出権利者に対する仮払の措置を講ずることが可能であるから、被告の主張には理由がない。
(イ) 公益棟1階部分について
当初の事業計画では、公益棟1階は、その用途が「商業」とされ、権利者が権利変換で受け取る「権利者床」として予定されていた。しかし、採算の見込みが得られなかったため、その入居者は定まっていなかった。
また、平成14年6月27日から同年7月10日までに縦覧された権利変換計画では、権利者は、ホテル出資者と共同でホテル棟の所有者となる旨の計画が示されたことに照らすと、今後、権利者の意向によっては、更に変更があり得ると受け止めざるを得ない。
(ウ) ホテル棟について
a ホテル棟については、平成10年3月ころには、第三セクターが14億5000万円で購入した上で、これを株式会社グリーンズ(以下「グリーンズ」という。)に賃貸し、同社がホテルを管理・運営する予定になっていた。
しかし、〈1〉当時、西尾市内の旅館・ビジネスホテル等の宿泊施設は約12軒、収容人員217室342名、稼働率20ないし30パーセントであったのに対して、この計画は客室数150、稼働率70パーセントを前提にしていること、〈2〉当時、豊川市、蒲郡市、瀬戸市、刈谷市など他の市町村における再開発事業でもホテル誘致計画が行きづまったり、第三セクター経営のホテルが深刻な経営難に陥っていたことに照らすと、本件事業計画も健全な状態で実現できる可能性がなかったことは明らかであった。事実、平成13年8月には、第三セクター方式によるホテル運営計画は撤回され、その後、様々な案が浮上するものの明確な計画は何ら打ち出されていない状況にある。
b この点につき、被告は、ホテル棟をホテル運営会社であるグリーンズに直接委託することが予定されているから、第三セクター方式を採用しないからといって、その収支計画には何らの影響も及ぼさないと主張するが、ホテル棟の所有主体も管理主体も定まらない状況では、同主張は空論というほかないし、そもそも当初の収支計画自体、累積赤字の解消は竣工16年度目、配当開始は同22年度目とされているなど、芳しくないのであるから、所有主体を権利者法人に変更したからといって、収支が改善される可能性はない。
また、被告は、ホテル棟については、西尾駅前におけるホテル需要が大きいこと及び建築請負代金の下落により処分価格が低くなる可能性があったことから、平成14年1月時点において、取得者の予定が立っていなかったとしても、売却処分の可能性はあった旨主張するが、西尾市内における宿泊施設の状況に照らせば、西尾駅前におけるホテル需要が大きいという根拠はない。そして、建築代金の下落の理由も明らかではないが、仮に建築代金が引き下げられるとすれば、ホテルの規模の縮小、部屋面積の縮小、グレードの引下げなどを伴うものであり、本件実施設計の見直しが必要となることは明らかである。
そして、被告は、ホテル棟の建設には公共性・公益性があることを主張するが、〈1〉西尾市における宿泊施設の利用実態、〈2〉ホテルについての需要見込み、〈3〉ホテル棟についての建設資金計画及び〈4〉同ホテルの経営収支見込みの各根拠数値並びに〈5〉西尾市及びその周辺の幡豆町、吉良町、一色町に存在するホテル・旅館との競合を無視してホテル棟を建設する必要性を一切明らかにしていない。
ウ その後の本件事業計画の破綻
名鉄の子会社である名鉄東部交通株式会社(以下「名鉄東部交通」という。)は、平成16年3月1日、本件組合から脱退することを表明したが、これにより、本件事業計画は、白紙撤回又は大幅な変更を余儀なくされることが必至となった。
このような本件事業計画の破綻は、結局、ホテル運営について第三セクター方式によることを撤回し、商工会議所が公益棟3階への進出を断念したことによって約束されていたといってもよく、名鉄東部交通の撤退表明は、このことを浮き彫りにしたというべきである。
この点につき、被告は、名鉄本社が新規投資事業に対して大変厳しい経営状況にあることを指摘するが、それは、名鉄グループ自体、本件事業が新規の投資対象になるようなものではないと認識していたことを示すもので、原告らの主張の正当性を裏付けるものである。
(被告の主張)
ア 「公益上必要のある場合」の判断基準
補助金支出の公益性は、諸般の事情を総合的に考慮して個々の事案に即して判断されるべきであり、その認定には行政側に相応の裁量が認められるものであって、その判断が著しく不合理で、裁量権を逸脱し又は濫用するものと認められる場合にのみ違法となると解すべきである。そして、その裁量権の逸脱又は濫用が存するかの判断は、〈1〉補助事業が行政目的に合致すること(合目的性)、〈2〉補助により住民の福祉が向上し、補助をしなければその効果が生じないという関係にあること(有効性、必要性)、〈3〉補助を受ける者とそうでない者との公平を失しないこと(公平性)、〈4〉補助金支出の手続に違法がないこと(手続の適法性)、〈5〉当該団体の財政運営上支障がないこと(財政運営上の相当性)などの観点から行われるべきである。〈6〉また、その際、地域住民の期待が大きいことなどの事情も、前記の諸般の事情として考慮されるべきである。
その判断は、本件支出時(平成14年4月30日)を基準としてなされるべきものである。
イ 本件支出の公益性
本件支出については、以下のとおり、公益性を有するとの本田市長の判断が著しく不合理で裁量権を逸脱し又は濫用するものとは到底認められないから、違法ではない。
(ア) 合目的性
本件事業の目的は、都心にふさわしい水準の公共施設・交通環境の整備、複合施設の建設及び都市防災機能の向上を通じて、西尾幡豆地区の中核都市である西尾市の玄関口としてふさわしい商業・文化の拠点地区を創造し、市民が安心して楽しめる魅力ある市街地の形成を図ることにある。
このような事業目的は、行政目的に合致するものである。
(イ) 有効性、必要性
本件再開発ビルの建築によって、駅前における商業等のサービス施設の充実を図り、道路の適正配置及び道路環境の整備によって、交通環境の整備及び都市防災機能の向上を図ることは、地域の経済・産業の振興や住民の福祉の向上にもつながる。このような駅前の再開発は、都市活性化の手法としては一般的かつ有効なものである。
したがって、本件事業を補助することによって住民の福祉が向上すると考えられる上に、本件事業の規模に照らすと本件事業は民間の団体だけで実現できるものではなく、事業推進を図るための援助が必要であることは明白であるから、本件では補助により住民の福祉が向上し、補助をしなければその効果が生じないという関係にある。
(ウ) 公平性
本件事業は、西尾駅及び西尾駅前を利用する西尾市民のすべてが恩恵を受けるものであり、特定の者のみが利益を受けるものではないから、補助を受ける者とそうでない者との公平を失しない。
(エ) 手続の適法性
本件事業及び本件支出の手続は、法規に従って順次行われており、その手続の適法性に問題はない。なお、原告らは、本件契約の締結に際して談合が存在した旨主張するが、談合が存在しないことは後記のとおりである。
(オ) 財政運営上の相当性
以下の事情からすれば、本件支出時において、本件事業計画にはホテル棟、公益棟とも一部未確定の部分があるに過ぎず、将来再開発計画が中止又は変更されることによって、本件実施設計のやり直しが必要になり、それが無駄になることが客観的に明らかであったとはいえない。また、計画立案から着工まで長期間を要する再開発事業では、情勢の変化に対応して柔軟に計画や設計等を変更する必要があるところ、本件事業では、当初の計画から変化があるものの、なお保留床の取得者を確保し、事業を遂行することが可能であることから、当該団体の財政運営上支障がないことを否定できない。
a 公益棟
公益棟3階の保留床については、商工会議所が、平成13年11月10日、進出計画をいったん白紙に戻す姿勢を表明したが、西尾市に対して保留床の取得断念を正式に回答したのは、平成14年11月12日であり、その間、商工会議所は、取得の可否について検討を続けており、保留床の一部を取得するという可能性もあり得たのであるから、同年1月時点において、商工会議所が保留床を取得しない可能性があったことは否定できないものの、取得しないということが明白に確定していたわけでもない。仮に、商工会議所が、保留床を取得しないことになったとしても、本件再開発ビルの立地条件等を考慮すれば、他の取得者が現れることが十分に期待できた。
また、公益棟の1階と3階は、現時点で保留床となっているが、本件再開発ビルの建築請負契約の入札を実施するに際し、建築請負業者が両保留床の取得者を見つけることを前提として入札者を決める方向で準備が進められているから、同ビル完成時までには取得者が決まり、保留床を処分することができる見通しである。
なお、現在の地価下落傾向により、仮に保留床を処分するためには処分価格を減額しなければならないとしても、現在の経済状況では、建築請負代金も低くなる傾向にあるから、当初の想定契約金額よりも実際の契約金額は下回るものと予想され、十分に採算が取れる。
b ホテル棟
ホテル棟については、西尾駅前の需要が大きいこと及び建築請負代金の下落により処分価格が低くなる可能性のあったことから、平成14年1月時点において、取得者の予定が立っていなかったとしても、売却処分の可能性はあった。
また、ホテル棟の運営については、グリーンズに直接委託することが予定されているから、第三セクター方式を採らないことは収支計画に何らの影響も及ぼさない。
(カ) その他の事情
なお、本件事業については、平成12年5月22日、西尾市商業協同組合と西尾市商業連盟から4万9419名の署名を添えた「西尾駅西A地区第一種市街地再開発事業推進に関する陳情」が提出されるなど、地域住民の期待も大きい上、施行地域内に居住等していた地権者のうち、地域外に転出を希望した者への補償金(都市再開発法71条1項参照)の支払が実施設計後でなければ困難であったという事情もあった。
ウ 原告らの主張に対する反論
原告らは、本件における情勢変化(商工会議所の入居断念、保留床の取得者が決まらない等)によって、あたかも現段階で本件事業そのものが中止されるべきという見地から本件支出の違法性を論じている。
しかし、本件事業計画は、ホテル棟、公益棟ともに一部処分先が未確定の部分があるに過ぎず、計画自体は実現可能なものである。
また、原告らは、名鉄東部交通が本件事業から撤退する旨表明したことから、本件事業計画の破綻が明らかである旨主張するが、名鉄東部交通は、本件支出の時点で撤退の意思を表明していたわけではないから、その違法性判断に影響しない。
(2)  争点(2)(談合による本件契約の無効)
(原告らの主張)
ア 本件入札における談合の存在
本件入札は、平成14年1月24日、指名業者3社が参加して実施されたが、その際に談合(いわゆる官製談合)が行われたことは、平成11年10月27日に西尾市議である原告X8、同X6宅に送付された内部告発文書(甲18の1)の存在のほか、下記(ア)ないし(オ)の事実に照らして明らかである。
(ア) 本件入札では、内部告発文書で名指しされた東畑建築設計のみが落札予定価格を下回る応札額を提示し、第1回目の入札で落札している。
(イ) 通常、談合があった場合、落札率(落札予定価格に対する落札価格の割合)は97ないし99パーセントであるといわれている(これに対し、談合がなかった名古屋市の道路清掃事業のそれは、最高でも76.7パーセントにとどまっている。)ところ、東畑建築設計による本件入札の落札率は、実に99.36パーセントという高率なものであった。
(ウ) 国庫補助金の対象となった本件契約を含む業務全般で、落札価格と国庫補助金額が全く同額で、1円たりとも相違していない。また、その落札金額が判を押したように6で割り切れる価格となっている。
(エ) 西尾市は、本件入札当日に、補助金として1億0440万円の支出命令書を作成し、市長決裁を経て支出負担行為決議書を作成した上、本件組合に対し、補助金等交付決定通知書を発行している。
(オ) 東畑建築設計は、本件組合のコンサルタントの地位にあり、本件組合と癒着している業者に公正な入札を期待することはできない。
イ 地自法234条等の類推適用
本件事業は、形式上は組合施行であるが、下記(ア)及び(イ)の事実に照らすと、実質上は西尾市による自治体施行というべきである。
また、本件組合は都市再開発法に基づいて設立され、国及び地方公共団体からの補助金を受けて同事業を行う公法人であって、競争を行うことで国や地方公共団体の財源を最も効率的、効果的に使用しようとする配慮から、その契約規程は、軽微な工事等を除き、原則として競争入札の方法によるべきことを定めている。
そうすると、本件契約について、地自法234条及び地自法施行令167条の4が類推適用されるべきであるところ、前記のとおり、本件契約の締結過程には官製談合が存在するから、競争秩序ないし経済的公序を基本的価値とする契約規程や民法90条に違反する無効なものというべきである。そうすると、本件組合は、東畑建築設計に対して実施設計費用の支払義務を負わないから、本件支出もまた、地自法232条の2に反する違法なものであることは明らかである。
(ア) 本件事業は、もともとは昭和25年10月に都市計画決定された県道 西尾安城線の直線化が出発点となっており、昭和61年3月に西尾市が策定した第4次総合計画の中心的課題も、同道路の整備と駅前広場の整備であったことから、これらの内容が本件事業に反映されているところ、本来、こうした道路や広場といった公共施設は、都市計画決定に基づき買収手続が取られるべきものであるが、それには膨大な費用を要することもあって、区画整理や都市再開発事業の手法が活用されてきたのが実情である。その最大のねらいは、公共施設の取得費を、自治体の負担によることなく、保留地・保留床の売却処分により捻出するところにある。また、本件事業には、公共施設管理者負担金として西尾市民の血税からも膨大な費用がつぎ込まれることが見込まれている。
(イ) 本件組合の実務は、〈1〉総会の招集、〈2〉組合員等に対する課徴金等の徴収、〈3〉過怠金の徴収、〈4〉保留床価格の通知及び清算金の徴収、交付、〈5〉理事会の招集、〈6〉総会議事録の作成、〈7〉会計収支の予算及び決算の作成、〈8〉工事の発注・物品の購入、〈9〉価格等の確定、清算金の徴収又は交付の通知と徴収、〈10〉保留床等の譲渡に関する事務、〈11〉権利変換計画事務等多岐にわたっている。他方、本件組合の事務局員は事務局長と事務員の2名に過ぎず、上記のような膨大な事務を処理し得る体制にはなっておらず、実際には西尾市開発課再開発係(現在担当職員8名)の主導の下で本件事業が進められている。
(被告の主張)
ア 本件入札における談合の不存在
原告ら主張に係る内部告発文書が届けられてから実施設計の入札まで2年以上の期間があることに照らすと、その告発の対象は基本設計の委託業務であったと考えられるところ、その落札者は名指しされた東畑建築設計ではなく、株式会社日本設計(以下「日本設計」という。)であった。また、本件入札における落札率が高率であることは否定しないが、これだけで談合の事実が存在したと認めるには不十分である。また、落札価格の合計が交付決定額に近似しているからといって、談合(官製談合)の存在を認めることはできないし、落札価格が6で割り切れた事実についても、国や愛知県からの補助割合が広く知られていることに照らすと、同様である。
イ 地自法234条等の類推適用の適否
下記(ア)及び(イ)に照らすと、本件組合が締結する契約について、地自法234条等の規定を類推適用する根拠はない。
(ア) 原告らは、本件事業が実質的に西尾市の自治体施行であることの根拠として、本件組合には2名の事務局員しかいないことを指摘するが、〈1〉総会の招集、〈5〉理事会の招集、〈6〉総会議事録の作成、〈8〉工事の発注・物品の購入、〈7〉会計収支の予算及び決算の作成などは2名で十分に可能である。また、〈2〉課徴金等の徴収、〈3〉過怠金の徴収、〈4〉保留床価格の通知及び清算金の徴収交付、〈10〉保留床等の譲渡に関する事務についても、段階的に行われるものであるから、2名の事務局員でも時間をかけて順次対応することは可能である。そして、〈11〉のうち権利変換計画作成事務は外部業者に委託している。他方、西尾市開発課再開発係の担当職員は、道路整備や他の再開発の仕事をも処理しており、本件組合の事務を事務局員に代わって担当しているわけではない。
(イ) また、本件組合が公法人であることから、直ちに地方公共団体と同一視することも無理がある。そして、契約規程が競争入札の方法を原則としているのは、飽くまで発注価格を低く抑えようとするためであって、自治体等の財源を最も効率的、効果的に使用することを直接の目的としているとまではいえない。
なお、原告らの指摘する談合の問題は、前記のとおり、「手続の適法性」の問題として論じられるべきである。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件事業計画の実現可能性)について
(1)  地自法232条の2所定の公益上の必要性の判断枠組み
地自法232条の2は、「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」と定めているところ、このような抽象的概念である公益上の必要性の意味内容について明らかにした規定は存在しないので、その対象とされた行為の趣旨・目的、当該地方公共団体の社会的・経済的事情及び各種の行政施策との整合性等の諸般の事情を総合的に考慮した上で、客観的な見地から個別的にその存否を判断するほかないというべきである。
しかして、地方公共団体の長は、地方自治の本旨に基づき(地自法1条)、住民の福祉の増進を図るために地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う地方公共団体(同法1条の2第1項)の事務を管理し、これを執行する機関として(同法148条)、補助の要否についての決定を行うものであるところ、その決定は、上記のような諸般の事情を総合的に考慮した上での政策的判断を要するものであるから、事柄の性質上、当該地方公共団体やその区域の状況並びに住民の多様な意見及び利害を熟知していると考えられる当該地方公共団体の長に対し、その要件の認定等について一定の裁量権が委ねられていると解すべきである。
もっとも、寄附又は補助は、地方公共団体が行う無償の給付であって、これが恣意的に行われた場合には、地自法その他の法令によって厳格な規制が加えられている地方公共団体の財政秩序を乱し、その腐敗を招きかねないから、その判断は全くの自由裁量に属するものではなく、要件の認定等に関する裁量についても自ずから一定の限界があるといわざるを得ない。したがって、具体的な補助等が行われた時点を基準として(判断の基準時については、原告らと被告の見解が一致している。)、公益上の必要性に関する当該地方公共団体の長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があったと認められる場合には、当該補助金の交付は違法と評価すべきものである。
(2)  本件事業計画の内容とその変遷
前記前提事実に証拠(甲2ないし4、8ないし14、17、26、27の1・2、28、31、32、33、35ないし37、41、42、45、乙3、5、6、8、原告X6、原告X2)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。
ア 本件契約締結に至る経緯
(ア) 基本設計完了まで
西尾市が昭和61年3月に策定した第4次西尾市総合計画及び商工会議所が昭和63年3月に策定した西尾地域商業近代化実施計画には、西尾駅西側の地区につき県道西尾安城線の直線化及び駅前広場の整備が盛り込まれていた。
これを受けて、商工会議所、西尾信用金庫及び西尾市商工課などの関係者からなる西尾駅前再開発研究会が、平成元年7月に発足し、研究が続けられた。
平成5年ころには、A地区(当初2ヘクタール。Aブロックと称していた。)及びB地区(2.2ヘクタール。Bブロックと称していた。)の再開発を行うか否かの検討が開始され、平成6年9月には本件組合の前身である準備組合(西尾駅前A地区市街地再開発準備組合)が、同年10月には西尾駅前B地区研究会が設立された。
その後、各地区の地権者の意向を聴取した結果、A地区の再開発を先行させ、B地区についてはA地区の再開発が終わってから再開発の進め方を検討することとなった。また、A地区の地権者の一部に異論があったため、平成9年5月には、再開発の範囲が西A地区(1.6ヘクタール)に縮小された。
西A地区の都市計画決定の原案は、平成10年9月に提出され、同地区の地権者全員は、同年10月、これに同意した結果、同年12月には都市計画法17条に基づき、西A地区の都市計画決定の案が縦覧に供された。そして、西A地区の都市計画については、再開発・防火・高度利用部分が平成11年4月に、街路部分が同年7月に、それぞれ決定された。
株式会社日本設計は、同年11月、指名競争入札によって西A地区の再開発の基本設計・資金計画策定業務を落札し、平成12年3月までにこれを完成した。基本設計の段階では、西A地区の残留権利者(施行地区内の地権者のうち、本件再開発ビル内に権利の変換を希望する者をいう。)は、公益棟1階と2階の各一部を取得し、公益棟3階部分は商工会議所が、公益棟のその余は西尾市が、ホテル棟は第三セクターが取得する予定であった。
なお、西尾市商業協同組合と西尾市商業連盟は、同年5月、4万9419名の署名を添えて、本件事業の推進を求める陳情書を西尾市に提出している。
(イ) 基本設計完了後
本件事業計画及び本件組合の定款は、平成12年12月、西A地区の権利者に提示され、権利者全員は、平成13年2月、これらに同意した。
しかし、後記イ(ア)d及びウ(ア)fのとおり、本田市長は、平成13年8月、第三セクターがホテル棟を取得する案を撤回し、また、商工会議所は、同年11月10日、公益棟3階を取得する意思のないことを正式に表明した。
そのため、本件再開発ビルの内容及び権利変換の枠組みは、遅くとも本件実施設計の完成時までには、〈1〉西A地区の残存権利者は、ホテル棟の持分の一部を取得する、〈2〉西尾市は、公益棟2階部分及び4階部分を取得する、〈3〉公益棟1階部分(商業施設)、公益棟3階部分(事務所)及びホテル棟のその余の持分は保留床として処分の対象となる、以上のように変更されたが、〈3〉についてはいずれの部分についても取得者は決定されていなかった(これらの変更が、遅くとも本件実施設計の完成時までになされたことは、本件実施設計図の公益棟3階部分が単に「事務所」と記載されていることから明らかである。)。
その後、本件事業の進展を受けて、平成14年1月16日に国からの補助金が、同年3月15日に愛知県からのそれが、それぞれ交付される旨西尾市に通知された。
イ 公益棟3階部分を巡る状況
(ア) 本件契約締結前の状況
a 商工会議所による公益棟3階全体の取得希望
商工会議所は、かねてから西尾市体育館の一部を無償で借り受け、事務室として使用してきたところ、平成10年3月に開催された第84回通常議員総会において、西A地区の再開発事業に参加し、公益棟3階の一部の床を買い取ることを承認し、そのころ、西尾市に対して、この意向を表明した。さらに商工会議所は、平成11年10月の常議員会において、商工会議所の活動を積極的に拡大したいとの意向から、商工会議所の事務室並びに商工業者の経営支援及び交流の拠点として、公益棟3階の床全部を取得することを承認し、同年12月、西尾市に対して、この意向を表明した。
西尾市は、それまで、公益棟3階の一部を取得し、そこに生涯学習センター、図書館分室を設置する計画であったが、検討の結果、商工会議所が公益棟3階の全体を取得できるように内部調整を行った(これは、平成12年3月に作成された基本設計図が、公益棟3階全体を商工会議所が使用することを前提として作成されていることからも明らかである。)。また、西尾市は、商工会議所に対して、公益棟3階全体(床面積1671平方メートル)の取得費用が5億7157万7000円であることを伝えた。
b 公益棟3階取得費用に対する補助金交付の要望
商工会議所は、平成12年当時、西尾市内の商工業者約2200名の会員により構成されていたところ、公益棟3階の取得のための費用の積立てをしていなかった。
そこで、商工会議所は、同年7月24日付け書面で、西尾市商工課に対して、公益棟3階の取得費用に相当する補助金の支出を要望し、さらに、同年8月17日付け書面で、西尾市企画部人事課に対して、公益棟3階に移転し、同所に「産業情報センター(仮称)」を開設するのに必要と見込まれる総事業費約10億円のうち、公益棟3階の取得費5億7157万7000円にほぼ相当する5億7000万円の補助金の交付を要望した。
c 商工会議所に対する補助金不交付表明及び商工会議所の参画の意思の確認状況等
本田市長は、平成12年9月4日、市議会(同年9月定例会)の答弁において、西尾市の財政状況が厳しいことから、商工会議所の公益棟3階の取得に対して現時点では補助金を支出する考えのないことを表明した。また、A建設部長は、同日の市議会において、西尾市としては商工会議所の取得資金がどうなっているのかを把握していないと答弁した。
また、A建設部長は、平成13年2月28日、市議会(同年3月定例会)において、議員から商工会議所による取得の可能性を問われ、一刻も早く商工会議所の参画の意向を確認する旨答弁した。
西尾市都市計画課主幹は、同年3月14日、西尾駅西再開発特別委員会において、見直しの計画そのものを確定した上で実施設計に入らなければならない旨、A建設部長は、同日、同委員会において、商工会議所が参画しないということは明確になっていないが、参画の意向について大至急確認したい旨、それぞれ表明した。
次いで、本田市長は、同年6月4日、市議会(同年6月定例会)において、「商工会議所の専務理事及び会頭とは度々会う機会があり、商工会議所の意向を打診したが、結論はまだ聴いていない。したがって、本件組合認可申請の段階では、公益棟3階床は業務床として認可を取得する。本件組合設立後、商工会議所が進出しないとした場合、3階を西尾市が取得することは財政上困難なので、新たな床取得者を募集しつつ縮小も含めて検討する」旨答弁した。また、A建設部長も、同日、市議会において、公益棟3階について最終的に処分見込みが立たない場合、施設計画の変更はあり得ると考えている旨答弁した。
さらに、A建設部長は、同年8月24日、西尾駅西再開発特別委員会において、公益棟3階については、商工会議所の進出が厳しい状況下にあり、現在、他の取得者を打診しており、仮に商工会議所が進出せず、他の取得者も現れなかった場合には、規模の縮小を含め見直しが必要であると考えている旨説明する一方、同年9月28日、市議会(同年9月定例会)において、公益棟の半分の処分先が決まっていないが、全力で取り組んでいく旨答弁した。
d 商工会議所による取得の白紙撤回
商工会議所は、平成13年11月、内部の組織変更を行い、会頭が交代した。その後、新会頭は、同月10日、公益棟3階への進出計画をいったん白紙に戻す旨を公表した。
(イ) 本件契約締結後の状況
a 本件契約締結後実施設計完了前の議会答弁等
A建設部長は、平成14年2月28日の市議会(同年3月定例会)において、「商工会議所との話合いを平成13年12月末に行い、新会頭から公益棟3階部分への進出をいったん白紙に戻し内部で議論した上で、方向を示すということだった。」、「現在のところ変更については確定していないので、現在のまま実施設計を進めていくが、これにも限界がある」、「入居者が決まらないままで本件再開発ビルをつくっていくわけにはいかない。」旨答弁した。
他方、A建設部長は、同年3月、市議会議員である原告X8及び原告X6に対し、本件再開発ビルの公益棟を市役所新庁舎とする考えもあり得ることを示唆した。
b 本件実施設計の内容
本件実施設計の3階平面図によれば、公益棟の3階は単に事務所として設計され、他の階との調整が必要となるエレベーター、階段、トイレ、機械室等の設備の配置は確定していたものの、事務所の配置等の詳細は確定していない(これは、〈1〉公益棟2階の図書分館及び市民課・情報課については壁が2重線で記載されているが、公益棟3階の事務所部分については壁が1本の実線のみで記載されていること、〈2〉上記図書分館及び市民課・情報課には出入口の記載があるが、事務所部分には出入口の位置の記載もないことなどから認めることができる。)。
c 権利変換手続
権利変換計画については、都市再開発法83条1項に基づき、平成14年6月27日から同年7月10日の間、公衆の縦覧に供された後、同年8月16日、同法72条1項に基づき、愛知県知事に対して認可の申請がなされ、同年9月27日、同法86条1項に基づき、同知事の認可が公告された。そして、施行区域である西A地区内の土地・建物等の権利は、権利変換期日である同年11月6日に、権利変換計画の定めるところに従い、変換がされた。なお、同法90条1項2項により、施行者は、権利変換期日後遅滞なく、施行地区内の土地・建築物について、権利変換の登記を申請しなければならないが、本件組合はかかる権利変換の登記を申請しなかった。
d 商工会議所の正式回答
商工会議所は、平成14年11月11日、臨時議員総会を開催して公益棟3階の取得について審議を行った結果、同月12日、被告に対して、公益棟3階の取得を断念する旨正式に回答した。
e 西尾市当局のその後の答弁
A建設部長は、平成15年12月2日、西尾市議会において、本件再開発ビルの工事を請け負うゼネコンが保留床を取得するか又はその取得をあっせんするかについてはまだ決まっていない旨答弁し、工事を請け負うゼネコンに対して、公益棟1階部分、3階部分の取得及びホテル棟の取得法人への出資について具体的な協力を求めるつもりであることを示すとともに、本件組合が本件再開発ビルをマンションに変更する可能性を検討している旨を明らかにした。
f 名鉄東部交通等の撤退
本件組合の組合員であった名鉄東部交通は、平成16年1月25日に西尾市に対して、同年2月4日に本件組合に対して、本件事業から撤退する意思であることを表明した。また、名鉄東部交通は、新聞社の取材に対して、撤退の理由を「(建設後の)再開発ビルの運営会社を決めるのに、二転、三転して方向が定まらず、先行きが不透明で不安がある」旨説明した。また、本件組合の副理事長も、このころ、本件事業から撤退する意思であることを表明していた。
この当時、本件組合の組合員の権利価格のうち、ホテル棟の持分に転換された部分の合計価格は約3億円であったところ、そのうち名鉄東部交通は約9000万円、副理事長は1200万円をそれぞれ占めていた。
上記事態を受けて、本田市長は、同年3月1日の市議会(3月定例会)において、参画権利者より脱退の申出という不測の事態が起きたため、本件事業を今までどおり進めるのは困難になったこと、本件再開発ビルの建設については、国、愛知県の指導を頂きながら検討していきたいことなどを答弁した。
ウ ホテル棟を巡る状況
(ア) 本件契約締結前の状況
a 市政世論調査の結果等
西尾市が平成3年に実施した西尾駅西地区に特に欲しい施設に関する市政世論調査の結果(回答者数9813名。ただし、複数回答可。)によれば、「大型駐車場(10.7パーセント)」、「緑と水辺のある広場(10.1パーセント)」、「家族で楽しむ飲食店街(9.8パーセント)」などの回答が上位グループを占め、「パーティーや催しなどができる都市型ホテル(4.5パーセント)」や「宿泊を主体とするビジネスホテル(2.4パーセント)」などの回答を合わせたホテル関連施設への関心は、これに次ぐものであった。
b ホテル運営会社との覚書の締結
西尾市は、平成11年6月、市議会において、グリーンズの依頼により平成9年ころに実施されたホテル需要に関する調査の結果を明らかにしたが、その内容は、〈1〉西三河南部に蒲郡市を加えた7市4町の4万8000か所の事業所に年間1ないし2名のビジネスマンが出張し、その50パーセントが西尾市のビジネスホテルに1泊すると想定し、かつ〈2〉西尾市の歴史公園内の各施設の年間の来訪者数及び利用者数の単純合計数の10パーセントが同ビジネスホテルに宿泊する可能性があると想定した上、〈1〉と〈2〉を合算して1日平均128人の宿泊需要が見込まれると推定し、稼働率を65パーセントと仮定すると150室が必要であるとするものであった。
このような調査結果に基づき、本件組合の準備組合は、平成10年3月26日、グリーンズとの間で「宿泊施設出店に関する基本覚書」を締結し、本件再開発ビルのうちホテル棟については管理法人(第三セクター)が所有すること、グリーンズがホテル棟を賃借してホテルの運営を行うことなどを合意した。
c 第三セクターの概要
当初、ホテル棟を所有する予定の第三セクターは、資本金6億円の株式会社で、西尾市がその8割に相当する4億8000万円を出資することが予定されていた。
しかし、市の財政負担が大きいとの批判を勘案して、第三セクターの資本金は3億6000万円に縮減され、西尾市の出資金もその3分の1に相当する1億2000万円に変更された。
d 宿泊者の需要及び第三セクターの経営状態の予測
日本設計は、平成11年ころ、第三セクターの収支について、竣工後11年度目に単年度黒字に転換し、竣工後19年度目に累積赤字を解消し、竣工後25年度目に長期借入れを完済する旨予測していた。しかし、後記fのように第三セクターによるホテル運営について反対運動が起きたため、西尾市は、宿泊者の需要及び第三セクターの経営状態について再度調査を行うこととした。
まず、ホテル・マネージメント・コンサルティング社は、平成12年3月ころ、西尾市とその周辺の6市4町のビジネスホテルと観光ホテルの各部屋数に70パーセントを乗じて各ホテルの宿泊客数を推定し、これに一定の比率を乗じて西尾市にホテルができた場合に流入する客の合計を128人と推測した。
また、株式会社日本再開発マネジメントは、同月、第三セクターの収支について、竣工後6年度目に単年度黒字に転換し、竣工後16年度目に累積赤字を解消し、竣工後25年度目に長期借入れを完済する旨の予測をした。
e 愛知県内の他市における再開発事業(ホテル建設を伴うもの)の状況
蒲郡市は、JR・名鉄蒲郡駅南側の1.53ヘクタールの再開発事業として、ホテルや商業施設、集合住宅など6棟(床面積合計約2万9000平方メートル)を建設する計画を立て、測量や設計などを実施したが、その後、核になる店舗の確保や地権者の合意の取り付けが難航し、平成12年以降は事業の進行がストップしていた。
瀬戸市は、名鉄尾張瀬戸駅地区の再開発事業として、再開発ビルを建設してシティーホテルを誘致する計画を立て、同ホテル部分の床を買い取る意向を示した1社のみと交渉を開始した。しかし、同社は、平成11年11月25日、買取価格について大きな開きがあるとして、提案していた条件をすべて撤回し、「このままだと撤退せざるを得ない」旨表明した。そのため、瀬戸市は、平成12年8月29日、再開発ビルへのホテル誘致を断念したと発表した。
都市基盤整備公団(当時)は、平成10年ころ、刈谷駅南口再開発準備組合から同再開発事業の委託を受け、公共施設、量販店、ホテル、高層住宅、駐車場を建設する案を策定したが、平成12年2月ころ、大きなホテル需要が見込めないことから、その誘致の見通しが立たず、ホテル誘致計画は断念された。
f 第三セクター運営ホテルに対する反対運動と第三セクター方式の断念
西尾市内には、平成11年ころ、ホテル及び旅館併せて12軒が存在し、その収容人数は約350人であるところ、その平均稼働率は20ないし30パーセントであった。そのため、ホテル経営の採算性に疑問を抱き、また、西尾市内の旅館・ホテル等の経営を圧迫すると考える西尾市の住民らによって、第三セクター方式によるホテル建設に反対する運動が開始され、同年5月には「駅西再開発を考える市民の会」が発足した。そして、同会は、平成12年2月、地自法74条1項に基づき、西尾市の有権者の約18パーセントに相当する1万3000人以上の署名を添えて、第三セクター方式のホテル建設の是非を問うための住民投票条例の制定を求める直接請求をしたが、西尾市議会は、同年4月、上記直接請求に係る住民投票条例案を否決した。
このような動きの中で、本田市長は、平成13年8月29日、任期満了に伴う市長選挙の告示に先立って立候補を表明した際、ホテル棟の建設について「第三セクター方式から民間活力導入に方針を転換した。ホテル棟の建設・経営は民間資本を導入し、税金を使わない。この手法は資金調達も含めて実現できると思って進めている。万一、ホテル経営ができなくなった場合でも税金はつぎ込まない。」と表明した。
g 出資者の状況
ホテル棟全体の処分価格は、平成12年段階で12億8096万2000円を予定していたところ、上記ア(イ)のとおり、遅くとも本件契約締結時までには、ホテル棟の保留床の一部を残留権利者が取得することが予定されていたが、その余の取得者は確定していなかった。そして、残留権利者が最終的にその権利をホテル棟の持分に権利変換したのは約3億円相当分である。
(イ) 本件支出後の経緯
グリーンズは、少なくとも名鉄東部交通が撤退することを表明するまでは、ホテル棟を借り受けてホテル運営を行うという姿勢を維持しており、その後も、本件組合の準備組合との間で締結した「宿泊施設出店に関する基本覚書」を撤回していない。
エ 公益棟1階部分を巡る状況
上記ア(イ)のとおり、遅くとも本件契約締結時までには、公益棟1階部分は、当初の権利者らの権利床から保留床に変更されたが、その取得者は確定していなかった。また、本件支出以降現在に至っても、その取得者は決定していない。
なお、公益棟1階部分の価格は、平成12年当時、5億9614万6000円と見込まれていた。
(3)  本件支出の公益性の有無についての判断
ア 前記前提事実(2)及び(3)によれば、西A地区は、西尾市の玄関口及び交通の中心地として、いわば同市の「顔」に位置づけられるにふさわしい位置・環境にありながら、低層の木造老朽建物や空き地等が混在し、生活環境の悪化や商店街の衰退が認められるところ、本件事業は、商業、業務、宿泊、公益施設及び駐車場等を備えた複合施設の建設、交通環境の整備並びに都市防災機能の向上を図ることを通じて、都市の防災化、高度化を進めるとともに、市民が安心して楽しめる魅力ある市街地の形成を図ることを目的とするものであるから、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もって公共の福祉に寄与することを謳った都市再開発法1条に照らしても、全体として高度の公共性を有すると評価することができる(原告X6も、本人尋問において、西A地区において再開発事業を行うこと自体に反対をしているわけではない旨供述している。)。
もっとも、本件支出に係る補助金の直接の対象は、本件再開発ビルの実施設計委託業務であったところ、同ビルのうちホテル棟の建設については、既存の旅館・ホテル経営者らを中心とする西尾市民による反対運動が起きており、また、市政世論調査の結果によっても、ホテル建設が最も高い市民の支持を集めたわけではないことは前記認定事実のとおりである。
しかしながら、都市再開発事業として具体的にどのような内容を盛り込むかは、地域の特性や権利者の意向を踏まえつつ、あるべき都市の将来像を追究するという、政治的、政策的、専門的見地からの判断が要請されるところ、交通至便な駅前に位置する西A地区にシティーホテルを建築すること自体は、西尾市においてはその種のホテルが存在しないこと(したがって、その建築によって新たなホテル需要を掘り起こす可能性があること)、ホテル関係の施設に対する市民の要望も、トップグループではなかったものの、決して少なくはなかったこと、本件事業の推進を求める陳情書が多数の市民の署名を添えて提出されたことなどに照らすと、西尾市の判断が相応の合理性を有することを否定できないというべきである。
イ 次に、証拠(甲1)によれば、本件事業は、その総費用が64億7200万円と見込まれる大規模なものであることが認められ、その相当部分を保留床の売却によって賄うとしても、なお国、愛知県及び西尾市からの公的な補助なくしてその実現を期すことは困難と認められ、特に施設の建設に着手する以前における事業の初期においては、借入金と補助金が主要な収入源を構成するのが一般的であるから、本件支出が本件事業を推進するために有効かつ必要であったと判断することができる。
また、本件事業による西尾駅前の施設立地や道路整備は、西尾駅及び同駅前を利用する西尾市民全体が恩恵を受けるものと考えられるから、本件支出は、特定の者のみが利益を受けるものとはいえない(本件組合の組合員を構成する従前の権利者らの有する権利評価額は、本件組合が本件支出に係る補助を受けたからといって増額されるわけではない。)。
ウ この点について、原告らは、本件支出は、実施設計のやり直しによって無駄になることが明らかであったから、公益上の必要がある場合に当たらない旨主張するところ、なるほど、本件支出は、本件再開発ビルの実施設計業務を委託する内容の本件契約の報酬について本件組合に補助を行うことを目的としたものであるから、本件支出の時点において、本件再開発ビルの設計内容が大幅に変更されるなど、本件実施設計が無駄になる可能性が高かったのであれば、かかる支出は公益性を欠くと評価せざるを得ない。
そこで、本件支出時における本件再開発ビルの設計内容の変更可能性について検討する。
(ア) 公益棟3階について
前記(2)イ(ア)のとおり、商工会議所は、平成12年7月の段階で、公益棟3階を取得し、「産業情報センター(仮称)」を併設するのに必要と見込まれた約10億円のうち、保留床の価格に相当する5億7000万円の補助金交付を西尾市に申し入れていることに照らすと、これを受けられるとの期待に基づいて公益棟3階への進出を計画していたとみざるを得ないところ、本田市長は、平成12年9月の市議会において、商工会議所に対して補助金を支出しない旨を表明し、これを受けて、商工会議所も、平成13年11月、進出の方針をいったん白紙に戻す旨を表明したのであるから、この時点において、商工会議所が公益棟3階を取得することを正式に断念する旨の決定をしていなかったとしても、商工会議所が公益棟3階を取得する可能性がかなり減少したと考えざるを得ない。
もっとも、本件実施設計は、公益棟3階の用途を「事務所」一般としており、商工会議所以外の者が進出した場合にも対応可能な、汎用性の高い設計内容になっていることは、前記認定事実((2)イ(イ)b)のとおりであるところ、本件再開発ビルが名鉄西尾駅前という比較的良好な立地条件を有すること、公益棟3階全体の保留床の価格は、平成12年当時、5億7157万7000円と見込まれていたものの、複数の事業者によって取得されることも可能であることなどを考慮すると、本件支出の時点で、公益棟3階の保留床の処分可能性が著しく乏しく、設計変更を余儀なくされる見込みが高かったとまでは認め難い。
(イ) ホテル棟について
ホテル棟については、当初、第三セクターによる取得が予定されていたが、西尾市は、平成13年8月、その採算性等の検討から同案を撤回し、残留権利者らの権利床を公益棟1階部分からホテル棟に移すことに変更されたが、本件支出時において、なお、ホテル棟の取得主体は確定していなかったことは、前記認定事実((2)ウ(ア)g)のとおりである(ちなみに、ホテル棟の価格は約12億8000万円(権利変換時9億8000万円)とされていたところ、残留権利者の権利価格は約3億円程度にすぎなかった。)上、多数の客室から成り、客室内にユニットバス等を備え付けるという設計内容に照らすと、ホテル棟の実施設計を他の用途のそれに流用することはおよそ困難であると考えられる。
しかしながら、実際にホテル業務の運営に当たることが予定されていたグリーンズは、上記時点においても、本件組合の準備組合との間で締結した「宿泊施設出店に関する基本覚書」を撤回することはもちろんのこと、賃貸面積、賃貸期間、入居敷金、賃料等の契約条項の修正を求めるなどの申入れをしていなかったこと、西尾駅前という立地条件に恵まれた場所に建設予定のホテル需要はそれなりに予測され、収支状況についても、比較的早期に単年度黒字に転換し、やがて累積赤字の解消も見込まれるとの調査結果が一応存在すること(グリーンズ社の依頼による平成9年の調査及びホテル・マネージメント・コンサルティング社の調査)などに照らすと、ホテル棟の残余持分の取得者が出現する可能性が著しく乏しく、設計変更を余儀なくされる見込みが高かったとまでは認め難い。
なお、本件組合の組合員である名鉄東部交通が、平成16年1月25日、本件事業からの撤退を表明したことは、前記認定事実のとおりであるが、既に権利変換手続が終了している以上、既存の権利に代えてホテル棟の共有持分を取得したことが失効するものではないし、そもそも、上記の事実は、本件支出の時点から1年9か月後のことであるから、上記判断を覆すものとはいえない。
(ウ) 公益棟1階について
公益棟1階は、平成12年当時、その価格が5億9614万6000円と評価され、権利者らの権利床とされる予定であったが、前記のとおり、権利床の対象がホテル棟に変更されたのに伴い、その一部を除いて保留床に変更されているところ、本件支出の時点はもちろんのこと、現在に至るまで取得者が現れていない。
しかしながら、公益棟1階は、主として商業用店舗として実施設計されているところ、名鉄西尾駅前という立地条件に恵まれた場所の1階部分は、まさしくこのような用途にふさわしいと考えられるから、これを取得しようとする者が出現する可能性が著しく乏しく、設計変更を余儀なくされる見込みが高かったとまでは認め難い。
エ 以上によれば、なるほど、本件事業を推進するに当たり、本件再開発ビルの保留床の取得者が確定することを先行させ、しかる後に実施設計を委託する手堅い手法も検討に値したと考えられ、その意味では、かなりの部分の取得者が未確定な状態で締結された本件契約に基づく報酬債務の補助として本件支出を行ったことは、やや慎重さを欠くと評価されてもやむを得ないというべきである。
しかしながら、前記のとおり、本件支出については、合目的性、必要性、公平性などの存在を肯認することができ、支出の手続自体も何らの問題もない上、本件実施設計が無駄になる可能性が高かったとまでは認め難いことなどを考慮し、さらに、本件施行地域外に転出する予定の権利者らに対して補償金を早期に支払うためには、権利変換手続を確定して金融機関から融資を受ける必要があり、その前提として、実施設計が必要であったと考えられたことをも総合すると、本田市長が本件支出の公益性を判断するにつき、その裁量権を逸脱又は濫用したと認めることは相当でない。
2  争点(2)(談合による本件契約の無効)について
(1)  地自法234条の類推適用の可否
原告らは、本件入札において談合が存在していたところ、本件事業は、名目上は組合施行の形式を取っているが、実質上は西尾市による自治体施行であることを理由に、地自法234条が類推適用される結果、本件契約は民法90条に反して無効であり、本件組合がこれに基づく報酬支払義務を負担することはないから、これへの補助としてなされた本件支出は公益性を欠くものとして違法である旨主張する。
しかしながら、本件組合は、前記のとおり、本件事業の実施主体として愛知県知事による設立認可を受けた公法人であって、地自法に定める地方公共団体に当たらないことは明らかである上、証拠(甲20、30)によれば、都市再開発法に規定された定款に基づいて運営され、役員、事務局などの基本的組織を具備していることが認められるから、その運営に西尾市の意向が反映され、西尾市の職員がその事務に関与しているからといって、地自法234条の類推適用を認める根拠になるものではない(ちなみに、ある程度の規模を有する都市再開発等の事業においては、組合施行といえども地方公共団体等が積極的に関わることは、法令によって禁止されていないどころか、その任務に照らして望ましいというべきであり、国の市街地再開発事業費補助(一般会計)交付要綱、愛知県の愛知県市街地再開発事業等補助金(国土交通省都市・地域整備局所管)交付要綱、西尾市の西尾市市街地再開発事業補助金交付要綱などは、このことを前提とした制度と考えられる。)。そうすると、談合によって契約が締結された場合に、地自法234条によって直ちに同契約が無効となるかの問題はさておくとしても、原告らの上記主張は採用できない。
(2)  契約規程2条2項違反の効果
もっとも、本件組合の契約規程2条2項は、18条各項に該当する場合を除き、工事又は役務を発注するには、競争入札によるべきことを定めているところ、これは、公法人としての性質上、できる限り競争原理を働かせて経費の節減を図るとともに、透明性の高い手続を確保しようとする目的に出たものと考えられ、その趣旨において、地自法234条と共通することは否定できない。
しかしながら、契約規程は法令ではなく、本件組合が契約を締結する手続について定めた、いわば内部的準則の性質を有すると考えられるから、これに反したからといって、直ちに当該契約が無効を来すものとは考え難い。もっとも、その態様が著しく経済秩序を乱し、本件組合の利益を看過し得ない程度に害するなど、特段の事情が存在する場合には、民法90条によって当該契約が無効となり得ると解すべきところ、証拠(甲18の1、34、38、40、乙1、原告X2)及び弁論の全趣旨によれば下記の事実が認められる。
ア 平成11年10月ころ、「ある一社の設計事務所が都市整備課及び準備組合の内通者と共謀し選定中の各設計事務所の担当者に連絡をし半ば強制的にある一社に決定されるようにしている事実があります。(中略)ある一社の設計事務所とは(株)東畑建築事務所名古屋事務所(ママ)ときいております。」との記載のある書面が、原告X8、同X6宅、準備組合、西尾市及び新聞社等に送付された。
その後、準備組合の理事会は、平成12年度のコンサルタント業務を東畑建築設計に委託することを決定した。
イ また、平成13年10月ころ、「前回問題になった東畑設計事務所(ママ)を随意契約にてお決めになることになっているそうですが、本当でしょうか。(中略)実際、いつどこで、東畑設計事務所が随意契約の元となるお仕事をしたのでしょうか。」との記載のある書面が、原告X8、同X6宅に送付された。
ウ 本件入札における予定価格は、7850万円(消費税を含まない。)であったところ、東畑建築設計の落札価格は7800万円(前同)であり、その落札率は99.36パーセントである。
エ 平成13年11月22日には、国の平成13年度における西A地区第一種市街地再開発事業にかかる国庫補助金の対象事業金額は1億5660万円である旨内示されていたところ、本件実施設計、地質調査業務、土地調書・物件調書作成業務等の落札金額の合計はこれと一致している。また、これらの落札金額は、いずれも6で割り切れる数字であり、補助金の最終的な負担割合(補助額は、その対象事業費の3分の2を原則とし、うち6分の1を西尾市、6分の1を愛知県、3分の1を国がそれぞれ負担する。)という割合を意識した金額となっている。
オ 入札当日である平成14年1月24日に、本件組合に対して補助金交付決定通知書が発行された。
(3)  公益性の有無についての判断
上記認定事実によれば、事前情報どおり、本件事業に関与している東畑建築設計が本件契約の落札者となり、しかもその落札率がかなり高率であることに鑑みると、入札に当たって談合が介在したとの疑いを挟む余地がないではない。しかし、上記アの書面は、送付された時期に照らすと、基本設計業務に関するものと考えられるところ、これを落札したのは、前記のとおり、日本設計であったこと、イの書面は、談合情報というよりも、随意契約の方式によることを非難していると解されるところ、前記のとおり、本件においては指名競争入札が実施されていること、落札金額は、予定価格を下回っていること、補助金の負担割合は業者にはよく知られていること、落札金額が決定された場合に速やかに補助金交付決定通知書を作成することは十分可能であることなどを考慮すると、談合(官製談合)があったことが確実であり、かつこれによって本件組合の利益が看過し得ない程度に害されたと認めることはできない。
そうすると、本件契約が民法90条に反して無効となるとは解されないので、本件支出は公益性を欠くものとして違法な公金支出に当たるともいえない。
3  結論
以上の次第で、原告らの本訴各請求はいずれも理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 加藤幸雄 裁判官 舟橋恭子 裁判官 尾河吉久)

 

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