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「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件

「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件

裁判年月日  平成31年 2月19日  裁判所名  奈良地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(行ウ)10号
事件名  奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
文献番号  2019WLJPCA02196009

裁判年月日  平成31年 2月19日  裁判所名  奈良地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(行ウ)10号
事件名  奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
文献番号  2019WLJPCA02196009

奈良県北葛城郡〈以下省略〉
原告 X1
奈良市〈以下省略〉
原告 X2
奈良市〈以下省略〉
被告 奈良県知事 Y
同訴訟代理人弁護士 川﨑祥記
片山賢志
前川典彦
大寺健太

 

 

主文

1  被告は,別紙1「認容額一覧表」の「相手方」欄記載の相手方に対し,同一覧表の「認容額」欄記載の金員を支払うよう請求せよ。
2  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用はこれを10分し,その1を被告の負担とし,その余は原告らの連帯負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,別紙2「請求金額一覧表」の「相手方」欄記載の各相手方に対し,同表の「請求額(円)」欄記載の金員の支払及びこれに対する平成28年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。
第2  事案の概要
1  本件は,奈良県(以下,単に「県」ということがある。)の住民である原告らが,奈良県議会の議員である別紙2「請求金額一覧表」の「相手方」欄記載の各相手方(以下,同姓の者の場合を除き,「相手方A1」などといい,併せて「相手方議員ら」という。)が奈良県から交付を受けた平成27年度の政務活動費(相手方A2については,平成23年度及び平成24年度の各政務調査費並びに平成25年度ないし平成27年度の各政務活動費)について,奈良県政務活動費の交付に関する条例(平成13年奈良県条例第42号。以下「本件条例」という。)に定める使途基準に適合しない支出があり,相手方議員らはこれに係る金員を法律上の原因なく利得しているにもかかわらず,奈良県の執行機関である被告が相手方議員らに対する不当利得返還請求権の行使を怠っているなどと主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,相手方議員らに対して前記不当利得金(別紙2「請求金額一覧表」の「請求額(円)」欄記載の金員)及びこれに対する平成28年4月1日から支払済みまで民法704条前段所定の利息金の支払を請求することを求める住民訴訟である。
2  関係法令等の定め
(1)  地方自治法100条
ア 14項
普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務活動費を交付することができる。この場合において,当該政務活動費の交付の対象,額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は,条例で定めなければならない。
イ 15項
前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
ウ 16項
議長は,14項の政務活動費については,その使途の透明性の確保に努めるものとする。
(2)  本件条例(乙〈31〉1)
ア 1条(趣旨)
この条例は,地方自治法100条14項から16項までの規定に基づき,奈良県議会議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,議会における会派及び議員に対し,政務活動費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする。
イ 2条(政務活動費を充てることができる経費の範囲)
(ア) 1項
政務活動費は,会派及び議員が実施する調査研究,研修,広聴広報,要請陳情,住民相談,各種会議への参加等県政の課題及び県民の意思を把握し,県政に反映させる活動その他の住民福祉の増進を図るために必要な活動(次項において「政務活動」という。)に要する経費に対して交付する。
(イ) 2項
政務活動費は,…議員にあっては別表第2に定める政務活動に要する経費に充てることができるものとする。
別表第2 議員に交付する政務活動に要する経費(抜粋)
a 調査研究費 議員が行う県の事務,地方行財政等に関する調査研究(視察を含む。)及び調査委託に要する経費
b 広聴広報費 議員が行う県政に関する政策等の広聴広報活動に要する経費
c 資料購入費 議員が行う活動のために必要な図書,資料等の購入,利用等に要する経費
d 事務所費 議員が行う活動のために必要な事務所の設置及び管理に要する経費
e 事務費 議員が行う活動に係る事務の遂行に要する経費
f 人件費 議員が行う活動を補助する職員を雇用する経費
ウ 5条1項(議員に係る政務活動費)
議員に係る政務活動費は,月額28万円を月の初日に在職する議員に対し交付する。
エ 9条(政務活動費の請求等)
(ア) 1項本文
会派の代表者及び議員は,…毎四半期の最初の月の15日までに,別に定める様式により当該四半期に属する月数分の政務活動費を請求するものとする。
(イ) 2項
知事は,前項の請求があったときは,速やかに政務活動費を交付するものとする。
オ 10条1項(収支報告書等)
政務活動費の交付を受けた会派の代表者及び議員は,当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を,別に定める様式により,年度終了の日の翌日から起算して30日以内に,領収書の写し(社会慣習その他の事情によりこれを徴し難いときは,別に定める様式による支払証明書)及び議長が別に定める書類(以下「領収書等」と総称する。)を添えて,議長に提出しなければならない。
カ 11条(政務活動費の返還)
会派又は議員は,その年度において交付を受けた政務活動費の総額から,当該議員がその年度において行った政務活動費による支出(第2条に規定する政務活動費を充てることができる経費の範囲に従って行った支出をいう。)の総額を控除して残余がある場合は,当該残余の額に相当する額を速やかに返還しなければならない。
キ 13条(透明性の確保)
議長は,収支報告書について必要に応じて調査を行う等,政務活動費の適正な運用を期すとともに,使途の透明性の確保に努めるものとする。
ク 14条(委任)
この条例に定めるもののほか,政務活動費の交付に関し必要な事項は,議長が定める。
(3)  奈良県政務活動費の交付に関する規程(乙〈31〉2。平成13年奈良県議会規程第1号。以下「本件規程」という。)
本件規程は,本件条例の施行に関し必要な事項を定めたものであり(1条),収支報告書の様式(5条),収支報告書の訂正の方法(7条)等について定めている。
(4)  政務活動費の手引(乙〈31〉3。以下「本件手引」という。)
奈良県議会は,平成25年4月,政務活動費の運用方針として本件手引を作成しているところ,本件手引においては,政務活動費の使途基準の考え方,収支報告書の記載方法やその添付書類について説明されているほか,次のとおり定められている。
ア 調査研究費
県外政務活動記録簿による実績報告を行うことで,政務活動であることを確認する。また,交通費は実費弁償とする。
イ 広聴広報費
政務活動費の充当が不適当な経費としては,政党や後援会の広報紙,パンフレット,ビラ等の作成及び発送経費がある(本件手引6頁〔以下,本件手引における頁数は各頁右下の数字を表す。〕)。
ウ 資料購入費
書籍購入費については,政務活動に必要なものは認める(本件手引13頁)。
また,新聞購読料については,新聞は原則1紙につき1部とし,切り抜き,保存用を含め3部まで認める(同上)。
エ 事務所費
(ア) 事務所として認められるためには,次の要件を具備し,実際にそこが政務活動に使用されていることが必要である。
① 事務所として外形上の形態を有していること。
② 事務所としての機能(事務スペース,応接スペース,事務用備品等)を有していること。
③ 連絡機能が整っていること。
④ 賃貸の場合は,議員が契約者となっていること。
(イ) 自己又は自己と生計を一にしている親族の所有する物件の賃料,使用料又は分担金の支出に政務活動費を充当することはできない。
また,議員が法人の代表者又は役員の地位にあり,その法人から事務所を賃借し,賃借料を支払う場合には,その法人の会計処理について,当該賃借料が収入として適正な処理が行われていることが必要である。
(ウ) 事務所費には,事務所賃借料・光熱水費・維持管理費が含まれる。
当該事務所が他の活動に併用されている場合は,政務活動の使用時間または使用面積等の使用実態に応じて按分して政務活動費を充当する。ただし,使用実態による按分が困難な場合は,2分の1を限度として政務活動費を充当することができる。按分等により政務活動費を充当する場合,賃借料・光熱水費・維持管理費は,全て同じ割合で政務活動費を充当する。
オ 事務費
(ア) 事務費には,事務機器及び備品のリース代・購入代,郵便料,電話料金,事務用品の購入費等が含まれる。
(イ) 事務所賃借料・光熱水費・維持管理費につき,事務所の使用実態に応じて按分して事務所費として政務活動費を充当している場合は,事務機器及び備品のリース代・購入代,郵便料,電話料金,事務用品の購入費等についても同率で按分して事務費として政務活動費を充当するものとする。
事務所賃借料・光熱水費・維持管理費につき,事務所費として政務活動費を充当していない場合は,事務機器及び備品のリース代・購入代,郵便料,電話料金,事務用品の購入費等について,その使用実態に応じて按分して事務費として政務活動費を充当する。ただし,使用実態による按分が困難な場合は,2分の1を限度として事務費として政務活動費を充当できるものとする。
カ 人件費
(ア) 人件費には,政務活動の補助業務のために雇用した職員の給料,手当,社会保険料,アルバイト賃金が含まれる。
(イ) 雇用実態を客観的に確認できる証拠書類(雇用契約書,協定書(覚書),源泉徴収票など税務署への申告書類,社会保険・雇用保険の加入及び支払関係の書類,出勤簿,賃金台帳等)を適切に整備することとする。
(ウ) 政務活動の補助のために雇用した者が他の業務に携わっている場合は,政務活動に要した業務実態によって按分して人件費として政務活動費を充当する。ただし,業務実態が明らかでない場合には,2分の1を限度として政務活動費を充当することができるものとする。
キ 政務活動費の残余額の返還について
(ア) 本件条例11条による政務活動費の残余額の返還期限は,政務活動費の交付を受けた年度の翌年度の5月末とする。
(イ) 収支報告書を訂正した結果,交付を受けた政務活動費について新たな残余額が生じた場合,当該残余額についても返還する必要がある。
(5)  政務調査費に関する規律
なお,政務活動費は,平成25年2月28日までは政務調査費と呼称されており,改正前の地方自治法や本件条例等においても,政務活動費に関する前記(1)ないし(4)の規律等と同様の規律等が定められていた(弁論の全趣旨)。
したがって,政務調査費に関しても,便宜上,本件条例等の適用を前提とすることとする。
3  前提事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  当事者
ア 原告らは,奈良県の住民である。
イ 被告は,奈良県の執行機関(知事)である。
ウ 相手方議員らは,平成27年度(相手方A2については,平成23年度ないし平成27年度)において,奈良県議会の議員であったものである。
(2)  政務活動費の交付(弁論の全趣旨)
奈良県は,相手方議員らに対し,本件条例5条に基づき,平成27年度の政務活動費(相手方A2については,平成23年度及び平成24年度の各政務調査費並びに平成25年度ないし平成27年度の各政務活動費)をそれぞれ交付した。
(3)  政務活動費への支出(弁論の全趣旨)
相手方議員らは,平成27年4月から平成28年4月まで(ただし,相手方A2については,平成23年5月から平成28年3月まで)の間,それぞれ,別紙2「請求金額一覧表」の「政務活動費支出額(円)」欄記載の金額を政務調査費ないし政務活動費に充てて支出した(詳細は,同表の「相手方」ないし「充当率(%)」欄に記載のとおりである。)。
(4)  住民監査請求(甲〈31〉1ないし3,弁論の全趣旨)
原告らは,平成29年3月22日,奈良県監査委員に対し,奈良県が相手方議員らにそれぞれ交付した平成27年度の政務活動費には本件条例に定める使途基準に合致しない不適切な支出があり,これらは不当利得であるので返還を求めるべきである旨主張して,相手方議員らそれぞれについて,住民監査請求をした。また,同年4月4日,相手方A2に係る事務所費に関して監査請求を追加した。
奈良県監査委員は,同年5月19日,上記各請求は理由がないものと判断していずれも棄却した。原告らは,その頃,その結果の通知を受けた。
(5)  本件訴えの提起(当裁判所に顕著)
原告らは,平成29年6月19日,本件訴えを提起した。
4  争点及びこれに関する当事者の主張
本件の争点は,各政務活動費の支出の違法性であり,これに関する当事者の主張は,次のとおりである(なお,別紙2「請求金額一覧表」に当事者の主張の要点を記載している。)。
(1)  相手方A1について
ア 原告らの主張
(ア) 事務所費
A3議員,A4議員及び相手方A1によるa党演説会(平成27年5月29日開催〔甲①6〕)のポスターが,相手方A1の政務活動事務所とされる建物の入口側に3枚,裏側に2枚貼り出されていた(甲①4の1及び2)。このことから,同事務所は,政治家の宣伝活動が行われる拠点といえ,同事務所は,政務活動とそれ以外の活動が行われている併用型事務所である。
また,相手方A1は,a党奈良県総支部連合会幹事長(現b党奈良県代表)も務めており,党務に係る業務が多かったことが窺われる(甲①5)。
したがって,相手方A1の政務活動事務所の使用の実態は明確に把握できないから,政務活動費に充当できる事務所費は,特段の事情を示す証拠がない限り,本件手引に照らし,支払額の2分の1が限度である。それにもかかわらず,支払額の全額を政務活動費に充当しているから,2分の1を超えて充当したことは違法である。
(イ) 人件費
前記(ア)のとおり,相手方A1の政務活動事務所は併用型事務所であるから,当該事務所における業務も,政務活動に関するものとそれ以外のものが含まれており,活動の実態は明確に把握できないから,政務活動費に充当できる人件費は,特段の事情を示す証拠がない限り,本件手引に照らし,支払額の2分の1が限度である。それにもかかわらず,支払額の全額を政務活動費に充当しているから,2分の1を超えて充当したことは違法である。
イ 被告の主張
相手方A1は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 事務所費
政務活動事務所の周囲に政党演説会のポスターが掲示されていても,同事務所で政務活動以外の活動が行われているとはいえない。政党演説会のポスターは,演説会の存在を広く知らしめるために様々な場所で掲示されているものであるから,ポスターが掲示されていることが特定の意味を持つものではなく,政治活動に活用されていない建物に政党演説会のポスターが掲示されることも通常である。そして,相手方A1は,平成27年5月に開催のa党演説会のポスターを,短期間のみ掲示していたにとどまる。
したがって,原告らが主張するような事実は,適法推定を覆すことはできない。
また,相手方A1の後援会事務所は,政務活動事務所とは異なる場所に設置されていたから,政務活動事務所は政務活動のみに使用されていた。そして,相手方A1が幹事長を務めるa党奈良県総支部連合会は,同連合会自身の事務所を有しており,政党職員3名が政党活動に従事している(乙①3)。さらに,相手方A1の政務活動費に関する大阪高等裁判所平成30年3月27日判決は,平成27年度よりも前の事実を元に判断しているから,平成27年度中の政務活動事務所の使用実態を推認するための根拠とはならない。
したがって,原告らの主張は失当である。
(イ) 人件費
前記(ア)のとおり,政務活動事務所においては,政務活動のみが行われていたから,同事務所の職員は,政務活動のみに従事していた。
したがって,原告らの主張は失当である。
(2)  相手方A5について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
相手方A5は,平成27年4月分を除く11か月分のホームページ維持管理費等について,全額を政務活動費に充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる。
また,相手方A5は,ホームページ維持管理費等に平成27年度分の政務活動費を全額充当していたが,平成28年度分の同費用については,2分の1の按分割合で政務活動費を充当している。そして,両年度において,ホームページの掲載内容に特段の変更があったとは考え難いから,平成27年度分についても,2分の1の限度でのみ政務活動費を充当できるというべきである。
(イ) 事務所費
相手方A5は,平成27年4月分を除く11か月分につき,月額6万8500円の事務所賃料に事務所費として政務活動費を充当しているが,相手方A5が平成26年度内に発行した広報紙においては,政務活動事務所と後援会事務所について,同一の所在地が記載されていたから,政務活動事務所に後援会事務所が併設されており,併用型事務所に該当する。そして,平成27年4月には,政務活動事務所内に選挙事務所を開設し,事務所費を按分して政務活動費を充当していることに照らすと,選挙等が行われていない期間においても,政務活動のみ行われていたと考えるのは不合理である。
したがって,政務活動費を充当できるのは,本件手引に照らし,前記11か月分のうち,2分の1に相当する金額にとどまるから,2分の1を超えて充当した部分は違法である。
(ウ) 人件費
相手方A5は,平成27年4月分を除く11か月分について,全額に政務活動費を充当している。前記(イ)のとおり,相手方A5の政務活動事務所は,併用型事務所に該当するから,政務活動費を充当できる人件費は,2分の1にとどまる。
したがって,2分の1を超えて充当した部分は違法である。
イ 被告の主張
相手方A5は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) ホームページ維持管理費について
a およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているということはできない。
また,県民としては,ホームページを通じて県議会議員に対して県政に関する意見を述べる場合,そもそも当該議員が選挙で当選したのか否か,どのような人物でありどのような活動を行っているのかといったことをホームページ上で把握できなければ,当該議員に対して県政に関する意見を述べることは困難である。
したがって,相手方A5のホームページは,調査活動に必要な記載であって,当該記載が政務活動の目的から外れるという原告らの主張は失当である。
b 相手方A5は,原告らが,ホームページに関する支出に全額政務活動費を充当している県議会議員に対して,一律に,掲載した写真が大き過ぎるなどとして毎年のように住民監査請求及び住民訴訟を提起しており,その都度対応を余儀なくされていることから,あえて平成28年度から,ホームページ維持管理費については,2分の1の按分割合で政務活動費を充当することとしたものであり,平成27年度分の政務活動費の充当が違法となることはない。
したがって,原告らの主張は失当である。
c 相手方A5は,県議会議員選挙があった平成27年4月1日から同月12日までの間,政務活動だけでなく,選挙活動や後援会活動にもホームページを使用していたところ,ホームページ上の掲載記事の割合に鑑み,同年4月分の支出の政務活動費への充当割合を3分の1とした。
(イ) 事務所費及び人件費について
原告らが主張の根拠とする広報紙の内容が不明であり,根拠がない(なお,平成26年度の広報紙においては,政務活動事務所と後援会事務所の所在地が同一であったが,これは誤記である。)。
相手方A5は,平成27年4月1日から同月12日まで,奈良県議会議員選挙のため,政務活動事務所を,政務活動のほか選挙活動の準備,選挙活動及び後援会活動にも使用し,かつ,政務活動事務所職員も,これらの活動に従事することがあった。そのため,同月分の事務所費及び人件費について,本件手引の「使用実態で按分が困難な場合は,1/2を限度として充当できるものとする」(本件手引10頁),「業務実態が明らかでない場合には,1/2を限度として充当できるものとする」(本件手引12頁)といった定めに従い,支出額の3分の1に政務活動費を按分充当した。
したがって,原告らの主張は失当である。
(3)  相手方A6について
ア 原告らの主張
(ア) 事務所費について
相手方A6は,事務所賃料(月額11万2000円)の支払につき,全額事務所費として政務活動費を充当している。
しかしながら,同事務所には後援会の看板(甲③5)が掲出されている。仮にこれが政務活動事務所の敷地所有者が設置したものであるとしても,後援会事務所のない場所に同事務所の看板を設置することはないはずであり,かつ,相手方A6にも了解を得て作成したといえる。また,政務活動事務所と後援会(A6サポーターズ・ネット)の事務所の所在地が同一であり(甲③6),平成27年4月の県議会議員選挙の際にも,選挙事務所が政務活動事務所と同一の所在地に置かれたことから,当該事務所は,政務活動以外も行われる併用型事務所というべきである。
したがって,使用実態が明確ではないから,事務所費のうち,2分の1のみ政務活動費を充当できるというべきである。
(イ) 人件費について
前記(ア)記載のとおり,相手方A6の政務活動事務所は併用型事務所であり,当該事務所の職員の業務内容も政務活動以外に及び,活動実態は明確ではないから,人件費のうち2分の1のみ政務活動費を充当できるというべきである。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A6は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) 事務所費及び人件費について,政務活動費事務所の敷地入口に「奈良県議会議員A6後援会」と書かれた看板が立っている写真が存在しているが,相手方A6は同敷地を賃借しておらず,同看板の設置自体には何ら政務活動費は支出されていない。同看板は,同敷地の所有者である政務活動事務所の賃貸人が,相手方A6を応援する趣旨で立てたものであり,相手方A6の政務活動事務所内で後援会活動が行われていることを示したものではない。そして,現在の場所に相手方A6の政務活動事務所が開設される前から,同看板は設置されていた。
また,原告らが主張の根拠とする写真(甲③6)は,平成23年4月の奈良県議会議員選挙の際の写真である。
さらに,相手方A6は,政務活動事務所として,奈良県わた寝装品協同組合が所有する「cビル 」1階の2室を賃借している一方で,平成23年及び平成27年に実施された県議会議員選挙の際には,同「cビル 」1階所在の別の1室を選挙事務所として無償で借りており(乙③5の1及び2),建物の1階の外部には矢印で選挙事務所を案内する紙が貼られていて(甲③6,乙③3),相手方A6が,同人の支援者らに対しては,選挙事務所において活動してもらうように細心の注意を払っていたものであるから,当時においても,政務活動事務所は,相手方A6の支援者らの選挙活動には利用されていなかった。
そして,平成27年度中,相手方A6の後援会事務所は同人の自宅に置かれており(乙③6),後援会事務所の電話番号は自宅の電話番号であるから,後援会事務所と政務活動事務所の電話番号が同じであるという原告らの主張は誤りである。
したがって,相手方A6の政務活動事務所においては,専ら政務活動が行われていたから,原告らの主張は当を得ないものである。
(4)  相手方A7について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
a 相手方A7は,平成27年4月分を除く11か月分のホームページ管理費の支払について,全額に広聴広報費として政務活動費を充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまる。
b また,相手方A7は,ホームページ維持管理費の全額に平成27年度分の政務活動費を充当していたが,平成28年度分のホームページ維持管理費については,2分の1の按分割合で政務活動費を充当している。そして,両年度において,ホームページの掲載内容に特段の変更があったとは考え難いから,平成27年度分についても,2分の1の按分割合の限度でのみ政務活動費を充当できるというべきである。
(イ) 事務所費について
相手方A7は,政務活動事務所の平成27年4月分の賃料(月額3万5000円)については,30分の18の按分割合で事務所費として政務活動費を充当しているが,同年度中の他の月は全額につき同費目として政務活動費を充当している。
しかしながら,同事務所入口には「dクラブ後援会事務所」と記載された看板のみが存在し,平成24年12月,平成25年9月,平成27年9月,平成29年12月の各時点において,政務活動事務所の看板は存在していない。また,平成27年4月の県議会議員選挙の際には,選挙事務所として届け出られている(甲〈31〉6)。そして,政務活動事務所とされる場所には,事務所内に机2台が置かれているのみで,応接設備も存在していなかったのであり,相手方A7が政務活動事務所とする建物においては,政務活動が行われていなかった。
そうすると,相手方A7による政務活動事務所の使用実態は明確ではないから,11か月分の賃料のうち,政務活動費の2分の1の限度でのみ政務活動費を充当できるというべきである。
(ウ) 人件費について
前記(イ)のとおり,相手方A6の政務活動事務所の使用実態は不明確であり,同事務所の職員の業務内容も不明であるから,人件費のうち,2分の1の限度でのみ政務活動費を充当できるというべきである。
イ 被告の主張
相手方A7は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各政務活動費についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
a およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているという原告らの主張には,何ら具体的な根拠がない。
b ホームページに当該議員自身の実績に関する記事が掲載され,また,その一部には,後援会活動など政務活動と直接関連しない記事が含まれていても,当該議員が自らの活動実績を示して,それに対する選挙民の反応や意見を今後の活動に反映させることは本来の政務活動に反するものとはいえない。
したがって,ホームページの記事が,議員から有権者である県民に対して様々な情報が提供されることによって,適切な判断が形成され,政治的,行政的課題に対する県民の意向が当該議員に示されるという相互作用が全く期待できないような記事でない限り,当該記事は政務活動の目的に沿うものである。
c 相手方A7のホームページに,同人の顔写真や氏名,相手方A7と同じe党に所属する奈良県選挙区選出の参議院議員であるA8氏のホームページへのリンクが掲載されているが,これらは相手方A7の顔写真や名前,所属政党等のプロフィールを示すものである。
そして,プロフィールは,相手方A7がどのような人物であるかを伝える情報であり,当該ホームページによる発信情報の信用性・信頼性を担保する重要な情報である。これらの情報により,県民が県政に対する意見や情報を相手方A7に提供するに当たり,どのような意見や情報を提供するのかを判断することができ,県政についての県民の意見や情報を集約することにつながる。
したがって,プロフィール情報は,政務活動費の趣旨に適合している。
d また,相手方A7のホームページには,相手方A7が出席・参加した政治活動や地域活動などの各種活動を紹介する記事の存在が窺われるが,これらは,同人がいかなる政治的活動・信条・背景の下において,どのような地域の課題に興味を持ち,どのように取り組んでいるかを伝える情報である。これらの情報は,読み手が記事の内容を理解することを促すものであるし,相手方A7の考え方が明確になることにより,その考え方に賛成又は反対する県民の様々な意見・情報の提供につながるものである。
e さらに,相手方A7のホームページには,同人の活動状況を撮影した写真が掲載されているが,文字のみで構成される記事よりも県民の目に留まりやすく,また,読みやすいため,気軽に県民に読んでもらえることは明らかであるし,活動状況を撮影した写真を掲載して視覚に訴える方が,記事を読んだ県民に残る印象も大きくなるから,前記写真は,活動状況の紹介記事を効果的に県民に伝える手段として極めて有益である。
以上より,相手方A7の記事は,効果的な広聴広報活動に不可欠なものである。
f 以上のとおり,相手方A7の各種活動の紹介記事を,当該活動状況を撮影した写真とともに公表することは,議員から有権者である県民に対して様々な情報が提供されることによって適切な判断が形成され,政治的,行政的課題に対する県民の意向が当該議員に示されるという相互作用がまったく期待できない広報活動には該当しないから,これらの記事を掲載したホームページに政務活動費を支出することは適法である。
g 相手方A7の平成27年4月分のホームページ維持管理費の政務活動費への充当割合が他の月と異なるのは,同月に奈良県議会議員選挙があり,ホームページを政務活動だけでなく選挙活動や後援会活動等にも使用していたところ,ホームページの掲載記事の割合に鑑み,同月分の支出への政務活動費の充当割合を3分の1としたものである。
h また,前記(2)イ(ア)bの理由と同様の理由により,平成27年度分と平成28年度分のホームページ管理費の充当割合が異なっていたとしても,平成27年度における全部充当が違法となることはない。
(イ) 事務所費について
相手方A7の政務活動事務所の所在地は「奈良県香芝市〈以下省略〉」であるが,同人の後援会事務所の所在地は「奈良県香芝市〈以下省略〉」であり,異なる物件であるから,後援会活動は専ら後援会事務所で行われていたものである。そして,政務活動事務所には,その存在を示す看板が存在している(乙〈31〉7)。
政務活動事務所に立て掛けられた後援会の看板は,全部で12枚作成した看板のうち,置く場所がなく余っていたものであり,同事務所で後援会活動が行われていた事実はない。原告らが指摘する写真(甲⑤10)の撮影日である平成28年1月19日には,相手方A7も同人の政務活動事務所職員も,同看板を設置した記憶はない。なお,同看板は,現在撤去されている。
平成27年4月の県議会議員選挙の際には,政務活動事務所に選挙事務所が置かれたが,このことは,同年5月以降平成28年3月までの間,政務活動事務所において選挙活動等が行われていたことを推認させる事実とはいえない。
そして,政務活動事務所には,応接設備等は全て備わっている(乙〈31〉7)。
したがって,原告らの主張には理由がない。
(ウ) 人件費について
平成27年4月1日から同月12日までの間,相手方A7は,政務活動事務所を県議会議員選挙における選挙活動ないしその準備に使用しており,政務活動事務所の職員も専らこの活動に従事していた。
したがって,本来であれば,相手方A7は,平成27年5月に支払った同年4月分の政務活動事務所職員の給与については,その30分の18に政務活動費を充当すべきであった。
しかしながら,相手方A7は,この点を失念し,同月に支払った人件費の全額につき政務活動費を充当していた。これについては,平成30年1月29日付けで,人件費に充当した平成27年度分の政務活動費3万3200円について,同年5月に支払った人件費の記載に誤りがあったとして,政務活動費を充当しないこととする収支報告書の訂正届を提出した(乙⑤3)。ただし,新たな残余は生じていない。
(5)  相手方A9について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
a 広報紙発行費について
夏,秋及び冬に発行した広報紙の印刷代51万0270円全額に政務活動費を充当しているが,その5分の1に政務活動目的とは評価できない記載があるため,上記印刷代の5分の1である10万2054円分については,違法な政務活動費の充当である。
b ホームページ維持費等について
相手方A9は,平成27年4月分を除く11か月分のホームページ維持費全額について,政務活動費を充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまる。
また,相手方A9は,ホームページ維持費の全額に平成27年度分の政務活動費を充当していたが,平成28年度分のホームページ維持費については,2分の1の按分割合で政務活動費を充当している。そして,両年度において,ホームページの掲載内容に特段の変更があったとは考え難いから,平成27年度分についても,2分の1の按分割合の限度でのみ政務活動費を充当できるというべきであり,同限度を超える政務活動費の充当は違法である。
(イ) 事務所費
a 相手方A9は,平成27年4月分の政務活動事務所の賃料(月額9万0000円)の2分の1について政務活動費を充当し,同年5月以降の賃料については全額に政務活動費を充当しているが,相手方A9の政務活動事務所の住所及び電話番号は,同人の後援会が奈良県選挙管理委員会に提出した収支報告書に記載された住所及び電話番号と同一であり(甲⑥16ないし18),併用型事務所であることは明らかであるから,本件手引に従い,賃料の2分の1を超えて政務活動費を充当することはできない。
b また,相手方A9が賃借している駐車場も,併用型事務所の利用のためのものであるから,駐車場賃料(月額1万8000円)12か月分全額について政務活動費を充当することは許されない。
被告は,同一建物の1階に後援会事務所,2階に政務活動事務所が所在する旨主張するが,平成27年9月時点で,1階部分には後援会の存在を示すものがなく,根拠がない。また,後援会の収支報告書によれば,同後援会の人件費は0円であり,かつ,その他経費12万円の支出があるのみである。
仮に被告が主張するように,相手方A9の政務活動事務所と後援会事務所が同一建物内に存在しているとすれば,同建物の利用を前提として賃借された駐車場は,同人の支援者らが利用しなかったとはいえないし,自動車3台分の駐車場を政務活動のために全て利用していたと考えるのは不自然である。そうすると,本件手引に従い,賃料の2分の1までしか政務活動費を充当することはできない。
(ウ) 人件費について
前記(イ)bのとおり,相手方A9の政務活動事務所は併用型事務所であり,当該事務所の職員の業務内容も政務活動以外に及ぶから,人件費のうち,2分の1のみ政務活動費を充当できるというべきであり,同割合を超える政務活動費の充当は違法である。
イ 被告の主張
相手方A9は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
a 広報紙発行費について
原告らが,相手方A9に関する広報紙のどのような記載がいかなる理由で政務活動の目的外記載であると主張するのか不明であり,失当である。
b ホームページ維持費等について
(a) およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているという原告らの主張には,何ら具体的な根拠がない。
原告らが自己宣伝目的と主張するホームページは,相手方A9のフェイスブックのアカウント上のページであるが,フェイスブックのアカウントを作成して写真を掲載することに費用はかからないから,原告ら指摘の写真は,相手方A9がホームページ維持費を支出しているホームページではない。
(b) また,前記(2)イ(ア)bの理由と同様の理由により,平成27年度分の政務活動費への充当が違法となることはない。
したがって,原告らの主張は失当である。
(イ) 事務所費及び人件費について
a 相手方A9の政務活動事務所及び後援会事務所は同一建物内に所在しているが,1階に後援会事務所,2・3階に政務活動事務所が所在しており,両事務所は明確に区別されているから,原告らの主張は失当である。
b 平成27年9月には,後援会事務所が置かれた建物の1階ガラス扉に,「A9後援会事務所」という表示がなかったが,後援会会員は以前から後援会事務所の場所を知っていたため,あえて表示する必要はなかったためである。もっとも,同建物の1階に所在していたリサイクルショップが平成26年12月に退去した後,同1階部分を賃借したいという者が相次ぎ,同建物の所有者はこれを賃貸するつもりがなかったことから,貸室ではないことを明らかにするため,平成28年頃から前記のようにガラス扉に表示するようになった。
したがって,平成27年度中に,後援会事務所の存在を示す看板等がなかったとしても,後援会事務所が同建物1階に存在していなかったとはいえない。
c また,後援会活動の関係者は,後援会副会長が経営する会社(所在地:奈良県桜井市〈以下省略〉)の駐車場(乙⑥5)を利用しており,相手方A9が政務活動費を充当していた駐車場を利用することはなかった。
d 相手方A9は,平成27年4月実施の県議会議員選挙の間,政務活動事務所を選挙活動にも使用しており,同事務所職員も,選挙活動に従事していた。この間,活動実態に応じて事務所費及び人件費に対する政務活動費の按分割合を決定することが困難であったため,相手方A9は,本件手引の規定に従い,2分の1の按分割合で政務活動費を充当した。
ただし,選挙事務所近隣に一時的に広いスペースを選挙活動専用の駐車場として別途賃借しており,政務活動費を支出して賃借していた駐車場は政務活動のみに用いられていたので,同月分の駐車場賃料全額に政務活動費を充当した。
(6)  相手方A2について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
相手方A2は,県政だよりを2回発行し,広報紙印刷代101万8656円全額に政務活動費を充当しているが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記広報紙印刷代の2分の1である50万9328円分については,違法な政務活動費の充当である。
(イ) 事務所費(電気代)について
a 相手方A2の事務所電気代の支払先は,f株式会社であるが,同社の本店所在地は相手方A2の住所と同一であり,かつ,同社の代表取締役であるA10は,相手方A2の妻である。そして,支払の根拠となる電力会社からの請求書が収支報告書に添付されておらず,支払金額の適否を判断することができない。
b また,相手方A2の政務活動事務所と後援会事務所は,奈良県大和高田市〈以下省略〉所在のgビルという3階建ての建物内に存在し,同建物1階部分に後援会事務所が,2階及び3階に,相手方A2の親族が経営するf株式会社,h株式会社及び株式会社iが所在している(甲⑦2)。そして,電気代が電力会社から一括で請求されている場合,前記gビルの入居者の負担割合が合理的に定められていることが必要であるから,相手方A2は,負担割合について,事務所の図面等を提示して,不透明な部分を明らかにすべきであるのに,これをしていない。
c そして,相手方A2は,平成28年度の政務活動費が電気代に充当されていないことの説明責任を負い,適切な説明がない場合には,平成27年度以前の電気代の充当に問題があったものというべきである。
また,領収証の作成日付が全て各月末日付けとなっているが,月末日が日曜日であったり,12月の場合には大晦日であったりするため,各月末日付けで金銭の授受が行われていたとは考えられない(乙⑦1ないし7)。
d さらに,同人の政務活動事務所の電気代が年々増加しているのは,同ビルに入居する企業の経営に起因するものである。また,平成27年4月及び同年5月(県議会議員選挙が実施された頃)の電気代と,平成26年4月及び同年5月の電気代では,前者が後者の1.92倍となっており,これは選挙活動によるものである。さらに,電気代の支払を後援会と2分の1ずつ按分しているが,政務活動事務所の人件費が年度額で96万円であるのに対し,後援会の人件費は374万円であり,その比率に照らすと,政務活動費を充当できるのは,電気代総額の4分の1が限度である。
e そうすると,電気代総額の4分の3についての政務活動費の充当は違法である。そして,平成23年度から平成27年度の不適切な政務調査費ないし政務活動費の支出は合計124万0803円であり,その半額である62万0401円の充当が違法である。
イ 被告の主張
相手方A2は,平成23年度及び平成24年度の各政務調査費並びに平成25年度ないし平成27年度の各政務活動費について本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による上記各年度の政務調査費ないし政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
原告らが広報紙印刷代への政務活動費の充当が違法である旨主張する根拠が不明であり,失当である。
(イ) 事務所費(電気代)について
a 相手方A2は,本件手引に従って領収書を提出しており,収支報告書に不備はない。
b また,相手方A2の政務活動事務所の電気代は,同事務所が入居する建物の賃貸人であるf株式会社からの請求に応じて支払っているため,同ビルの他の入居者との間で,電気代の按分割合が不適切であるといった事情は見受けられない。
c 平成28年度中の政務活動事務所の使用実態が平成27年度と同様であっても,電気代の支払に政務活動費を幾ら支出するかは相手方A2が自由に決定できるから,平成28年度の事務所電気代を政務活動費に充当していないとしても,平成27年度の事務所電気代の同費用の充当が違法であることにはならない。
d 政務活動事務所と後援会事務所はgビル1階をほぼ2等分した形で設営されており,各事務所の広さはほぼ同一であるから,各事務所の使用実態に基づいて,同ビルの1階部分の電気代を各事務所で半分ずつ負担している。そして,各事務所において雇用されている者らが事務所外で活動している場合には,事務所の電気代はかからないため,人件費の額と電気代の額は比例しない。
また,原告らの主張のうち,電気代の増加から政務調査費ないし政務活動費の充当を違法とする根拠は不明である。そして,平成27年4月には,後援会事務所を選挙活動にも用いていたことから,活動の種類の数に応じて,同建物1階部分の電気代の支出の3分の1に政務活動費を充当しており(乙〈31〉7),使用実態に応じて按分充当されている。
e さらに,領収証の日付が仮に実際の支払日と多少ずれていたとしても,当該領収証が金銭を支払った証拠にならないということはない。
したがって,原告らの主張は失当である。
(7)  相手方A28の広聴広報費について
ア 原告らの主張
相手方A28は,広報紙としてB4版新聞を1回発行し,広報紙作成費33万7214円全額に政務活動費を充当しているが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記広報紙作成費の2分の1である16万8607円分については,違法な政務活動費の充当である。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A28は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) 原告らが広報紙作成費への政務活動費の充当が違法である旨主張する根拠が不明であり,失当である。
(8)  相手方A11について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
相手方A11は,平成27年4月分を除く11か月分のホームページ維持管理費について,その全額に政務活動費を充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまる。
また,相手方A11のホームページには選挙活動に関する記事が記載されており,政務活動以外の目的のために用いられていたといえる。
(イ) 事務所費について
相手方A11は,平成27年4月分の事務所賃料(月額8万4000円)につき,2分の1の按分割合で政務活動費を充当し,同年5月以降の11か月分につき,事務所賃料を事務所費として全額政務活動費を充当している。
しかしながら,相手方A11の政務活動事務所の所在地は,同人の後援会事務所の所在地として収支報告書や同人のブログに記載された場所と同じであり,かつ,平成27年4月実施の県議会議員選挙の際には,政務活動事務所が選挙事務所として届け出られている(甲⑩15)。また,インターネット上の住所検索サイトにおいても,政務活動事務所所在地が後援会事務所の所在地とされている。
さらに,政務活動事務所とされる建物に表札がなく,住宅地図においても,同事務所の所在地とされる場所は空白で表示されている。
また,相手方A11の政務活動事務所の賃貸借契約書(甲⑩23)上の床面積は68m2であるのに対し,同建物の登記上の床面積は,1階及び2階それぞれ105.48m2(甲⑩24)であり,同建物の一部分を賃借していることとなって不自然である。さらに,賃料も,平成27年年度当初は8万4000円であり,平成28年4月から同年10月までは3万2400円に減額され,同年11月からは10万8000円に増額されて現在に至っている。これらの事実から,相手方A11が同建物の賃貸人に対して資金援助をしている可能性があり,同建物内の応接スペース等の構成からは,同建物は政務活動事務所としては用いられていなかったといえる。
そして,相手方A11の賃借事務所は,同人のホームページにおいても所在地を公表しておらず,かつ,政務活動事務所用の駐車場とされる場所も,政務活動事務所とされる賃借事務所付近ではなく,同人の自宅付近に所在しており,同人の政務活動は同人の自宅で行われているといえる。
したがって,相手方A11が事務所賃料88万2000円につき事務所費として政務活動費を充当したことは違法である。
(ウ) 事務費について
前記(イ)のとおり,相手方A11が政務活動事務所として賃借する建物において,政務活動は一切行われていないから,同事務所において用いられるパソコンの代金14万5800円全額につき事務費として政務活動費を充当することはできない。
したがって,同代金の2分の1を超える7万2900円の充当は違法である。
(エ) 人件費について
相手方A11は,平成27年4月分の給料につき2分の1の按分割合で人件費として政務活動費を充当し,同年5月以降の11か月分につき,給料全額につき人件費として政務活動費を充当しているが,前記(イ)のとおり,政務活動事務所において政務活動が行われていたとはいえず,政務活動事務所職員の給料172万5000円につき人件費として政務活動費を充当したことは違法である。
イ 被告の主張
相手方A11は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
a およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているという原告らの主張には,何ら具体的な根拠がない。
そして,前記(2)イ(ア)aの理由と同様の理由により,原告らが指摘する記載は,相手方A11の人物像や活動内容を示すものであるから,ホームページを通じた調査活動に必要な記載である。
b 平成28年度中も,ホームページ・ブログ管理更新料は,政務活動目的にのみ支出していたが,前記(2)イ(ア)bと同様の理由により,平成27年度分と平成28年度分の同費用の充当割合が異なっていたとしても,平成27年度における全部充当が違法となることはない。
c なお,原告らが指摘する相手方A11のブログ(甲⑩7,8)はホームページ管理更新費用に係るホームページではない。
(イ) 事務所費,事務費及び人件費について
a 原告らが上記各費目に関して違法性を主張する根拠が不明であり,失当である。
b 平成28年度中も,政務活動事務所は政務活動のみに用いられており,同事務所の職員も,政務活動のみに従事していた。もっとも,毎年のように住民監査請求及び住民訴訟を提起され,その都度対応を余儀なくされることから,平成28年度から,あえて事務所費及び人件費の支出の2分の1に政務活動費を支出することとした。そして,平成28年度の政務活動事務所の使用実態及び政務活動事務所職員の活動実態が政務活動の目的に沿うものであっても,支払額のうち,政務活動費に幾ら充当するかは相手方A11が自由に決定できる。
したがって,平成28年度の事務所費及び人件費に対する政務活動費の按分割合は,平成27年度の事務所費及び人件費に対する政務活動費の支出が違法であることの根拠とはならない。
c 相手方A11は,平成27年4月の間,政務活動事務所を,政務活動のみならず選挙活動にも使用しており,政務活動事務所職員も,選挙活動にも従事していた。そして,事務所費及び人件費の充当割合を,活動実態に従って決定することが困難であったので,相手方A11は,本件手引に従い,それぞれ支出額の2分の1を政務活動費に充当した。
d 原告らが主張の根拠とする地図(甲⑩16)は,相手方A11の政務活動事務所の所在地ではなく,同人の自宅を示す地図である。そして,同人は,自宅に後援会事務所を置いており,後援会事務所を閉鎖した事実はない(乙⑩3)。前記地図に記載された情報や,住所情報サイトの記載(甲⑩17)は,同人が提供したものではない。
その他,政務活動事務所の外観から,政務活動が行われていないと推認できるという原告らの主張は根拠が不明である。
e また,相手方A11のホームページ(甲⑩22)に記載された住所が政務活動事務所の所在地である旨の記載はない。同住所や電話番号は,相手方A11に連絡が取りやすいものを記載したものである。
f さらに,政務活動事務所は住居ではないため,表札がないことは当然である。また,同事務所の前には「A11事務所」と記載した看板が立てられており(甲⑩18ないし20),内部にも応接スペース等が備えられている(乙〈31〉7)。ゼンリン住宅地図において同事務所所在地が白地となっている理由は不知であるが,現に建物は存在している。
そして,駐車場は,政務活動だけでなく,他の活動のためにも使用したところ,駐車場代を使用実態により按分することが困難であったため,2分の1の按分割合で政務活動費を充当した。
g 賃貸借契約書(甲⑩23)に記載された面積と公簿面積(甲⑩24)とは異なっているが,同契約書の原稿を作成した家主が,固定資産税の課税床面積を参照したということであり,これと公簿面積が異なっている理由は不明である(乙〈31〉8)。
また,平成28年4月から同年10月までの間,家主の都合により,相手方A11には,一時的に別の建物(甲⑩25)の一室を政務活動事務所として賃借したが,その間の月額賃料は3万2400円であった。同年11月,相手方A11は,元の建物(甲⑩24)に政務活動事務所を戻したが,同建物のトイレや空調設備が改装されたことなどを踏まえ,月額賃料が従前の8万4000円から10万8000円に増額された(乙〈31〉8)。
したがって,原告らの主張は認められない。
(9)  相手方A12について
ア 原告らの主張
相手方A12は,平成27年4月分を除く11か月分のホームページリース代について,その全額に広聴広報費として政務活動費を充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまる。
なお,同費用は同年4月から同年7月分は月額1万0500円,同年8月以降は月額1万6200円であるから,8万0550円が違法な支出である。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A12は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される
(イ) およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているという原告らの主張には,何ら具体的な根拠がない。
また,原告らが提出したホームページを印刷した書証(甲⑪4)からは,記事の具体的な記載内容は不明である。
そして,前記(2)イ(ア)aの理由と同様の理由から,原告らが主張の根拠とする記事も,相手方A12の活動内容を示すものであり,広聴広報活動に必要な記載である。
(ウ) さらに,前記(2)イ(ア)bの理由と同様の理由により,平成27年度分と平成28年度分のホームページ管理費の充当割合が異なっていたとしても,平成27年度における全部充当が違法となることはない。
したがって,原告らの主張な失当である。
(10)  相手方A13について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
相手方A13は,平成28年1月作成の県政ニュースの印刷費のうち,2分の1である27万4300円につき広聴広報費として政務活動費を充当しているが,同紙は相手方A13の後援会が作成したものであり,かつ,記事内容も政務活動の目的外である記事が圧倒的に多く,その割合は4分の3を占めている。
したがって,充当した政務活動費のうち,更に2分の1が違法な充当であるから,13万7150円分の不当利得返還義務を負っている。
(イ) 人件費について
相手方A13は,月額給与10万円の政務活動職員を1名,月額給与6万円の政務活動職員を3名雇用しており,給与の振込手数料を含めて全額337万6738円の支出全額につき政務活動費を充当している。
しかしながら,相手方A13の政務活動事務所の所在地は,収支報告書や前記(ア)の県政ニュース紙に記載された同人の後援会所在地と同一である。さらに,政務活動事務所が入居する建物には,同事務所以外にも,多くの団体・組織が入居している。また,同人の後援会事務所は,収支報告書上399万3000円の支出があるにもかかわらず,人件費支出は0円であり,広報紙等の発行業務を行っていることにも照らすと,不合理である。したがって,同人の政務活動事務所は,後援会との併用型事務所である。そして,併用型事務所の場合,同事務所の職員は,政務活動以外の活動にも従事していることが通常であり,職務の実態は明確に把握できないから,本件手引に従い,人件費は2分の1の按分割合で政務活動費を充当すべきである。
したがって,支出総額の2分の1である168万8369円が違法な充当である。
イ 被告の主張
相手方A13は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
原告らが提出した書証(甲⑫5)からは,どのような記載がどのような理由で政務活動の目的外の記載であるか不明である。
また,後援会が発行名義人となっている広報紙の印刷や配布に要する費用のうち,相応の割合については,政務活動費を充当することができると解すべきである。
したがって,県政ニュース紙の発行名義人が後援会であったとしても,印刷費用の政務活動費への充当は適法である。
(イ) 人件費について
相手方A13の政務活動事務所は,□□連合会事務所及び後援会事務所としても使用されていたが,同人は,専ら政務活動に従事する職員を雇用していたから,人件費については,政務活動費に全額充当することができる。
したがって,原告らの主張は認められない。
(11)  相手方A14の広聴広報費について
ア 原告らの主張
相手方A14は,新聞折込代等11件の議会報告等印刷代として,合計129万0168円を支出し,その全額に政務活動費を充当してるが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記議会報告等印刷代の2分の1である64万5084円分については,違法な政務活動費の充当である。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A14は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) そして,原告らが議会報告等印刷代の政務活動費への充当が違法である旨主張する根拠が不明であり,失当である。
(12)  相手方A15について
ア 原告らの主張
(ア) ホームページ維持管理費
相手方A15は,平成27年4月から平成28年3月まで,月額1万5750円のホームページ維持管理費として1年間で合計18万9000円を支払い,全額に政務活動費を充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる。
(イ) 事務所費について
相手方A15は,政務活動事務所の賃料合計36万円全額を支払い,その全額に事務所費として政務活動費を充当している。
しかしながら,相手方A15の政務活動事務所とされるハイツには,看板も掲出されておらず(甲⑮10),本件手引が定める政務活動事務所の要件としての「事務所としての外形上の形態」を有しているとはいえない。そして,相手方A15のホームページにも,同事務所の所在や電話番号の表示がなく,本件手引が定める「連絡機能が整っている」という要件を満たさない。さらに,政務活動事務所が存在するとされるハイツの部屋は玄関,トイレ及び浴室を含み占有面積が17平方メートルしかなく(甲⑮9),事務所としての機能を有していない可能性が高い。
そして,相手方A15の自宅の入口付近には,相手方A15の看板(甲⑮11)が設置されていることから,政務活動の拠点は自宅である可能性が高い。
以上を総合すると,相手方A15が賃借している事務所が,実際に政務活動に使用されているとはいえない。
したがって,同事務所の賃料として政務活動費に充当したものは,全て違法である。
また,駐車場代の年額9万6000円分も,同様の理由から,全額違法な充当である。
(ウ) 人件費について
相手方A15は,平成27年4月分の給与(月額5万円)の2分の1につき政務活動費を充当し,平成28年5月分以降は給料の全額につき政務活動費を充当しているが,前記(イ)と同様の理由から,政務活動費の充当は,全額違法である。
イ 被告の主張
相手方A15は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
a およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているという原告らの主張には,何ら具体的な根拠がない。
b そして,前記(2)イ(ア)aの理由と同様の理由から,原告らが主張の根拠とする記事も,県民からの意見聴取という政務調査活動に必要な記載である。
c また,前記(2)イ(ア)bの理由と同様の理由により,平成27年度分と平成28年度分のホームページ維持管理費の充当割合が異なっていたとしても,平成27年度における全部充当が違法となることはない。
したがって,原告らの主張は失当である。
(イ) 事務所費及び人件費について
a 相手方A15の政務活動事務所職員は,平成27年4月の間,政務活動のみならず,選挙活動にも従事していたところ,活動実態によって人件費に対する政務活動費の充当割合を決定することが困難であったので,相手方A15は,本件手引に従い,人件費の支出のうち,2分の1を政務活動費に充当した。
b 相手方A15は,原告らのうちの1名と思われる者から,平成30年3月中に看板の有無について電話で質問を受けたが,政党や後援会等の政治活動の看板は設置していないという趣旨で,「看板はない」と回答した。もっとも,政務活動事務所には,入口扉などに,「A15事務所」と表示されている(乙〈31〉7)。
また,同事務所の内部にも執務スペース,応接スペースが存在し,電話及びファックスも備えられて連絡体制も整っている(乙〈31〉7)から,外形的にも機能的にも,政務活動事務所の実態が備わっている。
したがって,原告らの主張は失当である。
(13)  相手方A16について
ア 原告らの主張
(ア) 調査研究費について
相手方A16は,県外調査活動から帰宅するための航空券を収支報告書に添付しているが,領収書を添付していない。そして,航空券の領収書は仮に紛失しても再発行が可能であり,これを提出しないことは,本件手引が例外的に支払証明書の提出を認める場合である「社会慣習その他の事情により領収書が取得できない場合」に該当せず,領収書を提出していない以上,航空券代3万1500円への政務活動費の充当は違法である。
(イ) 広聴広報費について
相手方A16は,チラシ折込料等5件として合計57万8832円を支出し,全額につき政務活動費を充当しているが,上記印刷物の現物には,2割程度の目的外記載が認められるから,支出額の5分の1相当額である11万5765円の充当は違法である。
(ウ) 資料購入費について
a 相手方A16は,文藝春秋や中央公論等の雑誌購読料を支払い,その全額に政務活動費を充当しているが,これらの雑誌は,そのタイトルから県政との直接の関連性は希薄であり,個人的な趣味・関心による面が存することが明らかであるから,雑誌購読料合計2万1910円への政務活動費の充当は,全額違法である。
b 昭和天皇実録,万葉全歌講義,松山本草等の書籍は,前記aと同様の理由により,購入費への政務活動費の充当は全額違法である。
c 聖教新聞を2部購入し,購読料の2分の1に政務活動費を充当しているが,うち1部分の購読料の半額である6769円は,必要性のない違法な支出であるから,政務活動費の充当は違法である。
(エ) 事務費について
a NHK受信料の支払として平成27年4月分として4243円,同年10月分として6365円にそれぞれ政務活動費を充当しているが,私的な支出であり,充当は全額違法である。
b こまどりケーブルテレビの受信料につき,平成27年4月度分の3分の1,他の月分の2分の1に政務活動費を充当しているが,政務活動の上で必要がなく,充当は全額違法である。
c 128ギガバイトの保存容量を有するSDカード2枚を購入し,購入代に政務活動費を充当しているが,研修会の記録程度であれば64ギガバイトのもの1枚で十分であるから,必要不可欠な支出とはいえず,前記SDカード購入代2万9168円の支出のうち,2分の1を超えて政務活動費を充当した部分は,違法である。
d ガソリン代につき,平成27年4月分の3分の1,同年5月分以降の2分の1に政務活動費を充当しているが,県議会本会議開催期間中の昼間の給油や,日帰りの東京出張の日に橿原市で給油している状況などから,全てを相手方A16が使用したとはいえず,複数名による使用が認められる。
したがって,支出額のうち,4分の1のみについて政務活動費の充当ができ,2分の1の充当額と4分の1の充当額の差額分が違法である。
イ 被告の主張
相手方A16は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各政務活動費についての主張は,次のとおりである。
(ア) 調査研究費について
搭乗券について,相手方A16は,往復割引を利用し(乙⑯5,14),本件手引に従って支払証明書(乙⑯5〔5枚目〕)を提出しているから,収支報告書に不備はない。
(イ) 広聴広報費について
県議会議員が,県民から県政に関する意見を聴取することは政務活動に該当する調査活動である。そして,県民として,県議会議員に対して県政に関する意見を述べる場合,そもそも当該議員が県議会議員選挙で当選したのか,どのような人物でどのような活動を行っているのかといったことを広報紙等で把握できなければ,当該議員に対して意見を述べることは困難である。そうすると,当該記載が政務活動の目的から外れているということはできない。
(ウ) 資料購入費について
原告らは,資料購入費に関する支出が政務活動費に充当できないことについて具体的な主張・立証をしておらず,原告らの主張の根拠は不明である。
(エ) 事務費について
a 原告らは,事務費に関する支出に政務活動費を充当できないことについて具体的な主張・立証をしておらず,原告らの主張の根拠は不明である。
b NHK受信料は,政務活動事務所における受信料であるから,原告らの主張は失当である。
c 相手方A16が購入したSDカードが,政務活動と関連性がないものということについて,原告らは何ら主張立証していない。相手方A16は,同SDカードを用いて,自身が出席した研修会や講演会の記録を写真のみならず動画で保存し,事後にその内容を精査して政策提案等に役立てていたのであるから,政務活動に活用されていた。そして,原告らが64ギガバイトで十分であると主張する根拠は不明である。
d ガソリン代について,原告らは相手方A16の車の使用実態については何ら主張・立証しておらず,原告らの主張の根拠は不明である。
相手方A16は,平成27年6月30日の県議会本会議の開催前である同日午後0時6分に天理市内のガソリンスタンドで給油した後,同日午後0時30分過ぎ頃に奈良県議会棟に到着し,同日午後1時からの本会議に出席していた。
また,原告らが主張する東京出張の日付は誤りであり,正しくは平成28年2月20日である(乙⑯13)。相手方A16は同日午前7時9分に榛原駅前の駐車場に入庫し,その後東京出張から戻ってきた同日午後10時41分に出庫した(乙⑯13)。その後,相手方A16は,同日午後10時55分に,宇陀市内のセルフ式ガソリンスタンドで給油しているから(乙⑯8〔129枚目〕),橿原市内で給油していない。
したがって,原告ら主張の給油は,いずれも相手方A16自身が行ったものである。
(14)  相手方A17の広聴広報費について
ア 原告らの主張
相手方A17は,県議会報告等印刷代として,合計7件の印刷を発注し,合計65万3589円を支出し,全額に政務活動費を充当している。
しかしながら,前記発注に係る印刷物につき,議会報告7月号については,現物の5分の1程度が目的外記載であるから,1万9915円が違法な充当である。また,その他6件の印刷発注に係る印刷物は,現物の確認ができないから,その2分の1が政務活動目的であると評価できず,27万7005円の充当が違法である。
また,国政に関する意見を記載した記事は,相手方A17が県政の問題として取り上げている内容ではなく,政務活動目的外の記載である。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A17は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) 原告らが主張の根拠として提出したものは,相手方A17のホームページを印刷したもの(甲⑰8)であり,議会報告そのものではない。
(ウ) 次に,相手方A17の県議会報告のうち,平成27年11月号,平成28年1月号及び同年3月号について,原告らが2分の1を違法な支出である旨主張する根拠は明らかではない。
また,議員の広報紙に当該議員の実績を宣伝する内容の記事が掲載され,また,その一部には,後援会活動など政務活動と直接関連しない記事が含まれていても,当該議員が自らの活動実績を示して,それに対する選挙民の反応や意見を今後の活動に反映させることは本来の政務活動に反するものとはいえない。
(エ) 地方自治法上,普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の公益に関する事件について,国会又は関係行政庁に対して意見書を提出する権限を付与されており,また,普通地方公共団体の長及び議会の全国的連合組織は,地方自治に影響を及ぼす法律又は政令その他の事項に関し,内閣に意見を申し出,又は国会に意見を提出することができるとされている(同法263条の3)から,県民に対して,国政に関する意見を表明することは,政務活動に該当する。
そして,前記(2)イ(ア)aの理由と同様の理由により,原告らが指摘する記載は,相手方A17の人物像や活動内容を示すものであるから,ホームページを通じた調査活動に必要な記載である。
さらに,広報紙の発行者がj党県会議員団であっても,政務活動の目的に沿っているものであるから,政務活動費への充当は適法である。
(15)  相手方A18について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
相手方A18は,平成27年4月分から7月分までは月額1万5750円,同年8月以降は月額1万6200円のホームページ維持費を支払い,合計17万6850円を支出し,全額に政務活動費を充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまり,これを超える充当は違法である。
(イ) 事務所費について
相手方A18は,事務所賃料を平成27年度に合計56万3592円支出し,全額に政務活動費を充当している。
しかしながら,後援会事務所の届出上の所在地は相手方A18の自宅であるが,政務活動事務所は近鉄k駅前に所在しており,政務活動事務所で後援会活動も行う併用型事務所と推認できるから,事務所賃料の2分の1を超えて政務活動費を充当することは許されず,28万1796円が違法な充当である。
イ 被告の主張
相手方A18は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
a およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているという原告らの主張には,何ら具体的な根拠がない。
b 前記(2)イ(ア)aの理由と同様の理由から,相手方A18の活動内容を示した記事の掲載が,政務活動の目的から外れるという原告らの主張は失当である。
c そして,前記(2)イ(ア)bの理由と同様の理由により,平成27年度分と平成28年度分のホームページ維持費の充当割合が異なっていたとしても,平成27年度における全部充当が違法となることはない。
したがって,原告らの主張は失当である。
(イ) 事務所費について
相手方A18の政務活動事務所で政務活動以外の活動が行われているという原告らの主張は根拠が不明であり,失当である。
(16)  相手方A19の広聴広報費について
ア 原告らの主張
相手方A19は,「A19ニュース」等計3件の印刷を発注し,広報紙発行費として65万9112円を支払い,その全額に政務活動費を充当しているが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記広報印刷物費の2分の1である32万9556円分については,違法な政務活動費の充当である。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A19は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) そして,原告らが広報紙発行費の一部の充当を違法と主張する根拠は不明であり,失当である。
(17)  相手方A20の調査研究費について
ア 原告らの主張
相手方A20は,l大学m大学院に通学し,前期分授業料として,支出の4分の3である20万0925円,後期分授業料として26万7900円,通学定期券代2万1770円の合計49万0595円に政務活動費を充当している。
しかしながら,同人の上記大学院への入学が決まったのは平成27年4月の県議会議員選挙の前であるし,大学院への通学は,個人的な技能や資格を取得するという側面もあるから,2分の1の充当にとどめるべきであり,全額を充当したことは違法である。
なお,本件手引における調査研究費に関する「県外政務活動記録簿」は日ごとに作成するように規定されており,一括記録は想定していない。そして,本件手引における調査研究費の使途内容についても,授業料は明記されておらず,調査研究費を支出できる情報収集活動に該当しない。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A20は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) そして,相手A20は,新しい政策の形成と効果的執行を可能にする専門的能力を取得するために大学院に通学しており(乙〈21〉1〔3枚目〕),これは同人の政策立案能力を高め,それを県政に還元することを目的としたものであった。したがって,授業料及び通学費は,県政に関する調査研究に資する。
なお,平成27年4月分の支出について政務活動費が充当されていないのは,相手方A20が,同月実施の県議会議員選挙によって同月29日から県議会議員となり,同月5月分から相手方A20に政務活動費が支給されたためである。
(18)  相手方A21の広聴広報費について
ア 原告らの主張
相手方A21は,議会報告折込の印刷等を5件発注し,同費用のうち,10分の9である288万9324円に広報印刷物費として政務活動費を充当しているが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記広報印刷物費の2分の1である144万4662円分については,違法な政務活動費の充当である。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A21は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) そして,原告らが議会報告折込の印刷費等の一部の充当を違法と主張する根拠は不明であり,失当である。
(19)  相手方A22について
ア 原告らの主張
(ア) 事務費について
コピー機のリース代15万4440円及びトナー代2万8670円の合計である18万3110円は,その全額に政務活動費が充当されている。
しかしながら,相手方A22は,自身のホームページで,後援会事務所の所在地について,政務活動事務所と同一の所在地を記載しており(甲〈24〉4。なお,現在は異なる所在地が記載されている),かつ,電話番号も共通である(甲〈24〉5,6)。また,相手方A22の後援会が発行する「n」という広報紙において,同後援会の所在地及び電話番号として,政務活動事務所と同じ所在地及び電話番号が記載されている。
したがって,政務活動事務所は後援会との併用型事務所であり,リース代等の2分の1を超えて政務活動費を充当することは違法である。
(イ) 人件費について
相手方A22が直接に雇用した職員に対する給与合計121万円については,その2分の1に政務活動費が充当され,派遣会社から派遣を受けた職員に対する給与合計175万3460円は,その全額に政務活動費が充当されている。
しかしながら,前記例のとおり,政務活動事務所は併用型事務所である。また,前記後援会の平成27年度分の収支報告書上の人件費は0円とされている。そして,平成29年度の雇用状況報告書によれば,派遣社員が雇用され,その業務は,秘書兼運転手であったから,平成27年度に雇用した派遣社員と同一人物であれば,同年度分の業務について,政務活動専任であったということはできない。さらに,平成29年度分の人件費については,2名の派遣職員の給与を,いずれも2分の1の按分割合で政務活動費に充当している。
したがって,平成27年度に雇用した派遣職員の給与に関する人件費の2分の1を超えて政務活動費を充当することは違法である。
イ 被告の主張
相手方A22は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各政務活動費についての主張は,次のとおりである。
(ア) 事務費について
相手方A22は,政務活動事務所を専ら政務活動に用いていたため,同事務所専用のコピー機のリース代及びトナー代の全額に政務活動費を支出することは,適法である。
(イ) 人件費について
a 相手方A22は,政務活動事務所に雇用する職員2名のうち1名を政務活動に専従させ,もう1名は政務活動事務所と後援会事務所の両方の業務に従事させた。
したがって,前者の人件費については全額に政務活動費を充当し,後者については人件費の2分の1の按分割合で政務活動費を充当したものである。
b 原告らが主張の根拠とするホームページ上の記載(甲〈24〉4)は誤記であったため,平成29年3月に正しい情報に訂正した(乙〈24〉3)。訂正前の記載が誤記であったことは,相手方A22の後援会が平成27年度収支報告書に記載した所在地と,前記訂正前ホームページ上に記載された所在地が異なることから明らかである。
また,政務活動事務所の電話番号(乙〈24〉3)は後援会事務所の電話番号と異なるから,原告らの主張は事実と異なる。
なお,相手方A22の後援会が平成28年1月に発行した広報紙の発行者欄には,「後援会広報部」と記載され,電話番号及びFAX番号は後援会事務所のものが正しく記載されている(乙〈24〉4)が,所在地は政務活動事務所のものが誤って記載されている。これは,上記広報紙を担当する職員が,政務活動と後援会活動の両方に従事していたため,誤って政務活動事務所の所在地を記載したものである。
(20)  相手方A23の広聴広報費について
ア 原告らの主張
(ア) 相手方A23は,ホームページ維持管理費合計18万7398円を支出し,全額に政務活動費を充当しているが,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまる。
(イ) 被告は,原告らが指摘する「奈良県議会A23のホームページ」は,相手方A23が政務活動費を充当しているものではない旨主張するが,相手方A23のホームページとしては,前記ホームページと,「奈良県会議員A23」と題するホームページの併せて2つが存在し,いずれも同人が奈良市議会議員であったときの記事がほとんどであって,県議会議員に選出されてからの活動に関する記事は少ない。さらに,後者のホームページに掲載されている「A23通信」は,後援会が作成名義人である。
したがって,後援会活動にも政務活動費が充当されているというべきである。
また,記事内容においても,当選の御礼等の記事は,政務活動目的ということはできない。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A23は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) そして,およそ全てのホームページが本来的に自己宣伝を目的としているという原告らの主張には,何ら具体的な根拠がない。
(ウ) また,議員が作成するホームページについては,議員から有権者である県民に対して様々な情報が提供されることによって適切な判断が形成され,政治的,行政的課題に対する県民の意向が当該議員に示されるという相互作用が全く期待できないような記事の掲載がある場合でない限り,当該ホームページに係る費用に政務活動費を支出することは適法である。
原告らが指摘する「A23通信」は,相手方A23の奈良市議会議員時代の答弁を記載したものであるが,同人の市議会議員時代の活動内容は,同人の人物像や政策を示し,これを読んだ県民から県政に関する意見や情報を聴取することにつながる記事であり,上記相互作用が十分に期待できる。
さらに,「A23だより」の記事も,奈良県内における台風による災害について,u党の代表や奈良県議会議員等が調査を行ったという記事であり,相手方A23が市議会議員の頃の記事ではあるものの,所属する政党が奈良県内の災害の対策に注力していることを示すもので,これを読んだ県民から,県政に対する意見や情報を聴取することが期待できる。
したがって,相手方A23の記事は全て政務活動目的に沿うものであり,作成者が後援会となっている部分があっても,支出全額に政務活動費を充当することは適法である。
(エ) また,前記(2)イ(ア)bの理由と同様の理由により,平成27年度分と平成28年度分のホームページ維持管理費の充当割合が異なっていたとしても,平成27年度における全部充当が違法となることはない。
したがって,原告らの主張は失当である。
(21)  相手方A24について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費について
相手方A24は,「県政ニュース」等計6件の印刷を発注し,合計77万8931円を支出して全額に政務活動費を充当しているが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記広報印刷物費の2分の1である38万9465円分については,違法な政務活動費の充当である。
(イ) 事務所費について
相手方A24は,平成27年5月から平成28年3月分までの事務所賃料(駐車場,光熱費を含む。)合計85万9058円を支出し,全額に政務活動費を充当している。
後援会事務所の収支報告書上の所在地は同人の自宅に置かれているものの,同人の自宅は閑静な住宅地にあり,政務活動事務所とも距離が隔たっているから,政務活動事務所において後援会事務も行わざるを得ないし,後援会の会員も政務活動事務所を利用せざるを得ないから,併用型事務所である。
したがって,前記充当額の2分の1である42万9529円は違法な充当である。
(ウ) 人件費について
平成27年5月から平成28年3月までの人件費に全額政務活動費を充当しているが,前記(イ)と同様の理由から,充当額のうち2分の1である48万2750円は違法な充当である。
イ 被告の主張
相手方A24は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
原告らが広報紙発行費の一部の充当が違法である旨主張する根拠は不明である。
(イ) 事務所費及び人件費について
原告らが,相手方A24の政務活動事務所において後援会活動が行われている旨主張する根拠が不明である。
(22)  相手方A25の広聴広報費について
ア 原告らの主張
相手方A25は,「県政報告作成費」等合計2件の印刷費用として58万2762円を支出し,その全額に政務活動費を充当しているが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記広報印刷物費の2分の1である29万1381円分については,違法な政務活動費の充当である。
イ 被告の主張
(ア) 相手方A25は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。
(イ) そして,原告らが県政報告作成費等の一部への政務活動費の充当が違法であると主張する根拠は不明である。
(23)  相手方A26について
ア 原告らの主張
(ア) 広聴広報費ついて
相手方A26は,広報誌発行費として38万1510円を支出し,その4分の3である28万6132円に政務活動費を充当しているが,現物を確認できないから,その2分の1が政務活動目的とは評価できず,上記広報印刷物費の2分の1相当額と4分の1相当額の差額であるである9万5377円分については,違法な政務活動費の充当である。
(イ) 事務費について
相手方A26は,プリンター代9万7200円全額に政務活動費を充当している。
しかしながら,相手方A26の政務活動事務所は,同人の後援会作成の収支報告書に記載された所在地と同一であり,かつ,同事務所は株式会社oの本社所在地でもあることから,部屋を区分して利用していることは明らかでなく,後援会等との併用型事務所であるから,2分の1を超える充当は違法である。
イ 被告の主張
相手方A26は,平成27年度の政務活動費について,本件条例,本件規程及び本件手引に則って適法に収支報告書等を提出しているから,同人による同年度の政務活動費の支出は適法と推定される。各費目についての主張は,次のとおりである。
(ア) 広聴広報費について
原告らが広報誌発行費の一部への政務活動費の充当が違法であると主張する根拠は不明である。
(イ) 事務費について
相手方A26の政務活動事務所と後援会事務所が同一であるという原告らの主張の根拠が不明である。
第3  当裁判所の判断
1  主張立証責任の所在について
(1)  本件は,原告らが,被告に対し,相手方議員らに対して不当利得返還請求権を行使するよう求めるものである。したがって,奈良県が上記不当利得返還請求権を有することについては,原告らがその発生原因事実を主張立証しなければならない。すなわち,原告らは,本件においては,その主張する相手方議員らの支出に対する政務調査費ないし政務活動費の充当が法律上の原因を欠くものであること,言い換えれば,上記支出が政務調査費ないし政務活動費に該当しないことを主張立証しなければならない。
(2)  もっとも,政務調査費ないし政務活動費は,これが議員の政策立案のための調査研究その他の活動の重要性に鑑み,これに資するため必要な経費の一部として議員に交付されるようになったという制度趣旨に照らし,適正な支出が求められることはいうまでもないし,具体的な支出の使途の適否ないし当否については,最終的には,住民の政治的判断に委ねられるべきものというべきである。
しかしながら,前記第2の2の関係法令等の定めに加え,証拠(乙〈31〉1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,奈良県では,政務調査費ないし政務活動費について,本件条例及びその施行に関して必要な事項を定めた本件規程を制定し,政務調査費ないし政務活動費の使途に関して基準を定め,さらに,政務調査費ないし政務活動費の運用方針を定めた本件手引を参照することとしてこれを周知させ,もって政務調査費ないし政務活動費の支出の適正を確保していることが認められる。これらの定めによれば,政務調査費ないし政務活動費の交付を受けた議員は,県議会議長に対し,所定の収支報告書を提出しなければならないが,これには,支出した項目ごとに支出額,主たる支出の内訳を記載し,支出の裏付けとなるべき領収書等を添付すべきことが定められており,政務調査費ないし政務活動費を支出金の一部に充当・按分する場合には,按分率及び政務調査費ないし政務活動費の支出額を記載することとされている。政務調査費ないし政務活動費についてこのような定めがされているのは,議会における議員の上記活動の重要性に鑑み,議員の自由な調査研究その他の活動を確保し,もって議会の審議能力を強化するという政務調査費ないし政務活動費制度の趣旨を実現するとともに,その支出の適正を図ることにあるものと考えられる。そして,政務調査費ないし政務活動費の支出を受けた議員は,これらの定めるところに従い,所定の記載をした収支報告書等を提出した場合には,それぞれの政務調査費ないし政務活動費の支出については,一応上記報告書どおりに行われたものと推認される。
したがって,これらの収支報告に係る政務調査費ないし政務活動費の支出のうち目的外支出があって,これが議員において不当利得となると主張するのであれば,当該支出が違法ないし不当であるとする者(本件では原告ら)において,これを主張立証しなければならないものと解するのが相当である。
以上を前提に,以下,本件の争点について検討する。
2  争点(1)(相手方A1)について
(1)  事務所費について
ア 証拠(甲①4ないし6,乙①1ないし3〔枝番があるものは枝番を含む。〕)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A1は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,有限会社奈良ハウジングセンターに対し,自らの政務活動事務所の賃料合計90万円につき,本件手引に従い,その全額につき,事務所費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙①1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A1の政務活動事務所には,A3議員,A4議員及び相手方手A1によるa党演説会(平成27年5月29日開催)のポスターが,建物入口側に3枚,裏側に2枚貼り出されている(甲①4,6)
(ウ) 相手方A1は,平成27年度中において,a党奈良県総支部連合会幹事長を務めていた(甲①5,弁論の全趣旨)。
(エ) 前記a党奈良県総支部連合会の主たる事務所所在地は,奈良市〈以下省略〉であり,相手方A1の政務活動事務所とは異なる場所に所在していた(乙①3,弁論の全趣旨)。
イ(ア) 原告らは,相手方A1の政務活動事務所にa党演説会のポスターが複数枚貼り出されていることから,相手方A1の政務活動事務所は,政治家の宣伝活動が行われている拠点といえ,当該事務所は政務活動とそれ以外の活動が行われている併用型事務所であると推認できるから,賃料額の全額を充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,政務活動事務所の壁面や周囲に政党の演説会のポスターが掲示されている場合に,当該政務活動事務所において,当然に政務活動以外の活動が行われていると推認することはできない。
(イ) また,原告らは,相手方A1は,平成27年度中において,a党奈良県総支部連合会幹事長を務めていたことから,政務活動事務所においても,政党活動が行われていたといえる旨主張する。
しかしながら,議員が所属政党において役職に就いているという事実が,政務活動事務所において,政党活動が行われているという事実を推認させる根拠となるものではない。また,平成27年度中に相手方A1の所属していたa党奈良県総支部連合会の主たる事務所の所在地は,相手方A1の政務活動事務所とは異なる場所に所在している(前記ア(エ))から,政務活動事務所において政党活動が行われていたという事実を推認させるとはいえない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張はいずれも採用することができない。
(2)  人件費について
ア 証拠(乙①1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A1は,平成27年4月については,政務調査活動業務のために雇用した職員2名に対し,日当等合計16万3800円を支払い,同年5月から同年11月については,同業務のために雇用した職員1名に対し,合計66万6900円を支払ったこと,そのうち,同年4月における1名分の人件費につき2分の1相当額を,同月における他の1名分の人件費及び同年5月から平成28年3月までの人件費の全額に人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙①1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A1の政務活動事務所は後援会との併用型事務所であるから,同事務所における業務も,政務活動に関するものとそれ以外のものが含まれ,これらの業務を明確に区別できない以上,2分の1を超えた政務活動費へ充当は違法である旨主張する。
しかしながら,前記(1)イ(ア)及び(イ)で判示したとおり,相手方A1の政務活動事務所が併用型事務所であるということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
3  争点(2)(相手方A5)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(乙②1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A5は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,奈良新聞コミュニケーションズに対し,ホームページ作成管理費名目で合計19万4400円を支払い,本件手引に従い,そのうち18万3600円(平成27年4月分のホームページ作成管理費1万6200円については3分の1相当額,同年5月分から平成28年3月分までの同費用については全額)につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙②1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ(ア) 原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,議員によるホームページの開設が本来的に自己宣伝目的を有しているというべき根拠はない。そして,県民が議員に対して県政に関する意見を述べる場合には,まず議員の経歴や活動等を調査し,意見を述べる前提となる事実を確認したり,これに基づいて意見を述べる相手を選択したりするのが通常である。したがって,議員によるホームページの開設は,政務活動目的に資するものであり,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
(イ) また,原告らは,相手方A5が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ維持管理費等の全額に政務活動費を充当していたにもかかわらず,平成28年度のホームページ維持管理費については,2分の1の按分割合において政務活動費を充当しており,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ維持管理費等についても,2分の1を超えて政務活動費を充当するのは違法である旨主張する。
しかしながら,本件条例,本件規程及び本件手引においても,政務活動に関連する全ての支出を政務活動費に充当することを義務付けた規定は存在しない。そして,年度内に,本件条例,本件規程及び本件手引で政務活動費の支出が許容される範囲内で,実際の支出額のうち,どの程度の割合で政務活動費を充当するかは,政務活動費の交付を受けた各議員の判断に委ねられているから,平成28年度における政務活動費の按分割合が,平成27年度の同割合から減少していたとしても,翻って平成27年度のホームページ作成管理費全額に広聴広報費として政務活動費を充当したことが違法であるという根拠にならない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(乙②1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A5は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,古市工務店に対し,自らの政務活動事務所の賃料合計82万2000円を支払い,本件手引に従い,そのうち77万6333円(平成27年4月分の賃料6万8500円については3分の1相当額,同年5月分から平成28年3月分までの賃料については全額)につき,事務所費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙②1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ(ア) 原告らは,相手方A5が平成26年度内に発行した広報紙においては,政務活動事務所と後援会事務所について,同一の所在地が記載されており,かつ,平成27年4月の県議会議員選挙の際には,政務活動事務所において選挙活動が行われていたことから,相手方A5の政務活動事務所は,後援会等との併用型事務所であり,使用実態による按分が困難であるから,2分の1を超えた政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,原告らは,政務活動事務所と後援会事務所の所在地が同一である旨主張する根拠となる広報紙等を証拠として提出しておらず,その記載内容は不明である。そして,平成26年度内に発行した広報紙において,政務活動事務所及び後援会事務所の所在地について,同一の住所を記載したのは誤記であったという被告の主張が虚偽であることを認めるに足りる証拠もない。
(イ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(3)  人件費について
ア 証拠(乙②1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A5は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動の補助業務のために雇用した2名の職員に対し,給与合計80万1000円を支払い,本件手引に従い,そのうち73万6250円(平成27年4月分の給与合計9万7125円については3分の1相当額,同年5月分から平成28年3月分までの給与については全額)につき,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙②1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A5の政務活動事務所は,後援会等との併用型事務所に該当するから,政務活動費を充当した人件費の2分の1は,違法な充当である旨主張する。
しかしながら,前記(2)イ(ア)及び(イ)で判示したとおり,相手方A5の政務活動事務所が併用型事務所であるということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
4  争点(3)(相手方A6)について
(1)  事務所費について
ア 証拠(甲③5,6,乙③1ないし3,5,6,乙〈31〉7)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A6は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,奈良県わた寝装品協同組合に対し,自らの政務活動事務所の賃料として合計134万4000円を口座引落しの方法で支払い,本件手引に従い,その全額につき,事務所費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙③1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 平成27年4月に撮影されたグーグルマップ上における相手方A6の政務活動事務所が入居する建物の敷地出入口の写真には,「奈良県議会議員 A6 後援会」と記載された看板が立て掛けられている様子が写されている(甲③5)。また,相手方A6の後援会(A6サポーターズ・ネット)のホームページには,平成23年4月の県議会議員選挙の際に,相手方A6の政務活動事務所が入居する建物の敷地において,相手方A6の後援会員らが集合している様子が写されている(甲③6,乙〈31〉7,弁論の全趣旨)。そして,同時期における政務活動事務所の入居する建物1階部分の窓ガラスには,右向き矢印記号とともに,「選挙事務所はあちらです。」と記載された張り紙が掲出されていた(甲③6,乙③3,弁論の全趣旨)。
(ウ) 相手方A6の政務活動事務所の所在地は「奈良県橿原市〈以下省略〉」であり,同人の後援会事務所の所在地は「奈良県橿原市〈以下省略〉」である(乙③5,6,弁論の全趣旨)。
イ(ア) 原告らは,相手方A6の政務活動事務所には後援会の看板が掲出されており,後援会事務所のない場所に同事務所が存在するかのような看板を設置することはないはずであるし,設置に当たって相手方A6にも了解を得ているはずであるから,相手方A6の政務活動事務所は後援会との併用型事務所であって,2分の1を超えて政務活動費に充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,相手方A6の政務活動事務所と,同人の後援会の届出上の所在地は異なっている(前記ア(ウ))から,相手方A6の政務活動事務所が入居する建物の敷地の出入口に後援会の看板が設置されているとしても,政務活動事務所が後援会事務所として利用されていたと推認することはできない。そして,一般的に,政務活動事務所の前に後援会の看板が存在していたとしても,必ずしも政務活動事務所が後援会との併用型事務所であるということまで推認できるものではない。
(イ) また,原告らは,相手方A6の政務活動事務所前で撮影された,後援会員が集合する写真から,政務活動事務所と後援会事務所が同一である旨主張するが,前記写真は,平成23年4月に実施された県議会議員選挙の際の様子を撮影したものであるから(前記ア(イ)),平成27年度中に,政務活動事務所において後援会活動が行われていたことを推認させる根拠とはいえない。そして,政務活動事務所のガラス戸には,選挙事務所の場所を示す張り紙が掲出されており(前記ア(イ)),政務活動事務所と選挙事務所も明確に区別されていたことが認められる。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  人件費について
ア 証拠(乙③1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A6は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動の補助業務のために雇用した職員に対し,給与合計140万円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙③1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A6の政務活動事務所が後援会との併用型事務所であり,職員の活動実態が明確でないから,人件費について,2分の1を超えて政務活動費を充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,前記(1)イ(ア)及び(イ)で判示したとおり,相手方A6の政務活動事務所が後援会との併用型事務所であるということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
5  争点(4)(相手方A7)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(乙⑤1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A7は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,奈良新聞コミュニケーションズに対し,ホームページ管理費名目で合計24万9480円を支払い,本件手引に従い,そのうち23万5620円(平成27年4月分のホームページ管理費2万0790円については3分の1相当額,同年5月分から平成28年3月分までの同費用については全額)につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑤1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ(ア) 原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(ア)後段で説示した理由と同様の理由から,議員によるホームページの開設は政務活動目的に資するものであり,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
(イ) また,原告らは,相手方A7が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ管理費の全額に政務活動費を充当していたにもかかわらず,平成28年度のホームページ管理費については,2分の1の按分割合において政務活動費を充当しており,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ管理費等についても,2分の1を超えて政務活動費を充当するのは違法である旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(イ)後段で説示した理由と同様の理由から,平成27年度の政務活動費への充当が違法となるとはいえない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(甲⑤7,8,10,乙⑤1,2,4,5)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A7は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,山本工務店に対し,自らの政務活動事務所の賃料合計42万円を支払い,本件手引に従い,そのうち40万5999円(平成27年4月分の賃料3万5000円については30分の18相当額,同年5月分から平成28年3月分までの賃料については全額)につき,事務所費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑤1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) グーグルマップ上に掲載されている相手方A7の政務活動事務所付近の写真について,平成27年3月に撮影されたものには,同政務活動事務所の出入口付近に看板が存在しない(乙⑤5)が,同年4月に撮影された写真には,同事務所の出入口付近に,「dクラブ A7 後援会事務所」と記載された看板が立て掛けられている様子が写されている(甲⑤8)。また,平成28年1月19日に相手方A7の政務活動事務所の外観を撮影した写真にも,平成27年4月に立て掛けられていた場所と同じ場所に,前記看板が立て掛けられている様子が写っている(甲⑤10)。
(ウ) 相手方A7の政務活動事務所の所在地は,「奈良県香芝市〈以下省略〉」であり,相手方A7の後援会である「dクラブ(A7後援会)」の所在地は,「奈良県香芝市〈以下省略〉」である(甲⑤7,乙⑤4,弁論の全趣旨)。
イ(ア) 原告らは,相手方A7の政務活動事務所入口に同人の後援会の看板が存在しており,政務活動事務所である旨の看板が存在しないこと,平成27年4月の県議会議員選挙の際には,政務活動事務所が選挙事務所として届け出られていること,政務活動事務所の1階には机が2台置かれているのみで,応接設備も見られないことなどから,同人の政務活動事務所は,後援会との併用型事務所であり,賃料の2分の1を超えて政務活動費を充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,相手方A7の政務活動事務所の所在地と,同人の後援会の届出上の所在地は異なっている(前記ア(ウ))から,相手方A7の政務活動事務所の出入口付近に後援会の看板が存在しているとしても,政務活動事務所が後援会活動に利用されていたと推認することはできない。
(イ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(3)  人件費について
ア 証拠(乙⑤1ないし3)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A7は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動の補助業務のために雇用した職員2名に対し,給与合計199万2000円を支払い,そのうち193万8450円(平成27年4月支払分の給与合計16万6000円については31分の21相当額,同年5月支払分から平成28年3月支払分までの給与については全額)につき,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑤1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) その後,相手方A7は,政務活動事務所の職員2名が,平成27年4月1日から同月12日の県議会議員選挙の期間,専ら選挙活動に従事していたため,同月分の人件費については30分の18に政務活動費を充当すべきであったのにこれを失念していたことに気付き,平成30年1月29日付けで平成27年度政務活動費収支報告書の訂正届を奈良県議会議長に提出し,2名の政務活動補助職員に対する平成27年5月支払分の給与額につき,30分の18の按分割合で政務活動費を充当する旨の訂正を行った。もっとも,これによる残余額は生じなかった(乙⑤3)。
イ 原告らは,相手方A7の政務活動事務所が後援会との併用型事務所に当たるから,同事務所において雇用されている職員の給与の2分の1を超えて政務活動費を充当することは違法である旨主張している。
しかしながら,前記(2)イ(ア)及び(イ)で判示したとおり,相手方A7の政務活動事務所が併用型事務所であるということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
6  争点(5)(相手方A9)について
(1)  広聴広報費について
ア 広報紙発行費について
(ア) 証拠(甲⑥9,10,14,17,乙⑥1,2)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
a 相手方A9は,佐川フィナンシャル株式会社に対し,平成27年7月11日付けで,「A9通信夏号印刷代」として合計15万7870円を,同年11月19日付けで,「A9通信ポスティング代」として9万2400円を,マキムク印刷所に対して,同月30日付け及び平成28年1月29日付けで,「A9通信秋号印刷代」及び「A9通信春号印刷代」として合計26万円を支払い,これら全額について,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑥1,2)を奈良県議会議長に提出した。
b 相手方A9が発行した広報紙には,相手方A9の県議会における活動や,出席した県内行事の概要,各活動時の同人の様子を撮影した写真等が掲載されている(甲⑥9,10,14,17)。
(イ) 原告らは,前記A9通信等の記載内容について,現物を確認すると,5分の1が政務活動目的とは評価できないため,政務活動費への充当額のうち,5分の1は違法である旨主張する。
しかしながら,相手方A9の広報紙の記載内容は,県民が議員に対して県政に関する意見を述べる場合に,その議員がどのような活動を行っているかといった事実を確認したり,これに基づいて意見を述べる相手を選択したりすることに資するものである。そうすると,前記広報紙は,議員の政務活動に資するものということができるから,政務活動に関連しないということはできない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
イ ホームページ維持費等について
(ア) 証拠(乙⑥1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A9は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,住信パナソニックフィナンシャルサービス株式会社に対し,ホームページ維持費の名目で,自動引落しの方法により合計12万6000円を支払い,本件手引に従い,その全額について,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑥1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
(イ)a 原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(ア)後段で説示した理由と同様の理由により,議員によるホームページの開設は政務活動目的に資するものであり,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
また,原告らが,相手方A9のホームページに政務活動目的でない記事が掲載されている旨主張する根拠として提出した写真(甲⑥11,12)は,ソーシャルネットワーキングサービスであるフェイスブック上に相手方A9が掲載した写真であり,フェイスブックのアカウント作成等に費用はかからないから,前記各写真等は原告らの主張の根拠とならない。
b また,原告らは,相手方A9が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ維持費を全額政務活動費として支出していたにもかかわらず,平成28年度のホームページ維持費については,2分の1の按分割合において政務活動費に充当しており,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ維持費についても,2分の1を超えて政務活動費を支出するのは違法である旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(イ)後段で説示した理由と同様の理由から,平成27年度の政務活動費への充当が違法となるとはいえない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(甲⑥9,10,14ないし18,乙⑥1ないし3,乙〈31〉7,8)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A9は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,自らの政務活動事務所の賃料合計108万円を支払い,本件手引に従い,その全額について,事務所費として政務活動費を支出した。また,同人は,上記期間,堀川モータープールに対し,政務活動事務所利用のための駐車場賃料合計21万6000円を支払い,本件手引に従い,その全額について,事務所費として政務活動費を支出した。そして,前記各支出について,同年4月30日までに,その内容を記載した収支報告書(乙⑥1,3)を奈良県議会議長に提出した。
その後,相手方A9は,平成27年4月1日から同月12日の県議会議員選挙の期間,政務活動事務所を選挙活動にも利用していたため,同月分の事務所賃料については2分の1を政務活動費に充当すべきであったのにこれを失念していたことに気付き,平成28年6月13日付けで,平成27年度4月分政務活動費収支報告書の訂正届を奈良県議会議長に提出し,平成27年4月分の事務所賃料につき,2分の1の按分割合で政務活動費に充当する旨の訂正を行った。これによる残余額は,後記(3)の人件費の訂正と併せて8万5000円であり,相手方A9は,同額を奈良県に返還した(乙⑥2,弁論の全趣旨)。
(イ)a 相手方A9の政務活動事務所の所在地は,「奈良県桜井市〈以下省略〉」所在のpビル2階及び3階であり,同人の後援会事務所は,同ビル内に所在している(甲⑥16,18,乙〈31〉7)。
b 同ビル1階の入口から建物内に入り,正面に進んだ先に相手方A9の政務活動事務所がある。そして,同事務所には,事務室や応接室があり,応接室には電話機が備えられている(乙〈31〉7,弁論の全趣旨)。
c また,平成27年9月に撮影されたグーグルマップ上の同ビル1階の写真には,ガラス戸に後援会事務所が所在する旨の表示はされていない様子が写されている(甲⑥15)が,平成28年頃に,同ガラス戸に「A9後援会事務所」と表示するようになった(乙〈31〉8,弁論の全趣旨)。
d さらに,相手方A9の政務活動事務所が入居する建物の前に,自動車が3台駐車することができる駐車場が存在しており,相手方A9は,これを賃借していた(乙⑥1,3,弁論の全趣旨)。
(ウ) 相手方A9の発行する広報紙に記載された電話番号と,同人の後援会が収支報告書に記載した電話番号は同一であった(甲⑥9,10,14,16ないし18)
イ(ア) 原告らは,相手方A9の政務活動事務所の所在地及び電話番号は,同人の後援会が奈良県選挙管理委員会に提出した収支報告書に記載された所在地及び電話番号と同一であるから,政務活動事務所は後援会との併用型事務所である旨主張する。
しかしながら,相手方A9の後援会事務所には電話機が備えられていること(前記ア(イ)b)や,相手方A9の政務活動事務所及び後援会事務所は同一の建物に所在し,政務活動事務所がその2階及び3階,後援会事務所が同建物の1階に所在していること(前記ア(イ)a及びb)に照らすと,後援会事務所の収支報告書上の所在地及び電話番号が,政務活動事務所の所在地及び電話番号と同一であったとしても,政務活動事務所において後援会活動が行われていたとは推認されない。
(イ) また,原告らは,平成27年9月時点では,相手方A9の後援会事務所の所在地とされる建物の1階には,後援会事務所の存在を示すものがないこと,後援会の収支報告書上の人件費は0円であり,その他の支出も12万円であることから,相手方A9の後援会事務所は実態がなく,政務活動事務所において後援会活動が行われていた旨主張する。
しかしながら,後援会の会員が,後援会事務所の所在を認識している場合,後援会事務所の所在を示す看板等が必要であるということはできないから,後援会事務所の存在を示すものがないからといって,後援会事務所が存在していないと推認することはできない。また,後援会の活動に伴って必ず人件費が発生するとみるべき根拠はないから,後援会の人件費が0円であっても不自然,不合理とはいえず,その他の支出が12万円であるからといって,後援会事務所の実態がないということもできない。
したがって,相手方A9の政務活動事務所において,後援会活動が行われていたと認めることはできない。
(ウ) さらに,原告らは,相手方A9の政務活動事務所が後援会との併用型事務所であることを前提に,政務活動費を支出して賃借している駐車場は,後援会活動にも使用されているから,本件手引に従い,駐車場賃料を2分の1を超えて政務活動費に充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,前記(ア)及び(イ)で判示したとおり,相手方A9の政務活動事務所が後援会事務所との併用型事務所であるということはできないから,原告らの上記主張は前提を欠くものである。また,相手方A9の後援会の会員が,相手方A9の政務活動事務所の駐車場を利用していたことを認めるに足りる証拠もないから,相手方A9が駐車場賃料を全額政務活動費に充当したことが違法であるということはできない。
(エ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(3)  人件費について
ア 証拠(乙⑥1ないし3)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A9は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動の補助業務のために雇用した職員に対し,給与合計96万円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑥1,3)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) その後,相手方A9は,政務活動事務所の職員が,平成27年4月に実施された県議会議員選挙の期間,選挙活動にも従事していたため,同月分の人件費については,本件手引に従い,2分の1を政務活動費に充当すべきであったのに,これを失念していたことに気付き,平成28年6月13日付けで平成27年度4月分政務活動費収支報告書の訂正届を奈良県議会議長に提出し,政務活動補助職員に対する平成27年4月の給与額につき,2分の1の按分割合で政務活動費に充当する旨の訂正を行った。これによる残余額は,前記(2)の事務所費の訂正と併せて8万5000円であり,相手方A9は,同額を返還した(乙⑥2,弁論の全趣旨)。
イ 原告らは,相手方A9の政務活動事務所が後援会との併用型事務所に当たるから,同事務所において雇用されている職員の給与の2分の1を超えて政務活動費に充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,前記(2)イ(ア)及び(イ)で判示したとおり,相手方A9の政務活動事務所が併用型事務所であるということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
7  争点(6)(相手方A2)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(乙⑦7)及び弁論の全趣旨によると,相手方A2は,平成27年12月8日付け及び平成28年3月30日付けで,株式会社明新社に対し,「県政だより印刷代」名目で合計101万8656円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑦7)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A2の前記県政だよりの内容が確認できず,記載の実態が明らかではないから,本件手引に従い,2分の1を超える政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A2の前記県政だよりの掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(甲⑦2,乙⑦1ないし7)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A2は,政務活動事務所における電気代として,同事務所が所在する建物の賃貸人であるf株式会社からの請求に従い,平成23年4月から平成24年3月までの期間で合計43万2518円,同年4月から平成25年3月までの期間で合計44万9938円,同年4月から平成26年3月までの期間で合計52万3881円,同年4月から平成27年3月までの期間で合計55万4059円,同年4月から平成28年3月までの期間で合計57万9244円を,いずれも各月末日付けで支払い,本件手引等に従い,そのうち,合計130万5998円(平成24年度までは政務調査費,平成25年度以降は政務活動費。平成27年4月分については3分の1相当額,その他の月については2分の1相当額)を,事務所費として政務調査費ないし政務活動費を支出し,それぞれ本件条例に定める提出期限までに,各年度の充当額等を記載した収支報告書(乙⑦1ないし7)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A2の政務活動事務所及び後援会事務所は,「奈良県大和高田市〈以下省略〉」に所在するgビル1階部分に入居している。そして,同建物の2階及び3階にf株式会社,h株式会社,株式会社iが入居している(甲⑦2,弁論の全趣旨)。
同建物の所有者であるf株式会社は,同建物に係る電気代を一括して電力会社に支払い,その支払額を同建物の入居者らの使用率に基づいて按分し,各入居者に対して請求している(弁論の全趣旨)。
(ウ) f株式会社の代表取締役A10は,相手方A2の妻である(弁論の全趣旨)。
イ(ア) 原告らは,相手方A2の政務活動事務所が入居する前記gビルの電気代は,電力会社から一括して賃貸人であるf株式会社に対して請求されているのであるから,電気代の割り付けにおいては,入居者の負担割合が合理的に定められていることが必要であり,相手方A2は,負担割合について,事務所の図面等を提示して不透明な部分を提示すべきであるのにこれをしていない旨主張する。
しかしながら,前記gビルの所有者はf株式会社であり,相手方A2とは独立した別人格を有する法人であるから,同社が計算して請求した電気代の按分割合を示す根拠を,相手方A2が収支報告書に添付して提出すべき根拠は,本件条例,本件規程及び本件手引にも見当たらない。そうすると,相手方A2は,電気代に関する領収書を収支報告書に添付して提出すれば足り,これは,f株式会社の代表取締役が相手方A2の妻であったとしても異なるものではない。
したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(イ) また,原告らは,政務活動事務所の電気代が年々増加しており,同ビルの他の入居者による電力利用の増加によってこれが引き起こされているといえることや,政務活動事務所の人件費は後援会事務所の人件費の4分の1程度であることから,政務活動費に充当できるのは多くとも電気代の4分の1である旨主張する。
しかしながら,前記(ア)後段で判示したとおり,相手方A2としては,請求された電気代につき,領収証を収支報告書に添付すれば足りるから,原告らが主張する事実関係が認められるとしても,相手方A2による政務活動費の支出が違法となるものではない。
(ウ) さらに,原告らは,平成28年度には電気代を事務所費として政務活動費に充当していない旨主張するが,政務活動費として認められる支出に政務活動費を充当する場合,どの費目に充当するかは各議員の選択に委ねられているといえるから,原告らの上記主張は採用することができない。
(エ) 原告らは,電気代に関する領収証によると,平日若しくは休日又は祝日であるかを問わず,各月末日付けで支払われていることは不合理である旨主張するが,毎月末日払いの約定でこうした領収証が作成されることは特段不自然とはいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。
8  争点(7)(相手方A28の広聴広報費)について
(1)  証拠(乙⑧1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A28は,平成27年11月12日付けで,吉田印刷工業所に対し,B4版新聞印刷代等として33万7214円を支払い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑧1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
(2)  原告らは,相手方A28の前記広報紙の内容が確認できず,記載の実態が明らかではないから,本件手引に従い,2分の1を超える政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A28の前記広報紙の掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
9  争点(8)(相手方A11)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(乙⑩1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A11は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,office-joy8@に対し,ホームページ・ブログ管理更新料等として合計38万8800円を支払い,本件手引に従い,そのうち37万2600円(平成27年4月分のホームページ・ブログ管理更新料については2分の1相当額,同年5月から平成28年3月までの同費用については全額)につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑩1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ(ア) 原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(ア)後段で説示した理由と同様の理由により,議員によるホームページの開設は政務活動目的に資するものであり,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
原告らは,相手方A11のホームページ画面を印刷した写真(甲⑩7,8,14)を提出し,同人のホームページが自己宣伝目的を有する旨主張するが,いずれのホームページも,議会における活動や議員の当選報告等に関するものであって,相手方A11自身の政治的関心事項及び参加政党を示すものに過ぎず,これ自体が自己宣伝目的を有しているとはいえないし,相手方A11の人物像や活動を県民に知らせる機能を有するから,政務活動目的を逸脱したものということはできない。
(イ) また,原告らは,相手方A11が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ・ブログ管理更新料を全額政務活動費として支出していたにもかかわらず,平成28年度の同費用については,2分の1の按分割合において政務活動費を充当しており,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ管理費等についても,2分の1を超えて政務活動費を支出するのは違法である旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(イ)後段で説示した理由と同様の理由から,平成27年度分のホームページ・ブログ管理料に広聴広報費として政務活動費を全額充当したことが違法であるとはいえない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(甲⑩13,15ないし20,22ないし28,乙⑩1ないし4,乙〈31〉7,8)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A11は,平成27年4月から平成28年2月にかけて,自らの政務活動事務所の賃料合計92万4000円を支払い,本件手引に従い,そのうち88万2000円(平成27年4月分については2分の1相当額,その他の月については全額)について,事務所費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その内容を記載した収支報告書(乙⑩1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A11の政務活動事務所は,「奈良県生駒市q町r番地」に所在するとされており,同人の後援会事務所の平成28年3月25日付け収支報告書に記載された事務所所在地は,「奈良県生駒市q町s番地」である(甲⑩13,乙⑩3,弁論の全趣旨)。
(ウ) 相手方A11の政務活動事務所の所在する「奈良県生駒市q町r番地」には,登記上,家屋番号r番1の2の建物(1階,2階ともに床面積105.48m2)と,家屋番号r番1の建物(1階,2階ともに床面積105.92m2)が存在している(甲⑩24,25)。
そして,相手方A11が賃借しているのは,登記上の家屋番号が「r番1の2」の建物である。同建物に係る「建物賃貸借契約書」上の所在地が「生駒市q町r-1」,床面積が「68m2」とされているが,同契約書の床面積は,固定資産税の課税床面積を参照し,同建物の所有者が記載したものである(甲⑩23,乙〈31〉8,弁論の全趣旨)。
(エ) 相手方A11の政務活動事務所の月額賃料は,平成27年度中は8万4000円,平成28年4月から同年10月までは3万2400円,同年11月からは10万8000円であった(甲⑩26,27,乙⑩1,2)。
これは,平成28年4月10日から同年10月までの間,政務活動事務所の入居する建物の所有者の都合により,一時的に,登記上の家屋番号「r番1」の建物の1室を政務活動事務所として賃借したが,その際の賃料が3万2400円とされたことによる(乙〈31〉8,弁論の全趣旨)。
また,同年11月,家屋番号「r番1の2」の建物に政務活動事務所を戻したが,この際に,同建物の所有者が,同建物のトイレや空調設備を改修したことなどを踏まえて,賃料が10万8000円に改定されたものである(乙〈31〉8,弁論の全趣旨)。
(オ) 平成27年4月実施の県議会議員選挙における同人の選挙事務所設置届によると,相手方A11の選挙事務所の設置場所は,奈良県生駒市q町r番地であった(甲⑩15)。
(カ) 平成30年6月15日付けの住所検索用ウェブサイト「Yelp」には,相手方A11の後援会事務所の所在地として,「生駒市q町r番地」の記載があった(甲⑩17)。
また,同月22日付けのグーグルマップ上の相手方A11の後援会事務所の情報には,写真として「生駒市q町r番地」所在の建物が写っており,同後援会については「閉業」した旨の記載がある(甲⑩16)。
(キ) 平成30年5月30日付けの相手方A11のホームページには,「奈良県議会議員 A11」という表示の下に,「奈良県生駒市q町s」と記載されていた(甲⑩22)。
また,同年7月に改訂された相手方A11のホームページには,同人の政務活動事務所及び後援会事務所の所在地及び電話番号がそれぞれ記載されている(乙⑩4,弁論の全趣旨)。
(ク) グーグルマップ上に掲載された相手方A11の政務活動事務所が所在する「奈良県生駒市q町r番地」の建物の写真には,同建物の玄関付近に「奈良県議会議員 A11事務所」と記載された看板が掲出され,軽トラックが置かれていたり,鉢植えが並べられていたりする様子が写っている(甲⑩18ないし20)。
また,同事務所所在地のゼンリン地図によると,同事務所に関する表示は空白であった(甲⑩28)。
(ケ) 相手方A11の政務活動事務所には,1階に応接スペース,2階に事務スペースなどが備えられている(乙〈31〉7・別紙5)。
イ(ア) 原告らは,相手方A11の政務活動事務所の所在地は,同人の後援会事務所の収支報告書や同人のホームページに記載された所在地と同一であること,平成27年4月の県議会議員選挙の際には選挙事務所として届け出られていること,インターネット上の住所検索サイトにおいても,政務活動事務所所在地が後援会事務所所在地として扱われていることなどから,政務活動事務所は存在せず,同事務所所在地には後援会事務所が存在している旨主張する。
しかしながら,相手方A11の政務活動事務所所在地には,同事務所が存在する旨の看板が掲出されていた(前記ア(ク))。また,同人の政務活動事務所に選挙事務所が設置されていたとしても,選挙期間外において,政務活動事務所において,政務活動が行われていなかったことを基礎付けるものではない。そして,インターネット上の住所検索サイト等の記載は,必ずしも同住所の居住者等が情報を更新するものとは限らないから,同サイト上の情報により,政務活動事務所が存在しておらず,後援会のみが所在していると判断する根拠にはならない。
(イ) また,原告らは,政務活動事務所とされる建物には表札はなく,住宅地図においても,同事務所の所在地とされる場所は空白で表示されている旨主張する。
しかしながら,政務活動事務所には住宅のような表札が必要であるという理由はない。また,地図上の表記が空白であるからといって,政務活動事務所が存在しないことに結び付くものではない。
(ウ) さらに,原告らは,相手方A11の政務活動事務所の賃貸借契約書上の床面積は68m2であるのに対し,同建物の登記によれば,同建物の1階及び2階の床面積はそれぞれ105.48m2であり,同建物の一部分を賃借していることとなること,同事務所の月額賃料も,平成27年度当初は8万4000円であり,平成28年4月から同年10月までは3万2400円に下がり,同年11月からは10万8000円に変更されて現在に至っていることなどから,同建物の賃貸人に対して資金援助をしている可能性があり,同建物内の応接スペース等の構成からは,同建物は政務活動事務所として用いられていなかったといえる旨主張する。
しかしながら,相手方A11の政務活動事務所の賃貸借契約書上の床面積は,固定資産税の課税床面積を記載したものであった(前記ア(ウ)後段)。そして,賃料の増減額は,政務活動事務所所在地の建物の所有者の都合や,同建物の改修によるものであるから,政務活動費の充当を違法とするような事情ではない。さらに,相手方A11の政務活動事務所には,応接スペースや事務スペースなどが存在しているから,原告らの主張は事実と異なるものといわざるを得ない。
ウ したがって,原告らの上記主張はいずれも採用することができない。
(3)  事務費について
ア 証拠(乙⑩1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A11は,平成27年4月18日に,パソコン購入代金として14万5800円を支払い,本件手引に従い,その全額について,事務所費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その内容を記載した収支報告書(乙⑩1)を奈良県議会議長に提出した。
イ 原告らは,相手方A11の政務活動事務所の賃料は政務活動費に充当できないから,同事務所において用いられるとされるパソコンの購入代金についても,政務活動費に充当することはできない旨主張している。
しかしながら,前記(2)イで判示したとおり,相手方A11の政務活動事務所は実態がないとはいえず,同事務所の賃料を事務所費として政務活動費に全額充当することが違法であるとはいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。
(4)  人件費について
ア 証拠(乙⑩1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A11は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動事務所職員に対し,給与合計180万円を支払い,そのうち172万5000円(平成27年4月分の給与15万円については2分の1相当額,同年5月分から平成28年3月分までの給与については全額)につき,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑩1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A11の政務活動事務所の賃料は政務活動費に充当できないから,同事務所の職員に対して支払われたとされる給与も,政務活動費に充当することはできない旨主張している。
しかしながら,前記(2)イで判示したとおり,相手方A11の政務活動事務所は実態がないとはいえず,同事務所の賃料を事務所費として政務活動費に全額充当することが違法であるとはいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。
10  争点(9)(相手方A12の広聴広報費について)
(1)  証拠(甲⑪4,8,乙⑪1,2)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
ア 相手方A12は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,ホームページリース代名目で合計17万1600円を支払い,本件手引に従い,そのうち16万6350円(平成27年4月分のホームページリース代については2分の1相当額,同年5月から平成28年3月までの同費用については全額)について,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑪1,2)を奈良県議会議長に提出した。
イ 相手方A12のホームページには,同人が参加した行事や,県議会議員としての活動を示す記事が掲載されている(甲⑪4,8)。
(2)ア  原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費を充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(ア)後段で説示した理由と同様の理由により,議員によるホームページの開設は政務活動目的に資するものであり,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
原告らは,相手方A12のホームページ画面を印刷した書証(甲⑪4,8)を提出し,同人のホームページが自己宣伝目的を有する旨主張するが,これらはいずれも相手方A12の県議会議員としての活動を示すものであり,県民が相手方A12の活動内容を調査することに役立つから,政務活動目的を逸脱したものとは認められない。
イ  また,原告らは,相手方A12が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ管理費を全額政務活動費として支出していたにもかかわらず,平成28年度のホームページ管理費については,2分の1の按分割合において政務活動費に充当しており,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ管理費等についても,2分の1を超えて政務活動費を支出するのは違法である旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(イ)後段で説示した理由と同様の理由から,平成27年度分のホームページ維持管理費を広聴広報費として政務活動費に全額充当したことが違法であるといはいえない。
ウ  したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
11  争点(10)(相手方A13)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(甲⑫5,乙⑫2)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A13は,平成27年8月18日付け及び平成28年1月29日付けで,株式会社池田出版印刷社に対し,「奈良県政ニュース印刷代」名目で合計110万0088円(手数料含む)を支払い,本件手引に従い,そのうち55万0044円(2分の1相当額)について,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑫2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 「A13/奈良県政ニュース」と題する広報紙には,相手方A13の活動や著書出版記念祝賀会の様子,所属会派の改名に関する事項,暑中見舞い,全国水平社の活動内容,相手方A13が主宰する囲碁大会の結果等が記載されており,同紙の発行名義人は「A13後援会」及び「t会」である(甲⑫5)。
イ(ア) 被告は,原告ら提出の書証(甲⑫5)からは,どのような記載がどのような理由で政務活動の目的外であるか不明であるし,後援会が発行名義人となっている広報紙であっても,相応の割合については,政務活動費を充当することができると解すべきである旨主張する。
しかしながら,本件手引には,政務活動費の充当が不適当な経費として,「③後援会活動の経費」,「後援会の広報紙,パンフレット,ビラ等の作成及び発送経費」などと例示されている(本件手引2頁,6頁)。また,相手方A13の政務活動事務所と同人の後援会事務所は形式的にも別団体であり,収支報告書も別個提出すべきものである。そうすると,相手方A13の後援会が発行する広報紙の印刷代に,相手方A13に交付された政務活動費を充当することは許されないというべきである。
したがって,被告の上記主張は採用することができず,後援会発行の広報紙の記載内容の如何にかかわらず,印刷代のうち55万0044円の充当は違法である。
(イ) もっとも,相手方A13は,平成27年5月から平成28年3月に合計410万5661円につき政務活動費を充当しており,同金額から広聴広報費として違法に充当した55万0044円を差し引いても,355万5617円となり,交付された政務活動費308万円を上回るから,不当利得返還請求権は生じない(最高裁平成30年11月16日第二小法廷判決・民集72巻6号登載予定)。
(2)  人件費について
ア 証拠(甲⑫6,乙⑫1,2,乙〈31〉7)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A13は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動の補助業務のために雇用した職員4名に対し,給与合計337万6738円を支払い,その全額につき,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑫1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A13の政務活動事務所は,同人が代表者を務める任意団体「□□連合会」及び同人の後援会の事務所としても利用されていた(甲⑫6,乙〈31〉7,弁論の全趣旨)。
イ(ア) 原告らは,政務活動事務所が入居する建物には,多くの団体・組織が入居しており,相手方A13の政務活動事務所の所在地は,後援会の収支報告書や前記(1)ア(ア)の県政ニュース紙記載の後援会所在地と同一であることや,同人の後援会事務所は,収支報告書上399万3000円の支出があり,広報紙発行業務を行っているにもかかわらず,人件費支出は0円であり,不合理であることなどに照らすと,同人の政務活動事務所は後援会との併用型事務所であるから,同事務所の職員は,政務活動以外の活動にも従事しており,職務の実態は明確に把握できないから,本件手引に従い,人件費は2分の1を超えて政務活動費に充当することはできない旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠に照らしても,相手方A13の後援会の収支報告書上の記載内容は明らかではない。そして,原告らの主張・立証を前提にしても,相手方A13の政務活動事務所において雇用された職員らが,政務活動以外の活動に従事していると認めるに足りる証拠はない。
(イ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
12  争点(11)(相手方A14の広聴広報費)について
(1)  証拠(乙⑭1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A14は,平成27年度中に,チラシや県議会報告等の印刷代及びこれらの新聞折込代として,合計129万0168円を支払い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑭1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
(2)  原告らは,相手方A14の前記チラシや県議会報告の内容が確認できないから,記載の実態が明らかではなく,本件手引に従い,2分の1を超える政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A14のチラシなどの掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの主張には根拠がなく,採用することはできない。
13  争点(12)(相手方A15)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(乙⑮1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A15は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,SMTパナソニックに対し,ホームページ作成料として合計18万9000円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑮1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ(ア) 原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(ア)で説示した理由と同様の理由により,議員によるホームページの開設は政務活動目的に資するから,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
原告らは,相手方A15のホームページ画面を印刷した書証(甲⑮5,6,8)を提出し,同人のホームページが自己宣伝目的を有する旨主張するが,これらはいずれも相手方A15の県議会議員としての活動を示すものであり,県民が相手方A15の活動内容を調査することに役立つから,政務活動目的を逸脱したものとは認められない。
(イ) また,原告らは,相手方A15が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ維持管理費を全額政務活動費として支出していたにもかかわらず,平成28年度のホームページ維持管理費については,2分の1の按分割合において政務活動費を充当しており,平成29年4月には政務活動費を一切充当しなくなっていること,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないことから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ維持管理費についても,2分の1を超えて政務活動費を支出するのは違法である旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(イ)後段で説示した理由と同様の理由から,平成27年度分のホームページ維持管理費を広聴広報費として政務活動費に全額充当したことが違法であるとはいえない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(甲⑮9ないし11,乙⑮1,2,乙〈31〉7)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A15は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,自らの政務活動事務所の賃料合計36万3888円(振込手数料含む)及び同事務所利用のための駐車場賃料合計9万6000円を支払い,本件手引に従い,その全額について,事務所費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑮1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A15の政務活動事務所の入居する賃貸物件に関するインターネット上のウェブサイトには,政務活動事務所が所在する部屋の間取りは「1K」であり,占有面積は17m2である旨が掲載されている(甲⑮9)。
また,グーグルマップ上に掲載されている,平成27年3月に撮影された相手方A15の政務活動事務所付近の写真(甲⑮10)には,相手方A15の政務活動事務所の看板は写っていない。
(ウ) 相手方A15の政務活動事務所が入居する部屋の扉及び付近の壁面には,「A15 事務所」という掲示がされている。そして,同部屋の内部には,執務スペースや応接スペースがあり,パソコンやプリンター,ファックスなどの機器が備え付けられている(乙〈31〉7〔別紙6〕)。
(エ) 相手方A15の自宅付近には,「A15」と記載された看板が存在している(甲⑮11)。
イ(ア) 原告らは,相手方A15の政務活動事務所は,看板もなく,同事務所の所在や電話番号も公表されておらず,政務活動事務所としての機能も備えていないから,本件手引が規定する政務活動事務所の要件に該当せず,事務所費への政務活動費の充当は全額違法である旨主張する。
しかしながら,同事務所には,相手方A15の政務活動事務所である旨の表示がされており,かつ,執務スペースや応接スペース,通信機器等も備えられている(前記ア(ウ))。
したがって,政務活動費の充当が許される場合として本件手引に規定する要件を満たさないとは認められない。
(イ) また,原告らは,相手方A15の自宅入口付近に同人の看板が設置されていることから,政務活動が自宅において行われていた可能性が高い旨主張するが,看板が設置されている場所で必ず政務活動が行われているということはできない。
(ウ) 以上のとおりであるから,原告らの上記主張は採用することができない。
(3)  人件費について
ア 証拠(乙⑮1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A15は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動の補助業務のために雇用した職員に対し,給与合計63万円を支払い,本件手引に従い,そのうち59万円(平成27年4月分の給与については2分の1相当額,同年5月から平成28年3月までの給与については全額),人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑮1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A15の政務活動事務所において政務活動が行われているということはできないから,同事務所の職員に対して支払われたとされる給与も,政務活動費に充当することはできない旨主張する。
しかしながら,前記(2)イ(ア)及び(イ)で判示したとおり,相手方A15の政務活動事務所は実態がないとはいえないから,同事務所において政務活動を行う職員に対する給与を政務活動費に充当することが違法であるとはいえず,原告らの上記主張は採用することができない。
14  争点(13)(相手方A16)について
(1)  調査研究費について
ア 証拠(乙⑯5,14)及び弁論の全趣旨によると,相手方A16は,平成27年4月18日,県外政務活動のため,伊丹空港から仙台空港まで,日本航空2205便に搭乗し,翌19日,帰宅するため,仙台空港から伊丹空港まで,日本航空2210便に搭乗しており,その際の搭乗券につき,往復割引を利用して代金3万1500円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,調査研究費として政務活動費を支出し,同年5月20日,その旨を記載した収支報告書(乙⑯5)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ(ア) 原告らは,航空券の領収書は紛失しても再発行が可能であり,これを提出しないことは,本件手引が例外的に支払証明書の提出を認める場合である「社会慣習その他の事情により領収書が取得できない場合」に該当しないから,領収書を提出しない以上,航空券代3万1500円の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,相手方A16が搭乗した伊丹空港から仙台空港への航空機のチケットは往復割引で購入されており,しかも,往路の航空券(乙⑯14)には金額が明示され,同航空券が収支報告書に添付されているから,本件手引に従って収支報告書が提出されたものと認められる。
(イ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  広聴広報費について
ア 証拠(甲⑯7ないし9,乙⑯8,11)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A16は,平成27年度中に,チラシ折込料や広報紙印刷代等として,株式会社和広や株式会社奈良新聞社等に対して合計63万4504円を支払い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑯8)を奈良県議会議長に提出した。
その後,相手方A16は,平成29年4月25日付けで,平成27年度の政務活動費収支報告書の訂正届を奈良県議会議長に提出し,平成27年9月1日付け支払分(乙⑯8〔4頁〕)については5分の4の按分割合で政務活動費を充当する旨の訂正を行った。もっとも,これによる残余額は生じなかった(乙⑯8,11,弁論の全趣旨)。
(イ) 相手方A16が発行する「県政ネットワーク」には,相手方A16の県議会議員としての活動内容や,議会における一般質問の様子,統一地方選挙の得票数等が掲載されている(甲⑯7ないし9)。
イ(ア) 原告らは,上記印刷物の現物には,2割程度の目的外記載が認められるから,充当額の5分の1である11万5765円は違法な充当である旨主張する。
しかしながら,県議会議員が,県民から県政に関する意見を聴取することは政務活動に該当する調査活動である。そして,県民として,県議会議員に対して県政に関する意見を述べる場合,そもそも当該議員が県議会議員選挙で当選したのか,どのような人物でどのような活動を行っているのかといったことを広報紙等で把握できなければ,当該議員に対して意見を述べることは困難である。そうすると,このような記載が政務活動の目的から外れるということはできない。
(イ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(3)  資料購入費について
ア 証拠(乙⑯5,8)及び弁論の全趣旨によると,相手方A16は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,別紙3「相手方A16 資料購入費一覧表」記載のとおり書籍等を購入し,合計14万3841円を支払い,そのうち13万0303円(聖教新聞2部購入代金につき,それぞれ2分の1相当額,その他の書籍等の購入代金につき,全額)について,資料購入費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑯5,8)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ(ア) 聖教新聞購読料について
原告らは,聖教新聞購読料について,2部購入しているもののうち,1部の購読料は不必要な新聞の購読料に当たるから,違法である旨主張する。
しかしながら,本件手引は,新聞は原則として1紙につき1部としながらも,切り抜き,保存用を含め3部までは認める旨を規定している(本件手引13頁)。そして,原告らの主張及び本件の証拠に照らしても,聖教新聞を2部購読しているうち,1部につき,これらの用途に該当しないと認めるに足りる証拠はないから,原告らの上記主張は採用することができない。
(イ) 文藝春秋及び中央公論並びにその他の書籍の購入代について
a 被告は,相手方A16が購入した書籍について,その購入が政務活動目的に資さないことの具体的な理由を主張していない旨主張する。
しかしながら,相手方A16が購入した別紙3「相手方A16 資料購入費一覧」の1及び2記載の各書籍については,その題名等から,相手方A16の県政に関する調査の資料となるものとは認められない。
したがって,相手方A16が政務活動費に充当した資料購入費のうち,別紙3「相手方A16 資料購入費一覧」1及び2記載の各書籍の購入費である11万6765円については,違法な政務活動費の充当である。
b そして,相手方A16は,平成27年5月から平成28年3月までの政務活動費として,合計308万6592円を支出しており,前記の違法な政務活動費の充当額を支出額の合計から差し引くと,297万1987円となる。したがって,同期間分として交付された政務活動費である308万円との差額である10万8013円につき,相手方A16は,法律上の原因なく利得し,奈良県は損失を被っているから,奈良県は,相手方A16に対して前同額の不当利得返還請求権を有しており,かつ,その行使を怠っている。
c なお,本件全証拠に照らしても,相手方A16が上記不当利得金の発生につき悪意であったと認められる事情はないから,法定利息(民法704条前段)の支払請求の義務付けは認められない。
(4)  事務費について
ア 証拠(乙⑯1,5,8)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A16は,平成25年8月16日,株式会社グッドメディアに対し,256ギガバイト容量のSDカードなどの購入代金として,2万9168円を支払い,そのうち1万4584円(2分の1相当額)につき,事務費として政務活動費を支出し,平成26年4月28日,その旨を記載した収支報告書(乙⑯1)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A16は,日本放送協会に対し,平成27年4月27日付け及び同年10月26日付けで,NHK受信料合計2万5460円を口座振替の方法により支払い,そのうち1万0608円(同年4月27日支払分については3分の1相当額,同年10月26日支払分については2分の1相当額)につき,事務費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑯5,8)を奈良県議会議長に提出した。
(ウ) 相手方A16は,こまどりケーブル株式会社に対し,平成27年4月から平成28年3月まで,9万9066円を支払い,そのうち4万7738円(平成27年4月支払分については3分の1相当額,同年5月支払分から平成28年3月支払分については2分の1相当額)について,事務費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑯5,8)を奈良県議会議長に提出した。
(エ) さらに,相手方A16は,平成27年4月から平成28年3月まで,政務活動に用いる自動車のガソリン代として14万1288円を支払い,そのうち6万9880円(平成27年4月支払分については3分の1相当額,同年5月から平成28年3月支払分については2分の1)相当額について,事務費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑯5,8)を奈良県議会議長に提出した。
イ SDカード購入費及びガソリン代について
(ア) 原告らは,相手方A16が128ギガバイトの保存容量を有するSDカード2枚を購入しているが,研修会の記録程度であれば64ギガバイトのもの1枚で十分であるから,必要不可欠な支出とはいえず,前記SDカード購入費2万9168円の支出のうち,2分の1を超えて政務活動費を充当した部分は違法であると主張する。
しかしながら,64ギガバイトのSDカード1枚で十分である旨主張する根拠が不明であり,原告らの上記主張は採用することができない。
(イ) また,原告らは,ガソリン代につき,本会議中の昼間の給油や,日帰りの東京出張の日に橿原市で給油している状況などから,全ての給油を相手方A16が行ったとはいえず,複数名による自動車の使用が認められるから,支出額のうち,4分の1のみ政務活動費に充当することができ,2分の1相当額と4分の1相当額の差額分が違法な支出である旨主張する。
しかしながら,平成27年6月30日の給油が本会議の開催時間中であったことを認めるに足りる証拠はない。また,相手方A16の東京出張の日は,平成28年2月20日であり,原告らの主張は前提を欠いている。そして,その他の証拠を検討しても,ガソリン代を支出して給油した自動車を,相手方A16が4分の1しか政務活動に利用していないとは認められない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
ウ NHK受信料及びこまどりケーブル受信料について
原告らは,各受信料は私的な支出であるから,政務活動費に充当できないと主張する。
しかしながら,政務活動事務所において,テレビを用いて県内外の課題に関する情報を収集することが政務活動目的に反するということはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
15  争点(14)(相手方A17の広聴広報費)について
(1)  証拠(甲⑰8,乙⑰1)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
ア 相手方A17は,平成27年度中に,議会報告等印刷代や同新聞折込料として,株式会社関西共同印刷所等に対して合計73万9125円を支払い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑰1)を奈良県議会議長に提出した。
イ 「j党県議会議員A17の県議会報告」の「2015年7月~8月号」と題する広報紙の発行名義人は「j党奈良県会議員団」と記載されており,同紙には,相手方A17の県議会議員としての活動内容等が掲載されている。同広報紙の印刷代は9万9576円である(甲⑰8,乙⑰1)。
(2)ア  原告らは,上記印刷物のうち,県議会報告7,8月号においては,その内容の5分の1程度が政務活動目的に該当しない記載であるから,1万9915円の充当が違法であり,その他の6件の印刷発注に係る印刷物は,現物が確認できないから,2分の1相当額である27万7005円の充当が違法である旨主張する。
イ  本件に提出されていない広報紙6件分の印刷費用については,原告らの主張に根拠がなく,採用することができない。
ウ  また,県議会報告7,8月号と題する広報紙(甲⑰8)は,発行名義人が「j党奈良県会議員団」とされているものの,表題は相手方A17の県議会報告であって,同人の県内における活動内容を記載しているものであるから,同広報紙を全体的にみると,実質的には相手方A17自身の広報紙といえる。そうすると,同広報紙の印刷費用について,広聴広報費として政務活動費を支出することが違法であるとまではいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。
16  争点(15)(相手方A18)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(甲⑲3,4,6,乙⑲1,2)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A18は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,住信・パナソニックフィナンシャルサービスに対し,ホームページ維持費(携帯サイト含む)として合計19万2600円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑲1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A18のホームページには,相手方A18の県議会議員としての活動が写真とともに掲載されている(甲⑲3,4,6)。
イ(ア) 原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(ア)で説示した理由と同様の理由により,議員によるホームページの開設は政務活動目的に資するから,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
原告らは,相手方A18のホームページ画面を印刷した書証(甲⑲3,4,6)を提出し,同人のホームページが自己宣伝目的を有する旨主張するが,これらはいずれも相手方A18の県議会議員としての活動を示すものであり,県民が相手方A18の活動内容を調査することに役立つから,政務活動目的を逸脱したものとは認められない。
したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(イ) また,原告らは,相手方A18が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ維持費を全額政務活動費として支出していたにもかかわらず,平成28年度のホームページ維持費については,2分の1の按分割合において政務活動費に充当しており,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ維持費についても,2分の1を超えて政務活動費を支出するのは違法である旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(イ)後段で説示した理由と同様の理由から,平成27年度分のホームページ維持費を広聴広報費として政務活動費に全額充当したことが違法であるとはいえない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(乙⑲1,2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A18は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,自らの政務活動事務所の賃料合計56万3592円を支払い,本件手引に従い,その全額について,事務所費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その内容を記載した収支報告書(乙⑲1,2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A18の後援会の収支報告書上の所在地は同人の自宅であるが,政務活動事務所は近鉄k駅前に所在しており,政務活動事務所で後援会活動も行う併用型事務所と推認できるから,賃料の2分の1である28万1796円を超えて政務活動費を充当した部分は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A18の政務活動事務所において後援会活動が行われているとは認められない。
ウ したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
17  争点(16)(相手方A19の広聴広報費)について
(1)  証拠(乙⑳2)及び弁論の全趣旨によると,相手方A19は,平成27年度中に,県政報告である「A19ニュース」の印刷代及び同報告の紙代として,合計65万9112円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙⑳2)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
(2)  原告らは,相手方A19の前記県政報告の内容が確認できないから,記載の実態が明らかではなく,本件手引に従い,2分の1の政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A19のチラシなどの掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
18  争点(17)(相手方A20の調査研究費)について
(1)  証拠(乙〈21〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A20は,平成27年5月25日及び平成28年1月19日,国立大学法人l大学に対し,同大学m大学院の授業料として,前期分及び後期分併せて53万5800円を支払い,かつ,同大学院への通学費として,平成27年4月から平成28年3月までに10万8170円を支払ったこと,相手方A20は,本件手引に従い,上記授業料及び通学費のうち,49万0110円(同大学院授業料のうち,前期分につき4分の3相当額,後期分につき全額。通学費のうち,平成27年4月15日購入分の6か月定期券購入費につき6分の5相当額,その他の同費用につき全額)について,調査研究費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈21〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
(2)ア  原告らは,相手方A20が上記大学院へ入学することが決まったのは平成27年4月の県議会議員選挙の前であるし,大学院への通学は,個人的な技能や資格を取得するという側面もあるから,授業料及び通学費の政務活動費への充当は2分の1にとどまるべきであり,2分の1を超えて全額を充当した部分は違法である旨主張する。
イ  しかしながら,議員がm大学院において政策分析・評価能力や行政組織間交渉等の能力を取得することは,県政においてもその能力を活用し,より良い県政を実現することに資するものということができるから,政務活動目的に資するものであって,相手方A20の入学が決まったのが県議会議員への当選以前であっても,このことは異なるものではない。
ウ  したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
19  争点(18)(相手方A21の広聴広報費)について
(1)  証拠(乙〈22〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A21は,平成27年度中,株式会社読宣に対し,県議会報告新聞広告折込代等として合計321万0358円を支払い,そのうち288万9324円(全ての県議会報告新聞公告折込代のうち,10分の9相当額)につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈22〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
(2)  原告らは,相手方A21の前記県政報告の内容が確認できないから,記載の実態が明らかではなく,本件手引に従い,2分の1の政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A21の県議会報告などの掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
20  争点(19)(相手方A22)について
(1)  事務費について
ア 証拠(甲〈24〉4ないし6,11,乙〈24〉1,2,4)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A22は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,有限会社カインドなどに対し,政務活動事務所で使用するコピー機のリース代及びトナー代合計19万6110円を支払い,その全額につき,事務費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈24〉1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A22のホームページには,同人の後援会の所在地として「奈良県五條市〈以下省略〉」と表示されていたが,平成29年3月頃,収支報告書上の所在地である「奈良県五條市〈以下省略〉」に訂正された。また,前記訂正の前後において,後援会事務所の電話番号として「0747-○○-○○○○」と記載されていた(甲〈24〉4ないし6)。
また,相手方A22のホームページに政務活動事務所の電話番号として掲載されているのは,「0742-△△-△△△△」である(乙〈24〉4)
(ウ) 相手方A22の後援会が発行した広報紙「n」には,発行名義人として「後援会広報部」と記載され,所在地として「五條市〈以下省略〉」,電話番号として「0747-○○-□□□□」と記載されていた(甲〈24〉11)。
イ(ア) 原告らは,相手方A22の訂正前のホームページに,同人の後援会事務所の所在地として同人の政務活動事務所の住所が記載されていたことや,ホームページの改訂前後において,後援会事務所の電話番号は一貫して同一のものが掲載されていたことなどに照らすと,相手方A22の政務活動事務所は後援会との併用型事務所であるから,同事務所において用いられるコピー機のリース代及びトナー代につき,事務費として政務活動費を充当した金額のうち,2分の1相当額を超える部分については違法である旨主張する。
(イ) しかしながら,相手方A22のホームページにおける訂正前の後援会の所在地は,同人の後援会が提出した収支報告書上の所在地とは異なっていたから,訂正前の記載が誤りであったものと認められる。また,同ホームページに記載された後援会事務所の電話番号も,一貫して同事務所の収支報告書上の電話番号と同一であり,正しく記載されていたといえる。
(ウ) したがって,相手方A22の政務活動事務所が後援会との併用型事務所であると推認することはできず,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  人件費について
ア 証拠(甲〈24〉7ないし10,乙〈24〉1,2)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
(ア) 相手方A22は,平成27年4月から平成28年3月にかけて,政務活動の補助業務のために雇用した職員2名に対し,給与合計296万3360円を支払い,そのうち235万8460円(政務活動職員1名の給与については2分の1相当額,他の1名の給与については全額)について,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈24〉1,2)を奈良県議会議長に提出した。
(イ) 相手方A22の後援会の平成27年度収支報告書には,人件費は0円であると記載されていた(甲〈24〉10)。
(ウ) 相手方A22は,平成29年度に,秘書兼運転手として政務活動補助職員を雇用し,給与を支払った(甲〈24〉7)。そして,2名の政務活動補助職員につき,その給料の2分の1相当額に政務活動費を充当した(甲〈24〉8,9)
イ(ア) 原告らは,前記(1)ア(イ)及び(ウ)の事実に加え,後援会の人件費が0円とされていたことから,同人の政務活動事務所において後援会活動が行われており,相手方A22に雇用された職員は,後援会活動も行っていたと推認できるから,本件手引に従い,政務活動費に充当できるのは,給与の2分の1相当額にとどまり,相手方A22が前記職員の1名の給料につき,2分の1を超えて全額を政務活動費に充当したことは違法である旨主張する。
しかしながら,相手方A22の政務活動事務所が併用型事務所であるとは認められないことは前記(1)イ(ウ)で判示したとおりである。
さらに,同人の後援会の人件費が0円であったとしても,これによって政務活動事務所の職員全員が後援会活動も行っていたと推認することはできない。
(イ) また,原告らは,相手方A22の後援会が発行した広報紙において,後援会の所在地として,政務活動事務所の所在地が記載されていたことから,相手方A22に雇用された職員全員が後援会活動も行っていた旨主張する。
しかしながら,広報紙にそのような記載がなされていたとしても,相手方A22が雇用した職員全員が,後援会活動に従事していたことを推認させるものとはいえない。また,前記ア(ア)記載の按分割合のとおり,相手方A22が雇用した職員のうち1名が,政務活動及び後援会活動の双方に従事していたことから,同職員が政務活動事務所の所在地を誤って後援会の所在地欄に記載してしまったと考えても不自然ではない。
(ウ) したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
21  争点(20)(相手方A23の広聴広報費)について
(1)  証拠(甲〈25〉2,3,5,乙〈25〉1)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
ア 相手方A23は,平成27年7月から平成28年3月にかけて,株式会社奈良新聞コミュニケーションズに対し,ホームページ維持管理費として合計18万7398円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈25〉1)を奈良県議会議長に提出した。
イ 相手方A23のホームページ上の平成25年7月20日の記事には,街頭演説などの御礼の記事が掲載されている(甲〈25〉2)。また,同人のホームページには,同人が奈良市議会議員であった頃に同人の後援会が発行した広報紙である「A23通信」が掲載されている(甲〈25〉4)。さらに,「A23だより」には,u党のA27代表が奈良県において,相手方A23らとともに台風による被害状況を視察した様子などが,写真とともに掲載されている(甲〈25〉5)。
(2)ア  原告らは,ホームページは本来的に自己宣伝目的を有しているから,政務活動費に充当できる金額は2分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(ア)で説示した理由と同様の理由により,議員によるホームページの開設は政務活動目的に資するから,本来的に自己宣伝目的であるということはできない。
また,原告らは,相手方A23のホームページに掲載された記事の内容から,同人のホームページが自己宣伝目的を有する旨主張するが,これらはいずれも相手方A23の市議会議員時代の活動を示すものであり,これらの記事によって,県民が,相手方A23の市議会議員を務めていたころから現在に至るまでの活動や関心分野を調査することに役立つから,政務活動目的を逸脱したものとは認められない。
そして,平成25年当時の記事などは,当時から掲載内容が変更されていることは考え難く,ホームページ維持管理費がかかる部分であるとも認められないから,同記事の内容は前判示を覆すものではない。
イ  さらに,原告らは,相手方A23が,平成27年5月から平成28年3月まで,ホームページ維持管理費を全額政務活動費として支出していたにもかかわらず,平成28年度のホームページ維持管理費については,2分の1の按分割合において政務活動費を充当しており,ホームページの掲載内容に特段変更があった事実はないから,平成27年5月から平成28年3月までのホームページ維持管理費についても,2分の1を超えて政務活動費を支出するのは違法である旨主張する。
しかしながら,前記3(1)イ(イ)後段で説示した理由と同様の理由から,平成27年度分のホームページ維持管理費に広聴広報費として政務活動費を全額充当したことが違法であるとはいえない。
ウ  したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
22  争点(21)(相手方A24)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(乙〈27〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A24は,平成27年5月から平成28年3月にかけて,株式会社ヨシダ誠宏社等に対し,県政ニュース印刷代等として合計77万8931円を支払い,本件手引に従い,その全額について,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈27〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A24の前記県政報告の内容が確認できず,記載の実態が明らかではないから,本件手引に従い,2分の1を超えて政務活動費に充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A24の県政ニュースなどの掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
(2)  事務所費について
ア 証拠(乙〈27〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A24は,平成27年5月から平成28年3月にかけて,自らの政務活動事務所の賃料(駐車場代,光熱費含む)合計85万9058円を支払い,本件手引に従い,その全額について,事務所費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その内容を記載した収支報告書(乙〈27〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A24の後援会の収支報告書上の所在地は,同人の自宅に置かれているものの,同人の自宅は閑静な住宅地にあり,政務活動事務所とも距離が隔たっているから,政務活動事務所において後援会活動も行わざるを得ないし,後援会の会員も政務活動事務所を利用せざるを得ないから,併用型事務所であって,前記充当額の2分の1である42万9529円を超えて政務活動費を充当することは違法である旨主張する。
しかしながら,原告らが主張する地理的な特徴のみから,相手方A24の政務活動事務所において後援会活動が行われていると推認することはできない。
ウ したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(3)  人件費について
ア 証拠(乙〈27〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A24は,平成27年5月から平成28年3月にかけて,政務活動事務の補助職員2名を雇用し,その給与として合計96万5500円を支払い,本件手引に従い,その全額について,人件費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その内容を記載した収支報告書(乙〈27〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A24の政務活動事務所は後援会との併用型事務所であるから,同事務所で雇用された職員も後援会活動に携わっているといえ,政務活動費に充当した人件費のうち,2分の1相当額を超える部分については違法である旨主張する。
しかしながら,前記(2)イ後段で説示したとおり,相手方A24の政務活動事務所は後援会との併用型事務所であるとは認められないから,原告らの上記主張は採用することができない。
23  争点(22)(相手方A25の広聴広報費)について
(1)  証拠(乙〈29〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A25は,平成27年度中,ヒロプランニングなどに対し,県政報告製作費等合計58万2762円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈29〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
(2)  原告らは,相手方A25の前記県政報告の内容が確認できないから,記載の実態が明らかではなく,本件手引に従い,2分の1を超える政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A25の県政報告の掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの上記主張は採用することができない。
24  争点(23)(相手方A26)について
(1)  広聴広報費について
ア 証拠(乙〈30〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A26は,平成28年1月28日,丸善平版印刷社に対し,広報紙の印刷,加工,封入一式の費用として38万1510円を支払い,本件手引に従い,そのうち28万6132円(支払額の4分の3相当額)につき,広聴広報費として政務活動費を支出し,同年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈30〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A26の前記広報紙の内容が確認できないから,記載の実態が明らかではなく,本件手引に従い,2分の1を超える政務活動費への充当は違法である旨主張する。
しかしながら,本件の全証拠を検討しても,相手方A26の広報紙の掲載内容を具体的に特定することはできないから,原告らの上記主張は採用することできない。
(2)  事務費について
ア 証拠(乙〈30〉1)及び弁論の全趣旨によると,相手方A26は,平成27年9月18日,ワイズシステムサービスに対し,プリンター代として9万7200円を支払い,本件手引に従い,その全額につき,事務費として政務活動費を支出し,平成28年4月30日までに,その旨を記載した収支報告書(乙〈30〉1)を奈良県議会議長に提出したことが認められる。
イ 原告らは,相手方A26の政務活動事務所の所在地は,同人の後援会の収支報告書に記載された所在地と同一であって,かつ,政務活動事務所は株式会社oの本社所在地とも同じであり,部屋を区分して利用していないことから,後援会等との併用型事務所であり,2分の1を超える政務活動費の充当は違法である旨主張する。
しかしながら,相手方A26の後援会の収支報告書の所在地や株式会社oの本社所在地を示す証拠はなく,原告らの上記主張は採用することができない。
第4  結論
以上のとおりであるから,原告らの請求は,別紙1「認容額一覧表」の「相手方」欄記載の相手方に対する同別紙「認容額」欄記載の金員の支払を請求するよう求める限度で理由があるからこれを認容することとし,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
奈良地方裁判所民事部
(裁判長裁判官 島岡大雄 裁判官 藪崇司 裁判官 佐々木健詞)

 

〈以下省略〉


「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 9月20日  和歌山地裁  平28(行ウ)6号・平28(行ウ)7号 公金(政務調査費)違法支出金返還請求事件
(2)令和元年 9月17日  富山地裁  平31(わ)52号 各詐欺被告事件
(3)令和元年 8月21日  東京高裁  平31(行コ)72号 各不当利得返還請求権等行使請求控訴事件
(4)令和元年 7月18日  宇都宮地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件
(6)令和元年 6月19日  大阪地裁  平29(行ウ)43号 大阪市政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(7)令和元年 5月29日  仙台地裁  平29(行ウ)2号 政務活動費返還履行等請求事件
(8)令和元年 5月16日  東京地裁  平28(行ウ)222号 共同訴訟参加申出事件
(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
(10)平成31年 3月22日  東京地裁  平28(行ウ)322号 政務活動費返還請求事件
(11)平成31年 2月28日  名古屋地裁  平27(行ウ)130号 愛知県議会議員政務活動費住民訴訟事件
(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(13)平成31年 2月19日  奈良地裁  平28(行ウ)21号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件
(15)平成31年 2月15日  佐賀地裁  平29(行ウ)2号 損害賠償等請求事件
(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件
(17)平成30年11月30日  東京地裁  平29(行ウ)193号 損害賠償請求(住民訴訟)事件
(18)平成30年11月29日  広島高裁岡山支部  平30(行コ)8号 不当利得返還請求控訴事件
(19)平成30年11月27日  広島高裁松江支部  平30(行コ)1号・平30(行コ)3号ないし8号 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件
(20)平成30年11月16日  最高裁第二小法廷  平29(行ヒ)404号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(21)平成30年11月15日  宇都宮地裁  平24(行ウ)15号 政務調査費返還履行請求事件
(22)平成30年10月29日  神戸地裁  平30(わ)137号 事件名  詐欺被告事件
(23)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(24)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(25)平成30年 8月 9日  札幌高裁  平29(行コ)8号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(26)平成30年 8月 2日  東京高裁  平27(行コ)256号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(27)平成30年 6月28日  東京地裁  平30(行ウ)23号 情報公開請求却下処分取消請求事件
(28)平成30年 6月26日  仙台地裁  平29(行ウ)7号 非開示処分取消請求事件
(29)平成30年 5月24日  東京高裁 平29(行コ)229号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(30)平成30年 5月24日  富山地裁  平30(わ)35号 詐欺被告事件
(31)平成30年 4月27日  大阪地裁  平27(行ウ)229号 政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(32)平成30年 4月24日  岡山地裁  平28(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(33)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(34)平成30年 4月11日  神戸地裁  平29(行ウ)9号 政務調査費返還請求住民訴訟事件
(35)平成30年 3月16日  鳥取地裁  平26(行ウ)7号 不当利得請求事件
(36)平成30年 2月19日  神戸地裁  平29(わ)824号 被告人3名に対する各詐欺被告事件
(37)平成30年 2月 8日  仙台高裁  平29(行コ)5号・平29(行コ)13号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(38)平成30年 1月31日  岡山地裁  平26(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(39)平成29年11月29日  徳島地裁  平26(行ウ)14号 政務調査費返還請求事件
(40)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成29年11月28日  岡山地裁  平27(行ウ)16号 不当利得返還請求事件
(42)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(43)平成29年10月 4日  最高裁第二小法廷  平29(行フ)2号 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
(44)平成29年 8月30日  さいたま地裁  平27(行ウ)12号 埼玉県議会政務調査費返還事件
(45)平成29年 7月18日  奈良地裁   平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(46)平成29年 7月10日  東京高裁  平28(行コ)325号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求控訴事件
(47)平成29年 6月29日  宇都宮地裁  平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(48)平成29年 6月29日  名古屋地裁  平29(ワ)485号 弁護士費用請求事件
(49)平成29年 5月26日  大阪高裁  平28(行コ)199号 不当利得返還等請求行為・同附帯請求控訴事件
(50)平成29年 5月12日  東京地裁  平28(ワ)24577号 損害賠償請求事件
(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件
(52)平成29年 4月25日  神戸地裁  平26(行ウ)57号 政務調査費等返還請求事件
(53)平成29年 4月21日  仙台高裁  平28(行コ)12号・平28(行コ)20号 山形県議会議員政務調査費返還等請求控訴、同附帯控訴事件
(54)平成29年 4月12日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)13号 政務調査費返還請求控訴事件
(55)平成29年 3月30日  広島高裁岡山支部  平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(56)平成29年 3月29日  広島高裁  平28(行コ)22号 不当利得返還請求住民訴訟控訴事件
(57)平成29年 3月24日  高松高裁  平28(行ス)2号
(58)平成29年 3月16日  札幌地裁  平24(行ウ)6号 政務調査費返還履行請求事件
(59)平成29年 3月14日  東京高裁  平28(行コ)413号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(60)平成29年 3月 1日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)11号 政務調査費返還請求控訴事件
(61)平成29年 2月 1日 仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(62)平成29年 1月31日  仙台地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(63)平成28年12月27日  東京地裁  平26(ワ)1916号 損害賠償請求事件
(64)平成28年12月27日  奈良地裁  平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(65)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ヒ)292号 政務調査費返還履行請求事件
(66)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ツ)253号・平28(行ヒ)291号 政務調査費返還履行請求事件
(67)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷 平27(行ヒ)389号
(68)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷  平28(行ツ)164号・平28(行ヒ)173号
(69)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷 平28(行ツ)163号・平28(行ヒ)172号
(70)平成28年11月29日  甲府地裁  平26(行ウ)4号 政務調査費返還請求事件
(71)平成28年11月10日  広島高裁岡山支部  平27(行コ)11号 不当利得返還請求控訴事件
(72)平成28年10月27日  金沢地裁  平27(行ウ)6号 政務調査費返還請求事件
(73)平成28年10月26日  さいたま地裁  平26(行ウ)62号 損害賠償請求住民訴訟事件
(74)平成28年10月12日  徳島地裁  平28(わ)196号 虚偽有印公文書作成・同行使,詐欺被告事件
(75)平成28年 9月29日  大阪地裁  平26(行ウ)81号・平26(行ウ)116号 平成24年度茨木市議会政務調査費返還請求事件、平成24年度(2月~3月分)茨木市議会政務調査費返還請求事件
(76)平成28年 9月29日  金沢地裁  平27(行ウ)2号 政務調査費返還請求事件
(77)平成28年 9月14日  高松地裁  平28(行ク)1号
(78)平成28年 8月 3日  横浜地裁  平27(行ウ)25号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(79)平成28年 7月 6日  神戸地裁  平27(わ)825号 虚偽有印公文書作成、虚偽有印公文書行使、詐欺被告事件
(80)平成28年 6月28日  最高裁第三小法廷  平25(行ヒ)562号 不当利得返還等請求行為請求事件
(81)平成28年 6月22日  仙台高裁  平27(行コ)2号・平27(行コ)9号 政務調査費返還履行等請求控訴、同附帯控訴事件
(82)平成28年 6月22日  山口地裁  平26(行ウ)7号 不当利得返還請求住民訴訟事件
(83)平成28年 5月17日  山形地裁  平23(行ウ)2号 山形県議会議員政務調査費返還等請求事件
(84)平成28年 4月27日  岡山地裁  平25(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(85)平成28年 4月22日  新潟地裁  平25(行ウ)7号 政務調査費返還履行請求事件
(86)平成28年 4月13日  福井地裁  平25(行ウ)2号 2011年度福井県議会政務調査費人件費等返還請求事件
(87)平成28年 3月22日  札幌高裁  平27(行コ)11号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(88)平成28年 3月22日  東京地裁  平26(行ウ)582号 政務活動費返還請求事件
(89)平成28年 3月11日  東京地裁  平25(行ウ)677号 政務調査研究費返還請求事件
(90)平成27年12月24日  名古屋高裁  平26(行コ)11号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟控訴事件
(91)平成27年12月21日  名古屋高裁金沢支部  平27(行ケ)4号 裁決取消、当選取消請求事件
(92)平成27年10月27日  岡山地裁  平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(93)平成27年 9月17日  東京高裁  平27(行コ)110号 政務調査費返還請求控訴事件
(94)平成27年 6月24日  宇都宮地裁  平22(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(95)平成27年 6月12日  札幌高裁  平26(行コ)12号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(96)平成27年 5月26日  札幌地裁  平21(行ウ)36号 政務調査費返還履行請求事件
(97)平成27年 4月 8日  大阪地裁  平24(行ウ)129号 政務調査費返還請求事件
(98)平成27年 2月26日  東京地裁  平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(99)平成27年 1月13日  長崎地裁  平24(ワ)530号 政務調査費返還請求事件
(100)平成26年12月18日  奈良地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件


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選挙②【参議院議員通常選挙】に向けた、政治活動ポスター貼り(掲示交渉代行)
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