【選挙から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(9)平成30年 3月26日 東京地裁立川支部 平28(ワ)2678号 損害賠償請求事件

「選挙 コンサルタント」に関する裁判例(9)平成30年 3月26日 東京地裁立川支部 平28(ワ)2678号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成30年 3月26日  裁判所名  東京地裁立川支部  裁判区分  判決
事件番号  平28(ワ)2678号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2018WLJPCA03266013

事案の概要
◇被告市内で認可保育所の開設を予定していた原告会社が、被告市の市役所職員及び市議会議員により、名誉を毀損され、強要、脅迫等をされたことによって認可保育所の開設を断念したなどと主張して、被告市に対し、国家賠償法1条1項に基づき、3339万0197円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案

裁判年月日  平成30年 3月26日  裁判所名  東京地裁立川支部  裁判区分  判決
事件番号  平28(ワ)2678号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2018WLJPCA03266013

埼玉県所沢市〈以下省略〉
原告 有限会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 徳永祐一
東京都武蔵野市〈以下省略〉
被告 武蔵野市
同代表者市長 B
同訴訟代理人弁護士 中村一郎
同 竹村淳
同指定代理人 C
同 D
同 E
同 F
同 G
同 H
同 I
同 J
同 K

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,3339万0197円及びこれに対する平成28年9月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,被告市内で認可保育所の開設を予定していた原告が,被告市役所職員(以下「被告職員」という。)及び被告市議会議員により,名誉を毀損され,強要,脅迫等をされたことにより認可保育所の開設を断念したなどと主張し,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償金3339万0197円及びこれに対する原告が認可保育所の開設を断念した日である平成28年9月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実(争いのない事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)ア  原告は,飲料水の小売販売及び自動販売機の管理業等を業とする有限会社であり,被告市内において認可保育所を開設することを予定していた。
L(以下「訴外L」といい,原告代表者と併せて「原告代表者ら」という。)は,原告の取締役である。
イ  D,I及びJは,それぞれ,被告市役所子ども家庭部子ども育成課課長,同課課長補佐及び同課係長である(以下,Dを「D課長」,Iを「I課長補佐」,Jを「J係長」といい,これらの3人を併せて「被告職員ら」という。)。
ウ  M(以下「M議員」という。)は,被告市議会の現職の議員である(甲3の1)。
(2)ア  被告は,新たに認可保育所の設置・運営を行う事業者を募集していたところ,原告から被告に対し,平成27年5月頃,新規の認可保育所の設置を検討している旨の打診があった。これを受け,被告は,平成28年5月6日,原告による保育所(以下「本件保育園」という。)の開設に向けて手続を進めることを決定し,同月20日,東京都に対し,平成29年4月1日を本件保育園の開園日とし,本件保育園の開設計画の承認を強く望む旨の意見書を付した上で,計画承認申請を行った。
イ  東京都は,平成28年6月21日付けで,本件保育園の計画を承認した。この計画承認については,同月22日,被告市議会文教委員会において報告されたところ,同委員会の委員から,本件保育園の開設にあたり近隣住民に対し説明をし理解を求める必要がある,誰でも参加できる形式で説明会を開催すべきである,その説明会に被告の職員も出席すべきであるといった意見が出された(乙3)。そこで,被告職員は,同委員会での議論を踏まえ,同年7月13日に本件保育園に関する説明会を実施することを決定した。
ウ  M議員は,本件保育園の計画を知り,J係長に対し,「原告とお話したいので,名刺を渡して欲しい。」旨伝えた。J係長は,これを受け,平成28年6月23日,訴外Lに対し,M議員の名刺を渡した上でその意向を伝えた(甲23)。
訴外Lは,同月27日,M議員と面会した。
エ  平成28年7月13日,本件保育園の開設につき近隣住民への説明会(以下「7月住民説明会」という。)が開催され,原告代表者ら,D課長,J係長及びM議員が参加した。また,被告の元副市長であるNが,同説明会に参加し,原告について,子どもたちの命を預けるに値する事業者ではないのではないかと思う旨の発言をした。(甲6の1,16)
オ(ア)  原告代表者は,平成28年7月14日午後11時27分,M議員に対し,7月住民説明会に関して,「今回出席した頂いた方の中でX社に対しての同情の声がとても多かったです。ただ元副市長さんに対しては批判の声が多く,「保育園を反対する為に出席したのか」と何人もの方から言われました。「本来なら住民の方々を説得する立場なのに」と言われました。M先生は,保育園建設は賛成かと思いますが,今の世の中反対は議員生命にかかわる問題になりかねません。私達一家・L・保育士の方々が○○に住民票を移します。また長い間自動販売機のお客様もたくさん○○にお住まいです。会社経営の社長さんもそれなり○○におられます。」「必ず来年4月にオープンさせます。」「M先生には,長く議員さんをやって頂きたいと強く思います。その為にも私は頑張ります。」などと記載したメール(乙9,以下「本件メール」という。)を送信した。
M議員は,本件メールを被告職員に転送した。
(イ) 被告職員は,平成28年7月15日,原告代表者らを被告市役所に呼び出した。
(ウ) 原告代表者ら,M議員及び被告副市長は,平成28年7月25日午前10時頃,武蔵野市役所において,45分程度の会合をもち,その中で,原告代表者らは,M議員に対し,本件メールについて謝罪をした。
(エ) 被告職員及び原告代表者らは,原告代表者らによるM議員への上記謝罪にあたって,別紙想定質問票記載のとおりの想定質問票(甲7,21)を作成した。すなわち,まず,被告職員が想定される質問を同質問票に記載し,次に,原告代表者らがその質問に対する回答を記載し,その後,被告職員がその回答に対して再質問を記載するという形で想定質問票を作成した。
カ  平成28年8月4日,被告主催の本件保育園に関する近隣説明会(以下「8月住民説明会」という。)が開催された。
キ  原告代表者ら及び被告職員らは,平成28年8月9日,本件保育園の開設に伴う今後の住民対応等につき,打合せを行った。
ク  平成28年9月7日,被告市議会本会議(平成28年第3回定例会,以下「本会議」という。)が開催され,その中でM議員が一般質問を行った。
ケ  原告は,本件保育園の開設を断念することとし,被告に対し,平成28年9月21日付けの通知書をもって,本件保育園の事業を断念する旨通知をした。上記通知書には,「着工時期・工期を示して頂けず,どう考えても平成29年4月1日開園は不可能なため」「認可保育所の事業を断念させて頂きます」と記載されていたところ,原告は,当該記載のうち「着工時期・工期を示して頂けず」との文言を削除した通知書を改めて平成28年9月28日付けで作成し,被告副市長に対し交付した。(甲11の1,11の2)
2  争点及びこれに対する当事者の主張
(1)  被告職員及びM議員による原告に対する加害行為の有無
(原告の主張)
被告職員及びM議員は,以下のとおり,原告に対し,本件保育園の開設を妨害する加害行為を行った。下記ア,ウ及びエの各行為については原告の名誉権を,下記イ及びカの各行為については原告の意思決定の自由を,下記オの行為については,原告の建造物管理権及び財産権を侵害する行為である。
また,被告職員は,原告の本件保育園の開設の意思を認識した上で,原告に対し,土地や設計士を紹介し,原告は,終始被告職員らの指示に従い,近隣住民に対する戸別訪問,M議員に対する面会,説明会の開催など本件保育園の開設に向けて最大限の努力を払っていたことからすれば,被告職員には,本件保育園開設の反対派がいれば協議の上これを説得すること,原告と誠実に協議することなどの原告に対する配慮義務がある。さらに,M議員には,仮に本件保育園の開設に反対であれば,原告及び行政と誠実に協議するなどの原告に対する配慮義務がある。よって,下記のアからケまでの各行為は,上記配慮義務に違反し違法である。
ア 7月住民説明会における誹謗中傷行為
被告の元副市長であるNは,7月住民説明会において,原告について「子どもたちの命を預けるに値する事業者ではない。」と述べるなど,原告は保育園の事業運営能力が欠けている旨の事実を摘示し,よって原告の社会的評価を低下させた。Nの出席自体がM議員の関与によるものであることからすれば,Nの発言はM議員が関与しているといえ,M議員による誹謗中傷行為があったといえる。
イ M議員に対する謝罪強要行為等
D課長は,平成28年7月14日から同月25日にかけて,原告代表者らに対し,合理的な理由なく,M議員に対する謝罪及び謝罪のための想定質問集の作成を強要した。
ウ 本会議における名誉毀損行為
M議員は,本会議において,原告が「事実に反する虚偽の報告」をしたかのような発言をした。また,M議員は,同会議において,原告に届けられた都市計画法違反の疑いについての警告書を「赤紙」であると断言し,原告について「違法営業活動をしている事業者である。」と断言するなど,公然と,原告に都市計画法違反に基づく使用停止の「赤紙」が届けられた旨の事実及び原告が法令違反事業者である旨の事実を摘示した。
M議員による上記事実の摘示によって,原告に都市計画法上の重大な法令違反があるかのような印象が形成され,原告の社会的評価が低下したことは明らかである。
エ M議員のホームページにおける名誉毀損行為
M議員は,平成28年9月22日及び同月26日,同人のホームページにおいて,原告による本件保育園の計画に関して,「『住民説明・合意無き』事業推進」,「『合意』は取られていない」「『説明会』も開催していない。」といった内容の掲載を行い,原告が本件保育園の開設にあたり,近隣住民からの合意を得ていない旨の虚偽の事実を摘示した。
M議員による上記事実の摘示によって,原告が近隣住民の意向を無視して本件保育園の開園を強行しているかのような印象が形成され,原告の社会的評価が低下したことは明らかである。
オ 建造物侵入・窃盗行為
M議員は,本会議において,原告に届けられた都市計画法違反の疑いについての警告書の存在を指摘しているところ,警告書は,通常,被警告者の郵便受けに投函されて届けられるものであることからすれば,M議員は,原告の私有地に立ち入った上で,同所に存在する郵便受けの中から警告書を取り出し,その記載内容を確認したといえ,M議員による建造物侵入行為及び窃盗行為があったといえる。
また,D課長及びJ係長は,平成28年7月13日,原告に無断で原告の私有地内に立ち入っており,これは違法な建造物侵入行為に該当する。
カ 原告が本件保育園開設を断念するに至るまでの脅迫・強要行為
(ア) 原告代表者らが,平成28年8月頃,被告に対し,同月中に着工しなければ,当初の開園予定日に間に合わない旨説明し,被告市長に対して直接会って説明をしたい旨要望したところ,I課長補佐は,原告代表者らに対し,合理的な理由なく,「そういう事業者とは付き合えない。」と指を差して一喝したほか,D課長は,合理的な理由なく,「補助金は下りない。」「認可は下ろさない。」などと脅迫した。
(イ) また,D課長は,原告に対し,本件保育園の開園を断念する旨記載された平成28年9月21日付けの原告作成の通知書について,その記載のうち,被告市長が着工宣言を行わなかったことを示す「着工時期・工期を示して頂けず」との記載を削除すること,上記通知書の日付を平成28年9月21日から同月28日に変更すること及び同通知書を郵送ではなく被告副市長に手渡すことを強要した。
キ 被告職員が,原告に対し,7月住民説明会の開催を指示し,その内容は,被告職員の指示・命令に基づいて決定されたことからすれば,被告職員は,同説明会においても原告に対する配慮義務を負っていたというべきである。
D課長は,7月住民説明会において,「スケジュール感も外してください。」と要求する参加者に対し,原告に無断で「分かりました。」と承諾した。このように,原告の意思を確認せずに本件保育園のスケジュールを白紙にすることは,全体を通して,被告職員が原告を事業者として尊重しておらず,あたかも被告職員の意向により,本件保育園を開園させるか否かが決まると考えていたことを端的に表す行為であったといえ,原告に対する配慮義務に違反したことは明らかである。
ク D課長及びJ係長は,8月住民説明会の開催と実行を引き受け,同説明会への原告の同席を拒否していたにもかかわらず,同説明会が失敗に終わったことからすれば,被告職員が原告に対する配慮義務に違反したことは明らかである。
ケ 被告市長は,平成28年9月15日,原告を被告市役所に呼び出したところ,原告の訴えを全否定し,原告に何ら協力する態度を示さなかったことからすれば,被告市長が原告に対する配慮義務に違反したことは明らかである。
(被告の主張)
原告が主張する被告職員及びM議員の原告に対する配慮義務は,存在しない。また,以下のとおり,被告職員ら及びM議員による違法な行為は存在しない。
ア (原告の主張)イ,オ及びカについて
原告が主張する被告職員による強要・脅迫行為は存在しない。
原告代表者らのM議員に対する謝罪は,原告代表者がM議員に対し,不適切なメールを送ったことに起因するものである上,原告代表者らが被告職員の提案を受けて同意の上で行ったものである(原告の主張イ)。
また,被告職員による違法な建造物侵入行為の主張については争う(原告の主張オ)。
さらに,原告が主張する被告職員による脅迫は,原告代表者らが被告の努力を否定する言動を続けることを注意する趣旨でしたにすぎず,脅迫ではない(原告の主張カ(ア))。
加えて,本件保育園の開園を断念する旨記載された原告作成の書面の修正等については,被告職員は,原告に対し,事実との違いを指摘し,その点を修正するように求めたものにすぎず,強要はしていない(原告の主張カ(イ))。
よって,被告職員による違法な行為は存在しない。
イ (原告の主張)ウについて
M議員の本会議での発言は,そもそも原告の社会的評価を低下させるものではなく名誉毀損に該当しないし,仮に該当するとしても,地方議員の質疑等について国家賠償責任が肯定されるためには,当該議員が議員としての職務とは関わりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し,あるいは虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど,地方議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情が必要であるところ,本件において,そのような特別の事情は認められないから,被告は国家賠償責任を負わない。
ウ (原告の主張)ア,エ及びオについて
原告が違法であると主張する7月住民説明会における発言は,被告の元副市長であるNによるものであって,M議員によるものではない上,同人が意図的に同説明会を糾問の場としたことはない(原告の主張ア)。
M議員による同人のホームページの記載は,被告市議会議員としての地位に基づいて行われたものではなく,「公権力の行使に当たる公務員が,その職務を行うについて」されたものではないから,被告は国家賠償法上の損害賠償責任を負わない(原告の主張エ)。
また,M議員が,建造物侵入行為や窃盗行為をしたことはない(原告の主張オ)。
(2)  原告の損害
(原告の主張)
原告は,前記(1)(原告の主張)記載の一連の加害行為を受け,本件保育園の開設を断念することを余儀なくされ,下記表のとおりの1339万0197円の財産的損害及び2000万円の無形損害を被った。

支払年月日 支払先 支払名目 支払金額
平成28年1月28日 株式会社a 企画・コンサルタント業務 50万円
平成28年5月18日 株式会社b 設計料契約金 291万1464円
平成28年7月22日 株式会社b 実施設計完了料金 388万1952円
平成28年7月29日 c株式会社 借地敷金 402万5000円
平成28年7月29日 c株式会社 借地代金(月間) 70万円
平成28年8月31日 c株式会社 借地代金(月間) 52万5000円
平成28年9月15日 園長予定者 税込み給与 20万2352円
平成28年9月20日 公益財団法人d 構造計算適合性判定手数料 15万6000円
平成28年9月20日 e株式会社 確認申請手数料 14万9000円
平成28年9月30日 園長予定者 解雇予告手当 13万7077円
平成28年10月15日 園長予定者 税込み給与 20万2352円
合計 1339万0197円

(被告の主張)
争う。
第3  当裁判所の判断
1  原告が主張する配慮義務の存否について
原告は,被告職員には,本件保育園開設の反対派がいれば協議の上これを説得すること,原告と誠実に協議することといった配慮義務が,M議員には,本件保育園の開設について反対であれば,原告及び行政と誠実に協議するなどの配慮義務があることを前提に,被告職員及びM議員が同義務に違反した旨主張する。
しかし,被告職員及びM議員が,特定の事業者である原告に対して上記内容の義務を負うべき法的根拠は明らかではない。この点,原告は,その法的根拠は国家賠償法1条1項である旨主張するが,同法1条1項は,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに,国又は地方公共団体がこれを賠償する責めに任ずることを規定するものであり,原告が主張する上記配慮義務が,被告職員及びM議員が負うべき職務上の法的義務に該当するとは直ちには認められない。特に市議会議員については,政治活動の自由が保障されているところ,市当局が進める施策に対して賛成すべき義務はなく,自らの政治的判断に基づきこれに反対することは自由であり,また,反対する場合に特定の事業者や行政と誠実に協議すべき義務は存在しない。
よって,被告職員及びM議員が原告が主張する配慮義務を負うものとは認められないため,原告の主張は採用できない。
2  7月住民説明会における誹謗中傷行為等(原告の主張ア及びキ)について
(1)  前提事実(2)エに加え,証拠(甲6の1,16,19,乙12,証人J係長)及び弁論の全趣旨によれば,7月住民説明会について,以下の事実が認められる。
ア 7月住民説明会においては,原告から一般的な挨拶の後,本件保育園について150坪2階建収容人員81名との口頭説明のみがなされ,その後質疑応答がなされた。参加者である近隣住民からは,本件保育園の開設に消極的な意見が多く,必要な資料の配付もないという不満の声もある中,本件保育園に通う児童の送迎に伴う路上駐車に関する問題,騒音の問題,本件保育園の施設の概要,本件保育園の開設に至るまでのスケジュールに関する質問が参加者からなされたが,原告代表者らの説明では参加者の納得を得ることができず,同説明会は紛糾した。また,参加者からは,原告は事前にあいさつには来たが,本件保育園の具体的な内容について説明を受けていない,本件保育園の開設について同意はしていない,事前の説明なく工事が始まった旨の発言もされた。原告代表者が今後,資料を用意して改めて各戸をまわる旨発言すると,参加者からは,とりあえず被告からの説明を聞きたい旨の発言が複数なされた。
イ 被告の元副市長であるNは,同説明会において,それまでの説明会での質疑応答等を踏まえ,原告について,「今の段階では,少なくとも信頼を置ける,信頼が置けて,これからも子どもたちの命を」「預けるに値する事業者かどうかっていったら,私ははっきり言って,そうじゃないんじゃないかなというふうに思います。」と述べ,「これをいいきっかけにしてですね」「もっともっと自分たちもよく勉強して」「で,市をきちっと動かして」「それでもやるという生きがいを」「示してください」と発言(以下,この一連の発言を「本件発言①」という。)した。これに対し,Lは「申し訳ないです。すいません。勉強不足で申し訳ない。」と発言した。
ウ 参加者から,被告による地域住民に対する説明会の開催を望む旨の意見が多く出されたことから,D課長は,被告の方で地域住民に対する説明会を開催する旨述べ,同説明会の開催日については,「スケジュール感もございますので」「近々の日程で,またちょっと伺わせて」もらう旨発言したところ,これに対し,参加者が「勝手なスケジュール感は外してください」と発言した。D課長は,同発言に対して,「分かりました。」と対応した上で,説明会の日程については,被告から提案する旨述べた。
(2)ア  上記認定(1)イのとおり,原告が誹謗中傷行為であると主張する7月住民説明会での発言は,元副市長であるとはいうものの現在は一般市民であるNによるものであり,被告職員やM議員による発言ではない。
この点,原告は,M議員が同説明会においてNの隣に座っていたところ同人を制止することなく,同説明会終了後に「Nさんが怒るなんて初めて。」と発言したこと,M議員が,後日,同人とNとの繋がりを殊更に否定したことなどから,Nによる発言はM議員の関与によるものであると主張するが,原告が指摘する事実からは,M議員がNに発言をするよう指示したと認めることはできないし,本件においてはそれを裏付ける的確な証拠も存在しない。むしろ,証拠(甲19)及び弁論の全趣旨によれば,Nは,7月住民説明会における原告の対応から,原告が保育に関するガイドラインについて理解をしていないと感じ,同説明会での質問に対する原告の回答から原告を信頼できないと考えて,本件発言①の発言をしたものと認められ,本件発言①は,7月住民説明会における原告の対応等を踏まえたN個人の発言であったといわざるを得ないから,原告の主張は採用できない。
イ  また,原告は,M議員が7月住民説明会を意図的に原告を糾問する場にしたなどと主張するが,上記認定(1)アのとおり,同説明会において原告に対し中心的に質問をしているのは参加者である近隣住民であり,原告代表者らは,これに対して資料の配付をするなどの適切な対応ができずに,説明会は紛糾したものと認められる(説明会の席上,原告も資料不足に後日対応すると述べるほか,勉強不足であった旨わびる発言もしている。)。証拠上(甲6の1,16),M議員が,7月住民説明会において,原告を糾問した事実は認められない。よって,原告の主張は採用できない。
ウ  さらに,原告は,D課長が,7月住民説明会において,被告による説明会の日程を調整する旨話した際に,参加者からの「スケジュール感も外してください。」という要求に対し,原告に無断でこれを承諾した行為は,原告に対する配慮義務に違反するものであり違法であると主張する。しかし,前記1のとおり,そもそも原告が主張する内容の配慮義務を被告に肯定することはできない上,上記認定(1)ウのとおり,D課長の発言は,被告が主催する説明会の具体的な日程調整に関してされたものであり,説明会の日程は保育園開設のスケジュールを念頭に置かずに定める旨の発言にすぎず,原告が主張するように,D課長が,本件保育園の開設のスケジュールを全て白紙にするという趣旨で承諾したものとは認められない。D課長の上記対応は,説明会に参加した住民に対する行政の対応として格別不適切なものとはいえず,国家賠償法上違法と評価されるものではない。よって,原告の主張は採用できない。
3  M議員に対する謝罪強要行為等(原告の主張イ)について
(1)  前提事実(2)オに加え,証拠(甲7,21,乙12,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,原告代表者らがM議員に対し謝罪をするに至った経緯について,以下の事実が認められる。
ア 被告職員は,原告代表者がM議員に対し送信した本件メールについて,M議員が脅迫ではないかと受け取っていた上,本件メールの内容からしても,そのように理解され得るものであったことから,平成28年7月15日,原告代表者らを被告市役所に呼び出し,同人らに対し,本件メールを送信した経緯を尋ねた。これに対し,原告代表者らは,M議員が,7月住民説明会の終了後,原告に対して批判的な意見を述べた住民と握手をしたのが許せなかったこと,また,M議員が,原告代表者に対し,本件保育園の被告の担当者が誰なのかを詰問したことから被告職員を守りたいという気持ちで送信した旨弁明した。被告職員は,原告代表者らの弁明を踏まえても,原告代表者による本件メールの送信を正当化することはできない上,M議員が今後本件メールを取り上げた場合に,原告が本件保育園の事業を進めることが難しくなると考え,原告代表者らに対し,M議員に対して釈明や謝罪をする場を設けるべきではないかと提案したところ,原告代表者らはそれを承諾した。
被告職員らは,7月住民説明会での原告代表者らの説明の様子やその事前準備のために原告代表者らが作成した文章などを踏まえると,事前準備なしでは,原告代表者らは適切に釈明や謝罪をすることができず,かえって事態を悪化させるのではないかと考え,同人らに対し,釈明及び謝罪にあたっての想定質問票を作成することを提案したところ,原告代表者らはこれを了承した。
イ 平成28年7月25日,原告代表者らとM議員の面談の機会が設けられ,被告副市長が,原告代表者らに対し,本件メールを送信した理由を説明するよう求めたところ,同人らは,M議員に対し,謝罪した上で,M議員に本件保育園の開園を応援してもらいたいという気持ちで送信した旨述べた。これに対し,M議員は,「おかしい。とんでもない。問題だ。」などと述べ,原告代表者らを非難した。
(2)  前提事実(2)オ(ア)のとおり,原告代表者がM議員に対し送信した本件メールには,原告としては必ず保育園を平成29年4月にはオープンさせる意向であるとするほか,保育園の建設に反対することはM議員の議員生命に関わる問題になりかねないこと,多数の原告関係者が被告の住民として選挙権を有することになること,M議員には長く議員をしてもらいたいと強く思っており,原告代表者はそのために頑張ることなどが記載されており,これらの記載からすれば,本件メールは,保育園を断固オープンさせる意向である原告としては,M議員が保育園の建設に反対する場合には,被告の住民である多数の原告関係者をして,選挙の際に同議員に投票させないことをほのめかし,M議員において議員を続けたければ,原告による保育園の建設に反対すべきではないという趣旨のメールであると被告に理解されたとしてもおかしくないものである。そして,上記認定(1)アのとおり,現に本件メールを受け取ったM議員がこれを脅迫ではないかと考えていたのであり,被告職員が原告代表者らに対し,今後本件保育園の事業を円滑に進めていくために,M議員に対し釈明ないし謝罪をするよう事業者に提案することは,客観的にみて,行政の対応として不適切なものとはいえず,国家賠償法上違法と評価されるものではない。また,被告職員が,7月住民説明会での原告代表者らの説明の様子等を踏まえて,M議員に対する釈明ないし謝罪にあたって,事前に前記内容の想定質問票を作成することを事業者に提案することは,客観的にみて,行政の対応として不適切なものとはいえず,国家賠償法上違法と評価されるものではない。
この点,原告は,被告職員が原告代表者らに対しM議員に対する謝罪及び想定質問票の作成を強要した旨,またM議員が,原告代表者らに対し,約45分間にわたって執拗に恫喝を加えた旨主張するが,これらの主張を裏付ける的確な証拠はない。よって,原告の主張を採用することはできない。
4  本会議における名誉棄損行為(原告の主張ウ)について
(1)  前提事実(2)クに加え,証拠(甲6の2,乙5,10)及び弁論の全趣旨によれば,本会議におけるM議員の発言及びその発言に至った経緯について,以下の事実が認められる。
ア M議員は,本会議の一般質問において、質の高い保育を提供できる保育所の設置は行政の責務の時代になったと述べた上で,「武蔵野市待機児童緊急対策に係る認可保育所設置運営事業者募集要項」(乙10,以下「募集要項」という。)に関連して,被告が保育園の事業予定者に求める資質及び保育の質に対する考え方を質問した。その中で,M議員は,募集要項が,保育園の運営予定事業者の選定にあたって,事業者の失格事由として「応募にあたり著しく信義に反する行為があった場合」(乙10の13頁参照)を掲げていることから,これに関連して,「例えば,事実に反する虚偽の報告や関連する団体,人物への逸脱した圧力など著しい信義違反行為について,市の考えを伺います。」と発言した(以下「本件発言②」という。)。
被告市長は,M議員による本件発言②に対し,事業者の失格事由である「応募にあたり著しく信義に反する行為があった場合」とは,「提案自体において募集要項で求められている事項に対する提案内容に不誠実な内容がある場合や,提案内容に募集要項違反が認められるなど信頼関係を著しく損ねる場合を想定している」旨答弁した。
イ また,M議員は,上記信義に反する行為に関連して,例えば,保育園の運営予定「事業者が市街化調整区域で申請認可手続を経ず,コンテナ,電気を使用しての業務用冷蔵庫の設置,公式な郵便物を受け取る郵便受けもある小屋を設置し,いわゆる都市計画法違反,こういった状況の中で違法営業活動をしている事業者である。f町役場から何と出頭命令の警告書もその郵便受けに投函されている,いわゆる赤紙です。事の真偽については,これは陳情が出ておりますので,文教委員会に委ねます。要は,事業者のコンプライアンス,これとガバナンスについて適格性の判断をするのは市の調査力にかかっているのではないですか。」と発言した(以下,この発言を「本件発言③」という。)。
さらに,M議員は,自治体が認可保育所を設置する以上は,命を預かる責務として隅から隅まできちんと点検をするのが責務である旨発言した。
(2)ア  原告は,M議員の本会議での発言が原告の名誉を侵害し違法であると主張する。
この点,M議員は被告の市議会議員であるところ,地方議会議員は,地方公共団体の立法作用にとどまらず,各種の行政的意思決定に議決権,決定権を有するほかに調査権を有する等,広範な権限を有し,議会における一般質問において,当該地方公共団体の行政全般にわたり,執行機関に対し,事務執行の状況,将来の方針等について説明,報告を求め,さらには所信を質すことができる。そして,一般質問においては,広範な行財政の問題が取り上げられることになるから,事柄によっては,その内容が個別の市民の権利義務に直接関わることも起こり得る。しかしながら,一般質問においてどのような問題を取り上げるか,どのような方法・内容の質疑を行うか等は,各議員の政治的判断を含む広範な裁量に委ねられていると解すべきであり,その質疑応答における発言によって結果的に個別の市民の名誉等が侵害されることになったとしても,直ちに当該議員がその職務上の法的義務に違背したということはできない(最高裁判所平成6年(オ)第1287号同9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3850頁参照)。
そうすると,地方議会における一般質問において,議員が,個別の市民の名誉や信用を低下させる発言をしたとしても,これによって当然に国家賠償法1条1項にいう違法な行為があったということはできず,同条項に基づき,当該地方公共団体の国家賠償責任が肯定されるためには,当該議員が,その職務とは関わりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し,あるいは虚偽であることを知りながら敢えてその事実を摘示するなど,地方議会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。
イ(ア)  上記認定(1)のとおり,M議員は,質の高い保育を提供できる保育所の設置は行政の責務になったと述べた上で,被告が作成した認可保育所の運営事業者に関する募集要項の趣旨を確認する中で本件発言②の発言をしている。また,募集要項に記載された事業者の失格事由に関連して本件発言③の発言をした上で,自治体が認可保育所を設置する以上は,命を預かる責務として隅から隅まで点検すべきである旨発言している。そうすると,M議員による本件発言②及び③の目的は,被告に対し,保育所を設置する以上,被告市民に質の高い保育を提供するために保育所の運営予定事業者の適格性等を調査するよう促す点にあると認められ,M議員が,職務と関わりなく違法又は不当な目的をもって本件発言②及び③の発言をしたとは認められない。
また,原告が都市計画法違反の疑いの警告を受けたこと自体は虚偽の事実ではない上(甲38,弁論の全趣旨),M議員は,本件発言③において,「事の真偽については,これは陳情が出ておりますので,文教委員会に委ねます。」と述べていることからすれば,M議員が,本件発言③に関する事実について虚偽であることを知りながら敢えてその事実を摘示したとは認められない。
(イ) この点,原告は,M議員は,本件保育園の計画を知ると,被告職員に対し,自身の名刺を交付し,原告に会わせるよう要求したこと,M議員が,被告職員に対し,原告と前に会ったことがある旨虚偽の事実を述べていたこと,M議員が,7月住民説明会にNを呼んだことが強く窺われること,M議員が,原告の私有地を管轄する役場を訪れ,役場の職員に対し,原告が違法営業活動をしている旨執拗に指摘したこと,M議員が,何らの根拠なく,同人のホームページにおいて,原告について「長年の故意の法令違反」がある旨記載したことなどの事実からすれば,M議員の行動は,本件保育園の計画を潰すことに向けられた結論ありきの行動であって,M議員による本件発言②及び③の発言には,違法又は不当な目的があった旨主張する。しかし,原告が指摘する上記事実が,証拠上直ちに認められるものではない上,仮に上記事実が認められるとしても,M議員の本会議における一連の発言内容からすれば,その発言に職務と関わりのない違法又は不当な目的があると認めるのは困難であって,原告の主張は採用できない。
したがって,本件においては,上記特別の事情を認めることはできず,M議員による本件発言②及び③は,国家賠償法1条1項の違法な行為に該当しない。
5  M議員のホームページにおける名誉棄損行為(原告の主張エ)について
証拠(甲9の1,9の2)によれば,原告が指摘するように,M議員のホームページには,原告による本件保育園の計画等に関して,「『住民説明・合意無き』事業推進」,「『合意』は取られていない」,「『説明会』」も開催していない」といった記載があることが認められる。
この点,原告は,M議員のホームページの内容及び掲載の態様に照らせば,同ホームページにおける記載は,同議員の職務に付随してなされた行為といえる旨主張する。しかし,証拠(甲42,45の1,45の2)によれば,各市議会議員ごとにホームページの体裁は異なっている上に,その内容も各議員によって様々であることが認められることからすれば,ホームページの設置及びその内容は各議員個人に委ねられているものと認められる。そうすると,M議員のホームページにおける上記の記載は,同議員個人の見解を述べるものであり,市議会議員の職務行為にはあたらず,国家賠償法1条1項が規定するところの公権力の行使に当たるものとは認められないから,その余の点については判断するまでもなく,被告はその記載につき国家賠償法上の責任を負わない。
なお,本件保育園の計画が東京都により承認された時点では,近隣住民を対象にした説明会は開催されていないし,本件においては全近隣住民からの同意書の提出はないし,7月住民説明会及び8月住民説明会における近隣住民の発言等(前記認定2(1)ア及び後記認定7(1)ア)からしても,一部の住民は条件付きであれ賛成していることは窺われるものの(例えば甲46の1,46の2),上記の時点で,本件保育園の開設につき近隣住民の合意があったと評価するのは困難であり,M議員のホームページにおける記載が,直ちに原告の名誉を棄損するものとも断じ難い。また,原告は,近隣住民の同意は甲8(3頁),31の2,32,35(2枚目)等により裏付けられるとしているが,これらは被告が原告からの説明に基づいて作成したものであることが窺われ(乙4,12,証人J係長),近隣住民の同意書等の提出のない本件においては,かかる書証のみによって,近隣住民全体が本件保育園の開設に合意していたと認めることもできない。
よって,原告の主張は採用できない。
6  建造物侵入行為・窃盗行為(原告の主張オ)について
原告は,都市計画法違反の疑いに関する警告書が通常は被警告者の郵便受けに投函されるものであることからすれば,原告に届けられた同警告書の存在を指摘しているM議員は,原告の私有地内に無断で立ち入り,郵便受けから警告書を取り出したと主張する。しかし,M議員が,別途同警告書の内容を知った可能性を否定することは困難であり,原告が指摘する事実のみから,M議員による建造物侵入行為及び窃盗行為があったと認めることはできない。他に,M議員が,これらの行為をしたと認めるに足りる証拠はない。
また,原告は,D課長及びJ係長による違法な建造物侵入行為があった旨主張する。しかし,証拠(乙12,証人J)によれば,D課長及びJ係長は,原告の登記簿上の本店所在地に会社事務所が見当たらない旨の指摘があったことから,7月住民説明会の前に原告の事業所を確認する必要があると考え,原告の私有地を訪れたこと,その際,原告の従業員に対し,氏名,所属及び訪問の目的を話した上で,原告の事業内容についての聴き取りを行ったこと,J係長は,原告の私有地への訪問について,7月住民説明会の前に原告代表者に報告をしたところ,原告代表者は聞いている旨回答したことがそれぞれ認められる。そうすると,D課長及びJ係長による原告の私有地への立ち入りは,被告として本件保育園を運営する事業者の事業の実態等を確認するという正当な目的に基づくものである上,その立ち入りの態様も,立ち入る際に氏名,所属及び目的を伝えて,原告の従業員から原告の事業内容の聴き取りをしたというものであって,何ら不適切なものとはいえないから,国家賠償法上違法なものとはいえない。
よって,原告の主張は採用できない。
7  原告が本件保育園開設を断念するに至るまでの脅迫・強要行為等(原告の主張カ,ク及びケ)について
(1)  前提事実(2)カ,キ及びケに加え,証拠(乙12,証人J,後掲各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,7月住民説明会開催後から原告が被告職員に対し本件保育園の開設を断念する旨の書面を提出するに至るまでの経緯について,以下の事実が認められる。
ア 被告は,7月住民説明会において,参加者から,原告が参加しない形での被告主催の近隣住民に対する説明会の開催を要望する意見が出されたことから,平成28年8月4日,8月住民説明会を開催した。なお,原告から,同説明会に参加しないことについて異議等は述べられなかった。同説明会においても,参加者から,原告の事業者としての適格性及び本件保育園の設置に伴い周辺道路の交通量が増加することに対する懸念,また,原告は本件保育園の開設に関して近隣住民に挨拶には来たが,近隣住民が本件保育園の開設に同意した事実はない旨の発言がされた。同説明会において,本件保育園の開設に対する近隣住民の理解を得ることはできなかった。(甲16,乙4)
イ 被告職員及び原告代表者らは,7月及び8月の各住民説明会によっても,本件保育園の設置について近隣住民の賛同を得ることができなかったことから,平成28年8月9日,今後の住民対応等について打合せを行った。
原告代表者らは,この打合せの冒頭において,被告職員らに対し,「自分たちが撤退したらどうするのか」「経験がないからこそ,色がないのであって,それを保育理念がないと言われるのはおかしい」「市がバックアップしてくれるというふうに言ってくれなかったらおかしい」などと,被告職員を非難したことから,I課長補佐は,原告代表者らに対し,「市は協力してやっていこうとしているのに,なぜそんなことを言うのか。そのような事業者とは付き合えない」旨発言した。原告代表者らは被告に対する批判を止め,被告職員らとの間で,本件保育園の開設に向けて今後どのように進めていくべきかについて話し合った。その際,原告代表者らからは,被告市長との面談の要望が出されたが,被告職員らは,原告代表者らに対し,近隣住民の賛同を得るためにどのようなことをすべきかを考えるべきであり,今の段階で市長と会っても意味がない旨説明し,被告市長との面談は行わないこととなった。
その後も,原告代表者ら及び被告職員は,本件保育園の開設に向けて協議を重ねた。
ウ 平成28年8月22日,被告市議会文教委員会が開催され,本件保育園の設置が議題となり,出席委員からは原告の事業者としての適格性について不安視する旨の発言がされた。これに対し,被告市長は,平成29年4月の開設に向けて,被告としても,しっかりした保育ができるように指導していきたいと思っている,最大限住民の方にも説明していこうと思っているなどと述べ,原告を支援する旨答弁した。(乙4)
平成28年9月12日に開催された被告市議会文教委員会においても,出席委員から原告の事業者としての適格性に不安がある旨の意見が出されたところ,被告市長は,質の高い保育になるよう,徹底して支援をしていきたいと思っているなどと述べ,原告を支援する旨の答弁をした。(乙6)
エ J係長は,平成28年8月25日,訴外Lに対し,原告が近隣住民の理解を得ないままに本件保育園の建設を強行しようとしたことから,「本当に事業者様がやるんだったら,多分,うちの政策判断としては補助金出せなくなっちゃいますよね。」「保育ってけっこう大変なんですよ。」「日本中で今建設が止まってるのはそういうことなんですから。強行した事例1回もないじゃないですか。」「事業者様だけの判断で強行してるってとこはないので。」「強行姿勢っていうのは,ちょっと危険だと思います。」「現在の状況で着工したら大変なことになります。」などと発言した(甲27の1)。
また,J係長は,平成28年9月14日,原告代表者らに対し,「今の状態で強行にやるってお考えなんですか。それが許されるとお思いですか。」などと発言した(甲27の2)。
オ 原告代表者らは,平成28年9月15日,被告市長と面談した。その際,被告市長は,原告代表者らに対し,意気込みだけでは保育園の開設は困難であることを伝えつつ,近隣住民の理解を得られるように一緒に頑張っていこうと励ました(甲33)。
カ 原告代表者らは,被告に対し,平成28年9月21日付けで,「着工時期・工期を示して頂けず,どう考えても平成29年4月1日開園は不可能なため」本件保育園の事業を断念する旨の通知書を送付した。D課長は,原告から突然,同通知書が送られてきたことから,原告代表者らに対し,「これまで市が全面的に支援してきたのに,手紙1枚を送って終わりにするということですか。どうしても止めたいというのであればやむを得ないですが,そうであるならば,せめて被告副市長と会って,通知書を渡した上で,経緯を説明するべきで」ある旨伝えた。また,D課長は,原告代表者らに対し,上記通知書のうち「着工時期・工期を示して頂けず」という記載について,原告自身の問題も含む様々な要因によって本件保育園の計画が円滑に進まなかった上,被告が最後まで原告を応援してきたにもかかわらず,あたかも被告が妨害したために本件保育園の開設を断念したかのように読み取れることから,異議を述べ,同記載の削除を求めた。原告は,被告職員の要請を受け入れ,被告が指摘する記載を削除した通知書を平成28年9月28日付けで改めて作成し,被告副市長に交付した。(甲11の1,11の2)
(2)ア  原告は,平成28年8月頃,I課長補佐が,原告代表者らに対し,合理的な理由なく,「そういう事業者とは付き合えない。」と一喝したほか,D課長が,合理的な理由なく,「補助金は下りない。」「認可は下ろさない。」などと脅迫した旨主張する。
しかし,上記認定(1)のとおり,平成28年8月頃は,7月及び8月の各住民説明会では,本件保育園の開設について近隣住民からの賛同を得ることができず,原告及び被告が今後の住民対応等について話し合いを行っていた時期であるにもかかわらず,原告が近隣往民への対応を放棄して,近隣住民の理解を得ないまま本件保育園の建設を強行しようとしたことから,J係長は,原告代表者らに対し,上記認定(1)エのとおりの発言をしたものと認められ,この発言は,本件保育園の開設を早くも強行しようとする原告の行動をたしなめる趣旨の発言だったといえる。また,原告が指摘するI課長補佐及びD課長の発言についても,同様の趣旨の発言であったものといえる。保育所の開設においては,仮に,強行して開設できたとしても近隣住民が反対する中での保育所の運営には多大な困難が予想されることからすれば,被告職員による上記発言は,客観的にみて,行政の対応として格別不適切なものとはいえず,国家賠償法上違法と評価されるものではない。
イ  また,原告は,D課長に,原告作成の本件保育園の開園を断念する旨の通知書を修正等するよう強要された旨主張する。
しかし,上記認定(1)のとおり,被告は,原告から上記通知書が送付されるまで本件保育園の開設に向けて原告を支援していたところ,原告から突然本件保育園の事業を断念する旨の書面が送付されたことから,D課長は,原告代表者らに対し,事業を断念するに至った経緯について被告副市長に説明すべきである旨伝えたものと認められる。また,本件保育園の事業が進まなかった理由としては,近隣住民の賛同が得られなかったことなどが考えられるところ,原告が平成28年9月21日付けで作成した通知書(甲11の1)の記載をみると,原告が本件保育園の事業を断念したのは,専ら被告が着工時期・工期を示さなかったことに原因があるように読み取れることから,D課長は,同記載が事実と異なるため修正するよう求めたものと認められる。そうすると,原告作成の通知書に対するD課長の対応については相応な理由があったといえ,客観的にみて,これが行政の対応として不適切なものとはいえず,国家賠償法上違法と評価されるものではない。この点,原告は,D課長に修正等するよう強要された旨主張するが,それを裏付ける的確な証拠はない。
ウ  さらに,原告は,被告職員が,8月住民説明会の開催と実行を引き受け,同説明会への原告の同席を拒否していたにもかかわらず,同説明会が失敗に終わったこと,被告市長が,原告の訴えを全否定し,原告に何ら協力する態度を示さなかったことなどからすれば,被告職員及び被告市長は,原告に対する配慮義務に違反したなどと主張する。
しかし,前記1のとおり,原告が主張する内容の配慮義務は認められない上,被告職員が8月住民説明会への原告の参加を拒否したことや,被告市長が原告の訴えを全否定し原告に何ら協力する態度を示さなかったことを認めるに足りる証拠はなく,原告の主張は採用できない。
8  以上によれば,原告の請求は理由がない。なお,原告は,当審の口頭弁論終結後に,証人J係長の証言が虚偽であることを示すための関係各証拠を提出する必要があることを理由に口頭弁論の再開を申し立てているが,上記のとおり,原告の請求は,その主張を裏付ける的確な証拠がないことから認められないのであり,前記各証拠の提出如何によって上記判断は左右されないから,口頭弁論は再開しない。
第4  結論
よって,原告の請求は,その余について判断するまでもなく,理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所立川支部民事第2部
(裁判長裁判官 三浦隆志 裁判官 和久田道雄 裁判官 天田愛美)

 

〈以下省略〉

 

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