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「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件

「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件

裁判年月日  平成31年 2月15日  裁判所名  静岡地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号
事件名  不当利得返還請求権等行使請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴  文献番号  2019WLJPCA02156013

出典
判時 2426号11頁

参照条文
地方自治法100条14項(平24法72改正前)
地方自治法100条15項(平24法72改正前)
地方自治法100条14項
地方自治法100条15項
地方自治法100条16項
地方自治法242条の2第1項4号
静岡市議会政務調査費の交付に関する条例(平15静岡市条例12)7条(平25静岡市条例3改正前)
静岡市議会政務調査費の交付に関する規則(平15静岡市規則10)6条(平25静岡市規則3改正前)
静岡市議会政務調査費の交付に関する規則(平15静岡市規則10)別表(平25静岡市規則3改正前)
静岡市議会政務活動費の交付に関する条例7条
静岡市議会政務活動費の交付に関する条例別表

裁判年月日  平成31年 2月15日  裁判所名  静岡地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号
事件名  不当利得返還請求権等行使請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴  文献番号  2019WLJPCA02156013

平成29年(行ウ)第4号 不当利得返還請求権等行使請求事件(甲事件),
同第27号 不当利得返還請求権等行使請求事件(乙事件)

静岡市〈以下省略〉
原告 X1
同所
原告 X2
原告ら訴訟代理人弁護士 藤森克美
静岡市〈以下省略〉
被告 静岡市長 Y
同訴訟代理人弁護士 渡邊高秀
被告指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
同 W5
同 W6
同 W7
同 W8
同 W9

 

 

主文

1  被告は,a党静岡市議会議員団(平成25年4月4日結成,平成29年3月31日解散)に対し,46万5933円及びこれに対する平成29年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
2  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,これを25分し,その1を被告の負担とし,その余は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,a党静岡市議会議員団(平成21年4月3日結成,平成25年3月31日解散)に対し,70万0630円及びこれに対する平成25年5月1日以降支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
2  被告は,a党静岡市議会議員団(平成25年4月4日結成,平成29年3月31日解散)に対し,377万0340円及びこれに対する平成26年5月1日以降支払済みまで年5分の割合による金員,573万0120円及びこれに対する平成27年5月1日以降支払済みまで年5分の割合による金員,236万5780円及びこれに対する平成28年5月1日以降支払済みまで年5分の割合による金員並びに,288万5256円及びこれに対する平成29年5月1日以降支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
第2  事案の概要
甲事件は,静岡市の住民である原告らが,平成21年4月3日に結成し,平成25年3月31日に解散したa党静岡市議会議員団(以下「旧々a党市議団」という。)及び平成25年4月4日に結成し,平成29年3月31日に解散したa党静岡市議会議員団(以下「旧a党市議団」といい,旧々a党市議団と旧a党市議団については,いずれも「a党市議団」ともいう。)は,現在の静岡市に属する地区の出身で,静岡茶の祖とされる聖一国師に関する小冊子(以下「本件冊子」という。)を作成及び配布することを目的として,平成24年度に静岡市から交付を受けた政務調査費及び平成25年度ないし平成27年度に同市から交付を受けた政務活動費を,条例の定める政務調査費ないし政務活動費の支出の要件を充たさないのに,違法に支出したため,静岡市に対してその支出額に相当する金員を損害賠償として支払い,又は不当利得として返還すべき義務を負うにもかかわらず,静岡市の執行機関である被告は,その行使を怠っているなどと主張して,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,a党市議団に上記各年度の支出額に相当する各金員(平成24年度70万0630円,平成25年度377万0340円,平成26年度573万0120円,平成27年度236万5780円)及び各金員の支払日の翌年5月1日(各年度の収支報告書の提出日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するよう求める住民訴訟である。
乙事件は,原告らが,a党市議団が平成28年度に静岡市から交付を受けた政務活動費を,条例の定める政務活動費の支出の要件を充たさないのに,違法に支出したため,静岡市に対してその支出額に相当する金員を損害賠償として支払い,又は不当利得として返還すべき義務を負うにもかかわらず,静岡市の執行機関である被告は,その行使を怠っているなどと主張して,法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,a党市議団に上記支出額に相当する金員288万5256円及びこれに対する金員の支払日の翌年5月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することを求める住民訴訟であり,甲事件に係る訴訟の係属中に提起されて甲事件に併合されたものである。
1  前提事実(争いがない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  当事者等
ア 原告らは,いずれも静岡市の住民である(争いがない。)。
イ 被告は,普通地方公共団体である静岡市の執行機関である(弁論の全趣旨)。
ウ 相手方らのうち,平成24年度に政務調査費の交付を受けたa党静岡市議会議員団(旧々a党市議団)は,平成21年4月3日に結成され,平成25年3月31日に解散した会派であり,平成25年度ないし平成28年度に政務活動費の交付を受けたa党静岡市議会議員団(旧a党市議団)は,平成25年4月4日に結成され,平成29年3月31日に解散した会派である(争いがない事実,弁論の全趣旨)。なお,a党市議団には,A(以下「A」という。)等の議員が所属している(弁論の全趣旨)。
(2)  政務調査費の交付及び支出
ア 相手方(旧々a党市議団)は,平成24年法律第72号による改正前の法(以下「旧法」という。)100条14項及び同条15項並びに静岡市議会政務調査費の交付に関する条例(平成15年条例12号,以下「旧条例」という。)3条1項及び4条に基づき,静岡市から,平成24年度分の政務調査費として,25万円に会派の所属議員の員数を乗じて得た額を四半期(4月から6月まで,7月から9月まで,10月から12月まで,1月から3月まで)ごとに交付を受けた(弁論の全趣旨)。
イ a党市議団は,平成24年度の政務調査費として,70万0630円を支出した(甲3)。
(3)  政務活動費の交付及び支出
ア 平成25年度
(ア) 相手方(旧a党市議団)は,法100条14項及び同条15項並びに静岡市議会政務活動費の交付に関する条例(平成25年3月1日施行,以下「新条例」という。)3条1項及び4条に基づき,静岡市から,平成25年度分の政務活動費として,25万円に会派の所属議員の員数を乗じて得た額を四半期(4月から6月まで,7月から9月まで,10月から12月まで,1月から3月まで)ごとに交付を受けた(弁論の全趣旨)。
(イ) a党市議団は,平成25年度の政務活動費として,377万0340円を支出した(甲4)。
イ 平成26年度
(ア) a党市議団は,上記ア(ア)と同様に,静岡市から,平成26年度分の政務活動費の交付を受けた(弁論の全趣旨)。
(イ) a党市議団は,平成26年度の政務活動費として,合計573万0120円を支出した(甲5ないし10)。
ウ 平成27年度
(ア) a党市議団は,上記ア(ア)と同様に,静岡市から,平成27年度分の政務活動費の交付を受けた(弁論の全趣旨)。
(イ) a党市議団は,平成27年度の政務活動費として,合計236万5780円を支出した(甲11,12)。
エ 平成28年度
(ア) a党市議団は,上記ア(ア)と同様に,静岡市から,平成28年度分の政務活動費の交付を受けた(弁論の全趣旨)。
(イ) a党市議団は,平成28年度の政務活動費として,合計288万5256円を支出した(甲15ないし17)。
(4)  住民監査請求及び本件訴えの提起
ア 原告らは,平成28年11月28日,法242条1項に基づき,静岡市監査委員に対し,a党市議団が平成24年度ないし平成27年度の政務調査費ないし政務活動費を違法,不当に支出したなどと主張して,被告が,a党市議団に対して,合計1256万6870円の返還をさせるために必要な措置を講ずることを求める住民監査請求を行った。
これに対し,同市監査委員は,平成29年1月25日付けで,政務調査費ないし政務活動費の支出に違法又は不当な点はなく,静岡市がa党市議団に対して行使すべき返還請求権は生じていないから,財産管理を怠る事実は認められないとして,これを棄却する旨の決定をし,原告らにその旨通知した。(以上につき,争いがない事実,甲1)
イ 原告らは、平成29年2月17日,甲事件に係る訴えを提起した(静岡地方裁判所平成29年(行ウ)第4号)(顕著な事実)。
ウ 原告らは,平成29年8月8日,法242条1項に基づき,静岡市監査委員に対し,a党市議団が平成28年度の政務活動費を違法,不当に支出したなどと主張して,被告が,a党市議団に対して,合計288万5256円の返還をさせるために必要な措置を講ずることを求める住民監査請求を行った。
これに対し,同市監査委員は,平成29年9月26日付けで,上記アの監査請求に係る監査結果を援用し,政務活動費の支出に違法又は不当な点はないとして,当該措置請求を棄却する旨の決定をし,原告らにその旨通知した。(以上につき,甲14)
エ 原告らは,平成29年10月6日,乙事件に係る訴えを提起した(静岡地方裁判所平成29年(行ウ)第27号)(顕著な事実)。
2  関係法令等の定め
別紙「関係法令等の定め」のとおり
3  争点
a党市議団の上記平成24年度から平成28年度までの政務調査費ないし政務活動費の各支出(以下「本件各支出」という。)は,関係法令等が定める政務調査費ないし政務活動費の使途基準に反し,a党市議団は静岡市に対する不当利得返還義務を負うか,又は,a党市議団に不法行為責任が成立するか。具体的には,①本件冊子の作成及び配布に係る平成24年度の政務調査費として支出されたものは,その全部又は一部につき,a党市議団が行う「調査研究に資するため必要な経費」(旧条例1条)に該当するか,②本件冊子の作成及び配布に係る平成25年度ないし平成28年度の各政務活動費として支出されたものは,その全部又は一部につき,「市政の課題及び市民の意思を把握し市政に反映させる活動その他住民の福祉の増進を図るために必要な活動」のために要する経費(新条例7条1項)として,a党市議団が行う「調査研究その他の活動に資するため必要な経費」(新条例1条)に当たるか,また,a党市議団が不当利得返還義務ないし不法行為責任を負うとして,静岡市の損失ないし損害はいくらか。
4  争点に対する当事者の主張
(原告の主張)
a党市議団は,本件冊子の作成及び配布に係る費用を,政務調査費の使途基準の1つである「広報費」(調査研究活動,議会活動及び市の政策について住民に報告し,又は広報するために要する経費・旧条例7条,静岡市議会政務調査費の交付に関する規則(以下「旧規程」という。)6条,別表)又は政務活動費の使途基準の1つである「広報広聴費」(新条例7条の政務活動及び市政について住民に報告するために要する経費,新条例別表)として支出したものであるところ,以下にみる本件冊子の作成に至る経緯,本件冊子の内容及び配布先等からすれば,本件冊子は,a党市議団による調査研究の成果が反映されているものとはいえず,静岡市の住民に報告するようなものであるとは到底いえないから,上記「広報費」ないし「広報広聴費」に当たらず,「調査研究に資するため必要な経費」(政務調査費)ないし「調査研究その他の活動に資するため必要な経費」(政務活動費)ということはできないから,政務調査費又は政務活動費の使途基準に反する。加えて,本件冊子は,聖一国師の名を借りただけのものであり,後援者へ配布することでa党市議団を宣伝する目的であったことは明らかであるから,本件冊子の作成及び配布について政務調査費又は政務活動費を支出する必要性及び相当性はない。
(1) 本件冊子の作成の経緯
本件冊子の作成に着手した当時,聖一国師が静岡市の住民に広く知られていなかったことは,アンケート結果等の裏付けがあるものではなく,むしろ,静岡市のホームページにも,聖一国師に関する記事が掲載されているように,聖一国師と茶の関係は,本件冊子が作成される前からすでに静岡市の住民に知られていたところである(聖一国師の名前が読めなくても知名度がないことにはならない。)。a党市議団の一部の議員は,平成21年頃から,福岡市との交流事業である「水汲みの儀」(博多の祇園山笠で使用する水を○○で汲んで運ぶ儀式)や博多祇園山笠に参加していたのであるから,福岡市との交流が本件冊子の製作の契機となったものではなく,福岡市との交流が,a党市議団による聖一国師に関する調査研究活動により徐々に拡大したわけでもない。a党市議団による福岡市や中国への視察に係る資料(乙11,13ないし15)をみても,聖一国師の知名度の低さや知名度向上の必要性について言及されている部分はないから,聖一国師に関する調査研究と本件冊子の直接的な関係はない。
また,a党市議団が,聖一国師の調査研究により把握した事項(静岡市の茶祖であり,福岡において水磨様による製粉技術や博多織の技術を中国から伝えたという功績,博多で疫病を収めたことをきっかけとして博多祇園山笠のお祭りが始まったこと,東福寺の開祖であることなど)については,平成14年に聖一国師の生誕800年祭が行われた際に発行された記念事業誌(甲20の1ないし8・以下「本件雑誌」という。)においてすでに網羅されているものであるから,新たに調査研究の対象とすべきものではない。なお,本件雑誌は,静岡市立図書館において貸出・閲覧が可能な資料であるから,a党市議団の議員らが聖一国師の生誕800年記念行事や資料の検索をしていれば,聖一国師のことを調査研究した結果が記録されている本件雑誌が存在することに容易に気付いたはずである。
仮にa党市議団による調査研究の結果,静岡市において聖一国師が広く知られていないことが分かったのであれば,a党市議団は,静岡市当局に対し,その成果を示し,聖一国師を広く周知させるための施策を採るように求めるなど,政策提言や議員提案の条例の定義等を行うことが,政務調査費及び政務活動費の目的であり,議員の市政に関する調査研究の本来の在り方であるのであって,政務調査費及び政務活動費を本件冊子へ充てることを正当化できるものではない。
また,被告がいうコンパクト・デザインシティ研究会における政策と本件冊子がどのように関連するのか不明である上,同研究会のリーフレット中の一つの提言(「聖一国師など,隠れた歴史・文化資源の掘り起こしと活用」)をきっかけとして本件冊子を作成したからといって,政務調査費ないし政務活動費の使途基準の適合性を肯定する根拠にはならないし,同研究会の報告書においても本件冊子についての言及はなく,本件冊子の作成とは無関係である(しかも,当該リーフレットは平成25年2月に作成されたものであり,本件冊子に係る最初の支出(平成25年2月27日)と同時期であるから,上記提言が本件冊子の作成のきっかけになったともいえない。)。
(2) 本件冊子の内容
本件冊子は,B(以下「B」という。)が著した『△△』(平成17年3月出版)を原作として漫画化したものであるところ,本件冊子の奥付には,「発行者 a党静岡市議会議員団」と明記されているにもかかわらず,a党市議団の議員らは,原作の執筆・監修にも本件冊子の執筆・監修にも関与していない。a党市議団の議員らは,聖一国師に関する原作がないかC(以下「C」という。)に相談したところ,CからBを紹介され,その後,Bが古くから付き合いのあるCに原作を使用させることを一任したため,Cがa党市議団の議員らに対し,Cのアイデアを踏まえた劇画化を提案したことから,本件冊子の作成が決まったのであり,a党市議団は,BとCの所産である本件冊子に金を支出しただけである。
本件冊子は原作小説に依拠し,聖一国師の生涯を顕彰して認知度を高めるための聖一国師のPR漫画にすぎず,a党市議団の調査研究の成果が本件冊子のどこにどのように反映されているのか明らかでない。加えて,a党市議団の調査研究の成果を反映させるのであれば,本件冊子の企画書を出すのはa党市議団のはずであるところ,a党市議団は,Cに丸投げした上,Cとの打ち合わせを重ねた形跡はなく,Cの持ち込んだ提案書(乙16)に基づいて本件冊子を作成しただけのものであり,a党市議団の調査研究の報告をなすような成果物とはいえない(まして,a党市議団の議員らが,Cに対し,単に原作を漫画化するのではなく,母と子の愛情あふれる物語や若者が立身出世をしていくチャレンジ精神あふれる物語にすることを求めたのであれば,それは,a党市議員団としての調査研究の成果とは無関係な意向である。)。
また,本件冊子の内容についてみても,聖一国師が蕎麦の実や小麦を挽き粉として作る蕎麦やうどんの製法や,織物の製法を人々に伝えたり,博多の町の疫病を封じ,京都の東福寺を開山した高僧であるなどと紹介されているが,東福寺を開山したこと以外は伝説にとどまるものであり,a党市議団の調査研究は,言い伝えの調査を行い,得られた結果を宣伝する手段を研究するというものにすぎない。
a党市議団が,静岡市のために聖一国師について調査研究をすること,そのために政務調査費又は政務活動費を用いることに一定の理由はあるものの,本件冊子の内容には,a党市議団が政務調査費又は政務活動費を用いて行った研修会や福岡市及び中国への視察が全く反映されていないのであるから,政務調査費ないし政務活動費の支出と,本件冊子の作成に係る支出は無関係である。
(3) 本件冊子の配布
本件冊子は,平成27年度までの間に,日本語版,英語版,フランス語版合わせて2万8000部作成されたところ,平成26年度及び平成27年度に,2万3621部しか配布されておらず,4379部も余っていたにもかかわらず,a党市議団は,平成28年度にも,本件冊子の日本語版3000部,英語版3000部,及び中国語版3000部の合計9000部を増刷した。
また,平成27年度までに作成された本件冊子(外国語版も含む。)について,乙17号証(日本語版,英語版及びフランス語版の配布先一覧)に照らして配布先をみると,1枚目(日本語版配布先)の一覧表①の「教育総務課」,「教育センター」,「小学校お茶入れ教室」等は,②の教育関係と重複するものと考えられ,①の「農業政策課」には,使途不明のものも多数ある。また,⑥の茶業関係の「日本茶インストラクター D様」とする個人宛てに,日本語版100部,英語版100部,フランス語版100部の合計300部も配布しており,その後どのように利用されているのか不明であり,住民への報告とはいえない。さらに,③福岡市関係や④京都市関係,⑨市外団体(菊川市,藤枝市)を配布先とするものについては,配布先が静岡市の住民でないことが明らかである上,⑦地元関係の「□□」「◎◎」等は,すでに聖一国師について認知されている地域であるし,どのように利用されたか不明である。加えて,⑧市内団体の配布先や配布数がどのように決まったのかも不明であるし,⑩その他として各議員に配布したものについても,金員の授受関係が不明である。
英語版についてみても(乙17号証の3枚目),市当局のうちの「教育センター(シェルビービルへ)」,農業政策課の「ミラノ万博」及び「オマハへ」は,いずれも海外に配布したものと考えられるし,農業政策課の「全国お茶まつり」,福岡市関係,京都市関係,茶業関係の「東京のお茶見本市」は,いずれも静岡市の住民に配布されたものではない。また,観光関係の「b団体」や「タクシー組合」は,外国人観光客へ配布する目的で配布したものと考えられる。
フランス語版についてみても(乙17号証の4枚目),上記のとおり,「ミラノ万博」や「全国お茶まつり」が静岡市の住民に配布したものではないと考えられることに加え,フランス語版3000部のうち,半数以上が余っており,配布した部数の半数近くを市当局に配布したというのも不自然であることを踏まえると,静岡市の住民に報告したものとはいえない。
これらのことからすると,本件冊子は,a党市議団の調査研究の成果を住民へ報告するものとはいえないから,「広報費」にも「広報広聴費」にも当たらず,むしろ,a党市議団の特定の議員の地元の後援者や後援団体を中心とした有権者へ配布することで,選挙対策としていた可能性がある。
特に,静岡市の住民以外に配布したものについて,いつどこで誰に対して配布され,どのように利用されたのかを調査することなく,単に適当な数の冊子を配布するだけでは,聖一国師PR活動の一環といわざるを得ず,住民への報告とは無関係で,議員の調査研究とも到底いえないから,「調査研究費」に当たらないものである。
加えて,外国語版についても,茶業界や京都市などからの要望を受けて作成したとすれば,それは議員の裁量権の範囲を明らかに逸脱している上,作成部数の過大さからみても,限られた予算の中で,静岡市の諸外国へのPRに政務調査費及び政務活動費を優先的に使う必然性や合理性はない。
更に,平成28年度中の日本語版3000部の増刷は,見込みがあってのものではなく,新茶シーズンや新年度に配布の機会や要望が多くなるという被告の主張は,本件冊子が宣伝や広告のために使われていることを裏付けるものである上,増刷に係る印刷・製作費を支払ったのが平成28年3月28日であることからすると,当該年度の政務活動費の未消化分を充てたものと考えられ,政務活動費を翌年度以降の配布のための冊子の作成費用に充てることは許されないというべきである。
(4) したがって,本件各支出は,いずれも政務調査費又は政務活動費の使途基準に反するから,a党市議団は,悪意の受益者として,静岡市に対し,民法703条及び704条に基づく不当利得返還義務を負うとともに,不法行為責任を負う。
(5) また,平成27年度までの本件冊子の部数と政務調査費及び政務活動費の支出の合計額からすると,本件冊子は,単価約448円(1256万6870円÷2万8000冊)であるところ,a党市議団がこれを選挙区内で無償配布したことは,寄付行為の禁止条項(公職選挙法199条の2第1項)に反し,これにより静岡市に相当額の損害を与えたから,a党市議団は,静岡市に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
(被告の主張)
以下にみる本件冊子の作成に至る経緯,本件冊子の内容及び配布先等からすれば,本件冊子は,a党市議団による調査研究の成果を静岡市の住民に報告するものとして,本件冊子に係る支出は,政務調査費の使途基準の1つである「広報費」ないし政務活動費の使途基準の1つである「広報広聴費」に当たるから,「調査研究に資するため必要な経費」(政務調査費)ないし「調査研究その他の活動に資するため必要な経費」(政務活動費)といえ,政務調査費ないし政務活動費の使途基準に反しない。また,本件冊子に係る支出の必要性及び相当性も認められる。
(1) 本件冊子の作成の経緯
a党市議団は,平成22年,会派内にコンパクト・デザインシティ建設グループを設置し,静岡市が将来にわたって存在感のある地方都市であり続けるための政策提言を行うことを目的とした調査研究を開始し,そのテーマの1つとして,静岡市民に広く知られているところではなかった聖一国師が着目され,隠れた歴史・文化資源の掘り起こしと活用が提言された。
そこで,a党市議団は,議員活動の一環としての政策形成機能を果たすべく,聖一国師に関する研修や,聖一国師ゆかりの福岡市の視察,聖一国師が修行を行った土地である中国の視察等を行い,聖一国師に関する調査研究を行った(なお,議員らが行う調査研究は,既存のものであっても,政策立案や政策提言等につながる可能性があれば足りる。)。
これらの活動を通して,a党市議団は,聖一国師が,静岡茶の祖であるだけでなく,蕎麦の実や小麦を挽き粉として蕎麦やうどんを作る製法や,織物の製法を人々に教えたり,博多の町の疫病を封じ,京都の東福寺を開山した高僧であり,静岡市出身の日本全国,世界に誇るべき偉人であって,静岡市の魅力の一つとして,静岡市の発展に役立つ資源であるとの認識に至ったことから,その調査研究の成果を広く市民に報告し,聖一国師の認知度を高め,「聖一国師など,隠れた歴史・文化資源の掘り起こしと活用」の機運を高める必要があると考えた。Bは,地元静岡でも聖一国師があまりにも知られていないということがきっかけで,「△△」(平成17年3月発行)を著したと述べていること(乙22),平成17年5月31日付けの静岡の文化第81号(乙23)において,「c団体」の代表であるEが聖一国師についてほとんど知らないでいた旨述べていることからも,本件冊子の作成以前には,聖一国師が静岡市の住民に広く知られていなかったことは明らかである。
そこで,a党市議団は,聖一国師の研究者であるCとの協議を開始し,調査研究の成果を表す方法について意見交換をしたところ,聖一国師の認知度を高め,政策立案や政策提言につなげていくものとするためには,分かりやすさが大事であり,劇画化による冊子の作成・配布が望ましいということになった。そして,平成24年10月25日にCから提案書の提出を受けたため,その内容を検討した上,聖一国師の知名度向上のほか,お茶の振興を中心とした編集方針を決定し,平成25年2月,Cに本件冊子の作成を依頼した。その後も,本件冊子の編集等の折々に,a党市議団はCと打ち合わせを重ね,調査研究により認識したところと内容や方向性,イメージが一致するかどうかを確認し,Cの提案を断ったり変更を申し入れることもあったのであるから,Cに丸投げしたとは到底いえない。
このように,原作及び本件冊子の執筆者・監修者が,いずれもa党市議団の構成員でないとしても,本件冊子の作成に当たり,a党市議団は,監修者であるCに調査研究の成果を伝え,調査研究の成果となる資料も提供し,両者間で編集会議を行っているのであるから,本件冊子の内容にa党市議団の議員が関与していないとはいえない。
(2) 本件冊子の内容
本件冊子は,聖一国師の生涯や静岡の茶の歴史,茶にまつわる施設や茶の種類などを内容とするものであって,全体に親しみやすさとわかりやすさを追求しつつ,読者が静岡市とお茶の関係,茶文化の歴史を知るために有益なものとなっており,a党市議団が調査研究の成果を広く市民に報告し,聖一国師の認知度を高め,「聖一国師など隠れた歴史・文化資源の掘り起こしと活用」に向けた機運を高めるためのものに相応しいものとなっている。静岡市議会の議員が行う調査研究は,政策立案や政策提言等のために行われるものであるから,本件冊子の具体的な内容の逐一につき,どのような調査研究の成果がどのように反映されているのかを特定する必要はなく,本件冊子作成が政策立案,政策提言につながる可能性があることは明らかである。
(3) 本件冊子の配布
本件冊子は,平成27年度までの間に,外国版を含めて合計2万8000部が作成されたところ,本件冊子の配布先は,学校等の教育関係,福岡市・京都市などの関係自治体,観光関係者や茶業関係者,地元関係者など広汎に及んでおり,本件冊子が,a党市議団の調査研究の成果を広く住民に報告するために作成されたものであることは明らかである。
また,平成28年度中の日本語版3000部の増刷について,平成27年度末時点での本件冊子の日本語版の残部数が2450部(作成部数が2万2000部で,配布済みのものが1万9550部)しかなく,平成27年度内に日本語版が品切れとなり配布に支障を来すことが見込まれた上,4月以降に新茶シーズンが到来することや,新年度に配布の機会及び要望が多くなることが予想されたために増刷されたのであって,政務活動費の未消化分を費消するためにあえて増刷されたものではない。
本件冊子のうち,静岡市以外に配布したものや,外国語版の作成及び配布については,静岡市外の人及び各外国語圏の人に対して,聖一国師やお茶が静岡市の魅力として訴求力があるかどうか,訴求力を高めるためにはどのような工夫が有効かを視るためにも必要なことであり,調査研究としての性質を持つものといえる。しかし,本件冊子の作成費用を,調査研究の成果を市民に報告するための費用と,更なる調査研究の費用に分けることは事務的に煩雑である上,政務活動費により行った調査研究の成果は住民に報告するにとどまらず,広く活用することで政務活動の一層の深化につなげていくことが当然に期待されていると考えられるから,支出項目としては一括して住民に報告するための費用として事務処理することも許される。
(4) したがって,本件冊子の作成及び配布に係る経費は,「広報費」ないし「広報広聴費」に当たり,使途基準に適合しているから,本件各支出はいずれも適法なものである。
仮に政務調査費ないし政務活動費の使途基準に適合しないと判断される支出分がある場合,これについては,旧条例及び新条例において,剰余金として市長に返還する義務が定められているのであるから,明らかな目的外流用などの例外的場合を除き,当該支出が不法行為となることはない。
(5) なお,本件冊子は,一般に流通するものではなく,財産的価値もない(有償配布された事実もない)から,a党市議団が本件冊子を配布したことは,公職選挙法で禁止されている寄附には当たらない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次のとおりの事実が認められる。
(1)  a党市議団が聖一国師の調査研究を始めた経緯等
ア 静岡市は,主要な茶産地であるところ,静岡茶は,聖一国師が,鎌倉時代に宋の国から持ち帰った茶の種を現在の静岡市d区○○及び同区◇◇に属する土地に蒔いたことにより始まった。静岡市では,喫茶習慣が市民に根付いた文化になっており,茶は,静岡市を象徴するものである。(以上につき,甲13の1,弁論の全趣旨)
イ 静岡市では,平成20年当時,消費者の嗜好の変化等に伴う茶葉離れにより,茶の栽培面積や収穫量が減少し続けていたため,これに危機感を持ち,茶の政策研究を始めようと,平成20年11月の定例会において,「静岡市めざせ茶どころ日本一条例」を制定した。同条例は,茶は豊かで健康的な生活を送る上で欠かせないものとした上で,茶の伝統,文化,産業等を守り,静岡市を日本一の茶どころとして育て次代に引き継ぐために危機的状況に立ち向かっていくことなどを前文に謳い,必要な事項を定めたものである。そして,同条例9条2項の規定に基づき,静岡市長は,静岡茶の祖である聖一国師の誕生日に因み,11月1日をお茶の日として定めた。(以上につき,甲13の1,乙4)。
ウ a党市議団は,平成21年頃,静岡市がトップレベルの暮らしやすさを将来にわたって保持し,存在感のある地方都市であり続けるため,その実現に向けた政策を提言することを目的として,コンパクト・デザインシティ建設グループ(以下「建設グループ」という。)を発足させ,日本全国の中で魅力のある地域である福岡市や富山市,豊後高田市等の地域との比較考察や視察等による調査研究を始めた。その中で,a党市議団(建設グループ)は,平成21年6月頃に開港した富士山静岡空港の就航地である福岡市を調査研究することにより,更なる政策が展開できるものと期待し,福岡市を調査研究の対象として選定した。
そして,a党市議団(建設グループ)は,福岡市では,聖一国師が静岡茶の祖として知られ,聖一国師を起源とした博多祇園山笠(福岡市博多で毎年行われる祭り)が行われていること,製粉技術や麺類・もち類の技術を広めた偉人として崇敬されていること,聖一国師の生家の所在地とされる現在の静岡市d区○○を含む◎◎地区の住民は,「水汲みの儀」(博多祇園山笠で使われる「清い水」を届けるために○○で行われる儀式)を通じて,福岡市との交流を続けていることなどを知ったため,聖一国師は静岡市が生んだ偉人,静岡市の発展の隠れた資源であり,聖一国師を調査研究することが,静岡市の新たな魅力づくりにつながると考え,聖一国師の調査研究を進めることとした。(以上につき,甲13の1,乙6,証人A・1頁,2頁)
エ a党市議団は,福岡市への視察を通じて,福岡市の住民のほとんどが聖一国師のことを知っているのに対して,静岡市では聖一国師の認知度が低いと感じた(甲13の1,証人A・15頁)。
オ そこで,a党市議団は,平成22年6月8日,静岡茶の祖である聖一国師が広めた文化・技術の歴史を学ぶことを目的として,聖一国師に関する研修会を開催した。同研修会において,Aは,政務調査に関する報告として,「水汲みの儀」や聖一国師に関係のある寺院の特徴,聖一国師の生涯の概要を紹介するとともに,政務調査の成果及び市政への反映として,コンパクト・デザインシティを目指す静岡市にとって,歴史文化遺産を発掘し伝承すること,日本の茶・菓子・麺類の始祖が辿った道を研究することは,市の新しい魅力作りに貢献することになることなどを報告した。(以上につき,乙10,証人A・3頁,4頁)
カ a党市議団は,平成22年7月1日,静岡県中小企業団体中央会(以下「中央会」という。)との間で,建設グループが,静岡市が全国トップレベルの暮らしやすさを将来にわたって保持し,存在感のある地方都市であり続けるために,コンパクトシティ・デザインシティを柱とした新たな生活圏構想を検討し,その実現に向けた政策を提言することを目的とし,委託期間を同日から平成23年3月31日までとし,a党市議団「コンパクト・デザインシティ建設グループ企画検討運営サポート」を内容とする業務委託契約を締結した(乙5,証人A・4頁,5頁)。
キ a党市議団の議員ら17名は,平成22年7月14日から16日にかけて,福岡・静岡両市交流事業の創設の試み等を目的として,福岡市の博多町家ふるさと館,櫛田神社・承天寺・博多山笠勢い水・筥崎神宮を視察した。視察に訪れたa党市議団の議員らは,博多祇園山笠を見学し,○○の住民が,聖一国師の家で汲んだ水を山笠を担ぐ人の足元に向けて撒いていたこと,福岡市では聖一国師の知名度が大きかったことを知り,茶の祖である聖一国師の福岡での活動について調査した。(以上につき,乙11,証人A・5頁)
ク Aは,平成22年9月の定例会において,同年7月14日からの福岡市の視察について報告した。聖一国師は,花園天皇及び昭和天皇から国師の名を与えられた偉大な人物であり,静岡市d区○○には元静岡市長・奉讃会長名で聖一神光国師生誕地の碑が建立されているにもかかわらず,静岡市民は聖一国師について理解が浅いこと,そのため,聖一国師の足跡を振り返るためにa党市議団の議員ら17名が博多祇園山笠に参加したこと,○○で行う「水汲みの儀」において取水した水を角樽に詰め,博多山笠の勢い水として使用してもらうため,聖一国師の掛け軸の前に奉納し,山笠を担ぐ人々の足元へ向けて水を撒いたこと(1241年に博多の町に流行した疫病をはらうため,聖一国師が町民の担ぐ施餓鬼棚に乗って水を撒きながら町を清めたといわれていることから,博多祇園山笠では,山笠を担ぐ担ぎ手に聖水を撒いて清める風習が伝統となっており,この聖水に,○○の清流の水が利用されている。),聖一国師は宋の国で修業をして培った饅頭や羊羮,製粉技術等を福岡に伝えたため,福岡市では聖一国師を敬慕していること,聖一国師は福岡市と静岡市の共通の偉人であるところ,今後は相互交流によって,市民レベルの交流や観光につなげていくことが大切であることなどを報告し,静岡市長に対し,聖一国師のこれらの功績や福岡市との交流事業,市民への周知等について,静岡市としてどのように取り組んでいるかについて問うた。静岡市長は,これに対し,博多祇園山笠が聖一国師に因んだ祭りであることに感銘を受けたこと,静岡市の住民も聖一国師の様々な功績を認識する必要があること,静岡市と福岡市は新幹線も飛行機も通っていることから都市間交流が発展していくのが望ましいことなどを回答した。(以上につき,乙12)
ケ 中央会は,平成22年11月15日から同年12月22日にかけて,建設グループのメンバーの個別ヒアリングを行ったところ,Aから,聖一国師は静岡出身の茶の祖であり,蕎麦やうどん(製粉),饅頭等の製法を福岡に伝え,東福寺の開祖でもあること,博多祇園山笠のルーツとなっていること,聖一国師に関係して,饅頭文化,粉文化,茶が発展し,静岡が中心になって大会を行えば,各地から静岡を訪れるきっかけになること,「聖一国師物語」のようなものが作れたら,これが広まったときに,静岡市にはこのような人物がこのような人生を送ったということが知られることになりおもしろいなどの意見があった。また,a党市議団の所属議員であるFからは,聖一国師は,地域活性化の資源であり,まちづくり,交通手段,個々の地域の活性化をどう描いていくか,地域の資源を拾い,それを生かして活性化にしていくひとつの見本となる旨の意見があった。(以上につき,乙6)
コ 浙江省杭州市の仏教協会の会員21名は,平成23年6月8日,聖一国師が南宋の国から持って帰った資料が保管されていた京都の東福寺を尋ねる途中で,聖一国師の生家がある静岡市d区○○地区を訪れ,聖一国師の墓前で読経をしたり,仏壇に献茶をするなど,聖一国師を偲ぶ様々な催しがなされた(乙42,証人A・8頁,9頁)。
サ a党市議団の議員ら17名は,平成23年7月13日から15日にかけて,鹿児島市天文館の商店街の活性化について調査するため鹿児島市の視察を行う際に,聖一国師の生家である○○の水を承天寺に奉納し,聖一国師を静岡の偉人として広めることを目的として,併せて福岡市承天寺を視察し,聖一国師の福岡での活動について調査を行った。そこでは,博多祇園山笠は,博多で疫病が流行った際,聖一国師が聖水を撒いて疫病を鎮めたことをきっかけとして,これに感謝するために始まった祭りであり,以来700年程続いていること,聖一国師が中国から持ってきた製粉技術により,蕎麦,うどん,饅頭,羊羹等の食品への波及もあったことを知った。(以上につき,乙13,証人A・7頁)。
シ a党市議団の議員らは,平成23年10月28日から31日にかけて,中国杭州市を視察し,聖一国師が7年間修業したとされる萬寿禅寺を訪れたところ,萬寿禅寺がある茶畑(山間地)は,○○の風景と全く同じであったこと,萬寿禅寺には聖一国師を顕彰する碑や像が建てられていたことから,聖一国師の偉業を静岡市でも顕彰するための組織を立ち上げることが有益であると考えた(乙15,42,証人A・7頁,8頁)。
ス a党市議団の議員らは,平成24年7月14日から15日にかけて,福岡市を視察し,博多祇園山笠において,山笠の担い手に勢い水を撒いていると,地元の女性から孫にその水を飲ませてほしい旨お願いされたことから,聖一国師が博多で崇敬されていることを実感し,聖一国師が静岡市の魅力・地域資源として活用できると考えた(乙14,42,証人A・6頁,10頁)。
セ a党市議団の議員らは,平成24年8月19日から25日にかけて,中国杭州市の萬寿禅寺の開山1270周年記念法要への招待を受け参加したところ,a党市議団として聖一国師の研究をしていることを歓迎されたため,聖一国師が中国の人々に対しても通用する静岡の隠れた歴史・文化資源であると考えた(乙15,42,証人A・11頁,12頁)。
(2)  本件冊子の作成に至る経緯等
ア a党市議団の議員らは,上記(1)のとおり,福岡市や中国への視察を重ねるにつれて,聖一国師は,静岡茶の祖であるとともに,水磨様を用いた製粉技術によって蕎麦やうどんなどの大きな産業を興すきっかけとなったこと,博多織などの伝統技術を中国で取得して福岡にもたらしたこと,博多で流行った疫病を水を撒いて鎮めたこと,東福寺の開祖となったことなどを知り,聖一国師は静岡市が生んだ偉人であると確信した(証人A・12頁ないし14頁)。
イ しかし,a党市議団の議員であるAは,a党市議団の議員の中にも聖一国師の名前を正確に読める人が少数であったことや,自身の後援者やタクシーの運転手等,静岡市の住民に聖一国師について尋ねたところ,茶業界以外には聖一国師のことを知っている人がほとんどいなかったことから,静岡市では,聖一国師の知名度が低いと感じ,聖一国師についての調査研究の成果を何らかの形で市民に報告しようと考えた(証人A・15頁,42頁)。
ウ a党市議団の議員らは,聖一国師について調査して把握した事項をどのような方法で報告するのがよいかについて,中央会や,中央会から紹介を受けたG,聖一国師を研究していたC,新聞記者等に相談したところ,新聞記者から,多くの市民が親しみを持ちやすい劇画本の形式にするのが良いのではないかという意見が挙がり,a党市議団としても,テレビ番組や新聞で取り上げてもらうよりも,物として今後も残っていく劇画本が望ましいと考え,平成24年7月ないし8月頃,劇画本を作成する方針を決めた(証人A・17頁,19頁,20頁,43頁,弁論の全趣旨)。
エ そして,a党市議団の議員らは,劇画本を作るに当たり,まず聖一国師に関する原作を取得する必要があると考え,Cに相談したところ,Cから,Bが著した『△△』という本を紹介された。a党市議団の議員らは,全員で『△△』を読み,これを原作として,劇画本を作成することを決めた。なお,Bは,Cと古くから付き合いがあることから,『△△』を漫画化することについて,Cに一任した。(以上につき,甲19の1,証人A・19頁,20頁)
オ a党市議団の議員らは,漫画や脚本を手掛ける人物とネットワークを有しているCに対し,劇画本の編集等を依頼し,母と子の愛情あふれる物語で,かつ,若者が物事にチャレンジして立身出世をしていく物語にしたいという要望を伝えたところ,Cは,平成24年10月25日,a党市議団に対し,聖一国師の歴史・偉業を市民に知らしめるための方策として,聖一国師物語の劇画本によって広報することを提案するとともに,今後,聖一国師物語として,①少年期,②青年期,③遥かなる旅路,④臨済の一座建立,⑤故郷・駿河の国への5冊を出版して完結することを提案した。
しかし,a党市議団の議員らは,あくまでも聖一国師に関する調査研究の成果を住民へ報告することを目的としていたため,聖一国師物語は1冊でよいと考え,Cの上記提案を断った。また,Cの意向が,水磨様を大きな項目の1つとして掲げ,静岡市ブランド化への背景とするインセンティブにしたいというものであったが,a党市議団としては,水磨様を全体的に取り上げることは聖一国師がかえってぼやけてしまい,聖一国師物語を作成する目的と離れてしまうことから,Cの上記意向を断った。(以上につき,乙16,証人A・21頁ないし24頁,弁論の全趣旨)
カ そこで,a党市議団は,これまでの調査研究の成果として,静岡市の基幹産業である茶の歴史・文化と聖一国師を絡めた小冊子を作成し,広く市民に配布して調査研究の成果を市民に報告することを決めた(甲13の1)。
(3)  平成24年度における政務調査費の支出
ア Cは,平成25年2月15日,a党市議団に対し,静岡市に生まれた偉人(名僧)を顕彰するための劇画本(仮:「●●」製作のための着手金として,原作につき50万円,監修・編集作業として20万円の合計70万円(消費税含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同月27日,Cに対し,「広報費」として,聖一国師の劇画本原作・監修・編集代(着手金)に当たる70万円を振り込んで支払い,振込手数料630円と合わせて70万0630円を支出した。(以上につき,甲3,証人A・24頁,28頁)
イ Cは,当該金額のうち,原作『△△』の著者であるBに対し,原作使用料として,50万円を支払った。なお,CとBとの間に,B著の『△△』を原作として使用することについて契約書等は存在しない。(以上につき,甲18,19の1,2)
(4)  平成25年度における政務活動費の支出
ア a党市議団の議員らは,最初にCが依頼した漫画家から提出された漫画のカットについて,a党市議団として想定していたものと雰囲気が異なっていたため,同漫画家に修正を求めるとともに,内容としては,母と子の愛情あふれる物語で,若者が苦学をして立身出世していくようなチャレンジ精神あるストーリーにしてほしい旨を要望した(甲4,証人A・25頁,26頁)。
イ Cは,平成26年3月24日,a党市議団に対し,聖一国師物語1000部の製作費として,376万9500円(消費税17万9500円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同月26日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語コミック製作費に当たる376万9500円を振り込んで支払い,振込手数料840円と合わせて377万0340円を支出した。(以上につき,甲4,乙39,証人A・24頁,25頁)
ウ a党市議団は,平成26年3月,監修をC,原作をB『△△』として,『▲▲』(本件冊子)を出版した(乙1)。
(5)  平成26年度における政務活動費の支出
ア Cは,平成26年4月25日,a党市議団に対し,聖一国師物語3600冊の増刷に係る印刷・製本費として,72万円(消費税5万3333円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同年5月16日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語3600冊の増刷に係る印刷・製本費に当たる72万円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて72万0648円を支出した。(以上につき,甲5)
イ Cは,平成26年4月25日,a党市議団に対し,聖一国師物語5400冊の増刷に係る印刷・製本費として,108万円(消費税8万円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同年5月16日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語冊子代(単価200円,数量5400冊)に当たる108万円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて108万0648円を支出した。(以上につき,甲6)
ウ Cは,平成26年9月30日,a党市議団に対し,聖一国師物語3000冊の増刷に係る印刷・製本費として,59万9400円(消費税4万4400円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同年10月7日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語の3000冊の増刷に係る印刷・製本費に当たる59万9400円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて60万0048円を支出した。(以上につき,甲7)
エ Cは,平成26年11月17日,a党市議団に対し,聖一国師物語3000冊の増刷に係る印刷・製本費として,59万9400円(消費税4万4400円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同月28日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語コミック冊子代に当たる59万9400円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて60万0048円を支出した。(以上につき,甲8)
オ Cは,平成27年3月6日,a党市議団に対し,英語版聖一国師物語3000冊の印刷・製本費(ライセンス,翻訳,編集,構成,印刷,色構成代)として,212万7816円(消費税15万7616円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同月17日,Cに対し,「広報広聴費」として,英語版聖一国師物語の印刷製作代(ライセンス,翻訳,編集,校正,印刷代等)に当たる212万7816円を振り込んで支払い,振込手数料864円と合わせて212万8680円を支出した。(以上につき,甲9)
カ a党市議団は,平成27年3月,英語版聖一国師物語「▲▲」を出版した(乙18)。
キ a党市議団は,平成27年3月,フランス語版聖一国師物語「▲▲」を出版した(乙18)。
ク Cは,平成27年3月25日,a党市議団に対し,聖一国師物語3000冊の増刷に係る印刷・製本費として,59万9400円(消費税4万4400円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同月27日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語印刷代(冊子代)に当たる59万9400円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて60万0048円を支出した。(以上につき,甲10)
(6)  平成27年度における政務活動費の支出
ア Cは,平成27年7月20日,a党市議団に対し,聖一国師物語フランス語版3000冊の印刷・製本費(ページレイアウト,翻訳,色彩校正,背景・漫画制作,構成・修正・監修管理費,印刷・製本費)として,165万2400円(消費税12万2400円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同年8月5日,Cに対し,「広報広聴費」として,フランス語版聖一国師物語の製作・印刷代に当たる165万2400円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて165万3048円を支出した。(以上につき,甲11)
イ Cは,平成28年3月11日,a党市議団に対し,聖一国師物語3000冊の増刷に係る印刷・製本費として,71万2084円(消費税を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同月28日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語冊子制作代に当たる71万2084円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて71万2732円を支出した。(以上につき,甲12)
(7)  平成28年度における政務活動費の支出
ア Cは,平成28年7月30日,a党市議団に対し,英語版聖一国師物語3000冊の増刷に係る製作・印刷費として,64万5620円(消費税4万7824円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同年8月9日,Cに対し,「広報広聴費」として,英語版聖一国師物語の製作・印刷代に当たる64万5620円を振り込んで支払い,振込手数料648円と合わせて64万6268円を支出した。(以上につき,甲15)
イ Cは,平成28年11月12日,a党市議団に対し,中国語版聖一国師物語3000冊の製作・印刷費として,152万5176円(消費税11万2976円を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,平成29年2月3日,Cに対し,「広報広聴費」として,中国語版聖一国師物語の製作・印刷代に当たる152万5176円を振り込んで支払い,振込手数料864円と合わせて152万6040円を支出した。(以上につき,甲16)
ウ Cは,平成29年1月11日,a党市議団に対し,聖一国師物語3000冊の増刷に係る印刷・製本費として,71万2084円(消費税を含む。)を請求した。
a党市議団は,これを受けて,同年2月3日,Cに対し,「広報広聴費」として,聖一国師物語3000冊増刷に係る冊子代に当たる71万2084円を振り込んで支払い,振込手数料864円と合わせて71万2948円を支出した。(以上につき,甲17)
(8)  本件冊子の内容,発行部数,配布先等
ア 本件冊子は,青色をベースとしたカラー印刷の表紙に「▲▲」と題名が書かれており,聖一国師と思われる人物の絵が描かれている。裏表紙の1枚手前のページには,「監修 C」「原作 B『△△』(e新聞社)」「デザイン・編集 株式会社f g社」「構成・編集 ■■ H」「漫画/編集 株式会社h」「漫画/制作 I」「カットイラスト ◆◆ J」「発行者 a党静岡市議会議員団」と書かれている。本件冊子は,全43頁で構成されており,2頁から35頁までは聖一国師の生涯について白黒の漫画の形式で描かれ,36頁及び37頁は静岡茶の始まりと発展について文章と図表で示され,38頁及び39頁ではお茶に関する施設と史蹟及び聖一国師の足跡地が,40頁ではお茶の種類が,41頁ではお茶の入れ方が紹介され,42頁及び43頁では静岡茶と聖一国師に関する出来事が年表形式で紹介されている。(以上につき,甲1,13の1,乙1)
イ 本件冊子の日本語版について,平成25年度に1000部,平成26年度に計1万8000部,平成27年度に3000部の合計2万2000部が発行され,同年度までに19550部が配布され,残部は2450部であったところ,平成28年度に3000部が増刷された(甲4,5,6,7,8,10,12,13の5,17,乙17,弁論の全趣旨)。
本件冊子の英語版については,平成26年度に3000部発行され,平成27年度までに2888部が配布され,残部は112部であったところ,平成28年度に3000部が増刷された。
本件冊子のフランス語版については,平成26年度に3000部が発行され,平成27年度までに1183部が配布され,残部は1817部である。
本件冊子の中国語版については,平成28年度に3000冊が発行された。(以上につき,甲9,11,13の5,15,16,乙17,弁論の全趣旨)。
ウ a党市議団は,本件冊子の日本語版について,平成26年度及び平成27年度合わせて,文化振興課等の市当局に2342部,教育委員会や学校等の教育機関に1196部,福岡市関係に1624部,京都市関係に130部,観光関係に800部,茶業関係に167部,地元関係に640部,市内団体に1905部,市外団体に300部,その他1万0446部の合計1万9550部を配布した。
本件冊子の英語版については,平成26年度及び平成27年度合わせて,青少年育成課等の市当局に1107部,福岡市関係に9部,京都市関係に130部,観光関係に200部,茶業関係に230部,地元関係に70部,市内団体に370部,その他772部の合計2888部を配布した。
本件冊子のフランス語版については,平成26年度及び平成27年度合わせて,中央図書館等の市当局に585部,福岡市関係に9部,茶業関係に100部,地元関係に50部,市内団体に130部,その他309部の合計1183部を配布した。(以上につき,甲13の5,乙17)
2  本件各支出が政務調査費ないし政務活動費の使途基準に反するかについて
(1)ア  旧法100条14項は,政務調査費の交付につき,普通地方公共団体が,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対して政務調査費を交付することができるとし,その交付の対象,額及び方法は,条例で定めなければならないものとしている。これを受けて,旧条例1条は,旧法100条14項及び15項の規定に基づき,静岡市議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,市議会における会派に対し政務調査費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする旨を定め,旧条例7条は,会派は,政務調査費を市規則で定める使途基準に従って使用するものとする旨を定めている。そして,これを受けて,旧規程6条は,政務調査費の使途基準は別表に定めるものとし,同別表は,上記使途基準として,①「研究研修費」につき「研究会,研修会等を開催するために必要な経費又は他の団体が開催する研究会,研修会等に参加するために必要な経費(会場費,講師謝金,出席者負担金,茶菓子等)」,②「調査旅費」につき「調査研究活動のために必要な先進地調査又は現地調査に要する経費(旅費,自動車借上料,ガソリン代等)」,③「資料作成費」につき「調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費(印刷製本,原稿の作成,コピー使用料,写真現像代等)」,④「資料購入費」につき「調査研究活動のために必要な図書,資料等の購入に要する経費」,⑤「広報費」につき「調査研究活動,議会活動及び市の政策について住民に報告し,又は広報するために要する経費(広報紙,報告書印刷代,送料,会場費等),⑥「広聴費」につき「住民からの市政及び会派の政策等に対する要望,意見等を吸収するための会議等の開催に要する経費(会場費,印刷費,茶菓子代等)」,⑦「人件費」につき「調査研究活動を補助する職員の雇用に要する経費」,⑧「事務所費」につき「調査研究活動のために必要な会派の事務所の管理に要する経費(事務所の維持管理費,消耗品,備品・事務機器等の購入費及び賃借料)」,⑨「その他の経費」として「上記以外の経費で調査研究活動のために必要な経費」と定めている。
加えて,旧条例9条4項は,政務調査費について剰余金が生じた場合は,会派は,収支報告書等の提出と同時に当該剰余金を市長に返還しなければならないことを規定している。
イ  また,法100条14項は,政務活動費の交付につき,普通地方公共団体が,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対して政務活動費を交付することができるとし,その交付の対象,額,方法及び政務活動費を充てることができる経費の範囲を条例で定めなければならないと定めている。これを受けて,新条例1条は,法100条14項及び15項の規定に基づき,静岡市議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,市議会における会派に対し政務活動費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする旨を定め,新条例7条は,政務活動費は,政務活動(会派又は会派に所属する議員が行う調査研究,研修,広報及び広聴,要請及び陳情,各種会議への参加等市政の課題及び市民の意思を把握し市政に反映させる活動その他住民の福祉の増進を図るために必要な活動をいう。)のために要する経費で,別表に定めるものに充てることができる旨を定め,同別表は,その使途基準として,①「調査研究費」につき「市の事務,地方行財政等に関する調査研究及び調査委託に要する経費」,②「研修費」につき「研修会の開催に要する経費又は団体等が開催する研修会への参加に要する経費」,③「広報広聴費」につき「(1)第7条の政務活動及び市政について住民に報告するために要する経費 (2)住民からの市政及び会派又は議員の活動に対する要望又は意見の聴取,住民相談等に要する経費」,④「要請・陳情活動費」につき「要請及び陳情活動に要する経費」,⑤「会議費」につき「各種会議の開催に要する経費又は団体等が開催する意見交換会等各種会議への参加に要する経費」,⑥「資料作成費」につき「必要な資料の作成に要する経費」,⑦「資料購入費」につき「必要な図書,資料等の購入に要する経費」,⑧「人件費」につき「第7条の政務活動を補助する職員の雇用に要する経費」,⑨「事務所・事務費」につき「(1)必要な事務所の設置及び管理に要する経費 (2)第7条の政務活動に伴う通信,交通,消耗品及び備品に要する経費」と定めている(以下,旧条例及び旧規程の定める政務調査費の使途基準を「政務調査費の使途基準」,新条例の定める政務活動費の使途基準を「政務活動費の使途基準」といい,これらを合わせて「本件使途基準」という。)。
加えて,新条例9条4項は,政務活動費について剰余金が生じた場合は,会派は,収支報告書等の提出と同時に当該剰余金を市長に返還しなければならないことを規定している。
ウ  以上の法令等の各規定によれば,静岡市における政務調査費及び政務活動費(以下,合わせて言及するときは「政務活動費等」という。)は,それぞれ,旧条例及び旧規程又は新条例が定める使途にのみ使用されることが前提とされているというべきである。
そうすると,政務活動費等の交付を受けた会派又はその所属議員は,これを本件使途基準に合致する経費に充てるために支出しなければならず,これに合致しない経費に充てるために支出した場合は,法律上の原因なく,静岡市の損失において利益を受けたことになるから,これに相当する額を不当利得として返還すべき義務を負うとともに,政務活動費等の交付を受けた会派又はその所属議員が上記各使途基準に適合しない使途に充てたことにつき故意又は過失がある場合には,静岡市に対し,これに相当する額の損害賠償義務を負うものと解される。
(2)  そして,旧法100条14項が政務調査費の交付を定めた趣旨は,地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大し,その議会の担う役割がますます重要なものとなってきていることに鑑み,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は所属議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとした点にあり,平成24年法律第72号による改正後の法100条14項が政務活動費の交付を定めた趣旨は,上記のほか,議員の調査研究活動以外の対外的な陳情や会派単位での会議の実施などといった活動の基盤の充実をも図る点にあると解されるところ,このような政務活動費等の趣旨や性質,地方議員の政務活動は多岐にわたり,個々の経費の支出が必要かどうかについては,会派又は所属議員の合理的判断に委ねられる部分があることからすれば,その使途に関して会派又は所属議員に一定の範囲で裁量権が認められることは否定できない。その反面,政務活動費等が住民の税金から賄われる公費であることや法自体がその使途の透明性を確保しようとしていることからすれば,その裁量権の行使は合理的なものであることを要するというべきであるから,議員としての議会活動を離れた活動に関する経費や当該行為の客観的な目的や性質に照らして,議員の議会活動の基礎となる政務活動との間に合理的関連性を欠く行為に関する経費は,使途基準の定める経費に該当しないものというべきである(最高裁平成25年1月25日第二小法廷判決・裁判集民事243号11頁参照)。
また,政務活動費等の支出の時期や当該支出後の議員活動の程度,支出の必要性等の観点から,当該支出が政務活動のための必要性に欠けるものであったことをうかがわせる事実が認められる場合には,本件使途基準に合致しない政務活動費等の支出がされたことを推認させる一般的,外形的な事実の存在が主張立証されたものとして,特段の事情のない限り,当該支出は本件使途基準に合致しない違法なものと認めるのが相当である(最高裁平成22年3月23日第三小法廷判決・裁判集民事233号279頁参照)。
以上に照らすと,本件において,具体的な政務活動費等の支出が本件使途基準に合致するというためには,本件使途基準の文言や,支出の対象となる行為の客観的な目的や性質に照らして,当該行為と,議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動ないし政務活動との間に合理的関連性が認められることに加え,支出の要否及び支出額等の点について,会派又は所属議員に一定の裁量権があることを考慮した上で,政務活動費等として支出する必要性,相当性が認められることを要するというべきである。
なお,静岡市においては,政務活動費の使途基準につき,それを具体化する趣旨で,「政務活動費の手引き」(以下「本件手引き」という。甲13の4)が策定されているところ,本件手引きは,会派によるホームページの開設や維持経費,広報紙に係る印刷製本費(原稿の作成料や写真プリント代,翻訳料等も含む。)や送料,活動報告等にかかる送料等を広報広聴費の主な使途項目として例示する一方,党の活動,議員個人の後援会活動に関する経費や広報紙に係る経費のうち後援会活動等の政務活動以外の内容が混在している場合等を広報広聴費として支出できない(按分を用いても支出できない。)項目として例示している。このことからすれば,政務調査活動に基づく政策や議会での活動を,広報紙等によって市民に報告することは,静岡市における政務活動費制度において政務活動と捉えられていることは明らかであり,党の活動,議員個人の後援会活動に関する経費や広報紙に係る経費のうち後援会活動等の政務活動以外の内容が混在している場合に当たるということもできないから,専ら選挙を目的として市政報告等がされている等の事情がない限り,市政報告等によって会派及び議員の活動を紹介することが選挙の際に役立つこともあるという側面があることのみを理由として,市政報告等の経費を目的外支出に当たるということはできないというべきである。
そうすると,本件手引きは,交付された政務活動費が使途基準に適合する使途に充てられることを確保するとともに,その使途の透明性を確保すること(法100条16項参照)をその趣旨とするものであると解され,上記関係法令の趣旨に照らし,その内容は合理的であると認められるから,本件各支出が本件使途基準に合致するか否かは,本件手引きの内容も斟酌して判断すべきものと解するのが相当である。
(3)  そして,政務活動費等の交付を受けた会派又は議員に対して不当利得返還又は損害賠償の請求をするよう求める住民訴訟において,当該政務活動費等が使途基準に適合しない使途に充てられたこと及び当該会派又は議員にこの点につき故意又は過失があることは,当該請求権があると主張する者(住民)において,これを主張立証しなければならないと解されるが,住民において,収支報告書の記載に基づくなどして,政務活動費等の支出が使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実を主張立証した場合には,当該支出が使途基準に適合しないことが事実上推認されるというべきであって,当該支出が使途基準に適合することを主張する者(市又は会派)において,上記推認を覆すに足りる立証をしない限り,当該政務活動費等が使途基準に適合しない使途に充てられたことが認められるものと解するのが相当である。
また,上記(2)の本件手引きの趣旨に照らせば,本件手引きに沿わない政務活動費の支出については,本件使途基準に適合しないことが事実上推認されるものと解するのが相当である。
以下,上記のような観点から,本件各支出が本件使途基準に合致するか否かについて検討する。
(4)ア  原告らは,本件冊子の作成及び配布に係る費用は,その作成に至る経緯や本件冊子の内容,その配布先等からすれば,旧規程にいう「広報費」(調査研究活動,議会活動及び市の政策について住民に報告し,又は広報するために要する経費(広報紙,報告書印刷代,送料,会場費等))又は新条例にいう「広報広聴費」(議員が行う政務活動及び市政について住民に報告するために要する経費)のいずれにも当たらないから,a党市議団が平成24年度の政務調査費及び平成25年度ないし平成28年度の政務活動費から本件冊子の作成及び配布に係る費用を支出したことは,旧条例及び新条例所定の本件使途基準に適合しないものである旨主張する。
イ  政務活動費等を広報費(旧規程)又は広報広聴費(新条例)に充てることができるのは,市の住民に対して会派(所属議員)が行う調査研究活動や市政等についての情報を積極的に提供し,市政に関する住民の意思の形成を促すことが,市政の課題とこれに対する住民の意思を的確に把握し,これを市政に反映させる(静岡市自治基本条例(平成17年3月15日条例第1号,改正平成28年3月18日条例第26号)12条1項,17条2項参照,乙40,静岡市議会基本条例1条,2条,6条,7条,乙41))という,会派(所属議員)の調査研究(旧法100条14項)ないしその他の活動(法100条14項)にとって重要であることによるものと解される。
ウ  そこで,まず,本件冊子を作成するに至った経緯についてみると,前記1の認定事実(1)によれば,静岡市では,消費者の嗜好の変化等により茶離れの傾向にあった静岡茶の伝統,文化,産業等を守り,静岡市を日本一の茶どころにしようと,「静岡市めざせ茶どころ日本一条例」が制定され,聖一国師の誕生日である11月1日をお茶の日と定めるなどの取り組みを行っていたこと,a党市議団は,静岡市がトップレベルで暮らしやすい地方都市であり続けるための政策を提言するため,平成21年頃に建設グループを発足させたこと,同グループは,静岡福岡線の就航地である福岡市に注目し,その調査を始めたところ,福岡市で崇敬されている聖一国師は,静岡市d区○○出身の静岡茶の祖であることを認識し,また,福岡市で毎年行われている祭り(博多祇園山笠)で使われる水は,静岡市の「水汲みの儀」で汲んだものであることを知り,聖一国師が静岡市の隠れた資源であると考えたこと,しかし,静岡市では,福岡市に比べ聖一国師の認知度が低いと感じたこと,そのため,静岡市内でも聖一国師の認知度を向上させ,静岡市の機運を高めるべく,a党市議団は,建設グループや中央会を通じて,聖一国師のゆかりの地であり,博多祇園山笠を催す福岡市へ複数回視察を行うとともに,聖一国師が修行していたとされる中国への視察も行い,聖一国師について調査研究を進めたことが認められる。
これらの事実に鑑みると,静岡市とつながりがあるにもかかわらず,静岡市においては知名度があまり高くなかった,聖一国師という公共性があり,営利性のない文化資源について,a党市議団が調査研究の対象とすること自体は許容されるものといえる。
この点,原告らは,静岡市において聖一国師の認知度が低かったとはいえない旨主張し,その根拠の1つとして,甲20号証の1ないし8(本件雑誌)を提出する。
そこで,検討すると,確かに,a党市議団が,静岡市において聖一国師の認知度が低いと考えた根拠は,Aが,a党市議団の議員らの中にも聖一国師の名前を読めない者がいたこと(証人A・15頁)や,自分の後援者やタクシーの運転手など複数人に聖一国師のことについて尋ねたところ,茶業界を除く2,3人以外は,聖一国師のことをよく知っている人がいなかったということに尽きる(証人A・42頁)のであって,a党市議団として,聖一国師がどの程度静岡市民に認識されているのかという点について静岡市民を対象としたアンケート調査等を行うなど主体的に調査した形跡はない。また,甲20号証の1ないし8によれば,平成14年11月22日発行の本件雑誌中に,すでに,聖一国師は○○出身のお茶の祖であることや,水磨様を利用した製粉技術による蕎麦,うどんの製法や饅頭,羊羹の製法を伝えたことなどが記載されており,聖一国師生誕800年記念事業実行委員会が聖一国師について調査研究した結果がまさに冊子として公刊されていることが認められる。
しかし,本件雑誌が平成14年にすでに発行されていたにもかかわらず,Bにおいて『△△』を平成17年3月に発行したこと(乙2)からすれば,聖一国師の地元である静岡でも,聖一国師のことはあまり市民の間で知られていなかったことが窺われるのであり(乙22,弁論の全趣旨),c団体の代表であるEも,聖一国師が静岡茶の祖であることについてほとんど知らなかったこと(乙23)などからすれば,a党市議団の議員らが聖一国師の調査研究を始めた平成22年当時,あるいは本件冊子の作成に着手した平成25年当時,静岡市において,聖一国師の認知度(静岡市ゆかりの人物であることを含む。)は低かったといわざるを得ない。そして,このことは,すでに本件雑誌にa党市議団の議員らが調査研究した事項と同様の事項が記載されていたとしても,異なるものではないから,a党市議団の議員らが改めて聖一国師について調査研究する必要性が消滅していたということはできない。
したがって,原告らの上記主張は,採用することができない
エ  前記ウのとおり,a党市議団の議員らが聖一国師の調査研究を始めた平成22年当時,あるいは本件冊子の作成に着手した平成25年当時,静岡市において,聖一国師の認知度(静岡市ゆかりの人物であることを含む。)は低かったところ,a党市議団の議員らは,聖一国師について調査研究した事項を何らかの形で市民に報告しようと考え,中央会等を含めて協議した結果,多くの市民が親しみを持ちやすい劇画本の形式が望ましいことから,静岡市の基幹産業である茶の歴史・文化と聖一国師を絡めた小冊子を作成し,広く市民に配布して調査研究の成果を市民に報告することとし,Cの監修の下,本件冊子を作成したことが認められる。
そこで,本件冊子の内容についてみると,前記1の認定事実(8)アによれば,全43頁のうち,2頁から35頁までは聖一国師の生涯を描く漫画が掲載され,36頁及び37頁では静岡茶の始まりと発展について文章と図表で示され,38頁及び39頁ではお茶に関する施設と史蹟及び聖一国師の足跡地が,40頁ではお茶の種類が,41頁ではお茶の入れ方が紹介されており,42頁及び43頁では静岡茶と聖一国師に関する出来事が年表形式で掲載されていることが認められる。
上記のような構成及び内容から成る本件冊子を全体を通してみると,漫画の形式や図表,絵等を用いながら,市民の親しみやすさと分かりやすさを追求しつつ,読者にとって,静岡市と茶の関係,茶文化の歴史等を知るための有益な内容及び形式となっているものと評価することができる。
そして,前記1の認定事実(1)ク,サ,及び同(2)アによれば,a党市議団は,聖一国師に関する調査研究の中で,聖一国師が水磨様を用いた製粉技術による蕎麦やうどん,饅頭,羊羹,博多織等の技術を福岡市に広めたことや,博多の祭り(博多祇園山笠)は,博多の町に疫病が流行った際に聖一国師が水を撒いたことが起源となっていること,博多祇園山笠で使われる水は,静岡市の○○において「水汲みの儀」を行って博多まで運んでいることなどを知ったことが認められるのであり,これらは,本件冊子のうち,28,29,35頁などに直接的に描かれているものといえる。また,a党市議団が福岡市や中国へ視察を行って会得した聖一国師の生涯として,聖一国師が宋の国の萬寿禅寺で修業をするとともに,萬寿禅寺がある茶畑が○○の地形と酷似していたため茶種を日本に持ち帰ったこと,宋の国から博多に帰港し,東福寺を開山したこと,宋の国から持ち帰った茶種を故郷の○○と◇◇(i村)に撒いたこと(前記1(1)シ,(2)ア)が,本件冊子の全体にわたって描かれているものといえる。このような内容に鑑みると,a党市議団の議員らによる聖一国師に関する調査研究の成果は,本件冊子に反映されているものと評価することができる。
この点に関し,原告らは,本件冊子は,a党市議団がCに丸投げして完成させ,それにa党市議団がお金を支出しただけのものであり,a党市議団の調査研究の成果が反映されているものとはいえない旨主張する。しかし,前記1の認定事実(2)オのとおり,a党市議団が原作を使った劇画本の作成をCに依頼したことは認められるものの,上記のとおり,a党市議団の議員ら自身が福岡市に視察するなどして会得した聖一国師に関する情報が本件冊子に表れていることからすると,a党市議団の関与なしに,いわゆるCに丸投げして本件冊子が作成されたものと評価することはできない。
また,原告らは,甲20号証の1ないし8(本件雑誌)を根拠として,聖一国師が静岡茶の祖であることや水磨様を利用した製粉技術による蕎麦やうどんなどの製法を伝えたこと等は,a党市議団が調査研究した結果ではないという趣旨の主張をするが,前記(4)ウのとおり,すでに刊行された雑誌に同様の記載があったとしても,a党市議団の議員らが同一人物について改めて調査研究をすること及び調査研究した事項を住民への報告として紙面化する(冊子を作成する)必要性が消滅するということはできないから,原告らの上記主張に係る事由によっても,本件冊子の作成及び配布に係る支出が,本件使途基準に反するということはできない。
オ  上記イ,ウでみたところの本件冊子の作成に至る経緯及び本件冊子の内容等に鑑みれば,本件冊子は,a党市議団が,静岡市の偉人である聖一国師について調査研究した事項を静岡市の住民に示すことを目的として作成されたものであるということができる。
カ  そして,前記1の認定事実(3)ないし(7)によれば,a党市議団は,平成24年度について,本件冊子の作成に係る着手金(原作・監修・編集)等70万0630円を政務調査費として支出したこと,平成25年度について,本件冊子の製作に係る費用等377万0340円を政務活動費として支出したこと,平成26年度について,本件冊子(増刷分)の印刷・製本に係る費用等合計360万1440円を政務活動費として支出したこと,また,本件冊子の英語版の印刷・製本に係る費用等212万8680円を政務活動費として支出したこと,平成27年度について,本件冊子(増刷分)の印刷・製本に係る費用等71万2732円を政務活動費として支出したこと,また,本件冊子のフランス語版の印刷・製本に係る費用等165万3048円を政務活動費として支出したこと,平成28年度について,本件冊子(増刷分)の印刷・製本に係る費用等71万2948円を政務活動費として支出したこと,また,本件冊子の英語版(増刷分)の印刷・製本に係る費用等64万6268円を,本件冊子の中国語版の印刷・製本に係る費用等152万6040円を政務活動費として支出したことが認められる。
上記オのとおり,本件冊子は,a党市議団が,静岡市の偉人である聖一国師について調査研究した事項を静岡市の住民に示すことを目的として作成されたものであること,及び,前記2(1)アのとおり,旧規程の別表によれば,「広報費」の内容として,広報紙,報告書印刷代,送料,会場費等が例示されており,前記2(2)のとおり,本件手引きによれば,「広報広聴費」の内容として,広報紙に係る印刷製本費等(印刷製本費,原稿の作成料,写真プリント代,翻訳料)が例示されていることからすると,本件各支出のうち,上記の目的に沿う形で支出されたもの,すなわち,各団体等を通じて静岡市の住民に配布されたものについては,「住民に報告するために要する費用」として,「広報費」ないし「広報広聴費」に当たり,議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を有するから,これをもって,本件使途基準に反する支出ということはできない。そして,このことは,住民に報告するための言語方法としては,日本語に限られないことからすると,本件冊子の日本語版についてのみならず,上記の目的に沿う形で作成された外国語版(英語版,フランス語版,中国語版)についても妥当するものというべきである。
キ  そこで,さらに,本件冊子(外国語版も含む。)の配布先の点についてみると,前記1の認定事実(8)ウによれば,本件冊子の日本語版について,平成26年度及び平成27年度合わせて,文化振興課等の市当局に2342部,教育委員会や学校等の教育機関に1196部,福岡市関係に1624部,京都市関係に130部,観光関係に800部,茶業関係に167部,地元関係に640部,市内団体に1905部,市外団体に300部,その他1万0446部の合計1万9550部を配布したこと,本件冊子の英語版について,平成26年度及び平成27年度合わせて,青少年育成課等の市当局に1107部,福岡市関係に9部,京都市関係に130部,観光関係に200部,茶業関係に230部,地元関係に70部,市内団体に370部,その他772部の合計2888部を配布したこと,本件冊子のフランス語版について,平成26年度及び平成27年度合わせて,中央図書館等の市当局に585部,福岡市関係に9部,茶業関係に100部,地元関係に50部,市内団体に130部,その他309部の合計1183部を配布したことが認められる。このうち,静岡市内に配布されたものについては,上記のとおり,「広報費」ないし「広報広聴費」として,議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を有する上,支出する必要性もあるから,本件使途基準に適合する支出であるといえる。
他方,上記のとおり,本件冊子は,福岡市や京都市など静岡市外の自治体にも配布されことが認められる上,証拠(乙17(日本語版,英語版及びフランス語版の配布先一覧),42)及び弁論の全趣旨によれば,本件冊子の市当局への配布のうち,「ミラノ万博」を配布先とするもの(日本語版180部,英語版310部,フランス語版310部)は,イタリアで行われたミラノ国際博覧会(平成27年8月)で配布したことが認められる上,本件冊子の英語版の市当局への配布のうち,「教育センター(シェルビービルへ)」10部及び「オマハへ」130部は,いずれも米国へ配布されたものと推認される。
これらのうち,静岡市議団が,直接,福岡市や京都市などの市外団体へ配布するために本件冊子に係る政務調査費ないし政務活動費を支出することは,市外団体に対し,静岡市を宣伝(PR)することを目的として本件冊子を配布することを内容とする行為であること(証人A・43頁,44頁,弁論の全趣旨)から,客観的にみて,静岡市の偉人である聖一国師について調査研究した事項を静岡市の住民に示すことを目的とする行為(「調査研究活動,議会活動及び市の政策について住民に報告し」,あるいは,「政務活動及び市政について住民に報告する」行為)とは,本来の目的や性質を異にするものといわざるを得ない。そうすると,上記支出は,「広報費」のうちの「住民に報告するために要する経費」ないし「広報広聴費」に当たらないものと解するのが相当である。ただし,静岡市議団が,直接ではなく,市当局を介して最終的に市外団体や海外へ配布したものについては,静岡市議団において,当初から市外団体や海外に配布することを意図していたと認めるに足りる証拠はないから,これらの部分に係る本件冊子の製作及び配布に係る費用が,「広報広聴費」及び「調査研究費」に該当しないということはできない。
ここで,旧法100条14項に基づく旧規程6条及び別表においては,政務調査費の使途基準のうちの「広報費」としての交付につき,「調査研究活動,議会活動及び市の政策について住民に報告し,又は広報するために要する経費」と規定されていたこと,及び,法100条14項に基づく新条例7条及び別表においては,政務活動費の使途基準のうちの「広報広聴費」としての交付につき,「政務活動及び市政について住民に報告するために要する経費」と規定されていることについて検討すると,政務活動費等に関する関係法令の改正により,「広報広聴費」は,「広報費」のうちの「広報するために要する経費」の部分が削除されたことが認められる。これは,政務活動費(広報広聴費)は,市の住民の意思を市政に反映させることを目的として,会派が行う調査研究活動や市政等についての的確な情報を住民に積極的に提供するための費用と位置付けられていると考えられること(前記2(4)イ)及び法においても使途の透明化が要請されていること(法100条16項)に鑑み,旧法の改正においては,政務活動費の交付を受けた会派は,限定なく「広報するために要する経費」を支出できるものではなく,あくまでも「住民に報告するために要する経費」に限り,政務活動費として支出することが許されるとされたものと考えられる。
そうであれば,静岡市外へ配布するための本件冊子に係る支出について,静岡市の文化資源である聖一国師を対外的にPRするものとして,平成24年度分の支出までは,「広報のために要する経費」(広報費)に当たると解することができるから,政務調査費の使途基準に反するものとは認められないとしても,平成25年度ないし28年度分の支出については,「広報広聴費」に当たらないと解されるから,政務活動費の使途基準に反するものと認めるのが相当である。
ク  もっとも,a党市議団の議員らが,本件冊子を通して,静岡市の魅力が市外あるいは海外にどのように伝わっているのかについて調査研究することは考えられるところ,議員の議会活動の基礎となる調査研究のために費用が支出された場合には,その費用が政務活動費の使途基準の「調査研究費」の項目に該当するとみる余地があり,静岡市外へ配布するための本件冊子に政務活動費が充てられたとしても,それだけで,直ちに当該支出が政務活動費の使途基準におよそ適合しない支出であるということはできない。
そこで,当該支出が政務活動費の使途基準の「調査研究費」に該当するか否かについて検討すると,被告は,本件冊子を静岡市外あるいは外国語圏に配布したのは,聖一国師やお茶が静岡市の魅力として訴求力があるかどうか,訴求力を高めるためには更にどのような工夫が有効かをみるためにも必要なことであり,調査研究としての性質を有するところ,本件冊子の作成費用を,調査研究の成果を市民に報告するための費用と,更なる調査研究の費用に分けることは事務的に煩雑であり,政務活動費により行った調査研究の成果は市民に報告するにとどまらず広く活用することで政務活動の一層の深化に繋げていくことが当然に期待されていると考えられるため,支出項目としては一括して市民に報告するための費用として事務処理することも許される旨主張する。
しかし,本件冊子を通して,聖一国師や静岡茶が静岡市の魅力として訴求力があるかどうかを調査研究すること自体については,一般論として,調査研究としての必要性・合理性を肯定し得るとしても,本件において,実際に,a党市議団の議員らが,本件冊子を静岡市外に配布した後,配布先において何部配布され,どのような反応があったのか,本件冊子を通して静岡市の魅力がどの程度伝わったのかなどについて,具体的に調査を行っていたことを認めるに足る証拠はない。そうすると,静岡市外へ配布するための本件冊子に係る支出が,政務活動費の使途基準のうちの「調査研究費」(議員の議会活動の基礎となる調査研究のための費用)に該当する支出として必要性・合理性があったということはできない。
したがって,静岡市外へ配布するための本件冊子に係る支出は,議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を有するものとはいえないから,政務活動費の使途基準に反すると認められる。
ケ  次に,平成28年度中の日本語版3000部の増刷について検討すると,原告らは,当該増刷は見込みがあってのものではなく,本件冊子が宣伝や広告のために使われていることを裏付けるものである上,増刷に係る費用を支払ったのが平成28年3月28日であることからすると,当該年度の政務活動費の未消化分を充てたものと考えられ,翌年度以降の配布のための冊子の作成費用に充てることは許されない旨主張する。
しかし,新条例において,年度を超えて政務活動費を支出することが明確に制限されているものとはいえず,平成27年度末時点での日本語版の残部数が2450部であったこと(乙17の1枚目)や,配布先を市当局や学校関係,市内団体とするものが多く,4月の新年度期あるいは新茶の時期に本件冊子の配布が多数見込まれるという本件冊子の性質からすれば,平成27年度末に政務活動費を費消して本件冊子を増刷することは,政務活動費の趣旨に反するとまではいえないから,当該増刷が違法であるとはいえない。したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。
(5)ア  上記の認定を踏まえて,静岡市外へ配布するための本件冊子に係る支出により,静岡市の損失においてa党市議団がいくらの利得を得たといえるかについて,以下検討する。
本件冊子の日本語版についてみると,乙17号証の1枚目(日本語版配布先)によれば,「福岡市関係」1624部,「京都市関係」130部,「市外団体」300部は,いずれも,静岡市議団が,直接,福岡市や京都市,あるいは菊川市や藤枝市などの市外団体に対して配布したものであると認められ,静岡市の住民に報告するものとはいえないから,「広報広聴費」に該当せず,また,前記(4)クのとおり,a党市議団がこれらの配布先において,本件冊子に対する市民や海外の人の反応を自ら調査しようとしたものと認めることはできないから,「調査研究費」にも該当しない。他方で,静岡市議団から市当局に配布されたとされる「ミラノ万博」180部は,海外のイタリアへの配布であると認められるものの,前記(4)キのとおり,静岡市議団において,市当局を介して上記の静岡市外の配布先に配布することを意図していたと認めるに足りる証拠はないから,これらの部分に係る本件冊子の製作及び配布に係る費用を,「広報広聴費」及び「調査研究費」に該当しないということはできない。
原告らは,ほかに,①の市当局のうちの「教育総務課」,「教育センター」,「小学校お茶入れ教室」は,②の教育機関と重複すること,①の市当局のうちの「農業政策課」「使途不明」230部の具体的な配布先が不明であること,⑥の茶業関係の「日本茶インストラクターD様」宛に日本語版100部,英語版100部,フランス語版100部の合計300部も配布しているが,どのように利用されているのか不明であること,⑦の地元関係のうち,「□□」や「◎◎」の地区は,すでに聖一国師について認知されている地域であり,本件冊子がどのように利用されたか不明であること,⑧の市内団体についてもどのように配布先や配布数が決まったのか不明であること,そして,⑩その他として,a党市議団の各議員に配布したことについて金員の授受関係が不明であることなどを主張するが,これらの主張に係る事由から直ちに,疑いの範囲を超えて,本件冊子の配布が,静岡市の住民を対象とするものでもなく,また,本件使途基準の定める調査研究にも当たらないものと認めることはできない。
次に,本件冊子の英語版についてみると,乙17号証の3枚目(英語版配布先)によれば,「福岡市関係」9部,「京都市関係」130部,茶業関係の「東京のお茶見本市」130部は,いずれも,静岡市議団が,直接,福岡市や京都市,東京都などの市外団体に対して配布したものであると認められ,静岡市の住民に報告するものではないから,「広報広聴費」に該当せず,また,上記と同様に,「調査研究費」にも該当しない。他方で,静岡市議団から市当局に配布されたとされる「教育センター(シェルビービルへ)」10部及び「農業政策課」の「オマハへ」130部は,いずれも最終配布先が米国で,「ミラノ万博」310部は,イタリアであると認められるものの,前記(4)キのとおり,静岡市議団において,市当局を介して上記の静岡市外の配布先に配布することを意図していたと認めるに足りる証拠はないから,これらの部分に係る本件冊子の製作及び配布に係る費用を,「広報広聴費」及び「調査研究費」に該当しないということはできない。
原告らは,ほかに,農業政策課の「全国お茶まつり」も静岡市外への配布であるから,本件使途基準に反する旨主張するが,本件全証拠によっても,上記行事が具体的にいつどこで行われたものであるのか明らかでないから,政務活動費の使途基準に反するものと認めることはできない上,原告らが主張する他の配布先については,上記と同様に,疑いの範囲を超えて政務活動費の使途基準に反するものと認めることはできない。
そして,本件冊子のフランス語版についてみると,乙17号証の4枚目(フランス語版配布先)によれば,「福岡市関係」9部は,静岡市議団が,直接,福岡市に対して配布したものであると認められ,静岡市の住民に報告するものではないから,「広報広聴費」に該当せず,また,上記と同様に,「調査研究費」にも該当しない。他方で,市当局の「ミラノ万博」310部は上記と同様に,イタリアへの配布であるものの,静岡市議団において,市当局を介して上記の静岡市外の配布先に配布することを意図していたと認めるに足りる証拠はないから,これらの部分に係る本件冊子の製作及び配布に係る費用を,「広報広聴費」及び「調査研究費」に該当しないということはできない。
原告らが主張する他の配布先については,上記と同様に,疑いの範囲を超えて政務活動費の使途基準に反するものと認めることはできない。
以上を踏まえると,静岡市外に配布したものと認められるものの合計2332部(日本語版計2054部+英語版計269部+フランス語版9部)に係る支出については,政務活動費の使途基準に反する支出であると認められる。
イ  そして,証拠(甲5ないし11)及び弁論の全趣旨によれば,a党市議団が合計2332部の本件冊子の製作及び配布のために支出した額は,1冊当たりの単価185円に消費税(税率8%)を加えた金額に,2332部を乗じて算出された46万5933円(計算式:185円×2332部×1.08=46万5933円(小数点以下切り捨て-国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律第2条1項))であると認められる。
原告らは,本件冊子の単価について,政務活動費等の支出の合計額を印刷部数で割った約448円であると主張するが,前記(4)オ,カのとおり,本件冊子(外国語版を含む。)を作成すること自体は,a党市議団が調査研究した事項を静岡市の住民に示すことを目的とした,政務活動費等の使途基準に沿うものであるから,印刷製本に係る費用以外に本件冊子を作成するために要した原作使用料やレイアウト代,翻訳料等を単価に含めるのは相当でないから,本件において,原告らの上記主張に係る算定方式は,採用することができない。なお,被告は,本件冊子の一冊当たりの単価を200円であると主張し,その根拠として,乙17号証(2枚目に記載された金額を部数で除して計算した単価)を援用するが,乙第17号証記載からは,静岡市議団からその所属議員が本件冊子を購入した額(単価)が200円であったことが認められるものの,同額のうち,上記認定の本件冊子の単価185円に消費税を加算した額を超える部分については,静岡市議団が政務調査費ないし政務活動費から支出した額(単価)を超えるから,静岡市に損失又は損害を与えたということはできない。
ウ  したがって,a党市議団は,本件使途基準に合致しない経費に充てるために,政務活動費として46万5933円(計算式:185円×2332部×1.08=46万5933円(小数点以下切り捨て))を支出したものと認められ,同額の限度で,静岡市議団は,法律上の原因なく,静岡市の損失において利益を受けたことになるから,これに相当する額を不当利得として同市に返還すべき義務を負う。
ただし,本件全証拠によっても,静岡市議団は,上記支出について,その支出から現在に至るまで,本件使途基準に該当しないことを認識していたとまでは認められないから,悪意の受益者(民法704条)に当たるということはできない。
なお,不当利得として返還すべき政務活動費相当額に対する不法行為を理由とする遅延損害金の起算日については,法令上,会派又はその所属議員が,政務活動費として交付を受けた金員を,その他の金員と区分して管理しなければならない旨の定めがない限り,当該政務活動費の支出の時点では,政務活動費からの支出であることが確定せず,それが確定するのは,支出報告書を議長に提出した時であり,旧条例9条4項及び新条例9条4項によれば,剰余金が生じた場合は,同時に市長に返還しなければならないとされていて,この剰余金の性質は,不当利得であると解されるが,剰余金の返還期限が支出報告書を議長に提出した時と定められていると解することができるから,当該地方公共団体の議長に対して収支報告書を提出した日の翌日であると解される。そして,本来,使途基準に反する政務活動費の返還債務については,当該政務活動費の交付に係る年度ごとに発生するものであるところ,本件では,冊子の作成,配布,増刷が一連の流れとして年度を跨いでいて,会計年度ごとの使途基準に反する政務活動費の金額を区分して算定することが困難であることから,前記46万5933円に対する遅延損害金は,新条例9条2項により,平成28年度の政務活動費に係る剰余金の返還期限である同年度の収支報告書等の提出期限(当該政務活動費の交付の年度の翌年4月30日)の翌日である平成29年5月1日に発生したものと認められる。
エ  また,原告らは,本件各支出は本件使途基準に反するから,a党市議団は静岡市に対し不法行為に基づく損害賠償責任を負う旨主張する。
しかし,地方公共団体から政務活動費等の交付を受けた会派又はその所属議員の行為が,当該地方公共団体との関係で不法行為となり得るのは,本来であれば剰余金として返還しなければならない金員について,故意又は過失により,返還する必要がない旨を記載した収支報告書を議長に提出するなどして,政務活動費等に係る剰余金の返還義務を免れようとした場合であることを要すると解すべきところ,本件全証拠によっても,a党市議団が,静岡市議会の議長に対し,本件各支出に係る年度の収支報告書を提出するに当たり,本件各支出のうち前記2332部に相当する部分の金額(46万5933円)について,本件使途基準に適合せず,剰余金として返還しなければならないことを認識していたとは認められず,上記部分の内容及び程度等からすると,a党市議団又は所属議員において,上記部分の支出について,その支出ないし収支報告書の提出の当時,本件使途基準を満たさないことを認識し得たとまでは認められないから,原告らの主張を採用することはできない。
オ  さらに,原告らは,本件冊子は有価物(1冊あたり約448円)であり,これを選挙区内で無償配布することは,公職選挙法の寄付行為の禁止条項(同法199条の2第1項)に反し,これにより静岡市に相当額の損害を与えたから,a党市議団は,静岡市に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う旨主張する。
しかし,本件冊子の配布が,a党市議団に属する議員全員による行為として,公職選挙法199条の2第1項にいう「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者」が行う寄付に当たり得るとしても,原告らの主張によっても,静岡市は無償で本件冊子を取得したことになり,本件冊子の寄付行為によって静岡市に財産上の損害を生じたということはできないから,原告らの上記主張は,それ自体失当というほかはない。
3  小括
以上によれば,a党市議団(平成25年4月4日結成,平成29年3月31日解散)は,静岡市に対し,不当利得返還債務に基づき,平成25年度ないし平成27年度の政務活動費から支出した広報広聴費の一部に相当する46万5933円及びこれに対する平成29年5月1日(平成28年度の政務活動費に係る収支報告書等を提出する日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。
第4  結論
よって,原告らの請求は,上記第3の3の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
静岡地方裁判所民事第1部
(裁判長裁判官 関口剛弘 裁判官 飯野里朗 裁判官 松尾恵梨佳)

 

〈以下省略〉
※編注 更生決定反映済み


「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 9月20日  和歌山地裁  平28(行ウ)6号・平28(行ウ)7号 公金(政務調査費)違法支出金返還請求事件
(2)令和元年 9月17日  富山地裁  平31(わ)52号 各詐欺被告事件
(3)令和元年 8月21日  東京高裁  平31(行コ)72号 各不当利得返還請求権等行使請求控訴事件
(4)令和元年 7月18日  宇都宮地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件
(6)令和元年 6月19日  大阪地裁  平29(行ウ)43号 大阪市政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(7)令和元年 5月29日  仙台地裁  平29(行ウ)2号 政務活動費返還履行等請求事件
(8)令和元年 5月16日  東京地裁  平28(行ウ)222号 共同訴訟参加申出事件
(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
(10)平成31年 3月22日  東京地裁  平28(行ウ)322号 政務活動費返還請求事件
(11)平成31年 2月28日  名古屋地裁  平27(行ウ)130号 愛知県議会議員政務活動費住民訴訟事件
(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(13)平成31年 2月19日  奈良地裁  平28(行ウ)21号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件
(15)平成31年 2月15日  佐賀地裁  平29(行ウ)2号 損害賠償等請求事件
(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件
(17)平成30年11月30日  東京地裁  平29(行ウ)193号 損害賠償請求(住民訴訟)事件
(18)平成30年11月29日  広島高裁岡山支部  平30(行コ)8号 不当利得返還請求控訴事件
(19)平成30年11月27日  広島高裁松江支部  平30(行コ)1号・平30(行コ)3号ないし8号 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件
(20)平成30年11月16日  最高裁第二小法廷  平29(行ヒ)404号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(21)平成30年11月15日  宇都宮地裁  平24(行ウ)15号 政務調査費返還履行請求事件
(22)平成30年10月29日  神戸地裁  平30(わ)137号 事件名  詐欺被告事件
(23)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(24)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(25)平成30年 8月 9日  札幌高裁  平29(行コ)8号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(26)平成30年 8月 2日  東京高裁  平27(行コ)256号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(27)平成30年 6月28日  東京地裁  平30(行ウ)23号 情報公開請求却下処分取消請求事件
(28)平成30年 6月26日  仙台地裁  平29(行ウ)7号 非開示処分取消請求事件
(29)平成30年 5月24日  東京高裁 平29(行コ)229号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(30)平成30年 5月24日  富山地裁  平30(わ)35号 詐欺被告事件
(31)平成30年 4月27日  大阪地裁  平27(行ウ)229号 政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(32)平成30年 4月24日  岡山地裁  平28(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(33)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(34)平成30年 4月11日  神戸地裁  平29(行ウ)9号 政務調査費返還請求住民訴訟事件
(35)平成30年 3月16日  鳥取地裁  平26(行ウ)7号 不当利得請求事件
(36)平成30年 2月19日  神戸地裁  平29(わ)824号 被告人3名に対する各詐欺被告事件
(37)平成30年 2月 8日  仙台高裁  平29(行コ)5号・平29(行コ)13号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(38)平成30年 1月31日  岡山地裁  平26(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(39)平成29年11月29日  徳島地裁  平26(行ウ)14号 政務調査費返還請求事件
(40)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成29年11月28日  岡山地裁  平27(行ウ)16号 不当利得返還請求事件
(42)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(43)平成29年10月 4日  最高裁第二小法廷  平29(行フ)2号 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
(44)平成29年 8月30日  さいたま地裁  平27(行ウ)12号 埼玉県議会政務調査費返還事件
(45)平成29年 7月18日  奈良地裁   平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(46)平成29年 7月10日  東京高裁  平28(行コ)325号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求控訴事件
(47)平成29年 6月29日  宇都宮地裁  平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(48)平成29年 6月29日  名古屋地裁  平29(ワ)485号 弁護士費用請求事件
(49)平成29年 5月26日  大阪高裁  平28(行コ)199号 不当利得返還等請求行為・同附帯請求控訴事件
(50)平成29年 5月12日  東京地裁  平28(ワ)24577号 損害賠償請求事件
(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件
(52)平成29年 4月25日  神戸地裁  平26(行ウ)57号 政務調査費等返還請求事件
(53)平成29年 4月21日  仙台高裁  平28(行コ)12号・平28(行コ)20号 山形県議会議員政務調査費返還等請求控訴、同附帯控訴事件
(54)平成29年 4月12日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)13号 政務調査費返還請求控訴事件
(55)平成29年 3月30日  広島高裁岡山支部  平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(56)平成29年 3月29日  広島高裁  平28(行コ)22号 不当利得返還請求住民訴訟控訴事件
(57)平成29年 3月24日  高松高裁  平28(行ス)2号
(58)平成29年 3月16日  札幌地裁  平24(行ウ)6号 政務調査費返還履行請求事件
(59)平成29年 3月14日  東京高裁  平28(行コ)413号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(60)平成29年 3月 1日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)11号 政務調査費返還請求控訴事件
(61)平成29年 2月 1日 仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(62)平成29年 1月31日  仙台地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(63)平成28年12月27日  東京地裁  平26(ワ)1916号 損害賠償請求事件
(64)平成28年12月27日  奈良地裁  平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(65)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ヒ)292号 政務調査費返還履行請求事件
(66)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ツ)253号・平28(行ヒ)291号 政務調査費返還履行請求事件
(67)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷 平27(行ヒ)389号
(68)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷  平28(行ツ)164号・平28(行ヒ)173号
(69)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷 平28(行ツ)163号・平28(行ヒ)172号
(70)平成28年11月29日  甲府地裁  平26(行ウ)4号 政務調査費返還請求事件
(71)平成28年11月10日  広島高裁岡山支部  平27(行コ)11号 不当利得返還請求控訴事件
(72)平成28年10月27日  金沢地裁  平27(行ウ)6号 政務調査費返還請求事件
(73)平成28年10月26日  さいたま地裁  平26(行ウ)62号 損害賠償請求住民訴訟事件
(74)平成28年10月12日  徳島地裁  平28(わ)196号 虚偽有印公文書作成・同行使,詐欺被告事件
(75)平成28年 9月29日  大阪地裁  平26(行ウ)81号・平26(行ウ)116号 平成24年度茨木市議会政務調査費返還請求事件、平成24年度(2月~3月分)茨木市議会政務調査費返還請求事件
(76)平成28年 9月29日  金沢地裁  平27(行ウ)2号 政務調査費返還請求事件
(77)平成28年 9月14日  高松地裁  平28(行ク)1号
(78)平成28年 8月 3日  横浜地裁  平27(行ウ)25号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(79)平成28年 7月 6日  神戸地裁  平27(わ)825号 虚偽有印公文書作成、虚偽有印公文書行使、詐欺被告事件
(80)平成28年 6月28日  最高裁第三小法廷  平25(行ヒ)562号 不当利得返還等請求行為請求事件
(81)平成28年 6月22日  仙台高裁  平27(行コ)2号・平27(行コ)9号 政務調査費返還履行等請求控訴、同附帯控訴事件
(82)平成28年 6月22日  山口地裁  平26(行ウ)7号 不当利得返還請求住民訴訟事件
(83)平成28年 5月17日  山形地裁  平23(行ウ)2号 山形県議会議員政務調査費返還等請求事件
(84)平成28年 4月27日  岡山地裁  平25(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(85)平成28年 4月22日  新潟地裁  平25(行ウ)7号 政務調査費返還履行請求事件
(86)平成28年 4月13日  福井地裁  平25(行ウ)2号 2011年度福井県議会政務調査費人件費等返還請求事件
(87)平成28年 3月22日  札幌高裁  平27(行コ)11号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(88)平成28年 3月22日  東京地裁  平26(行ウ)582号 政務活動費返還請求事件
(89)平成28年 3月11日  東京地裁  平25(行ウ)677号 政務調査研究費返還請求事件
(90)平成27年12月24日  名古屋高裁  平26(行コ)11号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟控訴事件
(91)平成27年12月21日  名古屋高裁金沢支部  平27(行ケ)4号 裁決取消、当選取消請求事件
(92)平成27年10月27日  岡山地裁  平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(93)平成27年 9月17日  東京高裁  平27(行コ)110号 政務調査費返還請求控訴事件
(94)平成27年 6月24日  宇都宮地裁  平22(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(95)平成27年 6月12日  札幌高裁  平26(行コ)12号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(96)平成27年 5月26日  札幌地裁  平21(行ウ)36号 政務調査費返還履行請求事件
(97)平成27年 4月 8日  大阪地裁  平24(行ウ)129号 政務調査費返還請求事件
(98)平成27年 2月26日  東京地裁  平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(99)平成27年 1月13日  長崎地裁  平24(ワ)530号 政務調査費返還請求事件
(100)平成26年12月18日  奈良地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件


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