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政治と選挙Q&A「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例(79)昭和45年 4月13日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔目黒電報電話局懲戒戒告事件〕

政治と選挙Q&A「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例(79)昭和45年 4月13日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔目黒電報電話局懲戒戒告事件〕

裁判年月日  昭和45年 4月13日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭42(ワ)8229号
事件名  懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔目黒電報電話局懲戒戒告事件〕
裁判結果  認容  上訴等  控訴  文献番号  1970WLJPCA04130011

要旨
◆日本電信電話公社職員就業規則において禁止される政治活動の意義につき、右は人事院規則一四―七に規定する政治的目的をもつ政治行為と同趣旨であるとした事例
◆「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書いたプレートを着用した行為につき、日本電信電話公社職員就業規則において禁止される政治活動に当たらないとした事例
◆電報電話局の局所内でのビラ配布につき事前に許可を受けるべき旨を定める就業規則がある場合において、許可なしにした局所内でのビラ配布が職場秩序の実質的侵害を伴わないものであつて懲戒事由に該当しないとされた事例
◆懲戒戒告処分の無効確認を求める訴えを適法とした事例

新判例体系
公法編 > 労働法 > 労働基準法〔昭和二二… > 第九章 就業規則 > 第八九条 > ○就業規則 > (四)就業規則条項の… > E 政治活動に関する条項
◆日本電信電話公社職員就業規則において禁止される政治活動の意義は、人事院規則一四-七に規定する政治的目的をもつ政治行為と同趣旨と解すべきであって、「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書いたプレートを着用した行為は、右規則において禁止される政治活動に当たらない。

 

裁判経過
上告審 昭和52年12月13日 最高裁第三小法廷 判決 昭47(オ)777号 懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔ベトナム反戦プレート闘争事件上告審判決〕
控訴審 昭和47年 5月10日 東京高裁 判決 昭45(ネ)1072号 懲戒戒告処分無効確認請求控訴事件 〔目黒電報電話局戒告事件〕

出典
労民 21巻2号574頁
判タ 248号201頁
労判 100号62頁
労経速 716号6頁

評釈
籾山錚吾・ジュリ 510号169頁

参照条文
人事院規則
労働基準法89条

裁判年月日  昭和45年 4月13日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭42(ワ)8229号
事件名  懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔目黒電報電話局懲戒戒告事件〕
裁判結果  認容  上訴等  控訴  文献番号  1970WLJPCA04130011

原告 石原節
代理人 上田誠吉
外一六名
被告 日本電信電話公社
指定代理人 横山茂晴
外七名

 

主文
一、被告が昭和四二年六月二四日原告に対して、なした懲戒戒告処分は、無効であることを確認する。
二、訴訟費用は被告の負担とする。

事実《省略》

理由
一  原告が被告公社目黒電報電話局施設部試験課に勤務する同公社職員であること、被告が昭和四二年六月二四日原告に対し、懲戒戒告処分に付する旨の意思表示をしたことは、いずれも当事者間に争いがない。
二  本件処分の対象となつた処分事由の存否について判断する。
(一)、(イ) 原告が、昭和四二年六月一六日以降同月二二日まで継続して、目黒局において作業衣左胸に青地に白色で「ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張阻止」と書いたプラスチック製のプレートを着用して勤務したこと、
(ロ) その間、目黒局の局長および次長は、同年六月一六日午前九時頃原告に対し、「局所内でそのようなものをつけては困る。局所内で右のような主義、主張をもつた札、ビラその他を胸につけることは許可しない方針なので直ちに取りはずしてもらいたい。」旨注意を与えたが、これに従わず、さらに同日正午前頃試験課長から、翌一七日午後二時前頃試験課長、施設部長から、同月二二日正午頃試験課長から、同日午後三時過頃次長、施設部長から、それぞれプレートを取りはずすように注意を与えたが、原告はこれに従わなかつたこと、原告が、同年六月二三日正午頃、目黒局局所内で局所管理責任者である庶務課長の許可を受けることなく、右のプレートを取りはずすようにとの命令に対する抗議ビラ数十枚を職員に配布したこと。
以上の各事実は当事者間に争いがない。
(二)、〈証拠〉によると、昭和四二年当時被告公社職員に適用のある就業規則第五条第六項は、「職員は、局所内において、演説、集会、貼紙、掲示、ビラの配布その他これに類する行為をしようとするときは、事前に別に定めるその局所の管理責任者の許可を受けなければならない。」と、同条第七項は、「職員は、局所内において、選挙運動その他の政治活動をしてはならない。」と、第五九条は、「職員は、次の各号の一に該当する場合は、別に定めるところにより、懲戒されることがある。三、上長の命令に服さないとき、一八、第五条の規定に違反したとき(その他の各号省略)」と、第六〇条は「懲戒処分には、次の種類がある。一、免職、二、停職、三、減給、四、戒告」とそれぞれ規定していることが認められ、右認定に反する証拠はない。
(三)、そこで、上記原告の各所為が、就業規則所定の懲戒事由に該当するかどうかについて順次検討する。
(1)  プレート着用および取りはずし命令拒否について
まず、就業規則第五条第七項にいわゆる「政治活動」の意義について考えてみる。被告公社は、いうまでもなく、従来政府(電気通信省)の行つていた公衆電気通信事業の合理的かつ能率的な経営体制を確立し、公衆電気通信設備の整備、拡充を促進し、ならびに電気通信による国民の利便を確保することによつて公共の福祉を増進することを目的として、日本電信電話公社法(昭和二七年法律第二五〇号)により旧電気通信事業特別会計の純財産額を資本金として創設された政府金額出資の独立法人であつて、これに伴い、従来国家公務員として国家公務員法および人事院規則によつて規律されていた職員の労働関係(地位、服務、労働条件などを含む。)も、日本電信電話公社法公共企業体等労働関係法および被告会社の制定する就業規則の定めるところによることとなつたのであるが、公社職員の服務の規準に関する法律上の規定としては、日本電信電話公社法第三四条に「職員は、その職務を遂行するについて、誠実に法令及び公社が定める業務上の規定に従わなければならない。職員は、全力を挙げてその職務の遂行に専念しなければならない。」との国家公務員法第九六条に対応する規定があるほかは、同法第七節(服務)のような格別の規定を置いていない。
しかして、〈証拠〉によると、被告公社は、その設立後国家公務員法および人事院規則に代るべき職員関係についての規則として、昭和二七年八月一日総裁達第八号をもつて、既存の労働条件その他人事制度を原則としてそのまま受け継いだ内容の職員就業規則を制定し、その第五条第八項に「職員は、局所内において、選挙運動その他の政治活動をしてはならない。」との規定を置き、その後数次の改正を経たが、右規定は上記のとおり同条第七項にそのまま存続していること、右就業規則作成に当つて中核的な担当官であり、審議の全過程を通じて論議の事情に最も精通している被告公社職員が就業規則運用の参考とするため公式に発表した就業規則解説によると、右規定にいわゆる「政治活動」の意義は、従前の解釈による、すなわち、人事院規則一四―七に規定する政治的目的をもつ政治的行為と解すべきである、と明記されていることが認められ、右認定を覆すべき証拠はない(なお、被告が、本訴訟においても、「政治活動」の意義につき、右と同様の主張をしていることは本件口頭弁論の経過に徴して明らかである。)。
もとより、被告公社は、公衆電気通信事業という一般公衆が直接利用関係に立ち、国民生活に直接多大の影響力をもつ公益性ないし社会性の極めて強い事業を経営する企業体であるから、公社職員の労働関係も右の事業の公益性、社会性を反映して、一般私企業の労働者のそれと本質的には同一性を有しつつも、なお若干異つた規制を受けることは否定できない。しかしながら、公社職員の政治活動についていえば、法律上公社職員の政治活動の自由を制限する明文の規定は存在しないばかりでなく、その職務の性質上、公社職員が、局所の内外を通じ国家公務員に対して要請される程度を超えて、より広範に政治的中立性の確保を要請されなければならない根拠を見出すことは困難である。そうだとすると、上記被告公社設立の沿革、就業規則制定の経緯および右規則制定者の見解を総合して考えると、就業規則第五条第七項の「政治活動」の意義は、人事院規則一四―七に規定する政治的目的をもつ政治的行為と同趣旨であると解するのが相当である。国家公務員法および人事院規則一四―七による政治活動の禁止は、一般的には勤務時間あるいは事業場の内外を問わないものであつて、局所内政治活動のみを禁止する前記就業規則の規定と趣を異にするけれども、上記就業規則制定の経緯に照らすと、このことによつて右判断を左右するものではない。
そこで、人事院規則一四―七の政治的行為および政治的目的の定義規定のうち、本件プレート着用との関係で問題となるべき条項についてみるに、政治的行為については、その第六項第一六号(「政治的目的をもつて、勤務時間中において、政治上の主義主張又は政党その他の政治団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これに類するものを着用し又は表示すること。」)が、政治的目的については、第五項第五号(「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること。」)がそれぞれ関連をもつ規定であつて、その他の諸規定が本件にかかわりのないものであることは明らかである。そして、右の「政治の方向に影響を与える意図」については、単に特定の政党の政策を支持しまたはこれに反対する目的を有するだけでは足りず、より一層重大な政治の基本的方向すなわち憲法で定められた民主主義政治の根本原則を変更し、または変更のおそれある行為をする積極的意思と解すべきであつて、行為者に右の意味での政治的目的が意識されていない限り、前記人事院規則第六項第一六号の制限の対象となる政治的行為に該当する余地がないことについては異論をみないところである(なお、〈証拠〉によると、人事院職員局長は、全医労福島支部から「ベトナム侵略反対、小選挙区制紛砕」の組合大会決議をリボンにして着用することの当否について照会したのに対し、右リボンの内容は、国家公務員法、人事院規則一四―七の政治活動ではない旨の回答をしていることが認められる。)。
〈証拠〉を総合すると、次の諸事実が認められる。
(イ) 本件プレートは、労働組合など約一二〇団体によつて結成された協議機関である安保破棄諸要求貫徹中央実行委員会が昭和四二年五月二八日の砂川集会開催にあたつてつくつた五万個(地色が青と赤の二種類各二万五〇〇〇個)のプレート(縦一、八センチ、横六センチのプラスチック制の長方形平板で裏面に安全ピンをセロハンテープで固定し、上衣等に着用できるようつくられている。)の一つである。右実行委員会は、従来集会参加者から運営費用にあてるため入場料の名目で会費を徴収していたが、団体として所属している各会員から会費をとるのはまずいという意見があり、会費の徴収に替えて右プレートを販売し、参加者の胸につけて貰うこととし、当日の集会の規模(参加人員)を約五万人と見込み、その当時における政治課題に即応したスローガンを採り上げて作成したものであつて、各加盟団体がある程度纏まつた数を引き受けてこれを売り捌いた。
(ロ) 原告の所属する全電通労働組合は、前記中央実行委員会には加盟していなかつたので、原告は、昭和四二年五月二八日の砂川集会に参加するため会場で本件プレートを買い、同日以降目黒局の職場においてこれを着用していた。原告が右集会後も引き続き本件プレートを着用した動機は、ベトナム戦争に反対することが日本の平和につながるという気持をもち、立川基地がベトナム戦争の遂行に利用されていると考え、本件プレートに記載されたスローガンに共鳴同調し、その気持を職場の同僚に理解してもらいたいということにあつた。
(ハ) 原告が本件プレートを着用した当初、上司である試験課長や施設部長は、これを知りながら格別の注意を与えることもしなかつたが、昭和四二年六月一六日、原告が夏季手当の支給について原告を不当に差別したとして、目黒局局長にその理由を質問するため局長室に赴き、説明された理由が納得できないと局長および次長に抗議していた最中に、はじめて上記のとおり局長および次長から注意を受け、それ以後上司から再三にわたつて注意されることとなつた。
以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。
右認定の事実によると、本件プレートが政治上の主張の表示に用いられる記章に該当するとしても、原告が上記の意味での政治的目的をもつて本件プレートを着用したものとは到底認め難いところであるから、原告の本件プレート着用行為は、前記就業規則第五条第七項の規定に牴触するものではないと認めるのを相当とする。そうだとすると、本件プレート着用行為が就業規則に定める局所内政治活動の禁止に違反することを前提とする前記局長らのプレート取りはずし命令は、右就業規則の規定の解釈適用を誤つた結果なされたもので、正当な根拠を欠き、原告に対してなんら義務なきことを強制するものにほかならないから、原告がこれに従うことを拒否したとしても、命令不服従の責を問うに由ないものといわざるを得ない。被告は、上長の命令が一見明白に違法と認められる場合を除いて、部下職員はこれに服すべきであると主張するけれども、行政機構の組織的一体性の保持という特殊な要請のある公務員の服務関係ならば格別、本質的には一般私企業の労働者と何ら相違のない公社職員について、右のような特別の命令遵守義務を負わせる理由を見出すことはできないから、被告の右主張は採用の限りでない。
以上の次第で、前記(一)、(イ)、(ロ)の原告の所為は、その余の点について判断するまでもなく、就業規則第五九条第三号、第一八号所定の懲戒事由に該当しないものといわなければならない。
(2)  ビラ配布について
上記のとおり、被告公社就業規則第五九条第一八号は、局所内でのビラ配布について、事前に局所管理責任者の許可を受けることを要求する第五条第六項の規定違反を懲戒事由として規定しているのであるが、就業規則にもとづく懲戒は、元来労働者の行つた特定の行為が職場秩序を実質的に侵害した場合、その失われた秩序を回復し、将来同様の職場秩序の侵害が反覆されることのないようこれを防止することを目的とするものというべきであるから、前記就業規則第五九条第一八号の規定の趣旨もこの懲戒の制度的目的に即して解釈されなければならない。就業規則第五条第六項のビラ配布許可制そのものが憲法第一九条、第二一条第一項に照らして合理的な制限といえるかどうかは兎も角、少くとも右就業規則の懲戒規定との関係についてみると、単に事前に許可を受けなかつたという形式的、手続的な違背を問題にして、およそ文書の無許可配布一般を懲戒処分の対象に包摂するものではなく、許可制を採用することによつて担保ないし維持せんとした職場秩序の実質的侵害(例えば、他の職員の作業妨害、作業能率の低下、職場内の感情的対立、風紀の紊乱など)を伴うような無許可のビラ配布のみを懲戒処分の対象とする趣旨であると解するのを相当とする。
そこで、本件ビラ配布の態様についてみるに、上記当事者間に争いのない(一)、(イ)の事実に、〈証拠〉および本件口頭弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。
原告は、上記のとおり昭和四二年六月二二日午後三時過頃目黒局次長から本件プレートの取りはずしを命ぜられ、その際「取りはずさないと処分せざるを得なくなる。」旨の警告を受けた。そこで原告は右取りはずし命令が不当であると考え、ことの経過を目黒局の職員に訴えるため、「職場のみなさんへの訴え」と題し、六月一六日局長室でプレート着用について注意を受けた状況および管理者側の態度が職場の組合活動や労働者の政治的自覚を高かめる活動を抑えて公社の合理化計画をよりスムーズに進行させるための地ならしであるとの抗議の意見を記載するとともに、職場の要求をワッペン、プレートにして皆の胸につけることを呼びかけた内容のビラを作成し、同月二三日休憩時間中である正午から〇時一〇分頃までの間に、右ビラ数十枚を試験課、線路課など各課の休憩室および食堂で手渡し、一部休憩室のない職場では職員の机上に置くという方法で配布した。そして、右ビラの配布をめぐつて他の職員がその受領を拒否して悶着を起すとか、局所内を汚すというような事態はなかつた。
以上の事実が認められ、〈証拠判断省略〉
右認定の事実によると、原告は、上司の理由のないプレート取りはずし命令に抗議する目的で、休憩時間を利用して、大部分は休憩室、食堂で平穏裡に本件ビラを配布したものであり、ビラの記載は虚偽の事実とか個人的誹謗など特段に不当な内容を含むものではなく、その枚数も僅か数十枚に過ぎないのであるから、本件ビラ配布は、なんら職場秩序の実質的侵害を伴わないものであつて、未だ就業規則第五九条第一八号所定の懲戒事由に該当しないといわなければならない。このことは、〈証拠〉によつて認められる次の事実、すなわち、被告が、従来無許可ビラ配布を理由として右就業規則の規定により懲戒処分に付した事例はいずれも勤務時間中に勤務中の職員にビラを配布した場合であつて、休憩時間中のビラ配布は懲戒処分を行うに至らないものとして訓告の措置にとどめていることからも裏付けられるのである。
そうだとすると、本件懲戒戒告処分は、就業規則所定の懲戒事由が存在しないのにかかわらず行われたものであつて、爾余の点について判断を進めるまでもなく無効といわなければならない。
三  最後に本件訴の適否についての当裁判所の見解を附言する。
〈証拠〉によると、被告公社の職員就業規則第七四条は、「職員が現給を受けるに至つたときから所定の昇給所要期間(一二月)以上の期間を勤務したときは、その等級における基本給の幅の中において、直近上位の基本給に昇給するものとする。」と、第七五条は、「定期昇給日(定期昇給を行う時期をいう。)は一月一日、四月一日、七月一日および一〇月一日とする。」と、第七六条第三項は「現給経過期間中において、戒告処分を受けた者については、定期昇給日を三ケ月延伸する。」と規定しており(賃金に関する協約第三六条第一号ハも同趣旨)、また第八一条によると、勤務地手当の月額は基本給に対応、比例して増額されていること、原告は現に本件処分により定期昇給を三ケ月延伸されたこと(この点は当事者間に争いがない。)が認められるのであつて、右認定の事実によると、原告は、本件処分を受けたことにより、就業規則上当然に翌年度の定期昇給日を本来昇給すべき時期から三ケ月延伸され、以後原告が被告公社の職員たる地位にある間は、特別昇給により昇給期間を短縮されるなど特段の事情がない限り、右昇給延伸の効果が継続することは明らかである。
もとより、原告は、本件懲戒処分の無効を理由として、右懲戒処分の結果当然に行われる昇給延伸により蒙る給与面での不利益につき、毎年その都度当該昇給延伸がなかつたならば受けたであろう給与差額の支払を求めて給付訴訟を提起することは理論上可能であるけれども、右給付訴訟の方途があることを理由に、それ以外の救済方法を一切排斥することは余りにも原告に難きを強いるものといわなければならない。むしろ、多数の権利義務を包摂し、しかも通常長期間にわたつて存続する包括的、継続的法律関係としての労働契約関係の特殊性に鑑みると、上記のとおり本件処分により当然昇給延伸の措置がとられるものである場合、かかる基本的な労働契約関係にもとづいて派生する個別的権利関係についての紛争を抜本的に解決するためには、本件懲戒処分が無効なるが故に原、被告間に存在する法律関係(具体的にいえば、就業規則の昇給延伸規定を発動、適用してはならないこと。)を確認する趣旨で、端的に右処分の無効を確認するのが最も有効、適切な方法であり、紛争解決の直載性、訴訟経済上の要請にも合致するものというべきである。しかして、このように本件懲戒処分の効力を確認することによつて解決すべき法律上の利益が肯定される以上、懲戒戒告処分は法律関係の発生、変更、消滅の前提となる一の法律事実に過ぎないとの理由のみによつて、その確認請求の対象としての適格性を否定することはいささか形式的に過ぎ、法律上の利益ないし必要に応じて紛争の公権的解決を図ろうとする民事訴訟制度の目的にも背馳するものといわざるを得ないのであり、以上述べたところから、本件懲戒戒告処分の無効確認を求める本件訴えは適法なものと解すべきである。
四  以上の次第で、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。(西山要 島田礼介 瀬戸正義)


政治と選挙の裁判例「東京都都議会議員選挙 ポスター貼り ボランティア」に関する裁判例一覧
(1)昭和49年 5月14日 東京地裁 昭49(ヨ)767号 文章の掲載を求める仮処分申請事件 〔サンケイ新聞意見広告に対する反論文掲載請求事件仮処分決定〕
(2)昭和49年 4月26日 東京高裁 昭44(行コ)27号・昭44(行コ)25号 雇用関係存在確認請求控訴事件 〔旧電通省レッドパージ事件〕
(3)昭和49年 4月25日 最高裁第一小法廷 昭48(行ツ)102号 選挙無効請求事件
(4)昭和49年 4月 6日 京都地裁舞鶴支部 昭49(ヨ)6号 ビラ配布禁止仮処分申請事件
(5)昭和49年 3月 6日 東京地裁 昭48(ヨ)2384号 権利停止処分の効力停止等仮処分申請事件 〔東京交通労組自動車部渋谷支部事件〕
(6)昭和49年 2月21日 佐賀地裁武雄支部 昭49(ヨ)3号 仮処分命令申請事件
(7)昭和49年 1月30日 大阪地裁 昭43(ワ)3296号 従業員地位確認等請求事件 〔三菱製紙ショップ制解雇事件〕
(8)昭和49年 1月21日 東京地裁 昭45(ワ)9169号 損害賠償請求事件
(9)昭和49年 1月19日 仙台地裁 昭49(ヨ)19号 雑誌配布禁止等仮処分申請事件
(10)昭和48年12月17日 大阪地裁 昭48(ヨ)3456号 統制処分の効力停止仮処分申請事件 〔動労大阪地本権利停止事件〕
(11)昭和48年12月17日 釧路地裁 昭48(ヨ)47号 統制処分の効力停止仮処分申請事件 〔動労釧路地本権利停止事件〕
(12)昭和48年11月 7日 広島地裁 昭48(ヨ)413号 仮処分申請事件 〔動労広島地本役員執行権停止事件〕
(13)昭和48年 9月27日 東京高裁 昭43(ネ)1813号 地位保全等仮処分申請控訴事件 〔横浜ゴム上尾工場懲戒解雇事件〕
(14)昭和48年 9月27日 福岡高裁 昭48(行ケ)1号 町議会議員補欠選挙無効裁決取消請求事件
(15)昭和48年 9月19日 東京高裁 昭46(行コ)79号 懲戒処分取消請求控訴事件 〔全逓本所支部プラカード事件〕
(16)昭和48年 9月12日 和歌山地裁 昭34(行)1号 和歌山高教組懲戒処分取消事件
(17)昭和48年 9月 7日 札幌地裁 昭44(行ウ)16号・昭44(行ウ)23号・昭44(行ウ)24号 保安林指定の解除処分取消請求事件 〔長沼ナイキ基地訴訟事件〕
(18)昭和48年 9月 4日 佐賀地裁 昭48(ヨ)62号 選挙活動妨害禁止仮処分命令申請事件
(19)昭和48年 5月30日 東京高裁 昭47(ネ)2164号 損害賠償請求控訴事件
(20)昭和48年 5月29日 広島高裁 昭46(行コ)3号 図書閲読冊数制限処分等取消請求控訴事件
(21)昭和48年 4月25日 最高裁大法廷 昭43(あ)2780号 国家公務員法違反被告事件 〔全農林警職法闘争事件・上告審〕
(22)昭和48年 4月19日 名古屋地裁 昭48(ヨ)388号 新聞配布等禁止仮処分申請事件
(23)昭和48年 4月 2日 仙台地裁 昭44(わ)388号・昭44(わ)225号 建造物侵入、傷害事件 〔いわゆる仙台鉄道郵便局事件〕
(24)昭和48年 3月30日 名古屋地裁豊橋支部 昭42(わ)347号 国家公務員法違反被告事件
(25)昭和48年 3月29日 仙台地裁 昭42(わ)120号 公職選挙法違反被告事件
(26)昭和48年 3月29日 松山地裁 昭40(行ウ)9号 免職処分無効確認等請求事件
(27)昭和48年 3月19日 長崎地裁佐世保支部 昭45(ワ)77号 慰藉料請求事件
(28)昭和48年 2月22日 前橋地裁 昭46(わ)280号・昭46(わ)225号・昭46(わ)172号・昭46(わ)247号・昭46(わ)190号 強姦致傷、強姦、殺人、死体遺棄被告事件 〔いわゆる大久保事件〕
(29)昭和48年 1月25日 広島高裁 昭42(ネ)242号・昭42(ネ)53号 国労組合費請求事件
(30)昭和47年12月27日 横浜地裁 昭43(行ウ)3号の1 入場税決定処分取消請求事件
(31)昭和47年12月27日 横浜地裁 事件番号不詳 課税処分取消請求事件
(32)昭和47年12月22日 札幌地裁 昭41(行ウ)1号・昭41(行ウ)4号 課税処分取消請求事件
(33)昭和47年10月13日 東京高裁 昭43(う)1114号 公職選挙法違反被告事件
(34)昭和47年 8月28日 東京地裁 昭45(ワ)12486号 損害賠償請求事件
(35)昭和47年 8月10日 岡山地裁 昭46(わ)507号 国家公務員法違反・公職選挙法違反被告事件
(36)昭和47年 7月20日 最高裁第一小法廷 昭47(行ツ)24号 市議会議員当選の効力に関する訴願裁決取消請求
(37)昭和47年 5月29日 東京地裁 昭43(ワ)12905号 言論の応酬名誉権侵害事件第一審判決
(38)昭和47年 5月22日 大阪地裁 昭37(わ)1385号 公務執行妨害被告事件
(39)昭和47年 5月10日 東京高裁 昭45(ネ)1072号 懲戒戒告処分無効確認請求控訴事件 〔目黒電報電話局戒告事件〕
(40)昭和47年 4月19日 東京高裁 昭44(行コ)5号 退去強制令書発付処分取消請求控訴事件 〔政治亡命裁判・控訴審〕
(41)昭和47年 4月 7日 仙台高裁 昭45(う)164号 国家公務員法違反被告事件
(42)昭和47年 4月 5日 東京高裁 昭44(う)1895号 公職選挙法違反、国家公務員法違反被告事件 〔総理府統計局事件・控訴審〕
(43)昭和47年 3月31日 東京地裁 昭40(ヨ)2188号 仮処分申請事件 〔目黒高校教諭解雇事件〕
(44)昭和47年 3月 3日 東京地裁 昭45(特わ)135号・昭45(特わ)136号・昭45(特わ)134号・昭45(特わ)137号・昭44(特わ)496号・昭44(特わ)445号・昭45(特わ)133号 公職選挙法違反被告事件
(45)昭和46年11月19日 東京地裁 昭46(行ク)52号 執行停止申立事件
(46)昭和46年11月 1日 東京地裁 昭45(行ウ)45号 懲戒処分取消請求事件 〔全逓本部支部プラカード事件〕
(47)昭和46年10月 4日 東京高裁 昭44(う)32号 公職選挙法違反被告事件
(48)昭和46年 8月27日 大阪高裁 昭46(行ケ)4号 選挙無効請求事件
(49)昭和46年 8月 4日 千葉地裁 昭43(ワ)569号 損害賠償請求事件
(50)昭和46年 6月29日 福岡地裁 昭43(ワ)1868号 懲戒休職無効確認等請求事件 〔西日本新聞懲戒休職事件〕
(51)昭和46年 5月14日 名古屋高裁 昭42(行コ)8号 行政処分取消等請求控訴事件 〔いわゆる地鎮祭違憲訴訟・控訴審〕
(52)昭和46年 5月10日 高松高裁 昭44(う)178号 国家公務員法違反事件 〔徳島郵便局事件・控訴審〕
(53)昭和46年 4月30日 名古屋地裁 昭43(ワ)442号 株主総会決議無効確認請求訴訟事件 〔トヨタ自工純血訴訟事件・第一審〕
(54)昭和46年 3月29日 東京地裁 昭42(行ウ)141号 行政処分取消請求事件 〔台湾青年独立連盟所属の中国人に対する退去強制事件〕
(55)昭和46年 1月22日 東京高裁 昭44(ネ)2698号 仮処分控訴事件 〔日立製作所懲戒解雇事件〕
(56)昭和46年 1月21日 大阪地裁 昭40(わ)2982号 公職選挙法違反被告事件
(57)昭和45年12月24日 名古屋高裁金沢支部 昭43(う)186号 贈賄・収賄被告事件
(58)昭和45年11月 7日 名古屋地裁 昭43(わ)1271号・昭43(わ)1272号 公職選挙法違反被告事件
(59)昭和45年10月 9日 東京高裁 昭42(ネ)35号 私有建物九段会館返還請求控訴事件
(60)昭和45年 9月29日 横浜地裁 昭41(ワ)577号 雇用関係存続確認等請求事件 〔日本石油精製転籍事件〕
(61)昭和45年 9月25日 大阪高裁 昭43(う)1525号 公職選挙法違反被告事件
(62)昭和45年 9月 8日 東京地裁 昭44(モ)4872号・昭43(ヨ)10468号 占有使用妨害禁止等の仮処分異議および不動産仮処分申請事件
(63)昭和45年 7月17日 東京地裁 昭42(行ウ)85号 検定処分取消訴訟事件 〔第二次家永教科書事件〕
(64)昭和45年 7月16日 最高裁第一小法廷 昭43(あ)1185号 地方公務員法違反被告事件
(65)昭和45年 7月16日 東京高裁 昭43(行ケ)99号 選挙の効力に関する訴訟事件
(66)昭和45年 7月13日 名古屋地裁 昭43(ワ)3191号 権利停止処分無効確認請求事件 〔王子製紙春日井新労組権利停止事件〕
(67)昭和45年 7月11日 名古屋地裁 昭42(行ウ)28号 損害賠償請求事件
(68)昭和45年 6月30日 福岡地裁小倉支部 昭40(ヨ)497号 仮処分申請事件 〔門司信用金庫解雇事件〕
(69)昭和45年 6月27日 福岡地裁 昭35(ヨ)444号 地位保全仮処分申請事件 〔三井三池整理解雇事件〕
(70)昭和45年 6月24日 最高裁大法廷 昭41(オ)444号 取締役の責任追及請求上告事件 〔八幡製鉄政治献金事件・上告審〕
(71)昭和45年 6月23日 東京地裁 昭43(ヨ)2402号 仮処分申請事件 〔日本経済新聞懲戒解雇事件〕
(72)昭和45年 6月23日 東京地裁 昭42(モ)15801号・昭42(モ)15803号・昭42(ヨ)2317号 仮処分申請、仮処分異議事件 〔亜細亜通信社解雇事件〕
(73)昭和45年 6月10日 岡山地裁 昭38(ワ)595号 地位確認等請求事件 〔山陽新聞懲戒解雇事件〕
(74)昭和45年 5月29日 東京地裁 昭43(ワ)9154号 労働契約存在確認等請求事件 〔問谷製作所解雇事件〕
(75)昭和45年 5月29日 大阪地裁 昭39(ワ)5180号 損害賠償ならびに謝罪文交付請求事件
(76)昭和45年 5月21日 東京地裁 昭43(合わ)308号・昭44(刑わ)5308号 爆発物取締罰則違反・火薬類取締法違反・暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
(77)昭和45年 5月 4日 大阪地裁 昭35(わ)255号 贈賄・単純収賄・受託収賄被告事件
(78)昭和45年 4月27日 東京高裁 昭43(行コ)44号 判定及び休職処分取消請求控訴事件
(79)昭和45年 4月13日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件 〔目黒電報電話局懲戒戒告事件〕
(80)昭和45年 4月 3日 東京地裁 昭42(ワ)8229号 懲戒戒告処分無効確認請求事件
(81)昭和45年 3月30日 青森地裁 昭42(わ)57号 国家公務員法違反事件 〔いわゆる青森営林局員選挙運動事件・第一審〕
(82)昭和45年 3月 2日 長野地裁 昭40(行ウ)14号 入場税等賦課決定取消請求事件
(83)昭和45年 2月27日 福岡地裁 昭43(行ウ)12号 休職処分取消請求事件 〔福岡中央郵便局職員起訴休職事件〕
(84)昭和45年 2月16日 東京地裁 昭41(ヨ)2340号 仮処分申請事件 〔高砂暖房器ショップ制解雇事件〕
(85)昭和45年 1月30日 東京地裁 昭42(ヨ)2373号 仮処分申請事件 〔三元貿易解雇事件〕
(86)昭和45年 1月23日 京都地裁 昭41(ヨ)242号 健康会懲戒解雇事件
(87)昭和45年 1月12日 大阪地裁堺支部 昭43(ヨ)370号 仮処分申請事件 〔セントラル硝子政治活動妨害事件〕
(88)昭和44年12月26日 大阪地裁 昭42(ヨ)1874号 仮処分申請事件 〔日中旅行社解雇事件〕
(89)昭和44年12月17日 東京高裁 昭41(う)598号 公務執行妨害被告事件 〔いわゆる第二次国会乱闘事件・控訴審〕
(90)昭和44年11月15日 東京地裁 昭34(行)108号 免職処分無効確認事件 〔郵政省職員免職事件〕
(91)昭和44年11月11日 名古屋地裁 昭28(わ)2403号 騒擾,放火,同未遂,爆発物取締罰則違反,外国人登録法違反各被告事件 〔大須事件・第一審〕
(92)昭和44年11月11日 名古屋地裁 昭27(わ)1053号 騒擾、暴力行為等処罰に関する法律違反、放火未遂、外国人登録法違反、外国人登録令違反被告事件 〔大須事件・第一審〕
(93)昭和44年11月 8日 東京地裁 昭43(ワ)662号 損害賠償請求訴訟事件 〔台湾青年独立連盟所属中国人退去強制事件損害賠償請求・第一審〕
(94)昭和44年10月17日 福岡高裁 昭44(う)70号 公職選挙法違反被告事件
(95)昭和44年10月 8日 盛岡地裁 昭39(わ)137号 公職選挙法違反被告事件
(96)昭和44年 9月26日 東京地裁 昭42(ワ)7235号 損害賠償請求事件
(97)昭和44年 9月20日 大阪地裁 昭44(行ク)21号 市議会議員除名処分執行停止申立事件
(98)昭和44年 9月 5日 金沢地裁 昭34(ワ)401号 損害賠償請求事件 〔北陸鉄道労組損害賠償請求事件〕
(99)昭和44年 6月16日 東京高裁 昭41(う)984号 軽犯罪法違反被告事件
(100)昭和44年 6月14日 東京地裁 昭40(特わ)555号 国家公務員法違反、公職選挙法違反被告事件 〔総理府統計局事件・第一審〕


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