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「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件

「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件

裁判年月日  令和元年 6月27日  裁判所名  青森地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(行ウ)2号
事件名  政務調査費返還等履行請求事件
文献番号  2019WLJPCA06276007

 

裁判年月日  令和元年 6月27日  裁判所名  青森地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(行ウ)2号
事件名  政務調査費返還等履行請求事件
文献番号  2019WLJPCA06276007

青森県弘前市〈以下省略〉
原告 Xオンブズパーソン
同代表者代表幹事 A1
青森市〈以下省略〉
被告 青森県知事 Y
同訴訟代理人弁護士 石田恒久
竹本真紀
同指定代理人 W1
W2
W3
W4
W5
W6
W7
W8

 

 

主文

1  被告は,別表1~3,5,6,8~12,17,18,21,23,26,28,30,32,35~37,39及び41~43の「議員名」欄記載の者らに対し,同各別表の「認容額」欄の「計」欄記載の各金額の金員を青森県に支払うよう請求せよ。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,これを4分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求の趣旨等
1  請求の趣旨
被告は,別表1~46の「議員名」欄記載の者ら(以下「本件各議員ら」という。)に対し,同各別表「違法支出額」欄の「計」欄記載の各金額(以下「本件各違法支出金額」という。)の金員を青森県に支払うよう請求せよ。
2  被告の答弁
(1)  本件訴えのうち,①A2(別表17の2),A3(別表17の3),A4(別表45)及びA5(別表46。以下,これらの者を「本件4議員ら」という。)に対して,同各別表「違法支出額」欄の「計」欄記載の各金額の金員,②A6(別表15)に対して,同別表のNo.20の「違法支出額」欄記載の金額の金員のうち1046円,③A7(別表29)に対して,同別表のNo.19の「違法支出額」欄記載の金額の金員のうち5万2605円をそれぞれ青森県に支払うよう請求することを求める部分をいずれも却下する。
(2)  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
第2  事案の概要
本件は,青森県内に主たる事務所を置く権利能力なき社団である原告が,青森県の執行機関である被告に対し,平成24年度(4月始まり。以下同じ。)当時の青森県議会の48名の議員ら(本件各議員ら)が,議員活動に係る経費の支出及び青森県議会の会派控室の運営に係る経費の支出につき政務調査費(地方自治法〔平成24年法律第72号による改正前のもの。以下「地自法」という。〕100条14項)を充当したことについて,その一部又は全部が,青森県政務調査費の交付に関する条例(平成13年青森県条例第45号。平成25年青森県条例第2号による改正前のもの。以下「本件政調費条例」という。)7条及び青森県政務調査費の交付に関する規程(平成13年青森県議会告示第1号。平成25年青森県議会告示第1号による改正前のもの。以下「本件政調費規程」という。)2条の定める使途基準(以下「本件使途基準」という。)に反するなど主張して,地自法242条の2第1項4号に基づき本件各議員らに対して本件各違法支出金額の不当利得の返還請求をすることを求める事案である。
第3  関係法令の定め
1  地自法の定め
(1)  普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる。この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない。(以上,地自法100条14項)
(2)  地自法100条14項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする(同条15項)。
2  本件政調費条例の定め(甲A3,乙A1)
(1)  趣旨
本件政調費条例は,地自法100条14項及び同条15項の規定に基づき,青森県議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,議員に対し政務調査費を交付することに関し必要な事項を定めるものとする(本件政調費条例1条)。
(2)  政務調査費の交付対象
政務調査費は,各月の初日に議員である者に対し交付する(本件政調費条例2条1項)。
(3)  政務調査費の額
政務調査費は,月額31万円とする(本件政調費条例3条)。
(4)  議員の通知
青森県議会の議長は,政務調査費の交付を受ける議員について,毎年度,当該年度の開始の日から5日以内に知事に通知しなければならない(本件政調費条例4条1項)。
(5)  政務調査費の交付決定等
知事は,本件政調費条例4条の規定による通知があったときは,速やかに,当該通知に係る議員について,政務調査費の交付の決定を行い,当該議員に通知するものとする(同条例5条)。
(6)  政務調査費の交付
知事は,毎月10日までに,当該月分の政務調査費を交付するものとする(本件政調費条例6条)。
(7)  政務調査費の使途
議員は,政務調査費を別に定める使途基準(本件使途基準)に従い,使用しなければならない(本件政調費条例7条)。
(8)  収支報告書
議員は,毎年度,当該年度の終了の日の翌日から起算して30日以内に,①議員の氏名,②政務調査費に係る収入額,③政務調査費に係る支出額及びその主な内容,④政務調査費に係る収入額及び支出額との差引額,⑤その他必要な事項を記載した政務調査費に係る収入及び支出の報告書(収支報告書)を議長に提出しなければならない(本件政調費条例8条1項)。この収支報告書には,当該収支報告書に記載された政務調査費による支出に係る領収書の写し等(領収書の写しその他の議長が定める証拠書類をいう。以下同じ。)を添えなければならない(同条2項)。
3  本件政調費規程(甲A3,乙A1)の定め
(1)  政務調査費の使途基準
本件政調費条例7条の使途基準(本件使途基準)は,別表使途基準表のとおりとする(本件政調費規程2条)。
(2)  領収書の写し等の提出
本件政調費条例8条2項の議長が定める証拠書類は,領収書の写しその他の支出を証すべき書面であって当該支出の相手方から徴したものの写し(社会慣習その他の事情によりこれを徴し難いとき及び議長が定めるときは,支出証明書又は金融機関が作成した当該政務調査費による支出に係る振込みの明細書の写し)とする(本件政調費規程3条2項)。同項の書面(支出証明書を除く。)の提出は,別表使途基準表に規定する使途の項目ごとに,領収書等の写し貼付用紙(以下「本件貼付用紙」という。)に貼り付け,必要な事項を記載して行うものとする(同条3項)。
第4  「政務調査費事務マニュアル(第1次改訂)」(乙A1。以下「本件マニュアル」という。)の内容
本件マニュアルは,青森県議会が平成20年12月に作成し,平成24年度においても使用されていたものであり,その内容は,おおむね以下のとおりである(乙A1)。
1  使途の基準
本件政調費規程2条所定の使途基準につき,広範にわたる全ての使途を特定することは困難であるが,政務調査費の充当が可能なものについての具体的な考え方や想定される例は以下のとおりである(乙A1の3~5頁)。
(1)  事務所費
調査研究活動の事務を行うための拠点となる事務所を設置する場合の事務所の借上げや事務所を有効に活用していくための管理運営に係る経費に充当する。具体例としては,①事務所の賃借,②電気,ガス,水道,冷暖房の使用,③共益費がある。(以上,乙A1の5頁)
(2)  事務費
議員が行う調査研究活動の事務の遂行に当たって,必要となる物品や機器等の購入及び使用等に係る経費に充当する。具体例としては,①文房具等の事務用品の購入,②パソコン,コピー機等の事務用機器の購入及びリース,③電話,FAX等の通信機器の購入や回線使用がある。(以上,乙A1の5頁)
(3)  人件費
議員が行う調査研究活動について,調査関係者との連絡調整及び調査研究資料の収集,整理,保管等の補助を行う職員に係る給料,手当,社会保険料等に充当する。具体例としては,①調査研究の補助のための専属職員の常時又は臨時の雇用,②調査研究の補助業務を兼務する職員の常時又は臨時の雇用がある。(以上,乙A1の5頁)
2  政務調査費の充当の考え方(積算,按分等)
政務調査費の充当の範囲は,原則として,調査研究活動に係る支出の実費の金額によることとなるが,実費の積算が困難である場合があり得ること,政務調査費の充当の範囲は社会通念上許容されるものである必要があることを踏まえ,政務調査費の充当に当たっての積算,按分等の方法は,以下のとおりとする(乙A1の6~9頁)。
(1)  事務所費関係(乙A1の6,7及び9頁)
調査研究活動の拠点となる議員の事務所は,調査研究以外の活動にも使用されることが想定され,使用形態についても自宅に設置している場合や後援会事務所を兼ねている場合があることなどから,政務調査費の充当に当たっての取扱いは,以下のとおりとする。
ア 事務所の賃借料及び光熱水費等に係る支出については,使用の実態に合わせ,調査研究活動が全体の活動(調査研究活動のほか,後援会活動,政党活動等)に占める割合により按分する。この場合の按分は,使用時間数や使用面積などの合理的な方法による。
使用実態に合わせた按分を行うことが著しく困難な場合には,事務所の利用の形態により,活動の目的ごとに均等に按分することができることとする。この場合の按分の方法は,別表「按分方法(事務所費・事務費・人件費)」(以下「本件按分率表」という。)によることとする(なお,「本件按分率表」においては,按分の基準となる活動の例示として,調査研究活動,後援会活動及び政党活動のみが掲げられている。)。
イ 事務所の設置が自宅である場合や生計を同一にする親族の所有する家屋の場合の賃借料は,合理的理由がないことから,政務調査費を充当しない。
(2)  事務費関係(乙A1の7及び9頁)
調査研究活動における事務は,同一の事務所内において,調査研究以外の活動の事務と合わせて行っている場合も多いことから,かかる支出については,事務所費の例(前記(1))により事務内容の実態に合わせ,調査研究活動が全体の活動(調査研究活動のほか,後援会活動,政党活動等)に占める割合により按分することとする。なお,これによる按分が困難な場合の按分の方法は,本件按分率表によることとする。
また,備品の購入やリースなどの費用の支出への政務調査費の充当に当たっては,事務用の機器等で調査研究活動に有用なものに係る支出に限って充当することとし,主として事務所の環境整備にとどまるものなどには充当しない。
さらに,電話(携帯電話を含む。)等の使用に係る支出に関する按分は,通話時間,使用頻度等を参考にすることも考えられる。
(3)  人件費関係(乙A1の7及び9頁)
議員の雇用する職員の中には,常時又は臨時の雇用で専ら調査研究活動の補助業務を行っている職員のほか,調査研究活動の補助業務以外の業務を兼務している職員がいる場合があることなどから,政務調査費の充当に当たっての取扱いは,以下のとおりとする。
ア 専ら調査研究活動の補助業務のみに従事している職員の人件費の支出については,全額につき政務調査費を充当できる。
イ 調査研究活動の補助業務以外の業務を兼務している職員(後援会活動,政党活動等の業務も兼務している職員)の人件費の支出については,業務内容の実態に合わせ,調査研究の補助業務が全体の業務に占める割合により按分して政務調査費を充当する。この場合の按分は,業務に従事する平均時間や日数などを考慮した合理的な方法による。
業務内容に合わせた按分を行うことが著しく困難な場合には,職員の兼務の内容ごとに均等に按分することができることとする。この場合の按分の方法は,本件按分率表によることとする。
ウ 生計を同一にする親族に対する人件費の支出については,雇用関係にあることの合理的理由がないことから,政務調査費を充当しない。
(4)  その他(乙A1の8頁)
その他の支出についても,後援会活動等の調査研究活動以外の活動に関する支出が含まれる場合には,事務所費,事務費及び人件費の例により,合理的な方法による按分を行った上で,政務調査費を充当するものとする。
3  政務調査費を充当するのに適しない例
調査研究活動は,広範にわたるものであるが,議員の活動の中には,その活動に係る支出につき政務調査費を充当することが,その活動の目的や内容に照らして社会通念上許容されるものではないこともあることから,調査研究活動に資すると考えられる活動を含むものであっても,主たる目的や内容が,①政党活動,②選挙活動,③後援会活動,④私的活動の経費,⑤交際費,⑥議員本人の飲食費であった場合には,その活動に係る支出に政務調査費を充当しないこととする(乙A1の10及び11頁)。
4  具体例による政務調査費の充当の可否
議員活動に係る経費の支出に対する政務調査費の充当の可否の具体例につき,質疑応答方式で以下のとおり定める。
(1)  調査研究活動を行った際,調査した証拠としてはどのようなものを残しておくべきか(調査研究費関係の例6)。
収支報告書を公開した際,調査研究活動について,県民から内容等の説明を求められることが十分想定されるため,証拠書類として,調査した際の現場写真,調査先面会者の名刺,収集した資料,調査内容を記載した活動記録メモ等を整理保管しておく必要がある(乙A1の13頁)。
(2)  議員や親族が代表を務める会社の一室を事務所として借り上げる場合の賃借料に係る支出につき,政務調査費を充当できるか(事務所費関係の例1)。
議員や親族個人が所有するものではないことから政務調査費を充当することは可能であるが,県民の誤解を招かないよう,賃借料が市価と比較して相応であること,賃貸借契約書を作成すること,会社側で適切に賃借料収入を会計処理することなどに留意すべきである(乙A1の16頁)。
(3)  事務所におけるケーブルテレビの受信料に係る支出に政務調査費を充当できるか(事務費関係の例3)。
情報収集の目的である場合には政務調査費の充当が可能であるが,映画,音楽,スポーツチャンネル等の一般に娯楽性が高いと判断されるチャンネルを視聴するための受信料には支出できない(乙A1の17頁)。
(4)  携帯電話料金に係る支出の按分は,どのようにすればよいか(事務費関係の例5)。
社会通念上,携帯電話料金に係る支出の大半が調査研究活動以外の活動に係るものであると推認されることから,個人使用に係る支出が最大で2分の1を占めるとし,通話時間,使用頻度等,使用実態に合わせて調査研究活動に係る支出に相当する割合を計上することが適当である(乙A1の17頁)。
(5)  議員が自家用車の運転専任の運転手を雇用した場合,その者の給料に係る支出の全額について政務調査費を充当できるか(人件費関係の例2)。
政務調査費は,飽くまでも調査研究活動に要する経費の支出に充当されるべきものであるから,自家用車の運転専任か否かという点ではなく,自家用車で調査研究活動を行ったか否かという点で充当の可否を判断すべきであり,運転手を利用した業務日数,時間等,実態に応じて適正に充当する必要がある(乙A1の18頁)。
5  領収書及び本件貼付用紙の記載事項
本件貼付用紙に貼付する領収書等には,宛名,金額,品名,発行者の住所氏名等が明記され,第三者が検証可能であることを要する。本件貼付用紙の「事業名,使途及び内容」欄には,具体的な事業名,使途及び内容を記載し,具体的には「高齢者福祉関係調査(平成○○年○月○日○○市)に関する交通費」という記載をする。さらに,同用紙の「備考」欄には,政務調査費を充当するに当たって支出の按分や支出の一部に対する充当をした場合には,その考え方や理由を記載するほか,タクシーや高速道路を利用した場合の利用区間等の特記事項を記載する。(以上,乙A1の28及び29頁)
6  会派への調査研究の委託等
本件政調費条例において政務調査費の交付対象は議員に限られるが,議員が調査研究活動を効率的に行うためには,必要に応じて所属する会派に調査研究活動を依頼する方法や複数の議員が共同で調査研究活動を行う方法を採ることが有効であり,各議員において調査研究活動の成果の共有が図られる点でも合理的である。また,調査研究活動に関して議員らに共通して行われる事務の一部,例えば,事務補助を行う職員の雇用や事務機器の利用などについて,議員らがこれらを共同で行うため,各議員が所属する会派に当該事務を依頼することは,経費の面からも効率的である。したがって,所属会派の調査研究活動が定例的に継続して行われる場合,かかる事務の経費は,各議員が応分の負担額について支出し,それに政務調査費を充当することができる(乙A1の35頁,弁論の全趣旨)。
第5  前提事実(争いがないか後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
1  当事者
原告は,青森県の住民によって構成され,主たる事務所を青森県内に置く,青森県や弘前市などの不正,不当な行為を監視し,その是正を求める活動をすることを目的としている権利能力なき社団であり,被告は,青森県の執行機関である。
2  議員活動及び会派控室運営に係る経費の支出及び政務調査費の充当
本件各議員らから本件4議員らを除いた44名の議員ら(以下「本件44議員ら」という。)は,平成24年度において,それぞれ別表1~44(別表17の2及び3を除く。)のとおり,議員活動に係る各経費の支出の全部又は一部につき,政務調査費を充当した。
青森県議会には,当時,a党会派,b党会派及びc党会派(以下「本件各会派」という。)の控室があり,本件各議員らは,別表47~49のとおり,同各室を運営するに当たっての経費の支出についても,その全部又は一部に政務調査費を充当した。
3  住民監査請求及び本訴訟の提起
(1)  住民監査請求(甲A2,弁論の全趣旨)
原告は,平成26年6月27日,青森県監査委員に対し,地自法242条1項に基づき,平成24年度に青森県が本件各議員らに交付した政務調査費について,前記2に記載した経費の支出は本件使途基準を逸脱するものであるから,被告に対し,かかる支出につき,本件各議員らに対して不当利得の返還を求めるなどの是正措置を講ずるよう勧告することを求める住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。
ただし,原告は,本件監査請求において,本件44議員ら,本件各会派,A5議員(以下「A5議員」という。なお,同年度当時において議員であった者については,現在,議員の立場になくとも「議員」と称する。)及びA4議員(以下「A4議員」という。)に係る政務調査費の支出について是正措置を求める一方,A2議員(以下「A2議員」という。)及びA3議員(以下「A3議員」という。)に係る政務調査費の支出について是正措置を求めなかった。また,原告は,本件監査請求において,A6議員(以下「A6議員」という。)の別表15のNo.20の1万9814円の支出(茶,コーヒー等の飲食費)のうち2092円の支出(コーヒー及びコーヒーフィルター代〔甲B15の2の整理番号262〕。以下「本件2092円支出」という。)に政務調査費が充当されたことにつき,具体的な指摘はしなかったが,同別表記載のその余の部分の支出については,同議員の議員事務所が後援会事務所と兼用しており,同事務所においては,調査研究活動,後援会活動,その他一般的な活動が混然と行われているから,かかる支出につき3分の1で按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張し,是正措置を求めた。さらに,原告は,本件監査請求において,A7議員(以下「A7議員」という。)の別表29のNo.19の38万5770円の支出(事務機器リース料11か月分)のうち10万5210円の支出(事務機器リース料3か月分。以下「本件10万5210円支出」という。)に政務調査費が充当されたことにつき,具体的な指摘はしなかったが,同別表記載のその余の部分の支出については,同議員の議員事務所においては,調査研究活動,その他一般的な活動が混然と行われているから,かかる支出につき2分の1で按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張し,是正措置を求めた。
青森県監査委員は,平成26年9月2日付けで,本件監査請求をいずれも棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)をした。
(2)  本訴訟の提起(当裁判所において顕著な事実)
原告は,同年10月1日,本訴訟を提起した(以下,この当時の請求を「本件当初請求」という。)。
なお,原告は,本件当初請求において,本件各会派の控室に係る経費の支出につき,本件監査請求で是正措置を求めたものの一部について,本件各会派がかかる支出を負担していることを前提として,本件4議員らを本訴訟において義務付けを求める不当利得返還請求の相手方としなかった。また,原告は,本件当初請求において,本件2092円支出及び本件10万5210円支出についての政務調査費の充当に係る不当利得返還請求の義務付けを求めていなかった。
(3)  平成27年10月22日及び同年11月4日の訴え変更の各申立て(当裁判所に顕著な事実)
原告は,平成27年10月22日及び同年11月4日に本訴訟についてそれぞれ訴え変更をした(以下,これらの訴え変更を「本件訴え変更」といい,これらによる変更後の請求を「本件変更後請求」という。)。
原告は,本件変更後請求において,本件各会派の控室に係る経費の支出につき,政務調査費の違法充当があるとの主張は変更しなかったが,本件各会派に所属する議員らがかかる支出を負担するものであることを前提とし,本件4議員らを本訴訟において義務付けを求める不当利得返還請求の相手方に追加するとともに,本件2092円支出及び本件10万5210円支出につき政務調査費の充当に係る不当利得返還請求の義務付けを新たに追加した。
第6  争点及びこれに関する当事者の主張
1  訴え変更の適法性,監査請求前置及び出訴期間(本案前の主張)
(原告の主張)
(1) A2議員及びA3議員に係る請求に関する訴えについて(監査請求前置及び訴え変更の適法性)
原告は,本件監査請求において,本件各会派の控室に係る経費の支出は本件各会派が負担していることを前提とし,本件当初請求においても,それを前提とした請求をしたものであるが,その後の被告の主張により,かかる支出が本件各会派に所属する議員らの負担であることが明らかになり,本訴訟において義務付けを求めている不当利得返還請求の相手方が本件各会派に所属する議員らになることが判明したことから,本件訴え変更によって上記2名に係る請求を加えたものである。本件監査請求において,明示的には上記2名の氏名が記載されていなかったが,本件各会派の政務調査費の支出が違法であることは主張されており,客観的にはそれによって生ずる不当利得返還義務は本件各会派に所属する議員らにあったのであるから,実質的には,上記2名の議員らを相手方とする請求についても住民監査請求を経ており,このように解しても法的安定性を害することにも信義則に反することにもならないから,かかる訴え変更は適法である。
(2) A5議員及びA4議員に係る請求に関する訴えについて(出訴期間)
本件当初請求では,義務付けを求める不当利得返還請求の相手方に上記2名の議員らは含まれておらず,本件訴え変更により初めてかかる2名の議員らが相手方とされたものであるが,前記(1)で述べたことからすれば,実質的には出訴期間を徒過したものではなく,かかる訴え変更は適法である。
(3) A6議員及びA7議員に係る請求に関する訴えについて(監査請求前置及び訴え変更の適法性)
住民監査請求においては,対象とする財務会計上の行為又は怠る事実を,他の事項から区別し特定して認識できるように個別的,具体的に摘示する必要があるが,監査請求書及びこれに添付された事実証明書面の記載や監査請求人が提出したその他の資料等を総合して,住民監査請求の対象が特定の行為であることを監査委員が認識できる程度に摘示されていれば足り,その程度を超えてまで当該行為等を個別的具体的に摘示する必要はない。
原告は,本件監査請求において,議員事務所や会派控室に関し,調査研究活動のみならず,後援会活動,政党活動等が混然として行われているのが実態であるから,議員事務所の経費の支出については,このことを考慮した按分率で按分した上で政務調査費を充当すべきであると明示し,本件44議員ら,本件各会派,A5議員及びA4議員に対して政務調査費の違法充当部分の是正措置を求め,その上で本訴訟の提起に至ったものであるから,本件2092円支出及び本件10万5210円支出についても政務調査費の違法充当部分の是正を求める趣旨であることを監査委員は十分に認識することができた。そして,原告は,本件2092円支出及び本件10万5210円支出について,本件監査請求及び本件当初請求において集計漏れがあり,被告の指摘を受けてそのことが判明し,本件訴えの変更をするに至ったにすぎないから,実質的に監査請求前置に反するものではない。
(被告の主張)
(1) A2議員及びA3議員に係る請求に関する訴えについて(監査請求前置及び訴え変更の適法性)
原告は,本件監査請求において,a党会派に対する不当利得返還請求の義務付けを求めていたものであり,A2議員及びA3議員はその不当利得返還請求の相手方とされていなかった。したがって,本件訴え変更のうち上記2名の議員らに係る請求を追加する部分は,監査請求前置の趣旨に反するし,法的安定性を害し,信義則に反するものであって,不適法である。
(2) A5議員及びA4議員に係る請求に関する訴えについて(出訴期間)
原告は,本件当初請求において不当利得返還請求の相手方とされていなかったA5議員及びA4議員について,本件訴え変更(平成27年11月4日のもの)において,その相手方とする請求を追加したところ,平成26年9月2日付けにより本件決定がされていることからすると,本件変更後請求に係る訴えのうち,上記2名の議員らに係る請求に関するものについては,地自法242条の2第2項1号所定の出訴期間の徒過後のものであるから,不適法である。
(3) A6議員及びA7議員に係る請求に関する訴えについて(監査請求前置及び訴え変更の適法性)
本件2092円支出及び本件10万5210円支出は,いずれも本件監査請求において監査の対象とされていなかったものであるし,そもそも,原告は,本件監査請求の段階から既に本件議員らのいかなる支出を問題にするのかを個別的具体的に摘示していたものであり,事後的に集計漏れが判明したという程度の理由により本件監査請求において監査を求めていなかった支出を請求の対象とすることは法的安定性を害するものであるから,本件訴え変更のうち,本件2092円支出及び本件10万5210円支出についての政務調査費の違法充当に係る不当利得返還請求の義務付けを新たに追加した部分は不適法である。
2  本件各議員又は本件各会派による政務調査費の充当の全部又は一部に共通する違法性について
(原告の主張)
(1) 議員活動のうち調査研究活動,後援会活動,政党活動及びその他政治団体等の活動のいずれにも属さない一般的な議員活動(以下「本件一般的な議員活動」という。)について
政務調査費制度の趣旨が地方議員の調査研究活動基盤の充実を図り,もって地方議会の審議能力を強化することにあり,その原資が住民の税金等の公金にあることに鑑みれば,政務調査費が充当されるべき支出は各自治体の政治に関する調査研究に資するもののみに厳格に制限されるべきであり,このことは地自法100条14項について「調査研究」に加え,「その他の活動」という文言をあえて加える改正がされたことからも裏付けることができる。
議員活動には,後援会活動,政党活動及びその他政治団体等の活動以外にも,各議員及び各会派の政策形成,政策論議等の充実に資する情報収集,先進事例の調査,専門的知見の活用等には該当しない本件一般的な議員活動も存在し,具体的には,①各種委員会や本会議への出席と議案の審議や議決,②他会派との折衝・協議,③行政当局に対する要望,意見具申等,④各議員及び各会派が既に形成している政策を実現するための他議員及び他会派への多数派工作,⑤行政当局に対する政策要求の提示及びその実行を要求する活動,⑥ある議案に対する賛否を討論するための原稿の起案,⑦他団体が主催する会合へ挨拶だけの出席をするための挨拶原稿の起案及び印刷,⑧ある議案に対する賛否に関する他議員及び他会派への多数派工作の電話,⑨議員が既に形成している意見に関する行政当局関係者への伝達,⑩議員と同じ会派の議員との各種打合せ,⑪一般市民からの諸処様々な相談事などがこれに該当し,かかる活動の経費の支出に政務調査費を充当することは本件使途基準に反する。
そして,議員事務所においては,調査研究活動のほか,本件一般的な議員活動も混然と行われているのが実態であるところ,議員事務所の設置,維持等にかかる経費(事務所費,事務費,人件費等)の支出は,調査研究活動のためでもあり,本件一般的な議員活動のためでもあることになるから,かかる支出全体につき政務調査費を充当することは本件使途基準に反することとなり,かかる支出については,本件一般的な議員活動も他の活動と均等に考慮した按分率で按分した上で政務調査費を充当するのが相当である。
(2) 携帯電話料金について
携帯電話は,社会通念上,私的使用に供される頻度が多いから,携帯電話料金の支出は,後援会活動,政党活動等のほか,私的使用分も考慮した按分率で按分して政務調査費を充当すべきである。
(3) 本件各会派の会派控室の運営等に係る経費の支出について
会派控室においては,調査研究活動のみならず,政党活動,後援会活動及び本件一般的な議員活動も混然と行われているのが通常であるから,会派控室の運営等に係る経費の支出については,少なくとも4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,これを超える政務調査費の充当は,本件使途基準に反し違法である。そして,会派控室の経費は,最終的に本件各会派に所属する議員らがそれぞれ負担するから,かかる違法な政務調査費の充当により生じた不当利得は,本件各会派に所属する議員らにある。
(被告の認否)
(1) 本件一般的な議員活動について
否認する。
原告は,本件一般的な議員活動に該当する議員活動の具体例として,①各種委員会や本会議への出席と議案の審議や議決,②他会派との折衝・協議,③行政当局に対する要望,意見具申等,④各議員及び各会派が既に形成している政策を実現するための他議員及び他会派への多数派工作,⑤行政当局に対する政策要求の提示及びその実行を要求する活動,⑥ある議案に対する賛否を討論するための原稿の起案,⑦他団体が主催する会合へ挨拶だけの出席をするための挨拶原稿の起案及び印刷,⑧ある議案に対する賛否に関する他議員及び他会派への多数派工作の電話,⑨議員が既に形成している意見に関する行政当局関係者への伝達,⑩議員と同じ会派の議員との各種打合せ,⑪一般市民からの諸処様々な相談事を挙げる。
しかし,上記①は,議員としての公務であり,各種委員会や議会への出席等については,法令等に従って議員報酬や旅費が支給されており,そもそもかかる活動の経費の支出には政務調査費が充当されることはない。また,本件使途基準でいえば,上記②~⑤及び⑧~⑪に係る経費は,活動の例として挙げられている「会派が行う議員総会・政調会・勉強会・打合せ等への出席」あるいは「国・県・関係団体等への要請活動」として調査研究費に該当し,上記⑥に係る経費は,活動の例として挙げられている「質問及び討論等の原稿作成のための資料集の収集」として資料作成費に該当し,上記⑦に係る経費は,活動の例として挙げられている「国・県・民間団体等が主催する研修会・講演会・シンポジウム・フォーラム・セミナー・懇談会等への出席」として研修費に該当するし,これらによって新たな情報や知見が収集されることもあるから,かかる支出に政務調査費を充当することは本件使途基準に反しない。したがって,調査研究活動と区別された本件一般的な議員活動は存在せず,議員事務所の設置,維持等に係る経費の支出につき,本件一般的な議員活動も他の活動と均等に考慮した按分率で按分をして政務調査費を充当する必要はない。
なお,地自法100条14項の「調査研究」に「その他の活動」という文言を加える改正がされたのは,調査研究活動に含まれるか否かが明確でない活動があったことを踏まえ,当該活動に資する経費であれば同項の対象とできることを明示したものにすぎず,かかる改正が「調査研究」の解釈を厳格にする根拠となるものではない。
(2) 携帯電話料金について
否認する。
本件マニュアルにおいては,携帯電話料金に係る支出について,個人使用に係る支出が最大で2分の1を占めると考えるのが相当であり,通話時間,使用頻度等,使用実態に合わせて調査研究活動に係る支出に相当する割合を計上することが適当である旨指示されているところ,携帯電話料金に係る支出につき政務調査費を充当している議員らは,これに従っている。
(3) 本件各会派の会派控室の運営等に係る経費の支出について
否認する。
会派控室では,議員総会,政調会,勉強会,打合せ等がされ,県政の政策課題,執行部提出議案,議員発議等に関して,執行部から説明を受けたり,議員同士で議論したりするなどといった活動が行われており,これらの活動は議員が新たな情報や知見を収集する機会となるものであり,調査研究活動に該当するから,かかる活動の経費の支出の全部について,政務調査費を充当することができる。
原告は,会派控室において,調査研究活動のほか,後援会活動,政党活動及び本件一般的な議員活動も混然と行われるのが一般的であるとするが,会派控室は,後援会事務所及び政党支部事務所を兼用しているものではなく,上記(1)のとおり,調査研究活動と区別される本件一般的な議員活動も存在しないから,会派控室の経費の支出につき4分の1に按分して政務調査費を充当する必要はない。また,仮に,かかる支出につき政務調査費を充当できない部分があったとしても,それによって生ずる不当利得が本件各会派に所属する議員らに帰属するとの法的根拠もない。
3  本件各議員及び本件各会派の個別の政務調査費の充当の違法性について
(原告の主張)
別表1~44(別表17の2及び3を除く。)「違法理由」欄記載の理由により,本件44議員らがそれぞれ同各別表「違法支出額」欄記載の各金額の部分につき政務調査費を充当したことは違法である。
また,別表47~49「違法理由」欄記載の理由により,本件各会派の運営に係る経費につき,それぞれ同各別表「違法支出額」欄記載の各金額の部分に政務調査費が充当されたことは違法であって,それによって生ずる不当利得は本件各会派に所属していた議員らから返還されるべきである。
(被告の認否)
いずれも否認する。
原告の主張に対する反論は,別表1~49「違法理由に対する反論」欄記載のとおりである。
第7  当裁判所の判断
1  訴え変更の適法性,監査請求前置及び出訴期間(本案前の主張)
(1)  A2議員及びA3議員に係る請求に関する訴えについて(監査請求前置及び訴え変更の適法性)
住民訴訟につき,住民監査請求の前置を要することを定めている地自法242条の2第1項は,住民訴訟は住民監査請求の対象とした同法242条1項所定の財務会計上の行為又は怠る事実についてこれを提起すべきものと定めているが,同項には,住民が,住民監査請求において求めた具体的措置の相手方と同一の者を相手方として上記措置と同一の請求内容による住民訴訟を提起しなければならないとする規定は存在しない。また,住民は,住民監査請求をする際,監査の対象である財務会計上の行為又は怠る事実を特定して,必要な措置を講ずべきことを請求すれば足り,措置の内容及び相手方を具体的に明示することは必須ではなく,仮に,執るべき措置内容等が具体的に明示されている場合でも,監査委員は,住民監査請求に理由があると認めるときは,明示された措置内容に拘束されずに必要な措置を講ずることができると解されるから,監査請求前置の要件を判断するために監査請求書に記載された具体的な措置の内容及び相手方を吟味する必要はないといわなければならない。そうすると,住民訴訟においては,その対象とする財務会計上の行為又は怠る事実について住民監査請求を経ていると認められる限り,住民監査請求において求められた具体的措置の相手方とは異なる者を相手方として上記措置の内容と異なる請求をすることも,許されると解すべきである。(以上,最高裁平成6年(行ツ)第53号同10年7月3日第二小法廷判決・裁判集民事189号1頁)
本件監査請求においては,前提事実2及び3(1)のとおり,本件各会派の控室に係る経費の支出につき政務調査費を充当することが違法である旨の主張がされ,本件当初請求及び本件変更後請求においてもそれと同様の主張がされているから,本件監査請求,本件当初請求及び本件変更後請求を通じ,同一の財務会計行為の違法性が一貫して主張されていたものと認めることができる。
したがって,原告が,本件監査請求において是正措置の相手方とせず,本件当初請求においても義務付けを求める不当利得返還請求の相手方としていなかったA2議員及びA3議員について,本件変更後請求において初めて,義務付けを求める不当利得返還請求の相手方に追加したものであるものの,本件変更後請求は,本件各会派の控室に係る経費の支出に対する政務調査費の充当につき,本件監査請求を経ていると認めることができるから,かかる訴え変更も適法である。
(2)  A5議員及びA4議員に係る請求に関する訴えについて(出訴期間)
訴えの変更は,変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから,同訴えにつき出訴期間の制限がある場合には,同出訴期間遵守の有無は,変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き,同訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならない(最高裁昭和54年(行ツ)第129号同58年9月8日第一小法廷判決・裁判集民事139号457頁,最高裁昭和59年(行ツ)第70号同61年2月24日第二小法廷判決・民集40巻1号69頁)。
本件においては,前提事実2及び3(1)のとおり,原告は,本件監査請求,本件当初請求及び本件変更後請求を通じて,本件各会派の控室の運営等に係る経費の支出に対する政務調査費の充当につき,同一の財務会計行為の違法性を一貫して主張していたと認めることができるから,かかる財務会計行為につき,本件変更後請求に係る訴えを本件当初請求に係る訴え提起の時に提起されたものと同視できる特段の事情があり,地自法242条の2第2項所定の出訴期間を遵守しているものということができる。
(3)  A6議員及びA7議員に係る請求に関する訴えについて(監査請求前置及び訴え変更の適法性)
住民監査請求において,対象とする財務会計行為(財務会計上の行為又は怠る事実)は,他の事項から区別し特定して認識することができるように,個別的,具体的に摘示されることを要するが,監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面の各記載,監査請求人が提出したその他の資料等を総合して,監査請求の対象が特定の財務会計行為であることを監査委員が認識することができる程度に摘示されているのであれば,これをもって足りるのであり,上記の程度を超えてまで財務会計行為を個別的,具体的に摘示することを要するものではない(最高裁平成12年(行ヒ)第292号同16年11月25日第一小法廷判決・民集58巻8号2297頁)。
そこで,本件2092円支出について検討すると,原告は,本件監査請求において,A6議員の別表15のNo.20の支出(茶,コーヒー等の飲食費。)のうち本件2092円支出(コーヒー及びコーヒーフィルター代)を除いた部分の政務調査費の充当につき,品名欄を「お茶,コーヒー他」と記載し,同議員の議員事務所が後援会事務所と兼用しており,同事務所においては,調査研究活動,後援会活動及び本件一般的な議員活動が混然と行われているから,かかる支出につき3分の1で按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張し,是正措置を求めていたものであるところ(甲A2,甲B15の2),上記別表15のNo.20の本件2092円支出及びその余の支出の内容がほぼ同一であり,その余の支出につき主張されている違法事由は当然,本件2092円支出についても問題になることからすれば,監査委員において,原告が本件2092円支出に政務調査費が充当されたことも問題としていることを特定して認識することができたということができる。
次に,本件10万5210円支出について検討すると,原告は,本件監査請求において,A7議員の別表29のNo.19の38万5770円の支出(事務機器リース料11か月分)のうち本件10万5210円の支出(事務機器リース料3か月分)を除いた部分の政務調査費の充当につき,品名欄を「事務機器リース料(パソコン,コピー機)」と記載し,同議員の議員事務所においては,調査研究活動及び本件一般的な議員活動が混然と行われているから,かかる支出につき2分の1で按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張し,是正措置を求めたものであるから(甲A2),本件2092円支出と同様ということができる。
したがって,原告は,本件監査請求において,本件2092円支出及び本件10万5210円支出に政務調査費が充当されたことについても,是正措置を求めていたということができるから,本件変更後請求における上記充当に係る不当利得返還請求についても本件監査請求を経ていると認めることができるし,かかる請求を追加する訴え変更も適法である。
2  本件各議員又は本件各会派による政務調査費の充当の全部又は一部に共通する違法性について
(1)  判断の枠組み
地自法100条14項は,政務調査費の交付につき,普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができ,この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならないと規定した上,同条15項は,政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものと規定している。これらの規定による政務調査費の制度は,地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行により,地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大し,その議会の担う役割がますます重要なものとなってきていることに鑑み,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の経費の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとしたものである。(以上,最高裁平成17年(行フ)第2号同年11月10日第一小法廷決定・民集59巻9号2503頁)
これに加え,同条14項の規定を受けて本件使途基準が定められ,同基準は,事務所費につき「議員が行う調査研究のために必要な事務所の設置及び管理に要する経費」,事務費につき「議員が行う調査研究に係る事務の遂行に要する経費」,人件費につき「議員が行う調査研究を補助する職員の雇用に要する経費」と定めるなど,本件使途基準に定める調査研究のための必要性をその要件としていることからすれば,議員の当該活動の客観的な目的及び性質に照らして,議員の議会活動の基礎となる調査研究活動(本件使途基準の定めるもの。以下同じ。)との間に合理的関連性が認められない活動に関する経費の支出につき政務調査費を充当することは,本件使途基準に反するというべきであるが,議員の調査研究活動が多岐にわたり,個々の経費の支出がこれに必要か否かについては,議員の合理的判断に委ねられる部分があることを踏まえると,上記合理的関連性の認められる活動につき,経費の支出をどの費目でどの程度行うかなどについては,議員の裁量に委ねられていると解すべきであり,かかる裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用しない限り,当該支出は本件使途基準に適合するものというべきである(最高裁平成21年(行ヒ)第214号同22年3月23日第三小法廷判決・裁判集民事233号279頁,最高裁平成22年(行ヒ)第42号同25年1月25日第二小法廷判決・裁判集民事243号11頁参照)。
そして,本件マニュアルは,青森県議会において,議員がいかなる活動の経費の支出にどのように政務調査費を充当するかなどの事項につき判断するに当たって参考となるよう,本件使途基準を具体化する趣旨で作成されたものであるところ,本件マニュアルに法規範性を認めることはできないものの,上記のとおり,上記事項を判断するに当たっては議員の裁量に委ねられていることを踏まえれば,本件マニュアルの定める目安等が本件使途基準等の法令の定めに照らして合理的である場合,それに従った政務調査費の充当は,客観的に見て調査研究活動と合理的関連性を有する活動の経費に係る支出に対する充当であるということができるから,特段の事情のない限り,かかる充当につき裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものではなく,違法とはならないと解すべきである。
(2)  本件一般的な議員活動について
本件マニュアルは,政務調査費の充当の範囲が社会通念上許容されるものである必要があることを踏まえ,議員事務所が後援会事務所,政党支部事務所及びその他の政治団体等の事務所を兼ねている場合,①諸事情(事務所費及び事務費においては使用時間数,使用面積等,人件費においては業務に従事する平均時間,日数等)を考慮した実際の使用実態や業務実態に合わせ,調査研究活動や業務が全体の活動や業務に占める割合により按分するか,又は,②使用実態や業務実態に合わせた按分を行うことが著しく困難な場合には,本件按分率表に従い,事務所の利用の形態により,活動の目的ごとに均等に按分することができるとしている(前記第3の2)。
これは,議員事務所に係る経費の支出が,客観的に見て調査研究活動と合理的関連性を有することを前提として,同事務所が後援会事務所,政党支部事務所及びその他の政治団体等の事務所を兼ねている場合,議員事務所においては,調査研究活動のほか,本来,政務調査費を充当してはならない経費の支出を伴う後援会活動や政党活動など(前記第3の3参照)が混然と行われることとなることを踏まえ,具体的な議員事務所の使用実態や職員の業務実態に合わせて議員事務所の経費の支出のうち,調査研究活動に係る部分に限定して政務調査費を充当することとする一方,かかる経費の支出について調査研究活動のものか,それ以外の活動のものかを明確に区別するのは困難な場合があることから,本件按分率表のとおり,議員事務所において行われている各活動の目的の個数を基準とした形式的な按分率を定めることにより,各議員において簡明で画一的な政務調査費の充当の処理ができるようにしたものであると解され,政務調査費を充当できる経費の支出に係る活動を調査研究活動と合理的関連性を有するものに限定した法令の定めに照らして合理性を有すると認められる。
これに対し,原告は,議員活動には,後援会活動,政党活動及びその他政治団体等の活動以外にも,各議員及び各会派の政策形成,政策論議等の充実に資する情報収集,先進事例の調査,専門的知見の活用等には該当しない本件一般的な議員活動も存在し,かかる活動の経費の支出につき政務調査費を充当することも本件使途基準に反するから,議員事務所の経費の支出については,本件一般的な議員活動の存在も他の活動と均等に考慮した按分率で按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張する。しかしながら,本件使途基準において,「調査研究」の一般的な文理からは離れる活動であっても,議会審議のための資料作成(資料作成費)や議会活動等の広報活動(広報費)に要する費用が政務調査費の使途(調査研究に資するため必要な経費)として認められていることからすれば,字義通りの「調査研究」活動でないからといって,そのことから直ちに政務調査費を支出することができないものとなるものではない。また,原告が主張する本件一般的な議員活動も,後援会活動や政党活動と異なり,通常,調査研究活動の目的である議会活動に関連するものである上,その活動を通じて情報等を得,政策形成の充実等に資することもある。そうすると,本件一般的な議員活動について,後援会活動や政党活動などと同様に具体的な事実を離れてその性質・目的を定め,調査研究活動と截然と区別するのは相当ではない。さらに,本件において問題とされているのは,事務所費や人件費について,個別の活動に要した直接経費ではなく,個別の活動との関係が明確でないいわゆる間接経費というべきものである場合に,それが調査研究活動と合理的関連性を有することを前提に,そのうちどの程度について政務調査費を充当することができるのかという点であるところ,本件マニュアルの上記処理方法が法令に照らして合理性が認められることは上記のとおりであり,前記(1)のとおり,いかなる活動の経費の支出にどのように政務調査費を充当するかなどの事項について議員の裁量に委ねられていることを踏まえると,原告が主張する「議員事務所の経費の支出につき本件一般的な議員活動の存在も考慮した按分率で按分する」という処理方法を採らず,本件マニュアルの上記処理方法を選択したことが,議員において裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことになるということはできない。したがって,原告の上記主張は採用できず,原告が主張する政務調査費の充当の違法事由のうち,上記主張に基づくものはいずれも認めることができない。
(3)  携帯電話料金について
本件マニュアルは,携帯電話料金の支出に係る政務調査費の充当について,社会通念上,携帯電話料金に係る支出の大半が調査研究活動以外の活動に係るものであると推認されることから,個人使用に係る支出が最大で2分の1を占めるとし,通話時間,使用頻度等,使用実態に合わせて調査研究活動に係る支出に相当する割合を計上することが適当であるとする(第3の4(4))。これは,携帯電話は,その性質上,調査研究活動のほか,本来,政務調査費を充当してはならない経費の支出を伴う使用(前記第3の3参照)にも混然と供され,その内訳も明確とするのが困難であることを踏まえ,具体的な使用実態に合わせて,携帯電話料金の支出のうち,調査研究活動に係る部分に限定して政務調査費を充当することとする一方,調査研究活動に係る部分と私的な使用に係る部分を明確に区別するのは困難であることから,2分の1の按分率を目安に按分した上で政務調査費の充当をすることとし,各議員において簡明で画一的な政務調査費の充当の処理ができるようにしたものであると解され,政務調査費を充当できる経費の支出に係る活動を調査研究活動と合理的関連性を有するものに限定した法令の定めに照らして合理性を有すると認められる。
これに対し,原告は,携帯電話が私的な使用にも供されていることから,その料金の支出につき,本件按分率表を参考に,後援会活動,政党活動等のほか,私的使用分を考慮した按分率で按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張する。しかしながら,本件マニュアルが,前記(2)のとおり,議員事務所の経費の支出につき,後援会活動,政党活動等を考慮した本件按分率表に従った按分率で按分した上で政務調査費を充当することを求めたのは,議員事務所が後援会事務所,政党支部事務所及びその他の政治団体等の事務所を兼ねている場合は,議員事務所において,上記各活動が行われ得る状態が並立していることが明らかであるからであり,携帯電話はこのような事務所の使用と離れて使用されているものであることを考慮すると,議員事務所の経費の支出における按分率の考え方を携帯電話料金の支出の按分率に直ちに採用することができるものではないことは明らかである。そして,上記のとおり,携帯電話料金の支出について,調査研究活動に係る部分及びそれ以外の部分の具体的な使用割合が不明である場合の按分率の目安を2分の1とした本件マニュアルの定めが,特段不合理であるとまではいえず,前記(1)のとおり,いかなる活動の経費の支出にどのように政務調査費を充当するかなどの事項につき議員の裁量に委ねられていることを踏まえると,議員において,本件マニュアルの上記目安に従って,携帯電話料金の支出を2分の1に按分した上で政務調査費を充当したことが,議員の上記裁量権の範囲を逸脱し又はそれを濫用するものになるということはできない。
したがって,原告の上記主張は採用できず,原告が主張する政務調査費の充当の違法事由のうち,上記主張に基づくものはいずれも認めることができない。
(4)  本件各会派の会派控室の運営等に係る経費の支出について
原告は,会派控室においては後援会活動,政党活動及び本件一般的な議員活動が混然と行われていることから,本件マニュアルの本件按分率表を参考に,会派控室の運営等に係る経費の支出につき,上記各活動の存在を考慮して,少なくとも4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張する。
しかしながら,本件マニュアルが,前記(2)のとおり,議員事務所の経費の支出につき,後援会活動,政党活動等を考慮した本件按分率表に従った按分率で按分した上で政務調査費を充当することを求めたのは,議員事務所が後援会事務所,政党支部事務所及びその他の政治団体等の事務所を兼ねている場合は,議員事務所において,上記各活動が行われ得る状態が並立していることが明らかであることになるからであり,これに対し,会派控室は,客観的に見て上記各団体の事務所を兼ねているものではなく,それにもかかわらず会派控室において後援会活動及び政党活動等が行われていることが通常であるとの事情は見当たらず,原告の上記主張は採用することができない(なお,会派控室の経費の支出について,本件一般的な議員活動を考慮した按分をするとの原告の主張を採用することができないことは,前記(2)で説示したとおりである。)。
したがって,会派控室の経費の支出に対する政務調査費の充当に関し,原告の主張は採用することができず,違法事由を認めることができない。
3  本件各議員の個別の政務調査費の充当(ただし,本件各会派に係るものを除く。)の違法性について
(1)  A8議員(別表1)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B1,乙B1の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~23,26及び27について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.24及び25(運転手の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由として,当該運転手は,調査研究活動に伴う運転業務(補助業務)に従事していた旨説明する(乙B1の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B1の2)に貼付された領収書には「政務調査運転手代として」と記載され,「事業名,使途及び内容」欄には「政務調査運転手」と記載され,どの期間の人件費であるか及び人件費の支払日のみが記載され,「備考」欄には,日当の額と勤務日が記載されているだけであり,当該運転手の勤務日において同議員がどこで何をしたのかは不明であり,したがって,具体的に同議員のいかなる業務について運転手による運転業務(補助業務)が必要であったかは不明であるところ,本件マニュアルが,第三者による検証が可能となるように,本件貼付用紙の記載内容として,具体的な事業名,使途及び内容を記載することを求めていること(前記第4の5)からすると,上記資料は上記説明の合理性を裏付けるものということはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,それを超えた政務調査費の上記充当は違法である。
エ No.28(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由として,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について人件費の支払をしている旨説明する(乙B1の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B1の2)に貼付された領収証には「県政報告書作成・編集補助業務」,「県政報告書配布作業」,「県政報告書郵送までに係る補助業務」などと記載され,「事業名,使途及び内容」欄にも同様の記載と人件費の支払日が記載され,「備考」欄には,日当の額(5000円又は7000円)と勤務日(一月当たり3~10日)が記載されており,上記業務の具体的な内容は,調査研究活動と合理的関連性を有することが認められるし,日当の額や勤務日も合理的なものであって,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記ウ)からすれば,上記説明は合理的なものと認められる。
したがって,政務調査費の上記充当が違法であるということはできない。
オ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.24及び25は,別表1「認容額」欄記載の限りで認められ,その余は認められない。
(2)  A9議員(別表2)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所,c党支部事務所及び「d会」(政治団体)の事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B2の1~3,乙B2の1~5)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,4分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならず,No.1~3(ガス代及び電気代)は,同議員自身がその親族宅の検針メーターと兼用している旨説明する(乙B2の1)から,8分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,全ての支出(No.1~7)につき,議員事務所において政党活動及び上記政治団体の活動がされていたことを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所においては,後援会活動は行っていたが,それ以外の団体の活動ないし経費はなかった旨説明する(乙B2の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B2の2~5)には,経常経費の支出がなかった旨の記載があるが,団体が存在するにもかかわらず,何も活動していないとか,経費はかかっていないという説明は,首肯し得るものではないし,同議員の議員事務所が上記各団体の事務所を兼ねていることを踏まえると,上記収支報告書の記載は,同各団体の活動に係る経費が調査研究活動に係るものと区別されていなかった結果であると解するのが自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.1~7につき,上記のとおり,4分の1又は8分の1に按分して政務調査費を充当することを要する。
イ 小括
同議員が,No.1~3の支出につき8分の1を超えて政務調査費を充当した部分,No.4~7の支出につき4分の1を超えて政務調査費を充当した部分はいずれも違法であり,それらの額は,いずれも別表2のNo.1~7の「支出額」欄記載の金額の2分の1となるが,原告が義務付けを求める不当利得返還請求の請求額は同別表「違法支出額」欄記載の部分にとどまるから,その限りで認容し,最終的な認容額は同別表「認容額」欄記載のとおりとなる。
(3)  A10議員(別表3)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所,政党支部事務所及び「A10政経懇話会」(政治団体)の事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B3の1~3,乙B3の1~3)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,4分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,全ての支出(No.1~6)につき,議員事務所において上記政治団体の活動がされていたことを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所において上記政治団体の活動ないし経費はなかった旨説明する(乙B3の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B3の2及び3)には,上記政治団体の経常経費が「0円」である旨の記載があるが,団体が存在するにもかかわらず,活動ないし経費はなかったという説明は,首肯し得るものではなく,議員事務所が上記政治団体の事務所を兼ねていることを踏まえると,上記収支報告書の記載は,上記政治団体の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.1~6につき,議員事務所においてかかる団体の活動がされていたことを考慮した按分率で按分することを要し(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),上記支出は,本件按分率表に従って4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
イ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.1~6については,別表3「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余については認められない。
(4)  A11議員(別表4)
ア No.1及び2(事務所賃借料)について
原告は,同議員が,その子が代表者を務める株式会社e(以下「e社」という。)から議員事務所を賃借していること(甲B4の1~5,乙B4の1)から,同議員のe社に対する賃料の支出に政務調査費を充当すると,実質的にe社から同議員へ政務調査費が還流することとなり,かかる充当は違法である旨主張する。
しかしながら,同議員に原告が指摘するような資金の還流をうかがわせる具体的な事情は見当たらないし,同議員とe社との間に賃貸借契約書が作成されている(乙B4の4)ところ,同賃貸借契約の賃料が市価と比較して相応であること(乙B4の3),同社において同議員からの賃借料収入を適切に会計処理していること(乙B4の5)からすると,原告の上記主張は,具体的を欠くものであって採用することができない(なお,その余の原告の主張が採用できないことは,前記2(2)のとおり。)。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
イ No.3~5(人件費)について
原告は,同議員が議員事務所において雇用していた従業員がe社の従業員であった可能性がある旨主張するが,かかる事実を認めるに足りる証拠はなく,採用することができない(なお,その余の原告の主張が採用できないことは,前記2(2)のとおり。)。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(5)  A12議員(別表5)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B5の1及び2,乙B5の1,3及び4)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.5及び6について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.7及び11(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.8及び9(ファクシミリ電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記のファクシミリの電話番号は,一般に公開している電話番号とは異なるものであり,青森県議会の執行部のみにしか伝えていないから,執行部への照会及び執行部からの資料送付にしか用いられておらず,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B5の5)。
しかしながら,議員事務所にファクシミリ電話機が2台以上あることはうかがわれないし,この点をひとまずおくとしても,議員事務所が後援会事務所を兼ねていることからすると,ファクシミリが執行部への照会及び執行部からの資料送付のみに使用されていたという説明が合理的であるとはいい難い。ファクシミリを送信すると電話料金が発生することになるところ,送信の相手方が同議員の電話番号を知っている必要はなく,ファクシミリの電話番号が公開されていなくとも,ファクシミリを送信することによりファクシミリ電話機を後援会活動に使用することは可能であり,その場合,電話料金が発生することからすると,上記説明が合理的なものとは認められず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,ファクシミリ電話料金の支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.9について,別表5の「支出額」欄には別表「5・No.9」の「支出額」欄記載の各支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,かかる各支出の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
オ No.10(事務用品代)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B5の5)。
しかしながら,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B5の10及び11)によっても,事務用品の具体的な使途は不明であり,事務用品が調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたと認めることはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.10について,別表5の「支出額」欄には別表「5・No.10」の「支出額」欄記載の各支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,かかる各支出の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
カ No.12及び13(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について給与を支払った旨説明する(乙B5の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B5の9)に貼付された領収証には「政務調査補助業務」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄には「政務調査補助人件費」と記載されているほかは,就業場所(青森市)と人件費の支払日しか記載されておらず,「備考」欄には,何も記載されてないことから,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
キ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.8~10,12及び13は,別表5「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(6)  A13議員(別表6)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所,政党支部事務所及び「f会」(政治団体)の事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B6の1~3,乙B6の1,3,4及び6)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,4分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,全ての支出(No.6~16)につき,議員事務所において上記政治団体の活動がされていたことを考慮しない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,電話及びファクシミリについては,上記政治団体は資金管理団体であるため使用することがなく,上記政治団体の活動に係るそれ以外の経費については,上記政治団体の活動以外のものに係る経費と区別して管理していた旨説明する(乙B6の1及び9)。
そこで検討すると,確かに,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B6の6)には,経常経費の「備品・消耗品費」欄に1万5300円と記載され,これに該当する同政治団体宛ての領収証(コピー用紙代。乙B6の5)もあるから,No.10~12についてはともかく,上記政治団体が資金管理団体であったとしても,そのことから直ちに,電話やファクシミリを使用する必要が全くなかったといい得るかは疑問であるし,経常経費の「人件費」欄の3万円については,これを裏付ける証拠もなく,そもそも同議員の事務所が上記政治団体の事務所を兼ねていることを踏まえると,調査研究活動に係る経費なのか,上記政治団体の活動に係る経費なのかを明確に分けて管理することは困難であり,同議員が主張するように資金の管理を厳密にしていたとは考えられない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.6~16(なお,No.10~12は除く。)につき,議員事務所において上記政治団体の活動がされていたことを考慮した按分率で按分することを要する。
イ No.6~9(固定電話料金)について
同議員は,上記支出につき,2分の1に按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,調査研究活動及び後援会活動にのみ利用される旨説明する(乙B6の1)。
そこで検討すると,上記支出に係る固定電話機(ファクシミリ電話機を含む。)は,調査研究活動のほか,後援会活動にも使用され,前記アのとおり,上記政治団体の活動にも使用されていたが,政党活動に使用されていない(乙B6の1,3,4及び9)。
したがって,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.7及び9について,別表6の「支出額」欄には複数の支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,本来,その個別の支出の金額を3分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られ,同各欄に記載された金額を3分の1に按分した金額ではないが,原告は,かかる個別の支出の金額を明らかにしていないから,政務調査費の充当が違法となる部分は,同各欄記載の金額を3分の2に按分して1円未満の端数を切り上げた金額とすることとし,同別表「認容額」欄記載の各金額とする。)。
ウ No.10~13(事務用品代)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B6の9)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B6の11及び12)によっても,事務用品の具体的な使途は不明であり,事務用品が調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは考えられず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,かかる事務用品代の支出は本件按分率表に従ってNo.10~12は3分の1,No.13は4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.11及び12について,別表6の各「支出額」欄には,それぞれ別表「6・No.11」及び「6・No.12」の「支出額」欄記載の各支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,かかる各支出の金額を3分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同各別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
エ No.14及び16(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について支払をした旨説明する(乙B6の1)。
そこで検討すると,同議員の事務所は,後援会事務所等と兼用であるから,同事務所において後援会の業務等がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B6の7)に貼付された領収証には「政務調査費給与」又は「調査整理アルバイト代」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄には平成24年4月分については人件費の支払日のみが記載され,同年6月分については人件費の支払日のほか「政務調査整理アルバイト」としか記載されておらず,「備考」欄には,何も記載されていないから,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,雇用契約書(乙B6の8)に記載された業務内容等も調査研究活動の補助業務に限定されてもいないこと(2条(3))からすると,かかる記載が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,かかる人件費の支出は本件按分率表に従って4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ No.15(運転手の人件費)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該運転手に対しては,調査研究活動の補助業務について支払をした旨説明する(乙B6の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B6の7)につき,「事業名,使途及び内容」欄には「道の駅現地調査」,その実施日及びその調査先(g村,弘前市,h町及びi村)が記載されており,かかる調査は,調査研究活動と合理的関連性を有することが認められるし,その実施日及びその調査先も,当該運転手が当該調査の補助業務にしか従事していないことと整合するものであって,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記説明は合理的なものである。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
カ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.6~14及び16は,別表6「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(7)  A14議員(別表7)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,ほかの政治団体等の事務所と兼用ではないと認められる(甲A1,甲B7,乙B7の1)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費は,按分することなく政務調査費を充当できる。
イ No.1~9及び11~13
同議員は,上記支出につき,本件マニュアルに従って按分することなく政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.10(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って2分の1よりも小さい3分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(8)  A15議員(別表8)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,自宅及び後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B8,乙B8の1~3)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,人件費以外は4分の1,人件費は2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,携帯電話料金以外の全ての支出(No.1~3,5及び7~13)につき,議員事務所において後援会活動がされていたことを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所において後援会の活動ないし経費はなかった旨説明する(乙B8の1)
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B8の2及び3)には,後援会の支出総額が「0円」である旨の記載があるが,後援会の性質上,何も活動していないとは考えられないから,議員事務所が後援会の事務所となっていたにもかかわらず,後援会はそこでは何も活動していなかった,あるいは活動していても経費はなかったという説明が合理的であるとはいい難く,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.1~3,5及び7~13につき,後援会活動に使用されていないと合理的に説明されない限り,議員事務所において後援会が活動していたことを考慮した按分率で按分することを要する。
イ No.1~3及び5について
同議員は,上記支出につき,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,本件按分率表に従って4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.5について,別表8の「支出額」欄には複数の支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,本来であれば,その個別の支出の金額を4分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られ,同欄に記載された金額を2分の1に按分した金額ではないが,原告は,かかる個別の支出の金額を明らかにしないから,政務調査費の充当が違法となる部分は,同別表「支出額」欄記載の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り上げた金額とすることとし,同別表「認容額」欄記載の金額とする。)。
ウ No.4及び6(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.7及び8(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について支払った旨説明する(乙B8の1)。
そこで検討すると,同議員の事務所は,後援会事務所を兼ねていたのであるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B8の4)に貼付された領収証には「政務調査補助代として」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄にはいつの期間の人件費であるかと人件費の支払日しか記載されておらず,「備考」欄には何も記載されていないから,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ No.9~13(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について支払った旨説明する(乙B8の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B8の4)に貼付された領収証には「県議会報告配布業務代」と記載されているほか,日当の額及び勤務日数が記載され,「事業名,使途及び内容」欄にも同様の記載がされており,上記業務は,調査研究活動と合理的関連性を有することが認められるし,日当の額及び勤務日数は,当該事務員がかかる業務にしか従事していないことと整合するものであって,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記説明は合理的である。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
カ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.1~3,5,7及び8は,別表8「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(9)  A16議員(別表9)
ア No.1及び2(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
イ No.3及び4(後援会会計責任者の人件費)について
同議員は,議員事務所が後援会事務所と兼用となっていないが,当時の後援会会計責任者に対する人件費につき,調査研究活動の補助事務に係るものとして,政務調査費を充当し(甲B9の3の1~4,甲B9の4,乙B9の4),その理由について,当該事務員は,調査研究活動の補助業務に従事し,後援会の業務に関しては業務が少なかったため無給で行っていたものである旨説明する(乙B9の1及び4)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(甲B9の4)には,人件費の支出がなかった旨の記載があるが,政務調査費が充当された支出に係る本件貼付用紙(甲B9の3の1~4)に貼付された領収証は「政務調査補助事務」との記載のほかは,いつの期間の人件費であるかの記載しかなく,「事業名,使途及び内容」欄も同様の記載しかなく,「備考」欄には,何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であるところ,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そして,かかる職員が後援会の業務にも従事していたのであるから,仮にその業務量が少なかったとしても,その対価を支払わないというのは,首肯し得るものではなく,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか,上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
なお,議員事務所は,同議員が代表者を務める社会福祉法人が運営する保育園と兼用となっている(甲A1,甲B9の1及び2,乙B9の1)ところ,保育園は,後援会や政党支部と異なり政治団体ではなく,議員事務所の業務と保育園の業務は,客観的に大きく異なるものであるから,議員事務所の事務員が保育園の業務も行っているとは考え難く,同議員が,上記支出につき,議員事務所が上記保育園を兼ねていることを考慮した按分率で按分せずに政務調査費を充当したことが違法ということはできない。
したがって,上記支出は,上記職員が後援会活動にも従事していることを考慮して,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
ウ No.5及び6(後援会会計責任者ではない事務員の人件費)について
上記支出につき,議員事務所が保育園と兼用であることなどを考慮した按分率で按分して政務調査費を充当しなくとも違法ということはできないことは前記イと同様である。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.3及び4は,別表9「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(10)  A17議員(別表10)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B10の1~3,乙B10の1~3)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,3分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,A17議員は,全ての支出(No.1~9)につき,議員事務所において後援会活動がされていたことを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所において後援会活動をしていなかった旨説明する(乙B10の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B10の2及び3)には,後援会の支出総額が「0円」である旨の記載があるが,後援会の性質上,何も活動していないとは考えられないから,議員事務所が後援会の事務所となっていたにもかかわらず,後援会はそこでは何も活動していなかった,あるいは経費はなかったという説明が合理的であるとはいい難く,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.1~9につき,議員事務所において,後援会活動がされていたことを考慮した按分率で按分することを要する。
イ No.1及び2(固定電話料金)
A17議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当しているが,政党支部事務所の電話は別にあり,議員事務所の電話は政党活動には利用されていないものの(甲A1,甲B10の2,乙B10の1),前記アのとおり,議員事務所が後援会事務所を兼ねている以上,後援会活動の存在を考慮した按分率で按分した上で政務調査費を充当することは要する。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.2について,別表10の「支出額」欄には複数の支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,本来であれば,その個別の支出の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られ,同欄に記載された金額を2分の1に按分した金額ではないが,原告は,かかる個別の支出の金額を明らかにしないから,政務調査費の充当が違法となる部分は,同欄記載の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り上げた金額とすることとし,同別表「認容額」欄記載の金額とする。)。
ウ No.3~9(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員らに対しては,調査研究活動の補助業務について支払った旨説明する(乙B10の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B10の4)に貼付された領収書には「政務調査補助業務」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄にも「政務調査補助業務」と記載されているほか,いつの期間の人件費であるか及び人件費の支払日しか記載されておらず,「備考」欄には,何も記載されていないか,「政務調査専用補助業務」としか記載されておらず,当該事務員らが従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,労働条件通知書(乙B10の5)にも,従事すべき業務の内容として政務調査に加えて「その他必要な業務」としか記載されていないことからすると,上記労働条件通知書が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
また,同議員は,当時の政党支部の事務担当者に対する人件費の支出につき,調査研究活動の補助事務に係るものとして,政務調査費を充当している(甲B10の2及び3,甲B10の4の1~12,乙B10の6)ところ,その理由について,上記職員は,調査研究活動の補助業務に従事し,政党支部の業務に関しては,業務が少ないことから無給で行っていたものである旨説明する(乙B10の1及び6)。しかしながら,政治資金収支報告書(甲B10の3)には人件費の支出がなかった旨の記載があるものの,上記職員が政党支部の業務にも従事していたのであるから,仮にその業務量が少なかったとしても,その対価を支払わないというのは,首肯し得るものではなく,上記収支報告書の記載は,政党支部の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,前記アのとおりの本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.9について,別表10の「支出額」欄には別表「10・No.9」の「支出額」欄記載の各支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,かかる各支出の金額を3分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
エ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.1~9は,別表10「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(11)  A18議員(別表11)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,自宅及び後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B11,乙B11の1~3)から,本件按分率表により,議員事務所の経費は,人件費以外のものは4分の1,人件費は2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,携帯電話料金以外の全ての支出(No.1~11,13~18,20及び21)につき,議員事務所において後援会活動がされていたことを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所において後援会の活動ないし経費はなかった旨説明する(乙B11の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B11の2及び3)には,後援会の経常経費が「0円」である旨の記載があるが,後援会の性質上,何も活動していないとは考えられないから,議員事務所が後援会の事務所となっていたにもかかわらず,後援会はそこでは何も活動していなかった,活動をしていても経費はなかったという説明が合理的であるとはいい難く,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,携帯電話料金以外の全ての支出(No.1~11,13~18,20及び21)につき,議員事務所において後援会活動がされていたことを考慮した按分率で按分することを要する。
イ No.1~11及び13~18について
同議員は,上記支出につき,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,本件按分率表に従って4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.4,5,7,9,13,14,16及び18について,別表11の「支出額」欄には複数の支出の合計額〔2分の1に按分されたもの〕が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,本来であれば,その個別の支出の金額を4分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られ,同各欄に記載された金額を更に2分の1に按分した金額ではないが,原告が,かかる個別の支出の金額を明らかにしないから,政務調査費の充当が違法となる部分は,同各欄記載の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り上げた金額とすることとし,同別表「認容額」欄記載の各金額とする。)。
ウ No.12及び19(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.20及び21(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について支払った旨説明する(乙B11の1)。
そこで検討すると,同議員の事務所は,後援会事務所と兼用であるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B11の4)に貼付された領収証には「政務調査事務補助作業」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄にも同様の記載のほかは,いつの期間の人件費であるかと人件費の支払日しか記載されておらず,「備考」欄には何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.1~11,13~18,20及び21は,別表11「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(12)  A19議員(別表12)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B12の1及び2,乙B12の1及び3)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.3~9,14及び15について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.12及び13(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.10及び11(インターネット利用料)
同議員は,かかる支出につき何ら按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,インターネットを調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B12の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所では後援会の業務もあり,かかる業務にインターネットが不要であるとは考えられず,その利用の可能性は十分考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B12の6及び7)によっても,ケーブルテレビやインターネットの具体的な使途は不明であり,これらが調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは認められないから,上記資料から上記説明の合理性が裏付けられるものではなく,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情も見当たらない。
したがって,上記支出は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.10及び11は,別表12「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(13)  A20議員(別表13)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所において後援会活動が行われていたと認められる(甲A1,甲B13,乙B13の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~6について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(14)  A21議員(別表14)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B14の1,乙B14の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当すれば足りる。
イ No.1~17について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当していることが認められる(乙B14の1)ところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(15)  A6議員(別表15)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,ほかの政治団体等の事務所と兼用ではないと認められる(乙B15の1)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費の支出につき按分をしないで政務調査費を充当できる。
イ No.1~7,10,11,13~20,22及び23について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアルに従い,按分をせずに政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.8及び21(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(16)  A22議員(別表16)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(乙B16の1及び4)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.3~5(人件費)について
雇用契約書記載の給与の額(乙B16の3)と本件貼付用紙に貼付された領収書の額(乙B16の2)を比較すると,同議員は,かかる支出につき,本件按分率表に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当していることが認められるところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(17)  A23議員(別表17)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B17,乙B17の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~3について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.4及び5(事務員の人件費)
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について支払った旨説明する(乙B17の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B17の2)に貼付された領収証には「給料」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄には,いつの期間の人件費であるかと人件費の支払日しか記載されず,「備考」欄には,「政務調査補助業務のみ従事」としか記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,雇用契約書(乙B17の3)には,事務員の業務内容として「政務調査活動についての補助業務に限る」との記載があるものの,同議員の議員事務所は,後援会事務所を兼ねていたのであるから,日常の業務においてそれぞれの業務が明確に区別されていたとは考えられず,そこに勤務する事務員が,自ずと調査研究活動の補助業務と混然一体となった後援会業務に係る事務に従事することになる可能性は十分あると考えられるところ,当該事務員が,従事を求められた業務が調査研究活動の補助業務に当たるか否かの区別を明確に認識して業務に従事することは困難であるし,仮に調査研究活動の補助業務に該当しないと考えられるものに従事することを求められたとしても,これを拒むとも考え難いことからすると,上記雇用契約書の記載が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情も見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
エ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.4及び5については,別表17「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余については認められない。
(18)  A24議員(別表18)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B18の1及び2,乙B18の1及び3~5)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~4(事務所賃借料及び灯油代)について
原告は,同議員が,自身が代表者を務めるj株式会社(以下「j社」という。)から議員事務所を賃借していること(甲B18の4,乙B18の5)から,同議員のj社に対する賃料の支出に政務調査費を充当すると,実質的に,j社から同議員へ政務調査費が還流することとなり,かかる充当は違法である旨主張する。
しかしながら,同議員に原告の指摘するような資金の還流をうかがわせる具体的な事情は見当たらないし,同議員とj社との間に賃貸借契約書が作成されている(乙B18の5)ところ,その賃料が市価と比較して相応であること(乙B18の4),同社において同議員からの賃借料収入を適切に会計処理していること(乙B18の6)からすると,原告の主張は,具体的根拠を欠くものであり採用することができない(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。)。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.5について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.6~9(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員らに対しては,調査研究活動の補助業務について支払った旨説明する(乙B18の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B18の2)に貼付された領収証には,いつの期間の人件費であるかのみが記載され,「事業名,使途及び内容」欄には「補助職員人件費」という記載のほか,いつの期間の人件費であるかと人件費の支払日しか記載されていないし,「備考」欄には,何も記載されておらず,当該事務員らが従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であるところ,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。なお,同議員は,当時の後援会の事務担当者に対する人件費の支出につき,調査研究活動の補助事務に係るものとして,政務調査費を充当し(甲B18の2,甲B18の3の1~12,乙B18の3),その理由について,上記職員は,調査研究活動の補助業務に従事し,後援会の業務に関しては,業務が少なかったことから無給で行っていた旨説明する(乙B18の3)ところ,確かに,政治資金収支報告書(甲B18の2)には人件費の支出がなかった旨の記載があるが,上記職員が,後援会の業務にも従事していたというのであるから,仮にその業務量が少なかったとしても,その対価を支払わないというのは,首肯し得るものではなく,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情も見当たらない。
したがって,かかる人件費の支出は本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.6~9は,別表18「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(19)  A25議員(別表19)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められ(甲A1,甲B19の1,乙B19の1),政党支部事務所と兼用であるとは認められない(甲B19の2)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当すれば足りる。ただし,No.1(駐車場使用料)の支出は,同議員自身が政党活動にも使用していたと説明している(乙B19の1)から,3分の1に按分した上で政務調査費を充当すれば足りる。
イ No.1及び5~10について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおり政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2)参照)から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.2~4(ファイル代)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,ファイルは,「八戸市のまちづくりについての調査」において,資料を分類して整理する作業に用いたものであり,調査研究活動のみに使用したものである旨説明する(乙B19の1,3及び4)ところ,上記調査において情報整理として新聞の切り抜き等を複数のファイルに分類していく作業が実施されたこと(乙B19の2),資料が数十個のファイルに分類されて棚に保管されていること(乙B19の2及び6)が認められるから,これらのファイルが調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたと考えられ,上記説明は合理的である。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(20)  A26議員(別表20)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,ほかの政治団体等の事務所と兼用ではないと認められる(乙B20の1,乙B20の2の1~3)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費の支出は,按分をしないで政務調査費を充当できる。ただし,同議員自身が後援会活動にも使用していたと説明するNo.9(ウイルス対策用パソコンソフト代金)及び後援会の業務にも従事していたと説明するNo.10及び11(事務員の人件費)については,本件按分率表によれば,2分の1に按分した上で政務調査を充当しなければならない。
イ No.1,2,5,6及び9~11について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりに按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.3及び4(事務所賃借料)について
原告は,同議員が,その妻が代表者を務める有限会社k(以下「k社」という。)から議員事務所を賃借していること(甲B20の3,乙B20の1,乙B20の2の1)から,同議員のk社に対する賃料の支出に政務調査費を充当すると,実質的に,k社から同議員へ政務調査費が還流することとなり,かかる充当は違法である旨主張する。
しかしながら,同議員に原告が指摘するような資金の還流をうかがわせる具体的な事情は見当たらないし,同議員とk社との間に賃貸借契約書が作成されている(乙B20の2の1)ところ,その賃料が市価と比較して相応であること(乙B20の4),同社において同議員からの賃借料収入を適切に会計処理していること(乙B20の5及び6)からすると,原告の上記主張は,具体的な根拠に欠けるものであって採用することができない。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(21)  A27議員(別表21)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会及び政党支部の事務所(同じ部屋)と同一の建物内であるものの異なる階にあり,後援会及び政党支部の事務所とは別個独立であると認められる(甲B21の1及び2,乙B21の1,乙B21の2の1及び2,乙B21の6及び7)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費は,按分をしないで政務調査費を充当できる。
イ No.3及び4(事務所賃借料)について
原告は,同議員が,自身が代表者を務める有限会社l(以下「l社」という。)から議員事務所を賃借していること(乙B21の2の1)から,同議員のl社に対する賃料の支出に政務調査費を充当すると,実質的にl社から同議員へ政務調査費が還流することとなり,かかる充当は違法であると主張する。
しかしながら,同議員に原告が指摘するような資金の還流をうかがわせる具体的な事情は見当たらないし,同議員とl社との間に賃貸借契約書が作成されている(乙B21の2の1)ところ,その賃料が市価と比較して相応であること(乙B21の9),同社において同議員からの賃借料収入を適切に会計処理していること(乙B21の10及び11)が認められることからすると,原告の上記主張は,具体的な根拠に欠けるものであって採用することができない。また,かかる支出が後援会活動及び政党活動に係るものと混同されるおそれがないことは,その事務所が兼用となっていないこと(前記ア)から明らかである(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。)。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.1及び2(電気料金)について
原告は,上記支出につき,政務調査費の充当を認めると,l社から同議員に対して政務調査費が還流する旨主張するが,同社に対する電気料金の支払は,実費によるものであって(乙B21の2の1・20条(4)),電力会社に対して支出されるものと変わらないから,原告の上記主張は,具体的な根拠を欠くものであって採用することができないことは,前記イと同様である。また,かかる支出が後援会活動及び政党活動に係るものと混同されるおそれがないことは,その事務所が兼用となっていないこと(前記ア)から明らかである(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。)。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.5及び6(駐車場使用料)について
原告は,上記支出につき,政務調査費の充当を認めると,l社から同議員に対して政務調査費が還流する旨主張するが,同社と同議員との間において契約書(乙B21の3)が作成ざれ,金額も不相当とはいえないことなどからすれば,原告の上記主張は,具体的な根拠を欠くものであって採用することができないことは,前記イと同様である。
また,A27議員は,駐車場を2区画分賃借し(乙B21の3),その使用料の2分の1に政務調査費を充当しているところ,議員事務所の所在する建物につき,同事務所分と後援会及び政党支部の事務所分の2室を賃借していたことからすれば,各室ごとに同程度の駐車区画の利用を想定して2分の1に按分することも不合理とはいえない(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。)。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
オ No.7及び13(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1よりも小さい3分の1に按分した上で政務調査費を充当している(乙B21の1)ところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
カ No.8,9,11,12及び14(パソコンリース料,コピー複合機リース料,インターネット利用料,写真印刷代)について
同議員は,上記支出のうち,インターネット利用料について,後援会及び政党支部の事務所と共用していることから,その3分の1を計上しているところ(乙B21の1),かかる取扱いが不合理ということはできない。また,同議員は,それ以外の支出につき,全額を計上しているところ,客観的に見て,後援会活動及び政党活動に係る支出と混同されるおそれはないことは,前記アのとおりであるから,かかる処理に不合理はない(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。)。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
キ No.10(固定電話料金)について
同議員は,上記支出につき,按分することなく政務調査費を充当し,その理由について,上記支出に係る固定電話機を議員事務所に設置していた旨説明する(乙B21の1)。
そこで検討すると,議員事務所に設置されていた固定電話機の電話番号(乙B21の2の1)は,後援会及び政党支部のもの(甲B21の1及び2)と同じものであり,同じ建物内の異なる階にあることを考慮しても,上記固定電話機は,後援会及び政党支部にも使用されていたと考えられ,客観的に見て,かかる支出につき,後援会及び政党支部の活動に係る支出と区別されていなかったものと認められる。
したがって,かかる支出は本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.10について,別表21の「支出額」欄には複数の支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,本来,その個別の支出の金額を3分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られ,同欄に記載された金額を3分の1に按分した金額ではないが,原告が,かかる個別の支出の金額を明らかにしないから,政務調査費の充当が違法となる部分は,同欄記載の金額を3分の2に按分して1円未満の端数を切り上げた金額とすることとし,同別表「認容額」欄記載の金額とする。)。
ク No.15~18(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,2分の1に按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,2名の事務員のうち1名は,後援会活動の補助業務にも従事しており,もう1名は,政党活動の補助業務にも従事していた旨説明する(乙B21の1)。
そこで検討すると,前記アのとおり,後援会事務所と政党支部事務所は兼用であり,その事務の実態は明確でないから,客観的に見て,上記事務員らが明確な役割分担をして後援会活動及び政党活動の各補助事務を担当していたとまでは認められず,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B21の8)に貼付された領収書には,いつの期間の人件費であるかの記載しかなく,「事業名,使途及び内容」欄にも,いつの期間の人件費であるかと人件費の支払日,按分率及び按分率の基礎となる活動しか記載されてわらず,「備考」欄も何も書かれていないか,兼務が可能である旨の記載しかなく,当該事務員らが従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であるところ,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,かかる人件費の支出は本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
ケ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.10及び15~18は,別表21「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(22)  A28議員(別表22)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B22,甲B22の2,乙B22の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1,2,7及び8について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2)参照)から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
なお,原告は,人件費(No.7及び8)について,同議員は,事務員のうち1名は後援会事務担当者であるにもかかわらず,その人件費につき政務調査費を充当している旨主張するが,同事務員が後援会活動の補助業務のみに従事していると認めるに足る証拠はなく,上記のとおり,同議員は,上記支出につき,かかる事務担当者が調査研究活動だけでなく,後援会活動の補助業務にも従事していることを考慮し,本件按分率表に従って2分の1に按分しているのであるから,同議員の上記取扱いに何ら不合理はない。
ウ No.3及び4(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(23)  A29議員(別表23)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B23,乙B23の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.2~11及び13~17について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.1及び12(携帯電話料金)について
A29議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.18及び19(事務員の人件費)について
A29議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,別の事務員は,調査研究活動の補助業務以外の業務にも従事していたが,当該事務員は,調査研究活動の補助業務にのみに従事していた旨説明する(乙B23の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であり,後援会の業務があったことは明らかであり,仮に,調査研究活動の補助業務以外の業務にも従事する職員がいたとしても,そのことから直ちに,当該職員が調査研究活動の補助業務以外の業務に従事することはないということができるものではないところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B23の2)に貼付された領収証には,どの期間の人件費であるかのみが記載され,「事業名,使途及び内容」欄には「政務調査専用」との記載のほか,人件費の支払日の記載しかなく,「備考」欄には,何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ 小括
原告主張の各違法事由のうち,No.18及び19は,別表23「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(24)  A30議員(別表24)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,ほかの政治団体等の事務所と兼用ではないと認められる(甲B24の1及び2,乙B24の1及び3)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費は,按分をしないで政務調査費を充当できる。ただし,No.1及び2(事務機器リース料)は,被告が,同議員が後援会活動にも使用していたと主張するから,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~4について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおり政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(2))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(25)  A31議員(別表25)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲B25の1及び2,乙B25の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~15について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(26)  A32議員(別表26)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B26,乙B26の1~3)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。ただし,No.10~12(ファクシミリ電話機インクリボン代)は,同議員自身が私的にも使用していたと説明する(乙B26の1)から,本件按分率表によれば,4分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,全ての支出(No.1~14)につき,議員事務所において後援会活動がされていることを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所において後援会の活動ないし経費はなかった旨説明する(乙B26の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B26の2及び3)には,後援会の支出総額が「0円」である旨の記載があるが,後援会の性質上,何も活動をしていないとは考えられないから,議員事務所に後援会事務所が置かれていたにもかかわらず,後援会はそこでは何も活動していなかった,あるいは,活動はしていても経費はなかったとする説明が合理的であるとはいい難く,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.1~14につき,議員事務所において後援会活動がされていたことを考慮した按分率で按分することを要する。
イ No.1~12について
上記支出は,本件按分率表に従って前記アのとおり政務調査費を充当すべきであるから(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の充当は違法である。
ウ No.13及び14(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおりの本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては,調査研究活動の補助業務について支払った旨説明する(乙B26の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,同事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙(乙B26の4)に貼付された領収証には,せいぜい「政務調査補助として」との記載しかなく,「事業名,使途及び内容」欄には,「政務調査補助(情報収集・資料整理)」との記載のほか,いつの期間の人件費であるか,人件費の額及び人件費の支払日の記載しかなく,「備考」欄には,何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできず,そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,かかる人件費の支出は,前記アのとおり,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
エ 小括
同議員が,No.1~9,13及び14の支出につき2分の1を超えて政務調査費を充当した部分,No.10~12の支出につき4分の1を超えて政務調査費を充当した部分はいずれも違法であり,No.10~12の違法支出額はいずれも別表26「支出額」欄記載の金額の2分の1となるが,原告が義務付けを求める不当利得返還請求の請求額は同別表「違法支出額」欄記載の部分にとどまるから,その限りで認容することとし,最終的な認容額は同別表「認容額」欄記載のとおりとなる。
(27)  A33議員(別表27)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所の所在地について,「ふるさと便利帳」(甲A1)と「A33だより」(乙B27の5)とでは異なる住所が記載されているところ,前者は,議員の連絡先を記載しているものであって「(事務所)」との記載の趣旨は必ずしも明らかでなく,後者は,同議員の議会活動に関する広報誌であって,議員としての業務が行われている場所,すなわち,議員事務所の住所が記載されているものと考えるのが自然であり,同議員の議員事務所は,ほかの政治団体等の事務所と兼用となっていないものと認められる(乙B27の1)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費は,按分しないで政務調査費を充当できる。ただし,No.1~6,8~10及び12~14(水道料金,ガス料金,灯油代,電気料金,警備料金,インターネット利用料,固定電話料金)については,同議員自身が自宅と兼用であったと説明する(乙B27の4,弁論の全趣旨)から,本件按分率表によれば,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~6,8~10,12~14及び18~20について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおり政務調査費を充当しているから(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.11及び15~17(携帯電話料金)について
A33議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はない(前記2(3))から,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告主張の各違法事由はいずれも認められない。
(28)  A34議員(別表28)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B28,乙B28の1~3)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,議員事務所に係る全ての支出(No.43~80)につき,議員事務所において,後援会活動がされていたことを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所において後援会の活動ないし経費はなかった旨説明する(乙B28の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B28の2及び3)には,後援会の支出総額が「0円」である,あるいは人件費が「0円」である旨の記載があるが,後援会の性質上,何も活動していないとは考えられないから,議員事務所が後援会の事務所となっていたにもかかわらず,後援会はそこでは何も活動していなかった,あるいは活動をしていても経費はなかったという説明が合理的であるとはいい難く,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.43~80につき,議員事務所において,後援会活動がされていたことを考慮した按分率で按分することを要する。
イ No.43~77(事務用品代)について
上記支出は,本件按分率表に従って,前記アのとおり2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,その余の原告の主張が採用できないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
ウ No.78~80(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B28の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会の業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B28の4)をみると,貼付された領収証には,いつの期間の人件費(給与)であるかのみが記載され,「事業名,使途及び内容」欄には「政務調査専用事務員」という記載のほか,いつの期間の人件費であるかと人件費の支払日の記載しかなく,「備考」欄には何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,雇用契約書(乙B28の5)に記載された業務内容は,調査研究活動の補助業務などとする記載があるものの,議員事務所は後援会事務所を兼ねていたのであるから,日常の業務においてそれぞれの業務が明確に区別されていたとは考えられず,そこに勤務する事務員が,自ずと調査研究活動の補助業務と混然一体となった後援会業務に係る事務に従事することになる可能性は十分にあると考えられるところ,当該事務員が,従事を求められた業務が調査研究活動の補助業務に当たるか否かの区別を明確に認識して業務に従事することは困難であるし,仮に調査研究活動の補助業務に該当しないと考えられるものに従事することを求められたとしても,これを拒むとも考え難いことからすると,上記雇用契約書の記載が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,その余の原告の主張が採用できないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
エ No.1,2及び13~42(会派控室の経費)について
上記支出につき,原告は,本件按分率表を参考に,後援会活動,政党活動及び本件一般的な議員活動の存在を考慮して,少なくとも4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張するが,かかる主張が認められないことは前記2(4)と同様である。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
オ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,No.43~80は,別表28「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(29)  A7議員(別表29)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,ほかの政治団体等の事務所と兼用ではないと認められる(乙B29の1及び2)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費の支出につき按分をしないで政務調査費を充当できる。
イ No.1~7,9,13及び16~24について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアルに従い,按分をせずに政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.8,14及び15(会派控室の経費)について
上記支出につき,原告は,本件按分率表を参考に,後援会活動,政党活動及び本件一般的な議員活動の存在を考慮して,少なくとも4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張するが,かかる主張が認められないことは前記2(4)と同様である。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.10~12及び25~28(携帯電話料金及びタブレット型コンピューター利用料)について
A7議員は,かかる支出につき,本件マニュアル(前記第3の4(4))に従って,2分の1ないしそれよりも小さい3分の1に按分した上で政務調査費を充当している(なお,タブレット型コンピューターの携帯電話との類似性からすれば,タブレット型コンピューター利用料の支出につき,政務調査費を充当するに当たっては,携帯電話料金の支出に関する本件マニュアルの定め〔前記第3の4(4)〕と同様の処理をすることが合理的である。)ところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
オ 小括
原告が主張する各違法事由はいずれも認められない。
(30)  A35議員(別表30)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められ(甲A1,甲B30,乙B30の3),同議員は,議員事務所が自宅に設置されていたと説明しているから(乙B30の1),本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,4分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,後援会活動に係る事務は,後援会の会計責任者の自宅で行われ,議員事務所において後援会活動は行われていない旨説明し(乙B30の1),後援会の会計責任者も同様の説明をする(乙B30の2)が,かかる説明を裏付ける客観的証拠は何一つなく,むしろ後援会について政治資金規正法上の資金管理団体として青森県選挙委員会に届け出られていた住所が議員事務所と一致している(乙B30の1~3)など後援会事務所が議員事務所と兼用となっていたことを裏付ける事実が認められることからすれば,上記説明は採用することができない。この点は,コピー機リース料及びカウンター料(No.18~20)に係る説明(乙B30の4~6)についても同様である。
したがって,議員事務所の経費につき,政務調査費を充当するに当たり,上記のとおり按分することを要する。
イ No.6~9及び18~20について
上記支出は,本件按分率表に従って,前記アのとおり4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,その余の原告の主張が採用できないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.8について,別表30の「支出額」欄には複数の支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,本来であれば,その個別の支出の金額を4分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られ,同欄に記載された金額を2分の1に按分した金額ではないが,原告において,かかる個別の支出の金額を明らかにしなかったものであるから,政務調査費の充当が違法となる部分は,同欄記載の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り上げた金額とすることとし,同別表「認容額」欄記載の金額とする。また,No.20について,別表30の「支出額」欄には別表「30・No.20」の「支出額(充当額)」欄記載の金額の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,同別表「本来の支出額」欄記載の各金額を4分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
ウ No.21及び24(事務用品代)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B30の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B30の4~6)によっても,上記事務用品の具体的な使途は不明であり,上記事務用品が調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは認められない。そのほか,上記説明の合理性を裏付ける資料は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,その余の原告の主張が採用できないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
エ No.22及び23(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
オ No.1~5及び10~17(会派控室の経費)について
上記支出につき,原告は,本件按分率表を参考に,後援会活動,政党活動及び本件一般的な議員活動の存在を考慮して,少なくとも4分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきである旨主張するが,かかる主張が認められないことは前記2(4)と同様である。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
カ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,別表30のNo.6~9及び18~20は,別表30「認容額」欄記載の限りで認められ,その余の部分は認められず,別表30のNo.21及び24の認容額は「支出額」欄記載の各金額の4分の1を同各金額から控除した額となるが,原告が義務付けを求める不当利得返還請求の請求額は同別表「違法支出額」欄記載の部分にとどまっているから,その限りで認容することとし,最終的な認容額は同別表「認容額」欄記載のとおりとなる。
(31)  A36議員(別表31)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められるから(甲B31の1及び2,乙B31の1),本件按分率表によれば,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~14について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当するか,上記支出額の2分の1よりも少ない部分につき政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告が主張する各違法事由はいずれも認められない。
(32)  A37議員(別表32)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B32,乙B32の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~79について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.80~85(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B32の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B32の2)をみると,貼付された領収書には「政務調査補助業務代」との記載のほか,いつの期間の人件費であるかしか記載されておらず,「事業名,使途及び内容」欄にはいつの期間の人件費であるかと人件費の支払日のみが記載され,「備考」欄には,何も記載されていないか「政務調査補助業務のみに従事」としか記載されていないところ,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
エ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,No.80~85は,別表32「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(33)  A38議員(別表33)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用ではないと認められ(甲B33,乙B33の1,3及び4),そのほかの政治団体等の事務所とも兼用となっていないから,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費の支出につき按分をしないで政務調査費を充当できる。
イ No.1~5及び7~9について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って按分せずに政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.6(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告が主張する各違法事由はいずれも認められない。
(34)  A39議員(別表34)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B34,乙B34の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~12について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告が主張する各違法事由はいずれも認められない。
(35)  A40議員(別表35)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B35,乙B35の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~11及び13~17について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.12(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.18及び19(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B35の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B35の2)をみると,貼付された領収証には,「政務調査業務として」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄には,いつの期間の人件費であるかと人件費の支払日が記載され,「備考」欄には,何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,No.18及び19は,別表35「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(36)  A41議員(別表36)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B36,乙B36の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~11,14,17及び19について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.12,13及び20~24(携帯電話料金及びモバイル通信料)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない(なお,モバイル通信料は携帯電話料金ないしそれに類似したものであると考えられる。)。
エ No.15,16及び18(事務用品等)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B36の1及び3)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B36の3~5)によっても,上記事務用品の具体的な使途は不明であり,上記事務用品が調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは認められない。そのほか,上記説明の合理性を裏付ける資料は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.16及び18〔株式会社オクトワークに対する支出を除いたもの。〕について,別表36の「支出額」の各欄には,それぞれ,別表「36・No.16」及び「36・No.18」の「支出額」欄記載の各支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,かかる各支出の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同各別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
オ No.25及び26(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B36の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B36の2)をみると,貼付された領収証には「政務調査補助業務賃金」と記載されているほか,いつの期間の人件費であるかのみが記載され,「事業名,使途及び内容」欄には同様の記載のほかは,人件費の支払日のみが記載され,「備考」欄には,何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすると,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
カ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,No.15,16,18,25及び26は,別表36「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(37)  A42議員(別表37)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B37,甲B37の2,乙B37の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~7(事務用品代)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B37の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B37の3~5)によっても,上記事務用品の具体的な使途は不明であり,上記事務用品が調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは認められない。そのほか,上記説明の合理性を裏付ける資料は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.2について,別表37の「支出額」欄には複数の支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,本来,その個別の支出の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られ,同欄に記載された金額を2分の1に按分した金額ではないが,原告が,かかる個別の支出の金額を明らかにしないから,政務調査費の充当が違法となる部分は,同欄記載の金額を2分の1に按分して1円未満の端数を切り上げた金額とすることとし,同別表「認容額」欄記載の金額とする。)。
ウ No.8及び9(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B37の1及び3)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B37の2)をみると,貼付された領収書には「政務調査補助の業務報酬として」とのみ記載され,「事業名,使途及び内容」欄には同様の記載のほか,人件費の支払日及び就業場所の記載しかなく,「備考」欄には何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
また,同議員は,当時の後援会の事務担当者であった者に対する人件費の支出につき,調査研究活動の補助事務に係るものとして,政務調査費を充当し(甲B37の2,甲B37の3の1~12),その理由について,上記職員は,調査研究活動の補助事務にのみ従事し,後援会の業務は無給で行っていた旨説明する(乙B37の3)。
そこで検討すると,政治資金収支報告書(甲B37の2)には,人件費の支出がなかった旨の記載があるものの,上記職員が後援会の業務にも従事していたのであるから,仮にその業務量が少なかったとしても,その対価を支払わないというのは,首肯し得るものではなく,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1した上で政務調査費を充当すべきこととなり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
エ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,No.1~9は,別表37「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(38)  A43議員(別表38)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,政党支部事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B38,乙B38の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ 1~6及び9~18について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.7及び8(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ 小括
原告が主張する各違法事由はいずれも認められない。
(39)  A44議員(別表39)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であると認められる(甲B39の2及び3,乙B39の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,3分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1及び2について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.3(事務用品代)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,政党活動に使用していない旨説明する(乙B39の3)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B39の3~5)によっても,上記事務用品の具体的な使途は不明であり,上記事務用品が,政党活動ではなく調査研究活動及び後援会活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは認められない。そのほか,上記説明の合理性を裏付ける資料は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
エ No.4~7(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B39の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務及び政党業務がなかったはずはないと考えられるところであるが,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B39の2)をみると,添付された領収証には「アルバイト代」と記載され,「事業名,使途及び内容」欄には「調査資料整理」との記載のほか,人件費の支払日が記載され,「備考」欄には,日当の額(5000円)及び勤務日数(一月当たり2~6日)が記載されているところ,上記業務の具体的内容は,調査研究活動と合理的関連性を有するだけでなく,具体的に必要な仕事が生ずる都度働きに来てもらうというアルバイトの性質からすると,アルバイトと業務との関連性も比較的明確であり,日当の額及び勤務日数も,当該事務員がかかる業務にしか従事していないことと整合するものであって,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記説明は合理的なものと認められる。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
オ 小括
原告主張する各違法事由のうち,No.3は,別表39「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(40)  A45議員(別表40)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B40,乙B40の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~9(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B40の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務がなかったはずはないと考えられるところであるが(なお,政治資金収支報告書〔乙B40の2及び3〕には,後援会の支出総額が「0円」である旨の記載があるが,団体が存在するにもかかわらず,何も活動していなかったという説明が合理的であるとはいい難く,議員事務所が後援会の事務所を兼ねていることを踏まえると,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。),上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B40の4)を見ると,貼付された領収証には,議会広報活動及び地域の要望・意見・課題などの情報収集と記載されているほか,日当の額(5000円又は6000円)及び勤務日数(一月当たり5~21日)も記載され,勤務日が記載されているものもあり,「事業名,使途及び内容」欄にも日当の額及び勤務日数等が記載されており,上記業務の具体的な内容は,調査研究活動と合理的関連性を有することが認められるし,日当の額及び勤務日数(勤務日)は,当該事務員がかかる業務にしか従事していないことと整合するものであって,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記説明は合理的なものと認められる。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ 小括
原告が主張する各違法事由はいずれも認められない。
(41)  A46議員(別表41)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であると認められる(甲A1,甲B41の1及び2,乙B41の1)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,3分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~7,11及び12について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.8~10(事務用品代)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B41の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B41の4~6)によっても,上記事務用品の具体的な使途は不明であり,上記事務用品が調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは認められない。そのほか,上記説明の合理性を裏付ける資料は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり,それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.10について,別表41の「支出額」欄には別表「41・No.10」の「支出額」欄記載の各支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,かかる各支出の金額を3分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
エ No.13及び14(事務員の人件費)
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B41の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務及び政党業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B41の2)を見ると,貼付された領収証には「給料として」としか記載されておらず,「事業名,使途及び内容」欄も「○月分事務職員給与」の記載しかなく,「備考」欄には何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,雇用契約書(乙B41の3)に記載された業務内容は,「政務調査活動に関する書類整理等の補助業務」とされているものの,議員事務所は後援会事務所及び政党支部事務所を兼ねていたのであるから,日常の業務においてそれぞれの業務が明確に区別されていたとは考えられず,そこに勤務する事務員が,自ずと調査研究活動の補助業務と混然一体となった後援会業務及び政党業務に係る事務に従事することになる可能性は十分あると考えられるところ,当該事務員が,従事を求められた業務が調査研究活動の補助業務に当たるか否かの区別を明確に認識して業務に従事することは困難であるし,仮に調査研究活動の補助業務に該当しないと考えられるものに従事することを求められたとしても,これを拒むとも考え難いことからすると,上記雇用契約書の記載が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.14の「認容額」欄記載の金額は,No.13のものを11倍した金額である。)。
オ No.15及び16(運転手の人件費)
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B41の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務及び政党業務に付随する運転業務がなかったとは考えられないところであるが,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B41の2)を見ると,貼付された領収証には「給与として」と記載され,「事業名,使途及び内容」欄に,商工行政,農林行政,広域行政,建設行政,教育行政,観光行政,防災行政,福祉行政,エネルギー行政,スポーツ行政,厚生行政,環境行政,地域行政及び道路行政に関する調査,町内会との意見交換等と記載されているほか,実施日及び弘前市等の行き先も記載されており,上記業務の具体的内容は,調査研究活動と合理的関連性を有することが認められるし,実施日及び行き先の記載は,当該運転手がかかる業務にしか従事していないことと整合するものであって,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記説明は合理的なものと認められる。
したがって,政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
カ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,No.8~10,13及び14は,別表41「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(42)  A47議員(別表42)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であると認められる(甲B42の1,甲B42の2の1及び2,乙B42の1及び4)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.2及び3(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
ウ No.1(システム手帳リーフ代)について
システム手帳は,その性質上,調査研究活動のほか,本来,政務調査費を充当してはならない経費の支出を伴う私的な使用(前記第3の3参照)にも混然と供されていると考えるのが相当であるが,システム手帳は携帯して使用するのが通常であり,議員事務所の利用形態によってその使用状況が大きく異なるとは考え難く,議員事務所の利用形態に着目した本件按分率表等の定めを直ちに適用することはできないことから,携帯電話料金の支出に関する本件マニュアルの定め(前記第3の4(4))を参考にするのが相当である。そして,かかる定めにつき,携帯電話料金の支出について,調査研究活動に係る部分及び私的な使用に係る部分の具体的な使用割合が不明である場合の按分率の目安を2分の1とした本件マニュアルの定めが,特段不合理であるとはいえないことは,前記2(3)において述べたとおりであり,システム手帳リーフ代の支出についても同様の処理をするのが相当である。これと異なる原告の主張は採用できない。
したがって,上記支出は,2分の1に按分した上で政務調査費を充当することができるから,同議員が,上記支出につき,本件マニュアルの定め(前記第3の4(4))に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当したことが,違法ということはできない。
エ No.4~6(事務用品代)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,上記事務用品は,調査研究活動にしか使用していない旨説明する(乙B42の1及び5)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された本件貼付用紙等(乙B42の5~7)によっても,上記事務用品の具体的な使途は不明であり,上記事務用品が調査研究活動と合理的関連性を有する活動のみに用いられていたとは認められない。そのほか,上記説明の合理性を裏付ける資料は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
オ No.7及び8(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B42の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B42の2)を見ると,貼付された領収証には「政務調査補助業務代」と記載されているほか,いつの期間の人件費であるかと人件費の支払日しか記載されておらず,「事業名,使途及び内容」欄にも同様の記載しかなく,「備考」欄には何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,雇用契約書(乙B42の3)に記載された雇用内容は,「政務調査補助」とされているものの,議員事務所は後援会事務所を兼ねていたのであるから,日常の業務においてそれぞれの業務が明確に区別されていたとは考えられず,そこに勤務する事務員が,自ずと調査研究活動の補助業務と混然一体となった後援会業務に係る事務に従事することになる可能性は十分あると考えられるところ,当該事務員が,従事を求められた業務が調査研究活動の補助業務に当たるか否かの区別を明確に認識して業務に従事することは困難であるし,仮に調査研究活動の補助業務に該当しないと考えられるものに従事することを求められたとしても,これを拒むとも考え難いことからすると,上記雇用契約書の記載が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
また,同議員は,当時の後援会の事務担当者であった者に対する人件費の支出につき,調査研究活動の補助事務に係るものとして,政務調査費を充当し(甲B42の2の2,甲B42の3の1~5,乙B42の51),その理由について,上記職員は,調査研究活動の補助業務にのみ従事し,後援会の業務は無給で行っていた旨説明する(乙B42の5)。
そこで検討すると,政治資金収支報告書(甲B42の2の2)には,人件費の支出がなかった旨の記載があるものの,上記職員が後援会の業務にも従事していたのであるから,仮にその業務量が少なかったとしても,その対価を支払わないというのは,首肯し得るものではなく,上記収支報告書の記載は,後援会の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って2分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
カ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,No.4~8は,別表42「認容額」欄記載の限りで認められるが,その余は認められない。
(43)  A48議員(別表43)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であると認められる(甲A1,乙B43の2~5)から,本件按分率表によれば,議員事務所の経費は,3分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならず,No.3及び4(パソコンプリンター代及びコピー用紙代)は,同議員が私的にも使用していたと説明する(乙B43の1)から,本件按分率表によれば,6分の1に按分した上で政務調査費を充当しなければならない。
これに対し,同議員は,携帯電話料金以外の全ての支出(No.3~8)につき,議員事務所において後援会活動及び政党活動がされていたことを前提としない按分率で按分した上で政務調査費を充当し,その理由について,議員事務所において後援会や政党の活動ないし経費はなかった旨説明する(乙B43の1)。
そこで検討すると,上記説明の裏付けとして提出された政治資金収支報告書(乙B43の2~5)には,後援会及び政党支部の支出総額が「0円」である旨の記載があるが,団体が存在するにもかかわらず,かかる団体がそこでは何も活動していなかった,あるいは経費はなかったという説明が合理的であるとはいい難く,議員事務所が上記各団体の事務所を兼ねていることを踏まえると,上記収支報告書の記載は,同各団体の活動に係る経費が調査研究活動に係る経費と区別されていなかった結果であると解する方が自然である。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,No.3~8につき,議員事務所において後援会活動及び政党活動がされていたことを考慮した按分率で按分することを要する。
イ No.3及び4(パソコンプリンター代及びコピー用紙代)について
上記支出は,本件按分率表に従って前記アのとおり6分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,その余の原告の主張が採用できないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である。
ウ No.1及び2(携帯電話料金)について
同議員は,上記支出につき,本件マニュアル(前記第4の4(4))により,2分の1に按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(3)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない。
エ No.5及び6(事務員の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務について人件費を支払った旨説明する(乙B43の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務及び政党業務がなかったはずはないと考えられるところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B43の6)を見ると,貼付された領収証には「事務整理手当て」と記載されているほか,いつの期間の人件費であるか及び人件費の支払日しか記載されておらず,「事業名,使途及び内容」欄にも同様の記載しかなく,「備考」欄には,何も記載されておらず,当該事務員が従事した業務の具体的内容や実施日などは不明であり,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,雇用契約書(乙B43の6の後ろから2枚目)に記載された業務内容は,「政務調査費事務整理」,「政務調査の調査資料の準備・整理」,「政務調査費の帳簿整理等事務整理」,「政務調査費報告事務」とされているものの,議員事務所は後援会事務所及び政党支部事務所を兼ねていたのであるから,日常の業務においてそれぞれの業務が明確に区別されていたとは考えられず,そこに勤務する事務員が,自ずと調査研究活動の補助業務と混然一体となった後援会業務及び政党業務に係る事務に従事することになる可能性は十分あると考えられるところ,当該事務員が,従事を求められた業務が調査研究活動の補助業務に当たるか否かの区別を明確に認識して業務に従事することは困難であるし,仮に調査研究活動の補助業務に該当しないと考えられるものに従事することを求められたとしても,これを拒むとも考え難いことからすると,上記雇用契約書の記載が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.6の「認容額」欄記載の金額は,No.5のものを11倍した金額である。)。
オ No.7及び8(運転手の人件費)について
同議員は,上記支出につき,本件按分率表に従った按分をしないで政務調査費を充当し,その理由について,当該事務員に対しては調査研究活動の補助業務の対価として支払った旨説明する(乙B43の1)。
そこで検討すると,同議員の議員事務所は,後援会事務所及び政党支部事務所と兼用であるから,議員事務所において後援会業務及び政党業務が行われていなかったとは考えられず,したがって,これらの業務に係る運転業務があることも否定できないところ,上記説明の裏付け資料として提出された本件貼付用紙(乙B43の6)を見ると,貼付された領収証には「調査運転手賃金」又は「調査運転手代」と記載されているほか,人件費の支払日しか記載されておらず,「事業名,使途及び内容」欄にも同様の記載のほか,勤務日のみが記載され,「備考」欄には,何も記載されておらず,かかる勤務日において同議員がどこでどのような調査を実施したのかは不明であり,したがって,具体的に同議員のいかなる業務について運転手による運転業務(補助業務)が必要であったかも不明であるから,先に指摘した本件マニュアルの趣旨(前記(1)ウ)からすれば,上記資料が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。また,雇用契約書(乙B43の7)に記載された業務内容は,「政務調査の調査運転手」とされているものの,先に指摘したとおり,議員事務所における後援会業務及び政党業務に係る業務があることは否定できないから,そこに勤務する運転手が,自ずと後援会業務及び政党業務に係る業務に関する運転業務に従事をすることになる可能性は十分あると考えられ,運転業務の性質上,当該運転手が,従事を求められた業務が調査研究活動の補助業務に当たるか否かの区別を明確に認識して業務に従事することは困難であるし,仮に調査研究活動の補助業務に該当しないと考えられるものに従事することを求められたとしても,これを拒むとも考え難いことからすると,上記雇用契約書の記載が上記説明の合理性を裏付けるものということはできない。そのほか上記説明の合理性を裏付ける事情は見当たらない。
したがって,上記支出は,本件按分率表に従って3分の1に按分した上で政務調査費を充当すべきであり(なお,それ以外の考慮が必要ないことは,前記2(2)のとおり。),それを超えてした政務調査費の上記充当は違法である(なお,No.8について,別表43の「支出額」欄には別表「43・No.8」の「支出額」欄記載の各支出の合計額が記載されているところ,政務調査費を充当できるのは,かかる各支出の金額を3分の1に按分して1円未満の端数を切り捨てた金額の範囲に限られるため,政務調査費の充当が違法となる部分は,同別表「認容額」欄記載の各金額の合計になる。)。
カ 小括
原告が主張する各違法事由のうち,別表43のNo.5~8は,同別表「認容額」欄記載の限りで認められ,その余は認められず,同別表の3及び4の認容額は「支出額」欄記載の各金額の3分の1を同各金額から控除した額となるが,原告が義務付けを求める不当利得返還請求の請求額は同別表「違法支出額」欄記載の部分にとどまっているから,その限りで認容することとし,最終的な認容額は同別表「認容額」欄記載のとおりとなる。
(44)  A49議員(別表44)
ア 議員事務所の利用形態
同議員の議員事務所は,ほかの政治団体等の事務所と兼用となっていないと認められる(甲B44の1及び2,乙B44の1及び4)から,本件マニュアルによれば,議員事務所の経費の支出につき按分をしないで政務調査費を充当できる。ただし,No.1~8(事務所賃借料,ガス代,電気代,電話代)は,同議員自身が事務所を私的に使用していたと説明していること(乙B44の1)から,2分の1に按分をした上で政務調査費を充当しなければならない。
イ No.1~14について
同議員は,上記支出につき,前記アのとおり本件マニュアルに従って按分した上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いに問題はないから(前記2(2)),政務調査費の上記充当が違法ということはできない(なお,事務員3名の人件費の支出につき,そのうち1名については,調査研究活動の補助業務以外の業務にも従事していたとして,2分の1に按分をした上で政務調査費を充当しているところ,かかる取扱いが,本件マニュアルの趣旨に反するものではない。)。
ウ 小括
原告が主張する各違法事由はいずれも認められない。
(45)  なお,上記各議員(別表1~44)における本件各会派の会派控室の運営等の経費の支出に関する原告の主張する違法事由を認めることができないことは,前記2(4)のとおりである。また,A2議員(別表17の2),A3議員(別表17の3),A4議員(別表45),A5議員(別表46)及び本件各会派(別表47~49)について原告の主張する違法事由を認めることができないことも同様である。
4  結論
よって,原告の請求は,別表1~3,5,6,8~12,17,18,21,23,26,28,30,32,35~37,39及び41~43の「議員名」欄記載の者らに対し,同各別表の「認容額」欄の「計」欄記載の各金額の金員を青森県に支払うよう求める部分につき理由があるからこれらをいずれも認容し,原告のその余の請求は理由がないからこれらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
青森地方裁判所第2民事部
(裁判長裁判官 飯畑勝之 裁判官 首藤晴久 裁判官 都築健太郎)

 

〈以下省略〉


「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 9月20日  和歌山地裁  平28(行ウ)6号・平28(行ウ)7号 公金(政務調査費)違法支出金返還請求事件
(2)令和元年 9月17日  富山地裁  平31(わ)52号 各詐欺被告事件
(3)令和元年 8月21日  東京高裁  平31(行コ)72号 各不当利得返還請求権等行使請求控訴事件
(4)令和元年 7月18日  宇都宮地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件
(6)令和元年 6月19日  大阪地裁  平29(行ウ)43号 大阪市政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(7)令和元年 5月29日  仙台地裁  平29(行ウ)2号 政務活動費返還履行等請求事件
(8)令和元年 5月16日  東京地裁  平28(行ウ)222号 共同訴訟参加申出事件
(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
(10)平成31年 3月22日  東京地裁  平28(行ウ)322号 政務活動費返還請求事件
(11)平成31年 2月28日  名古屋地裁  平27(行ウ)130号 愛知県議会議員政務活動費住民訴訟事件
(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(13)平成31年 2月19日  奈良地裁  平28(行ウ)21号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件
(15)平成31年 2月15日  佐賀地裁  平29(行ウ)2号 損害賠償等請求事件
(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件
(17)平成30年11月30日  東京地裁  平29(行ウ)193号 損害賠償請求(住民訴訟)事件
(18)平成30年11月29日  広島高裁岡山支部  平30(行コ)8号 不当利得返還請求控訴事件
(19)平成30年11月27日  広島高裁松江支部  平30(行コ)1号・平30(行コ)3号ないし8号 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件
(20)平成30年11月16日  最高裁第二小法廷  平29(行ヒ)404号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(21)平成30年11月15日  宇都宮地裁  平24(行ウ)15号 政務調査費返還履行請求事件
(22)平成30年10月29日  神戸地裁  平30(わ)137号 事件名  詐欺被告事件
(23)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(24)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(25)平成30年 8月 9日  札幌高裁  平29(行コ)8号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(26)平成30年 8月 2日  東京高裁  平27(行コ)256号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(27)平成30年 6月28日  東京地裁  平30(行ウ)23号 情報公開請求却下処分取消請求事件
(28)平成30年 6月26日  仙台地裁  平29(行ウ)7号 非開示処分取消請求事件
(29)平成30年 5月24日  東京高裁 平29(行コ)229号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(30)平成30年 5月24日  富山地裁  平30(わ)35号 詐欺被告事件
(31)平成30年 4月27日  大阪地裁  平27(行ウ)229号 政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(32)平成30年 4月24日  岡山地裁  平28(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(33)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(34)平成30年 4月11日  神戸地裁  平29(行ウ)9号 政務調査費返還請求住民訴訟事件
(35)平成30年 3月16日  鳥取地裁  平26(行ウ)7号 不当利得請求事件
(36)平成30年 2月19日  神戸地裁  平29(わ)824号 被告人3名に対する各詐欺被告事件
(37)平成30年 2月 8日  仙台高裁  平29(行コ)5号・平29(行コ)13号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(38)平成30年 1月31日  岡山地裁  平26(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(39)平成29年11月29日  徳島地裁  平26(行ウ)14号 政務調査費返還請求事件
(40)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成29年11月28日  岡山地裁  平27(行ウ)16号 不当利得返還請求事件
(42)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(43)平成29年10月 4日  最高裁第二小法廷  平29(行フ)2号 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
(44)平成29年 8月30日  さいたま地裁  平27(行ウ)12号 埼玉県議会政務調査費返還事件
(45)平成29年 7月18日  奈良地裁   平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(46)平成29年 7月10日  東京高裁  平28(行コ)325号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求控訴事件
(47)平成29年 6月29日  宇都宮地裁  平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(48)平成29年 6月29日  名古屋地裁  平29(ワ)485号 弁護士費用請求事件
(49)平成29年 5月26日  大阪高裁  平28(行コ)199号 不当利得返還等請求行為・同附帯請求控訴事件
(50)平成29年 5月12日  東京地裁  平28(ワ)24577号 損害賠償請求事件
(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件
(52)平成29年 4月25日  神戸地裁  平26(行ウ)57号 政務調査費等返還請求事件
(53)平成29年 4月21日  仙台高裁  平28(行コ)12号・平28(行コ)20号 山形県議会議員政務調査費返還等請求控訴、同附帯控訴事件
(54)平成29年 4月12日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)13号 政務調査費返還請求控訴事件
(55)平成29年 3月30日  広島高裁岡山支部  平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(56)平成29年 3月29日  広島高裁  平28(行コ)22号 不当利得返還請求住民訴訟控訴事件
(57)平成29年 3月24日  高松高裁  平28(行ス)2号
(58)平成29年 3月16日  札幌地裁  平24(行ウ)6号 政務調査費返還履行請求事件
(59)平成29年 3月14日  東京高裁  平28(行コ)413号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(60)平成29年 3月 1日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)11号 政務調査費返還請求控訴事件
(61)平成29年 2月 1日 仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(62)平成29年 1月31日  仙台地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(63)平成28年12月27日  東京地裁  平26(ワ)1916号 損害賠償請求事件
(64)平成28年12月27日  奈良地裁  平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(65)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ヒ)292号 政務調査費返還履行請求事件
(66)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ツ)253号・平28(行ヒ)291号 政務調査費返還履行請求事件
(67)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷 平27(行ヒ)389号
(68)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷  平28(行ツ)164号・平28(行ヒ)173号
(69)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷 平28(行ツ)163号・平28(行ヒ)172号
(70)平成28年11月29日  甲府地裁  平26(行ウ)4号 政務調査費返還請求事件
(71)平成28年11月10日  広島高裁岡山支部  平27(行コ)11号 不当利得返還請求控訴事件
(72)平成28年10月27日  金沢地裁  平27(行ウ)6号 政務調査費返還請求事件
(73)平成28年10月26日  さいたま地裁  平26(行ウ)62号 損害賠償請求住民訴訟事件
(74)平成28年10月12日  徳島地裁  平28(わ)196号 虚偽有印公文書作成・同行使,詐欺被告事件
(75)平成28年 9月29日  大阪地裁  平26(行ウ)81号・平26(行ウ)116号 平成24年度茨木市議会政務調査費返還請求事件、平成24年度(2月~3月分)茨木市議会政務調査費返還請求事件
(76)平成28年 9月29日  金沢地裁  平27(行ウ)2号 政務調査費返還請求事件
(77)平成28年 9月14日  高松地裁  平28(行ク)1号
(78)平成28年 8月 3日  横浜地裁  平27(行ウ)25号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(79)平成28年 7月 6日  神戸地裁  平27(わ)825号 虚偽有印公文書作成、虚偽有印公文書行使、詐欺被告事件
(80)平成28年 6月28日  最高裁第三小法廷  平25(行ヒ)562号 不当利得返還等請求行為請求事件
(81)平成28年 6月22日  仙台高裁  平27(行コ)2号・平27(行コ)9号 政務調査費返還履行等請求控訴、同附帯控訴事件
(82)平成28年 6月22日  山口地裁  平26(行ウ)7号 不当利得返還請求住民訴訟事件
(83)平成28年 5月17日  山形地裁  平23(行ウ)2号 山形県議会議員政務調査費返還等請求事件
(84)平成28年 4月27日  岡山地裁  平25(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(85)平成28年 4月22日  新潟地裁  平25(行ウ)7号 政務調査費返還履行請求事件
(86)平成28年 4月13日  福井地裁  平25(行ウ)2号 2011年度福井県議会政務調査費人件費等返還請求事件
(87)平成28年 3月22日  札幌高裁  平27(行コ)11号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(88)平成28年 3月22日  東京地裁  平26(行ウ)582号 政務活動費返還請求事件
(89)平成28年 3月11日  東京地裁  平25(行ウ)677号 政務調査研究費返還請求事件
(90)平成27年12月24日  名古屋高裁  平26(行コ)11号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟控訴事件
(91)平成27年12月21日  名古屋高裁金沢支部  平27(行ケ)4号 裁決取消、当選取消請求事件
(92)平成27年10月27日  岡山地裁  平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(93)平成27年 9月17日  東京高裁  平27(行コ)110号 政務調査費返還請求控訴事件
(94)平成27年 6月24日  宇都宮地裁  平22(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(95)平成27年 6月12日  札幌高裁  平26(行コ)12号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(96)平成27年 5月26日  札幌地裁  平21(行ウ)36号 政務調査費返還履行請求事件
(97)平成27年 4月 8日  大阪地裁  平24(行ウ)129号 政務調査費返還請求事件
(98)平成27年 2月26日  東京地裁  平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(99)平成27年 1月13日  長崎地裁  平24(ワ)530号 政務調査費返還請求事件
(100)平成26年12月18日  奈良地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件


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