
選挙違反と罰則
【買収罪等】
◾️普通買収罪(事前買収)
◾️要件
自らが当選すること、あるいは特定の候補者を当選させること、または当選させないことを目的に、選挙人や選挙運動者に対して、金銭・物品・その他の財産上の利益や公私の職務などを供与したり、その申込みや約束をしたり、または供応接待をしたり、その申込みや約束をすること。
◾️解説
「選挙運動者」とは、投票の勧誘・斡旋・誘導などを行う者のことで、単に選挙運動を依頼された者も含まれます。
「財産上の利益」とは、債務(借金)の免除、支払いの猶予、保証人になること、得意先を与えることなど、財産的な価値のあるいっさいのものを含みます。
「供応接待」とは、酒食などを与えたり、演劇や旅行に招待するなど、相手に慰安や快楽を与えて歓待することをいいます。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金(公職選挙法221条①関係)
◾️利害誘導罪
◾️要件
自らが当選すること、あるいは特定の候補者を当選させること、または当選させないことを目的に、選挙人や選挙運動者に対して、その者自身や、その者と関係のある社寺・学校・会社・組合・市町村などに対する用水・小作・債権・寄附・その他特殊の直接利害関係を利用して、誘導すること。
◾️解説
「特殊の直接利害関係」とは、ある限られた範囲の選挙人や選挙運動者、またはその者が関係する団体にとってのみ、特別かつ直接に利書関係があることをいいます。
例えば、特定の地域の選挙人に対して、当選すればその居住する場所の道路を選挙人の負担なしに舗装するよう努力し、もしこれが不可能な場合には私財を投じても舗装する旨の演説をすることなどがこれに該当します。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁額、または50万円以下の罰金(公職選挙法221条①関係)
◾️事後報酬供与罪(事後買収)
◾️要件
投票や選挙運動をしたこと、またはしなかったこと、あるいはその周旋勧誘をしたことなどの報酬として、選挙人や選挙運動者に対して、金銭・物品・その他の財産上の利益や公私の職務などを供与したり、その申込みや約束をしたり、または供応接待をしたり、その申込みや約束をすること。
◾️解説
「周旋勧誘」とは、特定の選挙に際し、候補者その他の選挙運動者等の依頼を受けまたは自発的に、選挙人あるいは選挙運動者に対して、特定の候補者に投票をし若しくは投票をしないことまたは選挙運動をし若しくは選挙運動をしないように周旋しまたは勧誘することをいいます。
選挙運動員に対して、法定額の範囲内で宿泊費などの実費を弁償することはできますが、報酬を与えると、本罪に該当します(選挙運動用事務員、車上等運動員、手話通訳者および要約筆記者への報酬を除く)。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁鍋、または50万円以下の罰金(公職選挙法221条①関係)
◾️利益収受および要求罪
◾️要件
金銭・物品・その他の財産上の利益、公私の職務などの供与や供応接待を受けたり、その申込みを承諾したり、またはそれらを要求すること。
あるいは、利益誘導に応じたり、自ら利益誘導を促すこと。
◾️解説
普通買収、利害誘導、事後報酬供与は、選挙人や選挙運動者などの受け手側にも罰則が科されます。
すなわち、供応接待した側や利害誘導した側だけでなく、「された側」も罰せられます。もちろん、供応接待や利害誘導を自ら申し込んだり、要求してもいけません。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法221条①関係〕
◾️買収目的交付罪
◾️要件
普通買収罪、利害誘導罪、事後買収罪を犯させることを目的に、選挙運動者に対して、金銭や物品を交付したり、その申込みや約束をすること。
または選挙運動者がその交付を受けたり、その申込みを要求したり、承諾したりすること。
◾️解説
「交付」とは、選挙人又は選挙運動者に供与させるために、仲介人となる選挙運動者に金銭や物品などを寄託する行為をいいます。
普通買収罪や事後報酬供与罪との違いは、選挙人や選挙運動者を買収するために、選挙運動員を仲介人として、その選挙運動員に金銭や物品を交付することが罪に問われる点です。
仲介人に交付すること自体は実質的には買収の予備的行為にすぎませんが、他の買収行為と同じように処罰されます。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法221条①関係〕
◾️買収周旋勧誘罪
◾️要件
これまで述べた5つの買収罪に該当する行為に関して、周旋または勧誘をすること。
◾️解説
実質的には前述した5つの買収罪の教唆や幇助ですが、独立した罪として処罰されます。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法221条①関係)
◾️選挙事務関係者等の買収罪
◾️要件
中央選挙管理会の委員やその庶務に従事する総務省の職員、参議院合同選挙区選挙管理委員会の委員やその職員、選挙管理委員会の委員やその職員、投票管理者、開票管理者、選挙長や選挙分会長、選挙事務に関係する国や地方公共団体の職員といった選挙事務関係者が、これまで述べた買収罪のいずれかを犯すこと。
または、公安委員会の委員や普察官がその関係区域内の選挙に関して、同様の罪を犯すこと。
◾️解説
これまで述べたすべての買収罪に関して、犯罪の主体が選挙事務関係者などの場合には、刑が加重されています。
◾️罰則
4年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金(公職選挙法221条②関係〕
◾️候補者等の買収罪
◾️要件
候補者、選挙運動総括主宰者、出納責任者、地域主宰者が、これまで述べた買収罪のいずれかを犯すこと。
◾️解説
選挙事務関係者等の買収罪と同じように、犯罪の主体が候補者などの場合にも刑が加重されています。
さらに、候補者等が有罪となった場合は、当選が無効となります。
◾️罰則
4年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金(公職選挙法221条③関係〕
◾️多数人買収罪・多数人利害誘導罪
◾️要件
財産上の利益を図ることを目的に、候補者等のために、多数の選挙人や選挙運動者に対して、買収行為をしたり、またはさせること。
あるいは、買収行為を請け負ったり、または請け負わせたり、その申込みをすること。
◾️解説
多数の人々に買収を行う“選挙ブローカー”と呼ばれる者を対象とする刑罰で、一般の買収罪に比べて刑が加重されています。
候補者、選挙運動総括主宰者、出納責任者、地域主宰者が同様の罪を犯した場合には、さらに刑が加重されます。
◾️罰則
5年以下の懲役・禁錮(選挙ブローカーなど)6年以下の懲役・禁錮(候補者などの場合)(公職選挙法222条①・③関係〕
◾️常習的買収罪
◾️要件
普通買収罪、利害誘導罪、事後報酬供与罪、買収目的交付罪、買収周旋勧誘罪を犯した者が常習者であるとき。
◾️解説
買収罪を犯した者が常習者である場合には、一般の買収罪に比べて刑が加重されています。
◾️罰則
5年以下の懲役・禁錮(公職選挙法222条②関係〕
◾️新聞紙・雑誌の不法利用罪
◾️要件
特定の候補者を当選させること、または当選させないことを目的に、新聞紙や雑誌の編集・経営を担当する者に対して、金銭・物品・その他の財産上の利益を供与したり、その申込みや約束をしたり、または供応接待をしたり、その申込みや約束をして、選挙に関する報道や評論の掲載を図ること。
あるいは、これらの担当者が利益を収受したり要求したり、その申込みを承諾すること。
◾️解説
新聞紙や雑誌の持つ影響力を不法に利用しようとする者についての刑罰で、一般の買収罪に比べて刑が加重されています。
候補者、選挙運動総括主宰者、出納責任者、地域主宰者が同様の罪を犯した場合には、さらに刑が加重されます。
◾️罰則
5年以下の懲役・禁錮、6年以下の懲役・禁錮(候補者などの場合)〔公職選挙法223条の2関係)
◾️候補者や当選人に対する買収罪
◾️要件
候補者であることや候補者になろうとすることをやめさせ、あるいは当選人であることを辞させることを目的に、買収や利害誘導を行うこと。
また、立候補をとり下げたことや当選人を辞したこと、またはその周旋勧誘をしたことの報酬として、金銭など財産上の利益を供与すること。
あるいは、これらの供与を受けたり、その申込みを承諾したり、これらの買収行為を周旋勧誘すること。
◾️解説
本罪は、候補者や当選人という選出される立場にある者に不正な利益をもたらす場合を規定したものであり、一般の買収罪に比べて刑が加重されています。
一般的には、立候補を断念させたり当選を辞退させる行為は、必ずしも犯罪とはならないと考えられていますが、それらの行為が買収や特別な利害関係を利用することによって行われた場合には、選挙の公正を著しく損なうことになるために犯罪となります。
また、候補者、選挙運動総括主宰者、出納責任者、地域主宰者、選挙事務関係者等、公安委員会の委員や醬察官などが同様の罪を犯した場合には、さらに刑が加重されます。
◾️罰則
4年以下の懲役・禁鋼、または100万円以下の罰金、5年以下の懲役・禁鍋、または100万円以下の罰金(候補者などや選挙事務関係者などの場合)(公職選挙法223条関係〕
◾️買収等によって得た利益の没収
◾️要件
これまで述べたすべての罪に関して、金銭・物品・その他財産上の利益を収受したり、交付を受けること。
◾️解説
買収等によって受けた利益はすべて没収されますが、没収できない場合には、相当価額が追徴されます。
◾️罰則
違反行為により受領した利益の没収、または追徴〔公職選挙法224条関係〕
【おとり罪・寝返り罪】
◾️おとり罪
◾️要件
連座制を利用して、候補者Aの当選を無効にしたり立候補の資格を失わせるために、候補者Bやその選挙運動者と意思を通じて、候補者Aの選挙運動総括主宰者、出納責任者、地域主宰者、一定の親族、秘書、組織的選挙運動管理者等を誘導したり挑発して、買収罪、利害誘導罪、選挙費用の法定額違反といった連座対象の罪を犯させること。
◾️解説
「おとり」とは、候補者Aの当選無効などを目的に、候補者B陣営の選挙運動者などと意思を通じて、候補者A陣営の連座対象者を誘導したり挑発して、買収罪などを犯させることをいいます。
◾️罰則
1年以上5年以下の懲役・禁錮(公職選挙法224条の2①関係〕
◾️寝返り罪
◾️要件
連座制を利用して、候補者Aの当選を無効にしたり立候補の資格を失わせるために、候補者Aの連座対象者である選挙運動総括主宰者、出納責任者、地域主宰者、一定の親族、秘書、組織的選挙運動管理者等が、候補者Bやその選挙運動者などと意思を通じて、買収罪、利害誘導罪、新聞紙や雑誌の不法利用罪、選挙費用の法定額違反などの連座対象の罪を犯すこと。
◾️解説
「寝返り」とは、候補者A陣営の連座対象者が、自らの陣営の候補者Aの当選を無効にするために、候補者B陣営の選挙運動者などと意思を通じて、買収罪などを犯すことをいいます。
◾️罰則
1年以上6年以下の懲役・禁錮(公職選挙法224条の2②関係〕
【選举妨害罪】
◾️選挙の自由妨害罪
◾️要件
選挙に関して、次の行為をすること。
1. 選挙人、候補者、立候補予定者、選挙運動者、当選人に対して、暴行を加えたり、威迫したり、かどわかしたりすること。
2. 交通・集会・演説を妨害したり、文書図画を毀棄するなど、不正の方法で選挙の自由を妨害すること。
3. 利害誘導による買収罪とは反対に、特殊な利害関係を利用して不利益を加えることを予告することによって、選挙人、候補者、立候補予定者、選挙運動者、当選人に対して、威迫すること。
◾️解説
特定の候補者を当選させることや当選を妨げることを目的としない場合でも、その行為の動機が広く選挙に関わるものであれば、本罪によって罰せられます。
また、選挙期日の公(告)示前の行為も対象となります。
◾️罰則
4年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金〔公職選挙法225条関係〕
◾️職権濫用による選挙の自由妨害罪
◾️要件
公務員や行政執行法人または特定地方独立行政法人の役職員、選挙事務関係者が、故意にその職務の執行を怠り、または正当な理由がなく候補者や選挙運動者につきまとい、その住居や選挙事務所に立ち入るなど、その職権を濫用して選挙の自由を妨害すること。
また、選挙人に対して、投票をしようとする候補者や投票をした候補者の氏名(比例代表選挙にあっては名簿届出政党等の名称・略称)の表示を求めること。
◾️解説
「進学事務関係者」とは、選挙管理委員会の委員や職員、投票管理者、開票管理者、選挙長、選挙分会長などをいい、故意に職務の執行を怠った場合にも本罪が適用されます。
◾️罰則
4年以下の禁錮(自由妨害)、6ヵ月以下の禁錮、または30万円以下の罰金(氏名表示要求)〔公職選挙法226条関係〕
◾️多衆の選挙妨害罪
◾️要件
多くの者が集まって、暴力を加えるなど選挙の自由を妨害したり、交通・集会・演説を妨げたり、投票所や開票所などの選挙施設で騒ぎ立てたりすること。
◾️解説
首謀者、指揮者など、付和随行者(単に多数人として参加したにすぎない者)の別に応じて、処罰されます。
◾️罰則
1年以上7年以下の懲役・禁錮(首謀者の場合)、6ヵ月以上5年以下の懲役・禁錮(指揮者などの場合)、20万円以下の罰金または科料(付和随行者の場合)〔公職選挙法230条①関係〕
◾️虚橋事項公表罪
◾️要件
自らが当選することまたは特定の候補者を当選させることを目的に、候補者や立候補予定者の身分、職業、経歴、政党その他の団体との関係(所属・推薦・支持)などについて、虚の事項を公表すること。あるいは、特定の候補者を当選させないことを目的に、虚の事項を公表したり、事実を歪めて公表したりすること。
◾️解説
特定の候補者の落選を目的に虚偽事項を公表する場合は、候補者本人に直接関係のある事項に限らず、例えば、「候補者の妻に贈賄の疑いがある」とか、「候補者の親族が傷害罪で起訴された」などと、候補者や立候補予定者に打撃を与えるような虚偽の事項を公表する場合も、本罪に該当します。
当選を目的として本罪を犯した場合よりも、落選を目的として本罪を犯した場合のほうが刑が重くなっています。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金(当選目的)、4年以下の懲役・禁鋼、または100万円以下の罰金(落選目的)〔公職選挙法235条関係〕
◾️政見放送・選挙公報の不法利用罪
◾️要件
政見放送や選挙公報において、特定の候補者を当選させないことを目的に、虚偽の事項を公表したり、事実を歪めて公表すること。
あるいは、政見放送や選挙公報において、特定の商品を広告したり、その他営業に関する宣伝をしたりすること。
◾️解説
本罪は、本来公正であるべき政見放送や選挙公報において、当選させない目的をもって虚の事項を公表したり、選挙とは直接関係のない商品の宣伝をすることなどを罰するためのものです。
虚事項を公表した場合と、特定の商品を宣伝した場合とでは、量刑が異なります。
◾️罰則
5年以下の懲役・禁錮、または100万円以下の罰金(虚偽事項公表)、100万円以下の罰金(特定商品宜伝など)(公職選挙法235条の3関係
◾️氏名等の虚偽表示罪
◾️要件
自らが当選すること、あるいは特定の候補者を当選させることまたは当選させないことを目的に、真実に反する氏名・名称・身分の表示をして、郵便・電報・電話またはインターネット等を利用する方法などで通信をすること。
◾️罰則
2年以下の禁、または30万円以下の罰金〔公職選挙法235条の5関係〕
【投票に関する罪】
◾️投票の秘密侵害罪
◾️要件
選挙事務関係者や立会人、代理投票の補助者や監視者などが、選挙人が投票した候補者の氏名(比例代表選挙においては名簿届出政党等の名称・略称)を表示すること(その表示した氏名等が虚偽である場合も含む)。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金〔公職選挙法227条関係〕
◾️ 投票干渉罪
◾️要件
投票所や開票所において、正当な理由がなく選挙人の投票を指示したり、勧誘するなど、投票に干渉すること。あるいは、候補者の氏名や名簿届出政党等の名称を認知する方法を行うこと。
◾️罰則
1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金〔公職選挙法228条①関係〕
◾️投票箱開披・投票取出罪
◾️要件
投票箱閉鎖後は、開票管理者が所定の手続きによってこれを開く以外には、いかなる者も開くことができないという規定を無視して、投票箱を開いたり、投票箱から投票を取り出したりすること。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法228条②関係〕
◾️ 選挙人の虚偽宣言罪
◾️要件
投票管理者は、投票しようとする選挙人が本人であるかどうかを確認することができないときは、本人である旨を宣言させなければならないが、この場合に虚の宣言をすること。
◾️罰則
20万円以下の罰金〔公職選挙法236条③関係〕
◾️ 詐偽投票罪
◾️要件
選挙人でない者が投票をすること。あるいは、氏名を偽ったり、その他詐の方法で投票したり、投票しようとしたりすること。
◾️解説
選挙人でない者が投票する場合と、詐備の方法で投票する場合とでは、量刑が異なります。
◾️罰則
1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金(非選挙人)、2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金(詐像投票)〔公職選挙法237条①②関係〕
◾️ 投票偽造・増減罪
◾️要件
投票を造したり、投票数を増減したりすること。
◾️解説
選挙事務関係者、立会人、代理投票の補助者や監視者などが本罪を犯した場合には、刑が加重されます。
◾️罰則
3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金、5年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金(選挙事務関係者などの場合)〔公職選挙法237条③④関係〕
◾️ 詐偽登録罪
◾️要件
詐偽の方法で選挙人名簿または在外選挙人名簿に登録させること。
あるいは、選挙人名簿に登録させる目的で、転入届について虚後の届出をすることによって、選挙人名簿に登録させること。
◾️罰則
6ヵ月以下の禁錮、または30万円以下の罰金〔公職選挙法236条①②関係〕
◾️ 代理投票における記載義務違反
◾️要件
代理投票の補助者が、選挙人の指示する候補者の氏名または名簿届出政党等の名称・略称を記載しないこと。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金〔公職選挙法237条の2関係〕
【選挙の平穏を害する罪】
◾️選挙事務関係者・施設等に対する暴行罪等
◾️要件
投票管理者や開票管理者、選挙長や選挙分会長、立会人や選挙監視者に暴力を加えたり脅迫すること。
または投票所や開票所、選挙会場や選挙分会場を混乱させたり、投票や投票箱、その他の関係書類などを破壊したり奪い取ったりすること。
◾️罰則
4年以下の懲役・禁錮〔公職選挙法229条関係〕
◾️ 凶器携帯罪
◾️要件
選挙に関して、銃砲、刀剣、こん棒など、人を殺傷することのできるものを携帯すること。あるいは、このような凶器を携帯して、投票所や開票所、選挙会場や選挙分会場に入ること。
◾️ 解説
本罪を犯した場合には、携帯している凶器は没収されます。
また、投票所などの施設に凶器を持ち込んだ場合には、刑が加重されます。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金(凶器携帯)、3年以下の禁錮、または50万円以下の罰金(投票所などでの凶器携帯)〔公職選挙法231)
◾️収入支出に関する規制違反
◾️要件
①出納責任者選任(異動)届が提出される前に、出納責任者が候補者等のために寄附を受けたり、支出をしたりすること。
②出納責任者が、会計帳簿を備えなかったり、これに収支を記載しなかったり、あるいは虚の記載をしたりすること。
③出納責任者以外の者が寄附を受けたとき、7日以内に出納責任者に明細書を提出しなかったり、これに虚偽の記載をしたりすること。
④出納責任者または出納責任者から文書による承諾を得た者
以外の者が立候補準備行為に要するものや、電話またはインターネット等による選挙運動に要するもの以外の選挙運動に関する支出をすること。
⑤支出をした者が、支出を証明する書面(領収書など)を徴収しなかったり、出納責任者に送付しなかったり、これに虚偽の記載をしたりすること。
⑥出納責任者が職務を果たせなくなった際に、職務代行者などに事務の引継ぎをしないこと。
⑦出納責任者が、選挙運動費用収支報告書とその他の添付書類(宣誓書・領収書等・振込明細書等)を提出しなかったり、これらに虚偽の記載をしたりすること。会計帳簿や出納責任者以外の者から提出された明細書、領収書等を選挙運動費用収支報告書の提出後3年間保存しなかったりすること。
また、都道府県の選挙管理委員会または中央選挙管理会に報告又は資料の提出を求められたときに拒んだり、虚偽の報告をしたりすること。
◾️罰則
3年以下の禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法246条関係)
◾️ 選挙事務所の制限違反
◾️要件
①候補者・推薦届出者・候補者届出政党・名簿届出政党等以外の者が、選挙事務所を設置すること。
②選挙事務所を設置した際や異動した際に、都道府県の選挙管理委員会または中央選挙管理会に選挙事務所設置(異動)届を届け出ないこと。
③選挙事務所の制限数に違反して、選挙事務所を設置すること。
④1つの選挙事務所につき、1日2回以上移動すること。
⑤選挙事務所を表示するために選挙管理委員会(中央選挙管理会)が交付する標札を、選挙事務所の入口に掲示しないこと。
⑥選挙の当日に、投票所、共通投票所を設けた場所の入口から半径300m以内の区域に、選挙事務所を設置していること。
⑦都道府県の選挙管理委員会または中央選挙管理会から選挙事務所の閉鎖を命じられたにもかかわらず、閉鎖命令に従わないこと。
◾️解説
それぞれの場合に応じて、量刑が異なります。
◾️罰則
20万円以下の罰金、30万円以下の罰金、6ヵ月以下の禁錮、または30万円以下の罰金、1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金〔公職選挙法239条・240条・241条・242条関係〕
◾️ 自動車・船舶・拡声機の制限違反
◾️要件
①使用制限数を超えて使用すること。
②選挙運動用自動車・船舶に乗車・乗船する人(候補者や運転手・船員を除く)が、都道府県の選挙管理委員会が交付する腕章を着けていないこと(小選挙区選挙の候補者が使用するものに限る)。
③走行中の選挙運動用自動車から、連呼行為以外の選挙運動をすること。
④選挙運動用として自動車・船舶・拡声機を使用する際に、都道府県の選挙管理委員会・中央選挙管理が交付する表示板を取り付けていないこと。
◾️解説
表示違反(④)の場合は、量刑が異なります。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金、1年以下の禁鍋、または30万円以下の罰金〔公職選挙法243条①・244条①関係〕
◾️ 選挙運動用通常葉書の制限違反
◾️要件
①使用制限枚数よりも多くの葉書を使用すること。
②郵便局などで「選挙用」の表示を受けないで使用すること。
③路上で通行人に直接手渡したり、掲示するなど、郵送によらない方法で使用すること。
④無料葉書の交付を受けた候補者が、立候補届出が却下されたり、立候補を辞退した際に、未使用の葉書を返還しないこと。または、これを他人に譲渡すること。
◾️解説
返還・譲渡禁止違反(④)の場合は、量刑が異なります。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金、1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金(公職選挙法243条①・244条①関係)
◾️ 選挙運動用ビラ等の制限違反
◾️要件
①制限種類・制限枚数・制限規格を超えてビラを頒布すること。
②郵送で頒布したり、各家庭に戸別に頒布するなど、決められた方法以外の方法でビラを頒布すること。
③都道府県の選挙管理委員会が交付する証紙をビラに貼っていないこと(小選挙区選挙の場合)。
④ビラの表面に、頒布責任者と印刷者の氏名・住所など(さらに、候補者届出政党にあっては政党名を、名簿届出政党等にあっては政党名と選挙運動用ビラであることを表示する記号)を記載していないこと。
⑤回覧板その他の文書図画または看板の類を多数の者に回覧させること。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法243条①関係〕
◾️ 選挙運動用電子メール等の制限違反
◾️要件
①電子メールを送言することができない者が、送言を行うこと(送言主体制限違反)。
②電子メールを送言することが許されていない者に対して、送信を行うこと(送言先制限違反)。
③電子メールの送を拒否した者に対して、送を行うこと。
④電子メールに、選挙運動用電子メールである旨や送信者の氏名・名称、送言拒否通知を行うことができる旨や送言拒否通知を行う際の通知先を表示しないこと。
⑤当選を得させないために送付する電子メールに氏名・名称と電子メールアドレスを表示しないこと。
◾️解説
表示義務違反(④⑤)の場合は、量刑が異なります。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金、1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金〔公職選挙法243条①・244条①関係〕
◾️ 選挙運動のための有料インターネット広告の制限違反
◾️要件
①選挙運動のための有料インターネット広告を掲載すること。
②候補者本人や第三者などが選挙運動用ウェブサイト等に直接リンクする有料インターネット広告を掲載すること。
◾️罰則
2年以下の禁鍋、または50万円以下の罰金〔公職選挙法243条①関係〕
◾️ 新聞広告の制限違反
◾️要件
①制限規格や制限回数を超えて新聞広告を掲載すること。
②広告を掲載した新聞紙を、通常の方法(新聞販売業者が有償で配布することなど)以外の方法で配布したり、掲示したりすること。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法243条①関係〕
◾️ 新聞紙・雑誌の報道評論の自由違反
◾️要件
選挙期間中に、新聞紙や雑誌の販売業者が、選挙に関する報道・評論が掲載されている新聞紙や雑誌を、通常以外の方法(無償で行う場合を含む)で頒布したり、都道府県の選挙管理委員会が指定する場所以外のところに掲示すること。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法243条①関係
◾️ ポスター・立札・看板の類の制限違反
◾️要件
①総選挙においては、任期満了の日の6ヵ月前の日からまたは衆議院の解散の日の翌日から選挙期日までの間に、候補者等の氏名(氏名類推事項を含む)や後援団体の名称を表示した個人または後援団体の政治活動用ポスターを掲示すること。また時期にかかわらず当該ポスターを裏打ちして掲示すること。
②候補者等の氏名(氏名類推事項を含む)や後援団体の名称を表示した個人または後援団体の政治活動用立札・看板の類を、個数制限・規格制限・場所制限などに違反して掲示すること。
③選挙事務所表示用のもの、個人演説会場で使用するもの、選挙運動用自動車・船舶に取り付けて使用するもの、および選挙運動用ポスターや個人演説会告知用ポスターについて、枚数制限や規格制限などに違反して掲示すること。
④選挙運動用ポスターや個人演説会告知用ポスターを、公営ポスター掲示場以外の場所に掲示すること(小選挙区選挙の候補者の場合)。
⑤選挙運動用ポスターに、都道府県の選挙管理委員会・中央選挙管理会の検印・証紙がないこと(候補者届出政党と名簿届出政党等の場合)。
⑥選挙運動用ポスターや個人演説会告知用ポスターの表面に、掲示責任者や印刷者の氏名・住所(選挙運動用ポスターであって候補者届出政党が使用するものにあっては政党名を、名簿届出政党等が使用するものにあっては政党名や選挙運動用ポスターであることを表示する記号)が記載されていないこと。
⑦選挙管理委員会の撤去命令に従わないこと(⑧⑨以外の場合)。
⑧国または地方公共団体が所有・管理する建物(公営住宅などを除く)や不在者投票管理者が管理する投票記載場所に選挙運動用ポスターを掲示したり、他人の建物などに承諾なくポスターを掲示したり、そのポスターの撤去命令に従わないこと。
⑨選挙事務所を廃止したり、選挙運動用自動車・船舶の使用をやめたり、個人演説会が終了した後などに、そのまま掲示されている文書図画について撤去命令を受けたにもかかわらず、これに従わないこと。
◾️解説
掲示場所違反(⑧⑨)の場合は、量刑が異なります。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金(①~⑦)、1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金(⑧・⑨)〔公職選挙法243条①・244条①関係〕
◾️ アドバルーン、ネオン・サイン等の禁止違反
◾️要件
選挙運動のために、アドバルーン、ネオン・サイン・電光による表示、スライドその他の映写(屋内の演説会場内においてその演説会の開催中に掲示されるものを除く)などの類を掲示すること。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金〔公職選挙法243条①関係〕
◾️ 禁止を免れる行為の禁止違反
◾️要件
選挙運動期間中に、選挙運動用文書図画の頒布・掲示の禁止を免れる行為として、候補者の氏名、シンボルマーク、政党等の名称、特定の候補者を推薦・支持・反対する者の氏名を表示する文書図画を頒布・掲示すること。
また、候補者の氏名、政党等の名称、候補者の推薦届出者・選挙運動員の氏名、候補者と同一戸籍内にある者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状などの挨拶状を当該候補者の選挙区内に頒布・掲示すること。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金(公職選挙法243条①関係)
◾️ パンフレット・書籍の頒布違反
◾️要件
①候補者届出政党若しくは名簿届出政党等以外の者が、国政に関する重要政策等を記載したパンフレット・書籍(以下、パンフレット等)を頒布すること。
②候補者届出政党若しくは名簿届出政党等の本部において直接発行していないもの、総務大臣に届け出ていないものを頒布することや制限種類を超えて頒布すること。
③パンフレット等に当該候補者届出政党若しくは名簿届出政党等の代表者以外の候補者・名簿登載者の氏名または写真等の氏名類推事項を掲載して頒布すること。
④パンフレット等の表紙に、候補者届出政党若しくは名簿届出政党等の名称、頒布責任者と印刷者の氏名および住所(法人の場合は名称および所在地)ならびに届出を行ったパンフレット等である旨を表示する記号を表示しないで頒布すること。
⑤郵送で頒布したり、各家庭に戸別に頒布するなど、決められた方法以外の方法で頒布すること。
◾️解説
当該候補者届出政党若しくは名簿届出政党等の役職員・構成員として違反行為をした場合に罰則の対象とされます。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金(公職選挙法243条①②関係〕
◾️ 特殊乗車券の制限違反
◾️要件
特殊乗車券の交付を受けた候補者が、立候補届出が却下されたり、立候補を辞退した際に、未使用の特殊乗車券を返還しないこと。
または、これを他人に譲渡すること。
◾️罰則
1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金〔公職選挙法244条①関係〕
◾️ 個人演説会等・街頭演説の制限違反
◾️要件
①選挙運動のために、個人演説会・政党演説会・政党等演説会以外の演説会を開催すること。
②これらの演説会の開催中に、都道府県の選挙管理委員会・中央選挙管理会が交付する表示板を付けた立札・看板の類を、会場の前に掲示しておかないこと。
また、これ以外の文書図画を会場外に掲示すること。
③移動しながら街頭演説をすること。
④都道府県の選挙管理委員会または中央選挙管理会が交付する標旗を掲げずに、または候補者届出政党若しくは名簿届出政党等の選挙運動用自動車または船舶で停止しているものの車上・船上・その周辺以外の場所で街頭演説をすること。
⑤街頭演説に従事する選挙運動員が、交付された腕章をつけないこと(小選挙区選挙の候補者の場合)。
⑥他の選挙の投票日(投票所の閉鎖時間までの間)に、その投票所、共通投票所を設けた場所の入口から 300m以内の区域で、個人演説会などを開催したり、街頭演説や、連呼行為をすること。
⑦国または地方公共団体が所有・管理する建物や電車・バス・船舶などの交通機関の中、電車やバスの停車場、鉄道の敷地内、病院、診療所、その他の療養施設で演説をしたり、連呼行為をすること。
⑧街頭演説の際に標旗の提示を拒んだり、午前8時から午後8時まで以外の時間帯に街頭演説をすること。
◾️解説
夜間演説等の禁止違反(⑧)の場合は、量刑が異なります。
◾️罰則
2年以下の禁錮、または50万円以下の罰金、1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金(夜間演説等)〔公職選挙法243条①・244条①関係〕
◾️ 選挙期日後の挨拶行為の制限違反
◾️要件
選挙期日後に、当選または落選の挨拶として、戸別訪問をしたり、挨拶状(答礼のためにする自筆の信書やインターネット等を利用する方法により頒布される文書図画などを除く)を出したり、テレビや新聞・雑誌に挨拶広告を出したり、当選祝賀会やその他の集会を開いたりすること。
◾️罰則
30万円以下の罰金(公職選挙法245条関係〕
◾️ 選挙時の政治活動の規制違反
◾️要件
①選挙期日の公示の日から投票日までの間、政党その他の政治活動を行う団体の役職員や構成員が、政談演説会・街頭政談演説の開催、ポスターおよび立札・看板の類の掲示、ビラの頒布、宣伝告知のために政治活動用自動車・拡声機の使用、連呼行為、特定の候補者の氏名(氏名類推事項を含む)を記載した文書図画(新聞・雑誌・インターネット等を利用する方法による頒布を除く)の掲示・頒布、国または地方公共団体が所有・管理する建物(公営住宅などを除く)への文書図画(新聞・雑誌を除く)の頒布(郵便等・新聞折込みの方法による頒布を除く)を行うこと。
②選挙期日の公示の日から投票日までの間、政党その他の政治団体の役職員や構成員が、当該選挙に関する報道・評論が掲載された機関新聞紙・機関雑誌を通常以外の方法で領布したり、当該選挙に関する報道・評論の掲載が禁止されている機関新聞紙・機関雑誌を発行すること。
◾️罰則
100万円以下の罰金(公職選挙法252条の3①関係〕
【寄附の制限に関する罪】
◾️候補者等の寄附の禁止違反
◾️要件
①候補者等が、選挙区内にある者に対して、選挙に関する寄附を行うこと(政党等や親族への寄附、選挙区内で行われる政治教育集会に関する必要最小限度の実費補償を除く)。
または、選挙に関しないものであっても通常一般の社交の程度を超えて寄附をすること。
②候補者等が、選挙区内にある者に対して、選挙に関しないもので、かつ、通常一般の社交の程度を超えない寄附を行うこと(候補者等本人が出席する結婚披露宴の祝儀や葬式・通夜の香典を除く)。
◾️解説
選挙に関する寄附は、選挙に関しない寄附よりも刑が加重されています。
また、②については、候補者等本人が出席して、その場で渡す結婚披露宴の祝儀や葬式・通夜の香典であっても、通常一般の社交の程度を超えるものは、①と同様の罰則が科せられます。
◾️罰則
1年以下の禁鋼、または30万円以下の罰金(①)、50万円以下の罰金(②)(公職選挙法249条の2①②③関係)
◾️ 候補者等を名義人とする寄附の禁止違反
◾️要件
候補者等以外の者が、候補者等の選挙区内にある者に対して、候補者等の名義で寄附を行うこと(候補者等の親族への寄附、選挙区内で行われる政治教育集会に関する必要最小限度の実費補償を除く)。
◾️解説
会社や後援会などの団体が違反した場合には、その役職員または構成員として違反した者が罰則の対象となります。
◾️罰則
50万円以下の罰金(公職選挙法249条の2④関係)
◾️ 候補者等の関係会社等の寄附の禁止違反
◾️要件
候補者等が役職員や構成員である会社・その他の法人・団体が、選挙に関して、候補者等の氏名を表示し又は候補者等の氏名が類推されるような方法で、選挙区内にある者に対して寄附をすること(政党などへの寄附を除く)。
◾️罰則
50万円以下の罰金(公職選挙法249条の3関係)
◾️ 候補者等の氏名を冠した団体の寄附の禁止違反
◾️要件
候補者等の氏名や氏名類推事項を冠した会社・その他の法人・団体が、選挙に関して、選挙区内にある者に対して寄附をすること(当該候補者等、政党などへの寄附を除く)。
◾️罰則
50万円以下の罰金(公職選挙法249条の4関係)
◾️ 国等と特別の関係にある者の寄附の禁止違反
◾️要件
①国と請負契約などの特別な利益を伴う契約を結んでいる者が、楽議院議員選挙に関して、寄附をすること。
②国から利子補給金の交付の決定を受けた金融機関から融資を受けている会社その他の法人が、衆議院議員選挙に関して、利子補給金の交付の日から1年以内に寄附をすること。
◾️罰則
3年以下の禁錮、または50万円以下の罰金会社その他の法人については、役職員として当該違反行為をした者)(公職選挙法248条の①②関係)
◾️ 後援団体に関する寄附の禁止違反
◾️要件
①後援団体が、選挙区内にある者に対して寄附を行うこと(候補者等への寄附、政党などへの寄附、衆議院議員の任期満了日の91日前までまたは衆議院の解散の日までにその後援団体の設立目的により行う行事や事業に関する寄附を除く)。
②後援団体の総会その他の集会・見学・旅行などの行事において、任期満了日の90日前または衆議院の解散の日の翌日から選挙期日の間に、選挙区内にある者に対して、金銭や物品などを供与したり、供応接待をすること。
③候補者等が、任期満了日の90日前からまたは衆議院の解散の日の翌日から選挙期日の間に、自分の後援団体(資金管理団体を除く)に対して、寄附をすること。
◾️罰則
50万円以下の罰金(公職選挙法249条の5関係)
◾️ 寄附の勧誘・要求の禁止違反
◾️要件
①国と請負関係にある会社などや、国から利子補給金の交付の決定を受けている金融機関から融資を受けている会社などに対して、選挙に関して寄附を勧誘したり、要求したり、または寄附を受けること。
②候補者等を威迫して、選挙区内にある者に対する寄附を勧誘したり、要求すること。
③候補者等の当選を無効にさせたり、被選挙権を停止させる目的で、寄附を勧誘したり、要求すること(一定の場合を除く)。
④候補者等以外の者を威迫して、候補者等の名義で選挙区内にある者に寄附するように勧誘したり、要求すること。
◾️解説
それぞれの場合に応じて、量刑が異なります。
◾️罰則
1年以下の懲役・禁錮、または30万円以下の罰金(②・④)、3年以下の禁錮、または50万円以下の罰金(①)、3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金(③)〔公職選挙法249条・249条の2⑤⑥⑦関係
◾️ 寄附の質的制限違反(政治資金規正法)
◾️要件
①外国人、外国法人、その主たる構成員が外国人や外国法人である団体やその他の組織から、寄附を受けること(たる構成員が外国人又は外国法人である日本法人のうち、上場会社であって、その発行する株式が5年以上継続して上場されている者等からの寄附を除く)。
②本人以外の名義で寄附をしたり、本人以外の名義による寄附を受けること。または、匿名で寄附をしたり、匿名の寄附を受けること(政党匿名寄附を除く)。
③国から補助金、負担金、利子補給金、その他の給付金の交付の決定を受けた会社が、交付の決定の通知を受けた日から1年以内に寄附をすること(試験研究、調査、災害復旧に係るものや、その他性質上利益を伴わない補助金などを除く)。または、これらに対して寄附を勧誘したり、要求すること。
④国から資本金・基本金・その他これらに準ずるものの出資や提供を一部でも受けている会社が寄附をすること。または、これらに対して寄附を勧誘したり、要求すること。
⑤3事業年度にわたり継続して欠損を生じている会社(赤字会社)が、その父損がうめられるまでの期間中に寄附をすること。または、これらの寄附を受けること。
◾️解説
団体の役職員や構成員が違反した場合には、その行為者を罰するほか、その団体に対しても罰金刑が科せられます(両罰規定)。
また、違反行為により受領した寄附は没収または追徴されます。
なお、⑤の赤字会社の寄附については量刑が異なります。
◾️罰則
3年以下の禁鋼、または50万円以下の罰金(行為者)(①〜④)、50万円以下の罰金(赤字会社の行為者)(⑤)、50万円以下の罰金(団体)(①~⑤)(政治資金規正法26条の2・3・28条の3関係)
【公民権停止】
◾️公職選挙法・政治資金規正法違反
◾️ポイント
①公職選挙法に規定する選挙犯罪を犯し、刑に処せられたり、または、政治資金規正法に違反し、刑に処せられたりすると、選挙権および被選挙権が一定期間停止されることがあります。
②公職選挙法違反、または政治資金規正法違反の罪を犯した者は、それぞれの罪状に応じて処罰されますが、処刑者は、さらに一定期間、選挙権および被選挙権(公民権)が停止され(一部を除く)、投票することも立候補することもできず、また選挙運動をすることもできません(連座制の適用により当選無効・立候補制限を受けた候補者は、公民権を停止されるものではありません)。
議院議員が被選挙権を失えば、国会法により、その職を失うことになります。停止期間は、犯した罪や刑罰の種類によって異なります。
◾️罰則
【原則的な停止期間】
* 罰金刑の場合/裁判が確定した日から5年
* 罰金刑の執行猶予の場合/裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間
* 禁錮以上の刑の場合/裁判が確定した日から刑の執行が終わるまでの実刑期間と、さらにその後の5年間
* 禁錮以上の刑の執行猶予の場合/裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間
* 買収罪や利害誘導罪などの累者/裁判が確定した日から刑の執行が終わるまでの実刑期間と、さらにその後の10年間(罰金刑に処せられた者については、裁判が確定した日から10年間)〔公職選挙法252条関係、政治資金規正法28条関係〕
【連座制】
◾️連座制とは
◾️ポイント
連座制とは、候補者等と一定の関係にある者(親族など)や選挙運動で重要な役割を果たす者が、買収罪などの悪質な選挙違反を狙して刑に処せられた場合には、たとえ候補者等が買収などに関わっていなくても、当選が無効になるとともに、一定の立候補制限が科せられる制度です。
◾️ 連座制I(総括主宰者・出納責任者・地域主宰者)
◾️ポイント
総括主宰者・出納責任者・地域主宰者が、次の①~⑤の選挙犯罪を犯し、刑(執行猶予を含む。)に処せられると、裁判所から候補者にその旨が通知されます。候補者は通知を受けた日から30日以内に、検察官を被告として、これらの者が総括主宰者・出納責任者・地域主宰者に該当しないことなどを理由として、当選が無効とならないこと、または立候補制限が科せられないことの確認を求める訴訟を高等裁判所に提訴することができます。
この訴訟に勝訴しない限り、候補者の当選は無効となり、さらに同じ選挙で同じ選挙区から5年間立候補できなくなります。
したがって、通知を受けた日から30日以内に提訴しなかったり、途中で訴えを取り下げたり、原告の敗訴が確定した場合は、ただちに候補者の当選が無効となります(結審前は無効ではありません)。
ただし、総括主宰者・出納責任者・地域主宰者が、いわゆるおとり行為や寝返り行為(P109参照)により選挙犯罪を犯した場合には、重複立候補者で小選挙区選挙に関して連座が適用された場合の比例代表選挙における当選は無効とならず、立候補制限も科せられません。
①買収・利害誘導罪(公選法221条)
②多数人買収・多数人利害誘導罪(公選法222条)
③公職の候補者や当選人に対する買収・利害誘導罪(公選法223条)
④新聞紙・雑誌の不法利用罪(公選法223条の2)
⑤選挙費用の法定額違反(出納責任者のみ)(公選法247条)(公職選挙法210条、251条の2・5関係)
◾️ケース解説
総括主宰者や地域主宰者とはどのような者か
総括主宰者とは、選挙運動の全体をとりまとめる者をいいます。
また、地域主宰者とは、一部の地域の選挙運動をとりまとめる者を指します。
◾️連座制II(親族・秘書・公務員等)
◾️ポイント
①候補者等の親族や秘書で、候補者等・総括主宰者・地域主宰者と意思を通じて選挙運動をしたものが、前出「連座制I」の①~④の罪を犯し、禁錮以上の刑(執行猶予を含む。)に処せられると、候補者等の当選は無効となり、さらに同じ選挙で同じ選挙区から5年間立候補できないことになります。
ただし、親族や秘書が、いわゆるおとり行為や寝返り行為により選挙犯罪を犯した場合には、重複立候補者で小選挙区選挙に関して連座が適用された場合の比例代表選挙における当とは無効とならず、立候補制限も科せられません。(公職選挙法251条の2関係)
②国または地方公共団体の公務員、行政執行法人または特定地方独立行政法人の役職員、公庫の役職員だった人が、これらの職を離職した日から3年以内に行われる国会議員の選挙のうち最初に立候補した選挙に当選した場合、その人と職務上関係のあった公務員などが、その当選人の選挙運動のために前出「連座制I」の①~④の罪のほか一定の選挙犯罪を犯して刑に処せられたときは、その当選人の当選は無効となります。
ただし、立候補制限は科せられませんし、比例代表選挙の当選人には適用されません。〔公職選挙法 251条の4関係〕
③ただし、上記の連座については、選挙犯罪についての刑事裁判が確定すると直ちに適用されるのではなく、刑事裁判が確定後、検察官が、候補者等を被告として、刑が確定した日から30日以内に、当選無効や立候補制限について高等裁判所に提訴し検察官が勝訴したときに適用されます。〔公職選挙法211条・251条の5関係)
◾️ケース解説
親族や秘書とはどのような人か
親族とは、候補者や立候補予定者の父母、配偶者、子、兄弟姉妹を指します。秘書とは、候補者や立候補予定者に使用され、政治活動を補佐する者をいいます。
◾️ 連座制皿(組織的選挙運動管理者等)
◾️ポイント
組織的選挙運動管理者等が、前出「連座制1」の①~④の罪を犯し、禁錮以上の刑(執行猶予を含む。)に処せられると、検察官は、候補者等を被告として、刑が確定した日から30日以内に、当選無効や立候補制限について高等裁判所に提訴します。
この起訴の結果、選挙犯罪を犯した者が組織的選挙運動管理者等であることなどが認められれば、候補者等の当選は無効となり、さらに同じ選挙で同じ選挙区から5年間立候補できないことになります。
したがって、候補者等の当選が無効になるのは、組織的選挙運動管理者等が刑に処せられたときではなく、その後の訴訟で検察官が勝訴したときです。
ただし、次の場合には、候補者等の当選は無効とならず、立候補制限も科せられません。
①組織的選挙運動管理者等が、いわゆるおとり行為や寝返り行為により選挙犯罪を犯したとき
②組織的選挙運動管理者等が選挙罪を犯さないよう、候補者等が相当の注意を怠らなかったとき
組織的選挙運動管理者等とは、候補者等と意思を通じて組織により行われる選挙運動において選挙運動の計画の立案・調整を行う者、選挙運動に従事する者たちの指揮・監を行う者、その他選挙運動の管理を行う者をいいます。〔公職選挙法 211条・251条の3・5関係〕
◾️ケース解説
①「選挙運動の計画の立案・調整を行う者」とは選挙運動全体の計画を立てたり、その調整を行う者のほか、ビラ配り、ポスター貼り、個人演説会などの計画を立案・調整する者をいいます。
いわば司令塔の役割を担う者です。
②「選挙運動に従事する者たちの指揮・監督を行う者」とはビラ配り・ポスター貼り、個人演説会の会場設営、電話作戦などに当たる者を、指揮したり、監督したりする者をいいます。
いわば前線のリーダーの役割を担う者です。
③「その他の選挙運動の管理を行う者」とは選挙運動に従事する者への弁当の手配、車の手配、個人演説会場の確保などの管理をする者をいいます。
いわば後方支援活動の管理を担う者です。
④「組織」にはどのようなものが含まれるか
例えば、政党、政党の支部、政党の青年部・婦人会、候補者等の後援会、系列の地方議員の後援会、地事務所、選挙事務所、政治支援団体などです。
⑤会社や町内会などは「組織」に含まれるか
会社、労働組合、宗教団体、協同組合、業界団体、青年団、同窓会、町内会など、本来は政治活動や選挙運動以外の目的で存在していると思われる団体でも、特定の候補者等を当選させるために、構成員が相互に役割を分担し、協力し合って選挙運動を行う場合には「組織」に該当します。
⑥「意思を通じて」とはどのようなことか
「意思を通じて」とは、意思の連絡が明らかにある場合に限らず、組織ぐるみで選挙運動を行うことについて暗黙の了解がある場合も含まれます。
例えば、ある候補者が選挙のたびごとに組織ぐるみで選挙運動を行っており、選挙運動の管理を担当する者と“今回もよろしく”程度のやりとりがあった場合でも、「意思を通じて」いるとみなされることがあります。
【国外における選挙犯罪】
◾️国外犯とは
◾️ポイント
国外犯とは、日本国外で狙した場合にも処罰することとしている罪のことで、公職選挙法において規定されている国外犯には、日本国民に限って処罰の対象とする考え方(国民の国外犯)がとられています。
◾️国外犯として処罰することとされている罪
◾️ポイント
公職選挙法では国外犯として処罰することとされている罪として、選挙の自由と公正を確保するため、特に処罰が必要不可々な罪を指定しています。
具体的な国外犯には、主に次のような罪があります。
①選挙犯罪の中で最も選挙の公正を書し、かつ、民主主義を腐敗・堕落させるおそれの高い買収罪等
②選挙が公正に行われるための基本的条件である選挙の自由を妨害する罪
③公正な手法・手続による投票を阻害する投票干渉罪、誰投票罪等
④選挙人の投票に不当な影響を及ぼす公務員等の選挙運動制限違反の罪等
◾️解説
国内においては、選挙運動について厳しい制限が課されており、定められた一定のもの以外の文書図画の頒布・掲示、戸別訪問などについては、処罰されることとされていますが、選挙公営を実施しない国外においては、日本における選挙運動の規制と同様の規制をすることは適当でないことから、ビラやポスターなどの頒布・掲示についても、行為が国外において完結する限りは規制しないこととされています。
ただし、外国人による政治活動を禁止している国もあるので、外国における選挙運動についてもそれぞれの国の法令等により許される範囲で、外国との摩擦を生じないよう行わなければなりません。
◾️罰則
国内における選挙犯罪と同量刑(公職選挙法255条の3関係)
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