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「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件

「政務活動費 ポスター」に関する裁判例(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件

裁判年月日  平成29年 4月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(行ウ)811号
事件名  住民訴訟事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA04276022

要旨
◆本件区の住民である原告が、本件区議会の会派である被告補助参加人ら(本件4会派)が平成24年法律第72号による改正前の地方自治法100条14項及び本件条例に基づいて支給を受けた政務調査研究費の支出の一部は違法であり、本件区の区長である被告はその返還請求等を怠っているとして、同法242条の2第1項4号に基づき、被告が本件4会派に対して不当利得の返還及びその法定利息の支払を請求するよう求めた住民訴訟の事案において、「怠る事実」を対象とする監査請求については地方自治法242条2項の期間制限の適用がないこと等から、本件訴えに前置される監査請求が不適法とはいえないとした上で、政務調査費が使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的、外形的な事実が立証されたときには、適切な反証がない限り、当該政務調査費の支出は使途基準に適合しない支出と判断されることになるとし、本件4会派の政務調査研究費につき本件使途基準に適合しない違法な各支出を認定して、本件区の各不当利得返還請求権等を認定するとともに、被告は同各請求権の行使を怠っていると認めて、請求を一部認容した事例

参照条文
地方自治法100条14項(平24法72改正前)
地方自治法100条15項(平24法72改正前)
地方自治法242条(平24法72改正前)
地方自治法242条の2第1項4号(平24法72改正前)
地方自治法283条1項(平24法72改正前)
千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例13条(平25千代田区条例2廃止前)
千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則5条(平25千代田区議会規則1廃止前)
千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則別表(平25千代田区議会規則1廃止前)
民法703条
民法704条

裁判年月日  平成29年 4月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(行ウ)811号
事件名  住民訴訟事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA04276022

当事者の表示 別紙1「当事者目録」のとおり

 

 

主文

1  被告は,Z1会派に対し,82万1400円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を請求せよ。
2  被告は,Z4会派に対し,1万1465円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を請求せよ。
3  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用は,これを20分し,その17を原告の,その余を被告の負担とし,補助参加により生じた費用は,これを20分し,その17を原告の,その余を被告補助参加人らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  当事者の求めた裁判
1  請求の趣旨
(1)  被告は,Z1会派に対し,463万1189円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を請求せよ。
(2)  被告は,Z2会派に対し,8万0164円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を請求せよ。
(3)  被告は,Z3会派に対し,38万1785円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を請求せよ。
(4)  被告は,Z4会派に対し,53万5105円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を請求せよ。
2  請求の趣旨に対する答弁
(1)  本案前の答弁
本件訴えを却下する。
(2)  本案の答弁
原告の請求をいずれも棄却する。
第2  事案の概要
本件は,千代田区民である原告が,千代田区議会の会派である被告補助参加人ら(以下「本件4会派」という。)が地方自治法(平成24年法律第72号による改正前のもの。以下同じ。)100条14項及び千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例(平成13年千代田区条例第1号。平成25年千代田区条例第2号による廃止前のもの。以下「本件条例」という。)に基づいて支給を受けた平成23年度分の政務調査研究費について,その支出が一部違法なものであり,本件4会派は政務調査研究費として支給を受けた金員のうちの当該違法な支出に対応する部分を悪意で不当に利得しているのに,千代田区の執行機関である被告がその返還請求等を怠っているとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,本件4会派に対して上記の不当利得の返還及びこれに対する政務調査研究費決算報告書の提出期限の翌日である平成24年4月21日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による法定利息の支払を請求するように求めた住民訴訟である。
1  関係法令等の定め
(1)  地方自治法
ア 地方自治法100条14項は,普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができ,この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない旨規定している。
イ 地方自治法100条15項は,同条14項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする旨規定している。
ウ 地方自治法283条1項は,上記ア及びイの各規定が特別地方公共団体である特別区にも適用される旨規定している。
(2)  本件条例(甲2)
ア 本件条例1条は,本件条例は地方自治法100条の規定に基づき,千代田区議会議員(以下「議員」という。)の調査研究の推進を図るため,その必要な経費の一部(以下「政務調査研究費」という。)を千代田区議会の会派(以下「会派」という。)に交付することに関し,必要な事項を定めるものとする旨規定している。
イ 本件条例2条は,その1項において,本件条例で会派とは,議員で構成する議会内の団体で,議長が別に定める規程に基づき届出をしたものをいい,1人で結成する会派を含むものとする旨,その2項において,本件条例で政務調査研究費とは,議員が,会派又は会派の一員として活動する場合の調査研究に要する経費をいう旨,それぞれ規定している。
ウ 本件条例4条は,政務調査研究費は,会派に対し交付する旨規定している。
エ 本件条例5条は,その1項において,政務調査研究費の会計年度は,毎年4月1日から翌年3月31日までとする旨,その2項において,政務調査研究費は,議員1人当たり月額15万円に,会派を構成する議員(以下「所属議員」という。)数を乗じた額とする旨,それぞれ規定している。
オ 本件条例7条は,その1項において,政務調査研究費の交付を受けようとする会派の代表者は,毎年度各四半期の最初の月の5日までに,政務調査研究費交付申請書を議長に提出しなければならない旨,その2項において,各四半期の途中で,新たに会派を結成したときは,速やかに同申請書を議長に提出しなければならない旨,それぞれ規定している。
カ 本件条例8条1項は,議長は,本件条例7条1項に規定する申請書の提出があったときは,その内容を調査した上で交付決定し,速やかに政務調査研究費交付決定通知書を会派の代表者に送付しなければならない旨規定している。
キ 本件条例9条1項は,その本文において,議長は,本件条例8条の交付決定をしたときは,各会派に対し,各四半期の最初の月の10日までに当該四半期の合計額を交付するものとする旨,そのただし書において,本件条例7条2項に規定する申請書に基づく交付決定をしたときは,当該交付決定の日が1日の場合は,当月分から交付し,2日以降の場合は,その翌月分から交付する旨,それぞれ規定している。
ク 本件条例13条は,会派及び所属議員は,別に定める政務調査研究費使途基準に基づき,適正に使用しなければならない旨規定している。
ケ 本件条例14条は,その1項において,会派の代表者は,政務調査研究費に係る四半期ごとの中間収支を議長に報告しなければならない旨,その2項において,会派の代表者は,毎会計年度終了後4月20日までに,別記第5号様式による政務調査研究費決算報告書(以下「決算報告書」という。)を議長に提出しなければならない旨,それぞれ規定しており,本件条例別記第5号様式は,各「年月」ごと及びその「計」の各段の「収入」欄に「政務調査研究費交付額」,「その他の収入」及びこれらの合計である「収入計(A)」,前月からの「繰越額(B)」並びにそれらの「計C(A)+(B)」の各金額,「支出」欄に「人件費」,「会議費」,「視察・研修費」,「通信費」,「交通費」,「印刷費」,「消耗品費」,「備品費」,「図書・資料費」,「レンタル・リース費」,「課題別経費」,「他の項目に属さない経費」及びこれらの「計(D)」の各金額,並びに「差引残高E(C)-(D)」の金額を記載すべきものとなっている。
コ 本件条例15条1項は,会派の代表者は,本件条例14条2項の規定により決算報告をする場合において,政務調査研究費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査研究費の総額から,当該会派がその年度において政務調査研究を推進するため必要な経費として支出した総額を控除して残余を生じた場合は,当該残余の額を議長に返還しなければならない旨規定している。
サ 本件条例15条2項は,議長は,会派が本件条例13条に規定する政務調査研究費使途基準に基づかない支出があると認められるときは,当該支出に係る経費の全額の返還を求めなければならない旨規定している。
シ 本件条例15条3項は,同条2項の規定により,政務調査研究費に返還金が発生したときは,本件条例5条2項にかかわらず,当該返還額をすでに交付した額から減額した額を交付額とするものとする。
(3)  千代田区議会政務調査研究費の交付に関する条例施行規則(平成13年千代田区議会規則第1号。平成25年千代田区議会規則第1号による廃止前のもの。以下「本件規則」という。乙1)
ア 本件規則5条は,本件条例13条に規定する政務調査研究費の使途基準は,別表によるものとする旨規定しており,本件規則の別表(第5条関係)は,政務調査研究費使途基準として,次のとおり,各費目について使途内容及び使途禁止事項を規定している(以下,この規定を「本件使途基準」という。)。
(ア) 人件費
調査研究を補佐又は補助するための人的経費を使途内容とし,日常的な事務員及び家族の雇用を使途禁止事項とする。
(イ) 会議費
調査研究のための外部折衝に必要な経費・会費(飲食費は1人5000円以内)を使途内容とし,飲食を主目的とした会議及び政党のパーティーを使途禁止事項とする。
(ウ) 視察・研修費
視察及び研修会,報告会に係る経費(講師又は協力者への謝礼を含む。)を使途内容とし,所属政党の研修会・大会を使途禁止事項とする。
(エ) 通信費
会派については,電話・ファクシミリ・インターネットに係る料金,携帯電話料金,切手・はがき等の郵便料金,宅配便等の発送に係る料金を使途内容とし,自宅については,電話を2回線保有している場合で,議員活動専用に使用し,議長に届け出ている1回線に係る料金,インターネットのプロバイダー及び通信に係る料金を使途内容とする。
(オ) 交通費
鉄道運賃(JR・私鉄・地下鉄),バス代,タクシー料金,航空運賃等の移動のための経費を使途内容とし,自家用車のガソリン代,高速道路等の利用料及び駐車料金を使途禁止事項とする。
(カ) 印刷費
議会報告,チラシ,コピー料金などの印刷に係る経費を使途内容とする。
(キ) 消耗品費
文房具,コピー用紙,プリンターインク,ファクシミリトナー,フロッピーディスクなどの消耗する物品を使途内容とする。
(ク) 備品費
パソコン,プリンター,ファクシミリ,カメラ,事務機器など1物品が10万円以上の物品にかかる経費を使途内容とする。
(ケ) 図書・資料費
新聞・書籍・資料,CD-ROMなどに係る経費を使途内容とし,所属する政党発行の新聞を使途禁止事項とする。
(コ) レンタル・リース費
備品やレンタカーなどの一時的な使用などに係る経費を使途内容とし,日常的に使用する自動車・バイク等を使途禁止事項とする。
(サ) 課題別経費
会派が個々具体的な課題解決のために支出する経費(ただし,支出にあたっては上記費目及び使途内容等に基づくものとする。)を使途内容とする。
(シ) 他の項目に属さない経費
他の費目に属さない経費を使途内容とする。
イ 本件規則6条1項は,本件条例14条1項に規定する四半期ごとの中間収支報告書は,別記第4号様式の政務調査研究費使途明細中間報告書(以下「中間報告書」という。)によるものとする旨規定しており,本件規則別記第4号様式は,本件条例別記第5号様式と同様のものとなっている。
ウ 本件規則6条2項は,その本文において,同条1項に規定する四半期ごとの中間報告書は,各四半期が終了する月の翌月末までに提出するものとする旨,そのただし書において,第4四半期分の報告については,本件条例14条2項に規定する決算報告書の提出をもってこれに代えるものとする旨,それぞれ規定している。
エ 本件規則6条4項は,中間報告書には,支出の内容を明らかにする領収書等の原本を添付するものとする旨規定している。
オ 本件規則6条5項は,決算報告書には,第4四半期分の領収書等の原本及び会計帳簿を添付するものとする旨規定している。
(4)  使途基準注意事項・指摘事項等(甲3,乙1,弁論の全趣旨)
ア 千代田区議会は,平成13年12月25日,政務調査研究費が使途基準に沿って適正に執行されるよう「使途基準注意事項」を申し合わせた。
イ その後,千代田区議会政務調査研究費交付額等審査会に関する規程(平成14年千代田区議会議長訓令第1号。平成25年千代田区議会議長訓令第2号による改正前のもの。甲18)が平成14年2月1日に施行された。
同規程2条は,本件条例16条1項及び2項に規定する政務調査研究費の交付額の見直しについて,議長の意見聴取機関として,千代田区議会政務調査研究費交付額等審査会(以下「審査会」という。)を置く旨,同規程3条は,議長は,当該見直しを行おうとするときは,あらかじめ審査会の意見を聞かなければならない旨,同規程7条は,その1項において,審査会は,議長の求めに応じ,交付額に関する審査を行い,議長に意見を述べるものとする旨,その2項において,審査会の審査事項は,交付額に関すること,使途基準に関すること,その他議長が政務調査研究費で必要と認める事項に関することとする旨,それぞれ規定している。
ウ 審査会は,千代田区議会議長に対して意見書等を提出し,千代田区議会運営委員会(以下「運営委員会」という。)は,当該意見書等を踏まえて,上記アの「使途基準注意事項」に追加,修正をして別紙2記載の内容としたものを「使途基準注意事項・指摘事項等」と改称して定めた(以下,定められたものを「本件注意事項等」という。甲3)。
エ その後も,審査会の意見について,議長が,千代田区議会の各会派の意見を聴いた上で,その結果を,本件注意事項等に反映させている(別紙2に(18.12)等とあるのは,平成の年月を表し,当該年月に当該事項が加えられた事項であることを示すものである。甲3,丙6の4頁)。
2  前提事実(証拠等の掲記のないものは当事者間に争いがない。)
(1)  当事者等
ア 原告は,東京都千代田区内に居住する者である。
イ 被告は,特別地方公共団体たる特別区である東京都千代田区の執行機関である。
ウ Z1会派は,千代田区議会の会派であり,平成23年5月12日の結成時の所属議員は,E(以下「E議員」という。),F(以下「F議員」という。),G(以下「G議員」という。),A(以下「A」ないし「A議員」という。),H(以下「H議員」という。)の5名であった(乙16)。
エ Z2会派は,千代田区議会の会派であり,平成23年5月6日の結成時の所属議員は,C(以下「C議員」という。),I(以下「I議員」という。)の2名であった(乙17)。
また,Z3会派は,千代田区議会の会派であり,平成23年5月13日の結成時(当時の会派名はa会派)の所属議員は,J(以下「J」ないし「J議員」という。),B(以下「B議員」という。)の2名であった(乙18)。
オ Z4会派は,平成23年5月13日の結成時から(当時の会派名はb会派。同年10月5日に会派名変更。),D(以下「D」ないし「D議員」という。)1名が所属議員であったところ,平成25年4月24日に所属議員が1名加わったが,同議員及びD議員の議員としての任期が平成27年4月30日に満了したことにより,会派としては解散したものの,清算の目的の範囲内において,なお存続するものとみなされる(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律207条類推。乙19,乙52,弁論の全趣旨)。
(2)  政務調査研究費の交付
ア 平成23年4月23日,任期満了に伴う千代田区議会議員の一般選挙が実施され,第18期千代田区議会議員25名が確定した。
イ 千代田区議会議長(以下「議長」という。)は,平成23年5月,本件4会派から,上記アの選挙に伴い新たに会派が結成された旨の届け出を受けた(乙16ないし乙19)。
ウ 本件4会派は,それぞれ,議長に対して政務調査研究費交付申請書を提出し,平成23年5月分から平成24年3月分までの政務調査研究費として,それぞれ申請のとおり,Z1会派においては合計825万円(15万円×5名×11月),Z2会派においては合計330万円(15万円×2名×11月),Z3会派においては合計330万円(15万円×2名×11月),Z4会派においては合計165万円(15万円×1名×11月)の各交付を受けた(乙20ないし29,乙34ないし43,乙48ないし51,乙53ないし58,乙63ないし72)。
(3)  政務調査研究費の収支報告
本件4会派は,それぞれ平成23年度の政務調査研究費について,第1ないし第3四半期分の中間報告書を議長に提出した後,平成24年4月20日までに,Z1会派においては,交付された政務調査研究費825万円に対し827万4044円を,Z2会派においては交付された政務調査研究費330万円に対し341万0182円を,Z3会派においては交付された政務調査研究費330万円に対し352万0211円を,Z4会派においては交付された政務調査研究費165万円に対し165万5745円を,それぞれ執行した旨の各決算報告書を,領収書等の原本及び会計帳簿を添付して議長に提出した(以下,本件4会派による上記各政務調査研究費の執行に係る支出を「本件各支出」という。甲5の1ないし甲17の2,乙30ないし33,乙44ないし47,乙59ないし62,乙73ないし76)。
上記の各中間報告書及び決算報告書には,その支出日や費目等を記載した「千代田区議会政務調査研究費会計整理票」(以下「整理票」という。)と個々の支出に関する領収書等の原本のほか,収入と支出を月別,費目別に集計した「政務調査研究費使途明細報告書」が添付されていた(甲5の1ないし甲17の2,乙73ないし76)。
Z1会派に関する別紙3-1①ないし⑥の各一覧表(以下,それぞれ表題により単に「Z1会派一覧表(会派)」などという。),Z2会派に関する別紙3-2①ないし③の各一覧表(以下,それぞれ表題により単に「Z2会派一覧表(会派)」などという。),Z3会派に関する別紙3-3①ないし③の各一覧表(以下,それぞれ表題により単に「Z3会派一覧表(会派)」などという。),Z4会派に関する別紙3-4の一覧表(以下「Z4会派一覧表」という。)は,それぞれ,整理票とそれらの添付書面(領収書等)の内容を整理したものであり,本件4会派は,会派及び所属議員において,上記の各一覧表の各「日付」欄記載の日に,同「費目」欄記載の費目として,同「内容」欄記載の使途に,同「金額」欄記載の金額を,政務調査研究費として支出したとされている。
(4)  本件訴え提起に至る経緯
ア 原告は,平成24年9月20日,千代田区議会情報公開条例(平成12年千代田区条例第37号。乙2)5条,7条1項に基づき,議長に対し,「政務調査研究費に係る収支報告書等の一切 平成23年度分について」を対象とする情報公開請求(以下「本件公開請求」という。)を行った(乙3)。
イ 原告は,平成24年10月29日までに,本件公開請求に基づき,本件4会派に千代田区議会のc会派を加えた5会派(以下「関係5会派」という。)に係る平成23年度の政務調査研究費に係る収支報告書の開示を受けた(乙4ないし6)。
ウ 原告は,平成24年11月19日までに,本件公開請求に基づき,関係5会派以外の千代田区議会の3会派に係る平成23年度の政務調査研究費に係る収支報告書の開示を受け(乙5,乙7,乙8),その約1か月後の同年12月25日,上記3会派における政務調査研究費支出が本件使途基準違反であるなどとして,住民監査請求(以下「別件監査請求」という。)を行った(乙9)。
エ 原告は,平成25年10月25日,千代田区監査委員に対し,「千代田区議会における会派又は議員に対し,平成23年度分の政務調査研究費(以下政調費と略す)は,4,500万円(一人15万円×12カ月×25人)が交付された。」,「目的外支出が認められるので,千代田区の被った損害を補填する等の必要な措置を講ずべきことを請求することとした。」,「千代田区の被った損害額に関し,平成23年度政調費の交付を受けた会派及び議員に対して返還請求すべく千代田区長に勧告する事を要求する。」,「明らかに使途基準に違反すると認められる目的外支出について,措置請求を求めるものである。」などと記載した請求書により,監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行った(甲4)。
オ 千代田区監査委員は,平成25年11月22日,本件監査請求が監査請求期間を徒過した不適法なものであるとして,監査を実施しないものとした(甲1)。
カ 原告は,平成25年12月19日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。
3  争点及び争点に関する当事者の主張
本件の争点は,①本件訴えの適法性(適法な監査請求の前置),②本件4会派に対する不当利得返還請求及び悪意利息の支払請求に係る被告の怠る事実の有無(本件各支出の本件使途基準適合性等)であり,これらに関する当事者の主張の要旨は,次のとおりである。
(1)  本件訴えの適法性(適法な監査請求の前置)
(被告の主張)
ア 原告は,本件監査請求において,関係5会派の「目的外支出」を監査請求の対象としているところ,この「目的外支出」とは,各会派が政務調査研究費を充てて債権者に対して行った支払(支出)を指すものと考えられる。そして,上記の「目的外支出」は,千代田区の執行機関にも職員にも当たらない「会派」によって行われた行為であり,地方自治法242条の規定する「当該行為」には該当しないから,本件監査請求は「当該行為」に当たらない非財務会計行為を対象とするものであって,不適法である。
イ 仮に,本件監査請求が,非財務会計行為である上記アの「目的外支出」自体でなく,「目的外支出」に係る「当該行為」を対象としているとしても,本件各会派の政務調査研究費支出に係る一連の財務会計上の手続における「当該行為」(支出負担行為・支出命令・支出)は平成24年1月10日付けで会計管理者が行った支出行為をもって全て完了しているから,平成25年10月25日にされた本件監査請求は,地方自治法242条2項本文所定の住民監査請求期間(1年)を徒過してされたものであって,不適法である。
ウ これに対し,原告は,本件監査請求は「怠る事実」を対象としたものであると主張するが,本件監査請求に係る請求書の記載をみても,これが「怠る事実」を問題とするものとは認められない。
仮に本件監査請求が「怠る事実」を対象とするものであったとしても,原告は,本件公開請求によって,関係5会派に係る収支報告書を平成24年10月29日までに入手しているところ,同年11月19日までに入手した千代田区議会の関係5会派以外の3会派の平成23年度の政務調査研究費に係る収支報告書に基づいてその約1か月後の同年12月25日に別件監査請求を行っていることからすると,遅くとも別件監査請求の行われた同年12月25日までに本件4会派に対する平成23年度の政務調査研究費に係る住民監査請求をすることができたはずである。にもかかわらず,原告は,別件監査請求から10か月が経過した平成25年10月25日になってようやく本件監査請求を行っており,住民監査請求に監査請求の期間制限(地方自治法242条2項)が設けられた趣旨や政務調査研究費に係る財務会計の早期確定による法的安定の要請からすると,本件監査請求は,相当な期間内にされたということはできず,不適法というべきである。
(原告の主張)
地方自治法242条1項の規定する「怠る事実」を理由とする監査請求については,特定の財務会計行為が財務会計法規に照らして違法であることを発生原因とする実体法上の請求権の行使を怠る場合を除き,同条2項の規定によって監査請求をすることができる期間は制限されないとされている。
この点,本件監査請求に係る監査請求書に「返還請求すべく千代田区長に勧告する事を要求する」と記載されていることからも明らかなように,本件監査請求は,被告が怠っている本件4会派が支出した本件使途基準に適合しない政務調査研究費の返還を求めるというものである。また,財務会計行為ではない本件4会派による支出行為によって発生した不当利得返還請求権及び利息支払請求権の行使という財産管理を怠る事実を問題とするものであって,「特定の財務会計行為を違法であるとし,当該行為が違法無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としている」という例外事例にも該当しないから,本件監査請求について,監査請求をすることができる期間を制限する同条2項の規定の適用はない。
(2)  被告の怠る事実の有無(本件各支出の本件使途基準適合性等)
(原告の主張)
ア(ア) 政務調査費は,地方自治法に基づき,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付されるものであり,本件条例も,政務調査費である政務調査研究費について,調査研究の推進を図る目的で交付するものであって(1条),議員が,会派又は会派の一員として活動する場合の調査研究(以下「調査研究活動」という。)に要する経費をいう旨規定している。これらの規定に加え,地方財政法4条1項が,地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要かつ最少の限度を超えて,これを支出してはならない旨定めていることに照らせば,政務調査研究費の支出が,①議員としての調査研究を目的としない場合(目的該当性の欠如),②当該支出が目的達成のために合理的に必要なものと認められない場合(合理的必要性の欠如),③当該支出額と目的との均衡が失している場合(相当性の欠如)のいずれかに該当する場合,その他,本件条例が政務調査研究費は本件使途基準に基づいて適正に使用さなければならないと規定していることからすると,④当該支出が本件使途基準に適合しない場合にも,当該政務調査研究費の支出は違法なものとなり,当該会派は当該違法な支出相当額の政務調査研究費を法律上の原因なくして不当に利得し,千代田区は同額の損失を被っているということになる。そして,本件条例15条2項が「使途基準に基づかない支出があると認められるときは,当該支出に係る経費の全額の返還を求めなければならない」と規定し,同条3項が「当該返還額をすでに交付した額から減額した額を交付額とするものとする。」と規定していることからすると,違法とされた支出全額が交付を受ける法的根拠を喪失し,当該支出をした会派は,法律上の原因なくして千代田区から金銭を受領したことになるから,これを千代田区に対して返還すべきことになる。
次に,不当利得返還請求訴訟においては,一般に,利得の返還を請求する者において利得の保持を正当化する原因が存在しないことを主張立証する責任を負うものの,利得の返還を請求する者が利得の保持を正当化する原因が存在しないことを推認させる一般的,外形的な事実を主張,立証した場合には,相手方において適切な反証を行わない限り,法律上の原因を欠く利得になるものと判断されるところ,政務調査研究費についても,政務調査研究費の支出が,本件使途基準に適合しない経費に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたときには,適切な反証がされない限り,当該支出に係る当該政務調査研究費は法律上の原因を欠く利得と判断されることになる。
(イ) 本件注意事項等は,運営委員会において決定された本件使途基準の注意事項及び指摘事項であり,形式的にも,手続的にも,また,実質的にも,本件使途基準と一体となるものであって,千代田区議会の全ての会派と議員が従うべきものとして制定された規範である。そして,本件注意事項等の中に,本件条例の趣旨に反するような定めや不合理な定めは全く見当たらないことからすると,本件注意事項等の定めに違反している支出についても,本件使途基準に適合しない支出として違法なものとなる。なお,本件注意事項等に違反している場合には,監査請求や住民訴訟において補充等がされたとしても,その違法は治癒されない。
イ 本件各支出の本件使途基準適合性(違法性)
(ア) Z1会派の政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)
a 会議費(Z1会派一覧表(会派)の番号1ないし22,Z1会派一覧表(E議員)の番号1ないし4,Z1会派一覧表(G議員)の番号1及び2)
まず,Z1会派が政務調査研究費から費用を支出して行ったという会議のうち,少なくとも4回は被告を講師に招いたものであるところ,被告から食事代として5000円の支払を受けているというのであるから,Z1会派は実際の支出額よりも5000円多い支出を報告していることになる。
次に,Z1会派は,区役所から至近にあるホテルグランドパレス,半蔵門駅付近にあるグランドアーク半蔵門,千代田区内幸町にある第一ホテルにおいて,繰り返し「会議」を行っており,平成23年度に行われた回数は,実に22回に上っているが,これほど頻繁に政務調査研究のための会議を行う合理的必要性は認められない。また,ホテルグランドパレスは,区役所及び区議会の建物から徒歩でも数分の距離にあることからすると,会議場所は区役所内で確保すれば足り,移動時間や2万4000円という高額の支出をしてまで,同ホテル内で繰り返し会議を行う合理性,必要性は認められない。しかも,整理票には,全て「地域情報交換」のところに○が付けられているだけで,会議内容や出席者等の記述はなく,どのような会議であったのかは全く不明である。加えて,外部の専門家との会議を「朝8時から」という時間帯に設定するということ自体も考え難い。仮に会議が区政関係者と行ったものであったら,議員としての活動あるいは議会運営のためのものであって,これを調査研究活動と認める余地はないし,本件使途基準の定める「外部折衝」にも当たらないというべきである。
その他,区政関係者を講師として行った会議は,整理票に記載された「地域情報交換」にも該当しないから,整理票には虚偽の内容が記載されていたことになる。
以上によれば,Z1会派が行ったという会議は,調査研究活動とは認められず,前記の会議費の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
なお,そもそも,政務調査研究費として支出が許されるのは「議員の調査研究に資する必要な経費」のみであり,使途の範囲は議員としての調査研究活動と合理的な関連性を有するものに限られているところ,本件使途基準の定める支出項目のうち,とりわけ,人件費,通信費,交通費,印刷費,消耗品費,備品費は,調査研究活動以外の活動と明確に区別し難い場合が多く,他の活動との混在も生じやすいし,他の支出項目についても,調査研究活動以外の活動との混在が生ずる可能性があり,本件注意事項等には,通信費について,調査研究活動以外のその他の活動が混在する場合に,一定の割合について政務調査研究費として支出することができるとしていることからすると,その他の支出項目については具体的な定めはないものの,一つの支出について,調査研究活動に要する部分と他の議員活動に要する部分とが混在している場合,あるいは,同種の多数の支出において具体的にどれが調査研究活動であって,どれがそうでないのかを特定することが困難な場合には,当該支出のうち,会派又は議員の具体的な活動実態や条理,社会通念に即して定められる「適正な割合」の部分だけが調査研究活動に要するものと認められることになり,その余の部分は違法な支出となる。
そうすると,仮にZ1会派による会議の支出の一部が調査研究活動に要するものと認める余地があるとしても,Z1会派の所属議員の議員としての日常的な活動あるいは政治活動のためのものであることも全く否定できないところ,Z1会派は会議の内容が日常的な活動等のためのものではなかったことについて容易に立証し得る立場にありながら何ら具体的な主張立証を行っていないことからすると,少なくとも会議費として支出した額の2分の1については,本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
b 消耗品費(事務用品代)(Z1会派一覧表(会派)の番号77,79ないし92,Z1会派一覧表(E議員)の番号5,6,8ないし12,14,15,Z1会派一覧表(A議員)の番号7)
Z1会派が平成23年度に会派及び所属議員において支出した事務用品代(文具代,筆記具代,ネームシール代等)は総額約132万円に上っており,所属議員がわずか5人の会派による調査研究活動において,これほど多額の事務用品代の支出が必要になるとは到底考えられない。Z1会派の主張する議会報告書の発送関連費用と考えてみても,Z1会派が平成25年度に郵送した議会報告書は1年間で1万8000通弱にとどまっており,同年度に購入したラベルシート,封筒,コピー用紙は合計で約61万円,平成24年度は合計で約72万円にとどまっているところ,平成23年度はこれらの2倍近くにも上っており,平成25年度に所属議員が1名減っていることを考慮しても,異常な金額といえる。
また,本件注意事項等では,消耗品の支出について,購入品名を記載すると定められているところ,Z1会派は,決算報告書において,政務調査研究費から支出して購入した文具の品名を記載していなかったから,消耗品費に当たる文具代の政務調査研究費からの支出は本件注意事項等に違反する違法なものということなる。
以上によれば,Z1会派が購入した事務用品,文具及びネームシールは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記の事務用品代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮に事務用品が議会報告を送付するために購入されたものであったとしても,Z1会派の議会報告書は,議員の氏名が大書され,各議員の顔写真も大きく掲載されており,記載されている各議員の活動状況の紹介も議員の活動をアピールすることによって会派や所属議員に対する支持や支援を取り付けるためのものとなっており,調査研究活動のためのものとは認められない。また,仮に一部の事務用品が調査研究活動に要するものであったとしても,Z1会派が事務用品の内訳を一切明らかにしようとしないこと,私的な利用の可能性も排除できないこと,議会報告は会派ないし議員個人の宣伝としての側面を有することなどから,少なくとも前記の事務用品代の支出の4分の3については本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
c 通信費(切手代,はがき代)(Z1会派一覧表(会派)の番号23,24,Z1会派一覧表(F議員)の番号1ないし8,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし6,Z1会派一覧表(H議員)の番号1ないし5)
Z1会派が平成23年度に会派又は所属議員において支出した切手代及びはがき代は,1通当たり,封書80円,はがき50円として計算すると,合計で約3万8000通分(うちはがき3600通)の郵便料金に相当するところ,このような政務調査研究費による大量の切手の購入は,審査会においても問題とされている。Z1会派の主張によれば,上記の切手代は「議会報告」を送付するためのものであるとするが,料金別納制度や市内割引料金制度(封書1通当たり43円)があるにもかかわらず,膨大な時間と労力を費やしてまで,何万通もの封筒に切手を貼り付けるというのは社会通念上考え難い。Z1会派が平成25年度に送付した議会報告の通数は5回の印刷で1万7785通であり,同じく5回印刷がされた平成23年度の議会報告書の発行部数も平成25年度と同水準又はそれ以下であったと推認されるが,平成23年度の切手代から推定される通数(はがき分を除いた約3万5000通)は平成25年度に実際に送付された通数(1万7785通)の2倍近くに上っている。Z1会派は,平成24年以降,政務調査費によって購入したはがきによって議会報告を送っていないことからすると,平成23年度に政務調査研究費によって購入されたはがきは,議員が区民宛に送付する挨拶状が大半であると推測され,調査研究活動のためのものであったとは認め難い。
以上によれば,Z1会派が購入した切手やはがきは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記の切手代及びはがき代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮に切手やはがきが議会報告を送付するために購入されたものであったとしても,前記のようなZ1会派の議会報告書の内容等からすると,調査研究活動のためのものとは認められない。仮に切手やはがきの一部が調査研究活動に要するものと認める余地があるとしても,議会報告と調査研究活動とのつながりが全く明らかではないことなどからすると,少なくとも総支出額の2分の1については本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
d 他の項目に属さない経費(新聞折り込み代)(Z1会派一覧表(会派)の番号25ないし76)
Z1会派は,6月17日,8月19日,11月2日,12月28日にそれぞれ,新聞折り込み代各5万8467円を支出している。
しかしながら,整理票に添付された上記の新聞折り込み代に係る領収証が新聞販売店毎に計13枚に分かれているところ,各領収書の用紙や宛名,金額,ただし書の筆跡が全て同じであること,平成24年度以降は各日1枚の領収証しか存在しないこと,上記各領収証は,各新聞販売店に置かれた押印用のゴム印を使用して作成されたもののようであることなどからすると,上記の新聞折り込み代の支出には疑義がある。
また,前記の各領収証は,Z1会派において作成したものであると考えられるから,本件規則が中間報告書及び決算報告書に添付するものと定める「領収書等の原本」と認めることはできない。本件注意事項等でも,「領収書の宛名が会派や議員名と違うもの」について,政務調査研究費から支出することを禁止されているところ,この定めの趣旨に照らせば,Z1会派が自分で宛名部分を記入した領収書に係る政務調査研究費の支出も本件注意事項等で禁止されることになる。本件注意事項等は,新聞折り込み費のように所定の費目に属さない支出(「他の項目に属さない経費」)について,「理由と内容を記載すること」と定めているところ,Z1会派は折り込み代の支出について「理由と内容」の記載を全く行っておらず,本件注意事項等に違反している。
以上によれば,Z1会派による新聞折り込みは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記の新聞折り込み代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮に前記の新聞折り込み代の支出が「議会報告」を新聞と共に配布するためのものであったとしても,前記のようなZ1会派の議会報告書の内容等かららすると,調査研究活動のためのものとは認められない。また,新聞折り込み代の一部が調査研究活動に要するものと認める余地があるとしても,少なくとも総支出額の2分の1については本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
e 交通費(地下鉄回数券代)(Z1会派一覧表(F議員)の番号10ないし50,Z1会派一覧表(G議員)の番号12ないし17,Z1会派一覧表(H議員)の番号6ないし17)
Z1会派は,地下鉄回数券代の購入について「議員の調査研究を行うにあたり,地下鉄を利用して移動するために要した経費」と説明するが,その具体的内容をZ1会派は一切明らかにしておらず,使途報告書にもその記載はないため,調査研究活動のために支出されたのか明らかではない。
また,調査研究活動のために,これほど大量の地下鉄回数券を購入し,多数回の地下鉄への乗降が必要になるとも考え難く,各所属議員が購入した地下鉄回数券の料金(1枚の料金)が,上記各議員の自宅,事務所と区役所との間の地下鉄料金と一致していることからすると,上記各議員が自宅,事務所と区役所との間を往復するなどの議員としての日常的活動のため,あるいは私的な目的のために,地下鉄回数券を利用していることがうかがわれる。
さらに,本件注意事項等は,交通費の支出に関して,「乗降地を記載すること」としており,回数券についても個々の使用区間を明らかにする必要があるところ,上記の回数券代の支出に係る整理票には乗降地が記載されていないから,上記の地下鉄回数券代の支出は本件注意事項等に違反する。F議員及びG議員は,本訴訟において,購入した地下鉄回数券を使用した際の乗降地を報告しているが,5年以上が経過した後にされたものであって,信用することができないし,H議員については,購入した地下鉄回数券を使用した際の乗降地の報告がされていない。
以上によれば,Z1会派による地下鉄回数券代の支出が調査研究活動のためのものと認める余地はなく,仮にその一部が調査研究活動のために使用されていたとしても,地下鉄回数券は調査研究活動以外の議員活動のために用いられる可能性が非常に高く,本人あるいは第三者による私的な利用の可能性も排除できないことからすると,少なくともその4分の3については調査研究活動以外の支出として返還されるべきである。
f 消耗品費(シュレッダー代)(Z1会派一覧表(会派)の番号78)
Z1会派は,平成23年度にシュレッダーを購入しているが,調査研究活動のためにシュレッダーが必要になるとは考えられず,議員としての日常的な活動のために購入されたものである。しかも,シュレッダーは議会事務局にもあるから,会派において購入する必要はない。
したがって,Z1会派が購入したシュレッダーは,調査研究活動に要するものとは認められず,シュレッダー代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
g 消耗品費(パソコン代)(Z1会派一覧表(E議員)の番号7,13)
E議員は,平成23年6月18日と平成24年1月24日に,ノートパソコンを各1台購入し,その購入費の各2分の1を政務調査研究費から支出している。
しかし,E議員は,千代田区議会から,平成16年4月にノートパソコン1台(FMVNB55G),平成17年5月にノートパソコン1台(FMVNB50K)の各貸与を受けており,貸与された上記の各パソコンに機能面で劣る点は全く見いだせず,少なくとも議員が行う調査研究活動において何らかの支障が生じるとは考え難いから,調査研究活動のために新たにパソコンを購入する必要性は認められない。
以上によれば,Z1会派がE議員において購入したパソコンは調査研究活動に要するものとは認められず,前記のパソコン代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
h 消耗品費(携帯電話端末代)(Z1会派一覧表(F議員)の番号9)
F議員は,平成24年1月12日に携帯電話端末を購入し,その購入費の50%を政務調査研究費から支出しているが,携帯電話は議員としての日常的な活動のために使用するものであって,これを調査研究活動のために要するものと認める余地はない。
したがって,Z1会派がF議員において購入した携帯電話端末は調査研究活動に要するものとは認められず,前記の携帯電話端末代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
(イ) Z2会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)
a 消耗品費(プリンター代)(Z2会派一覧表(会派),Z2会派一覧表(C議員))
Z2会派は,年度末に近接した時期にレーザープリンターを1台(Z3会派と共同)ともう1台のプリンターの合計2台のプリンターを購入しているが,一般に,調査研究活動にプリンターを要する場面は限られるし,1台のプリンターを購入すれば数年間は使用できるのが通常であるから,2台のプリンターを購入する必要性は認め難い。また,レーザープリンターで千枚単位という大量の印刷をするのは不合理であり,現に,Z2会派は,区政報告やチラシ類の印刷を専門業者に委託しており,対応する大量の用紙を購入した形跡も全くないことからすると,仮に千枚単位の文書を印刷するという状況があったとしても例外的な場合にすぎないことは明らかである。さらに,もう1台のプリンターについても,Z2会派は「はがきや写真の印刷のためのもの」と主張するが,そもそも,調査研究活動においてはがきの送付が必要になるとは考え難く,むしろ,はがきは,挨拶状の送付等の一般の議員活動,政党活動のために用いるのが通例であるし,Z2会派は,はがきの印刷を専門業者に依頼していること,前記のレーザープリンターは高性能のカラープリンターであり(1分当たり30枚),基本的にどのような印刷目的にも対応可能であって,このプリンターの他に補助的なプリンターが別途必要になるとは考え難い。
本件注意事項等は,備品費について,購入品名を記載すべきこと,備品代帳を備え,会派解散時は議長に返還すること,備品の償却年数は4年とすることを定めているところ,上記のレーザープリンターについては,整理票への購入品名の記載がなく,備品台帳も存在しないようであるし,減価償却がなされていないなど,本件注意事項等に違反している。
以上によれば,Z2会派が購入した前記の各プリンターは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記のプリンター代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮にZ2会派が調査研究活動のために前記の各プリンターを使うことがあるとしても,専ら調査研究活動のために利用されているという立証は何らなされておらず,調査研究活動以外の宣伝や政治的活動などの活動や私的目的で利用するケースが混在することは否定できないことからすると,少なくとも総支出額の4分の3については本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
b 消耗品費(TELカバー代)(Z2会派一覧表(I議員))
I議員はスマートフォン(iPhone)のカバーを購入して,その購入費を政務調査研究費から支出しているが,調査研究活動のためにスマートフォンのカバーが必要になるとは考え難い。
また,本件注意事項等では,消耗品の支出について,購入品名を記載すると定められているところ,Z1会派は,決算報告書において,政務調査研究費から支出して購入したTELカバーの品名を記載していなかったから,上記のTELカバー代の政務調査研究費からの支出は本件注意事項等に違反する違法なものということなる。
以上によれば,Z2会派が購入したTELカバーは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記のTELカバー代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮にTELカバーが調査研究活動に要するものと認める余地があるとしても,本件注意事項等において携帯電話料金の計上は7割を上限とされていることからすると,少なくとも総支出額の3割については本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
(ウ) Z3会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)
a 消耗品費(プリンター代)(Z3会派一覧表(J議員)の番号3ないし5)
Z3会派は,年度末に近接した時期にレーザープリンターを1台(Z2会派と共同)ともう2台のプリンターの合計3台のプリンターを購入しているが,一般に,プリンターが調査研究活動において必要となる場面は限られるし,1台のプリンターを購入すれば,数年間は使用できるのが通常であるから,3台ものプリンターを購入する必要性は認め難い。仮にレーザープリンターの他に補助的な小型プリンターが必要になったとしても,1台あれば十分なはずである。また,レーザープリンターで千枚単位という大量の印刷をするのは不合理であり,現に,Z3会派は,区政報告やチラシ類の印刷を専門業者に委託しており,対応する大量の用紙を購入した形跡も全くないことからすると,仮に千枚単位の文書を印刷するという状況があったとしても例外的な場合にすぎないことは明らかである。さらに,もう2台のプリンターについて,Z3会派は「はがきや写真の印刷のためのもの」と主張するが,そもそも,調査研究活動においてはがきの送付が必要になるとは考え難く,むしろ,はがきは,挨拶状の送付等の一般の議員活動,政党活動のために用いるのが通例であるし,Z3会派は,はがきの印刷を専門業者に依頼していること,前記のレーザープリンターは,高性能のカラープリンターであり(1分当たり30枚),基本的にどのような印刷目的にも対応可能であって,このプリンターの他に補助的なプリンターが2台も必要になるという状況は通常は考え難い。加えて,Z3会派の説明によれば,プリンターの納品を半年近く待ち続けたということになるが,この事実は,プリンターを購入する具体的な必要性がなかったことを端的に示している。
本件注意事項等は,10万円以上の物品(備品)を購入する場合,購入品名を記載すべきこと,備品代帳を備え,会派解散時は議長に返還すること,備品の償却年数は4年とすることを定めているところ,上記のレーザープリンターについては,整理票への購入品名の記載がなく,備品台帳も存在しないようであるし,減価償却がなされていないなど,本件注意事項等に違反している。
以上によれば,Z3会派が購入した前記の各プリンターは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記のプリンター代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮にZ3会派が調査研究活動のために前記の各プリンターを使うことがあるとしても,専ら調査研究活動のために利用されているという立証は何らなされておらず,調査研究活動以外の宣伝や政治的活動などの活動や私的目的で利用するケースが混在することは否定できないことからすると,少なくとも総支出額の4分の3については本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
b 消耗品費(デスクトップパソコン代,ノートパソコン代)(Z3会派一覧表(会派),Z3会派一覧表(J議員)の番号1)及び備品費(ノートパソコン代)(Z3会派一覧表(B議員))
Z3会派は,平成23年度に,ノートパソコンを2台,デスクトップパソコンを1台の合計3台のパソコンを購入している。
区議の活動にパソコンが不可欠であることは争わないが,所属議員がわずかに二人しかいない区議会会派において,調査研究活動のために3台ものパソコンを必要とするということがそもそも考え難い。また,パソコンは購入後少なくとも4ないし5年程度は使用することが常であり(償却年数は4年),短期間のうちに買い換えていく消耗品ではなく,3台も続けざまに購入する必要が生じることは通常はあり得ない。しかも,B議員は平成16年2月(FMVNB55G)及び平成17年5月(FMVNB50K)にそれぞれノートパソコン1台について,J議員は平成23年5月にノートパソコン1台(FMVNB55G)について,千代田区議会からの各貸与を受けており,貸与されたパソコンにデータが残っていたとしても一括消去すればよいのであるし,通信の秘匿性もパソコン自体の性能とは無関係であって,貸与された上記の各パソコンに機能面で劣る点は全く見いだせず,少なくとも議員が行う調査研究活動において何らかの支障が生じるとは考え難いから,調査研究活動のために新たにパソコンを購入する必要性は認められない。特に,デスクトップパソコンの購入について,Z3会派は,データのバックアップの必要性等を主張するが,データのバックアップのためであれば区議会から貸与されたパソコンを使用したり,ハードディスクを購入したりすればよいのであるから,新たにデスクトップパソコンを購入する必要性は認められない。
また,本件注意事項等では,10万円以上の物品(備品)を購入する場合,購入品名を記載すべきこと,備品代帳を備え,会派解散時は議長に返還すること,備品の償却年数は4年とすることを定めているところ,B議員において購入したノートパソコンについて,Z3会派からは,代帳は提示されておらず,減価償却が行われたことも明らかにされていない。
以上によれば,Z3会派が購入した前記の各パソコンは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記のパソコン代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮にZ3会派が調査研究活動のために前記の各パソコンを使うことがあるとしても,パソコン使用には必然的に他の議員活動目的によるものが混在し,私的な利用も排除できないことからすると,少なくとも総支出額の4分の3については本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
c 消耗品費(スキャナー代)(Z3会派一覧表(J議員)の番号2)
Z3会派は,平成23年度に高性能スキャナーを購入しているが,調査研究活動のためにスキャナーが必要になるとは考えられない。
また,本件注意事項等では,消耗品費の支出については,購入品名を記載するものとされているところ,上記のスキャナー代の支出については,整理票に購入品名が記載されていなかったから,本件注意事項等に違反している。
したがって,Z3会派が購入した前記のスキャナーは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記のスキャナー代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものである。
(エ) Z4会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)
a 通信費(切手代)(Z4会派一覧表の番号1,4ないし6)
Z4会派は平成23年10月に80円切手を1000枚,平成24年1月にも80円切手を4200枚,それぞれ購入している。
Z4会派はこの切手の購入について,「議会報告を郵送で発送した」と主張するが,料金別納制度を利用しなかった点,仮に4200通分の発送を行ったのであれば存在するはずの支出(宛名ラベルシートや封筒の購入費など)が見当たらない点で不自然であるし,「議会報告書」なるものが本当に発行されたのかさえ極めて疑わしい。しかも,切手の購入は平成24年1月に集中しており,各会期の前後及びその他の10回送付した議会報告の発送状況と一致しない。
以上によれば,Z4会派が購入した切手は,調査研究活動に要するものとは認められず,前記の切手代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
b 通信費(現金封筒代)(Z4会派一覧表の番号2)
Z4会派は,現金封筒を購入しているが,これがZ4会派の調査研究活動に要するものとは認められない。
Z4会派は上記の現金封筒について「人件費の支払用であった」と主張するが,調査研究活動のために雇用が必要になったという具体的な事情については何も主張されていない上,そもそも,Z4会派が提出している人件費の領収書(甲42)には,同日付けのものが存在せず,郵便代も政務調査研究費から支出されていない。
以上によれば,Z4会派が購入した現金封筒は,調査研究活動に要するものとは認められず,前記の現金封筒代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
c 通信費(年賀はがき代)(Z4会派一覧表の番号3)
Z4会派は,平成23年12月に年賀はがきを200枚購入しているが,一般に年賀はがきは挨拶目的で送付されるものであり,調査研究活動に要するものではない。
Z4会派は,上記の年賀はがきも「区政報告のため」に使用したと主張するが,これは議員としての挨拶状であって調査研究を目的とするものとは認められず,その内容も明らかではない。
以上によれば,Z4会派が購入した年賀はがきは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記の年賀はがき代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
d 消耗品費(認印代)(Z4会派一覧表の番号7)
Z4会派は,平成23年9月に認印を購入して,その代金を政務調査研究費から支出しているが,認印は,調査研究活動のために使用されるものではなく,明らかに日常的な議員活動及び私的目的で使用されるものである。
Z4会派は,上記の認印について議会事務局に預けるために購入したと主張するが,この主張自体,認印代が調査研究活動のための支出されたものではないことを自認するものである。
以上によれば,Z4会派が購入した認印は,調査研究活動に要するものとは認められず,前記の認印代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
e 消耗品費(パソコン代,OAバック代,カバー代)(Z4会派一覧表の番号8,9)
Z4会派は,平成23年10月にパソコンを購入し,その代金を政務調査研究費から支出している。
しかし,Z4会派のD議員は,平成23年5月に,千代田区議会から富士通のノートパソコン(FMVNB55G)の貸与を受けているところ,貸与されたパソコンにデータが残っていても一括消去すればよいのであるし,貸与された上記の各パソコンに機能面で劣る点は全く見いだせず,少なくとも議員が行う調査研究活動において何らかの支障が生じるとは考え難いから,調査研究活動のために新たにパソコンを購入する必要性は認められない。
また,本件注意事項等では,消耗品の支出について,購入品名を記載すると定められているところ,Z4会派は,決算報告書において,政務調査研究費から支出して購入したパソコンの品名を記載していなかったから,上記のパソコン代の政務調査研究費からの支出は本件注意事項等に違反する違法なものということになる。
以上によれば,Z4会派が購入したパソコンは,調査研究活動に要するものとは認められず,前記のパソコン代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。仮にZ4会派が調査研究活動のために前記のパソコンを使うことがあるとしても,パソコン使用には必然的に他の議員活動目的によるものが混在し,私的な利用も排除できないことからすると,少なくとも総支出額の4分の3については本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。
パソコンのために購入したというOAバッグについても,パソコン本体と同様である。
f 消耗品費(スケジュール帳代)(Z4会派一覧表の番号10)
Z4会派は,平成23年10月にスケジュール帳を購入し,その代金を政務調査研究費から支出している。
Z4会派は上記のスケジュール帳を「議会活動のために購入した」と主張するが,スケジュール帳は社会人一般が必要とするものであって,日常的な議員活動に用いるものであるから,明らかに調査研究活動のために必要になるというものではない。Z4会派は「議員でなければ購入する必要がない支出であり,正当な使い方である」と主張するが,むしろこうした主張は,Z4会派が調査研究活動とそれ以外の議員活動とを全く区別することなく,漫然と政務調査研究費から議員活動関連の支出を行っていたという実態を示している。
以上によれば,Z4会派が購入したスケジュール帳は,調査研究活動に要するものとは認められず,前記のスケジュール帳代の支出は本件使途基準に適合しない違法なものというべきである。
ウ 千代田区の本件4会派に対する不当利得返還請求権等
上記イのとおり,平成23年度に本件4会派に支給された政務調査研究費のうち,Z1会派について463万1189円が,Z2会派について8万0164円が,Z3会派について38万1785円が,Z4会派について53万5105円が,本件使途基準に適合しない違法な支出であり,本件4会派は,それぞれ,千代田区に対し,上記金額に相当する不当利得金の返還及びこれに対する平成23年度の政務調査研究費に係る決算報告書の提出期限の翌日から支払済みまで年5%の割合による悪意利息の返還をすべきことになり,千代田区は,上記の不当利得返還請求権等を有している。
エ 被告の怠る事実
被告は,上記ウの不当利得返還請求権等の行使を怠っている。
(被告の主張)
ア 議会の機能を十分に発揮するためには,その構成員である議員の所属会派の活動の自由を尊重することが重要であり,区政の向上に資する限り,議員による調査研究活動の対象が相当程度広範にわたることが許容されるべきであり,かつ,その調査研究活動の手段選択について,議員の自主性,自律性が尊重されなければならない。
イ そして,千代田区においては,本件条例上,議長は,会派から中間収支報告及び決算収支報告を受け,本件使途基準に適合しない支出があったと認めるときに返還を求めるものとされており,政務調査研究費を千代田区議会において自律的に運営する仕組みをとっている。
他方で,被告は,本件条例上,政務調査研究費に係る収支報告を受けるものとはされておらず,形式的な審査権を有していない。
ウ 以上を前提として,被告は,本件各支出については,議長の判断により適正に執行されているものと認識しており,千代田区の条例上,かかる被告の判断には違法はなく,被告は不当利得返還請求権の行使を違法に怠っていない。
(Z1会派の主張)
ア(ア) 千代田区における政務調査研究費は,地方自治法100条14項の規定する政務調査費として,議会活動の基礎となる調査研究活動との間の合理的関連性が認められる行為に要する経費に該当することを前提として,本件使途基準に適合しなければならず,本件使途基準に適合しない支出がされた場合には,当該支出をした会派は,千代田区に対し,当該支出に相当する不当利得返還義務を負う。
なお,本件条例15条1項では,政務調査研究費の交付を受けた会派が「その年度において交付を受けた政務調査研究費の総額」(交付額)から,「当該会派がその年度において政務調査研究を推進するために必要な経費として支出した総額」(執行額)を控除して残余を生じた場合は,その残余の額(不用額)を議長に返還するものとされているところ,平成23年度の政務調査研究費に係るZ1会派の決算報告書では,交付額は825万円,執行額は827万4044円,その残余の額(不用額)はマイナス2万4044円となっており,政務調査研究費の執行額が支給額を2万4044円超えているから,仮にZ1会派の政務調査研究費の支出が違法であったとしても,不当利得返還請求が認められるのはその金額が2万4044円を超えた場合に限られる。
(イ) 政務調査研究費に係る不当利得返還請求権の発生原因たる具体的事実,すなわち,会派が政務調査研究費から本件使途基準に適合しない支出をしたという事実は,原告が主張立証しなければならないところ,政務調査研究費の使途を明らかにするに際し,調査研究活動の秘匿性に配慮する必要があることなどに照らすと,原告は,個別の支出が本件使途基準に適合しないことを客観的資料に基づいて合理的に主張立証しなければならない。
(ウ) 本件注意事項等は,法律上の根拠を有するものではなく,議会で議決された条例でも,条例の委任を受けて長が制定した規則でも,議会が設けた規則でもなく,審査会の意見を受けて運営委員会で申し合わせた要望ないし会派の努力目標にすぎないから,法規範性を有するものではなく,政務調査研究費の支出の違法の判断において,解釈の指針として参照されるべきものでもない。
(エ) 本件使途基準には,1つの政務調査研究費の支出について,調査研究活動と他の議員活動とが混在している場合に,支出を按分するという規定は存在しないから,当該支出が調査研究活動に要する経費であれば政務調査費該当性が認められ,他の議員活動に利用したことによって政務調査研究費に該当することが否定されることはない。また,同種の多数の支出について具体的にどれが調査活動であってどれがそうでないのかを特定することが困難な場合は,調査研究活動に該当しないことの立証ができない場合にほかならず,このような場合に,政務調査研究費の支出を按分すべきことにはならない。なお,Z1会派がパソコン及びスマートフォンの購入代金についてその50%を按分計上しているのは,会派の内規によるものであり,法令上の義務に基づくものではない。
イ Z1会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性
(ア) Z1会派による平成23年度の政務調査研究費の支出は,次のとおり,使途基準に適合するものである。
a 会議費(Z1会派一覧表(会派)の番号1ないし22,Z1会派一覧表(E議員)の番号1ないし4,Z1会派一覧表(G議員)の番号1及び2)
Z1会派が政務調査研究費から支出した上記の会議費は,会派及び議員において議会の本会議や委員会での質問等に備えて外部講師を招いて定期的に勉強会を開催して支出したものである。
区議会の会派や所属議員が,本会議での一般質問のために,他自治体議会議員と共通課題や先進的な取組について勉強をすることは何の不思議もなく,この支出の前提となった会合が存在することは明らかである。勉強会の内容は多岐にわたるが,全て議員の議会活動に関するものであり,本件使途基準の定める「会議費」の使途内容にも適合しているものである。
また,会費は一人当たり5000円を超えていないから,本件使途基準に違反していないし,申合せである本件注意事項等で記載することとされている「参加人数」や地域情報交換との「会議内容」については,収支報告で明らかにされている。国会議員の朝食会等の例を引くまでもなく,ホテルでの会議が,申合せ事項である本件注意事項等において政務調査研究費の対象外とするとされている「会議に不向きな場所での打合せ」に該当しないことは明らかである。
したがって,上記の会議費の支出は,本件使途基準に適合するものである。
b 消耗品費(事務用品代)(Z1会派一覧表(会派)の番号77,79ないし92,Z1会派一覧表(E議員)の番号5,6,8ないし12,14,15,Z1会派一覧表(A議員)の番号7)
Z1会派が会派において政務調査研究費から支出した上記の事務用品代(Z1会派一覧用(会派)の番号77,79ないし92)は,議会報告を郵送するために,OPPフィルム封筒,CPPフィルム封筒,宛名シール,プリンターインクを購入して支出したというものと,日々の調査研究活動のために,ファイル,筆記用具,コピー用紙等を,それぞれ購入して支出したというものである。Z1会派が所属議員であるE議員において政務調査研究費から支出した上記の文具代,事務用品代,筆記具代(Z1会派一覧表(E議員)の番号別表5,6,8ないし12,14,15)は,議会報告を郵送するために,宛名ラベル,スティックのり,プリンターインクを,日々の調査研究活動のために,ポストイット,蛍光ペン等を,それぞれ購入して支出したものである。A議員において政務調査研究費から支出した上記のネームシール代は,議会報告を郵送するために購入して支出したものである。
Z1会派は,各区議会終了後など定期的に「議会報告」を発行しており,平成23年度にも5回発行しているところ「議会報告」には,会派として行った区議会での代表質問,一般質問の質疑内容や要望活動などの議会活動,会派としての区政に関する政策等を掲載するとともに,区民からの区議会への要望・意見をFAXで送信してもらえるようになっている。会派が行う議会活動や区政に関する政策等を広く区民に広報するとともに,区政に関する区民の意見を広聴することは,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るものであり,政務調査費の趣旨及び目的に合致するものであり,「議会報告」の発行に要する経費の支出は,透明封筒,宛名ラベル(ネームシール)代等の「消耗品費」のほか,後記の郵券(切手)代の「通信費」,新聞折り込み代の「他の項目に属さない経費」,印刷を行う経費の「印刷費」に該当するものとして,本件使途基準に適合している。
また,本件注意事項等は法令に基づくものではなく,単なる申合せであって,努力目標であるから,消耗品費について購入品名を明らかにする必要はないものの,念のため,本訴訟において上記の文具代等の購入品名を明らかにしている。
したがって,前記の事務用品代,筆記具代,文具代,ネームシール代の支出は,本件使途基準に適合している。
c 通信費(切手代,はがき代)(Z1会派一覧表(会派)の番号23,24,Z1会派一覧表(F議員)の番号1ないし8,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし6,Z1会派一覧表(H議員)の番号1ないし5)
Z1会派が政務調査研究費から支出した上記の切手代は,会派及び所属議員において区民に議会報告を郵送するために切手を購入して支出したものであり,所属議員において政務調査研究費から支出した上記のはがき代は,各所属議員がはがき版議会報告を郵送するためにはがきを購入して支出したものである。区民になるべく開封して議会報告を読んでもらうために,料金別納郵便ではなく,切手を貼って送付しており,所属議員において購入した郵券(切手)についても,会派共通のものとして,会派全体で使用していたものである。
前記bのとおり,「議会報告」は政務調査費の趣旨及び目的に合致するものであって,その郵送に要する経費は使途基準に適合する。
したがって,前記の切手代,はがき代の支出は,本件使途基準に適合している。
d 他の項目に属さない経費(新聞折り込み代)(Z1会派一覧表(会派)の番号25ないし76)
Z1会派が政務調査研究費から支出した上記の新聞折り込み代は,会派において新聞折り込みを利用して議会報告を区民に配布するために支出したものである。
前記bのとおり,「議会報告」は政務調査費の趣旨及び目的に合致するものであって,その発行に要する経費は使途基準に適合するものである。
Z1会派は,議会報告の印刷費に係る整理票と新聞折り込み代に係る整理票の間に添付して「議会報告」を提出している。
また,整理票に添付した領収書は,新聞折り込みの窓口となった新聞販売店において,事前に宛名,金額,内容を記載した領収書を準備し,実際に新聞折り込みを行った各新聞販売店に新聞折り込み代を支払って押印を受けたものであり,本件規則が添付を規定する「領収書等の原本」にほかならない。
したがって,前記の新聞折り込み代の支出は,本件使途基準に適合している。
e 交通費(地下鉄回数券代)(Z1会派一覧表(F議員)の番号10ないし50,Z1会派一覧表(G議員)の番号12ないし17,Z1会派一覧表(H議員)の番号6ないし17)
Z1会派が政務調査研究費から支出した上記の地下鉄回数券代は,F議員,G議員及びH議員において,調査研究活動として区役所や現場に行く際に使用するため,地下鉄の回数券を購入して支出したものである。区議会議員は,本会議・委員会の開催日以外の日にも,日常的に区役所に登庁して調査研究活動に従事しており,地下鉄回数券は議員の調査研究活動として打合せを行うために区役所や関係者との打合せ場所への交通手段として地下鉄を利用する際に使用したものである。そのため,自宅最寄り駅から区役所最寄り駅まで間の利用が多くなっているが,費用弁償の支給される本会議・委員会の開催日,千代田区内の選挙期間中のものは含んでおらず,移動の実態はある。
本件注意事項等は法令に基づくものではなく,単なる申合せであって,努力目標であるから,交通費について乗降地を明らかにする必要はなく,回数券自体に交通の目的(支出内容)及び乗降地というものはないが,念のため,本訴訟において,F議員及びG議員が購入した地下鉄回数券について,交通の目的(支出内容)及び乗降地を明らかにしている。
したがって,前記の地下鉄回数券代の支出は,本件使途基準に適合している。
f 消耗品費(シュレッダー代)(Z1会派一覧表(会派)の番号78)
Z1会派が政務調査研究費から支出した上記のシュレッダー代は,会派において,調査研究活動の過程で取り扱った個人情報,機密情報等が記載された書類の裁断のために,シュレッダーを購入して支出したものである。
したがって,前記のシュレッダー代の支出は,本件使途基準に適合している。
g 消耗品費(パソコン代)(Z1会派一覧表(E議員)の番号7,13)
Z1会派が政務調査研究費から支出した上記のパソコン代は,E議員において,平成23年6月18日に議員控室用の中ないし大型のノートパソコン(東芝ダイナブックT350・36AB)を,平成24年1月24日に持ち歩き用の小型のパソコン(ASUS Model SL-101)を,それぞれ購入して支出したものの2分の1である。
議員の調査研究活動は多岐にわたり,個々の経費の支出がこれに必要かどうかについては議員の合理的判断に委ねられているところ,パソコンは,その機能,一般的用途からして,議員の調査研究活動に用いられるものであり,調査研究活動のための必要性を欠くようなものではない。E議員は,平成16年4月に千代田区からパソコン1台(OSはWindowsXP)の貸与を受け,それが動作不良になったので千代田区に返却し,平成17年5月に改めてパソコン1台(OSは同上)の貸与を受け,平成23年5月まで,議員控室用として使用していた。しかし,パソコンの進化は日進月歩であり(税法上の法定耐用年数は4年),千代田区議会から貸与された上記のノートパソコンは,型が古く,使い勝手が悪くなっていたため,E議員は,貸与を受けてから6年以上が経過した平成23年度において,議員の調査研究活動に用いるため,上記の2台のパソコンを購入した。E議員は,上記の2台のパソコンを,実際に調査研究活動に使用しており,議員控室用の中ないし大型のノートパソコン,持ち歩き用の小型のノートパソコンという違いもあることからすると,上記の2台のパソコンが調査研究活動に必要ではないとされる理由はない。
したがって,前記の2台のパソコン代(各2分の1)の支出は,本件使途基準に適合している。
h 消耗品費(携帯電話端末代)(Z1会派一覧表(F議員)の番号9)
Z1会派が政務調査研究費から支出した上記の携帯端末代は,F議員において調査研究活動に使用するスマートフォンを購入して支出したものの2分の1である。
携帯電話端末は,議員としての調査研究活動のために必要なものであり,その購入代金の支出は,本件使途基準の「消耗品費」の使途内容に適合しているものであるが,会派の申合せとして,議員の調査研究活動に利用する割合を考慮して按分し,支出の2分の1に限って,政務調査研究費から支出しているものである。
したがって,前記の携帯端末代(2分の1)の支出は,本件使途基準に適合している。
(イ) 以上のとおり,Z1会派による平成23年度の政務調査研究費の支出は使途基準に適合するものであるから,被告に対して返還すべきものはない。
なお,仮にZ1会派の平成23年度の政務調査研究費の支出の一部が使途基準に適合しないとして違法になるとしても,前記のとおり,不当利得返還請求が認められるのはその金額が2万4044円を超えた場合に限られ,また,これに対する利息が発生するのは,被告のZ1会派に対する履行請求が到達した時からである。
(Z2会派及びZ3会派の主張)
ア(ア) 千代田区議会では,地方自治法100条13項,283条,本件条例に基づいて会派に対して政務調査研究費が支給されているところ,政務調査研究費の支出については,本件条例13条に基づいて本件使途基準が定められているから,政務調査研究費の支出は本件使途基準に適合するものでなければならない。
そして,政務調査研究費の支出が本件使途基準に従った適正なものかどうかについては,当該行為の客観的な目的や性質に照らして,議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性が認められるかどうかにより判断するべきである。
なお,Z2会派及びZ3会派は,いずれも,平成23年度の決算報告書において,政務調査研究費の執行額が交付額を,Z2会派が11万0182円,Z3会派が22万0211円,それぞれ上回っているから,仮にZ2会派及びZ3会派の政務調査研究費の支出が本件使途基準に適合しなかったとしても,政務調査研究費の返還義務が生じるのは上記金額を超える場合に限られる。
(イ) 原告は,Z2会派及びZ3会派による政務調査研究費の支出が違法であることを前提に千代田区長が本件4会派に対して不当利得返還請求をするよう求めているところ,不当利得返還請求においては,返還を請求する者において当該利得が法律上の原因に基づかないことを主張立証すべきであるとされており,これに加えて,政務調査費制度が設けられた趣旨に照らすと,政務調査費の返還請求をすべきことを求める住民訴訟においては,原告において,使途基準に合致した政務調査費の支出がなされなかったことを推認させる一般的,外形的な事実の存在を主張立証すべきことになる。
(ウ) 本件注意事項等は,本件条例や本件規則に基づいて定められたものではなく,議会における申合せ事項にすぎず,飽くまで,議長の要望事項ないし会派の努力目標にとどまる。したがって,本件注意事項等は政務調査研究費の支出の適法性を判断するための審査基準になるものではなく,これに適合しない政務調査研究費の支出が直ちに違法になるということはない。
イ Z2会派及びZ3会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性
(ア) Z2会派による政務調査研究費の支出
a 消耗品費(プリンター代)(Z2会派一覧表(会派),Z2会派一覧表(C議員))
Z2会派が政務調査研究費から支出した上記のプリンター代は,会派においてZ3会派と共同で高性能のレーザープリンターを購入して支出したものと,C議員においてインクジェットプリンターを購入して支出したものである。
上記のレーザープリンターは,以前から使用していたプリンターが古くなったことから,大量の印刷物を高速で印刷するため,Z3会派との共用のプリンターとして購入したものである。本会議や委員会の際には直ちに多くの文書を印刷することがあるし,区政報告会の案内などを大量印刷することもあるから,高性能のレーザープリンターを購入する必要性があった。なお,このレーザープリンターの納品後,以前から使用していたプリンター2台のうち1台は廃棄し,もう1台の複合機はファクシミリ専用として使用するようになった。
前記のもう1台のインクジェットプリンターは,はがきへの印刷に特に適したものであり,上記レーザープリンターの補助的なプリンターとして購入されて,Z2会派の議員控室において使用されていた。本会議や委員会の際には,両会派4人がほぼ同時にそれぞれの資料を大量に,しかも短時間で用意するために印刷をする必要があり,そのような状況が日常的にしばしば生じていたことから,委員会等の円滑な資料準備のためには,大量印刷に対応するレーザープリンターに加え,補助的なプリンターを併用する必要性があった。
上記の2台のプリンターの購入時期が重なったのは,従前に使用していたプリンターの故障による注文時期が近接したことと,キャノンのタイ工場が平成23年10月の洪水の被害で操業を停止して納期が遅れたことが重なったためである。
また,上記のレーザープリンターの購入代金は銀行振込で支払ったため,整理票には,領収証ではなく,銀行の「ご利用明細」を添付したが,本件使途基準では領収証の提出は義務付けられておらず,本件注意事項等でも,その全般事項の部分で,「領収書又は会派会計責任者の支払い証明書」と記載されているにすぎないから,整理票に上記のレーザープリンターの購入代金の支払に係る領収書の添付がなくても,本件使途基準や本件注意事項等に違反することにはならない。
したがって,前記の各プリンター代の支出は,本件使途基準に適合している。
b 消耗品費(TELカバー代)(Z2会派一覧表(I議員))
Z2会派が政務調査研究費から支出した上記のTELカバー代は,I議員において携帯電話(iPhone)を保護するためのTELカバーを購入して支出したものである。
そもそも,携帯電話購入のための政務調査研究費の支出は一般に認められている上,I議員は上記の携帯電話を「○○ホットライン」に使用していたところ,上記のTELカバーは,その携帯電話が壊れたり傷ついたりしないようにするための支出であって,また金額もその購入品名に照らして相当である。
したがって,前記のTELカバー代の支出は,本件使途基準に適合している。
(イ) Z3会派による政務調査研究費の支出
a 消耗品費(プリンター代)(Z3会派一覧表(J議員)の番号3ないし5)
Z3会派が政務調査研究費から支出した上記のプリンター代は,J議員において,Z2会派と共同で高性能のレーザープリンターを購入して支出したものと,補助的なプリンターを2台購入して支出したものである。
上記のレーザープリンターは,Z2会派との共用のプリンターとして購入し,Z2会派の議員控え室に設置されていたものであり,本会議や委員会の際には直ちに多くの文書を印刷することがあるし,区政報告会の案内などを大量印刷することもあるから,高性能のレーザープリンターを購入する必要性があった。
前記のもう2台の補助的なプリンターは,上記のレーザープリンターの補助的なプリンターとして購入されたものであり,1台はJ議員が,もう1台はB議員が,それぞれ,Z3会派の議員控え室で使用していた。会議や委員会の際には,両会派4人がほぼ同時にそれぞれの資料を大量に,しかも短時間で用意するために印刷をする必要があり,そのような状況が日常的にしばしば生じていたことから,委員会等の円滑な資料準備のためには,大量印刷に対応するプリンターに加え,補助的なプリンターを併用する必要性があった。また,本会議直前の準備や委員会直前の準備などの時間に追われ慌ただしい状況の下では,会派の所属議員2名で1つの補助的なプリンターを利用していると,それぞれの印刷した資料が混在し,非常に作業効率が悪いため,所属議員に1台ずつ補助的なプリンターを購入する必要性があった。
上記の3台のプリンターの購入時期が重なったのは,キャノンのタイ工場が平成23年10月の洪水の被害で操業を停止して納期が遅れたためである。
また,上記各プリンターの購入代金は銀行振込で支払ったため,整理票には,領収証ではなく,銀行の「ご利用明細」を添付したが,本件使途基準では領収証の提出は義務付けられておらず,本件注意事項等でも,その全般事項の部分で,「領収書又は会派会計責任者の支払い証明書」と記載されているにすぎないから,整理票に上記の各プリンターの購入代金の支払に係る領収書の添付がないとしても,本件使途基準や本件注意事項等に違反することにはならない。また,本件注意事項等では,消耗品費について,購入品名を記載するものとされているが,領収証や「ご利用明細」の記載によって購入品を特定することができるため,運用上,厳密に製品名まで記載することは求められていなかった。
したがって,前記の各プリンター代の支出は,本件使途基準に適合している。
b 消耗品費(デスクトップパソコン代,ノートパソコン代)(Z3会派一覧表(会派),Z3会派一覧表(J議員)の番号1)及び備品費(ノートパソコン代)(Z3会派一覧表(B議員))
Z3会派が政務調査研究費から支出した上記のパソコン代は,Z3会派においてZ2会派と共同でデスクトップパソコンを購入して支出したものと,各所属議員においてノートパソコンを購入して支出したものである。
上記のノートパソコンについては,代表質問や一般質問の質問作成においても,議案審査においても,事前に学術的な調査や,他自治体,他国の事例,法令について,パソコンを利用して調査確認しており,調査研究活動のために必要なことが明らかである。また,J議員及びB議員は,千代田区議会からノートパソコンの貸与を受けていたものの,貸与されていたパソコンは,機種自体が古く,不要なデータなどが蓄積していたために動作が遅くなっていたほか,持ち運ぶには大きかったなど,使い勝手が悪く,セキュリティの面でも不安があったため,速やかな政務調査の遂行に資するものとして,所属議員がそれぞれ使用するノートパソコンを購入する必要性があった。
上記のデスクトップパソコンは,会派としてのデータ管理等に使用するために購入したものであり,会派共有の情報や様々な学術的な資料,区の情報等を管理し,所属議員が保有するノートパソコンからアクセスすることができるようにしていた。情報は調査研究活動に付随して日々増えていくものであるし,集積している膨大なデータ資料の中には各種の名簿など多くの個人情報が含まれるところ,万が一持ち歩き中に紛失したり,破損したりすることに備え,情報管理と個人情報保護の観点から,各所属議員が使用するノートパソコンとは別に,デスクトップパソコンにおいて情報を保管,管理する必要性があった。
また,情報管理の点からは,Z3会派では,議員としての仕事用のパソコンとプライベート用のパソコンを厳密に分けており,上記の各パソコンについて,選挙活動,政党活動,後援会活動に使っていた事実もなかった。
また,上記の会派においてZ2会派と共同で購入したデスクトップパソコンの代金は銀行振込で支払ったため,整理票には,領収証ではなく,銀行の「ご利用明細票」を添付したが,本件使途基準では領収証の提出は義務付けられておらず,本件注意事項等でも,その全般事項の部分で,「領収書又は会派会計責任者の支払い証明書」と記載されているにすぎないから,整理票に上記のデスクトップパソコンの購入代金の支払に係る領収書の添付がなくても,本件使途基準や本件注意事項等に違反することにはならない。また,本件注意事項等では,消耗品費について,購入品名を記載するものとされているが,領収証や「ご利用明細」の記載によって購入品を特定することができるため,運用上,厳密に製品名まで記載することは求められていなかった。
また,備品として購入されたノートパソコン1台については,Z3会派が保管する備品台帳に記載されているが,本件条例及び本件使途基準では議長への提出義務が定められていないため,提出していないだけであって,区民から閲覧の希望があれば随時対応できるようにしている。
したがって,前記の各パソコン代の支出は,本件使途基準に適合している。
c 消耗品費(スキャナー代)(Z3会派一覧表(J議員)の番号2)
Z3会派が政務調査研究費から支出した上記のスキャナー代は,会派において高機能のスキャナーを購入して支払ったものである。
各種資料の電子データ化が進んでいる現在においては,紙の資料をスキャナーによって電子データ化した上でデータ管理を行うということが一般的に行われており,上記のスキャナーを使用することにより,大量の資料なども速やかに電子データとして取り込むことが可能となり,このような電子データ化を進めることで,資料の持ち運びが従前に比べ格段に容易になるため,議員の円滑かつ迅速な調査研究活動のためにスキャナーは必要であった。
したがって,前記のスキャナー代の支出は,本件使途基準に適合している。
(Z4会派の主張)
ア 政務調査研究費及び政務活動費は,政務活動,政務調査,政務研究のためのものであり,政務調査及び政務研究だけに使用可能なものではない。もし政務活動に使うことを許されないのであれば,政務調査及び政務研究に使うことができるだけになってしまって,議員活動を支える費用という政務調査研究費の本来の趣旨から外れる。
イ Z4会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性
(ア) Z4会派による平成23年度の政務調査研究費の支出は,次のとおり,本件使途基準に適合する適法なものである。
a 通信費(切手代)(Z4会派一覧表の番号1,4ないし6)
Z4会派が政務調査研究費から支出した上記の切手代は,支持者,有権者への議会報告を郵送するなどのための切手を購入して支出したものである。
D議員は,当選後,自宅にあった切手を郵送の際に使用することが多かったが,それも尽きたため,議員活動に使用する切手をまとめて購入した。調査研究活動に際しては,他人と何度もやりとりすることがあり,パソコンを使う人ばかりではないので,頻繁に郵便を使った。一人会派なので,不定期に,臨機応変に郵便を送付しており,料金別納制度を利用しなかったとしても何ら不合理ではないし,切手をまとめて購入したのも,少しでも手間を省こうとしたからにすぎない。
本件使途基準及び本件注意事項等では,切手代を政務調査研究費から支出する場合に,送付物の添付は義務付けられていなかった。
b 通信費(現金封筒代)(Z4会派一覧表の番号2)
Z4会派が政務調査研究費から支出した上記の現金封筒代は,政務調査についての協力者に人件費として報酬を支払う際に使用する現金封筒を購入して支出したものである。
政務調査研究費として人件費を計上することは認められており,その経緯を説明する必要はないし,人件費を現金書留によって支払うことを禁ずる規定もない。
c 通信費(年賀はがき代)(Z4会派一覧表の番号3)
Z4会派が政務調査研究費から支出した上記の年賀はがき代は,12月に閉会した第4回定例会の報告をする際に年賀はがきを購入して支出したものである。
年賀のタイミングで年間を通じての動きを有権者に知らせたものであって,具体的には,定例会,臨時定例会,その他特に動きのあったものを記載しており,あいさつが入ることもあったが,主たる目的ではない。
本件使途基準及び本件注意事項等では,はがき代を政務調査研究費から支出する場合に,送付物の添付は義務付けられていなかった。
d 消耗品費(認印代)(Z4会派一覧表の番号7)
Z4会派が政務調査研究費から支出した上記の認印代は,議会事務局から認印を預けるように依頼されて購入して支出したものである。
議員としての事務処理等の政務に必要不可欠なものである。
e 消耗品費(パソコン代,OAバック代,カバー代)(Z4会派一覧表の番号8,9)
Z4会派が政務調査研究費から支出した上記のパソコン代は,調査研究活動に使用するパソコンを購入して支出したものである。
パソコンは,政務調査のために必要不可欠なものである。千代田区議会から貸与されていたパソコンは,前任者のデータやメールが入っており,性能も低く,使用することができるようなものではなかったため,新たにパソコンを購入する必要があった。
また,パソコンが必要なものである以上,パソコンの破損防止の為のOAバッグ等も必要なものである。
f 消耗品費(スケジュール帳代)(Z4会派一覧表の番号10)
Z4会派が政務調査研究費から支出した上記のスケジュール帳代は,スケジュール帳を購入して支出したものである。
議会活動をする中で,スケジュール管理は重要であり,調査研究活動に伴って記入量が増加したため,一般的なものでは足りず,調査研究活動を念頭においた物を購入する必要があった。
(イ) 以上のとおり,Z4会派による平成23年度の政務調査研究費の支出は本件使途基準に適合するものであるから,被告に対して返還すべきものはない。
第3  当裁判所の判断
1  本件訴えの適法性(適法な監査請求の前置)について
被告は,本件監査請求の対象が地方自治法242条の規定する「当該行為」に当たらない会派による行為を対象とするものであること,仮に本件監査請求の対象が上記の「当該行為」に当たる本件各支出に係る一連の財務会計上の手続の行為であったとしても,本件監査請求は同条2項本文所定の住民監査請求期間(1年)を徒過した後にされたものであること,仮に本件監査請求の対象が本件訴訟において原告が主張する「怠る事実」を対象とするものであったとしても,本件監査請求はこれが可能になった時期から「相当な期間」にされていないことを理由として,本件訴えに前置されるべき本件監査請求が不適法なものであると主張する。
(1)  しかしながら,前提事実のとおり,原告は,平成25年10月25日,千代田区監査委員に対し,「千代田区議会における会派又は議員に対し,平成23年度分の政務調査研究費(以下政調費と略す)は,4,500万円(一人15万円×12か月×25人)が交付された。」,「目的外支出が認められるので,千代田区の被った損害を補填する等の必要な措置を講ずべきことを請求することとした。」,「千代田区の被った損害額に関し,平成23年度政調費の交付を受けた会派及び議員に対して返還請求すべく千代田区長に勧告する事を要求する。」,「明らかに使途基準に違反すると認められる目的外支出について,措置請求を求めるものである。」などと記載した請求書により,本件監査請求を行っているところ(前提事実(4)エ),上記の請求書の記載によれば,本件監査請求は,千代田区における平成23年度の政務調査研究費のうちの本件使途基準に違反するものについて,被告が会派及び議員に対して返還をするように勧告することを求めているものであると,十分に解することができるから,千代田区の各会派に対して有する政務調査研究費の返還請求権の行使を被告が「怠る事実」を対象として監査の請求をするものであると認めるのが相当である。
したがって,本件監査請求の対象が地方自治法242条の規定する「当該行為」に当たらないとか,本件監査請求の対象が本件各支出に係る一連の財務会計上の手続の行為であったとしても本件監査請求は監査請求期間を徒過しているという被告の主張は採用することができない。
(2)  上記(1)のとおり,本件監査請求は同条1項の規定する「怠る事実」を対象とするものであるところ,この「怠る事実」を対象とする監査請求については,原則として,同条2項の規定する監査請求の期間制限の適用はなく(最高裁昭和53年6月23日第三小法廷判決・裁集民124号145頁),例外的に,財務会計行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求については,当該行為のあった日又は終わった日を基準として同項が適用されることになると解されるところ(最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁),本件監査請求は財務会計行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求には当たらない。
その他,被告は,本件監査請求が「相当な期間」にされなかったことから不適法であるとも主張するが,かかる主張は独自の見解というほかない。
したがって,本件監査請求が同条2項の規定する期間制限に違反した不適法なものであるという被告の主張は採用することができない。
2  本件4会派に対する不当利得返還請求及び悪意利息の支払請求に係る怠る事実の有無(本件各支出の本件使途基準適合性等)について
(1)  会派に交付された政務調査研究費が不当利得となる場合について
ア(ア) 地方自治法100条14項は,政務調査費の交付につき,普通地方公共団体が,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究活動に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対して政務調査費を交付することができるとしつつ,その交付の対象,額及び方法は,条例で定めなければならないと規定している。同条の規定に基づいて政務調査研究費の交付に関し必要な事項を定める本件条例は,政務調査研究費とは,議員が,会派又は会派の一員として活動する場合の調査研究に要する経費をいうとした上で,政務調査研究費の使途範囲について,その交付を受けた会派及び所属議員が,別に定める使途基準に基づき,適正に使用しなければならないと定めている(1条,4条,13条)。そして,この別に定める使途基準として,本件規則は,本件使途基準を定めており,本件使途基準は,人件費,会議費,視察・研修費,通信費,交通費,印刷費,消耗品費,備品費,図書・資料費,レンタル・リース費及び課題別経費,他の項目に属さない経費のそれぞれについて,使途内容及び使途禁止事項を定めている。さらに,本件条例は,本件使途基準に基づかない支出があると認められるときは,当該支出に係る経費の全額を返還しなければならず,返還金が発生したときは,当該返還額をすでに交付した額から減額した額を交付額とするものとする旨規定している(15条2項,3項)。
以上の法令の規定に照らすと,千代田区における地方自治法上の政務調査費である政務調査研究費は,本件使途基準に適合する使途にのみ使用されることを前提として会派に交付されるものであるから,ある会派において政務調査研究費を本件使途基準に適合しない使途に充てるために支出した場合,その政務調査研究費の支出は違法なものとなる。そして,当該会派は当該支出に係る政務調査研究費について本件条例の根拠なく金員の交付を受けて利得を得たことになるから,これにより損失を被る千代田区は,当該会派に対し,民法上の不当利得返還請求権を有することになるものと解される。
(イ) この点,Z1会派,Z2会派及びZ3会派は,本件条例15条1項が,政務調査研究費の交付を受けた会派がその年度において交付を受けた政務調査研究費の総額(交付額)から,当該会派がその年度において政務調査研究を推進するために必要な経費として支出した総額(執行額)を控除して残余を生じた場合は,その残余の額(不用額)を議長に返還しなければならないと規定していることから,政務調査研究費の支出が本件使途基準に適合しない違法なものであったとしても,返還請求が認められるのは,上記の交付額を執行額が下回って不用額が生じる場合に限られる旨主張している。
しかしながら,同条2項は,同条1項とは別に,本件使途基準に基づかない支出があると認められるときに,当該支出に係る経費の全額の返還を求めなければならないと定めており,また,同条3項が,同条2項の規定により,政務調査研究費に返還金が発生したときは,本件条例5条2項にかかわらず,当該返還額を既に交付した額から減額した額を交付額とするものとしていることからすると,その返還義務は,本件使途基準に違反する支出ごとに,交付を受けた政務調査研究費の総額を限度として発生するものと解するのが相当であり,このような解釈は,本件条例制定時の提案理由説明(甲52)にも沿うものといえる。Z1会派,Z2会派及びZ3会派が指摘する同条1項の規定は,同条2項及び3項の各規定とは別に,会派が決算報告をする場合に,同条2項により減額された後の政務調査研究費の交付額から本件使途基準に基づく執行額を控除して残余を生じた場合の当該残余の額の返還について定めたものと解するのが相当であって,この規定の存在をもって,政務調査研究費の返還義務が,本件使途基準に基づかない支出ごとに,交付を受けた政務調査研究費の総額を限度として発生するという上記解釈を否定する根拠となるものではなく,かえってZ1会派,Z2会派及びZ3会派の上記主張は,同条2項及び3項の規定の内容と整合しない。
したがって,この点に関するZ1会派,Z2会派及びZ3会派の前記主張を採用することはできない。
イ 次に,政務調査費が使途基準に適合しない支出に充てられたことを理由として不当利得の返還を求める場合の立証責任について検討するに,不当利得返還請求訴訟においては,返還を請求する側が利得につき法律上の原因を欠くことについて立証責任を負うものと解されるから,政務調査費が使途基準に適合しない支出に充てられたことを理由として不当利得の返還を求める場合にも,上記立証責任の分配に従って,不当利得の返還を求める側が,使途基準に適合しないことについての立証責任を負うものと解される。もっとも,一般に,不当利得返還請求訴訟において,返還を請求する側が利得の保持を正当化する原因が存在しないことを推認させる一般的,外形的な事実を立証した場合には,相手方において適切な反証を行わない限り,法律上の原因を欠くと判断されることからすると,政務調査費が使途基準に適合しない支出に充てられたことを理由として不当利得の返還を求める場合においても,政務調査費が使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたときには,適切な反証がない限り,上記の政務調査費の支出は使途基準に適合しない支出と判断されることになるものと解される。
ウ(ア) 政務調査研究費の支出が本件使途基準に適合しないとされる場合について検討するに,本件条例は,政務調査研究費とは,議員が会派又は会派の一員として活動する場合の調査研究(調査研究活動)に要する経費をいうと定めており,本件使途基準はこのような経費に当たる支出であることを当然の前提とするものと解されるから,経費の支出の対象となる行為が,その客観的な目的や性質に照らして議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を欠く場合や,当該行為に係る経費の支出の必要性に関する当該議員の判断が合理性を欠く場合などには,本件使途基準に適合しない支出に当たると解される。
(イ) また,本件使途基準は,政務調査研究費が支出される費目を人件費,会議費等に区分し,それぞれについて許容される使途内容をやや抽象的に規定した上,一定の費目につき,特定の経費を「使途禁止事項」と規定している(例えば,人件費につき,日常的な事務員の雇用などが使途禁止事項とされる。)。このような定めに照らすと,上記のうち,使途禁止事項とされている経費に係る支出については,直ちに本件使途基準に適合しない支出に当たるものと解される。
(ウ) その他,本件使途基準に関しては,本件注意事項等が定められているところ,原告は,本件注意事項等の定めに違反する支出についても,本件使途基準に適合しない違法な支出になると主張する。
証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件注意事項等については,その名称自体が本件使途基準と関連することを示すものであること,千代田区議会では,議長の指示により,議会事務局において,本件使途基準と併せた一覧表としてまとめられた表が作成され,各会派に配布されたり,この表に基づいて議員に対する政務調査研究費の支出についての説明がされたりしていること(甲3,証人A・10頁以下,証人D・10頁以下),議長や千代田区議会事務局は,千代田区職員措置請求に基づく監査において,千代田区議会では,議長の意見聴取機関として使途基準に関することなどの審査も行っている審査会が,議長の求めにより,審査会は収支報告書の点検等を実施し,改善を要する事項等について議長に意見書等を提出しているところ,この意見書等について,議会全体で受けとめ,議会活動条件整備等検討会での検討を経て,運営委員会で本件注意事項等として決定し,順次,改善を行ってきていると報告していること(甲18,甲20,甲51,丙24,丙25)など,本件使途基準との関連性等を示す事実が認められる。しかしながら,一方で,本件使途基準が本件規則の別表に定められているのに対し,本件注意事項等は本件規則の別紙において本件使途基準と1枚の紙にまとめられているわけではないこと(乙1),本件使途基準と本件注意事項等が一覧表として記載されている書面においても,本件使途基準に係る記載は太線で囲われていること(甲3),運営委員会の有する権限は,一定の「調査」及び「審査」に限られること(地方自治法109条の2第3項),平成14年10月4日に開催された審査会の議事録をみても,審査会において,本件注意事項等の提示に際して,「こちらが規則ではありませんが,慣れるまで一定の時間がかかりますけれども,ちゃんと心得て注意事項として承知した上でこれに最大限沿っていただきたいということで確認させていたものです。」と説明されていること(丙7),本件注意事項等に記載されている事項は,議会活動条件整備等検討会や各会派との協議の結果,使途基準とされなかったものであること(丙24,丙25,証人A・2頁以下)など,本件注意事項等が本件使途基準と同じ性質のものではないことを示す事実が認められ,実際,本件注意事項等は,議会で議決された条例(地方自治法96条1項1号,100条14項)でも,条例の委任を受けて長が制定した規則(地方自治法15条)でも,条例の委任を受けて議会が設けた会議規則(地方自治法120条)でもなく,運営委員会における法令上の根拠を有しない決定にすぎないと考えられるから,本件使途基準と同様の規範性や効力を有するものとは認め難く,本件注意事項等に違反する場合には直ちに本件使途基準に適合しない違法な支出になるという原告の主張を採用することはできない。
ただし,本件注意事項等は,政務調査研究費が地方自治法上の「議会の議員の調査研究に資するため必要な経費」として本件使途基準に合致する経費の支出に充てられたことを明確にするため,政務調査研究費の適正かつ透明性を確保するために設置された審査会の意見書等を踏まえて,会派及び議員が従うべき注意事項及び指摘事項として,具体化,明確化されたものであることは確かであり,また,議員においても,本件注意事項を守るべきルールであると認識していることがうかがわれ(証人J・8頁,証人D・11頁),議会の自律性が尊重されるべき制度下において,本件使途基準の解釈及び適用に関する当該議会の意思が発現されたものと認められることからすると,地方自治法及び本件使途基準の趣旨に合致しない不合理なものと認められない限り,本件使途基準の解釈及び適用の指針として(すなわち,前記(ア)の合理的関連性の有無や必要性の有無の判断の指針として)参照すべきものであると解される。そして,本件注意事項等には,政務調査研究費の使途の調査研究活動との合理的関連性又は必要性の点に配慮し,社会通念等に照らして第三者から誤解を受けかねないものについては政務調査研究費の対象外とする旨の規定(例えば,会議費につき,会議に不向きな場所での打合せ等は対象外とすることなど)や,使途の明瞭性に配慮し,支出の内容に関して一定程度具体的な立証を求める旨の規定(例えば,宛名が会派又は議員名である領収書が必要であること,人件費については,勤務日や時間を記入し,出勤簿を備え,勤務内容を明確にすることなど)が置かれており,これらの規定を含め,本件注意事項等中に,地方自治法及び本件使途基準の趣旨に反するものとして不合理である点は見当たらない。
以上のような本件注意事項等の性格等からすると,原告において,政務調査研究費の支出について本件注意事項等を遵守しないものがあるという外形的事実を主張立証した場合にも,被告において当該支出が使途基準に適合するものであることに関する適切な主張立証を行わない限り,本件使途基準に適合しない支出であると認められると解するのが相当である。
ただし,本件注意事項等の定めには,政務調査研究費の使途内容に即して支出の範囲を画するための定めのほか,政務調査研究費の適切な執行の確保とその検証のための使途報告の方法等の定めなど,様々なものがあることからすると,政務調査研究費の支出について本件注意事項等を遵守しないものがあるという外形的事実を主張立証した場合に被告において必要となる適切な主張立証については,違反する本件注意事項等の定めの内容等に応じて,判断すべきことになる。例えば,政務調査研究費の使途内容に即して支出の範囲を画するための定めを遵守していないことが立証された場合には,被告において,当該支出が使途基準に従ったものであることを積極的,具体的に主張立証すべきことになるが,政務調査研究費の支出についての検証のための使途報告の方法についての定めが遵守されていないというような場合には,それによって当該支出が直ちに使途基準に違反するものであることが事実上推定されるとまではいえないから,被告において,検証のために必要な事実の主張立証を行えば足り,当該支出が本件使途基準に従ったものであることを積極的,具体的に立証する必要まではないものと解すべきである。
エ 以下において,上記の判断基準及び主張立証責任の所在を前提として,本件4会派について,本件各支出の違法性を個別に判断する。
(2)  Z1会派の政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)について
ア 会議費(Z1会派一覧表(会派)の番号1ないし22,Z1会派一覧表(E議員)の番号1ないし4,Z1会派一覧表(G議員)の番号1及び2)
(ア) 証拠(甲5の2,甲6の2,甲8の2,丙6の4頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,その会派及び所属議員において,Z1会派一覧表(会派)の番号1ないし22,Z1会派一覧表(E議員)の番号1ないし4,Z1会派一覧表(G議員)の番号1及び2の各「日付」欄の日に,各「内容」欄に記載されたホテルグランドパレス,グランドアーク半蔵門,第一ホテル,山の上ホテルにおいて,各「内容」欄に記載された人数が参加する会議を実施し,それぞれ同「金額(円)」欄記載の金員を食事代等を含む料金として支払って,これを政務調査研究費から支出したものと認めることができる。
なお,証拠(証人A・19頁以下,37頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,上記の会議において外部講師として被告を招いた際に,会費制ではないのに被告が一方的に5000円を置いていったということがあったものと認められるところ(証人A・19頁以下),原告は上記のように外部講師が金員を置いていったような場合には,当該金員に相当するZ1会派の政務調査費からの支出は認められないと主張する。しかし,上記のように外部講師が金員を置いていったからといって,Z1会派における会計処理として,その当否は別として,当該金員をもって必ず上記の会議費に充てるべきものとまではいえないのであって,Z1会派として上記の会議費を実際に支出している旨のA議員の供述(証人A・37頁以下)に照らし,Z1会派が当該金員に相当する会議費の支出をしていなかったと認めるには足りない。
(イ) 上記(ア)の各会議について,Z1会派は,議会の本会議や委員会での質問等に備え,会派又は所属議員において,千代田区長,千代田区教育長,他自治体議会議員等の外部講師を招いて勉強会を開催したものであると主張し,A議員もこれに沿う証言等をするところ(丙6の5頁,11頁,15頁,証人A・4頁,17頁以下),上記の主張及び証言等を前提とすると,上記(ア)の各会議について,その客観的な目的や性質に照らして議員の議会活動の基礎となる調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものとはいえない。
この点,原告は,上記(ア)の各会議が区役所に近いホテルで開催されていることや,朝8時から開催したとされていることをもって,ホテルで会議を実施する必要性がなかったと指摘するが,Z1会派は,ホテルを利用したのは,外部講師の立場を考慮し,また,区役所が開いていない時間帯に勉強会を開催することも多かったためであり,ホテルグランドパレスの利用が多いのは,区役所に近いためであると説明しており(丙6の6頁,証人A・4頁,16頁以下),会議の目的達成の上で関係者との会食等を要する場合や,当該会議を行う日時について通常の食事の時間帯以外の日程をとることが困難である場合もあり得ることや,本件使途基準における使途内容として1人当たり5000円を超えない飲食費を支出することが許容されていることを勘案すると,これらの場所における会合が,一概に会議に不向きな場所での打合せ等であるとか,飲食を主目的とするものであるということはできず,上記(ア)の各会議を区役所に近いホテルにおいて早朝から開始する必要性があるとしたことについても,Z1会派やその所属議員の判断が合理性を欠くものであるとまでは認められず,上記(ア)の会議費の支出が本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまではいえない。その他,上記の会議が実施された回数や頻度をもって,前記の会議費の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとはいえない。
また,原告は,一部の会議においては,Z1会派の所属議員が議員としての日常的な活動あるいは政党活動のために会議を行った可能性を否定できないところ,Z1会派が会議の中身について,これらの活動のためのものではなかったことを何ら具体的に主張立証しない以上,政務調査費から支出した上記(ア)の会議費のうちの2分の1については,調査研究活動以外の活動に支出した違法なものというべきであると主張するが,原告の主張は抽象的な疑いの域を出るものではなく,やはり,上記(ア)の会議費の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されているとはいえない。
さらに,証拠及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派が平成24年度に政務調査費から費用を支出した会議について,「定例会の対策会議」や「政策展望について」をテーマとしたものが含まれているものと認められるが(甲22),この事実をもって,平成23年度において政務調査研究費から支出した会議費に係る会議についても,上記のようなテーマとしたものが含まれているとまでは認め難いというべきである。
加えて,証拠及び弁論の全趣旨によれば,上記(ア)の会議には,千代田区の関係者が外部講師として招かれたものがあったものと認められるところ,千代田区の関係者が本件使途基準の定める「外部折衝」の「外部」に当たらないと解することはできないから,千代田区の関係者が会議の外部講師として招かれたことをもって,当該会議に係る会議費の支出が本件使途基準に適合しないものと認めることはできない。
(ウ) 次に,前記(ア)の各会議における参加人数と支払った料金からすると,一人当たりの金額は5000円を超えておらず,また,証拠(甲5の2,甲6の2,甲8の2)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)の会議費の支出に係る整理票には,本件注意事項等で記載するものと定められた「参加人数」や「会議内容」も記載されていたものと認めることができる。さらに,整理票において会議の目的とされた「地域情報交換」という記載についても,本件注意事項等の求める記載として不足していると認めることはできないし,仮に実際に行われた会議の内容が「地域情報交換」には完全に一致しないものであったとしても,実際,Z1会派において会議の内容が主張等されていることからすると,上記の不一致をもって,当該会議に係る会議費の支出が本件使途基準に適合しないものと認めることはできないというべきである。その他,前記(ア)の会議費の支出について,本件使途基準はもとより,本件注意事項等についても違反していると認めるに足りる証拠はないというべきである。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による会議費の支出が本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
イ 消耗品費(事務用品代)(Z1会派一覧表(会派)の番号77,79ないし92,Z1会派一覧表(E議員)の番号5,6,8ないしい12,14,15,Z1会派一覧表(A議員)の番号7)
(ア) 証拠(甲5の2,甲6の2,甲9の2,丙6の9頁以下,12頁,16頁,丙19,丙20)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,会派並びにE議員及びA議員において事務用品を購入し,Z1会派一覧表(会派)の番号77,79ないし92,Z1会派一覧表(E議員)の番号5,6,8ないし12,14,15,Z1会派一覧表(A議員)の番号7の各「日付」欄の日に,それぞれ同「金額(円)」欄記載の事務用品代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 証拠(丙6の9頁以下,12頁,16頁,丙19,丙20)及び弁論の全趣旨によれば,購入された上記(ア)の事務用品は,OPPフィルム封筒,CPPフィルム封筒,宛名シール,プリンターインク,宛名ラベル,スティックのり,ネームシール,ファイル,筆記用具,コピー用紙,ポストイット,蛍光ペン等であったと認められるところ,Z1会派は,上記の事務用品の一部は平成23年度に各区議会終了後などに定期的に計5回発行した議会報告(丙1ないし5)を郵送するため,その他は日々の調査研究活動のために,購入したものであると主張している。
そして,証拠及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派が平成23年度に政務調査研究費によって購入した上記(ア)の事務用品の一部は,平成23年度に各区議会終了後などに定期的に計5回発行した議会報告(丙1ないし5)を郵送することを目的として購入されたものであり(丙6の10頁,丙19,丙20),Z1会派が平成23年度に区民に送付した上記の議会報告は,会派として行った区議会での代表質問,一般質問の質疑内容や要望活動などの議会活動,会派としての区政に関する政策等を掲載するとともに,「あなたの声をお寄せください」として,区民からの区議会への要望・意見をFAXで送信してもらえるようになっているものと認められる。議会報告において会派及び所属議員が行う議会活動や区政に関する政策等を広く区民に広報することは,会派の活動をアピールするという政治活動としての意味合いを含み得るとしても,調査研究活動の前提となるものであって,調査研究活動としての意味合いを含む以上,その調査研究活動としての必要性は否定されるものではないし,これを前提として,区政に関する区民の意見を求めていることは,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るためのものであって,調査研究活動としての必要性を有するものと認められる。そうすると,「議会報告」を発行することが全体として調査研究活動に資するものと評価できる以上,その発行に要する経費は,調査研究活動に該当するものと認めるのが相当であり,この費用を政務調査研究費の部分に按分して支出すべきものであるとまでは認められない。
また,Z1会派が平成23年度に政務調査研究費によって購入したその余の事務用品についても,その性質上,調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものであるとまでは認められず,当該事務用品に係る政務調査研究費からの支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまではいえない。
この点,原告が指摘するように,Z1会派が平成23年度に政務調査研究費によって購入した事務用品代の総額は約132万円という多額に上っているほか,証拠(甲45)及び弁論の全趣旨によれば,購入されたポストイットと廃トナーボックス等も大量なものとなっているものと認められるものの,Z1会派が所属議員5人の会派であることを考慮しても,購入された事務用品が大量であるという事実をもって,平成23年度に政務調査費によって購入された事務用品が調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものであるとまでは認められず,上記(ア)の事務用品代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
また,原告が指摘するとおり,Z1会派が平成23年度に支出した議会報告の印刷費(甲27の1)と平成25年度に支出した議会報告の印刷費(甲27の2)が同程度であるのに対し,Z1会派が平成23年度に政務調査研究費から支出した事務用品代と平成25年度に政務調査研究費から支出した事務用品代との間に,金額の違いがあったとしても(甲24),証拠及び弁論の全趣旨によれば,全ての年度において,全ての事務用品費が政務調査研究費から支出されていたというわけではなく,年度によって事情により計上しなかったり,年度途中から別の費目に計上したりすることもあるほか,平成25年度には購入した議会報告送付用の封筒の値段が下がったという事情もあったものと認められるから(丙6の3頁以下,10頁,証人A・2頁,証人A・35頁),上記の年度ごとに政務調査研究費から支出された事務用品代の金額に差異があることをもって,上記(ア)の平成23年度に政務調査研究費からの支出によって購入された事務用品について,調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものであるとまでは認められず,前記(ア)の事務用品代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまではいえない。
さらに,平成23年度に政務調査費からの支出によって購入された前記(ア)の事務用品の一部について,調査研究活動以外に使用するために購入された可能性があるとしても,具体的にどの範囲の事務用品が調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものであるのかは明らかではなく,政務調査研究費が本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとはいえない。このような場合において,一定の割合を使途基準に違反する違法なものとして返還すべきとする法令上の根拠はなく,上記(ア)の事務用品代の支出について,これが単に通常想定されるよりも大量であるということをもって,一部の支出又は一定割合の支出が本件使途基準に適合しないものであることを示す一般的,外形的な事実が立証されたとすることはできないというべきである。
(ウ) 本件注意事項等では,消耗品費について,購入品名を記載することと,領収書に購入物品の内訳を記載することが定められているところ,証拠(甲5の2,甲6の2,甲9の2)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派による前記(ア)の消耗品費(事務用品代)の支出については,千代田区議会に提出された整理票において,購入品名は明らかにされておらず,領収書に購入物品の内訳が記載されていなかったものと認められる。しかしながら,本件注意事項等の上記の定めは,使途報告の方法に関するものであり,政務調査研究費の支出の検証を可能とするためのものにすぎないところ,本訴訟においては,Z1会派において,購入した事務用品の具体的な購入品名や明細が明らかにされていることからすると(丙19,丙20),中間報告書及び決算報告書の整理票において購入品名や明細が明らかにされていないことを理由として,前記(ア)の事務用品代の支出が直ちに違法なものと推認されるとか,政務調査研究費が本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による消耗品費(事務用品代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
ウ 通信費(切手代,はがき代)(Z1会派一覧表(会派)の番号23,24,Z1会派一覧表(F議員)の番号1ないし8,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし6,Z1会派一覧表(H議員)の番号1ないし5)
(ア) 証拠(甲5の2,甲7の2,甲8の2,甲9の2,甲10の2,丙6の6頁以下,14頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,会派,F議員,G議員,A議員及びH議員において,Z1会派一覧表(会派)の番号23,24,Z1会派一覧表(F議員)の番号1ないし8,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし6,Z1会派一覧表(H議員)の番号1ないし5の各「日付」欄の日に切手やはがきを購入し,それぞれ同「金額(円)」欄記載の切手代やはがき代を政務調査研究費から通信費として支出したものと認められる。
(イ) Z1会派が会派又は所属議員において支出した平成23年度の切手代及びはがき代は,1通当たり,封書80円,はがき50円として計算すると,合計で約3万通分(うちはがき3600通)の郵便料金に相当する大量なものであるところ,かかる切手の購入につき,Z1会派は,議会報告を郵送するために購入したものであると主張し,A議員もこれに沿う証言等をする(丙6の6頁以下,14頁以下,証人A・4頁以下)。
しかしながら,証拠(証人A・25頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,平成23年度のZ1会派の議会報告は,平成23年6月16日頃,同年8月17日頃,同年11月1日頃,同年12月27日頃及び平成24年2月20日頃にそれぞれ発行され,送付されていることが認められる一方,証拠(甲5の2,甲7の2,甲8の2,甲9の2,甲10の2)によれば,上記(ア)の切手については,必ずしもこれらの議会報告の発行あるいは送付の時期に近接した時期に購入されているわけではない。すなわち,確かに,Z1会派一覧表(会派)の番号23及び24,Z1会派一覧表(F議員)の番号2ないし5,7及び8,Z1会派一覧表(A議員)の番号5,Z1会派一覧表(H議員)の番号2ないし4の切手については,上記議会報告の発行時期と整合し得る時期に購入されているといえるものの,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11の切手については,その購入時期が平成23年6月から平成24年2月までの各月末であり,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし4の切手については,その購入時期が平成23年5月から同年8月までの各月末であることが認められ,その購入時期等からすれば,これらの切手の購入は議会報告の送付とは関係なく購入されたものであることがうかがわれるほか,同番号6の切手についても,議会報告は,その性質上,発行後速やかに送付されることが通常であると解されるにもかかわらず,平成23年度の最後の議会報告が発行された時期よりも約2週間も後である平成24年3月8日に1000枚の80円切手が購入されていることからすれば,これも議会報告の送付とは関係なく購入されたものと認めるのが相当であり,少なくとも,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし4及び6の切手については,議会報告の郵送のために購入したというZ1会派の主張は直ちに信用することができないというべきである。そうすると,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし4及び6の切手の購入については,上記のような本件におけるZ1会派の主張立証の状況をも踏まえると,上記各切手の購入の時期等に係る外形的事実をもって,それらの購入に係る支出が本件使途基準に適合しないことが一応推認されるというべきである。
A議員は,1回に郵送する議会報告は約1万部であり,上記各切手をその郵送のために用いた旨証言等するが(丙6の6頁以下,14頁以下,証人A・26頁),同証言等によっても上記各切手の購入時期等の外形的事実について合理的な説明がされているものとはいえず,その他,上記推認を覆すに足りる証拠はない。
一方,Z1会派は,はがき代について,購入した議員がはがき版の議会報告を送付するために購入したと主張し,A議員もこれに沿う証言等をするところ(証人A・39頁),原告が指摘する平成24年度以降に議会報告を行ったはがき代が政務調査費から支出されていないという点を考慮したとしても,Z1会派の所属議員が政務調査費から支出せずに購入したはがきによる議会報告を行っている可能性もあるのであるから,平成24年度以降に政務調査費から議会報告のためのはがき代が支出されていないという事実をもって,上記(ア)のはがき代の支出が本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による通信費(切手代,はがき代)の支出のうち,Z1会派一覧表(G議員)の番号3ないし11,Z1会派一覧表(A議員)の番号1ないし4及び6に係る切手代の支出については,本件使途基準に適合しない違法なものと認めるのが相当である。
エ 他の項目に属さない経費(新聞折り込み代)(Z1会派一覧表(会派)の番号25ないし76)
(ア) 証拠(甲5の2,丙6の8頁以下,丙8ないし18)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,会派において,Z1会派一覧表(会派)の番号25ないし76の各「日付」欄の日に,それぞれ同「金額(円)」欄記載の新聞折り込み代を政務調査研究費から通信費として支出したものと認められる。
この点,原告は,上記の新聞折り込み代に係る整理票に添付された領収書(甲5の2)の体裁や平成24年度以降の新聞折り込み代については1通の領収証しか存在しないことを問題として,上記の新聞折り込み代の支出自体に疑問を呈するようでもある(甲43)。しかしながら,Z1会派は,上記の新聞折り込み代について,関口新聞舗を窓口として千代田区内を配達区域とする各販売店に持ち込むことにより,直接各販売店に持ち込む場合よりも当時25%割安になっており,整理票に添付した新聞折り込み代に係る領収書は,窓口となった関口新聞舗において,事前に宛名,金額,内容を記載した領収書を用意し,折り込み物及び代金とともに各販売店に持ち込み,各新聞販売店で部数等を確認してもらって押印を受けたものを受領したものであると主張し,A議員もこれに沿う証言等をしており(丙6の9頁,証人A・6頁以下,32頁以下),上記の主張及び証言等は相応の合理性を有することからすると,原告の指摘する上記の領収書の体裁等は,上記認定のZ1会派による平成23年度の新聞折り込み代の支出を覆すに足りるものではないというべきである。
(イ) 証拠(丙1ないし4,丙6の9頁以下,証人A・6頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,上記(ア)の新聞折り込み代は,議会報告(丙1ないし4)を新聞折り込みによって千代田区民に配布するために支出したものであると認められるところ,この議会報告の送付に係る費用が調査研究活動と合理的関連性を欠くものとは認められず,かつ,按分すべきものとは認められないことは,前記イ(イ)で説示したとおりである。その他,上記(ア)の新聞折り込み代が本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
(ウ) 本件規則は,中間報告書及び決算報告書に,支出の内容を明らかにする領収書等の原本を添付するものとする旨規定し,本件注意事項等では,領収書又は会派会計責任者の支払証明書のないものは,支出の証明ができないため,政務調査研究費として支出することはできず,領収書の宛名が会派や議員名と違うものは,政務調査研究費として支出することはできないとされているところ,証拠(甲5の2)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派の新聞折り込み代に係る整理票には,Z1会派を名宛人とする各新聞販売店の領収書が添付されており,これが客観的な新聞折り込み代の支払を反映したものであることは,前記(ア)で説示したとおりであるから,領収書等の原本が提出されていないという原告の主張を採用することはできない。
また,本件注意事項等は,所定の費目に属さない支出(「他の項目に属さない経費」)について,「理由と内容を記載すること」と定めているところ,Z1会派は新聞折り込み代の支出について「理由と内容」の記載をしていなかったものの,前記認定のとおり,千代田区が保有している千代田区議会政務調査研究費会計整理票の原本には,議会報告書印刷費の会計整理票と新聞折り込み代の会計整理票の間(甲5の2・整理番号00011と00012~00024の間,00039と00040~00052の間,00066と00067~00079の間,00090と00091~00103の間)に議会報告(丙1ないし4)がそれぞれ添付されていたものと認めることができるし,本訴訟においても,議会報告の新聞折り込み代であることも明らかにしていることからすると,整理票における「理由と内容」の記載が不十分であったとしても,前記(ア)の新聞折り込み代が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による他の項目に属さない経費(新聞折り込み代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
オ 交通費(地下鉄回数券代)(Z1会派一覧表(F議員)の番号10ないし50,Z1会派一覧表(G議員)の番号12ないし17,Z1会派一覧表(H議員)の番号6ないし17)
(ア) 証拠(甲7の2,甲8の2,甲10の2,丙6の14頁以下,丙22,丙23)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,F議員,G議員及びH議員において,Z1会派一覧表(F議員)の番号10ないし50,Z1会派一覧表(G議員)の番号12ないし17,Z1会派一覧表(H議員)の番号6ないし17の各「日付」欄の日に地下鉄回数券を購入し,それぞれ同「金額(円)」欄記載の地下鉄回数券代を政務調査研究費から交通費として支出したものと認められる。
(イ) Z1会派は,上記(ア)の地下鉄回数券について,上記(ア)の各所属議員の調査研究活動のために使用したものであると主張し,A議員もこれに沿う証言等をしているところ(丙6の14頁以下,証人A・24頁以下),まず,Z1会派がF議員,G議員及びH議員において購入した地下鉄数回数券について,原告が指摘するように相当大量なものである上,証拠(甲28)及び弁論の全趣旨によれば,上記各議員の自宅と区役所の間の運賃と一致しているものと認められるほか,地下鉄回数券が調査研究活動以外の活動に容易に流用することができるものであることは確かである。もっとも,F議員及びG議員が購入した地下鉄回数券については,本訴訟において,Z1会派により,これらを利用した際の乗降地と用務等が明らかされていることからすると(丙22,丙23),明らかにされた乗降地等について誤りが含まれている可能性があることを考慮しても(証人A・23頁),原告が指摘する購入された地下鉄回数券が大量であることをもって,上記の地下鉄回数券の全部又は一部が調査研究活動以外に使用されたと推認することもできず,上記地下鉄回数券の全部又は一部が,調査研究活動との間の合理的関連性を欠くことを推認させる一般的,外形的な事実の立証がされたとまでは認め難いというべきである(なお,原告は,調査研究活動のためであったとしても日常的な交通機関の利用については一律に禁止されていると主張するが,本件使途基準の交通費の支出に関して,そのような明確な定めがない以上,原告の主張するような利用が直ちに本件使途基準に適合しないものになるとは解されない。)。
他方で,本件注意事項等では,交通費について,交通機関の利用の場合は乗降地及び目的を記載することが定められているところ,H議員が購入した地下鉄回数券については,証拠(甲7の2,甲8の2,甲10の2)及び弁論の全趣旨によれば,整理票において,乗降地が記載されておらず,目的の記載が単に「情報収集」とされていたものと認められる。そして,H議員が購入した地下鉄回数券については,本訴訟においても,本件注意事項等において記載が必要とされる具体的な乗降地や目的が全く明らかにされていないことからすると,その支出について,本件使途基準に適合するものとは認められないというべきである。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による地下鉄回数券代の支出のうち,H議員の地下鉄数回数券代の支出(Z1会派一覧表(H議員)の番号6ないし17)は,本券使途基準に適合しない違法なものと認めるのが相当である。
カ 消耗品費(シュレッダー代)(Z1会派一覧表(会派)の番号78)
(ア) 証拠(甲5の2,丙6の10頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,会派において,Z1会派一覧表(会派)の番号78の「日付」欄の日にシュレッダーを購入し,同「金額(円)」欄記載のシュレッダー代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 原告は,調査研究活動のためにシュレッダーの購入が必要になるとは考えられないと主張するが,調査研究活動で取得した文書をシュレッダーで細断した上で廃棄するという場合があり得ることを否定することはできないというべきである。そして,証拠(丙6の11頁,証人A・1頁)及び弁論の全趣旨によれば,千代田区議会の議会事務局とコピー室にもシュレッダーが設置されているものと認められるものの,この事実を考慮したとしても,Z1会派において,会派ないし議員控室においてシュレッダーが必要であると判断したことが合理性を欠くものであるとまでは認められないというべきである(証人A・7頁)。
そして,上記のとおり,シュレッダーが調査研究活動に必要なものと認められる以上,仮に購入したシュレッダーが調査研究活動以外に用いられるということがあったとしても,その使用割合に応じて購入費用を按分することまでは必要ないものと認められる。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による消耗品費(シュレッダー代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
キ 消耗品費(パソコン代)(Z1会派一覧表(E議員)の番号7,13)
(ア) 証拠(甲6の2,丙6の12頁以下,丙21)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,E議員において,Z1会派一覧表(E議員)の番号7,13の各「日付」欄の日に,各1台(計2代)のパソコンを購入し,それぞれ代金の半額である同「金額(円)」欄記載のパソコン代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 一般的に,パソコンは調査研究活動に有用かつ必要な物品であると認められるところ,証拠(甲44の1及び2,乙77)及び弁論の全趣旨によれば,E議員は,千代田区議会から,平成16年4月にノートパソコン1台(FMVNB55G。富士通が平成16年1月に一般向けに売り出した製品。OSはウィンドウズXPであり,CPU(Mobile Celeron2.2GHz),メモリ(256MB),ハードディスク容量(60GB)を備えている。)の,平成17年5月にノートパソコン1台(FMVNB50K。富士通が平成17年1月に売り出した製品。OSはウィンドウズXPであり,CPU(Celeron M350 1.3GHz),メモリ(256MB),ハードディスク容量(60GB)を備えている。)の,各貸与を受けているものと認められるものの,上記の各パソコンは上記(ア)の各支出の時点でいずれも発売から6年以上が経過したものであったことなどに鑑みると,効率的な調査研究活動のために新たなパソコンが必要であると判断したことが合理性を欠くものであるとまでは認められず,上記のパソコンの各貸与を受けていることをもって,上記(ア)の各パソコン代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
なお,原告は,調査研究活動のために2台のパソコンを購入する必要性はないと主張するが,Z1会派は,Z1会派一覧表(E議員)の番号7のパソコンは,議員控室用のノートパソコンであり,本会議や委員会における資料,質問の調査,作成,情報の管理に使用しており,同番号13のパソコンは,ノートパソコン型のタブレット端末であり,自宅事務所用として,入力した情報を現地で使用したり,現地での情報入力,写真撮影に使用したりしていると主張し,A議員もこれに沿う証言等しているところ(丙6の12頁以下,証人A・1頁),このようなパソコンの使用方法が効率的な調査研究活動のために必要であると判断をしたことが合理性を欠くものであるとまでは認められないというべきである。
そして,上記のとおり,パソコンの購入について,調査研究活動に必要なものと認められる以上,仮に購入したパソコンが一部調査研究活動以外の用途にも用いられたとしても,その使用割合に応じて,当該パソコンのために支出する政務調査研究費を按分する必要まではないものと認められる。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による消耗品費(パソコン代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
ク 消耗品費(携帯電話端末代)(Z1会派一覧表(F議員)の番号9)
(ア) 証拠(甲7の2,丙6の14頁)及び弁論の全趣旨によれば,Z1会派は,F議員において,Z1会派一覧表(F議員)の番号9の「日付」欄の日に,携帯電話端末を購入し,同「金額(円)」欄記載の携帯電話端末代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 原告は,携帯電話は議員としての日常的な活動のために使用するものであって,これを調査研究活動の必要に基づくものと認める余地はないと主張するが,平成23年の時点においても,調査研究活動に携帯電話端末を使用することは十分に想定されるところであり,効率的な調査研究活動に携帯電話端末が必要であると判断したこと(丙6の14頁)が合理性を欠くものであるとまでは認められないから,上記(ア)の携帯電話端末代の支出について,本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ1会派による消耗品費(携帯電話端末代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
ケ 小括
以上によれば,Z1会派の平成23年度の政務調査研究費の支出のうち,通信費(切手代)として支出した80万1000円及びH議員が交通費として支出した地下鉄回数券代合計2万0400円については,本件使途基準に適合しない違法な支出と認めるのが相当であるから,Z1会派は,上記金員に相当する82万1400円を千代田区に対して返還すべき義務を負う。
そして,本件条例及び本件規則の下においては,議員又は会派が政務調査研究費の交付を受けたが,それを本件使途基準に適合しない支出に充てた場合,当該支出に係る経費の全額を返還する義務が生じるとされており(本件条例15条2項,3項),議員又は会派は,政務調査研究費を,本件使途基準に適合する範囲内で支出することを前提として受領することができるとされている。そして,千代田区議会は,政務調査研究費が使途基準に沿って適正に執行されるよう本件注意事項を申し合わせるなどして,その内容が議員及び会派に周知されている。このような本件条例等の趣旨と運用からすれば,議員又は会派は,支出が本件使途基準に適合しない場合や,その場合に返還金が生じることを十分に認識しているものというべきである。そうすると,政務調査研究費を受領したが,その支出につき本件使途基準に適合すると認められない場合には,当該会派又は議員は,本件使途基準に適合しない支出ではないとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り,民法704条の「悪意の受益者」であると推定されると解するのが相当である(最高裁平成17年(受)第1970号同19年7月13日第二小法廷判決・民集61巻5号1980頁参照)。しかるに,Z1会派の主張立証の状況等によれば,上記の特段の事情があるとは認め難く,遅くとも,Z1会派は,平成23年度の政務調査研究費に係る決算報告書提出日の後である平成24年4月21日から前記不当利得額に対する法定利息の返還義務も負っているものと認めることができる。
(3)  Z2会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)について
ア 消耗品費(プリンター代)(Z2会派一覧表(会派),Z2会派一覧表(C議員))
(ア) 証拠(甲12,甲14の2,甲40の1及び2,甲41)及び弁論の全趣旨によれば,Z2会派は,会派において,Z3会派と共同でレーザープリンター(甲41)を購入し,Z2会派一覧表(会派)の「日付」欄の日(平成24年1月24日)に,同「金額(円)」欄記載のプリンター代を政務調査研究費から消耗品費として支出し,C議員において,Z2会派一覧表(C議員)の「日付」欄の日(同月22日)に小型のインクジェットプリンターを購入し,同「金額(円)」欄記載のプリンター代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 証拠(甲14の2,丁5の3頁,証人J・19頁)及び弁論の全趣旨によれば,上記(ア)の2台のプリンターは,いずれも,Z2会派の議員控え室に設置されていたものと認められるところ,Z2会派が二人会派であることや購入時期が近接していることのほか,証拠及び弁論の全趣旨によれば区政報告が外注の印刷に回されているものと認められること(甲33)を考慮しても,効率的な調査研究活動のために,他会派であるZ3会派と共用のレーザープリンターのほか,更に1台の小型のインクジェットプリンターが必要であると判断したことが合理性を欠くものであるとまでは認められず,上記(ア)の各プリンターの購入について,本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。また,原告はZ2会派が平成23年度に政務調査研究費によって購入したコピー用紙の量が少ないとして,上記(ア)の各プリンターを購入する必要性に疑問があるとするが,Z2会派において使用するコピー用紙が政務調査研究費によって購入されたものに限られるわけでもないし,原告の指摘するコピー用紙の購入量をもって,上記(ア)の各プリンターの購入について,その必要性がなかったことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
また,上記のとおり,プリンターの購入について,調査研究活動に必要なものと認められる以上,仮に購入したプリンターが一部調査研究活動以外の用途にも用いられたとしても,当該プリンターのために支出する政務調査研究費を按分する必要はないものと認められる。
(ウ) 本件使途基準では,パソコン,プリンター,ファクシミリ,カメラ,事務機器など1物品が10万円以上の物品に係る経費は備品費とされており,本件注意事項等では,備品費に関し,備品台帳を備えること,備品の償却年数は4年とすることが定められているものの,前記(ア)のレーザープリンターは,Z3会派と共同で購入されており,Z3会派の支出は10万円に満たなかったことからすると,上記のレーザープリンター代が本件使途基準の定める備品費に当たるものとは断じ難く,Z2会派が上記のレーザープリンターについて備品台帳を備えていなかったり,減価償却をしていなかったりしたとしても,本件注意事項等に違反するとは認められない。
また,本件規則は,中間報告書及び決算報告書に支出の内容を明らかにする領収書等の原本を添付するものとする旨規定し,本件注意事項等では,領収書又は会派会計責任者の支払証明書のないものは,支出の証明ができないため,政務調査研究費として支出することはできないと規定しているところ,証拠(甲12)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)のレーザープリンター代の支出に係る整理票には,領収書の添付がなく,金員の振込に係る「ご利用明細」が添付されていたものと認められるものの,上記の本件規則及び本件注意事項等の規定は,政務調査研究費としての支出という事実の客観性を担保することを目的とするものであり,本件規則の規定では,添付すべきものは領収書「等」とされており,本件注意事項等でも,その全般事項の部分で「領収書又は会派会計責任者の支払い証明書」と記載されていることからすると,前記(ア)のレーザープリンター代の支出については,金員の支払の事実についての十分な証明力を有する上記の「ご利用明細」が添付されているのであるから,領収書の添付がないことをもって,本件規則又は本件注意事項等の上記規定に違反しているとはいえないというべきである。
さらに,本件注意事項等では,消耗品費について,購入品名を記載することが定められているところ,証拠(甲12)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)の会派においてZ3会派と購入したレーザープリンターに係る整理票には,その具体的な製品名が記載されていなかったものと認められるものの,上記の本件注意事項等の定めは,使途報告の方法に関する定めであり,政務調査研究費の支出の検証を可能とするためのものにすぎないところ,本訴訟係属後に上記のレーザープリンターの具体的な製品名が明らかにされていることからすると(甲40の1及び2),整理票に購入品名が記載されていなかったことを理由として,前記(ア)のレーザープリンター代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ2会派による消耗品費(プリンター代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
イ 消耗品費(TELカバー代)(Z2会派一覧表(I議員))
(ア) 証拠(甲13の2)及び弁論の全趣旨によれば,Z2会派は,I議員において,Z2会派一覧表(I議員)の「日付」欄の日に携帯電話端末(iPhone)用のTELカバーを購入し,同「金額(円)」欄記載のTELカバー代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 原告は,調査研究活動のために携帯電話端末のカバーが必要になるとは考え難いと主張するが,平成23年の時点においても,調査研究活動に携帯電話端末を使用することは十分に想定されるところであり,効率的な調査研究活動に携帯電話端末が必要であると判断したことが合理性を欠くものであるとまでは認められないところ,上記(ア)のTELカバーに係る携帯電話端末について,調査研究活動との間に合理的関連性を欠くことを推認させる一般的,外形的な事実の立証は立証されておらず,そうすると,TELカバーの購入についても,本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
(ウ) 本件注意事項等では,消耗品費については「購入品名」を記載すべきものとされているところ,証拠(甲13の2)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)のTELカバー代に係る整理票には,「TELカバー(Iphon)」と記載されていただけで,具体的な製品名が記載されていなかったものと認められるものの,本件注意事項等が購入品名を記載するものとした趣旨が当該支出の本件使途基準適合性の判断の便宜のためであるものと解されることからすると,上記の程度の品名記載と支出金額が明らかになれば,本件注意事項等の求める「購入品名」の記載として不足していると認めることはできず,この記載をもって支出自体を違法と認めることはできないというべきである。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ2会派による消耗品費(TELカバー代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
ウ 小括
以上によれば,Z2会派による平成23年度の政務調査研究費の支出は違法なものとは認められない。
(4)  Z3会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)について
ア 消耗品費(プリンター代)(Z3会派一覧表(J議員)の番号3ないし5)
(ア) 証拠(甲16の2,甲40の1及び2,甲41,丁5の3頁)及び弁論の全趣旨によれば,Z3会派は,J議員において,Z2会派と共同でレーザープリンター(甲41)を購入し,Z3会派一覧表(J議員)の番号3の「日付」欄の日に同「金額(円)」欄記載のプリンター代を政務調査研究費から消耗品費として支出したほか,計2台の補助的なプリンターを購入し,それぞれ,Z3会派一覧表(J議員)の番号4及び5の各「日付」欄の日に同「金額(円)」欄記載のプリンター代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 証拠(丁5の3頁,証人J・3頁,20頁)及び弁論の全趣旨によれば,上記(ア)のレーザープリンターはZ2会派の議員控え室に設置され,同じく補助的な2台のプリンターはいずれもZ3会派の議員控え室に設置されていたものと認められるところ,Z3会派が二人の会派であること,証拠及び弁論の全趣旨によれば区政報告が外注の印刷に回されているものと認められること(甲32)を考慮しても,効率的な調査研究活動のために,他会派であるZ2会派の議員控え室に設置された共用のレーザープリンターのほかに,所属議員に各1台の補助的なプリンターが必要であると判断したこと(丁5の3頁以下,証人J・3頁以下,10頁以下,17頁以下)が合理性を欠くものであるとまでは認められず,上記(ア)の各プリンターの購入について,本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。また,上記(ア)の各プリンターの購入時期が近接していることは確かであるが,この点については,Z3会派により,キャノンのタイ工場が平成23年10月の洪水の被害で操業を停止していた時期があり,その間,プリンターの出荷が停止され,納入と支払時期が遅れたためであると説明されており(丁2,証人J・17頁以下),この説明には相応の合理性が認められることからすると,上記の各プリンターの購入時期を考慮しても,上記(ア)のプリンター代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。原告はZ3会派が平成23年度に政務調査研究費によって購入したコピー用紙の量が少ないとして,上記(ア)の各プリンターを購入する必要性に疑問があるとするが,Z3会派において使用するコピー用紙が政務調査研究費によって購入されたものに限られるわけでもないし,原告の指摘するコピー用紙の購入量をもって,上記(ア)の各プリンターの購入について,その必要性がなかったことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
また,上記のとおり,プリンターの購入について,調査研究活動に必要なものと認められる以上,仮に購入したプリンターが一部調査研究活動以外の用途にも用いられたとしても,当該パソコンのために支出する政務調査研究費を按分する必要はないものと認められる。
(ウ) Z2会派と共同で購入した前記(ア)のレーザープリンター代が本件使途基準の定める備品費に当たるものとは断じ難く,Z3会派が上記のレーザープリンターについて備品台帳を備えていなかったり,減価償却をしていなかったりしたとしても,本件注意事項等に違反するとは認められないことは,前記(3)ア(ウ)で説示したのと同様である。
また,証拠(甲16の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件使途基準の定める消耗品費の支出に当たる前記(ア)の各プリンターの支出に係る整理票には,領収書の添付がなく,金員の振込に係る「ご利用明細」が添付されているだけであったものと認められるものの,前記(3)ア(ウ)で説示したとおり,金員の支払の事実についての十分な証明力を有する上記の振込明細書の添付がされていることからすると,領収書の添付がないことをもって,本件規則又は本件注意事項等の規定に違反しているとはいえないというべきである。
さらに,本件注意事項等では,消耗品費について,購入品名を記載することが定められているところ,証拠(甲16の2)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)のJ議員においてZ2会派と共同で購入したレーザープリンターに係る整理票には,その製品名が記載されていなかったものと認められるものの,上記の本件注意事項等の定めは,使途報告の方法に関する定めであり,政務調査研究費の支出の検証を可能とするためのものにすぎないところ,本訴訟係属後に具体的な製品名が明らかにされていることからすると(甲40の1及び2),整理票に具体的な購入品名が記載されていなかったことを理由として,前記(ア)のレーザープリンター代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
一方,証拠(甲16の2)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)のJ議員において購入した2台の補助的なプリンター代の支出に係る整理票には,その具体的な購入品名が記載されておらず,領収書においてキャノンというメーカーしか明らかでなかったものと認められるものの,上記のメーカーと支出金額が明らかになれば,本件注意事項等が購入品名を記載するものとした趣旨に照らして,本件注意事項等の求める「購入品名」の記載として不足していたとはいえず,当該支出自体を違法と認めるべき根拠はないというべきである。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ3会派による消耗品費(プリンター代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
イ 消耗品費(デスクトップパソコン代,ノートパソコン代)(Z3会派一覧表(会派),Z3会派一覧表(J議員)の番号1)及び備品費(ノートパソコン代)(Z3会派一覧表(B議員))
(ア) 証拠(甲15,甲16の2,甲17の2,甲36,甲40の1及び2,甲47,甲48,丁5の3頁)及び弁論の全趣旨によればZ3会派は,J議員において,Z3会派一覧表(J議員)の番号1の「日付」欄の日にノートパソコン(甲47)を購入し,「金額(円)」欄記載のパソコン代を政務調査研究費から消耗品費として支出し,同会派において,Z2会派と共同でデスクトップパソコン(甲36,甲40の2)を購入し,Z3会派一覧表(会派)の「日付」欄の日に同「金額(円)」欄記載のパソコン代を政務調査研究費から消耗品費として支出し,B議員において,Z3会派一覧表(B議員)の「日付」欄の日にノートパソコン(甲48)を購入し,同「金額(円)」欄記載のパソコン代を政務調査研究費から備品費として支出したものと認められる。
(イ) 一般的に,パソコンは調査研究活動に有用かつ必要な物品であると認められるところ,証拠(甲44の1及び2,乙77)及び弁論の全趣旨によれば,千代田区議会から,B議員は平成16年2月にノートパソコン1台(FMVNB55G。富士通が平成16年1月に一般向けに売り出した製品。OSはウィンドウズXPであり,CPU(Mobile Celeron2.2GHz),メモリ(256MB),ハードディスク容量(60GB)を備えている。)の,平成17年5月にノートパソコン1台(FMVNB50K。富士通が平成17年1月に売り出した製品。OSはウィンドウズXPであり,CPU(Celeron M350 1.3GHz),メモリ(256MB),ハードディスク容量(60GB)を備えている。)の,J議員は平成23年5月にノートパソコン1台(FMVNB55G)の,各貸与を受けているものと認められるところ,上記の各パソコンは上記(ア)の支出の時点でいずれも発売から少なくとも6年以上が経過したものであったことに鑑みると,効率的な調査研究活動のために千代田区議会から貸与されるノートパソコンではなく所属議員に新たなノートパソコンが各1台必要であると判断したこと(丁5の3頁,5頁,証人J・1頁以下,4頁以下,11頁以下)が合理性を欠くものであるとまでは認められず,上記の各パソコンの貸与を受けていることをもって,上記(ア)の各ノートパソコン代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
なお,原告は,B議員が,ノートパソコンの購入後間もなくiPadを購入していることから,ノートパソコンの購入自体が不要だったのではないかと指摘するが,iPadとノートパソコンとでは,その形状と用法が異なることからすると,iPadを購入したからノートパソコンが直ちに不要であるとまでは認められず,B議員において,ノートパソコンとiPadの双方が調査研究活動に必要であると判断したことが合理性を欠くものであるとまでは認められない。また,原告は,Z3会派が平成24年度に他のパソコン関連の支出をしていることや(甲32),J議員が,本訴訟で提出した陳述書(丁5)において,「パソコンやプリンター等のインフラ整備」という表現をしていることをもって,上記(ア)の各パソコンの購入が調査研究活動に関連しないものであると主張するが,一方で,J議員は,上記の陳述書において,「パソコンやプリンター等のインフラ整備は調査研究活動をするにあたり極めて重要であるといえます。」としているし,上記のパソコン関連の支出等を勘案しても,上記(ア)の各パソコン代の支出が本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
さらに,原告は,調査研究活動のために所属議員各1台のパソコンに加えて,会派用の共用のデスクトップパソコンの必要性は認められないと主張するが,Z3会派は,上記(ア)のデスクトップパソコンについて,会派としてのデータ管理等に使用するために購入したものであって,会派共有の情報や様々な学術的な資料,区の情報等を管理し,所属議員が保有するノートパソコンからアクセスすることができるようにしていたとか,個人情報保護の観点から,これらの個人情報についてはデスクトップパソコンで管理していたとか,ノートパソコンでは,落下によるデータ破損等のおそれも高く,この点でもノートパソコンとは別途デスクトップパソコンを利用することの必要性は高かったと主張し,J議員もこれに沿う証言等をしているところ(丁5の4頁,証人J・13頁),原告が指摘するように,データ管理や「個人情報の別管理」,バックアップのためであれば,保有する2台のパソコン間で相互にバックアップすれば足りるし,それが面倒であるとしてもバックアップ用のUSBメモリーやハードディスクを購入するか貸与パソコンを利用すれば足りるとも考えられるものの,Z3会派において,上記のような理由により,調査研究活動のために所属議員の各1台のノートパソコンに加えて共用のデスクトップパソコンが必要であると判断したことが明らかに合理性を欠くものであるとまでは認められないというべきである。
その他,上記のとおり,上記(ア)の各パソコンについて,調査研究活動に必要なものと認められる以上,仮に購入したパソコンが一部調査研究活動以外の用途にも用いられたとしても,その使用割合に応じて,当該パソコンのために支出する政務調査研究費を按分する必要はないものと認められる。
(ウ) B議員において購入した前記(ア)のノートパソコンの購入に係る経費は,10万円を超えるため,備品費に当たるものと認められるところ,Z3会派が上記のノートパソコンについて備品台帳を備えていなかったとは認められないし,仮に減価償却をしていなかったとしても,ノートパソコン代の支出自体の調査研究活動と合理的関連性自体が否定されるというわけではなく,減価償却の有無をもって,前記(ア)のB議員の購入したノートパソコンの支出が本件使途基準に適合しない違法なものであるとまではいえないというべきである。
また,本件注意事項等では,消耗品費について,購入品名を記載することが定められているところ,証拠(甲15)及び弁論の全趣旨によれば,Z3会派が会派において購入した前記(ア)のデスクトップパソコンに係る整理票には,「PC」とは記載されているだけで,具体的な製品名は記載されていなかったものと認められるものの,本訴訟係属後に上記のデスクトップパソコンの具体的な製品名が明らかにされていることからすると(甲40の1及び2),整理票において具体的な購入品名が記載されていなかったことをもって,前記(ア)のデスクトップパソコン代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
また,証拠(甲16の2,甲17の2)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)のJ議員において購入したノートパソコンとB議員において購入したノートパソコンについても,整理票には「ノートパソコン」と記載されているだけで,具体的な製品名の記載がされていなかったものと認められるものの,一方で,添付された領収書には,メーカーと型番が記載されていたことからすると,上記の各ノートパソコン代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。
さらに,証拠(甲15)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)のデスクトップパソコンの支出に係る整理票には,領収書の添付がなく,金員の振込に係る「ご利用明細票」が添付されているだけであったものと認められるものの,前記(3)ア(ウ)で説示したとおり,金員の支払の事実についての十分な証明力を有する上記の「ご利用明細票」が添付されていることからすると,領収書の添付がないことをもって,本件規則又は本件注意事項等の規定に違反しているとはいえないというべきである。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ3会派による消耗品費(パソコン代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
ウ 消耗品費(スキャナー代)(Z3会派一覧表(J議員)の番号2)
(ア) 証拠(甲16の2)及び弁論の全趣旨によれば,Z3会派は,J議員において,Z3会派一覧表(J議員)の番号2の「日付」欄の日にスキャナーを購入し,同「金額(円)」欄記載のスキャナー代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) スキャナーは,そのOA機器としての通常の用途に鑑みて,情報の集約や管理等の調査研究活動に使用する場合があるというべきであり,Z3会派において調査研究活動にスキャナーが必要であると判断したことが合理性を欠くものであるとまでは認められず,上記(ア)のスキャナー代の支出が本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。
(ウ) 証拠(甲16の2)及び弁論の全趣旨によれば,前記(ア)のスキャナー代の支出については,整理票自体には,商品名の記載はないものの,添付された領収書には商品名が記載されていることからすると,整理票自体に具体的な商品名が記載されていなかったことをもって,上記のスキャナー代の支出が本件使途基準や本件注意事項等に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまではいえないというべきである。
(エ) 以上によれば,前記(ア)のZ3会派による消耗品費(スキャナー代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
エ 小括
以上によれば,Z3会派による平成23年度の政務調査研究費の支出は本件使途基準に適合しない違法なものとは認められない。
(5)  Z4会派による政務調査研究費の支出の使途基準適合性(違法性)
ア 通信費(切手代)(Z4会派一覧表の番号1,4ないし6)
(ア) 証拠(甲11の2,戊1の2頁,)及び弁論の全趣旨によれば,Z4会派は,Z4会派一覧表の番号1,4ないし6の各「日付」欄の日に切手を購入し,それぞれ同「金額(円)」欄記載の切手代を政務調査研究費から通信費として支出したものと認められる。
(イ) 上記(ア)のとおり,Z4会派は,平成23年10月に80円切手を1000枚,平成24年1月にも80円切手を4200枚購入しているところ,Z4会派は,これらの切手を議会報告の送付,有権者への連絡等に使用していたと主張し,D議員もそれに沿う証言等をする(戊1の2頁,戊4,戊5,証人D・12頁以下)。上記切手の量は相当程度に大量であるということができるものの,切手が調査研究活動以外の用途にも流用可能なものであることを考慮しても,購入された切手が大量であるという事実をもって,平成23年度に政務調査研究費によって購入された切手及びはがきが調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものであるとは認められず,上記(ア)の切手代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまではいえない。また,原告が指摘するように,議会報告の郵送に料金別納郵便が利用されていない点をもって,上記(ア)の切手代の支出が本件使途基準に適合しないことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとは認められない。さらに,平成23年度に政務調査費からの支出によって購入された上記(ア)の切手の一部について,調査研究活動以外に使用するために購入された可能性があるとしても,具体的にどの範囲の事務用品が調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものであるのかは明らかではなく,政務調査研究費が本件使途基準に適合しない支出に充てられたことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとはいえないし,このような場合において,一定の割合を本件使途基準に違反する違法なものとして返還すべきものとする法令上の根拠がないことは,前記(2)イ(イ)で説示したとおりである。
また,原告は,切手を議会報告の送付,有権者への連絡等に使用していたという主張等に対し,宛名ラベル等の購入費用が政務調査研究費から支出されていないことを指摘するが,政務調査研究費以外の資金によって宛名ラベル等が購入されている可能性もあるのであるから,平成23年度の政務調査研究費から宛名ラベル等の購入費用が支出されていないという事実をもって,前記(ア)の切手代の支出が本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきである。その他,Z4会派が上記(ア)の切手によって送付したという議会報告が,調査研究活動と合理的関連性を欠くことを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたともいえない。
その他,平成23年度の本件使途基準及び本件注意事項等では,切手代を政務調査研究費から通信費として支出する場合に,主な送付物を記載することは求められておらず(甲3,甲21),中間報告書又は決算報告書の提出の際に,政務調査研究費によって購入した切手によって送付した物を添付していなかったとしても,本件使途基準及び本件注意事項に適合しないとすることはできない。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ4会派による通信費(切手代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
イ 通信費(現金封筒代)(Z4会派一覧表の番号2)
(ア) 証拠(甲11の2,戊1の3頁)及び弁論の全趣旨によれば,Z4会派は,Z4会派一覧表の番号2の「日付」欄の日に現金封筒を購入して,同「金額(円)」欄記載の現金封筒代を政務調査研究費から通信費として支出したものと認められる。
(イ) この点,現金を送付するために使用する現金封筒は,通常,調査研究活動に必要なものとは認められないから,調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものと認めるのが相当であり,この購入された品物自体から,上記(ア)の現金封筒代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が認められるというべきである。
これに対し,Z4会派は,調査研究活動のために雇用した人の人件費の支払のためのものであるとするが(戊1の3頁,証人D・1頁以下),調査研究活動のために雇用が必要になったという具体的な事情については何らの主張立証もされていない(甲42)。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ4会派による通信費(現金封筒代)の支出は本件使途基準に適合しない違法なものと認めるのが相当である。
ウ 通信費(年賀はがき代)(Z4会派一覧表の番号3)
(ア) 証拠(甲11の2,戊1の3頁)及び弁論の全趣旨によれば,Z4会派は,年賀はがきを購入して,Z4会派一覧表の番号3の「日付」欄の日に,同「金額(円)」欄記載の年賀はがき代を政務調査研究費から通信費として支出したものと認められる。
(イ) この点,年賀はがきは,通常,年始のあいさつのために使用されるものであり,公職選挙法147条の2の規定により,公職にある者は,当該選挙区内にある者に対し,答礼のための自筆によるものを除き,年賀状,寒中見舞状,暑中見舞状その他これに類するあいさつ状を出してはならないとされていることからすると,通常,調査研究活動に必要なものとは認められないから,調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものと認めるのが相当であり,この購入された品物自体から,上記(ア)の年賀はがき代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が認められるというべきである。
これに対し,Z4会派は,上記(ア)の年賀はがきは議会報告のために使用したと主張し,D議員もこれに沿う証言等をしており(戊1の3頁,証人D・1頁,14頁以下),当該年賀はがきに記載したという文面を印刷したもの(戊6)を提出するものの,送付された年賀はがき自体が提出されたというものではないことからすると,上記(ア)の年賀はがき代の支出が本件使途基準に適合しないものであるという推認を覆すものではないというべきである。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ4会派による通信費(年賀はがき代)の支出は本件使途基準に適合しない違法なものと認めるのが相当である。
エ 消耗品費(認印代)(Z4会派一覧表の番号7)
(ア) 証拠(甲11の2)及び弁論の全趣旨によれば,Z4会派は,Z4会派一覧表の番号7の「日付」欄の日に認印を購入し,同「金額(円)」欄記載の認印代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) この点,認印は,通常,調査研究活動に必要なものとは認められないから,調査研究活動との間に合理的関連性を欠くものと認めるのが相当であり,この購入された品物自体から,上記(ア)の認印代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が認められるというべきである。
これに対し,Z4会派は,上記(ア)の認印は議会事務局から預託を求められたために購入したものであり,議員活動に必要不可欠なものであると主張し,D議員もこれに沿う証言等をするが(戊1の3頁,証人D・1頁以下),この主張及び証言等からも,上記(ア)の認印代の支出が調査研究活動と合理的関連性を有するものでないことが明らかというべきである。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ4会派による消耗品費(認印代)の支出は本件使途基準に適合しない違法なものと認めるのが相当である。
オ 消耗品費(パソコン代,OAバック,カバー代)(Z4会派一覧表の番号8,9)
(ア) 証拠(甲11の2,戊1の3頁以下)及び弁論の全趣旨によれば,Z4会派は,Z4会派一覧表の番号8の「日付」欄の日にノートパソコンを購入して,同「金額(円)」欄記載のパソコン代を政務調査研究費から消耗品費として支出し,同9の「日付」欄の日に当該パソコンに係るOAバッグ及びカバーを購入して,同「金額(円)」欄記載のOAバッグ代及びカバー代を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) 一般的に,パソコンは調査研究活動に有用かつ必要な物品であると認められるところ,証拠(甲44の2,乙77)及び弁論の全趣旨によれば,D議員は,千代田区議会から,平成23年5月に,富士通のノートパソコン(FMVNB55G。富士通が平成16年1月に一般向けに売り出した製品。OSはウィンドウズXPであり,CPU(Mobile Celeron2.2GHz),メモリ(256MB),ハードディスク容量(60GB)を備えている。)の貸与を受けているものと認められるものの,上記パソコンは上記(ア)の支出の時点において発売から少なくとも7年以上が経過したものであったことに鑑みると,効率的な調査研究活動のために千代田区議会から貸与されるノートパソコンではなく新たなノートパソコンが必要であると判断したこと(戊1の3頁,証人D・1頁)が合理性を欠くものであるとまでは認められず,上記のパソコンの貸与を受けていることをもって,上記(ア)のパソコン代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が立証されたとまでは認められないというべきであり,これは,パソコンに併せて購入されたOAバッグ及びカバーについても同様である。
また,上記のとおり,上記(ア)のノートパソコンの購入について,調査研究活動に必要なものと認められる以上,仮に購入したノートパソコンが一部調査研究活動以外の用途にも用いられたとしても,その使用割合に応じて,当該ノートパソコンのために支出する政務調査研究費を按分する必要はないものと認められる。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ4会派による消耗品費(パソコン代,OAバック代,カバー代)の支出を本件使途基準に適合しない違法なものと認めることはできない。
カ 消耗品費(スケジュール帳代)(Z4会派一覧表の番号10)
(ア) 証拠(甲11の2,戊1の4頁)及び弁論の全趣旨によれば,Z4会派は,Z4会派一覧表の番号10の「日付」欄の日に,スケジュール帳を購入し,同「金額(円)」欄記載の代金を政務調査研究費から消耗品費として支出したものと認められる。
(イ) この点,スケジュール帳は,通常,調査研究活動に使用するために格別に購入する必要があるものとは認められないから,調査研究活動と合理的関連性を欠くものと認めるのが相当であり,この購入された品物自体から,上記(ア)のスケジュール帳代の支出について,本件使途基準に適合しないものであることを推認させる一般的,外形的な事実が認められるというべきである。
これに対し,Z4会派は,上記(ア)のスケジュール帳の調査研究活動との関連性について抽象的な主張等をするだけであり(戊1の4頁),上記(ア)のスケジュール帳代の支出が本件使途基準に適合しないものであるという推認を覆すものではないというべきである。
(ウ) 以上によれば,前記(ア)のZ4会派による消耗品費(スケジュール帳代)の支出は本件使途基準に適合しない違法なものと認めるのが相当である。
キ 小括
以上によれば,Z4会派の平成23年度の政務調査研究費の支出のうち,現金封筒代20円,年賀はがき代9200円,認印代250円及びスケジュール帳代1995円の合計1万1465円については,本件使途基準に適合しない違法な支出と認めるのが相当であるから,Z4会派は,上記金員に相当する1万1465円を千代田区に対して返還すべき義務を負う。
そして,前記(2)ケで説示したのと同様,Z4会派は上記の各支出に係る政務調査研究費について「悪意の受益者」であると推定されるところ,当該支出について,本件使途基準に適合しない支出でないとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるとは認め難く,遅くとも,Z4会派は,平成23年度の政務調査研究費に係る決算報告書提出日の後である平成24年4月21日から法定利息の返還義務も負っているものと認めることができる。
(6)  千代田区の本件4会派に対する不当利得返還請求権のまとめ
以上によれば,千代田区は,平成23年度の政務調査研究費に関し,Z1会派に対し,82万1400円の返還請求権及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による利息請求権を,Z4会派に対し,1万1465円の返還請求権及びこれに対する同日から支払済みまで年5%の割合による利息請求権を,それぞれ有しているものと認められる。
(7)  怠る事実の有無について
千代田区は,上記(6)の各請求権を有しているところ,その執行機関である被告は,当該各請求権の行使を怠っているものと認めるのが相当である。
この点,被告は,議会の機能を十分に発揮するためには議員の所属会派の活動の自由を尊重することが重要であり,議員による調査研究活動の対象が相当程度広範にわたることが許容されるべきで,その調査研究活動の手段選択について,議員の自主性,自律性が尊重されなければならないところ,本件条例上,被告は政務調査研究費に係る収支報告を受けるものとはされておらず,形式的な審査権も有していないとして,本件各支出については,議長の判断により適正に執行されているものと認識している以上,被告は不当利得返還請求権の行使を違法に怠っていないと主張する。
しかしながら,被告が政務調査研究費に係る収支報告を受ける立場にはなく,また,議長において本件各支出が適正に執行されているとの認識があるとしても,本件条例及び本件規則に照らして本件各支出が本件使途基準に適合しない支出に充てられたことが認められる場合においては,地方自治法が条例に委任した趣旨に反して政務調査研究費の交付を受けているものとして違法な状態にあると考えられる以上,被告においてその不当利得返還請求権の行使を怠ることが違法でないということはできない。
したがって,被告の前記主張は採用することができない。
第4  結論
以上によれば,原告の請求は,被告に対し,Z1会派に対する82万1400円及びこれに対する平成24年4月21日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払及びZ4会派に対する1万1465円及びこれに対する同日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を求める部分は理由があるから,これらを認容し,その余の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第2部
(裁判長裁判官 林俊之 裁判官 池田好英 裁判官齊藤充洋は,転官のため,署名押印することができない。裁判長裁判官 林俊之)

 

別紙1
当事者目録
東京都千代田区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 千葉恒久
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 千代田区長 Y
同訴訟代理人弁護士 山下一雄
同指定代理人 W1
W2
同所 千代田区議会内
被告補助参加人 千代田区議会Z1会派(以下「Z1会派」という。)
同代表者幹事長 A
同訴訟代理人弁護士 橋本勇
羽根一成
橋本一成
同所 千代田区議会内
被告補助参加人 千代田区議会Z2会派(以下「Z2会派」という。)
同代表者幹事長 B
同所 千代田区議会内
被告補助参加人 千代田区議会Z3会派(以下「Z3会派」という。)
同代表者幹事長 C
被告補助参加人Z2会派及び被告補助参加人Z3会派訴訟代理人弁護士 清水建夫
田中省二
早田賢史
甲斐悠子
分部祐子
同所 千代田区議会内
被告補助参加人 千代田区議会Z4会派(以下「Z4会派」という。)
同代表者幹事長 D
以上

〈以下省略〉


「政務活動費 ポスター」に関する裁判例一覧
(1)令和元年 9月20日  和歌山地裁  平28(行ウ)6号・平28(行ウ)7号 公金(政務調査費)違法支出金返還請求事件
(2)令和元年 9月17日  富山地裁  平31(わ)52号 各詐欺被告事件
(3)令和元年 8月21日  東京高裁  平31(行コ)72号 各不当利得返還請求権等行使請求控訴事件
(4)令和元年 7月18日  宇都宮地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行請求事件
(5)令和元年 6月27日  青森地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還等履行請求事件
(6)令和元年 6月19日  大阪地裁  平29(行ウ)43号 大阪市政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(7)令和元年 5月29日  仙台地裁  平29(行ウ)2号 政務活動費返還履行等請求事件
(8)令和元年 5月16日  東京地裁  平28(行ウ)222号 共同訴訟参加申出事件
(9)平成31年 4月16日  山形地裁  平25(行ウ)3号 平成23年度山形県議会議員政務調査費返還住民訴訟事件
(10)平成31年 3月22日  東京地裁  平28(行ウ)322号 政務活動費返還請求事件
(11)平成31年 2月28日  名古屋地裁  平27(行ウ)130号 愛知県議会議員政務活動費住民訴訟事件
(12)平成31年 2月19日  奈良地裁  平29(行ウ)10号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(13)平成31年 2月19日  奈良地裁  平28(行ウ)21号 奈良県議会議員に係わる不当利得返還請求事件
(14)平成31年 2月15日  静岡地裁  平29(行ウ)4号・平29(行ウ)7号 不当利得返還請求権等行使請求事件
(15)平成31年 2月15日  佐賀地裁  平29(行ウ)2号 損害賠償等請求事件
(16)平成31年 1月21日  金沢地裁  平28(行ウ)5号 政務活動費返還請求事件
(17)平成30年11月30日  東京地裁  平29(行ウ)193号 損害賠償請求(住民訴訟)事件
(18)平成30年11月29日  広島高裁岡山支部  平30(行コ)8号 不当利得返還請求控訴事件
(19)平成30年11月27日  広島高裁松江支部  平30(行コ)1号・平30(行コ)3号ないし8号 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件
(20)平成30年11月16日  最高裁第二小法廷  平29(行ヒ)404号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(21)平成30年11月15日  宇都宮地裁  平24(行ウ)15号 政務調査費返還履行請求事件
(22)平成30年10月29日  神戸地裁  平30(わ)137号 事件名  詐欺被告事件
(23)平成30年10月24日  仙台高裁  平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(24)平成30年 8月28日  東京地裁  平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(25)平成30年 8月 9日  札幌高裁  平29(行コ)8号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(26)平成30年 8月 2日  東京高裁  平27(行コ)256号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(27)平成30年 6月28日  東京地裁  平30(行ウ)23号 情報公開請求却下処分取消請求事件
(28)平成30年 6月26日  仙台地裁  平29(行ウ)7号 非開示処分取消請求事件
(29)平成30年 5月24日  東京高裁 平29(行コ)229号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(30)平成30年 5月24日  富山地裁  平30(わ)35号 詐欺被告事件
(31)平成30年 4月27日  大阪地裁  平27(行ウ)229号 政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
(32)平成30年 4月24日  岡山地裁  平28(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(33)平成30年 4月18日  東京高裁  平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(34)平成30年 4月11日  神戸地裁  平29(行ウ)9号 政務調査費返還請求住民訴訟事件
(35)平成30年 3月16日  鳥取地裁  平26(行ウ)7号 不当利得請求事件
(36)平成30年 2月19日  神戸地裁  平29(わ)824号 被告人3名に対する各詐欺被告事件
(37)平成30年 2月 8日  仙台高裁  平29(行コ)5号・平29(行コ)13号 政務調査費返還履行等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(38)平成30年 1月31日  岡山地裁  平26(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(39)平成29年11月29日  徳島地裁  平26(行ウ)14号 政務調査費返還請求事件
(40)平成29年12月 8日  札幌地裁  平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(41)平成29年11月28日  岡山地裁  平27(行ウ)16号 不当利得返還請求事件
(42)平成29年11月 2日  仙台地裁  平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(43)平成29年10月 4日  最高裁第二小法廷  平29(行フ)2号 文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
(44)平成29年 8月30日  さいたま地裁  平27(行ウ)12号 埼玉県議会政務調査費返還事件
(45)平成29年 7月18日  奈良地裁   平29(わ)82号 虚偽有印公文書作成・同行使、詐欺、有印私文書偽造・同行使、政治資金規正法違反被告事件
(46)平成29年 7月10日  東京高裁  平28(行コ)325号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求控訴事件
(47)平成29年 6月29日  宇都宮地裁  平23(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(48)平成29年 6月29日  名古屋地裁  平29(ワ)485号 弁護士費用請求事件
(49)平成29年 5月26日  大阪高裁  平28(行コ)199号 不当利得返還等請求行為・同附帯請求控訴事件
(50)平成29年 5月12日  東京地裁  平28(ワ)24577号 損害賠償請求事件
(51)平成29年 4月27日  東京地裁  平25(行ウ)811号 住民訴訟事件
(52)平成29年 4月25日  神戸地裁  平26(行ウ)57号 政務調査費等返還請求事件
(53)平成29年 4月21日  仙台高裁  平28(行コ)12号・平28(行コ)20号 山形県議会議員政務調査費返還等請求控訴、同附帯控訴事件
(54)平成29年 4月12日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)13号 政務調査費返還請求控訴事件
(55)平成29年 3月30日  広島高裁岡山支部  平28(行コ)2号 不当利得返還請求控訴事件
(56)平成29年 3月29日  広島高裁  平28(行コ)22号 不当利得返還請求住民訴訟控訴事件
(57)平成29年 3月24日  高松高裁  平28(行ス)2号
(58)平成29年 3月16日  札幌地裁  平24(行ウ)6号 政務調査費返還履行請求事件
(59)平成29年 3月14日  東京高裁  平28(行コ)413号 損害賠償請求住民訴訟控訴事件
(60)平成29年 3月 1日  名古屋高裁金沢支部  平28(行コ)11号 政務調査費返還請求控訴事件
(61)平成29年 2月 1日 仙台地裁  平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(62)平成29年 1月31日  仙台地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費返還履行等請求事件
(63)平成28年12月27日  東京地裁  平26(ワ)1916号 損害賠償請求事件
(64)平成28年12月27日  奈良地裁  平27(行ウ)15号 奈良県議会会派並びに同議会議員に係る不当利得返還請求事件
(65)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ヒ)292号 政務調査費返還履行請求事件
(66)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷  平28(行ツ)253号・平28(行ヒ)291号 政務調査費返還履行請求事件
(67)平成28年12月21日  最高裁第二小法廷 平27(行ヒ)389号
(68)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷  平28(行ツ)164号・平28(行ヒ)173号
(69)平成28年12月15日  最高裁第一小法廷 平28(行ツ)163号・平28(行ヒ)172号
(70)平成28年11月29日  甲府地裁  平26(行ウ)4号 政務調査費返還請求事件
(71)平成28年11月10日  広島高裁岡山支部  平27(行コ)11号 不当利得返還請求控訴事件
(72)平成28年10月27日  金沢地裁  平27(行ウ)6号 政務調査費返還請求事件
(73)平成28年10月26日  さいたま地裁  平26(行ウ)62号 損害賠償請求住民訴訟事件
(74)平成28年10月12日  徳島地裁  平28(わ)196号 虚偽有印公文書作成・同行使,詐欺被告事件
(75)平成28年 9月29日  大阪地裁  平26(行ウ)81号・平26(行ウ)116号 平成24年度茨木市議会政務調査費返還請求事件、平成24年度(2月~3月分)茨木市議会政務調査費返還請求事件
(76)平成28年 9月29日  金沢地裁  平27(行ウ)2号 政務調査費返還請求事件
(77)平成28年 9月14日  高松地裁  平28(行ク)1号
(78)平成28年 8月 3日  横浜地裁  平27(行ウ)25号 神奈川県議会議員政務活動費不正受給確認請求事件
(79)平成28年 7月 6日  神戸地裁  平27(わ)825号 虚偽有印公文書作成、虚偽有印公文書行使、詐欺被告事件
(80)平成28年 6月28日  最高裁第三小法廷  平25(行ヒ)562号 不当利得返還等請求行為請求事件
(81)平成28年 6月22日  仙台高裁  平27(行コ)2号・平27(行コ)9号 政務調査費返還履行等請求控訴、同附帯控訴事件
(82)平成28年 6月22日  山口地裁  平26(行ウ)7号 不当利得返還請求住民訴訟事件
(83)平成28年 5月17日  山形地裁  平23(行ウ)2号 山形県議会議員政務調査費返還等請求事件
(84)平成28年 4月27日  岡山地裁  平25(行ウ)12号 不当利得返還請求事件
(85)平成28年 4月22日  新潟地裁  平25(行ウ)7号 政務調査費返還履行請求事件
(86)平成28年 4月13日  福井地裁  平25(行ウ)2号 2011年度福井県議会政務調査費人件費等返還請求事件
(87)平成28年 3月22日  札幌高裁  平27(行コ)11号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(88)平成28年 3月22日  東京地裁  平26(行ウ)582号 政務活動費返還請求事件
(89)平成28年 3月11日  東京地裁  平25(行ウ)677号 政務調査研究費返還請求事件
(90)平成27年12月24日  名古屋高裁  平26(行コ)11号 愛知県議会議員政務調査費住民訴訟控訴事件
(91)平成27年12月21日  名古屋高裁金沢支部  平27(行ケ)4号 裁決取消、当選取消請求事件
(92)平成27年10月27日  岡山地裁  平24(行ウ)15号 不当利得返還請求事件
(93)平成27年 9月17日  東京高裁  平27(行コ)110号 政務調査費返還請求控訴事件
(94)平成27年 6月24日  宇都宮地裁  平22(行ウ)8号 政務調査費返還履行請求事件
(95)平成27年 6月12日  札幌高裁  平26(行コ)12号 政務調査費返還履行請求控訴事件
(96)平成27年 5月26日  札幌地裁  平21(行ウ)36号 政務調査費返還履行請求事件
(97)平成27年 4月 8日  大阪地裁  平24(行ウ)129号 政務調査費返還請求事件
(98)平成27年 2月26日  東京地裁  平26(行ウ)209号 政務調査費返還請求事件
(99)平成27年 1月13日  長崎地裁  平24(ワ)530号 政務調査費返還請求事件
(100)平成26年12月18日  奈良地裁  平25(行ウ)11号 政務調査費違法支出不当利得返還命令請求事件


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政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。

(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!


政治活動用事前街頭ポスター新規掲示交渉実績一覧
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【政治活動用(事前街頭外壁)ポスター掲示交渉代行】選挙候補(予定)者様専用フォーム
選挙ドットウィン!の政治活動用の事前街頭ポスター新規掲示交渉につきまして概算お見積りをさせていただいております。
掲示交渉難易度調査のため、候補(予定)者様の出馬される「政党」「選挙区」「政策」「弁士のお相手(2連ポスター)」「サイズ」「枚数」等の必要事項をご記入の上、お問い合わせください。 【お問い合わせフォームはコチラ!】
営業専門の会社「僕俺株式会社」は「貼る!のプロ集団!」政治活動に際の数多くのドブ板選挙代行・支援実績がございます。
①指定エリアの有権者(民家・飲食店・その他の施設など)に対して、新規ご挨拶回り→→→完全無料
②選挙立候補(予定)者の名刺およびビラの手渡し→→→完全無料
③留守宅への名刺およびビラなどの投函(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率!)→→→完全無料
④政治活動用事前街頭ポスターの新規掲示交渉→→→ポスター掲示(貼付)許可交渉は、完全成果報酬|完全成功報酬
⑤掲示(貼付)交渉後における、掲示許可承諾者に対してのフォローおよびクレーム対応→→→完全無料
選挙候補(予定)者様専用フォーム【政治活動用(事前街頭外壁)ポスター掲示交渉代行】

【政治活動用】事前街頭ポスター新規掲示に関するお問い合わせ
【選挙.WIN!】選挙ポスター貼る専門!政治ポスター貼る専門!(二連ポスター、三連ポスター、政党ポスター、演説会告知ポスター、個人ポスター)ガンガン貼る!広報支援ポスター新規貼付/政治活動/選挙運動/事前街頭選挙ポスター新規貼付掲示のプロ集団/独占貼り・多数貼り・無断(無許可)貼り・実店舗飲食店コラボ貼り・(政治活動/選挙運動用)選挙立候補(予定)者事前街頭ポスター新規掲示(1)ポスター貼付/掲示プラン(2)ポスターの性質(3)貼付/掲示地域(エリア)(4)貼付/掲示場所(箇所)(5)貼付/掲示枚数(6)貼付/掲示期間(7)貼付/掲示における注意事項/特記事項/独占掲示許可承諾書/ビラ・チラシの配布および投函(ポスティング)/アンケート配布および回収/ご挨拶訪問代行/訪問アポイントメント獲得/選挙立候補(予定)者のための、戸別訪問/選挙立候補(予定)者のための、ヒアリング(行政への要望やその他ヒアリング)/各種新規開拓営業代行など

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