「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(22)平成30年10月 4日 東京地裁 平27(ワ)2650号 代表権不存在確認等請求事件
「選挙 立候補 ポスター」に関する裁判例(22)平成30年10月 4日 東京地裁 平27(ワ)2650号 代表権不存在確認等請求事件
裁判年月日 平成30年10月 4日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平27(ワ)2650号
事件名 代表権不存在確認等請求事件
文献番号 2018WLJPCA10048007
裁判年月日 平成30年10月 4日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平27(ワ)2650号
事件名 代表権不存在確認等請求事件
文献番号 2018WLJPCA10048007
東京都港区〈以下省略〉
原告 X会(前名称:a自治会)
同代表者会長 A1
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y1
同訴訟代理人弁護士 丸山隆
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社三菱UFJ銀行
同代表者代表取締役 A2
同訴訟代理人弁護士 古川綾一
主文
1 本件各訴えをいずれも却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告Y1は,原告に対し,平成26年1月31日開催の原告役員会において,被告Y1が会長職を解任されたことを確認する。
2 被告Y1は,原告に対し,平成27年4月18日開催のa自治会平成27年度第47回定期総会における被告Y1(平成29年7月10日付け請求の趣旨変更申立書には「原告」と記載されているが,明らかな誤記と認める。)を会長に選任する旨の決議が不存在又は無効であることを確認する。
3 被告Y1は,原告に対し,平成29年4月8日開催のa自治会第49回定期総会における被告Y1(上記請求の趣旨変更申立書には「原告」と記載されているが,明らかな誤記と認める。)を会長に選任する旨の決議が不存在又は無効であることを確認する。
4 被告Y1は,原告に対し,被告Y1が原告の会長の地位にないことを確認する。
5 被告Y1は,原告に対し,A1が原告の会長の地位にあることを確認する。
6 被告Y1は,原告に対し,「a自治会代表A3」名義の株式会社三菱UFJ銀行青山通支店の普通預金口座(口座番号 〈省略〉)の名義を「X会(旧名称a自治会)代表者会長A1」に名義変更手続をせよ。
7 被告Y1は,原告に対し,原告の会長名義を用いて会員から自治会費,町会費その他の名義の如何を問わず金員を集めてはならない。
8 被告Y1は,原告に対し,15万9000円及びこれに対する平成27年2月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
9 被告株式会社三菱UFJ銀行は,原告に対し,第6項記載の普通預金口座の名義を「原告代表者会長A1」に変更し,上記預金口座の利用を認めなければならない。
第2 事案の概要
本件は,アパートの居住者で組織する自治会である原告が,被告Y1(以下「被告Y1」という。)は原告の会長職から既に解任されており,再選任もされておらず,現在の原告の会長の地位にあるのはA1(以下「A1」という。)であるなどと主張して,被告Y1に対し,①平成26年1月31日開催の原告の役員会(以下「本件役員会」という。)における被告Y1の会長職からの解任の確認を(請求1),②平成27年4月18日及び平成29年4月8日開催の原告の定期総会における被告Y1の会長職選任決議の不存在又は無効確認を(請求2,3),③被告Y1が原告の会長の地位にないことの確認を(請求4),④A1が現在の原告の会長の地位にあることの確認を(請求5),それぞれ求め,また,原告の会長職からの解任により被告Y1と原告との委任契約又は準委任契約は終了し,原告を代表する権限を喪失したとして,⑤民法654条に基づき原告の預金口座の名義を現在の会長であるA1に変更する手続をとること(請求6)及び⑥原告の会長名義で会員から自治会費等を徴収することの禁止(請求7)を求め,さらに,⑦会長職からの解任後に被告Y1が原告の会長名義で会員から徴収した平成26年2月分の自治会費合計6万9000円と,被告Y1が会長職在任中である平成25年7月から同年12月までに支払を受けた交通通信費及び会報作成費合計9万円は,それぞれ法律上の原因なく不当に利得したものであり,原告は損失を受けたとして,不当利得返還請求権に基づき上記各金員及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成27年2月25日から支払済みまで民法所定の遅延損害金の支払を求めるとともに(請求8),被告三菱UFJ銀行(以下「被告銀行」という。)に対し,被告銀行において,被告Y1が反対していることを理由に原告の預金口座の名義を会長であるA1に変更するのを拒絶しているとして,被告銀行に対し,原告と被告銀行との間の預金取引に係る契約に基づき,預金口座の名義を原告代表者会長A1名義に変更し,原告に上記預金口座の利用を認めること(請求9)を求めた事案である。
本判決は,本案前の争点,すなわち,原告の代表者は誰か(本件訴訟は原告の代表権限を有する者により提起,追行されているといえるか。)について判断するものである。
1 前提事実(各項目の末尾に証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である。)
(1) 当事者等
ア 原告は,アパートの居住者で組織する自治会である「a自治会」を平成26年4月12日開催の定期総会において名称変更した団体である(上記定期総会における決議等が手続要件を満たしているかについては後記のとおり争いがあるが,名称変更前の「a自治会」を含めて単に「原告」という。)。
イ 被告Y1は,少なくとも平成26年1月31日まで,原告の会長(権利義務役員としての会長を含む。)の地位にあった者である。
(2) 原告の会則の定め等
原告の会則(規約)は,甲第16号証の「a1会規約」(昭和52年11月1日施行。以下「昭和52年規約」という。),甲第17号証の「a1会規約」(平成22年4月1日施行。以下「平成22年規約」という。),乙第1号証の「a自治会規約」(平成25年4月1日施行。以下,「平成25年規約」といい,昭和52年規約および平成22年規約と併せて「旧規約」という。)を経て,平成25年12月1日開催の原告の臨時総会において,甲第1号証の「a自治会会則」(平成25年12月1日から遡って同年4月1日から施行。以下「現行会則」という。)が承認可決された。
現行会則には,別紙「a自治会会則」記載の各規定がおかれている。(甲1)
(3) 本件経緯等
ア 平成25年4月,被告Y1が原告の会長に,A3が原告の副会長に,それぞれ選任された。
イ 平成26年1月13日開催の役員会において,緊急動議として「解散」が提案され,賛成多数で可決された。(乙7から9まで,34)
ウ 平成26年1月28日,「a自治会A3副会長 有志一同」名で,被告Y1の解任要求を開催内容とする役員会を同月31日に開催する旨の「役員会開催のお知らせ」と題する文書が配布された。(甲54,乙13,弁論の全趣旨)
エ 平成26年1月31日午後3時開催の本件役員会において,被告Y1の会長職からの解任決議がされた。(甲2,54,弁論の全趣旨)
オ 原告の会長,副会長,会計2名の選任に係る住民投票(以下「本件住民投票」という。)が実施され,平成26年1月31日午後5時に投票が締め切られた。(乙20)
カ A3及びA4(以下「A4」という。)が招集した平成26年2月以降に開催された原告の総会は,次のとおりである。
(ア) 平成26年2月8日開催の臨時総会(A3が招集)
上記臨時総会の議事録には,被告Y1の会長職からの解任が承認された旨の記載がある。(甲6)
(イ) 平成26年4月12日開催の定期総会(A3が招集)
上記定期総会の議事録には,役員改定として会長がA4である旨及び原告の名称が「X会」に変更された旨の記載がある。(甲3)
(ウ) 平成27年4月19日開催の定期総会(A4が招集)
上記定期総会の議事録には,会長の立候補者としてA4が挙げられており,「選挙は挙手の方法により行われ全員の賛成で承認されました。」旨の記載がある。(甲8)
(エ) 平成28年4月9日開催の定期総会(A4が招集)
平成27年度の決算報告等が議題とされた。(甲71,弁論の全趣旨)
(オ) 平成29年4月9日開催の定期総会(A4が招集)
上記定期総会の議事録には,「29年度全世帯過半数の出席,有効委任で新役員が承認された。」との記載とともに,会長としてA1が挙げられている。(甲76)
キ 被告Y1が招集した平成26年2月以降に開催された原告の総会は,次のとおりである。
(ア) 平成26年2月19日開催の臨時総会
上記臨時総会の議事録には,本件住民投票により選出された新会長の被告Y1,新副会長のA5(以下「A5」という。),新会計のA6(以下「A6」という。)がそれぞれ承認された旨の記載がある。(乙19,20,弁論の全趣旨)
(イ) 平成26年3月8日開催の臨時総会
上記臨時総会の議事録には,欠員となっていた会計をA7とすることが承認された旨の記載がある。(乙17)
(ウ) 平成27年4月18日開催の定期総会
上記定期総会の議事録には,現行会則8条により,新会長の被告Y1(再選),新副会長のA6,新会計のA5及び新会計のA8がそれぞれ賛成多数により承認された旨の記載がある。(乙18,19,弁論の全趣旨)
ク 原告は,平成27年2月2日,A4を原告の代表者会長として,本訴を提起し,現在,A1が,原告の代表者会長として本訴を追行している。
2 本案前の争点
原告の代表者は誰か(本件訴訟は原告の代表権限を有する者により提起,追行されているといえるか。)。
3 本案前の争点に関する当事者の主張
(被告Y1の主張)
原告の会長は被告Y1であり,A4及びA1が原告の会長であったことはない。したがって,原告の会長ではない者により提起された本件訴えは不適法であり,却下されるべきである。
(1) 本件役員会について
ア 原告が被告Y1を会長職から解任したと主張する本件役員会は,役員会の招集権限は会長にあるとされており(現行会則5条),会長である被告Y1には同7条2項2号の「事故など諸事情により職務遂行しがたい」事情は存在しないにもかかわらず,副会長であるA3が本件役員会を招集しており,招集権限に違反し無効である。
イ また,役員会を開催するに当たっては役員全員に招集通知をする必要がある。現行会則8条4項は単に各階に代表世話人を置くことを規定したものであり,役員である各階の世話人に通知を行わなくてもよいとするものではない。そして,本件役員会については,少なくとも被告Y1,3階の世話人3名(A9,A10,A11),4階の世話人3名(A12,A13,A14),12階の代表世話人1名(A6)及び会計監査のA15(以下「A15」という。)の合計9名に招集通知がされていない。したがって,本件役員会は,招集通知の点でも無効である。
ウ さらに,役員会の構成員には代表世話人以外の世話人も含まれる。本件役員会当時の原告の役員は35名であり,解任の対象である被告Y1を除いたとしても,役員会の成立には全役員の2分の1以上の出席者(委任状を含む。)が必要であるから(現行会則5条ただし書,6条3項),本件役員会の定足数は17名となる。したがって,出席者が10名では定足数を満たしていない。
エ また,役員の解任には「全体の2分の1以上の賛成」が必要とされているが(現行会則8条5項),その趣旨は,役員の解任という重要な事項については,通常の役員会の決議要件である「議事は出席者の過半数で決める。」(同5条,6条3項)のとは異なり,全役員全体の過半数の賛成を要求したと解するのが自然である。このように解するのでなければ同8条5項において決議要件を「全体の2分の1以上の賛成」と書き分ける必要もない。そうすると,被告Y1を会長職から解任するためには,被告Y1を除く全役員の過半数である18名以上が賛成する必要があるが,必要な賛成議決数を満たしておらず,被告Y1の解任決議は無効である。
原告は,本件役員会の出席者であるA16,A17,A18(以下「A18」という。),A19(以下「A19」という。),A20,A4,A21,A22(以下「A22」という。),A23(以下「A23」という。),A3(副会長),A24(会計),A25(会計。以下「A25」という。)の合計12名のうち,被告Y1の解任決議に賛成した者はA16を除く11名であると主張する。しかし,役員会は,自治会の業務執行及び意思決定機関としての性質を有するものであり,特別の定めもなく役員でない者に自由に出席や議決を委任することができるなどと解する余地はない。また,同項により1世帯1票とされているところ,このように通常の役員会決議と異なる要件を設けたのは,役員の解任という重要事項の判断において,同一世帯の役員が互いに影響を受けて公平な判断をすることが期待できないからである。そして,原告が主張するように役員会の構成員に代表世話人以外の世話人は含まれないのであれば,代表世話人以外の世話人であるA19及びA22,並びに代表世話人でも世話人でもなくA26代表世話人の許可を得て本件役員会に代行として参加したとされるA21は役員会の構成員とはいえない。また,A21とA24(会計),A3(副会長)とA17はそれぞれ1世帯であるからそれぞれ1票となる。したがって,被告Y1の解任の賛成者は7名となり,仮に原告が主張するように代表世話人以外の世話人は役員会の構成員に含まれないと解したとしても過半数に至っておらず,被告Y1の解任決議は無効である。
オ 現行会則8条5項前段は,「役員会の議題にあげた後,後日,役員会を開催し,その際に採決をとり,全体の2分の1以上をもって,当該役員は解任されるものとする。」と規定している。これは,役員の解任という重要事項を判断するにあたり,慎重に審議決議を行う趣旨であると解される。しかし,平成26年1月25日に有志一同による説明会を開催し,被告Y1らが退席した後,残った役員及び代表世話人らで被告Y1を解任する役員会を開催することを決め,解任決議前の審議のための役員会を開催することなく,本件役員会で解任決議を行っている。これは,同項前段に定める役員の解任手続に反するものであり,同日の被告Y1の解任決議は無効である。
カ 役員の解任については役員会の専決事項であるから(現行会則8条5項),原告が主張するように総会の決議により無効な役員会決議の瑕疵が治癒されることはない。また,役員の解任が総会の決議事項であると解したとしても,有効な役員会決議による役員解任の是非を住民に問うものであり,無効な役員会決議の瑕疵を治癒するものではない。しかも,原告が被告Y1の会長職からの解任につき賛成多数で承認されたとする平成26年2月8日開催の臨時総会についても,後記(2)のとおり,開催要件も成立要件も満たしていない。
(2) 平成26年2月8日開催の臨時総会について
ア 原告が被告Y1の会長職からの解任につき賛成多数で承認されたとする平成26年2月8日開催の臨時総会は,現行会則6条1項各号の開催要件を満たしていない。
イ また,少なくとも被告Y1,3階の居住者3名及び12階の居住者1名に通知がされておらず,委任状には脅迫又は錯誤に基づく無効なものも含まれていることから,現行会則6条3項の成立要件も満たしていない。
(3) 平成26年4月12日開催の定期総会について
ア 平成26年4月12日開催の定期総会は,招集権限のない者が招集したものであり,無効である(現行会則5条)。
イ また,上記定期総会については,少なくとも被告Y1,A15,A10及びA11の4名に招集通知がされておらず無効である。
(4) 平成27年4月19日開催の定期総会について
ア 原告は,平成27年4月19日開催の定期総会において,A4が会長に選任されたと主張するが,被告Y1の会長職からの解任は無効であり,被告Y1の任期満了後の同月18日開催の定期総会において,被告Y1は会長に選任されている。したがって,原告が主張する同月19日開催の定期総会は,何ら招集権限のない者が開催した違法な総会である。
イ また,被告Y1らには招集通知もされておらず,その決議には何の効力も認められない。
(5) 平成29年4月9日開催の定期総会について
ア 平成29年4月9日開催の定期総会は,招集権限のない者が招集したものであり,無効である(現行会則5条)。
イ また,上記定期総会については,少なくとも被告Y1及びA15に招集通知がされておらず無効である。
(6) 本件住民投票等による被告Y1らの役員選任について
ア 被告Y1は,平成25年4月1日に原告の会長に選任された。
イ その後,被告Y1とA3らとの対立が激しくなったことから,平成26年1月13日に開催された役員会における緊急動議により,役員(会長,副会長,会計担当2名)の解散が決定された。これは,上記役員の辞任を意味するものである。併せて,新しい役員を立候補で募り,新たに役員を選任することが決定され,それまでの間,当時の役員が引き続き役員として業務を行うこととなった。
ウ 新役員に立候補したのは,会長に被告Y1,副会長にA5,会計にA6の3名のみであり,上記3名を新役員候補とし,平成26年2月19日開催の臨時総会により承認された。
エ その後,平成27年4月18日開催の定期総会により被告Y1が再度会長に選任された。
(被告銀行の主張)
A4が原告の代表者に適法かつ有効に選任されていないのであれば,原告を代表して訴訟を追行する権能はない。したがって,原告においてA4が代表権限を有していることが明らかとならない限りは,本件訴えは訴訟要件を欠き,却下されるべきである。
(原告の主張)
(1) 本件役員会について
ア 本件役員会は,会長の解任が議題であり,会長において招集することは期待できないことから,被告Y1には「職務を遂行しがたい」事情があるといえ,現行会則7条2項2号により,副会長であるA3が会長を代行して役員会を招集したものである。
イ また,本件役員会の開催日及び議題等は,「役員会開催のお知らせ」と題する書面(甲54)をもって,遅くとも平成26年1月29日までに被告Y1を含む全役員(執行部)及び全代表世話人に対して通知されている。各階で指定された代表世話人に役員会の開催を通知すれば足り(現行会則8条4項),それ以外の世話人に通知する必要はない。被告Y1は,同日に本件役員会の招集通知を受け取った旨自認している。A15(会計監査),A9(3階代表世話人),A12(4階代表世話人)及びA6(12階代表世話人)に対しても,A25(会計)が各玄関郵便受けに招集通知を入れて通知している。仮に招集通知を受けなかった代表世話人がいたと仮定しても,被告Y1の会長職からの解任に必要な定足数(8票)が得られているのであるから,解任は有効である。
ウ 役員会は,代表世話人を含む,会長,副会長,会計(2人)及び会計監査によって構成され,世話人は構成員に含まれない。もっとも,世話人の選出を含め各階の決定事項は各階の住民自治に任せられており,役員会の出席についても,代表世話人の都合が悪いときは,同階の住民に依頼する裁量が認められていると解するのが相当である。世話人が代理出席者として出席し,世話人も出席できないときは同じ階の自治会員が代表世話人の委任により代理人として出席できると解される。したがって,役員会の議決に必要な全体の定足数は17名となるが,会長の解任決議に関しては,会長は特別利害関係者として決議に参加することができないと解するのが相当であるから,会長の解任決議の定足数(出席する資格のある者の数)は16名となる。
エ 現行会則8条5項の役員会における会長の解任決議で賛成が必要とされる「全体の2分の1以上」とは,「出席役員全体の2分の1以上」であると解すべきである。同項には「その際に採決をとり,全体の2分の1以上をもって」と規定されていることから,「採決数全体の2分の1以上」を指すことは文言上明らかであるし,解任には緊急性が要求されることも根拠となる。そうすると,本件役員会に出席した者は12名(A3(副会長),A17(2階代表世話人),A19(6階代表世話人),A20(7階代表世話人),A4(8階代表世話人),A18(5階代表世話人),A22(10階代表世話人),A24(会計),A25(会計),A23(11階代表世話人),A16(1階代表世話人),A21(A26・9階代表世話人の代理))であり,うち賛成票11名,反対票1名(A16(1階代表世話人))であった。したがって,「出席役員全体の2分の1以上」である6名以上の賛成票により可決された被告Y1の会長職からの解任決議は有効である。
仮に「全体の2分の1以上」が「議決参加資格者全体の2分の1以上」であるとしても,その数は16名であり,その「2分の1以上」である8名以上の賛成票により可決された被告Y1の会長職からの解任決議は有効である。
また,仮に同一世帯から1名しか議決に参加することができないとして,A3(副会長)と妻であるA17(2階代表世話人),A24(会計)と夫であるA21(A26・9階代表世話人の代理)から2名の賛成票を控除したとしても,結局10名の賛成票を得ており,8名以上賛成の要件は満たしている。
オ 現行会則8条5項の「役員会の議題にあげた後」とは,役員会を開いてその役員会の席上で議題に挙げるという趣旨ではなく,事前の役員会招集通知の中に議題として記載してあれば足りると解するべきである。本件役員会の招集通知には議題が載っており,平成26年1月25日開催の説明会の席上においても被告Y1の不正会計問題が議論されていて,全役員に対して当日の議題が周知されていた。このような場合は役員会招集通知の中に議題として挙げられていれば,要件を満たしている。また,同月13日開催の役員会における解散の動議により被告Y1らに対する解任決議を役員会の議題に挙げたものともいえる。
カ そして,被告Y1の会長職からの解任については,平成26年2月8日開催の臨時総会において賛成多数で承認され,同年4月12日開催の定期総会において,被告Y1の会長職からの解任を前提として,A4が原告の新会長に選任されている。したがって,仮に本件役員会における被告Y1の会長職からの解任決議が無効であったとしても,上記臨時総会ないし上記定期総会により,上記解任決議の瑕疵は治癒されている。
(2) 平成26年2月8日開催の臨時総会について
前記(1)のとおり,被告Y1は会長職から解任されたので,副会長であるA3が会長職を代行することになった(現行会則7条2項2号)。そして,A3は,平成26年2月8日開催の臨時総会について,同月1日付けで招集通知をした。同臨時総会は,全戸数142名のうち少なくとも82名が出席(本人出席17名,委任状出席65戸)して開催された。
(3) 平成26年4月12日開催の定期総会について
平成26年4月12日開催の定期総会は,A3会長代行により招集された。同定期総会は,最大で全戸数146戸のうち75名が出席(本人出席少なくとも22名,委任状出席53名)し,過半数によってA4が会長に選任された。
(4) 平成27年4月19日開催の定期総会について
原告の会長職の任期は1期2年であるから,被告Y1は,平成27年3月末日に当然に退任となり,同年4月1日以降,原告の会長の地位にない。
そして,同月19日開催の定期総会は,会長であるA4により招集された。同定期総会の招集通知は,被告Y1,A15,A10,A11を含む全戸に配布している。全戸数140戸のうち少なくとも合計92名が出席(本人出席24名,委任状出席68名)し,全戸数の過半数の出席によってA4が会長に再任された。
(5) 平成29年4月9日開催の定期総会について
平成29年4月9日開催の定期総会は,会長であるA4により招集された。同定期総会の招集通知は,被告Y1,A15を含む全戸に配布している。全戸数143戸のうち少なくとも合計74名が出席(本人出席18名,委任状出席56名)し,全戸数の過半数の出席によってA1が会長に選任された。なお,1階商店会の会長であるA27から,本件の紛争が解決するまでは総会の招集通知を出すことも,委任状を集めることも止めて欲しい旨の申入れがあったため,上記全戸数には1階商店会の13戸は含んでいない。
(6) 本件住民投票等による被告Y1らの役員選任について
ア 平成26年2月19日開催の臨時総会について,これを招集した被告Y1は,同年1月31日開催の本件役員会において会長職から解任されているから,上記臨時総会を招集する権限が存しない。
また,上記臨時総会における委任状は,出欠の欄に丸印を付することとされているところ,欠席の場合,当然に委任状を提出したこととされている。受任者の記載のないもの(18通)は委任状としては無効である。また,当日欠席した者を受任者とする委任状も無効である。このほか,押印のないもの,署名又は記名を偽造した疑いがあるものも多数あるから,上記臨時総会は,委任状出席を含めた出席者が定足数を満たしていない。
よって,上記臨時総会は成立しておらず,無効である。
イ また,平成27年4月19日開催の定期総会も,前記ア同様,会長職から解任された被告Y1には招集権限がなく,無効な委任状,偽造された委任状が多数含まれており,定足数を満たしていないし,全体を通じて適正な招集手続,委任状とはいえない。よって,上記定期総会も成立しておらず,無効である。
第3 争点に対する当裁判所の判断
1 認定事実
前記前提事実,各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件経緯として,以下の事実が認められる。
(1) 平成25年2月に被告Y1は原告の役員会の推薦を受けて会長の候補者となり,同年4月,平成25年規約の下で,被告Y1が原告の会長に,A3が原告の副会長に,それぞれ選任された。平成25年度の構成は,会長1名,副会長1名,会計2名,会計監査1名,代表世話人12名(1階から12階まで各階1名ずつ),代表世話人以外の世話人(以下,単に「世話人」という。)18名であった。(乙2,弁論の全趣旨)
(2) 平成25年12月1日開催の臨時総会において,平成25年規約の修正案として,現行会則が承認可決された。現行会則では,平成25年規約5条の会議に関する規定において「役員会」の後に括弧書きで「(代表世話人を含む。)」を追加し(現行会則5条本文),役員会の成立及び議事の議決については総会の規定に準じる旨の規定を追加し(同条ただし書),役員の構成及び定員を変更するととともに(同7条1項),各役員の職務内容についての規定を追加し(同条2項),会長,副会長及び会計の選出については総会において選出するとされていたものを住民投票において選出後,総会で承認するという手続に変更し(同8条1項),他の会計監査等の選出方法も変更し(同条3項),役員の解任手続に関する規定を新設した(同条5項)。
(3) 平成26年1月13日開催の役員会には,被告Y1(会長),A3(副会長),A24(会計),A25(会計),A15(会計監査),A16(1階代表世話人),A17(2階代表世話人。A3の妻),A10(3階世話人),A12(4階代表世話人),A4(8階代表世話人),A23(11階代表世話人),A28(11階世話人)及びA6(12階代表世話人)の13名が参加した。
上記役員会では,A12(4階代表世話人)から,被告Y1(会長)の派閥とA3(副会長)の派閥の争いにより,自治会の活動運営の円滑性が損なわれ,居住者に迷惑をかけているとし,信用回復のために緊急動議として役員会の「解散」が提案され,賛成多数で可決された。そして,今後の手続として,現行会則に基づく会長,副会長及び会計2名についての住民投票を行い,同年2月11日に開催予定の役員会で住民投票の結果選任された者を発表することに決まった。(乙7から9まで,34,弁論の全趣旨)
(4) 平成26年1月13日開催の役員会を受けて,居住者に対し,現行会則8条1項に基づいて会長1名,副会長1名,会計2名を住民投票で選出すること,立候補は同月24日午後5時を期限とすること,投票は同月29日正午から同月31日午後5時までとすること,投票結果は同年2月11日の役員会で報告することなどを記載した「住民投票のお知らせ」と題する文書が配布された。(乙10,弁論の全趣旨)
(5) 平成26年1月25日,「a自治会有志一同」名で,被告Y1による自治会費不正利用についての経緯説明等を内容とする自治会員を対象とした説明会が開催された。被告Y1(会長),A15(会計監査),A16(1階代表世話人),A6(12階代表世話人)が途中退席した後,A23(11階代表世話人)から被告Y1の会長職からの解任の動議がされ,被告Y1の解任を内容とする役員会を開催することを申し合わせた。(甲7,乙12,弁論の全趣旨)
(6) 平成26年1月28日,「a自治会A3副会長 有志一同」名で,被告Y1(会長)とA15(会計監査)の解任要求を開催内容とする役員会を同月31日に開催する旨記載された「役員会開催のお知らせ」と題する文書が配布された。(甲54,乙13,弁論の全趣旨)
(7) 本件役員会には,A3(副会長),A24(会計),A25(会計),A16(1階代表世話人),A17(2階代表世話人),A18(5階代表世話人),A19(6階世話人),A20(7階代表世話人),A4(8階代表世話人),A21(9階居住者。A24(会計)の夫。),A22(10階世話人),A23(11階代表世話人)の12名が参加した。また,本件役員会には,「世話人代行」という肩書で,2階の居住者であるA29が参加し,役員会議事録を作成した。
本件役員会では,被告Y1(会長)とA15(会計監査)の解任が議題とされ,賛成多数により被告Y1(会長)及びA15(会計監査)の解任が決議された。
なお,本件役員会の議事録には,参加者の項にA17の記載がなく,代わりにA29が「世話人代行」として記載されている。また,同議事録には出席役員の賛否の別及び数は記載がない。(甲2,61,弁論の全趣旨)
2 緒論
原告は,平成27年2月2日にA4を原告の代表者会長として本訴を提起し,その後,A1を原告の代表者会長として本訴を追行しているところ,被告らは,原告の会長はA4,A1ではないから,代表者ではない者により提起,追行された本訴は不適法である旨主張する。
この点,原告は,本件役員会において被告Y1が会長職から解任され,平成26年2月8日開催の臨時総会において被告Y1の会長職からの解任が承認され,同年4月12日開催の定期総会を経て会長がA4となり,平成27年4月19日開催,平成29年4月9日開催の各定期総会を経てA1が会長となった旨主張する(前記前提事実(3)カ)。
一方,被告Y1は,平成26年1月13日開催の役員会において,被告Y1,A3を含む当時の役員が辞任し,同月31日実施の住民投票を経て,同年2月19日開催の臨時総会で会長職に被告Y1,副会長職にA5が選任されたことを主張する(前記第2の3(被告Y1の主張)柱書き,同(6))。
上記各主張を踏まえると,本件役員会における被告Y1の会長職からの解任決議が有効であれば,平成26年1月13日開催の役員会における被告Y1ら当時の役員の辞任が認められるか否かにかかわらず,被告Y1は会長ではなく,また,権利義務会長としての権限行使も許されないことになるから,当時副会長又は権利義務副会長であったA3は被告Y1に代わって会長又は権利義務会長の権限を行使できることとなる(現行会則7条2項2号)。この場合,A4及びA1が現行会則に従い適式に会長の地位に就任したのであれば,A1が現在の原告の代表であることが認められるが,いずれかに瑕疵がある場合,それ以前の役員が権利義務役員として存在することになる(A1の選任手続に瑕疵があればA4が権利義務会長となり,A4の選任手続に瑕疵があれば,A3が権利義務副会長として会長の職務を代行することになる。)。他方,本件役員会における解任が無効であれば,被告Y1は会長又は権利義務会長,A3は副会長又は権利義務副会長の地位にあったことになり,被告Y1の会長職からの解任を承認した平成26年2月8日開催の臨時総会,A4が会長となる根拠となる同年4月12日開催の定期総会をA3が招集したことの有効性が問題となるほか,各決議の効力が問題となり,無効事由がある場合,被告Y1はなお会長(被告Y1が主張する住民投票及びこれに連なる各総会決議が有効である場合)又は権利義務会長の地位を失っていないことになる。
そこで,まず,①本件役員会における被告Y1の解任決議の効力(成否)について検討した上で,②平成26年2月8日開催の臨時総会及び③同年4月12日開催の定期総会が現行会則に従い適法に開催,成立したかについて検討し,これらを踏まえて被告Y1,A4及びA1の地位について順次検討する。
3 本件役員会における被告Y1の解任決議の効力ないし成否について
(1) 招集権限について
被告Y1は,本件役員会は,副会長であるA3が招集したものであるから,会長の役員会の招集権限を定めた現行会則5条本文に違反し無効である旨主張する。
この点,同7条2項2号の「会長が事故など諸事情により職務遂行しがたい場合」は,会長が心身の故障により職務遂行が困難な場合のほか,会長が利害相反その他の同人固有の事情により職務を適時的確に遂行することが期待できない客観的事情が存する場合も含まれるものと解するべきである。そして,本件役員会の議題は,当時の会長(権利義務役員としての会長を含む。)の地位にある被告Y1に対立するA3らによる被告Y1の解任(同8条5項)を議題とするものであること(前記認定事実(6))や,被告Y1側とA3側が対立反目する状況において(同(3)),本件役員会及びその招集のための文書配布に先立つ平成26年1月25日の説明会を被告Y1が途中退席したこと(同(5))を踏まえると,被告Y1が本件役員会を招集,開催することはおよそ期待できない状況にあったということができる。そうすると,現行会則7条2項2号に当たるとして当時の原告の副会長又は権利義務副会長であったA3が会長を代行して本件役員会に係る招集権限(同5条本文)を行使することはできるというべきである。
なお,現行会則において,総会の場合と異なり(同6条),役員会の開催はもっぱら会長の招集によることとされているから(同5条),会長が心身の故障により招集行為が困難であったわけではない本件においては,なお一次的には会長が役員会を招集すべきであるところ,A3による上記招集行為に先立ち,同人を含む関係者が被告Y1に対して役員会の招集を求めたことはうかがわれない。しかし,本件においては,上記のとおり,被告Y1は,同人を糾弾する説明会を途中退席するなど,自身に反対する勢力が会長職から退くことを求めていることを知りつつこれに応じていないのであって,A3らが被告Y1に明示的に役員会の開催を求めなかったことが,A3による招集行為の効力を否定することにはならないというべきである。
したがって,被告Y1の上記主張は採用できない。
(2) 定足数について
ア 役員会の成立要件については,現行会則5条ただし書は,総会における「会員の2分の1以上(委任状を含む)」とする規定(同6条3項)を準用していることから,役員会を構成する役員の「2分の1以上(委任状を含む)」であることを要するものと認められる。
そして,本件役員会当時の原告の役員の構成について,原告は,同5条本文に括弧書きで「役員会(代表世話人を含む。)」と記載されていることなどから,役員会の構成員には代表世話人は含まれるが世話人は含まれないとして,本件役員会当時の役員会の構成員は,会長1名,副会長1名,会計2名,会計監査1名に代表世話人12名(各階1名)を加えた17名である旨主張するのに対し,被告Y1は上記に世話人を含めた35名であり,解任の対象とされている被告Y1を除いたとしても,本件役員会が成立するためには,全役員の2分の1以上である17名以上の出席(委任状を含む)が必要であり(同5条ただし書,6条3項),本件役員会は定足数を満たしていない旨主張する。
イ 現行会則における役員に関する規定を見ると,役員として,会長1名,副会長1名,世話人36名以内(なお,平成26年4月1日以降は原則24名(現行会則附則)。),書記1名,会計2名,会計監査1名,車両管理部1名,防災部1名との規定がある(現行会則7条1項)一方,原告の会議体を定める同5条本文には「役員会(代表世話人を含む。)」との規定がある。この括弧書き部分の規定(以下「本件付加部分」という。)は旧規約には存せず,現行会則により初めて加えられた文言である(甲1,16,17,乙1)。このほかに,役員会の構成員に関する規定は旧規約,現行会則いずれにも見当たらない。
原告における従前の役員会の実態を見ると,証拠上認定できる本件役員会以前のものは平成26年1月13日開催の役員会のみである。この役員会の参加者は,全部で13名であり,その内訳は,会長,副会長,会計2名及び会計監査の5人のほかは,代表世話人6人及び世話人2人である。そして,このうち世話人であるA10が「今日ね,A9さんが具合悪くて私が代表で来たんですが」旨述べているところ,被告Y1も含め,世話人の参加を問題視していない(乙8)。このことから,原告の役員会においては,以前から,会長等5名を除くと,代表世話人が出席することが求められており,かつ,代表世話人が出席すれば足りることとされていたことが推認でき,これに反する証拠はない(なお,世話人による代理出席の可否については後に検討する。)。
ウ 以上によれば,旧規約及び現行会則上,代表世話人ではない世話人は役員会の構成員としては算入されておらず,現行会則5条1項において本件付加部分が加入されたことは,旧規約において不明確であった上記の理解を明文化したものとみるのが相当である。
エ この点,被告Y1は役員会の構成員に世話人全員を含むと主張し,本件付加部分は代表世話人を含むことを注意的に規定したものであると指摘する。しかし,現行会則の趣旨が役員会の構成員として世話人全員を含むのであれば,本件付加部分は全く無用の規定ということになるし,前記イにおいて認定説示した原告における過去の役員会の実態ともかけ離れたものとなり,不合理であるといわざるを得ないから,被告Y1の上記主張は採用できない。
また,前記イのとおり,現行会則には本件付加部分を除くと,設置するものと定められた役員(同7条1項)の一部のみを役員会の構成員とすることを定めた明文の規定はない。しかし,同項4号の書記について,「(暫時役員兼任)」との規定があり,同項に定められた「役員」と異なる意味での「役員」の意義があることが推認されるし,原告の役員名簿上も,会長ほかの「役員」と「世話人」を分けて記載していること(乙2)からすれば,現行会則は,役員会の構成員としての役員と,同条における世話人を含む役員とが一致しないことを前提としているものと認めることができるから,役員会の構成員に代表世話人以外の世話人は含まれないとの上記判断を覆すに至らない。
オ したがって,本件役員会当時の役員会の構成員は,会長,副会長,会計(2名),会計監査のほか,代表世話人12人が含まれ,代表世話人以外の世話人は含まれないものと認められる。なお,現行会則7条1項には,このほか書記(同項4号),車両管理部(同項7号)及び防災部(同項8号)も役員として規定されているが,これらの役職者が実際に選任されていたとの証拠はなく(本件役員会時点における役員の一覧であると推認される名簿(乙2)には,これらの役員の記載はない。),当事者もこれらの役職者を役員会の構成員であることを主張していないことに照らすと,これらの役職者は役員会の構成員ではないか,欠員であって定足数として考慮しないものとされていたことが認められる。以上を踏まえると,本件役員会の定足数は上記17名から本件役員会の議案について利害関係のある被告Y1を除いた16名の2分の1以上である8名以上の出席(委任状を含む)が定足数として必要というべきである。
カ 次に本件役員会の定足数の充足状況について検討する。
本件役員会の参加者は,前記認定事実(7)のとおり,A3(副会長),A24(会計),A25(会計),A16(1階代表世話人),A17(2階代表世話人),A18(5階代表世話人),A19(6階世話人),A20(7階代表世話人),A4(8階代表世話人),A21(9階居住者。A24(会計)の夫。),A22(10階世話人),A23(11階代表世話人)の12名及び「世話人代行」として参加したA29の計13名である。
このうち,A19及びA22は代表世話人以外の世話人であり,A21は現行会則7条1項のいずれの役員でもないところ,原告は,これら3名について代表世話人の代理として出席した者である旨主張する。
キ この点,現行会則5条ただし書が準用する同6条3項は委任状による出席を認めているところ,本件役員会において上記3名について代表世話人の委任状が存するとの主張立証はなく,かえって,本件各証拠及び当事者の主張からうかがわれる原告における役員会の招集及び開催の実態からすると,代表世話人を含む役員会の構成員の出欠や委任を書面によって行ってはいないことが推認される。現行会則上,役員会の構成員以外が構成員の委任を受けて役員会に参加できるか否かは議論の余地があるものの,いずれにしても,同5条ただし書及び6条3項は,その文言上,書面としての委任状を求めているものと解するのが字義に自然であり,実際にも,原告の総会において自らは欠席して他人に委任する住民に対して委任状を求めているのであって(甲10,40,42,69,75,乙21,22(いずれも枝番を含む。),弁論の全趣旨),現行会則における規範としては書面としての委任状を求めているものというべきである。
なお,前記イにおいて認定したように,原告の役員会において,これまで書面による委任状がないままでも代表世話人の代理としての出席を認めていたことがうかがわれるが,本件における紛争のように出席者の人数や資格が問題となり,会議の成立や決議の効力が争われることがあることに照らすと出欠や委任に係る現行会則の規定は相応に厳格に解釈すべきであって,上記判断を覆すに至らない。
ク 以上によれば,本件役員会に参加した前記カ掲記の13名のうち,A19,A21及びA22の3名については,いずれも代表世話人ではなく,代表世話人からの委任状による委任を受けていたとは認められないから,有効な出席者と認めることはできない。また,「世話人代行」の肩書で参加しているA29についても役員会を構成する役員ないしその代理として委任状を得て参加しているものとは認められず,出席者と認めることはできない。なお,議事録上の参加者の中には明記されていないA17が出席していたものと認められる(甲2,61,弁論の全趣旨)。よって,本件役員会に出席したと認められる役員は9名である。
ケ 以上によれば,本件役員会は,現行会則5条ただし書,6条3項に定める「2分の1以上(委任状を含む)」の役員の出席があるということができるから,会議の成立要件を満たしていると認められる。
(3) 招集通知について
ア 被告Y1は,役員会を開催するに当たっては世話人も含めて役員全員に招集通知をする必要があるところ,本件役員会については,少なくとも被告Y1,3階の世話人3名(A9,A10,A11),4階の世話人3名(A12,A13,A14),12階の代表世話人1名(A6)及び会計監査のA15の合計9名に招集通知がされておらず,本件役員会は無効である旨主張する。
イ 以上のとおり,役員会の構成員には少なくとも代表世話人以外の世話人は含まれないと解されるところ,上記9名のうち代表世話人以外の世話人4名(A10,A11,A13,A14)に招集通知をしていないことは瑕疵に当たらない。
他方,少なくとも12階の代表世話人であったA6については招集通知がされていたと認めることはできない。この点,原告は全ての役員(ここでの役員には代表世話人以外の世話人を含まない。)に文書を配布した旨主張し,その旨供述するA25の陳述書を提出するが(甲61),A6はこれを明確に否定しており(乙25),原告の上記主張を裏付ける客観的証拠はなく,また,A25の上記供述は反対尋問を経たものではないことにも鑑みると,これを採用することはできない。なお,被告Y1は本件役員会の招集通知を受け取ったものと認められ(甲55の2,61),また,会計監査のA15,3階の代表世話人であるA9及び4階の代表世話人であるA12については,A25の上記供述を疑わせるに足りる的確な証拠はない(A15はその陳述書(乙24)において,7名の役員に配布がなかった旨供述するが,配布のなかった者の具体的な特定はなく,自身に対する配布がなかったとの明確な記載もないから,A25の上記供述の信用性を否定するに至らない。)。
したがって,本件役員会の開催に当たり,被告Y1を除いた役員として招集通知をすべき16名中少なくともA6に対する招集通知がなく,かつ,その瑕疵を治癒する事情も見当たらないといわざるを得ない。
(4) 議決要件について
ア 現行会則8条5項は,役員の解任決議においては「全体の2分の1以上」の賛成を要する旨規定する。
この点,役員会における通常の議事においては,「出席者の過半数」で決めることとされているところ(同5条ただし書,6条3項後段),役員の解任決議について特別の定めを置いたものであることは明らかであり,決議の性質上も,同8条5項において解任に至る手続も明定されていることに照らしても,通常の議事よりも加重した可決要件を課したものと認められる。したがって,役員の解任に当たっては,役員会の構成員全員から解任決議対象者を除いた議決参加資格者の2分の1以上を必要としたものというべきである。
原告は,出席役員全体の2分の1以上の趣旨である旨主張するが,上記説示に照らし採用できない。
イ 次に,本件役員会における議決権の行使状況を見ると,A3とA17は同一世帯であるから,1世帯で1票となり(現行会則8条5項後段。なお,原告は,同条項は解任の対象者の世帯について適用されるものであり,解任の対象となっていない役員は自治体全体の利害を考えて,同一世帯の代表世話人は当該階の利害を考えて,それぞれ独立して公正に議決することは十分期待できるから,それぞれ決議に参加できるものと考えるのが合理的かつ妥当な解釈であるなどと主張するが,同条項の明文に反するものであり,採用できない。),議決参加資格としては1名分減少し,更に解任決議対象者である被告Y1を除くと,結局,本件役員会の議決参加資格を有する者(世帯)は少なくとも16名となり,その2分の1は8となる。前記認定事実(7)において認定したとおり,本件役員会における議決の賛成数は議事録上明らかではなく,これを示す客観的証拠がないところ,原告の主張するとおり,賛成票がA16の反対票1票を除いた11票であったとしても(甲61。A29の取扱いについては後述する。),この11票中には,現行会則上1世帯1票とされているにもかかわらずA3とA17の賛成票が2票分含まれているし,更に前記(2)クのとおり本件役員会において代表世話人からの委任状を有していたとは認められず,有効な出席者とは認められないA19,A22及びA21の3票も含まれている。そうすると,上記4票分を除いた7票が,本件役員会における被告Y1の解任決議の有効賛成票であるものと認められる。なお,「世話人代行」として本件役員会に参加したA29も解任に賛成したとのことであるが(甲61),前記(2)クのとおり本件役員会の構成員とは認められないのであるから,これを賛成票に含めることはできない。
ウ したがって,本件役員会の賛成票が議決に必要な8票に達しないことが認められるから,現行会則8条5項前段の「全体の2分の1以上」の要件も満たしているとはいえない。
(5) 現行会則8条5項の「役員会の議題にあげた後」の意義について
現行会則8条5項は,「役員会の議題にあげた後,後日,役員会を開催し,その際に採決をとり」と規定しているところ,役員会の招集通知に記載することを要するといった表現ではなく,「役員会」という文言を2回用いるとともに「議題にあげ」るという表現を用いていることからすれば,その文言上,解任について役員会の議題に挙げて議論をした後,別に解任決議のための役員会を開催することが要件とされているものと認められる。前記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被告Y1の解任決議については,本件役員会の前に,解任について議題に挙げた役員会は別に開催されていないことが認められる。
この点,原告は,事前の役員会招集通知の中に議題として記載してあれば足りる,平成26年1月13日開催の役員会における解散の動議が被告Y1らに対する解任の決議に当たる,同月25日開催の説明会において全役員に対して議題は周知されていたなどと主張するが,同項が役員の解任決議の議決要件について通常の議事とは異なる加重された手続要件を定めていることに照らせば,原告が主張するように上記要件を緩和して解釈することは上記規定の趣旨に反するし,同月13日開催の役員会における解散の動議をもって同項の「役員会の議題にあげた」ことと見ることはおよそ困難であり,上記説明会は役員会でもない。したがって,被告Y1の解任決議については,同項の上記要件も満たしていない。
(6) まとめ
以上のとおり,被告Y1の会長職からの解任決議は,その審議及び議決の手続について,役員会の構成員の一部への招集通知が欠けていること(前記(3))及び現行会則8条5項の手続を履践していないこと(同(5))の各手続要件を満たしていないことから,上記解任決議には瑕疵が存在しており,無効である。また,手続要件の点を措くとしても,前記(4)のとおり,被告Y1の会長職からの解任決議は「全体の2分の1以上」の賛成の要件を満たさず否決されたものというべきである。
4 本件役員会を経た被告Y1の地位について
前記3によれば,被告Y1の会長職からの解任決議はその手続に瑕疵があって無効であるか,又は否決されたものであるから,本件役員会後少なくとも平成26年2月8日開催の臨時総会までの間において,被告Y1は,同年1月13日の役員会における辞任が有効か否かにより,原告の権利義務会長又は会長の地位にあったことになる。
5 平成26年2月8日開催の臨時総会について
(1) 前記前提事実(3)カ(ア)のとおり,平成26年2月8日開催の臨時総会については,A3が,会長を代行して,招集通知をしている。前記4のとおり,上記臨時総会開催前の時点においては,被告Y1は,原告の会長又は権利義務会長の地位にあったことになる。
(2) 現行会則は,臨時総会の開催条件として,①代表世話人の2分の1以上が必要と認めたとき,②会員の3分の1以上が必要と認めたとき,③会長が必要と認めたときと定めている(同6条1項)。招集手続は会長が行うものとされていることは役員会と同様であるが(同5条本文),上記①及び②のように,会長の意向にかかわらず臨時総会を開催すべきことが定められているのであるから,開催に当たっては,これらの要件が満たされることが必要であって,単に臨時総会の開催が会長の意に沿わない(可能性がある)という理由のみで,会長に「職務遂行しがたい」(同7条2項2号)事情があるとして副会長が代行することは許されないというべきである。よって,A3には会長を代行して臨時総会を招集する権限はなく,これを看過して開催された上記臨時総会は,その余の点について判断するまでもなく,上記臨時総会は同5条及び6条に違反し無効ないし不存在というべきである。
6 平成26年2月8日開催の臨時総会後の被告Y1の地位について
原告は,仮に本件役員会における解任決議が無効であったとしても,被告Y1の会長職からの解任については,平成26年2月8日開催の臨時総会で承認されていることから,これにより上記解任決議の瑕疵は治癒されている旨主張する(前記第2の3(原告の主張)(1)カ)。
しかし,役員の解任については現行会則8条5項において通常の議事とは異なる特別の手続規定が設けられていることからすると,上記臨時総会の決議によって上記解任決議の瑕疵が治癒されると解することはできない。
また,前記5のとおり,上記臨時総会は招集手続に瑕疵があって無効ないし不存在であるから,被告Y1の会長職からの解任の承認決議も有効に存在しない。
したがって,上記臨時総会後も,被告Y1は会長(被告Y1が主張する同年1月31日実施の住民投票及びこれに連なる総会決議が有効である場合)又は権利義務会長の地位にあったものと認められる。
7 平成26年4月12日開催の定期総会について
(1) 前記前提事実(3)カ(イ)のとおり,平成26年4月12日開催の定期総会も,A3が,会長職を代行して,招集手続をしているところ,前記6のとおり,上記定期総会前において被告Y1は会長又は権利義務会長の地位にあった本件役員会における被告Y1の会長職からの解任決議は無効である。そうすると,上記定期総会は,一次的には会長又は権利義務会長である被告Y1が招集する権限と義務を有することになり,副会長であるA3には会長を代行して定期総会を招集する権限は原則として認められない。
(2) この点,上記定期総会は,被告Y1と対立するA3らにより企図されたものであり,被告Y1以外の者(A4)を会長とするための総会であるから,被告Y1がこれを招集することに消極的であると推認されること,実際にも,この時期に被告Y1が定期総会を招集していないこと(弁論の全趣旨)を踏まえると,前記3(1)における本件役員会の場合と同様,被告Y1が招集権限を行使する見込みは高くないとも考えられる。しかし,本件役員会の際と異なり,定期総会の開催を明示的に拒絶したり,そのような意思が明らかとなるような言動をしたりしているわけではないから,原則どおり,まずは被告Y1による招集を求めるべきであって,それをしないままに行ったA3による会長代行としての招集行為は現行会則に反するものといわざるを得ない。
(3) よって,平成26年度に関しては,上記定期総会は現行会則5条に違反し無効又は不存在であるというべきである。
8 平成26年4月12日開催の定期総会後の被告Y1の地位について
原告は,仮に本件役員会における解任決議が無効であったとしても,被告Y1の会長職からの解任については,平成26年4月12日開催の定期総会で承認されていることから,これにより上記解任決議の瑕疵は治癒されている旨主張する(前記第2の3(原告の主張)(1)カ)。
しかし,前記6に説示したことと同様,上記定期総会の決議によって上記解任決議の瑕疵が治癒されると解することはできないし,前記7のとおり,上記定期総会は招集手続に瑕疵があって無効ないし不存在であるから,被告Y1の会長職からの解任の承認決議も有効に存在しない。
したがって,上記定期総会後も,被告Y1は会長(被告Y1が主張する同年1月31日実施の住民投票及びこれに連なる総会決議が有効である場合)又は権利義務会長の地位にあったものと認められる。
9 A4の地位について
(1) 前記7のとおり,平成26年4月12日の定期総会はその開催手続に瑕疵があり,無効又は不存在というべきであるから,上記定期総会によりA4が原告の会長となったとは認めることができない。
また,上記手続の瑕疵を措くとしても,A4を原告の会長に選任するに当たり,現行会則8条1項に従った立候補及び住民投票の手続が履践されたとの主張立証はないし,上記定期総会の議事録上,総会において承認の手続(議決。同8条1項,6条2項1号)が履践されたとの主張立証もない。そうすると,原告の主張によれば上記定期総会により就任したことになるA4の選任手続は,同8条1項及び6条2項1号が定める立候補・住民投票を経て総会による承認という手続に沿っていないものといわざるを得ない。
以上によれば,A4が上記定期総会により原告の会長の地位に就いたことを認めることはできない。
(2) さらに,前記前提事実(3)カ(ウ)のとおり,平成27年4月19日開催の定期総会は,A4が招集通知をしているところ,前記(1)のとおり,A4が会長の地位にあったとは認められないから,A4に上記定期総会を招集する権限は認められず,上記定期総会も現行会則5条に違反し無効又は不存在である。
また,上記定期総会の議事録には,「役員選挙及び承認」として,A4やA3らが役員に立候補し選挙が行われ承認された旨の記載がある(甲8)。しかし,同議事録の記載は,上記役員選挙なるものが上記定期総会中で実施されたことを記録しているものといわざるを得ず,前記(1)と同様,A4の選任手続は同8条1項の手続に反するものである。
以上によれば,上記定期総会によっても,A4が原告の会長の地位に就いたと認めることはできない。
10 A1の地位について
前記前提事実(3)カ(オ)のとおり,平成29年4月9日開催の定期総会は,A4が招集通知をしているところ,前記9(2)のとおり,平成27年4月19日開催の定期総会は無効又は不存在であり,A4が会長の地位に就いたとは認められないから,A4に定期総会を招集する権限は認められず,平成29年4月9日開催の定期総会も無効又は不存在である。
また,上記定期総会の議事録には,「29年度全世帯過半数の出席,有効委任で新役員が承認された。」としてA1らを挙げるのみであって(甲76),前記9と同様,立候補や住民投票の手続が執られたことの記載はなく,これらの手続が履践されたとの主張立証はない。したがって,A1の選任手続は現行会則8条1項の手続に反するものである
よって,A1が会長の地位に就いたと認めることはできない。
11 まとめ
以上によれば,本件訴訟提起時である平成27年2月2日時点で,A4が原告の代表者会長であるとは認められず,本件訴訟提起は代表権限のない者が行った不適法なものといえる。そして,その後もA4やA1が現行会則に従った手続により原告の代表者会長の地位に就き,代表権限を有するものとは認められない。
他方,前記6のとおり,平成26年2月8日開催の臨時総会後も被告Y1は会長又は権利義務会長の地位にあったことが認められ,同9及び同10のとおり,原告においてA4及びA1が会長の地位に就いたとは認めることができず,被告Y1以降に新たに会長の地位に就いた者があるとは認められないから,被告Y1は現在も会長又は権利義務会長の地位にあることが認められ,原告の代表権限を有することになる。そうすると,代表権限のない者がした本件訴訟提起及びその後の訴訟追行行為について追認により補正することもできない。
第4 結論
よって,本件各訴えはいずれも不適法であるから,これらを却下することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第31部
(裁判長裁判官 小野寺真也 裁判官 島根里織 裁判官 湯浅雄士)
〈以下省略〉
「選挙 立候補」に関する裁判例一覧
(1)令和元年10月 8日 神戸地裁 平29(ワ)1051号 損害賠償請求事件
(2)令和元年 9月 6日 大阪地裁 令元(わ)2059号 公職選挙法違反被告事件
(3)令和元年 6月25日 東京地裁 平26(行ウ)615号 損害賠償等請求事件
(4)令和元年 5月24日 東京地裁 平28(ワ)17007号 選挙供託金制度違憲国家賠償請求事件
(5)平成31年 4月26日 大阪高裁 平30(行ケ)1号 裁決取消請求事件
(6)平成31年 4月25日 東京高裁 平30(ネ)4794号 総会決議無効確認等請求控訴事件
(7)平成31年 4月12日 大阪地裁 平29(ワ)7325号 賃金等請求事件
(8)平成31年 4月 9日 甲府地裁 平27(行ウ)6号 違法公金支出金返還等請求事件
(9)平成31年 3月20日 水戸地裁 平29(わ)655号
(10)平成31年 3月 7日 知財高裁 平30(行ケ)10141号 審決取消請求事件
(11)平成31年 3月 5日 東京高裁 平30(う)1422号 政治資金規正法違反被告事件
(12)平成31年 3月 5日 東京地裁 平29(ワ)18277号 謝罪広告等請求事件
(13)平成31年 1月17日 盛岡地裁 平30(行ウ)8号 旧庁舎解体等公金支出等差止請求事件
(14)平成31年 1月15日 名古屋地裁 平28(ワ)3178号・平28(ワ)3179号 損害賠償請求事件
(15)平成30年11月29日 東京地裁 平29(行ウ)149号・平29(行ウ)375号 不当労働行為再審査申立棄却命令取消事件
(16)平成30年11月22日 東京地裁 平30(ワ)16336号 損害賠償等請求事件
(17)平成30年11月22日 東京地裁 平28(ワ)31683号 損害賠償請求事件
(18)平成30年10月31日 東京地裁 平27(ワ)18282号 損害賠償請求事件
(19)平成30年10月24日 仙台高裁 平29(行コ)26号 政務調査費返還履行等請求控訴事件
(20)平成30年10月11日 東京高裁 平30(う)441号 政治資金規正法違反被告事件
(21)平成30年10月 5日 東京地裁 平27(ワ)36817号・平28(ワ)18096号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件
(22)平成30年10月 4日 東京地裁 平27(ワ)2650号 代表権不存在確認等請求事件
(23)平成30年 9月28日 東京地裁 平26(ワ)10773号・平29(ワ)3602号 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(24)平成30年 9月28日 東京地裁 平28(ワ)23496号 損害賠償請求事件
(25)平成30年 9月27日 大阪高裁 平29(行コ)173号 高等学校等就学支援金支給校指定義務付等請求控訴事件
(26)平成30年 9月27日 東京地裁 平28(ワ)36676号 総会決議無効確認等請求事件
(27)平成30年 9月19日 東京高裁 平30(ネ)2451号 社員総会決議不存在確認等,代議員選挙無効確認等請求控訴事件
(28)平成30年 8月30日 東京高裁 平30(行コ)111号 労働委員会救済命令取消請求控訴事件
(29)平成30年 8月28日 東京地裁 平28(行ウ)281号 政務活動費返還請求事件
(30)平成30年 7月25日 東京高裁 平30(行ケ)8号 裁決取消請求事件
(31)平成30年 7月20日 福岡地裁久留米支部 平28(ワ)69号 損害賠償請求事件
(32)平成30年 6月27日 東京地裁 平27(特わ)2148号 各政治資金規正法違反被告事件
(33)平成30年 5月24日 東京高裁 平30(行ケ)4号 選挙無効及び当選無効請求事件
(34)平成30年 4月25日 東京地裁 平28(ワ)31号・平28(ワ)37044号・平28(ワ)37820号 証書真否確認、立替金等返還債務不存在確認等請求事件、立替金返還請求反訴事件、立替金請求反訴事件
(35)平成30年 4月20日 高松高裁 平29(行コ)21号 権利変換計画不認可処分取消等請求控訴事件
(36)平成30年 4月18日 東京高裁 平29(行コ)302号 埼玉県議会政務調査費返還請求控訴事件
(37)平成30年 3月30日 東京地裁 平27(ワ)37147号 損害賠償請求事件
(38)平成30年 3月26日 東京地裁 平28(ワ)31536号・平28(ワ)44146号 社員総会決議不存在確認等請求事件、代議員選挙無効確認等請求事件
(39)平成30年 3月19日 東京地裁 平28(ワ)1085号 損害賠償等請求事件
(40)平成30年 3月13日 東京高裁 平29(う)1154号 公職選挙法違反被告事件
(41)平成30年 3月 8日 東京地裁 平29(ワ)30031号 損害賠償及び慰謝料請求事件
(42)平成30年 2月21日 東京地裁 平28(行ウ)6号 労働委員会救済命令取消請求事件
(43)平成30年 2月13日 東京地裁 平29(行ウ)45号 非常勤職員報酬返還請求事件
(44)平成30年 2月 6日 東京高裁 平29(行ケ)35号
(45)平成30年 2月 6日 東京地裁 平27(ワ)35223号 仮払金精算請求事件
(46)平成30年 1月22日 東京地裁 平27(特わ)2148号 政治資金規正法違反被告事件
(47)平成30年 1月18日 東京高裁 平29(行ケ)27号・平29(行ケ)28号 裁決取消請求事件
(48)平成29年12月21日 東京地裁 平29(ワ)24097号 損害賠償等請求事件
(49)平成29年12月19日 最高裁第三小法廷 平29(行フ)3号 執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
(50)平成29年12月19日 千葉地裁 平28(行ウ)5号 農業委員会会長解任無効確認請求事件
(51)平成29年12月15日 福岡地裁 平26(わ)1284号・平27(わ)231号・平27(わ)918号 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
(52)平成29年12月 8日 札幌地裁 平24(行ウ)3号 政務調査費返還履行請求事件
(53)平成29年11月16日 東京地裁 平28(ワ)6761号 懲戒処分無効確認等請求事件
(54)平成29年11月 2日 東京地裁 平28(ワ)32978号 損害賠償請求事件
(55)平成29年11月 2日 仙台地裁 平26(行ウ)2号 政務調査費返還履行等請求事件
(56)平成29年10月11日 東京高裁 平28(ネ)5794号 理事長及び理事の地位確認等請求控訴事件
(57)平成29年10月11日 東京地裁 平28(ワ)38184号 損害賠償請求事件
(58)平成29年10月11日 神戸地裁 平28(行ウ)49号 退職手当金不支給処分取消請求事件
(59)平成29年10月 2日 東京地裁 平29(ワ)21232号 発信者情報開示請求事件
(60)平成29年 9月28日 東京地裁 平26(行ウ)229号 難民不認定処分取消請求事件
(61)平成29年 9月26日 東京地裁 平28(ワ)18742号 損害賠償請求事件
(62)平成29年 9月25日 東京地裁 平27(行ウ)331号・平28(行ウ)526号 観察処分期間更新決定取消請求事件、訴えの追加的変更申立て事件
(63)平成29年 9月25日 東京地裁 平27(行ウ)444号 観察処分期間更新処分取消請求事件
(64)平成29年 9月20日 徳島地裁 平28(行ウ)9号 権利変換計画不認可処分取消等請求事件
(65)平成29年 9月 8日 東京地裁 平28(行ウ)117号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(66)平成29年 9月 1日 青森地裁 平29(わ)55号・平29(わ)67号・平29(わ)71号 公職選挙法違反被告事件
(67)平成29年 8月25日 東京地裁 平27(行ウ)732号 難民不認定処分等取消請求事件
(68)平成29年 8月25日 青森地裁 平28(ワ)143号 損害賠償請求事件
(69)平成29年 7月25日 青森地裁 平29(わ)48号・平29(わ)56号・平29(わ)66号・平29(わ)70号 公職選挙法違反被告事件
(70)平成29年 7月24日 東京地裁 平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(71)平成29年 7月12日 広島高裁松江支部 平28(行コ)4号 市庁舎建築に関する公金支出等差止請求控訴事件
(72)平成29年 6月27日 東京地裁 平28(ワ)26217号 損害賠償請求事件
(73)平成29年 5月22日 東京地裁 平28(特わ)807号 公職選挙法違反被告事件
(74)平成29年 5月18日 東京高裁 平28(う)1194号 公職選挙法違反被告事件
(75)平成29年 5月 9日 東京地裁 平28(ワ)36100号 決議無効確認請求事件
(76)平成29年 4月13日 東京地裁 平27(行ウ)480号 退去強制令書発付処分等取消請求事件
(77)平成29年 4月11日 東京地裁 平26(ワ)10342号 損害賠償請求事件
(78)平成29年 4月 7日 東京地裁 平26(ワ)27864号 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求事件
(79)平成29年 3月29日 東京地裁 平28(ワ)4513号・平28(ワ)28465号 マンション管理組合法人総会決議無効確認請求事件、反訴請求事件
(80)平成29年 3月28日 東京地裁 平25(ワ)28292号 謝罪広告等請求事件
(81)平成29年 3月28日 仙台地裁 平28(ワ)254号 損害賠償請求事件
(82)平成29年 3月24日 東京地裁 平26(ワ)30381号 損害賠償請求事件
(83)平成29年 3月15日 東京地裁 平27(行ウ)403号 地位確認等請求事件
(84)平成29年 3月 8日 東京地裁 平26(行ウ)300号 地位確認等請求事件
(85)平成29年 2月 9日 静岡地裁 平28(ワ)409号 損害賠償請求事件
(86)平成29年 2月 2日 東京地裁 平26(ワ)25493号・平27(ワ)20403号 株式代金等請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
(87)平成29年 2月 1日 仙台地裁 平26(行ウ)31号 海外視察費返還履行請求事件
(88)平成29年 1月31日 大阪高裁 平28(ネ)1109号 損害賠償等請求控訴事件
(89)平成29年 1月31日 高松高裁 平28(行コ)23号 資格決定処分取消請求控訴事件
(90)平成29年 1月31日 東京地裁 平27(行ウ)360号 難民の認定をしない処分等取消請求事件
(91)平成29年 1月31日 神戸地裁豊岡支部 平28(わ)63号
(92)平成29年 1月17日 静岡地裁 平28(わ)407号 公職選挙法違反被告事件
(93)平成28年11月28日 名古屋高裁 平27(う)131号 受託収賄、事前収賄、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件
(94)平成28年11月21日 東京地裁立川支部 平27(ワ)2775号 理事長及び理事の地位確認等請求事件
(95)平成28年11月18日 東京地裁 平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件
(96)平成28年11月16日 大阪高裁 平27(ネ)3176号 損害賠償請求控訴事件
(97)平成28年11月15日 東京高裁 平28(行ケ)16号 選挙無効請求事件
(98)平成28年11月10日 東京高裁 平28(行ケ)17号 選挙無効請求事件
(99)平成28年11月 9日 東京地裁 平27(ワ)1724号 損害賠償等請求事件
(100)平成28年10月31日 東京地裁 平28(特わ)1764号 公職選挙法違反被告事件
■選挙の種類一覧
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