【選挙から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(74)平成10年 3月31日 東京地裁 平7(ワ)22711号 謝罪広告請求事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(74)平成10年 3月31日 東京地裁 平7(ワ)22711号 謝罪広告請求事件

裁判年月日  平成10年 3月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平7(ワ)22711号
事件名  謝罪広告請求事件
上訴等  控訴  文献番号  1998WLJPCA03310012

要旨
◆通産省の高級官僚が内部抗争に関与したこと等を内容とする月刊誌及び週刊誌の記事が名誉毀損に当たるとして各誌上への謝罪広告掲載請求が認容された事例

出典
判時 1652号89頁

参照条文
民法723条

裁判年月日  平成10年 3月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平7(ワ)22711号
事件名  謝罪広告請求事件
上訴等  控訴  文献番号  1998WLJPCA03310012

主  文

一  被告株式会社文藝春秋及び同白川浩司は、原告に対し、別紙(一)記載の謝罪広告を、「謝罪文」との表題部分は明朝体一二ポイント活字とし、本文は明朝体一〇ポイント活字として、月刊誌「文藝春秋」誌上に縦五・八センチメートル、横六センチメートルの大きさで一回掲載せよ。
二  被告株式会社文藝春秋及び同中井勝は、原告に対し、別紙(二)記載の謝罪広告を、「謝罪文」との表題部分は明朝体一二ポイント活字とし、本文は明朝体一〇ポイント活字として、月刊誌「文藝春秋」誌上に縦五・八センチメートル、横六センチメートルの大きさで一回掲載せよ。
三  被告株式会社文藝春秋及び同平尾隆弘は、原告に対し、別紙(三)記載の謝罪広告を、「謝罪文」との表題部分は明朝体一二ポイント活字とし、本文は明朝体一〇ポイント活字として、週刊誌「週刊文春」誌上に縦八・五センチメートル、横五・五センチメートルの大きさで一回掲載せよ。
四  原告のその余の請求を棄却する。
五  訴訟費用は、これを四分し、その一を原告の、その余を被告らの各負担とする。

 

理  由

【事実及び理由】
第一  請求
一  主文第一ないし三項と同旨
二  被告株式会社文藝春秋は、原告に対して、朝日新聞、読売新聞及び毎日新聞の各全国版朝刊社会面広告欄に、別紙(四)記載の謝罪広告を、「謝罪広告」との表題部分は明朝体一二ポイント活字とし、その余の部分は明朝体一〇ポイント活字として、縦二段、横五センチメートルの大きさで、それぞれ一回ずつ掲載せよ。
第二  事案の概要
一  本件は、通商産業省(以下「通産省」という。)の官僚であった原告が、上司の失脚に関与した旨の記事等を掲載した月刊誌及び週刊誌を発行する被告らに対して、謝罪広告の掲載を請求した事案である。
二  前提となる事実
以下の事実は、当事者間に争いがないか、各文末記載の証拠により認定できる。
1(一) 原告は、昭和四二年四月、通産省に入省し、昭和五九年六月に機械情報産業局情報処理振興課長を、昭和六三年六月に機械情報産業局電子政策課長を、平成四年六月に通商政策局国際経済部長を、平成六年七月に大臣官房審議官を、同年一二月に機械情報産業局次長を歴任するなどし、平成七年六月からは生活産業局長の地位にあったが、平成八年六月に退官した。
(二)(1) 被告株式会社文藝春秋(以下「被告会社」という。)は、雑誌、図書の印刷、発行及び販売等を業とし、月刊誌「文藝春秋」及び週刊誌「週刊文春」を発行しており、その余の被告らの使用者である。
(2) 被告白川浩司(以下「被告白川」という。)は、「文藝春秋」平成六年三月号が発行された同年二月当時、「文藝春秋」の編集人として、同誌同月号の編集業務に従事していた者である。
(3) 被告中井勝(以下「被告中井」という。)は、「文藝春秋」平成七年六月号が発行された同年五月当時、「文藝春秋」の編集人として、同誌同月号の編集業務に従事していた者である。
(4) 被告平尾隆弘(以下「被告平尾」という。)は、「週刊文春」平成七年六月二九日号が発行された同月当時、「週刊文春」の編集人として、同誌同月同日号の編集業務に従事していた者である。
(以上、争いがない。)
2(一) 被告白川は、「文藝春秋」平成六年三月号に、加賀孝英の署名記事である「霞が関を揺がせた大謀略の構図 内藤局長はなぜ辞めたか 解任劇で噴き出した通産省の暗闇、最大の“恥部”」と題する記事(以下「本件第一の記事」という。)を掲載した。本件第一の記事は、内藤正久通産省産業政策局長(以下、本判決に記載する肩書は、すべて当時のものである。)が、平成五年一二月一六日に熊谷弘通産大臣から辞職勧告を受けて、同月二四日付で辞職したことを取り上げ、内藤の事実上の更迭は、通産省内の内藤に悪意を抱く一派と熊谷通産大臣の所属する新生党が仕組んだものであるとの推論を展開し、その解任劇の手始めは、平成五年八月初旬に通産省の幹部らに配布された怪文書であったとしている。
右怪文書は、通産官僚であった棚橋泰文が平成五年七月の衆議院議員選挙に出馬することから、いわゆるハク付人事が行われたなど同人が不当に厚遇されたことについて、同人の父親である棚橋祐治通産事務次官の責任及び右ハク付人事がなされた当時の大臣官房長であった内藤の責任を追及するもので、作成者として「通産省若手有志一同」と記されたものであり、通産省の幹部等の自宅に送付されていた(以下「本件怪文書」という。)。
(二) 本件第一の記事には、右内藤の辞職及び怪文書について、次の記載がある(以下、次の(1)及び(2)を、それぞれ「本件第一の記事(一)」、「本件第一の記事(二)」という。)。
(1) 内藤が中心になって情報処理に関する二つの法案を各省をまとめて作り上げた時、「こともあろうに、中野がその一つ『情報処理の振興に関する法律』を予算要求し忘れた。信じられないミスで、彼の責任は進退にまで及ぶ。結局、内藤が走り回って法制局に泣きつき、こと無きを得た。中野は内藤に頭が上がらないはずだ」(通産OB)
だがそれは、逆に中野の心の中に内藤憎しの芽を生むきっかけともなる。
(2) 霞が関では今、公然と、「怪文書に何らかのかたちで関わり内藤局長辞職を仕掛けた首謀者は、反棚橋派の高島章環境立地局長(内藤の二年下の三十八年組)で、そこに細川恒基礎産業局長(三十九年組)、中野正孝通商政策局国際経済部長(四十二年組)、伊佐山建志通商政策局経済協力部長(四十二年組)らが協力し、OBの児玉幸治元事務次官(商工中金理事長)につながっている」といわれているのだ。
3(一) 被告中井は、「文藝春秋」平成七年六月号に、「霞が関コンフィデンシャル」の欄で、「通産版“四人組”の憂鬱」と題する記事「以下「本件第二の記事」という。)を掲載した。
(二) 本件第二の記事には、次の記載がある。
大蔵省や通産省の旧新生党シンパと自民党の確執が、今度は富士通を舞台にはじけそう。
スキャンダルとして浮上しそうなのは、通産省産業政策局長を事実上更迭された内藤正久氏(三十六年入省)と対立関係にあったいわゆる「通産四人組」の一人、中野正孝機械情報産業局次長(四十二年入省)の問題。
中野氏は機情局電子政策課長時代、IBMと富士通の特許紛争が起こったときに、IBMに対して、「喧嘩するなら、次はMITIが相手と思って来い」とたんかを切ったといわれているほど富士通と縁が深い。ことに、同社を退社してホテルオークラで経営コンサルタントをしているY氏と、深い関係にあるといわれる。同省では、Y氏は自転車振興会と並ぶ、中野氏の資金パイプというのが「常識」という。
この資金ルートは、通産省のお家騒動では明るみに出ていない。IBM出身のK氏関連のスキャンダルは、四人組と繋がるといわれる大蔵省の斎藤次官グループまで人脈が繋がったが、この富士通ルートは大蔵省騒動でも表面化していないのだ。しかし、大蔵省の斎藤次官問題が片付けば、自民党商工族が四人組への圧力に使い始めるのは間違いないとか。
4(一) 被告平尾は、「週刊文春」平成七年六月二九日号に、「通産省幹部異動“第二の佐橋滋”になれなかった男」と題する記事(以下「本件第三の記事」という。)を掲載した。本件第三の記事は、日米自動車交渉が大詰めを迎えた中で、同月二一日付でなされた通産省幹部の異動について述べたものである。
(二) 本件第三の記事には、次の記載がある。
そこへ橋本大臣の逆鱗に触れる事件が起きた。「高島派の中野正孝機械情報産業局次長が、『対日制裁発動になれば俺は辞表を出すが、渡辺修機械情報産業局長と坂本吉弘通商産業審議官は切腹ものだ。大臣の責任でもある』とふれまわった。通常、局長の辞表は受理されるが、局次長の辞表は預かりとなって受理されない。となれば、中野次長は無傷。これを知った橋本大臣が頭にきて、人事でその“根を断った”んです」(通産省事情通)
三  原告の主張
1 本件第一の記事について
(一) 原告が職務遂行上ミスをしたとする本件第一の記事(一)は、原告の名誉を毀損するものである。
右の内容は事実に反し、被告白川が真実であると信じたとしても、そのことについて相当の理由はない。
(二) 公務員が、自らの所属する組織の上司について多数の者に文書を配布する方法で職務のやり方を誹謗し非難すること、怪文書を配布する方法等で上司の失脚を図ることは、官職の信用を傷つけ、官職全体の不名誉となるような行為を禁じた国家公務員法九九条に違反し、一般社会常識からも是認されない行為であるから、原告が、本件怪文書の配布に何らかのかたちで関わり、内藤辞職を仕掛けたとする本件第一の記事(二)は、原告の名誉を毀損する。
なお、右記事が伝聞の形式による事実の摘示という形式をとっていることは、そもそも名誉毀損による不法行為の成否を左右するものではなく、しかも、右記事は、その内容が真実であるという論調に終始しているから、原告の名誉を毀損することは明らかである。
本件第一の記事(二)の内容は事実に反し、被告白川が真実であると信じたとしても、そのことについて相当の理由はない。
2 本件第二の記事について
(一) 本件第二の記事のうち、「通産四人組」の一人である原告が、産業政策局長を事実上更迭された内藤と対立関係にあった旨の記載(以下「本件第二の記事(一)」という。)は、「文藝春秋」平成六年三月号に掲載された本件第一の記事、「週刊文春」平成六年二月二四日号に掲載された「熊谷通産相よ、品性下劣はあなたの方だ」と題する記事、「文藝春秋」平成六年一一月号に掲載された「通産省熊野次官への告発状」と題する記事等によって、原告が本件怪文書や内藤辞職を仕掛けた「四人組」の一人とされたことを思い出させるに十分であり、前記1(二)のとおり、原告の名誉を毀損する。
本件第二の記事(一)の内容は、事実に反し、被告中井が真実であると信じたとしても、そのことについて相当の理由はない。
(二) 本件第二の記事のうち、原告が富士通とIBMの紛争の際、IBMに対して「喧嘩するなら、次はMITIが相手と思って来い」と啖呵を切ったとする点及び原告が富士通と縁が深いという点(以下「本件第二の記事(二)」という。)は、原告があたかもコンピュータメーカーの一社にすぎない富士通に特別の思い入れを抱き、全体の奉仕者であるべき公務員の職務上の義務に違反しているかのような印象を読者に与え、また、原告の品性が粗暴、下劣であることを読者に印象づけるもので、原告の名誉を毀損する。
本件第二の記事(二)の内容は事実に反し、被告中井が真実であると信じたとしても、そのことについて相当の理由はない。
(三) 本件第二の記事のうち、富士通を退社したY氏と自転車振興会が原告の資金パイプであるとする点(以下「本件第二の記事(三)」という。)は、公務員である原告が、本人又は本人の指定する第三者のために継続して相当額の資金を提供してくれる相手先を有しており、原告の職務の公正さが疑われるとともに、刑法上の賄賂罪にも該当する悪質極まりない非行を犯しているとするものであって、原告の名誉を毀損する。
本件第二の記事(三)の内容は、事実に反し、被告中井が真実であると信じたとしても、そのことについて相当の理由はない。
3 本件第三の記事について
本件第三の記事は、機械情報産業局次長として通産大臣や上司を支えるべき立場にある原告が、機械情報産業局長、通産審議官、さらに通産大臣を誹謗する発言をふれ回ったとするものであり、原告が大変思慮深さに欠け、粗野で、信頼感に欠けることを読者に印象づけるもので、原告の名誉を毀損する。
本件第三の記事の内容は、事実に反し、被告平尾が真実であると信じたとしても、そのことについて相当の理由がない。
4 謝罪広告について
被告らが、本件第一の記事を皮切りにして、本件第二、第三の記事を次々と掲載したことにより、右記事の内容は、通産省内ばかりでなく、原告が職務上接触していた多数の人々や知人の間にも広く知れ渡った。原告が被った名誉毀損の被害は深刻であり、原告の名誉を回復するためには、本件第一ないし第三の各記事が掲載された「文藝春秋」及び「週刊文春」だけでなく、国内の有力一般新聞に謝罪広告を掲載することが必要である。
四  被告らの主張
1 本件第一の記事について
(一) 本件第一の記事(一)が原告の社会的評価を低下させることは認めるが、その記載内容である通産省内の状況や高級官僚と政治との関わりは、公共の利害に関する事実に係るものであり、被告白川は専ら公益を図る目的で右記事を報じたものである。そして、「情報処理振興事業協会等に関する法律」(以下「IPA法」ともいう。)改正の責任者であった原告が、予算書の根拠法条として、誤って「情報処理の促進に関する法律」の旧名称である「情報処理振興事業協会等に関する法律」と記載し、「情報処理の促進に関する法律」ないし「情報処理振興事業協会等に関する法律の改正法」としなかったために、予算書に記載された法律名とその後に成立すべき法律名との間に齟齬が生じ、新題名による同法に基づくソフトウェア生産効率化技術開発計画の実施に当たって、予算が計上されているにもかかわらず、民間金融機関からの借入についての政府保証が下りないという事態が出来しかねないという異常な状況が生まれたことは事実である。
また、仮にそうでないとしても、被告白川は、内閣法制局と掛け合って問題を解決した当事者である内藤らからの取材等によって、真実であると信じたものであって、他方、原告は度重なる被告らの取材依頼を拒絶し、原告の主張を被告らに伝えなかったのであるから、被告白川が右のように信じたことについては相当の理由がある。
よって、被告会社及び同白川は、名誉毀損の不法行為責任を負わない。
(二)(1) 一般の読者は、一つの段落が全体として一つの意味を有するものとして、その段落を理解するから、段落の一部だけを取り出してその意味を論じるべきではない。ところで、本件第一の記事(二)を含む段落は、理由が釈然としないまま、内藤に辞職勧告がなされた原因について、原告が他の者とともに内藤の辞職を仕掛けたという見方が官界で広くなされているにもかかわらず、通産大臣や通産次官は、事実を究明して何らかの措置を講じようとしないという事実を摘示し、批判の対象としているのであって、官界での見方を真実として摘示したものではない。むしろ、同段落中の「犯人探しをするつもりは一切ない」という表現や、官界での見方が真実であるかどうかを「おいおい検証していく」との記載により、右の疑念が真実であると確定されるものではないことを明らかにしている。
原告らを含む通産官僚四名が内藤の辞職を仕掛けたという疑念が存在したこと及び通産省がその疑念の真偽を確認しようとしなかったことは、いずれも公共の利害に関する事実に係るものであり、被告白川は専ら公益を図る目的で右記事を報じたものであって、右の二点はいずれも事実である。
よって、被告会社及び同白川は、名誉毀損の不法行為責任を負わない。
(2) 仮に、本件第一の記事(二)が、原告が怪文書の情報提供に関与していた疑いがあることを伝えるものとして、原告の社会的評価を低下させる表現であるとしても、被告白川は、原告らが内藤の辞職を仕掛けたとの疑念は真実であると信じていたものであり、被告白川が右のように信じたことには、相当の理由がある。
したがって、被告会社及び同白川は、名誉毀損の不法行為責任を負わない。
2 本件第二の記事について
(一)(1) 本件第二の記事には、原告が本件怪文書や内藤の辞職に関与しているとの表現はない。同記事は、署名原稿である本件第一の記事とは異なる無署名コラムであって、掲載時期も一年三か月間離れているから、本件第二の記事を読んだ通常の読者が、その内容を第一の記事と連関させて理解することはあり得ない。
また、原告が内藤と対立関係にあった旨の記述には、何ら具体的事実が記載されていないから、原告の名誉を毀損するものではない。
(2) 仮に、右記事によって原告の社会的評価が低下するとしても、その記載内容は、公共の利害に関する事実に係るものであり、被告中井は専ら公益を図る目的で右記事を報じたものである。そして、原告が内藤と対立していたことは事実であり、仮にそうでないとしても、被告中井は綿密な取材によって真実であると信じたものであって、そのように信じたことについて相当の理由がある。
よって、被告会社及び同中井は、名誉毀損の不法行為責任を負わない。
(二)(1) 本件第二の記事(二)は、省内で武勇伝として語り継がれているように、通産官僚である原告が、米国企業であるIBMと日本のリーディング企業である富士通との間で紛争があった際に、富士通を擁護する側に立ったことを意味するにすぎず、公務員である原告が特定の私企業に思い入れを抱き、公務員の職務上の義務に違反していると理解されることはないから、原告の社会的評価を低下させるものではない。
また、原告と富士通との関係については、通産省が国産メーカーの富士通をIBMに対抗できるほどのコンピュータメーカーとして育成したことを前提として、通産省の電子政策畑の中心人物である原告が、育成政策を通じて縁が深いと評したものであり、富士通という企業と原告が癒着しているとするものではない。
(2) 仮に、右記事によって原告の社会的評価が低下するとしても、その記載内容は、公共の利害に関する事実に係るものであり、被告中井は専ら公益を図る目的で右記事を報じたものである。そして、右紛争(「特許紛争」との記載は、著作権紛争の誤りである。)において、通産省やジェトロ・ニューヨーク事務所に出向中(「電子政策課長」は誤りである。)であった原告は、右記事のとおりの施策や態度をとったものであり、仮にそうでないとしても、被告中井は綿密な取材によって真実であると信じたものであって、そのように信じたことについて相当の理由がある。
よって、被告会社及び同中井は、名誉毀損の不法行為責任を負わない。
(三) 「資金パイプ」の語は、どのような状況があればこれに該当するかを確定的に述べることができず、証拠をもってその存否を確定することが不可能であるから、事実の摘示ではなく意見ないし評価を示すものであるところ、意見ないし論評は、対象とする行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあるときは、前提たる事実が重要な部分について真実であれば、人身攻撃にわたるなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り、違法性を欠く。また、前提たる事実を真実であると信じたことについて相当の理由があれば、過失がなく、不法行為を構成しない。
本件第二の記事(三)のうち、富士通を退社したY氏を原告の資金パイプと評した点は、Y氏の設立したコンピュータ関連会社が経営困難に陥った後、原告の意向により、通産省がNTTデータに対してY氏の会社に仕事を発注するように依頼したこと、Y氏の会社の株式が店頭公開された際などに原告がY氏から私的な宴席に招待されたこと、原告がY氏から平日にゴルフ接待を受け、官房長から通産省内に平日ゴルフの禁止令が出されたことなど、原告とY氏が単なる通産省の担当者と業界人という枠を超えた私的な関係にあったこと等の事実についての意見ないし評価であるところ、右事実は真実であり、あるいは、真実であると信じたことについて相当の理由があって、かつ、意見ないし評価としての域を逸脱したものでないから、不法行為とならない。
また、同記事のうち、自転車振興会が原告の資金パイプであると評した点は、機械情報産業局次長として競輪収益の一部を各業界団体に資金補助するについて補助額を実質的に決定する責任者であったとの事実についての意見ないし評価であるところ、右事実は真実であり、あるいは、真実であると信じたことについて相当の理由があって、かつ、意見ないし評価としての域を逸脱したものでないから、不法行為とならない。
3 本件第三の記事について
(一) 同記事は、日米自動車交渉において対日制裁が発動された場合には、原告自身を含む通産省高官及び通産大臣が責任を負うべきであると原告が述べたことを報じたにすぎず、原告の社会的評価を低下させるものではない。
(二) 仮に、右記事によって原告の社会的評価が低下するとしても、その記載内容は、公共の利害に関する事実に係るものであり、被告平尾は専ら公益を図る目的で右記事を報じたものである。そして、その記載内容は真実であり、仮にそうでないとしても、被告平尾は、通産省の実情に詳しいジャーナリスト及び通産省のキャリア官僚からの綿密な取材によって真実と信じたものであって、そのように信じるについて相当の理由がある。
よって、被告会社及び同平尾は、名誉毀損の不法行為責任を負わない。
五  争点
1 本件第一の記事(二)、本件第二、第三の各記事による原告の社会的評価の低下の有無
2 本件各記事の内容の真実性
3 被告らが本件各記事の内容を真実であると信じたことについての相当性
第三  争点に対する判断
一  本件第一の記事
1 本件第一の記事(一)
(一) 本件第一の記事(一)は、原告が「情報処理の振興に関する法律」による行政事務を執行するために必要な予算の要求を忘れたというミスを犯したことを意味するものであり、右記事が原告の社会的評価を低下させることについては、当事者間に争いがない。
(二)(1) 情報処理振興事業協会等に関する法律は、昭和六〇年五月一日法律第三〇号により改正され、改正後の法律は「情報処理の促進に関する法律」という題名になった。同法は公布の日から施行されたが、題名の改正規定等は、昭和六一年四月一日から施行された。
ところで、《証拠略》によれば、昭和六〇年度一般会計予算書に、情報処理振興事業協会借入金に係る債務の根拠規定として、「情報処理振興事業協会等に関する法律」と記載されていることが認められる。そして、右の法改正の経緯は、《証拠略》によれば、次のとおりである。
通産省は、昭和五九年一〇月、牧野電子政策課長を委員長とし、情報処理振興課長であった原告ほか三名を副委員長とする「情報化法制検討プロジェクトチーム」を結成した。そして、IPA法について所要の改正を行い、その題名についても情報処理一般を扱うにふさわしいものに改正する方針を立て、昭和六〇年一月八日の内閣法制局文書課長会議に「IPA法の一部改正法案」を提出したが、他方、郵政省も、通産省案と重複する「電気通信高度化基盤整備法案」を内閣に登録したため、両省の法案調整を行うことになった。通産省としては、郵政省等と共管でIPA法を包含する新たな法律を制定することもやむを得ないとの考えで意見調整を進めていたが、特に郵政省との協議が難航し、打開の目処は立たなかった。
ところで、昭和六〇年度政府予算案は、同月二五日までに閣議決定を経て衆議院に提出することになっていたため、同月二〇日ころには予算書の印刷原稿を確定しなければならなかったが、その段階では、右のとおり、IPA法の新題名はおろか、そもそも題名を改正するかどうか自体が確定していなかった。大蔵省主計局法規課は、前年の予算編成の段階から、IPA法について題名改正の余地があることを承知していたが、予算書を国会に提出した後は題名改正ができないとの見解を示して、IPA法の題名改正に反対した。そのため、同月二〇日ころ、原告が棚橋次長に題名改正が難しくなる可能性があると説明したところ、棚橋は、原告に対して「題名改正ができなければ、僕は君のせいで天下に赤恥を晒すことになるのだ。」と言って、題名改正について強い意向を示した。
そこで、原告らは、題名改正に異を唱える大蔵省主計局法規課や、IPA法の改正自体に反対している郵政省を刺激せずに、予算書作成後に同法の題名を改正する方法を模索し、同月二一日、非予算関連事項の一部につき準備期間を設けてその施行時期を遅らせ、題名改正の施行時期も併せて延期することを提案したところ、大蔵省主計局は、題名改正について反対せず、引き続き協議を行うことを了承した。このように、予算書の記載については、担当課長レベルで、情報処理振興事業協会の借入金に係る債務の根拠規定として「情報処理振興事業協会等に関する法律」と記載することが決定された。
通産省は、同月二九日、郵政省との事前調整を断念し、将来題名改正がなされた場合における題名改正の施行時期を、同法に基づく債務保証の予算執行が終了するのを見込んで、昭和六一年一月一日とする点を含む「IPA法の一部を改正する法律案」を各省庁協議に付すことを決定し、同年二月五日から、各省庁協議が開始された。
右の過程で、通産省の局長や次長等の幹部が、大蔵省主計局との間でIPA法の題名改正の点について調整したことはなく、原告の進退が問われたこともなかった。
その後も、IPA法の改正内容や新題名についての各省庁協議は難航したが、最終的には、閣議決定案のとおり「情報処理の促進に関する法律」と決定された(なお、題名改正の施行時期は、その後、内閣法制局により、通産省原案よりもさらに三か月後の昭和六一年四月一日と修正された。)。
(2) 右の経緯にかんがみれば、原告が「『情報処理の振興に関する法律』を予算要求し忘れた」との記載は事実に反するというほかない。
なお、被告らは、右予算書に「情報処理の促進に関する法律」という新題名を記載すべきであったと主張するが、前記(1)のとおり、予算書に根拠規定を記載した際には、未だ「情報処理の促進に関する法律」という新題名について、政府部内で了解が得られていなかったことが認められるから、予算書に新題名を記載することが不可能であったことは明らかである。また、被告らは、「情報処理振興事業協会等に関する法律」に「の改正法」との文言を付加することによって、予算書が国会で承認を受けた後に法律の題名が改正されても、予算の執行が可能となり、このことは、官僚社会では常識に属するとも主張するが、「IPA法の一部を改正する法律案」を実施法となり得ないことはもちろんのこと、原告本人尋問の結果によれば、「情報処理振興事業協会等に関する法律の改正法」ないし「情報処理振興事業協会等に関する法律(改正法)」と記載する方法も、IPA法の改正に反対していた郵政省を刺激するという点において相当でなかったことが認められる。
以上によれば、原告が、旧題名である「情報処理振興事業協会等に関する法律」を誤って予算書に記載するなど、IPA法による行政事務の遂行に必要な予算の要求をめぐって何らかのミスを犯したとの事実はなかったものと認められる。
(三) 原告が進退問題に発展するような信じられないミスを犯した旨の記事は、原告の社会的評価を著しく低下させるものであるから、記事の内容が公務員の執務状況等公共の利害に関わるとはいえ、原告の実名を掲載するに当たっては、被告白川としては、その内容の真実性を十分に調査する必要があるというべきである。
ところで、白石証言によれば、被告白川は、右の予算書の記載に関して、他に適当な方策が存在したかどうかを何ら確認をしていないことが認められる。
したがって、被告白川が本件第一の記事(一)の内容を真実であると信じたことについて、相当の理由は認められない。
2 本件第一の記事(二)
(一) 他人の社会的評価を低下させる事実を摘示者が自ら体験したものとして表現せず、第三者の見方ないし風聞として示したとしても、通常人が当該記事を読んだ場合に、当該事実の存在が印象づけられることによって社会的評価が低下するときは、名誉毀損の不法行為が成立するというべきである。
ところで、他人の社会的評価を低下させる事実を摘示した記事を掲載しても、その事実が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときは、右記事の掲載行為には違法性がなく、また、右事実が真実であることの証明がないときにも、右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定される。そうすると、当該事実を第三者の見方ないし風聞として示した場合であっても、右のように、当該記事を読む者に当該事実の存在が印象づけられることによって、社会的評価が低下するときは、第三者の見方ないし風聞の存在自体ではなく、その内容が真実性の証明対象になると解するのが相当である。
(二) 《証拠略》によれば、本件第一の記事(二)は、被告らが主張するとおり、自らの所属する組織の上司を誹謗し非難する本件怪文書に何らかのかたちで関わり、内藤の辞職を仕掛けた首謀者が高島であり、これに原告も協力したとの官界における見方ないし風聞を摘示するという形式をとっており、また、同記事を含む段落は、右の見方がなされているにもかかわらず、犯人探しをしようとしない通産省の態度を指摘していることが認められる。
しかしながら、名誉毀損の成否を判断するに当たって、当該記載の意味内容は、一般の読者が通常の読み方をした場合にどのように理解するかを基準とすべきところ、通常の読者は、問題とされる記載を含む段落のみならず、記事全体を一体として理解するものであるから、本件第一の記事(二)についても、本件第一の記事全体の中での意味合いを考える必要がある。
ところで、本件第一の記事には、右の見方を「おいおい検証していくが」という記載を受けて、原告が「情報処理の振興に関する法律」を予算要求し忘れ、内藤が走り回って法制局に泣きついて事なきを得たが、内藤に頭が上がらず、逆に内藤を憎む気持ちが生まれたこと、原告が内藤と対立する児玉元通産省事務次官の派閥に属していたこと、原告が高島や伊佐山とともに高島カンパニーといわれる株式会社IBCの設立に尽力したこと、原告が小沢一郎の著書の一部を担当したこと、小沢一郎が平成三年の訪ソに際して携えた、経済援助と引き替えに北方領土の返還を受けるとの腹案を、児玉元次官の紹介で原告が実質的にとりまとめたことなどが、右の風聞を裏付ける事実であるかのように記載されており、他方、右の風聞を否定すべき事情や風評の根拠が不十分であることについては全く触れられておらず(甲一により認める。)、本件第一の記事が全体として、官界における右のような見方が真実であるとの印象を通常の読者に与えることは否めない。
そうすると、本件第一の記事(二)は、原告が本件怪文書及び内藤の辞職に何らかの形で関与したことを読者に印象づけ、原告の社会的評価を低下させるものであるから、右記事の内容が公共の利害に関する事実に係り、被告白川が専ら公益を図る目的で同記事を掲載したとしても、原告が本件怪文書及び内藤の辞職に何らかの形で関与したことが真実であるか、または、真実であると信じたことについて相当の理由が認められない限り、被告会社及び同白川に不法行為が成立するというべきである。
(三) 《証拠略》によれば、本件第一の記事を執筆した加賀及び「文藝春秋」の編集部に在籍していた白石一文の取材に対して、辞任を余儀なくされた内藤や棚橋が、高島、細川、伊佐山及び原告を本件怪文書の犯人として名指し、また、内藤及び棚橋以外の四〇名弱の通産省関係者も、本件怪文書に関して、高島、細川、伊佐山及び原告の名前を挙げており、本件怪文書を作成した犯人の一人は原告であるとの風評が通産省内にあったことが認められる。しかし、怪文書を配布する等の卑劣な手段で上司の失脚を図った犯人として実名を挙げた記事を雑誌に掲載するに当たっては、風評の信憑性を十分に検討することが要求されるというべきである。
ところで、《証拠略》によれば、被告白川が、右風評を真実と考えた根拠は、<1>原告は本件怪文書の作成者と目される人物と交友関係があること、<2>本件怪文書には、通産省の内部者しか知り得ないような事実が詳細に摘示されており、次官らは、内藤らの要求にもかかわらず、本件怪文書の情報提供者を調査しようとしなかったこと、<3>平成五年一〇月に公明党議員が本件怪文書の件を質問して、熊谷通産大臣が綱紀粛正を約束し、内藤が省内の空気を暗くしたこと等を理由として、同年一二月に辞職勧告を受け、辞任に追い込まれたという経緯や、本件怪文書が批判の対象とする棚橋と内藤のうち、棚橋は当時既に退官していたことから、本件怪文書は内藤の追い落としを狙ったものと思われること、<4>原告が「情報処理の振興に関する法律」を予算要求し忘れ、内藤が走り回って法制局に泣きつき、事なきを得たが、内藤に頭が上がらず、逆に内藤を憎む気持ちが生まれたこと、<5>原告が高島や伊佐山とともに高島カンパニーといわれる株式会社IBCの設立に尽力したこと、<6>当初、新生党の熊谷通産大臣が辞職勧告の理由の一つとして、内藤と特定企業との癒着の問題を挙げており、高島、細川、伊佐山及び原告も、内藤が特定企業と癒着している旨の情報を盛んに流して、内藤解任を正当化しようとしていたが、その後、内藤と特定企業の癒着を通産大臣自ら否定するなど、不可解な動きがあったこと、<7>原告が新生党の小沢一郎の著書の一部を担当したこと、<8>自由民主党の小沢一郎幹事長が平成三年の訪ソに際して携えた、経済援助と引替えに北方領土の返還を受けるという腹案を、児玉元次官の紹介で原告が実質的にとりまとめたこと、<9>原告らは、棚橋及び内藤と人事を巡って対立関係にあり、内藤が次官に昇任することに対して危機感を抱いていたこと、の九点に尽きるものと認められる。
右の根拠のうち、<1>について、白石証言によれば、被告白川は、本件怪文書の作成者と目される人物が真の作成者であるかどうかについての確証を得ていないことが認められるから、この点は、通産省内の見方ないし風聞の真実性を裏付けるものとはなり得ない。<2>及び<3>については、《証拠略》によれば、本件怪文書の作成に通産省の内部者が関与したこと及び本件怪文書が内藤の責任をも問うものであることが認められるものの、それらの事実を原告のみが知り得たとの主張立証はないから、本件怪文書の内容自体によって原告の関与が裏付けられるものではない。また、<4>が認められないことは前記1のとおりであり、<5>については、これを認めるに足りる証拠はなく、かえって、甲一〇によれば、機械情報産業局電子政策課長であった原告は、株式会社IBCの設立に当たって業界等の連絡調整をしたが、高島や伊佐山らは右設立に加わっておらず、原告が高島や伊佐山とともに尽力した事実はないことが認められる。そして、<6>のうち、内藤が特定企業と癒着している旨の情報を原告らが流したとの事実や<7>の事実については、これを認めるに足りる証拠が存在しない。また、<8>については、《証拠略》によれば、当時貿易局総務課長の地位にあった原告が、児玉次官、熊野官房長及び堤貿易局長の指示を受け、職務として、与党の幹事長の求めに応じて、対ソ連経済協力の可能性に関する資料を提出して、その説明を行ったものであることが認められるものの、このことは、原告と児玉、あるいは小沢との特別な関係を推認させるものではなく、ましてや、原告が本件怪文書を作成し、内藤の辞職を仕掛けた犯人の一人であることを裏付けるものではあり得ない。そして、<9>については、仮に、内藤の所属する派閥とは対立関係にある派閥に原告が所属しており、本件怪文書が派閥抗争との関係で作成されたとしても、そのことのみでは、本件怪文書の作成についての原告自身の関与を推認することは到底できないというべきである。
なお、《証拠略》によれば、被告会社の記者である白石らが原告に取材の申込みをしたところ、原告は、通産省官房の広報が対応するので個別に取材を受けないようにと言われていたため、白石らの取材を拒否したことが認められる。この点を捉えて、被告らは、原告の言い分を聞こうと試みたにもかかわらず、原告が取材に応じなかったのであるから、原告の主張が本件第一の記事に掲載されなかったことについて、被告らに責められるべき点はないと主張する。しかし、原告は、前記のとおり、原告以外の者らに対する取材に基づく記事としても不相当であると主張するものであって、原告の言い分が掲載されていない点を問題としているのではないから、被告らの右主張は理由がない。
以上によれば、原告が本件怪文書の作成や内藤の辞職を仕掛けた人物に協力した事実はないものと認められ、また、被告白川が右の事実を真実であると信じたことについて、相当の理由があったとは認められない。
二  本件第二の記事
1 本件第二の記事(一)
《証拠略》によれば、被告会社は、本件第二の記事(一)の掲載に先立ち、本件第一の記事(二)のほか、同社の発行した「週刊文春」平成六年二月二四日号掲載の「熊谷通産相よ、品性下劣はあなたの方だ」と題する記事、月刊誌「文藝春秋」平成六年一一月号掲載の「通産省熊野次官への告発状」と題する記事等において、本件怪文書に何らかの形で関わり、内藤辞職を仕掛けた首謀者が高島であり、これに細川、原告、伊佐山らが協力したと言われている旨を繰り返し掲載していたことが認められる。このような報道状況や、本件第二の記事(一)中の「事実上更迭」、「四人組」等の語にかんがみれば、「通産省産業政策局長を事実上更迭された内藤正久氏(三十六年入省)と対立関係にあったいわゆる『通産四人組』の一人、中野正孝」との記載は、原告が本件怪文書に何らかの形で関わり、内藤辞職を仕掛けたとされる四人のうちの一人であることを読者に想起させようとするものであり、かつ、通常の読者がそのことを理解し得るものであって、原告の社会的評価を低下させるものであると認められる。なお、右記事中の「いわゆる『通産四人組』」との表現も、同記事を読んだ読者が右のとおり想起し得ることを前提とした表現であると解される。
そして、本件怪文書及び内藤辞職について、原告の関与はなかったと認められること、被告中井において原告の関与があったと信じたことについて相当性が認められないことは、前記一2(三)のとおりであるから、本件第二の記事(一)は名誉毀損の不法行為を構成するというべきである。
2 本件第二の記事(二)
本件第二の記事(二)は、原告が、富士通とIBMの紛争の際、IBMに対して「喧嘩するなら、次はMITIが相手と思って来い」と啖呵を切ったとする点及び原告が富士通と縁が深いという点のいずれにおいても、通産官僚である原告があたかも特定のコンピュータ企業である富士通に対して、個人的に特別の思い入れを抱き、全体の奉仕者であるべき公務員の職務上の義務に違反し、かつ、啖呵を切るという非紳士的な行動をとったかのような印象を読者に与えるものであって、原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
ところで、《証拠略》によれば、原告は、電子政策課の課長補佐をしていた時代に、IBMが、米国内で独占禁止法に抵触するフューチャーシステムのプリセールスを、わが国で実施しようとしていることを見つけ、同社に指摘したところ、同社の幹部が通産省を訪れて謝罪したことが認められるものの、富士通とIBMの著作権紛争において、原告が右記事のとおり啖呵を切ったことや、そのような態度をとるほどに富士通と特別に縁が深かったことを推認させる証拠は何ら存在せず、そのような事実はなかったものと認められる。
そして、被告中井において、本件第二の記事(二)記載の事実を真実と信じたとしても、そのことについて相当性を認めるべき理由は何もない。
よって、本件第二の記事(二)は、原告の名誉を毀損する不法行為に当たるというべきである。
3 本件第二の記事(三)
(一) 本件第二の記事(三)は、通産省の官僚である原告個人が、富士通を退社したY氏から資金を継続的に受領しているとの印象を読者に与えるというほかなく、原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
ところで、《証拠略》によれば、右記事中の「Y氏」が安岡彰一(以下「安岡」という。)を示すことが認められ、安岡の設立したコンピュータのソフトウェア開発等の事業を営む株式会社ジャパンシステムは、平成四年から二年間赤字決算が続き、経営困難に陥ったことが認められる。しかしながら、原告の意向により、通産省がNTTデータに対して安岡の会社に仕事を発注するように依頼したと認めるに足りる証拠はなく、かえって、《証拠略》によれば、原告は、平成二年六月から平成六年一二月までは機械情報産業局に所属しておらず、同社の再建に関与する立場になかったことが認められる。また、原告自身が安岡の主催するパーティーに出席し、あるいは、安岡から平日にゴルフ接待を受けるなど、職務を離れて、安岡と個人的に親しい関係にあったと認めるに足りる証拠は存在せず、そのような事実はなかったものと認められる。なお、被告らは、原告が安岡から過剰な接待を受けていたことの根拠として、原告が電子政策課長に就任していた当時、コンピュータのソフトウェア会社社長が大株主となっているレストランに妻名義で出資したこと、原告が一室を所有するマンションには、コンピュータのソフトウェア会社社長らも部屋を所有していたとの事実を挙げ、金銭関係や業者との交際の面で、原告はキャリア官僚に求められる高潔さに欠けると主張するが、これらの事実が認められるとしても、原告と安岡の間に本件第二の記事(三)に記載された関係があることの根拠となるものではないことは明らかである。
したがって、右記事のうち、安岡が中野氏の資金パイプである旨の記載は、原告の名誉を毀損する不法行為を構成する。
(二) 自転車振興会が安岡とともに「中野氏」の「資金パイプ」であるとの表現は、一般の読者が通常の読み方をした場合に、原告個人が自転車振興会から資金を継続的に受領しているとの事実を摘示したものと理解されるのであって、被告らの主張するように、原告が機械情報産業局次長として、特殊法人である自転車振興会に納付された競輪の売上げの一部についての使途を実質的に決定していたこと、あるいは、乙二六(白石の陳述書)に記載されるように、競輪の売上げは通産官僚が天下りする際の持参金として分配されるものであり、その決定権を実質的に掌握している機械情報産業局次長は、天下りの世話をすることで他の官僚に恩を売ることができる有利なポストであるという事実についての意見ないし評価であるとは到底解されない。
よって、原告が機械情報産業局次長の立場にあった際に、競輪資金の使途を実質的に決定した事実があったかどうか等を判断するまでもなく、本件第二の記事(三)中の右記載部分は、原告の名誉を毀損する不法行為に当たる。
三  本件第三の記事
1 《証拠略》によれば、平成七年六月のいわゆる日米自動車交渉において、原告は機械情報産業局次長として国内で現地との連絡や政府与党等への説明に当たっていたこと、渡辺修機械情報産業局長及び坂本吉弘通産審議官がわが国の代表として交渉に当たり、橋本竜太郎通産大臣も同月二五日に現地入りしたことが認められる。本件第三の記事は、右の状況を前提として、対日制裁が発動された場合の責任問題について、原告が、局次長である自分が辞表を提出しても受理されないことを知りつつ、原告自身も辞表を提出するが、原告の上司である機械情報産業局長や通産審議官は「切腹もの」であり、さらには通産大臣の責任でもあるとふれ回り、大臣の逆鱗に触れたために、原告と同派閥に所属する高島が次官に就任できず退任したことを意味するものであって、通常の読者に、原告は、一丸となって交渉に当たるべきときに、自分には責任が及ばないことを知りつつ、大臣らの責任に言及し、次官候補者とみられていた高島の退任の一因となる不用意な発言をしたと理解させるものであるから、原告の社会的評価を低下させるというべきである。
2 佐藤は、原告の右言動を直接見聞きし、あるいは、それを第三者から伝え聞いた通産省の記者クラブに所属する複数の記者及びキャリアの通産官僚から、原告の右言動を聞いて、本件第三の記事を執筆したと証言するものの、被告ら及び佐藤は、取材源の秘匿を理由として、原告が右言動をした日時、場所等を証言せず、その取材源や取材内容についても、およそ明らかにしないから、右事実が真実であり、あるいは、真実であると被告平尾が信じたことについて相当の理由があったと認めることはできない。なお、被告らは、報道機関として取材源を秘匿する権利を有しており、佐藤も、同人が取材をした記者の人数を証言できない理由は、原告が何人の記者に発言したかを覚えているため、佐藤の取材に応じた人数を明らかにすると、原告が犯人探しをする可能性があるためであると証言する。しかしながら、報道により名誉を害された原告の不利益において、被告らが、取材内容について何ら明らかにすることなく、真実性や真実であると信じたことの相当性についての立証責任を免れ得るとすることは、原告の反証の機会を奪うに等しく許されないといわざるを得ない。
四  謝罪広告
1 以上によれば、原告が掲載を請求する謝罪文の記載のとおり、本件各記事の掲載内容は、事実に反することが認められる。
2 「文藝春秋」及び「週刊文春」は、いずれも発行部数が多く、大きな社会的影響力を有するところ、本件第一ないし第三の各記事は、原告の実名を掲げており、また、前示のとおり、断定的な論調で記載された部分も多く存在する。そして、《証拠略》によれば、原告の実名を挙げた本件第一ないし第三の各記事が掲載され、原告に対する名誉毀損行為が繰り返されたことにより、原告は、郷里の学友らから信用を失い、「四人組」の一人として怪しげなことをやっているなどと思われ、同窓会の案内も送付されなくなるなど、多くの友人や部下、職務上の知人らから避けられるようになったことが認められる。
これらの事実にかんがみれば、名誉毀損による原告の損害を回復させるためには、本件第一ないし第三の記事が掲載された「文藝春秋」及び「週刊文春」に、原告の請求のとおり謝罪広告を掲載する必要があることが認められる。
3 しかしながら、本件各記事の掲載後に、これらと同様の記事が被告会社以外の出版者の発行に係る雑誌に掲載されるなどして、「文藝春秋」及び「週刊文春」の読者以外の者に、同記事の記載内容が知られるに至ったとしても、そのことと、被告らが本件各記事を掲載したこととの間には相当因果関係が認められず、この点について被告らの責任を問うことは相当でない。
よって、被告らに、本件各記事の掲載された「文藝春秋」及び「週刊文春」のほかに、日刊紙に謝罪広告を掲載すべき義務を認めることはできないから、この点についての原告の請求は理由がない。
五  結論
以上によれば、原告の請求は、「文藝春秋」及び「週刊文春」への謝罪広告の掲載を求める限度でそれぞれ理由があるから、これを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 南 敏文 裁判官 小西義博 裁判官 納谷麻里子)
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