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「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例(192)昭和41年 4月28日  東京高裁  事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件

「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例(192)昭和41年 4月28日  東京高裁  事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件

裁判年月日  昭和41年 4月28日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  事件番号不詳
事件名  公職選挙法違反被告事件
裁判結果  一部有罪、一部無罪、一部棄却  上訴等  上告  文献番号  1966WLJPCA04286004

出典
刑集 22巻4号220頁

裁判年月日  昭和41年 4月28日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  事件番号不詳
事件名  公職選挙法違反被告事件
裁判結果  一部有罪、一部無罪、一部棄却  上訴等  上告  文献番号  1966WLJPCA04286004

主文

原判決中、被告人宮下一郎、同井上真、同渡部岩重、同簗瀬真策、同山川卯平、同池田清、同岡崎正夫、同新井守三、同菊池勇義、同加藤種雄、同荻原毅、同南忠雄、同中島清繁、同白川亨、同石井幸男に関する部分を破棄する。
被告人宮下一郎を懲役一年二月に、
被告人白川亨を懲役一〇月に、
被告人池田清を懲役八月に、
被告人井上真、員渡部岩重、同簗瀬真策、同山川卯平、同岡崎正夫、同新井守三、同菊池勇義、同中島清繁を各懲役六月に、
被告人石井幸男を懲役四月に、
被告人加藤種雄、同荻原毅、同南忠雄を各懲役二月に
それぞれ処する。
但し本裁判確定の日から、被告人白川亨、同池田清に対しては各三年間、被告人井上真、同渡部岩重、同簗瀬真策、同山川卯平、同岡崎正夫、同新井守三、同菊池勇義、同中島清繁、同石井幸男、加藤種雄、同荻原毅、同南忠雄に対しては各二年間右各刑の執行を猶予する。
被告人井上真から五万円、被告人渡部岩重から二万五千円、被告人簗瀬真策から九万円、被告人山川卯平から九万五千円、被告人池田清から九万七千円、被告人岡崎正夫から一四万円、被告人新井守三から二一万円、被告人菊池勇義から一四万一千円、被告人加藤種雄から一万円、被告人荻原毅から二万円、被告人南忠雄から三万円、被告人中島清繁から二五万円、被告人石井幸男から三万七千八百一〇円をそれぞれ追徴する。
原審における訴訟費用のうち、証人堀井憲治、同駒崎哲郎、同佐藤一郎、同〓本陽一、同荒巻広政に支給した分は被告人宮下一郎の、同木村運蔵、同木村義雄、同岡村鱗次に支給した分は被告人井上真の、同鶴牧亀雄に支給した分は被告人山川卯平の、同清水健太郎に支給した分は被告人白川亨の、同佐藤一郎、同八島正、同工藤文夫に支給した分は被告人中島清繁の各負担とする。
被告人白川亨に対する昭和三四年七月二二日附起訴状記載の公訴事実第一の(一)の事実(同被告人の被告人簗瀬真策に対する一万五千円の供与)、及び被告人簗瀬真策に対する同日附起訴状記載の公訴事実第二の事実(同被告人の右受供与)につき右各被告人はいずれも無罪。
検察官の本件控訴中、被告人簗瀬真策に対する昭和三四年七月二二日附起訴状記載の公訴事実第二の事実に関する部分並びに被告人白川亨に関する部分を棄却する。
被告人宮下一郎、同下川光三郎、同池田清、同岡崎正夫、同簗瀬真策、同新井守三、同山口重敏の本件各控訴を棄却する。

 

 

理由

検察官の本件控訴の趣意は、検察官山本清二郎の控訴趣意書に記載されたとおりであり、これに対する被告人側の答弁は、被告人宮下一郎、同岡崎正夫、同池田清、同簗瀬真策、同新井守三、同山川卯平、同白川亨の弁護人山崎佐及び同石橋信連名の答弁書、被告人池田清、同白川亨の弁護人小中公毅の答弁書、被告人中島清繁の弁護人真田康平の答弁書に記載されたとおりである。また被告人等の本件各控訴の趣意は、被告人宮下一郎、同下川光三郎、同井上真、同簗瀬真策、同池田清、同岡崎正夫、同新井守三、同白川亨、同山口重敏の弁護入山崎佐及び同石橋信連名の控訴趣意書、被告人下川光三郎本人の控訴趣意書、同被告人の弁護人花輪長治の控訴趣意書、被告人井上真及び同白川亨の弁護人遊円多聞の控訴趣意書、右被告人両名及び被告人池田清の弁護人小中公毅の控訴趣意書、被告人渡部岩重及び同石井幸男の弁護人吉田勇之進の控訴趣意書、被告人加藤種雄の弁護人佐伯弘の控訴趣意書にそれぞれ記載されたとおりであるから、ここに右各控訴趣意書及び答弁書をそれぞれ引用し、これらにつき次のとおり判断する。
(検察官の控訴趣意について)
所論は、本件公訟事実中、
「第一、被告人宮下は、日本歯科医師政治連盟(以下日歯政連と略称する)の副理事長であり、昭和三四年六月二日施行の参議院議員選挙に際し、全国区から立候補した同政連理事長鹿島俊雄の選挙運動を総括主宰したものであるが、同候補に当選を得しめる目的をもつて、
一、同年五月七日頃、東京都千代田区九段四丁目六番地所在の歯科医師会館において、同候補の選挙運動者である石津十蔵に対し、右候補のための投票取纒等の選挙運動を依頼し、その報酬及び費用として現金三〇万円を供与し、
二、未だ同候補の立候補届出のない同月六日頃前同所において、同じく選挙運動者である被告人岡崎正夫及び同池田の両名に対し、前同趣旨のもとに、現金一五万円を供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
三、同月一一日頃前同所において、被告人池田に対し、前同趣旨のもとに、現金一〇万円を供与し、
四、同月一八日頃前同所において、同じく選挙運動者である石井潔に対し、前同趣旨のもとに、現金一〇万円を供与し、
五、同じく選挙運動者である被告人簗瀬真策に対し、前同趣旨のもとに
(一)  同月七日頃前同所において、現金五万円
(二)  同月一〇日頃前同所において、現金一〇万円
をそれぞれ供与し、
六、同じく選挙運動者である被告人山川卯平に対し、前同趣旨のもとに
(一)  同月一〇日頃前同所において、鶴牧亀雄を介し、現金一〇万円
(二)  同月一六日頃群馬県渋川市渋川一、八八〇番地の同被告人方宛に、現金書留により現金一〇万円を郵送し、同月一七日頃同被告人方に到達せしめて、右現金一〇万円
をそれぞれ供与し、
七、同じく選挙運動者である被告人新井守三に対し、前同趣旨のもとに、
(一)  同月九日頃岐阜市明徳町一番地の同被告人方前路上において、竹中恒夫を介し、現金二〇万円を
(二)  同月一六日頃前同所の同被告人自宅宛に、現金書留により現金五万円を郵送し、同月一八日頃同被告人に到達せしめて、右現金五万円
をそれぞれ供与し、
八、同じく選挙運動者である前田勝に対し、前同趣旨のもとに
(一)  未だ同候補者の立候補届出のない同年三月一二日頃京都市左京区下鴨中川原町八八番地の同人方宛に、現金五万円を郵送し、その頃同人方に到達せしめてこれを供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし
(二)  同年五月一二日頃前紀歯科医師会館において、現金五万円を供与し
九、同月一六日頃前同趣旨のもとに、同じく選挙運動者である秋田市大町二丁目一〇番地荒巻広政宛に現金二万円を郵送し、同月一七日頃同人方に到達せしめて、同人に対し右現金二万円を供与し、
一〇、同月一六日頃前同趣旨のもとに、同じく選挙運動者である福岡県若松市船頭町一二九番地清永盛樹宛に、現金五万円を郵送し、同月一八日頃同人方に到達せしめて、同人に対し右現金五万円を供与し、
一一、同月一六日頃前同趣旨のもとに、同じく選挙運動者である宮崎県都城市姫城町四、二一七番地嶽崎亥生宛に、現金五万円を郵送し、同月一九日頃同人方に到達せしめて、同人に対し右現金五万円を供与し、
一二、日本社会保障協会理事長であり、歯科医師関係の業界紙「社会保障タイムス」を発行し、同じく選挙運動者である被告人菊池勇義に対し、同候補者のための情報蒐集、投票取纒等の選挙運動を依頼し、その報酬として、未だ右鹿島の立候補届出のない
(一)  同年三月四日頃前記歯科医師会館において、現金二万円
(二)  同月六日頃前同所において、現金三万円
(三)  同月二六日頃前同所において、久家武雄及び土屋タマ子を介し、現金一万六千円
(四)  同年四月二日頃前同所において、現金一万円
(五)  同月三日頃前同所において、現金五万五千円
をそれぞれ供与し、もつて立候補届出前の事前運動をなし、
一三、雑誌「政界読物」を発行し、同じく選挙運動者である被告人荻原毅に対し、同候補のための投票取纒等の選挙運動を依頼し、その報酬等として、未だ右鹿島の立候補届出のない
(一)  同年三月二四日頃前同所において、現金一万円
(二)  同月二六日頃前同所において、現金一万円
をそれぞれ供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
一四、株式会社医歯薬新報社の代表取締役社長として歯科医師関係の業界紙「医歯薬新報」を発行し、同じく選挙運動者であつた被告人中島清繁に対し、同候補のための情報蒐集、投票取纒等の選挙運動を依頼し、その報酬等として
(一)  未だ同候補者の立候補届出のない
(1) 同年三月一九日頃前同所において、現金五万円
(2) 同年四月一七日頃前同所において、現金五万円
(3) 同月二一日頃前同所において、現金五万円
をそれぞれ供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
(二)  同年五月一四日頃東京都千代田区神田小川町一丁目三番地所在の前記医歯薬新報社事務所において、現金一〇万円を供与し、
一五、同年五月二〇日頃前記歯科医師会館において、歯科医師関係の業界紙「医事ジヤーナル」を発行し、同じく選挙運動者である被告人南忠雄に対し、前同様の趣旨のもとに、現金三万円を供与し、
第二、被告人岡崎正夫は千葉県歯政連及び同県歯師会各副会長、被告人池田は同県歯師会及び同県歯政連各常任理事、被告人簗瀬真策は栃木県歯師会会長兼同県歯政連会長兼日歯政連常任理事、被告人山川卯平は群馬県歯師会会長兼日歯政連理事、被告人新井守三は岐阜県歯政連会長兼日歯政連副会長にして、いずれも同候補者の選挙運動者なるところ、被告人宮下が同候補のため前記投票取纒等の選挙運動を依頼し、その報酬及び費用等の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より、
一、被告人簗瀬は
(一)  同月七日頃前同所において、現金五万円
(二)  同月一〇日頃前同所において、現金一〇万円
の各供与を受け、
二、被告人山川は
(一)  同月一〇日頃前同所において、現金一〇万円
(二)  同月一六日頃前記被告人山川方において、郵送により現金一〇万円
の各供与を受け、
三、被告人岡崎、同池田は共謀の上、同月六日頃前記歯科医師会館において、現金一五万円の供与を受け、
四、被告人池田は、同月一一日頃前同所において、現金一〇万円の供与を受け、
五、被告人新井は
(一)  同月九日頃前記被告人新井方前路上において、竹中恒夫を介し、現金二〇万円
(二)  同月一八日頃右自宅において、郵送により、現金五万円
の各供与を受け、
第三、被告人菊池勇義、同荻原毅、同中島清繁、同南忠雄はいずれも同候補者の選挙運動者であるが、
一、被告人菊池は、前記第一の一二記載の趣旨を諒承して、被告人宮下より
(一)  同年三月四日頃前記歯科医師会館において、現金二万円
(二)  同月六日頃前同所において、現金三万円
(三)  同月二六日頃前同所において、久家武雄及び土屋タマ子を介して、現金一万六千円
(四)  同年四月二日頃前同所において、現金一万円
(五)  同月三日頃前同所において、現金五万五千円
の各供与を受け、
二、被告人荻原は、前記第一の一三記載の趣旨を諒承して、被告人宮下より
(一)  同年三月二四日頃前同所において、現金一万円
(二)  同月二六日頃前同所において、現金一万円
の各供与を受け、
三、被告人中島は、前記第一の一四記載の趣旨を諒承して、被告人宮下より
(一)  同年三月一九日頃前同所において、現金五万円
(二)  同年四月一七日頃前同所において、現金五万円
(三)  同月二一日頃前同所において、現金五万円
(四)  同年五月一四日頃前記医師薬新報社事務所において、現金一〇万円
の各供与を受け、
四、被告人南は、同月二〇日頃前記歯科医師会館において、前記第一の一五記載の趣旨を諒承して、被告人宮下より、現金三万円の供与を受け、
第四、被告人簗瀬は、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、右候補者のための投票取纒等の選挙運動を依頼し、その報酬等として
一、同月中旬宇都宮市塙田町三八〇番地所在の栃木県歯科医師会において、同じく選挙運動者である黒崎市三郎に対し、現金一万円を、
二、前同日頃同市日野町二八番地被告人簗瀬方において、同じく選挙運動者である大塚〓に対し、現金一万円を、
三、前同日頃前記栃木県歯科医師会において、山形正之助を介し、同じく選挙運動者である岡田正信に対し、現金二万円を、
四、前同日頃前同所において、同じく選挙運動者である宮島豊に対し、現金一万円を、
五、前同日頃同市一条町一、二三一番地斎藤健彦方において、同じく選挙運動者である同人に対し、山形正之助及び加藤久美子を介し、現金一万円を
それぞれ供与し、
第五、被告人岡崎は、
一、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、同月二〇頃、千葉市新宿町一丁目九五番地の同被告人方において、同じく選挙運動者である森弥平に対し、右候補者のための投票取纏等の選挙運動を依頼し、その報酬等として現金三千円を、
二、同年六月四日頃同市吾妻町一丁目三八番地佐瀬蔀方において、藤本登を介し、同じく選挙運動者である佐瀬喜一に対し、右候補者のため投票取纏等の選挙運動をなしたことの報酬として、現金一万円を
それぞれ供与し、
第六、被告人新井は、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、同じく選挙運動者である小林源雄に対し、右候補者のための投票取纏等の選挙運動を依頼し、その費用及び報酬として
一、選挙運動者である熊崎七三と共謀のうえ、同年五月一八日頃岐阜県益田郡萩原町一、二八四番地旅館静山荘において、現金二万円を
二、選挙運動者である安藤千代久外二名と共謀のうえ、同月二〇日頃岐阜市小柳町一二番地旅館一力において、現金二万円をそれぞれ供与し、
第七、
一、被告人白川亨は同じく選挙運動者なるところ、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、同月七日頃前記歯科医師会館において、同じく選挙運動者である被告人簗瀬に対し、同候補者のための投票取纏等の選挙運動を依頼し、その報酬及び費用として現金一万五千円を供与し、
二、被告人簗瀬は、前同日頃前同所において、被告人白川より同人が前記趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら現金一万五千円の供与を受け
たものである」
との事実につきそれぞれ原判決の事実誤認を主張するものである。即ち所論は、
「原判決は、
一、被告人宮下が本件参議院議員選挙において鹿島候補の選挙運動を総括主宰したものであることを看過し、
二、前記各公訴事実につきいずれもその金員授受の事実を認めながら(但し第七については一万三千円の限度で肯認する)、
その趣旨に関し、
(一)  前記第一の一乃至一一(但し八の(一)を除く)及び第二の各金員については、これらがいずれも鹿島候補のためにする選挙運動の費用として授受されたもので、選挙運動報酬の趣旨を含まなかつたとし、供与者たる被告人宮下に対し、出納責任者外の無権限支出の罪責のみを認め、その受供与者である被告人岡崎、同池田、同簗瀬、同山川、同新井に対してそれぞれ無罪の言渡をなし、
(二)  第四乃至第六の各金員についても、その供与者たる被告人簗瀬、同岡崎、同新井に対し、前同様の理由によりそれぞれ出納責任者以外の無権限支出の罪責のみを認め、
(三)  第一の八の(一)、同一二乃至一五、第三の各金員については、これらはいずれも本件選挙とは無関係な支出であつたとして、その供与者たる被告人宮下、受供与者である同菊池、同荻原、同中島、同南に対してそれぞれ無罪の言渡をなし、
(四)  第七の金員については、被告人簗瀬は単なる仲介者に過ぎなかつたとして、被告人白川、同簗瀬に対してそれぞれ無罪を言渡し
たものであるが、右はいずれも事実を誤認したものである」
というのである。
よつて所論に鑑み、記録並びに当審における事実取調の結果を綜合勘案して、順次次のとおり判断する。
総論
一、本件選挙における日歯政連の役割について
日歯政連が、歯科医師の業権とその医療体制を確保、強化し、国民の健康にして文化的な生活の確立を目的として、日本歯科医師会とは別個に結成された、会員約二万五千名を擁する政治団体(その会員は日本歯科医師会員と重複する)であつて、都道府県の歯科医師連盟(地方によつては多少その呼称を異にするものもあり、また本会((歯科医師会))との実際上の区別が必らずしも明確でなく、その活動や会計が本会のそれと混同されていたものもあるが、以下では単に地方歯政連という)と密接な連携を保ち、かつこれらの団体の長をその理事とし、年数回右理事を東京・九段にある歯科医師会館内の日歯政連本部に招集して全理事会を開催し、日歯政連の行うべき事業、政策を協議、決定し、執行部において、その事業や政治活動の状況を報告し、また目的とする政治運動に協力を求め、各理事をしてこれらを当該地方歯政連会員に周知徹底させてその目的の完遂を期していたものであり、全国的規模の政治活動においては各地方歯政連が日歯政連の下部機構のごとき役割を果していたものであること、そして日歯政連においては、昭和三三年一月の全理事会で来るべき本件参議院議員選挙に同歯政連理事長の鹿島俊雄を推薦することに決定し、その後同年一二月の全理事会で右選挙の対策費を含む昭和三四年度予算二、一七〇万四、八〇〇円(選挙対策費一、一五〇万円((鹿島俊雄法定選挙費用三〇〇万円、地方市町村長、同議会議員選挙献金五〇万円、参議院議員選挙献金四〇〇万円、残務処理費一〇〇万円、予備費三〇〇万円))、経常費二九九万円、政治活動費四八〇万円、調整費二四一万四、八〇〇円)を可決し、次いで昭和三四年一月には鹿島俊雄を自由民主党の公認候補たらしめたほか、各地方歯政連会長等を通じて同党各県支部の公認獲得工作を進め、同年二月二五日の日歯政連幹部会においては、同年四月に施行される地方議会議員選挙及び本件参議院議員選挙の立候補者のうち日歯政連の政策に賛同する者に選挙献金をしてそれらの者と鹿島候補との提携工作を計ることや、地方歯政連に鹿島候補の後援会をつくらしめることなどの具体的選挙運動方針を協議決定し、さらに同年三月八日の第一回理事会、同年四月一九日の第二回全理事会において、各地方歯政連会長に対して右選挙運動方針に協力されたい旨要望し、かつ歯科医師夫人や雇人などの所謂里帰えり戦術による効果的得票方法などを披露してその周知徹底方を求め、他方月刊の日歯政連会報(日本歯科医師会会報に挿入されて配付される)に、日歯政連として本件参議院議員選挙に臨む決意や、選挙運動の心得などについての記事を掲載するなどして、全国の歯科医師をして鹿島候補のための組織的選挙運動を活発に展開すべく種々画策したことはいずれも原判決の判示するとおりであつて、かくして日歯政連は、単に歯科医師の業権を確保する為の政治活動を行う政治団体から、漸次、その主力を注いで鹿島候補の当選を期する所謂選挙母体へと変容を遂げるに至つたものであることが明らかである。
勿論、本件鹿島選挙においては、独り日歯政連のみならず、鹿島候補の母校である東京歯科大学の同窓団体やその他技工師会、衛生士会などの友誼団体もそれぞれ独自の立場で同候補の支持支援に当つたものである。然しながらこれらの諸団体はいずれも、その人的、資金的規模において日歯政連のそれに及ぶべくもなかつたのであり、現に、本件鹿島選挙における法定選挙費用その他の必要経費はその殆どが日選政連の前記選挙対策予算その他の資金のうちから支弁され、同候補の出納責任者(関敏)も本会の一課長から選任されているのであつて、日歯政連が、法定の鹿島選挙事務所の背後にあつて、同候補のための選挙運動を強力に推進する中核団体であつたことは極めて明瞭なところである。
二、日歯政連における被告人宮下の地位、役割について
日歯政連は、会長一名、副会長五名、理事長一名、副理事長二名をもつて構成される執行機関を有し、被告人宮下は昭和三三年五月頃からその副理事長に就任していたものであるが、会長の竹中恒夫は、昭和三一年の参議院議員選挙に当選して以来その国会活動に忙殺され、日歯政連の本部事務所で会長として職務を管掌することが殆どなかつたものであり、また副会長は、被告人井上を除きいずれも東京から遠隔の地に居住していて上京の機会も少なく、被告人井上にしても、東京都歯科医師会会長の職を兼ねていたところから、その方の執務に忙殺され、いずれも副会長としての常務に専念従事し得ない状況にあつたものである。そして理事長は鹿島候補その人であり、同人は昭和三三年秋頃から自己の選挙運動を兼ねて全国各地を遊説し廻り、殊に昭和三四年に入つてからは在京することが極めて稀であり、これまた理事長の常務を殆ど執り得なかつたのである。かようにして日歯政連の執行機関として常務に従事し得るものは、副理事長の臼井毅(会計担当)と同じく副理事長の被告人宮下(庶務担当)の二名に限られる実情であつたが、臼井毅は開業医として自己の診療業務に忙しく、加えて鹿島候補とは日頃感情的にそりが合わなかつたこともあつて、その担当する会計事務においてすら必らずしも十分な熱意を示していなかつたものであり、況んや前記のように不在勝ちな会長、副会長、理事長に代つて日歯政連の事務全般をみるということはできなかつたのである。
一方被告人宮下は、群馬県高崎市の自宅で歯科医を開業していたものの、そこには次男も開業医として診療業務に従事していて余力があり、本件選挙の準備期間、運動期間を通じて暫く家業から離れ、自宅を留守にすることも左程困難ではなかつたのである。加えて同被告人は、昭和三一年の所謂竹中選挙の際にはその事務長を担任した経験があり、また、本件鹿島選挙においては、鹿島候補と同窓(東歯大)の間柄にあり、しかも同候補(千葉県出身)の選挙基盤が関東地方であつたことなどから、勢い同被告人において会長、副会長、理事長に代つて日歯政連の当面する事務全般をみるべきことが関係筋から期待され、同被告人としてもこれに応ずる意図を抱いていたことが窺われる。このようにして同被告人は、昭和三三年秋頃、竹中、鹿島等の日選政連首脳と箱根・溪雲荘に旅行宿泊した際、竹中から、来るべき本件鹿島選挙において同候補の選挙運動を引き受けて貰いたい(竹中は、選挙事務長になつて貰いたい、ともいう)旨依頼されてこれを応諾するに至つたものであり、またその後同年一二月頃竹中会長、臼井副理事長の両名が多忙を理由に相次いでその役職を辞任したい意向を洩らした際、被告人宮下において、自分が日歯政連の事務処理を一切引き受けるから辞職だけしないで貰いたい旨申し述べて辛うじて両右の辞意を徹回せしめたという経緯もあつて、同被告人自ら事実上日歯政連の事務全般を統轄することとなり、ここに同被告人は名実共に鹿島候補の選挙運動を総括主宰することとなつたのである。
そして現に同被告人は、その後本件選挙に至るまでの間、日歯政連が前記のような選挙戦術を画策し、実践するに際して、自らその提案者乃至推進者として主役を演じたほか、鹿島候補の法定出納責任者となつた関敏(同人はもともと日本歯科医師会事務局事業課の課長であつたに過ぎない)に対しても、全国各地に設置されるべき鹿島選挙事務所の数やそこへの費用配分などについて各種の大網的指示を与えていたものであり、殊に法定の選挙運動期間に入つてからは、日歯政連の首脳としてはただ独り殆ど連日に亘つて前記歯科医師会館に詰め切り、夜は同会館に寝泊りして、選挙に関し全国各地から日歯政連に持ち込まれる各種の問い合わせや情勢報告などに自ら応援すると共に各地への指示連絡に当つていたのである。そしてその間同被告人は、日歯政連の資金(それが原判決のいうように同歯政連の昭和三四年度予算の枠内のものであつたか、或いは検察官のいうように寄附金その他の所謂裏資金であつたか必ずしも明白ではないが、恐らくその双方であつたと推認される)のなかから相次いで本件の支出に及んだものであるが、右支出に際しては、出納責任者となつた関敏にも一切関与させず、自らの裁量でその配付先、配付額を決め、自己又は配下の職員に命じてこれを配付していたものである。鹿島俊雄、竹中恒夫等は、原審(そして当審)公判廷において、同人等も右各金員の配付について事前に相談に預かり、むしろ同人等の方から被告人宮下に配付方を進言した位であると証言するのであるが、他面検察官の取調に対しては、こずれもこれらに関与しなかつた旨供述しているのであつて、その頃同人等が地方を巡遊することが多く、在京の機会が少なかつた事実などを考え併わせると、同人等の前記公判廷における証言は俄かに措信し難いところといわなければならない。また臼井毅は、被告人宮下が支出した本件各金員についてはその都度事前にその承認を与えたかのごとく証言するのであるが、右各金員の多くは、予め一括して相当多額の金を銀行預金から引き出して現金保管(日歯政連職員久家武雄がその保管の任に当つていたものと認められる)したものの中からその都度被告人宮下の裁量で支出されたものであつて、臼井としては、右のような銀行預金の一括払戻の際、会計担当役員としての職責上その払戻手続に関与したに過ぎないことが明らかであつて、同人の前記証言もまた措信し難いものである。
以上の次第であつて、被告人宮下は、本件鹿島選挙において鹿島候補の選挙運動を総括主宰したものであり、本件各金員は、いずれも同被告人が、日歯政連の選挙対策資金のなかから任意その自由被量によつてこれを支出したものであることが明らかである。
各論 その一
第一、被告人宮下と地方歯政連関係との間の金員授受(地方歯政連関係者相互間の金員授受を含む)について
一、原判決は、本件各金員はいずれも、鹿島候補の選挙運動費用(実費)又はその他の一般政治活動費用として授受されたものであると認定し、その選挙運動報酬性を否定する。そして原判決がこのような結論に到達するに至つた基本的論拠は、本件の各金員がいずれも、日歯政連の資金の掌理者である被告人宮下から同歯政連の下部機構のごとき役割を担う地方歯政連の会長又はその代理者に対して交付されたもので、所謂選挙ブローカー又は一般選挙人に対してなされる金員の供与とはその趣を異にする、組織内における金員授受であること、及び本件選挙においては、多くの地方歯政連において独自の選挙予算を組み、その職域利益代表たる鹿島候補のため自らの出捐による選挙運動を展開した程であつて、被告人宮下と本件の地方歯政連会長又はその代理者、並びにこれら地方歯政連の関係者相互の間にはいずれも、鹿島候補の選挙運動をするについてその報酬を期待し又は期待されるような事情がなかつたという点にこれを見出すことができる。
二、なるほど本件各金員は、日歯政連によつて統轄される、全国歯科医師の政治団体組織の内部において授受されたものであつて、所謂選挙ブローカー又は一般選挙人に対する金員供与とはその趣を異にする面のあることを否定することはできない。また本件選挙に際しては、多くの地方歯政連において独自の選挙予算を組んでその職域利益代表たる鹿島候補の当選を期していたことも証拠上明白なところである。然しながら、右のような事情があるからといつて、そのことから直ちに、これらの地方歯政連の関係者が鹿島候補の選挙運動をするについて何等の報酬をも期待せず、また期待されない状況にあつたものと速断し得ないことはいうまでもないところである。如何なる組織といえども、それに内在する様々の要因によつてその統制力や結束力に自ら大なり小なりの制約が生ずるのは避け得ないのであつて、現に本件においても、果して日歯政連が、傘下の地方歯政連関係者に対して、各自の日常生活上の利害を全く度外視して鹿島候補の選挙運動に従事せしめ得るほど強力な統制力を有し、またこれらの地方歯政連関係者かそのような犠牲的精神の下に相結束していたか、記録上俄かにこれを首肯し難いのである。
三、要するに、本件各金員の趣旨如何を決するためには、各個の事案に即してさらに具体的な検討が加えられなければならないのであるが、このような見地に立つて本件の各事案を通観するとき、先ず最初に注目されることは、被告人宮下の支出にかかる本件各金員はいずれも、鹿島候補の決定出納責任者でもない同被告人が、同候補の法定選挙費用とは全く別個な、日歯政連の選挙対策資金のうちからこれを支出しているということである。そしてその授受は、いずれの場合も、原判決も認めているように、「時、場所の状況如何によつては如何様とも受け取れる極めて瞹昧な言辞をもつてなされている」のであつて、その際その使途に関する具体的な指示説明もなければ、後日その精算報告をなし、余剰の分はこれを返還すべき旨の要請もなされることがなかつたのである。そして受供与者等においてもその大半が、受領にかかる金員を、所属歯政連の正規の会計に入金記帳することなく任意これを処分し、又は処分しようと計つているのであり、しかもその使途の中には所謂選挙運動実費とはおよそ無縁と考えられる支出も少なくないのである。また関係地方歯政連の多くは、被告人宮下が本件の選挙違反容疑で検挙されるや、本件受領にかかる金員の収支・性格等に関してあらずもがなの偽装工作を敢てしているのである。地方歯政連関係者相互間に授受された本件各金員についても以上と略同様のことがいえるのであつて、これらの諸事情は、本件各金員に選挙運動報酬の趣旨が含まれていないとする原判決の認定に少なからぬ疑問を投げかけるものである。そこで以上のような前提に立つて本件各個の事案に即しさらにこれを詳論することとする。
第二、
一、被告人宮下より石津十蔵に交付された三〇万円の趣旨について
原判決は、本件三〇万円は鹿島候補の選挙運動費用として授受されたもので、選挙運動の報酬の趣旨は含まれない、と判示する。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、
(一)  石津十蔵(現在死亡)は、本件当時東京都歯政連理事長兼日歯政連常任理事の地位にあり、かつ、当時右都歯政連内に設置されていた選挙対策本部の本部長を兼ねていたものであつて、都歯政連が、日歯政連の選挙対策方針に呼応し、独自の選挙対策予算を組んで鹿島候補等の支援を決定したのに伴い、その首脳者として、傘下の歯科医師を鼓舞激励して右選挙運動を活発効果的に展開すべきことを期待されていたものである。
(二)  本件三〇万円が授受されたのは、本件選挙の告示当日(昭和三四年五月七日。以下単に月日のみで表示する)原判示歯科医師会館(以下日歯会館という)で開催された、鹿島候補の選挙事務所開きの終了直後のことであつて、この日石津は右事務所開きに出席し、その閉会後同会館内にある都歯政連事務室において同政連幹事長の被告人下川やその他の同歯政連役員等数名と右事務所開きの残り酒を飲んでいたところ、被告人宮下が右部屋の入口附近に現われてそこから右石津のみを室外に呼び出し、余人のいないところでひそかに本件三〇万円在中の紙袋を手交したものである。そしてその際被告人宮下からは、単に、「選挙で費用もかかるだろうから、これを使つて貰いたい」旨の言葉添えがあつたのみで、その他に右金員の使途に関する指示説明も、後日その精算報告やその証憑書類を提出すべき旨の要請もなく、その使途処分を石津に一任したものであることが明らかである。そしてまた石津においても、右受領にかかる金員を都歯政連の正規の会計に納入せず、被告人下川等二、三の役職員を除くその余の役員等にも右受領の事実を秘匿したまゝ、うち五万円を自己の選挙活動資金分として収得し(その後その大半を自己の個人的用途に費消したものと認められる)、うち各五万円を右下川及び被告人井上に夫々供与し(原判決は右各供与には選挙運動の報酬の趣旨が含まれていたと認定する)、残額一五万円は、本件で検挙されるまで、これを同歯政連の職員に別途保管させていたことが認められるのである。
(三)  右金員の趣旨につき、被告人宮下及び石津の両名は、原審(そして当審)公判廷において、或いは「右金員は日歯政連から都歯政連に一般政治活動資金として寄附されたもので、本件選挙とは無関係な金である」といい(被告人宮下)、或いは「仮に本件選挙と関係があるとしても、それは選挙運動の実費として授受されたもので、報酬の趣旨は含まれていなかつた」と弁解する(石津)。然しながら他面検察官及び警察官の取調に対しては、被告人宮下は、「都歯政連としても選挙予算を組み、さらに日歯政連からの還付金もあるので、鹿島選挙の対策費用も十分にあるかも知れぬが、選挙というのは目に見えぬ金がかかるのが普通で、都歯政連の方も相当金がかかるだろうし、同時に石津たちの労苦に対する謝礼の意味を含めて本件の三〇万円を渡した」旨供述し、石津もまたこれに副う供述をしているのである。
そこで本件金員が授受された際の前記認定の諸事情を背景として被告人宮下等の公判廷における弁解とその捜査官に対する供述とを比較検討してみるのに、若し本件金員が被告人宮下の前記公判廷における弁解のように、日歯政連から都歯政連に寄附された一般政治活動資金に過ぎなかつたとすれば、被告人宮下が、都歯政連の事務室で同僚役員等と酒を飲んでいた石津をことさら室外に呼び出し、ひそかにこれを手交しなければならない必要が果してあるであろうか。手交の際宮下が「選挙で金もかかるだろうから云々」と言葉添えをしていることも辻褄の合わないことである。また、石津が、被告人宮下から本件金員を受領しながら、右受領の事実を被告人下川等二、三の役職員のみに打明け、その他の役員等には敢てこれを秘匿していたことや、右石津が本件金員を都歯政連の正規の会計に納入せず、配下の職員に命じて別途保管させていたことも甚だ不可解な言動といわなければならない。また、右金員が授受される際、被告人宮下からこれを鹿島候補のための所謂選挙運動実費に限定して支出すべき旨の指示説明もなく、しかも同被告人の前記公判廷での弁解によれば、右金員は選挙とは無関係な一般政治活動資金であるというのに、石津において何故にこれを鹿島候補の選挙運動実費と明確に認識し得たのであろうか。記録を仔細に検討してみても、この不可思議を遂に解明し得ないのである。
以上被告人宮下等の公判廷における弁解には納得し難い点が少なくなく、俄かにこれを措信し難いのに反し、同人等の捜査官に対する供述はこれを一読して終始自然かつ合理的であつて、十分措信に値するものと認められる。原判決が被告人宮下等の捜査官に対する前記供述を排斥して本件金員の報酬性を否定したのは、採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
二、被告人宮下から同岡崎、同池田に交付された一五万円の趣旨について
原判決は、本件一五万円の趣旨につき、右金員は千葉市に開設されるべき鹿島選挙事務所の運営費として授受されたもので、選挙運動の報酬の趣旨は含まれていない旨判示する。
よつてこの点につき関係証拠を検討して按ずるに、
(一)  本件選挙において千葉県は鹿島候補の出身地にあたるところから、同候補の当選を得るためには同県下で大量の票を獲得することが不可欠とされ、それだけに同県歯政連としては右鹿島候補のため特に活発な選挙運動を展開すべきことが強く期待されていたのである。当時同県歯政連においては、会長石井潔(現在死亡)、副会長被告人岡崎、丸島鉄男、専務理事被告人池田等の役員を擁し、右陣容をもつて本件鹿島選挙に対処することとなつていたのであるが、会長の石井潔は、同県歯政連の本部のある千葉市からほど遠い館山市に住んでいたうえ、当時病弱の身でもあり、また副会長の丸島鉄男も遠く銚子に居住していたところから、いずれも十分にその職責を果し得ない状況にあつたため、同県歯政連の選挙活動は勢い被告人岡崎及び同池田の両名を中心にして推進されることとなり、被告人岡崎は千葉市に開設されるべき鹿島選挙事務所の運営面を、また被告人池田はその他の選挙活動面をそれぞれ分担主宰することとなつたものである。
(二)  本件一五万円が授受されたのは、本件選挙の告示日直前である五月六日頃のことであつて、この日被告人池田は、千葉市の県歯政連事務所に出向いた際、東京・九段の日歯政連本部(日歯会館内)にいる被告人宮下から、至急上京されたい旨の電話連絡を受けたので、被告人岡崎と共に即刻上京して日歯会館に被告人宮下を訪ねたところ、被告人宮下は、右池田等と千葉県下における鹿島候補の選挙運動情勢(千葉市に開設されるべき鹿島選挙事務所の運営問題も含んでいたであろう)やその得票予想数などについて彼此質疑応答した末、余人のいない席上でひそかに本件一五万円在中の紙袋を池田に手交したのである。そしてその際被告人宮下からは、単に「しつかりやつて貰いたい」旨の言葉添えがあつたのみで、右金員の使途に関する具体的な指示説明も、後日その支出精算報告をなすべき旨の要請もなく、その使途処分を池田等の裁量に一任したものであり、被告人池田及び同岡崎の両名においても、右受領にかかる金員につき正規の会計記帳をなさず、かつ石井会長等二、三の役職員を除くその余の役員等にも右金員の収支を敢て秘匿して顧みなかつたことが明らかである。
(三)  被告人宮下及び同池田の両名は、右金員の趣旨につき、原審(そして当審)公判廷において、戓いは「右金員は日歯政連から千葉県歯政連に政治活動資金として寄附されたもので、本件選挙とは関係のない金である」といい(被告人宮下)、或いは「選挙に関係があるとしても、それは選挙運動実費として授受されたもので、報酬の趣旨は含まれない」旨弁解する(被告人池田)。然しながら他面検察官の取調に対しては、被告人宮下は、「この一五万円は千葉の鹿島選挙事務所の開設費ではなく、千葉県は鹿島候補のため特に熱心に運動をやつて貰わねばならないので、その費用と慰労の意味で渡した。各地の選挙事務所の借上賃、労務賃、茶菓子代等は鹿島候補の出納責任者である関敏から一ケ所一〇万円平均で支出されている」旨供述し、また被告人池田も、「この一五万円は、宮下と鹿島候補の得票の話をした際、同人から『しつかりやつてくれ』といわれて貰つたことや、選挙の告示直前でもある点などから、これを千葉県歯政連に入れようと、或いは入れないで私たちのように鹿島のため一票でも多く票を集めようと走り廻つている人たちの車代やら弁当代やら、或いは煙草代、お茶代等の小遣いとして使つてよい金だと思つて受取つた」旨供述しているのである。そして本件金員の授受に関する前記認定の諸事情、就中、本件金員が余人を混じえない席上でひそかに授受され、その使途に関する指示説明がなく、その使途処分が受供与者の裁量に一任されていること、被告人池田等が右受領にかかる金員を千葉県歯政連又は千葉の鹿島選挙事務所の正規の会計に納入せず、同県歯政連の二、三の役職員を除くその他の役員にも内密に任意費消していることなどを勘案し、さらにはまた、被告人池田や石井会長等が、被告人宮下が選挙違反で検挙されるや、既に費消されている本件金員とは別の一五万円を準備したうえ、本件金員が鹿島選挙とは無関係の、日歯政連から千葉県歯政連に対する所謂還付金であつて、その大半が未だ費消されずに残存するかのような帳簿登載をして殊更に偽装の工作をした事実などを考え併わせると、被告人両名の前記公判廷における弁解には俄かに首肯し難いものがあり、却つて同人等の検察官に対する供述の方がより自然であり合理的であつて措信に値すると考えられるのである。
(四)  次に被告人岡崎は、原審公判廷において、「自分は本件金員を鹿島候補の法定選挙費用と信じて受け取つた」旨弁解する。然しながら、曩にも判示したように、使途処分について格別の指示制限も受けず、また後日その精算報告をなすべき旨の要請もなく、しかも鹿島候補の出納責任者でもない被告人宮下(当時は未だ告示前ではあつたが、被告人岡崎においても鹿島候補の法定出納責任者には関敏が就任する手筈となつていたことを承知していたものと認められる)から交付された本件一五万円を法定選挙費用と信ずること自体甚だ理解に苦しむ思考態度であつて、被告人岡崎において所謂法定選挙費用なるものの意味、内容を果して正解しているのかどうか大いに疑われるのである。現に同被告人は、検察官の取調に対し、「当時法定選挙費用という言葉はきいていたが、具体的には判らなかつた。本件一五万円は、私や池田に対する謝礼の意味もあると思つたが、千葉の鹿島選挙事務所の運営費や票集めに出歩く人たちの交通費や慰労費等に使おうと思つた」旨供述しているのであつて、右供述こそ事案の真相を物語るものと思料されるのである。
(五)  なお原判決は、本件一五万円のうち、一万円は被告人池田において選挙運動の実費として配分を受け、残額一四万円は被告人岡崎において千葉の鹿島挙選事務所の運営費等に費消した旨認定しているのでこの点につき付言する。
なるほど右被告人両名が、本件受領にかかる一五万円を持参して千葉に帰る途中、互いに協議のうえ、右金員のうち一万円を被告人池田が、残額一四万円を被告人岡崎が配分取得してそれぞれこれを費消したことは原判決の認定するとおりである。然しながら
1 先ず被告人池田が配分を受けた一万円についてみると、同被告人は、検察官に対してはもとより、原審公判廷においても、「『岡崎君、おれも少し貰いたいんだ』といつて右一万円の配分を受けた」旨供述するのみで、選挙運動の実費に限定された趣旨でこれを貰い受けたとは一言も述べていないのである。却つて同被告人は、「かねがね個人的出費もあつたので貰つた」旨供述し、その使途についても一部を飲酒代等の個人的支出にあてた旨自認するのである。そして被告人岡崎においても、右一万円の趣旨が実費に限定されていたとは一言も述べておらず、却つてその検察官に対する供述によれば、「池田のような酒好きの人には選挙運動で疲れたあとの酒代にでもという気持で渡した」というのであつて、被告人池田が右一万円を選挙運動実費の趣旨で貫い受けたものとは俄かに認め難いのである。
2 次に被告人岡崎に配分された一四万円についてみるに、右金員は被告人岡崎が千葉市の鹿島選挙事務所の運営に関連して費消したものであることは否定し難いところであるが、同被告人の原審(及び当審)公判廷における供述のみによつてはその具体的支出状況を窺い知ることができない。そこで同被告人がこの点につき検察官に供述するところによれば、同被告人は、所謂投票買収さえしなければ選挙違反にはならない、投票取りまとめの運動をしてくれた人に慰労費をやり、或いは労務者に規定額以上の報酬を支給しても構わない、と考え、現にその要領で前記一四万円を費消したことが認められるのであつて、その少なからぬ部分が本来の選挙事務所運営費とは程遠くかけ離れた、多分に運動報酬的性格を含む用途に支出されたものと推認されるのである。
(六)  以上を綜合勘案すれば、本件公訴事実はその証明が十分というべきであつて、これと異なる認定に出た原判決は、採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
三、被告人宮下から同池田に交付された一〇万円の趣旨について証拠によれば、
(一)  本件一〇万円が授受されたのは、本件選挙の告示後間もない五月一一日頃のことであつて、この日被告人池田は千葉県成田市の自宅において、日歯政連本部の被告人宮下から、至急上京されたい旨の電話連絡を受けたので、直ちに上京して日歯会館に被告人宮下を訪ねたところ、被告人宮下は池田を余人のいない個室に招じ入れ、前回(五月六日頃)の場合と同様池田に千葉県下の選挙情勢や鹿島候補の得票見込数などを質疑し、その間同人に、「帰りに神田小川町の鹿島選挙事務所に立ち寄つて、出納責任者の関敏から千葉県分の法定選挙費用二〇万円を受領されたい」旨の指示を与える傍ら、本件一〇万円入りの封筒を手交しているのである。そしてその際右一〇万円については、被告人宮下からは、単に「とにかく千葉は地元だから、しつかりやつて貰いたい」旨の言葉添えがあつたのみで、その他に右金員の使途処分に関する指示説明も、後日その精算報告をなすべき旨の要請もなく、その使途処分を被告人池田に一任したものであり、一方被告人池田においても、右受領にかかる金員を、千葉県歯政連の会計にも、千葉市の鹿島選挙事務所の会計にも納入せず、同歯政連会長の石井潔にひそかに右受領の事実を報告したのみで自らこれを保管し、うち二万円を同歯政連副会長の丸島鉄男に選挙活動資金として供与(原判決は、右金員には選挙運動報酬の趣旨が含まれていたと判示する)し、残額八万円は自らが鹿島候補の選挙運動に従事した際の交通費その他の費用やその折の飲酒代等に費消したことが明らかである。(もつとも同被告人は、原審の後半に至つて突如、右八万円を車中で掏摸り取られた旨弁解するに至つたものであるが、到底措信できない。)
(二)  右被告人両名は、原審(そして当審)公判廷において、本件一〇万円は、前回(五月六日頃)の一五万円と同様、日歯政連から千葉県歯政連に寄附された政治活動資金(被告人宮下は、本件選挙に関係のない金であるといい、被告人池田は、必らずしもその関連性を否定しないが、選挙運動の報酬の趣旨を含まない、という)であると弁解する。然しながら他面検察官の取調に対しては、被告人宮下は、「五月一一日頃池田専務理事を呼んで一〇万円渡したが、これも前回(五月六日頃)の場合と同様、票が欲しいため特別に出したものである」旨供述し、また被告人池田も、「この二〇万円は票集めの運動資金だと思つた。私個人に全部寄越したとは思わず、私なり、他に走り廻つている人たちに対する交通費、弁当代、或いは煙草銭等の小遣なり何なりに使つてよいが、要するに鹿島の得票に効果あるようにして貰うために寄越したものと思つた」旨供述して、いずれもその報酬性を自認しているのである。そして本件金員が授受され、費消されるに至つた前記認定の諸事情に、その後本件金員についても前記二の場合と同様な偽装工作がなされている事実を考え併わせると、被告人等の公判廷における弁解は俄かに措信し難く、却つて同人等の検察官に対する供述の方が措信に値するものと認められるのである。これと異なる判断をした原判決は、採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は即ち理由がある。
四、被告人宮下より石井潔に交付された一〇万円の趣旨について
原判決は、本件一〇万円の趣旨につき、右金員は、被告人宮下が、石井潔より千葉の鹿島選挙事務所の所謂事務所費が不足しているといわれてその費用として交付したもので、選挙運動の報酬の趣旨は含まれていない旨判示する。
然しながら
(一)  本件一〇万円が授受されるに至つた経緯や授受の模様については被告人宮下は原審公判廷において殆ど具体的な供述をしておらず、却つて右金員は日歯政連より千葉県歯政連に一般政治活動資金として寄附されたもので、本件選挙とは無関係な金であると争い、千葉の鹿島選挙事務所の事務所費は、本件以前に既に出納責任者関敏より一〇万円支出されている旨弁解しているのである。また石井潔も、原審公判当初の罪状認否の段階で死亡したため、公判廷ではこの点につき何ら格別の供述をすることがなかつたのである。そこで同人等の検察官に対する供述をみるのに、被告人宮下は、「五月一八日頃千葉県歯政連会長の石井潔を日歯会館に呼び、選挙運動の状況を聞いたうえ、『しつかりやつてくれ』といつて本件の一〇万円を渡した」というのであり、また石井は、「宮下から『話したいから来てくれ』という電話呼出しがあつたので、五月一八日頃上京して日歯会館に宮下を訪ねた。その宮下に、『前に二〇万円を房総方面の選挙対策費に貰つたが不要だ。むしろ事務所費にまわすべきだ』というと、宮下は、『前の金は別に房総対策費としてやつた訳ではない。地方候補と提携してやつて貰う橋渡しの金としてやつた』といつた。このような話をした後私が帰ろうとすると、宮下が一寸室外に出てすぐ戻り、その後名の知らぬ職員が茶色の封筒をもつて来て宮下に渡した。宮下はその封筒を私に、『これをお持ちになつて頂きたい』といつて寄越した。封筒には一〇万円と書いてあつた。『これを貰いに来たんじやあない』というと、宮下は、『ほかの者では困る。あんたが受取つてくれ』というので受取つた。何に使えともいわれない。受取る前私が宮下に、『選挙が済んだら、骨を折つてくれた人に礼を出したい』といつたり、選挙事務所の金がない話などをしておいたので、それらに支出するために処分を一任されたと思つた。精算報告も求められず、領収書も出さなかつた」旨供述しているのである。そしてさらに石井は検察官に対し、「自分は本件の一〇万円を千葉に持ち帰ると早速これを被告人岡崎に渡し、被告人宮下より受領したものである旨を告げたうえ、『有効に使つてくれ。できたら顧問の方々にも一応費用弁償の形をとつて謝礼をやつてくれ』と言葉添えをした」旨供述しているのであり、被告人岡崎も検察官に対してこれに副う供述をしているのである。
(二)  以上の諸事情に、その後本件金員についても曩に被告人池田、同岡崎の項で述べたと同様な偽装工作がなされている事実を考え併わせると、本件金員が単なる選挙事務所費又は一般政治活動資金として授受されたものとは俄かに認め難く、矢張り鹿島候補の選挙運動をするについての報酬の趣旨をも含んでいたと認めるのが相当である。これと異なる認定をした原判決は採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
五、被告人宮下より同簗瀬に交付された合計一五万円の趣旨について
原判決は、被告人簗瀬は、本件鹿島選挙において他からその運動報酬を期待するような状況にはなく、現に本件合計一五万円の殆ど全額を、自己及びその他の関係役員において、栃木県歯科医師会館の建設費の県費補助等を県当局に陳情し、或いは本件鹿島選挙のため県下各支部を巡回激励した際の費用等に充当した、との事実を認定し、この事実から推しても本件金員に選挙運動の報酬が含まれていたとは認め難いと判示するのである。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、
(一)  被告人簗瀬は、本件当時栃木県歯科医師会会長兼同県歯政連会長としてこれらの団体が施行する各種の活動を統轄すべき地位にあつたものであり、本件鹿島選挙においても、同県歯政連が日歯政連の方針に呼応して鹿島候補の支持支援を決定したのに伴い、その最高責任者として、県下の歯科医師を指揮激励して同候補のため活発な選挙運動を展開すべきことが期待されていたものである。
(二)  本件一五万円のうち、
1 最初の五万円が授受されたのは、本件選挙が告示された五月七日のことであつて、この日被告人簗瀬は、日歯会館で開催された、鹿島候補の選挙事務所開きに出席したところ、その閉会後被告人宮下が被告人簗瀬を余人のいない同会館三階の会議室に招じ入れ、ひそかに右金員を手交したものであり、
2 また二度目の一〇万円が授受されたのは、本件選挙の告示後間もない五月一〇日頃のことであつて、この日被告人簗瀬は、日歯会館内で開催された日歯政連関東地区役員協議会(鹿島選挙の運動対策を主たる議題とする会合であつた)に出席したところ、被告人宮下が、会議中の被告人簗瀬を室外に呼び出し、余人を混じえない席上でひそかに右金員を被告人簗瀬に手交したものである。
そして右いずれの場合にも、被告人宮下からは、単にこれらの金員を鹿島選挙の運動資金に充当して貰いたい旨の言葉添えがあつたのみで、その他に右金員の趣旨に関する格別具体的な指示説明も、後日その清算報告をなすべき旨の要請もなく、その使途処分を被告人簗瀬の裁量に委ねたものであり、一方被告人簗瀬においても、右受領にかかる各金員を栃木県歯政連又は同県歯科医師会の会計に納入することなく、そのうちの六万円を、後記のように、同歯政連役員の黒崎市三郎、大塚〓、岡田正信、宮島豊、斎藤健彦の五名に分配交付し、残余を自己の裁量で任意費消したものである。
(三)  被告人等は、検察官の取調に対して、右各金員の趣旨につき、被告人宮下は、「これらの金を出したのは票を集めて貰うためであり、そのためには各地を動き廻つて激励したり、頼んだりして貰わねばならず、また自分の仕事も出来なくなるので、その費用や報酬として特別に出した。最初に渡した五万円は簗瀬個人に渡したものであり、あとの一〇万円は栃木県歯政連の幹部を慰労して貰おうと思つて渡した」旨供述し、また被告人簗瀬も、「最初の五万円を受取る際、宮下から『これを今度の選挙の費用として君に使つて貰いたい。君の会の他の役員にも礼をしたいが、それは後で渡すつもりだから、取り敢えず君の分だけ渡しておく』といわれたので、この金は票集めの車賃や謝礼として私個人にくれるものと思つた。また五月一〇日の一〇万円は、宮下が、『この金のうちから君の方の役員にも手当を出して貰いたい。渡す人や額は君に一任するからよろしく頼む』といわれたので、前回のとき同人がいつていたように票集めを私の方の会員にして貰うための費用や謝礼だと思つて受取つた」旨供述して、いずれも本件各金員に選挙運動の報酬の趣旨が含まれていたことを認めて争わなかつたものであるが、その後被告人等は、原審に至るや、いずれも従前の供述を飜えし、右各金員はいずれも日歯政連から栃木県歯政連に一般政治活動資金(被告人宮下は、本件選挙とは無関係であるといい、被告人簗瀬は必らずしもその関連性を否定しない)として寄附されたもので、選挙運動の報酬の趣旨を含まない旨弁解するに至つたものである。
(四)  然しながら被告人等の公判廷における右弁解は、曩に東京都歯政連、千葉県歯政連関係の項でも述べたように、本件各金員がいずれも余人を混じえずひそかに授受されていること、その際漠然ながらも鹿島選挙の運動資金とすべき旨の言明がなされた反面、その使途につき格別の指示説明がなく、使途処分が被告人簗瀬に一任されていること、同被告人がこれらの金員について正規の入金記帳をしないまゝ任意これを処分していることなどに照らして俄かに首肯し難い点が少なくないのである。また被告人簗瀬が、被告人宮下が選挙違反容疑で検挙されるや、急遽選挙運動関係の重要書類を焼却又は隠匿させる傍ら、別途に一五万円を用意してこれを日歯政連に持参させ、本件各金員の授受が当初からなかつたかのごとく偽装しようと計り、事の遅きを憂えた日歯政連にその受領を拒まれるや、新たに栃木県歯政連の会計簿や金銭出納簿を作成させ、日歯政連より同県歯政連に一五万円の寄附があつた旨記帳させるなどの偽装工作を敢行した事実が認められることも、被告人等の前記公判廷での弁解の信憑性を著しく減殺するものである。これに反し同人等の検察官に対する前記供述は、本件各金員が授受され、費消されるに至つた前記認定の諸事情に照らしてむしろ自然的、合理的と認められ、本件事案の真相を語るものと考えられるのである。
(五)  なお被告人簗瀬が、鹿島候補の選挙運動をするについて他から報酬を期待するような状況になかつたとする原判決の認定は証拠上これを首肯し議いところであり、また本件各金員の大半が一般政治活動及び選挙運動の実費に充当されたとする原判決の認定にも少なからぬ疑問の余地があることは、検察官が極めて詳細に論証するとおりであつて、畢竟原判決は本件各金員の趣旨について採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は即ち理由がある。
六、被告人宮下より同山川に交付された合計二〇万円の趣旨について
原判決は、本件各金員の趣旨につき、被告人山川は本件各金員を専ら選挙運動の実費に充てるべきものと了解し、受領の都度これを群馬県歯科医師会事務局長鶴牧亀雄に保管させ、うち九万五千円は県下各支部に選挙運動の実費として配分交付し、残余は鹿島候補の選挙運動のため自ら県下を激励巡回した際の自動車代等の費用に充当したとの事実を認定し、これらの事実から推しても本件各金員に選挙運動報酬の趣旨が含まれていたとは認め難い、と判示するのである。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、
(一)  被告人山川は、本件当時群馬県歯科医師会会長兼日歯政連理事(当時群馬県においては県歯政連が結成されていなかつたと認められる)の地位にあり、同県歯科医師会が、日歯政連の選挙対策方針に呼応して鹿島候補の支援を決定したのに伴い、その最高責任者として傘下の歯科医師を皷舞激励すべき立場にあつたものである。群馬県は本件鹿島選挙を総括主宰した被告人宮下の地元にもあたるところから、被告人宮下としてはその面目にかけても同県下で大量の票を獲得する必要を感じ、予てから被告人山川に格別の尽力方を依頼しており、被告人山川においてもこれに応ずる覚悟を抱いていたものである。
(二)  本件二〇万円のうち、
1 最初の一〇万円が授受されたのは、本件選挙の告示後間もない五月一〇日頃のことであつて、この日被告人山川は、日歯会館で開催された日歯政連関東地区役員会議(鹿島候補の選挙対策問題を主たる議題とするもの)に出席したところ、被告人宮下は、被告人山川に同行して上京した鶴牧亀雄事務局長を招ねき、単に「これを山川会長に渡してくれ」と申し向けて本件一〇万円在中の紙袋を手渡し、一方被告人山川に対しては、鶴牧に金を托した旨を伝えると其に、「地元の地方区候補と提携してよろしく尽力して貰いたい」旨の言葉添えをしたものであり、
2 また二度目の一〇万円は、同月一七日頃、被告人宮下が、被告人新井や清永盛樹等に二万円乃至五万円宛郡送したのと同じく、現金書留郵便で群馬県渋川市の被告人山川方私宅に送金したものである。
そして右いずれの場合にも、被告人宮下からは、右各金員の使途に関する具体的な指示説明も、後日その精算報告をなすべき旨の要請もなく、いずれもその使途処分を被告人山川の裁量に委ねたものであることが明らかである。
(三)  被告人山川は、本件受領にかかる合計二〇万円をいずれも群馬県歯科医師会の正規の会計に納入せず、前記鶴牧亀雄に命じてこれを別途保管させ、そのうち九万五千円を県下各支部に、五千円を同県技工師会会長金子勇に、五千円を日本大学歯科医師同窓会群馬県支部にそれぞれ分配交付し、残余を自ら任意処分したものあるが、選挙後被告人宮下が逮捕されるや、日歯政連からの「或る種の指令」に基づき、鶴牧に命じて、本件各金員の収支を控えたノート類を焼却させるなどの証拠隠滅工作を計つたため、今ここでその支出明細を確認することができない。然し先ず県下各支部に配分交付された九万五千円についてみると、被告人山川はこれらの配分金を祝儀袋に包みこれに「寸志」と表書きするなどして各支部に交付しているのであつて、その際これらを所謂運動実費に限定して支出すべき旨の指示を与えた形跡は全く認められないのである。また自ら費消した分についても、これをすべて選挙運動実費に充当したとの確証を見出し得ないのである。
(四)  被告人両名は、原審(そして当審)公判廷において、「右各金員はいずれも日歯政連から群馬県歯科医師会に一般政治活動資金として寄附されたもので、鹿島候補の選挙運動資金たる性質を含むとしても、その運動報酬の趣旨は含まない」旨弁解する。然しながら他面検察官の取調に対しては、被告人宮下は、「本件の二〇万円は、票集めに何かと出費も多かろうと思つて、運動費用及び謝礼の趣旨で渡した」旨供述し、被告人山川もこれに副う供述をして、いずれも本件各金員が選挙運動の報酬を含む趣旨で授受されたことを自認しているのである。そして本件各金員の授受及び使途に関する前記認定の諸事情に鑑みると、被告人等の公判廷における前記弁解は、曩に東京都歯政連関係その他で説示したと同様に、俄かに措信し難いものがあり、却つて同人等の検察官に対する前記供述が措信に値すると認められるのである。これと異なる認定に出た原判決は採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
七、被告人宮下より同新井に交付された合計二五万円の趣旨について
原判決は、本件二五万円はいずれも鹿島候補の選挙運動費用として授受されたもので、選挙運動の報酬の趣旨を含まない旨判示する。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、
(一)  被告人新井は、本件当時岐阜県歯政連会長兼日歯政連副会長の地位にあり、また同県を選挙地盤としていた当時の自民党副総裁大野伴睦(現在死亡)とも予て親交の間柄にあつたところから、同県歯政連傘下の歯科医師を指揮激励し、かつ自民党岐阜県支部連合会とも相提携して同県下における鹿島候補の選挙運動を活発、効果的に展開すべきことを強く期待されていたものである。
(二)  本件二五万円のうち、
1 最初の二〇万円は、本件選挙の告示後間もない五月九日頃、被告人宮下より、当時鹿島候補の選挙応援を兼ねた政治講演のため岐阜県に出張した竹中恒夫日歯政連会長を介して被告人新井に交付されたものであるが、右竹中は、秘書の外山敏郎を通じ被告人宮下より、本件二〇万円在中の包みを被告人新井に手渡してくれるよう托されて預かり、被告人新井に対しても、単に、「宮下から預かつて来たから使つて貰いたい。この金のことは当分内緒にしてくれ」と言葉添えしてこれを手交したものであつて、その間領収書の徴収もなく、使途を定めてその精算報告を求めることもなかつたものである。
2 また二度目の五万円は、五月一六日頃、被告人宮下が、日歯政連庶務課員に命じて、被告人山川や清永盛樹等に二万円乃至一〇万円宛送金したのと同時に、同じく現金書留郵便で岐阜市明徳町の被告人新井方私宅に郵送されたものであるが、右送金に際しては、単に「貴職選挙の車馬賃としてお送りしますからお納め下さい」との通信文が同封されたのみで、他に右金員の使途処分を定め、或いはその精算報告を求めるなどの措置は何ら構ぜられるところがなかつたものである。そして一方被告人新井においても右受領にかかる各金員をいずれも岐阜県歯政連の会計に納入することなく、うち四万円(最初の二〇万円のうち二万円、二度目の五万円のうち二万円)を自民党岐阜県県議小林源雄に鹿島候補のための選挙運動資金として供与(右供与には運動報酬の趣旨が含まれていたことは後記のとおりである)したほか、残額のうち一〇万円を、選挙後鹿島候補の当選祝又は残念会名義で運動関係者等を慰労するための費用として別途保管し、残余の多くを、検察官が詳細に亘つて指摘するように、或いは選挙運動期間中県下各支部の会合に出席した際祝儀等として支出し、或いは自己の個人的用途に費消するなど選挙運動の実費とは程遠い支出に充て又は充てようと計つたことが明らかである。
(三)  被告人両名は、本件各金員の趣旨につき、原審(そして当審)公判廷においては、或いは「本件各金員はいずれも、日歯政連から岐阜県歯政連に政治活動資金として寄附されたもので、選挙とは無関係な金である」といい(被告人宮下)、或いは「本件鹿島選挙の運動実費を含む政治活動資金として日歯政連から岐阜県歯政連に寄附されたもので、選挙運動報酬の趣旨を含まない」旨弁解する(被告人新井)のであるが、他面検察官の取調に対しては、被告人宮下は「五月九日頃の二〇万円は、その処分を新井に任せ、会員を督励して鹿島選挙を効果的に推進して貰うための車馬賃、慰労費として渡した。二度目の五万円も同趣旨で渡した」旨供述し、被告人新井もまた、右趣旨を承知してこれらを受領した旨供述しているのである。そして本件各金員の授受並びに使途に関する前記認定の諸事情を勘案し、さらにはまた、被告人新井が、本件選挙後、被告人宮下が検挙されたのを知るや、本件最初の二〇万円につきこれが未だ費消されなかつたように仮装するため、残金に別途準備した金を加えて二〇万円とし、これを銀行預金とするがごとき偽装工作を敢えてしていること(二度目に受領した五万円はともかく「車馬賃」という名目であつたので格別の工作をしなくとも申し開きが立つと考えた)などを考え併わせると、被告人等の公判廷における前記弁解には俄かに首肯し難いものがあり、却つて同人等の検察官に対する前記供述の方がより自然かつ合理的であつて措信に値するものと認められるのである。これと異なる判断をした原判決は採証を誤り事実を誤認したものというほかはなく、論旨は即ち理由がある。
八、被告人宮下より前田勝に交付された合計一〇万円の趣旨について
(一)  三月一二日頃郵送された五万円について
原判決は、本件五万円の趣旨につき、右金員は選挙告示に先立つ約二ケ月前に授受されたものであり、かつその時期に他の地方歯政連に対して金員の交付がなされた事実のないこと、本件金員が京都府歯政会の会計に納入され、同歯政会会長の前田勝やその他の関係者が鹿島候補の自民党公認獲得工作(恐らく自民党京都府支部連合会の公認獲得工作であろう)や歯科診療者に対する租税特別措置法の存続についての陳情のため上京した際の費用として支出されたことなどを認定し、その趣旨は、鹿島候補の立候補準備のための費用及び京都府歯政連の一般政治活動費として授受されたものであると判示する。
1 然しながら、曩に総論で述べたように、日歯政連は本件当時既に鹿島俊雄のための組織的選挙運動態勢を整え、全国各地の地方歯政連関係者にもその協力を呼びかけていたものである。前田勝は京都府歯政会会長兼日歯政連理事として屡々日歯政連の全理事会その他の役員会議に出席して右のような趨勢を感得し、自らもこれに呼応する決意を固めていたものであるが、ただ京都府歯政会としてはこれらの選挙運動を遂行するに足る十分な手持資金がなかつたところから、三月八日の所謂第一回全理事会に出席した際、被告人宮下に対してこれらの活動資金の融通方につき格別の配慮を所望し、被告人宮下において右申し出に応じて本件五万円を前田宛に郵送したものであることが認められる。そして右金員の授受に際しては、被告人宮下からは、その使途に関する格別の指示説明も、後日その精算報告をなすべき旨の要請もなく、その使途処分を前田に一任したものであることが明らかであつて、本件金員が原判示のような使途に限定されるべき趣旨の下に授受された形跡は毫も認められないのである。
2 また、原判決は、本件金員が京都府歯政会の会計に納入され、同会旅費規定に従つて支弁された旨認定するのであるが、前田勝や同歯政会会計担当者前川徹次の原審における各証言によつても右正規納入の事実を俄かに肯認し難いのである。また右金員の使途に関する原判決の認定にも少しく疑問の余地があることは検察官が詳細に論証するとおりであつて、右金員が単なる上京旅費実費として費消されたものとも俄かに認め難いところである。以上諸般の事情を綜合勘案すれば、本件金員には選挙運動報酬の趣旨も包含されていたものと認めるのが相当であつて、これと異なる見地に立つ原判決は事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
(二)  五月一二日頃交付された五万円の趣旨について
原判決は、本件金員は、前田勝に関西、中国方面へ鹿島選挙の情勢視察及び運動激励に出向いて貰うための旅費として交付されたもので、選挙運動の報酬は含まれていないと判示する。
よつて証拠を検討して按ずるに、
1 被告人宮下が、五月一二日頃、日歯政連常任理事会に出席するため上京していた前田勝に対し、同人が日本歯科医師会副会長として近畿を中心とする西日本の代表者と目されていたところから、関西方面における鹿島選挙の情勢視察及び同地区の歯科医師に対する激励方を依頼して本件金員を交付したものであることは原判決の判示するとおりである。
2 然しながら右金員の授受に際しては、被告人宮下から前田に対して、その具体的な使途を定め、精算報告の義務を課した形跡は全く認められず、その使途処分を前田に一任したものであることが明らかである。そして前田においても、前回の場合と同様、右受領にかかる金員を京都府歯政会の正規の会計に納入することがなかつたものと窺われるのである。被告人宮下は、検察官の取調に対しては、「前田は日本歯科医師会副会長で鹿島選挙で働いて貰つているので、『選挙で大変お骨折をかけていますが、車代等もいろいろかかることでしようから、これを使つて下さい』といつて、その交通費や慰労費の意味で本件の五万円を渡した」旨供述し、前田も検察官に対して略これに副う供述をしているのであつて、これらの供述に前記認定の諸事情を考え併わせれば、本件金員が選挙運動の報酬の趣旨を含んでいたものと認めるに十分である。これを否定した原判決は事実を誤認したもので、論旨は即ち理由がある。
九、被告人宮下より荒巻広政に交付された二万円の趣旨について
原判決は、本件金員の趣旨につき、右金員は、東北地方の歯科医師の長老である荒巻広政に、鹿島選挙の情勢視察及び運動激励のため東北各県を巡回して貰う旅費として交付されたもので、選挙運動の報酬の趣旨は含まれていないと判示する。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、
(一)  なるほど被告人宮下は、本件選挙の告示後間もない五月一〇日頃、東北地方の歯科医師の長老で、日歯政連の理事でもあつた荒巻広政(秋田市)に電話連絡して、本件鹿島選挙に関して日歯政連に全く連絡のない青森、岩手、山形の各県の選挙情勢を視察し、併わせて同地区の歯科医師を激励してくれるよう依頼し、その際同人から費用を支給されたい旨の申し出を受けたので、これに応じて本件金員を同人宛に送金したものであることは原判決の判示するとおりである。
(二)  然しながら被告人宮下は、右送金に際して、その使途についての具体的な指示説明も、後日その精算報告をなすべき旨の要請もすることなく(但し領収書の徴収はした)、その使途処分を荒巻に一任したことが明らかである。そして荒巻も、検察官の取調や原審における取調に対して、右受領にかかる金員が自己の自由処分に委ねられ、多少の飲酒代位は支出してよいものと了解し、これを手持の小遣銭と混同したうえ、その後鹿島選挙の情勢視察及び運動激励のため東北各県を巡回した際の汽車賃、飲食飲酒代、手土産代等に費消したことを自認しているのである。
被告人宮下は、原審(そして当審)公判廷において本件金員の報酬性を争うのであるが、他面検察官の取調に対しては、これを認めて争わなかつたのであつて、前記認定の諸事情を考え併わせると、むしろ同人の検察官に対する供述が措信に値するものと考えられるのである。これと異なる結論に出た原判決は、採証を誤り事実を誤認したものというべく、論旨は理由がある。
一〇、被告人宮下より清永盛樹に交付された五万円の趣旨について
原判決は、本件金員の趣旨につき、清永盛樹は被告人宮下より郵送された本件金員を、日歯政連からの所謂還付金又は鹿島候補の選挙運動をするについての車馬賃等であると理解し、これを直ちに福岡県歯政連理事長の堀尾義勝に手渡して同歯政連の雑収入として納入記帳し、その間自己においてこれを私せず、また私すべきものとも考えていなかつたとの事実を認定し、このことから推しても本件金員に選挙運動の報酬の趣旨が含まれていたとは認め難い、と判示するのである。
よつて証拠を検討して按ずるに、
(一)  なるほど清永盛樹は、原審において、本件金員を日歯政連からの所謂還付金であると思つた旨証言している。然しながら同人の証言するところによれば、本件五万円は同人の私宅宛に郵送されたものであるが、従来このような方法で還付金が送られて来たことはなく、また本件金員の送付に際して日歯政連からその性質又は使途について何らの連絡もなかつた、というのであつて、このような状況下において同人が何故に本件金員を所謂還付金と了解したのか甚だ理解に苦しむところである。また本件金員の授受に際しては、被告人宮下において、その使途について格別の指示説明も、後日その精算報告をなすべき旨の要請もせず(もつとも領収書の徴収はした)、その使途処分を清永に一任したことも証拠上明白であつて、清永においてこれを選挙運動実費と了解しなければならないような外形的事情は全く存しなかつたのである。
(二)  また原判決は、本件金員が受領後間もなく、福岡県歯政連の会計に納入されたことを重視するもののようであるが、清永盛樹及び原判示堀尾義勝の原審における各証言並びに右堀尾の検察官に対する供述によれば、当時清永は高血圧症などのため入院するなどして選挙運動に従事し得ない健康状態にあつたので、偶々見舞に訪れた堀尾に対し、『自分は病気で動けないから、君に任せるから使つてくれ。私のところに来た足代か何かだろう』と言葉添えして手渡したところ、堀尾は、同県歯政連の選挙対策予算に余裕があつたので、取り敢えず右金員を同歯政連の雑収入費目に入金させたに過ぎないことが認められるのであつて、本件において右入金の事実をとりわけ重大視すべき筋合は認められないのである。
(三)  被告人宮下は、原審(そして当審)公判廷において、本件金員の報酬性を争うのであるが、検察官の取調に対してはこれを自認しているのであつて、上記認定の諸事情に照らせば、同被告人の検察官に対する供述が措信に値するものと認められるのである。これと異なる認定をした原判決は事実誤認の違法を犯すものといわなければならない。論旨は理由がある。
一一、被告人宮下より嶽崎亥生に交付された五万円の趣旨について
原判決は、本件金員の授受の経緯につき格別の説示をすることなく、その報酬性を否定する。
然しながら本件金員は、被告人宮下が、前記荒巻、清永等に二万円乃至一〇万円郵送したのと同じく、当時宮崎県歯政連会長をしていた嶽崎亥生の私宅宛に現金書留郵便で送金したものであり、その際単に「車馬賃にされたい」旨の同封文書が添えられたのみで、その使途についての具体的な指示説明も、後日精算報告をなすべき旨の要請もなく、その使途処分を嶽崎に一任したものであることが明らかである。そして被告人宮下は、検察官の取調に対して、「この金は、九州地区の連絡と票まとめに骨を折つて貰うための交通費や骨折賃として渡した」旨自供しているのであつて、以上を綜合勘案すれば、本件金員に選挙運動報酬の趣旨が含まれていたと認めるに十分である。これと異なる認定をした原判決は、採証を誤り事実を誤認したものというほかはなく、論旨は理由がある。
第三、
一、被告人簗瀬から黒崎市三郎、大塚〓、宮島豊、斎藤健彦、岡田正信に交付された各金員の趣旨について
原判決は、被告人宮下・同簗瀬間に授受された前記一五万円についてと略同様の理由により本件各金員の運動報酬性を否定する。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、本件各金員は、被告人簗瀬が曩に被告人宮下から鹿島候補の選挙活動資金名下に前後二回に亘つて供与を受けた前記第二の五記載の合計一五万円のうちからそれぞれ支弁されたものであるが、被告人簗瀬が右受領にかかる一五万円を、鹿島候補のための所謂運動実費のほか、自己又は関係運動員に対する慰労費にも充当して差支えないものと了解していたことは曩に判示したとおりである。そして本件各金員がいずれも鹿島候補の選挙運動をすることに関して支出されたことも疑いを容れないところであり、また被告人簗瀬が右各金員を支出するに際し、その使途について格別の指示、制限を加えず、その使途処分を各受供与者の裁量に委ねたことも明瞭なところである。被告人簗瀬は、検察官の取調に対しては、本件各金員にはいずれも選挙運動報酬の趣旨が含まれていた旨自供しながら、原審に至つてこれを飜えし、右各金員はいずれも一般政治活動費乃至選挙運動実費として交付した旨弁解するのであるが、前記認定の諸事情に鑑みると、右弁解は到底措信し難く、むしろその検察官に対する供述が措信に値すると認められる。これと異なる認定に出た原判決は事実を誤認したものといわざるを得ず、論旨は即ち理由がある。
二、被告人岡崎より森弥平に交付された三千円の趣旨について
原判決は、本件三千円の趣旨につき、「被告人岡崎は、予て車馬賃を給することを約して森弥平(前千葉県歯科医師会長。本件当時同県歯政連内に設置されていた選挙対策本部の渉外副部長)に選挙運動を依頼していたが、本件当日右森よりその所謂車馬賃の請求を受けたので、これを了承して同人に五千円を差し出したところ、同人が三千円で結構であると答えたので、同人に本件三千円を手交した」との事実を認定し、右金員に選挙運動の報酬の趣旨が含まれていたとは認められないと判示する。
よつてこの点につき関係証拠を検討して按ずるに、
(一)  なるほど本件金員が授受されるに至つた経緯事情は概ね原判示のとおりであつて、本件金員が鹿島候補等の選挙運動をするについての「車馬賃」という名目で授受されたものであることは否定することができない。然しながら被告人岡崎の原審公判廷における供述や、森弥平の原審における証言を仔細に検討しても、右に所謂「車馬賃」なるものの具体的な意味内容は必ずしも明らかでなく、森弥平が右受領にかかる金員を自己の私有金と混同し、その一部を選挙運動実費とはおよそ縁遠い飲酒代等に費消した事実を考え併わせると、本件金員が果して厳密な意味での車馬賃に限定された趣旨で授受されたものであるか大いに疑いなきを得ないのである。現に検察官の取調に対し、被告人岡崎は、「この金は森に処分を一任したもので、何に使おうと勝手だが、『これで買収だけはしてくれるな』と話しておいた」旨供述し、また森弥平は、「岡崎から、『足代も要るだろうから……』ということで三千円貰つたが、使途についての指示もなく、精算報告の要求もなかつたので、足代とはいうものの、これに限る訳ではなく、食事やその際の飲酒代に支出して差支えない金として寄越したものと思つた。骨折賃も含んでいると思つた」旨供述しているのであつて、これらの供述こそ事案の真相を語るものと認められるのである。原判決は、「車馬賃」なる用語の形式的、抽象的概念に拘泥した結果、その本件において有する具体的な意味合いを看過したものというほかはなく、事実誤認のそしりを免れないものである。論旨は理由がある。
三、被告人岡崎から佐瀬喜一に交付された一万円の趣旨について
原判決は、本件一万円の趣旨につき、右金員は千葉県歯政連千葉市支部長佐瀬喜一や同支部役員藤本登、同相原誠一郎等が鹿島候補の選挙運動のために支出した電話代、ガソリン代等の実費弁償金としてその支出明細書に基づき授受されたもので、選挙運動の報酬の趣旨は含まれない旨判示する。
然しながら、原判決のいう支出明細書なるものは、後記のごとく、その後証拠隠滅のためいち早く焼却破棄されたものであるところ、被告人岡崎の原審公判廷における供述や、原判示佐瀬喜一、同藤本登、同相原誠一郎等の原審における各証言を仔細に検討しても、佐瀬が支出したと称する電話代、ガソリン代等の内訳明細や、それらが果して選挙運動に関係して支出されたかどうかが明らかでないのみならず、被告人岡崎がこれを逐一検討して本件一万円を支弁した事実も認め難いのである。却つて同人等の検察官に対する供述によれば、被告人岡崎は前記藤本登(同人が佐瀬喜一の使いとして本件当日被告人岡崎の許に出向いて本件金員を受領している)から原判示の支出明細書を提示されるや、これに一瞥を投げかけたのみで敢て顧みず、右藤本に、「そんなものを持つているとまずいから、燃やした方がよい」旨注意して同人をしてこれを焼却せしめているのであつて、被告人岡崎においては、当初から右明細書の記載内容などには重きをおかず、ただ、佐瀬喜一をはじめとする千葉市支部会員が本件鹿島選挙において熱心に活動してくれたことを多とし、これらの者に謝礼をする気持を含めて本件金員を支出したものであることが認められるのである。原判決が、本件金員の支出をもつて選挙運動実費の弁償にほかならないと認定したのは、事実を誤認するものである。論旨は理由がある。
四、被告人新井が小林源雄に交付した合計四万円の趣旨について
原判決は、本件各金員はいずれも鹿島候補の選挙運動費用として授受されたもので、選挙運動報酬の趣旨を含まない、と判示する。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、なるほど被告人新井は原審公判廷において、本件各金員の趣旨につき、「右各金員はいずれも、小林源雄に鹿島候補の選挙運動のため岐阜県下を奔走して貰う旅費として渡した」旨供述し、小林源雄も原審においてこれに副う証言をしている。然しながら
(一)  本件の合計四万円は、被告人新井が、曩に被告人宮下より二回に亘つて供与を受けた前記第二の七記載の合計二五万円のうちから支弁されたものであつて、被告人新井としては、右受領にかかる合計二五万円を、鹿島候補のための選挙運動実費のほか、自己及びその他の関係運動員に対する慰労費にも充当して差支えないと了解していたことは曩に判示したとおりである。小林源雄は、自民党岐阜県支部連合会が鹿島候補をその公認候補として支持支援すべきことを決定したのに伴い、同県連所属の県会議員として同候補の選挙運動を担任することになつたものであるが、それまで同県歯政連に出入りしたことはなく、鹿島候補とはもとより、被告人新井とも格別の交際がなかつたのであつて、被告人新井において、このような間柄にある右小林に対して、鹿島候補のための選挙運動に尽力されたい旨を依頼して、その資金に前記受領にかかる二五万円のうちの一部を提供しようとする場合、そのなかに或る程度の慰労的趣旨を包含せしめることも決して考えられないことではない。
(二)  本件四万円が授受された状況をみると、
1 先ず最初(五月一八日頃)の二万円は、被告人新井が、小林源雄とは予てから親交の間柄にある歯科医熊崎七三と予め相談のうえ、金田素雄及び右熊崎の両名を順次経由して小林に交付したものであるが、熊崎との間における右協議の内容は、単に、被告人新井から熊崎を通じて小林に選挙資金を贈ろうという程度のものであつて、その内訳明細やその見積計算などについての話合いは何らなされなかつたのである。そして被告人新井は、情を知らない前記金田素雄に本件二万円在中の紙包(もつとも同被告人は当初右紙包に三万円入れておいたのであるが、その後熊崎においてそのうちの一万円を同人の別途立替金の補填に充当した)を托す際、「これはエロ本だから人の居ないところで熊崎に渡に渡して貰いたい」旨申し述べて手渡しているのであり、金田も右言辞を真に受けて熊崎にその旨言葉添えして右紙包を手渡しているのである。金田が当時岐阜県県庁に在勤する地方公務員であつたことは弁護人の指摘するとおりであるが、この点を考慮に入れても、被告人新井の金田に対する言辞は如何にも奇異に過ぎるものであつて、同被告人において本件金員を決して尋常な金とは考えていなかつたことの証左とみるほかはないのである。そしてさらに同被告人は、金田をして前記紙包を熊崎に届けさせた際、単に「小林県議によろしくたのむ」旨の同封文書を添えたのみで、本件金員の使途処分について何ら格別の指示制限を付言しなかつたのであり、熊崎も小林に対して右と同様本件金員の使途処分を一任してこれを手渡したものである。
2 また二度目(五月二〇日頃)の二万円は、被告人新井が、岐阜県歯政連理事の安藤千代久等と相談のうえ、自ら小林に手渡したものであるが、同人等の証言によつても、右協議においては単に、小林県議も車馬賃などいろいろ費用がかかるから持つて行つてはどうかという漠然とした話合いがなされただけで、その所謂「車馬賃など」の具体的な内訳やその見積計算について検討が加えられた形跡は認められないのである。そして被告人新井は小林に対し、前回の場合と同様、その使途処分を一任してこれを手渡しているのである。
(三)  被告人新井及び小林源雄は、検察官の取調に対し、被告人新井は、「小林源雄は従来歯師会と関係がなく、本件選挙でもそう熱心に運動してくれるとは思わなかつた。そのような訳で、同人に渡した合計四万円には、多少は実費の意味はあつたが、主として鹿島の運動をして貰うための謝礼の意味であつた」旨供述し、また小林は、「熊崎から二万円貰つたとき、同人は『鹿島さんの選挙のことで骨折つて貰つて御苦労だがよろしくたのむ。これはその運動資金だが取つておいてくれ』といつた。当然お礼の意味も含まれていると思つた」「新井から直接貰つた二万円は、私が鹿島のためあちこち奔走する旅費ということで渡された。旅費とはいつても実際の意味は鹿島のため私が担当した運動をするについての礼という意味も含まれていると思つた」旨供述して、いずれも本件各金員に選挙運動報酬の趣旨が含まれていたことを自認しているのであり、本件最初の二万円の授受に関与した熊崎七三、二度目のそれに関与した安藤千代久等も検察官に対してそれぞれこれに副う供述をしているのである。
以上を綜合すれば、本件各金員に選挙運動報酬の趣旨が含まれていたことを認めるに十分であつて、小林源雄が、本件鹿島選挙において現実にどのような運動を実践し、その間如何程の費用を支出したかの問題(小林は、原審においては、本件受領にかかる金額以上の出費をした旨証言しているが、検察官の取調に対しては、鹿島候補のため格別の運動をせず、さしたる支出もしていないと供述する。)は前記の認定に格別の消長を及ぼし得るものではない。原判決には本件各金員の趣旨を誤解した違法があり、論旨は理由がある。
各論 その二
第一、被告人宮下より新聞雑誌関係者に交付された金員の趣旨について
原判決は、被告人宮下が本件各金員を支出するに至つた背景として、所謂社会保険診療報酬の点数改正問題等につき日本歯科医師会及び日歯政連の執行部香脳が採つた態度(所謂甲表答申)に全国各地の歯科医師会から熾烈な攻撃が加えられ、業界紙もこぞつて右攻撃に同調したため、同執行部首脳が窮地に陥入つたこと、そこで同執行部としては、全国各地の歯科医師会の会合に出席して批判分子の説得に努める一方、業界紙の経営者に事業資金を援助してその攻撃論調を軟化させ、併せて執行部の見解を宣伝普及させることを協議決定したとの事情を認定する。
よつて先ずこの点につき関係証拠を検討して按ずるに
一、なるほど全国歯科医師にとつて、昭和三三年における最大の政治的問題は、社会保険診療報酬に対する租税特別措置法の存廃と、既に厚生省から呈示され、多くの論議を巻き起こしていた所謂社会保険診療報酬の点数改正問題であり、殊に後者については、日本歯科医師会及び日歯政連の執行部首脳が互いに協議のうえ、日本歯科医師会としては所謂甲表を採るべき旨厚生省に答申したところから、全国各地の歯科医師のなかでは、右答申に不満を唱える者も少くなく、これに同調する論説を掲げる業界紙もあつたことは原判決が判示するとおりである。
二、然しながらこのような攻撃論調が本件当時にもなお一向に衰えなかつたとする原判決の認定には些か疑問の余地があり、却つて関係証拠を綜合すれば、右風潮は昭和三三年中に一まず下火となり、本件当時における歯科医師界の主たる関心事は、来るべき本件参議院議員選挙に出馬する日歯政連理事長鹿島俊雄の支援態勢を整えることに移行していたものと窺われるのである。当時竹中日歯政連会長や鹿島俊雄等が、前記点数改正問題の説明、説得という名目で全国各地の歯科医師会筋を巡遊したのも、右問題の説明、説得のためというよりは、むしろ来るべき本件選挙に備えて鹿島の票固めをすることがその主たる眼目となつていたものと認められるのである。また一方業界紙による攻撃論調も、僅かに被告人中島の発行する「医歯薬新報」が昭和三三年中に比較的継続して攻撃記事を掲載したのみで、その他の被告人等の発行する新聞、雑誌がこの問題について格別激越な攻撃記事を掲載した形跡はなく、本件当時には、この問題についての各紙の関心も可成りその影を薄めていたものと窺われるのである。原判決が本件の背景事情として認定するところは、些か誇張に失するものといわなければならない。以上の前提に立つて、本件各個の事案についてさらに検討を加えることとする。
第二、
一、被告人宮下より同菊池に交付された合計一三万一千円の趣旨について
原判決は、本件各金員の趣検につき、被告人宮下は、被告人菊池から、鹿島俊雄の対立候補である吉田セイの動向その他について情報の蒐集提供をしようとの申出を受けたものの、これに全く期待を寄せなかつたが、前記点数改正問題に関する業界紙の攻撃を虞れていた折柄、これを緩和するための多額の予算があり、被告人菊池の執拗な申出を煩わしくも思つていたので、同被告人の顔を立てる考えで本件各金員を交付し、被告人菊池においても宮下の右真意を十分察知してこれらを受領した、との事実を認定し、右各金員はいずれも、本件選挙とは関係のない、単なる事業賛助金として授受されたに過ぎない、と判示する。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、なるほど右被告人等は、原審(そして当審)公判廷においていずれも原判示認定に副う供述をしている。然しながら、日歯政連より被告人菊池の発行する「社会保障タイムス」に従前賛助金が供与されたことは殆どなかつたばかりでなく、被告人宮下と同菊池との間に面識ができたのも本件最初の金員が交付される日の僅か数日前であつたに過ぎないのである。また、当時所謂点数改正問題に関する論議も一応その影を薄めていたことも曩に述べたとおりであつて、被告人宮下としては当時この問題について「社会保障タイムス」紙を特に懐柔しなければならないほどの必要はなかつた筈である。以上のような状況のもとにおいて、被告人宮下が、他にさしたる目的もなく、単に「社会保障タイムス」の経営を賛助するためだけに一三万一千円もの金を支出するとは通常考えられない事柄であつて、被告人等の公判廷における前記供述には俄かに首肯し難い点が少くないのである。これに反し同人等の検察官に対する供述によれば、本件各金員が授受された際には、その都度右両者間に鹿島候補の話題が中心となり、被告人宮下より同菊池に対し、鹿島俊雄の対立候補と目される吉田セイの動向調査その他の情報蒐集方の依頼があり、その費用並びに報酬としてこれらの金員が授受された、というのであつて、本件各金員が、法定の選挙運動期間も間近に迫つた三月初旬から四月初旬にかけて相次いで授受されていること、当時被告人宮下においては鹿島候補の対立候補である吉田セイ候補の動静にも可成りの関心を抱いていたことなどを考え併せると、右供述こそ措信に値するものと考えられる。これと異なる判断に出た原判決は採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
二、被告人宮下より同荻原に交付された合計二万円の趣旨について
原判決は、本件各金員は、被告人菊池関係の場合と同様、いずれも本件選挙とは無関係に授受されたものである、と判示する。
然しながら記録によれば、被告人荻原が従前日歯政連又は被告人宮下から経営賛助金の供与を受けたのは、昭和三三年二月頃の一回一万円であつたに過ぎず、しかもその趣旨は国会内の情報を提供することに対する謝礼としての趣旨を含むものであつたことが明らかであつて、法定の選挙運動期間も間近に迫つた三月下旬に続けさまに二回に亘つて授受された異例の金額二万円が単なる事業賛助金とは俄かに認め難いことは曩に被告人菊池関係の項で述べたと略同様である。なるほど被告人宮下としては、被告人荻原の発行する「政界読物」にさしたる評価を置いてはいなかつたことが窺われ、本件において被告人宮下が被告人荻原に対して、鹿島選挙に関する情報の蒐集提供方を自ら進んで積極的に依頼した形跡は認められない。然しながら右被告人等の検察官に対する供述によれば、被告人宮下は、被告人荻原が執拗に鹿島選挙への協力方を申し出てそのための資金供与方を無心して来たので、右要求に応じても損にもなるまい、むしろ無下に断つて鹿島俊雄の悪宣伝をされるよりは得策だ、と考え、鹿島候補の選挙運動をするについての報酬の趣旨を含めて本件各金員を支出するに至つたものであり、被告人荻原においても被告人宮下の右意向を察知しながら本件各金員の供与を受けたものであることが認められるのである。被告人荻原が、右受領の直後に発行した「政界読物」に、「積極果敢な行動派・信念に生きる人物」と題して鹿島俊雄を賞賛する所謂提灯記事を掲載し、これを日歯政連その他の関係筋に送付している事実はこの間の事情を十分に裏書するものである。本件各金員が選挙とは全く無関係な金であつたという、右被告人等の公判廷における供述は到底措信し難く、これを採用した原判決は採証を誤り事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
三、被告人宮下より同中島に交付された合計二五万円の趣旨について
原判決は、本件各金員の趣旨につき、被告人宮下は、予て被告人中島の主宰する「医歯薬新報」の、日本歯科医師会及び日歯政連の執行部に対する攻撃論調を軟化させるべく思案していたところ、被告人中島より鹿島選挙の情報蒐集に協力する旨の申し出を受けたので、これを奇貨とし、右情報蒐集の費用を提供するということに名を藉りて本件各金員を支出した、との事実を認定し、本件各金員はいずれも単なる賛助金として授受されたもので、本件選挙とは関係がない旨判示する。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、なるほど被告人宮下は、原審(そして当審)公判廷において本件各金員の趣旨につき原判示認定に副う供述をしている。然しながら被告人中島は、原審公判廷において、「本件の第一回から第三回までの各五万円は、単に同被告人の経営する「医歯薬新報」出版事業の経営援助金という名目で供与を受けたが、第四回目の一〇万円については、そのうち五万円は同被告人が大分県歯科医師会五〇周年記念祭に出席するための旅費として供与を受け、残額五万円は単にこれを借受けたに過ぎない」旨供述し、その授受の名目につき被告人宮下のいう名目とは少しく異なつた供述をしているのである。また被告人両名の公判廷における供述によつても、被告人中島が従前日歯政連から受けた賛助金は通常一回に三千円乃至一万円程度のもので、本件のように、一度に五万円という多額な金を、しかも日を接して再三再四供与されるということは曾つてなかつたことが認められるのである。また、被告人宮下が、「医歯薬新報」の攻撃論調を軟化させるために、わざわざ鹿島選挙の情報蒐集名義に藉口して本件各金員を支出するというのも些か技巧に過ぎる言動たる嫌を免れないものであつて、被告人宮下としては、本件各金員の授受に際し、その所謂攻撃論調軟化の点に言及して格別憚るところはなかつた筋合である。のみならず、曩にも判示したように、当時「医歯薬新報」が所謂点数改正問題について格別攻撃的な論調を示していた形跡は認められないのであつて、以上を勘案すると、被告人等の公判廷における供述には、俄かに首肯し難い部分が少くなく、その信憑性に疑念を抱かざるを得ないのである。これに反し被告人等は、検察官の取調に対しては、本件各金員が鹿島俊雄やその対立候補に関する選挙情報の蒐集提供等の費用及び報酬として授受されたものである旨をそれぞれ自認しているのであつて、本件各金員が法定の選挙運動期間を間近にひかえた三月中旬頃から右運動期間中にかけて授受されていることや、その間被告人中島が同宮下に屡々各種の選挙情報を提供している事実が認められることなどを考え併せると、被告人等の検察官に対する供述の方が自然であり、措信に値するものと考えられるのである。これを措信し得ないとして排斥した原判決は採証を誤り、事実を誤認したものといわなければならない。論旨は理由がある。
四、被告人宮下より同南に交付された三万円の趣旨について
原判決は、本件三万円は、被告人菊池関係の場合と同様、本件選挙とは無関係に授受されたものである、と判示する。
よつて証拠を検討して按ずるに、右被告人等は原審(そして当審)公判廷においていずれも原判示認定に副う供述をしているのであるが、他面検察官の取調に対しては、いずれも、本件金員が鹿島選挙に関する情報蒐集等の費用及び報酬として授受されたものであることを自認しているのである。そして被告人南が従前日歯政連から本件のような多額の賛助金を受けた事実のないこと、本件金員が選挙運動期間中に授受されていること、被告人南が本件直前に鹿島候補を称賛する所謂提灯記事を掲載した「医事ジヤーナル」特集号を発行していることなどを勘案すると、被告人等の公判廷における供述は俄かに措信し難く、却つて同人等の検察官に対する供述が措信に値すると認められる。これと異なる判断をした原判決は採証を誤り事実を誤認したもので、論旨は即ち理由がある。
各論 その三
被告人白川より同簗瀬に交付された一万三千円(但し公訴金額は一万五千円)の趣旨について
検察官は、本件において被告人白川と同簗瀬間に授受された金額は一万五千円であり、そのなかには鹿島候補の選挙運動をするについての報酬の趣旨が含まれていた、そしてこの点に関する原判決の事実誤認を主張するのであるが、本件について適法に取調べられた証拠を綜合すれば、本件金員(それが一万五千円であつたか一万三千円であつたかは暫く別として)が授受された経緯、事情は原判決が詳細に判示するとおりであつて、右金員は、当時東京歯科大学同窓会の幹事長であつた被告人白川が、同会栃木県支部長椎貝敏郎に宛てて支出したものであり、被告人簗瀬は単にその間の取り次ぎをしたに過ぎないことが明らかである。従つて原判決が本件訴因につき被告人両名を無罪としたのは正当であつて、所論は既にこの点において失当たるを免れない。論旨は採るを得ない。
以上検察官の所論のうち、被告人白川亨、同簗瀬真策間の金員授受に関する部分は理由がないが、その余はいずれも理由があり、原判決は当該被告人、即ち被告人宮下一郎、同簗瀬真策(被告人白川からの金員受供与の点を除く)、同山川卯平、同岡崎正夫、同池田清、同新井守三、同菊池勇義、同荻原毅、同中島清繁、同南忠雄に関する部分において破棄を免れない。
(弁護人らの控訴趣意について)
その一、原判決の事実誤認乃至法令適用の誤りに関する主張について
第一、石津十蔵より被告人下川に交付された五万円及び右両名から被告人井上に交付された五万円の趣旨について
被告人下川本人及び同被告人の弁護人花輪長治の各控訴趣意、並びに同被告人の弁護人山崎佐及び同石橋信の控訴趣意第四点の各所論は、原判示第三(被告人下川の、石津十蔵からの五万円の受供与)及び同第四の二(被告人下川等の同井上に対する五万円の供与)の各事実につき、原判決の事実誤認を主張し、また被告人井上の弁護人遊田多聞の控訴趣意第一点、同小中公毅の同第一点、同山崎佐及び同石橋信の同第六点の各所論は、原判示第五の二(被告人井上の、前記五万円の受供与)の事実につき原判決の事実誤認を主張し、本件各金員はいずれも、一般政治活動資金乃至選挙運動実費として授受されたもので、選挙運動の報酬の趣旨を含まない旨それぞれ抗争するものである。
よつて各所論に鑑み、関係証拠を検討して按ずるに、本件各金員はいずれも、石津十蔵が曩に被告人宮下より、鹿島候補の選挙運動をするについての運動資金として供与を受けた前記三〇万円のうちから支弁されたもので、石津十蔵が右受領にかかる三〇万円を、鹿島候補のための選挙運動実費のほか、自己又はその他の関係運動員に対する慰労費にも充当して差支えないものと了解していたことは曩に述べたとおりである。そして本件各金員の授受に際しては、いずれの場合にも、その使途について格別の指示、制限が加えられず、その使途処分が受供与者に一任されたものであることも記録上明白なところである。そして右被告人等は、検察官の取調に対して、石津十蔵は、「下川や井上に五万円宛渡したのは、同人等が鹿島選挙に尽力してくれるので、そのお礼をしようという気持があつたからである」旨供述し、被告人下川は、「石津理事長が私に五万円渡したのは、私が各支部を運動し廻るときの交通費や弁当代や、たまには骨休みに一杯飲んでくれ、という意味であると思つて受取つた。井上に渡した金も同じ趣旨であつた」旨供述し、被告人井上は、「下川から受取つた五万円は、都歯政連の主だつた者が地方選挙から引続いて鹿島選挙のため、仕事を休んで活動しているので、その謝礼を含めて交通費や弁当代も必要だから奇越したものと思つた。それで内心まずいと思つたが、下川等に悪い気持を起こさせても、と思つて受取つた」旨供述して、いずれも自ら授受した金員に選挙運動の報酬の趣旨が含まれていたことを自認しているのであつて、以上の事情に、原判決の挙示するその他の証拠を綜合勘案すれば、原判示各事実は、各所論が誤認と主張する点を含めてこれを肯認するに十分である。右被告人等は、原審及び当審において各所論に副う供述をし、同人等の検察官に対する供述は、取調官の誘導強制によるもので事実に反する旨弁解するのであるが、記録を仔細に検討してみても、被告人等の検察官に対する供述の任意性乃至信憑性に疑を容れるべき余地は毫も認められない。原判決の事実認定は正当であつて、各論旨はいずれも採るを得ない。
第二、被告人下川及び石津十蔵の両名から被告人菊池及び同加藤の両名に交付された二万円の趣旨並びに「社会保障タイムス」第一四号紙の発刊、増刊の経緯について
被告人下川本人及び同被告人の弁護人花輪長治の各控訴趣意、並びに同被告人の弁護人山崎佐及び同石橋信の控訴趣意第四点の各所論は、原判示第四の一の事実につき原判決の事実誤認を、また、被告人加藤の弁護人佐伯弘の控訴趣意の所論は、同判示第六の事実につき原判決の事実誤認乃至法令の解釈適用の誤りを主張する。即ち各所論は、「本件『社会保障タイムス』第一四号紙は被告人菊池及び同加藤が独自の立場で取材し、編集し、発行したもので、被告人下川等に依頼されてこれをなしたものではない(なお佐伯弁護人は、被告人加藤は編集長とはいうものの、単なる雇われ記者に過ぎず、編集の実権を全く有しなかつたと主張する)。被告人下川及び石津十蔵は被告人菊池及び同加藤に対し、単に、既に発刊済の右一四号紙の増刷提供方を依頼したに過ぎないのであり、本件二万円はその実費乃至購入代金として授受されたにほかならない」というのであり、佐伯弁護人の所論はさらに、「公職選挙法第一四八条第三項に規定する新聞紙と同法第一四八条の二にいう新聞紙とを別異に解すべき理由はなく、本件『社会保障タイムス』紙は、同法第一四八条第三項の新聞紙に該当しないことが明らかであるから、同法第一四八条の二にいう新聞紙にも該らない。仮に右各条項にいう新聞紙の概念に相違があるとしても、本件『社会保障タイムス』は右いずれの概念にも該当する実質を具備しない。なお、原判決が本件において被告人菊池及び同加藤の双方に対してそれぞれ二万円の追徴を課したのも違法のそしりを免れない」というのである。
よつて右所論に鑑み、関係証拠を検討して按ずるに、
一、なるほど本件「社会保障タイムス」第一四号紙は、昭和三四年四月三〇日附で発刊されたものであり、その最初の印刷がなされたのは本件当日である五月六日より以前であつたことが明らかである。そしてその取材、編集、発刊はいずれも、発刊人である被告人菊池及び編集長である被告人加藤の両名(以下単に被告人菊池等という。なお、被告人加藤が編集の実権を全く有しない、一介の雇われ記者に過ぎなかつたという佐伯弁護人の主張は証拠上これを是認することができない。同被告人も被告人菊池を援けて同紙の編集その他経営を担当していたものであり、むしろ編集の実権は挙げて被告人加藤の手に委ねられていたものと認められる)が互いに協議のうえその独自の立場でこれをなしたものであることも否定することができない。また被告人菊池等は、被告人下川及び石津十蔵の両名(以下単に被告人下川等という)の依頼で右「社会保障タイムス」第一四号紙の増刷(一万部)をなしたに過ぎず、しかも右増刷に際しては、当初の印刷分に何等の内容的変更をも加えなかつたことも各所論の指摘するとおりである。然しながら公職選挙法第一四八条の二は、選挙に関して新聞紙又は雑誌が不法に利用されることを制限し、もつて選挙の公正を期することをその立法の趣旨とするものであつて、このような法意からも忖度すれば、新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者が、他からの依頼によつてはじめて選挙に関する報道及び評論を当該新聞紙等に掲載しようとの意思を生じ、これを実行した場合であろうと、既に選挙に関する報道及び評論を掲載した新聞紙等について、これを選挙に利用しようと企図する他人の依頼に応じてさらにその増刷をなした場合(もつともこの場合当該増刷分に限る)であろうと、これらを別異に扱うべき理由は毫もなく、後者の場合にももとより前記法条の適用があるものと解するのが相当である。本件において被告人下川等は、被告人菊池等から儀礼的に送付を受けた初版の「社会保障タイムス」第一四号紙上に、鹿島候補を称賛する所謂提灯記事が掲載されているのをみて、これを広く都内の歯科医師に配付して鹿島選挙に利用しようと共謀し、その発行担当者である被告人菊池等にその一万部増刷方を依頼したものであり、一方被告人菊池等においても被告人下川等の右意図を十分に察知してこれに応じたものであることが明らかである。問題は、その際被告人下川等から同菊池等に申し込まれ、供与された本件二万円の趣旨であるが、右各被告人等は、原審(そして当審)公判廷において、いずれも、右金員は前記増刷分の印刷代その他の実費として授受されたもので、増刷に対する報酬の趣旨を含まなかつたと弁解する。然しながら右被告人等の公判廷における供述によつても、右二万円という金額の実費内訳を詳らかにし得ないのであり、右金額が果して実際の実費計算に立脚して算出されたものか疑なきを得ないのである。却つて同被告人等の検察官に対する供述によれば、被告人下川等は、当時、被告人菊池等との会話を通じて、本件「社会保障タイムス」第一四号紙一万部の増刷費用が高々一万三、四千円前後に過ぎないことを了解していたものであり、本件二万円はこれらの費用のほか被告人菊池等の所謂「儲け」を混合一括して供与され、受領されたものであることが明らかである。従つて本件金員が公職選挙法第一四八条の二にいう利益に該ることは明瞭であり、これを争う論旨は到底採用することができない。
二、次に、本件「社会保障タイムス」第一四号紙が、公職選挙法第一四八条の二にいう新聞紙に該らない、という佐伯弁護人の主張について按ずるに、なるほど被告人菊池は、本件選挙の告示日(五月七日)前一年内の昭和三三年一〇月三〇日頃、旬刊新聞紙として「社会保障タイムス」第一号紙を発刊したが、爾後必ずしも旬間毎に定期の発刊を継続することができず、本件当時漸く第一四号紙を数えるに過ぎなかつたものであつて、同紙が公職選挙法第一四八条第三項所定の要件を充足する新聞紙でないことは明白である。然しながら同法第一四八条は、選挙運動の期間中及び選挙の当日という限定された期間、選挙に関する報道及び評論を掲載し得る新聞紙、雑誌を厳格に制限する一方、その制限内においてこれら該当紙に選挙に関する報道及び評論の自由を保障し、もつて選挙運動の公正と表現の自由との調和を計ろうとするものであつて、広く選挙に関して新聞紙及び雑誌が不法に利用されることを制限しようとする同法第一四八条の二とはその趣を異にするものである。従つて同法第一四八条の二にいう新聞紙及び雑誌の概念が同法一四八条第三項に規定する新聞紙及び雑誌より広義に理解されて然るべきことは蓋し当然の事理であつて、所論のように、両者の範囲を同一視しなければならない理由は毫も認められないのである。即ち同法第一四八条の二にいう新聞紙及び雑誌とは、反覆継続の意思をもつて不特定又は多数の人に有償頒布することを目的とするものであれば足り、本件「社会保障タイムス」が右要件を充足するものであることは証拠上疑を容れないところである。
この点の論旨も採るを得ない。
三、次に、原判決の被告人菊池及び同加藤に対する追徴金の賦課について按ずるに、原判決は、右被告人両名について本件二万円の共同収受の事実を認めながら、右金員の分配の有無、金額等につき格別の説示をすることなく、単にこれが没収不能であるとして漫然右両名からそれぞれ二万円を追徴する旨の言渡をなしたものである。然しながら数名共同して公職選挙法第二二四条所定の利益を収益し又は交付を受けた場合は、各自に対してそれぞれ金額の没収又は追徴をすべきものではなく、各自の分配額に応じてこれをなすべきであり、若し各自の分配額が不明の場合には、名自に対し平等の割合額を没収し、又は追徴すべきものと解するのが相当である。本件において被告人菊池等が被告人下川等から本件二万円を共同収受したこと(被告人加藤が本件収受に関与しなかつたという佐伯弁護人の主張は採用し難い)、そして右金員が原審判決当時既に没収不能の状態にあつたことはいずれも原判決の認定するとおりであるが、被告人菊池等が右金員を如何様に分配収受したかについては今その詳細を俄かに断定し難いところである。従つて本件において被告人菊池及び同加藤から追徴し得べき金額は、曩に説示したところに照らして、各自につきそれぞれ一万円宛というべきであつて、これと異なる措置に出た原判決は判決に影響を及ぼすべき違法を犯すものといわれなければならない。佐伯弁護人の所論はこの点において理由がある。
第三、被告人井上より同渡部に交付された五万円の趣旨について
被告人井上の弁護人遊田多聞の控訴趣意第一点、同小中公毅の同第一点、同山崎佐及び同石橋信の同第六点の各所論は、原判示第五の一の事実(被告人井上より同渡部に対する五万円の供与)につき原判決の事実誤認を主張し、
一、遊田弁護人は、「本件五万円は、本件選挙とは関係のない、単なる貸借として授受されたものであり、仮に然らずとしても、それは被告人渡部が右選挙の準備行為として大島、伊豆諸島方面に選挙情勢の視察に赴く旅費、宿泊費等の実費の趣旨で授受されたもので、選挙運動報酬の趣旨を含まない」といい、
二、小中、山崎及び石橋各弁護人は、本件金員は所謂選挙運動実費として授受されたもので、報酬の趣旨を含まない、と主張する。
また被告人渡部の弁護人吉田勇之助の控訴趣意第一点の所論は、原判示第七の一(被告人渡部の前記五万円の受供与)の事実につき原判決の事実誤認を主張し、本件金員は、被告人渡部が同井上から借り受けたものであつて、被告人渡部としては、たとえこれを選挙運動に支出しても、後日返済をする積りであつた、というのである。
よつて各所論に鑑み、関係証拠を検討して按ずるに、
一、本件金員は、遊田弁護人も指摘するように、本件選挙が告示される約二ヶ月も以前の三月初旬頃授受されたものである。然し、曩にも述べたように、当時日歯政連やその傘下の多くの地方歯政連においては既に鹿島俊雄をその公認候補として支持支援すべきことを決定し、その当選を期して各種の効果的得票戦術を画策し、実践していたのであり、本件被告人等の所属する東京都歯政連においても勿論その例外ではなかつたのである。当時被告人井上は、日歯政連副会長、東京都歯政連顧問、東京都歯科医師会会長等の職を奉じ、また被告人渡部は東京都歯政連常任理事、荏原歯科医師会会長の地位にあつたものであつて、いずれも前記趨勢に呼応して鹿島候補の選挙運動に関与せざるを得ない立場にあつたのである。
二、本件金員は、かかる折柄、被告人渡部が被告人井上の経営する原判示歯科診療所を訪ねて井上に、「伊豆、大島方面で鹿島の選挙運動をするから金を出して貰いたい」旨申し述べ、被告人井上においてこれを容れた結果授受されるに至つたものである。その際被告人渡部が自己の名刺に右金員を借用する旨記載してこれを被告人井上に交付していることは遊田弁護人の指摘するとおりであるが、それは被告人井上が、自己の手持金のうちから差し当たつて支弁した本件五万円について、後日東京歯科大学鹿島後援会幹事長の被告人白川からその補填をして貰うのに役立てるため、右渡部に「人に見せなければならないから、君に金を渡したことを一筆書いてくれ」と要請したことによるのであつて、被告人井上及び同渡部の両名としては、いずれも本件金員が真実貸借されたとは毛頭考えていなかつたことが明らかである。
三、また本件金員の授受に際しては、被告人井上から、これを所謂選挙運動実費に限定して支出すべき旨の指示説明も、後日その精算報告をなすべき旨の要請もなく、その使途処分を被告人渡部に一任したものであり、被告人渡部においても、右受領にかかる五万円のうち二万五千円を、後記のように、被告人石井幸男に大島、伊豆諸島における選挙運動を依頼した際、その費用及び報酬として同人に供与し、残額は自己の私有金と混同して小遣その他に費消したことが認められるのである。被告人等は、原審(そして当審)公判廷において、本件金員の報酬性を否定するのであるが、検察官の取調に対してはいずれもこれを自認しているのであつて、前記諸事情に鑑みると、同人等の検察官に対する供述が措信に値すると考えられるのである。これと見解を同じくする原判決の認定は正当であつて、各論旨はいずれも理由がない。
第四、被告人井上のビラ頒布行為について
被告人井上の弁護人遊田多聞の控訴趣意第一点、同小中公毅の同第一点の各所論は、原判示第五の三の事実(被告人井上のビラ頒布行為)につき原判決の事実誤認を主張し、いずれも、「本件ビラの頒布は、所謂口腔衛生週間(毎年六月四日から同月一〇日まで)の恒例行事としてなされたに過ぎないのであつて被告人井上としては、本件ビラを頒布するに際して公職選挙法第一四二条の禁止を免れようとする犯意は毛頭なかつた」といい、
同山崎佐及び同石橋信の控訴趣意第五点の所論は、原判示右事実につき原判決の法令適用の誤りを主張し、「本件のように、口腔衛生思想の普及という、公益性を有する文書の頒布は、たとえそのなかに反価値的、犯罪的行為と評価される一面があつたとしても、法の最高理念乃至憲法第二一条の見地からその違法性が阻却され、何らの犯罪責任をも生じない」というのである。
よつて各所論に鑑み、関係証拠を検討して按ずるに、なるほど歯科医師界においては、毎年六月初旬を口腔衛生週間と定め、その恒例行事の一つとして所謂「母と子の良い歯のコンクール」を施行していたものであり、鹿島俊雄が昭和三三年頃から右コンクールの中央審査委員長に選任されていたことは各所論の指摘するとおりであつて、本件ビラの頒布が右恒例行事を周知させて口腔衛生思想の普及徹底を期する一面を有していたことは否定することができない。然しながら他面被告人井上が、本件ビラを頒布することによつて、同時に鹿島俊雄の名を広く宣伝し、もつて本件選挙におけるその得票の増大を期していたことも証拠上まことに明白なところである。そして同被告人において、本件ビラの頒布が或いは公職選挙法所定の文書頒布制限に違反するかも知れないと考えながな敢てこれを実行したものであることも疑いを容れないところであつて、同被告人が検察官の取調に対して、「選挙では、所定枚数のポスター、葉書以外を配付してはいけないことは知つていた。本件のビラも或いは違反になるのではないかとの心配もあつたが、別に内容にいつわりがある訳でもないので出した。勿論衛生週間の宣伝をする積りもあつたが、それより何とかして鹿島を当選させるための宣伝という点に主眼があつた」旨供述しているのは、この間の事情を如実に物語るものと認められるのである。原判決が本件ビラの頒布をもつて公職選挙法第一四二条の禁止を免れる行為であると認定したのは正当であつて、何らの事実誤認も認められない。なお、被告人井上の本件行為に公職選挙法第一四六条の適用を認めることは、法の最高理念乃至憲法二一条の趣旨に反するという、山崎、石橋両弁護人の所論は、畢竟独自の見解であつて、到底賛同することはできず、またその引用する最高裁判所判例も本件に適切な判例とみることはできない。以上各論旨はいずれも理由がない。
第五、被告人渡部より同石井に交付された二万五千円の趣旨について
被告人渡部及び同石井の弁護人吉田勇之助の控訴趣意第一点の所論は、原判示第七の二(被告人渡部の同石井に対する二万五千円の供与)、及び被告人石井に対する原判示第一(右二万五千円の受供与)の各事実につき原判決の事実誤認を主張し、本件金員は、被告人石井が被告人渡部の依頼で大島、伊豆諸島方面において、テレビ関係の調査をし、かつそのついでに鹿島選挙の情勢調査をするについての実費として授受されたもので、選挙運動の報酬の趣旨は含まれていない、というのである。
よつて関係証拠を検討して按ずるに、本件金員は、被告人渡部が曩に被告人井上より供与を受けた原判示第七の一の五万円のうちから支弁されたものであつて、被告人渡部が右受領にかかる五万円を、鹿島候補のための選挙運動実費のほか、右運動に対する報酬として費消して差支えないものと了解していたことは曩に判示したとおりである。そして本件金員が、被告人石井において大島、伊豆諸島方面で鹿島候補の選挙運動をするについて支出されたことも証拠上明白なところであり、また右授受に際して、被告人渡部が、その使途について格別の指示、制限も施さず、その使途処分を被告人石井に一任したことも明瞭である。右被告人等は、検察官の取調に対しては、本件金員に選挙運動報酬の趣旨が含まれていた旨自供しながら、その後原審に至つてこれを飜えして所論に副う弁解をするのであるが、前期認定の諸事情に鑑みると、右弁解は俄かに措信し難く、却つて同人等の検察官に対する供述が措信に値すると認められる。これと同一の見地に立つ原判決の認定は正当であつて、論旨は採るを得ない。
第六、被告人池田より小椋善男、杉山聞多、池田寿雄、根本忠義、丸島鉄男に交付された各金員の趣旨について
被告人池田の弁護人小中公毅の控訴趣意第一点、同山崎佐及び同石橋信の同第六点の各所論は、原判示第八の一乃至五(被告人池田より小椋善男に対する一万円、杉山聞多に対する七千円、池田寿雄に対する三千円、根本忠義に対する五千円、丸島鉄男に対する二万円の各供与)につきそれぞれ原判決の事実誤認を主張し、本件各金員はいずれも選挙運動実費として供与されたもので、選挙運動の報酬の趣旨を含まない、というのであるが、原判決の挙示する対応証拠を綜合すれば、本件各金員が鹿島候補のため投票並びに投票取纏めの選挙運動をするについての費用及び報酬としてそれぞれ供与されたものであることを認めるに十分であつて、原判決には毫も所論のいうような事実誤認は認められない。論旨はいずれも採るを得ない。
第七、被告人白川より、被告人山口、同池田、同石井にそれぞれ交付された各金員の趣旨について
被告人白川の弁護人遊田多聞の控訴趣意第一点の所論は、原判示第九の一の(一)の(1)及び(2)(被告人白川より同山口に対する合計二万円の供与)、同第九の一の(二)(被告人白川より同池田に対する二万円の供与)、同第九の一の(三)及び二(被告人白川より同石井に対する合計三万円の供与)の各事実につき、同被告人及び被告人池田の弁護人小中公毅の控訴趣意第一点の所論は、右各事実のほか、原判示第八の六(被告人池田の、同白川からの二万円の受供与)の事実につき、右被告人両名及び被告人山口の弁護人山崎佐及び同石橋信の控訴趣意第六点の所論は、右各事実のほか、原判示第十の一及び二(被告人山口の、同白川からの合計二万円の受供与)、被告人石井の弁護人吉田勇之助の控訴趣意第一点の所論は、被告人石井に対する原判示第二の一及び二(同被告人の、被告人白川からの合計三万円の受供与)の各事実につきそれぞれ原判決の事実誤認を主張するものであるが、各所論は、要するに、本件各金員はいずれも、東京歯科大学同窓会関係の一般政治活動費乃至鹿島候補の選挙運動実費として授受されたもので、選挙運動の報酬の趣旨を含まない、というのである。
然しながら右被告人等はいずれも、検察官の取調に対して、本件各金員のうち自己の授受した金員に選挙運動の報酬の趣旨が含まれていたことを認めて争わなかつたものであつて、これらの各供述に原判決の挙示するその他の対応証拠を綜合すれば、原判示各事実は、各所論が誤認と主張する点を含めていずれも優にこれを肯認することができる。そして右被告人等の検察官に対する各供述が、取調官の誘導強制によるとは到底認め難く、これと異なる被告人等の公判廷での供述はいずれも徒らな弁解というほかはない。原判決には毫も事実誤認の違法はなく、各論旨はいずれも採るを得ない。
第八、被告人白川のビラ頒布行為について
被告人白川の弁護人遊田多聞の控訴趣意第一点、同小中公毅の同第一点の各所論は、いずれも原判示第九の三(被告人白川のビラ頒布行為)につき原判決の事実誤認を主張し、また同被告人の弁護人山崎佐及び石橋信の控訴趣意第五点の所論は、右事実につき原判決の法令適用の誤りを主張するのであるが、その各趣旨はいずれも被告人井上のビラ頒布についてのそれ(前記第四)と殆ど同様である。そしてこれに対する当裁判所の判断も被告人井上について説示したところと概ね同様であつて、要するに、原判示認定の事実はその挙示する証拠により優にこれを肯認することができ、またその法令の解釈適用もこれを正当と是認するものである。従つて各論旨はいずれも採るを得ない。
第九、被告人宮下、同簗瀬、同岡崎、同新井の弁護人山崎佐及び同石橋信の控訴趣意第一乃至第三点について
所論は、被告人宮下、同簗瀬、同岡崎、同新井につき原判決の法令違反及び理由不備の違法を主張し、要するに、原判決が右各被告人等に対して所謂「選挙費用の無権限支出」(公職選挙法第一八七条第一項、同法第二四六条第四号)の罪責を認めた措置を違法とするものであるが、原判決の同被告人等に対する右有罪認定は、曩に検察官の主張に対する判断において示したように、事実を誤認したものであり、従つて原判決中右被告人等に関する部分はいずれも破棄を免れないものであるから、右有罪認定を前提とする各所論は、特に判断を加えるまでもなく、既にこの点において理由がない。
その二、量刑不当の主張について
第一、被告人井上及び同白川の弁護人遊田多聞の控訴趣意第二点、同山崎佐及び同石橋信の同第七点、同小中公毅の同第二点の各所論は右被告人両名につき、また被告人渡部及び同石井の弁護人吉田勇之助の控訴趣意第二点の所論は同被告人両名につきそれぞれ原判決の量刑不当を主張するものである。
よつて各所論に鑑み記録を調査して按ずるに、本件当時、被告人井上は日歯政連副会長、東京都歯政連顧問、東京都歯科医師会会長、東京都歯政連選挙対策本部副本部長等の職にあつたもの、被告人白川は鹿島候補の母校に当たる東京歯科大学の各種同窓団体(同窓会、鹿島俊雄後援会、水橋会)の各幹事長にしてその会計担当責任者となつていたもの、被告人渡部は東京都歯政連常任理事、荏原歯科医師会会長等の職にあつたもので、いずれも本件鹿島選挙において鹿島候補のための選挙運動を主導すべき立場にあつたものであり、また被告人石井は、歯科医師界とは直接の関係を有しなかつたとはいえ、かねてから私淑していた被告人渡部の依頼に応じて大島、伊豆諸島方面における鹿島候補の選挙運動を担任するに至つたものであつて、曩にも判示したような、右各被告人の本件違反の経緯、態様を考え併せると、その責任はいずれも決して軽いものではなく、原判決の右各被告人等に対する課刑も強ち不当に失するとはいえない。然しながら他面右被告人等はいずれも前記のような立場上好むと好まざるとに拘らず勢い本件鹿島選挙に深入りせざるを得なかつたものであつて、むしろ純朴な政治的関心から誤つて本件各違反に陥入つたとも窺われる節がないでもなく、所謂選挙ブローカー的臭味は全く認められないのである。そして記録に現われた、各被告人の経歴、行状、年令、社会的地位等を勘案し、さらにはまた右各被告人がいずれも今回の過誤につき心底から悔悟自責し、謹慎に努めている実情を考え併せると、右各被告人等に対して実刑をもつて臨むことはいずれもいささか酷に失する嫌があり、むしろこの際右各被告人等に対して相当期間刑の執行を猶予し、もつてその自粛更生を期待するのが相当と思料され、各論旨はこの意味においていずれも理由がある。
第二、被告人池田の弁護人中小公毅の控訴趣意第二点、同山崎佐及び同石橋信の同第七点の各所論(同被告人に関する部分)について
各所論は、被告人池田につき原判決の量刑不当を主張するものであるが、原判決中同被告人に関する部分は、曩に検察官の主張に対する判断において示したように、事実誤認の廉で破棄を免れないものであるから、原判決の右事実認定を前提とする各所論は、特に判断を示すまでもなく、既にこの点において理由がない。
以上弁護人等の所論は、原判決の被告人加藤に対する追徴金の賦課措置及び被告人井上、同白川、同渡部、同石井に対する量刑措置を争う点において理由があり、原判決は右被告人等につき破棄を免れないが、その余の所論はいずれも理由がない。
(結論)
よつて検察官の本件控訴のうち、被告人簗瀬真策に対する昭和三四年七月二二日附起訴状記載の公訴事実第二の事実に関する部分及び被告人白川亨に関する部分、並びに被告人宮下一郎、同岡崎正夫、同簗瀬真策、同新井守三、同下川光三郎、同池田清、同山口重敏の本件各控訴はいずれも理由がないから、刑事訴訟法第三九六条によりいずれもこれを棄却するが、検察官のその余の控訴部分並びに被告人井上真、同白川亨、同加藤種雄、同渡部岩重、同石井幸男の本件控訴はいずれも理由があるから、同法第三九七条第一項、第三八〇条(被告人加藤関係)、第三八一条(被告人井上、同白川、同渡部、同石井関係)、第三八二条(検察官関係)により原判決中右各被告人等に関する部分を破棄し、同法第四〇〇条但書により当裁判所において次のとおり自判する。
(当審において新たに認定する罪とするべき事実)
第一、被告人宮下一郎は、日本歯科医師政治連盟(以下日歯政連と略称する)の副理事長であり、昭和三四年六月二日施行の参議院議員選挙に際し、全国区から立候補した同歯政連理事長鹿島俊雄の選挙運動を総括主宰したものであるが、同候補者に当選を得しめる目的をもつて
一、同年五月七日頃、東京都千代田区九段四丁目六番地所在の歯科医師会館において、同候補者の選挙運動者である石津十蔵に対し、同候補者のための投票取纏等の選挙運動を依頼し、その費用及び報酬として現金三〇万円を供与し、
二、同じく選挙運動者である被告人簗瀬真策に対し、前同趣旨のもとに、
(一) 同月七日頃前同所において、現金五万円を
(二) 同月一〇日頃、前同所において、現金一〇万円を
それぞれ供与し、
三、同じく選挙運動者である被告人山川卯平に対し、前同趣旨のもとに、
(一) 同月一〇日頃、前同所において、鶴牧亀雄を介し、現金一〇万円を
(二) 同月一六日頃、群馬県渋川市渋川一、八八〇番地の同被告人宛に現金書留郵便により現金一〇万円を郵送し、同月一七日頃同被告人方に到達せしめて、右現金一〇万円を
それぞれ供与し、
四、未だ同候補者の立候補届出のない同月六日頃、前記歯科医師会館において、同じく選挙運動者である被告人岡崎正夫及び同池由清の両名に対し、前同趣旨のもとに、現金一五万円を供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
五、同月一一日頃、前同所において、被告人池由清に対し、前同趣旨のもとに現金一〇万円を供与し、
六、同月一八日頃、前同所において、同じく選挙運動者である石井潔に対し、前同趣旨のもとに現金一〇万円を供与し、
七、同じく選挙運動者である被告人新井守三に対し、前同趣旨のもとに、
(一) 同月九日頃、岐阜市明徳町一番地の同被告人方前路上において、竹中恒夫を介し、現金二〇万円を
(二) 同月一六日頃、前同所の同被告人方自宅宛に、現金書留郵便により現金五万円を郵送し、同月一八日頃同被告人方に到達せしめて右現金五万円を
それぞれ供与し、
八、同じく選挙運動者である前田勝に対し、前同趣旨のもとに、
(一) 未だ同候補者の立候補届出のない同年三月一二日頃、京都市左京区下鴨中川原町八八番地の同人方宛に現金五万円を郵送し、その頃同人方に到達せしめてこれを供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
(二) 同年五月一二日頃、前記歯科医師会館において、現金五万円を供与し、
九、同月一六日頃、前同趣旨のもとに、同じく選挙運動者である秋田市大町二丁目一〇番地荒巻広政宛に現金二万円を郵送し、同月一七日頃同人方に到達せしめて、同人に対し右現金二万円を供与し、
一〇、同月一六日頃、前同趣旨のもとに、同じく選挙運動者である福岡県若松市船頭町一二九番地清永盛樹宛に現金五万円を郵送し、同月一八日頃同人方に到達せしめて、同人に対し右現金五万円を供与し、
一一、同月一六日頃、前同趣旨のもとに、同じく選挙運動者である宮崎県都城町姫城町四、二一七番地嶽崎亥生宛に現金五万円を郵送し、同月一九日頃同人方に到達せしめて、同人に対し右現金五万円を供与し、
一二、日本社会保障協会理事長であり、歯科医師関係の業界紙「社会保障タイムス」を発行し、同じく選挙運動者である被告人菊池勇義に対し、同候補者のための情報蒐集等の選挙運動を依頼し、その費用及び報酬として、未だ同候補者の立候補届出のない
(一) 同年三月四日頃、前記歯科医師会館において、現金二万円を
(二) 同月六日頃、前同所において、現金三万円を
(三) 同月二六日頃、前同所において、久家武雄及び土屋タマ子を介し、現金一万六千円を
(四) 同年四月二日頃、前同所において、現金一万円を
(五) 同月三日頃、前同所において、現金五万五千円を
それぞれ供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
一三、雑誌「政界読物」を発行し、同じく選挙運動者である被告人荻原毅に対し、同候補者のための投票取纒等の選挙運動を依頼し、その報酬等として、未だ同候補者の立候補届出のない
(一) 同年三月二四日頃、前同所において、現金一万円を
(二) 同月二六日頃、前同所において、現金一万円を
それぞれ供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
一四、株式会社医歯薬新報社の代表取締役社長として歯科医師関係の業界紙「医歯薬新報」を発行し、同じく選挙運動者であつた被告人中島清繁に対し、同候補者のための情報蒐集等の選挙運動を依頼し、その費用及び報酬等として
(一) 未だ同候補者の立候補届出のない
(1) 同年三月一九日頃、前同所において、現金五万円を
(2) 同年四月一七日頃、前同所において、現金五万円を
(3) 同月二一日頃、前同所において、現金五万円を
それぞれ供与し、もつて立候補届出前の選挙運動をなし、
(二) 同年五月一四日頃、東京都千代田区神田小川町一丁目三番地所在の前記医歯薬新報社事務所において、現金一〇万円を供与し、
一五、同年五月二〇日頃、前記歯科医師会館において、歯科医師関係の業界紙「医事ジヤーナル」を発行し、同じく選挙運動者である被告人南忠雄に対し、前同様の趣旨のもとに現金三万円を供与し、
第二、被告人簗瀬真策は、栃木県歯政連会長兼日歯政連理事にして、鹿島候補の選挙運動者なるところ、
一、被告人宮下より、同被告人が前記第一の二記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、
(一) 同年五月七日頃、前記歯科医師会館において、現金五万円
(二) 同月一〇日頃、前同所において、現金一〇万円
の各供与を受け、
二、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、
(一) 同月中旬頃、宇都宮市塙田町三八〇番地所在の栃木県歯科医師会において、同じく同候補者の選挙運動者である黒崎市三郎に対し、同候補者のため投票取纒等の選挙運動を依頼し、その費用及び報酬として現金一万円を、
(二) 前同日頃、同市日野町二八番地の同被告人方において、同じく選挙運動者である大塚〓に対し、前同趣旨のもとに現金一万円を、
(三) 前同日頃、前記県歯科医師会において、山形正之助を介し、同じく選挙運動者である岡田正信に対し、前同趣旨のもとに現金二万円を、
(四) 前同日頃、前同所において、山形正之助を介し、同じく選挙運動者である宮島豊に対し、前同趣旨のもとに現金一万円を、
(五) 前同日頃、同市一条町一、二三一番地斎藤健彦方において、同じく選挙運動者である同人に対し、山形正之助及び加藤久美子を介し、前同趣旨のもとに現金一万円を
それぞれ供与し、
第三、被告人岡崎正夫は千葉県歯政連副会長にして、鹿島候補の選挙運動者なるところ、
一、被告人池田と共謀のうえ、同年五月六日頃、前記歯科医師会館において、被告人宮下が前記第一の四記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より現金一五万円の供与を受け、
二、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、
(一) 同月二〇日頃、千葉市新宿町一丁目九五番地の同被告人方において、同じく選挙運動者である森弥平に対し、同候補者のため投票取纒等の選挙運動を依頼し、その費用及び報酬として現金三千円を、
(二) 同年六月四日頃、同市吾妻町一丁目三八番地の佐瀬蔀方において、藤本登を介し、同じく選挙運動者である佐瀬喜一に対し、同候補者のため投票取纒等の選挙運動をなしたことの報酬等として現金一万円を
それぞれ供与し、
第四、被告人池田は、千葉県歯政連専務理事、東京歯科大学同窓会千葉県支部副支部長にして、鹿島候補の選挙運動者なるところ、
一、被告人岡崎正夫と共謀のうえ、同年五月六日頃、前記歯科医師会館において、被告人宮下が前記第一の四記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同歯告人より現金一五万円、
二、同月一一日頃、前同所において、被告人宮下が前記第一の五記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より現金一〇万円
の各供与を受け、
第五、被告人山川卯平は、群馬県歯科医師会会長兼日歯政連理事にして、鹿島候補の選挙運動者なるところ、被告人宮下が前記第一の三記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より
一、同年五月一〇日頃、前記歯科医師会館において、鶴牧亀雄を介し、現金一〇万円
二、同月一七日頃、前記自宅において、現金書留郵便による郵送により現金一〇万円
の各供与を受け、
第六、被告人新井守三は、岐阜県歯政連会長兼日歯政連副会長にして、鹿島候補の選挙運動者なるところ、
一、被告人宮下が前記第一の七記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より、
(一) 同年五月九日頃、前記自宅前路上において、竹中恒夫を介し、現金二〇万円、
(二) 同月一八日頃、右自宅において、現金書留郵便による郵送により現金五万円
の各供与を受け、
二、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、同じく選挙運動者である小林源雄に対し、同候補のため投票取纒等の選挙運動を依頼し、その費用及び報酬として、
(一) 熊崎七三と共謀のうえ、同月一八日頃、岐阜県益田郡萩原町一、二八四番地の二所在の旅館静山荘において、現金二万円を、
(二) 安藤千代久他二名と共謀のうえ、同月二〇日頃、同県岐阜市小柳町一二番地所在の旅館一力において、現金二万円を
それぞれ供与し、
第七、被告人菊池勇義、同荻原毅、同中島清繁、同南忠雄はいずれも鹿島候補の選挙運動者であるところ、
一、被告人菊池勇義は、被告人宮下が前記第一の一二記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より、
(一) 同年三月四日頃、前記歯科医師会館において、現金二万円、
(二) 同月六日頃、前同所において、現金三万円、
(三) 同月二六日頃、前同所において、久家武雄及び土屋タマ子を介して現金一万六千円、
(四) 同年四月二日頃、前同所において、現金一万円、
(五) 同月三日頃、前同所において、現金五万五千円
の各供与を受け、
二、被告人荻原毅は、被告人宮下が前記第一の一三記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より、
(一) 同年三月二四日頃、前同所において、現金一万円、
(二) 同月二六日頃、前同所において、現金一万円
の各供与を受け、
三、被告人中島清繁は、被被人宮下が前記第一の一四記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より、
(一) 同年三月一九日頃、前同所において、現金五万円、
(二) 同年四月一七日頃、前同所において、現金五万円、
(三) 同月二一日頃、前同所において、現金五万円、
(四) 同年五月一四日頃、東京都千代田区神田小川町一丁目三番地所在の医歯薬新報社事務所において、現金一〇万円
の各供与を受け、
四、被告人南忠雄は、同月二〇日頃、前記歯科医師会館において、被告人宮下が前記第一の一五記載の趣旨のもとに供与するものであることの情を知りながら、同被告人より現金三万円の供与を受け
たものである。
(証拠の標目)(省略)
(当審において是認引用する原判決の有罪認定)
被告人井上真につき原判示第五の一乃至三の各事実、被告人池田清につき同判示第八の一乃至六の各事実、被告人渡部岩重につき同判示第七の一及び二の各事実、被告人白川亨につき同判示第九の一の(一)の(1)及び(2)、(二)及び(三)、二及び三、被告人菊池勇義及び同加藤種雄につき同判示第六の事実、被告人石井幸男につき同被告人に対する原判示各事実
(法令の適用)
法律に照らすに、
被告人宮下一郎の判示第一の各所為中、選挙運動報酬の供与の点は公職選挙法第二二一条第三項、第一項第一号に、事前運動の点(判示第一の四、八の(一)、一二の(一)乃至(五)、一三の(一)及び(二)、一四の(一)の(1)乃至(3)につき)は同法第二三九条第一号、第一二九条、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するところ、各報酬供与の所為とこれに対応する事前運動の所為とは一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるから刑法第五四条第一項前段、第一〇条により重い報酬供与の罪の刑をもつて処断すべく、各報酬供与の罪の所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は同法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認める判示第一の一の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人井上真の原判示第五の一の所為中、利益供与の点は公職選挙法第二二一条第一項第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、事前運動の点は公職選挙法第二三九条第一号、第一二九条、罰金等臨時措置法第二条第一項、同判示第五の二の所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第五の三の所為は公職選挙法第二四三条第五号、第一四六条第一項にそれぞれ該当するところ、原判示第五の一の各所為は一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるから刑法第五四条前段、第一〇条により重い供与罪の刑をもつて処断すべく、原判示第五の一及び二の各罪については所定刑中懲役刑を、同二の罪については禁錮刑をそれぞれ選択し、以上は同法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文により最も重いと認める原判示第二の一の供与罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人簗瀬真策の前判示第二の一の(一)及び(二)の各所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第二の二の(一)乃至(五)の各所為は公職選挙法第二二一条第一項第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前後の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認める同判示第二の一の(二)の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人岡崎正夫の前判示第三の一の所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項、刑法第六〇条に、同判示第三の二の(一)の所為は公職選挙法第二二一条第一項第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第三の二の(二)の所為は公職選挙法第二二一条第一項第三号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重い同判示第三の一の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人池田清の前判示第四の一及び二、原判示第八の六の各所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号(前判示第四の一の所為につきさらに刑法第六〇条)に、原判示第八の一乃至五の各利益供与の点はいずれも公職選挙法第二二一条第一項第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、右第八の一の所為中事前運動の点は公職選挙法第一二九条、第二三九条第一項、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するところ、原判示第八の一の各所為は一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるから、刑法第五四条第一項前段、第一〇条により重い利益供与罪の刑をもつて処断すべく、以上の各罪の所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は同法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により最も重いと認める前判示第四の一の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人山川卯平の前判示第五の一及び二の各所為はいずれも公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に該当するので所定刑中それぞれ懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情重いと認める前判示第五の一の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人新井守三の前判示第六の一の(一)及び(二)の各所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第六の二の(一)及び(二)の各所為は公職選挙法第二二一条第一項第一号、刑法第六〇条、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するので、各所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認める同判示第六の一の(一)の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人渡部岩重の原判示第七の一の所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第七の二の所為のうち、利益供与の点は公職選挙法第二二一条第一項第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、事前運動の点は公職選挙法第一二九条、第二三九条第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するところ、同判示第七の二の各所為は一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるから刑法第五四条第一項前段、第一〇条により重い利益供与罪の刑をもつて処断すべく、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は原判示確定裁判を経た罪と同法第四五条後段の併合罪の関係にあるので、同法第五〇条に従い未だ裁判を経ない前記各罪につきさらに処断することとし、右各罪は同法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により重いと認める同判示第七の一の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人白川亨の原判示第九の一の(一)の(1)及び(2)、(二)及び(三)の各所為は公職選挙法第二二一条第一項第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第九の二の所為は公職選挙法第二二一条第一項第三号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第九の三の所為は公職選挙法第一四六条第一項、第二四三条第五号にそれぞれ該当するので、同判示第九の一の(一)の(1)及び(2)、(二)及び(三)、二については各所定刑中いずれも懲役刑を、同三については所定刑中禁錮刑をそれぞれ選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により最も重いと認める同判示第九の一の(三)の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人加藤種雄の原判示第六の所為は公職選挙法第一四八条の二第二項、第二二三条の二第一項、刑法第六〇条に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、
被告人菊池勇義の原判示第六の所為は公職選挙法第一四八条の二第二項、第二二三条の二第一項、刑法第六〇条に、前判示第七の一の(一)乃至(五)の各所為はいずれも公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により最も重い原判示第六の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人荻原毅の前判示第七の二の(一)及び(二)の各所為はいずれも公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情重いと認める同判示第七の二の(一)の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人中島清繁の前判示第七の三の(一)乃至(四)の各所為はいずれも公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重い同判示第七の三の(四)の罪の刑に併合罪の加重をなし、
被告人南忠雄の前判示第七の四の所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、
被告人石井幸男の原判示第一及び第二の一の各所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に、同判示第二の二の所為は公職選挙法第二二一条第一項第四号、第三号、罰金等臨時措置法第二条第一項にそれぞれ該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四四条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により最も重い同判示第一の罪の刑に併合罪の加重をなし、
以上の各刑期の範囲内において、被告人宮下を懲役一年二月に、被告人白川を懲役一〇月に、被告人池田を懲役八月に、被告人井上、同岡崎、同簗瀬、同山川、同新井、同渡部、同菊池、同中島を各懲役六月に、被告人石井は懲役四月に、被告人加藤、同荻原、同南を各懲役二月にそれぞれ処し、被告人白川、同池田、同井上、同岡崎、同簗瀬、同山川、同新井、同渡部、同菊池、同加藤、同中島、同石井、同荻原、同南に対しては諸般の情状に鑑み刑の執行を猶予するのが相当と認められるので、刑法第二五条第一項により本裁判確定の日から、被告人白川、同池田に対してはそれぞれ三年間、被告人井上、同岡崎、同簗瀬、同山川、同新井、同渡部、同菊池、同加藤、同中島、同石井、同荻原、同南に対してはそれぞれ二年間右各刑の執行を猶予し、被告人井上が被告人下川等から収受した五万円、被告人岡崎が被告人宮下から収受した一五万円のらち被告人池田に分与した一万円を控除した一四万円、被告人池田が、被告人宮下から収受した合計二五万円のうち被告人岡崎に分与した一四万円及び丸島鉄男に供与した二万円を控除した九万円並びに被告人白川から収受した二万円のうち杉山聞多、池田寿雄、磯貝豊に供与等した計一万三千円を控除した七千円合計九万七千円、被告人簗瀬が被告人宮下より収受した合計一五万円のうち、黒崎市三郎、大塚〓、岡田正信、宮島豊、斎藤健彦に各供与した合計六万円を控除した九万円、被告人山川が被告人宮下から収受した合計二〇万円のうち、群馬県歯師会各支部に配分交付した合計九万五千円、同県技工師会会長金子勇に供与した五千円、日本大学歯科医師同窓会群馬県支部に供与した五千円を控除した九万五千円、被告人新井が被告人宮下より収受した合計二五万円のうち、岐阜県県議小林源雄に供与した合計四万円を控除した二一万円、被告人渡部が被告人井上から収受した五万円のうち、被告人石井に供与した二万五千円を控除した二万五千円、被告人加藤が被告人菊池と共謀のうえ被告人下川等から収受した二万円のうちの半額一万円、被告人菊池が、被告人加藤と共謀のうえ被告人下川等から収受した二万円のうちの半額一万円並びに被告人宮下から収受した計一三万一千円を総計した一四万一千円、被告人中島が被告人宮下から収受した合計二五万円、被告人荻原が被告人宮下から収受した合計二万円、被告人南が被告人宮下から収受した三万円、被告人石井が、被告人渡部及び同白川から収受した合計五万五千円のうち、原判示支出分を控除した三万七千八百一〇円は、いずれも右各被告人が本件違反により不法に享受した利益であつていずれもこれを没収することのできないことが明らかであるから、公職選挙法第二二四条後段により当該被告人からそれぞれその価額を追徴し、原審及び当審における訴訟費用については刑事訴訟法第一八一条第一項本文及び但書により、原審証人堀江憲治、同駒崎哲郎、同佐藤一郎、同塚本陽一、同荒巻広政に支給した分は被告人宮下の、原審証人木村運蔵、同木村義雄、同岡村鱗次に支給した分は被告人井上の、原審証人清水健太郎に支給した分は被告人白川の、原審証人鶴牧亀雄に支給した分は被告人山川の、原審証人佐藤一郎、同八島正、同工藤文夫に支給した分は被告人中島の各負担とし、その余についてはいずれも当該被告人に負担させないこととする。なお、被告人簗瀬に対する昭和三四年七月二二日附起訴状記載の公訴事実第二の事実及び被告人白川に対する同日附起訴状記載の公訴事実第一の(一)の事実についてはいずれも犯罪の証明がないものとして無罪を言渡すべきものとする。
よつて主文のとおり判決する。


「公職選挙法 ポスター 掲示交渉」に関する裁判例一覧
(101)昭和56年12月23日 名古屋高裁 昭56(行ケ)2号
(102)昭和56年12月21日 福岡地裁 昭34(ワ)765号 雇傭関係存在確認等請求事件
(103)昭和56年 8月10日 高松高裁 昭55(行ケ)1号 選挙無効裁決取消請求事件
(104)昭和56年 7月 9日 東京地裁八王子支部 昭49(特わ)242号 公職選挙法違反被告事件
(105)昭和56年 6月17日 東京高裁 昭55(行ケ)368号 当選無効請求事件
(106)昭和56年 6月15日 最高裁第二小法廷 昭55(あ)874号 公職選挙法違反被告事件 〔戸別訪問禁止違憲事件・差戻前上告審〕
(107)昭和56年 5月30日 大阪地裁 昭49(わ)2174号 公職選挙法違反被告事件 〔糸山派選挙違反事件〕
(108)昭和56年 4月23日 東京地裁 昭55(ワ)8860号 損害賠償請求事件
(109)昭和56年 3月27日 大阪地裁 昭49(わ)2174号 公職選挙法違反被告事件
(110)昭和55年10月 3日 仙台高裁 昭54(行ケ)2号 町議会議員一般選挙の当選の効力に関する裁判取消、当選決定処分有効確認請求事件
(111)昭和55年 6月24日 千葉地裁 昭54(わ)1292号 公職選挙法違反事件 〔宇野派選挙違反事件・第一審〕
(112)昭和55年 4月22日 大阪高裁 昭55(行ケ)2号 町議会議員の当選の効力に関する裁決取消請求事件
(113)昭和55年 2月29日 最高裁第三小法廷 昭54(あ)809号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件 〔「殺人シール」事件・上告審決定〕
(114)昭和55年 2月 1日 神戸地裁 昭49(わ)502号 公職選挙法違反事件 〔糸山派選挙違反事件・第一審〕
(115)昭和54年10月 9日 東京高裁 昭53(行ケ)180号 裁決取消請求事件
(116)昭和54年 3月20日 東京高裁 昭53(う)1253号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(117)昭和54年 1月26日 東京高裁 昭53(う)1056号 公職選挙法違反被告事件
(118)昭和54年 1月24日 松江地裁出雲支部 昭51(わ)43号 公職選挙法違反被告事件 〔戸別訪問禁止違憲事件〕
(119)昭和53年11月 2日 岸和田簡裁 昭46(ろ)104号 公職選挙法違反被告事件
(120)昭和53年 7月10日 最高裁第一小法廷 昭53(行ツ)58号 裁決取消請求事件
(121)昭和53年 4月17日 東京地裁 昭52(刑わ)2736号 暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(122)昭和53年 2月28日 東京高裁 昭51(行ケ)59号 裁決取消請求事件
(123)昭和53年 1月26日 最高裁第一小法廷 昭52(あ)308号 公職選挙法違反被告事件
(124)昭和52年12月23日 福岡高裁那覇支部 昭52(行ケ)1号 町長選挙無効等確認請求事件
(125)昭和52年12月22日 神戸地裁柏原支部 昭48(わ)4号 公職選挙法違反被告事件
(126)昭和52年10月27日 大阪高裁 昭52(行ケ)2号
(127)昭和52年 6月16日 福岡高裁 昭50(行ケ)4号 町議会議員選挙無効の裁決の取消請求事件
(128)昭和52年 3月15日 仙台高裁 昭50(う)38号 公職選挙法違反事件 〔岩手県南バス労組員選挙違反事件〕
(129)昭和52年 2月24日 東京地裁 昭45(行ウ)4号 懲戒戒告処分取消請求事件 〔全国税東京足立分会事件〕
(130)昭和51年12月24日 最高裁第二小法廷 昭51(あ)192号 公職選挙法違反被告事件
(131)昭和51年 9月30日 最高裁第一小法廷 昭51(行ツ)49号 選挙無効請求事件
(132)昭和51年 6月30日 最高裁第二小法廷 昭50(行ツ)106号 町長当選の効力に関する裁決取消請求事件
(133)昭和51年 4月28日 名古屋高裁 昭45(行コ)14号 損害賠償請求控訴事件
(134)昭和51年 3月11日 最高裁第一小法廷 昭50(あ)1957号 公職選挙法違反被告事件
(135)昭和51年 2月25日 東京高裁 昭50(行ケ)127号 選挙無効請求事件
(136)昭和50年12月11日 東京高裁 昭50(う)1324号 公職選挙法違反被告事件
(137)昭和50年12月10日 大阪高裁 昭50(う)697号 公職選挙法違反被告事件
(138)昭和50年 8月20日 大阪高裁 昭47(う)1086号 公職選挙法違反被告事件
(139)昭和50年 6月 4日 東京簡裁 昭50(ろ)82号 公職選挙法違反被告事件
(140)昭和50年 3月 3日 東京地裁 昭47(行ウ)160号 損害賠償請求事件
(141)昭和50年 2月21日 大阪高裁 昭48(う)394号 公職選挙法違反被告事件
(142)昭和50年 2月 5日 盛岡地裁 昭47(わ)35号 公職選挙法違反被告事件
(143)昭和49年12月23日 最高裁第二小法廷 昭49(行ツ)53号 町議会議員選挙に関する裁決取消請求事件
(144)昭和49年11月 6日 最高裁大法廷 昭44(あ)1501号 国家公務員法違反被告事件 〔猿払事件・上告審〕
(145)昭和49年 8月29日 札幌高裁 昭49(う)17号 公職選挙法違反被告事件
(146)昭和49年 5月21日 広島高裁岡山支部 昭48(う)124号 公職選挙法違反事件
(147)昭和49年 4月24日 仙台高裁 昭47(行ケ)2号 町議会議員選挙の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(148)昭和49年 2月19日 仙台高裁秋田支部 昭48(う)13号 公職選挙法違反被告事件
(149)昭和48年 9月26日 名古屋高裁 昭47(行ケ)4号 市議会議員当選の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(150)昭和48年 9月13日 名古屋高裁 昭47(う)510号 公職選挙法違反被告事件
(151)昭和48年 3月30日 名古屋地裁豊橋支部 昭42(わ)347号 国家公務員法違反被告事件
(152)昭和48年 3月29日 仙台地裁 昭42(わ)120号 公職選挙法違反被告事件
(153)昭和48年 3月 1日 大阪地裁 昭43(わ)2537号 公職選挙法違反被告事件
(154)昭和47年12月22日 東京高裁 昭46(行ケ)100号 裁決取消請求及び同参加事件
(155)昭和47年 8月10日 岡山地裁 昭46(わ)507号 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
(156)昭和47年 5月25日 京都地裁 昭40(わ)1209号 公職選挙法違反被告事件
(157)昭和47年 4月10日 東京高裁 昭45(う)1795号 公職選挙法違反被告事件
(158)昭和47年 1月28日 高松高裁 昭46(行ケ)2号 選挙の効力に関する裁決に対する不服請求事件
(159)昭和46年 8月27日 大阪高裁 昭46(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(160)昭和46年 3月11日 大阪高裁 昭46(行ス)2号 行政処分執行停止申立却下決定に対する即時抗告申立事件
(161)昭和45年12月 7日 仙台高裁秋田支部 昭44(行ケ)1号 村議会議員一般選挙における当選の効力に関する裁決取消請求事件
(162)昭和45年11月 7日 名古屋地裁 昭43(わ)1271号 公職選挙法違反被告事件
(163)昭和45年10月13日 東京地裁八王子支部 昭41(ワ)331号 損害賠償請求事件
(164)昭和45年 9月25日 大阪高裁 昭43(う)1525号 公職選挙法違反被告事件
(165)昭和45年 7月16日 東京高裁 昭43(行ケ)99号 選挙の効力に関する訴訟事件
(166)昭和45年 6月11日 東京高裁 昭44(行タ)3号 裁決取消請求事件
(167)昭和45年 4月24日 水戸地裁 昭43(わ)305号 公職選挙法違反被告事件
(168)昭和44年 6月14日 東京地裁 昭40(特わ)555号 国家公務員法違反、公職選挙法違反被告事件 〔総理府統計局事件・第一審〕
(169)昭和44年 3月18日 最高裁第三小法廷 昭43(あ)487号 公職選挙法違反被告事件
(170)昭和43年12月25日 佐賀地裁 昭42(わ)26号 公職選挙法違反被告事件
(171)昭和43年12月 2日 東京高裁 昭43(う)1736号 公職選挙法違反被告事件
(172)昭和43年11月11日 大阪高裁 昭43(う)322号 公職選挙法違反被告事件
(173)昭和43年 9月17日 福岡高裁 昭42(行ケ)12号 町長選挙の当選の効力に関する裁決取消並びに当選無効請求事件
(174)昭和43年 6月 6日 東京地裁 昭42(行ウ)213号 行政処分取消請求事件 〔練馬区長準公選事件〕
(175)昭和43年 5月31日 名古屋高裁金沢支部 昭42(行ケ)1号 町議会議員選挙の当選効力に関する審査申立に対する裁決取消
(176)昭和43年 4月12日 東京地裁 事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件
(177)昭和43年 3月25日 旭川地裁 昭42(わ)16号 国家公務員法違反被告事件 〔いわゆる猿払事件・第一審〕
(178)昭和43年 2月12日 東京高裁 事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件
(179)昭和43年 1月25日 高松高裁 昭42(う)59号 公職選挙法違反被告事件
(180)昭和42年11月20日 伊丹簡裁 昭42(ろ)6号 公職選挙法違反被告事件
(181)昭和42年10月20日 東京高裁 昭42(行ケ)34号 選挙無効等確認請求事件
(182)昭和42年 8月 8日 高松高裁 昭40(う)240号 公職選挙法違反被告事件
(183)昭和42年 5月30日 大阪高裁 昭41(ネ)427号 損害賠償及び慰謝料請求控訴事件
(184)昭和42年 5月23日 福岡高裁 昭41(う)853号 公職選挙法違反被告事件
(185)昭和42年 4月27日 東京地裁 昭40(特わ)594号 公職選挙法違反被告事件
(186)昭和42年 1月25日 東京地裁 昭40(特わ)589号 公職選挙法違反被告事件
(187)昭和41年10月31日 広島高裁 昭41(う)120号
(188)昭和41年10月24日 東京高裁 昭38(ナ)6号 裁決取消、選挙無効確認併合事件 〔東京都知事選ニセ証紙事件・第二審〕
(189)昭和41年 9月28日 東京高裁 昭41(う)1371号 公職選挙法違反被告事件
(190)昭和41年 9月16日 東京高裁 昭40(う)2319号 公職選挙法違反被告事件
(191)昭和41年 5月10日 東京高裁 昭38(ナ)23号 選挙無効事件
(192)昭和41年 4月28日 東京高裁 事件番号不詳 公職選挙法違反被告事件
(193)昭和40年11月29日 大阪高裁 昭40(行ケ)1号 当選無効請求事件
(194)昭和40年11月26日 東京高裁 昭39(う)642号 公職選挙法違反被告事件
(195)昭和40年11月 5日 東京高裁 昭40(う)353号 公職選挙法違反被告事件
(196)昭和40年 6月 5日 松山地裁 昭38(わ)68号 公職選挙法違反被告事件
(197)昭和40年 4月27日 大阪高裁 昭38(ナ)4号 裁決取消請求事件
(198)昭和40年 2月 5日 最高裁第二小法廷 昭39(あ)2106号 公職選挙法違反被告事件
(199)昭和39年12月20日 大阪高裁 昭39(う)1338号
(200)昭和39年12月15日 東京地裁 昭38(刑わ)2385号 公職選挙法違反、公記号偽造、公記号偽造行使等事件
(201)昭和39年12月 7日 千葉地裁 昭37(わ)297号 公職選挙法違反各被告事件
(202)昭和39年11月18日 東京高裁 昭39(う)1173号 公職選挙法違反被告事件
(203)昭和39年10月14日 福岡高裁 昭37(ナ)3号 市長選挙の当選の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(204)昭和39年 8月31日 大阪高裁 昭39(う)643号 公職選挙法違反被告事件
(205)昭和39年 5月22日 大阪高裁 昭38(ナ)10号 当選無効請求事件
(206)昭和39年 5月22日 大阪高裁 事件番号不詳 当選無効請求事件
(207)昭和39年 5月 9日 福岡高裁 事件番号不詳 市長選挙の当選の効力に関する訴願裁決取消請求事件
(208)昭和39年 4月30日 大阪高裁 昭38(ナ)9号 選挙並びに当選無効事件
(209)昭和39年 3月11日 東京高裁 昭38(う)2547号 公職選挙法違反被告事件
(210)昭和39年 2月26日 東京高裁 昭38(う)2109号 公職選挙法違反被告事件


■選挙の種類一覧
選挙①【衆議院議員総選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙③【一般選挙(地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
選挙④【特別選挙(国政選挙|地方選挙)】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)


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