
「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例(47)昭和29年 8月 3日 名古屋高裁 昭29(う)487号 公職選挙法違反事件
「選挙 ビラ チラシ」に関する裁判例(47)昭和29年 8月 3日 名古屋高裁 昭29(う)487号 公職選挙法違反事件
裁判年月日 昭和29年 8月 3日 裁判所名 名古屋高裁 裁判区分 判決
事件番号 昭29(う)487号
事件名 公職選挙法違反事件
文献番号 1954WLJPCA08030008
要旨
◆公職選挙法一四八条の二第二項にいう「新聞紙」の意義
◆公職選挙法一四八条の二に違反して収受しまたは交付を受けた利益とは新聞発行に要する費用を控除したものでなく授受された金額全部を指すものである。
新判例体系
公法編 > 組織法 > 公職選挙法〔昭和二五… > 第一三章 選挙運動 > 第一四八条の二 > ○新聞等の不法利用の… > 新聞紙の意義
◆公職選挙法第一四八条の二の新聞紙は、反覆する意思をもって一般民衆に頒布することを主たる目的とするもので、その頒布が有償であることを原則とすれば足りる。
公法編 > 組織法 > 公職選挙法〔昭和二五… > 第一六章 罰則 > 第二二四条 > ○没収・追徴 > (三)没収・追徴の対… > B 実費の支弁 > (1)実費控除を認めない事例
◆有利な報道、評論を掲載する、またはした報酬として金員の供与を受けた場合には、その金員は公職選挙法第二二四条にいう「収受し又は交付を受けた利益」にあたり、新聞発行に要した諸費用とは関係がない。
出典
高検速報 77号
高刑特 1巻3号113頁
参照条文
公職選挙法148条の2
公職選挙法223条の2
公職選挙法224条
裁判年月日 昭和29年 8月 3日 裁判所名 名古屋高裁 裁判区分 判決
事件番号 昭29(う)487号
事件名 公職選挙法違反事件
文献番号 1954WLJPCA08030008
被告人 落合駿午
〔抄録〕
控訴趣意第二点について。
大河内秀憲の司法警察員並びに検察官に対する供述調書、坂口和子の検察官に対する供述調書、被告人の司法警察員並びに検察官に対する供述調書及び名古屋郵政局長の証明書によれば被告人が発行した「ローカル愛知」新聞は毎月三回発行の予定で第三種郵便物の認可があつたが、実際は毎月一、二回(一回の発行部数一千部以上)の発行に止まり、稀に三回以上発行することがあつたに過ぎず、かつ他の日刊新聞又は雑誌に折込んで配達頒布していたことを認めることができる。従つて公職選挙法第百四十八条第三項の要件を備えた新聞紙でないこと明らかである。
然れども凡そ新聞紙とは反覆する意思を以て一般民衆に頒布することを主たる目的とするもので、その頒布が有償であることを原則とすれば足るところ同法第百四十八条の二第二項にいう新聞紙は右にいう程度の広義の新聞紙であれば十分であり、第百四十八条第三項の要件を備えた厳格な意味の新聞紙であることを要しないと解する。蓋し第百四十八条は社会の報道機関である新聞紙が選挙に関する報道、評論を掲載するの自由を妨げられないことを目的として規定されたものであり、第百四十八条の二の規定は新聞紙が特定候補者の為の選挙運動に不法に利用されることを禁止したものであつて、全くその目的を異にし、而も後者は前者の厳格な意味における新聞紙でなくとも、いやしくも前示広義の新聞紙である以上、その読者に与える影響は甚大であつて、到底ビラ、ポスター、チラシの類ではないから法律は第百四十八条の二の規定を新設し、同条の新聞紙と第百四十二条第百四十三条の文書図画とを区別し、第百四十八条の二の違反者をより重く処罰し、厳重に取締ることとしたものと信ずる。果して然りとすれば第百四十八条の二の新聞紙は第百四十八条第三項の規定する厳格な意味の新聞紙であることを要しないこと言をまたない。
而して記録を精査するに本件「ローカル愛知」新聞は前説明の如く右の題号の下に昭和二十六年秋冬の頃より月三回発行(小牧局第三種郵便物認可)定価年六百円ということで被告人の手で刊行されてきたものであり、前示広義の新聞たるの要件を備えたものであるから第百四十八条の二第二項にいう新聞紙であること明らかである。従つて原判決が被告人の本件ローカル愛知を公職選挙法第百四十八条の二の新聞紙として同法第二百二十三条の二を以て処断したのは適法であつて、所論の如き法律の適用を誤つた違法なく、論旨は理由がない。
同第一点について。
公職選挙法第二百二十四条は「前四条の場合において収受し又は交付を受けた利益は没収する。その全部又は一部を没収することができないときはその価額を追徴する」と規定している。而して論旨は「収受し又は交付を受けた利益」とは収受し又は交付を受けた金そのものを意味しないから、本件における利益とは新聞発行に要した該費用を控除しその後に残つた利益と解すべきであるが故に、原裁判所が被告人が水野実郎及び平井章より供与を受けた金額全部を被告人から追徴する旨判示したのは違法である旨主張するが、同条の規定する利益とは供与を受けた金銭、物品その他財産上の利益若しくは饗応接待等を意味するものであることは多言を要しないところ、被告人は原判決認定の如く水野実郎及び平井章に対し「ローカル愛知」に有利な報道、評論を掲載する又はした報酬として合計金四万九千円の供与を受けたものであるから、該金員が被告人が収受し又は交付を受けた利益であつて、現実に被告人が右記事を掲載する新聞を発行するに要した諸費用とは何等関係がない。従つて原裁判所が本件新聞発行に要した費用につき審理しなかつたのは当然であつて、原判決には所論の如き審理不尽又は事実誤認はない。論旨は理由がない。
(裁判長判事 高城連七 判事 柳沢節夫 判事 赤間鎮雄)
(1)平成23年 1月18日 東京地裁 平22(行ウ)287号 政務調査費交付額確定処分取消請求事件
(2)平成22年 6月 8日 東京地裁 平21(行ウ)144号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(3)平成21年 2月17日 東京地裁 平20(行ウ)307号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(4)平成21年 1月28日 東京地裁 平17(ワ)9248号 損害賠償等請求事件
(5)平成20年11月28日 東京地裁 平19(行ウ)435号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(6)平成20年 9月19日 東京地裁 平17(特わ)5633号 国家公務員法被告事件
(7)平成20年 7月25日 東京地裁 平19(行ウ)654号 政務調査費返還命令取消請求事件
(8)平成20年 4月11日 最高裁第二小法廷 平17(あ)2652号 住居侵入被告事件 〔立川反戦ビラ事件・上告審〕
(9)平成20年 3月25日 東京地裁 平19(行ウ)14号 難民の認定をしない処分取消等請求事件
(10)平成19年 6月14日 宇都宮地裁 平15(ワ)407号 損害賠償請求事件
(11)平成18年12月 7日 東京高裁 平17(ネ)4922号 損害賠償等請求控訴事件 〔スズキ事件・控訴審〕
(12)平成18年 4月14日 名古屋地裁 平16(ワ)695号・平16(ワ)1458号・平16(ワ)2632号・平16(ワ)4887号・平17(ワ)2956号 自衛隊のイラク派兵差止等請求事件
(13)平成17年 9月 5日 静岡地裁浜松支部 平12(ワ)274号・平13(ワ)384号 損害賠償請求事件、損害賠償等請求事件 〔スズキ事件・第一審〕
(14)平成17年 5月19日 東京地裁 平12(行ウ)319号・平12(行ウ)327号・平12(行ウ)315号・平12(行ウ)313号・平12(行ウ)317号・平12(行ウ)323号・平12(行ウ)321号・平12(行ウ)325号・平12(行ウ)329号・平12(行ウ)311号 固定資産税賦課徴収懈怠違法確認請求、損害賠償(住民訴訟)請求事件
(15)平成16年11月29日 東京高裁 平15(ネ)1464号 損害賠償等請求控訴事件 〔創価学会写真ビラ事件・控訴審〕
(16)平成16年10月 1日 東京地裁 平14(行ウ)53号・平14(行ウ)218号 退去強制令書発付処分取消等請求、退去強制令書発付処分無効確認等請求事件
(17)平成16年 4月15日 名古屋地裁 平14(行ウ)49号 難民不認定処分取消等請求事件
(18)平成15年 4月24日 神戸地裁 平11(わ)433号 公職選挙法違反被告事件
(19)平成15年 2月26日 さいたま地裁 平12(ワ)2782号 損害賠償請求事件 〔桶川女子大生刺殺事件国賠訴訟・第一審〕
(20)平成14年12月20日 東京地裁 平10(ワ)3147号 損害賠償請求事件
(21)平成14年 1月25日 福岡高裁宮崎支部 平13(行ケ)4号 当選無効及び立候補禁止請求事件
(22)平成13年12月26日 東京高裁 平13(ネ)1786号 謝罪広告等請求控訴事件
(23)平成12年10月25日 東京高裁 平12(ネ)1759号 損害賠償請求控訴事件
(24)平成12年 8月 7日 名古屋地裁 平10(ワ)2510号 損害賠償請求事件
(25)平成12年 6月26日 東京地裁 平8(ワ)15300号・平9(ワ)16055号 損害賠償等請求事件
(26)平成12年 2月24日 東京地裁八王子支部 平8(ワ)815号・平6(ワ)2029号 損害賠償請求事件
(27)平成11年 4月15日 東京地裁 平6(行ウ)277号 懲戒戒告処分裁決取消請求事件 〔人事院(全日本国立医療労組)事件〕
(28)平成 6年 3月31日 長野地裁 昭51(ワ)216号 損害賠償等請求事件 〔長野東電訴訟〕
(29)平成 5年12月22日 甲府地裁 昭51(ワ)289号 損害賠償請求事件 〔山梨東電訴訟〕
(30)平成 4年 7月16日 東京地裁 昭60(ワ)10866号・昭60(ワ)10864号・昭60(ワ)10867号・昭60(ワ)10865号・平2(ワ)10447号・昭60(ワ)10868号 立替金請求併合事件 〔全逓信労働組合事件〕
(31)平成 2年 6月29日 水戸地裁 昭63(ワ)264号 市立コミュニティセンターの使用許可を取消されたことによる損害賠償請求事件
(32)昭和63年 4月28日 宮崎地裁 昭47(行ウ)3号 行政処分取消請求事件 〔宮崎県立大宮第二高校事件〕
(33)昭和57年 4月30日 東京地裁 昭56(行ク)118号 緊急命令申立事件 〔学習研究社緊急命令事件〕
(34)昭和56年 9月28日 大阪地裁 昭48(ワ)6008号 謝罪文交付等請求事件 〔全電通大阪東支部事件〕
(35)昭和55年 9月26日 長崎地裁 昭50(ワ)412号 未払給与請求事件 〔福江市未払給与請求事件〕
(36)昭和54年 7月30日 大阪高裁 昭53(行コ)24号 助成金交付申請却下処分無効確認等請求控訴事件
(37)昭和53年 5月12日 新潟地裁 昭48(ワ)375号・昭45(ワ)583号 懲戒処分無効確認等、損害賠償金請求事件 〔新潟放送出勤停止事件〕
(38)昭和52年 7月13日 東京地裁 昭49(ワ)6408号 反論文掲載請求訴訟 〔サンケイ新聞意見広告に対する反論文掲載請求事件・第一審〕
(39)昭和50年 4月30日 大阪高裁 昭45(ネ)860号 損害賠償ならびに謝罪文交付請求控訴事件
(40)昭和47年 3月29日 東京地裁 昭47(行ク)8号 緊急命令申立事件 〔五所川原市緊急命令申立事件〕
(41)昭和46年 4月14日 広島高裁 昭46(行ス)2号 行政処分執行停止決定に対する即時抗告申立事件 〔天皇来広糾弾広島県民集会事件〕
(42)昭和46年 4月12日 広島地裁 昭46(行ク)5号 行政処分執行停止申立事件
(43)昭和45年 4月 9日 青森地裁 昭43(ヨ)143号 仮処分申請事件 〔青森銀行懲戒解雇事件〕
(44)昭和37年 4月18日 東京高裁 昭35(ナ)15号 選挙無効確認請求事件
(45)昭和36年 6月 6日 東京高裁 昭35(う)2624号 公職選挙法違反被告事件
(46)昭和35年 6月18日 東京高裁 昭34(ナ)12号 選挙無効請求事件
(47)昭和29年 8月 3日 名古屋高裁 昭29(う)487号 公職選挙法違反事件
(48)昭和27年 3月19日 仙台高裁 昭26(ナ)7号 当選無効請求事件
(49)平成30年 7月20日 福岡地裁久留米支部 平28(ワ)69号 損害賠償請求事件
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